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1952-12-19 第15回国会 参議院 大蔵・労働連合委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月十九日(金曜日)    午後二時十一分開会   —————————————  出席者は左の通り。   大蔵委員    委員長     中川 以良君    理事            伊藤 保平君            木内 四郎君    委員            黒田 英雄君            西川甚五郎君            小林 政夫君            杉山 昌作君            野溝  勝君            三輪 貞治君            松永 義雄君            堀木 鎌三君   労働委員    委員長     吉田 法晴君    理事            安井  謙君            村尾 重雄君    委員            野田 卯一君            重盛 壽治君            片岡 文重君            櫻内 辰郎君            一松 定吉君   政府委員    大蔵省主計局給    与課長     岸本  晋君    日本専売公社監    理官      今泉 兼寛君    労働省労政局長 賀來才二郎君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君    常任委員会専門    員       小田 正義君    常任委員会専門    員       磯部  巖君    常任委員会専門    員       高戸義太郎君   説明員    日本専売公社副    総裁      勝田雄次郎君    日本専売公社総    務部長     小川 潤一君   参考人    全国専売公社労    働組合中央闘争    委員長     平林  剛君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○公共企業体等労働関係法第十六條第  二項の規定に基き、国会議決を求  めるの件(内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは只今より労働委員会との連合委員会を開会いたします。  最初にお諮りを申上げまするが、前回の連合委員会におきまして一応御決定願つたことでございまするが、本日全専売委員長平林君がお見えになつておられまするが、平林君を参考人といたしまして、その発言を許可するに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中川以良

    委員長中川以良君) 御異議ないものと認めます。よつてさように決定をいたします。  それではこれから御質疑を願うのでございまするが、前例によりまして労働委員のおかたに先に御発言を願いたいと存じます。なお御注意を申上げまするが、平林参考人は所用があつて早く退席をしたいという御希望でございまするので、初めに平林参考人に対する御質疑をお願いをいたしたいと存じます。
  4. 重盛壽治

    重盛壽治君 質問の前にちよつとお聞きしておきますが、本日の参考人平林委員長のほかにどなたとどなたでございましよう。
  5. 中川以良

    委員長中川以良君) 本日はお、一人だけを参考人にいたしておりますが、本日仲裁委員長今井さんがお見えになるはずでございまするが、本日よんどころない会議を主宰しておられまするので、御出席ができかねる旨の御通知がございました。
  6. 重盛壽治

    重盛壽治君 そうすると、政府委員はどなたとどなたでございますか。
  7. 中川以良

    委員長中川以良君) 政府委員といたしまして、日本専売公社今泉監理官、それから日本専売公社勝田総裁、それから公社監理官室におられまするところの大蔵事務官鈴木秀雄君、公社総務部長小川潤一君、それから労働省側からは間もなく参りまする予定でございます。以上でございます。
  8. 重盛壽治

    重盛壽治君 先般の平林委員長の口述の中で、今度の仲裁裁定一万三千百円の基準賃金額がこれは不満だ、併し不満ではあるけれども仲裁裁定に服したいと言われたのだが、この不満と言われた内容がもう少し突込んでお聞きしたいと思いますが。
  9. 平林剛

    参考人平林剛君) 仲裁委員会は今回の裁定において基準賃金を一万三千百円と下しましたが、この理由書を見ますと、組合の主張いたしました資料専売職員戦前の総平均の賃金が五十二円二十銭であつて、これに物価指数を乗じた場合に、三百倍の物価指数を乗じた場合一万五千六百六十円になる、こういうことを一応認めたのであります。ところがいろいろと理由を附して結局政府提出をいたしました補正予算の一万三千七十四円に数字を合せたかのような裁定額になつておりまして、こういうところに組合としては一つ不満理由を持つておるのであります。大体組合の主張のように戦前の水準に達せしめるには一万五千六百六十円という数字を認めながら、一万三千百円まで下して来たことには、少しその後の資料によりましても疑問を持つておるのであります。特にその後我々が発見いたしました資料でも、戦前一般職員基準賃金は五十五円三十四銭、工員の場合でも三十二円八十八銭でありまして、これは超過勤務手当として或いは年末手当相当する額等を含まないものであります。これを基礎にいたしまして計算をして頂いたならば、もつと裁定の額は高くなつたものと思いまして、その後に発見をした資料で大変残念なんでありますけれども、要すれば再検討願いたいと思つておるほどであります。又この裁定一万三千百円は調停委員会が当初出されました八月以降一万四千円の調停案の額よりも下廻つておるのでありまして、結局調停機関提出をされてから数カ月も経つてから裁定が出た、余りにも期日が長くなり過ぎたために、組合が結局数字の上において損をしたのではないか、こういうような考えも持たれまして、以上申上げた点から今度の裁定については数字の上において大変不満思つておるのであります。ただ我々としては公労法の建前によりまして、不満ではありますが、この裁定額を以て紛争を解決したいと思つてつたわけであります。
  10. 重盛壽治

    重盛壽治君 昨年の裁定一万四百円はまだ予算化されていない、予算に付されておらないが、この点は一応数字的に私ども曾つて池田さんがやつて来た方策によろところのあれから盛られていないということだけは承知いたしておりまするけれども、どうして昨年の裁定の一万四百円が未だに手続きができていないか、この点を一つ平林さんから教えて頂きたいと思います。
  11. 平林剛

    参考人平林剛君) 御承知のように昨年の裁定基準賃金が一万四百円と置かれました。ところが政府提出をいたしました昭和二十七年の予算案によりますと九千五百八十三円だけしか組んでありません。これは基準賃金が一万四百円と裁定をされたのに、その後提出いたした予算案炉九千五百八十三円しか組んでいないことは、裁定予算上においても尊重した手続きをとつておらないと考えておるのであります。特別手当のほうも同様に一カ月分九千五百八十三円、こう組んでありまして、この結果が我々は特別手当その他において、一般公務員その他に比べまして著るしく不利を蒙つた原因になつておるのであります。予算上見まして、どうしても政府予算案は当初予算において裁定が尊重されておらないというのは、只今数字のようになつておることから申上げたのであります。
  12. 重盛壽治

    重盛壽治君 いま一点お伺いいたしますが、大体先ほどのお話で、一万三千百円の裁定を御了承なさつたことはわかるが、私ども外から見た場合に、調停案は一万四千円ですね。その一万四千円が、数字のみから行くと、勿論その中に労働條件というか、或いは職階制というようなものも若干済込まれたようには聞いておりますけれども、一万四千円に不満で断わつておいて、あと仲裁裁定の一万三千百円を、幾ら不満にしても、了承したという、その考え方と言いますか、それはどういうところからその数字になりましたか。この際教えて頂きたいと思います。
  13. 平林剛

    参考人平林剛君) 先ほど申上げましたように、組合の要求が一万六千六百円であつたので、調停案が一万四千円と出ましたが、額において不満であつたので、調停案は受諾しなかつたのであります。同時に、専売公社も当時受諾しないという態度をとつておりましたので、専売公社側が受諾をしないということであれば、これはやはりその調停案を以て紛争解決をすることが困難でありましたので、法律上の拘束を受ける仲裁委員会裁定をお願いしたほうが早いと考えまして、そこで調停案は受諾しないで、法律上の手続に待つて仲裁委員会裁定をお願いいたしたのであります。でありますから、私ども見込みも、或いはいろいろな情勢の変化によつて組合は不利な態勢になつて、結局一万三千百円の数字に落ちてしまいましたけれども、これはやはり法律裁定を以て最終的に紛争を解決せよとありましたので、我々としては涙を呑んで、これに服従する態度をとつたのであります。
  14. 重盛壽治

    重盛壽治君 最後に一言。そうすると、結論として私ども考え方から申しまするならば、一万六千六百円が、つまり一万四千円になつて数字的にも勿論不満であつた公社のほうも不満であるという関係から、これは拒否したけれどもあとで出た一万三千百円には、法律上、最後法律を守つて行きたいというような考え方が中心で、止むなく御了承なさつたという解釈をしておつていいわけですか。
  15. 平林剛

    参考人平林剛君) その通りであります。
  16. 重盛壽治

    重盛壽治君 大変お急ぎのようですから、私結構です。ほかの委員……。
  17. 中川以良

    委員長中川以良君) 平林参考人に対する御質疑はございませんでしようか。よろしうございますか。それじや専売公社並びに政府側に対する御質問をお願いいたします。平林さんお急ぎでございましたら結構でございますから、有難うございました。
  18. 平林剛

    参考人平林剛君) 団体交渉のほうへ行きますから。
  19. 重盛壽治

    重盛壽治君 総裁は今日お見えになつておらんようですから、副総裁ちよつとお伺いしますが、私どもの知つている、若干違つているかも知れませんが、総裁衆議院労働委員会において裁定が完全に実施できなかつた場合は、身命を堵して責任をとりたいというような意味合い説明をなさつておられたようでありますが、衆議院において十一月以降というようなことになつたことに対して、公社のほうでは裁定処理をどういうふうになさるおつもりか、お聞かせ願えれば幸いと思います。
  20. 勝田雄次郎

    説明員勝田雄次郎君) 総裁が、私まだ速記録も見ておりませんから、その席にもおりませんでしたから、総裁がどう言つたかよく存じませんが、総裁気持としては、そういう気持でおるであろうと思います。と申しますのは、組合に対する総裁態度は、就任以来いささかも変つていないと私は側近におりまして、その気持は、そういう言葉が出たか出ないかということは知りませんが、そういう気持でおるということはよくわかりまして、総裁もごの善後の処理については十分考慮しておると思います。
  21. 重盛壽治

    重盛壽治君 やつぱり同じく衆議院労働委員会におきまして、秋山さんは補正予算の百十億以外に八億程度収入増が得られるということを確信を以て言えるということを言つていたけれども、こうした八億の収入増があるということになれば、年度内に裁定は完全に実施できるというように私ども考えますけれども、その点は如何ですか。
  22. 勝田雄次郎

    説明員勝田雄次郎君) それは十一月頃の情勢考えますと、これから先、職員公社努力によつて二億本ばかりの売上げはピースにおいて増進ができるどいう見込みが立て得まするので、それが大体八億円程度になりまするから、それを申したのだと思います。
  23. 重盛壽治

    重盛壽治君 今日今井さんがおいでになつておらんが、今井さんの出した裁定案によると、八月から十月までの分については、公社は十二月中に一時金として支払うことができる、できるという言葉を使つておるが、その予算は、聞くところによると、二億四千万円程度ということでありまするが、これらに対しまして、公社のほうとしては、今どういうようなお考えをお持ちになつておられるか、それを聞かして頂きたい。
  24. 勝田雄次郎

    説明員勝田雄次郎君) 予算を直さなければこれはできないことであります。
  25. 重盛壽治

    重盛壽治君 それは表面上の言葉としては当然そういうことが言えると思うが、専売のいわゆる特異性と言いますか、専売事業労働階級の強力な支援によつて、いわゆる本当に労使双方協力してやつているというような形で実績を上げて来ておつて、そういう中から生み出した予算余剰金がある、一面政府は成るほど予算の中ではいわゆる年末賞与、一・二五というようなことにしたようでありまするが、その一・二五の財源をどこから持つて来るかといことも明確にはなされておらないようであります。けれども、その含みは、やりたいのはやりたいのだ、更にやりたいけれども各省各庁に政府一本できめてしまう場合には、これは必ず責任を以てどこかからか予算を見つけて来て払わなければならん。けれども曾つて御記憶にあるかどうか知りませんが、三年ほど以前の、いわゆる越年資金で、占領下におつたときでも、各省各庁の予算があれば、努力に報いるという意味合いで支払いをしてもいいじやないかというようなことさえ政府みずから言つたことがある。今度の場合でも、大蔵大臣が、私の聞く範囲内では、この二割五分というものを明確にしておらんようでありますが、その反面には暮にもなつたし、努力した人にはその努力に報いられる方法を取つてつてもいいじやないか。私は実際に解釈して、そういう解釈をしたのですが、まして予算があるところは出して上げてもいいじやないか。こういうふうに思うのですが、そういうお考えの上に立つて専売公社は先ず率先して処理する必要があるのじやないかと思いますがどうですか。
  26. 勝田雄次郎

    説明員勝田雄次郎君) それはよくわかるのでありまして、私もできるだけはいたしたいと思いますが、専売公社の会計におきまして資金はあるのでありまするが、予算がありません。いわゆる資金は、金庫はありますが、鍵がないものですから、どうにもしかたがないのでありまして、そういうようなわけでやりたいのはやりたいのです。
  27. 重盛壽治

    重盛壽治君 そうすると、政府専売関係したかたにお聞きしたいのですが、監理官今泉さんに聞きたいのですが、これは私どもから見ますれば、労働委員会のほうの立場から言わしめれば、専売の今の専売公社なんかに対し相当疑義がある。併しこれをここで議論しようとは思いませんが、疑義があるところの一番大きな問題は独立採算性のような形でやつておるところが、実際にはそういう方針政府として当てはめられておらない。そういうところに当然やるべきものも予算化していないというようなことがある。先ほどの平林さんの話を聞くと、去年に決定された一万四百円すら、まだ予算化しておらないのですが、こういう点は何といいますか、大蔵省のはうで今一歩突き進んでやつて頂く必要がありやせんか。済んだごとを、来年のことを言うと鬼が笑うかも知れませんが、昨年のことを言うと誰が笑うか知りませんが、併し将来のことはもう少しお考え願わなければならん段階ではないか。そういう意味、合いからこの基準賃金の一万三千百円というようなものは当然今度は予算化せねばならないと思いますが、これをそういうふうになさる御意思があるかないか。  そして今一つ専売事業のように労働者の諸君が本当に協力して能率を挙げて行く。それに対して非常なる報奨金などを出してもいいのじやないかと思いますが、そういう意味から、年末手当のようなものをこの基準賃金以外に当然予算化しておかなければならないのじやないか。これは或いは私の質問が愚問でそうなつておるかと思いますが、常識的にはそうなつておると思いますが、その点がよく明快じやないので、一応伺いたいと思います。
  28. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 私ども公社希望通り今回の中労委の裁定なるものが非常に妥当な裁定であると肯定するにやぶさかでありません。直接私監理官として公社内容にタッチいたしまして、公社職員が非常に努力を重ねて、この増産に邁進しているということを眼のあたり知つておる一人といたしまして、できればこの裁定を全面的に呑みたいという感じは、私個人は持つておるわけでございますが、こういつた気持から、実は今度の裁定の八月二十月に遡る問題だけはどうしても現在予算ではやりくりが付きませんので、これだけは呑めないということにいたしましたが、それ以外は全部政府としては呑む、こういう立場をとつておるわけでございます。なお八月二十月の問題にいたしましても何とか予算上、資金上できる途はないかということで、大蔵省内部で検討はいたしましたが、諸般の情勢、単に専売だけの問題でございませんので、ほかの関連もございます関係上、現在この補正予算を組んだ現段階においては、先ほど公社のほうからお話のあつた補正予算を組んだときの目積りよりも、煙草の売行がもつと増すだろうというお見込も実は立ち得ろかと思いますが、我々といたしましては、補正を組んだのはまだ間もない最近のことでございますすし、そういつた見込に基いて余り楽観的の数字を土台として、この際予算を更正するということも困難な段階にございまして、不本意ながら八月十月の問題は今日予算としてこれを呑み得ないというような実情に到達しておるような状態でございます。  なおお尋ねの年末手当の問題はこれも御承知であろうと思いますが、年末手当としては今公社予算に計上してございません。事務職員に対する奨励手当、それからそれ以外の職員に対する報奨金という科目で計上してございますが、これも総裁の非常に熱烈な御希望もありまして、大蔵方面もその点は納得いたしまして、正式に年末手当という形はとらないけれども一般公務員並国鉄その他の公共企業体との均衡の問題を考えまして、世間並の年末手当相当する金額を出す、そういつた方針で今団体交渉を進めておる、こういう状況でございます。  それから明年度の問題につきましては、昨年の裁定実施問題等についていろいろ疑義もございまして、あの通り実施していないじやないかというお叱りもあつたのでありまして、多少政府側国会とその点について解釈等疑義があつたようでございますが、過去は過去といたしまして、明年度予算編成に際しまして、こういつた疑義を残さないようにやはり期末手当一般公務員その他と同様な取扱をいたしたいということで、明年の予算編成につきまして、そういう準備を進めておる、こういう段階でございます。
  29. 重盛壽治

    重盛壽治君 私ばかりおしやべりして恐縮ですが、一般公務員云々と言われますけれども、私は極端に悪口を申しますと、放置しておいてもそういう恰好にならざるを得ない。けれども公企業体として専売国鉄電通というような別の労働組合法まで作つて、その中で又特別の実情にあるのが専売の私は実態であると思う。過去のことをとやかくは申しませんけれども、今日は幸い大蔵委員の皆様がおいでになるので、私は一つ要望しておきたいことは、専売のように実際組合努力如何にかかつて純益を上げるか、国の産業として寄与できるかという重要なこの問題は、折角公社法ができたならば毅然たる公社法の確立をして頂きたいということを、私はこの際お願いして置きたいのです。公社法ができたが、さて台所のほうは大蔵大臣のほうで抑えておく。働くだけ一生懸命働いて、もつと露骨に言えば、一生懸命働いて相当の成績を上げるとなると、それが来年はそれだけの枷を背負つて行くことになる。予算は一億なら一億として、それを一つ赤字にならんように、黒字にしようと思つて一億一千円稼いだとする。すると来年の予算は、一億一千円の予算を組まれるということになると、公社みずからの、監理者というか、そういう線によつて専売公社の発展ということは期し得ない状態になります。公企業法を何のために作つたのか、枠があろだけつまらんじやないかという恰好になるのじやないかと思います。これは今日直ちにこの場で解決する問題ではなかろうと思いますけれども、将来ともどうかこういう問題は労働大蔵合同委員会を通じてすつきりとした公社の姿を打出して頂きたいということを、委員長或いは関係者にお願いいたしまして、私の質問を終ります。
  30. 片岡文重

    片岡文重君 大体重盛君の質問で根本的な問題については抽象的には片付いておると思うのですけれども、今監理官お話を伺つておると、この仲裁裁定内容、それから指示等については妥当と認めておるし、実際罠施したいという希望を持つておる。但しそれには個人としてという註釈が付いたようですけれども、とにかく実施したいという希望である、こういうふうにおつしやつておられる。そこで、では政府としてはこれを十六條第二項に基いて議決を求めるというからには、政府としては一つ予算の枠を拡げて、是非これが政府として案施できるように議決をしてほしい、こういう希望を以てこれをそのまま提案されたのか。或いは実際は、まあ併しいろいろのことがあるから、実施はしてもらいたくない、この程度一つ打切つておいてくれ、こういう意味でされたのか。どつちでされたのか率直に言つて下さい。
  31. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 甚だむずかしい御質問で、単に専売公社関係だけに限られた問題としての御質問であれば、私も先ほど個人としてと申上げた、まあ註釈付きでございましたが、できるだけ実施して頂きたいというように、国会のほうでお取上げを願いたいという考えも持つわけでございまするが、全般の関係国鉄電通その他の関係からいたしますると、やはり予算的には非常に厖大な金額になりますので、やはり大蔵省全体として考えた場合は、仮に全部実施しろというような御決議なつた場合に、果してその国会意思通りになるかどうか。これはまあ御決議になる前に、そういう意思表示をするのは如何かと思いますが、仮にそういう御決議なつたにしましても、非常に予算やりくり上からいつて、非常にむずかしい問題になるのじやなかろうか、まあ専売公社だけの問題とすれば、まだその辺の結論は違つた問題になつて来るのじやなかろうか、まあこれは私の見通しであります。それ以上イエス、ノーということを余りこの際表明いたすことは、却つて国会の御審議に持して余り何か條件を付けるというようになつて如何かと思いますので、この辺で御勘弁を願いたいと思います。
  32. 片岡文重

    片岡文重君 別に條件をつけるわけじやありません。私たちが審議をして、これは全面的に実施すべし、或いは他の振合いがあるから政府提案通りでよろしかろうというような決定に  ついては、勿論おつしやられるまでもなく、国会として議員の意見で決定すると思いますが、いやしくも議案として提案された以上は、そごに何らか政府としての意向があるものと考えられるのです。少くとも強い意味でなくても……。どうしても強く言い切れないなら強くなくても、でき得るならば案施してほしい、或いはこの程度一つ打切つてほしい、そういう限界が私はあると思う。特に今専売だけについてならともかくというお話もあつたし、別に言葉尻を捉えるわけじやありませんが、お立場もよくわかります。わかりますし、別に言葉尻を捉えるわけではありませんが、併し政府当局者として御出席に相成られました以上、政府意向として、私どもがお尋ねいたしまする際には、政府当局者としての意向をお示し頂けるものと考えますので、政府意向が奈辺にあるのかということをお聞きしたわけです。
  33. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 結論に対する政府意向は、我々といたしましては、できるだけ予算上、その他の説明国会皆さんがたに申上げて、その結果、承認不承認の御判定を頂いて、それに基いて政府が如何様にも善処する、こういうまあ立場域外には、今日却つてこれをのんでくれとか或いはのまないでほしいということは、ちよつと私の口から申上げるのは却つて不適当だと思いますので、その辺は御明察願いたいと考える次第であります。
  34. 片岡文重

    片岡文重君 お答ができないというのは誠に残念ですが、次にそれでは副総裁にお尋ねいたしますが、若し予算資金上許すということに相成りまするならば、この直接の経営者と申しますか、管理者として自分の管理しておる従業員に対して、今日の国内経済情勢からいつて、どの程度の待遇、給与を与えたならば妥当である、少くとも自分の権限でなし得るならば、大体このくらいの程度ぐらいやつてやりたい、こういうことも経営者として考えられると思うのですが、そういう点についてお考えなつたことがあるかどうか。若しあるとするならば、大体どの程度のことをお考えになつておられるか。その点を一つ先ずお聞きしておきたい。
  35. 勝田雄次郎

    説明員勝田雄次郎君) なかてむずかしいことでありまして、現在の専売公社の企業の在り方から申しまして、私ども考えておりまするのは、民間の同種産業と均衡を保ちつつ、而もいわゆる公共企業体であるということと両々兼合せまして、この度の裁定よりもいささか上になるのじやあるまいかと、かように考えております。
  36. 片岡文重

    片岡文重君 私のお尋ねしておるのは、そういうことではなくて、仲裁裁定はとにかく、内容についても出された額についても妥当であるというふうにお考えになつておるということは、総裁衆議院でもお述べになつておられる。併しながらこれはこの裁定に示一された結論に対してのお話であつて、一その結論が妥当であると認められるのは、今までのやはり紛争の過程から、一又今までのいろいろな制約の中か星まれて来た結論に対しては妥当だ、こういうことだと思うのです。そこで若しそういうもの一切抜きにして、総裁なり副総裁なりの権限によつて専売の従事員に対しては平素の作業上の労働環境と申しますか、そういう点、それから構成年令或いはその他のいろいろの経済的條件からいつて、今日の日本の国内の経済情勢からいつて、大体この程度の待遇は少くともしてやるべきである、自分が若し私企業の社長か何かでやろうと思えば、できるのだという立場なつたら、亀このくらいのことはしてやりたい、例えば住宅はこのくらいは少くとも作つてやりたい、それから基本給はごのくらいやるべきだ、家族給は少なくともこのくらいやるべきだ、特に総裁、副総裁はそういう点については諸外国の労働事情等も十分御研究になつておられると思いますので、若し許すならば、この程度のことをやつてやりたいということがあるのじやないかと思うのです。そういう点考えておられないのか。そういう点と、そういうお考えとこの仲裁裁定とは測らずもマッチしておるのか、或いは自分で自由にできるのならそういつたものをやりたいとお考えになつておるのか。とにかく盆暮必ず紛争を繰返して行かなければならないというような状態は決して好ましいものではないと私は思う。そういう好ましくない状態を一日も早くなくして行くということのためには、やはり総裁、副総裁、又政府当局においても終始これ起がつて来る原因と、従つてそれを善処する方法とを常に私は研究されて然るべきであると思うのです。そういうことを研究しておいでになれば、やはり必ずしも夢物語とまで行かなくても、現案に即して、少くともこのくらいは妥当であるという線が出て来るのじやなかろうかと、そういうふうに考えて参りますと、管理者として自分が若し自由にできるのなら、このくらいのことはやつてやりたいということが出て来ると思うのです。それが裁定を一体上廻るものか。大体やはりそうなつて裁定の線くらいなものだというふうにお考えなのか。或いは全然そういう点まではとても忙しくて考えが廻らんとおつしやるのか。その点御参考までに伺つておきたい、こういうことなんです。
  37. 勝田雄次郎

    説明員勝田雄次郎君) その御質問は私にとつては甚だお答えするのは不得手な問題でありまするが、先ほど申上げましたのは、大体そのくらいが妥当ではなかろうかと、併し専売公社もやはりたばごを作つておるということから言いますと、まあ紡績会社等と何ら変りないのでありまして、私企業であれば決算期には何らかの企業努力に対するリワードがあるはずでありまするが、それが我々のほうにはない、幾ら働きましても、まあ例えて申しますれば、長良川の鵜飼の鵜のようなものでありまして、取つた魚は皆吐出さなければならない、(笑声)こういうようなことでありまするから、できるならば、そういう賞与のようなものは出し得れば、現在の給与でもいいじやないか。現在の状況におきましてはいいじやないかと、こういうふうに考えておるのであります。
  38. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 政府は非常に或る面においては遵法の精神を発揮されるし、又或る面では簡単に法を蹂躪され、公労法一つ見ても、この両面があるわけですね。公労法の目的としての大きなものは相当踏み蹂られておるわけです。ところが今度その中で細かにきめられたものについては、なかなか厳格にこれを遵守されようとするわけです。公労法に基いて結局国鉄でも専売でも電信電話公社でも結局給与総額というものがきめられておりますから、これで縛られてどうにも動きがとれないというふうに今聞いておると窺える。ところが私はこれはここではちよつと筋が違うと思いますけれども、大体こういう企業体というものを、給与一総額というものを限定して経済事情の変動、或いはその企業内の緊急目的に対してさえも、これがすぐに即応でき一ないという形そのものが実はおかしいのであつて、これは一つ総裁のほうにお伺いしますが、それさえもできないで、その都度大蔵大臣又は主務大臣の承認によつて財務会計を運用するというこの形が改められない限り、私は公共企業体としての十分なる働きというむのはでき得ないのじやないか。少くとも主務大臣はいたし方がないとしても、この際その上の大蔵大臣の承認を得なければならんという形をどうお考えになつておりますか。副総裁のほうにお伺いいたします。
  39. 勝田雄次郎

    説明員勝田雄次郎君) それは即ち私どもの従来の経験に鑑みまして、予算総則の枠があることが甚だ困るのでありまして、でき得るならばこの枠をとつてもらいたいと、こういうように考えておるのでありますが、それはなかなか大蔵省のほうに交渉しても、そう簡単には行きませんが、そういうことについて努力をいたしまして、この枠をとつてもらうことができれば、もうそう大した困難はないのじやないか、こういうふうに考えております。
  40. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 そこで裁定のこの項目を見ますと、第六項の「本年度決算において、予定以上の利益を生じた場合は、公社は、その一部を業績賞与として職員に支給する。」と、こうありますね。これは予算をいじくらなくてもできるわけですね。
  41. 小川潤一

    説明員小川潤一君) ちよつと技術的ですから総務部長小川が代つて申上げますと、業績賞与の問題は利益処分の一つの形になりますので、専売公社法を先ず第一段としては直さなければならないという見解を我々はとつております。併しこれは解釈の問題でありまして、或いは専売公社法を直さなくても、予算総則においてこの決算剰余が出たならば、何々の項目から幾らを限つて出してよいというようなことを書いて頂けば、或いはそれでも行けるのじやないかというような見解もございますから、今その点私のほうと大蔵省関係部局と相談中でございます。
  42. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 その点は了承しましたが、そこで今度の補正予算が通過いたしますと、予備金というのが十三億くらいありますね。これはこういう方面には使えないのですか、給与関係には……。
  43. 小川潤一

    説明員小川潤一君) 御承知のように予備金は最初の二十七年度予算には十五憾ありましたが、今度の組替えで十三億になりまして、如何にもあるように一応見えるのでありますが、実はこの十三億のうち十億というものが葉たばこの経費の中に非常に不確定な要素がありまするので、例えば品質が向上をしたというがために、買上価格が上つたということは、蓋を開けて旦なければわからないという要素がございますので、その分を推定いたしますと、どうしても十億内外あるのじやないかというふうな関係からいたしまして、十三億のうち十億というものは葉たばこの購入経費にとつて置かなければならない、こういう状態でありまして、あと三億はまあ災害その他緊急な場合に使えるのじやないかということで、国庫側とも協定はなつておりまして、只今国会に出ております予算審議されておるわけであります。従つてその三億を使えばいいじやないかという問題がありますので、ざつくばらんに申しますと、今度できるだけ裁定のラインを守つてやれという国会の、衆議院でございますが、附帯決議がありましたので、その附帯決議を実行するために、そのうちの大部分というものは使わして頂く予想にしておりますので、大体三億の使い方については、もう出し切つてしまうという形になつております。但しその場合でも八月に遡つてやるということはちよつと、ちよつとじやなくて全然困難でございますので、十一月以降やろういうことで、その他の裁定を完全に呑むというために、今申しました予備金の残りの三億というものを充当する予定になつております。
  44. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 十三億のうちの三億についてはわかりましたが、十億葉たばごの購入準備金として要る。これは十億要るか何億要るかはいろいろ見解が違うと思います。若しこれにおいてもなお且つ余裕があるということになれば、これも今の三億と同じような処置ができますか。
  45. 小川潤一

    説明員小川潤一君) 如何にもできそうな感じはいたしますですが、この点に関しましては国会予算で給与総額というものを枠をはめられておりまするので、この壁にぶつかりまして予備金もなかなかそう簡単には行かない。給与総額、例の基本給とか勤務地手当とか或いは超過勤務手当或いは扶養手当、こういうものはすべて一括して予算総則の給与総額で抑えられまして、この範囲内でお前たちはやれというふうに決議して頂いておりますので、その壁にぶつかりまして、十億から予備金が出たといたしましても、必ずしもOKというわけには参らないという状態であります。
  46. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 そこで結局この給与総額というやつが一番問題なので、私は大体給与総額については、こういうものがあること自体が、すでに今後行われる団体交渉その他に対して事前に一つの抑圧をし用意しておいて、どうにもならないような形の中でやるという非常に変でこなことなんですね。それについては併しこの予算総則の何條でしたかの、これはほかの政府機関、アルコール専売或いは印刷局、林野庁ですか、こういうものにもありましたが、そういう予算総則の改正の準備を進めておると、こういうことでございましたが、これは今度の国会の会期中にその改正案をお出しになることができまするかどうか、その点一点伺いたいと思います。
  47. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 検討はいたしておりますが、差当つて国会等に出す予定はございません。
  48. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 そうしますと、まあ結局私たちは今度の裁定をどれだけ実際に実行して頂くかということのために、こういういろんな方法を考え質問をしているわけで、じやあこの裁定実施に対して間に合うような期間に改正をされる予定ですかどうですか、この点をはつきり一つ伺いたいと思います。
  49. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 先ほどまちよつと申上げましたが、この裁定の第二項の八二十の以外のものは政府は全面的に呑む用意はあるけれども、八二十は諸般の関係上呑めないと、こういう立場をとつておりまするので、今国会にこの八二十を呑むための諸般の手続をとろということは、現在のところそういう段階に達していない状況でございます。
  50. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 私はそういうことを聞いているんじやないですよ。この予算総則というものの中で、この給与総額というものが削られれば、これはいろいろ方法があるそうなんですね、聞いていると……。そこで、その総則が改正されない限り、今おつしやつたようなことになるのですが、だからこの総則を、今度の裁定が本年度内において実施される可能性が出るように、その期間において改正されるかどうかと、この一点だけを聞いているわけなんです。
  51. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) これはまあ主計局長から御答弁申上げる筋合いのものと思いまするが、公社の今後の行き方につきましての根本的な問題でございまして、そのほかにももつといろんな検討はいたしておりまするが、まあ責任ある答弁は主計局長からお答えしたほうがよろしいと思いますが、私の知り得る範囲内においては、差当つてこの給与総額だけを取り離して改正するという考えは持つておらない状況でございます。
  52. 片岡文重

    片岡文重君 ちよつと今の御答弁ですがね。これは三輪君のお尋ねになつたことは、公社の経理を自主的に、いわゆる独立採算をとる以上、自主的に公社自体の責任において運営して行くために、どういう予算上の法的措置をとつたらよろしいかということが土台になつておる。そのためには、取りあえずその予算総則の中の給与総額の枠を外したほうがよかろう。それについて政府は外す用意があるのかないのか。あるならば、この裁定実施するまでにこの手続はとられないのか、こういう質問であつたと私は思うのですが、そういうことになつて来ると、これはむしろ主計局長の問題じやなくて、政府公社管理の建前からどうあるべきかということに私はなつて来るんじやないかと思うのです。又公社としてもどう希望するかということになると思う。で公社としては先ほど副総裁から、そういうものはないほうがよろしいというような意味の御答弁があつたと思う。で、政府としては、併しそれだけ何といいますか、狭い意味における監督権が狭くなつて行くというふうにも考えられます。ですから或いはいわゆる悪い言葉で言う、官僚的な立場から言うならば、好ましくないかも知りませんが、併し飽までもコストを引下げて而も合理的に生産を高めて行こうとする考えがあり、国家的な見地からするならば、そういう窮屈な枠は成るべく外して自由に経理を行わせるというほうがいいと思うのです。そういう点で政府としてはどうお考えになるか、こういうことだと思うのですが、そういう点についてたつて一つ政府としてお考えになつて如何でしよう。
  53. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) この問題は、私どももまあ公社のいろんな意向もありますし、それから私どもといたしましても、将来の公社の持つて行き方については十分そういつた点を考えて、本当に業績が挙げ得るような状態に持つて行くことが至当である、こういうふうに考えておりまして、先般来実はこの裁定の問題を離れまして、公社の今後の全般の持つて行き方につきまして寄り寄り研究は進めております。従つてどもも今個人的な意見をどうかと聞かれましたときは、一応の意見はございまするが、今この問題と関連いたしまして、すぐこれを外すか外さないかという問題になりますると直ちに予算の問題にも関連を持つて参りまするので、そういつた意味から、私はまあそういつた方針の問題と、それからその方針を具体的に今度実行する問題と両方兼ね合つて参ります関係上、私よりかむしろ予算的な問題、本件の案行の問題であれば、主計局長から御答弁願つたほうがいいのじやなかろうか、こう申上げた次第でございまして、その問題について、1まあ主計局長の代弁をするわけじやございませんけれども、先般の衆議院予算委員会での主計局長の答弁は、今のところ外す意思はありませんということを答弁しておる次第でありまして、ただ将来の方針の問題、この実際的な具体的な問題、裁定を受諾するかしないかということは別問題として、交渉をどういうふうに持つて行くかという問題につきましては、私どもが中心になりまして大蔵省の意見その他をとりまとめて行きたいと、こう考えております。
  54. 片岡文重

    片岡文重君 あと一つだけ御質問いたします。裁定内容については、まあできるだけ実施したいというのが政府並びに公社当局の御意向のように伺いましたので、その線に沿うてお尋ねするわけですが、この出された案件、特に裁定理由説明を伺いますと、予算上不可能であるから国会議決を求めるということで、資金上不可能だということは一言も言つておりません。そこでこれは国会において予算の枠さえ拡げるならば、その原資については公社当局として十分、十分とは言えなくても、とにかくやりくりし得る自信がおありなのかどうか、その点を一つお開きしておきたいと思います。
  55. 勝田雄次郎

    説明員勝田雄次郎君) やりくりと申しましても、この前も総裁衆議院で御説明申したと思いまするが、只今の状況から申しまして、これから三月末までの間にピースがなお努力によりまして売行が増す見込がある、それが二億本程度である、それが八億円、その中の七億何千万円というもので賄いたいと、こういうような考えでおります。
  56. 片岡文重

    片岡文重君 そうするとやりくりし得ると解釈してよろしうございますか。
  57. 勝田雄次郎

    説明員勝田雄次郎君) その予算を、更に収入の増をやつて、それを認めて頂ければ……。
  58. 片岡文重

    片岡文重君 いわゆる一般会計の繰入れをしないで、その利益は公社で使つてよろしいということになれば、それはやつてよろしいというのですか。
  59. 勝田雄次郎

    説明員勝田雄次郎君) さようでございます。
  60. 野溝勝

    ○野溝勝君 昨年もこの専売裁定の問題で私一、二質問をいたしましたので、遅蒔でございますが、一、二御質問を申上げて、政府と言いましようか、公共企業体専売公社の当局に御一勘案を願いたいと存じます。  私は先ほどから論議を聞いておるのですが、どうもこの前と同じようなことを繰返している。これは毎年片々同じことを繰返して行つて、しまいに行つてどうなるのですか。この前も皆さんと秋山さんは同ごごとを言つておりましたよ。一体あなたがたは、僕はおかしいと思うのだが、公共企業体法に基いて、一つの特殊的団体、或る程度独立採算を持つておる公社じやありませんか。それが何故自主的な意見が出せんかというのです。この点を一つお聞きしておかんというと、どうも私は次の質問をするにもその張合がなくなつてしう。この点を先ずお伺いしておきたい。
  61. 勝田雄次郎

    説明員勝田雄次郎君) それは我々としては常に公社の運営につきましては非常に熱心にやつておりまして、こうもやりたい、ああもやりたいと、いろいろありますが、それがなかなか通らないということなのであります。
  62. 野溝勝

    ○野溝勝君 そういう、何といいますか、当局として自信のないことでは全く弱るのですが、それならば法規の改正をやるなりということで、一応総裁を中心に事務当局なり、関係当局はそうしたという意見があるならば、こんなことを毎年片々続けておるのですからできないはずはないと思う。あなたたちが結束してやつて御覧なさい。そういう点について熱意が欠けておると思う。そこで一体利益はあるのでしよう。今のような公社国鉄あたりと違いまして非常に利益があるのですね。昨年も私見せてもらつたのですが利益がある。そのわけですよ。昔は煙草は千倍局といつて千倍の儲けをしておつた。今はそこまで行きませんがね。(笑声)併しとにかく光一個の原料代は三円乃至四円くらいで、儲けは七倍近くになつておることは間違いないのだから、七倍の儲けをして、どんなに物を使つても、相当にあれをしても、利益があるのだから、この利益は誰によつて得たというならば、高いものを売り付けてぼろい儲けをしたということが一つ。又一つは、安い賃金で釘付けをしておる。こういう公社ものものが資本主義経済の最も悪いことを見習つてつてつたのではこれは問題にならん。ざつくばらんに言えば、私はそういう意味でこの数字など点検しても、一体このくらいのことがなぜ解決しないか。だんだん聞いてみると、あそこの公社や、あそこの団体と比べるとごうだ、そんなだらしのない計数算定を基礎にせず、もつと根拠のある算定基礎の上に立つて案を出すならば私はよくわかる。だからむしろ利益があつて問題があるならば、いつそのこと七倍も儲けるのはやめて、そうして国民の怨嗟の的となつておることを払拭して案を出しなさい。それならば私もこの問題については十分検討をしてみたいと思う。さもない限りは、それができないということであるならば、私の言うことを諸君は十分肝に銘じて考えてもらわなくちや困る。秋山総裁がお見えにならないが、すでに執行部の委員が来ておられるのだから、この意見は十分お伝え願つて、至急一つその筋と折衝して、この成案を得るように運んでもらいたいと思います。そこでどうなんですか。新ペースと公社の計算との違いというものは、ベース関係におきましては二百八十一円、公社のほうは実績ペースと要求との間に二十六円の違いである。このくらいのことは、これは私はちよつと努力すれば解決できると思うのですが、こんなことが解決できないのですか。
  63. 小川潤一

    説明員小川潤一君) 経理を担当しておりますので申上げますが、先ず先ほどのちよつと抽象論の問題ですが、私どもも決してぐうたらではありません。一応たばこ事業、塩の事業を扱うために真剣にやりたいと思いまして、制度の悪い点は自主的にこちらから直して行こうと思いまして、我々事務当局の間で一、二の成案を得まして、目下大蔵省にも内々交渉を進めて研究しておる段階でございます。先ほどの専売は千倍であるという問題も確かにありますが、併し何せ国から独占権を与えられておりまして、原価四円から六円のたばこを三十円四十円に売つておるのでありまして、その点が全部我々の努力によつて儲けておるというふうに、そういう不遜な考えを持つていないつもりでありまして、税金部分を除いた利益を、できるだけ我々は経費を節約し、或いは合理化によつて出して、国のために多く納付金を出したいと、こう心がけております。併し今先生から言われました制度の改正につきましては、目下いろいろ案を作つて研究しておりますので、そのうちにはきつとものにして頂けるものと思つております。なお先ほどお尋ねのペースの差額の問題は恐らくこの度の仲裁裁定の一万三千百円というものと、この度の政府が出されました補正予算の一万三千七十四円の二十六円の差に関してと思いますが、この問題は僅か二十六円の問題でありますので、我々内部で解決したいと思います。といいますのは、御承知のようにすべてのお役所式の計算では定員と実員の差がございまして、定員が三万八千何がしかございますが、いつも、二、三百人の欠員というものは出ておりますので、そういうものによつて、このベースの差は処理できると思つております。
  64. 中川以良

    委員長中川以良君) 野溝委員ちよつと申上げますが、実は本日は連合委員会労働委員のかたに先に御発言を願うことにいたしておりますので、労働委員のかたの御発言が済みましたのちに、大蔵委員の御発言を願いたいと思つておりますが、只今労働委員長から御発言を求められておりますので、労働委員長に先にお譲り願いたいと思います。そういうおつもりで一つお願いいたします。
  65. 野溝勝

    ○野溝勝君 関連質問なら差支えないでしよう。今公社当局から御答弁がありましたが、丁度三輪さんの質問に対する御答弁と大体まあ重複したように聞いております。私はまあ細かいことにつきましては、すでに重盛、三輪その他の委員のかたがたからいろいろ質疑応答が交わされたと思いますから、私はこれ以上細かいことは申しません。併しこれだけははつきりしてもらわなければ困るのです。大体八千五百億の一般予算の中で、御承知のごとく専売益金が千何百億あるわけです。それに今度は補正予算にいたしましても、間接税のあなたのほうのが相当出ておるわけです。こういう厖大な利益を実際生んでおる。それを国家の収入になるといつても、大部分が何も金持の諸君だけがたばこを喫むのでないです。大衆が喫むのだから、むしろ一種の大衆課税です。そういう大衆課税によつて国家の経済を賄うという考えが悪いので、この点については改めて大蔵当局に私ども質疑をやりたいと思うのですが、併しこの事実の上に立つて、毎年毎回ここに同じことを繰返しておつたのでは、大蔵委員会でこの矛盾を突かれてやり切れん、であるからもうそろそろこの次あたりは、もうこの矛盾のないように一つ善処したいと思うからという意味で、真剣に私は善処を願つていかないと、毎回同じごとを繰返して行くと、相当どもも突進んだ今度はあれをしなければならん。それだけの利益があるならばは、今度このたばこの問題に対する値下げ運動などをやはり提唱しなければならんことになる。そうなると、相当予算上、財政上あなたのほうと大蔵当局の間に相当問題があるのであります。こういう点をだんだん掘下げて行かなければならんのでありますから、私は毎年同じごとばかりを繰返すのではなくて、一つこの僅かな、労働組合の計算の基礎とそれから公社の計算の基礎とそう大差ないのですから、是非私はこれに一つ話合を付けてもらうように努力願いたい。こういうことを私は申上げまして私の質問を終りたい。是非そういうわけですから、又同じようなことを繰返すと、私はこの次は本当に徹底的に食下らなければならんから、そういう点を十分御了解おき願いたいと思います。
  66. 重盛壽治

    重盛壽治君 先ほど来より、いろいろお伺いいたしておりますると、今回の裁定に対しましては、公社のほうとしても、それから労働組合のほうとしても、不満ながら最終決定だからこれをのんだ、そうして政府も八、九、十の問題は別として十一月からは実施しよう、この線に副つた来年度の予算を一万三千七十四円、来年度の予算でおつしやる通りやろう、ここまでは明確になつたのですが、で、こういう紛議はいつも起き得るということは公社法の欠陥であるかも知れませんが、私どももきめられた法律の枠内で、この法律公社組合側も守つておる。けれどもこれを忠実に守らないのはこの法律を作つたところの政府である、こう結論付けられる。公社法の改正は当然なさなければならないのでありますから、これに関して労働省が来ておるようでありますが、公企労法をこのまま放置しておいて、こういう紛争を惹起せしめてよろしいのかどうか。公社法の改正をすると同時に、公企労法一を、いわゆる専売の諸君に、公企労の全般ではなく、専売の諸君に当嵌るようなものに十分検討し改正しなければならん段階に来ておるのじやないかと私は考えますので、これに対して労政局長ばどのようにお考えになつておるか。労働省の御意見を伺つておきたいと思います。
  67. 賀來才二郎

    政府委員賀來才二郎君) 御指摘の点につきましては、実は前国会におきまする労働関係の改正の際に、何とかこういうふうにたびたび、今野溝委員も御指摘のような問題になるということにならないように解決をしたいものだということで、いろいろ研究をいたしましたが、時間切れのような恰好で遂に十六條、三十五條の点には触れずに僅かに「事由を付して」というような程度の改正にとどまつたのであります。実はこの研究をして見ますると、今重盛委員の御指摘のように、予算総則の問題或いは公社法の問題と関連いたしまして、公共企業体労働関係法という問題もありますが、更にこういうふうな公共企業体労働関係法という特「別法を残しておく必要があるかどうかという問題にも問題が発展をして参りますので、今のところ直ちに最近の国会に出すというふうな意向はございませんが、なお真剣に研究を進めて行きたい、かように考えておるのであります。ただ我々といたしましては、“こういうふうな問題の改正をやりますときに非常に億劫に考えますのは、労働組合側は常にこういう法律に当りますと改悪だと、こういうことを言われますので、一つ改悪であるというようなことでなしに、労働組合側もこの問題につきましても真剣に考えて御協力願いたい、こういう希望は持つております。
  68. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 二、三点お伺いいたしますが、個々の問題は各委員から御質問願いましたから、総括的に裁定のほうについて二、三お尋ねいたしたいと思いますが、労働大臣も大蔵大臣おいでになつておりませんが、御出席政府委員に御答弁を頂くよりほかにございませんが、一つは秋山総裁が、先ほど来委員の諸氏が聞かれましたように、衆議院労働委員会で、裁定が完全に実施できなかつた場合は身命を堵して責任をとりたいと説明されたということであります。言葉はとにかくと一いたしまして、裁定実施するために一努力いたしたい、できなかつた場合に責任をとりたい、こういう御意向だと思うのであります。なお国鉄裁定の場合には私ども連合審査会の席上運輸大臣が裁定実施したいと、こういう御発言が前にございました。裁定を翼施したいという抽象的なと申しますか、或いは総括的な気持公社総裁にも或いは政府にもあるものだと思うのであります。それが専売裁定の問題については、二項を残しまして大体実施されようとしておりますが、二項についてはどうしてもできない、この点が明らかになつておりますが、これらの専売の秋山総裁の御発言等から来ます結果について、どういう責任をとられるか存じませんけれども、そういう御発言について政府としてはどういう収拾をなさろうとするのか、政府のほうの責任のある態度を伺いたいと思います。
  69. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 秋山総裁発言につきましては、私その席におつたつもりですがこれは正確に速記録を見て見ないとわかりませんが、私の記憶では完全に実施はいたしたいということは繰返して申上げたようでありますが、身命を堵して責任をとるということは言つたとは私は記憶はいたしておりません。併しこれは速記録を正確に調べませんとわかりませんので……併し総裁のお気持は、自分の責任において是非こういつたものは実施したいのだという非常な熱意を持つておられることは、あの当時も今日においても変らないと思います。従つてそれが一〇〇%実施できなければどうか、或いはそれが九〇%まで実施できれば又おのずから考えがお違いになるか、それは総裁自身にお聞きして員なければわかりませんが、政府といたしましての見解といたしましては、できれば折角こういつた公労法というものもありまして、こういつた裁定を下されたのですから、気持としては一〇〇%これに服従して実施したいという気持は、やはり総裁と同じ考えは持つておるわけでございますが、予算資金、その他の関係上一〇〇%これを尊重して、そのまま実施するということができなかつたことを非常に残念に思つておりますが、私どもといたしましては、まあ自分のほうから言つて如何かと思いますが、まあ九割程度以上は裁定を尊重して実施するということに相成つたのではなかろうか、あとの一割程度実旛できないということについては、政府として非常に遺憾に存じておる次第でございます。今後まあどういうふうになりますか、たばこの売上の状況、一月末まで見ないとわかりませんが、哲金的に予算的に何かやりくりがつくような状況でありまするならば、成るべくあと実施できなかつた一〇%と申しますか、そういつたような点につきましても、政府としてもできるだけの努力は捧げまして、できるだけこの裁定の線に近付けたいという考え方は今日持つておる次第でございます。
  70. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 労働省のほうからも御答弁を頂きたいと思うのですが、特に労働省に申し添えますことは、今度のこの裁定の機会には、裁定実施ということが或いは専売についても国鉄についても実現するのではないかという大きな期待さえも持たれたのであります。それが専売公社の場合に第二項だけを除いて庚現をされる。なお後の点についても、今監理官のほうからは努力をしたいというお話なんですが、残念なことは、僅か残してでありますけれども、完全実施ということができなかつた。ところが労働省で極く最近、例えば炭労或いは電産等について斡旋が行われ、その斡旋が、これは長い争議の結果ではありますけれども出て参りまして、政府としてはこれの実現を要望された、斡旋を呑むようにというふうにこれは労働大臣から要望されておる。そうすると、裁定よりももつと弱い調停でもない斡旋についても、その案施を要望される政府が、最終の裁定については完全に実施もなさらない。これは輿論が納得をしないと思うのでありますけれども、そういう事実から考えましても、裁定案施についての責任は私は非常に大きなものがあると考えますが、これらの点についてどういう工合に責任を果されようとするか、今後の方針も併せて…、
  71. 賀來才二郎

    政府委員賀來才二郎君) 前段の御質問につきましては、今監理官から由されたと同じような考え労働省と」ては持つております。更に或いはそれ以上、公共企業体労働関係法を持つておりまする労働省の立場といたしましは、秋山総裁と同じくらいに何とか完全実施というところに持つて行つでもらいたいという希望は強く持つてたるのであります。  第二の点につきまし、ては、実はやはりその線に副いまして閣議決定或い什予算決定前にできるだけそういう方面に持つて行きたいということで、省としても打合せ、大臣にも申上げまして、そうして大臣も広汎な政治的な観点からは別としましても、やはりできろだけのことはやりたいというので、事務当局間にも打合せはいたして参りましたし、又大臣もそのつもりになつておられたのであります。ただ閣議でどういう発言をされたかは聞いておりませんが、さような気持で対処をいたしております。今度のかような決定につきましては、これは遺憾であるけれども労働省としては広い立場から止むを得ないというふうな考え方で対処をいたしておるのであります。今後といたしましても、やはりできるだけさような方策をとつて行きたい。例えば電通公社の調停の問題にいたしましても、労働省は電通公社、郵政省及び大蔵省、それから調停委員会等の間におりまして、まあ再斡旋とは言いません、これは調停委員会の再斡旋の形になつてつたのであります。そごまで調停委員会はやつてもらいまして、そうしてでき得る限り、若しできましたならば調停で片が付く。何でも公労法では調停ででは片付かずして、これはただ機械的に通過して、仲裁で片が付くような慣行を打破したいということでやつてつております。今後もさような方針でできるだけの努力はいたしたいと、かように考えておる次第でございます。
  72. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 それでもう一点、これは賃金給与の、各公社、それから国家公務員との差の問題でありますが、仲裁委員長は他との均衡を考えて云々という考え方に対して、各公社の実態が違うのだから、各公社別に給与はきめるのが当り前だ。或いは国家公務員と公社職員との間が画一でなければならんというならば、これは仲裁委員会も要らなければ、或いは公社というものも必要ないので、政府が一方できめればいいのだ、こういうお話でございましたので、仲裁委員長の御意見は実態に応じて違うのが当然だと、こういう御意見だと思う。ところが衆議院の附帯決議の中には、国家公務員との均衡ということが言われております。そうすると、一見しますと、それは矛盾をするのでありますが、政府としてはこの点は如何ように解釈しておられるのか。例えば附帯決議内容といえども、若干の差は、これはあるのが当り前だという仲裁委員長の御意見の上に立つておられるのか。その範囲内での均衡というように考えておられるのか。この均衡問題についての政府の御所見を伺つておきたいと思います。
  73. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 衆議院での附帯決議内容は、特に明確には断つてございませんけれども一般公務員、国家公務員との均衡をとつてということは、一般国家公務員にとりましては、年末賞与の問題、専売公社職員については報奨金或いは奨励手当の問題といたしまして、大体年末手当規定はないけれども、公務員に対して遜色のないような実質上の手当を出すように、こういう趣旨で決議されたように承わつております。従つて、この基本給まで同じく均衡をとつて、同じように合せろという趣意ではないように拝承しておる次第であります。
  74. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 そうしますと、今は奨励手当報奨金、基本給のお話がございましたが、仲裁委員長の御意見のように、企業の実態も違うのだし、それから制度の上から言つても、或いは今の予算上、資金上という理由が、曾つてのように国一本でない今日においては、或る程度の差がつくのが当然だといたしますならば、裁定の中の二項目について、一般公務員は十一月だから、専売公社職員についても十一月からであるべきであつて、八月から十月までの分は、実施できないという理由は、私は論理的には何もないと思うのです。而も、それが資金上は可能でないことはない。ただ給与総額という問題だけがあるということになりますれば、秋山総裁の完全実施をしたいという点は二項目も含んでいると思うのです。その二項だけが完全に実施せられない理由は、実質的には何もない。こういうふうに考えられるのですが、その点についてはどういう工合か、大局論に立つての御所見を一つつておきたいと思います。
  75. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 基本給につきましては、必ずしも国家公務員と同じ目監りでなくちやならんということは、これは言えないと思うのでありますが、日本専売公社法にも「公社職員の給与は、生計費並びに国家公務員及び民間事業の従業者の給与その他の事情を考慮して定めなければならない。」とこういう規定もございます関係もこれあり、仮りに公社が非常に今みたいに利益を挙げておるときはようございますけれども、仮りにもつと不況な場合に、売行不振で、利益金も余り上らんといつたような場合を仮定いたしましても、こういつた今言つた均衡を全然度外視して、非常に低い給与で定めるということも如何かと思いますし、又反対に、今日或いは今日以上に売行がありまして、非常に儲かるといつた場合でも、こういつた今引合いに出しましたほかの産業或いは国家公務員等に比べて倍も、それ以上も出すというような、極端な給与の仕方もできないのではないか。今御指摘の八二十の問題は、それほど格段相違した問題ではないとも考えられますけれどもやはりこれは一般公務員との関係は一応論外といたしましても、国鉄或いは電通と同じような、公共企業体との関連もやはり或る程度考えて、実行に移さなければならんのではないか、こう考える次第でございまして、専売公社だけが今言つた資金の賄いができるから八二十に遡つて出すということは必ずしも適当ではないと考える次第でございます。
  76. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 今の挙げられた理由と申しますか、或いは公社相互間の比較その他の点は、仲裁委員会においても考慮の上、二項というものが出たと考えましたので、実質的な説明には私はならんと思うのです。議論になりますから議論の点はやめます。  最後一つお尋ねいたしたいのでありますが、衆議院の附帯決議、これの実施方針は、明日の参議院の予算委員会で大蔵大臣から説明されるということでありますから、総体的なものは明日を待つ以外にございませんけれども、今政府方針を見ておりますというと、成立する補正予算の枠内で、国家公務員については、或いは公共企業体についても、その可能な限りにおいて適宜実施する、そうすると、専売裁定実施したい、尊重したい、そうしてそれは突き当つた予算総額その他の問題もあるけれども、可能なる限りにおいてその枠内でやれ、こういう精神のようで、極めて不公明な私はやり方ではないかとも考えるのです。そこで賀來労政局長もおられますが、裁定実施したい、今度の機会に、完全に実施し得るような機会に恵まれかかつたのでありますけれども、それは諸種の事情上実施できなかつたとしても、もつとすつきりした形で、これはおやりになるのが政府としては当然ではないか。これは先ほど、政府が民間産業の労使その他に対して、或いは経営者側がとられて参りました態度から言つても、当然の責任だと思うのでありますが、いわば適宜やれといつたような方法でなしに、もつとなぜ公明な方法でできないのか、これは我々当然考え得る批判だと思うのです。これらの点についてどういうように責任を感じ、それから明確にやつて行かれようとするか、この点を伺いたいと思います。
  77. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 今度の衆議院の附帯決議の趣旨は、予算更正といつたものをしない範囲内で、それから先ほど申上げました給与総額をいじくる、こういうことをしない範囲内で、予算でやり繰り、節約、その他ができるものについては、できるだけ年末の手当その他について考えてやれと、こういう趣旨であるというように我々聞いております。従つて、その範囲内で政府としてはできるだけの給与改善をいたしたいということで、この点は大蔵省の主計局のほうで、大体各省の足並を揃えて、あの決議があつた直後において、各省から御参集を頂きまして、各省予算内容等を検討した上、大体足並も余り違わない程度において、最大限度出し得る程度のものは出し得るようにということを申合せして、実行に今移しかけておる、こういうことでございます。
  78. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 労働省のほうから御答弁はございませんでしたが、これは労働大臣の責任において御答弁を願うべきだと思いますけれども私はこういう  これは給与のやり方だと思うのでありますけれども労働省としては、或いは労働大臣としてはもつとすつきりしたやり方でやるべきであつたろう、或いは専売裁定実施についても、或いは今専売裁定の問題だけやつているのでありますから、専売裁定の問題だけに限つてもそうでありますけれども、或る程度やり得る方法があつて、それを適宜やろうというような方法でなくて、法の精神から言つても、それから責任から言つても運営の指針としても、できればはつきりした形でやるべきであろうというふうに私は感ずるのであります。労働省を代表して賀來局長来ておられますから、それを伺いたいと思います。
  79. 賀來才二郎

    政府委員賀來才二郎君) 労働省といたしましては、先ほども公社法運営に関連いたしまして、基本的な考え方といたしましては、やはり法の定義に従いまして、あの趣旨が生きるようにできるだけの努力をすべきであるという考え方は、先ほど申上げた通りであります。で、なおさような立場から申しまして、今吉田委員長の御指摘のように、労働省はおよそ労働問題の解決に当りましては、やはりすつきりした筋を通すということが、一番労働者を納得させるという意味において、やはり第一義的に考えるべきだという考え方においては、委員長の御意見の通り考えておるのであります。併しながらおよそ相手のある労使の関係でもございまするし、更に公社ということになりますると、政府というものがこれに非常に大きな関係を持つて参るわけでありまして、さようなことから言いまして、必ずしもこの筋を常に通すということは、非常にむずかしい場合があるのであります。さようなときには次善の策といたしまして、できるだけやつて行くという態度も止むを得ない。もう一つはやはり労使関係はできるだけ早期に解決をすべきであるという点から申しましても、年末を控えまして、ここで余り筋を通すということにこだわりまして、事実上の解決が遅一れるということがあつてもならないという意味合いからいたしまして、今度の政府の措置は止むを得ないんだという考え方を持つておるのであります。で、先ほどの御質問の均衡の問題でありますが、これは監理官から申上げましたような考え方を持つておりまして、公社法の精神なり、或いは公共企業体労働関係激の精神から申しますと、やはり原則といたしまして、常に公務員と均衡を保たなければならないということは出て来ないのでありまして、やはり独立採算という基本的な線で、独自の形の賃金なり、或いは独自の額の賃金というものはあり得てもいいんだと、又それが原則であると、かような考え方を持つておりますが、併しこれは余りがんばれないのでありまして、只今監理官から申されましたが、いずれも景気がいいときには結構でありまするが、現在でも国鉄専売公社と比較いたしますと、やはりそごに非常に違いが出て参るのであります。さような場合に専売公社は払えるからといつてどんどん上げて行くが、国鉄はどうもやれないという場合が出ますときに、労働省といたしましては、全体の労働行政の立場からいたしまして、仮りに一般会計から国鉄に補給いたしましても、或る程度のレベルは保つてもらいたいということを言わざるを得ん場合が考えられるのでありますから、労働省といたしましても、飽くまで払えるところには幾ら払つてもいいんだという独立採算制の立場から、公共企業体はやはり独自の賃金があり得てもいいんだという考え方最後まで貫くということは如何かと、かように考えておる次第であります。
  80. 中川以良

    委員長中川以良君) 皆さんよろしうございましようか。
  81. 杉山昌作

    ○杉山昌作君 先ほど賀來局長のお話の中に、公労法の十六條の二項の改正の問題でありますが、あれは大した改正はなかつた。たつた「事由を付して」という二、三項が入つたに過ぎないと、非常に軽くあれをお扱いになつておるように受取られたのですが、寅は「事由を付して」の修正は、これは両院協議会において、緑風会から提案したものなんです。そのいきさつを申上げまして、賀來局長のお考えを少し変えて頂きたいと思うのですが、十六條の修正につきましては、一番すつきりした修正は、予算上不可能な裁定があつた場合には、政府はその裁定が奥行し得るような予算を組んで出すと、若しその予算が組むことができない場合、これは財源がなくてめ組ない場合もありましようし、財源はあつても今のお話のように、全般的な労働行政の立場から均衡を図るというような方針から、そういう予算が組めないという場合と、二つあると思いますが、いずれにいたしましても、そういうふうな予算の組めない場合には、予算が組めないという理由を付して、そうして国会に出して来い、これが一番すつきりした改正案だ。ところがそこまで行かなくても意見を付して出せばいいじやないか、これは呑めそうだとか、これはこうやればできるとか、これはこういうことではとても呑めないとか、意見を付して出せばいいという案がある。意見を付さなくても大体政府の意見がわかる、付度し得るような詳細な事由を付してくれれば、そうすれば大体政府の意図も付度できるから、国会における審議も進み得るから「事由を付して」という程度でもいいじやないかというふうないろいろな案があります。それをただ比較検討し、又各党各派の間で協議をした結果、結局両院協議会において「事由を付して」ということに落ちついたわけなんです。その経過から顧みますると、「事由を付して」というのが、さつき局長のお話のように、時間切れのためにたつたこれしきの改正しかできなかつたというような簡単なものじやない。その修正、「事由を付して」に至るまでの経過、今申上げましたようなものでありますからして、そごは十分お考え願いたい。それで、そういうふうな観点からいたしますると、折角先般の国会で「事由を付して」というふうな改正があつたにもかかわらず、今度出て来たこの政府からの議決を求めるの件を読んで見ますと、あの修正のなかつた去年のときの議決文と、修正のあつた今度の議決文と全然同じだということは、政府は今賀來局長のお考えと同じように、あの修正をまるで頭においていないということになるかと思うのでありまして、これはこの案を出して来たのは多分大蔵省だと思いますから、追つて大蔵省当局にその点は十分そのお心持を伺つてみたいと思いますが、そういうふうないきさつがありますからして、今後裁定を再び国会に出すということは、絶対私たちは望みませんけれども、万が一にもあるような場合には、そういうお心持でお考えを願いたい。これを賀來局長に、さつきのお言葉がありましたので、特に私は申上げておきます。
  82. 賀來才二郎

    政府委員賀來才二郎君) 先ほど私から説明言葉が足りませんで、只今杉山委員から御注意を受けまして、恐縮をいたしております。私が申上げましたのは、これの「事由を付して」というのは、非常に単なろ名目的に意味のないものだという意味で、時間切れで変えるのだという考え方をいたしておるのではないのでありまして、御指摘のように我々といたしましても、そこに「事由を付して」というのは相当意味もありまするし、政府はその趣旨を尊重すべきものである。例えて申しまするならば、従来あの改正前の法律でありましたときに、いわゆる法規裁量か自由裁量かというふうな困難も曾つて出たのでありまして、それに対しまして、最近は国会の御審議を待つというふうに態度が変つておりまするし、さような慣行もできて参つておりますることは、あの「事由を付して」という改正が非常に有意義であつたとかように考えるのであります。ただ言訳で甚だ恐縮でありますが、私の申上げましたのは、実は公労法全体につきまして、ああいう特別調停委員制度或いはそれと関連いたしまして仲裁制度、これが中央労働委員会制度というふうなものと関連してどうだとか、或いは交渉単位制をどうすべきであるとか、それらに関連いたしまして三十五條、十六條の問題も出ておつて、これにはいわゆる占領軍がおりましたときに、占領軍から頂きました法律に対しまして、これを日本的なと申しますか、国内の事情に適したようなものにすべきかどうかという議論がございまして、研究もやりましたのでありますが、さようなことは時間切れで遂にできなかつた、かように申上げましたので、御指摘の趣旨は十分了承いたして、今後もさような意味におきましてこの法律の運営に万遺憾なきを期して参りたいと存じておる次第でございます。
  83. 小林政夫

    ○小林政夫君 今の問題は、両院協議会に出たのは私ですが、堀木さんあたり労働委員として非常にもんで、緑風会あたりでは練りに練つたわけです。杉山さんも御承知のことでありますが、これは緑風会としては少くとも重要な改正点だと思う。今度の全部の裁定の出し方が殆んど前とは変らないのです。この点は一つ労働委員会において十分取上げて検討してもらいたい。私も前国会の末期労働委員会に席を置きまして、堀木さんあたりの説も聞き、いろいろ緑風会の意見も非常に慎重に研究したのです。是非労働委員会で取上げて、そうしてもう一遍検討してもらいたい。
  84. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 実は予算委員会のほうに出ておりましたので、経過を知らないでお聞きするのは甚だ工合が悪いのでありますが、今お話の公労法の十六條第二項の「事由を付して」という問題は、これは緑風会としては当然私は責任をお感じになるべきだと思う。我我の考え方のように、どうも吉田内閣というものはどうせなかなか根性が直らない。いつまでも反民主的なのだから、はつきりしなくちや多分承知すまいと、こういう考え方から、実は「事由を付して」じや足りないのだ、こういうお話を緑風会その他に申上げておつたのが、緑風会のほうで非常に今現寅と睨み合せてお考えになつて、そうしてこれについてはいろいろ政府責任を衝いてくれたことは非常に結構だと思います。たださつきのお話、私は余り法律論をしようとは思いませんが、政府の年末手当を出すという考え方に、一体公共企業体の、殊に専売の問題にはどう当てはまるのだろうかということを心配しておるのです。今お話があつたように、大蔵省の主計局で各省をよんで均衡をとつて最大限度と、こう言われると、如何にも説明はいいのでありますが、各省を寄せて均衡をとると、最小限度の支払能力のところへ行くのは常のことで、これは官吏であるあなたはよく御承知だと思います。私も長い間官吏をしておつたが、均衡をとれば、支払能力のたくさんあるところより支払能力の少いほうへ均衡をとる、均衡をとつて最大限に直して頂きたい、これを今私考えるのです。果してそうなさるのか。  それからもう一つ、御説明を承わつていてお聞きしたいのは、一体年末手当として勤勉手当の形で繰上げてやるとか、いろいろの形をとつているのではつきりわからないのです。どういう性格で出すのか。明日になれば判明するだろうということは考えているのですが、国家公務員につきましては大体政府のほうが均衡をとつて、一般会計から出さなければ……、一応こう考えるわけであります。併し公共企業体は本来団体交渉の対象になるべきものなんだろうと思うのです。法律上そうだし、裁定上もそうだというふうに私は思うのですが、それを一体切盛りされるのに、どういう形でどういう心組で行かれるか、本来団体交渉の対象になるべきものだというふうに考えているのですが、そういう点事務的に、お打合せでどういうふうな話合いになつているのか、お聞かせを願いたいと思います。
  85. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 先ほど私が申しました均衡をとつて最高という問題、これはほかの公共企業体とのバランスその他の問題もございまして、これは先般の予算関係に盛つておる、主計局長が御答弁申上げるのが筋合と思いますが、私が先ほど申上げたかつたのは、専売公社といたしましては、現行の予算に認められている範囲内で予算の組替等のあれをせずに、でき得る最大限度の年末手当相当する金額を出すようにということで、公社のほうから主計局のほうに交渉されまして、大体そういうラインで主計局のほうの了解も得まして、今日その枠内での団体交渉を進めて、或いは今明日中にもまとまるのじやなかろうか、こういう状況でございます。まあ国鉄電通、それも含めての全般の関係はどういうふうになつていますか、私今日余り詳しく承知いたしませんので、今日の段階において私からこうこうだ、或いはそれと連絡をとつてどうこうしているというような点は申上げがたいことは非常に残念であります。
  86. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 そうすると、今度政府が出そうというものは、年末手当の性質のものだ、こうお考えになつておるわけですね。
  87. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) はい、さようでございます。
  88. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 そうすると、賀來さんにお聞きしたいのは、一体年末手当という性質のものは、裁定から見ると、これは団体交渉の対象になるものである。そうして団体交渉できめるのだというのが労働法規の建前であり、労働法規の番犬である労働省の役人の努むべき事柄なんですね。それが大蔵省の主計局長の手に移つてきめられて行くということでは、労働省は大蔵省の主計局のどつかへ入つたのかなと言わざるを得ないと思うのですが、(笑声)労働大臣病気の間に労働省がなくなつては困るので、この点はつきりさしておいて頂きたい。さつきあなたがはかのいろいろなところと藩をとつてと言われたのは、これは私は労働委員長の言われるのは本当だと思う。それは経営者としても、法律はありますけれども仲裁裁定がくだつたときには、それに服すのが当然なんです。それ以外に政府はほかの官僚なり、ほかの国家公務員というふうに考える必要はない。そういうことは私はおかしいと思うのです。その点についてはいろいろ弁解されるために出て来た言葉だろうと思うのだが、大蔵省系統の人がそんなことを言うのは話がまだわかるのだけれども労働関係の人までそんな考え方になると、我々としては非常に遺憾だ、こういうように思うのですが、どうですか。
  89. 賀來才二郎

    政府委員賀來才二郎君) 年末手当その他賃金給与は一切団体交渉の対象になることは御承知通りであります。又公労法運用の責任を持つております労働省といたしまして、これが趣旨徹底のために大臣以下全力を挙げるべきであるということは、先ほど来申上げた通りであります。現在国鉄におきましては、仲裁裁定の趣旨に従いましてたしかまだ団体交渉をやつておりまして、最後決定が出たかどうか知りませんが、団体交渉をやつておるはずであります。ただあの裁定の趣旨を尊重するという意味合いにおきまして、予算の面からどういうことになつたか、交渉を大蔵省を中心といたしまして各公社の間に行われておりますことにつきましては、労働省としては具体的な問題として関連をいたしていないのであります。ただ併し基本線といたしましては御指摘のような線でできるだけしたい、こういう立場をとつておる次第であります。
  90. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 私は賀來さんは大分答弁がうまくなつて来たのじやないかと思いますが、言うごととやることが一緒でなければならないと思うのですが、この頃大臣の言うこととやることが違うからといつて、属僚までそれと一緒になされては困るのじやないか。はつきり申上げたいのだが、それは率直に申してあなたのほうは特にそういう立場をとつておれば、要するに予算総則の制限を切離せぱいいのですよ。予算総則の制限は、あれは私が余り議会で参考人で、遅らしたもんだから、池田君が怒つてだんだんああいうものを付けたので、それで予算上は縛ろうとしている。公労法上の予算は違うのだと一言つたものだから、どつかに手がかりを置きたいものだから、あの予算書に総則を設けたのです。そういうことは賀來さんよく御承知通りだと思います。そういう点から言えば、あなたのほうは専売裁定をやるためには本当はもつと努力をしなければいけない。その点の努力が足りないのですよ。だから吉田内閣というものはああいうふうに、たとえよくても労働者に悪い感情を持たれて反撃され、堪えられなくなつて来ておる。これは大きな政治的なものになつて来ておる。僅かな金で堪えられなくなつて来ておるのです。今日も私は吉田さんに言つておいたのですが、どうか、そういう点で言われることと行うこがちぐはぐで、結論的には大蔵省の言う通りになつて出て来る形では、労働省は要らないですよ。その点を特に御注意を願いたいと思います。公社のほうのかたにちよつとその点お聞かせ頂きたい。実は私は仲裁委員のときに、約一億四千万円だつたと思いますが、私ども裁定をしたとき、公社予算上、資金上金がないのだといつて国会裁定を求めて来たとき、そのときは予算総則の総額はきめてない次第だつた。ところが池田君があれだけ頑張つてつたのだが、年末になると金が浮いて来てしまつた。それで池田君は一億四千万円のために何とまあ僕は驚いたんだが、池田大蔵大臣、増田甲子七官房長官、労働大臣は鈴木とかいう人でしたが、三人が出て来て、実にやつたものですよ。で、私を議会の一部の人が重宝に一して参考人にしばしば呼んで、そのときはずつと開会中で殆んど国会の最終日近くまで頑張つたが、年末になつてから金が浮いて来て、そうしていつのまにかすつと撤回してしまつた経験がある。今度も僅か二億六千百万円ぐらいですか、二億六千百万円くらいだと、公社の経理面から見ると、私は出ないこともなさそうだと、こういう気がするのですよ。ただ当時と違つておることは、予算総則で総枠がきまつておるだけに、実はお話しにくいのじやなかろうか。それで多少政府で勝手に付けた制限で、要するに結果的に見れば、支払能力のあるものがなくされちやつたという結果に、逆の結果になつておるのじやないかという心配をするのですが、そういう点について公社のほうの御見解を承わりたい。
  91. 小川潤一

    説明員小川潤一君) 誠に御見解その通りでございまして、一億五、六千万の金は、何んとでも資金上は調達できるのでありますが、歳出権を、殊に給与は、歳出権は予算で科目がきまつておる。併しこの点は公社は割一台に弾力性を持つてつて、科目の流用などを認めておる一般官庁から見ると、大分違つた形にして頂いておるので、我我はその点は大分便宜を蒙つて、又運用できていいのでありますが、何しろ給与総額ががつちりしておりますので、たとえ一円でもそれを超過して支払うということは、又私ども会計検査院もありまするし、すぐつかまつてしまうので、やるべきではありませんが、その点は堀木先生の言われる通りであります。
  92. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 どうもおかしいですね。そうすると、予算総則できまつておるから一文もないと言われれば、一体給与総額の中には今度出そうとするようなものも含まつておるはずなんですよ。超勤も何も全部給与総額できまつておる。そうすると、何か予算をやり繰りしてというと、その間に余裕がなくちやならないような気がするのです。だから片方、監理官のほうは、何とかやり繰りをしてと、こうおつしやるが、あなたのほうは給与総額がきちつときまつておるので、その間に一文もこれはやり繰りができないとおつしやる。やり繰りがあることは政府も認めているらしいです。だから私はその点の関係ちよつとお聞きしたい。一億六千万まるまるはないかも知れないが、余裕は、全然一文も出ないはずはない。どうもどつちの話が本当なのか、私どもにはよくわからないのです。
  93. 小川潤一

    説明員小川潤一君) その点は公社に関しましては余裕がないので、その然るべくやるということはあり得ないことであります。ただ給与総額の中で、まあざつくばらんに申しますれば、初めは政府当局としては今度の裁定のベースは高いのだから、〇・五ぐらいやればいいのだというような話だつたのでございますが、それが先ほど来の均衡論でまあ一カ月ぐらいまでこぎつけて出してよろしいという給与総顧の中における許可をもらつたわけでございまして、ごじやごじやしておるようですけれども公社に関してはそうではないのであります。
  94. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 どうもお話の経過からみると、予算を作るときは、年末手当〇・五、それが丁度一・〇になるということは、どうも融通がつくらしい。併し団体交渉だと、これはもう〇・五より予算上、資金上ないのだ、これが今の政府態度だと私は思う。どうもその点がわからなくなつて来ておるのですよ。そう言つちや悪いが、私も役人上りだから給与総額全体一文もないと言つても、少しは出て来ることもよくわかります。(笑声)ともかくも結論的に言いますと、公社の人に聞きたいのは、あなたの言葉尻をつかまえるつもりはないのですが、会計検査院が怖いのか。法律が怖いのか。法律を守らないほうが悪いのじやなかろうか。その点は私はあなたがたは法律を守るほうが建前じやないか。
  95. 小川潤一

    説明員小川潤一君) 勿論でございます。
  96. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 会計検査院から何か言われたら、こういう法律があるから、これによつてつたというのが、私はこれが本当なんじやないかと思う。どうもあなたがた公社の人、経営者のかたの心構えというものが、その点はつきりわからないのです。政府が怖いのか、法律が怖いのか、ローアバイデイングでなければ、民主主義の原則は守れない。法律を守る。みんなが責任を以て、労使双方……、私は必ずしもこう言つて労働者の肩ばかり持つていない。今日も緒方官房長官に言つたのですが、労働者自身も困つて来ると、権力に頼る気持ちが随分いろいろな部面で出て来る。一体労働者という者はどういうものだろうということもある。併し政府自身が法律を守らないという姿、或いは関係機関が守らないという姿のほうが悪い。そういう点から言4と、あなたがたは法律を守るほうにやはり重席を置かなければいけないのだ。監理官が怖いか、法律が怖いかと言えば、法律のほうが怖いはずなんですよ。監理官自身も法律に服さなければならない。大蔵大臣も服さなければいけない。そう思うのですが、そういう点について……。
  97. 小川潤一

    説明員小川潤一君) 実は私も全く同意見で、私も法律をやつた者で、法治国家だと言いたかつたのですが、余りきざなような感じがいたしましたので、逆の方向から申上げただけでございます。本当は我々は自分らできめた制度は守りたいという信念に燃えておりますから、どうぞその点は御安心下さい。
  98. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 有難うございます。あなたの法を守る精神を曲げているのは政府ですね。
  99. 中川以良

    委員長中川以良君) ほかに御発言ございませんですか。…それではお諮りを申上げます。本連合委員会は今回を以て終了いたしたいと存じまするが、御異議はございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  100. 中川以良

    委員長中川以良君) 御異議ないものと認めます。よつて連合委員会は今回を以て終了するごとに決定をいたしました。  本日はこれを以て散会いたします。    午後四時二十一分散会