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説明員(
永野正二君) 先ず最初
以西の
許可方針でございますが、
以西の
許可方針といたしましては、先ほど来
説明のありましたように、現在
東経百二十八度三十分
以西の海面において
操業しております
漁船数は六百七十八隻ございます。又
トロール船が五十八隻ございます。これらの船の
許可方針として考えておりますのは、大体
以西の海域で
操業いたします適性の
船型は大小のいろいろの
船型があると思いますが、一応最も低い
段階におきまして、大体七十五トン
程度であるという見解を持
つております。従いまして、現在
以西底びき
漁船でございまして七十五トン
未満、五十トン以上の船につきましては、従来は
トン数が大きくなり、
船型が大きくなる場合には不足
トン数を補充するという政策を立てておつたのでありますが、七十五トンまでは漁獲の
トン数を補充することなくして、大きな船に代船をさせよう、或いは又改造、増トンさせよう、かような考えを持
つております。それから七十五トン以上百トン
程度までの
漁船につきましては、現在の
以西底びきの
漁場が中共に近い水域におきましては、従来から現在に至るまで非常に拿捕が多く出ておる、それから又韓国の周辺水域におきましては、例の
李承晩ラインの問題、或いは防衛水域の問題等で、これ又
漁場的には相当不安の現況にあるわけであります。従いまして漁獲の能率を直接増大するという
方法はできるだけ避けて参る、併しながら現在の
以西の
船型をみますと、乗組員の居室等が非常に不十分でございます。従いまして労働条件の
改善、或いは労働の再生産を確保する、かような
意味で船室等は相当余裕を持たせて参りたい、かような点。或いは又拿捕にも関連いたしますが、従来焼玉エンジンをつけてをる
漁船が過半数ございますが、できるだけデイーゼルに改造して参りたい。それから最も大切な点は漁獲力をそのまま増大するという行き方よりも、むしろ取つた魚の鮮度を保持するという方向に持
つて行きまして、
漁業経営の安定、
合理化を図るということが最も大切であると思いますので、今後冷凍機の実施その他によりまして、鮮度保持の点も
改善して参りたい。かような
考え方から参りますと、勢い、
船型は大きくなるわけでありますが、魚槽につきましては、できるだけ従来の魚槽の
程度にとどめまして、むしろ鮮度保持において
金額において上
つて参る、かような
考え方で
漁業経営の
合理化を図
つて参りたい。今まで
以西の
大型船につきましては大体百トン
程度でありますが、かような
措置を講じて参りますと、百二十トン
程度まで増大するのではないか、かように考えておるわけであります。後段申上げました、
以西の七十五トン以上の船舶につきまする鮮度保持の
考え方につきましては、
トロールも同じような
措置を考えておるわけであります。
それから昨年の八月以降におきまして南支那海の
漁場の試験的な
操業が行われておるのでありますが、南支那海につきましては、
漁場の
資源の
関係、品その他諸情勢を勘案いたしまして、できるだけ
以西底びき
漁船、或いは
トロール漁船のなかから適切なものを南支那海方面で
操業ができ得るように、別品の観点からいたしますと、
以西底びきの
漁船数がそれによ
つて幾分でも少くなるように、かような
考え方で指導して参りたいと思
つております。
それから取締の問題でありますが、百二十八度三十分の線、ここの
地図にもございますように、大体長崎県の五島の西を通過しておる線でございます。今後の
以西底びき船の
操業区域は実質的一には百二十八度三十分
以西ということになりますと、
以西底びき
漁船の
操業区域は殆んど
沿岸漁場との関連はなくな
つて参ります。従いまして内地の近海に設定されております禁止区域という観念は非常に少くなると思いますので、むしろ
沿岸漁業の保護或いは調整という面の取締の問題は非常に少いと考えます。併し従来にも若干例もあつたのでありますが、下関の根拠或いは福岡根拠の
漁船等におきまして、
漁場の往復に百二十八度三十分
以東の水域、即ち現在の
中間漁区でありますが、
中間漁区等におきまして相当違反の事例がございますが、かような違反につきましては今後絶対ないように、現在
水産庁で所有しております取締船を十分活用いたしまして、違反防止の
措置を講じて参りたいと考えております。特に
以西の問題は直接取締ではございませんが、先ほど申しましたように、中共附近の水域の拿捕防止、或いは韓国水域におきまする拿捕防止、かような点が非常に大きなウエイトを持
つておりますので、かような水域につきましては、
漁船の保護という立場をも考慮いたしまして、最善の
努力を尽して参りたいと考えております。
次に将来
許可隻数を限定するかどうかという問題でありますが、現在
水産庁で考えておりますのは、いわゆる
中間漁区船のうち大体百隻
程度のものが
以西の水域で現在
操業しているわけでありますが、今回の
特例法が成立いたしますれば、五十トンを超すことになりますので、先ほど申しましたように七十五トン
程度までは無条件で
トン数を
増加するというのと同じ工うに考えまして、七十五トン
程度まで大型として参りたいと考えております。そうした場合に従来の
以西底びき
漁船の
隻数と、今度
中間漁区から
以西の底びき船に新たに変る船との合計を以て大体
隻数を抑えて参りたいと、かように考えております。
トン数につきましては先ほど御
説明いたしました趣旨に基きまして、必ずしも全体の
隻数を何万トンというような形で抑えて行く考えは現在は持
つておりません。
それから
かつを・
まぐろ漁業の
許可方針でございますが、現在の
かつを・
まぐろ漁業の
許可方針を簡単に申しますと、現に使
つております船の代船或いは改造、増トンの場合には、その差額
トン数の二分の一を他の
許可船の配入によ
つて補充するという形をと
つております。現実にはこの補充
トン数の売買等が行われておるのでありますが、かような現状はできるだけ早く打切
つて参りたい。又先ほ
ども説明がありましたように、
かつを・
まぐろ漁業の
資源につきましては、現在私
どもの
考え方としては、相当の大きな余力があると考えているわけであります。併し一方におきまして生産力と需要の
関係を見ますと、必ずしも安心できない、別の言葉で言いますならば魚価の安定の面等につきましては、若干の不安がないでもございません。従いまして私
どもといたしましては、
かつを・
まぐろ漁業の今後のあり方、進め方という問題については漸進的に
船型を
大型化し、或いは
近代化して行く。又船を
大型化し
近代化することが
漁場の利用範囲が漸次拡大するということに結果的にはなるわけであります。そうして比較的内地近海の
漁場の空いて参りました
漁場には他の
沿岸漁業からの転換なり、或いは又他の
沿岸漁業、或いは
沖合漁業の季節的な兼業の
許可を新たにいたしまして、できるだけ全体の
船型の構造を
大型化して参る方向に進めたいと考えております。それから勿論
船型が
大型化する場合の
許可トン数の補充ということは一切して参らない、かような方針を現在考えております。