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1953-03-13 第15回国会 参議院 水産委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年三月十三日(金曜日)    午後一時三十三分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     秋山俊一郎君    理事            千田  正君    委員            片柳 眞吉君            木下 源吾君            松浦 清一君   政府委員    水産庁長官   清井  正君    水産庁次長   岡井 正男君   事務局側    常任委員会専門    員       岡  尊信君    常任委員会専門    員       林  達磨君   説明員    水産庁生産部長 永野 正二君    水産庁生産部海    洋第二課長   増田 正一君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○日本国に駐留するアメリカ合衆国軍  隊の行為による特別損失補償に関  する法律案内閣提出・衆議院送  付) ○以西機船底びき網漁業及び遠洋かつ  お・まぐろ漁業許可等について漁  業法の臨時特例に関する法律案(内  閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) それでは只今から委員会開会いたします。  前回に引続きまして、日本国に駐留  するアメリカ合衆国軍隊行為による特別損失補償に関する法律案議題といたします。本案につきましては、従来からかなり永い間質疑を重ねて参りましたが、もはや質疑も尽きたものと存じますが、質疑打切つて討論に入ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 御異議ないと認めます。  それでは討論に入ります。賛否を明らかにして御意見をお述べを願いたいと思います。
  4. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 私は本法律案希望を二、三付けまして賛成をいたします。  希望の第一は、今日まで政府当局とり質問において、法律の条文につきましては、その事業の経営損失を蒙つたきは国がその通常生ずべき損失補償する、こういうふうにはつきり書いてありますが、政府説明で聞きますると、この通常生ずべき損失が平年粗収入から必要経費を控除した金額の八〇%を補償するという説明でありまするが、これは私は質問の際にも申上げましたが、これは理解できないことであつて、これはやはり平年粗収入から必要コストを引いた金額を私は補償することが正しいというふうに考えておりますので、そういうライン一つ政府当局は更に再検討いたして、完全な補償ができまするようにいたして頂きたい、これが第一点であります。  それから第二点は防潜網その他の漁業制約を招来するような施設につきましては、できるだけ政府当局において、今後折衝いたして、これを除去し得るように、除去できるように今後努力を願いたいと思いまするが、併しさような努力をしてもかような制約行為が今後相当長期間に亙つてやはり私は存続される可能性が多いと思うのでありますが、そういうような個所につきましては、この単なる損失補償だけで私は行くことは適当でない、むしろこれは農林省、水産庁の問題になるかと思いまするが、そういうような場合においては合理的な転業をさせる方面にも政府においては十分一つ具体的な施策を講じて頂きたい。以上二つの要望を附けまして賛成をいたすものであります。
  5. 松浦清一

    松浦清一君 私は本案賛成をいたします。ただ一点、この法律の施行につきまして希望を申上げておきたいことがございますのですが、これは第二条の損失補償を受けようとする者というこの項目について、先般の委員会調達庁川田不動産部長に御質問を申上げましたけれども、若し漁業協同組合或いは農業協同組合等補償を受けようとするものの委任を受けた場合には代理をして補償金交付を受けることができる、こういうことの御回答があつたわけですが、そのときに関連して御質問を申上げて、御答弁が保留されております。千葉県の今日までの漁業損害見舞金交付に際して一割五分の頭がはねられて残りを分配したということが伝えられているわけなんです。仮にもそういうことはないと思いますけれども、こういう損害のために生活に非常に大きな打撃を蒙つておる漁民に対する損害補償金、而も国民の税金を以て当てるこの種の金が、仮にも政治資金等に流用させられたり、一部の協同組合人たち補償金獲得運動資金というような名目で使われるということは甚だ心外に堪えないわけなので、この補償金交付に際しては厳重に監督をされて、仮にもさような不明朗けな用道にこの金が使われないことに御当局の十分なる御留意を頂きまするように希望をいたしまして、賛成をいたします。
  6. 千田正

    千田正君 終戦後の日本漁業というものに対しては、当委員会としましてはしばしば論じおるところでありまするが、占領治下においてはマツカーサー・ラインにおいてその操業範囲が縮小され、独立後においては李承晩ライン、或いは防衛ラインなどというような問題のために遠く操業をすることが困難な状況を来たしている。而も沿岸漁民の年々資源の不足に悩んでおるというときに、我々はこうした防潜網その他の設備によつて沿岸漁民の窮状は見るに堪えないのであります。でありまするから、こういう問題に対しては国は当然全額補償すべきことは当然であると我々は主張したい。併し現段階においてこのような程度しできないという事情はよくわかつておりますので、先ほど同僚片柳委員松浦委員と同様、この問題は将来必ず全額補償すべきものと改訂するということを、将来において議員提出法案、或いは政府をして更に改正する法案として再提出して改正なさることに望みをかけて、要望してこの案に賛成することにいたします。
  7. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) ほかに御意見ございませんか。それでは討論は尽きたものと認めまして、直ちに採決に入りたいと思いますが、御異議ございせんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 御異議ないと認めます。  それでは本案採決をいたします。本案賛成のかたの挙手を願います。    〔賛成者挙手
  9. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 総員挙手と認めます。よつて本案全会一致を以て可決すべきものと決定いたしました。  なお、本案に関する委員長の本会議における口頭報告は、前例によりましてこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 御異議ない認めます。よつてさように取計らいます。  それでは本案賛成かたは例によつて多数意見者の御署名を願います。    〔多数意見者署名〕    千田  正 片柳眞吉   松浦清一   —————————————
  11. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 次に前回提案理由の御説明を承わりましたが、以西機船底びき網漁業及び遠洋かつおまぐろ漁業許可等についての漁業法臨時特例に関する法律案議題といたします。この法案につきまして水産庁から内容の御説明をお願いいたします。
  12. 清井正

    政府委員清井正君) 今回御提案になりました特例法につきましての法律案要旨を私から御説明申上げます。  講和後に拡大されました漁場に即応いたしまして、以西機船底びき網漁業並びに遠洋かつをまぐろ漁業につきましては、資源の保護と国際的な関連とを十分に考慮しつつ、資源開発に努めると共に、沿岸漁業漁場関係を分離して、純粋な遠洋漁業としての諸施策を行い得るような漁業に育成し、発展させることが必要であると考えます。そのためには漁船装備改善近代化し、又適正船型への大型化を図ることにより、漁業合理化経営の安定を促進することが肝要であると考えます。この方針に従いまして、先ずマ・ラインの設定に伴つて行われました昭和二十五年の減船整理の際、東経百三十度以西東経百二十七度三十分以東のいわゆる中間漁区のみに操業制限された総トン数五十トン未満の底びき網漁船百八隻のうち、希望するものにつきまして、その操業区域東経百二十八度三十分以西に変更することを認めたのでありますが、これらの底びき網漁船としては、この新らしい漁場に適合し、健全な経営を行うためには、五十トン以上の適正船型へ移行し、装備改善したいという希望が甚だ強いのであります。これらの漁船曾つて以西漁場操業していたのでありまして、前述のような経緯の下に中間漁区操業制限されたものであり、又その経営改善が急務と考えられますので、差当りこれらの漁船のうち希望するものに対しては、五十トン以上の船型に移行することを認めることが妥当と考えるのであります。併しながら五十トン以上の船型になりますには、指定遠洋漁業としての以西機船底びき網漁業新規許可を必要とすることになり、従つて漁業法第五十八条に規定されております許可手続によらなければならないこととなり、一般希望者と並んで抽籤を行うことが必要となるのであります。併しながら右に述べたような特殊な事情から、これら中間漁区船については優先的に新規許可をすることが妥当と考えられますので、これにつきましては臨時に二年間を限りまして、第五十八条の規定によらずに新規許可ができるように法的措置を講じたいと存ずるのであります。  次に遠洋かつおまぐろ漁業につきましては、資源的には十分余裕があり、その隻数増加並びに大型化による漁場開発利用の余地があると存じますが、その漁場南部太平洋にまで拡がり、且つその生産物は海外に輸出される関係上、その操業が国際的に摩擦を生じないよう十分の注意が必要でありますと共に一急激な増加によつて需給の不均衡、延いては漁業経営の混乱、不安定を引起さないように留意することが必要と考えますので、事情に応じ、漸を追いまして隻数増加船型大型化を行うようにいたしたいと一考えております。しかつおまぐろ漁船はそのトン数によつておのずから行動半経が異り、操業漁場を異にするものでありますが、現在のかつおまぐろ漁船総トン数別隻数を見ますと、従来マ・ラインによる漁場制限がありましたため、この限られた漁場に適合した七十トン以上百トン未満中型かつおまぐろ漁船が多数を占める結果となりまして、現在の拡大された漁場事情に適応してこれを合理的に利用し得ない状況にあり、漁業経営上も困難を来しているのであります。そこで差当り措置といたしましては、この七十トン以上百トンまでのかつおまぐろ漁船のうち大型化希望する者が漸次百トン以上の適正な船型に移行し得る道を開きまして、その装備改善近代化による経営合理化を図りますことが、漁場合理的利用と本漁場の健全な発展のために必要な措置と考えるのであります。併しながら船型が百トン以上になりますには以西機船底びき網漁業の場合と同様に、指定遠洋漁業としての遠洋かつおまぐろ漁業新規許可を必要とすることになりますので、漁業法第五十八条に定める手続方法によることとなり、一般希望者と並んで抽籤を行うことが必要となつているのであります。併し右に述べましたようなかつお皿まぐろ漁業については、特殊な事情の下にありますので、これらに対しましては、この漁業法第五十八条の方法によらず、優先的に新規許可をいたしますことが妥当と考えられますので、臨時に二年間を限りまして第五十八条の規定を適用せずに、遠洋かつおまぐろ漁業新規許可ができるように法的措置を講じたいと存ずるのであります。  以上が本法案要旨でございます。
  13. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止
  14. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 速記を始めて、それでは今日は出席委員が非常に少ないようでありますから、暫時休憩いたします。    午後一時五十五分休憩    ——————————    午後二時十二分開会
  15. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) それでは会議を再開いたします。  それでは第一条、第二条……。
  16. 千田正

    千田正君 この法案は表題は「以西機船底びき網漁業及び遠用かつおまぐろ漁業許可等についての漁業法臨時特例に関する法律案」となつておりますが、この法案性質から、一応読んで見ればわかりますけれども、一応水産庁としては提案者から言いますれば、以西以東とでは、この以西底びき網に対して以西だけの臨時特別法を出すという理由を先に説明して頂きたいと思います。
  17. 永野正二

    説明員永野正二君) この法案以西の底びき網に関する特例だけを取上げているのはどういう理由であるかという御質問でございますので、御説明申上げますが、先ほど長官からの要旨説明の中にもございましたように、東経百三十度以西の底びきで五十トン以上のものは、漁業法によりまして指定遠洋漁業という範疇になつているわけでございます。その許可につきましては、漁業法に直接の規定がございます。その規定と今度我々が考えております中型船大型船にしようという措置とがその法律規定改正いたしませんとできないわけでございます。ところが以東の底びきにつきましては、これは直接漁業法の中にその許可についての規定はございませんので、漁業法に基いた省令で、つまり中型機船底曳網漁業取締規則という省令で以てその許可の問題が規定してあるわけでございます。従いましてこの問題につきましては、別に法律を以て今どうこうするという問題はないわけでございます。
  18. 千田正

    千田正君 今のお話はわかりましたが、以西以東もいわゆる底びきに関しては根本的に法律の趣旨から言えば、広く法律を作つて置いてその中に適用するのがこの法律むしろ筋から行けばいいと思うのです。しよつちゆう臨時特例法だとか、省令だとか、政令とかいうようなことを出さなくてはならないような法律の作り方は私は賛成できないのであります。そういう点についてはどう考えておりますか。
  19. 永野正二

    説明員永野正二君) これはやはり漁業性質によりまして、その漁業についての規制はいろいろ変つて参るわけでございまするが、漁業法考え方では特に以西の底びきとか、トロールとか、沿岸捕鯨漁業とか、かつおまぐろ漁業というものにつきまして、共通の点を取上げまして、指定遠洋漁業という制度を作つてあるわけでございます。従いまして、その漁業法規定と今度考えております以西機船底びき網についての措置との関係を調整するためには、どうしても法律改正、が必要なわけでございます。以東機船底びき網につきましては、これは以西のほうと事情をやや異にしておると考えてみるものでございましてよく御承知通り沿岸の底びきの資源に対しまして、現在ある以東機船底びき網の船の数というものは非常に多いのでございます。従いまして特にこれを大型化するとか、或いは新規許可をするというような考え方水産庁は毛頭持つておりません。むしろこの措置は今後ほかの漁業への転換、或いは整理とかいう問題を考えて参る、こういう事情にあるわけであります。
  20. 清井正

    政府委員清井正君) 只今永野部長から御説明申上げましたのでございますが一なお附加えて申上げたいと思います。成るほど法律の建前といたしましては、こういうふうに一々特例法というようなものを制定する必要は、要するに本法にそれだけの規定があつて、それを打消す意味において特例法を出すということになるのであつて、御承知通り漁業法の根本的な問題といたしきては、まあいろいろ問題はあるかも知れません。従いまして、私どもといたしましては、今後漁業法自体法律体系漁業法をどういうふうに将来、或いは必要なる改正を行う場合があれば改正をして参らなければならんのでございますけれども、この点はまだ私どもといたしましては目下考究雲ございまして、まだいろいろ問題がありますために、まだ検討いたしておる段階でございまして、いずれともまだきまつておりませんけれども、将来漁業法改正する機会がありました場合におきましては、特殊な事情の起つた場合に、そう頻繁に特例法のようなもの、法律作つて基本法を変えて行くというようなことの起らないような措置漁業法改正のときやらなければならん、こういうふうに考えておるわけであります。併しながらこの当面只今ご審議願います法律は先ほど私も御説明申上げました通り講和が発効されまして、マッカーサーラインがとれて、そうして漁場拡つたという特殊な措置に対する臨時的な措置でございますので、これは臨時的な取扱をいたすという意味において特例法という措置をとつたということでございまして、この法律は仮に御可決になつて施行いたしますれば、やがて二年以内には船も大きくなりまして、この問題に関する限りは一応解決がつくということになりますから、そういう安定した状態に至りました暁におきまして漁業法改正をいたす、こういう場合におきましては、只今質問のありました点につきましては、十分一つ将来考えまして処置をいたさなければならんかと、こういうふうに考えております。
  21. 千田正

    千田正君 長官からの御説明で納得が行きましたが、法律措置とは言いながら、実は繁文褥礼が多くて、これでは日本国民がことごとく法律に縛られてしまう、というような感じが多いのでありまして、今長官のお答えのあつたように、でき得れば基本法の中にはつきり大きく抱え込んで、その法令の中において弾力性を持つた行き方にするのが私は一番合理的な今後の行き方だろうと思います。それでなければ法文というものは死んで行くものが多い。而も死んでいながらそれを整理ができないという面が多いのでありまして、これは漁業のみならず、日本法律全般から見ても、大きな基本法の中に抱え込んで、そうしてそういう面においては臨時にむしろ政令のようなもので弾力性を持たして行つたほうがいいと私は考えますが、今日の段階においては一応こういうものを出さなければ現実には以西底びきに対して非常な操業に影響を及ぼすというのでありますから、この法案については一応逐条説明を承わつて、私の疑義があれば又申したいと思います。
  22. 松浦清一

    松浦清一君 逐条説明を頂きます前に、総括的な問題として、この法律が制定されますとどういう結果になりますか、頂いた参考資料ですね。これについてちよつと御説明を承わりたいのです。例えば五十トン以上の以西機船底びき網の船が六百七十八隻となつておりますが、この船がどういう工合に変貌して来るか。それから三十トンから五十トンまでの中間漁区の百八隻というのがどういう工合に変つて来ると予想されるか。それから資料(一)の二枚目に出ております地図についての、今までの中間漁区というのはどういう工合になつているかどいうこと。それから参考資料(二)ですが、二枚目地図によつて五十トン未満漁場、百トン未満漁場、こういうことがありますが、簡単でいいですから、それがどういう工合に推移されて行くか、簡単に御説明願います。
  23. 永野正二

    説明員永野正二君) 参考質料の(一)に掲げてございます1の以西機船底びき網漁船の表でございますが、これは以西機船底びき網漁業の船の昭和二十七年十二月一日現在の実情を掲げているわけでございます。以西許可隻数が六百七十八隻になつているということでございます。この船におきましては、今後このままで移行して行くわけでございます。この点につきましては、この特例法で特にどうこうということは触れておらないわけでございます。  2のほうに中間漁区船隻数というのがございます。これがこの法律の対象になります船でございます。つまり以西底びきの減船整理をいたしましたときにその操業区域を百二十七度三十分から以東百七十度以西中間漁区操業区域限つた船が百八隻であつたのであります。そのトン数数字といたしましては、四十トン以上五十トン未満のものが九十六隻、三十トン以上四十トン未満のものが十二隻、こういうわけでございます。百八隻につきまして操業者がどういう希望を持つているかということを統計調査いたしました結果この百八隻のうち百隻はこの特例法が成立すれば以西のほうへ、つまり東経百二十八度三十分から西のほうに出たい、こういう希望を持つているようでございます。それからこのうち二隻は以西のほうへ出ない、従来の中間漁区に残るという希望を持つているようでございます。残りの六隻は船が沈没、拿捕その他の事故のために現在ございませんので、必ずしもその意向がはつきりしないのでございます。従いましてこの特例法が出れば、このうちの少くとも百隻はこの特例法規定における五十トン以上の船となつて以西許可をもらいたい、こういう希望を持つている実情でございます。  それからその二枚目の表の御説明でございますが、これは結局従来減船整理をやりましたこの経過を説明してあるわけでございます。一番上にございますように、減船整理前におきましては、トロールの五十八隻、それから以西底びきと称する機船底びき網が九百八十六隻あつたのでございます。これを減船整理をいたします際に、いろいろなほかの点で減船いたしましたほかに、中間漁区操業区域を限るということによりまして、二段目の真中に書いてございます五十トン未満の船百八隻の操業区域制限いたしまして、以西の底びきでないということにいたしたのでございます。これらの措置も含めました結果、減船整理後は以西トロールが五十八隻、以西の底びきが六百七十八隻に減つたわけでございます。これが先ほどの十二月一日現在の数字と同じ数字になつているわけでございます。その際この操業区域の点が上の地図で示してあるわけでございますが、つまり整理後の以西底びきの船は百二十七度三十分という線が一番西のほうにございますが、この線を境にいたしまして、この線から西のほうで操業をするという許可なつたわけでございます。それから中間漁区の船はその線から東のほうで東経百三十度までというところが操業区域なつたわけでございます。これを俗称中間漁区船と言つているわけでございます。そこでこの特例法を立案いたしました当時に、この中間漁区船をどういうふうに措置するかということについていろいろ研究をいたし、又操業者のかたがたと協議をいたしたのでございますが、その結果結論といたしまして、以西の底びきの操業区域を従来より一度だけ東のほうへ移す。つまり真中の辺に百二十八度三十分という線がございますが、その線を境にいたしまして以西の底びき船はこれから西を操業区域とするということに決定をいたしたのでございます。この線が真中に示してあるわけでございます。一番東のほうにあります百三十度の線というのは従来ずつと長い間以東以西操業区域境目として規定しておりました東径百二十度の線でございます。我々の考え方といたしましては、講和後の日本漁業動き方としては、成るべく沖合から遠洋へ、又沿岸から沖合へというふうに外へ出して参りたい、こういう考え方を持つておりますので、先ほど申しましたように、以西以東境目は将来はこの百二十八度三十分の線で限つて参りたいという考え方を持つているわけでございます。  それからかつをまぐろについて申上げますと、大体講和発効前におきましては御承知通りマッカーサーラインによります操業制限というものがございましたので、その当時のこのかつおまぐろトン数の構成から見ますと、このマ・ラインの中で操業する程度の船が非常に多くなつているわけでございます。内地から一番近い距岸五百浬ぐらいの程度でありますと、五十トン未満の大体かつおまぐろを兼業にする形の船の漁場でございます。それからその一段外の距岸千二百浬ぐらいの線、この線ぐらいまでの漁船が従来は非常に多く建造されたのでございます。ところが講和発効に伴いまして、だんだんとまぐろ漁場が遠方に延びて参りまして、現在ではすでに距岸二千百浬の線、この辺まで操業することを非常に操業者としては希望が強いわけでございます。従いまして従来非常に船数の多い、百トン未満のこの真中線あたりまで出漁できる船を成るべく大型化いたしまして、一層遠い遠洋漁場に押しこむことによりまして、その空いた隙に又沿岸からも若干の進出ができるということに相成りますので、我々といたしましては、」の百トン未満の、百トンから七十トンくらいのかつをまぐろ船につきましては、特にこの特例法によつて大型化を認めて参りたいということを考えておるわけでございます。  以上がお配りいたしました表の御説明でございます。
  24. 松浦清一

    松浦清一君 そういたしますと、この資料の今の図解をしてある点ですね、今までいろいろこの露県あたりと、それから山口、島根あたりとの間に、中間漁区に入るとか入らないとかいうふうなことで問題が起きておつたのですが、こういうふうに了解すればいいんですか。今まで百三十度以東のほうが以東底びきだと称されておつた線が、百二十八度三十分の線まで以東であるということですか。
  25. 永野正二

    説明員永野正二君) 実は以東の底びき船と申しますのは、法律的にははつきり規定があるわけではございません。これは過去の以東以西も一本の底曳網取締規則を適用いたしておりました時分に、百三十度以東のものを以東の底びきとこう申したのでございます。その名前がそのままずつと続いて通称として用いられておるわけでございます。先ほどお述べになりました従来の、いわゆる以東の底びきの船がこの中間漁区へ入つて来るという問題につきましては、実はこの法律案の問題とは別個の問題でございますけれども水産庁として一応立案をいたしておつたのでございまするが、いろいろ関係方面の意見等でまだ問題がすつきりと解決するような情勢までに至つておりませんことはよく御承知のことと思いますが、これにつきましても、現在中央漁業調整審議会にお願いをいたしまして、意見を立てて頂くようにお願いをしておりますので、その答申を待ちまして、これは解決をいたさなければならないと、こういう成行きになつておるわけでございまするが、それが決定いたしますれば、従来百三十度以東だけで操業区域を持つておつた底びき船のうち、若干のものはそれより西のほうにも操業区域を持つということになると思いまするが、それがどうなるかということにつきましては、まだ現在のところはつきりしたことは申上げられない段階にあるということでございます。
  26. 千田正

    千田正君 これはまあ非常に意見があるのでしようが、この法案を作る際に勿論水産庁としては考えておられたのでしようが、いわゆる減船整理の対象になつた業者の人たちがこの生業転換の意味から特に出願した場合には、優先的にこれを取扱うような考えをもつてこれは作られておりますか、その点はどうです。
  27. 永野正二

    説明員永野正二君) 先ほど御説明申上げました減船整理の際には、マッカーサーラインというものを前提といたしまして、以西の底びき船が非常に資源に対して多すぎるということで苦心をして、これを減船いたしたわけでございます。その減船いたしました内容といたしましては、例えば特に多くの許可を集中して持つておる、或いは又操業の実際からみて能率が著しく劣つておるというようないろんな要素を勘案いたしまして、この減船整理を行なつたわけでございます。これについてマッカーサーラインがなくなりましてこの問題の方針をきめます際に、私のほうからは海洋第二課長が現地へ参りまして、当業者のかたがたの皆さんと十分に意見の交換をいたしました結果、特にこの中間漁区へ押込めた百八隻の分につきましては、希望があれば昔と同じように以西のお仲間入りをさせてあげるということが適当であろうということに、両方の相談の結果結論が出ましたので、この分につきましてはこの特例法に基いて新規許可をするという考えでおりますが、それ以外の分につきましては、新規許可をするという考え方は持つておりません。
  28. 千田正

    千田正君 そうしますと、まあ許可申請をした場合はそうでありますが、大体減船整理は一応片ずいたのでありますか、どうなんですか。実際的には当初の予定通り片ずいておるかどうかということです。
  29. 永野正二

    説明員永野正二君) この点は、マッカーサーラインというものを前提といたしましての減船整理はこれで片ずいたわけでございます。ところがこの東海、黄、海の漁場につきましては、これは日本漁船のみならず、これは中国、或いは中共、或いは韓国というような各国の漁船が同じようにこの漁場操業区域にしておるわけでございますので、将来の問題といたしますれば、この関係各国が十分に協議をいたしまして、個々の資源に対しても適正な操業方法というものを国際的にとりきめる必要のある問題だと思いますが、現状では未だ国交も正式に回復していない国が多いような実情でございまして、そこまではできないというのが現在の実情でございます。
  30. 千田正

    千田正君 永野部長のおつしやつたことは、非常にこれは将来の問題に関係する問題であります。ということは、今の御説明のように、国際漁場であるとするならば、将来各国間に取極められる何らかのあれが出て来るということの場合において、若しもそれが各国の所有船隻数によつてそのバランスをきめて行くという場合においては、日本は減船するということは却つて不利じやないかということが、私は考えられるのですが、例えばですよ、日米加漁業条約においてあつたように、日本漁場の決定を見る場合において、日本の船は何隻持つておつたかということによつて各国のいわゆる優劣を争うというような問題ができた場合においては、所有船隻の数、或いは総トン数というものが相当ウエイトを持つことになると思うのだが、その点に対してはあなたがた水産庁としてはどう考えていますか。
  31. 永野正二

    説明員永野正二君) この点につきましては、水産庁として現在どういう方法でこの国際漁場の利用を行うことが適当であるかということを正式に答え得るまでには問題が熟しておりません。ただ私の個人的な考えを申上げることを許して頂きますならば、勿論過去における実績という問題は一応の参考になると思います。ただその実績は最後の実績ということではなしに、過去日本が各地を根拠こいたしまして、日本漁民日本の船で操業したという実績、その長い間の実績がございますので、その長い間の実績を考えに入れるべきものだ、こういうふうに考えます。
  32. 千田正

    千田正君 これは希望であり、僕の一つのアドヴアイスなんですが、これは非常にあなたのお考えは、つまり言つていることは一応御尤もであり、つまり過去の国際取極の場合においては、一つのデータになる。併しながら最近の国際条約その他を見るというと、日本ばかりじやありません、ヨーロッパの国際条約なんかを見ていても、そういう過去の実績だけが物を言うということにならなくなつて来ておるということは、相当この国際間の外交作戦というのが従来と違つた面に現われて来る。例えば我々は飽くまでもあなたのような説を以て要求しても、中共、或いはフィリピンとか、その他のものは、もう彼らが日本との優劣を争う場合には、むしろ過去の実績じやなく、現状というものを主張して来るに違いないと思う。だから我々としましては、過去の外交政策というものだけに頼つていられないので、実績を以て国際間におけるところの将来のウェイトをきめるという段階に行く場合には、我々はやはり、二段、三段の構えを以て臨まないというと容易じやないと思う。でありますから、私はこの減船ということは、勿論国内の対策としては必要であるけれども、将来国際間との問題、ウエイトの問題から考えた場合には、必らずしも軽々にその問題は決しかねる問題だと思います。これはまあ愼重に一つ御検討願いたいと思います。
  33. 木下源吾

    ○木下源吾君 それではこの今の三十度とか、二十八度というようなことを言われたが大分噛み合うらしい話があるのだが、こういう点でトラブルが起きるとか何とかいう従来の経験に鑑みて、そういうことのないように、どういうような考えを、方針を持つておられるか、それが一つ。
  34. 清井正

    政府委員清井正君) お答えいたします。只今いわゆる中間漁区の入会いの問題についての御質問でございますが、この問題はまあ極めて重要な問題でございます。私どもこの法律と直接の関係はございませんが、行政措置といたしまして、この中間漁区に対して、いわゆる以東の底びきの船を若干この中間漁区の中に入会わせるという措置を実は考えたのでございます。それは申すまでもなく、この法律にもその思想が現われているわけでございますけれども、成るべく船を大型化して、それの機械を近代化して、そうして成るべく沖合のほうに出て行くということの指導方針をとつているのでございますが、その一つの現われといたしまして、以東の底びき船につきましても、同時に沿岸の極く規模の小さい漁業との摩擦を避けるために、底びき船は成るべく地種漁業に転換せしめて出しますとか、或いは漁業の一部を他の漁業に転換するとかいうふうにいたしまして、或るべく沿岸漁業との摩擦を避け、併せて沖合から遠洋へという方向に持つて行くという一つの現われといたしまして、いわゆる以東「底びき船につきましても、この若干隻のものを中間漁区の中に入会わせるということを考えたのであります。この問題はすでにこの法律にも出ておりますが、いわゆる百八隻の中間漁区の船が相当すでに出ておるあけでございますけれども、百二十八度三十分以西に出ておりまして、或る程度その間に操業の余裕ができる。従つて余裕のできた範囲内におて、又それも相当固く踏んで、決して当該漁区資源に悪影響を及ぼさないという限度において、以東の船を入れると、こういう措置を実は考えたのであります。ところが御承知と思いますけれども、その措置が長崎県、並びに知佐賀、福岡と非常に関係がございますので、当該県の沿岸漁民の声といたしまして、相当資源的にも影響するし、沿岸漁業にも悪影響を与えるから、これはやめて欲しいというような陳情もあつたのでございますが、いろいろな事情を勘案いたしまして、一応そういう措置はとりましたけれども只今中止をいたしておるのでございます。その後私どもといたしましては、漁業法に基く機関でございますところの中央漁業調整審議会に、この中間漁区以東の底びき船を入会わせる問題につきまして、実は諮問をいたしております。無論白紙で慎重にお考えを願いたいということで諮問いたしたのであります。只今中央審議会のうち五人の専門家の委員のかたが現地にお出でになつております。すでに長崎におきまして、よく地元の御意向をお聞きになり、今日はたしか下関の現状をお聞きになつていると思いますが、やがて御帰京になつて、適切な地元の希望、並びに漁業者の意見を反映したところの声がもたらせるものと思うのであります。その御意見に基きまして、この御意見を十分尊重いたしまして、又同時に私どもといたしましても、従来しばしば御陳情のありました当該県、及び当該県における漁業者の声を十分反映させまして、審議会の御意見を十分尊重いたしまして、本案につきまして措置をとりたいというふうに考えておるのが現状でございます。
  35. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) それでは私から数点質問いたしたいと思います。  先ず以西底びき漁業というものが従来百三十度以西ということで以て以西底びきと言われておつた。そうしてその後これに対する減船整理等が行われまして、先ほど説明のありましたような現在の船数になつておるのでございますが、更にそこに今回百隻の中間漁区船を入れようと、こういう御趣意のようでございますが、今後この以西底びき網漁業というものに対する許可方針、或いは取締方針というものはどういうふうに立てておられますか。  それからその以西底びき漁業における漁船船数をきめるつもりであるか、きめないつもりであるか。若しきめるとすれば、その大きさ、トン数の限度をきめるか、或いは機関の馬力の限度をきめるつおりであるか。若しきめるつもりであるとするならばどういうつもりできめるつもりであるか、この点の以西底びき網の漁業許可方針とかつおまぐろ漁業許可方針と併せて同じように御答弁を願いたいと思います。それから先ず伺います。
  36. 永野正二

    説明員永野正二君) 先ず最初以西許可方針でございますが、以西許可方針といたしましては、先ほど来説明のありましたように、現在東経百二十八度三十分以西の海面において操業しております漁船数は六百七十八隻ございます。又トロール船が五十八隻ございます。これらの船の許可方針として考えておりますのは、大体以西の海域で操業いたします適性の船型は大小のいろいろの船型があると思いますが、一応最も低い段階におきまして、大体七十五トン程度であるという見解を持つております。従いまして、現在以西底びき漁船でございまして七十五トン未満、五十トン以上の船につきましては、従来はトン数が大きくなり、船型が大きくなる場合には不足トン数を補充するという政策を立てておつたのでありますが、七十五トンまでは漁獲のトン数を補充することなくして、大きな船に代船をさせよう、或いは又改造、増トンさせよう、かような考えを持つております。それから七十五トン以上百トン程度までの漁船につきましては、現在の以西底びきの漁場が中共に近い水域におきましては、従来から現在に至るまで非常に拿捕が多く出ておる、それから又韓国の周辺水域におきましては、例の李承晩ラインの問題、或いは防衛水域の問題等で、これ又漁場的には相当不安の現況にあるわけであります。従いまして漁獲の能率を直接増大するという方法はできるだけ避けて参る、併しながら現在の以西船型をみますと、乗組員の居室等が非常に不十分でございます。従いまして労働条件の改善、或いは労働の再生産を確保する、かような意味で船室等は相当余裕を持たせて参りたい、かような点。或いは又拿捕にも関連いたしますが、従来焼玉エンジンをつけてをる漁船が過半数ございますが、できるだけデイーゼルに改造して参りたい。それから最も大切な点は漁獲力をそのまま増大するという行き方よりも、むしろ取つた魚の鮮度を保持するという方向に持つて行きまして、漁業経営の安定、合理化を図るということが最も大切であると思いますので、今後冷凍機の実施その他によりまして、鮮度保持の点も改善して参りたい。かような考え方から参りますと、勢い、船型は大きくなるわけでありますが、魚槽につきましては、できるだけ従来の魚槽の程度にとどめまして、むしろ鮮度保持において金額において上つて参る、かような考え方漁業経営合理化を図つて参りたい。今まで以西大型船につきましては大体百トン程度でありますが、かような措置を講じて参りますと、百二十トン程度まで増大するのではないか、かように考えておるわけであります。後段申上げました、以西の七十五トン以上の船舶につきまする鮮度保持の考え方につきましては、トロールも同じような措置を考えておるわけであります。  それから昨年の八月以降におきまして南支那海の漁場の試験的な操業が行われておるのでありますが、南支那海につきましては、漁場資源関係、品その他諸情勢を勘案いたしまして、できるだけ以西底びき漁船、或いはトロール漁船のなかから適切なものを南支那海方面で操業ができ得るように、別品の観点からいたしますと、以西底びきの漁船数がそれによつて幾分でも少くなるように、かような考え方で指導して参りたいと思つております。  それから取締の問題でありますが、百二十八度三十分の線、ここの地図にもございますように、大体長崎県の五島の西を通過しておる線でございます。今後の以西底びき船の操業区域は実質的一には百二十八度三十分以西ということになりますと、以西底びき漁船操業区域は殆んど沿岸漁場との関連はなくなつて参ります。従いまして内地の近海に設定されております禁止区域という観念は非常に少くなると思いますので、むしろ沿岸漁業の保護或いは調整という面の取締の問題は非常に少いと考えます。併し従来にも若干例もあつたのでありますが、下関の根拠或いは福岡根拠の漁船等におきまして、漁場の往復に百二十八度三十分以東の水域、即ち現在の中間漁区でありますが、中間漁区等におきまして相当違反の事例がございますが、かような違反につきましては今後絶対ないように、現在水産庁で所有しております取締船を十分活用いたしまして、違反防止の措置を講じて参りたいと考えております。特に以西の問題は直接取締ではございませんが、先ほど申しましたように、中共附近の水域の拿捕防止、或いは韓国水域におきまする拿捕防止、かような点が非常に大きなウエイトを持つておりますので、かような水域につきましては、漁船の保護という立場をも考慮いたしまして、最善の努力を尽して参りたいと考えております。  次に将来許可隻数を限定するかどうかという問題でありますが、現在水産庁で考えておりますのは、いわゆる中間漁区船のうち大体百隻程度のものが以西の水域で現在操業しているわけでありますが、今回の特例法が成立いたしますれば、五十トンを超すことになりますので、先ほど申しましたように七十五トン程度までは無条件でトン数増加するというのと同じ工うに考えまして、七十五トン程度まで大型として参りたいと考えております。そうした場合に従来の以西底びき漁船隻数と、今度中間漁区から以西の底びき船に新たに変る船との合計を以て大体隻数を抑えて参りたいと、かように考えております。トン数につきましては先ほど御説明いたしました趣旨に基きまして、必ずしも全体の隻数を何万トンというような形で抑えて行く考えは現在は持つておりません。  それからかつをまぐろ漁業許可方針でございますが、現在のかつをまぐろ漁業許可方針を簡単に申しますと、現に使つております船の代船或いは改造、増トンの場合には、その差額トン数の二分の一を他の許可船の配入によつて補充するという形をとつております。現実にはこの補充トン数の売買等が行われておるのでありますが、かような現状はできるだけ早く打切つて参りたい。又先ほども説明がありましたように、かつをまぐろ漁業資源につきましては、現在私ども考え方としては、相当の大きな余力があると考えているわけであります。併し一方におきまして生産力と需要の関係を見ますと、必ずしも安心できない、別の言葉で言いますならば魚価の安定の面等につきましては、若干の不安がないでもございません。従いまして私どもといたしましては、かつをまぐろ漁業の今後のあり方、進め方という問題については漸進的に船型大型化し、或いは近代化して行く。又船を大型化近代化することが漁場の利用範囲が漸次拡大するということに結果的にはなるわけであります。そうして比較的内地近海の漁場の空いて参りました漁場には他の沿岸漁業からの転換なり、或いは又他の沿岸漁業、或いは沖合漁業の季節的な兼業の許可を新たにいたしまして、できるだけ全体の船型の構造を大型化して参る方向に進めたいと考えております。それから勿論船型大型化する場合の許可トン数の補充ということは一切して参らない、かような方針を現在考えております。
  37. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) そうしますと、かつおまぐろに対する許可船数はどれくらいに考えておられますか。
  38. 増田正一

    説明員(増田正一君) 現在かつおまぐろ漁船は百トン未満二十トン以上の中型かつおまぐろ漁船というのが八百三十五隻ございます。それから百トン以上の遠洋かつおまぐろ漁船が二百九十隻あるわけでありますが、今回の特例法の成立いたしました暁におきましては、直ちに許可方針を改正いたしまして、七十トン以上百トン未満の船舶が四百二十隻ほどありますが、このうちの相当数、過半数のものが百トンを越して参ると思います。更に二十トンから七十トンの隻数が四百十四隻あるわけでありますが、このうちの過半数のものも更に七十トン以上百トン未満のランクに入つて参ります。従いまして二十トンから七十トンのところでは、恐らく三百隻程度の余裕が一応できて参ると考えられますので、その隻数の穴の空いた部分につきましては以東底びき等の船の兼業の許可、或いは沿岸漁業からの新規許可という形で埋めて参りたいと、かように考えます。
  39. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) そういたしますと、現在の隻数は二十トン以上のものを合せまして一千百二十五隻大体あるということになつておりますが、これが漸次繰上つてつて最低の二十トン以上のものが三百隻ぐらいの穴ができる、そうするとこの総数に三百隻加えたものが今後の許可の限度、こういうふうに承知してよろしいですか。
  40. 増田正一

    説明員(増田正一君) 一応段階はさように考えておりますが、二カ年先に参りまして、資源関係、或いは魚価の関係、言い換えますれば漁業経営関係、他面沿岸漁業沖合漁業関係等も考えまして考慮するわけでありますが、或いはそれ以上になる場合もあるかと思います。
  41. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 次にお尋ねいたしたいのは、先ほど御答弁したうちに馬力のことがお話なかつたのですが、馬力には制限はないのですか。
  42. 増田正一

    説明員(増田正一君) 制限はございません。
  43. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 次に以東底びきと俗に称する船の問題ですが、これに関連してお聞きしておきたい。現在私の調べたところによりますと、総数二千七百二十四隻ということになつておりますが、大体大して違いはないと思うのですが、この以東底びきというものの、大体中型底びきだろうと思うのですが、これの今後の取扱方方針、これをどう考えておるか。現在二千七百二十四隻というものは、相当日本沿岸から見ると過剰になつていて至る所に摩擦が起つておる。北海道に行つてみれば入れるとか入れないとか、西のほうでも又同じようなことを育つておるし、現在やつておる地元附近においても始終その問題を起しておるという状態であるが、これらの二千七百二十四隻というものの処置を一体どう考えておりますか。これをあつちにやりこつちにやり、日本沿岸に遮二無二押付けて片付けるつもりであるか、もつとすつきりした形において資源を確保してやつて行くお考えであるか、その御方針を伺いたい。
  44. 清井正

    政府委員清井正君) 私が申上げまして、まだ足らないところは説明員から申上げたいと思います。私ども考えておりますのは、確かにお話の通り二千七百二十四隻程度のいわゆる中型以東底びき漁船というものが相当沿岸漁業において摩擦を招来しておるということはお話の通りであります。従いまして、私どもといたしましても、この問題につきましては慎重な態度をとつて、この処置を考えて行かなければならないと考えておる次第でございまするが、一方二十八年度の予算に若干隻のこれは勧告による整理措置をとつております。これは無論勧告でございまして、法的強制に基くものではないのでございますが、これも一つの施策の現われではございまするが、根本的には私どもといたしましては単に整理というようなことよりも、むしろこれはできるだけ他種漁業に転換と申しますか、兼業と申しますか、そういうような方策を併せて講じて行かなければならんものと考えているのであります。地種漁業と申しましても、いろいろあるわけでございまするけれども、従来におきましても、北洋等に独航船等の措置をとつて参りますとか、いろいろ努めて遠方の海域にこれを何らかの形で出漁させる方法をとつてつているのでありますが、この問題は今後もこれを逐次進めて参りまして、遠洋漁業の各種漁業につきまして、できるだけ現在ございます中型漁船底びき網漁業に従事する漁船を活用して参るということの措置によりまして、努めて沿岸の摩擦を避けて行く、こういうことをやつて行くのが今後の方針の基調になるのではないかというふうに考えておるのであります。只今説明申しました通りかつおまぐろにつきましても、空いた部分につきましては底びき漁船の転換を図るということもすでに申したのでありますが、その他北方、かつおまぐろその他各種の漁業につきまして、できるだけ一つ中型底びき漁船は他種漁業に転換を図つて行くというような措置をとりながら、又一方整理問題についても今後愼重考慮を加えて行く、こういうような方法をとつて参りまして極力その経済力を活かしながら適当な措置を考える、こういう方向に進むべきものではないかというふうに考えている次第であります。
  45. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 御方針につきましては、極めて抽象的に御説明がありましたが、抽象的な観点からすればその通りでありますが、現在の二千七百二十四隻というものを、今お話のようなかつおまぐろのほうに転換するとして、約三百隻北洋のほうに持つてつて、今年度の状態が大体百隻は余り超えていない、そうすると両方併せましても四百隻乃至五百隻という程度しかならない。そうするとその他の何に転換するかということはなかなかむずかしいのでありますが、そういたしますと二千二百何十隻、仮に今申しましたようなふうに全部三百隻なり百五十隻なりというものが転換されたといたしまして、なお二千二百隻余のものが残るのでありますが、日本の現在の以東底びき即ち中型底びき網というものと日本の近海における漁業資源というものをどういうふうに考えておられるか、どれくらいにこの以東底びきというもの、即ち中型底びきというものを残しておけばいいのであるか、その適正数はどれぐらいに考えておられるか、この点をお伺いいたしたい。
  46. 永野正二

    説明員永野正二君) 私から補足して説明さして頂きたいと思いますが、只今質問の、現在内地沿岸資源に対していわゆる以東の底びき船は何隻ぐらい或いは何トンぐらいが適正であるかという点は、これは非常に重要な問題でございます。ただこの問題につきましては、単に数字的に隻数でつかまえるというような方法では必ずしも満足な結果にはならないのでございまして、要するに操業する力として計算して、どのくらいが適当かということを真剣にこれは探求しなければならない問題でございます。この点につきましては、すでに三年ほど前から各地方の水産試験場その他を動員いたしまして、以東底びきに関する資源操業力に関する試験、調査も行なつて来ておるわけでございますけれども、この問題は各海区によりまして必ずしも同一な事情にもなく、又漁法といたしましても、相当深海に及んで底びきをやるものと、本当に沿岸近くやるものといろいろ程度の差がございまして、これにつきまして数字的に現在の資源状況から見て何隻、何トンの底びき船が適正であるという回答を私どもはまだ申上げる段階に至つておらないことは大変遺憾に存ずるのでございまするが、先ほどもお触れになりましたように二千七百数隻のうちから、すでに北洋の独航船或いはこの特例法施行後かつをまぐろ漁業への季節的転換というようなことが考えられますほかに、例えば北緯四十七度以南の鮭鱒流網漁業への転換というようなことも考えられると思うのでございます。又北洋独航船に出ます際にも、私どもはこの以東底びきの許可をつけることを条件にしてあるわけでございまして、その結果相当大型の以東底びき船が最近は若干殖えておるようでございます。大型が殖えておるということは、裏を返しますと小型の機船底びき網の許可を、二隻のものを一隻にし、或いは三つのものを合せて一隻にして、それだけの船を造つておられるということでございまして、従つてそういう方向は結果として先ほどのトン数を殖して行く方向になるわけでございます。ただ大変お答えが満足に行かないのが残念でございますが、数字的に各漁業種類別にこれだけの隻数を転換する結果、残りは何隻であるか、この何隻に対してどういうふうな整理の方針をとるということは、数字的にまだ詳しくお答えを申上げる段階に参らないわけでございまするけれども、これは本年或いは来年に至りまして、例えば北洋漁業の規模が大体はつきりして参る、或いはかつをまぐろ漁業への季節的な転換なり或いは兼業なりというものがどの程度行われるかということの実績が出て参りまするので、その実績を見ました上で、これに対しまして必要な対策を考えて参りたいという段取りにいたしたいと、こう思つておるわけでございます。
  47. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 私は、先般中型底びき網漁船の問題でいろいろ紛糾しました際に、どうしても船が多過ぎるらしい、だからこれを減船して、漸次今申されたような転換の方向と並行して或る数の減船をして行かないことには、どこへ持つてつてもあつちにぶつかりこつちにぶつかり、紛糾は絶えないじやないか、従つてこれは過般来問題になりました中間漁区に入れる船七十隻というものは、この際一つ減船の措置を講じたらどうかと広川大臣の前で申しましたところが、広川大臣は、非常にそれは賛成しておりましたが、塩見長官は、この船を減船するということになれば中間漁区の問題では到底行けない、それに要する費用が約三十億かかるということを言われた。従つてそういう問題は今日とても三十億という問題を考えたときに減船の方法は立ち得ないのであるから、その問題は立ち消えになりましたが、少くとも塩見長官が三十億の金を要すると言つたことには、何らかそこに減船すべき根拠があつたに違いない。私は追及はしなかつたが、水産庁長官のその数字を挙げてのお話は、水産庁としてこれだけは減らさなければならんという数字があつたには違いないが、現在の御当局はどういうふうに考えておられますか。
  48. 清井正

    政府委員清井正君) 只今のお話でございまするが、私どもといたしましては、先ほど私が御説明申上げ、更に永野部長からも詳しく御説明申上げたのでありますが、勿論この問題につきましては、他種漁業への転換ということと同時にいわゆる整理の問題も考えなければならないとも思つておるのであります。併しこれはいわゆる小型の機船底びきのほうの整理の問題と同様に扱つていいかどうかということも非常に問題があるのではないかというふうにも実は考えられておるのでありまして、二十八年度予算では僅かではございまするが、勧告による整理の方途を一日も早く、こういうことで私どもは一歩踏み出しておるわけでございます。私どもといたしましては、今後両方の問題を併せ考えまして、できるだけ中型機船底びき網の漁業沿岸漁業と摩擦のないように進めて行こうというふうに考えまして、今後できるだけ速かにこの措置につきまして具体性を持たせて行きたい、こういうふうに考えておる次第でございまするから、その点御了承願いたいと思います。
  49. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) なお重ねて申上げますが、このかつおまぐろ漁船船数以西底びきの船数というものは、あの茫漠たる広い海の上においてすらも大体これくらいの数で押えるという数が出て来ておる。然るに日本沿岸の船がどのくらいあつたらいいかということがわからないようでは、私は水産行政の公正を期しがたいと思う。これが今以て今どのくらいあるか、減らすだけ減らしてあと残ればというようなことでは、これは日本の水産行政をあずかる水産庁としては私は誠に手ぬかりではないか。ほかの広い海における、百トン以上はどれだけとか、七十トン以上はどれだけとか、或いは旋網におきましても大体船数を押えて行つて、そうして小型の底びきについても船数を出しておる。ところがひとり中到底びきについてはわからないということは私はあり得ないはずだと思う。この点はわからなければわかれと言つたところで仕方がありませんが、新庁官はこの問題は真剣に考えられて、沿岸漁業との摩擦を一日も速かに解消するように一つ措置を講じて頂きたい。ただ成り行きに任せて、減るだけは減つて行く、どれだけ減つたらいいのかというようなことが全然無定見でやられては、これは摩擦は絶えないと思う。この点特に希望を申述べておきいたのです。  それからもう一、二点伺いたいのは、先般中間漁区にありました底びき船を東経百二十八度三十分以西に出したということでありますが、この船は一体どの辺まで行つて操業しておるかということをお尋ねしたい。現在では五十トン未満のはずでありますが、その船は今どの辺で操業しておるか、百二十八度三十分から西はどの辺まで行つておるか、又行ける見込でありますか
  50. 増田正一

    説明員(増田正一君) 只今の御質問は非常にむずかしい御質問でありますが、私どもの現在考えておりますのは、主として操業しております漁場は、百二十七度三十分と百二十八度三十分の間であろうと思います。勿論一部の船舶、特に長崎を本拠にしております船舶につきましては、相当程度更に西のほうへ行つておると考えます。
  51. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) そうしますと五十トン未満の船はこの帯状のところで大体働いておる……。
  52. 増田正一

    説明員(増田正一君) 只今申上げました百二十七度三十分と百二十八度三十分と申しますのは、百二十八度三十分以西の一度の間、かように考えております。
  53. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) そういう間で働いておる、それを希望して出たということは私にはわからないのだが、将来二年の後はこれは大型にするというチャンスを与えられたので、そうすると百二十八度三十分以東においてはその船は今働くことができないのではないですか。
  54. 増田正一

    説明員(増田正一君) 現在農林大臣として許可しておりますのは、東経百二十八度三十分以西でありますので、百二十八度三十分より東の水域においては操業はできないわけであります。
  55. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 現実はどうですか。五十トンしかない船が百三十度から百二十七度三十分の区域において働くことができておつたものが、百二十八度三十分から、一度半になりますか、この間を捨ててしまつた、そうしてこの狭い海域でしか働いておらんということは、これは将来増トンを認められるという望みの下にではありましようが、そこでここ一年なり二年なり経営が成立つでしようか。
  56. 増田正一

    説明員(増田正一君) 現在五十トン未満の船舶がこの百二十八度三十分以西の水域では操業できないということはないと信じております。ただ漁業経営……。
  57. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 以西ではできるのでしよう。以東でですよ。
  58. 増田正一

    説明員(増田正一君) 従いまして百二十八度三十分以西ではできるだけ大型化してより経営を安定するように、そういう希望が業者に強いのであります。特に只今質問になりました五十トン未満の船舶では百二十八度三十分以西だけでは困難ではないか、で大型化するまでの経過的な期間、百二十八度三十分より東の水域においても操業するのではないか、かような御質問のようでありましたのですが、現在の該当しております百隻の船舶のうちでは、百二十八度三十分以東の水域も操業を経過的に許可してくれるようにという希望は相当ございます。
  59. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) そこなんですよ。今までは、百三十度から百二十七度三十分までというと、二度半というものを操業できておつた。それを一度減されて一度半にみずから縮めて行くということはあり得ないと思う。将来に希望を持つて、ニナ八度三十分から西のほうで働けますとは言つたものの、大型にする場合には半年なり一年はかかる、或いは二年もかかるかも知れない、金策の関係等もあつて。そうして減つたこの一度だけの間で働けと言つておつた場合には経営が成立たんから、元に戻して百三十度まで働かしてくれということになつておるのだと思う。それは結局私は制限は受けておるけれども、結局そこへ入つて働いておるのではないかと思うのですが、この事実はわかりませんか。これはえらい横道に入るようですが、この法案が非常に問題になることは、中間漁区船との関係が非常に混雑しておるから私はその点を尋ねておる。ここへ中心の人たちが行つて調査をしておるが、そういう点が我々非常に懸念するところなんです。こちらから何ばいかを入れるというが、現在入れてみたところが、この中間漁区の船が百二十八度三十分以西に出ておるばかりでなく、それはやはり以東にも入つて来てこんがらかるということになりますと、七十隻入れたものが百五十隻になるかも知れない、こういうことが憂えられておるわけです。これが全部大型化されて大型になつてしまつて、そうしてずつと以西に出て行けるような状態になつたときは、初めてその問題は解消すると見られるのです。ところが現実においてはその問題は解消しておらんと私は見ておる。この点をどういうふうに御覧になるか。
  60. 増田正一

    説明員(増田正一君) 百二十八度三十分以西に参りました百隻の漁船東経百三十度の線まで操業したいという希望は、現在水産庁には、一隻もございません。業者の相当数のものは百二十九度の線まで、これを私どもは帯状の水域と俗に称しておりますが、百二十八度三十分と百二十九度の線、三十分の水域の許可を経過的に許可してほしいと、かような希望があるわけです。現実にこの帯状の水域で操業していいかどうかにつきましては、現在水産庁としてもまだわかりません。
  61. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) これもまあ結局百三十度の線で行くのも百二十九度の線で行くのも、こんがらがる点においては同じだと私は思うのですがね。この三十分の間が非常にいいからそこに入れてくれ、今度入つて来る連中もいい所に集中するだろうと思う。この点は特に今後の中間漁区にと申しますか、以東底びきを入らせるという問題につして非常にむずかしい問題になる点だと私は考えるので、愼重にこの点を考えておいて頂きたい。それから百八隻というものを西のほう、希望は百隻ということでありますが、百隻を以西に出して行く、そこで先ほどの御説明によりますと、減船整理を受けた船は、この百隻を入れることについては異議はないということで話がついたようでありますが、そのほかに違反の嫌疑を受けて廃業した船、それらの船が今後この百隻の外へ出すのなら、我我もその百隻のうちに加えろといつたようなこと、或いは百隻のうちに加えるのでなく、我々も行かせろといつたような声があつた場合には、水産庁は如何なる処置をとられますか。
  62. 永野正二

    説明員永野正二君) 只今お話のように、マッカーサーライン違反の行政処分を受けて許可を取消されたものとか、或いは処分の前に自発的な廃業という形で許可をなくしたものというものにつきましても、この方針をきめますときにいろいろ希望があつたわけでございます。それらの希望につきまして増田課長が現地へ参りましていろいろ実情も調べ、又御意見も聞いた上で方針をきめたのでございまするが、大体当時そういう問題で許可を失いました船舶の大部分は、その後許可した船がなくなつたというようなものと結附きまして、現実には大部分処理が済んでおるようでございます。中には現在依然として船を抱えて、それについて新しい以西底びきの許可ということを非常に希望しておられる方もないではないかと思いまするが、大勢はそういうことでございます。そこで現地の同業者間のいろいろな意見の結論といたしまして、この中間漁区に残つた船を復活さしてやる、それ以外のものは新規許可をすべきでないという結論になりましたので、それを水産庁としては採用した次第でございます。
  63. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) まだ大部いろいろ私質問したいこともありますが、委員も非常に少くなつておりますし、今日はできるだけ上げたいという希望ならば、これから討論に入ることに……。
  64. 千田正

    千田正君 一つ重大な質問がある。大型に切替えるための金融処置に対して水産庁はどういうような裏付けを考えておられますか、これは重大な問題ですから……。
  65. 永野正二

    説明員永野正二君) この漁船大型化につきましては、勿論新船を建造するということになりますと相当な資金を必要とするわけでございますが、大体この以西の底びきになろうとする中間漁区の船につきましては、現実に持つておる船が五十トンすれすれの船が非常に多いのでございます。こういう船は、場合によりましては、正確に船を計りますれば、そのままで当然五十トン以上の以西の船にしたいというものも相当あるかと思います。そのほかにこの船を七十五トシくらいに大きくしたいというものも勿論でございますので、これらにつきましてはできるだけ我々といたしましても、資金の手当ができるように援助いたしたいという考え方で、先般御審議を頂きまして成立いたしました例の基金協会の制度、こういう制度を利用するとか、或いは又必要な場合には或る程度開発銀行の中小事業部の資金であるとか、そういつた面を利用するように今後十分に私どもとしては関係方面と折衝して参りたいと思つております。  それからかつおまぐろ船につきましても同様に七十トンから百トンくらいまでの船を他に譲りまして、それに代つて百三十五トン型の船を建造したいとかいう希望も相当ございます。これらに対しましてもやはり開発銀行の融資というものを利用して参る。それからこの間通して頂きました基金協会の制度というものもこれをできるだけ利用して参りたいということを考えておりますので、来年度の開発銀行の融資につきましても、目下私どもは原案を作りまして、関係方面と折衝をいたしております。
  66. 千田正

    千田正君 非常に結構な話だけれども、現実にはどうも開発銀行なるものが、あなた方が考えておるように実際漁船建造資金を求めても、スムースには金が入らない。だからと言つてこの間我々がここで審議して通過したところのいわゆる漁船建造資金の基金協会の制度というものも、そう速急には簡単にはできないという点なんですが、これは長い間あなた方も非常に苦労し、我々も過去数年に亙つてこの漁業金融、この漁船その他の建造資金というものに対する金融というものには悩み抜いておるわけです。ですから法律は幾ら立派な理想を掲げても、それを裏付けする一番先きの金、これをスムースに出してやれるような方策をよほど考えないというと、絵に描いた蝕みたいになつて、現実の問題になると速急には解決しないと思う。この点は我我が今日ここに審議して仮に通過いたしましても、水産庁としましてはこの金融の裏付けの面につきまして今までよりも一層真剣にかかつて、そうしてこの法案の、あなた方が理想とした造船計画を達成するように努力して頂きたいと思います。
  67. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) それではもう一点私伺いたいのですが、さつきちよつとお尋ねした問題ですが、かつおまぐろの増トンの場合に七十トン以上百トン以内のものを百トンに引上げるということであつた、それは百トン以上何トンまでという制限はなしに、二百トンでも二百五十トンでもいいのであるかどうか、この点を。
  68. 増田正一

    説明員(増田正一君) 只今の御質問の点につきましては図面で御説明いたしたいと思います。大体現在考えております許可方針は、この特例法の通過に関連いたしまして、遠洋かつおまぐろ漁業、即ちこの百トン以上の船舶につきましてはトン数制限が全然ございません。併し現実にかつおまぐろ漁業の兼業船と、これはまぐろ専用船に分れるのでありますが、兼業船の船型の最大限は百六十トン程度だろうと考えられます。ただまぐろ専用船になりますと、現在作つておりますのが二百六、七十トン型、三百二十トン型が非常に多いのでありまして、一応無制限と申しましてもおのずと限界があるわけであります。この九十五トンから百トンまでの中型かつおまぐろ漁船は百五十トン程度まで大型化して参りたい。それから七十トンから九十五トンまでの中型かつおまぐろ漁船は百三十五トンまで大型化して参りたい。それから二十トンから七十トンまでの中型かつおまぐろ漁船は七十トンから百トンまで大型化して参りたい。ここの赤の部分、即ち二十トンから七十トンの間の船数というものは非常に少くなつて参りますので、一定の隻数新規許可、或いは一定の隻数の地種漁業との兼業の許可という形で新たに新許可をして参りたい。それを例示して申しますと、一番問題になります中型の底びきでありますが、現在中型の底びきの操業期間、これは海区によつて若干の相違はありますが、大体操業の期間は九月から五月乃至六月というのが操業期間でありまして、その他は禁止期間になつております。そうした許可に更に別途の中型かつおまぐろ漁業という季節的な許可をいたして参りたい。これは地域によつて若干の相違があるかと思いますが、数カ月間の許可を出す、そうするとかつおまぐろ操業の期間は特に中型底びきの許可証は県なり適当なところに保管いたしまして切替えるというような考え方で兼業の許可を考えております。特に或る漁村でありまして、漁村経済が行詰まつておるというような漁村につきましては、これは県全体という立場で検討しなければいけませんが、そういつた場合には純然たる中型のかつおまぐろ漁業という新規許可を出すことも一応考慮しているわけであります。
  69. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) それはちよつと私は意外なことを聞くのですが、先ほど私が質問して、中型船は減さにやいかんのじやないかと言つたのですが、むしろ強化しようという策ですね。中型底びきに兼業まで与えて大いにやらせようということなんでしよう、それは……。
  70. 増田正一

    説明員(増田正一君) いいえ、違います。結局底びきの許可はそのままにしておきまして、新たに中型かつおまぐろ漁業許可を出すわけです。
  71. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) だからやめるどころではない、大いにやらなければならんということになりますね。
  72. 増田正一

    説明員(増田正一君) その間は中型底びきの操業は停止させる……。
  73. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) ところがそのほうは大体やられん時なんでしよう。禁止期間はそれを持つて行かなくたつてやられん時なんでしよう。それをやらせるということになると、底びきというのはやめるどころではない、大いに結構だということになり、やめる人は一人もいなくなつて来はしませんか。
  74. 増田正一

    説明員(増田正一君) 底びきの操業の期間を現在仮に九月から六月までであるといたしますれば、例えば三月から八月までのかつおまぐろ許可という形にして、底びきの操業を或る一定の期間ストップさせるということによつて漁場にかかる底びきの圧力を軽減してやろうということも一つの方法として考えるわけです。
  75. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) その問題はいろいろ見解のあるところですが、底びき船というものとかつおまぐろ船とは、おのずから船も相当装備も違わなければならん。それをしよつちうあつちへやり換えこつちへやり換え、かつおのときでもやるということになると、今の底びきだけではできないと思います。この点はなかなか考えなければならん問題で、図面の上では大変結構な説明ができるのですが、実際問題としてはなかなかむずかしい。これを強行して行けば底びきをやる人は一人もなくなつて来ると思うのです。そこで別の考え方なんですが、それで今ので行くと、二十トンから七十トンまでの船は百トンまでしか行かない、或いは九十トンまてしか行かないというのだが、これが百トンを越して行きたいというものがあつた場合には、それは許さないということになるようでありますが、現在見ているところの七十トンから百トンまでの船が、大型にしたいという希望であつたものが、それができないといつた場合に、できなくなつた場合には、それだけのものは二十トンのやつでも百トン以上に伸ばしてやるかどうか。これと同じように中間漁区によつて百隻というものが以西に出るという考え方をして、希望を持つているのですが、金融関係その他の関係で二年の間にそれが実現できなかつた場合には、この百隻はほかのほうから埋められるつもりであるかどうか、この点を一つ……。
  76. 永野正二

    説明員永野正二君) 二年間のこの特例法の期間に必ず七十トンから百トンまでの船数と同一の数を百トン以上のまぐろ船で殖やすという気持はございませんので、現在まぐろ漁業に相当漁場的に経験を持つております七十トン以上のまぐろ船の中から希望があり、実力があり、船が建造できて、百トン以上のものに伸びて行くというようなものを、先ずこの二年間にできるだけ取上げて参る。こういう趣旨でございます。二年たちました上でその成績を見まして、更にこのまぐろ漁業としてはもつともつと伸ばしてよろしいというような数字が出ますか、或いは非常に大型が敏捷に参りまして、もう魚価の関係その他から行つてまぐろ漁船をこれ以上たくさん殖やすということはどうかと思われるというような事態になりますかどうか、二年先の問題でございますので真剣に研究いたしたいと考えております。  それから以西底びきのほうにつきましては、これは中間漁区制と申しますのは、あの減船整理の際に特にああいうふうに操業区域制限いたしまして、その代りそれ以外の一般以西底びきの減船整理を助けてやつたという実情がございますので、これにつきましては特に今後以西新規許可を与えるということにいたしたいのでございまするが、従いましてこの百隻のうちで船舶を建造できないというような実情で、依然として中間漁区に残るというものが現在よりも殖えたといたしましても、その分の穴埋めを新らしく新規許可以西の底びきについて行うということは現状では考えておりません。
  77. 千田正

    千田正君 議事進行について。出席委員も少いようですから、一旦休憩されまして、委員諸君の出席を待ちましてこの法案討論に入りたいと思います。本日中に採決希望されるならばそういうふうにしたいと思います。
  78. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) ちよつと休憩します。    午後三時四十五分休憩    ——————————    午後三時五十六分開会
  79. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) それでは引続き再開いたします。  それでは以西機船底びき網漁業及び遠洋かつおまぐろ漁業許可等についての漁業法臨時特例に関する法律案本案につきましては先ほど来活機な質疑が交わされましたが、大体質疑も尽きたものと認めまして、これから討論に入りたいと思いますが、御異議はありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  80. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 御異議ないと認めます。それでは討論に入ります。賛否を明かにして御意見をお述べ願いたいと思います。
  81. 千田正

    千田正君 政府提案のこの法案につきまして、先ほどいろいろ審議の過程において当局からの御説明がありましたが、私はこの法案それ自体は必ずしも反対ではないのであります。というのは日本漁場がだんだんと狭くなつて来て、沿岸漁民も相当苦しい立場にあるし、又遠洋漁業も今までよりも苦しいところへ追込まれて行く、そういう意味からいつて一応の漁船整理をして、そうして遠くへ行くべきものは行かせようというその気持はよくわかりますが、これに対して特に私は希望を附して賛成したいと思うのは、先ほど同僚委員からいろいろ御質疑がありましたが、このことによつてお互いに業者間において紛争をかもさないようにやつてつて頂きたいということと、それから相当のこれは金額の必要な造船計画を作らなければならない、この裏付けであるところの金融という問題は、一番私はこの際この法律の目的を達成するためには必要な問題であると思いますので、こういうものに対するところのはつきりしたいわゆる資金計画を私はこれに附けて、一日も速かに水産当局は金融関係に折衝して頂きたい。  それからこの問題につききまして一応私としましては附帯決議をして頂いて、これでこの法案に対する附帯決議を皆さんが御承認できれば、附帯決議を附けて私は賛成の意を表したいと思うのであります。一応附帯決議の私は案文を読上げます。    以西機船底びき網漁業及び遠洋かつおまぐろ漁業許可等についての漁業法臨時特例に関する法律案に対する附帯決    議(案)   東経百三十度と同百二十八度三十分との間の所謂中間漁区の将来の問題については、本海区が各種沿岸漁業によつて高度に利用されている現状にかんがみ、政府は、関係県及び漁業者と充分協議をしていやしくも将来本海区に関聯して漁業者間に紛争を惹起することがないように処理すべきである。  この附帯決議を皆さんの御承諾を得ますればこれを附けまして、この法律案に対しまして賛意を表する次第であります。
  82. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) ほかに御意見ございませんか……。ほかに御意見もないようでありますから、討論は尽きたものと認め、直ちに採決に入りたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  83. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 御異議ないと認めます。  それでは本案採決をいたします。本案賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手
  84. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 総員挙手と認めます。よつて本案全会一致を以て可決すべきものと決定いたしました。  次に只今討論中に千田委員本案に対して附帯決議を提出されておりますが、この附帯決議をすることに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手
  85. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 全会一致でございます。よつて本案は附帯決議を附することに決定いたしました。なお本案に関する委員長の本会議における口頭報告は、前例によりましてこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  86. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 御異議ないと認めさよう取計らいます。  それでは例により賛成者の多数意見者署名をお願いいたします。   多数意見者署名     千田  正  片柳 眞吉     松浦 清一  木下 源吾
  87. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) それでは本日はこれを以て散会いたします。    午後四時四分散会