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1952-12-18 第15回国会 参議院 水産委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月十八日(木曜日)    午前十時四十一分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     秋山俊一郎君    理事            木下 辰雄君            千田  正君    委員            玉柳  實君            松浦 清一君   事務局側    常任委員会専門    員       岡  尊信君    常任委員会専門    員       林  達麿君   説明員    農林省農林経済    局金融課長   林田悠紀夫君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○農林漁業金融公庫法案に関する件   —————————————
  2. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) それでは只今から委員会開会いたします。  目下農林委員会で審議をしておられるようでございますが、農林漁業金融公庫法案というものが出ておりますので、この法案内容等につきまして説明をお聞きしたいと思います。農林省金融課長林田氏がお見えになつておりますので、この席で御説明を願いたいと思います。
  3. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 農林漁業金融公庫法案が衆議院のほうで議員提出になつておりまして政府のほうといたしましても是非お願いしたいという考えでございます。それで一応その内容につきまして御説明を申上げたいと思います。  この提案理由の説明にもございまするように、農林漁業に対しまして長期且つ低利の資金が必要とされることはもう言わなくとも当然のことでございまして、この資金が長期且つ低利でありまするために一般金融機関の融通に待つことが非常に困難でございまして、どうしても国家資金を投入して政策的な金融をも行なつて行く必要があるわけでございます。その要請に応じまするために、二十六年度から御承知のように農林漁業資金融通特別会計という特別会計ができましてこれによりまして昭和二十六年度におきましては百二十億の融資を行いまして、更に二十七年度は二百億の予算を以て現在百五十億程度融資の決定をいたしております。それで二十六年度と二十七年度で三百二十億の予算を以て長期低利の金融を行なつておる次第でございます。それでこの二十六年度からできました特別会計がどうして農林漁業金融公庫に移つて行く必要があるかという問題になるわけでございます。それでこの特別会計ができまする前に、昭和二十三年度頃から農林漁業に対しまして長期の資金を是非投入したいという要望が非常に多かつたわけでございます。その時分にすでに農林漁業金融公庫という構想は日程に上つておりまして何とかして長期低利の金融を行う公庫を作りたいという要求が多かつたのでございます。ところがその当時のインフレの状況に鑑みましてなかなかそういう要望は通らなかつたわけであります。それで二十六年の四月に初めて戦後におきまして特別会計ができたわけでありまするが、その前におきましても対司令部との折衝におきましては、農林漁業金融公庫という構想で司令部と折衝をしておつたわけであります。ところが司令部のほうではやはりそういうふうな新らしい金融機関を作ることはインフレの虞れがある。それから又鉱業と農林水産業と比較した場合に、投資の効率において鉱業のほうが遙かに勝つているのじやないかというふうないろいろな事情から、止むを得ず特別会計というふうな形で発足するということの承認を得まして、妥協的な形で発足すると心うことになつたわけであります。ところが二十六年の四月からは鉱業関係におきましては開発銀行ができまして、新たに長期の金融機関が一つ加わつたわけでありまするが、農業関係といたしましては止むを得ず特別会計の形て発足するということになつたのであります。それでその特別会計によりまして今申しましたように資金が三百二十億にも達するということになりまして、実は最初におきましてはこんなに急速に資金が殖えるということは考えていなかつたのであります。それで特別会計の形でも公務員がやつて行つて何とかこの資金の貸付を消化して行くことができるというふうに考えておつたのであります。ところが急速に資金が拡大して参りまして、而も今後食糧増産五カ年計画をやつて行くというふうな場合におきまして、いよいよこの資金は殖えるとも減らないであろうということを考えておるのであります。そうして二十八年度には四百億の資金を要求中でございます。そういうふうなことで、一方におきましては資金量が増大する。そうしてその半面におきまして今度は金を貸して行くばかりではなく、その貸付けた債権を管理いたし、又回収して行くという業務が非常に殖えて参つております。もうすでに二十七年度におきましては三億円の回収の金を見ておるわけであります。そうして来年度におきましては八億円回収されて来るであろうというふうな見通しを持つております。それで単に金を貸すだけではなくて、管理、回収という業務を非常に重要に考えて行かなければいかんということになりまして、この貸付の業務は量が殖えるのみならず、質の面においても非常に厖大になつて来る。而もこの貸付を見てみますると、一件当りの金額が二百五十万円くらいでありまして、大体二十六年度には五千八百件の貸付の件数になつております。それから二十七年度におきましては現在までに七千件の貸付になつておるのであります。そうして今後におきまして五十億ほどこれから消化して行かなければいかんのでありまするが、そういうことになりますると、一日に一億以上の貸付を決定して行かなければいかんというふうなことになつておりまして、非常に仕事が大きくなつておるのであります。ところがこの仕事をやつておりますものは特別融資課という課を設けまして、そこに二十四人の定員を置いてやつておるのでありまするが、到底そういうふうなことではできませんので、ほかからいろいろ定員を割きまして現在各局の人もやつておるというふうなことで百名程度がこれに当つておるという状況になつておるのであります。それでいろいろ今後人員を殖やして行かなければならんのでありまするが、単に公務員の数を殖やして行くということだけではなかなか困難な問題があるわけであります。と申しまするのは、この貸付のやり方はどういうふうにやつておるかと申しますると、先ず融資をして欲しい者が金融機関に参りまして、それでこの特別会計は、貸付の決定権は政府が持ちまして、審査を農林中金外五十四の地方銀行に委託してやつておるのであります。それで融資を受けたい者は農林中金とか或いは地方銀行べ参りまして申請をするわけであります。そうしまするとその金融機関がいろいろ審査をいたしまして府県知事の意見を聞きまして、そういう意見を付して農林省のほうへ持つて来るわけであります。そうして農林省のほうへ持つて参りますると、農林大臣大蔵大臣と両方が決定することになつておるのであります。農林省の担当の課に参りまして、そうして担当の課ではそれを今度は各局でいろいろ意見を徴して各局と合同の上できめて行くということにしておるのであります。それは水産とか或いは農地或いは林野とか、そういうふうに分れておるわけであります。そうしてそういうふうに協議して、結局最後に農林大臣が決定いたしまして、そうしてそれを大蔵省のほうに廻しまして、そうして大蔵大臣がきめまして、又農林省帰つて、それから委託金融機関のほうに行きまして、委託金融機関のほうから金が出るというふうな仕組になつておるのであります。それでこの貸付の決定が農林、大蔵両大臣が行うということになつておるのでありまするが、その実質上の担当者乃至は責任者というものは公務員でございまして、その地位を長期に固定するということが、今の官庁の機構の上におきましてなかなか困難であるのであります。そういうふうなことからも一方においてはこの資金が極めて長期の資金であつて、責任体制というものが長期にはつきりしていなければいかんのでありまするが、この直接貸付決定の責任の衝に当つておるものが公務員でありまするので、どんどん変りまして、その責任の所在が不明確になる虞れがありますると同時に極めて能率が悪いという形になつておるのであります。  それからこれはちよつと穿つた観測でありまするが、どうしても国の行政の部面におきまして融資をやつておりますると、国の行政のほうでは補助金を一方においてはやつておるわけでありまして、補助金と融資というものがともすると混淆されるような考え方が出て参りまして、その区別が不明確になるというふうな慮れがあるのであります。それから最も困りまするのは、これは国の特別会計でやつておりますると、財政法会計法の規定の制約を受けまして、債権の確保は極めて形式的には厳格なのでありまするが、実質的に円滑を欠きまして、管理、回収に却つて支障を来たすという場合が多いのであります。即ち御承知のように財政法第八条によりますると、国の債権の全部若しくは一部を免除したり、或いはその効力を変更するというふうな場合には、法律に基くことを要するというふうになつておりまして、例えば融資でありまするから、遅延利息を減免したり或いは債権の一部を免除するというふうなことが、実質的には管理回収上必要な場合も出て来るわけであります。ところがそういうふうな場合も法律を要することになりまして、なかなか円滑に進まないということで、融資をこの特別会計公務員が行なつておるということは支障が一方において非常に多いのであります。そういうふうなことで単に公務員を今後資金の量が或いは管理回収の面が殖えまするに連れて増加するということだけでは解決されない問題が一方において多いのであります。それでそういうふうな事柄からどうしてもこれは政府が決定を行うのでなくて、政府とは別個の一つの恒久的な機関を作つて、それが責任を持つて決定を行なつて行くということが必要であるということになつて来るのであります。ところがその前にそれでは今いろいろな金融機関に委託してやつておるのであるから、そういう貸付の決定も金融機関に任してしまつたらいいじやないかということが言えるのであります。ところがこの貸付の決定まで任してしまうということは、やはりこの融資は国の農林漁業政策の一環として融資をやつておるのでありまして、どうしてもやはり事業計画とか資金計画とかはつきりいたしまして、例えば土地改良には百億出して行くとか、或いは漁港には十億出して行くとか、こういうふうにいたしまして事業別に資金の分量というものをきめまして、そして政策的にやつて行くということが必要になつて来るわけであります。そういうふうなことを全部その金融機関に任してしまうということは、結局金融機関は私の機関でありまするから、どうしてもこの行政目的を一方においては阻害する部面が出て来るのであります。それで若しそういうふうにたくさんの金融機関に任しておるからそれができないのだということから、農林中金だけに任したらどうかということも考えられて来るわけであります。ところがこの農林中金だけに任すという場合におきまして農林中金がやはり農林漁業者の零細な預金の上に成立つておる金融機関でありまして、預金者保護ということを一方においては考えなければいかんわけであります。現在委託してやつておりまする場合に、二割の損失補償を委託しておる金融機関に負わしておるのであります。それで若し決定まで全部任してしまうということになりますると、現在の二割程度の損失補償だけでは貸付が極めてルーズになる慮れがあるのであります。と申しますのは、現在までにもいろいろそういうケースがあつたのであります。普通の金融機関なんかでは二割を別に預金としておいて、八割だけ貸付けておいたという事例も起つておるのでありまして、やはり相当程度金融機関に損失を分担させないと、融資の決定がルーズになつて行くということが考えられるのであります。ところが若し損失の負担を相当多くして行くということになりますると、農林中金といたしましては預金者保護の見地から、やはりこの政策的な金融というものがそういうふうに行われないと、貸付が極めて厳格になつて円滑に出て行かないということが考えられるのであります。そういうふうなことから見ますると、やはりどうしてもこれは貸付の決定というものは政府とは別個の一つの恒久的な機関を設けまして、そこが貸付の決定はやつて行くということにいたさない限りはこの融資はうまく行かんということになつて来るのであります。それでやはり総司令部との折衝の過程においてこの特別会計ができるより以前に考えておりました公庫という構想が最もいいのじやないかということを政府といたしましても考えておる次第であります。  今度はその公庫のあり方につきまして二つ考えられるわけであります。というのはその公庫が貸付の決定ばかりじやなくて審査もやつて行く、即ち末端にも支店を設けましてその支店も融資の申請を受けて、そうして公庫がみずから決定して行くという形であります。ところがこれをやりますると、人員が極めて急速に大勢要しまするし、又事務所の問題も起つて来るというふうに簡単にすぐはできないわけであります。勿論この融資の責任体制を明確にいたしまして、そうして借受ける者に対しましても敏速にサービスをよくしてやつて行くというふうな考えからいたしましたならば、これは公庫がすべてを、貸付の決定から審査をみんな一貫してやつて行くというのが最も理想的な形態でありまするが、そういうふうに急速にそこまで行くということはできないのであります。それから又一方におきましてはこの既設の金融機関、特に農林中金が八五%取扱つておる。委託金融機関がそういうふうな状況でありまして、その手数料なんかの問題もありまして農林中金としましては、一方におきましては今度農業協同組合再建整備とか或いは食糧統制漸次緩和の方向にあるとか、いろいろ余り動揺も与えたくないという状況にあるわけであります。そういうふうなことから鑑みまして、先ず政府が現在行なつております特別会計でやつておる事務だけを新らしい農林漁業金融公庫に移しましてそうしてそれが従来政府がやつておつた貸付の決定とか或いは資金計画とか、事業計画とかそういうふうな大きな計画をやつて行くということにいしたしまして審査は従来通り委託金融機関にやらして行くということにしたいというのが大体の農林漁業金融公庫考え方なんでございます。それでこの独立後の農林水産業の施策といたしまして、国会議員のほうからそういうふうな御要望が出ましてこの農林漁業金融公庫法案というものが議員提出になつたということになつておる次第であります。  それで若し御必要がございましたならば、本法案の要綱とか或いは法律の内容につきましてもちよつと御説明申上げますが、如何でございましようか……。それでは法案を読みながら御説明を申上げたい思います。  先ず目的の第一条でございますが、農林漁業金融公庫は、農林漁業者に対し、農林漁業生産力維持増進に必要な長期且つ低利の資金で、農林中央金庫その他一般の金融機関が融通することを困難とするものを融通することを目的とする。」これは農林漁業者に対しまして、その生産力維持増進を図る、そして資金は長期且つ低利の資金であるということが重点であります。それから農林中金その他一般の金融機関がなかなかやれないような金融をやつて行く、即ち普通の金融機関と反するような金融をやつて行く。これは開発銀行におきましても一般の金融機関ができないようなものをやつて行くということになつておるのでありまするが、この公庫の考え方といたしましても、普通の金融ベースには乗らないが、国の政策としてやらなければいかんというふうな金融をここでやつて行くのだということを目的として謳つておるわけであります。  それからこの資本金、第四条の資本金の規定でありまするが、これは従来特別会計でやつておりまして、その特別会計の資金を引継ぐということになるわけであります。それで資本金の部分といたしましては、大体一般会計とそれから見返資金から特別会計に繰入れになつておる部分が、いわゆる無利子の資本金として計上されるということになるわけであります。それで二十六年度におきましては一般会計から五十億と、それから見返資金から四十億、九十億の繰入れを見ておつたのであります。それから二十七年度におきましては一般会計から六十億の繰入れを見まして、それで今までの百五十億の無利子の繰入れがあるわけであります。これが百五十億が大体資本金ということになるわけであります。そしてこの国会で、補正予算におきまして五億一般会計から繰入れるという予算案を出しておるのでございます。公庫の資本金はそういうことになりまするが、一方におきまして公庫の資金といたしましては借入金がございまして、借入金は二十六年度に資金運用部から三十億借入れをいたしております。それから二十七年度におきましては見返資金から三十億の借入れ、それから資金運用部から百十億、合計しまして百四十億の借入れをいたしております。それで二十六年度、二十七年度で百七十億の借入れをいたしておりまして、大体資金は資本金の部分が百五十五億、それから借入金は百七十億、そういうふうなことになるわけであります。それで資本金といたしましては大体百五十五億ということになるのであります。それでこの書き方といたしましては、「農林漁業資金融通特別会計の廃止の際」、これは公庫ができますると同時に廃止になるわけであります。その際におきますその資産の価額と申しますると、その資産は大体債権が主な資産になるわけであります。それで大体三百二十五億ぐらいが債権になるわけでありまするが、それから負債の金額と申しまするのは、いろいろ借入をしております、その借入金あたりが主な負債の金額になります。それが百七十億程度でございまして、結局それを引いた額が、即ち百五十五億が大体資本金になるということになるわけであります。  それから第三十二条第五項の規定によつて、政府の米国対日援助見返資金特別会計から出資があつたものとされた金額との合計額と申しまするのはこれは三十二条の第五項と申しますると、開発銀行農林漁業者に対しまする中小企業見返資金を九月頃に引継いだのであります。ところがその見返資金は、中小企業者に対する見返資金も全部引継いだのですがそのうちの農林漁業者に対する部分をこの公庫に引継こうという考えなのであります。と申しまするのは、今までキュワリングの倉庫とか或いは冷蔵庫とか、或いは土地改良とか、そういうふうなものに対しましてこの中小企業の見返融資から相当出ておるのであります。それでその見返資金の部分、それから復金からやはり農林漁業者に対する貸付がありまして、それを日本開発銀行が引継いでおるのがあります。それから日本開発銀行は今年でしたか、北海道のほうで冷蔵庫へ出しておるのがあります。そういうふうな農林漁業者に対する貸付債権であつて、而もこの公庫が今後業務の対象としてやつて行くというふうなものは、金融機関の何するものを業務として行くというその目的から行きまして、公庫に引継ぐのが至当であるという考え方から、その債権を引継ぐことになつておるのであります。その場合に見返資金特別会計から貸付を見ておつたものだけにつきましては、これは今後は見返資金特別会計で出資をするということにそのうちきまるわけであります。それで若しそういうふうに出資をするということになりましたら、その出資があつたものとされた金額を公庫の資本金に加えるということになるのであります。で規定をここに附加えておるわけであります。そうしてこの公庫の資本金は政府が全額を出資するということになつております。  それから第二章の「役員及び職員」の所でございまするが、第八条「公庫に、役員として、総裁一人、理事四人以内及び監事二人以内を置く。」それで大体副総裁は置かないことにしておるのであります心先ず中央機構だけを作りまして……、かような簡素なものを考えておるのであります。人員も大体百二十名程度ということを考えておりまして、それで役員といたしましても副総裁は置かないということにしておるのであります。それから第十条の「役員の任命」でありまするが、「総裁及び監事は、内閣の承認を得て主務大臣が任命する。」「理事は、総裁が主務大臣の認可を受けて任命する。」ということにいたしまして、公的な色彩をここに現わしているわけであります。そうじて役員の任期は四年ということにいたしております。従いまして役員は従来公務員がどんどん変つておりまするのと異りまして、四年間というものははつきりした期間を以てその責任体制を明確にして行くという考え方でございます。それから第十七条の「役員及び職員の地位」でございまするが、この役員及び職員は、公務員法の適用は受けないわけでございます。いわゆる公務員ではなくて、「刑法その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。」ということにいたしておるわけであります。  次に第三革の業務でございまするが、第十八条の「業務の範囲」、これは大体業務といたしましては、従来特別会計で行なつておりました業務をそのまま継続する考えでございます。従いましてその業務の範囲は、農地又は牧野の改良或いは造林、それから森林の立木の伐採制限、林道、漁港施設製塩施設、それから農林漁業者共同利用に供する施設、そして八として、「前各号に掲げるものの外、農林漁業生産力維持増進に必要な施設の災害復旧に必要な資金であつて主務大臣の指定するもの」というのは、特別会計よりも一つ業務を殖やしたのであります。これは従来いろいろ災害がありまして、例えばルース台風とか十勝震災とか、そういうふうに災害のたびにおのおの立法をいたしまして四分の利子補給とか或いは三割の損失補償とか、そういうことをやつておつたのであります。ところがそのたびに立法いたしますのは、国会の開会中でない場合には急速にそういう資金の融資ができないというふうな虞れもございますしこの公庫でそういうふうな場合に急速に資金を出して行こうじやないかという考えからこれを附加えまして、例えば個人に対しましても、今まで炭窯とか蒸籠とかそういうふうなものに対して十勝地震についても融資をいたしておりますが、そういうふうなものをここで取上げて行こうという考え方でございます。それから資金の貸付の利率とか償還期限とか、或いは据置期間につきましては、これは従来特別会計でやつておつたものをそのまま踏襲する予定でございます。それでその最高限をこの別表できめておるわけであります。一番最後のほうに別表が附いておりまするが、この別表できめてございます。この別表は従来特別会計でやつておりましたその通りをここに書いておるわけであります。それで最高をきめまして、最低ならばまあ幾ら安くてもよいという考えでおるわけであります。  それからその次の第十八条第三項の「第三十二条第一項及び附則第六項の規定により承継した権利義務並びに第三十三条の規定により譲り受けた債権の処理に関する業務を行うことができる。ということになつておりまするのは、先ほど申しました開発銀行から引継ぐ債権の処理に関する業務が行い得るという規定であります。それから「第三十三条の規定により」と申しまするのは、これは昭和二十三年に農林中金農林債券を発行いたしまして、そうしてその債券二十億大体発行したのでありますが、それを当時復金がございまして、復金が引受けまして、それによつて農林中金が得ました金を農林漁業の長期の金融といたしまして、復興融資と言つておりましたのですが、復興融資をやつたのであります。それは二十億ほどやつたんです。ところが二十四年の四月から復金が業務停止になつたものですから、結局それによる長期金融というものはそこで停止になつて行えなくなつたのであります。それが現在九億くらいその債権がまだ残つておるのであります。そうしてその閣議決定におきまして、農林漁業長期金融を行う新しい機構ができたならばそこへ引継ぐということになつているのであります。それで今度公庫ができましたならば、その公庫を新しい長期の金融機構とみなしまして、農林中金復興融資の債権、大体九億をそこへ引継ぐということにしておるのであります。その債権の処理に関する業務を行うことができるということにいたしておるのであります。  それから次に第十九条の「業務の委託等」、これは従来の通り農林中金その他の地方銀行に対しましてその業務の一部を特別会計が委託しておるのと同じように、この公庫も委託して行くという考え方であります。即ち公庫は貸付の決定のみを行いまして、審査の段階は金融機関に委託してやつて行くということにしておるのであります。  それから第二十条の「業務方法書」でありまするが、この公庫は業務をやつて行く際におきまして業務方法書をきめまして、主務大臣の認可を受けて、それからそれ以後において変更します場合も認可を受けてやつて行くということになつております。その業務方法書には、貸付金の使途とか或いは貸付金の対象、利率とか償還期限据置期間、そういうふうな別表できまつておりますものを先ずこれに書くとか、或いは担保をどういうふうにやつて行くとか、或いはその業務の委託の基準、これは今まで省令でやつておつたのですが、金融機関に委託して行く場合にどういうふうにやつて行くか、そういうふうな事柄をこの業務方法書に規定するということにいたしてございます。  それから第二十一条「事業計画及び資金計画」でございまするが、これは公庫は四半期ごとに土地改良とか或いは造林、林道、水産とか、そういうふうな事業ごとにどういうふうに貸付けて行くかという事業計画。それから資金計画とは、一般会計から幾ら繰入れ、見返資金とか資金運用部からどういうふうに借入れして行くかというふうな資金計画を作りまして、主務大臣に提出して、その認可を受けなければいかんということで、公庫は自分勝手にやるのではなくて、やはり行政目的と関連しながらやつて行くということをここに出しておるのでございます。  それから卸四章「会計」でありまするが、第二十二条の「予算及び決算」に関しましては、公庫の予算及び決算に関する法律というのがありまして、それによつてやつて行くというわけでございます。公庫といたしましては、農林漁業金融公庫の百かに国民金融公庫と住宅金融公庫、この二つがすでにできております。そうしてその国民金融公庫、住宅金融公庫ができましたときに公庫の予算決算に関する法律というのがきめてあるのであります。それによつて予算決算をやつて行くということになるわけであります。それで大体のことを申しますると、例えば予算なんかにつきまして予算案を作りまして、主務大臣のところを経て政府が国会に出しまして、国会で議決してもらうというふうな、そういうふうな規定であります。それから公庫は利益を挙げる機関ではありませんから、毎事業年度の損益計算上利益を生じましたならば、これは国庫に納付しなければいかんということになつております。  それから第二十四条の「借入金」でございます。資金は資本金のほかに借入金がありまして、借入金は政府から借入れをするということになつております。それから「公庫は、主務大臣の認可を受けて、政府から資金の借入をし、又は外国の銀行その他の金融機関から外貨資金の借入をすることができる。」、これは外資導入も若しやろうと思えばできるという規定をここに入れておるわけであります。開発銀行なんかにおきましてもこの前改正をみまして、この外資導入の態勢を規定上入れておりますので、それと同様に公庫におきましても若し入れようと思えばでき得るという規定を入れたのでございます。  それから第五章「監督」でございま肥す。第二十九条「公庫は、主務大臣が監督する。」、これは監督を厳重にやつて行くというためのいろいろな監督の規定であります。例えば三十条におきまして「役員の解任」、公庫の役員がいろいろなこの法律又は法律に基く命令なんかに違反しましたような場合には解任するとか、そういうふうに監督を厳重にして行くという規定であります。それから又報告とか検査を、三十一条によつて報告を徴したり或いは検査をやつたりするということでございます。  それから第六章の「補則」といたしましては、第三十二条で、先ほど申しましたように日本開発銀行から農林漁業者に対して貸付けておりました債権の引継ぎをやるという規定でございます。それから第三十三条は、農林中央金庫が復興融資として貸付けておりましたその債権の引継ぎをやるという規定であります。それからこの公庫の主務大臣農林大臣大蔵大臣とこの両名にしてございます。  それから「罰則」といたしましては、公庫の役職員につきまして、いろいろ報告とか或いは検査を拒んだり、或いは虚偽の報告をしたりするような場合に対する罰則の規定であります。  それから最後に「附則」でありまするが、この考え方といたしましては、公庫ができますると同時に、今までの農林漁業資金融通法と、それから農林漁業資金融通特別会計はなくなりましてそうしてその特別会計からのいろいろな権利義務はそのまま公庫が承継するということにしておるのであります。そうして先ず法律が通過いたしましたならば、公庫の設立委員を作りまして、大体来年の四月一日から公庫を発足さしたいということを考えておるのでございます。と申しますのは会計年度の分れ目が最も好都合でございまするし、何といたしましても長期の金融を円滑に進めて行くということが最も重要な問題でございまするので、うまくこの特別会計から公庫に引継いで行くということにいたしたいという考え方から、できましたならばこの国会で法律を通過して頂きまして、そうして設立委員を任命し、予算も公庫の予算で明年度の予算を作りまして、そうして四月から発足さしたい、こういうことを考えているのでございます。大体そういうふうな規定になつております。
  4. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 御質問がありましたらお願いいたします。
  5. 木下辰雄

    ○木下辰雄君 それでは質問しますが、第十条、十一条、この場合なんですが、公庫職員は大体百二十名を限度にする予定であるというような今の御説明でしたが、公庫職員というのは現在やつておる農林省あたりの役人を原則として、ここべ持つて来るつもりですか、それとも新たな者を雇う構想ですか。
  6. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) これは現在やつておる者の一部もここに入つて行くのじやないかと思つておりますが、そのほかにいろいろやはり金融のエキスパートを必要といたしますので、ほかから相当来て頂きたいということを考えております。
  7. 木下辰雄

    ○木下辰雄君 百二十名というのはどういうことから割出した人数ですか。
  8. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) これは先ず現在この特別会計貸付業務に当つております者が大体百名程度いるのでございます。それで農業経済局の金融をやつております者が定員は二十四名でありまするが、これは特別融資課定員でありまして、そのほかに金融課というものがございまして、その金融課のほうから二十名くらいを応援に出しまして、現在四、五十名でやつておるのであります。そうしてそのほかにいろいろ計算をする者が必要になつて参りまして、これを臨時に雇入れいたしまして、それで六十省くらいになるのであります。そのほかに各局におのおのその担当者がございまして局ごとに五名くらいおります。それでそれが大体三十名くらいになります。大体八十名乃至九十名でやつておるのであります。そのほかに公庫となりますと、今までは課長とか局長、次官、そういうような者がずつと上におつたわけですが、それが今度は役員が必要になつて参りますと共に、いろいろ電話の交換手とか或いはまあ女の子とか、そういう者が必要になつて参わましてそういうふうな者も入れまして百二十名という予定であります。
  9. 木下辰雄

    ○木下辰雄君 それから「第三十三条の規定により譲り受けた債権、」即ち農林中金融資しておつた復興融資、あれは残額九億円というようなお話ですが、それは二十億で、九億はまだそのままあるという意味ですか、どうですか。
  10. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) おつしやいます通り九億くらい債権がまだ回収されずに残つております。
  11. 木下辰雄

    ○木下辰雄君 それから第三十二条による開発銀行権利義務を踏襲するというのは、これはこの法に書いてあるかも知れませんけれども、その際に開発銀行が貸している金の債権、それから又借りている債務という意味だろうと思いますが、そうするとその開発銀行が出している金を引継ぐという……それだけ開発銀行から出資してもらうのですか、その金はどうなるんですか。
  12. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 実は大体三つ分類ができるのでございます。第一は見返資金で出しておつたものであります。見返資金で出しておつたものにつきましては、これは大体七億くらい現在残つておるのでありまするが、これは開発銀行から公庫引継ぎます。と、開発銀行は、これは政府の見返資金でありまするから、その見返資金から借りておつたのであります。で開発銀行が見返資金に返したということになるのであります。それで公庫が見返資金から借りるということに変つて来るわけであります。そうしてその見返資金がこれは来年の八月頃に今まで貸しておつたというものを今度は出資に振替えるということが大体きまつておるのであります。そうして公庫べの見返資金から出資ということに変るのであります。それから第二といたしましては、この復金からの開発銀行が承継したものがあるのであります。この復金からのものは、これは開発銀行から公庫が借りるということになるのであります。そうして開発銀行との契約の内容なつて来るのでありまするが、これは公庫が実際に回収を受けたものを開発銀行に返して行く、そういうようなことにいたしたいと思つております。それからもう一つ開発銀行が貸したものがあるのであります。これはもう本当に少くて小樽でしたか、製氷冷凍で四百万くらいのものであります。底曳の組合であります。そういうような開発銀行が貸した四百万円につきましては、やはり開発銀行から公庫が借りるということにいたしまして返つて来たら開発銀行へ返すということになつております。
  13. 木下辰雄

    ○木下辰雄君 そういう場合に開発銀行或いは農林復興融資から出している金と、今度新たに公庫が貸出す金の利子その他の条件はどういうふうになりますか、今まで借りておつたものが高いというような場合のそういうような調整はどうなりますか。
  14. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) その点につきましては開発銀行が貸しておつた通りを踏襲することにいたしまして、実はこの中には昔の復金時代のものとか、或いは見返のものにおきましてはなかなか回収が困難なものもあります。そういうようなものは、利子といたしましても実収利息を開発銀行へ返して行くということにしております。
  15. 松浦清一

    ○松浦清一君 途中で参りまして、最初のうちに御説明があつたかも知れませんが、この第四条の公庫資本金の問題で、端的に申しますと、出発当時の資本金は、「農林漁業資金融通特別会計廃止の際におけるその資産の価額から負債金額を差し引いた額」、この額が幾らになるかということです。それから第三十二条第五項の、政府の米国対日援助見返資金特別会計から公庫に対し出資があつたものとされた金額、その金額が幾らになつて、その合計額は幾らになるかということをお伺いいたします。
  16. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 第四条のこの廃止の際における資産の額から負債金額を差引いた額は大体百五十五億になる予定でございます。それからその次の対日援助見返資金からのものは大体七億くらいになる予定でございます。
  17. 松浦清一

    ○松浦清一君 その合計額がこの公庫の出発時における資本金の総額ということになるわけですか。
  18. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) そうでございます。
  19. 松浦清一

    ○松浦清一君 この最後貸付金の種類の欄がございますが、一、二、三、四、五、六の順位が附けてありますけれども、恐らく今おつしやられたような程度資本金では、借りたいという申込が殺到して来てなかなかおつつけないという状況になることが想像されるのですが、何かこの貸付順位とか何とかということのお考えがあるわけなんでしようか。
  20. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 公庫資金といたしましては、この資本金のほかに借入金をしてやつておるのでございます。それで借入金は見返資金からの借入と資金運用部からの借入をいたしておりまして、現在までに百七十億の借入をいたしておるのでございます。従いまして資金といたしましては、資本金の大体百五十五億というもののほかに百七十億の借入をいたしておりまして、三百二十五億の資金を二十六年度と二十七年度で貸付けておるのであります。それでそういうことにいたしまして、勿論申請を全部これで充たすということはできませんが、一応相当の金額貸付けておるということになつておるのであります。
  21. 松浦清一

    ○松浦清一君 最初から順位を設けて貸付けるのじやないという意味は私も了解いたしますが、仮に百カ所のところから借入の申込がある。そうすると同時にそれを受付けたと仮定をして、一番最初のものは所要額全部を貸付けて、順次貸付けて行つたところが、一番最後部分は半分しか貸せなかつたと、こういうことになることも起り得るわけですが、そういうことになつた場合には無制限に借入等を以て申込の額を充足して行くということができるのか、或いはもう金がなくなつたからこれでおしまいだと、こういうことになるのか、その点……。
  22. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) その点につきましてはどうしても年末になりましてもう資金の枠を使い果してしまつたというふうなことになりまして、貸せないことになるのでありまするが、翌年度優先的に貸すというふうなことで、大体その次の年の四月頃にすぐ予算が、一般会計からの繰入が行われまするので、それによりまして貸付ができるということになつております。
  23. 松浦清一

    ○松浦清一君 その点がなかなかはつきりはしないかも知れませんが、結局百のところから百の借入申込がある。そういう場合に全部の手持資金を全部に割当てると八割しかない、こういう場合が起つて来る。併し最初のうちからその重要度を勘案して申込額を貸して行くと、今申上げましたように最後部分は非常に少くなるということが起り得ることが想像されるわけであります。そういうときには同時に申込の受付順位があればいいのですが、順位があれば順位に従つてやるわけですか。
  24. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 大体順位に従つてつております。
  25. 松浦清一

    ○松浦清一君 同時に受付けたとすればどういうことになるのですか、そういうこともあり得るのですよ。百は順位がある。あとの十が又別口で来た。こういうときにそれでおしまいだと思つて全部貸出を殆んどやつてしまつて、手持がなくなつておる。そうすると何日か遅れて十が来たという場合には手持がないということがあり得るわけですね。併しその貸付を完了するまでは書類は百十は手許にあるわけだ。そういうときの技術的な操作をどういうふうにするかということ、やはり申込をした者の事業の重要度というものが勘案されるかされないかということを伺つておるわけです。
  26. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) そのときにはやはり事業の重要度を勘案しまして、枠の範囲内でやつて行くということになりまするが、大体まあ融資のやり方といたしましては、三月に貸付決定をいたしますると、その資金が実際貸付の実行されるということは一ヵ月くらいずれまして、四月に亙つて行くわけであります。それで四月の終り頃に資金が実際出て行くということになるのであります。ところが一方におきましては、四月に予算が変りますると、四月の初めに資金が、一般会計からの繰入れが参りまして、そうしてすぐ貸付決定をやつて行きますると、六体まあ三月、四月ずつと継続して貸付が行われて行くようになりまして、おのずから枠の範囲内で重要な順位によつてやることになりまするが、そういうふうに比較的円滑にやつて行けるという仕組になつております。
  27. 松浦清一

    ○松浦清一君 二十七頁の、貸付金の種類の所で、利率と、それから償還期限或いは据置期間の年数、利率に相違があるということは、その問題自体の重要度というものが勘案された結果こういうことになつたわけですか。
  28. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) おつしやいますように、やはり問題自体の重要度、それからその事業の収益性、そういうふうないろいろなことを勘案いたしましてこういうふうにきめておるわけであります。
  29. 松浦清一

    ○松浦清一君 そのうちの、細かいようなことを聞いて甚だ恐縮ですが、第三の「森林の立木の伐採制限に伴い必要な資金」というのが年四分五厘、償還期限が二十五年ということになつておる。例えば漁港なんかが非常に大きな災害をこうむつて、それを復旧しなければもうどうにもならないという事態が起つて来る。災害に対しては別途の融通補助等の方法がありますけれども、それでおおむね足らないということが今までの前例なわけなんであります。その不足額をどうしてもここから借りなければその漁港の使用ができるように改修ができない、こういうふうな事態に逢着するという事態そのものは、第三の「森林の立木の伐採制限に伴い必要な資金」等に比べて重要度は余り変らないように思うのですが、そういう区別はどういうところから附いておるんでしようか。
  30. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 先ず災害復旧と、災害復旧でない普通の融資は実際の貸付に当りましては金利を分けてやつております。それで漁港災害復旧につきましては六分で貸しておりまして、災害復旧でない漁港の修築につきましては六分五厘で貸しております。それから「森林の立木の伐採制限に伴い必要な資金」と申しまするのは、これは御承知のように森林法が通過いたしましたときに、木を切つていかん、併し木を切つていかんという制限を設ける代りに、そのために困る者がありましたならば融資をして行こうというふうな相当社会政策的な考えも含めましてこれがきまつたのでございまして、そういうふうな経緯から四分五厘というふうな低利にきまつたという経緯があるのでございます。
  31. 松浦清一

    ○松浦清一君 この法律案を立案されるときにお考えなつたかどうか知りませんが、今の日本の漁港というものは非常に荒廃をしておつて、これは漁港としてやはり指定をして政府の力で早く改修をせしめなければならんという港が二千五百港あるわけであります。そのうもすでに漁港整備計画に採用されておるものが四百五十港で第一次の漁港整備計画として追加要望がある。これは実に熾烈な要望が今我々のほうへ陳情書が山のように重つておるのですが、六百五十あるのです。これなどはやはりその漁港そのものの改修をしなければ漁ができないというような切迫した状態に今あるわけなんで、どうしても整備計画の中に入れて、政府が財政措置を講ずるというようなことになつても、それが遅れて来て、どうにもならないというのが今の漁港の現状なんで、これだけの利子を払つても金を借りなければならんというものが随分できて来るのじやないかと思うのですが、そういう漁港の深刻な状態というものをやはり十分お考えなつてこの法律案というものを立案されたかどうか、妙な質問ですが、これはあとへ続いて来る問題があるので、ちよつと伺いたいのです。
  32. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 漁港融資の問題につきましては、一番最初は補助の対象になる漁港施設ということばかりに限定されておりましたのですが、本年から変えまして、補助の対象になつていない漁港施設に対しましても融資をするというふうに範囲を拡げまして、できるだけ漁港のほうに廻して行きたい。殊に水産業につきましては漁業権証券の資金化の問題もございますので、漁港の基本的な施設の中で機能施設にも拡大するとか、或いはその他のいろいろな漁業の共同利用施設というような何に対しても拡大して行くというふうな考えから立案がされておるものと思います。
  33. 松浦清一

    ○松浦清一君 これも又ちよつと的はずれな質問か知れませんが、こういう法律というものができ上りますと、別に金融公庫自体の業務規則とかそういうものは作らないでやるわけなんでしようか、そういうものを作るのでしようか。
  34. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) この公庫ができ上りますると、御承知のようにこの公庫法の第二十条に書いてあるのでございまするが、業務方法書という、この業務の開始の際に業務方法書という業務の方法を定めるものを作りまして、それを主務大臣に提出いたしまして、その認可を受けなければいかんということにしてございます。それでいろいろな公庫業務の方法はすべてこの業務方法書に規定いたしまして、それによつて主務大臣の監督を受けながらやつて行くということにいたしております。
  35. 松浦清一

    ○松浦清一君 その業務方法書というのは通常の会社、法人における業務規定と思いますが、そういうものに類するもののように思うのですが、これを作るときに最終的には主務大臣がそれを認可するということになつていますが、事務当局の現在この法律を立案した係のようなところから業務方法書をきめる、案をきめるときに、その貸付先の重要度等或いは順位をきめる、そういう方法等について干渉される御意思がございますか。
  36. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) この公庫は単純な普通の民間の金融機関とは異りまして、国の政策目的を遂行するための機関でございまするので、その業務方法書をきめる場合に当りましていろいろな貸付金の対象とか利率とか、償還期限、そういうふうな重要な事項につきましては主務大臣が十分監督いたし干渉をいたして、国の政策目的に合致するように進めて行くというわけでございます。
  37. 木下辰雄

    ○木下辰雄君 私も二、三点お伺いしたいのですが、先に林田課長は、開発銀行債権債務を引取るが、開発銀行は元復金管理事務をしておつたので、相当不良なものもあると……、それを若し焦げつかした場合において、義務は果すけれども、権利であるところの債権は一向取れないという部面があつて、相当公庫損失を招くと思うが、そういう損失に対して何か政府はみるのですか。
  38. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) その点につきましては開発銀行から借りることになつておりまするが、その借受けの契約を作る場合に、実際に入つて来たものでなければ返さないということになつておりまして、絶対損害を受けないということでやつて行くのでございます。
  39. 木下辰雄

    ○木下辰雄君 この貸出業務のうちで、第七号、第八号、第七号は大体農林漁業の共同施設ということになつておりますが、この共同施設の種類は何々というものに限定してあるのか、或いは限定してなくて、公庫においてその都度申請によつて或いはそれを審査するのか、それから又八号、これは新たに加わつたもので、これは個人の事業に相当行くと思う。殊に水産方面の資本漁業の部面に相当これは流れるという私どもは虞れがあると思つておりますが、その辺に対するお考えを伺いたい。
  40. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 漁業に対しましては、大体事業計画でどういうものに貸して行くかということを書いてありまして、それに副つてつて行くことにいたしております。それでどういうふうなものを対象としてやつて行くかと申しますと、先ず漁港でございます。漁港の……。
  41. 木下辰雄

    ○木下辰雄君 七の場合……。
  42. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) その次に共同利用施設でありますが、水産業の共同利用施設といたしましては先ず漁田開発を考えております。その次に漁船の建造、それから水産物の増殖施設、これは浅海増殖とかいろいろございまするが、水産物の増殖施設、それから製氷冷凍施設一その他いろいろな共販の施設、例えば荷揚場みたいなものでありますが、それから給油施設とか水産倉庫とか共同加工場というふうなものを大体対象にして取上げて行きたいというふうに考えております。それから個人の災害復旧の場合につきましては、これは実は従来取上げておりましたもののみを対象にして行きたいという考えでございます。と申しますのはルース台風とか或いは十勝震災とかそういうふうな、資本的な漁業に対しましては取上げていないわけでありますが、大体個人という者を対象にして、従来通りの対象で取上げてやつて行きたいという考えでございます。従いまして資金の枠も制限をされまするし、従来も二億の範囲内というような、そういう資金の額を限定して立法しております。それと同じように考えております。
  43. 松浦清一

    ○松浦清一君 今のに関連して……。今いろいろ最後の八号の貸付の対象のものについての話があつたのですが、例えば具体的にお聞きしたいのは造船ですね、船を造ろうと誰かが考えますると、そうすると一千万円かかる、そうすると何割ぐらい貸付けるのですか、借りたいほうは幾らでも借りたいが、やはり資本金との間に限度があると思いますが、そういうことはどうなんですか、窓口でやるのですか。
  44. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 特別会計につきまして融資の大体八割を限度にして貸すということになつておるのであります。それで今後におきましてもやはり自己資金で或る程度やられるという人でないと、全然信用ないというふうな者につきましては貸し得ないわけでありまして、二割程度は自己資金考えてもらつて、八割を大体限度に貸して行きたいというふうに考えております。
  45. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 私からちよつとお伺いいたしますが、この公庫借入金でございますね。公庫が貸出しをするためのまあ政府から借入をする、そういう資金には何か限度があるのですか。ただもう必要なだけ毎年々々予算に組入れて行くことになりますか。
  46. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) これは借入金におきましても、毎年予算国会に出しまして、そうして議決を得るということになつておりまして、やはり借入の源泉といたしましては政府から借入れるのでありますから、資金運用部、今後は見返資金も期待できませんので、大体資金運用部が対象になるのであります。資金運用部資金が対象になりますので、いろいろな産業の投資とからみ合いまして、そこでおのずから枠がきまつて、来るわけであります。むやみに借りられるということはできないのであります。
  47. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) そうしますとこれは毎年々々、まあ初めのうちは長期に貸すものですから、回収はなしに出る一方であります。そうすると或る程度まで行くと今度は返つて来る金が相当出て参りますね。そうすると無制限に借入れをして行かなくてもいい時が来るのじやないかと思うのだが、そういう限度はおよそどのくらいと見ているのですか。
  48. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 大体公庫ができまして十年ぐらいたつたことを想定しておるのであります。そうしますると、若し現在の毎年二百億の資金量が確保されるといたしますると、十年後には七十億ぐらい、借入れじやなく、て、資本金部分だけが回転されるということになるのであります。そうしますると資本金部分としては一般会計から繰入れをしなければならないのでありまするが、もう非常に少く繰入れをすればよいということになつて行くわけであります。でそういうふうになりますると、十年後にはまあ借入れだけでもやつて行けるというふうなことにもなつて、行くわけであります。或いは又、そういうふうな時分には相当日本の資本蓄積もできて行くというようなことになつて参りますれば、この公庫債券発行もやつて然るべきじやないかというふうなことも考えておるわけであります。そういうふうな資金によりまして、御説のように借入れをそんなに多くしなくても、或いは一般会計からの繰入れを少くして、いろいろなほかからの資金でやつて行くということを考えております。
  49. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 大体まあ十年ぐらいたつたら回転が始まつて来るが、それ以後は余り繰入れなり借入れをしなくてもいい、そうすると、その借入れた額と一般会計から繰入れた額を合せて、総額どれぐらいの見当になりますか。毎年二百億ずつと仮定すれば、十年なら二千億ということになるのですが、そういう点はどうなるのでございますか。
  50. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 御説のように十年後になりますると、二百億ずつ毎年出して行きましたならば二千億ということになるのでございます。そのうちでその年に返つて参りまするのは、大体百四十億ぐらい返還金がその年に入つて来るということになるわけであります。そういたしますると大体二百億の内訳といたしましては、百億は一般会計の繰入れで、百億は借入れでやつて行くという大体の考え方なのであります。それで百四十億返つて参りますれば、大体半分は資金運用部なら資金運用部に返さなくてもよい金がその公庫に入つて来るわけであります。それでそういう資本金部分が残つて来るということになるわけであります。それをその年に貸して行くことができる。従つて一般会計からそれだけ繰入れなくても、その資本金部分が返つて来たもので貸付ができると、こういうふうなことになるわけであります。
  51. 玉柳實

    玉柳實君 今お話を伺いましたが、差当りまあ例えば目前の二十八年度を取つて考えてみますと、長期資金の需要量を見込むと、これに対して供給し得る資金の割合というものは大体どの程度に見通しを持たれますかどうか。先ほど二十八年度四百億程度要求をしておるように伺いましたが、そういたしますとそれが全部通りました場合には四百億で、それに対する資本金が、借入金を合計いたしまして約三百二十億ですから、約八割程度供給できると見られるかどうか。又、その四百億というのは、実際の長期資金需要量から見ればその全部でなくして、その或る一部分に過ぎないものであるかどうか、ちよつとお見通しを伺いたいと思います。
  52. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 実は食糧増産の五カ年計画を、例えば食糧需給促進法というふうな法律ができまして、これをやつて行くということになりましたならば、現在の倍程度融資額が必要になるんじやないかということを考えておるのであります。それで土地改良に対しまして今年度は大体百億を融資することにしておるのでありまするが、それで二百億の融資が要るということになるわけであります。そのほかにいろいろ水産とか林業とかそういうふうなものが附加わりますると、大体私たちのほうで欲しい金額はまあ四百億ぐらいということになるわけであります。併し来年度の予算がどういうふうになるかにつきましては、これはまだ御承知のように不明なわけでございまして、私たちのほうで別にどうこうということもできませんので、大体資金の欲しい量としましてはまあそういうふうなものを考えておるということでございます。
  53. 玉柳實

    玉柳實君 融資決定は、まあ大体会計年度の始まる直前の三月頃というお話でありましたが、年度当初に融資決定をされるのがその大部分であるかどうか。年度途中におきまして災害その他の需要が起きました場合に、まあ面償還されて来る資金もあることでありましようけれども、それだけでは非常に不足だということになつて、年度途中における需要に対してはその融資が非常に窮屈になるというような傾向になると思うが、その場合更に補正予算等で一般会計等から繰入れる措置をとられるかどうか、そこをちよつとお伺いします。
  54. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 来年度の見通しといたしましては、実は本年度すでに政府貸付申請を受理しておりますものが今までに百九十五億あるのであります。で、百九十五億に対しまして百四十五億の決定をいたしております。それで本年の資金枠としましては大体二百八億の資金枠がございまするので、まだ今の申請程度では本年度は申請が来ましたならば必要なものは相当充たして行けるのじやないかいうことを考えておるのであります。  それからこの融資の特質といたしまして、いろいろな公共事業の補助金が出まして、その補助金に対する地元負担に対する融資というものが相当多いのであります。それで御承知のように、補助金が出るのにつきましては、なかなかその補助金のどこに行くかということが、まあ農林省から出まして、地方庁から又それがきまつて行くということで遅くなるのであります。そういうふうなことで、四月になつてすぐ融資申請が出て来るということは余りないのでありまして、大体まあスムースにやつて行けるのじやないかということを考えております。
  55. 玉柳實

    玉柳實君 この業務農林中金の各府県の支所等にも委託されるようでありまするが、各府県の農林中金の支所ごとに枠を設けるというような措置はとらないのでしようね。
  56. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 農林中金の支所ごとの枠はきめておりませんが、例えば土地改良のようなものにつきましては各府県別に枠を大体概定いたしまして、そしてその枠の範囲内でやつて行くということにいたしております。
  57. 玉柳實

    玉柳實君 この各府県の農林中金支所はまあ審査内申のみであつて最後決定はすべてこの中央の公庫でするわけですね。
  58. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 御説の通りであります。
  59. 玉柳實

    玉柳實君 そういたしますと、この農林中金の支所において審査の段階において拒否してしまうというようなことはなくて、すべて一応は公庫に内申されるということになりますかどうか。
  60. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 実はこの金融に当りまして審査を委託しておるのでありまするが、その場合に二割の損失補償を委託しておる金融機関に負わしておるのであります。これは審査に相当責任を持つてつてもらいたいという考えからでありまするが、そういうふうな場合におきまして、委託金融機関といたしましては、やはり全然信用力のないというものにつきましては、或る程度そこでチェックして行くというふうなことが起るかと存じまするが、大体大抵のものはみんな中央に参りまして、中央で決定されて行くということになつております。
  61. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) もうほかにございませんか。ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  62. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 速記を始めて。それでは本件に関しては合同委員会要求しないことにいたします。  本日の会議はこれで散会いたします。    午後零時十分散会