○
説明員(
林田悠紀夫君)
農林漁業金融公庫法案が衆議院のほうで
議員提出になつておりまして政府のほうといたしましても是非お願いしたいという考えでございます。それで一応その内容につきまして御説明を申上げたいと思います。
この
提案理由の説明にもございまするように、
農林漁業に対しまして長期且つ低利の資金が必要とされることはもう言わなくとも当然のことでございまして、この資金が長期且つ低利でありまするために
一般金融機関の融通に待つことが非常に困難でございまして、どうしても
国家資金を投入して政策的な金融をも行なつて行く必要があるわけでございます。その要請に応じまするために、二十六年度から御承知のように
農林漁業資金融通特別会計という
特別会計ができましてこれによりまして昭和二十六年度におきましては百二十億の融資を行いまして、更に二十七年度は二百億の予算を以て現在百五十億
程度融資の決定をいたしております。それで二十六年度と二十七年度で三百二十億の予算を以て
長期低利の金融を行なつておる次第でございます。それでこの二十六年度からできました
特別会計がどうして
農林漁業金融公庫に移つて行く必要があるかという問題になるわけでございます。それでこの
特別会計ができまする前に、昭和二十三年度頃から
農林漁業に対しまして長期の資金を是非投入したいという要望が非常に多かつたわけでございます。その時分にすでに
農林漁業金融公庫という構想は日程に上つておりまして何とかして
長期低利の金融を行う公庫を作りたいという要求が多か
つたのでございます。ところがその当時の
インフレの状況に鑑みましてなかなかそういう要望は通らなかつたわけであります。それで二十六年の四月に初めて戦後におきまして
特別会計ができたわけでありまするが、その前におきましても対
司令部との折衝におきましては、
農林漁業金融公庫という構想で
司令部と折衝をしておつたわけであります。ところが
司令部のほうではやはりそういうふうな新らしい
金融機関を作ることは
インフレの虞れがある。それから又鉱業と
農林水産業と比較した場合に、投資の効率において鉱業のほうが遙かに勝つているのじやないかというふうないろいろな事情から、止むを得ず
特別会計というふうな形で発足するということの承認を得まして、妥協的な形で発足すると心うことになつたわけであります。ところが二十六年の四月からは
鉱業関係におきましては
開発銀行ができまして、新たに長期の
金融機関が一つ加わつたわけでありまするが、
農業関係といたしましては止むを得ず
特別会計の形て発足するということにな
つたのであります。それでその
特別会計によりまして今申しましたように資金が三百二十億にも達するということになりまして、実は最初におきましてはこんなに急速に資金が殖えるということは考えていなか
つたのであります。それで
特別会計の形でも
公務員がやつて
行つて何とかこの資金の貸付を消化して行くことができるというふうに考えてお
つたのであります。ところが急速に資金が拡大して参りまして、而も今後
食糧増産五カ年計画をやつて行くというふうな場合におきまして、いよいよこの資金は殖えるとも減らないであろうということを考えておるのであります。そうして二十八年度には四百億の資金を要求中でございます。そういうふうなことで、一方におきましては
資金量が増大する。そうしてその半面におきまして今度は金を貸して行くばかりではなく、その貸付けた債権を管理いたし、又回収して行くという業務が非常に殖えて参つております。もうすでに二十七年度におきましては三億円の回収の金を見ておるわけであります。そうして来年度におきましては八億円回収されて来るであろうというふうな見通しを持つております。それで単に金を貸すだけではなくて、管理、回収という業務を非常に重要に考えて行かなければ
いかんということになりまして、この貸付の業務は量が殖えるのみならず、質の面においても非常に厖大になつて来る。而もこの貸付を見てみますると、一件当りの金額が二百五十万円くらいでありまして、大体二十六年度には五千八百件の貸付の件数になつております。それから二十七年度におきましては現在までに七千件の貸付になつておるのであります。そうして今後におきまして五十億ほどこれから消化して行かなければ
いかんのでありまするが、そういうことになりますると、一日に一億以上の貸付を決定して行かなければ
いかんというふうなことになつておりまして、非常に仕事が大きくなつておるのであります。ところがこの仕事をやつておりますものは
特別融資課という課を設けまして、そこに二十四人の定員を置いてやつておるのでありまするが、到底そういうふうなことではできませんので、ほかからいろいろ定員を割きまして現在各局の人もやつておるというふうなことで百名程度がこれに当つておるという状況になつておるのであります。それでいろいろ今後人員を殖やして行かなければならんのでありまするが、単に
公務員の数を殖やして行くということだけではなかなか困難な問題があるわけであります。と申しまするのは、この貸付のやり方はどういうふうにやつておるかと申しますると、先ず融資をして欲しい者が
金融機関に参りまして、それでこの
特別会計は、貸付の
決定権は政府が持ちまして、審査を
農林中金外五十四の
地方銀行に委託してやつておるのであります。それで融資を受けたい者は
農林中金とか或いは
地方銀行べ参りまして申請をするわけであります。そうしまするとその
金融機関がいろいろ審査をいたしまして
府県知事の意見を聞きまして、そういう意見を付して
農林省のほうへ持つて来るわけであります。そうして
農林省のほうへ持つて参りますると、
農林大臣と
大蔵大臣と両方が決定することになつておるのであります。
農林省の担当の課に参りまして、そうして担当の課ではそれを今度は各局でいろいろ意見を徴して各局と合同の上できめて行くということにしておるのであります。それは水産とか或いは農地或いは林野とか、そういうふうに分れておるわけであります。そうしてそういうふうに協議して、結局最後に
農林大臣が決定いたしまして、そうしてそれを大蔵省のほうに廻しまして、そうして
大蔵大臣がきめまして、又
農林省に
帰つて、それから
委託金融機関のほうに行きまして、
委託金融機関のほうから金が出るというふうな仕組になつておるのであります。それでこの貸付の決定が農林、大蔵両大臣が行うということになつておるのでありまするが、その実質上の
担当者乃至は
責任者というものは
公務員でございまして、その地位を長期に固定するということが、今の官庁の機構の上におきましてなかなか困難であるのであります。そういうふうなことからも一方においてはこの資金が極めて長期の資金であつて、
責任体制というものが長期にはつきりしていなければ
いかんのでありまするが、この直接
貸付決定の責任の衝に当つておるものが
公務員でありまするので、どんどん変りまして、その責任の所在が不明確になる虞れがありますると同時に極めて能率が悪いという形になつておるのであります。
それからこれはちよつと穿つた観測でありまするが、どうしても国の行政の部面におきまして融資をやつておりますると、国の行政のほうでは
補助金を一方においてはやつておるわけでありまして、
補助金と融資というものがともすると混淆されるような
考え方が出て参りまして、その区別が不明確になるというふうな慮れがあるのであります。それから最も困りまするのは、これは国の
特別会計でやつておりますると、
財政法と
会計法の規定の制約を受けまして、債権の確保は極めて形式的には厳格なのでありまするが、実質的に円滑を欠きまして、管理、回収に
却つて支障を来たすという場合が多いのであります。即ち御承知のように
財政法第八条によりますると、国の債権の全部若しくは一部を免除したり、或いはその効力を変更するというふうな場合には、法律に基くことを要するというふうになつておりまして、例えば融資でありまするから、
遅延利息を減免したり或いは債権の一部を免除するというふうなことが、実質的には
管理回収上必要な場合も出て来るわけであります。ところがそういうふうな場合も法律を要することになりまして、なかなか円滑に進まないということで、融資をこの
特別会計で
公務員が行なつておるということは支障が一方において非常に多いのであります。そういうふうなことで単に
公務員を今後資金の量が或いは
管理回収の面が殖えまするに連れて増加するということだけでは解決されない問題が一方において多いのであります。それでそういうふうな事柄からどうしてもこれは政府が決定を行うのでなくて、政府とは別個の一つの恒久的な機関を
作つて、それが責任を持つて決定を行なつて行くということが必要であるということになつて来るのであります。ところがその前にそれでは今いろいろな
金融機関に委託してやつておるのであるから、そういう貸付の決定も
金融機関に任してしまつたらいいじやないかということが言えるのであります。ところがこの貸付の決定まで任してしまうということは、やはりこの融資は国の
農林漁業政策の一環として融資をやつておるのでありまして、どうしてもやはり
事業計画とか
資金計画とかはつきりいたしまして、例えば
土地改良には百億出して行くとか、或いは漁港には十億出して行くとか、こういうふうにいたしまして
事業別に資金の分量というものをきめまして、そして政策的にやつて行くということが必要になつて来るわけであります。そういうふうなことを全部その
金融機関に任してしまうということは、結局
金融機関は私の機関でありまするから、どうしてもこの
行政目的を一方においては阻害する部面が出て来るのであります。それで若しそういうふうにたくさんの
金融機関に任しておるからそれができないのだということから、
農林中金だけに任したらどうかということも考えられて来るわけであります。ところがこの
農林中金だけに任すという場合におきまして
農林中金がやはり
農林漁業者の零細な預金の上に成立つておる
金融機関でありまして、
預金者保護ということを一方においては考えなければ
いかんわけであります。現在委託してやつておりまする場合に、二割の
損失補償を委託しておる
金融機関に負わしておるのであります。それで若し決定まで全部任してしまうということになりますると、現在の二割程度の
損失補償だけでは貸付が極めてルーズになる慮れがあるのであります。と申しますのは、現在までにもいろいろそういうケースがあ
つたのであります。普通の
金融機関なんかでは二割を別に預金としておいて、八割だけ貸付けておいたという事例も起つておるのでありまして、やはり
相当程度金融機関に損失を分担させないと、融資の決定がルーズになつて行くということが考えられるのであります。ところが若し損失の負担を相当多くして行くということになりますると、
農林中金といたしましては
預金者保護の見地から、やはりこの政策的な金融というものがそういうふうに行われないと、貸付が極めて厳格になつて円滑に出て行かないということが考えられるのであります。そういうふうなことから見ますると、やはりどうしてもこれは貸付の決定というものは政府とは別個の一つの恒久的な機関を設けまして、そこが貸付の決定はやつて行くということにいたさない限りはこの融資はうまく行かんということになつて来るのであります。それでやはり総
司令部との折衝の過程においてこの
特別会計ができるより以前に考えておりました公庫という構想が最もいいのじやないかということを政府といたしましても考えておる次第であります。
今度はその公庫のあり方につきまして二つ考えられるわけであります。というのはその公庫が貸付の決定ばかりじやなくて審査もやつて行く、即ち末端にも支店を設けましてその支店も融資の申請を受けて、そうして公庫がみずから決定して行くという形であります。ところがこれをやりますると、人員が極めて急速に大勢要しまするし、又事務所の問題も起つて来るというふうに簡単にすぐはできないわけであります。勿論この融資の
責任体制を明確にいたしまして、そうして借受ける者に対しましても敏速にサービスをよくしてやつて行くというふうな考えからいたしましたならば、これは公庫がすべてを、貸付の決定から審査をみんな一貫してやつて行くというのが最も理想的な形態でありまするが、そういうふうに急速にそこまで行くということはできないのであります。それから又一方におきましてはこの既設の
金融機関、特に
農林中金が八五%取扱つておる。
委託金融機関がそういうふうな状況でありまして、その手数料なんかの問題もありまして
農林中金としましては、一方におきましては今度
農業協同組合の
再建整備とか或いは
食糧統制の
漸次緩和の方向にあるとか、
いろいろ余り動揺も与えたくないという状況にあるわけであります。そういうふうなことから鑑みまして、先ず政府が現在行なつております
特別会計でやつておる事務だけを新らしい
農林漁業金融公庫に移しましてそうしてそれが従来政府がやつてお
つた貸付の決定とか或いは
資金計画とか、
事業計画とかそういうふうな大きな計画をやつて行くということにいしたしまして審査は従来
通り委託金融機関にやらして行くということにしたいというのが大体の
農林漁業の
金融公庫の
考え方なんでございます。それでこの独立後の
農林水産業の施策といたしまして、
国会議員のほうからそういうふうな御要望が出ましてこの
農林漁業金融公庫法案というものが
議員提出になつたということになつておる次第であります。
それで若し御必要がございましたならば、本法案の要綱とか或いは法律の内容につきましてもちよつと御説明申上げますが、如何でございましようか……。それでは法案を読みながら御説明を申上げたい思います。
先ず目的の第一条でございますが、
農林漁業金融公庫は、
農林漁業者に対し、
農林漁業の
生産力の
維持増進に必要な長期且つ低利の資金で、農林中央金庫その他一般の
金融機関が融通することを困難とするものを融通することを目的とする。」これは
農林漁業者に対しまして、その
生産力の
維持増進を図る、そして資金は長期且つ低利の資金であるということが重点であります。それから
農林中金その他一般の
金融機関がなかなかやれないような金融をやつて行く、即ち普通の
金融機関と反するような金融をやつて行く。これは
開発銀行におきましても一般の
金融機関ができないようなものをやつて行くということになつておるのでありまするが、この公庫の
考え方といたしましても、普通の
金融ベースには乗らないが、国の政策としてやらなければ
いかんというふうな金融をここでやつて行くのだということを目的として謳つておるわけであります。
それからこの
資本金、第四条の
資本金の規定でありまするが、これは従来
特別会計でやつておりまして、その
特別会計の資金を引継ぐということになるわけであります。それで
資本金の部分といたしましては、大体
一般会計とそれから見返資金から
特別会計に繰入れになつておる部分が、いわゆる無利子の
資本金として計上されるということになるわけであります。それで二十六年度におきましては
一般会計から五十億と、それから見返資金から四十億、九十億の繰入れを見てお
つたのであります。それから二十七年度におきましては
一般会計から六十億の繰入れを見まして、それで今までの百五十億の無利子の繰入れがあるわけであります。これが百五十億が大体
資本金ということになるわけであります。そしてこの国会で、
補正予算におきまして五億
一般会計から繰入れるという予算案を出しておるのでございます。公庫の
資本金はそういうことになりまするが、一方におきまして公庫の資金といたしましては
借入金がございまして、
借入金は二十六年度に
資金運用部から三十億
借入れをいたしております。それから二十七年度におきましては見返資金から三十億の
借入れ、それから
資金運用部から百十億、合計しまして百四十億の
借入れをいたしております。それで二十六年度、二十七年度で百七十億の
借入れをいたしておりまして、大体資金は
資本金の部分が百五十五億、それから
借入金は百七十億、そういうふうなことになるわけであります。それで
資本金といたしましては大体百五十五億ということになるのであります。それでこの書き方といたしましては、「
農林漁業資金融通特別会計の廃止の際」、これは公庫ができますると同時に廃止になるわけであります。その際におきますその資産の価額と申しますると、その資産は大体債権が主な資産になるわけであります。それで大体三百二十五億ぐらいが債権になるわけでありまするが、それから負債の金額と申しまするのは、いろいろ借入をしております、その
借入金あたりが主な負債の金額になります。それが百七十億程度でございまして、結局それを引いた額が、即ち百五十五億が大体
資本金になるということになるわけであります。
それから第三十二条第五項の規定によつて、政府の米国対日援助見返
資金特別会計から出資があ
つたものとされた金額との合計額と申しまするのはこれは三十二条の第五項と申しますると、
開発銀行が
農林漁業者に対しまする
中小企業見返資金を九月頃に引継いだのであります。ところがその見返資金は、
中小企業者に対する見返資金も全部引継いだのですがそのうちの
農林漁業者に対する部分をこの公庫に引継こうという考えなのであります。と申しまするのは、今までキュワリングの倉庫とか或いは
冷蔵庫とか、或いは
土地改良とか、そういうふうなものに対しましてこの
中小企業の見返融資から相当出ておるのであります。それでその見返資金の部分、それから復金からやはり
農林漁業者に対する貸付がありまして、それを
日本開発銀行が引継いでおるのがあります。それから
日本開発銀行は今年でしたか、北海道のほうで
冷蔵庫へ出しておるのがあります。そういうふうな
農林漁業者に対する
貸付債権であつて、而もこの公庫が今後業務の対象としてやつて行くというふうなものは、
金融機関の何するものを業務として行くというその目的から行きまして、公庫に引継ぐのが至当であるという
考え方から、その債権を
引継ぐことになつておるのであります。その場合に見返
資金特別会計から貸付を見てお
つたものだけにつきましては、これは今後は見返
資金特別会計で出資をするということにそのうちきまるわけであります。それで若しそういうふうに出資をするということになりましたら、その出資があ
つたものとされた金額を公庫の
資本金に加えるということになるのであります。で規定をここに附加えておるわけであります。そうしてこの公庫の
資本金は政府が全額を出資するということになつております。
それから第二章の「役員及び職員」の所でございまするが、第八条「公庫に、役員として、総裁一人、理事四人以内及び監事二人以内を置く。」それで大体副総裁は置かないことにしておるのであります心先ず
中央機構だけを作りまして……、かような簡素なものを考えておるのであります。人員も大体百二十名程度ということを考えておりまして、それで役員といたしましても副総裁は置かないということにしておるのであります。それから第十条の「役員の任命」でありまするが、「総裁及び監事は、内閣の承認を得て
主務大臣が任命する。」「理事は、総裁が
主務大臣の認可を受けて任命する。」ということにいたしまして、公的な色彩をここに現わしているわけであります。そうじて役員の任期は四年ということにいたしております。従いまして役員は従来
公務員がどんどん変つておりまするのと異りまして、四年間というものははつきりした期間を以てその
責任体制を明確にして行くという
考え方でございます。それから第十七条の「役員及び職員の地位」でございまするが、この役員及び職員は、
公務員法の適用は受けないわけでございます。いわゆる
公務員ではなくて、「刑法その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。」ということにいたしておるわけであります。
次に第三革の業務でございまするが、第十八条の「業務の範囲」、これは大体業務といたしましては、従来
特別会計で行なつておりました業務をそのまま継続する考えでございます。従いましてその業務の範囲は、農地又は牧野の改良或いは造林、それから森林の立木の
伐採制限、林道、
漁港施設、
製塩施設、それから
農林漁業者の
共同利用に供する施設、そして八として、「前各号に掲げるものの外、
農林漁業の
生産力の
維持増進に必要な施設の
災害復旧に必要な資金であ
つて主務大臣の指定するもの」というのは、
特別会計よりも
一つ業務を殖やしたのであります。これは従来いろいろ災害がありまして、例えば
ルース台風とか
十勝震災とか、そういうふうに災害のたびにおのおの立法をいたしまして四分の
利子補給とか或いは三割の
損失補償とか、そういうことをやつてお
つたのであります。ところがそのたびに立法いたしますのは、国会の開会中でない場合には急速にそういう資金の融資ができないというふうな虞れもございますしこの公庫でそういうふうな場合に急速に資金を出して行こうじやないかという考えからこれを附加えまして、例えば個人に対しましても、今まで炭窯とか蒸籠とかそういうふうなものに対して
十勝地震についても融資をいたしておりますが、そういうふうなものをここで取上げて行こうという
考え方でございます。それから資金の貸付の利率とか
償還期限とか、或いは
据置期間につきましては、これは従来
特別会計でやつてお
つたものをそのまま踏襲する予定でございます。それでその最高限をこの別表できめておるわけであります。一番最後のほうに別表が附いておりまするが、この別表できめてございます。この別表は従来
特別会計でやつておりましたその通りをここに書いておるわけであります。それで最高をきめまして、最低ならばまあ幾ら安くてもよいという考えでおるわけであります。
それからその次の第十八条第三項の「第三十二条第一項及び附則第六項の規定により承継した
権利義務並びに第三十三条の規定により譲り受けた債権の処理に関する業務を行うことができる。ということになつておりまするのは、先ほど申しました
開発銀行から引継ぐ債権の処理に関する業務が行い得るという規定であります。それから「第三十三条の規定により」と申しまするのは、これは昭和二十三年に
農林中金が
農林債券を発行いたしまして、そうしてその債券二十億大体発行したのでありますが、それを当時復金がございまして、復金が引受けまして、それによ
つて農林中金が得ました金を
農林漁業の長期の金融といたしまして、
復興融資と言つておりましたのですが、
復興融資をや
つたのであります。それは二十億ほどやつたんです。ところが二十四年の四月から復金が
業務停止にな
つたものですから、結局それによる
長期金融というものはそこで停止になつて行えなくな
つたのであります。それが現在九億くらいその債権がまだ残つておるのであります。そうしてその閣議決定におきまして、
農林漁業の
長期金融を行う新しい機構ができたならばそこへ引継ぐということになつているのであります。それで今度公庫ができましたならば、その公庫を新しい長期の金融機構とみなしまして、
農林中金の
復興融資の債権、大体九億をそこへ引継ぐということにしておるのであります。その債権の処理に関する業務を行うことができるということにいたしておるのであります。
それから次に第十九条の「業務の委託等」、これは従来の通り
農林中金その他の
地方銀行に対しましてその業務の一部を
特別会計が委託しておるのと同じように、この公庫も委託して行くという
考え方であります。即ち公庫は貸付の決定のみを行いまして、審査の段階は
金融機関に委託してやつて行くということにしておるのであります。
それから第二十条の「業務方法書」でありまするが、この公庫は業務をやつて行く際におきまして業務方法書をきめまして、
主務大臣の認可を受けて、それからそれ以後において変更します場合も認可を受けてやつて行くということになつております。その業務方法書には、貸付金の使途とか或いは貸付金の対象、利率とか
償還期限、
据置期間、そういうふうな別表できまつておりますものを先ずこれに書くとか、或いは担保をどういうふうにやつて行くとか、或いはその業務の委託の基準、これは今まで省令でやつてお
つたのですが、
金融機関に委託して行く場合にどういうふうにやつて行くか、そういうふうな事柄をこの業務方法書に規定するということにいたしてございます。
それから第二十一条「
事業計画及び
資金計画」でございまするが、これは公庫は四半期ごとに
土地改良とか或いは造林、林道、水産とか、そういうふうな事業ごとにどういうふうに貸付けて行くかという
事業計画。それから
資金計画とは、
一般会計から幾ら繰入れ、見返資金とか
資金運用部からどういうふうに
借入れして行くかというふうな
資金計画を作りまして、
主務大臣に提出して、その認可を受けなければ
いかんということで、公庫は自分勝手にやるのではなくて、やはり
行政目的と関連しながらやつて行くということをここに出しておるのでございます。
それから卸四章「会計」でありまするが、第二十二条の「予算及び決算」に関しましては、公庫の予算及び決算に関する法律というのがありまして、それによつてやつて行くというわけでございます。公庫といたしましては、
農林漁業金融公庫の百かに国民
金融公庫と住宅
金融公庫、この二つがすでにできております。そうしてその国民
金融公庫、住宅
金融公庫ができましたときに公庫の予算決算に関する法律というのがきめてあるのであります。それによつて予算決算をやつて行くということになるわけであります。それで大体のことを申しますると、例えば予算なんかにつきまして予算案を作りまして、
主務大臣のところを経て政府が国会に出しまして、国会で議決してもらうというふうな、そういうふうな規定であります。それから公庫は利益を挙げる機関ではありませんから、毎事業年度の損益計算上利益を生じましたならば、これは国庫に納付しなければ
いかんということになつております。
それから第二十四条の「
借入金」でございます。資金は
資本金のほかに
借入金がありまして、
借入金は政府から
借入れをするということになつております。それから「公庫は、
主務大臣の認可を受けて、政府から資金の借入をし、又は外国の銀行その他の
金融機関から外貨資金の借入をすることができる。」、これは外資導入も若しやろうと思えばできるという規定をここに入れておるわけであります。
開発銀行なんかにおきましてもこの前改正をみまして、この外資導入の態勢を規定上入れておりますので、それと同様に公庫におきましても若し入れようと思えばでき得るという規定を入れたのでございます。
それから第五章「監督」でございま肥す。第二十九条「公庫は、
主務大臣が監督する。」、これは監督を厳重にやつて行くというためのいろいろな監督の規定であります。例えば三十条におきまして「役員の解任」、公庫の役員がいろいろなこの法律又は法律に基く命令なんかに違反しましたような場合には解任するとか、そういうふうに監督を厳重にして行くという規定であります。それから又報告とか検査を、三十一条によつて報告を徴したり或いは検査をやつたりするということでございます。
それから第六章の「補則」といたしましては、第三十二条で、先ほど申しましたように
日本開発銀行から
農林漁業者に対して貸付けておりました債権の引継ぎをやるという規定でございます。それから第三十三条は、農林中央金庫が
復興融資として貸付けておりましたその債権の引継ぎをやるという規定であります。それからこの公庫の
主務大臣は
農林大臣と
大蔵大臣とこの両名にしてございます。
それから「罰則」といたしましては、公庫の役職員につきまして、いろいろ報告とか或いは検査を拒んだり、或いは虚偽の報告をしたりするような場合に対する罰則の規定であります。
それから最後に「附則」でありまするが、この
考え方といたしましては、公庫ができますると同時に、今までの
農林漁業資金融通法と、それから
農林漁業資金融通特別会計はなくなりましてそうしてその
特別会計からのいろいろな
権利義務はそのまま公庫が承継するということにしておるのであります。そうして先ず法律が通過いたしましたならば、公庫の設立委員を作りまして、大体来年の四月一日から公庫を発足さしたいということを考えておるのでございます。と申しますのは会計年度の分れ目が最も好都合でございまするし、何といたしましても長期の金融を円滑に進めて行くということが最も重要な問題でございまするので、うまくこの
特別会計から公庫に引継いで行くということにいたしたいという
考え方から、できましたならばこの国会で法律を通過して頂きまして、そうして設立委員を任命し、予算も公庫の予算で明年度の予算を作りまして、そうして四月から発足さしたい、こういうことを考えているのでございます。大体そういうふうな規定になつております。