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1952-12-15 第15回国会 参議院 水産委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月十五日(月曜日)    午後一時四十六分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長 秋山 俊一郎君    理事            木下 辰雄君            千田  正君    委員            青山 正一君            玉柳  實君            松浦 清一君   政府委員    農林政務次官  松浦 東介君   事務局側    常任委員会専門    員       岡  尊信君    常任委員会専門    員       林  達磨君    説明員水産庁次    長       岡井 正男君    水産庁漁政部協    同組合課長   浜田  正君    水産庁生産部水    産課長     藤波 良雄君    日本国有鉄道営    業局長     津田 弘孝君    日本国有鉄道営    業局長     津田 弘孝君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○中小漁業融資保証法案内閣送付) ○水産政策に関する調査の件  (鮮魚鉄道運賃に関する件)   —————————————
  2. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 只今から委員会を開会いたします。本委員会に付託になりました中小漁業融資保証法案を議題に供します。先ず政府委員のほうから提案理由の御説明を願います。
  3. 松浦東介

    政府委員松浦東介君) 中小漁業融資保証法案提案理由を御説明いたします。  国民食糧のうち蛋白質給源として漁業我が国産業中重要な地位を占めていることは、今更申上げるまでもありません。この漁業のうち、水揚高において六割乃至七割を占め、漁業経営体中九割以上を占めている中小漁業については、漁業の豊凶が天然現象に左右され勝ちであることと、その経営零細性のために従来からその金融難が叫ばれて参りましたことは、各位の十分御承知通りであります。  そこで、この中小漁業金融難を打開するためには、先ず漁業者みずからの信用力を高める必要があります。  このために、漁業者漁業権証券又は現金による出資地方公共団体出資基金として、原則として各都道府県を区域とする漁業信用基金協会を設立し、その協会中小漁業に対する金融機関融資保証し、且つ、国が協会事業を支援する意味でその保証につき保険を行うこととして、以て、中小漁業への融資を円滑にし、その振興を図ろうとするのであります。  以下法案の主要な点について御説明いたしますと、  第一に漁業信用基金協会は、法人とし、原則として都道府県ごとに設立するものとします。第二に協会会員たる資格を有するものは、漁業協同組合漁業生産組合漁業協同組合連合会、一年を通じて九十日以上漁業を営む個人漁業を営む法人であつて一定規模以下のもの及び地方公共団体であります。  第三に協会は、会員たる中小漁業者漁業経営に必要な資金及び会員たる漁業協同組合等事業に必要な資金の借入による金融機関に対する債務保証します。第四に協会は、税法上民法上の公益法人と同様に、法人税法所得税法等について免除されることになつております。第五に政府の行う保険事業については、別に提案しております中小漁業融資保証保険特別会計法による特別会計を設けて行うことにしております。  以上、本法案提案理由について御説明いたしました。何とぞ慎重御審議の上、速かに御可決下さるようお願いいたします。
  4. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) この法案についての更に詳細な説明を聴取したいと思いますが、順序を変えまして……、それでは細部に亘る説明あとに廻わそうと思つておりましたが、運輸省の関係が少し遅れるようでありますから、引続いて本法案内容について水産庁から御説明を願います。
  5. 浜田正

    説明員浜田正君) この法案を御説明申上げます前に、この中小漁業融資保証法案要綱について一応大掴みなところをお話申上げて、それから法案に入り、それからこういう基金が具体的にどういう収支計算を辿つて行くかということについて御説明申上げたいと思います。  大まかに申上げますと、先ず漁業者が金を借りるにつきまして、只今提案理由にありましたように適当な担保もない、人的の信用力も薄いのでなかなか金が借りにくいというので、先ず着眼いたします点はその信用力を一人一人はないのでありますが、ここに一つ基金を設けまして、集団としての信用力を先ず維持するという考え方漁業権証券、それから証券のない人は現金、これに加えて地方公共団体出資も入れまして一つ基金をこしらえる、そうしてこの基金一つ集団としての力になります、これに農中なり、或いは銀行なりが金を貸す、単協なり或いは漁業者に金を貸すというところを保証する、つまり保証人になるということであります。それで保証した以上は若し金を借りた人がその期限に返さなかつたらば保証している以上はその人に代つて弁済する、つまり代位弁済をすると、こういうことになります。代位弁済をすれば金融機関としてはそれで期限通り納つたということになつて、いわゆる基金としての信用力を発揮したわけです。ところが代位弁済をしても漁業者に対して債務を免除したわけではありませんので、代位弁済をした代りにその求償権基金に移つて行くわけです。基金がみずから取立てるという形になつて来るわけであります。併し代位弁済をだんだんやりて行くというと二つの問題がありまして、一つ基金資金繰りが非常に困つて来ると、こういう問題。それから求償権が、大体の考え方としましては三年くらいで回収するという考え方であります。で、全部返つて来ると考えるのは少し計算が甘過ぎるので、幾分かは焦付ということがあり得る、そういうことでありますので、基金だけでこの仕事をやつて行けば基金が下手をすると潰れてしまうということになれば、折角の融資促進制度が一遍限り、又は数回で終るということになつては困るので、政府としてはこの基金をバツクすると、こういう意味保証した面に対して保険をかける、そうして代位弁済基金が或る一定期間すると政府はその七割について保険料を払う、こういうことによつて基金資金繰りを緩和するということと、それから最終の焦付についても七割補填するという意味は、七対三の危険負担をこうむる、こういう形になつて来るわけであります。大体そういう構成は、やり方の技術的な点は中小企業によります信用保証協会と同じようなやり方になります。ただ信用保証協会政府保険が五割でありますが、これはいろいろ条件がついておりますが七割保険、こういうことになつて参るわけであります。大きなほうの分はそういうことでありまして、先ずこの構成としましては中小漁業者とは何ぞや、こういうことであります。それは要綱の第二に書いてありますように、漁業を営む個人漁業を営む漁業協同組合、それから漁業生産組合、それから漁業を営む法人であつて、その常時使用する従事者の数が三百人以下であり、且つその使用する漁船の合計トン数が一千トン以下であるもの、こういうものが中小漁業範囲だということになります。そうしてそれに対してこの基金会員となる者はどうかと言いますと、漁業を営む協同組合中小漁業者範囲でありますが、漁業を営まない協同組合中小漁業者ということにはなつておりますが、会員たる資格を持つてその中小漁業者に対して金を借りて転貸をするという形が出て参りますからして、会員たる資格を持つということで、会員たる資格を持つている者は漁業協同組合漁業生産組合、それから漁業協同組合連合会地方公共団体、一年を通じて九十日以上漁業を営む個人、それから法人一定規模以下のものと、こういうことであります。そこでこの考え方の中に団体加入とそれから個人加入との二つの体系になつております。それでなぜそういう形にしましたかと言いますと、中小漁業に対する融資実態を見てみますと、市中銀行と農中の系統金融とが大体半分々々、こういう形になつております。そうして農中は協同組合を通じて金が流れております。市中銀行は直接個人又は法人に金が流れておる、そういうことになります。そこでこれを団体だけに会員を絞つてしまえば、そういう市中銀行からの融資の途を塞ぐと、こういうことになります。仮に塞いだとしてもその負債の分を農中で全部賄えれば問題ないのでありますが、資金量が相当多くの資金量になりますので、農中でこれを全部賄うということは困難である。そういうわけで中小漁業に対する農中、それから一般銀行金融実態から見まして、会員としての団体加入個人法人加入をここで認めたわけであります。大体、従つて金が流れて行くルートとしましては個人法人市中銀行から流れて行く、その点をこの基金保証するという形になると思われるわけであります。それから協同組合関係は農中から金が流れて行く、その点を基金保証するとこういうことになると思われるわけであります。そして次に、そういうふうにして基金はどういうふうにできるかと言いますと、県単位一本として考えておると、こういうことであります。これは基金としても基金信用力を維持するという観点と、それから基金の中でも或る程度危険の分散を図つて行く、こういうことも必要なので、基金としてはできるだけ大きな単位がよろしいと、こういうことで、府県単位で考えて行くというのが原則であります。併しながら、例えば以西底曳のごとく、相当水揚地もあちこちに分れ、且つ又取引銀行としましても各県に分れておると、こういう実態のものにつきましては、県に跨がるもの、例えば以西につきましては山口、長崎、福岡、佐賀というふうに県を跨がるものを、ここで特に必要があるものは政令又は主務大臣が指定する形で認めて行きたい、かように考えておるわけであります。  それからその次は、会員の末尾に書いてありますこの基金に対する「加入原則として自由であるが、脱退一定条件のもとに認められる。」つまり加入は自由であるが、脱退はしかく自由でないと、こういう考え方であります。なぜかと申しますと、この基金は一本として金融機関に対して保証力を持つておるのであります。そこで保証をしておいて、自由自在に脱退して基金引揚げてしまうということは、丁度抵当の担保物件を入れておいて、金融機関の知らぬ間に担保物件を引出した、こういうことと同じ形になるので、そういう形をとることは、金融機関としては基金保証能力を疑うということになりますから、保証能力が不明であると、こういうことになりますので、入つた以上は、あと法案でもう少し細かく説明しますが、しかく簡単には出られないと、こういうことによつて保証の力を金融機関に対して疑われないような措置を講じて行きたいと、かように考えておるわけであります。  それからこの基金会員からの出資によつて構成されるわけでありまして、その趣旨としましては大体漁業権証券が主力になつて参ります。漁業権証券がこの基金出資されたらば政府はそれを直ちに買上げる、こういうことにして現金化して金融機関にこれを放り込んでおいて信用力の回復に努めると、こういうことになつております。それからこの基金規模でありますが、規模は幾ら小さくてもいいと、こういうことではないのでありまして、逆に大きければ大きいほど基金としての信用力は確かであり、従つてその保証による融資ボリュームは殖えて来ると、こういうことになつて参りますが、一応最小限度規模というものを考えておかなくちやならん。そこでこれは政令で定めるということになつておりますが、政令において一千万円を最小限度規模と、かようのことに考えておるのであります。と申しますのは、先ほども言いましたように大きければ大きいほど信用力があるのでありますが、余り小さいと信用力の点において問題があり、基本的には基金を運用する人を賄えんということでは、折角基金を設けても意味がないというので計算をして見ますと一千万円で大体専任職員が一人くらい養えるという程度になりますからそこのところを限界として考えて行きたいと、かように考えておるわけであります。  それから業務につきましては中小漁業者漁業経営の発展に必要な設備資金なり運転資金協同組合による転貸の場合、それから銀行から直接貸す場合、それから協同組合自体事業遂行に必要な資金、こういうものの保証をやるのが主たる業務になつて来るわけであります。それからこの基金運営につきましては「会員出資割合による議決権及び役員の選挙権を認める。」こういう考え方であります。これは協同組合法の一人一票主義という建前じやなくして一口一票主義ということになつて参つております。協同組合におきましてはあれは人的結合団体でありますが、この基金むしろ金がものを言う団体つまり一定金額の金というものがあつて、それが信用力を持つて融資が円滑になる、こういう考え方のものでありますからして、出資の大きい小さいによつて発言権が違つて来る、こういう考え方で来ておるわけであります。  次は税金の問題とのからみ工合でありますが、この基金儲け仕事を別にするわけではないので、中小漁業者のためのもので基金が儲かつても仕方がないので、基金は常時運転し得る程度財政規模であればいいのでありますが、併し理論的には剰余金が大きく出て来るということは理論的には考えられて来るわけであります。剰余金が出て来ればその処分はどうするか、こういうことであります。我々としましては、最初は漁業権証券の金利に多少毛の生えた程度の利子を考えておつたのでありますが、それは実質的の配当である、こういうことになつて参りまして、配当であるならば免税をするという点は絶対にできない、こういうことでありますので、その税金がこれにかかつて来るということは基金経営を非常に薄弱なものにする、むしろここで配当をしないことによつて税金のほうは特典を頂く、こういうほうが基金運営上は安全である。こういうふうに考えて配当はしないで、剰余金は全都準備金として積立てる、こういう考え方にして、税金免除処置をとつてもらつたわけであります。そこでその場合剰余金は全部これに積立てるということは、先ほど言いましたように、基金儲け仕事をしておるわけではありませんので、それだけ配当をしなければ剰余が出て来る。出るならばその剰余が出ないように運用すればよいので、その点は基金の徴収する保証料を下げて行くという形で実質的には変りはない、こういうことでもつて来ておるわけであります。この基金構成はそういうわけであります。  次はその基金保証をしたことについて政府保険をする、こういうことになります。保険の仕方は強制保険ではないのでありまして、一応会計年度半期ごと北海道なら北海道基金、或いは長崎なら長崎基金と包括的な契約をやつておく、そうしてその包括金額範囲内において基金側からこれは保険にかけるというように通知をして来れば自動的に保険がかかると、こういうことになるわけであります。基金はこれは安全だということになれば別に保険にかけるということはなくてもいいわけであります。その点は基金の選択に任せておる、こういうやり方保険であります。そこで保険料中小企業信用保険と同じように百分の三以内で定める、こういうことになつておるわけであります。問題の点は次の保険金額の点であります。先ほど申上げました七割保険ということは一定条件が付いておるわけであります。それは但書に書いてありますように、この基金運営については地方公共団体が積極的に支援をして頂きたいということと、それからもう一つ政府責任保険をやるのだから県も又その責任の一部を負担してもらいたい、こういうことと、それから県も、又外部からの応援でなくして現実の金を以て基金の中に入り込んで応援してもらいたいるこのことによつて基金のボリユームが殖え、基金ボリュームが殖えるということは融資ボリュームが殖える、こういうことになるので、我々としては県の、つまり市町村を併せた公共団体積極的参加を期待しておるわけであります。その積極的参加割合と言いますか、参加程度と言いますか、それに条件が付いて来たわけであります。で、地方公共団体基金の総額の三分の一、内容的に言いますれば漁業者が出したものの半分、つまり漁業者が百円出せばその半分の五十円、総計百五十円、総計の百五十円から見ますればその三分の一、内容的に見ますれば漁業者の出したものの半分、これだけのものを出すということを条件として七割の保険をする。ところが一遍にそれだけの金を出すということは公共団体財政から見ますればむずかしいかもわからん。でむずかしいかもわからんから一遍に出せとは言わない、少くとも三会計年度に跨がると言いますか、この補正で一回、二十八年度で一回、それから二十九年の当初予算に一回、つまり三回の余裕を与えることにして昭和二十九年六月末までに出せば七割だ。つまり約束だけで先ず七割の保険を始めて行く、六月末になつて出さなかつたらば保険率は五割に下げる、こういうふうに間接的に保険率のほうから地方団体応援をせざるを得ないというふうに言いますか、せざるを得ないような形へ持つて来ておるというのがここでの重要な点であります。  次は保険金支払やり方でありますが、協会代位弁済をすると協会は被保証人に対して求償権を取得する。代位弁済は直ちに保険金の請求でなくて、取得した求償権取立てをやる、その取立てを片方でやりながら三カ月たつたところで保険金支払を請求する、そこ政府はそれからいろいろの計算をする。いろいろの事務がありますから事務的の期間を見込みまして一カ月後に保険金支払う、こういう形になつておるわけであります。この点詳細は基金収支計算のところで御説明申上げます。今度は保険金支払つてからどうなるか善いますと先主協会代位弁済をする、全額求償権協会が持つということになります。それから政府保険金支払つたらば、七割支払つたらばその求償権を七対三の割合協会政府とが共有をする、こういう形になります。従つてそれから更に求償権から金がどんどん入つて来れば政府基金との間に七対三の割合でそれを分け合う。百円入つたものは政府が七十円、基金が三十円、こういう割合で分け合うことになります。これを更に突き詰めて言いますと、仮に百円の焦付ができた場合七割が政府負担、三割が基金負担、こういうことになつて来るわけであります。以上が大体大まかな数字であります。
  6. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 大体法案要綱について伺いましたが、更に細部亘つて逐条的の説明もあるわけでありますが、只今国鉄のほうから津由営業局長が見えましたので水産物鉄道運賃に関する問題を伺いたいと思います。そのあとに、それが済みましてから法案の詳細に亘つて説明乃至は質疑に入りたいと思います。  それでは津田営業局長から今回鉄道運賃の値上げにつきまして水産物運賃についても何か変更を来たすような模様でありますので、その内容につきまして、どういうふうになつておりますか、御説明を願いたいと思います。
  7. 津田弘孝

    説明員津田弘孝君) 私只今御紹介にあずかりました国鉄営業局長津田でございます。只今委員長から今回の国鉄貨物運賃改正、又これに伴いまして国鉄といたしまして計画をいたしております貨物等級改正につきまして鮮魚関係等におきましてどういうふうになつておるかという話があつたのでございますが、具体的に鮮魚はどういうふうになつておるかということを申上げまする前に、何が故に今回この貨物等級改正をするに至つたかというような問題につきまして極めて概略お話を申上げなければならないというふうに考えておるのでございます。現在の貨物等級制度は実は昭和五年に大改正があつたのでございまして、その後戦争中の昭和十五年でございましたか、その当時の経済事情等に基きまして一部改正された点はございますが、これは極めて小部分でございます。昭和五年のものが今日においても大部分そのまま踏襲せられておるということでございます。ところが最近に至りましていろいろと等級改正につきましての御要望が非常に各産業から強いものがあります。前回の国会におきましても貨物等級につきまして新らしい時勢に即応した合理的な、又消費部面にバランスのとれた等級改正をすべきである。それが運賃改正の前提であるというような強い御要望がございましたのであります。実は今までもそういつた新らしい合理的な等級を確立いたしたいというふうに国鉄といたしましては考えておつたのでございますが、何分にも後ほど申上げまする等級をきめます際に最も重点を置かれまするところの物価が変動止むところを知らなかつた経済が安定いたさないために物価が安定しない、従つて等級を作りたいにも作りようがなかつたというような情勢であつたのでございますが、まあ幸いに最近におきまして経済も安定いたしました、又物価もほぼ安定をいたしましたので、この機会にかねての各産業からの御要望であり、又国鉄といたしましても考えておりましたところの等級改正を今回断行しようということに相成つた次第でございます。で、この等級改正は各産業に対しましていろいろな意味におきまして非常な影響を及ぼしますことでございます、又国民生活にも重大な影響を及ぼしまするものでありますので、国鉄といたしましては飽くまでとれが国鉄の独善に陥ることを避けまするために、この春に国鉄総裁諮問機関といたしまして貨物等級審議会という委員会を設置いたしたのでございます。で、この委員会には各産業の代表的なかた、勿論水産界からも入つて頂いております。農林関係からも入つて頂いております。それから学識経験者、それから農林省或いは通産省というような物資担当の官庁の青往者にもお加わり願いまして等級審議会を設置いたしました。この四月以来何回も非常に熱心に慎重に御研究を頂きました結果、先頃御答申を頂いたのであります。その答申二つつたのでございまするが、これを要しまするのに、等級改正につきましてどういう要素重点を置いて、どういう物差等級改正をするかという点でございますが、等級審議会の御答申によりますると、先ず第一には各物資負担力に基いて等級を考えるべきである、この負担力に基いて等級をきめるということでございますが、若干蛇足になるかも知れませんけれども、例えば国鉄旅客輸送につきましては、御承知のように一等、二等、三等というような等級がございます。併しながら一等、二等は三等に比べて車も設備もいい、その代り通賃も高いというようなふうになつておるのでございますが、その貨物等級はこの旅客の場合と違つておりまして、それぞれ物資負担力に基きましてその分に応じて鉄道貨物運賃負担して頂く。つまり何と申しますか、共同経済制度とでも申しますか、そういつたようなことで、例えば輸送コストの面から見ましたならば、非常に高級品を運びます場合と、非常に安い砂利のようなものを運ぶ場合と余りコストの点においては違いはないのでございますが、繊維製品のごときはそれ自体が値段が高い、又砂利、石灰石のごときはそれ自体非常に安いものであるというような関係から申しまして、それぞれの物資負担力に応じて鉄道貨物運賃負担する、こういつたような制度をとつております。その点が著しく旅客の場合と異なつております。又トラックは、日本でもトラックのごときは別にそういつた負担力に応じて運賃を取るということはございませんで、何を載せようと一日日車借りられれば何千円というようなふうに相成つておる、この点が旅客関係或いはトラック関係と著しく貨物につきましては違つておる点でございます。で、等級審議会の御答申の第一も先ず物資負担力に応じて、まあ負担力通常価格を以て示されるのでありますが、それの第一の要素といたしまして等級を考えるべきであるというのが第一の点でございます。第二番目には、輸送の原価というものを第二の要素、第二の尺度としてやるべきである。これはちよつと御説明を加えまするが、鮮魚なんかに著しい影響がございますが、例えば鉄道の持つております貨車などで魚を運びます冷蔵車或いは野菜なんかを運びますところの通風車一これは風通しのいい車でございますが通風車、こういつたものは、この貨車を作りまする製作の製造費にいたしましても或いは又これを輸送いたしまする際のコストにいたしましても或いは貨車の回転率というような点を考えましても一般の貨車よりは値段も高うございますし、回転率も悪いというような関係からいたしまして経費を余計に要するわけであります。そこでこういつた特殊の貨車を使うような場合におきましては等級の上におきましても考えるべきであるというような輸送原価、輸送コストを第二の尺度としておきめになつたのでございます。  次に第三点の要素といたしましては、何と申しますか、公共的な考慮ということができるのでございますが、第一の負担力という尺度、第二の輸送原価という尺度に照らし合せまして、一定のクラスイフイケーシヨンができるわけでございますが、更にそれを公共的な見地から位置を考えるという、第三の要素といたしまして公共的な考慮という点が答申の第三番目でございました。ところでこの第三番目の公共的な考慮、公共性に基く調整措置という点が後ほど申上げることと非常に関連があるのでございますが、まあすべていろいろなものに盆一性を持つていないものは殆んどないのでございますが、従来鉄道運賃或いは鉄道制度につきまして公共性の故に運賃負担を軽減しておるというようなものが旅客にも貨物にも非常に多いのであります。旅客につきまして申上げますならば鉄道の定期旅客運賃というものは非常なコストを割つた運賃を以て輸送させられておる。それから貨物につきましても下級の物資につきましても原価割れをして輸送をしておるというようなことで、いろいろな国家の産業上或いは社会政策上に必要な見地から申しまして、鉄道運賃なり鉄道制度なりにこの公共性のしわ寄せがされておるというようなことが事実あつたのであります。そこでこの等級を今度新らしく再編成する場合に当りまして、この公共性に基くところの調整措置というものはできるだけ小範囲に、極めて限定せられた範囲に限るべきであるというような点から、特にその答申の中に公共性に基く調整措置というところの項に、一般社会生活上日常不可欠の消費物資たる米、麦、小麦粉、生の野菜、味噌、醤油、大衆魚、薪炭等として特別等級に編入するというような御答申を頂いておるような次第でございます。いずれにいたしましてもこういつた三つの尺度、つまり負担力輸送原価と公共性、この三つの尺度に照らし合せまして現在の等級表、これはこの一冊にあらゆる物資が分類されてあるのでございまするが、この貨物等級表の具体的な物資につきましてそれぞれの新らしい等級を当てはめて見たのでございます。勿論これは鉄道だけでなしに、農林省或いは通産省とも十分お打合せをしつつ、こういつた新らしい等級表を作る作業に入つたのでございますが、さてこういつた三つの尺度につきましては審議会におきましても何らの御反対もなかつたのでございまするが、具体的な物資をさて当てはめて見ますると、この等級は高過ぎるとか、或いは従来に比しまして、著しく運賃負担が多いとか、いろいろなお話なり御意見が出ておるのでありまして、目下これらにつきましては、理論的にはこういつたようなことに相成るが、又実際問題から申しまして、現在に対しまして余り大きな運賃負担の増になるというようなものにつきましては、関係各省とも相談いたしまして、目下できるだけの範囲内におきましてその調整を図つているというのが、貨物等級改正につきましての全般的な議論と申上げることができると思うのであります。で、それでは具体的問題に入りまして、一体鮮魚がどういうふうになつているかという点でございますが、先ずこの鮮魚につきましては、従来の等級がどうなつていたのが今度の等級でどうなつたかという点を申上げたいと思うのでありますが、従来の等級表によりますると、ここでちよつと申上げたいのでございまするが、従来は貨物等級が基本等級といたしまして、五等級つたのでございます。で、それに対しまして、先ほど申上げました公共的な理由から、これにまあ割引等級とでも申すべきものを考えまして、それを九等級にいたしております。本来そのものが負担力の面から見ますると、五等級の五に入るところであるけれども、それは公共的な社会政策的な意味を考えまして、それを九等級に入れているというような場合があるのでございますが、従いまして現在の等級は九と、それから更にもう一つ考えなければなりませんことは、鉄道の貨車は十トン車にいたしましても、十五トン車にいたしましても、一定のスペース、物理的なスペースがございまして、それ以上には積込めない、従いまして非常に、例えば軽いもの、極端な例で申しますれば、まあ寒天というようなものは、積もうにも十五トン車なら十五トン車になかなか十五トン一ぱい一ぱい積めないという、物理的にも積めないのであります。で、そういうものに対しましては、私ども軽量減トンと、そういつた軽いかさばるところの貨物に対しましては、減トンをトン数、等級の上で操作をいたしておるのであります。そういつた軽量貨物に対する特別な考慮から、その九つの等級を更に軽量貨物のために、十、十一という等級を設けまして、前申上げましたのを入れますと、一から十一まで等級があるわけでございます。基本等級が九と、それを公共的な考慮、政策的な考慮から九つにしており、そして軽量貨物に対する考慮から更にそれを十一にしておるというのが現在の貨物制度でございます。で、これを指数の点から申上げますると、この一級、現在の貨物の一級は二五〇という指数になつております。それから九級が六八という指数、これが一番の最下位でございますが、更にこれを先ほど申しました軽量貨物のために、特に十、十一級というクラスを設けまして、その十一級というのが五三という指数に相成つておるのでございます。で、今度新らしい貨物等級制度ではどういうふうにしたかと申しますると、この一から九までのと申しますか、普通の等級、普通等級といたしましては一から十二ということにいたしたのであります。それからそれに対しまして、政策的な見地、まあ政策的な割引をするものにつきましては、先ほど等級審議会答申を頂きましたああいつた数種の物資に限定をしなければならんということでございまするが、そういつた政策的な考慮をすべき公共的な措置を講ずべきものといたしまして、特別の等級を三つ、この十二のほかに作つておるのでございます。それから先ほど申上げました貨車一ぱいに積込めない軽いかさばつた貨物、軽量貨物につきましては、現在の等級表ではこの等級の上で考慮しておる。先ほど申上げました十、十一というクラスを設けております。で、今度はそれをやめまして、軽量貨物につきましては、それぞれ一定の方式によりまして実際の貨車に積んだ場合に、小型貨車に積んだ場合、中型貨車に積んだ場合に、それぞれの場合に応じまして、一トンニトン、場合によりましてはミトン、極めて僅かな例でございますが、四トン減トンするというような操作をいたしております。で、要するに現在の等級制度はまあいろいろな沿革がある、いろいろな内容が一本の一から十一までの等級の中に組込まれているのでございまするが、今度はその組込まれている要素一つくはつきり等級表の上ではつきりと出したいという点が新らしい行き方の骨子であるのでございます。そこでさつき指数の点を申上げましたが、今度はどうなつているかと申しますると、今度の一級が二〇〇でございます。従いまして上級貨物につきましては、若干下つて来ている。それから一番下の十二級、これが七五ということにいたしております。従来の六八に対するものが七五になつているという点を申上げたいと思うのであります。そこで今、等級の話と指数のことを申上げたのでございますが、以下鮮魚につきましてどういうふうになつておるかという点を等級と指数とによりまして申上げたいと思うのでございます。  先ず鮮魚の、下級鮮魚、従来七級、これが改正等級では二十一級、先ほど私は特別等級が三つあると申上げたのでございますが、それはまあ鉄道の部内の便宜上二十一、二十二、二十三と番号をふつたわけであります。これは別に二十一という字に意味があるわけではありません。そういつた番号をふつたというふうにお考え願いたいと思います。従つて下級鮮魚は従来七級、指数が八五のものが改正等級では二十一級ということでございます。指数は八五でございます。それからそうして下級鮮魚が一番皆様がたが御関心をお持ちになる点でございまして、この点は従来とも指数の点におきましては全然変りはないのであります。それから中級の鮮魚が従来が六級、指数が九五のものが、今回は新等級の四級になりまして、指数が一一〇、それから従来の上級鮮魚は現行の五級で一〇〇でありましたものが、今度は改正の四級で一一〇ということになります。中級と上級とを今度は合せまして、新等級では四級という位置にいたしまして二〇、つまり非常に上級な魚、中級な魚につきましては若干高くなつておるけれども、大衆の生活必需物資であるところの大衆鮮魚については、現在何ら変りはないという点は私どもは特に考慮を払いました点でございます。なおこの下級鮮魚につきましては、それを米と同じ等級に付けろというような御意見も一部にはあるのでございますが、これは又後に御説明をすることにいたしたいと思います。  その次に冷凍魚でございますが、冷凍魚の下級、これは現在七級、指数が八五のものが改正等級で二十一級、指数が八五、これも何ら変りがございません。それから中級の冷凍魚、従来の六級、指数九五が、改正では四級の一一〇、それから上級の現在五級の一〇〇が、改正では四級の二〇。これも鮮魚と冷凍魚は同じに考えておるのでございます。  塩魚は、現在下級塩魚が七級で、指数が八五、それが改正等級の二十一級で八五と、この点も従来と変りはございません。それから中級が、七級の八五が、今回は四級の一一〇ということになつております。  それから乾魚、それが従来下級の乾魚が七級の八五が、改正の二十一級でこれは先ほど申上げました貨車に減トンを付しまして、小型貨車につきましてはございませんが、中型貨車、十五トン貨、車につきましては一トン減トンをいたしまして七九という数字になつております。従来よりも下級の乾魚につきましては下つておる。それから中級の乾魚につきましては、従来七級の指数が八五が、今回は改正の四級にいたしまして、減トンを小型につきまして一トン、中型につきましてニトンの減トンをいたしまして九六と、これは若干上つております。それからするめの例をとりますと、これは非常に下つております。現行等級では三級で指数一四五でございましたものが、改正等級では四級で指数が二〇、一四五が一一〇に下つておるのでございます。かつお節に至りましては、更に下り方が著しいのでございまして、従来の二級、指数が一九〇のものが、改正では三級の一三〇と、実に六〇の指数の差で、従いまして運賃負担も下つて来ておるのでございます。まあそういつたような次第でありまして、今申上げまするようなふうに、今回の等級改正におきましては、大衆魚に対しましては、特に従来の運賃と変らないような措置をとつたという点を御了承頂きたいのであります。それから、従来鮮魚関係につきましては、鮮魚及び冷凍魚の貨物等級適用方という大綱の達しを国鉄で出しまして、高い等級の、従来上中下とございますから、その高い等級の魚と低い等級の魚と一緒に積んだ場合にはどういうふうにするとか、或いは上中下の三品を積み合した場合にはどうするかという非常に複雑な規定があつたのでございまするが、これが実際の適用上、鉄道の現場の貨物係等におきましては、上中下の区別が現実の問題としてなかなかつきにくいものもあるのと同時に、又この計算法が非常に複雑でございます。一遍や二遍読んだのでは、何が書いてあるか我々でもわけがわからないくらい非常に複雑な制度になつておりまするので、今回は、この従来の複雑な方式をやめまして、鮮魚、冷凍魚につきまして、従来の下級魚と中級魚を混載したような場合には、七級賃率、これは九五という指数になるのでございますが、そういつたような七級の賃率、混載賃率というものを特別に設けたのでございます。そのほか鮮魚につきまして御参考になります点は、今回の運賃改正に伴いまして、サービスの改善、制度改正等、貨物関係につきましては、従来各方面から御要望のありました点は、殆んど網羅的にこれを取入れたのであります。そのうち特に魚に関係のありまする事項といたしましては、従来列車指定の場合には普通の運賃に対しまして三割増を取つてつたのでございまするが、今回はそれを二割増に改めたのでございます。それから、冷蔵車を使われるような場合には、普通の賃率に対しまして一割増の賃率を頂くことになつております。従つて、列車指定をされて、そうして冷蔵車に積まれた場合におきましては、二割、一割の合計で今までと変りありませんが、鉄道の配車の都合等からいたしまして、冷蔵車が配給にならない、止むを得ずに普通の貨車が配給になつたような場合には、従来は列車指定だとそのまままるまる三割でございますが、今回は二割で済む。又列車指定もされない場合におきましては、勿論普通の賃率だけしか頂かないということに相成るわけでございます。そういうふうなのが大体鮮魚について申上げる点でございまするが、往々ごの等級改正につきまして業界のほうから御議論のありまするのは、魚は生活必需物資である、かるが故に米と同一等級に入れるべきであるというような御議論が非常に多いのでございまして、米は今回の等級改正に当りましては、勿論従来と同じように、一番下の一番安い等級の二十三級、割引等級のうちの二十一、二十二、一十三の最下位の二十三という等級にいたしておるのでございます。魚の公共性、或いは生活必需性という点につきましては、国鉄といたしましても何らの異議はございませんでございます。併しおのずから米との間におきましては、生活必需の程度がおのずから異なるのではないかというような考えを私どもといたしましては持つておるのでございます。以上。
  8. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) それでは一応水産庁のこれに関する今までの調査その他、水産課長から。
  9. 藤波良雄

    説明員(藤波良雄君) 只今国鉄のほうのかたからいろいろ御説明された通りでございますが、この問題につきましては、一昨年でございますか、一昨年三割の国鉄の値上げがあつたわけでございまするが、そのときに水産業会から、これが非常に鮮魚の配給その他に大きい影響を与えるというので、いろいろ国鉄に対しまして奔走したわけでございまするが、そのとき三割値上げは止むを得ないが、いずれ等級改正という問題がある。その際に鮮魚の扱いについては十分考慮するから、そういうお話があつたようでございます。その国鉄におかれまして、等級改正審議会が設けられまして、これに水産関係から入りまして、農林省から官房長が入りまして、いろいろ審議したわけでありますが、これが大分手間取るのじやないかと考えておつたところが、急に話が進んで来たようなわけでございます。その際に一番問題になりましたのは、先ほども営業局長から御説明がございましたが、鮮魚を生活必需物資として扱うということ、この点でございますが、米麦の、只今説明があつたようでございますが、我々が、実は米麦と同じ扱いを受けておるのは野菜なんであります、野菜と鮮魚をどうして区別しなければいかんか、そういう点についてこれまで縷々国鉄当局と御折衝申上げたわけでありますが、この点につきましては、大分見解の差もあるようでございますが、前からのいきさつと、それから例えばCPSなんか、都市の生活者の家計調査でございますが、これなんか見ますと、金額におきましても、それから食費の中に占める割合から見ましても、魚の持つウエイトが非常に大きい。生活の品物の大衆性と言いますか、生活必需性と言いますか、そういうものの示すエンゲル係数というのがございますが、それと同じような傾向を辿つて、やはり魚も同じ傾向を示しておる。と申しますのは、大衆ほどやはり魚を余計食べておる。これを畜産と比較しますと、はつきりします。それから野菜と比べましては、野菜も勿論同じ傾向を持つておるわけでありますが、先ほど申しましたように、生計費の中に占める割合が非常に大きい、そういう点からいたしましても、これはどうしても野菜並みに、今度の新等級で申しますと二十三級、それと同じ扱いを一つお願いいたしたい、そういうことを主張しているのです。それから大衆魚の魚につきましては、これは従来ございましたのに、多少その後の動きとがあれいたしまして、それのいわゆる大衆魚というものの塩乾品とか第一次加工品でありますが、そういうものをやはり大衆魚の扱いをしてもらいたい、そういう点を申上げたわけでございます。それからまぐろどかかじき、かつお、さけ、ます、こういうものは、いわゆる大衆魚といたしましても多少問題があるようでございますから、この点につきましては、いわし、さんま、あじ、そういうものと、同等でなくともいいわけでございますが、それより多少一、二級下げたところの、やはり生活必需物資としての扱いをしてもらいたい。そういう点を、主張しているわけなんです。それから漁業用の資材でございますが、これは漁網とか、水産用の氷、水産用の塩でございますが、これもやはり例の特別の扱いを受けているものが、二十一、二十二、二十三と三階級あるのでありますが、これらのものは二十一級ぐらいの扱いにしてもらいたい、そういう点も申上げたのであります。それから最後に列車指定の問題でございますが、これが従来も三割とられたわけでございます。大体東京の市場なんかの関係で見ますと、九九%は指定によりましてとられているわけですが、これは鮮魚の性質からして当然我々のほうからも必要でございますが、当然鮮魚はその腐敗性、そういうものから優先輸送をしてもらつて一定の時刻に市場なら市場に着くようにすべきではないか、そういうことから列車指定の割増についても十分考慮してもらいたい、そういう申入れをしておる。それにつきましては、先ほど営業局長から御説明があつた通りでありますが、大体私たちがこれまで審議会を通じたり、又直接国鉄当局と折衝しました点は以上申上げた点であります。
  10. 木下辰雄

    ○木下辰雄君 これは一つは運輸省、鉄道公社の案であり、一つ水産庁の案がある。これはまだきまつていないわけですね、どうですか。
  11. 津田弘孝

    説明員津田弘孝君) ちよつと言葉が過ぎるかも存じませんが、どなたも運賃の値上げに賛成をなさる向きは殆んどないわけでございます。又等級が高いところに位置付けられることに対しまして賛成をされる産業というものは殆んどないわけでございます。そこで国鉄といたしましては、先ほど来申上げましたような慎重な手続を踏みまして、一応の案を作つたわけでございまするが、個々の産業なり個々の業者、業界から国鉄が直接陳情をされて、それによつて直す、理論的に、合理的に一応弾いたところのものを直すということは、これは避けなければならんというふうに考えまして、商工物資、通産物資につきましては、通産省の企業局長を窓口に、勿論通産省を窓口にいたし、又農林物資関係におきましては農林省を窓口にいたしまして、そこでそれぞれの所管の産業、所管の業界の間を調整して頂くというような手だてを講じておる次第でございます。従いまして私どもが窓口といたしまする通産省の部局或いは農林省の部局との間におきましては、完全に了解を遂げたというわけではございませんが、おのおの物資の持つところの地位、或いは社会公共性というような点から、まあ現在の国鉄のあれのように、あれが妥当であるというような方向に向つては進んでいると思うのです。勿論それぞれの所管の局等におきましては、それに対して御異議があるかも知れません。一応窓口として頂戴しておりますところでは、大体調整をしつつあるというような状況でございます。なお申しおくれましたが、先ほど水産課長からお話のございました漁網につきましては、特段の手段を講じておりまして、今回の等級改正で割引等級の中に編入をいたしている次第でございます。
  12. 木下辰雄

    ○木下辰雄君 私はきまつたか、きまらんかということをお尋ねしたので、きまつていませんね、はつきりは。
  13. 津田弘孝

    説明員津田弘孝君) 目下作業中でございます。
  14. 木下辰雄

    ○木下辰雄君 今水産課長の御説明のように、水産庁のあれを見ますと、大体において私どもの意見と非常に一致せず、今後これをもう少し加味して更に改正案を直すという意思はないですか、鉄道公社に。
  15. 津田弘孝

    説明員津田弘孝君) 勿論まだ作業中でございますから、十分にお打合せいたしたいと思つております。併しながらこれは農林全体の物資の間における全部のバランス或いは通産物資の間におけるバランス、全体としてのバランスというような点から考えまして、十分調整はいたしたいとは思つておりますが、やはり合理的に考えまして、おのずからそのものが置かれる位置というものはあるだろうというふうに考えております。
  16. 木下辰雄

    ○木下辰雄君 この表に書いてあります生活必需物資の二十三級、先に御説明では米麦、米麦と言つておりましたが、この二十三級には米麦のみならず大根であるとか、その他生鮮の野菜は全部含まつておるようです。こういつた野菜と水産物と差を付けるというのはどういうのですか。
  17. 津田弘孝

    説明員津田弘孝君) これには先ず沿革的な問題を申上げなければならんと思うのであります。米はさておきまして今お話のございました野菜でございますね、生野菜これは現在の等級におきましても勿論政策的な公共的な考慮を払つておるのであります。先ほど私が申上げました基本の等級から申しまするとそれは五級でございます。その五級に対しまして、これをそういつた社会的な理由から、政策的な考慮からいたしまして、現在は十級に相成つておるのでございます。それに対しまして、今申しました鮮魚、冷凍魚等の類は基本の等級が四でございまして、それに政策的な考慮を加えまして、七という等級になつております。五の十、四の七というような点から申しまして、おのずから現在の等級の中におきましても、高低の差があるわけでございます。今回の等級改正につきましても、やはりそのような点を考慮いたしまして、例えばそれでは野菜を更に現在の二十三級でなしに二十一級、これは生活必需物資であることは間違いございませんから、二十一級というような点に持つて行くことも可能ではございましようけれども、やはり従来の沿革から申しまして、余り急激な負担をかけるということも避くべきであるというような考え方からいたしまして、野菜は従来通り最低の二十三級にいたしておるのでございます。それに対して鮮魚は二十一級の指数的に申しますると八十五というところに相成る、これはまあ沿革もございまするし、それからまあ野菜と魚とそういつたような点につきまして、農林当局ともお打合せをした結果、今の作業といたしましては、そういうふうなことに相成つているわけであります。
  18. 木下辰雄

    ○木下辰雄君 只今基本々々と言われますが、鉄道運賃改正という要するに等級改正ということになれば、前の基本なんというものは一応度外視して、新たに物資負担力輸送力の原価、公共的な考慮という三点から検討して新たに作るべきものと思う。そうすると私は野菜と鮮魚とを区別した理由もわからない。更に又木炭とか或いは薪とかこれが二十二級であつて、生鮮食料品は二十一級であるということもどうも合点が行かない、その辺の考えはどうですか。
  19. 津田弘孝

    説明員津田弘孝君) 私どもといたしましては、先ほど申上げましたような一つの基準に照らしまして、完全に新らしい等級の編成をいたしたいというふうに考えておつたのでございます。それがよろしければ、勿論そういうふうにすれば、一番合口理的なものになるだろうと思つたのであります。やはりこういつたものにつきましては、現在の運賃負担よりも著しく殖える、これは本当に殖えるものがあるのでございます。そういつたようなものにつきましては、農林、通産両当局からの御申入れもありましたし、又等級審議会答申の中にも、従来に比して余り著しい変革を与えるものについては、考慮すべきであるというような答申も頂いているというような関係から申しまして、先ほど申しました尺度からのみ新らしい等級を作るということはいたしません。やはりそこには沿革というようなものを或る程度入れることのほうが、実際の産業の事情或いは取引の事情にも適するのではないか、こういうようなふうに考えて、そのようにいたした次第であります。
  20. 木下辰雄

    ○木下辰雄君 水産庁にちよつとお伺いしますが、大体鉄道側の御説明は前の運賃を大体基準にして上下した、これは答申に基いてやつておるというお話で、それは一応理由があるかも知れませんが、私どもは今の運賃が非常に不合理であつた、これを根本的に改正して初めて公平なる前の三件に合つた新たな等級ができる、こう思つておりますが、只今水産庁次長の説明されましたことを私ども非常に首肯するのですが、これを水産庁は最後まで通して御交渉される意思があるかどうか、お伺いしたい。
  21. 岡井正男

    説明員(岡井正男君) 只今木下委員からのお尋ねでありますが、私のほうは営業局長とはいささか相違いたしておりまして、一応官房長のほうが農林一般につきまして代表的なものとして折衝に当たられたのでございますが、水産について非常に同情的にしてなお且つ二十一、二までしか考える余地がないと言われておりまするが、最終に割切つたのではないと只今局長の答弁もございましたので、なお私のほうはいろいろな観点からその局に当たられる御当局のほうへは粘り強く交渉を重ねたい、こういう気持を持つております。
  22. 木下辰雄

    ○木下辰雄君 只今水産庁次長の答弁、私非常に満足するのですが、少くともこの大衆魚類は薪や木炭より上に持つて来ることが私は当然だと思う。その点は一つ通産省へ十分御折衝の上立派な等級を作られることを切に希望いたします。鉄道のほうにもお願いいたしたいと思います。
  23. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 私からもう一つ伺いたいのですが、現在政府といたしましては、日本の食糧問題というものに対して非常な自給態勢を作ろうということで、あらゆる施策を練つておるわけであります。これは政府に限らず国民一般として日本の食糧が非常に不足しておるということは、これは誰しも認められるところであつて、これが増産のためには相当の大きな経費を使つてでもやろうという現在の状況であるわけでありますが、我々水産関係の者といたしましては、ただ米麦を一生懸命やつて見たところで、おのずからこの陸地の面積というものには限りがある。ここに水産物というものがかなりたくさんのものが余つておる。而も日本国民は水産物によつて健康を保持していると言つてもいいくらいであります。この水産物が相当今外国に輸出されておる。この輸出されておるものを国内で消費するようになれば、米麦はよほど緩和されるのではないか。殊に私は農村に向つて水産物をどんどんと持ち込んで、できるだけ農民に水産物を食べさせるようにしたい。そうするというと、徒らに米を食つてばかりいた連中が、相当その面において節約されることは、これはもうはつきりしている。我々が人を使つて見ても、農村から来た者は米ばかり食つているが、魚その他お菜を相当供給するというと米の量がぐつと減つて来る。そういう実例はこれは言わんでもわかつていることでありますが、ただ如何せん水産物が比較的高いということから農村に欲しくても受入れられん現状にある。それで我々としては、これらの水産物の価格をできるだけ引下げて、水産物を生産する漁業者も引合うというところにこれを持つて行くならば、今日の食糧というものはかなり増産と併行して米麦というものが余裕ができて来る、こういうように私は考える。そこでこの水産物を取扱うところの中間の経費もできるだけ節約をすべきものと思うのですが、今も木下委員から頻りに質問のありましたように、この水産物というものが野菜とは別の扱いを受けるということはどうしても私どもには合点が行かない。殊に大衆魚というものは我々が一番切実に感じたのは戦時中に水産物が少かつた場合のことを考えればよくわかるのですが、如何に我々の体位を落すかということもこの蛋白給源の如何によつて現われておる。そこで鉄道運賃のごときにおきましても同じように非常に国民の保健に大事な水産物が野菜と運賃が違うということではどうしても納得が行かない。これは運賃改正の際に当つて、戦前の比較的日本に食糧の豊富であつた時代と今日とは非常に世の中が違つているんです。そこで従来の運賃のまあきめ方の行きがかりをとやかく言うことは当らない。今日は時勢が変つておる。日本の国情が変つておる。従つて私どもの希望としてはどこまでも水産物は野菜や米と同じようなところに持つてつて何ら不都合はない、こう思うのです。従つてこの等級決定がまだ確定をしていないことは非常に仕合せでありますので、国鉄においてもこの点は現在の日本の国情と睨み合せ、殊に現在の政府が食糧問題を非常に重く取上げておるということと考え合せて、水産庁の主張している点を一つ受入れるように操作をして頂きたいと、私はかような希望を持つております。これはあらゆる面において日本の食糧の解決というものはやつて行かなければ、平時にはいいが、いざとなつたときには非常に困る問題であるので、我々はたとえ輸出の水産物をとめても国民にこれを供給するならば、米を買う金はうんと少くてよいと、こう思うわけですが、如何せん値段が高い。この間も水産庁長官にいろいろ私話して見たが、戦後においては農村に約五割ぐらい魚が利用される率が殖えたということでありますが、これは運賃を安くする、その他の経費を安くしてもつと農村に水産物を供給するならば、食糧の緩和はかなり私はできる、こういう観点にありますので、我々としては政策的にもこれを推進すべきものだと思いますので、関係当局もそういう点十分考慮して頂きたい。これは単なる漁業者経済の問題でなくて、国民の保健と食糧の面から一つ考えて頂きたい。水産庁もこの面においてうんと主張して頂く。これは決して水産業者の経済という面だけでなく、もつと大きな見地に立つて見て頂きたい。こういうことを私は希望しておきたいと思います。
  24. 津田弘孝

    説明員津田弘孝君) 只今委員長のお話はよくわかるのでございます。いささか沿革的に申しますると、鮮魚は戦前におきましては上中下というような区別をしておらなかつたのでありまして、それが戦前指数が一一〇であつたのであります。それを先年魚の一本の分を九五というところまで下げたのでございますが、更に昨年の運賃値上げの際にこれを上中下というふうに分けまして下級魚につきましては八五というような指数に持つてつたのでございます。一一〇が漸進的に八五まで下つて参つたのであります。一方野菜につきましては今回の等級改正に上りまして例えば大根について例を申しますならば指数六〇のものが今度は十〇に上つて来ております。それから菜類におきましては従来六〇のものが六五に上つて来ておるというような次第でございまして、だんだんとまあ野菜、魚というようなものが接近をする傾向にはあるわけでございます。なお従来の沿革等もございまして、現在のところでは私どもは今考えておるようなところが程よいところではないかというふうに考えておる次第でございます。  なお申添えたいと思うのでございますが、今国民の食生活の上におきまして鮮魚が如何に重要な役目を果しておるかというような点につきましては、先ほど来いろいろとお話がございまして何ら異論はないのでございますが、私どもといたしましてはこういつた運賃の軽減も勿論大事でございますが、それより以上に国鉄といたしまして大事なことは、貴重なる鮮魚というものをもつと早くそうして生鮮な状態の下に輸送するということが国鉄責任ではないかというふうに考えておるのでございます。従いまして現在予算等が非常に苦しい際ではございますが、冷蔵車の整備というような点につきましては、来年も更に一般の貨車は押えるにしても冷蔵車は作つて行かなければならんというようなことを我々は寄り寄り話をしておる次第でございまして、これによりまして鮮魚輸送について国鉄として更に貢献をして参りたい。なお制度等につきましての改善策につきましては先ほどその一端を申上げたのでございますが、運賃負担の軽減と同時に、こういつた設備の面或いは制度の面につきましても鮮魚の重要性から考えまして十分今後推進をさせて頂きたいというふうに考えております。
  25. 木下辰雄

    ○木下辰雄君 只今の局長の御説明は私も了承するのです。勿論そういうこともやつてもらわなければならんのですが、どうもこれを見ますと、そうじやないのかも知れませんけれどもこれは殆んど……、農産物が二十三で水産物は二十一というふうに書いてございますが、余りに水産物の待遇が悪い、これは日本における唯一の蛋白資源であつて、私は生活必需物資としては米麦と並び称せられるものは水産物であると思う。それが大根や野菜よりも、又薪やなんかよりも低いということはどうも我々合点が行かない。だからこの際当委員会としては私はこれに対する態度を決定して当局に向つて意思表示をする必要があると思うが如何ですか。皆さんの御意見は御異論なければ委員長のほうでそのようにお取計らい願いたいと思います。
  26. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) この問題につきましては今日初めて伺うわけでありますが、もう少し具体的に検討しまして如何なるものをどこに持つて行くかというようなことまで我々検討する必要がありはしないかと思います。
  27. 木下辰雄

    ○木下辰雄君 一体これをいつ決定するのですか。
  28. 津田弘孝

    説明員津田弘孝君) 御承知のように鉄道は非常に全国的に営業をやつておりまするので、こういつた制度の変更につきましては非常にさまざまな準備の段階が必要なんでございまして、これによりまして新らしい等級表を作る、又新らしい賃率を、これは運賃法の中に規定されておりますので国会の議決を待たなければならないのでございます。それからいろいろな制度につきまして実際の現場の貨物係がこれに習熟をいたしまして、新らしい賃率、新らしい制度を適用するということになるわけでございまして、どうしましてもその間に相当の日数を要する次第でございまして、従いましてこの貨物等級の決定につきましても余り長い間これを延ばしておくというようなことはできません。もうこの数日の間にはこれを決定して新らしい制度、新らしい等級の適用について現場の遺憾のないように、又各産業界に御迷惑のかからないようにいたしたいと考えております。
  29. 木下辰雄

    ○木下辰雄君 時期に間に合うように一つお取計らいを願いたいと思います。
  30. 千田正

    ○千田正君 国鉄から局長が見えておりますから一応聞いておきたいと思いますが、先ほど鮮魚輸送につきまして輸送車その他の確保、輸送ルートの確保、或いは車の数の確保ということについてしよつちゆう考えておられるようですが、駐留軍が減少し、独立後の日本におきましては、占領軍がおられた当時とは違いまして、相当の数の車両が、多少民間或いはその他に廻すような数が殖えたと思いますが、そういう状況について簡単でよろしうございますから、占領軍が日本におつた当時と現状とはどれだけ一体差があるかという点をお答え願いたいと思います。
  31. 津田弘孝

    説明員津田弘孝君) 只今のお尋でございますが、相当数の冷蔵車が従来占領軍によつて接収をされておつたのでございます。又今日におきましてもなお彼らの専用に供されておる数量は相当多いのでございますが、それが最近にどのように返還になつて参りましたかという具体的な数字につきましては、いい加減な数で申上げるのもどうかと思います。具体的な数を早速取調べまして、明日でも御返事させて頂きたいと思います。
  32. 千田正

    ○千田正君 それに関連しまして御承知のごとく今炭労のストであるとか、或いは電産のストだとかいう年末に際してのストが行われておつて、相当輸送能力の上においても狂いが生じて来ておる。特に鮮魚輸送等に対しては、或る意味において支障を来たしておると思いますが、今あなたのお答えになりましたように曾つて占領軍が使用しておつた冷凍車或いは鮮魚輸送車が一応返還されたものとするならば、この年末の輸送には差支えない程度に廻されるのかどうか、その点はどうでありますか。
  33. 津田弘孝

    説明員津田弘孝君) その点は今後の炭労ストの推移にもよる次第でございまするが、私ども今回いたしておりまする第三次の列車削減の手配、現在はその段階にあるわけであります。旅客におきましても、貨物におきましても標準の列車キロに対しまして旅客は約三割、貨物は三割三分だつたと記憶いたしますが、その程度の削減をいたしておるのでございます。併しその中で鮮魚その他の急送輸送につきましては、これを優先的に確保するように指令をいたしておるのでございます。又従来鮮魚列車と称しております急送の貨物列車のごとき筋はこれを消しておらないのでございます。
  34. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 私ども本日初めてこの問題に取つ組んだわけでありますが、頂いた資料によりましてもう少し検討しまして、更にこの問題を研究したいと思いますが、委員のかた如何でしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) それでは御異議がないようでしたら次回にもこれを続けて検討するということにいたしたいと思います。  それでは今日は運賃に関する問題はその程度にしておきます。速記をとめて。    〔速記中止〕
  36. 秋山俊一郎

    委員長秋山俊一郎君) 速記を始めて。  それでは本日の委員会はこれを以て散会いたします。    午後三時二十九分散会