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1953-02-03 第15回国会 参議院 図書館運営委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年二月三日(火曜日)    午後一時三十九分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     宮城タマヨ君    委員            岡田 信次君            徳川 宗敬君            金子 洋文君            小泉 秀吉君            木内キヤウ君   政府委員    大蔵省主計局次    長       正示啓次郎君   国立国会図書館側    国立国会図書館    長       金森徳次郎君   —————————————   本日の会議に付した事件国立国会図書館法第二十六条に規定  する金銭取扱規程案国立国会図書館法第二十六条の規定  に基き、金銭寄贈を受けるについ  て承認を求めるの件 ○昭和二十八年度国立国会図書館予定  経費要求書に関する件 ○派遣議員の報告   —————————————
  2. 宮城タマヨ

    委員長宮城タマヨ君) 只今から図書館運営委員会を開きます。  本日の議題といたしましてはお手許に資料として配付いたしてございますが、第一に国立国会図書館法第二十六条に規定する金銭取扱規程案、第二に国立国会図書館法第二十六条の規定に基き、金銭寄贈を受けるについて承認を求めるの件、第三に昭和二十八年度国立国会図書館予定経費要求に関する件の以上三件を予定いたしております。  それでは先ず国立国会図書館法第二十六条に規定する金銭取扱規程案及び国立国会図書館法第二十六条の規定に基き、金銭寄贈を受けるについて承認を求めるの件の二件を一括して議題といたします。  先ず金森図書館長から御説明をお願いいたします。
  3. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) 只今議題に上つておりまする二件につきまして、便宜の上からは金を受取ることについての承認をお願いするほうから先に進めたいと存じておりますが、この国立国会図書館法によりまして図書館図書館奉仕等に関しまして寄附を受ける途が設けられております。併しながら今までさまで大きな寄附を受けたことも、ございませんでした。ロツクフエラーその他から書物寄附せられたことはございました。それはそのときそのときに受入れて、一般の閲覧に供するということにいたしておりましたが、金銭のほうの寄附を受けましたときは、これはそのままで寄附を受けることはできないのでありまして、図書館法第二十六条の規定によりまして図書館運営委員会の御承認を経てからその寄附を受入れるかどうかということの順序に入つて行くのであります。ところが今回それに当りまする事件が起りました。それほお廻ししてあります書類にありまするようにロツクフエラー財団から図書館写真施設を設けるために四万一千ドルの額までの金額寄贈するということがロツクフエラー理事会できめられまして、昨年その通知を受けましたのであります。従つて若しできまするならばその寄附を受入れまして、今まで不自由をしておりましたマイクロフイルムの一通りの機械を全部揃えたいという気持を持つておるのであります。このマイクロフイルムロツクフエラーから寄附してもらうということは、今日に始まつた議論ではございませんので、今から五年前にロツクフエラーの人がやつて来ましたときに、私のほうからもこのマイクロフイルム機械のことをいろいろ雑談をいたしました。当時は外国から物を入れるということが非常に困難で、買うことも殆んど不可能な時代でありましたので、一層その熱望が強かつたのであります。併しなかなか思うように捗りません。とそののちアメリカ国会図書館の所有でありまする写真機を借用の形で使つておりました。今まで辛うじてマイクロフイルム撮影を、写真を写しましてあちらこちらの希望に応じましたり、自分たちの用にも立てていたのであります。併しこれは非常に不完全な機械でありまして、能率が悪いのでありますが、だんだん向う相談して見ますと、一つの代表的な図書館におきましては、マイクロフイルム施設一つじやいけないのでありまして、大きいものを楽に撮影する機械、例えば新聞紙その他の大きなものをそのまま楽に写す機械というものを、これは大きくなりますから据付けて持たなければなりません。それから又普通の大きさのものをうまく撮る機械、これは一番需要が多いのでありましてこれも若干持たなければならん、それからもう一つはどこへでも持運びのできる機械を持たなければならん、こういうふうの設備が必要となつて参ります。それから写しましたものを現像する装置能率の悪い方法ではいけませんので、一貫作業で楽々と簡単な装置でフイルムを完成するという装置も要るのみならず、そのほかの雑品も要りまするし、それから技術を入れる必要がございまして、実際今まで心艇とかして私どもマイクロフイルム撮影をしておりまして外国へ持つて行つて批評をしてもらいますると、ハツサブルである、つまりどうにかこれで間に合うということはいつておりまするけれども、今後改善する余地はたくさんあろうと思つております。これらを考えましてこの四万一千ドルの寄附金もとにいたしまして、このうちで写真機を四つばかり買いまするし、完備した現像装置を整えまするし、それから一般設備技術という点につきましては、人をアメリカ派遣をいたしまして、機械作つたそこの様子もよく聞き質し、そのほか一般に進んでおる技術を覚えて来る、こういうことが必要だろうと思いまして、この四万一千ドルを以ちまして国会側の御承認さえ得ることができますれば、直ちにその実行に移したいという気がしております。でその機械を据付ける設備等をいたしまするためにも、現在の図書館地下室相当の広さの所を予想いたしまして、ここでいつでもやれるように準備をしておるわけです。  かようにして現金でそとから寄附を受けるということになりますると、ここに問題になりまするのは、それをどういうふうに使うことができるであろうかという点であります。これが国立国会図書館法の第二十六条が根拠になつておりまして、その規定の中におきましては、図書館奉仕又は蒐集資料に関連をして「直ちに支払に供し得る金銭寄贈を受けることができる。」こういうふうに書いてございます。「直ちに支払に供し得る」というのでございますから、殊にこれに対しまする英語のほうはイメデイエイトという言葉が使つてある、当時向うから助言をして来ておつたような関係もございまして、この「直ちに」というのは本当にそつくりそのものを目的に使うごとだろうと思つております。かようなものをどういうふうに扱うかということでございますが、軽卒に扱いまするといろいろ思わしくない結果もないとはいわれませんので、今日これに対しまして万全の計画を立てておくことが必要であるというふうに考えまして、そこでもう一つの案で御承認を願つておりまするところの金銭取扱規程案御覧に入れて御承認を得たいとしておるのであります。これは、考え方は直ちに支払に供し得る性質のものでありまして、一旦国庫に納めて更に予算に組むというべきものではございませんで、そこで歳入歳出外現金として取扱うべきものというふうに第二条にそのことを明らかにしております。これは歳入歳出外現金に関する規定から来る当然の結果であります。併しこの金を現実に使いまするような場合はどうするかというときは、館長責任を負いましてそれについての処置をするというふうにこの規定を定めまして、つまり本質的な管理上の責任館長が負いまするし、現実の出し入れの責任歳入歳出外現金出納官吏がその責任を負う。これで間違いなきを期するようにいたしております。こういうようなことを始めて見ますると、なおいろいろ細かいことでございまするけれども寄附者希望に応じて程よく処置いたしまするためには、更に細かいことも必要であろうと思いまして、それは第四条におきまして館長が定めることのできるように規定を設けておるのであります。こういうふうな扱い方をいたしますることにつきましては、内輪の関係におきましては会計検査院等実質上懇談をいたしまして、そこに完全な了解をとりつけております。多分この法によりますれば将来とも禍いなく扱えることができるであろうと思つております。  以上がこの二つの案の御説明でございます。何とぞよろしく御承認を願いたいと存じます。
  4. 宮城タマヨ

    委員長宮城タマヨ君) 只今規程案及びロツクフエラー財団から申出のありました金銭寄贈を受けるについて承認を求める件について御説明を承わつたわけでございますが、御質疑がございましたら引続きお願いいたしたいと存じます。
  5. 金子洋文

    金子洋文君 大体異議ございませんが、直ちにというお言葉説明がありましたが、直ちに使わない寄附があつたときはどうなりますか。
  6. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) 将来のことを考えますると、直ちに使うのではなくて将来いろいろ計画を立てて使う、こういうふうのものでございましたら、これは一般歳入のほうに取つて頂いて、大蔵省と話をつけてそれを改めて支出のほうに充てる、こういうふうに考えております。
  7. 小泉秀吉

    小泉秀吉君 ちよつと伺いますが、技術習得のためにこちらからやる人というものは、これはやはりこういうものを取扱う上に堪能な技術者というものがいるのですか。誰れでも、そういう特に技術を持つてない人でも人間さえしつかりしてればよい、こういう点どうですか。
  8. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) この寄贈の趣旨を初めから申上げますると、だんだん話を事実上進めて行きましたときに、向うでは日本マイクロフイルム仕事がまだ十分伸びていない、伸びていないということは、こういう特別な写真施設を扱う技術が不十分である、こういうふうの考え方を持つたわけであります。そこでそれでは日本一つ向うから技術者派遣をして、そうして日本図書館に適当な教育をするというようなことも向う考えました。  もう一つは、日本から或る程度でき上つておりまする技術者向うへ送つて、そうしてこれに習得させる、こういう二つ考え向うのほうで考えたらしいのであります。私どものほうともそれを相談をいたしました。ところが向うから人を派遣をしてこちらに滞在をして丁寧に教えるということになりますると、非常にその経費等も嵩むことでありまするので、向う考え直したものと思います。そこで向う要求といたしましては二つ条件を示しておりました。一つはこの写真技術について相当の経験があつて、直ちに向うでその訓練を受け得るような人、これが一つ条件であります。いま一つは、日常の話す英語につきましては特別な教育をしなくてすぐそのまま役に立つ、こういう一つ条件を示して来たわけであります。ところが実情を申上げますると、私のほうの図書館にはそれだけの人を今まで予想しておるわけでございませんので、そこであちらこちら探しましたところが、どうにかそれの条件に合う人が一応見当がついております。それは先ず写真事務、これは注文にはございませんけれども、こういう写真仕事を運営する事務に慣れておる、それからかなり長い間写真撮影技術について修業をし、それから英語相当に話せるという程度の人が今頭の中に一応ひそめておるのでありまするが、向うのほうの注文によりますると、英語が話せないものだというと、アメリカへ呼んでから語学を教えなければならんので、非常にプランの立て方がむずかしい。こういうことを非常に心配しております。だからそういうふうに両方の能力のある人が参りまして、三カ月以上の修業をする、予算では六カ月の予算がございますけれども……、そうしてそれは先ず初めアメリカ国会図書館写真部行つて技術を或る程度まで教育をする、それからアメリカ中のこういう写真施設を持つておる図書館の主なるものを歴訪して、その間に総合的な扱い方、つまり事務を含めた考え方を見学させるというふうなことで、向うではプランを立てておるように私のほうに言つて来ております。かなり人選のむずかしい問題のような気がしております。
  9. 宮城タマヨ

    委員長宮城タマヨ君) 他に御発言もないようでございますが、それではこの国立国会図書館法第二十六条に規定する金銭取扱規程案及び国立出会図書館法第二十六条の規定に基き、金銭寄贈を受けるについて承認を求めるの件は、いずれも承認を与えるごとに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 宮城タマヨ

    委員長宮城タマヨ君) 御異議ないと認めまして、さよう決定いたします。   —————————————
  11. 宮城タマヨ

    委員長宮城タマヨ君) 次に昭和二十八年度国立国会図書館予定経費要求に関する件を議題といたします。  先ず金森図書館長から御説明を承わります。
  12. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) お廻ししてありまする書物に大体の数字が出ております。数字が飛び飛びになつておりましてちよつと御覧になるのに面倒かも存じませんが、あらかたの御説明を申上げます。  図書館管理運営に関しまする経費計算関係からいうと二口に分れております。一つ図書館の直接管理運営に必要な経費、つまり一般的な経費であります。それが二億八千四百十六万八千円ということになつております。それからいま一つはいわば臨時一つ経費とでもいうべきものでありまして国立国会図書館を新らしく作るという意味での営繕工事に必要な経費、これは一億円ということになつておりまして、合計をいたしますると三億八千四百十六万八千円というのであり、その数字刷り物の一番右の上のほうに合計として出ておるのであります。これを念のために昨年の経費と比べて申しますと、ぴつたりとは比べることができないのであります、内容が違うところがございますから……。併し昨年の経費で申しますると、国立国会図書館管理運営に必要な経費は二億二千三百九十万五千円というものが概定されてございまして、そのほかに昨年からいろいろお骨折りを願いましたP・Bレポートを買いいれまするに必要な経費が後に補われまして、その金額が六千九百七十万八千円ということになつております。なおそのほかに前から図書館営繕工事に必要な経費八千三百四十三万一千円というものが既定予算に上せられておりました。これはまあ通常の営繕工事をも含んでおりまするし、又将来の図書館営繕に関する費用も含んでおりまして、とにかく八千三百四十三万一千円含んでおります。合計いたしますと、三億七千七百四万四千円ということになります。でありますから昨年の分と今年の分と比較いたしますと、実質においては七百十二万四千円の増加ということになつております。全体から申しますると、割合はそんなに大きな増加ではございません。但し昨年の分の中にはP・Bレポートという特別なるものを含んでおりますし、なお図書館の新らしい建築とやや離れて、営繕工事に必要な臨時費を含んでおりましたので、そういうものが減つて、そうして新らしく図書館建築費用が一億円加わりまして、そうして金額の結果において七百十二万余になつたのでございます。本年には何か新旭に認められた経費があるかと申しますると、殆んどございません。従来の経費と同じふうに考えられておりまして、ただ職員の俸給とかいうことの変化に応じて、多少の変化があるだけでございます。併し加わつたところを試みに取上げて見ますと、受入整理部書物を整理するために正規の職員増加することができませんので、非常勤職員を十五名殖やしたというようなことが殆んど唯一の増加と言い得るようになつております。ただそのほかに小さい金額ではございまするけれども日本の憲法の資料を今から失われないように整理しておくというような金額が三十四万円加わつておるということが一つ目新らしいことであると言い得ると思います。それから図書を買います費用が、これが実は表面で申しますと、前年度よりも百十二万円減つておるという計算になります。なぜ図書購入費が百十二万円だけ減つたかと申しますと、これは必ずしも減つたわけではございません。と申しますのは、前年度の費用には憲政資料を集める費用といたしまして、二百五十万円加わつておりまして、つまり一時的な経費を含んでおつたのであります。大体憲政資料収集ということも一段落つきましたので、この予算は削られまして、そのほかに幾分図書購入費増加されまして、結局百万円ばかり殖えたということになつておるのであります。  それから次に国立国会図書館営繕工事に必要な経費は一億円ということに計上してあるのでありまして、そのうち庁舎建築費に九十九百万円、それから事務費に百万円というふうに二つに分けております。これは皆様がたの御援助によりまして、日頃努力を微力ながらも尽しておりましたその国立国会図書館の本庁舎建築経費がここに頭を出して、予算の上に現われることになり得ますことは、誠に喜ばしいことであり、ここに謹んで御礼を申上げる次第であります。ただこの予算を組みます上には、どういう図書館を作るか、どのくらいの規模を以て建築が行われるであろうかということをはつきり念頭に置いて、この経費を組むということが恐らく本筋であります。私どもはこの線を以つて努力をいたしておりましたけれども、何分にも予算をきめることにつきましては複雑な関係もございまして、そういう中身は必ずしもはつきりきまつておりません。金額が一億円ということをもとにいたしましてこれからだんだん内容が発展して、数年の間に必要な建物が作られるように期待をしておるわけであります。なおこれは、それじやどういう計画によつたのであるかというような点につきましては、財務当局図書館との間にいろいろな話合いを今後進めなければならんと思いますけれども、私どものほうだけの気持から申しますると、ともかくも従来お願いをしておりましたところの一万五千坪という図書館基礎計画は変えないでおきたいものである。但し財政の都合もございまするので、何年間に作るとかいうことは今日見通すことができませんが、漸次その方向に進むという考え方を持つて先ず今年は一億円を以て出発するというふうに心得ております。  以上簡単でございまするが、昭和二十八年度の図書館予算内容を申上げました。何とぞよろしく御審議をお願いいたします
  13. 宮城タマヨ

    委員長宮城タマヨ君) 只今承わりました図書館建設予算につきましては、実は昨日衆議院図書館運営委員会においていろいろ御論議があつたように聞き及んでおりますのでございます。丁度只今大蔵省から正示主計局次長の御出席がございましたので、御質疑等発言がございましたらお願い申上げます。
  14. 金子洋文

    金子洋文君 建築費の問題ですが、一億円計上されたことは甚だ少いが、まあとにかくそれたけ得たことは大変結構なことだと思います。どういうふうに今年それが使われるのかちよつと今の御説明ではわかりかねるのですが、建築を大きく予定しておいて、そうして一部分を今年ぼつぼつ作つて行くのか、最初大きく或る程度計画を立てて基礎だけをやろうとか何とか、要するに一億使うとどういう形のものがここに眼前に現われて来るのかということですね。
  15. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) これは実行内容に入りまするのは、まだ大蔵省等とそんなにはつきりした御相談はできておりません。がつちりしたことは言いかねまするが、私のほうの考えだけを申しますと、又その線に沿つて是が非にも私は行きたいものと思つておりまするが、根本の計画は一万五千坪の計画で行こう、本来四万五千坪という計画はございまするけれども、これは後の問題に残しておきたいというのが第一点であります。併し一万五千坪というもの、この際すぐに建てるということは又困難でございまして、その大よそ半分近くのものを先ず第一期のものとして建てる。その半分近いものを私どもの今まで申上げておりましたのは、八千坪のものを作りたいという願望を持つておりますが、これとても一年にできることではございません。いろいろこれから三年でやるか四年でやるかというところに議論が起るかと思います。それにいたしましても先ず第一年度におきましては一万五千坪については敷地の計画を立てるということが必要であります。土地の調査をするとか、或いはそれに必要な基礎工事をするということになりまして、それからだんだん建築設計をしつつ、最初の年度におきましては杭打ちその他の基礎固め工事をいたしまするので、これ以上にはできないと思つております。
  16. 宮城タマヨ

    委員長宮城タマヨ君) ちよつと金子委員に申上げます。私大変怠つておりましたけれども、今まで二、三回の委員会を開きまして、そして私どもとしたら大分具体的な説明を伺つておりますので、その資料どもあとで又当局のほうから差上げることにいたします。
  17. 徳川宗敬

    徳川宗敬君 今、館長の御説明を伺いますと、一万五千坪の計画は変えないというお話でありました。これは大蔵省でもお認めなつている数字でございますか。
  18. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) 一昨日衆議院図書館委員会におきまして、委員のかたとの間にそれに対する非常な疑惑といいまするか、この問題が起りまして、それから大蔵省主計局長に御出席を願いまして、それについて主計局の意見を問い質されたのであります。そのときの主計局のお答えとしては、計画は一万五千坪ということに反対はしない、併しながらこれを実行するその年割りの問題については今日未決定である、その点においてなお考慮する、今後考慮を進めて行くのである、こういうところで一応の話が済んだように心得ております。
  19. 徳川宗敬

    徳川宗敬君 そうしますと、一万五千坪の計画は大体認められたと思いますが、その第一着手として一億円の経費認められたのでありまするが、今、金子さんの御質問はそれで以てどういうものを作るかという御質問であつたように思うのですが、それも伺いたいと思いますけれども、なおあと計画でございますね、これは数日前にきまつたことですから、図書館としてもまだ御計画ができないと思いますけれども、将来の、何年計画でどういうふうにやるかという大体の腹ずもりはおできになつているのでございましようか。
  20. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) こういう具体的な問題になりますると、今度予算のほうとの連繋が非常にむずかしくなりまして、私だけの考えるところで以て将来押切るということはそうはつきり申上げかねるのであります。併し私どものほうの考え方といたしましては、先ず最初に八千坪のものを作り、次に七千坪のものを作る、これは決して、別々のものではなくて、二つがくつついて一つ働きをするもので、働きの上にも、建築の上にも繋がるものである、こういう着想をしております。そうすると前の八千坪の部分は、私どものほうの設計では三年間に完成する、のちの七千坪はのちの三年間で完成する、六年たちますると一万五千坪の図書館建物ができる、こういうような計画を以てあちらこちらに御尽力をお願いしておつたのであります。併しそれ以上は今後の財政の問題が入つて来まするので、今はつきり申上げることはできないのであります。
  21. 徳川宗敬

    徳川宗敬君 今のお話で、大蔵省のほうとしては大体今、館長の言われたような御計画を御了承の上で、その一部分として一億円ですか、お認めなつたと思いますけれども、やはりそういうふうに了解してよろしいですか。
  22. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答えを申上げます。本日主計局長は御承知のように別の会議のほうに出ておりまして、私代理で参りました。先ほど来委員長並びに館長先生からのお話もございましたように、昨日衆議院におきましてもこの問題につきましていろいろお話がありまして、結局八千坪の第一期計画といたしまして八千坪の建物を建てることにして、二十八年度はその最初の分といたしまして一億円を出す、こういうことは昨日の委員会においても、もうすでにお話があつたように拝承いたしております。さて八千坪を何年に建てるかということでございますが、只今館長さんからのお話によりますと、大体三年間、こういうふうに館長先生はお考えなつておられる、これは非常に財政の立場から申しますとむずかしい問題であります。御承知のように、今回の出ております予算は、いろいろの要素を含んでおります。今後どういうふうに財政の状況が変つて行くかということにつきましては、にわかに私どもとしましても断定を下すことがむずかしいかと思うのであります。併し一方におきましては、国立国会図書館の重要な機能の完成の一日も早きことを切望する点においては我々も決して人後に落ちないものであります。従いまして今後どういうふうに進めて参りますかは、一方におきましては、財政の事情とその切実なる、早期に完成したいという要望との睨み合せの問題になると思うのでありますが、私どもといたしましても財政の許す限りにおきまして、これを一日も早く完成できますように努力をいたしたいという気持を持つておることは御推察を頂きたいと思います。ただ予算は、御承知のように政府において作るものでございますが、最終的には国会において御議決に相成るものでございますので、二十八年度の予算自体につきましても、目下のところ私どもとしてはどういうふうになるかということを早急に結論は無論出ないわけであります。事務当局といたしましては、只今申上げましたように、今後の財政が許します限り館長さんの御希望の線に招いたいという気持は持つております。併しいろいろの事情でどうなるかということは言明をいたしかねるのでございまして、その点についてはよろしく御推察を願いまして、ここで何年間にこれを必ず完成するということを事務当局の立場としては申上げかねることを遺憾に思つておりますが、この点はできる限り、財政の事情の許す限り早急に完成をいたしまして、できるだけ御希望に副いたいと考えておるということを以ちまして、誠に私の答弁といたしましては不十分かとも思いますが、一応事務当局の率直な見解だけ申上げておきます。
  23. 金子洋文

    金子洋文君 そうすると八千坪を三年間かかつて建てるとなると、全体の予算は、総予算はどのくらいになりますか。それから総予算のうち来年度はどのくらいを予定をして、そうして三年間でお建てになるお考えか、それをちよつとお聞かせを願いたい。
  24. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) 実は大蔵省当局はなかなかこういう問題につきましては、はつきりした御意見をお示しになることはこれもとより困難だろうと思います。先ず比較的はつきりしておりますところは、一万五千坪の計画というものについては特に異存を唱えない、まあそういう、私の理解ではこう思います。それから最初に八千坪作るということについては、それと歩調を合せて進行したい、こういうことでありまして、それ以外のことは今日私ども希望であつて、まだ現実の段階まで行つていないのでありますが、八千坪作りますと私どものほうの考えでは十九億ほどの経費、大体坪二十万円強でありますから十九億ということを予定しております。当初は何といつても準備時代でありますから一億で何とかしてやれると思う。それにはいろいろほかのものも繰入れられるものもあると思いますから努力はいたしますけれども、第三年度以後は相当増額されなければならんわけであります。今も大蔵省からお話になりました年次計画というものを今日立てることが困難でありまして、それ以上は又今後の交渉に属するものと考えております。
  25. 徳川宗敬

    徳川宗敬君 今主計局次長のお話で、大蔵省図書館の必要性を十分お認めなつて、そうして三万五千坪の案を大体御了承になつたことは非常に喜ばしいと思います。ただ私ども心配するのは、財政上のいろいろの事情があることは十分知つておりますけれども、折角建てる図書館が不完全なものであつては建てる目的に副わないと思います。我々としては多少年次が延びても完全なものを建てたいという希望を持つておる。そういう点につきましてまあ今後いろいろ折衝はあると思いますけれども、これは希望でありますけれども大蔵省としてそういうことについてどういうふうな、考えがありますか、それも一応何つておければ幸いと思います。
  26. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答えいたします。只今徳川委員お話はやや私どもにとつては専門的になりまするので、これはむしろ館長先生なりその他専門家の御意見を主計局といたしましては拝聴いたしまして、同じ金を使いましてやる場合に、仰せの通りに、これは後世長く残るものでございますし、又国際的にも非常に重要な機能を持つ施設になるわけでございます。そういう点は十分研究をいたしたいと思つております。私只今すぐにどういうふうなことがいいということを申上げますよりも、今後の計画につきましては本委員会なり、又その他適当な機関の御意見をも十分承知いたし、又図書館当局の御意見ということも十分我々としても考慮に入れまして、今後の年次計画をきめなければならんかと思うのであります。ただこれは私素人でございますが、目下のところ蔵書の保存或いは利用等についても非常にお困りになつておられることもたびたび伺つておりますものでございますから、完全なものをできるだけ早くということが、結局非常にむずかしい要求なんでございますが、現実の必要はそういうところにあろうかと存じております。従いまして先ほど申しましたように今後いろいろ財政も多端でございますが、できる限り早くということで本年度もいろいろないきさつがございましたが、結局一応とにかく頭を出すということが今日の段階において非常に必要であるという認識の下に図書館当局と御相談申上げまして、これだけの金が入つたようなことになつております。その点私ども今後も十分慎重に研究いたしますが、大体の認識はそういうとこうにあるんじやないかと、こういうように思つておる次第でございます。よろしく御了承願います。
  27. 小泉秀吉

    小泉秀吉君 どうもはつきりしないのだが、休会前の参衆両院の図書館委員が懇談会でありましたか、した時分に、両方意見が一致したのは、今の館長お話を聞くと一万五千坪の希望であるのだが、政府の金融か何かの都合でそう行くか行かんかわからない、又わからなくてもいいようなふうにも聞えるのですが、この運営委員会の結論というものがはつきりして、四万五千坪のうち、第一期として一万五千坪の敷地に図書館を作るということに私はきまつてつたのだと思う。この点一応委員長の御記憶を、速記録でもあればそれを見ればわかるのだが、そういうふうに私は心得ておつて、それはやはり館長もそういうふうなおつもりで政府と折衝をしておられたのだと心得ているのです。それからそれに関連して先刻お話の、昨日か一昨日かの衆議院のほうの委員会はそういう点について、相当私は主計局長とははつきりした御意見の交換があつて、政府のほうでは、八千坪をベースにして一億円を一応出したけれども衆議院図書館委員のほうは一万五千坪のベースで一応一億円を使うというようなことで大体話合いがついたようにも聞き及んでおるのですけれども、そういう点に対して私は今のお話で、政府委員の御説は国会がきめるのだからして、金の出し方というものは私どものほうではどうもいかん、併しできるだけ個人としては立派な機関を作ることにやぶさかでないというようなお話なんだが、それじや僕は話が合わんと思うのですが、もう少し敷地を一体四万五千坪のうちの一万五千坪をベースにして、ともかく今度の一億円は出ておるのだというようなふうに了承していいのか、金がないのだからして、一生懸命作りたいけれども、今のところは、八千坪に、あとで七千坪をつけ足すにしても、八千坪のベースにして規模を作つて行くのだというようなふうにするのか、これは委員会としてもう少し審議を進めて行つて頂きたいと思つております。
  28. 宮城タマヨ

    委員長宮城タマヨ君) 一昨日の衆議院におきましての質疑応答がありますから、ちよつと読んで見て下さい。    〔事務局員朗読〕
  29. 阿左美廣治

    ○阿左美委員長 速記を始めて。ただいま大蔵省より河野主計局長出席されましたので、主計局長に対する質疑があれば、この際これを許します。江崎君。
  30. 江崎真澄

    ○江崎委員 今度のこの図書館の建設につきまして、当初われわれは四万五千坪という案によつて審議を進めておつたのでありまするが、国力とも睨み合せ、一応一万五千坪で行こうということに衆議院と参議院の両院のこの図書館運営委員会が決議をしたと了解いたしておるのでございます。ところが今度大蔵省側ではこの初年度の経費として、一億円を計上せられたように承りまするが、それは五千六百九十五坪を根拠とするものであるということは、はなはだどうも院議を無視するもはなはだしいものであつて、われわれとしてはやつぱりあくまで一万五千坪、これは特に平和憲法後の国家的な建設事業というふうに考えてもあるいはいいではないかというところまで突き進めて話合をして参つた経緯もありまするし、当然これは一万五千坪を根拠においての一億円ということでなければならないと思います。このような点につきまして特に大蔵省の御意見を承ると同時に、またその一万五千坪の線に沿つて訂正をされる意思があるかどうか、はつきり承つておきたいと思います。
  31. 河野一郎

    ○河野(一)政府委員 五千六百坪というようなことを申し上げたそうでありますが、図書館を急速に復興するという建前で行きますと、経費その他の関係からできるだけ早く建て、従つて金としても一応の費用としてでき得る限度においてというふうなことを考えて、そういうことを申し上げたと思うのでありますが、ただいま承りますと、将来のことを考え相当大規模なものとして院議を御決定になつておるということでありますので、計画としては今江崎さんのおつしやいましたようなことで御進行になることで、私どもの方としては、特に異議は申し上げないつもりでございますが、テンポその他につきましては、財政の状況もございますので、われわれの立場も十分御諒察願いますようにお願いいたします。
  32. 江崎真澄

    ○江崎委員 今の一万五千坪の建設計画につきまして、図書館側においてすでにもう設計ができておる。第一期計画は八千坪案、第二期計画をこれに加えて七千坪案ということで具体的なものがすでに進められておるということを聞いております。そうすると、先ず第一期の八千坪、要するに一万五千坪を基礎にした八十坪計画の具体的なものができておるというのならば、この五千六百九十五坪という大蔵省側における査定と申しますか、案とあまり大きい食い違いもないようでありますから、この当初の第一期計画八千坪案にもどつて、この八千坪というのは、要するに繰り返していえば、一万五千坪のうちの第一期計画の八千坪、これに歩調を合せて、ひとつ大蔵省側としても了解をされる、こういうことに願いたいと思いまするが、いかがでございましようか。
  33. 河野一郎

    ○河野(一)政府委員 御趣旨の点十分御了解申し上げました。
  34. 江崎真澄

    ○江崎委員 よろしうございます。
  35. 阿左美廣治

    ○阿左美委員長 他に御意見はありませんか。
  36. 小泉秀吉

    小泉秀吉君 そうすると、本日それを政府委員及び衆議院主計局長がお答えになつたように、一万五千坪の計画のうち差当り八千坪に対してのものを作るというので、それで一万五千坪というのは計画としては生きておるのだが、特に今年は金がないから一億円だけ出したのだというように、政府委員も、尤も局長が言われるのだから、局長の意見と違つたことを言われるはずはないと思うが、さつきの御説明によると、何かそこがはつきりしないので、私は向いたいのだが、衆議院の速記録の通りと政府委員館長も了承して頂いていいのですか。一応確めて置きたい。
  37. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) もとよりその通りであります。私ども一万五千坪の計画を依然として推し進めて行くという考え方でありまして、ただその順序、方法ということにつきましては、財政当局のお考え相当強いのでありまして、にわかにこれを推し進めることはできません。大体衆議院大蔵省側が意見を表明されたところに従つて今後少くともその線は守つて推し進めて行きたい、こういう考えであります。
  38. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 私どももとより食い違いはございません。ただ先ほどお答え申上げましたのは、少し言葉が足りなかつたと思いますが、差当りの第一期の八千坪につきましての問題をお答えいたしたのであります。全体の一万五千坪は両院の運営委員会におきまして御決定のことでございますから、この点を動かすということを考えておるわけではございません。
  39. 宮城タマヨ

    委員長宮城タマヨ君) 他に御発言はございませんでしようか。それではこの取扱について御懇談を願いたいと存じます。速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  40. 宮城タマヨ

    委員長宮城タマヨ君) 速記を始めて下さい。それでは昭和二十八年度国会所管国立国会図書館予定経費要求書は、勧告を附さないで議長にこれを送付することにいたして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 宮城タマヨ

    委員長宮城タマヨ君) 御異議ないと認めまして、さよう決定いたしました。   —————————————
  42. 宮城タマヨ

    委員長宮城タマヨ君) 最後に、先頃休会中に徳川委員、木内委員にお願いいたしまして、議員派遣によつていろいろ御調査を願つたわけでございますが、御報告の準備もおできになつておりますようでございますが、この際御報告を承わりたいと思います。
  43. 徳川宗敬

    徳川宗敬君 只今委員長お話になりましたように、先頃木内先生と視察に参りましたので、その御報告を申上げます。  去る一月の十五日に東京を出発、熊本、鹿児島、宮崎三県下の県議会図書室と図書館を視察して二十四日帰京いたしましたわけでございますので、その状況を概略御報告申上げます。視察いたしましたところは三県の議会図書室と、熊本、鹿児島、宮崎の三県立図書館、それから水俣市の淇水文庫、それから都城市の都城図書館、それに熊本、鹿児島、宮崎各大学の附属図書館でございます。  先ず議会図書室から申上げますと、議会図書室は三県の議会図書室とも非常に小規模でありまして、その一年の経費は僅かに二十万乃至三十万くらいであつて管理図害も多いところでも数千を出でず、少いところでは千にも満たないという状態で、職員も又専任職員一人いればいいほうで、一人もいないところもあつたのであります。議会図書室が設置されて間もないとはいいながら、余りに貧弱なのに驚いたような次第であります。議会図書室が地方自治法によつて議員の調査研究に資するために置かれるという立法の趣旨が理解されず、法律で置くことになつたから止むを得ず置くのだというような感じがしないでもなかつたのであります。議会図妻室が設置されて間もない頃、国立国会図書館から地方議会図書館設置要領案というのが各県の議会事務局に配付されたようでありますが、これは相当大きい規模の議会図書室のモデル・プランであり、三県の議会図書室の状態からすればその懸隔が甚だしく、単なる参考にしか過ぎなかつたように思われます。図書室の業務に従事している職員は誠に気の毒なくらい懸命の努力をしておるように思いましたが、何と言つても専任職員一人では如何に努力しても月々入つて来る図書館資料の整理に追われて休む暇もなく、積極的に資料を収集して議員の立法活動に役立つような参考資料を時に応じて提出するというようなことは思いも及ばないような次第であります。で、折角地方議会の民主的立法活動のために議会図書室設置の法律が制定されたのでありますから、その目的達成のために地方自治庁あたりでその育成に努力すべきものとは思いますが、併しそれはそれといたしまして国立国会図書館国立国会図書館法規定に従いまして地方議会及び図書館人を援助する義務を課せられているのでありますから議会図書室設置の趣旨に従つたその育成とその目的達成のためにできるだけの援助をなすべきものと思います。地方議会のすべてがそうであるかどうかはわかりませんが、少くとも昨年来私も方々見ましたが、この議会図書室の所属する議会は余りにも議会図書室のあり方について無関心であり、認識が欠けているように思われるので、何らかの方法でその関心を高め、その認識を深めるように援助すべきものと考えます。図書館職員を指導することも必要とは思いますが、地位の低い一、二の職員では、発言権もなく、その職員を通じて議会の認識を深めるというようなことは望めないことと思います。あらゆる方法で地方議会を援助するという国立国会図書館法の趣旨に従つて直接議会に働きか分て個々の議員と事務局の認識を深め、議会のために真に役立つ図書室を作り上げるように仕向けてやらなければならないと思つた次第であります。その援助の方法としては、例えば国立国合図書館が中心となつて全国の都道府県議会図書室協議会といつたようなものを作つて議会図書室のあり方について研究させるとか、遠い将来の理想案でなく少し努力すれば実行可能なモデル・プランを作成して配付するとか、国立国会図書館の調査立法考査局の考査状況を知らせるとか、又その調査参考資料を配付してやるとかそういう方法も考えられるのではないかと思います。  次に大学附属図書館について申上げます。視察いたしました大学附属図書館は、いずれも新制国立大学の附属図書館でありますので、規模はそう大きいとは申せませんが、併し幾つかの旧高等学校程度の学校が一緒になつて総合大学を構成しておりますので、統一された図書館を持つているところはかなり大きな規模であります。熊本大学などは統一図書館を持ち、経費年額八百万、図書数も二十万を超え、専任図書館員も二十数人という相当完備されたものであります。元来別々の学校であつたものが各一学部を成しておりますので、学部々々で持つていた図書室を合せて統一的な図書館を形作つたものでありますが、宮崎大学などではまだ各学部が独自の図書室を持ち、統一図書館ができておらず、鹿児島大学では統一図書館を作りつつある状態であります。大学附属図書館は大学の職員と学生の研究機関でありまして、大学を構成する学部の性格に応じた専門図書館であります関係上、図書館資料の充実については特に努力を払つているようであります。これらの大学附属図書館は、文部省直轄大学の必要欠くべからざる機関でありますので、国立国会図書館の援助を必要とするようなことは少いと思いますが、併し国立国会図書館で刊行する各種の出版物の価値を高く評価して、是非できるだけ多くの出版物を分けて欲しいという要望がありました。国立国会図書館ではどんな資料が出版されているか、そのうちどれが販売されているかというようなことを知らないところもあるようでありますから、国立国会図書館で販売しているものと、ないものとの区別を出版物の一覧表でも作つて配付されたらよかろうかとも考えたのであります。又大学によつては、新らしい分類方法に従つて図書の基本カードを作成しているところもあるようでありまして、国立国会図書館で作成されつつある総合目録の資料として、何か他の出版物と交換するというようなことも考えられますので、やはり大学附属図書館に対しても援助するとか、又は相互に協力し合うとかいうことが是非必要であると思われました。次に公立図書館について申上げますと、視察いたしました三つの県立図書館のうち、鹿児島図書館と宮崎図書館とは施設もかなり完備された立派な図書館でありましたが、熊本図書館は戦災に会い、建物資料とも焼失したため、県立としては資料の少い仮住いの図書館である上に、経費も県の財政難で、鹿児島、宮崎両図書館経費は年額一千万を超えているに反し、ここは四百数十万で、他の半分にも達しないというかなり気の毒な状態であります。県当局図書館建築の必要は認めているが、そこまで手が届かない実情のようであります。若し図書館建築のために起債を認めてもらえるならば、すぐにも建てたいということでありました。この起債の枠を拡げるという点は一応考慮に値いするものと考えられた次第であります。鹿児島図書館と宮崎図書館相当組織立つた図書館でありまして、県の中央図書館としてよくその機能を果しているように見受けられました。鹿児島図書館では、文化施設の恩恵に浴し得ない農山漁村の住民に図書館奉仕を提供するということで、地方における中央図書館としては最も重要な機能である図書の貸出が行届いており、辺陬の地方や島々にまで貸出文庫出張所を設けて読書の普及に努めておるのを見て参りました。又宮崎図書館は全国においても有数の施設を完備した図書館とのことでありまして、建物の新らしいという関係もありますが、閲覧者本位の奉仕観念が施設の上に現われて、中に入つた気分が非常にいいというふうに感じました。例えば壁に立派な芸術的価値のある絵画を掲げるとか、又閲覧机のところどころに盆栽を配置するなど、読書欲をそそるような明るい清浄な雰囲気をかもし出していることが特に目立つたのであります。  次に視察いたしました二つの市立図書館は、いわば末端の図書館でありまして主として市の、つまり市民に図書館奉仕を提供する小規模の図書館でありました。併しよく郷土資料が収集され、又一般図書館奉仕のはか、市内の学校図書館を指導援助しているとのことであります。洪水文庫は徳富蘇峰氏の寄附によつて創立され、都城図書館は県から移管されたものであるとのことであります。公共図書館を通じて感じましたことは、従来の図書を並べて置いて見せるという閲覧図書館の殻を破つて、人々が知ろうとし、又研究しようとする事項について、これに関する資料なり文献なりの名称所在等を調べて教えてやるとか、或いは要求する事項そのものを調査してやるというような参考調査図書館としての機能を発揮する新しい方法に向かいつつあるということでありまして、これによつて漸く図書館というものは、実社会のため必要欠くべからざるものであるという国民大衆の認識を新たにしつつあるというふうに見受けて参りました。又図書館資料の整理方法について、議会図書室も図書館も、全部国立国会図書館の採用している日本十進分類法日本日録規則を採用いたし、統一された新らしい方式で整理を行なつております。やがて国立国会図書館で発行している印刷カードを全面的に購入するとか、相互に図書館資料を貸出す態勢を整えるとか、いろいろな面に利益もあることと思いますが、とにかく最もすぐれた整理方法として、国立国会図書館の整理方法に統一されるということは誠に喜ばしいことと存じます。図書館視察中、国立国会図書館に対するいろいろな要望を受けました。新刊図書の解題を出して欲しいとか、ゼミナールをして欲しいとか、出版物を分けて欲しいとかいうことでありますが、特に印刷カードの一枚売りを実施して欲しいという要望は大部分図書館から受けた要求であります。印刷カードの一枚売りの実施によつて図書館の受ける実益はかなり大きなもののように考えられますので、国立国会図書館において、是非実行されるよう努力して頂きたいと存じます。なお今後国立国会図書館は常に地方の中心となるべき図書館と連繋をとられ、資料の面において、又レフアレンスの面において援助を与えられ、又相互に協力されるよう希望を附しまして私の報告を終りたいと存じます。
  44. 宮城タマヨ

    委員長宮城タマヨ君) 有難うございました。  それでは本日はこれで散会にいたします。    午後三時三分散会