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1953-03-09 第15回国会 参議院 厚生委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年三月九日(月曜日)    午前十一時十八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     藤森 眞治君    理事            大谷 瑩潤君    委員            草葉 隆圓君            小杉 繁安君            長島 銀藏君            常岡 一郎君            堂森 芳夫君            谷口弥三郎君   政府委員    厚生省薬務局長 慶松 一郎君    厚生省社会局長 安田  巖君   事務局側    常任委員会専門    員       草間 弘司君    常任委員会専門    員       多田 仁己君   説明員    厚生省社会局保    護課長     黒木 利克君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○生活保護法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○民生委員法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○麻薬取締法案内閣提出) ○大麻取締法の一部を改正する法律案  (内閣提出)   —————————————
  2. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) それでは只今から厚生委員会を開きます。  本日は日雇労働者健康保険法案その他について提案理由説明厚生大臣からしてもらうつもりでおりましたが、厚生大臣は病気だそうでして、今日は出席しかねますので、これは次回に譲ります。  日程に従いまして、生活保護法の一部を改正する法律案、これを議題にいたします。御質疑をお願いいたします。どなたも御質問ございませんか……、御質問がなければ、私からちよつとお尋ねいたしますが、この生活保護法診療方針及び診療報酬が、国民健康保険のある所では国民健康保険に従い、ない所では健康保険に従うということになつておりますが、日本医師会からすべてを健康保険に準ずるようにしてもらいたいという陳情も出ております際でございますが、これにつきまして政府側の御意見を承わりたい。
  3. 黒木利克

    説明員黒木利克君) 生活保護法診療方針及び診療報酬は、只今委員長さんの御説明にありましたように、生活保護法の第五十二条で、その地域国民健康保険が行われておる場合にはそれによる、併し国民健康保険が行われていない場合には健康保険の例によるということになつておりますが、この趣旨生活保護法はその地区最低生活保障をするという建前になつておりますので、医療の面におきましても、その市町村に行われております最低医療の例によるという保護法原則になつておるから、かようになつておるのであります。併し具体的に診療方針生活保護におきましても、或いは国民健康保険におきましても、健康保険におきましても、差異はないのでありまして、即ち一般医学通念によりまして必要にして且つ十分であるという診療をやつておるわけであります。ただ診療報酬健保なり国保なりによつて差異がございますが、これはやはり生活保護法ではその地区における診療報酬最低のものを基準にいたしておりますから、その地区国保があります場合には国保によらざるを得ないのであります。従つて医師会の御陳情趣旨も、診療方針はこれは健康保険であろうと生活保護であろうと差異があるべきではない。但し診療報酬につきましてはこれは差異はいたし方ない。そこで診療方針健康保険の例によつたらいいではないかという意見もありますが、私のほうでは生活保護法社会保険のうちでも国民健康保険社会保障なり社会保険の中枢、中核になるべきものであろう。そこでそれに右へ倣えをいたしておるのでありまして、いわば国民健康保険というものがますます将来発展をして医療の恐らく中心になるであろう。従つてそれに右へ倣えをするというのが生活保護法としてはとらざるを得ない建前なのでございます。従つて五十二条の趣旨生活保護法建前からいたしましても、又将来の国民健康保険建前からいたしましても、現在の方針を変更することはできないのではないか。かように考えております。
  4. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) ついでに伺いますが、現在の社会保険中心になつておりまするのは、今の御説明では国民健康保険中心にするというようなお考えですが、実際問題としては健康保険中心になつてつて国民健康保険もむしろ健康保険に準ずるのがこれが当然じやないかと思う。ただいろいろな事情のために国民保険が今非常に困難な経済状態にある関係で同一になつておらないのだろう。健康保険中心にするなれば健康保険に準ずるということにして、むしろ国民保険もこれに倣つて来なければいけないという建前をおとりになるのが本当ではないかと思うのですが、如何でしようか。
  5. 黒木利克

    説明員黒木利克君) これは生活保護法建前から申しますれば、その地区におきまする必要にして十分な医療方針なり報酬に右へ倣えすればいいのであります。従つて問題は国民健康保険健康保険との問の関係でありまして、このほうの二つの保険診療方針なり診療報酬を統一なさるならば生活保護建前としてはそれに従つて参る。従つて生活保護法健康保険の問題というよりも、むしろ健康保険国民健康保険診療報酬なりその他を解決して頂いて、然る後に保護法はそれに右へ倣えする。こういう筋のものではないかと存じます。
  6. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) そこに少し考えようが違うと思うのです。健康保険というものを、社会保険の何と言いますか、標準に見て行くとすれば、国民保険もこれに見ならうなら生活保護法もこれに見ならわなければならんと、こういうふうに行くのが本当であつて国民保険が今いろいろな状態で悪いからというので、悪いほうへ見倣うという法はないのじやないかと思うのですが、その点は如何ですか。
  7. 黒木利克

    説明員黒木利克君) 先ほども申しましたように、診療方針はこれは健保国保生活保護法も或る病人に対して必要にして且つ十分である治療をしなくちやならん。生活が困窮しておるということで、そういうことで診療方針差異があつてはならない。こういう意味におきまして診療方針については私は差異があるべきではないと思いますが、ただ診療報酬につきましては、実は生活保護法建前としてはその地域々々で、例えば一級地から五級地まで分けておりますが、その地域最低生活保障し、或いはその地域で最も経済的な報酬支払うと、こういう建前になつておりますので、従つてその地域で若し国民健康保険というものと健康保険というものとの調整をしなくてはならないというような場合に、国保がやはり行われておりまして、健康保険診療報酬よりも低い場合には、生活保護法の対象になつておる人たち国保診療報酬でなしに、それよりも高い健康保険診療報酬支払うということはどうしても法律建前としてできにくいのであります。従いまして、問題は先ず健康保険国民健康保険との間で解決をして頂く。然る後に生活保護法との調整の問題が生じて来る。これは法律建前上いたし方がないというように考えておるのであります。
  8. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) それからもう一つ伺いますが、今度この法律改正が行われますと、診療報酬審査は全部基金で行われるのでございましようか。従来は東京都その他においては基金以外のところで、別の審査委員会審査されておつたように聞いておりますが、これまで通り内容をお残しになるのでしようか。基金一本になさるおつもりでしようか。
  9. 黒木利克

    説明員黒木利克君) 法律建前は「することができる」ということになつておりますが、政府運営方針といたしましては基金一本でやりたい。かように考えております。
  10. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 東京都あたりでは非常に件数が多い。殊に一カ月約六十五万件以上に上るということを言つておりますが、それについて東京都の医師会からも請願書も出ておりますような次第でありますが、こういう非常に件数の多いところはやはりこれだけを別にやらないと、基金では余り件数が多くなり過ぎて、そのために支払がどうも遅れるというような御懸念はございませんか。
  11. 黒木利克

    説明員黒木利克君) そもそも今度の法律改正趣旨は、医師会等から結核予防生活保護関係支払関係が二元化して手続が複雑で困る、支払が遅くなつて困るというような御趣旨でありましたので、案を作つたようなわけでありまして、若しさよう趣旨から東京都におきまして特別にやはり特殊の事情支払が遅くなつたりするというようなことでありましたならば、先ほども申しましたように、原則としてこれは基金でやつて頂くという建前でありますので、特別の若し事情がありまして、それではいろいろ支払いが遅くなつたり、或いは手続も簡素化しないということがありましたら、例外的な措置はこれは考慮はされ得るのであります。併し今のところ私のほうは、東京都におきまして、そういうよう改正の結果却つて複雑になつたり、支払が遅れるというようなことは見出し得ないのでありまして、今後はこれが実施に当りまして、よく検討いたしまして、善処いたしたいと思つております。
  12. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 東京都から出ておりまする意見によりますると、一カ月に六十五万件以上である。そうして審査には二十四名の審査員によつて十日間を要する実情である。こういうふうなことを言つておりますが、これだけのたくさんのものが基金のほうへ廻りますと、どうしても基金のほうの負担が重過ぎるという感じが当然するのでありますが、こういう点におきましては、そのために弊害の起らないように、遅れないように十分御考慮相成りたいと存じます。
  13. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 私からも……。すでに先刻もちよつと御説明になつてつたようですが、この診療報酬支払健康保険並じやなしに国民健康保険実施されておる所は国民健康保険診療報酬規程によつてやる、こういうことでありますが、とかく国民健康保険は御承知ように或る所では開店休業とかいうような場所がたくさんありますし、又いろいろとその診療報酬単価にいたしましても非常な違いが国民健康保険にあるのでありますからして、ここはやはり是非健康保険と同様にするということが、国からやる、一まとめにしてやられる仕事であるからして、そうやつて頂いたほうが診療担当者においては一本で仕事ができるから、非常にしよいと思うのですが、どうしてもそれは国民健康保険というあの条項を改正するわけにはいかんというわけでしようか、その点を一つ……。
  14. 黒木利克

    説明員黒木利克君) 先ほどもお答えいたしましたように、生活保護法建前では、その地区における最低生活保障ということになつておりますので、その地区における医療報酬が若しいろいろ段階がございまして差異がありました場合には、最低診療報酬支払う、こういう法律の実は建前がございまして、それを崩すわけには参らないのでございます。ただ健康保険診療報酬国民健康保険診療報酬との関係でございますが、一応健康保険は十二円五十銭になつております。国民健康保険は二本建になつておる。そこでこれは昭和二十六年の十一月八日の保険局長通知によりまして、今回改訂をみた健康保険及び船員保険の一点単価よりおおむね一割引き程度の額で国保では協定すると、こう趣旨になつておりまして、余りにもこういう基準よりも低いということは実は考えられないのでありまして、今回もいろいろ国保に対する撫子入れによりまして、こういうよう通知の線で診療報酬というものが協定になるのではないか、こういう予想をいたしておるのでございます。
  15. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 先刻もちよつと申しましたように、開店休業になつておるような場合にはどういうことにすればよいわけでしようか。それでもやはり休業はしておるけれども国民健康保険があそこにあつたというので、昔きめた国民健康保険診療報酬によるというのでしようか、或いはそういう所は健康保険によつてもかまわんというのでしようか、そこをはつきり一つお伺いしたい。
  16. 安田巖

    政府委員安田巖君) ちよつと衆議院のほうへ呼ばれておりましたので失礼いたしました。只今谷口委員からお話ようなものもあるかと思うのでございますけれども、まあいずれにいたしましても、とにかく国民健康保険を施行しておるということになつておりますれば、私どものほうは一応生活保護法のほうはその基準によるということになつております。併し御承知よう開店をしておるけれども休業しておるというようなことがありましたならば、そういうものは国民健康保険の監督の立場からも何とか手を打たなければならんというようなことも考えております。
  17. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) それに関連してですが、これは非常な面倒な問題だと思います。開音休業をしておるものは実際には相当たくさんある。あるが開店休業しておるかどうかということは実際にはよくわからんという場合には、今谷口委員お話のよりに前に契約しておる非常に安い診療報酬ということになつて来ますと、これは非常に医療担当者が迷惑をするということになつて来る。それに対してははつきりとどういう限界をお作りになるつもりでございましようか。
  18. 安田巖

    政府委員安田巖君) 先ほど申述べましたようなことでございますが、結局は具体的の場合に当つてみるよりほかしようがないんじやないかということを考えております。私ども立場といたしましては、一方におきまして国民保険が行われておる。これは村の人が自分たち保険料を積立てまして、そうして保険給付を受けておるのである、ところが国のほうの公費で扶助される医療扶助がそれよりも単価も高いものでやられるということは生活保護法建前から行きましても、一般の村の人の感情から行きましても、どうであろうかということが今問題になつておる原則建前でございまして、やはり原則といたしましては、実際に給付が行われておる、活動しております保険組合というものが前提になることはこれは確かだと思います。併しそのことは今委員長もおつしやいましたように実際いろいろ調べてみませんとわからないことでございますので、そういうふうな具体的の場合には、よく実地に沿うよう措置をいたしたいと思つております。
  19. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 今のところで一つお伺いしますが、国民健康保険組合員が金を出してそうしてやつておるのに対して、一方は国が生活保護法にかかる人にやるのだから、それよりも高いのは面白くないというお話ですが、それは大体においては承認はできますけれども、組合なるものは自分たち保険料を出してやつておるのだから、今少し組合員が金を余計出せばもつと立派な或いは高いいろいろの治療をも受けることができるのですからして、そこだけで割切るのは少し無理じやないかと思いますが、その点について……。
  20. 安田巖

    政府委員安田巖君) 安い金の保険料を出しまして、診療方針と申しますか、或いは診療内容と申しますか、そういうものに仮に制限をいたしましたといたしましても、それはその単価というものは変らないわけなんでございまして、ただ保険料に相当する給付を更けるということであります。従いまして例えば国民保険等におきまして入院は見ないとか、或いは往診は自費負担だというようなことがありました場合には、生活保護のほうはこれは一般健康保険の例によつてつておるわけであります。従いまして今おつしやいますのは、医療報酬単価の問題とそれから診療内容の問題が一緒になつているのじやないかという気がいたします。単価の問題につきましては私どもやつぱり飽くまでそれに合せるべきじやないかというふうな気持を持つております。
  21. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) もう一つ伺いますが、開店休業ということは非常に漠然とした言葉ですが、国民健康保険組合というものが名前は残つてはおるが、実際には給付も何もやつておらないというものがある。こういう事実があるのですが、そういうときにはそれでもやはりそれによりますのか。そういう場合はこれは休止とみるか、或いは廃止とみるかでそういう場合は健康保険によると、こういうふうに解釈してよろしいのですか。
  22. 安田巖

    政府委員安田巖君) 実際上休止いたしております場合には、これは国民健康保険実施されておらないことでありますから、そういうはつきりした場合には健康保険の例によつて差支えないと思います。
  23. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) そうしますると、休止ということは給付を行なつておらないということで休止と見なしてもいいわけでございますね。
  24. 安田巖

    政府委員安田巖君) さようでございます。
  25. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) ほかに御発言ございませんか。ちよつと速記をとめて……。    〔速記中止
  26. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 速記を始めて。  それじや別に御発言もないようでございますから、質疑は尽きたものとして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 異議ないと認めます。それでは只今から討論に入りたいと存じます。
  28. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 討論は省略いたしまして、早速採決をされんことの動議を提出いたします。
  29. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 今の谷口委員動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  30. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 異議ないと認めます。それでは討論を省略しまして採決をいたします。生活保護法の一部を改正する法律案、原案通り可決することに御賛成のかたの挙手を願います。    〔賛成者挙手
  31. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 挙手全員生活保護法の一部を改正する法律案全会一致でございますから、本案は原案通り可決することと決定いたしました。  それから委員長が議院に提出する報告書には多数意見者署名を附することになつておりますから、本案を可とされましたかたは順次御署名を願います。   多数意見者署名    大谷 瑩潤   堂森 芳夫    草葉 隆圓   小杉 繁安    長島 銀藏   常岡 一郎    谷口弥三郎
  32. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 署名漏れはございませんか……署名漏れはないと認めます。  なお本会議における委員長口頭報告については委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  34. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 続きまして、日程を変更しまして、民生委員法の一部を改正する法律案の御説明社会局長からお願いします。
  35. 安田巖

    政府委員安田巖君) 民生委員法の一部を改正する法律案につきまして、簡単に御説明申上げます。  すでに大臣から提案理由で御説明申上げた通りでございますが、御承知ように、一昨年の十月一日から福祉事務所が設けられまして、民生委員との関係におきまして調整すべき点が多々あつたのでございますが、種々の事情がございまして今日に及んでおりますものをこの際解決いたしたいというのが本案目的でございます。  第一点といたしましては、民生委員の職務につきまして、福祉事務所その他の関係行政機関に対する協力関係を明確にしたことでございます。生活保護法の二十二条に、民生委員が求められたときは、福祉事務所の職員の活動に協力するということがございます。これは逆にとりますというと、民生委員に何か手伝つてくれと言わなければ、お前たち余計なことをしなくてもいいんだというふうにとられる虞れがあります。勿論そういうつもりではないのでありますけれども、いろいろと制度の変りがございましたので、そういうふうに殊更にひねくれてとられるような嫌いもなきにしもあらずというふうな状況でございますので、この際そういう「求められたときは」というようなことも除きまして、社会福祉関係機関との協力を明確にする。そして民生委員が本来の任務につき、もつと気持よく仕事に精進して頂くようなことにいたしたいと思う次第でございます。  それから第二の点は、民生委員推薦会組織を改めたことでございますが、従来は市町村の議会の議員、社会福祉事業実施関係のある者、学識経験者を以て構成されたのでありますけれども、いろいろ実情を見ますというと問題がございますので、今回は社会福祉の各分野の意見を十分代表するよう適任者を列挙いたしたようなわけでございます。それによりまして民生委員として更に立派な人を推薦し、選ばれるようにいたしたいと存じておる次第でございます。  それから第三点といたしまして、民生委員協議会任務の中で、福祉事務所その他の関係行政機関との連絡に当るということを附加いたしました。なお又民生委員協議会地方社会における社会福祉増進に積極的に広い視野に立つて活動することができるように、市町村社会福祉協議会組織に加わることができるということの一項入れたのでございます。これは御承知よう市町村社会福祉協議会が設けられております。けれども、そういう社会福祉協議会が各般の市町村における社会福祉に関心を持つております人たちを集めて社会福祉増進を図つておりますけれども、これと民生委員組織が対立するようなことがありましては困りますので、よく協力してやつて行けるような項を設けたわけでございます。  それから第四点は、常務委員協議会常務委員という規定がありましたのですが、これはもう法律上別に必要ではございませんので、民生委員協議会の自主的な運営に任せたらどうかということにいたしたのであります。  最後に民生委員事務所を廃止したことでございます。これは社会福祉事務所ができましたときに当然落すべき規定でありましたのを今回整理いたしたのでございます。  大体以上申上げました通りでございます。
  36. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 本案質疑は次回に譲ります。   —————————————
  37. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 引続いて、麻薬取締法説明を伺いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) それでは麻薬取締法案並びに大麻取締法の一部を改正する法律案等内容説明を願います。
  39. 慶松一郎

    政府委員慶松一郎君) 麻薬取締法案の大要につきまして御説明いたします。  この麻薬取締法案提案いたします理由は、これはすでに提案理由の際に申上げましたと同様に、麻薬取締実施は終戦以来殊に厳重にやつておるのでございますが、その経験をだんだん積ん参りますと、いろいろな点で改正すべき点がございます。即ち麻薬取扱者の免許の種類を調整しなくてはなりませんし、又その取締に関しまする事務の一部を都道府県知事に委任いたしたいと存ずるのであります。又今日でも麻薬取扱者帳簿等の記載は非常に厳重でございますが、それを適当に軽減すること等のために従来の法律を廃止いたしまして、ここに新たに麻薬取締法を制定したいと存ずるのであります。  今回の法律はこれは八章七十五条から成つております。相当厖大なものでございますが、大体従来の法律とは大して違つておりません。その要点でございますが、先ずこの法律は、麻薬医療及び学術研究以外の用途に使用されることによりまして、そして起つて参りますところの保健衛生上の危害を防止いたしますために、その輸入とか或いは輸出製造製剤、譲渡、或いは譲受、或いはその所持等につきまして必要な取締をいたすことを目的といたしております。これが第一条に書いてございますが、次はこの法律におきまして取扱う必要がありまするところの麻薬を具体的に列挙いたしまして定義したのであります。そうして千分の十以下のコデイン、或いはジヒドロコゲイン又はこれらの塩類を含んでおりますものは家庭麻薬といたしまして、麻薬の範囲から除外したのであります。これは従来はこれらのものも麻薬の範疇に入つておつたのでございますが、これを除外いたしたのでございます。これらは即ち第二条の中に記されておるところでございます。又次は麻薬を一取扱いますものを次の十一種のものにいたしたわけでございます。即ち麻薬輸入業者、或いは麻薬輸出業者麻薬製造業者麻薬製剤業者家庭麻薬製造業者麻薬卸売業者麻薬卸売業者麻薬小売業者麻薬施用者麻薬管理者及び麻薬研究者の十一としたのでございます。そうして、これに対しまして一定の資格要件の下に、麻薬輸入業者から麻薬卸売業者までの麻薬取扱者の免許は厚生大臣が与え、その他の麻薬取扱者の免許につきましては、これは都道府県知事が業務所ごとに行うことにいたしまして、免許を行なつたときは、当該麻薬取扱者に対しまして免許証を交付することといたしたのであります。これが即ち二条から四条までの規定でございます。  次に免許の有効期間は、免許の日からその年の十二月三十一日までといたしまして、その他免許の失効事由、或いは免許の失効又は死亡、解散の場合におきまする届出、免許証の取扱い、或いは免許手数料に関しまする事項を定めたのでございまして、これは五条から十一条に及んでおります手続規定でございます。  次は麻薬に関しまする禁止行為でありまして、即ち麻薬研究者が研究のために行う場合を除きまして、ジアセチルモルヒネ即ちヘロインでございますが、ジアセチルモルヒネ、或いはその塩類又はこれらのいずれかを含有いたしまする麻薬につきましては、その輸入輸出製造所持等一切の取扱を禁止し、又麻薬原料植物の採培を禁止したことであります。麻薬原料植物とは阿片を作りますところの「けし」或いはコカ、コカインを取りますコカでございます。  次は麻薬輸入につきましての規定でございまして、麻薬輸入業者でなければ麻薬輸入してはならないことになつております。麻薬輸入業者麻薬輸入する場合の手続を定めたのでございます。これは十三条から十六条に及んでおります。  次は麻薬輸出でございまして、麻薬輸出業者でなければ麻薬輸出をしてはならないこと、そうしてそれに関しての手続を定めております。これは十七条から十九条に及んでおります。  次は麻薬製造に関しまして規定をしたのでございまして、麻薬製造業者でなければ麻薬製造してはならないことになつております。これが二十条乃至二十一条でございます。  次が麻薬製剤、即ち原料の麻薬を使いまして、いろいろな薬を作ることでございます。これに関しては麻薬製造業者又は麻薬製剤業者でなければ麻薬製剤してはならないことにいたしておるのでございます。これが即ち二十二条乃至二十三条でございます。それから、麻薬製造業者、或いは麻薬製剤業者、又は家庭麻薬製造業者でなければ麻薬を作つてはならないということでございまして、これらの者が家庭麻薬製造いたします場合の手続を定めてございます。家庭麻薬と申しますものは、先ほど申しましたところの咳止めに使いますコデイン或いはジヒドロコデインを千分の十以下含んでいる薬のことでございます。  次は麻薬の譲渡しについて規定いたしておるのでございまして、麻薬に関しまする営業者でなければ麻薬を譲渡してはならないことといたしまして、その譲渡しの相手方を定めまして、麻薬の流通を規制いたしておるのであります。二十四条、二十五条でございます。  次は麻薬の譲受けに関してでございますが、麻薬の営業者、又は麻薬診療施設の開設者又は麻薬の研究施設の設置者でなければ麻薬を譲受けてはならないことといたしておるのでございます。  次は麻薬を実際に施用する、即ち患者に使うことについてでございまして、麻薬施用者でなければ麻薬を施用したり、若しくは施用のために渡したり、又は麻薬を記載した処方箋を交付してはならないことといたしておるのでございまして、又麻薬施用者は疾病の治療目的以外にこれらの行為をしてはならない、こういうことを規定いたしたのでございます。  次は麻薬の所持につきましての規定でございまして、麻薬取扱者、或いは麻薬診療施設の開設者、又は麻薬の研究施設の設置者でなければ麻薬を所持してはならないことといたしております。  次は麻薬を廃棄することに関してでありまして、これは新しい規定でございますが、麻薬を廃棄しようとするときは厚生大臣の許可を受けなければならないことになつております。  次は麻薬を譲渡しましたり譲受けいたしまする際に如何なる手続を要するか、即ちその際に譲受証、譲渡証を必要とする。更に麻薬につきましては、一々政府発行の証紙によります封緘がされていなければならない。或いは容器とか或いは被包に記載すべき事項を規定いたしたのでございます。  次は三十六条におきまして、麻薬の免許が失効した場合の措置規定いたしております。  次は三十七条乃至四十条におきまして、麻薬取扱者が帳簿を備えてそこに記載しなくてはならないことが規定されております。併しながら先ほども申しましたように、帳簿の記載が従来に比べまして非常に簡略化されております。これは麻薬を売つたり買つたり或いは作つたりするいわゆる営業者におきましても簡単になつております。例えば従来は売先の相手方等を詳しく書かなくてはならないことになつておりましたが、それがなくなりましたし、又診療に関しまして使われます麻薬につきましては非常に簡単な記載で間に合う、こういうことにいたしたのであります。その施用に関する記録といたしましては、従来は非常に詳しい記載を別の帳簿にしなくてはなりませんでしたが、今回の法律におきましては診療録、或いは診療簿に記載して置けばよろしい、或いは又薬局等で調剤いたしました場合にはその処方箋を取つて置けばよろしい、こういうことになつているのであります。  次は届出であります。即ち麻薬を売つたり買つたり、或いは作つたりいたしました際にはこれを届出しなくてはなりません。この届出に基きまして、更に政府ではこれを国際連合に報告をいたしているのでありますが、従来は届出を毎月やらしておつたのでございますが、今回は四半期ごとに改めまして、そうしてその内容につきましても従来よりもかなり簡略化いたした次第でございます。  次は麻薬小売業者と申します、即ちこれは薬局でございます。又施用者即ち麻薬を使いますお医者さん、歯科医師或いは獣医師等の政府に対しまする届出でございますが、これは年一回、従来の法律でも年一回でございますが、この届出の事項は非常に簡略化いたしました。従来は一々容器の数とか容器の容量等をも届出なくてはなりませんでしたが、そういつたことを極く簡略にいたしまして、届出の義務につきましても非常に楽になつた次第でございます。  次は五十一条乃至五十二条におきまして、免許の取消等の行政処分につきまして規定いたしております。これは従来とも同じでございますが、併しながらこの免許の取消等の行政処分をいたそうとする場合には聴聞をしなくてはならない。これは大体今日の殆んどの法律におきまする行政処分につきまして規定されているところでございまして、それを今回新たに入れた次第でございます。  次は五十三条におきましては、厚生大臣又は都道府県知事は必要ありと認めた場合には麻薬取扱者から必要な報告を徴収することができる。その他麻薬取締官若くは麻薬取締員その他の吏員に業務所に立入つて検査とか或いは質問、或いは見本品の収去等を行わせることができるようにいたしておる次第でございます。  次は、これが新らしいところでございまして、即ち五十四条乃至五十八条におきまして、厚生省に百五十名以内の麻薬取締官を置きまして、都道府県には都道府県全部を通じまして百名以内の麻薬取締員を置きまして、麻薬に関して刑事訴訟法の規定によりまする司法警察員としての職務を行わせることにいたしまして、その犯罪の捜査等に関しまして必要な手続事項を定めたのでございます。従来は厚生省に二百五十名以内の麻薬取締官を置きまして、それを都道府県に駐在させまして、全部国が直接この取締をやつておつたのでございますが、併しながら、提案理由説明にもございましたように、大体地方におきまして麻薬を取扱う人々、即ち麻薬の販売或いは製造をやつたりする人々、或いは施用者でありまするところのお医者さん、その他の人々の麻薬に関しまする認識が十分になつて参りますと共に、それらに対しまする犯罪は、犯罪と申しますか、違反というようなものが少くなつて参りましたが、一方大都会地、或いは港湾等におきまする麻薬の犯罪がより一層巧妙化いたしまして、これらに対しましては中央の麻薬取締官に取締の主力を注がしめ、地方におきましては、主として麻薬取扱者に対しまする取締或いは指導、或いは行政的な事務等を行わしめる、こういう意味からいたしまして、且つ又政府に持つておりまする行政事務を成るべく地方に委任する、こういう意味からこのよう規定を今回設けた次第でございます。  次は費用の分担の点でございますが、それが五十九条に書いてございまして、都道府県はこの法律に基きまして、都道府県知事が行いまするところの免許その他麻薬取締に要しまする費用を支弁しなくちやならないことにいたしました。国は麻薬取締員に要しまする、即ち地方に置いてございます麻薬取締員に要しまする費用の全部を負担しなくちやならない、こういうことになつております。  以上がこの法律の大要でございまして、雑則が多少と、それから六十四条乃至七十五条によりまする罰則と、附則といたしまして経過規定が置いてある次第でございます。この法律は本国会を通過いたしますれば、本年の四月一日から施行いたしたいと存じておる次第でございます。  以上簡単でございますが、大体につきまして御説明いたした次第であります。  次は大麻取締法につきまして御説明いたしたいと思います。  大麻取締法に関しましては、その一部を改正するのでございますが、改正いたしまする主な理由は、これも提案理由にすでに説明されたところでございますが、大麻に関しまする取締を緩和いたしまして、且つその取締に関しまする事務都道府県知事に委任することがこの改正理由でございます。即ち簡素化いたしました点は、一つは大麻草、これは大麻草という草がございますが、その種子及び製品を大麻取締の対象外にいたしましたこと。それから大麻の研究者が厚生大臣の許可を受けたときは、大麻を輸入したり又は輸出することができるようにいたしましたことと、それから大麻の栽培に関しまして、従来はこれは厚生大臣でございましたが、それを地方の都道府県知事にいたしたことでございまして、且つ大麻を譲り渡しましたり、又譲り受けたりいたします際に証紙を必要としたのでございますが、そういうことを廃止いたしました。それから厚生大臣又は都道府県知事は、必要があると認めるときは、取締官又は取締員その他の吏員に大麻に関係ある場所に立入、検査その他収去等を行わせることができるようにいたしましたことと、今一つ大きな改正の点は、従来は大麻草の栽培につきましては、栽培の区域と、それから栽培面積とを厚生大臣と農林大臣とがこれを定めておつたのでございますが、それを廃止いたしました。従つて大麻を栽培することは、区域或いは栽培面積に関しましては何ら規制がなくなつた次第でございます。  なお、一部には大麻の取締なるものを廃止したらどうかという説が相当ございます。併しながらこれに関しましては、やはり国際的な規制もございまするし、又日本の大麻が果していわゆる世界的に言われまするところの大麻と同じような成分を持つているかどうかということに疑問があるのでございますが、併しこれに関しまして、今日まで農林省その他が東大あたりに依頼いたしまして研究いたしました結果では、やはりこの日本の大麻草にも麻酔成分がございまして、又一方駐留軍の兵士等はこの大麻草でたばこを作りまして、アメリカのものよりも工合がいいということを言つていること等も聞いております。従いまして、その意味におきまして、現在では大麻の取締はやはり法制化しておくことが必要である。かよう存じている次第でございます。以上でございます。
  40. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 本案につきましての御質疑があると思いますが、これは次回にしまして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) それでは本日はこれを以て散会いたします。    午後零時七分散会