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1953-03-05 第15回国会 参議院 厚生委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年三月五日(木曜日)    午前十時五十七分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     藤森 眞治君    理事            大谷 瑩潤君            藤原 道子君    委員            草葉 隆圓君            小杉 繁安君            常岡 一郎君            谷口弥三郎君            一松 定吉君   国務大臣    厚 生 大 臣 山縣 勝見君   政府委員    厚生省社会局長 安田  巖君    厚生省児童局長 高田 正巳君   事務局側    常任委員会専門    員       草間 弘司君    常任委員会専門    員       多田 仁己君   説明員    厚生省公衆衛生    局環境衛生部長 楠本 正康君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○麻薬取締法案内閣提出) ○大麻取締法の一部を改正する法律案  (内閣提出) ○未帰還者留守家族等援護法案内閣  送付) ○戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部  を改正する法律案内閣送付) ○消費生活協同組合資金貸付に関す  る法律案内閣提出) ○食品衛生法の一部を改正する法律案  (内閣提出) ○児童福祉法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○連合委員会開会の件   —————————————
  2. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) それでは只今から開会いたします。  日程に従いまして、麻薬取締法案、それから大麻取締法の一部を改正する法律案、未帰還者留守家族等援護法案戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案、以上の四案につきまして政府提案理由をお願いします。
  3. 山縣勝見

    国務大臣山縣勝見君) 只今議題となりました麻薬取締法案につきまして提案理由を御説明申上げたいと存じます。  麻薬によりまする保健衛生上の危害を防止いたしますることが社会的人道的に極めて重要でありますることは申すまでもないことであり、これが取締につきましては終戦以来特に厳格に行なつて参つておるところでありまするが、現行麻薬取締法昭和二十三年に制定されたものであり、当時の社会情勢と現在とにおきましては麻薬取締の面におきましてもかなりの相違があるのであります。即ち取締趣旨が周知徹底するに伴いまして、麻薬取扱者である者の違反行為は逐年減少しつつあるのでありますが、この半面国際交通頻繁化に伴いまして、組織的な密輸入、不正取引等悪質な事犯が特に顕著に現われて来ているのであります。従つてこの際実態に即しました効果的な取締を強化することが必要であると考えまして現行法律を廃止いたしまして新たに麻薬取締法を制定いたさんとするものであります。  現行法におきましては麻薬の輸出は一切禁止されているのでありますが、新たに麻薬輸出業者を設けまして、これが厚生大臣の許可を受けて麻薬を輸出する途を開くと共に、現行家庭麻薬麻薬範囲から除外いたし、広く国民医療に供し得るようにいたさんとする等のものでありますが、その他の麻薬取扱者の種類を調整することが先ず第一に必要であると考えられるのであります。  次に現在麻薬取締に関する事務は、すべて国が直接行なつているのでありますが、麻薬取扱者の免許その他取締に関する事務の一部は、これをこの際都道府県知事に委任いたしまして国の麻薬取締官に対応する職員として都道府県麻薬取締員を置き、それぞれ必要な取締を行わせますることが実情に即し、且つ効果的であると考えるのであります。  更に現行制度におきましては、麻薬取扱者に対しまして帳簿の記載、報告の提出等繁雑な手続を要求いたしている点も少くありませんので、この際これらの義務を必要最小限度に軽減いたしまして、医療及び学術研究のために使用する麻薬の入手を容易にすると共に、これらの用途につきましては、成るべく広範囲の使用を認め、国民医療及び学術研究の万全を期したいと考える次第であります。  その他取締に関する規定の整備を図る等のことが必要と考えまして所要改正を行う所存であります。  以上がこの法律案を提出いたしまする理由でありますが、何とぞ慎重御審議上速かに御可決あらんことをお願いいたしまする次第であります。  次に大麻取締法の一部を改正する法律案につきまして提案理由を御説明申上げます。  大麻取締大麻取締法の定めるところによりこれを行なつて参つているのでありますが、最近の事情は法律制定の当初とかなり相違しておりますので、この際この取締を緩和したいと考えるのであります。  即ち大麻草の種子は、従来大麻として取締対象となつているのでありますが、これを取締範囲から除外し、これに伴い、大麻譲渡譲受手続に関する制度を廃止することが改正の第一点であります。  又、従来大麻取扱者の免許その他大麻取締に関する事務はすべて国が行なつているのでありますが、これをこの際都道府県知事に委任することが改正の第二点であります。  その他、取締緩和のため各規定の整理を行う必要があると考え所要改正を行おうとするものであります。  以上がこの法律案を提出する理由でありますが、何とぞ慎重御審議上速かに御可決あらんことをお願いする次第であります。  次に只今議題となつておりまする未帰還者留守家族等援護法提案理由について御説明申上げます。  従来未帰還者のうち、もとの陸海軍に属していました者で、まだ復員いたしていない者、即ち未復員者に対しましては、未復員者給与法が適用され、又ソ連及び中共地域内の邦人でありましてソ連地域内の未復員者と同業の実情にありまする者、即ち特別未帰還者に対しましては、特別未帰還者給与法が適用いたされまして、これによつて本人に対しまする俸給月額千円と扶養手当一定親族に支払うことによつて留守家族援護が行われて参つているのであります。  又未帰還政府職員に対しても留守家族援護の見地から、一般職職員給与に関する法律規定基ずく人事院規則が適用されまして、これに基いてその扶養親族には月額二千四百三十八円から一万八百八円までの俸給に加えて扶養手当が支払われているのであります。併しながら終戦後すでに相当の年月を経過した今日におきましては、このような俸給支給の建前は極めて不自然な姿となつているのであります。のみならず種々不都合も生じておりますので、この際むしろ今日の段階におきましては端的に留守家族援護するという見地から措置いたしますることが妥当であると思料いたすのであります。よつてこの際これらの法令を廃止いたしまして留守家族そのもの対象とし、より実情に即した援護を行いますと共に、従来未復員者給与法等によつて行われていた各種の給与と同様の援護を行うことを目的とする未帰還者留守家族等援護法を新らたに制定しようとするものであります。  次にこの法律大要について御説明申上げます。  先ずこの法律規定する未帰還者範囲でありますが、第一は、もとの陸海軍に属しまだ復員していない者、第二は、昭和二十年八月九日以降ソ連中共地域内において生存していたと認められる資料がありまする一般邦人であつて、自己の意思によつて帰還しないと認められる者以外の者、第三には平和条約第十一条に掲げる裁判によつて拘禁されている者を含むのであります。  次にこの法律による援護を受けますることができる留守家族範囲は、未帰還者が本邦に残しておりまする妻、不具廃疾の夫、十八歳未満又は不具廃疾の子、六十歳以上又は不具廃疾の父母、配偶者がなく、且つ、扶養する直系血族のない父又は母、十八歳未満又は不具廃疾の孫及び六十歳以上又は不具廃疾祖父母でありまして、未帰還者が帰還しているとすれば、主としてその者の収入によつて生計を維持していると認められる者であります。  而してこれらの留守家族のうち先順位の者に対しまして、留守家族手当といたしまして月額二千百円を支給し、なお他に前述の留守家族があります場合には一人当り月額四百円を加給することといたしているのであります。  なお、この法律にいう未帰還者のうちには状況不明となつている者をも含んでいるのでありますが、長年月に亙つてその状況が判明しない未帰還者につきまして無期限に留任家族手当を支給するということは必ずしも当を得た措置とは申されませんので、この法律においては、留守家族留守家族手当を受けることができる期間を一定期間に限定いたしているのであります。併しながらもとより政府といたしましては、未帰還者状況調査究明につきましては今後とも努力いたさなければならないところでありますので、特にこの法律におきましては、国は未帰還者状況について調査究明に努めなければならない旨の規定を設けている次第であります。  以上のほか、この法律によりまする援護といたしましては未帰還者が帰還いたしましたとき、帰郷旅費として一人につき千円から三千円までを支給し、但し十八歳未満の者にはその半額を支給いたさんとしているものであります。未帰還者のうち未復員者及びソ連におきまする未復員者と同様の実情にあつた者が、帰還いたしました後必要がある場合には、一定の条件を具える者につき療養の給付を行い、或いは身体に障害を残している場合には、最高三万八千円から千六百円までの障害一時金を支給し、又外地において右に述べた状態にあつた未帰還者が死亡いたしました場合には、その遺族に対し遺骨埋葬経費として三千円、遺骨引取経費として二千七百円を支給することにいたしております。  これらの措置の施行に要する経費全額国庫負担でありまして、留守家族手当所要経費九億六千万円、帰郷旅費所要経費三千万円、遺骨埋葬経費及び遺骨引取経費所要経費六千万円、療養費障害一時金等に要する経費四億九千万円、廃止した旧法令に基く未支給分給与及び旧法令からこの法律への切替に当つて実績保障に要する経費四億九千万円、事務費その他七千万円、計約二十一億円を計上いたしている次第であります。  なお、恩給法の一部を改正する法律案におきましては、未帰還公務員のうち、普通恩給最短在職年に達した者について普通恩給を給することとし、その者の親族で本邦にあるものが本人に代つてこれを請求することができる制度を樹立し、留守家族援護趣旨の一端を実現しようとしているのであります。恩給法における右の措置は、この法律援護と相待つて留守家族援護に齟齬なきを期しているのであります。  以上がこの法律案大要であります。慎重御審議の上、速かに御可決あらんことを切望する次第であります。  次に同じく議題となりました戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案提案理由について御説明申上げます。  戦傷病者戦没者遺族等援護につきましては、第十三国会において戦傷病者戦没者遺族等援護法が成立し、昨年四月一日から施行され、十全とは申せないにしましても、国家補償の精神に基く処遇が従来行われて参りましたのでありまするが、今回援護措置を更に強化するためこの法律の一部を改正することにいたしましたが、ここにその理由及び内容の大要につき御説明いたします。  第一に太平洋戦争中旧国家総動員法に基いて設立された船舶運営会の運航する船舶の乗組船員は、戦時中軍人軍属と同様の戦争危険にさらされて、兵員、軍需物資等の輸送に当り、又前線作戦に参加する等全く軍人軍属と同様の任務に服していたものであり、その危険の程度は、軍人のそれに比肩し、或いはそれ以上に及んでいたのであります、これらの事情に鑑み、右の船員をこの法律援護対象とすることが極めて緊要と存じますので、新らたにこれを軍属の範囲に加えた次第であります。第二に年金額を、本国会提案されています恩給法の一部を改正する法律による旧軍人増加恩給公務扶助料の額とも睨み合せ、現在の国家財政の許す限りにおいて引上げまして援護の強化を図ることにいたしました。即ち障害年金につきましては、不具廃疾程度に応じ、九万円から二万四千円でありましたのを、十八万一千円から二万四千円に、遺族年金につきましては、配偶者、子、父母、孫、祖父母の順序により、先順位者とその他の遺族に区分し、一人につき二万五千二百円、五千円にいたそうとするものであります。  その他この法律の円滑な施行を期するため、必要な二、三の点につき併せて所要改正をいたすことにしたのであります。  なお旧軍人恩給の復活に伴い従前この法律により援護しておりました旧軍人又はその遺族につきましては、原則として恩給法に転移することになりますが、これに伴う本法との関係につきましては、別途所要の調整を行い、そり間齟齬、間隙の生じないよういたすことにしております。  次にこれらの措置を講じますのに必要な経費につきましては、障害年金及び遺族年金支給に要する経費約二十八億円、遺族国庫債券元利金支払に要する経費約百三十億円、更生医療等に要する経費約五億円、その他必要な事務費昭和二十八年度予算に計上されているのであります。  以上提案理由につきまして御説明申上げましたが、何とぞ慎重に御審議の上、速かに議決あらんことを切望する次第であります。
  4. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 以上四案の質疑につきましては次回にいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) それではさようにいたします。   —————————————
  6. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) それでは消費生活協同組合資金貸付に関する法律案、これにつきまして御質疑を願います。  それでは私から……。これは国が二分の一、都道府県が二分の一出すようになつておりますが、その都道府県の二分の一の負担についてこの都道府県の財政的の裏付方はどういうふうになつているでしようか。
  7. 安田巖

    政府委員安田巖君) 別に考えておりません。
  8. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) これで併し何も別に裏付がないとして、都道府県のほうでこれはいい工合に予算を組んでくれる見込がございますか。
  9. 安田巖

    政府委員安田巖君) 現在でも都道府県の独自の予算相当の県ではやはり予算を組んでおりまして、何か国のほうでそういうものを出してくれるなら組みたいという要望があるところがたくさんございます。それと消費生活協同組合の分布が必ずしも全国平均に行つておりませんで、結局こういうような資金貸付を受けるような堅実な組合の多いというところは、県としてはやはり限られて来るのじやないかというように考えております。その点は私ども心配をいたしておらんのであります。
  10. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) それからこれの全体の予算はどういうようになつておりますか。
  11. 安田巖

    政府委員安田巖君) 二千五百万円だけでございます。
  12. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 第三条の「厚生省令で定める基準に適合する消費生活協同組合」、この基準はどういうものでございましようか。それからこれの実施に当つて経費について伺います。
  13. 安田巖

    政府委員安田巖君) 第二条の「厚生省令で定める基準」と申しまするのは、現在のところでは次のようなことを考えておるわけであります。  第一は、役員が組合運営に熱意を有し且つ組合員の団結が強固であること。第二は、組合員一人当り組合事業利用高月平均千円以上であること。第三は、出資金払込総額が二十万円以上であること。大体そういうようなことを考えておるのであります。  なお、地方における事務費でございますが、大体国から三分で借りまして、地方町村は四分乃至五分以内の利率で貸すわけであります。従いまして合計五千万円として四分の利子でありますと三百万円、国のほうは二分の一でございますから、それから国庫納入分が七十五万円でございますので、残り百三十五万円が府県事務費危険負担に当てられるという計算になりますが、大体これで足りるのじやないかと考えております。
  14. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) もう一点伺いますが、未亡人団体等生活協同組合を作つておるところがありますが、こういうものも対象にされるお考えでしようか。
  15. 安田巖

    政府委員安田巖君) 私どもそういう話を承知いたしておりませんけれども、別に組合といたしましても区別をいたしません。先ほど申上げたような基準に合えば、それに対しては貸出すように指導いたしたいと考えております。
  16. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 他に御発言ございませんか……。速記を止めて。    〔速記中止
  17. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 速記を始め  て。
  18. 藤原道子

    藤原道子君 この頃貸付法案というのができても、結局は地方財政が逼迫しているときに、これがこちらの政府で予定しているように、地方がやはりこれを受けて立つだけの用意ありというお見通しですか。
  19. 安田巖

    政府委員安田巖君) 先ほど委員長に対するお答えで申上げたんでありますが、母子福祉資金貸付法にもそういう問題がありますし、それから私どものほうにも問題がありますので、自治庁と今起債の問題については交渉いたしておるのでありますけれども、大体現在貸付金制度をすでに設けている県が相当ございまして、例えば北のほうから申しますと、北海道が二千万円、それから宮城が五十万円、福島五百万円、千葉が二百五十万円、東京三千万円、長野が二百五十万円、京都が六百万円、大阪百五十万円、兵庫一千万円、広島五百万円、愛媛百万円、山口八百万円、この十二都道府県では大体利率が最低一分八厘、最高一割ぐらいで約一億円ぐらいの金を自前の資金で実は貸しておるわけです。それだけでは足りませんものですから、私ども国のほうから援助しようという考えでこの法案が出たわけです。必ずしも金額は満足なものではございませんけれども、まあ今年一つ頭を出しましてだんだん殖やして行きたい、こういう考えです。
  20. 藤原道子

    藤原道子君 私どもとしては本当にこの金額の点からいつても、又地方へ何でもあれする点で満足すべきものではございませんけれども、まあ一応頭を出したというところに一つの希望を持つという程度法律ですね。で政府はこの運営の如何によつては今後もつと強化して行くという見通しは持つておるんですか。
  21. 安田巖

    政府委員安田巖君) 私どもはそれを切望いたしておるわけです。
  22. 大谷瑩潤

    大谷瑩潤君 これは地方の自治体からの申出によつて金額を按分されたんですか。その金額を定められた基準はどこにあるんですか。
  23. 安田巖

    政府委員安田巖君) 只今のところはこの法律通りましてから二千五百万円をどういうふうに分けるかということをきめるわけですが、先ほど申上げましたような条件に合うものを選びますには、府県からやはりあらかじめ申請を必要としますので、府県から申請を取つている段階でありまして、それが出まして、内容を見まして、私どものほうからそれではどの府県に幾らという割当をいたしたいと思つております。
  24. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 他に御発言ございませんか。
  25. 藤原道子

    藤原道子君 今全国的に見て消費生活協同組合状況はどんなふうでございますか。
  26. 安田巖

    政府委員安田巖君) この資料をお手許に差出してあるかと思いますけれども組合の数が千四百七十二でございます。行つておるでありましようか……資料の六ページというところを御覧になりますと、「消費生活協同組合の概況」というのがございます。組合の数は千四百七十二組合地域組合が千百二十七組合職域組合が三百四十五組合組合員の数が二百八十四万千三百十二人、組合員家族数が八百三十二万二十二百六十五人、出資口数五百五十八万四十二口、出資払込額が三億七千二百二十万五千九百三十二円、一組合当り平均出資払込金額が二十五万二千八百五十七円、一口当り出資平均額六十七円、組合員一人当り平均出資金額が百三十一円、こういうところであります。
  27. 藤原道子

    藤原道子君 消費生活協同組合が、現段階において非常に切望しておりますところの信用事業組合でやることができるようなふうに改正するお考えはございますか。非常な熱望でございますが、政府においての御見解をちよつと伺いたい。
  28. 安田巖

    政府委員安田巖君) お説の通りでございまして、この信用事業が行われますことによりまして、資金面の融通がつきますから、組合の本来の仕事のほうに伸びて行くと思います。昔は御承知のように、産業組合法のときは実はそういう系統金融機関があつたわけであります。現在は産業組合法が廃止されまして、農業協同組合中小企業協同組合と、それから消費生活協同組合と三つに分れました。ところが農業協同組合のほうは御承知のように農林中央金庫がございます。中小企業協同組合商工中央金庫がある。更に現在国会審議されておりますが、中小企業金融公庫ですか、残りますのは生活協同組合だけが残る、こういうことになります。私どもこの法案ができました当初から、実はこのことをいろいろと折衝いたしておつたのでありますが、まあまあまだ数も少いことであるし、基礎もしつかりしていないから、国民金融公庫あたりで借りたらどうだということで追つ払われておつたのであります。大体国民金融公庫と申しますと、全額で一千万円ぐらいしか融資してもらつておりませんから、自然に高い金利のものを借りる、そうなりますというと勢い固定した施設なんかに投資することはとてもできんということになります。そういうような欠陥をこれで少し補つて行きたい。どうも今のこの御質問信用事業をやるかどうかということにつきましては、もう少し一つ研究さして頂きたいと思います。その系統金融機関がほしいということは実は痛切に感じております。
  29. 藤原道子

    藤原道子君 私どものほうでも消費生活協同組合のこの改正というようなことを今研究中でございますけれども、結局この法案ができるときに、この問題について随分問題になつたわけでございまして、私も随分主張した者の一人なんです。結局こうした面を許可しなければしつかりした基礎は築けない。又当然農業協同組合でも中小企業協同組合でもなされているのに、ひとり消費協同組合があらゆる方面からの圧迫でこれができないということを非常に遺憾だと思いますので、一つこれが実現できますよう我々も努力いたしますが、なお一層の折衝をお願いしたいということを希望しておきます。
  30. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 質問ももうないようですから、この辺で質問を打切りまして、討論を省略して、採決されんことの動議を提出いたします。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  31. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 只今谷口委員から、質疑打切つて討論を省略して直ちに採決することの動議が提出されました。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 御異議ないと認めます。それでは質疑を打切りまして、討論を省略して採決いたします。  消費生活協同組合資金貸付に関する法律案、原案通り可決することに御賛成のかたの挙手を願います。    〔賛成者挙手
  33. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 全員挙手、原案通り可決されました。  それでは委員長が議院に提出する報告書には多数意見者署名を附することになつておりますから、本案を可とされましたかたは順次御署名を願います。   多数意見者署名     大谷 瑩潤  藤原 道子     草葉 隆圓  小杉 繁安     常岡 一郎  谷口弥三郎     一松 定吉
  34. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 御署名漏れはございませんか……御署名漏れないと認めます。  なお本会議における委員長口頭報告については委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 御異議ないと認めます。
  36. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 引続きまして、食品衛生法の一部を改正する法律案、御質疑を願います……。  私から一、二点伺いますが、米の入つて来るのは大体どういうようなルートから主として米が入つて来るのでありましようか。
  37. 楠本正康

    説明員楠本正康君) 主として南方アジア地域から入つて参りますが、稀に他の地域からも入つております。他の地域から少量入りまするのはこれは非常に各国に亘つておりまして、総計十七カ国から現在日本に米が入つて参ります。
  38. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) これはずつと前からそういう国の米には有害性があるということはわかつておりましたか。
  39. 楠本正康

    説明員楠本正康君) 米に有害性のものがありますことは古くからわかつておりました。現に南方の米の消費地におきましても黄変米等につきましては食用に供さずに適宜処置しているように聞いております。
  40. 藤原道子

    藤原道子君 ちよつとお伺いいたしますが、不正な食品というようなもので今まで問題になつたのにどういうものがありますか。
  41. 楠本正康

    説明員楠本正康君) 従来まで問題になりました最も大きな事例を二、三拾つてみますと、昭和二十二年に東京を中心として全国的に患者を四千名出しました大豆粉の事件がございます。次いで翌年の昭和二十三年には大阪等を中心といたしまして、患者約千名を出しましたビルマ米の事件がございました。それから二十六年に至りましては長野県或いは秋田県等の学校給食用の脱脂粉乳の事件が起りまして、これは患者を二千名出しております。なおこれは主なものでございますが、現在まで輸入食糧の事故といたしましては総計三千五百件、大小取り混ぜまして総計三千五百件、患者数は約十万名に達しております。
  42. 藤原道子

    藤原道子君 輸入したときにこういう不良な食品であつた場合には、相手国には損害のあれはできないのですか。
  43. 楠本正康

    説明員楠本正康君) この問題は商取引の契約の問題になりまするが、現在は一応この責任は輸入業者の責任と相成つております。従いましてその損害は現状におきましては輸入業者が負うことに相成つております。併しながら今回かような不良食品を輸入禁止するような措置を講じますれば、勢い買付のときにもそれだけ注意が払われますし、又上手に契約いたしますれば相手方に対しましてクレーム等をつけることもできますので、この点は却つて有利になつて来るのではなかろうかと考えております。
  44. 藤原道子

    藤原道子君 私はその点を聞きたかつたのです。実は南方諸地域を廻りまして、農林省等から派遣されておる何というのですか、買付に行つておる役人が、向うにおります業者等との間にしばしば不正なる問題が起つておるということを耳にいたして聞いております。それから実態を見てみましても、徒らな業者間の競争、そうして相変らず内地で行われているような待合取引というようなものに終始されて、真剣に職務を行なつておると言いがたい状態は、むしろ向うの人たちの間においてすら顰蹙を買つておる、日本の名誉を傷つけておるというようなことを見たり聞いたりいたしてみましたので、こういう厳重なあれをされることは非常に好結果を来たすのではないかというふうに考えますので、ちよつとお伺いしてみました。
  45. 一松定吉

    一松定吉君 今そういうような一体毒のある食糧を需要者に配給する前に、厚生省その他の検査官において、これは毒のあるとかないとかいうようなそういう十分な検査はしないのかね。
  46. 楠本正康

    説明員楠本正康君) 終戦直後におきましては対GHQの関係等もありまして、これは検査をしなかつたわけであります。ところが事故が先ほど申上げましたようにかなり発生いたしましたので、昭和二十六年九月以来政府の食品衛生監視員の手によりまして検査を始めたわけであります。従いまして現在は輸入食品は抜取り検査をいたしております。併しながらたとえその結果悪いものと判定されましても輸入そのものには差支えないというのが現在の法律の建前であります。従いまして今回は更に一歩を進めまして、検査の結果悪いものにつきましては輸入禁止の措置をとることといたしたわけであります。
  47. 一松定吉

    一松定吉君 終戦前までは連合国その他に対して何か遠慮でもして調査しなかつたのか、法律で調査ができんとかいう規定があつたのですか。
  48. 楠本正康

    説明員楠本正康君) 只今申上げましたように終戦直後は検査をいたしませんでしたが、二十六年以来検査を実施いたしております。ただ厖大な品目が輸入されますので、全品検査をいたすことは理想ではありますが、職員の関係、経費の関係等からこれは不可能でありますので、現在は止むを得ず抜取り検査を実施しておるのであります。なお農林省のほうにおきましては品質検査という建前で、これは自衛的な措置として検査をいたしております。これは品質検査でございます。
  49. 一松定吉

    一松定吉君 今藤原委員が御発表になつたように買付に行つている日本人が向うで御馳走になる、そうして向うの業者と結託して品質の良否の判断をせずに、そして不良なものをどんどん買込んで、そうして待合取引をやつておるというようなことは、これは私もたびたび噂に聞いておつたが、実にけしからん話であると思う。そういうようなことについては厚生省若しくは農林省として十分な取締とかいうことは行なつておるのですか、おらんのですか。
  50. 楠本正康

    説明員楠本正康君) 現地買付の問題につきましては、厚生省はこれは一応関係のないことに相成つております。従いまして厚生省といたしましては、日本の港に着きましたものにつきまして厳格な検査をいたしまして、その結果悪いものに対してはそれぞれ農林省当局と連絡をいたして適当な処分を行なつておるというのが現状であります。
  51. 一松定吉

    一松定吉君 今あなたの御報告にあつたように非常な有毒であつて、その食糧によつて多数の人命に悪影響を生じたとかいうようなその事実のあつたことに対して、買付の任に当つたとかいうような方面の厳重な取調でもして、そうしてそこに手落ちがあつたとかいうようなことでも確かめたのですか。それはそのまま放つたらかしておいて、爾来輸入するものだけを抜取検査ということでお茶を濁しておるということかね。
  52. 楠本正康

    説明員楠本正康君) 厚生省といたしましては、農林省にかような結果と相成つておるから、できるだけ現地買付について十分な注意を払つてくれということをお願いをいたしております。又農林当局におきしましても、当然現地買付が立派に行えますように従来も指導をして来られたことと存じております。たた今回不良食品の輸入が禁止される措置が講じられますれば、恐らく一層現地におきましてはかような十分な注意をして買付をするということに相成るだろうと考えております。
  53. 一松定吉

    一松定吉君 それは、農林省にそういう警告を発したということは結構だけれども、警告を発した結果、農林省のほうからそういうようなことの将来ないように十分に警告を発したというような報告でもあつたのですか、ただ警告をあなたのほうから発しただけで、発し放しそのままか、それはどうだね、結末は……。
  54. 楠本正康

    説明員楠本正康君) 農林省といたしましては、十分厚生省の申入れを了解いたしまして、総領事館に対しましていろいろ連絡をいたしましたり、或いは代行商社の選定、或いはその指導等を十分実施しておるというように聞いております。
  55. 一松定吉

    一松定吉君 そういうようなことが、農林省が外地の買付をすることについて、総領事等を使つて調査したその結果、そういう不良なものを輸入し、不都合なことで取引したというような者がわかつて、それを処分でもしたという事実はありますか、ありませんか。
  56. 楠本正康

    説明員楠本正康君) 現地の職員の処分の点につきましては何ら聞いておりません。
  57. 一松定吉

    一松定吉君 そういうようなことは、あなたのほうがやはり衛生方面を受持つてれる厚生省としては、ただ農林省にそれを警告をしただけで、その結果どうなつておるかというようなことは、やはり突止めてちやんと結末をつけておかないとよくないのじやないのかね。厚生省として保健衛生を担当しておる省としてはね、そこまでやつておくことが私はいいと思うのですが、ただ警告だけして、あとはどうなつたかわからんということでは、将来輸入食糧についての取締とか保健衛生とかいうことに落度があるのじやないかね。
  58. 楠本正康

    説明員楠本正康君) 現地買付の問題は何分にも農林省の責任において実施しているわけでありますので、厚生省としては遺憾ながらこれに対して注意を与える程度で、それ以上突き進んでやることはちよつと無理かと存じます。一方本来これを徹底いたしまするためには、やはり厚生省といたしましても現地に衛生担当官を駐在させましてこの仕事に当らせるということが一番徹底する措置だと考えております。なお戦前におきましては支那から大量の食肉が内地に輸入されておりましたが、その当時は日本の衛生担当官を支那に駐在させまして、食肉検査に当らせておつたというわけであります。
  59. 一松定吉

    一松定吉君 今あなたのおつしやるようなことでは、将来、厚生省として本当に完全に保健衛生のために意を用いるということにはならんね。こういうような不良食品が輸入されたために、これだけの多数の患者ができたというような事実がある以上は、その患者の出た根源を確かめて、将来再びかくのごときことのないようにということにまで相当の注意を払うということでなければ、将来再び三度こういうことが起らんとも限らない。それが一つ。今まであなたのほうでやらなかつたことをかれこれ言うのじやないが、将来は一つそういう点に十分注意して、再びこういうような不祥事の起らないようにして頂くということが厚生省の本当の任務と私は思うのだが、それはどうだい。
  60. 楠本正康

    説明員楠本正康君) お手許に差上げました資料を御覧頂きましてもわかりますが、終戦直後は私どもは輸入食品の検査をいたさなかつたのでありますが、二十六年九月以来検査を始めました。ところが二十六年九月以来は資料にありますように著しく事故が減少して参つております。又一方只今審議を願つておりますようなふうに輸入食品の検査を実施いたしまして、不良の場合これを輸入させない方法をいたしますれば、恐らくこれが最も大きな刺戟となりまして、現地の買付に十分注意されることになると考えております。従いまして今後の推移を見なければ勿論わかりませんが、恐らく今後かような従来のような事例は皆無と行かんまでも、著しく減少するものと信じております。
  61. 一松定吉

    一松定吉君 今あなたのおつしやるようなことは最も注意して頂かねばならんことであるが、藤原委員の言うようりに、買付の任に当る者が酒食の饗応金銭の収受をして、そうして不良食品を買付けて平然としておる。自分さえ儲けたら、それを食つて人が病気にかかろうともかまわんというような不都合な買付業務に従事する者もあり、又検査をする者が、検査の結果これは不良食品であると思うけれども、やはり酒食の饗応、金銭の収受等をしてこれを大目に見ておるというようなことがあれば、今のような不祥事は撲滅することはできないのだから、そういう点について十分に、今まで済んだことはいいけれども、将来注意して、再びそういうことのないように御考慮願いたいということを、私は委員として、国民の一人として厚生省にお願いするのだが、あなたからでもそのことを厚生大臣によくお話をして、厚生大臣からも、農林大臣や若しくは法務大臣にも連絡をとつて、そういうことの再びないように一つして頂くことを特に御注意申上げて私の質問を終ります。
  62. 藤原道子

    藤原道子君 私は今一松さんの言われた点はお互いに十分衝かなければならないことだと思つていたのでございますので、その点は済んだことは仕方がないと言えばそれで済むわけでございますけれども、なお念のために私は農林省の関係者を呼びまして、どうなつておるか、今後どういう方法でやるか、どういう決意を持つてこれを実行するかということを本院において質すべきだと思いますので、そういう手配をして頂きたい。(「賛成」と呼ぶ者あり)それから私が聞いたところでは、日本人としてあるまじきことも耳にいたしておりますので、幸いそれが誤りであることを希望いたしますが、その点についても十分質したいと私は思います。  それからもう一つお伺いしたいのは、仮にこの輸入の際に検査をするとしても、荷揚げ後行なつて不良品であるということがわかつたときは、これを返品することができるのですか。
  63. 楠本正康

    説明員楠本正康君) これは商取引の契約の問題と関連いたしますが、併し最も大量を占めております輸入食品の中の米麦等の主要食糧について見ますと、これは農林省の責任におきまして輸入をいたしております。従いましてその結果、たまたま不幸にして検査の結果悪いものが混入いたしておりました場合には、これは国の責任におきまして他の用途に転用する等の措置を講じまして、衛生上の危害を除去する措置をとることとなつておりますから、従いましてこの点は発見いたしますれば心配はないものと考えております。
  64. 藤原道子

    藤原道子君 大切な国民の血税を以て結局買つておるのですね。そうして商取引だからと言つて、ただ単に買つて来たものをほかへ転出して、国民の生命の危機を脱するというだけでは私は足りないと思うのですがね。それでただ輸入したものが幸いに食糧にしないでほかに転用したということだけでは、この国民の損失はどうなるのですか。
  65. 楠本正康

    説明員楠本正康君) かような損出補填の問題につきましては農林省の措置するところでございまして、私よく承知をいたしておりません。ただ例えば味噌用或いは醤油用、或いはアルコール用というようなふうに転用いたします場合には、勿論損失はございますが、まるまる損と相成るわけじやございません。
  66. 藤原道子

    藤原道子君 私はそういう言い抜けはいやなんですよ。味噌用、醤油用、酒用のものならその基準で買つたらよろしい。主食として買つた場合に、不良品であつたからこれをほかに転用したら済むというような考え方だから不祥事が改まらないのです。この点をはつきりしておかなければ私は了承できません。  それから不良食品の輸入禁止に関する基準というものは如何ですか。
  67. 楠本正康

    説明員楠本正康君) 厚生省の立場といたしましては、不良なものを国内に入れない、つまり輸入させないということ以外には困難でありまして、御質問の点はよくわかるのでございますけれども、御意見の点はよくわかりますが、なかなかむずかしい点と考えております。厚生省の立場としてはむずかしい点であると、かように考えております。  それから次に不良品の基準の問題でありますが、現在の法律によりましても、食品として適正なるものにつきましてはそれぞれ基準ができております。併しながら勿論これは今後更に研究しなければならんものでありまして、特に今後輸入食糧品の検査をいたすことと相成りますれば、当然又その観点から正しい合理的な基準を設けまして、これを農林省の出先の官吏にも十分徹底させる要があろうと存じております。
  68. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) お諮りしますが、この只今一松先生並びに藤原先生の御質疑等につきまして、次回に農林省の関係当局を呼びまして、十分御疑問の点をお尋ねすることにいたしまして、本日はこの問題は……。
  69. 一松定吉

    一松定吉君 ちよつと一つ、例の輸入された食品が不良食品であつたときには「必要な行政処分」をするとあるね。その「必要な行政処分」というのは具体的に言うとどんなことをするのか。
  70. 楠本正康

    説明員楠本正康君) これは国内の不良食品に対する行政処分と同様でございまして、そのそれぞれのケースによつてつて参りますが、例えば廃棄処分であるとか或いは転用処分であるとか、いろいろな措置を講ずるわけございます。
  71. 一松定吉

    一松定吉君 廃棄処分、転用処分、それから向うに契約を解除して送り返すというようなことはしないのかね。或いは損害賠償をとるとか……。
  72. 楠本正康

    説明員楠本正康君) 損害賠償の点、或いは只今御指定の送り返すような点につきましては、これは厚生省としては食品衛生の立場ではこれは実施はできませんが、食品衛生法によりまして輸入禁止の規定がありますれば、これは商取引の建前で当然さような契約で返品することはできると存じます。
  73. 一松定吉

    一松定吉君 そういうことは厚生省の仕事ではなくて、それはどこの仕事ですか、その行政処分をする省はどこの省がやるのかね。
  74. 楠本正康

    説明員楠本正康君) 只今行政処分と申上げましたのは、厚生大臣の行う行政処分としては、衛生上有害なものが発見されました場合には、廃棄処分とか転用処分とかというものを行政処分として実施するわけでございます。併しながら只今御指摘の返品とか或いは損害賠償というような点につきますと、これは食品衛生法の権限外の問題でございます。
  75. 一松定吉

    一松定吉君 その権限外はどこでするのか、厚生省は権限外であるが、権限外であるとして厚生省は知らん顔をできるわけではない。それはおれのほうではやらん、例えば農林省でやるのだとか、通産省でやるのだとか、外務省でやるのだとか、とにかく厚生省以外に行政処分をする場所は。
  76. 楠本正康

    説明員楠本正康君) 厚生省といたしましては輸入禁止或いは不良品の処分ということに尽きるわけでありまして、損害賠償であるとか或いは返品ということにつきましては、これはそれぞれの輸入食品を担当しておるところにおいて行われるものと存じております。例えば主要食糧であるならば農林省、或いは他の品物であれば通産省というようなふうにそれぞれの品物によつて差が出て参ると存じます。なおこの場合といえども恐らくこれは商取引の関係上となりまして、その契約如何によつてかような措置が行われるものと考えております。
  77. 一松定吉

    一松定吉君 ほかの物品のことを聞くのではない。食料品のことを聞くので、食料品が保健衛生上に非常に大なる影響があるということで、厚生省は食品を輸入することについて、その売買ということについては農林省、それだから厚生省の行政処分は行うが、厚生省以外の、損害賠償とか返品とか、或いはそういうような取引を禁止するとかいうようなことについて、厚生省の行政処分以外に、ほかに行政処分をする省があれば、その省はどういう省でしようかと聞くんだよ。
  78. 楠本正康

    説明員楠本正康君) これは主要食糧その他大部分が農林省所管だろうと存じます。なお缶詰その他一部のものは通産省の関係のものもございます。
  79. 一松定吉

    一松定吉君 それでは聞くが、この缶詰その他については何か非常な毒物で健康を害したとか、衛生上問題になつたとかいう品物があつたかね、その通産省所管の品物だね。それを、僕がこういうことを聞くのはなぜかというと、農林省、通産省をここに招致して、我々の了解のできるように聞きたいためにその省を確かめるのだ。缶詰その他の通産省の管轄に属する品物で保健衛生の上で非常に害毒を流したような実例はあるかと聞くのだ。
  80. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  81. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 速記を始めて下さい。
  82. 楠本正康

    説明員楠本正康君) ジュース或いはチヨコレート、菓子、そういつたものでも若干不良品を発見したことはございます。これらのものの所管は通産省です。
  83. 一松定吉

    一松定吉君 それでわかつた。もうよろしいです。
  84. 大谷瑩潤

    大谷瑩潤君 これは人命にかかわる問題で私は非常に重大じやないかと思うのですが、先ほどから戦争後事件が三千五百件、中毒になつた者が十万人からあるということを承わつて私たちは驚いておるのです。この中毒のために死亡した人というようなものは何名ぐらいですか。
  85. 楠本正康

    説明員楠本正康君) それは五名死亡いたしております。
  86. 大谷瑩潤

    大谷瑩潤君 あとは中毒ですね。
  87. 楠本正康

    説明員楠本正康君) そうです。
  88. 大谷瑩潤

    大谷瑩潤君 もう一つ伺いますが、そういう死んだ者に対して、国家が責任を以て輸入したものに対しては国家補償をしたのですか。
  89. 楠本正康

    説明員楠本正康君) それは国家補償はしてないと承知をいたしております。
  90. 大谷瑩潤

    大谷瑩潤君 そうすると死んだ者は死に損ということになるのですね。
  91. 楠本正康

    説明員楠本正康君) そういうことにも相成ります。
  92. 藤原道子

    藤原道子君 もう一つ伺いたいのですが、昭和二十六年以後、検査するようになつてからは大変よくなつた。その後は日本の責任ですね。併しその前には我々には権限がなかつたとして、そのときのほうがたくさん中毒しているのですね。たくさんでもないけれども、死んでいるのですね。こういう場合に、一方的の命令みたいなものであの腐つたような玉蜀黍、豆の粉を食べさせられたわけですね。そういうときには占領軍のほうから何らかの補償というようなものはもらつたのですか。
  93. 楠本正康

    説明員楠本正康君) 何らさような措置は講じてございません。
  94. 藤原道子

    藤原道子君 併し抗議はしたのですか。
  95. 楠本正康

    説明員楠本正康君) ただそういつた賠償その他の措置は行いませんでしたが、脱脂大豆が大量の中毒をし、死亡者も出したような関係で、これは厳重に当時のGHQに日本政府として抗議を申しまして、その後脱脂大豆の輸入は一切中止してもらつたわけであります。
  96. 藤原道子

    藤原道子君 私このことを聞くのは、厳重に抗議をしたのは、私たちも一緒になつて農林省へわんさわんさやつたので、これは十分記憶しておるのですけれども、何ら損害賠償はもらえなかつた。而もこれらの輸入品が今度、何と申しますか、対日援助費等を今度払わなければならなくなつたわけですね。これは重大な問題だと思うので私お伺いしているわけなんです。幾ら敗戦国だつて泣き寝入りする手はないと思います。
  97. 楠本正康

    説明員楠本正康君) おつしやる点はよく理解できますが、どうも私の範囲ではお答えできかねます。
  98. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) それではこの問題は、先ほど申上げたように、次回に関係の当局を呼びまして十分お聞きを願います。
  99. 藤原道子

    藤原道子君 そのときに、私ではわからないというようなことのないように、しつかりとした責任者を呼んで頂きたい。お願いいたします。
  100. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 次に生活保護法の一部を改正する法律案について御審議を願います。御質問を願います。ちよつと速記をやめて。    〔速記中止
  101. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 速記を始めて。それでは只今生活保護法の一部を改正する法律案議題にしましたが、児童福祉法の一部を改正する法律案のほうを先にお願いします。御質疑を願います。本案は衆議院の修正が参つております。衆議院では修正議決されておりますから……。お手許に修正案が参つておりますか。
  102. 高田正巳

    政府委員(高田正巳君) 改正案の要点を申上げます。  極く事務的な技術的な改正でございます。第一点は、児童福祉施設に子供を入れました場合に、それの措置費を支弁いたしまする地方公共団体が府県の場合と市町村の場合とございます。これは児童福祉施設の種類によりまして区別いたされておるわけでございます。そのうちで府県が支弁をいたしまする費用につきまして、従来は者の生活保護法と同じように、その父兄乃至は保護者が負担能力を持つておりまする場合には徴収をいたしておるのでございますが、その徴収をいたす、幾ら徴収ができるかというミーンズ・テストをやるという機関を、昔の生活保護法の場合と同じに全部市町村長にいたしておつたのでございます。ところが支弁団体が市町村でありまする場合には何ら不合理がございませんけれども、支弁団体が府県でありまする場合に、そのミーンズ・テストをやりまする機関が市町村長でございましては、若干そこにいろいろと不合理もございまするので、これを今回府県のほうにミーンズ・ナストをやる権限を引上げるというのが改正一つの点でございます。幸いに福祉事務所というものができまして、生活保護法の運用等も福祉事務所で行なつておりまするので、府県知事もミーンズ・テストの力を持つておるわけでございまするが、さようにいたしたいというのが第一点でございます。  それからそれに関連をいたしまして、府県が支弁をいたしました場合に八割は国から参るわけでございます。一割を子供の住所地の市町村から吸い上げておつたのでございます。従来その吸い上げは過去三カ年間の平衡交付金の時代に事実上やつておりませんでした。事務も煩瑣になりますので、この点は改正をいたしまして、吸い上げをいたさないということに改正をいたしたいと、かように考えておるのでございます。以上が第一点でございます。  第二点は、児童委員に要する経費について国が予算範囲内で補助することができるという規定を挿入をいたしたわけでございます。これは従来の児童福祉法の児童委員に関する経費につきましては国が負担をするという規定に相成つておりましたけれども、その規定が残つておりまするけれども、これは昭和二十五年度以降、その経費が平衡交付金に入りまして別に法律的な措置を講じまして、その負担規定は今日空文になつておる規定でございます。それで本来ならこの際全部それを削除すべきでありまするけれども、児童委員に関する経費につきましては補助をいたしたいという希望を持つておりまするので、その負担規定を変えて奨励補助的な規定を残しておくわけでございます。それが第二点でございます。  第三点は、児童福祉審議会に要する費用でありまするとか今の児童委員に関する費用でございまするとか、その他こまごましたものが一、二負担規定が残つておりまして、それは他の法律的な措置によつて今日働いておらない死んだ規定が残つておるわけであります。さようなものをこの際事務的に条文の整理をいたしたい、これが第三点であります。  私どもがお願いを申上げました児童福祉法改正は、その内容は以上の通りでございまするが、それに衆議院のほうで附則の修正がございましたので、その点も便宜御説明を申上げますれば、それは御承知の昨年の暮にいろいろ御尽力によりまして成立をいたしました母子福祉資金貸付等に関する法律の中で、修学資金、学校に上る経費、高等学校に上りまする経費につきまして五百円以内ということに法律で書いてございます。これは当時の状況では、大日本育英会のほうが五百円以内でございましたので、それと歩調を取りましてきめられたわけでございまするが、少し少な過ぎるのじやないかというような御意見がほうぼうれでありましたことは御承知通りでございます。大日本育英会のほうが二十八年度から七百円になる予定に相成りましたので、それに合わせて五百円以内を七百円以内ということに改正をいたしましてこの金額を増加をしよう、こういう趣旨の修正でございます。以上でございます。
  103. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 御質疑がございましたらどうぞ。……別に御発言ございませんか。
  104. 大谷瑩潤

    大谷瑩潤君 大体質疑も尽きたようでございますから、討論省略の上、採決せられんごとの動議を提出いたします。
  105. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 只今大谷委員動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  106. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 異議ないと認めます。  それでは児童福祉法の一部を改正する法律案政府提出、衆議院送付通り賛成のかたの挙手を願います。    〔賛成者挙手
  107. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 挙手全員、よつて本案は政府提出、衆議院送付通り決定すべきものといたします。  それから委員長が議院に提出する報告書には多数意見者署名を附することになつておりますから、本案を可とされましたかたは順次御署名を願います。   多数意見者署名     大谷 瑩潤  藤原 道子     草葉 隆圓  小杉 繁安     常岡 一郎  谷口弥三郎     一松 定吉
  108. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 御署名漏れはございませんか。……署名漏れはないと認めます。  なお本会議における委員長口頭報告については、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  109. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 御異議ないと認めます。
  110. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 次に恩給法の一部を改正する法律案、青少年問題協議会設置法案につきましては内閣委員会から、又売春等処罰法案については法務委員会から、いずれも連合委員会を開くことについての申入れがございました場合は、これを承諾することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  111. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 御異議ないと認めます。ちよつと速記をとめて。    〔速記中止
  112. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 速記を始めて。  それでは本日はこれを以て散会いたします。    午後零時二十二分散会