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1953-02-16 第15回国会 参議院 厚生委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年二月十六日(月曜日)    午後一時四十三分開会   —————————————   委員の異動 二月十六日委員赤松常子君及び深川タ マヱ君辞任につき、その補欠として堂 森芳夫君及び一松定吉君を議長におい て指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     藤森 眞治君    理事            長島 銀藏君            藤原 道子君            山下 義信君    委員            大谷 瑩潤君            草葉 隆圓君            中山 壽彦君            井上なつゑ君            河崎 ナツ君            堂森 芳夫君   衆議院議員            亘  四郎君   政府委員    厚生省医務局長 曾田 長宗君    厚生省薬務局長 慶松 一郎君    厚生省社会局長 安田  厳君    厚生省児童局長 高田 正巳君    引揚援護庁次長 田辺 繁雄君   事務局側    常任委員会專門    員       草間 弘司君    常任委員会專門    員       多田 仁己君   —————————————  本日の会議に付した事件医師会歯科医師会及び日本医療団  の解散等に関する法律の一部を改正  する法律案衆議院提出) ○社会保障制度に関する調査昭和二  十八年度厚生省関係予算に関する  件)   —————————————
  2. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) それでは只今から厚生委員会を開きます。  本日の日程に従いまして、先ず医師会歯科医師会及び日本医療団解散等に関する法律の一部を改正する法律案、これを議題といたします。先ず提案理由を承わりたいと存じます。
  3. 亘四郎

    衆議院議員亘四郎君) 只今議題となりました医師会歯科医師会及び日本医療団解散等に関する法律の一部を改正する法律案提案理由を説明いたします。  日本医療団昭和十七年二月二十五日法律第七十号国民医療法によつて設立せられた特殊法人でありまして、医療内容の向上とその普及を図ることを目的として医療体系整備に当つて来たのでありますが、終戦後厚生省医療行政上の必要から自発的に昭和二十二年十月三十一日法律第百二十八号を以て解散したのであります。  そもそも同団が解散した当時におきましては、医療施設経営多額の欠損を生じていたことと、赤字施設を経営しながらの清算でありましたので、その清算見通しとしては、残余財産の生ずることなどは予想せられなかつたの実情でありましたが、その後清算が順調に進捗しまして、まだ結了までには至つておりませんが、現在の見通しとして約六億余円の残余財産を生ずることがほぼ確実となつたのであります。  然るに現行解散法によりますと、この残余財産は一方的に国庫に帰属することになつているのであります。  さて医療団清算自己清算の建前をとつているのでありまして、医療団がその財産を以て債務を完済できない場合には何ら国家の保証がなく、清算人に破算宣告請求義務を負はしめられているのであり、ひとり剰余が生じた場合にのみ国庫に帰属せしめることは不合理でありまするし、又この残余財産医療団所有施設を処分した結果生じたものでありますことは言ふまでもないところでありますが、元来医療団施設は、その重要性にもかかわらず、内容が甚しく不完全なものが多かつたのであります。併しながら清算上やむなくそのま、移譲した実情にありますので、この残余財産は、特別の場合のほかは原則として、当然これら医療団から移譲した医療施設整備のために使用すべきであると存ずるのであります。なお医療団所有施設の移譲を受けたものは国のほかは大部分地方公共団体でありますのみならず、事業面から言つても、医療団解散後、医療施設普及整備を図る事業医療団に代つて遂行しているものは、国のみならず地方公共団体も又相当部分を担当しているのであります。従つて地方公共団体からは、残余財産医療機関整備のために使用せよとの熾烈な要望のあることは諸君の十分御承知通りであります。  以上のような次第であつてみますれば、現行法第十八条の規定は明らかに不適当であると考えられるのであります。  医療普及目的として事業をいたして来ました日本医療団清算によつて生じた剰余金は、当然これと同じ目的のために使用すべきものでありまして、以上のような事情考え合せます時は、そうした措置をとることが一層適当と考えられるのであります。  以上の理由によりまして、今日有志諸君の賛同を頂き、医師会歯科医師会及び日本医療団等解散に関する法律の一部を改正いたしまして、この残余財産日本医療団から譲渡された医療機関等整備のために処分できることといたし、以て我が国医療普及に資したいと考えた次第であります。  何とぞ慎重御審議の上速かに御可決あらんことをお願いいたします。
  4. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 只今提案の御説明に対しまして質疑等は、ございましようが、本日はこの程度にいたしまして、次回に質疑をして頂く、そういうふうに取計らつて異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) それでは異議ないものと認めます。   —————————————
  6. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 引続きまして社会保障制度に関する調査の一環としての厚生省関係予算中心厚生省当局質疑を行いたいと思います。只今医務局長児童局長がみえておりますが、おつつけ薬務局長社会局長もみえるはずでありますが、差当り医務局関係児童局関係の御質問をお願いしたいと思います。
  7. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 私はこの際医務局長ちよつと御質問したいのでございますけれども、それはほかでもございませんが一昨々日でございましたか、毎日新聞に載つておりましたことでございますが、過般厚生大臣にお伺いいたしました注射事件でございます。毎日新聞社のお取上げになつておられます項目をちよつと見ますと、如何にも看護婦が勝手に注射をしたようにちよつと見えたのでございますが、そして医務局といたしまして絶対看護婦注射することならんという、何と言いましようか、きつい通牒を各府県に出したというようなことに、私ちよつと見まて感じられたのでございますが、如何なる通牒をお出しになつて、如何なる方法で以てこういう災害が再び起らないようになすつておられるか、ちよつと承わりたいと思います。
  8. 曾田長宗

    政府委員曾田長宗君) 只今のお話の具体的にどういう通牒を出したかということは、甚だ相済みませんのでございますけれども、最近のことでございましたかしら。
  9. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 一作々日の毎日新聞の三面で私見ましたのでございますが、そして河野医務課長談としても出ておりましたので、責任のある御答弁を頂きたいと思います。
  10. 曾田長宗

    政府委員曾田長宗君) 私通牒が出たということを、こんなことを申しましては恐縮でありますけれども、しかと存じておらんのでありますが、併しこの看護婦注射を絶対にやつてならんか、或る程度許されるかというような問題についての考え方は、私どものほうの局にも一応はございますので、そのことを申上げることはできると思いますが、それを申上げましようか……。
  11. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止
  12. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 速記を始めて。
  13. 曾田長宗

    政府委員曾田長宗君) それでは只今すぐ調べてお答えいたします。
  14. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 それではお調べになつてから質問させて頂きます。
  15. 河崎ナツ

    河崎ナツ君 この頃よく新聞に報道せられております給血輸血状態の問題から来るいろいろの現象でございますが、前に山下委員藤原委員もちよつとお伺いになり、殊に山下議員はそれについては重大だから厚生省対策考えるべきだ、調査すべきだというような釘をおさしになつたと伺つておりますのですが、丁度私のほうにもたくさん去年の秋から暮にかけましていろいろ具体的な事実が参りましたものですから、殊にこの間まあ見て来たりしたんでございますが、それにつきまして医務局のほうでは、あれから山下委員の示唆に従つて調べになつたのでございましようか、対策をお考えになつていらつしやるでございましようか、若しも考えていらつしやるのでしたら、私の見て来ましたことを報告して、なお参考に考えて頂きたいというようなことも二、三ないこともないのでございますが、山下委員のお言葉の結果、それについての手をどういうようにお打ちになつたか伺いたいと思います。
  16. 曾田長宗

    政府委員曾田長宗君) この前にもお話申上げましたように、若干の事例は早くから私どもも承つておりました。同様の事故があるべきことを虞れまして、いろいろ細かい調査をいたすというようなことで、各府県のほうにも連絡をして、只今いろいろ詳細な調査をいたしております。それからそれと同時にかねがねこの問題に対して何とか措置をしなければならんというふうに考えておりましたのでありますが、いろいろと関係の各方面人たちの御意見というようなものも伺いまして、そうして私どもどのような手を打つべきかということを最後的に決定いたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  17. 河崎ナツ

    河崎ナツ君 まだ今考究中というわけでございますね。
  18. 曾田長宗

    政府委員曾田長宗君) さようでございます。毎日この問題についてこの案を進めて、練つております。
  19. 河崎ナツ

    河崎ナツ君 それにつきましては、丁度お考え中でしたら、実際に行つて見ました私といたしましての考えを申述べて、又御意見伺つてみたいと思うのでございますが、こういう輸血をして治療をするということは、治療界のニュー・フェイスで、これから大事なことで、これからもなくなることはありませんが、何か給血するという問題は、これは大事なことでありますが、どう輸血をするかということで日本で問題が起つているのでございます。よその国、私もフランスやほかの国へ行つてみましたが、血液銀行と申しますか、そういうようなものも、どこの国でもよく整備して取つておりますが、日本にはそういう問題について厚生省が今まで余り手を打つていないのじやないか。日赤血液銀行を拵えて、そうして輸血で、供給されていたしておりますが、それは今日の情勢からいつてほんの一部で、結局九〇%ほどはもうどこからも給血する方法というもの、組織というもの、途というものを放任して、それが今日放任してある結果、てんでんにそれが方法を講じられて、随分民間で以て一種のそれが儲け仕事のほうに行つている。政府放任であつたというこのことが大きな欠陥になつて、穴になつて、随分いろいろ弊害が起つているということを一番私は中心に感じたのでございます。その弊害は御承知のようにいろいろございますが、この間見て参りましたのでは、そういう弊害を、供給する場所業者自分仕事としてほんの小さな部屋と、ほんの電話一本と、もう若い係が一、二人で、そういう一つの何々協会という看板をかけて随時に、各自にやつておる。そこでまあいろいろ採血の不衛生なこともありましたり、又許されておる範囲内にやつておるために、非常に薄い血液になつておりましたり、殊にまあ儲け仕事でありますから、儲け仕事として売るためには、ほうぼうに売込むために競争がある。又たくさんそういう給血者をかかえておく必要から、一方勧誘して無理にかかえておく。いろいろそういうふうのことから、又その血が今度は溢れて、必要には満たないにもかかわらず、一方で売込みに奔走しておる関係上、値段が下つて、そういうことからほかにも影響しておりますが、そういうふうないろいろな悪現象がまあ現われておる。それらすべては血液の不安心な供給になり、又提供する人々もそのために折角の供給した血に対する報酬が十分でない。手続を、非常に詳しいことはあとで申しますが、欠いておるというふうなことから、両方で問題が起つて日本では九割までがそういう放任せられた途で以てやつておるがために、供給しておる人も、又それを得る、採血する病院のほうでも不安定だ。この不安定なことがこの間新聞にも出ておりまして、ほかの、梅毒の疑いのある、そういう血が給血せられて問題が起つておりましたが、そういうふうな実によその国には見られない混乱状態にあつて、而もそういうふうな放任の結果、儲け仕事として各地に、ほうぼうに、東京だけでも業者が七十ほどあつて、それに一万五千人ほどの若い人が属して、そうしてその給血事業日本では行われておるのでございますが、いつまでも置いておきますと、これはどうにも手の下せないことになつて来ると思うのですが、今のうちに厚生省根本的に考えなきやならんと思いますが、この給血の問題を放任してあるというところに大きな手落ちがあると思うのでありますが、厚生省としてこの対策を是非根本的に、この際考えてもらわなきやならんと思うのでありますが、今もお調べのところでありまするけれども、大体どうしようというようなお考えでありますか、それふ伺いたいと思うのであります。
  20. 曾田長宗

    政府委員曾田長宗君) 大体輸血医療上必要であるということは申すまでもないことなのでありますが、この輸血は勿論医療行為の一部分でございまして、従つてかような輸血を行う、従つて又そのために必要な血液を供給してもらう、即ち採血するというようなことは、当然医療施設の内部において、又医師が行うべきものだというふうに了解されるのでありまして、その間に給血仲介或いは斡旋をいたすものが中にはさまつて来るということは、筋から申しますれば、必ずしも必要のないことなんであります。で、あらかじめかようなものが存在するということを予定して、どういうものに許可し、如何ような取締をするかというようなことは、初めからこの問題を取上げますときには、どうも考えたくない問題であるというような性質のものでございまして、それで別に公認するとか放任するとかいう意味ではございませんが、むしろ初めからこれを認めるような形になるのはどうかというようなことで、この措置がとられなかつたというふうに、私ども理解しておるわけでございます。併し実際に実情を見ますというと、その間に今申しましたような斡旋業者仲介業者というようなものが介在して参つております。そうして而もそれが非常な弊害を、この輸血を受けます患者のほうにいたしましても、又給血をいたします給血者のほうから考えましても、或いはただ単にこういう健康上の問題だけではなしに、いろいろこの代償を途中で以てかなり多額手数料として取上げるというような、いろいろな弊害が起つてつたのでありまして、そうしてこの問題をもう一ぺん元に返して十分に検討しなければならん。で、遡りますれば、今のかような仲介業者というものが絶対に必要なものであろうかどうかというところが根本な問題だと思うのであります。で、昔のように採血いたしましたものを、その場で以てすぐに輸血をしなければならんというようなときには、その輸血の必要が生じた場合に給血者を直接に招かなければならんというようなことで、その給血者を得るために非常に困難したという事情がございましたのですが、最近はその輸血いたすべき血液を或る程度保存して参れる、いわゆる血液銀行というような組織で以て行けるということになつて参りましたので、そうなりますれば、今のような不便を省くためには、とにかく立派な病院におきまして十分健康状態等検査した上で採血をし、その血液を保存しておいて、必要の場合にわざわざ給血者を呼ばなくとも、その血液を必要な方面にお使い願うというようなことができるようになつてつておると思うのでありまして、そういう意味でこの問題を解決するのには、すでにほうぼうで申されておりますように、いわゆる血液銀行というものを必要なところにもつと増設して参る。血液銀行になりますれば、これはもうはつきりとした病院でなければ、こういうようなものは設けられませんし、又一定の規格を設けて、ただの病院だけではなしに、その血液採血或いは保存ということが十分にできるようなところにだけ、こういう施設を設けるということにすれば、いろいろな弊害はなかろうと思うのであります。ただ問題は、そのような施設を持つた血液銀行をどうやつて増設して行くかということでございまして、今のところ一番立派なのは御承知のように日赤の本社の病院でございますが、東京にも例えば東大、その他東京医大、それから国立東京第一病院というような所では、そのような施設を、日赤ほどではございませんけれども、或る程度の設備を整えておるわけでございます。で、これをもつと増設いたしまするのには、それではその基準を規格をどういうふうにきめればいいか、どの程度規格のものならば、どれくらいの数、設置の見込があるかというようなことも、一つの問題でございまして、余りむずかしい規格にいたしますというと、どうしてもたくさんできない。ただ多数作るということだけで以て規格を落しますというと、又いろいろな弊害を生じはせぬかということで、その辺のところを更に検討いたしております。それからまだそのほかに必ず輸血に使います血液は、血液銀行だけを通すということはできないことでもあり、又妥当なことでもございません。やはり直接給血者から採血の上輸血を行うという必要もあると思われます。そういうような場合に、必要に応じて給血者に来てもらういうためには、どうしても斡旋業者が必要なのであろうか、或いはあらかじめ給血志願者と申しますか、希望者と申しますか、その人たち名簿のようなものを、今申上げましたような血液銀行とか、或いはそのほか公的な国立、公立の病院とか、或いは保健所だとか、或いは医師会で定められました場所とかいうような所で、名簿を整えて置いて、そうして必要に応じてその人たち連絡がとれるというような方法を講ずることも、一つ方法ではないかというように考えられますので、或る程度必要があつて斡旋業というものもだんだんと生れて殖えて参つたものと思うのでありますけれども、その必要に対して十分過ちの少ない方法でもつて応じられるというような態勢を整えて行くことが、何よりもこの問題に対する根本策であろうというふうに考えております。今申上げましたような考え方、又申上げましたような点について、いろいろ考究いたしておるわけでございます。
  21. 河崎ナツ

    河崎ナツ君 もうちよつと伺います。今のお考え厚生省がそこまでいろいろ考えていらつしやることにつきましては、やや安心をいたすのでありますが、考えているばかりでなしに、実際の様子を、もつと早く何とか手を打たないと、供給するほうも、それから受けるほうも安心感を持てないし、供給した者も血を、自分の生命の一部を供給しながら、それが本当にその人に活かされない状態にありますから、これは今度そこまで考えていらつしやるなら、もう少しお進めになつて実行に移して頂きたい。それにつきましては、もう二、三そこへ私ども考えて頂きたいと思いますことは、一般の血液銀行で取扱つておりますときは無償でやつているのでありますが、日本の現状としましてそこまで人民が理解しておりませんので、或いは有償方法を併用しなければなりませんかも知れませんが、今の血液の取扱われています代価ですね。あれが初め頃は割合に一〇〇CCが七、八百円から千円くらいの時代もあつたのですが、随分自分のほうを余計とつてもらおうというところから、各業者値引をして取扱うものですから、この頃は一〇〇CC五百円くらい、それと同じ血液がそのくらいで、而も一番初めからちよつと手数料が三割から三割五分、百五十円から百七十円の手数料、今も同じ手数料です。そうすると五百円になつても、百五十円から百七十円の手数料ですから、この点業者をして扱わせますというような場合に、この手数料ですね、手数料とそれから代金との関係ですね。まあ第一に今取扱われています一〇〇CC五百円から、あのくらいの程度で実際適当かどうか、あれはやはり今日の供給する人の生活から言えば、少ないからついたびたび供給しなければ生活の足しになりません。そんなことになつてたびたび血を売ることになる、業者もたびたび血をとらしたほうが、一回について、手数料が多いという関係から、今非常にそういうことが行われています。ということは値段が安いということでもありますので、そういう問題でお考えのときには、今の値段よりも、少くとも一〇〇CCはまあ千円くらいですね。その値段のところはお考え頂きたいのですが、そういうふうな問題も含めてお考えを願わなければならんのではないかと思うのでございますが、その辺の御意見は如何でございますか。
  22. 曾田長宗

    政府委員曾田長宗君) 具体的にはまだその点まで十分に考究してはおりませんけれども、或いは私ども個人的な意見になるかとも存じますけれども、私、たとえ人の病気をなおす、或いはけがをなおす、或いは命を助けるということにいたしましても、私はとにかく人間の行い得る限りは、この生きた人間生血を使うというようなことは、私は本当は好ましからんことだというふうに思うのであります。医学が発達いたしまして、人間生血を使うというようなことでなしに、それに十分な治療効果を挙げ得るというような学問が或いは医術が発達して来るということが望ましいものだというふうに考えております。人間の血が何グラム幾らというようなことは好ましくないものだというように考えておるわけであります。併しこれは余りに空想的な人道主義的な書生論かもしれませんので、実際問題としては、相当な量が、今日の医学の状況としては、やはり他の人たちから供給されるというような好もしからんが、必要やむを得ない措置が必要になつて参ると思います。これに対しては、普通の場合であれば、親、兄弟、親族、友人というような人たちが、その傷病者の苦しみを一時でも助けたいというようなところで以て、血液を供給されるものだと思うのでありまして、併しその間に、いろいろ適当な血液が得られない、十分な血液が得られないというときには、全く赤の他人の人からこれを頂かなければならん。その場合にただ単にその人たちの好意だけでは、集り切れぬと考えられますので、それに対しては十分誠意のこもつたお礼がなされて然るべきだと思うのであります。この血液銀行におきましても、いろいろこの事業が広くなつて参りましたりいたしますれば、無償原則とするといたしましても、有償の場合を考えなければならん。又その際の謝礼というものは、私は血液の価格とは考えたくないのでありまして、あくまでも謝礼と思うのでありますが、その謝礼が如何ほどのものが適当であるかということを考えて参りたい。従いましてそこに斡旋業とか周旋業とか、その周旋手数料とかいうものが、これはそういう形のものが入り込んで来る余地というものは、成るべく残したくないというように考えておりますので、これは私の個人的な意見で、少し偏つたかも知れませんが、そのような考え方でございます。
  23. 河崎ナツ

    河崎ナツ君 もう一度伺いますが、医務局長のお考えは理想としては御尤もでございますが、現実の問題として、やはり大部分日本としては他の人の供血を仰がなければなりませんし、それに対しては謝礼をしなければいけません。その謝礼が、今日の実際の状態が先ほど申しましたような状態でありますから、やはり適当な謝礼であるということをお考え願つて方策を講じて頂かなければならん。そうしていわんやその中に手数料というものが非常な割合で以て中に占めておつて、それが一種の商業主義と申しますか、そういうことのために、折角給血者がその給血目的を削減せられているという結果になつておりますから、これはその手数料というようなものは、是非そういうものが介在することのない組織にして、今度お打ちになる手続方法のうちに、はつきり謳つて頂かなければならんのじやないか。実際給血している人に会つて見ますと、失業している人が四〇%くらいで、あと学生が六〇%、そういう形でありまして、結局就学のために、或いは生活のためにというのが給血者の動機でありますから、それを生命を保持するというところに使うという大きな意味で以て、又その人たちもほかのことよりも意味深いと思つてつているのでありますが、それが今のような取引の形であつたり、今のような手数料という形で以て削減されているということでありますと死んでしまうわけでありますから、そこは非常に美しい考えで見たいけれども、美しい考えと現実と離れないで、現実に今このように直面している問題を、是非解決するような方策に手を打つて頂きたいと思うものでございます。まあこれは厚生大臣に伺うべきで、又厚生省の問題ばかりでありませんけれども、学徒が六〇%であつて、そういうふうな給血して自分の学費をこしらえているという問題は、日本の、殊に向うに行つて見ますと、すべて二十五才までの青年、なお女子も行つておりましたが、青年男女が自分の就学のために血を売つてつているということに対して、健康の上からも大事でありますと共に、それがそういう低い単価でありましたり、それは今日いろいろな競争から下げられて来たのでありますが、それから手数料がそういうふうでありましたりしますために、結局もつとたびたびそういうことをしなければ、学費の補いにならないということで、実際調べて見ますと、月に二OOCCよりもとつちやいかんというようなことは、そういうところに書いてありますけれども、そういう団体等のところにも書いてありますけれども、帳簿を見ますと、写真を撮りましたが、数字が、下手でうまく写真に出て来なかつたのでありますが、実際は一人の人が何回も何回もそういう給血仕事をしている。同じカードを幾人もの人になつて給血をしている。或いは一人の人が幾つもの病院給血の形で行つている。結局統計では月に一人の人は六百から八百、多い人は千くらいとつている。そのくらいにしなければ学費にならないわけでありますから、そういう意味におきまして、或いは学生の問題と非常に絡んで来る問題でもありますので、これは又別に学生の奨学資金のことは、今度は育英資金を殖やすという問題が起つておりますけれども、もつとどういう学校にも及ぼさなければならんかというようなことについては、詳しくほかのほうで考えなければならんことでありますけれども、そういうふうな関係にかかつておりますので、手数料の問題と、それから今の取引の価格、謝礼としてもよろしい、血の代価としてもよろしい、そういう代価の引上げということについては、極く具体的に而も非常に重要な問題でありますことを強調いたしまして、非常にきれいごとでなく、きれいごとであつても現実の問題で、而も若い人たち生活にかかわつている問題で、東京にも随分新聞給血の募集の広告が出ておりますが、関西に行きますると、関西の新聞にも出ておりますが、全体で随分多いと思うのでありますが、まだ全体の数からいつたらそう多くないじやないかと申しますけれども、これを放つておきますれば、日本青年のそういういい精神を蹂躪して、而も身体を害つて行くという大きなところへ繋る問題といたしまして、是非速急に、而も現実の問題に即して取扱つて頂きたい。民間の団体も少し残しておかなくちやならんという考えもあるようでありましたが、これは先になればなるほど、そういうのが既得権などとむずかしくなりますが、余り大きくならないうちに、今のうちに根本的にお考えになつておかないと、少しいい顔をすると先になつて日本の青年がそのために足をすくわれることになるのではないかということを、あそこに集つている、給血の番を待つている人たちの顔を見るとき、つくづく思つたことでございますが、以上のようなことを御参考下すつて、而も大きく御参考下すつて、きれい事でなく、一日も速く対策の手をお打ち下さることを切に医務局長さんを通して厚生大臣にお願いしたいと思うものでございます。
  24. 曾田長宗

    政府委員曾田長宗君) 只今給血者に対する報酬或いは謝礼というような問題につきましても、いろいろ御指示、御示唆のございました点、十分に考慮して参りたいと思います。又御注意ございましたように、この策を根本的に考えると申して荏苒日を空しうするということのないようにという御注意も十分に胸に収めまして、大臣にもその旨を申上げ、又私どもとしてできるだけ適当の措置を迅速に取るように努力いたしたいと思います。
  25. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) なお後からおいでになつた方に申上げますが、今二十八年度の予算中心に厚生当局に質疑を行なつております。只今出席されておるのは、医務局長薬務局長社会局長引揚援護庁次長児童局長、これだけおいでになつておりますから、どうぞ御質疑をお願いいたします。
  26. 藤原道子

    藤原道子君 今の河崎さんの質問に関連して、一つだけ聞きたいのですが、この輸血の問題は、私非常に当局の答弁に不満でございます。事が起きてから騒ぐというけれども、私はこの輸血の問題は、こういうことがあることはすでに十分わかつていた筈なんです。もう何年か前にも性病がうつつた問題のときにも、大きな問題になつた筈です。又昨年は児童福祉法に保護されるべき年少者がやはり輸血、売血ですか、供給によつてふらふらになつて非常に問題を起したことがある。そのときにも当委員会で私は問題にした筈なんです。又つい最近におきましても、前の委員会でこの問題は十分採上げて御質問申上げた筈なんです。従いまして私は、事は人命に関する問題、これに対して厚生省が、こうした社会に大きな問題が起つて、それから又研究する。いろいろ問題は今御説明を聞きましたけれども、生ぬるいと思うんです。従つて今度この問題が起りましてから、厚生省当局といたしましては、この売血業者のあり方について御調査なつたでございましようか、又御調査なつたといたしますならば、それに対してああいう施設についてどういうふうにお考えなつたか、これらの対策を私は伺いたい。医務局長さんにこの間私はこの委員会で御質問したのです。直ちに対策を講ずるとおつしやつた。従いまして売血業者を視察されたかどうか。現状を眺めてそのあり方について御感想を私は伺いたい。
  27. 曾田長宗

    政府委員曾田長宗君) 率直に申上げますが、私自身は参りません。けれども係官は出して若干のところを見させております。只今申上げたことをお聞き下すつたと思うのでありますけれども、いろいろ根本的に考えております点が若干ある。それから又今までそのうちでこういう問題が起りつつも、この給血の媒介をいたしておりますものの取締方法を、特に法規を設けましてやるというようなことについては、そもそもこういうようなものの介在を許すような形になることがよいか悪いかというようなことに、根本的な疑義がございましたために、そのために見送りになつて来たものであるというふうに私了解いたしておるのであります。只今お話のように、非常に生ぬるい、ぐずぐずしておるというようなお考えにつきましては、これは十分今後繰返さないように注意はいたすつもりでございますが、先ほど申上げましたように、今のその点にまで最近は問題を遡つたと言えば遡つたことになるのでありますが、考えようによりますれば、或る程度進展して参りましたので、この問題を近いうちにはつきりと態度をきめまして、その態度がきまりますれば、あとの手はそれに引続いて考え出されると言いますか、編み出されるということになるかと思います。
  28. 藤原道子

    藤原道子君 満足できないけれども
  29. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 私も只今の御質問と同様でございます。大変これから考究するとおつしやつておられますけれども、非常に急を要する問題だと思います。殊に只今如何にするかということは大きな問題でございます。御承知通りに、赤十字は大変立派な施設を備えております。アメリカの施設に負けないような大きな施設を備えておりまして、何とかああした施設を全国的にこしらえなくちやならないとお考えになるようなところに、私は何かあるように思うのです。御承知のように、自動車でもつて血液をとつておりますところもたくさんありますし、又給血の飛行機もできるのではないかと思いますけれども、今年度の予算に赤十字の災害救助の中にも載つておりますけれども、ああした中に、給血の自動車と申しますか、そんなことも厚生省はこの際考えるべきじやないかと思いますので、私は医務局長の御意見伺つて、私の要望も申上げておきたい。
  30. 曾田長宗

    政府委員曾田長宗君) 先ほどお話申上げましたことが舌足らずであつたかと思いますが、私ども考えておりますのは、赤十字の本部の病院にございますような完備した血液銀行というものだけを考えているのではございませんので、むしろその数を殖すために、むしろ簡易血液銀行とでも申しますか、そういうようなものを数多く作つて行かなければならん。その場合に、さればといつて余り規格を落すと、又いろいろな弊害が起るので、実際には支障のない程度で、而も多数を急速に作り得る方法はないかということを、急速に結論を出したいと考えております。
  31. 河崎ナツ

    河崎ナツ君 急速になさつて頂きたい。又なさらなければならんという一つの例に具体的な今ここまで来ているという線を御参考に申上げたいのですが、その供給した人ですね。血をもらつた人、普通ならば、そこでお金を払つてすぐ払つて媒介者へ行つて本人に行くのでございますが、生活保護法で入院しておるとか、健康保険で入院しておるとかいうような人は、すぐ支払いがありませんです。それでまあ支払いがありません。ところが供血した人は待てない。それで待てないから、そこをつけ込んで、何と申しますか、又別の業者がありまして、そんなのを買いはたいて、まあ四割くらいでその給血券を、供給した券を買つているんです。そうすると、手数料は取られて、又そういうふうになつて、実際供給した人は本当にもう手に入つても、百円くらいしか入らない。それは私がそうだろうというのでなくして、向うで、そこへ来ておつた順番を待つている人も言つておりましたけれども、経営している人も、そういうふうなお金の入り方が、こうなつているとか、私たちもそういう問題にぶつかつているのですと、その仲介者のいろいろな……。会の人も経営者もそういつておりますから、こういうことが非常に多い。それから又そういうふうで、もう一つ仲介者が悪い。まだ来ないのだ、まだ来ないのだということで、それに名をかりまして、お金は来ているけれども、なかなか払わない。そうすると一番困つているのは純真な学徒であり、気の毒な失業者で、直ぐ生活に響いて来る。そういうふうな状態でありますところへ来ているのでございますから、これはもう本当に速急にお考え願わなければならんじやないかと思うものでございます。
  32. 曾田長宗

    政府委員曾田長宗君) 先ほどの御質問でございますが、只今新聞に話をしたといいます医務課長に問合わせましたところが、別に通牒が出たというのではないので、その通牒を出すことを考えているということを申上げたのだというふうに、只今返事をよこしております。
  33. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) もうほかに御質問はございませんか。
  34. 藤原道子

    藤原道子君 只今の問題に関連しまして、幸い児童局長が見えておられるようですから、ちよつと児童局長にお伺いしたい。いつか子供の輸血の問題が大分世論になりましたときに、厚生省当局では、法的には何ら差支えがないことになつているということを新聞に発表しておりましたけれども、併し法的にどうあろうとも、児童審議会もあるし、児童福祉法もできております。私どもああいう問題があのまま放置されていいとは考えられないのでございますが、ああした子供の売血、そういう環境に陥る原因等に対して、児童局としては何らか対策をお立てになつたかという点についてちよつとお伺いいたしたい。輸血、売血の問題です。
  35. 高田正巳

    政府委員(高田正巳君) 法的には差支えないことになつておるというようなことを、私どものほうで申しましたか、申しませんでしたか、よくその点記憶いたしません。なにせこの問題は非常に、何と申しますか、複雑ないろいろな問題を背後に持つているものでございまして、私どものほうとしましては、まあこれは青年の場合も同様でございますけれども、子供の場合には特この問題は児童福祉法の関係から重要な問題だと思います。ただこれに対する具体的な方策になりますると、結局今医務局長から種々御答弁ございましたけれども、いろいろな医務局の観点からの態度の決定を待つて、その上でいろいろものを考えなければならんことのほうが多いように思います。当然の問題としては、それは若し子供の経済的な問題であるとするならば、まあ上の学生は私のほうの対象にはなりませんけれども、それが十八歳未満の子供であるというようなことでありますれば、経済の面からの援助をいたすなり、或いはそれが児童福祉法でできませんならば、保護法のほうの問題になるなり、さようなことについてのケース・ワークをするというようなことの以外には、何ら即効薬を持つておりませんものでございます。
  36. 藤原道子

    藤原道子君 子供の保護の立場からも、あなたのほうから医務局をうんと突つついて、一日も早く対策を樹立するように、あなたのほうも努力すべきだと思うのです。  それからこれは医務局長にお伺いしますが、過日の委員会で、血を取る方法は、まあ日赤のような立派な施設はできないけれども、保健所にもその方法ができるというような御答弁がたしかあつたと記憶いたします。従いまして、立派な施設ができないまでも、暫定的処置としても、各地にそれこそ必ずありますところの保健所を中心にそれを行なつて、そうした民間業者のインチキなやり方、それこそ血を搾るこのやり方に対して、そういう対策をお考えになつておいでになるかどうか、若しないとすれば、私は是非そういう方法を直ちにやつて欲しいと思いますが、如何でございますか。
  37. 曾田長宗

    政府委員曾田長宗君) 先ほどお話した中にもちよつと触れたかと思うのでありますが、この血液銀行、極めて簡素なものと申しますか、こういうようなものを設けるべきものの一部としては保健所等も考えております。殊にその名簿を一応作成しておく、給血者名簿を作成するというような仕事は、特に保健所にやらせて然るべきものじやないかというように考えております。十分御意見を尊重して参りたいと思います。
  38. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) この際薬務局長から、血液銀行のことについて御説明を願いますからどうぞ。
  39. 慶松一郎

    政府委員(慶松一郎君) これは医務局長とも連絡してやつておるのでございますけれども、先ほど来のお話……私ちよつと遅れて参りまして申訳ございませんが、この直接給血者がお医者さんのところへ行きまして、そして血を取るということが一つ弊害を起す大きな原因になると思うのです。その意味におきまして、血液銀行というようなまとまつた所で血液を取つておきまして、そうしてそれを要に臨んで使うということにいたしますれば、比較的給血者を選ぶということもできますし、先ほど川崎先生のおつしやいましたように、お金を払うという点から申しましてもこれはできると思うのです。そこで大体アメリカにおきましてもそうやつておるのです。ただアメリカと非常に違う点がある。これはどういうことかといいますと、結局日本が貧乏であるということでありまして、アメリカにおきましては、血液銀行に要します血というものは全部只、つまり英語で甚だ失礼でございますが、ドーナーと申しまして、給血者はつまり寄附するという意味でございますね。ところが日本におきましては、実は日本赤十字社において只で以つて血液を集めるつもりでやつたのですけれども、結局これはできない。それはやつぱり日本人が貧乏であるということに一番大きな原因がある。併しそれならば貧乏であるということで値を叩いたり、或いは何遍も同じ人が血を売るというようなことを防ぐというのは、これは私設の設備でやつてはできないということは、今藤原先生がおつしやつた通りでありまして、その意味におきまして、実は今各府県におきまして、府県で以て血液銀行をやろうという動きが非常に多いのです。そこでできましたのは、広島県にもできましたが、北海道とか、或いは……急でございますので覚えておりませんが、他にすでにもうできておりますのが数府県ございますが、数府県が県立乃至は道立とか都立で以てそこで血液をやると、こういうことにいたしております。そういたしますと、よほどこの点は防げると思います。而もそれを取ります際には、或いは保健所を使いまして、大体今のところでは県で相当な施設をするということでやつておるのでございますけれども……、そういうわけでございます。そして血液銀行でやります際に都合のいいことはもう一つあります。それは多少専門的になりますが、たびたび取りますと血が薄くなるわけでございます。血を取ります血の比重というものがございます。濃さでございますね、これをきめておるのでございます。血液銀行で取ります際には、従つて或る程度その点が、何と申しますか制限ができる、つまりたびたび血を売ることが制限ができる、こう考えておる次第でございます。御参考までに申上げます。
  40. 河崎ナツ

    河崎ナツ君 今のお話からしましても、さつき医務局長がおつしやつていらつしたように、血は売るのじやなくて、本当に供給して綺麗な気持でしたいのだけれども実際はそうできないから、やはり適当な報酬をしてすれば、たびたび売らなくても、濃い血を月何回か、二回か、三回か濃い血だけ提供できるというようなことになりますから、そこらの現実のことを医務局長の先ほどの言葉は、余り綺麗事過ぎて不安心なのでございますが、是非局長ははつきり考えて頂きたいと思います。
  41. 曾田長宗

    政府委員曾田長宗君) 十分考慮いたします。
  42. 大谷瑩潤

    ○大谷瑩潤君 ちよつと田辺次長にお伺いいたしておきます。先月の三十一日に、我々が長い間念願しておりました南方の戦死者のお骨引取りのために日本丸が出帆されました。お見送りに参りましたら、たまたま次長もお見えになつておりまして、我々は心から敬意と感謝を表したわけでございます。最近新聞を見ますると、南方ばかりでなく、北方のアツツ島の方面にも未だ御遺骨が残つておりまして、それに対しまして、是非内地へ帰還をされるように取計らいを援護庁のほうで御考慮願いたいというようなことが函館市会にも出ておりまするし、又日魯漁業のほうではおしよろ丸というのでございますか、その船を提供いたしましてもいいから是非あちらに行つて、そうして残つている御遺骨を是非お迎えをしたいという熱烈な意欲の念願が表れているということが新聞に出ておりましたが、今後におきまして援護庁のほうで、南方ばかりでなく北方のアツツ、キスカ島の御遺骨に対しまして何か将来そういうことに対しまするお考えといいますか、御計画がもう今日できておりますかどうか。そういう点並びにそういうことが起りました場合には、その費用等に対しましてどの程度のことをお考えになつておりまするか、一応承わつておきたいと思います。
  43. 田辺繁雄

    政府委員(田辺繁雄君) 只今のお話の趣旨に副いまして、外務省を通じてアメリカ側に折衝いたしております。先方でも、こちらの大使館でございますが、好意を持つて迎えてくれるというような情報を寄せております。なおこれが実現するようになりました際の費用は予備費によつて賄いたい、そういうふうに考えております。ただ一等最初に北方の遺骨の問題につきまして先方に申出ました際には、アツツ島にはもう遺骨は処理していてないという回答に接しておりますが、まあ遺骨があつてもなくても、現地に行つて慰霊だけはしたい、こういう趣旨で向うに申入れをいたしております。それに対して向う側から好意を持つて考えているらしいという情報でございます。正式の回答はございませんが、いずれ近いうちに何らかの回答があると存じます。
  44. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) ほかに御質問ございませんか。
  45. 藤原道子

    藤原道子君 引揚の問題のその後の経過をお伺いしたいと思います。
  46. 田辺繁雄

    政府委員(田辺繁雄君) 実は私ここに出る前に、何か昨日、中共のラヂオか或いは電報かはつきりいたしませんが、三月中に天津と秦皇島、それから上海から三千乃至五千を日本に帰国させるだけの用意があるという電報かラヂオの放送がありましたが、聞いて参りました。詳しいことはよく調べまして委員会に御報告申上げます。
  47. 藤原道子

    藤原道子君 もう一つ伺いたいのですが、予算の問題で薬務局長にお伺いしたいのですが、麻薬の取締りですね、あの問題で、又この頃とてもヒロポン等の被害が地方においてひどいようでございますが、最近における状況をお伺いしたい。それから麻薬の取締官というのですか、これは全国にどのくらいいるのですか。そういうことについてお伺いしたい。
  48. 慶松一郎

    政府委員(慶松一郎君) 何と申しますか、今の藤原先生のおつしやいましたことは二つあると思うのです。一つは麻薬でございまして、これはむしろ睡らすほうの薬でございまして、それからヒロポンというのは覚醒剤と申しまして目を醒ますのでありまして、そのどちらにいたしましても害のあることは確かでございます。又そのものが青少年を侵していることも確かでございます。従いまして、その二つの害について、我々といたしましては非常に深い関心を持つているので取締りを行なつている次第でございますが、ただ麻薬のほうが覚醒剤に比べまして、国際的な問題もございまして、非常に厳重に行なつている次第でございます。麻薬の取締官は全国で三百……、麻薬取締りに従事しておりますものは三百六名でございます。但しその中で実際に司法警察権を持つておりますものが二百五十名ございます。あとは補助員でございます。今の三百六名から引いたのが全部補助員でございまして、実際の取締りに当つているのが二百五十名、こういう次第でございます。但しこの取締官は麻薬だけの仕事をやつておりますので、覚醒剤につきましては、これはやつている次第ではございませんで、覚醒剤につきましては、一般の薬事監視員或いは一般警察にこれを行なつてもらつている次第でございます。ところが今日覚醒剤の様相は全然正規のルートのものは一つもございません。正規のルートのものといたしましては、これはほんの少し、お医者さんの必要な分がせいぜい四半期に五十グラムとか百グラムとかそれくらいしか作つておりません、三カ月に……。それが必要なお医者さんのほうに流れておりますので、あとは全部、それが主としていわゆる第三国人によつて製造されておつて、闇に出ている、こういう次第でございます。そこでこれにつきましては、直接いわゆる薬事監視員が手を下すわけに参りませんので、一般警察にこれを任している次第でございます。一般警察の状況を極く最近警視庁から聞きましたところによりますと、確かに一時よりは減つている、数的に申しますと減つている。これは役所の事務でございまして、表面に現われた数でございますが、検挙いたしました数などは一時に比べましては減つているのでございます。今私数字を実は持つておりませんが、確かに減つているということでございます。併し大体の様相は、只今申上げましたように、正規の薬局その他には全然なくて、結局第三国人によつて作られ又密売されているものが主であるということでございます。この検挙の成績は、相当警察としては挙げているわけでございます。麻薬に関しましては、これは大体麻薬の状態は、今日ではいわゆる港湾とかそれから大都市にその犯罪が集中した形でございます。そこで今回麻薬取締法を改正いたしまして、その方面に主力を注ぎたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  49. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 ちよつと薬務局長にこの際お伺いしたいのですが、この前にも一度伺つたことがあるのですが、助産婦が受胎調節をいたします際に使います薬品の問題でございますが、それを研究するというお話でございましたが、その後どういうように研究して頂きましたかお伺いしたいと思います。
  50. 慶松一郎

    政府委員(慶松一郎君) これにつきましては、いろいろ研究をいたしましたのですが、いわゆる助産婦に薬品販売業者の資格を取らせることには非常なむずかしい点がございます。又政治的な、社会的な問題もございますので、そういうことでなくて、便宜上実際に助産婦のかたがたが扱えるようにすればいいのじやないか。例えて申しますと、これは事実素人のかたがたでもお互いに申し合せて、一つあそこの分も買つて来てあげようということで薬屋から買う、そういうような方法で或る程度お買いになる。又助産婦の会等でそういう責任ある薬剤師を置きまして、そういうようなものの取扱いの販売の許可を願い出れば、それは差支えないというようなことで、実際問題として一つ解決したらどうかというような、私どものほうでは結論を出しまして、実は私も大臣にもそう申しまして、大臣からどちらにですかお答えを頂いていると承知しておつたのでありますが……。
  51. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 只今大変いい御答弁を頂きましたので、有難いのでございますが、そういうような通牒を各府県にお流し頂きましたでしようか、その点も伺いたいと思います。
  52. 慶松一郎

    政府委員(慶松一郎君) どうも私ちよつと記憶をしてないのでございますが……。と申しますわけは、これにつきましてどこかの県からが照会があつたのでございます。その照会に対して……、照会というのはちよつと違つておりまして、ただ助産婦個々の人がいわゆる医薬品販売業者の許可を取ることができるかどうかというような質問の照会がございまして、これはどうも工合が悪いというような意味の返答をしたことは記憶があるのでございますけれども、今おつしやいましたようなことにつきましては、私も記憶いたしておりません、通牒を出したかどうか……。と申しますわけは、実はこれは公衆衛生局の関係もございまして、それで公衆衛生局とも話をしまして、助産婦の会のかたがたともお話をして、その点のはつきりした解決をしよう、こういうことで私どものほうの係りの課長、それから公衆衛生局と、それから会のかたがたとお話するということにしてあるのでございますけれども、一向御連絡がございませんので、大体そういうようなつもりでおるということは、私この前もここで申上げたと思うのでございますが、その御連絡をいたすことを待つておるのじやないかと私は思つておる次第でございます。
  53. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 早速連絡をいたしますように図りたいと私も考えますけれども、どうぞ助産婦が受胎調節をするのに薬品を使つたことにつきましても、薬事法違反になりましたり、そういうことの起らないように、厚生省においてもその保護方をお願いいたしたいのでございます。
  54. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 他に御質問もございませんか。……それでは如何ですか、二十八年度予算中心にしました厚生省当局に対する質疑は一応これを以て終つたことにいたしまして、又特に必要のあるかたは委員長に申入れれば、係りのかたに御出席願うことにいたします。  それでは本日はこれを以て散会いたします。    午後二時五十九分散会