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1953-02-06 第15回国会 参議院 厚生委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年二月六日(金曜日)    午前十時四十九分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     藤森 眞治君    理事            大谷 瑩潤君            藤原 道子君            山下 義信君    委員            長島 銀藏君            中山 壽彦君            常岡 一郎君            谷口弥三郎君   政府委員    厚生省公衆衛生    局長      山口 正義君    厚生省医務局長 曾田 長宗君    厚生省保険局長 久下 勝次君    引揚援護庁長官 木村忠二郎君   事務局側    常任委員会専門    員       草間 弘司君    常任委員会専門    員       多田 仁己君   説明員    外務省アジア局    第五課長    鈴木  孝君   —————————————   本日の会議に付した事件  社会保障制度に関する調査の件  (厚生省関係予算に関する件)   —————————————
  2. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) それでは只今から厚生委員会を開きます。二十八年度予算につきましての質疑をお願いすることになつておりますが、先ず最初に昨日も山下委員からお話が出ましたこの引揚問題が目の先に接近しておりますので、いろいろ引揚援護庁関係引揚に関する事項を承わりたいのです。同時に引揚援護庁機構の問題もありますので、そういう点につきまして援護庁長官から一応御説明を承わりたいと思います。
  3. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) 中共からの引揚げにつきましては、休会前のこの委員会におきましても御説明申上げにのでありますが、待望しておりました中共地域からの引揚げが、本人が希望する者は全部帰す。その船の手続等について協議するための代表を出すようにというのが中共側放送でありました。これについていろいろな、こちらからの答えを出したのでございますが、結局中共側では日本赤十字社、中日友好協会及び平和連絡準備会、この二つの団体から代表を選んでよこすようにということを申されまして、その結果三団体及び参議院の高良議員とで相談された結果、日赤から島津社長及び工藤外事部長中日友好協会から内山、加島の両氏平和連絡準備会から平野、畑中の両氏、それから高良女史、それからもう一人有田氏とを選びまして向うに答えましたところが、有田氏を拒否いたしまして、あとの七人を向う連絡いたして参りました。その後工作員の選任も終りまして、先般一月二十六日に羽田を出発しまして向うに参りまして、先般来交渉を開始したという連絡が現在のところ参つておるのでございます。順調に交渉が進みましたならば、と申しますよりは、この交渉先方の港をどこにするか、その港におきまする集結をどういうふうにするか。それに対して日本側はどういうふうに配船するかということが、主たる協定になるわけでございまして、技術的な問題でございますので、そんなに面倒なことはなかろうというふうに考えております。従いまして、この協定は早晩締結されるものであるというふうに考えますので、非常に迅速に行きました場合におきましては、三月の上旬には第一船が向うに参り、又こちらに三月の上旬の終り頃には還つて来ることができるであろうというふうに考えられるのであります。ただこれは交渉模様で、向う集結の都合もありまするからして必ずそうなるというふうには申せませんけれども、まあその頃からは始まるのではないかというふうに考えられるのであります。従いまして政府といたしましては、これに対しまする受入態勢に万全を期さなければならんというふうに、これは先方放送がありまして以来いろいろと検討いたしまして大体の予算の折衝もできましたので、代表団が出発いたしまする一月二十六日以前におきまして、その内容につきまして代表団にも一応お話合をいたし、文書を以てこの代表団にこの話をいたしまして、そうしてこの趣旨向うに徹底さしてもらつて皆さん方に早く還つてもらうようにいたしたい、かように考ておるようなわけでございます。  その資料につきましてはいずれお手許に差上げるつもりでおりまするか、大体船内におきまするところの援護、それから引揚援護庁における援護援護庁から郷里までの陸上輸送並びに郷里に還りまして定着いたしまする際の援護、これだけの援護につきましていろいろときめたのでございます。大体の考え方から申しますと、従来の引揚げ本人が好むと好まざるとにかかわらず、引揚げがきまりますれば全部こちらに還つて来たのでございまするが、今回は中共地域におきましては、先方の土地においては居留民と称しております。従いまして一般の市民と同じように生活をいたしておるのでございまして、こちらに還りますにつきましてのやり方事情等相当従来とは異なつたものがあると考えられるのであります。又日本国内情勢を見ましても、終戦直後のあの混乱した時期から比べますれば、社会相当安定いたしております。従いまして国内情勢も従来とは違いまするし、先方事情も違うというところから、この引揚げ受入援護につきましては、相当手厚いものにしなければならんというふうに考えられるのであります。又これらにつきましては、終戦直後の混乱時のような、そのままの状況では、還られた人々の満足を得ることができないということも明らかな事実であります。従いまして引揚援護庁といたしましては、関係各省連絡を密にいたしまして、この受入れに万全を期したいと考、えております。従つて従来の受入れとは違いまして、相当援護態勢は手厚くするという方針をとりまして、例えて申上げますれば、引揚船に乗組みまして、そうしてお世話をする人の数とか、或いはその人の組合せ方といつたような点につきましても、いろいろ従来よりは念を入れまして、鄭重な扱いをすることができるようにいたします。特に引揚船乗船定員のごときも、これは最近におきましては、航海安全保障条約におきまして制限もございますので、従来よりは非常にゆつくりした乗せ方になることになつております。  それから還られるかたがた相当多量の荷物を持つて還られるということも考え得るのであります。ソ連邦におきまして返すときには、裸一貫で還つて来るのでありますが、中共から還りますかたがたは、向うで一応それぞれの日常の生活を営んでおられますので、相当荷物を持つて還る。これはまあ考えられますので、その輸送等につきまして、受入れにつきまして、荷物相当あるということを予想いたして、準備をいたしておるわけでございます。従つて輸送費等につきましても、それを考えましてやつておるわけでございます。  それから援護局内におきまする援護でございまするが、これはできるだけ期間を短かくいたしまして、迅速に運ぶ。従いまして、従来いろいろなことが援護局内で行われておりましたけれども、受入れ援護に直接関係のない事項は、この際全部やめてしまう。受入れ援護関係のある部分だけにとどめるということにいたします。そういたしまして、従来よりは援護局内におきまする援護の実施を完了いたしたい、できるだけ早く郷里に帰つて頂けるようにいたしたいと考えております。  それから援護局におきまする給与措置にいたしましても、援護物資は従来よりは量を殖やす、質も変更する。こういうことによりまして援護費として支給いたしますにも、できるだけ従来よりは手厚くするようにいたしたいと思つております。これにつきましては、まだ内容の詳細に関し目下在庫品等考え合せまして検討中でございます。  その他引揚者に対しまして直ちにこちらに還りまして生活の困難を訴えるということがあつては困りまするので、落着きました際におきまして生活の一応の安定を得ることができるようにいたしまするために、帰還手当制度を新たに設けまして、大人が一万円、子供に五千円、これは昨日大臣からお話があつたかと思いますが、これを新たに交付するようにいたします。これは全員に交付すると言いますが、やはり還りましてから生活に直ぐ困るという趣旨から考えて、できるだけ多額の金額を差上げたいと考えまして、一万円、五千円ということにいたしました結果、先方から持ち帰り金相当多額にある人には、これを差上げない。持ち帰り金のない人、或いは持ち帰り金少い人にこれを差上げるという趣旨にいたしたいと思つております。そういうようなことで以て計算いたしております。  それから還りましてから、故郷に帰りますまでの間の車中の問題につきましても、従来は、途中で差上げる弁当内容が不十分であるということから、これに対しまする他の措置も講じたと思いますが、今度はその他の措置が余り適当でないというふうに考えますので弁当の質を良くする、いい質の弁当を差上げることにいたしたいと考えております。従いましてそちらの面におきまする御不満もないようにしたいと思います。  なお、その輸送につきましても、今日の列車の事情によりまして運輸省当局におきましても相当余裕のある車輌で以て送り返すようにいたしたいというふうに申されておるのであります。ただ時期が非常に我が国におきましてはお客の多い時期にぶつかりますので、どういうことになりますかわかりませんが、運輸省といたしましてはできるだけ輸送につきましては円滑に行くようにいたしたいというふうに申しておるわけであります。郷里に帰りました当座の問題でございますが、これにつきましては一時収容所を今回は整備いたしたいと考えております。従来の一時収容所と今回の一時収容所と異なつております点は、従来は特定の所だけにあつたのでありまするが、今度の一時収容所は全国各県の主要都市、大体県庁の所在地に一時収容所を設けたいと思つております。これに対しまする予算も通つておるのでありまして、これによつて各県に整備をさせるつもりであります。即ち従来ありましたものを補修するものもありましようし、又既設のものを補修するものもありましようし、新らしい建物もありましよう。これは帰りまして一応留守家族がこちらにあつて、そこに落着くことのできる人、或いはそうでない人でも知人等がありまして一応落着くことのできる人は、そこに落着いてもらうのでありますが、そういうものがない人は一応落着く所を新たに作らなければならない。殊に長らく中国におられた人でありますから、この措置を新たにいたしたわけであります。  それから引揚者住宅、これは暫く従来の集団住宅に疎開する以外には引揚者住宅の新設はなかつたのでありまするが、今回引揚者住宅のために特に三千数百戸の引揚者住宅を作ることにいたしました。従来の引揚者の数と住宅建設の戸数との割合を比べますと相当割合は高くなつております。従いまして大体この程度で何とかなるのじやないかと思いますけれども、これにつきましても今後実際に引揚げて来ましたかたがた状況によりましては、或いは不足を生ずるかも知れませんが、その場合におきましては直ちにこれに対する手当をいたしたいというふうに考えております。そうしてこの引揚者住宅は従来のように大体各県に割当をするようにいたしませんで、帰りまして定着をしました者の状況によりまして建設をするということにいたしたいと考えております。それまでの繋ぎとしまして一時収容所を活用いたしたいと考えております。  その他問題になりまする点は職業の斡旋、それから子弟の就学の問題、それから戸籍の問題、これが重要な問題であります。これにつきましては、現在労働省、文部省、法務省、それぞれそれに対する対策を立てておりましてこれにつきましてはその方面かたがたから又適当な時にお聴き取りを願いたいと思います。  大体そのような情勢を以ちまして、現在のところ引揚援護受入につきまして万全の準備を備えておるわけであります。勿論これで以てそれじや十分であるのかと申しますると、必ずしも十分とは申せませんけれども、ともかくも一応従来よりは相当手厚い受入ができる。これに対しましては援護庁といたしましては、できるだけ国民全体と一緒に温い気持でお迎えいたしたい、かように考えまして現在これに対しまする態勢を整備したわけでございます。  それから只今委員長からお話のございました機構の問題でございまするが、現在引揚援護庁は御承知通りに先般の行政整理によりまして、今年度一ぱいで以て内局になるということに相成つております。内局になりまして、定員につきましては、内局になる際に内局になるための若干の減員、つまり構成が変りまするからして、そのために少くなる人員は五、六名の者が減るだけでありまして、大体現在の態勢のままで内局になる形になつておるわけであります。
  4. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) どなたか御発言ございませんか。
  5. 山下義信

    山下義信君 向うへ今度今行つている使節団に附いて行つた工作員というのですか、私ども新聞で見ておりますが、そういう人がありましたようでしたが、結局工作員という名前ででもなんでも援護庁関係の人は行つておりませんか、入つていないのですか、役人は入つていないのですか。
  6. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) 工作員には援護庁関係は入つておりません。工作員は二名でございまして、一人は船舶関係で以て大阪商船東京支社の次長、この人が高砂丸を所有している船会社関係のかたでありまして、大体船舶に関するいろいろな問題についての専門的な知識については十分あります。殊に中国関係については詳しい人でございますので、この人に行つてもらつております。それからもう一人は通訳兼何と申しますか、いろいろな庶務をいたしまするために、外務省から条約局の第三課の林という者が参つております。このかたは中国語が非常に上手でありまして、なおいろいろな条約協定等につきましてもその文案に慣れているわけであります。ということでこのかたが参りました。それで援護庁からは工作員を出しておりません。援護庁の問題は国内受入の問題でございまして、国内受入態勢をどうするかという点につきましては、先ほど申しました通りに、今度の代表団かたがたとは緊密な連絡をとりましてお話合をたびたびいたしておりますので、これにつきましては代表団かたがたも一応満足して行つておられるのであります。従つて帰りたいかたがお帰りになる、国内受入態勢がどうなつているかということがわかりますればいいと考えられますので、それが今後交渉によつて変更になるということはあり得ないと思いますので、この点につきましては工作員を出さなかつたわけでございます。又そのほうの希望も大して強いものはなかつたのでございます。
  7. 山下義信

    山下義信君 これから交渉が始まるのでしようが、交渉が非常にスムースに進むことを私は祈つているのでありますが、新聞を見ますと今までのところでは、道中のいろいろ見たり聞いたりしたことの断片的なことか、或いは日赤の本社へ或いは新聞社へというような随所から打電されているというようなことが記事に載つているのですが、いずれ外務省あたりへもまとまつた交渉の経過やらが来るのだろうと思いますが、交渉が進むと、従つてそれも援護庁へも直ぐ移されてわかると思うのですが、ともかく何ですか、およそ今回引揚げて帰つて来るその対象者の大体の状況というものは、いろいろな角度から今日まで政府はほぼどういう生活状態の人、どういう男女或いは年齢、或いは資産、今お話がありましたが、或いは子供、つまり家族或いは何と言いますか、現地での結婚した婦女、大体引揚げて来るそれらの対象者のおおよその推察というものはいろいろな諸情報等で推測ができているでしようか、或いは又いよいよ向う行つて向うから名簿を渡されて、そういうようなことが、或いは現在の向うの住所、どこへ集結しているとかいうような事柄も、これから向うから様子が来なければおよその想像も得られないものでしようか、その辺はどういうことでしようか。
  8. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) 日本政府で持つておりまするいろいろな資料といたしましては、この前から申上げておりまする五万九千ばかりの人の消息が一応こちらに入つておるわけでございます。無論この五万九千の数につきましては、その情報を得た時期等におきましていろいろな差異があります。最後情報は極めて古いものであります。又最近まで情報が来ておるものもございます。それらによりまして、できるだけの調査はいたしておるのでございまするけれども、その情報の来ておりまする分は非常にいい部分でございまして、情報が途絶えてしまつたものの中には、いろいろな問題のものがたくさんあるのじやないかと思います。従つて今持つておりまする情報を以て向うの現状であると言うことはなかなか判定は困難なんじやなかろうかと思います。これにつきましては、従いまして政府といたしましてはその情報で以て向うの現情を判断するということは、一応一般的な大体の模様というものは考えられるのでありまするけれども、どの数、どういうふうな割合になつておるということは全然今のところはわかつていないと言つたほうがいいのじやなかろうかと思います。これらにつきましては外務省一般法人に関する情報を集めております。私のほうでは旧軍人関係情報を集めておるわけでございまして、これらを合せまして外務省のほうに提供してございまするが、その内容等につきましては一応五万九千人が中国のどの辺にどういうふうに分布しておるかということはわかつております。大体今その程度のことならばわかりまするけれども、それもその後どうなつておるかということもわかりませんので、正確なものがここで以てすぐ出て来て、それに対する対策が立てられるということにはなつておらないということを申上げざるを得ないと思います。
  9. 山下義信

    山下義信君 私が今回の引揚受入態勢といいますか、対策は今長官が述べられたように、従来とは諸情勢が違つて来ておりまするし、いろいろ又今回は設備等についても若干やり方を変えるのだということは御尤もと思うのであります。併し私はこのたびの受入態勢というものは、つまり援護庁でなさるのは、これは輸送、上陸、帰郷までの温いお手当でありますから、いわば技術的なことになるわけでありまして、施設的といいますか、事務的といいますか、ということになるわけでありますが、私は今回の引揚は非常に重大なのじやないかと思う。従いましてこれはまあ政府全体に聞かなければならんことでありまするが、併し私自身も調査準備が不十分でありますから、そこまでまだ伺うところまで行きませんが、問題は今長官も御指摘になりましたように、帰つて来てからの就職の問題を中心にして、どういうふうにそれを落着かせるか、その人達の今後の国内におけるあり方です。これは非常に私は重大だと思う。これは端的に申しますと、一部から伝えられるところによりますというと、いわゆる非常に共産主義の訓練を受けた精鋭分子日本国内の共産党と連絡を取り、中共日本に対するところの一つの侵略政策の一環として相当筋金の入つた者を今度は還すのだ。これは或いは道聴途説であるかもわからない。併しながら一応はそういう説があることは事実なんです。そうするとこれらの人の国内における受入態勢というものは、私はこれらの思想的な面から、そういう人たち行動の面からどういう実情にあるか、真相がどうであるかというような点に対処することと言い、すべて私は非常に重大だと思うのです。それでそういうことに対する一体対策政府にできておるのか、家がなければ一時の宿を心配する。帰郷の旅費を心配するという在来数年前にあつたような単なる手先の援護対策でなくして、これは国内におけるところの政府といたしましても、国民といたしましても、十分なる対策考えられていなければならんのではないかと思う。それで又留守家族が、これは援護庁で握つておられるのでありましようが、留守家族との間の受入についての連絡、心構えというようなものがどういうふうになつておるかというような事柄も、私は物質面のみならず、そういう精神面というか思想面というか、そういうことに対する非常に深い対策が今回は必要ではないかという気持がするのでありますが、政府部内におきましては、或いは外務省その他援護庁等々につきまして、今までそういう点におきましても種々お打合せ等がなされてあるのでありましようか、どうでありましようか。例えばこの留守家族のほうへすぐもうその人達が行く、その留守家族のほうでは漫然としてそれをただ単に戻つて来たかという程度にとどめるというようなことになつておりますのか、一体そういうことに対する対策というものの総合的な、或いは私の申上げることが杞憂に終るかはわからんけれども、十分なる御注意が払われてあるのでありましようかどうでありましようか、そのへんの様子が我々にはわかりませんから、長官承知でありましたらお話を願いたいと思います。
  10. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) 大体今持つております情報によりますれば、昭和二十三年以後に消息のあつた人の数は、中共地域内で約三万二千というわけでございます。先ほど申しました五万九千は終戦後に情報がありまして、その後情報がなくなつたものを含めております。従いまして五万九千ばかりのうちで、三万二千が昭和二十三年一月一日以後に生存情報がありまして、その後死亡情報が全然なく、生きておるという情報だけあつて、死んだという情報がない者が三万二千ばかりございます。五万九千の数字も、これも死亡情報は全然ないのでございます。死亡情報がありましたものは、これは死亡といたしまして取り除けるわけでありますが、五万九千の生存情報があつて死亡情報がないのであります。そのうち三万二千は昭和二十三年一月一日以後の最後情報があつたわけでございます。それからそれらの中で、現地からの通信等によりまして、こちらに連絡がありましてわかつております数が、私はここに持つておりませんが、確か二万四千くらいだと思つております。これらのかたがた通信によりまして、大体留守家族かたがた先方におきまするいろいろな事情通信の許される範囲内において承知しておられまして、これらにつきましては一応わかりますものは外務省或いは復員当局のほうでわかつておるわけでございます。大体皆さんがたの多数のかたは向うで普通の生活をしておられまして、そうして又こちらへに早く帰つて来たいというお気持が強いようでございます。大体通信のございますかたはそういう情勢のようでございます。ただこれらの通信におきましては、最近におきましては、大体帰れる見通しがついた喜びについて伝えて来ているようなものが多いのであります。これらにつきましては、この問題は我々虚心坦懐に考えていいのではないかと思つております。全般的に申しますとそういうわけでございますが、只今山下委員から御指摘になりましたような心配が全然ないということは、これは申されません。ああいう国柄から帰つて参りますものでございますからして、いろいろなものがあると存じますけれども、帰つて参りまする人たちの多数の人々はそういう心配がないのじやないかと、援護庁といたしましては考えております。その他の方面はどういう考えか知りませんが、我々はそう考えております。従いまして帰つて来られますかたがた気持よく帰れるようにすることがこの際必要である。特にこの問題を人道的な問題であるとして、従来から長く主張して参りました我が国といたしましては、この際できるだけそういうようないざこざなしにお迎えするほうがいいのじやないかと一応考えております。従いましてその後におきます各種の行動等につきましては、勿論これはそれぞれの関係方面で以てはいろいろとお考えになることだろうと思いまするけれども、又お考えになつておられるようでございまするが、援護庁で迎える立場といたしましては一応迎えて郷里に着くまでは平穏無事に出すのが一番よかろうというような考え方で以ていたしております。なおそれらの問題につきましては、関係の、例えば外務省その他の各省とは常に緊密な連絡を取つております。おりまするけれども、いろいろとこの引揚を遮断するような各種の動きに対しましては、成るべくならば乗らないようにいたしたい。できるだけこの際にみんなの人に帰つて頂きまして、そしてまだ向うにおきまして、我々が得ていないような何と申しますか、残留者の状況というものを的確につかむようにいたしたい。御承知通りに五万九千の人が全然現在のところでは向うにおることになつておりますが、三万二千しかいないということにもなつております。中共側の発表によりますれば、三万しかいないということになつておりますが、我々といたしますと、五万九千の人が生きているはずであつて、その後死んだ者はどうなつたかわからないために、それらの情報なりを、帰りましたかたがたからとらなきやならんようになるだろうと思います。その他日本国民が外地におきましてどうなつたかということにつきましての十分な調査をしなきやならんと思いまするので、そういう人間の生死に関しまする問題について処置いたしますためには、やはり皆さんがたが安心して帰つて頂くということが先ず第一の前提条件ではないかというように我々は考えております。そういうつもりでこの際は余りいろいろな話には援護庁としては惑わされたくない。できるだけみんなの人に帰つてもらうようにいたしたいと、かように考えておる次第でございます。
  11. 山下義信

    山下義信君 御尤であります。私はそういう大筋としては虚心坦懐と申しますか、という方針で迎えるということは同感であります。最近の交渉につきまして、昨日か今日から始まるのですが、極く最近の、或いは今朝なら今朝入つたという情報は、ございませんか。交渉が開始せられたというような情報はございませんか。
  12. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) 私のところに入つておりまするのは、三日までの情報でございます。その後の情報はまだ入つておりません。或いは日赤あたりの事務所のほうには入つているかも知れませんけれども、まだ今のところは聞いておりません。
  13. 山下義信

    山下義信君 昨晩ですか、我々に配付せられました一部の新聞で、舞鶴に繋留してある高砂丸の、或いは修理であるとか或いは輸送運賃とかいうような問題について大阪商船との間に話合いが付かないで、未だいろいろ十分支度ができないというようなことが載つておりますが、そういうことはありますか、ありませんか。
  14. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) 前にそういうような記事が新聞に載つておりましたが、運輸省に確かめましたところ、又大阪商船に確かめましたところ、現在のところはそういうことはないというお話でございました。なおこの予算等につきましては、一応私の承知しておりますところでは、高砂丸を通常の状態でもつて動かす。その七カ月分の経費として一億五千五百万円というのが組んであるということでございます。但しこれにつきましてはそういう通常の状態で行くかどうかということは今後わかりませんし、又高砂丸一艘ではいけないということは、これも予想されるのでございます。併しながらそれぞれの場合においては必要に応じまして、大蔵省当局といたしましては予算を出すということでございまして、この経費の問題につきまして、ただ一億五千五百万円というのがどうだこうだと言いますと、或いは不足する場合が考えられると思いますが、実際に必要なものにつきましてこの際財政当局がつまらない抑え方をするとは考えられません。従いましてこの問題はいろいろな憶測的なものから出ているのじやなかろうかと私は考えております。運輸省もこの点については心配がないように私どものほうへ申しております。
  15. 山下義信

    山下義信君 最後に私は伺うのですが、こちらの留守家族ができるだけ或いは舞鶴とか或いは途中へ出迎えに行きたいというのがまあ人情だろうと思うのでありますが、或いは代表者といいますか、皆が皆行かれないにしても、地方の団体代表者といいますか、留守家族代表者といいますか、そういう人たちが途中まででも出迎えたいということが、これはまあ人情だろうと思う。従来でもそうであつたろうと思う。そういうことが温く受入れられるという意味におきましても、非常に何とも言えん私はいいことだろうと思うのであります。やはりそれにいたしましても旅費が要る。豊かな留守家族もありましようが、そうでもないのもあるだろうと思う。この留守家族の上陸地点まで或いは途中まででも出迎える。そういう旅費或いはそういう運賃の特別割引か何か、そういうことに対しましてのお考えは何かありますか、どうなつておりますか。
  16. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) 留守家族かたがた気持が御指摘通り気持であるし、又それが出迎えられるときに皆様がたの喜ばれることも誠にその通りだと思います。ただ御承知通りに現在の受入援護対策というものは、まだもう少し我々としましてはできるだけ手厚くしたいのが本来の気持でございます。ただそれも一応予算的ないろいろな制約のためにこの程度に止まつておる、これで十分とは考えておりませんけれども、その程度でございます。従いまして、留守家族の出迎えの経費までは手が廻つていないというのが事実です。留守家族の出迎えの経費に出すならば、まだもう少しこちらのほうに出すべきじやなかろうかということもあるようであります。従いまして、留守家族がおいでになりました場合に、いろいろな御便宜は十分図りたい、かように考えておるが、舞鶴におきましても森寮をそのために造つておりまして、つまり市内の宿屋等に宿泊しないでも、一応宿泊できる。尤も食料は出ませんけれども宿泊はできるようにいたしたいと考えておるのでございます。ただ援護局におきましては成るべくならば輸送関係も非常に混み合うことでございましようし、できるだけ早く舞鶴から郷里までお送りするようにしたい、留守家族のかたがおいでになりましても、実際は援護局でもつていろいろな援護局内の、例えば帰国の査証でありますとか、税関検査でありますとか、或いは身上相談、引揚証明書の交付とか、その他の各種の業務をやりますだけで時間が一ぱいで、その時間をできるだけ切り詰めて早く帰つて頂くようにしますために、或いは擁護局内で御面会になる時間というものがとれないのじやないか、従いましておいでになりますことは非常に結構なんでございますけれども、私たちとしましてはおいでになるよりも、成るべく早く郷里にお返しいたしたい、一時に千七八百人から二千人の人が入るわけであります。場合によりましては船が二艘一ぺんに入りますればその倍の人が入るわけでありますから、それを処理いたしますには、できるだけ何と申しますか事務は敏速に運ばなければならん、而も今度帰りますかたがたはいわゆる団体的に帰つて来られるのではなく、集団しては帰つて来られますけれども、全部ばらばらの人であります。従来のように号令でぽつとやるわけにはいかんものですから相当手間がかかります。そういうことでございますので、成るべく早く故郷にお返ししたいという気持からいたしますと、そこまで手が廻わらなくなるわけでございます。その点は留守家族かたがたが、帰られるかたがたのお気持もいろいろとありますし、皆様がたの御指摘も御尤もと思いますので、一応そういう建前をとつておるわけでございます。
  17. 山下義信

    山下義信君 私の質問は済んだのでございますが、あと外務省関係で若し質問の機会ありましたら留保しておきますが、私は委員長にお願いしておきたいと思うのですが、昨日もその点が委員会で話題に出たのでありますが、今援護庁長官機構の問題について、三月三十一日までは行政機構の改革で、援護庁が留保してあるわけなんですが、ただ四、五人の人の減員になる程度だとの説明であつた。私はこの三月が予想せられる多数の引揚事務に直面をして援護庁機構の改革をして内局にして、部局の名称が変つて、人が変つて、いろいろそういう事務官庁のごたつきがありますことは非常に困るのではないかという気持がする。これは当委員会引揚対策援護庁の縮小の関係等を御検討願いまして、万遺漏のないような、御善処を願いたいと思うのであります。それはどういうふうにするかというようなことにつきましては、理事会等で一つ御検討下さいまして、対処されるようにお願い申上げておきます。
  18. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 今山下君のお話もありましたので、委員会としては勿論そういうことも考えなければなりませんが、大体あなたのほうで、援護庁としては現在の機構が三月一ぱいで内局に変る、変つたあとも差支えないというお考えでおられるでしようか。引揚の問題は最近に機構改革以後に起つて来た問題ですから、若し新らしい事態が発行したということで、考え直す余地があれば我々も十分、委員会としても考え直さなければならん。その点あなたのほうの、本当にしつかりした肚を聞かせておいて頂きたい。
  19. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) 事務当局としましては、実にお答えがいたしにくい御質問でありまして、まあ事務当局といたしましてすべてのことを万全を期そうといたしましたならば、それだけでいろいろな考え方がございます。只今のところそういうような状況で、我々といたしましては、いろいろな意見があるのでございますが、政府全体としては又行政機構の改革、行政整理をやるというような気構えでおるようでございまして、そういうような際でございまするので、実は我々としましても、非常にこの際言いにくいことなんでございます。実情を申上げますると、これはいつも機構改革だけの問題を言うのじやないのでございまして、外局が内局になりますれば、どういうことが起るかということを申しますると、第一に、外局にありまする一切の財産と申しまするか、資産と申しまするか、その他の会計、経理のいろいろなもの、これを全部内局の、その当局に引継がなければなりません。現在援護庁のような外局におきましてはすべて援護庁として経理いたしております。従いましてこの帳簿その他を全部整理いたしまして、三月三十一日で以てきちんとしたものをこしらえまして、そしてそれを内局のその担当に引継ぐという仕事をどうしてもしなければなりません。これは時期が遅れますると、しつかりした書類ができませんので、必ずあとで問題が起るだろうと思う。この仕事は非常に手がかかる仕事でありまして、この仕事をやりますれば相当そのために人手がかかるということは事実でございます。而もこれは相当の期限をかけなければできないことではなかろうかと、私は今までの事務的な常識から考えております。それからその他人事の点とか、或いは機構をどうするかという点につきまして、これは一応の考えはあるのでございますけれども、その関係でいろいろごたごたしますと、転換の時期におきましては相当問題が起るだろうと思います。これが第一であります。それからもう一つは引揚援護庁の特殊の内容と申しますか、引揚援護庁の仕事はまあ援護局と復員局になつておりまして、援護局のほうは引揚者援護なり、遺族の援護の総括的の仕事をしておりまして、復員局においては従来の陸海軍の残務処理の仕事をいたしております。御承知通り昭和二十八年度から新たに軍人恩給が若し復活いたしますといたしますならば、この仕事につきまして各省におきまする恩給事務をやつておつたと同じような仕事をもう一年間やらなければならんということが第一にございます。それからもう一つは中共から相当数の引揚がございましたそのあとにおきまして、まだ帰つて来ない人が相当つまり帳簿面では残るのではないかと思います。これらのまだ帰つて来ない未復員の人々状況調査というものが、復員局におきます現在の大半の仕事でございます。この仕事は今後相当念を入れてやらなければならんものでありまして、と申しますのは日本国民の生死に関する問題でございます。生きておるか死んでおるかという身分に関するものでございますので、非常に重大なことでございますし、政府といたしましてはその帰趨をはつきりさしておかなければいけない、そうでないと未復員者給与法の問題にいたしましても、或いは恩給の問題にいたしましても解決がつかない、従いましてこういう仕事は今後援護庁の復員局といたしましては、相当力を入れなければなりません。併し又その他の新らしい資料が入りまして、或る人が生きておるか死んでおるかということがだんだんわかつて来るように、死んだ時にどういう状態で死んだということがわかつて来るようにとか、その調査を今後は念を入れてやらなければならんようになると思いますので、まあ援護庁の仕事自体といたしましては、新らしい仕事において殖えて来るということは一応予想されております。実はその以前におきましては、大体引揚に対しましては見込が非常に薄いために、どちらかと言うと極度に縮小いたしておりました状態でありまして、非常に今度の受入につきまして人的の面からいたしますと、当初の引揚の当時から比べますと非常に貧弱な状態になつております。殊にソ連の引揚と比べますれば受入れのこちらの機構の陣容は何分の一という状況になつております。それでございますので、この際ごたごたがありますることは、事務当局として望ましくないと思います。併しながらそれでもやれと言われれば何とかやらなければならんということでございます。
  20. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) ほかに御質疑はございませんか、援護庁長官に対して……
  21. 藤原道子

    ○藤原道子君 今の問題ですね、ちよつと速記を止めて頂いてお話を伺つたほうが……
  22. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 速記を止めて。    〔速記中止〕
  23. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) それでは速記を起して下さい。  それでは保険局長ももう見えると思いますが、今公衆衛生局長並びに医務局長がおいでになつておりますから、その方面に関する御質疑をお願いいたします。
  24. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 医務局長にお伺いしたいと思いますが、今まですでにたびたびこういう問題も出ておりますが、インターン生の問題でありますが、インターン生がかなり各地で、或いは全国的に働いておることは御承知通りであります。あのかたがたの希望しておるのは、とにかくインターンというのを置く以上は、それに対する経済的並びに身分上の保障をして頂きたいということを頻りと言つております。又学校方面模様を見てみますというと、やはり国家がインターンの必要を考えて、置く以上は何とかインターンが本当に一年間余分に存続させて研究させておかなければならんというのであれば、それに対する何かの方法を講ずるべきじやないかというような問題もあるようですが、今度の予算を見てみますというと、全然インターンは、存続することに、廃止のことは勿論ありませず、存続することになつておるが、これに対する何らの裏付けがないようですが、医務局といたしまして、これに対して今までおとりになつておつた模様或いはその他のことについて、一つその点を詳細にお話を願いたいと思います。
  25. 曾田長宗

    政府委員(曾田長宗君) お尋ねの点につきましては、いろいろ私どものほうにも各方面からこの問題の重要性について御注意がございました。部内におきましても、又関係の国家試験、医師試験審議会の中のインターン制度部会等におきまして十分各委員がたの意見を伺つて検討して、或る形の案を得てはおるわけであります。根本的な考え方といたしまては、このインターン制度というものは、いろいろの批判がございますけれども、趣旨においてはなおこれを廃止すべきものではない、やはりこれに改善を加えて存続すべきであろうというふうに考えております。で、その改善すべき点としましては、幾つかの問題が挙げられておるのでありますけれども、一つは、折角インターンをやつてもそのインターンの期間において医術の修練が十分にできないという実質的な問題もございます。で、これについてはインターンを引受けます、又インターンの修練をお願いしておりますいろいろな施設という所の物的設備及び人員、この指導に当ります人たちの、何と言いますか力、或いはその時間的な余裕とか、こういうような関係が一つ考えられるのがありまして、立派な施設で立派な指導者のおるところでございましても、余りにたくさんのインターン生が密集して参りますというと、結局十分な指導が受けられないというような事情もございます。例えて率直に申しますれば、大学の附属医院といつたようなところにおきましては、なかなか設備や先生はいい人がおられましようけれども、実質的にまだ医者になり切つておらないというようなインターン生は、すでに医師になつております研究生、医員というような人たちの勉強のために、その修練が必ずしも満足に行かないというような事情がございますので、こういう点を考慮して本当にインターン生の世話を見て頂けるというような施設を厳重に選んで参る、又そのインターン生を割当てます人数というようなものも十分実情に合うようにして行きたい。又そのインターンの内容といたしまして、どの程度のことをインターンの期間に修得せしめるかというようなことにつきましても、一応の基準はございますけれども、これが必ずしも細かく規定されておらず、その病院によりまして、非常にかなり高いところまでお教え願えるところもございますが、ところによつては学生時代に習つておりましたことに幾分毛の生えたというような程度のことしか教えて頂けないというようなことで、学生が非常に不満を洩らしておるというようなこともございますので、こういう基準も立てて参りたいというふうに考えております。更に、インターン生に対しまして、修練期間の生活の、何と言いますか、或る程度の保障と申しますか、こういう経済的な補助というような点については、インターン生としては最も猛烈に要求をいたしておるのであります。又私どもとしましても、医師というものがこの公的な性格を帯びた仕事を担当するものでありまして、決して営利的な職業ではないというように考えております関係からして、医師の十分な資格のある医師の人数を充足いたしますために、国としても何らかの措置を講ずることが適当ではないかというふうに考えまして、二十八年度の予算要求もいたした次第でございます。併しながら、この点につきまして或る程度公的な性格を帯びるもので、国からいろいろな何らかの形で援助を与えるということについて、或る程度の了解は大蔵省当局からも得られたと思うのでありますけれども、その趣旨はなお薄弱であつて、一人前の医師になるいろいろな職能を身につけるということについては、やはり個人の責任において自分の勉強を進めて行くのであつて、今の日本の財政状態といたしましては、その程度の意味でこのインターン生に対する経済的の補助を与えるということは困難というふうに考えるのでありまして、到頭私ども満足な予算措置を取ることができなかつた次第でございます。併し、これにつきましては、実際問題といたしましては、勿論インターン生は自分自身で以て勉強をいたすのでありますけれども、病院といたしましてはその修練のために手数がかかると同時に、或る程度は多少の手伝いにもなるというような事情もございますので、これもはつきりとそういうふうに言い切れるか、又そのことを申しますと、他にいろいろと響いて行くところも出て参るのでありますけれども、そういうような意味で、病院としては何とかその病院で以て病院の診療に多少とも手助けになつている状況でございますので、それに対しまして或る程度の便宜を、生活上の便宜を図るということも考慮すべきではないかと考えられます。例えてみますれば、遠方から通つております者に対して宿舎の世話をするとか、或いは食事の若干、少くともお昼の弁当くらいは給してもいいのではなかろうかというようなことが考えられます。国の施設といたしましては、何か既定予算の中でもそういうような措置が講じられはしないかどうかということを只今検討いたしております。成るべくはその程度措置は講じて上げたいというふうに思つております。でこういう考え方が実情に適しておるという確信を持ちますれば、これを他の公立病院或いは私的の病院におきましても、同様な考え方でもつて措置をして頂きたいというふうにお願いしたい、こういうふうに考えております。なおこのインターン制度のインターン生の身分等につきましての公的な考え方については、なかなかむずかしい問題がございますので、只今なお検討中であります。
  26. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 只今の病院、国立病院などにおいては、或いは部屋を与えるとか、食事を与えるということができるかも存じませんが、ほかのところ或いは大学などにおいては到底国から補助があるか、予算があるかせん限りは困難だと思いますが、少しくらいでも取れたのですか、まだ全然ないのですか。
  27. 曾田長宗

    政府委員(曾田長宗君) 残念ながら全然予算は取れません。
  28. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) それに関連して、インターンについての予算がどういうふうなことになつておりましようか。
  29. 曾田長宗

    政府委員(曾田長宗君) この案といたしましては……。
  30. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 決定いたしましたものは……。
  31. 曾田長宗

    政府委員(曾田長宗君) 決定いたしましたものには何も入つておりません。インターン関係のあれでございますか。
  32. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) インターン関係予算、できましたらその内訳の概略を……。わからなければあとでも結構です。  一応私お伺いしたいのは、インターン病院一病院当てどれくらいのものがインターンの費用として出ておるかということはわかりませんか。これをお伺いします。
  33. 曾田長宗

    政府委員(曾田長宗君) 今ちよつと……。
  34. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) それではこれは後廻しにしまして……。
  35. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 各病院そのほかに配属するインターンの割合の表ができておつたら、後でも結構ですからお配り願いたいと思います。
  36. 曾田長宗

    政府委員(曾田長宗君) よろしうございます。二十七年度……。
  37. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 二十八年度はないのですか。
  38. 曾田長宗

    政府委員(曾田長宗君) 八年度は計画と言いますか、予定はございます。
  39. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 予定で結構です。
  40. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) それでは一つ資料としてお出し願います。
  41. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 続いて医務局関係。最近、助産婦の問題でございますが、助産婦は助産婦法によりまして、看護婦養成所を出たものを半カ年、六カ月以上の教育を、助産婦養成所或いは学校において養成して国家試験を受けるということになつておりますが、六カ月では到底完全な助産婦の業務をとるような、或いは実地の方面においては全然駄目ではなかろうかというような関係からいたしまして、日本産科婦人科学会では、この助産婦法を一部改正して、やはり助産婦には助産婦になれるような学術技術共にやる方法が必要であるということを頻りと言つておるようでございますが、その方法は例えば準看護婦になつておるかたがたに、一年間くらい実務に就いたら、それを通算して高等学校の三年を認めて助産婦養成所にやる、そうして助産婦養成所では二カ年間実地の教育をし、学術の教育をして、そうして一年の実習をやらせる。いわゆる三カ年の教育をして国家試験を受けさせる。そうすると三カ年中において助産婦の学術も或いは実地もできるからして、完全な助産婦になれる。今後の助産婦としては是非ともそのくらいのことはやらなければならんということを産科婦人科学会のほうから学会として多分お願いをするだろうと思いますが、そういつた面につきまして、助産婦教育の、無論現在やつておるものを改正して、別にそういうふうな学術共にできる助産婦を作りたいということを言い出しておりますが、医務局としてはどういうお考えでございましようか、お話を願えたら結構と思います。
  42. 曾田長宗

    政府委員(曾田長宗君) 御承知のように、只今は看護婦の場合におきましても、正規の看護婦と準看護婦という二様の養成機関を持つておるわけでございますが、この準看護婦が正規の看護婦に進んで参りますためには、途が一応開かれておるとは言いながらも、可なりその途が狭い途になつておると思うのでございます。これが先般来問題になつておりました例の乙種看護婦養成所を、更に存続をしたいというような御要求が一部から起つて参りましたときに、この問題が合せて提出されたような事情もございまして、そのときに皆さんの御意見も斟酌いたしまして、今後準看護婦の資格を持ちましたものが正規の看護婦になるために、何とか一つ便法を講じようではないか、例えば準看護婦養成所に専攻科とか研究科というようなものでも置いて、正規の看護婦になれるようにしたらどうかという意見が大体まとまりかかつておるわけでございます。今の助産婦の問題につきましても同じような考え方を盛り込んで見たらどうかということが予想されますので、只今の御意見も私どものほうにもいろいろ書面でも頂いておりまするのでありますが、今度この問題について一つじつくりとその折に考究して見たいというふうに考えております。
  43. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 それではこのあとの問題にいたしますが、次に医療法の関係でございますが、最近各地におきまして、例えば今度の医療法によるというと廊下の幅が幾ら、階段が幾らという規定があるために、鉄筋コンクリートで建てておる病院に行つてまで、その寸法によらねばならんからやり直せというような、ひどいわからん指示があつて非常に困つておるということですが、まあ鉄筋コンクリートというのだから廊下を拡げるとか或いは階段を拡げるというようなことは到底できんことでありますので、今の医療法に対してそこまで厳重に厚生省は地方に指示されているのでございましようか。それともその辺は少し行き過ぎた点でございましようか。或いはそういうところに対しては何か医務局からでも、もつと、無論ひどく悪いところはあれですが、その鉄筋コンクリートの階段を替えるというようなことまでは少し行き過ぎだというようなことを御注意願えるものでしようか。それらの点についてお伺いしたい。
  44. 曾田長宗

    政府委員(曾田長宗君) 私も現在具体的な事例につきましてどのようなことを申しているとかいうことを詳しくは存じませんけれども、まあ新たにこれから新設される場合におきましては、厳重に規則によつて頂きたいというふうに考えておりますが、今のお話はすでに既存のものでございまして、既設の建物でございまして、そうしてそれが他のいろいろな条件から医療施設、診療所、病院として余り難がないという場合に、ただ今の廊下とか梯子段等につきまして、ただ小さな点についてだけ抵触するというような場合には、それは例外として、そのために生ずる弊害を何らかの他の方法によつて避け得るという考慮が講じられますれば窮屈に言うことも如何かというふうに考えて、私は多少それの実情をよく存じませんのでどうかと思いますけれども、私はさようなくらいに考えているわけであります。
  45. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 それならば結構です。あとで実情を申上げますから……。
  46. 山下義信

    山下義信君 丁度医務局長と公衆衛生局長がそこにおられますから伺うのですが、どちらの所管か存じませんが、御一緒に伺うのですが、私は一両日前から新聞に出ている輸血関係のことで、昨日御質疑が出たか存じませんが、若し重なつておりましたらお許しを願いたいと思います。  学生が供血と言いますか、その血を売つてアルバイトしております状況がつぶさに出ているのであります。私は新聞記事を持つてつて伺うことは滅多にしないことでありますが、この新聞には非常にシヨツクを感じたのであります。以前にこのことにつきましても、私ども素人でありますからよくわからんのでありますが、昨年か一昨年か、こういう輸血を、やはり日赤あたりが血液銀行というものを作つてやるというので、私たちも素人ながら、私は十分それらのことについて弊害の起きないように当局に留意を希望しておつたことがあるのでありますが、いつもこういうことが目につくのであります。素人でありますからわかりませんけれども、輸血と申しますか、血液の交換ということが記事に出ると本員はいつもそれが目につくのでありますが、たまたま数日前から一流の新聞が取上げて、この学生のアルバイトとして血液を売る、それにブローカーがおつてピンはねをしておるという。先般いろいろその血液の中に不純なものがあつて事故を起したようなことにつきましては、当委員会におきましてもその点を問題にせられた同僚諸公があつたやに記憶しているのでありますが、一体こういうことはどうなつておるのですか。当局の取締はどうなつておりますか。厚生省のほうにはどういうことになつているのでありましようか。私も忘却いたしておりまして記憶にないのでありますが、この種のことに対しましての法令はどういうふうになつておりますか。それから当局はこのことについてどれだけの関心を持つておるかということについて伺いたいのです。これは大変です、私はそう思う、大変です。特にこの記事をつまびらかに私は昨日来から再三繰返して読んでいる。学生は、近代の学生の実情はかわいそうだ、二十数万の学生の中で殆んど一割がこのアルバイトに血を売つている。そうして途中の者に三割も四割もピンはねを受けて、色青ざめて、血を売つて栄養が足りなくなればパンでも買つて食べなければならん。何のことになつているか、健康を害するだけだ。こういうことは放つて置けない、放つて置けないです。文部省はどういうことをするか知らんが、文部省は教育のことばかりしておつてちつとも学生のことを見んのか。私はそれは知らん。私どもはいつも思う。教員のべ一ス・アップもいい、教員の待遇改善もいいが、併し私は学生のことも一つ心配してもらわなければならんといつていつも教員の人たちに言う、教組出身の人たちにこう言うのです。これは大変なことなんです、私はそう思う。何でも学徒援護会とかが国から数千万円の予算を受けている。この学徒援護会というのは文部省の外廓団体である。その文部省の役人などが天下りして理事長などについている。理事長の何某という者はここ三年間仕事をしていない。参議院の選挙に出ようとして選挙の事前運動のようなことばかりやつている。殆んど熱心に仕事はしちやいない。そういう者が理事長で学徒援護会というものをやつている。何の学徒を援護しているのか。その学徒はこういうことをやつていることには傍観的だ、これはいかん。若しそういう学生の、勉学中の学生の生活状態やその他のあり方について援護の手を要するということは我々も知つている。厚生委員会も知つている。文部省も放つて置かれん。私はそう思う。実に義憤を感ずるのです。私はこの新聞記事を見ましてですね、血液を売る学生があつてかわいそうだ。それでそういうことに対する取締とか法令とかというものはどうなつているのか。近来こういうことがよほど盛んに、輸血とか血液を買うということが行われているに違いない。新聞を見ると、東京都の一日の需要量が七万四千CCですか、というものの需要量がある。これを一貫してどういうふうに本省のほうでは、厚生省のほうでは、こういうことに対しての全面的な対策をどうしておられますか。取締の途がついているんですか。あればこれを励行しなければならん。不都合極まる。こういうふうに中間において搾取する悪ブローカー、これはひどい悪質なものじやと思う。又これは中小企業の商売人の間にいるブローカーなんか見れば、残んど商売人は嘘と詐欺とで互いの相手方の財物をかすめ取るような、狐と狸の喧嘩だつたら幾らその間にあつてもいいけれども、学生のような、青少年の血を、それを途中に悪質のブローカーが介在しているということは人道上私は許せん。当局の御説明を承わりたい。それでたびたび委員長を煩わして恐縮でありますが、これはたくさんの学生がこういうふうなことをやつているということならば、厚生委員会が乗り出して一つ御調査を願いたい。そうしてそれらの業者というか、この血液を供給する商売を誰がやつているのか、どれだけの団体があるのか、どういうふうになつているかということも一つ当委員会で、委員長には専門家の委員長を頂いているのでありますから、乗り出して頂いて、私は御調査を願つて、こういう不埒な者は征伐して頂く。こういう血を売るということについては、これは日本では近代のことでしよう。昔は私は聞いたことがない。近頃こういうことがはやつて来たんでしよう。病気の治療のしかたが……、今日健全な血液を弊害なくして集めるのにはどうしたらばいいかということを考えなければいけない。こういうことをやるなら医者も考えてもらわにやならん。当面の、これは医務局か公衆衛生局か私は知らんけれども、こういう国民医療に関係のある当局者は、これは弊害なくして健全な血液を集め、そうしてそれを医療方面に供給するということについて、どうしたらば弊害なくして、かわいそうな者から取らない、貧乏人から取らないで、何とかして弊害なくして取り得る。又それが必要ならば、その者に一グラムが何ぼという金額ばかりでなくして、ほかのほうからカバーしてやる考え方もせなければならんということを私は思う。これ一つ当局から、どちらの局長の所管か存じませんけれども、所信を承わつて、そして委員会としては御善処を一つ願いたい。これは取上げて頂いて御調査を願いたいと思うのです。一応御説明を聞きます。
  47. 藤原道子

    ○藤原道子君 昨日私はこの点大臣にも御質問いたしまして、満足ではございません。私今日は御質問申上げたいと思つていたところでございます。私責任ある御答弁を頂きたい。このことについては再三当委員会で問題になつております。梅毒の輸血をして患者が感染したときにも大騒ぎになつたはずです。過日、いつ頃だかちよつと失念いたしましたが、青少年、児童福祉法の該当者が血を売つてふらふらして問題を起しました。そのときにも御質問申上げてある。ところがそのときに、その後に厚生省のたしか児童局かと思いましたが、年少者が血を売ることに対しては法的には何ら処罰の規定がないのですと答弁をしておる。実にけしからんと思う。実際山下さんが言われる通り、余りにも大切な人命というものに対して、殊に医療という面に対して法にさえ触れなければおれたちは知らないのだというような当局のやり方に対して心から遺憾と思つております。どうぞこの点につきましては責任ある御答弁を頂きたい。ただ血を売る側の健康の問題のみならず、こうした信用の置けない血を、ろくに血液検査もしないような血が、それが病人に輸血されているということになると由々しき問題だと存じますので、この点厳重に私たちは当委員会でも、山下さんが言われましたように調査に乗り出さなければならんと思いますが、同時にまあ当局の責任ある御答弁を承わりたいと思います。
  48. 曾田長宗

    政府委員(曾田長宗君) 只今の問題につきましては、私どもとしましても極めで重大な問題であるということを考えておるのであります。只今お話にもございましたように、勿論輸血それ自身が割合に新しいことではありますが、殊にこの採血いたしました血液を直ちに輸血するということは戦前にもございましたのでありますけれども、これを保存いたしておきまして、そして必要に応じてこれを用いるというようなことは、日本においては戦後特に拡つて参つたことなんでありまして、勿論新しい医術の発達でございますので、こういうことによつてこの人命が救われ、或いは外傷、或いはその他疾病に悩んでおります傷病者がこれによつて早く一時も治癒するためにはこういう措置も必要なのでありますが、それに伴ういろいろな弊害というものをできるだけ避ける措置を講じなければならんという御意見に対しましては全く同感なのであります。併しながらこれは或る程度、遺憾なのでございますけれども、次から次とどのような事態が出て来るかというようなことは或る程度の想像はできましても、しばしば予期以上のことが起り、或いは予期以上に速かにかように困つた事態が現われ出ているというようなこともございますが、ともいたしますというとあらかじめ手を打つべきことが、そういう事態が起りましてから手を遅れて打たざるを得ないというような遺憾な事態も起つて参るわけであります。只今お話ございました点につきまして、例えばこの輸血によつていろいろな弊害が生ずる、むしろこれは患者のほうから見ましていろいろな弊害が生ずる、又給血者のほうとしても十分給血者の健康を保持して、健康に重大な支障がないように採血するというように考えて行きますると、このいろいろな点について、採血の場合及び輸血の際に注意しなければならん点があると思うのでございます。この点については医師及び歯科医師に対しまして、医療法に基く厚生大臣の指示として、輸血に関し準拠すべき規定というものを出しておりますが、これの励行によつて今申上げましたような点については弊害をできるだけ避けて参りたいというふうに考えておるわけでありまして、幾分なりこの面におきましての弊害というものは避けられつつあるのではないかと思うのであります。併し今度新たな事態といたしまして、これは医師、歯科医師が採血の際に注意すべき事項というだけではございません、それに対しまして支払われますこの報酬というものが、直接その給血者に渡りませんで、そこにブローカーが介在して来るというようなこと、又そのブローカーが介在して来ることによつて、例えば採血をいたしまして、病院が転々として変るというようなことになりますると、同一人でありながら短期間に数回多量の採血をしてはならんということを、この採血をいたします医師のほうでは心得ておりましても、その給血者が以前に、近き過去において採血をしたものかどうかということを確認することができないというような事態が起つて参ります。こういうようなことは、これは偶然に起つたことならよろしいのでありますけれども、ブローカーが介在するということによつて計画的にこれをごまかすというような形が現われて参りますので、この事態も兼ねて、こういう事態が起ることは、噂も聞き、又注意してもおりましたのでありますが、最近と申しますか、昨年の暮、今年の初めにかけまして学生の団体から厚生省のほうにも陳情して参りました。そしてこのブローカーの跳梁が非常に激しいということを訴えて出たのであります。私どもとしても只今山下先生及び藤原先生からお聞きいたしましたように、私ども自身としても誠に慨嘆に堪えない、誠にけしからぬ行為だというふうに考えているわけでありまして、到底この事態を放つとくわけには行かないというふうに考えております。今日におきましては、このいわゆるブローカーの取締ということに関しましては遺憾ながら未だ法的な何らの措置が講じられてございません。その間隙を衝かれたような状況なのでありまして、至急にこれに対する十分なる対策を講じなければならんと考えておりまして、地元の東京等の事情については或る程度情報を得ておりますが、更に他の地域につきましても、この業者の実態というものを急速に調査いたしまして、それに対処する適当な措置を講じたいというふうに考えております。
  49. 山下義信

    山下義信君 私は素人で、今医務局長の至急対策を講ずるということでありますから、どういう対策を立てられますか、次回までお待ちいたしておりますが、私はこの種のことが自由に随意に行われるというのであつてみると、根本的な対策は、甚だ失礼なんですけれども、やり方がない。それでやはり私は素人でわからんが、血を取るということはどこそこですることに限るというふうにきめたらすぐ取締ることができるし、ブローカーの介在する余地がない。国の衛生機関がある、国のというか、公立の医療機関があるだろうと思う。こういうところに設備をちやんとして、そうして万遺漏のないような仕事のできる、信頼のできる公的な衛生機関、医療機関か何かあるだろうと思う。こういうところで取扱わせることとし、価格等も徒らに競争して弱い者いじめして、五百円だ七百円だということじやなくて、相当価格維持のできるような方法を講じ、もう輸血して病気を治そうというような最高の治療をするときには、高かろうと安かろうとそんなことは、二千円であろうと三千円であろうと惜しむところじやないのですから、成るべく価格を高く維持できるようにすることくらいはこれはやさしいことだろうと思う。皆さん方が専門に考えられたらもうそういうことはすぐできることだろうと私は思う。保健所等につきましてはこういうような血を取るような設備等はございませんですか。何かこういう血を取りますような適当な設備をちよつとすれば行けるというような適当な機関は衛生局関係にはございませんか。
  50. 山口正義

    政府委員(山口正義君) 只今山下先生のおつしやいました国立の病院或いは公立の病院では勿論そういう設備はございます。又保健所でも採血の器具或いは設備は十分持つておりますので、そういうところで採血はできると思います。
  51. 山下義信

    山下義信君 衛生試験所というものは各府県どこにもあるのですね。衛生試験所というようなところにも設備はございますか。
  52. 山口正義

    政府委員(山口正義君) 現在は地方衛生研究所と申しますが、これは各府県に一カ所ずつございます。これは保健所の設備よりも更に高度のものを備えておりますから、勿論そういう採血はできると思います。
  53. 山下義信

    山下義信君 御善処下さい。一つ名案を至急出して頂いて御善処を願いたいと思います。と同時に私希望いたしましたこの種のことにつきまして、一つ委員会としてはお取上げになるように委員長にお願いいたしておきます。
  54. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 山下委員に申上げます。外務省のアジア局の第五課長の鈴木君が見えておりますから、外務省関係の御質問がございましたらお願いいたします。
  55. 山下義信

    山下義信君 外務省のかたに伺いたいと思いましたのは、先ほど引揚問題がございまして、援護庁長官に聞きましてよくわからん、所管が違うとかいうので遠慮したのでありますが、中共の在留邦人に対しまして、相当中共共産主義の訓練をしている。ソ連はもとよりでありますが、そういうものを叩き込んでいる。従つて今日の中共引揚は我々としてはもう双手を挙げて歓迎をしまして、一日も早く温い心の故郷に抱かれることを努力いたすのでありますが、一部ではいろいろ中共の、いわゆるコミンフオルムといいますか、そういうものの一つの動きとして、共産主義の而も精鋭な分子を日本解放のために帰らせるのだというようなことが一部に伝えられている。そういうようなことの情勢について外務省にはどれだけの資料、どれだけの情報というものが握られてあるのか。そういうことはただ単に一つの道聴途説であつて、そういうことはないのだ、そういう虞れはないのだということならば、はつきりとしておいてもらわねばならん。それをしておかんというと、今度引揚げて来る邦人は相当共産主義を強く叩き込まれているのだ、これが日本の共産党の組織と結附いて武力革命の一分子になる者も、全部とは言わないが相当あるのだというようなことが国民の間に信ぜられるというと、引揚者の就職その他においても非常な支障を来たすと私は思う。それでそういう点に対しまする外務省の所見を承わりたいと思うのであります。  それでなお今使節団が参つておりますが、援護庁長官に聞いたのでは三日までの情報しかわからんということでありますが、本朝までに最近の何か交渉に関するニュースがありましたら承わりたい。それは今の台湾の中立放棄に関連いたしまして向うの議会でも質疑があつたそうでありますが、この交渉に影響があるのではないかというような事柄が言われておるのでありますが、何かニュースがありましたら、丁度今日はこちらのほうでは引揚の問題を質疑したので、関連して伺いたいと思つたのであります。
  56. 鈴木孝

    説明員(鈴木孝君) お答えいたします。今回の北京放送に基きます中共からの邦人引揚に対しましては、外務省といたしましては戦後七年の長きに亘つておりますので、帰つて参ります日本人は、中共放送によれば三万人の居留民ありとしておりますが、そのうちの帰国希望者を帰すということでありますから、三万人以内が帰ると考えておりますが、先に申しましたように、七年の長きに亘つておりますために、帰つて来る者の中には相当先方の共産教育を受けておる者なり、或いは又そういう山下さん御指摘になりましたような政治的な意図を蔵して帰つて来る者もこれはないとは言えない、むしろあると考えなければなるまいという考えでおります。にもかかわらず、外務省が今日までこの中共引揚問題に援助をいたして来ましたのは、留守家族の心情、これが引揚問題の中核だと思うのであります。いずれも帰してもらいたいということでありまして、そうして又現地からの通信によれば、帰りたいという者が非常に多いということでありまして、それでその危険もこれは十分に腹の中に感じておりながらも、外務省としてはこれが引揚に一日も早く一人でも余計に帰るように努力したい、そういう考えで今日まで参り、でこういう日本にとつていわゆる危険な人物が中国から帰つて来るという事態に対しましては、今回の引場問題とは別個にこれは取扱つて参りたいと考えておりますが、その点については我々は考えないわけでは決してないのでありまして、これに対処する十分な頭を持つてこれから進んで行きたいと考えております。  以上簡単に申上げましたが、なお御質問に応じます。  それから第二点の今朝までのニュースにつきましては、現地からはまだ日赤を通じて会議が始つたという報告はございません。最近得ましたのは一昨日の夜でございます。今度参りました代表団交渉する中共側代表団が六名を以て構成されたということの報告が日赤にございまして、それが外務省に伝達されて参りました。それが最近のインフオーメーシヨンでございます。  それから第三点のアイゼンハワー大統領の議会に対する教書の中で言われました台湾の中立化を放棄する問題であります。これが今回の中共引揚に如何に関係するかということでございますが、外務省が得ましたいわゆる北京からの自由日本放送によりますと、自由日本放送は、このアイゼンハワーの一般教書を論難いたしております中で、こういうことをアイゼンハワーが考えているならば、中共からの引揚は遅れるであろうと、そうして日本船舶会社は船を出せないと今言明しかけていると、このことが日本留守家族を不安に陥れていると、こういう趣旨放送をしております。併し本件の真相について私が承知している限りを申しますと、今回はまだ正式に先方に申入れておりませんけれども、勿論引揚船の安全保障ということが問題になりますわけで、この点につきましては台湾政府とそれから国連軍に対しまして日本政府から正式に申入れをすることになつております。実際上私とアメリカ使館の事務当局との私的な話合いでは、北京での話合いができれば、それに従つて日本政府から申入れて来れば、それで措置するというまあ仮の約束になつておりますので、北京で話がどのようにまとまりますか、まとまりまして、何月から配船ができると、何カ月間で終了させると、船は高砂丸と興安丸で、そういう具体的な点がきまりますれば、こちら側から申入れをし、又台湾政府に同様の申入れをすることになつておりますが、本件につきましては、事柄が人道問題でありますので、先ほど述べました北京放送が言つているような危険は絶対にないと我々は確信いたしております。
  57. 山下義信

    山下義信君 今の第五課長の話では、非常に楽観的で、私たちもそれを希望しているのでありますが、従つて外務省の見通しとしては、交渉は予定のごとく極めてスムーズに進むのであると、こういう御予想でございますね。
  58. 鈴木孝

    説明員(鈴木孝君) さようでござい  ます。
  59. 山下義信

    山下義信君 今の引揚者のいろいろな共産主義との関係につきましては、この際は非常にデリケートでありますので、適当の機会に私は質疑をいたしたいと思います。この際は控えておくほうがいいんじやないかと思いますので、ただ当局がこのことについて相当配慮をしているという含みのある御答弁を了承して置くと、こういう程度にとどめておきたいと思います。
  60. 長島銀藏

    ○長島銀藏君 外務省が来ていらつしやるのでちよつとお尋ねしたいのですが、実は資料はまだ収集中で全部揃つておりませんから、簡単にお尋ねしたいと思います。朝鮮の釜山に現在朝鮮人と結婚した婦女子が多数集結しているそうであります。これを、日本に帰還したいという切なる希望で、外務当局にお願いをしているのですが、これに対して外務省としては入国の許可を与えないという事例があるそうでございますが、ちよつとお尋ねいたします。
  61. 鈴木孝

    説明員(鈴木孝君) 只今お話になりました点は全然ございませんのです。誤報でございまして、簡単に御説明申上げますと、あすこの釜山の少林寺という収容所がございます。収容所と申しますか、溜りになつておりますので、そこに韓国籍に一旦なつた婦女子が帰るのを待つているわけであります。やり方は、その婦女子が直接に本国に照会しまして、戸籍謄本を取寄せまして、それを韓国の外務部を通じまして外務省に送つて参ります。私どものほうではその各人につき各本籍地の府県に一応照会いたしましてチエツクをいたしまして、そうしてその名簿に丸をつけまして、殆んど大部分はそうなんでありますが、事柄はそれに名をかりて不法に入つて来る者は困るということなのでありますから、そういう方法をとつて、送り返しておりますが、ときどき帰国が遅れますのは、そこの少林寺という所に、必ずしも溜つて生活しているのではなくて、いろいろ船が入りますと、そこへ稼ぎに出かける、まあ雑役婦になつて行つてみたり、大体その土地を根拠地にはしておりますが、その近傍に出稼ぎに行くという場合に、船が直ぐ出るというときに間に合わない、又韓国側においても連絡の不十分な点があるようでありまして、これは昨年の十二月の半ばでございましたか、韓国外務部の出張所長が、向う外務省員でございますが、それが少林寺の収容所主任をやつておりまして、それが船にやつて参りましてその事情を述べておりましたが、その人も、新聞日本政府がその意図がないということで遅れておるということが出て、私も実は迷惑しておるということを申しておりましたので、一口に申しますと、外務省としては、政府としては、促進はいたしておりましても、拒んでおることは全然ございません。
  62. 長島銀藏

    ○長島銀藏君 それではよく私のほうの資料が集まり次第に又改めて申上げることにいたします。
  63. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 中山委員に申上げますが、今保険局長に来てもらつて、あなたの御質問を願うことになつておりますが、その前に医務局のほうから数字がわかりましたそうですから、ちよつと御報告を願います。
  64. 曾田長宗

    政府委員(曾田長宗君) 実地修練に要します経費としては、指導医及び指導助手の手当といたしまして九十八万四千円、又施設に対しまして交付いたします金額として五十八万九千円、両方合せまして百五十七万三千円ということになつております。これは学校及び国立の医科大学の附属病院及び国立病院等に対しましてのものは、それぞれの施設の費用として組んでございますので、これはいわばそれ以外の、国以外の施設に交付いたします手当及び交付金ということになつております。おおむね今までの状況で見ますと、三千人ぐらい修練生がおるのでありますが、そのうちの三分の一程度が民間、国以外の施設にお願いしておるのであります。大体それに対する経費でございます。
  65. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) もう一つお尋ねいたしますが、そうしますと、これで一病院当り平均がどのくらいの金額になりましようか。施設とそれから指導費と両方こめてですから、勿論これは数字が一致しませんから、必ずしも合いませんが、一応病院数で見ました場合の一病院当りの平均金額でございますね。
  66. 曾田長宗

    政府委員(曾田長宗君) 今の御質問に対しまして的確なお答えがちよつとできかねると思うのでございますが、この手当及び交付金の単価を申上げて御参考に供したいと思うのでありますが、それによりますと、指導医手当としましては、一人の指導医に二千七百円。
  67. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) それは月額ですか。
  68. 曾田長宗

    政府委員(曾田長宗君) 一期の修練でございます。それから助手に対しましては一人が六百二十五円ということになつております。これは指導医はインターン生十人まで、十人を超えるとこれが又倍になるということになつておりますが、実際問題としましては、一つの病院に余りたくさんおりませんのでございます。十人に対して二千七百円ということにはだからならないと思うのでございます。それから助手につきましては、十人までは例えば一人でも二人でも預つて頂く所には助手二人分として従つて千三百五十円差上げるということになつております。それから施設にはそれ以外に施設交付金としまして千円差上げるということになつております。このインターンの数を何人預かるかで以て非常に違つて来るわけでございます。
  69. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 施設交付金といいますのは、一施設に対して一修練期間中に千円というわけでございますね。これは数にも何も関係ございませんね……わかりました。有難うございました。では中山委員どうぞ。
  70. 中山壽彦

    ○中山壽彦君 保険局長にちよつとお伺いしますが、最近高塚技官の長崎、広島地方における保険医監査に関しての、誠に不当な、又常軌を逸した言動につきまして、両県から陳情等も参つておりますが、こういう事実を中央においてもお認めになつておりますかどうか、それを一つお伺いしたい。
  71. 久下勝次

    政府委員(久下勝次君) 広島、長崎県につきましては、すでに日本医師会を通じまして、長崎県医師会の決議書を頂いております。広島県につきましては、まだ私自身正式の文書を見ておりませんが、同様な問題があることを承知いたしております。なお別途関東甲信越の医師会連合で、長崎県の決議を支持するというふうな正式の文書を頂いております。この問題につきましては、長崎県並びに広島県の問題のありました県の責任者である保険課長には、丁度事務の都合もありましたので上京を求め、委細一応事実を調査をいたしております。その結果によりますると、確かに監査をいたします場合の高塚技官の言葉遣いなり、或いは態度なり、不穏当なところがあつたというふうに認めております。
  72. 中山壽彦

    ○中山壽彦君 そこで将来監査について、高塚技官がそういうような当局でお認めになるような、誠に不当な監査をしたということに対して、今後技官に対してはどういう処置をおとりになるつもりでありますか。
  73. 久下勝次

    政府委員(久下勝次君) 取りあえず私どもとつておりまする措置は、その問題が起りましてから、具体的に地方の監査には携わらせないという措置をとつております。その他の問題につきましては、今いろいろと検討中でありまして、暫くお待ちを頂きたいと思います。私どもといたしましては、この問題をいろいろ精細に調査をいたしますると、監査をいたします場合の、陳情書などにもありまするように、言葉遣いが非常に激しく、少くとも社会的に地位の高い医師に対する言葉としては穏当を欠くという意味において認めているものでありまして、その他の点につきましては、いわゆる破廉恥の行為というようなことはないようであります。これは確実に現地の者も証明をいたしております。そういうことでもありまするので、これが取扱については、取りあえずの問題は、今申上げた通りでありまするけれども、終局的な問題といたしましては、いろいろと考えておりまするので、暫くお待ちを頂くほかはないと思つております。
  74. 中山壽彦

    ○中山壽彦君 御調査なさいますときに、当該保険課長のみの御調査をなさいましても、私は片手落じやないかというように感じております。やはり医師会の責任者をよく調査をなさいまして、保険課長の言うことが是か非か、両方一つお調べにならんと私はいかんと思う。私どもは監査ということに対して、やはり医師会でも少し責任を持たせるというような方法に改善されるようなことをお考えになつているかどうかということも、併せてお尋ねをしておきたいと思うのであります。元来地方の保険課長は中央の直属であるために、他の課長と違つて非常にまあ横暴といいますか、知事の言うことなんぞ聞かんでよろしいというような不穏な言辞を使つているということも聞いているのであります。この中央の直属の官吏ということも昨年でありましたか、藤森委員長の質問に対して、近く解消をするようなお話もありましたが、そういうことがどういうふうに今日なつているか、これも一つお尋ねをしておきたい。
  75. 久下勝次

    政府委員(久下勝次君) 高塚技官が監査に際しまして使いました言辞が穏当を欠くということにつきましては、医師会当局からの公式な文書で私どもに話があつたのであります。その事実は、現地の保険課長に聞きましても認めておりますので、私としてはそれ以上調べる必要はないと思つているのであります。その他の点につきましても、いろいろ噂さがありまするので、その点は確めておりまするが、今申上げましたように、その他の点については別に非難をすべきことはなかつたと考えておるのであります。保険課長が国の官吏として勤務をいたしておりますることは、これは制度上或る程度止むを得ない。或る程度と言いますか、これは止むを得ない、国の国庫金の取扱をいたします関係もありますので、止むを得ない点があるのでありまするが、私も時折そういうことがあるということ、知事の指揮監督は受けないんだというようなことを言うというような噂を聞いております。この点につきましては、私は常に戒めておるつもりでございまして、それが徹底を欠きまして、或いは事実そういうことがありとすれば大変申訳なく思つておりますが、なおこの問題は他の問題とも関連をいたしまして、私どもも現在の保険行政の上において人事の問題など、或いは事務の取扱上の問題、一応制度的には知事の指揮監督を受けるということにはなつておりますものの、必ずしもいろいろな点で適切に運営されてないということも認めております。この点は何とか現状をもう一歩改善をするというような線で検討いたしております。具体的に申上げますると、例えば現在は歳入徴収官の任命をいたしまして、そうして国庫金の徴収の取扱をいたしております。或いは前渡資金官吏として政府の特別会計の資金を交付いたしまして、給付をさせるというようなことを保険課長の責任においてやらせているわけでありますが、かようなことにつきましても、若し国家公務員法上許されることでありますれば、各都道府県の責任者、部長なり或いは副知事なりというようなところに、そうした仕事を兼務をさせて命ずるということができればやろう。人事の問題につきましても、同じような方針で、現在八級職以下の職員の任命を保険課長に委任せざるを得ない構成になつておりますが、それらの点も若し可能であれば、もう少し保険行政の中に実質的にも溶け込めるような態勢をとるのが適当であろうと考えまして、関係の向と今折衝を進めているわけであります。
  76. 中山壽彦

    ○中山壽彦君 私たまたまこの一月十日過ぎに広島のほうに参りまして、そのときに医師会の人々から、高塚技官の行動につきましては、報告以外の余り好ましくない事実も聞いております。こういう席では申すことは差控えておきますが、要するに保険課長、こつちから行かれまする監査の技官等が余りにもよくない行動があることを耳にいたしておるのであります。それは適当な一つ中央において御監督をなさらぬと、将来大きな問題を引起すような憂いがあると私は存じております。それで先刻も申上げましたように、この保険医の監査というものに関してもう少し医師会に責任を持たせるというようなお考えはお持ちになりませんかどうか、これを一つお尋ねしておきたい。
  77. 久下勝次

    政府委員(久下勝次君) 保険医の監査を医師会に責任を持たせるかどうかという先ほどのお尋ねにお答えをしないで恐縮でございました。この問題は現在やつておりまするのは、御案内の通りだと思いまするが、監査の場合には必ず医師会の幹部のかたにお立会を願つて一緒に監査をする、開業医の許に赴きます場合にも、県の係官、本省の係官、そのほか医師会の幹部のかたには必ずお立会を願つて監査をいたしております。そういうようなやり方をしておりまして飽くまでも考え方としては文字通り指導監査という建前をとつておるのでありますが、ただ遺憾ながら高塚技官の言辞がこれを裏切るようなことがありましたことは、私は本当に申訳なく思つておるのでありまして、それ以上にこれはすぐ繋りますことは、行政処分に繋りますものですから、全面的に医師会に責任を持たすということにつきましては、私どもとしては考えられないところであります。要するに実質的に現在やつておりますようなことを励行させまして、そして医師会も事実問題として成るほど納得するような監査をやつて行くというような行き方をとれば、御趣旨にも副えるのじやないかと思つております。
  78. 中山壽彦

    ○中山壽彦君 私の申しますのは、医師会が自治的に保険医の監査を十分やつて行く、その医師会に対しては又中央においていろいろ指導なさるというような方向にこれを是正なさる御意思がないかどうかということをお尋ねしておるのです。
  79. 久下勝次

    政府委員(久下勝次君) その問題につきましては、少し言葉と内容が違うかも知れませんけれども、私どもは昭和二十八年度の予算に、僅かではありまするが、保険医の指導に要する費用を一般会計から百万円ほど出してもらうことになつております。これは結局監査という言葉には当らないかも知れませんけれども、保険医に保険診療のあり方なり、或いは保険の事務的な手続なり、刻々変つて参ります問題を十分承知をして頂き、事故の起りますことを未然に防止をするというような意味合におきまして、それに必要な経費が今度初めて認められたわけでございます。国会にもいずれ御審議を煩わすことに相成ろうと思つておりまするが、私どもといたしましては、そういう面におきまして、この実際の仕事につきましては、医師会と申しますか、或いは医師会の代表が参加して頂いておる審査委員会というようなものが各地方にございます。こういう方面かたがたにお願いをして予算を運用して参りたいと思つておるのであります。そういう点で、正式な意味における行政権の発動としての監査ということと実体的には同じようなことになると思いますので、そういう予算を活用いたしまして、御趣旨に副うような結果になるだろうと存じます。
  80. 中山壽彦

    ○中山壽彦君 とにかく高塚技官の誠に非常識な言動というものは、長崎、広島両県医師会のみならず、全国的な波紋を起しておる。同氏に対する今後の何と申しますか、処理につきましては、十分一つ慎重にお考えを願つておきたいと思います。  なおこの機会に、もう一つ私は局長にお尋ねしておきたいことは、最近全国に国保の直営診療所というものが非常にたくさんできる、この診療所のできるということは、適当な必要があつてできることは私はよろしいと思う。こしらえなくてもいい所に作るということは、これは是正をしなければならぬ。これが或る人の運動によつてできる、或る人の運動によつて阻止されるというような性質のものでは私はないと思う。私どももそういういろいろな陳情を受ける煩に堪えられないのです。現に現在においても二カ所からそういうような問題を承わつておるのであります。当局にそういう人が聞いてみますと、地方の保険課長からそういう申請があるから、それを信用して許可したんだと、こういうまあ御答弁らしい。そういう傾向がありますと、幾らでも私はそういうものが必要ならざる所にできるのではなかろうか、こういうふうに考えられる。そういう申請が地方の保険課長からありました際には、やはりその土地の保険医の状況、保険医が国民保険に協力しているかどうかというような点は所属医師会によくお打合せになつて、そういうことを総合的にお考えなつた後に、これを許可するとか許可せぬとかいう方針をきめられることが妥当じやないか、ただ地方から保険課長が言つて来たからすぐそれはよろしい、これじや保険課長の申請した内容というものが正しいか正しくないかということは当局におわかりにならん、あとになつてからそれはどうだとかこうだとかいう問題を起すことは私は困るのじやないか、こういうふうに考えるのであります。全体直営診療所というものは被保険者の診療に支障のある所にできるのが原則であります。この原則というものは運動によつてできるとかできないとかいう趣旨のものでは私はないと思う。又保険医が非常に協力をしないというような所は、これは別個に考えなければならん。こういうことがたびたび繰返されて全国的に起つておりますので、一つその原則を十分尊重なさる意思をはつきりしておいて頂きたい。私どももそういう陳情を聞くのは煩に堪えないのです。又地方の人もわざわざ時間と経費を出して多くの人が東京に来るということは誠に無駄なことであるというふうに考えておりますが、この点に関する局長の見解を改めて聞いておきたい。
  81. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 私只今の中山委員の御発言にちよつと関連しておりますので、今中山委員の御発言がなかつたら私もそのことを申上げようと思つたのですが、先般私どもが京都、奈良、和歌山、この三県に視察に参りました。そのうちで、京都ですでにそういう問題を耳にして詳細の報告を頂きましたが、和歌山においてもそういう事例を聞いております。なお過去においても相当私どもそういう事例に接しておりますのみならず、私どもが直接中に入つていろいろ話合をして解決した問題等もございますることなんで、折角国民健康保険に対する国庫補助の問題もこの際でき上つたときなんです。国民保険をよくするということは、これはもういいことなんですが、徒らに診療所を作るということは必ずしもプラスになつておらないような場合もございますので、これは国費がどうなるかということにつきましても、慎重に我々は考えなければならんと思いますので、今中山委員の何がございますから、私も先だつてそれを目のあたり拝見して来たようなわけでございますので、重ねて私からも同じ趣旨についての御意見を承わりたいと思います。
  82. 久下勝次

    政府委員(久下勝次君) 国民健康保険直営診療所の設置につきましては、今中山先生からおつしやつた通りでありまして、私どもの考えも何らそこに附加えるものもございません。私も自身そういう考えの下に処理をいたしておるつもりであります。従つて申請をいたします場合の書類につきましても、既設診療機関の状況ということは必ず、而も重要視して査定をいたしておるつもりであります。具体的に問題になつておりましたような問題、それぞれ事情はいろいろございますようで、或いは又その辺の書類の作り方が間違つておつた、或いはその後の情勢の変化があつたというようなことで問題の起つておるものもあるようであります。いずれにいたしましても、私どもとしては国民保険の直営診療所というものは医療機関がなくて困つておる所に作るというのが建前でありますので、その建前は崩すつもりは毛頭ございませんし、又その建前を崩すことによつて波瀾を起すことも決して望んでいないのであります。従いまして、たとえ国民健康保険を実施しておる保険者側から是非作つてくれというような要求がありましても、さような地域には初めに問題がわかつておりますれば、私どものほうでも補助金を出さないという処置を現実にとつておるのであります。ただ数が多いものでございますので、中には申請書を信用して出してしまつたものが、あとでそれは事情が違つておつた、或いはその後に事情の変化があつたというようなことでいろいろ一、二問題を起しておりますことは、大変恐縮に思つておりますが、いずれにいたしましても、考え方としてはそういう気持で将来とも扱つて参りたいと思います。具体的な問題が起りましたのにつきましては、成るべく円満に両者の間に了解がつくような解決の途を見出したいと思つて今日も努力をいたしておるような次第でございます。
  83. 山下義信

    山下義信君 私は専門家の同僚諸君の御意見を拝聴しておつたのでありますが、これ又門外漢ですから、十分なことは私自身も確信はありませんが、併し私も局長にちよつと伺つておきたい。  その前に、この保険医の監査の問題は、たまたま昨年の十二月に特に速記を呼んで頂いて緊急質疑の形で請願陳情の御審議中に差込んで頂いて伺つたことがある。最近の監査の実績について資料の提出を求めておいたのですが、二カ月になる今日なお御提出にならないのはどういうわけですか。これが一点。これはまあ資料のことです。  それから今のことですが、私は監査については励行論者です。励行すべきです。これをぐじやぐじやにしてうやむやにしておくという法はないと思うのです。これは励行してもらわなければならん。又誰も励行して悪いと言う者はない。これは励行せなければならん。併しその励行は適正な監査の励行であることは言うまでもないことであります。これは励行してもらわなければならん。そこで最近あなたのほうで監査されたその実績状況はどうであるか、その資料を求めておいたのでありますが、まだ御提出もない。一体その保険医の監査というものはなにがしか一人がするのか、そうでないでしよう。保険医の監査をする技官は何人かいるんでしよう。ただ唯一の人がするのじやないのでしよう。それでいろいろ資料等を頂戴すれば、今のような弊害のあるような、行過ぎのあるような技官が監査したらどういう成績が現われたか、又非常に優しいぬるぬるとした技官が監査したら一つも問題が出なんだのか、資料を見ればすぐわかる。資料というものは非常に大切なものなんです。数字はごまかしがつかん。それで私は要求したのだが、二カ月もたつておるのにまだ資料を出さん。保険局長は国会を軽視しておる。吉田ワンマンの真似をしておるのか知らんけれども、これは資料をすぐ出して下さい。よくわかるような資料を出して下さい。それでこの種の問題は、これはもうこの保険制度の根本的な問題であつて、これはもう恐らく今の制度の状態なら百年千年この種の問題は跡を断たんでしよう。ただ単に人だけの問題じやない。なにがしの性質がどうであつて、これを甲を乙に取替えてみても同じことです。少しく厳重にやろうとすれば、行過ぎる、そんならいうて知らん顔をすれば、ずるずるになる、これはもう制度の根本にすでにこの原因が潜んでおる。でありまするから、この問題は根本的な制度の立て方ですが、併し何としても現実は保険医諸君と極めて円満なる意思疏通の上に妥協せざれば、円滑な運営のできない保険制度の立て方であることだけは事実です。ですから、当局はその運営をうまくやるかやらんかということは、もういつもこの一点にかかつておる。もう問題はいつでも堂々めぐり、形を変えて現れて来ておる。これは何であろう、かんであろうと、皆ことごとくここなんです。ですから、妥協して行くのか、もう厳格にびしびしして行くのか、割り切つてしまえばそうなるのでありますが、そう割り切ることはできますまいが、大体現実としてはもう妥協して、保険医諸君の協定がなければ到底やつて行けないことだけは事実なんです。根本的な問題は今どうこうというわけには差当つてできないことではありますが、これはまあ私見となることでありますが、今中山委員からも質疑がありましたが、この保険医の監査の方法について何か単独法でも、保険医監査法とかいうようなものでも出すとかいうような考え方でもあるのでしようか、どうでしようか。そういう点も聞いておきたいと思う。それで今の長崎なり広島なりで起きました事件、私も承わつております。これは根本的な問題に関連していて、単なる一監査に当つた技官の問題じやない。それから今局長は、言葉の行き過ぎや態度等について遺憾な点があるのは認めたと、こう言うのです。言葉や何かは私は問題じやないと思うのです。言葉というようなものは問題じやない。その言葉が丁寧であつたか粗暴であつたかというようなことは問題じやない。併しその言葉が監査の方法に関連しておると問題になつて来る。或いは威嚇して何といいますか、強要して一方的に、まあ検察庁でいえば自白させたというか、材料を握つたというか、その監査の方法にそういう言語動作を用いたということになると問題になる。それ以外のことで少々行過ぎましても、これは問題じやないと思いますが、併しこれは当委員会としてもいずれ根本的に調査なさることでありましようから、その際に譲りますが、今申上げましたように、大体そういう監査につきましては、何か法令上につきまして改正等のお考えがあるのかどうか。予算等を拝見しますと、特別職の監査委員ですかを数名お設けになるというようなこともあるようでありますが、やはりそれについては関連した法規の上の企画等があるのでありましようか、どうでありましようか。その点承わつておきたい。
  84. 久下勝次

    政府委員(久下勝次君) 資料の提出が遅れておりまして、大変申訳ございません。早速提出いたします。  監査に関する法律でも制定する意思があるかというお尋ねでございますが、只今のところはそこまで考えておりません。と申しまするのは、一つには、監査をする、制度的にやると申しましても、何分にも手が足りませんのでありまして、多少この監査のやり方をもつと運用の上において考えなければなりませんが、制度化するとなると、又よほど真剣に検討しなければならない問題が多いと思いますから、暫く考えさして頂きたいと思います。この問題はなぜそういうことを申しますかといいますと、保険医制度の問題につきまして、現在私のほうに設置されております臨時医療保険審議会というのがございますが、そこの議題の一つとして提案をされておりまして、近くこの問題は正式にその審議会で取上げ、検討される見込みでもありますので、それらの関連もございますので、暫く検討さして頂きたいと思います。今お話の中にございました、今度の予算に審査員に関する予算が出ておるのでございますが、これはこの監査とは全然別問題でございます。私ども考えておりまするのは、健康保険、船員保険、年金保険、各種私どものほうの所管の保険給付につきまして不服の訴えがございます。その審査の機関でございまして、これとは直接の関連はございません。
  85. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) もう御質問、ございませんか……。  それでは本日の委員会はこれで散会いたします。    午後一時十一分散会