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1953-02-05 第15回国会 参議院 厚生委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年二月五日(木曜日)    午前十時三十八分開会   —————————————   委員の異動 十二月二十四日委員長島銀藏辞任に つき、その補欠として加納金助君を議 長において指名した。 十二月二十六日委員加納金助辞任に つき、その補欠として長島銀藏君を議 長において指名した。 一月三十一日委員堂森芳夫辞任につ き、その補欠として赤松常子君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     藤森 眞治君    理事            大谷 瑩潤君            藤原 道子君            山下 義信君    委員            草葉 隆圓君            中山 壽彦君            井上なつゑ君            常岡 一郎君            深川タマヱ君            谷口弥三郎君   国務大臣    厚 生 大 臣 山縣 勝見君   政府委員    厚生大臣官房会    計課長     太宰 博邦君   事務局側    常任委員会専門    員       草間 弘司君    常任委員会専門    員       多田 仁己君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○理事補欠選任の件 ○小委員補欠選任の件 ○社会保障制度に関する調査の件  (厚生省関係予算に関する件)   —————————————
  2. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 只今から厚生委員会を開きます。  開会に当りまして、理事堂森芳夫君が一月三十一日に他の委員に転出されておりますので、この機会理事の互選を行いたいと存じます。どういうふうな方法にいたしましようか。
  3. 草葉隆圓

  4. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 只今草葉君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) それでは堂森芳夫君の補欠として山下義信君を指名いたします。   —————————————
  6. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) それから次いで小委員補欠を指名いたしたいと存じます。委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) それでは遺族援護に関する小委員に、長島銀藏君の補欠として長島銀藏君、堂森芳夫君の補欠として赤松常子君を指名いたします。   —————————————
  8. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 本日は社会保障制度に関する調査議題といたしまして、二十八年度厚生省予算につきまして厚生大臣からこの予算についての大綱並びに今後の厚生大臣の御方針等を承わることになつておりますので、只今から大臣の御発言を願います。
  9. 山縣勝見

    国務大臣山縣勝見君) 只今議題となりました昭和二十八年度厚生省所管予定経費要求額概要につきまして御説明申上げたいと存じます。  昭和二十八年度厚生省所管一般会計予算要求額は総額六百九十五億八千四百七十九万五千円でございまして、これを昭和二十七年度予算額の七百二十一億七千九百六十七万六千円に比較いたしますると二十五億九千四百八十八万一千円の減少と相成るのであります。但し減少いたしておりまするけれども、これは御承知通り過年度にありました援護費等関係もありまして、純粋の厚生省予算関係と相成りますると、後ほど御説明を申上げる通り、新たなる面における予算計上もございまするし、それから又従来の社会保障の面に関しましては、或る程度相当増額をいたしておりまする次第でございまして、一応形式的には只今申しましたような減少に相成つておるのであります。  只今申しました予算のうちで特に重要なる事項について概要の御説明を申上げたいと存じます。  先ず第一に国民医療整備改善でございますが、これは新内閣成立に際しまして十大政綱のうちの一つとして取上げましたものでありまして、昭和二十八年度予算編成に当りましても特にその点に意を用いました次第であります。その施策の内容といたしましては、先ず以て社会保険の充実、なお又医療機関整備及び疾病予防対策強化、この三点に重点をおきまして予算編成をいたしたのであります。  先ず第一に社会保険の問題でありますが、社会保険財政強化を図りまするために、健康保険その他の社会保険につきまして、前年度に引続きまして保険者事務費全額国庫負担をいたしまするのは従来通りでございまするが、特に国民健康保険に関しましては当委員会におきまする要望もありまするし、なお又衆参両院を通じての御要望もございまして、この点に対しましては格段の努力をいたしました次第であります。各位の御支援によつて国民健康保険については、その健全なる運営を助成する目的を以ちまして、療養給付費の一割五分に相当する金額を各保険者に対しまして今回国庫負担の下に交付いたすことに相成りました。但しこれらの国庫負担を支出いたしまするにつきましてはこれ又当委員会等におきましても御意見がございましたが、その支給方法に万全を期しまして、例えば療養給付額或いは財政力或いは保険料徴収成績等を勘案いたしまして、最も効果的に、最も適切に保険財政改善を図り得まするような方法において算定交付をいたしたいと考えておるのであります。それらの詳細につきましてはいずれ又御説明をいたす機会があると存じます。これらに要しまする必要な経費二十九億六千四十三万余円を計上いたした次第であります。なおそのほかに前年度に引続きまして赤字保険者に対しまする再建整備資金貸付に必要な経費四億六千八百九十万余円を計上いたした次第であります。なお御承知通り、従来奨励的な意味で支出いたしておりました奨励交付金と申しますか、これは今回は国庫負担をいたしておりますので計上はいたしてございません。なおそのほかに今回日雇労働者に対しまして健康保険の途を新たに開きました。現在これらの人々に対しましては、大部分の人が社会保険の恩典を受けておりません。一般労働者に比して甚だしく脆弱な生活基盤に立つておりますので、この際何らかの形によつて健康保険制度をこれらの人にも実施したいと考えまして今回創設いたしたのであります。この際この日雇労働者に対する健康保険創設に当りましては、実は私どもといたしましては、できればこれに対して医療給付に対する国庫負担をいたして、そうしてこの折角創設いたしまする健康保険制度をして万全を期せしめたいと考えておりましたが、何分にも今年度予算編成は御承知通り非常に困難を極めましたような次第でありまして、国民健康保険一割五分国庫負担の問題も最後まで紛糾いたしたような次第であります。併し少くとも本年度はこの日雇労働者に対する健康保険制度は頭を出したいということで、一応その保険事業経営のために必要な事務費保健施設費福祉施設費全額国庫負担といたすことにいたしまして、この面におきまする健康保険制度創設を期しましたような次第であります。それに必要な経費が二億八千六百九十三万余円でございます。  次に医療機関整備につきましては従来とも努力をいたして参りましたのでありますが、明年度も引続きまして、この点に対しましても予算計上に意を用いまして、国立一千床、公立四千床、法人立二千床、なおその他に社会保険立で三千床、計一万床の増床をいたしますことにいたしましたほか、国立病院の中から三千五百床を結核療養所に転換いたすことにいたしましたのであります。これらの増床整備に必要な経費十億八千八百七十八万余円でございます。なお結核療養に関しましては新たにいわゆるアフタケアの点に意を用いまして、結核回復者に対しまする後保護と申しますか、アフタケア施設、これを設けることにいたしましてその設置費補助に必要な経費二千百八十万円を計上いたしたのであります。これは今回計上いたしました予算額は十分でございませんけれども、多年要望でございましたアフタケアの面に頭を出し得ましたことは非常に欣幸でございます。そのほからいにつきましても国立らい療養所に一千床の増床を行うこととし、これに必要な経費一億九千九百八十万円を計上いたしました。又精神病につきましてはこれ又当委員会におきまして従来いろいろ御意見もございましてこの面の増床を期しましたのでありますが、今回は国立二百床、公立一千床、計一千二百床の増床をいたしまして、これに必要な経費一億八千八十四万余円を計上いたしましたのであります。なおその他公立一般病院建設費補助いたしますために六千万円を計上いたしました。なおその他国民健康保険直営診療所整備費補助いたしますに必要な経費といたしまして四億円を計上いたしました。  なおこれ又当委員会においてかねての御要望であり、又一般医療機関より非常な御要望でございました医療金融の問題につきましては、何とかして今回の予算編成に当りましてはその頭を出したいということを期しまして努力をいたしましたのであります。当初は御承知通り十億円くらい程度でいわゆる医療金融金庫創設いたすことに実は努力をいたして参りましたのでありますが、何分にも本年度予算編成に当りましては、厚生省予算の面におきましては他省予算に比しまして各面亘つて、これは比較的な問題でございまするけれども、予算計上相当、どう言いまするか、大蔵省に認めさして参りましたような次第でございまして、なお又一般的には今年度予算編成にはいろいろな面に問題もありまするし、一方におきましては国家財政のほうからきまつておる次第でありまして、最後一般会計から七億の財政支出をいたして、そうして当初の計画通り医療金融金庫創設することは国家財政の面から或いは予算編成の面から非常に困難な場面に立ち至りました。併しながらそれではせつかく各位の御要望もございまするし、医療金融をこの際頭を出さんということも非常に遺憾でありますので、今回国民金融公庫等を通じまして五億円これらの面に融資をいたす道を講じた次第でございます。この点は当初の計画通りに参りませんでしたことは非常に遺憾でございまするが、併しこの五億円の頭を出しますることも最後まで実は大蔵省と折衝されましてできましたような次第でございます。この点御了承を願いたいと思います。ただこの五億円の枠は御承知通り厚生省予算所管経費としては計上いたされておりません。併しながらこれは厚生省関係のありまするものでありまするから、予算書には厚生省所管としては載つておりませんから、念のために申添えておきたいと思います。  次に国民医療整備改善のための経費といたしまして、次に申上げたいのは、疾病予防に関する経費でございますが、結核らいその他の伝染病予防に関しましては、年々努力をいたして参りました。その成果が漸く現われて参りまして、例えば結核のごときは死亡率も非常に半減して参りまするし、その成果も非常に顕著でありまするが、例えば赤痢のごときは、過去数年逆に増加の道をたどつておるような次第でございます。従つてこれらの疾病予防の面に対しましても、予算相当考慮を払いました。結核等におきましては死亡率は半減しておりますけれども、結核そのものに対する施策はより必要でございまするから、結核予防に対しましては増床分を含めまして、合計百二十七億七千九百六十九万余円を計上しておるのでございます。同じくらい予防に関しましては、前に述べました増床分を含めまして合計十六億七千五百六十三万余円を計上いたしております。その他の伝染病予防に関しましても、それぞれ所要額計上いたしたのであります。  なおこの際特に申上げておきたいと考えまするのは癌の研究でございまするが、我が国死因順位から申しましても、現に第二位を占めておりまするし、予防治療の方策が未だに確立されていない癌の研究に対しまして、今回何とかして予算上これを見たいということでこの癌研究の推進をいたしまするために、財団法人癌研究会附属研究所戦災建物再建を促進することにいたしまして、その補助に必要な経費を五百万円計上いたしました。以上のほかかようにして伝染病予防施策を講じまするとともに、何と言いましてもこれらの第一線実施機関整備を図りますることが必要でありますので、保健所の整備拡充に意を用いました次第であります。本年度は二十カ所新設をいたします。これは一応C級として新設をいたしまして、C級からA級に格上げいたしますので、これに必要な経費計上いたしております。それが十五億七千十六万余円でございます。  なおこれら国民保健の点から申しまして、疾病予防、いろいろございまするが、その他に一番基本的な対策といたしましては、上下水道、或いは清掃事業、これらの面に対しまして特に意を用いまして、上下水道とも特にこの簡易水道につきましては前年度に比して相当予算増額をいたしました。なお又清掃施設に対する整備費補助でございますが、これは御承知通り又今回初めて国庫補助の道を講じまして、清掃事業費整備費補助として五千万円を計上いたした次第であります。これらのいわゆる上下水道と合せまして十一億二百九十余万円を計上いたしておるのであります。  これらは国民医療整備改善をいたしまするための予算的措置でありまするが、第二にはこれ又かねて新内閣主要政綱一つとして掲げました母子対策でありますが、この母子福祉対策に対しましては、過般の昭和二十七年度予算補正に対しまして母子福祉のための融資の五億円を予算補正として計上されましたが、なお又その後、前国会において各位の御立案によりまして、母子福祉に関する法律に基いて、その裏付として予算計上に意を用いまして今回は後ほど申上げまするような予算計上をいたしました。なおそのほかにこの母子福祉対策といたしまして、いわゆる国民医療改善機関と同様に、母子寮或いは保育所等整備拡充或いは改善等努力をいたしたのであります。今回は保育所百三十五カ所、母子寮七十七カ所の新設をいたしました。なお又既存の施設拡充をいたす経費といたしまして、四億六千十九万円を計上いたしましたので、なお只今申しました通り国会において制定されました「母子福祉資金貸付等に関する法律」に基きまして、都道府県母子家庭に対しまして生業資金貸付をいたしまする場合、その二分の一額の貸付行つた都道府県に対して、国より貸付いたしまするものに対する補助経費七億四千七百六十三万余円を計上いたしました。なお又かかる母子家庭の、いわゆる身上相談に応じますための母子相談員に要する経費に対して補助をいたしますために四千九百九十一万余円を計上いたしましたのであります。  第三には、かねてこれも政府といたしましても意を用いて参りました戦傷病者戦没者遺家族及び未帰還者留守家族援護に関するものであります。これらに関しましては軍人恩給復活いたされまするので、遺家族援護に関しましては、その大部分軍人恩給復活伴なつ軍人恩給範疇に入つて参りますので、従つて援護法対象として残りますものは、従来に比してその対象範囲は少くなりますが、併しそれだけでなくして、従来この対象範囲とすべくしてされなかつたいわゆるC船員援護対象に新たに加えますと共に、軍人恩給復活と睨み合せまして、例えばこの援護法の下において遺族かたがたに従来支給いたしておりました、いわゆる年金等支給額、これは軍人恩給と睨み合わせまして適当に調整をし引上げをいたしましたのであります。いわゆる障害年金遺族年金等の額の引上げ軍人恩給復活と睨み合せまして調整引上げをいたしましたのであります。これらによつて予算では二十八億四千二百三十七万余円を計上いたしております。これは昨年度に比しますと百四十四億円減少なつておりますが、これは御承知通り、その大部分軍人恩給復活伴なつ軍人恩給範疇に入りました結果であります。なお又従来未帰還者留守家族援護につきましても折角努力を払つて参りましたのでありますが、今回は現在ございます未復員者給与法、特別未帰還者給与法、これを廃しまして、一本で、未帰還者留守家族等援護法を制定いたすことにいたしましたのであります。その際に、従来当委員会において御要望がございました一般邦人に対しまして援護の手を差延べまして、従来援護対象に相成つておりませんでした一般邦人に対しましても新たなこの法律の下に援護の手を差延べる。同様に留守家族援護法と同じように軍人恩給と睨み合わせまして、これらの法律の下において差上げます、この留守家族に対する支給、これらの額も軍人恩給調整を取り引上げをいたしましたのであります。その経費は二十億九千七百六十二万余円でございます。  なおこの機会に最近非常に問題になつております中共引揚について申上げたいと思うのでありますが、今回中共地区より三万人の残留同胞引揚が行われる可能性が生じて参りましたので、これに対しましては政府といたしましては万全の受入態勢を講じたい。そういう考えの下に関係各省とも連絡をとり逐次準備を整えておりまするが、とりあえず本年中に四千人の引揚を完了いたし、明年度におきましてはこれが残りの二万六千人と、その他の地区より一千人、合計二万七千人の引揚げをいたすという想定の下にこれに対する所要経費計上いたしているのであります。勿論これらは今後その引揚の実情に応じまして適当の予算的の措置を講じたいと思つておりまするが、一応そういうような想定の下に予算措置を講じております。これに対する援護措置といたしまして予算的にはいろいろございまするが、主として引揚げて来られるかたがたに対する住宅、これを中心に、勿論そのほかには今回改めて新たに帰還手当等も出したいと思つておりますが、主として地方公共団体引揚者の住宅或いは一時収容所、これらを建設するために必要な経費補助といたしまして六億六千十三万円を計上いたしているのであります。  第四は生活保護及び児童保護に関する必要な経費でございまするが、生活保護に関しましては地方公共団体生活困窮者保護のために支弁いたしまする経費に対する補助、なお又地方公共団体の経営する保護施設整備費に対し補助いたしまする経費、これらを合計いたしまして二百四十四億一千八百六十三万余円を計上いたしました。扶助種類は、従来と同様生活扶助及び住宅扶助或いは医療扶助等種類でありまするが、それぞれ扶助の基準を若干引上げまして、御承知通り七千二百円より八千円にいたしたのであります。  児童保護に関しまする経費といたしましては、児童措置費即ち児童福祉施設に収容し、或いは里親に委託いたしておりまする孤児、浮浪児等生活を保障するに必要な経費、従来これは御承知通り地方財政平衡交付金によつて支弁されておつたのでありますが、今回は児童福祉法に基きます補助金として支出いたしますので、これに必要な経費計上しているのであります。これが四十三億五千八百三十三万余円でございます。  なおそのほかに先ほど申上げました母子寮或いは保育所、これらをはじめ各種の児童福祉施設整備費に対しまして補助いたしまするために必要な経費六億七千万円等を合せまして五十三億七千八百三十六万円を計上しているのであります。  その次は額はそう多くはないのでありまするけれども、これ又当委員会等においてもかねてからいろいろ御要望のございましたものでございますが、地方改善事業に必要な経費でございます。いわゆるこの部落問題につきましては、従来政府は慎重なる考慮払つて同和対策としてこれに対してその解決努力を傾けて参つたのでありますが、従来予算的には遺憾の点もございましたので、今回何とかしてこれらに対して不十分ながらできるだけ国庫予算的措置を講じたいという意味で、今回はこれに対しまする関係機関連絡協議のために必要な経費部落の実体を把握いたしまするために必要な調査費、それからこれは最後まで大蔵省承知いたしませんでしたのでありまするが、何とかしてこの同和事業というものの将来に対して政府努力いたしたいということから、部落生活改善のための総合福祉施設といたしまして隣保館新設するための補助金、この隣保館につきましては当時私ども考えておりました通りの多数の隣保館を設けるに必要な経費をとれませんでしたが、従来この分に対して予算的の頭も出し得なかつたのでありますが、今回この面に対しましてもいろいろ手をつくしまして額は甚だ遺憾ながら少額でありまするけれども、一応政策としてこの面は出し得たのであります。  次にこれ又予算の額といたしましては少額でありまするが、人口問題であります。人口問題は我が国にとりましても非常に大事な問題でありますし、国家としても基本的な問題でありますが、これに対していわゆる何と申しまするか、多少これらの調査研究或いは施設に欠けているところがありましたので、今回この人口政策に関する調査審議に必要な経費といたしまして額は僅かでありまするが、八十一万余円をとりまして人口問題審議会を設けて、そうして各般の問題について広く各界の学識経験者に委嘱いたしましてこの人口問題の解決に将来進んで行きたいという実は途をつけましたのであります。この点も申し添えておきたいと思います。  これらがいわゆる厚生省昭和二十八年度所管一般会計に関しまする予算の御説明でございまするが、このほか保健衛生或いは社会福祉各面に亘りましては前年度に引続き、或いはそれ以上の施策を講じ得るような予算的措置をとつて参りましたのであります。  次に厚生省所管特別会計の大要について御説明を簡単に申上げたいと思いますが、まず第一は厚生保険特別会計でございまするが、明年度におきましては適用範囲拡張標準報酬の改訂、療養給付期間の延長、これらの措置を講じますほか、先ほど申述べました通り日雇労働者に対する健康保険の途を開きまして、これらに要しまする経費といたしまして健康保険勘定におきましては歳入歳出とも三百五十三億五千三百四万六千円、新たに設けます日雇健康保険勘定におきましては歳入歳出とも十九億二百四十二万四千円、年金勘定におきましては歳入二百八十八億六千九百三十万五千円、歳出五十八億四千九百七十九万円、業務勘定におきましては歳入歳出とも三十八億一千四百八十万七千円と相成つております。  次に船員保険特別会計でございまするが、歳入三十四億四千九百三十万五千円、歳出二十八億三千五百六十二万九千円と相成つておるのであります。  次に第三は国立病院特別会計でございますが、明年度におきましては国立病院七十三カ所を経営いたします予定でございまして、これに必要な経費としまして、歳入歳出とも五十八億五千八百七十七万円となつているのであります。  以上はこの一般会計及び特別会計予算について厚生省所管一般会計特別会計の概略を御説明申上げました次第であります。  なおそのほかにこれ又額は極めて少額のものもございまするが、ただ今回の厚生省予算昭和二十八年度厚生省予算編成いたすにつきましての厚生大臣としての心がまえを一言申上げておきたいと考えまするのは、従来当委員会におきましてもいろいろ御意見もございまして、諸官庁関係予算経費、これらが国家財政に占める面等についていろいろ御意見を拝聴いたして参つているのであります。今年の予算編成は、これはもう各位の御了承通り、恐らく極めて特異な性格を持つた予算編成だと私は考えているのでありまするが、新たに軍人恩給という国家財政予算の面から見ますと、相当の額を支給する新たな面がここに起つて参りまするし、而も一方においては国家財政の全体の枠という問題もあり、或いは公債政策に対する制約ということもございまするし、そういう両面の点を考えますと、社会保障関係予算厚生省予算というものの編成は非常に困難でありましたのでありますが、併し従来この社会福祉の面、或いは国民医療の面、或いはその他の面において当然最少限度においてでもいわゆるこの筋を通し、或いは少くとも頭を出すべき点において遺憾の点がありました点もありましたので、私はこの予算編成に当りまする基本的の態度といたしましては、この際いわゆる厚生予算というものに対して、これは甚だ卑近な言葉、当を得ません言葉でございますが、筋を通すべきものにして、従来筋を通し得なかつた点のうちの主なものを取上げまして、是非ともこの際筋を通したいということに重点をおいて参りまして、これは例えば国民健康保険等につきましては委員各位の非常な御支援の下に一応これはまだ各位の御期待の二割には参りませんでしたが、一割五分、而もこの給付の国家負担ということにつきましては、閣議におきましては一番最後の問題として残りましたので、併しこれも一応筋を通せましたのでありますが、その他の点において詳細につきましてはこの際御説明を省略いたしますが、例えば清掃事業の問題、或いはアフター・ケアの問題、その他従来予算的には全然頭の出ませんでした点を、仮に予算の額といたしましては少額でございましても、この際筋を通しておきたいというふうな点にも意を用いまして予算編成に当りました。先ほど委員長から今回の予算編成に対する、或いは来年度予算編成に対する厚生大臣の考え方というお話がございましたので一言申し添えた次第であります。  なお先ほど申上げましたのは重点的に申上げましたのでありますが、後ほど会計課長或いはその他から御説明申上げますでございましようけれども、今回予算的には少額でも、予算編成に当つてこのいろいろ問題があり、苦心をいたしました二、三の点を申上げますと、国立公園の予算に関しましては、従来いわゆる観光行政という点から見て非常に委員会等においても御意見がございましたので、これはどうしてもなかなか通りませんので、従来たしか昨年は千八百九十万でございましたか、それが二千万円まで至つていなかつたかと思うのでありますが、何とかしてこれは今回これは衆議院においても相当意見があり、参議院においても御意見がございまして何とかこの際増額をいたしたい、併しこれはなかなか額がそう多くなくて予算増額いたしますことが非常に困難でございまして、併しまあ最後までこの点を主張いたしまして、五千万円にいたしましたことは大体予算書等において御了承通りであります。  それから地方病の予防措置、これもいろいろ地方的にお困りの、非常にこの問題は他の問題とも異なつて、非常にまあ何とかしなければいけない地方的な問題もございまして、地方病の予防施設補助金といたしましては昨年度は八百五十万円でありましたが、二千五百万円とりました。これでも不十分でございますが、一応そういうふうにいたしました。  それから薬業の合理化促進に関する経費、これは昨年はございませんでしたが、六百万円今年は取りました。  それから、これ又当委員会においてもたしか藤原先生でございましたか、御要望がございました生活協同組合に対する、実はこれも非常に額がその大した額でなくて而も頭を出すということに相当むずかしい問題でございまして大蔵省なかなか承知いたしません。併し二千五百万円を少額でございまするけれども、少くとも頭を出し得ましたことは非常に御同慶に堪えないと思います。  それから浮浪者の更生施設でございますが、これも昨年末山下先生からのお話がございましたが、私も非常にあのときは年末を控えて、何とかしたいと思つても補正が組み得ませんでしたが、今度は何とかしてこれはいたしたいと思つて、昨年度はこれに対する施設補助金がございませんでしたが、本年度は五千万円を大蔵省も幸い了承してくれました。  それから季節保育所でございますが、これもかねて御要望がございましたが、昨年度ゼロでございましたが本年度は三千万円を大蔵省承知いたしてくれまして、その他詳細のことにつきましては担当の者から申上げまするが、何とぞかような方針の下に編成いたしました来年度予算でございます。どうぞ各位のお力添えを得まして御了承を願いたいと思います。
  10. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 只今厚生大臣の御説明につきまして、委員各位からの御発言の御通告がございます。御通告の順によつて発言をして頂きます。
  11. 山下義信

    山下義信君 私はいろいろ質疑いたしたいと存ずるのでありますが、これはまあ他の機会に譲りまして、この際委員長の許可を得まして一言いたしたいと思います。  只今厚生大臣から二十八年度予算につきまして詳細な御説明がありました。随分お手柄を立てられたようで自画自讃、なかなか御自慢の鼻の高い御説明であつたと存じます。我々といたしましては、反対党としてこの二十八年度予算を見ますると、申すまでもなくなお不満な点が多々あるのでありまして、それらの点につきましては他日の機会政府当局の所信を質したいと思うのでありますが、併しながら私は率直に反対党の立場といたしまして、厚生大臣のこのたびの予算において尽されたる御努力の点についてはこれは認めなければならん、責むべきは責めなければなりませんが、その努力の点は我々といたしましても高く評価するにやぶさかでないのであります。殊に医療保険の療養給付の国庫負担につきましては、両三年来殆んど世論とでも申しまするか、この問題の解決要求をいたして参つたのでございますが、少くとも我々参議院におきましても、すでにこの問題に関係いたしまして決議をいたしましたことが二回あつたと記憶いたしております。一度は社会保障制度強化推進に関する決議案、一度は保険経済の赤字に関連いたしまして、この国費負担を要求する決議案、而して或いは中山先生もその説明に当り、各派の代表者が賛成演説をいたしました等国会といたしましても機会があるごとに努力いたして参りましたことは周知の通りでございます。又一面社会保障制度審議会が勧告をいたします前に、当時の審議会の各委員長、会長、副会長等が大蔵大臣に迫り、その他当局に迫つて参りましたことをこの際想い起すのでございます。政府の態度といたしましては、国費の補助負担をいたすことは、英国式の社会保障制度に近接せんとするものであつて、そういう方向に対しては反対であるということを池田前大蔵大臣は抗議をい  たしました。そういう態度を取り来りまして、この問題で以て国会で論議いたします都度に政府の従来の態度は極めて冷々淡々であつたのであります。然るに或いは関係者のほうはいたる世論となり、或いは世論がこれを支持し、且つ新聞、雑誌筆をそろえまして、このことを特筆大書いたしまして、周囲の情勢が次第にうんじようして参り、機が熟したとは申しながら、この際山縣厚生大臣が断固としてこのことを閣議において、政府部内において主張し、その結実を見るべく努力をいたされたということに対しましては、私どもは反対党であるが併しながら本員はその労を多といたしてこれを認めざるを得ないのであります。これらの療養給付に対する国費負担のその運営等につきましては、種々議論の存するところであろうと存ずるのでありますが、私はこの機会厚生大臣のこの努力に対しましてその労を多とする旨を発言をいたしたいと存ずる次第であります。なお私どもの気持につきまして当委員会で御了承を賜わりまするならば、どういう形でその意味を現わしますかは挙げて委員長に御一任申上げたいと存ずるのであります。
  12. 山縣勝見

    国務大臣山縣勝見君) 只今山下先生から望外のお言葉を頂戴いたしまして、国民健康保険に関しまして予算編成に当る閣議において私が微力をいたしましたことはもう職掌柄当然でございまして、今回幸いにいたして国民健康保険等について一応の成果を持ちましたことは、全く当委員会におきまする諸先生方の多年に亘る御奔走、御努力の結果と思います。ただそのしめくくりを私がいたしただけでございます。只今のお言葉は誠に望外のお言葉でございまして、委員会において、而も率直に申上げますれば、野党であられる山下先生からさようなお言葉を頂載いたしますることは、私といたしまして職掌柄とは申せ、この上ない欣幸とするところで厚く御礼を申上げます。
  13. 藤原道子

    ○藤原道子君 私はこの際細かい質疑の点は又いずれ時期を改めてお伺いするといたしまして、生活保護法で軍人軍族の援護法の給与等については成るべくこれを差引かないようにしてほしいということをかねがねお願いしておきましたけれども、最近になりまして非常に悲惨な訴えの手紙が次々と山積いたしておりますので、この点について厚生大臣としてはどのようなお考えであるかということについてお伺いしたいのでございます。  収入算定とでも申しましようか、遺族に対する恩給、それが即収入と認められて生活保護を打切られる、それから入院している人に対して医療給付の打切りが続々と通告されて、そのためにもう自殺するよりほかに途がないというような悲痛な訴えも来ておりますが、少くともこうした恩給は個人の老後の保障というような意味で与えられておるものであるのに、自分の子供が入院して医療給付で療養を受けている、ところが僅かな金が入るためにそれが全部打切られてしまうというようなことが果して保護の精神に副うものであるかどうかという点について、どういうふうにお考えであるかということを私ちよつとお伺いいたしたいと思います。
  14. 山縣勝見

    国務大臣山縣勝見君) 只今のお話につきましては、かねて当委員会においても承わつておりまして、その後関係の係のほうにもその点私も詳しいことはわからぬものですから聞いて参りましたが、この収入控除は生活保護というあの措置をとるのに対しては一応の基本的な方針でございます。従つて他の軍人恩給でありますとか、或いはその他から収入がありますると、一応収入控除ということをいたすのは当然であります。併しそれによつて不当な収入控除をいたしまして、折角のそういうふうなお困りのかたを只今お話のような困窮の立場に陥れるということは、これはすべきことでございませんから、適用の方法等につきましては、これはもう万全を期して間違いのないようにいたしたいと思います。収入控除というこの原則は只今生活保護法の適用、施行等に関しましては一応とつておりまする原則でありますので、これを変えるということはできないと思います。但し恐らく只今のお話の要点は、さような方針を適用するに当つて不当な適用をいたしてそして生活上そういうかたがたに対して非常な困難な目にお会わせすることはいけないということでございましようと思いますから、今後その適用に関しましては当該の係といたしまして十分の注意をいたしたいと思います。
  15. 藤原道子

    ○藤原道子君 私はこの尊い時間に一一読上げることは省略いたしまして、いろいろな手紙を参考としてよく見て頂きたい。私はこれは非常に妥当を欠いておるという認識の下に御質問するのでございまして、その点は十分御考慮を願いたい。  それからい一つは、この頃生活保護法の運営が非常にきびしくなりまして、どこの病院へ参りましても或いは地方へ参りましてもそれが過酷であるという何かの訴えが非常に強いのでございます。又福祉事務所へ参りましても福祉事務所が非常にやりにくくなつたということを係官も訴えておりますが、これは大臣の方針でそういうきびしい指令が出されておるのか。少くとも最低生活は賄つてやらなければならん、憲法でも保障されておることであるのに、今度福祉事務所に切り換えて以来、非常にこれがきびしくなつた、こういうことの訴えが非常に多いのでございますが、これに対してはどういうふうにお考えでございますか。
  16. 山縣勝見

    国務大臣山縣勝見君) この点もかねてこの委員会で御質問がございまして申上げました通りでございますが、生活保護に関して第一線の係において、厳正を期しまする余り、過酷に失してそうして元来の生活保護の基本的の大方針に反するように相成つてはならん。併し又その当該の係にいたしますると、適正な査定等をいたすこともそれらの人々の責任上しなければならないことであるので、いわゆる適正を期するということは、これは我々の立場としても当該の係員からも申さなければならん。但し私は先般も関西地方の当該の事務所二、三に参りまして申したことでありまするが、どうぞ皆に親しまれる事務所になつてもらつて、これは国費を使うことでございまするから、杜撰なことは困るけれども、併し過酷に失してそうして一般のそういう人々から離れた冷たい行政をしないようにしてほしいということを私はかねて現実においても申して参つたのであります。生活保護法の適用が過酷に失して困るというお話はよく聞くことでございまするが、その点につきましては今後とも第一線のそういうふうな向きに対して十分注意はいたします。但し適正と過酷とは又別であります。適正にして而も過酷に失しないで而もそういう人々に本当に納得の行くような査定もいたし保護もいたして行くということは、私の方針でありますから、只今お聞きのようなふうに、厳正を過ぎた程度に、とにかくそういうふうな保護に際して政府が金をできるだけ出さんようにというふうな意味の、非常に厳正の方針をとるというところに参つておりません。又今後もとるつもりはございません。私の方針は只今、又かねて申上げておる通りでございまして、適正にして而も本当にそういう人々の立場に立つて温かい思いやりを以て、そうして査定をいたし保護をいたして行くというのが、私の方針でございます。
  17. 藤原道子

    ○藤原道子君 私は、政府では濫費を恐れ過ぎるの余り、救いに洩れるという人の立場を少しも考慮されていないように、いつも申上げるのでございますが、この際、大臣の今のお言葉でございますが、是非、次官通牒だか局長通牒だか大分きびしいものが行つておるやに聞いておりますので、これが濫費を恐れるの余り、厳正にやり過ぎておる、苛酷にわたらないように、適正な給与をすることを一つ徹底さして欲しいということを、私は強くこの際要望申上げておきます。それから只今大臣が国費を使うのであるからというお言葉でございましたので、これについて私この際関連してお伺いしたいことは、法人が経営しておる病院、つまり私立の病院でございます。これに対してどういうふうな監督をしておられるか。ここにも相当の公費が使われておると思うのでございますが、これの監督指導等についてはどういうふうな方針でやつておられるか、これを一つ
  18. 山縣勝見

    国務大臣山縣勝見君) それらの点につきましては、私はそう詳しいことを申上げる今知識を持つておりません。勿論その監督等につきましては、従来国庫が何らかの形において補助をいたしておりまする医療機関その他に対しましては、これは社会保険の面においてもそうであります、それから又医療機関においてもそうでありまするが、少くとも国家補助を与えてそしてやつておりまする機関、それらのいわゆる運営の適正を期しまするように、或いは又不正等のないように、それに対しましては、私は常に当該の局或いは府県等に対して、そういうふうな方針を伝えておりますけれども、具体的の点につきましては、これは関係の局長からでも御説明いたします。
  19. 藤原道子

    ○藤原道子君 私は関係局長にいずれ又伺いますが、一つの問題といたしまして、結核対策が急がれておるときに、病床だけ殖やす、アフター・ケアーを名目だけ作るということだけで、私はこと足りるわけではないと思うのです。結局法人の病院におきまして、非常に乱脈限りない点が多々見えるのでございます。最近も私は、昨日でございますか、私立の病院を視察いたしましたが、そこなんかには果して監督官庁が一回でも来て見たのかしら。結核の療養所でありながら、消毒器械もない、リゾール一つない、痰もそのまま消毒しないで便所へ捨てておる、こういうことがこの都内で行われておるのであります。これは皆様にも御迷惑になることかと存じますので、いずれの機会に譲りますけれども、国費が使われておるところに対しましては、もつと厳密に調査すべき点がなされないで、本当に生活に困る人たちのためには法の運営がきびし過ぎるということを私はこの際強く申上げておきたいと思うのでございます。  それから生活保護の中の教育扶助が非常に減額になつておるようでございますが、これはどういうわけでございますか。  それから婦人の保護費というのが、やはりこれは特殊婦人のことだろうと思うのでございますが、この点についてもちよつと最近問題になつております売春取締法等に対して、刑罰主義で臨まれるような方向に来ておりますが、性病予防のあり方に対して、或いは売春等に対して大臣はどういうふうな今後方針をお立てになつていられるか、この点について概略お伺いしたいと思います。
  20. 山縣勝見

    国務大臣山縣勝見君) 生活保護の内容について、例えば教育費のことにつきましては、会計課長がおりますから、そちらから御説明申上げます。  それからその次の売春禁止法の問題でございますが、これにつきましては、前国会においてもたしか予算委員会の席上でも、高田先生の御質問に対して申上げたと思いますが、只今のところそれと変つた考えは持つておりません。厚生省といたしましては売春禁止法等については主として公衆衛生の見地から考慮をいたしておるわけであります。但しその際高田先生からもお話がございまして答えたところでございますが、かような問題は単に公衆衛生の見地からのみ解決すべき問題ではなくして、もつと広汎に、例えば人身売買の問題もございましよう。或いは社会教育の問題もありましよう。或いは児童福祉の見地から、或いは性病予防の見地からも問題がありましよう。そういうふうな見地から、いろいろ各般に亘つた問題でありますので、これは国としても総合的に考えて行かなければならない問題である。但し公衆衛生の見地から見ますると、この問題はいわゆる両面の問題を含んでおりまして、その点、詳細はその席で申上げましたが、或いはこういうふうな禁止法を設けることによつていい面と悪い面とある、これらはむしろ先生のほうがよく御承知のことでありますが、なおこの点は十分今後とも検討いたして、それから又この点は文教の点にも関係いたしまするし、或いは又風教の点にも関係いたします。或いは又警察関係の取締のほうにも関係いたします。公衆衛生の面にも関係いたしておりますので、総合的に検討いたしたいと思つておりまするが、厚生省といたしては、実はこの問題はなかなかむずかしい問題で、そういうふうな売春禁止法ができたから、公衆衛生の見地から見て、いいという面と悪いという面とがある、これは御説明いたす必要はないことでありまするが、なお今後十分検討いたしまして善処いたしたいと思います。
  21. 太宰博邦

    政府委員(太宰博邦君) 教育扶助の金額が十一億六千万ほど減になつております。大体この件の予算は、前年度の実績等を睨み合わして明年度はこれくらいで足りるであろうというところを計上しておるのであります。教育扶助といたしましては、内容的に申しますると、教科書などにつきましてはやはり教科書代の値上り等を加味しまして、二千二百三十七円でありましたものが約六十円ほど値上りした二千二百九十七円なにがしで計上してございます。ただこの十一億減りました主な原因は、学校給食関係で、これが前年度の実績をずつと見ておりますると、非常に当初考えておりましたよりも実績が減つております。その関係で二十七年度予算におきましても教育扶助に関する限り相当不要が出ておる、そういう傾向がございまするので、明年度もそれに合せまして計上いたしたような次第であります。
  22. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 速記を止めて。    〔速記中止〕
  23. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 速記を起して。
  24. 藤原道子

    ○藤原道子君 それでは私は今のことは会計課長のほうの説明のときにもつとつつこんでお伺いいたしますが、ほかの方もありましようから…。
  25. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 それでは私から大臣に一、二のことについてお伺いしておきます。  まず第一番目に、今回社会保険、特に国民健康保険について、一割五分の医療給付の面に御努力を頂いておることに対して非常に感謝しておるのですが、実は御承知のように、最近次々と公務員に対してベース・アップがありましたが、社会保険をやつておるもの、或いは官公立の病院にいたしましても、又は各府県の問題となつて、どうしても今のような診療報酬ではやつていけん、やはり又診療報酬を何かの方法によつて、或いは単価を上げるか、或いは点数を上げるか、何かの方法をやつて頂かん限りは、社会保険がやれんということを、しきりと方々で決議したり何かしているような状況でございます。  なお一面、この社会保険の監査があるのでございますが、この監査に対しまして、監査官の態度が極めて傲慢であつて、殆んど被告に対して昔やつておつたような、警察で責めるような、詰問するような方法をとつてやつておられるために、或る県のごときは、例えば長崎県のごときは、千二百人ほどの会員を擁しておりますのが、この模様では保険拒否をする以外に方法がないというようなことを言つて参つておりますし、又同時に広島県でも、そういうような事件があるのですが、お耳に達しておるかどうか存じませんが、そういうような態度をとるということは実に怪しからんことであつて、やはり民主的にまあ少しわからんところは指導してやるというような方法で進んで頂かんというと、詰問的に摘発主義でやつておられたら、全部の診療担当者が全体として到底そのままでやつて行かれんというような状況になつておりますが、これらに対しまして、大臣のお考えを一つお伺いしておきたい。
  26. 山縣勝見

    国務大臣山縣勝見君) 只今、今回の国民健康保険の給付に対する国庫負担に関連をいたして、社会保険診療報酬というのを、この際引上げるについてどういうふうな考えを持つておるかというお尋ねかと思います。実は昭和二十六年の十二月でございましたか、この単価の改訂の際に、昭和二十七年三月末日までの暫定単価の数字であるというような、これは医師会のほうのお話であつた、その際に、御承知の臨時医療保険審議会を作つて、そこで検討するということに相成つて、それがいろいろな関係で発足が延びまして、今川西さんがたしか会長でやつておられると思います。従つてこの単価の問題につきましては、それらの審議会の答申も待ち、各般の情勢も勘案して考慮して行くべき問題だと考えております。併しただこの間、実は医師会の会長がおいで下さいまして、ちよつと申上げたのでありますが、今回の国民健康保険の給付費に対する国庫負担の実現の機会に、この問題の取扱いはできれば慎重に願いたい、と言いますのは、今回の国民健康保険の給付費国庫負担一割五分というのは、先ほど御説明を申上げましたが、なかなかいろいろ困難な事情がございまして、最後の閣議の問題として、結果といたしましては実現をいたしましたが、なかなかいろいろ大蔵省といたしましても難色を示しておる。この際保険財政というものがこういうような赤字では困るというので、勿論その他の問題もありますけれども、まあそういう点を主にして国民大衆に関係の深い、こういうような重要な社会保険の面において、こういうふうな保険財政の赤字では困るということ。でありまするから、この単価の引上げという問題がすぐ起つて参つて、そうして今回の給付費の国庫負担というものが、結局保険財政の赤字というものの減少がそのままで、そうして国庫負担ということがすぐに単価引上げのほうに全部廻つてしまう、これは打明けた話ですが……というふうなことではなかなかむずかしい問題もある。ですからそこは勿論現在の国民健康保険と、それから健康保険の給付の内容が違つておりますし、従つて、たしかあれは次官通牒で、一応地方の事情とか、或いはいろいろな点に鑑みて、国家財政に鑑みて一割程度でデイスカウントしてもよろしいというのですが、次官通牒が出ておりますが、これをこの際こういうふうな機会に是非是正してはどうかという医師会のほうの御意向もありましたやに聞いております。私は、国民健康保険健康保険の給付の内容は同率にするということは、これはもう当然であろうと思いますが、これも医師会の会長に申上げておきましたが、やはり国民健康保険というものを育成して行くという大原則は捨てないで、そこは一遍にこの際何もかも行き方が……御承知通り、十一円五十銭と十二円五十銭の規定通りとつておりますものが、大体八〇%ちよつとございましよう。それから十一円二十五銭程度のものがたしか一割弱ございましよう。でありまするから、その他のものは約一割強でありますから、大した問題じやないかも知れませんけれども、これらの問題もよくございまするが、余り一遍にこの機会であるからというふうにして頂かないようにお願いをいたしておきたい。従つて単価の問題も、今後そういうふうな臨時医療審議会の答申も待ち、各般の情勢をも考えて、そうして厚生省といたしましては善処をいたしたい、かように考えておりまするので、この問題は直ぐにはつきりと割切つてお答えのできない問題でございます。只今申しましたように考えておりまするので、この点は医師会の協力も待つて、そうして社会保険の育成も図り、なお又医療給付の内容の改善を図つて行き、総合的に考えて行きたい、かように考えております。  それからその次に保険医の監査に対するお話でございまして、私も一、二最近報告を聞いておりますのであります。保険医の監査が厳に過ぎまして、ときには非常に現状等においても遺憾の点があるという報告を聞いております。この点につきましては、実情を更に調査をいたしまして、遺憾の点のないようにいたしたいと考えております。なお又現実においてそういうふうな監査に当ります際には、先ほどの生活保護の問題とも関連いたしまするけれども、適正を期しまするけれども、苛酷に失しましたり或いは当を得ませんような監査をいたしませんように、適正を期することは当然でありますし、指導をいたして参りたいと思います。
  27. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 只今のお言葉で了承いたしましたが、これの詳しいことは、又次の機会に、或いは保険局のかたがたに十分申上げて御反省を願いたいと思います。あちらからはいろいろとそのときの言い方、態度その他を詳しく書いて参つておりますけれども、時間がありませんから、そういう点は省くことにいたします。  次に第二にお伺いいたしておきたいのは、先刻お話のように、人口政策に関するところの調査審議会がいよいよ置かれるということは非常に結構なことであると思いますし、既に一昨年の報告にもこういうようなことがあつたようですけれども、殆んど結論を得ずにそのままになつております。この前の補正予算の場合に、私から特に大臣にお願いをしておいたのですが、人口問題をやる場合にはどうしても質的の面をやつて頂かなければいかん。言い換えれば、逆淘汰を起さんように十分なるお考えを持つて施策をして頂かねばならんということもお願いをしておつたのですが、今度の予算を拝見いたしますというと、何ら逆淘汰に対することで大いにやつて行こうというほどの模様が見えませんので、これはどうしてももつと国庫予算を組んで、そうして逆淘汰の面に大いに力を尽して頂きたいと思つているのですが、大臣は如何に考えられますか。
  28. 山縣勝見

    国務大臣山縣勝見君) お説御尤もでございまして、それらの面に対してできるだけ努力をいたして参りたいと思つておりましたのでありますが、予算的には御説の通りでございます。但しなかなかこれは一朝一夕にできませんので、先ず以てそれらに対する調査なり或いは審議を重ねて、そうして今後必要な面に対して予算をとつて行きたいという意味で、先ほど御説明を申上げました通り人口問題審議会を設けましたのであります。今回の人口問題審議会の構成等につきましては、お話を省略いたしますが、人口問題審議会が然らばどういうふうに、ただ単にお座なりに審議会を作つて、そうしてお座なりのことをいたすということでは、これは別に作る必要もないのでありますが、只今人口問題審議会を設けまして、そこでどういう問題を調査いたし、或いは審議いたすかということについて申上げてみたいと思うのですが、今回の人口問題審議会におきましては、只今のお話の点は重要な一つ調査事項として取上げておるのであります。即ち人口問題審議会の取扱いまする問題は、大体五つ大きく分けてありますが、第一は、人口と生活水準との問題、例えば過度の人口に対しまする実証的な或いは理論的な調査をいたします。第二には、人口と産業構造との関係、これは産業構造が進化いたしまするに従つて、産業構造がどういうふうに人口を吸収し得るかということを研究いたすのであります。第三は人口と資源、これは資源と人口との関係は重大でございますが、只今お話の点につきましては第四、第五として人口と受胎調節、それから人口の資質の向上、こういう点に対して調査をいたす。お話の点は多分第四、第五、殊に第五に関連いたすと思いますが、今後これらの面に対しましても調査いたしまして、今回は他の面では一応審議会に対する予算をとつて参つて、直接の施策に対する予算をとつて参りませんけれども、今後できるだけ御趣旨に副つて善処したいと考えております。
  29. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 厚生大臣予算説明を承わりまして、医療機関整備、その他国民健康保険補助増額、保健所の増加などで非常に有難く存じておるのでありますが、その内容をどのようにお考えになつていられるかというところに、私は疑問を持つているのであります。それは内容と申しますか、医療従業員の定員とか医療従業員その他の人の待遇の問題について少し承わりたいと思います。只今も谷口委員がおつしやいましたように、健康保険の点数が非常に少いので困るとおつしやつていましたが、その医療費の問題が医療従業員の上にかぶさつて参ります。殊にかぶさつて参りますのは、看護婦或いは保健婦の上に非常に大きくかぶさつて参りますことは、大臣も御承知だと考えております。病院の経営が成り立たないから、看護婦の教育程度を下げようということは、専らこの頃の世上非常にやかましい声でございます。これも御承知通りであります。文部省で学校が、この頃国民の義務教育が国庫負担なつて定員定額制ということで、子供何名について何名の先生が必要だということがはつきりいたしておりますが、どうもこの厚生省関係の医療関係は、定員ということが非常にむずかしいのでございます。尤もこれは子供と違いますから、病気の重い人もおります、軽い人もありますから、同じように行かないのでありましようが、病床が殖やされましても、お医者さんも勿論でありますが、看護婦が殖やされるということが非常に遅れまして、でございますから看護婦の不足も非常に夥しいのでございます。又お医者さんが足りないからといつて、医療行為が看護婦にかぶさつて参るということも御承知通りであります。それでございますのに、厚生省におきましては、国家公務員となつております国立病院国立療養所或いはその他の国立病院の看護婦の待遇が非常にうとんぜられているというのが現状だと私は思つております。と申しますのは、ほかでもございませんが、昨年以来人事院で医療関係者の給与基準を定めておられます。昨年、非常に看護婦の給与基準が低いものでございますから、私厚生省に参りまして、厚生次官だとか或いは課長にお目にかかりましたら、只今研究中だから、そんなことは心配要らないからと言つておられましたが、このたび伺いますところによりますと、人事院では又厚生省関係の医療関係者の待遇を殆んど決定的に作つておられるということであります。それによりますと、看護婦の給与は非常に低いのでございます。同じ看護婦の仕事をしておりましても、職によりまして、学校におります養護教員は非常に高いのでございます。専任教員をしておるようなものは非常に高いのでございますが、国立病院国立療養所その他のところにいる看護婦の待遇が非常に低いということ、低いばかりでなしに、このたびの人事院の給与の基準によりますと、非常に看護婦の教育というものが大事である、看護婦がこうしなければならないといつて殊に医療行為のお手伝いをさせられるにもかかわらず、医療職に入れられていないというところに非常に矛盾を感じております。医療職に入れられなければ、なんで看護職に入れないのかということをたびたび申しております。看護婦を医療職に入れない、そうして一般技術者として、まあ電気の人だの土堀じりの人と一緒に技術者の中に入れて、待遇も非常に低くしておいて、そうして過度の仕事をさせるというのが只今の実情のように察せられます。私が常日頃看護婦のことを申しますと、又かと言われるのでございますが、実際において実情はそうなんでございます。あらゆる面にこの矛盾を感じております。これは保健所の例をとつて申しますと、只今保健所を増加されましたが、例えて申しますと、人口二十五万くらいの静岡に例をとつて見ますと、静岡のような人口二十五万のところに保健所が一つしかなく、保健婦が十一名しかございません。あそこの結核患者について、又結核予防の見地から本当に的確な仕事をするとするならば、四十五人か五十人の保健婦が要ります。それにたつた十一人くらいでやらなければならないので、形式に流れているというのが現状でございます。一生懸命になつております保健婦が、或いは自分自身結核に罹るというのが実情でございます。まだそのほかいろいろな事情はございますが、それはとも角といたしまして、厚生大臣に伺つておきたいことは、看護職というものを基準の中にお作りにならないのか、お作りになつて頂けるかどうかということを一つ伺いたい。それから看護職をお作りにならなければ、医療職の中に看護婦も入れて頂きたい。そうして給与基準も医療職の中に入れて頂ければ……。只今構想を持つております階段では、看護婦は決して満足いたしておりませんので、もう少し階段を高くして頂きたいということについて、どうお考えになつていらつしやるか承わりたい。これが第一点であります。  それからもう一つ承わりたいことは、厚生大臣も御承知のように、一昨年でございましたか、国立鯖江病院で注射事件が起りまして、看護婦が有罪になりまして、その判決が非常に不公平な判決でございましたので、私は本会議で緊急質問をいたしましたが、ときの厚生大臣の吉武厚生大臣は、善処するから全国の看護婦に静脈注射なんかをさせないようにという通牒を出すからといつて、通牒を出して頂きましたが、手ぬるい通牒でございました。各府県の看護婦は困つております。未だにお医者さんの手に返せないで静脈注射をいたしております。これは厳然たる医療行為でございます。医療職にも入れられない看護婦に医療行為をさせておるという厚生省の態度が、私はわからないのでございます。特にこの点もお伺いいたしたいのでございます。それで只今注射をさせておられます、その注射からも、非常に大きな問題が起つております。これは鯖江国立病院の事件が裁判になつて、只今最高裁判所に来ております。私ども最高裁判所でこれがどういうふうに判決されるかということを注目いたしております折に、又岡山の笠岡市で以て看護婦が患者に脳下垂体の注射をいたしまして、すぐに三十分おいて患者が亡くなつたということで、非常に大きなセンセーシヨンを起しておるのでございます。脳下垂体をやるという仕事についても、非常に考慮さるべき問題じやないか。或いはどこのどうしたものの製品であるか。それらの点についても考えて頂かなければなりませんし、もつと脳下垂体自身についても考えて頂かなければなりませんが、一方看護婦に注射をさせるというところのその気持が、又一般の人からも不思議がられもいたしませんし、お医者さんにいたしましても、これが普通のように思われて、注射をしてくれというような通達があつたように本人も言つておりますが、それがなかなか……今度は死亡ということになりますと、看護婦のほうは非常に困る。笠岡の事件は、これは解剖の結果、特異体質ということに承わつておりますが、これは起訴されて裁判の最中でございます。こういうような非常に不祥事件がたくさんに起るのでございますから、この注射につきまして厚生省はどういう態度をとられますか。全然看護婦には注射をさせないようにもつと厳密な通達を府県にして頂きたいと思います。看護婦は本当に看護の技術で一ぱいでございます。又お医者さんのお手伝いをするには余りにも煩雑で、非常に激務で、待遇が非常に悪いから、お医者さんの仕事もしなければならん、畢竟国民がこうした不幸を蒙むることになりますから、この際はつきりと厚生大臣の御意見を承わりたい。全然看護婦の手から注射を取つて頂きたい。これは医療行為でございますので、看護婦には看護婦の職をさせて頂きたい。この二点について御意見を承わりたいのでございます。
  30. 山縣勝見

    国務大臣山縣勝見君) 公務員給与のベースの中の看護婦の職階制をどうするかというお尋ねだと拝聴いたしますが、実はこれは只今お話のように看護職を設けてやれという御意見のようでありますが、或いはそうでなければ、医療職の中に入れたらどうかというお話でございますが、実はこれもなかなかむずかしい問題でございまして、むずかしいというのは等閑に付するという意味でむずかしいというのではございませんけれども、職階制というものは、これは大体同じ程度のものを一つ範疇に入れて、それに一つの職階をつけるというのが職階制でございますから、その意味らいたしますと、医師とか歯科医とか或いは薬剤師と同じように医療職の中に入れるということについては、まだ専門的にも意見が帰一いたしておらんように承知いたすのであります。然らば看護職というものを作ればいいじやないか、これは職階という点から言えば、看護職を作るということは、先ほど申した意味から、同一程度のものを同一範疇に入れて作るのでございますからできますけれども、そうしますと、公務員給与の中の職階の中にはたくさんの職階を設けなければいかんということになるのでありまして、看護職を作ればほかにも同様のものをたくさんに作る。そうなれば終いには職階を作るという意味がなくなつてしまうので、そこにはかね合いの問題でありまするが、現在いわゆる技能労務の職階に入つておりますけれども、いろいろ専門的に考えましても、医療職の中に入れるにもなお疑問の点もあり、又看護職という特殊の職階を作ろうとすれば、職階制そのものについての基本的な問題が残る、問題は看護婦のかたがたに対する何と言いますか、給与、これの改善ということが目的でございます。職階制を設けるのは一つ方法でございますから……。問題はその看護婦のかたがたの給与の改善という問題に帰するだろうと思いますが、これにつきましては、今後も勿論我々といたしましても、できるだけの考慮をいたしたいと思いますが、併しこれは私よく承知いたさんので、これは医務局長あたりからお答えいたしたほうが適当であろうと思います。私の従来聞いておりますのは、国立病院あたりの看護婦のかたがたの給与は一般のベースに比しますと、決して悪くないのじやないかというふうに私は聞いております。間違つておりますれば、これは又医務局長から御説明をいたさせます。そんなふうで医療職に入れますこと或いは看護職という特殊の職階制を設けますことについては、只今のところはまだ厚生省としては確定的なふうに考えが、そうするということは申上げかねます。但し看護婦の皆さんが一般のべース或いはその他に比して非常に低いとか或いは改善すべき点があるということに相成りますれば、これは今後検討いたして、そうして善処したい。なお詳細の点につきましては私承知いたしませんから、医務局長等に御質問願うよう、なお協議いたしましてお答えいたします。  それから第二は何でございましたか……。
  31. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 注射を看護婦から取つてもらいたいという問題です。
  32. 山縣勝見

    国務大臣山縣勝見君) 注射の問題は、かねてたしか麻薬でございましたか、麻薬を注射いたした問題でございますが、そのことも承知いたしておりますし、最高裁に行つておりますことも承知いたしております。これは只今お話の通り医師法から見ましても、或いは保健婦、助産婦、看護婦法の規定から申しましても、これは一応厳格に申せば、医業でございますから、医師にあらざる者が医業をいたすということに相成る。それから又かねて例の麻薬注射の問題の際に、たしかあれは医務局長の通牒でございましたか、出して、そうして静脈注射に関する限り、これは医師がやるものだという通牒を出したように私も報告を聞いております。静脈注射のごときは、これは私も専門家でございませんので、間違つておりますれば、あとで医務局長から訂正をいたしますが、衛生上危害を生ずる惧れのあるもの、これは医師の許可、指示がなくてはできない、これはたしか医師法の規定だと思います。従つて静脈注射につきましては、先に医務局長の通牒もありまするから、これは先ず一応そういう通牒をしました建前から申しますれば、これは看護婦が一応しないということ。併し現実から申しますと、これは私も毎日現在注射をしておりますが、大抵看護婦の諸君がいて、速記にいたしていいかどうかわかりませんけれども、或いは看護婦の諸君のほうが練達しておる場合のほうがあるように思います。例えば皮下注射をどうするかという問題、衛生上危害を生ずる惧れのあるものというものの限界にも問題があります。併し只今のお話にも言う通りよく問題を起します。そういうような問題を起しますことは、これは社会的にも非常に遺憾でありますし、遺憾のないことを期せなければなりません。この点につきましては更に医務局長とも相談いたしまして、善処したいと思います。
  33. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 只今厚生大臣の御答弁大変ありがとうございました。実はまだありがたくない点がありますことを申上げたい。それは看護婦にさせているということよりも、看護婦にやらせることが……。静脈注射でも普通のようにやらせられる。或る療養所に行つて、この療養所は看護婦にそういうことをさせておられますかと言いましたところが、お医者さんは、どうかそんなことを言う前に医者の定員を殖やしてもらいたい、こういうお言葉です。病院では、看護婦は純然たるお医者さんの補助者です。これは看護婦ではなくて、お医者さんの助手ならば、お医者さんもそういうように教育して頂かなければならないと私どもも考えております。その点厚生大臣特にお考えを頂きたい。それからもう一つ、先ほど申上げましたのは極く簡単でございましたから御了解頂けなかつたかと思いまするけれども、脳下垂体の注射、岡山県の笠岡市の問題が一つございます。だから厚生省でこの問題につきましてよく御研究なつて頂きたいと思います。これは非常に輸血だとか脳下垂体だとかということは、この頃非常に大きな問題でございます。国民は新しい薬ができますと直ぐそれに迷わされて非常に不安でございます。これはよく研究をして頂いて本当の実験の結果でないとできないと思います。よろしくその点も何して頂きたいと思います。それから笠岡の注射の研究ももう一つございますので、一つよろしくお願いいたします。
  34. 山縣勝見

    国務大臣山縣勝見君) 只今の脳下垂体の問題等に関しまして、実は昨日も省内で医務局長その他に私は申したのでございまして、最近こういうふうな新薬ができましたり、いろいろな新治療が出て参りますに従つて、適正じやない薬を使つたり、適正でない手術をいたしたりする傾向が非常に多いのです。これは社会的にも非常な問題であるので、厚生省としまして善処し得る点は、一つその方法等を考えて善処して行きたいということを、私は丁度昨日省内で申したところであります。これは単に厚生省だけの問題ではございませんで、例えば脳下垂体が元来牝牛のものを持つて来ているのが、或いは最近巷聞伝えるところによれば、その他のものを持つて来ているようなこともよく耳にいたします。こうなりますと、単に厚生省だけの問題ではなくなります。関係のほうとも打合せて、できるだけこういうことに遺憾のないように、丁度昨日も申したところでございます。今後ともこれらの点につきましては十分注意いたしたいと思います。
  35. 藤原道子

    ○藤原道子君 只今の井上さんの御質問に関連してでございますけれども、看護婦というものが全く宙ぶらりんのような待遇を受けておりますので、今後はもつと十分に考えて頂きたい。医者の仕事、薬剤師の仕事、この頃薬剤師でなければ調剤をしてはいけないことになつておりますけれども、ほうぼうに参りますと、まだまだ看護婦にやらせておる。そして間違いが起れば看護婦のかたがたに責任が来る。この点は明確にして頂かなければ困ると思います。又雑役のほうの仕事が看護婦のほうに喰込んでおりますので、看護婦の服務規定をはつきりさせて項いて、それ以外のものは医者の責任ということを明確にして項かなければ、安んじて仕事ができない。私は看護婦、保健婦、産婆というものを一括いたしまして、やはりその待遇、職階制というものを、この際明確にして頂けるように御考慮を頂きたいということを井上さんの最後の御依頼に附加えて、私も御依頼申上げておきます。  それから今一つは、最近非常に問題になつております輸血の、供血ですか、売血ですか知りませんが、血液を売つて、学生のアルバイトにしている、或いは又青少年者が遊興費等に困つて又血を売るようなことが繰返し新聞に掲載されております。このことは私医療の上から言つても又人命の上から言つても、非常に大きな問題だと思うのでございます。前にもこの委員会で私一度この点に対しては御考慮願いたいということをお願いしておいたはずでございます。二、三年前に輸血用に梅毒患者の血液を輸血したために患者さんが梅毒にかかつて、非常に大きな社会問題を惹起したことがある。そのときにも厚生省ではこの輸血に対しては十分今後注意する、再びこういう過ちを繰返されてはならないからということをはつきり御答弁なさつて、その方針でやつて頂いておるものと私は思つておりましたが、この頃の新聞に現われたところは非常に危険極まりない。殆んど血液検査などもしているのやらしていないのやら、その輸血はどこをどうして使われておるのやら、私たちは国民の立場から言つても非常に危険だと思いますが、これほど新聞で大きな社会問題になつているときに、大臣はこれに対してどういうお考えを持つておいでになるかということを私は伺いたい。
  36. 山縣勝見

    国務大臣山縣勝見君) 輸血に関しましては、先ほど脳下垂体に関して申上げました通り、これらに対しては厚生省に関する限りにおいては最善の努力を払つて、そういうふうな不正な輸血がありましたり或いは不適当な輸血があつたり、或いはその他のないように、丁度昨日私はそれらの問題に対して指示いたしました。詳細の点につきましては関係局長から申上げます。
  37. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) それでは御通告のかたの大体御質問も終りましたので、又今日おいでになつておらないかたがありますので、これは機会がございましたら御質問願うことにいたしまして、大臣に対する質問を一応これを以て終ることにいたします。   午後一時半まで休憩いたします。    午後零時十五分休憩    —————・—————     午後二時二十四分開会
  38. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) それでは午前中に引続きまして厚生委員会を開きます。  二十八年度予算につきまして、会計課長から一つ説明を願います。
  39. 太宰博邦

    政府委員(太宰博邦君) お手許に午前中にお配りいたしました横書きになつております昭和二十八年度一般会計歳出予算要求額調、これは大蔵省のほうで印刷して、議員各位に差上げました部厚い予算書がございます。あれを見ますと非常にわかりにくくなつておりますので、便宜こちらでまとめたものでございます。その意味厚生省関係の、差当りお耳に入れておいたほうがいいと思うものをそこに抜き出しておきましたので、それについて申上げたいと思います。従いまして局別というわけには参りません。大体順序は追つておりますが、例えば結核対策のように、各局にまたがつておりますものは、一応結核対策として全部まとめた、こういうことになつております。  それでは最初から申上げます。先ず一般会計要求額調でありますが、一番が人口問題審議会八十一万七千円、これは今朝ほど大臣が申上げましたごとく、人口問題というものと本格的に取組んで見たいというために、各界の権威者に集まつて頂いて審議会を組織するということでこれを計上いたしました。  二番目の科学試験研究費、これは前年度まではその摘要欄の(1)の科学試験研究補助というのが二千万円あつたのでありますが、それを若干殖やしますと共に、薬務局におきまして、企業合理化促進法に基いて薬事工業の合理化のための工業化試験或いは研究等に対します補助といたしまして、新たに六百万円それに計上いたしました。  三番目の国際会議諸費でございますが、その主なものは摘要欄にございますように、WHOの西太平洋地域委員会、これは前年はベトナム、その前はマニラで開催されたのでありますが、今回は第三回目を東京で開きたいということで、それに必要な経費でございます。それから二番目のWHO分担金、三番目の阿片分担金、いずれも前年と引続き、加盟国としての分担金でございます。  それからめくりました4の厚生行政広報宣伝費、これは大体前年より若干膨らむ、まあ前年並みでございます。  五番目の国立公園等運営費の中で、一番上にございます(1)の国立公園施設整備補助、これが今朝ほど大臣が触れましたように、前年が千八百九十万円が五千万円に膨らみました。これは国立公園の中に駐車場とか、広場、それから公園道路というようなものをいたします際に、これは地方でやらせまして、その二分の一を補助するという経費でございます。それから(2)は観光地その他で新たに国立公園の区域に編入になりましたところの土地の買収、或いはその編入になりました河川の護岸の工事というようなもの、(3)は御承知の新宿御苑、皇居前、それから京都御苑という三つの国民公園の内容の整備予算であります。前年度は新宿御苑の柵を造りましたので、それが抜けますので今回は減になつております。  それから六番目の厚生統計調査費は、格別特に取上げて申上げるようなことはありません。  七番目、公衆衛生関係に入りまして、精神衛生対策、これが前年度に比べて二億四千七百四十一万円ほど増になつております。内容として主なるものは、一が精神病院療養所の整備費でございます。前年は公立を五百床増床することでありましたが、今回は国立を二百床殖やすということで、それから公立のほうは五百床を一千床に膨らます、こういう二本建になつております。なお、国立一般整備費も若干殖やすということになるのであります。それから(2)の精神病院療養所の経常費でございますが、国立は現在千三百床でございます。それに只今申上げました二百床が殖えまするので、それの三カ月分になります。前の千三百床は年間でございます。その経費、それから公立分につきましては、公立の病院の一般的な赤字に対する補助として、従前にならいまして二千五百八床分についての赤字を見る。それから措置入院補助という中には五千百六十四床、これは公立のベッドとそれから私立のベッドでも指定した、指定したベッドというものがございますが、指定ベッドを併せました措置入院患者に対しましてその経費の二分の一を補助する。それから精神相談所、現在専任が二カ所、それからあとは臨時が四十四カ所、そこの経常費でございます。そういうような分類になつております。  それから八番目の優生保護でございますが、これは優生手術交付金といたしまして前年度が九百人分で、九百八十五万円でございますが、今回五割増いたしまして千三百五十人分をそこに計上いたしたのであります。それが主な内容になります。  それから九番目の受胎調節関係であります。これは前年度から相当力を入れたというような恰好になつておりますが、そのうちで優生保護相談所の補助、これは現在三百二十一保健所に併置されておりまするものを全保健所にこれを拡大する、すべての保健所に優生保護相談所を設けてそこの内容を整備するということにいたしました。そこで三百二十一カ所から七百五十二カ所にこの相談所の数が殖えます。それの整備費補助と、それから事業費の補助というのでそこに三千九百万円余、それから新たに受胎調節の普及事業費の補助、これは三分の一補助になりますが、これはまあ大体ポスターとかパンフレットというようなもので広報宣伝に使うための経費であります。僅かでございまするが、一応新規要求という形になつております。  それから十番目の栄養改善は、そこの摘要欄にありまする主なものは、栄養審議会と、それから従前に引続き栄養調査を実行して行くという委託費、それから三番目に新規事業として集団給食の指導補助、これは工場その他の集団給食施設を指導する、講習会を開いたり、或いは指導に行つてやるというための補助でございます。新規要求になつております。  それから十一番目が結核対策費でございます。前年度補正いたしまして百八億になつておりまするが、百二十七億、約十八億八千万円ほど増になつております。で内容は先ず第一に療養所の整備でございます。これは摘要欄にございまするように、国立が前年の千五百床に対して一千床、それから公立法人立併せまして六千床、前年の五千五百床よりも若干殖える。それから保険が前年並みの三千床、併せまして前年通り一万床に相成ります。国立療養所につきましては、二番目の段にありますように、内容が、補修する個所が相当多いというので、一般整備費は前年よりも約五割余殖やしまして三億五千六百万円ほどにいたしました。それから(2)はアフター・ケアの設置でございますが、これが新設二個所ということであります。それから(3)の結核療養所の経常費、これは国立公立法人立と、公立法人立につきましては、経常費の赤字について二分の一を補助するということに相成つております。それから(4)は結核予防費でございまして、このうちの主なものが医療費の公費負担分でございます。これは約前年の十七億よりも若干殖えて十八億、この前予算要求の内容を御説明いたしましたときに申上げました通り、格別そう飛躍的な改正というものはありません。ただ手術に伴います輸血とか、リンゲル注射というようなものにつきまして新たに加味した程度であります。今日まで我々心配しておりましたのは、国が四分の一を持ち、それに府県四分の一を持ちまして、合せて二分の一の公費負担になる建前でありますが、果して府県のほうがそれに見合うだけの自分の負担分を予算計上してくれているかどうか。御承知のように前年度におきましては府県の負担分が、予算化されるのが足りませんので、結局国庫予算は余したわけでありますが、今年度におきましては、只今のところではずつと下期になりましてから相当府県が努力してくれまして、九割前後まで地方の負担分を予算化してくれておりますので、ほぼ軌道に乗つて来るのではないかと、かように存じております。健康診断、予防接種はいずれも前年と同じだけのものをいたします。それからその他の欄に参りまして、これは主なものは結核患者の実態調査、これは新規でございますが、結核死亡率がずつと減つて、死因順位としてはもう第四位に入りかかつております。併しその半面におきまして、結核に対するいろいろな特殊な特効薬などが出まして、治療面についても非常に分類化されて参つております。それで今までの資料では、同じ結核患者と広く申しましても、肺結核或いは臓器結核、その他特殊なものがどういうふうになつているかということがわかりませんので、従いまして治療方針の立て方も経費計上も十分にそぐつたものになりませんので、この機会に一度実態調査をやつてみようじやないかということでその経費、あとは従前からございますようにBCGの実態調査、従事者の研修委託費、結核予防会に対する補助などでございます。それから癩のほうに参りまして、癩につきましては、先ず療養所の整備でありますが、国立は前年の千五百床というのに対して一千床でございます。その代り、やはり一般整備費、建物などが相当古く腐朽しておりますので、その整備費のほうを前年より大巾に引上げまして、三千八百万円が九千八百万円ということに相成つております。それから癩の一時救護所を一カ所ほど設置したい。それから経常費の問題では、国立は一万三千五百床、それから私立三カ所でございますが、二百八十床、ベッド数全体では二百九十床になりますが、予算面では一応二百八十床で計算するというふうにしてそこばくの経費計上しております。それから(4)の癩予防の府県に対する補助、これは癩の在宅患者の訪問とか、或いは入所の勧誘、健康診断というような経費でありますが、これは前年と同じようになつております。それからその他の欄は密入国患者の対策費、それから予防協会、名前を変えまして藤楓協会の委託費等、それぞれ若干殖やしおります。  それから十三番目の保健所費でございますが、先ず保健所の整備費につきましては、前年は新設十カ所にとどまつたのでありますが、今年は新設を二十カ所、それから格上げを十カ所にいたすことにいたしました。現在七百五十二カ所ございますものが、明年度におきましては七百七十二カ所にこれが増になります。それから保健所の運営費、これは保健所の初度調弁は二分の一ほど、一般運営費は三分の一補助になりますが、これは大体前年の通り、やはり機械とか、自動車であるとかなどはこれを引続き整備して参ると、こういうことになつております。  それから十四番目の伝染病予防、これは先ず伝染病院、隔離病舎の整備費でございますが、これは前年よりも若干殖やしまして、前年が千九百床ぐらいでありましたものを二千四百床ほどにこれを増設したい。それから法定伝染病予防費は前年並みであります。それから赤痢対策費といたしましては、差当つて僅かな金額でありますが、赤痢調査会というものを中央に設けて、第一線の赤痢対策に対して強力なる指示、或いはこの鞭撻をいたしたいという経費でございます。なお赤痢に対しましては、只今のところきめ手がありませんので、一般的な広報宣伝に力を注がなければならないのですが、その経費は一番最初の広報宣伝費の中で賄うつもりであります。それから(4)の寄生虫予防と、(5)の地方病予防施設、これはいずれもここにありますものは住血吸虫の経費でございます。一般寄生虫予防費は、これは地方に任せるということで、平衡交付金のほうで考えております。ここにありますのは住血吸虫病の関係です。それから(4)のほうはそれの一般的な対策でございます。つまり薬を、予防薬を塗つたり、或いはこの田畑に、あの媒介をなしまする宮入貝の繁殖を防止するために、DDTを撒布するというような一般的な対策費がそれであります。(5)のほうは、そういう地域の溝をコンクリート化して、宮入貝の棲息を防止するという経費でございまして、前年一万間でありますものを三万間に殖やしてございます。それから の臨時予防接種並びに防疫業務委託職員費、これは相変らず前年と同様でございます。  それから十五番目の性病予防でありますが、性病に関します経費は、漸次減少の傾向にございました。今年も前年の実績などから勘案いたしまして、やはり二千六百万円ほど減になつております。で内容といたしましては、性病診療所の経常費、それから強制健康診断、これはいわゆるパンパン刈りなどいたしました場合の健康診断所、それから委託入院、府県立の病院がありません場合には、他の病院に委託入院いたしますその経費などでございます。  それから十六番目の水道施設整備、これは前年の六億に比べまして、十一億と大幅に五億ほど膨らんでおります。で内容といたしましては上水道は大体前年通り、下水道が約五千万円ほど膨らんでおりますが、これは摘要欄にございますように、これは清掃施設としての屎尿消化槽をやりたい、これは新規の要求になつております。このほかに上下水道につきましては、北海道開発庁分として前年と同額の経費が他に開発庁のほうに計上されております。従いましてここにありまするのは北海道以外の内地、こういうことになります。それから(3)の地盤変動対策事業は、南海の地震に基きまして、四国、中国、近畿などの区域において、井戸水が力りだとか、或いは塩分を含んで来る、そういう場合の対策のための水道の整備費であります。それから(4)は、前年の夏の国会通りました、一般石炭の鉱害復旧、それから は戦時中の石炭の採掘によりまする鉱害に対する事業でございます。それから(6)の簡易水道、これは農村の伝染病多発地域に設けまする水道でありまするが、これが前年の一億二千五百万円から三倍余になりまする四億円に膨らんでおります。それから(7)の水道施設の災害復旧、これは今までの台風災害などに基きまする水道の復旧分でございます。  それから第十七番目の公衆衛生関係施設整備費、この中で(1)の癌研究所の施設整備五百万円……、新規でございますが、これは癌が只今死因順位の第二位に上つて来ております。しかのみならず癌の治療方法予防方法というものにつきまして、まだ医学的にこれという成果を得ておらない現状でありますので、癌の研究所の研究を促進させまするために、只今財団法人癌研究会の附属研究所、これが大塚に昔ありましたのが、建物が戦災に会つてそれが朽廃している。そして只今は築地の或る病院を買いまして、そこでやつておるのでありまするが、内容を見ますると、病院のほうに力を入れておりまして、本来の研究方面が僅かな区域、坪数の建物を建てて、そこでやつている、ほそぼそやつているという状況でありまするので、これを大塚の焼けた建物を復旧せしめて、そして本来の形にこれを戻すという意味におきまして、三カ年間五百万円ずつ施設整備補助する、こういうことにいたしたのであります。それから(2)の地方衛生研究所の施設整備は、各府県にございます研究所でありますが、前年は建物の復旧であつたのでありまするが、一応前年で建物の復旧は打切りまして、今回はその内容について若干国がみるという意味で、一カ所十万円ずつの割で補助金を出す、こういうことであります。  それから十八番目の医療機関整備、これは前年度の五千万円に対しまして一千万円ほど増になつて六千万円、これは地方の公立病院整備費でございます。このほかに今朝ほど大臣が申しましたように、医療金融として他の所管に計上されておりまするのが五億ございます。国民金融公庫などの他の既存の金融機関を通じて融資したい。内容はまだはつきりとはかたまつてはございませんが、申し添えておきます。  それから第十九番目は国家試験関係で一応まとめてみたのでございますが、格別申上げることはございません。全部前年度と殆んど変りないのでございます。  二十番目は、保健婦助産婦看護婦の指導費でございますが、これは前年並み若干ほんのちよつと減つておりますが、建物の建設補助金というようなものがその主なものでございます。  それから二十一番は国立病院特別会計に対する一般会計からの繰入でございます。これは大体前年度並みでございます。  二十二番目、薬務局のほうに入りまして、医薬分業の調査費百万円、これは三十年一月から医薬分業を実施いたします。それは実施いたします区域につきまして、その医療機関の分布状況というものを調べて、それによつて実施する区域をきめるわけでございますので、その分布状況を調査するために府県に委託する費用がここに九十三万円ほどが主なものになつております。  それから二十三番目の麻薬の取締は、これは大体今回は麻薬の一般的な登録事務などは府県に委託する、そういうふうにいたしまして地方に委託費として二千八百万円を組みました。それで中央はもつばら取締事務所において、主として取締りのほうに重点を注ぐというようなことで、これを分けたのでございます。  二十四番、薬用植物の栽培助成六十九万円、これは小さい金額でございまするが、従来サントニンの原料でありまするものは、日本の内地におきましてはクラムよもぎというものが東北、その他の数府県で実施して栽培しているのでありまするが、今回国立衛生試験所において栽培しておりまするクラムよもぎとかアルデミシア・クラメンヂス、非常に含有率が多くて在来のものの十倍くらいある。それを一つ十数府県にあれしたいということで、新規要求として取つたのであります。  二十五番目は、特殊医薬品の買上げ、これは前年にもありまするけれども、大体同じ並に計上してございます。  二十六番目の生活保護費でございます。これが前年度の二百四十六億に対しまして、二百四十二億と、約四億円ほど減少しておりますにもかかわりませず、そこの生活扶助とか右側の摘要欄を見て頂きますと、基準をそれぞれ若干ずつ引上げております。従いましてその差額というものはどこから出たかということになるのでありまするが、(3)の教育扶助におきまして、約十一億ほど減つております。それからずつとめくつて頂きまして、(10)の軍人恩給復活、或いは日雇保険を実施するというような関係で、併せて約二十億ほど減るのでございます。従いましてかようなものを考慮いたしますと、約三十億余というものは二十八年度のものに本来ならば殖えて然るべきものでありまするので、前年と比較いたしますると、約三十億にはちよつと足りませんが、二十六、七億ほどの増にはなる計算になつております。  それから二十七番の身体障害者の保護費でございますが、これはそこに一括いたしましたが、更生援護措置費の補助、それから(2)の戦傷病者の更生の委託費は、前年度予算を実行に移して見ますると、相当不用が立つ見込みでありまするので、その分を明年度は減らした。それから(3)は国立光明寮の経費、(4)の国立身体障害者更生指導所、これは前年より減つておりますのは、現在相模原にありまするけれども、東京に持つて参りまして国立東京第一病院の新設地にこれを設けることになります。昨年がそれの施設整備費として相当多額に入つております。で本年も明年も継続事業としていたしまするが、その施設整備費が減つておりますのでこの関係でこの減が出ております。同じく(5)の国立保養所、これは伊東と別府との保養所の経費でありますが、減になつておりますのは、同じく昨年は伊東保養所及び別府と両方とも施設整備費がございましたが、今年はそれが減つている、その関係で減になつているのでございます。それから身体障害者援護施設整備費、これは大体前年と同様八カ所ほど全国のブロックに設けたいと、こういう考えでございます。  二十八番目の婦人保護費は、これは転落婦人の更生援護施設でございます。大体前年と同じように計上してあります。  二十九番目の地方改善事業費と言いまするのは、俗に言う部落同和事業費でございまして、今朝ほど大臣が申しましたごとく、一応千二百四十七万円、各省の連絡協議会、それから実態調査、それから非常に数の多い部落につきましては、そこの中に衛生的な或いは社会福祉、或いは社会教化、生活万般に亘つてこれを指導と申しますか、サービスと申しますか、そういう方面に役立つように隣保館を設けたいというので、その経費が出ております。  三十番の消費生活協同組合、これは貸付金として二千五百万円、これは新規要求になつておりまするが、現在千百ほどありまする消費生活協同組合の、非常に堅実に努力しておりながらなお且つ困つているというところから選びまして百組合、それに対して府県がその組合がいろいろな整備施設を設けたい、例えば洗濯施設であるとか、或いは医療施設であるとか、そういう施設をしたいという場合に、その整備費に対しまして、県から一組合に対して五十万平均を貸付させる、それの二分の一を国のほうが県に貸付けてやる、こういう建前になつております。それからそのほかに指導監督補助等が若干そこに載つております。  その次の公益質屋は、前年に引続き公益質屋の建物の整備復旧費に対しまして補助いたします。前年の五割増になりまして、千五百万円というものを計上いたします。  それから三十二番目の社会福祉施設整備費、これは二億円が二億五千万円に膨らんでおります。それは大体順番で申しますとの浮浪者収容施設が五千万円、これは百人収容施設のものを十カ所設けたい、こういうことであります。  それから災害救助費、これは前年の二億九千六百万円から大幅に七千万円と減つておりますが、実は一般的災害救助費としては七千万円でございまして、前年はその差額の二億二千万円ほどは、その前の年の台風災害に対しまする国庫補助金の清算分が載つておつたのであります。従いましてそれを除きました分が今回計上されまするので、減少なつているわけでございます。  三十四番目の日赤設備の整備費は、日赤法の成立に伴いまして、国がそれの設備に対して補助することができるという規定があります。それで病院車等につきまして四百万円を補助する、こういうことになつております。  三十五番の児童保護費でありますが、これが前年に比べて大巾に膨らんでおりますが、主なものは、先ず(1)の措置費、これは各母子施設などに収容し、或いは里親に委託しております子供の生活保障の経費でありますが、今まで平衡交付金でありましたものが、これが補助金に今回、戻つて来たというための経費であります。それから相談所——時保護所等は引続き前年度並み、或いは前年度より若干殖えております。(4)の事後補導補助費の金額は大したことございませんが、これはいわゆる職親制度と申しまして、子供が大きくなりまして社会に出してやります際に、職業を身につけさせるために、どこかの工場とか商店とかというところにこれを委託して、そうしてこれを指導してもらう、そうしてその後一本立ちにして社会に送り出してやるというための、職親に対しまする手当などの経費であります。それから(5)の季節保育所補助は、これは昔の農繁期託児所でございまして、全国一万近くの町村のうちで、農業地帯の町村が約五千ほどございます。そこで春秋二期に分ちまして季節保育所を設けさせる、その際に保母さんと助手の経費の三分の一を国が負担するということで三千万円、そこに新規要求として計上したわけでございます。身体障害児、矯護院などは従前通りでございます。(4)の肢体不自由児施設は、これは板橋にありまする整肢療護園に委託しておるのでありますが、減少額一千万円と申しますのは、施設整備費が前年度に比べて今回は少くて済むということで、これが減つているのでございます。(9)の母子衛生は、摘要欄にございますように一般的な保健指導と、それから母子の歯科のほうの保健指導、その経費をまとめてそこに計上いたしたわけでございます。そのほかに保母の養成補助、浮浪児の給与品、福祉事務所の補助等、前年に引続き所要経費計上してございます。  三十六番目の母子福祉対策、これは新規要求でございますが、これは母子福祉資金等の貸付に関する法律に基きまして母子相談員を福祉事務所に設けて、母子家庭の相談指導に当る、同時に貸付金を、そこの摘要欄にございますように七種類に分けて貸付を実施する、その経費がそこに書いてあるわけでございます。  三十七番の児童福祉施設整備費が、これが前年三億六千九百万円、それが六億九千万円と、その倍近くの膨れ方をしております。これはやはり主なものはそこの(7)、(8)の母子寮保育所でございます。これはやはり母子対策強化するという政府の施政方針に基きましてそこに殖やしたのでございます。  三十八番、これは保険局に入りまして厚生保険の国庫負担でございます。これは大体摘要欄にございますように、保険の事務費は、前年と同様十分の十を国庫負担する。それから厚生年金については、前年と同じように、給付費に対して十分の一乃至十分の二を負担する、それから結核ベットに対する補助でありますが、新らしい方策といたしましては、(6)の日雇健康保険、これの事務費に対しては全額国庫負担にすると同時に、保険及び福祉施設費につきましては、ほかの社会保険におきましては、結核ベット以外の国庫負担はやつておらないのであります。日雇健康保険につきましては、特に十分の十を国が負担するという建前で三千七百万円をやはりそこに計上しております。併せまして日雇健康保険につきましては二億八千六百万円を一般会計から繰入れております。こういうことにいたしたのであります。  それから三十九番、健康保険組合補助はそこにございますように、格別申上げることはございません。  四十番目も同じことであります。  それから四十一番、国民健康保険補助、これは今朝ほど大臣が申上げましたごとく、在来の経費にプラスいたしまして(8)にあります助成交付金、これが給付費の国庫負担一割五分に当る金額でございまして、これが二十九億六千万円ここに計上されております。それから昨年度ございました奨励交付金は落しました。それから再建整備貸付金は、前年度よりも約六千万円を殖やしまして、四十六億八千万円計上してございます。それから直営診療所は前一年と同じように四億円計上しております。それから(6)の災害特別貸付は、災害がありました際に、そこの地域は保険料がもう取れない、そのために国保の運営ができなくなるということを防ぎますために、特別に貸付けをするという途をそこに開いたわけであります。あとは大体前年の通りでございます。  それから四十二番、引揚援護事業でございます。この引揚げの見込人員は、そこにございますように二万七千、これは中共地区の分は、一部は二十七年度で帰る、二十八年度に持込みます分が二万六千、その他の区域から千人ほど帰るという見込みで二万七千でございます。これに対します援護の内容は在来のものとほぼ同様でありまするが、特にそのほかに新たなるものとして帰還手当を大体一人当り二万円以下のもの、持ち帰り金を持つております場合においては、大人二万円に満ちますまで帰還手当を支給するという建前で、大人一万円、子供五千円というふうに計上してございます。その他引揚者の住宅、一時収容所、身廻品調達費、それから輸送費等を計上しております。それからここには計上しておりませんが、引揚げて参りました人たちがいろいろ生業に就く場合の更正資金でございますが、只今援護庁のほうで従来から実施しておりました更生資金の分につきましては、もう四十数億の貸付の総額になるのでございまして、それの償還分から廻転にしておるのであります。特に中共引揚者に対します更生資金の貸付けのために、それにプラスいたしまして約二億円ほどを国民金融公庫のほうに紐付で廻す、こういうことに措置をとつたのでございます。予算面には現われておりませんが、ここで申上げておきます。  それから四十三番目の留守家族等の援護、これは従来ございまする未復員者給与法に基く経費及び特別未帰還者給与法に基く経費、これの合算でございまして、只今の私どもの構想といたしましては、今の二つの法律を、これを廃止いたしまして、新たに未帰還者留守家族等援護法を作る建前になつております。範囲は従来の未復員者及び特別未帰還者のほかに、一般邦人でありまして、特別未帰還者の給与法にも該当しないもの、つまり向うの政府なり、工場等は留用されていない人たちについても、新たに援護の手を差し伸べて、そうしてこの援護のやり方を逆に今度は内地に残された留守家族という方面に考えを変えまして、留守家族の人たちに対する給与、こういうことにいたしたのであります。この範囲を拡げると同時に、その基準につきましても若干の引上げをいたしまして、ここの摘要欄にございますように、存来の給与法におきましては基本給が千円、それから扶養手当が妻及び長子が六百円、以下四百円であります。これにつきましては二千百円、それから扶養手当は軍人恩給との関連がありまして一律に四百円、こういうふうに改正いたしました。その他の費目についても一部は少し増額をいたしてございます。  それから四十四番の戦傷病者戦没者遺族援護、これは前年の百七十二億から大幅に百四十四億減りまして二十八億なにがしになつております。これは軍人恩給等の復活いたすことに政府として方針をきめましたので、在来の援護法対象のうちから大幅にそちらのほうに振替わります。従いまして残りまする戦地勤務の雇傭人、それに新たに船舶運営会の所属になつております船員、普通ABCのC船員と申しておりますが、このC船員を加えました。範囲を拡げると同時に傷害年金を従来最高九万円でありましたものを十八万一千円までこれを拡げる。それから遺族年金につきましては、やはりこの留守家族援護と同じように基本給二千百円、扶養手当四百円、こういうことにいたしたのであります。なお従来それ以上の額をもらつておりました人につきましては、実績保障の意味において従来の額よりも減らないような措置を講ずるつもりでございます。  以上で主なものを申上げたのでありまして、そのほかここに載りません一般の人件費、事務費その他の雑件を四十五番にまとめて書きまして、総計いたしまして、一般会計では厚生本省として五百六十七億であります。  次に附属機関のほうでございますが、これは格別申上げるほどの内容のものはございません。一部例えば国立療養所などにつきましては、先ほどのところで申上げたのでありますので省略いたしまして、ただ申上げてみたいことは、五十一番の検疫所でございますが、これが従来は本所、支所、出張所合せまして二十五カ所でありましたものを、今回五カ所ほど新たに出張所を殖やします。場所はまだはつきり確定いたしてございません。  それからずつとめくつて六十番の引揚復員官署というのがございますが、これは従来は援護庁のほうに入つておつたのでありますが、明年度から援護庁が内局になりますので、従いましてこの地方にありまする援護庁の出先機関を新たに附属機関として出しただけでございます。合せまして厚生省一般会計総額六百九十五億八千四百万なにがし、前年度に比べますると二十五億九千万円ほどの減になります。  次に特別会計のほうでございますが、先ず厚生保険特別会計のほうは健康保険関係、つまり健康勘定におきまして被保険者が現行の四百四十七万人に対しまして、新たにこれを病院、学校、土木、建築、社会福祉事業その他のほうにこれを範囲を拡張いたしますために、増員が四十九万人、それから標準報酬は大体前年最高二万四千円でありましたものを三万六千円まで引上げるというようなことからいたしまして、前年度よりも標準報酬の額が膨らむというような措置を講じます。同時に歳出面の保険給付におきましては、給付期間を二年から三年に延長する。こういう措置をとり、これは主として結核等の患者が従来は二年で転帰をとつておりましたものが、大体最近の実情を見ますと三年間やはりかかりますのでその措置を講じたのであります。  それから新たに日雇健康勘定というものを作りまして、日雇労務者に対する健康保険制度でございます。被保険者を大体五十万人で抑えまして、保険料はその(2)にございますように、事業主が八円、本人は一級、二級に分かちまして大体日額百六十円以上を取ります者については本人から八円、それから百六十円未満の者につきましては本人から五円というふうにこれを二段階に分けて、いずれも収入印紙の形で取るということにいたしたいと存じます。  それから同時に療養の給付費のほうでありますが、保険経済上療養の給付というものについて期間を三カ月にこれを切るということにいたします。  それから年金勘定におきましては、先ず被保険者範囲はやはり健康保険と同じように、先ほどの数種類の事業に拡張いたすので被保険者の数が殖えます。それから料率は現行通りでございます。それから給付につきましても、在来の給付をそのまま踏襲いたしますが、例の今年の十一月から始まりまする養老年金の基準につきましては、現在年額一人千二百円という極めて僅かな金額になつておりまするものを、これを実情に合うように改正いたすつもりでおります。  それから業務勘定一般的な事務費でございますのでこれも省略いたします。それの詳しい内容はそこの歳出面にたくさんございますが、いずれも事務的なものでありますので、説明を省略いたします。  それから船員保険特別会計でございまするが、これはやはり特に取上げて申上げるところはございません。ただ、医療給付歳出面の疾病給付というところでやはり健保と同様に、給付期間を二年から三年に延ばすということだけが、差当つて大きな改正の構想でございます。  最後国立病院特別会計でございますが、今朝ほど大臣が申上げましたように、現在九十九カ所運営しておりますうちから、明年度におきましては先ず十六カ所は結核療養所にこれを転換いたします。そうしますと八十三カ所になります。そのうち十カ所分は二十七年度のうちに地方へ移譲することがきまる。従いまして二十八年度においては経常費は要らない。それで二十八年度分といたしましては七十三カ所分を計上する。なおそのうちの十カ所は二十八年度のうちに地方移譲の話がきまるであろう。その括弧のうち十カ所というのがそれであります。これは従いまして二十八年度のうちに話がきまるものと仮定いたしますと、平均して九カ月ほど経常費を組んでおけばよかろうというので、七十三カ所のうち十カ所は九カ月分の経営費を組み、残り六十三カ所分は地方移譲の話がむずかしかろう。一応予算面ではその分について国が経営する経費予算計上しておく必要があると考えまして年間まるまる計上している、こういうふうにしたのでございます。それで内容といたしまして歳出面はいろいろございますが、一応十二番目の病院の建物諸設備整備などで今朝ほど若干のお話があつたように思いますが、前年に比べて六千五百万円ほど整備費を殖やしておるというようなところを申上げる程度でございます。  大体大ざつぱに申上げましたが、明年度経費についてお耳に入れておいたほうがいいと思いましたものを申上げた次第であります。
  40. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) それでは只今の御説明に対しまして御質疑がありますればどうぞ御発言願います。ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  41. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 速記を始めて下さい。
  42. 大谷瑩潤

    ○大谷瑩潤君 この二十八、二十九のところですが、隣保館の三カ所を立てるというようなのは、地域的にお分けになつて三カ所をお選びになつたのか、或いは何かの事情があつて三カ所お選びになつたのか、その場所等がわかつておるならばちよつと……。
  43. 太宰博邦

    政府委員(太宰博邦君) お答えしますが、別にまだ具体的にどこに置くというようなことがきまつておるわけではございません。又どこを目途として三カ所というふうに、どうといつた意味があつたわけじやなく、最初に実は二カ所ほど入つて来た、そのうちに又一カ所入つて来たと、こういうことでございまして格別に意味はございません。
  44. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 結核の病床の国でやる場合、これは一床の単価はどのくらいになるのですか。
  45. 太宰博邦

    政府委員(太宰博邦君) 大体一床当り新築で十六万円、増築しますと約十二万八千円ばかりかかる、こういうことを申しております。
  46. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) これは新設で何かの内容を含めた分でそうなるんですか。
  47. 太宰博邦

    政府委員(太宰博邦君) いいえ、これはたしか建物だけだろうと思います。これは結核療養所で申上げておりますから……。
  48. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) これは公立も法人の場合もこの単価で行くわけですね、国が補助する場合には……。
  49. 太宰博邦

    政府委員(太宰博邦君) いえ、公立の場合には、やはり建設省あたりで作りました基準がございますので、若干国とは違つておると思います。
  50. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 少し安くなるので……。
  51. 太宰博邦

    政府委員(太宰博邦君) はあ、若干安くなつておるようでございます。詳しいことは存じませんが……。
  52. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 その続きのところですが、その結核療養所経常費というところですね。これに、法人に対して経常費が出ておりますね。(3)のところの摘要欄に……。
  53. 太宰博邦

    政府委員(太宰博邦君) 法人は九千百九十五床でございます。それで公立の一万三千床と併せまして、これの両方に対して赤字の補助をいたしますが、前年度の八千万円に対して明年度は五千万円くらいで済むだろう、こういう含みで併せまして……。
  54. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 これは法人のほうの赤字が……。
  55. 太宰博邦

    政府委員(太宰博邦君) いや、併せました分でございます。そしてその辺誤解を招きますので、公立、法人併せて前年度が八千万円、それが今年度は併せて五千万円になります。
  56. 藤原道子

    ○藤原道子君 今度は赤字が少くて済むだろうというのは、どういう意味ですか。
  57. 太宰博邦

    政府委員(太宰博邦君) これは点数単価などで収入も殖えるだろうというようなこともございます。それから実績などをとつて見ますと、やはりそういう傾向が出て来ます。
  58. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) どうもおかしいじやないですか。国立のほうは本年度で殖えるのですね。公立と法人のは減る、赤字が……。
  59. 太宰博邦

    政府委員(太宰博邦君) これは国立の分のほうは、歳入のほうはここには書いてございませんで、これは出すほうだけです。例えば賄費等の単価の値上げをいたしますと、当然殖えて参ります。公立、法人のほうは赤字を見てその赤字に対して見る。従いまして収入が上りますと赤字が少くなる、そうすると国庫補助も少くなる、こういうことでございます。
  60. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 十四番ですね、伝染病院隔離病舎整備費、これは整備計画と申しますか、総合病院の中に入れるということになつておりますね。あれのこれは費用なんですか。それとも伝染病院だけの整備なんでございますか。
  61. 太宰博邦

    政府委員(太宰博邦君) これは例の、いわゆる村落なんかへ行きますと、避病舎が極く離れた所にある。これを近代化する、建物を復旧しております。その際に一村々々そんな変なものを設けないで、数カ町村が集まつて一つにまとまつた施設する、或いは総合病院の中に伝染病院として設ける、そういう意味経費でございます。
  62. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) それでこれがどのくらい……大体二十九年までにやつてしまう予定なんですか。
  63. 太宰博邦

    政府委員(太宰博邦君) 予算要求をいたします際は、何カ年計画といつて出しますけれども、まだまだ相当希望があるようでありますから、二十九年では済まないと思います。只今のところやはり破損施設を持つておりまするところが約三千六百ほどある。こういうふうなことでありますので、もつともつと継続事業としてやつて行きたい、こう思つております。
  64. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) それからこれはどこにできるのですか、癌研究所は。
  65. 太宰博邦

    政府委員(太宰博邦君) これは大塚に昔から癌研究所という立派なものがある。それが戦災で焼けまして、そのまま放りつぱなしになつている。現在築地でやつているのですが、病院経営のほうをまあ夢中にやつていると言つては悪いのですけれども、本来の研究のほうは屋上にちよつとした建物を建てて、そこでやつているので、当然研究が進まないわけです。従来は文部省から七、八十万くらいの民間研究補助というのが行つておりまして、それだけで国は何にも面倒を見ていなかつた。こういうふうに結核その他の対策が曲りなりにも軌道に乗つて参りますと、このあとは、癌というものについて国はもつと考えなければいけないのじやないか。諸外国に比して非常に遅れておりますので、そこで今の癌研究所に対していろいろ話を聞いてみますと、是非大塚の元の建物に戻つて本来の研究にいそしみたい、こういうことでありますので、それも災害復旧に対して補助するのであります。
  66. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) あそこの癌研究所にはやはり研究者がおるのですか。只今お話の通り一般診療をやるということのために医者がおるのですか。
  67. 太宰博邦

    政府委員(太宰博邦君) 研究者がおるのでございます。
  68. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 癌研究所には前にあそこでラジユウムがかなりあつたが、それが戦災で火が入つて来たものですから全然使えなくなつた。あれは今度はラジウムを買う費用は入つておりますか。
  69. 太宰博邦

    政府委員(太宰博邦君) 今度は一応建物だけ国が面倒をみる。これも実はここの形は四分の一補助なつておりますが、この癌研究所で金を借りなさい、その金の利子分を国がみてあげましよう。実は法律には補助する規定がないわけでございます。だけれども、同時に補助していかんという規定もなかろうというので、これを出させた。大体その利子補給というような建前からこれは出ておるわけでございます。
  70. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 予算要求のときに、この癌研究所とそれからもう一つペストだとか、あれなんぞはどうしましたか。
  71. 太宰博邦

    政府委員(太宰博邦君) 北里などはどうもうまく行きませんでした。
  72. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 只今多田専門員が発言を求めておりますが、許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 多田君、どうぞ。
  74. 多田仁巳

    ○専門員(多田仁己君) ちよつと伺いますが、引揚援護に関して国民金融公庫から貸すというのは金額は幾らですか。
  75. 太宰博邦

    政府委員(太宰博邦君) 二千円、更生資金として……。
  76. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) それから二十三の麻薬の取締、これは麻薬取締官は国家公務員でございますね。そうして地方におるのでございますね。
  77. 太宰博邦

    政府委員(太宰博邦君) 地方の委託職員は国家公務員ではないと思います。地方公務員になると思います。そうして半分は国家公務員として麻薬取締官になります。
  78. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 地方の保険課長さんですね、これは何ですか。
  79. 太宰博邦

    政府委員(太宰博邦君) 国家公務員です。
  80. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 先だつて保険局長にも話してあるんですが、あれが国家公務員で地方におるために、健康保険の運営に非常に邪魔になると申しますか、障害になる。これを地方公務員に切替えたらどうかと言うたら、そうしたら保険局長は、近いうちにそういうふうに切替えたいということを言つておつたのですが、そういうことは予算上にはないのですか。
  81. 太宰博邦

    政府委員(太宰博邦君) 予算の面では出てございません。
  82. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) それから健康保険範囲を拡大するという何がございましたね、これは取りやめになつたのですか。例えば社会事業関係の人を入れるとか、或いは医療関係者を入れるとかいう何が予算要求のときにはたしか出ておつたと思うのですが。
  83. 太宰博邦

    政府委員(太宰博邦君) それは厚生保険特別会計のほうでございますが、特の一、そこの右の被保険者数の中に、現行四百四十七万六千人、前年四百十七万六千人と膨らんでおりますのは、自然の伸びでございます。
  84. 多田仁巳

    ○専門員(多田仁己君) 先ほどちよつと言われたのですが、数事業関係の、その数事業の種類を。
  85. 太宰博邦

    政府委員(太宰博邦君) これは土木、建築、教育、それから研究調査、それから医療、看護、調剤、助産、通信、報道、社会福祉、そういうものを予定しております。
  86. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) それから四十三、留守家族援護のところでございますね、これは帰郷旅費が大体二千円程度で、これは船賃以外にこれだけの金をもらえるというわけですか。
  87. 太宰博邦

    政府委員(太宰博邦君) 留守家族援護の帰郷旅費千円乃至二千円ということになつております。これは舞鶴に上りましてからそれぞれの郷里に帰ります国内の旅費分として支給するわけであります。船賃は全部国費で運輸省所管のほうに計上してございます。
  88. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) そうすると中共地区なら中共地区で、天津なら天津まで出て来るわけですが、あそこに滞在している間というようなものについての費用はまだ見てないわけですね。
  89. 太宰博邦

    政府委員(太宰博邦君) これは在来の例から申しましても、どこの国でも勿論ソ連も含めてでありますが、出港までの経費政府負担してくれるということでありますから、今回も中共においても負担してくれるという考えでございます。
  90. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) それがだめなときには政府で見てくれる……。
  91. 太宰博邦

    政府委員(太宰博邦君) 私のほうでは当然負担してくれるものと確信しております。
  92. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 大体御質問はこのくらいで……。
  93. 藤原道子

    ○藤原道子君 ちよつと質問したいのですが、十五ページの性病予防のところでございますが、これは減額になつているのですね。これは性病が減つたのですか。
  94. 太宰博邦

    政府委員(太宰博邦君) ここに出ております経費は、性病の届出患者数というものは年々減つて来ております。それでこの性病予防費というものが届出患者に対しまする治療の面、或いはその前提としてのいわゆるパンパンの強制検査をするというような経費が出ております。どうしても実績から減つたといいますか、年々減つて来ると思います。
  95. 藤原道子

    ○藤原道子君 そこで問題だと思いますが、性病が減つているとは考えられないかと思うのですが、その原因の追及とか何とかいう方法はなされているのですか。
  96. 太宰博邦

    政府委員(太宰博邦君) それはちよつと、局長に一つ……。
  97. 藤原道子

    ○藤原道子君 これがどうもお役所仕事のような気がするのですが、この点は専門家に聞きますけれども、性病の減つているということはどうも納得ができない点がございます。それから保健所の問題ですね。この各保健所これの経費は出ておるんですけれども、これは定員から非常に医者が足りない、看護婦が足りないというようなことを補給する費用もこれに盛られておるんですか。現行のままを基準にしてやつておられるのですか。
  98. 太宰博邦

    政府委員(太宰博邦君) 現在の保健所としては定員が足りないというよりも、定員の充足します現員が足りない、つまり定員はあるけれども、人がそれだけ入らないという面でございます。予算面では定員で勘定しておりますものですから、従いましてその従来通りの定員で一応組んでおります。但しこの前申上げましたが、X線技師がやはりAクラス保健所及びBクラスの保健所で殖やしております。レントゲン技師も一人しか従来定員がないものでございますから、そうしますと、その人が休んだりした場合、保健所としては結核対策の健康診断なんか一番重要な仕事の一つですから、それにレントゲンが撮れなくなるというので、これを殖やす。Aクラス、Bクラスだけ認められております。
  99. 藤原道子

    ○藤原道子君 あれはよほど問題ですね。これはもう少し真剣に考えて頂かなければ、看板だけでは困ると思うんです。
  100. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  101. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 速記を始めて……。それでは本日はこれで散会いたします。    午後三時五十一分散会