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1952-12-22 第15回国会 参議院 厚生委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月二十二日(月曜 日)    午後一時二十四分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     藤森 眞治君    理事            大谷 瑩潤君            藤原 道子君            堂森 芳夫君    委員            長島 銀藏君            河崎 ナツ君            山下 義信君            谷口弥三郎君   政府委員    厚生省医務局長 曾田 長宗君    厚生省医務局次    長       高田 浩運君    厚生省児童局長 高田 正巳君    厚生省保険局長 久下 勝次君   事務局側    常任委員会專門    員       草間 弘司君    常任委員会專門    員       多田 仁己君   —————————————   本日の会議に付した事件社会保障制度に関する調査の件  (国立大竹病院火災に関する件)   —————————————
  2. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) それでは厚生委員会を開きます。  日程に先立ちまして、山下委員から国立大竹病院の件について御質疑がありますそうですからどうぞ……。
  3. 山下義信

    山下義信君 最近国立大竹病院焼失したということでありますが、この火災状況それから被害程度火災原因、それから善後処理状況というものを一応御報告を承わりたいと思います。
  4. 曾田長宗

    政府委員曾田長宗君) 病院のほうから報告が参つておりますので、それによりますと十二月十二日の十六時三分に、第三病棟と申しております病棟南側中央部から出火いたしまして、風が相当に強かつた模様でありまして、それと水利の便が悪いと申しますか、水圧が非常に弱かつたといつたようなことから、取りあえず職員消火に努め、そうして患者避難というようなことに当つたのでありましたが、遂にその病棟の隣りにございます倉庫に引火し、更にそれだけでも食いとめることができませんで、遂に更に隣接病棟であります一病棟というのに移つた。で、その頃になりますというと初めて市内の消防隊も駈けつけて参りましたのですが、火の手が廻つてしまいましたので如何とも術がなかつたということでございます。焼けましたこの病院坪数は、第一病棟が延八百九十八坪、それから第三病棟が延六百八十六坪、それから倉庫が千十四坪ということになつておりまして、総建坪六千七百七十四坪のうち、坪数といたしましては約四分の一ぐらいのものが焼失したということになつております。この倉庫の中に保管しておりました被服、医薬品、医療器械一般物品というようなものも遂にこれを搬出することができませんで、とうとう焼いてしまつたというような状況でございます。患者につきましては職員挙げて避難に努めましたために、無事死傷等事故はなかつたのであります。  この火災に対しまして取りあえずとりました措置としては、先ず患者につきまして、第一及び第三病棟収容されておりました結核患者でございますが、これが二百七人おりました。これを丁度大竹病院はかなり建物が広うございまして、空床になつてつたところがございますので、そちらのほうに移しました。その病棟一般病棟及び仮病棟というふうに称えておる病棟でございます。なおこの焼失によりまして、この建物は今申上げましたように十分余地があるのでありますが、寝台でございますとか或いは毛布等焼失に対しまして、これに対する措置としては、寝台百個を国立療養所賀茂病院、それから毛布五百枚を岩国病院、それから毛布五百枚及び藁蒲団百枚を国立療養所柳井病院から至急に運搬いたしまして、患者収容にはどうにかこうにか間に合つておるというような状況でございます。  それからその後の復旧の問題でございますけれども、これにつきましては、今のところは先ほど申上げましたように本病院がかなり建物余裕を持つておりましたので、今日までの入院患者定数二百八十になつておるのでありますが、これを全部収容するのに建物の広さとしては十分であろうかと考えておりますが、それに必要な手を加えることによりまして、この定員を収容するにはおおむね支障はないものと考えられておるのでございます。  なおこの出火原因につきましては、今なおこの最後的な決定には至つておらない。国警で現在調査中の状態でございますが、発火いたしました所が、先ほども申したのでありますが、どうやらごみ箱の中から火が出たらしいというようなことを申しておりました。何が故にこのごみ箱から出火したかということにつきましては、そのごみ箱の中に火の気のある物を放り込んだというようなことがあつたのではないかというような疑いがあるわけであります。なおこの点については国警が主になりまして、病院等でも十分調査をいたしておる状況でありますということでございます。  一通り報告申上げましたが、なお御質問がございましたら……。
  5. 山下義信

    山下義信君 状況はよくわかりました。それでこの患者収容処置については、他に空床、まあ病棟余地があるから、そのほうに移した。大変結構なことで、誰も被害者がなかつた患者に異状がなかつたことは結構だと思うのでありますが、焼けたあと建物復旧というものについてはどう考えておられますか。
  6. 曾田長宗

    政府委員曾田長宗君) 先ほども申上げましたのでありますが、この病院は、私は現場はまだ存じないのでありますけれども、川をはさみまして、北側南側の二つの部分に分れておるのでございまして、病棟は主としてこの南側のものを患者収容に使つておりまして、この南側のほうは、只今焼けました二病棟のほかに急性伝染病収容いたします病棟八百十六坪、それから六病棟と申しておりますところに六百八十六坪、そのほか北側のほうには仮病舎と申しておりますのが八百三十三坪ございます。それから一般病棟と申します、これは本館に当るわけでありますが、これが一千八十坪ということになつておるのでございまして、今お話し申上げましたように、焼けました病棟が一千二百九十六坪を占めておるのでございます。こちらの北側病棟が、この結核病棟のように患者が混んでおりませんので、非常に空床が多いというような状況になつておりましたので、この中にベツド或いは寝具類を持込みますれば、大体この北側病棟で以て南側の焼けました病棟焼失を補うことができるのではないかというふうに考えておりますので、只今のところでは、この建築物としては特別に復旧いたそうという考えは持つておりません。
  7. 山下義信

    山下義信君 わかりました。最近のまあ一ヵ年間くらいの間に国立病院とか或いは療養所とかいうものの火災事故というようなものがどの程度ありましたか。
  8. 曾田長宗

    政府委員曾田長宗君) 過去一ヵ年というのがちよつとあれでございますが、二十七年度でちよつと初め御報告申上げますが、二十七年度は国立病院で六件、それから国立療養所で五件、この大小の出火事件がございました。
  9. 山下義信

    山下義信君 一番大きな火災というのは、全焼というのがありますか。
  10. 曾田長宗

    政府委員曾田長宗君) 全焼というのはございません。
  11. 山下義信

    山下義信君 一番大きいのでどの程度、三分の一くらいですか、病院規模の大体の予想……。
  12. 曾田長宗

    政府委員曾田長宗君) 一番大きいのは、富山が今までのところでは一番大きいのではないかと思います。焼けました坪数としては今度の大竹は一番大きいのでございます。富山は二十七年の三月二十一日、これはむしろ前年度かも知れませんが。
  13. 山下義信

    山下義信君 わかりました。それじや今の資料、折角お調べ下さつたのですから、一つ又刷つて頂いて頂戴したいのですが、委員会で。最後一つ、折角国立病院火災事件を承わつたのですが、この火災に対する各国立病院療養所防災設備といいますか、非常設備というものが万遺憾なくできているのですか。ただそのときどきの発火原因や風向きの原因とかで、消防設備或いは火災非常体制を動員しても、そのときの状況で遂に火災の拡大が免れなかつたということは、これは止むを得ませんが、一応消火器であるとか、或いはそういう水利準備で刈るとか、タンクといいますか、そのときの火災のときにおける人員の非常配置とか、患者避難とかいつたものが万遺憾なき体制が大体においてできているのですか。或いは又予算等措置でそういつたような消火器とかいろいろなことが不十分であるか、どういう状態であるか、大体でよろしうございますが、承わりたい。
  14. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 私から申上げます。御承知のように国立病院にいたしましても療養所にいたしましても、建物それ自体が非常に脆弱な建物でございますので、火災の予防につきましては、これは普通以北注意準備を払わなければならないのでございます。過去におきましても病院療養所について、相当火災が出ております関係上、私たちとしましては、これの防止策について、例えば電線の、いわゆる電気関係施設については定期的に全面的な検討をさして、その辺から来る漏電等のことがないように注意をしたり、或いは今お話消化器関係のまあ施設を整備いたしましたり、或いは職員につきまして、発火時の防火等にまごつかないように、かねてから十分準備体制を整え、訓練をさせる、そういうふうな措置をとつておるのでございますけれども、根本的に言えば、建物それ自体不燃質物にすれば一番いいわけでございますけれども、それは現在のところそこまで手が及んでおりませんので、一応現在の建物がそういう状態であるという認識の上に立つて、今申上げましたいろいろな措置を手を尽しておるような次第でございます。
  15. 山下義信

    山下義信君 この委員会の時間を取つても恐縮でございますが、ただよそに転換するにしても、現在の国が管理をしておるそういう医療機関の一体この防火体制といいますか、そういうものの設備というか、そういうことの大体、今次長の言われたようなことの、何といいますか、資料一つ作つて頂きたい。そうしてそれをするにしましても、残つた分を完全にやらなければならんと思いますから、これは予算などにも関係があることですが、これを資料として要求しておきますから、そのようにして頂きたい。  もう一つ保険局で伺いたいのですが、最近福岡県のほうで何か保険関係事件が起きたということですが、で、福岡県の民生部長も逮捕された。本省保険局職員にも何か関係があるかのごとくに伝えられておる。私も真相をよく知らないんです。それでどういう事件ですか、又本省職員関係がありますかどうか、お答えを願いたいと思います。
  16. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) 福岡県の事件は現在まだ捜査の段階でございまして、明確なことは私どもにもわかつておらないのでありますが、大体今日まで承知いたしておりまするのによりますると、福岡県下政府土地及び建物を買収いたしまして設置いたしました保養所の隣りの土地処分の問題で一つ問題が起きているようでございます。それからその他請負工事の面或いは自動車の購入等に絡みまして疑いをかけられ、捜査をされておるようでございまして、現在までのところ県の民生部長保険課長、前の保険課長補佐、現在の久留米の社会保険出張所長、それと保険課庶務係長、この四名が召喚をされておるのでございます。本日の電報によりますると、民生部長は釈放されましたようでございます。なおこの問題は最近の話によりますると、県の衛生関係にまで飛火をしておるような形勢でございます。さような程度きり具体的な内容ははつきりしないのでございますが、本省関係者につきましては、実は丁度今月の初めでございました。各県において行なつておりまする事務監査に私どものほうの職員が出掛けたのでございまして、そのあと始末と申しますか、最後の締括りなどもございますので、庶務課長が出向くのが慣例になつてつたのでございます。その際警察とは全然無関係に、新聞社がかなりこれを大げさに、丁度監査が終りまして、翌日、私ども課長が出掛けます前に、庶務係長が先ず召喚をされまして、私ども課長その他の職員が向うを立ちましたあと課長並びに前課長補佐が逮捕されるというような事柄でありましたので、あたかも監査の結果と申しますか、そういうことに非常な関連があつたかのごとく新聞に書き立てられたようでございます。併し実質的には結論的に申上げますと別段の深い関係もないようでございますが、何かにも本省に直接関係のございまする仕事なり、仕事と申しますか、事業なり或いは保険料徴収等に絡み合つた問題でもありますので、先日私のところの庶務課長参考人として呼ばれまして、いろいろ事情を聴取されたようでございます。この話の内容は、監査に参りまして、監査終つた日民生部長と簡単な夕食をしたという以外は殆んど九分通りは、むしろ社会保険に関します保険課なり保険出張所仕事のやり振りと申しますか、機構と申しますか、こういうことについての参考意見を求められたようであります。庶務課長はそれだけのことでその晩も一日参考人として聴取されまして、又翌日追加的に呼ばれて、東京に帰つておるような状況でございまして、只今のところは本省には何ら関係がないように私承知いたしております。県の先ほど来申上げました人たちの被疑事実なり或いはその程度なりにつきましては、まだ捜査の途上でございまして、何とも申上げられないのでございますが、ただ要するに結論として私どものほうといたしましては、かような事件が起きましたことは私どもの責任重大であることを痛感いたしまして、大変恐縮に思つておる次第でございます。  実は私も言訳ではございませんけれども保険局に対しまして、すぐにこの種の問題につきましては厳重に全国課所長に警告いたし、その後におきましても、機会あるごとに注意もし、又日頃の事務監査につきましても、事務余裕のありまする限りは出向きまして、実地監査をし、間違いのないように指示しておつたのでありますが、その矢先かような不詳事件が起きまして、大変恐縮に思つておる次第でございます。
  17. 山下義信

    山下義信君 この問題はこの程度で今日は承わつておきます。私は保険局長を信頼しております。今の局長の言われたようにどうぞ御留意を願いたい。今の御報告程度でしよう。こういうことは余りあなたのほうの職員にも関係ないのだろうと思いますが、私は、厚生省の省内におけるいろいろスキヤンダルに近いものを、耳にしておる。いずれそのときに一括してこれは問題として取扱つて頂きたいと思いますから、これはこの程度で了承しておきます。  それでこの機会に私は保険局長に承わるのですが、厚生省では最近保険の運営上について保険医の、何というか、不正診療というか、不正請求というか、そういうことについて調査したことがあるかどうか、調査したことがありますれば、その調査の結果はどういうことになつておるか、それからそれは保険担当医調査だけでなく、    〔委員長退席理事藤原道子委員   長席に着く〕 一方被保険者不正受診と申しますか、そういうことのほうの調査と両方の概略を一つ承わりたいと思うのです。これ又詳細な調査の結果がありますれば、数字等資料として至急一つ委員会に出して頂きたいと思うのです。それで先だつて船員保険の法案の出たときに伺おうかと思いまして時間がなく、たまたま今日機会を得させて頂いたので、最近の保険医師取扱状況について本省調査したことがありますれば、その状況の大略を承わりたいと思います。
  18. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) お答え申上げます。保険医監査につきましては、私どもはこれを指導監査という名称を用いておりまして、本省から監査要綱を示しまして随時それぞれの該当の都道府県と協力をして監査をいたしておるのでございます。最近の問題になりましたのは広島県でございます。過去の数字につきましてはちよつと今手許に持つて参りませんでしたので、只今の御要望によりまして後ほどお届けを申上げたいと思います。  この監査と申しまするのは、文字通りどもとしては指導的な立場に立つて監査をするという考えを持つておるのでございます。監査をいたしまする対象を選びますにも公平な原則をきめまして、そうして所在の都道府県関係者共同立会の上で監査をするという方針をとつておるのでございます。なおそのほかに本省立会います監査のほかに、各都道府県が独自の立場監査をいたしておるのであります。その他いろいろ保険医としての不正事実が発見をせられますので、これにつきましてはそれぞれの法律、特に健康保険法でございますが、健康保険法の定むるところに従いまして保険医に対する行政処分が行われる慣例でございます。  最近の広島の例で申上げますると、本省と県が立会監査をいたしました結果、約三名ほど保険医としての指定取消す必要があるという人が出て参りました。そのほかに県が独自で監査をいたしまして、保険医を二名ほど取消処分をしたいというような申請が参つておるのでございますが、この点につきましては、まだ広島県には私どものほうの意見を回答いたしておらないのでございます。と申しまするのは、保険医行政処分、特に一番重い取消処分をいたします場合には、全国的な調整を保ちます必要もありまして、権限は各都道府県知事が持つておるのでございますが、その都度本省に内議をいたさせまして、本省において全国的な立場で公正にこれを判断をいたしまして県に回答をするというような処置をとつておるのでございます。広島の問題につきましては七名の取消処分をしたいという知事からの意見書が参つておるのでありますが、一応審査をいたしましたところでは、他の府県の従来の実例から見ましても、この程度処分は止むを得ないのではないかというふうに感じておるものでございます。そのほかに戒告注意というような、注意なんというのは法律にございませんが、そういうような処分もいたすことになつておるのでございます。その他の今まで従来実際に行いました保険医行政処分につきましては、後刻取りまとめまして御報告を申上げたいと思います。  それからお話の中にございました被爆保険者不正受診等、被保険者の不正の問題でございますが、これは昨年の秋でございましたか、本年の春でございましたか、兵庫県におきまして数個の病院で全然資格のない者が他人の被保険者証を使つて受診したりするような非常なたくさんの不正受診実例調査の結果発見いたした事例がございます。本年春の全国保険課所長会議報告がございましたので、その要領に従いまして全国的にこの種の不正受診を一定の基準で取調べをするように通知を出したのでございます。この県まだ全部の結論はまとまつておりませんけれども、若し帰りまして報告のありましたところがございましたならば、要点だけを御要望従つて届けを申上げたいと思います。
  19. 山下義信

    山下義信君 大略はわかりました。どうか一つできるだけ最近の資料を頂きたいと思います。それで世間の噂では、最近保険医の不正が非常に多いという噂が高いのですね、それから同時に、私は一方的なことは言わん、被保険者のほうもかなり保険証不正使用というか、その資格のいろいろな不正なことも多いということなんです。双方がそうやり出すと、これはもう保険制度は、ただ単に経済上の問題でなく、制度自体の大きな欠陥があつて崩壊せざるを得ん。今のところは経済的な面でポンプを一生懸命注ごうというので我々はかり立てられて勢子になつて多少の微力をいたしつつある。併しながら何ぼやつても金のほうの水の出をポンプで押しかけても、制度に根本的な欠陥があつたんじや運営全きを得ない。どうしてもこれはそういうふうな実情を明らかにせればならんと思う。こういうことに対するまあ対策と言うか、状況を明らかにすることを当局も遠慮してはいかん、何もはばかることはない、そうして若しそこに弊害のあるところがあつたならば、制度の上にでもどこにでも明快なメスを入れて、そうして保険制度の能率も挙げ、適正なものに持つて行かなかつたならば、全国民の福祉の向上は期し得られない。今お話のあつた兵庫県下の一部の御調査でも、調査対象の十幾百かの医師の殆んど六〇%が不正であつた調査対象にしたのは、それはこれはとめどをつけた人だけを調査したので、そういうパーセンテージが上つたのかわからんが、併しそれにしても驚くべき数で、一県下に何百名というような保険担当医取扱いの、軽微な或いは規則違反程度であつたか知らんけれども、かなり重い違反もあるようでございます。指定取消というようなことに該当する医師の数も一県下で恐らく兵庫県の実例などで百五十名くらいあつたのじやないかと思うのです。そういうことでは行けようはずがない。それで若し多数の全国に不正な医師が仮にあるとすると、そうすると幾ら保険経済に国費を負担するということを我々正々堂々論じても、その相当なものが不正のところを肥すに過ぎんということになつたのでは意味をなさん。保険経済を堅固にするゆえんは、我々素人でわからないが、やはり医療内容を向上させて十分な被保険者福祉を向上させて行かなければならんのであつて、そういうことがあつてはならない。それで保険医公共性を強調いたして、或いは減免税その他の国家としての施策も立てなければならんが、大いに御協力申上げなければならんが、こういう不正なことがあると正しいお医者さんは迷惑するのです。そう思うのですね、全部が全部でないのにそういうことを言われますと、そういうことによつて医師全体のこうむる損害というものは尨大なものじやないかと思う。大体非常に多いのですか。
  20. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) 保険医の不正問題につきましては、実は御承知通り全国保険医指定を受けておるのが五万名も超えております。非常に多数でございまして、僅かな職員を以てこれを万遍なく監査をするということは不可能に近いのでございます。私どもつておりますのは、先ず第一は保険審査委員会などでたびたび問題になるような人、その他の関係から各県でそれぞれ公平な立場でこの人を一度調べたいというようなことで打合せがありました場合に、本省から係官を派遣して調べておるわけであります。従いまして全般的な比率においては、監査を受けた者のうち、相当数の問題を起したかたがたが出て参りますが、一面におきましてこの問題は実は最近の状況では、保険医指定取消すということが同時に又医師としての生活を奪うというと語弊がございますけれども保険医師の診療しておりまする相当多くの部分を占めておりますので、私どもとしてはこの点についてはその辺の実情も考慮して、検査は勿論公正にやりますと同時に、その結果によりますけれども処分につきましては正しいものは勿論正しいものとします。又不正をいたしましたものでも、その状況によりましてはできるだけ穏便な措置をとると同時に、又逆に到底改心の見込がなく、他の保険医に対しても今お話のような非常な迷惑を及ぼすようなことをしでかしておりまするかたに対しましては断固として取消処分をするというような処置をとつておるのでありまするが、全体の数から見ますると、今ちよつと全部の数は持つて来ておりませんので大変恐縮でございますが、そう多いとは考えておりません。先ほどちよつと申上げました最近の例で広島実例を申上げましたが、一側の内申処分で七名の取消が出るということは、今まで私の知る限りでは例がございません。大抵一、二名でとどまつております。
  21. 山下義信

    山下義信君 今の数字は私多少の、若干の誤謬があつたかも知れませんが、私の得ている数字では二十六年度で二千八百九十二名を調査した結果、百五十一名の指定取消、七百五十七名の戒告、百七十四名の注意、約六〇%の不正があつたと、こういうことで、本年の厚生省調査を今局長の言われた通りにしたはずでありますから、一応その結果を見なければ最近の状況がわからん。是非一つ新らしい資料を御提出を願いたい。  それで今保険医指定制度はどうなつておりますかね。誰が指定することになつていますかな。
  22. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) 保険医都道府県知事指定することになつております。
  23. 山下義信

    山下義信君 私の記憶では恐らく四ヵ年ほど前に、丁度この反対のあすこは第十何号委員室だつたか、保険法の改正をいたしましたときに、知事が今局長の言われたように指定することになつてつたのを、やかましい修正、意見が出て、そうして何でも医師会に相談するか誰かに相談をしてそして指定するように条件附でこの法律をそこで直したような記憶があるのでありますが、条文を見ずしてお尋ねしては恐縮なんですが、ただ知事が勝手に指定ができるように、一人でできるようになつていますか。
  24. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) 法律保険医と申します者は知事健康保険法の規定に基いて指定をする事になつております。併しながらこれは運用上は又私ども考え方といたしましては、健康保険法の知むるところに従いまして診療担当規定というのを、厚生大臣がきめて全国に流しております。この診療担当規定というものを承知の上で医師の中入れに従う公法上の契約と解しているのであります。それが保険医でございますが、そのほかに恐らく保険医には、保険医と称しておりませんが、保険者指定するものというのが多少ございます。これは政府管掌の場合には私どものところで具体的な例で申上げますると、国立病院国立療養所というのは、これは保険者指定するものとして、保険医とい法律上の扱いではございませんが、実質は同じでございますけれども病院療養所でやつています。そのほかこの例は各健康保険組合などに例がございまして、健康保険組合などが独自の立場でそれぞれの医療機関と契約をすることができるようにしてあります。その意味ではないかと思います。
  25. 山下義信

    山下義信君 取消すときは知事が勝手に、法律はできているのたが、あなたのほうへ相談するようになつていますね、実際は。これは資料を頂きましてこの問題につきまして他日検討させて項くことを、留保いたしまして私の質疑は一応終ることにいたします。
  26. 藤原道子

    理事藤原道子君) ちよつと速記をとめて下さい。    午後二時五分速記中止    —————・—————    午後三時四十四分速記開始
  27. 藤原道子

    理事藤原道子君) それでは速記を始めて下さい。暫時休憩いたします。    午後三時四十五分休憩    〔休憩後開会に至らなかつた〕    —————・—————