運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1952-12-09 第15回国会 参議院 厚生委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月九日(火曜日)    午前十時三十七分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     藤森 眞治君    理事            藤原 道子君            堂森 芳夫君    委員            草葉 隆圓君            小杉 繁安君            中山 壽彦君            長島 銀藏君            井上なつゑ君            谷口弥三郎君            深川タマヱ君   政府委員    厚生省公衆衛生    局長      山口 正義君    厚生事務官    (厚生省医務局    長事務代理)  高田 浩運君    厚生事務官    (厚生省社会局    長事務代理)  黒木 利克君    厚生省児童局長 高田 正巳君    厚生省保険局長 久下 勝次君   事務局側    常任委員会専門    員       草間 弘司君    常任委員会専門    員       多田 仁己君   —————————————  本日の会議に付した事件 ○保健婦助産婦看護婦法の一部を改正  する法律案内閣提出) ○社会保障制度に関する調査の件(厚  生省関係予算に関する件)   —————————————
  2. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 只今から厚生委員会を開きます。  先ず保健婦助産婦看護婦法の一部を改正する法律案並びあん摩師はり師、きゆう師及び柔道整復師法及び診療エツクス線技師法の一部を改正する法律案、この一案につきまして御質疑を願います。
  3. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 ちよつと私この際、医務局次長にお伺いしたいのでございますが、ほかでもございませんけれども、この保健婦助産婦看護婦法の今回の改正案が出るときに、都合によつた保健婦助産婦看護婦業務従事証撤廃法案の中に入れたいというような御意見を承つたことがございますのですけれども、今回それをどういうわけでこの中にお入れになりませんでしたか、ちよつと伺いたいのでございますが。
  4. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) この法律改正につきましては、実はほかにも改正を要すべき点がございますのでございますけれども、今回出しております改正は、これは極めて急を要しますることでもございますし、政府の今国会に対する法律案提出趣旨に則りまして、本当に緊急なものに限るという筋合からいたしまして、この今度出しました改正に限定をいたした次第でございます。
  5. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 それではこの際医務局次長の御意見を伺つておきたいのでございますが、この業務従事証は運営の面でどういうふうにお考えなつて運営しておられるかということが伺いたい。と申しますのは、これは非常に私の例を引いては申訳がないのでございますけれども、私一人の問題じやなさそうでございまして、あつちこつちを聞いてみますと、なかなかみんな保健婦なる助産婦なり看護婦なりが業務従事証につきまして、何と言いますか、面倒と申しますか、迷惑だと言つちやおかしいのでございますが、そういうような感じを持つているらしいのであります。でございますけれども、これを言い出しますと、いろいろな点に差障りを来しますし、泣き寝入りしておつたほうがよかろう、それこそ事なかれ主義、その場限りにしておつたほうがよかろうというふうになつているように見受けられるのであります。私どもは非常に保健婦助産婦看護婦業務従事証を正直に考えまして、本当に業務に従事しておる者がこの業務従事証をとるべきであると思いまして、その業務に従事しておる業務範囲が非常に厚生省では何と言いましようか、あんまりはつきりないのじやないかという点に憾みがございます。それで実は私も少し病院に関係をいたしておりましたし、自分で開業助産婦登録をいたしておるものでございますから、これも業務従事範囲に入るのかと思いまして、実は過般保健婦助産婦免状の切替と同時に、保健所へ持つて参りましたのでございます。ところが保健所窓口が申すのには、私の免状には参議院議員とも何も書いてはございません。住所、氏名、生年月日を書いて持つて行つたのにもかかわらず、保健所窓口は、井上さんは参議院議員だろうということを使いの者に申したのであります。使いの者はそうでございますと申しますと、参議院議員はこんな仕事はできないだろうと言つて、やめてから持つて来いということを言つたそうでございます。返されたのでございます。一回は書類が不整備だということで突き返されました。二回目は、参議院議員仕事ができないということで突き返されました。そこで参議院の二百五十人のかたがたの御職業やら何やらかにやらを見ておりまして、非常に不思議だと存じましたから、いつそういうような改正があつたかということで、当時医務局へ聞き合わしたら、そういうような改正はしていないということでございます。そういうことでございましたから非常に結構だと思つておりましたら、翌日保健所から係官のかたが見えまして、大変申訳ないことをした、私は悪気言つたのではないと言つて、とにかく業務従事証を受付けますからということで、私の業務従事証を受付けて頂いたわけであります。そこに私非常に大きな疑問を持つたのであります。そうした問題を悪気で言うの、言わないのというのは、私非常におかしいと思います。それから二、三の近所の人たちに私聞きましたら、皆さんがそう言うのです。うるさくてしようがないから、とにかくそうした保健所窓口に憎まれるということではうるさいから、これは助産婦看護婦だけではない、開業のお医者さんでもそうです。憎まれるとしようがないから泣き寝入りしているというようなことで、それで私そういうことでとにかく業務従事証を下げると申しますものですから、一応持つて行つて下さいと言つてつて行つて頂きました。そういたしますと、今度は数日経ましてから、私の関係しているところから、あなたはそれじや顧問をいろいろと頼んでおりましたけれども、この顧問は任期満了いたしましたから解消いたしますという通知が参りました。これ又おかしいと思うのでございまして、何とこの業務従事証が関連があるのだろう、非常にこの業務従事証が政治的に使われるというのか、何に使われるのか、非常に面白いと思います。少くとも参議院議員仕事をしていけないということになりますと、恐らく現在参議院に議席を持つておられるかたは、皆さんがいろいろな御家庭では商売しておると思いますが、そういう点にもかかわりましようし、随分そうした面にも影響いたしましようし、いろいろそうした職業であるとか、そうしたものに対して保健所差別待遇をするということは、非常に私憲法にも触れる点があるんじやないか、人権にも触れる点があるんじやないかと思います。正直に業務に]事している者が登録するのが業務従事証か、それととも、どういうわけで業務従事証を交付なさるか。それで私は医療関係者から、お医者さんがちつとも業務従事証をお出しにならない、ところが看護婦助産婦は百円というお金をつけて業務従事証登録する、それも一年なり二年ごとに切替えをする、そのときにお金を納める、誠にそこに不合理がある。厚生省統計調査をとつております。去年も医療センサスをなすつておるはずであります。お医者さんも看護婦もちやんとわかつておるはずなんでございますけれども看護婦助産婦保健婦だけにお金を出させて従事証をとらせるということは、誠に不合理だと思います。実は私、看護婦規則は大正四年でございましたか、制定されましたときに、看護婦規則の制定と同時に非常にいやな思いをいたしました。あのとき、看護婦接客婦と同じように、警察の裏のほうに持つて行つて看護婦免状をとるかということで、非常に私どもは不都合を感じておりましたのでございます。非常に警察行政というものはいやだということを感じて、いやな思いをするので看護婦免状をとらなかつたことがある。長い間とらなかつたら、あなたがたは法規に違反するということを警察から言われたのですが、この頃の保健所窓口がちつとも民主的に改正されないというのか、民主的に改正されるという根本がわからない。どこに業務従事証根本があるのかわからないのじやないかと思いますが、過般も医務局次長さんにもお目にかかつて話をしたのでございますけれども、これも必要がなければ撤廃するとおつしやつておりますが、未だに撤廃にならないということがございます。業務範囲がどの程度になるか、それを明確にして頂きたいと思います。
  6. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 国会議員のかたが勿論一般のお仕事なり、或いは医師歯科医師看護婦等のお仕事携つていいということを禁ずる法律も何もございませんし、現実携つておられるかたも多数おいででございますので、国会議員であるが故を以て、保健婦なり或いは看護婦業務に従事しないという前提考えるということは、私どもは誤まりだと思います。もともとこの法律的な建前から言えば、保健婦なり助産婦なり或いは看護婦なりの免許を受けるということは、即ちそれでそれぞれの仕事携つてよろしいという、いわば国家的な確認でございますので、従いましてそれ以上に別個業務に携わることについての別個の形式的によるまあ役所の関与というものは、私は本質的に言えばこれは必要ないものだ、そういうふうに感ずるのでございます。  業務範囲がどの範囲であるかということは、これは保健婦助産婦看護婦法の二條以下に書いてございますが、この範囲ということになると思いますが、この範囲仕事をするについては、それぞれ免許があれば本質的に私はこれで十分だと思うのでございます。その上にこの業務従事証という制度がこの法律の中に置かれておる趣旨は、恐らくはお医者さんや歯医者のかたと違つて、これらの保健婦助産婦看護婦のかたの中に、免許を持ちながら実際には業務に従事していない、何と申しますか、予備役的な立場にあられるかたが非常に多数である、そういう前提でこういう制度が置かれたのではないかと想像するのでございますが、本質的に言えば、これはやはり業務従事証というようなやかましいことでなしに、そういつた実態をいわば把握するものであるならば、報告程度で私はいいのじやないかと思つておるのでございますが、先ほど申上げました趣旨によつて今回は最小限度改正にとどめたような次第でございます。
  7. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 大変よくわかりましたのでございますが、この上ともに業務従事証につきまして、厚生省でも研究して下さることを要望いたします。  それから次に伺いたいのでございますが、今度のこの改正案につきましてでございますが、改正案は御承知のように、旧看護婦免状を持つたもので保健婦国家試験を受けることができる、或いは旧看護婦免状を持つたもので助産婦国家試験を受けることができるということになつておりますが、もともと旧の助産婦免状を持つておりまして、そうして助産婦学校行つておるものがある、旧の保健婦免状を持つたもので保健婦学校行つておるものがある、これらはどういうようにお取扱いになりますか。
  8. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 旧保健婦免状を持つておるもの、旧助産婦免許を持つておるものにつきましては、先般もこの法律改正によりまして、そのままの形において、即ち試験を受けずして新らしい厚生大臣免許に切替えるというふうに改正になつたのでございます。そういう意味におきまして、いわゆる養成乃至試験経ずして、自動的に免許の切替えが行われる趣旨なつておるのでございます。これはその前から今日いわゆる試験を受けて、甲種の看護婦になる試験を受けて保健婦なり助産婦なりになるという趣旨を変えまして、そういう試験という過程を経ないでなれるようにされた趣旨だと考える次第でございます。そういう意味におきまして、従来の保健婦のかたが新らしい養成所を出られた場合、従来の助産婦のかたが新らしい養成所を出られた場合におきましても、やはりこれはその改正趣旨に則りまして、そこに試験その他の過程経ずして自動的に切替えるということを以て足りるとするのが、この前の改正趣旨に合致するものと考えて、これはそのままといたしまして、ただ提案いたしておりまするように、従来の看護婦のかたが看護婦仕事でなしに違つた保健婦なり助産婦学校を出た場合には、これはやはり違つてやるのが至当ではないか、そういう趣旨改正提案いたしたのでございます。
  9. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 只今説明は一応この法文に現われているところでございますけれども、要は国家試験というものにまだ非常にこだわりを持つておるものがあの中に多いと思うのであります。それと申しますのはほかでもございませんが、旧の保健婦免状を新らしいこの法律による免状に書き替えて頂きたい。そうしまして厚生大臣免状がもらえて、厚生省保健婦籍登録が行つたわけでございます。ところがそうした人が国家試験を受けていないというので、待遇の点など非常にいろいろの点で不利益があるというので、それで国家試験を受けたいと言つておるものが何名かこれまでにあつたと思うのでございます。こういう問題についてはどういうふうに解釈しておられますか。それは厚生省保健婦籍登録しているにもかかわらず、もう一ぺん国家試験を受けなければならないということは、国家試験が先か登録が先かということになつて参りますので、非常にこれは本質的に考えなければならないと思います。これについての御意見を承わりたい。
  10. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 第一に待遇の問題でございますが、これは業務の面においては法律的に御承知通り差別はないわけでございます。給与の面等につきましては、従来学歴等を相当斟酌いたしております関係上、例えば新らしい養成所を出た場合と、出ない場合との間にはおのずからこれは差があることが考えられる次第でございます。もともと勿論そういつたかたがたにも新らしい保健婦なり、助産婦なりの試験を受けられるようにすることは、勿論これは考えられることだし、そう無理ないことだと考えるのでございますけれども、とにかく前相当この点については議論がありまして、この前の改正のときに議論がありまして、試験を受けさせるというような過程を経させるということがそもそもいかんのだ、こういうものについては試験経ずして自動的に切替えなければならないのだという点が非常に強調されたというふうに私どものほうでは了解をしておりましたので、その趣旨と背馳するということは、やはりこの際避くべきじやないか、率直に申上げればさような気持を以ちまして、最小限度受験資格を認める、必要最小限度受験資格を認めるというふうに考える次第でございます。
  11. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止
  12. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) それでは速記を始めて。  それじや社会局関係の御質問を願います。
  13. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 早速社会局のほうに伺いたいのでございますが、今度の日赤補助が若干取れておりますのでございますが、これはこの間の説明で承わりますと、自動車だとか、そうした物の二分の一の補助と承わつたのでありますが、日赤社法を審議いたしますときにも、いろいろな災害救助として救護員準備をするということがあつたのでございます。あの救護員準備についての補助はとつてございませんかどうですか、ちよつとお伺いしたいのでございます。
  14. 黒木利克

    政府委員黒木利克君) 取りあえず日赤非常災害における組織的な医僚活動ができるような機動態勢と言いますものを整備するための物的ないろいろ施設とか、或いは装具についての補助しか現在のところ考えておりません。
  15. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 物的のものだけでございますか。それでは救護員の面は将来お考えになりますつもりがございますか。いわゆる看護婦養成費とか、お医者さんの養成費についての補助はどういうふうにお考えなつておられますか。
  16. 黒木利克

    政府委員黒木利克君) これは日赤の本来の業務でございますので、準備的ないろいろ訓練費用等につきましては、補助対象考えていないのでございます。ただ非常災害時におきまして、現実にこういう人たちが活動した場合のいろいろな費用についての必要な経費を国が出すという建前なつておりますので、医者訓練日赤の本来の経費として、本来の活動としておやりになるべきだと考えて、実は補助対象としていないのでございます。
  17. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) それに関連して私からもちよつとお尋ねしたいのですが、日赤法案のときに、災害救助法災害費の額が非常に低い、これは将来改正しなければならんという局長のお話もありましたが、それについての予算措置はないわけでございますか。
  18. 黒木利克

    政府委員黒木利克君) 実は災害救助法改正について現在考究しておりまして、問題は只今申されました補償の率と申しますか、そういうものを現在の割合では低過ぎるから、相当地方の負担が酷になつておりますので、それを緩和したいということで、大蔵省折衝しておるのでありますが、まだ妥結に至りませんので、法案としては提案する準備はいたしておらないのでありますが、これはいずれ災害救助法改正はしなくてはならないということで検討いたしておりますので、或いは議員立法として御提出お願いいたし、大蔵省のほうとの関係もそのほうで政治的に解決して頂くというような方法もございますので、どちらの方法をとるか現在のところでは大蔵省折衝しておる段階でございまして、未だ決定的にどちらの方法をとるという段階に至つていないのでございます。
  19. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) それにしましても、どうせこれは予算を伴うのでありますが、予算要求はまだ現在はしていないというのですか。
  20. 黒木利克

    政府委員黒木利克君) これは二十八年の概算ではまだ要求はいたしておりません。ただ法案が次の国会提案になります場合には、当然予算要求をしなければならないわけなのでありますが、現在のところは政府として正式に提案意思表示をまだ大蔵省にはしていないのでございます。
  21. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 そのことに関連してでございますけれども、私も強くお願いしておきたいと思いますことは、赤十字社法案の審議中にもたびたびその問題が出まして、次の国会に必ず提出しますとあのときおつしやつたように覚えておるのでございます。只今承わりますと、大蔵省へもまだ意思表示も十分していないということになりますと、今日災害が起りましても、そこで怪我をしたというようなことが今日起りましても非常に困るのではないかと思います。早速何らかの議員立法になるのならば、どちらかの方法を御相談願うとか何とかいうことで、早く手を打たなければならないと思います。  それからもう一つ承わりたいことは、この社会局関係でございますが、この頃は身体障害者のかたから又たびたび陳情を受けます。身体障害者完全雇用についてどういうふうに考えておられるか、どういうように予算が取れたか、これについてちよつと御説明を願いたいと思います。
  22. 黒木利克

    政府委員黒木利克君) 身体障害者の結局更生の眼目は職場を与えるのにありますので、私のほうとしてはそれを最大の重点にいたしておるのでありますが、この雇用の問題は職業安定法に基きまして労働省所管なつておりますので、私のほうでは労働省に対しまして、大いに安定法の適用を身体障害者に優先的にやつて頂くようにお願いをしておるのであります。併し私のほうとして職場のやはり何と申しますか確保、或いは身体障害者の作りました物を必ず買上げるというような制度も必要でございますので、そういう意味職業の安定の問題は労働省所管でありますが、私のほうではできるだけ職場を作る。例えば授産所とか或いはその他身体障害者が作りました物を政府で買上げるようなことを各省にお願いをして努力いたしておるのでございます。
  23. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 私は実はこの前公衆衛生局予算の場合、丁度或る事情でお伺いする時間がありませんので、公衆衛生方面の、特に癩の問題につきまして一、二お伺いしたいと思います。  御承知のように去る第十三回国会当時におきましては、癩の問題につきまして、癩に関する小委員会におきまして、是非とも国立癩研究所を作つてもらいたいということを頻りと委員会お願いをして参つたのであります。ところが国立研究所を作るように大体二十八年度の予算には出ておるような模様でありますが、確かにこれができるようなお見込みがありましようか。若しそれがうまく行かんようであれば何とか方法を講じて頂きたいと思うのでございます。実は私この八、九月頃、東南アジア方面行つて参りまするというと、あの方面におきましては癩を研究するような機関はありませんが、癩の患者はもう非常にたくさんありますので、特にインドなどにおきましても、最近はビルマあたりからも日本に対して癩の方面に応援してもらいたいというような希望がありますので、この際日本国立研究所を置くということは極めて必要なことであるし、又東南アジア方面に医学の親善をやろうという上からも是非これは置いてもらはなければならん。遅れておる癩の研究所是非来年度は必らず一つ作つて頂くようにしてもらわなければならんと思うのでありますが、これに対しまして御当局の御意見を一つ伺いたいと思います。
  24. 山口正義

    政府委員山口正義君) 癩の研究所につきましては、国立研究所を設置したいという考えで、予算面では医務局予算の中に六千七百万円ばかり建設費要求いたしております。これがはつきりとれる見通しがあるかどうかというお尋ねでございますが、事務的に一応説明終つた程度でございますので、今後の折衝の如何にかかつておると思うのでございますが、これは医務局がその折衝に当ることになつております。併しながら癩の研究所が必要であるということは、只今谷口先生から御指摘通りでございますので、私ども公衆衛生局といたしましては、癩予防法所管いたしておりますが、癩の予防、治療ということにつきまして、研究機関が必要であるということは前々から私ども申上げ先生がたからも御指摘を頂いておりますので、何とかして研究機関の実現に努力したいと、そういうふうに考えております。
  25. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 これは医務局のほうに本当はお伺いするやつをどうもなにしましたが、伺いますというと、来年度の国立研究所方面におきましては、建築費を入れて六千万円ですか、これだけの予算が出ておるそうですが、若しもこの建築方面でどうしてもそれができんというような場合には、今現在研究のできるような場所が癩の療養所の中にはあると思いますので、そういう機関にでも設置して、とにかく来年度から国立研究所として発足できるように一つ大いに御尽力を願いたいと思います。
  26. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 そのことに関連して、この間も公衆衛生局長伺つたのでございますけれども、昨日の朝日新聞にも人権云々の問題で癩患者について新聞に出ておりましたのでございますが、公衆衛生局としまして、切なる癩患者要求もございますし、ああいう新聞にもいろいろ出ますのですが、あれに対してどういう手を打つておられるか、お伺いしたいのでございます。
  27. 山口正義

    政府委員山口正義君) 現在の癩予防法は明治四十二年に施行されまして、以来二、三改正はございましたけれども、非常に古いものであるから、新憲法にそぐわないのではないかという声がたびたび出ておりまして、先般井上先生からも当院においてお尋ねがございましたが、その際にもたびたび申上げましたように、私どもはそういう声に対しまして、先般来たびたび会議を重ねて検討いたしております。併しながらこの癩予防法が制定されました当時から、癩が伝染病であるという科学的な点に立脚して制定されておりまして、それから只今問題になつております第三條の強制収容、或いはその他の国立癩療養所長に懲戒、検束の権限を与えてあるというような規定につきまして、私どものほうでいろいろ検討してみたのでございますけれども、先だつて申上げましたように、強制収容につきましては、決して初めからその収容に当つて強制力を行使してやるというのではなく、飽くまで説得によつて納得ずくで入所してもらうように指導いたしております。併しながらどうしても如何に説得しても入所を肯じないというような人たちは、やはり公共の福祉を保つという点から考えて、強制的にでも療養所に入つてもらうということをしなければならんというふうに考えられますので、法的には、法形式としてはこういう條文を残しておく必要があるだろうというふうに考えております。  それから所長の懲戒、検束の権限でございますが、これも癩療養所というのは、癩という疾患が非常に根治しにくい疾患でございますので、中には殆んど一生あの中で送るという人がたくさんございますので、癩療養所というのは特殊な社会集団でございます。その集団の秩序を維持いたしますためには、どうしても所長に一定の権限を与えておくということが必要であるというふうに考えておりますので、現在私どもとしましては、これを改正する意思は持つておらないのでございます。併しながらその法を運用するに当りましては、患者からしばしば、声が出ておりますので、例えば強制権をむやみに振り廻すというようなことがないように、又懲戒、検束の権限をむやみに振り廻すことのないように、又秘密漏洩のことが行われないようにというようなことで、実際にこの法を運用して参ります場合には十分注意してやられるように一層指導を加えて行きたい、そういう考えで進んでおります。
  28. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 今の癩の問題につきまして、もう少し、丁度今医務局長がおいでになつたから一緒にお伺いしたいのでございます。先刻申しましたインドに参りました場合に、インドにおきましては百万以上の獺患者がいる。そうしてこれに対しまして治療方面が全然できておらん。ところが聞くところによると、日本は癩の患者がいろいろ予防法とか或いは優生保護法というようなふうの法律のお陰で、だんだん減つておるという話であるが、特に日本にいい薬もあるそうだから、是非とも一つそれらの薬の成績、データを抄録してもらいたいとか、或いは法律を抄録してもらいたいとか、或いはできれば薬を少しもらいたい、サンプルとして是非薬をもらいたい、このもらつたやつを自分のほうで応用してみてその成績を少し見ましてから、あちらから医学者のミツシヨンを作つて、そうして日本のほうに是非視察に上げる。その結果日本から一つその後において多数の医者の応援をもらつて救癩事業を完成したい。而もネールのごときはガンジーの記念事業として救癩事業を起したいなどと申しておりましたので、私帰りましてから、是非一つそのサンプルを早く送つて頂くようにいろいろとお願いたしておいたのですが、もうすぐサンプルが来ることになつておりますのですか。そういう方面もこの際一つはつきりしておいて頂いたら非常に結構だと思います。
  29. 山口正義

    政府委員山口正義君) 只今のインドへ獺の治療薬を送るという点につきましては、これは海外との親善という問題等もありますし、又海外の諸国へ物を寄贈するというようなことになりますので、事柄は外務省が指導性を持つて事に当つてもらいたいということに話を進めておりまして、外務省から厚生省に対してもそれについて協力方を申入れておるのでございます。先般来外務省当局、それから厚生省内部では公衆衛生局医務局とが相談いたしまして、又これは大蔵当局にも相談しなければならない問題でございますので、現在のところでは外務省に指導性をとつてもらつて話を進めておるわけでございます。
  30. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 只今外務省などとも協力して、そうして大蔵省にも話し合つた上で早速出すようにまあやつておるということの話を聞いて安心したのですが、是非ともこれはインドとの親善関係上にも極めて必要でありますからして、薬を早く送つて頂くようにして頂きたいと思います。又大蔵省方面にも十分御相談を願つて是非一つ実現するようにお願いしたいと思います。  なお、丁度医務局次長さんもお見えになりましたからして、先刻は癩の研究所の問題についてちよつとお伺いしたのでありますが、明年度の予算におきまして、癩の国立研究所ができるように予算が出ておるそうでございますし、六千七百万円ばかりの金が出て、而も研究所を建築するというような方面に進まれておるそうですが、これは是非とも先刻も申したのでございますが、日本でなければ今世界各国中で癩の研究を本式にできる場所がないのでございまして、東南アジアみたように比較的研究のできん場所には癩がたくさんおりますけれども、欧米方面には殆んど癩患者というものがおらんから、日本がここで癩の研究所を作つて、本当に根本的に癩を治療することができるようになりましたら、その余沢が東南アジア方面にも大いに進んで行くことになりますので、是非とも一つ研究所を実は本年度作つて頂こうと思つてつたのが、昨年は大蔵省から削減とかいうことでやつておりませんので、来年度は是非ともやつて頂きたい。なお若しもこの六千七百万円が取れずに家が建てられんというのだつたら、今現に癩療養所の中にかなり研究のできる場所もあると思いますので、そういう所に経営費を早速出して、来年度から一つ実施するように御尽力を頂きたいと思いますので、どうぞそれに対していろいろとお話を伺いたいと思います。
  31. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 今お話の癩の研究所につきましては、谷口先生がこの委員会において癩の小委員長をしておられました頃から熱心に取上げられた問題であります。もともとこの癩の研発所は多年の要望でもございますし、又人道上からも何とか成し遂げなければならない事業でありますので、私たちとしましては、これが予算的に可能なように計上せられるように十分努力をいたしたいと思つておる次第でございます。私たちの力の足りません分は、なお一つ御援助を頂きまして、目的が達成できるように十分努力をいたしたいと考えております。
  32. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) ちよつと関連してお伺いするのですが、今の薬を送るとか、そういう文献等を送るということは、勿論大蔵省、外務省の関係がございましようが、厚生省から直接大量のものでなくとも、非常に要求しておる向うの特殊の興味のある人、そういう人に送つてやるというわけにはいかないのですか。例えば先般愛生園の光田さんなんかの立派な英文の書物が発行されております。ああいうようなものなんか早速何部か送つてやれば向うも非常に喜ぶのじやないかと思うのですが、厚生省から少しやるというわけには行きませんか。……ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  33. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 速記を始めて。
  34. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 保険局長さんにお伺いしたいのですが、あの国民健康保険の保健婦補助三分の一を五千八百九十九人分取つておられますけれども、これは一体どのくらい平均して取られておるものでございましようか。と申しますのは、この間長野県に参りましたら長野県の保健婦が四千円以下三千八百円から又四千五百円までの月給で保健婦が働いておる。二十名中四名は結核で倒れております。それで教員の人には住宅がございますが、無理に働いておつて保健婦には住宅がございませんし、自転車は自分の自転車で以て行かなければならないというふうなことで以て、むしろ非常に生活困窮を訴えております。疲労とそうして病気と生活困窮と、だんだんとそういうことをしておつたのでは困るからというので、寄宿舎のある病院に帰つたほうがいいからというので、看護婦なつて帰つて行くというようなことで、結局そういう保健婦なんかには裏付けと言いましようか、補助と言いましようか、そういうものが絶対にないので、実に困るということを聞いて来たのでございますが、これに対して保険局長さんはどういうふうにお考えなつておられるでしようか。
  35. 久下勝次

    政府委員(久下勝次君) 健康保険におきまする保健婦補助金でございますが、本年度は総数五千三百三十四人でございまして、一人当りの給与の単価は年間八万八千七百円を取つておるのでございます。来年度の要求は一般のペース・アツプも考慮いたしまして、先ず一人当りの給与の単価を十一万九千三百四十六円、それから人数を増加するものと見込んで約五百人を増加するものと見込みまして五千八百九十九人分を要求しておるのでありますが、その金額は勿論ほかの費用もございますけれども、お手許の数字になつておるのでございます。
  36. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 それではこれは平均でございますから、この三千円くらいの人があるというと二万円くらいな人もできて来るのは止むを得ないのでございますけれども、最低どのくらいのところでオーケーというような指示が行つておるか、最低の給与は……。
  37. 久下勝次

    政府委員(久下勝次君) 今私その辺のところ、細部について承知をいたしておりませんので、後刻調査いたしまして……。
  38. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 どうぞ一つよろしくお願いをいたします。  それからもう一つ続けてお伺いいたしたいのですが、この国民健康保険の団体がたくさんできて参りますのでございますが、国民健康保険の事務費は全額国庫補助だと思いますけれどもちよつと面白いことを聞きました。掛金が百八十円くらいといたしますと、すでに掛金と一緒に地方の事務費を十円なり、中央の事務費が二十円なり取つているということがちよつと耳に入つたのですが、そういうことがあり得るものか、してもいいものか、ちよつと御意見を伺いたい。
  39. 久下勝次

    政府委員(久下勝次君) 国民健康保険の事務費は仰せの通り、方針としては全額国庫で負担をするという建前なのでございます。ただ私どもがこの予算要求をいたします場合には、各地方の実績をとりまして、更に前年度に予算を組む関係もありますので、翌年度のいろいろ諸費用の増加の見込み等を考え合せまして、地方から一応の資料をとるわけでございます。それを集計をいたしましたものを予算要求書として出すのでございますが、結局予算折衝の際に査定をされますので、その結果が本年度は被保険者一人当り五十三円七十銭になつております。来年度は今申上げたようなことから七十二円五銭くらいになる見込みで要求いたしておるのでございますが、これも要求通り単価が通りますかどうかわからないので、査定を受けます関係上、全体的に見ますると、全額補助なつておりますけれども、地方の事務費に持出している部分が若干ございます。総額で二十六年度実績で一億程度つた思いますが、その程度は五千円市町村が平均持出しておることになつております。只今のお話の点はそういうことではないのではないかと想像されるのでありますが、結局これは市町村がどの経費から出ているか、私どもその辺明確でございませんが、全国的に見ますると、昭和二十六年度に十六億円ほど一般会計からして繰入れもいたしております。そういう点もございますので、必ずしも今申上げた若干地方で自弁をしなければならない事務費が被保険者持ちになつているとも言えないと思います。この辺個々について精細なことはちよつとお答えする材料もございませんけれども、なお想像いたしまするのに、そうした十円とか二十円とかいうようなことになりますると、或いは連合会の費用などがございますので、そういう分として別口に取つているのではないかとも想像いたされますが、この辺は想像に過ぎませんので、調査をいたしたいと思います。
  40. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 この間ちよつと資料を頂きまして、大体要領を得たのでございますけれども、その後どういうようにお調べになつておるか、これは大学病院の健康保険の問題でございます。大学病院はずつと前に健康保険との契約をして、そうして研究をしなくちやなりませんので、或る程度の点数を認めてもらいたいということで申出て、契約ができているはずである。それに地方の結局治療方針でありますが、大変文句を言われたりというようなこともあるので、何だかはつきりしないかというようなことでございました。この間こういうようなことでないかというのでちよつと資料を頂いたのでございますが、これについては厚生省はどういうように大学病院の健康保険の単価といいましようか、点数はどういうようにお考えなつておられますか。
  41. 久下勝次

    政府委員(久下勝次君) 大学病院と健康保険の取扱いとの関係の問題でございますが、この問題は実は昨年来いろいろ折衝を重ねております問題であります。一番問題の焦点になつておりますのは、お話の点ではございませんで、大学特に国立大学におきましては、定員法の関係がありまして、事務職員の増員が認められないのみならず、逆に一般の行政整理で人員を削減するという状況でございます。そこで大学病院の実情から申しますると、他の病院と違いまして教育的な仕事もございます。そういう面から普通の職員では到底手が廻らない。従つて健康保険の請求明細書を書くことができないというようなことが問題であるのでございます。この点につきましては、私どもまあ文部省と協力をいたしまして、何とか来年度の予算には、本年度の予算にもそのことを実現しようと思つていろいろ折衝いたしましたが、とうとう一般の方針に従つて増員を認められませんでしたが、なお来年は事務職員でもいいから、そういうことで健康保険の仕事をやる以上は明細書な出して頂かなければ仕事が円滑に進みませんので、そういう方面の隘路は文部省と協力して打開いたしましようというお話をしておるところでございます。勿論お話のような研究費の問題等もございますが、この点につきましては、私どもとしては大体大学当局の御了解が得られておるのじやないかと想像いたしておるのでございます。と申しますのは、社会保険の単価の計算の中には、臨床をやつて参りますために必要な研究といいますか、書物を読んだりいろいろいたしますそういうような費用は若干は見込んであるのでございます。それ以上の大学独特の研究費用というものは当然これは国家なり何なりが持つべきものでありまして、社会保険がこれを負担するというのは適当でないのじやないかということで、話合いをしておるところでございます。この点につきましては、御要望があることは承知いたしておりますけれども、併しこれはそれがなければ絶対に健康保険を引受けないというほどに強いお話ではなくて、その点は私どもとしてもそういう必要は別に国立ならば国家、公立ならば地方公共団体が当然出すべき金でなければならんというふうに理解いたしております。
  42. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 保険についてはちよつと大切ですから私お伺いしたいのですが、厚生年金の病院が計画されているが、どういうふうな計画で今進めておるのでありますか。  それから予算要求のほうへ出ております厚生年金の福祉施設に必要な経費がこの中に入つておりますか。
  43. 久下勝次

    政府委員(久下勝次君) 厚生年金病院の予算は今お話のように、厚生年金の福祉施設の中に入つております。この基本的な考え方は当初厚生年金制度ができましたときに保険料のうちの千分の一、即ち〇・一%を年金被保険者のための福祉施設に使うべきものであるというような了解といいますか制度なつておつたのでございます。ずつといろいろな事情からその辺が実現いたしませんで、最近に至つたのでございます。昨年さような方針でもあるのでというようなことで年金被保険者、特に現在被保険者の保険給付の多くを占めております怪我をいたしましたいわゆる障害年金受給者に対しまして、いろいろ整形外科的な治療を見てやることが必要でございます。そういう意味から東京と大阪に昨年度、今年度の二年度、まあ来年度に若干跨る予定でございますが、整形外科を中心とした病院を建設中でございます。それぞれ一部の病院が建築を落成いたしましたので、診療を開始いたしましたところでございますが、来年度の三月までに第二期工事が完成いたしまして、これによつて約三百ベツドの病院ができ上る予定でございます。  それからあとの附帯設備のための費用若干と、それからもう一つ北九州方面でも作つたらどうかという要望がございますので、その予算要求してございます。
  44. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) これは障害年金の受給者に対する特殊病院というような意味のように伺つたのですが、これは久下局長医務局等の関係をよく御承知なんで、我々が申上げるまでもないのですが、こういう福祉施設に使うということがあるにいたしましても、医療体系としては何かもう一つ厚生年金なら厚生年金、国立病院は国立病院というふうなものでなくて、国の一貫した一つの方針の下におやりになることが我々は本筋じやないかと思うのですが、そういう点につきましては一番よく局長が事情をよく御承知なんですが、どういうお考えですか。
  45. 久下勝次

    政府委員(久下勝次君) すでに建設の始まつております東京、大阪の病院につきましては、私は当初の計画のときに関係をしておりませんでしたので、今ここで詳しいことを申上げる材料を持つておらないのであります。少くとも今考えておりまする九州方面に一つという要望に応えますることを、若し予算が通つて実施しようとするときには、当然私は医務局考えております一般の医療機関整備計画というものに則るようにするつもりでございます。そうしてそのほうで必要がないという所にこのための施設を作る考えはございません。
  46. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 北九州方面に仮に作るとすれば予定はどの辺を、何かまだおきめになつておらないのでございましようか。
  47. 久下勝次

    政府委員(久下勝次君) 私のほうとしてはまだきめておりません。地元福岡県からの要望では、北九州の五都市のどこかに作つてもらいたいということを県としてまとまつた要望を持つておりますが、この辺まだ予算も取れておりませんので、まだ具体的には考えておりません。
  48. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) それじや丁度国立病院の地方委譲の問題もありますし、それから障害年金の受給者というと症状の固定した人が多いと思います。そういう場合に温泉病院等との絡み合いというものをお考えなつておりますでしようか。労働災害のあといろんな場合に温泉を利用するということが非常に有効なりというので必要とされておりますが、そういうものと一緒にして総合計画をお立てになるというふうにはお考えなつておらないのでしようか。
  49. 久下勝次

    政府委員(久下勝次君) 温泉を利用する施設につきましては、実は厚生年金の福祉施設といたしましてすでに全国に四カ所施設がございます。北は登別、湯河原、玉造、それから九州の嬉野、ここの四カ所でございます。温泉を利用いたします施設はすでに小さいのはあるのでございますが、それは温泉ばかりでもございませんという意見もございますので、一応東京、大阪に別のものを考えたわけでございます。そういう意味で、決して十分とは申せませんけれども、すでに温泉を主体としたものが四カ所ございまするので、そのほかの意味で今後のものは作つておるのでございます。
  50. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 只今つて北九州にできるものについては医療整備計画と睨み合せてというお話で、これはよくわかりましたが、そうするとすでに大阪、東京等にできました分についても将来そういうふうに医療機関の整備計画の中に一応はめ込んで考えるというふうなお気持はございませんか。
  51. 久下勝次

    政府委員(久下勝次君) お尋ね趣旨がよく了解しかねた点があるのでありますが、医療機関整備計画の中にはめ込んで考えるという場合には、私の申上げたのはすでに医療機関が十分ありまして、そういうものを具体的な場所に立てる必要がないというようなときには考慮をするということでございまして、すでにでき上りましたものの運営ということになりますと、医療機関整備計画というものには直接関係はございませんで、お尋ねの点は、更に一歩進めました各医療機関の経営の関係ではないかと思うのであります。そういう点につきましても私どもとしては十分考えて参りたいと思つております。
  52. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 政府のほうでは来年度の予算に三百二十二万の予算をお割きになりまして、農村の農繁期に備えて、一町村平均二カ所くらいずつ季節保育所をお作りになるそうでございますが、誠に時宜を得た方法だと思つて歓迎いたしておりますけれども、これと同時に都会地におきましては、季節的にではございませんけれども、年中ずつと働きに出る婦人が多うございます。交通難のときでございますので、子供を連れて外出は困難でございますのでやはり農村に劣らないように町内で一カ所或いは二カ所ずつくらいの託児所は必要だと存じますけれども、これに対する御計画はございませんでしようか。
  53. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 季節保育所に対するような職場の託児所という御質問かと思います。さような託児所は農村と違いまして、季節的なものでございませんので、普通の通念の保育所ということに相成るかと思つております。従いまして従来も殊に日雇い労務者なんかのものをやつておりましたけれども、一般の保育所の中に含めてそういうようなものも来年度措置いたしたいと、かように考えておるわけでございます。
  54. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 一般の保育所に併せてとなりますと、大分地域的に偏するのですね。手取早く近いところに託児所がございませんと利用しにくうございます。予算関係もございますから無理も言えませんでしようけれども、できるだけ地域的に公平に、最初はそう近い範囲には作れないと存じますけれども、成るべく平均して常設機関として作る必要があると思いますから、お含みおき願いたいと思います。  その次は身体障害者のために昨年でしたか、強制的に一定の官庁、会社に対しまして雇用をしてもらうようにするという案が出ておりましたのを、政府のほうでは引込めまして、折衝によつて成るべくその目的を達成しようという御方針のように聞いておりますけれども、その後の成績は如何でございましようか。
  55. 黒木利克

    政府委員黒木利克君) 身体障害者雇用の問題の所管労働省でやつておりますので、早速問合せましてお答えをいたしたいと思います。
  56. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 それからその次二千九百四十万円の予算を割いて来年度に老人ホームを設置されるそうでありますが、これは有料養老院のことですか。
  57. 黒木利克

    政府委員黒木利克君) さようでございます。
  58. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 無料養老院というのは相当あるはずなんですけれども、それは殖やさないのですか。
  59. 黒木利克

    政府委員黒木利克君) これはその前にございます保護施設の中に無料の養老施設が約六十カ所くらい含まれておりまして、このほうで予算要求をいたしておるわけでございます。
  60. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 その人たちの生活はやはり生活保護法の金で賄つておるのでございますか。
  61. 黒木利克

    政府委員黒木利克君) 施設の設備の補助費は保護法の関係で出しておりますが、中に入つております老人のかたたちの中で保護法の適用を受ける人たちと受けない人たちがございますので、大体保護施設の基準といたしましては、保護法の適用を受ける御老人のかたたちが定員の半数以上なければならないということに相成つておりますが、従つて保護法を受ける者には保護法の生活補助費用はみるわけでございます。
  62. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 聞くところによりますと非常に待遇が悪いそうでございますね。政府のほうではすでに転落している女性に対しまして十七カ所に、何というのですか、九百名ばかりの婦人を収容して、その原因の究明などをされているそうですが、そこから出て参りました現実の成果並びに今後の御方針について何かございますでしようか。
  63. 黒木利克

    政府委員黒木利克君) 正確な数字は後刻調査いたしましてお答えいたしますが、約九百名が十七カ所の施設でいろいろ職業の補導を受けたりいたしておりますが、最近におきましては、新らしくこの更生施設に収容いたしますのは、大体病院で性病が治癒いたしまして、そうして行く所がない、それから健全な社会生活に入りたいというような希望者を入れておるのでございます。そこでこの施設の新陳代謝の、結局成果を申上げればいいのでございますが、最近におきましては残念ながら余り新らしく入り、そうして更生をいたしまして出るということの成績が期待したほどございませんで、残念に思つておりますが、正確な数字は後刻申上げます。
  64. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  65. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 速記を始めて……。
  66. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 それでは社会局関係ちよつと伺いたいのですが、これは保険にも関係があると思うのでございますが、労災保険の人でございますが、打切補償のあとでございますが、今永らく入院しておつて、二十万円、三十万円のお金をもらつて、一年ほど入院料を支払つたらあとなくなつてしまうというので非常に困つておるのでございますけれども、それをどういうふうに処置されておられますか。予算の中にそれらの人の生活保護の予算が出ておりますか。
  67. 黒木利克

    政府委員黒木利克君) これは社会保険なり労災保険が打切りになりましたあとは、一般の国民と同じように保護法の適用をいたすわけでございますが、申告いたしておきまして、私のほうで仔細な調査をいたしまして、保護の要件を具備すれば保護の対象とする、こういうことになつております。
  68. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 生活保護の問題でありますけれども只今仔細な調査をするとおつしやいました。非常にこれで生活保護の問題は痛し痒しの問題でございます。親はありませんが、兄弟が或る程度店をしておる、弟がちつとも収入がなくて結核で入院するというようなこの間も一つ例があつたのでございますが、弟の収入がないから生活保護にかかりたいというのですが、それで今度は兄貴の商売があるからということでございますが、親と兄弟との比較はどういう工合にやつておりますか。生活保護法等では親類に財産があるのと同じようなことになるのか、どういうふうにお考えなつておりますか。
  69. 黒木利克

    政府委員黒木利克君) これは生活保護法で扶養義務が生活保護法に優先するという條文がございますので、その取扱いにいろいろ苦慮いたしておるのでありますが、最近におきましては、実は扶養義務にも夫婦の間とか未成年の子と親との間のような、いわば最後のパンの一切れまで分け与えなくちやならんようなこういうような関係と、今度は兄弟とかその他の親属の関係の扶養の義務、こういう大体二つの義務がございまして、第一の親子の関係とか、夫婦の関係の扶養義務は、これは相当最後まで私のほうでは追及するわけでございますが、その他の扶養義務については、だんだん最近は実情に即応するように、緩和というとおかしいのでございますが、手心を実は加えておるのであります。又加えざるを得ないと思いまして、しております。
  70. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 他に御質問ございませんか。
  71. 藤原道子

    ○藤原道子君 私大変今日は医者の治療等で遅刻をしておりますので、すでに御質問があつたかと思いますが、二、三お伺いしたいと思います。  婦人ホームの問題も先ほどちよつと御質問にあつたと思うのでありますが、婦人ホームの実態と今後の方針をちよつと伺いたいと思います。遅いから箇條書で聞きますけれども、この特殊婦人の転落の原因を当局はどのように考えておられるか。それから赤線区域なるものをどう考えておいでになるか。それから性病対策、それからこれらの実施要項等についてちよつとお伺いしたい。それに婦人ホームに必要な経費が計上されておるのですが、これで事足れりとお考えであるかどうか。
  72. 黒木利克

    政府委員黒木利克君) 第一と第二の問題が私の所管でございますので、それについてお答えをいたしたいと思います。  御指摘のように特殊婦人の保護につきましては、この数年来やつておるのでありますが、御指摘のように、残念ながら私のほうの期待した成果を挙げていないのでございます。現在のところでは十七カ所の施設で大体定員が九百名程度でありますので、まあこの人たちの更生を一刻も早く図りまして、あと又病院を出て行くところのない人たち、或いは更生の希望の人たちの御面倒を見るというような非常に消極的な対策をやつておるのでありまして、而も現実の十七カ所の施設も当初期待いたしておりましたように、職業補導を適確にやりまして、一刻も早く更生をできるようなことを考えておつたのでありますが、なかなか思うような成績が挙らないで苦慮をいたしておるのであります。深川先生からの御質問がありましたから、これが資料につきましては早速数字的なものをお届けをいたしたいと思います。  それから次にこの原因でございますが、これもいろいろ調査をしておりますが、主としてやはり経済的原因、特に農村の不況とか或いは家庭の不和とか、いろいろ何と申しますか、御当人の感情的な問題もあるようでありますけれども、これが対策につきましては、結局は経済的問題に起因するものは、生活保護なりその他によりまして、こういうことの起きないように生活保護の運用を私のほうとしましては適確にやる。或いは事前にそういうような人たちの相談をできるだけ受けるようなことを福祉事務所として行わしめる、こういうことでやる以外にはないと思つておるのであります。感情的な問題或いは家庭の問題につきましても福祉事務所、その他の福祉施設、民間の社会事業の相談施設の機能等を大いに発揮いたしまして、できるだけこういう施設があり、又相談をする方法があるのだということを徹底させたいと思つておるのでありますけれども、何せいろいろ外国の兵隊がおりますことですし、理論的には解決の方法考えられましても、なかなか思うような成果を挙げていない。ただ消極的に何か誠意を以てやつておるというような程度でございまして、誠に申訳ない段階でございますが、さようなことしか御答弁を事務当局としてはできないのでございます。
  73. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 藤原委員ちよつとお伺いいたしますが、保険局関係で御質問がございましようか。保険局長が御用事があるそうなので、御質問があればずつとおつて頂いて、なければ帰つて頂きます。
  74. 藤原道子

    ○藤原道子君 時間も遅いようでございますから、保険局の関係は又伺うとして、ちよつと伺いたいのですが、先ほど深川委員の御質問への御答弁であつたかと思うのでありますが、婦人ホームの関係は、性病等で病院へ入つた本人の希望で云々、こういうようなことがあつたと聞いたのでございますが、実はこの特殊婦人の中には精神薄弱のかたが相当いるというふうに私聞いておるのでございますけれども、そういう人の扱いについては何か積極的な方法をとつておいでになるだろうか、精薄の人もやはり性病さえ直ればそのまま社会へ送り出して同じ仕事を繰返えさせるようにしておいでになるのでしようか。
  75. 黒木利克

    政府委員黒木利克君) 実はこの特殊婦人の施設は御案内のように宗教団体に経営を委託しておるのでございますが、ここで宗教団体のかたたち、或いは社会事業の専門のかたたちがこういう人たちの指導に当つておるのでございますが、そこで確かに精薄の人たちもおつたわけでございますが、できるだけこういうような宗教家なり或いは社会事業家にお願いをする。こういう人たちが事実上ここに長くこの施設にとどまりまして、更生をして社会に出るということは非常に少いようでございます。現在のところではここを出ましても、ほかに適当な施設がございませんので、止むを得ずこの施設にとめおいて、できるだけ面倒をみるというような形態になつております。
  76. 藤原道子

    ○藤原道子君 最近問題になつておりまする混血児等の問題にいたしましても、混血児のように非常に精神的な、まあ何といいますか、精薄児が多いと聞いているのです。それはこうした精薄の母から生れて来るということも一つの原因じやないかと思います。ところがこの混血児の問題は今はまだよろしいが、将来大きな社会問題になるのです。ところが政府はそういう施設がないから仕方がない、宗教団体にお願いをしておるというような消極的態度がよろしいとお考えでございましようか。本当に必要ならば、大きな国家的な問題を孕んでおるこの問題に対しては、もつと積極性を持つてつて行くべきだと私は考えるのでありますが、それに対して当局のお考えを伺いたい。
  77. 黒木利克

    政府委員黒木利克君) 事務当局としては誠にお説のように考えておりますが、これはこの二三年来増設について大蔵省折衝いたして来たのでありますが、現在では十七カ所の施設以外には収容し得ない。或いはこの施設もいろいろ精薄のかたたち、或いはその他中に入つて来る人たちを分類をして更生に当りますと、効果が挙るということはわかつておるのでありますが、現在のところではこの十七カ所の施設で社会事業のできるだけ専門家をおいてケースワークをやる以外にはない段階で、誠に残念に思つておりますが、事務当局としては誠にお説の通りに何か積極的に解決をいたさなくちやならんと思つております。
  78. 藤原道子

    ○藤原道子君 大蔵省予算をくれない理由はどういう理由でございましようか。
  79. 黒木利克

    政府委員黒木利克君) これはいろいろ折衝段階におきましては理由をお互いに言い合うのでありますが、結局は今までの実績でそう期待した効果がないのじやないか、それと対象が非常に多いものでございますから、これについてやるにはそう事務的にはやはりなかなか話がつかない、こうい事情でございます。
  80. 藤原道子

    ○藤原道子君 今までの成績を理由にしてもらえないということが最大の原因なんでございますね。大蔵省予算を出さないということに対して、今大蔵省がこういう事態に放置しておくことは、将来より一層の費用を必要とする結果になるということについての御説明をしてもなお且つ大蔵省がよこさないと、こういうことなんですね。
  81. 黒木利克

    政府委員黒木利克君) 実は私たちの不徳のいたすところで、現在のところではそういうような理由で事務的には水掛論になつておるのでございます。
  82. 藤原道子

    ○藤原道子君 当局としてはどのくらいの予算要求されたかということをちよつと伺いたい。どれだけの予算があれば施設ができるというお見通しか。
  83. 黒木利克

    政府委員黒木利克君) これは対象がこれもまちまちでありますが、約数万と言われております。この例も、単に施設を作りまして解決をするというような問題でなしに、例えば軍港都市の実態の報告を受けておるのでありますが、ここではいわば軍港の工廠で十二万の人たち職場を持つてつた。ところが現在では一万人しかそのうち職場を保有できなかつた。そこでそういう残りの人たちの生活の手段として、こういう人たちにいろいろ間貸しをするとか、そういうようなことも原因のうちにあるのであります。こういう解決は単に施設をたくさん作りましても解決ができる問題でなしに、もつと根本的にそういう軍港のいわば経済の再建、産業の再建、こういうような大きな問題にも帰着いたしますし、なかなか私のほうだけの施設だけでは解決つかない、こういうようなことで、もつと根本的にこれは政治として解決をして頂くのがやはり前提にならなくちやならんのではないか、まあこういうことで、事務当局としては誠意を以てできるだけの折衝をするというようなことしかできない段階でございます。
  84. 藤原道子

    ○藤原道子君 私ももとより施設だけで解決がつくとは思わない。けれども解決つけようとする場合に、施設があれば施設で併せて行わなければならない。ですからどのくらいの予算を必要として要求されたかということをお聞きしたい。
  85. 黒木利克

    政府委員黒木利克君) これはこの十七カ所のいわば算定の基礎も、この対象はつきりつかめませんし、又事実これは国警の調査とか法務省の調査とかいろいろありますが、やはり推定に過ぎませんので、又対象がいろいろ変りますので、数が変りますので、私のほうとしましては大体又ブロツク別に八ブロツクございますが、そのブロツク別に二カ所なり三カ所なり作つて行こうというので、大体ブロツク別に二カ所ずつというのが、たまたま一カ所余計になりまして、十七カ所になつておるのでありますが、できるならこれをブロツク別に三カ所ずつくらい設けて参りたいということでこれを考えたことがあるのでありますが、この二カ所三カ所も、全体の数万という対象から見ますと問題になりませんので、結局実現を見ないでおるのでございますが、大体対象を完全にこなすというような予算の組み方でなしに、ブロツク別に施設を何カ所ずつか殖やして行く、こういうような予算の実は取り方をいたしたのでございます。従つてできるなら各ブロツク別に一カ所ずつ殖して参りたい、こういうつもりでおるのであります。
  86. 藤原道子

    ○藤原道子君 そうすると要するにどのくらいになるのですか。
  87. 黒木利克

    政府委員黒木利克君) 大体一カ所で補助は、三百万に対しまして、二分の一として、これは従来は十分の八でありますが、最近の保護施設として二分の一として百五十万円の八カ所ということになつております。
  88. 藤原道子

    ○藤原道子君 この特殊婦人に対しての収容所というものは、今までのようなただ人れておけばいいということではなくて、もつと積極的な職業の指導というようなことも或いはお考えなんでございましようか。
  89. 黒木利克

    政府委員黒木利克君) 誠にその通りでございまして、単に部屋を提供するというのみならず、精神教化と申しますか、精神的な面の指導、それからここを出まして食つて行けるような職業補導、そういう点に重点をおきます。ただこの問題は精神的な面の指導が重要と思いまして、役人の手よりも民間のところに、特に宗教家の手に渡したほうがいいというので、宗教団体に委託をしておるのであります。
  90. 藤原道子

    ○藤原道子君 この問題はいずれ当委員会としても委員長と相談してもつと大きく取上げたいと思つておるので、今日はこの程度にいたしますが、とにかく大蔵省当局あたりが特殊婦人の収入を予算に計上して一億だなんてべら棒なことを言つておる。いわゆる話にならん計上でございますので、これはもう少し徹底的に解決に当りたいと思つております。  社会局長に続けてお伺いいたします。生活保護法の適用についてどのような指示を地方に与えておいでになるかということが一つ、それから生活保護法に必要な経費、ここに挙げられておりますけれども、これは対象が今のままの対象を以てこういう計算が出ておるのか、それでお米が上つたり、又これからいろんな物価が上るということを見越しておるのでございますが、今どの程度の基準にするお考えであるかということ、それから医療保護はどの程度のものから与えられるかということをちよつとお伺いしたい。
  91. 黒木利克

    政府委員黒木利克君) 第一の問題は、生活保護法に関する実施要領というものがございまして、これに則つて福祉事務所で運営してもらつておるのございますが、私のほうで最近いろいろ福祉主事を訓練いたしまして、その重点といたしております趣旨は、自立助長と申しますか、社会的の自立と申しますか、ケースワークということを生活保護法に大いに採用してやりなさい。これは先日藤原先生から御指摘になりましたように、ともすれば役人のやりますことですから形式的な冷淡なことになる虞れがある。これは社会福祉主事という専門職業になつたのでございますから、職業倫理と申しますか、どうしても当然これは親切に相手の立場になつて、相手が自立できるように援助して上げるということをやはり主眼にしなければならないということを強調いたしております。残念ながらなかなか徹底をいたしませんで、御指摘を受けたわけでありますが、こういうことのないように、いわば国民の公僕といたしまして、又保護法の規定いたしております目的といたしておりまする自立助長ということを大いに実現できるように福祉主事を訓練し、指導して参りたいと思つております。  第二の保護費の問題は、これは大体被保護者数の上昇の率が最近一月から八月くらいまでの、八月の今被保護者の数までわかつておりますが、この被保護者の上昇の比率というものを見まして、来年四月から明後年の三月までにどういうふうに被保護者が殖えるだろうというような大体推定をいたしまして、被保護者の数は出すわけでございます。  それから基準の問題は、一月一日から米価の改訂がございますが、これは当然五人標準世帯で百五十三円程度になりますが、これは当然基準を上げます。それから来年四月からは大蔵省に対して基準の引上げを要求をいたしておりますが、大体現在五人世帯で七千二百円でありますが、これを八千二百円程度に引上げたい。詳細はいずれ又あとで御報告申上げたいと思いますが、そういうことでやつております。  それから医療保護の問題でございますが、これは先般も御質問がございました。私のほうでは社会保険の例にならいまして、この医療の内容なり或いは診療報酬なんというものはやつておるのでありまして、最低医療ということを生活保護法で申しておりますが、実はこれは必要にして最小限度費用最小限度の医療という意味でありまして、言葉が悪いと思いますが、適正医療というふうな言葉のほうが適確であると思います。つまり社会保険で認めております医療は生活保護法でも当然これは認めるわけでございます。御質問の意味の医療保護と社会保険との違いを主として申上げたのでございますが、何か又見当違いをお答えいたしておりましたらお答え直しいたします。
  92. 藤原道子

    ○藤原道子君 私ちよつと伺いたいのは生活保護法に最低の医療という言葉があるのです。それをどうしても改めたいと思うのですが、その意思がありますか、どうですか。
  93. 黒木利克

    政府委員黒木利克君) 実は適正医療ということでありますから、言葉の意味が非常に語弊がありますならば、機会がありましたら改めたいと思つております。  なおもう一つ問題は、実は生活保護法の五十四條で、国民健康保険の施行されております地域においては、国保のいろいろ診療報酬なり診療の内容による、そうでない所は社会保険の、健康保険の例によるというふうな規定がございますが、実はこういう問題もいろいろ問題がございまして、いろいろ私のほうで検討いたしておりますが、又御意見を伺いまして、機会がありましたら改正をするなり、その他の措置を講じたいと思つておるのでございます。
  94. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) ちよつとそれに関連して私尋ねたいのですが、医療保護の話が出ましたが、扶養義務者があるときとか、或いは多少財産があるときには一部負担がございますね。ところが実際に一部負担を本人が払わない、どうしても払えないというので払わない、そういう場合に払わずじまいになり、困つておるのが医療担当者である。これに対して何か対策をお考えなつておられましようか。
  95. 黒木利克

    政府委員黒木利克君) 実は医療機関がこの一部負担の問題につきましてお困りになつておる実情は承知いたしております。この一部負担が医療機関患者さんの間の関係になりますので、保護法ではその関係の規定はなく、又従つてその対策も保護法では一応考えられないという建前なつておるのでございますが、併し問題は事実上払い得ないような一部負担を福祉事務所で認定するということにも問題があると思いますので、そういう点につきましてはできるだけ実情に即応するように、併しこれは保護法のいろいろ原則がございまして、余り緩めますと濫診、濫療ということになる虞れがあると思いますので、心配しております。
  96. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) それは成るべく緩めて、濫診、濫療ということも一応理窟としては考えられますが、併し医療扶助を受けるというその者の状態が非常に悪いのでありますから、従つてそこからそれの一部負担と言いましても、非常に因つておる人は、仮に周囲にいろいろ親類あるとしても、そこではいい加減迷惑をかけている、だから出ようがない。そういうようなのをいろいろな理窟の上から福祉事務所で一部負担をきめるというのはここによく考えてみなければならない点があるのではないか。そうすると医療担当者のほうに不便が出て来ると、医療というものが公平な医療にならない。いつも不平を持つてつているということになると、折角の立派な制度が崩れて来る。この点を特に何とかよく行くように、迷惑を医者のほうにしわ寄せをするというのはよくないのですから、その辺を願いたいと思います。
  97. 黒木利克

    政府委員黒木利克君) 実はこういう大きな問題と関連して来るのでございます。つまりボーダー・ラインの階層と申しますか、これが私たちの推計では、例えば東北で一町歩田圃を持つておりまして、この農業収入と保護法の保護の基準と大体とんとんというような恰好で、関西では五反歩でございますが、そういたしますと、そういう人たちが農村人口の一割くらいはあるわけなんでございますから、そうすると四百何十万ある。こういう人たちの医療の問題ということになりますと、いわば私のほうで、これは保護法のほうでこれまで背負い込むような恰好になりますと厖大な経費になり、むしろ保護法は最後の線でございますので、その他の社会保険とか社会政策とか、特に国保の関係で最近保護法のほうに負担がかかつておるのでございますが、むしろ保護法よりも別の社会政策で解決するのが本筋ではなかろうか。私のほうでは現実を見て苦慮いたしておるのでございますけれども、余りその辺の手心を加えますと、相当の経費になりまして、保護法のいわば何と申しますか、制度そのものについていろいろ非難を又受けるようなことになりますし、痛し痒しの気持でおるのでございます。
  98. 藤原道子

    ○藤原道子君 その問題でございます。私は医療の場合にはそういう出ない者もあるでしようし、悩みは結局医療のとき、とことんまでやりますと、今度は落つこつちやつて、生活保護法をずつとやらなければならないのですが、医療のときは濫診、濫療になるというけれども、面白がつて病気になる者はない。常識判断だと思う。従つて医療保護はやはり適正医療を清くやつてもらわなければ効果は挙げがたいと思う。いま一つは最近私長野県とか新潟県、三重県、各地を廻つてみますと、あとの講演後の座談会で出て来るのは、生活保護法の適用の問題が殺到するのです。甲の市では当然保護を受けている。併し乙の町村では受けることができない。これはその二割負担というものが大きく響いて来ている。あれは生活保護法の最初の審議のときからこれは問題になつておるのでございますけれども思いつて健康にして文化的なる最低限度の生活というのですから、全額国庫負担にしなければ生活保護法の適正な運営はできない。これはどうしても私は実現しなければならないと思うのでございますが、あなたはどう考えておられますか、
  99. 黒木利克

    政府委員黒木利克君) 実はお説には全く同感でございまして、ただ実施機関が現在は県と市と、或いは希望すれば町村ということになつておりますが、ここでいわば濫給ということが心配になるというので、或る程度の負担を持つてもらおう、こういうことになつておりますが、私のほうの、生活保護法の建前としては、国の所管でやるのでありますから、これは全額を国庫負担すべきだということを信じておるのであります。ところが最近の傾向は残念ながらむしろ五割の負担にしろ、こういうような財務当局の声がございまして、むしろそちらのほうの防戦をしなければならないような情けない実情にあるのであります。
  100. 藤原道子

    ○藤原道子君 ちよつと待つて下さい。五割負担なんということがまじめで考えられておるのですか。
  101. 黒木利克

    政府委員黒木利克君) 実は昨年の保護法の大蔵省の算定は五割負担にきめられて来たのでありますが、要するにこれは法律があるということで、国会のほうの承認なしにはできないということで突ぱねて来られたわけでありますが、例年の行事みたいにして又今年も起きて来るというふうに予測されるのであります。
  102. 藤原道子

    ○藤原道子君 これは委員長にも御相談でございますが、一部にそういう声がありとするならば、委員長も全額国庫負担ということには異議ないと思うのです。従つてこの厚生委員会で今度生活保護法だけの問題で、本当に真剣にこれは研究してみたいと思うのでございます。よろしうございますね。そういう線で私たちも研究してみたいと思います。  次にお伺いいたします。この間これは山下さんが大分食い下つたわけでございますが、最近老齢軍人に対して年末に二千円の給与が与えられるということが新聞に発表されておる。ところが過日の山下委員の質問に対して当局は十分な答えができなかつたのでありますが、老齢軍人に二千円の給与をするならば、私はもつと困つておる階級を見殺しにしていいわけはないと思う。従つて軍人のみに限らずに、私はこの際生活困窮者であるとか、或いは浮浪者であるとか、それから孤児であるとかいう者にもやはりこういう方法をとりたいと考えておりますが、当局では卒直に答えてほしい。何か年末に給与の方針が考えられておるかどうかということだけを一つ伺いたい。
  103. 黒木利克

    政府委員黒木利克君) お説のように均衡論から申しますと、御質問の意味は全く了解できるのでありますが、ただ生活保護法では収支の認定をいたしまして、こちらできめております基準の線が維持できれば、それで目的は達成できるわけでありますので、保護法で特にそういうようないわば一律的な金銭を年末に給付をするということは建前上私はむずかしいのじやないかと思うのであります。ただ現実にはやはり日本の習慣で年末に余計物が要る。或いは生活費が少しかさむということは認めておりますので、これは例年そうでありますが、一月分の給付の額を十二月にできるだけ給付をするように勧めたい。或いは一時扶助金と申しますか、特に寝具とか衣類とか或いは燃料のいろいろ問題で足りないというような場合の特別基準という制度がありますから、これをできるだけ活用するように従来とも指示しております。これは山下議員からお叱りを受けたのでありますけれども、従来は越冬対策という名前の下に昭和二十四年まではやつていましたが、これは主として物資が入らない時代に物資の配給を実はしたわけでございます。その後物資の問題は一応解決いたしましたので、一応金銭の給付に代えたわけでございますが、それを年末に重点的にやるということは、県によつてはやつておりますが、或る県では年間を通じて必要な場合にはやるというようなだんだん正常的な運営をやるような段階なつておりますので、私のほうとして年末に殊に重点的にやれというような通牒は改めて出さなかつたわけでありますが、併しこれは各県におきましては実情によりまして年末に特別金融ということ、或いは繰上げ支給ということをやつておりまして、年末にやはり同様困る人たちに対しまして特別に面倒をみるようには私のほうでは指示をいたしておるわけでございます。
  104. 藤原道子

    ○藤原道子君 物が出廻つたということと、物が買えるということは一致しない。従つて年末給与というものが輿論になつて、いつも年末大騒ぎしております。併しそういう組織の力を持たない、国によつて生活を保障されておるという人たちに対しては温い心遣いを以てこれは是非つてもらいたい、やるべき性質のものである、こういうふうに私は考えておりますので、是非その点一つ強く要望しておきます。  それから養老院で最近聞いたことでございますが、結婚したいという問題がある。養老院へ来てけしからん、結婚する者は出て行けということで、非常に厳しく扱われて追い出された例がある。一方においては所長さんが卒先して結婚を斡旋して、老後の茶飲み友達、こういうものを斡旋しているという養老院もある。当局は一体どういう方針なのですか。
  105. 黒木利克

    政府委員黒木利克君) これは実は施設の形態なりによつて違うのでございまして、実はお説のように後段のように、できるだけ茶飲み友達を作りまして、老後を楽しく送るということが、私はやはり社会事業の面から行けば理想でなければならんと思います。ただ、ところが一部の人たちだけがそういうようなことをやりまして、あとの大多数の人がそれに対して嫉妬するとか羨むとかいうことになりますと、施設の運営上困るというようなことで、恐らく涙を呑んでそういう人たちは養老院から退所して頂くというようなことをしておるのではないかと思いますが、これは施設の形態でそういう夫婦の部屋を別に作つたり、或いは他の嫉視を受けないような配慮ができればそのほうをむしろ進めるべきだと思います。
  106. 藤原道子

    ○藤原道子君 それでは私はこの問題は納得したのじやないですから、質問を保留いたしまして、時間の関係で私の質問はこれで打切ります。
  107. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 それでは児童局長さんにお伺いいたしますが、児童福祉施設に必要な経費で、この前大体説明を承わりましたが、助産所二十七カ所ですか、それから乳児院十四、助産所、これはどういう分類でございますか、第一種と第二種とどのようなことでございますか、これが承わりたい。  それからもう一つは、福祉助産の費用が大分余るじやないかという話を伺つたのですが、この間も静岡県あたりで福祉助産の費用が余りますので、それを福祉助産の実態調査のほうへ廻したらいいのじやないかと思いますが、実際にこれは福祉助産の費用がどれだけ使われておりますか。  それからもう一つは児童遊園地費を取つておられますけれども、実際に乳児院を建ててみましたら、北海道の天使病院の乳児院の子供にしても実際に子供の遊ぶ所がなく、これは本当に部屋におるだけのことで、満二才になりますが、ちよちよこ外を歩きたがるのにちつとも庭がない。もう少し乳児院の庭ということ、子供の本当の遊び場所を考えて下さつたらいいじやないかというようなことを承わつたのですが、今度は児童遊園地費などとつておりますが、そうしたことの見積りがこの施設費の中に入つておりますかどうか、その二点を伺いたい。
  108. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 第一点は二十床以上と九床以下は区別をいたしております。医療の関係と同じわけです。  それから第三点の乳児院の遊び場がないという問題でございますが、お説のようなものも存在をいたすと思います。今後はできるだけ建設をいたしまするにつきましては敷地に余裕を持つように指導いたしたいと考えます。  第二点の御質問が実はちよつと聞き取れませんで、大変恐縮でございますが、もう一度お願いしたいと思います。
  109. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 福祉助産の費用が大変余るそうでございます。完全に使われないという話だそうですが。
  110. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 御指摘のものがわからないのでございますが、児童の措置費の中の助産施設に使われるであろうと予定いたしておりまする費用でございますか。
  111. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 そうでございます。その中にとつてあるのだろうと思います。福祉助産と申しまして、児童福祉による助産……。
  112. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) わかりました。恐らく児童福祉法にいうところの助産施設に入所せしめて、措置せしめてお産をした場合の費用のことをお指しになつておるかと思います。
  113. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 そうでございます。
  114. 黒木利克

    政府委員黒木利克君) それは御承知通り積算といたしましては、予算支出にこのくらいの費用が要るだろうということは予定をいたしておりますが、御承知通りこれは交付金でございまして、地方の経費でございます。国の予算でその費用が幾ら幾らというふうな計上をいたしておるわけではございませんで、それを私どもがあつちへ廻すこつちへ廻すということは国の権限ではございません。
  115. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 それではよくわかりました。今度は児童遊園地費の問題でございますけれども、大変児童局長御考慮頂くと非常に有難いと思つております。これは天使病院でも言つております。児童局へ何回も何回も願い出ても許可にならない。満二才になつてそこらを歩き廻つて、散歩に連れて行くのに大変だというので、そうした乳児院の庭と申しますか、散歩場所については児童遊園地と列んで緊急に御考慮願いたいと思います。
  116. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) ではこれを以て散会いたします。    午後零時四十分散会