運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1952-12-05 第15回国会 参議院 厚生委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月五日(金曜日)    午後二時三分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     藤森 眞治君    理事            大谷 瑩潤君            藤原 道子君            堂森 芳夫君    委員            長島 銀藏君            中山 壽彦君            河崎 ナツ君            山下 義信君            谷口弥三郎君            西園寺公一君   国務大臣    厚 生 大 臣 山縣 勝見君   政府委員    厚生事務官    (厚生省医務局    長事務代理)  高田 浩運君    厚生事務官    (厚生省社会局    長事務代理)  黒木 利克君   事務局側    常任委員会専門    員       草間 弘司君    常任委員会専門    員       多田 仁己君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○社会保障制度に関する調査の件  (厚生省関係予算に関する件)   —————————————
  2. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) それでは委員会を開きます。  社会保障制度に関する調査の一環として、厚生省関係予算に関連しての質問に入ります。先ず厚生大臣に対する質問から始めたいと存じま。御質問は御通告の順序によつて始めたいと思います。それでは只今から御質問をお願いいたします。山下委員
  3. 山下義信

    山下義信君 私はいろいろ伺いたい点があるのでありますが、他の機会もとつておりますので、今日は一、二伺いたいと思います。  先ず差当りましては、当面の問題といたしまして、厚生省の持つておられまする緊急越冬対策につきまして、伺いたいと思うのであります。御承知のごとく、すでに極月のこの酷寒に臨みまして、いろいろ社会の各般におきましては、越冬対策がそれぞれ講ぜられてあるのでありますが、厚生省所管といたしまする生活困難なる階層、即ち低額所得階層、或いは又収入の途の絶えてありまする、非常に困難な状態にありまするそれらの階層に対しまして、当然何らかの手が考えられてあることであると存ずるのであります。私の記憶するところによりますると、過去におきましても、この十二月に臨みまして、それらの対策が講ぜられたことがあるやに記憶いたしておるのでありますが、先般来補正予算説明等を承わりました中におきましては、それらのことが、御説明がなかつたのであります。すでに年末押詰つておりますこの際でありますので、生活困難なる階層に対するこの保護並びに福祉所管相である厚生大臣は、如何なる対策を持つておいでになるかということを承わりたいと思うのであります。
  4. 山縣勝見

    国務大臣山縣勝見君) 只今お尋ねのございました、年末を控えて、困窮をされておるかたがたに対して、何らかの年末の対策をとるについて、予算措置補正予算においてとつたかという御質問でありますが、案は補正予算で取上げましたものは、先ずごの厚生省として一応取上げて見ましたのは、浮浪者に対する収容、或いはその他の対策でありまして、実はそれに対しましては、補正予算要求をいたしたのでありますけれども、御承知通り今回のこの補正予算等措置が、国会の解散その他によつて遅れまして、実はこの浮浪者に対しましても、何らか収容施設等を設けて、そうして只今お話のような処置をとりたいと思つたのであります。で、予算補正では御承知通り、これは会計課長から御報告申上げたかと思いますが、一億九千四百万円ほど要求いたしましたので、併しこれらの収容施設完成が、只今申しましたような事情で遅れましたので、少くとも十一月の中旬頃には完成して、それに収容いたして、年末にそういうかたがた収容して、お話のような措置をとりたいと思つておりましたが、只今お話のような事情で非常に遅れ、補正予算の提出も遅れたような関係もあり、年度内の収容施設完成が困難と相成りましたので、できれば昭和二十八年度の当初予算にこれらを計上いたしまして、今後お話のような方向に是非持つて行きたい、かように考えておる次第でございます。従つて今回の補正予算におきましては、只今申上げましたような事情で間に合いませんでしたので、従つて今回の厚生省予算補正に当りましては、その措置をとつておりません。  なお只今その他の年末に当つて措置をどうするかというようなお話がございましたが、或いは具体的に承わりたいと思います。この補正予算において主として取上げましたのは、今申上げました浮浪者に対する措置でございますが、又その他になお具体的な御指摘がございますれば、それに対する答弁をしたいと思います。
  5. 山下義信

    山下義信君 ちよつと私の伺つている質問を取り違えておいでになるようでありますので、もう一度申しますが、私は補正予算になぜ組まなかつたかということを言つておるのじやない。補正予算説明のときにも何らそれについての御説明がなかつたということを言つておる。補正予算説明のときはです、ただ単に補正予算の数字の説明でなく、それを機会にいろいろなお考えを述べられたのでありますが、その際にも承わらなかつたので、一体この十二月の年末に対して生活困難者に対する何らかの対策をお持ちになつておるかということを今ここで聞こうというのであります。それで補正予算にあるからないからそれをやるとかやらんとかいうことを私は言うのではなく、補正予算というものを組まなくても厚生省には今年中の予算というものはある。昭和二十七年度の予算というものは持つておる。だから言葉を換えて言えば昭和二十七年度の予算は何もないのかということを言うので、何か考えておるかということを言うのです。する予算が一文も昭和二十七年度中にはないというのか、ないのならば初めから組んでなかつたのかということも言わなきやならんし、今大臣お答えでは、昭和二十八年度の当初予算一つこの越冬対策について考えて見ようと、こういうような御答弁であつた。それは少しおかしいですから昭和二十七年度のこの予算においてそれで足りなければ補正予算という問題が起きて来ますが、今補正予算のことを言つているのじやない。それで昭和二十七年度のこの予算の中で一体毎年恒例のごとくある、これは今年に始まつたことじやない。厚生省はすでに過去において一回も二回もやつておるのでありますから、今年はどうするのかということを聞いている。今年は山縣厚生大臣のときになつたならば十二月に困難なる階層に対しては何らの越冬対策をやらないのか、或いはやるのかということを承わつておるので、それで、あるのならば私は聞かなくても越冬対策といつたのですから、どういうことをやるということはわかつておる。労働省のやるようなことをやるかということを聞いているのじやない。厚生省でやろうとするならばやるべき範疇というものはある。対象者は挙げなくてもわかつておるのでありますから一体生活困難者に対する越冬対策というものはやるのかやらないのか、対策があるのかないのかということを伺つておる。具体的に聞いたらば答えると言うのならばあるのでしよう、ないのならば具体的に聞いてもない、あるのならば私が具体的に聞かなくてもお示しを願いたいと思う。それでどうしても具体的に聞けば答えると言うのならば具体的に伺いますが、越冬対策というものをする、生活困難者に対して何らか考える、放つて置いたらば凍え死する浮浪者がいるのでございますから、これは有名なことだが、上野地下道浮浪者で一ぱいでしよう。それらに対してそういうような階層に対して厚生省は何らかの考えを持つておるか、今年はどういうことをやろうとしているのか。東京のことを言うのじやない。私は上野地下道のことを言うのじやない、それは東京都もやるでしよう。大阪大阪市がやるでしよう。が、全国に対して、厚生省全国所管なんだ、全国民を考え行つて一体生活困難者に対して越冬対策というものがあるのかないのか、どうしようというのかということを承わつておるのであります。だから具体的に聞けとおつしやるならば、折角大臣の押し返してのお尋ねでありますから浮浪者対策はどうする、生活困窮者階層に対してはどうする、一応この二点について伺いたい。
  6. 山縣勝見

    国務大臣山縣勝見君) 今お話がございましたが、年末に際して特別に考えるかというお話でございましたが、只今申しましたような浮浪者対策、或いは生活困難者に対してどう考えておるかということを先ず申上げます。浮浪者収容に関しましては今お答えを申上げましたが、補正予算に関してお尋ねがあるということではなかつたのでありまするけれども、自然この年末の対策となりますると、補正予算で組んで、その経費で以て適当な施策を講じたいということでありまするから、その意味において触れたのであります。それが只今申しましたようなふうに、予算補正措置が遅れました関係上年末に間に合いません。従つて只今といたしましては、補正予算による経費によつて新たなる収容施設等を作つて収容するということはできないのであります。併しこれも又東京都だけのことを聞いておるというお話でございませんが、東京都におきましても昭和二十七年度、これは国庫負担たしか二分の一いたしておると記憶いたしておりまするが、そういうものによつて現在百五十八収容のものができて、あと六百人収容のものも近いうちに少くとも本月の中旬頃にはできるようでありますから、それをやり、又各都市においても急いでそういう同様の施設をやつて行くということでいたしておるのでありまして、現実予算補正ができませんから、国の、国庫負担においては特別のことはこの年末に際しましては、浮浪者収容に関してはいたし得ないことに相成つております。なお又生活保護を要するような困窮者に対してどうするかというお尋ねでございましたが、これに対して年末に特別に政府考えておりません。これは大体生活保護法建前から申しましても一律に何がしの金をやるということはいろいろこれは問題もありましようし、大体現実に即して、家庭の現実に即して生活保護法基準によつて与えて行くということになつておりますから、特別に例えば五百円とか或いは千円というものをその生活保護対象となる困窮者に支給してそうして越年資金の形において支給するということは只今のところ考えていないのであります。
  7. 山下義信

    山下義信君 公私、両方とも公でありますが、混同してお尋ねしておるのではない。私どもの社会党は昨日新聞紙上で、一部の新聞に報道しておりますように昨日厚生大臣申入れをいたしました。我が党がこういうことをしてもらいたいという希望を以て申入れをしたのであります。私はそのことを今日尋ねておるのではない。我々の希望するようなことをやつてくれるか、そういう下心を持つて聞いておるのではない。私は自分の所属の党の希望することを離れまして、この厳寒の候に臨んで、年末に臨んでですわ、住む所もないわ、という浮浪者がおるのであります、充満しておる。一体どのくらいおると思いますか、浮浪者が。家のない、職のない、震え上つておるところの、放つといたならば凍え死ぬかも知れないその浮浪者一体どれくらいおると思いますか。それを何ともせん、何とも考えないのですか。これはですよ、厚生省が、先ほど私が申しましたのは、私の記憶ではここに局長諸君もおりますが、いろいろ厚生省が物を出して、例えばララの物資を出して、そうして毛布の一枚でも与えたことが、パンの一つも配つたことがある、それから緊急に大急ぎで小屋をかけて筵を張らして、そういうような費用も出したことがある、これは毎年の恒例のごとくやるのです。いろいろそういうようなことのやり方に対して都道府県に指示をした場合も私はあると思う。恐らく都道府県都道府県で、市町村市町村で心配しておるでしよう。この年末で一人も凍え死さしてはならん、何とか救つてやらなければならんというのでいろいろ心配しておるでしよう。その親方の厚生省だけは知らん顔をするのですか。東京都は東京都で心配しておるでしよう、法律の許す範囲内で、予算の許す範囲内で必死になつておるでしよう。厚生省はこの年末に臨んでその生活困難者に対するそのやり方について何にも考えないのか、何らか考えておるのか、何とも思つていないのか、どう一体考えておられるかということを聞いておるのです。考えがないことはないはずなのです。
  8. 山縣勝見

    国務大臣山縣勝見君) 只今お尋ねは、浮浪者収容に対して更に策はないかというお尋ねと了承してよろしうございますか。
  9. 山下義信

    山下義信君 浮浪者並び生活保護法対象者に対してこの年末に対して厚生省は何らか考えておることがあるかということを聞いておるのです。
  10. 山縣勝見

    国務大臣山縣勝見君) これは只今お答えを申上げました通りの次第で、従来例えば東京都に例をとりますと、東京都だけでないどいうお話でございますが、そういう意味でありませんで東京都におきましても例えば百五十人収容のものができ、なお又六百人収容のものがこの月の中ほどにできる。既存の施設を最大限に活用して、そうして回転をよくしてやつて行くことに全力を注いでやつて行くようにいたしたいと思つております。なお又詳細の細かい点は、或いは政府委員からも補足御説明申上げますが、なお生活保護法対象になつておる困窮者ということでありまするから、生活保護対象になつておる困窮者ということに考えてもよかろうと思うのでありまするが、これをそれではどういうふうに保護をするかということに相成るのでありますが、これを保護するとすればやはり何とか金銭的な給付をするとか、或いはそれと同様の現物給付をするとかいうことに或いは相成ろうかと思うのでありまして、只今金銭的な給付をすることにいたしましても、生活保護法建前から申しまして、これは生活保護法に限定してお尋ねでありませんから、かようにお答えいたしますることが或いは間違つておるということに相成るかも知れませんが、大体生活困窮者というのでありますから、生活保護対象となるようなかたがたについて考える、こう考えますると、然らばさような困窮者を如何にして把握するかということも考えなくちやいかんのであります。勿論困つたかたに対して年末に対して政府として何とかいたしたいということは、これはもう御同様我々も考えておる次第であります。併し生活に困つた人、それは自然生活保護対象になる困つた人ということに相成るといたしますれば、さような人を如何にして把握するかというようなことと、それから生活保護法対象は、これはどう言いますか、固い言葉で言えば平等の原則によつておると思うのであります。従つてそこにおのずからその生活の態様或いは程度等によつていろいろその生活状態というものは違うのでありまするから、それに一律に例えば金銭的な給付をするとかいうことについてはいろいろ技術的にも困難がありましよう。だからそういうものについては一口に言えばそういう困つたかたに対して年末に何とかしたらいいじやないかということは、これは考えられることであり我々としてもできればそういたしたいのでありますけれども、只今のところでは大体生活保護法を以て、或いはその他の施策で以て生活に困難なかたに対しては対処いたしていることで十分とは申しませんけれども、この際といたしてはそれでその方法によらざるを得ないのではないかと、こういうような建前で、この際は生活に困つたかたに対しましては、生活保護法、或いはその他の関連の社会福祉に関する法律によつて、或いはその他の行政措置によつて、現在やつて参つている以外には一応のところ考えていないということを申上げざるを得ない、こう考えておるのであります。
  11. 山下義信

    山下義信君 私はもう全身全霊を集中してあなたの一言一句の答弁を聞いておつたのでありますが、要領を得ないので重ねて伺うものであります。私は常識的な御答弁は望まんのであります。専任の厚生大臣として責任のある御答弁を望むものであります。今のお言葉によりますというと、何と言いますか気の毒な人に対してこの年末に臨んで上げなければならん、何とかしたいと思という、その気持はあるということを前段でおつしやつた後段になるというと、どうも何もいたし方はない、その途はない。ただ法律の上で法律の規定をやつておくよりほかには別段の考えはない。こうおつしやる。それでは前段の何とかしなければならんと思うと、気にかかるということと、後段お答えとは矛盾しているのではないか。それで若し前段の何とかそれは気の毒な人に対してできるだけの対策は講じたいということが事実であるならば、厚生省はやろうとすればできる。金がないことはない。昭和二十七年度までの、三月末までの使うだけの金は差上げてある。今日日本の大都市で、浮浪者をたくさん抱えておる大都市で以て、その都道府県が急造のバラツクでも収容所でも建てて凍死することを防いでやろうと思えば厚生省はそれに補助をやることもできる。或いは又全国に亘るところの生活保護法の被保護者全体に餅代を与えておる。老齢軍人にも与えておれば、官公庁が迫つておるあの要求は皆この年末の越冬資金要求である。政府は何かしかやろうとするのであるか。その訴えさえできないようなそういつたような気の毒な階層に対しては力のあるものが、こちらのほうが進んで考えてやらなければならん。そこで皆心配しておるじやありませんか、末端では。即ち生活保護に別のほかの金をやれというのではないのです。本員はこの席では、党は要求をいたしますけれども、私は厚生委員としてはそういうことは今言つていない。でありますからそういう方面のかたがここにおるじやないか。そこにいられる課長など皆その道の経験者、エキス。ハートでしよう。どうしてやるか、やり方はあなた方は百も千も承知しているのじやないか。別段の金をやらないでも幾らでもやり方はある。年末の正月餅を食わせるにはどうしてやるか、毎年やつて来ているじやないか。都道府県は苦心惨憺してあなた方の融資を受けて、許してもらえる範囲内で……。一月分の生活扶助額を繰上げて、この十二月に併せて支給するということを許すのか、それを許さないのか。東京都は現にそれをやろうとしていろいろ工面をしておる。厚生省はそれに対して何も考えないのか。大臣が若しそういう気持があるのならばあなたのお答え前段の、これは気にかかるから自分も何とかしたい、努力をしたいという考えを持つておるならば、厚生省主管局長中心になつて何らかの越冬対策考えたことがあるか。考えたことがあるのならばあるということをおつしやつて下さい。これは私は死屍に鞭打つのじやない。池田氏の失言は国家が許さなかつた。あれは意識的な失言である。この年末に臨んで酷寒のこの歳末に臨んで一家心中が続出するかもわからんというこの惨憺たる階層厚生大臣考えていないのか。考えておりませんということを言うならば消極的にこれを放置するも同じだ。それならば厚生省はなくてもよいと言つてもよい。私は、あなた方はもう十一月になつたら十二月はもうわかつておる。十年前からわかつておる。今年の一月からこの十二月になることはわかつておる。十二月というのは今急に現われて来たのじやない。わかつておるのですから十月、遅くとも十一月には主管局中心になつて今年は越冬対策の見通しはどうであろうか、去年と比べてどうであろうかということを考えてどれだけの手を打つか、どういう援助を出すか、通牒を出すか、都道府県に万全の対策を立てるように民生部長会議を開くとか、主管課長会議を開くとか、何らかの手を打つべきだと私は思う。それをやつたかどうか。どういう考えを持つておるかということを聞いておるのです。何も考えないということであれば私は通らんと思う。どうですか、何か考えられますか。若し大臣が想像で御承知ないならばそういう考えがあるのかないのか、研究したか、答弁を頂きたい。
  12. 山縣勝見

    国務大臣山縣勝見君) 只今山下さんのお話でございますが、只今お話は承わつておりますると、この生活保護法における特別基準等適用、或いは一月分の保護費繰上支給これらに関してのお話でございまするか。それらに関連した年末のいわゆる臨時措置と言いますか、そういうことに関連しての御質問でございますか。
  13. 山下義信

    山下義信君 私は一例を挙げてそういうような手の打ち方もあるということを申上げているのです、ですから厚生省はこの生活保護予算の中でも厚生省の全体の予算の中でも、幾らでも操作してお考えになれば打つべき対策はできるのではないかということを伺つておるのです。
  14. 山縣勝見

    国務大臣山縣勝見君) さようなことでございまするならば……只今山下委員お話は、予算補正とか或いは何らかそういうものに類したものについての新らしい対策を持つかどうかというふうに私は解釈しましたので、さような見地からお答えをいたしておりましたが、只今の御質問が、例えば特別基準等適用、或いは保護費繰上支給に関連した或いはそれに類した年末の臨時措置をとるかどうか、それに対する対策如何という質問にも聞えましたので、そのようなことについては只今折角検討して、何とか予算範囲内においてこの年末に際して適切な措置を講ずるということは大臣として考えています。今さような措置関係のところと折衝いたしまして、できるだけ御趣旨に副いたいと考えております。
  15. 山下義信

    山下義信君 私は浮浪者というものは御承知のごとく時間がないから長つたらしいことは言いませんが、東京都に浮浪者が仮におるとすれば、上野地下道、どこにでもおるとすれば、それは東京都の浮浪者じやありませんよ。大阪浮浪者があるといつたら、それは大阪市の浮浪者じやありませんよ。浮浪者というのは、浮浪するのですからね。ですから東京都におるのが必ずしも東京都の責任大阪市におる浮浪者が必ずしも大阪市の責任ではないのであります。今現にそこにおるのだから、勢いその都市が世話をしておるのだ、その浮浪者のどこへでも浮浪して行く対象者というものは、本来ならば国が責任を持つという態勢を厚生省では確立しておる。ですから浮浪者というものはかわいそうです。職がない、栄養失調に陥つておる、家もないのですから、そういうものに対する対策というものは、厚生省が心配をしなければならん。それから生活保護対象者は言うに及ばず、社会局長一体、あなたどう考えておるか、越冬対策についてどう考えておるか、貧困者階級に対する越冬対策についてどう考えておるか。それを今の生活扶助でも生活扶助金を与えておるからいい、それで済まされん。そんなことを言つたら政治ではない。すでに官公吏はベース・アツプしているじやないか。これは物価が上つているからですよ。今与えている要生活保護者生活扶助は、この物価が上つているのに、ちつとも現実はスライドしていないですよ。年末に足らなくなるのは当り前ですよ。少くとも何十万世帯という生活保護法のおかげを受けている命からがらの人も、この物価の値上りじやどうします。何らかのことを考えなければならん。社会局長一つどう考えておるのですか。
  16. 黒木利克

    政府委員黒木利克君) お答えいたします。実は昭和二十一年から二十四年までは御質問のように、越冬対策という意味で、寝具とか、或いは衣料の配付をいたしておつたのであります。この金は生活保護法の一時扶助金使つてつたのでありますが、当時は物資が統制になつておりましたので、現物がなかなか入らないというので、特に越冬対策ということで現物配付をいたしておつたわけであります。ところが二十五年以降になりますと、繊維事情も好転をいたしましたので、現物給付をやめまして、一時扶助金として現金給付に変えたのでございます。こで毎年五、六千万円の一時扶助金を実は予算に計上いたしておつたのでありますが、最近になりますと、こういうような一時扶助金を年末に重点的に給付するということをだんだんやめまして、年間を通じて、必要に応じて支給するという建前をとりまして、勿論年末に支給する場合が多いのでありますけれども、例えば学期の初めになりますと、学童服の支給をしなくてはならん、そういうような意味もありまして、年間を通じて必要に応じて支給するような方針で二十五年以来実は参つておるのであります。その説明が不十分でありましたために、越冬対策が全然ないような御印象をお与えして恐縮に存じておりますが、そういうような意味で、実はこういうような越冬対策というもので、現物給付をするような段階が過ぎて、年間を通じて必要によつてやる。勿論地方によつては年末に重点を置く場合がありますが、そういうふうにだんだんなつて参つて、昨年通り踏襲いたしまして本年もやることにしておるのであります。  それからもう一つ繰上支給の問題でありますが、これも昨年以来、十二月においては一月分を繰上支給してよろしいということを昨年から通牒いたしておりまして、今年もそうすることを必要のある場合には考えておるようなわけであります。
  17. 山下義信

    山下義信君 私は大臣社会局長事務代理答弁から、結局厚生省は今のところでは、この今年の年末の越冬対策の貧困なる、生活困難なる階層に対する越冬対策については何ら研究していない、何ら会議を持つていないということだけ、はつきり私は印象付けられた。そういう消極的な態度でいいんですか。一体厚生省は、社会福祉の行政責任の省が、今年の貧困者階層の、貧乏人のその生活が困難になり、そういう気の毒な人たちに対しては、今年はどうであろうかということの、あなた方が智慧をしぼつて、そうして心配をして研究されるということ、そういうことも何ら考えられていなかつたということを私は印象を受けた。近来の厚生省を見ると、ことごとく然り、豈ただ社会局のみでなく、極めて消極的である、お座なりです。昭和二十八年度の予算説明を聞いて見ても、要求しておるところはことごとく羅列主義、一つ一つばらばらの思い付きで、現案に即して総合的な血の通つたような計画、焦点を置いて、ちやんと目標を定めて、どうしてこの目標にという総合的な計画の下に、来年度の計画を立てられたような印象を受けない。各局が、各課が、思い付き、従来のものに少しずつそれに毛を生やしたような程度の要求、消極的なんです。私は一つこれは厚生省が、今日のこの日本の段階において、社会保障制度というものが非常に叫ばれ、先日同僚堂森君の質問に対して、厚生大臣がそれに対しての説明を肝に銘じて承わつておる。他日の機会に私は更に大臣の所信を質したいと思う。好むと好まざるとにかかわらず、考え方は違つても、社会保障制度の前進ということに朝野が力を尽している。あなたの、大臣の政党の自由党も、現に先輩中山君が繰返しておる。私はこの社会保障制度審議会のあり方についても、他日の機会に伺いたいと思う。その中心になる厚生省が熱意がない。一番手近なありふれた、これは何と言うていいか、極めて簡単なる、貧しい人たちに対してのこの年末の越冬対策に対して厚生省が力を尽して研究しようだの、検討しようだのというあとかたもない。一体そういうことで厚生省が済むのですか。福祉の行政に当るものが、そういう熱意のないことで済むのですか。私は済まんと思う。私はこれ以上は聞かない。聞かないが、私が今印象付けられたことが若し間違つてつたならば、御答弁願いたい。私の印象では、あなた方は全国の貧困な階層に対しては、温かい思いやりはちつともない。現実には何一つ手も足も動かしていない。会議一つも持つておらない。検討は何もしていない。結局飢えておる、結局は凍え死にしても知らん顔という印象を受けた。それでいいかどうか。甚だ今日の答弁には失望した。今日は厚生省越冬対策を聞いたら、浮浪者が推定どのくらい、その浮浪者状態はこういうように見ておる、これで東京都にこれだけのことをやらしたいと思う、これだけの予算を差繰つてありますので、今手許に持つておる予算ではこういうことができる、生活保護法ではこういうことができる、社会福祉関係ではこういうことができる、厚生省社会福祉の面で持つておるところの力を総合して、この年末に一人でも悲しい者のないように、一きれの餅でものどを通さして、温かい年を迎えさせたいという親心で、各局が競つて研究しておると思つたら、あとかたもない。甚だ私は遺憾である。そういう御答弁が必ず私はあると思つた。誰でも考えた。すでに十二月の上旬が過ぎようとする今日、何も考えがないということは実に残念なんです。こんな厚生省が世界中にあるか。こんな社会福祉の役所というものが世界中にあるか。だから下人民に冷々淡々だ。私はもつと熱意を入れて頂きたいと思う。つい興奮いたしまして失礼いたしましたが、私はそういうような無策で、何も考えていないということでは済まないと思う。豊かなる者は、収入がある者は、クリスマスの買物にも行こうし、ボーナスも受取られましようし、いろいろ迎春の仕度もするだろう。幾十万のその日の生活のできない者をどうするか。どうして年の瀬を越すのですか。今に見ておりなさい。今に悲惨な事件が起きる。悲惨な事件が起きたら誰が責任を負うのだ。これは内閣の責任であるが、当面は所管相厚生大臣責任だ。年の瀬が越せんために悲惨なる事件が起きたならば、責任は必ず持つてもらわなくちやならん。私はここで明らかにしておきます。責任を負わんと言うのならば負わんと言つてここで明言して頂きたい。  次はもう一つ私は伺いますが、今朝の新聞を見ますとです、厚生省のほうで、全国医療関係者の従業員の人たちが坐り込みをやつているという。これは何で坐り込みをやつておるか。それから厚生大臣は、そういう人たちに面談をしましたか。どういうことを要求しておるか。又その要求に対して厚生大臣は何と考えておるか。この点御答弁を願いたい。
  18. 山縣勝見

    国務大臣山縣勝見君) 今朝ほどのことは、私早朝から閣議がありましたから存じませんが、昨日でございましたか、国立病院、或いは国立療養所関係の看護婦のかたがたが、給与等の問題に関して、私に面会を求められておりましたことは承知いたしておりました。但し昨日は御承知通り予算委員会等に出席を求められておりました等の関係があつて、私は昨日は面会をいたし得ませんでした。その内容は、その後私は報告を受けましたのでありますが、主としてこの勤務時間に関することを承知をいたしておるのであります。で、これに関しましては、詳細のことは、或いは関係政府委員から御答弁申上げると思うのでありますが、一応私からお答え申上げますれば、今のこれらのかたがたが、勿論この病人のかたがたを看護されておるのでありまするから、随分苦労もあり、又夜半に亘つて看護されておつて、身体的にもいろいろ御苦労のあることは承知いたしております。又これに対して、我我が本当にそういうようなかたがたの身分等を考えるべきは当然であります。これは言うまでもないことであります。ただ只今問題になつておりまする四十八時間云々の問題に関しましては、決してこれは法律論を申上げるわけでは毛頭ないのであります。ただ御承知の一般職の職員の給与に関する法律でありますか、あの第十四條か何か知りませんが、たしか十四條だと思いますが、それによつて大体この四十四時間乃至四十八時間という定めがあつて、具体的には人事院の定めるところによつて、その指令によつてきめると、こうなつております。で、看護婦のかたがたの職務の性質、或いは勤務の状況、或いはその他の実態を基礎といたして、四十八時間といたして、それに応じて給与も従来定められておる。こう承知いたしておりまするので、只今のところは看護婦のかたがたのいわゆる就業時間を四十八時間より短縮いたすということにつきましては、他の一般の公立、或いはその他の病院における例もあり、只今のところといたしましては、これは現在の勤務時間を短縮するということについては、相当困難があるのじやないかと、かように承知いたしておるのでございます。
  19. 山下義信

    山下義信君 このことはですね、他の委員から御質疑があり、又いろいろと御意見もあろうかと思いますから、私は詳細に亘ることを避けますが、大筋を私は大臣に伺いたいと思うのですが、何というても皆厚生省の職員ですからね、それでほかの、厚生省の部外のものが来て要求しているのじやない。厚生省の職員ですからね。そうでしよう。厚生省の職員でしよう。あなたの管轄のですね、医療機関の従業員のことですから、内輪ですね。内輪の人です。で、これはまあ順序があつて、上司の手を経て、そうして上のほうへ意見も伺い、又お願いする筋合のもので、エチケツトから言えばそうでしよう。服務規律なんてむずかしいことを言わなくても……。併しこの節は民主主義というのがはやつておりまして、団体交渉という途も開かれておる。ともかくも大勢親のところへ直訴に行くので、これらはあなたの職員ですから、いわば大臣の子のようなものです。これはよく会つてですね、ほかのその諸々のデモなぞとは違いますから、という気持でよく会つて聞いてやつて頂いて、できるだけの努力を、ただ表面の、法律がどうだというよなうことで突つぱねて……。そういうことを言い出すというと、どちらに理窟があるか、どちらに歩があるかということが問題になつて来るので、できるだけ懇切丁寧に意見を聞いてやつて、私はできるだけの努力をしてやつて頂きたいと思うのだ。私は何もその組合とか、そういう人を味方にして言うのじやない。これは誰がそういうことのお願いや、話に行つても、できるだけやつて頂きたい。又その思想の系統がどうであろうと、こうであろうと、そんなことは問題ではない。それは根本的には、当委員会におきましても、医療従事者の処遇の改善ということは国会が熱望するところなんだ。これは委員会でもしばしば論議せられて、当局にもお願いがしてある。又この社会保障制度の推進の決議を当院がいたしたときにも、この厚生省の医療従事者の処遇の改善については極力心配してくれということが、あなたのほうにも、政府のほうにも要望がしてあるのです。ですからできるだけ、いつかの定員法の改正でも、首切りがあつたときに、一千の医療関係者の首を切ることは、当参議院は反対をいたして、定員法を修正したのです。厚生省の定員法の一番の修正は、医療従事者の一千のこの人たちを首切ることを反対いたして、修正して差上げてあるのです。ですからその医療従事者の処遇改善の局に当る大臣以下、医務局長も、寝ても覚めても、どうしたら待遇の改善ができるか、どうしたならばその優遇ができるかということが、これは夢寐にでもお忘れになるべき問題ではないのですから、これはできるだけ大臣一つ代表者に会つて頂いて、そうしてよく意見も聞き、又納得のするようにお話が将来……、今すぐできなくても、よく検討なさつて関係方面とも努力をなされて問題を妥結するように、私は誠意ある御努力を、親ですからね、やつて頂きたいと思う。その点そういうふうにお運びが願えるかどうかということを、大臣から私は承わりたいと思う。
  20. 山縣勝見

    国務大臣山縣勝見君) 只今お話かたがたにお会いいたしますことにつきましては、私は従来とも……、例えばこういうようなかたがたの代表のかたがたに対しては、定期的に、或いは申込があつた際においては、私は誠意を持つてつております。これは実情をお調べになればわかると思います。例えばあの全医労の代表の諸君に対しては、私は誠意を持つて、例えば十分間の会見という約束でも、時には二十分、三十分を割いて、私は委員会に出席を遅らしてまで会つております。又誠意を持つて私はやつて来ておるのであります。只今お話の点は、勿論厚生省の中の職員と言いますか、少くとも関係の病院等の看護婦のかたがたでありますから、ただ国家財政の許さん点において、甚だ、やつておりますうちに我々としても忍び得ない点はありますけれども、会つてお話をして、誠意を持つてお話合いいたしますことは、人後に落ちないつもりであります。
  21. 山下義信

    山下義信君 大臣の御答弁、多といたしますから、期待しておきます。これは専門家の同僚諸君もおられまするしされますので、もうこの程度で終りますが、私は医務局長に申上げておきます。この問題どうか、何と言いますかね、慎重と言いますか、どうか一つ誠意ある御検討を願いたい。それでこれは予算だとか、規則だとかいうようなことで……そうしてこれを、問題をいろいろにしておいて、これが氷山の一角となつて当局が難色を示す、本当の原因が他にあるというがごときことになりますと、私は容易ならんと思います。そういう先の先のことを考えたり、いろんな伏線があつたり、或いは他から、私はこれには相当いろいろ当局が心を配られる点があろうかと思いますが、どうか一つこれはできるだけ医療従事者の待遇改善というその線でです、これが一番正しいのだ、それをそうしたら他にどういう影響が来るかということを考慮すると、問題の純粋性を汚してくる、私はそういう意味でできるだけ厚生省が解決に努力されるように、医務局長に私はその点をお願いしておきたいと思いますが、ついでに局長の御意見を簡単に聞いておきましよう。
  22. 高田浩運

    政府委員(高田浩運君) 先ほどもお話がありましたように、国立病院療養所の職員はいわば私たちと一緒になつて国民の医療に挺身をしておる仲間でございますので、互いに対立的な気分、或いは水臭い気分において相対立するというようなことはこれは絶対にあり得べからざることであります。その点についてはお話の点に全く同感でございますし、過去においてまあたびたび組合の幹部の諸君とも会つておりますが、その場合もつねづね私はそういう気持を持ち、或いはそういう言葉使つて話している次第でございます。この問題につきましては、先般先月の二十五日にも、全医労の幹部のかたがた乃至看護婦の多数のかたがお見えになりまして私お目にかかりました。それからこれは昨日私たちとしては予期しないことでございましたが、午後たくさんの諸君が見えまして、私に面会を求られておりましたが、国会等の都合もありまして夕方五時頃から、五時過ぎだつたと思いますが、その頃から会いまして、夜の十一時頃まで一緒に話をしたのでございます。この問題についての基本的な考え方につきましては、只今大臣から申上げた通りでございますが、勤務時間の問題というのはやはり患者に対するサービスという、そういう特殊の性格等も基礎にして、どのくらいの編成にしたほうが適当であるということに相当重心を置いて考えなければならない、と同時にそれに応じた給与上の裏付というものをやはりこれは考えなくちやならんと思うのでございます。そういう意味において、現在四十八時間ということになつておりますし、この点はそれぞれの考え方によつて、或いは多いとか、或いは少いとか、或いは十分であるとか、或いは不十分であるとかいう異論はあるにいたしましても、とにかく勤務時間或いは勤務の質或いは環境とか、そういつた勤務の実態というものを考慮して、相当いわば看護婦の給与につきましては一般の職員に比べますと上目にきめられておるのでございます。例えて申上げればいわゆる新制高校即ち六・三・三を出ました一般の事務職員、これは三級の三号、人事院の試験を通りました者につきましては四級の一号ということに格付されております。これが同じく新制高校を出ました医療技術職員につきましては四級の二号という格付になつております。これに対しましていわゆる乙看、これは六・三・二であります、即ち高等学校を出ました者よりも一年少い修業年限でございますが、これにつきましては五級の一号という、大体初任級につきましてはそういうようなことになつております。これは一例でございますが、この点もつと上げなければならないという議論は勿論これはあり得ると思いますし、私としましてはつねづね医療職員、看護婦、医師等の待遇の改善につきましては、前々から大きな問題となつておりますし、腐心をいたしておる次第でございます関係上、更に一層これが引上げ方については努力をいたさねばならんと思いますし、その他定員の充実の問題でありますとか、或いは超過勤務手当の予算の増額の問題でありますとか、或いは看護婦宿舎設備の整備改善でありますとか、そういつた面においていろいろ努力をしなければならない面があります。これらの点につきましては従来も勿論努力をして参つたつもりでありますが、今後も一層努力を傾けて、これら医療関係の職員が安んじてその職務に勉励し、国民医療の充実ということに寄与することができるように努めたいと考えておる次第でございます。
  23. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) それじや、次には谷口委員
  24. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 私も一、二厚生大臣にお伺いするし、なおお願いしておきたいと思うのであります。御承知のように最近日本民族の逆淘汰が現われて来るように考えられるのであります。なぜかと申しますと最近の新聞などでも御承知のようにだんだんと精神薄弱者が殖えて参つております。最近には精神薄弱者のいわゆる蒙古病などがだんだん殖えている、或いは町のいわゆる街娼などにおきましても二〇%か三〇%以上の精神薄弱者がおりますとか、又いろいろの重大犯人におきましても、非常に精神異常者が多いので、或いは心神喪失者として遂に殺人をやつたが刑の執行を受けんというような者がだんだん殖えているように思うのであります。それに対しまして、かかる者には是非とも一つ優生保護法におけるところの避妊手術を十分に徹底的にやるように進めてもらいたいと思つておりますが、それがどうも思うように進んでおりません。聞くところによりますと、来年度の予算におきましては、かなりそれらの費用を殖やしていると言いますけれども、これは費用を殖やしただけでは何にもならんのでございます。私どもの考えているのは少くとも全国の保健所並びに刑務所に、精神科を専攻した医者をその中に医務官として置いて、そうして或いは浮浪者狩り、又はいろいろの機会に精神鑑定をさせて、そういう者をどんどん人工の、いわゆる避妊手術をやらせるというようなことをすれば、今後かなりそれが減つて来ると思いますが、只今の明年度の予算を見てみましても、精神科の医者を入れるというだけの費用は入つておらんように思いますので、厚生大臣としては、民族の逆淘汰を減らせる目的からして、そういうようなことの検査を十分にさせて、同時にそういう手術をさせるように、なお厚生大臣にお願いしたいのは、同時にこの刑の執行の場合、これは法務省関係になりましようけれども、刑の執行の場合に、在監者であつても、若しも避妊手術をすると言つた場合には、何か幾らかでも、日にちでも短縮してやれば、希望者もずつと殖えるだろうと思いますので、何かそういうことができんのであるかどうか。この点は大臣にお伺いするのは少し無理と思いますけれども、どうぞ一つそういう点について御答弁を願い、同時にそういうような方面に十分一つお力添えを願いたいということが第一の質問であります。
  25. 山縣勝見

    国務大臣山縣勝見君) 只今谷口さんの御質問なり御意見でございましたが、全く御同感でございまして、この点につきましては私もかねて厚生行政に携わる前にさようなことは考えたことがあるのであります。只今お話の、この優生保護法によつて優生手術をいたし、断種するということの必要、並びにこれらに関連して刑務所にそういうふうな意味の係官を派遣するとか何とかいうことについて、予算措置お話でございましたが、只今承知通り、優生保護相談所がありまして、その範囲でやつておりますが、又来年度の予算においては特に只今お話のような意味の係官を保健所に、たしか保健所ごとにおきますのでしようが、まだ予算を取るほどには二十八年度の事務的の折衝の状態には至つておりません。この点なお研究いたしたいと思つておりますが、その他只今の御意見の点につきましては、御趣旨は全く御同感であります。今後努力したいと思つております。
  26. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 次にもう一点お願いをしたい、又お伺いをしたいと思うが、今回受胎調節に関しまして、いろいろと費用も大分二十八年度には増加するような模様でございますし、又保健所において優生保護相談所が全国的にできるということは非常に結構なことと存じますが、私どもの考えといたしましては、只今やり方では却つて逆淘汰になつてしまうと思う。なぜかと申しますというと、或いは各地の優生保護相談所などにおきまして、いろいろと指導をいたします。又認定講習などを作りまして、受胎調節指導員などができましても、そういう者が指導いたしましても、ただ単に幾らか中産階級と申しますか、金の幾らかでもある者はその方法を聞きまして、これを実地に行うことができますけれども、生活保護法とか、或いは貧困階級のかたがたになるというと、到底やり方は教えて頂いても、実行することができませんからして、従つて生活保護その他貧困者においてはますます人が殖えて来る。そうして反対に、知識階級とか、いろいろの方面だけが受胎調節をして行くということになりますというと、これは大きな民族の逆淘汰が起つて来る。それで厚生大臣といたしましては、是非とも一つ国の予算を以て貧困階級の者だけには無料で薬品、器具などをやるくらいの予算を取つて頂いて、そしてその方面に使用させて頂いたら、初めて実際の受胎調節の目的を達成すると思いますので、今のは、申上げれば中途半端で、却つて悪い結果を起しはせんかと思いますから、それに対しまして一つ大臣のお考えなりお伺いしたいと思います。
  27. 山縣勝見

    国務大臣山縣勝見君) この点に関しましては、過日本会議の竹中先生の御質問にございました点について、只今のように、受胎調節の必要、又その他に対して、御趣旨は全く同感の点が多いのであります。又、下手をいたしますと、逆淘汰になるということも考えられるのであります。ただその貧困者階級に対して、それらの器具、薬品等を国庫負担、全額負担において、即ち国家においてこれを付与いたしたらどうであろうか、それによつて逆淘汰を防いだらどうであろう、これも一応考えられることであり、又できましたらそういたしたいと考えるのでありますけれども、これは本会議の席上におきましても、お答えいたしたのでありますが、その際大した金でもないから、国庫負担にしたらどうかというお話もございまして、如何にも国家においてそれを負担いたしますれば、貧困者の階級のかたがたもそれを十分に使用できて、逆淘汰を防ぐということに相成りまするけれども、併し現在の情勢から見ますれば、これを家計の点から見ますると、そういう状態で、勿論これが習熟の程度でありまするとか、或いは使用方法が誤つておりますこと等のためによつて、さようの器具、薬品等を必要とするとか何とかいうことがたびたびあり、ひどい経費が嵩むことがありましようけれども、これは例えば只今お話の、優生保護相談所の職員等が指導いたしますとか、或いは看護婦、或いは助産婦の人が指導をいたしまして、習熟をいたすによりまして、一家計に対しては大して負担になりませんから、現在において国庫負担はできないということを申上げた。今後この点につきましては、十分検討いたして参りたいと思つております。
  28. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 只今の問題については、本会議におきまして竹中議員が質問いたしましたが、時間が少かつたせいか、十分徹底せなんだせいか、大臣は器具などを無料でやる意思はないということをおつしやられたのですから、それはどうも、それでは逆淘汰を大いに助長することになると思うて、実はここで再び質問したような次第でありますからどうぞよろしく。
  29. 堂森芳夫

    堂森芳夫君 大臣に、最初に国民健康保険制度の補助金の問題ですが、今年の補正予算を見ますと大分余つて来ておる、事務費が……。被保険者の三千万人分が五百万人減つておる。これは非常に日本の国民健康保険制度に対しては悲しむべきである。もつと足らなくなつて補正予算に殖やさなければならん。これが本当ですが余つて来た。これは非常に日本の大衆に対する保険制度にとつては大きな悲しむべき事実なんである。ところが今日豊島区の池袋で全国の国民健康保険危機突破大会がございまして、私も党の代表でメッセージを持つてつたのですが、あなたの党の平野衆議院議員が、来年度は国民健康保険に対して二割の補助はすることに党においても総務会で決定した。今日のこの大会はそういうふうな具体的な党において決定した事実を持つて来たのであるから、単なる今日はメッセージに来たのではない。まあこういうふうな発言をしておるのですが、私はこの補正予算に対して非常に文句がありますが、この補正予算補正予算として、来年度にはきつと相当額の国民健康保険に対して補助をなし得る、現在のような事務費の補助ではなしに、医療給付に対しても相当額の補助をし得る予算を獲得し得る自身があるのかないのか、お聞きしたいのです。
  30. 山縣勝見

    国務大臣山縣勝見君) 只今前段お話の、国保の事務費が余つたということでございます。これはどうも私もその後事務当局に説明を求めまして、どうしてこんなに余つたかということの説明を求めたのでありますが、三千万人に対して十六億の事務費を坂つておる。これがその後国保の点を検討いたしておりますと、年々百万人ぐらいずつ一両年殖えておるようであります、この殖え方の多いか少いかは別問題でありますが、従つて的確な数字は、私はあとで間違つておりますれば他の政府委員から訂正いたしますが、昭和二十六年度においては二千五百万、昭和二十七年度においては二千六百万余、百万余殖えております。従つてこれはかような席上で申上げてどうかと思いますが、予算の請求に当つて、三千万人という数字を基礎にいたして事務費を計上いたしたのでありますが、現実の国民健康保険の殖え方、この殖え方がいいか悪いかは別問題でありますが、大体百万人くらい殖えておるという現実から見て、三千万人という算定は現案の問題として、少し算定が多かつたということであろうと思います。併しその是非は別であります。  それから今日のお話、実はまだ報告を聞いておりませんので、どういうことか承知いたしておりませんが……。
  31. 堂森芳夫

    堂森芳夫君 今日のことはいいのですが、とにかく来年はうんと取れる自信があるかどうか……。
  32. 山縣勝見

    国務大臣山縣勝見君) この国民健康保険に対する厚生大臣としての今後の考え方如何ということにつきましては……。
  33. 堂森芳夫

    堂森芳夫君 考え方ではない。内閣として、或いは厚生大臣として自信があるかどうかということを……。
  34. 山縣勝見

    国務大臣山縣勝見君) 御説明申上げますから、最後までお聞きとり願いたいと思います。  国民健康保険の重要性というか、その普及等については、厚生大臣として熱意を以てやつて行きたいと思います。併しそれで果して予算が取れるかどうかということは、国家財政を見て、私は熱意を以てやつて参りますが、取れるかどうかということに対しましては、今申上げることはできません。これは誰といえども言うことはできないと思います。今後私はそういう方針で以て今後の予算編成に当つては臨みたいということだけを申上げる以外に、これは申上げることはできないと思います。
  35. 堂森芳夫

    堂森芳夫君 それはおかしいのであつて、それは勿論最後にならなければわからんにしても、今日自由党出身の厚生委員長、衆議院の委員長がはつきり全国の代表千人くらいの人が集まつておる前で公言しておられたのであります。総務会でそういうことを決定いたしました、そうして皆さんに御報告申上げますと、これは非常にいいことであつて、総務会のことをあなたに言うわけではありませんけれども、とにかくそういうようにあなたの党が来ておる。今あなたは大臣ですから、自由党の大臣ですから、自由党の事情はよくお知りと思いますが、そういう事情が党内或いは閣内にあるとすれば、これは当然取れると思います。従つてそういうような、来年は非常に可能性があるような党内の事情に動いて来ておるかどうかということを御説明願えれば、私は判断いたします。それはあなたお一人では取れるとは思つておりません。
  36. 山縣勝見

    国務大臣山縣勝見君) 総務会において決定いたしたという公式のことは私は聞いておりません。なお閣内においてどういう空気かということについては、これはいずれ二十八年度の予算の編成に当つて、正式に閣議等の議題になると思いますが、その折衝を待ちませんことには、私は今皆さんに公式の委員会の席上において言うべき筋合いではないと思います。ただ言い得ますることは、国民健康保険等に対しては最善の努力をいたしたいと考えておるという以上は、予算を獲得いたしまするについての確実性等につきましては、これは今申上げる筋ではありません。努力をいたしたいということ以上に私は申上げることは……、これは決して他人行儀で申上げるのではありません。これは皆さん専門家でよく御承知通りであります。
  37. 堂森芳夫

    堂森芳夫君 これ以上問いませんが、あなたは一生懸命全幅の努力をお払いになるということをお約束願えますか。一つその点もう一度……。
  38. 山縣勝見

    国務大臣山縣勝見君) お約束をいたすとか何とかいう筋合いではないと私は思います。私は国務大臣として、その立場において私の考えておりまする筋をできるだけ通したいと思つております。お約束という筋合いではないと私は思います。
  39. 堂森芳夫

    堂森芳夫君 もう一つ方面を変えましてお尋ねしたいのですが、この間の補正予算説明のときに、局長お二人で御答弁願いましたが、補正予算説明のときに、国立病院の移管は現在のところ二つぐらいが問題になつて来ておる、こういう話でございましたが、これからの見通しは如何でございますか。
  40. 山縣勝見

    国務大臣山縣勝見君) この国立病院の移管の問題につきましては、私も就任以来その事情の報告を聞いておるのであります。折角ああいうふうな方針が作成されて、僅か一ヵ所くらいしかきまつていない、どういうような理由によるか、私も関係の者に聞いて参つております。いろいろそれには、折角六十カ所、それだけ本年度内にやるということになつてつて、その予算も通つておりながら、一ヵ所、或いは二ヵ所ということはどういう事情かということを私も聞いて見たのですが、いろいろ事情があるようであります。仔細の点は関係の者から申上げますが、この前の委員会でありましたか申上げた通り、決してこれは無理に何でもかんでも移管するのだという方針をとつておりません。できるだけスムースに、円滑に、而も移管することによつて国民医療の点から見ても支障のないようにという方針を貫きつつ、併しながら今後の国民医療のいわゆる体系という点か申しましても、できればやはり全部国家が国立病院を持つてつて行くということがいいかどうかということに対しては、いろいろ御議論もありましようが、只今厚生省考えといたしましては、こういうものは府県に移して、そうしてどう言いますか、中心的なそういう地方の病院の模範となるようなものを国立病院として持つて、そうしてできるだけ地方にもそういうようないわゆる公立の病院を整備してやつて行く、こういう態勢、こういう考え方がいいのじやないかという方針はまだ変えておりませんから、今後あの方針を今直ちに変えるということは考えておりません。ただ併しその移譲の方法等につきましては、先ほど来申上げた通り、できるだけやつて行きたい。無理に強制してどうこうということは考えておりません。取りあえずこの方針で参つて、今後二年も三年もたちまして、どうしても移譲できないというような事態が起り、又そういう移譲が適当でないという事情が起りますれば、又再検討いたしたい。只今のところでは従来の方針を踏襲しつつ、而もその医療の方法等につきましては、今申上げましたように支障のないようにやつて行きたい、こう考えておる次第であります。
  41. 堂森芳夫

    堂森芳夫君 大臣の御説明よくわからないのですが、まあとにかく二つしか移譲が決定していない。併し私が調べたところでは、現在相当地方に対して移譲を強制しておる傾向があるのです。そうしてその病院においては従業員初め非常に動揺しておるということがありますが、絶対にそういうことはございませんか、どうですか。
  42. 山縣勝見

    国務大臣山縣勝見君) その実際の事情につきましては、むしろ政府委員から申上げたほうが適当じやないかと思いますから……。
  43. 高田浩運

    政府委員(高田浩運君) 移譲が非常に遅れておるではないかというお話でございますが、秋田病院につきましては、十二月一日附ですでに移管を済ませました。もともとこの移管は法律の通過が予定よりも非常に遅れました上に、選手その他いろいろの事情がからみまして、全般的に急速な進捗を見せていないことは、これは事実でございます。併し現在なお数件具体的に話のあるところもありますし、今後更に移譲の数を加えて行くものと、私どもといたしましては確信をいたしておる次第であります。その場合に強制をしておる、強制をしていないということでございますが、私たちとしては誠意を尽して、よく移譲の趣旨をお話申上げ、県内の病院の会計の整備等についても十分相談にあずかりまして、交渉を進める次第でございます。  それから病院の職員につきましては、前々からこの問題についていろいろな意見があるということは、私たちも勿論承知いたしております。従いまして移譲に関係いたしまして、職員の身分に不安を来たさないように、職員の身分が成るべく有利に展開をするようにそのままそつくりとつてもらうというような趣旨で、或いは恩給の点等も継続するように考えまして、十分その辺のところは安心が行くように考慮をし、又現実に秋田病院なんかの場合におきましても、十分県との間に将来の身分関係についても隔意なく話しまして、安心の行くようにその辺のところは努力をいたしておる次第であります。併しながらただまあ、身分的に申上げますれば、国の職員から県その他の職員になることでございまするから、それに伴つて何かしら不安と申しますか、いわゆるそういつた気持があることもこれも十分我々としては酌み取れるものでございます。今申上げました趣旨に従つて不安のないように移譲に際しては最善の努力をいたしておる次第であります。
  44. 堂森芳夫

    堂森芳夫君 あなたがおつしやいましたけれども、実際は相当移譲を強制しておる事実があるのです。私知つております。それはあるのだ。(「あるある」と呼ぶ者あり)そうしていわば厚生省のほうでは大蔵省に、どうも面子がないから何とかして買つてくれないかと訴えたりしております。とにかくそういうふうな事情で非常に醜態をさらしておる。六十幾つのうち二つしか買手がつかない。そういうふうなことをやつておる。我々は初めから反対だからそれはいいんですが、とにかく国立病院の移管がうまく行かない。今補正予算でどうにか来年の三月までは維持して行く。併し殆んどの国立病院は非常に腐朽したひどい建物ばかりである。こういうような病院が来年も移管されないというときには残る病院と同様に傷んでおる場所を修理するとか、そうした費用についてはあなた方は十分責任を持つてつて行くかどうかということを一つお尋ねしておきたいと思います。
  45. 高田浩運

    政府委員(高田浩運君) 国立病院が全般的に施設、建物とも相当整備を要する状況であることは全くお話通りでございます。既往においてこの整備について相当財政的な支出を行なつて参りましたけれども、何しろ対象が多い、且つ整備を要する場所その他が非常に多い関係上、なかなか全般的に見ればばかばかしくないということは我我としても遺憾に存じておる次第であります。従いまして今後この整備に関する財政支出についてはできるだけの努力をいたすつもりでございますが、併しながらこれも財政関係との睨み合せということが当然行われるわけでございますし、その意味におきましていわゆる病院を整備したいという我々の熱望がすべて容れられるということはこれはもう保証できないわけでございます。その意味におきまして限られたる整備を然らばどう整備して行くかということにつきましては、これはいわば具体的な問題になるわけでございますが、いわゆる一般的な建物建替え、そういつた大整備につきましてはこれはやはり国としては重点的に行なつて行かなければならんのじやないか、かように考えておる次第でございます。勿論その日その日に困る、或いは雨漏がする、そういつたような応急の手当はこれは勿論遺漏なく全部について行なつて行かなければならないことはこれは言うまでもないことでございますけれども、病院の将来を考え、病院の運営全般を考えての根本的な建直しなり、或いはそれに類するような、或いはそれに近いような整備ということにつきましては、これは全部一遍にいけないとするならば、私は順序を追うてやらなければならんと思つておるのでございます。一応移譲を予想いたしました施設については、これは現在、先ほど大臣お話申上げましたように既往の方針をそのまま踏襲をしております。従いまして話を進めておる段階でございますので、私たちとしてはできるだけその線が達成できるように誠意を持つて話を進めて行くつもりでございます。それが最終的に然らば残つたものについてどうするのかとういことについては、現在そういう方針の進行中でございますので、只今のところは考えておりません。
  46. 堂森芳夫

    堂森芳夫君 重点的に修理して行くというお話ですが、重点的ということは、一体あなた方はどういうことに目処を置いておられるのですか。ちよつど言葉尻のようですが、お聞きしておきたいと思います。それは例えばあなた方が残して行きたいという病院はどんどんやつて行く、そうでない病院は放つて置く。実際はそこに収容される患者或いは診療者も人命には変りないのです。だからそうした地方がやつたらよくなる、国が持つていたら整備ができない、そういう考え方が間違つておる。国が全部整備して売つたらいいじやないか。そういう効力をせずに売つてしまうというような、そういうふうな生半可な考え方が間違つておる。それが重点的だというのはおかしいと思う。例えば地域的に言うならば、大学病院があるところの町の近所にある国立病院はきれいに修復して行くという傾向がある。ところが或る県では大学もない、病院も何もない、五、六厘も遠い所に行かなければならないような病院には手を着けずに放つて置く。これはやり方が非常に不合理なんです。一体その重点ということはどういう意味ですか、お尋ねします。
  47. 高田浩運

    政府委員(高田浩運君) 先ずこれは誤解はないとは思いますけれども移譲いたしまする病院につきましては御承知のように整備の補助金をつけてやる、これの額が少いじやないかというような御意見は、この委員会においても強く主張されたところでございますけれども、その額自体は過去の整備の実績等に比べますというとかなりな額になつておる。現実はさようになつておるというわけでございますし、従いまして何と申しますか、これらの施設の整備について財政的な援助というものを全然考えていないという趣旨ではございませんので、移譲等にからみましてそういうような方法が妥当であるという考え方の下に整備の補助を組んでおる次第でございます。それから整備につきましては勿論全部一遍に整備する、或いは大部分を相当整備するだけの財政支出が得られますれば、これに越したことはありませんし、又これに向つて努力しなければならないことも言うまでもないのでございますが、現実の問題としましては相当限られた整備費でございますので、やはりこれは順を追うてと申しますか、或いは重点的にと申しますか、そういうような考え方をとらなければならないこともおわかり願えると思うのでございます。そもそもこの国立病院の移譲という問題が起りましたゆえんのものは、先生も多分御承知と思いますが、かねがね医療体系の整備をどうするかという根本的な問題につきましていろいろ各方面に意見があり、これにつきましては大体の考え方としては公の病院というものは大体府県にやつて頂くのが一番適切じやないだろうか、そうして国はその上に立つて数府県に亘つて各般の病院を指導する、その他医師の再教育をするというような、いわば特殊な使命を持つた病院の運営に当るのが筋じやないだろうか、そういつたのが大体今までの考え方でございますし、その線に沿つた一つ措置を私たちは考えておる次第でございます。従いましてそういつた国の本来の、どうしても国でなければ達成できない本来の使命を達成するに最も適当である、そういうところから十分手を尽して行くということは、これは決して無理な考え方ではないと思うのでございます。勿論これは日々診療を行なつておりますし、その中には患者が入つて、又外来者が目々往来をするのでございますからして、これが整備については、勿論力を尽さなければならないし、従いまして、危害、或いは大きな不便をかけないように努力すべきことは、これは言うまでもないことでございまするけれども、基本的には私たちはさように考えておる次第でございます。
  48. 堂森芳夫

    堂森芳夫君 僕は頭が悪いせいか、どうもわかりませんわ、次長の言うことが……。とにかく今日は大臣も急いでおられますので、次の機会がたくさんございますから、申上げます。私は何もわかりません。了解できませんわ。あなたのおつしやることが……。それだけ一つ附加えておきます。
  49. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) それでは河崎委員
  50. 河崎ナツ

    ○河崎ナツ君 大臣にお伺いしたいのでございますが、厚生省所管事業のいろいろありますうちで、国民の生活の、全面的に健全な生活を奥質的にやつて行く一つの結び目としての生活協同組合というものは、非常に大事な、又そういうものと、ほかに社会福祉の諸事業等を合せて、裏表になつて、非常に西欧の国々は生活の安定した、平和な生活を現出しておりますが、生活協同組合をどう育成するかということは、厚生省一つの大きな仕事だと思うのでございますが、まあ農林のほうでは、農林省は農業協同組合を、なかなか何かといろいろな方面に、金融のことから骨を折つておりますし、又通産省は、まあこの間の池田さんのようなことがございましたけれども、中小企業に対してなかなか大きな力を入れるというようなことでございますが、大臣生活協同組合、消費生活協同組合と申しますか、そういうものに対しまして、どう育成するかということにつきましてのお考えがございましたら、又厚生省の方針がございましたら、先ずそれを伺わして頂きたいと思います。
  51. 山縣勝見

    国務大臣山縣勝見君) 只今河崎先生のお話の、生活協同組合についてでございますが、勿論これに対しましては、今後育成強化いたして、そういう組合を必要とするかたがたに対して、政府もできるだけの助力をいたしたいと考えておるのであります。而も今その組合の今後の運営、或いは又今後のそういうような組合が育成強化されるについての一番大事な問題は、やはり資金の問題であろう。恐らく河崎先生も資金の話についてお話されておるのではないかと思いますが、併し大体組合というものの本質から見て、これは組合員の出資によつてやるべきものであろうと思いますが、併し又組合そのものの持つておりまする社会的の使命、立場等から考えて、これは国家としても適当の育成、助長をしなければならんことも考えております。大体現在出資金だけでは行きませんから、一般の金融機関とか、或いはその他の機関から、たしか六億でございましたか、たしか今そういうものを融資を受けてやつておる、それでも足らんので、今後政府の何らかの資金的な助成、これを必要とするから、それらの点に関し、政府考えを示せというお考えだと思うのですが、これに対しましては、二十八年度の予算がまだ策定されておりませんから何とも申上げかねますけれども、何とか二十八年度予算において、これらの面においても、これは財政の許す範囲において考えて見たい、こういう考えで今おります次第でございます。
  52. 河崎ナツ

    ○河崎ナツ君 お察しのような面もございまして、それはもう、而も今一番経済的に逼迫しているという立場から、金融のことは今一番問題になつておるのでございますが、この法案をこしらえますときに、そういうほうの面を、組合員の手でできるような面も、法案をこしらえまする……、私どもも、その委員でいたしましたが、それだけは厚生省は、なかなか大蔵省が認めませんで削つたわけでございまして、そういう面において実は片手落がありまして、それが今日のこういうような情勢のときには非常に現われて、弱体になつて来ておりまして、ほかのほうの、今六億の融資とかいうようなお話がございましたが、それはどういうところを指すのか存じませんけれども、ほかで申しましても、中小企業が国民金融公庫からというようなことでございましても、生活協同組合は、そういうほうは今実は認められないというようなところに置かれておるのでございますが、そういうほうでも、厚生省として、二十八年度には多少考えて下さるところがございましたら……。聞くところによりますると、厚生省は何と申しましようか、生活協同組合事業に関して、一億というような予算を取つて考えているというようなことをたしか聞いたのでございますが、それは本当でございましようか。又若しもそうであつたならば、どういうほうにその一億というものを、組合の事業に必要な経費としてという……、名目のどういうところにお使いになるというのでございましようか。及びどちらにしましても、それは大臣一つ全力を挙げて、たくさんの組合員、その組合員の一つ生活の一方の大きな推進の拍車になることでございますから、一つ二十八年度の予算のときには、本当に出して頂きたい。組合を代表いたしまして……、私も組合員の一人でございますが、昨日もこの委員会から私どもの組合に見に行つて頂いたのでございますが、お伺いしたいと思つておるのでございますけれども、そういうふうに厚生省としては一億を予算を取つて、積極的な組合の育成と言いましようか、そういうことをすると聞いておりますが、そういうことは事実でございましようか。事実ならば、それはどういうほうにその一億をお力を入れて下さいましようか。又一億を是非二十八年度予算で獲得して頂きたい。このことにつきましてお伺いいたします。
  53. 山縣勝見

    国務大臣山縣勝見君) 只今お話の一億について申上げますが、これは勿論昭和二十八年度の予算として厚生省といたしては要求いたしたいという額でございますから、まだきまつたわけでないことは、それは御承知通りでございます。然らばそういう一億円が若しできました際に、どういうふうな使い方をするかというお話でございましたが、これは後ほど、更に詳細な点について御説明を要しますならば、政府委員から申上げますが、大体の粗筋は、国庫から都道府県にそれを貸付けまして、都道府県からそれを当該の組合にいたすということにいたしております。なお又それに対して努力をせよというお話でございますが、先ほど申上げました通り厚生省といたしましては、最善の努力を払いたいと考えております。なお又最初の御質問のうちに六億円云々とございましたが、これは昭和二十三年度のたしかあれは七月に公布されて、施行が十月一日でしたか、それ以来現在まで六億、こういうわけに相相成つております。
  54. 藤原道子

    ○藤原道子君 大変に大臣がお急ぎのようで、非常に残念でございますが、これからは大臣がしばしば当委員会へ御出席を願つて答弁願いますればこういうこともないと思いますが、今後大臣委員会出席を先ず最初に要望いたしておきます。  私は生活保護法適用についてお伺いしたいのでございますが、時間がないので箇條書的に御質問を申上げます。  生活保護法適用について、法律保護は、立法に当りましては、断じてこれは恩恵的のものではない、憲法で保障された健康にして文化的な最低限度の生活を営む権利を有する、ここからこの法の精神が生まれて来ておるということで、飽くまでも恩恵的ではない、救貧法ではないということが建前であつたはずでございます。ところが今日その運営に当りましてその法の精神は全く蹂躙せられまして、極端な救貧的な恩恵的な法律の運営になつておりますことを先ず非常に遺憾に思つておりますが、大臣にお伺いいたしたいと思いますのは、この生活保護法の運営に当りまして、結局生活能力を復帰せしめる再生産的なお考えを以て運営されているかどうか、今後どういうお考えで進まれるお考えであるかどうかということをお伺いしたい。なぜかなれば、現在こういう例がしばしば地方から訴えられて来ております。家財道具を処分しなければ生活保護法が頂戴できない。或る所では箪笥の中の抽出しまで調べなければこれが適用を受けることができないというようなむごい例が私のところに来ております。又この委員会で私が御質問いたしましたときに、非常に成績のいい子供が高等学校へ行くというような場合に直ちにこれが生活保護法適用をストツプされる、こういう例がある。そのときには局長の御答弁によりますると、それは高等学校へ行く子供だけが適用から外されるのであつて、家族全体が外される意味ではございませんという御答弁弁でございましたが、私たちはその子供をも適用に入れてほしいけれども、併しそういう御答弁であつたにもかかわらず、現実の面におきましては高等学校へ行つたことによつてその家族全体が法の適用から外されている。これが正しいかどうか、大臣はどういうふうにお考えになつているかということをお伺いしたい。  それからいま一つは、朝鮮の人々の生活保護法適用でございまするが、これに基きましてA、B、Cと仮にあつたといたします。ところが本当に適用しなければならん階級に適用するべきなのに、集団的に押しかけて来るというので、もうその力に押されたのかどうか存じませんけれども、それが殆んど文句なしに適用するというようなことでは一律平等の精神に反すると存じますが、朝鮮のかたと日本の国民に対して差別的な扱いをされる理由はどこにあるかという点をお伺いしたい。  それから有力者の口添えのあつた場合には、如何かと思われるような人々が適用されているが、そうでない人はいつも泣寝入りであるというような点について私は大臣に御所見を伺いたい。  それからいま一つは、僅かな内職の収入があつても厳しい査定を受けて生活保護基準から少しでも出れば全部ストツプされてしまう、さつ引かれてしまうということになれば勤労意欲を阻害する。遊んでいても八千円、働いても八千円ということになりますると、働く馬鹿はいなくなるのでございまして、そういうことは勤労意欲を大いに傷けることであつて、しばしば本委員会厚生省に質しておりますが、今後これを再生産的意味におきまして少くとも所得税の適用範囲くらいまでは大目に見るお考えがあるかないかということをお伺いしたい。  又続きまして医療扶助の問題でございますが、細かいことは抜きにいたしまして、あの法の中に最低の医療を受けることができるとありますが、医療の最低とは如何なるものであるかという点をお伺いしたい。  それから先ほど大臣の御答弁の中に、これは谷口委員からの御質問に答えた言葉でございましたが、中産階級以上の人は妊娠調節をしておる、逆淘汰になるのではないか、だから生活困窮者に対しては国庫で無料で以てやるべきではないかという御質問に対して大臣は、極く僅かな金だからそう家計に響かないだろうという御答弁でありました。併し私はそれならば現在の生活保護法適用において余裕を見てやつておられるのか、大臣は余裕があるとお考えであるか、結局今の生活保護法では入浴代なんかでも一ヵ月たつた四十円、東京でございますが、一回十五円だつたと記憶いたしますが、それでは四十円では二回半しか入れない。子供は二十円でございますか、それから衣料費なんかも一ヵ年八百円しか見込んでいない。こういう生活保護法を与えていながら、妊娠調節するための費用が家計に響かないというような御答弁に対して私は理解に苦しむのでございます。この点についても私は大臣のお考えをお伺いしたいと思うのでございます。先ず第一段階といたしまして生活保護法についてはその程度にいたしましてあと二、三……。
  55. 山縣勝見

    国務大臣山縣勝見君) 藤厚先生の御質問、箇條が大分ありますので或いは抜けておりましたらあとで……。生活保護に対する基本的な考え如何というお話でございますが、これは勿論お話通り、将来それらの家庭が自活してそうして健全な再生産に立直つて行くということを目標にいたしております。その点は別に変つた考えを持つておりません。  それからその後に個々的に御質問がございました点について申上げますが、例えば高等学校の点、それから朝鮮人に対する点、或いは有力者の斡旋等による場合の点、これらの点につきまして、これは同様の、要するに生活保護法適用の問題だと思います。これらの詳細な点につきましては政府委員から申上げたほうが適当であろうと思います。私といたしましてはこの生活保護法適用が時には厳格に過ぎ、又時には公平を失することによつてこの折角の生活保護法というこの法律の使命としまするところが阻害されますることに対しましては今後厳重に監督をいたし、或いは指導いたして参りたいと思います。又従来朝鮮人の点等につきまして遺憾の点があつたと聞いておりますが、今後指導をいたしましてさような点のないようにいたしたいと思つております。なお内職する場合において云々というお話でございましたが、御尤もでございまして、折角一生懸命やつた者と怠けている者とが同様ではこれは困るのでありまして、今後この法律の中にありまする勤労控除、現在五百円と承知いたしておりますが、できればこれも多少上げて、そうして勤労意欲を向上させたいと思つております。それから医療扶助でございますが、最低如何というお尋ねであつたと思いますが、最低の点につきましては詳細の点は政府委員から申上げることにして、私からは、これは要するに適正なる医療費と法律にあつたと思いますが、国民健康保険との均衡を持つた適正な医療費、その内容等につきましては後ほど政府委員から詳細に申上げます。  それから最後に谷口先生からもお尋ねがございました点に関連いたしますが、逆淘汰にならんように、いわゆる貧困階級に対する優生保護及び受胎調節等の費用、これは国庫負担としてはどうかという御意見でございましたが、これは先ほど谷口先生にお答えいたしましたように考えておりますので、今後いろいろ検討いたして行きたいと考えておりますが、取りあえずのところは先ほど谷口先生にお答えいたしました通りお答えで一応御了承頂きたいと思うのであります。
  56. 藤原道子

    ○藤原道子君 妊娠調節の費用などは極く僅かなものですから私は国家保障すべきだ、こういうふうに思つておりますが、特にお考えを願いたいと思います。それから運営が非常に厳格になつて来たのであつて、結局濫救ということは殆んどなくて、非常に厳しくなりましたのが、社会福祉事務所になつてから特にひどい。成績を挙げれば本省の覚えがめでたいものだからでございます。そういう考え方では困るのでございまして、法の精神を断じて曲げないように今後十分一つ運営に心して頂きたい。  それから殊に最近およそ許すことのできないと思いますのは、いわゆるかわいそうな里子の問題などにおきましても、里子で出すのに、児童福祉法で里子に出しますと費用が余計かかる、だから福祉事務所は里子に出すことよりもむしろ生活保護法適用のほうへやる傾向が非常に強いのでございます。こういう点も特に今後御注意をして頂きたい。  それから医療の問題でございますが、最低とは如何なるものかという今の大臣答弁では私は満足でございませんので、あと局長にも十分お伺いしたいと思いますが、私先ず考えますと、少しの薬も使う時期がある、その時期に使えば仮に一週間で治るものが、その注射は生活保護法で認められていないというふうな考え方から、これを倹約いたしまして、そのことによつてその患者は二十日も三十日もかかるということになれば、非常に国家的に見ても損失であり、個人の福祉をも阻害するというような点がございますのでお伺いしたのでありますが、それはあとから局長に聞きたいと思いますが、とにかく大臣からあらましの返事をちよつと聞かして頂きたいと思います。
  57. 山縣勝見

    国務大臣山縣勝見君) 先ほども逆淘汰の点に関して私が申上げましたのは、将来例えば生活保護法の中にありまする医療費等について、或いは多少医療費の算定の基準を上げますとか何とかいうことも考慮いたしているということを申上げたわけであります。これは里子の点につきましては、これはそういうことはあつてはならんのでございまして、又福祉事務所が生活保護法の精神に反した厳格な適用をいたすことによつて本省の覚えがめでたいというようなことは、これは法律がありまして、法律の運用を国民のためにやつております制度でありますから、そういうことのないように今後監督をいたして参りたいと思います。
  58. 藤原道子

    ○藤原道子君 そこで大臣に、この生活保護法の根本的な扱いの問題でございますが、今日どの法律も全部生活保護法に入つて来る。身体障害者福祉法にしても、児童福祉法にしても、時には健康保険なども入つて来るし、いろいろな点が非常に錯綜しております。又児童福祉法等も非常に錯綜して参りますので、非常に煩瑣になつていると思います。従つてこの法律を根本的に分けて、母子対策、母子福祉法とか或いは児童福祉法とかいうようにお分けになつて運用するというようなお考えはないでしようか。もう生活保護法は限界に来ているような気がする。生活保護法の根本的なものは崩れて来ているように思うのですけれども、それに対して大臣はどういうふうにお考えになつておりますか。
  59. 山縣勝見

    国務大臣山縣勝見君) 大体生活保護法の基本的な考え方を変更して、生活保護法対象となつている面を、例えば母子対策とかその他の面に、児童対策は児童福祉の面に分けてどうとかという御趣旨でございますが、この点につきましては実は我々といたしましても従来、私自身としても検討したのであります。併し大体この生活保護法は先ほどお話通りこれは援護というよりも権利だというお話でありますが、これはやはり新憲法の精神に則つて最低生活を保障して、その保障された上に立つて国民というものが生活をして行く、だからすべての社会福祉の一応の基本の一つのものと考えて行くのが適当じやないか。だから生活保護法でこの最低生活を保障して、その他に例えば他の社会的の環境や事情、或いはその他の原因によつて保護救済、例えば戦争未亡人或いは孤児とか、そういうものに対しては場合に応じた一つの母子福祉対策、児童福祉対策というものをとつて行くのが適当ではないか、こういうふうに考えております。併しこれらについては今後社会情勢の変化等によつて検討を加えるべきでありましようけれども、現在といたしまして、やはりこれは一応現在の生活保護の体系というものは今後の運用その他において完全を期しつつこの体系は一応存置して、その足らざるところを他の各面においてその法律によつて適切ないわゆる福祉対策をとつて行くのが適当ではないか、こう現在は考えております。
  60. 藤原道子

    ○藤原道子君 私の言葉をとられたみたいで、社会保障的な見地でやつている法律だからと言われるで、これも仮に本当にそのままに運営されておれば、軍人援護法なんかのときにも生活保護的なものを非常に嫌うということは現われて来ないはずです。ところが生活保護という言葉そのものを社会全般がいやがる。この適用を受けることを屈辱というふうに考えているところに問題があるのでありまして、是非とも十分真剣に考えて頂きたいと思います。これは希望いたしておきます。  次にお伺いしたいのは保健所の運営でございます。細かいことは昨日局長からお伺いいたしましたので私はそれは本日は省略いたしますが、ただ一点大臣にお伺いいたしたいと思うことは保健所の本来の使命は国民の健康を保持して行くところにあると思うのでございます。ところがこれに対して最近得た情報によると駐留軍に附随したような特殊婦人が殖えて参りましたので、その駐留軍の所在地、基地附近においては保健所が非常に困つておるのでございます。そしてなお調査いたしましたら過日アメリカの国会におきまして日本の駐留軍基地等附近においては集団的な特殊婦人がいて困つていると、国がこれに対して出先としてはどう扱つておるかという質問がアメリカの議会でなされた。これに対しての答弁の中に日本は数百年来の売春の歴史を持つ国であつて、売春に対しては何ら問題になつていない。ただ性病だけが問題になつておるのであるというようなことを議会で答弁されております。日本の売春行為をそのまま見ておりますことが国際的な屈辱を受けておるということを大臣は御承知でございましようか。と同時に出先駐留軍には又この売春行為に対しては何らの権限がないのだと、一にかかつて日本政府のやるべきことであるということが続いて答弁されております。ところが最近駐留軍の現地司令官がその関係の県庁の県知事に対しまして協力を求めて非常に性病が多くなつて困るので何か一つ協力してもらいたいというような手紙が行つておる。それによつて知事と駐留軍の関係者が会合を持つてそうしていろいろ相談した結果、特殊婦人に対してカードを渡しておる、「健康のしおり」というようなカードを渡して写真をつけてそうして健康診断をした健康診断証明書を持つておる者は売春を行なつてもいいということになつた。これはいつそういう法律が、いつそういうことが許されるように性病予防法その他が改正されたのか。これを大臣として御承知であるか、御承知であつて見逃しておるというならば私は法律違反だと思う。それとも知らないといたしますならば厳重に調査をして大臣考えておる対策についての答弁を私は願いたいと思います。
  61. 山縣勝見

    国務大臣山縣勝見君) 只今お話のありましたような事案は私の今承知しておる範囲では政府はそういうことを許したことはないと思います。併し政府が一応資料を取り調査いたします。そういうことを承諾したことはないと思つておりますが、一応調査して見ます。
  62. 藤原道子

    ○藤原道子君 これは場所を示してほしいとおつしやれば出します。少くとも局長は知らないはずはないと私はかように考えておりますので……。国内において堂々と法律違反が行われることを忍ばなければならないほど私たちは植民地になつた覚えはありませんので、厳重なる御処置を要望いたします。  それから今度は最後にお伺いしたいことは、厚生住宅の、結局今日住宅難はその極に達しております。而も中産階級以上、住宅公庫その他ができましたので、今日ではその人たち、中以上の人たちの住宅難は相当緩和された。けれども三畳、四畳半、六畳あたりに五人、十人のものがひしめき合つてざこ寝生活をしておる、この人たちは、永遠の闇に喘いでおるような状態でありまして、ここが不良少年の温床になり、ここが結核の発祥の地になり、犯罪の根源をなしおる。これに対して私どもは一日も早く住宅問題を解決しなければならないと強く要望して来たわけでございます。ところがこれに対して厚生住宅というようなものができることになり、厚生省の努力で立案されたものが、建設省との共同所管とかというようなことに落ちついたことを非常に遺憾に思いましたけれども、併しきまつたものは仕方がございません。けれどもそのときに厚生当局といたしましては、建設省と十分相談をいたしまして、こうした階級にこそ、重点的に優先的にこの住宅を使用させるのだというようなお答えでございましたが、その後厚生住宅によりまして、どの程度の人が救われたか。そして来年度予算におきましては、厚生住宅がどの程度に予算に計上されておるか、そういうことにつきましてお伺いをいたしたいと思います。
  63. 山縣勝見

    国務大臣山縣勝見君) 只今のいわゆるこの第二種公営住宅でございますね、それは昭和二十七年度五千百余戸ですか、それが予算に組まれまして出ております。なお又建設省は大体三ヵ年計画で十八万戸、そのうち四万五千戸をこれらのいわゆる第二種公営住宅に当てるということで、三ヵ年計画を立てておりますので、要するに只今お話ございましたが、厚生省がやるべきことを建設省が取つたというお話でありました。これは所管の争いという問題よりも、できるだけ只今お話のような階級のかたがたに安い住宅を提供するということにあるのでありまするから、建設省であろうと、厚生省であろうと、結局目的はそこにあるのでありますから、厚生省としては、今建設省が所管でやつておりますこの十八万戸のうちの四万五千戸を予定いたして計画を立てております。これが昭和二十八年度以降どれだけの予算を取れるかということは、今後の問題であろうと思いますが、建設省とも協力をいたしまして、できるだけ第二種公営住宅の建設に努力する、そして折角できました第二種公営住宅について、今申しましたような趣旨に副うように、選考等に当つてはできるだけ厚生省といわんよりは、そういうかたがたが入れるように、建設省においても選考等に十分考慮を払う、厚生省もそれに協力して、できるだけ目的を達するようにいたす、こういうふうに努力いたしたいと思つております。来年度以降の詳細については、政府委員から申上げますが、現在までの構想は只今申上げた通り、三ヵ年で十八万戸、そのうち本年は四万五千が第二種公営住宅、来年度は五千戸建てたい。今後予算の折衝、或いは又実際にそれらの家が十分建ちました際における、只今お話のような人たちがその住いに住むための選考ということについては、極力努力いたしたいと思います。
  64. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  65. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 速記を始めて。
  66. 藤原道子

    ○藤原道子君 いつも、住宅問題が十八方戸などということでは、非常に焼石に水でございまして、政府発表によつても三百十六万戸の住宅が不足しておる。結局ここが社会不安の本元であるといういうことは、私が申上げるまでもないのでございまして、これに対して私、この十八万戸ぐらいで満足しておられるのかどうか、もつと積極的な住宅対策をお考えになつておるかどうか。それから引揚住宅が荒廃その極に達しておりますが、これに対しての対策をお待ちであるかということをお伺いしたい。  それからいま一つは、水上生活者ですが、これらのみじめな状態に対してのお考え等を併せてお伺いしたいと思います。そうしてこれ以上の発言は委員長が許しそうもありませんので、私は言うことはこの程度にしますが、一応申加えておきたいことは、今社会不安であるとか、或いは国内治安がどうだとかということが政治の上に大きく現われておりますけれども、問題はこの国内治安が本当に収まつて行くかどうかということの大本は、厚生行政だろうと思う。医療の問題、住宅の問題、疾病の問題、これらがすべて解決いたしますならば、国内治安は守れる。住宅問題一つがうまく参りましても、相当結核の罹病を防ぐことができる。いつも厚生省は弱いのです。厚生大臣は弱いのです。今度は山縣さんは私、弱くないと見ております。従いまして真劔に厚生問題を解決するという意気込を以て今後強くやつて頂きたいということを最後に要望いたしまして、今の御答弁をお伺いいたします。
  67. 山縣勝見

    国務大臣山縣勝見君) 先に住宅の問題で附加えておきたいと思います。住宅の問題は御承知通り、終戦直後に引揚のかたがたがたくさんおられてお困りでありましたから、現在まで、最近私の持つております数字では、四万一千五百戸と承知いたしておりますが、それだけのものを建てて、そういう人々を収容いたし、なお又終戦直後にはそれらの住宅以外に、臨時収容したことも御承知通りであります。昭和二十八年度におきましては、大体無縁故のかたがたに対しては三千二百余戸、疎開住宅五千二百四十九戸でございますが、これらの予算要求をいたしたいと考えております。  なお又最後のお話のいわゆる社会不安等に関して、医療或いは住宅その他の問題に対して政府は善処しろというお話、十分拝聴いたしておきます。
  68. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) それでは大臣に対する質問は今日は一応この程度にしたいと思います。  なお先ほど藤原委員から大臣の出席の点について御要望がありましたが、これは委員長からも十分申入れをいたしますつもりでおりますから、さよう御了承願いたい。  それでは今日はこれを以て散会いたします。    午後四時八分散会