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1952-12-04 第15回国会 参議院 厚生委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月四日(木曜日)    午前十時三十五分開会   —————————————   委員の異動 十二月三日委員高田なほ子君辞任につ き、その補欠として河崎ナツ君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     藤森 眞治君    理事            長島 銀藏君            藤原 道子君            堂森 芳夫君    委員            大谷 瑩潤君            中山 壽彦君            井上なつゑ君            常岡 一郎君            河崎 ナツ君            山下 義信君            深川タマヱ君            谷口弥三郎君   政府委員    厚生省政務次官 越智  茂君    厚生省公衆衛生    局長      山口 正義君    厚生省公衆衛生    局環境衛生部長 楠本 正康君    厚生事務官    (厚生省医務局    長事務代理)  高田 浩運君    厚生省薬務局長 慶松 一郎君    引揚援護庁長官 木村忠二郎君   事務局側    常任委員会専門    員       草間 弘司君    常任委員会専門    員       多田 仁己君   説明員    厚生省大臣官房    統計調査部長  曾田 長宗君    厚生省大臣官房    統計調査部指導    課長      梅本 純正君    厚生省大臣官房    国立公園部長  森本  茂君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○保健婦助産婦看護婦法の一部を改正  する法律案内閣提出) ○あん摩師はり師、きゆう師及び柔  道整復師法及び診療エツクス線技師  法の一部を改正する法律案内閣提  出) ○参考人の出頭に関する件 ○小委員補欠選任の件 ○社会保障制度に関する調査の件  (厚生省関係予算に関する件)  (引揚対策に関する件)   —————————————
  2. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 只今から厚生委員会を開会いたします。日程に従いまして保健婦助産婦看護婦法の一部を改正する法律案提案理由政府のほうからお願いいたします。
  3. 越智茂

    政府委員越智茂君) 只今議題となりました保健婦助産婦看護婦法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由説明いたします。  旧看護婦規則により看護婦免許を受けた者で、新制度保健婦学校養成所又は助産婦学校養成所を卒業したものにつきましては、現行法規定では、保健婦国家試験又は助産婦国家試験受験資格を有しないのであります。  そこで右の者にそれぞれの国家試験を受ける資格を与え、旧規則看護婦保健婦又は助産婦となる途を開くため、保健婦助産婦看護婦法の一部を改正する必要があるのであります。  何とぞ速やかに御審議の上可決せられるようお願いいたします。
  4. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 引続きましてあん摩師はり師、きゆう師及び柔道整復師法及び診療エツクス線技師法の一部を改正する法律案提案理由をお願いいたします。
  5. 越智茂

    政府委員越智茂君) 引続き提案理由説明をいたします。  只今議題となりましたあん摩師はり師、きゆう師及び柔道整復師法及び診療エツクス線技師法の一部を改正する法律案につきましてその提案理由説明いたします。  先ず「あん摩師はり師、きゆう師及び柔道整復師法」の改正の要点は次の三点にあるのでございます。  第一は、大学への入学資格を有する者、即ち新制高校卒業生につきましては、はり師、きゆう師又は柔道整復師学校等における修業年限を二年以上に短縮したことであります。新制中学卒業生はり師、きゆう師又は柔道整復師学校等における修業年限は四年以上でありますが、新制高校卒業生一般科目教育を履修しておりますので、特に二年以上に短縮しても十分教育効果を挙げることができるからであります。  第二は、旧制国民学校高等科卒業生等につきまして、あん摩師はり師、きゆう師又は柔道整復師学校等への入学資格特例を認めたことであります。  本来これらの学校等入学資格新制中学卒業生なつているのでありますが、中途失明者の救済を行う必要もあり、右の者に入学資格特例を認めたい所存であります。  第三は、旧制中等学校卒業生等につきましても、はり師、きゆう師又は柔道整復師学校等における修業年限を二年以上に短縮したことであります。  右の者も一般科目教育相当履修しておりますので、修業年限を短縮しても十分教育効果を挙げることを期待できるからであります。  次に診療エツクス線技師法改正の要旨は、旧制中等学校卒業生等診療エツクス線技師学校等への入学資格特例を認めたことであります。本来診療エツクス線技師学校等入学資格は、新制高校卒業生なつているのでありますが、右の者は新制高校卒業生同様一般科目教育相当履修しており、これらの者に入学を認めても十分診療エックス線技師となるのに必要な知識及び技能を修得せしめることができるからであります。  何とぞ速やかに御審議の上可決せられるようお願いいたします。
  6. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 只今提案理由に引続きましてこの両案についての事務当局説明をお願いします。
  7. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 只今政務次官から御説明申上げました二つの法律提案説明に敷衍いたしまして御説明申上げたいと存じます。  先ず保健婦助産婦看護婦法の一部改正でありますが、先般のこの法律改正によりまして、旧看護婦は新制度看護婦、それから旧保健婦は新制度保健婦、旧助産婦は新制度助産婦、それぞれ試験経ずし免許切換えを行うようになつたわけでございますが、旧看護婦保健婦なり助産婦なりの学校養成所課程を経ましたものがそれぞれ保健婦なり助産婦国家試験を受ける、即ち保健婦なり助産婦なりになる道がいわば開かれてなかつたのでございます。即ち旧看護婦が新制度看護婦となることにつきましては、これは勿論受験資格を認めずしても、新らしい制度看護婦免許切換えるわけでございますから、これは差支えないのでございますけれども、それと違つた保健婦なり助産婦になる道を閉ざすということは、これはやはり改正したほうが適当ではないのではないか、かように考えましてその道を開いたのがこの改正趣旨でございます。  法律自体は非常に簡単なものでございますから一つ一つの条文についての説明は省略さして頂きたいと思います。さような趣旨規定なつております。  それから、あん摩師はり師、きゆう師及び柔道整復師法及び診療エツクス線技師法の一部改正法律でございます。  先ず、あん摩師はり師、きゆう師及び柔道整復師等のほうでございますが、現在の制度はいわゆる新制中学校乃至それに相当する学力相当する以上の学力を有する者が、あん摩につきましては二年以上、それから、はり、きゆう及び柔道整復につきましては四年以上を修業して、そして試験を受けるというような、そういう制度なつておるのでございます。もともとこういつたかたがたについてその程度学力要求することが果して適切至当であるかどうかということについては、これは勿論いろいろ意見があると思うのでございますけれども、中等学校いわゆる新制中学校入学資格といたしておりますから、そういつた学校養成所におきましても、いわゆる新制高等学校を経て入る者も勿論これはあるのでありますが、そういつた者につきましては、相当程度一般教養を経ておりますので、更にそれから四年以上と言わなくとも、二年以上程度で大体十分修めることができるというふうに考えられますので、即ち高等学校を経た者につきましては、四年以上というのを二年以上ということに短縮したい、これが第一点であります。  それから旧国民学校乃至旧中等学校を出た者はいわゆる新制中学校乃至高等学校を出た者に比べますと、一年ずつ就業年限が低いわけでございますが、従いまして現在の法律によりますと、そういつた旧国民学校を出た者は、更に一年旧中等学校を出た者は、更に一年プラスをして就業しなければ入学資格が認められないか、或いは高等学校を出た者に足りないかという格好になるわけでございますが、この点もそう余りやかましく考えるよりも、むしろ旧国民学校或いは旧中等学校学科課程乃至学力実情というものを考えまして、旧国民学校を出た者は新制度中学校を出た者と同じように取扱つて入学資格を認める。それから旧中等学校を出た者は新制度高等学校を出た者と同じように取扱つて、二年以上というように短縮するということで適当ではないか、かように考えられますので、その趣旨改正を行うということになつたのであります。  それから診療エツクス線技航法の一部改正でございますが、これも新制度高等学校卒業ということを入学資格とする養成所において就業しなければならないということになつておりますが、これも旧中等学校従つてここには旧中等学校を出たものは入学資格がないのでありますけれども、旧中等学校実情であるとか或いは出た者の学力実情でありますとか、そういうものを勘案いたしまして、新制高等学校を出た者と同じように入学資格を認めることが適当ではないか、かような考えの下にこの趣旨改正を行うようになつた次第でございます。かような趣旨であることを御了承頂きたいと思います。
  8. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) この両案につきまして御質疑等もあると存じますが、御質疑次会に譲ることといたしまして本日はこの程度にいたしたいと存じますが……。
  9. 山下義信

    山下義信君 私は資料を頼んでおきたいと思いますが、このあん摩はり師、きゆう師、柔道整復師ですね、診療エツクス線技師も便宜加えて頂きましてもよろしうございますが、現在何人おりますか、あん摩はり師、きゆう師、柔道整復師というような者が認可を得ております業態の、最近の実情がわかるような資料を頂きたいと思います。それからなおできれば都道府県別にして頂けばよろしいと思います。  それから何度も頂戴していると思うのでありますが、重ねて恐縮なんですけれども、保健婦助産婦看護婦の現在の登録数といいますか、そういうようなもの、それから現に政府関係の職場に就いております数でありますとか、つまり散布の実態ですね、最近の実態のわかるような資料を頂戴したいと思います。
  10. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 資料はほかにも御要求がありましたらどうぞ。
  11. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 先日お願いしました資料もどうぞよろしくお願いします。今度の補正予算明年度予算に出ております法の切換えその他につきまして、保健婦助産婦看護婦学校の増加或いは変更についての一覧表、それから卒業する見込数、それからここに出ておりますこの保健婦助産婦看護婦の本年度受験人員でございますが、どのくらい受験人員がございますものか、それも合せてお願をいたしたいと思います。それからついでにこれまでの看護婦甲種学校数乙種学校数、準看護婦学校数一覧表もお願いいたしたいと思います。
  12. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 今の資料要求趣旨よく御了解になりましたか。
  13. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) わかりました。
  14. 山下義信

    山下義信君 私のお願いいたしました資料を御作成下させる場合に、勿論只今申上げました二法案に関連いたしまして、それらの人達の学力点等もわかりますれば調査したものを頂きたいと思います。
  15. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) これはちよつと今私そういう資料があるかどうかわかりませんので、若しありましたらお出しいたします。
  16. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) それでは質疑は次回にすることにいたしまして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) それではさように決定いたします。   ━━━━━━━━━━━━━
  18. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) それでは前回に引続きまして、厚生省関係予算について御説明を願います。  先ず最初引揚援護庁関係についてお願いいたします。
  19. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) 明年度予算要求をいたしております事情を申上げたいと思います。明年度におきましては引揚援護庁内局になる予定になつておりますので、大体そういうような形で以て明年度予算要求いたしております。  第一は引揚援護局統轄運営に必要な経費、これは引揚援護庁の現在の経費の中から今度の内局と合せまして一名だけ減員いたしましたものに必要な経費を組んでおります。  次は引揚援護局事業に要する経費、これは引揚に必要な経費でございまして、十四億五千万円ばかり要求いたしております。これは現在までのところの引揚の状況から判断いたしまして、一応これは引揚予定人員を二万九千名ばかりと予定いたしておりまするが、御承知のように、最近の情勢もございまするので、その情勢に応じまして適当に考慮しなければならんということに相成るかと思つておりまするが、現在まではそういうつもりで以て要求いたしております。  次に留守家族等の援護に必要な経費、これもやはり二十五億ばかり要求いたしております。これも現在の法律従つて要求しておるわけであります。これにつきましても、現在これを如何にするかということにつきましては検討をいたしておるわけでありまして、その範囲、金額をどうするかについても、そういう意味で以て別途話合いをいたしております。  それから次に外地遺体処理に必要な経費、これは明年の一月の初めから米軍占領地域におきまするところの遺骨処理をいたすということにいたしまして、現在その準備をいたしておるのでありまするが、これに引続きまして、ギルバート、ソロモン、ビスマルク群島、ニユーギニア、ボルネオ、フイリピン、ビルマ、マリアナ、スマトラ、ジヤワ、仏印、タイ、ニユーカレドニア、こういうものに対しまする遺体処理につきまして一億六千万円ばかり要求いたしまして、これによつて全部これを完了するようにいたしたいと考えておるわけであります。これは実施地域によりまして実施方法等もいろいろ異つておるのでございまするが、船をこちらから特に仕立てまして行きまする場所は、太平洋にありまする諸島であります。それから一般便船のありまするものにつきましては、ビルマ等につきましては、この便船によりまして行くほうがよかろうというので、そのつもりで調達をいたしております。それから墓地がすでにできておりまするものにつきましては、墓地管理に必要な経費を組みまして、該国政府に委託をいたすように考えておりまするし、又場所によりましては、ニユーカレドニアのようなところにおきましては、遺骨の送還を相手国に託するというようなことも考えております、そういうふうなことで以て大体一億六千万円ばかりの経費要求いたしております。  それからその次は、沖縄在籍者に対しまするところの給与復員処理に必要な経費を二億五千万円ばかり組みまして、これが現在済んでおりませんものにつきまして特に処置をいたしたいと考えております。  それからその次に、遺族貸付金に必要な経費といたしまして二十三億ばかり要求いたしております。これで以て大体生活保護を受ける程度のものに対しまして、その国債を担保として貸付をする、五万円と三万円と両方につきまして、五万円のほうは五万世帯、三万円のほうは二千五百世帯、これを要求いたしております。  それから最後に、更生資金貸付に必要な経費、これは引揚者等に対する更生資金貸付を、本年度は従来の償還金だけで以ていたしておるのでございまするが、それでは不十分でございまするので、なお二億円ばかりの新規の貸付資金要求いたしております。  大体以上でございます。
  20. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 御質問もあるかも知れませんが、一応国立公園統計調査部両方の御説明を聞きましてから御質問をして頂くことにお願いをいたしたいと思います。
  21. 山下義信

    山下義信君 ちよつと質疑ではないのですが、もう少し詳しく説明を聞きたいと思うのですが、引揚援護局事業に必要な経費十億ですね。これは本年は四億であつたのですが、これは今年も少し余つているのですね。来年十四億と多額に見込んでおられるのですが、これはやはり引揚に要する旅費などの貸付けと言いますか、旅費を出してやろうという、ああいうふうな費用が入つておるのでございましようか、ちよつと内容一つ補足して頂きたいと思います。
  22. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) これは本年度は、昭和二十七年度におきましては、一応予算の査定が一万名の引揚という見通しで以てやつております。私のほうといたしましては、とにかく向うにはまだ八万ばかりの人が生きておることになつておりますので、やはり最近のいろいろな情勢から見て、このくらいまでは帰る準備をしておかなければいけないだろうということで以て、約三万名の引揚があるものということで来年度予算要求いたしておるわけであります。なお中共におきまする先般の北京放送もございますのでありますから、この数字等につきましては、なお検討を要するものが近く出て来るのではないかと思つておりますが、一応あの放送がありまする前の状態で以て我々としましては三万名ばかり、二方九千余名の者が帰るという一応の推定をいたしましてこの予算要求いたしております。昨年は一万名ということになつておりまして、若し引揚が再開いたしましたならば、その実情に応じまして、予備金等で以てこれを増額いたすというようなことになつておつたのでありますが、現在までのところは集団引揚はまだないのでございまして、個別的な引揚に対する船運賃を出しておるということで以ていたしておるわけであります。
  23. 山下義信

    山下義信君 わかりました。一応従来のような引揚に要する費用が計上してあると、こういうわけですね。
  24. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) さようでございます。
  25. 山下義信

    山下義信君 余り中身を聞きますと質疑になりますので、質疑にならん程度にしておきますが、沖縄在籍者にかかる給与というのは意味ちよつとわからんので、もう少し御説明願います。
  26. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) 現在までのところ沖縄に対しましては未復員者給与法、特別未帰還者給与法というようなものができておりません、というのはその後しておらないのであります。従いましてこれも手続をいたしませんといけません。特に今度の南方事務所もできましたので、これらの所要といたします経費は改めて組むつもりであります。
  27. 山下義信

    山下義信君 わかりました。つまり沖縄に帰つている人に対して措置をしよう、こういうわけですね。
  28. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) それでは森本国立公園部長
  29. 森本茂

    説明員森本茂君) 国立公園部所管の項でありますが、お手許に配布してあります資料の一ページの裏側にあります通しの番号で十二、十三、十四、十五という四項目ございます。国立公園管理しておりますのは、国立公園の項が一つ国民公園の項が一つ、それから温泉法施行の問題が一つ、大体三つにわかれます。全体の費目といたしまして新らしい事項は出ておりません。大体従来の事項内容が増額されたということになります。最初の十二番の国立公園等運営に必要な経費と申しますのが前年度が二千五百万でございますが、二十八年度におきましては約十倍の二億四千万ほど要求するごとにいたしております。内容を申しますと、大部分が施設整備費補助でございます。一億四千万の中で二億一千万ほどは施設整備費補助でございます。その残額が管理費調査費等なつております。従来施設整備費が非常に少かつたのでございますが、額が多額に上りますが、一応こういう数字要求して参りたいと思います。それからその次の十三の国民公園維持管理に必要な経費、これがミスプリントで国立公園維持なつておりますかも知れませんが、国民公園でございます。国民公園維持管理に必要な経費、これは皇居外苑新宿御苑京都御苑、この三つ国民公園でございますが、これの経営的な維持費用でございます。いろいろ新らしい設備をせずに、ただあそこを綺麗に維持管理するという経費でございます。前年度が千六百万円でございますが、それが六千六百万ほど要求しております。これも多額なつておりますが、造園と申しますか、これを維持管理するにつきましては、一つの基準がございまして、本当に綺麗にするには一坪新宿御苑であれば百五十円、或いは皇居外苑であれば百円ぐらい要るという一つ目安がございますが、その目安通りの額をかけるという考えでありますと、理想的な管理をするという理想の数字を出しますと一応六千六百万という数字が出るわけでございます。一応この数字をお願いいたします。その内訳皇居外苑が千五百万、それから新宿御苑が四千万京都が九百万というような内訳でございます。それから十四番目の温泉法施行に必要な経費、これが前年度八万二千円でございますが、これは額は少いのでございますが、仕事としましては協議会費用、打合せの費用、或いは特定の調査費用という額でございます。二十八年度におきましては五百万円ばかりを考えておりますが、これは特に指定温泉地という制度一つ考えて参りたい。特にその調査をやりますとか、計画の設定等についての経費を中心に約五百万円ほど計算したのであります。十五の国立公園等施設整備に必要な経費、これは中身三つございまして、一つ国立公園の中の集団施設地区施設を整備する費用でございます。集団施設費の中で厚生省公共福祉事務所なつておるものがございますが、それの中のいろいろな設備をするについては国がこの経費を出すということになつておりますので、それが一つ。これは九百万ほどでございます。  それから現在林野庁が所管しておるところの土地厚生省に移管を受けるという費用がございます。これは約四千万ほどございます。これは国といたしましては特別会計一般会計の、この何と申しますか、通り抜けといいますか、そういうような関係になりますが、林野庁からの土地購入費が四千万、それからあとの二千万ほどは国民公園のいろいろな施設をして参る費用でございます。前年度が千五百万ほどでございますが、来年度におきまして、今申上げましたように合計いたしまして七千万ほどの数字考えております。以上でございます。
  30. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) それでは引続きまして統計調査部長曾田君にお願いいたします。
  31. 曾田長宗

    説明員曾田長宗君) お手許に差上げてあります資料といたしましては、国立公園の後に引続いて厚生統計運営統括に必要な経費といたしまして、二十八年度概算要求額といたしましては四億七千百七十三万二千円というふうになつております。前年度予算額に比べますると前年が二億二千六百一万二千円ということになつておりまして、増は一億四千五百七十二万ということになつておりますが、昨年度要求予算額といたしましては、昨年六億二千九百万円ばかり要求しておりましたが、それに比べれば一億五千七百八十八万円ばかり少くなつております。その内容といたしましては主なものだけ御説明申上げたいと思いますが、人件費におきましては前年通りでございますが、特殊庁費といたしまして、二十七年は当初予算額が八千六百六十八万円になつておるのでありますが、要求といたしましては一億五千九百七十八万円ばかりになつております。非常に嵩んでおるのでございますが、これは特に印刷費等の問題でございまして、いろいろな調査をいたしました資料が嵩んで参つておるのでありまするけれども、これを印刷いたしまして公表いたしますのになかなか御承知のように経費がかかりまして、そういうような関係からこの分が相当に殖えておるのでございます。御承知通り人口動態統計及び伝染病統計、そのほかの衛生関係統計及び社会福祉等、そういうようなものを広汎に含んでおりますので、どうしてもこういう点が嵩んで参ります。又スピードを早くするという意味から行きまして、簡単な発表物はできますならば省内におきましてこの簡易な印刷等、簡易な印刷をいたしたいということで、その設備等も充実いたしたいと思つております。それから社会福祉統計調査委託費といたしまして幾分増額いたしております。これは昭和二十六年の一月から社会福祉統計の系統的な整備を図りまして、一月から月報を出しておりますことは御承知通りでございますが、この仕事が相当厄介でございまして、又これをただ材料を集めるだけではなしに、各都道府県においても十分に活用してもらいたいというふうに考えておるわけでありますけれども、今日のところ府県におきましての定員を一名だけ国費で賄うようにいたしてございますのですが、到底一人では足りませんので、いわば社会局関係の福祉事業のほかに、児童局関係の福祉統計を取りまとめます者を一名ずつ置きたいということで、その増員分が入つております。  それから人口動態調査の委託費が昭和二十七年度の当初予算額は四千三百二十三万円でございますが、これを一億一千七百八十八万円明年度には要求いたしております。これは各都道府県、特に市町村というところに国で必要といたします統計事務を委託しております関係上、非常に経費が詰つて迷惑をかけていると考えられますので、是非これを或る程度増額いたしたいということで、増額を要求いたしたことになりました。  それから統計調査部として担当いたします特殊な統計調査としましては、おおむね従来から続けておりますもの、或いは毎年ではございませんが、時々行なつておりますものを実施するというものが主でありますが、その他に明年度として新たな構想の下に取入れましたのは、本省におきまして例えば社会局或いは公衆衛生局というようなところで特殊な調査を計画いたしておりますが、これを必ずしも全数調査として実施する必要はなく、全国或いは全国民の間から一部のものを抽出いたしまして、調査をなせばよろしいというふうに考えられるのでありますが、個々の調査を個々の企画に基いてこの調査対象を選ぶといたしますれば、その選ぶことだけに相当経費を要しますが、この本省で各局が行います抽出調査におきましては、その基礎となる、母体となる一つ調査対象をあらかじめ選んでおくという方法を採用したいということで厚生行政統計基礎調査というものを試みました。で、これによりまして全国の全世帯単位といたしますが、ほぼ二十万世帯のものを選びました。それでその世帯が特に生活保護法の扶助を受けておるとか或いは二十才以下の子供を抱えておる母子世帯であるとか、或いは身体障害者がおるとか或いは結核患者がおるとか、或いはその他いろいろと厚生行政を行いますに当つて基礎的な特徴によつてこの世帯を分けたものを抑えておきまして、そうしてこれがございますれば、その個々の部類に属します世帯について特殊な調査を行う場合には、この対象のうちから更に対象の全部或いはその一部分を選ぶということにいたしますると、この特殊な目的を持ちました抽出調査が極めてその都度簡易にできるというふうに考えられます。又調査それ自身としましても、大ざつぱにこの厚生行政が必要とする区分に従つた世帯の分布というものが掴み得ますので、これを是非明年度実施したいというのでそれを加えております。で、そのほかいろいろなものがございますけれども、他は細かいことでございますので、説明は以上を以て終らせて頂きます。
  32. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 以上を以ちまして二十八年度予算要求に関する大体の説明を終りましたのですが、今日厚生大臣に対する一般質問をして頂くことになつておりました。ところが厚生大臣は今日衆議院の予算委員会にどうでも出なければならない関係と時間の都合で、どうしても差操りがつかないということで、明日の厚生委員会に出ますと、こういう今申入れがありましたので、明日は勿論間違いなしに出て来られることになつておりまして、大臣に対する質問は明日にお願いいたしまして、一応今日の説明がありました引揚援護、それから国立公園統計調査、この三つにつきましての御質疑等をお願いしたいと存じます。
  33. 大谷瑩潤

    ○大谷瑩潤君 引揚の問題ですが、遺骨引取の問題に対しまして、公共団体とか民間団体等が遺骨引取の願い出等をした場合に許可になるのかならないのか、一つその点を……。
  34. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) ちよつと御質問趣旨がよくわからないのでございますが、遺骨の引取にあちらに参りまするということは、これはまあ政府の責任じやなかろうかと私は考えております。従いましてそういうことはまあ政府が直接やるのが妥当なんじやないかと、かように考えております。ほかに委託してやると言いましても、併せて政府が委託することはあるかも知れませんが、これは政府みずから行つてやるのが一番いいかと思います。
  35. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 これに遺族貸付金に必要な経費というのが出ておりますけれども、これは先のことになりますかも知れませんが、母子福祉の金庫ができましたら、未亡人のかたは両方から借りてもいいというようなおつもりでございましようか。どういうようなおつもりでございましようか。
  36. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) 母子福祉のほうがどうなりますかということにつきましては、私よく存じないのでございますが、これは国債を担保にして貸付けるわけでございます。現在国民金融公庫でやつておりますあれにこちらとしては金を出すということになつております。
  37. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 じや、それと関連いたしまして……。  それを貸付けますときの条件でございますが、返還の年限とか或いは利子とか、或いは用途については別に調べるのでございますか。
  38. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) これにつきましては、現在国民金融公庫が十億の貸付をいたしておりますが、これと同じ条件でやるのであります。
  39. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 いや、そうじやないのです。私のお尋ねしましたのは、貸す条件でございますけれども、一柱五万円の弔慰金とか何とか、あれを担保にして貸すのでございましよう。そのときに貸す利子とか返還期限、何年間の間に年賦返還するとかいうような条件もあるのだろうと思うのですが……。
  40. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) それは現在国民金融公庫で以て十億の金を貸しておりますが、これと同じ内容でございます。従いまして貸付金額は額面の九割、貸付期間は三年以内、貸付利子は年六分、償還方法は六ヵ月間据置の月賦償還、担保は国庫債券ということになつております。
  41. 山下義信

    山下義信君 今日は御質疑はないのかと思つて、先ほどまあ説明のときにちよつと補足説明をお願いしたのでしたが、御質疑が許されるのでしたら私二点ほど伺いたいのです。  今の御説明で来年度留守家族等の援護に二十五億計上しておいでになります。この大体内容一つ具体的にまあ一応の積算されました模様をですね、それから御計画を承りたいと思います。
  42. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) これは未復員者と特別未帰還者と両方につきまして要求いたしておるのですが、現在の法律の単価を、現在は基本が千円になつておりますのを千五百円で要求いたしております。ただこの問題につきましては、今別に検討いたしておる問題があるのでございます。現在の千五百円の単価で適当とも考えられませんし、それから特別未帰還者の問題につきましては、その範囲の問題もございまするし、これらのものを併せ考えまして、現在恩給の改正と、恩給法特例改正と申しまするか、そのほうの関係とも睨合せをいたしまして、妥当なる線に持つて行かなければならないというように考え検討いたしております。  従いましてこの予算は一応これを要求しておると御了解願いたいと思います。
  43. 山下義信

    山下義信君 そうするとまあ未復員者も特別未帰還者のほうも、今の千円という基本給を千五百円ということで御計算になつて、そうして妻と長子はそのままでございますか、六百円で……。
  44. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) これは現在が給与なつておりまするので、その給与に対しまする家族手当ということになりますると、それは全部そういうことで家族手当を計算いたしておりますので、それは変りはありません。給与そのものが千五百円に上る。一応そういうことで計算しておるのでございます。
  45. 山下義信

    山下義信君 それは給与の点だけが……。それで未復員者給与法の適用者は今何人ですか、それから特別未帰還者の適用者は、それで未復員者給与法の適用者は、これは動かないのですね。これは変らない。  それから特別未帰還者の適用は拡げようと思えば拡げられるのですね。まあそつちのほうを先に……。
  46. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) 未復員者の現在やつております実績は、未復員者のほうが三万五千百九十八、それから特別未帰還者が六千百五でございます。併せまして四万一千三百三でございます。
  47. 山下義信

    山下義信君 それで特別未帰還者のほうは、実際は問題にいつもなつておる。この間も又北京放送で問題になつておるわけですが、八万有余の未帰還者があるというわけで、実際はその全部に適用すべきものなんですね。特別未帰還者給与法というのは、一応特別未帰還者に対する法律ですから全部当嵌めてもいいわけなんですね。それが僅かに六千百五名しか適用されていないんですね。これはもつと拡げればもつと適用を拡げる余地があるのじやないかという気持があるのですが、その辺はこの二十八年度予算ではもつとできるだけ適用者に適用するという考えで、予算の積算ができておりまするんでしようかどうでしようか。
  48. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) 先ほど申しましたようにこの予算要求は、現在の法律の対象そのものについて単価を僅か引上げたという程度要求をいたした次第でございます。  特別未帰還者が六千数名しかいないというのは、向うにおりまする人の中でこちらに家族といいましても、その家族で而も限定されておりまして、その限定された範囲の家族がこちらにおるというだけでございますので、それが少くなつた。それからもう一つは特別未帰還者というのは、ソ連で今抑留されておる未復員者と同じような条件にある者ということになつておりますので、向うで抑留されているといいますか、中共の地区におきましては向うの機関に留用されている。そういう状態にありますものを指しております。従いまして向うにおりましても向うでいろいろな営業をやつている人もおりますし、それから他人の妻になつている人もおります。そういうことになつておりますので、向うにいる人数とこの数とは一致しないのでありまして、特別未帰還者の範囲を法律で以て限定しておりますので、それの範囲の人間がこれだけになるということでございます。なお只今質問のございましたその範囲を拡げたらどうかという点でございますが、最近の実際の実情から申しますると、中共におきまする実情から申しまして範囲は現在のように限定しているのが相当であるということは考えられません。留守家族の立場からいたしますれば、その点につきましては同様のものが相当であるというふうに考えるわけであります。従いましてこの点については、現在これを留守家族の援護というふうに切り換えるほうがいいのではなかろうかと考えましてその問題を今検討いたしております。これについては検討が済みました上におきまして、予算につきましても財政当局のほうに話合いをいたしたい、かように考えております。
  49. 山下義信

    山下義信君 よくわかりました。当然これは長官の言われるように、留守家族の援護に切り換えて、而も単に現行の適用のあの粋の、ただソ連という範囲内だけでなくして、中共に大部分なつている状態から見まして、当然そういうふうに移行さるべきだと考えるのであります。折角当局で御検討中でありますから成案の出るのを期待しております。関連しまして最近奄美大島或いは八丈島、小笠原島、あの南西諸島ですね。南西諸島の住民でまだ現地に帰ることのできない逆の未寄住者ですね。逆の意味の帰ることのできない人たちが沢山あるわけです。これは今未帰還者とは反対の向うへ帰れない人たちなんですが、当然これらの諸島に対しましては、国策としましていろいろな政府のお考えもあると思いますが、とにかく現状としましては、そういう人たちが内地におつて非常に困つておられる人たちが沢山ある、そういう人たちに対して何か援護庁で考えておられましようか、どういうふうになつておりましようか、その辺承りたいと思います。
  50. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) こちらに残つてまだ向うに帰られない状態がある。まあ小笠原関係及び沖縄関係があるかと思いますが、沖縄関係は現在までに帰れば帰れたはずではなかつたかと思いますが、小笠原関係は向うが帰ることを許しておりませんので帰れないようでございまして、これに対しましては、これは日本国民と同じような、と申しますか、日本国民でございますが、日本国一般のこちらに籍のありますものと同じような必要な援護をするという建前で、従来から来ておりまして、生活に困窮いたしております者につきましては、当然生活保護法が適用されまして生活の援護をされている、大体そういう考え方を以て従来この問題については処理いたしているわけでございます。
  51. 山下義信

    山下義信君 これは私はお願いいたしておきます。まあ根本的な問題は別の機会で政府の意見を伺いますが、やはり特別未帰還者、未復員者等が、特に特別未帰還者等につきましては保護法の性質を換えようと考えられる際に、今申しましたような対象者につきましては十分一つ御研究を願いたい。これはどこで研究して貰うという政府に部局がないのでありまして、まあ引揚援護の関係とよく似ておりますので、ケースは逆でありますけれども、一つ御研究を願いたいと思います。それから今一つは今の中共の引揚に関連しまして最近政府で大変いい手を打つて頂きまして、それが促進の動機にもなつているわけなんでありますが、引揚に要しまする、帰還に要しまする旅費ですね。旅費の貸与といいますか、立替えといいますか、旅費の援助であります。いろいろケースによりまして違うと思いますが、大体どの程度援助をしておられるのでありましようか、どの程度又要りましようか、それからそれの送金等につきましては、どこを経由してどういうふうにして便宜を図つておられますかということを一つ承わりたいのですが。
  52. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) 只今手許資料を持つておりませんので、正確なことは申せませんが……。
  53. 山下義信

    山下義信君 大体でよろしいですから……。
  54. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) 只今個別的に向うから引揚げて参りまする人々に対しましては、船運賃を全額こちらで以て持つております。これにつきましては、本人が船運賃が出せまする人はこれは本人が負担する。併しながら出せない場合はこちらで出す。先方からこちらにおりまする家族その他に対しまして連絡がございまして、向うの出国の手続ができる確実な見通しが付いたときにおきまして、この乗船の船便がきまりますれば、その船会社に対しまして、こちらはこの船運賃を払う、こういう方法をとつております。従いまして先般帰つて参りました岳州号、二回向うから天津から帰つておりまするが、これに対しましては大量な人が乗つてつて来ておる。これは大部分が当方の船運賃の負担によつてつて来ております。なお向うで要ります経費船運賃とか、公安局に離国の許可を受けなければ出国ができないようになつておりまして、公安局に、いろいろ所によつて若干違いはあるようでありますが、公安局に対しまして離国の許可を願い出まして、そのときに大部分のところでは、三日間新聞に差支ないかどうかということを自費で以て報告をし、更にそれで以て異議がない場合には離国の許可が出て、許可が出た後に船が着きまする港までの汽車賃その他の車馬賃、それから港に船を待つておる滞在費というものが相当額かかるようでございます。これらにつきましては、現在のところこれを援助する方法がないようでありますが、今後この問題を進める上におきましては、この点も如何なる方法で以てそれを援助することができるか、それを援助することによつて帰れるものが、それがないために帰国できないものが帰国できることになるのでありますが、何らかその方法を考えなければならん、この問題については今検討いたしておるわけであります。
  55. 山下義信

    山下義信君 今の長官のお答えで私は非常に喜ぶのです。船賃だけの負担では……、それも大変なヒツトであつたのですが、実情は今おつしやつたように、中共おいていよよく出発するまでに、或いは又船の出航しまする港までの旅費とか、或いはその他さまざまな個人的な立場で金を払つておかなければ立たれん実情にあるのが非常に多いということであつて、それらの金が容易に入手できないので、借りることができないので帰れないというのが大多数であるということであります。ですからその金を何か貸すとか、融通ができれば、補助ができれば、援助ができれば非常に明るいことになるわけであります。今政府がその点についての資金の援助、費用の援助について考えてみると言われたことは私は非常に引揚の促進の上に大きな効果があると思つておるのでありますが、是非一つ具体的に至急にお進めを願いたいと思います。それで今配船の手配をいたしておられるということですが、大体はどこへ船を廻すのですか、主たるところは香港ですか。
  56. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) 只今配船の手配をいたしておりますのは、別にこちらから船が向うに行くわけにも参りませんので、我々のほうでは船の手配は、中共側でどこそこの港に来いということを言わないと船を出すわけに参りません。ただ現在やつておりますのは、外国船で中共と日本との間を往復する船がございますので、その船と約束いたしまして、こちらに参りますときにその船会社に金を払うということにいたしております。現在ではその会社はバタフイールドという会社でございますが、これが唯一のもののようでございます。なお香港からでございますと別のあれもございますが、天津から参りますのは中共の港から直接廻しますが、これが唯一のものでございます。香港につきましては香港に入る、その香港に入国するという手続が又別に必要なものでございますので、天津のほうがその点につきましては便宜であろうかと思つております。併し香港から従来帰つておりまするところのものも若干はございます。これに対しましても、やはり船運賃は払つておるのでございます。なおその他中国の港から日本のほうへ来まする船は、我々は手を尽しまして探しまして、そういうような船につきましては、連絡をとりたいと思つて常にその点につきましては注意を怠つていないのであります。
  57. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 戦死者の遺家族に対しまして渡されたはずになつておりました弔慰金でございますが、調査が困難だというので未だに渡つていない家族が非常に多うございますけれども、私の知る範囲では戦死した場所も月日もはつきり政府のほうから示達もございますし、実際一目瞭然たるような家族にさえも渡つていない例も大分ございますので、政府のおつしやる調査不十分とか、困難とか、こういう言葉の意味に対しまして大分疑惑を持つ向きが多うございます。若し調査困難といたしますと、或いはその調査は人手が足りないというのならば、丁度補正予算の時期でございまするので、補正予算に少し計上してもらいたいという意図もあると思います。調査困難な内容はどういう点がお困りになつていらつしやるのか、その点を一つ承わりたいと思います。
  58. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) 政府におきましては、調査困難又は調査不能のために遅れておるということは申しておらないのであります。これにつきましては、御承知通りに大体七月頃から申請を受付けておりまして、申請が出て参りましたのは、その大多数のものは九月頃からたくさんのものが出て参ります。七月頃から逐次町村に出て参りまして、それが厚生省のほうにその書類が参りますのは九月頃が最盛期になりまして、現在では相当多数のものが参つております。従いまして、これは調査と申しまするか、審査をいたしまして、逐次只今つておりますけれども、現在だんだんとその成績が挙つて来ておるわけでございます。なお当初の予算を以ちましては、これは極めて不足でございまして、その金額を以ちましては到底年度内にできないというふうに考えられましたので、差当り財政当局との間で内輪で話合いをいたしまして、そうして約三億の補正予算を組むという約束をいたしまして、これを地方庁に通知いたしまして、地方ではそれを当てにいたしまして地方で以て予算を組む、そういたしまして地方の能力を強化いたしまして、そうしてこちらといたしましては非常に簡単なものにつきましては、その裁定の仕事一切を挙げて地方に任せる。こちらでは整理の仕事だけをやる。簡単でない、むずかしい仕事はこちらでやる。その調査を十月一日から始めております。従いまして現在までのところ裁定を終りましたものがすでに七十六万近くの裁定を終つておるわけでございます。その後の状況からいたしまして、通知が非常に遅れておる。これは通知が遅れておるということが明らかになりましたものは、その通知を促進するということにいたしまして、この十一月一日から通知の促進ということのために、引揚援護庁といたしましては他の業務を放擲いたしまして今通知をすることに邁進しておるわけであります。十一月一ぱいで以て約四十万に近い三十数万の通知をいたしまして、現在ではその通知を終りましたものが四十六万という数字なつております。なおそのほかにすでに通知に必要なる書類を全部作成いたしまして、今照合しておるというのが今十五、六万あるという状況でございます。大体近く通知が行きますものが七十万ばかりございます。こちらにその書類が出て参つておりますのは現在八十九万でございます。従いまして現在といたしましては、年内に大体百万の通知を終る。こういたしますと、今まで出ておりますものは大体片が付くのじやないかというふうに考えております。なお今後出て参りますものは昨年に入りまして出る。大体十二月の十五日までに当省に出て参りましたものは年内に全部片付けるという体制を以て今いたしております。その体制といたしましては、大体百万の通知が済むというふうに考えております。
  59. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 それではこの三億円という年末の応急措置の金は一体どういうふうにお配りになるのか、申請書が出た人は申請書の内容調査するに先立つて、とにかく名前が出た人には全部公平に三億円お渡しになるのですか。
  60. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) この三億円はこの仕事をする事務費でございまして、渡す金は、これは御承知通り百五十億ばかりの金がございまして、裁定通知が終ればその通知が終つたものは郵便局に参りますれば年金はもらえるわけでございます。それから弔慰金のほうは日本銀行から役場を通しまして、役場を通さない所もありますが、通して公債を交付する、こういうことになつております。
  61. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 もう一つ、最後に念を押しておきますけれども、十二月上旬までに申請が出たものは全部年内に片付けて、弔慰金をお渡しになるとおつしやいましたね、今……。
  62. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) 十二月の十五日までに当省に到達いたしましたものは全部と申したのでございます。
  63. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 それからもう一つ、その一柱五万円の弔慰金というのですか、あれに対しまして、貧乏人に対してはこの公債を担保にして生業資金をお貸しになるということですけれども、その貧乏の程度……。
  64. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) 現在ではその貸します金が十億でございますので、御承知通り生活保護法の該当者の数よりは少いのであります。従いまして生活保護法の該当者に相当する生活困窮者を限度といたしまして、そのうちで特に今必要なものを選ぶというようなことでございます。
  65. 藤原道子

    ○藤原道子君 ちよつとお伺いしたいのですけれども、先ほどの山下さんの御質問で或る程度納得いつたのですけれども、今度中共から三万の者がいるという通知があつたわけです。これは向うから家族に連絡のあつた者だけに対して帰還の手配をするというようなことなんですが、こちらから積極的に何らか連絡をするというようなことをしておいでになるのですか。
  66. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) 先ほどこちらの留守家族と連絡をいたしましてやると言いましたのは、従来やつておることをやると言つたのです。従来この七月以降は船運賃の個別負担をいたしておりますが、その前におきましては集団引揚の場合は全部こちらでやるということになつておつたが、中共からは集団引揚がない。従いまして個別的に解決するほかございませんので、その個別引揚を促進するという意味で以て、その船運賃の負担をいたすことにいたしたい。これは今年の七月から……。先般の中共からの申出と申しましたのは正式の申出ではございません。中共政府に新華社放送から質問をして、その質問の答えを新華社放送北京放送で以て日本語で放送したその放送をこちらで以てキヤツチしたものが我が国の新聞等に載つたわけでございます。従いましてこれに対しましては、そういう意図が中共側にあるということは極めて結構なことでございます。これに対しまする反応を示さなければならないということで以て、先般あの放送によりますれば、中国赤十字社がその交渉の相手方ということを向うから明示しておりますので、日本の赤十字社がこれに対しまして答を出した。どういうところでどういう相談をするということを具体的なものを知らせてもらいたいというので、電報を打つた。これで以てその話合いが真つすぐ付くようになりますれば非常に結構なことです。その上で話がきまりました場合にどうするかということについては万全の用意をいたしております。
  67. 藤原道子

    ○藤原道子君 重ねてお伺いしたいのですが、向うからの船賃は政府が負担しておるが、只今のお話では港までの費用が要る人には負担をするということでございましたが、今までに帰つて来た人で金がないために港まで来る費用を借りて帰つて来たという人が大分あります。ところが帰つて来てみると、その金の払う方法がないということで非常に困難していられるかたがあるのです。そういう場合に政府は港まで来る金がない者にはそれまで又考慮しておるということでございましたが、既往に遡つてそれをやつて頂けるのでございましようか。
  68. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) この点につきましては、従来からこれは既往に遡つてやらないのであります。船賃を借りた者について既往のものはもう問わないということで、これはもう済んでしまつたことにいたしておりますが、只今お話のありました向うで借りて、そしてこちらで以て返すという約束等のございますもの、これらにつきまして、どの程度までこちらでやるべきかということについて財政当局とも折衝いたしておるような次第で、目下どういう場合にどの程度のものを出すかということを今検討いたしております。なかなかむずかしい問題でございまして、厖大なることを要求されましても、それに対する証明方法がないわけであります。従いまして、どういうふうにすれば最も適当なる策になるかということについては十分検討しなければならないと思つております。
  69. 藤原道子

    ○藤原道子君 これは非常に重大な問題でございまして、結局厖大なる要求をされても困ると、調査の方法がないということになれば、成るほどそれもそうかもわかりませんけれども、とにかく帰りたい一心でそういう方法をとつてお帰りになつたと、この間もこの本院で証人を参考人として呼んでお話を伺つたときにも、最初に借りて来た人が帰つたら内地で返すということだつたが、それができないということになると、今後帰る人たちも港まで来る金を先に借りて来た人が返せば又やはり貸してくれるわけですし、併しそれは最初に借りて来た人が返せなかつたということになると、やはり貸す人はなくなるわけです。そういうふうになると、もう終戦以来七年以上も経過していて、この中共側から三万と発表があつても、もつとそれ以上はいると思うのですが、それらの人もその家族もいても立つてもいられないと思うのです。そういうことになると、何らか安易な方法で返す途を考えてやらなければならん。これからやはり港までの費用を出してやろうという親心は非常に私は嬉しいが、それなら今まで帰つて来た人にも、常識から判断して過大な要求なんかしないと信じたいのですが、同胞を……。従いまして常識から判断して、どこからどこまでということになればわかるのですから、それだけは払うようにしてやつてほしいのですけれども、どうでしよう。
  70. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) この点につきましては、御意見識に御尤もだと思つております。今度の中共の放送が真実でありまするならば、今後の交渉によりまして、これらの問題は解消する途がその際の交渉次第によつてあるのではないかということを期待いたしております。成るべくそういうように今後やりたいと思つております。その点につきましては、向うの出方を待ちまして努力いたしたいと考えております。今お話の点については私はそういう気持を持つております。なかなかその点つきましては、どこまでやるかということにはそれぞれ問題がございます。特にソ連の抑留の事務と違いまして、中共の場合のには個人によつていろいろ違う場合がたくさんあると思う。その点につきましては十分考慮いたしたい。
  71. 藤原道子

    ○藤原道子君 今一つお伺いしたいのは、深川委員から御質問があつた遺族弔慰金の換金方法ですが、これは只今長官の御説明によると、生活保護法の該当者の数よりももつと少いということでありますが、ところがこの羊頭を掲げて、狗肉を売るということはこういうところにあるのじやないかと思うのです。遺族の中には待ちかねている、もうあの弔慰金が換金できるという新聞発表で、本当にもうもらい得たかのような気持になつて、今まで店を改築したくてもできない、駄菓子屋をやつている人が、もう少し店舗を拡げれば生活保護費をもらわなくてもやつて行ける人が、高利貸に類した人から金を借りて店舗を少し拡げて商売を始めた。ところが一向に換金の恩恵に浴さないということで、却つて高利貸から利子に追われて、下手にまごまごしておると弔慰金を頂いたことによつてつて大きな社会悲劇が起るというような例がたくさんございます。あの十億という金はどういう根拠から出たのでございましようか。それであの来年度予算を見ましても、誠に僅かなのでございますけれども、今の範囲をもつと拡大して行くという方法はないものでございましようか。どこまでもこの基本方針を堅持して行くんでしようか。これは重大な問題ですから、腹をきめて御答弁願いたいと思います。
  72. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) 十億がどこできまりましたかということは、全然根拠がないと私は思つております。ただ国民金融公庫に十億を支出せしめる。国民金融公庫の持つております資金の中から十億を支出せしめて、これはあとで補正の際に附加してやろうというような話で以て始まつたものでございます。つまり国民金融公庫でその程度のことしかできないだろうということから出たものじやないか。なおこれに対しまする政府の支出がたくさんできまするものでございますならば、最初から公債にしないで弔慰金を現金で以て出したのじやなかろうかと思います。結局只今直ぐにその経費を出すことができないというようなところから、それだけの財政的な余裕がないというところから、これを公債で出して、そうしてその一部を貸付で以てやろうということになつたのでございます。併し今後の財政状況に応じまして、これは考えなければならん問題だと私は考えております。従つてこの問題につきましては、公債を担保にして金を貸すよりは、公債を買上げたほうがいいのじやないかと私は考えております。公債を担保にして借りますれば利子の問題も出て参りますし、利子が八分とか、六分とか差があるとか、いろいろなことがありまして、非常に厄介な問題も出て来ます。従つて償還の期限の問題もございますし、いろいろ厄介な問題もございますし、本当に換金の必要があります人には買上げて換金するのがいいのじやないか。我々としましては大蔵当局にそういう措置をとらないかということを話合つております。大蔵当局でもその点は検討しておるようであります。来年度におきましては、そういうような措置も併せて考えられるのじやないかというふうに我々は期待して努力を続けておるのでございます。
  73. 藤原道子

    ○藤原道子君 これは私どものほうで、この頃の陳情はこの問題が圧倒的なんです。非常に問題で、十億でございましたら、東京都への割当が僅か三千六百、八百ぐらいにしかならないというようなことでは、本当に雀の涙にも当らないので、非常な鼻息と言いますか、非常な鼻息なんです。どうも政府のやり方が、予算がないから根拠なしに十億と限定したところに私たちは見逃せない問題が起つて来ると思う。これはあなたに言つたつてしようがないけれども、炭鉱の住宅資金なんかには二十三億という利子をぱつと切り捨ててやる、極めて温かい親心を以てやつた政府が、遺族の問題に対してこういう冷淡な態度では、これは私たちは予算委員会の闘いにしたいと思いますけれども、あなたのほうではやはりこの来年度予算には、もつと私はあなたの考えておる立場での要求を出されて頂きたいと私は思う。
  74. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) 御承知のごとく、あの十億は一般的な国民金融公庫の資金の中から出ておるわけでありまして、今度私のほうで要求しておりますのは、別の枠で要求するということを一応いたしております。なおそのほかに先ほど申しましたように、或る条件を付けまして、債券の買上げをやるという方法が適当だろうと思いまして、その点につきましては、大蔵省当局に今要求もし、向うにその点は折衝いたしております。これは国債の買上げでございまするし、全部大蔵省のほうの金でやるわけでございますから、私のほうの予算には載らないのであります。従つてこれは向うのほうで、どういうふうに措置するかということは検討してもらいたいと思つて、その点は向うと話合をいたしております。まだ大蔵省の結論が出ておらないようでございますけれども、事務的にはその必要を認めておられるようでございます。これがどうなりますかということは、今後の問題じやないかと思いますが、我々としましては大いに努力しております。なお十億の金は極めて少ないのでありまして、大体これを割りますと、一町村二名という平均になるのでございます。一町村二名だけが換金されるということになるのでございまして、甚だ少ないことはもう初めから私たちも痛感しております。従いましてこの問題につきましては、そう私のほうも大きく丘宣伝していないから、非常に最初から少ないのでどうもならんということで、何と申しますか、余り無駄な期待は持たせないように努力はしたつもりなんでございますけれども、その点につきまして、いろいろ取上げ方の問題につきまして、我々の意に反しまして非常な遺族のかたがたに御迷惑がかかつたようなことがあるとしましたら、我々としましても非常に遺憾に存ずる次第でございます。
  75. 藤原道子

    ○藤原道子君 もう私だけで時間をとりますことは如何かと思いますから、この辺でよしますけれども、長官は非常に良心的で余り宣伝しないでおいでになつたことは私認めるけれども、政府そのものがえらい宣伝をした。従つて政府の事務を扱つていらつしやるあなたでありますから、やはりあなたにお伺いするより仕方ないということになつて来る、だから今度の軍人恩給でもやはり非常な期待を皆が持つておるけれども、やはりその結果はこういうことになつて来ると思うのです。私非常にこういう国民を欺すようなやり方が、幾ら政府が道義の高揚と叫びながら、道義をそれこそ低下させる方向へ持つてつておるように思われてならないことを非常に遺憾と思います。それから一つだけ最後にお伺いしておきたいのは、大蔵省のほうへ公債買上げの折衝をしておいでになる、これは甚だいいことだと思いますが、白でしようか、黒でしようか、見通しは……。
  76. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) これはどうも大蔵省のほうのあれでございますから、我々といたしましては白にいたしたいと思つております。
  77. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 先の遺家族の援護法ですでに弔慰金をもらえるようになつておりましても、だんだん遺家族の頂ける月日が遷延されて参りますと、その間に年とつた老父母などが死んで参りますね。子供もやはりその間に成長いたしますが、あの法の施行期日のときにすでに頂戴できる資格なつていた人は、その後たとえ死んでももらえるのですか、今のは……。
  78. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) その方針にございますように、常に一本で出すわけでございますから、法律施行後の資格者は皆もらえるわけでございます。従いまして途中で亡くなりまして遅れたからと言つても、それはもらえまして、そうしてあとは遺族のほうの相続の問題になると思います。   ━━━━━━━━━━━━━
  79. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) それではちよつと皆さんにお諮りしたいのですが、母子福祉の小委員長から、混血児対策につきまして、最近アメリカから帰つて来られた沢田みき子さんを参考人として母子福祉に関する小委員会において意見を聞きたい、こういう申入れがございましたのですが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  80. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) そういうふうに取計らいます。ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  81. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 速記を始めて……。   ━━━━━━━━━━━━━
  82. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 国立公園説明がこの間ございましたのですが、国立公園運営に必要な経費の中に、二分の一の補助で二億一千万円出しておる。過般、去年でございましたが、鳥取の大山公園を見に参りましたが、あそこで道路が非常に悪いので、あそこを何とか早く整備してほしいということでありましたが、この予算の中に入つておりますかどうか、ちよつと承わりたい。
  83. 森本茂

    説明員森本茂君) 大山の国立公園の中の経費も入つておりますが、道路の費用は入つておらんと思います。その他の施設は入つておりますが。
  84. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 その道路のあれは観光のものと一緒になるのですか、それはどこの所管になるのですか、どこが道路を直すのですか。
  85. 森本茂

    説明員森本茂君) 道路につきましては、原則としまして建設省の所管ということで、府県道或いは町村道、それらの関係補助を建設省所管で出す、こういう建前でございます。それで国立公園のほうの道路を作ります場合には国立公園の利用という点を併せて考えて、向うが補助をする、建設省が補助を出す、こういう建前にしております。但し有料道路というのがありまして、料金をとつて通行させる道路でございますが、これは補助はございませんが、殊に国立公園の有料道路につきましては、厚生省の意見を殆んど尊重して建設省が許可をする、こういう建前でございます。
  86. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 私の意見になつて悪うございますが、国立公園も大変結構でございますが、あまりにも道が悪うございますので、何か国立公園の価値があるかないかわからないようなことでございますが、一応建設省のほうともよく交渉して頂きたい。まあ陳情がございまして、この方面のことは建設省にもお願いするが、厚生省関係としても考えて頂きたいということでございましたので、特にお願いしておきます。
  87. 森本茂

    説明員森本茂君) その点は、私の申上げておりましたのは来年度予算の中には入つておらんということでありまして、差当り必要な事業は五ヵ年間の計画を作つております。そこで順次やつております。その中に入つておると思います。来年度という意味でございます。
  88. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 もう一つ総務課のほうの統計調査と申しましようか、六番目の社会保障制度の企画調査等に必要な経費内訳ちよつと知りたいのですが。
  89. 梅本純正

    説明員(梅本純正君) 厚生行政基礎調査につきまして、先ほど御説明申上げました以外に医療世帯調査、それから医療施設調査、医業経営実態調査、医業施設センサス、医業関係者センサスというものを計画いたしております。
  90. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 私が聞きたいのは社会保障の大臣官房……。
  91. 梅本純正

    説明員(梅本純正君) それは統計調査部の所管でございませんで、総務課のほうでございます。
  92. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 それでは大臣官房のほうで後ほど伺わして頂きたいと思います。社会保障のどういうような調査をなさるのか……。
  93. 大谷瑩潤

    ○大谷瑩潤君 ちよつと伺いますが、最近新聞等で艦船の引揚、外地における艦船の引揚ですが、サルベージ等に引受けさしているらしいのですが、その中に随分御遺骨があるだろうと思いますが、そういうものに対しまして、政府はどういう取扱をされるつもりですか。前の民間団体等に対しては一切遺骨引取に対してはやらさずに政府がやるという御趣旨から行くと、少しそこに食違いがあるやに思いますので、陸上はいけないが、海のほうは民間団体で取扱わさすというお考えをお持ちになつているのか、そういう点をちよつと……。
  94. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) 艦船内にありますものを政府としましてはそのまま沈まつておれば沈まつたままにいたしておきたいつもりでございます。これを強いてそのために拾い上げるということはいたさないつもりでございます。ただ艦船を引揚げるということになりますれば、それに先立ちまして、先ず遺体処理をどうするかということは考えなければなりませんので、これに対しましては、これは大体国有財産になつておるわけでございますから、その方面の当局に話しまして、そのやる場合には先ず遺体の鄭重なる処理をして、そうして作業をするようにということを要求いたしております。大体そういう条件で従来やつておりますが、今回におきましても、その点につきましてはその話を聞きました場合には必ずそういうようにいたすようにしております。大体サルベージ方面の御協力を得まして、今までのところにおいては遺憾のないように行われておるというふうに考えております。ただ今後につきましても十分注意いたしまして、粗末のないようにしなければならんと思います。
  95. 大谷瑩潤

    ○大谷瑩潤君 引取りの際に対しての調査、慰霊ということは、百七十二の外地遺骨遺体処理に必要なる経費の中に御説明を承わつたのですが、この調査はともかくとして、慰霊というような面につきましては、やはり民間団体の何ものかをお連れになつておやりになる考えがありますか、政府だけでおやりになるおつもりでございますか。
  96. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) これは当該国との関係になりますので、該当国がどういう態度をとるかということできまると思います。我々といたしましては、今回アメリカの占領地域内にありまするものにつきましては、先方といたしまして、日本政府の代表団として宗教家を連れて来るようにということを申されております。政府で以て適当な人を葉ということはいろいろと問題もあろうと思いまして、日本宗教連盟に委託いたしまして、日本宗教連盟からその人選をいたして頂きまして、その人選につきまして検討いたしまして、当該国との関係もいろいろ検討いたしました上で意見を申述べる。人選は向うに委託するということにいたしたい、こういうふうに考えております。
  97. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) ほかにありませんか……。それでは暫らく休憩いたしまして午後は一時半から再開いたします。    午後零時八分休憩    —————・—————    午後二時一分開会
  98. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) それでは休憩前に引続きまして厚生委員会を開きます。  午前中に申上げましたように、公衆衛生関係、医務局関係、それから薬務局関係、この三局関係についての御質疑をお願いいたします。先ず一緒にいたしましようか、それとも一公衆衛生からと順序を追いましようか。
  99. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 公衆衛生局にお伺いさして頂きたいのですけれども、皆さん如何でしようか……。それじや皆さん適当に伺いたいそうでございますから……。
  100. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) それじや三局を中心にして御質疑をお願いいたします。
  101. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 それじや伺わして頂きとうございますが、公衆衛生局の関係で伺わさして頂きたいのでございますが、先ず(20)の番号のついたところ、受胎調節の普及に必要な経費という所で、これはやはり保護法の改正になりましたときも、主に保健所の相談所の設備ということで、又今後もそれの設備のこれは費用だけでございましようか。それと、もう一つ考えなつて頂きたいのは、ここに働く人ですけれども、仕事がなくなつて困つているような助産婦の、この頃受胎調節などの指導を受けておりますが、ああいう人を職員として優生保護相談所ですか、お入れになるお考えはないものでしようか。各府県の助産婦たちは……。
  102. 山口正義

    政府委員(山口正義君) 受胎調節の普及に必要な経費、二十八年度大蔵省に要求いたしておりますのが一億四千三百九十七万円でございますが、その内訳を申上げますと、本省ではいろんな……、まあ本省で行います講習会の費用とか、或いは資料を作成いたします費用、そういうものが約六百万円余りございますが、それ以外に只今井上先生のお尋ねの優生保護相談所の整備に要します費用といたしまして二千三百六十二万二千円計上いたしてございます。これは昨年に引続きまして優生保護相談所の設備を整備いたします費用でございまして、もう少し細かく申上げますと、昨年整備いたしましたのが三百二十九ヵ所ございます。ただ昨年、二十七年度で整備いたしますまでがまだ不十分な点がございますので、その三百二十九カ所について、一カ所について二万九千六百四十円、二万九千円ばかり更に追加して整備したいという費用。それからそれとは別に四百二十三カ所今度は新らしく整備したい。これは整備費が額が大きくなりまして八万五千六百円というふうな整備の費用考えております。それに対しまして国が二分の一ずつ補助しようということでございます。    〔委員長退席、理事藤原道子君委員長席に着く〕  それが施設の整備のほうでございます。それからもう一つの項目といたしましては、やはり保護相談所の事業補助して行こうという費用でございまして、これは総額要求いたしておりますのが一億一千三百五十二万五千円でございます。これは、昨年は一カ所当り十一万円で三百二十九カ所分、而もその三分の一ずつの補助を計上して頂いて、現在それでやつているのでございますが、二十八年度要求の構想といたしましては、優生保護相談所、先ほど申上げましたように、既設の三百二十九ヵ所とそれから新設の四百二十三ヵ所、その合計でございますが、それを分けまして、市部を担当するもの約三百三十カ所、それから郡部を担当するものその残りでございますが、そういうふうに二つに分けまして、支部のほうでは職員を臨時に嘱託などで割合得易いものでございますから、職員を殖やすということは考えておりません。主として所内相談或いは巡廻相談に必要な運営費を計上しておるのでございますが、郡部を担当するもの四百カ所ばかりの分に対しましては、只今井上先生からのお尋ねの件に該当するかと存じますが、なかなか臨時嘱託などの人を得られにくいものでありますから、医師一人、助産婦一人を常駐として雇い、そうして仕事をして行つてもらいたいというふうな構想を考えているのであります。これらの費用といたしまして、支部を担当いたしまするものは一年間の経費は二十九万七千八百八十円、約三十万円、それから郡部を担当する経費は約五十五万円計上しております。その三分の一を国が補助しようと、そういうふうな構想で要求をいたしております。
  103. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 大体それでわからせて頂きましたが、これでございますと、設備とそれから事業費用のこれでありますが、もう一つ今度は母性の立場に立ちまして、受胎調節に要する費用というものは、この前もちつとも出ていなかつた問題でございますけれども、今回もやはりそれは一切この中に入つていないのですね、要は、何と申つましようか、費用のとれる人はいいのですけれども、とれない人で、いわゆる何というか生活保護が必要で受胎調節の指導の必要な人に指導に行つて、そうしてその人たちが、何と申しますか、薬品も買えないし器具も買えないというので、それの費用がどこから出るか、こういうところから受胎調節の費用が出て来るのじやないかという世間の人たちの、保健所へ来る人たちの心配するところなのですが、これはこの中に実際入つていないのでございましようか、心配しております。助産婦たちは非常に受胎調節の講習をして頂きましたが、講習して頂いただけでちつとも役に立たないのです。窮貧の人たちに役に立たない、有閑の人たちやインテリの人たちの間には割合に受胎調節が普及されておりますが、ここぞと思う所に手が届かないようでありますが、これはどういうふうにお考えなつているのでしようか。
  104. 山口正義

    政府委員(山口正義君) 只今の点につきましては、本会議でも大臣に竹中議員からお尋ねがございまして、一面から考えますと、受胎調節の実施の方法を十分に指導して参りますと、その器具、薬品に要する費用は比較的経済的に賄えるようになると思いますので、特に家計にひどい影響を及ぼすような心配がないではないかというようなことも考えられます。併し実際の場合に当りまして、只今井上先生から御意見のございましたようなことも考えられますので、これは予算の運用におきまして、この予算の面では優生保護相談所の事業費の中にペツサリーとか、或いはスポンジとか、或いは薬品というようなものの消耗品を指導用として見込んでございますので、そういうものを活用して、できるだけ円滑にやつて行きたいと、そういうふうに考えております。
  105. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 もう一つ伺いたいと思います。それで大体保健所に配付せられたものは、これは無料と心得てよろしうございましようか、この器具は……。若し指導を受けに行きました人がお金を払うことができなければ、それは無料でおやりになると心得えてよろしうございましようか。
  106. 山口正義

    政府委員(山口正義君) 全部の人に無料で行くかどうか、ちよつとそこのところはむずかしいのじやないかと思いますけれども、指導用として器具を消耗品として考えておりますので、必要に応じてそういう措置がとれるようにしたい、こういうように考えております。
  107. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 この間サンガー夫人が三十五万人分の受胎調節の薬を持つて来たということを聞きましたけれども、あれは何ら厚生省関係ございませんでしようか。
  108. 山口正義

    政府委員(山口正義君) 厚生省のほうにはその話は別に何にも参つておりません。
  109. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 それからもう一つ。それで大体わかりましたのですが、今度はこの受胎調節の指導費というものはどこでおきめになりますか。例えて申しますと、今後助産婦の人たちに受胎調節をすることを指導して行くと思いますが、若しここで指導する場合に、厚生省が一人にここでは五百円とか、あちらでは百円とかいうことじや困るのでございますけれども、私どものほうでは大体これは指導費一人百円くらいじやないかと思つておりますが、    〔理事藤原道子君退席、委員長着席〕  これにつきまして厚生省のほうではどういうふうにお考えなつておられましようか。
  110. 山口正義

    政府委員(山口正義君) 指導費をどの程度にするかというような点、これはなかなか地方的にも差異がございまして、むずかしい問題かと存じますけれども、私どものほうではまだどれが、どの線が妥当であるというようなことははつきりまだ考えておりません。併しそういう点はいずれ考えて行かなければならないのでございますので、この受胎調節の問題につきましては、昨年十月に閣議了解事項として取上げられまして以来、たびたび関係のかたがたにお集まり頂いておりますので、そういうかたにも集まつて頂いて、御意見を伺つてきめて行きたいと、こういうふうに考えております。
  111. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 関連して……。この受胎調節の講習会をお開きになるそうですが、厚生省では一体どういう人を、どういう方法で集めていらつしやいましようか。
  112. 山口正義

    政府委員(山口正義君) この予算に計上して要求いたしております講習会と申しますのは、各府県におります受胎調節の指導者を講習衛生院に集めまして、そうして一回六日間、時間数にしまして三十三時間、それぞれの専門家から講習をするという考えで計上してございます。
  113. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 それから資料を配付されていらつしやるそうですが、その資料はどういう範囲に配付されておりますか。
  114. 山口正義

    政府委員(山口正義君) 一応予算として資料配付先は優生保護相談所、或いは指導員、即ち助産婦とか、保健婦看護婦、そういう人、それからその資料の種類が二、三ございますが、その資料の種類によりましては、生活改良普及員、民生委員というような人たちにも配付したい、そういうように考えております。
  115. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 それから三百二十九カ所に更に四百二十三カ所の相談所を設置されますときに二分の一の経費を国が負担されまして、あとの経費は誰が持つのですか。
  116. 山口正義

    政府委員(山口正義君) 都道府県に持てもらうことにいたしております。
  117. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 要するに最小の経費を以て日本の国民全体にどういうふうにしたら受胎をしないか、妊娠をしないかという知識を教えるかが目的であると思います。そういたしますならば、もう少し方法を考える必要があると思います。例えば東京にもできておりますが、私でさえもどこに行つたらそんなことを教えてもらえるのか知りません。ましてや一般の人はなかなかだろうと思います。そんなにこの問題はむずかしくては因りますのでむしろ新聞にでも厚生省の名前でもつと一般にわかりやすく、ただこのとき考慮しなければなりませんのは青少年に及ぼす影響がございます。その場合にそれは青少年にはわかりにくいような用語を使うなり何なりして、そこには何か技術があると思います。そうしてもつと大勢の人が目に付くようにして知識を教えるということが現段階では必要だと思います。そうして三十三時間をかかつて、六日間を講習をやらなければわからんような、そんなむずかしいものでは忙しい人には利用しにくい、私はそんなむずかしいものじやなく、どこへ行つたらそういう器具とか、薬を売つておるかということを政府のほうはよく配慮されて指定店でもおきめにたりまして、そこへ行つたならば、こういう薬を売つてくれる、幾らぐらいするとか、方法はあると思います。今言つたの一つの例ですが、新聞とか、映画もございましようが、映画なんかはやはり青少年を注意しなければいけませんが、三十三時間もかかつて、六日間もやるというようなことを今申されましたが、誰に聞いたならばわかるというように一般にわからせることに対して、ちよつと普及の努力が足らないと思いますので、お考え頂きたいと思います。
  118. 山口正義

    政府委員(山口正義君) 只今御指摘になりました三十三時間が多過ぎるという話でございますが、これは府県のこの受胎調節の普及の指導をやつておられます中心人物になる人たちに対する講習でございますので、特に時間をかけてやるのでございます。併し一般の人たちにどういうふうに知らせるかということについて私どもが考えておりますのは、この受胎調節の指導、実地指導、それから口頭でいたします指導、それから更に広報活動の三段階があると思います。実地指導につきましては、助産婦の人たちに特に重点をおいてつつて頂きたいというので現存講習を実施いたしております。口頭指導はいろいろなケース・ワーカー、医者、保健婦その他の人たちにやつております。広報活動は只今御指摘のように最もむずかしいわけでございますが、社会の良俗に関係するということも起つて参りますので、映画などでやりますのはよほど考えものだというふうに私どもは感じておるのでありまして、広報活動としましては、これは県とか、或いは保健所というものが中心になつてやつて行かなければならないと存じますが、それは只今御指摘のように、どこに行けば正しい指導が受けられるかというようなことを一般に知らせるというのが最も大切だというふうに考えております。只今御指摘の通りに、私ども痛感しておるのでございますが、まだその方法が当を得ませんために十分な効果を挙げられませんのは甚だ遺憾でございますが、只今御指摘の線に沿いまして、私どもは広報活動をやつて行きたい、こういうふうに考えております。
  119. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 承わつておりますと、なかなか方法はむずかしいらしく、技術的にもむずかしい、そういたしますと、なかなか新聞などで簡単に知らせることは困難かも知れませんので、それならば全国の地区別に回覧板でもお廻しになるような方法を以て、いつどこに集めて講習をやるということを積極的にお考えにならなければいけない、厚生省ではお役人も少いので、なかなか全国の人に全部この知識を普及するということは如何にも時間がかかりますので、そうですね。やはりもう少しお考え願わなければいけませんね。それにいたしましてもなかなか……。
  120. 山口正義

    政府委員(山口正義君) 実際の指導はなかなかこれは場合によつてはむずかしいわけでございますが、それは最初から申上げましたように、全国に数万おられる助産婦のかた、或いは保健婦看護婦のかたに特別の講習をやつて、そうして一般の人たちを指導してもらいたい、こういうふうに考えております。
  121. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 この問題に関連して薬務局長さんに一つ伺いたいのであります。この頃講習を受けました助産婦の人たちが、保健所の優生相談所じやなくて、個々に指導する場合に、若し器具があつたらいいのかも知れませんが、薬品を一緒に持つてつて教えるということになりますと、非常にそこに経費の問題が出て来るのでおりますけれども、経費の問題と同時に、これは薬事法の遺反に問われないかというのがみんなの心配です。そうかと言つてお薬を持つて行かんければ、ただ口でこうするのだと言つてもわからないので、お薬を持つてつて、この器具を使うということになつたら、そういうことを助産婦にやらせたら非常にいいなという皆さんの意見なんですが、どうお考えなつておられますか。
  122. 慶松一郎

    政府委員(慶松一郎君) 講習に際しまして勿論器具、薬をお使いになる、これはまあ講習の見本としてお使いになることは直接法律の問題にはかからんと思うのでおります。併しその後講習を今度受けた個人々々のかたがたが薬を手に入れるのに、どうもあそこのつまり助産婦さんから習つたから、あそこでもらいたいというようなことも当然起ると思うのであります。併しそうなりますと、それは今の法的な問題から申しますと、薬を扱うのは薬局或いは薬種商になつておりますからして、その点に問題がございます。併しこの事柄を普及させるという点から申しますれば、そういうことも便宜上考えるべきことだと私どもは存じますが、併しそうなりますと、その助産婦さんなり、或いは保健婦さんなり、或いは薬種商と申しますか、医薬品販売業の許可をお取りになれば、これは一番いいのでありますけれども、そういたしますにはやはり全般に亘つて試験等がございまして、そう簡単に行きません。そこで私どもは何とかこの点を便宜的に解決できないかということで只今検討いたしております、関係局等とも……。従いましてもう少しお待ち下さいますれば、便宜的な方法で実効が挙るようなことを一ついたしたいと、こう考えておる次第でございます。
  123. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 最後に、それならば一億四千万円の経費を使つて、如何に正確に早く一般人に受胎調節の方法を教えるかということなんですけれども、大きい新聞によく人の目につくような枠の中に入れてもらつて広告をお出しになつ厚生省という名前で、子供を生みたくないかたは、各地の保健所に聞きに行つたら教えてもらえることになつておりますというような、囲いのある広告を何回かお出しになつて、なお念のために言うならば、朝九時から四時までと入れておきますならば、子供を生みたくない人は、自分の時間の都合のいいときに開きに行くでしよう。そこで保健所のお役人さんが教えてくれるのが一番手つ取り早いと思いますので、一々講習会を開いたり、印刷物を配付なさつたりというようなことは、なかなか一般人には利用しにくいので、こんなことでしたら、大衆に利用しやすいと思いますが、お考え下さいませんか。
  124. 山口正義

    政府委員(山口正義君) 只今御指摘の新聞の点につきましては、私どももよく研究してみたいと存じますが、講習会とか或いは資料を配付するというのは、これは指導員に対してそういうものを配つてやりたい、そういう考えでございます。それによつて一般の人たちは更によく指導して頂いてもらいたい、そういうふうに考えます。
  125. 河崎ナツ

    河崎ナツ君 さつき薬務局長の御説明の点、井上さんの御質問になりましたことに関連したことで、指導をする人たちが薬を見本に使つて、後にそれを要求せられる、まとめて扱つたら便宜なんですが、実はほうぼうに行つてみると、まとめて扱いたいからまとめて分けてもらえないだろうか、そういうことを厚生省一つ考えてもらえないだろうかという声が多いのです。或いは少し非公式にもう知つている所がありましたのですよ。ですから早くお考えなつて、何とか手を打つてつて、そうしてできるだけきちんと宗規を引いてしまわないでそういう人も個々に接するのですから、そういうときに何かぴたつと要求するお母さんたちの所にそういうものが届くように、今までの法律からもちよつと何とかして行くようなことを是非考えて頂きたい。随分ほうぼうで要求がございますことを重ねて加えておきたいと思います。それからもう一つ、広告も出ておりますが、開業藥局はどの程度にそれを取扱うことができるのでございましようか。大分開業薬局が広告を出している所もございますが、これはどうなつているのでしようか。
  126. 慶松一郎

    政府委員(慶松一郎君) 最初の問題につきましては、できるだけ事際に役に立つようにという線で、至急に私どもは解決いたしたいと思います。第二におつしやいましたことは、ちよつとどういうことかわからないのですが、どういう意味でしようか。
  127. 河崎ナツ

    河崎ナツ君 受胎の薬は売りますね、そのときに大阪でございましたかしらん、高松にもあつたと思いますが、そういう指導をするというのがございましたが、今井上さんのお言葉の中にもちよつと触れたと思いますけれども、どの程度に開業薬局が指導できるということになつておりますか。
  128. 慶松一郎

    政府委員(慶松一郎君) それは厚生省におきまして受胎調節指導要領というものを作りまして、そのときに開業薬局におきましても、一般的な受胎の必要性とか、或いは受胎の原理とかそういつたことを、それは民生委員等でも同じことでありますが、指導いたします。それからこの薬を売ります際にそういつたことを言うわけでありますが、薬を売ります際に、この器具の取扱方とか、或いは薬品の貯蔵の仕方とか、その程度のことを指導するということでありまして、実地にこれをどういうふうに使うと海道するわけではございません。
  129. 河崎ナツ

    河崎ナツ君 恐らくそうだろうと思うのですが、それを実は助産婦さんのほうから、岡山県だつたと思いすすが、つまり開業薬局が助産婦さんたちを指導する程度までも、そうちよつと解せられる文句がございまして、そこのところ助産婦さん、保健婦さん、ああいうかたがたの講習のときに、薬局がそういう使命を果していることもどこかにはつきり知らせてやるということを講習のときに附加える必要があるのじやないかというように、ちよつと気が付きましたから……。
  130. 慶松一郎

    政府委員(慶松一郎君) それは御尤もなことでございまして、この要領におきましても、そういうふうにはつきり薬局の扱いは書かれておるのでございます。併しそういう必要がございますれば、当然公衆衛生局ともよく相談いたしまして十分徹底させるようにいたします。
  131. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 もう一つ、受胎調節でございますが、これは医務局の関係かも知れませんが、……
  132. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 医務局長は今すぐ参りますから……。
  133. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 それではお見えになりましてから……。  ちよつと関係が違うのでございますが、結局この間大蔵大臣が受胎調節に惜しまず費用を出すとおつしやつておりますが、結局生活保護にかかる人の費用をどうするか、これは大きな問題であります。社会局に関係があるのですが、保険局では取扱つてくれない。そうかといつて社会局のほうでは保険の単価でもきまらないと、これは生活保護費用の中に入れられない。いわゆる医療の問題と違うから生活保護費用の中に入れられないということで、厚生省と各省が跨つていて、そうしてこの問題がちつとも進まないのじやないかと思うのですが、医務局、社会局、衛生局、薬務局、それが全部保険局に引つかかつて来るような気がいたしますけれども、先ほどの局長の御答弁でこれから研究をするとおつしやいましたけれども、そういう点をはつきりと、どこでどうするということを、各省に跨つているのを明瞭にして頂きたいと思います。そうでございませんと地方に参りますと非常に因ります。生活保護といつても、これは病気と違うから医療費もくれない。薬務局のほうではお薬に考えるということになりまして、実際この目的が達せられないような気持がいたします。どうかこの点で公衆衛生局長さんはどの程度に、厚生省では各省のお誤りを御検討でございますか。もう一回伺いたいと思います。
  134. 山口正義

    政府委員(山口正義君) この受胎調節に要します費用の点は御指摘の通りでございまして、私どものほうでも保険でどういうふうにするか、或いは生活保護法でどういうふうにするかということで今相談をいたしておりますので、なかなか理屈通りに行かない点もございますので暗礁にぶつ突かつているところもございますが、どの程度まで話合いがついているかというお尋ねでございますが、まだここでどの程度に話合いがついているということは申上げられないような段階でございます。今後御注意通り十分研究して参ります。
  135. 藤原道子

    ○藤原道子君 優生保護法について一つお伺いしたいのですが、優生保護法の改正のときに産婆さん、保健婦さんを再教育するということが……、まあそうして知識階級や或いは金のある人たちはすでに妊娠調節はやつている。貧乏人がやれない。だからこれをどうするか、そしてどうして徹底させるかということが問題で、あれは決定したと思う。私は法律ができていても今のようなあやふやなことでは本当に因ると思うのです。で、この法律によつて講習をどの程度行われたか、今日までの実績を先ずちよつとお伺いしたい。
  136. 山口正義

    政府委員(山口正義君) 現存私どものほうに報告をとることにいたしておりますが、報告が来ておりますのは全部で二十府県報告が参つております。十一月二十五日までに私どものほうに報告が参つておりますのが二十府県参つておりまして、そうして受講人員、終りましたものが五千八百二十三人ございます。数字のはつきりしてないものもございますが、それは除外してございます。数字がはつきり私どものほうに参つておりますのは、合評いたしまして五千八百二十三人ございまして、現在実施いたしております講習の受講者は殆んど全部が助産婦でございます。
  137. 藤原道子

    ○藤原道子君 済んだ者もそうなんでございましようね。
  138. 山口正義

    政府委員(山口正義君) そうでございます。
  139. 藤原道子

    ○藤原道子君 それで受講の終つた人たちはどういう待遇で指導に当つているのでしようか。
  140. 山口正義

    政府委員(山口正義君) 特別な待遇と申しますと、特別な待遇でなしに優生保護法の省令によりまして、受胎調節指導員という名前を与えて指導に当つております。
  141. 藤原道子

    ○藤原道子君 これが法律に出て来た時には、妊娠調節が施行されればされるほどお産婆さんの仕事がなくなるというところから、お産婆さんが反対的な態度をとると、併しこれではいけないのであつて、妊娠調節を徹底させると同時に産婆さんの生活の面も守らなければならないというようなことが論議されたと思うのです。従つて指導に当る場合には、何らかの方法でこの人に給与考えなければならんということが私は常識であろうと思つていたのです。ですからその給与等に対しては現在やつていないとするならば、どの程度給与を与えるお考えでしようか。
  142. 山口正義

    政府委員(山口正義君) どの程度給与を与えるかという具体的なことはまだ十分検討を終つておりませんが、私どもはこれは指導料を取ろうとしてもなかなか指導料がれない場合も多いのじやないかということが考えられます。従いまして助産婦の人たちにこういう仕事に携つて頂きますのに何かその報酬を考えて行かなければならんというようなことを当然考えて行かなければならんと思つておりますが、それは先ほど御説明申上げました優生保護相談所の指導費、事業費というものが一部そういう方面に活用できるならば活用して行きたいと、そういうふうに考えておりまして、それ以外に現在のところその助産婦の人たちにどういう報酬を出すか、どの程度の報酬を出すかということはまだはつきり検討は終つておりません。
  143. 藤原道子

    ○藤原道子君 私、非常に只今の御答弁は遺憾でございます。お産婆さんは仕事を持つているのに、六日間三十三時間の講習を受ける、これも大した犠牲だろうと思うのです。そうしてその犠牲を払つて資格を得た、併し実地に働く場合には何ら報酬が考えられていない。こんな馬鹿げたことはないと思います。それではあの法律を作つたときの精神と全然違つて来るのです。政府では妊娠調節に対しては相当費用を出してもいいと、大臣がそう言つておるというのに、こういう消極的なことでは意味はないと思うのです。結局いつの委員会でも繰返し繰返し問題になるのは、下層階級の人たちに対してどうしてこれを徹底するか、これは性病予防法のときに実績の挙らないのもやはり医料費がかかるというようなところにあると思うのです。それと同じように妊娠調節の場合も知識がないことと暇がないことと金がないこと、併しこの階級から続々生れて来るということがどれだけ大きな問題かということを考えるとき、こういう階級に対しては政府は国庫負担で私はやるべきだと思うのです。従つて指導者が指導料が取れないというのは当り前だと思うのです。それが全部を国家が負担する或いは半分国家が負担して半分地方が負担するとか、何らかの方法を早急に樹立せられまして、この指導員に対しての報酬というものを決定しなければならんと思うのですけれども、局長は今日までそういうことは必要がないと考えていたのでしようか。まあ法律できめられたからが仕がない。或いはあれは議員提出だから法律は幾ら作つてもおれのほうは知らないということで表面を糊塗しさえすればいいということを今日までお考えなつていたのですか。本当のことを聞かして頂きたいと思います。由々しい問題だと私は思います。
  144. 山口正義

    政府委員(山口正義君) 法律が議員提出ででき上つたのでいたし方なく政府当局がやつているのじやないかという、かうな御注意でございましたが、毛頭そういう考えではございませんので、私どもも現在の人工妊娠中絶の実施されておる状況から考えまして、受胎調節は是非この際国民に広く普及させて行かなければならないと痛感しておる次第でございますので私どもも誠意を持つてこれをやつて行かなければならない、そういうふうに考えております。ただ現在受胎調節を希望しておりながら、実際にそれが行われておる率が非常に低いというのは只今藤原先生の御指摘のように、その実施に関する知識が足らないという点、或いは経済的の問題もあると、そういうふうに考えられます。先ず私ども第一着手として、知識をその人たちに十分与え、実際に日本の家庭生活に即応するような受胎調節の実施方法を手をとつて教えて行くということが大切であるというので、それを助産婦の人たちにやつてもらおうというふうに考えて仕事を始めているわけでございます。経済的な問題につきましては先ほどから御指摘の通り、これをどの程度無料の額を見込むかということはなかなかむずかしい問題でございますので、先ほども御説明申上げましたように、器具、薬品につきましては、優生保護相談所の事業費として組んであります中で、できるだけそういう目的を達することができるようにやつて行きたいと考えているのでございまして、又指導に当る助産婦の人たちに対する報酬のことも、私ども決して考えないわけではございませんので、現段階におきましては、先ほど申上げましたように、事業費の中に指導費がございますので、それを活かしてできるだけやつて行きたいというふうに考えております。
  145. 藤原道子

    ○藤原道子君 今指導婦の給与考えないわけではないというお言葉でございましたが、それならばどの程度まで考えておられるかということが一点、それから今一つは、事業費の中に含まれている指導費で考えておる、成るたけその実を挙げたいというふうなお考えでございましたが、この中に含まれている金で若しやるとすれば、どれだけくらいの人に行われるというお見込で組んでおられるかという二点をお伺いしたい。
  146. 山口正義

    政府委員(山口正義君) 第一の報酬の点でございますが、これは先ほども御説明申上げました優生保護相談所の事業費の中で、所内相談或いは巡回相談に対しまして、週に何回というふうに相談に応ずるというときに、それに謝礼を出す予算を一応要求してございますが、そういう面でやつて行きたいというふうに考えております。
  147. 藤原道子

    ○藤原道子君 それはどのくらいあるのですか。この予算の中で幾らそれに当てられるのですか、受胎調節の普及に必要な経費として……。
  148. 山口正義

    政府委員(山口正義君) 計算して見ないとわかりませんが、謝礼金として一応予算要求いたしておりますのが、一カ所で所内と巡回とを合せて十六万円ばかり……。
  149. 藤原道子

    ○藤原道子君 所内と巡回と合せて十六万円……。それで何カ所あるのですか。
  150. 山口正義

    政府委員(山口正義君) 四百二十三と三百二十九を合計いたしまして七百五十二でございます。
  151. 藤原道子

    ○藤原道子君 雀の涙ですね。それから産婆さんの指導員の給与はどの程度ですか。
  152. 山口正義

    政府委員(山口正義君) それが謝礼でございますから……。
  153. 藤原道子

    ○藤原道子君 いやいや、それで事足れりとしておいでになるおつもりですか。
  154. 山口正義

    政府委員(山口正義君) それではまだ不十分だと言えるかも知れませんが……。
  155. 藤原道子

    ○藤原道子君 老女だと思つて踏んだり蹴つたりです。そんな馬鹿なことはありませんよ。お産婆さんは妊娠調節をすればだんだんなくなるんです。
  156. 山口正義

    政府委員(山口正義君) 言葉を返しますが、これは優生保護相談所の嘱託のような形で働いてもらう人に対する指導の謝礼になります。
  157. 藤原道子

    ○藤原道子君 それならば指導員として各家庭に徹底させるように制度としてあの優生保護法は審議されたと理解しております。それならば母性保護の指導員というものが歩きますね。そういう場合の謝礼なんです。
  158. 山口正義

    政府委員(山口正義君) それは先ほど井上先生からお尋ねがありましたように、未だはつきりきめておりません。
  159. 藤原道子

    ○藤原道子君 きめなくてずるずるでよろしいのでしようか。
  160. 山口正義

    政府委員(山口正義君) それはきめます。
  161. 藤原道子

    ○藤原道子君 おきめになるとして、その場合にどのくらいにおきめになるかということを聞いておるわけです。これは重大問題です。
  162. 山口正義

    政府委員(山口正義君) これは皆さんがたの御意見を伺つてきめて行かなければならんと思います。
  163. 藤原道子

    ○藤原道子君 私は先ほど講習の済んだ人員も伺いましたけれども、実は今月の二日に私は三重県の上野に参りましていろいろ調査をいたしました結果、保健所で管内の助産婦のかたたちのやはり講習会を開いた。ところがその管内に産婆さんが二百二十人おるけれども、その講習を受けられたかたは十八人だというのです。それでこれではなかなか実績が挙らんじやないかと聞きましたら、やはり給与、待遇等々が問題で以て、なかなか受講する人が少いのです、こういうことを言つていらつした。従つて私は一日も早くこうした精神が普及するためには、妊娠調節の本当の実を挙げるためならば、私は大いに積極的に予算をあなたがた自身組込んで要求して下さらなければなるまいと思います。厚生省が弱いから、大蔵省から予算を出しても三分の一に削られたり何かする結果になるのですから、私はこれは大きな問題だから、一つ局長大いに勇気を持つて計上して実を挙げるように、作つた法律の精神が生きるようにして頂きたいということを強く要望いたしまして、優生保護法については終ります。
  164. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) ちよつと私から申上げますけれども、まだあなたのほうで個所は七百幾ら、人の計画というか、計画がはつきりしていない。計画がはつきりしておれば、この費用はこれはこういうふうに分れる、こういうふうに分れるというふうに出るでしようから、一応もう一遍よく調べて頂いて、そうして数字等資料として出して頂いたほうがよくわかるんじやないかと思います。若しできますならばそうして頂きたいと思います。
  165. 山口正義

    政府委員(山口正義君) 御要求がございますれば、私どもが大蔵省に要求いたしておりまする資料を整えて差上げますが、只今委員長から御指摘の内訳につきましては、一日指導に出かければそれに対して謝礼をどれくらい出すというような計算基礎に基いて積算をいたしております。
  166. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 この受胎調節の指導員に産婆さんを使うということになつているこの法律は、極めて私は滑稽な法律なつておると思います。法律でよく双方代理という言葉がございますが、これは利害関係の相反しておる二人の代理を一人で背負うという場合の双方代理ということでありますが、こういうことは不可能になつておりますので、法律で禁じられております。この場合とこれはよく似ておりますので、産婆さんという人は妊娠さして生んでもらつて儲ける職業でございます。その人に妊娠をさせないような、妊娠のできないような方法を教える役を背負わしてみたところで、ずる賢い産婆さんはそれは法の命ずるところに従いまして、妊娠調節の指導員としてのお給料はもらえますが、産婆さんにしてもらいますならば、その人はお給料をもらうだけで余り大して熱心に指導しないで、一方に産婆さんとして生んでもらつて儲けるほうのことに熱心になると思いますので、どうしてもこれは法律改正いたしまして、妊娠調節の指導に産婆さんを使うということは非常に悪いことになつていると思います。ちよつと御参考までに意見を述べておきます。
  167. 藤原道子

    ○藤原道子君 私は折角の深川さんの御意見ですけれども、私はもう少し人を信じたいと思います。結局好むと好まざるとにかかわらず、どうしたつて妊娠調節というものは今後国民の中に普及されて行くのです。普及せざるを得ないのです。これは今日の常識なんです。私は国土計画の根本は人口問題にあるというくらいに考えております。従つてそうなれば勢い産婆さんの仕事がなくなるのです。従つて収入が減つて来る。それならばそれに合せて私どもは妊娠調節、生んじやいかんということじやなくて、計画出産ということでございますから、母体の健康と併せて妊娠を指導して行くということでありますから、私は産婆さんをこの指導員云々というこの法律から除くということには反対であります。併せて産婆、看護婦保健婦という三者一体になつて指導して、あらゆる機会にこれを行うべきであるというのが私の主張でございます。
  168. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) お諮りしますが、大分御意見も出るようでありますから、相当詳しく今御質問があつたし、一応この程度で……、問題もたくさんございまするので、議事を進行して行きましたら如何でしようか。
  169. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 質問ではありませんが、一言だけ附加えておいて議事を進行して頂きたいと思います。藤原さんの御意見も御意見として私承わつたのでございますけれども、勿論妊娠調節の指導をさせますと産婆さんの収入が減ります。産婆さんの収入が減りますのは、当然やはり産婆さんや産婦人科のほうからも若干苦情が出ると思いますので、そのほうは別途に考えることにいたしまして、やはり妊娠指導のほうは保健所で、或いは看護婦とか或いは保健所の特別なこういう両方の負担、産婆さんに両方の役を勤めさせることは、何といつても私は効果の挙らないことには間違いないと思いますので、御参考までに申上げておきます。
  170. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) それでは一応妊娠調節はこの程度で、次の問題に移ることにいたします。
  171. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 結核の問題で少々公衆衛生局長に伺いたいのですが、結核対策のことが非常に大きく取上げられて、予算も百何十億か取つておりますというのに、今度の補正予算で保健所の旅費が一〇%減額されたということは、これはどういうことでございましようか、わからないのですが、これから伺いたいと思います。
  172. 山口正義

    政府委員(山口正義君) 保健所の旅費の節約につきましては、これは先般各種の経費節約の線に沿つて、物件費一〇%、旅費五%の計算で計上したわけでございますが、ただ保健所につきましては、御指摘のようにその活動が公衆衛生活動の基盤になるものでございますので、私どもといたしましては、この保健所の旅費を節約するということにつきましては、大蔵当局とも極力折衝いたしまして、そうして止むを得ず保健所職員二万八千人余りございますが、そのうちで実際に出て歩きます、ほかの人は出て歩かないというわけではございませんが、保健婦とか医師とかそのほかの技術関係の職員を除きまして、いわゆる事務に携わつている人たち約二千八百人についてだけ旅費を節約する、大部分は節約の外に置いてもらう、そういう措置を講じたのでございます。
  173. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 事務員の人たちは二万八千人の一割で二千八百人とおつしやるのですか。
  174. 山口正義

    政府委員(山口正義君) 失礼いたしました。三千八百六十人です。
  175. 藤原道子

    ○藤原道子君 全員ですか。
  176. 山口正義

    政府委員(山口正義君) はあ。
  177. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 もう一つ承わりたいのですが、これに関連してどこかに今度は訪問指導ということを大きく取上げられておるように思うのですが、この訪問指導のことについて、もう少し詳しく具体的に承わりたいと思います。
  178. 山口正義

    政府委員(山口正義君) 結核の訪問指導につきましては、予算上は保健所の費用の中に計上してございます。これは数字的に少し詳しく申上げますと、現在登録予定患者百万人ございまして、そのうち十三万六千人、これはベツドの数でございますが、それだけ病床に入つている、残りの八十六万人余に対しまして、一人の患者について年四回訪問する、これは平均でございます。そうして一日に三軒くらい訪問できるだろうという計算で予算を計上いたしておりまして、そうして一回の訪問の旅費を二十七年度は百五円でございましたが、二十八年度は百二十五円にして要求をいたしております。
  179. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 重ねて承わりますが、そういたしますと百万人の患者の訪問ですと、年に四回、一日に三軒、そうしますと、保健婦の数は、これはどういうようになりますでしようか。
  180. 山口正義

    政府委員(山口正義君) 一保健所につきまして、大体年に千五百回訪問すればいいということになりますので、それを保健婦の数で割つて、一人の保健婦がどれくらい受持たなければならんかということが出て来ると思います。
  181. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 そうしますと、現在の定員数で以て来年も結核予防に当ろうとしておられるので、これは保健婦の増員は見込んでございませんか。
  182. 山口正義

    政府委員(山口正義君) 来年度予算につきましては、保健婦の増員は要求いたしておりません。
  183. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 もう一つ只今公衆衛生局長からのお話では、来年度保健婦の増員は見込んでないということでございますけれども、そうしますと保健所の運営をどのように解決されましようか、承わりたいと思います。現在のところでは保健婦はとてもとても過労と申しましようか、手が廻らなくて困つておりますので、現在の五割増に保健婦を増員してくれというのが、現在の保健婦の総意でございます。で、結核の訪問にそれだけ廻しますと、保健所の中の運営の仕方を変えて行くつもりでしようか、それを承わりたい。
  184. 山口正義

    政府委員(山口正義君) 保健婦の人たちに患者の訪問をやつてもらうということにつきまして、保健婦が非常に足らないではないかというふうな御指摘、これは結核予防法を御審議頂きましたときにも、そういう御注意がございました。そのときには市町村に駐在しております国民保健関係などの保健婦なども保健所と一体になつて、場合によつては兼任といついたような恰好にして、そうしてこの旅費を使つて一緒に活動してもらいたいという考えで進んでおります。
  185. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 例えば只今の御説明で市町村の保健婦を使うということでございますが、特にこれはこの前にも申上げたのでございますけれども、訪問看護婦とかというようなものの設置はお考えなつておられますか。
  186. 山口正義

    政府委員(山口正義君) 現在のところ特別に訪問看護婦というものを考えておりません。
  187. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 よくわかりました。
  188. 藤原道子

    ○藤原道子君 保健所の勤務者の大半は結核に罹つていると言つて過言でないと思うのでございますが、この頃どこの保健所に行きましても医者が少い。この間参りました上野あたりでも定員十三名の中に医者が五名しかいない。そして肝腎の結核の担任の医者がいない。そして近くの国立病院の医務課長が一週間に二阿ずつ来てくれている。こういう実情に置かれておるのです。これで今局長の申されたような目的が十分達せられるのでしようか。
  189. 山口正義

    政府委員(山口正義君) 保健所の技術職員、特に医師が十分充足されていない、非常に欠員が多いということは御指摘の通りでございまして、私どももその点非常に困つて、何とかしてその充足を図りたいと考えているのでございまして、現在の状況ではなかなか私どもの考えておりますように、保健所の活動を十分にやるということはむずかしい状態でございます。従いましてこの医師を充足いたしますために、これは一昨年からお願いして計上して頂いております研究費を、技術職員、保健所勤務の医師に出すというようなことで、保健所に対するこれは待遇改善の意味ではございませんが、保健所で勤務する医師の意欲を向上さす、そして少しでも保健所に来る人を多くしたいというような考えで進んでおりますので、昨年、二十六年度に比較いたしまして、二十七年度の研究費も増額してもらいました。二十八年度は更にこの研究費の増額を現在要求いたしております。それも保健所に医師を充足させる一助にしたいという、そういうふうに考えております。そのほか待遇改善などにつきましても、私どものほうで関係方面といろいろ相談して、何とかして技術職員を充足させたい、そういうふうに考えております。
  190. 藤原道子

    ○藤原道子君 現在全国の保健所を通じて医師の不足数がどのくらいあるか、それから保健婦が定員不足を来たしている数はどのくらいかという点おわかりでしようか。
  191. 山口正義

    政府委員(山口正義君) 正確な数字只今持合せてございませんので、後ほど差上げるようにいたしたいと存じますが、医師の充足率約七割くらいのところでございます。七〇%程度でございます。
  192. 藤原道子

    ○藤原道子君 三〇%足りない……。詳しいデータを一つ出して下さいませんか。いつも資料要求してもあとでそのままになる場合が多いのでございますが、今度は必ずお出し願いたいと思います。
  193. 山口正義

    政府委員(山口正義君) 承知いたしました。
  194. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 関連してでございますけれども、この頃保健婦の待遇はどういうふうになつておりますか。この間実は人事院のほうで給与ベースを、何と申しましようか、作られますとき、非常に医療関係看護婦給与ベースが安うございます。それで抗議を申込んで看護婦がいろいろいたしておりますが、保健婦の待遇はどのようになつていますか、それが一点。それから今度は大変保健婦がこの頃待遇が悪いというので、むしろ看護婦に返つたほうがいいというので、病院に返るかたがたくさんにございますが、この欠員を、どのように保健婦の充当をなさいますか、医務局のほうからお伺いいたしたいのですが。
  195. 山口正義

    政府委員(山口正義君) 保健所の保健婦の初任給が地方では大体六級乃至八級、高いところでは八級程度つておるところもございます。医師が大体初任給、地方では七級乃至八級取つております。
  196. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 保健婦の充当についてはどういうようにお考えなつておられますか。
  197. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 御指摘のように、保健婦が公衆衛生活動から見て全般的に未だ足らないということは御指摘の通りでございます。これが増加につきましては、養成所の設置につきまして補助をするということをやつておりますが、二十七年度におきましても予算を計上しておりますが、二十八年度におきましては、更に二十七年度よりも余計予算が計上されるように努力いたしたいと思つております。
  198. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 保健所の現状について簡単に知りたいのです。或いは私が具体的にお尋ねして答えて頂いてもよろしうございますが、医療費は只今のところ町医者に比べましてどのくらいなことになつておりますか。
  199. 山口正義

    政府委員(山口正義君) 保健所におきましては、原則として医療は余り行わないことになつておりまして、ただ例外的に結核と性病、それから歯科治療、これも主として予防的な意味におきましての医療を実施いたしておりまして、それの費用は大体保険単価の八割以内というふうなことになつております。
  200. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 保健所への研究費を予算に計上してございますけれども、これはお医者さんだの薬剤師のかたに研究費が行くので、保健婦には研究費は行かないというふうに伺つておりますけれども、どういうふうにお考えなつておりますか。
  201. 山口正義

    政府委員(山口正義君) 現在までの研究費は大体医師だけに出すことにしておりまして、来年度はその認められました額によりまして検討したいというふうに考えております。
  202. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 保健所の来年度予算でレントゲンの施設をするとか、こういうようなことが入つておるようですけれども、これもやはり保険に加入しておる人だけがしてもらうのかどうですか。
  203. 山口正義

    政府委員(山口正義君) 保健所に参ります者には診断を受けに来る、或いは只今申上げましたような特殊な治療を受けに参ります者は別に保険加入者だけには限つておりません。一般の人が参ります。
  204. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 治療はしないで、診察という程度にとどまるのですか。
  205. 山口正義

    政府委員(山口正義君) 先ほど申上げましたように、結核につきましても人工気胸というような、いわゆる予防的な治療はいたします。普通投薬はいたしません。
  206. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 結核の問題はこのくらいで終えておきまして、次に癩の問題で厚生省に伺いたいと思います。癩の問題について承わりたいのですけれどもよろしうございますか。
  207. 河崎ナツ

    河崎ナツ君 次に移つて頂きましよう。
  208. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 公衆衛生、医務、薬務全体について御質問願えぱ結構なんですから……。
  209. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 癩病予防のことでちよつと伺いたいのですけれども、公衆衛生関係でございますね。
  210. 山口正義

    政府委員(山口正義君) 現在全国に十三ヵ所癩療養所がございまして、十ヵ所は国立でございまして、三ヵ所が私立でございます。国立のほうは医務局の所管で、私立のほうは公衆衛生局所管になつております。
  211. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 両方にお伺いいたしますが、この頃患者がやかましくて、癩療養所に入院するのに非常に強制的にやられるので、憲法違反とか人権蹂躪とか何とかで、癩予防法を改正してくれないかという声が出ておりますが、このことについてですが、予防法を改正するのに、もう少し医療社会事業家というものを癩療養所か保健所かどつかお雇いになる計画がないか。そういうような費用予算を組んでないのかどうか。非常に癩患者の問題にいたしておりますのは、そうした強制収容ということと、それから秘密の漏洩ということを非常に心配いたしておる。これは公衆衛生の立場からだと思いますが、腸チブスや赤痢か何かのように白いものを撒かれるということは隣近所の人や患者その者が非常に困るのです。家の中では家庭争議が起るやらで非常に困るので、何とかこれは医療社会事業家の活動で円満に行かないものだろうかというのがあの人たちの声だろうと思うのですが、これについてはどういう考えを持つておりますか。医療社会事業家と同じような予算をとつていらつしやるものでありましようか、どうでしようか。
  212. 山口正義

    政府委員(山口正義君) 御指摘のように癩予防法の改正につきましてはいろいろの要望が出ております。併し現在のところ私どもは現在の法律改正する考えは持つておりません。ただ御指摘のように癩患者の収容或いは健康診断ということにつきまして、秘密漏洩を非常にいやがります。これは当然のことで、その衝に当る者も十分その点は注意して行わなければならないと思うのでございます。又癩予防法にもその点は規定がございます。実際に当りまして只今御指摘のように健康診断或いはその患者収容に参りますときに人目に立つようなことがあつては困りますので、私どものほうではその衝に当る、これは大体県の職員が当つておりますが、県の職員或いは保健所の職員にその点を十分更に注意して、秘密漏洩或いは一般の人たちに知らせる、わかるというようなことのないようにやつて行きだいと、こう考えております。ただこの癩患者の収容のために特に医療社会事業家を増員する、或いは雇うというような予算は現在のところは計上いたしておりませんが、保健所におりますそういう係の人を、その衝に当つて、今患者が訴えておりますような点は十分注意して行きたいと考えております。
  213. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 もう一つ、癩患者の希望を聞きますと、どうも療養所の所長に民生委員の権限を与えて頂きませんと、外からの民生委員が来たり保健所の人が来たりで、いろいろな人が来て、そうして秘密の漏洩をするなとおつしやつても自然に漏れてしまうということでございますので、患者が発見されればすぐに療養所へ持つて来て、療養所の所長が民生委員の代りをして、そうして家族の人の保護をしてくれるような、簡単で而も安全な方法を考えてくれと言つておりますが、このことについては所長の民生委員の権限をどういうふうにお考えなつておりますか。
  214. 山口正義

    政府委員(山口正義君) 只今御指摘の点も私どものほうに要望が参つております。併し実際問題といたしまして、全国十数カ所の所長に民生委員資格を与えて、その家族のことまでやるということはなかなか実際問題としてはむずかしいと思います。結局問題は、先ほどから御指摘の秘密漏洩の危惧の念を持つているという点でございますので、その点は更に私どものほうでも注意して、家族の援護というようなことはやはり府県の職員にやらす、而も十分秘密を守つて行くようにさして行きたい、そういうふうに考えておりますので、現在におきましては療養所の所長に民生委員資格を与えて、その仕事をやらせるというようなことは考えておりません。
  215. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) ちよつと癩で私から申上げたいのですが、いつか本委員会で癩についてまあ証人のかたに御証言を願つたことがあるのですが、あのときに強制収容という言葉が非常に強く出ておりますので、これはまあ学者としていろいろお考えなつた上での用語がよくなかつたのだと思うのですが、療養所で、かれこれ問題が起きておりますのは、一番問題になつておるのは強制収容の問題らしい。小委員会でも、癩の小委員会で曾つて強制収容はよろしくない、完全収容という言葉を使うのが妥当でないかということに一応皆さん小委員会では御了承願つたように思つておるのですが、公文書のほうでお使いになる折にはそういうその言葉が果して適切かどうかわかりませんが、そういうふうな意味の、ふんじばつてでも連れて行くのだというような感じではなくて、すべての条件をよくして気持よく収容所へ入れるのだというような意味の完全収容という言葉でならば、或はいろいろな表現をして頂けば非常にこれは円満になるのじやないかと思いますが、そういう点一つ御考慮を願つたほうが結構じやないかと思いますが……。
  216. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 今朝の新聞で御覧下つたように、時期もあるでしようけれども、今ひどく夜犬というのですか、野原に野放ししてある犬がたくさん殖えております。あの中には狂犬病の犬、黴菌のある犬もあるだろうと思いますし、あれに噛まれますと、死ぬことは間違いないというほど恐ろしい病気だとしますと、もうちよつと対策について熱心に取上げなければなりませんわね。昨晩は痛切に感じたが、そこに泊つておるとやすまれないように非常に多いのですね。野放しの犬については係員をお出しになつてあれすることが必要かと思いますが……。
  217. 山口正義

    政府委員(山口正義君) 狂犬病の予防対策はお説の通りでございます。現在狂犬病が流行しておりますのは、関東地方が主で、その他の地区には殆んどないのでございます。その対策としては、先般制定されました狂犬病予防法に基きまして、犬の登録をやつて、そうして犬の予防注射をするということを、片つ方で励行すると同時に、片つ方では只今お話の野犬の掃蕩をやるということをやつております。ただ以前は野犬を取つて来て、すぐそれを殺してしまうというようなことができたのでございますが、近頃は所有権という問題をやかましく言われるようになりまして、なかなかそれが実際にできにくい。取つて来た犬にしても一部は又返さなければならないという状態がございます。実際なかなか野犬掃蕩の仕事がうまく十分に行われていないのでございますが、私どもは今後は野犬掃蕩のほうに十分力を注いで行かなければならないと思います。
  218. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 今からお尋ねいたそうという問題は各方面に関連いたしておると思いますけれども、あなた様にお尋ねするのはやはり衛生の立場からだけお尋ねいたしますけれども、もう随分前から言われております駐留軍のことですけれども、今講和条約が発効してあの連中は帰るものと思つて隠忍自重しておりましたが、将来、九十九年どころか無期限にああいう連中がいるかもわからないと、殊に昨今朝鮮戦線から十日間ずつ日本に休養しに帰る規定なつておりますが、ああいうことの影響でありますと思いますが、三多摩あたりでは、私は選挙区はここなんで、直接には三多摩から来るのですけれども、駐留軍の根拠地が変れば新らしい所へ持つて来て、盛んに黴毒、黴菌を伝播しつつあるので、先般なんか、非常に池上の本門寺の前やそのほかから問題が挙りましたように、子供に病菌を感染させる女性が非常に多うございますそうでございます。こういうことからだけではなく、ほかに風紀の問題もございますけれども、あなた様のほうはこの問題はどうしても全国八十何ヵ所の基地がございますね、あの附近の人が異口同音に悲鳴を挙げておりますのは、これはここらあたりで徹底的にこの問題を解決して頂きませんと、今度の議会でも進駐軍政策の行過ぎを是正させるという大きな目的のある議会ですが、確かに進駐軍自体のこれは放漫に過ぎたあれですから、ここらあたりで少し婦人に対する職業を与えるという方面からも、それからあれですね、風紀の問題とか、青少年に及ぼす問題なんかとも関連いたしますけれども、一ついつまでもこういうことをなさいませんように、各官庁と連絡をおとりになりまして、もつと根本的な問題について終止符を打つような案をお出しになつて至急にやつて頂きたいと思います。
  219. 山口正義

    政府委員(山口正義君) この問題につきましては、先般深川先生からのお尋ねで大臣から御答弁申上げたのでございます。各方面に関係がございますので一なかなかむずかしい問題ではございますが、これは新大臣もその点十分考えに入れていろいろ今後皆と相談してやつて行かなければならないというふうに考えておられます。私どもは只今お尋ねのように公衆衛生の立場から、主として性病予防の点からこの問題を処理して参つて来ておりますので、まあ私どもとしましては、性病予防の立場からもそういう売淫行為が行われないということが最も望ましいのでございます。根本的にはそつちから解決してもらわなければならないと思つております。ただ性病予防対策から言うと、集娼散娼と一利一害でございますので、私どもはその区別なしに性病対策を実施いたしております。  それから只今のお話の浴場等での感染につきましては、数年前からときどきそういう実例も報告されておりますが、公衆浴場法もございますので、そういうことの起らないように十分注意をして指導いたしたいと思います。
  220. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 もう一つだけ関連して……これは実は私たち東京都出身議員は一遍三多摩の連中をお呼びして、そうしていわゆる警視庁の担当官のかたに出て頂きまして、十分この問題について協議をしたいと思つていたのですけれども、よき機会でございますから、関連しますからあなた様にお願いいしておきますが、三多摩の問題は一つ警視庁に頼んで下さいませんか。東京都の条例がございますので、改めて厚生委員会とか或いは法務委員会で法律を作らなくても、現状のまま解決をつけようという意思があつたらつくはずです。ただ予算の問題で非常にあれを取締りますのに経費がかかるので、警視庁も悲鳴を上げているらしいですけれど、それは又それで別途に予算要求されるという途もあるのですね。私たち出身の議員だけが責められるので非常に困つておりますので、あなたのほうから警視庁のほうへ頼んで下さいませんか。お願いいたします。
  221. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 薬務局長さんにちよつと問題が変つておりますが、この頃まだまだ蛔虫がたくさんおりますが、サントニンの見通しはどういうことになつておりますか。企業合理化の中にサントニンを入れるということをおつしやつておりますが、農林省はサントニンを植えさすに補助金を出して作るということを聞いたのでありますが、薬務局としてはどういうふうにサントニンの対策をお持ちでございますか。
  222. 慶松一郎

    政府委員(慶松一郎君) サントニンは、戦争前は年間どれくらいあつたら足りたがと申しますと、戦前ソ連から輸入いたしましたのは四千キロぐらいでございます。現在サントニンはどれくらい出ておりますかと言いますと、年間殆んどその倍近く、七千キロぐらい確保されておるわけであります。従いまして、先ず十分であると私どもは見ておるのでございます。お話のございました補助金云々の問題は、これはサントニンを作ります原植物がみぶよもぎというものでございますが、これよりも更によい種類のものがパキスタンにございまして、それを日本に持つてつたのでございます。それを一つ普及させようということで農林省とも話をしておるのでございますが、併しそれに対して補助金を出すことになつておるかどうかということはちよつと私の記憶にございません。併しながら、農林省が補助金を出すかどうか、これは私の局でございませんが、私どもといたしましては、できれば新らしい品種を使うことによつて栽培反別を非常に殖やすことができるのであります。その意味で栽培する者に対して補助金が出せればということで、たしか予算の折衝はいたしておるはずでございます。
  223. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 それでは、只今の栽培反別はどのくらいでございますか。厚生省からちつとも補助金は出ておらないのでありますか。
  224. 慶松一郎

    政府委員(慶松一郎君) それは今の栽培しておりますのは、三千町歩でございまして、これに対しましては、三千町歩まで持つて行きまするには、相当補助金を一反歩当り幾らという補助金を出したのでございます、厚生省で……。そうして今日の成功を見たのでございますが、併し、新らしいのにいたしますと、非常に栽培反別が減るわけでございます。そのあと食糧増産に役に立つ、こういうわけなのでございます。
  225. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 これは、サントニンと違いますが、この頃夏頃アイス・キヤンデーがたくさん売られますが、人工甘味料で非常にいろいろな問題を起しておりますが、厚生省としまして人工甘味料の取締はどういうふうにしておりますか。予算の中に入つておりますか。
  226. 楠本正康

    政府委員(楠本正康君) お答え申上げますが、・甘味料等につきましては、食品衛生法によりまして一々許可をとつて、有毒でないものを使つておりす。なおこれらの検査に要しまする経費は、お手許に差上げました通り予算書に計上してございます。
  227. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 人工甘味料製造の会社は、一体日本に幾つくらいあるのでございましよう。
  228. 楠本正康

    政府委員(楠本正康君) 後ほど調べましてお答え申上げます。
  229. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 そうして種類と……。
  230. 楠本正康

    政府委員(楠本正康君) 承知いたしました。
  231. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 それでは引続いて医務局にお尋ねいたしたいのですが、医務局関係でございますけれども、只今結核の病床調を頂きまして、十五万五千九百八十四、二十八年度の病床が殖えるのでございますが、医務局の看護婦の需給計画はどういうように持つておられますか承わりたいのでございます。
  232. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 看護婦養成所とそれから卒業生の数等につきましては、実は報告資料を差上げようと持つて参りましたのですが、数字に誤りがありまして只今訂正いたしております。一般的な対策としましては、先ほどもちよつと申上げましたように、看護婦養成所の設置につきまして相当国庫補助の増額を見込んでおる次第でございます。併しながら、これは今日いわゆる養成所が殖えましても、来年度の間に合わないことは明らかでございまして、従いまして、今までの需給関係と申しますか、卒業生とそれから、減耗との関係が今年、来年にどういう影響を及ぼすかということになるわけでございますが、過去において、看護婦制度の改革等に伴いまして、いろいろな事情から、看護婦の増加がいわゆる昔日のごとくならなかつた関係が今年、来年に影響を及ぼしておる、かようになるわけでございますが、先ず絶対数を調べ、然らば看護婦の質を下げて埋め合すかということになりますと、これは私どもはとりたくはないのでございます。従いまして、潜在的な看護婦免許を持つておる人たちを成るべく稼働順に動員すると申しますか、働いて頂くということをできるだけやるということが当面の措置として非常に微温的でございますけれども、そういうことになりはしないか、かように考えております。
  233. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 もう一つ続けてお尋ねいたします。それでは数字が来ました上で又後刻お伺いさせて頂きたいと存じますが、この数字の問題とは別個に今度は看護婦国家試験の問題でございますが、この既得権者は看護婦国家試験をしないで登録をすることによつて一時済んでおるはずだと思いますので、厚生省国家試験をしないで登録をいたします国家登録と、国家試験をして国家登録をする登録の二種類あつてはならないということを去年やかましく言つたはずでございますが、この点はやはりそのようにお考えなつておられましようか。どうも国家試験に重点が置かれるような気がいたしますけれども、どういうふうにこの点はお考えになりましようか。と申しますのは、ほかではございませんが、労働省の衛生管理者のことでございます。衛生管理者だと免状を頂きますのにどうしても国家試験を受けなければ衛生管理者の免状をやらない、これは前から何回もこの委員会で出ております。国家登録をしただけでは免状をやらないということになると結局国家登録の意味がないと思います。私は国家試験を受ければ登録はしなくてもいいと思いますが、そうでなくても国家試験をしなくても既得権者にはそれだけの権利をやろうということであつたと思いますが、どうもこの頃は又そういうふうに逆戻りをしておるように思いますので、ちよつと承わりたいと思います。
  234. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 勿論お話のように看護婦の面において業務の面において区別をするつもりはございませんが、ただ給与関係等につきましては学歴等がやはり一つの判定の材料になることにもなつておりますので、この意味は当然これは入つて来ると思います。それから今お話の労働省の関係の事柄につきましては、実は私医務局に参る前から承わつておりましたのでございますが、その後新らしくこの問題を検討いたす機会はなかつたわけでございますけれども、恐らくまあ結局養成所学校において修めました教育内容というものを基礎においての、まあ理窟を申しますればその上に立つての判断に基いてその差が行われておるとすれば、そういうことではないかと思いますので、その辺のところなおよく研究さして頂きたいと思います。
  235. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 それではその問題は又後刻……。
  236. 河崎ナツ

    河崎ナツ君 この今の問題で大分看護婦さんから要求があるから労働省に行つて話をいたしましたのですが、厚生省のほうからこういうふうな資格の者と言ついてくれたからまあそういうふうにしちやつたんで、厚生省のほうで考えてくれれば私のほうは何も考えなくていいというようなことから、実は私と看護婦の代表とが参りまして言葉を得ておるのですが、労働省のほうは看護婦のあれが変りましたね、国家試験を受けなくてもいいと、既得権者とあのけじめのことを……丁度あの頃のことなんですよ。よくわからないものですからそういうふうに二つになつて、厚生省のほうじや一切を認めたという立場でございましよう。一度衛生管理者の問題を労働省におつしやつて頂きたいのですが、まあ実際としましては看護婦さんがそうなつたからといつてすぐそのほうに行くということは参りませんけれども、一応筋を通しておくということは、厚生省の親切なやり方だろうと思うのですけれども、丁度話が出ましたから……。それから引続きまして番号三十五号のところでございますが、公衆衛生関係施設整備に必要な経費、これは主に癩病と結核……この施設整備と申しますのはどの範囲の施設でございますか。
  237. 山口正義

    政府委員(山口正義君) これは公衆衛生局関係の結核及び癩の施設でございまして、結核につきましては二十八年度で一万一千床大蔵省に要求いたしております。その内訳は、公立が七千五百床、それから法人立が三千五百床、それを建設したいということを要求いたしております。癩につきましてはこれは癩療養所ではなくて、癩患者の一時救護所これを三カ所、それだけの予算でございます。  それから立ちましたついでに、先ほど保健婦の増員を考えていないかという井上先生のお尋ねに、私増員を考えていないということを申上げたのでございますが、これはABC各クラスについて、それぞれの定員での増加は考えておりませんが、但し保健所の格上げを要求いたしておりますので、例えばCクラスからAクラスのほかうに四十カ所、CクラスからBクラスに二十カ所、そういうふうに格上げを考えておりますので、それに伴つて自然に保健所の数は殖えて行きますが、又新設を五十四ヵ所要求しておりますので、保健所勤務の保健婦の数が殖えるという恰好で要求をいたしております。訂正さして頂きます。
  238. 河崎ナツ

    河崎ナツ君 それがわかりますれば、それとちよつと並べて七十六の番号のところに医療機関整備に必要な経費として十億取つてございますが、これは医療機関整備……医務局でございますか、国立病院かとも思うのですが、ここをもう少し説明を願いたいと思います。先のは公立関係のあれですね。これはやはり国立関係の十億というものの内容ですね……。
  239. 山口正義

    政府委員(山口正義君) これは都道府県、布町村その他いわゆる公的医療機関、そういつたものの設置者に対して補助をするということでございまして、従いまして国立とは関係がないわけでございますし、なお、この医療機関整備と申しておりますのは、いわゆる一般病院のことでございまして、結核であるとか、或いは精神であるとか、そういつたところは含んでいないわけです。
  240. 河崎ナツ

    河崎ナツ君 そういたしますと、それの一番終りの所に、九十番、ここに国立病院が出て参りますが、特別会計へ繰入に必要な経費二十三億、これで六十カ所。そのうちの一つがきまつたから五十九カ所。この五十九カ所に対する支給としての二十三億、そういうつもりなのでございますか。
  241. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) この繰入は結局国立病院の整備をこれを本当に非常にやらなければならないと思いますし、その意味の金を多額要求いたしております。それからそのほか看護婦の養成でありますとか、その他経営でありますとか、予算要求でございますが、その辺のところは一つ御賢察を頂きたいと思います。
  242. 河崎ナツ

    河崎ナツ君 一切、国立病院に関係します一切含めて二十三億に総括してあるのでございますね。
  243. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) これは一般会計から特別会計への繰入でございますから、特別会計全体の予算はもつと多いのであります。
  244. 河崎ナツ

    河崎ナツ君 国の負担はこれだけでございますか。
  245. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) さようでございます。
  246. 河崎ナツ

    河崎ナツ君 そうするとこれは大抵、今おつしやいました看護婦の養成もありましたが、経営費と設備の……。国立病院は随分ぼろぼろでございましよう。ほかのほうには随分、十億も……。それから改築、先ほどのように二十三億、たしか施設二十四億幾らですか。三十五番のところの公衆衛生関係施設整備に必要な経費二十四億、国立病院に一切こめて二十三億、ほかのどの病院よりも国立病院は急いでしたような結果もあつて随分ぼろぼろになつております。譲るのだからそう手をつけてもいけないというあれもあつたのかも知れませんが、これは随分少いと思うのですが、まだちよつと譲るといつてもすぐではございませんでしよう。その間に十分整備なんかももう少しよくしてやつておいて譲るというような親心もあつてもいいと思うのです。二十三億九千幾らじや随分少いと思うのですが、どうなんでございますか。
  247. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 勿論この要求のほかの額に比べますと、或いは又少し固過ぎるという御批判もあるのじやないかと思いますが、二十七年度の当初予算におきましては、一般会計からの繰入は約六億足らずでございます。整備の経費は勿論それよりも内輪になることでございますが、そういつた関係もございますし、それから全般の予算要求の計画と申しますか、いわゆる実現の可能性と申しますか、その辺のところを考えまして、一応こういつた程度数字にいたしたわけでございます。勿論私たちとしては、多々益々弁ずることは言うまでもないのでございますけれども、費用の実績その他から判断をいたしまして、余り過大な数字を出しましても、結局それが有利な材料とならないというような場合も考えられまするので、この程度要求を出したわけでございます。
  248. 河崎ナツ

    河崎ナツ君 前に独立採算制で一生懸命に経営の成績を挙げましたね。八五%以下だと施設が悪い。だんだん九二%、一〇〇%のところまで努力をしておる。経営のほうはそんなでこの繰入が少くて済んだのかも知れませんけれども、その代りに整備のほうは随分どこも手がついておりませんでしよう。あんな面は少なかつたからというだけで、今度は少し多目になつていますけれども、あの面が落ちているという面は厚生省考えたようなわけに行きませんね。それを考えて全国が……、私も全体の三分の二以上参りましたけれども、ほんとに経営のほうは何とかかんとか随分切詰めてやつているようですけれども整備のほうはそこまで行かないで本当にぼろぼろですが、あれはこの中にどのくらい程度含まれておるのですか、五十九の病院にすればほんのちよつぴりであると思いますが……。
  249. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 約十五億程度の整備を要求いたしております。
  250. 河崎ナツ

    河崎ナツ君 この十億の中には大阪のあの素晴らしい三ヵ年計画を十億でやつておりますね、あのうちの二十八年度分というのですか、あれも入つているのですか、その十億の中には。
  251. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 全部引つくるめてです。
  252. 河崎ナツ

    河崎ナツ君 そうすると本当にほかの何で分けるところは足らないと思うのですが、これは少し酷だと思われるのですが、恐らく厚生省もそう思うのじやないかと思いますが、遠慮しておるのじやありませんか。
  253. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) まあ遠慮しておると言われてはそれまででございますが、多々益々弁ずることは勿論言うまでもないことでございますけれども、実際問題として予算の計上についての過去の要求と、それから実際の計上との関係、そういつた実績その他を勘案いたしまして、余り過大に数字を掲げることも如何かと思いまして、割合に固いところを出した次第でございます。
  254. 河崎ナツ

    河崎ナツ君 あなたのほうで適当と認め、まああのくらいでよかろうと辛抱なさるならそれでよろしいですけれども、私らはそんなによろしいと思つてはいないのです。あのうちの、大阪にあんなにどんと行つているということは、それだけほかのほうが薄いのですから……。ほかの病院御覧になつたら、本当にちよつとこれでよさそうだと思う厚生省は少しどうかと思つたのでございますが、併しそれだけ申上げておきます。
  255. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) ちよつとお諮りしますが、大分時間もたつておりますので、今日はこの程度で医務、薬務、公衆衛生を一応終りまして、それで明日は、次の社会局、それから保険局、児童局、これの一般質問、大臣に対する質問を引続いてやつて頂く。そしてなお幾らでも御質問の点があると思いますので、それは又その都度拾い上げて行く。議事の進行上そういうふうにいたしましてよろしうございますか。そういうような方針でよろしうございますか。ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  256. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 速記を始めて。この際遺族援助に関する小委員高田なほ子君が他の委員におなりになりましたので、その補欠として河崎ナツ君を指名いたします。
  257. 藤原道子

    ○藤原道子君 私続いて二、三点お伺いしておきたいのでございますが、時間もございませんので、私簡単に箇条書で申上げま与から、答弁のほうは満足の行く答弁をして頂きたいと思います。先ほどの看護婦の問題に続きまして、実は看護婦だけが四十八時間勤務になつておりますね、国立病院の。これを普通の医療従事者並みに四十四時間にする意思がありやなしやという点。それから超過勤務がひとり看護婦のみが認められていなくつて他の公務員に比べまして二十五時間の超過勤務で無理だということば無論御承知通りだと思うのでございますが、これを今回の補正予算で五時間一つ追加して認める意思ありやなしや。看護婦が非常に需給難で困つておるときに看護婦の待遇が悪過ぎるからこれは看護婦人員が得られない。稼働人員がありながらこれが実働に転じないというふうな原因がそこにあるというふうに考えるのですが、それに対する御意見はどうかということをお伺いしたいのが一点。  それから国立病院が地方移管をあれだけ予定せられておりながら今日までただ一カ所より決定を見ていない。これにはそれぞれ事情があると思うのです。地方事情等を考慮して、これ以上飽くまでも強行される意思であるかどうかということが一点。  それからこの予算の七十七号の医療金融公庫に必要な経費というものの内容を少し御説明願いたい。それを医務局へお伺いいたします。  それから公衆衛生局長にお伺いしたいのは、最近駐留軍に殆んど占領されておる保健所が大分ございます。駐留軍の梅毒と、それから性病ですね。駐留軍関係のものと、それからそれに附随したいわゆるパンパン、駐留軍専用の特殊婦人、これらの診療のために保健所事務費が足りなくて、県費で建増しをしてこれに当つておるという地方等がございますが、これら明らかに駐留軍用のものに供せられておる際にこれがひとり県が費用を負担してやらなければならないというふうにお考えなつておるかどうかという点、それから梅毒がこの頃非常に殖えておるように聞いておりますが、その実情をお聞きしたいということ。  それからいま一つは、これは医務局でございますが、予算とは関係のない問題でございますけれども、この頃非常に輸血が乱れておるということを聞いております。この前本委員会で輸血が、梅毒患者の血を輸血したためにその人が梅毒にかかつて非常に問題が起りました。それで私この委員会で当局に質問いたしました。そのときに厳重にやるということ固く固く約束されたはずであるにもかかわらずこの頃売血というのですか、血を売る……、あれが非常に乱れて来ておる、殊に甚だしいのは青少年を欺して輸血の血を取つておるというようなことも聞いております。どういう方法でこれを試験してやつておられるか、これは由々しき問題だと存じますので、これらについての御見解をお伺いしたい。今日は私の質問はこの程度にしておきます。それに対しての御答弁はしつかりして頂きたいと思います。
  258. 高田浩運

    政府委員高田浩運君) 項目ごとにお答えを申上げます。第一の国立病院、療養所の看護婦の勤務時間のことでありますが、看護婦が病院、療養所において重要な役割を担つた要員であり、非常に一生懸命働いて頂いておることにつきましては我々としてもかねがね敬意を払つているところでございますが、そうしてこの勤務時間という点についてはただ単に公務員の範疇だけを取上げていわば一般の公務員は四十四時間、看護婦は四十八時間ということで差があるのが適当じやないじやないかという見方も或いはあり得ると思うのでございますが、看護婦の勤務時間はその勤務の性質等からいたしまして三交替を原則といたします関係上、一週四十八時間がその勤務内容等に照らして適当であるというような考え方の下に過去においてずつと四十八時間ということでやつておるのでございます。勿論その間において一般公務員の勤務時間は或いは四十時間を割つたこともあり、或いは四十八時間になつたこともあり、四十四時間になつたこともあるわけですが、看護婦の勤務時間は大体において私ども承知しておる範囲ではずつと四十八時間を一貫しておるように承知しておるのでございます。且つこれほ国立病院療養所のみならず、一般の官公立、私立等につきましても大体四十八時間というものを原則にし、或いはそれ以上のところも私立等につきましてはあると思いますが、そういうふうに国立病院療養所以外においてもそういうふうになつておるように承知をいたしておる次第でございます。そういつた関係からいたしまして給与の面におきましても過去においてずつと沿革的にこういつた勤務の実態と申しますか、看護婦の勤務の内容、現実の内容、それは即ち勤務の性質、量乃至環境と、そういつた見地から一般の公務員よりも給与の面において上のほうにおいて見ておるわけでございまして、勿論この給与の面につきましては、医療職員の給与につきましては我々としても常々これが更に一層の改善に努力いたしておるのでございますけれども、一般公務員と比べますというと今申上げましたような事情を相当含んで考えてこの実情にあると私どもは考えておる次第でございます。そういつた関係からこの看護婦の勤務時間は国家公務員法に基きまして、その法律規定に基いて特別に四十八時間ということになつておりますが、一応この考え方で進めて行きたいと、かように考えておる次第であります。勿論今申上げましたように看護婦給与面、或いは施設一般医療職員の給与面につきましては今後ともそれが改善に努力して行きたい、かように考えておる次第でございます。  それから次に超過勤務手当のことでございますが、これは今お話のように平均しまして二十五時間ということになつておりますが、従いましてその中には勿論繁閑というものがありますから、或る者は二十五時間以上、或る者は二十五時間以下の超過勤務手当を受けるということに相成ることは止むを得ないのでございます。看護婦だけが特別に扱いをして或いは低く、或いは釘付けにするというような措置は勿論とつていないのでございます。二十七年度補正予算につきましてはこれが増額を計上になつていないのでございます。  それから国立病院の移管の問題でございますが、これは現実にすでに経営を移管いたしましたのは今お話にありましたように秋田病院一ヵ所でございますけれども、これは各都道府県等との交渉が選挙その他いろいろな事情のために順次遅れて参りましたり、その意味においていわゆる急速な進捗を遂げていないことはまあ事実でございますけれども、現に相当準備乃至折衝中のものがあるのでございまして、これらのものにつきましては成るべく早い機会に交渉が成立するように努力をいたしたいと思うのでございます。なお勿論今後といえども無理矢理に強制をするということはこれはこの前の法律審議のときからいたさないということにいたしておりますし、まあ話合い、交渉によつて移管を遂げて行く、そういうふうに考えておる次第でございます。  その次の医療金融金庫への七億の計上でございますが、御承知のように医療機関につきましては、私立乃至法人立の医療機関であるものが相当整備をされることが医療の充実普及という見地から言つて極めて緊要なことは言うまでもないのでございますが、現実の問題としてこれらの経営主体が施設を増設し、或いは施設を改善するということについてはまあ金が要るわけでありますが、これを現実に市中銀行等から多額の融資を受けるということはその辺の条件等からいたしまして、なかなか意に任せない困難な面があることも十分御承知通りであろうと思います。その辺のことを勘案いたしまして長期低利の融資ができるようにしたいというのがこの要求趣旨でございますが、只今考え方といたしましては七億を国庫から財政支出をし、それから三億を関係の団体等から出資をいたしましてそれで金庫を設立して、それを中心として運営をして行きたい、かように考えておる次第でございます。  それから輸血の問題でございますが、これにつきましては、勿論採血をする場合に健康診断乃至血液検査等を厳密に行いまして定量以下の採血をすべきことは言うまでもないことでございます。ただこれらにつきましてはいわば医師の良心と申しますか、医師としての良心に期待しているところが多大でございますので、その辺のところが励行されるように更に今後関係の向とも協力いたしまして努力いたしたいと思つておる次第でございます。
  259. 藤原道子

    ○藤原道子君 看護婦の勤務ですけれども、私立病院もそうだからというようなお話がちよつとあつたのですが、私立病院は公立に準ずるのですよ、結局……。ですからそれは理窟にならんと思う。私は看護婦さんの、今日は時間がないからいずれゆつくりいたしますけれども、今の御答弁では満足でございません。超過勤務は考えていないというけれども、二十五時間しか超過勤務が認められなくて、今看護婦の不足の病院で二十五時間以内で済んでおるとお考えですか、随分ひどい超過勤務をしておりますよ。そういう点に十分お考えを頂きたい。こういう点が解決されない限り看護婦の補充は私は困難だと思う。看護婦のことを思つている、思つているということを言つているけれども、そうでないということを私はこの際一言だけ申上げておきたいと思います。
  260. 山口正義

    政府委員(山口正義君) お尋ねの第一点の保健所のことでございますが、これは駐留軍の駐留の地域との関係で、先ほどの御指摘の駐留軍関係の仕事が非常に大きな部分を占めている場所もございます。又地区によりましては保健所の支所を開設しなければならんというようなこともございます。併しこれは駐留軍関係の仕事が大きな部分を占めておるにいたしましても他の仕事も同時にやつて行かなければなりませんので、ほかの経費からその建設を図るということはなかなか困難と存じますが、ただこれは県だけでやつて行くべき問題ではないというふうに考えておりまして、来年度の新設の予算要求にはその点は地域的な点を十分考慮して私どものほうで要求いたしております。それから第二の梅毒の実情でございますが、性病実数を把握いたしますことは疾病の性質なかなか困難なことではございますが、私どものほうで性病予防法の規定に基きまして届出を受けております。その数によりますと性病のうちでも梅毒は淋病に比べますると年と共に患者数が減つて来ているのであります。例えば淋病は昭和二十三年から二十六年まで毎年二十一万、その次が十七万八千、又十七万八千、十七万九千というふうに殆んど横這いの状態でございますが、梅毒のほうは二十三年から二十六年まで、最初は二十一万六千、その次は十八万五千、その次が十二万一千、その次が七万七千というふうに届出の数は減少しております。
  261. 藤原道子

    ○藤原道子君 時間がございませんけれども、届出が正しいとお考えでございましようか。
  262. 山口正義

    政府委員(山口正義君) これは先ほど最初に申上げましたように、疾病の性質上なかなか届出が十分には行われ得ない。又近頃は特殊な薬品によりまして治療が非常に簡単になつて参りました。梅毒などもペニシリンを使用いたしますと、比較的早く治癒いたしますのでその実態を掴むことはなかなか困難だと思います。
  263. 藤原道子

    ○藤原道子君 私各地を通つていろいろその点聞いて来て憂うる余り質問したのでございますが、時間もございませんので、なおこの点だけを又もう少しお伺いして対策を伺いたいと思います。  それから続きましていま一つ山口さんに最後にお伺いしたいのでございますが、清掃事業費がこれに出ているのでございますが、この間も私ども厚生委員会から視察に参りまして、その現実の姿が余りにひどいので私もそれこそ驚いているわけであります。最近又地方へ行つて、あの視察以来地方へ出るたびにその土地の清掃事業を視察しておりますけれども、それはもう筆舌に尽せないひどい状態なのでございます。それについて結局現われた現象だけを追つかけているような今の厚生事業ですね、厚生省の仕事、これをもつと根本的に解決して行くことが厚生省の仕事としては、一番大事だと思う。それについてはやほり清掃事業などはもつともつと真剣にやらなければならないのじやないかという感を深くしております。殊に赤痢なんかが非常に殖えて来ている。赤痢だけが非常に現われて来ているというような点からも、大いにお互いに努力しなければならないのじやないかというふうに考えて来ているのでございますが、今度ここにちよぴつと出ているのですよ、これは地方の補助金に渡るのですか。
  264. 山口正義

    政府委員(山口正義君) 清掃事業、或いは下水ということが公衆衛生対策の根本問題であるということは御指摘の通りで、私どももここに重点を置いてやつて行かなければ鼠族昆虫駆除をやりましても根本的にはなかなか解決できない問題であるというふうに考えております。ただこれを根本的に解決いたしますのには相当経費を要しますので、なかなか一朝一夕にはむずかしいと存じますが、片一方におきましては、下水の施設整備の促進をいたしますと同時に、それに対しまして、下水に対する補助とそれから起債の枠をできるだけたくさん取るということに努力いたしておりまして、漸次それは拡がります。清掃関係では、清掃事業そのものは従来の汚物掃除法から考えまして、市町村の仕事ということになつておりまして、現在予算的には事業そのものは平衡交付金に入つております。併しその仕事そのものよりも、施設を整備する、例えば、屎尿処理のいろいろな施設の整備が必要でございまして、これを従来は市町村自体の負担においてやつてつたのでございますが、現在の市町村の財政から考えて、なかなかそれを一挙にやることはむずかしいというふうに考えられますので、取りあえず私どもといたしましては、来年度予算で非常に緊急を要する都市に対しまして、塵埃焼却場とか、或いは屎尿の浄化槽とか、或いは屎尿の貯溜槽、或いは汲取を機械化いたしますための自動車の整備、そういうものの整備に要します費用に対しまして国が補助を出したいと、そうしてそれを促進いたしたいという考え予算を計上いたしております。
  265. 藤原道子

    ○藤原道子君 遅くまで済みませんでした。保安隊の予算を一年ストツプしてもらえば全部解決するのです。
  266. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) この点は、今藤原委員の言われる通りで、私どももこの間実情を拝見して驚いたわけで、これは寸刻も放つて置けんという気がいたしますので、せいぜい我々もこれは十分見守らなければならんので、あなたがたとも協力してやりますから、厚生省も一段と御奮発をお願いしたいと存じます。
  267. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 ちよつと資料をお願いしたいのですけれども、薬務局関係の企業合理化促進法による助成金というものが出ておりますが、これは開業薬局の整備の費用ではないかと思いますが、開業薬局の整備の結果どのくらい一人で歩ける薬局ができましたか、その数字がありましたら頂きたいと思います。それから薬のことがよく私わからないのですが、パスとか、ストレプトマイシン、ヒドラジツド、あれの買上げの価格調整費というものがどこかに出ておるのではないかと思いますが、それから医務局、薬務局、社会局あたりで病院あたりに持つて行く費用があると思うのですが、それを使う費用をはつきり教えて頂きたいと思います。
  268. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) 井上君に申上げますが、只今資料要求は、専門員のほうとよくお打合せ願いまして、成るべく早く資料を出して頂くようにいたします。
  269. 慶松一郎

    政府委員(慶松一郎君) 今の企業合理化のは、これは全くそういう薬局の問題とは別の問題でございまして、薬を作るほうに対する工業的な補助と、こういうことになつておりますから……。ですけれども、資料の点につきましては、御必要でございましたらいつでも……。
  270. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 よろしくお願いいたします。
  271. 藤森眞治

    委員長藤森眞治君) それでは本日はこれを以て散会いたします。    午後四時十四分散会    —————・—————