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1953-03-11 第15回国会 参議院 建設委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年三月十一日(水曜日)    午後二時四十三分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     下條 恭兵君    理事            石川 榮一君            赤木 正雄君    委員            石坂 豊一君            深水 六郎君            前田  穰君            三浦 辰雄君            田中  一君    委員外議員   三橋次郎君   政府委員    運輸省港湾局長 黒田 靜夫君    建設省河川局長 米田 正文君    建設省道路局長 富樫 凱一君   事務局側    常任委員会専門    員       菊池 璋三君    常任委員会専門    員       武井  篤君    法制局側参事    (第三部長)  松尾 金藏君   説明員    農林事務次官  山添 利作君    農林省農地局建    設部長     櫻井 志朗君    建設事務次官  稲浦 鹿藏君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○海岸保全法案深水六郎君外十一名  発議)   —————————————
  2. 下條恭兵

    委員長下條恭兵君) それでは只今から建設委員会を開会いたします。  海岸保全法案を議題に供します。  お諮りいたします。農林委員三橋君から本法案につきまして、委員外発言を許可せられたいという申出がございます。これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 下條恭兵

    委員長下條恭兵君) 御異議ないと認めます。  三橋君の発言を許します。
  4. 三橋八次郎

    委員外議員三橋次郎君) 大変御多端の中に、貴重なる時間を割いて委員外発言を許して頂きましたことを心から感謝いたすものでございます。海岸保全に関する立法につきましては、かねてから関係方面におきましても極めて熱心に要望されておつたのでありますが、今回これらの要望に応えまして、本法案提出されましたことは、私どもといたしましても誠に喜びに堪えないところであります。提案者の労を多といたしまして、この法案の速かなる成立を希うものでございます。併しながらその内容につきまして、農林委員会おきましていろいろ問題になりました点につきまして、本日二、三質問申上げてみたいと思うのでございます。  先ず質問の第一は第一条についてでございます。第一条によりますると、本法案は高潮、強風、侵蝕、漂砂又は地盤の沈下による災害から海岸及び政令で定める湖沼沿岸を防護することをその目的としております。湖沼につきましては政令で定めるもののみに限られておるのでございますが、湖沼沿岸原則として本法対象とすべきであると思うのでありまして、この点に関しまして、第十三国会に提出せられました海岸保全法案におきましては、このように取扱われて来たことは御承知通りであります。然るに今回の提案でこれを変更いたじまして、湖沼例外的措置として扱つた理由としては、湖沼沿岸河川法の準用、河川としてすでに法の適用を受けているからとのことであるようであります。併し現行河川法は自然の水流たる河川を治めることを主眼としたものでありまして、湖沼には河川法適用することなく準用するにとめているのでありまして、本法とはその目的を異にしているように思われるのでございます。即ち背後地たる農地保全することもひとしくその目的としておる本法案趣旨からいたしますれば、湖沼沿岸農地に関しては当然海岸と同様に取扱わるべきものと考える次第でありまして、湖沼沿岸農地干拓によりまして造成されましたものが非常に多いのでありまして、昭和二十年度以降完了又は実施中の水面別干拓事業実例に徴しましても、海面一万四千六百七十町歩に対しまして、湖面は実に一万七百八十三町歩であります。湖面は全体のおよそ四二%に当りまして、比重におきましても軽重がないのみならず、これらの農地は平常の外水位より低い土地を人工的に利用しているのでありますから、潮位波浪等外水による弊害を防止すると同時に、入水の排除農地保全上不可欠の要件となるのであります。以上の理由によりまして、湖沼沿岸海岸と同様に扱うことが原則であると思いますにもかかわらず、例外的措置とされておることは、この法案提出の経緯からみましても不適当なるものと思われるのでありますが、この点につきまして、提案者の御説明をお願いしたいと思います。
  5. 深水六郎

    深水六郎君 すべての湖沼海岸と同様に取扱うということは、私たちは必ずしも妥当でないと考えております。併し湖沼の自然的、経済的な条件から考えまして、又併せて従来の干拓事業実績等から見まして、海岸と同様に本法適用対象とすることが必要であると考えられる点を政令規定する、こういうふうに私たちはしたほうが一番本法としても妥当である、そういうふうに考えておるのでございます。政令で定めるのでございますから、恐らくはこれは農林省建設省等の各関係のかたがたの、この立場からの意見が総合されますので、一番妥当な線に落付くのではないかと、かように考えておるのでございますが、そういうふうに海岸湖沼をすべて頭から海岸と同様に取扱5ということよりも、只今申しました自然的、経済的条件、或いは今までの干拓等実績から見て、関係者の妥当な線を出されて政令で定める、そうしてそれによつて定められた湖沼を含められるほうが一番妥当であると考えて立案した次第であります。
  6. 三橋八次郎

    委員外議員三橋次郎君) 農業利用できます湖沼と、農業利用のできない湖沼とは大体お調べがついておると思うのでありますが、その割合はどういうふうな数字になつておるのでありましようか。
  7. 深水六郎

    深水六郎君 割合と申しますと、どういうふうでございますか。
  8. 三橋八次郎

    委員外議員三橋次郎君) 大体湖の数でもよろしうございます、利用できる面積でもよろしうございます、どちらでも……。
  9. 深水六郎

    深水六郎君 全部の湖沼という調べと申しますと、関係のほうにお願いしているく調べてみたのでございますが、干拓埋立が完了した湖沼とか、或いは現在実施をしているものとか、或いは実施を予定しておるというような湖沼調べておりますけれども、そのうちのどれとどれを指定するかということは、結局これは政令で定める場合の両者協議によると考えております。調べ上げたものはございます。これは表で差上げてもよろしいと思いますが、併しその全部が指定されるかどうかということにつきましては、これは政令で定めて、そのときの関係者協議でございましようから、内閣できめちれる問題でございますので、そのうちのどれだけが入るということは、ちよつと私たちとしては、希望は将来あとで研究しまして申入れてもよろしいと思いますけれども、どれとどれということを只今申上げる段階に立ち至つていないと思います。
  10. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 実はこの問題はやはり私も相当大きい点だと思うので、前々回でありましたか、一体政令というものの原案として考えておられるところのものを今日までに出して頂きたい、こういうお願いをし、この間催促しておいたが、今日はまだ不幸にして出ていないの手。この点がなかなかやはり論点だ。農林委員会からお話をあり、私も同感だと思う。提案者自身もここに問題があることは御承知通りであります。ですから私はこの問題をやはり成る程度政令として出すときには、こういうものが大体出さるべきものであるということを、審議を進める意味から言つても私は早くお作りになるが適当であるということをかねてから申上げておいたのです。私は一体ものを余り言いたくないけれども議員立法というものを骨格だけ作つてあと行政官庁でうまいことやつてくれというのでは、私は議員立法の何といいますか、発議としては足らない点があるのじやなかろうか、議員が出すのだから当然行政執行部のほうにこういうような行き方で以てやるべきものであるという、そういう意味法律というものは出すべきだと思う、それが法律の精神を誤らないような行き方まで、成る程度差し出がましいかも知れないけれども立法趣旨からこういつた政令のものについては当然明らかにして行くという態度が議員立法の場合必要だとかねてから言つている。この点を私はこの機会に併せて又催促を申上げておきます。
  11. 深水六郎

    深水六郎君 只今三浦さんから非常にお叱りを蒙りました点でございますが、大体は調べ上げておりますが、私が申しましたのは、この全部を指定されるかどうか、これは私たち権限外でございます。ただこれだけを要望したいというのはできているわけでございます。
  12. 三橋八次郎

    委員外議員三橋次郎君) なおここで、政令で定める湖沼沿岸というのは、その政令内容は、発議者がその様相におきまして海を防御せしめるようなものの沿岸、現に干拓実施せられている湖沼沿岸及び将来干拓実施されるだろうと思われる沿岸意味するものであるという話も聞いておりますが、提案者の御意見はそういうふうに解釈してよろしいのでございますか。又政府当局もそのように解釈して、これに従いまして政令を作成せられるのでございますか。その点を確かめておきたいと思うのでございますが。
  13. 深水六郎

    深水六郎君 提案者といたしましては、さつき申しました通りでございまして、ただ、只今三橋さんからおつしやつたような線で要望したいと、かように考えております。
  14. 三橋八次郎

    委員外議員三橋次郎君) 第二は同じく第一条につきましてでございます。背後対象は、海岸及び特定の湖沼沿岸を言うということになつております。先に提出せられました法案において挙げられております事柄は、背後地が今回省かれておるのであります。これは前と同様背後地を含めるべきだと思うのでありますが、この背後地保全はこの法案目的であつて背後地そのものはこの法律対象とすべきではないというお考えもあるようでございますが、農地、恐らく通常の外水より低位にあります干拓農地にとりましては、堤防など全面の施設潮遊びなど、背後施設とが一体となつてその機能を発揮する場合が非常に多いのであります。潮遊びは汀線から五十メートル以上の内陸側にある場合も多いのでありますが、この両者を切り離すような措置は適切でないと思うのでございます。この点提案者はどのようにお考えになつておりますか、御説明を煩わしたいと思います。
  15. 深水六郎

    深水六郎君 背後地只今申されましたように、私たちといたしましては、背後地の防護ということはこの保全法目的であつて対象とすることは妥当でないと考えておるのでございますが、併しこの背後地ということにつきましての、いろいろ只今申されましたような点は、この第四条で保全区域の指定といたしますときに、それぞれ五十メートルという制限がございますが、併し「地形地物地質潮位潮流等状況によつてやむ得ないときは、それぞれ五十メードルをこえて指定することができる。」ということによつて、その妥当な判断を下され得ると私は考えております。
  16. 三橋八次郎

    委員外議員三橋次郎君) 第三は、第二条第二項におきまして、排水施設等を、先に提案せられましたもの同様に「海岸保全施設」といたしまして取扱5べきであると思われます。第二条第二項によりますと、「海岸保全施設」とは、「海若しくは湖沼の水若しくは漂砂を防ぎよし、又は浸しよくを防止するための施設をいい、」ということになつております。排水目的とする施設保全施設にならないのでございますけれども、海及び湖沼沿岸農地にとりましては、外水からの防禦と同時に内水の排除が不可欠の要件であることは申すまでもない事柄でございます。この最も顕著なるものは排水樋門であります。これにつながる排水施設も又同様でございます。或いは樋門堤防附帯構造物と言い得るかも知れませんが、樋門そのもの目的排水以外にないのでありまして、排水目的としない保全施設樋門のあることはこれらの規定が現実に副わないことを示しておるものでございます。農地保全目的とする以上は、当然明白に第二条にその排水施設の問題を規定すべきであると考えるのでございますが、この点如阿でございますか。
  17. 深水六郎

    深水六郎君 只今の御質問御尤もでございますが、併しこの「海岸保全施設」の第三章をお読み頂けば、第十三条の二項に「主として農地保全することを目的とする海岸保全区域内にある海岸保全施設は、前項の規定による外、排水防潮等について農地利用又は保全上必要な機能を有する構造のものでなければならない。」という一項、及び第四項に「海岸保全施設には、近傍の土地利用状況により、ひ門、ひ管、陸こうその他排水又は通行のための設備を設けなければならない。」という規定によりまして、只今申されましたようなことは必要最小限度においては救済されるのではないかと、かように考えております。
  18. 三橋八次郎

    委員外議員三橋次郎君) 又十三条二項の構造基準におきまして、排水機能を有する構造のものでなくてはならないとすることは、若し保全施設排水目的としないものであるとすることとなるならば、本末を転倒しておると思われるのでございます。趣旨が一貫しておらないように思われるのでありますが、この点についての御処置を承わりたい。
  19. 深水六郎

    深水六郎君 それはそういうふうには私たちとつておりませんが、ただ農地の場合は特に排水等機能の高度な要求がされるから、特に第二項を設けた、かように御了解頂きたいと思います。
  20. 三橋八次郎

    委員外議員三橋次郎君) 第四は、第四条六項の水際線の定義でありますが、例えば入江とか、干拓によりまして川のようになつておるというような所などは水際線をどういうふうにおきめになりますのか、お飼いしたいと思います。
  21. 深水六郎

    深水六郎君 只今の御質問はまあ大体五十メートルということで規定されますけれども、併しさつき申しましたように、但書の運用によつて適当になし得るので、五十メートル以上になるような場合には、さつき申しましたように、「地形地物地質潮位潮流等状況によつてやむを得ないときは、それぞれ五十メートルをこえて指定することができる。」というこの規定運用の適正を期したいと、かように考えております。
  22. 三橋八次郎

    委員外議員三橋次郎君) そうしますと、実情に応じまして変更することもある、こういうことになるわけでございますか。
  23. 深水六郎

    深水六郎君 それは事実上の判定によりますが、海岸と目される場合とか、或いはただ単に海水が入つておるというような場合でありますが、これは実際上のその具体的な場合によつて状況によつて判断を適当にされたいと、かように考えております。
  24. 三橋八次郎

    委員外議員三橋次郎君) 第五でございますが、これは第二十四条についてであります。同条によりますると、国の補助を受ける者は工事を施行する海岸管理者のみに限られ、第十一条によつて海岸管理者以外の者が管理者の承認を受けて保全施設を築造する場合は補助をされないことになつておるようでありますが、この点は如何でございますか、お伺いしたいと思います。
  25. 深水六郎

    深水六郎君 それは海岸管理者海岸保全責任を負わせていますために、海岸管理者補助をいたすことにいたしておる次第でございます。
  26. 三橋八次郎

    委員外議員三橋次郎君) まだちよつとわからんところがありますが余り時間がかかつてもいけませんから、以上で質問は打切りたいと思うのでありますが、この海岸保全法立法上非常に困難なる問題をよく調整いたしまして計画され立案されたものと聞いております。又内容におきましても随所にこれが見られるのでありまして、提案者の苦心のほどを窺うに十分であるように思うのでございます。従いまして、他の諸点につきましては何とぞ一つ原案通り速かに成立希望してやまないものでございます。甚だ長時間誠に有難う存じました。
  27. 下條恭兵

    委員長下條恭兵君) それでは先ほど御報告申上げましたほかに、運輸省から黒田港湾局長が見えております。そこで先ず黒田港湾局長からの意見から先きにお聞きしたいと思いますが、御異議ございませんですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 下條恭兵

    委員長下條恭兵君) それでは港湾局長の御意見をお願いいたします。
  29. 黒田靜夫

    政府委員黒田靜夫君) 海岸保全法案につきまして、運輸省といたしましてこうしてもらいたい、ああしてもらいたいという希望を申上げたいと存じます。  この海岸保全法案趣旨につきましては、運輸省といたしましては賛成でございますが、その内容の中で二、三修正して頂きたい点があるのでございます。それは港湾管理者というものが港湾法に基いて各港湾にあるのでございますが、この港湾管理者をして港湾区域における海岸保全管理者にして頂きたいということでございます。港湾区域を良好な状態に維持しなければならないということは港湾管理者の業務でございまして、これは港湾法の十二条にも規定されておるのでございます。この港湾区域を良好な状態に維持するためにはどうしてもこの保全工事も併せて当然含まれておるのではないか、かように考えるのでございます。現に港湾区域内の海岸保全工事は現在運輸省の直轄なり或いは港湾管理者が行なつておるのでございまして、その内容を申上げますと、二十七年度におきましては、一般の海岸保全関係で十六億八千万円の工事をやつております。これは大阪、尼ケ崎、新潟、その他瀬戸内の海岸港湾区域内の決壊に対する保全工事をやつておるのでございまして、これは港湾修築費の凡そ二割に当つております。又災害復旧工事関係におきましても、おおむね十四億程度の金を使つておるのでございまして、個所にいたしまして両方併せますと千カ所くらいになります。毎年七百カ所乃至千カ所を施行いたしておるのでございまして、その総額は年間おおむね三十一億に達するものでございます。こういう関係海岸保全仕事港湾区域内におきましては、従来とも行政措置によりまして運輸大臣責任の下に専門港湾技術者が施行いたしておるのでございまして、この海岸保全工事に対しまする技術方面では、日本的に私は相当と言いますか、唯一の一番強力なところではないかというふうに考えておるのでございます。かように農地につきましては農林関係港湾区域内の海岸保全につきましては、運輸省設置法にもありますように、運輸大臣只今所掌しておりますので、これを運輸大臣所管にして頂き、又その他の海岸につきましては建設関係でやつて頂く。こういう立派な法律ができました場合に、ひとり運輸省のやつておりまする海岸保全工事だけ法律化されなくて、行政措置に取残されるということは、いろいろな今後の工事実施方面から支障ができて来るのではないかというふうに考えられるのでございます。大体運輸省意見としては右のようでございますが、詳細具体的ないろいろな例で御質疑がございましたらお答えいたしたいと思います。
  30. 下條恭兵

    委員長下條恭兵君) それでは質疑がありましたらあとでお願いすることにいたしまして、次に農林省山添次官から……。
  31. 山添利作

    説明員山添利作君) いろいろお骨折りを願つております海岸保全法案が又提出になりまして、私どももこれが成立いたしますことを強く希望いたしている次第でございます。これに関して、先ほど農林委員会三橋さんから御質問といつた形で、拝聴しておりますと、意見が述べられたようでありますが、伺つておりますと、尤もだと思う点も多いのでありますが、私どもといたしましてはこの案が成立するということを根本にいたしまして、第一点は湖沼、これを政令できめる。こういう形になつておりますが、これは原則論としては広くきめられたらよろしい。若し差支えないならばこれは原則的に湖沼にも適用になるのだということのほうが望ましいという考え方であります。  それから排水施設の点でございますが、これは護岸等一体をなしているものでありますから、当然一体的に考えられるのでございまして、特に具体的に考えますと、何を補助金対象にするかというときに、排水施設は別であるという扱いはできないと思います。でありまするから、これが建設省所管として行われる工事でありましても、或いは農林省所管として行われる工事でありましても、補助対象として当然これは適用になるべきじやないかと、かように考えております。
  32. 下條恭兵

    委員長下條恭兵君) それでは最後に建設省稲浦次官からお願いいたします。
  33. 稲浦鹿藏

    説明員稲浦鹿藏君) この法律全般につきましては、建設省といたしましては非常に結構な法律でございますので、成立することを希望しております。ただ建設省希望としましては、建設大臣設置法にもありますように国土保全ということの責任を持つておるものでございまして、その意味からしてこの海岸堤防維持管理建設省責任を持つてやるべきものだと、かような根本観念を持つておるものでございまして、従つてこの三十一条に「農地保全目的とする海岸保全区域」というこの根本的な思想に対しては建設省反対意見を持つておるのであります。この点を国土保全というような意味をしつかりと含めた思想にしてこの法律をきめて頂くということを希望するものです。従つて先ほど農林委員のかたから御意見がありました湖沼につきましては、すでに河川法を準用しておりまして、それによつて海岸保全仕事をやつておるものでございますから、改めて法律を二つ重ねる必要はないんじやないか。だからこの第一条は海岸だけにして頂いて湖沼は全面的に河川法のほうへ譲つて頂いたほうが簡単に済むんだ、かような考えを持つておるのでございまして、他の部分に対しては建設省は非常に結構だと、かように存じておる次第でございます。
  34. 下條恭兵

    委員長下條恭兵君) 只今の御説明につきとまして、質疑のあるかたはどうぞ順次御質疑を願います。
  35. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 まあ今稲浦建設次官からのお話で、国土保全というものは皆我が建設省のものである、これは国土省という考えがかねてからときどき首をもたげて来て、そういう御意見というものについては私どもは御意見としては承わるんであるけれども、今日の実情、現在の行政機構においては私はそういうようなことにはなつてないんた、まあこういうふうに思うんです。でそんなことはこの問題に直接でありませんからこの辺でやめますが、続けませんが、今の排水施設ですね、海岸堤防に場おきますこの問題に関連して農林委員のかたも或いは農林省次官からもお話がありました、今度は御提出にならんようだけれども河川局試案として作られている改正河川法案が手許にあるんですが、これを拝見しますと、河川附属物というものの中にこういうような施設が入つている、当然これはここに語つてつている。そういうような考え方から言えば、私はこの排水樋門といいますか、そういうものは海岸保全施設として一体考えるというほうが首尾一貫するんじやないか。河川法になるというと、それはいずれも河川附属物として河川局自身が立案されている試案の中にある、二十七年二月九日附ですがね、私のは。恐らくこれは尤もである、これが尤もと同時に、海岸の何といいますか、保全施設の中でその背後農地というものから見て、どうしても必要な樋門の問題、排水の問題、これは私は是非必要じやないか。実は例を持つている、今日は持つて来ませんでしたが、酒田の北にある日向川におきますところの一つの例がある、写真もある。まあそういうようなことで私はこの点をやはり入れたほうが首尾一貫すると思うんですが、これは提案者ではなく、建設省としては、どうお考えになりますか。この点をお伺いします。
  36. 米田正文

    政府委員米田正文君) 排水施設の問題ですが、我々も海岸施設をやります場合に、それに当然必要な施設についてはこれは附帯工事としてやるべきだと思つております。ただその背後農地なり市街地なりあつて、その農地なり市街地の改良を目的とする範ちゆうにまでは行くべきではない、この海岸堤防をこしらえることによつて起きる排水不良の問題を解決するための施設というのは、当然私は附帯工事としてやるべきだと思います。
  37. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 私の言うのは実例一つあるものだから、特に何だかしつこいのですけれども、丁度あの山形県の酒田の北になりますが、日向川という川がある、そうしてそれは曾てあの庄内平野の一部分としての農地改良をやつで、排水をやつた排水網がある。ところが海岸保全が適当でなかつたために今も写真でそこに出ています、その排水網のある所が。あれらをやるときに私ほいずれもこの法律で言うところの十三条でしたか、そういうところに特に注意は加えているが、第二条の二項の施設という中にそれを謳つてくれという問題でしよう、農林委員会のほうの希望は。だから私はやはりこれは謳うということに何ら躊躇する必要はないのだと思うのだけれども、重ねてお聞きします。提案者はもう答えているのだから国土保全の大任を持つ建設省のほうにお聞きしたい。
  38. 稲浦鹿藏

    説明員稲浦鹿藏君) それはお説御尤もで、私ども同感でございまして、堤防一つ附属物として作る必要のあるところはやはり作らなければいかん、かように考えております。
  39. 田中一

    ○田中君 港湾局のほうに伺いたいのですが、今御説明の、御希望と言いますか、そのうち港湾法によつて指定された港湾区域というもののうちの二十七年度の災害復旧費は十六億八千万とかいうことを言つておりますが、この区域はどこからどこまでの事業でしようか。
  40. 黒田靜夫

    政府委員黒田靜夫君) 港湾区域内で港湾法に基いて港湾施設として補助の出ている事業もございますし、その他の港湾保全或いは港湾区域内の海岸保全のために出ております防災的な事業費でございまして、これは港湾法によらずに只今行政措置によつて各省、農林建設皆同じでございますが、行政措置によつて予算化されているのでございます。
  41. 田中一

    ○田中一君 重ねて伺いますが、この海岸保全法で定義付けておりますところの第二条の二項、これに港湾法第二条又は漁港法第三条若しくは第四十条に規定する施設港湾又は漁港の機能に直接関係あるものを除かれたと、今の御説明はこの港湾又は漁港の機能に直接関係あるかないか、ないものも入つておりますか。
  42. 黒田靜夫

    政府委員黒田靜夫君) 区域内で港湾保全に必要なものでございます。例えば高潮の防禦対策とか、或いは海岸の決壊、地盤沈下等に対しまして、港湾施設に直接関係がなくても、港湾の使用上関係の深いいろいろな港湾関係のある防災的な施設につきまして、予算が計上されているのでございます。
  43. 深水六郎

    深水六郎君 関連して……今行政措置によつてとおつしやつたのですが、それはそうすると、港湾法規定ではなくして、ただ保全目的そのものでやつておられるわけですね。
  44. 黒田靜夫

    政府委員黒田靜夫君) さようでございます。
  45. 深水六郎

    深水六郎君 港湾施設としてやつておられるわけではないのですか。
  46. 黒田靜夫

    政府委員黒田靜夫君) これは港湾法によりましては、四割とか五割とかいろいろ規定されおりますけれども港湾施設に多少とも関係のある海岸の決壊とか、或いは高潮の防護の対策といたしましては、防災工事として行政措置によつて港湾法に基かざる予算の事業をやるのでございます。
  47. 深水六郎

    深水六郎君 そうすると、その根拠は何ですか。
  48. 黒田靜夫

    政府委員黒田靜夫君) 港湾区域内を良好な状態に保たなければいけませんので、それに対しまして従来の慣例等に基きまして、港湾施設関係のあるものにつきましては港湾の防災としてやつておるわけであります。それは全部港湾区域内でございます。
  49. 田中一

    ○田中君 重ねて伺いますが、いわゆる港湾施設のある港湾と、それから港湾区域というものの比較、主としてその例を挙げて頂きたいのですが、どういうふうに比較されますか。
  50. 黒田靜夫

    政府委員黒田靜夫君) いろいろ港によつて違いますけれども、港自身防波堤に囲まれた港湾は大体港湾に直接関係あると思つて差支えないのではないかと存ずるのでありますが、防波堤の外でありましても、将来港湾の発展に伴いまして港湾計画を持つておるのでございまして、これらはおおむね港湾区域内に入つておるのでございます。将来と申しましても数年後に着手が予定される区域もございます。この広さにつきましては個々の港についてでないと申上げるのが非常にむずかしいのでございますが、横浜港が手近かにありますのでこれを例にとりますが、横浜の本牧のほうから多摩川の河口に結んだ線が横浜川崎港になつておりまして、この区域内は港湾機能関係がございますし、又地盤沈下等の対策に対しまして防潮の工事も必要な個所があるのであります。これは港湾保全に必要な施設として申しておるのでございますが、東京港におきましても、多摩川の河口から荒川の河口になつておりまして、この間では一部に建設省海岸保全の防護をやつておりまするし、又品川辺りのように運輸省海岸保全工事を従来ともずつとやつておるのもあります。深川のほうにおきましても運輸省でやつておりまする保全高潮対策工事もございますし、又建設省でやつておりまする工事もありまして、それは従来協議が整いまして、これ又行政措置によつて海岸保全工事をやつておるのであります。
  51. 田中一

    ○田中一君 港湾法によりまして指定された港湾区域港湾機能を発揮するためになくてはならない施設というものは横浜港の場合、本牧の沖から六郷の端まであるということ、そうするとあなたのほうで予算をとつて事業をしなければならない区域というのは、今御説明の本牧の沖から六郷までを含んでおるものですか。
  52. 黒田靜夫

    政府委員黒田靜夫君) さようでございます。外から、東京湾から入つて来ます航路の浚渫をいたさなければなりませんし、又船舶が輻輳する場合には、防波堤の外に非常な二十数隻、場合によつては三十数隻船舶が碇泊しておつた実例もたくさんあるのであります。
  53. 田中一

    ○田中一君 海面は直線で結ぶのですか、曲線で結ぶのですか、長さはどのくらいの区域になりますか。
  54. 黒田靜夫

    政府委員黒田靜夫君) いろいろ港によつて違いますが、只今申しましたように岬から岬、或いは岬から河口に亘つて結ぶ場合もございますし、或いは成る一つの防波堤の頭を中心にしまして半径何キロといつたものを港湾区域に認定している場合もございます。これはその港々寝つているく違うのでございます。
  55. 田中一

    ○田中一君 今お話によりますと、はつきり港湾区域として運輸省所管しなければならん区域はわかりました。併しながら東京港において建設省協議をして或る場合には建設省がやり、或る場合には運輸省がやるという事実があるという御説明ですが、港湾法には港湾保全責任は誰にあるかということを明記しておらないのですか。
  56. 黒田靜夫

    政府委員黒田靜夫君) 港湾法の本来の目的とするところは、港湾の開発、利用及び管理の方法を定めることでございまして、今まで申しましたような保全工事に対する法的根拠はないのでございます。それで今申しましたようにいろいろ港湾区域内で、仮に海岸保全法成立いたしました場合に、片方は法律適用を受け、それから片方は除外されるということであれば、そこにやはり同じ保全工事であり、同じ港湾区域内であつて非常に矛盾するのではないかというふうに考えておるのでございまして、港湾区域内は港湾利用上必要な最小限度であるということで水面を港湾法によつて指定されておるのであります。このような見地から港湾区域内の保全は是非運輸大臣が一般の責任を従来もやつておるのでございます。それから先ほどは申上げましたが、もう一つ港湾区域内を良好な状態に維持するということは管理者の業務であるということは十二条には一応謳つてあるのでございます。
  57. 田中一

    ○田中一君 今ここに名古屋港、いわゆる伊勢湾の図百面がありますが、この中にある名古屋港の区域と指定されるものは、その名古屋港の約十数倍の面積のある海面を示した図面です。これには市街地もあります。埋立もあります。それから河川もあります。或いは排水路もあります。こういうものを全部含めまして、運輸省がしなければならないという御議論をおつしやつておるのですか。それとも土地の埋立、都市を拡張するところの埋立、これも全部自分のほうで海岸線の維持管理はしたいという御希望ですか。
  58. 黒田靜夫

    政府委員黒田靜夫君) この点につきましては、協議してきめて頂ければいいと思うのであります。名古屋港において比較的広範囲の港域をとつておりますのは、御承知通りに名古屋港は木曾川のデルタ地帯でありまして、非常に遠浅でございます。航路を浚渫いたしますにしても相当遠くまで十何キロか延びて港湾工事を施さなければならないのでございまして、又知多半島の横須賀区域の一番南のほうになりますが、これもやはり名古屋港の横須賀地区としての港湾工事をやつているのでございますし、その名古屋港から横須賀に至る海岸は十分に浚渫し、又航路を浚渫した土砂を以て臨海工業港域の計画を持つているのでありまして、これらの意味におきましても、この港湾区域内にやはり保全的なものが出て参るのでございます。河川とか或いは都市の形成に必要な保全工事が仮にありといたしますならば、これらにつきましては、その港湾区域の主たる責任運輸大臣が持つておりますことにいたしますれば、あと協議してそれらの点はやればいいのではないかと考えます。
  59. 田中一

    ○田中一君 本法の定義の第二条二項、これについて御意見はどうですか。
  60. 黒田靜夫

    政府委員黒田靜夫君) 第二条の二項に「第三条若しくは第四十条に規定する施設港湾又は漁港の機能に直接関係のあるものを除くものとする。」ということを漁港の機能にもつぱら関係一あるものを除くというふうに修正されることを希望いたしておるのでございます。
  61. 田中一

    ○田中一君 直接関係のあると、もつぱらとの詳しく具体的な御説明を願いたい。
  62. 黒田靜夫

    政府委員黒田靜夫君) これは考え方でございまして、これらがいわゆる協議を要する点ではないかと存ずるのでございます。
  63. 田中一

    ○田中一君 本院の運輸委員長から本委員会に対して申出があるのです。これは御承知と思いますが、今局長が御希望なすつた二つの点を申入れして来ております。ただ今もつぱらと直接くらいの違いならば、お互いに現在も協議をして事実やつておる。殊に名古屋港のように相当広汎な港湾区域を占めておる場合に、そこにいろいろ建設省は主として当然管理しなければならん、保全に努めなければならんという区域が相当広い、無論それは港が陸地とくつついておりますから、無論海面利用運輸大臣は、港湾としての機能を発揮するためには必要でございましようが、その割合は非常に広い場合、こういう場合を考えまして、今もつばらと直接くらいの点ならば、従来通り港湾法に基くところの港湾は無論運輸一大臣が主管をする、そうして市街或いはその他農地とか河川とかに関係あるものは従来通り建設大臣が主管をするというところに何ら摩擦する点はないのじやないかと思う。ただお互いに役所役所で一つのセクシヨナリズムは持つておりますから、自分の範囲を拡める、行政区域を拡めるというようなお気持ばかりじやないと思いますけれども、そういうものであるならば、相当これは考慮しなければならんという考え方を持つておるのですが、名古屋港などは特別な例でございますか、こういう海面の区域の指定の大きさというものは…七
  64. 黒田靜夫

    政府委員黒田靜夫君) 先ほど第二条第二項の点については、それでよろしいではないかというお話がございましたが、第二条はそれでいいのでございますが、この三十一条に農地保全農林大臣、一般の海岸保全建設大臣、それと並びまして、港湾区域内の海岸保全運輸大臣、これを主として港湾区域内の海岸保全目的とする海岸保全区域については運輸大臣というふうに修正して頂きたいという希望を持つておるのでございまして、もつぱらだけに……第二条だけではなしに、第三十一条に海岸関係農林関係もございましようし、建設関係もある、運輸省関係もあるので、鼎立してそれぞれの所管従つて責任を持つというふうにして頂きたいのでございます。この点につきましては、災害復旧工事国庫負担法は同じ災害公共施設の復旧をいたしまするのに、建設省農林省運輸省もそれぞれ所管大臣が肩を並べておるのでございますし、又こういう水面埋立の法律もやはり運輸大臣建設大臣農林大臣がそれぞれの所管業務によつて所掌いたすことになつておるのでございまして、海岸保全法も同じような性質でございますので、この点を三十一条で修正をお願いしたいという希望を持つておるのでございます。  それから次にお尋ねのありました名古屋港の程度港湾区域がほかにあるかというお話でございましたが、広い例では和歌山に下津港と申しまして、和歌山市、海南市、下津を含めた海域もございます。そのほか二、三の港においては相当広い区域もございますが、これらはそれぞれ総合的な観点において港湾区域をきめておるのでございまして、おおむねこれらの主要港湾におきまする港湾区域は、港湾機能発揮上その程度の水面は最小限度の区域ではないかというふうに運輸省といたしまして考えておるのでございます。
  65. 田中一

    ○田中一君 私の手許にこういう参考書があるのですが、大蔵省の管財局長から建設省河川局長に宛てた通牒“並びに大蔵省管財局長から各地の財務局長宛の通牒、これは昨年の五月三十日に出ているのであります。これを読み上げてみます。   国有海浜地の取扱について   標記のことについて各財務局長あて、別紙の通り通牒したから、都道府県に対しては、貴局から周知徹底方御指導願います。   なお都道府県に対しての御指導については、その措置を報告して下さい。    記  一、公共物としての海浜地   国有財産法に定める公共物としての国有海浜地は、国において直接公兵の用に供する財産であつて、直接に社会公共の利益のために存し、公衆が自由にこれを使用することによつて、その存在価値を全くするものである。  従つて海浜地は、その自然の状態において公衆の自由使用に公開されるものであつて、一般公衆はその範囲内においてのみ自由に使用し得られる。  (一) 無償使用の範囲 海浜地がその自然の状態において公衆の自由使用に供される場合、例えば海水浴、網干等に使用される場合は使用料の徴収を必要としない。  (二) 有償使用の範囲  公共物は、時には、その用途又は目的を妨げない限度において、特別の使用又は収益をなさしめることができる。即ち海浜地として公衆の利用に供することを妨げない限度において、管理者が特定の企業者又はその他の特定人に対し、国有財産法の規定に基き占用使用料を徴収して、その使用又は収益をなさしめることができるのであつて、例えば特定人に対し、船着場、海水浴場の脱衣場等に使用するためにその区域及び期間を定め、使用料を徴収して占用許可をする場合であろ。 三、財産管理の機関   (一) 公共物としての海浜地建設省  (二) 普通財産としての海浜地大蔵省   公共物としての性格を喪失した海浜地は、建設省から大蔵省に引き継ぎをなし、大蔵省において通常の普通財産として管理する。  これは大体海浜地の取扱については大蔵省管財局長は昨年五月三十日附の通牒を以て建設省にあるということを一応通牒を発しているのです。この事実については御承知でございますか。
  66. 黒田靜夫

    政府委員黒田靜夫君) 管財局からいろいろな施設つつきまして相談を私どものほうも受けておりますが、港湾区域内におけるそれらの施設はおおむね私どものほうが相談を受けておりまして、今お話にありましたのは、恐らく濫費区域外の海浜の施設と存じておるのでございます。
  67. 田中一

    ○田中一君 御説ですと、港湾法に基くところの管理権というのは、はつきりしていないというような先ほどのお話でございましたが、その点は先ほどおつしやつた通りに了解してよろしうございますね。
  68. 黒田靜夫

    政府委員黒田靜夫君) 御質問趣旨が十分呑み込めないのですが……。
  69. 田中一

    ○田中一君 もう一遍言います。港湾法に基く港湾施設の管理権は港湾局が持つている。港湾区域の管理権はあなたのほうで今持つておらない、建設省協議して管理しているというようにお話を伺つたのですが、そう了解してよろしうございますか。
  70. 黒田靜夫

    政府委員黒田靜夫君) 港湾区域内におきまする国有財産でへ従来港湾管理者に相当するようなものがありましたが、それらは全部只今港湾法によつて成立いたしました港湾管理者が管理をやつているのでございまして、そこに財務局長からの通牒が見えますが、国有財産は旧軍施設であるもの、或いは戦前の国有の施設につきましての処分のことかと思いますが、これらのうち港湾区域内にありまする施設につきましては、目下管財局とこれを如何に譲渡するかということを折衝を続けているのでございまして、この譲渡は港湾管理者に譲渡、貸付若しくは管理委託をやるようになつております。具体的な作業が目下管財局と進んでいるのでございます。港湾区域内におきまするそれらの国有施設は、例外は勿論ございますけれども、おおむね運輸省港湾局と管財局の間で事務的な折衝か続けられているのでございます。例を申しますと、ずつと横浜から横須賀に至ります海岸におきまして、いろいろ旧軍施設があるのでございますが、これらの管理なり或いは譲渡処分等につき書ては、いろいろ管財局と直接港湾局が折衝をいたしているような実情でございます。
  71. 田中一

    ○田中一君 今の港湾局長の御説明に基いて、建設省河川局長の御意見を伺いたい。
  72. 米田正文

    政府委員米田正文君) 今の海浜地の問題でございますが、公共物としての、国有財産としての扱いをいたしているのは我々一般的には今の取扱いによつて実施をいたしております。港湾区域に関しましては、港湾区域施設についての管理が港湾法に基いて運輸大臣の管理であることは当然でございますが、港湾区域の管理は私どもの解釈では水域が中心でありますので、その水際線における海浜地の問題は、これは港湾管理の面からは一般的に言えば一般海域と同じ扱いをすべきだと考えます。
  73. 田中一

    ○田中一君 重ねて港湾局長に伺いたいのですが、甚だ御迷惑かとも存じますが、今の河川局長の御意見とあなたの御意見は食い違いがございますか。
  74. 黒田靜夫

    政府委員黒田靜夫君) 港湾区域内の水面の管理は運輸省でやつておりまして、工事の規制或いは公有水面埋立法に基くいろいろな取扱をやつおります。陸域につきましても、海岸港湾施設関係あるものにつきましては、現在やはり港湾局の所管で管理をやつているのでございます。港湾施設に全然関係のないものにおきましては、奥のほうの土地につきましては建設省がやつているのが従来の例でございます。
  75. 深水六郎

    深水六郎君 ちよつと港湾局長にお伺いしたいと思いますが、さつきのお話でですね、港湾内の施設というのは港湾法によつておるものと、そうでないものとあるとおつしやつたですね、港湾法によらずに予算措置その他で現在適当にやつている、そうすると港湾法によるものとよらないものとの区別の標準はどこでとつておられるんですか。
  76. 黒田靜夫

    政府委員黒田靜夫君) 港湾法によるものは港湾法の二条によつて港湾施設規定されております。全部例記されております。それが港湾施設で、その港湾施設の中から荷捌き施設と埋立ての造成を除外した残りのものが、例えば岸壁とか防波堤、航路、泊地の浚渫それらのものが港湾法対象になつて、公共事業費の補助を受けているのでございます。
  77. 深水六郎

    深水六郎君 そうすると、港湾法によらなくてやつておられる部面については……。
  78. 黒田靜夫

    政府委員黒田靜夫君) 今のにもう少し説明いたしますが、荷捌き施設、埋立地の造成も港湾施設ではあるけれども補助対象でないだけで、港湾施設であるのです。
  79. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 港湾区域内における港湾施設災害復旧は当然港湾局でやりますが、港湾区域内における港湾施設でない災害復旧は港湾局でなされているのか、或いは建設省でなされていますか、どつちですか。
  80. 黒田靜夫

    政府委員黒田靜夫君) これは従来の例によつてつているのでございまして、今までは御案内のように、港湾局が内務省当時毎州におりましたもので、その辺のところはうまく協議によつて、こちらは運輸省所管である、こちらは建設省所管であるというふうな工合にして大体差障りなくやつているので、その範囲内でこれを法文化して頂きたい。
  81. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 今私が質問したそれに対する御答弁ですね、万事は皆様御承知だと私は思うんです。皆ぼけちやつている。だから言い換えれば、港湾施設はこれははつきり言いますと、港湾区域内における仕事というものは必ずしも港湾局と考えない。現に建設省といたしまして災害復旧工事をなさつているのがありますから、これはよく研究しなければならんと思うんです。
  82. 深水六郎

    深水六郎君 さつき港湾局長の言われた港湾法上の補助がないとおつしやつたわけですから、結局保全法港湾法上の何といいますか、補助というものができれば非常に幸わいだと、こういうわけでございますか。
  83. 黒田靜夫

    政府委員黒田靜夫君) 補助のないのは荷捌き施設と埋立地の造成だけでございまして、これはでき上つた後に使用料なり或いは売却によりまして償還の見込があるから補助がないだけでございまして、その他の港湾関係のある保全工事につきましては四割程度補助が現在出ているのでございます。その率は法律に基くものでなくて、予算措置で、これは建設農林皆同じでございます。
  84. 田中一

    ○田中一君 農林省ちよつと伺いますが、湖沼を先ほど政令できめないでここに明記せよというような御希望のように伺いましたが、私は逆に、たしか河川法湖沼というものは明記されているんです。従つてこの法律では湖沼を抜くべきだというような私は考え方を持つているんです。そうすればあなたのほうで、農林省がですね。湖沼沿岸というものは大体において農地が多い。殊に干拓その他はこの図面によりましても相当なものです。湖沼をここからはつきりと抜いてしまう、こうするほうがあなたのほうの御希望に副うのじやございませんか。
  85. 山添利作

    説明員山添利作君) それは希望に反対なのでありまして、例えば琵琶湖等をとつてみましても、琵琶湖の周辺を干拓をしておる。その後又堤防というようなものは排水施設一体となつておるものでありまして、これは農業的見地の取扱をするほうがよろしい。そこで先ほど申しましたのは、湖沼政令で定めるということに限定しないで、一般的に湖沼を含めておく。若し差支えなければそのほうがいいのじやないか、と申しますことは、何か特別にそういう施設をするような必要があります所は、自然海岸指定地域となわましようし、又山の中の火山湖などでそういうことも全然関係のないものぼ放つておいても具体的な法律対象になりませんのでありますから、何湖何湖と挙げなくつてもおのずからそこに法律目的の範囲内で必要なものはこの対象になつて来る、かように考えておるのであります。大体この海岸保全法によつて海岸を防護、保全をする、それについて又所管ということが非常に大切で、これがはつきりとここで解決されると、そういう意味合いから申しますれば、湖沼も広く含めてやつて頂くことを希望いたしたい、こういうわけでございます。
  86. 田中一

    ○田中一君 私ども最初この審議に当りまして、提案者海岸の定義をはつきり言つてくれという要求をしておつたのですが、まだ私は釈然と海岸の定義が提案者の頭にないように考えられます。それに持つてつて湖沼というものが入ると。湖沼というものは頭も尻尾もない、この水は浸透した水が流れて来て溜り、又尻尾もない、排水はそれぞれ溜つておつた水が蒸発したり、或いは浸透したり、照りが続くと蒸発したり何かして消えてしまう、こういうような湖沼があるのですが、若し今の農林省のほうの御希望ですならば、例えば岩木川の河口の十三湖、あれはそうですね、百五十メーターぐらいで日本海と港が続いております。従つてあの十三湖というものをそのまま河口と見ても差支えないと思うのです。このような場合にはやはり海岸線、或いは海岸という認定ができると思いますが、円潮になつておりまして、まるつきり頭も尻尾もないような沼を、これは海岸とは我々は認めがたいのです。従つてこの定義についてはこの委員会におきましても相当質問もしておりまするが、提案者からは明快な御説明は聞いておりません。従つて今の岩木川の河口のようなものは、湖沼と言わずに河口と見なせば見なせないこともないと思うのです。であなたのおつしやるように長い河川を以て通ずる湖、これは水は連続しておりますから、この長い天龍川という川もこれは河口だというならば見なせないこともありませんけれども、常識から行つて諏訪湖と太平洋とが通じておるものということは間違いありませんが、河口と見なすことはできんと思うのです。従つて我我の考え方としては湖沼そのものをいわゆる海と直接に繋ぎ、又海岸と見られるような、河口として見られるものに対しては適用しよういわゆる湖沼というものは除外したらいいじやないか、このように私は自分の考えを持つておるのですが、海岸というものの定義を一つ農林省から伺いたいと思います。我々としても随分苦労してやつたのですが、どうしても定義が発見されないのです。ここには一応定義づけてありますけれども農林省海岸というものの定義をどう考えておられるのですか。
  87. 山添利作

    説明員山添利作君) 私も常識的に考える以外に特別な変つた観念を持つておるわけではございません。
  88. 田中一

    ○田中君 例えばあなたのほうでも干拓ですか、農地改革をやつていますところの岩木川の十三湖のようなものは、あれは別の単なる湖と御覧になりますか、それとも岩木川の河口の一部と御覧になりますか。
  89. 山添利作

    説明員山添利作君) これは私も考えておらないのであります。まだ実地を知りませんから当つておるかどうかそれは存じませんのでありますが、普通十三湖と申しておりますから湖だろうと思いまして……、どうも余り私も確たる観念はございません。
  90. 田中一

    ○田中一君 私はこの法律の十三条二項、主として農地保全することを目、的とする云々とありますが、これすら要らないのではないか、或いは三十一条の主務大臣の点において、若しも主務大臣を置くならば、この十三条の二項、これは農林省としてはこの程度の築造の基準で差支えないのですか。十三条の二項の築造の基準でこの程度のもので差支えないとお考えですか。
  91. 山添利作

    説明員山添利作君) これで結構だと思います。
  92. 田中一

    ○田中一君 この法文については提案者のほうに農林省からこう書いて欲しいということを申入れたのですか。
  93. 山添利作

    説明員山添利作君) そういう申入れはしてございません。
  94. 田中一

    ○田中一君 提案者が非常に、白紙で円満に御苦労なすつて農林省の本当に希望するものを掲げたことに対しては敬服いたします。三十一条の私は、湖沼を抜き、殊に海岸線というものが農地のみに直結してないという場合を考えまして、先ほど言つたように国土保全の大任を持つ者は建設大臣だという意味合いからして、私個人として基本的な権限としては全部建設大臣に任したほうがよろしいと思うのです。従つてここに農林大臣が主として農地保全する目的干拓地と思います。これは干拓が築造された場合にはその海岸線は建設大臣に持たす。併しながら農地は当然農林大臣がこれを主管するというように改めたほうがいいように考えるものですが、この点については御意見どうです。
  95. 山添利作

    説明員山添利作君) 全然反対であります。
  96. 田中一

    ○田中一君 運輸省に伺いますが、著し我々この委員会で三十一条の農林大臣の権限をここで抹消した場合、運輸大臣運輸省としてはおれのほうもそれでは主管しないでもよろしい、建設大臣にすべてお任せする。すべて円満な協議によつてものを運んで行こうというようにお考えになりますかどうですか。
  97. 黒田靜夫

    政府委員黒田靜夫君) こういう法律ができるのでございますから、建設大臣農林大臣、運輸大臣鼎立して入るのが一番いいのではないかと考えておるのであります。
  98. 深水六郎

    深水六郎君 それに関連してちよつとお伺いいたします。農林大臣を主管大臣にいたして運輸大臣をいたしていない一つ理由としては、例えば干拓なんかにありましては背後のところは一体的に管理する必要がある。ところが港湾においては必ずしも臨港地区というのは別でございますが、それを除けばそういう点はないんじやないかという考えもあるわけですから、御参考までに……。
  99. 田中一

    ○田中一君 建設省の道路局長に伺いたいんです。現在日本の海岸線で道路を以て構成している海岸というものはどれくらいございますか。
  100. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) 道路を以て構成している海岸と言われますが、海浜にある道路でございましようか。
  101. 田中一

    ○田中一君 その海岸線というものが陸と水との接点ということになりますとちよつとむずかしくなりますが、五十メートル以内、陸地に五十メートルという範囲を申上げたのです。
  102. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) 海岸にあります道路の延長は千八百三十三キロでございます。今申上げましたのは国道と府県道だけでございますが、市町村道の延長は七百六十五キロになつております。
  103. 田中一

    ○田中一君 港湾局長にお伺いしますが、あなたのほうでわかりませんか、どのくらい海岸線を取つておりますか。
  104. 黒田靜夫

    政府委員黒田靜夫君) ちよつとわかりません。
  105. 田中一

    ○田中君 この法律ができまして、この国道、府県道千八百三十三キロがこの法律によつて海岸保全管理者がきめられるわけですね、その場合に道路局としては、その管理者が、道路行政の上において、それがあなたの意見に反したような築造が行われた場合にはどう考えます。
  106. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) 道路法による道路は道路管理者が築造いたしますので、この海岸保全区域がきまりますと、その築造については協議しなければなりませんが、道路は道路法できめるところによつて築造いたしまするので、道路行政上差支えがあるとは考えておりません。
  107. 田中一

    ○田中一君 それでは築造の基準、第十三条ですが、ここに示したような基準で道路法による道路の機能を完全に守れるというわけですか。
  108. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) 十三条にきめてあります基準は海岸保全施設の基準であるように考えておりますが、道路ということになりますと、道路法にきめられております基準によつて築造いたしますので、差支えないように考えます。
  109. 田中一

    ○田中一君 同じ個所が海岸保全区域であり、道路であつた場合、どちらのほうをとるんですか、妥協していいところをとるんですか。
  110. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) この海岸保全施設、例えば堤防の上を道路にするというような場合には、これは道路として認定しなければなりませんし、その構造基準は道路法にきめられているところに従わなければならないと考えております。
  111. 田中一

    ○田中一君 提案者に伺うのですけれども、それでいいのですか。
  112. 深水六郎

    深水六郎君 ちよつと済みませんが、ほかのほうを読んでいたので聞いていなかつたのです。
  113. 田中一

    ○田中一君 海岸堤防なら堤防で、その上に道路が乗つている場合、道路局では道路築造基準によつて造る、従つて、この海岸保全法の築造基準によらないということを言つておりますけれども、それでよろしいのですか。
  114. 深水六郎

    深水六郎君 道路法の基準によつてやられて、併せてこの何と申しますか、築造基準にプラスしてやつて頂ければ結構だ、必ずしも全面的にやる必要はないのじやないかと思つております。(「名答弁」と呼ぶ者あり)
  115. 前田穰

    ○前田穰君 この委員会で一番問題になつている点は三十一条で、本日はそのために各省場からそれぞれ政府委員に来てもらつたわけですが、私はこの前提案者質問いたしましたのですが、農林関係は主務大臣として入れることになる、それから運輸関係は主務大臣として入れなくていい、こういうことの理由がはつきり私にわからない、それで今日はそれをお尋ねしようと思つていたのですが、もう大部分具体的な問題について質問がありましたので重複を避けますが、ただ一つ農林次官にお伺いしたいことは、農地保全、殊に干拓の場合には、是非農林大臣が主務大臣でなければならない、こういうことの理由がもう少し詳しくと申しますか、具体的にと申しますか、先刻も提案者から堤防まで一体として干拓のごときは考えているのだと、こういうお話がありましたけれども、それならばなぜ一体として扱わなければならないか、こういうことを少し詳しく御説明願いたい。
  116. 櫻井志朗

    説明員(櫻井志朗君) なぜ一体として扱わなければならないかという理由でございますが、干拓の場合は堤防を取除けば元の水面に戻ります。従いまして堤防干拓地は密接不可分で、一体として扱わなければならないという考えを持つております。
  117. 前田穰

    ○前田穰君 それはもう干拓地の堤防を取除けば元の海であることはこれはもう明らかでありますが、併しこの第一条の本法目的海岸保全するのだ、こういうことなんですが、我々この考え方では、海岸保全と言えば現在存在している陸地をそのままの状態を保つて行くのだという、むしろ消極的の考え方がすぐ頭のほうに浮んで来る、干拓ということはむしろ陸地を新らしく造る、こういつた積極的なような感じがするわけなんです。そうすると干拓地を造つてそれを堤防で区切ると、これは無論干拓地を創設する仕事だと思います。さようにしてできた堤防保全することはなぜ干拓地のほうと一緒でなければならんか、そごのところを御説明願いたい、こういうわけです。
  118. 山添利作

    説明員山添利作君) これは主として排水施設等関係があると思うのです。私は前、熊本県の人が主でありますけれども、あの辺の干拓堤防の古くなつたのを補強するについては、どうしても農林省系統でやつてもらいたいという要望がしばしばございました。それは中央で申しますと、いわゆる役所の縄張りとか、予算をどつちにつけるとかいうこともございましようけれども、これは農家の人々は関係がない。農家のほうからそういう要求が強いということは、結局府県においては農業土木の関係の人がその工事をやる、それは排水施設等について非常に農業上の利害関係というようなことを熟知した人が親切に仕事をやつてくれる、こういう空気でございました。ですから、百姓のほうでそういう考えを持つておるということは明らかであります。
  119. 前田穰

    ○前田穰君 一応地方でそういう希望を持つておるということはよく了承いたしましたが、もう一つ港湾局長にお尋ねしたいのですが、それは本法二条に港湾施設機能に直接の関係のあるもの、こういう文句がありますが、現在の建設省設置法には、港湾施設関係あるもの、こういうものを建設省の権限から除いておる。ここに同じような場合の使い方として、一方は港湾施設機能に直接に関係あるものという文句であり、一方は港湾施設関係があるものという文句なんですが、これはどういうふうに具体的に違うとお考えですか。
  120. 黒田靜夫

    政府委員黒田靜夫君) 港湾施設関係あると申しますと、港湾区域が、将来・計画もございますし、又港湾区域内を良好な状態に保たねばなりませんし、その場合には百メートルまでやはりいろいろな港湾施設港湾管理者責任を持つて施設を良好な状態に保たなければ、ならない、こういう港湾法規定があるのであります。直接関係があると申しますと、やはり従来申しておりますように、繋船があるとか、或いは水域施設、或いは外廓施設等になろうと思うのでありまして、広義に解釈した場合と、狭義に解釈した場合、こういうふうな考え方でなかろうかと思うのであります。運輸省設置法におきましては、おつしやいますように、港湾区域内の事務は運輸大臣が所掌することとなつております。
  121. 前田穰

    ○前田穰君 提案者に対する質問はまだ私は残つておるのですけれども、それは又次回に譲りまして……。
  122. 田中一

    ○田中君 法制局に伺いたいのですが、今のこの海岸保全法できめた築造基準というものは、これで海岸ときめたならばこれはやつてよろしいわけですね。従つてその場合に道路法、先ほど道路局長の説明がありましたが、道路法の関連と或いは砂防法、或いは国鉄法、そうしたものとは協議も何もせずに勝手にどんどん進めていいことになりますね、この法案では。それは他のこういう法律に相談しないでもかまわずにやれるというように解釈してよろしうございますか。
  123. 松尾金藏

    ○法制局参事(松尾金藏君) 今の御質問の場合は、同じものが両方の目的のために両方の役をしておるという場合だと思います。そういう場合にはこの法律では第十四条に兼用工作物の工事の施行について規定を置いておりますが、同じものがそれぞれの法律適用を受ける場合には、それぞれの法律の基準を、それに基準かありますれば、その基準に合うように作らなければならないし、又それぞれの法律に掲げられておる基準に合うような工事の施行をやりやすいようにするために十四条の規定を置いておるというふうに御了解を願いたいと思います。
  124. 深水六郎

    深水六郎君 港湾局長ちよつと念のためにもう一度、くどいようですが、お聞きいたしておきたいと思いますが、さつきの港湾法によつてなされているのとなされていないのと、その区別の基準ですね、今やつておられるのは、どうして港湾法によつてつていないのか、或いは港湾法によつてもやり得るのかどうか、港湾法によつてつておられるのと、よらずにやつておられる港湾区域内のあなたのほうの仕事の基準を一つもう少しはつきりして頂いて……。
  125. 黒田靜夫

    政府委員黒田靜夫君) 港湾法によつてやることのできますものは、外郭施設、水域施設、繋留施設、荷捌施設、埋立地等でございまして、これは二条によりまして、それぞれのこれとこれとこれというふうに細かく規定してございます。これに対しましては港湾法による補助が出ておるのでございますが、その港湾施設であつて補助の出ない施設があるのでございまして、それは荷捌施設、上屋、荷役機械と埋立地でございます。この三つに対しましては港湾法に基く施設でありますけれども補助対象にならない、又その他の港湾工事につきましては、法の二条に謳つていない海岸保全工事等につきましては、これは行政措置に、よつてつておるのでございまして、その比率はおおむね現在におきまして、資料を差上げてございますが、港湾法に基いてやつておりまするものが七五%、それから行政措置によつてつておりますものが二五%、現在はそういう割合になつております。
  126. 深水六郎

    深水六郎君 その他の補助の出ないというその他の、今あるようにおつしやつておつたけれども、それはどういうことでやつておられるのですか。補助が出るのがこれだけ、出ないのがこれだけ、その他に今あるようにおつしやつたのですが、その他というのは何ですか。
  127. 黒田靜夫

    政府委員黒田靜夫君) その他と言いますのは上屋、荷役、機械、埋立地であります。
  128. 深水六郎

    深水六郎君 護岸は。
  129. 黒田靜夫

    政府委員黒田靜夫君) 護岸は補助対象になつております。
  130. 下條恭兵

    委員長下條恭兵君) ほかにございませんでしたらば、これで本日は散会いたします。    午後四時二十八分散会