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1953-03-09 第15回国会 参議院 建設委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年三月九日(月曜日)    午後一時三十二分開会   —————————————  出席者は左の通り。    理事            赤木 正雄君    委員            石坂 豊一君            島津 忠彦君            深水 六郎君            前田  穰君            三浦 辰雄君            三輪 貞治君            田中  一君   事務局側    常任委員会専門    員       菊池 璋三君    常任委員会専門    員       武井  篤君    法制局側参事    (第三部長)  松尾 金藏君   説明員    建設局河川局次    長       伊藤 大三君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○海岸保全法案深水六郎君外十一名  発議)   —————————————
  2. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) これから委員会を開催いたします。  この前、第二章、海岸保全区域について説明を聴取しました。これに対してなお御質疑が残つておればお願いします。第二章がないようなら第三章に行きましようか。では第三章。
  3. 前田穰

    前田穰君 ちよつとこの前私が伺つた七条の関係について、もう一言お伺いしておきたいのですが、それはここに一項と二項と主体の性格によつて区別が設けてあるわけなんですが、許可とそれから協議というふうになつておりますが、一応はこれでわかるのですが、駐留軍の必要のためにこういつた仕事が行われる場合に、それは形式はどういうふうにして工事をするか知りませんが、一号でやるか、二号でやるか、つまり国というものに包含させて解釈すべきであるか、或いは国が純粋の日本国家の必要の場合に限ると解釈して、一号の許可を得なければならんのか、ということについてお伺いしたいと思います。
  4. 深水六郎

    深水六郎君 建前としては一号に入ると思いまして、許可を必要ではないかというように考えております。ただ特別措置法河川法港湾法等に関しましても制定されておりませんので、大体そういう河川法港湾法にならつた次第でございますが、実際に問題の生じますのは、海岸保全区域指定のほうが先に行われる場合が多くて、行政協定による区域規定本法指定の場合には、すでに大部分終了しておるのではないかというふうにも考えております。原則としてはやはり許可を必要とするというふうに解釈いたしておりますが、河川法港湾法に大体ならつたと、こういうわけでございます。
  5. 前田穰

    前田穰君 ちよつと聞き取りにくい点があつたのでございますけれども、原則として第二項と、特殊の場合は第一項による場合が多いと、こういうふうに解釈してよろしいのですか。
  6. 深水六郎

    深水六郎君 そうでございません。建前といたしては、許可を必要とするというように考えておりますが、河川法港湾法に関しましても同様にこういう規定がございませんので、その例にならつたということでございます。実際問題としては、行政協定による区域指定本法施行の前になるかどうかという問題で、大体本法施行される頃にはすでにもうその区域指定されてしまつておるのではないかと、こういうふうに考えておるのですけれども、それは実際問題でございまして、建前としては許可を必要とするというふうに解釈いたしております。
  7. 前田穰

    前田穰君 わかりました。
  8. 田中一

    田中一君 今の前田君への解釈は、こういうふうに提案者解釈を了解していいですか。この法律を出す場合に、行政協定による駐留軍関係のものは、もはや指定されておる、その区域指定されておる、従つてこの法律ができた場合、この法律指定したものに又行政協定によるところの駐留軍の必要な土地指定することはないと思うけれど、事実若しあるならば、許可を受けるような措置をとるのが正しいと思うと、こういう解釈でいいのですね。
  9. 深水六郎

    深水六郎君 そうです。
  10. 田中一

    田中一君 そうですが。
  11. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) なければ第三章に進みます。
  12. 深水六郎

    深水六郎君 それでは第三章の説明をいたします。  これは海岸保全施設についての規定でございますが、先ず第十条から申上げます。これは海岸管理者施行する工事についての規定でございますが、本条は今申しましたように、海岸管理者海岸保全施設をみずから築造します場合にとるべき措置規定いたしたのでございます。そうして海岸管理者は、海岸保全施設築造しようとする場合には、あらかじめ上級官庁に対して築造計画報告すべきものといたしましたのですが、これは上級官庁の、上級行政庁のいたします技術上の勧告に関する第十二条第二項の規定と照応いたしておるのであります。本条によつて海岸保全施設の適切な築造が期待されると思つております。  次は第十一条でございますが、これは工事についての承認及び協議でございますが、海岸保全施設一定築造基準に合致するものでありますと共に、公益目的に違反しないものであることが海岸保全上及び公益上の見地から要求されておりますので、本条はこの目的を達成するため、海岸保全施設築造承認規定をとることにいたしたのでございます。その許可基準法律で以て定めまして、許可基準に合致するときには必ず承認すべきものとして、築造者便宜を考慮いたしますと共に、承認は条件をつけ得ることとして海岸保全その他公益目的の活用に遺憾なきを期待いたしております。又海岸管理者の長は、承認をいたしました場合においては、上級行政長報告する義務を負うものとして、第十二条第二項の規定に基く上級行政長勧告便宜を考慮いたしております。又国、公共企業体地方公共団体につきましては第七条の許可の場合と同様に承認を要せず単に協議することを以て足るものといたしております。  次に第十二条でございますが、これは技術上の助言についての規定でございますが、海岸保全施設築造は非常に高度の技術を要請するものでございますが、市町村その他につきましては、その高度の技術を期待し得ない実情もあるということに鑑みまして、本条は主務大臣又は都道府県知事による技術上の助言又は勧告の途を開くことにいたしたのでございます。  第十三条は、築造基準でございますが、これは海岸保全施設築造技術的基準を、只今申しましたように規定いたしておるのでございますが、海岸保全施設がよく海岸保全機能を達成いたしますためには、その形状、構造及び位置などが、一定技術的基準に合致することを必要といたすことは言うまでもございませんので、本法には詳細な技術的基準を想定して、海岸保全施設築造承認に当りましては、本条規定に適合することを要するものといたしました。  第十四条は、兼用工作物工事施行でございますが、本条は兼用工作物工事施行及び維持に関するのでございますが、道路法河川法等にも類似の例があるのでございます。兼用工作物である海岸保全施設工事施行及び維持につきましては、両当事者協議によりまして、当該他工作物維持管理をするものにさせることができるものとして、又それに要する費用についても協議によつて定めることにいたしました。そうして協議がととなわず、又は協議をすることができない場合には、これを放置することは公益に反しますので、裁定を求め得る途を開いたのでございます。第十五条は、工事原因者工事施行等に関する規定でございますが、これは工事原因者に対して工事施行させることができること、及びその工事に要する費用負担の割合を規定いたしたものでございますが、道路法河川法にも類似規定がございます。  第十六条は、附帯工事施行などについての規定でございますが、これは附帯工事を、海岸保全施設に関する工事と併せて、みずから海岸管理者施行できること、及びその工事に関する費用負担区分規定したものでございます。本条につきましても、道路法河川法等類似規定がございます。  第十七条は、利害関係が他の地方公共団体区域にわたる工事でございますが、そういう場合におきましては、当事者利害関係を調整させるために、海岸管理者の長に協議義務を課することとして、協議不調の場合には裁定という途を開いたのでございます。工事による利害関係が他の地方公共団体区域にわたるということは、例え  て申しますならば、一つの地方公共団体海岸砂防堤築造いたします場合、隣接地方公共団体地先水面など  に土砂が堆積するというような、そういう場合も想定いたしておるのでございます。  第十八条は受託工事でございますが、海岸管理者受託工事に関する規定を定めたのでございますが、私人において工事をすることが技術的に困難でございます等の場合にこの実益があると考えております。  第十九条は、工事技術的に困難であるなど特定の事情のある場合には、国又は都道府県海岸管理者に代つて工事施行することが適当であるというふうに考えられますので、国及び都道府県工事受託権限を認めたのでございます。  第二十条は、土地等立入及び一時使用及びそれによりますところの損失補償等に関する規定でございますが、海岸保全施設に関する工事重要性に鑑みまして、その円滑な施行に資しますために、海岸管理者土地等立入及び一時使用を認めた規定でございます。本条は土地等所有者又は占有者権利保護に意を用いまして、その手続を慎重ならしめますと共に、立入及び一時使用による損失補償させることにいたしました。  第二十一条は、海岸保全施設維持管理海岸管理者への移管に関する規定でございますが、その趣旨といたしますところは、例えば私人において維持管理することが経済的に困難であるときなどにつきまして移管の途を開き、海岸保全施設維持管理の全きを期そうとするものでございます。  第二十二条は、これは補修等命令及び損失補償に関する規定でございますが、これは成規手続を経ないで築造された場合と適法に築造された場合と分つて海岸保全施設維持管理者に対して、海岸管理者の長が補修等命令権限を行使し得る旨の規定をいたしたのでありますが、この規定趣旨海岸保全施設がよく海岸保全機能を果すためには、一定技術的基準の保持されることが要件であります事実に鑑みまして、この種の権限の行使によつて海岸保全の遺憾なきを期そうとするものでございます。本条規定によります命令によつて、自己の責に帰すべからざる損失をこうむつた者に対しましては、その損失補償するこことして、又国、公共企業体地方公共団体に対しましては、単に適当な措置を要請すべきものとすることにとどめたのでございます。  第二十三条は、国有財産無償貸付でございますが、海岸管理者海岸保全施設築造の用に供しますときには、普通財産であるところの国有財産である土地、大体これは海浜地がこれに当るのではないかと思いますが、その土地無償当該海岸管理者に貸付けることができる途を開くために、国有財産法特例規定いたしたのでございます。この特例海岸管理者が一般的に海岸保全の責を負うことになつておりますことに対応いたしまして、国の助成措置の一環として認められたものでございます。  第二十四条は、補助に関する規定でございますが、海岸保全施設に関する工事に要する費用につきまして国庫補助の途を開き、海岸保全施設築造を促進しようとする趣旨でございます。なお、海岸管理者に関します補償に要する費用につきましても国庫補助の途を開くことにいたしたのであります。補助対象海岸管理者に限りましたのは、前条に関して述べましたところと同一趣旨によるものでございます。  第二十五条は、受益者負担でございますが、これは道路法その他にも類似規定があるのでございまして、受益者負担金地方公共団体たる海岸管理者の徴収するものでありますから、負担金の額の基準等につきましては、当該地方公共団体条例で定めることにいたしました。又第三項は、公聴会に関する規定でございますが、本条規定いたします受益者負担金は、地方自治法規定する分担金とその性質を同じくすることに鑑みまして、地方自治法規定する分担金徴収条例制定手続の例にならつたのでございます。
  13. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) 一応第三章に対して御質疑ありませんか。
  14. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 何だかここへ来て妙なことをお聞きするようですが、海岸管理者というのはこの法律に基いて、海岸保全区域管理すべき責任を有する地方公共団体であることは第二条でわかつているのですよ。ところがこの一体「海岸保全区域管理すべき責任」という問題と、それから指定に関してのつまり権限のある市町村或いは府県、これとは結局同じことなんでしよ)か。つまり市町村長がこの海岸保全の必要があるとして指定した区域、これはこの海岸保全責任者と言いますか、海岸責任者というものは市町村ということになるわけなんですか。妙なことですけれども、今更……。
  15. 深水六郎

    深水六郎君 まあ海岸保全区域指定するその地方行政庁の長、市町村長或いは府県知事がありますが、その管理市町村という公共団体がなすというのが大体の今までの行き方でございますが、今おつしやつたような意味解釈していいのではないかと考えております。
  16. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 それもちよつと疑問の点がありますが、一応進めますと、ここの第十条ですが、これは先ほど御説明を伺つているというと、技術的な問題を非常に含んでおるから、海岸管理者がその区域内において、海岸保全施設新築改築又は増築をしようという場合は、上級官庁のほうに報告するということになんですね。技術上の不備があつたり、その他のことがあれば、これは訂正もされるだろうし、場合によつてはその地方の情勢によつて勧告を受ける場合もある。これはわかる。ところが最後の二十四条のところに行くというと、最後でもありませんが、二十四条のところに行くというと、これは「国は、海岸保全施設に関する工事施行する海岸管理者に対し、予算の範囲内において、その工事に要する費用の二分の一以内を補助することがじきる。」ということになつている。こいうことになりますというと、この世岸保全者管理者である市町村長がての責任を持つている保全地域に対して、こういうふうにしたい、ああいうふうにしたい。そして上級官庁に、言葉を換えて言えば恐らく知事でしようが、出す。するとその設計というもりが技術上結構であるということでありますというと、どうなんですか。二十四条では、国がその町村長に対して補助するというようにとれるのですが、この点はどういうふうに考えていますか。
  17. 深水六郎

    深水六郎君 補助対象府県の場合もありますし、市町村の場合もあると考えております。
  18. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 そうするとこの二十四条の補助のルートといいますか、これはどういうふうになるのですか。県経由市町村長に行くのですか、或いは報告はもう市町村長から上級官庁というか、つまり府県知事のほうへ行つている。そしてその報告で別段文句もなければ、これはオークーだ。そして今度はさて補助となると、これは直接よこせ、くれということにもとれるのだけれども、この点は何か別のことで府県経由であるということを明らかにするという考え方なんですか。
  19. 深水六郎

    深水六郎君 それは補助に関して必要な事項は政令で詳細にきめることになつておりますので、その政令の際にいろいろ考えるということになつております。第二項にございます。第二十四条の二項にございます。
  20. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 ここでこの第十条に関連してでありますが、この海岸保全施設というのは、私はどうせ又最後に総括的な御質問をしたいと思つてつたんですけれども、この法律の第二条のところに、「海岸保全施設」とは、海岸保全区域内にある提防、突堤、護岸、胸壁その他海若しくは湖沼の水若しくは漂砂を防ぎよし、又は浸しよくを防止するための施設をいい、と言つてつて、「胸壁その他」という、「その他一にはいろいろなものを含む、つまり「その他」前のことは例示的なことであつて、「その他」後は今度は目的だけを書いてあるようでありますが、「その他」というものは何でも含むという意味解釈するんでしようか。
  21. 深水六郎

    深水六郎君 まあ何でもということでございますが、大体例示的に準じたものを防禦するというふうに解釈しておりますが、大体例示的に準じたものであります。
  22. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 そこで又やはり前々回でありましたか、委員長と共に私も非常に気にしていた点が出て来る。広く海岸砂防といえば例の防潮のための植林或いは防砂のための植林、そういうようなものが事実問題としては大きな海岸保全という点から見れば、この部分的なコンクリート若しくは杭によるところの工事よりは大きいんです。その大きいものをどう扱うか。いわゆる海岸保全法といえば、当然まあ常識的に考えればそういう問題は入るように思うのだけれども今度は入るということになると後に大きな問題が出て来るのです。そこをどうお考えになつているかという問題がやはり繰返されなければならない、如何ですか。
  23. 深水六郎

    深水六郎君 大体この第六条のときに若干御説明申しましたように、大体別な法律で同一目的のものがありますのは、大体そのほうの規定でいいんじやないかというふうに考えております。
  24. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 一応私はそれじや満足できないことだけを申上げておきますが、質問ですから第十六条の三項に行つて砂防工事」という字がある、そうしてその後へ行くと、「砂防法第八条及び第十六条の規定による。」というんでこの砂防法ということを引用しておりますが、この「砂防工事」というのは、どういう一体それこそ定義になるんでしようか。私は海岸というものの定義は前に問題になつたんだけれども、この「砂防工事」という問題はやはり非常に大きい。むしろ、むしろというか、相当意見がかたまつていない、定義としてかたまつていないんじやないか。海岸という以上は、もう少し何か議論があるような気がするのですが、その点についてはどういうふうにお考えになつておりますか。
  25. 伊藤大三

    説明員伊藤大三君) 建設省所管でいたしておりまするところの砂防工事定義でございまするが、それは砂防法の第一条にこれを規定してあるのでございます。それを読み上げますと、「此ノ法律於テ砂防設備ト称スルハ主務大臣指定シタル土地於テ治水砂防ノ為施設スルモノヲ謂ヒ砂防工事ト称スルハ砂防設備ノ為二施行スル作業謂フ」、結局治水砂防のための施設そのもの砂防施設であるということになつております。
  26. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 そうすると、砂防工事というのは、今お読みになつた建設省でいう砂防法ですね、それの中にある定義であると、併し、これはいやしくも法律なんだからして、出れば、而もこの法律によれば、どういうところが農林省、どういうところは建設省、こういうふうに区分をいわゆる主務大臣としてしているような法律なんですね。ですから、その砂防工事というものがつまりもつと明らかにならなければ、この法律性質としているくな問題をやつぱりそこに残して行くということについてはお考えになりませんか。
  27. 松尾金藏

    法制局参事松尾金藏君) この法律砂防工事という字句は、確かに第十六条第三項では使つておりますが、先ほど引用されました第二条第二項で、或いは第一条でもよろしいわけですが、「漂砂を防ぎよし、」というような字句が、目的のところにも、次のところにも使つてあるわけでございます。こういう目的のために海岸保全施設に必要な工事をやる場合について、それをまあ砂防工事とここでは使つたものだと、こういうふうにお読み願えるのではないかと思います。
  28. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 恐らくこの法律から言えばそうでしよう。今のようだと思うのです。ただ既設の砂防法にいうところの、あれだけで言うわけには行かないのだろうと思う。そうなつて来れば、前にも言つておるのですが、研究をお願いしております森林法のいわゆる保安指定地区の問題とか、今度の砂地地帯農業振興臨時措置法ですか、あれとの関連とか、こういう点からいつても、私はやはりこの中に加えて明らかにしておかなければならないのだということは言えると思うのです。この点どういうふうにお考えになりますか。
  29. 松尾金藏

    法制局参事松尾金藏君) 先ほど提案議員のほうから御説明がございましたように、この提案趣旨としては、各条を関連して読みますと、やはり例えば保安林というような関係は、同じ目的のために別の制度があるので、そのほうの運用によつてやり、又この法律規定をしております、又狙つております点はこの法律運用して、両方の運用をうまく調和することで目的が達成せられるという趣旨であると思うのであります。第一条とか第二条のところあたりを読みますと、保安林字句の上から明白に除いておるということは、読み方によつては必ずしも明白でないかも知れないと思うのでありまするが、例えば海岸保全施設築造基準でありまするとか、その他いろいろな各条項を見てみますと、やはりおのずからそこに限定が出て来ておると思うのであります。たまたまここで簡題にされております第十六条の第三項で、ここに砂防法第八条、第十六条の規定によるというように、砂防法というものを引つ張つて来ておりますけれども、これはやはりここでいう経費の負担というような際に、現在の砂防法規定されておりますその規定が、丁度この場合にも援用できるという意味でここに援用して来たというだけで、ございまして、第三項で言つております砂防工事というのは、やはりその頭に書いてございますような、海岸保全施設に関する工事により必要を生じた他の工事砂防工事であると、こういう意味で、いきなり砂防法をここに持つて来て同じ法律の中で規定をしたというような趣旨ではなかつたというように御了解願いたいと思うのであります。
  30. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 まあ運用の場合の心がまえというか、想定においての御説明としては成るほどその通り。けれども、やはり問題になつておるのは、法律として見た場合に、一体役所役所ではあるが、そこの住民が自分の砂地、大切な海岸めぐつていろいろな法律がある。これに対していろいろ迷うと言うと、語弊がございますが、法律そのものから出て来たところによつてのいろいろな迷いというか、混雑過ぎての不便、こういうものができて、それはその地帯を預る町村から言えば、これを与えられたときに、非常に法律に対する疑義が起きるのだと私は思うのですよ。いやしくも法律ですからして、成るべく丁寧に、わかるように、前回も申上げましたけれども、法律なんというものは、一々ここの審議の速記録でも見なければわからないなんというような法律ではなくて、而も法律家が見ただけがわかるのではなくて、この法律というものは、国民全体が見てわかるところのものでなければ、完全な法律とは言えない。そこで私は、多少冗長になろうが、そういうような問題を明らかに捌いてと申しますか、迷わないで、国民から見て納得の行くようなものにしてあげるのが私は是非大切ではないかと、こういうふうに思うのです。私はこれに異議ありとはおつしやらないだろうと思いますから、あえて返事は望みませんが、そういう観点から私はこの法律をいじりたいところがある。そちらのほうでも是非御研究を願いたいと存じます。
  31. 田中一

    田中一君 この三章の第十一条の「海岸管理者以外の者」というのは、おしまいのほうに出ますところの委託とか何とかいう、その者がやらない場合のことを言つておるのですか。それとも全然民間の、例えば土地所有者というものは、個人の民間の人がやる場合も考えたのでしようか、その点お聞きしたいと思います。
  32. 深水六郎

    深水六郎君 大体海岸管理者以外の者ということで私人とか、或いは改良区とか、そういうものを考えておる次第でございます。
  33. 田中一

    田中一君 第十三条の築造基準はここに書かれておるところの「自重、水圧、波力土圧、風圧並びに地震、漂流物等に因る振動及び衝撃に対して安全な構造のものでなければならない。」こう書いてありますがこれが基準ですか、或いは政令その他で以て一応の基準を示すのですか。尤も現場の一ことですから、自然の問題ですから、どうも大まかな基準は立つても、詳しい基準はないんじやないかと思うのです。そこでこれが基準解釈していいのか。これだけではどうも足りないんだ、むしろほかに政令で出すんだというお考えですか、その点伺いたいのです。
  34. 深水六郎

    深水六郎君 ここに掲げましたのは、大体基本的なこととしてありまするので、同条の第七項で政令でもつと詳しくきめるように考えております。
  35. 田中一

    田中一君 この「前六項に規定するものの外、」と書いてあるのです。そうすると前六項のものはこれでいいんですか。政令できめるというのは、私が言つたのは前六項の中の一つを申上げたわけですが、その他で必要なものと書いてありますね。政令できめる、これはこれでいいんですか。
  36. 深水六郎

    深水六郎君 前六項についてもその内容等について詳しいことは政令できめるごとと思いますが、前六項についてもその内容、その他等については政令できめるものと思つております。
  37. 田中一

    田中一君 第二項の「主として農地を保全することを目的とする」云々とありますが、これについてはこの法律を主管するところの建設大臣が農地保全を目的とするところの海岸保全区域を徹底するように基準を使おうという考えですか。それともどういうつもりで、排水とか防潮とかいうものだけをここで示しておりまするけれども、農林省のほうとは十分意見の交換をしておるのですか。それとも農林省と相談せずに基準だけはきめてしまうのですか。ほかのものについては大体区域そのものに対しては相談していますけれども、基準に対しては相談せずにやるのですか。そういう自信があるのですか。
  38. 深水六郎

    深水六郎君 一応農林省の担当主管の局のかたがたの意見を承わつていたしております。
  39. 田中一

    田中一君 御意見を伺う程度で以てこうした大事な工事ができるものですか。例えば先般の長良川の決算につきましても、用水路が工事の不備のために、或いは用水路の設計施行の不備のためにあの洪水になつたということを当時の建設大臣がのめのめと申しおつたのです。ところが今度この場合建設省はこうしたものを自信を以てやられるか。若しこんなことが発生した場合に同じように言われるのですが、自分のほうに相談すればこういうことにならなかつたということになると思うのです。無論今の排水とか用水とかいう一番大きな問題ですから、それについて勇敢に基準をきめて押付ける。これは無論内々においてはあなたがた同じ官僚として相談をするんでしようけれども、法律としてもう少しこの技術的な面について安心できるような規定をしないでよろしうございますか。
  40. 深水六郎

    深水六郎君 それは政令で定めるいろいろな基準のときにも御意見のようなことはよく考えに入れて相談されると思います。
  41. 田中一

    田中一君 これは一応深水議員以下何人かの共同提案の形で以て提案されております。無論これには河川局がその背後にあつてこれを議員立法で出したものと了解しております。従つて河川局はそうした場合を考えて、よく農林省とも打合せてやる。農林省はそこまで了解し、協議し、政令を作るというお約束があるのですか、伺いたい。
  42. 伊藤大三

    説明員伊藤大三君) この保全法の内容が全面的に建設省の意見と同一と申しますわけにも行かないのでありますが、取りあえずの問題としてそう申上げまするが、勿論この区域建設省の主管でありまする限りにおきまして、この構造基準の問題につきましては、勿論海岸堤防の裏には潮遊び場というようなものも作られなければならない、排水の問題も考えなければならない。現にそういう問題も考え工事をやつておるようなわけでございます。この細かい問題について、政令を作る場合におきましては、勿論農林省の技術の方面からの意見も取入れて、基準を作りたい、こう存じておるわけであります。
  43. 田中一

    田中一君 長良川の決潰のときには、あの用水工事だけを農林省がやつたから発生したということをしばしば各政府委員なり、同僚議員から聞いておる。これはまあ兵管の問題で、ここであえて申上げませんが、この部分だけでも農林大臣と協議してやるということを規定できないのですか。若しこれが大事になつた場合には、責任のなすり合いで困るのですが、農林省の機械技術よりも、建設省技術のほうが秀れておる、こういうような考えですか、どうですか。自信を以て答弁願いたいと思います。河川局に伺います。
  44. 伊藤大三

    説明員伊藤大三君) 農林省の技術と、建設省の銭術とが勝つておるか、劣つておるかという、そういうことに対しまする意見につきましては、私ども差控えたい、こう存ずるわけであります。ただ私の私見を申上げられるかと思うのは、建設省としては従来から十分この問題については研究もし、努力し参つておるので、いささか自信を持つておるわけでございます。今の構造の問題でございますけれども、この政令におきまして、十分細かいものが規定される場合におきまして、勿論農林省方面のそういうような技術も十分聞き、取入れまして、その意見を承わつて実施する予定でございます。なお工事の問題につきまして、将来相談すべきものがあるならば、勿論その相談をするにやぶさかでないということだけを申上げておきます。
  45. 田中一

    田中一君 私はあえて二項の「主として農地を保全することを目的とする」この部分に対する御答弁は軽卒な御答弁であると思う。次回の委員会では農林省の責任あるかたがたが出て来られまして御答弁をなされますよう……。
  46. 伊藤大三

    説明員伊藤大三君) 一言申上げておかなければならないのは、建設省といたしましては、この「主として農地を保全する」というような言葉につきましては、更に御意見は後において申上げたい、こう存じておりまするので、主として農地に関するこの構造基準はどうかというような問題につきましても、今ここでは確たる御意見を申上げる段階ではないと存じまするので、これだけ一応お断りいたしておきます。
  47. 田中一

    田中一君 ではこの問題につきましては次回の委員会で農林省の御意見を伺いたいと思います。申入れておきます。  次に伺いたいのは、堤防及び護岸についてです。ここに作つたものは、そのままである場合には差支えありません。併しその上が、海岸保全区域として指定した所が道路の場合、その道路が林道或いは農道であつた場合に、市町村道であつた場合に、それから府県道であつた場合に、一級、二級の国道であつた場合に、これは相当技術的にも考慮しなければならんと思います。そこで今この総括的な第十三条の123のうちの一、二、三、それからイロハニ、こういう点については私は素人でございますから、余りいいところを衝いた質問はできないかも知れませんけれども、道路局のかたにもお出で願うて、どういう基準を作るか。同時に、海岸堤防そのものの場合はいいのですが、その保全区域使用する場合、利用する場合、非常な大きなそれに対する衝撃も、或いはいろいろな問題が起ると、人為的に行われると思いますが、その人為的に行われる場合、道路局が河川局にお任せしてよろしいのでございますか、こういう点についても、一度次回の委員会に道路局関係のかたにお出で願つて、その基準について河川局に任していいかどうかという点について、御意見を聞きたいということを申入れしておきます。それで、こうしたものを考慮しないできめるとは考えておりません。それから一のイロ、3の三など、すべてかかるものを考慮してきめなければならないと書いてでございますが、無論考慮しないできめつこないのです。従つて、なぜ考慮しなければならないと言つたのか。若し考慮しないという場合を想定して、どういう場合が考慮しないという場合か、これを河川局からお示しを願います。
  48. 伊藤大三

    説明員伊藤大三君) 「考慮して」と書いてあります。勿論こういう問題は、規定がなくとも当然考慮すべきものであるから、要らないじやないかという御質問かと思います。ただ特にこういうような字句が、この構造においては必要でありまするので法文に明記いたしまして、その点について十分な考察を払い、基準政令において、こういう問題について細かく規定のできるものについては、それを細かく規定いたしまして、法律に準拠させたいと、こういうような観点からいたしたものであります。その他につきましては、勿論いろいろな点から考慮して行かなければならんこと勿論でありますが、特に海岸堤防といたしまして、こういう点だけは忘れないように、こういうような意味から、特に強く書いたに過ぎないのであります。
  49. 田中一

    田中一君 これは委員長に伺います。特別にこれだけ考えろというような、今河川局次長の御答弁のようなことが法律的に今までたくさん、あなた例がございますか。委員長にこれはちよつとお伺いいたします。これだけは考えろと、これでしなければならない、これだけは考えろということは、法律でたくさんございますか、例は……。委員長に伺つて失礼ならば、法制局のほうにお伺いをいたします。
  50. 松尾金藏

    法制局参事松尾金藏君) これだけを考えろという、まあ言い方を申上げるわけではありませんが、要するに或る目的のために特にこういう点を忘れないようにとか、或いは全般的にこういう点がその目的を達成するための基本的な考え方になるというようなことを、法律で宣言的に、宣言的といいますか、語いまして、あとそれを具体化するための詳細な基準は到底法律では盛り切れませんから、政令に譲り、或いは省令にまで譲るというような場合が、法律としては相当あるというふうに考えております。
  51. 田中一

    田中一君 ほかのものだけは「施すこと」と、こう書いてあるのですね、又一のイロハニの二などは「状況により」状況によりということも固定したものではないのです。どうもこの書き方があいまいなんですが、状況ということは、今の考慮と同じです。状況によつて考慮するのです。そうかと思うと、これはしなければならない、これはしなければならないと、すべて七項の政令できめるならば、技術的な問題は政令に譲つてもいいじやないかと思うのです。又ここに特に考慮さすために挙げたものが、若しも落ちがあつた。落ちがあつた場合には、それは政令でも落ちてしまう。そういう点は、こういうことが法律として、法文として常識かどうか、あり得るかどうかちよつと疑問に思うのです。これで見ても「状況により」という言葉ですね。
  52. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) 今の田中委員質問に関連して私も一つ承わりたいと思います。  河川法にいたしましても、道路法にいたしましても、砂防法にいたしましても、そういう建築的な法案についてこういうふうに工作物の内容まで明示したのは私は例を知らない。なぜこういう基本法に対して特にこの法案は工作物の内容を明記しなければならんか。若しも今日の科学技術がより以上に又進歩したときに、早速その災害の原因がわかつたときに、すぐにこれでは足らんということがあり得る、そうすると非常に欠陥が出て来る。それに対する御意見はどうですか。
  53. 松尾金藏

    法制局参事松尾金藏君) この宣言的に書いてございます各項目以外のことは基準として定める必要がないとか、或いは定めてはいけないという趣旨で第十二条ができているとは考えておりません。むしろ第七項の、例えば字句の表現でございますけれども、「前六項に規定するものの外、」何々としてというような各項目については、かなり具体的に、又これでそう細かく法律で全部を拾つていないかとも思うのでありますが、そういうものについても政令でこれを定めるというふうに……、まあつきつめて申しますればそういうことを詳細に洩れないように、又只今御指摘のございましたように状況の変化に応じてきめて行くということであれば、政令或いはそれ以外の法令のほうがむしろ簡易であるということも言えると思うのであります。  ただこの法律全体としまして、保全施設についてどの程度のと言うか、どういう方向にどういうものを希望しているかということを宣言的に法律で誰つておくほうが、法律の全体の趣旨がよくわかるのではないかというような意味で、法律技術といたしましては全部を政令、省令に譲つても、法律上は差支えないというふうに申されると思います。
  54. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) そういたしますと、この海岸保全に関する法案についてのみ一般の国民がどういうものが工作物か知らないから、これをあらかじめ知らしておこうというふうなことで法案に盛つてあるように聞けたのですが、まあ道路法にいたしましても、河川法にいたしましても、初めはやはり同じことと思うのであります。それならば初めから河川法のごときものはいろいろな工作物を詳しく、而もその河川工事を必要とする原因まですつかり書かねばならん、こういうことになるのです。この法案に限つて特に強くこう書いてあるのはどうもまだ納得できないのです。今おつしやつただけではこの法案に限つてそれを謳つてあるのがどうも納得できない。
  55. 田中一

    田中一君 殊に第六項「政令で定める海岸保全施設築造に当つては、構造計算によつてその構造が安全であることを確かめなければならない。」、どうもおかしなものなんですね。一体河川局ではすべての工事に対して何も今まで構造計算その他力学的な安全性というものを確かめずにやつたのですか。あなたがたは海岸保全ということは初めて事業を行うために、そこまで念を押して自分に言い聞かせなければ、自分が、あなたたちですね、自分に言い聞かせなければ、自分が安心できないという気持なんですか、これは一つ河川局から自信を明らかにしてもらいたい。
  56. 伊藤大三

    説明員伊藤大三君) もとより河川工事をやる場合におきまして、構造物の安全基準につきまして計算をせずしてやつていることはありません。過去の経験及び技術に基きまして、十分に調査研究して、その設計を立てておるのであります。ここに海岸の保全施設につきましてのみ、特にこの規定をおいたという点が、今までの法律の体裁から見ますと誠に奇異の感を抱くのであります。実は海岸の堤防の保全を一応宣言的にもここに規定いたしたいと思いまして、載せてある趣旨は、従来海岸の堤防が非常に脆弱であつた例が多多ありまして、而もこの海岸堤防の構造というものが風の方向、波の方向、或いは潮位の関係、あらゆる面におきまして、最も複雑困難な問題がありまするので、そういう点を特に注意を喚起いたし、そうして問題をよく考えて、そうして設計を立つべきであるということを宣言いたしたに過ぎないのでありまして、もとより先ほど委員長並びに田中委員からもお話もございましたように、この構造基準政令を以て定むということでも結構でございますが、そういうような点を考えまして、あえて挙げたような次第でありまして、ほかに他意があるわけではございません。
  57. 田中一

    田中一君 もう一つ、十三条は法文の形の上から言つて、こういうものは今後しばしば出て来るの善導ございますか、それともこれだけは特にこうなつておるのでございますか。
  58. 松尾金藏

    法制局参事松尾金藏君) 例えば現在の道路法の中にも道路の構造につきまして勿論細かなことは政令に譲るとございますが、こういう道路の種類ごとにいろいろなものをきめなければならないとし、又先ほど第六項の御指摘がございましたが、殆んどこれと同様な規定で、「工作物の新設又は改築に当つては、必要な構造計算又は試験によつてその構造が安全であることを確かめなければならない。」、別段この法律で「確かめなければならない。」と書いたからといつて、反対に従来は確かめてなかつたというふうには、必らずしも条文を読まなくてもよろしいのではないかと思います。又多少法律趣旨は違いますけれども、建築基準法の、ごときは非常に詳細な基準を謳つてございます。まあこういう傾向が今後一般的な傾向であるかどうかという点は、必ずしも今断言をできないかも知れませんが、法律が何でも細かなこと或いはその他を成るべく政令以下に譲つて行こうという行き方か、或いは成るべく法律の中に盛り込んで、必要があれば法律の改正で行つてもいいではないかという考え方と、両方ということになりますれば、むしろあとのほうの考え方のほうが一般的ではないかと、こういうふうに解釈いたします。
  59. 田中一

    田中一君 これは施行法に譲つたらどうですか。
  60. 松尾金藏

    法制局参事松尾金藏君) この法律につきましては、法律の附則で経過規定その他を準備いたしておりますが、特別の施行法は考えておりません。
  61. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  62. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) 速記をつけて下さい。
  63. 前田穰

    前田穰君 只今田中委員から道路について河川局に任せていいのかという御質問があつたわけですが、これは必ずしも道路だけではないと思うのです。この第三章を見ますというと、保全地域内で何かはかの仕事をしようと思うというと、保全地域管理者許可若しくは協議が必要だ、ところが別の公共事業の関係があるような仕事を海岸管理者がしようと思うというと、何も協議はどこでもしなくともいいようなふうに見える。だからこれは道路関係だけを質問して果してそれでいいのかと、こういうふうな疑問が生ずるわけでありますが、例えばこの港湾の中の制限は船舶のことばかり書いてあるようでありますが、この第二条ですが、施設定義の中に、「港湾の機能に直接関係のあるものを除く」、こう書いてある。この「直接関係のある」というのはどういう解釈になつておるか、よくそれがわからないのですが、建設省の組織法の中には、直接ということはなくて、ただ関係があるということだけを書いてありますから、だからこれは「直接に関係ある」というほうが一層除外を少くしたという意味になるのでありますが、例えば我々がときどき見かけるのですが、物揚げ場の岸壁がある。高波が来る虞れがあるから、その後ろを若干の距離をおいて擁壁を作つておる。こういうようなやつは一体どつちへ入るのか。これは必ずしも港湾の施設に直接の関係があるようにも思えないのでありますが、無論間接的には防災ということになるのでしようが、第二条の解釈から言うと、直接とは思えないように私は考える。そういつたこと、それから港湾の中は、場合によつては、港湾区域というものは非常に広いのですが、その広い区域の問題だけでなしに、今言つたような狭い港湾内の仕事というものは相当あるのではないかというふうにも考えるのですが、そういうことについても、やはり先刻田中委員の道路に関する質問と同じようなことで、そういうのはもつと考えればほかにもあるのではないか。一般的に海岸管理者がやる場合には、他の公共的仕事には関係なくやてもいいというふうにもとれるように見えるのですが、その点についての御意見を補足的と言うより、むしろこのほうが一般的になつちやつたかも知れませんが、お伺いをいたしたい。
  64. 深水六郎

    深水六郎君 只今前田先生のお話は、主として港湾区域についての話がございましたが、港湾区域につきましては、私たちは大体この条文にございますように「港湾の機能に直接関係のあるものを除く」、こう書いてありますが、これは設置法と港湾法との公布された先後という問題もありましよし、そういうふうに表現せざるを得なくなつたのでありますが、大体の考え方は港湾区域内で現在も建設省その他で護岸をしておる所がたくさんございます。又そういう現状を第一どうするかという問題もありましようし、又港湾施設という言葉は、私たちはその保全の機能も相当含んでおるというふうに解釈しておりますし、そういうところから「直接」という言葉は、言葉そのものは非常に強く響くようでございますけれども、大体私たちは現状を基礎として考えておるのでございますが、港湾区域内でも建設省設置法によれば、とにかく海岸堤防をやつてもいいと設置法の中にもございますし、若干その保全的な機能が相当薄くなつておると申しますか、そういうところを例外的に建設省その他で海岸保全施設をする。その海岸保全をする場合は法律上から言えば例外的だということで、この協議で港湾管理者がそれは港湾施設というふうに考えて、協議の際にそれを排除すれば、それで問題は解決するのでございますが、大体現状において例外的に、港湾区域内でもやつたほうが妥当である、そして法律的にもそのほうがいいのではないかというふうに考えて、港湾管理者の運輸大臣のほうを除いたのでございますから、その「直接」という字に余りとらわれる必要は、立案者としてはないのではないか、こういうふうに考えます。
  65. 前田穰

    前田穰君 これは今、或いは伺う時期でないかも知れないのですが、今日運輸委員長から申入れがありまして、それに関連して今後この問題を考えて行く上につきまして、只今提案者主務大臣の問題に触れられましたから伺うのですが、一体主務大臣を二つにするがいいか、三つにするがいいかという問題、又実質的に言えば、港湾内の工事を運輸大臣の管轄の下に港湾の専門家がやるがいいか悪いか、こういうことは、いろいろな観点から考えてみなければならんと思うのでありますが、一つは一体仕事の分量がどれだけあるかということも考慮のうちに加える一つの要素でないかと思うのです。十算を見ても、どうもその仕事の分量というものがピンと浮んで来ないのでありますが、何か分量を比較して見るうまい方法、言いますれば、一体農林大臣を主管大臣にした、これに対しては、仕事が一体どれだけの分量があるか、運輸大臣を主管大臣から除去したのは、分量から見ればこうなるのだということも、一つの参考資料じやないかと思いますが、まあ私が一番簡単にわかるのは予算でないかと思つて見たのですが、予算書だけじやよくわからない。何かはかに適当な方法があれば、一つ比較して出して頂くと非常に都合がいいのだし、まあ私は差当りこの海岸保全に専ら使われる予算を参照比較してもらつたらと思うのですが、何か若し提案者ではあれだということなら、委員長で適当にお取計らい願いたいと思うのですが……。
  66. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) 前田さんにお諮りいたしますが、ではその海岸保全に関する施設に対して、運輸、農林、建設各省でどれほど工事を受け持つているか、大体それだけですね。それの参考資料ですね。
  67. 前田穰

    前田穰君 はあ。
  68. 深水六郎

    深水六郎君 それから只今補足して申上げますが、大体港湾区域内で、その資料は只今委員長から申された通り、出して頂くと思いますが、実際の港湾区域内でやつている図面も、皆様方に御参考に供したいと思つて、只今その港湾区域及びその港湾区域内で建設、農林がどういうふうにやつているか、そういう図面ですね。その港湾区域と、港湾管理者が港湾施設としてやつたほうが妥当であるかどうかというような、常識的と申しますか、そういうような判断の資料となるような、大体典型的になるような港湾或いは漁港の区域における図面を今作成しております。ここに一、二持つておりますから、今御入用ならば、差上げてもいいと思います。
  69. 田中一

    田中一君 今前田委員からの要望もありますし、次回の委員会には農林、運輸両省のこれに関係する政府委員及び建設省の道路局長をお呼び願いたいと思います。
  70. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) 田中さんにお諮りいたしますが、一応これを全部各省について説明を聞いて後にいたしますか。それともすぐあなたの御要望の政府委員を呼びますか。
  71. 田中一

    田中一君 取計らい方は委員長に一任いたします。
  72. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) なお次に各省を一度に呼ぶか、それよりも或いは今日は建設、或いは農林、或いは運輸と別々に呼んだほうが隔意なき意見が聞けると思いますが……。
  73. 田中一

    田中一君 委員長に一任いたします。
  74. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) よろしうございます。  それではもう少し進めておきましよう。
  75. 田中一

    田中一君 第十四条の兼用工作物。これは相手が誰であつて工事をさせるということですか。工作物維持管理者、それから道路があるか或いは道路の支壁があるか、何かそれに使つている工作物管理者の誰にでも協議によつて仕事をさせようと、こういうわけですか。
  76. 深水六郎

    深水六郎君 誰にでもということまでは含みはないのでございまして、公共の用に供するということで絞つているつもりでございます。
  77. 田中一

    田中一君 海岸が民有地であり、且つ民有工作物があつた場合にはどういたします。
  78. 深水六郎

    深水六郎君 公共の用に供する限りは、それも適用になります。
  79. 田中一

    田中一君 民有地であつた場合にはどういたします。その工作物を個人に使わせないで、公共に誰にでも使わせるということで許可するのか、許可しないか。その人間に海岸の保全の維持をさせるのか、どうするのか。
  80. 松尾金藏

    法制局参事松尾金藏君) すでに公共の用に供されておるものでございまして、この十四条の規定によつて新たに突如として重大な制限を受けるというよりも、すでに公共の用に供されておる工作物又は施設が、たまたま海岸保全のこの法律の適用に該当するというような場合に、そこまで何と言いますか、準用してもらいたい。こういうことに相成ると思います。
  81. 田中一

    田中一君 そうすると、海岸民間の所有であり、同時にそれは民間が専用しておる工作物であつた場合にはどうなるのですか。
  82. 松尾金藏

    法制局参事松尾金藏君) 専用ということの内容でございますが、全然公共の用に供せずして、私人の用に供されておつたという場合には、ここでは適用にならない。こういうように考えております。
  83. 田中一

    田中一君 第二項ですが、費用負担、この費用負担というのは、協議してどのくらいのものを考えているのですか。例えば上に道路があつた場合には、その海岸というものは、道路の役目が、道路の用途の大小、多い少いの問題、それから海岸としての役目が多い少いの問題という点から、負担の率が違うのじやないかと思うのですが、おおむねどういう考えを以て維持負担工事負担、これをどう考えていますか。ということは仮にそれが町村道であつた場合に、それは町村負担をするわけです。道路としてのものは…、併しながら海岸として都道府県知事がこの工事を施工する場合には負担の率はどうなりますか。地方財政にもいろいろ関係がございますから伺つておきたいのです。
  84. 松尾金藏

    法制局参事松尾金藏君) 具体的の場合の協議の内容までここで余り立入つて説明を申上げるだけの用意もないのでございますけれども、やはりこの条文の趣旨から申上げますれば、兼用工作物についての費用負担の割合でございますから、その目的がどちらのほうに余計に使われ、どちらの目的のための工事がウエイトを占めておるかというようなことから、おのずから双方の常識的な協議によるのではないか。まあそれ以上具体的にと申しますと、私には説明いたしかねますので……。
  85. 田中一

    田中一君 重ねてお伺いいたしますが、今までの実例を一つ御説明願いたい。
  86. 伊藤大三

    説明員伊藤大三君) まだそう具体的にどこがどうであつたという、そういう調べをしたものはございません。ただ今法制部長さんからお話がありましたように、結局その施設の効果から判断いたしまして、この維持費なり、工事費を協議して按分いたして参りたい、こう存じております。
  87. 田中一

    田中一君 この第十五条の原因者負担の場合、これは道路並びに河川法とありますが、この規定はあれと同じですか。道路法河川法の原因者負担という原則に則る法文と解釈していいでしようか。
  88. 伊藤大三

    説明員伊藤大三君) あれとは些か……道路法は存じませんが、河川法の原因者負担のやつとは些か違うかと思います。ただあの場合におきましても、河川工事が原因を与えましてやつた工事によつて、他のものが利益を受けますれば、その部分だけはその利益を受ける者に、或る程度受益者負担をさせるということをやつておりますが、これはその場合と違いまして、一つの工作物が両方の用途1を兼ねる。あの場合は河川工事が原因となつて、ほかの何かの工事をしなければならない。例えば川を拡げたために道路の幅員を拡げなければならないというような原因工事費用負担規定しているのでありまして、これは些か違うと思います。
  89. 田中一

    田中一君 ちよつと次長の話が違うのですが、一つの例を申上げますと、川の上の突端に確か紡績工場があるのです。愛媛県の川之江町というところに……。どうもほかの堤防は全部蒿上げした、そこだけは工場敷地内にあつてしない。しなければそこから川水が入るのじやないかという場合に、これは民有のものだ。ほかの並びの堤防がずつと同じように蒿上げしているが、そこだけは個人の所有だから蒿上げしなかつた。しなければ高潮で自分のところだけ水が入つて来る。やむを得ず自分のところもやるという場合はどうですか。
  90. 伊藤大三

    説明員伊藤大三君) 具体的に私も実例をはつきり掴んでおりませんので、お答えできないかと思いまするか、要するにこの前、議員提案で御改正になりました附帯工事の例というのは、例えば河川工事によりまして井堰からの取入れが困難になつた。それを従来通りに取入れするというような場合の工事は、これは主として許可制になる。又その工事をやつたためにその取以入れが非常によくなり、又施設が非常に改造されて従来よりもよくなつたというような、そのことにつきましては、やはりその利益を受けておるものにおきまして若干の負担をさせる、そういうような実例だつたと、こう存じております。
  91. 田中一

    田中一君 私今受益者負担の問題を言つているのじやないのです。例えば海岸地域にある個人の持つておる工場がある。その工場は現在ではまあ海面、水面から三メーター上のところにある、敷地が……。ところがそこは高潮がしよつ中来るので、高潮が来る危険があるので国がその同じ続いておるところの両側の堤防を蒿上げしたのです。そうするとその工場の民有地だけが高潮の場合の水路になるのです。そこに水が入つて来るわけです。ほかは工事がしてあるから、そこに入つて来る。その場合ほかが蒿上げしなかつたならば別ですけれども、そうでない場合に、自分のところへ水が入つて来る。ほかは蒿上げしたために自分の工場に水が入つて来るという場合、やむを得ず同じようにニメーターならニメ治ター自分のほうの堤防をやはり蒿上げしなければならない、やむを得ず……。これはその場合には、施行者或いは管理者が国の場合はその分を国が負担する、或いは都道府県の場合はその水が入るという原因を生んだところの都道府県施行者が負担するかどうか。
  92. 深水六郎

    深水六郎君 ちよつと、今田中さんの御質問は第十六条だと思いますが、それは大体原則として海岸管理者負担する。ただそれで利益を受けた場合にはそこにも利益を受けた限度においてさせると、こういうわけであります。
  93. 田中一

    田中一君 わかりました。今のことは無論その場合には事業管理者ですね、事業管理者負担する。ただその工場の中に水が入らなくなつた、その利益に対しては受益者負担をとると、こういうことでありますね。
  94. 深水六郎

    深水六郎君 そうです。
  95. 田中一

    田中一君 わかりました。第十六条の「附帯工事施行等」とこうあるのですが、受益者負担というものの認定をどの範囲までを考えておるのか、ちよつとここのところが一番むずかしいところじやないかと思うのです。例えば海岸を整備し保全したために、五十メートル以上の用地或いは宅地にまで利益を及ぼすものかどうか、或いは前のほうにも、五十メーターと限つたのじやない、場合によれば五十メータ治以上になる場合があるという規定が前条にもあつたように思つておりますが、五十メーターを越えて指定される場合もある。指定された中の分だけが受益者ということに認定されるのかどうか、或いは五十メートル以内となつておりますから、十メーターの場合もあるはずです。十メ治ターで、他の公共団体区域に当る場合もあると思います。その場合に受益者、受益というものの認定ですね、これはどの辺まで行くのか、又それは何かの方法で基準を作るのかどうか、この点ほかの、あとのほうの条文にあるのかどうか、ちよつとその点伺いたい。
  96. 深水六郎

    深水六郎君 只今の問題はごの二十五条にございますが、そういう負担をさせると、そういう負担金の額の基準とか範囲、特別の徴収を受けるものの範囲、徴収方法については地方団体の条例で定める、こういうふうになつております。
  97. 田中一

    田中一君 無論そうだと思います。思いますが、立案者はどういうお考えで以つて、どの辺までやるというお考えを以てやつているかということを伺つているのです。
  98. 深水六郎

    深水六郎君 これはまあなかなかむずかしい問題でございまして、具体的な場合に遭遇しないとわかりませんが、まあ五十メーター応きめられた場合に、それを超えたところも具体的に利益を受けるというふうになりますならば、それもやはり入るというふうに考えております。
  99. 田中一

    田中一君 それはちよつとおかしいことになると思うのですが、例えば二十メーターの後から道路なり農地になる。農地まできめる必要はないから、やはりこの区域は二十メーターを指定する。二十メーター後は農地があつて広い。二十メーターだけは安全ですが、もう向うはずつと、それこそ何百メータま薪華受ける、まちくに利益を受けるのですから、その場合に、それまでも受益者としてみなすかどうか、これは甚だ危険だと思います。
  100. 深水六郎

    深水六郎君 いろいろ具体的勇合には、その区域内に限るということも、無制限に遠方までということは物理的には考えられますけれども、実際問題として、その範囲その他は、ここまではそういう利益を受けるというような範囲は政令で定めて大体間違いないのじやなかろうかと考えております。
  101. 田中一

    田中一君 提案者の御意思をよくわかつて、国がやるのでなくて、地方公共団体がきめるのですから、だから問題を残さないように……。これが同じ行政区域、同じ市町村ならいいのです。後に違つた他の市町村の敷地が来るというような場合に問題が起り安いのですよ。これは次にありますが、利害関係が他の地方公共団体に亘る場合に、これは相当問題が起ると思う。どうしてもこの点はもう少し明確にしたほうがいいのじやないかと思いますが、ただもう委せると言つても、委されたところは、海岸管理者というものは、ここできまつている。二十メーター三十メータ治あとはもう乙の行政区域になつているという場合ですね。やはり”、の場合に、又次々と上のほうの強い者が裁定するんだとかなんとかいうことになるのでしようけれども、もう少し何かここにいい線を出すことは望ましいと思つて伺つたのですが、併しこれ以上伺つてもしようがありません。つぎくと大臣まで来て裁定すればいいのだということになつておりますから……。  十八条の受託工事を伺いたいのですが、この「海岸管理者は、相当と認められるとき」というのは、相当というのは指定区域外の場合とか何とかいうような区域的な問題を言つているのですか。どういう場合を相当という言葉で表現しているのですか。内容は何ですか。
  102. 深水六郎

    深水六郎君 相当と申しますのは、只今申されたような、特に区域ということに肇され芝、いろいろな場合のことを考えておりますが、区域だけには限定いたしておりません。
  103. 田中一

    田中一君 どうもそのいろいろな場合なんていうことは、ちよつとどうか思うのだが、いろいろな場合というのは、どんな場合なんですか、そんなに百も二百もあるのですか。この築造規定では全くいろいろな場合をたくさん細かく書いておるが、この場合の相当と認めたいろいろな場合というのはどんな場合なんですか、一つの例を御説明願いたいのですが………。
  104. 松尾金藏

    法制局参事松尾金藏君) 海岸管理者は、自分の管理地域内についての管理をやつておるわけでゾヒざいますから、まあ海岸管理者がその管理地域内の或る工事について、その海岸管理者以外の者の工事能力と申しますか、或いは工事能力というような関係から、むしろ自分が委託を受けて工事施行したほうがいいし、又管理者以外の者もそれを希望しておるというような場合であれば、先ずここで言いまする「相当と認められるときは、」に該当するのじやないかと思うのであります。
  105. 田中一

    田中一君 その相当と認められる場合は、幾つくらい相当と認められる理由がありますか、そんなに二十も三十もありますか。
  106. 松尾金藏

    法制局参事松尾金藏君) 幾つということにはつきりお答えはできないと思いますが、只今申しましたような一つのものも確かに一つの例ではないかと思いますし、まあそのほかに、海岸管理者がむしろ自分のほうでやつたほうが能率も上るし、その後の維持管理についても便利だというような場合も、やはり考えられ得るでありましようし、又海岸管理者が直接自分ではやらなくとも、仮にその工事を他にまあ何と言いますか、請負わしめるような場合でも、その管理監督というような場合も、能力の点から海岸管理者のほうがその工事の監督その他に適当であるというような場合も考えられるのではないかと思います。
  107. 田中一

    田中一君 一番大事なものは、今の場合ですか。例えば十九条にあるような、両方で以て行政区域の接点というものを始めている、これはあり得ることです。都道府県でやらずして、市町村でやつている場合があるでしよう。その場合に、甲が乙のほうにお前のほうに任せるというようなことが、ここに相当と認められると規定したところの一番大きな問題ですか、それならば了解できますね。そういう場合ならばたくさんあります。
  108. 松尾金藏

    法制局参事松尾金藏君) 只今お挙げになりました例は、一番適切な例だと思います。又技術的に云々と申上げましたのも、適切な例ではないかと思います。
  109. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 今のは十九条の「当該海岸管理者の委託を受けて」これは受けるほうですわね。これはさつきから田中さんは十八条をやつていたんだと思つて私は聞いていたんですが、この場合は海岸管理者以外の者の工事海岸管理者が委託を受けてやる場合でしよう。従つて私は、十八条で言えば、第七条の例えば第二項です。こういうようなあらかじめこの海岸管理者の長に協議するような種類の仕事の場合に、この管理者がその工事の委託を受けてやるんだと、私はこういうふうにこの十八条は考えていた。「相当」の問題については、これはもう何と言いますか、委託を受けてその工事施行する程度の工事を総括して「相当」という言葉を使つているのかと思つていたんですが、その辺はどうなんでしようか。
  110. 松尾金藏

    法制局参事松尾金藏君) 申上げるまでもなく、十八条の場合は、海岸管理者海岸管理者以外の者の委託を受ける場合でございますから、先ほどお挙げになりました例は、私のほうが理解いたしましたのは、海岸管理者以外の者と申しますか、Aの海岸管理者の地域について、それ以外の者が或る施設を、従来関連施設を持つてつた。それについて何か施設をやろうとする際に、当然その隣の海岸管理者区域にも影響し、いわゆる接点というさつきお言葉がございましたが、そういう該当する場合に、その海岸管理者以外の者が自分でやれば、両方の海岸管理者にいろいろ相談しなければならない。それよりもむしろ一つの海岸管理者に委託をして工事をやつてもらつたほうがいいというような場合も、その一つのいい例になるのではないか、こういうふうにまあ申上げたつもりであつたのであります。
  111. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 その「相当一というのは、今私が自分の了解しておることで表現してみたのですけれども、結局海岸管理者の当然やらなければならない仕事、管理者がやる仕事のほかの仕事にして、この管理者施行ができそうな、その他の施行を委託を受けてやるのが「相当と認められるとき」にはやることができる、又この「相当」の認定というのは海岸管理者の認定である、従つて実際問題においては、その当該海岸管理者が、俺はやれるということになり、お前さんやつてくれということになれば、この「相当」というものは、もう随意なんというとおかしいが、随分幅の広いものなんだと、こういうふうにこれは解釈していいのですか。
  112. 松尾金藏

    法制局参事松尾金藏君) 只今お話の通りでございます。この法律字句の上では、委託を受けて工事施行することが「相当と認められるときは」という以外のことは申してないわけでありますから、そういう解釈に当然なると思います。
  113. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) この「相当と認められるときは、」という字句をなくしたらどうですか。
  114. 松尾金藏

    法制局参事松尾金藏君) 勿論、「相当と認められるときは、」という字句をなくしたらということから、相当と認められないときまですることができるというふうには字句解釈上ならないと思いますけれども、先ず法文を書くときの普通の表現として、どういう場合に施行することができるのかということを一番抽象的な表現で書けば、こういうことに表現がなるという程度のことで、それ以上の深いことは表現の上ではないと思います。
  115. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) 委託を受けてやる場合に、相当ならこそやるのですから、不相当なことをやることはないのですからね。
  116. 田中一

    田中一君 私はこの二十条から二十一条、二十二条、二十三条までは大体質問がありませんから、どなたかほかの方が御質問があれば……、二十四条には質問があります。
  117. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) それではだんだん時間も経ちますから、二十四条の御質問願いましようか。
  118. 田中一

    田中一君 二十四条の国の補助金の問題ですが、現在海岸保全のために政府が二十七年度、或いは二十六年度、今日まで、二十八年度、二分の一の補助ということにして予算を組んでおりますが、河川局で今まで、二十八年度海岸保全補助金というものを二分の一と組んでおりますか、或いは三分の一と組んでおるか、幾らと組んでおりますか、説明して下さい。
  119. 伊藤大三

    説明員伊藤大三君) 補助率につきましてはいろいろになつおりまして、二分の一のところあり、四割のところあり、局部改築については三分の一のものもあります。補助率は一定いたしておりません。
  120. 田中一

    田中一君 資料として、どの場合に三分の一でありどの場合に十分の四であるというような基準をお示しの資料を要求します。
  121. 伊藤大三

    説明員伊藤大三君) 大体今までの行き方といたしましては、農地の多いところにつきましては五割にいたしまして、それから市街地のようなところにおきましては四割というふうにいたしまして、又局部的な改修は恐らく三分の一だつたと存じておるわけでございます。なお災害に関連いたしまして出しますところの災害助成につきましては、これを五割にやつております。災害助成というものでとつておりますものは、五割としてやつております。それから災害復旧につきましては、これは勿論災害復旧の規定によりましてスライドしまして、三分の一以上の補助をいたしておるわけでございます。
  122. 田中一

    田中一君 ここで後段に、第二十二条第四項の規定による補償、これもここではつきりと二分の一以内を補助することができるという規定になつておりますが、これは事業をする団体が国の場合、これは当然国がその補償の問題を解決していいと思います。それから、従来は事業費の中に補償費というものが含まれて計上された例がたくさんあると思います。従つて補償費用、これをここに載せることは、なかなかその数字を掴むのに、予算を計上するのにお困りになりやせんかと思うのですが、無論補償というものは、場合によれば収用委員会にもかけなければならん問題ですから、なぜここに改めてはつきりと国が二分の一以内を補助するということをきめたかどうか、これをちよつと伺いたい。これは国の予算の編成の上からいつても困難なことではないかと思います。これは河川局に伺います。
  123. 伊藤大三

    説明員伊藤大三君) 恐縮ですがもう一遍……。
  124. 田中一

    田中一君 第二十四条の後段に、補償に要する費用を国が二分の一以内を補助するということを規定してあるのです。一体この補償費というものを幾らに……、年々の海岸保全の二分の一補助の予算と同様に、幾らを見込むつもりか、補償というものはきまつたものではないのです。従つて、二分の一以内というのですから、場合によれば補助金が予算の上でなくなつたらやらんところも出て来るのだろうと思うのです。そこのところは河川局はどうい)気持で補償金まで明文化したか伺いたいと思います。
  125. 深水六郎

    深水六郎君 今の田中さんのお話のやつは、ほかの法令に余り例はないよりでございますが、大体まあ補償金というのは、この工事補助とは別に予算で大体補償金というものが予定されておるように、私は予算上は考えておりますが、そういうところから、具体的にきまつたときにいろいろそれを考えてやつてもいいのじやないかというように考えております。
  126. 田中一

    田中一君 河川局はどういうお考えですか、伺いたいのです。あなたのほうで予算を組むのでしよう。
  127. 伊藤大三

    説明員伊藤大三君) 若し間違いがありますればあとで取消さして頂きますが、これは海岸管理者が一般の何に命ずる場合でありまして、国から何らそれについて言うた場合でないのでありますから、国の問題としてこれを補償に対する補助をせよというような何は、これは出ておりません。
  128. 田中一

    田中一君 法制局に伺います。この二十四条の解釈はどう解釈していいか伺います。
  129. 松尾金藏

    法制局参事松尾金藏君) この補償をする費用補助するようにいたしましたのは、海岸管理者に一般的に海岸保全責任を負わしておりまして、例えば今挙げられましたような二十二条四項の場合等は、これは海岸管理者がそういう責任法律で負わされておる関係から、そういう大きい公益的な見地から補償する責任を負つております。ので、国がその半ばを最高限度として補助するのが至当であるという見解で特に規定したものでございます。従いまして、予算の計上方法等については私ども詳しいことは存じませんですけれども、例えばほかの場合に国が補償の責に任ずるというふうな場合にも、やはり補償額というものは予算編成のときにあらかじめその仮定額を予想できるわけではありませんから、そういう場合に準じて予算に計上されることが至当かと存じます。
  130. 田中一

    田中一君 今法制局の答弁と河川局の答弁とは食違いがあるのですが、これを今ここで質問いたしません。次回まで河川局としてお調べ願つて、若しこういうことが明文化されたときに、どういう方法を以て予算を組むか、この御答弁は次回に譲ります。
  131. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 ちよつと関連して……、今の二分の一補助ですね。これは北海道も内地もこの法律案は適用になるのでしようが、北海道については二分の一以上の現行補助を出しておるような点があるのではありませんか。それにもかかわらず今度は二分の一というふうにしようという考えなのかどうか、この点をお伺いしたいのです。
  132. 伊藤大三

    説明員伊藤大三君) 現在は同額の補助を出しておりません。
  133. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 北海道のいわゆる海岸堤防修築補助といつたようなのはですね。あなたのほうからもらつた資料を見ると十分の六というのが載つておるのですが、私の見間違いでしようか。
  134. 伊藤大三

    説明員伊藤大三君) ちよつとお待ち下さい、今年変つたか知れませんから……。只今申上げましたのを訂正いたします。実は従来十分の五でございましたのを、今年から河川も十分の六になりました。それと歩調を合せまして十分の六になりました。訂正いたします。
  135. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 そうなればどちらにお聞きしていいか知れないけれども、折角今日、率を増した今日、特にこれを二分の一という問題が明らかにされておりますが、その点どういうふうにお考えになりますか、どちらからでもいい、まあ提案者だなあ。
  136. 深水六郎

    深水六郎君 只今の問題は恐らく法律上の根拠はなくて、予算上の措置でやつておると思いますが、若し北海道について特別に考える必要がありとすれば、その必要があればですね、予算上の措置で、これ以上やられてもいいのではないか。
  137. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 予算上の措置でやれればこれ以上やつてもよいのだという法律はないので、それはおかしいと思う。
  138. 田中一

    田中一君 提案者はそれじやここで、この委員会におきまして、この工事に要する費用の二分の一というのを四分の三と書き換えても御了承願えますか。
  139. 深水六郎

    深水六郎君 提案者といたしましては、この法律補助としては二分の一以内というふうにまあして頂きたい。
  140. 田中一

    田中一君 提案者は自由党の議員ですから、予算の範囲、国と別の措置でもつて、十分の六を補助することもあり得るということを言つておるのだから、この際工事に要する費用の四分の三以内を補助するように修正することが非常に提案者の御意思も通り、同時に一番熱意を持つておるところの提案者として、海岸の保全が完全に速かにできるということになると思うのですが、このように修正するということは恐らく提案者も御賛成と思いますが、その点如何でございますか。
  141. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 私はこの問題はやつぱりどうも折角田中さんの御質問ですが、こういうような点をですね、もう少しお考えになつて、この次に一つじつくり相談したらどうかと思いますが。(「了解」と呼ぶ者あり)
  142. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) 私もそれについて今田中委員のほうから四分の三以内の補助にせんかと、こういうふうな質問に対して、提案者は何ら御答弁がありません。これは大きな問題でひとり海岸法のみならず、今御審議願つておる例のガソリン云々のほうについても四分の三の補助の問題これは大きな問題なんです。そういう補助をこれは農林関係補助事業にも、建設関係補助事業にも、すべて大きな問題でありますから、よほど十分慎重にお考えなすつて、これを急にお変えになるかどうかということは、この次の委員会或いはこれを審議するまでに十分御検討願いたいと思います。
  143. 田中一

    田中一君 二十五条は先ほど御説明なつたので質疑はいたしません。今日はこの程度で如何ですか。
  144. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) 本日はこれを以て散会いいたします。    午後三時三十六分散会