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1952-12-09 第15回国会 参議院 建設委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月九日(火曜日)    午前十時三十分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     下條 恭兵君    理事            赤木 正雄君            石川 榮一君            松浦 定義君    委員            石坂 豊一君            島津 忠彦君            深水 六郎君            飯島連次郎君            前田  穰君            三浦 辰雄君            三輪 貞治君            田中  一君            小川 久義君   国務大臣    建 設 大 臣 佐藤 榮作君   政府委員    建設政務次官  三池  信君    建設大臣官房長 石破 二朗君   事務局側    常任委員会専門    員       菊池 璋三君    常任委員会専門    員       武井  篤君   説明員    建設省住宅局住    宅企画課長   前田 光嘉君    建設省住宅局住    宅経済課長   鮎川 幸雄君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○建設行政に関する調査の件  (住宅行政に関する件)  (河川行政に関する件)   —————————————
  2. 下條恭兵

    委員長下條恭兵君) それでは只今から建設委員会を開催いたします。  本日は建設行政に関する調査を議題に供します。最初に住宅問題につきまして前田住宅企画課長から説明を求めます。
  3. 田中一

    田中一君 大臣はどうして今日来ないのですか。
  4. 下條恭兵

    委員長下條恭兵君) 衆議院の予算委員会出席中で、空き次第こちらに参ることになつております。
  5. 前田光嘉

    説明員前田光嘉君) 本日住宅局長が病気で休みましたので、私が代つて最近の住宅事情につきまして御説明を申上げます。現在の住宅不足数字は、一応先般の国会の際に御審議願いました三カ年計画の策定に際して算定した数を基礎にしております。その後多少その線に沿いまして国或いは公共団体民間住宅建築が進んでおりますが、それほど住宅事情は急激な変化はございません。そこでその三カ年計画を完遂し、その際に御審議願つた方向従つて住宅対策を進めて参りましたが、二十八年度、丁度内閣が変りましたので、その際に住宅対策を更に一層推進すべく努力をしておるのでございます。御承知のように先般の新内閣の新政策の中にも勤労庶民住宅建設促進という事項が入りまして、我々もその線に沿いましていろいろ立案を進めております。でそのうち第一番の問題は、御承知公営住宅の三カ年計画でございます。でこれは御承知のように二十七年、八年、九年、この三カ年に十八万戸を作るという計画でございますが、二十七年度におきましては、当初予算二万五千戸分五十億円の予算が附いたのでございまして、その後補正予算その他にもこれを増額しますように努力をしたんでありますが、財政の都合によりまして、今回の補正予算には公共事業の一部としての公営住宅予算は附いていないのでございます。併しこの公営住宅三カ年計画是非とも実現をしたいと思いまして、二十八年度の予算には今年の遅れた分三万五千戸と、二十八年度の分六万、合計九万五千戸の建設を要求いたしまして、その実現努力をしておる次第でございます。  次に大きな問題は住宅金融公庫でございますが、住宅金融公庫は二十七年度におきましては当初百三十億円、四万六千戸の計画でございましたが、それも順調に消化をいたしておりません。然るになお且つ資金不足でございましたので、補正予算には三十億円の追加出資予定されまして、これによりますと約九千戸の住宅が更にこれから作れる予定でございます。更にこの住宅金融公庫を拡充すべく、二十八年度のほうの予算におきましては約三百億円、六万七千戸分の資金を要求しております。この六万七千戸は先般の三カ年計画の一環として住宅金融公庫も三カ年に十八万戸やろうと、こういう趣旨の下の数字でございます。  それから現在行われておりますところの政府の二大住宅施策は、今申上げました公営住宅住宅金融公庫でございますが、今お配りいたしました資料の八の表を御覧願いますれば、第八表、「戦後の住宅建設戸数」、この表を御覧願いますればわかりますように、一番下の「民間自費建設」、民間建設がだんだんと減つておりまして、昭和二十六年には十三万三千戸と、前年は二十六万ありましたのが十三万三千戸となつておるというふうにだんだん民間建設が減つて来ております。そこで公営住宅三カ年計画を作りましたときにはもつとこの民間住宅建設が伸びるだろう、大体一年間に二十三万戸ぐらい、三カ年間で六十九万戸ぐらいはできるだろうという推定の下にいろいろ数字を推計したのでございますが、この数字は、二十七年度はこの二十六年度の十三万三千戸よりは多少上廻る傾向を示しておりましたけれども、それほど著しい増加がないと思われますので、従来の二大対策だけでは不十分だと、こういう考えの下に二十八年度から新たに更にこの国の資金を導入して住宅建設したい、単にこの住宅金融公庫或いは公営住宅の量を増すということだけではなくて、更にその際できるだけ民間資金も吸収したいというふうな構想、及び最も現在住宅に困つておる階層、勤労者を狙おうという趣旨で、新たに産業労務者対策という制度考えまして、これは住宅金融公庫を通じて資金を貸出しますが、労務者住宅を作る事業会社その他に建設費の六割まで貸そう、従来の住宅金融公庫は主として一般個人対象にしておりまして、貸付金は八割から八割五分貸しておりますが、事業会社等民間事業住宅に成るべく活用したい、国も援助をしたいということで、国が六割会社が四割、この程度労務者住宅を造つて行こうと、こういう案で、来年度予算におきましては百五十億円、三万七千二百戸分の予算を要求いたしております。これによりまして多少下降傾向にある民間建設に対して国の資金を入れることによつて少し盛り返そうと、こういうふうな案を進めております。大体最近、特に二十八年度を自標に建設省におきまして考えておる住宅対策は以上の状況でございます。  非常に簡単でございましたが、一応最近の住宅事情対策の概要について申上げました。
  6. 田中一

    田中一君 私は大臣が来たら大臣に総括的な質問をして、細かい点は次の機会に質問をしたいと思いますから、今質問はありません。
  7. 赤木正雄

    赤木正雄君 先ほどのお話で、年々民間建設戸数は減つているようでありますが、その原因はどういうところにあるのでしようか。
  8. 前田光嘉

    説明員前田光嘉君) 民間の減つおります原因につきましてはいろいろこれを研究しておるのでありますが、正確なことは或いは言えないと思いますが、我々が現在考えておりますのは、先ず一番考えられますのは、住宅を建てる資力がある人はこの七年間に大体作つたのじやないか。あと残つておる人々は自分で作ることが非常にむずかしいような人が残つて来たのじやないかということが先ず考えられます。そのほかにやはり一般住宅に対する考え方も変つて参りまして、終戦直後二十一年、二十二年が非常に殖えておりますが、これは住宅とは申しながら、本当に雨露を凌ぐようなバラックが殆んど大部分でございました。御承知のように取りあえず何か住まなければならんというようなことで板を集めたような家、これもやはり戸数として数えておりますので、殖えておりますが、最近はやはりそれほどの切実性と申しますか、なくなつたので、多少新築戸数においては減つて来ているのじやないかということが考えられると思います。
  9. 赤木正雄

    赤木正雄君 住宅政策といたしましては公営住宅公庫住宅、これと併せてやはり民間で建てるということは、大きな政策の一面と考えます。今お話なすつたよう原因でこれが減るならば、やはりもう少し何か減らないで、自力で建てるというふうなことに施策をお考えになつているでしようか、どうでしようか。
  10. 前田光嘉

    説明員前田光嘉君) 国が金を投じまして作ります公営住宅或いは公庫住宅にしましても、全体の年間所要住宅戸数に比較しまして極く一部でありますので、御指摘通りできるだけこの民間自力による建設を促進したいと、こう考えまして、いろいろ研究なり或いは多少の施策をやつておるのであります。で、いろいろ考えられると思いますが、ただなぜこの民間住宅ができないかという原因のまあ測定、判定が非常に困難でございまして、いろいろ挙げられますが、的確にこれをやればいいという実は施策はなかなかつかみにくいのであります。で、今まで我々の考えまして実施しましたのは、やはりこの住宅を建てる人の負担を軽くすればいいじやないか。一番先ず考えられますのは税金の問題でございます。現在税金を相当納めておりますが、住宅に関連しましての税金は相山高うございます。例えば固定資産税或いは住宅を作つた場合の取得に関する税金、これらを減税すれば相当伸びるだろう、こういう考えの下に先般の国会租税特別措置法の改正をお願いいたしまして、小規模の貸家を建築した場合にはその償却を多少早める、高めるという措置をとります。それから登記をする場合の登録税も六分の一に減らしました。固定資産税につきましては向う三カ年は現在千分の十六でございますが、これを千分の八と、半分に減らすということを、各市町村にこういう条例を作るようにということを地方財政委員会のほうから示達をしてもらつております。ただこの減税によりまして具体的にどれだけ家が増加したかということは、これは測定困難であります。多少我々が非常に喜びますことは、二十六年度の月間の建設戸数よりも今年のほうが私は多少上廻つておるということは、或いはそういうふうな一般の景気の上昇かも知れませんし、或いはそういう税金対策が非常に影響しているかも知れませんが、多少上廻つていることは喜んでおります。そのほかに民間資金を導入するようないろいろな措置考えられますが、なかなか具体的に民間資金もまだ住宅に向けるだけのゆとりもないようでございますし、いろいろ工夫を凝らしておりますが、実際問題として、非常に経済的に見た一般人の生計費のうちで、住居費に投ずる割合が非常に未だに低い。エンゲル係数が高くて、住居費のほうに向ける率が低いところに、建てる場合の費用一般物価の線に沿つておりますので、このギヤツプが非常にあります。このギヤツプが自然にふさがつて来て、間が近くなつて来ませんと、経済の循環としての自力建設がなかなか困難だと思つております。できるだけそれに近付けるような減税措置なり、その他無理をしてでも民間資金を導入したりするような措置を講じたいと思つていろいろ研究をし、努力をしているのでございます。
  11. 赤木正雄

    赤木正雄君 只今お話一般の人が住居費に当てる費用は何%ぐらいになつているでしようか。あなたのお手許でお調べになつたのは……。
  12. 前田光嘉

    説明員前田光嘉君) いろいろ調査の仕方がございますが、一応CPSによりますと、約四・五%かと思つております。
  13. 赤木正雄

    赤木正雄君 戦前にはどれくらいですか。
  14. 前田光嘉

    説明員前田光嘉君) 戦前には一五%ぐらいになつてつたように思います。
  15. 田中一

    田中一君 大臣お見えになつたので、先般大臣から建設行政の新内閣方針として御説明があつたのにつきまして、一応総括的な質問をしてみたいと思います。  今も企画課長は、自力で家が建てられない段階になつたのではないだろうか、民間自力建築戸数というものが低下して来ている。従つてその推定は、その力がなくなつたのだ、こういう認定の下に今後の住宅問題を政府は取上げよう、こういうお考えのように見えます。そうして先般大臣言つたように、低家賃公営住宅、これを作ろう、それから住宅金融公庫融資によるところの建築をやろう。同時に六割融資産業労務者住宅実行中だ。なお民間借家政策を奨励して、税その他の減免をやりつつある、又やろうとしておる、こういう御説明のように思いましたけれども、今日国民の力が自分の家を建てることのできなくなつた、だんだん減つて来たという前提の下にこの佐藤建設行政を見ます場合に、結局今の提示になつた四つの方式というものは、ことごとくやはり金がある者を対象にしての考え方にとどまると思うのです。例えば公営住宅の低家賃提供ということをおつしやつている。併しながらそれも我々非常に疑義がありましたけれども、前々国会ですか、三カ年計画十八万戸の継続事業を承認いたしましたにかかわらず、二十七年度においてはたつた二万五千戸です。今企画課長の御説明を聞きますと、二十八年度は今までの不足の三万五千戸と、計画的な六万戸、計九万五千戸を必ずやるという意気込みであります。併し只今補正予算政府提出中です、これには何ら織り込もうとせず、来年度も恐らく佐藤建設大臣は非常に政治力旺盛なかたですから、この九万五千戸の住宅予算は取ると信じておりますけれども、これに対しまして先ず二十七年度の補正予算へ織り込まない理由予算化しない理由、この三万五千戸の分、それから二十八年度は必ず九万五千戸取るつもりでおるかどうか、この点の決意をお伺いしたいと思います。
  16. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 田中さんのお話至極御尤もで、まあ公営住宅というものが一面家賃の安い、そうして近代化された借家を提供すると、かような意味で国会におかれましても特に力を入れられ、三カ年計画を樹立されたし、又建設省自身もこの公営住宅制度是非とも推し進めて参りたい、かようには考えておりますが、御指摘になりましたように、今回の補正予算には公営住宅関係予算補正がなかつた、この点は過日の本会議下條委員長にお答えいたしたと思いますが、誠に私どもも遺憾に考えております。ただ前提になります条件として、自分で家を作る能力が非常に低下したということは、先ほど事務当局から説明をいたしてはおりまするが、現段階はかよう考えるのはまだ早計ではないか、と申しますのは貸付によります住宅、この割当と申しますか、抽籤の当る率を考えましても、只今非常な激しい競争をしておることは御承知だと思います。今回住宅公庫に対して三十億の融資をいたしましたが、これでは僅かに過去四回の抽籤に外れた、まあ四回外れた連中だけを吸収するだけの実は資金しかないのであります。かように考えますると、まあ本筋から申せば、国民としてやはり自分住宅を持つということを第一に考えるほうがよろしいのではないか、そして申込が非常に殺到しおる現状、その申込消化状況が誠に微々たる状況から見ますると、公営住宅建設することと、それから公庫資金を潤沢にする方法と、二つ併せてやることが現在の状況になつておるのじやないか、かような実は考え方を持つておるのであります。もう個人として家を作る力がなくなつたんだという前提はやや私早計のように思うのであります。そこで来年度の住宅計画から見ましても、公営住宅、これは国会で三カ年計画決議を見、格別な御支援を頂いておりますので、政府といたしましても国会の意思を尊重して、この計画実行に移すことに最善努力はいたしたいと思います。併し同時に只今住宅建設の要望に応えて、いわゆる公庫資金を殖やすということも併せて考えて参らなければならんのじやないか、かように実は考えております。或いは事務当局の話と幾分か食い違つておるかわかりませんが、私は現状を見て、今回の三十億の補正予算消化状況が、四回も抽籤に外れた連中貸付ける程度の金額しかなかつた、かように考えますると、最近の需要はまだまだ大変なものがあると考えております。
  17. 田中一

    田中一君 どうも質問の要点を外された御答弁になるので非常に遺憾に思います。私はなぜ今度の補正予算住宅金融公庫には三十億を融資しておるけれども公営住宅になぜ予算を盛り込まなかつたか、同時に二十八年度に二十七年度の不足の分の三万五千戸と二一十八年度の計画の六万戸、計九万五千戸というものをあなたは必ず予算化するという確信をお持ちかどうかと伺つたわけです。補正予算になぜ取らなかつたか、それから二十八年度にどういう決意を持つておるか伺つたのであります。もう一遍簡単でよろしうございます。
  18. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 今年の補正予算に取らなかつたことは、先ほどちよつと触れましたように、誠に私ども遺憾に思つております。この点は御指摘通りであります。弁解は先ほど縷縷申上げた通りであります。なお今後の予算編成に当りましては、私ども最善努力をするということ、これは国会決議の線に沿つて政治を行うのは当然でございますから、最善努力をしたいということを申上げておきます。
  19. 田中一

    田中一君 この公営住宅法ができましてから二十五、二十六、この二カ年間に国が二分の一補助をしようといつた建設が、その地方公共団体におきまして返上した例は数々ございます。公営住宅は二分の一補助となつております。この第一種のほうですね、その場合なぜ返上しなきやならないか、これは無論地方公共団体財源の問題と思うのです。従つてあなたが実際にこの住宅不足三百数十万と言われておりますが、これは人口にしますと約一千万人以上が家に困つているということの前提でございます。この地方公共団体補助金を返上したという事実に対してはどういうお考えをお持ちですか、解釈を。
  20. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) これはやはりいろいろ実情が各公共団体に私はあだろうと思うのであります。で一概に消化できないとまでは言えないのではないか、よく当時の実情に合わして判断をいたしませんと、簡単な結論は出て参らない、かように私考えております。
  21. 田中一

    田中一君 金があつても建てないんだというものではないと思います。結局財源の捻出に困つたから予定のその年度末までに完成ができないから、或いは止むを得ず返上したということが多いのじやないかと思うのです。その際大体において今まではその一つの都道府県に割当てておつた金を、わきに要求があつて、もつとくれというところには廻しまして、大体所期の目的通り戸数は建つたものと考えますが、二分の一の補助で実際にその家が建てられてあつたかどうか。例えば二分の一を国が補助すると言いながら、事実地方公共団体においては三分の二を負担して、国の補助はたつた三分の一の負担しかなかつたというようなことにつきましてはどういうお考えを持つておりますか。
  22. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私は余りさような状態を知らないのでございますが、事務当局からちよつと説明させます。
  23. 前田光嘉

    説明員前田光嘉君) 多少半額以上の負担をしておるところがあるかも知れませんが、それほどないと思つております。
  24. 田中一

    田中一君 今企画課長の御答弁ちよつと聞いていなかつたのですが、もう一遍伺いたいと思います。
  25. 前田光嘉

    説明員前田光嘉君) 地方によりましては、補助が半額、丁度国費と同額の金を地方で起債その他によつてつておるのが原則でありますが、工事によつて多少それを上廻るところもあるようでありますけれども、それが御指摘のように相当な量において三分の二を負担するとか、そういうような実情は聞いておりません。
  26. 田中一

    田中一君 東京都が二十五年度、二十六年度共に当時割当補助金を返上しています。二十八年度も又若干返すのではなかろうかと、こういうことを東京都の理事者言つたところが、都会において非常な問題になりまして、十五億からのものを建てるならばこの家を作れ、そのくらいの財源はあると、こういうような問題が都会議員の中に起りまして、やや今度は国に対して半額の補助金を返さないで済みそうな状態にあります。併しながら二十五年、二十六年返したのは事実です。それから二十六年度においては、二十五年度ですか、京都府も若干の金を国に返しております。これは、企画課長、その事実はあるかどうかもつとはつきり明確に御説明願いたいと思います。
  27. 前田光嘉

    説明員前田光嘉君) それはほかの公共団体に廻しましてやつております。
  28. 田中一

    田中一君 私はほかに廻したことは知つております。けれども東京都で以ていつ何億返したか、どこがいつ何億返したかを聞いているのです。
  29. 前田光嘉

    説明員前田光嘉君) 只今その資料は持つておりませんので、何憶いつ返したかということはあとで調べて申上げます。
  30. 田中一

    田中一君 私はこの公営住宅も七割程度のものは木造で作られていると思うのです。従つて住宅事情資料として政府が御提出なつ資料を見ましても、二十年度にはやはり公営住宅の八万一千戸を作つておりまして、これが現在どういう状態に置かれているか、これをどなたか、企画課長おわかりならばちよつと御説明願いたいと思うのですが。
  31. 前田光嘉

    説明員前田光嘉君) 二十一、二十二、二十三年頃までは殆んどバラックにひとしい木造でございまして、すでに耐用年数が近付きまして、もう今年度くらいは建て替えをしたいという家が相当ございます。
  32. 田中一

    田中一君 大臣に伺いたいと思います。今の二十年、二十一、二十二程度のは全然耐用年限は過ぎて、ここに住んでいる人たちはもう家を持たないと同じような運命になるのです。そこで大臣に伺いたいのは、こうした木造をたくさん今後ともお建てになるつもりか、こういう五年たてば駄目になる、あの二十三、二十四、二十五年の木造でも恐らくこれは十年と持たないと思うのです。こういうものを建てる方針か、或いは百年たつても心配のない、或いは火事でも風水害にも被害を受けないような耐火建築にするつもりか、その御決意を伺います。
  33. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 耐火建築にするというのが公営住宅を推進いたします基本的な考え方でございます。で、まあ今年の補正予算にも計上しなかつたと申しました一つ理由も、実は耐火建築を作るとして工費等関係からこれは止むを得ず今年は公庫のほうに金を殖やそうということでやつたのでございます。まあ今後或る程度木造建築も勿論作つて参ることだとは思いまするが、今後は耐火建造公営住宅にするのがこの基本と考えておるわけでございます。
  34. 田中一

    田中一君 非常に結構な御答弁を伺つて安心いたしました。併しこの東京都が今経営しておりますところの公営住宅、この大臣考えられておるような鉄筋住宅関係ですね、大体において十二、三坪のものを得るには月に三千四、五百円出さなければ、それだけの使用料を払わなければ得られないのです。従つて三千四、五百円の家賃を払える人というのはどういう階級になるのでしようか、これはまあ我々、私は自分の歳費をもらつて、その程度わかりますけれども、やはり庶民で三千四、五百円の家賃を払える生活費収入ということはどういう程度のものになるのでしようか。
  35. 前田光嘉

    説明員前田光嘉君) 代つてお答え申上げます。  只今田中委員の御指摘の三千四、五百円と申されましたのは、多分住宅協会住宅金融公庫から借りて作つておるものだと思います。この場合には三千四、五百円ですが、入るときは住宅協会がやつておりますので、一応民営という形をとつておりますので、我々のほうでは大体まあその家賃の七倍程度収入を限界に置いておるように聞いております。それから公営住宅のほうは補助をしておりますので、鉄筋の十坪のアパートでも三千四、五百円になりません、二千円程度でございます。この場合には現在の法規で二万五千円以下の者に貸すというふうにきまつております。
  36. 田中一

    田中一君 甚だ失礼な言分ですが、前田企画課長、俸給は幾らもらつておりますか。あなたは二千円の家賃が払える収入をもらつておりますか。
  37. 前田光嘉

    説明員前田光嘉君) 私は自分の月給を正確に覚えておりません。併し二千円くらいならば払えると思います。
  38. 田中一

    田中一君 そうすると前田さんのはその二千円の七倍と見ていいわけですね。
  39. 前田光嘉

    説明員前田光嘉君) それ以上あると思います。
  40. 田中一

    田中一君 ああそう。大体この生計費家賃とのバランスの問題です、これは一体どのくらいの率が国家、庶民大衆負担力か、大臣一つ見解を伺いたいと思います。
  41. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 実は私、大変なところについてお尋ね頂いて恐縮に思つておるわけです。まあ大体一割見当じやないかという感じを持つたのでございますが、現在の実情は一割五、六分程度になつておるようでございます。まあ大体最近の給与ベース等が引上つて参りますると漸次変つて参るでしようが、まあもう少し安いものを造らないと現在の状況では国民生活に合わないかとも思います。
  42. 田中一

    田中一君 今いろいろ私がしぼつて伺いたいと思うところに大体近付いて来たと思うのですが、公営住宅地方公共団体が或いは財源その他の措置によつて返上しなきやならない実情もある。同時に入居者も今日の国民所得では公営住宅に入居できないようなものではなかろうかという結論に近付くのです。今のように安いものは三百円、五百円の家賃もあります。二十年度、二十一年度頃のものはこれは住むに堪えない不良住宅です。まあ憲法ではつきり言うと国民の権利を保障しております。この程度、この半分程度のものにも入ろうとするならば、少くとも一人当り国民所得ではこの家賃が払えないという結論になると思うのです。そこで伺いたいのは、国が半額或いは二種住宅ですと三分の二ですか、補助するというようなことをとらないで、国が全部家を建てるという構想はどんなものでございますか。私が大臣に伺いたいのは、そうして不満足な家を造つて高い家賃のものを造るよりも、国が全部負担して、例えば東京都の住宅協会のような、前田企画課長の言葉を聞きますとあれは家主でございますという説明がございますが、そういうものに国家資金を流さずに、国が全部を建てる、国営住宅の線にまで発展するならば、恐らく大臣考えておられるところの勤労者国民大衆の家のない者たちの低額の所得においても家だけは確保できる。かような結論が出て来ると思うのです。この国営住宅の問題につきましては大臣どういう御所見をお持ちですか。伺いたいと思います。
  43. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 只今まだ国営住宅というところまでの考え方はいたしておりません。併し先ほど来の公営住宅の御意見につきましても、公営住宅をやつております各公共団体等の経理状態考えてみますと、大体特別会計にいたしましてその処理ができておるようにお話は聞いております。従つて公営住宅自身、住宅協会の問題とは別にいたしまして、相当低家賃で提供しておるんじやないか。先ほど私一割乃至一割五分程度ということを申しましたが、私ども非常に自分の経験から申して、借家住いをしていた時分のことを今考え起して見ますと、当初はなかなか家賃収入に対する比は相当高いのであります。大体二割や二割五分くらいのものは最低のところでもやはり負担せざるを得ないのじやないか、こういうような感じが実はいたしておるのであります。なかなかこの住宅の問題は一概に言えないもので濁りまして、いろいろの条件をいろいろ加味して考えて参らなければならないだろうと思います。なかなか困難な問題でしよう。そこで今田中さんの言われるように一般庶民階級としての住宅、この基準はやはり一割から一割五分くらいのとまりじやないかと実際には生計はやつて行けないということになる。そこで今やつております公営住宅もそういう点を実は狙つております。で東京都や或いは京都市は公営住宅予算を返上したというお話も先ほど来出ておりますが、これあたりも実は実情をよほど考えてみないと、ただ単に予算は割振りしたが、それに対応する予算の計上は困難だからという理由だけではなかなかないでありましよう。地方的な事情が相当あるに違いないと思います。逆に地方の中小都市におきましても、積極的に公営住宅を作つておるところもありまするし、これはどうも常識的に見て東京では相当住宅不足だから東京都としてはもつと力を入れるべきじやないかというような批判を下しても当らない問題であります。かような考え方を実はいたしております。ただ御指摘になりましたようにそれは実情に放任すればさようなことになりますが、政策的に見ますならば、大都市の公営住宅建設が急務であること、これは私も同様に考えております。従つて予算の分配なり或いは住宅建設を勧奨するという面において、今後は、一層力をいたさなければならないじやないか。ただ要求によつて予算を配付するという方向でなしに、一層それぞれの公共団体理事者とも緊密に連繋をとりまして、積極的に政策を推進して行くという力が必要なんじやないかという感じがいたしたわけであります。
  44. 田中一

    田中一君 もう自由党内閣で以て国営住宅まで発展しないのはよくわかります。いずれ我々が内閣を組織したらそうします。  それでもう一つ伺いたいのですが今の公営住宅があるように、八畳、六畳、四畳半、台所、便所というような、下駄箱まで附けて提供するという考え方は、これはどういうものでありましよう。私はこういう考えを持つているのです。家と家庭とは分離して考えなければならん。政府公営住宅を提供して家庭の部分まで介入すると、これは甚だ不届きなものじやないか、こう考えるのです。国は家を提供するのです。家の中で入居者が家庭を営むのです。ところがこれは今までの建築家も、ここに技術家もおられるのでしようが、建築家も悪いのです。昔は御承知のように北海道にしても関西にしましても家だけを提供して、あとの造作その他は入居者が持つたものなんです。ところがだんだん家主さんというものは不況になつて来る。借家がたくさんできる。サービスサービス、次々といろいろなものを、畳を表替えするとか或いは障子も貼替えてお貸ししますということから出発しまして、現在では家と家庭との限界が一諸になつている。こういう形があるのです。少くとも我々公営住宅というものを、法律を作つた場合におきましても、家庭の部分、畳や建具までを家と考えておりません。これは家庭を形成するところの一つの道具です。動産です。洋風な生活をする人は畳は不便、邪魔でございます。取つてしまいます。そのように家というものは畳建具は含まないものが家だと考えている。建築費が高い高いとおつしやるけれども、非常に建築費が高くなるという理由はそこにもあるのではないか。国は少くとも家を提供すべきであつて、家庭の分野は、お前たちはこの家に住め、この間に住め、こういうことは少し国民生活に立ち入り過はるのではないか、こういう考えを持つのです。これは恐らくここでの御答弁は私に対する反対な御答弁があると思います。これはひそかにお考えになつて頂いて、若しも今後の公営住宅を作つて行く場合には、家だけの家というものを考え国民の提供するならば倍以上の戸数が建てられる、こういうふうに考えているのですが、この点についての御見解を承わりたい。
  45. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 家と住宅とおつしやつたのですが、どうもちよつと私には理解しかねるものがあります。私も随分若い間借家住いして借家のしきたり等を聞いているわけであります。私ども九州や中国方面に住んだ者から見ると、北海道のように畳や襖まで引越の際に持ち歩くのは何だかぴんと来ない。大体畳や襖の斜度はやはりそこへくつついてるものじやないかという感じを長い習慣から考えておりまして、北海道の借家は随分変つている。ああいうところへ急に出掛ける場合は大変金が掛つて困るなということを感ずるわけです。併し北海道にずつと住んでおられるかたはこの畳や建具は自分の趣味で如何ようにもするのだ、こういうようなお考えかとも思います。  ただ問題は、建築費のうちでさような造作代といいますか、そういうものが占める割合がどうなつているか、これは一つ公営住宅を作ります場合にやはり考えるべきじやないか。でその意味においての御指摘なら、私どものほうもこれは研究すべき問題だろうと思います。最小限度どこまでは所有主が処置するものか、それから先は入居者が処置するものかということをいろいろ考えてみますと、御心配のような問題に実は発展して来るし、できるだけ造作代を安くして、そうして建築といいますか、建物自身を殖やすような考え方、これは一つの行き方に違いないと思います。併しそれが非常に徹底して参りまして、北海道式になるのがいいかどうか、これは私どもちよつと賛成しかねる、かように思います。問題は造作代をもつと軽減する方法はないか、或いはそういうことに特に興味といいますか一関心を持つた施設をすることはどうだろうか、こういう議論は確かに今後研究問題として伺つておきたいと思つております。
  46. 田中一

    田中一君 家と家庭の論議はもうなかなか結論が出ませんから言いませんが、今の大臣の御答弁満足です。少くとも鉄筋コンクリートの場合には、今のような工法と今のような材料の価格を以ちまして二万七、八千円でできます。住宅金融公庫は五万六千円まで貸しております。そうするとその差額は余分なものです。それは若し入居者が金があるならば自分がすればよい。ところがことごとく公営住宅はまるで昔の軍隊のように右へならえで同じものを作つて、これに入居者の入居人数とかその他の条件を何も考えず、生活の条件を何も考えずにこれに入れと命令する。これは確かに国は個人生活まで立入つているものじやないか、こう考える。従つて一応後に自分々々のところで間数を四間にしてくれと言えば四間にすればいい。初めから三間なら三間にきめて、一緒になつてこれに住めという命令は……。命令と同じです、これに住めというのですから。これをもう少し考えると、これは単に政治家ばかりではない。技術家も考えなければならない。そうすれば建築費の軽減は必ず可能だ、こういうふうに考えるわけです。  そこで大臣説明されたところの公営住宅に対するところの考え方ですね。これは私は今一問一答しまして、たくさん金をかけるよりも、もつと同じ金を以て余分に家が建てられるような方向にこの公営住宅ができるように大臣は持つてつて頂きたいと思います。私があえて国営住宅のことを申しますのは、結局今のような状態で行つて、すぐ住めるような家を提供するのでは、到底百年河清を待つです。できません。殊に今言う通り年々大体、数十万戸というものが腐朽して行くのです。これが今のような程度予算措置では到底できません。これは十分お考え頂きたい思います。  次に住宅金融公庫融資です。これは三十億の融資補正予算一般会計からお出し願つたのは甚だ結構ですが、これは雀の涙よりももつと少いものです。又これも結局住宅金融公庫から金を借りまして最低規模の家を作る場合に、先ず手持資金が十万円かかります。従つて十万円金を持たなければ家が得られないという意味でございますから、これはあなたのおつしやつたような、国民大衆に供給する家ではなくて、少くとも前田課長あたりから上でもどうかと思うくらいな家です。従つてこれは国民住宅とは申せません。一部の金持階級に提供する家であります。この点も一つ大臣はどういうふうな考えを持つていらつしやるか。これにその住宅金融公庫の金利を先ず引下げるような方向に向つて行くかどうか。預金部資金を六分五厘で借りて、国庫の一般会計から借りたところの資金があるから、五分五厘で貸しております。前国会において六分五厘に値上げしようとして、自由党のほうで引込めてしまいましたけれども、この悪法は……。そういう観点から、今後住宅金融公庫法の改正をめぐつては、大臣承知のように自由党の内部でもいろいろ批判もあると思いますので、大臣は一体どういう考えを持つていらつしやるか、伺つておきたい。  住宅金融公庫融資住宅に対しては、どういう考えを以て二十八年度はどういう方向に行くか。単なる予算措置ではなく、今の技術的な措置考え、同時に金利その他の方式はどういうふうにお考えになつているか、この点について伺いたいと思います。
  47. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 住宅公庫申込は、先ほど申しますように非常に殺到しておりますが、これは必ずしも金持階級を相手というわけでもなく、住宅欠乏の現状から見まして、国民の間に何とかして借金をしてでも家を作りたいという気持が非常に強いのだろう、むしろ住宅不足ということが大きな理由に違いないと思います。併し私個人の感じでございますので、一概には言えないと思いますが、私ども若い時からずつと年々借家住いした者から見ると、やはり一戸建の家に入りたいというのが、一つの小さいながらも希望に違いないと思うのです。で最近公営住宅その他で近代的なアパートができております。中の設備等が非常に進んで参りますれば、アパート住宅というものも、これは大いに進めるべきじやないか。殊に只今大都市等のことを考えますると、都市を拡大させない意、味においてもアパート住いというものはよほど進められて然るべきだろう、かように考えますが、個人の気持から、申せば、やはり一戸建の家に住むということが考えられる、比較的に……。住宅建築する場合の融資方法が今までは非常に困難で、住宅公庫ができることによりまして、まあ基本的な資金獲得といいますか、借入れの方法がついたというので、この意味では国民から相当喜ばれておるのじやないか、かように思います。この意味において、やはり自分の物を、自分の家を作らすということは、これは一つの行き方じやないか。そういう意味でこの住宅公庫がもつと活躍するように是非ともいたしたいものだと思います。そこでこの今住宅公庫で借りております申込者の状況を、収入状況等を考えてみますると、必ずしも高額所得者というわけのものじやなくて、私どものほうの統計から見ますと、一万乃至三万円程度のところが一番多いようであります。この辺の人たちが、まあ借家なら結局自分の物にならないけれども、相当の価利を払つても、これは自分の物になるというところに一つの魅力もあつた。と同時に又一戸建の家を作りたいという希望、要望、これにも応え得るので、非常に今のところは申込が多い。これはいわゆる金持階級じやなくて、私どもはむしろこれは庶民階級の要望じやないだろうか、こういう感じを実はいたしております。併し現在の制度を以てこれで万全だとは考えません。従つて只今言われますように、金利の引下げ等の問題については、これは大蔵省とお互いに協議を遂げまして、要望に是非とも副いたいと思いますけれども只今のところではこれはなかなか困難な問題でございます。ただ私どもからいたしましても、この預金部からの借入利子は、これは一番安い資金だと思いますが、それが六分五厘になつておりますので、それらのことを考えまして、その金利自身を更に工夫して安くする方法はないかというようなことも話としては持込んではおりますが、急速にはなかなか実現しないのじやないか、ただ総体として申せば、やはり一般に一戸建の家、而もそれが相当の人たち自分の物を持つというところに非常な魅力があるのであり、今のように申込者が多いのじやないか、かように考えております。
  48. 田中一

    田中一君 どうもその申込人があるからこれに賛成していると考え建設大臣は、基だこれはもう大臣の資格はないと思うのですがね。それに代るべき施策がないから、政策がないから、止むを得ずそこに行くのです。こういうことを佐藤建設大臣はおつしやるけれども、それはこれに代るべき、いつでも取りつける住宅があるならば、そつちへ国民は行くのです。それがないから止むを得ずあすこへ飛び込んで行くのです。これは一つもう一遍お考え直し願いたい。  それから一万円乃至三万円程度で以てあると言いますけれども、これはもう一遍……これは私もちよつと気が付かなかつたのですが、一万円そこそこで以て申込んで貸付けてくれるものならば結構でございます。これは前田企画課長、今の大臣の言葉は間違いないでしようね。
  49. 前田光嘉

    説明員前田光嘉君) 我々の調べでも、大臣の申したことに間違いございません。
  50. 田中一

    田中一君 有難うございました。そこで住宅金融公庫のこの貸付金利の低減ということは、一般会計から金をたくさん出せば、仮に預金部資金を百億借りる、国が三百億を出すと、計四百億、これは片一方は無利子で一方は利子というものをうんと軽減されるのです。従つて私の希望は、一般財政から余分に資金を流して頂きたいことです。併しそれでもまだ今のように自分の家を持つて……、成るほど自分を家を持つことのほうが誰も好ましいです。殊に私有財産制度を認めておりますから、自分の家を持つことは何ら差支えございません。併しながら住宅金融公庫から借ります金は、畳、建具も入つております。畳、建具は固定資産ではないです。併しながら今日の税のことに対して大臣質問するのはおかしいですが、固定資産税というものは畳、建具、障子、ガラスにまで徴収されておるのです。つい最近第三期分の固定資産税の徴収が前田さんのところにも来ていると思いますが、これには総計しまして、住宅金融公庫から借りた金の家に関する全部から取られておるのです。従つてこの固定資産税の徴収というものが、単なる家から取るのでなくて、畳、建具、造作からも取つておる。こういう点においては、これに関連しまして、大臣は畳、建具からも固定資産税を取ることがいいか悪いか、又固定資産税というものはさようなるものであるか、今度の家というものは、畳建具が入らなきや家じやないか、こういう点について一つ御見解を伺いたいと思います。
  51. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) だんだんむずかしいお尋ねのように思いますが、どうでしよう、この畳建具と言われますけれども一体性をなしておると考えられるということが固定賞産の対象になり得るのじやないですか。だから畳だけを切り離して固定資産にはしないだろう。併し家としての形で畳建具が入つたところで評価される、そうすると固定資産税対象にもなるのだけれども、併しそれかと言つて特別なものを考えて参りますと、畳がなくても最近のリノリウム張りとか板張り等も非常に金がかかるものです。そういう場合にはやはり固定資産税対象になり得るのじやないか。だから分割してはやらないでしようが、一体性として考えれば税の対象にはなるのじやないかという感じが、これは素人でございますから私が権威ある答弁をしておるとお考え願うと大変申訳ないのですが、常識的にそういうことは考えられるでしよう。
  52. 田中一

    田中一君 そこにホームとハウスとの違いがあるのですね、限界に相違があるのです。それをはつきりすればもつと安い家に国民が入れるのです。たから税金は大したものではない……、いや大したものではないというのは甚だ失礼ですが、大したものです、固定資産税は。それをそういう点も明確にしなければならんと思うのです。これは今度の機会に、住宅金融公庫から融資を受けて自分の家を持つた場合に、固定資産税はどこからどこまで課けるかということをこれは閣議で一遍お諮り願いたいと思うのです。これは庶民生活にとつては重大な問題です。税といいますと、もうくしやくしやになつて感情的になるのです。国民というものは。従つて不当なる税を地方税として徴収されておるということになればこれは遺憾だと思います。所管の建設大臣がどうも不明確であれば甚だ困るのです。国民に返してもらいたい、今まで徴収された固定資産税の返還要求をしなければならん、これは恐らく国民の全部の感情だと思います。この点は一つ明確にお調べになつて、次の委員会に御報告願いたいと思います。  産業住宅に対しまして、まあいろいろまだありますけれども。あと細かくやると大臣お困りでしようから。産業労務者住宅に対する融資法を立案中だということを大臣も申し、又企画課長からも説明があつたのですが、これは誰を対象にして融資するつもりですか。
  53. 前田光嘉

    説明員前田光嘉君) 只今まだ最後的には決定はいたしておりませんが、一応四割融資のできる一般産業界のほうの事業者及びその労務者を以て結成します住宅組合、その他中小企業、その他がいろいろ集まりまして住宅建設いたします場合に、法人等を作りました場合にはそういう法人というようなものを考えております。
  54. 田中一

    田中一君 今のお話だけでもわかります。金がないものには融資せんということです。金がないものには、四割の金がないものは、四十万円の金がなければ六十万円貸してやらないというわけなのですよ。甚だ自由党内閣らしい法案でございますと、私は申上げるのです。今各産業の我々のほうの関係の労働組合その他からも猛烈な要請がございます。どうしてもこの産業労務者住宅だけは一つ我々のためにもやつてくれ、併し私はこの組合側によく申上げるのですが、現在の資本主義機構に乗つたところの住宅供給組織、この上から我々労働者が特枠を取るという思想はよくない、特別の枠を取るという思想はよくない、こう言つて僕は組合のかたがたにも申上げておるのです。結局国が全部国営住宅として家を建ててくれればこれは誰も機会均等です。特別に労働者だけが国民税金のうちの資金を余分に流してくれという思想は、これは我々この国民、全く庶民階級から選ばれたところの社会党の我々としては甚だ、面白くない、こういう説明をしておるのです。それで若しもそこにそういう法を作つてやるということが住宅金融公庫法と……、この法を立法化しないでもこの住宅金融公庫法で以てやつたらどうかということになりますが、これはできるのです。今の経済課長ですかの説明を聞くと、何でもないのですよ。今の国民住宅金融公庫法のうちで現にできるのです。住宅組合を作つても借りられるのです。これは特別の労働者だから、或いは漁師だから、商人だからという識別の限界がありません。国民ひとしく家が欲しいのです。従つて特枠で取るということは、今労働組合その他が借りられようとするならば、現在でもできるのです。住宅金融公庫法でできるのです。なぜ現在産業労務者住宅法を単行法を作つて、そうして出すかということ、これは結局あなたがたが資本家に貸したいからなんですよ。資本家に貸したいからこういう立法をするのです。この点はまだ成案ができていないとおつしやるから、十分にお考え願いたいのです。これは四割の資金を持つ経営者に貸すのみです。そしてその経営者は何かその住宅を以て又労働条件などの、労働者の収入を搾ろうなどということを考えておるのだつたらば、これは又大事でございます。今日以上のストライキが起ります。従つてこの問題につきましてまだ立案中ならば、あえて追及しませんけれども、この点よくお考えになつて下さい。今の段階ならば我々労働組合からも随分注文がありますから、若し政府が提案するならば、正面から反対はできませんけれども、基本的な理論といたしましては務働者に流さずして、資本家のみ、それも三割、四割、五割と配当しておるような健全な、健廉な会社、五十円の株価が八百円も千円もしておるような、まあ資本家から見る場合には健全な会社にのみこの資金が流れるということは警戒しなきやならぬと思うのです。一方この厚生省におきまして、どういう根拠か知らぬけれども、行政面の権限で産業労務者住宅として十億の資金を現在流しております。これに対するこの住宅行政の二元化から申して、こつちが先に立法化して強い法律を作らなければ、厚生省に労務者住宅というものの資金が流れてしまうというようなセクシヨナリズムから建設省考えたならば、これも一元化の問題に対しては賛成でございますけれども、それならば尚更のこと十分に厚生省の犯したところの過ちを正していい法律にして頂きたい。これは結論が出ない問題でございますから、強く要望しておきます。これに対する大臣の御答弁をお願いしたいと思います。
  55. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 大変田中さんのお話は私ども傾聴した次第でございますが、先だつても申したのですが、これは衆議院でしたが、今住宅の足らないということ、これは社会党だろうが、自由党だろうが同じように認めております。これに対する対策をやる場合におきまして、行き方がそれぞれの党によつて違う。そこで先ほど来自由党内閣でなければこれは考えんだろうと言われるような考え方ですが、企画課長から申上げたような方法で住宅を殖して行くことを考える。そこで今御指摘になりましたいわゆる労務者住宅というもの、これは私どもが、これも自分の若いときの経験を申して相済みませんが、経験から見ますると、会社等で職員の、社員の面倒を見ます範囲がよほど徹底しておるところもあるし、なかなか進まないところもある。例えば購買会の制度が非常に普及しておる、或いは、病院も立派にできておるとか、こういうところもありまするし、それから住居について特に力が入りまして、その社宅等を整備しておるところもある。全然新らしいところへ工場を作りますような際にはもう積極的に社宅等を計画しておられる。ところが最近の事情を見ますと、なかなか社宅までは手が廻つて行かない。そこでこの頃の金融の状況等を考えてみますると、直接の事業に対しての融資或いは貸付の方法は考えられるが、住宅資金の確保には非常な困難を感じておられる。殊に組合活動が活溌になつて参りまして、労使双方とも住宅の整備に努力するという方向に向いつつあるにかかわらず、なかなか経営者自身はその資金の獲得が困難で組合の要望にも副い得ない、こういう実情をしばしば見受けるわけでございます。その産業自身を育成するという観点に立つて住宅資金を供与したものに、過去においては炭住というものがあつたように思いますが、今回考えますものはそういう産業自体というものでなくて、当然会社経営者として力をそこにまでいたしたいと思いながらも資会獲得が困難でやり手がおらないのであります。この点は政府自身も考えて力を貸してやる、これが今建設省考えております労務者住宅考え方なんです。必ずしも事業自身が大事だとか、こういう意味の考え方じやなくて、もつと基本的な考え方から資金獲得に便益を供与しようというつもりなんです。この考え方から見ると、民間についてはこれは民間が或る程度自分資金と、それから特別な借入資金を合せて住宅を作るという考え方を持てばいいわけだし、政府自身は多数の公務員を擁しておるのだが、これに対する住宅というものについては非常に官舎の殖え方も蓼々たるものである。この辺にも一つ考え方があつて然るべきじやないか、先ほど御指摘になりました建設省企画課長はどういう家に入られるのだというお話をしておられますが、今住宅に困つておりますのは民間労務者ばかりでは実はないわけです。こういうものを合して同じような立場で考えるべきじやないか、先だつても省議を開きまして、労務者住宅の問題を取上げました際に、君たち一体役人はどんな家に入つておるか、こういうことも実は逆に質問してみたような次第であります。この住宅の問題を取上げて考えます場合に、これはもう社会党は勿論民間も、官民の間にも区別はないだろうと思います。私のほうも区別するつもりはないわけです。むしろ民間のほうが先にこういう制度ができて住宅が整備されることが望ましいというような考えを持つておるわけであります。これは官民を通じて、特に若い職員諸君が一番悩んでおるのが住宅の問題であります。さように考えますと、銘は労務者住宅として打出しておりまするが、積極的に住宅問題の解決に乗り出してみよう、そういう場合には併せて今の住宅のない者については官民通じてやはり考えるべきではないか、ここまで実はいろいろ苦心をいたしておる次第であります。そこで労務者住宅の場合におきましても、民間の業者に四割程度では貸付の金額が少い、もつと殖やさなければ徹底しないのじやないかという議論が必ず出て来ることだと思いますが、今申し上げましたような実情等から考えますると、政府といいますか、国が現段階でなし得る程度は先ず四割程度貸付、先ずこの辺から始めまして、而も経営者自身、又勤労階級と申しますか、その組合の諸君もやはり協力するという考え方でないと、この労務者住宅の法案は現段階では成立たないのであります。私ども考えるところでは、国と経営者と更に社員と申しますか、組合員と申しますか、その三者の協力によつて労務者住宅を確保して行こう。こういう方法で考えられて参れば、今の官民を通じての考え方も一応割切れるのではないか。更に進みまして、それは徹底的に進んで国営でやつて行くならば、それは官民の区別なしに全部が解決して行くことだと思いますが、何と申しましても今の実情はそこまではなかなか行きかねる、これはイデオロギーの問題ではなしに、結局財源の問題だろうと思いますが、そこらに一つの困難さがあることを御了承賜りたいと思います。
  56. 田中一

    田中一君 産業労務者住宅というものの定義を大臣お持ちでしよう、産業労務者住宅というものは何を指して産業労務者住宅と言うか、ちよつとお伺いしたい。それは法案が提出されれば細かい質問をしますが、一応大臣の肚構えを伺います。
  57. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 非常に厳格な意味のものがあるわけではございません。大体民間の工場等において、又事業者等を指してそういう所に勤務する人たち住宅確保という意味で、少し名前のほうが良過ぎるかわかりませんが、民間を第一に考えております。
  58. 田中一

    田中一君 私は仮に産業労務者住宅と言うならば、その職場に続く住宅という考え方を持つわけです。職場に続く住宅、その職場におるからその住宅にいなければならないのだというのが正しい解釈でなければならないのだと思う。若しも一般国民大衆のというならば、何も産業労務者住宅という別枠を以てやる必要はございません。従つて職場に続く一定の職域に一番便利な、職域に直結するところの住宅という定義を持つのが正しいのではないかと思うのです。この点はどう考えられますか。
  59. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 先ほど申しましたように、やはり国と事業者とそれから労働者との三者協力ということが一つの建前でありますので、必ずしも御指摘になりましたような職場に続く、こういう職場、特別産業形態その他から要請される、こういう点は余り考えなくてもよろしいのじやないか、こういうように実は思つております。殊に私今までの考え方から見ますれば、或る程度経営者というものが衣食の方法については相当積極的である。又住宅が非常に足らない場合に独身者の寮を経営したり、或いは社宅を持つたりしておりますが、これは必ずしも勤務或いは仕事と直接関係を持たなくてもいいわけです。非常に職場と関係を持つもの、炭住の場合にはすぐさように考えますけれども、或いは又鉄道職員等の官舎に強制的に収容する場合にはこれは職場との関連を特に考えておりますが、れはもう今までとられ出た特別な例だろう、今回押し拡めて行きますこの住宅政策としては、そこまで厳重に考えないほうがいいんじやないか、かように考えております。
  60. 田中一

    田中一君 そうすると、どうもこれは特別に産業労務者住宅なんというものを作らなくてもできるのです。ただ片方は仮に労働組合が造るとするならば、労働組合が住宅組合を作る場合には四割出さなければならんのです。住宅金融公庫から融資してもらえば二割乃至二割五分で済むのです。これは結局労働者には貸さないという立法の精神です、そうでしよう。大体住宅金融公庫から借りれば二割五分の頭金でいいのです。ところが産業労務者住宅から借りる場合には四割出さなければならん、こんな馬鹿々々しい法律があるとは考えられません。従つて労働者には貸さない、労働組合には貸さない、借りるなら金を持つて来い、結局経営者に貸すものと私は断ぜざるを得ないのです。そこで伺いたいのは、この貸付をする場合には健全な会社に貸すのですか。どうしても配当もできない、欠配だ、そういうところに資金を貸してやる、そうして家を建てれば、職工がその近所に住んでどんどん能率を上げて、今度は会社が黒字になるのだ、だから貸すのだというのか。或いは三割、四割の配当をしておる健全な会社に貸すのか、どつちです。それを伺いたいのが一つと、それからもう一つ会社住宅まで資金的に延びないというならば、三割、四割配当する会社は配当を軽減すれば、全免とはいいません、軽減すればその問題は解決するのです。従つて一体どういうものを対象にして貸付けようとするのか、大臣の見解を簡単でよろしうございますから言つて下さい。
  61. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) さつき私申上げましたことでちよつと訂正をしておきます。只今職場に続くということをそう強く考えなくてもいいと申しましたが、今交渉しておりますのでは立地条件として一応考えているようです。併しこの点はもう少しその案をまとめたいと思います。なお只今のお尋ねにつきましては、事務当局からお答えさせたいと思います。
  62. 鮎川幸雄

    説明員(鮎川幸雄君) 先ず第一に公庫のほかに産労を持出したのですが、御承知のように公庫は来年度三カ年計画に基きまして六万戸の住宅建設計画を要求いたしておるわけでございまして、このほうも最大限に住宅が建ちますように予算要求をいたしているわけでありますが、これだけではなお不十分であるというために、産業労務者住宅というものを更に立案いたしておるわけでございまして、若し同じような条件でこれを戸数を増すという処置をとりますと、公庫の条件で九万戸、十万戸の住宅を建てるということになりますと、非常に国家資金その他の負担が大きいわけであります。従いまして、この際は産業労務者の場合は四割は民間負担してもらうというような立場から、産業労務者住宅につきまして新たにこれを出したわけであります。必ずしも労務者には向かないというわけではないわけでございまして、そういうような立場から公庫のほかにそういう条件で持出した。  それから貸付の、どういう会社に貸すのかという点でございますが、只今のところ考えていますのは、いろいろ会社実情その他を調べまして、会社の非常にたくさん社宅を持つているところとか、会社の従業員に比しまして住宅不足が余りないというようなところは、それぞれいろいろな調査をいたしまして、その会社の償還能力その他は勿論十分に調査いたしますと共に、住宅不足状況を十分に調査いたしまして、貸付対象をきめるように今のところ考えております。
  63. 田中一

    田中一君 どうもおかしいですね。住宅金融公庫から借りますと、頭金二割五分でいいのです。自己資金、自己資金といいますけれども、この二割五分ですら負担できない者が多い。そこへ持つてつて、産業住宅というものを立法化して、これを貸付るというときには四割まで負担しなければいけない。こうなりますと、労働者は、庶民階級はこの産業労務者住宅資金は借りられない。借りては損ですよ。借りると一割五分余分に自己資金を出さなければならない。これは労働組合には貸さない法案なんですね。そうでしよう。住宅金融公庫のほうに国のほうで予算をうんと流してそつちに出せば、二割五分の頭金でいい。産業住宅の場合には四割払わなければならない。労務者はどつちをとるかといえば、頭金の少い二割五分のほうをとりますよ。そういう矛盾した法案を出して、労働組合にも頭金を出せば貸すのだということはこれはインチキですよ。結局結論は資本家に貸すのだということに結論付けられる。
  64. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) よくわかりました。今の公庫個人対象にしている。それは勿論組合だろうが自家用だろうが、これは公庫融資ならば頭金も少くて済む。ただ今回の労務者住宅というものになると、直接組合員或いは職員というよりも会社側が、本来なら会社が積極的に住宅まで作つて提供して面倒見るのが筋だろうと思う。なかなかそれがやれておらない、今までですね。そういう場合に会社をしてこういう住宅整備の資金を四割で貸してやるのだから、お前のほうは早く作つてやらないか、こういうのが一つの狙いになりましよう。そこで、先ほど申しますような立地条件というものも或る程度考えざるを得ないということになるだろう、こういうふうに思います。然らば御指摘のように或る会社の労働組合が借りる場合が考えられるかというと、これは恐らく御指摘のように組合自身が借りないで、会社をして借らす場合のほうが多いだろう、これは御指摘になつたようにどうも詰らないじやないかという議論になろうと思います。
  65. 田中一

    田中一君 細かい問題はいずれ提案されてからやります。このくらいにしておきますが、よく大臣もお考え願いたいと思います。  それからもう一つ伺いたいのは、大臣借家政策をとつて民間にたくさん借家を作らせる。これに対しては税の減免もしよう、こういう政策を発表になりました。私はこれに対しましては、又家主という、遊んでいて、懐ろ手して金をとる階級を作るために大事な国家資金を、税金というものを減免して養成するという考え方は、これはお考え直しを願いたいと思います。大臣もおれも借家におつたと言いますが、私も借家におりました。もういやなものです。三月、四月溜りますと、取るほうもいやだと思うのです。そういうものを大事な税金を減免して作らすという政策は、やはりこれは自由党さんの政策だと思いますが、併しどうもこれだけは……これはあえて申しません、もう時間も経つていますから。これだけは一つ十分にお考えになつて、又いやな家主を作らないで、家主になるほうも辛いのです。払つてくれなければ経営が成り立ちませんし、そういう中途半端なものを作らないで、どうか国営住宅一つ推進するように希望して、私の質問をやめますが、家主政策に対する税の減免というのは私ちよつと知らなかつたのですが、今日企画課長から伺つてびつくりしたのですが、こういうことは国民大衆に済まないです。この点について大臣やはりこの政策をおとりになるか、ちよつと伺いたい。
  66. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) これはどうも私も一言しておかなければならない問題でございまして、私ども考えますのに、今の住宅不足、これは非常な急激な窮迫状況只今現わしている。政府がここ二、三年来住宅政策に乗り出しておりますが、その力たるや誠に微微たるもので、要望にもなかなか応えられない。過去の実績等を考えるのは、現在の経済状況に合わないかも知れませんが、或いは社会状況からして過去の状況等はよいと申すわけではありませんが、借地借家法もできておることではありまするし、やはり民間の協力はどうしても必要ではないか。全部何もかも国でやるというわけには行きかねるのではないか。民間の協力を求める方法は何かないかというのが私の一つの到達した結論なんです。そこで民間の協力を求めようといたしました場合に、不安な経済状態でありますと、この種の建物、借家を作るというような投資は大体されるものではない。殊にインフレの際に家賃は全部据置かれて釘付けになつている。そうして物価はどんどん高くなる。こういうことだと、このくらい採算のとれない仕事はないのです。ないに違いない。かような意味から戦後借家といいますか、住宅は殆んどできない。それらのことをいろいろ考えてみますと、基本的には経済現象がかようにさせたのでありましようし、もう一つは社会環境からも借家に投資するということは、これは採算もとれないということで非常に手控えしておる。だから今急速に家を殖やそうと考えましても、なかなか国の政策だけでは徹底ができない。誠に不十分です。そういう際に、特に民間の協力を求めるとすれば、民間人からの借家建築、これを容易ならしめるようなことをどうしても考えざるを得ないのじやないか。そこでこれはまあ新築の場合に限るのでありまするが、従来の建物についてはとやかく申すわけではありません。新築をして行く場合に減税考えられないか、こういう問題に実は発展をして行くのであります。これはまあ民間一つ事業を発展させようと、かように考えます際に、政府がとる普通の政策のように思うのであります。これはもう申上げるまでもなく御承知のことだと思いますが、借家は古いときに作りましたものは全部家賃は据置きであります。最近できます、新らしくできるもののみがこの統制から外されておる。而も経済状態が不安だとなかなか長期に亘つて償却するような事業には投資されるものではないのであります。さように考えますというと、民間の協力を得ないと急速には住宅は殖えんという結論になれば、成る程度減税措置等をも考えて、民間の投資、この事業への投資を容易ならしめるというのが結論なんであります。これは国で全部やつちまえ、何もかも全部賄えということになれば、これは別でありますが、今の状況ではなかなか不十分で、九牛の一毛程度財政資金、或いは政府預金部資金融資しかできないだろう、どうしても民間の協力が必要だろうというのが私ども考え方なんです。
  67. 田中一

    田中一君 どうも不満足です。これはね、最近の閣議で決定して、地代、家賃の五割値上げを認めましたね。無論こうして天井を抑えないでですね、税金だけ減免してやる、おかしい話ですよ、天井を抑えないで……。それで新築家屋は幾らの家賃でも構わない、それで減税してやる。そういうことでは、結局家主さんが懐ろが殖えるばかりなんですよ。それでもいい家が建つたほうがいいというのなら、あなた、保安隊の予算を吐き出しなさい。そうすればたくさんの家ができるのです。これが結論です。もう何も民間資金は要らないです。又家主なんていやなものを作らないで、保安隊の費用を吐き出しなさい。立派に解決しますから……。まあこの辺で終ります。
  68. 下條恭兵

    委員長下條恭兵君) 住宅問題に対する質疑をこの辺で打切ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕   —————————————
  69. 下條恭兵

    委員長下條恭兵君) それでは次に、河川局の治水課の永野事務官も参つておりますので、河川行政についての御質疑を願います。
  70. 石川榮一

    ○石川榮一君 田中議員の非常に抱負を聞かせられまして、私も幾らか示唆を受けておるのでありますが、成るべく党の立場ということを根底に置いての提議は、なかなか結論を得られないと思いますから、お互いに党ということを離脱いたしまして、建設行政に協力ができるようにお願いしたいと思いますが、ややもすると我が党は我が党はという言葉が出るのは非常に異なるものでありますので、どうかこの点は一つお願いいたしたいと思います。  それでは河川行政について大臣に御見解を伺いたいのですが、私は今まで他の会合に出ておりまして、今までの経過をよく存じておりませんが、現在の河川改修費に対しまして一言意見を申述べて、御所見を伺いたいと思います。全国の重要河川、直轄河川、中小河川、全部荒廃に帰しております。これは御了承の通りでありますが、これらのものを完璧に改修するというような方針を先ず立てねばならぬと思うのでありますが、一般の情勢から考えまして、現在の状況では殆んど将来の改修計画が見通しが付かないというように考えられるのであります。その証拠には、二十七年度予算が、僅かに河川改修費として百四十九億程度しか組んでおりません。直轄河川が僅かに八十三億、中小河川は三十五億余万円という程度のものでありましては、四十年乃至五十年を要すると思うのでありますが、更に毎年の災害がこれに附加いたして参りまする点を考えますると、これは殆んど日本の治山治水というものは予算から見離されるというような状況にしか考えられないのであります。でありまするから、二十八年度の予算を御検討なさる場合においては、治山治水というものが公共事業費の主なるものだという観点に立ちまして、国土保全開発という狙いからも考えて行きまして、大巾にこの河川改修費を閣議において御主張を願いたい。殊に河川改修に対しましては年次計画を立てて頂きまして継続費による予算的な措置が確立ができるような方途を講じてもらいたいと思うのであります。現に各河川の状況を視察して参りますると、予算が足りませんので、途中にして中絶をして、開店休業をしておるような状況が各地に見られます。これはむしろ国費を浪費するように相成るのでありまして、非常に遺憾だと思います。でありまするから、河川改修に関しましては、是非とも継続費によつて予算措置が講ぜられるようにして頂きたい。少くとも十年、或いは十五年という見通しをつけて頂きまして、その枠内においての仕事は或る程度まで弾力を持たせるような予算的の措置を講じて頂きまして、そうしてこの改修の目的を達して頂きたい、かように考えまして、大臣に所見を伺いたいと思うのであります。
  71. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 申すまでもなく、国土保全の根幹をなすものは河川だと思います。従つて河川の改修につきましては、在来から特に意を払われておるところだと思いまするが、その年々の財政状況等に左右されまして、なかなか思うに任しておらない。この河川改修、国土保全という観点に立ちまして、種々計画を立てて参ります場合に、これがその年々の財政状況に左右されるというようなことでは、この種の事業はなかなか実行は困難だと思います。これは非常にわかりいい御意見であります。この河川改修の、まあ治水と申しますか、それを取上げて参ります場合に、いろいろ根本的な問題があるでありましよう。この席におられます、この砂防関係の権威のかたもおられますし、或いは又河川の氾濫によつて災害を被むる農地関係の権威のかたもおられまするし、まあどの面から見ましても、一層の予算の増額が必要になつておると思います。私も皆様方の格別の御支援の下に、できるだけ予算を確保いたしまして、そうして現在の要望に応えるように努力いたしたいと思つてはおります。なかなか併し困難な問題だと思いますので、この上とも勉強いたしますので、どうか何とぞよろしくお願いいたします。
  72. 石川榮一

    ○石川榮一君 継続費に関する御見解は如何でしよう。
  73. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 制度といたしましては、至極賛成でございます。併しそれもまあ全面的に採用ということは、なかなか現在の状況では困難ではないかと思います。特殊なものにつきまして、重要なもの等を取上げて、継続費的な構想でこれを実施すると、こういうことは可能ではないか、かように考えております。
  74. 石川榮一

    ○石川榮一君 継続費に対しましては、どの河川も全部とは言いませんが、少くとも十大河川程度のものは十年、十五年、或いは二十年程度の目安を付けました年次計画を立てた継続費によつて工事が進行できるような措置是非とも私どもはお願いしたいと思うのであります。それからダムの建設のようなものにつきましても、予算が途中でなくなりまして、半年は開店休業してしまうというような事態が各地にあるようであります。ダムのようなものは特に完成をしなければ全然意味がないのでありまして、五年の計画のものが十年かかるというようなことでありましては、むしろその間におけるいろいろの災害から、そのダムが機能を発揮するどころではなくてう却つて邪魔になるというような傾向が見えるのでありますから、ダム建設案につきましては予算的な措置を特に御注意願いまして、年次計画に狂いのないようなものを一つお立て願いたいと思います。現に五十里のダムにいたしましても、猿ケ石のダムにいたしましても、各地にそういう事態が見られております。すでにあらゆるダム工事は、建設中でありますものは殆んど休んでおります。明年の三月まで今渇水期で非常に能力を挙ぐべきときに開店休業をしておるという事態に追込まれておる。非常に遺憾でありますが、明年度のダム建設につきましては、それらの点を御勘案願いまして、この予算の獲得に万全を期して頂きたいと思うのであります。特に私が強調いたしたいのは、現在の予算の配分程度における河川費でありましては、これは永久に日本の河川は私どもは改修することは不能に陥つてしまうというように考えられるのでありまして、一兆億に及ぶ予算であります以上少くともその一割程度は河川費に投入すべきである。少くとも一割は河川費に投入するという建前、治山治水に対しては、一割くらいは公共事業費のうちから必ず闘い取るというような御決意を願いませんと、先ほど来いろいろの話もありましたように、雀の涙的な予算に堕してしまいまして、後の災害に押し流されてしまう。百年河清を待つという形になる、無理だと思うのでございますが、私どもは全国の河川の荒廃状況から考え、現在の国家予算の配分の状況から考え、一割程度の全国に対する治山治水費を出すことは決して不当ではないと思います。これらは一つ御検討願いまして、御善処を願いたいと思います。
  75. 小川久義

    ○小川久義君 各地を廻つて見ますと、過年度災害がまだ完全に復旧していないというようなものが相当あるように聞き及んでおりますが、ひどい所は二十三年度もまだ残つておる、二十四年度から残つておるのは普通だが、たまに三年度も残つておるということを聞くのですが、河川改修並びに災害復旧に対する現在の工事はどうなつておるか、これをお聞かせ願いたいと思います。
  76. 石破二朗

    政府委員(石破二朗君) 所管局長が参つておりませんので、私から便宜災害の現況について御説明申上げます。お話通り災害にかかりまして、未だ復旧していないというものは古くは昭和二十三年の災害でまだ復旧かできていないというのも若干あるのでございまして、昭和二十三年以降二十六年までに発生しました災害で本年度中に復旧の完了しない、つまり二十八年度以降に処置を要する災害の額は、事業費にいたしまして総額約八百億程度に上つております。勿論これは河川ばかりでなしに道路の災害も含んでおります。約八百億、それに二十七年は災害が少かつた異例の年ではございますが、これでも本年中に処覆できるものは約二割七、八分程度しかありません。この分で来年に持越す分が約二百億もうちよつとかと思います。およそその程度あります。合計いたしますと、約一千億の災害復旧工事が明年度以降に持ち越されるという状況でございます。明年度の予算措置といたしましては、建設省におきましては、先ず二十三年、四年というものはこれは来年中に全部直してしまいたい。それから五年、六年というものもほぼ残額のその半分程度は来年直してしまいたい。七年の分でございますが、これも災害額の半分程度は直してしまいたい。大体そういうつもりで予算は組んで大蔵省に要求中でございます。
  77. 下條恭兵

    委員長下條恭兵君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  78. 下條恭兵

    委員長下條恭兵君) 速記を始めて下さい。
  79. 小川久義

    ○小川久義君 只今お聞かせ願つた災害の復旧被害総額が一千億にも上つておるという話ですが、大臣一つその一千億を取つてもらうようにしてもらわんと、いつまで行つても焼跡の始末ばかりで、そのうちに新らしい災害ができると又手がつけられんということになるので、この際一応大臣がお代りになつた腕試しに、一千億を一つ是非つてもらうということに絶大な御尽力をお願いしたいと思います。
  80. 田中一

    田中一君 今日はこの程度にして、この次に河川局長に来てもらつて、そこでもう少し質疑があるのですが、調査案件があるのですが、どうでしよう。
  81. 下條恭兵

    委員長下條恭兵君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  82. 下條恭兵

    委員長下條恭兵君) 速記を始めて下さい。  それでは本日はこれにて散会いたします。    午後零時十八分散会