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1952-12-02 第15回国会 参議院 建設委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月二日(火曜日)    午前十時二十五分開会   —————————————   委員の異動 十一月二十六日委員徳川宗敬君及び三 木治朗君辞任につき、飯島連次郎君及 び三浦辰雄君を議長において指名し た。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     下條 恭兵君    理事            赤木 正雄君            松浦 定義君    委員            石坂 豊一君            深水 六郎君            飯島連次郎君            前田  穰君            江田 三郎君            田中  一君   国務大臣    建 設 大 臣 佐藤 榮作君   政府委員    建設政務次官  三池  信君    建設大臣官房長 石破 二朗君   事務局側    常任委員会専門    員       菊池 璋三君    常任委員会専門    員       武井  篤君   説明員    建設事務次官建    設大臣官    稲浦 鹿藏君    房文書課長   水野  峯君    建設省道路局道    路企画課長   佐藤 寛政君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○建設行政に関する調査の件(建設行  政一般に関する件)(道路関係事項  に関する件) ○昭和二十七年度建設省関係補正予算  に関する件 ○建設省関係提出予定法案に関する件   —————————————
  2. 下條恭兵

    委員長下條恭兵君) 只今から委員会を開会いたします。  先般委員長理事の打合会におきまして、お手許に差上げましたような今国会の委員会審議の日程を打合せいたしたわけでございます。そのうち、去る二十八日の分が、建設大臣の都合によりまして取止めになりましたので、今回から一回ずつ遅れて順次やつて行くことになると存ずるのでありますが、そのうち道路関係、それから今日建設大臣所管事項についての政策方針を承わつて質疑をいたしましたあと、すぐ道路関係状況調査というのを聴取し、一緒にやつてしまいたいと思うのでございますが、この点御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 下條恭兵

    委員長下條恭兵君) それではそのように決定いたします。では建設大臣から所管事項についての政策方針を承わりたいと存じます。
  4. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 第四次吉田内閣ができるに際しまして、私建設大臣を拝命することになりました。建設委員皆さん方には特に御厄介になると思いますが、どうか今後共よろしく御指導を願います。  只今委員長からお話がありました建設省所管事項、特にそのうち最近新政策として取上げられましたものを主にいたしまして、最近の実情を御報告申上げたいと思います。  先ず第一に、治山治水総合的多目的計画の実施についてでございますが、御承知のごとく累年の災害による国土の荒廃は誠に甚しいものがあるのでありまして、産業経済復興と民生の安定を著しく阻害しております。このことは誠に遺憾に存ずるところであります。かかる状態に対処いたしまして、政府洪水対策根幹とする治水及び利水総合的計画を急速に確立して、国土保全を図りまして、河水の涵養、配分を行い、諸利水事業進展に資したいと思つておるのであります。これがためには、河川管理一元化を確立いたしますると共に、以下述べます河川改修多目的ダム建設砂防等の諸事業を積極的に、且つ継続費制度確立等によりまして、計画的に推進する考えであります。  その第一点は、河川管理一元化という問題でございますが、これにつきましては、先ず治水及び利水を総合的に調整をし、且つ国土総合開発計画並びに治山計画との緊密な連繋を考慮いたしました河川計画を各水系について樹立し、河川を水源から河口に至るまで一元的に管理し、河水配分及び河川に関する諸工事を一元的に行うとするものであります。これがためには現行河川法を全面的で改正をいたしまして、河川に関する制度整備いたしますと共に、河川審議会を設置いたしまして、複雑多岐を極める河川管理運営の万全を期して参りたいのであります。  その第二点は、根本的河川改修事業推進でございますが、これにつきましては、既往の治水計画にこの際根本的検討を加えまして、重要水系については速かに根本的治水計画を確立し、昭和二十八年度以降におきまして、強力にこれを推進いたしたいと存じておるのであります。その第三点は、多目的ダム建設でございますが、冒頭に述べましたごとく、治山治水の多目的計画根幹をなす多目的ダムを積極的に建設することにより、洪水を調節いたしますと共に、電気事業資金等事業資金をこれに積極的に投入いたしまして、刻下急務の電力を増強し、併せて灌漑用水工業用水水道用水等確保したいと行ずるのであります。第四点は、砂防事業推進でございますが、治山治水根本的対策としての砂防につきましては、先に決定を民ました第一次砂防五カ年計画の達成を強力に進めて参り、これによつて大体において直轄河川水系において年間流失土砂量の五割、その他の水系において二割の土砂打止を図り、以て災害の軽減、利水ダム埋没防止に寄与して参りたいと存じます。  次に重要幹線道路資源開発道路整備と、目的税設定による整備資金確保についてでございますが、最近における自動車の急速なる発達と産業進展経済復興に伴います自動車による貨物輸送量の急激な増大によりまして、道路に対する負担は深刻な状況であります。ここにおいて国土開発の基礎を開き、産業経済文化等発展の動脈を確立するため、左の通り重要幹線道路及び資源開発道路整備促進を図つて参る考えでございます。七の第一点は、道路改良推進でございますが、東海道山陽道等主要幹線道路及び、京浜、中京、京阪神、北九州地区等の周辺における産業経済上り重要な幹線道路等重点を置きましに幹線道路整備計画推進いたしますこ共に、電源、鉱産、林産、農水産業資源開発道路新設改良し、併せ、国際的観光地域における道路整備も図つて行きたいと考えます。第二点は、道路舗装促進木橋永久化でございますが、主要幹線道路及び都市内外道路舗装を急速に整備しますと共に、幹線道路中にあります木橋のうち、緊急を要するものにつきまして、極力これが永久橋化を図つて参りたいと存じます。その第三点は、有料償還方式を以て実施することが適当とされます道路新設改良につきましては、先に立法措置が講ぜられました有料道路制度を強力に活用することとし、来年度以降においてはこれを積極的に発展推進させたいと考Wておるのであります。第四点は、東海道における交通輸送飛躍的増加に備えるため東京神戸間高速度自動車道路建設推進して参りたいのであります。これがためには建設費財源として極力外資の導入に努める考えであります。第五点は、目的税の創設による整備資金確保でございますが、最近とみに顕著となつて参りました路面の悪化に鑑みまして、道路舗装拡充し、路面補修の完璧を期するためガソリン税確保いたしまして、これを特別財源として道路舗装及び補修の経費に充てたいと考えまして、目下その具体的措置検討中でございます。  次に、勤労庶民住宅建設促進についてでございますが、住宅の絶対不足を、年々の人口一増加等に伴います住宅の需要を充足しますと共に、早急に住居水準向上を図るため勤労庶民住宅重点を置きました次のような諸対策を実施して参りたいと考えておるのであります。その第一点は、低家賃公営住宅建設でございますが、すでに決定されました公営住宅第一期三カ年計画十八万戸建設を実現し、更にこれの拡充を図ることによりまして、低額所得者に対する住宅の供給を確保して行きたいと考えているのであります。第二点は、住宅金融公庫融資住宅拡充でございますが、これにつきましては、毎年度六万戸建設目標とし、中産階層自己住宅建設賃貸アパート建設促進して参りたいのであります。第三点は、産業労務者住宅建設でございますが、産業労務者に対しまして、特に重点的に住宅を供給するために、国より事業主又は労務者の結成する住宅組合等に対し、住宅建設資金の約六割を融通いたしまして、労務者住宅建設する制度を創設し、生産能率向上労務者の福祉の増進を図つて行きたいと考え目下具体策研究中であります。  以上申述べましたほか、一般民間住宅の自力による建設促進いたすため住宅投資を容易ならしめるための諸方策につきましても、目下いろいろと研究中でございます。  以上誠に簡単でございますが、最近の事情を御報告申上げた次第でございます。
  5. 下條恭兵

    委員長下條恭兵君) 只今大臣の御説明質疑のあるかたはどうぞ順次御発言を願います。
  6. 田中一

    田中一君 今建設大臣から所管事項政策について御説明がありましたが、そのうち河川管理一元化、第一の問題は、今日まで河川管理二元化或いは三元化されておつたかどうか、又一つ河川につきましても、例えば中腹の砂防その他につきましては、どういう措置をとつてつたか、河川という定義がどこからどこまでを指しておるか、こういう点、あえて河川管理一元化ということをおつしやるところを見ると、今までの間には一元化されない点があつたんじやなかろうかというように考えられるのですが、この点はどういう経緯であり、又どういうことをするのか伺いたい。それから河川審議会、これは今日まではなかつたように思うのですが、これはどういう構想で、どういう形のものを考えておられるか、先ずこの点について御説明を伺いたいと思います。
  7. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 今田中委員お話、或いは言葉が少しきざに聞えたかわからないと思いますが、若しきざに聞えましたらお許し願いたいと思います。ただ私素人でありますが、率直に考えまするのに、今までの河川事業治水に特に力が入つてつたように思います。従いまして利水の面におきましては、それぞれの主務省発言権はなかなか強力であつた、又今後も強力であるだろうと思います。例えば農林省関係においての灌漑用水の問題或いは水力発電関係における通産省関係或いは審議庁等各省に関連いたしおります関係から、なかなか強力な発言等があるわけであります。従いまして国土根幹をなすと考えられる河川なり或いは道路、それは国土根幹をなすものと私考えますが、道路についてはさような点は比較的薄いのでありますけれども河川につきましては、国土総合開発或いは国土保全根幹をなすものと考えられまするが、この利水の面が大きく取上げられますると、そのほうの発言が非常に強くなつて参ります。そういうことを考えて参りますると、これは関係各省間の連繋は一層緊密にしなければならないと思いまするが、若しもこの発言が強い結果、各省にこの河川行政が分属するような結果を来たしますと、誠に重大な結果を招来するのではないか。非常に卑近な例をとつて申しますれば、昨年長良川堤防決壊をいたしました。いろいろ実情を調べてみれば、これは灌漑用水の取入口決壊した。まあかような話が伝えられておるんであります。かようなことを考えますると、河川改修或いは治水ということをいたしておりまするのも、これは国土保全ということが主体でありますので、一局部だけからその問題が特別な影響をこうむりますると、基本的なものが壊れて参るのではないか。さような意味合いにおきまして、今更改めて言う必要はないのでありまするが、やはりこの一元的管理という表現がややふさわしいのじやないか。むしろ政治的な意味を含めたものであります。従つて御指摘のように、或いは少しきざに聞えておるかわかりませんが、別にこれによりまして、各省間の権限争いをする考え方でもなければ、在来特別に河川行政めちやめちやになつておるというわけでもないのでございます。在来からその方針は一貫しておるだろうと思います。ただ最近の情勢等から見まして、国土保全或いは開発等根幹をなすものとしての河川、かような見方をし、同時に治水と併せて利水関係に力を入れて参るべきではないか。かような考え方で申上げた次第であります。それからその次に河川審議会お話が出ておりましたが、これはまだ仮の名称でございますが、只今申上げるような考え方で、よほど以前に制定されました河川法の全面的な改正をお願いしなければならないだろう。そういう場合におきまして、只今申上げる利水観点等から、各省関係者を集めての審議会を持ち、そして立派な河川行政を進めて行く。かような意味でございます。河川法改正の御審議を頂きますれば、只今申上げるような点が、皆さん方の御批判なり、又御指導を頂くことになるのではないか、かように考えております。
  8. 田中一

    田中一君 非常に河川管理一元化という言葉が嬉しく響きまして、これは今度はいよいよ新大臣は、少なくとも今までの難点、難関を切り抜けて新らしい構想の下に出発せられると思つて非常に喜んだわけです。御説明同感であります。併しながら実際ただ審議会を設けて、各省の連絡をよくするというだけでは解決しない問題がたくさんあります。具体的に建設省部内ではどういう構想で、例えば農林省の問題にしましても、長良川決壊にしても、そういう事実があるから、どういう形でそれを一元化方向に向つて行くか、ただ抽象的な感じ方だけではいけないと思うのですが、何か具体的にあなたの持つておる強い政治力を以て、農林省一つの牙城を破つて、新らしく本筋なその総合開発河川行政に向つて行くか、何か構想があるためにおつしやつたと思うのですが、若しあるならば、二、れももう少し具体的に御説明を願いたいと思います。又閣議でそういうような発言があり、又農林大臣もそれに同調したようなことがあつたかどうかを伺いたいと思うのですが、もう少し詳しく……。
  9. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 大体基本的な方針というものは、余り肉の附いておるものではないわけですが、強いて肉を附けて参るといたしますれば、最近食糧増産計画というものは、これは国策で非常に大きな問題であります。食糧増産計画がまとまれば、干拓であるとか、或いは開墾だとかいうようなことが、いの一番に取上げられるのでありますが、私ども河川行政の面から見ますと、この河川行政計画は、やはり積極的に食糧増産にも寄与するのじやないか、今日の河川状況から見れば、既設耕作地災害を受けるこの町歩は年々相当広大な地域に及ぶわけであります。かように考えますと、建設省農林省が絶えず対立するものではなく、国の政策として協力又同時に推進上得るものがあるわけです。河川改修が、この治水目的を達しますれば、引いては只今申上げたような熟田を浸水或いは流失から防ぐこともできる。これは年間に見積りますれば相当の減収を食止めることにもなるだろうと思います。そういう場合に農業土木と言いますか、農業土木の受持の範囲と、私ども河川についてのこの建設関係土木の分担する範囲はおのずから実はぎまつて来るわけであります。長良川の例をとつて申しますれば、大体堤防に関するような工事は、これは建設省が所管すればよろしいことであつて、そういう堤防農林省が直接農林土木の見地から工事をやられるということは、これは河川行政の面から見ましているく問題を残して参るんじやないか。併しながらこの取入れる場所その他等につきまして、取入れた後の排水、用水のこの水路等の問題になりますれば、これは完全に建設省の分野ではないと思うわけであります。或いは又水力発電或いは最近特に関連を深めて参りました多目的ダム建設等のことを考えて参りますと、これは治水観点のみからは実はこのダム建設推進できないのであります。それらのことを考えて参りますと、一層相互の連繋を緊密にして参らなければならないのであります。このダム建設観点に立ちますと、農林省関係のいろいろの用水ダム問題等もあるわけであります。殊に建設省関係しない地方の小河川等におけるダム建設というものが、しばしば大きな災害惹起す等のことも考えますれば、やはり建設省自身が直接手を下さなくとも、そういう意味合においての国としての一体的な考え方だけは是非とも推進して参りたい、かようにも考えるわけであります。余り具体的な事例につきましては、私御説明するだけの材料に乏しいわけでありますが、御了承願いたいと思います。
  10. 赤木正雄

    赤木正雄君 関連して私も大臣にお尋ねしたい。河川管理一元化は誠に結構なことであります。こういうことの起るようになつた元は、今日の河川行政に余り思わしくない点があるから勢いこういうことが起つたと私は思います。例えて申しますと、先ほど大臣は岐阜県のことをお話になりましたが、あの昭和二十三年の秋田県の大水害の雄物川災害の決潰を見ますと、七十三カ所、「破堤している場所の七十三カ所が用水の取入口が原因して破壊しております。つまり一つの川を或いは農林省、或いは建設省、こう二つ考えておるからその間に調整がとれない。もともとこういうことの起るのは殊に最近に甚だしいのであります。まあ大臣も御承知かわかりませんが、一体その治水というのは、全部今日の建設省の前身である内務省においてやつておりましたが、農林省といたしましても、これに関連したような仕事をする。これが両省争いになりまして、昭和八年の第三回治水会議の席上で、石川県の大聖寺川を初めて中小河川であると、中小河川が起つたのはあれが初めてであります。それからして、これに準じた河川は殆んど中小河川でやり得るように当時の内務省で決定してしまつたのです。ところが農林省も又これに負けないで、お互いに競争してこれに準じたような川をやる。そういうふうにやつた結果、一つ河川両省でやつて、或いは取入れとかすべてのことにおいて非常に……、ただ迷惑をするのは地方農村民ばかりである、こういう実情でございます。私は端的に申しますと、現在の河川行政は昔に比べて非常に、何と言いますか、劣つていると思います。もつと昔はしつかりしておつた。こんなことはなかつた。最近の河川行政は非常に乱れておる。取締りと言いますか、何と言いますか、すべてのことが昔のことと比べますと、すつかり思いも寄らんように緩んでおります。例えて申しますと、琵琶湖、あそこは湖南汽船の発着の波止場がほうそれにありますが、琵琶湖は淀川の洪水関係から、その波止場汽船のとまる杭一本打つことさえ、大阪の土木出張所長がやかましく検査をして、なかなか杭一本でもよう打てなかつたのです。我々素人考えましても、又誰が考えましても、杭一本打つのに、そんなにやかましくしなくてもいいじやないかというほどやかましく言つて、あの杭一本を打たしたのであります。併し今日はばかばかしくてそんなようなことはやらないと思いますが、これは一例でありますが、すべての河川に関する取締りが実にルーズなんです。折角長年かかつて我々の先輩作つた河川法も、立派に守られておらないという現状なのであります。併し大臣の今おつしやつた考えで、二つの省の仕事を円満にやつて行く、これは結構でありますが、私はこれは実際問題としてなかなかできんことだと思うのです。例の幣原内閣のときに、治水省という構想があつたのです。私もそれは非常に賛成した一人なんですが、治水省と申しますと、つまり一つの水を治水利水二つの省から取扱うのは間違つているのだ、水は一つですから、これは一つの水を、場合によつて治水に用い、場合によつて利水に用いまして、堤防を造つたら、同時にそれが用水に用いられるようにすれば利水になります。そこで初めて完全な機能が発揮できるのであります。折角大臣が一生懸命やられましても、二つの省に分離していては、私は完全な目的は達せられないと思います。私はやはり幣原内閣のときに構想があつたように、治水利水一元化して、水政省というような、名前は何でもいいですが、一つの省にして、治水利水を一本にして、建設省が解体しても、農林省が解体しても、どつちが解体しても、国のためになるといつたような形に持つてつたほとがいいと思いますが、これに対する大臣御所感を伺いたいと思います。
  11. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) さすがに赤木さんはこの道の先覚者であられますし、大先輩でありますから、お話を私ども伺いまして、大いに蒙を啓いて頂けることを厚くお礼を申上げますが、私は各省所管事項につきましては、只今言われるような大改革をいたす考え方は実は持つておりません。成るほど困難な仕事には違いないのでございますが、一面やはり分業的になつて参ることも考えられまするし、問題は分業的専門的にはなつて参るが、それを総合的にやはりまとめ上げる、これが政府全体の実は仕事ではないかと思うのであります。かように考えますると、各省仕事が、対象の事業の性格から分れることは、これ又止むを得ないのではないか。併しながら、調和なり、或いは総合的機能を発揮するようには是非ともいたして参りたいものだ、分業、専門化することも又一面大いに進めて参るべきではないかと、こういうようなものの見方を実はいたしておるのでありまして、私が先ほど堤防の話をいたしまして、雄物川の例をお話しになりました。これは至極御尤もな話であります。他の例で申します。ると、道路鉄道線路をオーバー・クロスいたしまするが、こういう場合におきまして、建設省が国道を建設いたすにいたしましても、この鉄道線路の上を通ります工事自身は実は鉄道をしてやらしておるのであります。これはやはり建設省が、道路観点から誠に大事ではありますが、工事自身鉄道の運輸、これに支障を来たさないように、鉄道にやらすという考え方在来からずつと引続いて参つております。これらの事柄が一つ原則化されまするならば、先ほど例にとりましたような堤防問題等は解決して参るのではないか。最近長良川の問題につきましては、両省間において実は話がまとまつております。ただ私今後皆様方の積極的な御協力と御指導を賜わりたいと思いますことは、私ども建設省が取り行うところの治水というものは、これはただ単に水を治めるだけのものではないので、国土保全並びに国土総合開発久観点から治水を実はいたして参るわけであります。これが最近必ず食糧増産という問題と考え方によりましては摩擦を生じて参るのではないかと実は非常に心配をいたしておりますが、私は先ほど申しますように、既設耕作地帯浸水等を防ぐごと、これも食糧増産から見ると大きな役割の一つであると思うのであります。かように考えて参りますれば、両省間の調整必ずしも、むずかしいことではありますが、これは不可能なことではないだろうと実はかように考えて、私ども努力目標只今申上げるような方向に実は置いておるような次第であります。殊に赤木さんの関係しておられます砂防等の問題になつて参りますと、両省間の摩擦対立堤防の問題より以上になかなか複雑なものがあるだろうと思いますが、これが山林と渓流とだけに分れるだけで片付きますものかどうか、更に私ども今後一層勉強して参りたいと思つておりますので、附加えて申上げておきます。
  12. 赤木正雄

    赤木正雄君 今大臣道路のことをおつしやいましたが、成るほど大臣鉄道関係をよく御承知でありますからして、毒この問題も、実は今日道路建設省でありますが、例の幣原内閣のときには、道路を切離して港湾と同時に運輸省に持つて行こうとした。ところが当時の内務省土木関係が猛烈に反対して、これが止めになつたのです。これが止めになつたことがよいか悪いか非常に疑問だと思うのです。やはり道路行政の一環として道路鉄道でやつたほうがよいのではないかということは、十分審議する余地があるのではないかと思うのです。今大臣は非常にうまく行つておるとおつしやいましたが、もう一歩掘り下げると……、大臣のお心は非常に私存じておりますから、これ以上申しませんが、その点もありますので、特にこれはお考え願いたい。特に砂防の問題につきましては、これは深刻な問題でありまして、大臣の御生国の山口県に参りましても、向うに付く予算と、こちらに付く予算との均衡がとれてない。その関係で当然昭和四年の閣議で決定した事項にかかわらず、その事項を破つて殆んど建設省のやるべき仕事をどんどんやつている。なぜそういう仕事をやるかと申しますと、農林省としては、今年の三月までにやつてしまわんと困るが、それは山腹工事がなかなかできないから止むを得ず堰堤工事をやつているのだ、こういう全然議論にならんことをやつおります。なかなかそういうふうで、一元化と申しましても、或いは本省の連中ばかりでは非常にうまく行つておりますが、私も最近福井県と冨山県に行つて参りました、この自然休会のうちに……。ところが県では同じ仕事両省まとまらないでやつているから非常に困つている。だから私どもが本省で聞いている話と現地の実情は全然違つている。これを特に大臣に申上げまして、この一元化の問題は一応これで私は質問を打切ります。
  13. 田中一

    田中一君 次に伺いたいのは、重要水系を優先的に手を着けるという御説明がありましたが、御承知のように前前国会、前国会も、国土総合開発法の一部改正をめぐつて、あなたの自由党のほうで非常に悩んだ問題、いわゆる利根川開発法案、北上川開発法案、この二つの法案につきまして、非常に苦心したように聞いております。で、今あえてここに新らしく重要水系重点施設工事をやるというお考えを表明なさつたということは非常に結構と思うのです。従いまして国土総合開発法の一部を改正しまして実施をするという形に持つて来ておりながら、実際において、まあ本当にそれをやるというお考えは無論今までの第三次吉田内閣にはなかつた。第四次吉田内閣はいよいよこれを具体的にやつて、例えば利根川なり、北上なりに手を着けようという構想のように考えられますので、重要水系はどこを指しておつしやつているのか、まあ自由党の内部では、恐らく北上川、利根川というものは考えられたと思うのですが、どこを指しておられるか。又それをやるならば、ただダムを作るからいいのだというのじやなくて、やはり水源地から河口までを一元的に優先して治山治水をやる、利水もやるという観点からやつて頂きたいと思う。従つて今改めてここに重要水系を優先的にやるという御構想のようですから、これにつきまして具体的にどの河川からやつて行くか、お明かし願いたいと思います。
  14. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) これもまあ書き方が少し言葉が過ぎているかも知れませんが、かねてから国会等で御審議を頂きまして、問題の河川は十大河川というような表現で今までされておるのであります。これは私ども素人が参りまして、建設省で最初講義を聞いて十大河川とはどういう川を言うかと問うと、まあ小学校や中学校で習つた河川とは大分違つている。そのいわゆる十大河川を一応意味しているものと御了承頂きたいと思います。これは皆様方は御専門でいらつしやいますので、あえて申上げる要はないかと思いますが、一応申上げて見ますると、利根川、信濃川の上流、北上川、江合川、最上川、木曾、常願寺、淀川、吉野川、筑後川、これらを指しているつもりでおります。
  15. 田中一

    田中一君 よく承知いたしましたが、実際にどこを先におやりになるつもりですか。従来通りつて継続工事としてやつているものだけを、そのまま継続してやるというならば、あえてここにはつきり重要水系を優先的にやるということにならないのです。我々が望んでいるのは、地方的にはいろいろ競争とか非難もあるかも知れませんが、やはりあなたは水系の優先と言つておられますが、河川の部分的なものでなくて、利根なら利根水系に手を着けるという意味のように解したのですが、事務当局でもどこを……、現在の工事をそのままやつて行くということならば、あえて新大臣の構造として挙げるまでもないのです。特に補正予算は無理としましても、二十八年度予算においてはどこに重点的に持つて行くか。北上に手を着けるのか、或いは利根川に手を着けるのか、どういう構想ですか。ただどうもちよつと言葉が行き過ぎだとか、表現の仕方云々でなくて、私は新らしい大臣に非常に期待しているのです。今までの第三次吉田内閣は空手形ばかり出しておりますが、今度の政治力の強い佐藤建設大臣は、恐らく今までの懸案を解決するのじやなかろうか。そこで今構想としてたくさんなものが表明されたのではないかと思うのですが、一つ我々が期待している問題ですから、どこを水系として……、単なる一部分でなくて、ダムを作るというだけでなくて、一水系としてどういう構想を持つているか、具体的に説明して頂きたいと思います。
  16. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 今、田中委員お話は至極御尤もなお尋ねだと思いますが、実は今回申上げました河川改修の方法といたしましても、在来のやり方とは変りはありません。ただ金額的な盛り方なり或いは工事等の問題につきまして、特に百年河清を待つような仕組でなしに、もう少し短期間に進めて行くような方法はないだろうかということを申上げているのでありまして、一部で或いはそういう御懸念、まあそういうところがあるといたしますれば、その考え方とは違うのでありますが、TVAのような考え方から一つ利根川とか、或いは北上川と併せて力を入れて、その他は在来の方法で放つて置こうとか、こういうような考え方にまでは実は突進んでおらないのであります。或いはその点で今後御指導を頂いて、或いは十大河川と言わないで、もつとそのうちの一つなら一つを取上げて模範的なものをやつてみないか、こういうふうなお考え皆様方の御意見でありますならば、政府におきましても更に研究はいたして参りたいと思いますが、只今までの考え方では、河川の問題が長年放置されておりますので、十大河川には十大河川一つの特質もありますけれども災害防除、治水観点から見れば、中小河川等の災害は甚だ軽視できないのであります。各地とも非常に困つている問題でありますから、只今の予算の使い方の亜から見まして、一カ所或いは数カ所に集中することは非常に困難ではないかというのが私ども考え方であります。率直に申上げます。
  17. 田中一

    田中一君 どうもやはり金があればできるのでも、金がないということに最後になりましたけれども、私はそれじや今まで各大臣がそう言つてるのとちつとも変りがないと思うのです。それじや舞々の期待に反するのです。例えば山口県の川でも結構です。あれに対して全く心配ないように水源地から河口までやつている。これは非常にいいと思うのです。何もあなたを変な真似をした、自分の選挙運動だと考えません。してくれればそれでいいのです。そのくらいの熱意を持つて、どうか一つ十大河川と言わず取上げて、実際に模範的にこれが本当の治水利水た、そうして総合開発の姿なんだというようなことを、一つこの際、どれもこれもおつぽり出してそれに金を注ぎ込むということではないのです、財源もあるはずですから、どれもこれもおやりになつて、そうして一つのものに投入して、三年かかつても五年かかつても結構でありますが、本当にあなたの大臣としての足跡を大きく残すというような仕事一つして欲しいのですが、これはまあ事務当局としていろいろ考えたと思いますが、まあ今の表現の仕方が重要水系ということは嬉しいことだと思います。但し水源地から河口まで水系全部に対する構想を持つていると、こう考えたものですから質問したわけなんです。一つ我々の希望も入れてお考え頂きたいと思います。
  18. 下條恭兵

    委員長下條恭兵君) お諮りいたします。実は衆議院の建設委員会が開会中で、大臣に非常に何がありますから、もつと質疑がありましたら……。
  19. 江田三郎

    ○江田三郎君 大臣は四日にはおいでになりますか、ここへ御出席になりますか、若し四日にお見えになれば、そのときに……。
  20. 田中一

    田中一君 私は大臣に要求したいことがまだまだあるのです。語次吉田内閣構想として、これは大きな問題ですから、詳しく伺いたいのですが、できるならば、先般の委員長並びに理事合会としているくスケールを組んでおりますから、この間に三十分でもその都度挟んで伺いたいと思いますが、もう今日は衆議院のほうへおいでになつて結構ですが、必ず御出席願いたいと思います。
  21. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私は委員会が開かれますれば、いつでも出て参ります。必ず参りますから、どうかよろしくお願いいたします。
  22. 赤木正雄

    赤木正雄君 さつき田中さんの質問の十大河川の問題は、私も同じような考えですから省きます。  次に第四のお話に、砂防のことをお話になりまして、直轄砂防は成るべく直轄河川にやるのだという方針、併しながら私はこれは今までの方針が、もともと砂防工事一つ河川で流域が二府県以上に跨るもの、又一カ所で工事が高過ぎるもの、又工事の困難なもの、戸の三つの条項のどれかに該当するものを直轄でやりまして、あとは府県でやる、こういう建前であつたのです。先日石坂さんと常願寺川の砂防を見て参りまして、私はやはりこの三つの条項に該当するのは直轄に当然行くべきものである、最近直轄工事、直轄工事といつて大分府県の工事を直轄にされておりますが、府県の出す費用は、直轄でも府県工事でもやはり国が三分の二十しまして、あとの三分の」が府県の負担であります。実際問題が……。そうして仕事を見ますと、やはり常願寺川の工事のごとき、府県では仕事が非常に困難な工事であり、又流域でも二府県で、例えて言うならば福島県の松川のごとき、その崩壊しておる場所はこれは山形県である。併しながら下流の福島県に出て来る。こういうものはどうしても直轄でないとできませんから、これは直轄でやつておりますが、やたらに小さいものまでも府県から取上げて直轄にやる趣旨が私にはわからない。その施工の状況が決していいとは思えないので、この点を特に私は大臣に御再考を願いたいと思います。もう一つは、直轄の河川に対しては五割、他の河川は二割で防ぐ、これは私大臣に申上げたことで、私もわかりません。大臣もお考えにならないと思います。これは実際夢みたいなことで、できるわけはない。直轄の河川に五割やるという、そんなばかなことを申上げた人の良心を私は疑うのです。これは私は笑いごとに付して質問はいたしません。
  23. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 只今の前段のお話はお説の通りでございます。私どもも十分考えて参ります。それから今のあとのほうは、私もわからないでおります。正直に白状いたします。   —————————————
  24. 下條恭兵

    委員長下條恭兵君) それでは大臣はこれで衆議院のほうへお廻りになつて、そうしてあと政務次官が見えておりますから、政務次官に御挨拶を願い、あとで補正予算について官房長の御説明を願いたいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 下條恭兵

    委員長下條恭兵君) ではさようにいたします。
  26. 三池信

    政府委員(三池信君) 私衆議院の三池でございます。今回図らずも建設政務次官を拝命いたしたのでありますが、もとより浅学非才であります。よくこの再建日本の基盤をなす国土建設行政の衝に当りまして、その職責を尽し得るか誠に内心忸怩たるものがあるのであります。建設行政は皆様よく御存じの通り、我が国再建の基盤をなし、殊に河川の問題にいたしましても、災害の問題にいたしましても、いろいろ困難な事情があります。道路のごときも又重大な段階にある実情であると思うのであります。その財源の獲得にもいろいろと苦労をいたしておるような状態であります。特に住宅の問題のごときは重大な社会問題として取上げられております。前国会はこれの解決に立法を以てするような緊急な事態でありましたが、財政の関係上、所期の目的を達するのになかなか道遠き感があるような状態であります。どうか今後皆様の衷心からの御協力をお願いいたします。私も在任中大過なく職責を果したいというふうに決心をいたしておるような次第であります。どうか今後ともよろしく御支援のほどをお願いいたします。  ちよつと御挨拶いたします。   —————————————
  27. 下條恭兵

    委員長下條恭兵君) それでは只今大臣と、道路局長と官房長も衆議院のほうに廻つておりますから、文書課長が来ておりますので、提出の法案についての情報交換ということにして、文書課長から御説明を聞きたいと思いますが、御異議ございませんか。……官房長現われて参りましたから、それでは官房長から補正予算の説明を先にお願いいたします。
  28. 石破二朗

    政府委員(石破二朗君) 昭和二十七 年度の補正予算につきまして、目下政府において要求中の事項、建設省所管分について御説明申上げます。  当初建設省といたしましては、相当額の補正要求を大蔵省にいたしまして、爾来折衝中であつたのでありますが、財源の関係その他補正予算の国会に提出せられました時期が遅れて参りました関係、そういう関係からいたしまして、当初要求いたしましたよりか相当減額はされましたが、本国会に提出いたしましたものにつきまして御説明申上げます。  先ず第一は、国土総合開発関係の経費でございますが、これは特定地域調査と、それから調査地域調査、これに要します経費を補助いたしたいという考え方からいたしまして、合計二千十五万八千円補正を要求いたしております。次に水道施設に対する補助に要する経費といたしまして、一億九千八百八十五万四千円要求いたしております。次に一般鉱害対策事業費補助に要する経費といたしまして、二千万円を要求いたしております。次に特殊土壌地帯砂防事業費に対する補助といたしまして、二億七千八百万円要求いたしております。    〔委員長退席、理事赤木正雄委員長席に着く〕  次に直轄道路の改修費並びに道路改修費補助に要する経費といたしまして、合計二億円要求いたしております。次に都市計画事業に要する経費といたしまして、都市復興事業費補助でございますが、これに一億六千四百万円要求いたしております。これは横浜と神戸両市におきまして、本年に入りましてから相当広範囲地域が接収解除になりましたので、その区画の戦災復興並びに区画整理をやりたい、こういう経費でございます。その次に災害復旧費でございますが、過年度災害復旧に要します経費といたしまして、十億六百五十六万七千円要求いたしております。  以上申上げましたのが、建設省の一般関係並びにいわゆる公共事業費と称せられた分でございますが、そのほかに特定道路整備事業費といたしまして、これに七億要求いたしております。更に住宅金融《庫の政府出資を三十億要求いたしております。  以上が建設省関係分でございますが、更に昭和二十七年の発生災害の復旧に要します経費といたしまして、大蔵省所管の予算に二十億計上いたされております。  以上概略数字と項目だけ御説・明いたした次第であります。
  29. 田中一

    田中一君 第一に御説明になつた計画局の「国土総合開発計画樹立のため、」云々という二千万円ですが、これは曾つて我々が属しておりますところの国土総合開発審議会において、一結局要求がゼロになつたというお話を聞いたのです。そこで審議会委員の有志の名を以ちまして、総理大臣並びに関係大臣に向つて決議文を出しました。その結果二千万円だけが出たものだと考えるのでありますが、これは安本のほうではこれと一緒に幾らのものを要求しておりますか、おわかりになりませんか。
  30. 石破二朗

    政府委員(石破二朗君) 府県に対します総合開発関係の補助は、建設省だけで要求いたしておると存じております。従いまして審議庁所管でこれに類する経費の要求は出ていないもの、かように考えております。
  31. 田中一

    田中一君 そうすると、土地調査費の項目では幾ら出ておりますか。
  32. 石破二朗

    政府委員(石破二朗君) 土地調査費の要求を審議庁所管でいたしておることは承知いたしておりますが、総合開発とも直接の関係はないと思いますが、その金額は私承知いたしておりませんです。
  33. 田中一

    田中一君 都市計画事業のうち、横浜、神戸だけの接収地解除の補助金ですが、この補償金と言いますか、そうしたものはこれには計上されていないのですね。それはどの項目から出ておりますか。
  34. 石破二朗

    政府委員(石破二朗君) 只今の御質問の御趣旨は、原型復旧に要する経費というような御趣旨かと思いますが、私のほうではこういうことになつております。つまり接収解除になりました地域のうち、所要の地域を戦災復興として区画整理をやつて行くわけでございますが、これに関しましては、一遍原型に復旧して、それから又それを壊して戦災復興するという考え方でなしに、現状のままをとにかく戦災復興しようというような考えで、この区域に関しましては、別に原型復旧に要します経費の補助というようなことは考えられておらんと存じます。従いましてこの補助率でございますが、御承知通り現在は戦災復興は一律に五割、最近はそうなつておりますけれども、この両市の関係は、そういう原型の復旧に要します経費でございますとか、或いはその戦災復興は初め頃は法律の補助が相当出ておつたのでありますが、そういう点をいろいろ計算いたしまして、そういうものを引つくるめまして、横浜につきましては事業費の六割八分を補助する、神戸につきましては五害八分を補助する、こういう予算でございます。
  35. 田中一

    田中一君 この補正予算につきましては、まだ細かい質問をしたいと思いますが、一応持ち帰つて調べてから次・回に譲ります。
  36. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) ほかに御質問ありませんか。  ではこの問題はなおお互いに検討して、この次に又質問する、そういうふう最扱つて差支えありませんな    〔「異議なし」と呼ぶものあり〕
  37. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) ではそういたします。   —————————————
  38. 赤木正雄

    理事赤木正雄君) 次に国道指定のことにつきまして政府の見解を承わりたいと思います。尤も只今次官が見えておりますから、次官から承わつてよろしうございますか。局長いませんが、次官でよろしうございますか……。
  39. 稲浦鹿藏

    説明員稲浦鹿藏君) 国道編入のことについて御説明申上げます。御承知通り道路法が六月の十日に公布せられまして、それから計算して六カ月以内に施行するということになつておりますので、道路法に基く政令を急いでおりましたのですが、先ずこの一級及び二級国道の指定というのは非常にむずかしい問題でございますので、差当り一級国道だけを審議会検討しまして決定いたした次第であります。法律によりまして道路審議会を作りまして、そうして審議会で大体四回研究した次第でございます。最初この研究の決定する方針審議会できめまして、それにはその方針を申上げますと、第一には、新国道は徒らに現国道にとらわれることなく、現在及び将来の統合的な国力を増進する基盤たらしめることを主眼とすること。第二は、新国道は国内及び国外との諸活動が最も有機的、効果的に行われる大動脈たらしめることを目的とする。第三は、一級国道は右大動脈の幹線を形成するものとし、おおむね国土統合開発の基本的な役割をなさしめるものとする。第四は、二級国道は一級国道を補完する重要路線を形成するものとし、併せて地方総合開発の基本的な役割をなさしめるものとすること。この四つの基本方針審議会できめまして、これによつて検討していた次第であります。  そこで一級国道をきめまする基準としましては、技術的にいろいろ、検討いたしたのですが、法律の第五条にありますように、一級国道の通過する都市は、第一は都道府県庁の所在地、第二は特に重要な都市と、こういうふうに法律で明示せられておりまするが、都道府県庁の所在地ははつきりしておりますが、重要都市というのは、これは何らかの方法で技術的な決定をしなければなりませんので、その重要都市の基準を技術的に研究してきめたのであります。それは第二は、一般的な都市活動の程度、これは人口で以てきめました。第二は、生産的な機能、工業生産額を数学的に考えました。第三は、物資の流動条件、これは鉄道貨物の出入トン数を数学的に入れまして、そしてそれの全国の都市の平均値を計算しまして、そしてその平均値の非常に上にある、平均値以上にある都市が全国で大体五十都市ございますのですが、それを路線で結ぶわけですが、その線を、都市と都市とを結ぶ結び方にもいろいろ方法、手段がありますので、今度はその路線についての何と申しますか、路線値と言いますか、路線の値打ですね。路線値はやはり計算で出したわけであります。その路線値を出すフアクターとしましては、広い意味からの国民生活に関連する沿道の人口を調べまして、第二には産業活動、それはその路線の沿道の工業生産力、現在の利用度、これは勿論交通量でございます。平均交通量、こういうものから各都市、と都市とを結ぶ路線の路線値を勘定しまして、そうしてこの路線値の高いのを大体結んで行つたのですが、そうしますと、完全な網ができない場合は、ここは適当に補足をしまして、一つの一級国道としての道路網を作つた次第であります。それを大体原案にしまして、審議会で先ほど申上げました基本方針従つて検討を願つたのです。さようにいたしますと、大体現在の国道と殆んど一致して参つたのであります。相当先輩の方が現在まで国道を研究して参つておられるということが証拠付けられるのですが、ただそこで、いろいろ検討した結果、どうしても一級国道になし得ない線が或る程度ございまして、これは次回に二級国道を検討するときにこれを考えるということにして、差当り一級国道だけをさような方法できめました。二級国道は又同じような方針をきめまして、技術的に方針をきめまして、追つて審議会で御審議を願うことになつておりますが、現在国道が十二月の五日に道路法を施行いたしますので、それまでに現在国道を一級と申しますか、国道或いは府県道その他の道路に編入しておかないとブランクな形になる、そこで一級だけを政令できめて頂きまして、これに落ちたものに対しては、二級の検討がなされるまで府県道として認定してもらうという方針をとつておるのです。できるだけ早く二級をきめまして、引続いて政令をきめて行きたい、かように思つております。二級につきましては、各地の要望も非常に盛んに行われておりまするし、又路線もたくさんありますので、相当研究してやつて行かなければならないという段階になつております。大体さような経路を経まして、一級国道だけは決定をいたしました。
  40. 田中一

    田中一君 そうしますと、道路法によりますところの大体十一月一ぱいで政令を出さなければならんという二級国道の問題につきましては、府県道にして一遍認定をしておいて、二級国道としては新らしく年内か来年の春までに政令で指定しよう、こういうことですか。
  41. 稲浦鹿藏

    説明員稲浦鹿藏君) さようでございます。
  42. 田中一

    田中一君 そういうことで法律的にはいいのですね。
  43. 稲浦鹿藏

    説明員稲浦鹿藏君) そうです。
  44. 田中一

    田中一君 二級国道の指定につきましては、審議会も相当もめておるように灰関するのです。私はこれは審議会の答申が一応考慮さるべきものと考えますので、我々の希望だけは申上げるのですが、二級国道の指定に当りまして、原則として今ここに選定の基準というものが示されておりますけれども、私はこういう考え方は好ましくないと思う。何故ならば、道路計画というものは我々は一番大事なことで、今日本は四つの島に閉じ込められた現状から言いまして、結局日本の国土の開発、産業の開発、資源の開発、ここにすべて重点をおかなければならないと思うのです。特に観光道路云々と書かれることは、やはり政府がただ遊園地・或いは観光地として日本を見るという、これはドルを得る一つの手段かも知れませんが、これは少くとも小さな島に八千四百万が生きるということに重点を置いて、国土総合開発の見地から、ここに道路計画に対して思想を持たして欲しい。ただ技術的に引けばいい、都市と都市を繋ぐという観点でなく、実際に八千四百万の人間が生きるのだということを考えて、人口の分布の問題もありましようし、産業の開発の問題もありましようし、いろいろたくさんあります。そういう観点からただ都市とを結ぶ交通或いは運輸その他のものが重点的に取上げるという問題でなくして、これから我々が国民として求めるもの、しなければならないものを、或いは現在はそこに人間がおらんではないか。なぜそこに道路を引くかということまでも、若し総合的な見地から、何にもない荒地だとか、山の中へ引くなんということは、それが全くこの狭い国土にうごめいて生きて行かなければならんという人口問題の見地から言つても、或いは日本の経済自立の面から言つても貴重なことなんです。そういう観点から、恐らく審議会は相当活溌な御意見があつたと思うのですが、我々にも委員会としまして、一つ審議会の状態を御報告を受けると同時に、我々が法律を作りました場合にも、再三再四この点については注文を付けております。従つて委員会においても多少意見を取上げるか、取上げないかは別です。我々の希望を申述べる機会を与えて欲しい、こう考えるのですが、これは法律の範囲を逸脱しない限りにおいてその機会を与えて欲しい、こう思うのですが、次官は如何にお考えになりますか。
  45. 稲浦鹿藏

    説明員稲浦鹿藏君) 御意見御尤もでございまして、我々も将来の産業開発ということは十分に考えまして、有効にこの国道というものを選定して行きたいということは同様な考えを持つております。審議会委員のかたがたも大体まあそういう気分でやつておられますが、御意見を承わる機会を作りまして、相談いたしまして御通知いたしますから、御意見がありましたら、一つおいで願つて御意見を承われれば結構でございます。
  46. 田中一

    田中一君 もう一つ地方からたくさんこの問題につきましては、御承知のように経費が軽減されるものですから、熱烈な深刻な陳情請願があると思うのですが、一つ政府としても無論自信を持つてお出しになつたところの一つの案でございましようが、先ずこれにこだわらずに、十分地方民の意思を聞くという態度を以て臨んで頂きたい。これは最後に希望として申上げておきます。
  47. 前田穰

    ○前田穰君 一点だけお伺いしたいと思いますが、一級国道並びに二級国道の選定を進めておられることは誠に結構でありますが、一級国道には一級国道としての規格と言いますか、備うべきであり、二級国道についても同様であろうと思うのであります。現在の国道の状況は、一級国道とか、二級国道というにふさわしくない道路が非常に多いわけで、殆んどふさわしくない道路言つても過言ではないと思うのでありますが、従つて名実これに備うるような道路を漸次改修して行かなくちやならんわけでありますが、それについての何か特別計画    〔理事赤木正雄君退席、委員長着席〕  というような腹案等がございましたら、あらかじめ伺つておきたいと思います。
  48. 稲浦鹿藏

    説明員稲浦鹿藏君) 現在国道は御覧の通りの状態でございまして、外国の、殊にアメリカあたりと比べて誠に日本の国情を現わしているような状態で、誠にこれはお恥しい次第で、国民と共に十分これはよくしなければならないということは我々も痛感している次第であります。要は建設する費用の問題でございますが、私から申上げるまでもありませんが、非常に道路予算というものは貧弱でございますので、何とかして道路予算を一つ獲得しなければならないというので、本年度佐藤大臣が見えまして、新政策として説明せられたことと思いますが、ガソリン税目的税としてこの道路に使いたい。かようなことを強調しておるのでございまして、これはできるならば、現在道路の鋪装、維持、修繕に使つて、そうして新築改築は現在の公共事業の一般から持つて行きたい。そうして有料道路の問題とガソリン税の問題と、公共事業の枠の拡大と、この三つを以ちまして二十八年度の予算を強力に一つ要求したい、かような考えで進んでおりますのて御援助をお願いいたします。
  49. 前田穰

    ○前田穰君 いずれも先刻お話の国道選定については、我々の意見を聞き、或いは説明を聞くという機会を与えられるそうでありますから、そのときに詳しくいろいろ伺いたい思います。
  50. 下條恭兵

    委員長下條恭兵君) ちよつと速記をとめて……。    〔速記中止〕
  51. 下條恭兵

    委員長下條恭兵君) 速記を始めて……。
  52. 赤木正雄

    赤木正雄君 先ほど一級国道のことについて、図面を以てお示しになりましたが、大体一級国道を選定された基準に基いて私はちよつとお伺いしたいのですが、十九号、二十号とありながら、二十一号は国道になつている。この関係お話し願いたいと思います。
  53. 稲浦鹿藏

    説明員稲浦鹿藏君) ちよつとはつきりわかりませんので、もう一遍伺いたいと思います。
  54. 赤木正雄

    赤木正雄君 図面で申しますと、中津、瑞浪、多治見、名古屋、こういう一つの国道があります。又岐阜から名古屋に行く国道があります。それに又特に瑞浪から太田を通つて岐阜に行く国道があります。この関係です。
  55. 佐藤寛政

    説明員佐藤寛政君) 御説明申上げます。従来八号国道と申しまして、いわゆる中仙道でございますが、これは申すまでもなく瑞浪から岐阜を通りまして、彦根経由で、大津、京都に入つております。これは昔からの中仙道でございまして、この長野県、岐阜県から京都、大阪のほうへ参ります現在の二号国道の別の路線として、これは大事な路線でございます。同時に名古屋は申すまでもございませんで、この辺の中心でございまして、長野県、遠くは新潟県から名古屋に出て来るという交通の流れは非常に多いのでございます。そこでこの瑞浪から名古屋までの国道は、従来は国道ではございませんでしたが、いろいろ御審議の結果、この部分は新たに国道に採択された、こういうことでございます。
  56. 赤木正雄

    赤木正雄君 東北とか、或いは関東地方、或いは京阪地方、或いは九州地方、各地方によつて、先ほど次官のおつしやいました交通量とか、すべてのものに非常に相違が私はあろうかと思います。でありますからして、必ずしも東北地方の量と、或いは関東、或いは名古屋地方の量とはすべてにおいて致していない。非常に開きがあると思います。併し日本の今後の国道として、かようなあり方でありたいというような線で一級国道を選定されたと思いますが、これは又何ですか、国会その他の方面からして、請願、陳情なんかが非常にたくさん出て、これを委員会で採択したというような場合には、我々は言い換えれば、国会の意向を重んじられて変更なさる意思はありますか、ないかを伺いたい。
  57. 稲浦鹿藏

    説明員稲浦鹿藏君) 一応いろいろ苦労しまして、一級国道をきめましたのですが、これは大幹線として我々はきめた。併し国会方面で、まだこういうものがあるじやないかと言つて審議会で御審議つて、これがまあ将来絶対変更できないものじやないと、かように思つております。それからこの二級国道がこれに又相当入つて来ますので、全部まとまつた一つの完全な道路網ができるだろう、かように思いますので、全部がまとまつて一つになつたときに御覧願つて、そしてここはいかんとか、或いはここを直せというような御意見も出るだろうと思いますが、絶対的なものじやないとは思つておりますが、さよう御了承を願います。
  58. 赤木正雄

    赤木正雄君 今次官のお話もありますから、又後刻十分勉強して質問いたします。
  59. 田中一

    田中一君 先ほど大臣からも説明があつた、神戸、東京間の高速道路、これはあなたの考え政府考えている道路計画とは全然別個のものですか。又これを幹線として何か考えていらつしやるのですか。
  60. 稲浦鹿藏

    説明員稲浦鹿藏君) これは高速度道路は、この道路網とは又別個に考えておりますので、これとは違いますから、その点御了承願います。
  61. 田中一

    田中一君 そうすると、全然この高速道路は、この一級、二級国道とは全然クロスする場合には、潜つたり、上つたりして、全然クロスしないという原則の上に立つておるのですね。
  62. 稲浦鹿藏

    説明員稲浦鹿藏君) 大体まあさような方式で行きますが、詳しいことは今企画課長が来ていますから、説明させましようか。
  63. 佐藤寛政

    説明員佐藤寛政君) 高速度自動車道路との関係を申上げます。高速度自動車道路は、只今のところこの道路法で言うような一般交通を対象とする道路として考えておらないのでございます。自動車だけで、而もそれもハイ・スピードの自動車だけというふうに考えております。従いましてこの一級国道網の中に入つて来ないわけであります。併しながら、やはりこの道路交通の主な交通機関である自動車を通すのでございますから、その路線の関係は、この道路網とはまあ十分な関係考えておるわけでございます。只今田中委員の御指摘になりましたような、この一級国道との連絡その他等につきましては、この高速自動車道路は、この細かい道路とは全然関係なく、オーバー・クロス或いはアンダー・クロスして参りますが、ここにあるという一級国道との関係は、交叉いたしまするような個所に対しましては、無論立体交叉はいたしますが、出入りできるような施設を考えて参りまして、この一級国道から自動車道路に乗つて、そして東京なり、大阪なりヘハイ・スピードで入ることができるようにというような、いろいろ関係考え計画を進めております。
  64. 田中一

    田中一君 そうしますと、この高速道路を作るという構想は、特定なる人たちのため道路という考え方であつて、国民とは全然遊離せられるのですね。この国道指定の算定基準というものは、人口問題とか、産業問題、あらゆる問題を考えておりますね。従つてこれはまあ無軌条軌道と言いますかね……、的のものであつて、ただ輸送交通だけの問題を考えているのですか。
  65. 佐藤寛政

    説明員佐藤寛政君) 高速自動車道路は、要するにレールのない、タイヤによつて走る一つ鉄道のような軌道というふうにお考え頂いて結構じやないかと思います。
  66. 田中一

    田中一君 そのような日本の置かれたような国情であるか、そのようなことを必要とするところの日本の経済事情であるか、この点は十分お考えになつたと思うのですが、行政協定の中にはかかる要求はありましたか、ありませんでしたか。これはまあ次官にお伺いします。大臣がいれば大臣に聞こうと思つたのですが、話が出ましたからお聞きしますが。
  67. 稲浦鹿藏

    説明員稲浦鹿藏君) さようなことはございませんです。
  68. 田中一

    田中一君 これはアメリカさん、駐留軍専用としてのものになる可能性が多分にあるのじやないですか。
  69. 稲浦鹿藏

    説明員稲浦鹿藏君) 我々が計画しておるのは、さようなことは考えずに、本当の輸送機関だということの思想で進んでおります。
  70. 田中一

    田中一君 一千数百億の金を使つて、まあ外資を主としてやるなんておつしやいましたけれども、実際にそのような要求が、国民的要求として政府に反映している根拠を、一つ大臣にもお話を願つて、この次は明らかにして頂きたいと思うのです。私は軍用道路でないことを望むのです。これは一つ大臣によく言つて明らかにして、国民が納得する形の説明をこの次の委員会でして頂くように次官にお願いしておきます。   —————————————
  71. 下條恭兵

    委員長下條恭兵君) それではこのあと文書課長から建設省で準備中の法案について御説明を願います。
  72. 水野峯

    説明員(水野峯君) 建設省といたしまして、今度の特別国会には法律案を実は提案する予定のものはございませんが、臨時国会には十五、六ばかりの法律案を事務当局といたしましては研究準備中でございます。併しながらまだ正式に建設省の省議にかけましたり、或いは又はかの各省、殊に大蔵省の了解を得ておるというような段階にも立つておりませんので、まあ、本当に情報交換である、こういう意味合でお聞きとりを願いたいと思うのであります。  先ず第一には、建設業法の一部を改正する法律案を研究準備いたしております。この主なる改正点を申上げますと、建設審議会委員の任期が現在現行法によりますと六カ月になつておりますが、これが短か過ぎますので、これを二年に延長すると共に同審議会の権限を強化して参りたい、これが第一の改正点でございます。  第二の改正点といたしましては、御承知通り道路法施行令というものがこれまでございまして、地方公共団体の発注する建設工事につきまして、その工事施行方法の基準となつてつたものでございますが、新道路法の施行に伴いまして、その道路法施行令が廃止になつたのでございますので、それらの関係を考慮いたしまして、この建設業法の中に公共工事の施行方法につきまして、落札価額の制限等の基準を設けて参りたい。これが第二の改正点でございます。  それから第三点といたしましては、登録要件の強化と所要の改正をして参りたい。こういうようなことを内容といたしまして建設業法の一部を改正したいということを計画いたしております。  その次は鉱工業地帯整備特別措置法案でございます。これは建設省だけではございませんで、通産省、運輸省、こういう省ども折衝いたしまして三省で共同提案をする、こういうようなことで準備をいたしたいというつもりでございます。この法律案の狙つておりますことは、鉱工業地帯の整備を必要とする、こういう地帯につきまして、先ほど申しました建設大臣、通産大臣、運輸大臣が協議をいたしまして、鉱工業地帯の整備計画を決定して参りたい。鉱工業地帯整備計画に包含せられる施設といたしましては、主として鉱工業のための交通を目的といたします道路或いは水路、それから港湾におきまする荷捌施設、それから生産施設、並びにこれに附帯する用に供します一団地の土地の造成を目的とする土地区画整理、水面の埋立、鉱工業用水道、下水道、防潮施設等を総合的に計画して施設計画を立てて参りたい。それからこの整備計画事業主体に対しまして、国はその必要な資金につきまして貸付ける途を開きましたり、或いは予算の範囲内において補助する途を開きたい。それから整備計画によりまして完成された施設の運営について必要な基準を設けるのでございます。それからなおこの整備事業の実施の円滑化を図りますために、地方公共団体、港湾管理者、土地所有者等の出資による鉱工業用水組合という特殊の法人を設置し得る途を開いて行く、まあこういうようなことによりまして鉱工業の適正な立地を推進して参りたいというのが狙いでございます。目下関係各省といろいろ相談いたしたり、研究いたしておるというような段階でございます。  それからその次には、罹災都市復興促進法案でございます。罹災都市の復興につきましては現在何らの法案もございませんので、単に予算措置で必要な経費の二分の一の補助を出しておる実情でございます交この罹災都市の復興を図りますために、都市計画事業として施行れる土地区画整理事業、それから罹災施設、これは水利施設でありますとか、防潮施設、或いは街路等を罹災施設と称しておりますが、この罹災施設の復旧、それから水災防除施設、これは排水路とか、排水ポンプ等を称しておりますが、こういう水災防除施設等につきまして、これに必要な経費の一部を国庫負担とするということを法律で明確に規定して参りたい。なおこの場合の国の負担割合は、公共土木施設災害復旧事業国庫負担法に準じまして、地方公共団体の財政力に応じて二分の一乃至四分の三として参りたい。先ほど申しました通り現行は二分の一ということにきまつておりますが、この負担割合を上げまして二分の一乃至四分の三、こういうふうに高率なものにして参りたいということを考えております。  その次は地方公園法案でございます。地方公園の健全な発達と利用の適正化を図りますために、地方公共団体が設置する営造物たる公園、これをまあ公営公園と称することにしておりますが、この公営公園とそれから地方公共団体が区域を定めて指定する公園、これは主として保勝地を保全し、その利用を増進するため目的のものでございますが、そういう地方公共団体が区域を定めて指定する公園、これを公立公園と称したいと思つておりますが、このような公営公園、公立公園、こういう制度をはつきり設けて参りたい。それからこれらの公園の設置及び管理に関する基準につきまして必要な規定を設けて参りたい。そのほか公園の土地が国有である、こういう地方公園も全国で相当ある状況でございますが、これらの公園につきまして、いろいろ公園を廃止したり、或いは区域を縮小したりというような場合におきましては、建設大臣の承認を受けさせる、こういうようなこともはつきりこの法案に書いて行きたい。このようなことを内容とする法案でございますが、これにつきましては御承知と思いますが、厚生省におきましても、自然公園法というような法律案を準備いたしておりまして、そういう自然公園法案というようなものが若し提案されたといたしますれば、地方公園法案と衝突して参るところが一部出て参りますので、その間の調整を図る必要があるわけでありまして、目下厚生省と種々折衝いたしておるというような状況であります。  その次に特殊公共物管理法案でございます。これは河川法とか、道路法等の単行公物法が適用されていない国有に属する水路或いは海浜地或いは湖沼等のうち、一般公共の利用に供されているものにつきまして、これが管理及び処分の基準を規定いたしまして、これら公共物の利用及び保全を適正ならしめたいということを規定いたしております。  次に河川法の全面改正でございます。これは明治二十九年に制定されました古い法律でございまするので、非常に実情に副わない点がございますので、この際全面改正をいたしたい。全面改正をする内容といたしまして、只今研究いたしております点は、第一は河川水系単位に第一種、第二種、第三種河川に分けまして、これをそれぞれ建設大臣、都道府県、市町村の管理する河川とすることによりまして、その管理の責任体制を明確にして参りたい。第二点といたしましては、建設大臣は第一種河川につきまして、都道府県知事は第二種河川につきまして、それぞれ当該河川の全体に亘る治水及び利水を総合した河川計画を樹立する途を開くということであります。第三点は、水利権等の設定及び調整につきまして合理的な基準を設けたい。第四点といたしましては、河川行政の適正を期しますため、国及び都道府県に河川審議会を設けて参りたい。第五点といたしましては、法律体系の整備をいたして参りたい。こういうようなことを主たる内容とするものでございます。  次が公共土木施設地盤沈下対策事業促進法案であります。この地盤沈下対策事業につきましても、御承知通り現在は単に予算補助をしておるに過ぎない状況でございますが、この地盤沈下対策事業促進を図りますために、地方公共団体がこの当該事業に必要な経費の三分の二を国が負担することをはつきりして参りたい。それと同時に地方公共団体がこの地盤沈下対策事業につきまして事業計画を樹立いたしまして主務大臣がこれを審査して認めて行く、この認めたものにつきましては、先ほど申しましたように三分の二を国が負担する、こういうことを規定して参りたい。なおこの法案におきましては、地盤沈下対策事業として考えておりますのは、公共土木施設に一応限つて参りたいというふうに考えております。  その次は水防法の一部を改正する法律案でございます。これは水防法運営の実績に徴しまして、新たに地方史分局の長等が、その管理する施設を利用して洪水予防を行うことを明確にして参りたい。第二点といたしましては、水防活動を促進いたしますため、都道府県及び市町村が行う水防活動に要する経費及び水防活動に従事したものの死傷等の場合における扶助金につきまして、国が補助をなし得る規定を設け、て参りたい。これが内容でございます。  それからその次に考えておりますのが、産業労務者住宅資金融通法案でございます。住宅不足の逼迫せる産業労務者用の住宅建設促進いたしますため事業主或いはその事業に雇われておる労働者で結成する住宅組合或いは住宅建設して賃貸する会社その他の法人等に対しまして、国は特別の融資をすることを第一に規定して参りたい。この貸付金限度、利率及び償還期間等について、住宅金融公庫の一般融資住宅に比し特別の措置を講じて参りたい。貸付金限度といたしましては、建設資金の約六割を貸して参りたいと思うのでございます。利率も大分五厘程度を考えております。それからこの融資業務は住宅金融公庫をして行わしめたいというように考えております。なお毎年この産業労務者建設資金融通といたしましては、予算額百五十億円を以ちまして三万七千戸を建設して参りたいというようなことを考えております。この百五十億円の内訳は、五十億円が一般会計からの出資、それから残りの百億円が預金部資金で以て充当するというようなことを考えております。なおこの法律案につきましては、こういう単行法を制定いたさないで、住宅金融公庫法の一部政正でやつてはどうかという有力な意見も関係各省のほうから出ておりまして、或いは住宅金融公庫法の一部改正になるかもわかりませんが、一応こういうような法律案を研究いたしておるという段階でございます。  それからその次には不良住宅地区改良法の一部を改正する法律案でございます。このユラム街の改良事業促進いたしますために、不良住宅地区改良事業の施行者に対しまして、国がその経費の三分の二を助成することといたしたい。なお不良住宅地区改良事業範囲を明確にすると共に、改良住宅の区画及び建設の基準につきまして所要の規定を設けたい。なおこの不良住宅地区改良法は、一応事務当局といたしましては、全面改正をこの際したらどうかというようなことも一つ研究課題になつております。その点も併せて、お話申上げておきたいと思います。  なおその次には耐火建築促進法の一部を改正する法律案でございます。現行法に規定されました防火建築帯街に所在する学校でありますとか、病院等の公共建築物につきまして、これが不燃火のだめに国は助成をなし得る途を開きたい、こういうのが主たる改正内容でございます。  それからその次に官庁営繕法の一部を改正する法律案でございます。これは国有及び公有の公共建物の維持保存についての技術的な基準を新たに定めて参りたい。これは現在官庁営繕法は御承知通り国有建物についての営繕関係の法律でございますが、地方公共団体が所有いたしております庁舎等につきましても、官庁営繕法を適用して参りたいというようなことも考えておるのでございまして、只今申しました通り、なおそういう問題と同時に、この維持保存につきまして技術的な基準を新たに国有建物につきましても制定して参りたい、そうしてこれが維持保存の適正を図つて参りたいということを考えております。それからこの法律案におきましては、国有公共建物の建設及び改修につきまして、その合理的経済的施行を図りますため建設大臣建設技術上の調整を行うことができるというようなことを明文を以て規定して参りたい。現在の法律案の営繕当時の線を一歩進めまして、建設技術上の調整をはつきり建設大臣が行うのだということを明足して参りたいと思うのでございます。  それからその次には、公共建物管理公社法案でございます。これは主として国がその用に供します公共建物及びその附属物につきまして、特に一元的管理の必要があると認められる建物につきまして、その管理の経済的能率的な管理を図つて行きたい、そういうことによりまして国費の節減と建物の保全を図つて参りたい。そのためにこれらの建物につきまして管理を一元的に行う管理公社という公社を設立いたしまして、只今申しましたような目的に資して行きたいというふうに考えておるのでございます。この公社法案におきましては、従いまして出資金の関係で出資の規定でありますとか、公社の役職員の規定でありますとか、財務及び会計につきまして、それぞれ規定をするということに相成つておるのでございます。  それからそのほかに只今研究中のものといたしましては、先ほども問題になりましたガソリン税目的税化に伴いまして、それに伴う法律案を是非ども提案いたすつもりでございます。  そのほか公共土木施設の復旧につきまして、敏速にこれが復旧をなすために罹災復旧資金の基金法案というような法案も実は研究をいたしております。この案は政府が五カ年間に大体四百五十億円ばかりを出資いたしまして、あと百五十億円ばかりは預金部資金を使つて行く、そういうことによりまして公共土木施設の復旧をするということを大体三年間に終了して行きたい、そのため地方公共団体に融資をするのでございます。そういう特別会計を設けて参りまして、この特別会計の所管は大蔵大臣建設大臣その他農林大臣等の共管とする、そういうような法律案を研究いたしております。  そのほか只今研究いたしております問題といたしましては、北海道の開発住宅促進法案、北海道の寒地住宅建設及び防寒改修を積極的に推進いたしますために、只今申しましたような寒地住宅建設、防寒改修に要する試験研究並びにこれらに対する普及事業を助成するために、関係地方公共団体に対しまして補助金或いは委託金を交付する途を規定いたしますと共に、住宅金融公庫が北海道地区における耐寒住宅建設及び防寒改修を行うのに対しまして資金を貸付ける場合において、貸付対象、貸付金の限度、利率、償還期間につきまして特別な措置を講じて参りたい。又住宅金融公庫は北海道地区の住宅建築の融資につきまして、一般とは別に事業計画を策定いたしまして、内地分とは別枠で北海道地区の住宅建築を強力に推進する、なお耐寒住宅建築促進ため公営住宅法に特例を設けて、只今申しましたような点を規定いたしました。北海道開発住宅促進法案というふうなものも実は内々で研究をいたしております。そのほか建築基準法の一部改正或いは住宅金融公庫法の一部を改正する法律案というような点につきましても研究はいたしておりますが、まだ正式のものとはなつておりません。  以上申しました通りでございまして、これらは冒頭に申しましたように、まだ省議にもかけておりません。本当のうちうちでの研究をいたしております内容でございますので、その点重ねて申上げておきます。
  73. 赤木正雄

    赤木正雄君 法案をうちうちで研究しておられることはわかりました。この際私は政府に質問したいのです。建設省といたしましては、増田大臣のときから砂防法の改正はすぐするということになつておりますが、それはどういうふうな観点を以てやつておられますか。
  74. 水野峯

    説明員(水野峯君) 砂防法の一部改正につきましては、私どもといたしましては、まだ全くその研究に着手しておるという段階だけでございまして、今後一つよく勉強いたしまして、改正する要がございますれば、早急に一つ着手して参りたいと思つております。
  75. 赤木正雄

    赤木正雄君 ほかの法案は無論改正する必要があるから、そういうふうに研究していらつしやるのでしようが、例えて申しますと、森林法の改正に基きまして保安林のごときは全部国の補償がある、砂防法によつて砂防をして行くのを制限された場所、禁止制限地区に制限された場所、それについては少しも補償がない。従いまして禁止制限されておる場所は成るべく解除して、これを保安林に持つて行こうというような要請が各地方に起つておる、こういう重大な問題を今まで研究しておらない。私はそのあなたの精神がわからないのです、一体何を研究しておるのか。精神上どういうものが重大か。これは砂防法は重大なことなので研究しようと思つている。私は増田大臣のときですから、大分前ですが、どうも何をしておられるのかわからない、もう一度はつきり承わりたい。
  76. 水野峯

    説明員(水野峯君) 御趣旨よく了承いたしました。できるだけ早く一つ研究を了しまして善処いたしたいと思います。
  77. 赤木正雄

    赤木正雄君 なお私の承知しておる範囲では、一級砂防河川、二級砂防河川、そういうふうに改正しようというふうなことをちよつと聞きました。これは砂防法の精神を全然没却しているものです。そういうふうな悪改正ならなさらんほうがいい、むしろ改正しようとするならば僕は極力反対します。なお指定地のこれの補償はすぐできる、すぐされるべきものを放棄して、いつそれが提案になるかわからんものをする、一体あなたは砂防法をお読みになつたのですか。
  78. 水野峯

    説明員(水野峯君) できるだけ敏速に一つ善処するようにいたします。
  79. 赤木正雄

    赤木正雄君 よろしゆうございます。
  80. 下條恭兵

    委員長下條恭兵君) それではちよつと速記をとめて……。    〔速記中止〕
  81. 下條恭兵

    委員長下條恭兵君) 速記を始めて下さい。それでは本日ははこれにて散会いたします    午後零時三十一分散会