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1953-03-06 第15回国会 参議院 決算委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年三月六日(金曜日)    午後一時四十九分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     奥 むめお君    理事            玉柳  實君            宮本 邦彦君            飯島連次郎君            カニエ邦彦君            岩男 仁藏君    委員            秋山俊一郎君            瀧井治三郎君            長谷山行毅君            加賀  操君            伊達源一郎君            小酒井義男君            村尾 重雄君            紅露 みつ君            谷口弥三郎君   政府委員    調達庁総務部長 山内 隆一君    法務大臣官房経    理部長     天野 武一君    大蔵政務次官  愛知 揆一君   事務局側    常任委員会専門    員       森 荘三郎君    常任委員会専門    員       波江野 繁君   説明員    大蔵省管財局国   有財産第二課長  牧野 誠一君    会計検査院事務    総局検査第一局    長       池田 修蔵君    会計検査院事務    総局検査第二局    司法検査課長  井上  孝君    会計検査院事務    総局検査第二局    終戦処理検査課    長       平松 誠一君   —————————————   本日の会議に付した事件昭和二十六年度一般会計予備費使用  総調書(その2)(内閣送付) ○昭和二十六年度特別会計予備費使用  総調書(その2)(内閣送付) ○昭和二十六年度特別会計予算総則第  七条及び第八条に基く使用調書  (内閣送付) ○昭和二十七年度一般会計予備費使用  総調書(その一)(内閣送付) ○昭和二十七年度特別会計予備費使用  総調書(その一)(内閣送付) ○昭和二十五年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十五年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十五年度政府関係機関収入支  出決算内閣提出)   —————————————
  2. 奥むめお

    委員長奥むめお君) では只今より今日の決算委員会を開会いたします。  初めに第十五回国会における昭和二十六年度一般会計予備費使用調書、次に昭和二十六年度特別会計予備費使用調書昭和二十六年度特別会計予算総則第七条及び第八条に基く使用調書昭和二十七年度一般会計予備費使用調書昭和二十七年度特別会計予備費使用調書、これはいずれも予備審査でありますが、以上五件につきまして事後承諾を求める件に関し説明を求めたいと存じますが、御異議はございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 奥むめお

    委員長奥むめお君) それじや御説明を願います。愛知大蔵政務次官
  4. 愛知揆一

    政府委員愛知揆一君) 只今議題となりました昭和二十六年度一般会計予備費使用の件ほか四件の事後承諾を求める件につきまして御説明申上げます。  昭和二十六年度一般会計予備費予算額は十億円でありまして、このうち財政法第三十五条の規定により、昭和二十六年五月一日から同年十二月七日までの間において使用いたしました八億一千五百九十余万円につきましては、第十三回国会にその事後承諾を求める件として提出いたしましたが、その後昭和二十七年一月十六日から同年三月二十五日までの間におきまして八千五百七十余万円を使用いたしました。その主な事項恩赦実施準備事務に必要な経費公立学校建物風水害復旧費補助に必要な経費、海上保安庁の沿岸警備力強化に必要な経費等であります。  次に、昭和二十六年度各特別会計予備費予算額は二百二億三千八百六十万余円でありまして、このうち昭和二十六年五月十五日から同年十二月二十五日までの間に使用いたしました三十二億七千百八十余万円につきましては、第十三回国会にその事後承諾を求める件として提出いたしましたが、その後昭和二十七年二月十五日から同年三月二十八日までの間に予備費使用いたしました特別会計は、外国為替資金ほか十一特別会計でありまして、その使用した総額は三十八億八千二百万余円であります。その主な事項は、健康保険給付費に必要な経費農業共済保険金支払に必要な経費漁船特殊保険保険金支払に必要な経費電信電話事業設備に必要な経費労働者災害補償保険金支払に必要な経費等であります。  次に、昭和二十六年度特別会計予算総則第七条及び第八条の規定に基き予備費使用の例に準じて予算を超過して支出いたしました特別会計は、資金運用部ほか二特別会計でありまして、その内訳は、同予算総則第七条の規定に基いて、資金運用部特別会計において支出いたしました預金利子支払に必要な経費四億五千四百六十余万円と、厚生保険特別会計健康勘定において支出いたしました健康保険給付費に必要な経費二十八億三千五百二十余万円、並びに同予算総則第八条の規定に基いて郵政事業特別会計において支出いたしました業務量増加に伴い必要な経費五億五千万円であります。  次に、昭和二十七年度一般会計予備費予算額は三十億円でありまして、このうち財政法第三十五条の規定により、昭和二十七年四月二十五日から同年十二月二十六日までの間において十七億一千百八十万余円を使用いたしました。その主な事項は、経済審議庁等の設置に必要な経費防火思想普及に必要な経費破壊活動防止法の施行に必要な経費神戸商船大学創設に必要た経費十勝沖震災復旧に必要な経費、鳥取市火災復旧に必要な経費農業協同組合再建整備補助金増加に必要な経費特別営繕業務促進に必要な経費等であります。  次に、昭和二十七年度各特別会計予備費予算額は三百三十六億一千四百九十万余円でありまして、昭和二十七年七月一日から同年十二月十五日までの間に使用いたしました特別会計は、漁船保険ほか四特別会計であります。その使用した総額は十一億九百十万余円でありまして、その主な事項は、援助物資輸入掛費に必要な経費電信電話施設災害応急復旧に必要な経費失業保険金給付に必要な経費等であります。  以上、昭和二十六年度一般会計予備費使用の件ほか四件につきまして事後承諾を求める件の御説明をいたしました。何とぞ御審議の上御承諾下さるよう御願いいたします。
  5. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 以上五件につきましては今日は説明を聴取いたしますにとどめまして、前回審議の続きに入りたいと思うのでございますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 奥むめお

    委員長奥むめお君) それでは御異議ないものと認めます。   —————————————
  7. 奥むめお

    委員長奥むめお君) それでは前回に引続きまして総理府終戦処理費関係の部、検査執告書によりますと第六十三頁の五十五号から六十六号まで一括審議に供したいと思うのでありますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 専門員説明を求めます。
  9. 森荘三郎

    専門員森荘三郎君) 五十五号以下は前回に続きまして役務関係をする問題でございまするが、これらにつきましては殆んどすべての問題につきまして当局においてもそれが誤りであつたということで、検査院指摘をそのまま受入れて遺憾に存じましたということでございまするので、特に付加えて申上げることはございません。ただ御参考までに五十六号について一言申上げておきたいと思います。  これは検査院の方ではバスを運転させるについて、燃料政府側から提供されておる。従つて一定の料金の中からその燃料代だけを差し引くべきはずでありまするが、その差引がほんの見積りで以てやつたものだから非常に不当な結果になつたという指摘に対しまして、当局の力ではこういう問題については物価庁の告示の中に明示されていなかつたからこんな間違いを起したのだという答弁であります。併し検査院の言葉によりますれば、それは物価庁まで足を運ぶか、電話をかけるかしさえすれば物価庁では明らかにきまつておることで、聞きに行きさえすればわかることだ、それだけの手数さえもとらなかつたのは誤りだというようなことでありまして、いずれにしましても当局においては間違いをいたしまして申訳ありませんということでございます。  それから五十八号につきましては、これは北海道の各地に連合国軍が駐屯いたしております。そこで出て来るところの石炭殻を集めてどこか捨てに行くということなんでございますが、当局におきましても結局は当時まだそれらの事務を処理するための機構が十分に整つていなかつたものでありますから、いろいろと細かい点について誤りを犯したということは誠に遺憾に思いますという話でありまするが、併しながら一つ事情の御了承を願いたいという点がある。それは答弁書にも明らかに出ておることでありまするが、これは検査報告には二十五年度に出ておりますけれども、実は二十三年以来ずつと連続した問題なのでありまして、まだ二十三年のその頃には連合国軍北海道あたりへ来た、それに対する事務を扱うのに特別調達庁の方では、到底十分に事務を処理するような工合になつていなかつたという、二十三年度頃からのことだというような点を一つお含み願いたい。なお又石炭殻と言いましても随分各地方に散在して、向うが駐屯していることでありまするから、それの出る場所石炭殻の出る場所もあちらこちらにある、それが必ずしも機械的に毎日一定の分量が出るというわけでもありません。例えばこれが山のように積まれておるものを運び出すのならば四トン積の自動車で運べば、その全数量を四で割るとかいうことにすれば何台入り用と言われますけれども、その日その日出て来るところの石炭殻というわけですから、ときには一トンくらいしか出ないこともある、ときには雪の下に埋もれておつて、それを取出すのにも困難を感じるというようなこともある。それから又人夫賃なども少し高くかかつてはおりますけれども、これも悪いには違いありませんけれども、当時向うの方で軍に徴発されて働いておりました人夫などが、割合に高い給料をもらつておる、それなどとの釣合いをとらないことにはどうしても人が動いてくれないといつたような、実は言うに言われない内部の事情がありまするので、その点だけはどうぞ御了承を願いたい、いずれにいたしましてもこれは間違つたことには違いございませんという話なのでございます。  それから飛びまして六十五号でありますが、これは当局側検査院側との間に意見の一致を見ておりません問題で非常に厄介な問題と思いまするが、一応その事情を御説明申上げたいと思います。これは福岡の町にありまする博多ホテルが軍の方へ接収されておつた。ところが軍が使用しておる間にそれが焼失した、従つてその損害の賠償をこちらの方でしなければならないということになりまするが、そのホテル焼失補償金支払幾らと見るかという点につきまして、検査院見解では、火災保険会社損害査定において、ここに契約されておつたその保険金額超過保険であるという理由幾らかを減らして保険金支払われておる。丁度それで損害は十分補償されておるはずである。それは保険会社損害査定ということによつて十分証明される。それ以上支払うということは必要のないことだという見解であります。これに対して当局の方では火災保険の問題はとにかくといたしまして、この焼けた家を幾らと見積るか、復成価格というものを計算をしまして、その中で保険金保険会社からもらつたのでありますから、それだけの分を差引いて差額だけを政府から補償したというわけなんであります。どういう点が問題になるかと申しますれば、第一に保険会社査定したことは適当であつたかどうであるかという点でありまするが、被保険者側の申すところによりますと、火災にかかりまする以前に保険会社の方から、まだ現在契約されておる金額では不十分だからもつと保険金を増しなさいといつたような保険金増額の勧誘を受けたことさえもあるという、そういう一つの事実。それから又保険会社損害額査定させますために、損害査定業務としておる者にその査定書を作成させたのでありまするがこれが実はこの火災保険などでしばしば問題になることでありまするが、大きい損害のあつたような場合、例えば大きい工場が焼けたとでもいつたような場合でありますると、保険会社の方でも一つ査定をやらせますと同時に、被保険者側においても査定書を出す、双方を比べてみますると随分大きい金額の開きが出ておるということがしばしばあるわけであります。もう申さずとも明瞭なことだと思いますが、保険会社側では成るべく少い保険金を払おうとする、被保険者側では成るべく多くの保険金をもらおうとする、のみならず被保険者としましては、その保険金で以て再びその建物を建替えなければなりませんから、それを建築業者に請負わせるというような関係もありまするので、どうしても請求の金額は大きくなる。ところが今、本件に関しましては被保険者側からの損害査定書は出ておらないのであります。なぜ出さなかつたかということは明瞭ではありませんが、恐らくこれは推測でありますが、それほどまでの事情をよく知つておる人ならばすぐさま損害査定書を提出するでしようけれども、一般世間の人としましては、そういうことを知らないかも知れない、そうかと言つてつてつたわけじやなくて、被保険者側からはしばしば会社の方へ向つて、もつと払つてもらわなければ困るということを非常に抗議を申込んでおつたという事実は確かだそうであります。ところが、折悪しく、金融緊急措置令、銀行の預金などを封鎖するというあの事件が間近に迫つて来たものでありまするから、被保険者側としては、余りいつまでもやかましく言つてつて金をもらわずにおるとそちらの方へ引つかかつて非常に困つたことになるから、そのくらいならば、いつそ今のうちにまあ我慢をして少い金でもとにかくもらつておいて、それで以て何とか方法を講じようということで、とうとう保険会社査定したその少い金額を受取つてしまつたという事実があるのであります。で、これは本当に納得の上で受取つた金額と見るべきか、或いは窮地に追いやられた人が、取りあえず受取るだけのものは受取るが、あとの話はあとの話として抗議を申込むつもりで残しておいたものであるか、そこらに一つ問題はかかつて来るかと思われまするが、さて当局において、今これを建築するならばどのくらいの費用がかかるものと見るべきかという、この復成価格の算定、これを当局ではどういうふうにされたかということを聞きますると、火災保険協会及び国税庁の木造建築物評価基準表というものに照しまして、この建物を住宅の第四級の建物と見る、そうしますると、これは遡つて計算するわけでありまするが、昭和十二年においては、それが坪当り二百四十円ということになる、それを更に昭和十年のところまで物価指数などを用いて換算をすると、百八十七円二十銭ということになる、これを端数を打切つて百八十円と見てそれから又更に物価指数その他のものを考慮に入れて消失したときの当時の時価を算出したのであるというのが、これが当局説明なのであります。  検査院はこれを批難するに当りまして、そもそもこういう建物接収する場合には、そのときの建物がどんな建物であり、内容がどういうことを一々詳細に記しておくべきはずのものでありまするが、そういうふうのものを作つておかなかつたというので、接収当時の価格については資料がない、これが直ちに不都合であると言われるのであります。  それから保険会社査定が果して適当か適当でないかという問題については、議論はあるかも知れないけれども、これは併しながら不適当だと、不当だと認める根拠もない、これらから見れば、結局この補償支払は不当と認めなければならないというわけであります。これに対して、当局は、この問題は福岡で起つた問題でありまするが、その福岡における特別調達局のやつたことにも一応理由のあることであつて、一概には不当ということはできないということなのであります。尤も接収当時詳細なる記録を整えておくべきはずであるのに、それが十分できていなかつたということは、これは誠に申訳ないことではありますが、併し、これはもう終戦直後のことで向うの方から、進駐軍が来たすぐのことで、実はそういうふうの書類の不備であるということは、この福岡だけに限つたことじやない、露骨に申せば、全国到る所にそういうふうのことがあるので、この点をつかまえて特に福岡局を批難するというわけにも、事情の上から考えれば、そうは参らないという点を御考慮願いたいというようなことが大体の筋のようでございます。  なおそれ以外の問題については特に申上げることもございません。
  10. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 会計検査院説明ありますか。
  11. 平松誠一

    説明員平松誠一君) 只今審議頂いております五十五号乃至六十六号の案件につきましては、大体只今専門員から御説明のありましたように、五十八号及び六十五号を除きましては、当局におかれましても検査院指摘通り遺憾の意を表せられておりますので、今の二つの問題につきまして簡単に検査院主張を申述べさして頂きたいと思います。  先ず五十八号の案件でありまするが、これは北海道の全地区進駐軍施設から発生いたしました石炭殻を処理するという役務を請負わせたのでございますが、本件につきまして検査院が批難しておる要点は三点でございます。第一は、炭殻処理役務に使いました馬車使用台数が、炭殻発生量から計算いたしました適当と認められる馬車使用台数と比べて、非常に余計な台数支払われておるという点が第一点でございます。次は、役務使用いたしました労務者使用、これも実際適当と認められる使用人数よりも非常に多い人数が見込まれておるという点。第三点は、その使用しておる労務者支払い賃金につきまして、荷役夫の単価を適用しておるのでありますが、炭殻処理役務というものは特殊な技術を要するものでないので、一般人夫賃程度のもので足りたんではないかという三点でございます。  これに対しまして、当局弁明書で弁明いたしておられる点は、馬車使用台数は成るほど多いかも知らんけれども、一日一台一トン未満の場合、一トンにも足らんような運搬をした場合がしばしばあつたので、台数が多くなつたということを言つておられるのでありますが、札幌について例をとりますと、札幌市内の軍に接収されております施設が五十数カ所ございますが、従いまして、こちらが適当と認めております馬車台数で見ますと、一日大体十台程度馬車使用したことになつておりますが、而も札幌地区におきましては、方面々々では違つておりましても、或る方面をとつて見ますと、その辺に接収施設割合に近接して所在しておるというような関係で、それらを次から次へと集めて回つた場合には、決して一日一トン未満というようなことを考慮する必要はなかつたと思われます。なお小樽の場合におきますと、小樽炭殻発生量が年間二百トンでございますので、これを一日平均にいたしてみますと一トン未満ということになりますが、この場合には実際の処理能力からいたしますと馬車一台を要しないわけでございますが、検査院が批難しておる、実際この程度でよかつたという馬車台数計算におきましては、それを一日一台というふうに当局のおつしやる通り計算をいたしておるわけでございます。  それから第三の点は、人夫の数が多過ぎたという点につきましては、この炭殻役務に附随する仕事を軍から仰せつかつて、その関係で人が要つたというようなことを言つておられます。この附随作業内容と申しまするものの主なる点は、札幌から三・五キロばかり離れたところに真駒内というところがありまして、当時たしか第十一空艇師団が駐屯しておつたと思うのでありますが、そこへ石炭を運搬して納めると、その場合に貨車から石炭を置場に下すような作業をこの役務で以て軍から命ぜられた場合があるというようなことが大体当局主張のようでございますが、当時真駒内地区におきましては進駐軍使用しております労務者、直接軍が使用しております労務者が常傭、日傭合せまして一日平均千人、こういう雑役をやつております人が一日平均千人程度でございました。これに対しまして石炭の毎日運ばれる量を処理するに要する人数というものを計算してみますと、十人足らずでございます。値か一%程度のものでございまして、進駐軍が直接使用しております労務者によつて十分そういつた役務が賄えておる。たとえ応援を求められるというようなことがあつてもそういつた点は大した問題ではない。而も当局はそういうことを言つておられますが然らば実際何人使つたかということについての監督の側における記録というものは何にもございません。  それから第三の点は労務者賃金でございますが、これは同じような仕事をしている軍が直接使用しておる方の賃金が高いから、それとの均衡上止むを得なかつたということでございますが、当時一般職種別貸金というものがきまつておりまして、普通人夫ならば軍が直接使用しておりますものも、一般の民間で使用いたしておりますものも全く同じであつたわけでございます。ただ本件の場合には荷役という特別な技術的な内容を持つた作業をするのでない人に対して、荷役夫のプリヴエーリング・ウエイジを通用した点に高くなつたという原因があるわけでございます。答弁書のしまいにおきまして当局指導監督が徹底しなかつたという点は遺憾だということを言つておられますように、そういつた関係におきまして業者が実際以上の額を請求して多大な額が支払われたというふうに考えておる次第でございます。  なお検査院炭殻の点から馬車使用台数というものを推定いたしたわけでございまして、この契約は実際かかつた適正な実費を支払うということが建前でざいますので、今会社帳簿その他に当つて見ればそれから果して幾らかかつたかということがわかるわけでございますが、検査院が問題として取上げました当時におきましては、たまたまこの会社帳簿その他関係書類が一切盗難に会つたということでございまして、その点は確めることができなかつた次第でございます。  それから次の六十五号につきましての内容は先ほど専門員からお話になりましたので、検査院の申上げたい点だけをお話申上げることにいたします“が、調達庁のほうにおかれましては補償金支払に当りまして、そのすでにもう焼けてなくなつた建物につきまして大体どんな程度の構造であつたろうということを調べまして、それが昭和十年には百八十円ぐらいしたであろう、それから昭和十年から焼失いたすときまでの指数建築関係物価の値上りは三十四倍になつておるということで、それを三十四倍して適正価格というものを見た、そうしてそれを基礎といたしまして火災保険料を引いたものを払われたわけでございますが、こうした補償の場合にそういつた資料によりますことも一つ方法ではございますが、評価の適正を期するという建前からいたしますれば、多年の経験を持つておりまして建物その他不動産並びに動産関係評価については専門的な知識のある保険会社が、保険料支払う際にいかほどにこれを評価したかということ、それから実際その建物建設費幾らかかつたかということは非常に有力な評価資料になると思われます。そこで保険会社は先ほども申上げましたように、これを超過保険として保険金額の五百万円に対しまして三百六十三万円を適当として払つたのでありますが、保険会社が、この保険金支払うにつきましては、鑑定人評価を求めておるのでありまして、その鑑定人の出した鑑定書を見ますと、鑑定人が調査いたしたところによりますと、この建物のうち主体をなす本館並びに宴会場、これらにつきましては、大体昭和十二年に建てられたものでございまして、本館坪当り百三十円、これを特調は昭和十年に百八十円というふうに見ておられます。それから宴会場なんかは大広間の関係坪当り経費はそれも少くて済むはずでありますが、鑑定人が調べて、実際の建築費が幾らかかつたというのを調べたところによりますと、宴会場坪当り八十円ということになつております。これを調達庁のほうの基礎といたしました数字は本館建物同様百八十円ということになつております。これらを総合いたしまして、大体今の実際かかつた建築費の百三十円というものから、先ほど申上げました三十四倍の倍率ということで算計して参りますと、大体保険会社の払つた額で実際の被害はカバーされておるというふうにみられる次第でありますので、かような批難と相成つた次第であります。  なお当局のほうにおかれましては、博多ホテルの方としてはその金額に不服であつたけれども、たまたま二十一年の八月十一日に金融緊急措置令が公布せられまして、保険金全額が棚上げになる虞れがあるということで以てやむなく承諾した、こういうようなことをおつしやつておられますが、併し自分の掛けた保険金が適当に払われないということであるならば、自分の方でも鑑定人を立てて保険会社側と争つて紛議を解決するの途は開かれておるわけでございまして、その点の権利を主張しないで、そういつた権利を放棄したものについてまだみてやる必要があつたであろうかどうか。又そういつたやむなくその権利を放棄いたしたのは金融緊急措置令が発動になるという目安があつたためであるということでありますが、併し金融緊急措置令が発動になるのは、これは全国一律でございまして、ほかにこういつた事態があつて、やはり保険金について保険会社と争つておるような事件があれば、それで争つているうちに金融緊急措置令の発動を見て棚上げになるということがあれば、それで止むを得ないということになるのでございまして、本件にだけ一般の取扱と異なつてその点を考慮してやるという理由はなかつたと考えます。以上御説明申上げます。
  12. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 調達庁側の説明がありましようか。
  13. 山内隆一

    政府委員(山内隆一君) 今議題になつておりますもののうち専門員のかたから特に御説明のありました問題について、詳細な調達庁側の英文も御説明になつておりますので、特に付加えることはないようでありますが、極く簡単に少しく申さして頂きたいと思います。  五十六番の問題については検査院の御指摘通りでありますが、ただ最後の物価庁に間合せる途をなぜとらなかつたかという意味の御批難もありますが、当時物価庁の方でも非常に忙しい事情もあり、私の方でも物価の問題が一番調達庁仕事としては重大なことでありますので、連絡は種々とつて、わからんものは物価庁に聞くようにいたしておりましたが、当時物価庁としても、きめたものの内訳を詳細問合せによつて聞かれるということも、必ずしも好まない事情があつたので、或いはこの問題については決して放任したわけじやなく、一応は電話なり或いは聞きに行つたことがあるのじやないかと思われる節があるわけでありますが、併し遂にその内容がはつきりしないので、止むを得ずこの印刷物にありますようにトラツクとかセダンのような場合に準じて取扱つた結果がかようになりましたので、誠にこれを遺憾に存じております。  五十八番の石炭がらの問題につきましては、これ又結果的に申上げますれば、比較的多額に支払をしたということは事実でありまして、非常に申訳けがない次第でありますが、この仕事は他の今度いろいろ議題に供される事項と違いまして、二十三年頃からの問題が皆含まれておるような事情があることと、自然そういうような関係から二十三年は多く北海道庁が取扱つておりまして、調達庁も発足後まだ日が余りたつておりませんので、漸次拡充して都道府県のやつておる仕事の引継ぎを受けながら新しい仕事をやるというような形になつておりましたために、丁度この二十三年の暮から二十四年にかけての時分はかなり混乱をいたしておりまして、出張所を新たに作つてかような仕事の引継を受けて取扱つたというような事実がありますので、自然監督不行届の結果かようなことが起つたということが言えると思いますので、非常にこの点を恐縮に存じております。  ただ、一、三ちよつと私の方の立場から申さして頂きたいことは、台数の問題もこの弁明書の方に書いてありますようなわけで、たくさんつもつておるものをトラツクなり馬車で運ぶ場合と違つて、軍が非常に廃物を側に少しでもおくことを嫌う傾向がありまして、僅かでもトラツク一台として運ばなければならんという事情が多々あつたと思います。従つて長い間それを合計しますと、満載した場合に比べれば、非常にたくさんな無駄な台数を殖やさなければならん結果になることも想像ができると思います。それから労務者使用の数が多いという点、これもお説の通りでありますが、当時やはり軍の指揮が強かつたために、軍から命ぜられたと同様になつて、この程度労務者を使わなければならなかつたというのは又あと労務者賃金にも影響しますが、ただ普通の馬車人夫としてではなく荷物のいろいろ積下ろし、貨車積みとか或いは集積作業、そういうような仕事までも軍の方でさせられたというような事情もありまして、軍がそういう必要も考慮して或いはたくさんの労務者をつけることを命じたのじやないかと思いますが、さような事情になつております。自然この賃金につきましても、普通ならば検査院の御指摘通り一般人夫でいいわけでありますが、そういう仕事をさせたということと。いま一つ当時軍の使つておる労務者の一部をこういう方に或いは解雇したか何かの都合で廻した。今まで軍の使用人として或る賃金をもらつてつて、これをそのままこの方に廻して賃金をぐつと下げるということが或いは困難な事情があつた向もあるやに聞いておりますので、そんなような事情一つ御了察願いたいと思います。  それから最後の六十五番の博多ホテルの問題は、これはなかなかいろいろむずかしい法律問題もあるかと思いますが、問題はやはり私の方の推定建築価格、この価格が高過ぎたかどうかという問題がかなり重要な点ではないかと思つておりますが、これはすでに専門員のかたの御説明で省略いたしますが、ああいうような比較の点からいつて調達庁の推定建築価格は決して高過ぎてはいない、かように思つておるわけであります。それから次に建物接収した場合の賃貸料の内容の問題がかなり関係すると思いますが、当時の賃貸料の中には保険料は含まれておらないのでありまして自然家主が保険にかけるか、かけないかということは家主の自由であります。その後になつてまあかような問題も起り、いろいろの理由から正式に保険料を或る価格を仮定して、その価格に相当する保険料を家賃の中に含めて明らかに家賃は幾ら、そのうち保険料幾ら含むというような形にして、接収不動産に対する賃貸料を支払するようになつたわけでありますが、この時分にはさような保険料というものは入つておりません。自然この問題につきましても保険に掛けていないものに対する場合と、進んで別に保険料が賃貸料に入つてないのに、自分勝手に一つの犠牲を払つて、そうして保険に掛けておる場合のまあ両者の焼失の場合を考えたときに、検査院指摘のようなことにするならば非常に不公平な結果にもなる、保険料を掛けるだけばかをみるというような結果も考えられますので、私の方としては適正な推定建築価格と見てそうしてそれに対する残存価値との関係から損失を出し、そうしてただ保険に掛けた場合と掛けない場合との比較の点があるからと言つても不当利得をさす必要はないから、当然もらつた額は差引くというわけで、差引いた額を支払つた次第でありまして、そこで保険に掛けているかどうかということについても、只今専門員のかたからの御調査の結果の御説明もあるのでありまして私どもも余り断定するわけには行きませんが、その以前にしばしばもつと高くしてくれんかということを保険会社の方から交渉しておるといういきさつは聞いてもおります。なおもう一つ営業会社でありますから、役所が契約の相手方であるからといつて、売り方、買い方というようにきめて、極端に安くばつかりしようという気持にはなり得ないわけでありますが、営業会社になりますれば、そこはもうできるだけ安くする。相手さえ承知するならば、幾らでも安くするという役所の場合と営業会社の立場で相当違うのじやないか。従つてそちらのほうで査定をしたからと言つて、役所としては役所の当時の契約がありますので、契約に基いて算定をし、支払いをするということは、やはり必要なことであつたかと思います。さような事情を御了承願いたいと思います。
  14. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 御質疑を願います。……別に御質疑はないでしようか。
  15. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 これは検査院にお尋ねするのが至当だと考えますが、不正価格の算定をどういう根拠でおやりになつたのですか。
  16. 山内隆一

    政府委員(山内隆一君) 細かな数字的な材料は持つておりませんが、この焼失建物の、焼ける当時の時価算出の根拠といたしたものは、昭和十年の推定再建築費というものを先ず作り出すということになつたのですが、これには焼失前の建物の写真もあります。その他、パンフレツトもあります。この建物の建築についてのことを書いた。パンフレツトもあります。それから使用人とか、旅館組合の証言、保険会社資料等、そういうものを全部含めまして、各建物について構造、材料、品質等を十分確認した上、算出をいたした次第であります。  なおこの機会に、検査院からその接収当時にもう少しいろいろの資料を整備しておくべきだと——これは非常に御尤もでございますが、進駐当時、とにかくどんどんとたくさんの建物接収される。当時そういうことについての責任ある役所というものはどこかということのきまりもない。地方によつてかなりまちまちの場合もあつたわけでありまして、而も又後になつて接収がどれくらい続くか、接収解除というような場合にどうなるか、補償をどうするかというようなことは、当時は全然予想し得なかつたわけでありますので、つい仕事に追われて当時詳細な資料を集めて、解除した場合の補償問題等を研究する資料を十分作り得なかつたことは、結果としては遺憾でありますが、当時の事情としては止むを得なかつたのじやないかと思われるのであります。
  17. 奥むめお

    委員長奥むめお君) ほかに御質疑はありませんか。
  18. 山内隆一

    政府委員(山内隆一君) 一昨日の委員会において御質問がありまして、資料がないために答えなかつたものがありますが、如何いたしますか。
  19. 奥むめお

    委員長奥むめお君) どなたの質問ですか。
  20. 山内隆一

    政府委員(山内隆一君) 宮本委員の横浜の油槽所の運営の。……
  21. 奥むめお

    委員長奥むめお君) ちよつとお待ち下さい。
  22. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 百八十七円という計算が出されておりますが、この鑑定書によると、本館が百三十円ですが、それから宴会場が百八十円という鑑定書が出ておりますが、この何というか、百八十円というものを算定する、もう少し第三者的の基礎資料はないのですか。百八十円がつまり高過ぎやしないかということです。
  23. 平松誠一

    説明員平松誠一君) 百八十円が高過ぎはしないかということの資料でございますが、これはまあ実際百八十円というのが、昭和十年を基準にいたしまして、昭和十年ならば調達庁といたしましては百八十円ぐらいかも知れないであろう、こういうことで百八十円という数字を基礎にされたわけでございますが、鑑定書言つております、実際昭和十二年に建設いたしました実際の価格が百八十円に相当します分、時期が十年と十二年の違いでございます。むしろ上つた、十二年のほうが上つておると思いますが、それが本館については百三十円であり、宴会場については百八十円である、これはこの推定再建築費が幾らであるかということを判断する資料としては、最も有力な資料だと考えております。なお別にこれのほかに、推定再建築費が幾らであるかということを判断する資料としては、現在のところ適切なものを持つておらないのであります。
  24. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 別に御質疑はもうおありになりませんか。……御質疑はないものと認めまして、第五十五号から第六十六号まで総理府関係のものを一括審議に供したものでございますが、一応質疑は終了したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 御異議ないと認めます。  それでは只今の、前回の質疑に対する御説明を願います。
  26. 山内隆一

    政府委員(山内隆一君) 一昨日の決算委員会におきまして、五十四号の横浜の油槽所の運営につきまして、見積合せの結果はどうであつたかというお尋ねでありましたが、当時資料がありませんのでお答えを差控えまして、今日数字を持つて参りました。それによりますと、これは二社、会社は二つであります。日本石油会社では千九百三万三千二百円、それから三菱石油会社は二千百三十九万三千四百十円、当時の予定価格は千九百十六万一千円となつておりまして、日本石油が予定価格以内でありますので、こちらのほうに契約をさせることにしたわけであります。   —————————————
  27. 奥むめお

    委員長奥むめお君) それでは次に進みます。法務府関係の不当事項に移りたいと思います。  では法務府関係審議に移ります。第六十七号から七十七号まで一括審議に供したいと思います。森専門員説明を先ず求めます。
  28. 森荘三郎

    専門員森荘三郎君) 第六十七号は登録税の賦課当を得ないものというのでありまして、或る汽船会社が銀行から金を借りた。それに対してこの船舶が抵当になつておる。その抵当権設定の登記の場合に、船の値を非常に安く見ておるので自然登録税の納め方が少なかつた。こういうことになるわけでありまするが、これと同じような問題は殆んど毎年と申してもよろしいくらい検査報告に上つて来るのでございます。その事情を聞いてみますると、船舶の評価というものは、かなりむずかしいものでありまするが、現在のところでは、法務府の本省でこれをきめないで、各地方の法務局に一々これが任せてある。従つて法務局の所在地に従つて金額が一定しておらない。なお又それ調べるにしましても、なかなか適当な材料も集まりにくいし、かなりむずかしい問題であるので、ついその改訂が遅れがち、遅れがちになつておる。そんなことからこういうような結果が出て来るので減に申訳ないが、将来はせいぜい認定の基準をそのときそのときの実情に合うように改正を加えるように努力をいたしたいと、こういう話でございます。  それから次に六十八号乃至七十五号は、刑務所の収入の徴収が遅れておる。つまり刑務所の囚人を外へ働きに出させるわけでありますが、その労働費等を先方が支払つて来ないのに、相変らず出役を継続したりしておる。その例がこの通りたくさんあると言つて、並べて記されているのであります。当局のお答えとしましては、誠に遺憾なことではあるが、一方から言うと、囚人を遊ばせておくわけにも行かないから、一方には早く納めるように催促をしながら、他方にはこういう労働を続けさせているという結果になるのだというような説明が来ているわけであります。  次の七十六号は、これは法務府本庁、それから高等検察庁が七つ、地方検察庁が二十六、大雑把に申せば全国至るところと言いたいような事情でありまするが、当時庁舎が非常に不足をしておつた。それで何とかして庁舎を造りたいと思つてつたが、十分に予算が得られなかつた。たまたまこの年仮留置場を設ける費用、行刑施設費というものが若干余つてつたから、余儀なくそれをそちらのほうへ廻したのであるというような説明が付いておるのでございます。  最後の七十七号は、これは架空経理という問題でありまするので、すでに小委員会において審議は終つたのでございます。
  29. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 検査院説明を願います。
  30. 井上孝

    説明員(井上孝君) それでは六十七号から七十七号までの間の件につきましてちよつと申上げておきます。只今専門員のお方から御説明がございましたので、詳細に亘つて説明は省かせて頂きたいと思います。当局におかれましても大体将来は改めるというような御答弁でもありまするので、特に申上げるほどのこともないと存じます。  六十七号につきましては、只今専門員もおつしやいましたように、この船の査定、これは日産汽船会社の持つております日産丸の抵当権設定登記に関する問題でありまするが、この当時の登記の基準になりました価格はここにもありますように、トン当り二万四千円程度になつております。その後当局におきましても二十五年の十二月にこれを四万五千円程度、それから三十六年十月には民事局長から各法務局長宛に一定査定基準を示されておりますが、これは約十万円程度になつております。逐次実際の新造船価等に近付いたものになつておる状態で、只今申上げました二十六年十月の民事局長通達のままおやりになるとすれば、この当時までの価格としては妥当な線に落ちついて来ておるのではないかというふうに考えております。  それからその次の六十八号乃至七十五号につきましては、これは収入金が入らないものが大分あつたという意味のものであります。この点もその後当局において相当注意をして頂きまして、二十六年度におきましては非常に収納未済額が減つて来ておる現状であります。  七十六号は予算科目の使途の問題でありまして、多少予算に積算されたものと違つた方面予算が使われておるということでありまして、当局もこの点はお認めになつておりますので、特に申上げるほどのこともございません。  七十七号は、この前の委員会で済んでおりますので、省略いたしたいと思  います。以上で御説明を終ります。
  31. 奥むめお

    委員長奥むめお君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  32. 奥むめお

    委員長奥むめお君) では速記を始めて下さい。  法務府当局説明がございますか。
  33. 天野武一

    政府委員(天野武一君) 先ず六十七号について御説明申上げたいと思います。  従来、先ほど森先生から御指摘がありました通りに、船舶の登録税につきましては、ここ何年も東京法務局が賦課当を得ないものとして指摘されておりますので、その事情並びに今どういうことを我々として考えて、その是正をいたしたいと思つておるかということを申述べさして頂きたいと思います。六十七号の事実はこの通り間違いございません。つまり、この日産丸についてだけ特に低い評価が行なわれたというのでなくて、批難されるとすれば、東京法務局が持つておる認定基準というものそのものが低い、その結果、かようなことになつたということになるのでございます。そこで、登記所ではどういうふうにして船舶の価格を認定するかということを申上げますと、これは、各法務局、それから地方法務局ごとに一定の基準を持つております。それに従つて認定することになつておるのでありますが、本件の場合も、東京法務局は東京法務局としての一定の認定基準を持つておりまして、それを当てはめたわけでございます。それで、この東京法務局のこの場合の認定基準はどういうふうにしてできたかということを申上げますると、こたは、本件の場合には、昭和二十四年四月一日に今までの認定基準を改訂して作つたものでありまして、その改訂を行うに当りましては、運輸省、それから関東海運局、石川島造船所、船舶検定協会、これらの団体、或いは会社の意見を参考として作つておるのであります。その後、東京法務局におきましては、昭和二十五年十二月十五日、つまりこの指摘されましたあとでございます。昭和二十五年十二月十五日及び昭和二十七年三月一日の二回に亘りまして、認定基準の改訂を行つております。勿論今後も物価の変動等に応じて改訂をすべきでありますが、もう少し遡つて申しますと、従来東京法務局の認定基準は少し低きに過ぎた、これを一拳に高くすることはどうかということでだんだんに改めて参りました。昭和二十三年四月以降について申しますると、二十三年の十月、それから二十四年二月、それから二十四年四月、それから只今申した二十五年十二月、二十六年三月というふうに、漸次基準を改訂して来ました。そのために他の法務局に比較しまして、特別、認定基準が低かつたという時代もございましたけれども、今は大体におきまして他の法務局に比べて特に低いという、均衡を失しておるということはないつもりでございます。登録税の課税標準となりまする船舶の価格の認定は、これは法律の上では登記所がそれぞれ独自に認定する建前になつておるものと我々は解しておるのでありまするが、固より先ほど森さんからお話がございましたように、認定は適正でなければならんと共に、全国的にも均衡を保つことが必要でございます。従いまして法務省は、船舶の価格認定の適正均衡を図るために先に固定資産税の船舶評価基準を参考といたしまして、これを各地方法務局ごとに送りました。そして今後の方針としてはそれだけでは足りませんので、更に中央で専門家に依頼いたしまして、登記所の利用に適するような評価基準を作つて、これを全国の登記所に参考として送りたい、かように考えておるのでございます。只今の固定資産税の基準と申しますと、地方財政委員会が作りました船舶評価基準でございますが、これはそれをそのまますぐ登録税法に当てはめろというのではないのでございまして、全国の法務局なり、地方法務局なりで、それを参考にして作つてもらいたい、つまり固定資産税は地方税でございまして、これをすぐそのまま登録税法に使つていいかどうかということも疑問もございましようし、それからなお登録資産税に使いましたものにない船もあるということも考えられますし、それからやはり小さい船になりますと地域的な差というものもございましようから、これは参考である。従つて少くともこの二十八年度におきましては更に登記所の使いやすい認定基準を作りまして、これを全国の登記所に参考として送りたい、かように考えております。それはどうしても私ども法務省の役人ではできませんので、専門家に依頼いたしまして作つて頂きたい、かように考えておる次第でございます。
  34. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 御質問ありますか。
  35. 小酒井義男

    小酒井義男君 この認定基準についてなんですが、今のお話ですと、中央で一つの基準になるものを作つて全国に渡したいということですが、従来はこの基準はそれぞれ法務局で自由にきめることができ得るような建前になつてつたのでありますか。
  36. 天野武一

    政府委員(天野武一君) さようでございます。そしてただ資料として私ども中央でそれを取つておりました。
  37. 小酒井義男

    小酒井義男君 そうしますと、現在までの認定の基準が、これを全国的に見た場合に相当アンバランスがあるということが認められるわけなんですか。
  38. 天野武一

    政府委員(天野武一君) 全国的に見ましたときにアンバランスのあることはよく承知しておりましたです。
  39. 小酒井義男

    小酒井義男君 そうすると、従来までの実情を排除するために、中央で認定の基準というものを設けて、それでそれに基いて将来はやつて行こう、こういう方針でございますか。
  40. 天野武一

    政府委員(天野武一君) つまり全国的な認定基準を一律に作るということはやはりむずかしいと思いまするので、全国的に見た場合の認定基準というものをこちらで専門家に委嘱しまして作りまして、それを基として、特殊事情として各地の港なり土地について考慮すべきものがあれば、それを加味するというようなことにして、全国的にこれを示したい、かように考えております。なお附加えて申上げますと、東京で申しますると、船のこういう登録というものは、月に百件は必ずございます。多い月は二百件くらいございます。しよつちゆうあるものでございますから、急にいつ変えるということは、なかなか変えるときに苦労するわけであります。非常に件数も多いというようなところから、愼重に……、それがその通り今まで各地においてばらばらに行われて来ておりますのを急に変革するのでありますから、特殊事情をどういうふうに見るかということも専門家の意見を聞きたいと、かように考えております。
  41. 小酒井義男

    小酒井義男君 もう一つ最後に、東京におけるところの認定の基準というものが、他に比較して低かつたのかどうか、低いとしたら、それが低かつた理由といいますのは、どこにあつたのかということをお聞きしたい。
  42. 天野武一

    政府委員(天野武一君) この東京が特に低かつた、よそに比べて非常に低かつたということは必ずしもないと思いますが、東京でかなり頻繁に直しながらも、直す直前のものは、早く直したものよりどうしても低いということになるのでありまして、各地とも順次これは改訂して行つております。けれども改訂が少し遅れると、つまりそのとき認定された船は低い認定を受けるということになります。それでも東京はそういうようなところがよそに比べまして遅れておつたことは事実でございまして、そのために低いという事態があつたということであります。
  43. 小酒井義男

    小酒井義男君 基準の認定について、それぞれの法務局が期間をきめてやつておるわけじやないのですね。自由にやつておるということ、そうしたら、それを認定基準の変更をすべきじやないかということを中央から指示するというようなことは、従来やられておつたのか、それはやらなくても、その地方において自由に行なつて来れたものか、その点はどうですか。
  44. 天野武一

    政府委員(天野武一君) 各地において認定基準を変えたらどうかというようなことは、低いということに気が付いた場合には勿論申しておりますが、先ほど申しましたような固定姿産税につきまして、地方財政委員会から非常に網羅的なものが出ましたので、お手許に資料として差上げてございますが、それを実は昭和二十六年になりまして、全国に初めて配つたというようなわけでありまして、それまでは全国的に直したらどうかというものを一斉に申したことはないのであります。
  45. 奥むめお

    委員長奥むめお君) ほかに御質疑ありませんか。  更にそれに関連して井上検査課長にちよつと伺いますが、それではもうこの種の問題は余りなくなるだろうというほうに措置がとられたと考えてよろしいですか。
  46. 井上孝

    説明員(井上孝君) 只今当局から御説明がありましたように、全国一律に通達を出されまして、そうしてそれがそのときの時価にマツチしておる限りにおいては、大体問題は起らなくなるのではなかろうかと考えております。ただ時価が変動しました場合、その後又適切な措置が講ぜられることが必要であるということと、中央から指示はありましたが、果して出先が同じように改訂をやつたかどうかという実際上の問題につきましては、なおこれからの検査の対象になる、こう考えております。
  47. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 法務府関係は初めてですが、私どもこの委員会といたしまして、しよつちゆう御説明、御了解願つておりますのは、済んだことを審議するのでなしに、将来再びこういうことの起らないようにする積極的な対策をこの中から求めて、見出して行かなければならんというのが、この委員会の態度でございますので、ご説明もその線に沿つていろいろとお願いしたいと思います。皆さんどちらにもお願いしておりますので御了承願います。
  48. 天野武一

    政府委員(天野武一君) 承知いたしました。
  49. 奥むめお

    委員長奥むめお君) それでは第六十七号から七十七号まで、一応御質疑はないものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 御異議ないものと認めまして、次に第七十八号から百四号まで一括審議に供したいと思うのであります。森専門員説明を願います。
  51. 森荘三郎

    専門員森荘三郎君) 七十八号から百三号までは、職員の不正行為が全国各地に亘つて生じておつたということが列挙されておるのでありますが、これにつきましては、毎年この種類の犯罪行為が法務府関係で非常に多いということと、それから又法務府というところは、こういう事柄に関してはほかのところよりも一そう厳重でありそうだと思われるそこのところに、こういうふうの事故が起るのは、内部にどういう事情があるのかというようなところを考えてみたいと思うのでございます。  最後に百四号というのがあります。これは刑務所で或る品物を作つて売出したところが、どうも計画がよろしきを得なくて失敗をしたということで、その仕事を始める場合には、十分に計画に注意をしなければいけないという注意が加わつているというのでございます。ただそれだけでございます。
  52. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 検査院説明ありますか。
  53. 井上孝

    説明員(井上孝君) 七十八号から百三号までの法務府関係の不正行為についてでありますが、この表を御覧頂きましてもわかりますように、大体こういう不正事実の起つておりまするところが、比較的区検察庁或いは支部といつたような下級の官庁に比較的多く起つておる状態でありますので、多少こうした出先の小さな官庁に対する監督、監査といつたようなものについて、十分に手が尽されていない面があるのではないかというふうに考えております。なおこれはこういう不正事実の起ります原因と、それに対して今後如何にするかということを十分考えなければならんということは、先ほどからの御意見にもありました通りでありますが、私ども会計検査院のものとしましても、こういう事実が極めて、極めてと申しますか、比較的多いのでございますので、これらの件につきましては、特に注意して検査を進めているわけでございますが、こういう不正行為を行われる方々が、そうした小さな官庁に行われているということと、実際やつておられる方が比較的若いかたに多い。それからその不正行為によつて生み出された金が、必ずしも生活に困窮しているという面よりは、むしろ遊興費といつたような方面に使われておる面がかなり多いわけでありまして、これは戦後の風潮の然らしめるところのようにも考えられますので、全般的な問題に絡みますが、人という問題、条件として現金を取扱う人の素質の問題というような面を相当考えなければならんのじやないかというふうに考えます。それから制度の上でも若干考えさせられた点があるわけでありますが、例えば出先の小さな官庁は、窓口で直接現金を取扱われる方と、あとの整理をなさる方が同一人でしか行えないといつたような実情から、内部的な牽制が余りとりにくいという面もあろうかと思うのでありますが、この辺の点についても相当考えなければならんのではあるまいかというように考えておるのでありまして、先般も当局に対して、これらに対する対策の研究を特にお願いしているようなわけでありますが、二十六年度になりましても、若干やはりこの不正行為の検査報告が出ておりますが、報告書の面から見まして、件数は逐次減つて来ておるように見受けられますので、当局もそういう方面に十分気を付けておられるので、その効果が逐次上つておるものと大体の観測としては考えております。
  54. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 法務府で御説明ありますか。
  55. 天野武一

    政府委員(天野武一君) この七十八号から百三号までは職員の不正行為の国に損害を与えたものでありますが、只今お話のように、非常に多いということは誠に遺憾であります。遺憾というか、実に残念至極でございます。実はどうしてこんなにあるかと私ども法務省という真正面から法律を扱う官庁で、みずからこういう悪いことをしているというので、いろいろなぜかということを考え、将来の対策ということも勿論考えておりまするが、二十五年という年は、妙にこれが多く出ているのでございます。どうして二十五年度だけがこう多いかという点についていろいろ考えました。どうもこういう事件がどうして……。先ず発覚の端緒から遡つて見ますると、これは私どものほうで内部の監査をする。例えばどこの検察庁でこれから……、これは皆先ほど検査院のかたがおつしやつたように、区の検察庁でありますとか、法務府で言えば出張所でありますとか、人の数の少い、大勢の眼の届かない、而も職員の数が少いところに多く発生しているのでありまして、その方面に中央から、或いは本庁から監査に行くということがありますると、監査の直前に自首して参ります。それから何かの事件で窃盗犯人を検挙するというと、その窃盗犯人の検挙から変な手蔓で内部に悪い者がおることがわかりましたり、或いは又どうもこの月は罰金の徴収が少い、こんなはずはないかと思つて上の者が調べますると、その罰金が実は徴収されたにかかわらず、使い込んでおつたり、或いは担当者を変えまして、或いは監督者を変えまして、事務引継ぎというときに前の不正がわかりましたりするのでありまして、いずれも監督を厳重にする、或いは人事の交流を頻繁にする、或いは手を殖しまして事務の分掌をはつきりさせることになりますれば、大半は防ぎ得るのではないかと思います。それからもう一つ、人はいずれも若い人たちばかりでありまして、問題になつた人たちを見ましても、大体昭和二十二年前後項までに採用の人が多いのでございます。つまり採用後間もない、而も当時は住宅事情もよくありませんので、大体何か縁故関係のある、親元その他の縁故関係のある土地に採用して勤務させておる。而も前の経歴というものは、たまたま軍のほうで経理をやつたことがある、軍需会社で経理の仕事をやつたことがあるというような人を、経理に多少の関係のある仕事に従事させておる。又監督者のほうは、とかく検察事務のほうに追われて参りますので、こういう検察のほうに忙殺したということが、こういう方面監督不行届にし、又任せ切つてしまつて失敗したということになります。今後はだんだん世の中も落ちついて参りましたし、検察事務というものも落ちついて参りましたので、ますます監督、それから人事の面から、こういう不正の防止ということもできるようになつて来ております、それからこれは専ら人の面から申しましたのですが、又物的施設の面から申しましても、御存じの通り今まで旧憲法の下におきましては、検察庁と申しますのは、裁判所に検事局として附置されておりました。従いまして経理体系は全部裁判所が持つてつたのであります。ところが裁判所法によつて裁判所が検察庁を離しまして、裁判所というものは裁判所だけで行く。いわゆる昔の検事局でありますが、検事局は裁判所から離れまして、検察庁として新しく独立の官庁になりますと、物的施設もない。又人の面で経理を扱つたこともない人によつて、急にこういう仕事を受持つということになりまして、例えば証拠品をしまう倉庫も独立したものを持つてない。ひどいところになりますと、実は区の検察庁というのは八百くらいありますが、こういうものに金庫が一つも行渡つていない。だんだん予算の面で充実して参りまして、金庫も行渡るようになつて参りましたが、丁度二十五年当時はそういうようなときであつたのであります、物の面から来る、而も人の面から監督不行届というようなことから、かようなことになりました。今後は物の面或いは人の面から監督を厳重にして、かようなことのないようにいたすつもりであります。私どものほうの法務省の刑事局におきましても、特に部内のこういう不正事項に対する大体をテーマにした回答をいたしてありますし、監督官が集るたびにいろいろ話合つておるわけであります。今後は本当にこういうことのないように努力したいと存じております。
  56. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 御質疑はありませんか。
  57. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 只今もいろいろお話がありましたように、悪い人を裁く立場にある検察庁、法務府関係の役所から、かようなたくさんの不正な行為を行う官吏を出すということは、誠に遺憾でありますが、今お話のようにいろいろ設備の点等においても不十分な点があつたということでありますが、こういうふうな罰金であるとか、その他の金を受入れましたときに、役所では、その受入れた金をどういうように経理をしておりますものか、当局から御説明願いたい。
  58. 天野武一

    政府委員(天野武一君) 申上げます。受入れのほうを先ず申しますると、罰金のほうには罰金の係がありまして、それを現金出納官吏という固有の経理者がありますから、そのほうにすぐ渡さなければならないのであります。それから罰金でない証拠品としての金品が、事件と一緒に送られて来ることがございます。そういうときにはいわゆる事件係が、事件記録と一緒に金なら金を、記録と金を比較いたしまして、そして記録事件係のほうに、それから現金は領置票というものを付けまして、それを歳入歳出外現金出納官吏、本当の会計係でありますが、そのほうに渡す、そして出納官吏はこれを保管金として日本銀行のほうに預入するということになるのであります。ところがここにございますが、今の不正はこの出納官吏のところに行かない途中に使い込まれておる、着服されておるというのが大部分でありまして、本当の意味の経理職員に渡る前に、もう悪いことが行われておるというのが実情でございます。
  59. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 この中に出納官吏としてやつたのがかなりあるようでありますが、その出納官吏はその金を受取つてどういうような処置をするのでありますか。
  60. 天野武一

    政府委員(天野武一君) これは日本銀行にすぐ持つてつて預入するのであります。
  61. 秋山俊一郎

    ○秋山俊一君 そういたしますと、日本銀行の代理店があるところもないところもあるのじやないかと思うのですが、区検察庁等のあるところは、必ず日本銀行の出張所がありますか。
  62. 天野武一

    政府委員(天野武一君) 大体あると思いますが、ないところもあると思います。そういうときは、近い都市の日本銀行の代理店に持つて行くわけであります。
  63. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 そうしますと、それは何か規程によつて、内規か何かによつてその金の扱い方が規定されておりますか。受取つてから幾日ということになつておりますか、任意にいつでもよいことになつておりますか。
  64. 天野武一

    政府委員(天野武一君) 検察庁会計事務掌程という大臣訓令がございまして、それによつて速かに預入するということになつております。
  65. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 そういつたような点においていろいろルーズな点があつたのじやないかと思いますが、この書面で見ますというと、二十二年から二十六年の七月までの間に起つた問題でありますので、その間二十五年か、二十六年に調査して出て来たもの——平生にはそういう調査は全然しないのでありますか。
  66. 天野武一

    政府委員(天野武一君) 当時は只今申しましたように調査が手下足でございまして、ここにございまするたくさんの事件、これは実は当然のことではありますが、検察庁として調査し、自分自身でこれを発見いたしました。それを包み隠さず会計検査院に報告して、かような不正をはつきりさせ、同時に責任者のそれぞれの処罰をしたのでございまして、その後は検査の数も行き届き、それから先ほど申しましたように、人の交流ということもだんだん円滑になりましたので、不正があれば発見しやすいし、又不正の防止ということにも非常に効果を上げておる、かように考えておる次第であります。
  67. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 こういう経理の面についての監査と申しますか、そういう制度が何かあるのでありますか。
  68. 天野武一

    政府委員(天野武一君) 実は最高検察庁で監査というものを毎年いたします。これはとても全国一斉に参りませんし、最高検査庁が主体となりまするが、高等検察庁の人を補助に見て廻ることにいたします。併しとても全国一斉に末端まで行きませんので、何カ年計画になりますか、さような制度の下に監査をやつておるわけであります。そのための若干の経費予算上認められておるわけでございます。
  69. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 最後にお伺いしたいのは、これを監督するところの人たち、即ちここにあります監督責任者の行政処分の内容としていろいろ掲げてありますが、監着責任者というのはこういう場合、どういう人が責任者になるのですか。
  70. 天野武一

    政府委員(天野武一君) 区の検察庁で申しますると、本庁の次席検事、それから本庁で申しますると、地方検察庁で申せば、検事正でございます。
  71. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 そういたしますと、ここに掲げてある訓告及び減給、戒告及び減給、いろいろありますが、それらは皆そういう人たちに対しての責任の追究だつたわけですか。
  72. 天野武一

    政府委員(天野武一君) さようでございます。
  73. 奥むめお

    委員長奥むめお君) ほかに御質疑ありませんか。……では御質疑はないものと認めまして、一応これで終了したものと認めてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  74. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 御異議ないものと認めます。では法務府関係の質疑はこれで終了いたしました。   —————————————
  75. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 次は大蔵省関係の不当事項であります。それでは大蔵省関係であります。第百五号から百十四号までは、小委員会に廻しました架空名義の、架空経理の問題でございますから、小委員会に譲ります。第百十五号、物件の件から百四十一号まで、一括審議に供したいと思います。森専門員説明を求めます。
  76. 森荘三郎

    専門員森荘三郎君) 百十五号から百四十一号までは、国有財産の管理がよくない、及び処分がよくないということでありまして、検査報告の八十五頁から八十六頁へかけまして、その一般の状況が記されてありますが、かいつまんで申しますると、官有財産の収入の収納未済が非常に多いということ、それから国有財産の管理や処分に適当でないものがある。その実例を挙げれば左の通り、こういうわけでいろいろな例がそのあとに多数列挙されているわけであります。これに対する当局説明は、その説明書の四十六頁に出ておりまするが、一応これは読み上げたほうがよろしいかと存じまするので、少し時間をとりますが読み上げることにいたしたいと思います。説明書の四十六頁でざこいます。「国有財産の貸付料及び売払代金について多額の徴収未済額のあつたことは誠に遺憾であつた。厖大な旧軍用財産等については終戦後の混乱した社会情勢下において有効迅速に転活用を図ると共に財産の維持保全に全力を傾注して来たものであるが、財産が全国に散在している上に物件が多種多様で特殊な構造のものもあるため、これが整理には相当の期間と人員が必要であるのに限られた少数の職員で早急に処理をした関係上、このような結果を生じた次第である。これが処理については財務局に徴収課を設置して整理部門を強化し、徴収に努力すると共に財産の使用状態等を注視し、特に不誠実と認められるものについては法務府に取立方を依頼し、或いは契約解除を敢行する等の強力措置を講じ、未納額の一掃を期する所存である。」こういうふうに答えられまして、以下一件ごとの処理状態を述べておられまするが、この説明書に出ておりまするのはすでに一年余りも前の事情でありまするので、極く最近の状態、今日までその後の処理状況がどうなつたかということにつきましては、別に書類を提出されております。それは昨年の十二月調べでありまして、表題は昭和二十五年度決算検査報告に対する調査書その一というのでありまして、それの第一頁から十七頁までの間に詳細に最近までの事情が記されているのでございます。その一つ一つにつきましては、別段附加えて御説明申上げることはございません。
  77. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 会計検査院説明を求めます。
  78. 池田修蔵

    説明員(池田修蔵君) 只今議題になつておりますこの貸付料及び売払代金の収納措置が当を得ないという案件につきましては、そう大して申上げることもございません。只今大蔵省の弁明で御説明になつた事情なども相当あると思いますが、ただこういうふうな事態を起します原因につきまして若干観察して見ますと、貸付料は、規則上は大体定期に収納すべきことになつておりまして、定期というのがどのくらいの定期だかは多少解釈の余地もございますが、成るべく小さく切りまして、早期に収納をするような処置をとるほうが、貸付料の確保をする上に適当な方法と思いますが、そういう点に多少調定が遅れておるというところに欠陥があるのじやないかと思います。又貸付けますについて相手方の資産状況等を十分見極めまして、支払の能力のあるものに成るべく貸すというふうな方法を考えなければいかんのじやないかと考えます。それから売払代金につきましても、大体同様なことがいえるのでありまして、やはり物を売渡しますときには、代金の確保をよく図りまして、然る後に物を引渡すというふうな、国の財産を保護する上において、もう少し注意力があつたならば、こういう事態も或いは防げたのではないかというふうに考える次第でございます。簡単でございますがこれだけ申上げます。
  79. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 大蔵省で何か御説明ありますか。
  80. 牧野誠一

    説明員(牧野誠一君) この売払代金或いは貸付料というようなものが未納になります理由といたしましては、いろいろ終戦以来原因があるということを、ここに説明書に書いてある次第でございますけれども、これを一掃して、今後こういうような事態がないように、或いは成るたけ少くするようにというためには、我々といたしましては、新しく売るもの或いは新しく貸付けるものについては、財政法の或いは会計法の考え方を成るべく厳重に解釈いたしまして、現金の納入がなければ物件は引渡さん、それから只今検査院からもお話がございましたように、貸付料などというものは成るべく早めに定期にとる、それから相手を選定するに際しては愼重でなければならないというような点、こういうように先ず初めが非常に肝心であるというふうに考えております。それで今までの整理、これはここにいろいろ申上げてありますように、できるだけ強力に進めたいというふうにやつておるつもりでございますが、新らしいもの、新らしい事態で、こういうようなことを又繰返してはならないということで、一年ずつ、逐年我々のほうといたしましても、只今申上げましたように、かようなことのないように事前によく注意をしたいということで、だんだんに改善されて行つているというふうに考えておりますが、今後もかような事態というものはできるならば全然ないようにいたしたいということで、事前にかかる事態を防ぐということに、できるだけの注意をして今後もやりたいと思つております。
  81. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 御質疑を願います。御質疑はありませんか。
  82. 小酒井義男

    小酒井義男君 小さい問題ですが、大蔵省のほうからのこの説明書を見ておりますと、例えば今問題になつております物件の中でも、百十五、百十六、百十七というのは、これは非常に遺憾であつたという表現がしてあるのです。百十八、百十九になると、遺憾であるというような表現をしてない説明が加えてあるのですが、こういうのはどういうふうな内容の相違があつて、こういう説明書の表現になつておるのか。
  83. 牧野誠一

    説明員(牧野誠一君) これは我々のほうといたしましては、これは決していいことでも何でもございませんで、遺憾であるというふうに申上げるのは当然のことだというふうに申しております。ただこの百十八、百十九は相手が地方公共団体であつたり、或いは……、訂正いたします。これは当然我々のほうとしてもこういう書き分けたようなことはすべきじやなかつたというふうに思います。
  84. 小酒井義男

    小酒井義男君 それから国有財産の払下げ等をして、それが完全に納入をされておらない前に、他に転売をされたり、登記が済んでおつたりしていろいろ問題になつた案件がたびたびあると思うのですが、そういうものの金額を完全に納入しない前には、転売のできないようなことができないものかどうかということなんですが、こういう点について何かお考えになつたことがあるのですか。
  85. 牧野誠一

    説明員(牧野誠一君) これは、只今の問題については例えば機械であるとか或いは小さな動かし得るようなもの、そういうようなものについては代金が入らなければ絶対渡さないという方法以外はないと思つております。それから不動産につきましては、これは我々も非常に困りまして、と申しますのは、国有財産法ではやはり代金を一度に納めないで、代金の延納というような制度が認められております。それで我々といたしましては、今の国有財産特別措置法では最高限十年まで延納し得るというふうになつておる、それで取扱い方といたしまして現在二割というものを即納金として納めなければ、この物件自体に手を付けさせない。それであとの残つた八割を順々に分納させる、それには担保を供させるという……。それでこの担保につきましてもいろいろ規定を作りまして厳重にとるということにして、それが全部済まなければ渡さないというような措置を講じております。それで登記簿に附記登記、こういうような旨を附記登記をするということが今の不動産登記法上我々できるように読みまして、それで法務府といろいろ御相談申上げたのですが、法務府でもいろいろ困りまして、それで解釈に両論でございましたけれども、つい最近になりまして附記登記はできないということになりましたので、この点は登記面でそれを抑えるという方法は今のところないという最終的な判断です。従いまして我々としては即納金を確実に取り、担保をこれを厳重に供する。これまではその人に一応入つてもらうのをお断りするということで。それから勿論調査等は厳重にやらなければいけません。そういうような方法で防いで参りたいと思つております。それでなおその条件に違反しました場合、契約解除という方法が国有財産法ではございますのですが、契約解除だけではどうも実効が余りございません。第三者に行つてしまつているというような場合には……。それで昨年の秋いろいろ考えまして今後は違約金の条項を、これは損害賠償額推定ということではなしに、若しさようなことがあつた場合違約金をとるというような、これは脅かし文句になるかも知れんが、防ぐという意味では役に立つと思います。そういうような措置を考えて、これを厳重にやるということで防ぎたいと思つております。
  86. 小酒井義男

    小酒井義男君 いろいろ努力されておると思うのですが、併し結局は二割の金さえあれば、それだけの譲渡が受けられて、それがいろいろ当初の目的以外に使われて行くということがあるのですが、そういうふうなことがわかつたときには、それぞれ譲渡を受けたときは善良な意思を以て全部の人が譲渡を受けておればいいのですが、最初からいろいろな名目で払下げを受けて行くというような人になると、それを法律のまあ網をくぐるような方法を考えて売払うとか、いろいろな方法をとることがあり得ると思うのです。それで今のお話のようなことでは完全にこういう目的を、防ぎ得ることはむずかしいのじやないかと思うのですが、この国有財産の払下げに対する手続をもう少し完全な回収のできるようなことについて、大蔵省として考えられる余地がまだ残つておるのじやないかと思うのです。そういう点はどうですか。
  87. 牧野誠一

    説明員(牧野誠一君) 我々といたしましては、只今申上げたことのほかに、結局要は相手方を、きちんとした相手方を選ぶということ、それから多少あやしげな相手方であるならば、これは十年の延納ができるということになつてつても、延納はさせないということ。信頼し得る相手方であつたら初めて十年の延納或いは十年以下何年か延納を認める、或いは条件を付けて売払うことを認めるということのほかには、ちよつとこれはまあ最終的な解決じやないかというふうに考えております。
  88. 奥むめお

    委員長奥むめお君) はかにございませんか。
  89. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 事務的なことを二、三お尋ねします。百十五、百十六、百十七、百二十、百二十一、これはいずれも説明書を見ると、責任者の処置については目下審議中ということになつておる。これは報告書を作成してから随分時間が経つておりますので、あれはわかりませんが、責任者の処置報告書作成以後の状況如何。
  90. 牧野誠一

    説明員(牧野誠一君) 只今のお話の件につきましては、その後責任者に対して当該財務局長から厳重に注意をしたという程度になつております。
  91. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 厳重に注意したというのは百十五から以下指摘した各件について全部共通ですか。
  92. 牧野誠一

    説明員(牧野誠一君) 共通でございます。
  93. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 それでは次に百三十二とそれから百三十五、百三十七、これは三つの案件について、いずれも昭和二十七年三月末日まで、或いは昭和二十七年七月末日までに完納の見込みとこういうことになつておるのですが……。
  94. 牧野誠一

    説明員(牧野誠一君) 只今のは百三十二……、
  95. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 百三十二と百三十五と百三十七は完納済みなりや否や。
  96. 牧野誠一

    説明員(牧野誠一君) 百三十二につきましてはその後まだ三十万六千二百円只今までのとこらで残つております。百三十五につきましては四十三万五千八百四十円まだ未納となつております。百三十七につきましては五十四万三千百五十円がまだ未納になつております。
  97. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 そうすると残つているものに対してはどういう手続をしておられるのですか。
  98. 牧野誠一

    説明員(牧野誠一君) それぞれ厳重に督促しておりますけれども、ちよつと最近の事情はまだわかりません。
  99. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 これは国会に対する説明書ですから、わかつたらなるべく早く委員会に報告して頂きたい。
  100. 牧野誠一

    説明員(牧野誠一君) 承知しました。
  101. 加賀操

    ○加賀操君 先ほどの小酒井さんのお尋ねと同じようなことなんですが、私の聞き違いかも知れませんが、物件を払い下げた場合に、価格の二割を即納すれば所有権を移すというように聞いたのですが、そうですか。
  102. 牧野誠一

    説明員(牧野誠一君) そうでございます。
  103. 加賀操

    ○加賀操君 そうしますと、やはり小酒井さんの言われたような心配が起こると思うのですが、そこへ何も条件がついていないのですか。二割だけを納めてあと所有権を移しますと、登記すればほかのほうに売つてもいいということになりますな。そうするとあとの代金の取立ては、その物件については取れないことになるわけですね。そういうふうに心得てよろしうございますか。
  104. 牧野誠一

    説明員(牧野誠一君) それは抵当権或いは先取得権をその物件について設定し、なおその物件で金額が不十分な場合は、そのほかの担保を徴する、そういう方法をとつております。それから二割払えばすぐ渡すというふうに全部がなるということではございません。これは資力、信用等から見て、現在払うのは困難であるが、将来延納ならば払えると認めた人に対してだけ、その二割の即納金があれば所有権を移すというわけでございまして、原則は全部取る。取らなければ渡さないというのが原則でございます。
  105. 加賀操

    ○加賀操君 これはもう少し、どうも深入りした質問ですが、大蔵省が財産を払い下げる場合に、延納の利子をお取りになりますね。その利子と若し所有権を移した場合の固定資産税との損得の勘定をされたことがありますか。
  106. 牧野誠一

    説明員(牧野誠一君) これは今その数字は覚えておりませんけれども、前にそういう点、いくつかのケースを挙げまして計算したことはございません。
  107. 加賀操

    ○加賀操君 その数字の結論はどうです。売り払いを受けたものの経済からどちらが得だ、こういう結論ですね。
  108. 牧野誠一

    説明員(牧野誠一君) これは国有財産を借りておくのと買うのと、これを較べますと、借りておくほうが有利な場合が多いのではないかというふうに思います。それから買つた場合、直接じかにすぐ金を払うより、何年か延納してもらうということのほうが、即納するよりも買うほうにとつて概して有利じやないかというふうに思つております。
  109. 加賀操

    ○加賀操君 その場合に、例えば国有財産を払い下げてもらう場合に、所有権を移転しないで大蔵省が依然として持つていて、そうしてそれに相当する年賦償還ですか、年賦の払い込みをすることはあり得るかないか。その場合の固定資産税との問題を聞いておるわけですが、国として、或いは払い下げてもらつた人との経済上の……国から言えば財政ですね、財政と経済との比較ですね、どつちか両方よいほうにやつたほうがよいじやないか、こういう気もするのです。
  110. 牧野誠一

    説明員(牧野誠一君) 所有権を国に置いたまま払い下げるという方法になりますと、割賦払いのような形になるかと思うのであります。只今計算したと申上げたのは、これは入つておりません。それでこれは今のところ殆んど我々のほうとしてはやつておりません。と申しますのは、所有権……入に物を売る場合、所有権を国に残したまま割賦払いという方法にいたしますより、債権化しておいたほうが、利子を徴収すれば、国にとつてはそれで利子が妥当な利子であるならば、一応それで国の事務の整理の上からもよいのではないかというふうに考える。それから又買うほうにとつては恐らくその買つた物件の活用の面から言つて、所有権が移つていたほうが、国にあるまま順々に割賦払いで金を払つておるというよりも、その買いとつた人の大部分が善良なかたでありますから、そういう人たちにとつてはよいのではないかというふうに考えております。
  111. 奥むめお

    委員長奥むめお君) ほかに御質疑はありませんか。……御質疑は一応終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  112. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 御異議ないと認めます。  次に第百四十二号から第百四十八号まで一括上程いたします。森專門員の説明を願います。
  113. 森荘三郎

    専門員森荘三郎君) 百四十二号は国有財産の管理不当ということでありまして、性質から申せば、この前の中へ入つてしまうことかも知れませんが、特に抜き出されておる問題でありまして、かなり複雑な事情がございまするので、この刷りものに詳細をしたためておきましたが、簡単に申上げます。  この土地はすぐそこの虎の門の公園なのでありまして、坪数六百五十坪が問題になつております。この虎の門公園は明治の末年以来東京都へ公園用地として無償貸付がされておるのであります。それで大蔵省から建設省へ所管替えをしまして、建設省から東京都に貸付けるということになつておりまするが、今この問題を大蔵省の所管の部に掲げられて、関東財務局の名前がこの百四十二号に指摘されておりまするが、これは建設省と書いてもよし、大蔵省と書いてもよし、というわけでありましようが、とにかく直接の所管は、建設省でありまするけれども、大蔵省のほうは国有財産の全般の管理をしておられるわけでありまするから、この関係で関東財務局の問題としてここに掲げられたものと思われます。  さてこの土地が昭和二十年の九月に軍に接収されまして、すぐ隣の満門ビルが軍のアパート用に供されておりましたので、それの附属のモーター・プールに使われておつたのであります。ところが二十三年の十二月になりまして、ここにニユーエンパイヤーモーター会社というものができることになりまして、そこの会社にこの土地を使用を許可するようにということを条件として、軍のほうから接収解除になつたのであります。なぜそんな妙なことになつたかと申しますれば、アメリカ側で軍の必要に基いて軍関係の自動車の修理とか部品の販売などをさせるのに、何かこういう一つの私立会社があつたほうが都合がよいというような関係から、特にこのような会社を作らせることにして、そうして是非この会社にこの土地を使わせるようにという条件付で接収解除になつたという話であります。さようなわけでありましたから、この会社に公園地の使用を許可するにつきましては、軍のほうからも勿論声がかかり、又貿易庁のほうからも依頼がありましたので、東京都では建設省の了解を得て、二十四年の二月一日からこれを貸付けたのであります。勿論建設省はその際大蔵省とも連絡をしたのでありました。建設省がこれを貸付を許可するについての条件といたしましては、二十八年一月まで四年間を期限とする。最初の出願は十年期限でありましたが、それを四年に短縮をさせた。それから貸付の期限は四年限りであつて、更に継続することは認めない。期限が満了したときには建物を撤去してもらわなければならないから、撤去の可能なような木造建築の二階建を建てること、それから明渡しのときは会社の負担で原状回復をするようにという条件付であつたということであります。ところがいよいよ東京都がこれを貸付ようとするときに、偶然にも気が付きましたことは、この土地が防火地域に指定されていることがわかりましたので、木造建築は許されない。そこで仕方がなく東京都は建築基準法という法律がありまするので、それによつて見ると、不燃質のものでなければいけないが、一番簡単なものとしましては、組立式の鉄骨建築というものならば、防火地域にも設けてもよいということがわかつたものでありますから、そのように許可の条件を改めて、組立式の鉄骨建築を許したのでありました。この組立式の鉄骨建築といいまするのは、普通の鉄筋コンクリート造とは違いましてコンクリートなどが厳重に鉄骨の上に取付けられていない。組立でありまするから、解体も容易である。その鉄骨の上にコンクリートの薄いものが塗付けてあるというのだそうであります。そうしてこれを解体しますれば、鉄骨でありまするから、そのまま利用もできるというような状態にあるという話であります。東京都がそれを貸付けるに当りましては坪当り月五円十銭の地代を取ることにしたのでありますが、これはその附近の土地の地代の等級から割出したものだそうであります。六百五十坪でありまするから、月々三千三百十五円の地代を取立てるわけでありまするが、これは恐らく非常に安い地代であろうかと思われます。なぜかと申しますれば、現在の売買価格は、この辺の土地は坪当り十万円というふうに評価されているということであります。東京都はこの土地を貸付けるに当りまして、借主から五百万円の寄附を受けるということを約束をしまして、即座に二百万円は受取りました。それを芝公園の施設のために充てたということであります。この寄附金というのは、名前は寄附金でありまするが、おそらく通俗の観念から申しますれば、権利金とでも言うべきものではなかろうかと思われます。ところが、残り三百万円は未納のままであつたのであります。ところが、昨年の六月頃に東京都からは、もう半年もすれば撤去の期限が来るからということで、その予告を与えたそうでありまするが、そのときに借主のほうからは引続きこの使用を願い出た。それを東京都では許可しなかつた。丁度そんなことのありましたその際に、借主は三百万円の金をぜひとつてもらわなければならないといつて提供したのですが、東京都で若しこれを受け取ることにしますると、何となくそこに一種のかかりあいができて来る。引続き継続使用の許可の意思表示が何となくそこらに現れるというようなことを考えたものでありますから、この三百万円の金を受取らないということにした。それで借主のほうはどこまでも約束通りこれを提供するのだといつて供託をしたということなのであります。今も申しました通り、東京都は昨年の六月に本年一月末日限りの期限には撤去を要求するという予告を与えまして、更に本年の一月になりまして、もう期限が来たわけでありまするが、一カ月の猶予期間を与えて撤去を要求したのであります。そうしますると、今年の二月の末には猶予期間も過ぎるということになるのでありまするが、おそらくこれは立退いてはいないだろうと思われます。  かようないきさつがあつたものでありまするが、検査院指摘される要旨は、すでに公園としての用途に使用されていないものであるのに、二年余りを経過しながらそのままにしておるのは処置当を得ないというのであります。さてこの土地に関して東京都及び建設省はどういうふうにしようという希望を持つておられるかと申しますれば、是非ともこれは公園地に回復をしたい。元来東京には公園地が少いのだから公園に回復したい。なおそこには外濠の外壁も残り保存を要する施設もあるから、かたがたこれを民間に払下げるということはよろしくない。建物の撤去の問題については、最初許可をしたときから撤去し勿いように組立式の鉄骨造りになつているのだから、撤去は可能だと思うと、こういう意見のようであります。大蔵省の希望はすでにあれだけの建物が建つておれば、これを撤去させるということは不能と考える。それ故に公園としての用途を廃止して、これを大蔵省に普通財産として引継いで、普通財産ならば、自由に処分ができるから、これを売却したいというような考えのようであります。なおついでに申上げますると、使用を許可したについて東京都側の見解を述べますると、この土地に使用許可を与えたのは、一種の行政行為であつて、普通の民法上の土地の借り貸しとは違う。従つて、借地法という法律がありまするが、これによりますると、永久の建築物は貸主のほうから少くとも期限六十年以上の借地権を保障されているということがありまするが、あの借地法の適用は受けるものではない。何どきでも約束通り撤去させることができるというような考えのようであります。そういうふうの面倒な問題である。ということを申上げておきます。  それからその次の百四十三号のほう。これ又国会のすぐ近所のことでありしまするが、海軍省が終戦の直前昭和二十年八月七日でありまするが、土地を買取つたのでありまするが、すぐさま終戦となりまして、海軍などはもうそんなことに関係しておられないような事態になりまして、土地を登記しないままで大蔵省に引継いだのであります。大蔵省におきましても、その後未登記のままで打過ぎた。ところがその後に至つて売主はまだ登記が済んでいないのを幸いにして、これを衆議院に売付けたのでありましてそうして衆議院でその登記を済ませたのであります。そうしますると、大蔵省が未登記のまま捨てておいたというところに一つの過失がある。それから衆議院が買入れましたときに、普通ならば大蔵大臣に協議をしなければならないことに取扱上なつているそうでありますが、それを協議もしないで買入れてしまつたというところに衆議院の一つの過失があるということであります。たとえ登記は済んでいないにもせよ、それは登記所の関係でありまして、財務局の国有財産台帳にはそれが記載されてあるのでありまするから、大蔵大臣に協議さえされたならば、このような事件は起らずに済んだことであろうと思われるのであります。その善後策をどうされたかと申しますると、売主からはその代金を返納させるということになりました。但し売主のほうで責任者と思われるものは現在財政的に困難をしておるもののようでありまするので、不正額の一部分は貸付になつておると、こういうわけであります。それ以外の百四十四号、五号以下別段特に申上げることはございません。
  114. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 何か補足して会計検査院説明ありますか。
  115. 池田修蔵

    説明員(池田修蔵君) 特にございません。只今専門員のおつしやつたことで殆んど尽きておりますから……。
  116. 牧野誠一

    説明員(牧野誠一君) 補足して百四十二号につきましてちよつと申上げたいと思います。百四十二号は只今森先生からお話になつた通りでございますが、建設省或いは東京都両方ともこのニユーエンパイヤーという会社を立退かせるということを、数年間主張し続けて参りました。それで二月の末で立退きの期限が切れましたけれども、結局現在のところ森先生のお察しの通り立退いておりません。それから建設省のほうでは立退きは容易であると、或いは鉄骨の解体が容易であるということを、大蔵省に回答が来ておりますけれども、鉄骨自体は割合録筋コンクリートの建物なんかと違いまして解体容易であるように思われます。ただ油のタンクなどが地下にございまして、それからコンクリートを敷き詰めまして、その上を自助車の修理場に使つているというような点、或いはそのコンクリーとを敷き詰めた中にいろいろ工作物の可なり大きなものを作つているというような点から見て、大蔵省は、普通財産の実態、実態というものは正に普通財産であつて、公園ではない。建設省所管の行政財産にまあ形式的にはなつておりますが、建設省所管の行政財産というのは形式だけであつて、実態はもうすでに普通財産というものになつているから、そういうふうに整理すべきであるというふうに考えまして、大蔵省へ返してほしいという要求を今続けておりますが、まだ現在立退いておりませんし、それから建設省から大蔵省へ引継ぐという問題、これも片附いておりません。
  117. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 御質疑を願います。
  118. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 今の御説明で了解がつきにくい点があるものですから一、二お伺いします。只今の所管は建設省の行政財産であるというお話でありますが、これはどういう関係で大蔵省のほうで問題が起るのかその辺を一つ……。
  119. 牧野誠一

    説明員(牧野誠一君) これは元内務省当時から内務省所管の行政財産で、それでこの事件の元になりますニユーエンパイヤーという会社が入ります前後に、国有財産法が改正になりまして国有の公園というようなものは、国有財産中の新らしい国有財産法で普通財産、背雑種財産と申しておりました。そういうことに整理をして、これを市町村なり或いは府県なり、そういうところへ賃付けるという手続をとることになつております。そういうふうに法律が変りましたその丁度前後に、こういう事態になりまして、それで建設省或いは東京都といたしましては、只今お話が出ましたように、当時はいろいろ事情がございましたけれども、公園に戻したいという気持を失つてはおりませんでしたので、事務上形式的な手続が済んでおらん元のままになつて、内務省から建設省へ引継がれておるというような形になつておるわけであります。
  120. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 大蔵省ではどういうことをこれに対して希望しておりますか。
  121. 牧野誠一

    説明員(牧野誠一君) 大蔵省としましては、形の上だけは行政財産になつておりますけれども、今すでに当然普通財産であり、公園であつたとしても普通財産であるし、それから又公園の実態をすでに失つてつて、これを行政財産と言うのは、実態からすれば少し違つていやしないかというように考えておる。それからこれを公園に戻せるかということになりますと、ちよつと我々としてどうも戻しにくいように思われます。それで建設省から行政財産の用途を廃止しまして、それで大蔵省に普通財産として引継いで欲しい。大蔵省としましては引継ぎを受けましたならば、これは普通の国有財産法上の手続によつて普通財産として処分いたしたいというふうに考えております。
  122. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 大蔵省の希望はよくわかりましたけれども、併し建設省とか東京都がこの土地に対して、或いは貸付の許可条件なり、その条件の三、四等を見ると、これは明らかに会社負担で原位回復するということになつておるし、期限満了のときは必ずそれは撤去するということに、貸付条件の中に明記されておるわけですから、必ずしも公園復帰が不可能とは断定できないと思います。それから東京都にしても、建設省から建築許可を受けるときには、撤去が可能な木造建築の二階建ということだつたのが、借りて見るとこれが何だか防火地域に指定されているから、急に模様替えをして、組立式の鉄骨建築に変更したということで、如何にもこれは役所の仕事としては杜撰というか、粗漏というか、調査不十分の経過をとつている。こういうことから考えると、而も最後の東京都が極めて廉価で貸し与えておるけれども、寄附金を別に取つているというふうなことから考えると、この土地に対しては何かちよつと、ややこしい問題があるように考えられるのですが、東京都が土地使用料を毎月受取つているほかに、別に寄附金を受取つておるようですが、この寄附金というのは国庫に納入する必要があるように考えられますが、これは大蔵省の見解は如何ですか。
  123. 牧野誠一

    説明員(牧野誠一君) これは東京都は寄附金というものをいろいろな形でとつている事例というのは可なりあるそうでございまして、我々といたしましては、寄附金はこれは東京都の収入であつて、国とは一応関係はないものというふうに考えております。
  124. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 会計検査院の意見は。
  125. 池田修蔵

    説明員(池田修蔵君) 大体只今の大蔵当局からの御説明のように解するよりほかないと思いますが、ただ国は無償で東京都に貸付けておるというのは、公園にするために貸付けたものでありますのに、実は公園の熊を殆んどなしておりません。そういうわけでありますから、そういうものに対して無償で貸付けておるということに対する事態とそぐわない事態が発生しておりますから、東京都が公園に使うといつて、無償で貸付けておつたのに、借地料をとる、寄附をもらつておるということについては、多少疑問は持つておりますが、さればといつて、それでは国はその金を取上げるかということについては、まだ確たる実は意見を固めておりません。多少疑問は持つておりますけれども……。それから東京都のほうは、この寄附金は、そこは公園が潰れますから、その代替施設として芝公園に公園施設を拡充した経費に使つたというような事態もございますので、その金題がどのくらい使つたかは詳細調べておりませんけれども、そういういろいろこみ入つた事情がありますので、確たる意見はまだまとまつておりません。
  126. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 そうすると、建設省の貸付けの条件、二十八年一月までで、而も貸付期限は四年間、変更を認めないという、随分きついはつきりした条件で貸付けておいて、ところが今年になつてから、又吏に一月に一カ月の貸付期限の余裕を与えて撤去を要求したけれども、只今説明では依然として立退いておらない。その上に寄附金は国のほうに入れる意思も持つてないということだと、如何にも、必ずしもこれは大蔵省の責任とは言えないでしようけれども、大蔵省なり建設省なりというのは甘いというか、国有財産を管理する上に極めて杜撰だ、無責任という、これは譏りを免れないと思うのですが、立退きについては、一体大蔵省として明らかにしたところでは、どういうふうで、現在まだ立退いていないというのは、いつ立退くのですか。
  127. 牧野誠一

    説明員(牧野誠一君) 我々が、この会社の責任者である社長の吉岡という人があります、この人に対して尋ねましたところでは、この会社としては立退きの意思はない。なぜならば立退けば会社は潰れるだけであると言つております。
  128. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 そうすると、これは東京都なり建設省なりは、許可条件というのを更新しているのですか。
  129. 牧野誠一

    説明員(牧野誠一君) 更新しておりませんただ先ほど森先生のお話にありましたように、許可条件はこういうふうに公園を管理するほうから出し、それから建築自体の建築を行うこと自体の許可は何か東京都でも管轄が、局が違うようでございます。その同じ東京都が、局が違うために木造ではなしに鉄骨の建物を造るということで、やはりこれは東京都側で許可しておるというふうに承知しております。
  130. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 そうすると、この問題は大蔵省の責任というよりも、結局つきつめて行くと、建設省と東京都をここに呼んで、そうしてその責任を明らかにしなければ、この問題はけりがつかない。大蔵省の単なる国有財産の管理当を得ないというだけでは、これは明らかにならないと思いますが、その辺の関係は大蔵省なり、或いは会計検査院では、今後の処置等については大蔵省ではとういうふうに見通しておられますか。
  131. 牧野誠一

    説明員(牧野誠一君) 大蔵省としましては、先ほど申上げました通りの方針で、建設省に数年前からたびたび口頭で催促したり、催促に行きましたり、或いは文書を以てしたり、いろいろやつておりますけれども、現在私が二、三日前見たところでは、まだ残つておるということで、見通しと申しましても、相手がございますので、ちよつとわかりませんですが、ただ建設省に対しては、立退かせるという思想は、実態にそぐわないから、公園がなくなるということは誠に残念であろうけれども、それはそれとして、東京都にどれだけの公園が要るか、現在どれだけ残つているか、新たに整備しなければならない公園はどれだけあるかという問題は別に検討することにして、この問題としては、立退かせるという方針で、ここだけ固執することは無理じやないかということは、極力我々のほうで申しております。相手がございますので、ちよつと何とも申上げられないのであります。
  132. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 ちよつと速記をとめて聞きたいのですが……。
  133. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  134. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 速記を起して下さい。  百四十二号は、もう少し広く関係当局を呼んで、深く掘下げて、問題の核心に触れなければいけないと思いますので次回に譲ります。で、百四十八号までの間にほかに御質疑ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  135. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 別に御質疑もなければ一応終了したものと見て先に進んで御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  136. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 御異議ないものと認めます。  では百四十八号まで終了したものと認めます。  それでは百四十九号からでございますが、一つ一つ検査院当局と意見の食い違いを生じておる問題が続いておりますので、いろいろ説明を要する点も多いかと思うのであります。  それですから今日はこれで散会にいたします。    午後四時五十九分散会