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専門員(
森荘三郎君) 百四十二号は国有財産の管理不当ということでありまして、性質から申せば、この前の中へ入
つてしまうことかも知れませんが、特に抜き出されておる問題でありまして、かなり複雑な
事情がございまするので、この刷りものに詳細をしたためておきましたが、簡単に申上げます。
この土地はすぐそこの虎の門の公園なのでありまして、坪数六百五十坪が問題にな
つております。この虎の門公園は明治の末年以来東京都へ公園用地として無償貸付がされておるのであります。それで大蔵省から建設省へ所管替えをしまして、建設省から東京都に貸付けるということにな
つておりまするが、今この問題を大蔵省の所管の部に掲げられて、関東財務局の名前がこの百四十二号に
指摘されておりまするが、これは建設省と書いてもよし、大蔵省と書いてもよし、というわけでありましようが、とにかく直接の所管は、建設省でありまするけれども、大蔵省のほうは国有財産の全般の管理をしておられるわけでありまするから、この
関係で関東財務局の問題としてここに掲げられたものと思われます。
さてこの土地が
昭和二十年の九月に軍に
接収されまして、すぐ隣の満門ビルが軍のアパート用に供されておりましたので、それの附属のモーター・プールに使われてお
つたのであります。ところが二十三年の十二月になりまして、ここにニユーエンパイヤーモーター
会社というものができることになりまして、そこの
会社にこの土地を
使用を許可するようにということを条件として、軍のほうから
接収解除にな
つたのであります。なぜそんな妙なことにな
つたかと申しますれば、アメリカ側で軍の必要に基いて軍
関係の自動車の修理とか部品の販売などをさせるのに、何かこういう
一つの私立
会社があ
つたほうが都合がよいというような
関係から、特にこのような
会社を作らせることにして、そうして是非この
会社にこの土地を使わせるようにという条件付で
接収解除にな
つたという話であります。さようなわけでありましたから、この
会社に公園地の
使用を許可するにつきましては、軍のほうからも勿論声がかかり、又貿易庁のほうからも依頼がありましたので、東京都では建設省の了解を得て、二十四年の二月一日からこれを貸付けたのであります。勿論建設省はその際大蔵省とも連絡をしたのでありました。建設省がこれを貸付を許可するについての条件といたしましては、二十八年一月まで四年間を期限とする。最初の出願は十年期限でありましたが、それを四年に短縮をさせた。それから貸付の期限は四年限りであ
つて、更に継続することは認めない。期限が満了したときには
建物を撤去してもらわなければならないから、撤去の可能なような木造建築の二階建を建てること、それから明渡しのときは
会社の負担で原状回復をするようにという条件付であ
つたということであります。ところがいよいよ東京都がこれを貸付ようとするときに、偶然にも気が付きましたことは、この土地が防火地域に指定されていることがわかりましたので、木造建築は許されない。そこで仕方がなく東京都は建築基準法という法律がありまするので、それによ
つて見ると、不燃質のものでなければいけないが、一番簡単なものとしましては、組立式の鉄骨建築というものならば、防火地域にも設けてもよいということがわか
つたものでありますから、そのように許可の条件を改めて、組立式の鉄骨建築を許したのでありました。この組立式の鉄骨建築といいまするのは、普通の鉄筋コンクリート造とは違いましてコンクリートなどが厳重に鉄骨の上に取付けられていない。組立でありまするから、解体も容易である。その鉄骨の上にコンクリートの薄いものが塗付けてあるというのだそうであります。そうしてこれを解体しますれば、鉄骨でありまするから、そのまま利用もできるというような状態にあるという話であります。東京都がそれを貸付けるに当りましては
坪当り月五円十銭の地代を取ることにしたのでありますが、これはその附近の土地の地代の等級から割出したものだそうであります。六百五十坪でありまするから、月々三千三百十五円の地代を取立てるわけでありまするが、これは恐らく非常に安い地代であろうかと思われます。なぜかと申しますれば、現在の売買
価格は、この辺の土地は
坪当り十万円というふうに
評価されているということであります。東京都はこの土地を貸付けるに当りまして、借主から五百万円の寄附を受けるということを約束をしまして、即座に二百万円は受取りました。それを芝公園の
施設のために充てたということであります。この寄附金というのは、名前は寄附金でありまするが、おそらく通俗の観念から申しますれば、権利金とでも言うべきものではなかろうかと思われます。ところが、残り三百万円は未納のままであ
つたのであります。ところが、昨年の六月頃に東京都からは、もう半年もすれば撤去の期限が来るからということで、その予告を与えたそうでありまするが、そのときに借主のほうからは引続きこの
使用を願い出た。それを東京都では許可しなか
つた。丁度そんなことのありましたその際に、借主は三百万円の金をぜひと
つてもらわなければならないとい
つて提供したのですが、東京都で若しこれを受け取ることにしますると、何となくそこに一種のかかりあいができて来る。引続き継続
使用の許可の意思表示が何となくそこらに現れるというようなことを考えたものでありますから、この三百万円の金を受取らないということにした。それで借主のほうはどこまでも約束
通りこれを提供するのだとい
つて供託をしたということなのであります。今も申しました
通り、東京都は昨年の六月に本年一月末日限りの期限には撤去を要求するという予告を与えまして、更に本年の一月になりまして、もう期限が来たわけでありまするが、一カ月の猶予期間を与えて撤去を要求したのであります。そうしますると、今年の二月の末には猶予期間も過ぎるということになるのでありまするが、おそらくこれは立退いてはいないだろうと思われます。
かようないきさつがあ
つたものでありまするが、
検査院が
指摘される要旨は、すでに公園としての用途に
使用されていないものであるのに、二年余りを経過しながらそのままにしておるのは処置当を得ないというのであります。さてこの土地に関して東京都及び建設省はどういうふうにしようという希望を持
つておられるかと申しますれば、是非ともこれは公園地に回復をしたい。元来東京には公園地が少いのだから公園に回復したい。なおそこには外濠の外壁も残り保存を要する
施設もあるから、かたがたこれを民間に払下げるということはよろしくない。
建物の撤去の問題については、最初許可をしたときから撤去し勿いように組立式の鉄骨造りにな
つているのだから、撤去は可能だと思うと、こういう意見のようであります。大蔵省の希望はすでにあれだけの
建物が建
つておれば、これを撤去させるということは不能と考える。それ故に公園としての用途を廃止して、これを大蔵省に普通財産として引継いで、普通財産ならば、自由に処分ができるから、これを売却したいというような考えのようであります。なおついでに申上げますると、
使用を許可したについて東京都側の
見解を述べますると、この土地に
使用許可を与えたのは、一種の行政行為であ
つて、普通の民法上の土地の借り貸しとは違う。
従つて、借地法という法律がありまするが、これによりますると、永久の建築物は貸主のほうから少くとも期限六十年以上の借地権を保障されているということがありまするが、あの借地法の適用は受けるものではない。何どきでも約束
通り撤去させることができるというような考えのようであります。そういうふうの面倒な問題である。ということを申上げておきます。
それからその次の百四十三号のほう。これ又
国会のすぐ近所のことでありしまするが、海軍省が
終戦の直前
昭和二十年八月七日でありまするが、土地を買取
つたのでありまするが、すぐさま
終戦となりまして、海軍などはもうそんなことに
関係しておられないような事態になりまして、土地を登記しないままで大蔵省に引継いだのであります。大蔵省におきましても、その後未登記のままで打過ぎた。ところがその後に至
つて売主はまだ登記が済んでいないのを幸いにして、これを衆議院に売付けたのでありましてそうして衆議院でその登記を済ませたのであります。そうしますると、大蔵省が未登記のまま捨てておいたというところに
一つの過失がある。それから衆議院が買入れましたときに、普通ならば大蔵大臣に協議をしなければならないことに取扱上な
つているそうでありますが、それを協議もしないで買入れてしま
つたというところに衆議院の
一つの過失があるということであります。たとえ登記は済んでいないにもせよ、それは登記所の
関係でありまして、財務局の国有財産台帳にはそれが記載されてあるのでありまするから、大蔵大臣に協議さえされたならば、このような
事件は起らずに済んだことであろうと思われるのであります。その善後策をどうされたかと申しますると、売主からはその代金を返納させるということになりました。但し売主のほうで責任者と思われるものは現在財政的に困難をしておるもののようでありまするので、不正額の一部分は貸付にな
つておると、こういうわけであります。それ以外の百四十四号、五号以下別段特に申上げることはございません。