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1953-02-25 第15回国会 参議院 決算委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年二月二十五日(水曜日)    午後一時三十二分開会   —————————————   委員の異動 本日委員佐多忠隆君辞任につき、その 補欠として栗山良夫君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    理事            宮本 邦彦君            飯島連次郎君            成瀬 幡治君            カニエ邦彦君    委員            瀧井治三郎君            中川 幸平君            西山 龜七君            加賀  操君            伊達源一郎君            栗山 良夫君            小酒井義男君            松永 義雄君            村尾 重雄君            紅露 みつ君            谷口弥三郎君            三好  始君   政府委員    国家地方警察本    部次長     谷口  寛君    国家地方警察本    部総務部会計課    長       中原ただし君    調達庁総務部長 山内 隆一君    保安庁経理局長 窪谷 直光君    郵政大臣官房人    事部長     八藤 東禧君   事務局側    常任委員会専門    員       森 莊三郎君    常任委員会専門    員       波江野 繁君   説明員    調達庁総務部調   達協力課長補佐  塚本 良次君    大蔵省銀行局総    務課長     福田 久男君    大蔵省銀行局特   殊金融課長補佐  長谷井輝夫君    会計検査院事務    総局検査第二局    長       上村 照昌君    会計検査院事務    総局検査第四局    長       大澤  實君    最高裁判所事務    総局経理局長  岸上 康夫君    日本開発銀行総    務部長     正宗猪早夫君   —————————————   本日の会議に付した事件証人喚問に関する件 ○昭和二十五年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十五年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十五年度政府関係機関収入支  出決算内閣提出)   —————————————
  2. 宮本邦彦

    理事宮本邦彦君) 只今より本日の委員会を開きます。  先ず皆様にお諮りいたしますが、昨日委員会決算審査に関する小委員会におきまして、第六海上本部不当経理事件審査に関し証人出頭を求めたいということを決定いたしておりますので、小委員会証人喚問の件を議題といたします。
  3. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 昨日小委員会におきまして、委員会からの新たに御付託になりました、只今提出の第六管区海上保安本部不当経理問題につきまして、三名のかたを証人として三月五日の午後一時にお呼出しを願いたいと存じます。なお本件につきましては、若しその後の審査状況によりましては、更に証人喚問の必要を生ずる場合があるかも存じませんから、さようの場合には、小委員会において一応審議をいたしましたら、それを委員長報告をいたしますので、委員長は更に委員会を開いて、それを御審議になるというような煩を省きまして、この件に関しましては早速委員長においてお取計らいのできるように同時に御審議を願いたいと思います。
  4. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 只今谷口委員から御発言のありました証人三名の喚問については、私は賛成いたします。なおその後の証人についての喚問等手続に関しまして、従来とも本小委員会におきましては、さような手続を以てやつてつておりまする関係上、本委員会において一々審査をすることを省略して、只今谷口委員から御発言のありましたように、小委員会において必要と認めた場合は、委員長のほうにおいてその手続をなされる、本委員会小委員会決定従つて処理をするということについて、私は只今発言されました谷口委員発言に、前者も、後者も共に賛成いたします。
  5. 宮本邦彦

    理事宮本邦彦君) 只今小委員長並びにカニエ委員より第六管区海上保安本部不当経理事件に関し証人出頭を求める件及び第六管区海上保安本部不当経理事件に関しましては、爾後の小委員会において証人喚問決定いたしました場合は、証人の選定、喚問及びその他の手続委員長に一任願いたいとの提案でございましたが、小委員長並びにカニエ委員の提案通り決定することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 宮本邦彦

    理事宮本邦彦君) 御異議ないと認めまして、さよう決定いたしたいと思います。  なお特に委員長において、委員会に諮つて証人喚問のために出頭決定いたしますのが適当と認めたような場合には、委員長にその決定を御一任願いたいと思いますが、これも併せてお諮りいたします。
  7. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 その場合、本委員会審査に当つて、どうしても証人の必要があるという場合は、やはりこれは証人の要求をせなければならないと思うのです。そこで、そういうような場合とはどういう場合になるのか存じませんが、委員長において、さような場合があるという点について一つ明確にしておいてもらえればなお結構だと、こう思うのですが、私は大体において今の御意見には反対をするものじやありません。併し審査支障ができた場合、それが委員長の意思において妨げられるようなことができた場合は、これはやはり困ると思うのです。これは如何なる人といえども……。そこであらかじめどういう場合にそういうことになり得るかという点について、やはり一応委員が了解のでき得る線を明確にしておいてもらつたほうがいいのではなかろうか、こう思うのですが、そういうような異例な場合というものは、これは私は殆んどないと思うのですけれども、或いは恐らく委員長の、そういうことは総理大臣であるとか、或いは殆んど一、二に限られた場合じやないかと思うのですが、その点大体承わつておけば非常に明確になると思うのです。
  8. 宮本邦彦

    理事宮本邦彦君) 今カニエ委員の御発言内容のようなことと存じますけれども、慎重を期する意味においてさよう委員長から皆さんにお諮り申上げたのでございますが、如何なものでしようか。
  9. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 只今のそういう場合ということは、大体小委員会で、小委員が大体相談をしてきめるのですから、そういう御懸念は殆んど要らんのじやないか、まして本件に関しては、本件範囲内ということでありますから、先ほどの御決議通りでいいと、かように思つておるわけです。
  10. 宮本邦彦

    理事宮本邦彦君) カニエ委員から御発言がございまして、委員長が先ほどお諮りいたしました件は、小委員会において慎重に取計らうから、その必要がないのじやないかという御発言がございました。委員長において先ほどお諮りいたしました件は取消したいと思います。  それでは証人喚問に関する件は皆さんの御異議がないものと認めまして差支えございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 宮本邦彦

    理事宮本邦彦君) さよう決定いたします。   —————————————
  12. 宮本邦彦

    理事宮本邦彦君) 本日は復興金融金庫に関する不当事項、一千百二号から一千百七号まで一括して議題に供したいと思います。専門員から御説明を申上げます。
  13. 森莊三郎

    専門員森莊三郎君) 復興金融金庫只今では解散になつておりまして、その整理事務日本開発銀行で取り行なつておられるのであります。今ここに検査院から指摘されました六件は、復興金融金庫融資をする場合に、債務者先順位抵当権設定するということにして契約しているのに、この手続を怠たつたがために、ほかの債権者先順位抵当権設定してしまつた。要するにこれは債権保全の上から見て不利の状態になつておるのであるという意味の御指摘でありまして、政府から出ておりまする説明書の二百七十四頁以下に一つ一つの問題について詳細な説明がなされているのでございます。
  14. 宮本邦彦

    理事宮本邦彦君) 会計検査院のほうから御意見がございますか。
  15. 大澤實

    説明員大澤實君) 復興金庫債権保全の件がここに六件ほど挙げてありますのですが、なお全般について申上げますと、昨年末の調査によりまして、復興金融金庫から引継ぎまして、日本開発銀行で現在残務債権取立業務行つておられるもののうち、未回収のものが約六百六十億円でございます。そのうちこの担保設定されてないのが六百十六件で百三十億六千万円ほどの金額に該当するものの担保が未だに設定されていない状況でありまして、これに関しましては、具体的な問題を個々に、現在の開発銀行のほうに対しまして担保権設定を慫慂いたしますと同時に、全般的にこれについて速かに保全措置を講ずるようにということを注意いたしてあります。尤も百三十億という数字の中には、もう担保権設定するによしないものも相当あると思いまして、この内容個々の分析を現在やつておるわけでありますが、そうしたような状況でありまして、そうした担保権設定遅延一つの現われがここに出ておる六件ほどのものになつております。これは会計検査院が二十五年度の検査に当りまして発見し得たものでございます。    〔理事宮本邦彦君退席、理事カニエ邦彦委員長席に着く〕
  16. カニエ邦彦

    理事カニエ邦彦君) 只今批難事項一千百二号から一千百七号までの間の検査院のほうからの説明に対して、一応復金のほうから御説明を承わりたいと思います。
  17. 正宗猪早夫

    説明員正宗猪早夫君) 御説明申上げます。政府から御提出申上げました説明書にも詳しく申述べてございますように、復興金融金庫が当時事務上の手違いの下に、当然設定すべき抵当権設定されておらなかつた事実につきましては大変遺憾であるということで、私ども復興金融金庫からその債権債務承継いたしました際、これは昭和二十七年の一月の半ばでございますが、その際に先ほど会計検査院から御指摘のありましたような件数において六百何十件というような抵当権設定未済のものが残されて引継いだわけでございます。開発銀行といたしましては、何分にもすでに過ぎ去つたことでありますので、その後相手を呼出してそれを設定するように極力努力をいたしておりますが、この数字につきましては、先ほど検査院の御指摘の分が現在どういう状況になつておるかという数字につきましては、実は只今用意がございませんので、何とも御説明申上げかねますけれども、相当進捗いたしておることは申上げられると思います。ここにございます六件につきましては、別に説明書をお出し申上げましたので、中には交渉の結果先順位を譲つてもらつて、当初の条件通り、こちらの第一順位を獲得いたしましたものもございますし、又中にはこの金額を、貸金を全部回収いたしました案件もございまして、私どもといたしましては、過去の失敗失敗といたしましても、極力これを是正すべく努力を尽しておるつもりでございます。ただ何分にも相当時日が経過いたしておりますことと、それから中には会社の業況が当初の予想に違つて非常に悪くなつて来ておるために、今更どうにもしようがないというような場合もございますのですが、私どもといたしましては、できるだけのことを骨を折つておるというふうに考えております。  なおその後の経過を御説明いたします。書類の附属に参考といたしまして、復興金融金庫から承継いたしました債権額開発銀行へ参りましてからの回収状況を表にいたしまして差上げておきましたが、これを御覧頂きますれば、その後の回収状況といつたふうなものが大体御了解頂けると存じます。二枚ございますうちの一枚のほうは、当初の貸出額業種別にいたしまして、それから復金当時、又開発銀行に引継ぎましてから以後の合計の回収累計額を昨年の十二月末現在で累計いたしまして、昨年の十二月末現在の残高業種別にいたしまして、その間の回収率業種別に並べてございます。総額三千四十億二千七百万の貸出で、回収が二千三百七十八億六百万、残高六百六十二億二千百万円、回収率七八%、尤もこの中には公団の千七百八億という貸金がございまして、これは一〇〇%回収になつておりますので、この部分を別に考えました承継では回収率が五〇%となつております。それから開発銀行承継いたしましてからの月別の回収額が次の表にございますが、昨年の一月に復興金融金庫承継いたしまして、当時の承継債権残高が七百八十七億四千三百万、これをその後開発銀行になりましてから、或る月は四億、或る月は二十一億というような、月々によつていろいろございますけれども、これを回収いたして参りまして、十二月末現在の残は六百六十二億二千百万円となつておる次第でございます。
  18. カニエ邦彦

    理事カニエ邦彦君) 只今会計検査院からの報告並びに開発銀行からの報告について御質疑があれば御発言を願いたいと思います。
  19. 松永義雄

    松永義雄君 先順位契約があつたにもかかわらず、先順位抵当権設定をしてもらえないで、第三者に第一位の抵当権設定が行われて、復金としてそれだけ支払いの確実性失つたということになるようなものがまだ現在残つておりますか。
  20. 正宗猪早夫

    説明員正宗猪早夫君) お答え申上げます。先順位をとられておると申しますのはございませんわけでございます。このほかにはないわけでございます。先順位をとられる、先ほど会計検査院から御指摘のありましたのは、担保権設定しておらないということでございますから、今後そういう放つておけば或いは先順位をどこかでとられるかも知れないから、早く担保権設定しろという御趣旨でございまして、他に先順位をとられておるということはないと信じておるわけです。これは併し抵当権設定すべきもので設定してないものがございますので、或いはあり得るかということは、私ども努力はいたしておりますが、最後まで確認、はできませんのです。
  21. 松永義雄

    松永義雄君 それでは復金が貸付けてから後に債務者第三者に対して借金をして、抵当権設定するような場合はないのですか。
  22. 正宗猪早夫

    説明員正宗猪早夫君) 只今申上げましたように、本来でございましたならば、融資と同時な抵当権設定すべきもの、それを抵当権設定できないままに、そしてその後債務者にその事務を運ぶことを督促いたしましても、先方に誠意がなかつたために、それが進まなかつたという状況のままで今日まで至つておるものがまだ若干あると思うのでございます。そしてそれにつきましては、法律によつて強制的に担保権設定することは可能でございます。やるべきであるかも知れませんのですが、問題はそれをやることの効果があるかないかというふうになつて参りまして、現在その担保物件がすでにどつかになくなつてしまつておるとかというようなものもでございますし、それから担保権設定費用が非常に高くなつてしまうので、つまり担保物件が減価、価値が減じてしまつてつて担保の値打ちが少くなつておる、それにも形式的に手続だけ是非やらなければならないかというような問題がございますので、数字的には比較的残つておりますけれども、実質的には効果のあるものはもう全部済んでおるというふうに御了解頂いて結構だと思います。
  23. 松永義雄

    松永義雄君 今のお答えは私の質問に対する答弁になつておらないのですが、復金が貸付けてから後、債務者第三者から金を借りて抵当権設定するような事実はないのですか。
  24. 正宗猪早夫

    説明員正宗猪早夫君) ここに会計検査院から指摘されました案件六件は、すべて只今お話のように第三者先順位抵当権設定されたものでございます。
  25. 松永義雄

    松永義雄君 どうも僕の質問に対する答弁が出て来ないのですが、復金が金を貸付けて抵当権を直ちにしなければならんにもかかわらず、債務者第三者に対して抵当権設定したと、その点が会計検査院から指摘されておるのが今議題になつておる問題なんです。こういうふうにおつしやるのですね、そうですか。
  26. 正宗猪早夫

    説明員正宗猪早夫君) 復金から金が出て、第一順位抵当権設定すべきであつたにかかわらず、第三者先順位の、第一順位抵当権設定された事実があるかという御質問と存じましたので、その事実はここに例示がございますいますような案件としてございますと御返事申上げたわけでございます。
  27. 松永義雄

    松永義雄君 それならば、復金にしても、開発銀行にしても、その第三者抵当権設定取消方法を講じられておられますか。
  28. 正宗猪早夫

    説明員正宗猪早夫君) 抵当権につきましては、これを取消すといたしますれば、別に別個の訴訟を提起して順位放棄を主張しなければなりませんのでございます。抵当権登記によつて効力を持つために、その序列をあとから行つて先にしろというようなことは、契約当事者相互間の契約のみでは処置ができませんので、非常に骨が折れるわけでございます。
  29. 松永義雄

    松永義雄君 僕の質問は、あとから行つておれのほうを先にしろということを要求するのはできない、こういう答弁でしたけれども、私の質問するのは、こちらが債権を持つておるにもかかわらず、而も第一順位抵当権設定する約束があるにかかわらず、債務者第三者に対して抵当権設定した、その抵当権設定契約取消すことができないものですかと、こういうのです。
  30. 正宗猪早夫

    説明員正宗猪早夫君) それはできません。
  31. 松永義雄

    松永義雄君 そこは法律問題になると思うのですが、債権者が金を貸して、そうして自分債権が弁済を受くるのに支障を生じて、自分債権が侵害されたということになれば、その債務者第三者との契約取消すはずなんですが、その点は会計検査院としてどう考えておるか。
  32. 大澤實

    説明員大澤實君) 只今の問題でありますが、会計検査院といたしましては、先ほど正宗総務部長のほうからもお話がありましたのですが、一度契約上はこちらは第一順位をとるということを債務者契約していても、それを債務者が履行せず、又復金のほうでもそれを慫慂しないうちに他の債権者が第一順位抵当権設定し、登記を了しとたしますれば、それをいわゆる復金側債務者との間だけの取りきめで取消すということは困難であろうと法律上解釈いたします。ただいわゆる第三者といいますか、他の第一順位設定した銀行側復金側とが話合が付きますれば、この銀行側のほうと同時に同順位にするとか、或いは順位を変更するということは、債権者間において協議が合えば登記変更その他によつてできると思います。現にここに掲げた案件につきましては、その後開発銀行になりましてから、そうした処置をとつておられるのがあると思います。なおこの会計検査院が二十六年度の検査において検査しました結果によりますと、先ほど申しましたように、担保権の未設定というのは相当件数ありますですが、それを第三者先順位担保権設定してしまつた、つまりここへ掲げているような案件はその後の検査によりますと、たしか一件かありまして、これは注意しました結果、ほかの債権者話合いが付いて、たしか同順位抵当権ということは変更されたと思いますが、そうした点が一件ありましたのですが、そのほかは我々の調べた範囲においてはありません。ただそうした危険性は十分にあるのでありますから、担保物のあるような債務者に対しては速かに担保権設定するようにということを主張しておるわけでございます。
  33. 松永義雄

    松永義雄君 どうも僕の質問趣旨が徹底していないようですが、債権者担保権設定約束がない場合においても、債務者あとから生れて来た債務に対して、第三者にその支払を確実にするような抵当権設定して、而もなお若し支払わなければ、抵当権の実行が行われて、第三者のほうが先に支払を受けるというふうなことになれば、最初債権者は非常にばかをみる。従つてそういつた場合には、最初債権者は保護される規定が民法にあるかと思いますが、如何ですか。
  34. 大澤實

    説明員大澤實君) 言葉が少し足りなかつたと思うのですが、訴訟上いわゆる債務者相手つて阻害行為基ずく訴訟を起しますれば、そうした救済方法は或いはあろうかと思います。詳しい法規規定只今手許にありませんですが、たしかあつたと記憶いたします。何といいますか、話合で済むのには困難であろうと、こう考える次第であります。
  35. 松永義雄

    松永義雄君 漸やく答を得たのですが、然らば検査院としては、そういう方法に出ることを復金なり開発銀行に対して勧告したことがありますか。
  36. 大澤實

    説明員大澤實君) 只今法規上、詐害行為の取消という訴訟を訴えて順位を取変えるというまで強い主張をしたことは只今までありません。指摘しましたものは、ここに書いてありますように、それぞれの方法がとられましたので、むしろ将来の危険性のあるものに対しまして、早く担保権設定することを強く主張している次第であります。
  37. 正宗猪早夫

    説明員正宗猪早夫君) 一千百七号の案件日本油機製造株式会社の場合には只今お話の出ました東京地方裁判所に対して、会社並びに先順位抵当権者相手詐害行取消、それから信託譲渡物件の引渡しという提訴をいたしましたのでございますが、結局は示談で話を付けたんです。
  38. 松永義雄

    松永義雄君 一番最初質問したことに戻るわけなんですね。こちらが貸しておいて、その間に債務者銀行から金を借りて、而も銀行のほうへは先に払われるけれども、お役所のほうの復金開発銀行みたようなものはあとでもいいというような、そういう取扱いを受けたことはないのですか、こういうことを一応聞いておきます。なければないでいいのですが。
  39. 正宗猪早夫

    説明員正宗猪早夫君) ちよつと今の御質問の御趣旨がはつきりいたしませんのですが、役所のほうからそういう干渉を受けたことがあるかということなんですか。
  40. 松永義雄

    松永義雄君 復金にしても、開発銀行にしても政府機関ですから、役所という言葉を使つたわけですけれども復金なら復金がよそに金を貸して、その後に復金がよその銀行から金を借りて、あとのほうの銀行には先へ金を払つたけれども復金のほうはお役所だからあと払つてもいいのだといつたような態度をとつている債務者はありませんかと、こういうことです。
  41. 正宗猪早夫

    説明員正宗猪早夫君) やはりそういう感じを持つておる債務者は依然として相当数残つておると思います。
  42. 松永義雄

    松永義雄君 それで委員会としては、一つ厳重におやりになることが必要じやないかと、こういうことを言つたわけなんです。
  43. 正宗猪早夫

    説明員正宗猪早夫君) 極力厳重にやつておりまして、御趣旨十分尊重さして頂きます。
  44. カニエ邦彦

    理事カニエ邦彦君) それではちよつと簡単に私から質問をするのですが、ここに出ておりますような案件ですが、かような状態なつ原因はどういうことになつておるのか、一つ大澤部長から御説明を願いたい。
  45. 大澤實

    説明員大澤實君) こうした結果になりました原因を考えますと、復興金融金庫融資した頃、つまり只今の三百九十二頁の表に出ておりますように、融資年月は二十二年頃から二十四年の三月、つまり二十二、三年度の頃の融資が多いのでありますが、この頃はは何といいますか、後輿のための融資に急で、その債権保全が十分でなかつたという感じが当時においては非常にするわけであります。それで、これに対しましては常に担保権設定のことをその都度注意しておつたのですが、何分にもこの設備資金融資は、できたものを担保にするというものが多いのでありまして、できる間に融資あるものはいわゆるネガテイヴ・クローズといいますか、できたならばそれを担保にするという契約になつておりますために、融資するときは担保物件はないということになつております。融資があつて設備ができたときは速かに担保権設定すべきである、こういうものが比較的多いわけであります。これらの手続が先ほど申しましたような融資に急と申しますか、そうした関係で、ややもすればおろそかになつて来た、そうした原因積つて今日のこうした結果になつているのではなかろうか、こういうふうに考えます。
  46. 松永義雄

    松永義雄君 復金の問題については、委員会でもやかましいことになつて来て、繰返しくどいことを申すことはどうかと思いますが、とにかく復金貸出ということはインフレーシヨンの大きな原因でありまして、そのために国民が非常な迷惑を受けたことは事実であります。尤も復金の使命は或る程度産業開発に資せられたと思うのですけれども復金貸出ということは国民が非常に迷惑を受けておる点からしまして、これはもう厳重に取立つべき性質のものであることは誰しもが認めるところと思うのですが、今更復金貸出先は誰であるかといつて質問していつもその貸出先の名前が出て来ない。我々としては、非常に遺憾に思つているわけですが、只今会計検査院の御説明によると、貸出すときには復興ができておらん。金が行つてから、復興ができるので、抵当権最初から設定するのは困難だ、そうしてその御説明は正はその通りであるのでありましようが、そのほかに復金として貸出しておるその方法が非常に杜撰であるということは、これ又誰しもが認めておるところと思うのであります。如何にも検査院お話によると、抵当権設定し得る場合にのみ貸出できる、こういうふうな御説明のような印象を受けたのでありますけれども抵当権の有無にもかかわらず、放漫な貸出が相当あつたのではないかと我々は思うので、そのために貸出先は誰であるが、債務者は誰であるかといつて、恐らく国会の議員全員はその貸出先の説明書を要求しておるわけであります。ところがいつになつてもでて来ない、実際蓋をされるとおかしく考えるのは人間の弱点でありますけれどもそのように復金の正体というものは、只今開発銀行から御説明があつたように、これこれの回収がついて、併しその回収はその後におけるインフレによつて解決したということが主である。如何にもあなた方の努力の結果であるというような御吹聴をなさると、我々としてはまだ取立において緩漫であるということを我々は主張しなければならないのであります。又十分開発銀行としては、回収方法について厳重にやつて頂きたいと存じます。相当回収については、裏には政治問題が潜んでおつて困難の点もあるかと思うのですが、そこは一つ徹底的にして頂きたいということをお願いいたしたい。
  47. カニエ邦彦

    理事カニエ邦彦君) それから大蔵省のほうにお尋ねするのですが、回収をやつて行きましても、すでにもう現在でも回収不能であると、どうしてももうこれ以上はとれないというものがあるかどうか。あるとすれば、どのくらいあるかということと、それから、これに対する最終的な措置はどうするつもりかという二点について伺いたい。
  48. 福田久男

    説明員(福田久男君) 先ず最初ちよつと御質問の点を離れますが、御指摘せられました数件につきまして、いろいろ会計検査院及び開発銀行からお話がございますので、特に附加えることはございませんが、先ほど会計検査院からもお話がありましたような事情のほかに、復興金融金庫が業務を開始いたしましたのが、御承知のように昭和二十四年だつたのでありますが、何分引続き融資をいたします場合と、又今後は新規の融資をやらないという場合とでは、債務者の心構えというものも相当違つたものになるんじやないかと思います。つまり復興金融金庫から融資が得られませんと、ほかの金融機関に向つて融資を求める、そうすると、不徳義な行為ではありますが、前の約束を無視して、背に腹は替えられないというような気持かと思いますが、言葉が悪いのですが、新らしい資金を得んがために当初の約束を無視するという傾向が影響しておつたのではないかと思います。復興金融金庫自身としても、努力の足りなかつた点は認めざるを得ないと思いますが、同時に債務者の側におけるそういつた不信行為と申しますか、先ほども指摘がありましたような、それらの点が加わつて、こういう遺憾な結果になつたものじやないかというふうに思うので、ちよつと附加えておきたいと思います。  それから御質問回収不能のものがあるんじやないかという点でございますが、勿論たくさんの、三千億という融開のものでございましたので、残高は六百六十二億に滅つてはおりますが、回収不能というものは勿論普通の銀行融資でもございますので、復興金融金庫融資の中にもないとは申上げられないのであります。現在までのところ、復興金融金庫時代から開発銀行に入りましてからを通じまして、約九億程度の償却をいたしておるのでございます。つまり回収の見込が一応ないであろうと認められたものにつきまして、帳簿上の償却の措置をとつております。勿論回収不能と認めたものにつきましても、経済情勢の好転等によつて、その事業が将来よくなりますれば、回収する権利は留保しておりますが、一応帳簿上は償却の処置とつたものが先ほど申しましたように九億程度ございます。現在どの程度あるかという点につきましては、はつきりした確信を持つておりませんし、内容について個々に亘つての詳しいことを私承知いたしておりませんので、お許しを願いたいと思うのでありますが、今後におきまして、若しそういう回収不能のものがございますれば、日本開発銀行において適宜償却等の措置をとつて参ることになろうかと存じます。    〔理事カニエ邦彦君退席、理事成瀬幡治委員長席に着く〕
  49. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 償却の措置をとつて行かれるのも結構ですが、最終的には貸出をした場合にはどうしても貸倒れができる。この貸倒れが一体何ほどあるか、今のところその数字はわからないのです。この数字を一応はつきりさして私はお答を願いたいというのは、重要な国のこの決算について貸倒れになるものがどれだけあるかということの数字は、やはり大蔵省としても握つてもらはねばならんと思う。これは後ほど委員会のほうへ資料を頂けばいいと思いますが、この貸倒れに対して、いつまでもこの帳簿に残つておる、国の決算の面で帳簿に残つておる、これは何年も続くのですね。実際はとれない。とれないことはわかつておりながら、帳簿に残つておるというような整理の状態は困るのではないか。これはどういう工合にしてけりを付けるのか。飽くまでもそれはそれでそのままにしておいておくという考えなのかということを一つ伺いたい。
  50. 福田久男

    説明員(福田久男君) 先ほども説明申上げたのでありますが、現在までのところどうしても、例えば債務者が行方不明になつたとかというような、或いは会社が破産して解散してしまつたというようなものにつきましては、帳簿上落しまして、つまり償却をいたしまして、ここに掲げております六百六十二億という数字からは落ちておるわけでございます。つまり帳簿上は資産として計上していない、権利としては残つておりますが、資産としては計上しないという処置をとつております。ただ市中銀行等におきましては、この償却ということにつきましては非常に慎重でありまして、特に債務者自分の借入金が償却されたというような事態を生ずるようなことが万一ありました場合には、返債意欲に非常に影響するので、その点の扱いは非常に慎重に扱つておるように承知しておるのでありますが、特に政府機関につきましても同じようなことがより強く或いは言えるかも知れませんので、できますれば、どうしても明らかに回収不能であり、当然資産として残しておくことが適当でないものにつきましては、償却の方法をとり、できますれば貸倒準備金というものを同時に考慮することにして、両者並行的に考えて行つたらどうであろうかというふうに考えております。
  51. 小酒井義男

    小酒井義男君 只今大蔵省のほうから答弁があつたように、私どもやはり他の債務は払えないのだというようなことを発表してしまつたんでは、残つておる債権者に対する取立に非常に影響を及ぼす点があると思います。逆に早期にこれを請求すればとれると思います。ただ長く持越されることによつて回収が不能になるというような案件もできて来るのじやないかということが考えられるのですが、そういう点についてはそういう心配はないと考えます。
  52. 福田久男

    説明員(福田久男君) お話のように、徒に長期に流れることは却つて回収によくない影響を及ぼすと思いますが、御承知のように設備資金であります関係上、比較的長期のものが多いので、その点は普通の短期の市中の運転資金とは事情が違うと思いますが、併しながら長期の設備資金とは言え、当初の約束なり何なりをできるだけ忠実に守つて頂くように、回収については現在では開発銀行で十分御注意頂いておりますが、なお私から申上げるよりも、開発銀行のほうからお答え頂いたほうが適当かと思いますので、正宗さんのほうからお願いしたいと思います。    〔理事成瀬幡治君退席、理事宮本邦彦委員長席に着く〕
  53. 正宗猪早夫

    説明員正宗猪早夫君) 復興金融金庫承継債権は全部当初の返済期限は来ております。従いまして開発銀行としては特殊な場合を申しますか、非常に従来取引振りがよかつたり、今後確実に取引が行われる見込みのあるものについて承継計画の変化をここに認めて。確信の持てる範囲で延長をいたしておりますが、それ以外のものにつきましては、原則としてすぐ取立てるという方向、一刻も早く取立てるという方向で整理をいたしておるわけでございます。従いまして遅くなるからという状況開発銀行のほうからは出て参りませんで、開発銀行としては一刻も早く取立てる。ただ余り無理をするよりも時期を待つほうが実際の回収金額が多くなる可能性があるというふうに判断せられた場合に猶予をいたしております。これは例えば相当の土地を持つておる、ここにはそれを担保に出しておる、出してなくともそれを処分して返すという意思を持つておる、その場合に非常に極端な例を申上げれば、近々鉄道がそこに敷けるというような場合には、鉄道が敷けるまで待てば全部一遍に返せるから待つてくれというようなふうな場合には、猶予してやるというようなこともあるわけであります。まあそういうような意味で極力全額回収するように努めるわけでございますが、時期は仰せのように成るべく早く取るほうが間違いないだろうという考え方でやつております。
  54. 宮本邦彦

    理事宮本邦彦君) ほかに御意見ございませんか。御質疑はございませんか。御質疑が一応終了いたしたものと認めますが、ほかになお御異議ございませんか……。御異議ないと認めまして、復興金融金庫議題は終了いたしたものと認めます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 宮本邦彦

    理事宮本邦彦君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  56. 宮本邦彦

    理事宮本邦彦君) 次に連合国軍人等住宅公社に関する千百八号から千百十一号までを一括して議題に供します。専門員から御説明を申上げます。
  57. 森莊三郎

    専門員森莊三郎君) 只今議題になりました連合国軍人等住宅公社というのは、只今では解散になつておりまして、その整理事務は調達庁で扱つておられます。この公社は余り世間にその名前の知られていない公社でありまするが、検査報告の三百九十二頁の終りから次の頁へかけて書いてありまするように、連合国軍人及びその家族などのための住宅二千戸を建設して、これを賃貸する目的で設置され、その建設費は米国対日援助見返資金のうちから借入れるもの、というわけでありまするが、ここに検査院から指摘されておりまするものは、初めの二つは工事の施行がよろしくないというのでありまして、建設工事施行に関し、しばしば設計を変更したために著しく経費が報加し、又は手戻りを来たしたものもある、なお工事費の予定価格の積算が甘過ぎたと認められるという問題であります。その次の千百十番は職員の不正行為、その次の千百十一番はすでに是正させた事項でありまするが、工事用の電力及び用水料金の精算が適当でなかつたものという、こういう件でございます。
  58. 宮本邦彦

    理事宮本邦彦君) 会計検査院、御説明ございますか、調達庁のほうから御説明ございますか。
  59. 山内隆一

    政府委員(山内隆一君) この御上程になつております千百八番につきまして、検査院からの御批難もありますが、実際工事の施行に当りまして、米軍側から出される設計図とか、仕様書には極力その内容を明確に規定して、現場における材料の使用を少くするようにいたすことは当然でありますが、併しかなりの幅のあるものであります。公社住宅工事における設計図、仕様書は皆軍で作成されるのであつて内容は一般国内工事に比べて幅の相当大きなものであつたのであります。従いまして工事監督官の監督の仕方如何によりましては、工事費に増減を来たし、予定価格と実際工事費との間に差の生ずることのあつたのは誠に止むを得ないことであつたと思います。本工事につきましては、すでに入札時に軍の監督官が決定されておりまして、その監督官、過去の監督の仕方から相当厳重な監督を受けることが予想されておつたわけでございます。而も本工事に関しましては、中央の軍の意図は従来のものに比べて程度の高いものを要求しておることがわかつております。なお朝鮮事変勃発の影響が漸資く材費、労力費に現われておりました等の理由によりまして、従来のものよりも一部において多少高価に見積ることは、これ又止むを得なかつた次第であります。然るに入札価格は予定価格を遥かに上廻るものばかりで、第三回の入札においてすら一割乃至一割六分の値開きがありました。従つて業者の危険見込を除去するために、再三再四に亘つて設計図、仕様書等工事遂行上の解釈を統一して、漸く業者の納得するところとなり、工事に着手したのでありますが、八月二十九日軍の監督官が突然更迭しまして、その後はこれまでの軍との打合せ決定事項を全然無視され、非常識と思われるようなひどい監督を受ける事態に至つたので、調達局は勿論本庁の関係官もこれが是正に努力しましたが、軍の容れるところとなりませず、一時は業者も施行意欲を失い、完成の見込みすら付かなかつたのであります。併しながら本件はスキヤツピンによる重大なものである点などを考慮して、業者を督励して漸く完成に至つたもので、この間の業者の受けた物的、心理的損失は相当大きなものであつたのであります。従つて詳細検討の結果、業者の責に帰すべきものでないものに対しては支払うべきものであるとして、車と折衝いたしましたが、結局に提訴し、これを認められたもので、GHQはこの間の事情を了承して承認したものと思うのであります。なお予定価格の見積に当つて、一部過大に見積つたということにつきましては、当時業務輻湊のため起つたとは言いながら誠に遺憾に思つておる次第であります。併し工事費総額においては二回の入札によつても落札者はなく、随意契約を行なつたが、この際相互の不当な見積を是正したものでありますので、過大に過ぎたとは考えておりません。  なお次の問題につきましても、この問題の中で、三沢地区の問題がありますが、仙台地区管下において、この工事を全く同じ時期に八戸、仙台などの地区にも発注され、又工期は四月中旬から七月末日まででありまして、軍より示された設計図は一般標準図程度のものであつたのであります。然るに三沢地区の敷地は相当でこぼこがあり、これが整地基礎工事等については一部推定して積算しなければならないものがありました。又担当時においては蒸気暖房方式による設計図を作成すべきものを、高圧温水暖房方式による標準図を示されたに過ぎなかつたのであります。加うるに業務処理期間が非常に短かかつたことなどから、結果的に見て見積り違いのものも生じ、二重計上の誤まりもありました。併しながら入札の結果、二回の入札にもかかわらず予定価格を遥かにこれ又上廻つたものばかりで、契約に当つては打合せ書において相互に検討し、不当なものを是正したものでありまして、これにつきましても予定価格が過大に失したとは一概に言えないのじやないかと考えております。それから千百九番の三沢地区の鹿島建設のやつた工事につきまして、ちよつと附加えて申させて頂きたいのであります。この高架水槽は三沢地区公社住宅二百六十戸建築計画の一環として実施されたものでありますが、その計画は二十五年八月一日まで完成することを要求されていたので、この厖大な計画の遂行に局は日夜忙殺されていたのであります。かような際に高架水槽の設計図として軍から受理したものは、前に完成された既設のものと同一のものであつたために、この設計図を検討せずに工事の施行に着手した次第であります。過日の調査の結果、既設のものが僅かに減少をしていることがわかつたが、当時としてはこの事実を知らなかつたのであります。又この異変はみてすぐわかるという程度のものではなく、相当慎重な調査の上漸く判明する程度のものでありまして、当時としてはかかる調査を行ういとまがなかつたような実情であつたのでございます。それにしましても検査院の御指摘によれば、一平方センチ当りの限界荷重が七十キロでなければならん程度のものが、満水時五百十キロの重みがかかることが予見し得たものであると言われるが、このトラスの坐屈長を如何にとつての計算であるかよくわかりませんが、当局としてはいささか疑問を持つておるものであります。ましてこれを図面から判断することは一般技術者としてはなかなかできるものではないのであります 而も既設のものがすでに屈曲していたではないかとのことでありますが、これは今回の新設のものの異変によつて念のために既設のものを調査して、僅かにその曲りを発見したもので、且つこれが強度不足によるものであるか、或いは施工不良によるものであるか判明しがたいものがありました。その後昭和二十七年に至りまして、軍は設計が不十分であることを認めまして補強の工事命令を発し、補強を行なつた次第であります。それから千百九番の後段につきましては、二重に輸送費を計上したことは誠に遺憾に存じております。この輸送費につきましては、折角漸減の措置をとりまして、現在では調整済になつたということも御了承願いたいと思います。それから千百十番はこれは検査院指摘通りでありまして、誠に申訳なく存じております。直ちにこういうことは将来絶対に起らないようにいたしたいという、目途の下に、いろいろこの先、印鑑、小切手帳の保管方法等につきましては詳細注意をしまして、再びないようにいたしてある次第であります。何とぞ御了承を願いたいと存じます。なおこのたび金の回収につきましては極力努力を続けておるわけでありますが、何といたしましても、この本人或いは各家庭の負担能力が非常に弱いのでありまして、まだ多額に弁済金が残つておることは、非常に残念に思つておりますが、和解契約によりまして、漸次弁済を受けるような措置をとつておりますが、なかなか容易に回収の見通しが付かないような状態であります。  その次の千百十一番は、これは誠に申訳ない次第でありまして、その後これはこの未収の分は支払いをさせるようにして現在では回収いたしておる次第であります。
  60. 宮本邦彦

    理事宮本邦彦君) 御質疑がございましたならばどうぞお願いします。
  61. 小酒井義男

    小酒井義男君 会計検査院のほうで、この工事の見積額などについて少し調達庁のほうとの見解に相違があるようですが、それについて意見があると思うのですが。
  62. 上村照昌

    説明員(上村照昌君) 実は特に御説明を省略いたしましたのは、大体調達庁のほうで私どもの出した案件に同意見だということで実はこの説明書を書きまして、そういう関係で実は省略したわけであります。今の御説明がありましたので一言申上じておきます。  千百八号でありますが、これの前段は、確に調達庁でおつしやつたように、当時軍関係において相当複雑な点があつたということはよく了承しておるのであります。併しここに記載してありますように、契約後工法を変更するとか、或いは工事半ばにおいて模様替えをする、こういう事態が起つてつて、結局のところ七千六百万円ぐらいの金額が残つておるわけであります。こういう事態に対してはなかなか困難な問題はありましようが、軍と事前に折衝し、初めからきちんとした形でやれば経費の節減もできた、こういうような趣旨で申しておるのであります。  それから次の第二点の予定価格のうち、建築工事費の五億七千六百余万円についてでありますが、この点は、明らかなものから申上げますれば、建物二戸建のものを一戸建の場合の二倍に予定価格を見積つておるという点は明らかな点であります。なお、そのほか木材所要量その他につきましては、他の事例その他に徴しまして、予定価格が全体で五千万円高かつたというように、その他の例に徹しましてそういうように判断しておるわけであります。  それからその次であります。仙台支部の分でありますが、これも他の事例その他につるまして予定価格を検討いたしましたところが、結局五千万円浮いたということでございます。それで、ここだけがこういう形でいいだろうかどうだろうか、こういうふうに考えて、この地区は高い、こういうふうなことを申しておるわけであります。  それから第千百九号の第一段の設計の当時の面でありまするが、この点は、この案にも書いてございますように、類似の例が附近にあつたということと、それから計算をいたしますと、これは技術屋に実はそのほうの関係から見てもらつておるわけでありますが、そういうような面から見ても、調達庁の仙台支部でおやりになつた設計では無理だ、こういうふうに判断しておるわけであります。或いはお急ぎになつた事情があるかも知れませんが、こういうことによつて、相当の国費に損を来たすということは避くべきものだ、こういうふうに考えております。  その他の案件についつは、大体御異存がないようになつたかと思いますので、省略いたしたいと思います。
  63. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 千百九の二号のほうですが、鋭意回収努力中であるという、その残額については、その後どういうふうになつておりますか。経過を一つ
  64. 山内隆一

    政府委員(山内隆一君) これは全部回収いたしております。
  65. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 鹿島建設の分は、全部回収済ですか。
  66. 宮本邦彦

    理事宮本邦彦君) ほかに御質疑はございませんか。
  67. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 千百十号の残額についても、和解成立後の回収はおありになつたか。
  68. 山内隆一

    政府委員(山内隆一君) この千百十号の回収は、極く最近のところ、五十四万二百円回収いたしまして、残額が百十八万七千八百円となつております。
  69. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 この説明書によると、被害金額の中から一部の回収があつて、残額が百二十一万六千八百円、こういうことになつておるのですね。
  70. 山内隆一

    政府委員(山内隆一君) 百十八万七千八百円。
  71. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 百二十一万六千八百円残つてつたでしよう。
  72. 山内隆一

    政府委員(山内隆一君) その後回収したわけです。
  73. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 その後回収して残が幾らあるのですか。
  74. 山内隆一

    政府委員(山内隆一君) 百十八万七千八百円。
  75. 小酒井義男

    小酒井義男君 今の千百十号のような、こういう関係回収の示談になつた場合の支払方法というものは、大体具体的にはどういうことになつておるかということですね。これの支払の当事者というのが深井某一人であるのか。部外者というのがこれも責任を持つておるのかどうかということ、この二点についてお尋ねしたい。
  76. 山内隆一

    政府委員(山内隆一君) 共犯になつておりますので、三人が義務者になつております。
  77. 小酒井義男

    小酒井義男君 月々とか一年に幾らずつ返して行くというような具体的な取りきめというのはなされておるのですか。
  78. 山内隆一

    政府委員(山内隆一君) 話は非常に具体的にいたしてございます。
  79. 小酒井義男

    小酒井義男君 その取りきめが実行されておるのか、それが実行されておらないのか、その点はどうですか。
  80. 山内隆一

    政府委員(山内隆一君) 取りきめとしては、非常に具体的にいたしておりますが、従つてそれを実行すべく厳重に督促をいたしておりますけれども、なかなか資力が乏しいために約束通りの実行が困難な状態であります。
  81. 小酒井義男

    小酒井義男君 もう一つ前に戻るのですが、たしか昭和二十四年度の決算報告の中にも、この駐留軍関係の住宅建設の問題で、二戸建のものを一戸建にして支払をしたというようなのがあつたように記憶をしておるのです。特調としてこういうふうの取扱をせなければならなかつたような特種な事情があつたのか。これは初めての問題じやないというふうに思うのですが、そういう事情があれば一つ説明をして頂いたほうがいいと思います。この千百八号ですね。
  82. 山内隆一

    政府委員(山内隆一君) 説明員説明させたいと思います。
  83. 塚本良次

    説明員(塚本良次君) 只今の点御説明申上げます。今度問題になつておりますのは、二戸続けて建てる建物を一戸の単価の二倍に積算して予定価格を作つたことを批難されているのであります。これは非常に時間が短つたために、一戸建のものを二倍にして二戸建のものの価格を出したわけなんでありますが、その点が非常に概算的だというふうにお叱りを受けておるのであります。ですから前の例とはいささか違うのでないかと思います。
  84. 小酒井義男

    小酒井義男君 前はこういう例なんですね。住宅のカーテンだつたと思うのですがね、これを付けるのに、一戸建の場合と二戸建の場合とでは、実際材料の要る量が非常に違うわけなんです。それを一戸建の分を二戸建に付けるだけの支払をしておつた事件があつたのですが、そういうようなふうにときどきこういう見積りですか、計画の事件が出て来ますから、それまでにしてその予算といいますか、見積りを余計支払つてやらなければ仕事ができないような事情というようなものがあつたのかどうか、その点についてお聞きしておる。
  85. 塚本良次

    説明員(塚本良次君) 只今の点にお答えいたします。本件の一戸建を二倍にしましたというのは、間仕切りが普通の間仕切りと違いまして、柱を二本立ててやるというような、例えば効果的に施行するというようなことがありましたために二倍にしたわけなんであります。この点十分検討すれば、もう少し安く勿論行くわけでありまするが、そういう判断で一戸建のものを二倍にしたという意味であります。
  86. 小酒井義男

    小酒井義男君 そうしますと、これらの問題については、検査院のほうからの批難事項をあなたのほうとしては否定はせられないわけなんでございますね。
  87. 山内隆一

    政府委員(山内隆一君) はい。
  88. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 さつきの千百十号の問題、もう一度処理の仕方を伺いたいのですが、回収残がなお百十八万あるということですが、併しこれは一方名古屋簡易裁判所において和解が成立して二年経過しているのですが、これに対しは残額の百十八万円の処理についてはどういうふうな態度と方針で臨んでおられるのですか。
  89. 山内隆一

    政府委員(山内隆一君) 名古屋におきましては、約束支払納入計画がありますものですから、そのときに書面を出すとか、或いは名古屋市内とすぐ市外におりますものですから、そこに人を派して督促するとか、いろいろの手段をとつて非常に熱心に督励に当つておるわけでありますが、先ほど申上げた通り、遺憾ながら支払能力が非常に乏しいために、予定迫りに進捗しないで非常に遺憾に思つております。
  90. 宮本邦彦

    理事宮本邦彦君) ほかに御質疑はございませんか。御質疑がございませんようですから、一応質疑を終了いたしたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  91. 宮本邦彦

    理事宮本邦彦君) 御異議ないものと認めまして次に移ります。   —————————————
  92. 宮本邦彦

    理事宮本邦彦君) 商工組合中央金庫、郵政省共済組合、この二つを一括して議題に供します。千百十二号、千百十三号でございます。専門員のほうから御説明申上げます。
  93. 森莊三郎

    専門員森莊三郎君) 商工組合中央金庫の問題は、資金の管理当を得ないものというので、八王子の出張所の出張所長が、あれほど潜越な行為をして不当な金融の便宜を図つて、結局中央金庫に損害を与えたということが指摘されておるのでございます。これにつきまして、ちよつと御審議の際に万一誤解が起るといけないと思いますので、一言申上げますが、検査報告の三百九十八頁の三行目の終りから四行目のほうを見ますると、「資金的便宜を与えたものを貸付金に振り替えたもので当を得ない。」とこうありまするが、これは文章が簡単になつた結果こういう書き方になりましたので、御覧下さいまするときには、資金的便宜を与えた、それが当を得ないのである。そうして中央金庫のほうでいわばその損害とも見るべきその金額を貸付金に振り替えるという形であと始末の整理をした。これは別に不当というわけではないように了解いたしまするので、そのことをちよつと念のために附加えておきたいと思います。  その次の郵政省共済組合のほうは、職員が不正行為を働いたという、そういう事件でございます。
  94. 宮本邦彦

    理事宮本邦彦君) 会計検査院のほうから御説明願います。第四局長。
  95. 大澤實

    説明員大澤實君) この商工組合中央金庫と郵政省共済組合は、いわゆる政府関係機関ではありませんので、この決算は国会のほうには提出してありません。併しながら会計検査院法上から言いまして、商工組合中央金庫は、政府が二分の一以上出資しておるという意味において検査の対象になつております。又郵政省の共済組合は、国が補助金を与えておる団体、つまりこれは共済組合に対して交付金を与えておりますので、補助金を与えておる団体として会計検査院検査の対象になつておる。で、この二件はいわば決算外のことで、検査報告に掲げるということはどうかという意見もあるのでありますが、結局その他必要と認めた事項を検査報告に掲げるという会計検査院の院法及びその施行規則によりまして掲げたわけでございます。一応掲げたその趣旨を御説明申上げます。  内容只今専門員の御説明になりました通りでありまして、ただ千百十三号の郵政省の共済組合の分をここへ掲げた数字は、当時この検査報告を作りますときに判明しました基礎の金額で一応掲げたのでありますが、その後の調査によりまして数字が多少変つております。その点は政府のほうの説明書に詳しく出ておりますので省きますですが、その点申上げておきます。
  96. 宮本邦彦

    理事宮本邦彦君) 商工中金から御説明ございますか。
  97. 長谷井輝夫

    説明員長谷井輝夫君) 只今指摘がありました商工中金の不当貸付の点でございますが、この点は専門員からも御説明がございましたように、八王子の出張所々長が無断で権限なしに二千四百万円に上る手形の保証、又振出手形を発行いたしたのでありまして、これは現在の商工組合中央金庫の法律から申しますると、間接構成員には貸付ができぬのでありますが、この行為が起きました昭和二十四年には、こういうことは法律上も禁止されておつたのであります。而も法律上禁止されたことを無断で、理事長の決済を得ずにやつたという二重に不都合がございまして、私ども大蔵省といたしましても監督が十分に及ばなかつた点をお詫びいたしたいのであります。この相手方の八王子の出張所々長が口車に乗つて一ぱいかけられたと申しますか、その相手方は非常に不埒な行為をやりまして、昭和二十五年に、これは皆さん御承知のように、新宿で女中殺しという事件が起きたのでありますが、これの実は殺人犯人といたしまして現在公判にかかつております。こういうような異常な事態がからんで参りまして、この二千二百万円に上る金額が一向回収できないという非常な不始末に相成つた次第であります。この点につきましては大蔵省といたしましては、事件が起きましてから非常に厳しい態度で回収の措置その他につきまして追及いたしました。併しそういう殺人事件会社は解散いたしてしまつたというような事態に立至りまして、思わしく回収ができておりません。説明書にもございますように、四十五万円が入り、あと二百万円ばかりが入る予定だけでございます。非常にこれは申訳ない事態だと思つております。なお商工中金自体といたしましては、当の責任者を懲戒処分にいたしましたし、営業部長が直接の責任でございますので、これには厳重な戒告が行われております。以上簡単でございますが御説明申上げました。
  98. 宮本邦彦

    理事宮本邦彦君) 郵政共済組合から御説明ございますか。
  99. 八藤東禧

    政府委員(八藤東禧君) 職員の不正行為によりまして共済組合に損害を与えた千百十三号、専門員及び会計検査院より御報告があつた通りでございます。零細なる職員の組合費及び国庫よりの御補助によりまするところの当組合におきましてかかる事件が発生いたしましたことは誠に申訳ない次第でございまして、私ども一同心から遺憾に存じておる次第でございます。この際、只今までの御報告等以後におきまするところの経過その他処置等につきまして簡単に申上げたいと思います。最初に、関係者たちの身柄につきまして、二番目には、損害の補償につきまして、三番目には、かかる事故の将来発生しないようにいろいろと考究いたしまして実施いたしました事項等について御報告申上ばます。  この御報告言等にもあります通り、犯人の肥田木繁信が昭和二十五年五月二日東京の裁判所に公訴が提起されました。昭和二十七年七月十八日肥田木は懲役二カ年、執行猶予三年の判決が言い渡されております。なお同人は公訴提起と同時に休職処分に付しておりましたが、この八月二日の判決確定に伴いまして執行いたしました。なおこの事件につきましての監督者につきましては、両名に亘りましてそれぞれ懲役処分に付している次第でございます。  次に被害金額でございますが、金額数字につきましては、只今会計検査院のほうより御報告のありました通り、当初の千九十五万円が、その後詳細なる調査によりまして、総額は一千二万六千三十五円九十一銭ということが確定したのでありまして、本件はその当時すでに四百五十三万六千三十五円九十一銭が補填されておりましたが、実際の被害金額といたしましては五百五十万円ということに相成つておる次第でございます。先ほど申上げましたように、刑事事件といたしましての本件の処理が進捗いたしておりまするに並行いたしまして、郵政省共済組合といたしましては、この損害補償請求権を確保いたしますために、昭和二十六年三月二十三日民事訴訟をその被害金額五百二十万円につきまして提起いたしました。実損額五百五十万円か五百二十万円の民事訴訟と相成りましたのは、その後昭和二十五年十一月十五日に三十万円ほど弁償があつたわけであります。この民事訴訟を中心といたしまして、この犯人肥田木某以外の関係者に対しまして損害の弁償につきまして極力努力いたしたのでございますが、その後昭和二十六年十二月十九日に調停裁判が成立いたしまして、弁償の方法或いは支払利息その他につきまして調停が成立いたしました。目下その調停に従いまして、極力順次これが損害の補填に努力いたしておる次第でございまして、現在までの回収金額は百七十六万六千九百円ということになつておりまして、未だに三百四十三万三千百円はどが未弁済となつておる次第でございます。  次にこのような事件が発生いたしましたことは、何せ明治四十二年以来長い歴史を持つております共済組合といたしまして、誠に金額におきまして、その悪質な点におきまして、稀有な事件であつた次第でございますが、いろいろ考究いたしまして、先ず最初に、組織といたしまして支払出納命令事務というものと、出納事務というものが同じ係で行われておつたということがかような犯罪を発生せしめる一つ原因であるという結論に到達いたしました。爾後速かに今まで一係でやつておりましたものを二つの係にいたしまして、出納事務、それから支払出納命令事務と分割いたしまして、相互牽制するように組織を変えた次第であります。なおそのほかに細かいことでございまするが、組合の印鑑と出納員自身の印鑑とは、組合せの方法によつてこれを保管して行くというふうにいたすということをやりました。そのほかの事務要員等が何せ組合員が非常に多数でございますので、いろいろかような事務が輻輳いたします。極力、人員不足の折柄他の係から差繰りまして事務要員の増加を図つておりまして、一般官紀の粛正に努力いたしておりますることは申上げるまでもない次第でございます。  なお、大蔵省或いは郵政省内部におきましても、組合法によるところの監査或いは郵政監察局におけるところの犯罪事項等の捜査及びその防止等には極力努力いたしたいと考えております。以上簡単でございますが、御報告いたしました。
  100. 宮本邦彦

    理事宮本邦彦君) 御質疑はございませんか。
  101. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 千百十三号の郵政省共済組合の問題について、会計検査院報告と郵政省からの報告で、調査の結果、金額に相違があるということで違つた数字が挙げてありますが、これは何に基いてこういう数字の違いが出て来たのですか。
  102. 大澤實

    説明員大澤實君) この検査報告を掲げますときに、こちらといたしましては書類が検察庁のほうに移管されておる関係で起訴の金額をとつて一応それで正確であろうという観点の下にこの千九十五万という数字を出したわけでございます。その後裁判の結果が只今郵政省の言われたような金額に確定した、こういうことになつております。
  103. 八藤東禧

    政府委員(八藤東禧君) 只今会計検査院のおつしやる通りでございます。
  104. 宮本邦彦

    理事宮本邦彦君) 御質疑はございませんか。ほかに御質疑もないようでございますから、この第千百十二号、第千百十三号の質疑は一応終了いたしましたものと認めまして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  105. 宮本邦彦

    理事宮本邦彦君) 御異議ないものと認めまして、それでは次に進みます。   —————————————
  106. 宮本邦彦

    理事宮本邦彦君) 次に裁判所第一号の件を議題に供します。簡単でございますから、専門員説明は省略いたします。会計検査院の御説明がございましたならばお願いいたします。
  107. 上村照昌

    説明員(上村照昌君) 事案は簡単でございますので、一言だけ申上げておきます。本件の犯罪は経理係長と用度係長心得の二人が共謀した案件であります。一人のほうは前渡資金管理でありまして、前渡資金を横領したというのが三万円余り、残りの分の五十万七千円余りは支出金の詐取、こういう案件であります。支出金のほうにつきましては、一人の人が全部支出負担行為なり、或いは支出の事務を一人でやつてつたというところに原因があろうかと思いまするので、今後はこういう点については裁判所のほうにおかれましても相当監督を厳重にされて犯罪の防止に努められることが必要ではなかろうか、こういうように考えております。
  108. 宮本邦彦

    理事宮本邦彦君) 裁判所のほうから御説明ございますか。
  109. 岸上康夫

    説明員(岸上康夫君) それでは簡単に申上げます。事案は簡単明瞭でございますので申上げませんが、その関係者の処罰、それから爾後の回収状況等につきまして簡単に申上げます。本件の犯罪人であります塚田、桑原の両名はいずれも刑事処分によりまして昭和二十六年四月に起訴されまして、第一審判決で塚田のほうは懲役二年、それから桑原のほうは懲役一年五カ月ということでありまして、いずれも控訴いたしましたが、控訴棄却になりまして、結局二十七年の六月二十二日にその判決が確定し目下服役中でございます。  被害金額回収につきましては、検査院のほうで御指摘になつております金額の五十三万七千百十六円というのに対しまして、二十六万四千円ばかり補填がございましたので、結局国の実損といたしましては二十七万二千八百九十六円という数字になります。これにつきましては、その後裁判所当局のほうで回収努力いたしておりますのですが、何分やはり両名とも資力も豊でない農家の育ちでありまして、普通の方法では回収が事実上困難でありますので、最近になりまして法務省のほうと打合せました結果、民事訴訟を提起するということにいたしまして、近日中その訴の提起をする予定でございます。勿論刑事処分のほうは今申し上げました通りですが、行政上の処分のほうは、犯罪人二人とも懲戒免職になりましたのですが、その直接の監督者であります宇都宮地方裁判所の会計課長はこれは依願免官になりました。その上司であります事務局長は戒告処分を受けました。地方裁判所所長に対しましては懲戒の手続中でございましたが、昨年の恩赦によりまして懲戒免除ということに現在相成つております。  只今検査院のほうの御指摘がありましたように、こういう不始末になりましたのは、一つ事務のやり方にもう少し工夫する余地があつたという点が認められますので、その後御指摘のように金銭の出納事務、金銭を扱う者とそれから物品を調達する者、或いは金銭の出納命令をする者というものの係を分けまして、そうして同一人で扱わないように厳重に宇都宮地方裁判所のみならず各裁判所に通達或いは会同等の機会に注意をいたしまして、こういう事故の防止できるような態勢に進んでおる状態でございます。なおそれから内部的な監督、或いは最高裁判所からの定期的の監査というふうなものもできるだけ実行いたしまして、こういう事故の防止に努めている状態でございます。
  110. 宮本邦彦

    理事宮本邦彦君) 御質疑がございましたならば……。
  111. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 裁判所についてはただ一件だけに掲げられておりますが、検査院から裁判所に向つて、注意又は勧告を与えられた件はほかにありませんか。
  112. 上村照昌

    説明員(上村照昌君) 検査の手順といたしましては、照会を発しておりまして、その照会に対して回答が参りまして、これによつて実は審議しておるわけです。そして検査報告に載せるもの、或いは検査報告に載せなくても、裁判所のほうし注意を喚起するという意味で注意書というものを出しておりますが、ちよつと内容を正確には覚えておりませんが、二件ばかり昨年注意書として出したことがあるのであります。
  113. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 二件ばかしというのは、件名もおわかりになりますか。
  114. 上村照昌

    説明員(上村照昌君) 一つだけ覚えておるのを申上げますと、場所は山形地方裁判所だつたと思いますが、これが寄附で建物を建てられるということになつておりましたが、寄附が集まらなくて、あとで裁判所の経費で建てられるというような事態が起つて来たわけでありますが、そういうものについて寄附その他のような関係、いろいろな問題が起る場合があるから注意して頂きたいという種類の注意書を出したものが一件ございます。  それからもう一つ出しておりますのは、旭川地方裁判所でありますが、建物の関係でありまして、実は建物そのものは職員宿舎に使つておられるというものが、経費の支弁が宿舎費で出すべきものを、宿舎費で出しておらないという点で注意書を出しておるのが二件ほどございます。
  115. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 簡易裁判所等の建物を建築するについて、寄附を受けることはよくないことですが、いいと思うのですか。
  116. 上村照昌

    説明員(上村照昌君) 建物の寄附を受けるということは必ずしも悪いというのではございません。それから又一般の寄附金であれば、歳入金に入つてそうして歳出に組まれて経費が支弁されて行くなら一向差支えないと思いますが、ただいろいろ寄附を集めることに無理が起るとか、そういう面で考えなければならん点がある、こういうように考えておる次第であります。
  117. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 裁判所の建築の場合に寄附を受けるということはよろしくないということが、閣議決定をされておるやに聞いておりますが、そういう事実は御承知ですか。そうするとこれはまあ必ずしも裁判所に限つたことではないのですが、警察等の場合にも、よく地方を歩いて見受けることでありますけれども、官庁の建物を建てる場合に寄附を受けて建てるという事例がかなり多いのですね。それが一般の住民にとつてはかなり大きな負担になりつつある。ですからこういうことに関しては特に裁判所であるとか、そういつた関係の建物の場合には、閣議決定を待つまでもなく、よほど慎重におやりになる必要があろうかと思いますが、これは別に批難事項に挙げられておるわけじやないが、只今挙げられた二つの事例がありますし、その他にもこういうことが会計検査院の正規の勧告は受けておらなくても、事例は決して少くないわけですから、そういう点についても私は、やはり裁判所の当局のかたもおいでになることですから、よく注意されて然るべきだと考えます。裁判所の関係の方面ではそれに対して直接何か指示なり、そういうことをなすつたことはありますか。
  118. 岸上康夫

    説明員(岸上康夫君) 只今お話の点は、至極御尤もなことと私どもといたしましても存じております。閣議決定趣旨はその際に、勿論各地方の裁判所の事務当局のほうに流してございます。大体寄附につきましては、御承知の通りいろいろの弊害ということが予想されますので、これは非常に慎重にやらなければならないという気持でおりますし、このことは勿論閣議決定趣旨と同様でございまして、その通達を流す際に、会同の席上等でも長官より注意があつたことも何回かあるように存じております。ただ過去の実例において私の聞いておりますところによりますと、新憲法後簡易裁判所が全国的に何百カ所というものが新設されることになつておるというときに、国の予算ではなかなか庁舎の新設がむずかしいという際に、地元のほうといたしまして、是非簡易裁判所を設置してもらいたい、そのためには地元のほうで庁舎新設の費用を寄附するというような話合いの下に寄附された事例も若干あるように聞いております。勿論そのときには、個人等からの寄附はこれは絶対に受けないで、仮に受けるにしても、その事情をよく注意し、なお寄附を受ける相手方も、町村その他の公共団体というものを原則として寄附の相手方にするというような方針で参つておるように存じております。ただ最近は数の上では少くなりましたが、今申しました簡易裁判所等の新設当時、地元からのいろいろの要求といいますか、御希望等がありまして、慎重に調査した結果、まあ適当と認めたものは寄附を受けたという事例も若干あるわけでございます。
  119. 宮本邦彦

    理事宮本邦彦君) 御質疑はございませんか。ほかに御質疑もございませんようでございますから、本件の質疑は一応終了いたしたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  120. 宮本邦彦

    理事宮本邦彦君) それでは次に進みたいと思います。どうも有難うございました。
  121. 宮本邦彦

    理事宮本邦彦君) 次に総理府関係第二号から第六号までの案件議題に供します。専門員から御説明申上げます。
  122. 森莊三郎

    専門員森莊三郎君) 只今議題になりました第二号から第六号までは、国家地方警察本部の問題でございまして、警察予備隊の問題ではないのでございまするから、そのことを先ず第一に申上げておきます。どういう問題かということにつきましては、検査報告の二十七頁の終りの部分を見て頂くと事情がよくおわかりかと思いまするが、「警察予備隊は、警察予備隊令(昭和二十五年政令第二百六十号)によつて創設され、同令附則第二項により」云々ということになつております。そうして一行ばかり間を置きまして、「右の支出は二十五年十一月三十日これを警察予備隊に引き継ぐまでの間国家地方警察が取り扱い」幾らを支出した。「又、施設のおもなものは建設省に支出委任しこれに当らせている。」と、そういうふうの事情であります。今問題になつておりまするこれらのものは、昭和二十五年の八月頃に予備隊が七万五千人ばかり集められることになりました。非常に急いでこれを集めまして、究極はそれぞれのキャンプへ送り込むわけでありますが、その人々を先ず最初に集める場所その他いろいろな事務が必要でありまするが、当時予備隊のほうではまだそれらの事務を扱う人がなかつたものでありまするから、警察学校においてそのすべての世話をすることになつたのでありまして、それがために必要な施設もいたしました。その費用の支出は予算項目を見ますると、警察学校設備費ということになつておりまするので、その項目から支出されたということについても何ら問題はないのであります。ただ会計検査院から指摘されておりまする事柄は、ここに一覧表がありまするが、その上のほうに書いてありまするような工事が多少永久的な設備とも見られるものができておる。ところが予備隊の人々を一時そこに集めて、最後にキャンプまで送るというは、ほんの数カ月、まあ三、四カ月か五、六ケ月か、ほんの当座のことでありまするから、それがための費用ならば、例えば部屋が足らないとすれば、ちよつと仮建築でほんの数カ月を支えるだけのものを作りさえすればよいのに、立派な倉庫を建てるとか、渡廊下を付けるとか、事務室を作るとかいうようなことをやつた。勿論そのもの自体がその後におきましても、警察学校の施設として作られたものでありまするから、今日も警察学校で利用されておりまするので、損にはちつともなつてはおりませんけれども、警察学校にそれが必要ならば、警察学校の予算から出すべきであるのに、警察予備隊を一時収容し、ただその世話をする、ただそれだけのことのために、予備隊のほうの経費で以てこんなことをしたのは、金の使い方が適当でない、こういう意味指摘であります。  そこでこの工事の実例を申しますると、多くのものは読んで頂けばわかりますが、例えば仙台のものは倉庫なり物置を作つた。貯炭場を新築した。その次の東京のものは渡廊下を改築した。それから生徒寮の六棟を外装と書いてありまするのは、クレオソートでこれを塗つたというようなことなのであります。まああとはそれに類したようなことなのでございます。
  123. 宮本邦彦

    理事宮本邦彦君) 会計検査院の御説明を願います。
  124. 上村照昌

    説明員(上村照昌君) 只今の二号から六号までの問題でありますが、事実の詳細は専門員のかたから御説明がありましたので省略さして頂きまして、私のほうの見解を一応申述べたいと思います。  只今お話にありましたように、国家地方警察で募集事務を行われたわけでありますが、それは二十五年八月下旬から十月中旬ぐらいまで、警察のほうに募集された者が来て入つていた、こういうことでございます。尤も当時の事情としては、いろいろ予備隊の関係が必ずしも明瞭でなかつた点はあろうかと思いますが、只今ここに作られました工事は、私のほうの考えといたしましては、これは判断の問題になるかと思いますが、一応警察予備隊の募集事務のほうにも必要であるかも知れませんが、むしろ警察関係のほうの整備が主である、こういうふうに考えております。そうしてここに挙げました工事は、只今お話がありましたように、これは東京の分な生徒寮六棟の外装だとか、それから或いは広島の塗装であります、これはペンキであります。大体入る場合にどうしても必要だ、必要最小限度の修繕工事その他については、私のほうは一応除外いたしまして、この程度のものは当時の募集事務としては必ずしも必要でない、こういうふうに考えてこういうような判断を下しておるわけであります。
  125. 宮本邦彦

    理事宮本邦彦君) 国警のほうから御説明願います。
  126. 谷口寛

    政府委員谷口寛君) 御説明申上ばます。警察予備隊が昭和二十五年の七月に、マッカーサー元帥の指令によりまして、日本政府に創設を命ぜられました当時、その本隊の警察予備隊の組織決算ができ上りませんので、でき上るまでの間のいわゆる創設の事務につきましては、先ほど来御説明がありましたように、国家地方警察がその責仁において創設業務をやつて行くということに定められたのでございます。この点は事実行為でやつたのではございませんので、警察予備隊令の附則第四項に基きまして、総理府訓令が出まして、その法令の根拠に基きまして、国家地方警察が創設業務をやつたのでございます。創設業務の範囲につきましては、いろいろとございまするが、先ず予備隊員を全国的に七万五千を目標にいたしまして募集をする、募集をした者を採用試験を行いまして、適格者を選抜する、その適格者を更に一定の場所に集合をいたしまして、そしてこれを一定の組織に編成しました隊員につきましては一定の装備を持たす、そうして最小限度の訓練を施す、なお当時の進駐軍の指令がありました場合においては、それを適当なるキャンプに送付する、送り付ける、こういうような業務がいわゆる創設業務として当時の国警本部に課せられた責任であつたのでございます。それをどのくらいな期間にどのようにしてやつて参りまするかということにつきましては、当初といたしましては全く予想がつかなかつたのでございまして、先ず先ほど申上げましたように、試験を終りました適格者を国警が引取つて収容するというところまでは我々の責任でございまするから、これをでき得る限り早くやれという前後の情勢から、僅かの間にその結果を出したのでございまするが、それによつて得られました応募員をいつどこのキャンプに持つて行くかという問題につきましては、当時のキャンプの設定状況というものが全然我々の方面には不明でございまして、先ずこれがきまつたら、そこへ何月幾日までに何ぼ持つて行けという式のやり方が当初行われておつたのでございます。従いまして国警において収容いたしておりまする施設そのものの中に一カ月入れて置かなければならないか、半年入れて置かなければならないかということが当時の事情といたしましては、全く予測のつかないような事情にあつたのでございます。  で、話が前後いたしましたが、その七万五千の人間を国警で収容いたしまする場合においてどこが一番適当かということを当時いろいろと考えました結果、国警には御承知のように全国を六つの管区にわかちまして、それぞれに管区の警察学校というものが存在いたしおるのでございます。たまたまその分布も全国の適当な所に分布されておりますし、又この収容能力というものも、当時の施設といたしましては一番適当な施設であるというので、管区の警察学校に募集員を分けて収容するというようにいたしたのでございます。それにいたしましても当時の管区学校の一カ所の収容の最大能力というものが、全国六管区を平均いたしまして約四千名程度くらいであつたのでございまするが、それを一時に約平均七千名ぐらいずつを収容しろというような結果に相成つたのでございます。従いましてこの四千くらいな収容力に対して七千余りを入れようというために、どうしても管区学校のそのときまでの施設におきましては、いろいろと不便を生じて来るもでがございましたので、或いは寄宿舎を増改築する、乃至はいろいろな備品等を入れまする倉庫を増設するというようなことが各地で行われたわけでございまして、この点につきましては、その当時の事情を御了承頂きたい、かように考えておるのでございます。例えば渡廊下というような問題もこの不当の事項の中にございますが、この渡廊下なんかにつきましても、雨が降る日でも、どういう日でも毎日継続いたしまして今のように作業を続けなければならない当時の状況でございましたので、そのためには一つの宿舎から一つの宿舎へ渡るという場合の渡廊下もどうしても付けて行かなければならんというような事情にあつたのでございます。又塗装というような問題につきましても、これもあとから考えれば、そんな贅沢をという議論になるかと思いまするけれども、率直に申上げまして、当時予備隊員を募集していろいろと収容、訓練をいたして行くためには、余り好ましくないというような落書等も、実は管区学校が旧軍施設等を活用いたしました経過の上からみまして相当あちこち残つておる、そういう事情等もありまして、先き相当長く収容いたして行くものであるならば、この機会にそういうみつともないものは少し消してもよかろうじやないかというような見方もあつて、塗装等もやつたように私は聞いておるのでございます。  いろいろとくどくど申上げましたが、このようなことで当時やつておりましたところが、結果におきましては、幸いに当時の進駐軍方面の努力、又他の日本政府の方面の努力が非常に進行いたしまして、実際問題といたしましては、七千名ずつの十一回という編成で、約十月の下旬には隊員をそれぞれのキャンプに送り出すということができ上りましたのでございます。従いまして結果から見ますと、僅か三、四カ月のことのために今指摘せられましたような事柄があつたように相成りまするけれども、当時の事情といたしましては止むを得なかつたものであるという点を十分一つ御了承頂きたいと、かように考えておるような次第でございます。
  127. 宮本邦彦

    理事宮本邦彦君) 御質疑はございますか。
  128. 西山龜七

    ○西山龜七君 この予算のないこういうものを、施設をいたしましたものに対するその始末というのはどういうようなことになるのでありますか、お伺いしたい。
  129. 谷口寛

    政府委員谷口寛君) お答え申上げます。この点は予算がないのではございませんので、警察予備隊の予算の中に予算があるわけでございます。それを先ほど申述べました根拠によりまして、国家地方警察本部が責任として仕事をやることになりましたので、国家地方警察本部が予備隊の経費の支出の委任を受けてやつており、且つその支出内容も、国警の管区警察学校の施設費として支出をいたしておるのでございます。従いましてこの予備隊の創設業務が終りました後におきましても、管区の警察学校の施設として現在我々警察方面におきまして教養訓練等のために有効に用使いたしておるような状況でございます。
  130. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 お話は了解できるのですが、私は会計検査院ちよつとお尋ねしたいのですが、例えば警察予備隊としての予算を警察費等に流用した一応形になるのですな、こういうことはまあ当事者の弁明を伺いますと、この利用度が少なかつたものがあつたことは遺憾であるという言葉で、今お話なつたような事情で結ばれておりますが、そういうことは問題にならないわけですか、どうですか。
  131. 上村照昌

    説明員(上村照昌君) 一応警察予備隊のほうの予算で執行されるのは、国家地方警察で募集事務執行を施行されるわけですが、それに施設費というものがございまして、予備隊の募集業務に必要な施設であればいいという考え方は私のほうもとつております。それでこれが果して募集業務に必要であるかどうかという判断の問題になろうかと思いますが、私は先ほどから、計画が先の見通しが立たないかつた。計画から言えば三月だ、実際入つて出て行つたのは二、三日、或いは五日くらいのことで出て行つておりますが、私のほうは必ずしも結果的に短かつたというだけには考えておりません。と申上げますのは、或いはこの計画が動いたのかも知れませんが、募集の計画というものが一応ございまして、十月の末に予備隊の宿舎に送り込むというふうな、一応の計画を作つております。そういう面から見ましても、予備隊のために本来必要であると言うよりも、むしろそれも或いは多少あるかもわかりません。それに便乗されたものであるこういうふうに考えておるわけです。
  132. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 この総額八百八万ですか、二十五年度の八百八万というのは、これは相当厖大だと思う。それとここに掲げられたこの塗装であるとか、渡廊下であるとか、一瞥しますと、補修工事のような観を呈しておりますが、この当時の八百万という金額から見た場合に、相当なこれは費用でないかと思うのです。そういうような点から、予算審議に当つて、もとより警察予備隊の費用というのは当時非常に問題になつた予算なんですから、その予算の執行に当つて、これはどちらも遠い親戚のような考え方を持つておられる。国家警察との間においてはそういうお考えがあるかも知れんが、我々は予算審議に当つては、予備隊費と警察費との間というものは明確に一線を以てやらなければならんと審議しているわけなんで、これらのやはり流用ということについては、相当はつきりした行き方をしてもらわなければならんと、こう思います。この点についてどう見解をつけたらいいのか、私も今はつきりわかりませんが、当時としては非常に厖大な金額であり、補修費としてこうして挙げられた塗装であるとか、修理であるとかいう点だけ眺めますと、非常に簡単な収容のための補修工事のように見えておりますが、これは非常に、予算の流用は同じ内輪のものだという考え方が相当入つているのですが、そういう点については、これは遺憾であつたという意思はやはり明確に持つておられますか、どうですか。
  133. 谷口寛

    政府委員谷口寛君) お答え申上げます。先ほども申上げました通り、経費は警察予備隊の経費に組んでございまするけれども、予備隊の創設に関する業務は、国家地方警察の業務ということに法令によつてされておりまして、我々といたしましては、創設業務に必要なる経費としてこれを支出いたした、かように考えておるのでございます。従いましてこの問題につきましては、結果論的に言われれば、我々といたしましては結果論的に責められる余地はあるかも知れんが、この支出そのものにつきまして我々が不当であるというふうには、私国警側としましては考えていないのでございます。
  134. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 創設費用の中に募集費用というものが入つておるのかどうか。それから募集費用の中にそういう宿舎などを、あなたが言われる便乗して、何というのですか、補強工作をし、或いは修理するというような費用が入つておるのか、そこらあたりの解釈を私ははつきりして頂けば問題は解決すると思います。
  135. 上村照昌

    説明員(上村照昌君) この警察予備隊の経費は、御承知のように国債費から二百億利用したわけであります。国会の審議の場合には国債費として審議したわけであります。それを警察予備隊令によりまして利用されるということになつたわけでございます。使います場合には、大蔵省のほうから予算を流してもらう、その場合の書類で見ますと、募集業務の中に施設費というものが入つておる、こういうことでございます。
  136. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 そうすると、施設費がが入つておるが、今お聞きしておりますと、何か十月一日以降は別な所へ予備隊の人たちを送り届けるという計画書が出ておるような話を先ほど承わりましたですね。そうするとその施設というものは、あなたのほうの解釈で言うと、何といいますか、この仙台に例をとつてみると倉庫、物置及び貯炭場の新設などには少しそれじや行過ぎておるのじやないか、こういう解釈をしておられるのですね。それじやその点について国警側のほうではどんなふうに解釈しておられるのでございましようか。
  137. 谷口寛

    政府委員谷口寛君) お答え申上げます。十月一日に最終的な送出しをするという計画があらかじめあつたという会計検査院側のお話でございますが、我々に関する限り、さようなことは承知をいたしておりません。速かにやらなければならない、できるだけ急いでやらなければならないということは、実は率直に申上げまして、非常に関係方面からも尻を叩かれたのでございます。従いましてそれに関連する内輪の計画は、ああもあろうか、こうもあろうかといろいろ段取りをいたしたことはこれは事実でございまするけれども、それに関連して第一回分をやつと送り出した、それじや二回はこつちの考えておる計画通り送出してくれるだろうか、引受けてくれるだろうかと思つて、向うに交渉して当つてみるとそんなことはちつともわからない、そんなことはちつともわからないというような式で問題が来ておつたのでございまして、十月一日を最終の七万五千を送出す目標にするという計画が、関係方面からあらかじめきめられて進んでおつたということは、我々は承知をいたしておりません。
  138. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 あなたがおつしやる速かにというのは、受入態勢のほうが速かであつて、送出しの速かじやないわけですね。
  139. 谷口寛

    政府委員谷口寛君) 我々に関する限りはさようになるわけなんでございます。
  140. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 そうすると、こちらのほうでは速かに受入れるということだけは国警側のほうには言われておつて、それで送出しのことについては全然国警側のほうには連絡がないと、こうおつしやるのですが、そうすると検査院のほうは十月一日やに聞いておるわけですが、そうしたような資料と申しますか、そういうようなものはどこから入手されておるわけですか。
  141. 上村照昌

    説明員(上村照昌君) これは実は警察関係で、私のほうの検査するのが警察予備隊員募集計画日程というものを、実は向うじや、あとでそういうものがあるということを見て知つておるわけであります、でそのものがどういう性質でできたかどうかということは国警でお作りになつたものであるから判定いたしかねますが、予備隊宿舎に到着終了予定として十月末日ということを一応予定せられておるものがある、それが或いは確定的でなく、それは動くかもわかりませんが、そういうふうなことを一応予定されておる面があるならば、こういうものも予備隊のために真に必要だというだけで作られたということは判断しがたい、こういうことを申上げておるのであります。それがどういうふうな意味で作られたかどうかということは私のほうではちよつとわかりかねます。
  142. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 何かそれじや只今会計検査院のことにつきまして、国警側のほうの一つ言い分を承わりたいと思います。
  143. 谷口寛

    政府委員谷口寛君) お答え申上げます。先ほど来、話が出ましたように、結果的には予備隊関係の、国警の責任とせられた募集、創設業務につきましては十一月末を以て予備隊に一切を引継いだという事情になつております。それでその引継ぎをいたしまする最後の総整理の場合に、いろいろな過去の関係を整理いたしました場合において、計画の順序といたしましてはそういうふうになつたというような書類が或いは私は実は承知をいたしておりませんけれども、作つてつたかとも思うのでありますが、現実の実情といたしましては、だんだんとやつて行く間に最後の尻がその前後にでき上るということがわかつたということが実情でございまして、あらかじめその計画が関係方面との了承においてきまつてつて、その予定通り進んだ、さようなことはございません。
  144. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 まあこれはですね、私たちのまあお聞きしておつて少しわからない点もありますから、又別な機会に私は最後にいろいろ伺うときがあると思いますから、そのときまで保留しておきたいと思います。
  145. 宮本邦彦

    理事宮本邦彦君) 今の議題については成瀬委員から保留の御意見がございましたが、それ以外のかたがたの御質疑は一応終了いたしたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  146. 宮本邦彦

    理事宮本邦彦君) それでは次に進みたいと思います。  第七号から第十四号までを議題に供します。専門員から御説明申上げます。
  147. 森莊三郎

    専門員森莊三郎君) 第七号は経理が紊乱しておつたという御指摘で、当局においても誠に遺憾であつたとそれぞれ処分その他の方法とつたという回答でございます。  次に八号から十一号までは物品の買入れ方が適当でないという検査院からの御指摘でございます。ちよつとこの際御参考までに申上げておきたいと思いますことは、御承知のこととは存じますけれども、念のために申上げますが、回答文の中に、何々は遺憾であるという書き方のしてありますのは、全然検査院指摘を受入れて、誠にその通りである、申訳がないという意味なのでありまするが、そうでなしに、或いは将来使用の実績を検討して将来注意したいとか、或いは又十一号の回答にありまするように、何々をしておるというものにつきましては、或る場合には一部御尤もとも思うが、必ずしもその通りとは思わないというような意味が含まれてもおり、又ものによつては積極的にそうでないと否定しておるような意味の場合にこういう文字が現われるわけなのでございます。それが一般の慣例となつておるのであります。それでこの問題につきまして当局の方に専門員室へ御足労を煩わしまして、いろいろと話をして見ますると、八号乃至十一号は全部そういう意味ならば、全く自分のほうの不注意であつて、誠に遺憾に思いますというふうに、話がわかつて頂いたのでありますから、ここに書いてありまする回答の文をお読み下さいますときにはその意味で御了承を願いたいと思います。例えばその八号でありますが、これはスキーを幾ら買つた、それと同じだけの数のスキーの杖を買入れた、そこまでは問題ありませんが、そのあとにスキーの杖だけを多数予備のつもりで買入れたということになつておりますが、その問題につきましては、二つの点があります。一つは物品税をその価格の中に入れなければなりませんが、それについての誤りがあつたので、その点は直ちに改めて過払のものは回収したのであります。ところがスキーの杖だけを無暗に多量買入れたというほうについては、必ずしも検査院指摘をそのまま受入れないようなふうに見えるのでありまして、今後使用の実績を検討して将来注意したいと、こういうふうになつておりまするが、これはスキーのことを御承知の方であれば直ちにお笑いになることではないかと思うのでありますが、一体スキーというものはスキーそのものこそいろいろなところへぶつかつたり何かしまして壊れることはあるのでありまするが、スキー杖というものはこれは実を言えば壊れるものではないのであります。従つて若し仮に予備のために若干お買入れになるならば双方を見合せて適当な数をお買入れになるならそれでいいのでもある、更に一歩進めて言えば、スキーだけを予備に買入れるならばまだいいのでありますが、スキーの予備は買入れなくて、スキーの杖だけをうんとたくさん買入れたというのでありまして、そういうことはわかりそうなものではありませんかと言つて笑い話をしたわけでありまして、成るほどそう言われて見ればそれは全くその通りであつたという話もございました。  それから十一号のほうでありまするが、これは靴の製造及び修理のために必要な機械を買入れられたのでありますが、二種類の機械を取りあえずこの際買入れられた。尤も将来の計画としてはたくさん必要な機械を買入れて、靴の製造及び修理をする計画はあつたのでありまするが、その買入れの状況を見ますると、この二十五年度の年末にたつた二種類だけ買入れて、次の年度には全然何にも買入れていない、その翌々年になつて若干買入れた。実は聞くところによりますると、二十何種類の機械がなければ本当の働きはしないと思われるところへたつた二種類だけ買入れたというようなわけで、これは何も買入れたことそれ自体が悪いというわけではありませんが、跛行的、びつこになつてつて一部分買入れたものが何も役に立たないというような結果になる。従つて、計画を立てるときには適当な計画を立て、それに応じて買入れるようにすべきだ、第一年度に全部買入れられなければまあ半分でも買入れる、その残りは次の年度に早速買入れるというふうにでもすればいいわけでありまするが、そうなつていなかつた、つまり跛行購入ということが問題であつて、それを検査院指摘しているんだと、こういうふうの話を申しましたところが、そういう意味ならば、それはもう確かに跛行であつたということは申訳ありませんというように、だんだん話をしておりまする間に事情がよくわかりまして、この八号から十一号まではすべて検査院の御指摘通りであり誠に遺憾に思いますという、こういう回答に只今ではなつておりますから、そのことを申上げておきます。  その次の十二号が少し面倒な問題なのでありまするが、これは当局からの説明書の第十二頁のほうを見て頂くと、その初めの部分はよくわかると思いまするが、第一管区の総監部をこしらえる必要があつて、東京方面では東京都のあちらこちらを物色したところがなかなか思わしいところがなくて、漸くのことで練馬方面に旧軍の施設で非常に広い場所がある、それが当時は倉庫業者に一時使用の形で貸付けてありましたからそれを立退かせて、そこに適当な設備をするということになつたわけでありまして、二十六年の三月三十日附で倉庫業者と当局との間に庫移しの契約ができたわけなのであります。ここに指摘されておりまする倉庫業者が二つありまするので、それを一緒にしてお話いたしますると非常に混雑いたしますから、この別紙の刷物には二つの場合を全然分けて書いておきました。  先ず蔵前倉庫株式会社の場合、その在庫品は民間の寄託物でありまして、それを練馬から三田まで移すというのであります。最初蔵前倉庫のほうからどのくらいの荷物がそこにあり、どのくらいの費用を要するかということを申出た数量がそこに掲げた通り、それを当局のほうでは査定されまして、貨物五千三百余トン、トン当り五百三十円、その金額二百八十余万円というふうに査定をされたのであります。この単価が五百三十円という、これは検査面のお考えでも大体正当なものと認めるということであります。当局は蔵前倉庫に三月三十日に搬出を請求したのであります。勿論契約書の日附は三月三十日となつておりまするが、これは、世間普通にありまするように、日附がこうなつておりまするので、実際口約束と申しまするか、事実は三月十三日から搬出を請求した。これより逐次搬出されて五月の末にはそれが完了した。当局のほうには記録はとつてないけれども、逐次搬出されたという事実はこれは確かである。検査院が後になつて倉庫業者について調査されたところでは、五千三百トンではなくつて五百トンと認めるということを倉庫業者のほうから回答をしているというので、そこに数量の上に大変な差が出ております。而も倉庫業者からの回答では、それを寄託者自身の費用で搬出されたので、倉庫業者自身は少しも費用は負担していないということなのであります。それからこの第三頁の丁度真中あたりのところまで飛ばしまして、その在庫品は三月中から五月の末までに搬出されてこれに対する補償金を四月十日頃に支払つた契約書を見ると、五月十日までに立退くということが契約されており、何日に補償金額支払うかということについてはその文面の上には現われていない。会計検査院の調査によりますると、在庫貨物は僅か五百トンで、すべて寄託者の負担で引取りを完了しており、倉庫業者がその費用で倉移しをした事実は全くなかつたというのであります。これに対する当局のとられた態度は、検査院からのこの指摘に対して、後に記しましたような理由でそのまま捨てておかれたのであります。後に記すような理由と申しますのは、この刷物の第六頁の五行目以下に簡単に書いておきましたが、この倉移しということは、当局と倉庫業者との間の契約であつて、一定の費用で以て倉移しをいわば請負わせたというようなわけであり、そうして倉移しは確かに遂行されて、空つぽになつた倉庫が引渡された、だから約束通り金額を払つたのである、運搬の費用を倉庫業者が負担したか、寄託者が負担したかは、それは彼ら相互の間の取引の問題であつて政府の関与するところではない。これがその当時当局が検査院指摘に対してとられた態度であつたのであります。これで元に戻つて、先ほど読みました続きを申しますると、漸く昨年の十二月八日に衆議院決算委員会でこれが審議されましたので、そこで急に法務府の見解を聞くというようなふうの措置をとられることになつたのであります。  次に、同じ場所のことでありまするが、相手方が都商事株式会社の場合であります。この場合は、在庫品は三種類に分れます。その一つは、特別調達庁の所管に属する解除物件でありますが、これは特調において適当な方法をとつておられますから、本件には全く関係はないのであります。ただここでちよつと参考までに書きましたわけは、検査報告のこの文章の中に、注意をして読めばそうはならないのでありまするけれども、ついうつかり読みますると、特別調達庁は、自分の費用でこれを移して、而も倉庫業者に当局のほうから金を払わせた、二重払をしたと思われるような文章が見えますので、これはそうでないということを明らかにするために、特にこれは記したのであります。  第二には、特調の解除物件でありまして、すでに民間のほうへ売渡された品物であつて、そうして買受人がその倉庫の中に預けて置いたというものでありまして、これがその大部分なのであります。なおそのほかに、それ以外の一般の民間の寄託品も若干はあつたということであります。この在庫品を練馬から深川の倉庫まで運ぶというわけでありまして、都商事から請求した金額がこれだけ、それを当局のほうで査定されてこれだけというふうに契約をされたわけであります。このときの単価は、これ又検査院側におきましても、単価そのものは先ずこれでよかろうと認めるということであります。当局は、都商事に、三月十二日に搬出を請求しました。勿論契約の日附は、三月三十日でありまするが、そうして当局のほうでは別段の記録は取つてないけれども、逐次搬出された事実があるということを述べておられるのであります。ところが、検査院の調査では三千八百トンというが、その数量はどうも不明である。都商事について聞いて見ても、どうもはつきりしない。その都商事には、帳簿がないというのでわからない。但しこの練馬地区は、非常に広い場所でありまするので、あちらこちらにたくさんな倉庫があります。それで今立退きを要求された倉庫の中から他の倉庫へ移したという事実は、これはありまするので、その作業費八万円余りは、これは恐らく検査院も承認をする見込だ。併しながらこれはもうほんの一部分の僅かな金額でありまして、全体から見れば殆んど問題にならないわけなのであります。そうしてその在庫品は三月中から七月の末までに搬出されて、これに対して補償金を四月十三日に支払つた契約書を見ると、立退の日は何日までということは書いてありませんが、補償金の支払は倉庫明渡しのときに支払うというふうに明記されておるというのであります。それで、検査院の調査によりますると、在庫貨物の数量は明瞭ではない。すべて寄託者の負担で引取を完了しており、倉庫業者が他に倉移しした事実は全くなかつた。なお都商事では補償金を請求する意思は全くなかつたのだというようなことまでも言つておるというのであります。かような検査院からの指摘に対して、当局でとられた態度は、先ほど蔵前倉庫の場合におけると同じことで、何人の費用でこれを移したか、それは彼らの間の取引上の問題であつて政府と倉庫業者との間の契約というものは、これだけの品物をこれだけの費用で以て請負つて、これを倉移しせよ、つまり倉の中を空つぽにして明渡せということの契約であるから、費用の負担が誰だか、そんなことは当局としては関知するところにあらずと、こういうふうの答弁説明書の中に出ておる、こういうわけなのでございます。
  148. 宮本邦彦

    理事宮本邦彦君) 会計検査院の御説明を願います。
  149. 森莊三郎

    専門員森莊三郎君) もう一つちよつと附加えます。それから最後の十三号及び十四号に職員の不正行為ということなのでございます。それだけ附加えておきます。
  150. 上村照昌

    説明員(上村照昌君) 只今審議頂いております十二号の案件について簡単に私のほうの見解を申上げたいと思います。  蔵前倉庫のほうは、契約が二十六年の三月三十日であります。でそのとき会社の請求に対しまして在庫量が五千三百トンあるということで払われたわけでありますが、私のほうの調べでは当時五百トン程度しかなかつた。而も全部自分の負担で、荷主が自分の負担で持つて行つておる。こういう状況になつておるわけであります。そういうものに対して保安庁のほうで御説明になるように倉移し費用は会社と国との関係であつて荷主の関係ではない、それは内部関係であるということで簡単に片付けてよろしいかどうかという点でありますが、その点については実情によつて会社が負担しないようなものまでにも国費を出してやる必要はないというふうに私は考えております。  それから次の都商事の件でありますが、この点は、数量その他は先ほど専門員のほうから説明がありましたように、必ずしも明確でありませんが、蔵前のほうでそういう事態がありますから、当時調査されれば或る程度わかつたであろうと考えます。そういうような状況下において都商事の場合も相当の注意をして、今後の成行きとか、そういうものを見て支払をするならばするというふうの方法をとられることが最も望ましいと、単に国と倉庫業者との関係だけであるということだけで簡単にお片付けなるということは、国費の使用上必ずしも妥当でない、こういうふうな考え方を持つております。
  151. 宮本邦彦

    理事宮本邦彦君) 保安庁の御説明を願います。
  152. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) 只今議題に相成つております事項の事で、十二以外は検査院の御指摘と格別意見の相違はないのでございます。その後の善後処置を中心にいたしまして簡単に御報告を申上げたいと思います。  先ず第七の第二管区総監部で起りました不正な会計手続の件でございますが、これは誠に遺憾でございまして、先ほども谷口国警次長かなお話申上げましたように、当初は国家警察ほうで経理を担当して頂いたのでありますが、その後十二月から警察予備隊のほうにも経理の担当官を置きまして、国警の仕事を引継いだのであります。その当時警察予備隊には適当な幹部が極めて少なかつたのであります。従いまして、会計担当の職員を選任いたしますにもまあ非常に苦労をいたしたのでありますが、とにかく経理ができなければならないというので、若干の人間を東京に集めまして極く短期の講習をいたしましてそれぞれ配置をするの止むなき状態であつたのであります。それらの人間の一人がこの事件を引き起したのでありまして、誠に申訳なく思つておる次第であります。  本件の担当官は昭和二十六年の六月二十三日に起訴をされました。越えて二十七年の三月に懲役二年六カ月の一審の判決を受けたのでありますが、本人は只今控訴中の模様でございます。警察予備隊のほうの行政処分といたしましては、その当時直ちに懲戒免官の処置をいたしております。なお監督上第二管区総監、それから第二管区総監部の幕僚長に対しましては戒告の処分をいたしました。なお直接の第一次の監督責任者であります総監部の会計課長に対しましては百分の十カ月の減俸の懲戒処分をいたしたのであります。なお本人が領得いたしました金額回収につきましては賠償要求の訴訟を提起いたしておるのでありますが、現在までのところ回収に至つておりません。  それからその次の第八号の問題でございますが、スキーの問題でございます。当時スキーの購入をいたします場合にスキーのことをよく心得ておる者が調達に当る職員の中にいなかつたということがこういう状態を起したのでございまして、一つは物品税を払過ぎたという問題でございますが、これは別にスキーの技術と関係はございませんが、契約のときにはまだ物品税の改正がない状態でございます。納入になりましたときにはそれが改正されましたのを十分の調査をしないで契約金額支払つたというところに物品税の支払過ぎが起つてつたのでございまして、誠に遺憾なことではございますが、なお払過ぎの問題につきましてはここに御報告をいたしましたのは一部でございますが、すでに払過ぎになりました金額につきましては全額これを回収いたしまして国庫に返納をいたしております。それから次のスキーの杖を買過ぎたということでございますが、使用の実績を検討して十分注意をいたしたいということでございますが、その後の使用の状況から申しますと、そうスキーの本体よりも著しく杖が壊れるということはないようでございまして、その後スキーを買います、そのほかに買つておるのでございますが、その場合にはスキーの本体だけを買いまして余分の杖をそれから差引いて調達をいたすということにして目下仕事をいたしておりますので、甚だどうも御指摘を賜わつて恐縮でございますが、御了承を願いたいと思うのです。  それからその次の九の事項でございますが、これもやはり調達関係に熟練者を得られなかつたということが原因でございまして、誠に遺憾に存じておる次第でありまして、会計検査院の御指摘なつ通りでございます。  それからその次の十の腕章の問題でございますが、これも同様に検査院の御指摘なつ通りでありまして、当時創設早々の際、熟練者の不足等から出て参つた成規の手続によらない購入ということに相成つておる次第であります。十分に将来注意をいたしたいというふうに考えておるのであります。  それからなお十一の靴の製造修理の機械を買つたということでございまして、これは現在は活用をいたしておるのでありますが、当時計画を何と申しますか、お互いに均衡をとつてやるべきことは勿論でございますが、これもやはり熟練した職員の不足のために差当り買えるものから買つて行こうというふうなことでこれだけを買つたのでありますが、その後補給廠をどこに置くかというようなことについていろいろ意見が出たりいたしまして、それ以外の機械を早急に調達をして、全体として効率を発揮するような運びに至りかねたというような状況でありまして、誠に遺憾に存じておる次第でございます。  それから十二を飛ばしまして十三でございます。この十三の事件は、やはり第二管区総監部に起つた事件でございまして、誠に遺憾な状況でございます。本人が領得いたしましたものにつきましては、二十七年の三月の末までにそのうち一万四千五百円を回収いたします。残額につきましては賠償要求の訴訟を提起をいたしたのでありますが、昨年の八月六日に札幌の簡易裁判所で昭和二十八年の十二月までに分割納付するように和解が成立をいたしたのでございます。昨年の十二月の末までに一万二千円回収をいたしました。これにつきましては大体予定通り回収がやつて行けるのではなかろうかというふうに考えております。こういうふうないろいろ会計検査院から御指摘がありましたような事柄を未然に防止をいたしまして、会計経理に事故なきを期するということが最も先決でありまして、その後いろいろ考え併せまして、部内の監査機構を設けるということにいたしました。  昨年の、夏以来保安隊の中に監査隊というものを設置をいたしまして、その職員は第一幕僚長の直轄の職員といたしまして、地方にそれぞれ数名のものを配置をいたしまして、会計経理につきましての指導監督という面に力を注いで参つておるような次第でございます。何分にも予備隊が創設されました二十五年におきましては、極めて僅かな幹部で以て警備をやつて行かなければならなかつたのでございますが、その後逐次職員も整備をいたして参りまするし、なお昨年の八月保安庁法ができまして警備隊が一緒になり、それから十月には予備隊が保安隊に切り変つてつて今日まで参つておるのでありますが、十分にお互いに戒心をいたしまして注意をいたします。と同時に、先ず仕事に慣れるということの必要もございまするしいたしまするので、随時会計職員を東京に招集をいたしまして、これは仕事の関係上そう長期の講習をするわけには参らないのでありますが、この講師といたしましては、会計検査院のほうにもお願いいたしましたり、大蔵省のほうにもお願いをいたしましたりして会計上の能力の向上ということ、更に公正な運用ということについて意を注いでおりますことを御了承願いたいと思います。  それから最後に十二の点でございますが、やや検査院と見解を異にしておるような説明を出しておるのでございますが、当時の状況はこの説明書の初めのほうに書いてある通りでございまして、先ほど専門員のほうから御説明なつたような状況の下において行われたのでありますが、結局この問題は当時練馬の地区におきまして倉庫営業をやつておりますものの営業の廃止に伴う補償ということでございました。倉庫会社に払いました金額は、会計検査院がここに計上をされております金額のほかにあるわけでありまして、補償費の一部ということになつておるのでございます。営業を廃止いたしました場合は、而もそれが国の要求によつて止むを得ず廃止しなければならないという場合には、その要求によつて起る損失を補償してやるということが社会通念としては適正なことではないかという考え方に立つたのでございまして、さてじやどういう補償をするのが適正であるのかという問題になりまして、いろいろ考え方が出たのでございます。ただ私どもとしては、過当なる補償になることを非常に恐れたのでございまして、先ず補償をいたすべき対象として考えられましたのは、倉庫業者がこの地域で倉庫営業を始めますについて、土地の整地をいたしております、これは終戦前、戦争中にいろいろな待避壕等を作りまして、土地が非常にでこぼこいたしておつたのでありますが、この整地の作業をいたしております。それから又倉庫そのものが相当荒れておりましたので、それに手を加えて、倉庫として使えるような状況に直しておるのでありますが、勿論建物に手を加えましたものも、通常の維持修繕と考えられるものにつきましては、補償の対象にすべきものではないと思うのでありますが、財産価値の増加になりますところの改良工事を施したものについては補償をすべきであるという考えをとつたのでございます。その補償をいたします場合は、何を基準にいたすかということでありますが先ずその改良工事に幾ら経費を使つたかということが基準になるのは勿論でございます。ただその場合にこの工事をやりました時期と補償をいたさなければならなかつた時期との間には、相当期間の隔りがございます。例えば都商事について見ますと、倉庫営業を始めましたのは二十二年の四月でありました。立退きを要求いたしましたのが二十六年の三月でございました。この間におきます物価指数を見ますと、約七倍といつたふうな状況に相成つておるのであります。従つてつておる財産価値の全額を補償してやるという考え方をとりますと、その現実にかけた金ではなくて、現在残つておる財産価値を対象にして補償すべきものではないかという考え方が一つ成立ち得るのであります。この点は成るほどそういう考え方もあろうけれども一つ会社のほうにとにかくかけた実費だけを補償するということで我慢をしてもらおうじやないかという私どもは見解をとつたのであります。仮に当時の物価指数だけで比較して見ますと、都商事につきましては約整地費として七十三万円、それから建物の工事費として四十四万、改良工事費として約四十四万円ばかり支出をいたしたのであります。建物のほうはこれは随時経費を支出しておるようでありまして、必ずしも二十二年にやつたわけではないのでありますが、両者を合せまして約百万円というものに押えますと、七倍の補償ということになりますと、それですでに一千万円というような莫大な金額になるのでありまして、ここまでも必ずしも補償する必要はないのではなかろうか。とにかく帳簿上に赤字が出ないような措置は、これは最小限度としてやらなければならないけれども、それ以上に出るものについては会社との話がつけば、その程度で我慢してもらおうじやないかというふうな結論をいたしたのであります。それからなおそこにあります営業を廃止いたしますために従業員の整理をいたさなければならんという問題が出たのであります。会社のほうからは退職金相当額の要求補償が出て参つたのであります。それから倉庫の中に、この従業員が若干の、数名のものが居住をいたしております。それらの居住の設備を移してもらいというふうな要求もあつたのでありますが、この従業員の退職金の補償と申しましてもなかなかこれは基準のとり方が困難であるというようなことから、これも一つ補償の対象として考えることは遠慮してもらおうじやないかというようなことにいたしたのであります。それからなお営業廃止に伴います諸雑費があるわけであります。社会の通例といたしまして、そこで今まで営業しておりましたものがやめるという場合には、挨拶状でございますとか、いろいろなそういう費用等の経費があるのであります。これはまあ一つ会社のほうで我慢してもらおう、初めから別に問題にはしなかつたのであります。会社のほうも別にここまでの経費を見てくれという要求もなかつたのであります。それから更に営業権の補償の問題でありますが、会社はここで将来は正式に財務局から建物の払下を受けて営業を継続するという考えを持つてつたのでありまして、財務局からも大体暗黙の了解を得ておつたような状況でありましたので、本来ならば営業権の補償という問題が起るのであります、営業権の補償をいたします場合に、いろいろこれ又考え方がありますが、過去における会社の所得等の何年分かを補償するというふうな考え方も成立ち得ると思うのでありますが、これもなかなか論議のある経費でございまして、算定も困難でありますので、これも一つまあ遠慮してもらおうじやないかというふうなことで、結局残りましたのが、この改良工事をいたしました実費と、倉庫の中にあります荷物を動かすについての費用を対象にして営業廃止に伴う補償ということに考えて行くのが適当であろうというふうな判断になつたのでございます。なお貨物を移します場合に、予備隊のほうで自分でトラツクを持つて行つて移してやるという方法一つございます。それからなお荷主のほうと個々に交渉をいたしまして、荷主に倉移しの費用を払つてやるという方法もございまするし、又倉庫業者に責任を負わせて、倉庫業者の責任においてとにかく倉を明けるというふうな方法も考えられたのでありますが、一番最初に、みずから予備隊のほうでトラツクを持つて行つて移し替えをしてやるということは、当時の状況においてはとてもできなかつたのでございます。又荷主を一々探し出しまして、それと交渉をしてその費用を荷主に払つてやるということもできなかつたのでございまして、一応倉庫業者はその荷物を預つて受託保管を受けたものとして占有権を持つておるのでありますから、その占有権を持つておる業者に責任を負わせてやるのが、この際としてはもうほかに方法はないということから、責任を負わせて倉移しをさせるということにいたしたのであります。なお数量の確認の点でございますが、これは当時のこの仕事を担当しておりました者が各現場を見て廻りまして、この程度の数量はあるという確認をいたした程度でございます。従いましてその点につきまして若干手続の粗漏があつたかと、振り返つて見ますると考えられるのでありますが、別にそこに重さを計るものを持つて行つて一々計量したわけでもございませんし、又運び出しますときにそのトラツクが何台果して出て行つたかというようなことを監視するまでの職員の数もございませんでした。一応会社から提供されました資料を基礎にいたしまして、なお現場を見廻つて、大体目測でございまして、大体この程度の数量はあるということの確認をいたしまして払つた次第でございます。それからなお先ほど専門員から御指摘になりましたように、倉を現実に明渡したときに金を払うということになつているにもかかわらず、その以前に払つたものがあつたのでございますが、この点は手続上の間違でございまして、私どもといたしましては本当に品物が運び出されなくて、こつちの手で運び出さなければならないような状況なつた場合には、その分だけは回収をするという考えを持つてつたのでありますが、現実にとにかく倉庫が明きましたために、契約はその倉を明渡すということが契約の目的であるということから、その経費の支払をいたしたといふな状況になつております。会計検査院から御指摘になりましたように、もう少し慎重にやればもつと経費を節約できたんではなかろうかということも、振り返つては考えられるのでありますが、若し現実に倉庫業者が負担をしたものだけを支払つてやるというふうなことでありますと、当時の状況といたしましては、恐らく倉庫業者は別にこの荷主のほうと交渉をすることなしにやつた従つて倉移しの費用の全額はとにかく払つてやらなければならなかつたということになつたのではなかろうかというふうにも考えられるのでございます。この点はやや弁解じみて甚だ恐縮な申し分でございますが、そういうふうにも考えられますので、あらかじめ責任を持たしてそれを明渡す、明渡せばその契約の目的は履行されたということから経費を支払つてやる、なおそのほかに会社のほうとしては是が非でも要求をし、又それによつてこちらが承知いたさない場合には訴訟にでも訴えて補償の請求をするというふうなことになりますると、却つてこの倉庫の明渡しのための経費は、現実に支払つたものよりも相当高額になるのではないかというふうなことも考え併せまして、あとから振り返つて見ますと批判の余地のあるようなことに相成つたのでございます。将来といたしましては、こういう事案の処理につきましては、従来ともに慎重に処置はいたしたつもりでございますが、更に慎重に処置をいたしまして、会計検査院の御批難にも、将来としては十分に副つて行きたいというふうに考えておる次第であります。
  153. 宮本邦彦

    理事宮本邦彦君) 皆さんにお諮りいたしますが、大分時間も経過いたしましたが……。
  154. 小酒井義男

    小酒井義男君 私も実は説明を聞いておりますと、この事件については相当私は突つ込んだ質問をして行きたいので、相当の長時間をもらいたいと思いますので、今日十二の案件については、これは今日は質問を保留して、次回に一つ十分質問さして頂きたい。
  155. 宮本邦彦

    理事宮本邦彦君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  156. 宮本邦彦

    理事宮本邦彦君) それでは速記を始めて下さい。  小酒井委員から御発議がございました第十二号議案は、これは適当な機会まで保留ということにいたしたいと思いますが、皆さん異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  157. 宮本邦彦

    理事宮本邦彦君) 第十二号議題を除きまして第七号から第十四号までの議題について御質疑がございませんか。……ほかに御質疑もないようでございますから、本議題の質疑は一応終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  158. 宮本邦彦

    理事宮本邦彦君) 御異議ないものと認めます。ついては本日はこれを以て委員会を散会したいと思います。    午後五時二十四分散会