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説明員(
小峰保榮君) 五百八十八以下の国庫
補助工事の案件でありますが、
補助工事というのは
相当に会計経理の面から申しまして、いろいろ問題が多い次第でありまして、丁度二十五
年度までは余り
会計検査院のほうの
検査の行届くだけの力を持
つていなか
つたわけであります。二十五年くらいから大分内容が充実して参りまして、こちらのほうに手を及ぼすわけにな
つたわけであります。二十六
年度の
補助工事関係がたくさんありまして、いずれお手許に出るだろうと思いますが、二十五
年度はほんの幾つか出たわけでございます。いずれも
相当に大きい案件であります。この五百八十八号は、先ほど御
説明がありましたが、実はこれは実際のところは補助の対象に認められなか
つた事務費を、本来なら当初計画から除かなければいかんのですが、除かないで、それを客土の
工事費だと称して補助金をもら
つたのが事実であります。
設計書によると、三百六十七万四千五百円を以て云々とありまして、金額はそつくり初めは
工事の事務費として計上していたものなのであります。ところが事務費というのは補助の対象外だということになりまして、慌てて
工事費のほうに持
つて参りまして補助金をもら
つた、こういうのが真相であります。私
どもの照会と、
当局の回答にも
はつきりこれは出てございます。これはもう当然いけないのでありまして、補助の対象に入れて相成らんものを入れた。而もそれを客土の
工事費だ、泥を取
つたり運んだりする金だ、こうして補助金を取
つたのでありまして、これはまさに悪いのであります。これにつきましては、三百六十七万四千五百の六〇%、六割に
相当するものはまさに過大評価したのであります。それから先ほど
専門員から
お話がありましたが、
設計外に
仕事をしているものがある、こういうことを抽象的に
言つておられるようでありますが、これはどうしても私
どもは確認できないのであります。どれだけ
設計外におやりにな
つたか確認できません。又仮に確認をしましても、当初の予定外にどんなことをおやりにな
つても、これはやはり補助の対象には入れては相成らんものでありまして、結局ここに書いてある
通り三百六十七万四千五百円の六〇%、二百五十万四千七百円というのはやはり過大評価した、こう言わざるを得ないのであります。
それから五百八十九号、これも大きな案件でありますが、これは北海道の忠別川、この水温上昇施設と申しますか、水が非常に冷いものでございまして、あの辺が丁度稲作の
日本における限界で、あれをちよつと北へ参りますと、もう稲ができない、あれから南は水稲が育つ、こういう限界点に近い地域でありまして、水温の二、三度高いか低いかということが稲作の上には致命的な要素になるわけであります。この点で水温を上げるための施設の貯水池があ
つたわけであります。水をゆつくり通しまして水温を上げる。これを上に発電所がございまして、たしか八キロくらいですか、隧道を水が通
つて来るわけであります。それで隧道を通るためには、御承知のように水が冷えますから、冷えた水を又水温を上げる、こういう施設があ
つたのが、水害ですつかり流されたわけであります。これは掘
つた士の池でありますから、長さが五百メーター、三百五十メーターくらいある四角いものでありますが、これを九区画に仕切りましてこれに水をゆつくり通すわけであります。その間に水の温度が上る、こういう施設だ
つたのですが、これが水害で流されて
しまつた。これを復旧するわけでありますが、今申しましたように、土のところを掘
つて水を入れて、池を
作つて、間に仕切りを入れて、掘
つた廻りに堤防を作るわけであります。中にも小さい堤防を作る。そうして
工事は盛土
工事というのがこの災害復旧の本体をなすものでありますが、この土をどこから持
つて来るか、これが問題のポイントになるわけであります。何キロの地点から持
つて来るかという点が、
設計が非常に過大だ。たしか二キロ前後のところで土が取れると思いましたが、それを四キロくらいに見ていたのであります。土は運搬賃というものが大きな要素をなすのでありまして、二キロで取れるところを四キロもかかる、こうして
計算しますと、非常に金額が水膨れにな
つてしまうわけであります。それで
検査に行
つて見ますと、非常に
設計が甘いということがわかりましたので、いろいろ細かく
計算して私
どもがみましたが、土取場への距離ということで
計算を仕直しますと、補助金だけで
工事ができてしまう。
補助工事というのは、御承知のように地元で負担する金額が
相当にあるわけでありまして、これは三割五分を地元が負担して六割五分が国庫補助であります。そうして合計して二千二百万円という
相当な
工事でありますが、二千二百万円の六割五分ですから、そうすると地元負担が千何百万円かになるわけでありますが、結局その地元負担をやらないで、千何百万円という地元負担が確か二百万円くらいで済んだ
計算にな
つておるわけでありまして、殆んど全部国の補助金だけで
工事をや
つてしまつた。全国にこういうものが
相当にあるという噂を聞いているのでありますが、具体的にはなかなか今まで見付からなか
つたのでありますが、これはスケールの比較的大きい珍しいものなのであります。
あとは五百九十号、五百九十一号は、いわゆる便乗行為と申しますか、災害を少し受けますと、それに便乗して大きな改良をやるということも噂にはよく聞くことでありますが、これの二つはその例であります。
五百九十二は、さつきの北海道の忠別川のあれによく似ておりますが、
工事が災害を受けて泥がいつぱい入
つてしまつた。その泥を除いて元の立派な田圃にするという災害復旧でありますが、これも侵入された土の量を過大に
見積りまして補助を余分にもら
つた。これが会計
検査の結果わか
つた、こういう次第であります。