運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1952-12-19 第15回国会 参議院 決算委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月十九日(金曜日)    午後一時四十一分開会   —————————————   委員の異動 十二月十二日委員小酒井義男辞任に つき、その補欠として菊川孝夫君を議 長において指名した。 本日委員菊川孝夫辞任につき、その 補欠として小酒井義男君を議長におい て指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     奥 むめお君    理事            宮本 邦彦君            飯島連次郎君            棚橋 小虎君            岩男 仁藏君    委員            秋山俊一郎君            瀧井治三郎君            中川 幸平君            長谷山行毅君            松平 勇雄君            宮田 重文君            伊達源一郎君            三浦 辰雄君            小酒井義男君            菊田 七平君   政府委員    農林大臣官房会    計課長     増田  盛君    農林省農地局長 平川  守君    食糧庁長官   東畑 四郎君    林野庁長官   柴田  栄君   事務局側    常任委員会専門    員       森 莊三郎君    常任委員会専門    員       波江野 繁君   説明員    会計検査院事務    総局検査第三局    長       小峰 保榮君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○昭和二十五年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十五年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十五年度政府関係機関収入支  出決算内閣提出)   —————————————
  2. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 只今から決算委員会を開会いたします。  本日は昭和二十五年度一般会計歳入歳出決算補正ほか二件を問題に供します。先ず会計検査院検査報告批難事項第五百八十三号から第五百八十七号までを問題に供したいと思います。特に御説明を要することがございましたら、専門員のかたにお願いいたします。
  3. 森莊三郎

    専門員森莊三郎君) 五百八十三号につきましては、別紙ガリ版にその要点を認めておきましたが、この問題につきまして、結局どういうところが問題であるかということを当局なり、会計検査院のほうへ伺いましたところが、これは請負契約請負をさせるときの当局見積りが、早く言えば少し甘過ぎるという点を突いたのであるということであります。その問題の中心となりまするのは、一本どのくらいの費用を見積るべきものかということにつきまして、サスペンシヨンドレツヂヤーという機械を使いまするが、それが三百五十万円する機械だ、いわばその損料がどれくらいになるだろうという計算が主題なのであります。それで検査院のはうで、一体この機械を新らしいときから使い始めて全然使えなくなるまでの間にどれだけの仕事ができろかと、機械稼働能力を調べられたのでありまするが、通常の場合における実績並びにその機械性能に徴して十四万四千立方メートルの土を取上げるということにすれば丁度よい、そういうふうに思う。然るに当局見積りでは、それを十万立米ということに見ておられます。それでは見積りが甘くなり過ぎるという点なのであります。それでいろいろとよく質問をいたしましたところが、先にも申しました通り通常の場合における実績並びに機械性能について見るならば、会計検査院計算が十四万四千立米というものが正当であつた。決してこれは不当な数字ではないということがまあ大体わかつたわけでございます。それで重ねて当局のかたに、それでは当時どういうわけで十万立方メートルというふうに考え見積りを立てたのかということを聞きましたところが、その答えには、この機械農林省直轄事業としては、従来これを用いた集積を持つていなかつた。且つこの高梁川というところの地方におきましては、海の中から砂を取上げて堤坊を築くという仕事でありまするので、海面を使用するとか、そのほかの不確定な要素が多かつたので一応十万立米というふうに考えたのであるが、当時はそれでよいと思つてつたけれども検査院の御指摘も御尤もなことであります、こういう答えなのでございます。  それから次の五百八十四号、これは運送契約をしたのでありますが、天候が不良で、この年は非常に雨が多かつた、而もその土地が元来土地の悪い所であるので非常に困難があつたの契約を更改して、いわば値段を高く払つたということなのであります、検査院の御見解では、天候が不良であるということは、この程度のことでは殆んど問題にならない。それがために契約を更改するというようなことは、これは認めるべきではないと、こういう御意見なのであります。なおこれにつきまして、先般実地調査に出かけられました委員のかたからの報告によりますると、その報告の中には、一体これは請負契約であるから、業者請負うた以上は、損をしようが得をしようが、それでやり遂げるべきものであつて別段契約を更改するという理由にはならないということが御報告になつております。  それから次の五百八十五号から五百八十七号までは、委託工事を行なつたのに、その処置が適当でないということでありまして、この中で五百八十五号と五百八十六号につきましては、実地調査の結果の御報告がありまするが、全くその通り検査院の御報告通りであるということが記されているのであります。  それから只今私が申上げました五百八十四号につきまして、運送契約と申しましたが、これは私の誤まりで工事契約なのでございますから、御訂正を願いとうございます。
  4. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 検査院乃至関係当局から御説明ありますか。
  5. 小峰保榮

    説明員小峰保榮君) 五百八十三号以下、今専門員から詳細に御報告がありましたので、特に附加えることはございませんが、一、二会計検査院の批難いたしましたポイントを御参考に申上げておきたいと思います。  五百八十号でありますが、これは岡山県の高梁川工事でありますが、ここで使うサスペンシヨンドレツチヤー、これは水の中から土をすくい上げて盛る機械であります。これの借料が非常に高い。こういう案であります。立米当り百四十五円になつておりますが、機械使つて土を掘つて盛るのに百四十五円というのは非常に高いのであります。この高い原因を調べてみますと、機械償却費の七十円、立米当り、僅か一立米の中に機械償却費を七十円に見積つた。これが高いために全体が高くなつたということがわかりまして、この七千円をいろいろ吟味して参りますと、相当にこれはいろいろな点で不合理な計算になつておりまして、結局十四万四千立米掘れる、一台の機械で寿命が尽きるまでに少くともそのくらい掘れる。これは十七、八万立米くらい掘れるのが普通のようでありますが、それを検査院といたしましても、相当内輪に見まして十四万四千立米ということで、大体立米当り百円十五円のうち十三円、これは計算のしようで、もつと多くなるのでありますが、最小限度に見ても十三円は高い。総額で約五十万円、これも最も内輪に見ての計算であります。本件につきましては、当局者説明書を御覧頂きますとわかりますが、高いとは思量されないというふうに正面から突つ張つておりましたので、私どもいろいろ資料をそろえて説明しようと準備をしていたのでありますが、その後先ほど専門員から御紹介ありましたように、高いということは承認されたようなので強いてこれ以上申上げないことにいたします。  五百八十四号でありますが、これは請負後に大した理由もないのに相当金額を、約二百万円でありますが、値増ししてしまつた。これは非常に珍らしい例でありまして、この当局者天候が悪かつたから値増ししたという言訳をしておられるのでありますが、契約書を見ますと、天候が悪い場合には工期延施は認めよう、工期が延びることは仕方がないから、それは請負人の申出によつて認めようという條項はありますが、値を増すという條項はないのであります。これはほかの取扱例から言つても非常に珍らしい例であります。この値増しました結果、折角入札して一番安い、たしか八人の入札者があつたので、その一番下へ落したのですが、約二百万円も上げた結果、なお高くしてしまつた。結果においてはそういうようなことになつております。  それから五百八十五以下三件の案は、これは国の工事を県に委託してやつてもらうということが相当行われておりますが、そのやり方がまずかつた、これは設計が非常に過大であつた、こういう案でありますが、五百八十五と五百八十七はやり方が上手でなかつたために、折角盛り上げた堤防が沈下してしまつた、沈んでしまつたという、こういう案であります。五百八十六は水路でありますが、この水路の大きさが、断面と申しますか、断面が私どもが見た結果によりますと、それほど大きくする必要はないと思われるのに非常に大きいものを作つてつた。これを検査院から御指摘があつたために設計を変更されて、我々が合理的と思う程度のものに小さく直されておる、こういうのであります。
  6. 棚橋小虎

    棚橋小虎君 五百八十四の点について農林省当局意見を聞きます。
  7. 平川守

    政府委員平川守君) 五百八十四は、たまたまこの資金の元が米国の対日援助見返資金から出ておりまして、年度末にどうしても仕事を仕上げなければならない。こういう建前からいたしまして、実はこの資金を付けましたところの地区に対しては、厳重にその年度内に仕上げるようにということを指導しておりました。たまたま非常に悪天候のために運搬の関係に非常に手違いをいたしまして、荷物の卸し場を変えるとか、いろいろなことがありましたので、そういう関係からいたしまして止むを得ず増額をいたしたと、こういうことでございます。併しこれは理窟通りに申せば、そういう場合には勿論業者が負担してやればいいと、こういう理窟になるわけでございます。実情はそういう実情でございましたけれども、手続的に明らかに不当でありますので、責任者に対して十分注意をいたしております。非常に特殊の例でございまして、今後かかることがあろうとは考えておりません。
  8. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 今お話によれば最低落札者ということでありますが、併し実は国の工事は必ず最低落札で今やつておるようでありますが、県あたり工事予定価格というものをきめて、それに一番近いほうの札をとつておるようでありますが、会計検査院としては、これはどういうふうに考えておりますか、私は案はこの最低落札者というものは、最近請負の何というか、ダンピングというか、そういう傾向が非常に多いんじやないかと思いますが、そういうことから、これはいわゆるダンピングするときには恐らく條件がいいということを請負業者考えて、そうして最低の札を入れるのではないかと思いますが、ところが今局長が言われたように、それでできないということが、少し天候でも悪くなれば当り前になつて来るのです。損をしてやるということは、これは恐らく業者としてあり得ないことである。そういう点は会計検査院としてはどういうふうにお考えになつておりましようか、それを承わりたいと思います。
  9. 小峰保榮

    説明員小峰保榮君) 先ず本件の御説明をいたします。あと府県の現在の最低制限価格、いわゆるロワーリミツトについて申上げます。先ず本件でありますが、本件は御懸念のようなことはない事案であります。と申しますのは、予定価格が千四百二十九万円でありまして、この予定価格に対しまして、田中工業というものは千四百万円入れた。二番札が千四百四十八万円でありまして、すでに二番札が予定価格を突破しておるのであります。御参考までに申上げますと、八番札は千五百十八万円であつて千四百二十九万円の予定価格に対して、それを割つたものがたつた一人しかいなかつたあとは七人全部予定価格以上のものであつたのであります。それで先ほどの御懸念はないと思いますが、御参考までに、本件は雨が降つた関係で非常に金がかかつたんじやないかという意見が先ほど当局からもありましたが、これもちよつと事案に反するようであります。先ほど私が御参考に、契約天候が悪かつた場合の工事期延施があることは認める、こういう條項があると申しましたが、この條項に従いまして、これは二十五年の九月の契約であります。工事期が九月二十七日から十二月二十七日まで三月間の工期ということで契約をしたのであります。これを三月三十一日まで無償で延期しております。従つて年度末が切迫したために、こういうふうに金を上げてやらなければいけなかつたのだというような趣旨の説明をされたようですが、それは事実と違うようです。九月から十二月までの工期で、竣工期限契約をした事態であります。そして雨が多少降つたかも知れませんが、三月三十一日まで、年度末まで約三カ月間延期しておるのでありまして、その点については、そのために金を上げてやるというまでの必要はなかつたのじやないかと思います。大体本件事態につきましては申上げた通りでありますが、府県でいわゆるロワー・リミット制契約、即ち予定価格の何割という制限をきめまして、それより低い入札者というものは排除する、一番札が予定価格の五割か、六割というのがちよいちよいございます。府県ではこういうのは排除いたしますために、大体三分の二、予定価格の……百万円といたしますと、六十七万円ほどになりますが、六十七万円以下の入札者というものは履行が危険だ、満足に履行するかどうかは危ないというので、こういうわけで排除しているのが現在の各府県で行われている実情であります。国ではこれは一切やつてはいけないということで、会計検査院でも、こういうことをやりますと、終戦処理費なんかにちよいちよい例があつたのでありますが、これはいけないといつて批難しておりますが、これはどうも私どもロワー・リミツト制契約というものは非常に不合理な契約だと思つております。あまり理窟が立たないのです。なぜ予定価格の三分の二以上なら履行が確実で、それを割つた履行が不確実だということを一体誰がきめられるか、予定価格というものは一応正しいものとして当局者はお作りになつたのですが、請負人がいろいろな特殊な事情を持つている人もありますし、又安く入れても、多少損をしてもやりたいという人もあります。そういう特殊な事情をお考えにならずに、三分の二以上の入札者に全部仕切つてしまう、三分の二をオーバーした一番低い者と契約をするということは、公平な第三者としては何も理窟が立たないように思いますが、これは長年府県で慣行されている事態であります。これは道路施行令か、何か勅令がありまして、道路についてはそういうことをやつてもよろしいという規定があつたのでございます。それを道路以外の河川とか、そういうような、或いは農林関係補助工事までそのようなことが見えますが、こういうものに準用して、三分の二という仕切りを置くということは相当多数の府県で現在慣行的にやつております。会計検査院といたしましては、国の工事でこういうことをやりますと、すぐ取上げて文句を言うのでありますが、府県工事では長年の慣行でありますし、今更それを取上げてどうこうというのはどうだろうかと、こういう観点で、府県工事については検査報告ロワー・リミツト制で批難した例はまだございません。国の工事につきましては、ここ数年間に数件批難した例がございます。
  10. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 今御説明を承わると、ロワーリミツト制度は理論的な正しい根拠がないという御見解であつたのです。で、私今日知つておる状況から申上げますというと、公入札で参りますというと、最低落札者というのはあるのですが、それが私は会計検査院は御存じでそう言つておいでになるのじやないかという気がするのです。事実私の知つておるので最低落札者でやつておる、純粋の競争入札でやつたのは成績がよくないのです、はつきり申上げますと……。これは私は技術者だから、現場を始終見て歩いているので……、必ず悪いのです、はつきり申上げますと……。これは原価を割つておるのです。で、今会計検査院のほうで、それは当然だ、国のとつている制度がいいのだというような御説明なんだけれども、実際の現状はよくないのです。それでどつちかと申しますというと、まあここで申上げてはおかしいのですが、談合というような形をとつてやられたものには相当入札価格で以てきまつております。こういう工事が多いのです。私は技術者の良心として考えた場合に、六割或いは六割を切るような入札というものが一体あり得るかどうかということなんです。これはもう常識でもおわかりになることなんです。そういうことを認めて行かれる、行かなければならんという制度に私ちよつと矛盾を感ずるわけです。これは最近のように請負業者が非常に多くなつて競争が激甚になりますというと、請負業者自体が自分の会社の、何と言いますか、倒産するのを防ぐために繋ぎ工事をとらなければならんという実情相当多いようなんです。そういつたような場合には、私の申上げたようなダンピングを必ずやつて来るのです。こういうようなものに対してどういうようなお考えを持つておいでになるか、もう一つ承わりたいと思うのです。
  11. 小峰保榮

    説明員小峰保榮君) 今の競争入札の場合の最低入札お話でありますが、どうも御意見としては、そういう御意見も有力な御意見として立つと思います。又そう言つておられるかたも相当多いのであります。ただ現在の国の入札というものは、国の購買なり、工事契約というものは、原則として公入札原則としているのはこれはずつと昔からの建前であります。公入札がいいか、随意契約ということがいいかということは、これはまあ一利一害でありまして、どちらがいいとも実は言えないのでありまして、日本では、日本だけに限りません、ほかの外国でも公けの入札なり、購買なり、工事というものは機会均等というような意味から、公入札原則としているのです。これは世界各国各地原則でありますが、そのために生ずる弊害というものは勿論あると思います。とは言つても、随意契約原則とする、百八十度の転換をするということになると、相当これは問題がありますが、戦争中、現在でもそうでありますが、公入札というものは会計法規掲ぐる原則でありますが、あまり行われておりませんし、制限された形で行われている。御指摘のような事態は恐らくは指名入札ではなかつたかと思いますが、公入札で大きな工事競争でやる、誰がしてもよろしい、誰が入札してもよろしいという原則的な公入札でやるということは余り行われておりません。大概指名入札、この人間なら大丈夫だろうという人間を五人から十人くらい選びまして、そうして入札をさせるのであります。そうしてこの最低価格指定制限入札ロワー・リミツトでありますが、これも指名競争の場合で行われるのが普通なんであります。これを指名競争として、この請負人ならば履行確実であろうと、こういつて指名しておきながら、その信用した、指名された人間が安い入札を入れたからと言つて排除することになりますと、どうも少し矛盾があるのじやないだろうか。そういう危険なものなら初めから指名しなければいいのであります。大丈夫だろうと指名した人間が意外に安い入札をしたのですから、むしろ歓迎して然るべきです。それを、お前は駄目だと言つて排除するのは少し辻褄が合わないのじやないか、世の中に実際行われているロワー・リミツト入札というものは大概指名競争の場合に多いのでありまして、余計に私ども矛盾を感ずるのであります。それを現在の国の入札は御承知のように公入札価格競争であります。実質の競争ではないのでありまして、いいものを作るかどうかということは一向に競争しないのでありまして、一定の規格を示しまして、契約のときにそれがわかるわけであります。契約條項を示し、設計を示して、この通りに最善のものを作れ、こういうことを條件にして価格だけをきめるのが現在の契約やり方であります。そういたしますと、安い入札を入れたものをとるというのは、むしろこれは当然じやないだろうか。そうして実際にやらせてみたら、その人間がいい工事をやるか悪い工事をやるかということは、契約後の事実でありまして、そのために現場監督が多いのであります。現場監督は当然国の利益を代表して契約通りのものをその値段で作ることを強制し得るのであります。この現場監督を十分にやりもしないでいて、そうして悪いものができた、これは入札が安過ぎたんだ、かかるが故にそういう安い入札をしたものは将来は排除すべきだ、こういう結論にはどうもならんじやないだろうか、そういうふうに考えているのでありまして、結局履行の悪さということを補うために、設計通り履行監督する現場監督検修ということもあるのでありまして悪いものを作つたらば直させるということが、権利上当然契約上できるわけであります。
  12. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 農地局長にお尋ねしたいのですが、今の御説明によれば私は筋が通つていると思います。ところが現実の問題として、それだけの現場監督能力があるかどうかということを承わりたいと思います。私はその点について大きな疑義を持つているのです。
  13. 平川守

    政府委員平川守君) これはまあ言つてみれば程度問題にもなるわけでございまして、我々といたしましては、行政整理その他の機会に、現在の人員を以てしても必ずしも十分でない、殊にこういう技術の面において、戦争を通じました期間のかなりブランクがあります。もう丁度中堅どころであるべき技術者の間に、技術的能力についてかなりブランクを持つているところがあります。私どもといたしましては、これに対していろいろ研修をいたしますとか、そのほかいろいろの方途を購じまして、技術力の充実に努めておるわけであります。現在の陣容を以て万全であるかと言われますと、そこに多少我々といたしましても、はつきり言い切れないところがあるのは事実でございます。これにつきましては、できるだけ今の筋に乗せて監督なりを厳重にいたし得るだけの陣容を実質的に強化して行くということが非常に必要であると考えます。又そういう意味指導監督にも努めておる次第でございます。こういう監督上の手抜かりの起りませんようにその方面で努力したい、こういうふうに考えております。
  14. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 実は私過般会計検査院千葉県を会計検査しておられるあとをずつと歩いたのです。そうしてその現場を担当しておる千葉県の事業所の所長に聞いたところが、最近会計検査院検査が非常に線密になり厳重になつた、そうして諸方で破壊検査をやつている。そのために非常に手数がかかり、現場職員がそれに追われておる。そこに以て来て県は県で又行政監査をやつている。で、工事の大事な時期に殆んどそういつたことに忙殺される時間が多くて、実際の工事現場監督する時間的な余裕が非常に少いということを言つてつたのです。これは非常な現場職員の歎きでありまして、この点については一つ会計検査院のほうも検査方法をできるだけ、何と言いますか、短時間にやつて頂くような方法をとられ、現場職員の負担を軽くしてやつて頂く。又国のほうは国のほうでそういつた点について現場監督が十分できるような手配を一つつて頂くということを、この際希望して申上げておきます。
  15. 小峰保榮

    説明員小峰保榮君) 今会計検査院実地検査お話が出まして、或いはお聞きになりようによつては誤解を招くんじやないかと思うわれる点もございますので、検査実情を極く簡単に申上げておきます。千葉県の検査が引合いになりましたが、最近千葉県の検査に参りましたことは、これは事実であります。併し千葉県内全体を通じて、農林関係では大体七日しか検査しておりません。今お話にあつたという事業所職員は、どういう意味で年中そういうことに忙殺されているか、困るとおつしやつたか、大体は推測できますが、私ども千葉県に一年に一遍しか、これは農林関係だけで申上げますが、建設関係は又別でございます。農林関係だけで………。非常に国庫補助金が大きいのでございまして、千葉県は殊に漁港関係で非常に莫大なものでございます。これを検査能力がないばかりにたつた七日くらいで、恐らく千葉県だけで数百カ所現場があると思いますが、これを七日間で見なければならないのが現在の実情であります。その苦情を申された事業所に果して何時間おりましたか。これは調べればすぐわかりますが、恐らく一日に六カ所か七カ所もかけ持ちで見なければならないのが現在の実情でありまして、その苦情をおつしやつたところには恐らく数時間しかいなかつただろうと思うのであります。相当大きな国の補助も行つておりますだけに、年一回の数時間の検査ということになりますと、これはどうもちよつと何ともこれ以上減らすことはできないのでありまして、これは御了承願いたいのであります。ただ準備として書類を作つたり何かするということがあると思います。これも最低限度の書類しか現在お願いしておりません。これがないと、まるきり数時間で何百万円という検査をしなければいけませんのでできないのでありまして、その点も一つ御了承願いたいと思います。それからこれも会計検査院と同じようなことをやつて歩く役所が相当ございます。ほかに、具体的に申上げてもよろしいのでありますが、いろいろなところに検査監督の機関というものがございまして、この運の悪いところは、こういう幾つものところから重ねて押しかけられる、こういうことは事実あるようでございますが、そのために一年のうち何カ月間をその準備なり、応接なり、跡始末なりに忙殺されるということは、これはあると思います。これは会計検査院の何じやございませんので、私どもとしてはそう御迷惑をかけていないつもりでありますし、できるだけおかけする御迷惑を最小限度にしたいということで、絶えずいろいろ心を配つているわけであります。
  16. 棚橋小虎

    棚橋小虎君 五百八十四号の事件でありますが、これは天候不良のために著しく工費が増大したということでありますけれども工事の期限を三月いつぱい延ばしたということで、又工事の内容に著しい変更はなかつたということでありますが、それならば工費が著しく増大したというのは、どういう点で工費が著しく増大したのか。先ほどの農林当局説明では納得しかねるのでございますが、どういう点でこういうことになつたか、具体的に御説明を願いたいと思います。
  17. 平川守

    政府委員平川守君) 私も非常に詳細のことをよう存じませんので、一応の私のわかつておりますところだけ申上げます。なお必要に応じて係りの者から御説明申上げますが、先ほど申上げましたごとく、米国の対日援助資金から出ております。これが八月に初めて金が解除になつたわけでございます。これは非常に臨時的の措置でありまして、年度の途中の八月になりまして、初めて金が出るということがきまつた。御承知のように、この場所は非常に寒冷地帯、青森県でありまして、工事を能率的に挙げ得る期間というものは非常に短かいわけであります。それが盛夏の八月になりまして解除されて、而も年度内にこれを完了したい、年度末まで延ばしてはおりますけれども、冬の工事というのは非常にやりにくい。殊にいい時期において雨が降りましたために、材料等の輸送計画を変更いたしておりまして、貨物の取扱いについても、普通取扱いをいたさない駅に特に停車するような手続をとつて荷物の運搬をいたしている。そういうような輸送計画に齟齬を来たしました関係で、非常に労力及び資材の面において望外の経費を要した、こういうふうに私どものほうでは報告を受けておるのであります。なお若し私の説明が不十分でございますれば、当該の専門の係官から詳しく御説明申上げます。
  18. 奥むめお

    委員長奥むめお君) よろしうございますか。別に質疑はないでしようか。一応御質疑はこれで終了したものと認めてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 奥むめお

    委員長奥むめお君) では御異議ないものと認めまして、第五百八十三号から五百八十七号までは一応質問終了といたしまして、次に移ります。  第五百八十八号から第五百九十六号までを問題に供します。専門員の御説明ありますか。
  20. 森莊三郎

    専門員森莊三郎君) 五百八十八号から五百九十四号までは、各地方に対して補助金を交付したが、それについての批難事項であります。  一番最初にありまする五百八十八号につきましては、検査院のほうから、北海道のほうでよく調査もしないで、むやみに補助金をやつてしまつたということを特に批難されているようであります。それに対しての答弁の中に、設計量よりも多量の工事を施行したというような答えが出ておりまするので、ちよつとその点について御説明を願つたほうがよろしいのではないかと気付きました。  次の五百九十一号につきましては、実地調査にこの夏行かれましたかたの報告、これも設計が不備であつたからこんな結果を来たしたのだということで、検査院の御指摘通り報告であるようであります。  それから五百九十三号と五百九十四号とは、特に取立てて申上げることはございませんが、政府の説明書が、批難の点とは的外れな回答が出ているという点をちよつと注意したのでございますが、それは原形復旧工事に補助金をやることは当然でありまして、なお原形に復旧しただけでは足りない、それ以上の改良工事、言換えれば原形超過工事をもしたほうがいいのでありまして、それをすることが悪いといつているわけではないのであります。ただ補助金の率が違いまするので、その率が違うというところを指摘されているのであります。勿論当局答えは、恐らくこういう事情でこんなことになつたのであるという事情説明とは思いますけれども、問題は事情が問題ではないのであります。よいことをしたのが悪いということではありませんので、ただ補助金の率の計算が違うのだということが批難の重点なのでございます。  それから次に五百九十五号、五百九十六号、これは補助工事をやらせたのでありまするが、工事やり方が悪いという批難なのであります。なお五百九十五号につきましては、実地調査報告がありまして、この問題は検査院報告通りであるというような意味の調査報告が出ております。以上であります。
  21. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 検査院或いは当局のかた、何か御説明がありましたら願います。
  22. 平川守

    政府委員平川守君) この五百八十八につきまして、御説明申上げますと、これはいわゆる客土の事業でございまして、検査院指摘されるような、つまり軌道のための盛土については、若干設計よりも縮小いたしたものであります。その部分を客土の土に廻したらしいのであります。そういうことでありますから、これは当然設計変更の手続をいたしまして、その新らしい設計に基いて行うべきが当然なのであります。ただ仕事の実態といたしましては、それだけの費用をかけるだけの仕事はいたしておるということでございますけれども、中味が軌道のための盛土に充てるべきものを、節約をして、客土の土に廻してしまつた、客土の土を入れるほうに廻してしまつたということです。  それから五百八十九につきましては、これは検査院の言われた通りに、多大の補助金を交付したと考えまして、この最後にあります六百四十五万数千円につきまして返還を命じました。なお責任者に対しては厳重注意をいたしております。  それから今ちよつとお話のございました超過工事の項目でございます。これはしばしば災害復旧に関して問題になる事項でございまして、折角災害を受けた工事を復旧するに際して、地元といたしましては、再び災害を受けない程度まで、成る程度元の形をそのまま復旧するというのではなしに、再び災害を受けないような程度にまで直したいということが、しばしば現地の要望であるわけであります。これが最近におきましては、法律ではつきり改良工事として認められまして、但し補助率が災害の場合と改良の場合とで、例えば六割五分と、五割というふうに違うのであります。法律で認められております。殊に最近の、前国会で建設省方面の関係におきましては、この補助率も同じにするという改正が成立いたしました。又農林関係につきましても、本国会でその法案が成立をすでにみまして、今後はこの種の問題は起らないと考えております。当時におきましては、そういう制度がございませんでしたために、こういうことが起りまして、これは併し当時の制度としては明らかに不法でございますから、厳正注意をいたした次第でございます。
  23. 小峰保榮

    説明員小峰保榮君) 五百八十八以下の国庫補助工事の案件でありますが、補助工事というのは相当に会計経理の面から申しまして、いろいろ問題が多い次第でありまして、丁度二十五年度までは余り会計検査院のほうの検査の行届くだけの力を持つていなかつたわけであります。二十五年くらいから大分内容が充実して参りまして、こちらのほうに手を及ぼすわけになつたわけであります。二十六年度補助工事関係がたくさんありまして、いずれお手許に出るだろうと思いますが、二十五年度はほんの幾つか出たわけでございます。いずれも相当に大きい案件であります。この五百八十八号は、先ほど御説明がありましたが、実はこれは実際のところは補助の対象に認められなかつた事務費を、本来なら当初計画から除かなければいかんのですが、除かないで、それを客土の工事費だと称して補助金をもらつたのが事実であります。設計書によると、三百六十七万四千五百円を以て云々とありまして、金額はそつくり初めは工事の事務費として計上していたものなのであります。ところが事務費というのは補助の対象外だということになりまして、慌てて工事費のほうに持つて参りまして補助金をもらつた、こういうのが真相であります。私どもの照会と、当局の回答にもはつきりこれは出てございます。これはもう当然いけないのでありまして、補助の対象に入れて相成らんものを入れた。而もそれを客土の工事費だ、泥を取つたり運んだりする金だ、こうして補助金を取つたのでありまして、これはまさに悪いのであります。これにつきましては、三百六十七万四千五百の六〇%、六割に相当するものはまさに過大評価したのであります。それから先ほど専門員からお話がありましたが、設計外に仕事をしているものがある、こういうことを抽象的に言つておられるようでありますが、これはどうしても私どもは確認できないのであります。どれだけ設計外におやりになつたか確認できません。又仮に確認をしましても、当初の予定外にどんなことをおやりになつても、これはやはり補助の対象には入れては相成らんものでありまして、結局ここに書いてある通り三百六十七万四千五百円の六〇%、二百五十万四千七百円というのはやはり過大評価した、こう言わざるを得ないのであります。  それから五百八十九号、これも大きな案件でありますが、これは北海道の忠別川、この水温上昇施設と申しますか、水が非常に冷いものでございまして、あの辺が丁度稲作の日本における限界で、あれをちよつと北へ参りますと、もう稲ができない、あれから南は水稲が育つ、こういう限界点に近い地域でありまして、水温の二、三度高いか低いかということが稲作の上には致命的な要素になるわけであります。この点で水温を上げるための施設の貯水池があつたわけであります。水をゆつくり通しまして水温を上げる。これを上に発電所がございまして、たしか八キロくらいですか、隧道を水が通つて来るわけであります。それで隧道を通るためには、御承知のように水が冷えますから、冷えた水を又水温を上げる、こういう施設があつたのが、水害ですつかり流されたわけであります。これは掘つた士の池でありますから、長さが五百メーター、三百五十メーターくらいある四角いものでありますが、これを九区画に仕切りましてこれに水をゆつくり通すわけであります。その間に水の温度が上る、こういう施設だつたのですが、これが水害で流されてしまつた。これを復旧するわけでありますが、今申しましたように、土のところを掘つて水を入れて、池を作つて、間に仕切りを入れて、掘つた廻りに堤防を作るわけであります。中にも小さい堤防を作る。そうして工事は盛土工事というのがこの災害復旧の本体をなすものでありますが、この土をどこから持つて来るか、これが問題のポイントになるわけであります。何キロの地点から持つて来るかという点が、設計が非常に過大だ。たしか二キロ前後のところで土が取れると思いましたが、それを四キロくらいに見ていたのであります。土は運搬賃というものが大きな要素をなすのでありまして、二キロで取れるところを四キロもかかる、こうして計算しますと、非常に金額が水膨れになつてしまうわけであります。それで検査に行つて見ますと、非常に設計が甘いということがわかりましたので、いろいろ細かく計算して私どもがみましたが、土取場への距離ということで計算を仕直しますと、補助金だけで工事ができてしまう。補助工事というのは、御承知のように地元で負担する金額が相当にあるわけでありまして、これは三割五分を地元が負担して六割五分が国庫補助であります。そうして合計して二千二百万円という相当工事でありますが、二千二百万円の六割五分ですから、そうすると地元負担が千何百万円かになるわけでありますが、結局その地元負担をやらないで、千何百万円という地元負担が確か二百万円くらいで済んだ計算になつておるわけでありまして、殆んど全部国の補助金だけで工事をやつてしまつた。全国にこういうものが相当にあるという噂を聞いているのでありますが、具体的にはなかなか今まで見付からなかつたのでありますが、これはスケールの比較的大きい珍しいものなのであります。  あとは五百九十号、五百九十一号は、いわゆる便乗行為と申しますか、災害を少し受けますと、それに便乗して大きな改良をやるということも噂にはよく聞くことでありますが、これの二つはその例であります。  五百九十二は、さつきの北海道の忠別川のあれによく似ておりますが、工事が災害を受けて泥がいつぱい入つてしまつた。その泥を除いて元の立派な田圃にするという災害復旧でありますが、これも侵入された土の量を過大に見積りまして補助を余分にもらつた。これが会計検査の結果わかつた、こういう次第であります。
  24. 奥むめお

    委員長奥むめお君) ちよつと速記をとめて下さい。    午後二時三十七分速記中止    —————・—————    午後三時四十八分速記開始
  25. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 速記を始めて……。今まで速記なしで来ましたが、では総論についての質疑は一応終了したものと認めてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 御異議ないと認めます。  次に第六百十八号から六百二十号までを問題に供します。専門員から御説明を願います。
  27. 森莊三郎

    専門員森莊三郎君) この三件は内容は簡単なことであろうと思います。六百十八号におきまして、当局説明書を見ますると、硬岩、硬い岩、軟岩、軟らかい岩、硬岩、軟岩の区別は地質学上の分類によらないものであるということを特に書き出しておられまするが、これにつきましては、何か検査院との間に意見の食い違いでもあつたのかどうなのか、又それがためにその計算の金額の上に何か差を生ずるようなことでもあるのかどうかと思いまして、ちよつと記しておきました。  次の六百十九号は、売払いのときにその材木をパルプ用に供するのであるからというので割増がされていなかつた、大きい材木が入つておるときには割増があるべきでありますが、それをしていなかつたというのでありまするが、それについて、パルプ材ならばその大きい材木などを含んでおるときには必ず割増をしなければならないのか、それとも割増をしてもよし、しなくてもよしということになつておるのか、その辺のところ少し事情を明らかにいたしませんので伺つたらばどうかと思つたのであります。  それから次に六百二十号は、おが屑を利用してオガリツトというものにこしらえて、それを利用しようというので林野庁で事業を大幅にやつたところ、その成績は思わしくなくて一時中止をしておられるというのでありまするが、それを検査院のほうからは、そもそも計画を立てる以前にいろいろな事情を調べてみたならば、初めからそんなものを計画すべきでなかつたということがわかるだろうし、十分調査が行届いていなかつたがために、かような不経済なことをするようになつたのであろうということで指摘されておるのでありまして、少し問と答との間にピントの合わないところがありまするので、その点を明らかにしたならばどうかというふうに考えた次第で、御参考に供するわけでございます。
  28. 小峰保榮

    説明員小峰保榮君) 六百十八以下について御説明申上げます。これは九州の都城の営林署管内でありますが、岩を切り取るのに硬岩と軟岩、この区別があるのは御承知の通りであります。硬岩の量を何立米つたら単価幾ら、それから軟岩は幾らと、こういうふうに単価で実績によつて払うという契約であつたのであります。単価は設計できまつているわけであります。実際に払いました数量というものを確認するために私ども現場に行つたのであります。そういたしますと、ここにございますように、硬岩四千三百九十九立米つた、軟岩は二千三百八十四立米つたと、こういつて代金を二百五十五万円払つたわけであります。ところが行つてみますと、硬岩がざつと四千四百立米つているのに実際は二十三立米しか取つた形跡がない、残りは全部軟岩だ、こういう事態であります。これに対しまして、当局は地質学上の区別はないということを、ちよつと妙なことを、私どもわからないのでありまして、この検査報告は御承知のように、ここに出すまでには照会も出して、こちらの意見も言いますし、それに対し当局者説明答弁書も頂きまして、いろいろ向うの意見も聞くのでありますが、それが全然そういうことはおつしやつていなかつたのであります。会計検査院も決して地質学上の見地からの軟岩、硬岩ということを言つておりません。契約を作りましたときの設計は、硬岩は幾ら、軟岩は幾らときめた、その設計できめた硬岩に相当するものは実際に幾ら取つたか、軟岩に相当するものを幾ら取つたかということを調べまして、当局者の確認をしてもらいまして、この二十三立米という数字は現場当局者も承認された数字でございます。それによつて批難しているのでありまして決して地質学上とか、土木学上とか、そういう学問の上から取つているわけではありません。設計できめた通りの、約束した通りの単価によつて払えばいいじやないかというのが検査院の趣旨であります。それから六百十九号、パルプ用材、先ほど専門員から説明がありましたが、私どもパルプ用材だからといつて特別扱いして、ほかの用材より安く売る必要はないじやないか。ほかの用材について割増を付けるものであつたならば、パルプ用材でもやはり同じ程度の割増を付けたらいいじやないかというのが、この批難の骨子になつています。これは弁明書を見ますと、中小経木を主とするものである、こういうことを言つております。パルプ用材だから小さいものでありますが、これは平均しまして切口九寸から九寸五分の角でございます。そう小さいものではございません。用材としても一般に使えるのであります。中には一尺一寸というようなのも相当にあります。平均しまして九寸から九寸五分の程度が一番多いのでありまして、そう値を低くする必要はないかと思うのであります。値を低くすると言うと語弊がありますが、割増を付けるなら付けたほうがいいじやないかというような趣旨であります。それからオガリツト製造工場のことでありますが、オガリツトというのは変な名前ですが、これはおが屑を圧搾しまして固形化し、燃料にしようと、こういう工場でありまして、これがここにもございますように、二十四年度と二十五年度に工場を作つたのでありますが、二十四年度頃はもう政府は薪炭等のストツクを相当つてつたのでありますが、薪炭事情相当に好転して参りました時代でありまして、これはその先例があるのでありますが、二十三年八月創業した東京オガリツト工場、これはすばらしく成績は悪かつたのでありまして、このような事情考えますと、この二十四年、五年になつて代用燃料の工場を作るということをお考えにならなくてもよかつたんじやないだろうかと、これは案の定、この工場は作つてみましたが、さつぱり成績が挙らない、こういうことになつておるのであります。
  29. 柴田栄

    政府委員(柴田栄君) 只今指摘の六百十八の件でありますが、工事単価等から推しまする御批難でございますが、私どもは地質学上の軟岩、硬岩ということに特にこだわつているわけではないわけでございまするが、成るほど普通の常識で言いまする硬岩として、火薬その他を使いまして相当工費を要するという硬岩ではないのでございまするが、非常に特殊な水成岩、頁岩でございまして、発破をかけても一向能率が拳らない、而も風化を受けている場合には非常に堅く、つるを使いましても工程が非常にかかるということで、他の工費で非常に多くの経費を要する、従つて硬岩と同じ扱いをする必要があるというものを硬岩というふうに扱つたわけでございますが、これが完成したところを見ますると、非常に風化いたしまして、ぼろぼろと落ちて来る、如何にもやわらかく見えるというようなところに非常に説明の困難な問題が出ておるということが一つ。但しここに検査院からこういう批難を頂きました。これを確認する方法が実は非常に粗漏であつたということで立証するのに困難であつた。これらの点は工事施行に当りまして非常に遺憾な点がございましたので、直ちに現場に厳重な注意を与えまして、今後の工事の施行に当りましては、十分なる証拠を残すということで注意をいたしておりまするが、さような関係にありますることを御了承願いたいと思います。  それからパルプ材の割増の点でありますが、パルプ材は御承知の通り必ずしも品質を要求するものではなく、繊維量を要求するものであります。比較的安くて繊維量が多ければよろしいということで特に小径材を主体とした、或いは定尺でないものまでパルプ材として選別する。ところがその当時はまだ紙の統制がございまして、紙の統制に対しまして、我々のほうで相当程度原木の供出の責任があるというためにパルプ材を選別いたしました。そのときに時期的に多少間に合わないというために、或る薪においてはやや太い或いは上材も入つたという憾みはあるわけでありますが、まあ原則的には小径材を主体として選別して参つた。そうしてパルプ材といたしましては、先ほど申上げました通り、品質を要求しないということで、特にこれを評価して来るということはちよつと当を得ないと同時に、品質割増は当時の北海道條例によりますると、尺加味ということになつておりまして、ただ市況割増において必要があれば混入率によつて割増を付けると、こういう措置をとつて参りましたので、極く一部に特殊の地方の市況状況から割増を付けたところがあるということでございまするが、原則としてパルプ材として特に品質を選ばない、又我々も選んで参つたものではないということで一般的に割増を付けなかつたということで、決して安く売つて特定の会社を儲けさせる、こういう考え方では毛頭ないということを御了承願いたいと思います。  それからオガリツト工場の関係につきましては、結果から見まして、誠に御指摘のごとく計画自体が杜撰であつたということは非常に遺憾に存じまするが、当時薪炭が相当出廻つてつて特に考えなくてもいいという事態であつたというお話がありまするが、山の現状からいたしますると、あらゆる手を講じて燃料の問題を解決しなければならない。而もまあ東京営林署におけるオガリツトの成績を御指摘になりましたが、東京営林署でやりました場合にはおが屑自体が非常に不適当なものである。且つ直当高いものを使わざるを得ないというようなことで特に不成績を見ましたが、山元の産地に行きますると、実はおが屑は捨てる所にも困る。捨てるために余分の経費をかけなければならん。こういうことで、これを活用して燃料の対策の一助にするということができれば是非やらなければならんということで、東京の機構を更に工夫をいたしまして、大丈夫収支がとれるという見込みでかかつたのが、更に薪炭事情が好転する、この機構自身に非常に不備な点が多く出て来るということで、このままでは非常に不採算になる、更に検討を加えまして、採算点を精査し、それに相応するような機構を研究いたしまして、時期を見て再開いたしたいと、こういうようなわけで現在中止しておるということでありますのを御了承願いたいと思います。
  30. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 何か御質疑がありませんか。質疑は一応終了したものと認めてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 御異議ないものと認めます。  次は農林省一般に関して、あとの全部を議題に供したいと思います。専門員から説明を願います。
  32. 森莊三郎

    専門員森莊三郎君) 六百二十一号から六百二十三号まで、職員の不正行為が三件挙げられております。これにつきまして当局から御提出の処分調書を見ますると、いずれも厳重な注意ということが記されております。この行政処分につきましては、しばしばこの席で一般の問題として、往々にしてその処分が軽過ぎやしないかという御注意、御意見がしばしば出ているのでありますが、一般の問題につきましては、今特に私からは申上げることはございませんが、この職員の不正行為というような刑事問題を伴なつております問題は、どこの省を見ましても、多年の政府の仕来たりといたしまして、本人は勿論のこと、監督上の責任者に対しても気の毒なと思われるくらい厳重な処分がされておるのが、これが普通なのであります。ところがこれはこの報告にはただ厳重な注意とだけ書いてありまするので、只今申上げましたような点が特に気が付いたのであります。  それからその次に六百二十四号以下に出て参りまするものの中には、先ほどもすでにその一部を御審議になりましたが、それと同様に検査院の注意によつて、もうすでに是正させたという事項が報告意味でここに記されております。それが六百三十六号まで続いておるのであります。  なおその次に検査報告の百九十一頁から百九十三頁へかけまして、既往年度の予算報告に掲げた事項で、その後の処理状況について特に面白くないというものが挙げられているのであります。従来はこういうふうのものは、この検査報告の最後に全部を一括して記されておつたのでありまするが、それでは御審議の際に見て頂くのに見にくいであろうというようなことから、検査院におかれましては、二十五年度から各省ごとに一々これを分けて掲げるというふうに取扱われたのでございます。
  33. 奥むめお

    委員長奥むめお君) もう説明ありませんか。検査院或いは農林省当局でおありになりませんようでしたら……。
  34. 柴田栄

    政府委員(柴田栄君) それは厳重な注意或いはその他で訓告をしたというようなことで済まされているというお話でございますが、実はかなり、営林署の関係は勿論非常に御指摘通り遺憾な問題でありまして、皆関係するとしないにかかわらず、一同は非常に反省をいたしております。これに対しまして賃任者、当面の責任者でありまする当時の営林署長は、一応降格いたしまして、更に昭和二十六年の十二月の三十一日に退職をさせているというような処分もいたしておりますることを御報告をいたします。
  35. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 別に御質疑はございませんでしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 奥むめお

    委員長奥むめお君) それでは農林省関係の質疑は終了いたしました。本日はこれにて散会いたします。    午後四時十一分散会