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1952-12-17 第15回国会 参議院 決算委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月十七日(水曜日)    午後一時三十一分開会   —————————————   委員の異動 十二月十二日委員大矢半次郎辞任に つき、その補欠として楠瀬常猪君を議 長において指名した。 十二月十五日委員河井彌八君及び高良 とみ君辞任につき、その補欠として伊 達源一郎君及び柏木庫治君を議長にお いて指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     奥 むめお君    理事            宮本 邦彦君            飯島連次郎君            棚橋 小虎君            岩男 仁藏君    委員            瀧井治三郎君            中川 幸平君            西山 龜七君            松平 勇雄君            宮田 重文君            柏木 庫治君            伊達源一郎君            三浦 辰雄君            栗山 良夫君            カニエ邦彦君   政府委員    農林省農地局長 平川  守君   事務局側    常任委員会専門    員       森 荘三郎君    常任委員会専門    員       波江野 繁君   説明員    会計検査院検査    第三局長    小峰 保栄君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○本委員会運営に関する件 ○昭和二十五年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十五年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十五年度政府関係機関収入支  出決算内閣提出)   —————————————
  2. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 只今より決算委員会を開会いたします。去る十二日の委員会におきまして昭和二十四年度一般会計歳入歳出決算ほか二つの質疑は一応終了いたしまして、討論採決のみを余しております。当日の委員会散会委員長及び理事の打合会を開きましたので、その打合せの結果を御報告いたします。  昭和二十五年度の決算審査につきましては従来通りの方法によりまして会計検査院批難事項につきましてこれを重点的に審査すること、毎週水曜日と金曜日の午後を定例日とすること、それから衆議院の決算委員会におきましても只今昭和二十五年度の決算審査しておりますが、審査日がこちらの委員会と大体同じでありますので、政府並びに会計検査院出席要求がかち合いますと困ります関係から、こちらの委員会におきましては検査報告の途中ではありますが、農林省関係のものから審査をして行きたい、かよう申合せを行いました。その他委員会運営、或いは昭和二十五年度決算審査方針等につきまして何か御意見がございましたらこの際お聞かせを願いたいと存じます。委員長におきましてはできる限り皆様の意のあるところを体して、且つ又各委員の御協力を頂いて運営しで参りたいと思うのでございます。御意見どうぞ御開陳を願います。ちよつと速記をとめて。    〔速記中止
  3. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 速記を始めて下さい。  十二日の委員長及び理事打合会におきましてきまりましたことは先ほど御報告いたしました通りでございますが、それで皆さんの御承認を頂いたことにしてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 御異議ないものと認めます。   —————————————
  5. 奥むめお

    委員長奥むめお君) それでは次に今日の議題に入ります。  昭和二十五年度一般会計歳入歳出決算ほか二件を議題に供します。これらにつきましては去る第十三回国会におきまして政府並びに会計検査院から説明を聴取しておりますので、本日は農林省の分につきまして御審議を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 御異議ないものと認めます。  会計検査院批難事項第五百六十八号にりきまして会計検査院から何か御説明がございますか。
  7. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 五百六十八号以下に農林省関係昭和二十五年度の批難事項が掲げてございますが、その前にちよつと農林省関係検査の概況を御説明申上げておきます。  農林省の二十五年度の一般会計決算は、歳入が十三億三百万円、歳出が四百八十一億五千五百万円、非常に大きい金でございますが、この中で年度内にこの検査報告を作りますまでに検査ができないで、検査未確認いたしました額が三億九千二百万円でございます。残りのものにつきましては全部検査を終りまして、その結果がこの検査報告にまとまつてあるわけであります。不当事項として掲げましたものは、予算経理に関する批難事項が十一件、工事に関するものが十八件、その他を合せまして三十三件になつております。今申上げましたのは特別会計を除きました一般会計の分だけであります。三十三件であります。これ以外に注意を要する事項として農林次官その他のかたに対しまして注意書を発しましたものが二十三件になつております。それだけ御参考に申上げまして五百六十八号の御説明を申上げますが、この五百六十八号の表題にございますように、いわゆる架空名義によつて支払つたものでございますが、使いもしない金を使つたことにいたしまして予算を落して出しまして、その金を他の使途に使う、こういう経理であります。この架空経理は二十五年度の各省を通じての非常に多かつた事項でありまして、非常に悪い経理でありますが、遺憾なことには各省を通じて相当に多かつたのであります。ほかの省のときにそれぞれ御説明申上げることになりますが、農林省の分は各省の中では比較的小さい金額でありますが、青森三重和歌山、この三カ所の統計調査事務所物品購入代とか或いは調査手当、そういうような実際に使いもしない名義によりまして九十二万五千六百三十円、こういう金を捻出いたしまして、それを庁舎購入費、これは金額が比較的その中では大きい額でありますが、これは青森にあつた例でありますが、庁舎買つた、或いは職員厚生費使つた或いは食糧費使つた、こういうような事案であります。
  8. 棚橋小虎

    棚橋小虎君 ちよつとお伺いしますが、架空経理というのは非常に多かつたというお話でありましたが、昭和二十五年度の全体のこの決算の中で、架空経理によるというものは何件くらいありますか、おわかりになつておりますか。
  9. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 架空経理はこれは農林省以外にも、厚生省とか、電通省建設省、それから大蔵省にも若干ございます。これは若し要求がございましたら全部まとめたものをお出ししてもよろしうございますし、或いは検査報告で印しをつけてもよろしうございます。すぐわかる事項でございます。一番大きいのは建設省のいわゆる直轄工事、御承知ように堤防を作つたり道路を作つたりしておりますが、その直轄工事で見付かつた架空経理というのが非常に大きいのであります。これは昭和二十五年度で検査の結果わかりました金が四億四千万余りになつております。その次に大きいのが電通省であります。これもやはり工事関係架空経理であります。この工事関係架空経理と、この農林省或いは厚生省というようなところで純事務費架空経理をやつたものどは若干性質は違いますが、やり方としてはまるつきり同じであります。工事の場合にはいわゆる俗の言葉で言いますと幽霊人夫、或いは空材料、こういうようなものに使つたことにいたしまして金を捻出いたしまして、それを他の使途に使う、或いは正規の予算使途以外のものに使うとか、或いは予算で認められていないものに使うとか、そういうようなものに使うわけであります。一番大きいものは先ほど申上げました建設省の四億四千七百万円ほどでありますが、これが抜群に大きいのであります。これは後ほど建設省説明のところで私から申上げるつもりであります。
  10. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 何か御質疑はございませんか。
  11. 岩男仁藏

    岩男仁藏君 この架空経理の問題で農林省から処罰一覧表が出ておりますが、これはどうですか。背任横領刑事問題は一つも起らんのですか。ただ行政処分だけで済んだのですか。
  12. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) この架空経理でありますが、これは例外は勿論ございますが、大体は予算上は嘘の書類を書きまして予算を落すわけでありますが、大部分はこれは役所使途に使うわけであります。予算超過支出もございますし、ときには違法のものもありますが、一応役所用途に使うというのが通例であります。で、これも農林省の分も青森の分は庁舎工事に充てた分がありますが、これが検察庁で一応疑惑を持つて活動はしたのでありますが、たしかこれは不起訴、やはり予算止まずい事項ではあるが、本人が横領したのじやないというので不起訴になつておるものであります。それで架空経理の中にはたまたま自分の目の前に大金がありますから、ごまかしたくなるのかも知りませんが、自分の懐に入れるというのがぼつぼつあるのであります。これは見付かりますと、皆刑事上の処分を受けますが、その他のものは一応嘘の書類作つて、嘘の支出をいたしますが、その金を役所用途に還元されるので懐に入れない、こういうことで大部分のものは刑事上の事件になつておりません。ただその疑惑を持たれまして、検察庁が一応調べるとか、調べた上で不起訴にする、或いは稀に起訴にする、起訴はする、併しよく調べるとそれはやはり自分で懐に入れていないから無罪だ、こういうことになるのが多いのであります。大部分刑事上の問題にならないのが通例であります。
  13. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 これに書類書類というがまあ領収書ですね、架空名義領収書は、これは物品購入代としてあるが具体的には相手方の商人はどこになつてつて、品物は何であるかということになつておるのですか、領収書は……。
  14. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 会計検査院から申上げますか、政府から……。
  15. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 どちらでも結構ですよ。
  16. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) これは青森三重和歌山三カ所でありますが青森が一番大きいのでありまして、差額が七十四万六千円であります。このうち四十七万円というのが先ほどちよつと申上げました庁舎購入費であります。これは二カ所であります。これも相手方はわかつております。それから厚生費職員のこれは運動会使つた運動会費ということになつております。九万八千円であります。それから食糧費会議費、こういうものに九万七千円、その他が一万七百四十八円というふうになつております。一カ所一カ所若しあれでしたら申上げますが、何に幾ら使つたというのが全部わかつておりますが、大体今の庁舎購入費というのが極く異例でありますが、私ども随分架空は見慣れておりますが、幽霊支出を立てて、それで庁舎買つたというのがちよつと珍らしいのであります。これが青森で、検察庁でも疑惑のあれがありまして、一応の手は入つたようでありますが、やはりこれは不起訴になつております。
  17. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 その領収書ですね架空領収書というものは具体的には誰がそういう領収書を出しておるのかどういうよう領収書を出しておるのか、仮に庁舎なら庁舎買つた、売つた人間は誰であつて買つたの農林省なら農林省買つた、どういう領収書を出しておるのか、ただその領収書も何もなくて、ただ役所だけでそういうことに、役所の帳簿だけでそういうことにしておるのかどうかということですね。つまり証憑書類それはどうなつておるかと聞いておる。
  18. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 御質問の点ちよつと間違えまして恐縮であります。最初の幽霊支出のほうの領収書のほうがどうなつておるか、こういう御質問だと思います。この統計事務所調査事務所で申しますと、大部分調査手当、こういうことで出しております。架空調査員名前を書きましてやつておるのであります。一番大きい、幽霊人夫などが大きいのでありますが、これもみんな幽霊、実際には実在しない人、或いは二重に書いたり、ひどいところになりますと、判こをたくさん持つておりましてべたべた捺して支出に充てるというような例にも私どもぶつつたこともあります。統計調査事務所は勿論そういう大げさなものではありませんが、ここにもやはり架空調査手当ということで一応の書類はできておるわけでありまして、私どもただ書面だけを見ておつたのでは実際にいる人かどうかということはわかりかねるというようなあれになつております。
  19. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そうすると、その書類は実在しない人の名前を勝手に作つて、そうして判も勝手に作つて、そうしてそれで領収書を発行して作つておる、こういうことなのか、或いはその実在しておる人に納得せしめて一つ判を貸してくれ、こういうようなことで二重に領収書を出しておるのか、そういう点はどういうことになつておるのですか。
  20. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 架空経理の一般的な調査についての御質問よう承知いたしますが、これはまるつきり架空な場合があるのか、或いはまあ付掛するか、こういう御質問だと思います。これは両方でございます。まるつきり架空人夫賃ようで捻出をする場合は架空であります。実在しない人間が多いのでございます。それから統計調査事務所ではありませんが、割合自動車修繕費というものに架空が多いのであります。これは御承知ように、非常にむずかしく、内容が部品かわからないよう名前がたくさんありますし、修理もしない部品を書かれましても甚だこれは実際にどういう修理をしたかということはわかりにくい場合が多いのであります。一々自動車を見て修理個所調べて行くということは実際問題としてはなかなかできないので、自動車修理費などに比較的事務官庁では架空経理が多いのでございますが、これなどは付掛いたします。実際に修理はやつてはおりますが、それに幾分その金額が付掛されて、証拠書類使いもしない部品、或いけやりもしない修繕、一部の修繕費というものが付掛されて持つて来るわけであります。十万円しかからないのに、それが十三万円になつたり、或いは十五万円になつたりして出て来るのであります。この中には相手との納得ずくでこれは十三万円なんだが、十五万円にしてくれ、こういうような例もあるようであります。特にほかの省でありますが、或るところでは偽造領収書を出した、それに対して謝礼金をやつたというような甚だ妙な例も実際に挙がつております。
  21. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 そうすると、今誰かが刑事問題になるかならんかというような点で質問があつたようですが、実際は個人的にそれを領得しないとしても、そのことの横領は一応ないとしても、又異なつた面でそういう架空の実在しないものを実在したかのよう文書を偽つて作つたり、或いは又印鑑を偽つて使つたとという、そういうようなことをすれば、話合いで仮にしたとしても、その話合いをした相手方人間ともに或いは詐欺になるとか、或いは印鑑不正の行使になるとか何とかにならんければならんのじやないかと、それがやはり厳格に行われていないというのはどうもおかしいじやないか。仮にこれが国の経理であるからそういうことになるが、個人又は法人会社等経理で、若しかこういうよう事件が起きたとすれば、一体どうなるかというまあことですね。これはまあむしろ検査院に御質問申上げるよりは検察庁を当委員会に呼びまして、検察庁によくその意見を質すのが適当であろうかと思われますが、いずれにしても検察庁建前でなくして、検査院としての建前からお考えになつてもどうもおかしいのじやないかと思うのですが、その点はどういうお考えですか。
  22. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) カニエさんの御質問なり御意見なり誠に御尤もでございます。ところが、これは法律の文字だけから言いますと、立派ないわゆる公文書偽造であります。公文書偽造、まあ詐欺という点になりますと、そこまで実体を伴つているかどうかわかりませんが、公文書偽造としてではもう疑いはないだろうと思います。併しながら世の中で行われています公文書偽造と、どうも裁判所なり検察庁なりで取上げる公文書偽造というのは大分範囲が違うようでありまして、世の中で我々が常識的に公文書偽造だと考え事項も必ずしも検察庁は取上げておらんのでありまして、実損を伴つたもの、完全に国が取られたもの、こういうようなものは問題になるわけでありますが、単純に公文書偽造ということになりますと、余り刑事問題には現在なつていないのが実情のようであります。又若しこれを仮に取上げるということになりますと、これは相当範囲の広いことになりまして、或いは収拾つかないような状態になるのじやないかとも思われますが、現在のところは取上げていないようであります。
  23. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 それではこれは私から発議するわけですが、次の委員会劈頭検察庁を呼びまして、そうして検察庁に対して厳重なる取締をやるようにということで委員会でやはり決議される必要がある、こう思いますので、私は次の委員会検察庁最高責任者を呼ぶということに何したいと思います。理由としては、今、検査院から言われておるように、この範囲の実際は直接には国に損害を与えないというようなものであつたならということでありますが、併しながら、だからといつてよう文書偽造をやつても大したことにはならないのだと、こういうことになりますれば、勢いこれは委員会幾ら審議を年々やつてつても、これは又何にもならないのだ、何にもならない、これは何にもならない証拠は、年々まあ検査院もここにおられて何ですが、我々が国会審議するようになつてからでも件数が減らないのですよ。毎年やはり殖えて来るのですね。増加する……、これはどういうところに問題があるかと言いますると、そのような点にやはり問題がありますから、そこで委員会としてはやはりこれをなくするためにも、こういつた批難を年々少くするためにも、やはりそういう措置がとられなければならない。そうしなければ、やはり綱紀の粛正ということはこれはいつまでたつてもできないのですから、だからかよう意味からして、次の委員会劈頭には、検察庁を証人或いは参考人として、それぞれ委員部のほうと委員長の間で一つ調べになつてようにして頂きたい、こう思います。
  24. 中川幸平

    中川幸平君 カニエ君の言われることは御尤もで異議があるわけじやないのですけれども、もう少しやつていれば非常に不可解なものが幾つも溜まるでしよう。その溜まつたときに一つ相談することにしたらどうかと思うのです。例えば、青森統計調査事事所の問題ですね、七十何方と、殊に架空名義庁舎まで買つたという非常に悪辣なものであるにもかかわらず、不起訴になつておる。不起訴になつておるにはなつておるだけの情状酌量すべき余地があつたので不起訴なつたものと思えば、例えば調査員なら調査員の実際の手当を払わなければならんものを、庁舎をこしらえるためにどうか寄附してくれというようなことで、納得ずくで寄附してもらつて、その金で或いは買つたかも知れん。そういうために七十万円になつておるにもかかわらず不起訴になつておるということもある。これを書面で照会するか、この不審のあるものを青森県なら青森検察庁に照会して、書類一つ調べて、なお且つわからんときに呼び出すというようなことをしても遅くないと思うのですがね。
  25. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 如何でしよう
  26. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 カニエさんの言うことも私わかるのですよ。で、同時にちよつと会計検査院に聞きたいのです。今のまあ一つの例、たまたま例だが、ほかのものにもいろいろあると思うのですね。まあ検査院でいろいろ御苦労なすつて調べに行く、実地検査をされて、或いは書類検査をされて、こういつた御処置をなさる、そうしてその中を見て行く際に、いわゆる前との関連がありまするけれども、今までのカニエさんの質問との関連もあるが、これはいわゆる予算上の仕組が悪いためにそのこと自体は止むを得ない事実だとまあ考えられるけれども予算上の仕組が悪いためにそうしたのだということがわかるような点がやはりあるのだと思うのです。個人の懐に入れる問題なんかだとこれは全然別問題ですけれども不当支出だというふうに一応は認めなければならんし、認めるべきことであつても、もう一枚割つて見る場合においては、予算仕組がやはり多少不当だというふうに見られる場合が、恐らくあるのじやないかと思うのですが、私はそういうようなことについて、検査院としては、例えば大蔵省方面つまり連絡をとつてこういうことがあつたが、これについては今後の支出を厳正にする意味から言つて考えたらどうかというような、何らかの方式において注意なり、何か勧告というと大袈裟ですが、したことがあるかどうか、それをちよつとお聞きしたい。
  27. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 今の御質問にお答えいたします。予算仕組と申しますか、御質問の点は仕組ということですが、大体は予算上の問題と言いますと、その役所に割当てられた予算が少いということが、予算関係から言いますと主たる原因ではないか、制度の上から特に何かの欠陥がある、制度としての予算の配付なり何なりに欠陥がある、こういうものは割合に少いのであります。そういう場合に、若し欠陥があれば会計検査院は相当にいろいろな注意を出しております。例えば一番いい例が、いわゆる年度違い繰越が非常にやかましいので、形式的な違法事項になる。年度違いという案件は、これは毎年検査報告に、相当たくさん掲げられておるのでありますが、これなどは少し取扱方が厳し過ぎるのじやないか。もつと繰越を簡単にしたらどうかというようなことは、もう何回か注意を出しまして、これは最近は非常に緩和されまして、年度違い案件というのも非常に減つて来ております。そういうふうに制度上なり、取扱上何か工合が悪いところがあるというようなものにつきましては、会計検査院としては、勿論これは注意書を出すなり、或いは実地検査のときに注意をするなり、十分いろんな手を尽しておりますが、これなども今問題になつております架空経理などは、余りそういう面のものはないのでありまして、たまたま分けてくれた予算が少い、こういうことに帰するのが多いのでありまして、或いは取ろうと思つた予算が取れなかつたり、庁舎を買おうと思つていたが、その予算がもらえなかつた、こういうような事態が多いのでありまして、これは国会で議決された予算を、その役所の大きさによつて、それぞれその省が分けるわけでありますから、これは会計検査院がとやかくいう趣旨のものではございません。これについては、別に私どもとしてはどうこういつたことはございません。
  28. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 今中川君の言われておるのは私の言つておることとお話が少上違うと思うのです。私は今言つておるのは、たまたまこの事建ついて、検察庁に対して、委員会がやはりもう少し厳重にやらねばいかんということを言つておるのじやないのです。これは私の言うのは、たまたまこの問題が、ここで話が出たからです。これも含まれて言つておるのであつて、過去何年間、かようなことはずつと続いて来ておるのです。実は今始まつたのじやないのです。何年も続けて来ておつて、而もこれが未だに是正されていない、ここに問題があるのであつてもう少し時期を見ておつてとか、どうとかいうのでなく、もつといわゆる各省庁共に自主的に、その自分のほうの役所のこういう不正行為者に対する取締を厳にするだろうか、或いはどうであろうかということをこの委員会としてはずつと眺めて来たわけなんですね。ところが年々そういつたものがいつも粛正されずに今日まで来て、又丁度こういつた同じ問題が二十五年度にも又同じように出て来ているから、これではこれはもう切りがない。だから何らかの形でやらねばならないのじやないか、それにはやはりもう少し法の適用と言いますか、検察庁取締というものをやはり厳格にする必要がありはしないか、こういうものを発見した場合ですね、そういう意味で私は言つているので、このこと自体の、この僅かないわゆる青森の問題だけを捉えて、そうするべきであるという意味じやないのですから……。
  29. 奥むめお

    委員長奥むめお君) ちよつと速記をとめて。    午後二時十五分速記中止    —————・—————    午後二時四十二分速記開始
  30. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 速記を始めて下さい。それでは只今カニエ委員から御発言がありましたよう架空支出をした問題という件が非常にこの頃多くなつておる、又刑事事件に紛らわしいこういう事件については検察当局の態度も糾明しなければならないという御意見でございます。つきましては、それに対する裏付としての資料をまとめて見たいという委員がたからの御意見もありますので、成るべく早い機会にわかりやすく整理して資料を出して頂きたい。これはどちらからでもよろしいほうで、して頂くことにいたしまして、その上で検察当局、法務大臣ですか或いは当局のほかの人ですか、これは又それまでにきめられると思いますから都合のいいときにこの決算委員会に招きましてそうして当局の意見も質し、決算委員会としてもこれからの態度をきめると、これでよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 奥むめお

    委員長奥むめお君) そのように進めることにいたしまして次に入ります。先ず五百六十八号はもう御質疑はないものと認めてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 奥むめお

    委員長奥むめお君) では御質疑は終了したものと認めます。  次に五百六十九号から五百七十一号までを問題に供します。専門員から殊に説明を要する事項がございましようか……、お願いいたします。
  33. 森荘三郎

    ○専門員(森荘三郎君) この中で五百六十九号と五百七十号は東北地方のことでもありましたので、この夏にこの委員会から実地調査に赴かれたことがありました。その委員は長谷山さん大屋さん、高橋さんの三名でありましてその実地調査報告が先日当委員会に提出されております。このときの御調査は東北地方全体につきまして農林省関係の、主として二十五年度の問題を御調査になつたのであります。従つて五百六十九号及び五百七十号につきましては先日の調査報告を御覧下さいますれば相当詳しい記事が出ておりますということを御参考までに申上けます。そうしてこの三件共通の点は予算以上の工事をこの年度内にやつてしまつて、金が足りないものでありまするからそれを次の年度の予算で以て支出をするというようなやり方をしておるものなのであります。ちよつと御参考までに申上げまするが、後の御審議の中に五百七十四号乃至五百七十八号、経費の年度区分をみだつたものというのがあります。これは当年度において仕事が進まなくしてそれを翌年度のほうへ持越し、併しその持越方が会計法違反というような形のものでありまして、とかく従来からありがちなことなのであります。ところが只今問題になつておりまするのは丁度それと反対の場合なのでありまして、こういう問題はどこにどういう欠点があるのかということなどを明らかにしたならば、大変予算使い方、或いは予算の組み方などの上におきまして参考になることが多いのではないかと思いまするので、ちよつとこれだけを申上げておきます。
  34. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 会計検査院或いは関係当局で何か御説明がありましようか。
  35. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 今の五百六十九号以下五百七十一号までの案件只今専門員から御紹介がありました通りに、予算以上に仕事をやつてしまいまして、或いは仮契約というよう名前で翌年度予算を引当てに工事を請負に出した、或いは借入金を一部したのもございますが、それも翌年度の予算で返すというようなことをしておるのであります、即ち同種の案件が揃つてずらつと並んでおるわけであります。五百六十九号、仙台農地事務局の山王海の溜池の工事はこれをやりましたので、又二十四年度にそういうことをやりましたので、二十五年度の予算が又穴があいてしまつて、二十六年度にも同種の借を残した、こういうような事態になつておるのでありまして、相当金額はいずれも大きいのであります。この三件につきましてはすべて農林省のほうの弁明を拝見をいたしましても、いずれも遺憾の意を表しておるような次第でありまして、私から特に重ねて申上げておくことはございません。
  36. 奥むめお

    委員長奥むめお君) ほかに御質疑……どうぞ。
  37. 棚橋小虎

    棚橋小虎君 こういうふうに予算を超えてやつたりしたのは、どういうところがこういうふうになつて来たのですか。
  38. 平川守

    政府委員(平川守君) これは根本的に元来を申上げますと、事業がかなり手を拡げておりましたのが、終戦後のインフレで非常に実質的な予算が減つてつたわけであります。名目的には殖えておりますけれども、実質的には非常に減つて来ている。そういうよう関係で、各事業所におきまして非常に仕事の一年間に行います分量が少ししかできない。予算の割当では少ししかできない。それに加えまして、一方地元といたしましては一刻も早く増産の効果を挙げたいという希望が非常に熾烈にあるわけであります。そこで或る程度進行いたしまして、まだ今年これだけの仕事ができるんだ、併しまあ予算がない、みすみす、ここで仕事をすれば来年は米がとれる、或いは再来年は米がとれるというような状況にありますので、非常に地元からも責められまして事業所長としては何とかして早く仕事を進ませたい、実際上進行さしたいということから、まあ苦し紛れれに国家から金を借りましたり、或いは請負者に仮契約のような形で仕事をさせる。事実上、大体の見通しとしては明年度においてこの程度の予算が出るだろうということは見通しがついておる。そういうことからこういうことになるわけでありまして、これは併し明らかに会計法上はいけないことでありましてこういうことは厳重に注意はいたしておりますけれども、どうもとかくそういうことにはなりがちな情勢にまああるわけであります。
  39. 奥むめお

    委員長奥むめお君) ほかに御質疑もないでしようか。……。では、五百六十九号から五百七十一号まで質疑は終了したものと認めてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 御異議ないものと認めます。  次に五百七十二号及び五百七十三号。最初に専門員から御説明を願います。
  41. 森荘三郎

    ○専門員(森荘三郎君) 五百七十二号につきましては別段附加えて申上げることはございませんが、五百七十三号のほうにつきましては相当詳しい記事が検査院の報告及び当局の説明書に出ておりまするが、これを一口に申しますると、検査院のほうでは、或る一定の経費をあちらこちらへ細かくばらばらに撒いてしまうと仕事の完成が遅くなるから成るべく一つの地方へ経費を集中してやつたほうが効果が挙がると、そういうよう注意をせよという御意見と存じます。それに対しまして当局のほうでも、それは御尤もなことではありまする、但しこの楠河地区といわれる所へ経費の一部を割きましたことは、特別な必要があつてされたことであるというふうに弁明が出ているのでありまするが、問題の中心点はその辺にあるということを一つ参考までに申上げておきます。
  42. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 検査院或いは当局で何か説明ありますか。……、ございませんか。
  43. 棚橋小虎

    棚橋小虎君 その放置してある工事の後始末、それはどういうふうになつているか、ちよつと御説明願いたいです。
  44. 平川守

    政府委員(平川守君) これはいずれも、その具体的の工事の施行に当りましてやはりいろいろ思わざる支障が出て来る場合の臨機の措置をいたした問題でありまして、この事情がやみますると直ちに一方の本来の仕事にかかつておるわけであります。この燧灘の問題等は、ここにありますように片一方に、同じ地区内でありますけれども、一方の場所が非常な危険な状態になつて来たというようなことからして臨機にそちらのほうを先にいたしたのでありまして、併しこれも成規の変更の手続をとつておりませんために訓戒をいたしております。その後において犠牲になりました場所も処置をしておる次第であります。
  45. 棚橋小虎

    棚橋小虎君 この予算を転用してやつたほうの工事は出来上つているのですか。これは完結したのですか。
  46. 平川守

    政府委員(平川守君) このあとの燧灘のほうのものにつきましてはすでに実施をいたしております。それから前のほうは、なお引続き状況がとの隧道工事に着手するに適するようになりませんので、これはまだ着手をいたしておりません。
  47. 奥むめお

    委員長奥むめお君) ほかに御質疑ございませんか。……それでは御質疑は終了しました。五百七十二号、五百七十三号。
  48. 棚橋小虎

    棚橋小虎君 これは質疑ないものとして片付けて行かずに、保留しておいて頂けないでしようか。まだ委員のかたの御出席も少いようですし、相当巨額の金額がここに支出されたりしていろいろになつておるのですが、御出席の委員も少いようなのにこれを片付けて行くということはどうですか。質疑だけをして決定は一応保留して頂けないでしようか。
  49. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 質疑は一応終了したものといたしまして、あとは又この次にでもあなたから御質問を出して頂く、このようにしてよろしうございますね。じや、皆さんそれで御異議ございませんですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 奥むめお

    委員長奥むめお君) では御異議ないものと認めまして、第五百七十二号及び五百七十三号の質疑は一応終了したものと認めます。  次に五百七十四号から五百七十八号までを問題に供します。検査院或いは当局におかれまして何か御説明がございますか。
  51. 平川守

    政府委員(平川守君) 本件は、先ほどもちよつと御説明がございましたが、本来その年度内に工事を完結すべきものを、殊に気候その他の関係等からいたしまして完結し得なかつた。これに対して、本来申せば明年度において事業を行うべきものを、その年度内に完成したという建前にいたしまして、その年度内に金を支出しておるという案件でございまして、これは明らかに違法でありますので、これらの関係局長に対してはそれぞれ戒告の処分をいたしております。ただこの問題につきましては、先ほどもお話がありましたように、余りに年度の区分が厳格でありますと、この種の事業といたしましては無理もありまするので、これは財政法のほうの改正によりまして繰越明許の措置が比較的簡単にとり得るようになりました。今後はこの種の案件は出ないと申上げて差支えないと思います。
  52. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 御質疑はございませんでしようか。……では御質疑はないものと認めてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 奥むめお

    委員長奥むめお君) それでは御質疑は一応終了したものと認めます。  次に進みます。五百七十九号から五百八十二号まで。検査院或いは当局におかれまして何か御説明頂くことがありますか。
  54. 平川守

    政府委員(平川守君) これはいずれも技術的の問題に関係いたしますので、五百七十九号或いは五百八十二号、この問題につきましては技術的に多少の問題があるのでありますが、やはりこういう事業の性質上例えば五百七十九号につきましては当時こういう種類の機械の入手が非常に困難であつたといつたような状況のためにこれが非常に遅れましてやや無駄を出したというようなケースでございます。これにつきましては十分注意をいたさせましてそういうことのないように戒告をいたしております。なお五百八十号のごときは実際に仕事が設計通りの施行をいたしておらないということが判明いたしましてこれは明らかに非常に不当でございますので、その部分工事費、ここに上つております二十五万五千円につきましては返却を命令いたしております。そのほか局長に対しては戒告の処分をいたしておりまして、今後こういうことにつきましては明らかに不当でありまするので厳重に注意いたしたいと、かよう考えております。
  55. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 御質疑ございませんか。ちよつと速記をとめて。    〔速記中止
  56. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 速記を始めて。第五百七十九号から五百八十二号までの問題は一応質疑を終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 奥むめお

    委員長奥むめお君) 御異議ないものと認めます。  今日はこれにて閉会いたします。どうも有難うございました。    午後三時十五分散会