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1953-03-10 第15回国会 参議院 経済安定・通商産業連合委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年三月十日(火曜日)    午後二時五十二分開会   —————————————  出席者は左の通り。   経済安定委員    委員長     三好  始君    理事      山田 佐一君    委員            岩沢 忠恭君            羽生 三七君            永井純一郎君   通商産業委員    理事            境野 清雄君    委員            古池 信三君            小滝  彬君            左藤 義詮君            重宗 雄三君            黒川 武雄君            山本 米治君            奥 むめお君            島   清君            西田 隆男君   政府委員    内閣官房副長官 菅野 義丸君    公正取引委員会    委員      湯池謹爾郎君   —————————————   本日の会議に付した事件私的独占禁止及び公正取引確保  に関する法律の一部を改正する法律  案(内閣送付) ○私的独占禁止及び公正取引確保  に関する法律の一部を改正する法律  施行法案内閣送付)   —————————————
  2. 三好始

    委員長三好始君) 只今より経済安定、通商産業連合委員会を開会いたします。  私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案並び私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律施行法案、両法案を議題にいたします。先ず政府より提案理由説明を願います。
  3. 菅野義丸

    政府委員菅野義丸君) 只今上程されました私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案について提案理由を御説明いたします。  昭和二十二年七月に独占禁止法施行されましてから早くも約五カ年半を経過いたしたのでありますが、その施行の経験に徴しまして、本法の諸規定のうちには我が国経済の独立と実態に副わないものがあり、これがため経済の発展に却つて支障を来す虞れがあることが感ぜられたのであります。もとより国民経済の民主的で健全な発達を促進するため、私企業による市場独占のもたらす諸弊害を除去し、公正且つ自由な競争を促進しようとする独占禁止法根本精神は飽くまで尊重すべきものでありますが、この際、内外諸情勢の推移に鑑みて独占禁止法に適当な調整を加える必要がありと考え本法律案を提出するに至つた次第であります。  本法案改正の項目は多岐に亘つておりまするが、その主要なものは、特定の場合、即ち不況に対応するため必要がある場合及び合理化遂行上特に必要がある場合における事業者共同行為一定条件の下に認容したこと、企業の健全な結合に資するために株式保有役員選任等制限を緩和したこと、不公正且つ不健全な競争乃至取引方法を抑制するため、不公正な競争方法に関する現行法規定整備したこと、事業者団体法を廃止して、必要な事項を独占禁止法中に収めたこと等であります。  以上が本法律案提案目的及び要旨であります。何とぞ御審議上速かに御可決あらんことをお願いいたします。  次に私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律施行法案提案理由を御説明申上げます。  先に上程されました独占禁止法の一部を改正する法律案が幸い御可決となり施行されますときには、現行独占禁止法及び事業者団体法との関係から施行上の経過措置を講ずると共に、関係法令規定整理する必要がありますので、この法案提案する次第であります。  本法案要旨の第一は、独占禁止法改正及び事業者団体法の廃止に伴いすでに審決の確定した事件、審判又は訴訟係続中の事件取扱い等につき所要経過措置を講じたことであります。第二は、特定事業者団体に対する適用除外規定及び独占禁止法適用除外に関する関係法令その他の規定整理したことであります。  以上が本法案提案目的及び要旨であります。何とぞ御審議の上、速かに御可決あらんことをお願いいたします。
  4. 三好始

    委員長三好始君) 次に両法案につきまして補足説明公正取引委員会湯池委員からお願いいたします。
  5. 湯池謹爾郎

    政府委員湯池謹爾郎君) 只今ありました説明に対しまして私から多少補足して御説明申上げたいと思います。先ず第一に、独占禁止法の一部改正法律案についてでありまするが、本改正法律案によりまする改正点の主な第一点は、現行独禁法におきまして特定共同行為の形式的な禁止を、当該行為一定取引分野における競争を美質的に制限する場合となることだけに緩和しようということであります。それから更に不況に対処するため又は合理化遂行上特に必要である場合におきまする特定共同行為、いわゆるカルテル条件附で認めるということであります。独占禁止法法益といたしますところは、要するに自由競争秩序確保することでありまして、従つてこの自由競争秩序を侵害するか又は侵害する蓋然性の高いものが独占禁法上違法であるとせらるべきものでありまして、これらの程度に達しない行為は、たとえそれが事業者共同行為であるにしても、独占禁止法上違法とすべき積極的な理由は存しないものと考えます。ところが現行法におきましてはその第四条におきまして、これを競争に対する影響軽微なもの以外はすべて形式的画一的に禁止しておるのであります。従つて或る取引分野におきまして有効な競争が活発に行われておるにもかかわらず、或る共同行為を形式上は違法としなければならないというような、社会通念上から見ても不都合な事態が生ずることとなるのであります。よつてこの際共同行為に対しまする形式的な禁止をやめて、一定取引分野におきまする競争を実質的に制限することとならない限りこれを認めるということにいたしたのであります。又戦後の日本経済は幾多の脆弱性を持つており、我が国産業不況若しくは恐慌に対応する力が十分であるとは言えず、又不況が深刻化した場合におきまして、我が国産業が重大な危機にさらされることすらも予想されるのであります。このときにおきましてこの事態の救済を、単に自由競争による自動調節作用にだけ求めるということは、場合によつて産業界における破滅的競争を招来し、その結果日本経済に回復することのできない損害を及ぼす危険性があると思われるのであります。従いまして事業者が共同して過剰生産による需給の不均衡を調節し、又は市価の安定を図るなど、この不況に対処すべく必要最小限度の方途を講ずることは、これは必要止むを得ないことであると考えるのであります。又規格の統一とか製品の標準化、廃物、副産物の共同利用などのように、むしろ生産費の引下げ、技術の向上、能率の増進等企業合理化をもたらすような特定共同行為については、単に当該事業者利益をもたらすばかりではなく、我が国産業進歩発達に裨益するところが大であると考えるのであります。  政府は以上述べました二つの場合におきまする事業者特定共同行為を、現行独禁法上の規定によつて画一的に禁止することの適当でないということを認めますると共に、事業者共同行為がその性質上、自由競争の長所を没却し、往々にして関連事業者若しくは消費者等に徒らな不利益を与える危険のあることを考慮いたしまして、共同行為を原則的に認め、その弊害のみ規制するという方式、例えば単なる届出制度を採用し、不当と認められる場合には、これを事後に取締るというような方式によることは妥当でないと考えまして、特定共同行為につきましては、一定の要件と認可制の下にこれを例外的に認容することにいたした次第であります。  次に本改正案の主な第二点といたしまして、現行法第四章関係規定を緩和したことであります。我が国経済脆弱性一つとして、企業が濫立し、且つその資本構成が不健全であり、その結果単位企業経済力国際的視野において総体的に弱いことは周知の通りであります。そのために企業整備、合同による合理的な再建、証券消化の促進による資本の蓄積が強く要望されているのであります。この点につきましては、昭和二十四年の本法改正によりまして若干の解決を見たのでありまするが、なお現行法株式保有役員兼任等について厳格に過ぎ、若しくは不当に画一的な制限があることが認められますので、これを是正し、一定取引分野における競争を実質的に制限することとなるか、又は不公正な取引方法を用いる場合のほか、原則的に自由に株式保有し、役員を兼任し得ることとするのが当を得たものと考えた次第であります。  次に本改正案の主な第三点は、現行法の「不公正な競争方法」を「不公正な取引方法」と改めて、その内容整備したことであります。本来公正且つ自由な競争は、価格、品質及びサービスの三面を中心といたしまして、事業者の創意と責任と計算によつて行われるべきものであると思うのでありますが、競争が激甚になると共に、例えば特定事業者市場から排除するための不当な取引拒絶、ダンピングと称せられる不当な廉売による競争者の駆逐、他の事業者に対する不当な差別扱い競争者取引相手強制奪取取引上の優越した地位を濫用する一方的な取引条件強制、又は不当な手段による競争会社の乗取りのような不公正且つ不健全な取引方法が現れて、これが公正な競争秩序を侵害することとなることは、戦前の日本経済の実情に照らしても言い得ることであります。従つてこれら不当な競争手段を抑制する必要がありますので、現行法におきましても「不公正な競争方法」として所要規定が置かれておるのでありまするが、最近におきまする競争激甚化に伴いまして、この種の規定のより一層の整備が強く要望されておりますので、この際この要望に従つて現行法に適当な改正を加えることといたしたのであります。  本改正案の主な第四点といたしましては、現行事業者団体法を廃止し、その必要な規定はこれを本法中に収容したことであります。我が国事業者団体法は、独占若しくは不当な取引制限がしばしば事業者団体中心として行われるという過去の事例に徴して、個々の事業者行為を規制する独占禁止法に対して、事業者団体行為を規制するために生れた補完法規であります。併し昨年八月の改正によりまして、本法法益独占禁止法法益とほぼ同一となつておりまして、これを単行法として存続せしめる積極的な理由は存しなくなりましたので、この際事業者団体法規定でなお必要なものは独占禁止法中に収容いたしまして、団体法はこれを廃止することにいたした次第であります。  以上申述べましたことは、今次改正法律案の主な点でありまするが、このほか私的統制団体禁止に関する規定事業能力較差に関する規定を削るということにいたしましたが、これは他の規定によりまして取締の実を挙げることができると認めたためであります。その他商標付日用品、若しくは書籍などの定価売制度を認めるなど、実体的な改正を行うと共に、以上の改正点に伴いまして手続規定罰則規定等所要改正を加えておるのであります。  以上は本改正法律案提案理由及び要旨でありまするが、次にその改正法の各条文につきまして極く簡単に御説明いたしたいと思います。  この第一条は、先ほども申しました通り「不公正な競争方法」というのを「不公正な取引方法」としていろいろ規定整備しました関係上この名前をただ変えただけであります。それから第二条において、現行法におきまして、この法律において「事業者とは、商業、工業、金融業その他の事業を営む者、」こう書いておるのでありまするが、これはその下にありまする通り「営む」という字を「行う者」、こういうふうになつておるのであります。というのは、事業者団体法を廃止しまして、その必要の規定本法に移しました関係上、必ずしも営利の仕事、営利目的としなくとも、この事業者団体自体をこの規定において事業者とする必要があるという関係もありまして、この「営む」という言葉を使えば営利目的とするという意味に取られる虞れがありますので、「事業を行う者」というふうに改めたのであります。それからその後段に「事業者利益のため」云々と、この規定事業者団体の場合に適用されるのでありまして、これは現行法事業者団体法にもこの規定がありまして、これをこれに移したに過ぎないのであります。それから第二項がいわゆる事業者団体定義でありまして、これは大体現行法と同じで、多少それを要約したものであります。それから第三項は現在役員定義があるのでありまするが、今度はやはり事業者団体が入つて来ました関係上、「理事」「監事」という言葉がこれに加わつただけであります。それからちよつと非常にわかりにくくなつておりまするが、二項になつて三項になつて、四項、この四項が現行法では二項になつております。これもやはり競争定義に関する関係だけでありまして、ただ「国内における」という言葉を取つただけでありまして、これは後に申しまするが、第六条の改正に基きまして国際的協定或いは国際的契約不当な国際契約等に加入することを禁止するという改正に伴いましてこれを削除いたしたのであります。それから第六項、この「不当な取引制限」という言葉の中に「対価を決定し、維持し、若しくは引き上げ、又は数量、技術装品、設備若しくは取引相手方制限する」という言葉が入つておるのであります。これは先ほども御説明の際に申上げたのでありまするが、現行法の第四条におきまして、ここに挿入しましたような共同行為自体違反になるということになつてつたのでありまするが、これを今度の改正によつて、これが現行の第三条、いわゆる不当な取引制限一つ例示という形にいたしまして、結局一定取引分野における競争を実質的に制限するということにならなければ、単なる行為自体取締るということにいたさないということにいたしました関係上、この不当な取引制限例示としてここに挿入いたしたわけであります。それから「不当な事業能力較差」の規定は、これは今回の改正におきまして全部これは削除しておりまして、不当な取引制限になるような事業に対しては他の独占だとか或いは取引制限というような規定で、実際弊害がある場合には取締り得るという考えから、不当な較差という第八条の規定というのはこの際削除いたしたのであります。それからこの改正法の七項、これは公正な取引方法について規定しておるのでありまして、これは現行法では「公正な競争方法というのを「公正な取引方法」ということにいたしまして、現行法ではその上にありまする一号から六号に掲げるもののほか、第七号で公取において指定したものはこれと同じような効力を持つという一種の準立法権を持つてつたのでありまするが、今回におきましてはその準立法権というものをやめまして、一応この七項の各号に掲げておりまするものを限度といたしまして、そうして而もそのうちから公正取引委員会が指定したものを公正な取引方法にするということに改めたのであります。  それから第四条は、先ほども申しました通り現行のような規定をやめまして、これを第三条の不当な取引制限例示行為としてこれに吸収いたしたのであります。従つて形式的なこういう共同行為は、その形式的に共同行為であるということのために違法となるということがなくなつたわけであります。それから第五条の事業者一手買取及び一手販売方法による団体或いは私的統制団体というこの規定は、これは削除いたしたのであります。これは過去の統制団体を排除するという経過的な意味も持つておりましたので、又実際上一手買取或いは一手販売弊害を生ずる場合にはほかの規定取締ることができるという意味でこの規定は削除しております。それから第六条、これは現行法のうち国内関係事業者貿易についての協定内容とする協定については、これは他の法律に譲ることにいたしまして、ここでは単に国際的協定又は国際的契約に関する部分だけを残したのであります。二項以下はこの改正に伴う届出等関係規定したのであります。それから第七条は、これは今までの改正に伴う条文整理ということであります。  それから第三章は、現行法では不当な事業能力較差に関する規定があつたのでありまするが、この較差規定は全部削除いたしました関係上、そこに穴ができて、丁度それを事業者団体法が廃止されましたが、併し独禁法に挿入する必要がありまする事業者団体法関係規定をこの第三章の中に入れたのであります。そうしてこの内容は、現在の事業者団体法規定の必要な部分だけを要約して入れておるのでありまして、これは現行法変りはありません。  それから第四章の第九条につきましては、むしろ本来特殊会社であるものだけにいたしまして、現行法の第四項のように「特殊会社とみなす」というような、みなす規定を削除いたしまして、本来の特殊会社だけを作つてはいけないということに改めたのであります。それから第十条は、会社は、直接又は間接たるとを問わず、一又は二以上の他の会社株式又は社債を取得し云々とありまするが、これをその前段のほうを削除いたしましたことと、その第二項に、競争会社は、相手会社の一株たりといえども持てないという形になつておりますのを、これは持つてもよろしい、但し一定取引分野における競争を実質的に制限することとなるような場合にはいけない、そうでなければ競争会社の株でも持つてよろしいという規定に直したのが第一項であります。それから第二項は、金融関係会社は従来事業会社の株を五%しか持てなかつたのを、この際それを一〇%まで持てることにして、而もそれ以上に持つ必要がある場合には公正取引委員会認可を受けて持つことができる。併しその認可の場合に大蔵大臣と協議をして認可する、こういうことにしてあるのであります。これ以外は変りはありません。金融会社関係は第十一条にも関連しております。それで株の関係について要約して申上げますと、従来会社相手方会社の株を持つ場合に、その持つた会社とそうして持たれた会社との間、或いは持たれた会社二つつた場合に、その二つ会社間の競争制限する場合に持つてはいけない、それから一定取引分野において実質的に制限する場合には持つてはいけない、それから競争会社関係にあるときには一株たりといえども持つてはいけない、ただ親子関係にある場合には持つてもよろしいという規定であつたのを、今回の改正では、競争会社であろうがなかろうが、その株式を取得することによりまして一定取引分野競争を実質的に制限することとなる場合だけ株式を持つてはいけないということと、もう一つは不公正な取引方法によつて株式を取得した場合はいけない、それ以外は持つてよろしいということになつたわけであります。そうして金融会社については従来五%であつたのが一〇%になり、その限度を超える場合にも許可を受けてやればよろしいということになつたわけであります。それから十三条、これは役員兼任制限でありまするが、これは従来会社役員若しくはその従業員競争会社役員又は従業員となることができなかつたのでありますが、今度の改正によりまして、これはやはり一定取引分野におきます競争を実質的に制限しない限りよろしいということになつたわけ一であります。それから十四条は、これは第十条の際に申上げました通り会社以外の者が株式を持つ場合に、やはりこれは一定取引分野における競争を実質的に制限する場合、或いは公正な取引方法によつて株式を取得する場合以外は現行のようないろいろな場合に禁止しておりますのをやわらげまして、やつてよろしいということにいたしたのであります。ただ会社以外の者が相互に競争関係にある二以上の国内会社の株を持つ場合に、おのおのの会社の一割以上を超えて持つことになつた場合には公取届出が必要だということにいたしたのであります。それから第十五条の合併の場合でありまするが、これは先ほども申上げました不当な事業能力較差になる場合併ができないという頂があつたのでございまするが、その頂だけを削つたということになつております。従つて一定取引分野における競争を実質的に制限する場合、或いはその合併が不公正な方法による場合でなければ合併してよろしいということになるわけであります。それから細かいことでありまするが、十五条の第三項というのは、これは従来会社合併というものは公取に対して届出をいたしまして、そうして三十日たちますれば登記ができることになつております。そうして公取がその合併文句があればその三十日の間に文句を言うという建前になつてつたのでありますが、それを例えば問題のない会社合併については、その三十日を飽くまで維持する必要はないので、必要に応じてはその三十日を十日とか五日とかに短縮してもよろしいという規定設たけのがこの第三項であります。それからその以後は、大体条文整理関係であります。  それからずつと飛びまして、新法の第二十四条の二、再販売価格維持契約、これは現行法にないのでありますが、これは、例えばここに書いてありまする通り、広く一般に知られておりまずる氏名若しくは商標商号等を持つた商品であつて、而もその商品日用品であり、又それと同種商品が、ほかにも自由に競争的な同種商品がある場合に、そのメーカーなり或いは販売業者がその先の売値を維持する契約を結ぶことができる。言い換えれば定価売をすることができるという規定であります。この規定を認めたのは、現行法におきましても或いはこういう解釈ができないこともないのでありまするが、併し先々の売値を指定することは、その業者の自由を拘束する虞れもあつて独禁法違反になる虞れもあるのでありまして、その規定ではつきりそれができるということにいたしたのであります。  それからその次の第二十四条の三、これは不況に対処するための共同行為、これはここにあります通り不況の場合には一定制限の下において主務大臣認可を受けた共同行為は認めようという規定でありまして、この規定と、次にありまする合理化の必要の場合の共同行為を認めるという点につきましては、本法改正の一番問題になつた点でありまして、又一番主眼といたしておる点であります。この経過についてちよつと簡単に申上げますと、こういう不況の場合或いは合理化の場合、それから本法には規定しておりませんが、貿易上必要があるという場合には、一定条件の下に業者カルテルを認めてもいいのではないかということが前から話がありまして、いろいろ研究して参つたのであります。そうしてこの本法規定はどちらかといいますれば、現在西ドイツにおいて考えられておりまする競争制限防止法に倣つたような形になつたのであります。即ちこの三つの場合にカルテルを認めるということでありまして、ただその場合にこのカルテル許可によつて認めるか、先ず届出によつてカルテルをやつて、そうしてそれがどうしても独禁法上認めるわけにいかんという程度のものであれば、あとでそれを是正するというやり方にしたらどうかという二つ考え方があつたのであります。言い換えれば、許可制にするか届出制にするかという考え方でありまして、これはイギリスの立法等においては大体届出制でやる、そうしてあとで調べて見て、不都合があれば是正するというやり方であります。ドイツのやり方は、これはやはり事前許可を受けてやるというやり方であります。アメリカでは輸出の場合に或る程度認めております以外は認めておらないのであります。それでいろいろこの点について議論があり、或いは財界のほうからもいろいろ意見があつたのでありまするが、結局はこれは事前許可にかからして、そうして認めるということになつたのであります。併しその場合でもどこがその許可をするかという問題がやはり政府部内にあつたのであります。公取の初めの案といたしましては、やはり独禁法施行して行く限り独禁法的見地から許可する場合には、独禁法施行の責任者である公正取引委員会認可すべきであるという意見であつたのでありますが、通産省或いは経済審議庁等の意見では、これはやはりその主管のその産業行政の主管大臣が、やはり産業行政の一環としてその責任を持つ関係上、主務大臣認可にするほうがよくはないか、又どうしてもそうしてもらいたいというような意見がありまして、この関係で実は二度までも閣議決定があつたというようないきさつがありまして、結論的にはここにあります通り認可は各主務大臣認可する、併し主務大臣認可する場合には、その前提行為として公正取引委員会が、ここに挙げておりますような業態或いは条件に適つているかどうかという認定を公正取引委員会がする。そうしてその認定したものについて主務大臣認可する、こういう建前になつております。この点は公正取引委員会が認定して主務大臣認可した共同行為については、独占禁止法のこの規定の適用を除外するというやり方でこの規定ができておるのであります。そうしていま一つこの規定で申上げたいのは、この共同行為を認めるのはいわゆる生産業者共同行為についてこれを認める、販売業者或いはサービス業者というものについての共同行為は認めていないのであります。それからこれは原則として生産数量、販売数量、設備の制限この三つの共同行為について適用除外を認めておるわけであります。ただその第三項にどうしてもこれら三つの協定だけではできない場合、いわゆる技術的な理由によつてその商品の生産数量を制限することが著しく困難である、例えば銅を採掘する場合に同時に銀が出て来るというような場合も一つの例であるかと思います。或いは化学工業等の一部のものについてもそういう例があろうかと思いますが、そういうように生産数量の制限等ではその不況克服の目的を達せられないような場合には価格協定も認めようということによつて、これは例外的にそういうような場合に価格協定を認めることになつております。それから、主務大臣が以上申しました通り認可をするわけでありまするが、今度は公取の立場で認可した後にいろいろな条件なり或いは業態が変化することによつて、そのカルテル認可の基礎が変つて来たというふうに公取の立場から見て考えられた場合に、主務大臣にそれを変更若しくは取消を申出ることができる規定があるのであります。そうしてその申出をした場合に、一カ月を経過すればその適用除外の恩典がなくなるという規定があるわけであります。  それから第二十四条の四、これは合理化のための共同行為でありまして、これもここにあります通り、この合理化のために協定のできる場合といたしましては、技術若しくは品質の制限、原料若しくは製品の保管或いは運送施設の利用ということのほかに副産物或いは屑鉄というようなものの共同行為というようなことを合理化の必要がある場合、やはり主務大臣認可を受けてできるということになつております。即ちこれに対するいろいろな取消請求の場合或いは不服のあつたような場合というのは、これは前の不況カルテルと同じようなことになつて、これも前の規定を準用しておるのであります。  それからそのほかの第七章の損害賠償、これは今の「不公正な競争方法」というのが、「不公正な取引方法」と名前が変つた関係上その改正だけであります。  それから第八章の「公正取引委員会」のいろいろ変つおります点は、やはり「不公正な取引方法」ということに直つた関係と、それから今の公正取引委員会の認定というようなことができました関係上、その所掌事務に改正を加える必要がある関係上であります。手続その他につきましては大体今までの改正に伴いまして、条文整理或いは言葉整理ということになつて、実質的な改正はいたしません。罰則も従つて事業者団体法関係の分がこちらに移つた関係上相当改正しているように見えるのでありまするが、これは事業者団体法にあつた規定を移したのが大部分であります。  以上で独禁法本体の改正について非常に下手な説明をいたして恐縮でございますが、一応説明いたしたことになつたわけでありますが、次にその施行法を申上げますと、これは特に取立てて申上げる点はないのでありまするが、その第一条は、すでに新法の施行前にあつた行為であつて、而も審決の確定した分については旧法による、これは当然のことであります。それからこの改正法施行前のものであつて公正取引委員会の審決の確定していないものについては原則として新法によるということを明らかにしただけであります。  それからその第二条というのは、この第一条の今申しました第一項に、従来新法施行前に審決の確定したものは旧法によつてその審決自体が生きておるわけでありまするが、この第二条で、今回の改正によりまして、従来は違法であつたが、新法によれば違法でないというような場合に、その審決自体を維持することが不当であつて、公共の利益に反すると認められる場合には、これは審判手続を経ないで、審決でこれを取消すことができる、或いは変更することができるということを書いた規定であります。それからそれ以外は、従来各法律におきまして独占禁止法及び事業者団体法適用除外をしておつた法律があるのでありまするが、これは今度事業者団体法がなくなつたということと、そうして事業者団体法の一部が独占禁止法の中に入つたということに関連しまして、一々各法律を直すのが厄介であります関係上、ここに一括してこれに関連のありまする各法律の当該条文を訂正いたしたのであります。  ただ一点申上げておかなければならんと思いますのは、第六条でありまするが、第六条で蚕糸業法の一部を改正しております。これはやや実質的の改正でありまして、これは政府において実はこの国会に蚕糸業法の一部を改正する法律案を用意しておつたのでありまするが、それがどうしてもできなくなりました関係上、この点だけはどうしても改正いたしたいという点をこの第六条の中に入れておるのであります。その要点と申しますのは、農業協同組合若しくは農業協同組合連合会から繭を買受ける製糸業者が、従来製糸業者のほうで団体を組んで農協若しくはその連合会と団体協約をいたします。と、農協及び連合会のほうは別の法律独禁法適用除外になつております関係上、法律には触れないのでありますが、製糸業者のほうは共同行為ということになつて独禁法に触れるということになつておりましたが、それを今度はそういう団体協約の場合に製糸業者に対しましてこの独禁法規定を適用しないということをこの第六条において改正いたしたのであります。これは農林省の強い要望がありまして改正いたしましたので、実質的の改正はこの点だけでありまして、あとは只今申しました独禁法改正事業者団体法の廃止に伴う関係法令条文整理というふうにお考えになつて結構かと思います。  以上簡単でございましたが、御説明申上げる次第でございます。
  6. 三好始

    委員長三好始君) 両法律案につきまして提案理由説明並びに補足説明を承わつたのでありますが、本日の連合委員会は説明を聞くことにとどめて、質疑は次回にいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 羽生三七

    ○羽生三七君 日程については異議ありませんが、資料の提出をお願いしたいのですが、事業会社株式の所有は制限されておるわけです。併し総額五百万円以上のものは公取にその報告書を出すことになつておりますが、この改正案審議する上に、主要な事業会社の持株だけの資料を提供をしてもらえるように委員長からお計らい願いたい。
  8. 三好始

    委員長三好始君) 只今羽生委員から要求のありました資料は準備できますか。
  9. 湯池謹爾郎

    政府委員湯池謹爾郎君) 主な会社で。
  10. 羽生三七

    ○羽生三七君 主要なものでいいのです。全部と言つても大変でしようから。
  11. 湯池謹爾郎

    政府委員湯池謹爾郎君) 総資産五百万円以上ということになつて、今度は一億円に改正案ではなることになつておりますが。
  12. 山田佐一

    ○山田佐一君 一千万円以上の増資は公取認可が要る、一千万円以上の会社は……。
  13. 湯池謹爾郎

    政府委員湯池謹爾郎君) 増資は証券取引委員会。
  14. 山田佐一

    ○山田佐一君 一億までは何も認可は要りませんな。
  15. 湯池謹爾郎

    政府委員湯池謹爾郎君) やはり証取法で要ることになつております。これはたしか現在改正になつておると思います。これは大蔵省のほうです。
  16. 左藤義詮

    左藤義詮君 今の御説明にございました、特定事業者市場から排除するための不当な取引拒絶、ダンピングと称せられる不当な廉売による競争者の駆逐、他の事業者に対する不当な差別扱い競争者取引相手強制奪取取引上の優越した地位を濫用する一方的な取引条件強制、又は不当な手段による競争会社の乗取りというようなことをお挙げになつたのですが、そういうことが、或いはそれに近いようなことがありました実例、その主なものを極く簡単で結構ですが……。
  17. 湯池謹爾郎

    政府委員湯池謹爾郎君) 過去の実例ですか、或いはこういう場合というのですか。
  18. 左藤義詮

    左藤義詮君 過去の実例を、成るべくそれに近い問題になつたことですね。あなたのほうでお調べになつて、こういう特に法律をいろいろしなければならん、今までのそういうすれすれのものもいろいろありましようけれども、そういうところの主な実例を一つ資料にして、簡単で結構でありますから……。
  19. 三好始

    委員長三好始君) 他に資料の要求にありませんか。それでは只今要求のありました資料につきましては成るべく早急に御提出をお願いしたいと思います。  本日の連合委員会はこれで閉会いたします。    午後三時五十一分散会