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1953-03-10 第15回国会 参議院 経済安定・通商産業連合委員会 第2号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十八年三月十日(火曜日) 午後二時五十二分開会
—————————————
出席者
は左の
通り
。
経済安定委員
委員長
三好
始君
理事
山田 佐一君
委員
岩沢
忠恭
君 羽生 三七君
永井純一郎
君
通商産業委員
理事
境野 清雄君
委員
古池 信三君 小滝 彬君
左藤
義詮君 重宗 雄三君 黒川 武雄君 山本 米治君 奥 むめお君 島 清君 西田 隆男君
政府委員
内閣官房
副長官
菅野
義丸
君
公正取引委員会
委員
湯池謹爾郎
君
—————————————
本日の会議に付した
事件
○
私的独占
の
禁止
及び
公正取引
の
確保
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律
案(
内閣送付
) ○
私的独占
の
禁止
及び
公正取引
の
確保
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律
施行法案
(
内閣送付
)
—————————————
三好始
1
○
委員長
(
三好始
君) 只今より
経済
安定、
通商産業連合委員会
を開会いたします。
私的独占禁止
及び
公正取引
の
確保
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案並び
に
私的独占
の
禁止
及び
公正取引
の
確保
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律施行法案
、両
法案
を議題にいたします。先ず
政府
より
提案理由
の
説明
を願います。
菅野義丸
2
○
政府委員
(
菅野義丸
君) 只今上程されました
私的独占
の
禁止
及び
公正取引
の
確保
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
について
提案
の
理由
を御
説明
いたします。
昭和
二十二年七月に
独占禁止法
が
施行
されましてから早くも約五カ年半を
経過
いたしたのでありますが、その
施行
の経験に徴しまして、
本法
の諸
規定
のうちには
我が国
の
経済
の独立と実態に副わないものがあり、これがため
経済
の発展に
却つて支障
を来す虞れがあることが感ぜられたのであります。もとより
国民経済
の民主的で健全な
発達
を促進するため、私
企業
による
市場独占
のもたらす諸
弊害
を除去し、公正且つ自由な
競争
を促進しようとする
独占禁止法
の
根本精神
は飽くまで尊重すべきものでありますが、この際、内外諸情勢の推移に鑑みて
独占禁止法
に適当な調整を加える必要がありと考え本
法律案
を提出するに
至つた
次第であります。 本
法案
の
改正
の項目は多岐に亘
つて
おりまするが、その主要なものは、
特定
の場合、即ち
不況
に対応するため必要がある場合及び
合理化
の
遂行
上特に必要がある場合における
事業者
の
共同行為
を
一定
の
条件
の下に認容したこと、
企業
の健全な結合に資するために
株式
の
保有
、
役員
の
選任等
の
制限
を緩和したこと、不公正且つ不健全な
競争
乃至
取引方法
を抑制するため、不公正な
競争方法
に関する
現行法
の
規定
を
整備
したこと、
事業者団体法
を廃止して、必要な事項を
独占禁止法
中に収めたこと等であります。 以上が本
法律案提案
の
目的
及び
要旨
であります。何とぞ御
審議
の
上速
かに御可決あらんことをお願いいたします。 次に
私的独占禁止
及び
公正取引
の
確保
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律施行法案
の
提案理由
を御
説明
申上げます。 先に上程されました
独占禁止法
の一部を
改正
する
法律案
が幸い御可決となり
施行
されますときには、
現行独占禁止法
及び
事業者団体法
との
関係
から
施行
上の
経過措置
を講ずると共に、
関係法令
の
規定
を
整理
する必要がありますので、この
法案
を
提案
する次第であります。 本
法案
の
要旨
の第一は、
独占禁止法
の
改正
及び
事業者団体法
の廃止に伴いすでに審決の確定した
事件
、審判又は
訴訟係
続中の
事件
の
取扱い等
につき
所要
の
経過措置
を講じたことであります。第二は、
特定
の
事業者団体
に対する
適用除外規定
及び
独占禁止法
の
適用除外
に関する
関係法令
その他の
規定
を
整理
したことであります。 以上が本
法案提案
の
目的
及び
要旨
であります。何とぞ御
審議
の上、速かに御可決あらんことをお願いいたします。
三好始
3
○
委員長
(
三好始
君) 次に両
法案
につきまして
補足説明
を
公正取引委員会湯池委員
からお願いいたします。
湯池謹爾郎
4
○
政府委員
(
湯池謹爾郎
君) 只今ありました
説明
に対しまして私から多少補足して御
説明
申上げたいと思います。先ず第一に、
独占禁止法
の一部
改正法律案
についてでありまするが、本
改正法律案
によりまする
改正点
の主な第一点は、
現行
の
独禁法
におきまして
特定
の
共同行為
の形式的な
禁止
を、
当該行為
が
一定
の
取引分野
における
競争
を美質的に
制限
する場合となることだけに緩和しようということであります。それから更に
不況
に対処するため又は
合理化
の
遂行
上特に必要である場合におきまする
特定
の
共同行為
、いわゆる
カルテル
を
条件附
で認めるということであります。
独占禁止法
の
法益
といたしますところは、要するに
自由競争
上
秩序
を
確保
することでありまして、
従つて
この
自由競争
の
秩序
を侵害するか又は侵害する蓋然性の高いものが
独占禁法
上違法であるとせらるべきものでありまして、これらの
程度
に達しない
行為
は、たとえそれが
事業者
の
共同行為
であるにしても、
独占禁止法
上違法とすべき積極的な
理由
は存しないものと考えます。ところが
現行法
におきましてはその第四条におきまして、これを
競争
に対する影響軽微なもの以外はすべて形式的画一的に
禁止
しておるのであります。
従つて
或る
取引分野
におきまして有効な
競争
が活発に行われておるにもかかわらず、或る
共同行為
を形式上は違法としなければならないというような、
社会通念
上から見ても不都合な
事態
が生ずることとなるのであります。よ
つて
この際
共同行為
に対しまする形式的な
禁止
をやめて、
一定
の
取引分野
におきまする
競争
を実質的に
制限
することとならない限りこれを認めるということにいたしたのであります。又戦後の
日本経済
は幾多の
脆弱性
を持
つて
おり、
我が国産業
が
不況
若しくは恐慌に対応する力が十分であるとは言えず、又
不況
が深刻化した場合におきまして、
我が国産業
が重大な危機にさらされることすらも予想されるのであります。このときにおきましてこの
事態
の救済を、単に
自由競争
による
自動調節作用
にだけ求めるということは、場合によ
つて
は
産業界
における
破滅的競争
を招来し、その結果
日本経済
に回復することのできない損害を及ぼす
危険性
があると思われるのであります。従いまして
事業者
が共同して
過剰生産
による需給の不均衡を調節し、又は市価の安定を図るなど、この
不況
に対処すべく
必要最小限度
の方途を講ずることは、これは必要止むを得ないことであると考えるのであります。又規格の統一とか製品の
標準化
、廃物、副産物の
共同利用
などのように、むしろ
生産費
の引下げ、
技術
の向上、能率の
増進等
、
企業
の
合理化
をもたらすような
特定
の
共同行為
については、単に
当該事業者
が
利益
をもたらすばかりではなく、
我が国産業
の
進歩発達
に裨益するところが大であると考えるのであります。
政府
は以上述べました
二つ
の場合におきまする
事業者
の
特定
の
共同行為
を、
現行独禁法
上の
規定
によ
つて
画一的に
禁止
することの適当でないということを認めますると共に、
事業者
の
共同行為
がその性質上、
自由競争
の長所を没却し、往々にして
関連事業者
若しくは
消費者等
に徒らな不
利益
を与える危険のあることを考慮いたしまして、
共同行為
を原則的に認め、その
弊害
のみ規制するという
方式
、例えば単なる
届出制度
を採用し、不当と認められる場合には、これを事後に
取締
るというような
方式
によることは妥当でないと考えまして、
特定
の
共同行為
につきましては、
一定
の要件と
認可制
の下にこれを例外的に認容することにいたした次第であります。 次に本
改正案
の主な第二点といたしまして、
現行法
第四章
関係
の
規定
を緩和したことであります。
我が国経済
の
脆弱性
の
一つ
として、
企業
が濫立し、且つその
資本構成
が不健全であり、その結果
単位企業
の
経済力
が
国際的視野
において総体的に弱いことは周知の
通り
であります。そのために
企業
の
整備
、合同による合理的な再建、
証券消化
の促進による
資本
の蓄積が強く要望されているのであります。この点につきましては、
昭和
二十四年の
本法
の
改正
によりまして若干の解決を見たのでありまするが、なお
現行法
の
株式保有
、
役員兼任等
について厳格に過ぎ、若しくは不当に画一的な
制限
があることが認められますので、これを是正し、
一定
の
取引分野
における
競争
を実質的に
制限
することとなるか、又は不公正な
取引方法
を用いる場合のほか、原則的に自由に
株式
を
保有
し、
役員
を兼任し得ることとするのが当を得たものと考えた次第であります。 次に本
改正案
の主な第三点は、
現行法
の「不公正な
競争方法
」を「不公正な
取引方法
」と改めて、その
内容
を
整備
したことであります。本来公正且つ自由な
競争
は、
価格
、品質及びサービスの三面を
中心
といたしまして、
事業者
の創意と責任と計算によ
つて
行われるべきものであると思うのでありますが、
競争
が激甚になると共に、例えば
特定
の
事業者
を
市場
から排除するための不当な
取引拒絶
、ダンピングと称せられる不当な廉売による
競争者
の駆逐、他の
事業者
に対する不当な
差別扱い
、
競争者
の
取引相手
の
強制奪取
、
取引
上の優越した地位を濫用する一方的な
取引条件
の
強制
、又は不当な
手段
による
競争会社
の乗取りのような不公正且つ不健全な
取引方法
が現れて、これが公正な
競争秩序
を侵害することとなることは、戦前の
日本経済
の実情に照らしても言い得ることであります。
従つて
これら不当な
競争手段
を抑制する必要がありますので、
現行法
におきましても「不公正な
競争方法
」として
所要
の
規定
が置かれておるのでありまするが、最近におきまする
競争
の
激甚化
に伴いまして、この種の
規定
のより一層の
整備
が強く要望されておりますので、この際この要望に
従つて現行法
に適当な
改正
を加えることといたしたのであります。 本
改正案
の主な第四点といたしましては、
現行事業者団体法
を廃止し、その必要な
規定
はこれを
本法
中に収容したことであります。
我が国
の
事業者団体法
は、
独占
若しくは不当な
取引制限
がしばしば
事業者団体
を
中心
として行われるという過去の事例に徴して、個々の
事業者
の
行為
を規制する
独占禁止法
に対して、
事業者団体
の
行為
を規制するために生れた
補完法規
であります。併し昨年八月の
改正
によりまして、
本法
の
法益
は
独占禁止法
の
法益
とほぼ同一とな
つて
おりまして、これを
単行法
として存続せしめる積極的な
理由
は存しなくなりましたので、この際
事業者団体法
の
規定
でなお必要なものは
独占禁止法
中に収容いたしまして、
団体法
はこれを廃止することにいたした次第であります。 以上申述べましたことは、今次
改正法律案
の主な点でありまするが、このほか
私的統制団体
の
禁止
に関する
規定
、
事業能力
の
較差
に関する
規定
を削るということにいたしましたが、これは他の
規定
によりまして
取締
の実を挙げることができると認めたためであります。その他
商標付日用品
、若しくは書籍などの
定価売
り
制度
を認めるなど、実体的な
改正
を行うと共に、以上の
改正点
に伴いまして
手続規定
、
罰則規定等
に
所要
の
改正
を加えておるのであります。 以上は本
改正法律案提案
の
理由
及び
要旨
でありまするが、次にその
改正法
の各
条文
につきまして極く簡単に御
説明
いたしたいと思います。 この第一条は、
先ほど
も申しました
通り
「不公正な
競争方法
」というのを「不公正な
取引方法
」としていろいろ
規定
を
整備
しました
関係
上この名前をただ変えただけであります。それから第二条において、
現行法
におきまして、この
法律
において「
事業者
とは、商業、工業、
金融業
その他の
事業
を営む者、」こう書いておるのでありまするが、これはその下にありまする
通り
「営む」という字を「行う者」、こういうふうにな
つて
おるのであります。というのは、
事業者団体法
を廃止しまして、その必要の
規定
を
本法
に移しました
関係
上、必ずしも
営利
の仕事、
営利
を
目的
としなくとも、この
事業者団体自体
をこの
規定
において
事業者
とする必要があるという
関係
もありまして、この「営む」という
言葉
を使えば
営利
を
目的
とするという
意味
に取られる虞れがありますので、「
事業
を行う者」というふうに改めたのであります。それからその後段に「
事業者
の
利益
のため」
云々
と、この
規定
は
事業者団体
の場合に適用されるのでありまして、これは
現行法
の
事業者団体法
にもこの
規定
がありまして、これをこれに移したに過ぎないのであります。それから第二項がいわゆる
事業者団体
の
定義
でありまして、これは大体
現行法
と同じで、多少それを要約したものであります。それから第三項は現在
役員
の
定義
があるのでありまするが、今度はやはり
事業者団体
が入
つて
来ました
関係
上、「
理事
」「監事」という
言葉
がこれに加わ
つた
だけであります。それから
ちよ
つと非常にわかりにくくな
つて
おりまするが、二項にな
つて
三項にな
つて
、四項、この四項が
現行法
では二項にな
つて
おります。これもやはり
競争
の
定義
に関する
関係
だけでありまして、ただ「
国内
における」という
言葉
を取
つた
だけでありまして、これは後に申しまするが、第六条の
改正
に基きまして
国際的協定
或いは
国際的契約
不当な
国際契約等
に加入することを
禁止
するという
改正
に伴いましてこれを削除いたしたのであります。それから第六項、この「不当な
取引制限
」という
言葉
の中に「対価を決定し、維持し、若しくは引き上げ、又は数量、
技術
、
装品
、設備若しくは
取引
の
相手方
を
制限
する」という
言葉
が入
つて
おるのであります。これは
先ほど
も御
説明
の際に申上げたのでありまするが、
現行法
の第四条におきまして、ここに挿入しましたような
共同行為自体
が
違反
になるということにな
つて
お
つたの
でありまするが、これを今度の
改正
によ
つて
、これが
現行
の第三条、いわゆる不当な
取引制限
の
一つ
の
例示
という形にいたしまして、結局
一定
の
取引分野
における
競争
を実質的に
制限
するということにならなければ、単なる
行為自体
を
取締
るということにいたさないということにいたしました
関係
上、この不当な
取引制限
の
例示
としてここに挿入いたしたわけであります。それから「不当な
事業能力
の
較差
」の
規定
は、これは今回の
改正
におきまして全部これは削除しておりまして、不当な
取引制限
になるような
事業
に対しては他の
独占
だとか或いは
取引制限
というような
規定
で、実際
弊害
がある場合には
取締
り得るという考えから、不当な
較差
という第八条の
規定
というのはこの際削除いたしたのであります。それからこの
改正法
の七項、これは公正な
取引方法
について
規定
しておるのでありまして、これは
現行法
では「公正な
競争方法
というのを「公正な
取引方法
」ということにいたしまして、
現行法
ではその上にありまする一号から六号に掲げるもののほか、第七号で
公取
において指定したものはこれと同じような効力を持つという一種の準
立法権
を持
つて
お
つたの
でありまするが、今回におきましてはその準
立法権
というものをやめまして、一応この七項の各号に掲げておりまするものを
限度
といたしまして、そうして而もそのうちから
公正取引委員会
が指定したものを公正な
取引方法
にするということに改めたのであります。 それから第四条は、
先ほど
も申しました
通り
、
現行
のような
規定
をやめまして、これを第三条の不当な
取引制限
の
例示行為
としてこれに吸収いたしたのであります。
従つて
形式的なこういう
共同行為
は、その形式的に
共同行為
であるということのために違法となるということがなく
なつ
たわけであります。それから第五条の
事業者
一手
買取
及び
一手販売
の
方法
による
団体
或いは
私的統制団体
というこの
規定
は、これは削除いたしたのであります。これは過去の
統制団体
を排除するという
経過
的な
意味
も持
つて
おりましたので、又実際上一手
買取
或いは
一手販売
で
弊害
を生ずる場合にはほかの
規定
で
取締
ることができるという
意味
でこの
規定
は削除しております。それから第六条、これは
現行法
のうち
国内関係
の
事業者
と
貿易
についての
協定
を
内容
とする
協定
については、これは他の
法律
に譲ることにいたしまして、ここでは単に
国際的協定
又は
国際的契約
に関する
部分
だけを残したのであります。二項以下はこの
改正
に伴う
届出等
の
関係
を
規定
したのであります。それから第七条は、これは今までの
改正
に伴う
条文
の
整理
ということであります。 それから第三章は、
現行法
では不当な
事業能力
の
較差
に関する
規定
があ
つたの
でありまするが、この
較差
の
規定
は全部削除いたしました
関係
上、そこに穴ができて、丁度それを
事業者団体法
が廃止されましたが、併し
独禁法
に挿入する必要がありまする
事業者団体法関係
の
規定
をこの第三章の中に入れたのであります。そうしてこの
内容
は、現在の
事業者団体法
の
規定
の必要な
部分
だけを要約して入れておるのでありまして、これは
現行法
と
変り
はありません。 それから第四章の第九条につきましては、むしろ本来
特殊会社
であるものだけにいたしまして、
現行法
の第四項のように「
特殊会社
とみなす」というような、みなす
規定
を削除いたしまして、本来の
特殊会社
だけを
作つて
はいけないということに改めたのであります。それから第十条は、
会社
は、直接又は
間接たる
とを問わず、一又は二以上の他の
会社
の
株式
又は社債を取得し
云々
とありまするが、これをその前段のほうを削除いたしましたことと、その第二項に、
競争会社
は、
相手
の
会社
の一株たりといえども持てないという形にな
つて
おりますのを、これは持
つて
もよろしい、但し
一定
の
取引分野
における
競争
を実質的に
制限
することとなるような場合にはいけない、そうでなければ
競争会社
の株でも持
つて
よろしいという
規定
に直したのが第一項であります。それから第二項は、
金融関係
の
会社
は従来
事業会社
の株を五%しか持てなか
つたの
を、この際それを一〇%まで持てることにして、而もそれ以上に持つ必要がある場合には
公正取引委員会
の
認可
を受けて持つことができる。併しその
認可
の場合に
大蔵大臣
と協議をして
認可
する、こういうことにしてあるのであります。これ以外は
変り
はありません。
金融会社
の
関係
は第十一条にも関連しております。それで株の
関係
について要約して申上げますと、従来
会社
が
相手方
の
会社
の株を持つ場合に、その持
つた
会社
とそうして持たれた
会社
との間、或いは持たれた
会社
が
二つ
あ
つた
場合に、その
二つ
の
会社
間の
競争
を
制限
する場合に持
つて
はいけない、それから
一定
の
取引分野
において実質的に
制限
する場合には持
つて
はいけない、それから
競争会社
の
関係
にあるときには一株たりといえども持
つて
はいけない、ただ
親子関係
にある場合には持
つて
もよろしいという
規定
であ
つたの
を、今回の
改正
では、
競争会社
であろうがなかろうが、その
株式
を取得することによりまして
一定
の
取引分野
の
競争
を実質的に
制限
することとなる場合だけ
株式
を持
つて
はいけないということと、もう
一つ
は不公正な
取引方法
によ
つて株式
を取得した場合はいけない、それ以外は持
つて
よろしいということに
なつ
たわけであります。そうして
金融会社
については従来五%であ
つたの
が一〇%になり、その
限度
を超える場合にも
許可
を受けてやればよろしいということに
なつ
たわけであります。それから十三条、これは
役員兼任
の
制限
でありまするが、これは従来
会社
の
役員
若しくはその
従業員
が
競争会社
の
役員
又は
従業員
となることができなか
つたの
でありますが、今度の
改正
によりまして、これはやはり
一定
の
取引分野
におきます
競争
を実質的に
制限
しない限りよろしいということに
なつ
たわけ一であります。それから十四条は、これは第十条の際に申上げました
通り
、
会社
以外の者が
株式
を持つ場合に、やはりこれは
一定
の
取引分野
における
競争
を実質的に
制限
する場合、或いは公正な
取引方法
によ
つて株式
を取得する場合以外は
現行
のようないろいろな場合に
禁止
しておりますのをやわらげまして、や
つて
よろしいということにいたしたのであります。ただ
会社
以外の者が相互に
競争関係
にある二以上の
国内
の
会社
の株を持つ場合に、おのおのの
会社
の一割以上を超えて持つことに
なつ
た場合には
公取
に
届出
が必要だということにいたしたのであります。それから第十五条の
合併
の場合でありまするが、これは
先ほど
も申上げました不当な
事業能力
の
較差
になる
場合併
ができないという頂があ
つたの
でございまするが、その頂だけを削
つた
ということにな
つて
おります。
従つて一定
の
取引分野
における
競争
を実質的に
制限
する場合、或いはその
合併
が不公正な
方法
による場合でなければ
合併
してよろしいということになるわけであります。それから細かいことでありまするが、十五条の第三項というのは、これは従来
会社
の
合併
というものは
公取
に対して
届出
をいたしまして、そうして三十日たちますれば登記ができることにな
つて
おります。そうして
公取
がその
合併
に
文句
があればその三十日の間に
文句
を言うという建前にな
つて
お
つたの
でありますが、それを例えば問題のない
会社
の
合併
については、その三十日を飽くまで維持する必要はないので、必要に応じてはその三十日を十日とか五日とかに短縮してもよろしいという
規定
を
設たけの
がこの第三項であります。それからその以後は、大体
条文
の
整理
の
関係
であります。 それからずつと飛びまして、新法の第二十四条の二、再
販売価格
の
維持契約
、これは
現行法
にないのでありますが、これは、例えばここに書いてありまする
通り
、広く一般に知られておりま
ずる氏名
若しくは
商標
、
商号等
を持
つた
商品
であ
つて
、而もその
商品
が
日用品
であり、又それと
同種
の
商品
が、ほかにも自由に
競争
的な
同種
の
商品
がある場合に、そのメーカーなり或いは
販売業者
がその先の
売値
を維持する
契約
を結ぶことができる。言い換えれば
定価売
をすることができるという
規定
であります。この
規定
を認めたのは、
現行法
におきましても或いはこういう解釈ができないこともないのでありまするが、併し先々の
売値
を指定することは、その
業者
の自由を拘束する虞れもあ
つて
、
独禁法違反
になる虞れもあるのでありまして、その
規定
ではつきりそれができるということにいたしたのであります。 それからその次の第二十四条の三、これは
不況
に対処するための
共同行為
、これはここにあります
通り
、
不況
の場合には
一定
の
制限
の下において
主務大臣
の
認可
を受けた
共同行為
は認めようという
規定
でありまして、この
規定
と、次にありまする
合理化
の必要の場合の
共同行為
を認めるという点につきましては、
本法改正
の一番問題に
なつ
た点でありまして、又一番主眼といたしておる点であります。この
経過
について
ちよ
つと簡単に申上げますと、こういう
不況
の場合或いは
合理化
の場合、それから
本法
には
規定
しておりませんが、
貿易
上必要があるという場合には、
一定
の
条件
の下に
業者
の
カルテル
を認めてもいいのではないかということが前から話がありまして、いろいろ研究して参
つたの
であります。そうしてこの
本法
の
規定
はどちらかといいますれば、現在西ドイツにおいて考えられておりまする
競争制限防止法
に倣
つた
ような形にな
つたの
であります。即ちこの三つの場合に
カルテル
を認めるということでありまして、ただその場合にこの
カルテル
を
許可
によ
つて
認めるか、先ず
届出
によ
つてカルテル
をや
つて
、そうしてそれがどうしても
独禁法
上認めるわけにいかんという
程度
のものであれば、
あと
でそれを是正するという
やり方
にしたらどうかという
二つ
の
考え方
があ
つたの
であります。言い換えれば、
許可制
にするか
届出制
にするかという
考え方
でありまして、これはイギリスの
立法等
においては大体
届出制
でやる、そうして
あと
で調べて見て、不都合があれば是正するという
やり方
であります。ドイツの
やり方
は、これはやはり
事前
に
許可
を受けてやるという
やり方
であります。アメリカでは輸出の場合に或る
程度
認めております以外は認めておらないのであります。それでいろいろこの点について議論があり、或いは財界のほうからもいろいろ意見があ
つたの
でありまするが、結局はこれは
事前
の
許可
にかからして、そうして認めるということにな
つたの
であります。併しその場合でもどこがその
許可
をするかという問題がやはり
政府部
内にあ
つたの
であります。
公取
の初めの案といたしましては、やはり
独禁法
を
施行
して行く限り
独禁法
的見地から
許可
する場合には、
独禁法
の
施行
の責任者である
公正取引委員会
が
認可
すべきであるという意見であ
つたの
でありますが、通産省或いは
経済
審議
庁等の意見では、これはやはりその主管のその産業行政の主管大臣が、やはり産業行政の一環としてその責任を持つ
関係
上、
主務大臣
の
認可
にするほうがよくはないか、又どうしてもそうしてもらいたいというような意見がありまして、この
関係
で実は二度までも閣議決定があ
つた
というようないきさつがありまして、結論的にはここにあります
通り
、
認可
は各
主務大臣
が
認可
する、併し
主務大臣
が
認可
する場合には、その前提
行為
として
公正取引委員会
が、ここに挙げておりますような業態或いは
条件
に適
つて
いるかどうかという認定を
公正取引委員会
がする。そうしてその認定したものについて
主務大臣
が
認可
する、こういう建前にな
つて
おります。この点は
公正取引委員会
が認定して
主務大臣
が
認可
した
共同行為
については、
独占禁止法
のこの
規定
の適用を除外するという
やり方
でこの
規定
ができておるのであります。そうしていま
一つ
この
規定
で申上げたいのは、この
共同行為
を認めるのはいわゆる生産
業者
の
共同行為
についてこれを認める、
販売業者
或いはサービス
業者
というものについての
共同行為
は認めていないのであります。それからこれは原則として生産数量、販売数量、設備の
制限
この三つの
共同行為
について
適用除外
を認めておるわけであります。ただその第三項にどうしてもこれら三つの
協定
だけではできない場合、いわゆる
技術
的な
理由
によ
つて
その
商品
の生産数量を
制限
することが著しく困難である、例えば銅を採掘する場合に同時に銀が出て来るというような場合も
一つ
の例であるかと思います。或いは化学工業等の一部のものについてもそういう例があろうかと思いますが、そういうように生産数量の
制限
等ではその
不況
克服の
目的
を達せられないような場合には
価格
協定
も認めようということによ
つて
、これは例外的にそういうような場合に
価格
協定
を認めることにな
つて
おります。それから、
主務大臣
が以上申しました
通り
認可
をするわけでありまするが、今度は
公取
の立場で
認可
した後にいろいろな
条件
なり或いは業態が変化することによ
つて
、その
カルテル
認可
の基礎が変
つて
来たというふうに
公取
の立場から見て考えられた場合に、
主務大臣
にそれを変更若しくは取消を申出ることができる
規定
があるのであります。そうしてその申出をした場合に、一カ月を
経過
すればその
適用除外
の恩典がなくなるという
規定
があるわけであります。 それから第二十四条の四、これは
合理化
のための
共同行為
でありまして、これもここにあります
通り
、この
合理化
のために
協定
のできる場合といたしましては、
技術
若しくは品質の
制限
、原料若しくは製品の保管或いは運送施設の利用ということのほかに副産物或いは屑鉄というようなものの
共同行為
というようなことを
合理化
の必要がある場合、やはり
主務大臣
の
認可
を受けてできるということにな
つて
おります。即ちこれに対するいろいろな取消請求の場合或いは不服のあ
つた
ような場合というのは、これは前の
不況
カルテル
と同じようなことにな
つて
、これも前の
規定
を準用しておるのであります。 それからそのほかの第七章の損害賠償、これは今の「不公正な
競争方法
」というのが、「不公正な
取引方法
」と名前が変
つた
関係
上その
改正
だけであります。 それから第八章の「
公正取引委員会
」のいろいろ変つおります点は、やはり「不公正な
取引方法
」ということに直
つた
関係
と、それから今の
公正取引委員会
の認定というようなことができました
関係
上、その所掌事務に
改正
を加える必要がある
関係
上であります。手続その他につきましては大体今までの
改正
に伴いまして、
条文
の
整理
或いは
言葉
の
整理
ということにな
つて
、実質的な
改正
はいたしません。罰則も
従つて
事業者団体法関係
の分がこちらに移
つた
関係
上相当
改正
しているように見えるのでありまするが、これは
事業者団体法
にあ
つた
規定
を移したのが大
部分
であります。 以上で
独禁法
本体の
改正
について非常に下手な
説明
をいたして恐縮でございますが、一応
説明
いたしたことに
なつ
たわけでありますが、次にその
施行
法を申上げますと、これは特に取立てて申上げる点はないのでありまするが、その第一条は、すでに新法の
施行
前にあ
つた
行為
であ
つて
、而も審決の確定した分については旧法による、これは当然のことであります。それからこの
改正法
の
施行
前のものであ
つて
、
公正取引委員会
の審決の確定していないものについては原則として新法によるということを明らかにしただけであります。 それからその第二条というのは、この第一条の今申しました第一項に、従来新法
施行
前に審決の確定したものは旧法によ
つて
その審決自体が生きておるわけでありまするが、この第二条で、今回の
改正
によりまして、従来は違法であ
つた
が、新法によれば違法でないというような場合に、その審決自体を維持することが不当であ
つて
、公共の
利益
に反すると認められる場合には、これは審判手続を経ないで、審決でこれを取消すことができる、或いは変更することができるということを書いた
規定
であります。それからそれ以外は、従来各
法律
におきまして
独占禁止法
及び
事業者団体法
の
適用除外
をしてお
つた
各
法律
があるのでありまするが、これは今度
事業者団体法
がなく
なつ
たということと、そうして
事業者団体法
の一部が
独占禁止法
の中に入
つた
ということに関連しまして、一々各
法律
を直すのが厄介であります
関係
上、ここに一括してこれに関連のありまする各
法律
の当該
条文
を訂正いたしたのであります。 ただ一点申上げておかなければならんと思いますのは、第六条でありまするが、第六条で蚕糸業法の一部を
改正
しております。これはやや実質的の
改正
でありまして、これは
政府
において実はこの国会に蚕糸業法の一部を
改正
する
法律案
を用意してお
つたの
でありまするが、それがどうしてもできなくなりました
関係
上、この点だけはどうしても
改正
いたしたいという点をこの第六条の中に入れておるのであります。その要点と申しますのは、農業協同組合若しくは農業協同組合連合会から繭を買受ける製糸
業者
が、従来製糸
業者
のほうで
団体
を組んで農協若しくはその連合会と
団体
協約をいたします。と、農協及び連合会のほうは別の
法律
で
独禁法
の
適用除外
にな
つて
おります
関係
上、
法律
には触れないのでありますが、製糸
業者
のほうは
共同行為
ということにな
つて
独禁法
に触れるということにな
つて
おりましたが、それを今度はそういう
団体
協約の場合に製糸
業者
に対しましてこの
独禁法
の
規定
を適用しないということをこの第六条において
改正
いたしたのであります。これは農林省の強い要望がありまして
改正
いたしましたので、実質的の
改正
はこの点だけでありまして、
あと
は只今申しました
独禁法
の
改正
、
事業者団体法
の廃止に伴う
関係法令
の
条文
整理
というふうにお考えにな
つて
結構かと思います。 以上簡単でございましたが、御
説明
申上げる次第でございます。
三好始
5
○
委員長
(
三好始
君) 両
法律案
につきまして
提案理由
の
説明
並びに
補足説明
を承わ
つたの
でありますが、本日の連合
委員
会は
説明
を聞くことにとどめて、質疑は次回にいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
羽生三七
6
○羽生三七君 日程については異議ありませんが、資料の提出をお願いしたいのですが、
事業会社
の
株式
の所有は
制限
されておるわけです。併し総額五百万円以上のものは
公取
にその報告書を出すことにな
つて
おりますが、この
改正案
を
審議
する上に、主要な
事業会社
の持株だけの資料を提供をしてもらえるように
委員長
からお計らい願いたい。
三好始
7
○
委員長
(
三好始
君) 只今羽生
委員
から要求のありました資料は準備できますか。
湯池謹爾郎
8
○
政府委員
(
湯池謹爾郎
君) 主な
会社
で。
羽生三七
9
○羽生三七君 主要なものでいいのです。全部と言
つて
も大変でしようから。
湯池謹爾郎
10
○
政府委員
(
湯池謹爾郎
君) 総資産五百万円以上ということにな
つて
、今度は一億円に
改正案
ではなることにな
つて
おりますが。
山田佐一
11
○山田佐一君 一千万円以上の増資は
公取
の
認可
が要る、一千万円以上の
会社
は……。
湯池謹爾郎
12
○
政府委員
(
湯池謹爾郎
君) 増資は証券
取引
委員
会。
山田佐一
13
○山田佐一君 一億までは何も
認可
は要りませんな。
湯池謹爾郎
14
○
政府委員
(
湯池謹爾郎
君) やはり証取法で要ることにな
つて
おります。これはたしか現在
改正
にな
つて
おると思います。これは大蔵省のほうです。
左藤義詮
15
○
左藤
義詮君 今の御
説明
にございました、
特定
の
事業者
を
市場
から排除するための不当な
取引拒絶
、ダンピングと称せられる不当な廉売による
競争者
の駆逐、他の
事業者
に対する不当な
差別扱い
、
競争者
の
取引相手
の
強制奪取
、
取引
上の優越した地位を濫用する一方的な
取引条件
の
強制
、又は不当な
手段
による
競争会社
の乗取りというようなことをお挙げにな
つたの
ですが、そういうことが、或いはそれに近いようなことがありました実例、その主なものを極く簡単で結構ですが……。
湯池謹爾郎
16
○
政府委員
(
湯池謹爾郎
君) 過去の実例ですか、或いはこういう場合というのですか。
左藤義詮
17
○
左藤
義詮君 過去の実例を、成るべくそれに近い問題に
なつ
たことですね。あなたのほうでお調べにな
つて
、こういう特に
法律
をいろいろしなければならん、今までのそういうすれすれのものもいろいろありましようけれども、そういうところの主な実例を
一つ
資料にして、簡単で結構でありますから……。
三好始
18
○
委員長
(
三好始
君) 他に資料の要求にありませんか。それでは只今要求のありました資料につきましては成るべく早急に御提出をお願いしたいと思います。 本日の連合
委員
会はこれで閉会いたします。 午後三時五十一分散会