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1953-03-19 第15回国会 参議院 期限等の定のある法律につき当該期限等を変更するための法律案特別委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年三月十九日(木曜日)    午前十一時十七分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     河井 彌八君    理事            古池 信三君            中川 幸平君            小林 政夫君            山田 節男君            菊川 孝夫君    委員            石村 幸作君            上原 正吉君            長谷山行毅君            宮本 邦彦君            安井  謙君            高橋 道男君            溝口 三郎君            相馬 助治君           小笠原二三男君            成瀬 幡治君            一松 定吉君            松浦 定義君            谷口弥三郎君            千田  正君            鈴木 清一君            須藤 五郎君   国務大臣    国 務 大 臣 緒方 竹虎君   政府委員    内閣官房長官 江口見登留君    自治庁次長   鈴木 俊一君    法制局長官   佐藤 達夫君    法制局次長   林  修三君    法制局第一部長 高辻 正巳君    大蔵政務次官  愛知 揆一君    大蔵省主税局長 渡邊喜久造君   説明員    行政管理庁管理    部長      岡部 史郎君    保安庁人事局長 加藤 陽三君    法務省入国管理    局長      鈴木  一君    法務省矯正局総    務課長     高橋  孝君    大蔵省税関部長 北島 武雄君    大蔵省主計局給    与課長     岸本  晋君    引揚援護庁次長 田邊 繁雄君    通商産業大臣官    房長      石原 武夫君    運輸省航空局長 荒木茂久二君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○期限等の定のある法律につき当該期  限等を変更するための法律案内閣  提出)   —————————————
  2. 河井彌八

    委員長河井彌八君) これより期限等の定のある法律につき当該期限等を変更するための法律案特別委員会を開会いたします。  この際念のために諸君に申上げておきます。この法律案は十六の法律改正に関するものでございます。従いまして個々改正に入る前に昨日総括的の質問を開始いたしたのであります。本日もその先ず総括的の質問をいたしまして、それから個々のものに入りたい。かように考えておりますからあらかじめ御了承を願つておきます。
  3. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 昨日林政府委員からいろいろ法案提出の仕方、或いは衆議院における同意同意の関連について伺いましたが、改めて私の了解した点を確認し申上げますと、議院運営委員会では佐藤法制局長官は、不正競争防止法というような初めから一案であるものの中で、一部不同意、他は同意というようなことはあり得ないだろうという御答弁があつて、昨日の特別委員会になりまして、林次長からは、そういう場合でも、この点ははつきりしませんが、可分なものは一部不同意、他は同意ということもでき得るという御答弁があつたのであります。そこで各種の論議を交したわけですが、念のにめに確認したことの中で、一つつておきたいことは、昨日お話なつ可分できるということは、条項として形式的に可分できるものを指して言うのか、内容として可分できるというものを指して言うのか、或いはその両者が如何ようにかからみ合つているものか、そこの点を明らかにして頂きたい。従つて可分不可分の問題を論ずる客観的な基準は、表現しますならどういうふうなものを客観的な基準とするのか、この点改めて明確にしておいて頂きたいと思います。
  4. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 只今お話に出ました不正競争防止法の例のことから申上げますが、運営委員会で私は初めあいまいなお返事をしておつて小笠原委員から一足突つこまれまして、そうしてはつきりした答えを迫られた。そこで私が最後に答えたのは、今度御提案になつておる不正競争防止法のようなものはこれは一体のものだという趣旨で申上げたつもりでおります。従いまして昨日私のほうの林政府委員言つたというのは、これは一般的の問題として言つたので、今のお尋ねもそのおつもりだと思いますが、例えば事柄によつて分別し得るものというものがあり得ると思います。地方税法を直すにしてもいろいろな税目がありますが、直接関係のない二つ税種について変更を加えておるというような場合は恐らく可分であるという場合があると思います。そういう場合にはもとより一部承認の問題になり得るというふうに考えておるわけであります。
  5. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私法律家でございませんので、直感的にお話を承わつて思い付いたまま質問したいのですが、一般的に内容として或いは形式においても可分であるという場合はあり得ると思います。併し可分であるからとして衆議院廻つて一部不同意、こういうことになりますと、その当時において参議院緊急集会法律として有効であつたものが一部不同意なつた途端にその法律内容が何と申しますか、但書等制限条項等を不同意としたがために内容としては広汎に拡がつてしまう。いわゆる参議院緊急集会で或る制約の下で効力のあるようになつてつたものが衆議院のほうにおいてその制約が外されて、そうして緊急集会で有効であつた法律以上に拡がりを持つた法律になつてその後効力を発して来る。而もそのことは衆議院においてだけ不同意ということの議決があつたことだけで、参議院のほうに二度と廻つて来ることなしに永久法として衆議院意思だけで法の内容が変つて行く、こういう点は我々参議院としてはこれはおかしいことではないか、そういう場合が必ず出て来るのではないかということが予想されるわけです。ちよつと私口が下手ですから内容が酌みとれたかどうかわかりませんが、全然一部不同意となるがために法の内容が拡大され、拡大されることは衆議院だけの議決でそうなつて永久法となつて行く、こういうことはいけないことではないか。少くとも緊急集会参議院がきめた法律以上の法律衆議院がなるものではなくて、衆議院の一部不同意というものは参議院できめたものを否決してしまうか、或いは一部を抑えて行くか、参議院のきめたものより下廻るような方法かにおいて不同意ということがあり得るので、不同意によつて参議院意思したものよりも以上の法律になつて永久効力を発するということはこれはいかんことではないだろうか。そういうことが予想せられるので、同じ可分可分言つてもその程度と申しますか、量と申しますか、法の内容参議院のそれよりも上廻るのか下に下つて来るのか、こういうようなところも或る種の基準になつて行くのではないかと考えられるのですが、この点は如何ですか。
  6. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 私の頭でお尋ね趣旨を勝手に整理をいたしまして一応お答え申上げます。要するに衆議院廻つた場合の同意同意の場合の枠というものは客観的にきまつておるわけで、例えば卑近な言葉で申しますと、この法案衆議院同意を求めるために衆議院に出た場合に衆議院修正権を持たないわけです。従つてその粋を拡げて勝手に文句を書いて修正してしまうということは普通の法律とは違いますからそれはできません。そうすると衆議院に出て来たものを御覧になつてこれを全部よしとするか、或いは一部否とするかという問題になつて来るわけで、その意味では幅のもう枠はきまつておるわけです。ところが今のお話内容が拡大して来やせんかということの意味のお言葉を分けて分析いたしますと、修正によつて加わる場合が理論的にはありますが、それはありませんということは申上げられる。勿論実質的に申しまして、これは考えようでありますが、本来三月三十一日で切れるものが今度二カ月延長の形で衆議院に持越された、それがいかんということになりますと、結局免税の規定であるとすれば四月一日から税金が課せられることになるという意味では、これは事柄性質上そこに性質が違つて来ます。併しそれだけの事柄であつて、それ以外の影響はないと考えます。
  7. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 只今私のお尋ねしていることは、法律両院議決によつて成立し効力永久発生して行くわけです。ところが今の場合は永久効力発生して行く法の部分について加えられる意思衆議院だけの意思としてそれが加えられて行くという場合があります。我々のほうは緊急集会において事務的なものとしてやつておりながら、法律的にはやつたものが衆議院のほうにおいてはこれを一部不同意ということによつて内容が拡大されて、永久にそれの場合には参議院としては如何ようにも始末がつかない。法の性質そのものからいつたら、これは行過ぎと申しますか、おかしいことになるのではないかという建前で私はお尋ねしているのです。例えば六月一日まで何それを延期するときめた場合に、参議院でこれを修正しまして、併しながらその間これこれのことについては特別な措置をとることができるという但書を附してやつた。そういう場合に向うは一部不同意但書を削除したということになると、素裸になつて、ただ単に六月一日までこれが延期となつて参議院措置した制限条項とつぱらわれて法が拡大される。そのまま永久法になつて行く、そういうことは不同意という手続だけをとることによつて衆議院だけででき得る、そういうことになることを私は疑義があるとするのです。結局そういうことであるならば、二院制による法の性質ということからいつて私はこれはおかしいことではないか。結局だから昨日から論議しておることから申しますと、結局政府法案提出の仕方というものは例えば本委員会にかかつておるようなものでも個々ばらばらにして、それぞれ一本の法律で出すということにすれば、率直に言うて昨日から皆さんがおつしやるようなその論理的な、どうもおかしいなと思われるような話になつて来ることですね、これをやめてしまうことができる。例えばあなたが昨日言つたように、こつちは各法律を一束にたしものだから内容ばらばらのものである、だからこれは可分だ。その論理が今度は一般法律に対しても一部可分なものがあり得るとなつている。それを発展させるというと、衆議院可分として手続をとることによつて法自体成立そのもの衆参両院のこの権限について問題が起つて来る。だんだんこういうふうに発展して行くじやないか。だから私はどこかこれはおかしいので、初めからこれは可分できるものではない。憲法五十四条における措置に対する同意ということは、措置とは法律緊急集会議決を求めて公布することを、或いは緊急集会において認めた内容そのもの全体を指して私は措置と言い、それに同意するということは、これは一部を不同意があり或いは全体に対して不同意もあり、全体に対して同意もあり得るんだというようなことで、憲法上書いている文章ではないんじやないだろうか、一般回付案等に対する同意というような場合においては、一部否決、他は同意というような手続はとらんのですから、それと同じ表現の同意という言葉憲法上使つている限りは、これは初めから一本のものだと規制しておくのが正しいのではないだろうか。まあ私の直感常識論を申上げるわけなんですが、重ねて衆議院だけの意思によつて法が拡大されて永久法になるということで、二院制度法律を作つて行く原則からいつて如何なものか、こういう点について御答弁願いたい。
  8. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 今お言葉の中にちよつと出ましたから、それを手掛りにお答え申しますが、この但書の例をちよつとお挙げになりました。この但書の例をお挙げになつた場合に、その但書というものはさつきのように、可分のものか不可分のものかという問題が必ずそこに来るわけです。併しそれは差し置きましよう。差き置きましようが、その次のお言葉で、一本ずつの別の法律で出せばそういう疑問はないようにちよつと聞きとれたんですけれども、仮に今度の提案の例を申しまして、関税定率法の附則第二項の改正法、仮に一本の法律でお出ししました場合に、参議院でその中に但書をお加えになつた。そうして衆議院同意を求めるためにお出しなつたということになれば、一本のものであつてもその但書部分については同じ問題が出て来るわけです。でありますから、只今お尋ねの点は、一本にしたとか或いはばらばらに出すからというようなことから来る問題ではなしに、但書のようなものを加えることが一体可分のものか不可分のものかという一般論の問題になろうかと私は思うのであります。この問題もこの場面結論を申上げる私は責任も義務もないと思いますけれども、恐らく但書のような場合は、普通の場合はこれは一体のものであつて、それを落そうとするためには一部不承認という形でなしに修正の問題として扱われなければならない性質のものであろう、これは個々の場合によりましようから一概には申上げられませんけれども、通常の場合はそういう場合が多いであろうと思います。ただこの際附加えて申上げますが、この衆議院同意、不同意をつきつけられたという場面において、実は同意、不同意のほかに、もう一つ手のあることを申添えておきたいのは、これはもとより国会として立法権をお持ちでありますから、そのときに今問題になつておる法律改正案を即時立案されて、そこで適当な調整を加えられるという私は一つ方法があると思います。従いまして場合によつて可分、不可分と、或いは可分であると言いながらも条文が非常に組合さつてつて、普通この一部を不承認だといつたところで世間の人にわからないというような場合が私はたくさん出て来ると思います。そういう場合において一部に不承認という手もありましようけれども、なおその一部改正法律案衆議院のほうで起案して、それを出しすぐ参議院のほうに廻して法律の形で筋をとられるのが私は普通の場合の筋だと思いますから、承認の今の一部或いは全部という問題と並行して、実は修正案という形による修正方式が、又別の手があるということを念のために申上げておくわけであります。それから次に今お話の中に措置という言葉憲法に使つてあるというようなお言葉がございました。これは敬意を表するものでありますが、御承知通りに、この措置と書いてありますとこるからむしろ逆に私どもはこれを可分に考える、一体として出ておつたものでもここ二つ措置が入つておれば、そのおのおのの措置について同意同意ができるという解釈を、そこからむしろ導き出すことができるのじないか。昔の憲法の八条の緊急勅令の場合は、勅令そのもの出してそれについて事後承諾を求めるということをしておりましたから、むしろそういう解釈はできにくかつたのじないかというふうに、むしろ私どものほうとしてはそれを手掛りに考えているという面もあります。
  9. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 この議論を私長く続けて審議を妨げようとはさらさら思わないので、先例になる点を考えて問題点を摘出したにとどまるわけでありますが、ただ衆議院においては実際立法権はあるのですから政府如何ように考えようとも、衆議院の多数を以てさまざまな措置をとる。今のような問題の場合にさまざまな措置をとつて行くとした場合に、衆議院のほうは政党の分野がいろいろ変ることによつて、前にも申しましたが政略的に可分はできないものだとかいうような議論を以てして、こういう形式法案意図的に出し抱合せてその承認を求めて行くというような方法もないわけではないし、又或いは一部不同意というようなことはあり得ないのだ。国民の側で考えて、そして被害を受けた具体的な国民から訴訟の問題になれば、その法律の有効無効はやはり裁判所で争われて行く問題になるのではないか。争いの余地はないとおつしやるのか、やはり争えば争われるのか。この点を逆に又念のために伺つておきます。
  10. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 最初にこの抱合せを何か不純な意図の下にしたのではないかというような御懸念をお持ちのようでありますからこれだけを弁明しておきます。この間運営委員会でも申上げたのでありますが、抱合せという言葉が悪うございますが、たくさんな法律で一括して処理して頂いた先例というのは、昭和二十三年の税制改正の際に三十八の法律一つ法律で直したというのが手初めになつておりまして、たくさんの例のあることだけを申上げておきます。  それから第二の、衆議院で仮に一部不同意ということができるという前提に立つて一部不同意をやつた場合に、これが訴訟の問題になり得るかどうかという問題でありますが、これは勿論違法の立法であると、仮に憲法違反立法であるというようなことで理由がつきますならば勿論訴訟出し得るわけであります。あとは裁判所の判定に待つという途はそれはあります。
  11. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ではこの問題はもうこの程度にして私は打切つて、他に御質問があればそれに譲りますが、ただ関連しまして、今度は直接に本委員会に上程せられておる法律案について、例えば第一条について第一号から第八号までございまするが、これで見ますと、誠に事務的に必然の結果としてですね、五月三十一日まで期日を延ばすというものの内容としてですね、五月三十一日までに延ばすほうが望ましい、適切である、適当であるという政府考慮の加わつて延ばされるものとあつてですね、内容としては個々ばらばらなものである。そしてたまたま偶然に三月三十一日から五月三十一日まで日を延ばすという、その日にちだけが一致しておりますがためにですね、整理して第一条の中に全部突つこんだという形で整理されて来ている法なんです。こういうやり方はですね、緊急集会に出す法の体裁として適切であるとお考えになつておられるかどうかお伺いしたい。
  12. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) これは法文の立法の技術といたしましては、これはもういろいろな方法があると思います。我々としてはそのいろいろな方法の中で一番簡単に一目瞭然とわかるというような形にするためには従来のような形をとつたらどうかということも考えました。併し結局結論としてはこの今御指摘のような形で同じように延長されるものは同じグループにまとめておいたほうが適切ではないかというので、この方式を選んだわけであります。一本々々別々に出すということになれば最初のものに戻つてしまいますので、一本にまとめて、こういう法案の形で出すということがこれが一番適切な方法であろうと存じます。
  13. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私は立法技術なり、体裁上からですね、こういうことをやることは無理ではないか。参議院参議院として常任委員会制度ができておる、そうしたなら、その常任委員会に見合うようなですね、方法法律出して来るのが適切ではないだろうか。ただ事務的に日を延ばすというだけのものであるならば、議論余地は余りないだろうと思いますけれども、ここに出て来ているものは例えば租税特別措置法でも、関税定率法でもこれは延ばしても、延ばさんでもいい。議論のあるところなんです。これは単に政府考慮として、意図としてこのほうが望ましいというだけのことなんです。又このほうが適切だというだけのことなんです。何らこのいわゆる緊急集会を求めるに当つて緊急性があるとかないとかいう論議対象にならない。別枠の考慮の下にこういうものが出て来ている。従つてそのところからですね、緊急性ありやなしやということから論議するならばこれは非常に問題になるところなんです。それらをみんな一緒にして日が揃つているからとして並べ立てて来るということはこれは無理なことであつて、そしてなおこういう特別委員会まで構成してですね、審議しなければならないような体裁を以て法律出して来るということは国会法にある常任委員会制度等を尊重する誠意というものが誠に欠けておるんじやないか。十分な、慎重な審議をお願いするという精神において欠けておるものがあるのじやないかという点を私は指摘しているのです。如何ですか。
  14. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 御尤もな点もあります。ただ私どもが申上げたいのは、これらの列挙してある法律処置がですね、積極的な政策性を持つておるものであるとすれば、只今お話のように或いは各常任委員会別ぐらいに編纂してもよくはないかぐらいの気持は起り得ると思いますが、先般来御説明申上げているように、そういう意味現状維持性はありますけれども積極性政策のないものだけでございますから、むしろ国会法をひもといて見ますと、常任委員会制度のほかに特別委員会制度も設けられておるから、これは国会のほうでよろしく適切な御配慮を頂けることだろうと、まあ提案したわけであります。それから今のようにただ一括して延ばすと、期限を延ばすという先例といたしましては、御承知通り、旧憲法から新憲法に移ります場合に旧憲法下に出された命令処置についてこれを期限附で延ばすという昭和二十二年の法律第七十二号という例もございます。その点は万遺漏はないものと考えております。
  15. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 後段に引例されました点は占領下のことであり、命令による措置であつてですね、我々の論議対象と実際上はならん時代の措置であつて、そういうことは私は先例としてですね、お聞きするのは余り価値があるとは思いません。そんなことはまあ議論はしたくありませんが、あなたは今おつしやつたように、積極性を持つた政策を盛り込んだものはない、現行のままをただ延ばそうとするだけだ、こういうことでありますが、私は必ずしもそういう内容を含むものばかりだとは思いません。これは内容に立ち至つたときにですね、明らかにしておきたい点だと考えておるのですが、ただそういう前提の下に政府がお出しなつたということだけを私は確認しておきます。
  16. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 先に申上げておきましたが、本案審議につきましては先ず以て全体に亘る総括的の質問から始めたいというのであります。小笠原君の御質問はまさにその通りでありましたが、他にこの際さような全体に亘る御質問がありまするならばお願いしたいと思います。
  17. 一松定吉

    一松定吉君 私各論に行つてお尋ねしたいと思つたのですけれども、総論的に極く概略に承わつておきたいことはですね、結局この憲法の五十四条の二項におけるいわゆる緊急集会というものは国に緊急の必要ある場合に限られていることは言うまでもありません。そこでかくのごとく期限等の定めのある法律についてこの期限等を変更しようという場合にはこの五十四条のいわゆる国に緊急の必要のある場合に限らなきやならんことはこれは言うまでもありません。そうして見ると、この法律案を見ると、ただ期限を延ばした。三月三十一日まで法律の効果が存続しておる。それを三月延ばす。或いは三月三十一日によつて効力発生する、それを発生を二カ月延ばした、こういうこの期間を、一は効力消滅消滅させないように、一は効力発生発生させないように延ばしたのだ。その日を延ばすということがいわゆる緊急の必要があるということが前提でなきやならん。そこで法制局長官に伺いたいのは、一体どういう緊急の必要があるのか、その効力消滅消滅させないようにするために緊急の必要というのはどういうことがあるか。又効力発生発生させないように、発生を後に延ばしたのはどういう緊急の必要があるのか、その緊急の必要のあるということをこの各般に亘つて一々具体的にしなくてもよろしいですから、大体延ばさなければこういうような事態が発生するのだということを一つ簡単に説明して頂くことがこの的概括に我々が本案を審規する上において必要だと思うのです。その点を一つあなたから答弁してもらいたい。緊急の必要ですよ。
  18. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 緊急の必要というものを分析いたしますと、緊急ということと、必要ということと二つになると思います。でこの緊急ということから申しまして、これは形式論でございますけれども、三月一ぱいで切れるわけでありますから、もう早速手当をしないと動かすわけに行かん。時期が遅れては何にもならない。これは平面的の緊急性がございますから問題がないと思います。次に緊急に必要のこの必要というものの問題が恐らくお尋ねの焦点だろうと思います。それについて例を挙げよということでございますが、恐らく各法律について当局からお答え申上げると思いますけれども、例えば今の軍人恩給の関係のポツダム政令というようなものが失効してしまう、失効してあとどうなるんだというような問題が直ちに起つて来て、そこに混乱を生ずるわけでございます。又地方税を例にとりましても、この附加価値税というものが今までずうつと延ばし延ばしされて来たわけでございます。今度も延ばされるというつもりで皆納税者の側でも、或いは徴税当局者のほうもおつたろうと思うのでありますけれども、それが途端に急転直下実施されるということでは、徴税のほうからも困りますし、納税者のほうでも又そこに混乱が起るというような意味での必要性というものは、各法律亘つて十分にあることと考えておるわけでございます。
  19. 一松定吉

    一松定吉君 今のやつは、効力消滅することを延ばすということについての緊急の必要性はそれでわかるのでございますが、ところが今効力発生しようとするのをいわゆる発生を抑える、その緊急はどういうわけですか。そこを一つ
  20. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) これは例えば裏と表はこれは表裏一体でございまして、免税の規定が期限が切れるということになれば、今度はそれが税を課せられる方向に働き始めるということでございますからして、その意味の必要性というものは両方に通じての問題であるように考えます。各法律についてお尋ねを願えればおわかり願えると思います。
  21. 一松定吉

    一松定吉君 それでは一つお尋ねましよう。いわゆる第六条ですか、外国人の出入国管理関係のこの法律の中の、いわゆる第十四条の指紋をとらなければならん、これが十四条に規定してあるこの指紋をとる、若しそれを、指紋を押捺することを拒んだようなときは、一年以下の懲役若しくは三万円以下の罰金に処せられる、そうするとこの実施はいわゆるこの条約発生後一年以内に云々ということで、昨年の四月二十八日が条約の発生だとすれば、今年の四月二十八日に済む。そういうようなものをそれ又延ばすということ、どういう緊急の必要があるのですか。それを一つ具体的に……。
  22. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 専門の政府委員が参つておりますから、そのほうから……。
  23. 一松定吉

  24. 鈴木一

    説明員鈴木一君) 外国人の登録法の一部改正の問題でございますが、本件は御指摘のように外国人登録法自体が平和条約発効と同時に公布されたのでございます。外国人登録法によりまして外国人が登録をいたしますとその際に指紋をとりまして、本人であるかどうかということにつきまして確認を得たいということが狙いでございますが、この指紋制度は我が国におきましては初めての制度でございます。従いましてまだその趣旨をよく徹底させまして然る上で指紋制度を採用したいというので、法自体は平和条約発効と同時に施行いたしましたが、指紋制度につきましては一年の猶予期間を置いたのでございます。然るところ指紋制度を採用いたします時期が迫つてつたのでございますが、その間に御承知のように昨年の五月を契機といたしまして、外国人の九〇%を占めております朝鮮の人たちが登録をいたしますという問題に関連いたしまして、登録自体に対しても不満を持つておる。又指紋をとるということ自体についても非常な反感がございます。延いては治安の関係にも及ぶような情勢が見られたのでございまして、指紋制度を一年の間に実施をするということはまだ時期が早いのではないかという情勢でございます。特に最近におきまして日韓会談が再開になりそうである、日韓の関係が外交的にもまさに妥結に向いますような機運になりつつある際に、この指紋制度を採用するということが無用な刺戟を与えますというようなことが想像いたされるのでございますので、暫らく現状維持で参りまして日韓会談の見通しがつきましてから、この指紋制度を採用するという方向に向うべきではないかというふうに最近の情勢から判断いたしまして考えられるのでございます。従いましてこのままで法律を延期いたしませんければ指紋制度を採用しなければならないということになりまして、それが延いては日韓会談に多分な影響があるのではあるまいかということになりますので、それらの判断につきましては六月一日までこれを延期することによりまして、その後の選挙その他の情勢によりまして新らしい内閣においてその判断をして頂くというとが適当なのではないか。従いましてこの指紋制度の採用につきましては現状のままでこれに触れない、先にもう少し延ばして頂きたいというのが趣旨でございます。
  25. 一松定吉

    一松定吉君 そうすると四月二十八日ですから、昭和二十八年の四月二十八日で丁度施行の日がきまるわけです。この四月二十八日であるのを六月一日まで延ばす、それまで三十二日間延ばすと、あなたの言つたそういう弊害が取除かれるのか、三十二日だけ延ばすことによつて
  26. 鈴木一

    説明員鈴木一君) 新らしい国会に再び延期をお願いするような法案を出すつもりで事務当局としては考えておるわけでございますが、ほかの法律が二月間延期をするという趣旨にこの数字を合わしたのでございまして、将来の国会におきましてこれを延ばすか、或いはそのままやるかということは、この六月までにもう一遍国会において御審議を願いたいと思つております。
  27. 一松定吉

    一松定吉君 そうするとあなたの説明では違うね、あなたの今の説明では今度の新らしい国会にかけてこれを延ばすか延ばさんかをきめるために三十二日間延ばすんだ、そうするとさつきのでは、まだ手続もできないし、韓国人の日本における治安問題等にからまつて今やることはよくないと思うから延ばすという、今言つた説明と違うのだね。どつちが本当です。間違つたら間違つたと男らしく取消したらいいよ。国会提出するのにこの四月の二十八日では間に合わんように思うから、とにかく延ばしたということはわかるんだ。あなたのさつき言う治安の維持とか、朝鮮がいろいろな騒動を起すから延ばすがいいというのなら三十二日間くらい延ばしたつて目的は達しないのだからね。
  28. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 延ばしたい、延ばすのが適当であろうということは今鈴木局長の申しました通り、これはどの事態が来ても恐らく延ばしたいということになると思います。思いますけれども先ほどお話の緊急の、緊急の必要のほうの問題に引つからまつて実は私が立ちましたわけなんですが、必要と申しましてもこれは最小限度のものでなければならんと私は思います。と申しますのは、或る時期になれば次の国会が必ず開かれてそこで立法措置のとられるお座敷が開かれる、それまでの間の必要をここで処理する。そこの合理的の必要最小限度のものを切りまして、そうして次のときまでにお待ちするというのがむしろこの場合に処すべき謙虚な態度ではないかというその一本から六月としただけでありまして、その必要性、実質的の必要性は次の国会最初において又御判断願うほかないと考えております。且つ事務当局としては恐らく暫らくの間は必要であろうという見通しはこれはあると思います。
  29. 一松定吉

    一松定吉君 そのことはよくわかつた。するとさつきの局長の答えと、あなたの答えと違うが、どつちがいいのかね。
  30. 鈴木一

    説明員鈴木一君) 法制局長官のおつしやつた通りであります。
  31. 一松定吉

    一松定吉君 そこで私が今度法制局長官に伺いますが、一体あなたの言う延ばすのは、最小期間延ばせばいいという、最小期間延ばして、そうして新たなる国会においてこれを審議するときに、丁度延ばした期間までに新たな法案が通過しないとすれば又延ばさなければならんね、それはどうなる。
  32. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) それは、そういう場合はあると思います。それは新らしい国会において又暫定延長措置というものをおとりになることはこれは当然あり得ると思います。とにかくそこで国会が活動をなさる時機がありますからそこの点までに控えて置こうという……。
  33. 一松定吉

    一松定吉君 そうすると、二カ月延ばすのが一体いいのか、或いは三カ月延ばすのがいいのか、これはその法律性質によつて少しくらい延ばしても完全を期するという意味のものもあれば、少々不完全でも早くこれを実施しなければ国民の幸福に障害があるからというような性質のものもありましようが、少くとも次の国会が開けてこういう新たな法律出してその法律に協賛を与えてそしてそれが実施されるまでの間には二月くらいでいいのもありましようし、或いは三月くらいでいいのもありましようが、そういうものは十分検討の上で二月ということにきめたのですか、或いは二月としておけばいいじやないか、もうそれだけに、そのときに国会で新法律の協賛を得ることはできなければ、又延ばしてもいいじやないかというようなことで二カ月にきめたのですか、どうですか。
  34. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) これはおのおのの法律の実体に照らして考えますれば今のように或いは六カ月くらいは延ばして頂きたいものもありましようし、一年延ばして頂きたいものもある。これは何ら解散或いは緊急集会という事態を想像せずに立案いたしますならば、まあこの国会、前の国会提案しておりますように恐らく一年という延長をお願い申上げるのが、普通の場合であると思う。殊に又、ものによつてはそれ以上のものもあると思いますけれども、それはおのおのの実体も考えれば今お話通りだと思いますけれども、ここは今のようにこの憲法の特例の緊急集会という形の場所で御審議を願うので、臨時の措置としてなす以上はそこはやはり筋を通して次の国会の活動せられるまでの合理的な間ということで一線を画するのが我々としては一番正しい誠実な態度ではないか、実は各省からもつと延ばしてくれという話は皆ありましたけれども、それはむしろ私の責任かも知れませんが、そういうことでやつた日には、これは参議院でお叱りを受けるのではないか、必要限度を超えるというお叱りも又出て来るということで、心を鬼にして筋を通したというのが真相でございます。
  35. 一松定吉

    一松定吉君 そこまであなたは真実を言うならばこれ以上問わないが、あなたの言うことを諒として。本当はこれはあなたが言う通り三カ月、六カ月も延ばさなければならないものもこのうちにある、けれども緊急集会という性質から見て法制局長官がこの程度ならば参議院緊急集会で通すという含みでやつたと、それならばあなたの心の底を披瀝せられてのことと諒といたします。これ以上質問いたしません。
  36. 河井彌八

    委員長河井彌八君) これにて一時半まで休憩いたします。    午後零時六分休憩    —————・—————    午後二時十三分開会
  37. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 先刻に引続きまして委員会を開会いたします。午前中に本案の総括的の質問が大体終了いたしたと認めまするから、これより逐条の審議に入りたいと思います。御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり」〕
  38. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 御異議ないと認めます。さように決します。つきましては期限等の定のある法律につき当該期限等を変更するための法律案第一条を問題といたします。これにつきまして政府からの説明を求めます。
  39. 北島武雄

    説明員(北島武雄君) 便宜関税率に関するものを一括いたしまして御説明申上げます。  関税率に関しますものは、この第一条の一号関税定率法附則第二項、四号の関税定率法の一部を改正する法律附則第五項及び第六項並びに第三条金管理法の一部を次のように改正する、この三つでございます。
  40. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 只今第一条だけの問題にすると申しましたが、便宜第三条も問題にいたしますから御了承願います。
  41. 北島武雄

    説明員(北島武雄君) 関税定率法附則第二項と申しますと、これはいわゆる学童給食の用に供しまする乾燥脱脂ミルクの輸入税についての免税の規定であります。現行法によりますれば「小学校又ハ盲学校、聾学校若ハ養護学校ノ小学部若ハ保育所ノ児畜ノ給食ノ用二供スル乾燥脱脂、ミルクノ輸入税ハ命令ノ定ムル手続ニ依リ昭和二十八年三月三十一日迄ノ輸入ニ付テハ之ヲ免除ス、」こういう条文になつております。御承知通りに学童給食は目下ずつと引続いて行われておりますし、昭和二十八年度におきましても、乾燥脱脂ミルクの学童給食が行われるのでありまして、給食用脱脂ミルクの輸入もすでに計画されておりますので、この免税期限が三月三十一日で一応満了いたしますことは甚だ工合が悪いので、これを暫定的に五月三十一日までに免税期間を延長しようとするものであります。  次に第一条の第四号が関税定率法の一部を改正する法律附則第五項及び第六項でございますが、附則第五項は石油、重油、粗油等の災化水素油、石油コークス或いは航空機などの各品目につきまして暫定的にこの三月三十一日まで免税することになつておりますし、又炭化水素油のうち軽油、潤滑油及び建染染料につきましては、三月三十一日までの間暫定的に減税を規定いたしておるのであります。これらの品目につきましては、生産、消費及び輸入の状況に鑑みまして暫定的に目下軽減税をいたしておるのでありますが、その後の状況につきましては差当り急激な変化がございませんので、本年三月三十一日までの期限を暫定的に五月三十一日まで延、長しようというのであります。  次に関税定率法の一部を改正する法律の附則六項でございますが、第六項は我が国産業の近代化及び合理化を促進する見地におきまして我が国経済の自立達成に資する産業用の機械で、新式又は高性能のもので、我が国において製作が困難であるというものにつきましては、政令で機械類を指定して免税する取扱になつております。この期限が三月三十一日で切れますので、今後なお重要機械を相当輸入しなければならない状況に鑑みまして、暫定的に五月三十一日まで延長しようというのであります。  次に第三条の金管理法の一部を次のように改正する法律でございますが、これは金管理法第三十条第一項は、戦時中におきます金鉱業整備によりまして荒廃した金鉱業の復興を促進するために、金鉱業者が使用いたします特定の器具、機械類などの輸入税の免除を規定したものであります。金鉱業の特性に鑑みまして、金鉱業者の使用する器具、機械類の輸入税の免除を更に継続する必要があるのであります。現行法におきましては、その免除期間は金管理法施行後、三年間、即ち本年四月三十日までとなつております関係上、暫定的にこれを一カ月だけ延長いたしまして、五月三十一日までといたしたいのでございます。以上が大体の説明でございます。
  42. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 私から内国税の関係の分を説明申上げます。その一つは、第一条の二号の租税特別措置法に関するものでございます。それは航空機用の揮発油税の免除の問題でございますが、これは大体この免除を受ける直接の関係は、日本航空株式会社でございますが、日本航空株式会社の経理の状況等から見まして、現在におきましては、日本航空は通行税を一面において払つておるのであります。これは旅客が払うわけであります。それからまあ揮発油税の問題がございます。そこで航空料金との関係もございますし、日本航空が現在経営の初期におる関係もございまして、なかなか経理が非常に困難な事情にあります。従つてこれが或る程度軌道に乗るまで、揮発油税についての免除をして頂けないかということが話題になりまして、本年の三月三十一日までは租税特別措置法で免除の措置をとつております。明年度につきましても同じような話がございまして、政府といたしましては一応一カ年ほど措置を延長したいと、こういうふうに考えまして、先日解散になりました国会には、この一年間期間を延長する法案提案いたした次第であります。これはまあ御審議の途中で以て国会が解散になつてしまつたわけでございますが、そういつた事情にございますので、この措置の適否についていろいろ御批判はあろうと思いますが、政府といたしましては一応まあ一カ年間延長したいということを考えて法案提出した経緯に顧みまして、取りあえずこの二カ月間延長して、将来の問題につきましては次国会において御審議願いたいというのが、この一条の二号における二十六条第一項における期間の延長の問題でございます。それからあと少し飛びますが、七条に臨時特例等に関する法律の一部を改正する提案がございます。一番最後であります。
  43. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 委員長から申上げますが、第七条も議題になつておると御承知願います。
  44. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) でこの関係は昨年の暮に成立を見ました二十八年分所得税の臨時特例等に関する法律の件でございますが、これは大きな点といたしましては、本年の一月から三月に至る期間の間の給与等に対する源泉課税につきまして、或る程度の減税を予想しまして、徴税の額を減らすことを規定した法律でございます。過般提案されました改正税法におきましては、このときに考えられておりました臨時特例を平年度化するということを中心に一応法案提案されたわけでございます。この減税法案は一応解散のために審議未了になつてしまいましたが、一応そういう経過もございますので、取りあえず五月まで、現在の一月から三月までやつて来たと同じ程度措置を五月まで延ばしたい、若しこれをいたしませんと、給与所得者に対します課税が、四月、五月が昨年に戻りまして上るわけでございます。それはちよつと適当でないだろう、一月—三月に課税したと同じレベルにおいて四月、五月にもやはり課税して行くのが穏当ではあるまいか、かように考えまして、一応五月まで延長する、従いましてこのあとの問題につきましては、いずれ新らしい国会において御審議になる問題と思いますが、とにかくこの臨時特例自身が取りあえず一月乃至三月を、給与所得に対して或る程度の減税をして頂く、それをそのまま五月まで延長することによりまして、差当つて措置を講じ、将来の問題におきましては、改めて新らしい国会に御審議願いたい、かような趣旨で以てこれを延長しよう、そういう趣旨でございます。
  45. 小林政夫

    ○小林政夫君 議事進行について…。一つずつ片付けて行つたらどうですか、今内容を説明した……。
  46. 河井彌八

    委員長河井彌八君) それではさようにいたします。  それでは只今政府から説明がありました第一条の一号、二号、四号、それから第三条及び第七条につきまして、御質疑がありますればこの際願います。
  47. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 関税定率の点について一点お伺いいたしたいのでありますが、縦染染料の減税につきましては、染料のメーカーのほうでは、これは減税をしてもらつては困る、日本の国内産業保護の面から困る、こういう陳情、要請が大蔵省にもなされ、又国会に向つても請願がなされておる。それから一方染織業者のほうからは、当分の間日本の今の染料の工業の状態から見て、まだ外国の染料に比して日本の染料は落ちる、又値段も引合わないからして、日本の染織業保護の見地から暫らくの間免税にしてもらいたい、こういう反対の陳情が出ておるわけであります。そこでこの前の関税定率法の一部を改正する法律審議するに当りまして、まあ今年の三月三十一日まで一つ期限を切つて、こう言つて減税になつたと思うのであります。それを今回緊急集会におきまして、更にたとえ二カ月でも期限を延長するということは、あの当時の見通しからして、今年度一ぱいやつておけば大体話がつくし、日本の染料工業も復興するのであるから、そこの段階に来るだろうからというので、期限を切つたと思うのですが、それを緊急集会で延長するということは、あとの学童給食用のミルクあたりとは大分性格を異にするものではないかと思うのですが、この点について税関部長から、即ち今の染料事情等から考えて、これではまだ当分一年くらい延ばさなければならんとあなたのほうでは考えておるのか、この前に三月三十一日に期限を切つた経緯から鑑みまして、御答弁願いたいと思います。
  48. 北島武雄

    説明員(北島武雄君) 縦染染料につきましては、非常にこれは問題が多いのであります。一昨年関税定率法を全面的に改正いたしました際に、関税率といたしましては、縦染染料は二五%の税率を盛りました。ところが関税定率審議会におきまして諮問いたしましたところ、暫定的には二五%は高過ぎるから、一五%にしてもらいたいという御要望がございました。その御要望に基きまして政府原案といたしましては、関税定率法の別表輸入税表中におきましては二五%ではありますけれども、暫定的にこれを附則におきまして一五%の率におきまして提案いたしたわけであります。これが衆議院を通過いたしまして参議院に参りましたところ、本院におかれましては、これに対して暫定的にも免税するのはよろしくないという御意見がございまして、結局参議院といたしましては、衆議院から通過して参りました案に対して御修正をお加えになりました。暫定的にも一五%の減税ということはよろしくないということで二五%に復活なさい、それが両院協議会に参りまして結局暫定的には二〇%という率にきまつたわけであります。そういう経過に鑑みまして、昨年更に期間を延長いたします場合におきまして、一応両院協議会によりまして二〇%ときまつたようなわけであります。その後生産並びに消費の状況から申しましても、両方のバランスから申しまして、大体同じような状況でありまして、両院協議会の御決定を尊重いたしまして一応暫定的に二〇%という案で、政府原案として昨年の国会で御審議つたわけであります。ところがこれが衆議院におきまして御修正になりまして、更に参議院においてもその修正同意されまして、結局暫定的に一五%という率に相成つたわけであります。今回三月三十一日で期限が切れますので、先般来関税定率法の一部改正法案提出いたしまして、御審議つたわけでありますが、その際におきましては昨年の国会の御修正の経緯に鑑みまして、その後の消費、生産の状況をいろいろ検討いたしましたところ、状況において大差がないという判断がつきましたので、一応一五%のままで更に一年間免税を継続する、こういう案を提出いたしたところが、審議未了に終つた次第であります。今回の案におきましては、さてこれを政治的な面から見まして、この免税を取外すというようなことになりますと、これはやはり緊急集会にお諮りすべき事柄ではなくて、次の国会におきまして新たな見地から、新政府において御検討になつた上で案を立てられてやるのが然るべきであろう、こう考えまして、先般提出いたしました案通りに一応一五%のまま五月末まで暫定的に期間を延長する、こういうことにいたした次第であります。
  49. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 次にもう一点お伺いしたいのは、租税特別措置法の第二十六条第一項の改正についてでありますが、この航空機用揮発油税の免除ですが、これはあなたが御説明になりました第七条のように国民全般に影響するものとは違いまして、ただ一つの日本航空、ああいうどちらかというと独占事業ですが、而もあれは外国の息の随分かかつた会社といつても差支えないと思うのです。パイロツトは未だに外国人がやつているのだし、これは占領下における特殊事情において国内航空事業を始めるためにそういう力で以て抑えられて来た、こう見なければならんと思うのです。揮発油税の免税につきましても、これは国内で本当の国内航空を、民間航空をこれから盛んにしなければならんというのは誰でも考えられることですが、それは本当に日本人だけでやつてまだ経営も成立たんからして揮発油税を免除するというのなら、一懸話はわかるのですが、あれは占領下における残滓であつて、而もそれが抑え切れなかつたので三月三十一日までとして免税しておつたやつを更にこれをこういう緊急集会において二カ月間延長するという処置をとることはちよつと行過ぎではないか。三月三十一日で一応切れるものはこれは切れても差支えないのじやないか。そうして新たに今度は新政府において、独立後といいますか、自由な立場からこれをどうするかというふうに考えるのがいいのじやないかと我々は考えるのですが、この点について一つ日本航空の今の経営状態、それを一つ御説明願いたいと思います。
  50. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 現在の日本航空は、これは株主は全部日本側でございまして、外国資本が入つているということは現在はありません。で一応出発の当初におきましては、占領下にありましたものですから、こちらの航空機を使うことができなかつたというような関係からしまして、外国のパイロツトにチヤーターしたような恰好でやつてもらつたような時代もございましたが、現在におきましては経営或いはそうした技術的な面におきましても、全部日本側のほうでやつているという実情でございます。従いまして我我といたしまして、この揮発油税の免除を継続すべきか否かという点につきましては、只今あなたもおつしやいましたような新らしい見地に立ちまして、現在の日本航空の経理状況から見まして、果して継続するのが適当なりや否やということを実は一度検討して見た次第でございます。そうしてその結論といたしまして、政府といたしましては、やはり少くとも現状におきましては一年継続することが適当じやないかというふうに考えましたものでございますから、過般の税制改正の法外案の一つといたしまして、一年延長の案を実は出したわけでございまして、そういう経緯もございますので、現在の日本航空の経理状況からいたしますと、揮発油税の負担は相当大きなものになりまして、非常に経営が苦しくなるというような点もございますので、将来の問題といたしましてはいろいろ御批判もあろうと思いますが、この際としましては一年延長の法案提案した経緯にも顧みまして、取りあえず二カ月延長するのが適当ではないか、かように考えた次第でございます。
  51. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 これは今年の三月三十一日まで期限を切つたというところに揮発油税の免除の私は意義があつたと思うのでありますが、というのはこれは期間を切るからして先ず認めようというところで通つている法律であると私たちは見なければならんと思うのです。のべつ幕なしに免税するということになりますと、非常に問題が生じて来るのじやなかろうか、而も日本航空の経理状態は、あなたがたから専門的に調べられた場合にそういうことも成立つかも知れないけれども、我々は外部から見ておるところによりますと、これは非常に有望であるし、揮発油税を払つてつても決してそう成立たんものではない、今後も揮発油税を払つて成立たんということになれば、いつまでたつてもこれは成立たんことになつてしまつて、長い間揮発油税を免除してやつて保護して行かなければ成立たん。それはほかの揮発油を使う各種の産業と同じことが言い得るのでありまして、そんなことをいいますと日本のこしらえる品物はみな何でもものは高いということになりますと、高いのはなぜかというと、税金が高いからだと資本家のほうでは言うのです。経営者のほうに言わせますと、税金が高いから高くなるのだ、こういうことになりますと、みんな免税しなければならんことになるのでありますが、これはあなたのような考えでは、率直に申しまして今大蔵省の事務当局としてはいつくらいまで免税するつもりでおるのですか。そうすれば日本航空は成立つのですか。
  52. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 本年の三月三十一日までに一応免税期間を切りまして、法案を成立させて頂きましたのは、今後における日本航空の経理状況を見まして、そうして必要がなくなればもう免税をやめよう、必要があれば或る程度続けざるを得まいという観点で、一応本年の三月三十一日まで期限を切つたように私は存じております。従いまして最近の経理の状況を見て参りますと、まだどうも揮発油税は相当大きな負担になります。実績で見ましてやはり昨年の四月から本年の三月までにおける揮発油税の免税額は六千万円ちよつとになるのではないかと思つております。日本航空の経理から見まして、やはりこういう措置を続けてやりませんと、とても日本航空としては赤字でやつて行けないのじやないかというので、まあ差当りましてもう一年続ける、その後においてはやはり日本航空のその後の状況によつて更に考えてみたい、こういうふうに考えましたのが、過般提案いたしました一年延期の案の理由であつたのでございます。そういつた事態にございますので、取りあえず先は先といたしまして、この際としてはやはり二カ月の期限を延長するのが適当ではないか、かように考えておるわけでございます。
  53. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 私の承知しておるところによりますと、今年の三月三十一日まで揮発油税を免除してやるから、それまでに揮発油税を払つても経営が成立つように一つ努力をせよと、こういう意味を含んだ期限切りの特別措置法だと、こういうふうに了解するわけですが、せめてできたばかりであるから、而もこの日本航空の経営陣を見てみますると、どちらかと言いますと、現在の政府、この間不信任案が可決された現在の政府と非常に密接な繋りを持つておる連中だと、こう言つても差支えないと思います。というのは、この間鳩山、吉田の首班争いのときに申入れに行つたメンバーが、鳩山、吉田喧嘩するな、一つになつて政権を担当せよと、申入れに行つたメンバーが経営陣の中に入つているのだ、而もそういう内閣が不信任されておるときに、更にこの措置を続けるということは如何かと思う。これはほかの学童給食のような一般国民に及ぼす問題、或いは所得税の臨時特例のような一般の広く大衆に及ぼすような問題であつたらいざ知らずでありますけれども、決してこの日本航空は、我々の見るところによりますと、揮発油税を取られたからといつて、すぐ潰れてしまつて、国内航空を廃止するというようなことは決してしないのです。六千万円儲かつたら儲かつただけで、長い間論議対象になつておりました結局社用族の跋扈になるか、交際費の濫費になるか、広告費の濫費になるということになるのではないか。こういうふうに考えるのですが、この点どうですか。
  54. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 日本航空の現状からいたしますと、どうもやはりそう航空事業、特に国内航空事業が本当に揮発油税の免除のようなこともなしに、まあ健全に地歩を築き上げるについては、やはり相当の年月は必要ではないかというふうに考えております。我々といたしましては、日本航空の経営陣とかいろいろなお話がございましたが、専ら会社のまあ健全に発達して行くためには、何と申しましても航空事業というものが、特異な事業でありますだけに、やはり或る程度の面倒を見てやつて行く必要があるのではないか、どうも現在すぐに揮発油税の免除をやめてしまいますと、すぐ経営がストツプするとかしないとかいうことは何とも叩上げられませんが、経営が非常に困難になりまして、将来の運航につきまても相当の支障を生ずる虞れがあるのじやないかということを心配しております。なおこの問題はこれは申上げなくてもよくおわかりのことと思いますが、大体日本航空が一番影響を受けますが、日本航空だけの問題でなくて、航空機全般にも影響する問題であります。ただ全体といたしましては大部分は日本航空の問題でございますので、私も日本航空を中心にいたして一応お話申上げた次第ですが、日本航空の問題だけに限定されておることではないということは申上げるまでもないのであります。航空機用の揮発油というものについてはもう少し考えて行く必要があるのじやないかと、かように考えております。
  55. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 それはあなたの御答弁通りだとするならば、この免税を今年の三月三十一日までときめるときには、当然それをきめて、それまでに払つてもいいようになるという見通しの上に立つてこれは経営計画、事業計画等をちやんと出さして、そうして三月三十一日まででよかろう、それまでにやりなさいというふうにしてきめただろうと思う。ただ一年とにかくやつておけという野放図に先を見るというのでなしに、そのときに若しあなたの言うような点であつたら、誰が見ましてもそのときに一年や二年でとてもやれないというのであつたら、二年なり三年なりの期限をつけて当然きめられるべきだ。短期の期限を切つてしたということは、他に及ぼす影響も非常に大きい。それから非常にいろいろの批判も受ける。併し日本航空の発足に当つてせめてこれくらいの援助はよかろうというので三月三十一日で期限を切つたと思う。期限を切るのはそういうふうに、ただ無暗に暫らく様子を見るためといつて期限を切るのではないと思う。期限を切るというのは相当理由があつて、例えば脱脂ミルクの問題にいたしましても、幸いにして我々野党のほうからやかましく言いまして、給食の問題も実は期限が延びたのですけれども、これは脱脂ミルクも殆んど今度は給食はもう打切ろうとしておつたのです。だからして三月三十一日に期限を切つておいたのです。これと同じ関係からするならば、この脱脂ミルクのほうは政府はそういう意図を持つてつてつた。この揮発油税のほうはとにかくきめておけ、そのうちに何とかなるだろう、こういう考えであなたのほうはおきめになつた、こういうふうに受取つてよろしいのでございますか。
  56. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 期限を切る考え方には私は二つの考え方といいますか、今お話になりましたように、大体三月三十一日まで切つておけばほぼ大丈夫だろうという見通しをつけて切る場合もあろとと思いますが、同時に大体まあ一年では無理かも知れん、或いは三年くらいが適当かも知れん、併し三年ときめてしまうのもまだそのときの状態といたしましては少し早過ぎやせんか、或る程度延びる可能性はあるかも知れんけれども、まあとにかくこの際としては一応一年に切つておいて、そうして更にそれを一年延ばすか、どう延ばすかということについてはそのときの状況において考えたい、こういつたような考え方もあり得るのじやないかというふうに私は思うのでございます。それでこの揮発油税に関する限りにおきましてはどちらかと申しますと、あとのほうの考え方でありまして、一年で以てすぐ日本航空なら日本航空が自立できるという見通しは恐らくすぐにはその場で立ち得なかつたと思いますが、と申しましてそれでは三年にするかというのも少し如何かといつたような観点から、とにかく一応将来事情によりましては延ばすこともあるかも知れん、とにかく一応一年に切つておこらといつたような考え方が現在の一年の期限の問題だというふうに私は考えております。従いまして先般の改正法案の場合におきましても、更に一年を延長することをお認め願いたいという意味改正法案を出した次第でございまして、そういうような事情にございますので、いずれ一年延ばすかどうかということについては別途御審議を願うとしまして、この際としては取りあえず二カ月延ばしておくのが適当ではないか、かように考えた次第でございます。
  57. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 主税局長にこの際でございますが、申上げておきますが、こういう種類の法律を制定又は起案するに当られましては慎重にやらなければならん、なぜかと申しますと、悪用しようと思いましたら、町の政府を握つたり、多数党を握つた場合には非常に悪用できる。六千万円から日本航空は免税によつて儲かるということが事実になりますると、それを種に時の政府、多数をとつた場合に悪用しようと思えば、おいどうだ、これを言うことを聞かなかつたら外してしまうぞということが効くのであります。併しそれはやはり事業そのものを育てようというのなら、或る程度三年なり五年なり見極めをつけて、そうして計画をしておかなければ、業者のほうでも三月三十一日で免税のほうは切れてしまうか、それともそのまま行けるかという問題は、次年度の計画からその先の計画まで立てなければならない事業経営者というものは、毎年不安な状態において翌年度の事業計画なんかを立てなければならん、その虚につけ込んで、悪くするならばいわゆる政党政治の悪い弊害がそこに現われて来る。今度我々、我々といつては語弊がありますが、衆議院のほうに不信任案が出た際にも、政府のそういう点について非常に疑いを持つておるという点が吉田内閣弾劾の一つの理由になつてつたわけでありまして、これは野党各派は口を揃えて、私らも傍聴しておりましたけれども、吉田内閣の四カ年有余に亘る施政の間においてそれらの忌わしい事件が事実具体的には摘発できないとしても噂に上つてつたり、或いは内部から暴露しかけたりしておる事実があるからして、この点について重要な我々は関心を示し、ここに吉田内閣を信ずるわけに行かんという理由の一つになつてつたわけであります。将来におきましてもこれらの期限を定めるに当りましても、これで期限を定めておいてこれであつたらあとやれるかどうかということをはつきり両者を見極めをつけて、成る程度の計画性を持つてやらなければならん。ちよつと様子を見るということでは悪用される慮れがある。而も租税問題が悪用されるということになりますると、誠に由々しき問題だと私たちは考えますので、この点について今の主税局長の御答弁は誠に僕らとしては了解に苦しむものがあるのでありますが、これ以上言いましても何ですから、あとの人に譲ります。
  58. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 主税局長から只今のような御答弁があつて、私素人でわかりませんが、一般民間会社なり個人経営の商工業者等は情状酌量の余地なく税金をびしびし取られるということで困つておるようですが、今のあれは、一特定の航空会社に対しては非常に温情の溢れた御考慮があるようで誠に見直した次第ですが、ただ私ここで今の質疑を聞いておつて誠に解せないものがあるので、これは法制局長官なり政府を代表するかたからお伺いしたいのですが、国家的な緊急な事態に緊急集会が開かれるとして、この緊急集会に上程せらるる案件を著しく客観的な基準によつて制約せられたものが出て来るはずなのが、一特定航空会社の利益のために、便宜のためにこういう法が緊急性ありとして出て来る、而も法の内容はそうすることが航空会社にとつて望ましい適切な措置である、こういうような条件だけでこの緊急集会にこの法の改正が出て来るということは私は疑義がある。而もこの問題については憲法に違反することでもなければ、或いはその特定会社に対して行政府として義務を負つているものでもない、免税にするということが仮に義務であとるするならばそれは三月三十一日に終つているので、四月以降までその義務を若しも仮に免税することが言われるならば、そういうものは延長する筋合いは一つもないはばです。そうして又二カ月延ばすということによつて、何らこの航空会社は破産その他という事態が起る問題でもない、国家的なそれは緊急なるものでもない、一特定会社にとつて最悪の場合においては緊急的なものでもあろうかも知れないけれども、国にとつては何ら緊急性のないものである。こういうものを政府において出された見解を先ずお尋ねしたい。  第二点としましては、大蔵省側が主管省ですからそのほうの代表のかたに伺いますが、仮に只今時間に制約せられていますから資料の要求もできず、不満ながらこれを了承するとしまして、五月になつて臨時国会になりました場合に、この免税の延期の問題が又々必ずや暫定措置として出て来る可能性がある、或いは出ない場合もある、そういう場合に、我々が出た場合には審議対象とし、出ない場合には調査の対象として、この会社の経理内容を示す決算書、貸借対照表等を一切を取寄せて調査の結果、それまでの免税を必要としなかつたという結論が出るならば、これは私たちはあなたがたの一方的な意見を聞いて、緊急集会なるが故に承認したという誤謬を犯すことになるわけなんです。そういう点については大蔵省においても責任をとつてもらわければならんのだ。でこういう配慮は飽くまでも時の、政府なら政府の特定な政策を掲げた政府において考慮されるならともかく、緊急集会において事務的な立場で客観的な状態においてこういう法を出すべき筋合いのものではないと私は考える。この点については大蔵省側の意見を伺つておきたい。
  59. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 前段のお尋ねについてお答え申上げますが、申上げるまでもありませんが、この航空輸送というものを健全に育てて行かねばならんということは、大きな国家的要請であろうと思います。(小笠原二三男君「それは賛成」と述ぶ)従つて又その要請からして、現在租税特別措置法にわざわざ免税の規定をお設けになつておるというところであろうと思いますからして、今のお話にありましたように、日航のみという現実の形にはなりましようけれども、その要請そのものは大きな只今の過程の要請から来ておるわけでありますからして、この緊急集会にこういうものの御疑問はまあないというふうに、疑問はないというふうに考える次第であります。
  60. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) 只今まで政府側からの御説明をいたしました通りに私も考えておるのでありますが、ただ最後に小笠原君から御質疑がございましたが、五月まででこういう措置を一応御承認を願つておいて、その後の事態においてはどういうことになるであろうかといふうな趣旨の御質疑がございましたが、現在の大蔵省といたしましては、先ほどから御説明いたしましたように、航空事業を育てて行きたいという立場から言つて、主たる対象は日航ではございますけれども、少くともこの四月から来年の三月ぐらいまではこの措置を続けて行つてやるべきであるというふうな考え方並びにそれの基礎になるところのデータからさような考え方を解散前の国会に御審議を願いつつあつたわけでありますから、私の考えでは、五月、六月以降におきましても、私はどうしてもこういうことが必要であると、少くとも来年の三月まではというような資料が責任を以て出し得るかとこういうふうに考えております。併し、と申しまして、これでこれからそういうことになるのじやなくて、日航が非常な努力をして、経営の改善をやつて参りつつあるものと私は確信しておりますから、それを基礎にしてさようなことが私は確信を以て申上げられると思います。
  61. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 大蔵省側の只今答弁は、前段については私は必ずしも承服できない。十五国会において一年延期の法を出しておつたのだから、だから二カ月延期というような暫定措置をとることは適切である、当然のことであろうと考えられるのは、それは吉田内閣政策の上からして考えられるごとなんだ。今日は開店休業の内閣においてそんな意図を持つて適切であるとして出して来られることは我々迷惑至極なんだ。だから、一年延期の意図があつたものだから二カ月にするのだ、というようなことは何ら緊急性を認めません。その点においては又法制局長官只今の御答弁では私は緊急性ということはちつともわからない。現実には日航会社であるが、この法の根ざしておるところは日本全部の民間航空の発展に寄与するがために免税措置をとろうとしている一般法なんだ。だからその意味で二カ月延ばすのだ、このことから国家的に重要な緊急性であるということは何ら導き出されない。結局緊急だということは、現実は日航の会社である。日航の会社の経営内容について二カ月間税を取るか取らんかということがその会社にとつて緊急なだけなんであつて、国家にとつては何ら緊急なことはない。そのことによつて航空会社が定期航空を一週二回出していたものを一回にしなくちやならんとか、或いはそのことによつて料金が上るのだとか、そういうような事態が明白でない限りは私はちつとも緊急性としては認められない。もう一度法制局長官の御意見を承わりたい。
  62. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 私は法律的の角度から申上げておるのでございますが、只今の先ほどのお尋ねの中に一プライベートな一つの会社のためにというお言葉がございまして、この際の緊急措置に合わないじやないかということでありましたから、たまたま重点はさような一プライベートな会社になるかも知れませんけれども、飜つて然らば現在の租税特別措置法の第二十六条というものはどういうところから出ておるのか、これは恐らく国家的要請があるからこそ法律を以てかようなことをおきめになつたんだろうと私は確信するわけであります。従いましてその前提に立つてそれを二カ月現状を維持して頂くということになるわけでありますから、そのあとの二カ月の分は他の法制の問題と私は同じことじやないか、この前段のことを強調してお答え申上げただけであります。
  63. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 重ねてしつこいようですが、二カ月間これを延長するという問題で対象になるのは現実には日航会社だけです。だからあなたのおつしやるように一般的な問題として延長を現行通り考えて行くということならば、それは五月の国会において新内閣によつてそのことが具体的に措置されればいい。それほどまでにこの緊急集会というものの性格を厳格にしておく必要があるのじやないか。何も五月にやつてやれないものではない。五月になつて内閣が必要でありとするならば、この法を起して来ることは何ら差支えないのであります。而も衆参両院の、もともと法に示す両院議決を経て法律にして行くということがいいので、単に一院のほうの、それだけの議決を求めてこの法律を有効にして行くという変則的な措置をとらんでもいいのじやないか。緊急性というそのウエイトから考えます場合にそういう措置をとらんでもいいのじやないか、却つてこういう措置をとろうとすることに国策というような見地に名を借りて、一特定会社のために便宜を供与するという結果になり、又そのそしりを免れないのではないか、こういう点を私は指摘しているわけなんです。
  64. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) これはおつしやることは実によく私もわかるのであります。ただ私の立場からお答えすれば、先ほどのような別にたまたま日航と申しましたけれども、日航以外のものもこの航空機燃料を買うところはあるはずでありまして、而も現在の二十六条は何も日航を名指しておるのではありません。航空機燃料とこう一般的に書いており、而もその燃料について免税することは先ほどの国家的の要請であるというところと繋げて考えますれば、ほかの免税措置を延長する問題と同じになつてしまうように私は思われてしようがないのであります。そこで仮に今度期限の切れるものの中で逆にこれをやりくりをして、これは落そう、これは延ばそうというようになると、それこそ政治的というか、政策的なもの、我がままな判断が加わつたのではないかというお叱りを受ける場面が出て来るということをむしろ恐れるわけです。
  65. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 只今の後段の部分なかなか政治的な妙味のある御答弁がありましたので、これ以上時間をとつてもなりませんから、これ以上は追及しませんが、併し私は飽くまでもこの点については緊急集会の名に鑑みて疑義があるという点だけは申上げておきたい。
  66. 山田節男

    ○山田節男君 今の小笠原君の質問に関連してですが、この憲法第五十四条第二項、やはり国に緊急の必要がある場合にこれは緊急集会を開くので、そうして緊急集会でなした措置は、これは飽くまでも臨時的なものであります。次の国会において十日以内においてこれを衆議院が否決する場合は効力を失うという、そういうことがちやんと明記してありまして、今日まで参議院として緊急集会は第二回目なのです。第一回目はこれは御承知のように昨年あつたのですが、今度のようにこういう法律の施行の期限の問題にしても非常に多岐多般に亘つたものなんです。今小笠原君が指摘されたような、今問題になつておる租税特別措置法ですか、第二十六条の第一項の問題でございますが、これなんかも法制局としたら、これはもう将来これが一つの何といいますか、例になるわけです。であるだけに法制局としてはこの憲法の第五十五条の第二項、第三項のこの趣旨からすれば、これは私はあなたがむしろこの場合には裁判的な形で以てこの法律の選択についてやるべきものだと思う、ですから今小笠原君も恐らくそうだろうと思うが、一体この緊急集会に臨時措置として国の緊急必要があるために出すのだということに対して、一つ基準というものを置かないと、今後もでたらめになる。そこに我々が立法者として非常に危惧を抱く。ですから今あなたのおつしやることは、法律だから政府が出せばこれはやる必要があるのだから、今朝一松委員質問に対して緊急という裏には必要ということが裏付けされておるのだという御答弁がありましたのですが、それじや私はいけないと思う。少くとも憲法の番人であり、立法者である、殊に行政府法制局長官としてそういう基準をはつきり第二回の緊急集会においてこれを出された場合には、相当これはスクリーンしなければいけない。然るに今あなたのおつしやることは、法律であれば各官庁が出せばこれは皆緊急性があると言う。これでは法制局長官としての任務を果していない。我々立法者として憂うるところはそこなんです。ですからこれは私は今ここでそれじやどれどれが緊急性がありまして、その他はございませんということは、これはあなたおつしやられんと思いますが、少くとも法制局長官としてそういう一つ解釈をおかないと国会は迷うのです。ですからこの点は私は希望として、なおこれ以上答弁を求めませんが、私はそういう意味において小笠原君の今質問された点が究明されてない。これは一つの宿題として、私は後日その他の機会において質問することを保留します。  それから今の問題になつている租税特別措置法の第二十六条第一項、これは日本航空は非常に経理状態が悪いということをおつしやつておる。併しこれはちよつと見ますと、株の値段から見ましても七十円から百十円になつておる、百二十円ぐらいになつておる、配当があるかないか、これは私知りませんが、少くとも一般市場において株価が払込額の五割乃至二十割というようなことになつて、二十割以上になつておれば、これは経営状態が悪いということはちよつと素人考えには考えられない。それからもう一つ、これは日本みたいなまだ非常に貧弱な国であれば、こういう航空機、これはタイにおいて、インドにおいて或いはビルマにおきましてこれは一つの公社でして、完全な国営じやありません。完全な国営のもありますが、公社であります。国家が一つの行政権を与えておる。そういうようなときに日本のようなこんな非常に貧弱な国が一つの民間航空株式会社としてやつておる。そうして今の航空用の揮発油を免税する、これは私は税金を免除するという以外にまだ助成の方法があるのじやないか。然るに今のような免税によつて年間日航に対しても六千万金円の一つの助成というか、そういう結果になつておる。この点が私はさつきの質問者と同じように非常に不満に思うのですが、この日航が六千万円としまして、他の新聞社とかその他こまごました航空用の燃料ですね、これが日航を入れまして総額どのくらいな免税額になるか、おわかりになればお答えを願いたい。それから航空会社、日航の経営状態が悪いとおつしやいますが、一般市場の株の値段から見て必ずしも悪くない。こう思うのですが、配当なんかもしているのかどうか、この点どうです。
  67. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 先ほどのお言葉を拝承しまして、私どもの立場としては誠に有難いお心付けだと思つております。二カ月の点については今朝ほど一松先生にお答えした通りの心持を以ちまして、今回御提案申上げた法案内容につきましても、私どもとしては緊急集会にふさわしいものとして搾つてつたのであります。従いまして、ここに御説明する段になりますと、我々としてはこの法案に自信を持つておりますから、自信を持つて御説明するわけでありますけれども、その前段の段階において先ほどの御訓戒の通り努力して参るつもりでおります。なお今後も十分気を付けたいと思います。
  68. 山田節男

    ○山田節男君 法制局長官の御答弁がありましたから重ねて……。
  69. 河井彌八

    委員長河井彌八君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  70. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 速記を始めて。  それではこれで本会議に臨むために暫時休憩いたします。    午後三時十二分休憩    —————・—————    午後三時三十八分開会
  71. 河井彌八

    委員長河井彌八君) それでは続いて委員会を開会いたします。  山田君の御質疑に対しまして政府から説明を求めます。
  72. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 只今の御質問につきましては、今航空局長がすぐ参ることになつておりますので、航空局長から現在の航空会社の状況その他につきまして詳細に御説明申上げるようにしたらいいのじやないかと思いますから、さように御了承を願いたいと思います。今呼んでおりますから……。
  73. 山田節男

    ○山田節男君 さつきの法制局長官の御当弁ですがね、かなりこれをしぼつて出した、こういうことを言つておられるわけです。これは尤もなことなのですが、先ほど来二、三の質問者から問題を提起されている租税措置法の第二十六条の第一項の問題ですが、これなんか性質上いろいろ質問によつて糾明してみると、先ほど法制局長官が言われたように、しぼつてなおこういうものが出ているということが、先ほど来小笠原君も指摘されたように、国のために緊急の必要があるために緊急集会を開いて臨時措置をする、こういう建前からいつて、しぼつてなお且つこういつたものが出て来るのはどうも私はおかしいと思う。もう一遍法制局の、そのしぼつて非常に厳密にこれを節にかけてお出しなつたということで、今この問題になつている租税特別措置法の第二十六条の第一項のようなものが出て来るということはどうも……私は法制局が今の緊急集会というものの本質を……これは重要なことなんです。ですから今後そういう参議院緊急集会が取扱う議案については、法制局がよほどしつかりしてくれないと、憲法趣旨を誤るということを申上げたい。今問題になつているようなものが果して国のために緊急の必要があるものかどうかということは、先ほど小笠原君も質問されましたが、それによる答弁によつて、私はどうも緊急性がないと思う。もう一度重ねて質問申上げたいのは、しぼつて出した中に、この租税特別措置法第二十六条の第一項は、やはり政府としては、法制局としては緊急と認めて、先ほど御注意申上げたような意味で本当に緊急の必要性を認めて法制局としてはこれをお出しなつたのかどうかということを確かめておきたい。
  74. 林修三

    政府委員(林修三君) その点は、先ほど私ども長官からお答えいたしました通りに、我々といたしましてこの緊急集会提出する必要があるかどうかということを十分検討いたしました上で、この緊急集会に出すべきものであるというもののみをここに提案いたしましたつもりでございます。いろいろ御注意ありまして我々有難く拝聴いたしましたけれども、この憲法の五十四条で言つております要件、国に緊急の必要があるというものにつきましては、午前中、たしか一松委員の御質問に対して、法制局長官がお答えいたしましたと思いますけれども、その緊急ということから言えば、四月一日を超せば当然この免税措置がなくなるということが、一つの時間的な緊急性があるということは言えると思うのでありますが、その必要性ということが、果してそれがどうしてもそういうことを、時間的にそうなることを避けるべきであるかどうかということが必要性の意味だろう、こう思うのであります。これにつきましては、先ほど来大蔵省のほうからも、或いは法制局長官からもお答えいたしました通りに、この航空事業のガソリンの免税ということが我が国の航空運送の発達ということのためにどうしても必要であるという、こういう国としての緊急性を認めた、こういうことになるかと思うのであります。それで先ほど最後に法制局長官から申上げましたけれども、そこで、このたびのいろいろの免税措置期限の延長の問題でございます。これをやはり或るものは、本当に必要のないものは勿論別でございましようと思いますが、或るものは特に免税措置をやめる、或るものは続けるということに、又そこに政治性が入るということは我々としては非常に避けるべきものであろう、かように考えまして、一応そこに緊急の必要性が認められましたものにつきましては、ここに提案いたしましたような次第でございます。
  75. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 諸君に申上げます。只今運輸省航空局長荒木君が出席せられました。先刻来の問題につきまして説明を求めます。
  76. 荒木茂久二

    説明員荒木茂久二君) 最近各国とも民間航空を発達させるために、政府としていろいろ助成施策を講じておるわけでございまして、御存じのように我が国は終戦後非常な空白がございまして、非常に遅れておるわけでございまして、これを取房すためにはいろいろな方面から努力をいたさなければならないわけでございます。そこでガソリンの消費量が相当に多いわけでございまして、これを是非免除して頂きたい、こう考えて昨年の四月以来これを実施して頂いたわけであります。  なおこれにつきましては、日航の経理状態に対して影響がございますのみならず、現在すでに日本の持つております飛行機が大小取合せて五十一機あるわけでありまして、これらに対しましても非常な影響をこうむるわけでございます。従いまして日本の民間航空を急速に育て上げるという趣旨におきまして是非御延長をお願いいたしたい、こう考えておる次第であります。
  77. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 只今の御発言はどなたの質問に対する答弁ですか。
  78. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 先刻来航空会社の実情等について説明しろという御質問がありましたから、それに対する説明であつたと解します。
  79. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私は政府委員でないかたにまであえて説明を求めるようなことは考えておらなかつたのでありまして……
  80. 山田節男

    ○山田節男君 今ので一部はわかりますけれども、さつきの日航の経理状態、これについては別個の方が説明されるのですか。
  81. 荒木茂久二

    説明員荒木茂久二君) 日航は御存のじように一昨年の十月二十五日から事業を開始したのでありますが、当時は占領下でございまして、日本人が一切飛行機を持つたり飛ばすことができませんので、ノースウエストの飛行機をチヤーターいたしまして、日航は自分のほうで切符を売つたり何かするだけで、本当の航空機の運航はノースウエストがやつてつたわけでございます。それから講和条約ができまして自由を回復すると同時に、一年間のノースウエストの契約が切れましたので、昨年の十月二十五日から真の自主的な運航に入つた、こういう状態でございます。  そこで経理の状況を申上げますと、第一回目の決算でございますが、会社が飛行機を飛ばしましたのは一昨年の十月二十五日でございますが、会社ができましたのは八月一日でございまして、二十六年の八月一日から九月三十日までの欠損が六百二十一万円あるわけでございます。それから第二期と申しますのが、その次の六カ月でございますが、この間におきまして八千七百七十五万円の赤字でございます。それからその次の期は、第三期に入りまして五百二十万円の黒字、こういうことに相成つたのでございますが、これは丁度郵便料金をきめることが遅れましたために、前の期は非常に赤字、あとの期は黒字、こういうことでございまして、前の期に入るベき金があとの期に入りましたので、こういう数字になつておりますが、大体一期六カ月決算で四億程度でございまして、そうして欠損はおおむね四千万円という数字が今までの実績でございます。然らば今期はどのくらいになりますかと申しますと、大体同じような程度で推移すると思います。若干好転するかも知れませんが、大体同じ程度で推移すると思います。
  82. 山田節男

    ○山田節男君 さつき日航の株の値段が七十円から百二十円くらいまでしておる、これは五十円払込の値段か百円払込の値段か知りませんけれども。併し仮に五十円払込とすれば、五割乃至二十割の株の値段が高いわけです。そこらで見ると、必ずしもこの会社は悪くない。こういうような印象を受けたからその理由と、それは配当しているのかいないのか、これを質問したのです。
  83. 荒木茂久二

    説明員荒木茂久二君) 五十円払込でございます。昨日くらいが七十円ぐらいかと思いますが、御存じのように欠損をいたしておりますし、そう近い将来に配当ということも、来期、再来期配当するということも困難かと思います。然るにそれだけの値がしておるということは、どういうわけかということを検討して見たわけでございますが、御存じのようにこの頃の株の値段は、いわゆる理論的にわからない部分がたくさんあるわけでございまして、どうして株が五十円払込んで七十円しておるかということにつきましては、遺憾ながら的確なる推測が我々のところでついていないわけであります。
  84. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 もう一点聞いておきますが、日航の資本の総額と、それからこれにはアメリカの資本が相当入つておると思いますが、その資本のバランスをちよつと伺いたいと思います。
  85. 荒木茂久二

    説明員荒木茂久二君) 資本金は授権資本が十億円、充実しておるが四億円であります。今増資をいたしておりますが、現在ではそのうち外国資本は幾らあるかと言いますと、極めて小数でございまして株の数は、正確な数字は賞えておりませんが、一%ちよつと上廻つた程度かと記憶いたしております。
  86. 河井彌八

    委員長河井彌八君) では次の問題に移ります。
  87. 高橋孝

    説明員高橋孝君) 少年院法の一部を改正する法律案の理由について御説明申上げます。  少年院法第二十一条は、御承知のごとく従来少年保護鑑別所の施設が十分でないために臨時的な措置といたしまして、本年三月三十一日までの間、少年保護鑑別所にありましては、少年院又は拘置監の特に区別した場所を少年保護鑑別所に充てることができることとし、特別少年院にありましては、少年を収容する監獄の特に区別した場所を特別少年院に充てることができることとし、又医療少年院にありましては、少年院法第二条第六項の規定、この規定は「少年院は、収容すべき者の男女の別に従つて、これを設ける。」、こういう規定でございますが、この規定にかかわらず、男子医療少年院を特に区分して、男女を収容することができることといたしておるのであります。  第一の少年保護鑑別所に少年院又は拘置監の特に区別した場所を充てることの措置の廃止に関する対策といたしまして、第十五国会において少年法及び少年院法の一部を改正する法律案提出いたしました。これは四月一日からは、観護の措置をとられた少年は、すべて少年鑑別所に収容することになりますために、家庭裁判所支部の身柄事件の処理につきまして、交通事情等のために直ちに少年鑑別所に収容することが不可能であるか、又は著しく困難である場合が予想せられますので、それらの場合に、一時仮に最寄の少年院又は拘置監の一部に収容することができることとする趣旨でありましたが、審議未了となつたのであります。従いまして、家庭裁判所、殊にその支部における少年の保護事件の処理を円滑ならしめるために、新たなる措置がとられるまで、止むなく現行の制度の期間を延長する必要があるのであります。  第二の特別少年院にありましては、少年を収容する監獄の一部を充てることができるとするいわゆる附設特別少年院の臨時的措置を三月三十一日までとされておるのでありますが、これは第十五国会に法務省設置法の一部を改正する法律案提出し、一応切換えの態勢も整つたのであります。併しながら御承知のように今回の予算はいわゆる暫定措置であります関係上、新設の少年院を開設するに十分な予算的措置が得られませんので、差当り附設特別少年院の制度を延期する必要があるのでございます。  第三は男子医療少年院に三月三十一日までは女子少年をも収容し得ることとなつていたのでありますが、従来の経験に鑑みまして、男女を別々に処遇し得る設備がある場合は、医療少年院に限つては必ずしも男女別々に独立の医療少年院を設置する必要もありませんので、第十五回国会提出しました少年院法の一部を改正する法律案として、少年院法第二条第六項に例外規定を設けることとしたのでありますが、これも審議未了となりましたので、現行制度の年期を一応延長する必要があるのでございます。  以上が改正の理由でございます。
  88. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 少年院法関係につきまして、御質疑がありますか。
  89. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 この問題は法務委員会でこれまで再三問題になつて、いつも法務委員会に問題になつているので、なぜこれを当局はサボつて、早く充実しないのですか。これは少年問題に対して僕は当局が非常に不熱心な証拠だと思うのですが、どうですか。
  90. 高橋孝

    説明員高橋孝君) 只今御指摘の通りでございますが、少年事件を扱い得る家庭裁判所甲号支部が全国に七十二ばかりありますが、理想通りに考えますと、七十二全部の家庭裁判所甲号支部の所在地に鑑別所を置くということでありますと、これは法律が理想的に考えておる通りになるのでありますが、七十三カ所全部に、そのうちには収容する予定人員の数の非常に少い個所もありますし、法務省といたしましては、その全部に鑑別所を設けるということは国家財政上も考えられませんことでありますから、必要な個所については鑑別所を作つて、その鑑別所に収容するというふうに努力して参つておるのでございますが、所定の通りに鑑別所設置という点についての予算的措置が十分に参りませんために、現在もこういう形で残つておるような次第でございますが、私たちといたしましては、御指摘のようにできるだけ必要な個所につきましては少年鑑別所を作る、こういう方向で今後も努力して参りたいと考えております。
  91. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私たちもほうぼう調査して歩きまして、実情はよくわかつておるのですが、常に当局の言うのは予算措置がない、予算措置がない、そこに逃げ込むことだけしか知らない。その予算措置を講ずるだけの情熱もないし腕もないし、何ら適切な措置がしてない。その結果かわいそうな少年たちにしわ寄せが来て、いつもこんなみじめな目に会う。こんなみじめな目に会わせておいて少年対策が立つと思つているのですか。これは毎年繰返しているのです。私も何年も法務委員会に来てからこれをやつているのです。毎年言わなくちやならない。去年大体どれだけの成績を挙げておるか、その数を挙げて下さい。
  92. 高橋孝

    説明員高橋孝君) 二十七年度におきましては、二十八年の三月三十一日までというところで、法務省といたしましては、この鑑別所につきましては、全部で十七ケ所について、鑑別所の設置について予算的に要求をしたのでございますが、その小倉と平の三ケ所についてだけは、一応二十八年度におきましてその分所の設置が認められたのでございます。併しこの予算的措置がその程度で不十分でございましたので、今後も更に所定の通りに分所の設置については、まあできるだけ努力して行きたい、こういうふうに考えます。
  93. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それではもう一度伺いますが、いつになつたら予算措置ができるのか。いつこれをちやんと立派に果す見通しがあるのか。二カ月延ばすことによつて将来これが果せるのか。それの見通しを一遍述べて頂きたい。
  94. 高橋孝

    説明員高橋孝君) 見通しの問題については、いついつまでに所定の通り、一応の計画は先ほど申しました通りに十七カ所でございますが、一、二カ所は一応認められましたものとして、あとの十五カ所につきましても大いは努力して、所定のところまで持つて行くということを申上げることがでるだけで、いついつまでには必ず十七カ所、数の問題でありましようが、そこまで持つて行けるかどうか、ちよつとお約束できかねるところではないかと考えます。
  95. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それでは払える見通しもない借金を、もう二カ月待つて下さい、借金は払います、そう言つておるのと同じじやないか。日本の不幸な少年に対する借金ですよ。その借金を払う対策は何も立てていない。払おうとする努力もしていない。もう二カ月待つて下さい、そうしたら支払います。これがこの法案です。こんな馬鹿げた法案を出すことは、政府として実に恥かしいことじやないですか。はつきりした見通しを立てて下さい。
  96. 林修三

    政府委員(林修三君) こういう期限の延長につきましては、これは総体的に初めにいろいろ御説明申上げたと存じますが、国の特別国会が開かれる時期は、大体憲法から予想されるところでございますが、そういうときまでの暫定的措置として皆これをやつておるわけであります。それでありますから、ほかのものにつきましても、果して三カ月間だけで済むかどうかという点につきましては、その次の内閣で御検討があるかと思います。少年院法につきまして、恐らくその予算措置を講ずるか、或いは少年院法なり少年法自体に改正を加えるか、どちらかによつて期限を外すというように持つて行かれるものだろうと思います。予算が一遍にそうたくさんは常識上入らないということもございましようけれども、この十五国会に新らしく提案しておりました少年法の改正、或いは少年院法の改正というものができれば、或いはこちらのほうについても多少の暫定措置をするというようなこともできたのじやないかと思つております。そういう意味におきまして、次の特別国会におきましてこういう措置がなされる、或いは予算措置がなされる、こういうことが予想せられますので、それまでの間という意味で、大体この今回の法案につきましては、総体的に二カ月、五月三十一日又は六月一日ということを法制局のほうで切つたのでございます。その点を御了承をお願いしたいと思います。
  97. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 大変苦しい答弁だと思いますが、私が伺つたのは、それじや二十八年度の予算に、今あなた方はこれが立派に今年度中にでき上るように予算措置をしておつたかということを私は聞いておるわけであります。見通しを聞いたというのはそこなんです。若しもそれをやつていないとすれば、あなた方に誠意がない証拠。誠意がないものを、そんな法案で二カ月ぐらいごまかして延ばして行こうというのは、いわゆる払う誠意のない借金を明日払うから、明後日払うから待つてくれ、私どもは三年間待たされておる、法務委員会でだから私は言うのです。毎年々々こういう措置でごまかしておる、少年を。それで詰らんところへ金を使つて、こういうかわいそうな少年を救済するところへ何ら政府が金を使おうとしないところに問題がある。又それをやらそうとしないあんたたちにも問題がある。だからその点を聞いておる。今の答弁だと、どうも政府がこういうことをやる誠意がないとしか考えられない。
  98. 林修三

    政府委員(林修三君) この予算措置云々につきましては、法務省のほうからお答え下さいますのが筋であろうと存じますが、先ほど私がお答えいたしましたのは、これを五月三十一日まで二カ月間延ばして借金が払えるかというお話がありましたのですが、これは今回の期限等の変更につきましては、すべて原則として特別国会が開かれるまでの暫定措置ということでいたしましたものでございます。その点御了承願います。
  99. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そんなことは答弁を要しません。そんなことはわかり切つたことで、ただ政府に誠意がないから、そこを責めておる。
  100. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 だんだん聞いていますが、私もどうもわからん点があるのでが、この法律昭和二十三年からできて、二十四年から吉田内閣がずつと続いて来て、今日まで完成を見ない。而も今後これをやるとしても、見通しがつかない、こういうことでは、法の権威は全く失墜する、吉田内閣が数次に亘る内閣を持続して来て、何をやつて来たかという点を言いたくなるわけですが、ただ吉田内閣の選挙違反等のあつた人が拘置所等に入れられて、経験もあるだろうと思うのですが、(笑声)私調査してみますと、未だ刑務所の中に拘置所が併置せられておつて、そのために容疑者であるだけの段階でいながら、中での生活の様式なり、或いは運営の方式なりは、既決の刑務所同然に扱われておるという事実があるのです。或る県の刑務所における拘置所に行つて、刑務所内の拘置所に入つたときに、例えば風呂に入る場合、砂時計というものがありまして、何か一定の量を満たす物体に砂を入れて、その砂がさらさらと流れて、全部砂がおつこちてしまうまで風呂の中につかつておることを許される。砂がすつかり出終つてしまうというと、出されてしまう。これが最も時間的に正確であるとして、二十世紀の今日砂を以て時を計つておる刑務所がある。そういうような所とこの場合を比較してみますと、将来補導し、善化して行こうという少年対策として、こういうに、拘置監のような所に、区別したとは言え、入れて置いて、将来に対する心理的な影響ということを考えるならば、この立法の精神と逆な効果を発揮しておるのではないかということも、これは憂慮せられるところなんです。そういう点を考えますならば、今日の国家財政が如何ほど窮迫しておるかわからんけれども、汚職その他によつて、汚職とまでは言わなくても、会計執行がふしだらだという抜取調査でさえも、三十数億という冗費或いは濫費を出しておる会計検査院の報告がある今日、これらのものが十全に処置せられないということは、誠に吉田内閣の怠慢であつたと言わざるを得ない。これ以上質問したつてあれですから、文句だけ言つておきます。  そこで私は素人だから、この際附帯してお尋ねしますが、品取りとか何かなら鑑別ということも申しますが、万物の霊長である人間が、鑑別所に入れられて鑑別せられるというような日本語は、これはどんなところから考え出して作つたものだか、この際念のために伺つておきたい。
  101. 高橋孝

    説明員高橋孝君) 鑑別ということについて今お尋ねがありましたが、この鑑別というのは、少年を少年院等に送致しまして、そこで矯正教育を実施して行きます場合又はその前に家庭裁判所でどういう種類の保護処分をやるかを決定します場合に、その参考資料としますためにその問題の少年の資質を鑑別せねばならんことになつておるのでございます。その鑑別という言葉の適否につきましては、立案当初からいろいろ問題がございましたけれども、そういう処分又は保護処分の決定の参考にするために少年の資質を鑑別する、そういうことで鑑別という言葉が出ておるような次第でございます。
  102. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 この鑑別の原語は何というものですか。こういうのこそ占領政策の行過ぎということで直ちに是正すべきものと考えるが、参考までに原語を伺つておきたい。
  103. 高橋孝

    説明員高橋孝君) これは分類とか診断とか、クラシフアイとか、そういう問題からそういう言葉が使つてあるようでございます。
  104. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 次に恩給法の特例に関する件の措置に関する法律につきまして政府の説明を求めます。
  105. 林修三

    政府委員(林修三君) これは便宜私のほうから御説明申上げます。  これは昨日もちよつと簡単に御説明申上げましたけれども、昨年成立いたしました恩給法の特例に関する件の措置に関する法律、これはいわゆる占領中に軍人軍属及びその遺家族に対する恩給を給さないことにするというポツダム政令であります。ところの恩給法の特例に関する件と、このポツダム命令効力を平和条約が発効したあとどうするかという問題について定めました法律でございまして、この法律の第二条におきまして、そのポツダム命令でありますところの勅令六十八号というものは、昭和二十八年三月三十一日まで効力を持つ、そこで失効させるということを第二条で規定しておるわけでございます。そこでこれはその当時におきまして、同時にその同じ法律におきまして、この恩給法特別審議会というものを設置いたしまして、軍人軍属或いは遺家族の恩給につきましては、その恩給法特例審議会で、占領が終つたあとの新らしい事態に即してどういうふうな対策をとるかということを審議し、その審議会の結論従つてこの六十八号の跡始末をつけるという予定であつたわけであります。従いまして、この恩給法特例審議会の結論は昨年の暮に出ました。それに基きまして、政府といたしましては先の第十五国会に恩給法の一部改正法案を御提出申上げておつたのであります。そうして三月三十一日にポツダム勅令が失効いたしますと同時に、新らしい恩給法の改正措置がそこから始まりまして、それの失効に伴う空白を残すということのないように済ませよう、こういう意図であつたわけでございます。ところが解散によりまして、この恩給法一部改正法律案も不成立に終つた関係上、この際放つておきますと、この三月三十一日限り勅令六十八号は失効いたすわけであります。この失効いたしたあと一体どうなるかということにつきましては、いろいろそこに疑義があるのでございまして、これは法律的にそこにいろいろ疑問が残るわけであります。ポツダム勅令であります昭和二十一年勅令六十八号というものは、軍人軍属及びその遺族に対しては恩給を給さないということをきめております。又それに伴いまして実際に個々の恩給権はなくなつたものとして取扱つてつたわけでございます。それが又別途に、恩給法の一部改正法の附則には、軍人軍属の恩給については従前の例によるという規定も実はあるわけです。この両者を噛み合せて一体どう解釈すべきかという問題につきましては、いろいろこれは疑義のあるところでございます。従いましてこの恩給法、今の勅令六十八号をそのまま失効させますと、そこに非常に法の空白が生じ、これに対してどう解釈していいかということにつきましていろいろ疑問が生じますので、次の特別国会におきまして、この恩給法の、軍人軍属の恩給につきまして、何らかの措置がなされる、こういうときまでその効力を持続しておきませんと、法律上非常に不都合が生ずる、こういうことでこの法案を御提案申上げた次第でございます。
  106. 河井彌八

    委員長河井彌八君) それでは次に第一条第一項の六号、七号及び関連いたしますから第二項の二号を議題にしまして政府の説明を求めます。
  107. 田邊繁雄

    説明員(田邊繁雄君) 御説明いたします。  これらの法律は引揚援護庁の機構の存続を延長するものでございます。引揚援護庁は、本年の三月三十一日を以ちまして廃止せられまして、厚生省の内局に編入せられることに相成つておるわけでありますが、中共地域からの引揚を目前に控えましてこれを廃止しますことは、中共地区からの帰還者の受入問題に支障を来たし、又混乱も生ずるとかいうことが想像されますので、これを避けたいということが一つと、それからもう一つは、今日消息不明の未帰還者が相当多数ございまするが、今次の帰還者から今後有力な資料が得られることを期待いたしまして、引揚援護庁では今後この方面に鋭意積極的に努力したいという点からいたしまして、取りあえず引揚援護庁の存続期間を二カ月間延長したい、これがこの法律案提案の理由でございます。  なお引揚援護庁を存続いたします件につきましては、所要の法律案がすでに先般の衆議院におきまして可決せられまして、参議院においても内閣委員会において決定せられておつたのでございます。御参考までに申上げます。
  108. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 ちよつとお尋ねいたしますが、この内局になるのと外局になると、たまたまこの中共からの引揚が実施されるので、その機構改革をやつていると、混雑するから事務に支障を来たす、こういうのだつたらわかるのでございますが、内局であつたらそう仕事はできぬとか、外局であつたらえらくできるというようなことをすぐ官庁の人たちは言うのでありますが、一体内局と外局というものは、その仕事をやつて行く上におきまして、我々から考えますると、これは長官ができたり、その他の高級官僚の椅子はたくさんできるければも、大して偉いはないのだというふうに了解するのでございますが、この内局と外局の相違について、法制局次長の林さん一つ御説明願いたいのです。国民にわかりやすいように。
  109. 林修三

    政府委員(林修三君) 或いはこれは行政管理庁のほうから御説明申上げたほうが適当かもわかりませんが、便宜私から御説明申上げます。  これは内局と外局の区別は、国家行政組織法にございます。で、外局につきましては、いわゆる外局の長官は大臣に一応直属しておるのであります。内局のほうは大臣の下に次官がありまして、次官が各局を統轄して一応大臣の命令を受けてやつております。外局の、長官は、一応次官の指揮には服しないというのが、実際問題はこれは別でございます。実際問題、各省で運営しておられますこととしましては、これは事実上いろいろの取扱があるわけでございます。法律的に、国家行政組織法からいいますれば、外局では長官というものが相当独立性の強い存在でございます。それからこれはほかの例えば国家公務員法などを見ましても、外局の長官は、当然に部下の職員の任免権を持つております。内局であればすべて大臣が持つておるわけでございますが、外局につきましては、外局の長官が任免権を持つておる。従つてその部下を相当自分の思う通りに動かせるという点もございます。それから一般のこういう独任制の外局については、今まで例はございませんが、制えば会議制の委員会の外局につきましては、大抵の場合いわゆる委員会の規則を出せるというような規定がございます。又独任制の内局、外局につきましては、国家行政組織の上では、他の法律できめればやはり規則が出せるような建前になつております。併しこれは現実に、引揚援護庁等では自分で厚生省令のほかに規則を出すという権限は支えられておりませんけれども、そういうことになり得る形になつております。そういう意味におきまして極く法律的に概括いたしますれば、そういうふうに非常に独立性の強いものであるということが言えるのではなかろうかと思います。  然らばどういうものを外局とし、どういうものを内局とするかという基準でございますが、これはいろいろ行政管理庁のほうからお答え願つたほうがいいのかも知れませんが、大体において相当大きな組織であるということ、それから一つには、これは必ずしも各省にすべて当てはまるわけではございませんが、その省の中では本来の仕事より多少離れた仕事をやつておるというもの、そういうものが大体外局を作る目安となつておると存じます。
  110. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 内局、外局論でございますが、今の御説明では、任命権をその長官が持つとか、大臣の決裁を得なければならんとか言いましても、実際は、内局でありましても、局長が殆んど申請しない、局長の意向を無視して、大臣が課長の異動を勝手にやるというようなことは事実行われないものであります。むしろそれでは大臣の命令が外局の長官に行き届かないようなことになつてつてやりにくい。国会に対して責任を持つのは誰が持つかというと、国務大臣が持たなければならんということになりまして、そういう官僚組織の一つの……外局、内局ということを盛んに言うのは、我々から考えるならば、むしろ官僚組織を守ろうとする動きじやないか、こういうふうにも考えられるのでございます。今の御説明でも規則をこしらえると言つてみましても、実際問題として勝手に長官が規則をどんどんこしらえてしまうということもあり得ないので、やはり大臣の下相談は要るというふうに思うし、その点についてどうもはつきりしないのでございますが、ただここで申上げたいのは、丁度たまたま外局、内局の変更については、中国から引揚がある、その際に内部でそれぞれ職員の異動があつたり、或いは官庁の課を変つたりしておりますと、所管事項も変つて来る、だからしてこの際にそういう所管事項を変えたりするようなことをやつておるよりも、先ず引揚者を受入れることに没頭したほうがいいから暫らく置いておくのなら、こういうのなら話はわかると思うのでありますが、意味はそういう意味ですか、どういう意味ですか。
  111. 田邊繁雄

    説明員(田邊繁雄君) お話通りでございます。なおそのほかに外局を内局にいたしますと、保管しておる物資の保管替えから、書類の引継ぎでも大変な業務になりますので、取りあえず帰つて来るかたの受入援護というほうに手が欠けては大変である、こういう意味も多分にあるわけであります。
  112. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そういうことは当然三月三十一日までに措置しなければならないように政府としては義務付けられておるのじやないですか。この法律は吉田内閣が内局として論議のある中に本法で作つて、あえて附則として準備期間をおいたものですから、その準備期間中にその事務引継なりその他のことを完了させるように努力しておらなかつた、或いは現に努力しておらないということは怠慢じやないか。このことの緊急性はさつぱりわからない。これは吉田内閣政策として、飽くでもこれは行政整理にからむ、行政組織としてこういうものを作り上げてしまつた、これこそ進んでこの内閣としては内局としてやるべきじやないか、今まで何をやつて来たのですか、現に何を作業しておるのか、吉田内閣の担当責任者にこれを伺いたい。
  113. 田邊繁雄

    説明員(田邊繁雄君) 引揚援護庁の……。
  114. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 あなたでは駄目です。
  115. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  116. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 速記を始めて。
  117. 岡部史郎

    説明員(岡部史郎君) 私からお答え申上げますが、この引揚援護庁を四月一日から暫らく延期するということは、先ほど田邊次長から主たる理由として申上げた通り、昨年の行政整理の際に、引揚援護庁を廃止いたしまして、内局とする場合におきましては大して予想されなかつたところの中共からの引揚事務が急遽大量に行われるという、そのために当分の間引揚援護庁を存続する、引揚援護庁を内局にすることに伴う混乱を避けるというのが大部分の理由であると御了承頂きたいと思います。
  118. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 今同僚委員の菊川君がそういう意味であつたらわかるがと念のために質したら、そういう意味ではございません。事務引継その他によつてということで、中共引揚のことはお話になかつた。そんならもう一度尋ねますが、そのほうはそれでいいとして、中共引揚の警備等を行うものでもない海上保安庁のほうはどうなつたんですか。これはどういう理由ですか。海上保安庁も外局として置かなければならない緊急性はどこにありますか。
  119. 岡部史郎

    説明員(岡部史郎君) 海上保安庁のほうは事情が違いまして、これは海上公安局というものが海上公安局法によつて設けられておりまして、海上公安局法が施行されるときから海上保安庁を廃止するということになつております。趣旨が違つております。それから施行期日は、海上公安局法を施行するのは別に法律で定めるということになつておりまして、その別に法律で定められた日から海上公安局のほうが施行されるものですから、そのときに海上保安庁が廃止されるということになります。  それから先ほど田邊次長から附加えて申上げたことは、念のためのことだと思うので、独立した事務が多くなるというのではないので、引揚援護に関連してそういう事務もあるというふうに私ども了承しております。
  120. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 菊川君や小笠原君に関連してですけれども、中共からの引揚の事務が多くなつたからそれで外局にしなくちやならんという理由が私には納得ができない。と申しますことは、例えば引揚援護庁の職員の定員が殖えたとか、事務が多くなつたからそれで員数を増したとかいうことならまだわかるのです。定員関係も何も殖やさないで、事務が殖えたのだ殖えたのだし…、私は今まで事努力もしていろいろやつて来たと思う。なお考えて見ると十三回国会において政府提案としてこれは内局に切換えるように出て来た。そうして今度の国会衆議院のほうに出て来たのは、議員立法として而も出て来ておつた。事務が停滞するわけではないのです。緊急性がある、中共からのどつと引揚が来たから緊急性があるのだということはやはりそれは私には納得が行かないのです。もう一度私は説明をしてもらいたいと思う。なぜ内局にしておいたら事務が停滞する、外局にしたらなぜ事務が捗るか、そこのところがわからない。
  121. 田邊繁雄

    説明員(田邊繁雄君) 従来の事務の実際のやり方から見まして、引揚援護の仕事というものは、どちらかと申しますと現場的な業務でございます。内局の普通の事務と違いまして特殊性を持つております。さような点から従来通りの体制にする場合には、引揚援護庁長官の下に適切に臨機に仕事をするという体制のほうが望ましいわけでございますので、我々といたしましては、大量の引揚の際の援護につきまして、外局にするほうが望ましい。なおこれがさようなことが結構であるという見地から国会立法されたものでありまして、一年間延長しようという法律案国会提案され、すでに衆議院を通過しておるわけであります。更に参議院におきましてもすでに内閣委員会において御審議の結果、一年間延長することが適当であろうということを御決定になつておるわけです。かような線に沿いまして、引揚援護庁は取りあえず二カ月間延期したい、かような趣旨でございます。
  122. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 もう一度、それじや内局の場合と外局の場合と事務がどう違うかということを御説明願いたい。内局でやる場合と外局でやる場合とどれだけ能率が上るかということを具体的に説明願いたい。
  123. 田邊繁雄

    説明員(田邊繁雄君) 一般的な抽象的なお話につきましては先ほど……。
  124. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 具体的に。
  125. 田邊繁雄

    説明員(田邊繁雄君) 林次長から御答弁があつたわけですが、現実に即して考えますと、この際内局にいたしますると、機構の改変ということが行われますし、それに伴う人事の異動も若干行われる、かたがた会計上の手続或いは物品の保管等町の手続についていろいろと複雑な手数を要するわけであります。例えば物品の保管にいたしますれば、今まで引揚援護局でございますので責任者が違つておりまするが、内局になりますれば、それが違つた人が責任者になる、こういうことでありますし、いろいろな書類につきましても従来引揚援護庁ということで独立でやつてつたものが、書類を全部内局の書類に直さなければならん。かような点から現実にこの際考えますと、その点に相当手数が取られる、その結果本来の受入援護という面に手が抜けるということを心配いたすのであります。
  126. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 その点は先ほど小笠原君が言つたように、三月三十一日まで、きまつてから私は半年以上あつたと思うのです。私はこういう問題についてはこの趣旨には賛成なんです。賛成なんだけれども内閣としては前に無理にこれを内局にして来たんだ。行政管理庁のほうでは無理に提出して来た。そうして而もこういうことが起きて来て、私は政府の責任なら責任において出して来なくちやいけない。それを政府は知らずにおるから、見るに見かねて、議員立法として出て来ておる、そういう支離滅裂なことをやつてつて来ておつて、そうして而もこの際はこつちに緊急性があるのだというのが私たちには納得行かない。便乗して出して来ておる、こういう点を私は衝いておる。趣旨に反対とか賛成とか言うのではない。緊急性があるかないかという点で疑義がある。仕事についても、そんなことは私は弁解だと思う。便乗して出して来ておるという点に疑義がある。
  127. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私成瀬君のお話なつたのに補足いたしますと、何とおつしやる方か知りませんが、私はあなたのお話は余計なことだと思う。十五国会において衆議院が議員立法をして、そうして意思を決定しておる、参議院内閣委員会はそれに同意するやの意思をきめておる、だから国会意思は一年延期しようという意思なのだから、二カ月延すことは適切であろう、こういう気持もあつて政府提案したというのですが、この緊急集会は十五国会と何ら関係のないものである。而もこの法を取上げるについて、著しく制約を受けている中に参議院の責任において立法化して行かなければならない事態にある。過去の国会如何ような態度であつたにせよ、そういうことは我々の知つたことではない。この点は法律的には明確にしておいてもらわなくてはいかん。而も、例えばこの解散がなくて、仮に議員立法として衆議院から出たものが三月三十一日までに否決された場合には、これは当然四月一日から内局になる。そういうことがなされない、内局にすることができないというような技術的な不可能というものがあるならば、これは何らかの措置をこの十五国会において政府みずからがとらなければならなかつたと思うのです。法の命ずるところによつて内閣は内局にしなければならんならば、これはそれに対して全力を挙げ、而も引揚援護についても支障を来たさないようにすることが責任なんです。義務なんだ。政府のどこにこういうことに緊急性があるか。この際解散になつたから、こういうことでああ承知ということにでもなるだろうけれども、解散にならんでこれが否決になつたらどうするか。そうしてこの法はもう三月三十一日限りで失効する、こうなつた事態のことを想像するならば、あなたたちそれでも引揚援護に支障を来たすからというので、外局だ外局だと言つておりますが、少くとも外局のままの機構において内局の形式を与えて引揚援護を完璧にすると共に、逐次それは内局としての機構を改善して行く方法をとつて行くのでありましよう。そういうやり方が何でできないのか、私はその点を聞いておるのです。趣旨には賛成です。止むを得ない事態になつて来ておるということも、この中共引揚援護という部面から言えば、この法もよろしいだろうという趣旨はわかる。けれども我々の制約をされた緊急集会の中で関連してこの事態を考えるとき、又単にこういうものが逐次出て来たからといつて賛成だというわけにいかん。だから我々も趣旨は諒とするのですから、賛成させるような理窟を言つてもらわなければならん。我々に成るほどと言わせるような理窟を言つてもらわないと反対せざるを得ないのです。その点答弁してもらいたい。
  128. 安井謙

    ○安井謙君 関連して、御一緒に御答弁願いたい。小笠原君の質問に関連するのですが、私は今解釈したのは、政府の十五国会云々の御答弁は、経過を御説明になつたのであろうと思つたのです。そこで又これは外局を内局に変える云々というようなことは、この中国引揚が起つておる際非常に煩雑になるから、この際とにかく根本的な策が次の国会で行われるまでこれを延期しいうというふうに解釈したのでありますが、どうでありますか。
  129. 田邊繁雄

    説明員(田邊繁雄君) 今お話通りでございまして、この際内局に改変いたしますことが、引揚の受入援護に混乱と支障を生じはしないか、そうなつては受入の万全を期するということが、今日まで来ている手前、又実際から見ましてもその点に支障があつては相成らんと考えまして、これを処置したい、かような見地であります。
  130. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私の言つていることには答弁がなつてない。説明員(田邊繁雄君) 国会においてこうこうと申上げましたのは、今日までの経過を申上げたのでございまして、我々のこの案を提案いたしました理由は、先ほども申上げました通り、今日この際内局に編入することが受入援護に支障を来たすではないかということを心配する、その点が提案の主なる点であります。
  131. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 然らばこれは二カ月延期後はあとはもう延期しないというものですか。引揚援護に関することならば、中共引揚は不確定です。不確定ではあるが、少くとも六月には引揚船の来ることは、協定その他で明らかであります。然るに何でこれは二カ月延期にしたのか。中共引揚が中心目的だからというのだから、そうなればこつちの日限を機械的に切つているのはおかしい。その趣旨を達成するのは。
  132. 林修三

    政府委員(林修三君) その点は次の特別国会におきまして中共の引揚が続くという状況であれば、当然又御検討を頂けると、このように考えて御了承願つたわけであります。
  133. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 どうも責任のある内閣も潰れてしまつたのですから、こた以上質問しても何ですからもうやめます。
  134. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私はこの間、舞鶴援護局へ行つてその受入施設を見て来たわけであります。あの建物を見ると大体ここ数年しか持たないと思うのです。ところが今度中国から帰つて来る人は、向うは三万帰すと言つておりますが、日本は五万とか八万とか吹つかけておるが、それじや三万帰つたら外局を内局にするのか、八万皆帰つて来なければいけないのか。それから又シベリアから帰つて来るのが三十何万人あると吹つかけておる。これを全部帰つて来るまで援護局というものを置くのか。いつまで、置くのか。どういう形で置くのか。それともあの施設は数年しか持たないから破れたら新らしく建直すのか。そんなところをどういうふうに見ておるのですか。
  135. 田邊繁雄

    説明員(田邊繁雄君) これは今後の中共からの引揚の状況が終りました頃を見まして逐次考えたいと思つております。
  136. 河井彌八

    委員長河井彌八君) それでは次の問題に移ります。保安庁職員給与法について政府から説明をお願いいたします。
  137. 加藤陽三

    説明員(加藤陽三君) 保安庁職員給与法の改正について御説明申上げます。  これはこの法案の第四条にございます。国家公務員等に対する退職手当の臨時措置に関する法律と関連をする問題でございまして、国家公務員等に対する退職手当は、本年の三月三十一日までの法律としてできておつたのであります。この関連におきまして保安庁職員給与法のほうにおきましても、二年の期間を以ちまして任用せられます安官に保対する退職手当を百日ときめ、又その二年の間における公務による死亡、公職等についての退職手当の規定を給与法にきめておるのであります。この後段の点は警備官につきましても同等に退用されております。今回解散前の衆議院におきまして、公務員等に対する退職手当の臨時措置に関する法律案改正案が出されておりましたが、これはその期間を延長いたしますと共に、新らしい内容をきめておつたものであります。私ども法律につきましても、同様に期間を延長し内容を若干改正するものが提案になつてつたのでありますが、解散によりまして審議未了になりましたので、今回次の国会に新らしい退職手当の提案がなされますまで、現在通りの規定を存置しておきたいというのが趣旨でございます。
  138. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 ちよつとお尋ねしますが、これはまあ退職の給与だと思いますがね、一般の公務員との比較を一つお示し願いたいと思いますがね。
  139. 加藤陽三

    説明員(加藤陽三君) 一般公務員につきましては、原則といたしましては、退職手当の臨時措置に関する法律が適用せられておりまして、二年の期間を以ちまして、二年の期間勤めて退職いたしました場合におきましては、三十二日というふうに思つております。我々のぼうは二年の期間だけを限つておるものでありまするので、一般の退職手当の場合、行政整理による退職手当の場合等を勘案いたしまして、百日ときめたのでございます。
  140. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 それはまあ臨時の処置でありますが、将来長くその比率を一応あなたは事務当局としてお考えになつておるのかどうか、その点を。
  141. 加藤陽三

    説明員(加藤陽三君) 考え方といたしましては持つておりまするけれども、具体的な問題になりますると、まあ新内閣の手において御検討願う問題だろうと思います。私はこれ以上進んだ答弁は差控えさして頂きたいと思います。
  142. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 一つは、何でございますか、二カ年間の期間を限られて一応国家の機関に勤めている、公務員にはそういう期間がないからこれだけの差をつけてあるのだ、こういう今の御答弁でございましたが、それではその期間が切れまして、更に再役と申しますか、かようなものはどういうようになりますか。
  143. 加藤陽三

    説明員(加藤陽三君) 只今の建前といたしましては、二年の期間を以て雇用すると、こうなつておりますので、期間が切れました場合は本人が希望いたしました際におきましては、事情によりまして又改めて二年の期間を雇用する、こういうことになります。
  144. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 そうしますとこの退職金のほうも二年ごとに清算をすると、そういうことになつておりますか。
  145. 加藤陽三

    説明員(加藤陽三君) この法律によりまして、新らしく任用されたときから二年の期間を勤めますと、今までのところ百日分の給与を支給するということになつております。
  146. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 それから議事進行について、ちよつと委員長お尋ねしたいのでございますが、今日はまあ政府としては、残務整理をやつておられる政府としては、非常に重大な法律をここで審議しているのですが、いつもやつておりまするときには衆議院と並行に開かれておりまして、国務大臣等の出席等についても余りむずかしいことを言つてはどうかと思いますけれども、今日は都合によりましては最終的の結論を出さなければならんというところと考えます。本日御出席の顔ぶれを見ますると、今も官房副長官も帰つてしまつておられる。愛知君が国務大臣ではないので、大蔵省の政務次官の愛知君が政府を代表して委員会に出席しておられるのか、或いはこれを出す責任者としての大臣、次官級も来ておらない。政務次官級としては愛知君だけが御出席でございますが、先ほどからも質問が出るときに、政府の政治的責任、政府の態度というところへ来ておる。事務的な講義を受けておるならば、よく事務に精通した事務官諸君に大いに出てもらつて結構だと思いますが、政治的な問題になつていろいろ答弁誠に不満足で、法制局長官もおらん。次官だけということになつて一体政府はどういうふうにこの委員会解釈し、この法律をどういうふうにやつておるのだというところについて、私ちよつと野党としまして非常に疑問を持つのでございますが、特に与党の委員諸君が議事の促進を非常に希望しておられるようであります。議事の促進を希望されるならば、質問が出た場合には、これに応ずるようにやはり態勢を整えておつてもらうのが正しいと思うのですが、委員長のほうへ内閣から何か依頼でもあつたのでございますか。今臨時閣議でもやつておるから出られないとか、その点一つ委員長、できる限り私はせめて責任を持つた国務大臣一人は出席すべきである、かように考えるのですが。
  147. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 菊川君にお答えいたします。委員長に対しまして、政府から只今菊川君のお尋ねのような事項は参つておりません。併し委員長といたしましては、この内容が極めて重大であることと、それからできるだけ早く審議を十分に尽したいという考えから、やはり政府の責任ある当局の出席を求めようと思つております。
  148. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 求めておられるのでございますか。それに出席がないのでございますか。
  149. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 今聞きましたのですが、何か緊急の閣議をやつておるということであります。それ故にそれが済みますれば必ず出て来るものと信じます。
  150. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 緊急の閣議をやつているから御出席ないという段階のところは了承しました。ところがこれが逐条審査が始まつて、各関係大臣が出て来なけれどならなかつた時刻には、これは何もなかつた。そういう関係のことは、初めから主管大臣は本日出ておられないのです。だから愛知君から耳打ちされたぐらいのところで委員長はああそうですかというようなことでは、これはいかん。(笑声)それでこれはやはり私らは野党でありますが、さらさら議事を妨害するつもりはございません。やる気なら幾らでもやれるのですから……。が、少くともスムースに進ませるためには、そのときだけでもおいでになれば、これは早く片が付くということを念のために申上げておきます。でなければ、やはり一度出揃わせておいて保留してあるわからない部分はお聞きしなければなりません。この点だけ申上げておきます。
  151. 小林政夫

    ○小林政夫君 一応事務的に、相当技術的な法律でありますから、究明する点を究明し、どうしても大臣に問う点だけは暫らく保留して、一応進めようじやございませんか。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  152. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私はそういうお話を言われない先なら黙つて進めるつもりでしたが、そういうことを言われれば参議院先例にもたないことですから、私はそういうことで進められることは公式的には了承できない。これは飽くまでも国務大臣にお尋ねし、足りない部分政府委員が補足説明するということの形式を以てやつて頂きたいということで、議事進行を申上げておるので、緑風会さんのほうでそういうふうに事務的に下調べしておいて、最後的に国務大臣に聞く、こういう方式をとるというならば、反対します。
  153. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 成るべく委員長も督促を願います。で、一つ進めて下さい。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  154. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そういうことで進行して下さい。
  155. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 諸君に申上げます。只今国務大臣が出席していないということにつきまして御不満がありました。委員長も初めからさような考えを持つております。それ故に即時政府から国務大臣が出席いたしますように要求いたします。而してこの委員会の進行はできるだけ精密に、而して早く行きますように努めたいと思います。(「異議なし」と呼ぶ者あり)ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  156. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 速記を始めて。  ちよつと十分間ぐらい休憩いたします。    午後四時五十五分休憩    —————・—————    午後五時十五分開会
  157. 河井彌八

    委員長河井彌八君) それでは引続いて委員会を開会いたします。  只今問題となつておりまするのは、第一条一項第八号の保安庁職員給与法の問題であります。なお只今緒方官房長官がお見えになりましたから、先刻の御質問で似て、長官に関係するものはこの際御質問を願います。
  158. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それをやつていますと先に進みませんので、ずつと終いまで進めて頂きたいと思います。
  159. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 その事項々々で……。
  160. 河井彌八

    委員長河井彌八君) それでは只今小笠原君の御発言もありましたから、できるだけ事項について進めて参ります。第八号の保安庁職員給与法につきましては、今一応説明がありましたから、その次に移つて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  161. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 然らば第一条第二項を問題といたします。そのうちで第一号だけが残つております。その点について政府の説明を承わります。
  162. 石原武夫

    説明員(石原武夫君) 只今議題となりました国際的供給不足物資等の需給調整に関する臨時措置に関する法律を御説明いたします。  この第二項第一号は、その附則の効力の期間を定めました規定を二カ月延ばそうという趣旨でございまするが、この法律趣旨を簡単に申しますると、国際的に不足をいたしておりまする物資につきまして需給調整をする根拠規定を定めたものが本法でございます。国際的な取極めによりまして国際的な需給調整措置のとられておる物資、第二には我が国が輸入を必要とする物資につきまして、輸出国におきまして輸出制限を行なつている物資、第三番目といたしまして、国内で供給が特に不円滑でありまして、国民経済の運行等のために需給調整を必要とする物資等につきまして需給調整を行い得るという規定でございます。この法律に基きまして現在まで実施しております需給調整措置が二種類でございます。第一の種類は割当配給の統制をいたしておるものでありまして、これが現在のところ輸入ニツケルと、コバルト、フエロタングステン、フエロモリブデン、この四つの種類につきまして割当配給を実施いたしております。それから第二の種類としましては、いわゆる使用制限でございますが、これはニツケル、コバルト、タングスデン、モリブデン、これらの合金等につきましてそれぞれ使用制限規則等を設けて、不急不要と認められます用途の使用の制限をいたしております。ただこのうちニツケルにつきましては、その後の需給状況の変化に応じまして、本年一月からその使用制限規則の適用を一時停止しているような状況でございます。従いまして、この法律は以上申しましたような国際的に供給不足物資とみられる物資について需給調整を行なつておるのでございますが、本年三月三十一日限りで失効いたしますので、政府としては去る国会に更に一年延期の法律案提出いたしておりましたが、今回これが審議未了になりましたので、この際二カ月間だけの効力の延長措置をいたしたいという趣旨の規定でございます。仮にこの措置をとりませんで、三月三十一日限り失効いたしました場合に如何なることになるかと申しますると、第一には、只今申しましたような国内の需給調整措置が一切廃止になりますので、その間これらの不足物資については多少の波乱が起るかと存じます。それから第二には、これらの物資はすでに御承知のように国際的な割当の機構ができております。日本もそれに参加をいたしまして、只今申しましたような物資につきましては、その大部分或いは全部を諸外国から割当を受けて輸入をいたしておるわけであります。その際に国際的な話合によりまして、それらの割当を受けます場合に、それぞれ各国におきまして不急不要の用途は制限するとか、最も緊要なところに流れるように割当配給をするというような実質的な条件が付いておるのであります。従いまして若し又仮にそのような措置をとらずに全く自由に如何なる用途にも使うという措置をとりますると、今後これらの物資を国際割当機構から割当を受けるということは非常に困難になるだろうと思います。かような趣旨を以ちまして、是非この措置を今後も継続をいたして行きたいという趣旨からいたしまして、この際最小限度二カ月間の効力を延長いたしたいというのが本法案趣旨でございます
  163. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 大体この不急物資というのは軍需物資を作るために必要な物資だと思うのですが、平和憲法を持つている日本として、なぜ戦争に必要な物資の材料であるこれだけをこの緊急集会にかけてまで二カ月間の延長をしなくてはならんか、その点をもつとはつきりと説明してもらいたい。何の必要があるか。
  164. 石原武夫

    説明員(石原武夫君) この措置をとりました理由につきましては、只今申上げましたように、現在でも統制をいたしておるわけでございます。更に今後かような統制を継続することが今後引続きまして国際的な割当を受ける実質的な条件になつておるという点が理由でございます。なお只今前段に御質問のございましたこれらの物資は、軍需物資或いは軍需的な用途に向けられているじやないかという御質問でございまするが、これらは必らずしもさような用途ばかりに使われておるわけでございませんので、これは御承知のように、すでに本年当初からこの法律によつてそれぞれ割当配給をいたしておりまするが、例えばニツケルにつきまして申上げますると、通信の部門でございますとか、試験研究用とかございまして、鉄鋼、機械各部門について割当をやつておるような状況でございまして、只今お話ございましたような軍需部門だけにかような物資をあげているというようなことではございませんで、広くこれらの物資を必要といたします部門に割当配給をいたしておりますので、今後もこれを継続をする必要があると考えたわけでございます。
  165. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 あなたは小部分、平和産業に使われる面だけをそういうように大きく言われる。殆んど大部分が軍需生産に使われておるということは誰でも知つていることです。そのほうを隠している。若しも軍需生産に使つていないというならその率をちやんと挙げて、品物ごとにちやんと例を挙げて示してもらいたい。
  166. 石原武夫

    説明員(石原武夫君) これは別に細かい点が若し御必要でございますれば資料で御説明いたしてもよろしいのでございますが、例えば輸入ニツケルにつきまして、その資料にちよつと数字が出ておりませんので、甚だ細かくなりまして恐縮でございますが、例えば自助軍用の点火栓については十七トン、各種の電球については三十四トン、それから積算電力計につきましては十七トン、それから自動交換機については十四トン、手動交換機につきましては二十トン、搬送装置について四十九トンというようなことで、トータルは三百六十トンばかりになりまするが、御指摘のようなあれにのみ使つておるということはないと思います。
  167. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それはニツケルだけですか。
  168. 石原武夫

    説明員(石原武夫君) 今例を申上げましたのはニツケルだけでございます。
  169. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 ほかの品物はどうです。私はこういうふうに理解……、それは経済安定委員会において、これは前に討議されたときに私はよく知つておると思うのです。私はそれに参加しておりました。とにかくアメリカと日本の軍需生産の申合せだ。アメリカの戦力に日本が応援する意味からそういう取極めがされておるわけです。国際的にアメリカブロツクで……。それは取りも直さずアメリカ戦力のためにそういうことがされているということは明らかだと思うのです。だから日本がこういうものを緊急集会に出すということは戦争準備に日本が汲々としているという一つの証拠だと、僕は思う。そうでないというはつきりした説明を僕はしてもらいたいと思う。
  170. 石原武夫

    説明員(石原武夫君) 只今申しましたように、各品種につきまして細かい使用の用途があれでございますれば、別に資料として差上げても結構だと思いまするが、我々といたしましては、現在今申しましたような需要、いわゆる国際的に供給する物資として需給の調整措置を講じておりまする物資が、只今お話のありましたように軍需生産或いは兵器生産のみに使われておるというふうには全く考えておりませんので、国民経済上かような物資を確保することが是非必要だというふうに考えております。
  171. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それは観点が違うからよします。言う必要はない。
  172. 河井彌八

    委員長河井彌八君) それでは次に移ります。第二条について政府の説明を求めます。
  173. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) 第二条は、昭和二一年度における一般会計、帝国鉄道会計及び通信事業特別会計の借入金の償還期限の延期に関する法律を一部改正して頂きたいというものでございまして、現在のところ昭和二十一年度において一般会計、鉄道会計、通信事業会計を合計いたしまして約百五十七億円の借入金が昭和二十一年度当時にあつたわけであります。その後特別会計の廃止或いは日本国有欽道、日本電信電話公社の発足によりまして、その所属の、区分けは違いまするけれども、総額やはり百五十七億三千四百六十万円という借入金が残つておるわけであります。一般会計及びこれらの特別会計が経費の支弁のために借入れました借入金は、財政法が赤字補填の借入を禁じておる建前から申しましても、早急に償還すべきものでありますることは当然でございます。併しながら現在の財政状況から見まして、又郵政事業特別会計の現在の償還能力から見まして、これを現行法通り二十七年度に償還をするということは至難と出しまするよりは殆んど不可能であります。従つてこれは先般来問題になりました過去の経緯を申上げたのでありますから誤解のないように願いたいのでありますが、過去の経緯につきましては、更にこの償還期限は三年程度延長して頂かなければ、この償還の計画が立たないということで、さような考え方をしておつたのであります。これは過去における我々の考え方であつたわけでありますが、同時に現状におきましては、これを二十七年度末に全部償還をするということは不可能の状態になつたわけでありますので、取りあえず六月一日まで延ばしておいて頂きまして、新内閣の手によりましてこの措置について改めて検討して頂きたいと、こういうことを考えておるわけであります。なおこの法文のうちで、他の部面は二カ月間とか、或いは五月三十一日となつておりますのが、特にこの場合において六月一日となつておりまするのは、一見奇異な感じを与えるのでありますが、若し五月三十一日ということにこれを書きますると、五月三十一日には返さなければならないということになるのであります。償還期限の延長は三十一日までは払えないということを書きたいということから、これは技術的なことになりますが、六月一日という日にちをここに書いて原案といたしたような次第であります。
  174. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 これは話は変なほうに飛びますが、関連してお尋ねします。電信電話公社のほうで今回国際電信電話会社ができて、それに対する資産の譲渡等が株券となつて大蔵省がこれを持ち、これを売捌いた代金は公社のほうに廻つて行くようになつているわけですが、十五国会で出て来た予算で見ますと、そのほうの収入を二十億と見積つてつたようであります。ところがこの会社は援護資本は確か三十二億八千万が政府側の部分で、それであと一部民間側から公募するのではなかつたかと思うのですが、他の十数億という金は何でも本年中に株券の売捌をしないから歳入には見積らないのだというような話だつたそうですが、又噂に聞くところによると、大蔵省当局はこういう貸金が公社側のほうにあるから、それの引当に一つつてやろうというようなことで、残分の債券を売捌いた代金を国のものとするように予算上出さなかつたのではないか、非常に穿つた見方をしておる向があるわけでありますがそんなばかなことはないと思いますが、念のためにそんなばかなことはしないと御答弁つておきたい。
  175. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) そんなばかなことはいたしません。
  176. 河井彌八

    委員長河井彌八君) それでは次に移ろうと存じます。第三条はすでに政府の説明も伺いましたので第四条に移ります。第四条につきまして政府の説明を求めます。
  177. 岸本晋

    説明員(岸本晋君) 第四条の提案理由を申上げます。現在の国家公務員等に対する退職手当の臨時措置に関する法律は、毎年度限りその効力を年々改めて参ります限時法ということになつております。と申しますのは、現在国家公務員等に対します退職給与といたしましては、官吏の場合でございますと恩給、雇用人の場合でございますと、共済組合年金或いはそのほかその法律の退職手当、そうした種々の退職給与がございます。これはそのときどきの必要に応じて生れて来たものでありますが、現在の新らしい国家公務員の制度の建前からみますと、どうしてもこれを総合的な観点から又見直す必要があるという意味におきまして、従来政府において新らしい総合的な退職給与制度を作りたい、かように考えておつたわけであります。従いまして、その退職手当も、この総合的な退職給与制度ができますまでの臨時的なものといたしまして、毎年度々々々限時法といたしまして、その効力の延長を国会にお願いして参つたわけであります。現在の法律も本年の三月三十一日限りその効力を失うということに相成つております。四月一日以降退職されるかたがたに対しまして、退職手当の支給の方法がなくなりますので、取りあえず五月三十一日までこの法律効力を延長するということにいたしたわけであります。
  178. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 先の特別国会におきまして、国家公務員等の退職手当の臨時措置法の改正法案が提出されたわけでありますが、それによりますと、本年の三月三十一日限り効力を失うのを、将来恩給法又は共済組合法などの総合した恒久的な退職手当の制度のできるまで、いわば期限なしにこの法律効力を持たせる、なおそれと同時に退職手当に対して手当の率の引上をすることにしたいという改正法案が出たわけでございますが、それに基きまして昭和二十八年度の当初予算におきましては、退職手当が年間で一般会計、特別会計、政府機関等併せて約三十八億計上されていたようでございます。今回期限を五月三十一日まで延長して暫定予算を組む場合に、三十八億の二カ月分が計上されておるということを承知いたしてよろしうございますか、お伺いいたします。
  179. 岸本晋

    説明員(岸本晋君) 今回の暫定予算に計上いたしてございます退職手当は、俸給予算に対して一・五%をかけました金額の二カ月分ということに相成つております。
  180. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 この現行案は昭和二十五年に法律第百四十二号で公布されたのでございますが、そのときの法律では、ポツダム政令が廃止になつたその代りに、この法律で退職手当を臨時に施行する、そうしてその効力は、行政整理に基くものは二十六年三月三十一日限り効力を失う、ただその法律のうちで職員の、失業者の退職手当については二十八年三月三十一日まで効力を有するということになつているので、その当初から三月三十一日まで法律百四十二号は効力があつたと考えているのでございます。行政整理につきましては、二十六年に行政整理による退職手当の率を八割乃至六割ということにして、その支給の期間を二十七年の六月三十日までに行政整理を行なつて、それにやるということが二十五年法律百四十二号の附則で改正されたのであります。行政整理につきましての退職手当はそれで効力はなくなつております。更に二十七年に行政機構の改革をやつた場合に、この法律に基かずに行政機構の改革に伴う退職手当の特例法が公布されておる、それは二十七年度限りで終つているのでございます。そこでこの現行法は、二十五年にできましたときから、行政整理をやる場合に必ず一年ごとにやるということになつたので、四条、五条に入つている規定でございますが、今度は今まで通りの規定を、そのまま先の特別国会提出なさつたときには、半永久的に、いつも行政整理のようなことをやつた場合には適用ができるというふうになるので、これは年中行政整理というものをやられるというような不安があるのであります。行政整理というのは、昨年の七月の行政機構の改革の内閣委員長の審査報告でも、徹底的に恒久的な行政整理をやるならば、二、三年かかつて、強力な委員会等において審議したものをやるべきで、そう始終やるべきではないのだということまで、本会議に有力な委員会における意見としても述べられているのでございますが、恒久的に行政整理の条項法律の中に入れておく、そうしてこの第四条に挙げられているような規定でやりますと、何が整理手当だということがどうも私どもにははつきりわからないのであります。定員の減少とか、組織の改廃とか、又は予算の減少で剰員を生じたような場合に退職した者は、閣議できめてその都度整理退職に編入するというようなことになつているのであります。私先ほど質問いたしましたのは、三十八億の経費を二十八年度当初予算で要求していたのだが、そのうち普通退職という分は三十一億である。特殊分ということで六億八千万円計上されていたようであります。ところが六億八千万円、特殊分というものは、これは整理退職によるものであるということで、その数もこれは五千五百四十人計上されているのでございます。先の特別国会に行政機構の定員の改正法案が出ましたが、これは三万五千人の減少だが、そのうちで欠員が一万人あるから、その三分の一定員を減少するんだということが提出されたときに、私はこの整理退職というのには、そういう欠員の減員をしたような場合に、現職にいる人が退職をすれば、それは整理退職に該当するのかということを伺つたのでございますが、原則にはそういう人は該当しないというので、若しあの定員法の改正が実現すれば、二十八年度においては整理退職の経費というものは要らないんじやないかというように考えていたのでございますが、それとは別にこの第四条によつて閣議できめれば整理退職に該当する。そうして普通退職の場合の八割増で退職手当が支給されるという数が五千五百四十人計上されているのでございまして、今の御説明では俸給の一・五%を組んであるだけだということと、本年度は五千五百四十人という予定をしたその整理退職に該当する者はないというお見込で、その六億七千万円の月割は計上しないことになつたんでございますか、そういたしますと、この法律の第四条は今回の改正法律のうちには該当しないんだ、そういうものはないんだというように承知いたしてよろしうございますか。
  181. 岸本晋

    説明員(岸本晋君) 今回の暫定予算の基礎人員は二十七年度末におきます定員をそのまま延ばして組んでおります。従いまして人員整理というような問題は起つておりません。それに伴う退職手当の予算も当然計上してないわけでございます。
  182. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 今御説明を伺つたら、そうしますと、特殊分というものの月割は計上はしないんだということに承知いたしてよろしうございますか。
  183. 岸本晋

    説明員(岸本晋君) さようでございます。
  184. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 先ほどお話によりますと、俸給の一・五%を組んでいるんだ、当初予算では普通退職の分が三十一億ということになつておりますが、文部省の義務教育職員の場合にしても、それは一・二%ぐらいが年間の退職者のうちに計上されているようでございますが、一・五%というのは、それは二十四年の頃の実績を元にして、その後そのまま計上しているように私伺つたんですが、二十四年の五月頃は七万人ぐらいの欠員もあつたんです。そうして九月の終りに行政整理を一般会計、特別会計みんな入れて二十五万人の行政整理をやつたんだが、十月にはすでに三万人の退職者が出て、年度末にも三万人ぐらいの退職者があつたが、今年の行政機構改革の基になつておりました一月一日現在では欠員が約一万人ぐらいで、そうして非常に少いので、どういうことかと考えておりましたが、そのくらい本年の事情は二十四年頃とは事情が違つているのでございますが、三十八億というような予算を計上しまして、仮にそれが一人当り十万円ということになれば、三万何千人というような退職者が毎年出るのかどうか。私はそういうふうな予算を計上する場合にも、漫然二十四年頃から、あれから毎年一年ごとに、総合的な退職制度ができるまで一年ごとにこの法律を延ばすというようなことをやつているが、いつになつたら総合制度ができるのか、まだ見当もついていない。そうしてその間には退職手当の予算は三万五、六千人ぐらいの半分も退職者はいないじやないか。そういうような予算の組み方をせられていて、これは余つたものはどういうふうにするか知らんが、そうして普通の給与ベースのようなものは、これは人事院の勧告があつてもそういうものは蹴つてしまう。私はこういうような要らないものをそのまま惰性で一・五を継続して何年もやつているというような、そういうような計上の仕方はおかしいのじやないかと考えるのですが、如何ですか。十分こういうものについては要るものを計上すればいい、要らんものは捨てればいい、今特殊分というものは要らないから今度はすつかり削つてしまつたのだ。五千何百人というのは……、ここに出て参りましたこの法律案の第一条の第二項でございますか、これはこの前の改正案では第二項のものは削つてつた、今度はそのまま生かす。この前の改正案では附則におきまして、二十七年度の行政機構の改革に伴う退職手当の特別法に該当しない者で、一月十九日以降の者は、これは本法によつて退職手当を支給するということになつていた。その内容を見ますと、三月末日までに三千三百人ぐらいの国際電信電話会社へ電通省から移管になつたのも入れた。そうしてだんだんに内容を拝見しますと、この五月までには人事院では三十八人、どういうものか知りませんが、定員法の改正によらずに減少になる。そういうのも八割増しの退職手当を受けるというようなことで、行政整理の定義というものがはつきりこの法律では出ていないのでございますが、そういうものは何が行政整理による退職手当か、どういうことが閣議では認定したようなことになるか、こういうような区分がはつきりしているのでございますか。その点をお伺いいたしたいと思います。
  185. 岸本晋

    説明員(岸本晋君) 御質問の第一点でございます退職手当の点につきましても、なかなか不確定要素がございまして、正確に一銭一厘びつたりと間違わんという数字が出て来ないのであります。今までもできるだけ過去の経験、統計資料等を集めまして、成るべく正確な数字を求めてやつて来た次第であります。第二の問題でございますが第二の点につきましては、新たに又新内閣ができまして、新らしい構想の下に又退職手当に関する提案がなされるのだろうと、かように考えております。
  186. 河井彌八

    委員長河井彌八君) それでは第五条、地方税法の一部を改正する件につきまして政府の説明を求めます。鈴木自治庁次長
  187. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 第五条につきまして御説明申上げます。第五条は地方税法の附加価値税の実施を延期するという点でございまして、それに伴なつて現行の事業税、特別所得税を更に継続して行くということでございます。それが普通の前条までにございましたのと違つて延期の期限が一年になつているのでございますが、これは附加価値税が年税と申しますか、会社の事業年度を基礎にしておりまする関係もございまして、二カ月延長するというような方式がとりがたいのでございます。事業税も同様の性格の税でございますので、両方共延長の期限を二カ月というふうに切らないことにいたしたのであります。なぜ延期したかということでございますが、これは附加価値税の実施につきましては、かねて政府といたしましては、これを延期する考え方で先般の国会に所要の地方税法改正法案を提案いたしておつた次第でございまして、従つて地方の徴税当局におきましても、これに対する準備が不十分でございますし、又納税者の側におきましても、さようなことを期待いたしていないという向が多いように見受けられるわけでありまして、これを今直ちに施行するということに相成りますというと、納税者側にも徴税当局にも多くの支障混乱を惹き起すことに相成ると思うのであります。又仮にこれを無理に強行いたしましても、地方財政の面から申しまして、なかなか予期いたしましたような税収を得ることが困難であろうと考えられる面もございまして、これはこの際延期いたすということはやむを得ない結果であるというふうに考えた次第でございます。(「議事進行」と呼ぶ者あり)
  188. 河井彌八

    委員長河井彌八君) それでは更に第六条に移ります。
  189. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 第六条の外国人登録法の一部を改正する件でございますが、これは先ほど一松委員から御質問がございまして、その際に趣旨を申上げましたので重ねて簡単に申上げる次第でございます。  新らしい登録法によりまして、日本で今までやらなかつた指紋制度というのを実施する。それは日本の新らしい制度というので、これを直ちに実施いたしますことは如何であろうか、ということによりまして一年間猶予をいたしておつたのでございます。その期限が四月二十八日に来るわけでございます。この際指紋制度法律にあります通りに、このまま流しておきますれば四月二十八日までに指紋制度を実施しなければならんということになるわけでございますが、御承知のように指紋制度が、法律の適用を受けます外国人は今内地に六十万以上いるわけでございますが、この人たちが必ずしも指紋制度というものに対して十分な理解がない。犯罪捜査にこれを使うのではないかというような疑惑の眼を持つて見ておられる向も多分にあるのでございます。而もこの指紋制度の適用を受けます六十万の中の九〇%程度の大部分のかたはいわゆる朝鮮出身の人たちであります。最近におきまして日韓会談が好転をいたすという状況になつておりますので、日韓会談が再開をいたします直前におきまして、この不馴れな指紋制度を実施することによつて無用の混乱が起きるのではあるまいかということも予想いたさよますので、果してそういう事態を侵してもあえて指紋制度を採用するかどうかということについては新らしい内閣において判定をして頂く、暫らく現状を維持して参りたいというのが提案の理由でございます。
  190. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 先ず第一に伺いたいことは何の理由で四月にやるのを六月に延ばしたかということですが、それは只今日韓会談などの関係上面白くない情勢が起るといかんから、それを四月からやるのを六月まで延ばしたい、こういう御説明であつたと思うのですがそれでいいですか。
  191. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) その通りであります。
  192. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それではその次に伺いたいと思いますが、世界中で日本以外に外国人の指紋を強制的にとつている国があるならば、私は教えて頂きたいと思いますが。……
  193. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 現在ではアメリカがやつているのでございます。東洋並びにヨーロツパにおきましては指紋制度というものは強制的にやるというところまで行つておりません。
  194. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 先日の本会議で改進党の鬼丸議員が法務大臣に対して、日本人の指紋をとる意思はないかという質問をされたのに対して、犬養法務大臣は、そういうことは毛頭考えておりませんという答弁であつたと思うのです。日本人の指紋をとる必要がないときに何故外人の指紋をとる必要があるのか、その点をお伺いしたい。
  195. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 日本人につきましては戸籍というものがあるわけでありまして、その人の同一性ということが相当はつきりわかる仕組になつております。外国人につきましては、その点が戸籍というものがございませんのでそれをまあ登録法によりまして登録をさせるという手続をとつているわけでありがます、登録をします際にしばしば偽造変造が起りまして、その外国人であるということを証明しますのに、外国人登録証明書というものを各自携帯いたしているわけでございますが、それの偽造変造が相当行われておりましたので、その偽造変造を防止いたしますのには指紋によるのが一番効果的であるという結論で、只今その指紋制度をやつて見ようということになつたわけであります。
  196. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 戸籍を偽わるのは外人に限らないと思います。外国人でもそれは一小部分の或る人はやるかも知れませんが、一小部分の人は日本人だつてつている。日本人にそういう人があつても指紋をとらない。何の必要があつて外人だけにこのことをやらなければならないか。外人は犯罪を犯す可能性が多いという仮定の下にこれをやつているというのであれば、これは非常に問題だと思うのです。そういう問題があるからこれを延したのです。大体そこにも私は問題があると思うのですが、その外人のみそういう仮定をする根拠がどこにあるのですか。
  197. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 只今のような御意見につきましても新らしい内閣において御決定を願いたいと思います。
  198. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 この法案は、法案自体に前からいろいろな問題があつてこれは国際的に問題を起した法案です。だからこういうものは当然消滅すべき性質のものです。それをなおやろうというような意思、而も自信のないくせにそれをやろうとするような意思を持つているところが、これは随分おかしいと思うのです。アメリカだけがこんなことをやつている。何もアメリカの真似をする必要はない。我々東洋人は東洋人の感覚を持つてやればいい。あなたがたは一から十までアメリカの真似をやろうとするから、こんなばかなことが起つて来るのです。これを何故国際紛争を予想してまでこういうことをやろうとするのか、私は甚だ奇々怪々に思うのですが、その点どういうふうに考えますか。
  199. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 只今の御意見を新内閣においても検討されることと思います。
  200. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それでこの外人というのは、今言つているあなたの話を聞くと、朝鮮のかたと、それから華僑のかたに限つているように思いますが、アメリカ人はどうするんです。アメリカ人、フランス人、とにかくそういう西洋人に対してはどういう処置をとるのですか。
  201. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 現在の登録法の建前は外国人一般に適用がございますので、英米人もとより同様に考えております。
  202. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 確かにそれをやる決意を以て臨んでいるわけなんですか。私たちはむしろ今日日本で犯罪を犯すのはどこの人間かと言いたいのです。相当いわゆる西洋人が日本で犯罪を犯しておる、鹿地問題にしろ、誘拐問題暴行事件にしろ、これはあなた、いわゆる東洋人でない人間、アメリカ人が最も多いように思うのですが、こういう連中から指紋を取らないで、日本にいる朝鮮のかたや、中国のかたたちから指紋を取るようにしようというのは、これはアジア人のくせにアジア人を侮辱する点だと思う。私は憤慨に堪えないわけです。だからこんなばかげた法案は早く廃棄して、国際的な紛糾を起さないように政府考慮すべきで、二カ月延ばすとか……私はこの法案に反対するつもりですが、反対するつもりならお前は四月から実行せいと言うのかというと、そうじやない、四月からやることにも反対だ二カ月延ばして六月からやるという精神も反対、もう四月一杯で打切りますというのなら私は賛成なんです。六月からやるという点に対して反対なんです。(「意見了承」と呼ぶ者あり)まあそういうことを言わんで……、あなたたちと見解が違うから……。
  203. 河井彌八

    委員長河井彌八君) お諮りいたします。これから先に進行しようと思います。第七条はすでに主税局長から説明を受けましたから、附則に入りまして、政府の説明を伺います。
  204. 林修三

    政府委員(林修三君) 附則の関係につきましては、第一項は施行期日、いわゆる公布の日から施行するということを規定いたしております。但し書がございまして、地方税法第五条の規定でございます。これは地方税法改正規定でございます。これにつきましては、先ほど自治庁から御説明がありましたように、附加価値税にせよ、或いは事業税にせよ、特別国税にせよ、年税でございますから、昭和二十八年度分から適用するということが必要でございます。そういう意味で適用関係を明らかにいたしております。附則の第二項は、この法律を施行するために経過的措置がなお必要なものがございましようと思われます。これにつきまして政令で定めるということを書いてございます。差当り必要と思われますのは、地方税法の施行関係でございまして、一応只今地方税法で申しますと、今度の延期を願えません場合には、附加価値税なら附加価値税が取られて、事業税、特別所得税が二十七年限りなくなることになつております。従いまして、これが延期されて、事業税、特別所得税が行われることになりますと、この年度を跨る法案におきまする法人の事業税の申告期限等について多少経過措置を設ける必要があるわけであります。そういう経過措置を予想しております。
  205. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 大体政府の説明を聴取いたしました。なお質問の残つておる箇所がありますならば、この際御発言を願います。
  206. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 もう時間もありませんので、極めて簡潔に官房長官に総括的に御質問申上げたいと存じます。それはまあ政府の解散権と、それから衆議院内閣弾劾権、まあそこまで論じますと、非常に我々の考えと、今回とられました政府の考えは、政府の解散処置というものについては、解散権の濫用、暴用であると僕らは考えるのですが、これは総選挙において国民の輿論に聞くことになりますので、今ここで論議しましても水掛論となるのでありますが、お尋ねいたしたいのは、まあ臨時的な処置としてこれだけの法律案について期間の延長、効力発生時期の延期というような処置が講ぜられると思うのですが、そのほかにこの解散によつて相当経済的、政治的な空白が生じることは否定できないと思うのです。特に最近における国際情勢は非常に微妙なものがございまして、これに即応してやはり国の対策を講じなければならないような面が多々あることは否定できないと思いますが、そこでお尋ねいたしたいのは第一点に今回の解散、非常にまあ二十八年度予算成立を前にして、予算をどうしてもこしらえなければならん際に、それが解散によつてできないということになつて暫定予算で行くことになるのでありますが、経済界に非常な打撃を与えるようなことはないかどうかという点について、官房長官のほうで得られている資料の範囲内において一つお答え願いたいと思います。  それから第二点は、国際的に非常な反響を与えまして、そうして再び緊急集会等を求めて、そうして何らかの処置をしなければならんという事態が起ることが予想されないかどうか、こういう点について簡潔に御答弁願いたいと思います。
  207. 緒方竹虎

    ○国務大臣(緒方竹虎君) 今回の解散につきましての御意見は御意見として伺いまして、それが経済界に非常な打撃を与えやしないか。勿論予算が不成立になりましたことは政府といたしましても非常に残念に思つているのでありますが、今暫定予算の御審議を願つておりまする二月の間には、それほど大きな影響を与えずに済むのではないか。四月十九日に衆議の院選挙を終りますので、遅くも五月十九日には新らしい国会が召集せられますので新らしくできる政府において選挙を通して国論の趨向もわかりますし、手早い措置が取れれば、それほどの打撃はなくて済むのでなかろうかと考えております。それから国際的の問題でありますが、これは終戦後の七年の間に国際情勢の動きが殆んど予測し得ないものが次から次へと起つて参りましたあとを顧みましても、あらかじめ予測するということは殆んど不可能かと思いますが、政府が今集め得ておりまする情報によつて、できる限りの見通しをいたしまするところでは、この二カ月の間に再び緊急集会をお願いしなければならないような情勢には先ずなるまいという見通しを持つているような次第でございます。
  208. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 最後に法制局長官にお伺いしたいのですが、法律的な処置として、まあ練達なあなたは一々チエツクせられたので、よもや間違いはないと思うのでありますが、ひよつと漏れておつて、そういう処置はしなければならない、経過的な処置をしなければならなかつたというので、未だあなたのほうで、今は面子上やられないのでありますが、関係の諸官庁から、これだけはしておいてもらいたかつたというような、あとで処置というか、これだけは困るというようなものが今発生しておらないかどうか。こういう点についてお伺いしたいのです。従つて今の官房長官の話と関連して、もう一遍緊急集会を求めて、更に何らかのこの前の委員の任命のことなどというようなことが起るような心配がないかどうか。その点を確認しておきたいのでありますが、今のところ、これをお出しなつたその後において、そういうことがないかどうかということを確認したいと思つております。
  209. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) この今回の措置につきましては、法律の面からは少くとも各省総動員して、念には念を入れて準備いたしました。その結果ここに御提案申上げているのでありますから、只今のところはこれで完全であるというふうに信じております。
  210. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 他に御発言はありませんか。    〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  211. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 御発言ないと認めます。  それではすべて御質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  212. 河井彌八

    委員長河井彌八君) それでは御質疑は終了したものと認めます。明日は討論から採決に入ります。  それでは本日はこれを以て散会いたします。    午御六時十一分散会