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1953-03-05 第15回国会 参議院 外務委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年三月五日(木曜日)    午後一時三十四分開会   ━━━━━━━━━━━━━  出席者は左の通り。    委員長     徳川 頼貞君    理事            伊達源一郎君            大隈 信幸君    委員            杉原 荒太君            團  伊能君            平林 太一君            加藤シヅエ君            曾祢  益君            有馬 英二君   政府委員    外務政務次官  中村 幸八君    外務事務官    (外務大臣官房    審議室勤務)  中村  茂君    外務省条約局長 下田 武三君   事務局側    常任委員会専門    員      久保田貫一郎君   ━━━━━━━━━━━━━   本日の会議に付した事件 ○国際情勢等に関する調査の件  (一般外交方針に関する件) ○工業及び商業における労働監督に関  する条約(第八十一号)の批准につ  いて承認を求めるの件(内閣送付) ○職業安定組織構成に関する条約  (第八十八号)の批准について承認  を求めるの件(内閣送付) ○団結権及び団体交渉権についての原  則の適用に関する条約(第九十八  号)の批准について承認を求めるの  件(内閣送付)   ━━━━━━━━━━━━━
  2. 徳川頼貞

    委員長徳川頼貞君) 只今から外務委員会開会いたします。  一昨日の外務委員会で竹島の領土権に関する件につきまして、法務委員会決定次第、連合委員会を開くことになりましたが、一昨日法務委員会も正式に決定いたしました。それで本日連合委員会を開くことになりましたが、丁度外務大臣予算委員会に出席することになつておりまして、只今そのほうに出ておりますが、至急こちらに出てもらうよう、今手配中でありますが、その間外務政務次官及び条約局長がこつちに見えておりますので、それで若しよろしかつたらば、それで連合委員会を進めたいと思いますが、如何いたしましよう。
  3. 徳川頼貞

    委員長徳川頼貞君) 御異議ないものと認めます。それでは外務委員会は一時休憩いたします。    午後一時三十七分休憩    ——————————    午後三時三分開会委員長
  4. 徳川頼貞

    ○(徳川頼貞君) 外務委員会を開催いたします。御質問のあるかたは御質問を願います。
  5. 大隈信幸

    大隈信幸君 本当は大臣に伺いたいわけなんですけれども、何日かあとになりますので、若し一応外務省見解がきまつておるといいますか、御研究なつた結果がおありになるなら御発表願いたいのですが、要するにそれは昨日発表になつスターリン危篤といいますか、重体に関連して外務省はどういうふうに情勢を分析しておられるのか、或いは新らしい事実があるならそのことについて一応御説明頂きたいと思います。
  6. 中村幸八

    政府委員中村幸八君) スターリン危篤の報が新聞で報道されておりまするが、この問題につきましては、勿論非常に国際情勢に及ぼす影響の大なるを認めます。外務省といたしましては、いろいろ検討はいたしておりまするが、今日の段階においては、まだ亡くなつたのかどうかそれもわかりませんし、更に又外国主権者の生命に関する問題でもありますので、今日批評は差控えたほうがいいのではないか、こういうような気持もいたしておるわけであります。
  7. 平林太一

    平林太一君 次官にお尋ねしたいが、この中共帰還船に対する政府方針は、昨日公電二十号—二十三号に対する厚生、外務運輸関係当局協議された、その結果このコミユニケ案はそのまま呑むことができないという強硬な態度を以て代表団にその旨回答打電した、こういうことが伝えられておりますが、この真相を一応承わりたいと思います。
  8. 中村幸八

    政府委員中村幸八君) 代表団のほうから、最後の代表団中国紅十字会との折衝の結果につきまして、共同コミユニケを発表したのであります。それについてこれこれの点についてはどういう考えか、直ぐ返事をしてもらいたい、こういうことでありましたので、二月四日の正午に関係各省との協議も経まして、代表団のほうに当方見解を打電したのであります。まあそれによりますると、代表団乗船さしてくれ、こういう点につきましては、我がほうといたしましては、これはすでに乗船後のあらゆる手配はすでに船長を通じ、又当方からの乗組員を増員いたしまして、すでに手配ができておるから、改めて三団体代表乗船させる必要はないと、こういうことで以て回答いたしました。  それからなお中共側乗船者名簿を提出することはできない、こういうことでありましたが、この乗船者名簿につきましては、船長輸送責任遂行上絶対に必要なものですから、少くとも乗船の際に船の側において、各個人から申告を受けてこれを作るというようなことは、船の乗船の迅速円滑を欠く憾みがあるから、どうしてもこれは乗船者氏名年令及び性別を記載した名簿中国側において、乗船前に一括して調製し、これを船長に手交されたい、若しその乗船者名簿調製が困難であるならば、乗船各人をして乗船前にその氏名年令性別を記載した銘々表二部作つて、一部は本人が所持し、一部は船長に渡す、これを各人に提出せしめて乗船せしめるよう手配してもらいたい、それから帰還者範囲でありまするが、中共側では逆送還は困る、逆送還というような事態の起らないようにあらゆる努力をする、こう申しておりまするが、当方の回答といたしましては、当方引揚者資格と申しまするか、日本人或いは日本人の妻である外国籍を持つておるもの、或いはそれらの子供であるというような、いろいろ資格がきめられておつたのでありまするが、こういう資格者以外の者は、これは帰還者と認めがたい、従つてそれらの者の乗組は許可できないというような点につきまして、代表団に打電いたしたような次第でありまして、これにつきましてまだ先方からは返事参つておらないのでございます。
  9. 平林太一

    平林太一君 今の御説明でありまするが、向うからの返事が来ない、こういうのでありますが、こういう政府方針が、先方の我が代表団は、中共との間に交渉折衝を成立せしめて、そして今のお話のような事柄がそれぞれそこに生じたわけでありますが、これは全体の帰還に対しての影響に対しては、どういうふうにお考えになつておるか、こういう方針早期帰還に対してどういう影響を及ぼすかということは、外務省はあらかじめ詳細にこれを御承知のはずでありますから、その点を一つ説明を承わりたい。
  10. 中村幸八

    政府委員中村幸八君) 折衝に一両日かかることと思いまするが、代表団の帰国は十日に香港を出発する予定になつております。それには十分間に合うのではないかと考えております。
  11. 平林太一

    平林太一君 これは支障のないということを明確に確認して差支えないと私は信ずるのであります。そのようにどうかあとで手違いのないように、この方針が今回の帰還が順調に完成することに対して、のちに至つて支障がないように、なお細心の考慮を払われて、これに対処せられたいということを申上げます。それから帰還船に三団体代表を乗せない、こういうことに対しては、只今船長それから船員その他が世話をせられるので差支えないのだ、こういうのでありますが、それではそういう措置をいたしてから、この三団体の申入れはその事後において、後日に至つて、そういう決定後に申出があつたのだから乗れないというのか、乗せるということが他の理由があつて乗れないのか、その点明らかにして頂きたいと思います。
  12. 中村幸八

    政府委員中村幸八君) 三団体代表を乗せる必要はないと、こういうのは、別段ほかの意味があるわけではないのでありまして、只今申上げるようにすでに船長万般引揚者お世話を依頼しておりますし、その他には手不足いたさんように職員等の増員もいたしております。更に鉄道輸送の問題或いは税関の問題、いろいろと乗船或いは上陸後の万般お世話についての手配は、すでにできておりますので、この上三人といえども余計の人が、余計と申しては失礼でありまするが、余分に乗りますと、これだけ定員の関係で帰る人も少くなる、こういうような関係もありまして、三団体代表のかたには乗つて頂かなくてもよろしいという関係各省協議であります。
  13. 平林太一

    平林太一君 只今のその理由は承わつたのでありますが、そうしてこの三団体代表を乗せるという場合、向うの各団体からの申出がありましようが、これは数はどのくらいの数であるか、非常に今のお話を聞きますと帰還者支障を来たすというのでありますから、その点、数はどのくらいになつておりますか。
  14. 中村幸八

    政府委員中村幸八君) ここにちよつと正確な数字を持つておりませんので、千七百名でございましたか、ちよつとはつきりいたしません。
  15. 平林太一

    平林太一君 これは千七百というと大変な数、一つじやないでしよう。
  16. 中村幸八

    政府委員中村幸八君) 一つの船でございます。
  17. 平林太一

    平林太一君 帰還の。
  18. 中村幸八

    政府委員中村幸八君) ええ。
  19. 平林太一

    平林太一君 そんなに数が多くなるのですか、こちらから三団体代表が、こちらから迎えに行くために、それに対して何といいますか中共側の若干意思もあつて、そうしてこちらから迎えに行く三団体代表乗船させてもらいたい、乗船せしめるべきだ、即ち若干の意思があるとこれは伝えられているので、その点どうなんですか。
  20. 中村幸八

    政府委員中村幸八君) 三団体各一名でございまするが、私どもといたしましては一人でも帰つて頂く人が多いことを望むものであります。
  21. 平林太一

    平林太一君 そうしますと、これはどうも非常に何と申しますか、特別な何か非常に警戒を必要とするような人が乗られるというなら、これは又別のことも考えなければならないでしようが、三団体各一人ずつが、それが迎えの船に乗る、迎えに行く船に乗せる、こういうのでありますから、そういうふうに何しなくてもよろしいかと思いますが、現に代表団の出発に当つても、高良とみ君が加わることに対しては非常に外務省で、その当時注目を惹いたくらいに紛糾をいたしたことを承知いたしておりますが、ところが実際に行つて見ますというと、のちの詳細なことはわかりませんが、向うでの行動が伝えられる事実から行きますと、そのように心配しなくてもよかつた却つて婦人代表が行つたことが非常に成功であつた、こういうふうに思われるふしぶしがあるのでありますが、そうでありますから私はこの際三団体代表というものは、その政府の意に相異なるものがあれば、その団体代表者に対する人物の選択をすればよろしいのでありますから、そういうことで向うが折角過去のことはともかくとして非常な寛容の態度で、又寛容な雰囲気の間にこういうことが成功いたしたのでありますから、そういう方向でおやりになることが妥当と思うが、それはいけない、こういうのでありますが、その理由は一人でも多く、こういうことでありまするが、一人くらい、千七百人くらいの乗船者の中で一人くらい代表者が乗つて云々ということは余り実際上の理由にはならないと思うが、どういうお考えですか。
  22. 中村幸八

    政府委員中村幸八君) それはくどいようでありまするが、すでに万般お世話手配はできておりますので、改めて三団体代表行つて頂く必要はなかろう、こういうふうに私は考えております。
  23. 杉原荒太

    杉原荒太君 一つお尋ねしておきたいと以前から思つてつたことがあるんですが、日本ソ連との現在の法的状態と、日本外交権行使との関係について、どういうふうな見解外務省としてはとつておられるか、それを先ず第一に、私がお聞きしたいのは、法律上の関係法律上の見解をどういうふうに考えておるか。
  24. 下田武三

    政府委員下田武三君) 法律上の点を私から申上げますが、ソ連は第二次戦争後の現実敵対行為が終了した後に、連合国でいろいろな対日措置決定いたしました。ポツダム宣言降伏条項、それらのすべての当事者になつております。併しながら現実日本占領には加わりませんでした。ただ日本占領政策につきまして最高司令官の諮問に応ずるための機関たる対日理事会のメンバーになることによつて、間接に連合国としての発言権行使しております。その状態講和発効まで続いたわけでございまするが、この平和条約ソ連が参加しなかつた結果、日本平和条約の署名をした他の連合国ソ連との間に法的に大きな差違を生じて参りました。従いまして平和条約連合国についての各国の発効と共に、日本とその平和条約発効した連合国との間には完全な平時法律的状態が発生いたしましたが、ソ連との間にはそのようなノーマルな法律関係が発生いたしておりません。換言すれば技術的と申しますか、テクニカルな戦争状態が依然として継続しているわけであります。併しながらソ連日本との間に継続しておりまする戦争状態と申しますものは、敵対行為を伴うと申しますか、当事者敵対行為をなすことが許されるピユールな戦争状態でないことは明らかであると思います。それはポツダム宣言降伏文書等はこれは実質において休戦条項であることは明らかでございます。従いまして日本休戦条項違反をいたしません限りは、他方の当事国たるソ連は、純然たる戦時において許される措置をとり得ないという関係にあると思います。従いましてその戦争状態はただテクニカルな見地において存在するのみである、大体現在の日本ソ連の間の法律関係は技術的には戦争状態が終止しておるが、併しながら当事者休戦条項なかりせば行使し得べかりしところの行為に出でられないところの戦争状態にある、そう申上げることができると思うのです。  第二の点の、日本ソ連との間に、然らば何らかの交渉なり連絡なりをする径路と申しますか、手段としては何が考えられるかと申しますと、これは現実戦争敵対行為は終止しておりまするが、法律的に平時関係が回復しておるわけではありませんから、平時関係にある国との間においては直接に外交交渉が行われまするが、ソ連との間にはそういうわけに参りません。従いまして第三国を経由する、或いは国際機関を経由して連絡する、交渉する、そういう径路しか存在し得ないというのが現実であると存じます。
  25. 杉原荒太

    杉原荒太君 私が聞きたい点は、あとの点を聞いておつたんですが、外交権行使との関係を聞いておつたんで、どうも外務省は今までそういうふうな見解をとつておるんじやないかと、僕は臆測しておつたから聞いたんです。その考え方はもう少し研究を要する、今までの法理上からしても、今までの慣行の上から見ても、どうも私はそういうふうな何かしらそれは丁度日本外交権利降伏文書によつて制限されておつた、そのときの観念がまだ惰性的に来ておつて、未だにそういうふうな、あの降伏文書による日本統治権連合国最高司令官の下に従属するという条項は撤廃されておるという解釈を今とるべきでしよう。それだからどうも今までずつと見ておると、あれがまだ何か如何にも日本外交それ自体が制限されておるというふうに解釈される、そこから観念の混淆を来たしている、それがすぐ実際のいろいろ外交措置にも影響しておる、これはああいうことを一切考えないで、今までの実際の慣例を見たつて、今のあなたの説を恐らく僕はそういうふうな見解ではないかと思つております。これは非常な、もつと考え直す必要があるですよ。これは今私が法理上の関係を聞いたのは、単にその学説上の法理論を問題としているのではなくして、今後の対ソ関係の問題を考え、実際の外交政策の運用を見るときに非常に大事だから僕は聞いておるんだ。
  26. 下田武三

    政府委員下田武三君) 杉原さんの御意見御尤もだと思いまして、又御質問の意図する含みもよくわかるのでございまするが、私は法律関係を平板に御説明いたしました次第でありまして、併しながら幾多の前例を見ましても、第一次世界大戦後に日独間の国交の平時に回復したときのあれを見ましても、これも確かスウエーデン、スイスでございましたか、第三国を経由して連絡をとり、連絡後当時のことで九カ月もかかつておりますが、九カ月頃からやつと代理大使から始めて回復するというような措置をとつております。平常の方法は、第三国を経てやるのがノーマルだと思いまするが、併しながらこれは戦争中でも戦争同志の国が直接に触手をのべて連絡をとるということは、政治的には可能なことでありまして、法律的になし得ないことも政治的にはしてはならんということはないのでありまするが、併しその分野に入りますると私の主管しております法律の部門を脱しまして、私が答弁する問題よりも遥かに大きい問題でございますので、いずれ外務大臣にでも御質問願いたいと思います。
  27. 杉原荒太

    杉原荒太君 今政治上と法律上とに分けられたのは逆ですよ。むしろ法律上は可能なんだ。それを政策政治上の考慮からそうするかせんかは、これは政治上の問題です。いずれよく一つ研究してみて下さい。非常に大事なんです。どうも僕は今まで外務省がいろいろな措置をとつておられるのを、そういうふうな見解の下にやつておるのではないかと、いろいろな具体的な事例があつたものだからいつか確かめようと思つていたのですが、そこはもつと研究しなければならん。そこは逆です。
  28. 下田武三

    政府委員下田武三君) 私の御説明が不十分でございましたが、決して日本占領当時と同じような何らかの主権の制限を受けておるから、ソ連交渉し得なんだと、そういう見解は全然とつておりません。
  29. 杉原荒太

    杉原荒太君 それにしてもそれは、一面ではそれでいいのですが、併し戦争関係と、それから外交権行使との関係のところは、法律上はこれは可能である。むしろ実際問題であり、政策上の考慮の問題です。よく研究してみて下さい。改めて一つあなたの研究してからの結果を又聞きたい。
  30. 平林太一

    平林太一君 先刻の帰還船に対する政府方針に対して継続ですが、どうも三団体代表を乗せないということは、どうしても私には腑に落ちない。又国民全体の意思としまして、又帰還を待ち佗びておるところの恐らく家族の関係者からいたしましても、決してこれは了解を釈然といたすことのできない問題だと思う。こういうことにどうして政府はこだわるのか、やはりこういうことがあることを以て私はまだ外務省というものが外交独善と言いますか、或いは非民的な官僚的な何を脱却しないということを考えるのでございます。これは船に乗つて行つて、そのまま向う行つてつて来る。ですから何かこれらの人たちが別な行動をすることは何もないはずです、中共の土地を踏んでそこで何かするというようなことは。手配が済んだから、それでこれを乗せないというようなことは、これはよく官僚人々が言うことであります。そのくせ官僚自体範囲においては自由自在ということをやつてつて、事一たび民間からの要望というものに対しますれば、そういうようなことを殊更障壁を設けて言を左右にしてこの意思を阻止せんということを、一つ意思に入れるものと考えておる。若しこれを常識的に考えると、それをいたさなければ、私は外務省というものがそういうことをやるところにやはり国民外交というものが強く今後期待される、打ち出されるべきものであるということを非常にまあ考えたのでありますが、これはその三団体先方からも来たほかの条件につきましては、ここに一、二、三、四とありますが、第一が三団体代表者乗船拒否と、それから乗船者名簿の事前の調製配船の技術的な問題、帰還者範囲、それぞれ私は他にも意見もありますが、とにかくこの代表乗船せしめるということの拒否ということは、私は甚だ我々国民意思としてはこれを歓迎するものではない。でありますからこれはこれからでも間に合うのでありますから、早急に一つ、一人の乗船者があつてそれで何か非常に全体が差支えるというようなことは、これは子供考えであつて、そんなことはあり得ないことなんですから、一つこれは至急にこの点に対しては外務委員会としての、私の意思としまして、私自身としましては外務委員会の公義の立場におきまして政府のこれに対する態度の反省を強く求めるものであります。それが殷鑑遠からず、高良とみ君が立証しておる。それとこれは大差ないことだと思う。それよりもまだこれは平易に考えてよろしいことであります。そしてやはり人心の和というものを傷付けないように、折角こういうことは故国において皆待ち佗びておるのでありますから、そういうことを一つ傷付けないように、これを穏やかにすることが却つて全体の又帰還者を迎えるにいたしましても、それらに対しましても政府の温かい態度である。こういうことを帰つて来た帰還者人たちから聞いておりますが、決してそういうことを喜ぶということはあり得ないのでありますから、この点一つこれはどうしてもそうしなければいかんと信じて強くこのことを要請するものでありますので、いま一応外務次官の御答弁を承わつておきたい。
  31. 中村幸八

    政府委員中村幸八君) 三団体代表乗船拒否と言いますけれども拒否と申しますと非常に言葉は強いようでありますが、私どもはそういう言葉は使つておらないのであります。先ほど申上げたように、すでに万般手配ができておる、改めて三団体代表のかたに乗つてもらうまでもないじやないか、こういうようなわけであります。それにつきまして外務省独善だというような御非難でございまして、外務省だけでこの問題をきめたわけではないのであります。関係各省と慎重に審議した結果、そういう結論に達したわけでございます。
  32. 平林太一

    平林太一君 非常に話がそういうふうになりますと、私はますますわからないのですが、三団体代表というものに対して、中共側がいわゆる今回の帰還に対する直接の当事者としてそうして現地に参つてこれらの代表者が正式に先方話合いをし、或いは折衝の結果そういうことになつた。そういう事実も非常に私は考えるべきだと思います。政府代表というものは不幸にして今回の人たち中共側からのいろいろな政治上のことはこれは別でありますが、そういう何が一応向うから拒否されておる。それで併し拒否されたものでありますから、事実政府のそういうことが拒否されているので、普通からいたしますれば、これはよほど考えなければならん。併しそれらのことを遙かに越えて、多少のいわゆる是非曲直はあつても、これらの人々が我が国土に帰るには替えられないのでありますから、そういうことをいわゆる我がほうもそれを受諾して、承知して、これらの代表者先方行つてその衝に当つておるわけでありますから、そういう事実も考慮に入れて考えますれば、当然これらの三団体代表先方代表団とがそういう何をも中共側との話合いで了承して、そうしてそれが公式な公電となつてつて来たのですから、それでは余り事が勝手過ぎる、ものの常識から行きましてもそれらの国際外交の、そういう大きな面から考えましても、私はそういうことは外交の信を得るゆえんではないと思います。小さいことでありますが。これを何かむずかしく考え準備が整つてやれないということは、準備が整つて発船してもそのあとを追いかけて行つても乗せるという態度をこの問題に対しては私はとつても然るべきだと思う。それでありますから、一つこのことは本日の外務委員会における私の意見の主張として改めて政府においてはこれに対する検討をいたされて、そうしてこれに対して早急にこれらを乗船せしめるべき処置を講ずることを要請いたしておきます。それでこれ以上答弁を求めませんから。
  33. 伊達源一郎

    理事伊達源一郎君) もう一般質問はよろしうございますか。一般質問は今日は終了したものといたしまして、ここに三つの案が予備審査として提案されておりますが、これについて当局提案理由説明を承わりたいと思いますが、御異議ありませんか。
  34. 伊達源一郎

    理事伊達源一郎君) 御異議ないものと認めます。   ━━━━━━━━━━━━━
  35. 伊達源一郎

    理事伊達源一郎君) それでは工業及び商業における労働監督に関する条約職業安定組織構成に関する条約団結権及び団体交渉権についての原則の適用に関する条約批准について承認を求めるの件、この三案を一括しまして当局説明を求めます。
  36. 中村幸八

    政府委員中村幸八君) 只今議題となりました工業及び商業における労働監督に関する条約職業安定組織構成に関する条約及び団結権及び団体交渉権についての原則の適用に関する条約について、提案理由説明いたします。  工業及び商業における労働監督に関する条約は、一九四七年に国際労働機関、ILOの第三十回総会で採択されたものでありまして、一九五〇年四月に効力を生じ、最近までに批准した国は、十六箇国を数えております。  この条約の目的は、ILOの加盟国に労働監督制度を採用させて各国における労働者保護に関する法規を忠実に実施せしめ、これによつて労働者の保護を確保しようとするものであります。わが国におきましては、労働基準法により監督機関の設置が定められておりまして、監督機関の任務、監督官の権限、資格等この条約の規定の内容は、すべて実施されているのであります。  次に、職業安定組織に関する条約は、一九四八年にILOの第三十一回総会で採択されたものでありまして、一九五〇年八月に効力を生じ、最近までに批准した国は、十六箇国であります。  この条約は、職業安定組織の設置による雇用市場の組織化を目的としたものでありまして、これによつて失業防止及び雇用の増大を計らんとするものであります。わが国におきましては、既に職業安定法により職業安定組織が維持されておりますほか、安定組織の構成、業務の内容等この条約の規定する条件は、すべて同法、失業保険法等により充されております。  次に、団結権及び団体交渉権についての原則の適用に関する条約は、一九四九年にILOの第三十二回総会で採択されたものでありまして、一九五一年七月に効力を生じ、最近までの批准国は、十一箇国であります。  この条約は、労働者に与えられるべき基本的権利であります団結権及び団体交渉権の擁護を目的としたものであります。わが国におきましては、既に労働組合法及び公共企業体等労働関係法によりまして、これらの権利の保障を確保しております。  この三条約は、戦後わが国が初めて批准する労働条約となるわけでありますが、これらの条約批准することにより、わが国が公正な国際労働慣行を遵守している実情を広く世界に知らせ、また、将来もそれを維持してゆくことを国際間に約束いたしますことは、ILO憲章の趣旨に沿つた国際協力を進める点からいいましても、またわが国の海外における信用を高める点から見ましても、きわめて有意義であると考えます。  以上の点を了察せられ、御審議の上すみやかに御承認あらんことを希望する次第であります。
  37. 伊達源一郎

    理事伊達源一郎君) この三つの条約について御質疑があると思いますが、質問は次の機会に譲りまして今日はこれで閉会いたしたいと思います。それでは本日はこれにて閉会いたします。    午後三時四十六分散会