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1953-02-20 第15回国会 参議院 外務委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年二月二十日(金曜日)    午後一時四十三分開会   —————————————   委員の異動 十二月二十四日委員須藤五郎辞任に つき、その補欠として兼岩傳一君を議 長において指名した。 一月三十日委員岩傳一君辞任につ き、その補欠として須藤五郎君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     徳川 頼貞君    理事            伊達源一郎君            大隈 信幸君    委員            團  伊能君            平林 太一君            石黒 忠篤君            岡田 宗司君            曾祢  益君   委員外議員            河井 彌八君            永井純一郎君   事務局側    常任委員会専門    員      久保田貫一郎君   政府委員    外務政務次官  中村 幸八君    外務事務官    (外務大臣官房    審議室勤務)  中村  茂君   参考人    和歌山県東牟婁    郡大島村村長  辻  伊八君   —————————————   本日の会議に付した事件連合委員会開会の件 ○漁船だ捕及び漁夫射殺事件に関する  件 ○静岡池新田町外三箇村地内に駐留  軍射場地設定反対請願(第一八二  号) ○静岡遠江地区騒留軍試射場設置  反対請願(第五五五号) ○静岡小笠地先海面演習場設定  反対に関する陳情(第五九号) ○駐留軍による静岡県旧陸軍遠江射場  地の農地接収反対陳情(第一七七  号) ○和歌山大島村に駐留軍基地設置反  対の請願(第一六一〇号)   —————————————
  2. 徳川頼貞

    委員長徳川頼貞君) それでは只今より外務委員会開会いたします。  最初にお諮りいたしたいと思いますことは、先日水産委員長から漁船拿捕並びに漁夫射殺事件に関しまして、連合委員会において証人の証言を求めたい旨の申入が非公式にありましたが、一昨日十八日の水産委員会でこの件を正式に議決して参りました。なおこの議決には当委員会のほかに法務委員会も入つております。これは如何いたしましようか、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 曾禰益

    曾祢益君 合同委員会は結構ですが、そうすると、これは外務委員会主管という立場で、そして水産法務、どういうことなんですか。
  4. 徳川頼貞

    委員長徳川頼貞君) 水産主管だと思いますが、それに法務外務が…。水産から申入がありました。
  5. 曾禰益

    曾祢益君 それはちよつとおかしい、外務主管だから……。
  6. 團伊能

    團伊能君 この問題は一応議運にかけて頂きましてどうでしようか。私らは水産委員会の問題じやないと思いますけれども、私は本質的な性質外務或いは法務と思います。
  7. 曾禰益

    曾祢益君 それは私は当然外務委員会主管だと思います。
  8. 徳川頼貞

    委員長徳川頼貞君) これは今までのところでは、水産委員会が取上げたのだそうでありまして、従つて水産委員会が主体になつて、こつちに申込んで今日までおつたそうでございますが、従つて議運とは関係がないじやないかと思いますが、如何取計らいましようか。
  9. 曾禰益

    曾祢益君 これは外務委員会がむしろみずから開催してない点に非常なマイナスがあると思いますが、併しことの性質から言つて、これは外務委員会が当然に主管する問題だと思うのでございます。そこで又若し水産委員会自分主管の問題ならば、何も外務委員会との連合審査要求する理由はないので、自分のところでどんどんおやりになればいい。でありますから、外務委員会主管だと私は考えますが、團君が言われたように、何も法律案件或いは条約の問題ではございませんから、或いはやかましく言えば議運できめてもらつても結構ですが、ただ我々の心構えとしては、いわゆる水産のほうも、又法務のほうも加わつて外務も一緒になつて連合で審査することはかまわないけれども、併しこれはやはり外交問題として我々が主管気持でやるべきである。これは意見ですが、申上げておきます。
  10. 徳川頼貞

    委員長徳川頼貞君) それでは只今曾祢君の御意見の趣意で合同委員会を開催するのに御異議ないものと認めてよろしうございますか。
  11. 團伊能

    團伊能君 異議ございませんが、只今曾祢君のお申入になつた問題につきましては、委員長とされまして然るべく善処して頂きたい。御研究頂いて成るべく水産委員会に御交渉を頂きたいと思います。なお理事その他とも御相談を願いたい。
  12. 徳川頼貞

    委員長徳川頼貞君) なお理事のかたにも御相談いたしまして、近く諮ります。   —————————————
  13. 徳川頼貞

    委員長徳川頼貞君) 只今團委員から済州島沖における漁船拿捕並びに漁夫射殺の件について発言を求められております。
  14. 團伊能

    團伊能君 只今お話がありましたように、今朝発表されましたこの問題につきましては、二十三日の合同委員会におきまして合同審査をいたすことになりましたことは皆様御承知と思いますので、その際におきまして十分なる説明も頂き、なお我々の聞かんとすることも聞かして頂きたいと思いますが、外務委員会は、この問題は極めて外務委員会として特殊な重要性を持つておりますものとも考えますので、今日の議題である請願陳情の問題に先立ちまして質問さして頂きたいと思います。なお改めて二十三日にそれを繰返すかも知れません。それはあらかじめ御了承を頂きたいと思います。  今日我々は新聞報道によりまして、済州島沖における極めて不幸な問題を知るに至つたのであります。この漁船拿捕問題は、もはや終戦以来長い聞繰返されている問題でございまして、この問題に対する我が国漁船保護及び拿捕拉致された者の処置につきまして、外務委員会はしばしばこれを取り上げ、又陳情も受け、地方の出張もいたし、又それらの船員を呼びまして、本委員会におきまして絶えず努力をいたし、この解決の道につきまして検討いたして来たのでございます。併し今年李承晩大統領吉田総理会談においてこの問題も取上げられて、李承晩大統領からも善処したいという話がありまして、国民といたしては愁眉を開いておりますところに、突然こういう問題が起りましたことは、日韓関係前途を思いましても非常に不幸な事実であると考えます。なおそれを我々は今朝の報道によつて知つたのみでありまして、その中に我々の知識の不足からよく把握できないところがありますので、その点概括的なことでありますが、伺いたいと思います。この問題について第一に伺いたいことは、長く我我の問題になつておりますが、外務省において、それから日本政府においても、公海上に引かれている李ライン或いは性質は異りますかも知れませんが、防衛水域というようなことについての基本的な考え方も伺いたいと思います。防衛水域におきましては、朝鮮における国連軍作戦上いろいろな必要があつてこれを施したことは、或いは曾つて日本戦争状態にありました場合にもあつたわけでありまして、一応考えられますけれども、この李承晩ラインというものの本質的な意味或いはこの国際法上の考え方について先ず御説明して頂きたいと思います。
  15. 中村幸八

    政府委員中村幸八君) お説の通り韓国我が国との間の国交回復の問題が、先だつて吉田首相並びに岡崎外務大臣李承晩大統領との会談によりまして非常に友好裡話合が進められまして、多年の懸案でありました日韓国交回復もいよいよ軌道に乗るのじやないか、かように考えておりました矢先に、只今お話のありましたような第一、第二大邦丸李承晩ラインの中におきまして韓国船に拿捕せられ、又その中の一人の漁師が射殺された、こういう事件が起りましたことは誠に日韓国交回復に向う途上におきまして遺憾至極のことと存ずるのであります。併しお尋ね李承晩ライン性質とはどういうものであるかというお尋ねでありまするが、これは御承知通りに、昨年の一月李承晩大統領韓国の周辺の公海上に線を引きまして、いわゆる李承晩ライン公海上における権限、一方的な海洋主権というものを主張しているのであります。これは国際公法上から見ましても、慣例上から見ましても、到底容認できない不当な行為であると我がほうといたしましては解釈いたしております。すでに再再その旨韓国側にも申入いたしているのであります。更にアメリカ大使館を通じ、又国連軍に対しまして、李承晩ラインの不当なゆえんを説明し、この取りなしにつきまして斡旋を依頼しておつたような次第でありますが、今日なお未だこの李承晩ラインの問題が解決いたしておらないということは遺憾至極に存ずるのでありますが、我がほうとしましては、そういう公海上における海洋主権というものの一方的な宣言であるということは、国際公法上不当なものであるという主張については今日においても変りはないのであります。
  16. 團伊能

    團伊能君 そういたしますと、この問題は現在において日本政府といたしては問題にしない。即ち李承晩大統領が一方的にこれを主張しても我がほうは何らこれに対してとらわれることなく、又この存在も認めていない、我我韓国との間の問題につきましては、そういう考えは全くないものとして、すべての考えをそこにお立てになつて進んで行くものですか。もう一度……。
  17. 中村幸八

    政府委員中村幸八君) お説の通りに、李承晩ラインというものを国際法上認めないという点につきましては、今日外務省といたしましてはその主張を堅持いたしておるのでありまして、但し日韓国交回復会談が今後進みまするならば、それらの問題も友好裡話合が進むのではないかと考えております。
  18. 團伊能

    團伊能君 次に防衛水域の問題でございますが、これは国連軍によつて決定ぜられ、日本政府に対してはかくかくの通達があつたということは前に承知いたしておりますが、必ずしもこれはその防衛水域の中における日本漁業そのものをとめるものではない。不便なるときは退去を要請されるかも知れないけれども、そこの水域における漁業は差支えない範囲では行なつていい。こういうようなことに了承しておりますが、その通りでありましようか。
  19. 中村幸八

    政府委員中村幸八君) 国連軍防衛水域の問題につきましては、国連軍或いはアメリカ大使館を通じまして再三折衝はいたしておるのでありますが、一方我が国といたしましては、国連に協力するという立場に立つておりますので、国連軍の軍の直接行動支障のあるようなことは差控えなければならないわけでありまして、まあ併し他面この防衛水域方面漁場というものは、我が国にとつて非常に重要な漁場でありまして、数万の漁民がこれによつて生命を支えているというような漁場でありますので、軍の行動支障の及ぼさない範囲については漁撈を許してもらいたいということを再三折衝いたしまして、国連側におきましても、それならばそれでよろしいというようにはつきりとは申しませんが、場合によつては軍の行動支障のある場合は退去を命ぜられることがあるかもわからん。併し発砲をするとか、或いは拿捕するとかというようなことはしないというような言明まで今日まで得ておるのでありまして、従いまして我が国といたしましては、或いは日の丸の標式を船に掲げる。或いは出漁確認証漁船に与えまして、日本の善良な漁船であるということを明瞭にいたしまして、国連軍作戦支障のないよりな操業方法をとつておりまして、今日まで国連軍との間はその間多少行違い等もありまして、一、二の船が基地まで連行されたというようなこともありまするが、だんだん我がほうの希望が現地軍の末端にまで徹底するに及びまして、最近におきましてはそういう事態もなくなつておるのでありまして、先ず我がほうといたしては、退去を命ぜられることが場合によつてはあるかも知らんということを覚悟で漁船か出漁いたしておるような次第であります。
  20. 團伊能

    團伊能君 そういたしますと、このたび事件を起しました大邦丸が現に射撃を受け、又拿捕されました地域というものは、これは李承晩ラインのうちであり、且つ防衛水域のうちであつた考えますが、それに違いありませんか。
  21. 中村幸八

    政府委員中村幸八君) その通りでございます。
  22. 團伊能

    團伊能君 それではそこは軍の行動上非常に危険であるから、出漁しては危険であるとか、或いは出漁してはいけないとか通告を受けた地域でありましようか。
  23. 中村幸八

    政府委員中村幸八君) さような通告を受けた地域ではございません。
  24. 團伊能

    團伊能君 次に伺いますが、これが日本農林省漁業地区何々と書いてございますが、これはどういうことを意味するものでしようか。
  25. 中村幸八

    政府委員中村幸八君) それは船の位置等はつきりさせるために緯度、経度に従つて線を引きまして、第何区域、第何区域というような番号をしておるのであります。
  26. 團伊能

    團伊能君 それではここにあります農林二百七十四漁区といつてあるのは、地図の上で引かれた、便宜上引かれた漁区の線内でありまして、これはその李承晩ライン防衛ラインとは関係なく、一般に日本朝鮮の間にある水域内に引かれた農林省の便宜上の地区考えていいのでございますか。
  27. 中村幸八

    政府委員中村幸八君) さように解釈して差支えございません。
  28. 團伊能

    團伊能君 次に伺いますが、この漁船の監督に当りまして、この情報米軍側から伝えられ、殊にその将官の名も挙つておりますが、この佐世保にあります米軍管理本部と申しますか、そういうようなものはどういう形において存在しているものでございましようか。
  29. 中村幸八

    政府委員中村幸八君) それは国連軍海洋を哨戒するために作つてある部隊なのでございます。
  30. 團伊能

    團伊能君 それではこの佐世保駐在の……グリツチ司令官という人は、これら水域上に起る以上のような問題、いわば警察権というようなものを法的に持つておる人でございましようか。
  31. 中村幸八

    政府委員中村幸八君) その通りでございます。
  32. 團伊能

    團伊能君 わかりました。この射殺問題につきまして、今日報道が正しいものと思われますが、我々として非常に深刻に取上げなければならない重大問題であり、なおこれは外務省方針、国の方針というものに関係ある重大問題であると思いますが、それにつきまして政務次官におかれまして、これに関する一応の説明したものを、外務省のお集めになつた報道その他を整理されたものを我々の手許までお渡し頂くように御配慮願いたいと思います。  なお今日ここで伺いますか、或いは場合によりましては秘密会にして頂いてもいいと思いますが、これにつきまして李承晩大統領に対し、日本から通告いたしました抗議でありますか、これに対する日本政府抗議書というようなものを、若しもその内容政務次官から大体におきましてでも伺えたらば、ここで伺わせて頂きたいと思います。
  33. 中村幸八

    政府委員中村幸八君) 二月四日にこの第一、第二大邦丸韓国監視艇二隻の襲撃を受けまして、漁労長瀬戸重次郎という者が死亡いたしたのでありますが、当時我がほうにもはつきりした情報も入つておりませんので、取りあえず二月の十三日にアメリカ大使館に対しまして詳細なる情報を提供してくれるように、且つ又この問題につきましては非常に重大な関心を持つているのであるということを附加えまして、国連軍のほうにも連絡をとるように申入れたのであります。同時に韓国側に対しましても厳重な調査を依頼すると共に、聞くところによれば一名の漁師が射撃されたということであるが、若し事実であるとすれば、これは由々しき重大問題である。我がほうとしては重大な関心を持つているということを附加えて抗議的な調査要求書口上書を以て提出したのであります。その後二月十六日になりまして、アメリカ側がこの拿捕せられた二隻の船を伴いまして我がほうにこれを返して寄越したのでありまして、それによりまして詳細なる情報がわかりましたので、二月二十八日に再び韓国側に対しまして、今回の事件は誠に遺憾である。而してこの事件責任者の処罰とか、或いは損害賠償とか、或いは将来再びこういう事件の起らないような保障を求めるというようなことを申述べまして厳重な抗議を書簡を以て提出いたしているのであります。
  34. 團伊能

    團伊能君 只今政務次官の御説明の中にありましたこの射撃されました漁夫に対する補償と申しますか、なお船舶が拿捕されたために起りました経済行為支障その他の損害に対する賠償ということは、やはり補償或いは賠償という文字を以て明確に韓国政府にした抗議文の中に使われておりますか。
  35. 中村幸八

    政府委員中村幸八君) お説の通り、明確にそういう文句を使つて抗議申入れているのであります。
  36. 團伊能

    團伊能君 今日のところ情報として伺うのはそれだけでありますが、なお最後に政務次官に伺いたいのは、こういう問題がたびたび起りましたとき、従来日本政府占領下にありました間は、これを司令部通告をいたし、司令部の手によつて解決してもらおうと思いましたところが、相手国との関係において当時の司令部相手国関係のない場合が多く、台湾或いは朝鮮の場合には幾分拿捕船が返還されましたけれども、オホーツク海におけるソ連に拿捕されたもの、或いは中共に拿捕されたものにつきましては交渉の途がなかつたのであります。勿論それらの中で全部とられたものではなく、一部返つて来たものもありますけれども、これを返してもらうという要求それ自身も公式には直接要求することはできなかつた。いろいろ日本といたしても苦慮していて、国会も深刻にこれを取上げていました。或る場合に国連を通じてアツピールをするとか、或いはインド政府を通じて中共に勧告してもらうというような途をとることを政府に申出たこともある。結論において海上に行われるこういう不法なる事件における徹底的な解決が今まで全くなく、若しも更に本当に解決しようとするならば、日本近海における警備或いは保護というものをみずからの手による力によつてこれを守るよりいたし方がないという現状にあるかと思いますが、従来の方法がことごとく失敗しておりますが、今日外務省におかれては、こういう事件の発生をなからしめ、或いは起つた場合における徹底的な解決というものにつきますお考えを伺いたいと思います。殊にこの問題は中共における場合ではなく、まだ日韓条約はできませんけれども、すでに交渉の過程にある相手国でありますので、殊に決して途がないのでもありませんと思いますから、これについて外務省のこの問題に対する解決方法或いはそれに対する決意を一つ伺いたいと思います。
  37. 中村幸八

    政府委員中村幸八君) 韓国に関する件については、この韓国との間の国交がまだ回復はいたしておりませんが、東京に韓国代表部がございますので、そこに駐在する金公使を通じて交渉をいたしておるのであります。更に国連軍司令官とも、アメリカ大使館とも解決するように十分斡旋を依頼いたしておるのであります。将来の保障の問題については、或いは海上保安庁における監視を強化するというようなことも必要であろうと思うのでありますし、又先ほども申しました抗議文の中にも、将来再びこういうことの起らないような保障を求めておるのでありまして、この保障が如何なる保障をするか、これは韓国側の回答を待たなければわからないのでありまするが、我が国といたしましては、今日武力を持つておらない以上、武力を以てこれにどうこうということはできないわけでありますが、或いはどうしても止むを得ないというような場合には、経済的の面でこれに対抗措置を講ずるというようなことも最悪の事態には考えなければならないものではないかと思うのであります。更に又中共或いはソ連に連行せられた漁船漁師については、これも実は中共の今回の引揚問題に絡んでいろいろ考えたのでありまするが、今回の中共引揚の問題は先方の言う三万人というものを一人も欠けないように引揚げさせたい、こういう念願からいたしまして、この抑留された漁師の問題にまで使節団に使命を与えるということは差控えたわけでありますが、日本赤十字を通じまして中国赤十字に訴える、或いはその他の方法を講じまして、絶えずこの問題についても最善の努力をいたしておることを附加えて申上げます。
  38. 團伊能

    團伊能君 只今日韓会談丁度進行の途中にあり、突然としてこういう事件が又起りましたことは、日韓会談前途にも多少の暗影を投げ、又日本国民といたしましても、先日来李承晩大統領の来訪によりまして、この水域における漁船の安全という問題或いは漁区の協定ということも謳われまして、非常に明るい気持になつてつた矢先に、こういうことの起りましたことを共に悲しむものでありますが、併し従来外務省がしばしばとられました態度として、こういう事件が起りましたが、丁度これが日韓会談という大きなものに障つてはいけないというような御配慮から、この問題につきまして非常に弱い態度で、まあ差控える、遠慮されるというようなことは、決して本当の日韓会談基礎から固めて作り上げる元ではないと思います。こういう起りました問題は飽くまでも合法的に国際法その他に訴え、又直接交渉によつて徹底的な解決をすることがやはり将来における長い日韓友好基礎になるのじやないかと思います。或いはそのために多少日韓会談取引に使うという、いささかでもこれを取引に使う。これは別個の問題として、日韓会談成行き如何を問わず徹底的にこの問題と切り離して解決のあることを切に希望して私の質問を終ります。
  39. 徳川頼貞

    委員長徳川頼貞君) ほかに御発言ございませんか……。御発言がなければ、この問題についての発言は尽きたものと認めます。   —————————————
  40. 徳川頼貞

    委員長徳川頼貞君) 次に請願及び陳情議題といたします。  今日は先ず駐留軍関係請願陳情を一括して審議いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 徳川頼貞

    委員長徳川頼貞君) 御異議ないと認めます。それでは専門員より説明を願います。
  42. 久保田貫一郎

    専門員久保田貫一郎君) 駐留軍基地関係請願陳情は十四件ございますが、内容から区別しますと八件ばかりになると思います。関係のある請願陳情は一括して御説明申上げます。  先ず請願百八十二号、静岡池新田町外三箇村地内に駐留軍射場地設定反対請願請願者静岡小笠池新田町長宮本榮太郎君ほか四千九百四十三名、紹介議員河井彌八君であります。今回駐留軍射場に決定した静岡小笠池新田町、佐倉村、千浜村、睦浜村の四カ町村の土地は、曾つて陸軍射場として使用され、無残な荒野であつたものを、地元農民の血と汗によつて沃土と化し、たばこ栽培においては全国有数の適地となり、その産額は逐年増加の一途にあり、桃、アスバラ、いちご等特用作物も将来を期待されている地域であるから、関係農民の心情をくまれて同地射場を設定することは中止するよう善処せられたいとの請願でございます。  次に請願第五百五十五号、静岡遠江地区駐留軍試射場設置反対請願請願者静岡県議会議長大石文一郎君、紹介議員河井彌八君、静岡小笠睦浜村千浜村、池新田町、佐倉村及び榛原郡白羽村一帯が駐留軍試射場候補地として選考されている由であるが、同地区は、昭和十三年国の要請によつて強制買収されたものが終戦によつて農民に還元され、多額の経費と労力によつて、目下八十四戸の純入植者と二千三百二十七戸の増反者が農耕にいそしんでおり、一方多数の沿岸漁民はもとより、本県漁業の大半が同地海域漁場としている地区であるから、地元農民及び漁民生活保護するため、同地区駐留軍試射場設置を取り止めるよう善処せられたいとの請願であります。  次に陳情二件でありますが、陳情五十九号、静岡小笠地先海面演習場設定反対に関する陳情陳情者静岡小笠池新田町の藤本銀藏外二千三百五十名でございます。今回静岡小笠地先海面演習区域に指定する由であるが、右海域漁民は、小資本、而も原始的な漁業法である船曳、地曳、一本釣漁業であるため、その漁獲に与える被害は極めて莫大であることは言うまでもなく、さりとて他漁業への転換は地理的条件よりして全く不可能であり、零細漁民生活上に与える脅威は頗る大であるから、同海域演習場を設定せねよう取計られたいとの陳情であります。  最後に陳情第百七十七号、駐留軍による静岡県旧陸軍遠江射場地の農地接収反対陳情であります。陳情者は、静岡市御幸町静岡県農業協同組合協会内森田豊壽君であります。旧陸軍遠江射場地は終戦と共に農地に還元せられ、農民は再び農耕を楽しんで七年を経過したのであるが、最近駐留軍の試射場候補地として接収しようとしていることは、平和な生活を営む地元農民及び漁民の経済基盤を奪い、生活を脅かす暴挙であるから、遠江海岸の駐留軍射場設置による農地接収に絶対反対するとの陳情でございます。
  43. 徳川頼貞

    委員長徳川頼貞君) 静岡関係のもの四件について、紹介議員である河井議員から発言を求められておりますから、これを許します。
  44. 河井彌八

    委員外議員河井彌八君) 只今議題となりました請願二件、陳情二件につきまして説明を申上げます。更に委員会の適切なる御決定をお願いいたします。  ここに挙げてあります請願陳情は私これは紹介いたしておりませんが、請願陳情皆同一のものでございます。で、これは何と言いますか、昔の遠州灘と申しまして、伊豆の、下田の先から、一方は志摩の国、鳥羽の国を結付けまする一線の海岸、その丁度真中頃にこの射場を設けようという場所がある。この土地は元来大きな砂丘地帯でありまして、以前はこの耕地から海岸まで幅の広い所は二キロあります。そうして相当大きな砂丘が起伏しておる所であります。ところがだんだんこの農耕地が必要になりまするので、それは漸次開墾いたして参りまして、今日ではその幅が大体五、六百メートル程度の所にまで狭まつております。それで大東亜戦争のときには、日本で造つた砲弾或いは大砲などの性能を試験するためにその砂丘地を利用いたしまして、およそ二万メートル、若しくはそれ以上の土地が射場として使用せられた、大東亜戦争が終りましてそれらの土地はそれぞれ農民に開放せられまして、そうして現にたくさんの農民が農業をいたしておるのみならず、相当多くの入植者がありまして、やはり農耕に従事しておるのであります。  そこで今回の問題は、駐留軍日本で造つたところの砲弾或いは大砲、主として砲弾のようでありますが、それの性能を試験するために又同じ場所を使用しよう、こういうことになつておる事柄であります。これが以前のごとく誰もいないということでありまするならば、まだ土地の住民もよほど考慮したであろうと思いますけれども、実際は只今も申上げましたように、たくさんの移住民が入つており、そうして農耕も発達しておりますので、さような処置に出られては全く農村の破壊であるということから非常な反対の運動を起したのであります。その反対の意思表示を国会に出して参りましたのがこの請願陳情であります。請願の一部は、その所在の町村の住民の請願であります。それからもう一つの請願は、これは県議会が県を代表いたしての請願であります。それで今度のその使用する内容は、大体延長二万メートル、それから幅が二千メートルぐらいになつております。ところが、その二万メートルの使用はどういうことになるかと申しますと、只今も申しましたように農業の妨げをする、或いは農村が破壊をせられるということばかりでありませんで、漁業に非常に妨害になるのであります。というのは、その延長二万メートルの或る部分に何と言いますか、岩礁がありまして、これは魚の集まる場所なんです。その場所への交通が、漁民の出て行ことが遮断せられるという虞れがある。  それからもう一つ附加えて申したいのは、その射場の東となる二万メートルの少し先でありますが、そこに現在運輸省で以て御前崎の避難港という、かなりこれは大きな築港をしております。ところが、若し射程が少しでも伸びますれば、その避難港が使われないというようなことも起るのでありまして、それらのことを総合いたしまして、この際、ここに射場を設置されるということは甚だ迷惑なことであるというので、これは所在の町村ばかりでありませんで、県全体がこれに対して反対の意思表示をいたしておるのであります。幸いにしてその運動等は非合法にはなりませんのでありましたが、とにかく若しこのことを強行でもされるというような場合になりましたならば、随分これは恐るべき悪い結果を生じたであろうということを考えられるのであります。で、只今承わりまするところでは、大体御前崎のこの射場というものは、使用しないということになつているようでありまするから、すでに或る意味におきましては請願及び陳情の趣旨が貫徹していると考えられまするのであります。併し、若し他の都合でどこかへこういう射場を設けなければならんという話でありましたら、若し他の都合で又再びここに射場を置くということがありまするならば、これは甚だ不当なことになるということを考えておりまするから、どうぞこの請願及び陳情は採択せられまするようにお願いいたしたいというのであります。  附加えて申上げますか、私は石川県の内灘でありますか、あれは現地に行つてはみませんが、その附近を通過して詳しく承知しております。それからもう一つ候補地に挙げられておりますところの愛知県の伊良湖、半島の突つぱなにあります伊良湖の射場も、これは実地に見ております。愛知県の伊良湖及び静岡県の遠江射場なんという所は、何と言いますか非常に土地の利用が進歩いたしておりまして、以前は砂丘地帯であるから、何も農業に関係ないではないかというような見方もあつたかも知れませんけれども、今日はさようではないのでありまして、この砂丘地帯を利用いたしまして、一種の熱帯農業とでも言うべき早く言いますれば、速成栽培のごときものが非常な普及発達をいたしております。私は数日前伊良湖に行つておりまして、大体農家が三戸に一戸くらいは温室を持つております。その生産力というものは大変なものであります。というような場所に射場を置くというようなことになりまするならば、これは大変なことになると思います。それから遠江の遠州灘に面しておるこの射場の場所につきましても、これから熱帯農業の研究地が置かれようとしておるのでありまして、これによつて非常な農業の発達が期せられるというようなことになつております。  それでは日本にどこがあるかと申しますると、これは私ども彼これ言うべきものではありません。併しアメリカを考えますと、砂漠まであります。随分適当な場所が、原子爆弾の実験までやつておるような厖大な所がありますが、まきかあすこへ持つて行くわけには行かんでありましようが、併しこの遠江射場のごときものは、実際あれを選定しようとした当局のその常識を疑わざるを得ないというようなふうな考えを持つております。更に私どもが調査いたしましたところによりますると、駐留軍外務省に持つて来た要求の趣旨と、それから農林省の農地局がここに当てて来たのとは大きな食い違いがあるということを私は認めておるのでございます。併しその点まで入つて自分は彼これは申しませんけれども、どうぞ委員会とされましては、この請願及び陳情をば採択せられまして、国会の意思がどこにあるかということをはつきりと決定しで頂きたいということをお願いいたしておきます。
  45. 徳川頼貞

    委員長徳川頼貞君) 只今請願に関して政府当局の意見を承わりたいと思います。
  46. 中村幸八

    政府委員中村幸八君) 只今議題となりました請願陳情地区は、試射場の予定地として一応検討はされたのでありまするが、今日におきましては、試射場が石川県の内灘に決定いたしましたので、請願陳情は、御趣旨の通り解決いたしたものと考えます。
  47. 徳川頼貞

    委員長徳川頼貞君) それでは次の請願に移りたいと思います。請願第千六百十号についての説明専門員に求めます。
  48. 久保田貫一郎

    専門員久保田貫一郎君) 請願第千六百十号、和歌山大島村に駐留軍基地設置反対請願でございまして、請願者和歌山県東牟婁郡大島村長、辻伊八君外六百七十七名、紹介議員徳川頼貞君でございます。  理由は、今回、大島村大森地区が、駐留軍の通信施設候補地に選定せられたのでありますが、次のような理由から、我々は断固として反対するものであります。即ち第一、耕地面積僅か百町歩に足りない狭い村内で、十四町歩に余る耕地や山林を接収されることになるが二十数名の関係地主は申すに及ばず、地元部落民に対して経済生活上、甚大なる打撃を与えること。二、たとえ通信施設であつても、軍事施設である限り、戦争が起きた場合、爆撃の対象にされることは必定であるから、離れ島であるために避難する場所もなく、より大きな惨禍をこうむる虞れがある。三、夜間取締りの心配も要らぬ平和そのものの状態が撹乱される虞れがある一方、社会風教上芳しからぬ問題の発生に悩まねばならぬこと。殊に漁村であるために、本村は夏期において夜間男子の大部分が出漁し、婦女子のみ残留するのであるが、基地化された場合、婦女子保護のために出漁不能に陥り、このために漁民生活は極度に貧窮化し、重大な社会問題の発生が予想されること。又、候補地に隣接して、本村新制中学校が設置されているが、駐留軍兵士と日本特殊婦人との間にかもし出される雰囲気は教育上重大なる悪影響を及ぼす虞れがあること。  以上の三点に要約されるのでありますが、以上の諸点は、本村が離れ島であるということによつて、より一層深刻化されるものと信じます。今や三千村民一丸となつて基地設置反対に立上つております。何とぞ設置取止めを願いたいという請願でございます。
  49. 徳川頼貞

    委員長徳川頼貞君) 右の請願に関しまして委員外議員永井純一郎君から発言を求められております。これを許すことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 徳川頼貞

    委員長徳川頼貞君) 御異議ないものと認めます。永井君。
  51. 永井純一郎

    委員外議員永井純一郎君) 委員外の発言をお願い申上げましたところ、委員の諸君からお許しを頂きまして心から感謝申上げる次第であります。  只今議題になりましたこの和歌山県の大島村に駐留軍基地を設置することに、只今請願通り、これはもう全村一人残らずこぞつて反対をされているのでございます。尤も、この軍事基地を置くということにつきましては、全国どこの町村におきましても、私は賛成をするところが恐らくなかろうと思いまするが、特に私がこの土地の出身でもありまするし、よく知つておりまするので、委員の皆さん方にお願いを申上げたい点を一、二申上げたいのでございますが、実はこの大島村は、旧日本の海軍がありまする当時、ここに対潜水艦、対空軍の基地があつたわけであります。そのために米軍からの激しい爆撃、或いは艦砲射撃等も幾度か受けておる小さな島であります。そこで、過去においてこういう非常ににがい経験を全村民が持つておるというような島であるという点が、私は特に他と違つたところであると考えます。そうして今日まで一人もこの米軍の兵隊などを見たこともないという村民が多いのでありまするから、こういつたような土地にわざわざ特別に私は基地を新らしく作つて行くということは、当局においても合同委員会等で相談をするときに、私は特に考える必要があると思います。成るべくこういつたような、特に新らしくわざわざ、今一人の兵隊もいないような、米軍のいないような所を選ばないことが、私は一つのいい方法であるというふうに考えるのであります。それからもう一つは、今請願の中にありましたように、これは小さな離れ島でありまして、例の串本節で有名なあの対岸の大島村です。離れ島の小さな村でありまするが、ここは全くの漁村でして、御承知通り夜焚網という漁業に夜皆主人の人なり、或いは働き得る屈強な男子は全部夜漁業に出掛けて、残るのは主婦の人、そういつたような人を中心とした婦女子だけですから、これはもう私は非常な問題である。今日国民の常識としても、日本の中に行われておる凶悪な犯罪、質の悪い殺人、強盗などの大部分は米兵によつて行われておることは、国民の常識であります。それを非常に又国民が心配をしておる。こういう状態の中で、この夜焚網に出るところの漁村に、二百人も二百五十人もの兵隊を入れるということは、これはもう非常な危険を当然に伴つて来るのでありまするから、こういう危険に対しましては、私は日本政府としては前以て未然に責任をとる必要があると考えます。こういう危険の非常にある土地は、是非とも避けなければならないということを私は非常に今心配をいたしておりまするが、これは私のみならず恐らく委員の皆さん方もこの点はよくわかつて頂けるというふうに考えるのでございます。例えばこういつたような危険があるところに、そういう兵隊が入り込んで、その結果そういうトラブルがたくさん起るということになりますると、一旦作つてみても私はそこに長くおろことは到底許されない、村民が許さないだろうと思います。又許せない事態が必ず起つて来るに違いないというふうに考えまするので、これはよく当局もこの点を考えて、この請願の趣旨を十分に了承をしなければならないというふうに私は考えるのであります。  わざわざ村長さん初め、それから漁業組合長さんも非常に心配されまして、これは委員長徳川さんが紹介議員でございまするが、徳川さんも委員長の職におありになりまするので、私も共に、徳川さんも心配をいたしまして、委員の各位に是非ともお願いを申上げたいというふうに考える次第でございまするので、是非ともこの請願を採択されまして、十分な御処置を賜るように願いたい、かように存ずる次第であります。
  52. 徳川頼貞

    委員長徳川頼貞君) なお、本件につきましては、丁度現地の方々が傍聴されておられますので、突然でありまするが、参考人として一言意見を求めたいと思いますが、御異議ございませんか。
  53. 徳川頼貞

    委員長徳川頼貞君) 異議ないと認めます。それでは辻伊八君に発言を求めます。
  54. 辻伊八

    参考人(辻伊八君) 発言のお許しを得ましたので、只今請願書にも書いてありましたし、永井議員からも、大島の特殊事情について附言して頂いたのでありますが、只今特にお許しを得ましたので、大島の特殊性と言いますか、駐留軍基地を、今永井先生もおつしやいましたように、置くとすれば、如何なる町村でも反対が起るであろう。その場合の理由は、大体土地を取られたらいやだとか、或いは土地を取られることによつて生産力が落ちるとか、或いは風紀上の問題が起つて、そのためにいろいろなトラブルが起ることを避けたいというようなこと、いろいろあるのでありまするが、私の島の独特な理由と言いますか、特殊な理由は、私丁度前大戦の当時は島にいなかつたのでありまするが、私自身が驚くほどこの問題に対しては熱狂的に反対しておる。その理由をよく掘り下げて行きますると、先ほど永井先生からもおつしやいましたが、あの戦争当時日本海軍の電探基地を持つておりましたがために、爆撃のほかに、飛行機による機銃掃射を受けて漁船の船員が殺された。それからものすごい艦砲射撃をアメリカの軍艦から受けておる。その当時のその恐怖といいますか、離れ島であるがために、この恐怖の持つて行きどころがない。逃げる場所がないということで、この受ける印象というものが非常にしみ付いている。これは理窟では割切れないようなくらいにしみ付いているものですから、その当時村にいなかつた私どもも驚くほどの熱意を持つて、例えば先日のごとく、調達庁の役人がちよつと見えましても鎌を提げて大騒ぎする。場合によつたら不祥事件が起るのではないかと心配するほどのことが起るわけであります。それが離れ島であるという一つの特殊な理由からでありまするし、もう一つは、先ほども申上げましたように、私の村は漁業が主でありまして、五月から十一月末までの間夜間漁業に殆んど働ける男子は皆出るのであります。それもありますし、桃源郷といいますか、非常に平和な村でありまして、泥棒もおりません。年間を通じて戸締りをしません。そういう村へ、この頃新聞雑誌でいろいろなことを見まして、アメリカの兵隊とか、その他の国の兵隊さんが来た場合にちよいちよいいろいろな問題が起つている、こういうことを恐れるために出漁の能率が非常に落ちるのではないかということ。年額大体夜焚網によつて五千万円くらいの漁獲を上げているわけでありますが、単なる虞れだけを以てその能率が落ちるという問題がある上に、万一その島の婦女子に対して不祥事件が起きるというような場合に、漁師が安心して出漁をすることができないということのために、私の村の生産力が如何に落ちるかということで、非常にむずかしい筋でありますが、現実にそういう問題も起り得る可能性があるのであります。そういう特殊性と、更にもう一つ附加えさせて頂きますが、どの村にも多少アメリカの兵隊さんとか、駐留軍が来れば、それによつて利益を受けるまあ特殊の人があるというような問題があつて、全村挙げて一貫となつていると言つても、その間に不純分子が混つておることは否めないのでありますが、少くともその村の出身である私が見ましても、そういうことを考えている人はいる。如何なる条件、如何なる補助をしてくれてもいやだ、何でもいやだという気持は非常に強いわけです。  それからこれははつきりいたしませんが、こちらへ来る、大島へ見えるという兵隊さんの数は、大体最初五、六十人というようなことを承わつてつたわけでありますが、はつきりわかりませんでしようが、大体現在のところは二百人以上というふうに承わつておるのであります。すると、僅か三千の村へ二百人以上の兵隊が来ることは、村にとつては大きな脅威であるということで村を挙げて、私も村に坐つていると、どうしてお願いに行かんかというようなことで非常に熱を上げている次第であります。村会議長も出て来まして、丁度議会開会中でありますので、今日特別に委員長のお計らいで皆様にお伝えする機会を得まして、有難く思つております。どうぞ村民の純真な、真摯な気持をおくみ取り下さつて、本請願を御採択願いますように、何とぞ御援助賜らんことを特にお願いいたしまして、私の請願書の説明といたします。どうも有難うございました。
  55. 徳川頼貞

    委員長徳川頼貞君) 只今請願に関して、政府当局の御意見を承わりたいと思います。
  56. 中村幸八

    政府委員中村幸八君) 本件につきましては、かねて地元側からの熱心な陳情もありまして、当局といたしましては、でき得れば大島以外の土地に設置したいという意向で、只今大島に代り得る場所を検討するように軍側に要請いたしまして、軍において目下調査中でありますので、さよう御了承を願いたいと思つております。
  57. 平林太一

    ○平林太一君 只今請願者、更に永井君よりも詳細なる説明を聴取したのでありまして、その言うところの意味はよく承知いたしたのであります。なお、又政府只今本件に対しては、請願者の趣旨と同様の意思を以て関係方面に折衝をせられておることを説明せられたのでありますが、当委員会としては終始その線で進むことを妥当と認めまして、速かに御採択せられることをお願いいたします。
  58. 徳川頼貞

    委員長徳川頼貞君) 一応ここで以上の五件の請願及び陳情を採択いたしたいと存じまするが、この静岡県の陳情請願四件並びに只今和歌山大島請願、以上五件、共に議院の会議に付し、内閣に送付することを要するものと決定することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 徳川頼貞

    委員長徳川頼貞君) 御異議ないものと認めて、さよう決定いたします。  本日は時間も経過いたしましたので、以上の五件だけで委員会を閉じたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 徳川頼貞

    委員長徳川頼貞君) 御異議ないものと認めて、本日はこれにて散会いたします。    午後二時五十七分散会