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團伊能君 私は、この
法案に自由党を代表して
賛成するものであります。先ほど
伊達君から
縷々お話もございましたが、本
委員会は従来三年に亘りまして、千島、北海道、或いは南海の島までつぶさに辺境の
研究をいたし、そうして
密入国、
密輸入、或いは
漁船拿捕、或いは
海上に横行しておりました
海賊、或いは
漁船の
出漁区域等につきまして
研究を続けて来たのであります。それからいたしましても、
海上における治安というものが
四面環海の
日本におきまして非常に忘れられておりまして、今日治安問題は
陸上に集中し、非常に広い海面というものが忘れられておりまして、従来の
海上保安庁の
監視船のごときも、その
行動半径を繋いでも
日本の周囲をカバーし得ない。そこに
海上保安庁の
監視船が行けないブランクな場所がたくさんあるのであります。そればかりでなく、その
舟艇は
海上が荒れた場合には全く航海できないというような貧弱極まる船でありまして、これはかくきめられたのでありまして、これだけの
船舶を曽
つて持
つておりました国として情ない
状態の船であります。併しながら今日におきまして、これらの
海上警備を完成する船を備えるということが
日本の財政的にも至急にこれが間に合わない非常に苦しい
状態にありまして、従来
密入国等の問題が非常にかまびすしいにかかわらず、これに対する
警備の方法は捨てられていたのであります。この非常な欠陥に対して、このたび
アメリカからパトロール・フリゲートその他の
舟艇を貸与されたということは、
我我として非常に適宜な
処置であり、又
日本として非常に感謝すべき
協定であると
考えます。勿論私
どもといたしては、これは一時の
日本の現状において止むを得ざる
処置であり、
日本が独立いたしました今日、
日本みずからこの
目的に副うべき完全な船を造るのが当然であり、これができないで
米国海軍の
舟艇を借りましたために、いろいろ再
軍備の前提であるとか、或いはこれが
軍艦であるとかいうような問題を引き起し、
国民に一種の
誤解を招いておるのであります。併しこの
誤解の因は、
日本自身が
警備船を造るときが来ればこれはことごとく解消するものであると
考えます。又これらの
舟艇は成るほど
米国海軍に属した船でありますが、併し今日これをつぶさに
研究いたしましても、決して今日の
海戦において有効なる船でもなく、又
攻撃力も持たない船でありまして、この船が造られました
目的は、よそから攻撃して来る空襲に対し
対空高射砲の若干を備え、又
潜航艇の潜入に対して爆雷を投下する機能を持
つているに過ぎないのであります。砲といたしましては、
高射砲の最大の口径が三インチというのでありますから、到底今日の
海戦に適するものでないのであります。元々こういう防禦的な
海防艦でありまして、まあ
アメリカから
船艦貸与を受けるとすれば、この辺が
日本の
沿岸警備に最も適しておる船であるかと思います。今日
米国においてはこれが
海軍の
軍艦として用いられていたかも知れませんが、併しこれを借りた以上、この古い
軍艦を借りたからとい
つて、我が国がこれを
軍艦として使用することは
考えられないのでありまして、我々の
使用目的がそこに明瞭に確立しておりますれば、旧
軍艦を借りて来ても、それは決して軍事的な
意味を含まないことは明らかであります。これらの
舟艇の
目的がしばしば再
軍備と絡んで世に伝わ
つておりますが、そういうことは我々として到底この貧弱なる船において
考えられないのでありまして、今日実際の
戦闘、
世界に
考えられる
戦争常識といたしましても、
ジエツト飛行機は音速を超そうとしておるような非常な科学的な発展の中に、あたかもこれは大きさといい、装備といい、
曽つて明治二十七、八年の際東洋の海域を押えていた
鎮遠、定遠と極めて似た大きさの船でありまして、併し
鎮遠、定遠のほうが更に大きな砲を持
つておりましたから、これよりも
戦闘力を持
つていたのであります。これを効果ある
軍艦と
考えることは、もはやそこに五十年以上の錯覚、
時代錯誤があるように
考えます。
なお、私はこれを
賛成いたすにつきまして、この
協定ができ得べくんば更に一歩を進めて、この
船舶の上における
設備その他を、本船を変更しない範囲におきまして多少変更を許してもらいたい、今日
海難救済等の
目的を持つ
救命艇その他の
設備を備え、我々の借りている間だけでもいい、我々の
目的に完全に副うように表面の艤装を変えるように、
米国政府と交渉されることを
政府に要望しながら、私の
賛成演説といたします次第であります。