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1952-12-19 第15回国会 参議院 外務委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月十九日(金曜日)    午後一時五十三分開会   ━━━━━━━━━━━━━  出席者は左の通り。    委員長     徳川 頼貞君    理事            伊達源一郎君            大隈 信幸君    委員            杉原 荒太君            團  伊能君            平林 太一君            石黒 忠篤君            岡田 宗司君            加藤シヅエ君            曾祢  益君   政府委員    外務政務次官  中村 幸八君    外務省條局長 下田 武三君    運輸省航空局長 荒木茂久二君   事務局側    常任委員会専門    員      久保田貫一郎君   ━━━━━━━━━━━━━   本日の会議に付した事件 ○日本国アメリカ合衆国との間の民  間航空運送協定締結について承認  を求めるの件(内閣提出・衆議院送  付)   ━━━━━━━━━━━━━
  2. 徳川頼貞

    委員長徳川頼貞君) それでは只今より外務委員会を開催いたします。  日本国アメリカ合衆国との間の民間航空運送協定締結について承認を求めるの件を議題といたします。本件につきましては、前回におきまして質疑は終了いたしておりましたが、曾祢委員から質疑の通告がございましたのでこれを許可いたします。
  3. 曾禰益

    曾祢益君 極く二、三点簡単な問題についてもう一ぺん質問さして頂きたいと思います。第十條の「両締約国航空企業は、両締約国領域の間の特定路線において協定業務を運営する公平且つ均等機会を有する。」と、この「公平且つ均等機会」という方針が立てられるわけですが、現実日本アメリカの場合を考えてみると、この規定によつてこの乗入れの回数、或いは乗入れするところの会社別に見た回数なんかということが、本当に公平且つ機会均等の待遇を与えられる、法的に見てそういう規定と解してよろしいのでしようか。その点如何でしよう。
  4. 下田武三

    政府委員下田武三君) 昨日も御説明申上げましたように、第十條と第十一條は関連してお読みを願いたい規定でございまして、両方共原則だけを掲げておるわけでありまするが、第十條のほうは公平且つ均等機会、つまりこれは法律上のイコーリテイでございまして、現実向うのパン・アメリカンからノース・ウエスト、近くはT・W・Aと三社になつて参りまするし、且つ今までの実績も或いは一週に三回或いは一週に四回というような頻繁な業務を行なつております。我がほうはこれから乗り出して行つて会社の数としましては、昨日の航空局長説明のように、大体差当り一社方針で参ります。而も最初は週一回くらいの度数でやるわけであります。従いまして事実上の会社数並びに一週の運航度数の同一、そういう意味ではございませんので、法律上のイコーリテイと、そういうように御解釈願いたい。
  5. 曾禰益

    曾祢益君 次の点はその第十條に関連を持つて来ると思うのですが、この第十二條で「この協定に基いて公衆の用に供せられる協定業務は、協定業務に対する公衆要求と密接な関係を有しなければならず、」ということが第一で、又第一次の目的というものは、「当該協定業務を提供する航空企業の国籍の属する国と運輸最終目的地たる国との間の運輸需要に適合する輸送力を供給すること」であると、こういうふうになつておりますが、これ又現実の場合になつてみますると、日本アメリカ関係は、実はアメリカ会社だけが需要をまあ充足して来たわけなんで、今度新たに日本が出て行くことについては、まあ現在の需給関係から見てこの「需要に適合する」という解釈に当然立つて航空当局は考えておられると思うのですが、更にそこに今T・W・Aの申請が来ておるというようなことで、T・W・Aのほうを先に許すというようなことがあるとすれば、日本側路線というものは事実上需要を上廻る供給だということになつて、そうして仮にアメリカ側がそういう意図があるとすれば、この十二條を盾にとつてそういつたような路線を拒否するというような関係になる心配はないか。現実問題としてこの十二條規定が、お互いにこれから航空路を開こうというときには、実際上に大体相互主義に基いてやることになるでしようし、又第十條の公平の原則適用されるから支障ないでしようけれども、日本のような場合に片務的に向うだけが根を張つておる。更にもう一つの大きな会社が出て来るという場合に直面しては、十二條規定が、少くとも協定を作る以上、相手方の解釈如何によつて、我がほうの発展を制限するような法的の虞れを持たないかどうかということについて、まあ外務当局とそれから運輸当局のもう一遍御説明を願いたいと思います。
  6. 下田武三

    政府委員下田武三君) 一応私のほうから先にお答えしたいと存じますが、第十二條原則は、輸送力決定基準に関する原則只今指摘下さいました第一の原則、つまり公衆要求関係がなくちやいかんお客さんがいないのにむやみに路線を殖やしてはいかんということが第一の原則。第二の原則最終目的地たる国との間の運輸事情、これは日本サンフランシスコ或いは将来ブラジルまで延びますと、日本とリオ・デジヤネイロまでの全体の路線におけるお客さんや貨物の需要」、それからもう一つ第三の原則があるのでございますが、これは第三国との関係原則でございます。たとえて申しますと、ハワイ、サンフランシスコまではこれは日本人日系の米人がいて相当たくさんのお客さんが来る、ところがサンフンシスコからぺルーまでは空になるのじやないか、ところがぺルーに行くと又在留邦人が多くて、ブラジルに行くとお客さんがある、そういうような場合に、たとえ全体のルートの中の或る第三国との間の一部分については、お客さんがいなくても、又先に行けば乗る、そういうような場合に、一々お客さんのないときに小さな飛行機で、又先へ行つて大きな飛行機に乗換えるということは不便でございますので、たとえそういうことがありましても大きい飛行機で乗入れるといい、大体こういうような三つの大きな輸送力決定基準を掲げたのが第十二條でございます。御指摘の点は現在アメリカが二社、やがて三社でやる。そこへ持つて行くと、それでもうお客さんが大体さばけているのだから、日本が乗入れようとする場合、公衆需要がないのじやないかという理由で、アメリカ側オブジエクシヨンを出されはしないかという御懸念ではないかと思いますが、併し十條の先ほどの法律的のイコーリテイが先ずプリヴエイルして、日本側見地によれば十分お客さんがあるのだ、日本人も相当たくさん乗つておりますし、又将来日系も乗るかも知れないというような我がほうの見通しで、公衆需要ありという認定ができますれば、法律上のイコーリテイに基きまして、それをアメリカ側が見解が違うということでオブジエクシヨンを持出すようなことはできない、そういうように考えております。
  7. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 需要の問題でございますけれども、その需要につきましては、新たなる需要を喚起するということと、幾分既存の分を食う、こういうことに相成ると思うわけでございます。  それからこれはちよつと余談になりますけれども、大西洋におきましては、コーチ・サービス運賃をやりまして、非常に安い運賃なわけでございまして、昨年一カ年に航空旅客が五割増したという、こういう状態であります。ところが太平洋におきましてはコーチ・サービスがございませんで、いわゆる高い運賃が今行われておるわけでございます。やつと最近ホノルルまでコーチ・サービス運賃が設定される、こういうことになりますので、今トランス・パシフイツクのコーチサービス運賃を企図する気運が動いておるわけでございまして、コーチサービス運賃ができますると、更にお客の飛躍的な増加が期待されるのじやなかろうかと、かように考えておるわけであります。なおT・W・Aの話が出ましたので、T・W・Aは一応口頭でやりたいと申して来ておりますが、これはアメリカ政府で許すか許さないかという問題が先ずかかつております。T・W・Aは裏廻り、いわゆる大西洋廻つてずつとボンぺイまで来ているのでありまして、それを今度東京まで延ばしたい、こういつておるわけでありまして、太平洋航路ではないのでありまして、御参考までに申上げておきたいと思います。  なお序でに昨日高良先生からの御質問に対して、正確なことを調べてお答えするということを申上げておきました点をお答えしたいと思います。それは外国航空機の切符を買う運賃円払がいつから実施されたかというお話でございましたが、それは本年の七月十日から実施されているわけであります。
  8. 曾禰益

    曾祢益君 今の條約局長お話によつて、この第十二條一般公衆要求と密接な関係を有しなければならない、それから殊に第一次の目的というのは一方の国側から乗つて行くような需要ではなくして、つまり両方最終のターミナル間の輸送量需要に適合することも必要だということがあるにかかわらず、その問題がどうあつても、又この需要ということが、只今航空当局からのお話のあつたように、需要は決して固定的なものではなくして、料金のレート等によつて需要が新たにできるということもあるけれども、そういうこととは別に、第十條の原則従つて機会均等原則から見て、日本日本側の認めた見地による需要があるということで要求すれば、日本側路線が決して十二條の結果退けられる心配はない、こういうことに解釈していいのですか、もう一度確認して下さい。
  9. 下田武三

    政府委員下田武三君) 日本側が乗入れた場合に、日本人が皆日本飛行機に乗り出したために、アメリカ側の従来のお客さんが減つたというような場合がありといたしましても、日本はこの協定附表で定めた路線については、法律上のイコーリテイに基いて乗入れる権利を持つておるわけでありますから、その場合に日本飛行機が乗入れたために、若しアメリカ側お客さんが減つたとすれば、むしろアメリカ飛行機に対する公衆需要減つたと見るべきものであつて、先方が機数や或いは運航回数を減らすなり何なりして、採算の合うようにすると思いますが、その辺が実際の国際民間航空における激烈な競争を認めつつ、なお且つこの協定においては法律上の機会均等を認めると共に、運輸力決定についても先ほど申上げました三つ原則を定めた次第であります。従いまして我がほうは第十二條の大原則を真向に振りかざすことができますので、実際問題としては相当日米間の競争というものも予想されますし、又航空局長のおつしやいますように、明らかに需要はますます殖えつつあるんだから心配はないという見方もございますでしようが、その辺は将来の非常に機微な点だと思います。法律問題と事実問題と多少区別して考える点もあるかとは存じます。
  10. 曾禰益

    曾祢益君 最後にもう一点だけ伺いたいのですが、この国際民間航空機関に対する正式の参加は、法的にはこの国際連合異議なき旨の決議があつたことのほかに、明年六月に開催予定ICAO総会承認されなければならないということになつております。ICAO承認には難関というものはないんですか。例えばフイリピンあたりが相当反対するというような場合に、それが規則上オーバーライドできるのか、その点はどうでしよう。
  11. 下田武三

    政府委員下田武三君) ICAO加入申請は今夏出しまして、お話のように先ず国際連合総会にかかつたわけであますりが、実は政府でいろいろ関係国の打診や説得をいたしまして、幸いにしてフイリピン一国のみが棄権で、他は全部賛成という好結果を得たわけであります。併し来年六月のICAO総会にどうなるかという点については、今後も説得工作を必要といたすものと思いまするが、お話のように、国際民間航空條約第九十三條によりますと、今次戦争の間に侵略され、又は攻撃された国の同意を必要といたします。つまり日本ドイツが侵略し、又は攻撃した国、日本について申しますと、フイリツピンとかインドネシア、その他の東南アジアの諸国、この諸国のうちの一国でも同意しない場合には、たとえこの規定の五分の四のマジヨリテイーを得られましても、ただ一国でもヴイートウを行使する力を持つ、こういう日本ドイツにとつて、非常に厳格な規定が設けられておりますので、国連総会実績ですと、フイリツピンが棄権したのではいけないのでありまして、今度は同意でなければいけないわけであります。この問題は一にかかつてフイリツピン等を今後如何説得しし行くかという問題になると思います。併しフイリツピンのほうでもやはり民間航空の上においては、今後非常に日本航路というものは重視しておるわけでありますから、その点はフイリツピン政府部内の関係方面の意向も徴しまして、今後更に説得工作を続けて参りたいと思つております。
  12. 曾禰益

    曾祢益君 それで仮に不幸にしてフイリツピンその他の同意が得られないような場合には、この日米協定が発動するのに支障はないのですか。
  13. 下田武三

    政府委員下田武三君) ICAOの條約の重要な規定は、今回の日米航空協定の第一條で両国とも遵守するということを約しておりますので、つまり民間航空に関する基本的な一般国際條約の規定が、この協定の管を通じまして、日米間の民間航空を規律することになつておりますので、たとえ日本加入が遅れましても、この協定実施には支障を来さないと考えます。
  14. 曾禰益

    曾祢益君 その場合に、この協定実施支障がないとしても、例えばアメリカから又どこかに、何といいますか、会社線変つて乗つぐような場合に、全然外国航路との協力が得られないというような心配が起りませんか。協定そのものじやありませんけれども、日本航空事業外国航空事業との連繋等において、アメリカ会社は大体政府方針に従うとしても、ほかの航空路とトランシツプをやるような場合にはICAOに入つていないための不便というようなことは予想できないかどうか。
  15. 下田武三

    政府委員下田武三君) 世界で現在民間航空を営んでおります主な国々は、すでにICAOの條約の当事国となつております。民間航空の運営に際しましてICAO規定に縛られておりますので、御指摘のような懸念は起らないと存じます。
  16. 杉原荒太

    杉原荒太君 昨日、私質問したことと、それから先ほど曾祢委員からの御質問に関連しまして、一つだけお尋ねしたいと思います。昨日もお尋ねしましたが、我々がこの協定を見ていつもこの問題を頭に描いておるのは、この協定面の文句から出て来ることと、それから実際の運用の場合、そこのところがどうなるかという点に、非常にいろいろ疑問を持つておるわけなんで、そういう点から質問するわけですが、そのうちの一つとしてこの協定によつていろいろの権利を認めるということがあるのだが、その権利というものの中の一つをとつていえば、乗入れの権利といいますか、或いは定期着陸を行う権利といいますか、それを取上げてみますと、私昨日も質問したのですが、例えばこの附表の中にこれこれの航空事業はこれこれの「定期着陸を行う権利を与えられる。」とこう書いてある。そうするというと、この協定自体によつてそういう権利がすぐ与えられてしまうのか。もう一つ、それはいわば一つの抽象的な権利といいますか、そういうものであつて、もう一つ具体的には各航空事業から申請とかいろいろやつて、その許可を得初めて与えられるのか。昨日の御説明でもあつたのですが、いろいろ申請して許可する、そういうことも当然考えられることですが、そういう場合に、ここに協定で認める権利というものとの関係はどうなるのか。いわゆる許可というものを当該国国内法及びこの協定に定めている或る種の條件というものを充たしておれば、必ず許可を与えなければならんという意味においての協定上の権利がそこに発生する、その辺のところはどうなつておりますか。少し実際の場合を頭に描いてはつきりするように一つ説明してもらいたい。
  17. 下田武三

    政府委員下田武三君) 実際の個々の場合につきましては、航空局長から御説明があると存じますが、昨日杉原さんの御質問に対する答の中で私重要な点を一つ抜かしておりましたので、補足さして頂きたいのでございますが、昨日、現在もすでにアメリカ日本に乗入れて民間航空を運営しているじやないか、そうするとこの協定ができても、実際上はやることは同じなのかという御質問がございまして、私実質的にはもうすでにやつておることが、そのまま継続するのだと申しました。併し一つ大きなことを落しておりましたのですが、この協定が発効いたしますと、アメリカ関係民間航空会社はすべて新たに日本許可申請して来るわけであります。従いましてこの協定の下において改めて日本路線でありますとか、賃金でございますとか、輸送力の問題でございますとか、新たな観点からこれを検討いたしまして、初めてこの協定の下の運行というものを許可する、その点で今までの事実上行われていたものとは根本的に性格が違つて来るわけであります。その点を私昨日の答弁を補足さして頂きたいと思います。
  18. 杉原荒太

    杉原荒太君 この場合申請して来て許可を与えるというときでも、この協定において一定の制約がある、こつちで勝手に許可するとか、許可せん場合でも、そう勝手にはやれんだろうと思うのですが、そうでないようにするために、この協定の必要もあるのだろうと思う。それから協定に定めた要件に合致しておれば、必ず与えなければならん義務がこの協定においてこつちへ発生する、そうでなければこの協定を作るということの非常に大きな意味が没却されてしまうと思うのです。
  19. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) それは実は際法律上はそういうことだと思います。それで実際問題としては、向うが早くこちら側に申請して来たらどうかというようなことを、実は催促しておるような実情でございます。そうして実際例へばエール・フランスが来た場合でございますが、これは講和條約に基いて乗り込んで来たわであります。それから実際の商売を始めるということになりますと、例えば具体的に飛行場の中にカウンターを持たなければならなんとか、或いはいろいろなエージエントを作らなければならんというような、いわゆる本当の会社としてその商売を始めなければならん、仕事は大分あるわけでございますけれども、許可を与えたから当然にカウンター等割当てられたわけではないと思うのでございます。そういう点は実際商売におけるアレンジメントをやらなければいかんと思います。それから日本側で気の早い申請者の中では、もう向うのウエーキとかホノルル等の、そういつた手配も進めておるということも聞いておりますので、そういう具体的な商売を始めるについては、許可をもらえばスムーズに行くのではないかとこう思つております。
  20. 杉原荒太

    杉原荒太君 その許可を与える基準ですね。これは協定からきまつてしまうのですか。私がこういう質問をするのは、昨日航空局長が何か答弁の際乗入れ回数というような場合、日本の将来のことなども考えて行くというようなことも確かに言われたようですが、そういうふうな、何か私の予想では、この協定自体できめている要件と、それからこの国内法できめておる要件に合致しておるものなら、必ず与えなければならないということが、この協定によつて拘束されると思う。それだからそこの裁量の範囲というものは法的に限定されているんじやないかと思う。そこのところを非常に広く、法律などで規定している以外の政策的の考慮から許可を与えるとか与えんとかいう自由がたとえこの協定を結んでも残るのですか。
  21. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 私どもいわゆる日本会社が将来出て行くために、商売上の優位を持つといつたような、そういう営利的配慮の下に、いわゆるこの協定に基く基準に合つたものを持つてきました場合に、それをこちらで認めないというわけにはいかないと思います。
  22. 杉原荒太

    杉原荒太君 もう一つ、あの附表の中に「ホノルル及びサン・フランシスコヘ、並びに以遠」というところで、前のほうは地点を特定していて、一番おしまいのところは以遠と非常に漠然と書いてあるが、これの結果、この以遠というのは、日本の場合においては日本国内アメリカの場合においてはアメリカ国内における以遠地点だろうと思うが、そこにはこの附表それ自体適用の結果として、必ず行けるという権利が発生するのか、或いはこの以遠というのは更にこの附表の改正によつて特定されて初めてその権利が発生するのか、どうなのか……。
  23. 下田武三

    政府委員下田武三君) 以遠は必ずしも締約国領域内の点というように限定いたしません。更にその先の他国も包含しておるわけであります。そこで以遠と書いたことの法律的効果になりますと、若し以遠とございませんと、東京——サン・フランシスコと書いてありますと、サン・フランシスコでもうストツプされてしまうわけです。ところが以遠と書いてありますと、これがブラジルまで行つても差支えないと、そう締約国間で了解を与えたことになるわけであります。ただ然らば途中のぺルーとかアルゼンチンはどうかと申しますと、これはそれぞれの国と協定を遂げるか或いはそれぞれの国の許可を受けるということが必要でございますけれども……。
  24. 杉原荒太

    杉原荒太君 いや、その部分はそれでわかりますが、アメリカの場合ですよ。この以遠という文字の適用の結果としてニユーヨークまで行くというときには、この表は別に修正せんでもこままの場合でも行けるという権利がこれから発生するのか。
  25. 下田武三

    政府委員下田武三君) 権利としてニユーヨークまで延ばす場合には、やはりこの協定附表修正交渉もしなくちやならんのです。
  26. 杉原荒太

    杉原荒太君 以遠というのはそういう点からすると法律的の効果というものは何か……殆んどないかな。
  27. 下田武三

    政府委員下田武三君) 以遠と書いたことの法律的効果は、その点から言いますと、ただこれはサン・フランシスコまでで終りじやないということを何らかの形で表現現するための念のための規定であつて現実の乗入れについては、それぞれアメリカ領域内であれば、新らしい附表修正、又アメリカ以外の領域でありましたならば、関係国協定又は申請許可という手続を待つて具現されるというふうに了解いたします。
  28. 徳川頼貞

    委員長徳川頼貞君) 他に御発言がなければ質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 徳川頼貞

    委員長徳川頼貞君) それではこれより討論に入りたいと存じます。御意見のあるかたはそれぞれ賛否を明かにしてお述べを願います。
  30. 曾禰益

    曾祢益君 私はこの協定に賛成いたします。その理由を申上げ、併せて政府に対して要請したいと思う点を申上げたいと思いますが、この協定はいろいろ検討して見ましたが、なお非常に不満な点もございます。殊に沖縄の問題を中心といたしまして、この協定の作り方は実質的には、何と申しましても沖縄に対する日本主権主張を非常に弱めるような結果になり、又航空協定の今後の他国との協定の前途にも、この協定附表等の結果、沖縄日本間の航路というものは、実質的には日本のカボテージであるという主張を覆すような形になり、従つて他国との交渉に累を及ぼす危険がかなり濃厚なものがあると認めざるを得ません。併しだから、と申しましてあえて賛成する所以のものは、何と申しましても講和條約によつて課せられました片務的な連合国に対する日本義務としての現在の乗入れ関係を打開して行くために、まあ一つの突破口としては、やはり何らかの双務協定を早く作らなければならない、この現状に鑑みまして、不満な点はあるけれども、この協定を是認して行こうという態度をとつた次第であります。つきましては政府に要請する点が二点ございます。  第一は、この協定附表等只今の話によりましても、航空路発展等によりましては修正し得るものなのでありますから、そういう際に只今沖縄等に関する心配を是正する措置をとつてもらいたいことと。第二には、今度は他の連合国との協定においてなおこのようなまずい協定を作らないように、飽くまで沖縄に対する主権主張を通すような、協定の形式もそういうものにしてもらいたい。これを要請し、更にもう一つこれは航空協定との直接の関連ではございませんが、いよいよこの協定を境といたしまして、日本の国際航空企業というものがその第一歩を画するに当りまして、政府日本の国際航空企業に対する基本的政策というものは甚だ不明確である。この企業に対する明確な態度を打出して行つて、その企業の公共性というものを十分に認め、且つその対外競争力を発揮する。更に消極的には外国資本の事実上の支配を排除する。これらの三原則に従つて明確なる航空政策を打出すことを特に希望いたしまして、私の討論を終りたいと思います。
  31. 徳川頼貞

    委員長徳川頼貞君) その他に御発言はございませんか。
  32. 杉原荒太

    杉原荒太君 私この協定に賛成いたします。ただ要望としまして二つありますが、一つ只今曾祢委員から言われたこと、航空政策についてしつかりした一つ方針を打立てて行く必要が極めて緊要だということ、これはもう言うまでもないことです。非常に出足が遅れてしまつて非常に困難だ。而もこの国際航空事業というものは、いろいろな点からして非常にこれは重要な問題であることは言うまでもない。それだからこそ、世界のどんな国でもこの国際航空に対しては、いわゆる小国であつても、非常な官民挙げて努力を払つておる。民間航空というけれども、この航空そのものの性質からして、これは非常に広汎な意味を持つ。アメリカなどが今度の協定の中でも、千島列島というものを記入しているのは私は偶然なことではないと思う。非常にいろいろなことを考慮に入れてちやんとあそこは挿入しておるものと私は解釈する。結局は曾祢君の言われたところと、第一の要望の点は同じであります。  第二はこの航空協定の形を見ますと、成るほど相互主義になつておりますが、実際のこれの運用においても、相互主義といいますか、或いは均等主義といいますか、そういうのが実現せられるように運用して行かれることを要望しまして賛成いたします。
  33. 徳川頼貞

    委員長徳川頼貞君) 他に御発言がなければ、討論は終局したものと認てめ御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 徳川頼貞

    委員長徳川頼貞君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより採決に入ります。日本国アメリカ合衆国との間の民間航空運送協定締結について承認を求めるの件を原案通り承認することに賛成のかたの挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  35. 徳川頼貞

    委員長徳川頼貞君) 全会一致と認めます。よつて本件は承認すべきものと決定いたしました。  なお本会議における委員長報告の内容は、あらかじめ多数意見者の承認を経なければならないことになつておりますが、これは慣例によりまして、委員長にお任せを願いたいと存じます。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 徳川頼貞

    委員長徳川頼貞君) それから本件を可とされたかたは、順次御署名を願います。   多数意見者署名     伊達源一郎  大隈 信幸     杉原 荒太  團  伊能     平林 太一  石黒 忠篤     岡田 宗司  加藤シヅエ     曾祢 益
  37. 徳川頼貞

    委員長徳川頼貞君) 御署名洩れはございませんか。署名洩れはないと認めます。  それでは今日はこれを以て散会いたします。    午後二時三十六分散会