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1952-12-16 第15回国会 参議院 外務委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月十六日(火曜日)    午前十一時七分開会   ━━━━━━━━━━━━━  出席者は左の通り。    委員長     徳川 頼貞君    理事            伊達源一郎君            大隈 信幸君    委員            團  伊能君            石黒 忠篤君            高良 とみ君            岡田 宗司君            曾祢  益君            有馬 英二君            兼岩 傳一君   政府委員    外務政務次官  中村 幸八君    外務省条約局長 下田 武三君    引揚援護庁長官 木村忠二郎君    運輸大臣官房長 壺井 玄剛君   事務局側    常任委員会専門    員      久保田貫一郎君   ━━━━━━━━━━━━━   本日の会議に付した事件 ○中共地区引揚問題に関する件 ○日本国アメリカ合衆国との間の民  間航空運送協定の締結について承認  を求めるの件(内閣送付)   ━━━━━━━━━━━━━
  2. 徳川頼貞

    委員長徳川頼貞君) 只今より外務委員会を開催いたします。
  3. 高良とみ

    高良とみ君 引揚援護庁、或いは引揚課を通して本年度中に中国から約三万の引揚がある場合の予算面措置はどうなつておるかを伺いたいのであります。
  4. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) 本年度引揚につきましては、従来の実情に鑑みまして、一応の引揚受入れ準備をいたしておるわけであります。これにつきましてはどの程度引揚があるかということについての見通しでございますけれども、本年の当初におきましては大体どの程度引揚があるかということは、従来の状況からいたして明らかでなかつたために、差当り一万人分の引揚準備予算としていたしておるということにいたしまして、現在持つておりまする予算は一万人に対しまする予算でございます。なおこの予算財務当局との間の関係につきましては、その後引揚が促進されまして、逐次帰つて来るという形勢がありました場合には、何どきでもこれに必要なる予算をこの基準で以て出すという約束をいたしてあるのでありまして、従いまして引揚が開始されますれば直ちに適切な方法を以ちましてこれに対する補正で以て、或いは予備金流用等によりまして、何どきでも必要な予算を出し得るように、受入れに対する予算は出し得るわけであります。現在までのところ、この一万人に対しまして、個別的に引揚げて参りました者が八百人余り帰つて参つております。従いましてなお現在相当数引揚がございましても、直ちに対応の準備はできておるわけでございます。なお引揚が始まるということにきまりますれば、これに必要な追加の措置は直ちにとり得るというふうに考えております。
  5. 高良とみ

    高良とみ君 その予算総額と、一万人の一人当り単価といいますか、どれだけの予算を取つておられますか。それから従来船賃だけを負担して八百人が引揚げたのか、或いはそのほか旅費病気手当等のそういう手当があつたらその点ちよつと……。
  6. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) 現在帰つておりますのは、中共から百何人かでございます。中共から帰つて来ております者は、現在までのところ百二十一人でございます。八百何人と申しましたのは、その他の南方から、或いは朝鮮或いは巣鴨から釈放されました者、こういつた者はやはり引揚と同じ形になりますので、これらの者を合計してそういう数字になるということを申上げたのであります。中共から帰りました者は百二十一人でありまして、そのうち個別運賃を国庫で負担して帰りました者は九十四人ということになつております。  それから経費単価は大体一人当り五千円見当で、一万人五千万円、これはこちらへ入りましてからあとの経費でございます。
  7. 高良とみ

    高良とみ君 旅費を受けたのが九十四人であるということになりますると、この旅費総額を、香港経由或いは天津経由として、こちらから船を出す場合と、或いは第三国船による場合と違うと思うのでありますが、それについて予算はどういうふうに取つてありますか。
  8. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) 集団引揚によりますれば、必要なる経費は大体一人三千円見当で従来やつております。個別引揚で参ります場合に現在出しておりますのは三万円乃至五万円という数字に相成つております。
  9. 高良とみ

    高良とみ君 この総額をもう一遍伺いたいのでありますが、五千円の一万人分取つてあるというふうに了承してよろしいかと存じますが、そのほかに帰つて来てからの一人当り五千円というのは、医療費或いは帰宅旅費、食糧その他のものを細かく組んでのお話であるか、或いはそのほかのものがあるか御説明願いたい。
  10. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) この経費舞鶴帰つたものとしまして、現在舞鶴帰つておりませんけれども舞鶴に帰るといたしますならば、舞鶴に入りまして、それから家に帰らせるまでの間の一切の経費を含んでおります。
  11. 高良とみ

    高良とみ君 集団引揚の場合に、船を出して行くというほうが安上りということでありますが、その計画に対する人員は全部引揚援護庁関係の職員が当られるのか、或いは赤十字看護婦等も行き、更に家族或いは民間団体等の者がそれに参加する予算が組んであるのかどうかお伺いしたいと思います。
  12. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) 引揚げて参りますのが集団で参りますといたしますれば、こちらからは船を向うに派遣いたします。この船にはその船を動かすに必要なる人員、或いは船の中における医療に必要なる人員を乗せまするほかに、いろいろ世話をいたしますとか、国へ帰りましてからのいろいろな連絡のための調査をいたしますといつたような人を乗せるわけでございます。これらにつきましては、現在では船は高砂丸一隻を舞鶴に繋留いたしております。その他必要でございましたならば乗船をいつでもできますように法律を以て準備をいたしておるわけでございます。
  13. 高良とみ

    高良とみ君 従来の兵員引揚の場合と、今回の集団引揚の場合と大分性質が違うと思うのでありますが、兵員でありますと、まだ国家の任務に服しておるわけでありますが、在外同胞は、今度の人たちの中には兵もありましようが、そうでない人たちに対しても、帰朝後連絡調査は適当なものがあるとしても、従来のような思想調査とか、そういう方面をやはりなさるおつもりですか、どうですか。
  14. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) 従来も兵員だけではないのでありまして、やはり従来も一般引揚者を含めまして集団引揚をいたしておつたわけであります。朝鮮南方方面におきましても、或いは従来中国関係といたしましても、或いはソ連関係といたしましても、単に軍人だけではなかつたわけであります。従いましてこれにつきましては従来も今後も、引揚の船の中以後におきましては大した変りはないんじやないかと思います。ただ引揚げて参りました場合にこれを集結いたしまするとか、或いは集結後の措置をどうするかということにつきましては相当違うと思います。なお今回は婦女子或いは子供が相当多いということも考えられますので、これに対しましては世話をする人間の数が少し余計要るというようなことは考えなければならんじやないかというような点も考えております。思想調査等につきましては、従来からそういうものを我々のほうの手で以て直接するということは考えることはないと思います。
  15. 高良とみ

    高良とみ君 そうしますと今度はそういうふうな婦女子及び民間人が多いのでありますが、帰つて来てからどこかに集結させて、これを親戚、或いは帰着する住宅のない人たちどもありましようが、そういう者について予算面はどうでございますか。
  16. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) これにつきましては従来から無縁故引揚者というものに対しましては、それに必要なるところの住宅を提供するということで予算を組んでおるわけでございます。従いましてこの引揚が始まりますれば、当然無縁故の者に対しまする住宅というものも考えなければならんと思いまするし、又これに必要な更生資金というものも従来考えておりますので、従来からいたしておりますからして、やはり従来と同じようなことで以てその計画はしなければならんというふうに考えております。
  17. 高良とみ

    高良とみ君 伺いまするとその辺のまだ御計画が従来通りということでありますが、それは従来の型の通り、請求すれば、予備金から無縁故引揚者住宅等も急速に建つて行く御予定でありますか。
  18. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) 具体的に決定いたしますれば、直ちにその点につきましてはできるであろうというふうに考えております。
  19. 高良とみ

    高良とみ君 無縁故引揚者帰つて来てからの住宅というのは随分今までは悲惨な状態でありまして、暫らく職業がない、それに更生資金も極く僅かなものでありまして、それで長い苦しみの生活をしたわけであります。殊に開拓地等に入つた人たち状態を今度は繰返させたくないと思いますが、それに対して家族或いは親戚等を通して、もう少し積極的に引揚者世話をするという体制が今の援護庁の組織なり人員でできるお見通しでありますか、或いはもつと民間なりほかのほうに協力を求めなければならないというふうな見通しでありますか。
  20. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) これにつきましては従来からいたしておりまする通りやるというふうなことは私ども考えておりません。従いまして実際やります場合におきましては、そのときどきの事情に応じたものにしなければならん。併し建前としましては、従来やつておりましたと同じようなことをどうしてもやらなければならんというふうに考えております。又従来やりましたことと割合等はいろいろ変つて来ると思います。帰つて来まする人々のいろいろの状態が違いますのでございまするから、その割合も違つて来ると思いますけれども、それに必要なる措置は従来と均衡を失しないようにこれは考慮しなければならんというように考えております。こういうふうにすることにつきまして、財政当局におきましてこれを極端に抑えるとか、これに反対するというようなことはなかろうという現在見通しを持つております。なお民間団体その他の協力等につきましては、我々としましては、従来からこれを援護いたしまする各種団体とは常に密接なる連絡とつておるのでございまして、私どもとしましてはこの方面の御協力を願えるものと考えておりまするけれども、その事務につきましては、帰つて来まする速度、今後の入りまする速度というものによりまして違いますが、非常に急速に多数の者が帰つて来まする場合におきましては、それに対応する処置をとらなければならんというふうに考えております。
  21. 高良とみ

    高良とみ君 これは外務当局答弁として記録にも載つていたことと思いますが、高砂丸引揚に使わせますときに、何か今度アメリカから借用しましたフリゲート艦を以て保護をして行くというような御意見が現われておるようでありますが、これに対して、これは援護庁のほうはどういうふうに考えておられるのですか。
  22. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) 我々といたしましては、先方が安全を保障して下さるものならば、それらにつきましてはどうするかということにつきまして何ら考慮する必要はないんじやないかと思いまするけれども、そういう問題につきましては、これは援護庁としてはどちらでも差支えないというふうに考えております。
  23. 高良とみ

    高良とみ君 外務省はどういうお考えでありましようか。
  24. 下田武三

    政府委員下田武三君) 外務省も何もそういうことがあるべきことを予見して申上げたのではないのでございまして、船舶貸借協定の審議の際の御質問の中に、アメリカから借りた船舶使用目的を明示してないのはどういうわけかという御質問がございまして、借りるほうとしては使用目的を限定されないようにするのが借りるほうの立場から見ると有利である。従いまして、仮定の話なんでございますが、外務大臣仮定の問題としてお話になつたのでありまするが、若し大量引揚を見るような場合に船が足りない、或いは途中でまだ機雷が流れておるような場所もあつて、機雷に対する警戒も必要とするというような事態が仮に起りましたときには、アメリカから今度借りる船を臨時に流用する必要が起ることがあるかも知れない、そういうような仮定の場合を考えますと、やはり借りる船舶はこれだけにしか使えないというような限定したことでないほうが有利ではなかろうかと思うと、外務大臣答弁されましたが、必ず引揚のために使うというようなことを予見されて申上げたのではないように私拝聴しております。
  25. 高良とみ

    高良とみ君 そちらへ、ほかのことに脱線して恐縮なんでありますが、機雷はないと、或いは日本引揚げて来る船舶に対し、或いは帰朝する同胞に対し安全を保障するという条件がありました場合に、これは全然架空のことであつたというふうに今の御答弁で窺えるかと思うのでありますが、併し同胞帰つて来るときにフリゲート艦とかを以てというようなことは、どの国に向いましても、これは武装した船で行くというようなことは、対外的に非常に重大な意味を、或いは暗示を与えるというふうなことについては外務省は十分に考えていらつしやると思うのですが、どうですか。
  26. 下田武三

    政府委員下田武三君) その趣旨の御説もございまして、引揚者を迎えるに武装艦を以てするというのは甚だ国際関係から見て面白くないのではないかという御意見誠に御尤もだと思います。成るべくならばそういうようなことのないようにすべきであると思うのでありますが、併し先方も了解しておるような場合は、無論そういう船を若し流用するような場合には勿論先方とよく了解をつけた上で、これは航路にもよるのでありますが、例えば香港のほうから来るのでしたら機雷の危険もないのでございますが、併し北のほうから来るのですと或いはあるかも知れませんが、航路がどういうようにきまるか、その場合に現実にそういう危険があるかどうかということがきまりましてから、若し必要があれば、やはり十分相手国の納得の上で使用するのなら使用しなくちやならん、そういうように考えております。
  27. 高良とみ

    高良とみ君 船舶の問題は改めて又御提案がありました後に伺いますが、援護につきまして二つの点を明らかにしたいと思うのです。先ほど援護庁長官の話で、無縁故引揚者の従来の例に準じ、それ以上のことをやりたいと言われましたが、従来が余り受入態勢があると言われて帰つて来た人たちがああいう運命に会われた。そういうことが再びないということのために、家族乃至は送り出すほうでも不安を感ずるということの心配がないかどうか、その点まだ予算面では余りはつきりした御計画がないようでありますが、如何でございましようか。無縁故引揚者、或いは普通の引揚者という者につきまして、今までの実例を一つお聞かせ頂きたいと思います。今まで帰つた八百人はどういうふうに満足しておるか、そういう点を……。
  28. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) 住宅等につきまして従来悲惨であつたということ、これは引揚が最初非常にたくさん殺到して参りました当時におきましては、その際に急速に住宅を当てるということができない事情にありましたので、従来ありました建物を利用いたしまして、集団的にこれに収容するというような形をとりました。従いまして応急的なものでございましたので、極めてその内容等も適当でないというようなものであつたわけでございます。従いましてその後になりまして、最近数年の間は、従来の集団住宅を、これを疎開することにいたしまして、集団住宅の中で非常に住宅として適当でないものにつきましては疎開することにいたしまして、著々その疎開を進めております。大体現在その生活環境の適当でないものにつきましては相当不満だと思いますが、大部分が疎開を終えたようなことになつておりますので、疎開を終えた者につきましては、今後その措置をいたしまして、一戸建又は二戸建の住宅にするということにいたしておるわけであります。大体そういうことにしまして逐次やつておるわけでありますが、今後いたすものにつきましては、帰りました当座におきましてはすぐ住宅を建てるというわけには参りませんので、帰りました人がどこに定着するかという問題、いろいろな問題がございますので、差当り定著いたします場所は応急的なものになりますけれども、直ちにこれを引取りますときに、そういう場合、個別的に住宅をこれに当てることは非常にむずかしい事情にありますけれども、従来と同じような計画でやつて参りたいと思つております。
  29. 高良とみ

    高良とみ君 更にもう一つ。先ほど巣鴨から帰つて来た人も、海外から引揚げて来たような人と同じような状態にあるというお話があつたのでありますが、巣鴨或いはマヌス島、フイリピン、その他の地におります戦犯者への慰問というような問題については、国際郵便がないわけではありませんし、そのことは国際問題からいいましてお考えなつたことがあるかないか。小包或いは慰問品等予算、こういう物を送ることについては、そういうことはもう不可能だと考えておられるのですか。
  30. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) 巣鴨にいろいろと現在でも慰問品等が行つております。又マヌス島にも各種方法を講じまして慰問品を送つておりますし、又フイリピンのモンテンルパにつきましても、最近向う政府話合いまして、これに必要な薬品その他の物を送るという措置を講じておるのでありますが、これらにつきましては相手国政府の待遇に対するいろいろな感情問題もありますが、我々としてはできるだけ問題を起さないようにして、必要な物資を向うに送りまして、慰問できるようにしたいと考えております。
  31. 高良とみ

    高良とみ君 大体援護庁考えておられる引揚援護についてはわかつたのでありますが、中国におります多くの同胞たちは、帰つて来ても職がない、家がない。それから非常に国内においてすでに失業その他で苦しんでおる人たちもあるし、住宅難で苦しんでおるのだからということで不満を感じておると思のうでありますが、その点について十分予算面で御計画を立てて頂きまして、予備金その他からはつきりした見当をつけて頂くならば、これはまあ厚生省から出されることでありましようが、今後の引揚促進に非常に多く資すると思いますので、これを希望いたしまして私の一応質問打切つて、更に細かいことは折があつたらお伺いしたいと思います。
  32. 徳川頼貞

    委員長徳川頼貞君) ほかに御質問はございませんか。若しこの引揚問題に関してもう御質問がない、……ございませんでしたらば……。
  33. 岡田宗司

    岡田宗司君 私ちよつと遅れて参りましたので、或いは高良さんからすでに御質問があつたかと思いますが、インド政府を通じて北京政府に照会或いは連絡をとられておるようですが、これについてインド政府のほうから何か情報がもたらされたかどうか、そういうことについてお伺いしたい。
  34. 中村幸八

    政府委員中村幸八君) インド政府のほうには再々督促等もいたしておりますが、まだ今日まではつきりしたお答えがないのが遺憾でございます。
  35. 岡田宗司

    岡田宗司君 それではほかのチヤンネルを通じまして何か接触を保つておられるのですか。
  36. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) これは私のほうの問題ではございませんのでございます。聞きますところによりますれば、日本赤十字社向う赤十字社に対しまして連絡をいたしておつたのでございまするが、それに対してはまだ十分の私御返事があつたということは聞いておりません。
  37. 岡田宗司

    岡田宗司君 そういたしますと、この間の北京放送で発表された以上のことはまだ正式には発表をしていない、こういうふうに私ども考えられるのですが、外務省としては、やはり一方ではインド政府、一方では赤十字社同士話合いという線で以て今後も進めて行くおつもりでしようか。
  38. 中村幸八

    政府委員中村幸八君) さようでございます。
  39. 岡田宗司

    岡田宗司君 あの北京放送によりますというと、何かこう日本側民間団体というようなことを言つてつたのでありますが、そういう方面との連絡を通じて第三の途をとることも、又引揚げを促進する方法であるとお考えにならんかどうか、お伺いしたいと思います。
  40. 中村幸八

    政府委員中村幸八君) 考慮すべき問題でありまするが、外務省といたしましては、一応インド政府のほうの御斡旋によりまして、如何なる方法によるかきめたいと、かように考えております。
  41. 岡田宗司

    岡田宗司君 私はやはりこういう問題は、向うが或る程度方法を示唆したと言いますか、やはりその点についても何か考慮されて然るべき問題じやないか。勿論これは直接外務省がおやりになることではないのでありますけれども一つのの方法として、外務省で以てまあお考えのうちへ入れて行かれるほうが、やはり早道の一つになるのじやないかと思うのですが、その点をどうお考えなつておるか。
  42. 中村幸八

    政府委員中村幸八君) 只今お答え申上げましたように、インド政府に正式にお願いいたしておりますので、その回答を待つて十分考えたいと思います。
  43. 岡田宗司

    岡田宗司君 まあいずれのチヤンネルを通じてもまだ返事がない、こういうわけでありますが、何らかの形で、或いはインド政府を通じてなり或いは赤十字社同士話合いなりで途が開けて参りましたならば、すぐに応ずるだけの準備は今日政府のほうで整えられておるかどうか、お伺いしたいと思います。
  44. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) たびたび申しまする通りに、私どものほうとしては集団引揚につきましては受入れ態勢は現在私どものほうでできておりますし、船の派遣等につきましても、現在一隻一万トンばかりの船を繋留いたしております。いつでも派遣できます。従いましてこれにつきまして準備は一応できていると考えていいと思います。
  45. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 この引揚げの問題は、これは外務次官にお尋ねしたいのですけれども、数年来吉田内閣が、それから特に岡崎外務大臣は、これの引揚げの問題が片付かないから国交が回復できないのだというように一枚看板にしておられるのですが、もう少しインドなど通らないで、直接話を進めて、友好の途を開いて行くという積極的な策がないとすれば、引揚問題理由にして中国との不和をわざとかもし出しておられるのだという非難に答えられないと僕は思いますが、どうですか。政府態度は、非常に従来引揚者について大きな非難を浴びながら、先方からの提案があるときに一向積極的な態度でなくて、インドを通して云々と言われますけれども、もつと政府じきじき出てこの問題を打開するという熱意を示されるべきが私は当然の態度じやないかと思いますが、次官は如何でしようか。
  46. 中村幸八

    政府委員中村幸八君) 吉田総理或いは外務大臣引揚問題理由にして云々というお話がありましたが、それは一例でありまして、何十万という抑留者を依然として何ら日本へ送つてくれないということも一つの例であります。そのほかいろいろな面におきまして、ソ連におきましては日本に対しまして悪意あると申しちや語弊があるか知れませんが、我々と協調のできないような態度とつておりまする結果、今日国交が回復しないのでありまして、その点をソ連におきまして十分反省して頂くならば国交も回復できるのじやないかと、かように考えております。なお直接交渉したらどうかというお話でありますが、今日国交の回復していない際に、直接交渉ということは考えられない問題じやないかと思います。
  47. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 幾つかあるうちの問題、大きな問題として引揚問題をこの数年来日本はもとより世界的に発表しておられる。これはもう事実でしよう。だとすれば、その一番大きな問題を解決するという……国交回復ということはあなたがたは口先だけか。嘘でないならば、こういう問題こそ誠意を以て解決する。解決の第一歩として、やはり政府なり民間団体、それから赤十字或いは中国日本友好的ないろいろな団体政府並びに国民的な諸団体を総動員してこの問題の打開に努めてこそ、あなたがたが従来外交方針として友好を結びたいのだ、併し引揚の問題が未解決だから……、引揚問題そのほかありますよ、二、三ありますけれども、一番大きな問題として引揚問題をやつておられる、その態度が、今の非常な冷淡な態度と一致しないじやありませんか。従来の主張と現在の政府の行動とは了承に苦しむじやありませんか。もつと熱意を持つて、直ちに交渉を政府としても進められ、政府で不足なところは民間団体で折衝せしめるというような熱意、積極性、これが一向ないじやありませんか。これはどうしたわけでありますか。
  48. 中村幸八

    政府委員中村幸八君) ソ連中共地区に抑留されておりまする邦人の引揚の問題につきましては、単にインド政府を通じて懇請しておるということだけではありませんので、従来とも国連の引揚特別委員会或いは国際赤十字、或いは又友好国等を通じまして、あらゆる手段、方法を以て引揚の促進をいたしておつたのでありますが、遺憾ながら今日までソ連或いは中共からは何らこれに応えるところの意思表示もなかつたのであります。ところが先般北京放送が初めて引揚協力する用意があるというような放送があつたのでありまして、それまでは当方の再三再四に亘るいろいろの懇請にもかかわらず、何らの回答も意思表示もなかつたようなわけであります。御了承を願います。
  49. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 僕は今の外務次官考えは、もう全く間違つておると思うのです。態度が間違つておると思うのです。あなたは一体引揚問題の根本的な問題として、日本が十数年に亘つて中国を侵略していたという事実、中国の五億の人に多くの戦争的な被害を与えていた。即ち日本が戦争犯罪人であつた。戦争の侵害者であつた。そうして今度帰つて来る人は戦争犠牲者である。だから政府としては戦争の、侵略的な従来の日本態度に対して深い反省があるか、且つ引揚げて来るところの気の毒な引揚者に対しては万斛の涙というものがなければならんじやないですか。あなたは先方から挨拶がなかつたとかあつたとか、一体日本の帝国主義が十数年の長きに亘つて中国侵略をしたということに対していつ遺憾の意を表し、いつそれに対して深甚の謝意を表せられたのですか、中国の人民及び中国政府に対して……。そういう日本の侵略主義の結果、引揚げなくともよいものが大陸から引揚げなければならんあわれな状態において引揚げて来なければならんという状態が戦争犠牲者です。引揚者は戦争犠牲者です。その戦争犠牲者に対して政府として一つも涙のある措置を講じないでおいて、やれ外交方針がどうだ、インドがどうだ、そういう一片の外交辞令をあなたは使われるじやありませんか。僕はこの問題をもう一遍伺いたいと思う。戦争で中国を侵略していたという事実に対して、いつ中国政府並びに中国の人民に、申訳なかつたという意思表示をされたのか、これです。
  50. 中村幸八

    政府委員中村幸八君) この戦争を、日本が侵略戦争をした、こういうお話でありまするが、そういう過去の戦争の問題につきましては、日本国民としても十分これまで反省しておるのでありまして、その一つの大きな現われとして、憲法において将来戦争はしないということもはつきり宣言いたしておるのであります。中国に対しましては、すでに八月一日に中国との平和条約も締結されておりますし、そういう面におきまして、十分我がほうとしても遺憾の意を表しておるわけであります。なお引揚者につきましては、お説のように戦争による大きな犠牲者でありまして、この犠牲者に対しましては、政府としてあらゆる方法、手段を講じまして、一刻も早く無事引揚げができますように念願いたしておるような次第であります。
  51. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 あなたは口の先でそういうことを言われたつて、今の戦争犠牲者の問題は第二として、第一の問題として、中国に対してどうして国交を平和的に再開して行くかということは、侵略の過去の事実に対してお詑びしないで、どうしてあなたは解決をしますか。日本は侵略者である、中国が被侵略者であつたという事実を承認されるならば、そういう傲慢な、不遜な、向うからどうだああだ、そういうあたかも自分がもともと平等で公正であつたような態度は、あなたとれるわけがないじやありませんか。あなた方の政府は今まで引揚者が残つておる、ひどい目に会つておる、ああだこうだというようなデマ的な問題を振りまいて、わざと国交の再開なり戦争犯罪に対するお詫びをごまかしていて、そうして今に至つて向うから提案があつても、それに対する政府として積極的に何ら再開しないで、インドからお願いしてある、一向返事がない、ああだこうだということを言つておられる。私はもう一ぺんお伺いします。順序が逆になつても止むを得ないと思うのです。戦争の侵略に対する問題が解決して、国交が再開されて、これが私正しいルートだと思いますが、百歩を譲つてこの引揚者の、あなた方が口にやかましく数年来騒ぎ立てておられる引揚げの問題が、先方のその提案によつて口が開かれようとしているなら、進んでもつと熱意ある、もつと言葉の上の遊戯でなく、熱意のある行動を以てこの引揚げの問題の促進を図つて行かなければならない。その場合に、インドを通じて交渉をするということが唯一の途ですか。これ以外にあり得ないのですか。政府はそれ以外に手を拱いて荏苒と日を送るということですか。何らそれ以外に熱意ある態度を示さないのですか。その途はあり得ないのですか。たつた一つですか。どうですか。
  52. 中村幸八

    政府委員中村幸八君) 先ほど御説明いたしましたような、インド政府を通じ、或いは又日本赤十字があちらの赤十字と交渉するというようなこともいたしておるのでありまして、若しそれでどうしてもいかんということになりますれば、その際におきましては、或いは国連を通ずるなり、或いはその他の友好国にお願いするなり、あらゆる方法を講じて参りたいと考えております。
  53. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 それは第二に聞くこととして、この程度でその問題はあれするとして、次官はそれでは、現在はインド政府ですね、続けてインド政府との斡旋によつて理解が不十分なときは国連に頼む。それが第三、第四と言われましたが、一つ考えがあるならばそれを知らして頂きたい。
  54. 中村幸八

    政府委員中村幸八君) 日赤と……。
  55. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 第三は赤十字赤十字の機関ですか、その三つですね。今、現在はインド政府ですか。
  56. 中村幸八

    政府委員中村幸八君) さようでございます。
  57. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 それはその程度にしておきましよう。それから第二の問題として、仮に三万人の受入ということを、従来の冷淡な悲惨な状態をずつと改善される考えがあるというように、先ほどからの高良委員の質疑で受取られたのですが、その具体化として、その受入の中の予算措置その他については、外務次官はどういうようにこれから具体化して行こうという考えを持つて、一方において外交的なものの進捗と伴つて国内的の問題として、この受入のための予算措置住宅とか職業とか、等々の問題の予算措置についてはどういうふうな考えを持ち、今準備を進めておられるか、承わりたい。
  58. 中村幸八

    政府委員中村幸八君) それは先ほど来引揚援護庁の長官からよく御説明があつた通りでありまして、私どももさように考えております。
  59. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 あれですか。予備金ですか何かから出すという程度以外には考えていないというのですか、どういうのですか。新たなる状態に新たなる角度を以て、従来の悪いところは反省して十分に温い受入をするための予算措羅という点については、もうちよつとお尋ねしたい、正確に聞いておきたいですね。
  60. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) 従来の引揚と今度の引揚とにつきましては、いろいろと違いがあると思います。と申しまするのは、帰りまする人々の先方におきます状態も違いますし、勿論こちらの状態もその当時とは大分変つているわけであります。従いまして、今後集団引揚げがあるとしますれば、それに応じました適当なる措置を講じなければならん。つまり従来と同じわけには行かんと思いますが、大体従来とは均衡のとれた、つまり従来の引揚に対しまして、従来の状態でよかつたら、今度のにつきましては、今度の勿論国内事情、或いは向うから帰つて来ます状況というものに応じました必要な措置を講じなければならんと考えております。それにつきましては、先ほど私が予備金で以てと申しましたのは、それは現在いたしておりますところの引揚の港から郷里に帰りまするまでの措置については、現在予算を持つておりまするので、これに対しまして不足の分につきましては、予備金でやることができるというふうに考えております。その他の問題につきましては、予備金でやりますことも考えられますけれども帰つて来まする状況によりまして、これは帰り方によつて随分違うのであります。一遍に一万人或いは何千人というふうに帰つて来ますれば、これに対しまする措置といたしましては、それに応じた措置を講じなければなりませんし、向うの帰り方がどうなるかということがはつきりいたしませんと、これに対する予算をどう持つて来るかということにつきましては、これは違つて来るわけであります。従いまして、これに応じまして必要な措置を講ずる、但し帰りました直ちにその場でどうするかということにつきましては、只今申上げましたように、これはもう準備ができている。その他のことにつきましては、只今申上げましたように、新らしい予算でやらなければならんこともあるでしようし、更に補正でやらなければならんという場合もあると思います。これはその場その場に応じまして準備をしなければならん、これにつきましては財政当局といえども、これについてそう異議のあるものではないということを私は考えておるということを申上げます。
  61. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 援護庁の長官のあれはえらく冷淡ですね。向う引揚げの出し方に応じて受入態勢をとるのですか。受入態勢はかくのごとく万全である、故に安心して一つ帰してもらいたいという、そういう受入れる側の具体的措置を基にして迎え入れるという考えはないのですか。あなたの説明ですと全然ないのですね。向うの出し方に応じておもむろに立てられるのですか。あなたは引揚げ監督長ですか……。
  62. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) 私の申しましたことが或いは誤解があつたかと思います。向うから帰つて来る帰り方につきましては、向うの都合もございます。従いまして早く帰つて来ることもありますし、なかなかひまがかかつて帰つて来ることもある。又これは私のほうとしまして、それに対しまして早く帰つて来るのだから引受けない、或いはゆつくり帰つて来るから引受けないということはいたさないと思います。従いまして返すならば、返すものにつきまして、いつでもこれに対して受入れる用意はいたしている。引揚げに対する応急的な措置準備ができている。従いまして、帰りましたものにつきましては、どういう援助をするかということにつきましては、万全の措置を講ずると先ほどから申上げておる通りです。
  63. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 政府の万全の措置なんという馬鹿な単語を信ずるような馬鹿な国民はおりませんよ。あなたがた引揚者に何をやつて来たか、そして今もそういう冷淡な態度でやろうとしておられるが、大体政府が口の限りを尽して引揚問題については中国及びソヴイエトに対して非常な失礼なデマを投じておいて、さていよいよ向うから話があるときにはよく考えて万全の措置を講じたいと、我々その万全の措置なんという言葉を頼りにすることはできないので、どういうふうな受入れ方、港においてはどういう受入方をし、それから皆の受入に対しては住宅及び職業、それから教育等々についてはどういうふうな受入をするかという点を明確に、あなたがた政府受入態勢を明確にしなければ交渉できんじやありませんか。従来悪口の限りを尽していた政府の官庁がいよいよ向うから来るとなるや、受入の関係の具体的な措置もできないで、万全の措置なんという一片の美辞麗句でやるのですか。若しも僕らが衝に当るならば、引揚の具体的な仕事は船から、住宅から、教育から、職業から、具体的なあらゆる問題の予定を立てて、予算措置も十分立てて、そうして僕は受入態勢先方との交渉が並行的に進んで行く、これが私は当然な政府態度だと思うのですが、そういう考えは全然ないのですか。それで僕は予算措置はどうなさるお考えですかという質問をするわけです。これがポイントじやないですか。金を抜きにした、予算を抜きにした万全の措置なんというものはありますか。どうするのです、金の問題は、予算の問題は。こういう腹案を持つておられるとか……。
  64. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) 細かいことをいろいろと申上げますと、非常に長くなるのでありますが、これにつきましては、我々としましてはいつ帰られましてもいいだけの準備はいたしておる。それから予算につきましても、それにつきましては十分これができ得るものというふうに考えております。
  65. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 こんな生意気な政府委員はない、何たる答弁ですか。そんなことであなたが議員だつたらそれで納得しますか、詳細に拝聴しましよう。なぜそういう、何ら納得のできない一行か二行の、こういう重大な三万人の人間の受入に対してそういう冷淡な答弁しかできないのですか、誠意がないのですか、全然……。あなたは港と、受入の宿舎と、それからその後の住宅と、それから職業と子供たちの教育と、ちよつと考えてみても五つ、六つの問題については全然具体的な対策はないのですか。
  66. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) 引揚援護庁といたしまして、これをお答えしなければならない問題と、そうでない部分がございます。職業問題につきましては御承知の通り私からお答えすべきものではないのであります。私といたしましてお答えすべき問題は、受入れましてから家へ返すまでにつきまして、十分援護するのが本来の仕事であまりす。従いまして、それにつきましては我々としましては準備いたしております。その他の点につきましても、それぞれの所管庁で以て準備をいたされるはずだと思つております。
  67. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 外務次官から一つ拝聴しようじやありませんか。
  68. 中村幸八

    政府委員中村幸八君) 只今長官が御答弁いたした通り考えております。(笑声)
  69. 高良とみ

    高良とみ君 私は先ほどで一応打切つたのでありますが、引揚について国内でお互にけんかしておつてもつまらないことでありますが、具体的に言つて高砂丸は何人収容力があるのですか。つまりバタビヤと天津と日本間の船ですが、一回に四十八人しか入らない。配船の準備ができないから、それで日本から船を手配してくれれば、少くとも千人くらいは帰つて来るのではないかと思いますが、どうですか。
  70. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) 高砂丸は大体二千二百人の定員でございます。二千五百人は入れるはずでございます。二千五百人が一度に集結しておれば一遍に必ず運べます。或いは準備しますれば三千人まではできます。それが入りました場合、舞鶴においてこれの受入れ準備はできております。
  71. 高良とみ

    高良とみ君 そうしますと、先ほど一人五千円で一万人分の僅かな金しか予算に載つていない、従来引揚に対しては引揚諸費として何億というものを取つたことがある、二十何億とか、三十億とか取つたことがある。そういうときと勿論事情が違うとおつしやればそれまでですが、余り援護費の予算が少くなつておるのではないのですか。その点で幾らでも予算は取れると言われても、国会で今補正予算を審議中で、これに対して本当に引揚が二千人とか、三千人とか、何回にも分けて、十回に分けても、或いは全部帰れないかも知れませんが、そういう点で予算措置がもう少し熱心にされてもいいのじやないかということを考えますが、如何がですか。
  72. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) 只今申上げました予算は、なかなか細かいことになりますと大変なわけでございますが、未復員者と特別未帰還者につきましては、これは帰りましたときの帰還手当は別に予算に見ております。従いましてこれは未復員者給与法の関係のほうで出しておりますが、その中に入つておりませんものの、舞鶴受入れまして郷里に帰りますまでのいろいろの経費のほかに、特別未帰還者、未復員者でないものの帰還手当、それに相当するものがあれに入つておるというわけでございます。従いましてこの金額だけではないことは言うまでもないのであります。それからこれは従来の予算と比べまして極めて少い、これは御承知の通り従来は大体年に三十万帰えるとか、或いは六十万とかいうような大きな計画であつたわけであります。現在のところではその後一向実際に帰りません。帰りませんものですから、予算のほうにおきましても、一応一万人ということにしたのであります。帰りますものが三十万とか五十万とかいうことがはつきりしますれば、直ちにそのときには予備金でこれに対する措置を講ずることができるようにしてあるということをここで申しておるわけであります。今度の補正に入つておりませんのは、これは十二月一日に初めてこの放送があつたという事情でありますので、これに対します新しい事態ということにつきまして、今後どうするかということは現在盛んに準備を進めておる次第であります。
  73. 高良とみ

    高良とみ君 少くとも一億にもならないような僅かのものが、計算すれば五千万円くらいのものでしよう。そのくらいの予算しかない。そこでこの際特別未帰還者でない民間人のことについて二つお伺いしたい。一つは従来何人か帰つて来た、百二十人か帰つて来た。その人を通じて、民間人引揚については向う生活状態がいいとお認めになるかどうか。だから衣類とか或いは食糧、帰るまでの旅費及び受入れ親戚等状態がそう困難でないという見通しを付けておられるか否か、この点を先ず伺います。
  74. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) これはいろいろございまして、いいものもございます。それからよくないものもございます。
  75. 岡田宗司

    岡田宗司君 議事進行について、どうも政府答弁を聞いてみると、兼岩君、高良君に対する答えが甚だ我々にも納得が行かない。受入態勢につきましては、大体政府のほうで準備等具体的に進められておると思う。それを大体文書にして、三万人を受入れる場合にはどれだけの金をかけてどういう施設をするとか、例えば生活援護の問題はどうするかというようなことを一応一覧できるような文書にしてお出しになつて頂けば、この問題について我々も納得し、或いは更にお尋ねもし、更に希望する点も明らかになりますのでそういう一つ準備を願いたい。
  76. 團伊能

    ○團伊能君 只今岡田君からお話がありましたが、木村長官の受入れについての御説明は非常に細かいことがあつて、兼岩委員の御質問のいちいち具体的なことについて、長官も詳しく数字的の御説明の内容をお持ちになつていると思いますが、引揚の問題は他日に譲るか、或いは今岡田君の御提案のように、我々も参考資料として資料も頂いて、明日にでもやることにいたしまして、本日は他の議題の御審議に入られるようにお計らい願いたいと思います。
  77. 徳川頼貞

    委員長徳川頼貞君) それではこの引揚げの問題については、政府のほうから関係書類をできるだけ早く各委員のほうに御配付願いたいと思います。  それでは若し御異議がなければ引揚問題はこの程度にいたしまして、次に本日の議題の民間航空協定関係に入りたいと思います。御異議ございませんか。
  78. 徳川頼貞

    委員長徳川頼貞君) 御異議ないものと認めます。  それでは続いて日本国アメリカ合衆国との間の民間航空運送協定の締結について承認を求めるの件について、政府の御説明を求めます。
  79. 中村幸八

    政府委員中村幸八君) 只今議題となりました日本国アメリカ合衆国との間の民間航空運送協定につきまして、提案理由を御説明いたします。  我が国は、日本国との平和条約第十三条(a)の規定により、連合国の要請があつた場合に、当該連合国との間に国際民間航空運送に関する協定を締結するための交渉を開始することとなつております。この条項に基き、アメリカ合衆国は、本年六月協定締結の交渉を開始する意向を示して参りましたので、六月二十四日から両国政府の代表者間に交渉が行われた結果、日本国アメリカ合衆国との間の民間航空運送協定案が作成され、八月十一日外務大臣とマーフイー特命全権大使とによつて署名されました。  この協定は、日米両国間の民間航空運送の促進を目的とし、世界各国が締結している二国間航空運送協定と同じく、条約附属の附表において各締約国の航空企業が航空業務を運営する路線を定めると共に、その運営開始の手続及び運営の条件を双務的基礎において定めております。ところで、アメリカ合衆国は、日本国との平和条約第十三条(b)に基き、我が国との民間航空運送協定が締結されるまで、平和条約の最初の効力発生後四年間、わが国において航空業務を運営する一方的な特権を享有しております。従つて、この協定の締結により、我が国は、アメリカ合衆国との関係でこの平和条約に基く片務的状態を解消することができると同時に、我が国の航空企業も又、アメリカ航空企業と平等の条件でアメリカ合衆国に乗り入れを行うことができるようになるわけであります。  よつて、この協定の締結につき御承認を求める次第であります。右の事情を了承せられ、何とぞ慎重御審議の上本件につき速かに御承認あらんことを切に希望いたす次第であります。
  80. 徳川頼貞

    委員長徳川頼貞君) 皆さんにお諮りいたします。本日は時間も大分遅くなつておりますので、今日はこの辺でとどめて、質疑は次回に譲りたいと思いますが、御異議ございませんか。
  81. 徳川頼貞

    委員長徳川頼貞君) 御異議ないものと認めます。  それでは本日はこれで散会いたします。    午後零時五分散会