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国務大臣(
岡崎勝男君)
提案理由としましては今申した
程度以上には出られないのでありますが、今度はどうしても
協定の
内容その他に入
つて参ります、詳しく御
説明をするとしますれば……。但し
協定の
内容につきましては、実は今後
逐条審議等をなさるときに一番正確に各条に
亘つて御
説明いたしますので、その点は後に廻しまして、大体の
経緯を申しますと、実は当時
海上保安庁でありましたが、その当時に例えばその持
つておりまする船が
皆木造船でありまして、又
武器もない、僅かにその
職員が拳銃などを持
つておるという
程度で
沿岸の
警備をや
つておりましたが、その当時に、今でも無論そうでありますが、その当時非常に密入国の船が多うございまして、これを防ごうとしましても、相手の船が
武器を持
つておるとか或いは
速力がかなり早いとかいうのでどうも効果が挙りません。そこで
海上保安庁のほうでは、
予算をと
つて新らしい船を建造するということと共に、今までの船の改造を行な
つてデツキの補強をやりまして小さな砲を積む
程度のことで、若し逆に襲われた場合には、すぐに逃げなければならんという
程度のものでないようにいたしたいという
希望がありまして、いろいろ計画いたしたのであります。併しどうもその当時
国内でそういうようなことの
準備を進めるのには時間がかかるし、
予算の
関係もありまして思うように行かなか
つたのであります。ところがその困
つておる
事情をいろいろ当時の
司令部と話をいたしておりましたところが、
先方でもそういうことなら、ことによると
アメリカ政府から或る
程度の船の
貸与ができるかも知れないからということでありまして、そこで、とにかくそれじや頼んでみようということで、こちらから
要請をいたしたのであります。それが本年の四月であります。そうしますると、
向うでも非常に同情して
考えてくれまして、何とかしようということになりましたが、こちら側からの
要請もあ
つたものですから、正式に
向うで取上げまして、
向うの
国会にかけて、そうして
法案を成立させたのであります。で、その
法案ができましたので、こちらでもそれに基いて
協定を作る話に進めて来たのでありますが、
アメリカ側では
法案ができまして
大統領にその
権限を任されましたので、いわゆるエグゼクテイブ・アグリーメントと申しますか、
大統領限りの
権限で
協定ができることにな
つております。そこで
日本側でも同じような形式で
日本行政府でこういう
貸与協定を
作つて、船の
貸与を受けるということにすれば、形が同じで結構じやないかという話もありましたが、
日本側としてはやはりこれは
国会の
承認を求めなければ
いかんであろうという
結論に達したのであります。それは特に
あとでこの
協定の
逐条審議のときに申上げますが、万一船が沈没したような場合には、
両国政府の合意するような額の
補償を払うというようなことがありまして、これは沈没するかしないかわかりませんし、又どういう
話合いになるか将来のことでありまするからわかりませんけれども、
如何にしても場合によ
つては不確定な
債務を負うことに将来なり得る、こういう点がありまして、勿論この不可抗力なんかの場合にはこれは別問題でありますが、それから又これを将来要らなくな
つて返還する場合にはできるだけ元のような
状況で返還する、勿論これも使
つたために自然の減耗といいますか、自然に減損したものはこれは別でありますが、それ以外はできるだけ元のような形にして返すということにな
つておりますので、これも場合によ
つたら不確定な或る種の
債務である、こういうふうにも
考えられましたので、これは
国会の
承認を得て
協定を
締結するのが
日本としては適当であろう、こういう
考えになりましたので、
先方にも話しまして、結局
アメリカ側は
国会の
承認は受けない、
日本側は
国会の
承認を受ける、こういうことでこの
協定を作
つたわけであります。そこでもうこの一部の船は
横須賀に来ておりまして、できるだけ早くこれを実際に使用したいという
希望を持
つておるのでありますが、
協定ができなければできない。というのは、
協定が
承認を得まして、
成規の
手続を経て
効力を発生しなければ
引渡しを受けることができませんので、
只今ではその船の中に行きまして、こちらの者は
いろいろ砲の扱い方とかその他船の
運用等について見学をしたり、その中で
艦艇訓練をしたりしていますが、まだ
日本の旗を立てているわけでもありませんし、又外洋へ出ることもいたしておりません。ただ一応
練習用に使わしてもら
つておるという
程度であります。でこれにつきましては、いろいろこういうものを借受けるということは要するに
自衛力の漸増であり、戦力に至るものではないかという疑惑もあ
つたようでありまして、実は昨日は衆議院の
外務委員の一行は
実地に
横須賀に行かれまして、その船を
実地に見まして判断を下そう、こういうことでありました。でなおこの点は参議院の本
会議でも御
説明いたしましたが、例えば
フリゲート、これはなかなか
言葉が適当な
日本語がありませんので、ここでも
パトロール・
フリゲートと書いてありますが、これは
軍艦じやないか、なぜ
船舶と書いたのか、こういうような御
質問もあ
つたのでありますが、
フリゲートと申しますと、適当な
向うの
言葉もないのですが、
軍艦、いわゆるウワー・シツプということは全然
言つておりません。で
一般のベツセルであ
つて軍艦というには余りに貧弱である、我々のほうから言えばヴエツセルだから
船舶という
名前にしたのでありますが、事実上海上
警備に当るのでありますから、
軍艦でないことは、少くとも
日本政府に関する限りは
軍艦でないことは明らかでありますので、
船舶といたしております。それから
上陸支援艇と言いますか、これも
向うでは
上陸用支援艇、そしてそういうことに使
つておりますが、現に我々のほうでこれを借りて引揚船に使
つたことも御承知の
通りであります。
従つて日本側で使用する
目的が普通の
船舶でありますから、そこで
船舶貸借協定、こういうことにいたしておるわけであります。その他なお御
質問があれば詳しく御
説明申上げます。