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1952-12-02 第15回国会 参議院 外務委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月二日(火曜日)    午前十時五十四分開会   ━━━━━━━━━━━━━  出席者は左の通り。    委員長     徳川 頼貞君    理事            伊達源一郎君            大隈 信幸君    委員            杉原 荒太君            團  伊能君            平林 太一君            石黒 忠篤君            高良 とみ君            岡田 宗司君            有馬 英二君            大山 郁夫君   委員外議員            中山 福藏君   政府委員    外務政務次官  中村 幸八君    外務省大臣官房    会計課長    高橋 藤吉君    外務省アジア局    長       倭島 英二君    外務省条約局長 下田 武三君   事務局側    常任委員会専門    員      久保田貫一郎君   ━━━━━━━━━━━━━   本日の会議に付した事件 ○在外公館名称及び位置を定める法  律等の一部を改正する法律案(内閣  提出) ○中共等の残留問題に関する件   ━━━━━━━━━━━━━
  2. 徳川頼貞

    委員長徳川頼貞君) それでは只今から外務委員会を開会いたします。  在外公館名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。前回に引続いて御質疑をお願いいたします。
  3. 岡田宗司

    岡田宗司君 お伺いいたしますが、この前張群氏がこちらへ来られまして、大分長いこと滞在されました。張群氏の資格並びに使命、それからこちらで行われましたいろいろの折衝等について概略をお聞かせ願いたいと思います。
  4. 倭島英二

    政府委員(倭島英二君) 張群氏が先般見えました資格でありますが、資格蒋介石総統特使というような資格でございまして、それからその特使という趣旨は、我々の承知しておるところでは、日本のほうから緒方さんが吉田総理の個人的な代表という趣旨をも含めて訪問せられたのに対する儀礼的な答礼のようなふうに承知しております。従つて目的はそういうことであつたと存じます。それから別に政府との間では正式な折衝交渉はございません。万事儀礼的な接触があつたよう承知しております。
  5. 岡田宗司

    岡田宗司君 まあ儀礼的というお話ですけれども、どうもいろいろ儀礼的意義以上のものがあつたように私には思われたのです。細かい話は私は知りませんけれども、例えばいわゆる中共貿易の問題に関しまして、日本側ではまあ商社のうちにも中共貿易希望する向きがたくさんありまして、それが一つの運動になる。ところで張群氏が来られまして、若し中共と貿易するような商社があつたならば台湾のほうでは寄せ付けないというような意味発言をされているのです。或いは又南方の華僑との商取引の問題についていろいろ発言されておつたように思うのでありますが、こういうことは単なる儀礼的なものとして来られた人のなすべきことではなかつたと私は思つております。こういう問題について何かやはりあつたのではないかというふうに想像もできるのですけれども、その点について重ねてそういうことがあつたのかないのか。そういうことを外務省として承知しておるのかどうか。その張群氏の発言がどういう影響を持つたか。外務省はそれをどう考えたかお聞かせ願います。
  6. 倭島英二

    政府委員(倭島英二君) 滞在は相当ニカ月以上にも達したが、その滞在中にはむしろ日本側経済文化団体から張群さんのほうへいろいろ接触があつたことを承知しております。それからその接触に関連して、張群さんのほうから華僑との関連というようなことについて言及せられたことも聞いております。併しながら先ほど申上げました通り張群さんの使命が儀礼的なものであり、又政府との関係におきましては中国の大使が在任しておりまして、正式な場合には全部それを通して折衝しておりますが、私の承知しております限りにおいては、民間の諸団体等では話があつたように聞いております。これは新聞にも出ておつたと思いますが、併しながら政府との関係では何ら今御質問のような点についての正式な話はなかつたよう承知しております。
  7. 岡田宗司

    岡田宗司君 政府との間に話がなかつたといたしましても、少くとも蒋介石氏の特使として来る人がああいう発言をすれば、これは日本の例えば中共貿易を開いて行くという証左と見るべきであつて影響があつたと思うが、その影響があつたかなかつたか、それに対して外務省としてはどう考えておるか、まあこれは大臣に聞くのがいいのだろうと思うけれども、まあ一つアジア局長あたりはどう考えておるか、ちよつとお聞かせを願いたい。
  8. 倭島英二

    政府委員(倭島英二君) 張群さんの民間団体、或いは新聞等へ話された件について、例えば中共貿易関係についてどういう影響があつたかという点については、実は遺憾ながらまだどういうことがあつたかということを私承知しておりませんので、関心は持つておりますけれども、まだどういう影響があつたということを具体的に申上げることはできない状況でございます。
  9. 岡田宗司

    岡田宗司君 まあ影響は御承知なければ、その関心を持つておられるその関心に対する局長としての評価があれば、それをお伺いしたい。
  10. 倭島英二

    政府委員(倭島英二君) まだ、実際問題として張群さんがそういうことを経済団体等の人と話をせられたことは承知しております。そしてその実際の取扱というようなものについては、張群さん自身が直接の責任者でもないようでありますが、そういう意見を持つておられるということは承知しておるわけであります。
  11. 岡田宗司

    岡田宗司君 台湾から来た国民政府系のジヤーナリストかなんかの言つたことならそれでも済むでしようけれども、少くとも特使として来た人の言が、而もそれが新聞にも相当報道されておる、これを局長は今関心を持つておられる、関心を持つておられたということは、ただそういうことを聞いて承知しておりますというだけのことじや、私はどうも外務省アジア局長としてのお役目が勤まらんのじやないかというのでお聞きしておるのですから、もう少しそこのところをあなたの御意見を、御感想をお述べになつたらいいと思いますが、どんなものでしよう。
  12. 倭島英二

    政府委員(倭島英二君) 遺憾ながら先ほどから申上げておりますが、私自身が直接そういう折衝に当つておりませんし、私自身張群さんからその問題を聞いておりません。従つてまあそういう意見の交換が民間経済団体の或るものとあつたということは承知しておりますけれども、更にそれについてこの際どうこう思うということを申上げる現在まだ段階にないように思いますので、さよう御承知願いたいと思います。
  13. 岡田宗司

    岡田宗司君 まあその問題はどうもこれ以上お聞きしてもお答えがないからこれでやめますが、次に、一昨日あたり新聞をみますというと、巴商事中共政府貿易関係の役所と話合いをつけて、バーターでまあ向うから物を入れる、こちらから物を出すというような具体的な契約ができたように出ております。これに対して政府は今までとつて来た中共貿易に対するきつい立場をそのままとつてこれを押えるのか、それとも或いはこのできたものに対して、これは成立をさして、事実上の取引を行わせるようにするのか、その点はアジア局長はどういうふうにお考えになりますか。
  14. 倭島英二

    政府委員(倭島英二君) 今、言及されましたその取引の問題については、私実は直接存じません。それで或いはその問題につきましては外務省経済局長のほう、或いは通産省のほうでは承知しており、何らか考えを持つておるかと思いますが、その具体的問題につきましては、又担当者から適当な機会に御返答させるようにしたいと思います。
  15. 高良とみ

    高良とみ君 昨日あたり入りましたラジオなんですが、中共に滞留をいたしておりまする日本人を他の外国人並に希望者日本に帰えす、帰えしたいという放送があつたことは、本日の新聞ちよつと出ておりましたが、多分局長としては留守家族の心情もお汲みになりまして、そういう機会をできるだけ作つてやりたいと思つていらつしやるだろうと思うのですが、それについて二、三お聞きしたいと思いますが、只今バターフイールドの船が四十八名しか収容力がございませんので、例えば向うに残つております人の数にしても三万といい二万といい、どちらが本当か、奥地までの調査が不十分な点もございましようが、三万とすれば少くとも六百日かかるわけでありまして、ああいう外国の船に依存しておつては二年もかかるわけですが、如何ででありましようか、一つ伺いたいのは、配船をする御意思があるかということと、それからその対象として向う赤十字、つまり紅十字を相手になさる御意思がありますかどうか。現在のような国際、国交関係がああいう状態でございまするので、そういう御意思は如何でありましようか。この点留守家族のお気持になつてみれば、寒い冬を迎えて、非常な希望があることだと思いますが、その御都合も伺います。
  16. 倭島英二

    政府委員(倭島英二君) 今の御質問もございますので、実はここにこういう資料がございますからちよつと一つお配り願います。昨日か何かの中共地区からの放送の問題について今御質問がございまして、お答えを申上げたいと思います。先ずその数の問題でございますが、今お配りをいたしました書籍の二十六頁の所をちよつと御覧を願いたいと思いますが、そこへ表を掲げております。今私が引用いたしましたのは、今年の八月二十七日、国連の捕虜に関する特別委員会の第三会期において我が代表西村代表がいたしました演説の一部分でございます。そこの二十六頁の表は、今年の五月一日現在で引揚げ、未引揚げの、政府が従来諸般の、主として国内で入手し得る資料に基いて調査いたしました結果を掲げているのでありまして、その部分の中共の所には、生存者として五万九千二十八名という数字が載つております。これは従来我々が国内で確め得るあらゆる資料に基いて何の某という氏名のわかつている者を挙げているのであります。  それから次の頁の終りのほうに大きな区分けの五というのがございまして、現地から通信が来たものはどのくらいあるかという数字を、次の二十八頁の初めに書いて置きました。その二十八頁の数字を御覧頂きますと、中共地区では二方二千八百九十六、これが通信があつた数字でございます。而もこれは通信者数ということでございまして、これも氏名がわかつておりますが、我々の想像では、通信をするのは一家の例えば世帯主とか、まあ大人の人がするわけでありまして、子供はその中で通信を直接しないので、通信の中には氏名は出て来ないのでありますが、諸般関係でそのうちにどういう子供があるとか、どういう家族があるとかということがわかつているわけでございまして、中共地区通信者数二万二千八百九十六でございますけれども、中共に生存していると思われる数は五万九千二十八、こういうことになつているわけでありまして、最近の中共側からの放送で約三万という数字については、我々まだ腑に落ちぬところがある点を申上げて置きたいと存じます。  それから船の問題でございますが、とにかく船さえあれば帰えそうということは結構な話でありまして、従来も日本政府といたしましては、一人でも多く一日も早く帰えしてもらいたいということで、あらゆる機会に要求をしているわけでありまして、又船も都合がつくと存じます。従つて適当な連絡がつき次第、まあ三万人でも五万人でも乗れる程度の船は、まあ一どきには或いは間に合わないかも知れませんけれども、船は仕立てて送るようにし、帰すように手配をしたいというのが政府考えであります。
  17. 岡田宗司

    岡田宗司君 只今適当な連絡という言葉を言われましたが、現在の日本中共政府との関係は何ら公式にはない。その適当な連絡ということは如何なる方法によつてやられるか。例えば北京にあるスエーデン公使館とか、そのほかの国の大公使館を通じてその問題について政府連絡をとるか、或いは何らかほかの方法でとるか、或いは又若干向う側のその発表に示されましたように、日本側民間団体をして向うの紅十字社と接触を、例えば香港のような所で以てこの問題についての具体的な方法を講ずるのか、そこらの点はアジア局としてはどうですか。
  18. 倭島英二

    政府委員(倭島英二君) 大体今列挙されましたような方法を従来もとつておりますが、従来何回連絡をいたしましても、梨のつぶてで返事がなかつたわけであります。併しながら、こういう向うからの積極的な発表がありましたからには、これも根拠のないものではないと思いますし、又そうでないことを希望するわけでありまして、従来続けておりましたそういう、今御指摘のような方法でありますが、それを更にやつて見たいと考えているわけであります。
  19. 岡田宗司

    岡田宗司君 まあ今のような方法をとられるといたしまして、特に私は最後に指摘しました日本側における民間団体と、向うの紅十字社との接触の問題ですが、これについて政府は、如何なる民間団体にこれを委嘱というか、協力させるというか、させるつもりであるか、新らしく作るつもりか、或いは現在の引揚者の団体を以て当てるつもりか、その辺のところはどういうふうにお考えになりますか。
  20. 倭島英二

    政府委員(倭島英二君) 実はこの報道を耳にしましたのは私昨夜でございまして、今朝からすでに、我々政府部内のものもいろいろ相談をしております。従つてまだその相談の結果、こういうふうにやりたいということまで実はまだ具体的に結論が出ておりませんので、今暫らく具体的なお答えはでき得ない状況でございますけれども、できるだけ早く方法考えまして、決定をして連絡をしたいと、こう考えております。
  21. 岡田宗司

    岡田宗司君 これはできるだけ早くされることが、この家族の人々にとりまして非常な喜びになりますし、又全体の見地から見ましても、一日も早いことがあらゆる面で好結果を及ぼすのじやないかと思うので、一つ至急にお願いしたいと思います。それから船の問題ですが、これは前にシベリアからの引揚に使いました船が、そのまま今日まだ残つているのであるか、待機しているのであるか、それからこの三万有余の人を引揚げさすにつきましては、やはりいろいろ、金も必要でありましようが、それらの金は予算上どういうふうになつておるか、その二点をお伺いしたいと思います。
  22. 倭島英二

    政府委員(倭島英二君) 船の点も金の点も、これは直接の所管は厚生省のほうでやつておられますから、或いは詳しくはそちらのほうからお答え願えるかと思いますが、私の承知しているところでは、手当ができる、いつでも手当ができる状況にあると考えております。
  23. 高良とみ

    高良とみ君 大分いろいろ伺いまして非常に喜んでおるのでありますが、向うがはつきりと、向うにあります赤十字社、これはこの前トロントにも出席したはずでありまして、赤十字に御連絡頂くことと、向う放送しているのでありますが、それをお認めになる意思があるか。それで先ほどの第三国を通すということは、それはデンマークでもスイスでもやつてくれると思いますけれども、先ほどお話のあつた通り、梨のつぶてということは、やはり非常に間接になるということと、如何にも日本政府がそのことに対して、問題に直面するのを避けているような印象をあらゆる方面に与えるのじやないかということを心配するのであります。御承知通りこの前インドの文化使節団パンデイツト女史がじかに、向う使節に対しては非常に尽力してくれたのでありますが、そういう方法でなしに、向うが指摘しておりまする赤十字を認めて、赤十字社と御交渉になる意思があるのか、先ずそれを伺いたい。それから御承知でありましようが、鞍山地区或いは旧満洲、即ち今東北地区には非常に日本人が多いのでありますが、その薬品手当材料等について、従来はこれは呉まで出ても、戦力増強になるというわけで禁じられておつたわけでありますが、今回は引揚同胞のうちには結核患者もありましよう。怪我をしておる人もありましよう。そういう薬品等については手当をなさる、これは輸出品でも勿論ないわけですが、御意思があるかどうか。第三点は、御存じでしようが、天津なら天津に参りますと、やはり何日か船待ちしたり、手続をしたりする間の滞在費が必要なのでありまして、これはかねて日本赤十字でも心配しておられたようですが、これについて十分な手当の費用は、毎年上げておりましたあの引揚援護庁予算が使えない使えないと言つてつておるのでありますが、そういうことについて十分、これは引揚事務でありまして、外務省所管でないと言われればそれまででありますが、それは滞在費というものが困難なのでありますから、その点について御考慮しておられますかどうか、それだけの意思がおありになるかどうか、この三点についてお伺いしたいと思います。
  24. 倭島英二

    政府委員(倭島英二君) 第一点の赤十字の一問題でございますが、これは御承知通り従来も日本赤十字のほうから、私の承知しておるだけでも三回ぐらい、たしか三回ぐらい機会のあるたんびに向うのほうの赤十字代表等に話をしておられるわけでありまして、でまあその話を聞いたときには一つ研究してみようとか何とかいうことで、そのままになつてつたわけであります。従つてまあ赤十字でありましようとも、或いは他の団体でありましようとも、他の方法でありましようとも、それはどちらでも別に差支えないので、日本といたしましては、一日も早く一人でも多く帰りたいという人を帰えしたいということでありまして、これはいずれ、先ほども申上げましたが、目下研究中でございまして、あらゆる方法で、できる方法で、又話の付く方法一つ引揚の実現を図るように努力したいと、いう考えております。それから薬品等を送る問題だとか、或いは滞在費の問題、これは実はいよいよそれじや船を出そう、或いはそれについてどういうことにするかということまで話が進むことになりますれば、勿論これはその附帯のことでありますし、日本としては何とか連絡が付けばできるだけのことをしたいというのが我々の希望でございまして、従つて薬品でも滞在費でも万事都合して何とかするという気持であることはもう申上げるまでもないということでございます。
  25. 高良とみ

    高良とみ君 よく御趣旨わかりましたが、なお、そうしますと、未だ講和条約を結んでおらない、外交関係の回復しておらない国にありましても、自分の国の国民がおります限り、それが而もああいう戦乱の結果苦難をしておるという場合に、外務省としては、これは公式の交渉をすると向うを認めることになるから、これは成るべく民間団体にさせるとかいうようなお心持ではないかと、こう了承してよろしいでありましようか。聞いてみると、これを応用いたしますると、ソ連地区に残つておりまする同胞につきましても、これに交渉をするとこれを認めることになるからとか、又向う側に言わせれば、未だ一通の手紙も来ないというふうに向うがとつておるようでありますが、政府としても、恐れなく、国の命令によつて、国の任務のために出掛けた人を引揚げ及び戦争の後始末についてはその国とも交渉をして行くという御意思があるんでありましようか、それは又御迷惑な点があるでありましようか、その点率直に一つお聞かせ願いたい。
  26. 倭島英二

    政府委員(倭島英二君) この問題は、我々政治とか経済とか外交とかい、うことよりも人道上の問題と考えておりますわけであります。殊に先般の戦争善後処理の問題で我々として一番心痛しておる問題でありますし、人道問題として一日も速かにこの関係かたがた心配なり或いは窮状を何とか救うようにしたいというのが政府気持でありまして、従つてそうほかの建前等にこだわる必要はないと存じます。
  27. 高良とみ

    高良とみ君 よくわかりました。そこで例えば人数のことについてよくこだわりがあるのでありますが、それは戦乱の巷にありましていろいろなことがあつたというように私ども聞いております。そこでこの引揚交渉向う政府乃至は赤十字等日本がいたします場合に、すぐ近いことでもありまするし、責任のある外務省の係りのかた、或いは現地調査団というふうなものが国会等から行きますることに対して何か旅券等をお出しになることに支障があるかどうか。私どもも御説の通りこの問題は人道問題であると考えておりまするので、これだけの数が足らないということでいつまでも両方でごだわつていないで、どういうところで、どういうふうにして死んだかということが、やはり現地調査団でも参りますならば、適当な了解に達する点があるように考えます。それはその次の問題として、いずれ片付けなければならない遺骨引取りという問題もありますので、そういう国民代表がこの問題を成るべくスムースに片付けるために現地へ出掛ける、或いは国民代表が行くことについては未だ旅券等を出すのには非常に迷惑であるというふうにお考えでありましようか。少し差出がましい問題でありますが、伺いたい。
  28. 倭島英二

    政府委員(倭島英二君) 数の問題はこれは従来我々の知り得た資料、例えば向うから帰つて来られた人、或いはその後の通信等によりまして、先ほど引用しました所に掲げられております例えば五万九千二十八名というのは何の何がしという名前を承知しておる数字でございまして、この数字、或いは更に通信が来た二方二千八百九十六という数字を、これを変えるとか変えんとかいう問題はこれは別の問題に考えたいと思います。これは事実として我我が承知しておることでありまして、この数字はこの数字一つ意義もあり、建前もあると存じます。併しながら先ほどから申上げております通りに、引揚の問題は一日も早く一人でも多く帰つてろうようにしたいということでありまして、例えばこの数字について話が付くとか付かんとかいうことでこだわるとか何とかいうことは考えておりません。一人でも多く、一人でも一日も早く帰れればそういうふうに手配をしたいというのが我々の気持でございます。  それからそういうことを促進し、そういうことをやるために何か人が向うに行くという問題についてどうかという御質問でございますけれども、この点については、その方法その他について先ほども申上げました通りに、その目的に、引揚目的にかなうようにあらゆる方法を研究してみたいというふうに考えております。そういう上で一つ御返答申上げるようにしたいと思います。
  29. 高良とみ

    高良とみ君 更にこちらの二万二千八百九十六というのは、向うの三方よりも少いわけで、勿論家族手紙を書かないものもおります。奥地に長年住みついておる者もあります。又日本人であつてもいろいろな職務の都合上、事業の都合上帰れない、帰りたくないという人もあるでありましようが、こちらの気になるのは、この五万九千というのは、曾つて七万いうような話もあり、十二万というような話もあつたのがだんだん減つて来たのだと思うのであります。調査においても一面的な調査でありまするし、そのうち死亡者等もあると考える場合に、これをそのことにこだわらずに成るべく生きておる人間で帰る人に帰らせるという意味一つ手続上の問題でありますが、日本入国許可証というものをこちらから送らなければ帰国手続ができないといつて非常に心配をしておる留守家族が随分あつたのであります。日本中国におりまする同胞が帰りまするときには常に英国大使館を通して日本外務大臣許可を得なければ帰れないのでありまして、その点がこういう一般邦人でありまして、これは戦犯や或いは兵隊でないのでございますから、その点について簡素にやつて頂ける御意思があるますかどうか、これは条約或いは入国管理令の問題でありますが、入国許可証というものを送らないでも向うが帰えす意思があつて離国手続許可するという場合に一つ国民留守家族が持つておるそういう一つの非常なむずかしいレツド・テープについてちよつと御説明願いたいのです。
  30. 倭島英二

    政府委員(倭島英二君) 私の存じておりますところによれば、別にこの引揚関係帰つて来られるかたがたに対しては入国許可証というものは要らないのでありまして、いつでも帰つて来れるわけであります。ただ帰つて来られたときに、従来も引揚をしました舞鶴だとかその他のところで本当に日本人かどうかという問題は、大体間違いないのでありますけれども、或る記録をとる程度のことをいたしておつたわけでありまして、従つて入国許可証というものをあらかじめ取付けなければ帰つて来れんという関係一つもありません。それから私の存じておるところでは入国管理令と申しましても、この引揚関係では日本人日本帰つて来るのにあらかじめ許可を取付けるという関係はないように思います。
  31. 平林太一

    ○平林太一君 只今の北京放送のことは極めて大きく考えられる問題でありますが、中共に三万余の日本人がおるということは、今回の北京放送で明らかになつたわけであります。なお又この資料によりますと五万九千二十八人が生存しておるということでありますが、これに対しまして具体的に放送の内容として伝えられておりますのに、第一にこういうことが書いてあります。帰国を望んでおる日本人については北京政府はその帰国を援助したい考えをこれまで持つていた。事実中国人民共和国が成立してから今までに少なからぬ日本人が帰国した。併しあとになつて船が欠乏して来たためにこれは困難となり、そのために帰国を望んでおる日本人は彼らの望みを達成できなかつた。これは非常に重大なことだと思います。このことは本年六月の当委員会におきまして岡崎君から極めて明確な答弁をされております。それは、船を早急に準備して、手配して早速向うにやるのだ、こういうお話でありました。私どもはそのことを質問いたしましたところがそういう回答でありましたので、当然そのことはそのように取進んでおるものと私は承知いたしておりましたが、只今の御答弁を伺つておりますと、そういう具体的な措置はしなかつた、こういうことであります。これは非常に残念であり、遺憾であつたということをこれは第一に申上げておきます。  第二には、今後帰国を望む日本人の措置については、若し日本側が船の問題を解決する方法がありさえすれば、中国政府と人民は日本人の帰国を援助するよう努力したい考えである、これが第二であります。  第三は、帰国を望んでおる日本人は一般の外国居留民離国手続によつて帰国の申請をし、中国政府の一定の機関から証明を交付されれば、皆帰国することができる、こういうのであります。この点を先ず向う発表いたしておりますが、このように当方では考えてよろしいかどうか。一応局長から伺いたい。
  32. 倭島英二

    政府委員(倭島英二君) 大臣から御説明を申上げたという点でありますが、これは従来もあらゆる方法を通じて中共のほうへ連絡をして、つまり我がほうの希望を伝えて、いつでも帰えしてもらえるならばいつでも船を送りますということは言つております。併しながらそれは先にも御説明を申上げましたが、向うの答がないので、船その他の準備も送ろうと思えばいつでも出せる程度に具体的に、船も舞鶴にあるということを承知しておりますが、従つて向うとそういう連絡さえつけば送れるという状態にあるわけでございまして、政府といたしましてはできるだけの措置を従来とつておるのであるということを重ねて御説明を申上げたいと思います。ただその際に向うからやはりはつきり言つて来なければ、船を抑留せられたり、取られたりするということにもなりまするし、無駄にもなりまするし、そういう関係でそういう連絡をつける方法に努力しておつたわけであります。それから中共のほうで残留しておる我が同胞の帰るのを援助する、誠にこれは結構なお話で、是非援助して頂きたいと思うのですが、又その手続についても、向うで出国させてくれるというならば、我々のほうにおいては何ら異存はございません。一人でも多く一日でも早く向う手続を済ませて帰れるように、それで船を送るということについて向うが了解、合意をしてくれるならば、我々は一日も早く船を仕立てて迎えに行きたいと、こう考えておる状況であります。
  33. 平林太一

    ○平林太一君 そうすると、船をこちらで用意する、それから向う交渉がつけば出ると言うのでありますが、今の話を聞いておりますと、やはり六月岡崎君が外務大臣として御答弁になられたその域を脱しないと思う。甚だ心許ないと思うのでありますが、その点をもう少し、今度こうしてやるのだ、それから向うとの連絡がつかないということは、一回連絡してつかない場合もありましよう、二回やつてつかない場合もある、三回やつてつかない場合もある。そういうことですが、それに対してもう少し具体的にどういう連絡の仕方をして、それからどういうわけで向う連絡がつかないのか、それからつかないときには今後はどういうようなことでつかせる方法だとか、今までお話がありました通り、帰国を一刻千秋の思いで皆帰るのを待つておる、我がほうといたしましては……、それについてはどういうふうに考えておりますか、伺いたい。
  34. 倭島英二

    政府委員(倭島英二君) その点は先ほどから御説明申上げております通りでありまして、この問題につきまして、日本中共との間に直接の外交関係がないということは御承知通りでございます。併しながら中共を認めておる国で日本と交際のある国がございますから、その国々に頼んで速かに話を、何とか難儀をしても帰りたいという人、又向うにおればおるだけ向う中共にも厄介をかけるような人も相当あると思うからして、少くともその人たちの帰るのを促進してもらいたいということを申入れております。ただどういう国に頼んだかという点につきましてはその勧告をしてくれた国の希望もありまして従来名前を発表しておりません。そういう国のほうへ頼んだ場合もありますし、それから先ほど申上げましたが、日本赤十社がいろいろな機会に、私の承知しているところでも三回くらいはあつたと存じますが、中共代表接触しました際に頼んでおります。これもやはりその後の返事がございません。それから御存じの通りに国際連合でも取上げておりまして、我がほうの希望というものが先方に伝わる手続はとられておると存じますけれども、これについても従来までに返事がないということで、政府といたしましてはあらゆる方法で我々の希望向うに伝えて、何とか連絡をつけたい。先方に今残つている同胞には大きく分けまして二種類あるようです。一種類は中共の当局がいろいろな関係から止めておいて使いたいという種類の人が相当あるようです。それからそのほかの同胞はこれは別に抑留されておるとか留用されているとかという関係ではなくても、諸処ほうぼうに散らばつておりましたし、又その身分関係も必らずしも日本人ということを名乗つていない人たちも一時相当ございました。そういう関係で各方面で帰りたいという希望を持つてつても、交通、通信その他の関係で出られなかつた連中も相当あるのじやないかと存じます。それでそのいずれに属するにせよ、一人でも多く、一日も早く帰りたいという人、或いは内地で家族が帰りを待つておられる人たちについては、その帰還の方法を一日も早く講じたいというのが従来の方針でございます。
  35. 平林太一

    ○平林太一君 勿論これはお話を承わるまでもなく非常に外務省としても骨を折つておられることがよくわかりますので、その点拝察ができるわけでありますが、要はやはり非常な責任を持つてこういう困難の問題を解決するところに外務省外務省たるゆえんがあるのでありますから、十分その点を今後積極的にこれを一つやるように、期待に応えられたいということを申上げておきます。それにつきまして、この放送の中にもありますが、一般抑留日本人以外に戦犯があるということを明示しておりますが、この戦犯に対してはすでに関係各国に対して他の戦犯の関係各国に対してそれぞれ手続をいたしておりますが、中国戦犯に対しては何か向うにおりまする戦犯者に対しましてはどういうように外務省は今後考えを以て進まれるのか、この点一つつておきたい。
  36. 倭島英二

    政府委員(倭島英二君) その戦犯の問題でございますが、御存じの通り国民政府の当時のいわゆる戦犯関係かたがたは全部我々の承知しておる限り日本のほうへ帰られて、そうして更に巣鴨のほうに一時入つておられましたけれども、全部そこを出られた関係になつております。それから現在中共のほうで戦犯というのはどういう種類のことか、実ははつきり見当つけかねております。実はソ連の発表の一部の中に九百何名の中国関係戦犯のものは中共に渡すという発表曾つてつたことがございまして、その人たちのことを意味するのではないかと思いますけれども、その点については何しろ中共側で戦犯ということを言いましたのはこのたびが初めてでありまして、ソ連のほうで中共関係の戦犯ということを発表したのは大分前でありますが、一体それが果して中共側の手に渡つておるのかおらんのか、これも従来の関係では知り得なかつたわけであります。併しながら今度の放送にいたしましても中共側に戦犯があるということがわかつたわけでありまして、どういう関係の戦犯か、これは何とか確かめたいと存じます。これらの人たちの帰国についても他の同胞と同様に努力をしたいと、こう考えております。
  37. 平林太一

    ○平林太一君 今御答弁の通りにこれは戦犯が少数と書いてありますが、少数の戦犯がおるということを明らかにいたされたのでありますから、これはその通り承知して差支えないと思うのでありますが、これに対しても併せて一つ措置を早急に考究されて、その措置に対するところを速かに国民発表できるように御措置をいたすように要請いたすのであります。それからこういう何を承知するにつけましても、いわゆる日本外交というものが常に受身である、そうしてこういう問題に、他に通商上の問題などは最も大きく取扱わるべきであります、かくのごとく事理明白な問題ですらみずから我がほうが進んで事を取運びをするという日本外交国民に対する忠実性というものが非常に稀薄である予感を受けるわけであります。別に攻撃するわけではありません。これらの問題もこうでありますから、我がほうからむしろ要請、懇請をしたならば今日を待たずして数カ月前に相当時日の面において遡つて、こういう問題がもつと迅速に取運ばれたものであると、こう思うのであります。でありますからこういうことは一つの、外務省はこういうことを重要視せられて、そうして今後の講和条約を締結していない各国に対して、殊にアジア関係の諸国に対しましては国交回復のために非常な力をいたさなければならないということを、むしろこういうことを物語るにつけても感ぜざるを得ない。これに対してアジア局長は今日もそういうことは国交回復のためにいわゆる旧敵国でありました各国、殊にアジア諸国に対してそういう方法をとつておられると思うが、その点はどのように只今発表ができるか、これを伺つておきたいと思う。
  38. 倭島英二

    政府委員(倭島英二君) 国交回復の問題はいろいろ諸般関係がございますので、全般的にはちよつとここで概括的な意味のお返答を申しかねますけれども、例えば引揚の問題、殊に人道問題である引揚の問題につきましてはすでに先ほどから申上げております通り、たびたび要請、懇請あらゆる方向を通じてやつておる次第であります。ただ相手のほうが默つて何にも数年間言わない、或いはそういう懇請に対して何ら返事がないというので、実は今日まで延びたわけでありますけれども、政府は従来もいろいろ努力をしておりますし、今後もこの問題につきましては積極的に我がほうも努力をするつもりでおります。
  39. 平林太一

    ○平林太一君 私のほうからそれはあえて答弁をここで、非常に困難と思われる答弁で、あると思いますから、それ以上申しませんが、一つ十分にその点を考慮せられて然るべきだと思います。それに関連して中共に対しまする通商貿易の問題、こういうことは今日しばしば外務省の方針を伺つておりますが、やはりこの中共自体に、実は通商或いは貿易ということよりも遥かに深刻な問題である抑留者の問題でありますとか、戦犯の問題が、かように発表もし、具体的には何ら拘束することなく、こつちへ帰えすというようなことを発表しておりますことを見ますと、先方のいわゆる中国政府の腹中というものが相当に我がほうに対して、我が政府考えているよりも遥かに先方の何か襟度、雅量と言いますか、そういうものを多く示して来たということがこれは察せられるのであります。ですからこういうことにつけても、我が国の通商或いは中共貿易中共通商というものは何か奥歯に物の挾まつたようなことで、これを遠慮に遠慮をして、そうして何かに拘束されているような形でのみ進むべきではない。ただそういうことの打開によつて私は相当範囲が拡大して、可能な方面に中共の貿易というものの見通しが出て来たということを考えるのでありますが、それにつけましても今後中共に対しましての、つまり通商協定でありますとか、或いは貿易上に対する協定というようなものは、これは別に何か今日まで中共が、いわゆる中ソ同盟条約によつて云々というようなことを我がほうのほうで憶測して、全然さような行為を食わず嫌いでいる、露骨に申しますればこれはとるべき処置でない、かように思いますが、この根本的な今後の通商貿易に対しまする考え方というものを、一つこの際どういうふうに考えておるか、或いは今後もこういうふうな日本の実情からしてこういうふうに考えなければならんというようなことについて一つお話を承わりたい。
  40. 倭島英二

    政府委員(倭島英二君) 御意見の点、いろいろ同感に思う点があるのでございますが、実はその問題につきましての、何と申しますか、日本が現在立つております国際関係というようなことから、大体現在政府がとつております方針を適当と認めてやつておる状況でありまして、単に気がねをするとか、遠慮をするとかいうことではなくして、みずから国際関係の中に立つ地位を弁えて、現存とつておる政策が適当であるというところからとられておるものと存じます。ただ今後この経済問題の原則的なことから言いますれば、できるだけ多く相通ずることが結構なわけでございまして、経済上の考慮と、それから政治外交上の考慮というものを按配して今後も政策はきめられるだろうと存じます。
  41. 大隈信幸

    ○大隈信幸君 議事進行について。大分御質問が本論を離れて行くような気がするのですが、この在外公館名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案の本論に入つて頂いて、質疑がなければこれで質疑を打切つて討論採決をして頂きたいと思います。
  42. 徳川頼貞

    委員長徳川頼貞君) 平林さん、よろしうございますか。
  43. 平林太一

    ○平林太一君 よろしうございます。
  44. 高良とみ

    高良とみ君 一点だけ引揚のことについてのジユネーヴ協定のことについてここに説明があるのですが、ちよつと簡単に御説明頂きたいと思いますか……。
  45. 徳川頼貞

    委員長徳川頼貞君) 簡単にお願いいたします。
  46. 高良とみ

    高良とみ君 私の了承しているところによりますると、日本が敗戦後でありますが、捕虜引揚に関するジユネーヴ協定というものが世界にできているわけであります。そのものはこの会議と直接の関係があるのですから、第一にこれは国連における引揚委員会のことでございますが、ジユネーヴ協定は国の命令によつてなつた捕虜は国の責任において帰えすという原則と了承いたしております。その点を……。
  47. 倭島英二

    政府委員(倭島英二君) 実はそのジユネーヴ協定というものは一九四九年の最近のものと思いますが、これは調印をしておる国は大分ありますけれども、まだ批准していない国も相当ございまして、その調印しているということは、その趣旨が認められたものと大体了承するということだろうと思いますが、まだその批准されて発効しておる関係の国はそう多くはないように思います。併しながら大体そういう俘虜の取扱というものについてはだんだん国際的に適当だと思われる観念が成熟し具体化しつつある方向にあると存ずるわけであります。この件については実はまだ少し詳しく申上げなければならん点もあるかと思いますから、別の機会に又御説明さして頂きます。
  48. 高良とみ

    高良とみ君 了承いたします。
  49. 岡田宗司

    岡田宗司君 引揚についてちよつと……。実は今問題になつている中共からの引揚ではないのですが、韓国の釜山に大分日本に帰りたい人が残つてつて日本側のほうで入れるとか入れないとかいうような問題があつて帰れないこ大分悲惨な生活をしているということが向うの特派員等によつて伝えられ、又そういうことがいろいろほかのほうからも言われておりますが、それは一体外務省でどういうふうにお取扱いになるのですか、早く何とかさしてやらないのですか。
  50. 倭島英二

    政府委員(倭島英二君) この件も詳しく申上げますると大分長くなるかと思いますが、極く簡単に申上げますると、最初あそこへ集まつた関係でも六、七百名ぐらいありました中で、殆んど全部帰つて参りました。而も日本政府として現在帰えしております手続は、いやしくも日本人として血の繋つている人はもう帰りたいということだし、帰えしたらいいじやないかというのが結論でありまして、実は相当、大部分の人が日本の婦人ではありますが、朝鮮人と結婚をいたしまして、そうして国籍はもうとうに、とうにと言いますか、朝鮮の現在の建前日本の国籍を離れている関係の人、それから又連れております子供はまあ四、五人、多いのは又相当多いようでありますが、子供を相当連れておられる。これは勿論日本人としての国籍はないわけでありますけれども、それが結局は血が続いており母親が帰つて来るということならいいじやないかということで、日本婦人である、或いはどこか籍があり、親がおり、親戚があり、或いは友達があり、落着く先があるという程度まで調べまして、とにかく日本関係があるということなら帰つていらつしやいということで全部帰えしております。最初おりましたうち殆んど全部帰つております。最近のもう五、六十名、その五、六十名の中にはそういう極く軽微な繋りさえもわからない、中には日本語が上手で、全然日本側関係のない人までも来そうな点もありますので、この点はやはり或る程度取調べざるを得ない。これはどんどんあらゆる便宜を今供与しております。従つて今申上げた程度の繋りがわがればもういつでも帰れるようにしたい、こう考えております。
  51. 徳川頼貞

    委員長徳川頼貞君) 他に御質疑がなければ、前回杉原委員から御質問なつた件につきまして政府のほうのお答えを願いたいと思います。
  52. 中村幸八

    政府委員(中村幸八君) 前回の委員会におきまして杉原委員より御質問があつた点について、留保いたしました点についてお答え申上げます。日本に派遣されておりまする在外使臣の特権について、外交官と領事官との間の待遇が違うのじやないかというお尋ねでありましたが、その点は法制上は違うのでありまするが、実際上の問題といたしましては原則として同一に取扱をいたしておるのであります。  次に、東京にありまする英国領事は事実上は大使館で執務いたしておるのでありますが、これも形式上は領事の身分を持つておりまして、大使館員の資格で行なつておるのではありません。我がほうといたしましても当初大使館員をしてその肩書で領事事務を行うことができるように取扱う方針でおりましたが相互主義に基きまして同様領事として執務いたしまするために、法制上総領事館を置くことにいたしたわけであります。以上お答え申上げます。
  53. 徳川頼貞

    委員長徳川頼貞君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  54. 徳川頼貞

    委員長徳川頼貞君) 速記をつけて。
  55. 中山福藏

    委員外議員(中山福藏君) 各委員のかたに厚くお礼を申上げます。  一つお尋ねしておきたいのですが、実はこれはいわゆる一種の強制抑留という形になつておりまする中ソの在留者のかたは別といたしまして、私外務省のおかたに尋ねたいのは、インドネシアからネパール、ブータン、或いはビルマ、フイリピン、インドネシアという方面に相当数の人がおられると私は大体想像しておるのです。殊に私が先般ビルマに参りましたときに、服部総領事ですか、あそこにおられるかたは。在外事務所におられるかたに面会したときに、ビルマには約六千から七千残つておるということをはつきり私に先々月申したのであります。どういうわけでお帰りにならんのですかと尋ねましたところが、帰る方法を問合せて来ると、こういうのですね。ところでその方法について回答を与えるというと、それつきり音信が絶えるのだというわけです。恐らくこれは養子関係とかいろいろな立場に立つて家族の人がその領事館の回答というものを握り潰すのではないかと私は見通しをつけたのであります。こういうことについて中共或いはソ連以外の土地に大体どれくらいの人がおるというようなことについての御調査はなさつておるのでございましようか。その点ちよつとお伺いしておきたいと思うのです。
  56. 倭島英二

    政府委員(倭島英二君) 調査をいたしております。
  57. 中山福藏

    委員外議員(中山福藏君) 調査をしておられますならば、一つ相当の時期に何とか、委員会、我々外交問題について関心を持つております者にお知らせを願いたいと考えます。  それからもう一つ、私、外務次官が来ておられますから、これに関連して……。
  58. 徳川頼貞

    委員長徳川頼貞君) ちよつと速記をとめて。
  59. 徳川頼貞

    委員長徳川頼貞君) 速記を始めて。  ほかに御発言もございませんか……他に御発言がなければ質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
  60. 徳川頼貞

    委員長徳川頼貞君) 御異議ないものと認めます。それではこれより討論に入りたいと存じます。御意見のおありのかたは、それぞれ賛否を明らかにしてお述べを願いたいと存じます。なお岡田委員から修正案が委員長の手許まで提出されております。
  61. 岡田宗司

    岡田宗司君 私は在外公館名称及び位置を定める法律等の一部改正法律案に対して修正案を提出いたしたいと存じまして、その案を委員長並びに各委員諸君に文書にいたして配付さしておいたのでございます。で、私どもが修正をしたいというのは、長くは申しませんが、私どもは今日台湾にある蒋介石政府中国の正当なる政府として認めないという方針を党としてとつて参りました。従いまして、過日台湾政府日本政府との間に結ばれました和平条約に対しまして反対をして参つたのであります。その立場からいたしまして、中華民国日本国大使館というものを台湾の台北に置くことには反対をいたすのであります。そこでこの表中にあるものにつきまして修正を施したい、こういうつもりでここに修正案を提出した次第であります。修正案は極めて数字も多く、技術的なものでございますので、この文書を御覧になつて頂きたいと思います。  以上修正案の理由を御説明いたします。
  62. 徳川頼貞

    委員長徳川頼貞君) ほかに御意見はございませんか。
  63. 平林太一

    ○平林太一君 只今岡田君から修正案に対して御説明がありましたが、誠にこの法律案に対しまする慎重を期せられたことに対しましては深く敬意を表するのであります。併し私といたしましては、同君の修正案はすでに中華民国政府との間に成式に条約が締結せられておりまする今日におきましては、当然大使館の設置せられますことはむしろ議論の余地を待たざることでありまして、根本的な問題に私は遡りまして原案を以て妥当といたしますために、只今の修正案に対しましては反対をいたしたいと思います。そういう意見を申上げておきます。
  64. 徳川頼貞

    委員長徳川頼貞君) ほかに御発言もございませんか……。他に御意見がなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  65. 徳川頼貞

    委員長徳川頼貞君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより本案の採決に入ります。先ず岡田委員提出の修正案を問題に供します。岡田委員提出の修正案に賛成のかたの挙手をお願いいたします。    〔賛成者挙手〕
  66. 徳川頼貞

    委員長徳川頼貞君) 少数と認めます。よつて修正案は否決と決定いたしました。  それでは在外公館名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案の原案全部を問題に供します。原案通り可決することに賛成の諸君の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  67. 徳川頼貞

    委員長徳川頼貞君) 多数と認めます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお本会議における委員長の口頭報告の内容は、あらかじめ多数意見者の承認を経なければならないことになつておりますが、これは慣例によりまして委員長にお任せを願いたいと存じます。  それから本件を可とされたかたは順次御署名を願います。  多数意見者署名    伊達源一郎  大隈 信幸    杉原 荒太  團  伊能    平林 太一  石黒 忠篤    有馬英二委員長徳川頼貞君) 署名漏れはございませんか。署名漏れないと認めます。
  68. 徳川頼貞

    委員長徳川頼貞君) それでは貸与船舶協定の法案は次回に説明を政府に求めまして、続いて質問に入りたいと思います。本日はこれにて散会いたします。    午後零時十五分散会