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1953-03-14 第15回国会 参議院 運輸委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年三月十四日(土曜日)    午前十時五十七分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小泉 秀吉君    理事            岡田 信次君            高田  寛君            小酒井義男君    委員            仁田 竹一君            一松 政二君            高木 正夫君            内村 清次君   国務大臣    運 輸 大 臣 石井光次郎君   政府委員    運輸省船舶局長 甘利 昂一君    運輸省鉄道監督   局民営鉄道部長  山内 公猷君    運輸省航空局長 荒木茂久二君    運輸省航空局監    理部長     粟沢 一男君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君    常任委員会専門    員       田倉 八郎君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○日本航空株式会社法案内閣提出、  衆議院送付) ○臨時船舶建造調整法案内閣送付)   —————————————
  2. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) それではこれから委員会を開会いたします。  先ず日本航空株式会社法案を議題に院運輸委員供します。前回に大体説明政府からありましたので、今日はこれから質疑に入りたいと思います。
  3. 岡田信次

    岡田信次君 今日は運輸大臣は来ないのですか。
  4. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) 運輸大臣出席要求はしておりませんでしたが。
  5. 岡田信次

    岡田信次君 これは重要な法案だから一回来てもらつたほうがいいと思うのです。
  6. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) それでは運輸大臣が来るまで、運輸大臣以外に御質疑がありましたら一つお願いいたします。  それでは本案は衆議院のほうで修正をされて、修正案が今日こちらへ廻つておりますから、一応専門員にその修正について説明をしてもらいたいと思いますが、よろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) 御異議ないと認めます。専門員ちよつと修正案説明をして下さい。
  8. 田倉八郎

    専門員田倉八郎君) これは衆議院修正ですから、若干の想像が加わりますけれども、事情の知つているものとして一応御説明申上げます。一番主なる修正原案の第十一条、会社事業に関する基本的計画認可を要するという規定を削つたのであります。これは運輸大臣提案説明にもありました通り政府はこの会社に対して成るたけ干渉しないで、できるだけ会社自主性を発揮させると、こういう説明があつたにかかわらず、相当認可事項が多かつたわけですが、それが殊に事業に関する基本的計画を毎年々々認可を受けるということは、今の大臣説明趣旨にも合わないという意味一つ。もう一つは、基本計画というものの中で、想像しますのに、一番大きなことは、例えば新らしい航空路を開く「というようなことだろうと思いますが、新らしい航空路を開く」ことについては、航空法の第百条と記憶しますが、その法律で一々免許にかけておりますので、その意味から申しても、原案の十一条はダブつておるわけであります。そのような意味からして、十一条は本法としては必要なかろうという意味で削られたものと想像いたします。その十一条を削除したことに伴いまして原案の十五条の第三号が当然に削られるわけです。これは罰則ですが……。それから又同時に附則の十八項、これも今の基本計画に関連する附則でありますが、それも削つたわけです。あとは形式的なる条文の整理に過ぎないようであります。以上で説明を終ります。
  9. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) 大臣は今衆議院で何か採決があるので、それが済んだら、こつちへ来るので、大体五、六分したらこつちへ来るということだそうです。速記をとめて。    〔速記中止
  10. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) 速記を始めて。
  11. 高木正夫

    高木正夫君 この創業費が一億八千万円ということになつておるのですが、これはどこへ使うのですか。少し数字が大き過ぎると思いますので、何に創業費として使うのか、その内容説明して下さい。
  12. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 創業費といたしましては、会社設立に関する費用でございますが、その会社設立に関しましては、比較的簡単にできると思いますが、国際線を開設するにいたしましては、サーべ一・フライトもやらなければなりませんし、レセプシヨンその他もございます。そこで創業費、いわゆるサーぺ一・フライトにつきましては、政府から補助金を出すつもりで、大蔵省予算を要求したわけでございますけれども、その予算は落されたわけでございます。
  13. 高木正夫

    高木正夫君 どうも今の御説明ではちよつと了解ができないと思うのです。普通、会社創業費というものは、そんな厖大なものじやない。レセプシヨンその他も要るだろうと思いますけれども、一億八千万という厖大創業費はどうして使うのか、何に使うのか、よくわからないのですが……。
  14. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 御存じのように新規路線を開業して行きますについては、いろいろな地上の連絡も要りますし、例えばコメットのごときは、恐らく今四回飛んで来ておるかと思いますが、それは全部収入の入らない飛行でございます。それからパイロツト・トレーニングと申しましても、国内でできない分は国外でやるというわけで、非常に金を要する。例えば今いるパイロットをDC6に乗せるとしますと、アメリカのパイロットをそのままは使えないで、免許状効力拡張をやらなければできないわけでありまして、一億八千万円というのは、資金計画の表としてこういう数字を想定しておるわけでございますが、一億八千万円で果してその通りにうまく行けるかどうかということは危ぶまれておるのでございます。
  15. 高木正夫

    高木正夫君 もう一つ創業費内容が、普通のいわゆる会社創業費というものと、内容が今お聞きすると大部違つておるように思われます。我々の常識でいう創業費というものはそんなものじやないと思うのです。併しこの会社限つてこれこれを総業費にすると、こういうことであれば……。何と何とを創業費に使うか、その内容をお聞きしたいと思うわけです。
  16. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 商法上の創立費という分に該当するものとしてお考えになつておるのが、今の高木委員の言われるものに該当するのだろうと思いますが、これにつきましては大体どの程度に押えるのが経済界常識であるかというふうなことをいろいろ聞いて見たわけでありますが、会社資本金の大きさによりましてパーセンテージが出て来ない。こういうわけでございましてこの会社の本当の設立費といいますか、株式の募集費とか、或いは株券を発行するとか、創立総会をやるとかというようないわゆる商法上の創立費というものは、これは正確な見当はつきませんけれども、極めて少い額だと思います。ところがこの創業費というのは、いわゆる国際航空事業創業費考えるわけでございまして、それには今申上げましたようにイギリスなんかは極めて慎重でございまして、コメットは四月六日から四往復のうち二往復コメットでやるというわけで、今までのサーぺ一・フライトが二回、あと二回や治りまするし、国内で降りるのは羽田くらいでございますが、イマージエンシイの場合も考えられますので、福岡や名古屋も使うことにしております。そういうような経費も相当に要するわけであります。なおこちらではそういうことをやり得るかどうか、まあ新会社の首脳がきめることでございましようが、例えばエール・フランスが来たときにおきましては日本の財界の名士その他を向うまで招待しているというようなことをやつたわけでございまして一番大きいのは何と申しましてもサーぺ一・フライトの金でございます。
  17. 高木正夫

    高木正夫君 もう少し具体的にはつきり創業費内容が知りたいと思いますけれども、そうすると普通の設備費まで入つているわけなんですか。
  18. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 予算を出したときの資料を丁度持つて来ておりますが、トータルだけ書いてありますから、詳細な細目などはあとで差上げますが、設備費は入つておりません。丁度あれがこの創業費で八〇%を政府補助にして、この政府出資十億と、それからその創業のためにする試験飛行でございますね、ロンドンならロンドンまでの試験飛行、これは差当りの問題としてロスアンゼルス、サンフランシスコまでというようなものを全部、サーペ一・フライトを三回やるとして幾らになるというような計算予算を要求したわけでございますが、その資料を丁度持合せておりませんので、この内訳はいわゆる創立費に該当するものと、それから国際事業を始める創業費というものとを分析して後ほど御説明申上げたいと思います。
  19. 高木正夫

    高木正夫君 それじやあとで結構ですから、その内容を詳しく書いたものを一つお示しが願いたいと思います。私この質問をするのは、この会社は一年も二年も三年も赤字ということにたつておりますね、そういうことに、これは殆んどその資金計画として初めから赤字ということを見込んでいるということは、まあ初年度くらいは止むを得ない、又二年目も止むを得ないかも知れんが、三年も四年もずつと赤字がという会社政府補助してやるというような杜撰なことになつては、国民に相済まんと思うのですが、その点十分計画はつきりしたものをお聞きしておきたい、こういう考えから質問したわけでございます。  それからまだ大臣見えませんので、それまでにお伺いしたいと思いますのは、この補助方法ですね、どういう方法で以てこの会社補助して行くか、それを一応承わりたいと思います。
  20. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 第八条に「政府は、会社に対し、その行う定期航空運送事業のうち当該路線の性質上経営が困難なものにつき公益上必要な最少限度運送を確保するため、予算の範囲内において、補助金を交付することができる。」ということで、いわゆる航路補助というにほぼ近いような制度として補助をし得るという抽象的規定を設けたことでありますが、来年度予算におきましては補助金を計上いたしておりません。そこで来年度事業を開始いたしまして、その結果に基きまして十分検討して再来年度予算におきましてもこれを要求するかどうかということをきめたいと考えておるわけでございます。
  21. 高木正夫

    高木正夫君 そうすると補助会社全体に対して補助するわけですか。今おつしやつた説明航路別に見てこの線が採算が上らんということで補助をいたすわけですか。
  22. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) その点は航路別に見るという一応の考え方でございます。併し或る航路は非常に儲かつておる、ところが或る航路赤字を出しておるが、会社全体として見ると相当収益を出しておるというような場合には、強いて補助しなくてもよかろう、こういうことでございます。
  23. 高木正夫

    高木正夫君 そうすると結局会社全体に補助するということになるわけですね。
  24. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 結論的に申しますれば、そういうことになるかと思います。不幸にして日本植民地を持つておりませんので、植民地を持つておる国におきましては、当該植民地と本国との路線に対しましては、その就航の義務付けを行いまして他の部面において収益が挙つておりましても、当該路線の維持のために当該路線を独立して補助しておるという体系をとつておるようでございますが、遺憾ながら日本では今そういつたことが考えられませんので、実質的にはその会社赤字の幾分かを補助する、結果的に見るとそういうことになるのじやなかろうかと思います。
  25. 高木正夫

    高木正夫君 その補助方法は、やはり赤字が出た場合にその金額だけを金で補給することになるのでしようか。そのほか或いは利息を補填するとかいろんな方法がありますね。
  26. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) このいわゆる利息の補填の問題でございますが、これは御存じのように海運についても言われるわけでございますが、飛行機についてはなお一層そういうことが言えるわけでございます。非常に多額の設備資金を要するわけでございます。その設備資金自己資本だけで賄えませんので借入資本によらざるを得ない。ところが御存じのように借入資本の利率は国際水準より遥かに高い。そこで日本航空会社国際競争力において非常に不利な地位に立つ。よつて国際金利水準現実日本国内金利水準との差額に該当するものを政府が補給するということが望ましいのじやなかろうかと考えまして、その点につきまして大蔵省と種々折衝をいたしたわけでございますが、今度の法律で出ておりますところによりますと、そういつた利子補給の点は一本の法律にまとめて処理する、こういうふうにしたいというわけで、国鉄の利子の保証の問題、それから抽象的に規定されておりました国際電信電話株式会社のいわゆる今申上げましたような点も統一した法律に入れる、こういうことになつております。そこでこの会社につきましてもその必要を認められるけれども、今具体的にまだ路線の開設をいたしておらない、それから現実利子差額の問題がはつきりと想定し得ないということで、今回は保証つけないということになつたのでございますが、将来はその法律でまとめた一本の法律で保証するという制度大蔵省と話合いを進めておるわけでございます。
  27. 高木正夫

    高木正夫君 それからこの補助一つ方法になるわけだと思うのですが、この政府出資が十億と民間が十億、こういうことになつておりますが、政府出資に対してつまり配当、或る一定の配当があるまでは配当を遠慮するとかいうようなお考えはないのでございますか。
  28. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 御存知のように戦前のような国策会社と申しますか、特殊会社につきましてはさような規定が載つていたわけでございますが、この民間資本を導入するのを容易ならしめるという考え方からいたしまして、そういつた規定をつけることが望ましいということで、いろいろ研究もいたしたわけでございます。ところが一面単行法律がございまして、政府出資の場合におきましても民間出資配当その他について差別的待遇をいたさないという法律もございますし、又電源開発株式会社のごときにおきましても、建設利息については差別をやつておりますが、配当について差別をやつていないというような点等から勘案いたしまして大蔵省と十分の折衝をいたした次第でございますが、現段階においてはさような規定を挿入することに政府内の意見がまとまらなかつた次第でございます。
  29. 小酒井義男

    小酒井義男君 この会社ですね、第四条を見ますと「取締役決定の決議は、運輸大臣認可を受けなければ、その効力を生じない。」ということになつて相当非常に運輸大臣の権限が持たれるようになるので、政府干渉をできるだけ排除して行こうという説明です。この条文との関係はどんなふうに局長考えられておりますか。
  30. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 御存知のように政府出資をいたします特別会社につきましては、総裁、副総裁理事という商法上の執行機関と別個の機関法律によつて創立いたしまして、その役員政府が任命するという体系戦前は非常に多かつたわけでございます。戦後におきましても電源開発会社におきましては、株主総会意見を聞きまして政府が任命する、こういうことになつておるわけでございます。その意味におきまして非常に強い政府干渉が行われるということになつております。それからコシマーシャル・ベースで行くということになつて最近できました国際電信電話株式会社につきましては、取締役全員監査役全員に至るまで主務大臣認可を受けなければならん、こういうことになつておるわけでございます。そこで大臣提案理由の御説明で申上げましたような趣旨に基きましてこの会社におきましては、商法上の執行機関と別の執行機関を設けないで、全部商法規定に準拠したものといたしまして而してその中でも電信電話株式会社のように取締役を全部或いは監査役全部を認可にかけるということをいたしませんで、代表すべき取締役決定認可にかけたわけでございます。これは社長というのは商法上、社長、副社長という職名は商法上には存在いたしておりませんので、社長、副社長というものは実質的には代表すべき取締役取締役会できめるわけでございますが、代表すべき取締役ということになるわけでございまして、それは定款によつてきまるわけでございますから、実質的に定款認可その他の際におきまして、社長、副社長を代表すべき取締役とするということに恐らく落着くだろうと思います。従つてこの四条は社長及び副社長決定だけを大臣認可にかける、他の平取締役並びに監査役認可にかけないという考え方でございまして、従来戦前にありました考え方は勿論、戦後にできました特殊法人の中で最も役員に対する政府干渉の少いものだと申上げることができると思います。
  31. 岡田信次

    岡田信次君 大臣の御説明にも、それからこの前の航空局長の御説明にもあつたのですが、この国内航空国際航空一緒にやると非常に万事が能率的で経済的だというお話があつたのですが、これの一つもう少し具体的なお話を伺うなり、或いは資料を頂きたい。
  32. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 抽象的な面につきましては、この間御説明申上げた通りでございます。そこで数字的にどういうふうにその差異ができるだろうかということを検討したわけであります。その物差自体につきましていろいろ議論があり得るか思いますが、その予想を立てるスタンダードを一定いたしましていろいろな形態を考え数字的な、数字を出してみたわけでございます。それは国際線を完全に分離する、国内線国内線会社だけ、国際線国際線会社、これが一応完全分離の案と、こう考えていろいろと検討をいたしたわけです。  それからもう一つ考え方といたしまして、その国際線と申しましても朝鮮、沖繩、台湾という程度の所は国内に準じて考えていい、飛行機の基地から申しましてもいろいろな点から申しましても、戦前でありますれば勿論国内航空のカテゴリーに入るわけでございますから、そういつた人の動き、機種経済的事情、いろいろな方面を考えまして、そういつた分国内線をこの会社が行う、それから国際線を行う会社はそういつた船でいう短国際に該当するものは除外したものを国際線会社にやらせる、これを不完全分離と申しておりますが、そういつたものの所要資金はどうしても高くなる。分れますと、飛行機機数が少うございますから、予備機を持つ数は両方で持たなければいけないということになるわけであります。そこでそういつたものを同じスタンダードで推計いたしまして、金の面からどういうことになるかということを計算をいたしたわけでございまして、その計算の詳細の数字は丁度今日持つて来ておりませんので、作つてございますからこの次に必ず持つて参りますが、それによりますと、その完全国際完全国内というものを比較いたしまして、最も甚だしい場合におきましては十億くらいの金の相違を生ずるわけでございます。その数字一覧表計算のデーターを示したもので御説明申上げたいと思います。
  33. 岡田信次

    岡田信次君 例えば分離すると両方航空機が二十台要る。十台ずつ要る。ところが一緒にやればそれが十五台で済むとかそういうような簡単なあれがありますか。
  34. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 機種は違いましたが、この次持つて参りますけれども、少くとも一台は必ず余計要るという数字になつております。不完全の分で型を違えてやりまして二台余計に要るという想定になつております。それは飛行機の空中にある時間と、それからスペヤーとの関係考えると、サンフランシスコまでといたしまして計算いたしたところによりまして少くとも一台は余計に要る、こういう数字なつたわけであります。
  35. 岡田信次

    岡田信次君 その資料を拝見してから又いろいろお伺いしたいと思うのですが、国際線国内線一緒にしたほうがいいという中に、今の航空機の問題でなくて、いろいろ議の問大であるとか一書の鰻であるとか、いろいろなことが挙げてありますけれども、大体運輸省自体として、この航空関係のいろいろな設備関係やそれから乗員の訓練に対してやつておるわけでしよう。現在すでに相当金を投じて、又将来もやられることと思うのですが、そうすると、それが特に国際国内一緒にしたわけだというので、そう大きなフアクターにはならんというふうにも考えられるし、又国際線国内線完全分離といつても、結局は現在の日航がどの程度に入るかわからないけれども、とにかく分離した場合でも国際線に或る程度入るでしようから、この間の融通もつくと思うのですが、その辺の関係はどうですか。
  36. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 人間の面につきまして日航が入るということでもありましようけれども、それが初期の間はうまく行くかも知れませんけれども、それにいたしましてもいろいろ人のやりくり、交番を組むに当つていろいろ問題が起きるだろうと思います。し、その相互の融通ということが日常「業務で、丁度鉄道で言う交番を、機関車交番を休んだからほかの交番をやるというふうに、一カ所で統一的に按配をやるというわけに行かない、そう自由自在にやるわけに行かないと思います。
  37. 岡田信次

    岡田信次君 この問題は先ほども申上げたように、もう少しいろいろなデータを頂いてから、質問をします。
  38. 高木正夫

    高木正夫君 大臣はどうですか。
  39. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) 大臣はもう少しお待ち願います。  ちよつと政府委員に伺いますが、審議会ですか、あそこでは答申というものはやはり今度のこの本法案のようなふうに国内国際を統一した一つでやるというような答申になつておるのか。私は必ずしも国内一つだというようになつてなかつたのじやないかというふうに思うのですが、その点を一つ伺いたいこと。それから政府方針としては、将来とももう日本航空事業国際国内を通してこの会社一本で、相当長い期間はいわゆる独占でやるというような御方針であるのかどうか、若しそうだとすると、その根拠はどういうところから来ているか、そういう点を一つ
  40. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 第一点につきましては、国際線競争が非常に猛烈であり、立遅れているので複数で出て行つたのでは到底駄目であるから、一本にまとめて国の助成策もこれに集中して強力なる一体を作つて、それがいわゆる公正なる競争において国際場裡に進出するという態勢を立てると、こういうことを言つたわけであります。それから国内につきましては、国内幹線については遺憾ながら答申ではノーコメントで何ら触れておりません。それでローカル・ラインにつきましては、国内差当りブロツク程度に分けて、一ブロックに一社程度を認めることが適当であろう、こういう答申でございます。そこで丁度国内幹線については、実はノーコメントという恰好になつております。従つて国内幹線を一社でやるべし、或いは二社にした方がよろしいということについては触れてないのであります。又その国内幹線をやるものが国際線と同時にやることがよいということも触れてないのでございます。審議会におきましては一社でやるべしという意見も出ております。又競争でやらしてもよろしいという意見も出ておりましたが、審議会答申としてはその点について最終的結論を出していないわけであります。  それから第二番目の問題でございますが、国際線に関する限りにおきましては、御承知のような情勢で日本が出て行きましても、この猛烈なる競争に一社でも十分堪え得るかということについては危惧の念なきを得ないというような状況でございます。勢力を分散させて行つたら到底競争に堪え得るところでないと思いますので、国際線に関する限りにおきましては、相当長期に亘つて一本でなければならない、こういうように私は考えております。ところが、国内幹線につきましては、これは国内航空機運賃が安くなり、或いは我々非常に熱望しております、現在二割の通行税がかかつておりますが、こういうものが撤廃されれば相当運賃が安くなつて参ります。或いは飛行の回数が殖えるということになりますと、航空の旅客が相当殖えて来るということが予想されておるのでありますから、そういうような時代におきましては、国内幹線のみならず、ローカル線もこれを複数にしても差支えないのじやないか、こういうふうに考えております。
  41. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) もう一つ伺いたいのですが、今やつておる日航に対して、私は的確なことは私自身わかりませんが、いろいろ非難の対象となつておる、非常に重役が多過ぎるとか、経営に対して何かまずいというか、うまい工合に行つていない、ロスが多過ぎる、それから飛行機それ自身に対しても、サービスの点でなかなか民間の利用者の要請に応えがたいようなルーズな行き方といいますか、言葉は適当でないかも知れませんが、そういうふうな非難も必ずしも頻繁でないのでもなさそうで、この委員会でも、過去における日航のやり方に対して、自分が乗つたというような委員のかたでも、文句というか、非難されたような感がある。それで、今申上げたような事実があるのなら、そういうものを今度新らしいこの法案の行き方で、或る意味においては、政府は十億出すけれども、大体日航を根幹にして、それで新らしい会社ができるような気がするのだが、そういう点との噛み合せで、そういう非難を払拭するためには、政府としてどういう意図を持つておるかというようなことを一応伺いたいと思います。
  42. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 日航のやり方に関しましていろいろな非難の声が起つておるわけでございますが、その非難を分析して見ますと、当つているものもあるし、当つていないものもあると思いますけれども、我々は極めてフランクにその内容及び風評等も検討いたしておるわけであります。なお、日航の弁護というわけではございませんが、いわゆる日航の不評判という点の最も大きいものは、いわゆる運航の確保と思いますが、運航率の向上、逆にいいますと、欠航率が多かつたということだと思うわけでございますが、これにつきましては、ノース・ウエストから日航に移つて、自主航空一を始める初期に当りまして、飛行機の手当てがうまく行かなかつたために、非常にドジを踏んだということは、これは事実でございます。その点につきましては、恕すべき点がなきにしもあらずと考えますが、又一面、その点につきましては、会社自体も十分考えなければならないし、又政府としても考えなければならんと思いますのは、飛行機の修理の施設及び人員でございます。これにつきましては最も頭を悩ましておるところでございますが、飛行機というものが修理ができない状態でおる、即ち空に飛んでいないという時間が非常に長いということは、最も能率を下げるゆえんであり、会社の営業収支にも関係して来るところでございます。例えばアメリカで言えば、平均飛行機が空におりまする時間が、八時間乃至一日としまして、八時間乃至十時間ということになつておりますが、日航では五時間前後というような状態に相成つております。そのために、一応その内容を分析して見ますと、いわゆる日本の国が非常に短いために、夜間の飛行機、いわゆる夕方乗つて朝着くというようなルートを組むだけの距離がないという点の地形上の不利の点もございますが、その点を勘定に入れて見ましても、なお且つ空におる時間が短い。これは即ち設備能力の十分でないという点に帰一すると田』います。ういうことを考えておるわけであります。この点に絶大の努力をいたさなければならないと考えております。  なお、取締役の数が多いとか、人的構成がよろしくないとかというような問題につきましては、デリケートな問題でございまして、ここで答弁することをお許し頂きたいと思いますけれども、新会社におきましては、さようの点を払拭いたしまして、我々の到達する最もいい形で以てスタートするということに発起人、設立委員その他について十分の努力いたしてもらいたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  43. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) 丁度大臣がお見えになりましたから、今まで質疑を保留しておる方は順次……。
  44. 高木正夫

    高木正夫君 私の質問申上げたいことは、先ほど委員長から局長ちよつとお話があつたようでありまするが、大臣がお見えになりましたので、改めて又大臣から御説明を願いたいと思うわけであります。  先ず第一に、提案理由には、我が国の航空輸送力を本社一本に集中する趣旨であるというように書かれておるわけでありますが、これは現在もそうでありましようが、将来とてもこの会社一つで独占的にやつて行かれるお考えであるかどうかということが先ずお尋ね申上げたい点であります。
  45. 石井光次郎

    ○国務大臣石井光次郎君) お答えいたします。この間提案の趣旨を申上げましたのは、国際線は、御承知のように、なかなか強力な先進国がたくさんやつて来ますので、そういう中に出て行くには力強いものにして出て行かなくちやならない。それで国内幹線とそれから国際線を一本にして、人も資本も集中してやりたいということを申上げたわけでありますが、国際線について先ず申上げますと、将来これ以外に又許すかという問題は、只今のところは、この会社で私はずつとやつて行きたいと思うております。併し、日本のような海に廻らされておりまする所で、国際的の関係の非常に広く外へ向つておる線が出得る所だと思う。将来はもう一つ許したほうがいいというような時代が来るかもわかりませんが、恐らくこ三二年や五年にそういうことは考えられないと私は思つております。只今のところでは、このようにやつて行き、たいと思つております。それから国内幹線もいろいろ、ほかに出ているものも現在あるわけなんであります。私はこれをこしらえますとさの心持では、これを一本にしてやりたいと、今出願されておりまするものは、この間からもはつきり名前が出ておりますから申しておきますが、日米航空は暫らく引下つてもらうつもりで而を進めておるわけであります。当分は国内一本にして行きたい、その発展の工合で二本にしてもいいという工合に、発展したらそのときには許してもいいということを言うておるのであります。
  46. 高木正夫

    高木正夫君 まあ現在の段階におきまして、国際線は強力にして行かなければならん、それによつて一本で行くということは私も同感である。ただ問題は国内線をどうするかという問題と、これはまあ将来のことに属するわけだと思いまするが、主要幹線までも一緒に、これを同時にやつて行こうという案であります。これも差当りは止むを得ないかと思うのでありますが、この問題については先ほど岡田委員質問されたように、一本でやるのがいいか、切離してやるのがいいか、そこは材料を頂戴いたしまして、更に我々も研究いたしてみたいと思うわけでありますが、その主要幹線ということがどの程度まで国内の主要幹線を持つて行くのかどうか、これがまあ相当重要な問題で刈ろうと思うのであります。私の考えでは将来はやはり若しそういうことにしても、国内航空路というものは発達を来たすのには、どうしても民間の力というものを各地から勃興さしてそうしてやつて行くことがむしろ国の将来の航空機としては発達するのじやないか。今の段階ではまあこの程度で止むを得んと思うのですが、そういう考えからいたしまして、余り初めの主要幹線を多くこちらへ取つてしまつておくということは将来の全般から言うたら余りよくないのじやないかという感じをいたしておるわけであります。そこらに大臣のお考えがありましたら、まだそれも早いと言われるなら別のことであります。併し初めから相当考えを持つて出発して行かなきやならんと思いますので、その点をちよつとお伺いする次第であります。
  47. 石井光次郎

    ○国務大臣石井光次郎君) 私今国内の主要幹線と……どうでも主要幹線説明できるように聞えますが、今あります九州から北海道まで一線、これでそのほかの地方は私は大体ローカル線ということでほかの民間会社に許してはどうか、こういうふうに思うております。それも前も何にありましたように、航空審議会答申がありまして日本に二つぐらいの会社でやらしたらどうだというような線を尊重いたしまして、今たくさん出ておりますが、できればそういう人たちの話合いで、これも何か地域的にはつきりこう二つにはできませんかも知れませんが、多少乗り入れるところがありましようが、技術的な問題をいろいろ研究いたしまして、これは許すことができるなら成るべく早い機会にそういうことを許したらどうかと今研究さしております。又その中に北海道には北海道だけやらしてもらいたい、或いは九州は九州だけでやらしてもらいたいということなどもありますが、今私の考えておりますのは、大体二つにまとまつて、二つに地域的に恐らく分れてやつたらどうかしら、これはできれば成るべく早い機会に許したいと、こういうふうに思つております。
  48. 高木正夫

    高木正夫君 まだこういうことを議論するのは早いかも知れませんが、今の御説の通り国内をまあ二つに分けてやる、こうなれば又地方的の九州だとか四国とかいう極く小さい会社なら立てなくなるだろうと思うのです。そういうことがいいのか、今の幹線だけこちらに移しておいて、あと地方的なものをたくさん数を、そういう熱が上つて来たものにやらすということがいいのか、そこら相当研究問題だと思うのですが、今の大臣のお考えでは二本建で行きたいと、それはまだはつきりしておりませんでしようか。
  49. 石井光次郎

    ○国務大臣石井光次郎君) それは只今申しましたように、答申書にローカル線二本が適当と思うというのが出でおりましたので、審議会のこの線に沿うて今事務当局で調べさしております。今おつしやるような地方的に許したらどうかと、それはそれだけで立ち得るのだという声も実際ありますのですが、地方にしますと、これがだんだん空中からの宣伝だとか、魚群探査とかいう問題、これはいいのでありますが、定期航空ということになつて人を運ぶ、郵便物を運ぶという状態等になりますと相当機体もしつかりしていなければならないし、これを運航する人たちについても特別のしつかりした訓練がないと勝手に許しても若しものことがあつちやならないというようなことも考えますと、相当資金も要るんじやないか、あつちこつちで小さくやつてそれがうまく行くだろうか、そんな問題も研究しなくちやならない。これは今のはまだはつきりと私のこうでなくちやならないときめておるものじやありませんし、皆様がたから御意見も十分述べて頂いて御指導を頂きたい、それを参考にしたいと思います。
  50. 高木正夫

    高木正夫君 私は今国全体として考えて、そういうことを運輸省で御研究になつて頂くのがいいのじやないかと思うのであります。例えば船の問題にいたしましても、丁度それは船と飛行機の経営についてはよく似たところがある思います。だんだん地方的にも出て来ておりますが、そういう関係から全体の見通し、将来どういう方針で進むかということを当初において御研究頂くのが一番いいのじやないか、こういうように考えておりましたので、そういう点を申上げたわけであります。  それから次にこの計画を見てみますと相当厖大な資金が要つておる、政府も十億円を支出するし、それから民間からも十億円出される、そうしてそのほか融資等でやる分が二十八年度において六十八億になつておるわけですが、大体そういう二十二億くらいは確かに出資できると思うのですが、ふとの四十六億ですね、本年中にこの資金の調達ができるかどうか。開発銀行とか或いは又外資導入とか言われておりますが、そういうことは現実にできるかどうか、これはお見込を承わつておきたいと思うわけです。これは局長からでも結構です。
  51. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) これは六十八億何がしを要することになつておりますが、御存じのように現在日航がDC4を六機持つておるわけでありまして、これを調達いたしますのには資本金は今四億円でありますが、借入金を以て賄つておるわけです。それがドル貸と、開発銀行のほうから借りたやつが、大体十八億足らずの借入金を以て充てておるわけです。それをこちらへ持つて参りますから、大体この中で申しますうちからその分が引かれるわけであります。そういたじますと、今度の政府出資の分、民間出資の分を合せてみまするというと、あと何といいますか二十四、五億の金が足りなくなる、こういうことになるのであります。それにつきましては御存じのように政府手持のドルの貸付、それから開銀の融資によつて賄い得るのじやなかろうかと、こう考えております。
  52. 高木正夫

    高木正夫君 それじやまあこの資金の調達は二十八年度はできると承知していいわけですね。  それではその次にお伺いしたいと思いますのは、この企業計画を見てみますると、第一年は無論赤であります。第二年も第三年も赤だ、こういうことになつておるわけであります。そうして赤が出た場合には政府が補給する、補助をする。私はそれだけの厖大な金を使つて一二年間も赤字を見通した計画を立てるのは甚だ杜撰じやないか、どつか計画に杜撰なところがあるのじやないかというようにも考えるのですか、これはもうほんの常識で、極く普通の企業としてやる場合にそう三年もかかつて赤字を見通してやつて行くというようなことは、これは相当無理があるのじやなかろうか。これは例えば外客を誘致してそれの収入があるからこの会社は赤で用いいのだと、こういうことになるかとも思う。そういう理由も一つつくと思いますが、ただ企業として甚だどうも頼りないような見通ししやないかと思います。それには先ほど申上げた通り、これは創業費でも一億八千万円も使つて計画をして、その創業費説明内容を承わるわけですか、計画が甚だ何といいますか、すつきりしておらんといいますか、もつと練つたものであればそういうことはないのじやないかという気がするわけであります。それに対してお考え一つ承わりたいと思うわけです。
  53. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) ちよつと数字の見方が何ですが、この年度別から見ますと、第一年次、第二年次は赤でございますが、第三年次は千八百万円の黒字、こういうことになつておるわけでございまして、御覧になりますように、三年目の黒字というものは繰越数を繰入れておりますので、四年目からは更にこの黒字が増す、こういう想定になつております。それから今仰せになりましたいわゆる日本の国としての利益の問題でございますが、この点に関しましては御指摘の通り、いわゆる積極的に外人を積むことによりましてドルを稼ぐという面と、それから御存じのように、今は全部外国のへ乗つておりますので、切符を買うときは去年の七月一日から円で買えることになつておりますけれども、それは終局的にはドルに変つてつておる。ドルなりポンドなりででかい金が出ることになるのでありますが、これに相当日本人が乗ることを期待いたし得るわけでございますから、積極的に外貨払いを少くするという点におきまして日本の外貨事情をよくするという効果がある躍ろうと思います。  なおこの航空事業の特性といたしまして、申上げるまでもございませんけれども、各国とも多年創業時代に苦労をなめておるわけでございまして、三年目くらいで黒字を出せるという状態は非常にいい状態ではなかろうかということは一般的に飛行機の技術その他運航が進歩いたしまして、企業が採算に乗れるという状態に先進国の努力の結果なつて来ておりますので、一面そういつたものを援用して行くために、三年目から黒字になる、こういうことになつております。
  54. 高木正夫

    高木正夫君 それから次にもう一つお尋ねしたいと思しますのは、日航が最近増資をするということを承わつておるわけです。こういうことが殆んどわかつておるわけだと思うのです仕れども、その際に日航が増資をする)いうことは、どういうことを意味するのか、ちよつとこれもわかりにくいと思うのです。これは会社自体がやることだから御存じないことかも知れまけんが、何かこれについてお話があれげ承わつておきたいと思います。
  55. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 会社が増資をするということでございまして、前から研究していたのを実施する、ういうわけであります。そこで政府して考えなければなりませんのは、新会社設立するについて、日航の増資というものが如何なる影響を持つかという点を検討しなければならんと思いますけれども、設立委員を任命して新株を募集するにいたしましても、やはり同じように一般の資金は集めるということでございまして、いろいろ検討いたしました結果、新会社設立することに対して日航の増資というものが悪い影響を及ぼす、或いはそのために新会社が不利益をこうむるという点はないわけでございますので、法律的には日航の増資をやめろという法律的根拠はございませんけれども、実際問題として考えましても、あえて日航にこれを差止めるという事実上の干渉をする必要もない、こう考えております。
  56. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) ほかに……。
  57. 岡田信次

    岡田信次君 ちよつと運輸大臣にお尋ねいたしたいのですが、今度の新会社国際国内を一本にしてやるということについてでありますが、国際線については将来とも一本で行く、これは私も全く同感であります。国内線につきましては差当つては一本で行つて、将来は情勢のあれによつて二本或いは三本になるというようなお考えのようでありますが、そういう場合に今度できる新らしい航空会社政府の強力なる補助を受ける。ところがあとからできる会社はそれがないというふうになるのか、新しくできる会社も又別な方法政府補助をするのか、その辺のところを一つお伺いいたしたいのですが……。
  58. 石井光次郎

    ○国務大臣石井光次郎君) これは余り早い機会に起る問題と私今思つていないわけですから、その場合はどういうふうにするということを余り具体的には考えておりませんですが、競争線ができて、そうして両方成立ち、且つそれが一般のためにも非常によろしいというときには事実上の問題が考えられるのだろうと思います。そういうふうな場合において、それじやこの会社には政府出資をし、その他のいろいろな援助もするように書いてあるわけでありますが、その次できるものはこれは政府出資のない会社でありましようし、まあその会社がビジネス・ベース式によつて立つか立たないかによつて計算をやつて行くということになるのが趣意だろうと思うのですが、そういう場合に例えば今は郵便物を載せておる、これが或る意味の援助になつておるというようなものを、政府のものだけしか載せないで、そういうものは載せない、政府の息のかかつたものだけ載せる、そういうものは載せないというようなことの問題がすぐ起つて来る問題だと思います。そういうふうな場合において私はこれは郵便というものは安全で、そうして早く運ばれる機関があるならば、それを利用するのは当然であります。政府の息のかかつたものとかからないもの、そういうものをやる、それが幾らか援助になるということだとは思います。同じ調子でこれをやつて行くかどうかということは、その場合になりませんと、私今ちよつと検討いたしていないわけであります。大体は今の政府の息のかかつている限り、やはりそこに大体つけて、そのほうが余計できるという傾向にあるのだろうと思います。日米航空が恐らく許されるのじやないか、特に外国の資本が入ろうといつてつたのが、それが入らないということを表明しそうな様子に私ども聞いておりますが、それが片一方に日本政府の協力によつてできる会社ができれば、何かにつけて自分たちは競争が不利になるのだからそれには入りたくないというような意味のことを私ども間接に聞いておりますので、同じような問題が国内の資本だけでやる場合にも起つて来る問題じやないかと思いますが、それは飽くまで競争して叩き潰すというような意味でこの日本航空会社を盛り立て、そうしてほかのものが立てんようにするというような行き方等は一切すべきものでもなく、平たい意味において両方とも立つような遂に政府が助けて行くことができる、そういうふうな方法考えて見ていいのじやないか、そういうような場合になつたときに個々の場合をいろいろ研究したい思つております。
  59. 岡田信次

    岡田信次君 只今大臣お話を伺いますると、大体この新らしい会社ができると、相当長い間国外にも飛んで行くというふうに考えられるのですが、丁度お話のように、ここ暫らくは別として、或る時期の将来にはできるようになるというのでしたら、私は却つて国内国際一緒にすることがそういうふうにする邪魔になると思うので、この際むしろ国内国際を分離したほうがいい、こう考えますが、如何でしようか。
  60. 石井光次郎

    ○国務大臣石井光次郎君) この間から国内国際を別にしたほうがいいじやないかという御注意も承わつておりますが、やはりこうして出て行くのには相当資金的にも、又その他何と申しますか、資本の重複という面もいろいろありますので、そういうことをなくして力強く出て行くには、今の国内幹線国際線と一本にして、これに政府が力を入れてやるということで出て行つたほうがいいのじやないかということがこの話の元なのであります。今国内の線が今後どうなるかという問題は今のような私は考えでおりますが、そこにまだもう一つ出て来るという場合に、どうしても今の話の出ておるのは、外国の資本が入つて、これが何となく日本国内航空界を指導するというか、自分の勢力下に置くような状態になることが好ましくないという市が非常に強かつたのであります。私もどうもそういうような気もありましたし、まあ今度のような一つの案ができたわけでありますが、こうやつてできまして、この次に、それでは日本国内航空が今度は飛行機も増しまして余計飛ぶようになる。そうすると頻度数か多くなると又お客もつきやすいものでありまして、私はだんだんお客も多くなつて来るだろうと思います。お客の分野が開拓される、そうすると自分たちが政府の援助を受けんでもこの程度なら自分でやれるというようなものが出て来てそれが出願になつた場合にどうするかというと、これが相当ペイして両方ともさつき申しましたように許してもいいんじやないかという結論に到達した場合には許すこともあり得るのでありまするから、全然許さんということで私肚をきめておるわけでもなく、今申しましたような条件であれば許してもいいんじやないかというようなことも考えておるわけであります。今度の二つのものを一緒にするということは、何にいたしましてもそとにおいて相当激しい競争の中にあります。そのために或いは内地は一つだからそれで搾取して、そとにはダンピングするというような形になつては勿論ならないのであります。これは経営の合理化によつて国内的にも安くなり、国際的にも競争ができるようになる線で進んでもらわなくちやならないのであります。これが一緒になつておりますると、さつき申しましたような無駄な面が相当省かれもいたします。それから日本が戦争後十年ばかり航空界において空間時があつたということで、近代的な経営には非常に不慣れな状態に置かれておつたのも事実であります。こういう点で今までに航空に心持を持ち、或いは多少航空の方面に経験のあつたような、大体において優秀だと患われる人たちは現在の日本航空に入つて来おる。その中にはいろいろ問題もあると思いまするが、従業員の大多数の中にはそういうふうなことで入つて来もし、それから過去一年半ばかり、二年近くの間にいろいろなものの修練も積んでおる。こういうのと実際この際に一体となつて仕事をして行けばいろいろな面において便宜を得るところも大きいので、この際は別々にしないで一本として、だんだんといろいろな面を廻る小さい飛行機を輸入したものが、その次には大きな飛行機に行くというような順序等もおのずからできまするし、一体となつたほうが今後の経営にもいろいろ便宜点が経済的にも多いというようなことを、いろいろ私も今岡田さんのおつしやつたように、これは別々にするという線いろいろ考えてみましたが、結論といたしまして一緒なつたほうが何かにつけて今のところ好都合であるというようなことで、私は一本説になつ、てこれを提案したわけであります。
  61. 岡田信次

    岡田信次君 航空局長にお願いしておきますが、現在の日本航空、これの営業開始以来の営業成績というか、経理内容のよくわかる資料一つこの次までにお出し願いたいと思います。
  62. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) この差上げました資料の中の、日航の損益計算、二十七年九月三十日現在というものの決算と、二回の決算をいたしましたのでここへ出しております。
  63. 高田寛

    ○高田寛君 ちよつと航空局長にお伺いしたいんですが、今度のこの強力な会社を作るについて、民間から十億、政府から十億というような出資をする計画になつておりますが、なおこの設備のために非常に大きな資金が要るということで、二十八年度は借入金が四十六億というものがこの計画に示されておりますが、この四十六億の内容はこの外貨貸と開銀の融資、その他これが大体どのような見当に内容が分れていましようか。
  64. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 御存じのように、外貨貸でございますと、ドル貸が五分でございます。ポンド貸三分でございます。開銀でございますと、一割というわけでございます。その会社の建前から申しますると、外貨貸のほうが非常に有利でございます。それからなお来年度の開銀の資金割当というのが安本においても決定していないわけであります。丁度これがどこに落着くかということは今申上げかねるわけでございますが、恐らく両方から借りるということになると思います。併し会社としては、或いは又そのバツクにあります運輸省としては、できるだけ政府手持の外貨貸付によつてこれを貸すということにしたい。こう考えておるわけであります。
  65. 高田寛

    ○高田寛君 そうしますと、来年度計画の四十六億の中に一般の民間の銀行からの借入金というものは半分以下、三分の一とか四分の一とか、僅かのもので足りるという大体の見通しですか。
  66. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 市中銀行でございますか、市中銀行に期待していないわけです。
  67. 高田寛

    ○高田寛君 その他というのは市中銀行の意味じやないですか、この表の……。
  68. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 市中銀行について直接は期・待しておりません。これは御存じのように市中銀行というものが出て来る面におきましては、これは実質的にいいますと、市中銀行から借りる、こういうことになるわけでございまして、政府手持のドルを市中銀行から……。今やつておりますものを申上げますと、為替銀行が十二行シンジケートを組みまして、そうして日銀からボンドを借りて来て、そうして円の面に関して見ますと、市中銀行から航空会社が借りる、こういうことになるわけであります。その他と書いてございますのは、外資、ワールド・バンク等が期待でき得ればという趣旨で書いておるのでございます。ワールド・バンクについては目下のところはその見込がございませんので、結局開銀の外貨貸ということになるわけであります。
  69. 小酒井義男

    小酒井義男君 この資料によりますと、各国の航空会社資本金政府の出しておる率というのですか、ここに大体三十八社の割合が出ておりますが、この中で一〇〇%全額政府出資しているのが二十ある。そうして七〇乃至一〇〇までになると二十四社までがそういう状態になる。こういう情勢を見ると、各国とも政府が全額出資をしたというような形で航空会社がやられておるようですが、我が国の場合は全額政府出資するという形で会社を作るということはできないのでございますか。政府で出されたような法律案にあるような設立をするということが日本の現状において妥当であれば、どういう意味でこういうものが妥当であるか。こういうような点について御説明を御願い申上げます。
  70. 石井光次郎

    ○国務大臣石井光次郎君) 細かいことは政府委員から申上げますが、政府がもつと力を入れてやるべきではないかという考え方もあるかと思います。日本の国情という特別なむずかしい意味でなくて、政府の資金というものがなかなか出しにくい、総額的に非常に困難な問題がありまして、今度の十億円も政府部内の中のことを申しますとなんですが、よくまとまつたと思われるくらい金繰りが苦しかつたのであります。どうしてもこれは或る点まで、一般と申しますか、今の国際線を南米まで伸ばすとか、或いは東洋の一部までも、ちよつと近廻り等もやるとい、りような点を考えましても、飛行機がそんなに多くなくても、百億ぐらい金が要るだろうというようなことを考えますと、なかなか政府では間尺に合わないと申しますか、なかなか困難な問題があります。やつぱり民間の力も合せて民間一緒にやつて行くということ、それからビジネスをやつて行くのには政府より民間のほうで自分たちで出資もし、そうして自分たちの能力でどんどん伸ばして行つてくれるということも好ましいことじやないかというようなことをいろいろ考え曾て、ここにスタートを切つてみたのであります。これから先政府のほうで余計出すほうがいいということに進むときもあるかも知れません、或いは逆に民間の力だけでぐんぐん伸ばして行くという線に……、私はそのほうがだんだん力、強くなるのではないかと思うのであります。今のところはそういうような事情でスタートしたわけであります。
  71. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 別に詳しいことは存じませんが、ちよつと資料が間違つた点がございますが、御訂正願います。このエール・フランスが一〇〇%になつておりますが、これは現在九七%、三%だけ殖えておりますので御訂正願います。
  72. 小酒井義男

    小酒井義男君 次にこの法律が成立しますと、附則によつて運輸大臣設立委員を命じて、発起人の職務を行わせるということになりますが、これは人名まではまだおわかりになつておらんだろうと思いますが、大体どういうような構成をお考えになつておるか。大臣考えておるところがあつたら一つ伺いたい。
  73. 石井光次郎

    ○国務大臣石井光次郎君) 実は私はわざと触れてないのでありまして、というといろいろ触れているとつい話の間に出ますし、誰がなるとか誰がならんとかなかなかこういうようにうるさいものですから実はわざと……。その選考には当つているのでありますが、私の大体の考えは人数が割合に多くしないほうがいいのじやないか、十人前後というそこらまでで話をして行きたいと思いますが、その人選はまだ考えておりません。人数はそのくらいのところでというように考えております。
  74. 小酒井義男

    小酒井義男君 別に十人くらいの層がどういう。いろいろな関係の代表ということになると思うのですが、航空事業を現在やつている会社関係が主になるのか。
  75. 石井光次郎

    ○国務大臣石井光次郎君) 現在航空会社関係しておる人も入つていいと我我思つておりますが、まだそれもきめておりませんが、現在の航空会社で言えば事業会社は別としまして現在日航一つでありますが、入つても一人多くても二人というふうに思つております。
  76. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) ほかに御質疑がありませんか。ちよつと御相談いたしますが、本案の資料を、高田委員並びに高木委員から資料の要求が出ておりますので、資料を受けた上で次回に審議を続行することにいたします。   —————————————
  77. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) それでは次に臨時船舶建造調整法案を議題といたします。運輸大臣より提案理由説明を願います。
  78. 石井光次郎

    ○国務大臣石井光次郎君) 只今から臨時船舶建造調整法案提案理由について御説明申上げます。  戦後、我が国商船隊の再建につきましては、臨時船舶管理法によりまして建造の許可制度が行われ今日に至つておりますが、同法は来たる四月二十八日までに廃止することとなりますので、新船の建造に関する諸般の情勢に鑑み、右の許可制度を、向う四年間に限り国際航海に従事いたします船舶について存続させたいというのがこの法律案を提出いたすゆえんであります。  さて、我が国海運界の現状を見まするに、戦争によつて崩壊した商船隊の再建のために、戦後巨額な財政資金及び市中資金が投下されて来ましたが、最近、世界海運市況の悪化により船主の建造資金調達が一段と困難となりましたため、政府は建造資金の造成を容易にするために、新たに七割の開銀融資を行うと共に、三割の市中融資分に対しても利子補給を行い、更にこれに対して損失補償措置をも講じようとしております。更に商船隊の船腹構成を改善するために、質の劣悪なE型船二隻をスクラップ化することを条件として新造船一隻の建造を認め、これに対して利子補給を行う制度も今回決定を見ております。  海運についてのこのような助成策は、我が国がその存立のために、戦争によつて壊滅した商船隊の再建、特に戦前に比して極めて貧弱な定期航路船舶の整備充実に努めねばならず、このためには目前の市況如何にかかわらず新船の建造を進めなければならないという止むに止まれない要請があるからであります。  而してこのように乏しい国家財政から貴重な資金を出す以上は、これらの資金が商船隊再建方策に適合して最も有効且つ合理的に使用されなければならないことは論を待たないところでありまして、新造船の決定については政府が開銀を初め金融機関の融資に対して助言と協力を行うと共に、右のような趣旨から国民経済の要請に適合する海運の再建策を実現するための体制をとることが是非とも必要となつて来るのであります。  即ち新造船の決定には、金融ベースからの判断と同時に、海運政策上の配慮、例えて申しますれば、緊急に整備を要しまする航路の判定とか、適正なる船腹量及び船質の決定とか、航海条約や運賃同盟等に関連する複雑な対外関係とか、或いは海運業者なり造船業者なりに対しまする一般的な政策面の考慮等、この種の問題についての総合的な配慮というものが必然的に要求されて来るのでありまして、そこにおのずから建造されます船舶の選択について一定の順序が存在するのであります。そしてこれらの問題の判断は単に融資機関のみにその責任を負わすべきものではなく、商船隊再建の一応の目標達成の時期まで、これに協力しつ2政府の願う理想を実現して行くことが必要と思われます。  この体制によつて初めて、政府の海運再建方策と融資機関の建造融資決定とが車の両輪となつて新造船計画を誤りなく遂行して行くことができるのであります。次に、本法案の主な内容といたしましては、先ず、造船事業者が、国際航海に従事し得る五百総トン以上の鋼製船舶を建造又は重要な改造をいたします場合には、運輸大臣の許可を必要とすること、又、運輸大臣が右の許可をいたします場合には、一定の基準に従つてこれをなし、その場合許可の判断の基礎となります重要な事項につきましてはあらかじめ海運造船合理化審議会に諮つてこれを決定しなければならないこと等を挙げることができます。  なお、現在建造許可制を規定してあります臨時船舶管理法は講和発効後一カ年、即ち本年四月二十八日を以ちまして廃止しなければならないことになつておりますので、これを本法によりまして廃止することを規定いたしております。  又、本許可制度は、それが企業の活動に対する制約となる点より、商船隊再建の一応の目標達成時期即ち四カ年間の臨時立法であることを規定いたし、許可の対象につきましても、臨時船舶管理法では鋼船の全部と、木船の二十総トン以上でありますのを、本法案では単に五百トン以上の、而も国際航海に従事し得る鋼製船舶に限定しておるのであります。  なお、最後に、漁船法との関係でありますが、現在までは、漁船のうち母船、トロール船、魚獲物運搬船、捕鯨船の四種についてのみ、同法第八条によりまして、臨時船舶管理法の適用を受けることになつているのでありますが、本法案では、一般商船に準ずるような機能を有するものに適用するのみで、特に漁船としての建造許可を行わないことといたしたのであります。  以上を以ちまして、提案理由説明を終りたいと存じますが、何とぞ慎重御審議の上速かに御可決あらんことをお願い申上げます。
  79. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) それではこれを以て今日の運輸委員会を終了いたします。    午後零時三十九分散会