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1953-02-19 第15回国会 参議院 運輸委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年二月十九日(木曜日)    午後一時三十七分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小泉 秀吉君    理事            岡田 信次君            高田  寛君            小酒井義男君    委員            入交 太藏君            植竹 春彦君            仁田 竹一君            一松 政二君            高木 正夫君            内村 清次君            鈴木 清一君   衆議院議員    關谷 勝利君   国務大臣    運 輸 大 臣 石井光次郎君   政府委員    運輸省海運局海    運調整部長   國安 誠一君    運輸省港湾局長 黒田 靜夫君    運輸省鉄道監督   局国有鉄道部長  細田 吉藏君    運輸省航空局長 荒木茂久二君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君    常任委員会専門    員       田倉 八郎君   説明員    外務事務官    (外務省アジア    局第二課勤務) 人見  宏君    農 林 技 官    (水産庁漁政部    漁業調整第一課    勤務)     加藤 富雄君    海上保安庁警備    救難部長    松野 清秀君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○海上保安官に協力援助した者の災害  給付に関する法律案衆議院送付) ○海事代理士法の一部を改正する法律  案(内閣送付) ○一般運輸事情に関する調査の件  (昭和二十八年度運輸省航空局及び  港湾局関係予算の件)  (漁船だ捕に関する件)   —————————————
  2. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) これから運輸会員会を開会いたします。先ず海上保安官に協力援助した者の大害給付に関する法律案議題といたします。発議者衆議院議員關谷勝利君より提案理由説明を願います。
  3. 關谷勝利

    衆議院議員關谷勝利君) 只今提案になりました海上保安官に協力援助した者の災害給付に関する法律案につきまして、提案者を代表して提案理由を御説明申上げます。御承知のように、海上保安官は、海上における人命財産の保護と治安の確保の業務に従事いたしておりますが、広大な海面におきまして突発的に発生いたしまする災害に対しましては、たまたま現場の海上保安官の手が足りり、附近の人又は船舶の応援を求めまして、臨機の措置を講じなければならない事態もしばしば起るのであります。かような場合におきまして、海上保安官の求めに応じて職務によらないで協力援助いたした者が、たまたま不幸こして死傷を受けましたときは、国といたしまして、これに対し療養等の必要な措置を講ずべきことは、当然のことと存ずるのであります。又海上保安官からの協力の請求がなされなくても、四囲の状況からこれに協力援助いたすことが相当と認められまするような場合に、自発的に協力援助し、そのために死傷いたしましたときも、国といたしましては同様に善後措置を講ずべきであると存じます。  この法律案は、かような場合におきまする国の災害給付の責任を明らかにし、その種類給付方法等につきまして規定いたしたものであります。即ち、給付種類療養給付障害給付遺族給付葬祭給付及び打切給付の五種といたし、特に必要のあるときは休業給付をもいたすこととしてあります。給付の範囲、金額支給方法等につきましては、国家公務員災害補償法規定を参酌いたして政令により定めることとなつております。  なお、警察官に協力援助した者の災害につきまして、警察官に協力援助した者の災害給付に関する法律が制定されておりますが、同法中の損害賠償の免責に関する規定その他の所要の規定を、この法律案の場合につきましても準用いたすことといたしました。以上申上げましたところがとの法律案提案理由概要でありますが、何とぞ慎重御審議の上、速かに御可決あらんことをお願いいたします。
  4. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) お諮りいたしますが、質疑は次回に譲つては如何でしようか。    〔「異議なしと」呼ぶ者あり〕
  5. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  6. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) 次に海事代理上法の一部を改正する法律案議題といたします。政府より提案理由説明を願います。
  7. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 只今から海事代理士法の一部を改正する法律案概要及び提案理由について御説明申上げます。この法律案は、次の三点について現行海事代理士法を改正しようとするものであります。  先ず第一点は、海事代理士法によりますと、対価を得ないでする代願行為は同法の適用を受けないこととなつておりますが、現実の問題として対価を得ているか、いないかということは不分明な場合がありまするし、又対価を得ない旨を主張して法の適用を免がれようとする者も生じ、これらの者を放置するときは、私法上の権利関係及び船舶完全航行管船行政等にも悪影響を及ぼすこととなりますので、この際対価を得ると否とにかかわらず法の適用を受けしめるように改めようとすすのが主眼であります。  第二点は、海事代理士試験を行う際に、学識経験者意見を聞くことになておりますが、この学識経験者の選定当りましては、最近各地区に海事代理士会が組織されていますので、この意見を聞くこととすることであります  第三点は、木船運送法臨時船舶管理法、航海の制限等に関する件に関連する業務は、現状から見て不要なものもありまするし、又海事代理士のみが行い得るものとすることは必ずしも必要でなく、海事代理士以外の者がこれらの業務を行い得る途を開くためにこれらの法令を別表から削る必要があるのであります。  以上がこの法律案概要提案理由であります。何とぞ慎重御審議上速に御可決あらんことを希望いたします。
  8. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) お諮りいたし出す。本案も又質疑は次回に譲つては如何かと思いまするが……。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 内村清次

    内村清次君 質疑はこの次に譲つて私は結構と思いますが、これにつきまて、政府のほうからの資料の要求を出したいと思うのであります。よろしうございますか。
  10. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) 結構です。
  11. 内村清次

    内村清次君 一つ代理士の人数ですね、その団体数。それからその次が代理士の取扱う業務件数概要、これは種類別にお願いします。それから第三点が、法第五条第二項に定める五名の経験者の閲歴。第四番目が、これは運輸大臣も御出席になつて閣議の決定がなされたかどうかわかりませんが、今回政府の、特に又これは本多国務相のほうで発表いたしております行政整理関係なんですが、これによりますると、運輸省欄試験免許というところに、海事代理士というのが載つておりますね。これによりますると、海事代理士免許制度は廃止することになつておるのですが、これが事実かどうかですね、これは運輸省に関する事務整理要綱として委員会に提出して頂きたいと思います。
  12. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) 政府委員のほうよろしうございますか、今のお話……。  それでは本案の御質疑は次回に譲ることにいたします。   —————————————
  13. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) 次に二十八年度港湾関係予算につきまして、黒田港湾局長から御説明をお願い申上げます。
  14. 黒田靜夫

    政府委員黒田靜夫君) 二十八年度港湾事業費について御説明を申上げます。  御承知のように、港湾海陸運輸の連絡の場所でございまして、貿易、産業上に非常に重大な影響がありますと共に、国土の開発地方経済の発展に密接な関係を有しておるのでございまして、二十八年度におきましては、次の諸点に考慮をおきまして、重要で緊急のものから整備をいたしたいと存じておるのでございます。  第一番は船型の大型化、或いは稼行率の上昇の要請、それから海運市場が相当従来東亜中心でございましたものが、アメリカ方面中心なつて来た関係で、それらの海運事情の変化に応ずるために、出入船舶が相当大きくなつております等の関係もありまして、これらの主要港湾におきまして、施設近代化と申しますか、合理化を図つたような次第でございます。  第二は、地方開発のための地方港湾がおよそ六百港ほどございますが、このうちの百三十四港を取上げまして整備をいたすことといたしたのでございます。これは従来とも港湾施設として整備いたしておるもののほかに、来年度はおおむね二十四港程度整備いたすことにいたしております。地方港湾は非常に民営のものが多いのでございますが、いずれも最小限度計画目途として整備を促進いたす考えでございます。又避難港につきましても、海難を防止する意味合いにおきまして、これが整備を促進いたしたいと存じております。後ほど詳細な数字は申上げたいと思います。又台風災害が非常に多いことは御案内の通りでございますが、これらの高潮対策といたしまして、大阪港とか尼崎港を中心といたしまして防災工事を促進いたします。それから一部の海岸決壊防止も併せて速かに完成を図りたいと存じておりまして、その主なるものは、新潟港が一番海岸決壊の顕著なものでございます。これらの港湾整備に要します事業費総額は八十億でありまして、二十七年度に比しましておよそ一割くらい、二十七年度は七十三億でございますので、おおむね一割程度増額なつております。この八十億のうち、北海道港湾関係整備費は六億三千万でありまして、これは北海道開発局予算として計上されることになつております。従いまして、本土関係予算は七十四億でございます。このうちで災害復旧費が三十一億でございまして、全国に亘りますところの災害復旧を促進いたすための事業費といたしまして三十一億が計上いたされておりまして、これは前年度の二十九億九千万と比べまして大体同じぐらいの比率となつております。港湾事業費プロパー整備費は、本土関係におきまして、北海道を除きまして四十二億でございます。この四十二億を更に内訳をいたしますと、直轄港湾工事をやるものが十五億となつております。この直轄港湾工事は、全国四つ港湾建設局がございまして、日本海方面には第一が新潟にその中心がございます。それから太平洋岸におきましては、横浜に第二港湾建設局がございまして、青森県から三重県までの主要港湾工事直轄をやつております。それから第三港湾建設局は中国、四国の主要港工事をやつております。第四港湾建設局は下関にありまして、九州山口をやつております。この直轄工事のうち、特定重要港湾費用は四億四千万でありまして、昨年の七億七千万に比べますと相当減額いたしておるのでございますが、これらの港におきましては、行政協定によりまして提供した施設代替施設直轄工事でいたすことになつております関係で、二十八年度におきましては、前年度と比べまして多少と言いますか、相当減額いたしておるような次第でございますが、安全保障費による港湾関係費用を含めますと、これが本年度予算と来年度で施行いたしますものを合せまして、只今のところおおむね三十億近くございますので、この意味におきましては、港湾の主要港近代化合理化が相当促進されるのではないかと存じます。それからその他の重要港湾におきましては、直轄をいたしておるものはおおむね六十港のうち二十六港の工事をやつております。この港の名前を申上げますと、日本海におきましては、秋田酒田新潟、富山、伏木、七尾、厚賀、それから太平洋岸青森県からは青森八戸、塩釜、小名浜、横須賀、それから瀬戸内海におきましては、和歌山、それから広島、松山、小松島、高知、宇部、そのほか日本海側で、伯耆の境、それから舞鶴において直轄工事をいたしております。九州山口におきましては、宇部、苅田、博多、唐津、佐世保、別府におきまして港湾工事をやつております。直轄で以て避難港の事業をいたしております港湾は、日本海側で、佐渡の二見、輪島、青森県の深浦、津転半島の尻屋、千葉県の名洗、島根県の七類、それから福岡県の大島の七港でございます。  次に直轄でなく、重要港湾地方港湾におきまして、港湾管理者工事を施行いたしまして、それに対しまして国が補助を出しておりますが、この補助総額は、二十八年度におきましては二十一億になつております。前年度の十六億に比しましてやや増額を見ておるのでございまして、六大港のほかに、重要港湾といたしましては、補助を出して港湾工事をいたしております港湾は、船川、八戸、宮古、直江津、釜石、姫路、糸崎、高松、坂出、今治新居浜、徳山、下松、長崎、それから五島におきまする福江、対馬の厳原、佐世保博多伊萬里、細島、津久見、鹿児島等でございます。地方港湾におきましては、先ほど少し申上げましたように、全国で百三十四港を二十八年度においては工事を着手することになりまして、相当民間営事業が多いのでございますが、効果のありますものから、浚渫をやるとか、或いは防波堤を築造するとか、或いは荷揚場造成してやるとかいうような方向に事業を進めておるのでございまして、その総額は、国費が五億九千万でございまして、前年度の四億八千万に比しましておおむね二割強の増額なつております。御承知のように、地方港湾国費補助は四割でございまして、五百万の国費がございますと、千二百五十万の事業ができるわけでございます。  次に、港湾の先ほど申しましたような台風に対する高潮対策とか、海岸決壊防災のための事業費は六億二千でございまして、昨年の四億六千に比べまして増額いたしておるのでございますが、これは尼崎大阪ともジエーン台風に対する措置は大体完成する見込でございます。今年から特に新らしい柱として附加えられましたものは、港湾局部改良が新規として出て参つてのでございます。金額は一億一千四百万で、僅かでございますが、これは地方港湾におきまして、僅かに補強してやるとか、或いは足らないところを防波堤等を延長してやりますと災害防止が非常に顕著であるようなものにつきまして、港湾局部改良をいたす目的のためにこの費用が新らしく計上されたのでございまして、おおむね九十港近くの全国港湾につきましてこれらの事業を進めたいと存じております。  そのほかに毎年の地盤沈下に対しまする対策補助費が、例年と同じようにおよそ八千九百万出ております。又直轄工事をいたしますのに作業船が相当動いておるのでございますが、その作業船に対しまして整備費が四億三千計上いたされまして、昨年の三億に比しましては相当の増額なつておるような次第でございますが、これで総額が八十億になるのでございますが、全体の港湾整備費は相当多額を要する見込でございますが、いろいろ国財政都合上において本年度は八十億で満足せざるを得ないような実情になつたような次第でございます。なおこの港湾公共事業費とは別途に港湾整理特別措置を考えまして、地方債の枠の中から十億程度荷捌施設或いは埋立地造成に優先的に充当し得るような措置を考えまして、目下地方自治庁とその内容について協議中でございます。これは港湾施設でありますところの荷役機械とか上屋或いは埋立地のようなものは従来公共事業費補助の対象でなかつたのでございまして、これらの施設は相当完成後におきまして利用があり償還の可能性が非常に顕著なのでございますが、基本的な岩壁なり或いは荷揚場ができましてもこれらの荷捌施設ができないために港湾の機能の発揮が十分でない。これらの港湾に対しまして地方債の中から十億程度を優先的にそれらの港に貸付けるという考え方でございまして、先ほども申しましたように今自治庁とそれぞれの細目につきまして打合中でございます。大体大略の御説明は目上の通りでございます。
  15. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) 御質疑のある方……。局長ちよつと伺いますが、今の荷捌施設費十億を自治庁と、御相談するというお話でしたが、それには地方債というところから出るのですが、別に予算のどこから出るのですか。
  16. 黒田靜夫

    政府委員黒田靜夫君) お答えします。一般地方債の中から自治庁と協議いたしましてそういつたような港湾施設整備のために優先的に充当するということになつております。特別に会計を作るとか、或いは地方債の中の港湾整備という特別の費目ができたわけではございません。
  17. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) 施設する大体の見当はどことどこにどういうものをするというような地方債を使う御腹案はお持ちですか。
  18. 黒田靜夫

    政府委員黒田靜夫君) 主として石炭の荷役機械が第一義に上つて来るのではないかと思いますが、次に岩壁施設等ができまして、上屋荷役機械がまだ備わつていないようなところに充当される予定でございまして、埋立地造成に対しましてはいろいろと地方からの厖大な要求がございますが、局部的に過年度でまとまるようなものを目下取りまとめているのでございますが、いろいろ各府県に対する地方債の割当が港湾を考えた場合にほかの地方債との関係等もございまして、この点につきましてはなお今後自治庁と折衝の余地が残つておるのでございます。
  19. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) そうしますと地方債の出るところの地方港湾で今仰せになつたような施設を必要とするところに重点的に大体使つて行こうという御腹案ですか。
  20. 黒田靜夫

    政府委員黒田靜夫君) そうでございます。
  21. 内村清次

    内村清次君 この二十八年度港湾事業費、これは大体全体の何%になつておりますか。
  22. 黒田靜夫

    政府委員黒田靜夫君) お答えいたします。大体当初港湾整備五カ年計画、というものを立てまして、そのときに当初に要求した額は二百六十五億程度でございました。その二百六十五億のうち九十億程度災害復旧費関係と承わつております。
  23. 内村清次

    内村清次君 それから港湾災害復旧費、これは前年度分の未使用額一つも残つておりませんか。
  24. 黒田靜夫

    政府委員黒田靜夫君) 災害復旧費につきましては大体未使用額はございません。むしろ仕越工事と申しまして、これは査定を受けますと災害復旧が一年先になるか、二年先になるかいろいろ財政関係がございますけれども、もらうことが確実でございますので工事のほうがむしろ先に先行されているような状況でございます。
  25. 内村清次

    内村清次君 この点ではジエーン台風は全部一応二十八年度に済むというわけですか。
  26. 黒田靜夫

    政府委員黒田靜夫君) 一応の目標は当時災が三割、前年災害が五割、その又過年災と申しますか以後のものに対しまして三、五、二となつております。そういう目標でございますけれども、その年々の公共事業費の枠なり、災害復旧費の枠によりまして、三年完成目途としておりますけれども、多少の遅れ、ズレが出て参つているようなわけでございまして、大体の見当といたしましては二十八年度災害復旧費が出ますと、二十五年の災害は七割程度できるのではないか、そういう見当かと思います。
  27. 内村清次

    内村清次君 それからこの全国港湾修築関係継続事業でやつていらつしやるのでしようが、二十八年度修築に対する補助の打切られるような港湾の数、これはわかつておりますか。
  28. 黒田靜夫

    政府委員黒田靜夫君) 目下のところ補助の打切りと申しますか、事業完成いたしましたものは約二十港でございます。
  29. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) 作業船整備費でございますね、一億四百三十万ですか、これは随分ひどかつたように前前聞いておつたのだが、どういうふうにお使いになるのか大よそ御計画があれば承わりたい。
  30. 黒田靜夫

    政府委員黒田靜夫君) 作業船整備につきましては、実際に作業船に乗組んでおる船員、或いは陸運労務者諸君からの強い要望等もございまして作業船整備計画を大体老朽船を今後十五年間に新造船に取替えるという目標でやつておるのでございます。当初はこれを五カ年計画程度要求いたしたのでございますが、いろいろの都合によりまして一応十五年程度で以てやる。そこでこれは一昨年からこの老朽船に代るべき作業船の新造をいたしておるのでございますが、これによりまして建造いたしました船は主として小型浚渫船でございます。ブリストマン式と言つておりますが、ブリストマン浚渫船の中のこれは割に小型浚渫に属するのでございますが、その中の大型で能率のよい、乗務員もそうたくさん要らない、一人でいろいろな操作ができるような運転装置をやりました大型クラブ式のものを昨年一隻建造いたしまして、これは非常な好成績を挙げております。それから又大型ポンプ船電力等事情が非常に窮屈な地方港湾に移動的に使う関係発電設備を取付けた作業船完成しております。又港湾工事をやりますのに海上コンクリートを固める、練る作業をやるのでございますが、コンクリート混和船と申しておりますが、コンクリートをミツクスする作業船整備を昨年度までにいたしまして、そのほかに曳船土運船、主に百二十立米乃至六十立米程度の容量のありまする土運船を十杯近く、数は正確に覚えておりませんが、完成いたしております。来年度におきましては非常に成績のよかつた大型式グラブ式浚渫船を建造いたしますと同時に、増額いたしました金で自航のできまする中型浚渫船を一隻建造いたしたい。自航できる中型浚渫船は主として日本海新潟とか伏木或いは酒田秋田のような川口の港で相当土砂の埋積があつて、各港を移動して工事ができるような方面に使用したいと考えております。そのほかに杭打船或いは起重機船等もおのおの二隻程度を建造いたす予定なつております。
  31. 岡田信次

    岡田信次君 この直轄港湾改修費の中に特定重要港湾重要港湾とあります。それから港湾改修費補助というところにやつぱり特定重要港湾重要港湾となります。この特定重要港湾重要港湾は大体同じことだと思うのでありますが。片一方港湾建設局でやり、片一方のほうは地方機関でやることだと思うのですが、これはどうして一緒にしてやらないのですか。
  32. 黒田靜夫

    政府委員黒田靜夫君) お答えします。これは横浜とか神戸の港についての例を取つて御説明申上げますと、横供神戸等におきまして防波堤を造る、或いは大きな泊地の浚渫をやる、或いは本船の接岸岸壁を作りますのほ直轄でやつております。奥の運河方面に艀の簡単な荷揚場施設とか、或いはその辺の荷揚のエプロンの改装をやりたい、かような事業につきましては地元港湾管理者補助をいたして事業をやつておるのでございます。大阪とか名古屋東京は、その港湾管理者経済力がありますので、自分の技術陣或いは作業陣をそれぞれ持つておりまして、それぞれの港湾管理者がみずから工事を全部やつております。
  33. 岡田信次

    岡田信次君 そうすると直轄港湾改修費の十五億の中にも、運輸省直轄機関港湾建設局でやるのと、それから大阪なり、東京なりのような、地方の自治体でやるのと、二種類あるのですか、この十五億の中に。
  34. 黒田靜夫

    政府委員黒田靜夫君) お答えいたします。直轄港湾改修費は、全部四つ港湾建設局直轄しておる費用が計上してあるのでございまして、大阪とか名古屋東京都のようなものは、港湾改修費補助のところで全部見ておるのでございます。補助関係は、全部港湾改修費補助の項目に上つております。
  35. 岡田信次

    岡田信次君 そうすると、大体この仕事と言いますか、工事と言いますか、その内容補助であるのと、直轄改修費のと、大体同じなんですが、ただやる機関が違う場合に、片一方直轄工事のほうに上り、片一方補助のほうに上るというのですか。
  36. 黒田靜夫

    政府委員黒田靜夫君) さようでございます。それに予算の立て方が、直轄でやりますと、例えば名古屋港のような場合を直轄で十億の仕事をやりますと、十億国費が歳出になりまして補助が五割ということになつておりますので、直轄でやる場合には五億の国庫納付金名古屋港の管理者が国にやるわけです。併し補助事業でやります場合には、十億の事業量がありますと、五億だけを国が補助いたして、残りの五億は地元港湾管理者財政作つて、それにプラスして事業をやる。そういうふうな考え方なつております。
  37. 岡田信次

    岡田信次君 そうすると横浜なり神戸なりのように港湾建設局が直接やつておられる所で、その地方の自治体が又直轄港湾改修費の金を使うというより、むしろ直轄港湾改修費は勿論下の港湾改修費補助のほうも一つの手でやつたほうが能率的ではないですか。
  38. 黒田靜夫

    政府委員黒田靜夫君) お答えいたします。直轄でやつておりますのは主として先ほど申しましたように大きな作業船船舶、機械を必要とするような工事をやつておりまして、地元補助は一般の民間業者ができるような事業を主としてやつております。これをどの程度をやるかということは地元港湾管理者と協議して、自分の所はこの程度仕事しかできないからあとは直轄一つやつてもらいたいという地元の協議を経て工事を実施しております。
  39. 岡田信次

    岡田信次君 もう一つ最後にこの程度港湾事業費で最近非常に拡充されつつある船舶に対抗して行くことができるのかどうか、も一遍伺いたい。
  40. 黒田靜夫

    政府委員黒田靜夫君) 私といたしましては最近船のトン数が多くなるよりも、船型が大きくなつておるのでございます。タンカーにいたしましても御承知のように従来積み一万トンであつたものが二万トン或いは三万トンというのができておるのでございまして、一般の貨物船にいたしましても戦前グロス・トンで四千五百トン平均でございましたものが、最近では五千五百トン近くになつております。リバテイ型が多いので積み一万トンというところが目標になりまして、これが水深九米を必要とする。従来は大体七米半程度あれば十分であつたのですが、それらの船型が大きくなります関係でそれに対応するように、完全に対応させるためにはやはり十分ではございません。大体大掴みに申しまして二割から三割程度の能力のほうが負けているのではないか。この二割、三割負けている能力は夜間の荷役をやるとか、或いは特別の強行荷役をやるとかいうような措置で補つているような現状でございます。
  41. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) 私から伺いたいのですが、港湾法による今のそういう港湾を例に取つて見るというと、市なり県なりでやつている。  それからその港湾はやはり今のような国の予算で相当な施設をしているということになつておりながら市なり県なりが管理をしておつて、今のお話のように船の型が大きくなる。従つて吃水も深くなるというようなことに応じて海運状態ようまくして行くというような規模に、国のほうは国の眼から見てどんどん金を出せばいいことになつていると思うが、港湾管理者のほうでは、そういうものの見方をするのにどういうふうにポイントを置いて見るか。今のお話では夜荷役をやるということになると桟橋へ持つて行つて夜荷役をやるのに適当な燈をつける、そういう設備も十分しなければならんし、そういうものがあれば港の効率が十分行くのだ。或いはパイロツトにしても、今のところでは、パイロツトの料金がどうだこうだということはありませんけれども、そのパイロットごと十分整備して、沖に来た船との連絡を非常に緊密に早く機動的にやるというような施設は国がやるのか、港湾管理者がやるのか、そういう点が非常にあいまいであるために、そういう僅かの施設で能力が上るべきものがネグレクトされはしないかという気がするが、そういうことに対する御意見なり、どうしたらいいかというお気持があるかどうか。
  42. 黒田靜夫

    政府委員黒田靜夫君) これはいつも問題になるのでございまして、岸壁とか或いは泊地のような基本的のものは国の公共事業費の助成の対象になつておりますので、そういつたような船型に対応するためにいろいろ港の変遷或いは混乱が来ました場合には、いろいろこれまでの船舶の増大、或いは貨物量の増加等に対応ずるよう港湾管理者計画を立てまして、その計画に基いて運輸省方面にいろいろと要請がありまして、それを一つの基本にいたしまして港湾整備計画を立て、その整備計画に則つて港湾事業費を計上いたしているのでございまして、只今申されましたようなパイロット・ボートとか或いは労務者の福祉施設とか或いは上屋荷役機械のようなものは、港湾施設に不可欠のものでありながらこれは港湾管理者がみずからその負担において整備することになつておりまして、国の費用が出ておらないのでございます。補助の対象にならないのでございまして、これらに対しましては、これが民間の企業であります場合には、一昨年来港湾のそういつたような施設に対して国の財政資金の融資を閣議決定で得まして、上屋とか倉庫、荷役機械に対します必要な申請がありますと、それを審査いたしまして開発銀行を通じて国の資金の融資があつたのでございますが、ところが港湾管理者がやつているような場合には未だその道が開かれておりませんので、港湾管理者としてはここに地方の税収入の中から港湾施設の改善のために事業費を投ずるとか、或いは何らかの事業を起してその収益でそういつたような施設をやつて行くというほか道がないのでございますが、今回地方債の中から何がしかの金を港湾管理者の行う荷役機械とか上屋に対しても、地方債のほうから優先的に廻せるような方法を請じまして、先ほど申しましたように目下自治庁と考究中でございまして、この港湾施設整備という点につきましては、日本の港湾の現状では、港湾の数も多うございますし、又いろいろな地理的条件に恵まれておらなく、むしろ今後建設に入る段階がまだ非常にたくさん残つておりますので、港湾修築というものはペイしないのじやないかと思います。丁度河川を改修したり、或いは僻陬の道路を開発するのと同じようなんで、一般の公益企業としての収支を償うものはなかなかないと思います。それで国の財政の助成等を行なつているのでございまして、港湾施設につきましては河川とは多少趣を異にして、上屋荷役機械等は或る程度資金を考えてやれば、あとは十年なり、或いは早いものは七、八年で償還が可能になるので、これらのほうは当座の資金を何かのほうで面倒、斡旋してやるという措置を考えなければなるまいと思うのでございます。今の港湾法によりますと、港湾管理者はいろいろ事業をやることができないようになつておりまして、岩壁の使用料とか、或いはブイの使用料によつてその収支を賄うというような建前になつておりますので、これは非常に港湾管理者としては建設をやる場合には苦しいだろうと思うのでございますが、こがれ若しアメリカのポート・オーソリテイ、或いはロンドンのポート・オーソリテイでやつておりますように、飛行場を経営するとか、或いはトンネルを経営してその取り賃で黒字が出て来るというような或る事業をできるようになりますと、港湾管理という面も相当進展するのではないかと思いますが、日本の現状では只今申上げましたように、なかなか収支償うわけには行きませんが、地元といたしましては、やはり地元の発展のために港湾を改良することによりまして、船舶の出入が多くなるので工場の誘致ができる、すべての面で市の財政を潤して来るということで、地方では背後地の発展と全体を睨み合せて港湾施設にペイはしないんだが、公共の福祉のために改良をやるという方向に管理者自身がそういう気持になつて行かないと、施設補助の対象になつていないものはなかなか促進されないのじやないか、かように考えます。
  43. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) ほかに御質問ありませんか。ほかに御質問なければ少し関連していますから政府委員に質問してよろしうございますか。  それじや海岸保全法案が議員提出で提出されて、今日の公報を見ますと、建設委員会のほうに予備審査で出ておるらしいのですけれども、これは黒田局長に一応お伺いするのですが、海岸保全工事は法的裏付がそれであることになつて、そういうものができると、予算も取りやすくなると思うのですけれども、この法案の内容には運輸大臣が主管大臣になつていないようなんです。で、港湾区域内の海岸保全はあれができるとどういうふうになるのですか。港湾関係予算をいろいろ操作するというような意味でも、ああいうものが法律なつて、而も運輸大臣はそこからこうネグレクトされているということになると、私どもは非常に将来の港湾修築或いは運営の面において支障があるのじやないかという気がするのですが、局長の御意見を一応伺いたいと思います。
  44. 黒田靜夫

    政府委員黒田靜夫君) お説の通りでございまして、従来一般の海岸保全につきましては建設省、農地の保全につきましては農林省、港湾区域内の海岸の保全につきましては運輸省が責任を以てやつておりまして、法律的の裏付はなかつたのですが、行政措置によりましていろいろ防災的な事業をやつて参つたのでございます。例えて申しますと、尼崎の防潮工事大阪港の防潮工事、或いは新潟港の附近の海岸決壊防止工事などを中心にいたしまして、瀬戸内海にはだ百五十個所ほどの地盤沈下なり、或いは海岸決壊に対する防止工事を行政措置によつてやつておつたのでございます。で今回伝え聞きますと、海岸保全法ができて一般の海岸に対しては建設大臣がその責任を負い、農地の保全については農林大臣が責任を負うようになつておりますが、港湾の区域につきましては運輸大臣は責任を負わないような建前になつておりますので、かようなことができますと、港湾関係のある施設の保全はやはり港湾区域内におきましては運輸大臣が責任を持つのが最も妥当でございまして、是非この海岸保全法に、運輸大臣港湾区域内における海岸保全は責任を持つというふうに、運輸大臣の責任をはつきりさせてもらうことを希望いたすのでございます。法律ができまして、法律の裏付によつて補助が確実に出ることになりますと、どうしても従来港湾の機能に関係のある施設運輸大臣がやつておつたといたしましても、やはり予算の取りやすい方面に流れて行く心配がないでもありませんので、是非これは海岸保全法で港湾区域内における港湾の機能に関係のある港湾の保全につきましては、運輸大臣が責任を以てやれるように法律運輸大臣を入れてもらうことを切望いたしておるような次第でございます。
  45. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) それではほかに御発言がなければ、引続いて昭和二十八年度の航空関係予算について政府委員説明を求めます。
  46. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) お手許にこの前配付いたしました資料があるわけでございますが、航空局の関係は簡単でございまして、むしろこれに即しないで抽出してお話申上げたほうがわかりいいかと思いますので、そういうふうにして御説明申上げたいと思います。御存じのように、航空局の航空関係予算は、本年度予算はまだ占領中に組まれた予算でございまして、当時は全然航空の自主権というものがなかつた時代でございます。今度即ち来年度予算が初めて航空自主権の回復した情勢下における予算の編成ということに相成りまするので、我々事務当局といたしまして非常な熱意を以て当つた次第でございますが、全体として見ますと、国の財政一般の事情から相当に抑制されておる次第でございます。で航空局といたしまして、民間航空を発達さすためにやらなければならないことを考えたのが、項目から申上げますと、先ず第一に、国際線を発足させるためにはすでに国際間の競争が非常に猛烈でございますので、この競争に堪え得るようにして行かなくてはいけない。従つておおむね一社といたしまして、それに対して政府出資をする必要があるということで、この点を主張したわけでございますが、これは十億円だけ政府出資をするということがきまりまして、これは大蔵省から直接会社に出資するということになりますので、運輸省予算に計上されないで大蔵省予算に計上されておりますが、実際はそういうことでございます。なおそのほかに国際航空を始めますに当りましては、試験飛行を少くも三回ぐらいはやつて見なくてはいけないわけでございますが、それにつきましては収入がない部類に属しますので、その分を半分ぐらい補助したいという考えを持つておりましたが、その予算は認められなかつたわけであります。  次は国内の航空路網を拡充するということでございます。これはいつかも御説明申上げましたが、現在日航が飛んでおりまする線以外に来年度実施したいと思いましたのが、大阪—高松—岩国—大分—福岡—大村、これが一つ。それから福岡鹿児島が一つ。もう一つ東京新潟—小松—大阪と、この三線を開設したいということで予算要求いたしたわけでございますが、これは気象台の関係は別といたしまして、私のほうの関係だけで申しますと、おおむね六億円程度の経費を要するわけでございます。併しこれを一挙にできないと、いたしますれば、或いは鹿児島まで福島から延ばすというような線でもやりたいと思つたのでありますが、遺憾ながらこれは認められませんで、ただ路線調査費として八十二万円を認められたわけでございます。  次はこうして日本の空を飛びますために、いつかも御説明申上げましたように、現在は飛行場に発着するにいたしましても、飛行場の周辺、又飛行場と飛行場の間の空を飛びますにつきましても、全部完全なる航空管制を行いまして、交通の安全を期しているわけでございますが、全部米軍によつて行われているわけでございまして、従つて英語を用いなければならんということでございますので、この状態を一刻も早くなくしたいと考えまして、これに要する人員三百八十六名を要求したわけでございますが、一挙にそこまで行くことも困難だろうということで、来年度は百五名の増員を認められたわけでございます。それで行きますると、羽田は大いに力を入れるということでございまして、羽田におきましてはGCAを、夜とか、非常に曇つているというようなときに、飛行場に降りますのにレーダーでもう少し頭を左へやれ、もう少し頭を下げろというようなことで、全部無電誘導で下へ降ろすわけでございますが、その分に対するものは羽田だけでございまして、他は管制塔ということに相成つております。養成いたしますのにもも、おおむね一年間を要しますので、逐次養成をいたして行くわけでございます。我々といたしましては来年度の六月頃にはこれを全部こちらで行いたいということを考えていたわけでございますが、これは少し、一年以上延びるということにならざるを得ないと思います。  次は乗員の関係でございますが、御承知のように乗員はまだ日本人がやるという状態に来ておりませんので、これも一刻も早く日本人にしたいというために乗員養成所を作るということを考えたわけでございますが、これには十億近くの多額の経費を要しますので、それより現在の定期航空に要する職員の教、その他から見て、今そういつた設備をするよりは定期航空の会社で以て訓練をする、アメリカにやつて訓練をするなり、国内において訓練をしてその経費を補助するという考えで本年度三千万円の予算を計上してあつたわけでありますが、来年度それを五千万円に殖やすということで話がきまつたわけでございます。  以上申上げました四点がこれが新としい日本の航空を自主的に発展さすための基本になる事柄でございまして、これを実現したいと努力した次第でございますが、予算的制約によりまして今申上げましたような程度にとどまつておる次第であります。逐次これを充実して行かなければならないとかように考えておるわけであります。  なおもう一つ、羽田にエアー・リンクというのがある。これはエアー・ラジオ。イン・コーポレイテツドと言いまして、これが占領中に羽田に進出して参りまして、羽田を中心としましてセミアを南下いたし釜山、南方へ行きますとグアム、ウエーキ、沖繩マニラというところの相互の航空関係の基地通信、それからウエーキから飛んで来る飛行機との相互の間で通信して保安上の施設をやつておるわけでありまして、その経費は飛行場会社から徴収するという純粋の民間会社が支店を置きまして羽田で作業をしておるわけでありますが、これは申すまでもなく講和条約が成立いたしました今日におきましては外国の会社が国内においてさようなことは電波法上できない建前に相成つておりますので、講和条約の効果を発生した三カ月を経た以後は違法の状態になりますので、政府としましてはそれを航空局に引継ぐということにいたしまして、実際には要員その他の問題がございますので、予備機関を置きまして航空局の上請という状態で今運営しておりますが、これを四月一日から全部日本側に接収する。その機械は六億六千万円、電通省関係で約八千万円ばかりのものと考えまして、人間を五十七人新たに定員を認められておりまして、四月一日からこれを完全に日本側に接収し、日本人の手によりまして英語によつてこれを運営する、こういうことに相成つた次第であります。以上申上げます。
  47. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) ほかに御質問がありますれば……。
  48. 高木正夫

    ○高木正夫君 ちよつとお話がありましたが、例の何というのですか、私は素人でよくわかりませんが、航空管制ですか、殆んど英語を使われてみんなやつておりますね。何か定員が約四百人要る、それに対して今の話だと百幾らだというお話ですが、まあせめて今年、来年とはいかんでも二年ぐといでやつてもらうようにしたら一つどうかと思うのですがね。少し遠慮し過ぎたのではないですか。
  49. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) まあそういうことにも相成るかと思うのでありますけれども、そこへ落着いたわけでございまして、一応これでみますと管制塔の分でございますが、管制塔は千歳、仙台、東京名古屋大阪、福岡これに十六人を配置いたしますので相当日本語で言い得るという状態になつております。なお且つ日本語でなくても、今やつておる日本人の英語だと非常にわかりやすいそうでありまして、そういう効果もあろうかと思つておる次第でございます。
  50. 高木正夫

    ○高木正夫君 朝鮮でございますね、何とか国でも向うの言葉でやつているらしいのですが、今のようなものは制空権というのは全く向うに握られているわけですからね、これはどうしても要員を早く整えてこつちに実際に制空権を掴んでしまわなければいかんという感がするのです。今年はしようがなければ、二十九年度においては全員を揃えて頂きたいということを現地を視察してそういう感がしたわけです。一層御勉強を願いたいと思います。
  51. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 皆さんから御鞭撻を受けまして是非再来年度は必要の人員を獲得いたしたいと固く決意しておるわけでございます。
  52. 高木正夫

    ○高木正夫君 もう一つ、この間羽田を見まして感じたことはターミナルの設備が非常に狭いと思う。十二社か何かやつているのが、二社ごとに一つの窓をもらつてやつている。非常に複雑している、だんだん説明を聞いて見ますと、羽田に乗降するお客は横浜なり神戸に船で入る客よりずつと多い。そうすると外来客の窓口としてはあそこが一番多いことになる。国家としても相当の資金を投じて設備しなければまずいのじやないかと思う。これらに対して政府はどういうふうにお考えになつておりますか。
  53. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 外国ではアメリカの例を見ますと、フエデラル・ガヴアメントがやつたり、或いはニューヨークではポート・オーソリテイがやり、或いはステイトがやり、或いはシティーがやるというように公共的なもので全部設備しましてそれを貸してやつておる、こういう状況でございます。それで今の羽田のターミナル、あれを改築するとか増築するというようなことをするといたしましても話になりませんので、こちらの入口に近いところでございますが、長い滑走路と短い滑走路と交錯しておりますこちらの入口のところに政府で以て立派なターミナル・ビルディングを建てたいということを念願していたわけでございますが、非常に多額の金を要しますので、政府としての財政需要から民間航空会社の扱う分、或いはバーとか土産品店を作るというところまでの金は政府として今出すにはその余力がないというわけでございます。併し税関とかイミグレイシヨンとか食物検査とか郵便とか航空局の関係、気象台の関係とかいつたいわゆる本当の政府の分については政府予算を出してもよい、こういうことになりましたので、そこで政府分の建物だけそこに一まとめで建てるということをいたしますというわけでございますが、そういたしますと飛行場の利用関係から言いまして、税関とか出入国管理とかいう手続の建物が別ということは事実上できないのでございまして、羽田にターミナル・ビルの民間の会社を作りまして、そこで政府の入るビルも一緒に作りまして、そうして世界のいろいろないい点をとりまして、最もお客さんの流れ、税関の手続、出入国管理の手続がベルトコンベアーのようにずつと滞りなく進むような非常にフアンクシヨンのいいターミナル・ビルにして、政府の使用する分だけはあらかじめ予定してその分は政府ででき上つたときに買収するという形で行きたいということにきまりまして、予算額も大体きまりまして、その準備を進めておるわけでございます。併しこれには現在やつております外国航空会社に対しまして金を出させる、或いは家賃の前払をさせるというような問題もありまして、目下折角外国航空会社とそういつた問題について折衝中でございまして、新聞等にもいろいろな問題が出ておるようでございますが、逐次解決し、逐次進展しておる次第であります。
  54. 高田寛

    ○高田寛君 この予算の中に国際航空事業実施に必要な経費十億円というのが挙げられておりますが、これをどういうふうにこの十億円というものを使うのか、その点を一つ詳細に御説明願いたい。
  55. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) この点につきしては、大体いろいろ我々のほうで準備をいたしまして大臣とも十分御相談申上げまして、大体の案を得て近く結論に出まして、案を国会に提出して御審議を仰ぐことになつておりますので、私から御説明申上げるより大臣から御説明申上げるのが筋かと思います。なお且つまた最終的な案というところまで行つておりませんので、甚だ申訳ないわけでございますが、私からここで答弁するということは或いは適当でないかと考えておるわけであります。新聞等にはいろいろ出ておりますが、先ず日本の国際航空を進めるためには、強力な組織になり、現在御承知のように実現しておる会社が日本航空、大阪商船が母体となつております日本国際航空、飯野海運、三つでございますが、こういつたものも参加し、政府も出資し、強力な単一体として激烈なる国際競争場裡に出るという態勢に逐次進むことだろう凶と思います。
  56. 高田寛

    ○高田寛君 まだ政府として最終の案というところまで行つていないということならば、これは止むを得ません、この程度にしますが、それから次に国内航空関係として、いろいろ飛行場で例えば北海道の千歳などは札幌の飛行場として非常に遠い、札幌から一時間以上もかかるということで、その近くに丘球というような適当な飛行場、これを修理すれば使えるというような適当な飛行場があるということは、この前の国会で政府委員から承わつたのですが、そういうような札幌における丘球のような飛行場、そのほかのところにもあると思いますが、こういう飛行場を使うように一つ年度予算にはまだ計上させておりませんが、将来の考えとしてそういう便利なところの飛行場を使うようにするようなことを考えておられるかどうか、その点如何でしようか。
  57. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 誠に御尤もでございまして、成るべく都心に近いところに飛行場を持つということが一番望ましいことでございます。併し御承知のような状態で、農地を取り上げるとか何とかいうようなことで、新たに飛行場を設置するということは事実上困難でございますので、既存の飛行場を利用しまして、而も既存の飛行場で都心にできるだけ近いものを利用するという考え方で、そういつた基本方針で進んでおる次第であります。
  58. 高田寛

    ○高田寛君 そうすると例を札幌に取れば千歳でなく従来使つたことのある丘球のようなところを、将来民間航空に使うように考えて行くというつもりでございますか。
  59. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) そういうことに、抽象的に言いますとその通りでございますが、例えばこれを具体的にどういうふうに実現するかといいますと、千歳を移転するということは設備の面から相当困難が伴うと思います。と同時に具体的な問題として行きますと、今丘球の飛行場につきましては保安隊のほうと何と言いますか、かち合いまして折衝をいたしておる次第でございます。保安隊は非常にあそこを熱烈に希望し、兵舎等も作るということに相成つております。私のほうにおきましても民間飛行場としてこれをとつておきたいということで折角交渉中でございます。ただ問題といたしまして千歳を幹線の飛行場として残しておくということが相当の期間必要だろうと思うのでございますが、そうしますと幹線飛行場とローカル飛行場とが別にあるということは又非常に不便でもございますので、実際問題として考えました場合に近いうちに、千歳を丘球に移すということは相当困難ではなかろうかと思うわけでございますが、抽象的なものの考え方としましては、全く高田委員のおつしやる通りだと考えておる次第であります。
  60. 高田寛

    ○高田寛君 これはやはり昨年航空局の当局から伺つた説明としては、仙台でも霞の目を使うようにしたいというようなお話があつたのですが、霞の目飛行場などはどういうふうに考えておられますか。
  61. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 当初占領期間中におきまして急いで着陸させろというような趣旨のお話が強かつたものですから、一応矢本を予定しておつたわけであります。併し矢本は御承知のように道も逐次直つたとはいいましても、仙台から四十八キロもあるわけでございまして、適当なロケーシヨンではないと考えますので、そこで仙台の近くにあります霞の目の飛行場、少し小さいのでございますが霞の目飛行場を使うということで、予算折衝その他をいたしております間におきまして、本来この飛行場は片方に高圧線がございまして、必ずしも条件がよくない飛行場であつたのでございますが、ところが私どもの手落ちと申しますか、知りませんうちにこちらの側の既存の高圧線のほかに、東北電力がすごい強烈な送電線をそのそばに立てかけまして、途中でわかつたわけでございますが、それを移転して飛行機の発着に差支えないようにいたしますためには、非常な金を補償をしなければならんということになりまして、そこで改めて向うの軍のほうもサゼストしてくれまして、矢野目飛行場というのが現在はあるわけでございます。それは仙台から十八キロで道も非常にいいのであります。そこが適当ではないかということで、目下そこに仙台の空港を作るという考え方予算の準備その他をやつております。
  62. 高田寛

    ○高田寛君 それから日本国内航空の関係としては三つの新らしい路線を開設しようと航空局では考えられておるけれども、来年度予算に遺憾ながら盛られなかつたというお話ですが、まあ今まですでに開かれておる国内の主要幹線、こういう線については、これを経営する航空会社もまあ単一、一つで行くというふうに方針として考えられておるか、複数で競争させるというふうに考えられておるか。この辺が運輸省としての方針が大体きまつておられたら、一つお聞かせ願いたいと思います。
  63. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) この航空事業が立上ります初期におきましては、そういう競争をさせるということは、国民経済の見地からそう得ではなと思います。併し資本主義経済を誠める限りにおきましては、私は独占主義でなしに競争主義で、複数主義或いはミツクスで行くという態勢が望ましい、かように考えておるのであります。併しそういつた競争をさせるという態勢を、いつの段階におい始めるかとうことは問題だと思います。なお従つて、いつから競争線を認めるかということににいては、まだ決定をいたしていない次第でございます。なお航空審議会の答申もありまして、これを尊重して考えて行くわけでございますが、ローカル・ラインでございますが、ローカル・ラインにつきましておのずから飛行機の型が違うわけでありますので、これは幹線をやる飛行機とおのずから別な型の飛行機を用いることが適当である。又そうせざるを得ない事態でございますので、ローカル・ラインについては単一のものでやるということも考えられますけれども、又別な会社に免許して、それが小さい飛行機から逐次努力して、更に大きな飛行機を持つという段階に来るというようなことをやりますればそういつたときに複数主義が、幹線についても複数主義にすることがいいことではないかというふうに考えているわけであります。なお幹線とかローカル線とかいうことが言葉の綾のようでございますが、一応我々が考えておりますのは、例えば東京と札幌、東京大阪—福岡といつたようなものを一応幹線と観念いたしておるわけでございます。例えば名古屋を入れるとか、岩国を入れるとか、或いは北のほうへ行きますと、仙台を入れるとか、或いは三沢を入れるというようなことは、ちよんちよんで行くのはローカルであると考えておるわけであります。なおお客の側から考えましても、DC4の七十人、八十人というような大きな飛行機を持つても、お客さんは非常に少いという状態でありますので、そういつた地域に適応した中型以下の飛行機で航空を行うということが適当ではないかというふうに考えまして、ローカル線の問題又目下折角慎重に検討しておる次第であります。
  64. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) ほかにございませんか……。ちよつと政府に伺いますが、今の高田さんの質問と関連して先刻仰せになつた、いわゆる国内航空の幹線と言いますか、ローカル線と言いますか、ずつと場所をいろいろ挙げておられたのですが、そういうものを作るとなると、民間にしてでも更にやるということになると、その飛行場の整備、或いはそこにあるいろいろな施設というようなものはその民間航空会社にさせるのですか、政府がそういう施設を十分にして、そして飛行機の着陸或いは発着ができるようなふうなことは、政府みずからが予算を以てこれをやるということなんですか。
  65. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 建前といたしましては、そういつた交通幹線と言いますか、交通整理と言いますか、安全の確保と言いますか、そういつた面に要します経費は政府で準備しまして政府が安全な十分な施設を整えてやるという考えで民間の会社が負担してやるということは、会社のほうでは免許が早く得たいためにそういうことを申しておりましたけれども、事実上そういつた投下資本をやつて始めますならば、自然運賃が非常に割高につきまして、事業の経営も非常に困難になるという、会社に対する経済的な面と、又いわゆる交通の安全といつたような、いわゆる空の交通巡査といつたような性質のものでありますので、これは政府予算を取りましてやるというふうに考えて来ているわけであります。
  66. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) 例えばさつき言われたところに大村というようなことを言われましたが、運輸委員会で先般航空関係の飛行場や何かを見て、ここでも御報告になつておるが、例えば大村が、あそこを見ると、入国管理局の所管の朝鮮人の収容所というようなものを、地方へ行つて現場で聞くと、拡大するというような話ですが、あそこはやはり国有地になつておる、あれを拡大して、そして大村を使うという形になると、そいつを取払うのに、相当余計な金がいるが、今のうちに置き換えになるというような御方針がきまつておるのなら、政府の間で、土地はあの辺幾らでもあるのだから、少し横のほうへ寄せて新築なり、増築なりやつて行くというようなことに対して、当然政府部内で交渉ができると思うし、いいのかとも思いますが、一例ですけれどもちよつとお伺いしたい。
  67. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 大村の件につきましては、入国管理局のほうの計画もよく承知いたしておりますし、私のほうの主張もあつたわけでありますが、結局双方に歩み寄りまして私のほうの安全性を確保し得る限度におきまして、家の構造を二階に持つて行き、場所等の設計変更をしてもらいまして、そういつた滑走路等の角度の点を十分調整いたしまして、両方が立つように話合いがついて、入国管理局のほうで設計変更をして工事を進めることになつておるわけであります。
  68. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) 最後に一つお伺いしますが、先刻高田さんのお話であつた国内航究を一本にするか二本にするか、或いは二本以上にするかというようなこと、並びに審議会の答申にも言及されて、今の段階で現在やつておる日航以外の航空申請会社に許可をするかしないかというような、団体はまだはつきりしていないのか、大体まあきまつておるのか、その点伺いたいと思います。
  69. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 現在定期航空として出願してございますのがたくさんあるわけでありますが、主なものを申上げて見ますと、日本へリコプター、極東航空、関西汽船を中心としました極東航空、それから大和自動車を中心とする大和航空、それからパン・アメリカンと京阪神急行を中心とする日米航空、こういつたようなものがあるわけであります。出願しておる出願の計画によりますと、本年度、来年度予算要求いたしました路線を含んで、計画をいたしておるわけでございます。併し今申上げましたように、来年度そういつた飛行場を拡張し、使用し得る状態にすることができませんので、現在使い得る飛行場で以てこれからのものに新たなる免許をするかどうか、ローカル線的なものについては審議会の答申では大体地域的に二社程度を許してもいいではないかという御意見もございますが、目下慎重に検討をいたしておるのであります。もともと当然予算が取れるということを予想しておりましたのが取れなかつた点もございます。又経営が十分成立つて行くかという点は勿論でございますが、交通事情の点等から考えまして、許して然るべきや否やということを慎重に検討いたしておる次第でありまして、今まだ許すとも許さないとも結論が出るところまで参つていない次第であります。
  70. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) ほかに御質問がなければ今の航空関係予算の御説明はこれで終了してよろしうございますか。   (「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) それじやさよう取計らいます。
  72. 内村清次

    内村清次君 私は、これは最近起りました漁船の拿捕問題につきまして実は御質問申上げたいのですが……。
  73. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  74. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) 速記を始めて。
  75. 内村清次

    内村清次君 そこで実はこの漁船の拿捕されました日にちは、本年の一月の二十一日午後の一時頃ですが、地域といたしましては韓国の小黒山ですか、静島に出漁中の、これは船の所有者は長崎県旭町の井筒という所有者ですが、船は喜久丸十三号、十五号二隻七十二トン、これに船員が二十三名で、午後の一時に怪船が現われて漁船を拿捕して、この漁船からは無電にてSOSの発信をやつただけでその後消息はない、こういうような状態です。でその後関係者もこれは海上保安庁の出先、又は水産庁あたりに書類を出したはずでございますが、私が質問しようとする点は、このような漁船拿捕に対しまして、私といたしまして、この問題に対してはたとえこれが今日のこの状態では中共関係からの怪船の拿捕といういわゆる韓国のこの李承晩ライン関係でなくして、これは緯度は東経百二十五度線の漁船関係でございまする以上は、中共関係と覚しいのですが、こういうような拿捕関係が本年に入り、或いは又前年度において相当多数届出がなされておる事実があるかどうかという点が一点と、それからこれに対しまして各関係官庁はどのような対策を立てておられるのであるかという点が第二点ですね。先ず第一、第二の点から一つ御答弁を願いたい。
  76. 松野清秀

    説明員(松野清秀君) 只今内村委員のおつしやた第十三、第十五喜久丸が農林漁区の三百二区で一月二十一日に拿捕された事件につきましては現地の出先から報告を受けておりますし、又船主からも名簿等を添えて報告は受けております。なおこのこの同船は今申上げましたように三百二区でありまして、いわゆる防衛水域外でありまするが、地理的に見ますると、非常に中共よりも韓国に近いという点で或いは韓国に拿捕されたのではないかというふうにも見ておりましたが、去る二月一日に日本水産漁業会の代表が韓国政府を訪問されました際、同国の水産局長は本件に関しては何ら報告に接しておらぬということを回答しておりまするし、且つその後も韓国に抑留されたといいうような何らの情報を得ておりません。而も当時その辺の水域への中共の怪船が進出しておつたというような情報もございますので、これは恐らく中共に拿捕されたものと考えております。なお中共に拿捕された船がたくさんあるかというお話でございますが、すでに本年に入りましてからも五隻ございます。それでこれらの拿捕事件につきましては、政府としましては、御承知と思いますが、昨年五月二十三日の閣議決定によりまして、水産庁の監視船と海上保安庁の巡視船が協力して、これらの漁船の保護に当るということになりまして、爾来海上保安庁といたしましては、中共方面の水域につきましては常時巡視船を二隻出動させまして、水産庁の監視船と緊密に連絡をとりながら漁船の保護に当つている、こういう実情でございます。
  77. 内村清次

    内村清次君 それで今こういう拿捕関係に対しましての直接の官庁ですね。これはいわゆる海上保安庁といたしましても関係はあるのでございましようか。漁船という問題からして、水産庁のほうがこれは直接関係があるものでございましようか。これは全体的に一つの船としての取扱方からして、海上の災難、或いは又は漁船としての今後の漁区関係との問題から関連して水産庁が直接に当るものであるかどうか。この辺の連絡はどういうふうになつておりますか。この点についてお伺いしたい、責任の所在ですね。
  78. 加藤富雄

    説明員(加藤富雄君) 只今の問題につきましては、これは只今警備救難部長もおつしやいました通り、保安庁におきましても常時二杯、この方面に巡視船と申しますか船を出しておられますが、私のほうにおきましても大体こちらの方面へ従事いたします船は約八隻ございまして、この船がこの、何と申しますか、漁船の保護に当つている、こういう問題でございまして、まあ何と申しますか、どちらがどうかという問題でございまするが、その点は先ほど部長からも言われましたように、閣議に基きます保護対策という観点におきまして、一応水産庁も保安庁も緊密に連絡をとりまして、常時、常時と申しますか、随時必要に応じまして協議をいたしまして連絡を密にして保護に当つております。
  79. 内村清次

    内村清次君 そこでこの翌日やはり第一大衆丸という六十五トンの、これは福岡市に在留しているところの所有者の船ですが、これがやはり百八区で緊急通信を発したまま消息を絶つている。そこで二十三日の日には水産庁の監視船の第二京丸というのが第三百四区で怪船をキヤツチしたというだけの報告はなされているようでありますが、そうすると海上保安庁も水産庁も同じくこの海上船舶安全のために監視船を出していると、こういうことはまあはつきりしたわけですが、この問題はこの乗員、いわゆる船員の家族あたりが、これは最近におきましても国会に参りまして非常な陳情をやつて今後の生活問題、それから又船員がいつ一体帰つて来る予測があるかという点に対する心配、こういう点が非常に私たちは心を痛めておるような問題ですが、この点に対しましては一体どの官庁がこういう処置をとつてもらう所管であるか、その点はどうですか。
  80. 松野清秀

    説明員(松野清秀君) 抑留船員の帰還につきましては、中共関係では、従来は向うから帰してくれるのを待つておるというようなことでありましたが、なおこういう抑留船員の帰還につきましては、政府としては外務省を通じてできるだけの手を打つてもらう、こういう方針でありまして、最近外務省へ伺いましたところ、道義的な立場からこの抑留船員を速かに送還してもらうように適当な時期に日本赤十字から向うの中共の赤十字に要請してもらうように日本の赤十字に対して委嘱をした。こういうことを言つておられますので、今回の引揚問題などの推移と睨み合つて、適当な時期に話が進められるのではないか、かように私どもは観測しておる次第であります。
  81. 内村清次

    内村清次君 この点に対しまして外務省の関係ですね、一つ御答弁を願いたいと思います。
  82. 人見宏

    説明員(人見宏君) お答えいたします。御承知のように目下中共当局とは国交関係がございませんので、直接交渉の方法がございません。従つて今海上保安庁のほうから申上げましたように、外務省としては日本の赤十字に依頼して、先方の赤十字当局に帰還方促進を依頼するように措置をとつております。  それから又先般中共の漁夫が海難しまして、日本の漁船に救助されましたが、この八名の漁夫を日本において十分優遇し、早期に帰還せしめまして日本側の誠意を十分示し、そうして先方の反省を期待するというような態度をとつております。
  83. 内村清次

    内村清次君 まあ只今の御説明では、まだ私たちといたしましても少し満足しかねる答弁のように感じまして、併しこれは基本的な問題は政策の問題であるし、やはりこれは大臣の職権関係にもなつて来るだろうと思いますが、まあ今回のこの中共から提出されました引揚の問題にいたしましても、昨日のいわゆる中共政府のこの問題の代表者から言つておるように、今後個人的に帰りたいというような人でも、将来においてやはり引続き希望さえあつたならば帰してやろうというような中共自体の政府責任者も言つておるが、こういう関係からして今国交がないから、即ちその日本の拿捕されたところの船員の引戻しを要求できないというようなことでは、私たちは到底満足ができない。で、これは又大臣関係に対しての私たちの質問になつて行きますが、又外務省としての国会に対しての方針もあるし、いわゆる未調印国に対するところの態度ですね、こういう態度に関連しましての私たちの又希望もあろうし、併し事務当局としてもやはりそういうような向うのほうでは却つて日本の現在の国交に対しましてやわらぐような打出し方を通信では出しておる現今においては、何とかこういう拿捕された船員に対して政府から直接交渉の途を開いてもらいたい。特にこの赤十字社から相手の赤十字社に出すというようなこともこれも決して必要でないとは申しません。必要であろうとは思いますが、政府の責任においてやるような途を外務省は開いてもらえんだろうか、これがまあ現在の遭難者の家族の一様の気持です。又同時に私たちの気持でありますが、この点はまあ一つ強く要望しておきます。今日これは何回申しましても結論が出ない問題だろうと思いますから、これは強く要望しておきます。  第二点は、現在そういうような遭難者があるこの家族の人たちの生活の途というものは考えてやらなければならん。そこでこれもただ船主対その船員だけの問題であるかどうか、そういうような何と申しますか不可抗力にも等しいような拿捕事件が起つておる現在において、国民として国家的なこれの災害に対するところの補償関係の途はないものであろうかどうか、この点をこれは水産庁関係のほうが少し関係が多いようでありますが、他の例を引いてどういうような現在の家族に対しての生活の途の保障があるかどうか、この点一つ答弁してもらいたい。
  84. 加藤富雄

    説明員(加藤富雄君) 只今の問題でございまするが、実は先般、日にちはちよつと記憶に落しておりまするが、先般船員の給与保険というものが出て参りまして、それに基きまして一応何と申しまするか、こういつたような事件の生じた場合の家族の生計に充てられるような措置をするために船員給与保険というもの出まして、これがぼつぼつ実行に移つておるわけであります。
  85. 内村清次

    内村清次君 それでは最後に、この事実は事実といたしまして、この遭難の事件はすでに各官庁に対しましても届出済の問題でございまするからして、是非一つ早急にこの問題が解決いたしまするように、私は特に一つ希望いたしまして質問を終りたいと思います。
  86. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) ちよつと関連して伺いますがね、水産庁の方に……。この監視船というやつはあれですか、武器というか何というか、ピストルくらいは持つておるのだろうと思いますが、ピストルを持つておれば……ピストル及び何があるのですか。ピストルのほかは何を持つておるのですか。
  87. 加藤富雄

    説明員(加藤富雄君) 持ちません。
  88. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) 火器は一つもないのですか、何で監視するのですか。
  89. 加藤富雄

    説明員(加藤富雄君) レーダーなんかによりまして先方の怪船らしい方向を、要するに海上のそういつたようないろいろの情勢をキャッチしたらそれを各漁船に通報する、それから漁船が今申しましたような緊急通信を出しましてキヤチしておりまして、それをこちらのほうにいち早く連絡もし、更に周囲の漁船にもそういつたような報告をしております。
  90. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) そうすると例えばAという船が敵というか、余計なやつが来て危険だと、その監視船が認めたら、それもその周囲並びに政府のほうへですな、通信をするという機能以外に何物も装備していないわけですか。
  91. 加藤富雄

    説明員(加藤富雄君) そうです。
  92. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) それではこれを以て内村君の質疑は終りましたから、ちつと懇談したいと思いますが、速記をとめて下さい。    午後三時三十一分速一記中止    —————・—————    午後四時十分速記開始
  93. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) 速記を始めて下さい。それでは本日はこれにて散会いたします。    午後四時十一分散会