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1952-12-23 第15回国会 参議院 運輸委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月二十三日(火曜 日)    午後三時二十六分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小泉 秀吉君    理事            岡田 信次君            高田  寛君            小酒井義男君    委員            入交 太藏君            植竹 春彦君            仁田 竹一君            一松 政二君            小野  哲君            高木 正夫君            内村 清次君            中村 正雄君           前之園喜一郎君           深川榮左エ門君            鈴木 清一君   衆議院議員            楯 兼次郎君   国務大臣    運 輸 大 臣 石井光次郎君   政府委員    運輸省鉄道監督    局長      植田 純一君    運輸省鉄道監督   局国有鉄道部長  細田 吉藏君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君    常任委員会専門    員       田倉 八郎君   説明員    日本国有鉄道総    裁       長崎惣之助君    日本国有鉄道渉    外部長     兼松  学君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○国有鉄道運賃法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○日本国有鉄道法の一部を改正する法  律案衆議院送付)   —————————————
  2. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) それではこれより本日の運輸委員会を開会いたします。  先ず国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案を議題といたします。御発言のあるかたは適当に一つ……。質疑でも、ほかに御意見があれば……。
  3. 高田寛

    高田寛君 いろいろと質疑を長い間重ねて来たと思うのですが、大体質疑も尽したように思いますので、一つこの辺で一応質疑を切上げて、これはもう討論に入ることを提案いたします。
  4. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) 異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) では多数、異議なしと認めます。速記をやめて。    〔速記中止
  6. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) それじや速記を始めて。
  7. 鈴木清一

    鈴木清一君 時間も大分お互い話合いで制限されておりますようなので一二、三総裁にお尋ねしておきたいのですが、昨日御質問申上げたときに、実は局長からの御答弁ではつきりしなかつたのでありますが、三月三十一日に結ばれました駐留軍との輸送協定につきまして、いわゆるいろいろ質問の過程の中から出て来ますものは、国内法による私契約だという御答弁と、行政協定の七条による協約だというのと、その点はつきりいたしませんのですが、どちらなのですか。その点結ばれた総裁として……。
  8. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 私は国内法によつて結ばれた私契約であると考えております。
  9. 鈴木清一

    鈴木清一君 そういたしますると、貨物研究材料等から考えますと、中に含まれているいろいろな字句を参酌いたしますと、いわゆる行政協定によつてこのように結ばれたということが多分に含まれているのでありますけれども、その点についてはどういう御意思なのですか。
  10. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 行政協定によつて結ばれたのじやないということだけを先ほど御答弁申上げております。
  11. 鈴木清一

    鈴木清一君 そういたしますと、過日大臣のお言葉の中には、行政協定七条によるところの優先権というものを認めて、従つて契約ではあるが、優先権というものを、総裁協定を結んだことについても同じ扱いであるというようなことに答弁されておるが、その点はどうなのです。
  12. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) そういう御答弁は私してないだろうと思いますが、何か速記を御覧下さいましたら……。
  13. 鈴木清一

    鈴木清一君 大臣の御釈明はあとで聞くといたしまして、総裁にお尋ねいたしますが、そういたしますると、契約の中に貨物輸送等につきまして非常に優先権を認めておるのでありまするけれども、御承知のようにかつて鉄道時代におきましても、公共事業であり、いわゆる国民の権利を侵害するという立場から、日本軍隊があつた当時でも軍がこれを使用する場合、独得の目的において使用する場合においては、国内立法として軍事供用令を発令しておつたわけでありますが、それまでにして国民の、いわゆる鉄道公共性権益というものに対する特定対人契約というものを認めておらなかつたのでありますけれども、今回の協定を見ますると、例えば取扱い、いわゆる貨車の留置時間とか、或いは受託時間とか、それから又特に貨車を取扱うときに清掃に対する、清掃言つてもきれいにするとか、そうしたものに対しまして特に優先順位を認めておりまするのは、その点は全部賠償されておるということになるのですか。さもなければそこではつきりそういうことに関連なく優先を認めたということになるのですか。
  14. 兼松学

    説明員兼松学君) 只今の御質問の件に関しまして、ちよつと御説明申上げます。契約にございます取扱の特殊な点につきましては、むしろこちらの事務便宜のために話合いましてきめましたものでございまして、別にお金りかかるものはその対価をすべてもらつております。それから例えば軍の関係では停留時間について一般と少し違つた取極めをいたしておりますが、これは一般のほうは駅長が事情によつて免除をし得る場合がたくさんあるので、現実には免除を行なつておることがあるのでございますが、軍のほうは事情の如何にかかわらず取る、これは現場において免除その他の問題で紛議が起こることを避けますために、一切一本にして取るということでああいうものをきめました次第でございます。一に事務便宜ということできめました次第であります。
  15. 鈴木清一

    鈴木清一君 そういたしますと、輸送貨物に対しましては、大体三級と四級との間をとつたということになつておるのでありまするが、本日皆さんが御苦心なされたいわゆる等級制によりましても、いろいろ物資輸送に対しまする価格等級差別をつけておるようでありますが、その点について非常に重要であるがために二日間に亘つて皆さん御熱心に審議しておる。それにもかかわらず、この協定の中には三級、四級の間ということで大まかに取扱つてあるのでありまするけれども、この点等のごときに関しましては、私は価格が安いから、高いからということを問題にしておるのじやなくして、公共施設であるのにかかわらず、第一番に利益を持ち、権限を持つておるのは国民であると思うのであります。それにもかかわらずその人たち権益を侵害するがごとき協定単独に結ぶという点について不満があるわけでございまして、三級、四級というような品物は、例えば日本貨物に直してどういう程度の物になるのですか。それと又そこで輸送されている品物はどういうものが数多いのですか、御発表願えますか。
  16. 兼松学

    説明員兼松学君) 只今の点につきまして、三級と四級の間に取極めましたのは、決して独断にこれを取極めましたのではございませんので、昨年の実績貨物通知書で全部一々当りまして、五級を一〇〇といたしますと、御案内の通りに四級は一一五であり、三級は一四五でございますが、平均運賃が一二九という平均単価が出たわけでございます。この点につきましては、大体軍のものでは火薬のように高いものは別にしてございまして、これは一級十割の普通のものをとつております。その他車両類にはいろいろございまして、現場の取扱いでこれを乗用車とすべきか或いは貨物車とすべきか、疑いがあるものがございましたので、鉄道専門家と軍の専門家とが立合いまして一ぺん一ぺんの貨物通知書の過去の記録から調べて適当する運賃等級を定めまして、話合いの上で一つ平均を出しましたら、一二九と出ましたので、その現実平均単価を今年の基礎にしようということできめましたわけでございまして、それに基きまして国会でおきめになりました運賃そのものを適用する。現場における特殊のものであるために等級が当はめられなくて紛議が起つたりするという事務上の煩項を避けるために、過去の実績に基く平均をとりましたというのが一二九、現在のものでございまして、割引でもなければ割増でもないという率ございます。
  17. 鈴木清一

    鈴木清一君 過去の実績というのは、いわゆる連合国軍時代実績を過去の実績と言われているのですね。そういうふうに解釈いたしますると、連合国がおりました当時は、少くとも占領時代であつたということでありますので、そういう解釈を我々も持つておるのでありますが、その当時の実績講和になつた今日において協定する場合に取入れるという根拠はどこから出たのでありますか。
  18. 兼松学

    説明員兼松学君) それは講和という政治的なことによつて貨物物理的形状は、軍という同じものがあるために変らないという想定でやつたのでございますが、これは毎年改めることになりましたので、この次に協定をするときにはどうなりますか。又今年の実績によりますことになりますか、これは将来の問題でございます。
  19. 鈴木清一

    鈴木清一君 兼松さんにこの間もちよつとお尋ねいたしたのですが、一番最初総裁にお尋ねしたと同じですが、あなたが言われている書物の中でも、いわゆる日本優先という字句解釈は、若し日本軍隊があつたならばという字句解釈である。それは行政協定第七条から出たその優先という字句解釈をあなたはそういう規定付けをしておられる。そうだとするならば、この問題は行政協定に始まつて初めて価格協定というものができたのであつて、ただ単にいわゆる国鉄において石炭を購入するための価格協定と何ら変らんという曾つて細田政府委員のお答えは余りにもおかしいと思うのであります。従つて私がお尋ねいたしたいのは、日本に若し軍隊があつたならばという仮定の優先権解釈であつたならば、それは先ほどお尋ねいたしましたように、日本曾つて軍隊があつたときには軍事供用令によつて少くとも立法化されておつたということであります。その点についてはどう今心境を変えられておられるか、その点一つお尋ねしたいと思います。
  20. 兼松学

    説明員兼松学君) 只今の点は、何ら国鉄規定はそういつたことには触れておりません。それは多分何か部内の解説物に対するあれだと思いますが、これはそういつた事実がございませんので、私は外務省の解釈によりまして、第七条の優先権といのは、日本の話の諸官庁に量られおるのと同じ優先権であると、このように書いてありますので、そのようにいたしておる存であります。それで何らそれ以上の特別の優先をいたしておりません。ただその問題が、お話の点が触れておりますのは、出動の場合はどうかという質問がございまして、緊急出動の場合にどうするのだという質問がございましたので、それにつきましては、日本出動するものが当時ございませんので、そういう解釈であるが、というただ部内的なものでありまして、これは何ら総裁のお達しでも何でもないのであります。個人の意見がそこに書かれておるというだけでございます。何ら方針ではございませんし、まだそういう扱いの実例もありません。
  21. 鈴木清一

    鈴木清一君 大臣最後にお尋ねいたすのですが、御承知のように、政府では電信電話料金駐留軍との価格協定におきまして、特別措置法国会に求め、立法化しております。それにもかかわらず、この価格協定に対しましては、総裁権限において単独にされておるのでありまするけれども、政府はやはりこの処置に対しても当然だとお考えになつておりますか。その点これは大臣から……。
  22. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) これは郵政と鉄道とは少し違うように聞いておりますのですが、併し私は余りわからんが、何か鉄道のほうは私契約でやつておりまして、そうしてそれは別に特別に安くも何もしているものではない。片一方のほうは割引の何かがあるという問題があるそうで、そういうようなことが何かひつかかつているのではないか、余り私はよく知りませんか。
  23. 鈴木清一

    鈴木清一君 それでは大分時間もなんのようですから、いずれ又腑に落ちないところもありまするので、緊急の形でお尋ねいたすかと思いますけれども、若し第七条でやつておられるとするなれば、行政協定の二十七条に対しまずるところのはつきり立法措置協定されておりまするこの点につきましても、お考えおきを願うということにいたしまして、質問を打切ります。
  24. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) これを以て質疑は終了したものと認めます。  それでは討論に入ります。御意見のありますかたは、それぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。
  25. 岡田信次

    岡田信次君 私は本案に賛成いたします。  国有鉄道運賃一般物価に比し極めて低いということは言うまでもないのでありまするか、と申しまして、運賃は安いほど結構なのでありまするが、併し輸送の原価を割るとか、或いは経営自体を困難に陥れるというふうでは却つて国民生活を危殆に陥れ、又産業の進展を期し得ないと思うのであります。そこで運賃改正のたびに問題になるのが国有鉄道経営が果して合理的に行われておるか、或いは能率的に行われておるかということでありまするが、私大観いたしますのに、大体国有鉄道経営は能率的の点は別として、合理的に行われているんじやないか。即ち職員の給与にいたしましても、一万三千四百円というのは決して一般給与に比して高くはない。又四十四万余りの人員というものも今日の輸送量或いは業務量からみて、多くはない。更に国鉄の消費する物資である石炭なり或いは鋼材、その他の物資は、これ又物価のうちでは高いほうの部類にある。こういうふうに考えますると、現行国有鉄道法の許す範囲内においては、或る程度合理的に行われているんじやないかと、かように考える次第であります。そういたしますると、国有鉄道の今日の財政の現状からみまして、何らか歳入の増の途を凶らなくちやならんということになるわけで、その歳入増を何によつて求めるかと申しますると、今回政府の提案にみられます通り、大体の支出増が経吊的の支出でありますので、それを賄う収入も又経営的の収入でなくてはならんというわけで、結局その程度運賃値上げは止むを得ないとするもりであります。併し今回の運賃値上げによりましては、国鉄平素声を大にして言つておるところの施設荒廃、或いは償却の増というようなことは一向考えられておらん。いわんや、今後のサービスの改造、或いは増収の対策というような積極面一つ考えておらないのであります。従つて私が恐れますのは、再三再四運賃値上げの問題が近き将来に起ることであります。そこで私といたしましては、運輸当局並びに国鉄当局国鉄の長期に亘る健全な経営という点にもつと深く考えられまして、運賃政策なり或いは財政政策なりに対して確固たる方策を樹立されんことを切望する次第であります。  なお最後に、今回の値上げと同時に、多年の懸案であつた貨物等級改正が行われたのでありますが、このむずかしい問題の解決に対して払われた労苦に対しては十分推察できまするが、併しでき上つたところをみますると、今日の経済界、或いは国民生活の実情に沿わない点が多々あるというふうに考えられるのであります。そこで同僚議員からいずれ意見が開陳されますが、附帯決議としてこれらに対する是正を要望いたしたいと、かように考えておりまするが、なお運輸当局或いは国鉄当局は十数回に亘る本委員会の各委員の意向を十分参酌せられまして、その措置の誤りなきを期して頂きたいということを要望いたしまして、私の賛成意見といたします。
  26. 中村正雄

    中村正雄君 私は本案に対しまして反対いたします。  反対理由として考えられます第一点は、特に根本的な問題でありますが、現在の国鉄経営財政方針が明らかにされておらないという点でございます。現在の国鉄運賃は、戦時中の国策に沿いましたいわゆる低物価政策によりまして押えられておつた。それを基準にいたしまして、戦後たびたび改正になつておりますけれども、今なお経費を賄うに足らない運賃であることは事実であります。併しながら、これはいろいろ社会政策的な面からみまして、こういう低い運賃に押えられておる。而も現在国鉄に独採制を強要さしておきまして、而も国鉄支出を殆んど運賃収入によつて賄わしておる、ここに根本的な私は財政上の欠陥があると考えるわけなんであります。戦災によりまする復旧費、或いは戦争中延期いたしておりました修繕に要する費用、或いは定期旅客運賃のように社会政策上の見地からコストを度外視した運賃をきめさしておきながら、こういう赤字運賃によつて国鉄財政自体を賄わしておる、ここに私は根本の原因がある。従つてこういう社会政策的な見地に基きまする赤字運賃に対しましては、当然政府がこれに要しまする経費の一部を負担すべきものである。又戦時中に蒙むりました損害補喧というものは、これは国鉄自体運賃収入によつて賄うべきものでなくして、これは当然一般国経費として負担すべきものである。こういう財政方針をとらずして、すべて国鉄収入によつてつておる、ここに国鉄財政欠陥の私は根本があると思います。而も戦後たびたび運賃改正をやられおりますが、これらはすべて国鉄従事員賃金が上るたびごと運賃改正をやつておる。而も今度の運賃改正を見て参りますると、一万三千四百円という従事員賃金を支払うために、年間どういたしましても現在の賃金よりも約二百億近い経費が要る。その二百億近い経費を賄うためにこれに見合う大体二百億近い運賃収入の増加を図つた運賃値上げをやつておる。言い換えれば、人件費上つた、そのために運賃値上げをやつておるという姑息な手段をとつておる。こうなると、恐らく常識的に考えられます点は、毎年々々この現在の情勢におきましては、従事員賃金値上げの問題は起きます。その都度賃金値上げするために運賃値上げするという今までの過去の例をそのまま繰返し、今回も繰返す。こういう状態につきましての運賃改正については、方法論におきましても賛成しがたい。それよりも国鉄財政を独採制を強要するのであれば、国鉄独立採算制をとれるだけの運賃を、どういう運賃にすれば最も妥当な運賃かという見地から改めて現行運賃を再検討いたしまして、国鉄経営するためにはこれだけの運賃が要るのだということによりまする改正でありますならば、これは一応考慮の余地もあるし、検討の余地もあると思いますけれども、ただ従事員賃金を上げるためにこれだけの経費が不足する、その不足を補いますための運賃値上げということにつきましては賛成しがたい。以上が反対根本理由であります。
  27. 高田寛

    高田寛君 私は本法案に賛成いたすものであります。  国鉄経営が独採制であり、最近におきまして、物件費の大宗である石炭及び電力の値上りを示すということがありましたほかに、又従業員給与ベースの改訂の必要にも迫られて参りましたので、運賃値上げというものはもう決してそれは望ましいものではないのでありまするけれども、経営的の支出がどうしても殖えて来るという事態におきまして、このたびの一割程度運賃値上げというものは、独採制の建前から言つて止むを得ないものと考えるのであります。ただこの戦争以来の荒廃施設の取替ということが国鉄財政で今後どの程度に完璧を期することができるか、この点につきましては大きな危惧を抱いておるものであります。これはやはり経営経費と別途の措置を考慮して、荒廃施設の取替ということは政府においても今後も十分に一つ実行して頂きたい。そうして安全な、迅速な輸送というこの国鉄の任務を完全に果すような措置を今後とも十分に講じて頂きたいということを希望するものであります。  なお又一つ運賃値上げというものは一般社会大衆には決して喜ばれないものであることはわかつておりますので、運賃値上げという機会に、かねてから国鉄当局でも強く叫んでおられます一般貨物旅客に対するサービスの向上というこの精神を現場の末端までよく徹底させて頂きたいということを希望するものであります。なお、このたびの貨物運賃につきましては、大体において一割の値上げでありますけれども、その内容を検討すると、これと同時に貨物等級表根本的の改正が行われるということになつておるのであります。勿論長年に亘つて根本的の改正がなかつたので、この負担力に応じて合理的な貨物等級を作り直すということは、当委員会においてもかねて要望したこともあり、これはもう結構なことであるのでありまするが、この中を仔細に点検いたしますると、一面において、最低の貨物等級におきましても、輸送の直接費だけを線に置きましたために、多量に輸送される生活必需物資のごときものが著しい運賃値止りになる。又一面におきましては、賛沢品とか、嗜好品と目されるものが現行運賃よりもむしろ引下がるというようなものも出て来るのであります。それで従来の貨物等級によりまして、この経済活動というものはこの根底の上に打ち立てられておりますので、特に生活必需物資のことまものは余り著しい運賃値上りということは、決してこれは国民経済から言つて望ましくないと思うのであります。このような意味からいたしまして、私は一つ附帯決議を提案いたしたいのであります。只今附帯決議の案文を読み上げます。    附帯決議今回の運賃改正と同時に実施される貨物等級表改正に際しては、左記の点につき日本国有鉄道において善処することを要望する。   一、生活必需品運賃値上り賃率の約一割引上げを含めて二割程度以上となるものは約二割程度にとどめること。   二、贅沢品嗜好品と目せられるものにして、賃率引上げをなしても、なお運賃値下りとなるものについては、現行運賃を限度として適当に調整すること。  以上であります。この中の生活必需品として運賃値上りを二割程度にとどめたいと考えますものは、品目を挙げますと、木炭、加工炭、大豆、生甘藷、生馬鈴薯、生大根、生野英、たくあん、野菜、塩漬、こんぶ、砂糖、酢、味噌、麺類、というようなものを考えておる次第でありますから、一つこのような種類のものにつきましては、運賃値上りをこの際二割程度にとどめたいと思うのであります。なお、一面新らしくできております貨物等級改正案によりますと、奢侈品とか、嗜好品と目せられるもので、この一般運賃値上げが一割ということを実施せられる機会におきまして、なおかつ現行運賃よりも下がるという品目があるのでありますが、国鉄としては一面におきまして、先ほど申しましたような生活必需品運賃値上りを抑える一面において、やはり独立採算上の建前から増収を図る面も考えることは適当であると、かように考えまするので、この贅沢品嗜好品と目せられるようなもので、この際運賃が従来よりも却つて下るというようなものにつきましては、大体現行運賃程度まで引下げることをやめる、こういうような措置を講ずべきである。かように考えまして、附帯決議を提案いたす次第であります。以上です。
  28. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 私はこの運賃値法案は非常に不満であり、不平でありまするけれども、今日の国鉄財政的面から言つてこの際止むを得ないものと考えて賛成するものであります。  先ほど岡田先生から、今日の国鉄経営は能率的に合理化されておる、大体においてよくやつておるというような御意見がありましたが、私は或る面においては成るほど能率的に動いておる面もありましようが、大体に申しますると、経営合理化というものにかなり遠い面も相当にあるのではないかという気持を持つております。先ほど中村委員からも御発言がありましたが、鉄道がいろんな経営の面においてやるような、或いは賃金値上げその他の経営の面において足らなくなると、すぐ運賃値上げということに呑み込んで、最も安易な運賃値上げということによつてつて行くという考え方については、私は質疑のときも強く申上げましたが、非常に不満であります。経営合理化という面については、特に詳しく申上げたいのでありますが、おいくと里げまするが、鉄道経営を賄つて行く上においては、単に運賃値上げというこれは誰でもできるような安易な方法を考えるのでなく、多方面に亘つて私は考えなければならんのではないかと思うわけであります。それはサービスの面とも関係がありますが、例えば非常に腐朽しておるところの枕木を取替えるとか、或いは機関車をよくするとかいうような保安上の問題についても、当局の御説明では千八百億から金が要るということで、こういうような金を現在の国鉄で賄つて行くなどということは全く夢である。恐らく十年や二十年でそういう時代は来ない、或いは一生来ないか、も知れないという気持を持つのであるが、こういうような面については借入金でやる、政府一般会計からの繰入でやるというような積極的な、又非常に高度の経営考えて、そうして国鉄の整備をやるという方向に進まなければならないのではないかと私は考えるのであります。この点については、特に私は運輸大臣に申上げておきたいのでありますが、現在の国鉄というものは、非常に荒廃して非常に腐朽しておるということは、国鉄専門家の人がこの委員会に来て説明をされておるわけです。こういうような非常に不安定な国鉄によつて国民が運ばれておるということは、全く許すことのできない問題だと私は考える。これらの点について運輸大臣は相当にこの際適当な方法を考えられて、運賃値上げというような安易な方法でなく、もう少し積極的な方法をお考えになるように私は切にお願を申上げたいのであります。  なお、この運賃値上げにからんで私は特に言いたいことは、先ほど他の委員からもお話があつたと思いますが、この貨物等級改正というものは国鉄総裁権限においてできることになつている、国会の承認も何も要らないことになつておるのでありますが、今回はたまたま運賃値上げと関連してその等級改正というものが強く国会で取上げられて、只今高田先生から附帯決議のありましたような結論を我々は出したわけでありますが、併し国鉄総裁がこれを単独にその権限で自由にやれるということは、私は運賃値上げ国会に承認を求めるというその建前から言つても、非常に矛盾ではないかという気持がするわけであります。ですからこれはどうしても法規等の改正によつて等級改正によつて運賃値上げになるという場合には、国会の承認を必要とするというように法規を改正せらるべきものであろうと考えるのでありまして、その点も私は希望意見として申上げておきたいのであります。  今回の運賃値上げは、旅客貨物とも一割ということで、国民は一割値上げになるものだという期待を持つておるというふうに考えて、止むを得ないと思つておる国民もあるだろうと思うのでありますが、実際においては旅客においても運賃表をもらつたのでありますが、或る区間では一割三分五厘、或る区間では一割二分、遠距離についても一割一分以上ということで、実際の面からいうと、一割ということは単に掛け声だけであつて、実際においては一割以上の旅客運賃においても値上りしておるということになるのであります。又貨物のごときは、等級改正と、この運賃値上げと両方からみて五割も上るというような品物もあるということになつて、この現実に直面いたしまするならば、国民が非常に驚くだろうと私は思うのであります。こういうようなことを私はいろいろと考え合せまするときに、貨物等級の問題、又今回の運賃値上りによる一割以上の値上げというような問題は、国民に一割という約束をしたならば、一割の限度にとどめるということでなければ国民国鉄を信用をしなくなるだろうということを私は強く申上げておきたいのであります。同時に国鉄は事あるごとに運賃値上げをやる。そうして国民の生活を脅すのであります。官民を非常に困難に陥れるというような状況でありますが、止むを得ず運賃値上げをやるならば、それに伴つてサービスの改善をやらなければならんのではないか。私は具体的なことは申しませんが、先ほど申しましたような、鉄道の保安的な面についても積極的な施策を講ずる、或いは又新線の建設の問題等についても政府資金、或いは鉄道公債等によつて積極的にやつて国民に最大限のサービスをして行かなければならないと私は思うのであります。新線の問題を特に取上げることは憚かりますが、先般運輸大臣との質疑の間にも申しましたが、今回の補正予算で組まれておりまするところの五億円で十三線の新線を建設する、同様に取扱つたところの他の六線は二十八年度の予算であるか、それさえ明確でないというような誠に不公平なことをやつておる。こういうようなことでは私はいけないと思います。これらの点についても国民が納得するように運営をして頂きたいということもここに強く申上げておくわけであります。  それから最後に申上げたいことは、いろいろな争議、鉄道に直接関係のない炭労、電産等の争議、引続いて国鉄内部の遵法闘争、或いは賜暇闘争等によつて非常に列車が削減せられておる。国民は非常に困つたのでありまするが、こんな問題については、私はやはり運輸並びに国鉄当局というものが現在の労働運動に対する認識を欠いておられるのではないかというような気持が強くするのであります。この前国鉄の幹部のかたが炭労ストを以て我々を責められるのは非常に遺憾であるという、これは公式の問題としてではありませんが、そういうようなお話もあつたのであります。私は終戦後におけるところの労働運動を、占領軍の監督下において相当な制限を受けておつたところの労働運動と同じように考えておられるところに、非常な削減を止むなくせられたところの大きなる原因があるのではないかと思うのであります。国鉄は六十万トン石炭を貯蔵しておつた言つて非常に威張つてつた。それがそういう炭労ストで殆んど使い果して、第三次の別な削減をしなければならないという状況に立ち至つておる。今後労働運動というものは恐らく今よりももつと猛烈になる、或いは時間的にも長い労働運動か或いはストが行われるということを我々は考えなければならんのであります。炭労のごときは国鉄のあずかり知らないものであるという考え方は非常に誤まつておるのであります。ですから六十万トンで事足りるというような安易な考え方ではいけないと私は思うのであります。この炭労、電産のストというものによるところの背後関係、思想関係というものを十分に考えて行かなければならないのであります。国鉄のストにいたしましても、或いは法規上遺憾な点もありましようが、私は今日のストなどというものは権力を以てたやすく抑圧できるものではないということを強く申上げて、よく労働運動の性質、方向、思想、そういうようなものを十分にお考えになつて、温かい気持を持つて労働運動を眺めて行く、取扱つて行く。そうして国民に迷惑を及ぼさないような方向に持つて行くように運輸当局なり国鉄の幹部はお考えにならなければならないのであります。六十万トンの石炭があるから能率化されるというようなあまい考えはこの際お捨てになつて、どのくらいのストが続いても国鉄は安全であるという方向にお考えをお変えになるようにお願い申上げたいのであります。将来においても、中村委員からお話がありましたように、国鉄経費というものがだんだんとかさんで行くということは、これは容易に想像ができるのであります。でありまするから、経営合理化等の面において万全の策を講ぜられて、一にも二にも運賃値上げで賄つて行くというような安易な考え方はこの際お捨てを願いたい。今回は私ども止むを得ずこの値上げ法案に賛成いたしまするが、以上申上げましたようなことを附加えて意見として申上げるわけであります。
  29. 小酒井義男

    小酒井義男君 私は運賃値上げ反対であります。  反対理由を申上げますと、国鉄運賃値上げが国の経済の全般に及ぼす影響というものは非常に大きいものがあるわけです。従つて運賃値上げをする場合には国鉄運賃法が制定せられておる。その運賃法の中には原則として四つのことが定められてあります。その第三には産業の関発に資すること、第四には賃金及び物価の安定に寄与することという原則があるわけです。私は本案を審議する過程において政府から説明を求めましたが、政府の説明で以てはこれらの原則に本件値上が副つて、おるということを私は考えることができません。そういう重要な国民生活に影響を及ぼすが故に、きめられておる原則に相反するような形で運賃値上げがやられて行くということに対して私は反対をする一つ理由であります。  もう一つは、やはり国民生活に非常に影響のある運賃値上げということをやる前に、まだ政府として選ぶべきほかの途があるであろう。例えば答弁の中においても国鉄収入を図る方法はないか、或いは支出の軽減を図る努力をする余地はないかという質問をしておいたわけですが、今後研究をして、それらのものの検討をして行くという答弁であります。併し少なくとも国民に直接間接の影響を与えるような運賃値上げをする以前に、内部におけるところの経営能力の合理化の努力がなされて、それでもいかない場合にのみ初めて運賃値上げなどというものは具体的に論議されるべきであつて、その努力をなさざる前に運賃を以て解決をつけて行こうという安易な方法に対しては私どもは反対をしなければならないと思つております。  次に政府の一貫した方針として、やはり低米価、低賃金政策を維持して行く、これと一環をなしておるというふうに見ておるのです。今回の政府職員その他においては一部の給与改訂が行われて収入が殖えますが、併し民間産業、特に中小企業においては賃金の支払いさえも困難な状態にある。こういう職場に働いておる勤労者に与える影響というものは、ただほんの申訳的な減税をやつてみても、一方で運賃が上り、又米の配給価格が、消費者価格引上げられるということになつたならば、国民生活水準というものはいつまで経つてもこれを向上することはできない。こういう観点から見ても、やはり現状においては私は国有鉄道の経理の内容等を検討して、それでもなお賄うことができない場合は政府の責任においてそれを排除して行くという方法を講じるべきだ、そうして国民生活が一定の水準に回復して、そうして産業全体が正常な位置に回復したときにおいて初めてこうした運賃問題等を根本的に検討をするべきであるという考えを持つております。こういうような理由から、私は今回やられようとしておるところの運賃値上げに対して反対するわけであります。
  30. 深川榮左エ門

    深川榮左エ門君 私は国有鉄道運賃法の一部改正法案反対であります。  このたびの国有鉄道運賃改正する案は一割程度であつたことを承知しておりますが一併しその中には生活物資に対する運賃がかなり増嵩を来しております。これは国民に対する影響が非常に重大であると思うのであります。なお、この国鉄運賃が例えば増嵩して参りまして、これが国民に及ぼす影響といたしましては、やはり地方のそのほかの運賃貨物料金も必ず増嵩するであろうと思つております。私は国民の生活に影響を及ぼすかくのごとき運賃改正に対しては反対するわけであります。私はこれを以て反対意見といたします。
  31. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) ほかに御発言もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。本案を原案通り可決することに賛成のかたは挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  33. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) 多数と認めます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、討論中にありました高田君提出の附帯決議を附することに賛成のかたの御挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  34. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) 多数と認めます。よつて本案につきましては、附帯決議を附することに決定いたしました。
  35. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 長い間御審議を頂きました運賃改正、賛成を頂きまして誠に有難うございました。又この議事の進行中にいろいろと御発言を頂きまして、私どもこれを服まして、又皆様がたのお心持を体して強く政府部内のこれから先の折衝にも当りまして、国鉄の健全なる発達の方向に努力することにいたしたいと思います。今後とも何分の御声援を頂きたいと存じます。
  36. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 長い問いろいろと御審議を願いまして、ここに賛成を得ましたことを先ずお礼を申上げます。御義のきにもいろいろな御意見があり、殊に只今各党各派の代表のかたぐからいろいろな御軍がございましたが、その御要望等につきましては十分最入れまして、ますく国有鉄道が一歩でも早く国民皆さんの御期待に副うように持つて参りたいと思います。なお附帯決議にありました問題につきましては、日常必需品等は御説明にありました品類等につきまして、十分に考慮いたしたいと存じます。なお調整を要するものにつきましても、これ又慎重に取扱つて成るべく引上げにならんようにいたして参りたいと存じます。
  37. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) なお本会議における委員長の口頭報告の内容等は委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) 御異議ないと認めます。  次に本案を可とされたかたは例によつて御署名を願います。   多数意見者署名    岡田 信次   高田  寛    入交 太藏   植竹 春彦    仁田 竹一   一松 政二    高木 正夫   小野  哲   前之園喜一郎
  39. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) 次に、日本国有鉄道法の一部を改正する法律案を本日の日程に追加して審議いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) 御異議ないと認めます。それでは提案者衆議院議員楯兼次郎君より提案理由の御説明を願います。本案は衆議院は通つたそうであります。衆議院からも送付しております。附加えて申上げます。
  41. 楯兼次郎

    衆議院議員(楯兼次郎君) 私衆議院のほうの楯でございます。  只今提案になりました日本国有鉄道法の一部を改正する法律案につき提案者を代表いたしまして、提案の理由を御説明申上げます。現在休職者は、日本国有鉄道法第三十条により、一、心身の故障の為長期の休養を必要とする場合、二、刑事事件に関し起訴された場合、一定期間を限り俸給、扶養手当及び勤務地手当のそれぞれ百分の六十乃至百分の八十を支給する定めとなつており、その他の給与についてはこれを支給しない事が明示されているのでありますが、休職者の実情についてみますならば、極めて気の毒な状態であります。  即ち休職者の大半は、結核性疾患であり療養には環境の好条件と食餌について特別の配慮が必要でありながら、休職と同時に家族の生計費と共に療養に要する費用等がかさむにもかかわらず、実際は二割以上の減収となり、ただでさえ苦しい生活を更に切詰めて療養をしなければならない。従つて早期に治る病気も生活苦と悪条件のために尚更悪くなつて行くというのが現実であります。  又刑事事件につきましては国鉄は作業の性質上、他の場合とは異つていることはもはや説明の要はないかと存じます。占領中は、年末手当の性格について従来からの我々の考え方とは異つた見方が行われたのでありますが、今日においては賞与という性格から給与の一部であると云う性格に変りつつあることはこれ又説明の要はないと存じます。  なお日本国有鉄道の役員及び職員に対して支給する給与については日鉄法第四十四条において給与準則によつて支給するよう定められている休職者のみあえて第三十条に明示することは、法文構成の体裁上から云つても妥当ではないと考えます。  これらの点から生活に苦しみ病床等にあつて一時も早く職場に復帰したいと念願している職員に対し年末年始の生活の一助とし、一般職員に支給せらるべき手当その他給与額に相当する額以内を支給する必要があると考えまして、この改正を提案する次第であります。  何とぞ慎重御審議の上、速かに御可決あらんことを希望いたします。
  42. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) 御質疑のおありのかたは御質疑を願います。
  43. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 それではこの審議の参考に供したいのでありますが、国鉄当局に伺いたいと思いますが、どなたかおいでになりますか。
  44. 一松政二

    ○一松政二君 私は本案は提案理由の説明だけを一応承わつておいて、そうして質疑はあと廻しとして、国鉄裁定の法案を先議せられんことを提案いたします。
  45. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) 速記をやめて。    〔速記中止
  46. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) 速記を始めて。
  47. 一松政二

    ○一松政二君 只今の懇談に対しまして、私のさつきの国鉄裁定を先議する動議は撤回いたします。
  48. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) それでは国有鉄道法の一部を改正する法律案只今提案者の説明のあつたことに関して御質疑のありまするかたは御質疑を願います。
  49. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 資料として配付を受けました日本国有鉄道法の一部を改正する法律案調査報告、この第四項に国鉄現在の休職者数は一万四千二百八名である。これは国鉄の調査によるとありますが、それはいつの調査ですか。
  50. 細田吉藏

    政府委員細田吉藏君) これは専門室で調べたので最近の調査です。
  51. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 大体専門室で調べた数字によると、休職者は一万四千二百八名、その内訳は公症九百六十八名、私症一千九百九十六名、結核一万一千百十一名、刑事事件百二十三名となつておるようですが、政府当局どうですか。数字はこの通りですか。
  52. 細田吉藏

    政府委員細田吉藏君) 只今申されました数字は二十七年十月末の国有鉄道の数字でございます。
  53. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 十月の末日ですか。
  54. 細田吉藏

    政府委員細田吉藏君) さようでございます。
  55. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 この内訳による公症九百六十八名の種類、どういう公症であるかということをお伺いしたいのです。なお私症の場合でも、或いは私症と言いながら実体は公症に類するような者も中にはあるのじやないかという気持もするのですが、公症、私症の内容、それから刑事事件百二十三名とありますが、これは起訴された者だけだろうと思うのでありますが、その刑事事件の内容、一審にかかつておる者、或いは二審、三審等もあれば、それぞれ区別してお答え願いたいと思うのであります。
  56. 細田吉藏

    政府委員細田吉藏君) 先ず公症でございますが、どの程度の公症であるかという点につきましては、只今資料を持つておりませんので、早速調査いたしまして、国有鉄道からお答えしたいと思います。私症と申しますのは、結核以外の病気もこれは入つておるわけであります。この中には公症に該当する者は含まれておらないわけであります。ただまあ強いて問題にいたしますと、結核という者が一万一千名余ございますが、これは非常に業務が過重であつたためになつたとかならんとかいつたような問題はあり得るのじやないかと考えております。それから刑事事件の百二十三名でありますが、これにつきましては、起訴になりました者だけでございます。非常に少い数字のように相成つておるわけでございますが、これは実は刑事事件で起訴されまして休職でおります者は、何と言いましようか、有罪になるか無罪になるか、必ずしもはつきりしないといつたような者が大部分でございまして、例えば抜取りを相当やつたということが、取つたということだけははつきり国有鉄道の調査でわかつておるというような場合には、それだけで懲戒にいたしておりますので、そういうはつきりした犯罪と申しますか、国鉄の調査だけでも明瞭になると申しますか、懲戒規定に触れる者については休職にならずに、起訴の前後を問わず、むしろ前と思いますが、懲戒免職しております。従つてこういう数字になつておると思います。百二十三名のうちで業務上の過失、これは乗務員関係、踏切警手といつたような者が一番多いわけでありますが、これが国有鉄道で調査いたしましたところ、この百二十三名のうちおおむね一割五分程度であるということであります。罪名につきましては調査は今いたしておりませんが、早速調査いたしまして御報告いたしたいと思います。
  57. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 私症のうちには結核を除いた一般の病気、それからいわゆる怪我したようなものも入つておるわけですか。
  58. 細田吉藏

    政府委員細田吉藏君) 公症以外の怪我をしまして休んでいる者は入つております。
  59. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 例えば乗務員が勤務を終ると、帰る途中或いはホームで、線路で怪我したようなのは公症になるのですか、私症になるのですか。
  60. 楯兼次郎

    衆議院議員(楯兼次郎君) 非常にそういうものの分類がむずかしいのですが、厳密な意味から行けばこれは私症ということになります。勤務時間中に受けるところの負傷が公症になります。終つて帰るというときは、これはまあ公症のうちに入らないと思います……入りません。
  61. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 政府の御意見どうですか。
  62. 細田吉藏

    政府委員細田吉藏君) 現在の国有鉄道の取扱いといたしましては、只今衆議院議員からお話のありましたような取扱いになつておると承知いたしております。
  63. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 そうすると、例えば朝の八時から晩の五時まで勤務したのだということ、五時で勤務が終つたという場合に、明確な場合もありましようが、併し乗務員のごとき場合、或いは駅にいてそうして諸般の報告をするために時間が遅れる場合もある。そうして駅の構内でたまたまさようならといつて帰る途中で駅の構内で怪我をしたというような場合には、これはやはり私症になるのですか。
  64. 細田吉藏

    政府委員細田吉藏君) 公症、私症の区別につきましては、これは分類点にいたりますと、非常にむずかしい複雑な問題が出て参ります。これを公症の扱いにすべきか、私症の扱いにすべきかといいますことは、一時的にはおおむね鉄道管理局長がきめるということになつておるわけでございますが、鉄道管理局でそういつた非常に限界点にあるような事件が起りました際は、慎重に検討をいたしまして、なおこれにつきましては労働組合の側からもいろいろ意見もございます。そういう慎重な検討の結果でいずれかにきめておるような次第でございます。非常にむずかしい事例はたくさんあるように承知いたしております。ただ先ほどのお話の勤務時間外のものにつきましては、原則的には死症の取扱いをするということになつております。
  65. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 これは私はむしろ国鉄職員のために質問しているわけなんですが、公症であるか私症であるかということは、これは判然とせん場合が相当にあるだろうと思います。そういうような場合には、負傷をしたものに有利に解釈するのか、どうなんですか。
  66. 細田吉藏

    政府委員細田吉藏君) 非常にむずかしい御質問でございまして、特に有利にというわけではないと考えまするが、実際問題として明確な基準を引きましても、いろんな特殊な事態があるわけなんでございまして、そういつた場合には管理局長が自分で最後には判断をいたしまして、きめておるわけでございます。なおこれにつきましては、労働組合のほうにおきましても、これは公症になるか、私症になるかということは非常に重大な問題でございますので、不明確な場合には強力に労働組合のほうからの発言もございます。労働組合の側の発言は常に何と申しましようか、当然のことといたしまして、組合員にできるだけ有利に解釈するというような御、主張が多いように私どもの現場におりましたときの経験からも考えておるのでございます。そういつた点を勘案いたしまして、厳正にきめるというようにいたしておるのであります。
  67. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 只今勤務時間中のものは公症であつて、それ以外は私症であると言われるが、然らば、勤務中のものは職員の怠慢によつて生ずる場合、例えば汽車に乗つてつて居眠りをして落ちたというような場合、これはどうなんですか。公症ですか、私症ですか。
  68. 細田吉藏

    政府委員細田吉藏君) 国有鉄道の障害事故と申しております怪我をいたす場合は、これは非常に多いのであります。併しいろいろ調査をいたしてみますと、大なり小なり、或る程度怠慢といつたようなものがある場合も実はかなり多いのであります。例えば連結手がよく怪我をいたしますが、この連結手がもうちよつと注意をしておつたならば、こういつた足を切つたとか手を切つたとか、或いは上死んだということがなくて済んだのではないかと思われるような場合が非常にあるのでございます。ただ怠慢の程度によるのでございまして、これは非常に常識的にこの辺は判断いたさなくちやならんと思いますが、通常の状況よりももう非常に大きな怠慢の程度でありました場合には、これは問題にならなくなるかと考えております。その程度をきめることが非常にむずかしいということで、先ほど申上げました判定の場合に、どの程度の本人の過失を公症と私症と差別をするかということにつきましては、具体的な一つ一つの問題につきまして検討いたしませんと、一律に何か尺度を以て律するというわけには参らないかと考えております。そういつた点が最も問題になります大きな分れ目なんでございまして、個々の具体的な問題について慎重にやつておるわけでございます。
  69. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 私は具体的な問題でお伺いしましよう。桜木町事件のあの過失、あれは業務上の過失になつておると思いますが、ああいうものは公症になるのですか、どうなんですか。
  70. 細田吉藏

    政府委員細田吉藏君) 桜木町の事故の場合には、公症も私症もないのでございまして、職員につきましては怪我をいたさなかつた
  71. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 そうすると、刑事事件になつた場合に負傷する、怪我をする、そういう場合は全然国鉄のほうでは負傷については面倒をみないということですか。
  72. 細田吉藏

    政府委員細田吉藏君) 桜木町事件だけではございませんでしたけれども、刑事事件を起した、そして怪我をしておる、こういうことでございましようか。
  73. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 例は桜木町事件を挙げておる、例として。
  74. 細田吉藏

    政府委員細田吉藏君) 例えば桜木町事件のときに電車の運転士が相当大きな火傷をした、電車の運転士は業務上過失で訴えられておる、この場合はどうかと、こういう話でございますか。
  75. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 ええ。
  76. 細田吉藏

    政府委員細田吉藏君) その点につきましては、私国鉄でどういたしておりますか、早速電話で調査いたしましよう。
  77. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 刑事事件の百二十三名のうちの業務上過失が一割五分なんですね、これは国鉄考えて、有罪になるか無罪になるかわからないものたけである、はつきりしておるものは懲戒免職するのだ、こういうことなんですが、あとの八割五分、百二十三名中の八割五分の刑事事件の種類はおわかりですか。
  78. 細田吉藏

    政府委員細田吉藏君) あとの刑事事件の内容につきましては、先ほど申上げましたように調査いたしたいと思いますが、御参考になるかどうかわかリませんけれども、ちよつと申上げてみますと、懲戒免職をいたしたもの、これは大体数字が出ておるんです。財産犯、賭博、贈収賄、贈はないでしよう、収賄でしよう。それから経済違反、乗車券の不正、これに分けまして、これは刑事事件に引かかる引かからんにかかわらず国鉄で免職をいたしたものですが、これが昭和二十六年度中に約四千人ございます。それでそのうち財産犯が約千五百名、それから賭博が約千ございます。贈収賄が約七百名、経済違反が約四百、乗車券が約六百五十。そういつた形でこれはやつておりますが、これは実際問題として起訴された刑事事件の内容になりますと、若干この率とは違つて参ると思いますけれども、国有鉄道只今すぐこの内訳ができておるかどうか、私は恐りくすぐはできないんじやないかと思いますけれども、先に申上げましたよりに、はつきりもう財産犯なら財産犯ぐ、取つたということが国鉄の調査でわかつたものはくびにいたしておりますから、ここに入つておらないかと思います。調査をいたしまして、できる眠り早くお知らせをいたしたいと思います。
  79. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 私の知つておる範囲において、他の官庁あたりで、例えば業務上横領、詐欺、こういうようなことで起訴された場合は確定判決を待つて懲戒免職をやる。そういう取扱をしておるところが多いんですね。運輸省はどうなんですか。
  80. 細田吉藏

    政府委員細田吉藏君) これは正しく申しますと、確定判決がございましてから処分をいたすということが或いは正しい、妥当ではないかといつたようなことも考えられるのですが、懲戒規程はこれは昔でいいますと行政処分でございます。今国有鉄道は行政官庁じやないから行政処分ではなくて、総裁の名前による懲戒でございます。懲戒は有罪無罪ということに関係なくこれははつきりいたしておる場合があるのでございまして、たとえ裁判の結果これは微罪であるから無罪になつたという場合にも、行政処分に相当する総裁の懲戒はこれとは別になし得るわけであります。そういう点がはつきりいたして、いわば行政処分だけは有罪になろうが無罪になろうがするということがはつきりいたしておるものにつきましては、処断をいたしておるわけであります。それがどうも不明確だ、例えば詐欺をやつて、本人は詐欺ではないと主張いたしておるというような場合、又それだけならば行政処分に相当する懲戒をいたすというわけに行かないといつたようなものにつきましては、これは休職に扱うようにする。大体かような取扱になつておるかと思います。
  81. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 国鉄で犯罪の内容を決定して、そうして懲戒処分をやるという考え方は非常に危険じやないかと思うのです。各官庁、恐らく税務署にしてもそうだと思うのですが、税金を取立ててそれを使う、こういう場合は起訴されて判決があつて、それが確定してから懲戒免職になる、それまでは休職にして置くというやり方をやつておるのですが、あなたのほうは懲戒規程によつてやられるのでしようが、併し他の官庁の取扱方と比較して非常に違う、それだけに私は非常に危険ではないかと思う。国鉄が直ちに裁判の最終決定と同じような、それよりもつと苛酷な取扱いをされるということは私は非常に危険ではないか。これはやはり裁判の最終決定によつて、確定によつて処置されるということが非常に正しくもあり、又誤りを犯した職員に対する温情のある私は考え方じやないかと思うのですが、そういう取扱いをしているんではないですかほかは……。あなたのほうはどうなんですか。
  82. 細田吉藏

    政府委員細田吉藏君) 只今の前之園先生の御意見非常に御尤もなんでございますが、ただそうしたほうがいいかどうかという問題は、これは方針の問題でございますのでお答えできませんが、実際問題としまして有罪が確定する前にやることにつきましては、これは相当慎重にやらなければならんことはこれは間違いないと思います。これが間違つて行われるということになりますと、これは重大問題である、賞罰のことでございますから、これにつきましては国鉄当局側で非常に慎重にやつておりまするし、又不当なそういつた懲戒を加えますことは、実際問題といたしましては今日は苦情処理の方法もございますし、又労働組合のほうも、これにつきましては相当厳重に監視をし、又不当であれば抗議を申込むというようなことになつておりますので、実際問題としては非常に危険性が一見あるようではございますけれども、実際問題としては不当なる懲戒は全然ないと言い切れるかどうかは別といたしまして、ありましても非常に少いのではないか、これ以上の問題になりますと方針で、そうしたほうがいいんじやないかというお話でございますので、ちよつと私ではお答え申上げかねると思います。
  83. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 懲戒規程というのはあるのですね。
  84. 細田吉藏

    政府委員細田吉藏君) ございます。
  85. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 それならば懲戒委員というのがおるでしよう。それはどういう組織になつておりますか。
  86. 細田吉藏

    政府委員細田吉藏君) 大体は承知しておりますけれども、今はつきり調べますから……。懲戒委員の制度は内達できまつておりまして、法規例集にないのでございます。私も実は本庁で懲戒委員を仰せつかつておりましたので申上げたいと思います。懲戒委員会というものと、それから表彰の委員会と両方を持つておりまして、本庁では国有鉄道の秘書課長が表彰委員長になりまして、各局の総務課長に該当いたすものが懲戒委員に相成つておるようなわけであります。各局におきましては、局によりまして多少実情が違うと思いますが、総務部長が中心になりまして、各部長がこれに当つておると承知いたしております。
  87. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 そうすると、労働組合関係は入つていないのですね。
  88. 細田吉藏

    政府委員細田吉藏君) 懲罰委員会、表彰委員会そのものには労働組合の側からは参加いたしておらないのです。
  89. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 大体わかりましたが、なおいろいろと聞きたいこともありますが、要するにこの公症、私症というものが非常に明確ではないという疑問を私は持つわけであります。公症に入れて然るべきものが或いは私症に入つておるのではないかというような疑いも相当にあるわけでありますが、併しこの法案は非常に温情のある法案であり、これは当然私ども賛成しなければならんものだと思つておりますが、今質問をいたしました点で御答弁のできなかつたものについては、この法案成立後でもよろしゆうございますから、詳細にお知らせを願いたいと思います。私は以上で私の質問を終ります。
  90. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) ほかに質疑がなければこれを以て質疑は終了したものと認めてよろしゆうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  91. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) それでは質疑は終了したことにいたします。  次に討論に入りますが……。
  92. 一松政二

    ○一松政二君 討論を省略することの動議を提出いたします。
  93. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) 討論省略の動議が出ておりますが……。
  94. 高田寛

    高田寛君 一松君の動議に賛成します。
  95. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) ほかに御意見がなければ、討論を終了したものと認めてよろしゆうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  96. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) 御異議ないと認めます。  それでは採決に入ります。本案に御賛成のかたは挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  97. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) 全会一致と認めます。これを以て本案は議了いたしました。本案の手続その他については前法案と一緒に委員長にお任せを願いまして、本案賛成のかたは御署名を願います。   多数意見者署名    岡田 信次   高田  寛    小酒井義男   入交 太藏    植竹 春彦   仁田 竹一    一松 政二   高木 正夫    小野  哲   内村 清次    中村 正雄  前之園喜一郎   深川榮左エ門   鈴木 清一   —————————————
  98. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) それでは御懇談を願うことにいたしまして、速記のほうはやりませんから……。    午後五時九分速記中止   ━━━━━━━━━━━━━    午後五時五十分速記開始
  99. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) それでは速記をつけて、本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十一分散会