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1952-12-19 第15回国会 参議院 運輸委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月十九日(金曜日)    午前十一時十六分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小泉 秀吉君    理事            岡田 信次君            高田  寛君            小酒井義男君    委員            入交 太藏君            植竹 春彦君            仁田 竹一君            一松 政二君            小野  哲君            新谷寅三郎君            内村 清次君            中村 正雄君           前之園喜一郎君            鈴木 清一君   国務大臣    運 輸 大 臣 石井光次郎君   政府委員    運輸省海運局長 岡田 修一君    運輸省鉄道監督    局長      植田 純一君    運輸省鉄道監督    局国有鉄道部長 細田 吉藏君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君    常任委員会専門    員       田倉 八郎君    参     事    (議事部長)  河野 義克君   説明員    大蔵省銀行局総    務課長     福田 久男君    日本国有鉄道総    裁       長崎惣之助君    日本国有鉄道渉    外部技術課長  兼松  学君    日本国有鉄道営    業局長     津田 弘孝君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○公共企業体等労働関係法第十六条第  二項の規定に基き、国会議決を求  めるの件(内閣提出衆議院送付) ○国有鉄道運賃法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○外航船舶建造融資利子補給法案(内  閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) それでは運輸委員会を開会いたします。  先ず公共企業体等労働関係法第十六条の規定に基き国会議決を求める件を議題といたします。昨日議事部長から衆議院との交渉その他についての報告を聞くように御了承を得ておきましたが、只今議事部長が見えておりますから、議事部長に御発言を求めたいと思います。
  3. 河野義克

    ○参事(河野義克君) 只今委員長の仰せられましたことにつきましては、昨日の本委員会のお申越しによりまして、早速衆議院事務局に行きましてこれを質しました。衆議院事務局におきましては協議をいたしましたのち、回答がございました。それによりますると、衆議院議決内容とするところについては、参議院衆議院議長参議院議長宛の送付文によつてこれを判断して頂きたい。衆議院においてかくかくであると今申上げることは差控える、こういうことでございました。
  4. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) ちよつと速記をやめて。    〔速記中止
  5. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) それでは速記を始めて。  只今議事部長からの御発言がありましたが、一応本件は後刻に譲りまして、運賃法の一部を改正する法律案議題といたします。御質疑のおありのかたは順次御発言を願います。
  6. 中村正雄

    中村正雄君 ちよつと国鉄当局にお願いしたいのですが、衆議院から問題になつておりまする貨物等級に関します資料ですが、今もらつているのは相当古い資料で、昨日の話においても違う点もあると思いますので、大体見当はつくと思いまするが、各方面から問題になつておりまする統計について、最近の資料があつたら一応それを頂きたいのです。この資料の要求だけであります。
  7. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 一応政府の御説明があつたのですが、運輸省のほうに伺いますが、これは鉄道運賃改訂資料を昨日もらいましたね、これの第四ページについて質問したいのですが、その前にお聞きしておきたいことは、この旅客運賃遠距離逓減によつて今までやつておられるのじやないのですか。
  8. 植田純一

    政府委員植田純一君) その通りでございます。
  9. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 君頂きました資料鉄道運賃改訂資料、この四ページのところでありますが、上のほうです。一キロメートルから百五十キロメートルまで一キロメートルにつき二円十銭、現行一円八十五銭、これは幾らになりますか、一割三分五厘ぐらいになるようでありますね。それからその次の百五十一キロメートルから五百キロメートルまで一円四十五銭、括孤内が一円三十銭、それは一割一分五厘強ぐらいになります。その次が五百キロメートルから千キロメートルまで七十五銭、括孤内が七十銭、これは〇・七一ぐらいになるのじやないか。その次は千一キロメートル以上、それは四十五銭が五十銭、一割一分強ぐらいになるようでありますね。そういう計算になりますか。
  10. 植田純一

    政府委員植田純一君) お説の通りたと思います。
  11. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 そうすると今お話になりましてお答えになりました鉄道旅客運賃遠距離逓減というものは、千度の賃上げについては全く考慮せられなかつたということになるようですかその通りですか。
  12. 植田純一

    政府委員植田純一君) 各区画と申しまするか、その間におきまするところの改訂率区々でございまするが、全体としてこの賃率は依然として遠距離逓似の方式をとつているのであります。
  13. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 とつていない。とつていないということは数字が明瞭なんです。五百一キロから千キロまで、ての短かい区間で七分一厘の値上げです。遠いところで千キロ以上が一割一分強の値上げですから、これは遠距離逓減になつていない。近いところは安くて遠いところが高いということになつているので、局長の御答弁は少し違うようです。
  14. 植田純一

    政府委員植田純一君) この値上率が若干区々になつておりますことは、要するに遠距離逓減カーブがどうなるかという問題でございまして、この絶対額を御覧になりますと、やはり先へ行くほど一キロあたりの金額が少くなつて来る。従いまして遠距離逓減原則には変りがない、かように考えております。各区画値上率相違によりますと、必ずしも今までのカーブとすつと同じではないかと思いますが、お説のように、先のほうに遠方に行くほど値上率を仮に多くするということであるならば、遠距離逓減カーブを、更に急激にするということになると思いますが、そこまでは考えておりません。ただ全般的に遠距離逓減法則をこつておる、こういうことでございます。
  15. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 ますますあなたの御答弁はわからない。明瞭なんです、あなたのほうでお出しになつ資料によつて私は質問している。私の質問通りであると、はつきりおつしやつているのですよ。一キロから千キロまでは七分一厘の値上げだ。千キロ以上は一割一分強の値上げである。つまり近いところのほうと四分一厘以上の開きがある。近いところのほうが安くなる。値上率が遠いところでは高くなる。だから遠距離逓減という、その法則には非常に反するということになるのであつて、今回の賃上げ遠距離逓減法によつたのじやないのだ。一割増収を目標として、区々になつておるのだというのであるなら、それは当然として趣旨が通る。併し国鉄根本方針であるところの遠距離逓減法には全く反するということになるわけです。理窟も何もない、数字が明瞭なんです。
  16. 植田純一

    政府委員植田純一君) この値上率区々になつておりますのは、その新らしい賃率ラウンドナンバーと申しますか、つけました関係で、若干区々になつております。でこぼこがございますが、最初は二円十銭で、その次の距離が長くなると一円四十五銭、五百キロ以上になりますと七十五銭、千キロ以上になると五十銭だ、いわゆる単価がだんだん下つている、これが遠距離原則をとつていると申しますか、遠距離逓減の結果を生じているわけでございます。
  17. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 そういうふうに根本方針遠距離逓減になつているならば、賃上げの率もやはり遠距離逓減で行くべきものじやないのですか。運賃値上の率というものも遠距離逓減でやはり行かなくちやならん。今くどく申すようでありますけれども、近いところのほうの率が低くて、遠いところの率が高いということになると、遠距離逓減に反するということになる。明瞭なんです。あなたが何と詭弁を弄されても、このくらい数字で明瞭なんだから、この点はつきりした答弁をして頂きたい。
  18. 植田純一

    政府委員植田純一君) 成るほどお説の通り、この遠方に行く段階におきますところの値上率が、近距離の値上率に比しまして値上率が低くなつておるということは、遠距離逓減程度において若干の相違はあると思います。併しこれは遠距離逓減程度をどの程度にするかという問題に関連するかと思いまするが、値上率相違よりも、御覧になりますように、この絶対額の相違が非常に遠方へ行くとうんと下つておるということで、これは実際のカーブを描いて見ますとはつきりするのじやないかと思いますが、実際の遠距離逓減原則、従来のカーブと大して変つていない、かように考えておる次第であります。
  19. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 はつきりしないのですが、従来の遠距離逓減遠距離のところは少しその逓減の率が高過ぎる、だからここで調和しようというお考えなんですか。この一割値上げと言われるが、実際は一割以上になる。今度の運賃値上げ調整をしようという御意見なんですか。どうもはつきりしない、あなたの言われることは……。
  20. 植田純一

    政府委員植田純一君) そこまでの考えはございません。ただ、さき申しましたように、賃率ラウンドナンバーにします関係上若干値上率におきまして相違が出て参ります。そういうことでありまして、遠距離逓減率は大体従来のそのままを踏襲する、かような考えであると思います。
  21. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 これは併しそうじやないのじやないですか。こういうふうに数字が明瞭なんですから、四分以上違う、五百キロ、千キロと、千キロ以上は四分以上も違つておる、遠いほうが高くなつている。これは遠距離逓減という従来の方針というものに変更を加えられたということになるのじやないですか、負担するほうから言えば……。これは何か勘違いがあるのじやないですか、私はここに出ているのは間違いじやないかと思うのです。一キロメートルから百五十キロメートルまでは一割三分五厘、百五十一キロから五百キロまでは一割一分五厘、その次が私はやはりこの五百二キロから千キロまでは一割一分乃至一割ぐらいその次に七分一厘、いわゆる千一キロ以上は七分一厘というふうに持つて行くべきじやないかと思うのですが、どうもはつきりしないがね。
  22. 植田純一

    政府委員植田純一君) 私の説明が十分でないかと存じます。国鉄営業局、長から説明いたさせます。
  23. 津田弘孝

    説明員津田弘孝君) 運輸省植田政府委員から申上げたので大体尽きておると思うのでございますが、繰返して申上げますると、私ども遠距離逓減法をとると、その遠距離逓減という意味はそれぞれの賃率地帯ごとにだんだんと段階的にその賃率のベースが下つて行くということを従来逓減法をとつているというふうに心得てやつていたのでございます。従いまして御覧になりますように、二円十銭、一円四十五銭、七十五銭、五十銭とこういうふうに逓減もしておりますし、具体的数字逓減しておりますし、又その逓減カーブが非常に急激になつておりまして、遠方に旅行されるかたの負担を事実上逓減しているということでございます。そこでその値上げの率が括弧の中と外とを比べると、先ほどお示しになりましたようなふうに、確かにそれぞれの賃率地帯において異つております。なかんずくこの五百一キロと千キロとの間の七分の値上げ、それから千一キロ以上は却つて一割一分一厘の値上りとこういうことになつておる。この値上り数字の率を御覧になりまして遠距離逓減になつていないじやないか、こういう御疑問でございますが、私どもこれを作ります際に、実はこの七十銭を八十銭にしようかというような議論もあつたのでございますけれども、やはり遠距離逓減趣旨を貫くために七十五銭にする、ここで六銭とか七銭とかいう端数をつけることができませんので、結果的にこういつた値上りの率が変つて参つたのでありまして、五、十という単位にするために結果的にこうなつたというふうにお考え頂きたいと思うのでございます。
  24. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 まあ運輸省の御答弁でも国鉄の御答弁でも、結局この運賃値上げ遠距離逓減になつていないということはこれははつきりするの、ですね。これは数字は明瞭なんだから。ただあなたのほうでは便宜上遠距離の千キロまでと千一キロ以上が違うのでこういうふうな結果になつたのだ、それで了承してもらいたいということであつて、これは遠距離のほうが運賃値上げの率が高くなつている、千キロ以上が高くなつているということは、これはもう数字が明瞭なんです。これはこういうことなんじやないですか、あなたがたがいろいろ言われるが、結局遠いところは値上げの率を高くすると収入が殖えるわけです。そういうことだから一割の運賃値上げをするには近いところで余計上げるよりも遠いところで余計上、げたほうが収入が上るんですから、そういうことが目安じやないんですか。遠いところで、例えば千円のところで一割一分を上げると百十円、近いところで、五百円のところで一割一分上げても五十五円しか上らない。遠いところで率を高くすると、それだけ収入が殖える。だからこの一割の辻棲を合わせるためにこういうものができておるんじやないか。そうして根本方針であるところの遠距離逓減というものは乱れているというふうに私は考えておる、そういうことじやないですか。
  25. 津田弘孝

    説明員津田弘孝君) 今の前之園委員遠距離を高くして増収を図ろうというような意思は毛頭ございませんのでありまして、現在鉄道旅客の足、我々は平均輸送人キロ言つておりますが、それがどんなふうになつておるかと申上げますと、鉄道全体といたしましては本年度の後期予算の際に組み込みました平均の足、これは現在でも大した変りはございません。それについて申上げますと、鉄道の全体のお客さんの足が二十三キロ三分でございます。それでそれを定期お客さんと定期外お客さんに分けてみますと、定期が十八キロ、定期外が三十一キロ一分ということでございまして、もう鉄道お客さんのうちで百五十キロまでのお客さんが大部分である。九割以上は百五十キロまでのお客さんである、つまりはつきりはこれはあとかり調べますが、八、九割までが百五十千口までのお客さんであるということで、むしろそういつたお客さんの多いところで、鉄道賃上げの率は一割と言いながら、一割三分にしておるというお叱り、御疑問こそあるかと思うのでありますが、いわんや遠くのほうのお客さんは非常に微々たるものでございます、千キロ以上のお客さんは。そういつたところで増収を図ろうというような意図は毛頭ございません。
  26. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 私は前のことを言つているのじやないのです。私が今質問しているのは、千キロ以上のことを質問しているので、ここでは遠いところが運賃値上げの率が高くなつているということだけを言つているわけなんで、それで私はやつぱり遠距離逓減原則に非常に反すると思う。そこでいろいろあなたのほうでも御理窟はあろうかと思いますが、それではその結果によつてどういうふうに違うかという実際の表を一つ見せてもらいたい。それを見ればすぐ明瞭だと思う。そうしてその上で更に質疑をいたしましよう。それからこの表を出されますか、新らしいやつを……。
  27. 津田弘孝

    説明員津田弘孝君) 先日は恐らく貨物等級新旧比較というので二十七年十二月十三日付のものを……。
  28. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 それは九日付でしよう。
  29. 津田弘孝

    説明員津田弘孝君) ああそうですが。それでその後いろいろと関係各省等と連絡をとりました結果、若干補正されておるものもございますので、実は一昨日の晩ですか、やつと事務的には調整が完了したというような関係でまだプリントにいたしておりません。一両日のうちに完成いたすと思いますので、できましたら早速お届けしたいと思います。
  30. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 ではその上で質問いたしましよう。
  31. 小酒井義男

    小酒井義男君 運賃関係で少し大臣の御意見をお聞きしたいと思います。国有鉄道運賃法の第一条において運賃値上げ原則をきめております。それについての大臣考え方をお尋ねしたいのです。その第一は、今度の運賃が「公正妥当なもの」であるというふうにお考えになつているかどうか、その点を先ずお尋ねします。
  32. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 今度の運賃改正が丁度この機会に、今まで筋としてはいろいろ経済情勢又価格の上なんかで変つて来でおりますのを直して行こうということで、料率委員会のほうで慎重に考えたのであります。その筋は私は通つていると思います。たた実際にこれを当てはめる場合に、社会情勢或いは急激な変化を避けるというようなことから見て、もう少し注意を加えるべきものがあるのではないか、そういう点を十分考慮してやつて頂きたいということを申しております。
  33. 小酒井義男

    小酒井義男君 次に、このたびの改正が「原価を償うものであること。」という条項に沿つておるかどうかお尋ねします。
  34. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) このたびの料率改訂によりまして、その通りやりますれば全体といたしましては原価を割らないということになります。個個の場合には多少の差があるということがあります。
  35. 小酒井義男

    小酒井義男君 次に、「産業発達に資すること。」とありますが、今度の運賃改訂がどのような結果となつて産業発達に資することになるか、具体的に一つ説明を願いたいと思います。
  36. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 賃金値上げをいたしますると、産業には全然影響ないということは言えないのでありまするが、それを最小限にとどめ、そうして国鉄そのもの経営を健全化する、国鉄そのもの経営が健全化すれば、やがて全体の産業にもいい影響をだんだんと及ぼして行くという見方をとつております。
  37. 小酒井義男

    小酒井義男君 この項については私はいささか変つた見解を持つておりますが、それは意見ですから差控えまして、次に第四項の「賃金及び物価の安定に寄与すること。」という条項でありますが、これに該当しているかどうかということと、この際賃金と言われているのは国鉄内部賃金のことか、或いは一般産業賃金のことを意味しているというふうに御解釈になつているか。その点についてお答えを願いたいと思います。
  38. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) この賃金一般賃金意味だと思いますが、この「賃金及び物価の安定に寄与すること。」といいますのは、只今第三に申しましたと同じような心持で、賃金値上げが、運賃料率改訂賃金及び物価に悪影響を及ぼさないで、そうしてそれがインフレなどの様相を呈しないような状態にとどめて置くということを意味するものでございます。
  39. 小酒井義男

    小酒井義男君 それでは大臣としてはこの四つ原則に反するものではないというお考えを持つていらつしやるということで、さよう了承してよろしうございますか。
  40. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 一個々々の問題とするより、この運賃をきめる建前の原則として、こういう四つの大筋を組合せてそうして経済界に悪い影響を及ぼさないような心持賃金値上げ等をやる場合にはやるという線に沿うて行く。この原則をお示ししてあるのでありまして、この線に沿いまして今度も一応考慮されてあるのでありますが、さつき申しますように、個々の問題についてはまだいろいろ研究の余地があるだろうと思つております。
  41. 小酒井義男

    小酒井義男君 私は今度の運賃値上げは、第一の場合と第二の場合、つまり四つ原則の一と二には大体該当すると思いますが、三と四の二項目には、今度の運賃値上げ原則と睨合せて背反する内容を持つているという見解を持つておりますが、これは見解相違だというふうに言われればそれまででありますが、一応大臣考え方を聞くだけで今日はとどめておきます。質問はこれで打切ります。
  42. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 ちよつと営業局長資料の御提出を求めるのを落したのがありますから、営業局長資料のことをお願いしたいのですが、先ほど質問いたしました四頁の今の問題ですね、一キロメートルから百五十キロメートルまでの平均乗車人員並びに運賃の総計、それから四段に分けて一つそれを提出して頂きたいと思います。
  43. 津田弘孝

    説明員津田弘孝君) 承知いたしました。
  44. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 わかつたですね、私が申上げること……。パーセンテージを出してもらいたい。四段に分けて一キロメートルまでが何人で百五十キロメートルまでが何人で、この運賃幾らだ、こういうのを出してもらいたい。
  45. 津田弘孝

    説明員津田弘孝君) それはございますから差上げたいと思います。
  46. 中村正雄

    中村正雄君 ちよつと運輸大臣にお尋ねしますが、昨日貨物等級のことにつきまして、国鉄側委員からいろいろ御説明を聞いたわけなのですが、大臣としてどうお考えになつておるかという点について方針を聞きたいわけですが、今一番問題になつております。貨物につきましては、一割の運賃値上ということよりも、等級表改正によりまして、表向きは一割値上のものが二割も三割も上る。或いは物によつては現在よりも安くなるというものができることが非常に問題になつているわけなのです。で、一応一定の基準に従いまして、等級表改正をやつておられるわけですが、出ました結果が、生活必需品が三割近く高くなつて賛沢品現行運賃よりも二割も三割も安くなつている。こういう矛盾が出ておるわけなのです。その矛盾の出ます根拠は、やはり指数のとり方なり、改正せんとする基本理念に無理な点があるのしやないか。特に一番考えられます点は、等級指数の問題でありますが、現在の指数というものを、下のほうを上げて、上のほうを低く下げておる。占い換えれば、最低は七五にして、最高を二〇〇にしておる。ここに結果において賛沢品が安くなつて大衆物が高くなつておる。こういう結果が出ておるのですが、一つお聞きしたいのは、最低を現在よりも引上げまして、七五にしておる点、最高を引下げまして二〇〇にしておる点、こういう点につきまして、大臣はどういうふうにお考えになつておるか、運輸大臣としての御見解を聞きたいと思います。
  47. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 最低が七五になつておりますのは、これは直接原価を割らないようにというのが主眼になつておるのであります。それから上を抑えましたのは、ほかの交通機関との対抗上と申しますか、国鉄運賃収入を確保する意味において、逆に下げたということを私は承知しておるのであります。大体の行き方といたしまして、最低は直接原価を割らないように、上はほかとの競争に堪えて、収入が実際に上りますようにするということの線までは、なおずつと私は守つたらいいと、私は趣旨として思つております。
  48. 中村正雄

    中村正雄君 現在の貨物運賃基礎になつておりまする最低指数を二〇近くも上げて、七五にしなければいけないということのお考え根本は、これによつて輸送原価のうちの直接費だけは最低カバーしたい、こういうまあお考え、又最高二〇〇に抑えた点は、他のトラック等関係から、一応下げるということは昨日説明になつておるわけです。ところがここで問題になりますのは、こういう基準を置いて計算しました結果、さつき言いましたように、贅沢品は非常に現在の運賃よりも安くなつておる。言換えれば一割値上すると言つておきながら、実際は現在よりも二割も三割もうんと安くなる。反対に大衆物は、生活必需物資は一割値上すると言つておきながら、実は二割も三割も値上になつている。こういう矛盾の起きますこの基礎計算というものが正しいかどうか。又もう一つ最低の直接費をどうしても負担しなくちやいかんということをおつしやつていますが、仮に七五という指数最低に置きまして、しなくちやいけないと言つても、やはりこれはこのままにしておいて、減トンであるとか、遠距離割引であるとか、或いは遠くなれば割引するということによつて指数を七五以下にどうしても落すという方法を考えなきやいかん結果になると思うのです。そうすればそこは別な考え方によつて、部分的な政策によつてこの最低を七五で抑えようとする線が崩れるのであれば、初めから七五という指数を設けたというところに僕は間違いがあると思う。而も七五が直接費の最低であるとおつしやれば、旅客運賃でも、定期運賃なんかでも、どこに根拠を置いておるのか。定期運賃のコストはどこに根拠をお置きになつてああいう運賃をおこしらえになつているか、答弁を聞きたい。
  49. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 一只今お話のように、直接費を賄うのを最低の線に置いておるわけでありますが、これは必ずしもこのものを飽くまでも厳守するに非ずして、或る場合には或る物には調整が行われるということは、これは当然守らなくちやならんものだと了承しております。それならば初めからそんなことをせずにおいたほうがいいじやないかということも議論が成立つのでありますが、私は今の原案で調整して行つてよろしかろうというふうに考えております。それからその意味からいたしまして、直接費を必ずしもカバーする、どの場合でもカバーするという線を少し破る場合もあると思うのであります。  定期料金はこれはよく問題になるのでありますが、これは大きく今の線を動かすことがひどくなりますと、これは社会政策上にも非常に大きな影響を及ぼすということ、それから変化が余り多いと皆に響くことも大きいということが、定期料金の場合の一番大きな考え方になつておるので、併し品物の場合でも同じじやないかということは当然考えられます。これでできるだけ大きら変化を来たさないように、そして実際の収入の面は予定の線に達し得るようにということで、総論的には考えてもらいたいということを、私どもは申しておるわけでございます。
  50. 中村正雄

    中村正雄君 私のお聞きしている根本は、今おつしやいましたように、最低を七五で抑えているから、調整しなければいけないようなことが必要になつて来るわけなんです。勿論これは昭和五年ですから、大体できましたが、そのときと今とは価格等が相当変化しておりますから、変化に伴いまする私は改正はいいと思います。価格の変化に伴います等級の変更はいいわけでありまするが、七五に最低を切上げたために、前のものであれば五三の指数であつたものが七八になつて来ておる。そこにいわゆる原価を七五でどうしても抑えなくてはいかんという理論を通す場合は、今言いましたように、非常な、社会通念上考えられないような、贅沢品が下つて、大衆品が上るという結果になるのです。それは今言つた指数を、こういうふうに七五から二〇〇の枠にはめてしまうということによつて出て来るというわけなんで、ここに私は今度の等級改正根本の欠陥がある。従つて若しそういうふうに調整するなら、そういう割引であるとか、或いはその他の方法によらずして、等級自体を現在の情勢に合うように私はすべきである。姑息な手段によつて調整をするということについては納得できないのが一つ、又高級品を二〇〇に下げてしまうということのために、今言いましたような贅沢品については運賃が非常に安くなつておる。こういうことになりますると、一応運輸行政をやつておられまする運輸大臣として、一割値上げをするということを一般にしておいて、生活必需物資が高くなつて、高級品は現行よりも安くなる、こういう運賃制度の改正に対しまして、どういうふうにお考えになるか、率直な御見解を聞きたいと思います。
  51. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 生活必需物資が余計上つて余裕のあるような、まあ平たく言えば、贅沢に類するものが非常に安いというようなことは、筋としては私は余り好ましくないと思います。できるだけ生活必需物資の上りが少く、賛沢品と申しますか、そのほか余裕のある品物のほうが割高であつてもいいという線は、これは社会政策的の立場から当然考えるのでありまするが、前からのいろいろな長い間の経済情勢の動きが価格その他の上に影響もしておりまするし、そういう線を運賃の上においても調整をするということも今度の問題の一つの大きな点になつておりますので、そのままに出しますと、さつき申しますように相当大きな賃上げが必需物資にも出て来る。これはまあできるだけ抑えてもらいたいということの線において特にお願い申しておきます。
  52. 中村正雄

    中村正雄君 それでは一つだけ、非常に私わからない点がありますのは、総収入一割の値上げということになつておりますが、もらつておりまするまあ大体主な貨物等級比較をみまするというと、非常に輸送の多いものはいわゆる一割以上皆上つておる。それではまあ高級品が下つておるわけなんですが、これはまあ全体相当数字を睨んでいらつしやると思うわけですけれども、ちよつと、主な貨物の新旧等級比較というのを見まするというと、大体お互いが日常見られますような物資は一割以下の値上げになつているのは少い。殆んど一割以上になつておる。その結果が運賃収入一割にとどまるという計算の仕方はちよつと納得できないと思うのです。これは一体どういうふうになつているのですか。国鉄からで結構でございますから、大体御説明願いたいと思います。
  53. 津田弘孝

    説明員津田弘孝君) 鉄道で大量に運ばれている下級の物資が値上りをしているものが多い、そういつたような関係からして全体としての増収が一割を超えるのではないかというような御疑問或いは尤もでございまするが、私どもとしてはすべての貨物のトンキロを出しまして輸送量とそれからその運送距離とを出しまして、それを指数今回変りました指数に換算いたしましてウエイトをかけまして出しますると、ぴつちりとんとんになるというような作業の結果そういうふうになつております。必要によりますればそういつたものがございますからお目にかけてもよろしうございます。
  54. 中村正雄

    中村正雄君 いや恐らく数字はそうなると思いますけれども、出してもらつてるのを見ますると、いわゆる下つておりますのは、高級品で大体その量は余り多くないようなものばかりなんです。あとは一割の値上げを別にいたしまして値上率が皆一割以上になつておる。ちよつと奇異な感じを受けるわけで、これはまあ事務当局の作業の上で一割になつておると言えば、それでいいと思うのですけれども、一応奇異な感じを受けるわけなんで、ちよつと御質問したわけなんです。大臣にもう一つお伺いしたいのは、今回の運賃関係で省営自動車の運賃はどういうふうにお考えですか。
  55. 津田弘孝

    説明員津田弘孝君) 今回のは、鉄道運賃賃率の変更でございまして、国鉄自動車関係におきましては旅客貨物共にこの鉄道運賃と同時或いはこれに関連しての改正はございません。
  56. 中村正雄

    中村正雄君 国鉄増収を図るということでやつておられますのに、鉄道運賃だけ一応考慮して、省営自動車の運賃を考慮しなかつた理由はどこにあるのですか。
  57. 津田弘孝

    説明員津田弘孝君) 国鉄自動車に関しては全く一般民間の自動車が適用を受けております或いは監督を受けておりまする賃率、私はつきり存じませんが、現在では平地では一キロ当り二円六十銭ぐらいになつておるのではないかと思いますが、これは国鉄バスも民間バスと同様にその適用を受けておるのでございます。トラック運賃につきましても同様でございます。
  58. 中村正雄

    中村正雄君 私のお聞きしておるのは、なぜ省営バスの運賃について考えなかつたかという理由をお聞きしておるわけなのです。
  59. 津田弘孝

    説明員津田弘孝君) 国鉄増収を図つておる際に、自動車の場合に増収をなぜ図らないか。増収を図るためには運賃なり、賃率なりを上げる必要があるわけでございます。この賃率はやはり最高額を監督官庁に抑えられておるというような関係もございまして、鉄道と同時に増収を図るための運賃値上をすることができなかつたわけです。
  60. 中村正雄

    中村正雄君 それで手続上できなかつたという意味なんですか。だから他日やるという御趣旨なんですか。
  61. 津田弘孝

    説明員津田弘孝君) 国鉄自動車におきましても、増収のためにはいろいろと手だてを尽しておるのでございますが、それを今回賃率の値上によつて増収を図るということは考えておりません。
  62. 中村正雄

    中村正雄君 手続上やらなかつたとおつしやいますが、鉄道運賃かて国会を通過しなければできないわけで、同じ手続をやらなければいかんわけですよ。国鉄自体で国鉄運賃は勝手にきめられるわけじやないのです。自動車の運賃鉄道運賃も一定の手続が要るはずなんです。それとも省営自動車については十分採算がとれているから運賃値上の必要なしということで運賃値上げをやらないのであれば別でありますけれども、現在の省営バスの経営自体の採算が伴つておるのかどうか、その点を明らかにして御答弁願いたいと思います。
  63. 津田弘孝

    説明員津田弘孝君) 国鉄自動車の運賃値上げができない、或いはしないのは手続上そうしないのだと申上げたのではないのでございます。今回は運賃値上げによりまして増収を図るということはするつもりがなかつたということでございます。それから国鉄自動車の経営は漸次好転をして参つておりまするが、現在におきましてもなお相当の赤字で、私はつきりした数字は現在存じませんが、いろいろ国鉄全体としての総経費なり維持費なりそういつたものの割賦を国鉄自動車の場合には受けますると営業係数が本年度一六 ○ぐらいではないかというふうに記憶いたしておりますが、若し誤つておりましたならば訂正いたします。
  64. 中村正雄

    中村正雄君 公共企業体としての国鉄全体の財政はやつて行けないから収入を上げなくちやいかん、そのための運賃改正をやるという理由になつてつて、而も鉄道よりも自動車のほうが赤字が現在経営上多いというときに、公共企業体としての国鉄のその赤字の補填の値上げ鉄道利用の旅客のみに負担させて、自動車利用の旅客に負担させないということについてはちよつと私受取りかねるわけなんですが、どういう理由で鉄道の利用者のみに負担させて自動車の利用者に負担させなくてもいいというお考えになつたのかその点お聞きしたいと思います。
  65. 津田弘孝

    説明員津田弘孝君) 従来から国鉄自動車の運賃につきましては、大体民間自動車との釣合いというようなものを考慮しておりますし、又せざるを得ないわけでございまするので、民間自動車の運賃値上りになりまする際に、その際鉄道運賃値上げになるというようなことがなくても、自動車に関してのみは一般の自動車運賃、民間の自動車運賃改正に即応して値上げをしているというようなのが実情でございます。従いまして一般の民間自動車の運賃改正が今回はないわけであります。従いまして国鉄自動車におきましてもそういうことを考えるという時期段階になかつたわけでございます。
  66. 中村正雄

    中村正雄君 そうしますると、先の御答弁と幾分食い違つて、民間の自動車の運賃との均衡を保たなくちやいかんから、従つて民間の関係があつて国鉄自体で上げるわけには行かないという一つの手続上のところにやはり理由を求めていらつしやるわけですか。それとも上、げなくても、省営自動車については十分採算をカバーするだけの経営方針がある、従つて無理に上げる必要はないというところに根拠があるのか。どちらかを明らかにしてもらいたい。
  67. 津田弘孝

    説明員津田弘孝君) 今中村委員のおつしやつたその手続という意味におきましては、今回は手続的に上げる時期でないというふうに御了承頂いて結構だと思います。
  68. 中村正雄

    中村正雄君 そうすると、大臣にお尋ねしますが、省営バスと民間の自動車との運賃の比率ということが一つの今度上げないところの理由になつておる。そうしますと、鉄道にしましても、これと同じ大体鉄道旅客輸送を見ましても、五十キロ未満というものが大部分を占めているわけなんです。そうなりますと、殆んど大都市におきましては私鉄と競合いたしておるということになりますると、自動車のほうは私営自動車との関係でできないが、鉄道のほうは又私営バスと同じようにやはり私鉄というものがある。それとの関連を考慮しなければならんという工合になつて、この前に質問しました場合には、私鉄についてよし申請があつても上げるとか上げないということは考えていない。その都度審査して決定するとおつしやいましたが、省営自動車と私営のバスとの関係と同じように、国鉄運賃を上げる場合におきましては当然これと並行関係にあり、競争関係にありまする私鉄の運賃というものを考慮しなければ、私は運輸大臣としては諾否が決定できないと思う。而もその都度考えるという方針では、この国鉄運賃を上げるということは持つて行けない。従つて今省営バスと私営バスとの均衡の関係から考えて、国鉄運賃値上げと私鉄の運賃値上げについての何らかの具体的なお考えがなければ、輿論の反対を押し切つて一割値上げを断行するという運賃法改正は出して来れないと思う。具体的なこの点についての方針を承わりたい。
  69. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 民間の鉄道会社の、私鉄でございますが、それが出て、それはその都度考えるというようなことを確かに申しました。これは各会社の値上げが出て参りましたら、それを一々原価計算的に調べまして、是非とも上げなければならん状態にありや、或いはそうでないか、というようなことを実際に調査研究しまして処置を見出すべきであります。実際上は同じく上がる、だろうと私はこう思つております。これはいろいろな同じような意味の私鉄も同じような形態で殖えているのだろうと思う。これはこう出てみないと、ちよつとわかりません。
  70. 中村正雄

    中村正雄君 私鉄から申請が出ました場合の経費その他を見て諾否をきめるというお話ですが、恐らくそうなりますると何も私鉄は経費が上つているわけではない。従つてやはりその場合考えるのは国鉄との並行線との均衡の問題を私は考えなければいかんと思う。それで今大臣がおつしやつたように経費その他原価計算の面におきまして、上、げるのが妥当であれば上げるとおつしやいますが、そういう面から考えて理由はいろいろつけると思いますが、私は上げる場合が生じて来ないと思う。そうしますと国鉄が一割値上げをして一定の増収を見込んでおりますが、並行線関係におきましてはやはり私鉄に流れると思う。国鉄自体として増収を本年度四十一億余り、平年度として百七、八十億これは貨物旅客一緒でありますが見込んでおります。私鉄の運賃は現在据置にしまして国鉄運賃値上げになつて、予想されているだけの運賃増収があるかどうか、この点は疑問だと思う。従つて国鉄当局にお伺いしたいのは、現在の私鉄の運賃をそのままにしておいて現在増収見込みを立つておりますか、この増収見込みは私鉄の運賃を据置にしたままで大体これだけ上がるという増収見込みか、それとも並行線に関する限り、或いは競争線に関する限りにおいては、私鉄も当然国鉄並みに上がるということの前提としての増収見込みか、これをお聞きしたい。
  71. 津田弘孝

    説明員津田弘孝君) 国鉄運賃改正につきましては現在国会において御審議を頂いておるわけであります。私鉄の運賃に関しましては、これは運輸大臣の個々の会社につきましての認可許可になつておると私は承知いたしておるのであります。従いまして今回国鉄運賃改正されましたような場合におきましては、その並行関係にあるところの私鉄の運賃国鉄運賃と均衡をとる、調整を図るという意味におきまして運賃の変更があることであろう、恐らくそういつた申請が運輸省のほうに出ておるだろうと私は考えております。そこでそういつたバランスがとれた場合は別といたしまして、若し私鉄の運賃が上らないような場合には国鉄の並行線下におけるところの旅客が私鉄に流れるであろう、そういう点を見込んで今回の運賃増収見込みを立てたかどうかという後段の御質問があつたのでありますが、そこまで細かく個々の並行線について旅客の増加量がどうなるというような細かい計算は、実は国鉄といたしてはしておらないのでございます。全体の、総体の人員がどう推移するであろう、その足がどうなるであろう、全体の貨物が一億何千万トンになるであろう、その足がどういうふうに推移するだろうというようなことで、総体的な輸送のボリュームというものを考えまして、それに今度改正をお願いしております賃率を掛けて全体の収入数字に出しておるということであります。
  72. 中村正雄

    中村正雄君 そうしますると、国鉄運賃値上げによつて私鉄との移動はないということを前提にして運賃増収見込みを立てていると、こういうふうに解釈していいわけですか。
  73. 津田弘孝

    説明員津田弘孝君) 個々的、地方的には旅客の移動が若し運賃の間におきまして著しい差がある、国鉄値上げして私鉄が値上げしないという場合を仮に想定しますとあると思うのです。総体的にいたしましては私鉄関係の考慮というものはこれを度外視いたしまして増収計画を立てております。
  74. 中村正雄

    中村正雄君 従つて私のお聞きしておるのは、現在のいわゆる私鉄と国鉄との輸送量におきます均衡がとれておるということを前提にして一応収入をお立てになつている、そういうふうに解釈していいのですか。言い換えれば国鉄値上げする場合に国鉄の一部が私鉄に流れるとか流れないとかいうことを考えないで、現在の量、例えば私鉄と国鉄との輸送量が変化がないものとして一応の、その他一般経済情勢とを勘案して御方針をお立になつておると、こういうふうに解釈していいかということを聞いているわけです。
  75. 津田弘孝

    説明員津田弘孝君) それで結構であります。
  76. 中村正雄

    中村正雄君 そうしますると、今運輸大臣のおつしやるのには、個々の私鉄から出て参つた場合には、コストその他等を考えて上げなければいけない場合は上げるとおつしやつておりますが、国鉄との並行関係、或いは競争関係ということは運賃値上げの許可をする理由としては挙げておらない。そうなれば並行線関係であるとか競争関係ということを考えなければ、恐らく私鉄からの運賃値上げということにつきましては許可する必要がないといつたように常識上考えられる。従つて若し私鉄が運賃値上げをせずして、現行運賃を維持するとすれば、個々的に見れば僅かなものだという解釈も成立つかも知れませんけれども、国鉄旅客のほうの輸送キロというものを考えると、大体まあ五十キロ前後余りが平均キロだと思います。そうしますると、一番収入の上る、而も儲けになつておりまする大都市附近におきましては殆んど私鉄の並行線がある。これが全然値上げをせずして国鉄のみ運賃値上げをした場合には相当私鉄に流れることも考えなくちやいかん。そうなれば今政府の、国鉄のお立てになつております運輸収入というものに必ずひびがいると思うのですが、これに対して運輸大臣はどうお考えになつているか、国鉄はどうお考えになつているか、御意見承わりたいと思います。
  77. 植田純一

    政府委員植田純一君) 只今私鉄につきまして国鉄との均衡以外には値上げの理由はないではないか、こういうような前提でお話がございましたようでありますがれ私鉄は昨年値上げいたしまして以来、本年の四月以降べス・アップで全国平均二八%余り上つております。又そのほか電力料金等の動力費の値上げ等もございまして、実は一般的に申しまして私鉄の経営は苦しい状態でありまして、個々の会社の状況によりましてその都度々々審査いたしまして、その間値上げ実施をしたものもございまするが、いわゆる大都市郊外の私鉄におきましては、そういうような事情で値上げの要望も実はあつたことと存じまするが、むしろ逆に国鉄との均衡、その他の関係でなかなかその値上げができないというような会社も相当あつたのであります。従いまして国鉄値上げ実施ということによりまして私鉄からも値上げの申請が出るのではないかということは予想されておつたところでございます。又現にそういう申請が出て参つておるものもございます。ただその場合に勿論私鉄の申請といたしましては国鉄との均衡その他も考えての申請になると存じまするが、国鉄が上つたから、その他の事情を何も考えないで私鉄も一一上げるとか、どうとかいうことは考えておりません。その場合といえども飽くまで値上げの基になるものはその会社のいわゆる収支の関係、公正な収支のバランスを考えまして、それを認可するかどうかという方針でございます。
  78. 中村正雄

    中村正雄君 一応まあ大臣の最初の御答弁と今政府委員の最後の御答弁と同じことをおつしやつていられるわけですが、会社から出て来た場合には、会社の実情を考えて経理面を見た上で諾否をきめると、こうおつしやつておりますけれども、今までも相当経費は殖えて来た。従つて国鉄が上つたら同時に出て来るであろうという予想での御答弁ならば、表向きは個々の場合を勘案すると言つておりますけれども、当然国鉄運賃値上げをやるときには、私鉄の運賃値上げをやるということも大体おきめになつたように今の御説明では聞こえるのです。大体戦後の私鉄は相当損害を受けてだんだん立直つて来たわけでありますけれども、大体今度の下半期を見ますると、殆んどの私鉄は株主の配当をやつておる。従つて経理面というものは国鉄のように赤字ということは言えなくて、まあ帳簿上の操作もあるかもわかりませんが、一応会社は配当も復活しておる、それで配当も復活しておる状態において経理面がどうのこうの、とても経理がやつて行けないからというようなことは一応社会は納得しないだろうと思うのです。従つてやはりどうしてもいろいろの事情をお付けになりましようとも、国鉄が上つた場合は当然やはり私鉄は上るという一つの危惧を一般の国民は持つておる。従つてこれはやはり国鉄とは別に個々の私鉄の企業について会社の経理状態から到底今の運賃では困るといつた場合に上げるとおつしやつて、表向きはそう言つておるけれども、実際上やはり国鉄運賃を上げるときは、当然私鉄の運賃を上げることも運輸省としても前提にお考えになつているというふうにしかとれないわけですよ。今私鉄で相当株主の配当もやつているというような私鉄であれば、上げる必要はないと思いますが、そういうやはり会社に対しましても恐らくお上げになるであろう。そういう点一応私鉄の経理状態をお考えになるときに、やはり株主に対しまする配当その他という点も十分お考えになつて相当一般の企業よりも上廻る配当をしているような会社に対してもやはりお上、げになるということになると、ほかに理由がなければなんですがそういう点についてはどういうふうにお考えですか。
  79. 植田純一

    政府委員植田純一君) その配当をしているから運賃値上げする必要はないではないかというようなお説でございまして、確かに帳簿上におきましては利潤を生んでいる会社が大部分でございます。併しながら会社の経営をいたして参つております以上、適正な利潤配当というものはこれは当然確保する、又そういうふうに指導もし又監督もする、そうでなければ会社の健全な経営というものは到底できないのじやないか、まあかように考えておりますので、適正な利潤というものはまあ常識的に申しましても、又監督上の立場から申しましても、これは当然確保できるような建前でコストを考えて行つております。又それが至当であろうかと考えております。
  80. 中村正雄

    中村正雄君 更にその適正な利潤というのはどこに根拠をお置きになるか、御説明を願いたいと思います。
  81. 植田純一

    政府委員植田純一君) これは個々の会社のいわゆる状態、立地条件、その他によりまして一般社会通念によつて適正な利潤というものが考えられるのじやないかと、かように考えております。
  82. 中村正雄

    中村正雄君 津田営業局長にお伺いしたいわけですが、省営バスについては別な方面で増収考えるというお話でありましたが、どういう増収策をお考えになつておるか。
  83. 津田弘孝

    説明員津田弘孝君) 私現在担当しておりませんので所管局長といたしましての返事はいたしかねるわけでございます。
  84. 中村正雄

    中村正雄君 最後に運輸大臣にお尋ねいたしますが、運輸省直轄の事業でありましたときの省営バスと、公共企業体になりました場合の省営バスにつきまして運輸省としての監督或いは指導の方針についてどういうふうに変つておるか、その点をお聞きしたいと思います。
  85. 植田純一

    政府委員植田純一君) これは省営バスにつきましてのまあお尋ねでございますが、いわゆる運輸省としての国鉄、いわゆる官営としての国鉄と公共企業体になつてからのまあ国鉄の利潤、根本的にはまあその点の違いだと思いますが、この運営上のいわゆる企業性、独立採算制という点におきまして全般的に公共企業体になりましたその趣旨に鑑みまして、その点が相当推進されておるんじやないかと、まあかように考えております。お尋ねの趣旨が或いは省営自動車の、いわゆる事業の運営方針と申しますか、免許方針という点で若しもあるといたしますれば、その点については公共企業体になりましても、国鉄自動車は省営自動車に関連した事業を現在においてもやるということでありまして、この点の性格と申しまするか、解釈につきましては変つておりません。
  86. 中村正雄

    中村正雄君 問題は運輸省としてですね。国鉄に関連するということについているくの考え方があろうと思うのです。で、今貨物運賃改正を見ましても、高級品につきましてはやはりトラックとの競争関係等を考え最高指数を二百に下げるということは、やはり他の私営の輸送機関との、或る程度の競争ということも勘案して今度の運賃改正考えられておる。それと同じように省営バスと私営バスとの関係についてどういうふうにお考えになつておるか。ただ一応今までの省営自動車の動きを見ておりますると、非常に省営自動車というものは私営バスと全然別個のものである。前の運輸省直轄のときよりももつと虐待されると言いますか、非常に範囲を狭められたような、運輸省自体の私は認可方針なり許可方針になつておるんじやないか。公共企業体になれば、もう少し運輸省直轄のときよりも巾の広い企業性なり営業性を考えなくちやいけないのに、逆に企業性、営業性というものが圧縮されているように僕は感じるわけです。この点につきましては担当の局長でないので御答弁できないと思いますが、次の委員会にでもお見えになりましたら、この点につきまして御質問したいと思いまして、私の質問は一応これで打切ります。
  87. 鈴木清一

    ○鈴木清一君 ちよつと関連しておりますので、昨日の御返事を頂く前にちよつとお尋ねしておきます。と申しますのは、遠距離逓減の問題でございますけれども、先ほどの前之園さんの質問と私は又逆になるのですが、少くとも御承知のように国鉄の新憲法下における任務と言いますか、というものは御承知かも知れませんが、国民の鉄道であつて、曾つての天皇の鉄道でないことははつきりしておる。そういたしますると、国民の大半を占めるいわゆる一般三等乗客に対する逓減率というものが、むしろ余り遠距離を使わないで、長距離の場合には高級車を利用するというような乗客たち、その人たちに恵まれた逓減制をとるということは、いささか国鉄のいわゆる公共性から言つても性格から言つてもおかしいじやないかと思う。従つてその逓減制をそのような工合に、今の割合でとつておるということはどうか。私はそうした面を一応お聞きしておいてから次の質問に入りたいと思います。
  88. 津田弘孝

    説明員津田弘孝君) 只今の御質問趣旨はつきりいたしませんのでございますが、遠距離逓減をとる場合に、三等の遠距離逓減と二等、一等の遠距離逓減が違うと、それはいかんと、こういう御趣旨でございますか。
  89. 鈴木清一

    ○鈴木清一君 割合、数が余り開き過ぎるというわけです。
  90. 津田弘孝

    説明員津田弘孝君) 数でございますか、前之園委員と逆ですね。遠距離逓減の率がひど過ぎるではないか、こういうことでございますか。
  91. 鈴木清一

    ○鈴木清一君 それで私の聞いておるのは、いわゆる国民の大多数が利用する三等のものと、一、二等の人たちのとは比較いたしまして、国民の鉄道であれば、その人たちにもうちよつと潤す逓減距離制をとるべきじやないか。
  92. 津田弘孝

    説明員津田弘孝君) わかりました。二等と一等のお客さんの乗車距離は大体三等のお客さんに比べて長い。その長い一等、二等のお客さんが遠距離逓減の利益を受けるのはどうであろうか、こういう御趣旨でございますが、別にそこまで意識して計画したつもりはないのでございますが、この遠距離逓減は、結果的にはまあそういうことに或いはなるかも知れませんが、御承知のように鉄道旅客のうち三等旅客が大部分、と申しまするよりも九八%まで三等旅客で、一等、二等は残りの二%足らずのものが占めておる。そういうものは九牛の一毛でございます。そこで遠距離逓減、その他いろいろな旅客関係の、或いは運賃政策等を考えます場合には、三等の乗客をどうするか、三等の乗客に対してどういうような影響を及ぼすかというような点に最大の重点が置かれるのは当然でございます。その三等のお客さん、日本の大部分のかたが利用される三等の旅客の場合にやはり日本はこのように地形的に非常に長細い国柄でございますの、で、そういつた遠距離を旅行される場合に、その負担の絶対額というものが余りに大きくなるということも、これはどうであろうかというようなことで、もう戦前から遠距離逓減の制度というものは、日本の国有鉄道は採用いたしておつたのでございます。併しながらその逓減の割合が戦後は更に著しくなつたというような傾きは現実にございます。飽くまで三等旅客遠距離旅行、その負担を軽減するというような意味におきまして、遠距離逓減をいんしておるような次第であります。
  93. 鈴木清一

    ○鈴木清一君 それでは大体昨日から私の申しましたところもわかつて来たのですが、やはり今局長が申されたように、こうした問題についてまでも、何かこう、要するに国民の鉄道でない。いわゆる戦前よりはなお悪くなつたというような考え方でお話されたのですが、従つてつて国鉄の観念と今の公企業体となつての観念が、どうしてもはつきりしないので、そういう結果、わざわざ意識的にそういうことは考えずに、無意識に営利専門で考えたというお答えになつて来ただろうと思います。
  94. 津田弘孝

    説明員津田弘孝君) 私の言葉が足りなかつたかも知れませんですが、私の申上げたのは、戦前はよかつたが、戦後悪くなつたというような意味ではないのでございまして、例えば旅客を例にとりますならば、現在は百五十キロ、五百キロ、千キロ、千五百キロというような、こういうような四段階にいたしまして、而も今度の改正によりますると、遠距離は五十銭、近距離は二円十銭というような、四分の一にも満たないようなところに賃率を持つておりまするのは、これは遠距離旅客のことを非常に考えた、むしろ改善をしたというようなふうに私どもは考えておるのであります。戦前におきましては、私の記憶にして誤りなければ、この百五十キロのところで腰を折りまして、あとは野放しに真つ直ぐな線でずつと千キロ、千五百キロも行つていたようなふうに記憶いたすのでございます。むしろ遠距離旅客のためには制度的には非常に改善されたというふうに私どもは心得ております。
  95. 鈴木清一

    ○鈴木清一君 それでは昨日ですね。私は今日御質問する前に、大臣から昨日お願いいたしておきました点についての御説明を聞いてからというつもりだつたので、そちらから先にお答えがあると思つて質問を控えておつたわけですが、御質問申上げました点についての一つお考を……。
  96. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 昨日お尋ねのありましたのはへ行政協定の第何条で、輸送関係が責任と言いますか、約束されているだろうかということが初めでございましたね。
  97. 鈴木清一

    ○鈴木清一君 そうです。
  98. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) それから第二が行政協定によつて動いているとすれば、その前にやつていた何はどういうわけかと、こういう御質問でございましたね。
  99. 鈴木清一

    ○鈴木清一君 そうでございます。
  100. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 行政協定の第七条に規定されております。読んで見ましようか、第七条……。
  101. 鈴木清一

    ○鈴木清一君 いや七条の行政協定は私も読んでおります。ただその解釈をどういう解釈から総裁の権利で結べるか。
  102. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) この規定によりまして、この規定はどういうふうに解釈しているかということでございますが、合衆国の軍隊は公益事業及び公共の役務、例えば鉄道、郵便、電信、電話、又はその他ガス、水道等を利用することができるということになつておりました。その利用に当りまして、そのときどきに日本の諸官庁に与えられている条件よりも不利でない条件でやつて参ろう。又日本の官庁に優先権が認められている場合には、その優先権、日本の官庁に与えられておる程度の優先権を持つという意味でありますが、実際上日本の役所に特別にこれというものもないようであります。現在のところないようでありまするが、若し何かありましたら、その程度で、アメリカだけが特に日本の官庁等よりは優先であるという扱いはしないということに了解いたしております。  それから、四月の一日から、この行政協定が出る前でありますが、価格の基本協定をいたしております。これは講和発効前は原価計算に基いて実費主義でやつてつたのであります。講和が発効いたしましたら、更にそれをまあコンマーシャル・ベースでやつて行くと、原価計算よりは有利になるわけであります。そういう話合ができておりましたので、講和発効よりも少し早目でありますが、こういうものをやつて行きたいということでありましたので、役所といたしましては、これは適当であろうということでそれを認めたのであります。行政協定締結前にそういう約束をいたしたのでございます。
  103. 鈴木清一

    ○鈴木清一君 第二段についてですが、講和発効は御承知のように、国会の審議権にかかつてつたのでありまして、それは勿論予測といたしましては、政府としても見込みはあつたかも知れませんけれども、併し国会で承認しなければ発効しないような重大な点について、その付則から現われる輸送協定というようなものを受諾をしておいて、発効後に調印されたと言われるならば、これは別でありますけれども、発効前にすでに調印されたということは、余り総裁としては越権ではないかと私は言いたいのですが、その点について伺いたい。
  104. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) これは四月の一日から実施するように、三月の三十一日に締結されたのでありまして、これは国鉄と向うの軍隊との私契約でございますから、それでよろしいという解釈を取つております。
  105. 鈴木清一

    ○鈴木清一君 それで又違つて来たんですが、昨日大臣にお尋ねしたら、やはり私契約であるからということを言われて、私契約そのものは私企業から生まれるというようなことを言われた。私企業だから私契約だというような解釈であつた。でありますから、私はそれではおかしいので、私契約ということを、それではそこで私企業でない、ただ私契約だと言われるならば、私契約と言われても国鉄の公共性から言つて、この輸送協定によつて、あとでいろいろ御質問いたしますが、この輸送協定によつて国鉄にもろもろの点について優先権を与えて、優先権なるがために営業の実情にどのように関連しているかという重大な問題なんです。それにも拘らず、公共性を持つた、昨日お尋ねしたときに、私企業のそれをただ単に私企業だから、その私企業として主権者と駐留軍と協約を結ぶのは、いわゆる貿易取引と同じようなことだというような解釈で扱つて、それを監督庁としては黙認をしているのですか。
  106. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 昨日は私契約とは申しましたが、私企業とは私は申上げていないと存じます。
  107. 鈴木清一

    ○鈴木清一君 それでは私はその点、私の聞き違いであつたかも知れませんが、ただ問題は私企業だから私契約という言葉が使われるのであつて、公共企業であるので、少くとも政府監督企業である限りにおいては私契約ということは、言葉は私は考えられないと思うのです。その私契約という、いわゆる私契約なる性質はどういうものであるのでありますか。
  108. 細田吉藏

    政府委員(細田吉藏君) お答えいたしたいと思いますが、公共企業体が私契約を結ぶことができないか、できるかというお話は、これはできると存じております。ちようど国鉄が石炭を買いますのも私契約であります。この輸送契約を結ぶのも私契約だと存じます。  それからちよつと申上げておきたいと思うのですが、価格協定というものは行政協定に基いたものではない。それから先ほどお話になりました優先性云々ということがございますが、価格協定は優先性というようなことは一つも出ておりません。で、運賃をどうする、その運賃の支払いを後払いにすると、こういうことだけがきまつているだけでございまして、価格協定が優先してどうこうするということは内容にないわけでございます。
  109. 鈴木清一

    ○鈴木清一君 これは価格協定の問題は、私自身もそういうお話を聞こうとは思つておりません。いわゆる公企業であるものに対して、国民の鉄道である公企業のものに対しまして、或る特定のものが或る特定のものを特に優先と認めて契約するということが全然、私鉄のようなごときものなら別ですけれども、公企業体としての性格を持つものを、運賃を改訂するのを、ここで以て国会の承認を得なければならないほどの性格を持つものを、そのくらいの企業体において私はただ私契約を、石炭購入というような問題と同様に扱うというようなことについては異議があるわけです。
  110. 細田吉藏

    政府委員(細田吉藏君) 価格協定で特別の運賃をきめているやにちよつと伺うのでございますが、或いはよくもかりませんが、この国有鉄道運賃法運賃を適用いたしているのでございまして、ただ後払いということは、これは軍のいろいろの経理上の都合上その他の問題もございまして、国内におきましても、通運業者等には後払いということになつているのでございまして、一カ月間だけまとめてあとから古払いをやるということにいたしておるわけでございまして、私どうも事情けよくわからないのですが……。
  111. 鈴木清一

    ○鈴木清一君 細田さんは、私の質問の仕方が下手のせいか、とにかく価格協定にものをもつて来るが、そうではなくて、優先権、優先順位というようなことは価格協定でなくて輸送協定たんです。私の言いたいのは、先ほどもそう言つておりますように、価格協宗は私は問題にしておらん。輸送協定を結んだのかということを問題にしておるのだ。
  112. 細田吉藏

    政府委員(細田吉藏君) 前に大臣が御説明いたしました三月に結びましたものは価格協定でございまして、それには優先的にどうするとか、こうするとか、輸送協定と今おつしやいました内容のものは盛り込んでおりません。これは協定の全文をお見せしますればわかると思いますが、そういうことは書いてございません。
  113. 鈴木清一

    ○鈴木清一君 そういたしますると、現在輸送協定は結んでおるはずでありますけれども……。
  114. 細田吉藏

    政府委員(細田吉藏君) 特別な輸送協定というものは結んでおりません。
  115. 鈴木清一

    ○鈴木清一君 そういたしますると、総裁達に出ておるような、非常に手続上の問題が出ておりまして、それを見ますると、いわゆる優先順位というような認め方を多分に含んでおるのでありますが、その点については何か……。
  116. 細田吉藏

    政府委員(細田吉藏君) この点につきましては、国有鉄道の渉外部長の兼松さんが参つておりますので、国有鉄道のほうから御説明を願いたいと思います。
  117. 兼松学

    説明員(兼松学君) 只今鈴木議員からお話し下さいました輸送協定というものは、実は何ら作つておりません。で、総裁達で出しましたのは後払いにいたしますにつきまして、向うの人が日本語がわからないものですから、そこで日本文と英文と両方書いた用紙で、軍の経費で作つてもらつたものの取扱い方をきめたのであります。それにはこういう様式の紙がありまして、日本語と英語と両方で書いてありまして、英語につきましては外国人はそれで見る。日本人は日本語のほうで見るという両方式がありまして、その扱い方等を伝達をいたしましたということと、お金の受取り方等につきまして、いろいろ手続がございますので、それを現場にお知らせするためにやりましたものが主でございまして、優先というようなことを特に書いたことはないのでございます。行政協定の七条自体は、さつきもお話がございましたように、外務省の御解釈によりまして、他の日本国政府の官庁に与えられているのと同じ優先度でいいということでございますので、そういたしております。現在も又それ以上の特別の扱いは何らいたしておりません。
  118. 鈴木清一

    ○鈴木清一君 たまたま兼松さんがおいでになられたので、実はあなたの書かれたものを参考に持参しておるのでありますが、あなたはやはりこの中で、「輸送の順位については行政協定は必要なる限度の優先問題を規定している」とありまして、あなたの御見解は、今あなたの言われたこと以外について言われておるのでありまして、その文の中で、「その取扱は日本で軍隊があつたなら、それに対すると同じ考え方で処理する」ということを言われておりますけれども、その点はどういうふうに解釈しておりますか。というのは今言われる通り、行政協定で行きますと、日本の政府機関に国鉄が与えている優先権と同等で、その優先権以上の範囲には出ないということは、あなたははつきりおつしやいましたね。現在は国鉄は少しも与えていない、政府機関には与えてない。ところが駐留軍には特に与えているわけです。いいですか。与えてないとは言わせませんよ。駐留軍の使用時間から、予備隊の関係から、全部あなたがた自身が御調査になられ、あなた自身がいろいろの面に発表されて、而も只今ある規定の中にも含まれてはつきり出ているこの優先権がわからなかつたら、又あとで御調査願います。こういう点から見ますと、明らかに優先権でありまして、私は行政協定七条を、あなたがたが解釈するように、そのままに私自身も解釈しても、立法化するだけの価値があると思います。例えばその後におきまするところの、御承知かも知れませんが、行政協定後におきまするところの電信電話等におきましての特例法でさえ国会に承認を求めてあるわけなんです。なぜこれを立法化しないのか、立法化しなければならないほどの重要性のあるものだということがはつきりしております。私はあえて言いたくはないが、そういうものを直ちに国鉄総裁が運輸大臣の認可を得ただけで、それだけで協定が結ばれるということは、余りにも越権でないかという点から考えて、私はお話を承わつておるのですが、今あなたのお話の中では、今あなたが書かれているものから見ても、私はいわゆる諸官庁、各省に国鉄がより以上の優先権は与えてないが、併し特に駐留軍には与えているということになる。輸送協定はどういう法的根拠から出されたかということを、この点大臣に伺いたいと思います。
  119. 兼松学

    説明員(兼松学君) 併せて申上げますが、輸送協定というものは一つもできておらない。輸送に関する協定でないので価格協定、輸送に関しまするものは価格協定のみしかございません。でございますからあとは扱いになるわけでございます。で、鈴木議員から私の作文まで御引用されて却つて光栄至極に存じておりますが、それはただこういう場合で、優先権の意味を日本の官庁と同じというのを書きましたので、日本に軍があるかという現場の質問がありましたので解説しましたので、これは総裁の規定でも何にもない。ただいろいろ出動の場合などで急いだ輸送が予想されますものですから、まあそういう出動要請でもあつた場合には、そうでも考えられるのではないかという常識的なことを部内に知らせたもので、何ら権威の「けの字もないものであります。ただそれだけの想定で、現在は何ら特別の優先というものは与えていないと思います。協定ではございません。ただ現場その他で手配をする、或いはお米を輸送する場合の、或いは揚つて来た機械も急いで運ぶという場合の日常の考慮は、一に鉄道現場機関の判断でやつているような次第であります。
  120. 鈴木清一

    ○鈴木清一君 協定でなければなお更の問題に私はなつて来ると思うのです。協定を結ばれておられるというならば、このように鉄道の輸送に支障のある、特定の或るものを輸送するために一般民需に対する圧迫、こう歴然として現れているようなことを、協定なしに達によつて総裁の権限ででき得るとしたなれば重大な問題で、国鉄の、少くとも鉄道法によるところの精神を蹂躪していると考えざるを得ないわけであります。これは協定でなければなお更私は総裁の越権だと思う。協定を結ばれたならば、そうしたならば或る程度大臣の権限のあれも関係いたしますけれども、そうでないとするならば、特に私は重大問題だと思う。例えばあなたがたの中でも、責任ある外務当局者のお話によりましても、優先権は駐留軍が公益事業、その他日本政府の管理又は運営する公共の役務の使用において日本政府が持つ優先権と同一の優先権を持つ意味であつて、日本の国鉄は日本政府機関に対して何ら鉄道使用上の優先権を与えていないから、行政協定の上では特に優先権を与える必要はないのだ、ということさえ言われた。あなたがたは協定によつてこれをしていると言われるけれども、協定そのものの解釈さえ、鉄道輸送、行政協定の鉄道輸送に対しては、こうした外務当局の人でも言わなければならない、それほど重大なものであるのにかかわらず、私はどうも兼松さんの今の御答弁はおかしいと思うのですが、まあどういうふうにお考えになりますか、その点先ず徐々に質問を申上げることにいたします。どうぞ一つお答え頂きます。
  121. 兼松学

    説明員(兼松学君) ちよつと附加えさして頂きますが、只今のお話で民需に非常に影響を与えるというようなお話がございましたのですが、現在の駐留軍の輸送量は総輸送量の五分にも満ちません、小さくなつております。収入も、貨物収入で普通運賃をやや上廻つておりますが、全体から見まして同じくらいで、少し一般平均より高くなりますのは、等級が上つておるためでありまして、量的にも、数年前占領軍でございました時代にはお仰せのような事態もしばしばございまして、私どももこれを打開するのにあらゆる努力をいたしたのでありまするが、この四月以降におきましては、そういつた問題は量的にも又事実上にも殆んど起つ、た事例がないのでございます。でございますから、まあ最近と申しましても、四月以降、講和発効以後におきましては、そういつたような圧・迫とか、そういつた事例は殆んどないと、又向うも、自分はよきお客でありたいつもりでおると、こう言つて、相当自粛しているように見受けられますので、まあ御危惧のような点は比較的ないのではないかと、こう存じております。
  122. 鈴木清一

    ○鈴木清一君 兼松さんは旅客関係を大分言われておるようですが、私の申上げたいのは、むしろいわゆる貨物関係であります。勿論あなたのお仰せられるように、統計からいろいろ判断いたしましても、要するに講和発効後は、連合軍から駐留軍に変りましてから、確かに使用量は減つております。減つておりまするけれども、当時の数字から比べて半分とは減つておりません。昨年の二十六年度の統計を大体見ますると、使用量が六〇%から減つておるわけであります。半分といたしましても三〇%と解釈しなければならん。そうすると、今私は専門のかたにお尋ねいたしたいのですが、資料をお願いいたしましたときに、軍にこういう工合だと、八月には例えば使用量は八百三十である、これは料金ですが、使用量をこれだけ示されております。併しながら、今、達によつてもわかりまするように、要するに受諾いたしまして、二十四時間以内にはそれを積まなければならないという達が出ておる。それから平均いたしますると、今日本の一般の人たちの受諾状況から見ますると、貨車を請求して、そうしてその人たちが貨車が漸く手に入ります平均率は、三日が一番パーセンテイジが多い。それにもかかわらず、協定ではないと言われるが、達で見ますると、二十四時間のうちには積んでしまわなければならないのです。それともう一つは、この資料から見ますると、ただ軍に利用貨車だけを言われておる。併しながら、御承知の通り、連合軍当時は、利用貨車のパーセンテージは、千両使う場合には二千両の待機を命じられた、二十四時間という操作の関係から……。現実の問題といたしましても、少くとも八百三十両の裏には八百三十両の準備貨車がなければならん。それは現に扱つて来ておるところを調査した資料が私はありますから出しますけれども、そういうような実態になつておる。そういう点を少しも説明した資料になつておらない。これは私は重大な問題だと思います。従つて私は、今の兼松さんのお答えは、ただ表面に現われたとしか解釈できないですけれども、その点はどうなんですか。
  123. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) 多分に時間も過ぎておりますから、一応これを以て休憩にして、午後二時から再開いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  124. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) 御異議ないと認めます。暫時休憩いたします。    午後一時五分休憩    —————・—————    午後三時二分開会
  125. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) 午前に引続きましてこれから運輸委員会を再開いたします。  先ず外航船舶建造融資利子補給法案議題といたします。御質疑のおありのかたは御質疑を願います。
  126. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 外航船舶建造融資利子補給法案の細かい点はおきまして、大体大きな方針について先にお尋ねしたいと思います。これは現在こういう施設がないものですから、ないよりはあつたほうがいいという点におきましては、私も敢えて反対するわけではないのでありますけれども、提案理由にもございますように、これをお出しになつ趣旨は、とにかく日本の海運業が外国の海運業に比べまして非常に脆弱であつて、いわば競争力がないというところから出発されたものと思うのでございます。そういう点から参りますと、他の施設にも関係はありますけれども、仮にこれだけに限定して考えました場合に、外国の船の経済力と日本の船の経済力とを比較して、果してこれで今後日本の海運が対外的に競争力を持つて伸びて行けるかどうかということについては、私は根本的に疑問を持つておるのでありますが、その点について海運局長からどういうお考えか伺いたいのであります。
  127. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 只今の新谷委員のお尋ねでありますが、利子補給制度の実施によつて外国海運との競争力の資格はどうかと、こういう点かと存じまするが、御承知の通りに金利だけの点についてみましても、現在日本では財政資金が七分五厘、市中資金が一割一分程度でございます。今までの建造船の例について見ますると、大体平均して」割程度の利子でございます。これがまあ英国船等におきましては二分五厘乃至三分、米国船にしても五分以下というふうな状況でございまして、この今回の措置によつて日本船が完全に外国船と同一の競争力を持つというふうには考えていないのでございます。この措置と並行して、例えば目下政府部内で論議しておりまする鋼材価格の引下げによる建造船価の低減或いは税の減免、その他諸般の措置を並行的に推進いたしまして、できる限り外国船との競争力、外国船と同一の競争力のレベルまでに持つて行きたい、かように考えておるのでございます。この利子補給の率につきましても、海運側としてはでき得べくんば五分程度までという希望を持つていたのでございまするが、先ず第一段の措置として、一応今までの見返資金の融資の利率でありまする七分五厘を目標にするという措置をいろいろの情勢からして、政府として決定されたわけでございます。
  128. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 その御意向は私も十分お察しするのでありますけれども、今の日本の海運と対象になるイギリス或いはアメリカの海運とを比較してみまして、例えば税金の関係においても、非常に国の施設としては日本の海運のほうが劣つておる、つまり税金が高い。それから船価の点におきましても、これは鋼材その他の価格の問題が影響していると思いますけれども、イギリスの船に比べまして、少くとも二割くらいは高いと言われておるわけです。又政府当局に特に留意して頂きたいことは、戦争当時からの惰性で、日本の船の乗組員が非常に定員が多くなつておる。こういう悪条件か重なつておるのです。この金利の問題のごときは、今お話になつたようにイギリスに比べると少くとも三倍程度のものである。アメリカに比べて二倍程度のものになつておるという状況で、この競争力の内容になつておる、つまり構成要素になるこの点において、非常に船価と言い、金利と言い、船舶課税の問題と言い、どれ一つとして日本船は外国に比べて競争力がより強大というものはないのです。そういう状態で、大部分の船は潰されて、これから新らしく日本を再建して行こうということに乗出しておられるのに、私はこんな事実では、果してあなたがたの言われるように、これから造つて行く船が本当に競争力を持てるか、持てんか、これはもう数字から見ても、余りにも明瞭ではないかと思います。その点から言いまして、一応今のこの利子補給の七分五厘が高いとか、安いとかいうことのほかに、それと関連する船価の問題、従つて鋼材の問題、それから乗組員の定員の問題、金利の問題或いは保険の問題、そういつたものと関連さして、海運当局は今後日本にどうして競争力を与えられると思つておるか、その基本的な方向を示して頂きたいと思います。これにつきましては、今までに当委員会資料を配付されたかも知れませんけれども、若し今申上げたようなことについて、相当数字的に将来できるようなものがあれば、当委員会にも是非その資料を配付して、委員各位によつて十分検討して頂きたいと思います。この点お願いしておきます。
  129. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 只今の御質問でございますが、資料につきましては、至急取揃えまして、次の委員会までに御配付申上げたいと思います。  金利の点につきましては、只今お答え申上げましたように、一応第一段の措置として、財政資金の利子七分五厘に、政府の利子補給によつて利子、金利の率をそれに近付けるという措置をとつたのでございますが、私どもとしては、との財政資金の七分五厘をできれば五分程度まで引下げるように努力しなければならない、かように考えておるのでございます。なお今度の国会に提案されました国庫負担行為では、今後造られる新造船に対する利子補給でございますが、私どもの考えといたしましては、これを過去の建造船に遡つて実施する、こういう面についてもできるだけの努力を払いたい、かように考えております。諸外国の金利の差を、日本の現在の経済として許す限りその幅を狭めるということに最善の努力をいたしたいと考えております。  それから税の問題でございますが、一番の問題は、船舶に対する固定資産税の適用でございます。これは固定資産税が応益に基いて設定されるという趣旨からいたしまして、船舶にこれを適用するということが非常に不合理であるのであります。実際の徴税に当りましても、幾多不合理の点が認められ、且つその税金は非常に高額であるのであります。新造外航船或いは改造外航船については、評価額の半分という特別の措置が認められておるのでありますが、それでも一番安い新造船で、年間八百万円の固定資産税を納める。これは乗組員の給料にほぼ匹敵する高額な税金であります。今日海運界が非常に不況になりまして、乗組員に対する給与支払に非常に困難を来しておりますので、こういう実情から、税金だけは、船が働いても、働かなくても、それに相当するものがとられるということは、海運業界にとつても非常に苦痛でありますから、税体制の改正、税の軽減を図らなければならんというので、目下大蔵省、地方自治庁と折衝中であります。これは何といたしましても改善する必要があると考えております。なおもう一つは海運に対する地方税としての事業税でありますが、これは他の自由企業が収益を対象にして課税されておるに反しまして、海運については、ガス、電気或いは私鉄のごとく独占性を持つた事業と同じような課税になつておる。このために今日各海運会社とも、非常に赤字に悩んでおるにかかわらず、課税されるというような事情に、海運界としてはそういう苦しい実情にあるのでございまして、これ又是非とも他の自由企業と同様に一律課税という方向に改めなければならん、かように考えております。  それから乗組員の問題でございますが、御指摘の通り、日本船は欧米船に比べまして、一割乃至二割程度より多くの定員を乗込ませておるのでございます。これは一つは電波法或いは船員法等の法律に基くものでございまして、私どもとしてはこの改正によつて乗組員の定員を合理的にしなければならない、かように考えておるのであります。併し戦前においても日本人の体力と、欧米人の体力との相違から、多少日本の船のほうは多くの乗組員を擁しておりましたので、必ずしも同一というわけには参らないと思いますが、日本船に相応する乗組員の配置ということは是非とも実現の要はある、かように考えておるのであります。  なお船価軽減についての一番の大きい要素である鋼材価格の引下げでありますが、運輸省としては、御承知の通り造船用の特殊鋼材に対する補給金制度によつてこれの引下げを図りたい、かように考えて、政府部内で折衝を続けております。御承知の通り補給金制度は経済政策の基本線に触れておるものでありまして、なかなか容易に政府部内の意見がまとまらない。併しそれを何とか形を変えて政府から補給金と言いますか、或いは技術証明というような形をとりますか、いずれにしましても政府の助成による鋼材の引下げ措置を講ずる必要があるのでありますので、目下政府部内で努力中であります。
  130. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 大体考えておられることは一応わかつたのでありますが、それで先ほど申上げましたようにどの要素から見ましても、まだ外国船との競争力はこれではできないということになると思いますが、私はただ船会社の経営がよくなつて、利益がよくなり、それを税金で取上げる。半面では配当で行う方法もある。それに対していろいろの国としての措置をとればいいと思いますが、全体的な問題としましては、少くとも通商航海条約もやがてできて、外国に日本の船が自由に行けるようになる。そこで日本船も、明年四十万トンかの外航用の船を造つて、外国に出そうとする場合に、とにかく物理的には船は出して行くが、外国に行つては競争に負けて帰る。更に運賃市況が悪くなつて、落伍者になるのは日本の船だ、日本の船だということは明瞭であります。それで今の御説明くらいしかできないということなら、政府は重大な責任を感じて然るべきだと思います。そういう見地から、一体今度のこの法律案に掲げられておりまする七分五厘という金利は、これは日本の国内の金利としては、成るほど御説明のように比較的まだ安い金利かも知れませんが、国内だけではこれは比較にならないので、むしろ比較する対象は、外航船舶については、どこまでも外国の船の経済力というものを対象にしなければならないのでありますから、若し本当に政府が外航船舶を充実して、それを海外に出すという方針をきめておられるのでありますならば、それにふさわしい措置をされることが至当であります。これは当然のことであります。そういたしますと、この七分五厘という一つの線も我々から見ますというと、まだ海運の内容を余り甘く考えて、余り海運の内容を理解しないものではないか。それで大蔵当局よりお見えになつておるそうですから、大蔵省のほうにお聞きするのでありますが、大蔵省から、この七分五厘というものをおきめになつたのは、これは今海運局長から説明されましたような趣旨に基いて、少しでも競争力を殖やしてやろうという趣旨からおやりになつたかと思いますが、その点はどうお考えになりますか。
  131. 福田久男

    説明員(福田久男君) 私は銀行局の者でございますが、海運に対する、造船資金に対する金融の貸金の利率が七分五厘であるというものにつきましては、世界的に見ればそれは不十分であるというお示しでありますが、お示しの通り、外国、特にイギリス或いはアメリカ等では、先ほど海運当局からお示しがあつたように五分とか、せいぜい六分くらいだと思います。ところが国内的に見ますと、これも先刻お話がありましたように、長期金利は一割を超えるような状態である。これは海運に限らず、全般について、国内の金利が高いということは、貿易上非常に海外進出、輸出の促進という観点からいたしましても、問題になることは御承知の通りであります。特に海運については、その国際競争力というのが端的に現われるという面で、特殊性は十分に考慮しなければならないと思います。そういう観点からいたしまして、不十分ではありますが、国内の金利との関連をも我々は考えまして、できるだけ金利ということを、見返資金当時から七分五厘ということに相成つておるわけでございますが、現在開発銀行におきましても、電力と造船に限りまして、七分五厘の扱いで、そのほかは一割を基準として、大体一割の金利をとつておるようなわけであります。従いまして現情でも不十分ではありましようが、他の産業に比べますれば、できるだけの優遇措置を講じても、一挙に国際金利まで行けることが一番望ましいのでありますが、国内金利一般との関連をも考えて、できるだけの優遇で、一応七分五厘ということで、その辺が現在のところやつておる適当な線ではないかというふうに考えております。
  132. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 その点はお言葉はそのまま私もわかるのですけれども、先ほど申上げたような趣旨、これは恐らく政府全体の一つ方針だと思うのです。つまり海運は海運としても重要であるし、貿易交通等からいいましても、日本としては、こういう環境からどうしても海運を持つて行かなければならん、強くしなければならないというので外航船舶を充実して、それに供給力を与えて行こうという大きな政策から生れて来ておると思うのです。ですからあなたがおつしやるのは、国内の他の産業に対する利率を比較してみると、比較的これでもまだいいというのは、そのままわかるのですけれども、それじや政策から生れた金利ではないのですね。海運政策から生れた金利じやない。海運業というものは、私から説明するまでもなく、これはもう外航船舶は非常に激しい世界競争にさらされるわけです。その場合に、これは金利を五分に下げれば、どのくらい運賃が響いてくるか……。これは割に少いのです。少いけれどもその僅かな供給力というものは結局左右して、その荷物がとれるか、とれんかということがきまつてくるのです。そういうような産業に対して、ただ国内産業この比較だけでお考えなるのは、これは海運政策の本義を忘れたものじやないかと考えるので、私は今申上げたようなことをお尋ねするのです。これは又別の機会に大臣なり、局長なりにお聞きしますが、もう一つ、あなたにお聞きしたいのは、この点はどうなんですか。農林中金で優遇している長期の資金がありますね。この資金は私の聞いておるところが間違いなければ、恐らく農林中金が農林関係の業者或いは組合かも知れないが、それに貸付けておる長期資金の利率は、年四分五、六厘だということを聞いております。
  133. 福田久男

    説明員(福田久男君) 只今手許に資料を持つておりませんが、農林中金の貸しております固有資金による貸付は、そんなに安いものはないと思います。農林漁業との関係から融資しておるものは、その事業の内容によりまして、種類別に金利の限度がきまつておるのであります。それは七分とか、八分とか或いは場合によつては五分というのもあるかと思います。ただそれらの資金は、例えば造林資金とか、特殊な長期の資金なり、而も、尚且つずつと以前の補助金で相当出されておつたようなもの、いわば変形的なものではないかと私は考えているのでありますが、お示しのように場合によつては七分五厘以下のものも特別会計の融資しておるなかにはございます。
  134. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 更に伺いますが、農林中金のあなたがおつしやつたような対象別につきまして、こういつたようなものにはこのくらいの金利を考えておるという、その表のようなものをお調べの上で御提出願いたいのですが、如何ですか。
  135. 福田久男

    説明員(福田久男君) 農林中金固有の資金についてはそんな安いものはございませんので、むしろ特別会計の融資しておる金利については、只今議員提案で農林漁業金融公庫法案が出されておりまして、その中の附表に出ておると思いますが、それで調べられなかつたらその写しを作つてお出しをすることにいたします。
  136. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 それは一応調べたのです。農林中金に行つて調べたのですが非常に複雑で、もう少し大まかに分類して頂いて、実は私は農林中金に話をして、長期の農地改良に対する融通をそれについて大体四分五厘から六分くらいの融通を受けておる例を知つておるのです。でございますからこれは特別会計から出ておるのだと思いますけれどもとにかく農林中金で扱つておるのです。それで農林中金がどうとかこうとかいうのじやありませんが、農林漁業に関して今どういう資金はどういう利率で長期の金を貸付けておるかということですね。それをできればあなたのほうでお調べを願つて提出をお願いしたい、こういうことなんです。
  137. 福田久男

    説明員(福田久男君) お言葉を返すようで誠に申訳ないのですが、農林中金の固有の資金は、あくまでそんな安い金利はございませんので、日歩二銭五厘くらいになつております。ただ特別会計の資金を農林中金その他地方銀行等も取扱いする機関になつておりまして、その経理は全然別になつておりまして別会計でもつて勘定を別にして扱うような形になつております。従つて実は先ほど申上げました法律案の別表にございますこの表で、お許しを願えれば一部でよかつたらすぐ差上げます。
  138. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 それでは更に私のほうでもう一ぺん調べてみますが、今申上げたような趣旨で、若し資料があなたのほうで調製ができれば、農林省ともお打合せの上で調製して頂くように成るべく出して頂きたいということにしておきます。  それから海運局長に伺いたいのは対外競争力というものはどうみるか、これは結局言い換えれば一つは、世界の運賃市況というものを一体どの辺で抑えていくかという見通しの問題とも非常に関連して来ることだと思うのです。海運業がとにかくどうにかこうにか収支のつくようになつて、ほかの海運界よりも利益は少いかも知れないけれども、採算を割らないという程度にいければこれは一つの行き方だと思うのです。日本の国情ではそういうことも考えられるのですが、私の聞いておるところでは同じ運賃市況の変動をよく見ましても、これは何故採算のとれないような船を現在作つておられる、又そういう措置しかしていない。仮に不定期船で最近行われておりますような北米西岸九ドルというような運賃市況に基きますとこれは大変な赤字になる。海運事業の見通し、どういうふうに考えておられるかということを海運局長から御説明願いたいと思います。
  139. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 将来の海運事業の見通しでございまするが、御承知の通り昨年度は非常に運賃市況がよいときでありまして、或いは言い換えますると異常によかつたということは言い得るのじやないか。私どもの調べによりますると、下定期貨物平均運賃がトン当り十三ドル半以上というふうなことになつております。それが現在ではちようど本年度の上半期がまだやや前年度の高運賃のあとを引いておりますがために、前半のほうはややいい運賃をとり、本年平均いたしますると或いはその不定期貨物定期運賃は九ドル程度ではないか、かように考えるのであります。私ども日本の海運が何とか赤字を出さずにやつて行ける運賃というものは、ほぼこの不定期貨物の十一ドル見当、こういう時期が来れば大体今の高船価の船、且つ今の金利で何とかつじつまが合つている、かように考えておるのでございます。今後この平均九ドル程度に落ちておりまする不定期貨物運賃が如何に推移いたしまするか、私どもちよつと見通しが立たないのでございます。現在の各般の世界の情勢からいたしまして、何とか突発的な事態が起らない限り先行が相当暗いのでありまして、かように見ざるを得ないのじやないかと思います。
  140. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) ほかに御質疑ありましたら御発言願います。
  141. 高田寛

    ○高田寛君 一つ伺いたいのですが、明年度以降四カ年間に百二十万総トンの外航船腹の拡充計画を持つておるというふうに前に御説明を伺つたと思うのですが、そうするとこの点平均三十万総トン、この船を造船することについての具体的な財政措置の見通し、財政資金をどうするか、又市中金融についてどういうふうな計画、見通しを持つておられるか、その点を一つお伺いしたい。
  142. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 来年度以降四カ年間に外航船を百二十万トン建造したいというのが運輸省考えておる案でございます。これに対しまして差当りの二十八年度の所要資金の状況でございまするが、私どもが今考えておりまするものを計画通りやります場合、言い換えますると、二十七年度にすでに貨物船で約二十万総トン、輸送船で財政資金をつけましたのが七隻、これが約八万五千総トンある。このほかに五万総トンの貨物船を建造したいと、かように考えております。この五万総トンの貨物船から従来の財政資金が四割程度でございましたのを七割に引上げておる。この五万総トンの建造の仕方でございますが、この五万総トンを本年度の計画として実行いたしまして、更に来年度三十万トン新たに着手する、こういうのが運輸省の当初の計画であります。この只今申しました五万トンを本年度の計画の残りとしてやるか、或いは金繰りの都合上来年度の計画を一部先に実施するというふうにするか、目下関係省と打合せ中でございますが、当初の運輸省考えておりました通り考えで進むといたしますると、来年度の財政資金の所要量は二百九十億に相成るわけでございます。これは来年度新たに手をつけますものと、只今申しました本年度に計画したもので来年度に尻を引くもの、この両方に必要な財政資金でございます。それに対応する市中資金は二百三十六億、合せて五百二十七億という所要の金になるのでございます。  ところでそれでは来年度の造船に対する財政資金の状況はどうかということでございまするが、これは現在のところまだどれだけが造船に振向けられるか、政府部内といたしましては、或いは大蔵省といたしましては、来年度の財政投資の財源をどういう形で求めるかということがまだはつきりきまつていないのではないかとかように推察するのでございまして、従いまして今日まだこれだけの運輸省の希望通りの財政資金が確保できるかどうか、或いはそれよりずつと少いものになるかどうかということは、まだ何ら見通しがつき得ないという状況でございます。私どもとしては少くとも二百六十億程度のものの財政資金は必要である、かように考えておるのでございます。  それから市中資金のほうでございまするが、まあ来年度からの造船は七割を財政資金で賄い、あと三割は市中でやる、その三割の市中分につきましてはこれを一部利子補給することによりまして財政資金と同じ金利にしよう、こういうのが今提案しておる法律の趣旨でございます。そういう措置と、私どもは今度の法律案で提案することができませんでしたが、できれば損失補償という制度を次の国会において合せ実施いたしまして、そういう制度の裏付によりましてこの市中資金を確保するように持つて行きたい、かように考えておる次第であります。
  143. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 運輸大臣がお見えになりましたので、先ほどもちよつと申上げた点があると思いますが、もう一つ伺いたいのは、この融資に対する損失補償の問題でございます。実は船舶建造融資補給及び損失補償法附則にありまする法律の制定当時に関係いたしましたものといたしまして、私はこの損失補償というものがどういう役割をするかということは、これは私から説明を申上げなくても運輸大臣が御承知の通りです。過去の十数年の歴史をみましても、これによつて国が損失の補償をしなければならないという事態はいまだ一件もなかつたのです。従つて国が損失補償の条文をつけることによつて一円も損をしておらない。そういうふうなものであり、而も金融機関としては或る程度危険の分担を国庫に頼んで、そうして安心をして船舶の建造のほうに資金を向けられるという制度で、この制度は御承知のようにほかの国でも形を変えていろんな形で以て実行されておる制度なんです。いわば船に対する金融制度としては殆んどもう通念になつておるといつてもいいような制度だと私は思います。にもかかわらず今度そういう予算も要らない、経費も要らないというような制度であり、而も金融機関が安心をして融資することができるという損失補償の制度をなぜここからおとりになつたのか、恐らくこれ政府のほうでいろいろ交渉の結果、議がまとまらなかつたという御説明があると思うのですが、そういたしますれば、日本の船舶建造の融資制度が将来ともこの損失補償制度というものを考えないでやつて行くのか、こういうことになるのですが、その点について大臣はどういう御意向を持つておられますか、将来に対する方針はつきりお述べ願いたいのです。
  144. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 今お話の通りでありまして、この問題は一緒に取上げていろいろ相談をいたしましたが、今度は利子補給問題だけ意見が一致したのでございましてこれを提案いたしました。併し今お話の通りのことは私も聞いておりますし、その通り信じております。こういうものこそ一番、国が金がない、金がない、何かというとすぐその言葉が出て来るのでありますが、実際上に資金上の負担を考えんでもいいことで、そうして非常な効果的なものであるならばこれこそ取上げるべきだと実は今もなお思つております。これはこの次の議会にはかならず私は提案し得ると信じております。この次是非出したいと思つております。
  145. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 今の運輸大臣のお話で、この次の国会には損失補償の条項は必ずこの法律案改正案としてお出しになるというお話でございまするから、大臣の誠意を信頼いたしましてこの問題に触れませんけれども、恐らく大蔵省方面でこれに反対された理由としては、これは他の産業に波及するということを恐れられたのだと思いますが、併しこれはその華にはそれぞれ特殊性があると思うのです。こういう船舶のように非常に一隻の船でも十数億かかるのですから非常に金額も大きくなるし、それからその海運市況というものは簡単に国内政策だけで左右できないものですから、どういう。パ二ックが来るかも知れんというような危険があります。そういつたものですから、金融機関が相当大きな金を長期に亘つて出す場合に心配するのが当然なんです。併しこれはもう十年、十五年の一つの週期を以てみればこれは国家に損失をかけないで済んでいるし、又将来も済むだろうと思います。そういう点が私は政策を決定せられる場合に考えられるべき一番の根本考え方ではないかと思いますが、余りにこの海運というものを政府の一部で理解しないためにそういう結果になるのではないかと思いますので、この点は運輸大臣としては十分海運の内容を知つておられるはずですから、次の国会には必ず御提案を願いたいと存じます。  それからついでにもう一つ伺いたいのですが、これも同様な問題でございますが、先ほど来海運局長といろいろ質疑応答をしておつたのですけれども、私からいうまでもなく今度の利子補給の制度は大体七分五厘というものを基準にしておられる、これは恐らく国の財政資金の七分五厘の貸附利率を基準にしておられると思いますが、これは併し海運政策からいいますと何らの関係はないものだと私は思います。今後こういつた施設をせられまするには、申上げるまでもなく日本の海運の対外競争力をここで培養しようという趣旨から来ておるので、この七分五厘そのものはもうこれは他の海運国に比べても海運政策の持つて行き方からいいましても、これ自身がもう非常に高いものなんです。それでこのままでは到底私は日本の海運が対外的に競争力を持ちえるという段階まではいけないと思うのです。できれば私は国会においてもこの法律案を修正して、これを少くとも五分程度には下、げないといけないじやないかという考えを持つておるのでありますけれども、これも会期も短いし又政府部内でここまで持つて来られるについてはいろいろの御苦心もあつたと思うので、大臣にお伺いするのですけれども、この利率は今後近い将来において七分五厘というものをもつと引下げて、少くとも五分程度にされるお考えがございましようかどうでしようか、その点をお伺いいたします。
  146. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 誠にお言葉の通りでございまして、世界的に見まするとまだまだこのくらいな補給で利子補給をしておりそうろうとえらそうに言えないので、何とかもう少しうまく行くようにということは私も思うのでありまするが、これはどうも損失補償のこの次にというように簡単にちよつと行きかなるいろいろな振合等もあると思いまするが、何とかして七分五厘というものをもう少し下げるという線で、財政資金にしてもいろんな必ずしも七分五厘というふうに何でもかんでもそうなつておるわけではないのでありまして、低いところでは四分七厘ところもあるわけでありまして、あれは更に研究いたしましてなおいろいろ話合をしてみたいと思つております。
  147. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 お言葉ではございますけれども、先ほども申上げましたが、仮にイギリス船と日本船と比較した場合日本船が大体二割くらい船価高になつているのです。その船価高を仮に金利だけで賄つて行くとしますと、イギリス船と五分々々の競争をするためにはこの金利を少くとも二分に下げないとだめなんです。そのほか先ほど申上げたんですが、料金の関係といい、鋼材の関係といいいろいろな点で日本船がまだまだ競争力が足りない。而もこの一番大きな問題である船価と金利という問題が、イギリスよりもずつと上にあるということで、一体どうして競争して行くかということを私たちは心配をしているわけなんです。他の産業との振合もある、これは国内的にはそうでありましようが、いやしくも日本の現在の状況から行きまして、外貨運賃を毎年二億ドルも払つているんですから、この外貨の収支の点からいつても日本船をふやして外貨の貿易外収支を改善しなければならないというような点からも考えて、何としても外航船をふやして行こうということは、結局国際競争場裡に日本船を追いやつてそうしてその日本の輸出入物資を大いに運ぼうと、こういう政策なんだろうと思うのです。こういう中途半端なものでなしに、こういう状態であれば本当に競争のできる程度まで政府があらゆる苦難をこえて措置をされないと、中途半端な船を造つて如何におやりになつても、ちよつとその事情が変りますと日本船が先ず参つてしまう、ころいうふうでは私は海運政策としては、これは殆んど見るべきものはないとまで酷評したいと思います。でございますから運輸大臣はこの際次の国会には関係当局との折衝をして頂いて、何とかこの七分五厘を少くとも五分程度に下げるためのあらゆる努力をして、この法律の改正を企図されるように是非御努力をお願いしたい。これは希望の程度にしておきますが、これについて別に今大臣から言質をとろうということなんかはしたくありません。是非そうして頂きたいと強く希望いたしておきます。
  148. 高田寛

    ○高田寛君 先ほど海運局長に一応伺つたのですが、大臣がお見えになりましたからもう一度ちよつとお伺いしたいと思いますが、来年度新らしく約三十万総トンの船を造る計画を政府としては持つておる、この費用としては大体五百二十億円ぐらいでいい、これについては勿論財政資金とそれから市中の金融との両面で賄うということでありましたが、財政資金については相当多く出せるように考えているが、まだどの程度に財政資金を賄えるかということは、今のところ見通しはまだついていない、こういう海運局長のお話であつたのですが、大体この法案によつて利子補給にどのくらい金が要るかということは、財政資金以外の市中金融がどのくらい可能でなければならないかということによつて利子補給の金額というものも出て来るわけなんで、その財政資金五百二十億のうちどのくらいの程度に賄えるかという大体の大臣としてのお見通しを、これをいま一応伺いたいと思います。
  149. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 只今まだ折衝いたしておりますが、大体最低二百五、六十億円、財政資金で出してもらおうというふうに思つております。それは全体がさつき海運局長から申上げたと思うのですが、五百二十何億ぐらいのところで、市中から二百三、四十億、それからその残り数字的には約二百九十億になりますが、これは実は今年の五万トンの建造のちよつと金の扱い方について相談しておりますが、最低二百五十億から多くて二百九十億という程度で相談をしたいと思つております。
  150. 高田寛

    ○高田寛君 結局市中金融に多くを求めることになれば利子補給の額も自然多くなるわけですが、こういうような種類のものをいま少し財政資金の支出というものをふやすことができないものかどうか、その点の私疑問を持つているんですが、その大臣のお見通しは如何でしようか。
  151. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 今話の途中でありますが、その空気を察しますると、なかなかこれ以上の財政資金を出すのはちよつと困難のように見えます。大体それが今の様子でございます。
  152. 一松政二

    ○一松政二君 この間の委員会において政府委員に対して一応希望を申述べておいたんですが、第七条及び第八条の配当の制限、或いはその補給を受けたる会社に対して会計を或る程度検査するといつたような条文があるんですが、私は第七条において配当の制限を勧告することができると、まあしてもせんでもいいわけですが、する権利を一応条文の上に確認してあるんですが、私はもつと重大なことがあると思う。船舶運営の衝に当るいわゆる船会社が資金的に充実しておれば自分の金で建造ができるわけです。借金によらずに自己資金で賄うには会社が堅実であつて或る程度その株券が人に喜ばれる程度の配当をすることが必要なんであります。従つて殊に昨今の様式に対する配当は率が高くても、それを昔の貨幣価値に換算してみると実に微々たるものであるし、而もそれに税金が付いておるというわけでありますが、その補給を受けた船会社が日頃使う経費が私は一番問題になると思う。殊に終戦後の日本の各会社の内情を見ると、いわゆる俗にいう公用族、社用族というものがいわゆる料理屋、待合に一番数がふえ、個人としては殆んど税金を払う金では夜人をよぶこともできなければ従つてよばれることもできない、多くは会社のいわゆる経費で賄うほうの人がたくさん出入りをする。こういうことは私は非常な浪費を招くゆえんであるし、従つて資金の充実に役に立たん。であるから株式の配当の制限を考えるよりも経費の乱用にメスを加える、いやしくも国家の保護を受けている会社が、或いは寮を建ててみたり、或いは社宅の名前において社長、重役が或る程度その経費の陰に隠れていろいろな費用を使つて、そうしてその残りが結局配当に廻るわけですから、配当に廻る表向きの貸借対照表を検討するよりもむしろ会社の経費に対して大きく関心を払うべきであると考えるのですが、これに対する運輸大臣のお考えを伺いたい。
  153. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) お答えします。お説は誠にもつともであります。船会社に限らずどこの会社でもそういうことが問題になつておるのでありますが、仮にもこういうふうな法案が通つて政府の保護を受ける対象になりますことによつて貸借対照表の提出を求めておるということは、どういう状態で経営されておるかということを知るためでありますが、今お話のようなことで目に余るものがあれば注意をすることが必要であろうと思います。但し余りこれが過ぎまして、如何にも行政官庁がどこの私企業にも容喙をし過ぎるというようなことにならんように注意をいたしまして、今のお話のような点は相当この第八条の規定等によつて監督の実を挙げ得るんじやないか、こういうふうに思つております。
  154. 一松政二

    ○一松政二君 まあこれは戦前でもあつたことであり戦争中でもあつたことてありますが、この監督の衝に当る者が又いろいろ誘惑をこうむる事実もたくさんあつたように思うのです。これは陸海軍或いは軍需省その他の人たちの中にはそういう誘惑にかかつた人もあるし、又一方誘惑をしようとする経営者もないでもない。結局誘惑の種になるわけでありますから、そういう干渉があつたためにむしろ干渉というよりもその監視がきびしいために補給を受けたくないという人が出れば、私はそれは結構であると思う。今丁度事柄は違いますけれども、開発銀行から出る中小企業等に対する見返資金が余り検査とか手続が厳重なためにかえつてその目的を達しでいない。そうして見返資金がなかなか中小企業に廻つて行かない、而もその割当が余つておるという状態で、これなどは或る面においては行過ぎであろうと思うわけです。けれどもこの条文上は私はこれでも差支えないかと思うのですが、今日でも何も船会社に限らず、ほかの会社でも国家の保護を受けておるものが、これはまあ政党も悪いでしようが、そうして補助金を得ていながら政党献金をする、そういうところにいろいろな問題もあるのでしようが、今度は保護を受けていながら社員或いは重役が或る程度費用を惜しまずに使うというようなことが、国民の目から見ると甚だ好ましからざる行為であると考えられるわけですから、その点はこの条文の審議に当つて、そういうことに対して格段の注意と監視を怠つて頂きたくないという意見のあつたことをよく御了承を願つておいて、そうして私のそういう希望を記録にとどめておいて、私はこの問題に関する質疑は一応打切つておきます。
  155. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) ほかに御質問ありませんか。
  156. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 もう一つだけいたしい。ここに書いてあるのを見ますと、大体対象になる船が外航船舶、これは遠洋区域の航行船舶になつておりまして結局近海が入らない。その結果は、まあ下定期船ならば遠洋にも近海にも行きますから問題はないとして、近海の中の定期、例えばインドネシア方面との間の定期船とか或いはフイリピンとか或いはインドなんかの就航帆が除外されることになるかのごとく見えるのです。これは除外するのが当然だというお考えなのですか。何だかこれではやはり相当にイギリス船なりオランダ船或いはノールウェイ船との間に競争があるわけなのですが、その点についてはどうお考えになりますか。
  157. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 第二条で外航船舶といたしましてその外航船舶を遠洋区域を航行する船舶というふうに更に細かく定義付けておるわけであります。で、御承知の通り遠洋区域ということになりますと、大体西はラングーン以西、従つてインド航路が入るわけであります。それから南のほうは丁度ボルネオとフィリピンの間ぐらいに線が引かれます。ボルネオそれからインドネシアのジヤバ、スマトラ、こういう方面はすべて遠洋区域、従いまして今お説のようなインドネシア航路、インド航路に就航するものはこの法律の対象にしたい4まあ大体四千五百総トン以上というようなところで線を切るのが適当ではないかとさように考えておるわけですが、なおこれは更に広く意見を聞きましてその辺を決定したいと、かように考えております。
  158. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 インドネシアそれからインド航路は入るのでございますか。
  159. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 入ります。対象になるのでございます。
  160. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) ほかに御発言はありませんか。……別に御発言がございませんようでしたらこれから討論に入りたいと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  161. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) 御異議ないと認めまして、御意見のあるかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。
  162. 岡田信次

    岡田信次君 私は本案に賛成いたします。  戦争によりまして潰滅した日本の船腹を再建して、貿易或いは国際収支の改善に資するということは、今日日本で最も緊急なことだろうと考えるのであります。然るに戦後船舶の建造費が非常に高騰しました関係上、戦前の状態に日本の船の状態を持つて行くということは幾多のむずかしい点がある。その一つの難点を打開する意味におきましてこの法律案に賛成するのでございます。ただこの際私は政府に特に要望いたしておきたいことは、船の建造費がいろいろな事情があるといたしましても極めて高いということはいなみがたい事実でございます。大体戦前戦中を通じまして船の一穂トン当りの建造費と、私の職でありました鉄道単線の橋梁或いはトンネルの一メートル当りの建設費は大体同じであつたのであります。然るに今日におきましては船の建造費が五割ぐらい高いというふうになりますのはいろいろな事情があるにしてもいずれも高いので、今後この高価な船舶をできるだけ安く而もいい船を安く造るというような方策を力強く講じて頂きたい。  それからもう一つ、この高価な船の運用効率を最高度に発揮する意味合におきまして、港湾の諸般の施設をこれと並行して整備して頂きたい。港湾の施設の整備拡充について船の建造と同様に十分なる考慮をめぐらして頂きたいというこの二点を要望して私は本案に賛成いたします。
  163. 小酒井義男

    小酒井義男君 私も本案に賛成でありますが、一、二の点について政府当局に要望を付けておきたいと思います。  我が国が将来貿易規模を拡大する上においても、外航船腹の増強は欠くことのできない要件であります。併し現状において船腹の建造を困難ならしめておる一つの打開策として本案が出されたわけでありますが、これを以てしては十分この打開ができ得るということには私はならないと思うのです。現状で行くと大体これ以上船腹の建造は進まないということになると、我が国におけるところの主要な造船工場の船台が来年の八月頃には全部あくということになると思います。そうなると、造船産業に働いておるところの労働者或いはこれに関連しておるところの帝業の労働者五十万に近いものの生活問題にも波及して来る重大な問題であります。本案の審議の過程を通じてこれで足りないところの問題、或いは利子補給とか技術援助というような形で造船産業の維持、そうして外航船腹の拡充に対して政府は来年度の予算編成を目標に努力をするという答弁を私も聞いておりますので、そうした方針を強く実現するような努力をして頂きたいということを要望いたしまして、賛成の意見といたします。
  164. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 私も非常に不満足ではありますけれども、この段階におきましてはこの政府提案の法律案に賛成をいたしたいと思うのであります。  ただ先ほど来各党からお述べになりましたような点、特に私は強調いたしたいと思いますのは、どうも終戦以来海運政策というものの基本が樹立されていない。どうもその日暮しの感が深いのであります。先ほど来お述べになつておるようなことを考えましても、なお私からも申上げましたようなところをお考えになりましても、総合的な海運政策というものが今まで樹立されていないのであります。ようやくこれから軌道に乗ろうとしておる際でありますから、ただ単に船を作るとか或いは単一に利子の補給をするとかいうそのことだけではいけないのでありまして、日本の海運が外国に出て十分外国の船と競争をしてでも対外的に伸びて行けるという素地をここで固めて頂きたい。そういう意味におきまして是非政府は今後総合的な海運政策を樹立するようにあらゆる努力をして頂きたいということを要望するのであります。  特にこの法案に関しましては、先ほど来申上げましたように、利子の補給の程度がまだ低い、いわば利率が高いという点、それから損失補償の条項も欠けておる。そのために非常に市中金融を困難ならしめるのじやないかと思われます。その二点は先ほど大臣から、特に次の国会においては損失補償の問題は必ず実現するようにあらゆる努力をするということでありますから、その言明に信頼をいたしまして一応この国会ではこの法案を政府提案通りに成立させることについて私も賛意を表するわけでありますから、是非政府はこれらの点をお考えになつて、次の国会には今申上げたような点について更により進んだ改正案を提案されることを望んで私の賛成討論とする次第であります。
  165. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) ほかに御発言もなければ、討論はこれにて終結したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  166. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。本案を原案通り可決することに賛成のかたの挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  167. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) 全会一致でございます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお本会議における委員長の口頭報告の内容と爾後の手続は、先例によりまして委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  168. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) 御異議ないと認めます。  次に本案を可とせられたかたは、佃によりまして順次御署名を願います。   多数意見者署名    岡田 信次   高田  寛     小酒井義男   入交 太藏     植竹春彦  仁田竹一     一松政二  小野  哲     新谷寅三郎   内村 清次     中村 正雄  前之園喜一郎     鈴木清一
  169. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) この際お諮りをいたします。国鉄総裁から発言の御通告がありますが、発言を許してよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  170. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 時間も大分遅くなりましたが、ちよつと一言申上げたいと思います。  実は御承知の通り、私どものほうの労働組合と私ども当局との間に賃金の問題をめぐりまして問題があつたのでありますが、だんだん年の瀬も迫りましてもう明日は二十日ということに相成つて参ります。一方衆議院におきましては、仲裁裁定に対する決議もございましたので、それこれを見合いまして昨日午後から本日の午前十一時までいろいろ数盗亘りまして団体交渉を  いたしたのでございます。その結果仮協定を結ぶところまで参つたのであります。もとより目下当院に裁定に関する件が付議されておりますから、従つて本協定を結ぶわけに参りませんから仮協定を結びまして、本院の決議の如何によりましては又団交を重ねまして本協定に進みたいと思つておる次第であります。新聞等にもいろいろ書かれておりますので、ちよつとこの点を御報告申上げたいと思いまして発言いたした次第であります。
  171. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 仮調印の内容について承わりたい。
  172. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 仮調印の内容は、年末の特別支給が一カ月であります。それから、そのほかに御承知のように炭労のストライキ等によりまして減収いたしておるのでありますから、その減収を取戻すべく今後努力をする、又経費の節約等も行う、この際においては或る程度の支給をいたしたいという考えであります。
  173. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 今の仮調印の内容政府としては公労法の第十六条の第一項に該当するようなことはないのですか。若しこれが該当するものだとすると、目下国会の審議中にあるのだから問題になると思うのですが、それらの打合せはできておるわけですか。
  174. 植田純一

    政府委員植田純一君) 実は只今その話を承わつたばかりでございまするが、仮調印ということでございますので本調印ではないと思いまするが、これが本当の協定としてでき上つたものだと仮定いたしました場合には、予算上資金上可能であるかどうか、万一不可能な場合には第十六条の手続が要るものと存じます。
  175. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 この国鉄の裁定については、すでに衆議院議決をされておる。議決内容については非常に不明瞭な点もあるが、向うの意向としては第一項については十一月からの支給を承認すると、その他は承認しないという内容であるのであります。本委員会においては目下審議中でありますが、団交の内容というものが政府の資金上予算上不可能なものを内容にするというものであるとこれはどうでしようね。非常に問題になるのでありますが、現に国鉄裁定の内容について今審議を進められておる。政府はこれを予算上資金上不可能なものとして国会に承認を求めておる。若し団交の内容、仮調印の内容というものが政府の言われる、国会に承認を求めておられる資金上或いは予算上不可能であるとすると、これは問題になるのですね。
  176. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 先ほども申上げましたように仮の協定でございまして、本院の審議如何によれば無論動くものと思います。
  177. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 仮調印であつても、これはすでに政府があの調停は予算上資金上不可能なものを内容とする調停であるということで議案を出しておるのですね。そうして国会で審議している。政府もそれを認めて国会に審議を求めておる議案なんですからね。若し、例えば今政府国会に決議を求めておると同じように、予算上資金上政府は認めることが不可能であるということを内容とする団交は、これはなすべきものじやないと私は思います。だから、結局政府が議案を出しておる、その範囲内である。言葉を換えれば、予算上資金上不可能なものでない範囲内においてあなたがたのほうでやるということでなければ、これはおかしいと思うがどうですか。政府がそれはできないと言うのですからね。できないということを内容とする団交はこれは許すべきものじやないと思うのですね。まあお答えができなければいいです。この点は十分お含みになつてやられないと当然問題になるし、政府の意思に反する団交がされたら大変だということになる。まあこれだけ申上、げておきましよう。そうして十分お考えおき下さい。
  178. 一松政二

    ○一松政二君 今国鉄の総裁は一カ月分を支給するという仮調印をされて、あとは増送その他特別のことを考えてその上でというお話のように承わつたのですが、新聞やラジオによりますと、従業員のほうは一カ月とまあ二割五分を要求しておるが、国鉄のほうとしては一・〇六と非常に細かいきざみ方のようなふうに昨日、今朝のラジオなどで伺つておつたんですが、まあ問題はその二割五分と一〇六というものとの歩み寄りが一体どういうふうに考えられたのか、仮調印をされたということになれば、その辺の睨み合せの問題があつたろうと思うのですが、お差支えなかつたら大体一・〇六と出たのと二割五分というのと、そこに一割食違うわけです。それはどういうふうに御解決になりましたか。
  179. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) そういうところは団交の団交たるところなんですが……。
  180. 一松政二

    ○一松政二君 まあお差支えあれば別に……。
  181. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) いや、それは結局増収を図らなければならんのですから、経費と増・収とが合えば無論一カ月以上も考えるということで歩み寄つたのです。
  182. 一松政二

    ○一松政二君 だけれども一・〇六というやつはやつぱりそういうことも入つてつたのですか。これは新聞やラジオだから無責任な話でしようから、まあそれ以上聞きますまい。
  183. 鈴木清一

    ○鈴木清一君 それでは何ですか、内容は期末手当については一カ月、そういたしますと主文一項と二項、三項は国会で審議中であるので、その経過によつては又再団交をしたい、こういうことですね。
  184. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) そういうことになるかも知れません。
  185. 鈴木清一

    ○鈴木清一君 なるかも知れない……、わかりました。
  186. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 一つ聞きたいのは、これはほかのほうにも関係があるものですからお答えしにくかつたらお答え下さらんでも結構ですが、政府の出しておられる補正予算の総則に給与総額の規定がありますが、これは今度の団交で仮調印されたというのは、その給与総額の範囲内において給与をするということなんですか。あなたの今度出される給与を合わせますと、給与総額をこえることに若し仮になると、あの予算総則の第何条かをいじつて行かなければならん、数字をですね、ということになりますが、若しそうなれば政府として提案しておられるあの予算総則の条文をいじつて行こうという考えなのか、その点ちよつと。
  187. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 今提出されている予算はいじくり廻すつもりはございません。
  188. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 それはわかつているのですが、そうするとあそこに書いてある数字の範囲内の給与ということになるのですか。
  189. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) そういうことです。
  190. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) それでは本日はこれを以て散会いたします。    午後四時三十四分散会