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1952-12-08 第15回国会 参議院 運輸委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月八日(月曜日)    午後一時五十分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小泉 秀吉君    理事            岡田 信次君            高田  寛君    委員            入交 太藏君            植竹 春彦君            仁田 竹一君            一松 政二君            小野  哲君            内村 清次君            中村 正雄君           前之園喜一郎君            鈴木 清一君   国務大臣    運 輸 大 臣 石井光次郎君   政府委員    運輸省海運局長 岡田 修一君    運輸省船舶局長 甘利 昂一君    運輸省船員局長 武田  元君    運輸省鉄道監督   局国有鉄道部長  細田 吉藏君    運輸省航空局長 荒木茂久二君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君    常任委員会専門    員       田倉 八郎君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○国有鉄道運賃法の一部を改正する法  律案内閣送付) ○一般運輸事情に関する調査の件  (航空事情に関する件)  (造船事情に関する件)  (海運事情に関する件)   —————————————
  2. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) それではこれより運輸委員会を開会いたします。  先ず国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案を議題といたします。政府より提案理由の御説明を願います。
  3. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 只今から国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案提案理由を御説明いたします。  日本国有鉄道昭和二十七年度予算損益勘定は二千九十九億円余り収支で組まれていたのでありますが、この予算編成の基礎であります物価の動向は一般的には横ばいの状況といえますけれども、物件費の大宗である石炭及び電力が値上りを示したほか、仲裁裁定に基く従事員給与ベース改訂の必要及び戦時中、戦後の資金資材事情のために、現在緊急取替えを必要といたします施設、車両についての復元等を考慮しますと収支の均衡が破れ、このまま推移すれば健全なる国鉄の運営を維持することが困難であると考えられるに至つたのであります。  これら経費増加に対する措置としましては、独立採算の建前から運賃値上げによる増収を図るほかないので当初日本国有鉄道においては三割程度値上げを強く要望したのでありますが、現在の経済状態に鑑みて大幅な値上げは極力これを避けねばならないとの見地から、償却不足、荒廃施設取替のためにする経費については別途の措置を考慮することとし運賃値上げ最少限度にとどむべく努力いたした次第であります。  先般日本国有鉄道からこの趣旨に基いて旅客運賃及び貨物運賃ともに一割程度増収の得られるような運賃改訂の申請が提出されたのでありますが、運輸大臣といたしましては早速運輸審議会に諮問し、審議会は三日間にわたつて公聴会を開き、広く一般意見を聴取して慎重審議の結果、一部修正の上旅客貨物とも一割程度増収が得られるような引上げを可とする旨の答申があつたのであります。これは別途御審議を願う補正予算案とも合致し且つ妥当なものであると存じ、政府におきまして国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案を本国会に提出した次第であります。  今回の運賃改正の主なる点を申上げますと、先ず旅客運賃並びに料金は総体としておおむね一割程度引上げでありますが、最低普通旅客運賃及び寝台料金据置いたこと並びに定期旅客運賃割引率につきましては余りにも高過ぎないかという見方もあるのでありますが、定期旅客負担を考慮して今回は割引率据置いたのであります。なお通勤通学以外に定期乗車券を必要とする人々のために通勤定期旅客運賃より割引率の低率な運賃を定めるため所要法律改正をなし、これが具体的取扱方を近く決定したいと考えているのであります。  又船室特別設備に対する料金の設定について法的根拠が明確でありませんので、これを明確にするための所要改正を加えたのであります。  次に貨物運賃につきましてもおおむね一割程度増収となるような引上げでありますが、経済状態がおおむね安定の方向に向つておりますので、従来の懸案でありました貨物等級制度改正をすることになり、本年四月国鉄総裁諮問機関として各界代表者よりなる等級審議会が設置され、爾来慎重審議の結果十一月十五日に等級査定方法について答申があり、これに基いて今回の改正運賃負担力及び運送原価に応じ従来の九等級を十二等級とし、別に公共性に基く調整措置として一般社会生活上日常不可欠の消費物資等につきましては特別等級等級を設けました。又軽量かさ高貨物につきましては減屯制度を復活することにいたしました。なお貨物運賃計算キロ程及び小口貨物運賃計算重量の細分化等広範囲に亘つて運送制度改正を企図いたしまして一般荷主の要請に応えることになつたのであります。  今日国民各位に幾分でも負担増加を願うことはまことに心苦しい限りでありますが、国鉄の財政を健全化し以て国民鉄道である機能を発揮せしめるためには必要やむを得ない措置であることを御了承願いたいと存じます。  最後に、本法案実施旅客運賃一月十五日より貨物運賃を二月一日よりと予定しておりますので、重要案件の御審議に極めて御多忙のことと存じますが、何とぞ慎重御審議の上予定期日実施できまするよう御承認賜りたくお願い申上げる次第であります。
  4. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) お諮りいたしますが、只今説明のありました本件の質問その他審議は追つていたしたいと思いますが御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) 御異議ないと認めます。それでは政府委員のほうから只今大臣の御説明に対する資料補助的説明をしたいという申出がありましたから一応伺いたいと思います。
  6. 細田吉藏

    政府委員細田吉藏君) 国有鉄道運賃法改正資料の御説明を申上げたいと思います。  お手許にお配りしてございます現行国有鉄道運賃法と、それからこういつた冊子がございまして、旅客運賃制度概要荷物運賃料金制度概要、それから貨物関係制度概要と変遷、これは今日までの客貨運賃制度概要につきまして御参考までに印刷してございます。それから大きい表がございまして、これは日本国有鉄道から出しております鉄道運賃改訂資料、これが詳細に亘る資料と相成つております。今回の法律改正運賃法が御承知のように運賃の詳細な部面まできめておるわけではございませんので、法律そのものといたしましては第三条、第五条、第六条及び別表改正と相成つておるわけであります。現行運賃法を御覧願いますと、すでにおわかりのごとく、第三条に三等の普通旅客運賃を定めておりますが、そのうちの第一項の三等の賃を、これにつきまして改正をいたしたいということでございます。それからこの五条が定期旅客運賃を規定いたしておるのでございます。この定期旅客運賃につきましては、第二項におきまして割引の率をきめておるのでございます。割引率最低をきめております。これにつきましては後ほど御説明いたします。今回新たなる制度といたしまして定期通勤通学定期のほかに普通定期というものを設けたいと考えておりますので、普通定期はこの割引率三等一ヵ月又は三ヵ月のものにつきましては、百分の五十に相当する額はこえることができないということから除外してしたらどうかということを改正いたしたい。それから第六条でございますが、第六条は特別急行料金急行料金、準急行料金をきめておるのでございまして、これの第二項の規定を改正いたしまして、客車のほかに船室というものを加えたいということでございます。それから別表の第一、第二、第三。第一は航路運賃、第二が急行料金、第三は車扱賃率でございますが、これを改正いたしたい。法律関係といたしましては、そういつたことでございます。  この大きな鉄道運賃改訂資料につきまして少し御説明を申上げたいと思います。一番初めの国鉄運賃改訂理由につきましては、先ほど大臣から御説明がございましたので省略さして頂きます。三枚目の損益勘定資金計画というのがございますが、これは二十七年度当初予算と二十七年度補正、それから平年度、こう相成つておるわけでありますが、この二十七年度補正の一番下の欄の四十二億一千四百万円、それから平年度の一番下の欄の二百十四億四千九百万円、これが差引不足額に相成つておりますが、これを今回の約一割の値上げで賄いたいという数字になつておるわけでございます。  その次の旅客運賃料金改訂要領について申上げますと、先ず鉄道普通旅客運賃でございますが、三等の賃率を一キロメートルから百五十キロメートルまでは一キロメートルごとに現行一円八十五銭を二円十銭といたしたい、率にいたしますと一割三分五厘に当るわけであります。百五十一キロメートルから五百キロメートルが一キロメートルについて現行一円三十銭を一円四十五銭にいたしたい、一割一分五厘であります。五百一キロメートルから一千キロメートルまで一キロにつきまして現行七十銭を七十五銭、七分の値上げでございます。千一キロメートル以上は一キロメートルにつき四十五銭の現行を五十銭に値上げ、一割一分でございます。次に旅客運賃最低額現行通り十円でございますが、十円そのままにいたしたい。それから三番目の旅客運賃計算の結果生じます十円未満のは数でございますが、現行では四捨五入の方法で十円単位として処理しておるわけでございます。五円というものは旅客運賃にはないわけであります。これを百五十キロメートルまでは現行通りといたしまして、百五十キロメートルをこえるものにつきましてはは数を切上げて十円単位といたしたい。  次に航路普通旅客運賃でございますが、これは青函間につきましては現行の二百円を二百二十円、これは丁度一割に当るわけでございます。二等四百円は四百四十円、一等は千四百円を千四百八十円、寝台料金据置関係一等値上率が非常に大きくなつておるわけでございます。宇野・高松につきましては四十円を五十円、二割五分になるわけでございます。二等は八十円を百円。仁堀航路、仁方・堀江間の瀬戸内海航路でございますが、これは現行百三十円を百五十円に一割五分、二等は現行も二倍でございますが、改正におきましても三百円で二倍でございます。宮島航路は十円を十円に据置にいたしております。瀬戸内海の同じく大島の航路でございますが二十円を三十円、関門の連絡線も二十円を三十円にいたしております。  次に定期旅客運賃でございますが、通勤通学定期運賃割引率につきましては現行通りといたしまして、ただ普通旅客賃率が、運賃賃率が上りますのでこれに準じて改訂をいたしたい。別表がございますがそういう考え方でございます。割引率通勤定期につきましては、現行六割から八割五分八厘までの割引でございます。通学定期につきましては七割八分から九割二分二厘の割引に相成つておるわけであります。それから通勤通学定期旅客運賃最低額現行通勤につきましては百五十円とありますのを、三キロメートルまでのところにおきまして二百三十円、通学につきましては現行百円というのをやはり三キロメートルまでのところで百四十円というふうにいたしたいと考えております。それから次に普通定期乗車券制度というものを設けまして、通勤通学定期よりは割引率の少いものを作つて参りたいということを考えております。で二等につきましては通勤定期乗車券はこれをやめまして二等普通定期乗車券にいたす。割引率は一カ月のものにつきましては三割から四割、三カ月のものにつきましては三割五分から四割五分引にいたしたい、遠距離逓減運賃にいたしたい。かように考えております。三等の普通定期乗車券につきましては、通勤定期旅客運賃より割引率を低いものにして参りたいと考えております。でこの普通定期乗車券通勤定期乗車券とはどうして区別するかということに相成るのでありますが、これにつきましては通勤はそれぞれの駅に工場、会社、事業場、そういつたところを届出をしてもらいまして発行いたしたい。普通定期につきましては発売の制限は何らないのであります。実質的にも持込荷物というようなもので或る程度差別を付けたいと考えております。それから航路定期旅客運賃でございますが、これは割引率は同様でございまして、普通旅客運賃引上げに準じて改訂いたすつもりでおります。  それから料金でございますが、急行料金につきましては十四ページに表がございますので御覧を願いたいと思いますが、普通急行について申上げてみますと、三等の三百キロメートルまでのところが百五十円とありますのを二百円、六百キロメートルまでのところ二百五十円を三百円、それから新たに九百キロメートルというものを作りまして広島はこれに入ることになるわけでございますが、これは四百のまま据置、千二百キロメートルのところは四百円を五百円、千二百一キロメートル以上は五百円を六百円にいたしたい、二等はそれぞれ二倍、一等は三倍というふうにいたしておるわけでございます。特別急行、準急行につきましては表にございますので数字を省略させて頂きます。  次に元へ帰りまして寝台料金につきましては、これまでもむしろ高きに失するのではないかといつたような声も多いので今回は据置にいたしております。それから特別二等車船室料金、これは特別二等車の料金、それから新たに青函航路にございます特別二等船室に対して五十円の特別二等船室料金を設けまして、これにつきましても前の十四頁にあるのでございますが、現行三百キロメートルまで二百円のものを二百五十円、六百キロメートルまでのものを三百円を三百五十円、九百キロメートルの四百円を四百五十円、千二百キロメートルの四百円を五百円、千二百キロメートル以上は五百円を六百円にいたしたいと思つておるのでございます。  次に小荷物運賃並びに荷物車貸切運賃につきましては、おおむね一割の値上をいたしております。表は十五頁にございます。なお新聞紙、雑誌についてでございますが、これは一キログラムにつきまして現行一円五十銭を一円六十五銭、雑誌は四円を四円四十銭に改めたいと存じております。きつちり仕分けしてございます。これは距離にかかわらない重量だけによる運賃と相成つております。  それから最後貨物運賃でございますが、貨物につきましては運賃改正機会に相当大巾な制度改正を企図いたしておるのでございます。貨物運賃制度戦時中著しく簡素化をいたしまして、従事員が不慣れでありますとか、或いは大量輸送を達成するために当時の状況としてはまあ運賃はどうでもよろしいといつたようなことから非常に簡素化されて参つております。これは簡素化は非常に結構なんでございますが、逆な見方からいたしますと相当物資相互間にアンバランスを生ずるというような点があるわけでございまして、現在の諸事情に即さない点が多々生ずるに至つたのでございましてこの機会改正をいたしたい、こう考えたわけでございます。先ず最初の車扱でございますが、この等級につきまして根本的な改正をいたしたいと考えております。貨物等級につきましては、前回の運賃改正の際におきましても、国会におかれましても根本的に考えるべきではないかといつたような御意見も強かつたのでありまして、国有鉄道といたしまして貨物等級審議会というものを設けまして、これには各官庁それから各産業代表者を網羅的にお入りを願いまして、数回に亘りまして本会議或いは小委員会等を開きまして、等級改正根本方針について総裁答申を頂きまして成案を得たような次第でございます。大体の考え方といたしましては貨物等級昭和五年に大改正がございまして、戦時中の昭和十五年に、これを根本的な改正ではございませんが先に申しました簡素化ということを中心に改正をいたしたのでございます。元は昭和五年にきまつたものでございまして二十年以上経過いたしておるのでございます。その間貨物運賃負担力、言い方を換えますと値段でございますが、こういつたものにも非常な変動がございまするし、又一般社会情勢産業界情勢、これも非常に変つてつておるわけでございまして、そういつたものを今日の実情に合わせるということを趣旨といたしておるのでございます。現在等級が十一等級ございます。これは少しく専門的になりますが、本来は九等級ございまして、あと十級十一級というような最後の二等級あとから申上げます軽量貨物減トンをいたす代りにそういう低い等級を設けておるわけでございます。今度の考え方はこの元の九等級につきましてこれを細かく分けまして十二の等級に分けます。更に社令政策的な見地等から割引賃率を考えなければいかんという意味で、十二のほかに三つの特別の割引賃率を設け等級の数を殖やしたわけでございます。最後のものは、等級減トン関係でできております等級はこれをやめまして、以前に実施いたしておりましたような軽量減トン制というものをとることになつておるわけでございますから、九等級が十五等級なつたというふうにお考え頂いて結構かと存ずるのでございます。それではどういう品物が何級になるか、現在とどうなるかという点につきましては、おおむねこれは国有鉄道総裁がきめることになつておるわけでございますが、おおむねの成案は得ておるのでございますが、まだ数種の貨物につきまして最後的の折衝をいろいろいたしておりますので、一両日中には資料といたしまして提出可能かと考えております。それから口の軽量貨物につきましての運賃調整でございますが、これは容積当り重量が非常に軽いものにつきましては、貨車に一杯積みましても満トンにならないわけでございます。十五トン車に十五トン積めない、十トン車に十トン積めないという貨物があるわけでございます。これにつきましては十五年に改正をいたします前には、運賃計算トン数でこれを引下げておつたわけでございます。例えば大型で三トン、小型で二トンといつたようなふうに初めから運賃計算重量減トンいたして運賃計算いたしておつたわけでございます。これを昭和十五年には簡素化をするということで、トン数はいつの場合にでも十五トン車を使われたら十五トン、十トン車を使われたら十トンということで等級で操作をすると、言いかたを変えますと等級を引下げるということをいたしたのでございます。併しこれは細かく計算して行きますと、それぞれの貨物につきまして相当不利なものが出て来ましたり、有利になり過ぎるものが出て来たりいろいろするわけでございまして、昔の長い間やつておりましたように減トンを今回実施いたしたい、こう考えておるわけでございます。賃率につきましては一割の増収となるように賃率引上げをいたしております。なお等級間の賃率指数は一、○○○から三七五までに亘つております。それから次のハにございますが、賃率地帯を細分し、現行の二分の一刻みとするとございますのは、現行運賃別表の第三にございますキロ程、これが一○、二○、三〇一四○というふうに刻まれておりまして一○キロ刻みになつております。一○○キロ以上のところでは二○キロ刻みということになつておるわけでございます。それから五○○キロをこえますと五五○、六○○というふうに五○キロ刻みになつておるわけでございます。このキロ計算国有鉄道運賃のとり方といたしましては、一キロでもこれがはみ出ますと上のほうにはね上るというふうに、これは長年そうやつておるわけでございます。これを中間を作つたわけでございます。一○キロ、一五キロ、二○キロ、二五キロ、というふうにいたしましたので、例えば一キロというものは今までは二○キロ分ということになつたのが一五キロというものができるということで、これはその限りにおきましては合理化されて、これだけを見ますと値下げになるわけでございます。それから遠距離逓減率現行通り最低運賃現行通り。それから列車指定運賃割増、これは何列車で送つてくれといつたことを指定する制度がございますが、これを三割から二割に引下げる。これは戦争中は五割まで引上げておりましたが、戦争前の平和な時代には二割で長いことやつてつたものでございます。これを二割に引下げる。それから特殊貨車運賃割増制度を設定する、これは新らしい実は制度でございまして、冷蔵車だけについて只今割増を考えております。と申しますことは、冷蔵車は非常に貨車製作費も高うございますし、又大体帰りは空車でございます。而も非常に長距離を空車で走るといつたものでございます。魚を荷主が積まれる場合に、普通の有蓋車に積まれた場合と冷蔵車に積まれた場合との運賃の善があつても、それ以上の効果があるというような点から新たに設けることとしました。  次に小口扱及び急行小口扱でございますが、これは割増及び割引となる賃率を殖やしております。割増も殖やしまして又割引のほうも殖やしております。小口につきましては御承知のようにトラック運賃品物によつて非常に差別をつけるということも余りないのでございまして、そういつたいわば運送原価主義というようなもので運賃がきまつております。そういうふうに高すぎるほうを整理すると同時に、どうしても安いものを或る程度整理するということを考えております。賃率といたしましては小口扱及び急行小口扱を合せて収入が一割増となるように賃率引上げをいたしております。それから小口扱急行小口扱レール上の運賃の開きは現行五%でございますものを一割に改めております。急行小口扱昭和二十七年の九月から実施をいたしておるものでございます。小口貨物サービス向上運送制度合理化を図るために設けたものでございます。配達付きになつております。そして列車も特別な列車で運んでおるわけでございます。小口よりも非常に早く而も確実に到着する制度でございます。当初から一割くらいの差はあつてもいいのじやないかという議論が各方面にもあつたのでございますが、五%の差で今日まで実施して参つておるものでございます。それから特別割引賃率レール上の運賃において二割引となるようになつております。それから賃率地帯を細分いたしますのは車扱と同様でございます。なお小口につきましては運賃計算重量刻みを更に細分いたしまして、現在では三○キログラムから五○キログラム、それから七○キログラム、一○○キログラム、あとはずつと五○キロ刻みに相成つておるのでございますが、これを三○キログラム以上一○○キロまでは一○キロ刻みにいたし、一〇一キログラム以上は二○キロ刻みにする。今まで五キロ刻みでございますが、それは二○キログラム刻みにいたすのでございます。これも切上げて運賃計算いたすという方法でございますので相当大きく品物によつては響くわけでございます。最低運賃につきましては現行通りに八○円でございます。  それから新たにトン扱制度を新設いたそうといたしております。トン扱制度車扱小口扱中間のものでございまして、二トン乃至四トンといつたような一車にも満たない、併し小口とするにはかなりまとまつているというものでございまして、現在では小口扱運賃をこれは頂く以外には方法がなくなつております。実際問題としますと、通運業者のやつております小運送というものに入つているものもかなり多いかと存じます。これを以前はトン扱制度という中間制度がございましたので今回これを復活いたし、一口の重量最低トン、最高四トンにいたしまして、小口扱賃率から五%引にいたすということでございます。それから重量減トン制度というものがございます。これは前に申しました荷物自体が軽いという軽量減トンとは違うのでございまして、重量品と申しますか満トンしようと思えばできるわけでございますけれども取引の関係でできない。端的に申しますと、鉄道貨車の最も多い部分は一○トン車、一五トン車でございますが、一○トン車に対する要望が最近非常に強いわけであります。経済界の状況等から商取引が細分化するという点からそういう状況になつているわけでございます。一○トン貨物を送ろうというかたが一○トン車を待つておられない、待つているとかなり日がかかる、といつて一五トン車を使えば一五トン運賃を現在ではとられるということでございまして非常に問題になつているものでございます。これにつきましてはこれ又昔実施いたしておつたのでございます。一五トン車の一五トン積の貨車に一応限定いたしておりますけれども、これを運賃計算重量最低一○トンといたしまして車扱賃率の一割増でやる、どういうことになるかと申しますと一○トン貨物を一五トン車に積んだ場合に一一トン分の運賃で運ぶということになります。一一トン貨物を一五トン車で運びました場合は一二・一トンという運賃に相成ると、こういうことでございます。只今までは一五トン車のものは全部一五トン頂いておつたわけでございまして、これも戦争中に実施いたしました非常に大ざつぱな制度でございますので改めることにいたしました。  次からずつと表でございますので説明を省略さして頂きますが、ただ二三ページの表をちよつと御覧願いたいと思います。参考表の一番初めのところでございます。二三ページと二四ページの表に今回の運賃改正によつてどれぐらい増収になるかというのを項目別に拾い上げたものがございます。この旅客関係におきまして、終りから三行目ぐらいのところの百二十五億一千三百万円という数字が出ております。これが現行収入に対しまして平年度計算改訂になる一応の数字でございます。ただこのうち運賃料金値上げに伴う利用減というものが二十二億ばかり考えてありまして、旅客の増収は結局百二億二千三百万円ということに相成つております。この利用減の二十二億というものはどうして出したかということでございますが、これは上のほうの左の肩にございます七百五十五億何がしという定期運賃、それから七億三千九百万円ばかりの航路定期運賃、これの三%に当る額でございまして、この三%につきましては国有鉄道で過去の経験その他からいろいろむずかしい算式を使つて出した数字でございます。  それから次、荷物関係でございますがこれは一応十億五千六百万円という増収がございますが、利用減を一億四千六百万円ほどみまして差引九億一千万円という増収を見込んでおります。旅客荷物関係で百十一億三千三百万円を見込んでおるわけでございます。小荷物の利用減は二○○キロから四○○キロまでくらいのところの小荷物の数量が約五%減になるであろうという数字ではじいたものでございます。  それから次の表は貨物でございまして、貨物運賃改訂による増減収支調べでございますが、これは収入の約一割九十九億五百万円をみております。で、旅客荷物合計と合せまして、二百十億三千九百万円という数字に相成つております。ただ貨物につきましては一応賃率ではじいたのであります。等級のほうは不増不減で原案を作成いたしておりますが、その後いろいろ事務的に折衝いたしておりまして、実は原案より上げるというものはないのでございまして、原案よりもその後引下げを国有鉄道関係官庁なり或いは関係の団体と相談して下げておりますので、賃率において一割上りましても恐らくこの増収等級の決定から見ますと下廻るのじやなかろうかというふうに考えておりますが、この点につきましては等級事情につきまして詳しくお話申上げませんと何とも言えませんので、一応一割の賃率改訂と、一割だけを見込んだ額でございます。二百十億三千九百万円というのが平年度計算現行収入のおおむね一割という数字になつているのでございます。  以上で御説明を終ります。
  7. 内村清次

    ○内村清次君 ちよつと関連しますが、これは平年度の旅客及び貨物運賃改訂に対する増分ですかね。
  8. 細田吉藏

    政府委員細田吉藏君) そうでございます。
  9. 内村清次

    ○内村清次君 今年度増収額は一割、貨物と旅客のほうと……。
  10. 細田吉藏

    政府委員細田吉藏君) 本年度につきましては、一番前から三枚目の表にございます四十二億千四百万円ということで一応見込んでおります。それでこの四十二億千四百万円というのは補正予算にも実は運賃改訂による増収分としてこれが書いてございます。ただこれにつきましては旅客は一月一日から、貨物が二月一日からということにいたしまして算術的に一割ぴつたりではじいてある数字なんでございます。  そこで先ほど大臣からも提案理由でお話がございましたように旅客は一月一日からやるということになりますと、現場の取扱上これは大混乱を起す関係がございますので、一月十五日から実施いたしたいというふうに考えておりますので、それだけはこれから更に減になるという形に相成ります。それから利用減というものをどう考えて行くかということによりましても若干の差違が出て来る。それで今後具体的に、じやはじいてどういうものが本年度出て来るかということもありますが、恐らくこの四十二億を確保するのがせいぜいじやなかろうかというふうに只今私どものところでは見ております。なおもう少し具体的にこれにつきましては又後ほどの機会に御説明させて頂きます。
  11. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) それでは本問題は先刻申上げたようにして次回に又質問なんか伺うことにいたしまして……。
  12. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 大体予定通りこの本国会が終了いたしますと二十二日に終るわけですね。それまでに何回ぐらい委員会をお開きになる御予定だか、それによつて質問の準備もありますので。
  13. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) 私としてはまだきめておりませんけれども皆さんの御要望があれば毎日やつてもいいと思います。理事のかたがたとも御相談をしまして成るたけ委員会で審議のできるようにしたいと思つております。
  14. 中村正雄

    ○中村正雄君 その点に関して裁定の関係もありますけれども、今後毎日午前中委員会を開いてこれと二つの案件になつているわけですが、審議するということで一応運営のお手配を願いたいと思います。
  15. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  16. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) 速記を始めて下さい。それではこれから続行いたしまして、一般運輸事業に関する調査中、航空事情に関する件を議題といたします。運輸大臣がおられますから先ず大臣に御質問のあるかたから先に。
  17. 高田寛

    ○高田寛君 私は民間航空事業の振興という面で一つお尋ねしたいのでありますが、勿論民間航空事業を盛んにするということは政治、経済活動を能率化するとか或いは国際交通を促進するとか、又現在は外国の飛行機に対する多額な飛行機賃を払つておるということ、これを日本の航空が海外に伸ばして行けば貿易外収支の改善ということにも大いに寄与する、いろいろな面から見て航空事業というものは戦後六年間空白時代を経てすつかりぺしやんこになつている。これを何とかして発展を遂げなければならない。立遅れを取返さなければならないと思うのでありますが、これについて船のほうにつきましても船舶の新造については政府で特設の融資関係を面倒を見て外航船舶の拡充ということを図つているのでありますが、航空事業については立遅れたのを取返すという意味で特段の助成方法がないと、なかなか我が国の航空事業というものは立直りがむずかしかろうと思うのでありますが、これについてイギリスとかオランダとかフランスあたりは、航空事業会社の全額を政府が出資しているというような例もあるように承知しておりますし、又アメリカあたりでも郵便物輸送の報奨金というようなもので実質的に特段の助成をしているということも承知しておりますし、その他いろいろ我が国の海運関係と同じように前の見返資金、現在で言えば開発銀行あたりの融資というようなことも、よほど強力にそういう施策を講じて行かなければ、我が国の航空事業の立直りということは非常にむずかしいのじやないかということを心配しているわけでありますが、この点について運輸大臣が航空事業を立直すということについてどのような助成方策をお考えになつておられるか、この点を承わりたいのであります。
  18. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 航空がこれからの問題になるくらい貧弱になつてしまつたのでありますが、日本航空が漸く先々月の十月の末頃に、初めて実質的に自分で飛行機を持つて飛ばすという状態に立至つただけでありまして、まだ本当にスタートを切つたも切つた、ほんの第一歩を踏み出しただけの状態であります。併しこれから先の問題としまして、この航空が世界の交通或いは国内の交通、特に長距離の間の問題として是非これをはつきりさせなくちやならんし、又すべき運命にあるということもよく了承いたしております。  国際航空関係におきましては御承知のように、外国のほうから日本に乗入れを各国大分やつて来ている。これに対しては同じ線だけ外国に、ディスローカルに出て行けるわけなんでありますが、残念なるかな我々のほうはまだ外航の会社ができていないという状態であり、国内もローカル線の問題、地方をどうするか、幹線だけは札幌から福岡までの間ができているが、あとをどうするかというような問題になりますと、大きな問題が全部まだ目の前に来ているわけであります。こういうものにつきましてどうしたらいいかというので、この間から航空審議会答申を待つておりました。十一月半ば頃に答申が出て参りました。それから又出願の実際の方面から見ますと、海外飛行についても数社、国内の関係においても数社出願がありますので、これらの問題を逐次研究してどういうふうにするかという方針をきめなければならんと思つております。  大体こういうものがそれじや動き出すに当つて政府はどれだけの援助をし、これを助長して行くかという問題でありますが、第一には融資の問題のお話がありましたが、これは開発銀行の融資の金を借りるとか、或いはワールド・バンクの金を外資導入するとかいうような問題等について、少し力を入れてやればできそうな問題もあるのであります。これに力を入れたいと思つております。それから郵便報奨は、現在も実際上に援助的な意味においてやられておるということは御承知だと思います。それから政府の出資の問題でありますが、只今のところ政府は、出資をしてこれをやる、或いはイギリスにおけるがごとく或いはスカンジナビヤ等におけるもの、フランスの航空会社というものが、政府の出資或いは政府の大きな援助の下に動いているということでありますが、まだこの点につきまして政府は出資をして全面的にこれをバツクするというところまでの決心はついていないのであります。又いよいよ航空を国際的にも国内的にも盛んにして行きますには設備の足らざるものが非常に多いのであります。今まで日本側でやつていなかつたのでありまするから、航空交通管制のごとき大きな問題も残つている。今札幌から福岡までの幹線の空の設備は十分できておりまするけれども、地方線を許そうとするとその線には航空管制の設備がまだないところがたくさんにあります。そういう問題等につきましても、これは来年度予算で何とか考慮してもらうつもりで今計算をいたしております。又実際には今航空要員の養成にも政府が力を入れなくちやならん問題だと思つております。アメリカに操縦士の教官なる者が練習に行つております。これは政府で多少の援助をいたしております。それから羽田の航空交通要員を、日本側にもアメリカ側から引継がなければならんのでいつでも引継いでいい状態にありながら、日本人側の教育という大きな問題があります。これは早アメリカ側といろいろ相談をしております。アメリカ側の援助と申しますか、日本のそういう連中の教育にいろいろ力添えをしてもらつてそうしてだんだん準備をして行きたい、これは政府の仕事でやりたいと思つております。
  19. 高田寛

    ○高田寛君 航空事業は非常に幼稚な段階になつておるのを何とか育てて行くという力強い御意見を伺つたのですが、それについてアメリカなどはたくさんの航空会社が国内でも国際的にでも競争して発達をして来ておるわけです。併しヨーロツパあたりではイギリスでも、フランスでも、北欧でも、オランダ、ベルギーでもそれぞれ一つの会社を集中的に育成して行くという方策をとつておる。日本が今後どつちの方策をとつて行くべきかという問題になりましよう。日本のような経済力も弱い、併し何とかまあ国で助成をしなければ成り立たないという所では、たくさんの会社を許すよりも集中的に一つに強力な助成をし、監督をして航空事業の発達をはかるべきではないか、まあ私はこのような考えを持つておるのでありますが、大臣とされてもこういうものを多くの複数制で競争的にやらすお考えか、或いはもう僅かの数のものを集中的に助成して行くというお考えをされるか、その点の御意見も一つ承わりたいと思います。
  20. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) ただ一つの会社と国内的にも国際的にもやつて行くかどうかということは、まだはつきりと申上げかねる状態でありますが、何でもかでもたくさん許して、そうしてその自由競争に委してどんどんやつたらよかろうというようなわけにはいかないという点だけは考えております。複数にしても極く少数の複数になると思いますが、所によつてはなかなかそうしないほうがいいという問題もあると思うので今いろいろ考えております。
  21. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 お尋ねしたいことはたくさんあるわけですが、今運輸大臣の御答弁の中に、現在北海道から福岡までの幹線だけをやつておるというお話ですがこの飛行機の幹線というのはどういうふうに運輸大臣はお考えになつておるのですか。北海道から福岡までが幹線でその他はすべてローカル線だというふうにも聞いているととれるわけなんですが、そういう意味でしようか。或いは現在は幹線のうち北海道から福岡までやつておるという御趣旨なんでしようか、その点を先ず最初に承わりたい。
  22. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 現在が札幌から福岡まで飛んでおります、それがまあ日本の真中をずつと通つておりますので、私ども幹線、それから仮に四国に飛ぶとか、或いは松江に飛ぶとかいうような主なる線に繋がるものが支線だというふうに、これはただ理窟もなしに考えておりますが、更にこれが福岡から延びて鹿児島まで行く、これはこの線に繋がるので支線だというふうに単純に言葉として私どもは使つております。それを今のとき幹線はどうだ、支線はどうだという問題の幹線、支線とは必ずもし一致しないかもわかりません。非常に普通の言葉で使つております。
  23. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 そうすると北海道から福岡まで飛んでおるので、中央を一貫するやつは幹線だということになりますと、北から南まで一貫するのが幹線だということになるわけですね。
  24. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) そこら私たちはつきりと考えておりませんのですけれども、まあ鉄道の本線と申しますか、それが東京からずつと鹿児島まで行つているような式の意味で、我々の東京から福岡までの今のを幹線と、こういうふうに只今は見ておるわけでありますから、それは今後のものの運び方ですから少し違うようにはなるかもわかりません。
  25. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 非常に大きな問題なんで、言葉のあやで幹線を福岡から北海道までだと言われたのでは非常に私どもは納得ができない。というのは仮に北海道から福岡までが幹線であるということになると、福岡から南のほうに行くものはローカル線だということになるわけですね。そういうことを私は承認はできない。これはやはり鉄道と同じように北から南まで一貫するところの航空路というものが幹線にならなければいけない、こういうふうに考えるのですがね、どうでしようか。
  26. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) この幹線というか、支線というか、一つの言葉の問題でもあるわけなんでございますが、実際鹿児島まで行つたものを幹線というならばそれでも差支えないと思います。併しこの幹線と申しますと飛行場との関係でございますけれども、まあこの現在の状態で幹線という程度ですと、DC4の着けられる程度というぐらいが幹線というのが常識的じやないか。それより小さくなりましても幹線といつても差支ございませんけれども、まあ常識的に考えてDC4の着ける程度のところのものをいつていいのではないかという考え方で来ておりますわけでありまして、これはいろいろに理論的に分析してこれを幹線といい、これを支線というふうに断定しておるわけではございません。或いはこれが又今表でございますが、裏を通る場合、北海道から新潟ずつと日本海岸を延ばし連ねて行くという線、そういうものができた場合にそれを幹線ということも別に差支ないと思いますが、現実の問題ではその裏ではDC4程度のものが着陸でき、ずつと行けるということでなしに、小型飛行機でなければならないという状態でございますから、この問題は将来の問題といたしまして、我々は幹線、支線ということをそう厳密にやかましい意味に考えないで漠然として使つておる次第であります。
  27. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 幹線か或いはローカル線かということは、これはあなたのほうからお話が出たので私は質問するわけなんです。現在福岡から北海道まで行つておる線、その以外に相当の設備を持つておる所があるのです。或いは福岡よりも大きな、或いは羽田よりも大きな設備を持つておる所もあると思うのです。だから現在のものが幹線であるという考え方は私は是正してもらいたい。
  28. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 現在では、日本の国内では飛行機の運航に関しまして羽田以上の設備を持つておる所は遺憾ながらございません。将来そういうものができれば勿論でございますけれども、現在は遺憾ながら今の飛行場より大きい飛行場は我々の使用し得る所にはないのでございます。
  29. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 例えばこれは問題になつておるのですが、鹿児島県の鹿屋市の飛行場のごとき、これは恐らく福岡の板付の飛行場より数倍大きいはずだと思うのですが。
  30. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 私はそういうふうに心得ておりません。いわゆる空を飛べる施設、全天候めくら発着のできる施設もございませんし、現在の状態で使い得る飛行場として、鹿屋が板付以上というふうには行かんと思います。
  31. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 私が言つておるのは、飛行場の着陸の可能な点を言つておるので、飛行機が着くその他の設備は、これはやれば完全にできると思います。というのは、問題は着陸の問題じやないのです。飛行場が狭いか広いかということが問題になるのじやないかと思いますが、どうでしよう。
  32. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 飛行場の広さというものは、急にそれは飛行場を拡げるということと、それから空の全天候飛行のできる施設をするということと、どつちがむずかしいかということになりますと、現在のように農地を買上げるとか、土地の問題が非常に困難な状態におきましては、飛行場を拡げる、飛行場の大きいということも非常に重要でありましようが、現在の飛行機は昔の飛行機と違いまして、御承知のように地上の無電施設、その他飛行機がめくらで飛べる、めくらで発着できるという施設と一体になりませんと、飛行場としてのフアンクシヨンがないというふうに考えられますので、今申上げたようなわけでございます。
  33. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 結局は今航空局長の御答弁によると、現在の施設以外のものは幹線にはならないということになるわけなんですね。私はそうではなくて、これは必要度に応じてやはり幹線として使えるだけの設備を持たれることが必要じやないか。例えば今例にとりました鹿屋の飛行場のごときは、これは御承知のように日本では一番大きい飛行場であります。日本の飛行場としては一番大きな飛行場です。僅かな施設を加えれば私はどのすべての飛行場よりも立派な飛行場になると思います。この点恐らく局長はまだ十分御研究になつていないのじやないかと思います。そういうような点を一つ御研究になつて一つこの次でもいいから御答弁を願いたいと思います。  その点はこれでおきますが、その次にお伺いしたいことは、先ほど高田先生からもお話がありましたが、これを一線に集中するか、或いは他の競争線を許すかということがやはり幹線の問題とつながつて来ると思うのです。いわゆるローカル線を他の会社に許す、何線か許すということになりますと、例えば長崎から東京に来る場合は、福岡で一遍降りてそうして新らしく現在の会社の飛行機に乗らなければならない、こういうような形になるわけです。それから料金の上からいつても、便不便の上からいつても非常に違うと思うのですね。ですからこういう点は十分お考えになつて、或いは例えば福岡から長崎或いは鹿児島、こういうような線を現在の日航にやらせるというようなことも、相当考慮の中に入れて御研究になつておるものだと私は思うのですが、独占することもよくないが併しこれをたくさんの線を許して、そうして或る区間はどの航路、或る区間はどの航路というようになりますと、乗客というものは非常に不便であり、又多額の料金を払わなければならんという結果になるだろうと思います。この点については十分にお考えを願いたいと思います。大臣も御就任早々で詳細なことは御答弁できないと思いますので詳しく申上げませんが、ただ御参考までにそういうことを申上げておきます。  最も私が関心を持ちますることは、航空というものが国民の足となり得るものでなければいかんということを私は常に言つておる。というのは、現在の日航できめておりまする飛行機の料金というものは非常に高い。御承知のようにこの飛行機の料金というものは、最初は二等を寝台に加えたくらいの程度のものにするというふれ出しであつた。それがだんだんと高くなつて現在東京から福岡まで一万一千五百円、一等料金に寝台を加えたものよりも遥かに高い料金になつておるのであります。でありまするからこの飛行機を利用する人は極く僅かしかいないと私は考えておる。特殊な階級の人たちであります。自分のふところから金を出さない社用族、俗に言つておる社用族、公用族、こういう人たち、ときたま私が乗つて見ますと、闇商人のような人が非常によく乗つておる。これを利用してそうして短時間に儲けて行  こうというような人たちが乗つておる。一般国民というものにはこれは全く無用の長物です、現在では。ですから私どもはやはり何と言つても飛行機をやる以上は、国民が或る程度たやすく乗り得る料金にしなければならんということを私どもは念願をしておるわけであります。御承知のようにガソリン税を免除して、或いは将来通行税を免除するというような考えもあるようでありますが、現在私どもが福岡東京間、こういうものは少くとも三割くらいは引下げて行くという方向に向わなければ、国民の利用度というものは非常に少いのじやないか。特殊階級だけがこの飛行機を利用するのでは、国が補助する、或いは何かと面倒を見る価値というものが非常に少いということを考えるわけであります。この点について大臣の御方針をこの際承わつておきたいのであります。聞くところによると日航でも近く料金の引下をされるというようなことも聞いておるが、それは極く少額のように聞いておるのでありますが、そういう点についてもいずれ航空局等の御相談もあることと思いますが、おわかりになつておる程度をお話願いたいと思います。
  34. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 日航の料金が今のお話のように高い、もう少し下げることはできないかということは、私どももかねてその感を深くしておる。あなたと同じ考えでありますから一層その感を深くしておるわけでありましたが、今お話のあつたような政府のほうで援助し、或いは政府のほうで取扱うような税金の問題等によつて、これが料金を下げる方向には進んでもそれが余りたくさん影響しないのでは何もならないので、根本はこれがもう少し輸送度も多くなり乗せる人も多くなつて、自然にいろいろな費用の負担が、旅客一人当りが少くなつてつて来るという線に来るよりほかしようがないのであります。幸いにして今四台ありまする飛行機に更に来春は二台買うことになつております。六台になりますと福岡が二往復札幌二往復、大阪との間に又二往復入るというようなことで、初めはそう多くなつたら却つて客の数が減つて負担が多くなりやせんかということも言われましたが、私はこれは必ずどんどん頻度さえ多くなれば利用者が多くなるし、そうなればどちらが先になるかの問題ですが、賃金を幾らか下げるという線に副い得ると思います。できるだけ賃金を安くして多くの人が乗れるような方向に進ませるようにいろいろやつてみたいと思つております。
  35. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 局長から伺いたいのですが、今の料金の問題ですが、これはガソリン税の免税で特にこの日航は負担が軽くなつたわけですか。
  36. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) ガソリン税で大体年間六千万円くらいだと思います。
  37. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 聞くところによると、ガソリン消費税の免税で約三千万円くらいの黒字になつたというのですが、そうですか。
  38. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 黒字になつておりません。尤も前期と言つても、去年の十月二十五日から始まりまして、今年の三月三十一日までの収支で見ますと、四千三百万円赤字になつでおります。そのときはまだガソリン消費税を払つてつたわけであります。本年四月一日から消費税がなくなりましたので、それで本年度収支のほうは、一年を事業年度にしておりますが、今年度、九月までの半年度の一応仮りに決算をいたして見ますと、大体三千万円ばかり赤字になつております。今年度年度全部で行けば、或いはとんとんくらいまで行きばしないかと思いますが、木星号事件もございましたが、あれは保険金がありましたから、全部が日航の負担金にかかつておるというわけでもございませんけれども、その前後大分お客さんも減りましたので、会社が始まりましてから九月までを一応通計して見ますと、八千三百万円くらいの赤字、こういうことになつております。
  39. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 結局この赤字は木星号などの影響で乗客が減つた、或いは損害賠償をしたということが主なる原因なんですね。通行税の免税をするという計画もあるのですか。
  40. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 通行税は運輸省といたしまして、これは航空のみならず全般に、今残つております汽車のほうも、通行税は全廃してもらいたいというのが、我々の運輸省としての希望でございます。航空局としましても非常に熱烈なる希望を持つておりますし、同時に又航空審議会でも通行税を免除したらよかろうというような答申がございましたので、来年度において免税になりますように、事務当局としては努力いたしたい。こう考えておるわけでありますが、まだ通行税が免除になるという見通しは出ていないわけであります。
  41. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 通行税が免税になると、ほぼお考えでどのくらいにお見込みですか。
  42. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 通行税は二割でございますから、総額でいたしますと約一億五、六千万円になると思います。
  43. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 現在航空局で料金の引下げをやるという計画があるのですか、ないのですか。あるならば、どの程度引下げをやろうとしておるのか、お知らせを願いたいと思います。
  44. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 私のほうとしては、引下げの命令を出すというようなことでございませんで、日航のほうで或いは研究しておるかと思いますが、まだ成案を得ておるとは思いません。問題は御存じのように頻度が非常に少いものでございますから、例えば北海道なら北海道に何人かの人間を置いておるわけでありますが、それで、午後一時に着いて午後三時に出て来るという、その一日の間、それだけのために金を払わなければならんというようなことでございまして、それが頻度が殖えますと、それだけその経費が割安になる、或いは又今直ぐではございませんが、徐々に実行しようと思つております。パイロツトの日本人化ということによりまして、これから大いに経費が浮くというようなことでございまして、そういつた面、頻度の殖える点等を勘案して、運賃は値下げになるという傾向にあるということは言えますが、今どれだけ下げたいという申請をして来ておるというわけではございません。
  45. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君  運輸省のほうでは、まあ大臣は非常に高いと思うという答弁をされておるのですが、あなたのほうでは、それでは現在の運賃というものは妥当であるとお考えになつておるのですか。何かそういうふうにお話を聞いておると聞き取れるのですが、どうなんですか。
  46. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 妥当であるというふうに考えておるかということでございますが、一応現在の運賃を昨年改正いたしますときに、諸般の原価計算をいたしまして運輸省は認可したわけでございます。併しながらこれが一般大衆化するためには高過ぎるということは言えるわけでございまして、これがアメリカ式に三等よりも安くなるというところまではなかなか行きかねると思いますけれども、少くとも二等程度くらいにまで下げられるように、会社は勿論、我々航空局、運輸省におります者もいろいろな要素を分析いたしまして、逐次下げられるように努力したいという強い希望を持つておるわけでございます。
  47. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 ガソリン税六千万円免税するときの、この料金は今と同じですか。
  48. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) さようでございます。
  49. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 そうすると、六千万円という国の、つまり歳入になるべきものを免税して、国民負担においてこれだけを免税しておるのだから、当然こういう場合に相当に飛行機の料金を下げるという方向に進むべきものじやないのですか。ただ会社の経営面をよくするというだけで現在の免税をなすつたのですか。
  50. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) その収支計算におきまして非常に窮屈で、若干の赤字が大体出るということで、その程度免税すると、会社の経理がよくなるという、いわゆる会社の経理を助けるという面が一つと、それから又ガソリン税そのものが我々としましては少しおかしいじやないか。だからガソリン税自体に内在するところの不合理性というものを考えまして、両方の面からガソリン税の免除を主張したわけであります。
  51. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 経営面をよくするために六千万円の免税をやつた当時、赤字は四千三百万円であつた。そうすると、経営が合理的に進んでおるならば、少くも千七百万円というものはこれは黒字が出なければならんわけですね。四千三百万円赤字を出しておつたが、六千万円の免税で千七百万円というものが浮いて来なければならん。これが浮かないということは、結局会社の経営にまずいところがあるということになるんじやないですか。
  52. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 会社の経営を弁護するつもりは毛頭ございませんが、四千三百万円にこれがコリスポンドする期間は十月二十五日から三月三十一日まででありまして、六千万円にコリスポンドするのは一ヵ年でありますから、今おつしやつたような勘定にはちよつとならんのじやないかと思います。
  53. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 四千三百万円というと、そうすると半ヵ年間でありますね。
  54. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 五ヵ月ちよつとであります。
  55. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 通行税のことは現在まだ具体的になつておらないわけでありますが、若しこれが免税になると一億五、六千万円の免税になる、こういうことに通行税が免税になるわけです。そういうことになると、非常に会社は黒字を出すということになる。又経営の合理化、例えば外人の飛行士を安い日本人に賛える、その他いろいろと経営上で私ども見ておつて、非常に予想外の経費を使つておるという感じがするわけなんです。こういうような経費を切り詰めて、而も通行税の一億五、六千万円というものを免税するということになると、会社は非常に黒字が浮いて来ることになるわけですね。そういう機会に、思い切つて今言われたように二等の汽車の運賃にちよつと加えたくらいの程度に引下げて行くというような方針を持つておられないのですか。
  56. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 通行税は会社の経理とは全然関係ございませんので、会社がお客さんからとつて政府に納めておるわけです。通行税がなくなれば、その分だけなくなつて、当然二割安くなる、こういうことでございまして、会社の経理とは無関係のことでございます。
  57. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 ではその点は二割下がるということになるわけですね。二割下つても、今言われた二等の汽車賃というものにはなかなかおつつかんということになるわけですね。
  58. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) そうでございます。
  59. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 それはどういうふうに、会社の経理並びにあなたがたと会社との監督関係等において、やつて行くというような見通し、或いは方針があるのか、あるならば一つお示しを願いたい。
  60. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) まだどの程度に下げるというコストの分析をやつておりませんので、今ちよつとここで申上げる段階まで来ていないわけでございます。
  61. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 今の問題について大臣に伺いますが、大臣も今の飛行機の料金は非常に高いということはお認めになつておる、これを下げなければならんというようなお気持も御発表になつておられるのですが、その具体的な方法について、どういう方法によつて下げて行く、そうしてこれを国民全般の足にするように仕向けて行くという根本方針をお持ちであろうと思うのですが、その点について一つお聞かせを願いたいと思います。
  62. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) これは私がまだ今高いというのは、我々乗る者の側として見るときに、もう少し安くなつてもう少し使えるようになつてもらいたいという希望であります。そして又今度実際問題として、それじやどうやつてこれを下げ得るかという問題であります。私はすぐ頭に浮ぶのは通行税の廃止が、これはもう右左にそのまま行くのではないかと思つてつたのであります。どこまで下げ得るかという問題はこれから。まだまだスタートを切つたばかりでありまして、私は高いと思うが、希望としてはそれを下げなければならんと思うが、そう手つ取早く下ることはなかなか困難じやないかというふうに現在としては思つております。どうしてそれを下げるかということについては、免税等について、これから会社もいろいろ努力して行かなければならん、政府も指導して行かなければならんと思いますが、例えば飛行機をどんどん買うにいたしましても、それだけを全部資本金でやつて行けない、相当借入ということになつております。その利子の問題にしましても、すぐ大きな金額になつて来るということを考えなくちやならないと思います。そのほかの操縦士の訓練とかいろいろなものを入れますと、こういうものは操縦士が変れば、今のアメリカの操縦士と雲泥の差の賃金になるので、これは非常に結構なことであります。そのほか飛行機の数が殖えて来る、お客さんも殖えて、そのために一人当りの原価計算と申しますか、費用が割りかた減つて来る。経営の上には平凡な言葉でありますが、できるだけ無駄な費用を使わないで合理化して行つて、できるだけ下げる、下げればお客も多くなつて、自然に仕事も盛んになる、業態もよくなるにきまつておるのでありますが、そういうふうな方向に沿つて、会社も我々も努力して行くということしか私の頭にないのであります。
  63. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 そうすると、結局大臣は自然の流れに任せるというわけですね。飛行機を殖やせば収入も殖えるだろう、収入がよくなれば費用も自然に下がるだろう、そういうことはわかり切つた話ですが、政府側としてこれに打つ手はないかと私は聞いているのです。例えば今高田先生からお話がありましたように、借入の面倒を見るとか、或いは利子の補給をするとか、こういう航空事業のごときものは、私ども素人でありますけれども、開始当初においては非常に困難な事業だろうと思うのです。ですからこれは国家は相当に面倒を見なければいけない。相当に面倒を見て、そうして万全を期せられまして、飛行機は国民の足であるというところまで行かなければ、私は何にもならんと思うのです。殆んど一部の特殊の人たちが航空機を利用して、航空機があるかどうかということさえ知らない人もたくさんあるのですけれども、それでは飛行機の存在価値は非常に少いと思うのです。ですから政府としては、国民の足にするには、どういう方針があるのかという根本方針を聞いておるので、水の流れに従つて自然に任せるというような考えを私は聞いておるのではないのです。政府として打たれる手があるだろうと思うから、若しあるならばそれを一つ聞かして頂きたい、こういうわけであります。
  64. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 今のは少し言葉が足りなかつたかと思うのであります。さつき高田さんの質問にお答えいたしましたように、融資の問題が、これは非常に大きな問題であります。外資の問題もありまするし、国内の融資の問題もあります。これは私ども今までも多少の相談はやつてつたと思いますが、これから先だんだん飛行機を余計入れるための費用というようなものが嵩んで来ると思います。そういう問題は私どもできるだけの力をいたしております。これが一番大きなやるべき方法であると思います。政府出資の問題にさつきちよつと触れましたが、これはヨーロツパ風の経営の行き方にしますると、政府の出資にし、或いはこれによつて政府のほうがいろいろな負担をして上げるという途もあるようであります。これはそこまでまだ進んで行つていないが、これも当然考えなくちやならない問題だと思います。
  65. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 大分具体的になつて来たのですが、そういうような具体的な措置をとれるのは、大体いつ頃からおとりになるおつもりですか。
  66. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) これは今現にアメリカのワールド・バンクの資金問題については、融資の中に飛行機、航空関係にも融資を願うような話をいろいろ進めております。国内のほうの問題については、今のところはただ外貨の割当等の問題でお手伝いしておるだけでありますが、更にこれからいろいろ資金が要る問題については、私ども協力してやるつもりでおります。この問題の具体的なことについては、航空局長からお答えをいたさせたいと存じます。
  67. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 もう一つ運輸大臣にお聞きしておきたいのですが、今そういう積極的な面も大体お考えはあるようです。私はそれで十分だとは申しませんが、とにかく具体的なものを持つておいでになるようですが、先ほどお話の経営の合理化という方面も相当に研究する余地があるのじやないかと私は思うのです。当時占領下にあつて向うの言う通りに高い飛行機を借り、或いは又飛行士にしても非常に高い給料を払つておる、或いは航空手当を払つておる、五十数万円もの給料を一ヵ月にとるというようなことを聞いておるのですが、こういうような点についても、もう少し経営の合理化というような面について、監督官庁である運輸省は積極的に働かれるべきものじやないかと思うのですが、そういう点は如何ですか。
  68. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 費用の嵩むのは、御承知のように米人の飛行士というようなものでありまして、外国の飛行士でありますから、飛行士の一人の一月の費用で重役陣全部の費用に当るというくらいの、重役というものは幾らとつておるか知りませんが、そういう言葉を聞くくらいであります。これは一番大きな負担になつておると思います。これもさつき申上げましたように、飛行士を早く日本人に代え得るようにしたいと思いまして、会社から教える者或いは自分で飛ぶ者等もアメリカに練習に行つております。これも三千万円ですか政府が半分だけ費用を補助してやつて、一日も早く日本人側に代えるというようなことが、飛行士の問題についての具体的な問題であります。そのほか経営合理化という面についてはまあ具体的にどういう点ということは……一番先の問題はそれを早く日本のものにするということを考えております。
  69. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 それからもう一つローカル線であるとか、或いは又幹線の延長であるとか、いずれにしても近い将来にそういうものができることは我々も予想しておることなんですが、これに要します経費、いわゆる国で持たれるところの費用というものが二十七年度には相当に要求されたですね。八十何億か要求されたということを聞いておりますが、それを僅かに三億数千万円に減らされておる。これでは将来航空業というものの発達を阻害するのじやないかと思うのです。二十八年度予算にそういうようないわゆる飛行場その他航空に関する費用をどのくらい計上される予定であるか。それによつてどこどこの飛行場が整備され、幹線の延長或いはローカル線が使えるようになるのかというような、具体的なものをお持ちであろうと思うのですが、それは局長からでも御答弁願いたいと思うのであります。
  70. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 先ず国際線を延長するということにつきましては、日本側として設備をする必要がございませんので、ただこの国際に進出する資金を調達することについての問題があるだけであります。今の問題について主な問題と考えられますのは、飛行場の施設と思いますが、二十八年度に大蔵省に要求しておりますものは新路線といたしまして大阪から高松、岩国、大分、福岡、大牟田という一つのライン、それからもう一つは福岡から鹿児島のライン、それからもう一つは東京から新潟、小松、大阪のラインこれを開業するということにつきまして、民間のほうで開設しておる金は、これは別でございますが、政府として予算に計上すべきものは、いわゆる定期航空の安全性を確保するという見地からいたしまして、基地と基地との間の、例えば福岡と鹿児島との間の基地の専用通信設備を設けるということと、鹿児島におきます、発着のコントロールをするコントロール・タワーを作る。或いはそこで飛行機と無電の電話連絡もできる施設をするというようなものを総計いたしまして、今申上げました三つの線で、大体合せて七億見当でございます。  それからなおもう一つは、御存じのように日本の航空従事員は昔の経験を多分に持つておりますので、これにちよつと色上げをすると使えるという状態でございますから、それを色上げし得るというための訓練所を作るという金が、これは飛行機を要しますので、或いは飛行機の初度調弁費がかかりますので、これは十五億見当というようなところでございます。その他羽田の飛行場の延長とか、それから福岡を国際空港にいたしますために、いろいろとその施設が要るわけでございましてそういつたような施設とか、いろいろを計上しておるわけでございます。  それで合計四十四億になると思います。八十億というのは、二十七年度のときに要求したというお話でございますが、私丁度そのとき関係しておりませんでしたが、非常に十分な予算を要求したかと思いますので、現在の二十八年度要求といたしましては、できるだけ切り詰められるものは切り詰めて、航空が無闇やたらに金のかかるものでないというふうにして、できるだけ国の予算を切り詰めまして、日本式にスタートするということを考えまして、大体そういうことに決定いたしております。
  71. 前之園喜一郎

    前之園喜一郎君 今局長が御答弁になつたように、相当の予算をとつて航空の拡充を期しておられるようですが、運輸大臣は一つ是非去年のようなことがないように、この予算を獲得して頂くようにお願いいたします。大臣に対する質問はよろしゆうございます。局長にもう二、三……。
  72. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) ちよつと待つて下さい。航空のことで大臣に質問するかたはありませんか。
  73. 小野哲

    ○小野哲君 ちよつと私から伺いたいと思いますが、先だつて頂いた航空審議会答申書をちよつと拝見したのですが、これを見ますと、航空路網拡充方策というので、国際航空路網の拡充と、それから国内航空路網の拡充と二つあるわけなんです。そこでもとより審議会は一回の答申でありますので、これを一○○%お受け入れになるかどうかは、政府としていろいろ御検討の余地があるのではないかと思いますが、我が国の航空事業の見地から申しまして、先ほどもお話がありましたように、資金の調達であるとか、或いは国内における諸税の減免の問題とか、いろいろな問題があるわけです。それから又航空事業の経営方式の点から申しましても或いは政府出資による何らかの強化を図つて行くということも考えて行かなければなりませんが、問題は国際航空路と国内航空路、この答申によりますというと、大体並行して拡充して行こう、こういうことになつておるようなんで、そこで大臣に伺いたいのは、政府としては一体日本の航空網の拡充につきましては、国際航空路に重点を置かれるのか、或いは国内航空路に重点を置かれるのか、これによつて相当施策の方向が変つて来るのではないか。と申しますのは、海運事業においても同様のことがございますが、外航船舶等の問題につきましても、いろいろ特に助成をしなければならない問題があると同じように、国際航空路を若しこの答申のようにやつて行くとするならば、問題は国際競争力の問題があるのではないか。現在欧米の航空路が我が国に向つて相当積極的に現に行われ、又将来行われようとしておる際に、我が国のこの貧弱なやつと生れたばかりのような航空事業力と申しますか、これによつて果してどの程度まで国際競争力に耐え得るだけの航空路網の拡充ができるかどうかということは大きな問題ではないか。そこで答申の中に書かれておりまする拡充方策というものは、極めて結構なことであり、私どもも同感の意を表するわけでありますが、さて具体的にこれを実施して行くという場合において、政府としてはどういうふうなお考えを持つておらるるか、この点を大臣から伺つておきたいと思います。
  74. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 答申書が出まする別に、すでに外国航路につきましては、さつき申しましたように数社出願が出ております。これは或いは外国の会社と組んでおるものもあるし、自分の独力でやりたいというものもありまするし、さまざまでありますが、今、本年度から来年度にかけて、すぐにもやりたいというようなことで出ておりまする近いところの外国などは、これは経済的に飛ばすために、是非やつたほうがいいのであろうという見方があるそうであります。詳しくは局長から御説明させますが、福岡まで行つて休んでおる時間に或いは台湾まで行つて来るかというようなことは、一台の飛行機の飛ぶ時間を経済的にするために、使うには丁度手頃なのがありまして、こういうものはすぐにもいい飛行機が手に入つたらやるだろうということであります。それは別といたしまして、すぐヨーロツパまで飛ぶ飛行機、例えばこの間フランスのエール・フランスが日本まで飛んで来ていいという許可を出しました。そうすると、これに対しまして、我々のほうからもフランスへ飛んで行けるわけであります。アメリカはすでに飛んで来ております。これに対しても同じ数だけのものが向うに乗入れるわけであります。これ等に対してのアメリカへ行くという出願が特に出ております。皆南方航路の出願が出ております。北のほうは出ておりません。これを許すべきかどうかということが一つの問題なのであります。今おつしやるように、これは初めはもう独力でやりますということをみんな申しますが、果して独力でそういうものが行けるか。これだけ南方でありましたら、パン・アメリカンの飛行機と競争しなければならない。それにはどうであるか。パン・アメリカンのほうでもすでに噂によりますと、日本の飛行機が飛ぶと日本の飛行士が安いのだから、ちよつと競争がつらいというようなことも言うておるというような話等も聞きまするし、これは非常にむずかしいと思いますが、向うが一本来ておればこちらも一本乗入れてよろしいという約束もありまするから、できれば、私はこのアメリカ航路も一本出してみたい。そしてこれがやがてサンフランシスコから、又それから先に飛んでいいという約束になつております。  南米方面に南米移民の問題もあるやに聞きますが、移民が飛行機で飛んで行くということは、ちよつと私どもには見当が付きませんが、いずれにしましても、ブラジル方面に、たくさん日本人のおるところの連絡というような問題のためにも、これは筋が通れば乗入れを一つやつたらどうかしらんと、こういうふうに思つて、目下研究いたしております。  それから国内は日本航空がやつておりまするが今、前之園さんからお話がありましたように、スタートをしたはかりとは言いながらまだひよろひよろと申しますか、もう少しがつちりしたようなものにして、これはものが起り始めますると、一、二年はやつぱり手を引つ張つて叱りもしなくてはならない、又指導もしてやらなくちやならんというような状態ではないかと私は思うております。  それから幹線、支線の問題ですが、それはまあ言葉は別といたしまして、そのほかの地帯の出願、答申書によりますと、日本を二つくらいに分けてやつたらどうかという問題もあります。そうすると、いわゆる幹線というものは、これは真ん中に一本通つておいて、それを又二つに日本を分けて支線が二つあるというと、これはちよつとすぐ飛んで行くと、今、前之園さんからお話がありましたが、六回も七回も乗換えて又こうだというようなお話がありましたが、非常に面倒くさい問題もあるので、はつきりと二つに分けられないだろうと思います。まあよくありますように乗入れ式の何と申しますか、バスなんかでお互いに乗入れをやるようなことの式でも何か考えて、ローカルの会社などというものを特別に許したほうがいいのじやないか、そういうようなふうに思うております。まだ実は答申を受けておるだけで、政府部内で、もう少しこの問題を十分閣僚の間で話合つて、そして私はしつかりした筋を立てんと、たくさん出願も出ておりますし、行き当りばつたりに、これはいい、これは悪いなんと言わないで、実は一つしつかり話したほうがいいと思いますが、もう暫くお待ち願いますと、もう少ししつかりしたことを申上げられるのではないかと思います。現状でございます。
  75. 小野哲

    ○小野哲君 大体それで了承はしておるのですが、答申の内容を見まして、政府がおやりにならなければならない仕事というものが、拡充方策に関しては、非常に私は大きいのじやないか、同時に資金的にも非常な負担がかかつて来る。どこをどう選んでやつて行くかという方向を誤りますというと、結局虻蜂取らずになる虞れがありますので、その気配があるので、まあ只今大臣の答弁がありましたように、政府としてどこに重点を置いて積極的にどうするという方策を速かにお立てになつて、お示し願うようにされたいことを希望いたしまして、私の質問を終りたいと思います。
  76. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) それではほかに航空以外の問題でですね。大臣は大分時間をとつておりますが、御質問がございましたら……。
  77. 岡田信次

    岡田信次君 炭労ストに伴いまして、石炭の不足から国鉄列車の削減がすでに行われており、又このままの状態で推移すると、近日更に大幅の列車削減が行われるというふうに新聞が伝えておりますが、私、まあ炭労ストが始まつてから四十数日経ておるのですが、列車の削減ということが実施されると、その日から直接国民に非常に大きな影響を与えるというふうに思うのであります。そこでこの伝えられるような非常な大幅な列車の削減が行われるならば、その前に広く国民にこれを知らせて、そして一つは炭労ストに対する国民全般の正当な判断を喚起する。更に列車を削減した場合の国民の心構えを作るというようにしないと、列車が削減された場合に非常に混乱を来すだろうと思うのでありますが、どうも運輸省或いは国鉄の行き方を見ておりますと、何日々々は列車が減るということだけを出しておるだけであつて、一向どうも広く国民に知らせるというような態度に出ておらないと思うのでありますが、この辺の解釈について大臣の御所見を伺いたいと思います。
  78. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 今のお話は、私切にその感を持つておるのでありまして、どうも日本のお役所は特にパブリツクリエーシヨンということにうといようであります。きめたものをきめつばなしでこの通りやれと、それから先は誰でも勝手な判断に委せておると思います。ただ弁解とか何とかということは別にいたしましても、今案が出ておりますように、十一日とか、十二日とか一日のずれはありましても、そこで三割からの減車になる。今までの一割というものは余りみんなにわかつていないと思います。それは臨時列車やその他を減らすからであります。その前にどんな方法かにおいて、みんなにかくなつておるという、我々のとこで説明しておくこと、それからどういうふうな方法によつて、その場合はバスはどうするかとか、できるだけの案というものを国民に知しめるということを、是非これはやつてもらいたい、今の注意の点早速何して、何とか実施するような線にやつて行きたいと思つております。
  79. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) もういいですか。
  80. 高田寛

    ○高田寛君 ただ一つお伺いいたしたいのですが、先ほど航空関係のいろいろ御説明の問題が出ておりましたが、もう一点観光事業方面の情勢についてお伺いいたしたいのですが、たまたま今アメリカの観光客というものを、ヨーロツパ方面、それから各国、又日本あたりがこれを引いて外貨獲得のいわば戦争をしておると思うのでありますが、これについているいろいろ宣伝面とか、或いは従業員の訓練のいろいろ問題がありますが、当面の日本の問題となつているのは、日本の旅行費が高いということ。その中心になつている問題がホテルの料金が高過ぎるということであります。これについても、ヨーロツパのほうでは、イタリーとか、スペインとか、いろいろなところでも、やはりマーシヤル・プランの一環としてのアメリカの援助資金を貸付けて、長期低利の金を貸付けてホテルを建てる、それで安く泊めるようにして、多くの客を吸収して外貨を獲得すると、こういう方策を立てているように承知しておるのでありますが、日本でも、曽つて昭和九年から十二年頃預金部資金を貸付けてホテルを建てたことがあつた。それで、業者の自覚と相待つて、そのホテルの料金を安くするということに努めたのでありますが、占領下において、この方法を復活すべきではないかということを私も考えて折衝をしたこともございますけれども、なかなか進行しなかつたのであります。まあ今日占領下から離れて、独立の国となつて、特段の掣肘を受けないという情勢になつて、やはりこういう観光事業の面からも外貨獲得に力をいたさなければならんという時代におきましては、やはり以前に、十数年前に講じましたように、今の資金運用部の資金でも貸付けて、原価の安いホテルの設備をする、そうして業者の自覚と両々相待つて、もつと安く、日本の旅行費を引下げるこれを大々的に宣伝して、多くの観光客を引き、外貨を獲得する、このように進んで行くべき時期であると、まあ私は考えておるのでありますが、大臣はこの点についてどのようにお考えになつておられるか。又こういう面で旅行費を引下げて、多くの客を引き、外貨を獲得するという必要を認められるならば、曽つてやりましたような資金運用部の資金をこの方面に貸付けるというようなことを、そういう道を開くようなお考えを持つておられるかどうか、この点一つお伺いいたしたいと思います。
  81. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 観光事業を盛んにして行きたいということは、政府の方針の一つになつておりますので、それには今お話のように、第一、日本に来てもホテル料金が高い、遠いところの、まあ船賃や飛行機賃も高いが、それは止むを得ないとして、日本に来て、せめてホテルでも愉快で安ければというのが……余りそうでもないという声は、もう随分各方面で聞かれる話らしく私どもも承わつております。ホテルを拵えて、資金運用部かなんか、要するに資金を貸して低利でホテルの建設ができるということも一つのやり方であると思いますが、ホテル料金を下げる、現在ありますホテル料金を下げる途は、又別な方法を考えませんと、資金運用部資金だけでは、これからできるホテルが割安に、市中の資金でやるよりは割安にできるというだけの問題であつて、現在ありますホテルそのものも下げるような途を講じなくちやならんだろうと、こう思うのであります。これは特に高田さんなんかの御指導によつて、我々も続いていろいろやりたいのでありますが、今のお聞きの問題だけにつきましては、私、資金運用部の資金が今どういうふうに使われておりますか、我々のこういうふうな仕事に廻してもらうだけの余裕がありまするかどうか、私今はつきり存じませんが、お説のような線に沿うて、何かでき得るものであるかできるならば、そういうことさしたほうがいいかどうか、これは重ねて研究をいたしまして、御相談いたします。
  82. 高田寛

    ○高田寛君 今の大臣のお話の通り、新しくできるホテルに長期低利の資金を貸付けても、ほかの前のホテルには影響しないじやないか、それも一応御尤もに聞こえますが、今までの終戦後の実情を見ておりますと、新らしいホテルが短期の高利の金を借りて建てるために、非常にコストが高くなる、そうすると、古くからあるホテルは、さほどの高い料金をとらなくても営業が成り立つて行くのに、新らしいホテルが高くなると、自然それ並に引上げて、古いホテルもそれにつれて料金が高くなつて来るというのが実際の状況だと見ているのです。勿論いろいろ地方税の遊興飲食税を、この前の国会で法律を改正して還元したということも、一つの施策の現われであると思うのでありますが、いろいろ遊興飲食税の問題、固定資産税の問題、いろいろありましようけれども、やはりこのホテルの施設改良のその資金をもつと有利にするということも、又この助成方法、旅行費を安くするという点について大きな問題であると思いますので、これは私の希望として、このような点は特に又御尽力願つて実施に移して頂きたいということを申上げて、私の質問は終ります。
  83. 一松政二

    ○一松政二君 この間大臣のお留守のときに、鉄道監督局長に国鉄予算のことについて大分質問をいたしましたのですが、私の見るところでは、本年度国鉄補正予算の組み方からすると、非常に不健全で、借入金を三十億円予定しておつて、そうして今後或いはこの炭労のストライキその他によつて、収入減が私は相当程度あると思うのです。従つて、なお更借入金は増す傾向にある。この傾向が私は来年に行つて又賃上げ要求が来るにきまつておる。例年の例です。そうして又裁定が来ると、又運賃値上げしなければならん、運賃値上げすることはそう国鉄が希望するほどやれない。従つて又何らかの方法をとつて赤字を埋めて行くということをやらなければならん。而も一方においては、百三、四億の今の国鉄裁定に応ずるところの経費を見込んでおるわけです。これでは私はいたちごつこになつて、そうして底止するところを知らん。国鉄の裁定も、成るほど裁定でありましようけれども、国鉄は一つの企業であつて独立採算制と言つたつて、これはまあ公社でいろいろ不満足な点はあるわけですけれども、仮りに公社でなくてもあつても、運賃など上げるのは、そのときの経済情勢によつて、そう希望するほど上げられないことは、大臣も御承知通りなんです。一般経済だつて、仮りにガス料金が、独立の個人会社であつても、世間というものがあると、常識があるし、いろいろな制約があつて、必ずしもそう上げられない。一方において、従業員のほうの要求が強い。そこでそれの要求を満足させるために、赤字でもこれを賄つて行くということは、最も私は不健全なことじやないかと思うのであります。一番むつかしい問題にぶつかるわけですけれども、私はつまり日本全体がどうか喰い潰しの経済をやつてもらいたくない。負けた日本ですから、お互いが非常な困難を覚悟せなければ、当り前な経済情勢に持つて行けないことは全体的にわかつておる。併しながら現実に個人々々は生活が苦しくなる、昔の生活が恋しいわけですから生活の水準を上げたい、これは日本の今後の相当長い年月に亘つて、これは私は敗戦後の日本はそういう運命にあると思うのです。そこでそこをどう調節をとるかということが問題でありますが、今のこの炭労、電産がこんなに長引いておるのも、その経営者と従業員との間の観点の相違が、今日の状態を来たしておる。下手に妥協したら取返しがつかなくなるということが、恐らく炭労の、特に炭鉱業者の経営に瀰漫した空気だと思うのです。政府は租税なり或いは運賃収入なり、そういうことによつて簡単にものが片附く、簡単でもありませんけれども、一応片附くと。併しながら独立の企業者はそういうわけには行きませんで、どうしても健全なベースに立たざるを得ない。そこでこの労使の問題に政府が介入することは、非常にその不健全さを増す場合が多いわけです。どつちかというと、とかく人の数の多い、いわゆる従業員側に立つてものを見る傾向に陥りやすいわけです。で、政府が裁定を呑まなければならなかつたりなどするのも、いろいろ政治情勢やらその他の関題が考慮されて、必ずしも私は経済の限界に立つていないと思う。国鉄の当局者は今この際人事院がああいう勧告をしたから、ああいう国鉄の裁定が起り、国鉄の裁定も結局は盆と暮に半ヵ月ずつのいわゆるその給与をやつておるのですから、大体去年よりは一割増になつておるのに、更にまた上つて行けば来年は一体どうなるか、今年はそれで済んでも同じことを来年繰返しをしなければならぬ。どこかでそういうことが……、将来健全なベースに立たなければならん。なお今団体交渉やその他のことで残されておる部分でも、或いは不用品を売つて、殆んど、卑俗な言葉で言えば、骨に身がついておる、その身の部分をとつて、それをも食つてしまうというような感じがしてならないのです。私は従業員その他に多少はそういうことを辛抱してもらつて、そうして国鉄の経営というものはそんな楽じやないのだということを十分知らしてもらいたい。そうして私はこの委員会で裁定を完全に実施すべしというようなことが決議されたようなふうに伺つておるのだけれども、私はそのときにはたしかいなかつたか何かで、私はそれに対しては多少異議があるわけです、個人としては……。ただ、殊に私は国鉄に考えて頂きたいことは、国鉄の従業員の中には非常に経済上アン・バランスがある。田舎の従業員は都会の従業員とは全然性質を異にしておる。私はいつもこの労働問題、殊に国鉄みたいなもので、田舎の農業片手にやつておる人と、都会の葱一本も買わなければならん人とが、私は同一待遇であるべき方法はないと思う。これほど私は不均衡なことはないと思うのです。ところが団体交渉の名に隠れて、そういうものは全然顧られない。そうしてまあ地域給の差こそあれ、それ以外は同等の待遇を要求して来ておつて、一方はもう自分で米や野菜も十分ある家庭もあるわけなんです。そういうことは労働問題を論ぜられるところの殆んど蔭に私は隠れておると思うのです。どうか、この従業員が協力一致せなきやあならんことは事実でございますけれども、もつと企業というものは企業の採算内で賄わなければ、あとは税金で賄う、それではお互いに個人を、いわゆる社会を共食いをしてしまうわけです、今度の国鉄予算の組み方を見て、そいつを強く私は感じますから、どうか大臣としては、そういうことについては明るいわけでございますから、ただ裁定があつたからとか、従業員の要求があるからとか、すべてのいろいろな案件を考慮されて、コンプロマイズするところはコンプロマイズせなきやあならんといたしましても、十分そういうことを周知徹底さした上で善処を願いたいと思う。私はあえて大臣の答弁を求めません。ただ私は国鉄のこの予算を見て、そういう感じが非常に深いし、場合によつては国の予算もそういう傾きになる危険がある。それから日本全体として過剰人口に悩んでおりますから、日本の物価の高い原因は過剰人口にある。根本の問題は日本の物価が高いのは過剰人口にあると思う。個個の企業その他については運賃その他のことを言いますけれども、人間が多いから、それが寄つてたかつて食えばお互いの間で高く、そこにお互いが寄り食いをいたしますから、物価の高い原因は人口過剰にあるので。であるけれども日本を養つてくれるものは日本国民以外にないので、でありますから、そういうことを、特にこの点を、この企業を御監督になる大臣のお立場としては、企業に対するそういう不健全性な要求を伴つて来る危険が非常に多いわけですから、どうか将来のために、どこかでそれを食いとめなければ食いとめる時期はない。炭労はこの際食いとめようとしてとまらないものですから、或いは今日あたりその裁定を呑む、中労委の斡旋を呑まれるかも知らんけれども、私は経営者としては不本意至極であろうと思うのです。それだけを申上げて、私は大臣にそういう方面に特に私は人気取りに堕せず、国民を或いは従業員を自覚させる方面に一段の御努力を一つお願いしたいと思いますが、それだけ申上げておきます。
  84. 小野哲

    ○小野哲君 大臣がお帰りになる前に、ちよつと一つ承わつておきたいのですが、実は先週の予算委員会で問題になつたことで、運輸省に直接関係があることもありますので、一応大臣にお話申上げ、且つ御答弁願えるならばお答弁願い、更に将来の御研究に待つ点もあるんじやないか。それは結局造船関係の問題なので、日本の船舶の建造の価格が高い。これは結局鋼材が高いからだ。従つて外国からの受注をできるだけ円滑にして行くためにも、造船用の鋼材の価格の引下げをやつて行かなければならなん。これについて補給金か何かをやるような方法を講ずる必要があるんじやないかということが一つと、それから同時に、鋼材を下げるためには、運賃関係、即ち海上貨物運賃を引下げることによつて、できるだけ鋼材の価格を引下げる。言い換えれば、鉄鉱石のごときは、産地から専用船を以て運ぶというふうな方法が考えられるのじやないか。まあこういうようなことについていろいろ論議があるようでありますので、先週の予算委員会においても、これが期せずして取上げられたわけです。これは一面海運事業そのものにも大きな影響があることであるし、一歩この施策を誤まりますと、大きな問題が私は起るのではないか、こういうふうな感じがするわけでありますが、何か閣議その他で政府において御研究なり御論議があつたかどうか。或いは又現在私どもが聞いておる範囲では一応の案に基いて各省事務当局間で折衝しておる段階にあるんじやないかとも思いますが、こたらの点につきまして大臣の総括的な一応御意見を承わつておきたいと思います。
  85. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 鋼材、特に造船用鋼材、特殊規格のものが又特にその中でも高いという問題で、これは日本の海運界の問題のため、又船の輸出の輸出等から、是非或る時期まで、鋼材が日本でもつと安くこしらえ得るような状態が来るまで、何がしかの補助を政府がしたらどうかという問題があります。この問題を私から提案いたしまして、いろいろ論議されたのでありますが、まだそこまで行くのは早いという見方でります。造船のための鋼材問題は更に飛びまして、原石の輸送問題にも及びました。これはやはり一部で研究を進めておるという程度のことだという話でありましたが、もつとはつきり申上げまれば、通産省でそういうことを考えておる。池田君に聞きましたら、自分はまだ賛否何も言うていないということでありました。これは成るほどちよつと考えると非常にうまい案のようでありまするが、港の設備なんかが不十分なところでは、こういう特殊な船を担えても、実際にその能力を発揮することができない。まあアメリカの五湖地方みたいなところであれば、こうはうまく穀物のエレベーターみたいな方式で、鉱石をどんどん運べるというような状態だつたら、非常にいいのでありますが、日本ではまだまだ、日本とそれから東洋各地の問題にしても、港の設備が不十分で、とてもそんなものに使えないだろうという声が実際家に多いようであります。これはもとより研究の一つの議題になつているという程度でありますが、この間から私のほうとしても、なお鋼材の安くなることは望ましいのでありますが、何もどこどこがやるから、そいつを自分のお株をとられるようなことを言つて文句を言う筋でも何でもありません。研究は続けてやらしておりますが、まだその範囲を出ておりませんです。鋼材の補給金の問題はやろうと思えば、政府の財政さえ許せばすぐにも出して、効果はあり得るだろうと思うのでありまするが、これも補正を目の前にしては、すぐはこの問題は取上げられなかつたのであります。なおこの問題についてじつくりと相談しようじやないかということを大蔵大臣も申しておりました。だんだんと話をいろいろな面から進めて行きたいと思つております。
  86. 小野哲

    ○小野哲君 大体政府大臣相互間でのお話合の模様はお伺いしたのですが、実は予算委員会としては、この鋼材価格の問題が非常に重要な問題であるというので、又私としては他の原石輸送のための専用船を使用するというふうなあれが、仮にどこかにあるとするならば、これは海運業界にとつて由由しき問題である。同時に現在の海上運賃というものが相当下つておる時代でありまするので、又繋船もおいおい殖えて来ておる現状から見て、この種の政策を政府としてやつて行くというところに多大の実は疑問を持つておるわけなんであります。鋼材の価格を引下げるということ、或いは鋼材価格のために特別な価格方式、即ち二重価格制というふうなものも研究の余地があるだろうと思いますが、相当あちらこちらでこの問題が問題になつておりますので、恐らく予算委員会でも再びこの問題を取上げるだろうと思いますから、この点あらかじめ大臣に申上げておいて、それぞれ御検討を願つておくほうがいいのではないかと思います。最後に鋼材の関係もございますが、我が国の造船につきまして、何か特定な助成方策を法制化されるような御意図がございますかどうか、これを伺つて置きたいと思います。
  87. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 今度の議会に提出いたしたいと思つておりますのは、造船に対しまする利子の補給でございます。利子補給制度を立てまして、これを今度の議会に御相談申上げたいと思います。それにはすぐ関連して、よく話が出ます損害補償の問題がありまして、これもいろいろ話合つておいたのでありますが、今度はその問題には触れないで、利子補給だけということになつております。
  88. 一松政二

    ○一松政二君 大臣にちよつとお願いして置きたいことは、今小野さんから話された鉱石専用船ですが、あれは若い事務家がそういうことを考えたのだろうと私は想像します。今大臣の御答弁を伺つて大変結構なんですが、更にあれを私はもう再び議さないでもらいたいと思う。閣内或いは通産省で余りにも素人過ぎる。何か札上の空論を戦わしておる。そんな時間を空費することは私はもつたいないと思う。私は鉄鋼の予想については、前から自分で永い間例のズングーンの鉱石をやつて運んでいるのですが、鉱石の専用船などというのは、今おつしやつた五湖か何かのところ、向うでもやれば、こつちもやる、そうして期日がきちんきちんときまつておるところならいいのだが……。決して終戦後の日本だけに船が足らずに、そうして司令部がおつて日本の運賃を、私が敢えて言いたいのは、日本の国民を或る意味において搾取しておる。そういう高い運賃を押付けて運んだときの経験は、私はもうすつかり捨て去つて、今後はもう事変がなければ、私は造船に対しても或る程度意義があるということは……これからの世界経済は、欧州第一大戦のあとを顧みれば、人間のやることはそう奇想天外でない。或る程度の整理は必ず起つて来る。又繋船をしなければならん事態が眼の前にある。いくら船を買潰して見るからと言つても、船はいわゆるそれこそ四海共通ですから、どうしても高いところに船は流れて行つて、そうして世界的に運賃はバランスをとらなければならない。そうして世界の船が、日本の鉱石を運ぶのに何も日本の船のみによるべき必要はないので……、それから重いものと軽いものと、綿と燐鉱石、ポート・アルバートあたりから日本にあの燐鉱石を運んだ場合には、殆んど綿と積合せになつて来るにきまつている。石炭は軽いから別問題でありますが、鉄鉱石のごときは、ところによつてはほかのものも一緒に積合せる。決してそういう専用船のようなことで運賃が安くなるものではない。これはただその局に当つている若い者の、私はただ札上の空論であると思うから、ああいうのを誠しやかに新聞に出したり、議論したり或いは通産省でどうだと言われることは、運輸大臣としてはむしろそういうことを再び議することのないように私はお願いをしておきたい。殊にそういう船舶を仮にこれから造ろうとするならば、鋼材なり、造船船価のいつが一番安いとか、もうこれより下らんから、ここで造ろうというならば、話はわかりますが、まだ下る過程にあるときに、高い日本の、今造船問題にも触れますが、造船コストの高いものを以て、安い運賃界に望んだら一体どうなるのかという根本の問題もありまして、鉄石、日本の今の一各地から来る鉱石について専用船を考えるがごときは、私は甚だそういうものに経験のないものが、勝手な議論を私はしておるという感じがして仕方がないので、丁度小野さんの御意見がありましたから、これも一つ強く閣内で、むしろ積極的に大臣から御発言をなさる機会があれば……御参考に一つ申上げておきます。
  89. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) ほかに御質疑ありませんか。
  90. 岡田信次

    岡田信次君 私も海運の問題で一つ大臣に伺つておきたいのですが、最近政府の努力によりまして、外航船舶が非常に伸張したということは大変結構なのですが、何しろ一万トン級の船が十五億も十六億も、非常に船価が高いのですから、この船を最も能率的にと申しますか、フル・エフイシエンシイーに働かせるということが一番肝腎だと思うのです。そのためには港の設備を、これに並行して充実しなければならん、かように思うのですが、船を造るほうにはすでに数百億の金が費されておる。一方港のほうの整備拡充には大してこれも注ぎ込んでおらんというような現状で、この間のバランスが非常に欠けておると思うのですが、港の設備が良くなれば、船の効率も良くなる。従つて十艘も要る所が八艘で済むということにもなりますので、やはり船の拡充と同時に、港の諸般の設備を拡充することが極めて肝要であると思うのですが、これに対する大臣の御所見を伺いたいと思います。
  91. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) この間からよく私皆さんからいろいろ聞かせていただいておるのでありますが、海運業の発展の大事な要素として港の設備改善、港が随分、戦時中、また戦後放つたからの状態になつておる。或いは又アメリカ側に借用されたりしておる状態の所もありますし、又所によりますると、まあ港の防波堤だけは出してみたけれど、上屋だとか、その他一切利用すべき設備が費用の関係でできないので、放つたらかしておるというような、随分大きな問題もたくさん承わつております。これは是非何とかしてもう少し港が利用し得るように、利用すれば利用するだけの値打が必ず一方に出て来るものに違いないのでありますから、例えば政府でやる仕事は勿論でありますが、政府のものでやれない性質のものでも、例えば収益を挙げるような上屋の設備のようなものは、或いは財政資金を動かして貸してやるとかいうような方法を実際上とつて行かなくちやいけないのではないか、果して資金面はどういうふうな程度まで政府がお手伝いできるか、問題でありますが、これは是非一つそういうふうな研究をいたしまして進めて行きたいと思つております。
  92. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) 一、二点質問します。航空の問題で、さつきの話だと外資導入も資金の面では考えに入つておるというようなお話のように承わりましたが、いわゆる外資導入の場合でも、何ですか、例えば外国の航空会社と日本人と一緒にやつて、そうしてれの株主というような意味において持つて来る外資もやはり受入れるおつもりですか。或いはそうでなしに、外資導入というようなものは、向うの資金を、日本の会社或いは日本政府の株式というような形式以外に、いわゆる外国の資本が日本の航空事業の経営面に参画するというような意味での外資導入を受入れるのかどうかということに対して御意見を承わりたい。
  93. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 私のさつき説明いたしました外資は、ワールド・バンクから借入れる面を申しておりました。資本の参加はどういうふうになるかというと、資本は航空法というものによりまして、形式的には三分の一までは外国の資本が入つてもいい状態になつておるのでありまして、日本航空にも外国の航空会社が株を何がしか持つておるようであります。併しこれが強力に働くような状態になりますと、日本の航空界を支配される虞れがありやしないかというような点等もありますが、併し皆さまがたがおきめになつた航空法には、外資は三分の一までは認めて、三分の一までは日本の自主性を害しないという判断をも下されておるのであります。これは三分の一以内で出て来ますれば、政府は或いはその外資の良し悪し、又そういうものを許していいかどうかということを考えるだけであります。私の念願しておるのはワールド・バンクからの借入を持つて来て、経営を助けてもらいたいということはお答え申上げておきます。
  94. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) もう一つ伺います。この間、外資導入というようなことに多少関連がありますが、日米航空株式会社というのが、日本人とそれから。パン、アメリカンの両方の代表者が主宰者になつて申請が出ておるが、その申請はまだ許可されても却下されてもいないというふうな状態であります。パン、アメリカンは歴史的にいうと、よく資本参加で弱小国の航空事業に参画して、しまいにはその後継者にパン、アメリカンが潜り込むというような例があるので、そういうところは航空に関する限り極めて弱小な日本では余ほど警戒しなければいかんという議論をよく聞くのですが、そういうことについての御見解は如何ですか。
  95. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 出願が出ておるのであります。たくさん出ておるうちの一つであります。これはほかのものと同列において考えてみたいと思つております。パン、アメリカンは今お話のような世評も私ども聞いております。同時に航空法によりますと、三分の一までは外国資本が入つても、日本の自主性を害されないという強い信念の下に航空法ができておりますので、その範囲内で出ておることも事実であります。これは十分研究をして善処いたしたいと思つております。
  96. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) もう一つ先刻の小野さんの御質問に関連するのですが、外航船舶建造のために、今国会で利子補給に関する法制の御意向はあるが、市中からの借入金に対する損失補償に対しては、まだはつきりしておられないように承つたのですが、これは御承知のように、答申案にも相当強く織込んであるようでありますし、又私どもこの委員会とは別に、海運議員連盟は御承知のように超党派的に熱心に造船、海運のことについて検討をしたり、意見を述べたりしておりますが、そこでも是非今年度に一つ法制化してもらいたいというような強い意見がありましたので、今回の国会にいかなければ、この次の二十八年度予算関係はないわけなんですが、次の国会にでも具体的に進めるというような御腹案でもはつきりおありかどうか、その点一つ承わりたいと思います。
  97. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 今度の法律案には出しませんですが、次の議会には必ず出したいと私は思つており、又その通りになると確信いたしております。
  98. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) ほかに御質問がなければ、これを以て散会したいと思いますが、尤も運輸大臣はこれで……、ほかのかたがお見えになつておられますが、どういたしますか。大層遅くなりますから、折角政府委員がお見えになつておりますが、お気の毒ですが、これで散会させて頂きます。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  99. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) それではこれを以て散会いたします。    午後四時三十一分散会