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1952-12-02 第15回国会 参議院 運輸委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十二月二日(火曜日)    午後一時五十五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小泉 秀吉君    理事            高田  寛君            小酒井義男君    委員            植竹 春彦君            仁田 竹一君            一松 政二君            小野  哲君            高木 正夫君            内村 清次君            中村 正雄君            鈴木 清一君   国務大臣    運 輸 大 臣 石井光次郎君   政府委員    大蔵省主計局長 河野 一之君    運輸省鉄道監督    局長      植田 純一君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君   説明員    日本国有鉄道総    裁       長崎惣之助君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○公共企業体等労働関係法第十六条第  二項の規定に基き、国会議決を求  めるの件(内閣送付)   —————————————
  2. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) それではこれより運輸委員会開会いたします。先ず公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会議決を求めるの件を議題といたします。御質疑のおありのかたは御質疑を願います。
  3. 内村清次

    内村清次君 私は運輸大臣にお尋ね申上げますが、昨日の委員会運輸大臣答弁によりまして、今回政府予算的にきめました国鉄裁定問題に対する予算総則総額、又これに対するところ裁定の第二項、第三項、第四項の自由な団体交渉権の確保、又この団体交渉によつて妥結をしました総額に対するところ予算総則との関連性、この関連性から来る国会の手続、又政府態度、これも昨日の委員会におきまして運輸大臣の確答を得たわけであります。  そこで私は最後に昨日質問いたしましたこの問題は年末までにはどうしてもこれは解決すべき問題である、言い換えて申しますると、この特別国会開会中において裁定問題というものは一応妥結をせなくちやならん、結論を付けなくちやならない、国会としてもそうでありまするが、やはり団体交渉が残つておりますからして、労組及び当局においても、この問題を解決せなくちやいかん。この点に対しましては、運輸大臣も年末までに解決をするというような御所見のようであつたと私は考えますが、その点一つ今日の質問の第一点といたしまして再度御質問を申上げておきたいと思います。
  4. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 昨日もその点ちよつと触れてお答えいたしましたが、年末手当の問題その他できるだけ早く両者の間の妥結ができてそうして早くこれが支給ざれることが私としても一番望ましいと思います。もう年末を控えておりますし、先頃から私も成るべく急いでくれということを国鉄当局にも申しておるのはその心持でありまして、いろいろきまりましても支給の算定、いろいろなことがあり、又今から準備しておりましてもなかなか遅れがちになりやすいのでありますので、成るべく早くきまることを期待いたしております。
  5. 内村清次

    内村清次君 運輸大臣気持はよくわかりました。今日まだ総裁も見えておられないようでございますが、誰か国鉄責任者が来ておられることと思います。昨日この団交状態を私は新聞で見たわけですが、団交が又物別れになつた。内容の点につきましては、昨日ここで運輸大臣もその気持を披瀝されましたいわゆる予算総則におけるところの今回の超過額、即ち百六億の枠内において第二項、第三項、第四項の問題を解決しようとするのが当局態度のように見えます。これでは政府自体拘束をしようとする最初考え方がもう態度としてはつきり出まして、そうしてそれを修正せられた運輸大臣気持を把握しない当局団体交渉に対する態度のように私は考えております。そういたしまして組合のほうではこのような当局態度に対しまして今日は坐り込みが始まつておるようでありますが、私たちはいろいろの事態をやはり早く終結しなければいけない、そうしてこの公労法にきまつたような精神で平和的に話が進むのが私は一番希望するところです。運輸大臣といたしましてこれは監督者立場からいたしまして年末を控えて相当輸送問題という問題もこれは重要になつて来るでございましよう。併しながらこういう客観的な情勢のうちから早くこの問題の牧束を図ろうとする御熱意に対しまして、当局がそういう態度を出しておることにつきましてこれは運輸大臣として支持せられておるのかどうか、当局自体がそういうような態度で行つておるのかどうかですね。この点を一つ運輸大臣関與があるのかどうか、この点について明確にして頂きたいと思います。
  6. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 私が只今お答えしたような心持でおるわけであります。私は当局者もその心持を乱して、延ばすようなことは考えていないと思います。
  7. 内村清次

    内村清次君 そうしますと政府のほうでは、昨日の委員会答弁はこれはまあ重要でございまするからしてこの気持でやはり大蔵省関係に対しましても了解が済んでおるのかどうか、こういうような御努力につきまして大臣からその経緯をお伺いいたしたいのであります。
  8. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) ちよつと只今の仰せはどういう……、昨日私がどういうことを言いましたか……。
  9. 内村清次

    内村清次君 ちよつと速記をとめて頂いていいのですが……。
  10. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) どういうこととでしようか。
  11. 内村清次

    内村清次君 昨日自由な団体交渉拘束しない。話だけしてもらいたい。それに超過したところのこの予算額というものは、又これは政府としても自分してはやはり相当深い決意をしなくちやいけない。ですからやはり相当大蔵省あたりにもそういうような努力がなされておるかどうかということです。
  12. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 私が昨日申上げたのはそういうふうな線まで入ていないと思います。それをちよつと、お聞き違いというほどでありませんが、私の言うた趣旨が少し違つておるかもわかりません。それは監督局長からお答え申しましたように、数字はこういうふうになつておるということを申上げ、若しここでまあ予算を増額しなくちやならんというような羽目になつてそしてそこへそれが出て来て、そしてここに又お伺いするというようなことになつて来れば、そごまで行けばその問題としてはまあ了承すると、政府といたしましての現在においては一応今の予算というものを各方面の問題から睨み合してこしらえたのでありますから、この範囲において妥結されることを政府は希望し、冀つておるということで、一つ段階がありますからその意味に私は申上げたつもりであります。それだから若しそういうことになりました場合は、そうだというので今恐らくこれじや足りんだろう、もう少し政府に、大蔵省に話せという段階は私とつておりません。それがちよつと私の説明が足りなかつたものですから……。
  13. 内村清次

    内村清次君 この点は重要な問題でありまして、昨日も中村君もこの点は確認しました。又運輸大臣の再答弁もお願いした。それから又私たち聞いて  おりました者といたしましてもこれは重要だと思いまして、最後には年末に片付く御意思の点についても伺いました。そこで大体運輸大臣気持というものは運輸大臣自身今言われましたような気持であつて、そうしてどうも今日の答弁は昨日一日お休みになつてそうして又少し態度が変つて来たように考えますが、これは一番重要な点でありましてその点は含みとして残される、とにかく円満な妥結をする含みとして残されるという気持があるとすれば、ここで明確にしないでもいいと思いますけれども、併し昨日の確言を取消すとい意味発言としては私は聞きたくないと思いますが、その点はどうでございますか。
  14. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 何でございましようか。
  15. 内村清次

    内村清次君 昨日の確言を取消すというような意味での今日の訂正発言だということには受取りたくない。
  16. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 私は昨日も今日も同じ心持でここに現われておりますが、昨日申上げましたのが或いは説明が足りなかつたから補足の意味におとり願いたいと思います。私の心持は変つていないのでございます。今申上げたようなつもりだつたのですが、言葉が足りなかつたのです。現在のところでは、政府は今の予算を出したのは、その範囲において妥結されることを望んでおることは事実であります。それだから出したのであります。でこれが交渉の手順を経、そうしてどうしてもここで話がつかないでこちらのほうに出て来るということになつたときに、政府がどういう態度をとるかということは次の段階になるというふうに御了承願いたいと思います。そういうふうに私申上げたつもりでございます。
  17. 鈴木清一

    鈴木清一君 私も今内村君が質問しましたような考え方大臣答弁を承わつたわけなんです。非常に大臣何をされたようでありますけれども、その意味では昨日と今日とは幾分考えが違つて答弁なされておると私は解釈するわけなんです。というのは裁定につきまして最初から大臣はいわゆるこれは尊重するということをはづきりしておるわけなんです。尊重するなれば昨日中村君が質問したように、いわゆる団体交渉という項を残して裁定が下つておる限りは、少くとも政府といたしましては団体交渉拘束するような形においてそれも含めた予算総額というものは出し得ないはずなんです。従つて良心的に大臣政府の機関としてそうきめられたにいたしましても、裁定尊重する立場からいうなれば、第二項から第四項までの問題は予算総額を外れて妥結した場合には積極的にそれを支持しなければならん、それは今大臣も支持すると言われておりますけれども、併しながら前提がすでにそう作られておられて政府立場から前提を以て今大臣の言われたような態度だとするなれば裁定尊重するという意思でないということを申上げたいのです。というのは、大臣にお尋ねいたしたいのは、四十万からの従業員を持つ公共企業体の中で、労働者労働価値裏付をするだけの何ら一つ規定がない、設備がないというような企業というものが果して存在していいのか悪いのか、こういう点について先ず第一番にお尋ねしたいのであります。これを先にお伺いしてあとで又質問して行きます。
  18. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 今の公共企業体扱い方につきまして御質問されましたが、我々はそのためには問題が給與問題等について起つた裁定の線を尊重してできるだけそれを実行に移す心持で行かなくちやならんということは私ども考えております。これが一番大事な点だと思うのでありまするが、上げる場合によく説明が出ますように全体の予算と申しまするか、懐勘定の工合、その他の方面との振合いというようなことを考えまして一部それに従、得ないものも出て来る。例えば今度は基本給はそのまま尊重する、併し八月からの実施を一月か二月からにしてもらうというようなところに、多少のと申しまするよりは不満はありまするけれども、これは日本の今の現状からして御辛抱願うよりほか仕方がないと、こういうふうに考えておる次第であります。
  19. 鈴木清一

    鈴木清一君 団体交渉をさせるのに先に枠を作つて団体交渉をさせるということについては、予算上仕方がないからという程度のお考えでそういうことをさしていいかという、この点について従つて私は四十万以上も擁する企業体従事員に対する労働価値について何ら責任者総裁自分の権限においてどうすることもできない、しようといたしましても自己資金を流用する場合も拘束を受ける。そして又今回の裁定を若し履行しようとするにいたしましても、資金の問題は別といたしましてすでに政府から出される意見は、はつきり予算総則の中において団体交渉をすら拘束しておるという、そのような労働行政というものに対して大臣はどうお考えになられるかということを私は聞きたいのです。
  20. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 政府国鉄の問題に対して相当喙を容れるというような形が、その事そのもの公共企業体という性質から来るものじやないかと私は思うのでありますが、そういうことでありまするが、国鉄のようなものをわざわざ国家経営から移して公共企業体にした精神は、だんだんとこれが独立的な気持経営もでき、そしてその創意の現われによつて得た利益というようなもの等が、事業の内容改善と同時に給與改善等にも強く響いて行くようになることが、筋としては私は望ましいことだと思います。又今日の状態におきましては、国有鉄道自身ではどうにもまだやつて行けないような状態もあります。戰時中戰後のいろいろな鉄道に及ぼしました損害の復旧工事のできなかつたというような問題等によつて相当金等も要りますし、なかなか自分自身の力ということではやりにくいのが現状であります。こういう問題も勿論この企業体性質として国家が今強く力を入れておるということが、自然やはりすべての予算の面についても、国家が全体の睨み合せとして考えて行く。国鉄法民間同種企業、同時に公務員との振合いをいつも考えておるようなことが書いてあるそうでありますが、私どもはだんだんとこの企業体そのものとしていろいろ考えて仕事をやつて行けるような線に進ませたいという念願を持つております。
  21. 鈴木清一

    鈴木清一君 はつきり私が承認でき得ないお話なんですが、そういうお考えから生れて来るから別な意味で私は質問が出て来るのですが、それは例えば昨日監督局長お話の中で、老朽施設を修繕するためにも千八百億円くらいが必要だと言われておるのでありますが、千八百億円もかけなければ荒廃した施設か復旧でき得ない、そうしていわゆる三倍以上すでに運輸収入も上ると同時に、すでに輸送量も殖えておるということも発表になつておられる、二倍以上に殖えておるにもかかわらず、六十万の人間から四十万に人的には切下げられておる、そうして又片方では、老朽荒廃した施設が千八百億もかけなければ復旧されないというところを見ますと、その中に働く従事員労働強化というものは非常なものであろうと私は思うのです。それにもかかわらずそうした点に対して何ら考慮は拂わん、拂わないからこそ今回のいわゆる裁定に対しましても、今大臣が言われたように、政・府がすでにそういう拘束を持つた予算総則を出して権威ある裁定すらも踏みにじつているような結果になつているのだと思うのです。その点について大臣は、少くとも従事員に対しましてはつきりした心持の上において、どういうような工合にしてこの難関に対処する気持を持つておられるかをひとこと漏らして頂きたいと思うのでございます。
  22. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) いろいろな老朽施設、荒廃に帰しておるようないろいろな設備等の問題で、これがそこの業務に従事する人たちに大きな負担になつておるということも勿論考えられます。だからこれは何としても人命に被害を及ぼすようなものは、今直接にどこどこが危いということもないでありましようが、自然このままにしておけば、だんだん悪くなつて取返しのつかないような問題を起すという虞れもある。これらはだんだん直して行かなければなりませんし、そのためには今利益が上つておる金等でやつて行けるものではないだろうと私は思うのです。詳細なる数字をここに持合せておりませんが、その意味におきまして是非国家資金を別に投じてもらつて、    〔委員長退席理事小酒井義男委員長席に着く〕 そういうふうな荒廃したところ施設等改善を是非やりたいと、こういうふうに思つております。そうして皆さんに御迷惑をかけないようにいたしたいと思つております。
  23. 鈴木清一

    鈴木清一君 そういたしますると只今大臣国家資金を投じてもそうしたもをの一日も早く復旧するような方面努力したいという御念願のようでありますが、この点我々も同じ考えでありますので、賛意を表するものでありまするが、そうだとするなれば、そうだとお考えになられるなら、私は今まで大臣が言われておる裁定に対する態度に対しては、何と言いますか、余りに政府の案に拘束されてしまつておるので、総裁団体交渉応対してさえ、先ほど内村君が聞いたように、少くともこの予算拘束さしておるけれども、何らかそこには自己資金があるなら自己資金捻出方法考えるとか、或いはこれを政府で示したけれども団体交渉で或る程度つてもというような程度のお心持を持つておられるかということについて、先ほど内村君の答弁に対しては、そうした気持を発露して頂ければと思つていたのだが、何らそういうお気持がないようであります。一昨日監督局長の申しましたことについてでありますけれども団体交渉によつて若しこの予算総則を外れる、上廻るような妥結をした場合、その場合には先ほど年度内において大体解決したいと言われた、大臣は少くとも若しそれを上廻るような、要するに妥結をした場合は、必ず年度内にそれを可決するだけの努力をして頂けるかどうか、その点をはつきり一つお答え願いたい。
  24. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) そういう場合が起りますと、これは仮定であ、りまするからはつきりどうなるかやつて見なければなりませんが、それができたときに、私どもも尤もだと私自身も思い、そして政府にこれを私が主張して然るべきだと思う点があれば政府にも話をして成るべく実現には勿論努めます。けれどもさつ一申しましたように、一応の政府の現在の予算に対する考え方は、これは予算に盛りまして提出をいたしましたように、ほかの振合い等考えましてごのくらいで、このくらいというか、この範囲内で話をしてもらいたいというのが政府の今の意向である、こういうことは御了承願いたいと思います。
  25. 鈴木清一

    鈴木清一君 これは総括的な質問は大体私としても皆さんのも聞きましたので大体にしておきますが、ちよつと資料関係でこれはお願いしたいのですけれども、昨日要求いたしました資料は勿論今日頂くようなお話であつたのですが、その資料に附加えまして今一番問題になつているのは、曾つて終戦処理費で整理しておつたものでありましようけれども駐留軍輸送につきまして、この種の経費が防衛費で今度出ていると解釈して先ずいいわけですね。防衛費から出しておられるわけですな。そうですね。
  26. 植田純一

    政府委員植田純一君) その通りであります。
  27. 鈴木清一

    鈴木清一君 若しその通りであるといたしましたら、防衛費の陸運に関しまするどのくらい出ているかという額と、そして又詳細について例えば貨車を一般の人が使用するる場合の運賃と、それから特に特定されておる運賃との開きがあるようでしたらその点もお知らせ願いたい。この資料をどうかこの次に一つ知らしてもらいたいと思うわけです。これは資料要求としてお願いしておきます。
  28. 植田純一

    政府委員植田純一君) その点資料を整えます。
  29. 内村清次

    内村清次君 先ほどの運輸大臣御所答弁は、今回の裁定に対しては尊重はするが実行はしない、不完全実行をする、こういう態度であるということは明確になりましたのですね。その点は確認してよろしうございますか。
  30. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 第一項、八月からというのを十一月からにしてもらいたいというのが政府の希望及び意見であります。
  31. 内村清次

    内村清次君 その他二項、三項は……。
  32. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 二項、三項、四項は団体交渉によつてというのであります。これは団体交渉に任せるとさつきから申上げておる通りであります。
  33. 内村清次

    内村清次君 その二項、三項、四項もすべて予算額を出して拘束していらつしやる、こういうことは明確でございますね。そうすると一項も二項も三項も四項も、現在の予算では裁定の前文にありまするようなこと、それから又その内容的な裁定に対する政府態度としては不完全実施である。いわゆる裁定尊重すると言いながら、その精神尊重も或いは遵守もしておられないというような態度は、これは明確であると私は考えますが、その通りでございますか。
  34. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 我々のほうの予算を立てまする必要上あそこへ各項に亘つて一応いろいろ出ておりまするが、これはこの前も主計局長からお話がありましたように、全体として融通し得るのでありまするが、その中において妥結されることを私どもは期待しておるということであります。
  35. 内村清次

    内村清次君 そこでこれはもう参議院委員会といたしましても、前二回の裁定取扱つた当時の吉田内閣態度に対しましても、これはもう十分と結論も出した経緯もありまして、その概定に対する程度の是正というものは次第々々に私たちはこの委員会を通し、議決を通じ、国会議決を通じて非常に善処方の傾向にあると認めておりたわけです。ところがたまたまこの裁定にも、勿論私が質問仲裁委員長にもしました通りに、二項以下の問題が団体交渉できめるというような不完全な、私に言わせれば不完全な裁定自体裁定一つ最終判決だと、かように考え得る権威ある裁定を私たちは里んでおつたわけでございまするけれども、それが今申しました不完全な裁定となつて現われたことにつきましても、委員長には私はその不満の点を申しておきましたが、併し先ず裁定は、これはどうしても当事者関係は平和的に解決する一つ基準基準でなくしてこれは議決として尊重されて行つておる。それを内閣のほうでは又再度の第三次裁定に対しましてもそのような態度で臨んでおられるということに対しては、私たちは今後起る事態というものは、これはもうどうしても政府輿任である、こう考えざるを得ないのです。この点に対する運輸大臣答弁一つお願いしたいことが一点。  それから国鉄総裁も見えられましたが、先ほど私が運輸大臣を通じての昨日の団交に対する当局態度は、この点に対して、これでは年末をかけたところ輸送重大期に対する紛争を決して収束させるゆえんのものではない。もう少しなぜ経営責任者は胸襟を開いて積極的に、年末に解決をするということを政府も望んでおり、責任者も望んでおるときに当つてなぜ率直なる団体交渉態度を示して行かないかという点に対しては、これはまあ総裁から一つお願いいたしますが、結論といたしましては、運輸大臣一つよく聞いて頂かなくちやならんことは、この公労法の制定というものが調停委員長も、仲裁委員長も、二段構えの国鉄職員に対する賃金の問題、労働条件の問題、こういう問題に対しては専門的な立場からその責任者は皆内閣総理大臣が任命しておる。そうして専門的な立場から紛争が、罷業権をとられた今日においては平和的な解決方法として処理せよということでやつておるのです。そうしてこれは昨日も申しましたように、二月に紛争の発端がなされて二十七年度におきましては、もう恐らくやがて一年を数えようかとする今日、決定せられたところの八月以後の賃金裁定に対して十一月から先は我慢してくれ、こういうような態度は果してこれは正当なりや否やという点ですね。この点の所感を一つ運輸大臣から……、前一番の問題と最後の問題を一つ聞かせて頂きたい。
  36. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 私は参議院の本会議でありましたか衆議院の本会議でありましたかのお尋ねで、今度の仲裁賃金は、これは政府はどう思うのだ、これは正当と思うかどうかという質問かにお答えいたしましたときに、私はおおむね妥当だと思うという返事をいたしました。私ども国鉄に最も近い関係にありまする私としましては、それだけの面から見ますれば、私どもはあのまま完全実施して八月からでも皆上げたいのであります。けれども日本の国の現在の状況から全体を見まして、片一方には公務員のもこれは六月から実施しようと、こういうことでありましたか、そうでありましたね、というものも十一月にということにきまりました。そういたしまして、我々が考えるそのほかのいろんな收益の面その他をいろいろ、考えますると、残念だけれども辛抱して頂くよりほか振合い上止むを得ん。財源関係公務員との関係というようなことで八月、九月、十月を辛抱して頂いて公務員並みに十一月からということに私どもはきめたわけであります。決してこの裁定を無視すると、裁定をする人たち政府が信頼して選んだ人々だからその人たちの言うことを聞くのは妥当だ。これはその人がたは国鉄のいろんな面から詳細なる御調査を願つてこのくらいは適当だと言つてお出しになつたと思います。その点においては今申上げましたように妥当だという声を挙げたわけでありますが、国の全体はまあ運輸省関係、或いは国鉄だけの面だけで見られない立場もありますので、まあ今度は今申しましたようなことで御辛抱願う。国の力が増し、国の財政が豊かになるということを私どもは期待し、そして一日も早くみんなからこういう要求がなくても上るようになればなお結構だ。裁定があればその裁定をああ結構だと言つて呑めるような情勢にあることが望ましいのでありますが、現在の日本政府の懐勘定上止むを得ないということで従業員諸君も御辛抱願いたいというのが私の今の気持であります。
  37. 内村清次

    内村清次君 これは運輸大臣も就任されて早々ではございますが、併し大臣としても国鉄を利用していらつしやる、或いは又曾つて閣内におられたときにこれと関連したところの所管大臣もしていらつしやる、或いは又運輸問題に対しては決して造詣の浅くあるということはないおかたと信じております。企業体に移行されてからこの独立採算というのが非常に強く打出されて来ておる。その打出された国鉄企業体の方針に従つて各駅、各機関区、各検車区、各工事区、すべての現場機関というものが一体どういうような態度で毎日その従業員のかたがたが一人一人が責任を以て独立採算を遂行して行一くような働きをしておるかどうかとい請うことを一体運輸大臣はよく認識しておられるかどうか。これは山の中の一つの小さい駅でも一つの枠というものをちやんと、これは上のほうから收入の枠、或いは支出の枠、こういう点がちやんと通達されておると、これを収入の面では増大して行こうというようなことで一人々々の従業員のかたがたが全く夜を日についで努力しておる。そういうような心血が流されておつて運輸大臣はどうですか。現在の国鉄全体に集まつたところの収入が一体どうなるか、又やらなくてはならない仕事というものはどのくらいあるか、こういうような点を検討なさつたならば、国鉄の現在の方針に合せたところの財政の自主権というものが築かれておるかどうか、予算はどこで、この自由な、独立採算的な、公共的なものを並行して遂行して行くところの、この国鉄経営が閉ざされておるかどうかということは、これはもう運輸大臣はお知つてであろうと思うのです。これを考えたならば、私たちはそうやつた二カ月間、三カ月間、これだけは辛抱してくれというようなことを運輸大臣がここで言われるということは、どうも納得行きません。これでは余り無慈悲ではありませんか。むしろ裁定自体にさえも不満であるところの他産業と比べて低い基準ベースというものが決定せられたとしたならば、而も法律的にもこの仲裁制度、調停制度を活かして、そうして公共に最も不幸なこの企業が止つてしまうというような、当然これは労働者としては憲法二十八条に認められたところ罷業権、それも取られたところの現在の賃金問題を背景とするところの労働組合の動きに対してあなたがやはりそういう態度で又臨まれるということはどうしても私たちは納得するわけには行きません。そういうような締めくくりの点からも考えましていま少し従業員に労働意欲或いは又独立採算をこれは不自由な枠内でもお互いに一つこれに励みをするような態度に持つて行くという即ち考え方がないかどうか、この点に対します、私は御所見を承わりたいと思います。
  38. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 国鉄企業体をどういうふうに持つて行くかということは、再三お答えいたしました通り、私もだんだんと独立企業体として独立採算の方向に持つて行きたいということを希望しております。希望しておるだけではなくて、そういうようなことを少しでも進めて行きたいというふうに思つております。又十一月の問題が出ましたが、これが私はさつきから申しましたように、ここにはまあ結論を申しましたが、結論に行くまでに十一月にそうしろと言われたからああ結構だと言つて、簡単に私はそこの結論に行かずに、できるだけ何とか考えられないか、といろいろ努力をいたしましたが、目下たびたび申しますような理由で政府は辛抱して十一月からということで御了承をお願いいたしたのぐあります。
  39. 内村清次

    内村清次君 次に大蔵省主計局長の河野君も来ておるのですが、この日本国有鉄道法の三十九条の経理の問題、或いは予算内閣提出、これは責任者を経由、監督者を経由したところ予算額最後の決定権の問題、与ういう問題をめぐりまして国鉄が自主的に経営実態を考え、又施設と併せてそうして公共の福祉を考え予算を立てたところの問題を運輸省内においてこれを監督的、立場から又これを検討する、そうしてそれが大蔵省に行く、いわゆる大蔵省の即ちあの中で、その国鉄自体の公共性、或いは又は経営の実態に対して異常な拘束を與える、三段構えに與えておる、そうして大蔵大臣の認可を得て閣議の決定となつ、て行く、それが又国会の承認となつて行く、こういうような形態の一番難関の点は大蔵省の内部です。河野君あたりに聞きますが、一体河野君たちはこの国鉄にどうやつて公共性を持たしまして、そうして増送ができて増収ができ発展をして行くかということに対するところの政治的な考え、或いは又実質的な考え方に対してこれは本当に検討されておるかどうか、私たちはこの点を大蔵省のこれは事務的な立場からですよ、予算相当つて行く立場かりして、どういう認識を持つて国鉄自体の経営関與しておるかどうか、この点に対して私は伺つて見たいと思う。
  40. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 国鉄予算につきましては内村さん御承知のように他の政府機関と同じように大蔵省で、大蔵大臣において必要な検討を行い、これを一応案を作つて閣議に出すわけであります。国鉄について非常にシビアな査定をいたしているということは実はないのでございまして、全般的ないろいろな国家の各機関の相互の関係、国民の負担といつたようなものを総合的に勘案いたしまして適当な合理的な予算を作つておるつもりでございます。勿論公共企業体でございまするので、一般の私企業とは違いましているくな政府及び国会の統制にかかることはこれは当然でございまして国鉄当局として、現在の荒廃している施設その他の見地からいろいろな御要請のあることもよく存じておるのでありますが、これも畢竟するところの、国家資金というものをどういうふうに配分するかというような点でなかなか御満足の行くように行かないということは御了承お願いいたしたいのであります。これは何も国鉄に限つたことでなしに、こういつた機関一般につきまして建設維持についてもなかなか十分に行かないという点は率直に認めざるを得ないと考えておりますが、今後においてはそういつた点につきましてもできるだけの努力を、過去にも拂つてつたのでありますが、今後においてもできるだけそういつた点について努力をいたす考えでございます。
  41. 内村清次

    内村清次君 今の御答弁の中にどうも私たちはまだ納得行きますんよ。それは只今の御説明では国民の負担を軽減したい、或いは私企業でないというような発言をなされておるが、国民の負担をするようなことに対して、一体大蔵省が終戦以来どれくらいの金を、これはただやつたことはないでしよう、恐らく貸付の問題でございましようが、どれくらいの金を貸付けておりますか。運用部資金からどれくらいの金を貸付けておりますか。戦前におきましては国鉄は特別会計のその増收の分からして一般会計のほうに繰入れておる、これは相当額ありますよ。今の金の価値にしたならば恐らく三千億くらいの金にはなつておるはずです。そうやつた考え方であなたがたが国鉄企業の実態を知らずして、予算的に大事なこの生産の原動力を握つておるところ賃金問題をも、法律の精神を外して査定をしようとする考え方、又企業の全般に対するところ予算の計画に対して査定を圧縮して行こうという考え方、これは私はもう全く何と申しますか、素人の、国鉄自体の公共性を無規した態度であると私は思いますがね。そういうような精神が一貫して流れておる。他省関係であつたならばこれは皆国の税金を使うでしよう、又国民に使うと私は言いたくない、還元をすべき問題である、その還元すらもこれは公平な還元をしていらつしやらない問題はたくさんありますよ。他省関係については恐らく不生産的なそういう国家予算を呑んでおるところの各省の予算計画と、国鉄自体の予算計画と同一現してもらつてはこれは大きな根本的な誤りがありはせんかと私は思う、河野君はどうですか。
  42. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 国鉄予算は国民の一般の税金でやる会計と違いまして、自主自弁でありますし、その会計統制においても大分違つておることは却つて内村さんよく御存じの通り過去の国の会計であつた時分には繰入金その他で益金を取つたこともございますが、そういうことはむしろ非常に少くて大体或る程度益金はそのまま還元して建設のほうに廻しておつた、終戦二、三年の間は却つて国民の一般会計のほうから経営の赤字を貸付けておつたこともあることは御承知の通りであります。ごういつた貸付金は公社発足の際に相殺をいたしておるわけであります。国鉄が公社組織になりまして二十四年から今年までに、預金部の資金で建設費四百五十億円を出しております。今年の補正予算を含めまして、そのほかに見返資金から四十億やつておるので、結局四百九十億という建設一資金を国の広い意味における財政資金で出しておるわけであります。この額が多いか少いかというこれは勿論多いに越したことはないのでありますが、国家資金全体の配分という見地からその程度の額にならざるを得なかつた次第であります。これは国鉄は自主自弁であると同時に利用者の負担においてやるべき点も相当ございますが、又一方におきまして国鉄は殆んど国民の全部が利用するという点からしてその負担も又考えて、運賃その他についても公共的立場考えなければならん、そういつた点に公的な統制があることは止むを得ないことであろうと私は考えております。
  43. 内村清次

    内村清次君 私はここで、予算関係は別な機会でもありますし、今回は予算委員会でも分科会を設けておりまするから大蔵省関係の問題につきましては、国鉄予算を中心として論議をいたして行きます。併しながらただ一つ申したいことは、いわゆるその戦災をされたところのこの国鉄施設関係が致命的な発展に非常な打撃を持つたということはこれは御承知の通りです。そうして見まするとこれは公平な見地から国民の鉄道だと考えたならば、やはりこの復興に対して国家といたしては国有鉄道なるが故にその資金関係は十分に援助をしてそうしてこの経済の動脈を復興さするところの義務があるんですよ。そういう点はやはり各他産業の復興助成の政策とマッチしてそれ以上に優先してやらなくちやならん。これは国家的な義務があるのです。それもなすつておられん。又同時にやはり手を拡げて独立採算を獲得して行こうというような公共企業体に対してはやはり資金関係におきましても現在の金融制度と睨み合して、その拡張すべきところの増送計画に対するこれは内部的な問題、或いは直接国民と接触する問題、こういう問題に対しての資金の貸付というものはやはりこれも優先的に考えてやらなくちやならない義務があるのです。そういうようなことを、基本的な問題をなおざりにして而もその中の人的な問題、これに働いてこの企業を拡張して行こうとするような人的な問題はこれは一日としてゆるがせにすることができない危險作業である。重労働作業である、こういうような、一刻でも止まつてはならないような、こういう面に働いているところ従業員に対するところ労働条件や或いは給與の問題というものは、これも又国家立場からして大蔵省はやはり優先的に考えなくちやならない。その上にこの法律で決定したところ仲裁制度、或いはその段階にあるところの調停制度というものは、これは如何なる内閣といえども、この裁定自体をこれを尊重しないならば、調停委員会も権威がなくなつてしまうでありましよう。だからしてだんだんと調停委員にもなりたがらないような空気になつて来ている。仲裁委員会もそれ以上に権威付けなければならない。それにも辞任をしようというような考え方を持つたかたがたもある。こういうようなことで、一つ一つの制度そのもの内閣の冷酷な能一度で踏み潰されて済むならば、何のそこに民主的な制度というものがあるか。これは挙げて政府がこれはもう自分の責任において社会不安を醸成しておる、各企業、各産業の発達を阻害していると私たちは極言してもこれはもう憚からない問題じやなかろうかと思うのです。それに、今回なられた運輸大臣がこの点を一つ把握されて、なぜ閣内にいてもう少し努力して行かれなかつたか。この委員会は先がけしてこの予算州に対して決議をして出しておる。あなたの熱意が反映して、そうして裁定だけはお互いに一つこれは完全にやつて行こうじやないか、第四次の内閣は生れ代つてつて行こうじやないかというようなことで臨んで来られなかつたか、こう言いたい。それを先ほどお話を聞きますると、昨日の委員会で大体まあ今後の仲裁制度の、私たち不満を解消するように、主的に団体交渉というものが今後持たれて行くというような嬉しい立場になつて来ておる矢先において今日の委員会ではやはり百六億の枠内において成るたせ妥結するようにというような特別な言葉を聞くとか、或いは昨日の団交では、総裁のほうでは百六億で一つ団体交渉をやろうじやないか、こういうようなことの態度つたとすれば、年末を控えて労働階級が相当逼迫して来るというようなことで、国民に迷惑をかけることは、挙げてこれは政府の即ち態度によつて政府の責任によつてなされておるのであると私たちはもう言わざるを得ないのです。この点に対しまして運輸大臣はどうですか、この解決をするところの方途といたしましては、何か特別にお考えになつておる点があるかどうか。
  44. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) さつきからもいろいろお尋ねがありましたのに答えたので、その中に含まれていると思いますが、私はどういうふうな方法解決するかということは、裁定にきめてありますので、国鉄当局と労組との間に心を打ち割つてお話合いができて行くことを求め、そうしてそれが成るべく早く妥結されることを期待しておるということであります。
  45. 内村清次

    内村清次君 それでは国鉄総裁のどうも昨日の当局態度というものは感心しません。ここで総裁のもよくお話を聞いていらつしやつた総裁団交態度というものは、あれではやはり私は坐り込みをもせざるを得ないような状況になりはせんかと思うのですがな。どうですか、もう少し肚を打ち割つて団体交渉にお互いの線というものがわかつておりますならば、その線に到達するようになぜ話を展開させてもらえないでしようか。そういうことは国会議決を待つての勝負をしようと考えておられるかどうか、これはやはり自主的な方法一つ早く解決をされるような、肚を割つた、今運輸大臣の言われる肚を割つた団体交渉の促進を希望して止まないのですが、総裁のお考えとしてはどうお考えになりますか。
  46. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 只今内村さんからお叱りを受けたのですが、私は肚を割つてとか肚を割らんとか、打ちとけてとか、そんなことでなしに、終始そういうつもりでおりますが、私のとりました態度が悪かつたとしますれば、私はここで謝ります。そんなつもりは毛頭ございません。併し、御承知のように、予算というものによつて我我は縛られております。ですから、この予算なり、只今ここで問題になつておりまする案件がきまらん限りにおいては、それははつきりしたことは申されません。併し内訳はいろいろと又お話合いをするという機会を持つことは十分できると思います。
  47. 鈴木清一

    鈴木清一君 総裁予算で縛られておるのでと言われたようでありますけれども、併し百六億の予算で抑えられて、昨日例えば団体交渉の中で大臣も言われておるのですが、若し予算総則を割るような調停ができ得たとすれば、それは政府としても考慮しなければならんのだということを言われておるわけです。そういたしますると、総裁予算で抑えられておるから、どうしてもその中でやらなければならんのだ、団体交渉が持てないのだとするなれば、総裁という地位でただやつておるだけであつて、私は運輸大臣交渉したと同じことになつてしまうと思う。従つて企業体責任者といたしましては、例えば政府予算総則拘束されたにいたしましても、あなたがいつも披瀝しておられる従事員に対しまする厚い考え方から行くなれば、そうした枠の外に出た場合でも、これは或る程度考えなければならない。国会がどう承認するかは別にいたしましても、十六条の二項は残つておるのでありますから、そういう機会を利用してまでも或る程度は他官庁とは違うのだというふうにお考えになつて団体交渉をするということはでき得ないか。これは非常にきつい質問ではありまするけれども、でき得ましたならばそういう点につきまして少しはそういうお心持を持つて団体交渉に当られれば私はいいじやないか。
  48. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) そういう点につきましては、実は衆議院におきましても、問い詰めて参られたかたもございます。併し、要するに団体交渉というものはこれからやつてみなくちやわからん問題でございまして、それを前提にして越えるか越えないか、そういう仮定の問題に対しまして、私はここ一の公開の席上でお答えするわけには参らないのであります。
  49. 小酒井義男

    理事小酒井義男君) ちよつと速記を止めて。    〔速記中止〕
  50. 小酒井義男

    理事小酒井義男君) 速記を始めて。
  51. 鈴木清一

    鈴木清一君 運輸大臣にお尋ねいたしますが、これは総裁のほうにからんでのお話なつたのですが、先ほどから運輸大臣は、例えばとつくに裁定は出ておるのに非常に遅れたということを言われておつた。その理由は五日間の問題を理由にされておるようでありまするが、その理由は別にして、昨日来いわゆる他の官庁との振合いということを非常に重点にされておるということを言われておつた。私はそこでお尋ねいたしたいのは、他の官庁との振合いをという一つ考え方は、少くとも国鉄従事員のいわゆる労働過重になつておられる状態、そうしたことも他の官庁の諸君も同様にあるのだから、いわゆる他の官庁の諸君も、国鉄の諸君と同様労働過重をしておるというような観点に立たれて他の振合いということを重点にお考えになられたかどうかということだけお尋ねいたしたいと思います。
  52. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 私が今申しましたのはほかの公務員の給與との対照上の関係だけ申上げたのでありますが、働きの内容等についてここがどうあそこがどうという点だとこれは大変ないろいろむずかしい議論になるかもわかりません。我々の関係します国鉄従業員の場合いつでも公務員と、それから同種民間の企業という両方の面を睨みながら行くということが建前になつておるようでございます。給與の改訂に当りまして公務員の問題がそこに強く出て来たという意味でございます。
  53. 鈴木清一

    鈴木清一君 そういたしますると運輸行政についての報告等の中にたびたびございました、先ほども私申上げましたようにいわゆるその老朽荒廃した施設の中でよりよく旅客にサービスとしての輸送をしておる、而もその量ははつきり当局からの言明でも三、四倍に最近上つておると、こういうことを言われておる。そういたしますると、従事員曾つてより減つておるのにかかわらず輸送量はそれだけ上つておる。輸送量が上つておるということは従事員がそれだけ余計働いておるということだと思うのでありますが、そういうような点が他官庁に果してあるのかないのか、ないのだとするなれば他官庁との振合いということについてはただこれは従事員ということから出発するのでなくして政府責任者としてただ運輸大臣という立場だけで、政府の閣僚という立場だけで予算振合い、先日ほど大蔵省主計局長が言つたように、ただ単なる予算振合いということだけしか考えておられなかつたというふうにしか解釈しないのでありますが、私はそういう解釈をすることは六臣に対して誠に相済まんと思いますので、少くともこういう点についてはどういうお考えであつたかということについてちよつとお尋ねをいたしたいと思います。
  54. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 国鉄従業員の数、仕事の分量等の問題は裁定の中にもいろいろ語われておるところであります。国鉄従業員諸君が熱意ある行動をしておるということに対して私何らの疑いを持ちません。同時に今度の裁定の問題ですが、さつきから申しますように、我々運輸行政に携わる者の立場から考えますると、裁定後は是非このまま見たいという心持を持つて臨んだのでありますが、さつき大蔵当局お話もありましたように、全体のいろんな睨み合せもありまするし、まあ一番手近なところでは今申上げましたように公務員の問題などもあるのぐあります。今までのほかの公務員がそれじや皆暇かというとそこにもやはりいろいろ探し出せばいろいろな立場の人があると思います。これはどこがどう忙しい、どこがどう暇だということは私は言えないと思う。きめられた時間のうち一生懸命皆やつておることは同じことだと私は思うております。で、その意味からしていろいろな国の財源等も睨み合せ公務員との振合いを見てきめたのでありまして、私の心持の上において国鉄従業員の働きを無視するという気持はなく、絶えずそれには感謝の気持を持つております。
  55. 鈴木清一

    鈴木清一君 いま一つ質問したいのは、これは私が質問することは非常に聞かれるかたは奇異に感ぜられるかも知れませんが、例えば予算総額の中ですべてが若し解決するど仮定いたします、そうした場合には、政府が十一月からということの実施期日を明記しておりまするけれども、これが若し裁定尊重して八月に繰延べても予算総額に若し変更がないというようなことがあり得るとしたなれば、その点については八月実施といういわゆる裁定尊重する意味において、八月実施ということについては考慮が抑えるかどうか、この点運輸大臣はどうお考えになりますか。    〔理事小酒井義男君退席、委員長着席〕
  56. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 今度出ております予算総額は、八月から第一項を実施せずして、十一月からということで先ず第一に決定案を出し、その二項、三項、四項についても、これはおよそ予算をきめたということに問題はいろいろ言われますが、各項目についてそれぞれ支給のできるように確保したいというので予算が組まれておるのでありますから、政府といたしましてはどの項にも片寄らないで、まあ或いはそう言いますとどの項にも不満足だということを言われるかも知れませんが、すべての項目がその話合いによつて解決ができるということだけ申上げておきます。
  57. 内村清次

    内村清次君 一点だけ…。先ほど運輸大臣は、十一月からだと。そうすると八月からが裁定の決定である。そうしますると、三カ月間この総額というものは一体運輸大臣は幾らであると御承知でございますか、その総額の金額は。私はわかつていますがね。それなら三十主億六千万円ですね、そうすると四十四万の従業員に一人平均にやるとしても七百五十円です。
  58. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) そんなことはないですよ。千円台の間違いですよ、
  59. 内村清次

    内村清次君 総額ですね。三十二億……。事務当局から一つ……。三十二億六千万円ということは、これはもう正確ですな。これだけが、政府は思い切りができないかと私は思うのです。三十二億六千万円、これは一踏張り踏張ればこれぐらいの増送はできますでしよう。一考えすればこれぐらいの問題は解決するでしよう。それで法律の建前を破つて行こうというようなことは私はどうかと思うのです。大臣一つそれだけは認誠して頂きたいと思います。
  60. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) それは承知しております。
  61. 内村清次

    内村清次君 これだけ申上げておきます。総裁は先ほど言われたように、この裁定はもうとにかく自分実行するのだ、予算だけ一つ組んでもらいたいという態度ですから、これを一つやつばり崩さないように一つ努力して頂きたいと思いますね。そして私が先ほど申しましたように、やつばり年末のことでもありますから、早く従業員の懐の中に入ることの日にちの一日も早くからんことを希望して、そうしてその態度団体交渉もやつて頂くが、政府に対する、又大蔵省に対する働きかけをやつて頂きたい。まあこれよりもうほかないです。あなたの言明ははつきり信用しますからですね、この点を……。それがどうも実際の場合になつて来ると変らないようにやつて頂きたい。
  62. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 一つお願い申上げたいと思います。年末を控えまして、ベースアップの問題、引つくるめて申しまして裁定の問題、これが一日も早くきまりまして、私どもも、又私どもところ従業員諸君も安心して頂きたいという念慮においては、私は決して人後に落ちんつもりであります。ただ心配なのは予算がいつきまるのか、殊に運賃法がいつきまるのかというよろな点でございます。随分お忙しい国会のことでございましようと存じますが、できるだけ早く私どもも勉強をいたしますけれども、そういう見極めをつけて頂けるように、是非この際私どものほうからお願いしておきます。
  63. 小酒井義男

    小酒井義男君 総裁にお尋ねしたいのですが、裁定が出されてから補正予算が組まれるまでの間に、裁定実施をする上において、必要な予算額大蔵省に対して要求する努力というようなことに対して、どういうことをやられておるか。国鉄としておやりになつておるのかどうか。こういろ点です。
  64. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) それはもう裁定第一項につきましては、これは明白でございますから、あの通りの要求をいたしております。第二項、三項につきましても、当時出ておりました人事院の公務員に対する勧告等を参酌いたしまして、これに所要な額を要求いたした次第でございます。たまたま国会の解散その他のことがございまして、なかなか予算の審議が進みませんでした。そのうちに国会のほうが召集になり、内閣もできまして、その間は非常に短時日であつたのですから、私どもの用意の足らんところもあつたと存じますけれども政府の方針が順次定められまして、非常な差迫つた時期に国会に出されたということにつきましては、私は総裁といたしましても非常に遺憾に存じますが、これは併しながら当時の時勢の趣くところでございまして、人力を以て如何ともすべからざるものではないかと思つている次第でございます。
  65. 小酒井義男

    小酒井義男君 それでは少し細かい点になるのですが、裁定の一項に関しては、それは筋がはつきりすると思うのです。一項以外の団体交渉を要する問題に対する予算というものは、どのくらいになるという想定で折衝を要求しておられますのか、その数字一つ説明願いたいと思います。
  66. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 数字も無論ないわけじやない。あるのでございますけれども、併しそれはいわゆる何と申しますか、要求でございますので、極めて仮定的なものでありまして、この席で私は申述べるわけにほ参りません。
  67. 鈴木清一

    鈴木清一君 毎度のことでありまするので、総裁も私はむしろ気にしておられることじやないかと思いますが、こういう賃金問題の解決がいつも運賃値上げということになつてしまうのであります。この運賃値上げについての責任については、いわゆるむしろどつちかといえば、政府がやつて、責任を負わされて非難を受けるのは国鉄なんであります。私はこれを今後も仲裁委員会というものが存続する限り、これをむしろ運賃値上げが裁定仲裁委員会に追随して行くような形で共にある限りは、残るよろな気がしてならない。こういう意味におきましては、私は少くとも仲裁裁定という機関に対しまするお考えを変えて頂きたいということと、いま一つお願いしたいのは四十万からの職員を持つていて、それに対しまする労働者の労働管理について、いわゆる政府拘束も受けなければならないというような企業であれば、私はもう脱皮しなければいけない。而も脱皮するためには、勿論国会ということを言われるでありましようけれども、それよりもむしろ国鉄首脳部の人たちが、私はこういう問題が起きているときにこそ、組合員と一緒になつて勇気を出して、一つここを脱皮する闘争を一緒にやつてもらいたい。そのくらいにし一なければ、いつまでたつてもこの問題は私は解決して行かないのじやないか。それと同時に又そういうお心構えを持たないようでは、私はやはりこの問題が裁定が出されて我々がこれを国会において審議するときにおいて、総裁はこれに基いて十分私も是非予算ができればやりたいと思つていますという、こういう言葉を一つつて頂ければ、あなたの責任は消えてしまうのです。実際の問題として我々としては追及のしようがない、聞きようもない。結局政府に聞かなければならない。そういう重大な問題のときに、総裁の地位というものが、そのようなあり方であつては非常に私は困ると思うのです。組合と団体交渉をしようとしても、一つ拘束を受けておつて、あなたの自主的なるところの、国鉄首脳部の自主的なるところ団交ということができない。それでいわゆる事業自身に対するところ企業権は責任を持たされ、従業員労働価値に対しまするところの行政管理は、あなたが責任を負わなければならない。そのような状態について、国鉄首脳部の人たちがこういうことを今後繰返すことを避ける意味においても、私は今回の裁定については、先ほどからあなたの言われているように、本当に国鉄のために、又従事員のためにとお考えになられるなら、私は団体交渉を、或る程度の殻を破つてまでの団体交渉をしても従事員のいわゆる味方となつてやる。聞くところによりますると、先ほど内村君のお話のように、百六億という額にとらわれちやつて、それだけをただ振りかざして団体交渉していなければならんというような状態なんである。そうかといつてそれでは労働組合は公企業体である限りにおいては、やはり一つ団体交渉拘束を受けて、直接の責任を、いわゆる直接より以上強い責任を持つている政府と直接交渉をすることができない。こういうような状態では、私はいつまでたつてもこの国鉄の労働問題というものは解決するものじやないと思う。そういう意味においても、今回の団体交渉において、そういう枠に閉じ込められているので止むを得ない、こういうことでなく、もう少し自己資金内容の中でも、幾分でも話が、少しでもどこかに見えるような点がありましたら、勿論公開ではできなくても、何らかの方法でお示し願いたいと思うのです。自己資金は全然ふるつても出せないのですか、そんな問題を……。
  68. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 鈴木先生はどういうふうに予算を御覧になつておられるか存じませんが、今年は全くの赤字で、三十億の借金をしなくちやならない予算でございます。而も今日の状態におきましては私はこれはここで申上げないほうがいいかと思いますけれども只今炭労ストで石炭がございません。だんだん列車を減らして行かなければならんという状態でございます。何の増送である。私は涙を呑んで我慢をしておるのです。そういうことを私に言わせたいのですか。
  69. 鈴木清一

    鈴木清一君 よく労働運動の中で今まで政治闘争云々の問題が論議されたことがありますけれども、このような公企業体のいわゆる賃金に対する扱いで行くなればおのずからこれが政治闘争化しなければならない結果になつて行くのでありまするけれども、こうした点について我々の考えておる、いわゆる観念的かも知れませんが、政治剛争なさざれば解決しないという、この悲哀は労働者自身が感じておるかと思うのでありますけれども経営者としまして総裁どういうふうにお考えになりますか。
  70. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 経営者と申しましても私どもは実にか弱いものでありまして、従業員諸君が働かなければ汽車は絶対に動きません。そういう意味合いにおきまして決して私は労働者諸君と喧嘩をして、睨み合つて行こうと、それがいいのだというようなことを考えておりません。できるだけ円満に気持を合して行くという方向に持つて行きたい。それにつきましてはむしろ只今お話の法律の拘束、或いは政府拘束、或いは国会拘束というようなものは邪魔になつておることもあるでありましようが、同時にこれを野放図に放して、こんな大きな企業国会の監督もなく、政府の監督もなく全くの私企業と同じということも私は如何かと存ずるのであります。
  71. 鈴木清一

    鈴木清一君 先ほどの質問総裁は大分お怒りのようですが、私の言葉電気に障つたかも知れませんが、先だ私の自己資金の言葉の使い分けは、例えば、これは資料を要求しておるのですが、駐留軍に対する輸送状況の予算の出し方そうしたことが明らかにされておりません。そうしたことも示して頂きたい。そうして又例えば簡單な例でありますが、新線計画を非常に出されている、新線計画の予算も今回見積つて来ておるが、勿論建設公債ということもあり得るでしようが、併しそれを外れて現金予算というものがそれに導入されておる。而もそれが完成されたといたしましても減価償却で上つて来る時期は十年とか二十年とか先でなければならん。勿論国鉄の公共性から行きましてもそうした国家的の便益を與える意味においての新線計画も必要でしよう。けれども私はこのような状態の中で殊更にそうしたものをやらなくてもいいではないか。端的な言葉でありますけれども、そうしたことについても或る程度、私は考慮を拂うべきじやないか、すぐ資金が上つて来ないで、他から借りようとしても貸してくれない、そのためにいわゆる国鉄の運営というものに支障を来たす、一日止まれば二、三十億の欠損はすぐ出てしまう。止まるという言葉は余り極端でありますけれども、そういうようなことがあり得るとしたならば……かような事態になつておるにもかかわらずやはり使命を果す意味において新線計画をしなければならない。せめてこのくらいの額は国家が保障をしても私は差支えないのではないか、それくらいのことはでき得ないかと言いたくなるわけであります。非常に個人的な意見になりますけれども、少くともそうした点も新線計画等につきましてもそういう点を私は考えるべきじやないか。勿論これは運輸審議会の人たちに苦言になると思いますが、そうした点も考慮しなければならん、そういう点を含んだり、又不良個所の問題、拂下げの問題等につきましてもでき得る限り範囲はつきりして数字として示して頂けば私どももそれを検討した上で又意見が変るかも知れませんが、考えが又あると思います。そうした資料を出されておらない。これだけの重要な問題になつておるにかかわらず残念ながらただここにずつと出ておるだけなのでありますが、こうした点も一つ考え願いたい。私の申しました自己資金問題等につきましてはそうした見解、見方も含んでおるという点だけを御了解願います。数字質問もしたいと思いますけれども資料をお願いしておりますので、それをもらいましてから次回に質問いたします。
  72. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) ほかに御質問ございませんか。
  73. 小酒井義男

    小酒井義男君 昨日も今日も資料の一要求を出しておるのですから早急に資料を出してもらつて、その上で質疑を続けることにして今日はこのくらいで終つたらどうかと思います。一
  74. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) 今日はこのくらいということですが、他に御質疑ありませんか。
  75. 内村清次

    内村清次君 大蔵大臣をやはり運輸委員会に一遍呼んでもらいたいと思います。
  76. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) 実は昨日大蔵大臣並びに労働大臣の御要求がありましたので委員部を通じて厳重に出席を要求しておきましたけども、大蔵大臣は閣議並びに予算委員会その他の仕事の都合上どうしても出られないということであつて、愛知政務次官が出ることになつておりましたが、これ又やはり予算関係したことでどうしても出られないということで主計局長がお見えになりました。労働大臣のほうは閣議でどうしても時間的に出られる余地がないというような話でありました。そういうことですから、労働大臣並びに大蔵大臣に十分連絡をとつて次回に出席してもらうようにいたしたいと思います。今日のところはこういうことで御辛抱願います。ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  77. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) 速記を始めて。それじや本日はこれを以て終了いたします。    午後三時三十一分散会