運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1952-11-11 第15回国会 参議院 運輸・労働連合委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年十一月十一日(火曜日)    午後四時二十六分開会   —————————————  委員氏名   運輸委員    委員長     小泉 秀吉君    理事      岡田 信次君    理事      高田  寛君    理事      小酒井義男君            入交 太藏君            植竹 春彦君            仁田 竹一君            一松 政二君            小野  哲君            高木 正夫君            内村 清次君            中村 正雄君           前之園喜一郎君           深川榮左エ門君            鈴木 清一君   労働委員    委員長     吉田 法晴君    理事      安井  謙君    理事      波多野林一君    理事      村尾 重雄君            上原 正吉君            大屋 晋三君            九鬼紋十郎君            野田 卯一君            高橋龍太郎君            早川 愼一君            重盛 壽治君            片岡 文重君            櫻内 辰郎君            堀木 鎌三君            堀  眞琴君   —————————————  出席者は左の通り。   運輸委員    委員長     小泉 秀吉君    理事            岡田 信次君            高田  寛君            小酒井義男君    委員            仁田 竹一君            一松 政二君            内村 清次君            中村 正雄君            鈴木 清一君   労働委員    委員長     吉田 法晴君    理事            安井  謙君            村尾 重雄君    委員            上原 正吉君            野田 卯一君            早川 愼一君            片岡 文重君            堀木 鎌三君   国務大臣    運 輸 大 臣 石井光次郎君    労 働 大 臣 戸塚九一郎君   政府委員    労働省労政局長 賀来才二郎君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君    常任委員会専門    員       田倉 八郎君    常任委員会専門    員       磯部  巖君   説明員    日本国有鉄道総    裁       長崎惣之助君   参考人    公共企業体仲裁    委員会委員長  今井 一男君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○公共企業体等労働関係法第十六条第  二項の規定に基き、国会議決を求  めるの件(内閣送付)   —————————————    〔小泉秀吉委員長席に着く〕
  2. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) これより労働運輸連合委員会開会いたします。  前例によりまして、私運輸委員長でありますが、連合委員会委員長の職をつとめさして頂きましから、御了承願います。  先ず公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会議決を求めるの件を議題といたします。先ず政府より提案理由の御説明をお願いいたします。
  3. 石井光次郎

    国務大臣石井光次郎君) 只今から昭和二十七年八月十三日に、公共企業体等仲裁委員会が、国鉄職員昭和二十七年度賃金改訂に関する紛争について下しました裁定国会に上程いたし、御審議願う次第につきまして、御説明申上げます。  本年二月十九日に国鉄労働組合は、昭和二十七年度賃金改訂及び増額の要求国有鉄道に対し提出いたしまして、両当事者におきまして団体交渉を重ねましたが、三月十三日、国有鉄道がこれを拒否いたしましたので、三月二十九日、組合国有鉄道中央調停委員会に対し調停申請をいたした次第でございます。同委員会はあたかも委員選任期に当つておりまして、委員を欠いたまま、調停期間の二カ月を経過いたしましたので、討議の結果全員一致の決議を以ちまして、五月三十日、公共企業体仲裁委員会仲裁請求を行なつたのであります。  よつて仲裁委員会は、審議の結果八月十三日、これから御審議を頂きます仲裁裁定第八号を下した次第でございます。  政府といたしましては、これが具体的措置につきまして只今詳細検討中でございますが、事由書に申述べてございますように、右裁定の第一項の実施及びこれに関連いたします経費のみにても本年度約百十億円、平年度約百七十八億円を必要とし、第二項乃至第四項については団体交渉によることとなつておりますので、これが所要金額につきましては明らかではありませんが、裁定理由趣旨に従えば、更に相当の追加経費を要することと相成ります。これらの追加経費はいずれも昭和二十七年度予算に含まれておらず、特に給与総額につきましては、予算総則第十三条の金額を超過することは明らかでありますので、公共企業体等労働関係法第十六条所定の手続を以ちまして、裁定国会に上程いたし、御審議を願う次第であります。何とぞ慎重御審議の上、国会の御意思の表明を願いたいと存ずる次第であります。
  4. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) それでは、労働大臣から続いて御所見を伺います。
  5. 戸塚九一郎

    国務大臣戸塚九一郎君) 日本国有鉄道職員給与引上に関しまする仲裁委員会の行なつた裁定は、只今運輸大臣からお話がありましたように、八月十三日になされたものであります。第十四国会開会後間もなく解散になりましたために、この国会において御審議をお願いした次第でございます。このことは申すまでもなく、日本国有鉄道既定予算ではこれが実施不可能であることに基くものでございます。そしてこれが実施のために必要な財務上の問題につきましては、目下運輸大蔵当局を中心にして検討中でございますが、私といたしましては、公労法の精神に基きまして、仲裁裁定は極力これを尊重すべきものであると考えて、その線に沿つて、いい結果を望ましいと考えております。
  6. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) それでは、順序として仲裁委員会委員長からこの経過を伺いたいと思つておりましたが、まだお見えになりませんから、国鉄総裁に一応決定になつた国鉄側経過並びに御意見を伺いたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) 御異議ないと認めます。ではどうぞ。
  8. 長崎惣之助

    説明員長崎惣之助君) 仲裁裁定精神は皆さんすでに御承知通りでありまして、団体交渉成らずして、遺憾ながら仲裁裁定に相成つたのでありますが、一旦八月十三日に裁定が下りました。私どもといたしましては、これに飽くまで従うという本旨を以ちまして、いろいろ折衝を重ねて極力努力いたしておりますが、未だ折衝中であります。進行状態ができるだけ早い時期に、而も我々の希望しておる、否、希望ではない、やらなければならない裁定本旨を貫くというつもりであらゆる努力を今いたしておるような次第であります。
  9. 内村清次

    内村清次君 そうしますと、仲裁委員長もまだおいでにならない前に、質問にかかつていいのですか。
  10. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) 大体一応御説明を聞いた程度に……というつもりで最初始めましたけれども、今のような御意見もあれば、暫らく速記をとめて御懇談いたしましようか。ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  11. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) それでは速記を始めて下さい。  次に、本件に関する国鉄裁定経過につきまして。参考人として仲裁委員会委員長今井一男君より説明を聴取したいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) 御異議ないと認めます。どうぞ。
  13. 今井一男

    参考人今井一男君) 遅れまして、申訳ありません。どういう趣旨のことを申上げたらよろしいのか、却つて質問を伺つたほうがいいのじやないかという気がするのですが、私、これまでこういつた委員会へ出ました過去の経験で多分……という想像の下に極く概要を申上げます。  今回の国鉄裁定は不幸にいたしまして、調停段階が全部排除されまして、止むを得ない事情でございましたが、いきなり実質的に仲裁委で取上げざるを得なかつた経過に相成つております。その要点につきましては、今回の裁定は必ず国会の御厄介になることが明瞭でありましたので、私ども特に経理関係につきましては、裁定書の中に相当詳細に書いておきました。それを御覧頂けば大体御了解願えると思うのでありますが、そのうちの特に私どもが重点と感じました点を二、三申上げまして、御参考にいたしたいと思います。  私どもは、裁定に当りまして、常にこれは一つの企業における賃金紛争の解決であると、こういう立場とつております。即ち一国の賃金政策を論ずるというような場ではないと、ただ両当事者が話合いがつかないで、そこに問題の残つておる部分についてだけ第三者として意見を示すという考え方であります。従いまして、両当事者意思が合致しましておる部分につきましては、我々個人的に考えましたならば、それが賃金の本則から考えて面白くないと考えられるような場合が仮にありましても、そういつたことには我我としては触れるべきではない、こういう考え方であります。同時にこういつたことは最も大きくその企業経理能力によりましてその企業賃金が支配されるという、そういうことにも相成つて参ります。第一国鉄裁定以来、国鉄賃金は我々が普通に考えて然るべしと思われる線よりは若干づつ下廻つて参つて来ております。その点はこれまでの幾たびかの裁定なり調停案なりにも現われておるところでありますが、併しながら企業経理能力の、圧迫からその影響を受けざるを得ないという立場におきまして、これを我々としてあえてそういう線を出して参つたのであります。特に昭和二十四年の大整理以来、人員は激減いたしまして、又事業分量は相当の増大を示しました。いわゆる生産性の面から申しますならば、更に上げてやるほうが合理的だと思われる線も今まで採用しておりませんし、今回の裁定におきましても採用いたしておりません。従来そういつたことが織込まれまして、何回かの裁定或いは調停、又当事者の受諾というようなそういつた線がそのまま延長されまして、今回の数字と相成つたのであります。その点を先ず申上げておきたいと思います。但し、これは公共企業体という特殊な制度でもございますので、我々は仮にその企業が非常に厖大な利益が上げられるような機会におきましても、その利益に正比例して賃金が異常に高くなるということは適当でないと考えますと同時に、又一般私企業の極く小さな企業に見られますような、逆に非常に低くなるということも又適当でない、企業能力に承る程度比例は止むを得ませんが、その比例限度はほかの一般私企業よりも幅が狭くあるべきだ、こういう観点で三人の委員意見が合致したのであります。そういう観点の下にこの数字はできております。我々の仕事はそういつた立場から、どうしても国鉄企業経理問題に触れざるを得ないのであります。今回の裁定につきましても、その点を或る程度掘下げたのでありますが、一般国鉄が非常に人間が多いと言われておる点については、裁定にも言われておりますように、いろいろ調べますと、事業分量増大、並びに戦前にはなかつたところのいろいろの条件、更に一般の工業のように、インダストリーのように軍に機械をすぐ使いまして、それに原料を加えれば直ちに増産ができるというような産業事情を異にいたしまして、非常に人力に負うところが多い産業でありますので、この生産の向上というものは非常に労働力の強化には響いて参る特殊な面がございます。そういつた点をも考慮いたしますと、その生産性の面におきましては、およそ他の産業と比べてそのトツプに、少くともトツプに近い回復ぶりと考えてよろしいのではないかという結論に相成りました。然るに、一方運賃が御承知通り他の物価に比べまして、異常に低位置に置かれております。これは勿論国策上止むを得ないことは我々も重々了解できるのでありますけれども、それにもおのずから限度の結果そういつた生産性を有し、この程度までに切下げておる賃金をも抑えないという線までにこれをかぶせるということは、これはどう考えても労働力に対する正当なる待遇とは認めがたい。但しこれを運賃の値上で全部賄うべきか、或いはその他借入金なり節約なりという面で賄うべきかという点におきましては、これはいろいろ議論があるだろうと思います。又その点に我々が、これが正しいということを申すべき立場仲裁委員会がないこともよくわかつておりますが、併しその面におきまして、この裁定書の中にもこれがよろしいのだというような意見は述べておらんつもりでありますけれども、ただ我々が国鉄というものの経理を多少引繰り返して見まして、とにかく一兆という資産を持つておる産業である、借入金が現在千億という、外部資本に頼る程度が極めて低いという点、並びに一兆の資産であつて收入金が年に二千億しかない、年二千億のうちの半分以上、千億というものはこれは全部修繕なり、取替なり、補修なりという面に向けられておる、結局企業の運営にはその半分も使われておらない、こういうことは如何に何でも変態のような感じがしてならなかつたことであります。又その点と、特に只今叫ばれておりますところの、いわゆる補修減価償却、即ち工事費を、戦災その他酷使によりましたところの国鉄の損耗を成るべく早く戦前の姿に戻すと、そういつた重要な点は確かに国民が常に要望しておるところであることは明瞭でありますが、併しながら他の産業の例と比べますと、これを現在直ちにそれを利用する国民に負担させることが果して合理的であるかどうか、そういつた戦前の姿に国鉄が完全に立ち戻つた利益は、これはその大半は後年度国民がこれを受けるものでありますが故に、後年度国民においてこれを負担さして、少くとも一部は然るべきではないか、そういつた観点から、私どもはやはり借入金ということもこれはほかの制約がございましようが、ともかく考えて然るべき筋合ではないか。運賃は極めて低位に置け、而も是非復旧は急げ、而も借入金はいかん、運賃値上もいかん、こうなりますというと、結局とどのつまりは、止むを得ませんから、全部賃金のほうに重圧がかかつて来る。それは戦前との比較におきましての物件費人件費の増加の比率に如実に現われております。併しながら、そのほかにも若干国鉄当局努力すべき余地は残つておるというような感想は、裁定案中に盛つたのであります。即ち石炭の消費率その他におきまして、まだ若干の余力はあるでありましようし、又更に、国鉄に本来必要のない産業を売り飛ばすということも考えられるでありましようし、なお、これは目立たんようでありますけれども、例えば高架線の下の、いわゆる東京とか、大阪とか、神戸とかにあります高架線の下の用地が、少くとも天井は塞がつて雨の漏らないような状態になつておるにかかわらず、これが平均して月に坪二十五円であるというような低い値段に、私自身も今日お聞きしたのであります。そういつた事柄の増收でありますとか、或いはいわゆる広告料等におきましても、あれだけ大きな收客の場所を持つておる国鉄当局広告收入が僅かに年に二三億というようなことは、到底これ又常識的に考えられない。即ち国鉄当局は本来の鉄道運輸改善の面については相当努力の跡は認めるけれども、まだ細かい点におきまして、いろいろの落ちこぼれがある、そういつたことをやりましても、到底今回の我々の裁定の財源の何分の一にも足りないことは、これは我々としても十分認めておるのであります。併し、そういつた努力までしないというと、これは労働者を納得せしめる上におきまして、非常に当局としてまずい点ではないかということを感想として申したので、あえて附加えておく次第であります。  余り要を得たとは思いませんが一通り主な感想を申上げまして、あと御質問がございましたらお答え申上げます。
  14. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) 大蔵大臣から本件に関して御所見をお述べ願うつもりでありましたけれども、先刻からいろいろ交渉しましたが、大蔵大臣省議続行中で、今日は何時になるかどうも時間がはつきりしないという申入れがありましたが、この件は如何いたしましよう。
  15. 内村清次

    内村清次君 いま一つこの進行中に出席のできられるように連絡とつて頂きたいと思います。これはもともと大蔵大臣出席要求委員長を通じて我々も希望しておつたところでありまして、今の閣議の様子からいたしましても、やはり大蔵大臣がよくこの委員会状態を知つて頂きたいという念願も私はするのでありますから、委員長のほうで連絡とつて、成るたけこの委員会の開催中に出席のできますように要求をいたします。
  16. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止
  17. 小泉秀吉

    委員長小泉秀吉君) それでは速記を始めて下さい。  大蔵大臣只今申上げたような事情省議続行中で、いつ出席するかわからないということでありまするから、大蔵大臣に対する説明を聞くことは後日に譲りまして、本日はこの程度で打切り、次回の連合委員会開会の日時などは、委員長理事の協議の上で公報を以てお知らせすることにいたします。  それでは本日はこれで散会いたします。    午後五時十一分散会