○菊川委員 自席から……。私専門的なことはまた別の方面に
お尋ねしますが、きわめて常識的なことを
官房長官に一言
お尋ねしたいと
思います。それはこの
国鉄の
裁定につきましても、
要求は三月に出されている。つまり
従業員諸君にと
つては切実な問題として、三月に問題を取上げておるのであります。
裁定は八月であ
つた。
従つて公正な
立場からこ4を
実施するという
立場においても、八月にはどうしてもこれを
実施することが妥当であるという時期を認めておる。それを今回
政府では
補正予算の中に十一月一日から
実施をされる、こういうことであります。そうしますとここに問題になりますことは、こういう制度において、
裁定の
決定された時期というものと、そしてそれが
政府を通じて
実施をされるという時期というものが、常にずれがあるということ、このことは
国鉄の
裁定の問題に限らず、官公庁の給与
ベースの問題においても同様でございます。そこでこの間においては当然
従業員の
諸君は、
政府の
決定までの間における生活上の赤字を、個人で負担をしなければならないということになります。そこでこの間において、こういう切実な問題によ
つて起
つておる赤字負担というものは、事実上金額は認めたが、
実施の時期がずれておるということでございますから、これは
従業員諸君が苦しい中からさらに赤字負担をしておるというこの事実を、
官房長官はお認めになるかどうかということをひとつ
お尋ね申し上げたい。
そこで、こういうふうな事実をお認めになるといたしますならば、これは一体個人の負担にまかせてよいところの問題であるのか、それともこれは
政府の怠慢の
ために起
つた事柄であるから、当然そこには
政府の
責任というものが感じられなければならぬと思うのだが、この点について
責任をお感じになるかどうかということを、第二に
お尋ねしたい。
そこで第三には、こういうふうなことでありますれば、これは官公庁に限らず、公共企業におきましても共通の問題でございますが、今日
公務員制度その他
公企労法によ
つて、
団体交渉の
権利は制限をされ、ストライキの
権利は奪われておる。そうしてそのかわりに給与の問題、労働条件の問題、福祉の問題については、人事院あるいは
中央調停委員会を通じて、
団体交渉によらず、罷業に訴えずとも、公正妥当な解決の道を講じておる。こういう制度そのものはあるのでありますが、実際においては金額のことはしばらくおきまして
実施の時期に常にこういうずれがあるわけであります。そうすれば、結局いつの場合でもこういう法規の適用下にあるところの
従業員の
諸君というものは、常にきまるまでの間の時間的なずれの犠牲を、個人の赤字負担でや
つているというところに、今日の
公務員制度なり、あるいは
公企労法の運用の根本的な矛盾が
一つあるわけであります。このことは一体十分お
考えにな
つておるのかどうかということを、第三に
お尋ねいたしたいのであります。
そこで第四には、これに関連いたしまして、こういうふうなことを
考える場合に、ちようどふろに入
つた場合に、熱ければ、すぐに熱いから水を入れろということが言えるのでありますが、しかし
従業員諸君の場合には、熱いけれ
ども、水を入れろということが言えないのであります。そういう場合には
民間産業においては、たとえば本年春にすでに物価騰貴その他の
関係において賃金値上げの
要求をして、
実施を迫
つて、その実現ができます。これが
民間給与の現状であります。ところが官公庁あるいは公共企業においては、そのときに
要求を出して、そして
民間給与においてはすでに
実施をされたことが、半年あるいは一年近くたたなければ
実施をされない。こういうずれがここにあるのが今日の現状でございますが、それについて一体今日このままでこれを正しいとお
考えになるのか。占領下においては、このことがしばしば問題になりましたが、占領政策のもとにおいては、これが押えられておりました。今独立下において、一切の労使問題を自主的に解決しようというふうなことで、今日炭労あるいは電産争議においても、これだけ
国民的な問題があ
つても、
政府は手をこまねいてしばらく見ておられる。そういう自主的な精神を尊重される労働政策を一方においてと
つておられるのであります。しかも
民間企業と公共企業の間にそれだけの時間的なずれがあるにかかわらず、このずれによるところの赤字補填については、自主的に自分で埋める方法を縛
つておいて、そうして伏せておられるのである。こういう
状態というものは、はたして官公庁並びに公共企業に従事せられておるところの
従業員諸君との間における労使
関係を、円満に運ぶところの方法であるかどうか、この点を
お尋ねしたいのであります。