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1953-02-25 第15回国会 衆議院 予算委員会第二分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科員昭和二十八年二月二十一日(土曜日) 委員長指名で次の通り選任された。    主査 橋本 龍伍君       太田 正孝君    岡本  茂君       北 れい吉君    小坂善太郎君       山崎  巖君    井出一太郎君       古井 喜實君    石井 繁丸君       成田 知巳君    八百板 正君       福田 赳夫君     ――――――――――――― 会議 昭和二十八年二月二十五日(水曜日)     午前十一時十三分開議  出席分科員    主査 橋本 龍伍君       太田 正孝君    岡本  茂君       黒金 泰美君    谷川  昇君       三和 精一君    山崎  巖君       井出一太郎君    古井 喜實君       石井 繁丸君    成田 知巳君       福田 赳夫君  出席政府委員         総理府事務官         (大臣官房会計         課長)     三橋 信一君         国家地方警察本         部長官     齋藤  昇君         国家地方警察本         部警視長         (総務部長)  柴田 達夫君         総理府事務官         (皇室経済主         管)      西原 英次君         行政管理庁次長 大野木克彦君         保安政務次官  岡田 五郎君         保安庁長官官房         長       上村健太郎君         保安庁保安局長 山田  誠君         保安庁人事局長 加藤 陽三君         保安庁経理局長 窪谷 直光君         保安庁装備局長 中村  卓君         法務政務次官  押谷 富三君         検     事         (大臣官房経理         局長)     天野 武一君  分科員外出席者         総理府事務官         (自治庁会計課         長)      石渡猪太郎君         保安庁長官官房         総務課長    山上 信重君         保安庁経済局会         計課長     江守堅太郎君         裁判所弾劾裁判         所参事         (事務局長)  隈井  亨君         会計検査院事務         官         (事務総局次         長)      山名酒喜男君         最高裁判所事務         官         (経理局長)  岸上 康夫君         国立国会図書館         参事         (経理局長)  武内時之助君         衆議院参事         (庶務部長)  山崎  高君         参議院参事         (会計課長)  清水  齊君     ――――――――――――― 二月二十三日  分科員北れい吉君、山崎巖君及び八百板正君辞  任につき、その補欠として大泉寛三君、木村文  男君及び山口丈太郎君が委員長指名分科員  に選任された。 同月二十四日  分科員大泉寛三君、木村文男君、石井繁丸君及  び山口丈太郎辞任につき、その補欠として、  北れい吉君、山崎巖君、山下榮二君及び八百板  正君が委員長指名分科員に選任された。 同日  分科員北れい吉君及び八百板正君辞任につき、  その補欠として三和精一君及び勝間田清一君が  委員長指名分科員に選任された。 同月二十五日  分科員小坂善太郎君及び山下榮二辞任につき、  その補欠として黒金泰美君及び石井繁丸君が委  員長指名分科員に選任された。 同日  分科員黒金泰美辞任につき、その補欠として  谷川昇君が委員長指名分科員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  昭和二十八年度一般会計予算皇室費国会、  裁判所会計検査院内閣総理府経済審議  庁を除く)及び法務省所管     ―――――――――――――
  2. 橋本龍伍

    橋本(龍)主査 これより予算委員会第二分科会を開会いたします。  本分科会皇室費国会裁判所会計検査院内閣総理府経済審議庁を除く)及び法務省所管事項審査に当ることになりますが、審査の都合上、大体において本日の午前の会議におきましては、皇室費国会裁判所、及び会計検査院所管、午後の会議において内閣経済審議庁を除く総理府所管及び法務省所管として、審査を、お願いすることといたしたいと存じますので、御了承願います。  それではこれより順次説明を聴取いたすことといたしますが、議事進行上、質疑をなさる方は、あらかじめ出一席政府委員等要求の上、御通告下さるようお願いいたします。  それでは皇室費国会裁判所会計検査院所管を議題といたします。これより順次説明を求めます。皇室費予算についての説明を求めます。宮内庁皇室経済主管西原英次君。
  3. 西原英次

    西原(英)政府委員 ただいまから昭和二十八年度皇室費歳出予算について、その概要を御説明いたします。  本歳出予算に計上いたしました、金額は、一億九千三百八十三万円でありまして、その内訳は、内廷費三千万円、宮廷費一億五千八百三十七万円、皇族費五百四十六万円であります。  そのおもなるものについて事項別に申し述べますと、内廷費は、天皇皇后両陛下を初め、内廷にある皇族方の日常の費用その他内廷諸費に充てるために、法律で定める一定額を計上したのでありまして、前年度と同額なつております。  宮廷費は、国の象徴としての御活動に必要な経費を計上したものであります。その内容としては、従来と同じく、皇室の公的御活動すなわち儀典関係費行幸啓費、正倉院図書雅楽等文化的経費、その他皇室用財産維持管理に必要な経費等であつて、特に新たな所要は計上されておりません。二十七年度予算一億九千五百七十五万一千円に比較いたしますと、三千七百三十八万一千円の減少なつておりますが、これは前年度には、宮内庁庁舎の一部を仮宮殿に改装いたしまするに要する経費七千万円を含んでおりましたが、本年はこれにかわる特別な経費の計上の必要がなかつたためによるものであります。  皇族費は、秩父、高松、三笠三宮家の皇族方に対し、皇族としての品位保持の資に充てるものとして、法律で定める一定額を計上したるものでありまして、前年度より百四十万円の減少なつております。これは秩父宮雍仁親王の御薨去に伴いまして、親王年額の一人分が不要となつ関係に基くものであります。  以上をもつて昭和二十八年度皇室費歳出予算概要説明を終ります。なお、詳細については、御質問に応じ申し述べることにいたします。
  4. 橋本龍伍

    橋本(龍)主査 次に国会所管について順次説明を求めます。衆議院庶務部長山崎高君。
  5. 山崎高

    山崎参事 昭和二十八年度国会所管衆議院関係歳出予算要求額は、十七億三千百八十四万二千円でございまして、その重要な事項について一応御説明申し上げます。  まず国会運営に必要な経費として、十五億四千百三十四万七千円を計上しております。そのうちおもなものを申し上げますと、議員歳費通信手当旅費議員祕書給料及び立法事務費等議員に関する経費七億八千六百八万九千円、事務局法制局及び常任委員会における職員人件費旅費その他の事務費国政調査に関する旅、費、審査雑費及び証人等旅費議員用自動車購入費議案類印刷費光熱及び水料通信費議員会館及び議員宿舎維持管理並びに庁舎等修繕等に必要な経費七億三千七百二十五万八千円、行政監察特別委員会における職員手当事務費及び委員及び証人等旅費等に必要な経費千八百万円、これは本院決議に基き月額百五十万円の一箇年分となつております。  第二は、国際会議その他海外派遣に必要な経費として四千六十一万一千円を計上いたしてあります。これは一九五三年度列国議会同盟日本議員団分担金二百二十六万一千円と列国議会同盟会議並びにその他の国際会議等への派遣旅費三千八百三十五万円であります。  第三は、営繕施設に必要な経費として一億四千二百八十八万四千円を計上いたしてあります。これは衆議院庁舎増築、その他庁舎修繕等に必要な経費でありまして、衆議院庁舎増築に五千八百六十万円、第二、第三議員会館わき歩道の新営に七百七十万円、本館電力引込み施設に二千三百万円、自動車置場の新営に二千万円、敷地買収に千八百万円、各所営及び修繕に千五百五十八万四千円が積算されてあります。  第四は予備金に必要な経費として、前年度と同額の七百万円を計上いたしてあります。  以上は衆議院予算でありますが、なお国会所管裁判官訴追委員会関係予算の御説明を、便宜私から御説明申し上げておきます。  昭和二十八年度国会所管裁判官訴追委員会関係予算要求は、九百四十九万八千円でございまして、これは裁判官訴追委員会運営に必要な経費でありまして、事務局職員十二名に対する人件費事務費並びに委員旅費職務雑費等に要する経費が積算されてあります。  以上簡単ながら概略の御説明を申し上げます。
  6. 橋本龍伍

  7. 清水齊

    清水参議院参事 昭和二十八年度の参議院関係予算について、御説明申し上げます。  昭和二十八年度国会所管参議院関係歳出予算要求額は、十一億五十一万八千円でございまして、これをおもなる事項別について申し上げますと、まず第一に、国会運営に必要な経費として、十億一千三百十万二千円を計上しております。これは議員歳費手当旅費及び立法事務費等議員に関する経費四億二千三百五十一万一千円、常任委員会に関する委員旅費審査雑費並びに職員及び証人公述人等旅費等に必要な経費二千六百五十八万四千円、事務局法制局及び常任委員会に必要な職員人件費並びに議案類印刷費光熱水料等事務関係費及び庁舎議員会館等維持管理に必要な経費五億五千七百五十八万円、法制局において立法資料調査及び立案等に必要な経費五百四十二万七千円であります。  第二は、列国議会同盟会議等へ派遣される議員団旅費に必要な経費として、二千四百六十万円を計上しております。  第三は、営繕施設に必要な経費といたしまして、庁舎増築に二千二百万・円、自動車置場の新営に一千二百万円、用地の買収に一千万円、その他庁舎修繕等に一千三百八十一万六千円、合せて五千七百八十一万六千円を計上しております。  次に予備金に必要な経費として、前年度と同類の五百万円を計上しております。  以上簡単ながら概略説明を終ります。
  8. 橋本龍伍

    橋本(龍)主査 国会図書館経理課長武内時之助君。
  9. 武内時之助

    武内国会図書館参事 昭和二十八年度国立国会図書館予定経費要求総額は、三億八千四百十六万八千円でありまして、これを前年度予算額三億七千七百四万四千円に比べますと、七百十二万四千円の増となります。  今このうち主要な事項について御説明申し上げますと、まず国立国会図書館管理運営に必要な経費、二億八千四百十六万八千円を計上いたしましたが、これは職員五百六十六人の人件費事務費及び国会考査奉仕に必要な図書購入費調査旅費印刷製本費、また一般国民に対する図書の閲覧並びに考査奉仕に必要な図書購入費、書架、カード箱等購入費、各種目録印刷製本費支部図書館統轄指導に必要な総合カード目録作成費巡回文庫図書購入費等であります。  次に国立国会図書館営繕工事に必要な経費は、一億円を計上してありますが、これは国立国会図書館庁舎建築費九千九百万円、事務費百万円であります。  以上簡単ながら概略説明申し上げました。
  10. 橋本龍伍

  11. 隈井亨

    隈井裁判官弾劾裁判所参事 昭和二十八年度国会所管歳出予算のうち、裁判官弾劾裁判所の分につきまして、その概要を御説明申し上げます。  昭和二十八年度弾劾裁判所予定経費要求額は、七百七十万六千円でありまして、これを前年度の予算額五百六十九万八千円に比較いたしますと、約二百万八千円の増加なつております。この増加職員給与ベース・アツプ等原因するものでありまして、その他の費目は前年度と何らかわりはございません。  次に、予定経費要求額内容を申し上げますと、裁判官弾劾裁判所運営に必要な一般経費といたしまして、裁判員職務雑費調査旅費並びに事務局職員十二名の人件費事務費等が六百五十六万三千円、裁判官弾劾裁判に直接必要な経費といたしまして、旅費庁費及び裁判員職務雑費が合計百十四万三千円でございます。  はなはだ簡単でございますが、以上申し上げまして御説明を終ります。
  12. 橋本龍伍

    橋本(龍)主査 裁判所所管について説明を求めます。最高裁判所経理局長岸上康夫君。
  13. 岸上康夫

    岸上最高裁判所説明員 昭和二十八年度裁判所所管予定経費要求額について御説明申上げます。  昭和二十八年度の裁判所所管予定経費要求額は、八十八億二千五百四十五万九千円でありまして、前年度補正予算要求額を含めました予算額七十五億八千三百十八万四千円に比較いたしますと、十二億四千二百二十七万五千円を増加いたしました。  右昭和二十七年度予算のうち、重要な事項について御説明申し上げますと、次の通りであります。まず第一は、最高裁判所及び下級裁判所機構維持及び経営的な行政事務を行うために必要な経費といたしましては、六十三億三千八十四万八千円でありますが、そのうち最高裁判所に七億六千九十万円、高等裁判所に五億三千七十六万二千円、地方裁判所に三十七億五千七百二十四万円、家庭裁判所に十二億八千百九十四万六千円をそれぞれ計上いたしております。  次に裁判官司法修習生裁判所書記官、その他の職員の人格の向上を期するとともに、これら職員司法に関する理論及び実務の研修をさせるための経費、並びに、裁判所書記官調書作成能率化をはかる目的のもとに、従来の要領筆記方法にかえてステノタイプライターによる速記方法裁判所職員に修得させるための経費として計三億六百六十八万一千円を「組織」に計上いたしました。  次に近時激化の傾向を示しております労働事件公安事件等の審理における法廷闘争に対処し、法廷の静隠を保持し、審判の適正迅速な処理を行うため、法廷警備を強化する必要がありますので、これに一千八万三千円を組織に計上いたしました。  次に国選弁護人の報酬及び刑事補償法による補償金その他裁判に直接必要な旅費庁費等として十一億八千七十七万六千円を「組織」に計上いたしました。  さらに裁判所営繕工事費として裁判所庁舎等の新営費といたしまして六億五千八百五十万九千円、裁判所各所増築及修繕費並びに敷地建物買収費として一億四千百四十九万一千円を組織に計上いたしました。  最後に裁判所法の規定に基きます予備金といたしまして八百万円を「組織」に計上いたしました。  以上昭和二十八年度の裁判所所管予定経費要求額についての大要を御説明申上げました。何卒慎重御審議のほど  をお願いいたします。
  14. 橋本龍伍

  15. 山名酒喜男

    山名会計検査院説明員 会計検査院所管昭和二十八年度歳出予算要求額は三億五千四百八十五万二千円でありまして、これを前年度予算額三億一千二百七十三万三千円に比較しますと、四千二百十一万九千円の増加なつております。  その増加のおもなものは職員給与ベース引上げに要する経費四千三百三十万六千円その他一千八十一万三千円、この大要検査旅費の増額四百七十九万六千円でございますが、計五千四百十一万九千円でありまして、減額となりましたものは、倉庫新営費の千二百万円で、これを減じますと、先ほど申し上げました通り、四千二百十一万九千円の増加となる次第であります。
  16. 福田赳夫

    福田(赳)委員 午後保安隊予算審査されると思いますが、私の要求しておる資料がまだ配付されてないのですが、それまでに間に合うように御提出を願いたい。
  17. 橋本龍伍

    橋本(龍)主査 承知しました。質疑の通告があります。順次これを許します。山崎巖君。
  18. 山崎巖

    山崎(巖)委員 私は会計検査院予算につきまして二、三伺いたいと思います。先に予算委員会において私は行政機構の改革について質問をいたしたのでありますが、私の調査によりますと、現在の行政機構に非常に複雑になり、また非常に厖大に相なつております。これはもとより終戦社会情勢の変化あるいは官庁事務高度化、これらの点からやむを得ないところは多々あると思いますが、統計によつてみましても、各省の分課のごときはきわめて複雑になつております。またその人員のごときも、昭和十二年に比較いたしますると、地方公務員国家公務員いずれも約二倍の増員に相なつておるのであります。官庁機構複雑化国家経理面にも相当の影響を持つものと思うのであります。従いまして会計検査院使命は、今日では従前と比較いたしますと、非常に私は重大性を加えて来ておるように思うのであります。  そこでまず私が伺いたいと思いますことは、会計検査院機構なりあるいはまた人員が、現在と昭和十二年の支那事変前とどういうふうな比較に相なつておりますか、まずこの点を伺つておきたいと存じます。
  19. 山名酒喜男

    山名会計検査院説明員 会計検査院の支那事変当時におきます事務官以上の職員の数は二百八十六名でございまして、当時における機構は院長の単独決裁機構といいますか、普通の行政官庁と同様に、会計検査院長のもとに職員がおりまして、検査及び会計検査院としての意思決定をいたして参つておりました。それが終戦後新しい憲法の制定とともに、会計検査院も新しく機構改正いたされまして、また職員の員数も増加いたされまして、機能的に相当拡充を見た次第でございまして、機構的にまず申し上げますと、主として検査事務執行いたします事務総局機構と、会計検査院といたしましての意思決定をいたします検査官会議という二つの機構会計検査院というものができるようになりました。これは検査事務執行について専念させると同時に、検査官会議は三名の検査官をもちまして、検査の結果に基く公正な意思決定をするという配慮のもとにできた機構でございます。さようなふうな機構的な改正がございました。なお権限的に申し上げますと、従前書面検査を主として中心に行われておりましたが、新しい機構下におきましては、常時検査をすることの建前で、書面及び実地検査の両建ということになつておりまして、同時に昔は検査の結果が行政府に直接反映するという面におきまして、非常に間接的な迂路を通つておりましたが、新しい機構のもとにおきましては、会計検査院長検査の結果行政府に対し経済の是正を求めることができる、また会計制度に関する改正の意見を出しまして、これに基いての制度改正を求めることができるというふうな、行政府に対する反映の効果を確保するような観点におきます権限が拡充いたされました。人員的には先ほど申し上げました二百八十六名という事務官が、七百五十名という定員を現在持つておる次第でございます。及ばずながら職員の資質も漸次向上いたして参りまして、検査院検査の職能を果しますことは、検査報告件数だけから見て参りますと、非常に増加し、充実して参つたように存じております。
  20. 山崎巖

    山崎(巖)委員 ただいま御説明にもございましたように、現在の会計検査院は、憲法第九十条に基いて設置されたものであり、その使命は常時会計検査を行うということが大きな使命に相なつておると思うのであります。しかるに、先ほども申し上げましたように、現在の官庁機構はきわめて複雑であり、かつ厖大に相なつております。ことに地方出先機関のごときは、これは政府の統計がまことに古くて残念でありまするが、昭和七年と昭和二十四年と比較いたしましても、出先機関がほとんど倍に相なつております。こういう複雑な機構を持つた官庁事務に対しまして、会計検査院は、常時検査を行うといいながら、実際にどういうふうにおやりになつておりますか、その点を伺つてみたいと思います。
  21. 山名酒喜男

    山名会計検査院説明員 ただいま御質問になりました事項は、会計検査院といたしましても、事務量から申しまして非常に悩みを持つておる点はございます。お説の通り非常に出先機関がふえましたし、同時にまた公共事業費とか補助金とかいう金額が非常に増しまして、公共事業工事をやつておりますもの、あるいは補助工事をやつております現場が非常にふえておりますので、これに対します検査が十分行き渡らなければ徹底的に安心することができない次第でございます。ただいまの現状で行きますと、書面検査の部面におきましては、重点主義をとりまして、全国会計に関します重要資料は私の方の手元に全部参つておりまして、二十七年の現況におきましては、六千八百万枚といの資料を点検しております。しかし会計経理不当性ないし違法性が発見されますのは、書面検査では、不都合な点、あるいは数字の上でまずい点が見つかることはなかなかむずかしいことでありまして、ほとんど今のところでは書面の上の資料では不都合な点がなかなか見出しにくい。むしろ現場へ行つてみますと、書面の上では工事が完成して請負代金が支払われておるというようなことになつておりますが、工事がまだ八〇%しかできていない。またそのあとの追加工事ができ上らないままに現金だけは支払いの手続がとられておるというような事態がございまして、さような事態あるいは現場の出来高のまずい点、設計と実地とが合わないとか、あるいは災害復旧という名前にかこつけて現実には改良工事が行われておるといつたような補助工事についての件数が、ことしの二十六年度の決算検査といたしまして、先ごろ国会に提出いたしました報告では、五百件を取上げておるような次第でございまして、私の方で実地検査の回数をふやし、実地検査の場所を行き渡らせますれば、――さような件数がまだ相当――比例的にふえるとは申し上げかねますけれども、相当ふえる事態はあろうかと思います。ところで一方私の方で全国のさような検査を要する箇所を全部見てまわるということになりますと、今の職員の大体四倍程度いるという形式的な勘定になりまして、これでは国家財政現状から行きましても、なかなか実現が期待いたしがたいところでございますので、私の方といたしましましては、不当事項を指摘いたしましたならば、同時に不当事項がよつて発生した原因を探究し、この原因に対していかなる対策を立ててこれを防止し、再び発生することのなきを確保するかという点を探究いたしまして、行政府内部規正に非常に期待するという建前において、事務を迅速に、かつ行政府の誠意ある私の方の検査所見に対する反応力を期待することによつて、現在の機能を及ばずながら充実ないし果して行きたいというふな考え方でおります。
  22. 山崎巖

    山崎(巖)委員 この際昭和二十六年度、二十五年度、二十四年度くらいの検査院実績を伺いたいと思います。
  23. 山名酒喜男

    山名会計検査院説明員 検査院実績と御質問がありましたが、私の方の内部事務執行状況というよりも、むしろ国会に対していかなる事項報告申し上げたかという結果から見ました状況を、はなはだ形式的になりますが申し上げますと、検査報告に掲記いたしました件数で申し上げるのははなはだ恐縮でありますが、ここにまず件数で申し上げますと、昭和二十三年度の政府及び政府関係機関決算において、私の方でこれはいけないという観点から注意ないし提示いたしました件数は六百二十三件、二十四年度におきましては七百五十件、二十五年度におきましては千百十三件、二十六年度におきましては千百九十八件になりまして、職員の人数は二十三年から二十六年までの間に行政整理がございまして多少少くなりましたが、件数的に申し上げますと、私の方の検査職員の実力が充実いたしましたせいか、件数だけは非常にふえて参つておる状況でございます。  なお念のために申し上げますが、この件数だけから見ますと、はなはだ内容的に重さがどうかという問題がございますので、試みに二十五年度と二十六年度の状況を申し上げますと、二十五年度の決算におきまして指摘いたしました政府会計職員の不正行為の被害金額は百九十三件の二億七百万円、それが二十六年度におきましては、七十二件の一億二千九百万円。  それから経理が真実に適合していない、すなわち人夫賃とか材料費につけかけをして現金をためて、それをまた請負工事の方にまわして行つたり、いろいろ予算のわくをはずれてかつてな使い方をしておる架空経理がございます。さような架空経理、また法令に違反して経理をいたしました件数が、二十五年度は百二十七件の十四億九千五百万円という金額なつておりますが、これが二十六年度におきましては、六十二件の三億六千六百万円というように非常に減つてつておりまして、会計検査院といたしましても、検査の結果、政府職員においてうその経理をするということははなはだ不都合であり、同時に着服そのほかの事故を誘発するおそれがありますので、これを厳重に締めて行きました結果、十四億九千五百万円が大分改まりまして三億六千六百万円という金額になりましたが、二十七年度におきましては、これはさらにうんと減つて行く予定でおります。  それから物を買つたり、工事をいたしますれば、検収いたします。この検収が不良であるとか、あるいは支払い金額の計算において過誤があつたとかいうような案件が、二十五年度では三十四件の八千万円でございましたが、二十六年度では三十五件の七千四百万円と多少減つて参りました。  それから補助工事等、これは学校の補助金とか、地方災害復旧工事補助金とか、河川、砂防、そういつた補助金関係でありますが、補助金等の交付額の不適正であつた案件が、二十六年度では百二十五件の三億三千九百万円が、二十六年度では、件数的には、非常にあちこち私の方も歩きましたものですから、四百九十九件の三億百万円、これは件数は非常にふえておりますが、金額の面――単価と申しますか、それから行きますと小さくなつております。  それから租税歳入の決定の多過ぎたもの、あるいは決定の遅れていたもの、あるいはとり過ぎをしていて、これを直させたものといつたような賦課徴収の決定の適当でなかつたものを是正いたさせましたのが、二十五年度では、三百五十一件の五億八千六百万円、それが二十六年度では、四百八件の四億四千七百万円ということになつております。  それから安い高いの問題で、工事請負代や物件購入代の高かつたもの、あるいは国有物件の売払いが安過ぎたという差額の問題がございますが、これは二十五年度では、七十一件の九億六千万円が、二十六年度では、四十六件の一億三千八百万円というように、これは非常に減つております。  それから工事等で不急不要の工事がある、あるいは工事の間に関連工事が完成しなければ、ある部分的に工事ができましても、それに使いました金が死に金になるおそれがあるという観点から、架空工事として取上げました等の案件が、二十五年度では、六十件の九億一千五百万円が、二十六年度では、四十九件の十一億五千三百万円、これは一件八億円というちよつと大きな問題を取上げておりますので、そういう特殊のものを除きますと、これも減つておる勘定になるものでございまして、全体といたしまして、今申し上げましたような項目で申し上げますと、二十五年度が四十五億八千四百万円の批難金額に対しまして、二十六年度は二十六億一千百万円の批難金額になりまして、検査の効果が相当現われておりますと同時に、行政部の内部においての監査ないし自省で、ある程度改善のきざしが見えるのではないかと考えております。  なお会計検査院といたしましては、批難いたします事項はこれだけにとどまりませんで、なおそのほかに雑件といたしましていろいろな批難事項がございます。
  24. 山崎巖

    山崎(巖)委員 会計検査院予算に関連しまして、行政管理庁についてお尋ねいします。
  25. 橋本龍伍

    橋本(龍)主査 行政管理庁の方は午後の分に入つております。まだ説明を聞いておりませんし、出ておられませんので、午後にお願いいたします。
  26. 山崎巖

    山崎(巖)委員 よろしゆございます。  会計検査院のほかに行政管理庁がございまして、その行政管理庁の大きな使命は、行政運営の適実化に努め、国務の能率的遂行をはかるという点にあるように思います。この点につきましても、午後政府委員の御出席を求めまして伺いたいと思うのでありますが、現在の行政の監督の方法を見ますと、経理方面につきましては会計検査院があり、行政の運営につきましては行政管理庁がこれに当つておるのであります。しかるに、私どもが実際の地方庁等の状況を見ますと、国家予算を使用いたします場合には、さらに大蔵省から出張をいたしましていろいろと検査をされるようであります。もとより行政管理庁等も、予算執行等については相当の監督をしておられると思います。さらに、会計検査院がその決算について厳重な審査をいたされておるのであります。こうい、ふうに行政の監督、経理の監査につきましては、いろいろの役所がダブつてつておるのが現状じやないかと私は思うのであります。この点は、私は、従来の戦争前の役所のやり方と非常に違つて来ておるように考えます。先ほども申し上げましたように、行政が非常に高度化して参つております現状におきまして、あるいはやむを得ない措置かとも思いますけれども、受けまする地方庁におきましては、非常な煩雑を感じておるのであります。一つの例を申し上げますと、従来私どもが役所に在勤いたしておりました当時、たとえば災害復旧費の監査というような場合におきましては、その当時の内務省の土木局の技術者が災害復旧費を査定いたしますと、その査定通りに大蔵省が一議もなくこれを認めまして、ただちに予算に計上し、その経理につきましてもほとんど問題が起らなかつたのが実情であつたように思うのであります。しかるに今日で、災害復旧費につきましては大蔵省が出張して監査をし、また行政管理庁が出張して監査をする。そしてその決算については会計検査院がこれを検査されるというような状況に相なつておるのであります。こういう点から見ますと、私は、今日の官界のお互いの間の信頼というものが非常に薄らいでおるのではないかということを、非常に残念に存ずるものであります。ある役所が責任を持つてこれを調査しまた立案したものに対しましては、その他の役所は大体においてこれを認めるというような行き方でいたしましすならば、私は、現在の行政のやり方について非常に能率化をはかることができるじやないかというふうに考えるわけであります。この点につきまして、会計検査院としてどういうふうな御所見を持つておりますか、伺つておきたいと思います。
  27. 山名酒喜男

    山名会計検査院説明員 ただいま御指摘のありました点は、私もごもつともと存じ上げますし、一つの行政事実に対する監査及び検査等が最も効果的に能率的に行われなければならないという御意見は、私もしごくごもつともと存じ上げている次第でございます。ここでちよつと申し上げてみたいと思いますのは、会計検査院といたしましては、新憲法下の新しい機関的な立場といたしまして、国会の目となりあるいは国会の手となるという、政府に対する外部監査機関的な地位を持つております。ただいま御指摘のありました行政管理庁の監察部、あるいは大蔵省の方の内部監査機構、これは総理大臣の目となり手足となるという監査的な機能を持つている内部監査機構なつております。従いまして、機能的には、会計検査院といたしましては、政府内部監査機関の存在を否定することはできませんし、また私の方といたしましては、先ほど申し上げましたように、現実に実地検査をいたします箇所がおのずから制約いたされますので、その検査いたしました以外の爾余の場所の経理の改善については、内部監査機関の充実と、内部監査機関の能率的な運営というものを期待せざるを得ない事態になります。しかし会計検査院といたしましては、先ほど申し上げましたような行政の姿を整えるについて、主管大臣に申し入れる権能を持つておりますので、検査の結果、かようなふうな制度改正等についての改善事項というものを、主管行政庁に申し入れまして、主管行政庁がすみやかにこれに対して対応的な処置をとることを期待いたす次第でございます。行政内部におきましては、その相互機関の分化的な機能と総合的な機能が最もよく果されるようなくふう改善が望ましいと存じます。
  28. 山崎巖

    山崎(巖)委員 会計検査院予算について伺うことは大体以上でありますが、ただいま政府委員から御答弁のございましたように、最近政府予算の経理につきましては、いろいろと問題を起しております。会計検査院としましては、その使命のきわめて重大であることを十分に御認識されまして、この政府予算執行についてできるだけ十全の監督をお願いいたしまして、私は質問を打切りたいと思います。
  29. 橋本龍伍

    橋本(龍)主査 石井繁丸君。
  30. 石井繁丸

    石井(繁)委員 裁判所関係について伺います。例の国選弁護人の問題ですが、最近の傾向として、国選弁護の傾向並びに国選弁護人に対する費用等はどんなような傾向になつているか、承つておきたいと思います。
  31. 岸上康夫

    岸上最高裁判所説明員 それでは今の点について申し上げます。二十八年度の予算で、国選弁護に対する報酬としてあげておりますのは、裁判費のうちの謝礼金というところで一億四千九百三十万円ばかり計上してございます。
  32. 石井繁丸

    石井(繁)委員 最近増加の傾向にありますか。どんな傾向にあるのでございましようか。国選と私選とどんな率になりますか。
  33. 岸上康夫

    岸上最高裁判所説明員 最近の傾向といたしましては、大体ふえもせず減りもせずというところのように承知しております。裁判所として出します総額でございますが、裁判所といたしましては、もともとそれぞれの報酬額は各担当の裁判官の方で決定するわけでございますが、あまりでこぼこがあつてもおもしろくないという観点から、一応の基準のようなものを最高裁判所の方で考えまして、各関係の方面に通知してございます。それによりますと、一件当り三回出廷というような標準で、大体四、千円から四千五百円程度1これは各裁判所、簡易裁判所地方裁判所によつて違いますが、四千円ないし四千五百円程度で基準を設け、それによつて、各裁判官事件の難易その他をしんしやくいたしまして決定しておるのが実情でございます。
  34. 石井繁丸

    石井(繁)委員 簡易裁判所地方裁判所、それから高等裁判所、みな大体同じような基準でやつていますか。
  35. 岸上康夫

    岸上最高裁判所説明員 ちよつと今正確には記憶いたしませんが、今の記憶では、簡易裁判所において三千円、地方裁判所が四千円、高等裁判所が四千五百円、最高裁判所がやはり四千五百円だつたと思います。数字は多少異同がありますが、大体そのような額であります。
  36. 石井繁丸

    石井(繁)委員 昭和二十二年、ちようど私らが刑事訴訟法を審議するときに、国選弁護人の制度を制定してなるべく人権を擁護しなければならない、こういう建前なつておるのでありますが、最近におきましては国選弁護人というものが弁護士会等にも理解されて、私選弁護も国選弁護もかわらないほど、いろいろ弁護人側も努力しているようであります。最高裁判所等に聞くと、最近の傾向として国選弁護人がふえて来る、国選弁護を依頼するというのがふえて来る、こういうことを聞いておるのでありますが、事件の統計上、裁判所におきましてもいろいろそれらの資料がありましたならば整えて、調査表等を出していただきたいと思います。  それから国選弁護人の報酬は、本来だと、あとで支払う能力のある者には支払わせるというのが建前なつておるのでありますが、国選弁護人を付せられた人の報酬金がどれくらい被告の方から回収になつておりますか。それらの点はわかりませんか。
  37. 岸上康夫

    岸上最高裁判所説明員 ただいまの国選弁護料を負担する場合、当事者から徴収する額でございますが、これも正確な記憶はございませんので、あとで資料を差出すことをお許し願いたいと思います。私の現在の大体の感じでは、実際に徴収しておるのは少いように存じております。
  38. 石井繁丸

    石井(繁)委員 この点は裁判所にお願いしておくのですが、最近の傾向として国選弁護がふえておる、こういう傾向になつております。弁護人としても、国選にも非常に努力をしておる。基本的人権を擁護するという意味において、国選弁護というのは、十分にその弁護権が行使されるということは意義のあることであろうと思うのでおります。そこで前年度と予算におきましてほとんどかわらないというふうな形になると、予算のわく内におきまして、去年よりも一件ごとの報酬が減るという形になるかとも考えられるのでありますが、それらの点につきましては十分に国選弁護の傾向、あり方等について御注意の上、弁護士会等とも連絡をとつて、十分に被告の人権擁護になるように努力を願いたいと思うわけでございます。  それからもう一点ですが、何としても国選弁護を頼むような人は比較的に支払い能力のないのが多いのであります。しかし中には、保釈金は積んだが弁護は国選弁護を頼む、このような筋合いの人もあるよいうに聞いておるのでありますが、やはり保釈金まで積むような能力がある者からは、報酬もまた請求する。実際において支払い能力のない者には、形式的にいろいろと執行吏等に頼んで費用をかけるようなむだも省くという考え方が必要じやなかろうかと思うのでありますが、これらの点については、いろいろと御研究を願つておきたいと思うのでございます。  それから国会について、国会で今度衆議院、参議院に立法事務費というのが新しく出て、経費衆議院側が五千五百九十二万円と相当厖大な費用が出ておりますが、国費削減というときにおいて、新しくこういう項目が加わつたというのはどういう点を目ざして加わつておるのか、説明願いたいと思います。
  39. 山崎高

    山崎参事 実は立法事務費は、議院運営委員会の庶務小委員会におきまして二、三年来の懸案でございまして、議員立法が多くなるに従いまして、どうしても各党において非常に経費がかかる。そこでこれは皆さん御承知の通り、ほとんど各派の御要求でございました。現在議員関係経費といたしまして、歳費のほかに通信手当――これは実費弁償に終つておりますけれども、通信手当があるだけで、そのほかに議会開会中の滞在雑費としまして一日千円の支給があるわけであります。この滞在雑費の千円につきましては、実際には不足であるという点は各派の御一致の要求であります。ところが別の見解から見まして、滞在雑費というものは、実際をいいますと選挙区から大勢おいでになつたり、また党費等に差引かれる分が非常に多い。こういうふうな実情では、実際の議員立法もうまく行かないじやないかというような悩みから、何とかして各党に行く議員立法に必要な経費を計上できないものだろうかというのが、二、三年来の懸案でありましたが、今回初めて予算に正式に計上されたわけであります。そのねらいとするところは、これは議員さんの個人のふところには入らない。大体予算要求いたしますときから、各会派に議員の数によつて按分して差上げるというような話合いで進んでおりまして、結局議員一人月額一万円を立法に必要な経費として、各党の政調等の充実もございますけれども、そういう方面にお使い願つて議員立法に必要な経費にお充て願う、こういう意味で計上したわけであります。
  40. 石井繁丸

    石井(繁)委員 ねらいは各党の政務調査会費が不足だ、議員が歳費をもらつてもいろいろと党費その他にほとんどとられる、こういう関係から出たんだということになつておるのでありますが、国会としましても、御承知の通り国会図書館に調査立法考査局がありますし、専門委員会もある。そういうふうな関係なつておりまして、国会の休み等において専門委員会あるいは国会図書館の機能等を十分に利用すると、それらの点において相当に各党の政策立案等もできると思うのですが、それらの点はどういうふうににらみ合せたわけですか。
  41. 山崎高

    山崎参事 御承知のように、現在の議員立法のサービス機関といたしまして図書館に調査立法考査局がございまして、そのほかに各常任委員会に専門員制度、それから衆議院、参議院におのおの法制局がありまして、この三つの機関がございます。現在国会改正に関する小委員会が議院運営委員会に設けられておりますが、ここで立法のリフアレンスに関する仕事、たとえば専門員制度につきまして、もつと能率的な制度はないだろうかという点について、各派で研究して、いろいろなものを持ち寄つております。現在専門員制度に関する経費も、これは各派の御要求によりまして大体はじいてみたのでありますが、常任委員会専門員――専門員だけではありません、調査員、調査主事等がありますが、そのほか庁費等を含めまして、それに要する経費八千三百万円程度というのが計上されておるわけでございます。そういうふうに国費を有効に使う意味と、さらに立法リフアレンスの制度全体を能率的にするという意味で、目下その点につきましては、各派の代表諸先生がお出になりまして、研究いたしておるわけでございます。  そこで立法事務費というものは、そういうふうな点ともちろん関連はございますが、端的に申しますと、現在相当党費というものを差引かれておるのでございます。これは各議員さんが相当高額な所得税を歳費でとられておる。そこからまた党費をとられておる。とられた党費というのは各党おのおのの立場から御経理になつておるのでありましようが、しかしそれはやはり党の活動に必要な経費としてとられておるということになりますと、どうしてもそういう必要な経費というものは、結局議員立法に必要な経費であるから別に必要な額というものを計上いたしまして、それは議員の個人的な経済にならずに、全部にして党の活動がでぎるようにしよう。そこで実際的に各党に配分するということにつきましても、この支出につきましては、法律の根拠が必要でございますから、そういうような各派のお話合いを基礎にいたしまして法律案の要綱をつくりまして、そして庶務小委員会で御審議願つた上、議院運営委員会の御審議を経ようというので、目下準備をいたしております。それから立法事務費につきましては、――これはむしろ議院の経費すべてでありますが、事務局要求というよりも、各派の非常に強い御要求というものをわれわれ具体化しまして、計数整理をして予算にあげたという関係なつておりますので、その点御了承を願います。
  42. 石井繁丸

    石井(繁)委員 無所属の点についてどうも無所属なんか政党でないから、政務調査会等も必要でないという、このような問題が出て来るのではないかと考えるのであります。政党に入る金は一応党の金、こういうふうな関係になると思いますが、傾向として 私らも昭和の初めに市会議員や何かをいろいろやつておつたのでありますが、どうも国会予算というものはお手盛り予算なつて、自分の方の金をふやすということは世論の反対があつてもたいがいふやしがちでありまして、ほおかぶりをしていればがまんするというかつこうで、国会議員にも恩給を今度は付するとか、あるいはいろいろな形になつてくる。金が入れば入つただけまた出るようにできているので、議員というのは借金なしでどうにか切り盛りができればいいようなものなんです。それがもう議員としての本来のあり方で、収入があれば入つただけまた出てしまうのです。そうすると国費をかけてたいへん金をとつても、結局やつばり出てしまつて同じように貧乏しておる、こういうのでありまして、受けるのは、国会議員が多額の金を受取つていないながら何だかだというふうな非難が出るだけなんです。これらの点は相当に考慮すべきことで、事務局とすると、国会の方の方にかれこれ言うわけにいかぬからという立場でわれわれとしてもその点は主張しなければならないのです。これらの点については一応そういう機構ができて金が使われるならば、また一方において、経費節減によつて埋め合せができるというふうな形が望ましいと思うのでありますが、いろいろとまた運営委員会等の人々にも意見を申し上げてみたいと思います。大体においてこれは党に直接に行く、こういう建前なんですか。
  43. 山崎高

    山崎参事 今無所属の話がございましたけれども、これも大体今のところの空気では、会派を結成してないような純無所属はついては差上げるのはまずかろう、差上げるわけには行かないだろうというような空気になつております。いずれ法律案あるいはその細則、支給規定等において具体化すると思いますが、大体のところはそういうふうになつておりますから、その点御了承を願いたいと思います。
  44. 橋本龍伍

    橋本(龍)主査 石井君はお済みですか。――成田君。
  45. 成田知巳

    成田委員 裁判所関係で簡単にお尋ねしたいのです。今説明をお聞きいたしますと、経費の総額が八十八億で、そのうち営繕費関係相当の割合を占めておりまして約八億あるわけです。これは裁判所だけではございませんで、国の予算全体で官庁営繕費というのは約三十八億なんです。そのうち最も率の多いのが法務省と裁判所、この両方で約十八億、半分占めておるわけです。私たちのあまり好ましくないところが、営繕費として約半分占めておるわけです。この内訳を拝見いたしますと、高等裁判所だとか、地方裁判所だとか、家庭裁判所の新営費がこれまた八億のうちの大部分を占めておりますが、その詳細の内訳はおわかりになつておりましようか。
  46. 岸上康夫

    岸上最高裁判所説明員 ただいまお尋ねの点につきまして、大体のことを申し上げたいと思います。二十八年度の裁判所営繕費は八億ちようどになつておりますが、その内訳は、大部分は裁判所庁舎の新営費ということになつております。その庁舎新営のうちの大きなところを申し上げますと、まず高等裁判所につきましては宮崎の高等裁判所の支部の新営費等があります。それから地方裁判所庁舎につきましては、北から申しますと青森と福井と岡山、これの新営費ということになつております。それから家庭裁判所は、同じく北から申しますと、仙台家庭裁判所と大阪の家庭裁判所の新営費。さらに地方及び家庭裁判所の支部は五箇所でございまして、場所別に申しますと、北から小樽、尾張の一宮、大阪の堺、広島の呉、福岡の小倉というぐあいになつております。なお簡易裁判所が約十四、五箇所ということになつております。今申し上げましたのは八億のうちの大部分でございまして、そのほかに修繕費といたしまして約五千万――これは庁舎の屋根とかその他の相当根本的な修繕を要する庁舎の修繕費として五千万というぐあいになつております。元来一般的に申しますと、裁判所庁舎というものにつきましては、まず簡易裁判所というものが新憲法後新しくできた、その庁舎を新営する必要がある。それから家庭裁判所というものがやはり新しくできた。それも建てる必要がある。それから地方裁判所高等裁判所につきましては、地方裁判所の支部も含めまして、従来からの庁舎を利用しておるわけでございますが、これが大部分は明治時代の木造建物でありまして、朽廃しているものも少くない。その上に戦災を受けた箇所も約四割程度ある。そういう箇所も、戦災後のバラツクはだんだんに使用に耐えなぐなつている。それから明治時代からの古い木造もだんだん改築を要する。なおそのほかに、新設の簡易裁判所家庭裁判所庁舎新営というものも必要だということで、裁判所といたしましては、まだまだ多く建てる必要を感じておるのでございますが、財政上その他の点をいろいろ考慮いたしまして、二十八年度は八億円程度で事務的に折衝を終つた次第でございます。現状では相当狭いところできゆうくつにやつており、あるいは家庭裁判所地方裁判所が同居してやつておるというところも相当ありまして、そういうところは順次国の財政の許す限り整備して行きたい、こういう考えであります。
  47. 成田知巳

    成田委員 今高等裁判所庁舎営費は約千八百万円、宮崎支部とおつしやいましたが、これは土地もお買いになるのですか、建物だけですか。
  48. 岸上康夫

    岸上最高裁判所説明員 今御説明いたしましたうちで、申し落した点がございますので、補足いたしますと、今申し上げました新営箇所のうちには、二十五年度あるいは二十六年度から鉄筋の工事にかかつてつて、そして二十八年度もなお続けてやるというところも数箇所ございます。先ほど申し上げましたうちで、高等裁判所の宮崎支部というのも、そういう意味の継続的な工事であります。それから地方裁判所でいいますと、福井地方裁判所がそうでございます。家庭裁判所で申しますと、仙台、大阪両家庭裁判所も継続中でございます。支部で申しますと、堺と小倉がそうでございます。以上が今申した程度の前年度からの継続的な工事でございますが、お尋ねの宮崎支部は、そういう関係で土地の買収はも参う済んでおりまして、なお二十七年度に一部の基礎工事程度のものをやつておりまして、その上にさらに二十八年度に継続してやるという趣旨で継続されておるのであります。
  49. 成田知巳

    成田委員 宮崎支部は継続工事だということで、土地はすでに二十六年度にお買いになつておりますが、二十六年度からお始めになつておるのでしようか。
  50. 岸上康夫

    岸上最高裁判所説明員 宮崎の支部は二十六年度から始めて、二十七年度で目下やりつつありまして、二十八年度で完成するわけであります。
  51. 成田知巳

    成田委員 そういたしますと、二十六年度、二十七年度ではどれだけの予算をお使いになつておるのでしようか。
  52. 岸上康夫

    岸上最高裁判所説明員 大体申し上げますと、二十六年度と二十七年度で約三千二百万円程度と思います。
  53. 成田知巳

    成田委員 二十六年度、二十七年度で三千二百万円、それから二十八年度で約千八百万円、これで完了するのでございましようか。
  54. 岸上康夫

    岸上最高裁判所説明員 宮崎県の件につきましてもう少し補足させていただきます。宮崎の支部につきましては、二十六年度と二十七年度の約三千二百万円と、二十七年度の予備金地方裁判所の火災復旧費として約四千五百万円ほど計上されましたものを含めまして、それを高等裁判所の支部の庁舎としてやりかけておるところに使つて、そうしてさらに二十八年度で千七百余万円を入れまして、結局約一億円前後の経費を投じまして、約千坪程度の庁舎をつくる。そこに宮崎支部と、それから地方裁判所が火災で焼けましたので、地方裁判所もそこに一時同居する、そういう趣旨で大蔵省の事務当局とも話し合いました上で、その地方裁判所の火災復旧費の予備金を、高等裁判所支部として始めたその建物につぎ込んで、そうして当分の間高裁支部と地裁が同居する、その方が経費の面からいつても、裁判所の便利からいつてもよかろうということになつてそういうふうにやる予定で現在工事が進行しておる状況であります。
  55. 成田知巳

    成田委員 伺つておりますと、宮崎支部だけで約一億円の金が出ておるのですね。ただ地方裁判所が今焼けておるので、一時同居するということを言われたが、やはりこれは一時なので、地方裁判所はまた別にお建てになるのでありますか。
  56. 岸上康夫

    岸上最高裁判所説明員 現在の裁判所として考えでは――何年ということは予測がつきませんが、これは相当の期間同居することにならざるを得ないのではないか。裁判所の営繕というものに相当の余裕ができて、地方裁判所を別に建てる時期が来ればそうしたいということは考えておりますが、事実問題として相当の期間同居することもやむを得ないことになるのじやないかと考えております。
  57. 成田知巳

    成田委員 相当の期間同居なさるというお話ですが、将来の問題なので、建前としては、宮崎市の高等裁判所の支部に約一億円の金がつぎ込まれておるということですね。支部の職員は大体何人ぐらいですか。
  58. 岸上康夫

    岸上最高裁判所説明員 支部といたしましては、約三十名と記憶しております。
  59. 成田知巳

    成田委員 私たち全国を歩いてみまして、どの町に行つても、目につく一番大きな建物というのは、たいてい裁判所の建物です。宮崎市の支部の例をとりましても、三十人の職員が勤務する一支部に約一億円の金が使われておる。裁判所経理局長として地方をおまわりになつて、裁判所の建物が――これはもちろん威厳を示す必要もあるでしようが、他の官庁あるいは民間のビルと比較して、少しく豪壮に過ぎるというようなお感じをお持ちにならないでしようか。
  60. 岸上康夫

    岸上最高裁判所説明員 最近建てました裁判所の建物の中には、少し大き過ぎるという御批判を受けておるのもございます。しかし全部が全部そういうわけでもないようでありまして、場所によつてはまだわれわれとして不十分だと考えられるものしか建つていないところもございます。いずれにいたしましてもそういう批判を受けておる庁舎もございますので、現在裁判所といたしましては、そういう社会の一般の財政のこと、こういう点も十分考慮して、裁判所庁舎の規模という点については今後も大いに検討する必要があるというふうに感じております。
  61. 成田知巳

    成田委員 どこの町に行つても、一番大きいのは裁判所と国税庁でございます。国税庁というところは国民の税金をとるところでありますが、国民の税金をとる国税庁が豪壮な建物であります。裁判所は罪人をさばくのでありましようが、犯罪人の出る原因は、生活難というものも、税金の問題も出て来るかもしれません。税金で苦しんで、また生活難で犯罪を犯して、自分がさばかれる官庁建物というものは豪壮な建物である。今経理局長もお認めになりましたように、一部そういうようなところがある、世の批判を受けている、こう言われているのですが、これでは私はあまりいい結果をもたらさないと思います。先ほどの御答弁では、後ほどまだ来年、再来年建てるような建物の予定が相当おありのようであります。威厳を保つ必要はあるでありましようけれども、できるだけ節減した経費で、最小限度のところで、新築をおやり願いたい、この点特にお願いいたしまして質問を終ります。
  62. 橋本龍伍

    橋本(龍)主査 皇室費国会裁判所及び会計検査院所管について他に質疑はございませんか。――なければこれらの所管につきましては大体この程度にいたしまして、さらに残余の質疑がございますれば明日質疑を許すことといたします。  それでは午前の会議はこの程度にし、午後は一時半より再開し、内閣総理府経済審議庁を除く)及び法務省所管について審査いたします。  それまで暫時休憩いたします。     午後零時三十三分休憩      ――――◇―――――     午後一時五十五分開議
  63. 橋本龍伍

    橋本(龍)主査 休憩前に引続き会議を開きます。  内閣総理府経済審議庁を除く)及び法務省所管を議題といたします。順次説明を求めます。  まず内閣及び総理府所管について説明を聴取いたします。内閣官房会計課長三橋信一君。
  64. 三橋信一

    ○三橋(信)政府委員 昭和二十八年算における内閣及び総理府歳出予算について、その概要を御説明いたします。  まず内閣所管の歳出予算につきましては、昭和二十八年度歳出予算額は、一四億四千五百五十一万九千円でありまして、これを前年度歳出予算額三億九千六百八十六万二千円と比較いたしますと、四千八百六十五万七千円を増加いたしております。内閣所管の歳出予算に計上いたしました金額は、内閣官房、法制局及び人事院等の事務執行に必要な経費であります。  次に、総理府所管歳出予算につきましては、昭和二十八年度歳出予算額は、二千六百四十六億七千二百四十万六千円でありまして、これを前年度歳出予算額三千五百二十七億四百八万八千円と比較いたしますと、百十九億六千八百三十一万八千円を増加いたしております。増減の概略を御説明いたしますと、増額のおもなるものは、文官等恩給費について十一億四百九万六千円、旧軍人等恩給費について四百五十億円、国家地方警察関係経費において、給与改定による増額を含めて十七億一千六百九十二万六千円、北海道開発公共事業費において四十二億二百十一万三千円、参議院議員通常選挙費において十六億七千八十三万一千円、保安庁関係経費において給与改定による増額を含めて二百三十八億四千八百四十四万一千円、国家地方警察及び保安庁以外の部局における給与改定による増額四億四千二百四十八万七千円となつておりまして、以上のうち、旧軍人等恩給費及び参議院議員通常選挙費は、新たに計上した経費であります。減額のおもなるものは、地方財政平衡交付金において六百五十億円、地方災害土木費財政補助において四億二十八万円、衆議院議員総選挙費において十四億五千二百六十六万六千円となつておりまして、地方災害土木費財政補助及び衆議院議員総選挙費は前年度限りの経費であります。  総理府所管歳出予算は、総理府本府のほか国家公安委員会等の三委員会及び宮内庁、調達庁、行政管理庁、北海道開発庁、自治庁、保安庁、経済審議庁等七庁の外局に関するものでありまして、その主要なる経費を、事項別に申し述べますと、文官等に対する恩給支給に必要な経費百四億一千二百二十五万八千円、旧軍人等恩給費に必要な経費四百五十億円、国家地方警察に必要な経費二百二十億八千十八万円、北海道開発の公共事業に必要な経費百四十七億八百五万九千円、参議院議員通常選挙費に必要な経費十六億七千八十三万一千円、保安庁に必要な経費八百三十億円、平衡交付金に必要な経費八百億円等であります。  その概要を申し述べますと、文官等に対する恩給支給に必要な経費は、恩給法等に基いて、文官に対して、年金及び恩給を支給するために必要な経費であります。旧軍人等に対する恩給支給に必要な経費は、昭和二十一年勅令第六十八号恩給法の特例に関する件に基いて恩給を支給することができなかつた旧軍人、軍属または遺族に対して、年金及び恩給を支給するためのものであります。  国家地方警察に必要な経費は、国家地方警察本部、管区本部、都府県方面警察隊、警察学校等に必要な経費でありまして、前年度に比較しますと十七億一千六百九十二万六千円の増加なつております。これは主として給与改定及び特別区自治体警察費補助の増加によるものであります。北海道開発関係の公共事業に必要な経費は、北海道における河川、山林、土地改良、開拓、水産施設、港湾及び道路等の事業に必要な経費でありまして、事業の執行にあたり関係各省の所管予算に移しかえて使用されるのでありますが、これを前年度に比較いたしますと、事業費において四十二億二百十一万三千円の増加なつております。増加のおもなるものは、住宅施設費において五億二千六百十六万円、河川等事業費において三億三千六百二十万円、幾春別川総合開発事業費において二億五千万円、山林事業費において一億三千百九十四万八千円、土地改良事業費において五億八千五百四十四万四千円、開拓事業費において六億八千五百五十万七千円、漁港施設費において一億九千四百四十三万二千円、道路事業費において十二億九千八百九十八万四千円、港湾事業費において一億四千三百九十万円となつております。  参議院議員通常選挙費に必要な経費は、昭和二十八年度において執行される参議院議員通常選挙に必要な経費でありまして、これは国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律によつて計上されております。  保安庁関係に必要な経費は、本庁、保安隊及び警備隊の維持運営に必要な経費でありまして、前年度と比較いたしますと、二百三十八億四千八百四十四万一千円の増加なつております。増加の内訳は、本庁及び部隊の維持等に必要な経費において三十四億九千六百五十二万三千円、庁舎宿舎病院等の建設改修及び船舶の建造に必要な経費において二百三億五千百九十一万八千円となつております。  地方財政平衡交付金に必要な経費は、地方公共団体の財政需要と財政収入とを勘案して必要な財源を付与し、住民の地方税負担と地方行政内容との平衡化をはかるために必要な経費でありまして、前年度に比較して六百五十億円の減少なつておりますが、その理由は義務教育費国庫負担金が文部省所管に計上されたため等によるものであります。  なお、以上申し述べました予算のうちには、経済審議庁に関する予算三億五千七百万八千円が含まれておりまして、これにつきましては他の分科会において御審議を願つております。  以上をもちまして昭和二十八年度内閣及び総理府歳出予算の御説明を終ります。詳細につきましては御質問に応じまして関係政府委員からお答えすることにいたします。よろしく御審議あらんことをお願いいたします。
  65. 成田知巳

    成田委員 ちよつと議事進行について……他の省の関係は全部明細書をいただいているのですが、総理府内閣関係ではまだ明細書をお出しになつていないと思いますが、いかがでございましようか。
  66. 三橋信一

    ○三橋(信)政府委員 ただいま印刷中でございまして、でき次第御配付いたします。
  67. 成田知巳

    成田委員 主査にお願いしておきますが、これがなければ審査できませんから、少くとも分科会が終る直前までには出してくださるようにおはからい願います。
  68. 橋本龍伍

    橋本(龍)主査 ただいま成田委員から御要求がありまして、分科会が終るまでにはというお話でありましたが、それでは少しおそ過ぎると思いますから、明日分科会の始まる前までに御提出を願います。  ただいま内閣及び総理府予算について説明がありましたが、そのうち保安庁関係の分について、保安庁政務次官から補足的説明を聴取いたします。岡田政務次官。
  69. 岡田五郎

    ○岡田(五)政府委員 ただいま三橋会計課長から説明されました保安庁関係予算につきまして、私から補足的に御説明申し上げます。  二十八年度保安庁関係予算案の総額は八百三十億円でありまして、これを昭和二十八年度予算額約五百九十二億円に比べますと、先ほど会計課長から報告がありましたように、約二百三十八億円の増加なつております。まず、予算案見積りの基礎であります職員の定数について申し上げます。保安官の定数は十一万名でありまして、昭和二十七年度と比べて増減ございません。警備官の定数は一万三百二十三名でありまして昭和二十七年度の定数七千五百九十名に比べて二千七百三十三名の増加なつております。その増加の内訳は、第一に米国から借り受けることになつております千四百三十トン型の警備艇、通称フリゲート艦といつておりますが、これが十隻のところ十八隻になりまして、八隻増加する計画になりましたので、その乗組員として千六百五十二名、それから第二に、ヘリコプター及び軽飛行機を整備することになりましたので、その塔乗員、整備員等として四百三名、それから第三に、米国から借り受ける警備船の乗組員は、昭和二十七年度におきましては米国における定数とほぼ同数といたしておつたのでございますが、日本人の体格等その他の事情からいたしまして、多少増員の必要を認めますのでこの関係で百五十名、それから第四に、管理事務その他陸上におきまする機関に勤務いたしまする要員等といたしまして五百二十八名を増員することにしたのであります。以上を合計いたしますと、増加数は二千七百三十三名となるのであります。そのほか保安官及び警備官以外の職員の定数でございます。いわゆる制限以外の職員の定数でございますが、これは二千八百三十四名でございまして、昭和二十七年度の定数二千三百五十七名に比べまして、四百七十七名の増加であります。その増加の内訳は、官房各局及び研修所における事務処理のために三十九名、技術研究所における研究及び事務処理のために八十名、保安大学校における教育及び事務処理のために百二名、保安隊における調達事務のために百二十八名、警備隊における事務処理のために百二十八名という大体の内訳になつておるのでございます。  次に、保安庁関係予算案八百三十億円を、維持運営のために必要な維持的な経費と、施設の整備、船舶の建造等に必要な臨時的な経費に区分いたしますと、維持費といたしましては約四百五十億円でございます。臨時費は約三百八十億円、こういうように区分いたすことができるのであります。  維持費のうち、官房各局並びに付属機関、すなわち保安研修所とか、技術研究所、または保安大学校における事務処理、研究、教育等に必要な経費は約六億円でございます。保安隊維持費は約三百七十四億円でございまして、そのうち俸給、諸手当その他の人件費は約百四十六億円でございます。被服、糧食、器材その他の物件費は約二百十八億円、その他の経費といたしまして約十億円でございます。なお保安隊で使用いたしまする武器類は、昭和二十七年度と同様に米軍から借り受けることといたしておりまして、その購入費は計上いたしておりません。警備隊の維持費は約七十億円でございまして、運航船舶は米国から借り受けまする千四百三十トン型の警備船十八隻、二百五十トン型警備船五十隻、その他在来保安庁で持つておりまする掃海船五十四隻及びその他の難船の維持費を予定いたしておるのであります。そのうち俸給その他の人件費は約二十億円でございます。被服、糧食、器材その他の物件費は約四十八億六千万円、その他の経費約一億四千万円、こういう内訳になつておるのであります。  次に、臨時費約三百八十億円について申上げます。保安隊、警備隊は、ともに発足いたしましてまだ日が浅うございまして、昭和二十七年度までは既存施設を極力利用いたしまし、主として隊員の収容施設等の整備を行つて参つたのでありますが、昭和二十八年度におきましては、保安隊及び警備隊の訓練の充実、能率的な運営に必要な施設に重点を置いて整備することといたしております。臨時費のうち、官房各局及び付属機関並びに保安隊関係といたしまして、約二百二十億円でございますが、その内訳は、装備品の予備といたしまして約四十五億円、軽飛行機五十機、ヘリコプター十二機の購入費といたしまして約十四億円、また一般倉庫、車庫、弾薬庫、燃料タンク、修理工場等の保管、貯蔵、修理のための施設の整備費といたしまして約四十九億円、訓練場の買収整備費といたしまして約二十八億円、それから中央病院一箇所と地区病院二箇所及び駐屯地の病院三箇所等の病院新設費といたしまして約十七億円、保安大学校及び保安隊の幹部、業務、衛生の三つの学校の新営費といたしまして約十億円、軽飛行機基地整備費といたしまして約五億円、それから老朽営舎の建てかえ及び補強費約十九億円、保安庁本部及び技術研究所の新設費といたしまして約二十億円、その他通信施設、宿舎整備費及び施設関係附帯事務費といたしまして約十三億円、大体こういう内訳になつております。  警備隊関係といたしましては、臨時費といたしまして約百六十億円を見積つておるのでありますが、その内訳は、警備船千六百トン型二隻、約四十八億円でございます。千トン型の警備船三隻約四十八億円であります。四十トンないしは六十トン型の警備船を六隻、これが約九億円、それから補給工作船千トン型一隻の建造費といたしまして八億円、掃海船の六百トン型二隻、七億円、三百二十トン型四隻、これが約十億円、その他交通艇その他の雑船を十四隻ばかり建造いたしたいと思つておりますが、これが約一億円、附帯事務費といたしまして約二億円ということで、合計、船舶建造関係の費用といたしまして約百三十三億円ということになつておるのであります。その他軽飛行機は、警備隊関係といたしまして約五十機の購入予定をいたしておるのでありまして、その費用といたしまして約七億五千万円、それから庁舎、宿舎、倉庫、病院、通信施設、港湾施設等の施設整備費その他といたしまして十九億五千万円を計上いたしておるのであります。  以上をもちまして保安庁関係予算案の概略を補足的に御説明申し上げた次第でございます。どうかすみやかに御審議くだされまして、御可決くださらんことをお願い申し上げる次第でございます。
  70. 橋本龍伍

    橋本(龍)主査 次に法務省所管について説明を聴取いたします。大臣官房経理部長天野武一君。
  71. 天野武一

    ○天野政府委員 法務省所管昭和二十八年度一般会計予定経費概要について申し上げます。  昭和二十八年度法務省所管予定経費要求額は、百八十八億六千百十八万三千円でございまして、前年度の予算額の百七十七億六千九百六十七万五千円に比較いたしますると、十億九千百五十万八千円の増加でございます。この増加のおもな部分は、昨年の補正予算に計上されました給与ベースの改訂に伴う人件費によつて占められておりまして、人件費は九十六億八千百八十五万八千円でございますから、総予算額の五割強にあたつております。このほか使途別に分類いたしますと、旅費が十億九千百六十九万八千円、物件費が六十三億四千二百六十六万円、施設費は事務費及び予定施設整備費を除きまして九億八千三百三十二万円、補助費、委託費三億六千四百一万一千一円、その他三億九千七百六十三万六千円ということになつております。予算定員について申しますと、前年度末の、四万四千八百五十七人に比べまして、四万五千三百七十四人、すなはち五百十七人の増員でございます。これは一方におきまして大臣官房で十人、それから矯正職員で九十三人を減じますとともに、他方におきまして保護観察所の保護観察官で九十三人、それから入国監理の関係で入国警備官等五百二十七人の増員を認められたことによる差引の結果でございます。その他一般的な問題といたしまして、予定経費に対しまして極力節減の方針がとられておることは申すまでもございません。たとえばさきの補正予算におきまして旅費の一割、庁費の五分を節約したのでございましたが、それは大体におきましてそのまま踏襲されてありますし、そうでないものも財政規模の圧縮から全面的に調整をされております。従いまして実質的に見ますと、交通費の値上りとか、通信費等の改訂等により、予算の運用は依然としてきゆうくつなものであることは免れないと存ずるものであります。そこで法務省の予算は、その所管事務の性質上、前年度に引続き恒常的な経費ともいうべきものがすべてであるといつてよいと存じます。すなわち特別の政策による新規事業というような種類の行政事務はほとんどないわけでございます。もろろん前年度に行われました衆議院議員選挙関係の検察は、二十八年度予算においては予定されておりませんし、また昨年七月一斉に行われました住民登録の初度的な事務は、本年度にはあり得ないわけでありますから、予算上も当然落ちておりますが、ここで特に前年度と異なるものとして特色のあるものを列挙して御説明いたしたいと存じます。  その一つは参議院議員通常選挙のことであります。この選挙につきまして厳正適切な検察を行うというために、本省、それから検察庁を通じまして四千百三万四千円の予算が計上されております。これは一応事件数を二十五年度の参議院議員選挙の際の一万八千五百六十八件の八割と押えまして、一万五千人につきまして前回同様の単価を乗じて検察費を出し、これに行政費や超過勤務手当を加えたものであります。  次に成人であります刑の執行猶予者に対しまして保護観察制度を実施することにつきましては、短期自由刑の弊害を除いて、かつ再犯を防止するために、施策として本来研究が重ねられ、法制審議会におきましても採用議決されたのでありますが、いよいよ本年七月からその実施に着手することになりました、そのために所要の関係法律改正に手をつけますとともに、保護観察所におきまして被観察者の補導援護等に必要な観察旅費、補導諸費、更生保護委託費の経費等一千三十五万三千円を計上いたしました。  次に、世上注目されております巣鴨刑務所の関係では、平和条約第十一条によります刑の執行及び赦免等に関する法律の規定に基きまして、巣鴨刑務所在所者の仮出所、赦免、減刑等の審査及び関係各国への勧告を行いますために、在所者の環境の調査、また勧告用の各種調査資料の作成等が必要でございますので、その経費百九万一千円を見ております。  次に法務局関係といたしましては、従来出張所いわゆる登記所の職員に対して予算上超過勤務手当が認められておりませんでしたが、ようやく二十七年度におきまして、六大都市の出張所職員に限つて一箇月五時間分を認められましたが、二十八年度におきましては、出張所職員全員に対しまして一箇日四・六時間平均の超過勤務手当が認められたのであります。金額で申し上げますれば九百三十七万三千円にとどまるのでありますが、多年の望みが達成されたわけでありまして、私どもとしては、その意味で特徴的なものであると見ております。  それから刑務所、拘置所、少年刑務所、少年院及び少年鑑別所における収容所者の収容に必要な経費並びに刑務作業に必要な経費は、前年度の五十億二千七百四十一万円から四十八億七千八百四十万六千円に減少いたしました。その内訳につきましては、前年度と対比いたしますと、刑務所の収容費は、前年度三十二億三千六十九万三千円でありましたが、今年はこれから九千四百二十三万円減少いたしました。少年院の収容費は、前年度の四億九千九百六十五万五千円に比較いたしますと、三千七百三十一万八千円の増となります。それから少年鑑別所収容費は、前年度一億四千三百六十九万二千円に対し一千四十万八千円の増であります。刑務作業費は、前年度十一億五千三百三十七万円に対しまして一億二百五十万円の減となつております。これは刑務所収容費につきまして、収容人員を前年度の十万人に対し九万二千人と見込みまして、食糧費等の単価の値上りにもかかわらず総額におきまして減少することとなつたのであります。なお少年院及び少年鑑別所の収容人員は、前年度と同じようにそれぞれ一万二千人、三千人と見込みまして、そのために必要な食糧費、被服費、炊事用燃料費、医療費及び教化費または鑑別費が計上されてございます。費につきましては、前年度における作業用器具の整備及び二十八年度における収容人員減少のため総額において減少いたしましたが、作業収入は、作業費の減少にかかわらず収入歩合の増加等によりまして、前年度より若干の収入増を見込んだ結果、前年度の十八億三百十七万に対し十八億九千九百五十六万四千円、すなわち九千六百三十九万四千円の増となつております。  前年度の当初予算に外務省所管に計上されておりました入国管理事務関係のものは、本年度におきまして法務省所管に計上されております。冒頭に入国警備官の増員五百二十七名と申し上げたことによつても明らかなことと存じます。入国管理関係事務は、本年度におきまして大いに補強することが考えられております。たとえば昨年五月一日から本年一月末までにおける大村収容所の収容者総数は、朝鮮人を主といたしまして二千二百六十七名、この期間の朝鮮人送還者数は、自費出国一名を入れまして千九百八十七名、そのうち逆送還された者が第八次送還の際の百二十五名を入れまして現在百二十八名となつておるのに対しまして、大村収容所の収容能力はせいぜい七百名どまりであるために、今後の強制送還や収容措置の強化促進に伴いまして、はなはだしい不足を来すのでありますので、さきの補正予算による第二大村収容所を目下建設中であります。他方これらの施設の収容所のために必要な食糧費、炊事用燃料費または医療費等及び被退去強制者の送還のための用船料等につきまして、前年度に対し七千百三十一万八千円増の二十億一千四百万円を計上いたしました。  それから昨年度途中から発足いたしました公安調査庁につきましては、職員増加を行いませんでしたが、旅費、研修費、物的施設整備費の面におきまして六強化することになりまして、前年度より二億九千五百十三万円増の、六億八千三百五十六万五千円がその経費なつております。  施設費関係は、前年度に引続きまして、所管諸施設の新営、移転、整備、買収等を行うために、十億四百一万七千円を計上してあります。しかしこれは前年度より七千百四十四万円の減額でございまして、特に裁判所の施設予算に比較いたしまして、わずかでございますが、例によつて彼此相互間の均衡を維持するために苦心をするつもりであります。もつとも建設省所管の施設費の中に法務本省、それから法務局の関係、公安調査庁及び入国管理局関係を合せまして二億二千二百八十一万八千円が計上されておりますから、これを加えますと十二億二千六百八十三万五千円でありますが、それでも前年度と比較いたしまして二千七百四十万九千円の減でございます。  その他こまかいことがございますが、省略いたします。  以上法務省所管の歳出予定経費について申し述べたわけでございます。
  72. 成田知巳

    成田委員 議事進行について……。実は予算委員会で保安庁関係予算執行状況の調べを出していただきまして、それについて質問いたしたのですが、その際二十七年度の予算総額が、二十六年度の繰越しを入れて七百四十三億円になつております。一月三十一日現在の支出負拠行為済額が三百六十九億。二月、三月に約二百九十六億という厖大な金を使うことになつております。その点について大蔵省の主計局長に明細な説明を求めましたところ、それは保安庁関係だから、保安庁の方から調書を出す、こう言われて、まだ調書を出してないわけであります。それでこの二月、三月に使う予定になつております支出負担行為見込額二百九十六億の内訳でございますが、件数別、金額別にいつお調べになりますか。そういう調書をひとつお出しを願いたいと思います。きよう説明ができればけつこうでございます。
  73. 窪谷直光

    窪谷政府委員 今調査中でございまして、あすの午前中には御提出できると思います。
  74. 橋本龍伍

    橋本(龍)主査 あらかじめお断りを申し上げておきます。もうすぐ本会議の振鈴が鳴るそうであります。そうしましたら分料会を休憩いたしまして、全員本会議へ入つていただくことにしたいと思います。その含みでこれから質疑を行います。  通告順に従いまして、山崎巖君がありますが、行政管理庁に対する質問を留保されるそうでありますから、次に移ります。岡本茂君。
  75. 岡本茂

    岡本委員 私は警察費につきまして若干御質問いたしたいと思います。  日本の警察が戦前においては、その能力において世界に誇るべき能率を発揮いたしておりましたことは、周知の事実であります。しかるに終戦後占領政策によりまして、警察機構国家地方警察と、地方自治体警察とに両分せられ、さらに自治体警察は個々独立のものになつた結果、その機能は寸断せられるに至つたのであります。そのために警察機能は著しく低下を来しまして、犯罪の捜査その他治安の維持に重なる支障を来しつつあるのであります。占領政策による警察機構の変改のために、いかに警察機能が低下したかということは、次の統計を見ても明らかであります。  すなわち戦前におきましては、刑法犯の検挙能率のごときはおおむね八〇%以上である。昭和九年の九八%を頂点といたしまして、その後若干の増減はございますが、いずれも七八%以上最も良好なるは十三年の九〇%というような成績を示しておるのであります。しかるに占領軍によつて警察制度が改正されました以後における検挙能率は、急激に低下をいたしまして、二十三年には五一%、二十四年には五八%、二十五年には六八%、二十六年には七〇%、二十七年には六七%、この間において警察官の定員はほとんど倍加せられておるにもかかわらず、かように検挙能率は半減に近い低下をいたしているのであります。しかもこの能率の低下は、特に自治体警察において著しいのであります。二十三年においては、自治体警察の検挙率は五〇%、これに対して国警は六一%、二十四年には自治体警察が五五%、国警は六八%、二十五年には自治体警察が六五%、国警は八〇%、二十六年においては自治体警察が六六%、国警は八〇%、二十七年は自治体警察は六二%であるに対して、国家地方警察は八〇%というような成績の差異を示しておる。さらに国家地方警察に自治体警察が編入された後の成績を比較してみますと、この間の消息が明らかになるわけでございます。すなわち二十六年に第一次の自治体警察の国警編入が行われたのでございますが、その編入前の検挙成績は七二%であつたに対しまして、編入後におきましては一躍して七八%に上つている。編入後の成績を見ましても、いずれも著しく上昇を見ているのであります。かような次第でありまして、占領政策によつて警察の機能がいかに低下したかということは、これをもつても明らかであります。徳球その他の共産党の幹部が今もつて逮捕せられない、あるいはまた平事件、吹田事件というような重大事件の経過に見ましても、思い半ばに過ぎるものがあるのであります。  かような次第でありますので、政府が今回、従前の警察制度を改正せられまして、ここに新たなる警察制度を創設せられるに至りましたことは、私は治安確保の観点からいたしまして、賛意を表するにやぶさかでないのであります。しかしながらこれが実施につきましては、十分周到なる留意を払いまして、ただちに能率の完璧に期するばかりではなしに、従前の民主化の美点を失わないようにする、国民の信頼を裏切らないようにしていただかなければならないと思います。そういう意味におきまして以下若干の質疑を試みたいのであります。  まず第一にお伺いいたしたいのは、新警察制度の性格であります。要綱を拝見いたしますと、「国家地方警察は廃止する。」「市町村自治体警察は廃止する。」こういうことに相なつておりますが、新たに生れます警察は、いかなる性格を持つのであるか。これは国家警察たるの性格を持つのであるか、あるいはまた自治体警察たるの性格を持つのであるか。私は警察というものは警察権の主体から考えまして、国家警察か地方自治体警察、この二つ以外にはないと思うのであります。そういう意味かちいたしまして、今度の新警察制度もそのいずれかに属するものであるというふうに考えるのでありますが、いずれに属するものでありますか、まず第一にこれを伺いたい。
  76. 橋本龍伍

    橋本(龍)主査 答弁の前に成田君にお伝えいたします。御要求のありました内閣及び総理庁関係の各自明細書はただいま製本させておりますので、多分きよう夕刻までにお届けできると思います。
  77. 齋藤昇

    ○齋藤(昇)政府委員 近く今国会に提案いたしまして御審議を煩わしたいと考えておりまする警察制度におきましては、その警察の性格は、地方自治体的性格を多分に持ち、かつ国家的性格も兼ね備えておるというふうに御解釈を願うべきものであろうと考えておるのであります。今日の国家地方警察は、府県におきましては公安委員会というものがございますけれども、これはほとんどまつたく国家警察、こういう性格であると考えるべきだと思います。自治体警察は申すまでもなく完全な自治体警察であります。これは両方とも行き過ぎておるのでありまして、警察そのものの性格から申しますと、これは地方住民みずからの警察であるとともに、また国家的の性格も多分に持つものでありますから、今度の警察におきましては、かような国家警察と自治体警察と二本建というのではなく、その両方の性格を持つ一様の警察というように考えておるのでありまして、国家的性格の方が強いか、自治体的性格の方が強いか、これは学者その他の判断にもよると考えるのでありますが、われわれの立法の考え方は、しいて言えばむしろ自治体的性格の方の範疇に入るのではないだろうか。しかし運営の面において、国家的性格の役割を十分果せるものと考えておるのでございます。
  78. 岡本茂

    岡本委員 今度の警察制度が、自治体警察たるの性格を持つ半面において国家的性格を持つておるということでありますが、これはきわめてあいまいな説明でありまして、ちよつと承服するのに苦しむものであります。自治体警察というものも国家的性質は持つておる。これは従前からそうであります。現在の市町村の自治体警察も国家的性質は持つておる。これは警察というものの本質から生ずる当然の結果である。従つていかに自治体警察を設けましても、国家的性質を持つておるということは疑うことのできないことであります。今度の場合におきましても、都道府県を単位とする警察、これは私自治体警察じやないかと思うのであります。そうならば、それは自治体警察であつて国家的性格は持つておらぬ。国家的性質はある。しかし主体から言えば、もし主体が都道府県にあるということならば、これは自治体警察である。もしその警察権の主体が国にあるということであれば国家警察である、かように思うのであります。非常にあいまいな御答弁でありますので、もう一度御答弁を願います。
  79. 齋藤昇

    ○齋藤(昇)政府委員 少し言葉が足りなかつたかも存じませんが、私の申すのは警察の性質ではなしに、警察組織自身がどちらの性格を持つておるかということから考えまして、今度の府県警察は自治体の性格の方が多分に多い、あるいは自治体警察であるとも言い得るほどであると考えております。ただ警察長の任免が中央から行われるという点において国家的性格も持つておる。組織自体にそういう両方の性格を持つておるということを申し上げたのであります。
  80. 岡本茂

    岡本委員 どうもその点は私割切れないのでございますが、あとは議論になるかと思いますので、その点については質問を打切ります。  次に伺いたいことは、この新警察制度と経費との問題であります。先般来の予算委員会の経過、及びその後において政府から御提出になりました経過措置要綱というようなものを、拝見いたしまして考えますことは、今度の警察制度改正にあたりまして、経費を動かさないということをまずもつてきめておる、その後に制度を勘案するというような行き方をとつておられるように思うのであります。これはどうも本末顛倒じやないか。現在警察制度がはなはだ不適当である。だからこれを一元化して完全な警察制度をつくる。そして警察機能の発揚に努めるのだということであれば、完全な警察制度というものを立てて、そしてこの完全な警察制度というものを実施するのには、幾ばくの経費がいるかとううことを考えて、経費を盛るべきではないかと思うのであります。そういう意味からいたしますと、すでに規定されたところの昭和二十八年度予算というものを一切組かえない。そしてこれを全然ビタ一文も動かさないで行くということはどうもおかしいのじやないか。制度の効率を十分に発揚するためには、これに必要な経費を盛るのが当然である。それにもかかわらずそういうことのできないのは、経費をまずきめて釘づけにしておるという点から出ておるのであります。これはまさに本末顛倒じやないかと思うのであります。この点について政府はどういうふうにお考えになつておりますか。
  81. 齋藤昇

    ○齋藤(昇)政府委員 このたびの警察制度の改正経費との関係でありますが、政府といたしましては、経費を釘づけにいするという前提に立つてこの制度を考えておるのではございませんで、来年度以降国の費用を今二百二十億国警に使つておりますが、それよりもふえるか減るか、これをふやさないようにという前提で考えておるというわけではないのであります。ただ全体といたしましては、国家地方警察の経費二百二十億、市町村の経費三百十億と見まして五百三十億、その以内において国民負担といたしましては、十分能率の上る制度になることを確信いたしておるのであります。それは府県というところに統一されるとことによりまして、人員その他の経費の冗費が省けます。この点から考えましても非常に能率的になると考えるのであります。国費と地方費の負担の分配はどうなるかということは、これは地方財政の調整とも関係をいたしますので、その調整をいたしますために、来年度において府県と地方費の割合をきめなければ、今からちよつと調整は困難でありますから、従つて本年度は施行いたしましても、経費の負担区分は従前通りの規定によつてつて行くのであります。さようなわけでありますから、今年度は従来の負担区分によつて支弁するわけであります。国家地方警察の二百二十億、この区分は本年度はかえませんから、これでやつて行ける、かような説明を申し上げる次第でございます。
  82. 岡本茂

    岡本委員 本年度は、経費の負担区分をかえない、この点については私政府の苦衷はお察しするのであります。しかし制度を改変してこれを完璧なものにするためには、場合によつては増額を必要とする場合があり得ると思うのです。そういう場合に、大臣の答弁なんかにこだわらないで、必要があればそういう経費は支弁するのが至当じやないか、必要があればそういう経費を計上することもやむを得ないのじやないかというように考えるのであります。しかしこの点につきましてはすでに政府も方針がきまつておるということでございますから、これ以上追究いたしませんが、この間、あるいは聞き違いであつたかしりませんが、古井委員質問に対しまして、二十九年度以降においても国費は増さないのだというように答弁されたように思うのであります。そういうことであれば、それはおかしいのじやないか。少くとも二十九年度にはある程度の経費の増額を必要とすることが起つて来ると私は思う。さしあたり国警と自治警の給与差の是正をやるということにつきましても、相当増加が必要である。それを二十九年度も増額しないのだということをおつしやるのはどうかと思う。この分科会なり先般の委員会は二十八年度の予算案を審議しているのであつて、二十九年度以降の予算審議しているのでないのですが、二十九年度においても増額しないのだということをおつしやられますと、二十九年度はまたそれによつて押えられて来るわけでございます。私はそういう点についてもう少しゆとりのある答弁をされたらいいのじやないかと思いますが、いかがでございますか。
  83. 齋藤昇

    ○齋藤(昇)政府委員 先般予算委員会古井委員から平年度においての国費の支出はどのくらいになるか、今日の二百二十億とどんな関係があるかというお尋ねがあつて、お答えいたしたのでありますが、そのときに申しましたのは、今考えております法案におきまして、国費で直接支弁をする、かような費目、いわゆる本部の費用及び府県の警視以上の国家公務員経費、そういうものを全部考え、また国が直接支弁をいたそうと考えております警察用の装備関係、教養関係、通信関係、犯罪鑑識関係、警衛経費関係、特殊犯罪関係、これらを全部しめ上げましても百数十億以内になるのであります。それ以上増額は不必要と考えておるのであります。現在二百二十億ございますから、そういう意味におきましてまだ相当ゆとりがある。それで、市町村の費用を今度は府県が負担する部分が相当多くなります。現在国警予算でまかなつております府県の警部以下の給料あるいは普通の活動費というものも、府県費に相なります。そこで市町村と府県との間の財政の調整、それから国と府県との間の財政の調整という部分は入つて参りますが、国費直接の支弁、それから府県費に対する補助、これをどの程度見るか、それによつてこれらの金額はかわつて参ります。あるいは平衡交付金の額におきましては、今まで市町村に出しておつただけの平衡交付金で済むかどうかという点は、まだ十分計算はできておりませんが、平衡交付金を除いた、いわゆる国の警察費直接とする予算におきましては、これで余裕がある、かような意味に申し上げた次第でございます。
  84. 岡本茂

    岡本委員 ただいま御答弁で、平年度において直接国家が負担する経費は増さないということがわかりました。その点は安心したのであります。従つてこれは場合によつては平衡交付金で増される場合があるというふうに解釈していいと思うのであります。これは一時的に一割なり一割五分の減員をされて、総体の経費として若干の減少を見ましても、給与差の是正だけでも、全体として、これを埋めるくらいな経費の増額、これは道府県費なり市町村の経費全部入れまして、警察に要する経費は増額されるだろうと思います。その場合に、それは国は一つも増さんで、地方だけが負担するんだ、こういうふうにおやりになることはどうかと思うので、そういう場合には、国もまた経費の増額分をある程度負担しなければならないのじやないかと思うのですが、念のために伺つておきます。
  85. 齋藤昇

    ○齋藤(昇)政府委員 その点はまだ十分な計算をいたしておりませんので、明確には申し上げることができませんが、平衡交付金といつたような財政調整面においては、あるいは二十九年度において若干の増を見るかもしれないし、あるいはむしろ減になるかもしれない。これは計算をしてみなければ、ちよつとただいま何とも申し上げられません。
  86. 岡本茂

    岡本委員 わかりました。そこで平年度における国費負担、それから都道府県の負担及び市町村の負担がわかつておりましたら御説明願いたいと思います。もしそういうお調べがなければ、あとで御調査の上御提出いただきたいと思います。
  87. 齋藤昇

    ○齋藤(昇)政府委員 平年度における国費の負担、地方費の負担、これは先ほども申し上げますように、人件費におきましては、現状のままで計算をすることは非常に齟齬を生ずるおそれがあります。と申しますのは、給与のでこぼこをどう調整をするかによつて若干その数字がかわつて参ります。また府県費に対して国庫がどの程度補助をするか、その補助の率によりまして国費の額がかわつて参ります。ことに給与のでこぼこ調整には今後相当の時間と詳細な調査が必要と存じますので、はつきりした数字を申し上げますことは、ただいま非常に困難と思つております。その点は御了承いただきます。
  88. 岡本茂

    岡本委員 ただいまそういうものができておらぬそうでございますが、そういうおよその見積りは一応必要だと思いますから、ひとつ御調査を願いたいと思います。  次に伺いたいのは、国費から都道府県の警察費に対する補助の問題でございますが、要綱によりますと、「都道府県警察費の一部は特定の割合又は種類により国庫が負担する。」、こういうことになつておりますが、「特定の割合又は種類」というのはどういうことでございますか。昔の警察では、警視庁に対しましては一千六百万円以下は十分の六、一千六百万円を越える額については、大阪府に対しましは十分の三・五、各県に対しましては六分の一の負担をいたしておつたのでございますが、負担割合はこれより減少せしめないというようなお考えでありますかどうか、この点を伺います。また特定の種類に対して負担するということがございますが、これはいかなる種類について負担されますか、この点をお伺いいたします。
  89. 齋藤昇

    ○齋藤(昇)政府委員 ただいまのところでは、人件費につきましては平衡交付金で調整をいたしたい、人件費以外のものにつきましては、一応二分の一、半額以内において国費負担をいたしたい、かように考えておりますが、まだ決定的にはなつておりません。
  90. 岡本茂

    岡本委員 今の人件費以外については二分の一ですか。
  91. 齋藤昇

    ○齋藤(昇)政府委員 さようでございます。
  92. 岡本茂

    岡本委員 そういう負担が昔の負担と比べてどういうことになりますか。国家事務について、ややともすればこれを地方にやらして、経費を国で持たぬというようなやり方が地方財政を圧迫するところの大きな原因なのでございますが、この警察制度実施にあたりましても、そういう点については十分御考慮を払われたいと存ずるのでございます。これは自治庁長官にもお願いしておきたいのでございますが、おられぬようでございますから国警長官に特にお願いいたしておきます。
  93. 橋本龍伍

    橋本(龍)主査 岡本君にお答え申し上げますが、御要求がありました自治庁長官はきよう午後二時から地方行政委員会でかねて約束の打合会があつて、財政部長を連れて出席しておるそうであります。今課長が来ておりますが、自治庁の方はよろしゆうございますか。
  94. 岡本茂

    岡本委員 私、希望だけですからよろしゆうございます。しいて御答弁願いません。
  95. 齋藤昇

    ○齋藤(昇)政府委員 警察制度改正要綱にもありますように、そのほかに国費で直接持つ、いわゆる国が持つた方がいいという経費は、これは県費を通さないで国費で直接支弁をいたしたい。その費用は先ほど申しましたように、警察費用の装備品とか、あるいはまた教養施設の維持、管理とか、教育訓練に要する費用あるいは警察の通信施設の費用とか、あるいは犯罪探知の費用とか、あるいは御警衛と警備に要する費用とか、その他国家的な特殊犯罪の調査に要する費用とか、こういうふうに国家的性格の非常に強い面は、これは署でまるく負担する、かような趣旨にしております。それ以外の人件費については、地方負担の分は平衡交付金でこれを負担する、それ以外のものは地方で負担いたしたい、かように考えておるのでありまして、御趣旨の通りの考え方を持つてありますから、その内容におきましても御趣旨に沿うように考えて参りたいと思います。
  96. 岡本茂

    岡本委員 次に給与差是正の基本方針を伺いたいと思います。現在国警に属する警察官と、自治体警察に属する警察官とは非常な給与の差がございます。一例をあげますと、国警長官と尼崎市警の署長の給与とほとんど同額であるというようなことで、これを見てもわかりますように、非常に差異がございます。これを統合後においてどういうふうに是正せられるのか、現在高い俸給のものをこれを引下げるというわけに行かぬから簡単に高いものに右へならえするというような方針で是正されるのだと思いますが、その点はいかがでございましようか。
  97. 齋藤昇

    ○齋藤(昇)政府委員 給与の調整は非常にむずかしい問題でございますが、要綱にございますように、基本方針といたしましては、現在高い俸給をとつているものも、このために特に不利益を来さないような処置をいたしたいという方針は、決定いたしているのであります。一面人事管理の面からいたしまして、来年度からは現在国警におりますものも、自警におりますものも、転任その他によりましてあいるは一つの組織のもとに一つの机で仕事をするということになりますので、長くこれらの人たちが俸給が違つているということは不可能でありますから、これは一様に整えなければなならい。そこで高いところに整えるか、低いところに整えるか、これは非常にむずかしいのでありますが、一面今度は府県の給与の条例に従うわけでありますから、府県の給与体系というものをも考慮しなければならないと考えております。今日市の給与体系、府県の給与体系、それから国の給与体系、それぞれ違つておるのでありまして、おそらく府県は国と市町村の中間くらいの高さにあると考えているのであります。それらも勘案をいたしまして、一定の水準を考えて行きたい、そうしてその水準よりも低いものは引上げ、高いものはそこに引下つて来る。しかし引下つて来た場合に、本人に不利益を来さないようにという意味から申しまして、あるいは一時金なりその他の方法によつてその不利益をカバ一をするということを考えたいと思つているのであります。ただいま例にあげられましたような一、二のとつぴのものの処理というものは、また別個に考えなければならないものと考えております。
  98. 岡本茂

    岡本委員 国家公務員には国家公務員としての給与体系があり、府県の吏員につきましては府県の給与体系がございますから、この制約を破るわけには行かぬと思いますが、できる限り不平、不満のないようにしていただきたい。もし若干でも引下げられるというようなものがあるとすれば、それはただいまお述べになりましたように、退職金あるいは一時給与、その他の方法でできるだけ補うようにしていただきたいと思う。それからこの給与差の是正は二十九年度以降において行うということを追加されました要綱には書いてございますが、二十八年度以内において給与差の是正のできるものはやつたがいいじやないかと私は考えるのであります。すなわち二十八年度におきましても、自然減員その他において若干の減員が行われる。どの程度のものであるかしりませんが、それによつて生ずる財源は給与差の是正に充てるということにさせるのがいいじやないか。それは要綱によりますと、二十八年度少しもやらないというようにも読めるわけでございますが、しかし給与差の是正は一日も早い方がいいのでありますから、もし二十八年度において財源余裕を生じたという場合には、二十八年度中いとえどもこれを行うというふうにやつていただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  99. 齋藤昇

    ○齋藤(昇)政府委員 ただいまの点は、御趣旨の点を十分尊重いたしまして考慮したいと考えております。
  100. 岡本茂

    岡本委員 その次に、この地方警備本部というものでお伺いしたいのでありますが、現在の警察法の十六条では、全国を六つの警察管区にわかつて、管区本部を置いて警察事務を分掌せしめるということになつておるのでございます。この全国を数個の管轄にわけて警察事務を分掌さすという点については、この改正案においても同じでないか。名称はなるほど地方警備本部ということになつて、その分掌事務の若干をそこに例示されておりますが、しかし内容は、これはやはり一個の管区本部じやないかというふうに考えられるのでございます。これは名称を変更しただけで。要綱を見てみますと、警察管区本部は廃止をするというふうになつておりますが、廃止じやないしに単なる名称の変更じやないかと思うのですがいかがでございますか。
  101. 齋藤昇

    ○齋藤(昇)政府委員 現在の管区本部は、本部の仕事の全面にわたつて処理ができることになつておるのであります。しかしながらその事務の中には、管区を通するということがかえつて繁文褥礼になるという面もありまして、一利一害の点があるのであります。本来ならば、こういう機関はない方が簡素化してきわめてよろしいのでありますが、しかし今日の治安の状況から考えまして、これに対処し得るような組織がありませんと、治安の撹乱というものに備えることができませんので、さような職責を果す限度においてのみその職責を行うというようにいたしたのであります。簡単に申しますと、現在五つの部が管区本郎にございますが、そのうちの二つを廃止しまして、普通の刑事であるとか、あるいは警務、一般の会計、総務といつたような事柄の事務は行わない、従つてそういつた職員も置かない、かようにいたしたのであります。これらの仕事は、本部と府県と直通にいたしたいというように考えております。
  102. 岡本茂

    岡本委員 新たな地方警備本部は、全面的に事務を分掌させないから元の管区本部とは違うのだ、こういうお話でございますが、なくなるのは総務系統だけということであれば、これは実質的には管区本部であるというふうに考えていいと私は思うのです。総務的な仕事はいずれ残りますから、今地方警備本部という名前で残されましても、そこには総務的な仕事というものは残りますし、そのための分課が必要だと思うのです。従つて、管区本部を廃止するといつても、これは事実は廃止じやなしに名称をかえて保存されるのだと思いますが、これは形式論でございますから大したことはありません。  私は、それよりも、地方警備本部というものを存置することによつて、かえつて、機能の迅速化といいますか、機動力を発揮することの上においては妨げになるのじやないかと思います。またこれを残すことによつて少しでも経費がよけいいるということは当然のことであります。経費というよりも、そういう中間機関を存置されることが警察力の機動力を阻害する。命令系統ができ得る限り単純であつて、敏速に命令が伝達されなければ警察の機能は十分に発揮せられない。ところが現在は中間にあるから、かえつてそういう機動力を発揮するのを妨げているのではないか。これは実例をあげてもわかるのじやないかと思うのであります。名古屋で事が起つて、そうしてこれを大阪の管区本部に指揮を仰いで、大阪の管区本部は、どうせそういう重大事件であればということで、これを東京へ持つて来て国警の本部へ指揮を仰ぐ。こういうことになつたら、これはもうそのために幾つかの手数が重複することになり、かえつて敏速に手を打つということの妨げになるのじやないかと思う。むしろ現在の情勢からいえば、こういう中間機関をやめて、本部といいますか、今度は警察庁になりますが、警察庁から直接に指揮命令されるということの方が警察の能率を上げるのに適切じやないかと思うのでありますが、この点についてひとつ御意見を伺います。
  103. 齋藤昇

    ○齋藤(昇)政府委員 先ほど私が御説明いたしましたのは、総務関係の仕事がなくなると申したのではございませんで、総務関係、それから警察関係、それから普通の刑事関係、これらの一切をやらないと申し上げたのであります。主として警備関係です。  それで、ただいまのあとの点につきましては、一箇所において何か至急に指示を受けなければならぬという場合には、東京に近いところは管区のない方が早いということは当然考えられると思うのでありますが、われわれが今日の治安の情勢から考えておりますのは、同時多発の、しかも広域にわたる犯罪というのを常に考えておるのであります。これに対処すべく日ごろから十分調査をし、それに対する計画を立て、訓練をし、さような場合に敏速に処置をするということが肝要なのであります。従いまして、全国同時多発の場合に、一々東京の長官あるいはその部下がここで指示をするということでは、その指揮能力にもおのずから限度があります。従つてこれを数地区に分割をいたしまして、府県の警察長よりもなお判断能力も高く、そうして各府県の警察長に対して指示監督のでき得る立場の者が、その現地において適切なる措置をとらなければならぬという事態に対処し得るための組織でございまして、そういう事態を考えますと、どうしてもこの組織がありませんと用をなさないのであります。これが今後の治安確保の上におきましては最も肝要な事柄かと私は考えておるのでございます。
  104. 岡本茂

    岡本委員 この中間機関といいますか、警備本部については私は意見を異にしているのであります。警察の機能を敏速的確に発揮するためには、そういう中間機関はやめて、やはり警察庁直接に指揮をとるということの方がいいと思いますが、これは意見の相違でありますから、それ以上お尋ねをいたしません。  その次にお伺いしたいのは、北海道の方面警察隊というものでございますが、これの性格なり任免は都道府県の警察に準ずるということになつておりますが、これはどういう内容のものですか。
  105. 齋藤昇

    ○齋藤(昇)政府委員 現在北海道の方面本部は府県の国家地方警察隊と同様の扱いになつており、またそれに近い実力を持つているのであります。北海道は、御承知のように、非常に広い地域でありますので、従いましてこの道内を現在五方面にわけまして、これを各府県に近いだけの機能を持つ五つの区域にわけておるのであります。今回の制度改正によりまして、北海道全体が北海道警ということに相なりますけれども、この組織は今後の治安にかんがみまして、どうしても必要でありますので、これを北海道の警察の内部の一つの組織として、そうして個々の警察長は、やはり相当の識見を持つた人物でなければなりませんので、府県の警察長の任免と同じ形式をもつていたしたい、かように考えております。
  106. 岡本茂

    岡本委員 それからその次には、公安調査庁との関係でございますが、今度は国警と自治警との一本化、一元化ということをはかるために、こういう新制度を考えられたものと思います。公安調査庁というものが、何ら手足を持たない。しかも警察とは全然離れた組織であるということが、かの思想犯検挙というふうな場合において、大きな支障を来しておる理由であると思うのでありますが、今回の警察制度改正にあたりまして、公安調査庁との統合を、どういうわけでお考にならなかつたか、この点について政府の御所見を伺いたいと思います。
  107. 齋藤昇

    ○齋藤(昇)政府委員 制度改正審議の途中におきまして、さような事柄も議に上つたことがあるのでありますが、公安調査庁はまだ設置後一年もたつておりませんし、警察と十分協力態勢のとれるような行き方で、当分さらに努力を重ねて行きたい。その結果によりまして、さらに警察とどういう関係に置くかということを十分に審議するのが必要じやなかろうか、かようなことで、このたびの警察法の改正には取上げなかつたわけであります。
  108. 岡本茂

    岡本委員 現在の治安状況から考えますと、私は公安調査庁と警察の一元化をはかられるということの方が、もつと急務であると考えるのでございます。しかしいろいろの事情から、今回はお考えにならなかつたということでございますので、将来すみやかなる機会に、これが統合というこをとお考えいただきたいという希望を申し上げま目して、これに関する質問を終ります。  なお幾つか項目がございますが、本会議開会前に、私の質問を終るようにということでございますので、もし明日でも時間が余りましたらちようだいすることといたしまして私の質問はこれをもつて打切ります。
  109. 古井喜實

    古井委員 予算委員会の本委員会において、私は資料要求しておつたのであります。それは地方財政に非常に関係の深い資料でありまして、つまり平衡交付金八百億というものと密接不可分な関係にある資料だと思つておつたのでありますが、まだ提出を受けておりませんので、重ねてひとつ要求しておきたいと思います。  一つは義務教育費国庫負担に関連する二つの資料でありますが、義務教育学校教職員の各府県別の現員現給額、直接政府の改革案による府県別配当定員及びその給与額、この比較というのであります。これは現員現給額と、今度配付される額とが違いますと、教職員の身分の問題に関係して来るのみならず、府県の財政に大きな関係を持つて来るのであります。この点についての資料として、どうしても必要だと思つておるのであります。これが一つであります。  いま一つは、今の資料がなければできませんけれども、九百二十億円をただいまのように改革案によつて配付することにし、八百億を平衡交付金として配付することにする、そういうふうにした場合と、それから百算額の千七百二十億を平衡交付金で配付した場合と、その二つの場合の府県別の比較ということでありまして、これも府県によつては、財政が立ち行かぬようになる点があると思うのでありまして、それを見なければ八百億が適当であるかどうかということは判断がつかない。そういうので要求しておるものを、重ねてひとつこの委員会に関係がありますので、出していただきたい、これを要求いたします。
  110. 橋本龍伍

    橋本(龍)主査 承知いたしました。福田赳夫君。福田君にお断りをいたしすが、本日恩給局長は病気で休んでおるそうであります。なお保安庁は参議長の決算委員会から要求がありますので、保安庁の方を先に御質問願いたい。
  111. 福田赳夫

    福田(赳)委員 その前にちよつと総理府所管全体についてお伺いをしたいのですが、だれか来ておりすまか。私は委員会におきまして、本年度の予算には非常に冗費が多い、何とかしてこの冗費の節減ということについて考えてもらいたいという要請をしたのです。これに対しまして、大蔵大臣も大いに冗費の節減には努めましよう、そして三百億円のあの不評判な減税国債の発行は、これをとりやめることに努力しましようということを言明されたのでありますが、特に総理府所管を見ますと、非常に一般の諸経費が激増しておる。たとえば、これは各省全体を通じての問題でありましようが、職員手当というようなものが、ほとんど新規に出て来ているし、あるいは職員特別手当というようなものが非常な激増振りを示して、五割もふえております。さらに超過勤務手当のごときは倍になつておるし、委員手当にいたしましても、非常にふえておるのであります。さらに報償費というようなものにつきましても、七、八倍のふえ方をしておる。あるいは旅費にいたしましても、あるいは庁費にいたしましても、これはとほうもないふえ方をいたしておるのでありますが、予算額項目別表というのをごらんになつて、どうしてこういうふうに一般の諸経費がふえておるのか、これについ大体の御説明を願いたいのであります。
  112. 三橋信一

    ○三橋(信)政府委員 御説明申し上げます、ただいま御指摘のございました職員手当及び特別手当からまず申し上げます。  職員手当は、前年の終りにおきまして給与法の改正がございまして、俗に管理職手当と申しますか、大体課長以上の者には超過勤務手当というものを支給いたしませんで、給与の調整方法といたしまして手当を支給することになりましたものが、主としてこの職員手当内容なつております。これは本年度から新たにこういう目を立てましてその管理職手当もこれに含めるということになりましたので、これが特に増額しております。  それから特別手当でございますが、これは昨年から出ております夏季手当及び年末手当、それから勤勉手当、これが特別手当内容なつております。
  113. 福田赳夫

    福田(赳)委員 それがなぜ五割もふえたかということをひとつ……。
  114. 三橋信一

    ○三橋(信)政府委員 これはベース・アツプの関係が当然ここにはね返つて参りますので、それの率は当然ここでふえることに相なつております。  それから次に報償費でございますが、総理府の中に報償費がございますのは昨年から問題になつておりました内閣調査室の関係の報償費でございます。これは昨年度におきましても年度途中から予算流用によりまして、あるいは補正予算によりまして若干計上されておりましたが、これが来年度におきましては調査室において定員を三十一名にふやしまして、それによりまして種々の調査あるいは資料の収集等をいたしますので、それを依頼いたしました民間団体に対して謝金というような意味で報償費を出すというのが、この総理府において報償費のふえておりますおもな理由でございます。またこれがすべてございます。  それから庁費等でございますが、これは従来から特別の事業に要します庁費のほかに、人当庁費と申しまして定員各人に対しまして庁費がついておりまして、これが少額のため従来から各省の経理に相当無理が来る理由になつておりましたので、この人当庁費が九千数百円から二万三千円ほどに上つたわけでございます。これが庁費の中に定員数に応じまして入つております。その関係庁費相当ふえたわけでございます。十分御説明を尽しておらないかもしれませんが、大体ふえました理由はそういうことになつております。
  115. 福田赳夫

    福田(赳)委員 それから会議費についてちよつと御説明願います。
  116. 三橋信一

    ○三橋(信)政府委員 これは総理府にございます会議費でございますか。
  117. 福田赳夫

    福田(赳)委員 そうです。
  118. 三橋信一

    ○三橋(信)政府委員 本府の会議費のふえましたのはやはり総理府調査室におきます会議費でございます。これが増加いたしましたおもなものでございまして、二十七年度におきましては六十万円でありましたものが三百万円になつております。これは調査室の関係では二百数十万円の増になつておりますが、これがその主なものでございます。
  119. 福田赳夫

    福田(赳)委員 会議費はそれだけではないのです。二百二万円が四百八十二万円になつております。これは非常な激増をしておる。それからただいま御説明にありましたが、庁費にいたしましてもさようにふえておる。その他各費目が軒並にふえておるという状況でございます。私は総理府自体を対象にしておるわけではないのです。これを通じて各省予算にどれくらいの含みがあるか、また節約の可能性があるかという問題を検討しておるわけでありますが、総理府だけを見ましても、ともかくも非常な冗費というものが入つているのではないかという疑問を持つておるのであります。ただいま御説明がありました職員特別手当にいたしましても五割ふえておる。二割はベース・アツプの関係で理解できますが、あとの三割は一体どうしたのか。およそ会議費というようなものは昔はおそらく食糧費と言つたものがこういうふうにかわつて来たのではないか。これができた原因というのは、申し上げるまでもないのでしようが、戦後食糧不足でありまして、食糧事情が悪かつたものですから、会議に出た人に食糧を差上げるという趣旨でこの会議費というものが食糧費という名前で始まつたように思うのであります。でありまするから、これはだんだん減つて行くべきものではないかと思う。それが急に倍になるという点はまつたく理解できない点であります。あるいは旅費にいたしましてもそうなんです。なかなか当時職員の給与を引上げるということはむずかしい。旅費をすぐそういう方面にまわしたいというような希望等がありまして、旅費というものがふえたのでありますから、さような空旅費に属するものはこの際だんだん減額すべきものではないかと思うにかかわらず、これがまた非常な激増をしておる。どうもほかの省にも同じことがあるのでありますが、これは理解できない一点でありまして、大蔵大臣も、冗費は大いに節約して三百億浮かせることに努力すると申されておるのでありますから、その使用にあたりましては特に御注意を願いたい、こういうふうに考えておるのであります。  それから今度の総理府所管で、新しい施設といたしまして、情報機関の関係経費が非常に多額を占めているのでありますが、これは説明書を見ますと、さつぱり内容がわからない。この際ひとつこれを詳細に御説明願いたい。もう構想がきまつているから予算化されたのだろうと思います。今までの政府説明では、きわめてあいまいな説明でありますが、この際はつきりとその内容にわたつて、この一億三千万円の費途等について詳細に御説明を願いたい。
  120. 三橋信一

    ○三橋(信)政府委員 御説明申し上げます。総理府の所管の予算の中に、調査室は官房に属しておりますので、この中にわかれて計上されてございます。この総額を申し上げますと、一億三千四百六十六万二千円になつております。これの内訳を申し上げますと――人件費は一千十九万九千円ということなつておりまして、これは定員三十一名に対しまする俸給その他の人件費関係でございます。それから報償費三千万円、旅費百二十万円、庁費四百二十四万四千円、会議費三百一万九千円、広報刊行物作成費五百万円、情報調査委託費八千百万円ということになつております。この中で報償費につきましては、これはただいまも申し上げましたように、種々の調査資料を整備いたします関係上、民間の団体及び個人から情報並びに資料の提供等を受けました際に、その報償に使用するわけでございまして、前年度におきましては調査室が途中からでききましたので、予算流用並びに補正において合計七百万円ついておりますから使用しておりましたが、これを若干拡充いたしまして、三千万円によつてこのような資料の整備をして参りたいということにいたしております。  旅費につきましては、種々の事務連絡のための職員旅費でございます。庁費は、種々の庁用品あるいは消耗品等の費用でございます。会議費につきましては、種々の情報資料等を整備いたしまして、それにつきまして種々検討いたす等のために必要な会議費でございます。広報刊行物作成費でございますが、これはそのようにして整備いたしまました種々の資料を収集し、整理いたしまして、それによつていわゆるパブリック・リレーシヨンというような意味においての若干の広報刊行物を作成いたしたいという経費でございます。情報調査委託費につきましては、国の内外から経済、労働問題等についての資料を種々整備いたす関係上、民間団体あるいは個人に各種の調査を委託することに相なります。そのような機関あるいは個人に対して委託費として依頼して参りたい、そういう経費に使用されるわけでございます。  簡単でございますが、そういう次第でございます。
  121. 福田赳夫

    福田(赳)委員 そうしますと、三十一名ふえるというのは、いわゆる等級のある役人が三十一名であるかあるいは嘱託、非常勤というようなものを含めているのか、その点はどうでありますかそれから同時に、その機構はどういうものをつくるのか。
  122. 三橋信一

    ○三橋(信)政府委員 ただいまの最初の点でございますが、三十一名は定員上の職員でございます。それから機構でございますが、経済とか、労働とかいうふうに、内規的なものでありますが、班を一応つくりして、三十一名をそれにわけまして、専門別に調査室長のもとに種々の調査をいたしたいということにいたしております。
  123. 福田赳夫

    福田(赳)委員 そういたしますと、そのほかに嘱託みたいなものが多数おることになるのか。そうなれば何名くらいそういう者を置かれるのか。
  124. 三橋信一

    ○三橋(信)政府委員 嘱託といたしましては、昔からございましたような嘱託というようなものは特に置きませんが、調査を依頼する者として、特にただいま申し上げましたような報償費等によつて依頼するものはございます。
  125. 福田赳夫

    福田(赳)委員 話を伺つておりますと、大体国内国外の情報を収集してこれを政府の便に供する、こういうようなお話でありますが、それならば今までもそういうようなことはやつておるのでありまして、新しくそういう機構を設ける必要はないのじやないか。いろいろお話を伺いますと、暗号の解読をやるかいろいろ特殊な任務があるというので、これを了解する人が多いのじやないかと思いますが、そういうようなまつたく新しい国際情勢の段階において、特殊な方法、特殊な仕組みで資料を収集するというような性質のものではないかどうか。それと、いわゆる任務でありますが、たとえば同盟通信、共同通信等いろいろありますし、また国内の情報機関もある、そういうものに介在いたしまして情報機関はどういう役割をするか、この点についてお話を願いたい。
  126. 三橋信一

    ○三橋(信)政府委員 お答え申し上ます。種々の国内の民間の情報機関、たとえば昔の同盟みたいなもの、あるいは政府の各機関におきましても、外務省その他において種々の情報をとつておりますが、これを総合的に整理し分析するというようなことは、現在まとまつたやり万をしているところはないように聞いております。従つて内外の種々の調査資料を民間あるいは各省から集めまして、それを資料室というかつこうで収集し、そこで分析し整備して行くというのが、この調査室の仕事になつておるわけでございます。
  127. 福田赳夫

    福田(赳)委員 そういうことであれば、外務省にも調査局というのがありますし、特審局でもいろいろな調査をやつている。そういうものを総合して、そういう方面から経費なり人員を集めてやれば、十分に機能を発揮できる。国民の血税を使つて、新しく一億三千万円もかけてそのような仕組みをつくる必要はなかろうと思いますが、どうも私は新しい情報機構をつくるというだけでは国民が納得しないのではないかと思う。これはどんなものでありましようか。それだけのことであるか、あるいは他に特殊な目的を持つているのか。それだけのものであるとすれば、経費を非常に効率的に使つて行こう、なるべく予算は小さくして行こうという総理大臣の意図にも反しますし、また内閣の一番根幹ともなるべき総理府がそういうことをするのではとても財政もやつて行けまいと思う。あなたにお伺いするのは筋違いかもしれませんが、あなたの御所感を承つておきたい。
  128. 三橋信一

    ○三橋(信)政府委員 お答え申し上げます。私の存じておる限りにおきましては、この予算によつて、従来大分問題になつたような諜報活動は行われることはないというふうに理解しております。と申しますのは、私見が少し入るかもしれませんが、福田先生も御存じの通り、諜報活動などをやりますには一億三千万円――これが少い額であるとは申しませんが、この程度の額では現在においてそのような活動ができるとも考えられませんし、また三十一名の人間ではそのようなことも無理ではないだろうか。従つてこの予算によつていたさんとするところは、あくまでも政府内部あるいは民間で調査いたしました資料を整理いたしまして、これを分析整備し、政府の政策の資料にいたしたいというふうに理解しております。
  129. 福田赳夫

    福田(赳)委員 これはこの程度にしておきますが、ともかくこれによつて私の受けた感じは、総理府ばかりではないのでありますが、非常に国費を濫費する傾向がこの予算に含まれている、かように思います。その点だけ所感を申し上げまして次の質問に移ります。  次に保安庁関係の方に承りたいのでありますが、ただいま配付になりました一般会計予算各目明細書を見ましすと、各日明細としてこれでは非常に不親切な行き方ではないかと思います。というのは、いろいろな使途は出ておりますが、これがどういう機関別、部局別に使われておるかということは少しも明らかにされてない。どうも予算審議の対象になりません。元陸海軍におきましては、いわゆる軍事機密だとかなんとかいうことが盛んに言われまして、非常に説明に困るような際には、その陰に隠れて説明を省略することが多かつたように記憶しておるのでありますが、今度の保安隊はそういうものじやない。国民の前にさらけ出されたところの機構なのでありまして、昔とられておつたような祕密主義はなく、逆に国民に親しまれながら行かなければならぬ機構でありまして、もう少しこれははつきり説明する方法がないものかどうか、これをひとつお答え願いたいのであります。
  130. 岡田五郎

    ○岡田(五)政府委員 お答えいたします。保安庁関係におきまして、各日明細書につきましては、事項別に今内訳を整理いたしておりますので、追つて提出いたします。
  131. 橋本龍伍

    橋本(龍)主査 主査より伺いますが、それはいつ出ますか。事項別に整理したのはいつ出ますか。
  132. 江守堅太郎

    ○江守説明員 整理してございますので、いつでも御要求があれば……。
  133. 福田赳夫

    福田(赳)委員 各目明細書の内容につきまして、目々の区分というものをさらに機関別にしてもらいたいのです。これは将来ともそういう慣行にしてもらいたいと思いますが、そういたしますか、いたしませんか。
  134. 江守堅太郎

    ○江守説明員 ただいま各日明細書の形をとつてお手元に出してありますが、それをさらに機関別に出して、予算の付属書として出しますかどうか、私ここでちよつと答弁いたしかねます。
  135. 福田赳夫

    福田(赳)委員 これは政務次官がお答えできると思うのです。というのは、これはともかく予算の一割を占めようとする大きなものです。それをただ単に一片の目々だけをずつと並べて、これで審議せいといつても、これは審議のしようがないのです。どうしてもこれを機関別にどういうふうに使う計画であるのか、それを明らかにしなければいかぬ。これはだれが考えてもそれだけのことはしなければならないので、これははつきり政務次官に要請し、かつ御言明を願いたいのです。
  136. 岡田五郎

    ○岡田(五)政府委員 御要求の趣旨に大体沿つた資料を提出いたします。
  137. 福田赳夫

    福田(赳)委員 それから保安庁の組織図について伺いたいのであります。というのは、保安隊はわれわれが非常に身近に感じており、われわれの生命の安全を託するところの重大なる機構でありますから、ぜひ明らかにしておきたいのであります。いただきました保安庁組織図、そのところに方面隊というのがあるのです。その方面隊の管区隊、特科団、施設群、特重大隊、方面総監直轄諸部隊というのがありますが、これは大体内容はどういうものであるか。それから大体でけつこうでありますが、編成、人員をひとつおのおのについてお話を願いたい。
  138. 山田誠

    ○山田政府委員 お答えいたします。この方面隊は現在北海道の札幌に本部がございます。その隷下の部隊といたしましては、この表にございます管区隊、特科隊、施設群、特重大隊、方面総監直轄諸部隊、かようになつています。そうして次ページをごらん願いますと、方面隊の組織が出ております。それで一番右の管区隊というのが現在編成におきましては四つあるのでありまして、大体人員が一万五千名でございます。それからこの方面特科団は、その図にあります通りに、特科群と団本部及び本部中隊、特科大隊が二つ、そうして方面特科群はこの下の欄にありまするように、特科大隊が四つと本部及び本部中隊というような編成に相なつております。それから方面施設群、これは主として機械を持つて道路などをつくつたりあるいは橋をかけたりする部隊でございますが、それは同じく施設大隊が三つ、直轄中隊が二つ、方面施設群本部及び本部中隊一つ、それから独立特車大隊というのがございます。その他若干のこまかな部隊が直轄部隊と相なつております。大体これらを合せまして管区隊を入れまして人員といたしまして三万でございます。
  139. 福田赳夫

    福田(赳)委員 今の表は手元にありますからそれはわかるのでありますが、たとえば管区隊が一箇一万五千名というような話でありますが、その一万五千名というのは一体どういうふうな編成になつておるのか、また特科大隊だの特科群というようなものがありますが、それは一体どういう任務で、どういう装備になつておるか、これはごくあらましでいいのですが、われわれはちつとも存じませんものですから。
  140. 山田誠

    ○山田政府委員 少し説明が足りませんでしたので補足いたしますと、管区隊の編成は、次のページにありますが、普通科連隊が三つ、特科連隊が一つ、その他の衛生大隊、施設大隊及び補給、武器、通信、偵察中隊ということになつております。この普通科連隊は大体一箇大隊が八百数十名でございます。各大隊によりまして必ずしも員数が斉一ではございませんが、施設大隊は約数百名でございます。それから特科大隊でございますが、特科大隊は一〇五ミリ、一五五ミリ榴弾砲、八インチの迫撃砲というような部隊でございます。それからこの方面特科団でございますが、この特科大隊も大体同じような一〇五ミリ、一五五ミリ、八インチあるいは九〇ミりの高射機関銃部隊というような編成になつております。この方面特科団は大体機械部隊が主力でありまして、独立してその任務に当るということが建前なつておりますために、特に管区にはつかずに、方面特科団として方面隊に独立してついておるということであります。
  141. 福田赳夫

    福田(赳)委員 それから昭和二十八年度主要計画、施設を拡充するという計画を見ますと、百六十億円も使つていろいろ施設をすることになつておるようであります。これらを見ますと、病院なり庁舎なりあるいは大学校の校舎というようなものを新営することが非常に多いのでありますが、これは新営する必要はないのであります。元軍において使つておつたいろいろな施設を転用すればいいのじやないかと思うのでありますが、新営というのがどうも目につく、この新営というのはさような趣旨からみましてどういうことを意味するのか、ひとつ伺つてみたいのであります。
  142. 岡田五郎

    ○岡田(五)政府委員 保安庁といたしましても、できるだけ経費の節約という面からいたしまして、既存設備の活用ということにつきまして、これら病院あるいは庁舎あるいは営舎、倉庫というような施設を鋭意探して参りました。探して参りましたが、どこへ行きましてもまだ駐留軍の接収中といいますか、使用中であるとか、あるいはすでに学校方面に転用せられておるというような関係で、最後のぎりぎり一ぱいのところまでいろいろ大蔵省と折衝いたしまして、さような段階になつたわけであります。決して好んでさような――と言つては言葉が強いのでありますけれども、新営措置をとつたわけではないのでございまして、その辺のところをどうか御了承願いたいと思います。
  143. 福田赳夫

    福田(赳)委員 たとえば病院につきましては、中央病院も一つつくるという御計画のようでありますが、この病院のごときは若松町かどこかにりつぱなものが元あつて、それを今何かに転用されておるようでありますが、さようなものを使えばそれでいいのじやないかというふうに常識的には考えるのです。それからまた技術研究所をつくるという話がある、技術研究所は戸山ケ原かどこかで、これは国有財産として遊んでおるはずです。こういうようなものをなぜお使いにならないのかわれわれは非常にふしぎに思うのです。何か新しいものがよくてそういうことをするのかどうか。この二つの事例だけでもよろしゆうございます、技術研究所は戸山ケ原にあるものをどうして使えないのか。また病院につきましては第一国立病院をなぜ使えないのか。これについてひとつ説明願いたい。
  144. 加藤陽三

    ○加藤政府委員 病院の方についてお答えを申し上げますと、若松町にございました元の陸軍病院は、現在第一国立病院として厚生省で使つております。また目黒の方にございました元の海軍病院も今第二国立病院として使つておるわけでありまして、今保安庁の方にいただくというわけにも参らないような状況でございます。
  145. 江守堅太郎

    ○江守説明員 技術研究所のことを簡単に申し上げます。戸山ケ原の方は建設省の建築研究所で使つております。それから大久保にございました科学研究所も、私の方でいろいろ調査したのでございますけれども、これも大蔵省の方から払下げがきまつておりまして、今さらどうにもならないというような状況でございます。
  146. 福田赳夫

    福田(赳)委員 そういうところから政府部内の割拠主義ということに非常に制約されているのじやないか。これは今後警備隊、保安隊が拡充されるにあたりましていろいろそういう問題が出て来る、国費の効率的使用というような面からもう少し幅を広く、国の施設をどういうふうに有効に使うか、こういう問題を大いに考えてもらいたいのです。これにつきましては、国有財産の管理当局である大蔵省とも特に緊密なる連繋が必要ではないかと思うのであります。大蔵省の方が将来保安隊のいかなる施設に使われることが一番有効であるかということの考えなしに、どんどん他の方面に連絡なく払い下げるなり、処分する傾向があるのではないかということも考えられるのですが、大蔵当局はそういう問題の処分に当つて、一々保安隊と相談しておるか、これをひとつ伺いたいと思います。
  147. 岡田五郎

    ○岡田(五)政府委員 私の答弁が非常に抽象論になつて、かえつて恐縮かと存じますが、御承知ように、警察予備隊から保安庁、すなわち保安隊、警備隊となりましたのは昨年八月、すなわち十月から発足いたしたのでありまして、昨年七万五千から十一万になるというようなことで、本格的に自衛力、治安力の整備というものが軌道に乗りかけたわけであります。ところが先ほど申されました国有財産の施設、国立病院あるいは学校その他の施設への転用というものがすでに警察予備隊発足前から全面的に経済復興あるいは民生安定の面に施設が転活用されておるということで、言葉は悪いのでありますが、保安庁関係はあとのからすというわけで、遅ればせになつた、こういうことで大蔵省関係でも非常に好意は持つてくださつておるのでございますが、なかなか現実のいろいろな折衝にあたりましては簡単に参らない、かようなことで保安庁関係の設備の強化、あるいは演習場にいたしましても、射撃場にいたしましても、これが獲得につきましては非常に苦心をいたしまして、できるだけ民生の安定その他の施設に悪影響を与えないで、しかも保安庁関係の施設の強化に向いたい、こういうことで実は苦労をいたして来ておるようなわけであります。個々の具体的な場合には、あるいはもう一押し押せばもらえたかもしれないというような場合があるかもしれませんが、誠心誠意かような気持を持つて努力をして来たようなわけでございます。まことに抽象的な御説明を申し上げまして恐縮に存じますが、以上のよな経過をたどつておることを御了承願いたいと思います。
  148. 橋本龍伍

    橋本(龍)主査 福田君に申し上げますが、ただいま山崎委員から関連質問要求がございましたが、よろしゆうございますか。
  149. 福田赳夫

    福田(赳)委員 もう一点だけ……これはぜひ大蔵当局と緊密にやつてもらいたい。旧軍用財産につきましては、何かこれは処分に関する共同の審査会でも設けて、必ず保安庁には相談をしてやるというくらいにしたらどうかというふうに考えておるのであります。  さらにここに燃料貯蔵施設整備というのがございますが、これも私ども新聞か雑誌なんかで見ますと、旧陸軍でしたか、海軍でしたか、これのタンクをだれかに払下げる計画のあることを承つておりますが、これなども、一方で国は施設を安く売つて、他方において高い金をかけてこういうものを新しく整備する、どうも意味がよくわからないのです。これもこういう燃料貯蓄施設というものにもそういう問題があるのかどうか、もし御承知でありましたならばお話願いたいし、承知なければよく調べて善処してもらいたいのですが、いがかですか。
  150. 岡田五郎

    ○岡田(五)政府委員 今の福田委員からの御忠告に基きまして、今後とも十二分に大蔵省の管財方面とも連絡をとりまして国有財産の不経済な活用といいますか、処分のないように心がけたいと思つておりますが、ここで御承知おきいただきたいことは、たとえば保安隊関係の機関を設置いたしますにあたりましても、保安隊としての一応の計画に基きます以外に、その土地の民意といいますか、地方の方々のお気持をも参酌しなければならない。そのお気持をも参酌いたしまして設置いたしまと、これに対する負担をしなければならない。せつかく機関はあるが、地方の民意は保安隊の駐屯地として御歓迎くださらない。こういうようないろいろな複雑な事情が交錯いたしまして、せつかくりつばな燃料タンクがあるが、保安隊を置くことを好まないというようなことで、いろいろ彼此勘案をいたしまして、設備の強化に当つておるのでありますが、先ほど御注意がありましたように、これらの旧国有財産の所在を探求いたしまして、十二分に大蔵省からも御相談を受け、また御相談申し上げまして、これが活用をはかりたい。従いまして与えられた予算におきましても、できるだけ節約を志して行きたい、かように考えます。
  151. 橋本龍伍

    橋本(龍)主査 山崎さん、簡単にお願いいたします。
  152. 山崎巖

    山崎(巖)委員 福田委員の御要永の資料の中で、警備隊の配備というのがございますが、それを見ますと、横須賀地方隊と舞鶴地方隊に相なつておりますが、来年度さらに地方隊を御増置になる予定がございますかどうか。なおうわさでありますから真実かどうかわかりませんけれども、九州方面に一箇所増置の御予定があるようにうわさで聞いております。その基地につきまして、佐世保と伊万里とが非常に競争をしておる。私どもが常識で考えますると、先ほど福田委員の御質問にもございましたように、佐世保は旧海軍の工廠その他の施設がたくさん残つておると思います。おそらく警備隊に転換をし得られるものが相当あると思いますが……。
  153. 橋本龍伍

    橋本(龍)主査 山崎さん、あとでやつたらどうでしよう。
  154. 山崎巖

    山崎(巖)委員 御答弁はあとでけつこうですから……。それでもし増設される場合に、どういう方針によつてお定めになりますか、その点を伺つておきたいと思います。
  155. 岡田五郎

    ○岡田(五)政府委員 時間の関係もございますので、簡単にお答え申し上げます。実は明年度は大湊、呉それから南西地区に一箇所、この南西地区が、今お尋ねの伊万里と佐世保のどちらにするかいろいろ問題がありますが、この三箇所、地方総監部とは申せませんが、基地という形で設けたい、かように考えております。なお今お言葉にありました伊万里と佐世保は、いずれに設置するかということにつきましては、目下保安庁におきまして、十二分に彼我の利害といいますか、得失といいますか、こういう問題をせつかく検討中でございまして、あるいは新年度へ入るまでにいずれか決定いたしたい、かように考えている次第であります。
  156. 橋本龍伍

    橋本(龍)主査 ただいま本会議が開会されたようでありますから、暫時質疑を中止いたします。なお質疑の通告もまだございますので、本会議状況に応じ、適当な機会に再開して質疑を継続いたしたいと思います。  暫時床憩いたします。     午後四時十五分休憩      ――――◇―――――     午後五時五十八分開議
  157. 橋本龍伍

    橋本(龍)主査 再開いたします。  休憩前に引続き、内閣総理府経済審議庁を除く)及び法務省所管を議題として質疑を続行いたします。質疑を許します。福田赳夫君。
  158. 福田赳夫

    福田(赳)委員 私の要求いたしました資料の装備の現況というのがありますが、これで見ますと、「武器は米軍より貸与されており、」とありますが、この並んだ武器で、ただいまおります十一万何がしに全部行渡つておるのかどうか、あるいは足らないところがあるのか、過剰があるのか、それをひとつ伺います。
  159. 岡田五郎

    ○岡田(五)政府委員 この武器の種類によりまして、大体九〇%また一〇〇%近く装備されているものはあるわけであります。一方百五十五ミリ榴弾砲だとか、そういう重装備的なものはまだ五〇%か六〇%程度、こういうことで目下日を追つて着々その所定数にまで貸与を受けている最中でございまして、主として重装備関係が今なお定数にはるかに下位の程度に装備されたものである、こういう現況でございます。
  160. 福田赳夫

    福田(赳)委員 ただいままで訓練を受けまして除隊になつて、在郷の者はどのくらいですか。
  161. 窪谷直光

    窪谷政府委員 訓練を受けて除隊になりましたのは約四万名程度でございます。そのうちで二年間の任期を満了いたしまして、予定の通り退職をいたしました者が二万九千、あとは結局家庭の都合でございますとか、からだの都合でございますとかいうので、自然に退職して行つたものということになります。
  162. 福田赳夫

    福田(赳)委員 大体御判断で、戦前の地上兵力に比べて、今の防衛力はどんな比較になるか、いろいろな角度がありましようが、その御判断をひとつ聞きたいと思います。
  163. 岡田五郎

    ○岡田(五)政府委員 戦前と申しますか、戦争中と申しますか、前の陸海軍時代の兵力に比較しての実質的な兵力はどうかという御質問だと思います。これはいろいろ見方がありまして、非常に大げさに見込まれる方は、あるいは十倍近く能力があるのじやないか、こう言われる方もありますし、あるいは最小と言いますか、少く見込まれる方は三、四倍程度じやないか、こういうことも言われるのであります。これは私しろうとで的確な御説明をいたしかねるかもしれませんが、装備の方法といいますか、基準が大分違つて来ておりますことと、最近装備が車両を主としたいわゆるアメリカ式の装備でございまして、機動力が相当強い。こういうような面からいたしますと、――これは責任ある言葉として受取つていただきますと、かえつてどうかと思いますが、常識的という程度に答弁させていただきたいのでありますが、まあ数倍というふうなところが実は近いのじやないか。これは福田先生よく御存じのように、見方によつていろいろ能力が違うわけでありますが、大体そういうふうに見られると思います。
  164. 福田赳夫

    福田(赳)委員 結局防衛力という問題は、現在持つておる、現在動いておる防衛力と同時に潜在防衛力、すなわち必要の際に動員し得る力というものは、無視し得ない。またこれが防衛力の根幹をなすものではないかというふうに考えるのであります。ただいまの保安隊の行き方を見ておりますと、大体二年ぐらいを置きまして、郷里に帰すという仕組みになつております。しかも教育される人はなるべく若い人という仕組みになつておりますが、私はもつと短期に、三箇月なり、二箇月なり、すでに兵役の経験のある人に入隊してもらいまして、なるべく多数の予備兵力、在郷の防衛力というものをつくつて行くということが経済にして、しかも充実した防衛力じやないかというふうに考えるのであります。この考えは経済力の弱い日本といたしまして、最大の防衛力を持たなければならぬという場合におきまして、ぜひ採用しなければならぬ立場に置かれておるのじやないかというふうに思うのでありますが、さような方向の考え方をされたことがありますか、ひとつ御所見を承りたいのであります。
  165. 岡田五郎

    ○岡田(五)政府委員 今の福田委員の御質問の要点は、大体旧軍人といいますか、兵歴を持つている者を利用すれば、一年間で訓練されるものが、半年で訓練されるのではないかという意味合いの御質問と存ずるのであります。旧兵歴を持たれた方をとりまして新しい方式による保安隊の訓練にそれほど価値があるかどうか。という点は、大分訓練方式が違つております。教練その他も根本的に旧陸海軍の方式とかわつておりますので、はたしてその効果があるかどうか相当疑問に思われる点。もう一つは保安隊というものは、できるだけ陸海軍というからを伏せて、国民に直結した、いわゆる治安維持の任務の自衛力としての保安隊、警備隊をつくりたい。こういうような意味合いからいたしまして、兵歴を持つた者も、また持たざる者も優秀な者も、とにかく広く天下に人材を集めまして訓練をする、こういう考え方で進んでおりまして、特に過去の兵歴を持つている者に重点を置くという考え方は今まで持たないようであります。ただ保安隊の特質上募集される人のうちに、旧兵歴を持たれた方が非常に多い。従つてこれが採用の割合もほかの者に比べれば比較的多い。こういう結果になつておるのでありまして、意図的に旧兵歴を持つておる者を優先採用するという形をとつていないのであります。  それから二年で交代するという制度をとつていることについての御批判もあるようでありますが、大体アメリカ式といいますか、新しい訓練方式により、またほんとうに保安隊の精神を体得してもらうには、やはり二年程度が必要ではないかということで、一応二年を標準にいたしておるのであります。先ほど経理局長から御説明申し上げました四万数千人退職いたしましても、警察予備隊時代六万円の退職金で二年間だというふれ込みで幕集いたしましたあの当時の実情から行きまして、初め相当期待したよりも優秀ならざる者もいたというような関係、また入られた方が、自分たちが予期したものと多少違つていた、こういうことで四万数千人の交代をされたのでありますが、最近入つて来られた方は、保安・隊とは何ものであるか、保安隊の本質はこうあるべきだ、こうあつて進んでいるのだという保安隊の精神も体得せられているのでありまして、今後はこの二年の退職期が来ましても、実際に退職される人は少くて、継続奉職される方が多いのではないかと考えている次第でございます。
  166. 福田赳夫

    福田(赳)委員 と申しますのは、政府におきましては防衛力といいますか、保安隊の定員の増加はいたさないということを累次説明されている。しかしながらまた近く増員を余儀なくされるのではないかという観測が一般に彌漫をしているわけです。あるいは五月になりますと、ダレスがやつて来る、そのダレスのやつて来る任務がさような問題をはらんでいるのではないかとか、あるいは池田前蔵相がアメリカに行くのはそういうことに関係があるのではないかとか、いろいろなことが言われておるのでありまして、そういうような国際情勢と申しますか、アメリカ等の希望に対しまして、どういうふうにこれを受けて立つか、なかなか日本の経済力ではそう大きな軍備は持てない。持つだけの経済力がないと思うのでありますが、何かそこにさような国際情勢の要請を受けて立つ構えというものがなければならぬと思うのですがいかですか。アメリカ当局との接触状況において、今後この保安隊の問題について見通しをどういうふうに考えられているか御返答を願います。
  167. 岡田五郎

    ○岡田(五)政府委員 非常に難問で、私自身も御返答に実は困る問題でございますが、いろいろと世間においては先の見通しについて新聞報道もありますし、また個々によつてはいろいろ見通しを立てておられるようでありますが、私たちといたしましては、現在の段階において、少くとも二十八年度におきましては、この十一万人の保安隊、一万数千人の警備隊、また二十八年度予定している警備船の充実ということで、一応保安庁法に定められました国内の平和秩序維持という任務が全うできる、かような信念を持つているのであります。今後国際情勢その他の客観的な事情からいたしましてどういう情勢が打寄せて参りますか、現在私たち政府委員といたしましてキヤツチいたしまする資料から、先ほど申し上げたような結論を、実は現在においては出しているような次第であります。
  168. 福田赳夫

    福田(赳)委員 それから武器に対して、たまというかさようなものはどれくらいの量を持つているか、その点お示し願いたいと思います。
  169. 岡田五郎

    ○岡田(五)政府委員 たまの保有している具体的な数字はあるいは装備局長の手元にはあるかと思いますので、数字は申し上げられますが、一応お答え申し上げたいのは、実は兵器の借入れをしますとともに、たまも実は向うからもらつていると申しますか、まあ消耗品ですからもらつていると称してもいいかと存じますが、もらつて使つているわけでありますが、ただ二十八年度におきましては演習用のたまと空砲、わずかに四億四、五千万円でございますが、これを国内調達、保安庁直接調達によつて使用しようという大体の現状なつている次第であります。これも金額はどの程度になつているか再三調べさせてみましたところ、年間数百億になるという話でありますけれども、これは確かな数字ではございませんが、こういう厖大なものを貸してもらつて訓練しているような次第であります。
  170. 福田赳夫

    福田(赳)委員 たまはもらつて武器は借りるということになりますが、これについては協定か何かあつたのでありましようか。私ちよつとうかつな話ですが存じませんのでお聞きいたします。
  171. 岡田五郎

    ○岡田(五)政府委員 実は今借りておりますものは、現地部隊の保安責任将校から個々に借りているのであります。従いまして非常に煩項になつているので、最近部隊一本、保安庁一本ということで貸借手続を進めたい、こういうように実は考えているような次第であります。
  172. 福田赳夫

    福田(赳)委員 その借りている、またはもらう、これは両国間のとりきめか何かがあるのかどうか。と申しますのは、借りたのならば返さなければならぬという問題が当然そこに将来起きて来るでありましようし、また特にたまの問題においてはさような大きな問題が出て来るのであります。しかも数百億になるということでありますと、相当大問題であるというふうに考えますが、その辺は両国の貸借または贈与関係法律上の立場はどうなつているのか、かようなことをひとつお聞しておきたいと思います。
  173. 上村健太郎

    ○上村政府委員 次官から申し上げました通りに、現在は各部隊におります顧問将校から事実上使用させてもらつている状況でありまして、これでは先方のアメリカ軍側としても不便がありますので、一括して保安庁で借りるという形式をとつてくれ、こういう話が出ております。しかしこの貸与の協定といいますか、アグリーメントという言葉を使つておりますが、ただ使用さしてもらう事実上の手続をきめるというくらいの程度の軽いものに考えており、またそういうふうに処理したいということになつております。アメリカにおきましても、船の場合でございますと、向うでも議会にかけまして法律を出しておりますが、武器の場合にはこういう形式をとらないというような希望も出ております。内容につきましては、現在先方と折衝中でございまして、手続規定ではございますが固まつておらない次第でございます。
  174. 福田赳夫

    福田(赳)委員 武器については問題があるのですが、問題の程度が低いと思うのですが、弾薬です。弾薬はこちらで使つてしまうのですから、これを返すということになると相当の大問題が将来起きて来るのじやないか。ことに私どもといたしましては、対日援助費というものが相当大きな問題である。これはわれわれとしてはもらつたと思つておつたところが、アメリカ側の最近の意向はあれはくれたんじやない、返してもらうのだというようなことを言つているように、この委員会を通じても承つたのでありますが、非常に多額の弾薬とか、さようなものを将来返す必要もないというような気持でおつて、返せというようなことになりますと相当大問題である、こういうように思うのであります。この問題はただいまの状況でははつきりしないのでありますが、これはどうかもらうならもらうということをぜひはつきりさしておいてもらいたい。アメリカで何を言い出すかわからない。ぜひひとつさようにお願いしたいと思うのであります。  それからただいま政務次官のお話によりますと、相当の防衛力の内容を持つた部隊であるというように承知したのでありますが、昨年は七万五千人から十一万人に人もふえ、内容も非常に充実されて来た、そうすると防衛力の充実ということがここに顕著なる事実として現われて来たというように思うのであります。行政協定によりますと、日本の防衛力漸増の度合に応じて、一方政府においてアメリカの駐屯軍に対して負担する防衛分担金が減額されていいことになつているわけなのです。保安庁の経費がふえ、保安庁の警備力が増加するに伴いまして、逆に日本側の米軍に対する分担金というものを減らしていい建前の行政協定ができているのでありますが、これについて保安庁といたしましても、まあ政府全体の問題でありますが、重大なる関心を持つてもらいたい。ことに、今ちよつと手元に行政協定を持つておりませんが、定期的に検討することになつているのですね。定期的に検討した結果、日本の防衛力が漸増する度合に応じて日本側の防衛分担金を減らすということになつておりますのに、日本側の防衛分担金が少しも減つておらないのですが、これを保安隊といたしましてはぜひ減額して、これだけふやすならこれだけ減額するという要請に出てもらいたいのでありますが、政務次官のこの辺のお考えをお示しいただきたいのであります。
  175. 岡田五郎

    ○岡田(五)政府委員 私は先ほど自衛力と申し上げたのでございまして、実は防衛力とは申し上げなかつたと思うのでございます。なぜこういうことを申し上げるかといいますと、福田委員が安全保障条約に基く防衛力の漸増ということで御質問になりましたので、あるいは私の答弁が間違つていたのじやないかという意味合いで、再確認をする意味において申し上げるのでありまして、保安隊の七万五千を十一万にし、最近の装備の充実によりまして、自衛力が充実をした、こういうことを申し上げたのであります。この十一万の自衛力の充実も、保安庁法できめられましたいわゆる日本国内の平和と秩序を維持して人命と財産を保護するという意味の自衛力の充実でございまして、福田委員のおつしやいます安保条約による防衛力、すなわち直接侵略に対する防衛力、こういう意味合いの防衛力は、保安庁といたしましては、直接侵略に対しましては、保安隊はその任務でございません。従いまして、自衛力の充実は防衛力の漸増の一部をなすかとも存じますが、防衛力漸増そのものではない、こういう考え方を持つておる次第でございます。従いまして、安保条約また行政協定に基きまする防衛費の負担という問題につきましては、日本の国全体といたしましてはいろいろ関係がありますが、保安庁といたしましては、この問題につきまして、いろいろと関係省と打合せはいたしますが、直接関係をいたしておるものとも考えられません。答弁の仕方がまずいかもしれませんが、さように考える次第であります。
  176. 福田赳夫

    福田(赳)委員 これは保安庁自体の問題ではないのです。しかしながら保安庁も重大なる関係があるのであります。ただいまのお話によりますと、防衛力でなくて自衛力だというお話でありますが、自衛力は時の特況に応じて防衛力にかわる、これは総理大臣もしよつちゆう言われておることですが、防衛力と自衛力というものはうらはらをなす問題であります。従いまして、今日以後相当程度に防衛力が増加するというふうに当然考えていい問題だと思います。さような次第でありますれば、保安庁といたしましても、アメリカに対する日本の防衛分担金というものの軽減、これは保安庁の予算を増額する財源ともいうべきものだというふうに思つておりますので、御協力を願いたい。それを特にお願いたしたわけなのであります。  それからこの資料によりますと、庁舎とか、病院だとか、研究所だとか、いろいろできますが、これに伴いまして、土地というものは一体どのくらい買うのか。この土地買収費というものはどのくらいありますか、大体の見当をお示し願いたい。
  177. 窪谷直光

    窪谷政府委員 土地買収費は約三十二億円でございます。そのうちで演習場の関係は二十八億円、あとがその他の敷地というように相なつております。
  178. 福田赳夫

    福田(赳)委員 この土地の買収でありますとか、その他の不動産の買収というような場合におきましては、逐次保安隊経費というものが国家財政における重要部門を占めて来る傾向にあることにかんがみまして、どうしてもこれの浮動化防止というか、そういう方面の配慮がいるのじやないか。これが購買力になつてどんどん出て行くということでは困るのであります。ことに土地買収などの問題につきましては、よほど大蔵当局あたりと連絡をとられて、資金の浮動化防止の点に十分の配意をされていただきたいと思うのであります。これは要望でありますが、さような措置をお願いいたしたいのであります。  私の質問は大体これで終ります。
  179. 橋本龍伍

    橋本(龍)主査 成田君。
  180. 成田知巳

    成田委員 遅れて参りましたので、私の質問のうち、もし前の質問者と重複している点がございましたら、ひとつ注意していただきたいと思います。  今も福田さんの方から、多分保安隊の使つておりますアメリカから借りておるといわれている武器のことについてお話があつたと思いますが、この武器貸与契約というのは、この前の国会で船舶の貸借協定が問題になりましたときに、新聞の報道では、武器貸与契約というものをやるのだというような報道があつたのですが、きようの御答弁では、従来部隊とかあるいは部隊長から個々に借りていたのを保安庁一本にして、保安庁とアメリカとのアグリーメントでやつているとか、やられる方針だとか承つたのですけれども、どちらでございましようか。やつていらつしやるのでしようか、将来おやりになる御方針でしようか。
  181. 上村健太郎

    ○上村政府委員 先ほど申し上げましたことで、ちよつと誤りがありましたのですが、アグリーメントと申し上げましたが、そういうような形式によるかどうかもまだきまつておりませので、ただ単に武器を保安隊が使用させてもらうにつきまして、どういうような受渡しをするとか、どういうような保管をするとかいうようなことを一括してとりきめをやりたい。これにつきましては、先ほども申し上げましたよ、うに、まだ固まつておる段階には来ておりませんので、アメリカの顧問部と折衝中でございます。   (主査退席、山崎(巌)主査代理着席〕 前の国会から船舶と同様な取扱いをすべきであるとの御意見もございましたが、アメリカ側も先ほど申し上げました通りに、国会の議決を経た法律による貸与でもございませんし、また有償というような条件もついておりませんので、ただ単に従来各部隊ごとに顧問将校から使わせてもらつていたのを、今後は保安庁で借りるという手続規定というふうに解釈をいたしておるのでございます。内容につきましては目下折衝中でございます。
  182. 成田知巳

    成田委員 内容については目下折衝中だと言われ、アメリカ側の例をおとりになりまして、船舶貸借協定はアメリカで法律で定めたものだ、だから国会の承認を求めた、今度の場合はアメリカでは法律で云々していないから、何か手続規定的なものでおやりになるというわけです。またその理由の一つとして、有償でないということも言われたのですが、やはり保安庁とアメリカとの手続規定だという。しかし保安庁自体としては手続規定ととお考えになつているかもしれませんが、アメリカと保安庁――保安庁といつても多分日本政府を代表しているのだと思いますので、それ自体も少しおかしいと思いますが、そこに一種の合意がある、いわゆる契約的な性質を帯びておると思います。日本政府としては、その契約の結果というものは手続規定かもしれませんが、やはり使わしてもらう。その内容は将来きまるらしいのですが使わしてもらう。こういうことは両者の意思の合致があるのです。やはり一種の契約だと思うのですが、いかがですか。
  183. 上村健太郎

    ○上村政府委員 法制局あたりの意見も聞いておるのでございますが、やはり一種の使用貸借契約ではないか、しかし保安庁法の目的にあります目的のために、かつ予算を伴いませんで、一種の調達的な契約といいますか、契約という言葉が――正式に契約かどうかわかりませんけれども、たとえば保安庁で船をつくりましたり何かすると同様の、一種の調達行為であるというふうに解釈しておる次第でございます。
  184. 成田知巳

    成田委員 法制局の御意見は、一種の使用貸借契約だと言われるし、調達行為であるとも言われるのですが、調達行為であるかどうかということは、これは保安庁としての御見解、保安庁の立場だろうと思うのです。しかしアメリカから使わしてもらうということになりますと、アメリカと日本との関係においては、やはり意思の合意ということで一種の契約だと思うのです。しかもその内容は有償でないというので、使用契約、使用貸借、こうなると思う。法制局も一種の使用貸借契約だと言われるのは当然だと思いますが、それは御確認なさいますか。
  185. 上村健太郎

    ○上村政府委員 一種の使用貸借契約であると保安庁も考えております。
  186. 福田赳夫

    福田(赳)委員 関連して。たまの場合はどうなりますか。これは使用貸借じやないだろうと思いますが、贈与になりますか。今の交渉の段階においては。……
  187. 上村健太郎

    ○上村政府委員 これは消耗してしまいますので、贈与であろうと思います。
  188. 福田赳夫

    福田(赳)委員 その点先ほどもちよつと申し上げましたが、ひとつはつきりしておいてもらいたい。これはあとで物議をかもす問題です。この交渉の中心題目じやないかと思いますので、ぜひお願いいたします。
  189. 成田知巳

    成田委員 一種の使用貸借契約だとすれば、当然アメリカと日本との問題ですから、保安庁がやるべきでなく、日本を代表している外務省とアメリカとの間にそういう契約を締結すべきだと思うのですが、いかがですか。
  190. 上村健太郎

    ○上村政府委員 保安庁の目的の範囲内で調達いたします場合には、たといアメリカから調達いたします場合につきましても、外務省を経由いたさないでいいかと考えております。
  191. 成田知巳

    成田委員 船舶貸借契約は、正式に外務省とアメリカ政府が協定を結んだと思うのですが、船舶を借りたということも、やはり保安庁の目的の範囲内で、それ以外に戦争をやるとか、そういう目的はないはずなんですが、いかがでしよう。
  192. 上村健太郎

    ○上村政府委員 船舶につきましては、使用貸借でもございませんが、ただ日本政府側におきまして損傷いたしましたときに、原状回復をいたしまして返す、そういうような財政上の負担を伴う金銭義務を負つておりますので、条約になつておる次第でございます。
  193. 成田知巳

    成田委員 そういたしますと、保安庁の目的ということで、外務省になるか、保安庁になるかということは、御説明として当つていないので、やはり貸借の内容、契約の内容によつて外務省がやるか、保安庁がやるか、こういう結論になるわけでございますか。
  194. 上村健太郎

    ○上村政府委員 保安庁の目的の範囲内で調達をすることだけで使用貸借ということを申し上げましたが、そのほかに、なお財政上の負担がつきましたり、あるいは先方の意思が条約によるべきだという法律で議決しております。ので、そういう条件が加わりました場合には、保安庁法の目的に合致した調達でも、先ほど申し上げましたのはちよつと簡単でございましたが、条約になるべきだと思います。
  195. 成田知巳

    成田委員 そうすると、今度の使用貸借契約というのは外務省ではないけれども、条約には違いない、一種の条約である。こういう御説明でございますか。
  196. 上村健太郎

    ○上村政府委員 今回の武器におきましては、条約の必要がないと現在考えております。
  197. 成田知巳

    成田委員 条約の必要がないということは、たびたび御説明の中に、アメリカ側で法律で規定していないとか、アメリカが要求していないからというのですけれども、これはやはり日本の立場も考えなければいかぬと思うのですが、条約でないという理由はどこにあるのでしようか。
  198. 岡田五郎

    ○岡田(五)政府委員 先ほど官房長がるる御説明申し上げました通り、大体原因といいますか、理由なんでございますが、すなわち、第一、武器の使用には債務負担行為を伴わないということ、もう一つは相手方が条約という形で貸すことを希望しないということであります。これは法律になるとかならぬとかは別として、相手方がそういう形をとりたくないということですが、そういうような事情からいたしまして、保安庁法にきめられました、いわゆる調達行為の一種といたしまして、使用貸借契約といたすことになりますが、これをやつて、おる相手方はアメリカ極東軍、こういうことになつて、私的契約という形になるので、船舶貸借協定は、先ほど官房長から申し上げましたように、相当の債務負担事項がございまして、国自体といたしまして、債務を負担することであります。また向うも法律により、また国会の議決を経まして、国相互間の一つのアグリーメントとしてきめるべきだ、こういうことで、貸す方と借りる方の意思の一致、こういうことで形が実はかわつておるわけであります。これは私はよく知りませんが、法制局あたりの意見に基きますと、たとえば日本の在外公館をニユーヨーク、ワシントンに置く場合、土地を借りる、買うというような場合は、そこに私的契約が結ばれる。だから国の機関がやる場合でも、必ずしもアグリーメント、あるいはその他によらなければならないということでもないから、こういう場合、債務負担行為を伴わないし、また相手方もこれを希望しないということだから、そういう私的といつては語弊がありますけれども、私法上の契約といつてもさしつかえないと思いますが、契約行為で済まそう、かように実は考えておるのであります。
  199. 成田知巳

    成田委員 在外公館が土地を借りる問題とは、これは性質が大分違うと思うのです。やはりその問題の性質によつて、これは相当重大に考えなければいかぬと思うのですが、条約であるかないかは別にいたしまして、武器貸借契約をお結びになるときに、その契約の内容について、契約そのものについて、国会にお諮りになる意思があるかどうか、これを承りたいのです。
  200. 岡田五郎

    ○岡田(五)委員 実は現在の段階におきましては、先ほど申し上げましたように、日本の国に別に債務負担もありませんし、また貸してもらうということで、日本の国自体といたしましては物的の義務負担も何もありません。また先ほど申し上げました保安庁の私法上の一つの調達行為、こういうように考えておりますので、国会にこれを付議するつもりは現在では持つておりません。ただ国会の方におきまして報告しろ、こういうお話がございましたら、これを報告することについてはやぶさかではございません。進んで御報告申し上げたい、かように考えておる次第でございます。
  201. 成田知巳

    成田委員 調達手続でやるというように、保安庁ではお考えになつておるのですが、先ほども何度も言つておりますように、国と国との一種の契約であるということは事実なんです。それを条約にする必要はないというので条約にしていないらしいのでありますが、もう一つの理由としては、債務負担行為がないから、国会でやる必要はないのじやないか、こういうような御意見があつたんですが、債務負担行為だけで私は問題にすべきではないと思うのです。たとい使用貸借で日本に債務の負担がないといたしましても、この借りられる武器というものは何に使われるかといつたら保安隊の目的を政府にいわせましたら、国内の暴動鎮圧だというのです。暴動をやる人はもちろん悪いです。しかし暴動をやる人が保安隊によつて鎮圧されるとすれば、どういう武器をお借りになつているか知りませんが、戦車もあるでしよう。一〇五ミリの何とか砲というのもあるでしよう。たとい暴動という悪い行為に出たとしても、戦車が使われる、大砲が使われる、こういう結果になると思うのです。そうするといい悪いは別にいたしまして、暴動をやつている人も日本人です、日本人の生命、権利義務と重大な関係があると思うのです。こういうものをただ私的契約だというので、国会にもかけないでほおかむりされるということが、はたして妥当かどうか、これを承りたいと思います。
  202. 岡田五郎

    ○岡田(五)政府委員 それは先ほど申し上げましたように、債務負担行為を伴わないからだけではございませんで、貸してくれます相手国の方でこれを法定にすることを好まないという二つの原因が、実はあるわけでございます。また一面先ほど成田委員から、国民の権利義務、またかような厖大な武器、こういうお話がございましたが非常に言い過ぎたかもしれませんが、日本の国内治安維持のためにする自衛力を整備いたしますので、日本の財政力、国民の負担能力、日本の経済能力というものがございますれば、自分で自分のかような装備を調達いたしますのが、私は独立国として当然の姿であろう、かように実は考えるのでございますが、悲しいかな、目的に沿うだけの装備をする財政力もなし、アメリカは日本の国内治安維持の確保のために好意的に貸してやろう、こういうことでこういう言葉を使うのはどうかとも思いますが、実は日本の国としては非常にありがたいことだ、こういうわけで相手国の意見も相当に尊重しなければならない。それじや貸してやらないからかつてにしろといわれては、日本の現在の国民生活の事情から見れば装備はできない、こういう情事もございますので、実は先ほど申し上げましたような、私的契約にいたすわけでございます。従いまして先ほども申し上げましたように、国会の方で報告しろ、国民の代表としてその結果を知りおきたいという御要望がありましたら、手続が完了いたしましたら、喜んで進んで報告申し上げさせていただきたい、かように申し上げる次第でございます。
  203. 成田知巳

    成田委員 国の財政からいつてアメリカからこういう使用を許されることは非常にありがたいことだと言われたのですが、私の見解はまつたく逆なんです。というのは、アメリカから無償で借りている、これは結局アメリカのお仕着せの軍隊になつちやうんです。しかも無償で貸したということで、日本の予算編成権のキー・ポイントが握られていると思うのです。そういう意味で、ありがたいということは非常に迷惑だと感じておるのですが、これは立場の相違ですからこれ以上申しません。  次に一点お尋ねしたいのですが、駐留軍が全国至るところで行政協定に基きまして演習地の接収をやつておりますが、駐留軍の接収は行政協定によつてやるのですからやむを得ないところですけれども、聞くところによりますと、相当多数駐留軍と保安隊の共同使用が行われておる。しかも駐留軍の行政協定に基く土地収用に関する特別の法律――日本の土地収用法なんかよりも非常に簡単な法律で収用して、それを保安隊が共用するという形で、事実上保安隊が使つているという例を聞くのですが、そういうことはございませんでしようか。
  204. 岡田五郎

    ○岡田(五)政府委員 現に全国数箇所、駐留軍の行政協定に基く演習地を保安隊において共用いたしておりますが、行政協定に基く駐留軍の演習地接収をかさに着て、保安隊の演習地を接収しているというようなことは全然ございません。むしろ行政協定に基きまして駐留軍が演習をするために広い土地をとつて演習をしておる、そのあいまあいまにそのあき地を、せつかくあき地になり、演習地に使われておるので、保安隊においても使わしてもらつてはどうか、こういう行き方にいたしておるのであります。その他保安隊といたしましても、方々に今後演習地または射撃場、訓練場を設けたいと考えておりますが、この演習地及び射撃場を設けるにあたりましても、地方民の民意を十分尊重いたしまして、地方民の方々の利益を害することは一切やらないという意思のもとにおいて、演習地の選定とその規模というものを考えておるのであります。   〔山崎(巌)主査代理退席、主査着席〕 ことに演習地を使うにはできるだけ公有地、国有地を選びまして、できるだけ私有地を避けるという方針でございまして、万々やむを得ずして私有地の一部にかかる場合には、適正なる補償額をお払いいたしまして、地方民と保安庁と十分合意の上で演習地をきめておるようなわけであります。
  205. 成田知巳

    成田委員 今駐留軍と共用の演習地が二、三箇所あると言われ、そして地方民と合意の上でやつているので、もし損害が発生すれば十分補償していると言われたのですが、事実上補償をなさつていらつしやいますか。
  206. 窪谷直光

    窪谷政府委員 政務次官のお話をやや補足して申し上げますと、今保安隊が共用をいたしております演習地は、終戦直後アメリカ軍が接収をいたしまして、継続して演習地になつておりますものを、向うのあいまくで使つておるという状況でございます。最近問題になつております、アメリカ軍の方で相当演習地を拡張いたしたいという話があるのでありますが、その分につきましては、保安隊で使うからという考慮は全然入つていないのでありまして、私どもの見通しとしては、おそらくその新しく拡張する分については、共用ということはなかなかむずかしいのではなかろうかという感じを持つております。  それからアメリカ軍の演習地で演習をいたしました場合に、それだまで、たとえば人畜を傷つけるというふうな事態は――隊員が傷つきましたのはございますけれども、外に対して害を与えたのはまだ事例がないのでございます。保安隊がアメリカ軍の演習地でなしに、旧陸軍の演習地等で、国有地で残存しているものがございますが、そういう所で演習をいたしました場合におきましては、田畑を荒しましたり、また人畜、物件等に損害を与えた事例があるのでありますが、それらにつきましてはすみやかに補償をして、その損害を補填する処置を当初から講じております。
  207. 成田知巳

    成田委員 次に法務省関係をお尋ねしたいのですが、講和条約発効いたしましてから今日までの外国軍人の犯罪数はいくらでありましようか。大別でよろしゆうございますから、犯罪の種類別に御報告願います。
  208. 橋本龍伍

    橋本(龍)主査 法務省は実は御要求がないので来ておりません。国警長官は参つてありますので、国警長官に対する質問の方を先にしていただくことはできませんか。
  209. 成田知巳

    成田委員 国警長官でけつこうです。実は十一月末現在の数字を国警本部で発表しておつたと思いますので、国警長官にお聞きしたいと思います。
  210. 齋藤昇

    ○齋藤(昇)政府委員 外国人の犯罪は、ただいまここに統計を持ち合せておりませんので詳しく数字的に申し上げることのできないことを非常に残念に思いますが、数字といたしましては、大体横ばいの数字でございます。最近は若干減少しておるのではないかと考えております。
  211. 成田知巳

    成田委員 十一月末現在で千百八件の外国軍人の犯罪があるということを、国警本部で正式に発表されたように、私は朝日新聞で拝見しておるのですが、横ばいと申しましても毎月の犯罪状況が横ばいになつておるのだろうと思います。講和発効後今日まで、何件の犯罪があつたかその内訳、それに対する処分を、もしわかつておりましたら御説明を願いたい。わかつていなければ資料としてお出し願いたい。
  212. 齋藤昇

    ○齋藤(昇)政府委員 ただいま手元に持ち合しておりませんので、後日資料として差上げたいと思います。
  213. 成田知巳

    成田委員 旧軍人恩給関係について伺いたいのですが。
  214. 橋本龍伍

    橋本(龍)主査 恩給局長は、きよう病気のため全部明日にまわしたのです。
  215. 成田知巳

    成田委員 それでは明日でけつこうです。
  216. 橋本龍伍

    橋本(龍)主査 それでは明日は午前十時より開会いたします。本日はこれをもつて敗会いたします。     午後六時五十四分散会