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1953-02-25 第15回国会 衆議院 予算委員会第四分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科員昭和二十八年二月二十一日(土曜日) 議長の指名で次の通り選任された。    主査 尾崎 末吉君       相川 勝六君    淺利 三朗君       植原悦二郎君    加藤常太郎君       貫井 清憲君    森 幸太郎君       鈴木 正吾君    早川  崇君       春日 一幸君    平野 力三君       稻村 順三君    上林與市郎君     —————————————    会議 昭和二十八年二月二十五日(水曜日)     午前十一時九分開議  出席分科員    主査 尾崎 末吉君       相川 勝六君    淺利 三朗君       高見 三郎君    貫井 清憲君       野澤 清人君    森 幸太郎君       鈴木 正吾君    早川  崇君       吉川 兼光君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 石井光次郎君         郵 政 大 臣 高瀬荘太郎君  出席政府委員         総理府事務官         (経済審議庁次         長)      平井富三郎君         総理府事務官         (経済審議庁総         務部長)    西原 直廉君         総理府事務官         (経済審議庁総         務部会課長) 塚本  茂君         総理府事務官         (経済審議庁調         整部長)    岩武 照彦君         総理府事務官         (経済審議庁計         画部長)    佐々木義武君         総理府事務官         (経済審議庁調         査部長)    須賀 賢二君         経済審議庁審議         官       前谷 重夫君         経済審議庁審議         官      今井田研二郎君         農林事務官         (大臣官房長) 渡部 伍良君         農林事務官         (畜産局長)  長谷川 清君         農林事務官         (蚕糸局長)  寺内 祥一君         林野庁長官   柴田  栄君         水産庁長官   清井  正君         通商産業政務次         官       小平 久雄君         通商産業事務官         (大臣官房長) 石原 武夫君         通商産業事務官         (大臣官房会計         課長)     及川 逸平君         通商産業事務官         (企業局長)  中野 哲夫君         通商産業事務官         (鉱山保安局         長)      吉岡千代三君         特許庁長官   長村 貞一君         中小企業庁長官 岡田 秀男君         工業技術院長  駒形 作次君         建設政務次官  三池  信君  分科員外出席者         総理府事務官         (経済審議庁計         画部国土調査課         長)      小船  清君         農林事務官         (農地局総務課         長)      正井 保之君         農林事務官         (農地局管理部         農地課長)   和田 正明君         水産庁次長   岡井 正男君         専  門  員 園山 芳造君     ————————————— 二月二十三日  分科員淺利三朗君、植原悦二郎君、加藤常太郎  君、森幸太郎君、春日一幸君及び平野力三君辞  任につき、その補欠として大平正芳君、高見三  郎君、福井盛太君、野澤清人君、吉川兼光君及  び池田禎治君が委員長指名分科員に選任さ  れた。 同月二十四日  分科員大平正芳君、福井盛太君、早川崇君及び  池田禎治辞任につき、その補欠として淺利三  朗君、森下國雄君、秋田大助君及び平野力三君  が委員長指名分科員に選任された。 同日  分科員平野力三辞任につき、その補欠として  春日一幸君が委員長指名分科員に選任され  た。 同月二十五日  分科員森下國雄君、秋田大助君及び春日一幸君  辞任につき、その補欠として森幸太郎君、早川  崇君及び平野力三君が委員長指名分科員に  選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十八年度一般会計予算経済審議庁、農  林省通商産業省運輸省郵政省及び建設省  所管  昭和二十八年度特別会計予算農林省通商産  業省運輸省郵政省及び建設省所管  昭和二十八年度政府関係機関予算中、運輸省、  郵政省及び建設省所管     —————————————
  2. 尾崎末吉

    尾崎(末)主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。  本分科会は、昭和二十八年度一般会計予算経済審議庁農林省通商産業省運輸省郵政省及び建一設省所管昭和二十八年度特別会計予算中、農林省通商産業省運輸省、及び建設省所管昭和二十八年度政府関係機関予算中、運輸省郵政省、及び建設省所管審査を行うことと相なつております。  この際審査方針についてお諮りいたします。審査の都合上、まず各省所管別にそれぞれ説明を聴取し、所管全部について説明が終りました後に、各省別に質疑に入ることといたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 尾崎末吉

    尾崎(末)主査 御異議なしと認めます。よつてそのように決します。  それではまず運輸省所管について説明を求めます。運輸大臣石井光次郎君。
  4. 石井光次郎

    石井国務大臣 それでは私から昭和二十八年度運輸省所管予算大綱について御説明申し上げます。時間の関係もありますので、詳細なる点は、お手元に配付いたしました昭和二十八年度運輸省所管予算説明、並びにすでに配付済み予算参照書をごらん願いたく、私からはごく簡単に申し上げます、  まず歳入予算でありますが、昭和二十八年度歳入予算総額は七億八千七百三十七万五千円でありまして、これを前年度予算額二十二億二千一百五十二万六千円に比較いたしますと、十四億三千四百十五万一千円を減少することになりますが、そのおもなるものは、港湾工事費分担金として地方公共団体よりの納付金一億三千二百四十四万五千円、商船管理委員会の解散に伴う残余財産収入八億三百三十六万一千円、及び雑収としての収入五億一千一百四十三万一千円等が減少したため下あります。  次に歳出予算について申し上げます。昭和二十八年度の予定経費要求額は二百十五億二千二百六十七万二千円でありまして、これを前年度予算額一百九十一億三千八百六十万八千円に比較いたしますと、二十三億八千四百六万四千円の増加となります。  以下おもなを事項につきまして、部門別に御説明申し上げます。まず海運関係から申し上げます。その第一として、船舶建造及び改造資金貸付補助に必要な経費として一億三百八十五万四千円を計上いたしましたが、これはわが国海運の発展をはかるため、その助成措置の一環として、外航船舶建造融資利子補給法に基きまして、外航船舶建造促進するため、これが建造に要する資金利子補給金六千六百四十七万二千円、臨時船質改善助成利子補給法仮称)に基きまして、船質改善促進いたしますために、低性能船舶を解撤して、新たに外航船舶建造するために要する資金利子補給金三千四百五十三万一千円、離島航路整備法に基きまして、定期航路事業の用に供する船舶建造改造に必要な資金利子補給金二百六十二万三千円等のために必要な経費でありまして、いずれも新規要求であります。  第二は、木船保険実施に必要な経費として一百八十四万三千円を新たに計上いたしましたが、これは木船事業経営健全化をはかり、もつて木船船主経済の安定に資するため、木船保険法仮称)に基きまして、木船保険特別会計を設置し、保険業務を行うために必要な経費を同特別会計へ繰入れるために必要な経費であります。  第三は、離島航路補助に必要な経費として四千四百万円を計上いたしましたが、これは離島航路整備法に基きまして、公益上必要な最小限度運送を確保するため、路航の性質上経営の困難な定期航路事業に対する補助金であります。  第四は、帰還輸送に必要な経費として一億五千五百万円を計上いたしましたが、これは在外同胞の引揚輸送に必要な経費でありまして、前年度に比較して経費増加いたしましたのは、中共地区よりの集団引揚輸送を現実に実施するための輸送費増加したためであります。  第五は、船舶動静調査に必要な経費として五千三十万五千円を計上いたしましたが、これは日本沿岸及び近海における一定船舶の行動を米国極東海軍司令部に毎日定時に報告するために必要な経費でありまして、前年度は平和回復善後処理費予算を移しかえ実施したものであります。以上が海運関係のおもなるものであります。  次は航空関係について御説明申し上げます。航空関係の第一といたしましては、東京国際空港維持管理に必要な経費として四千七百二十七万四千円、東京国際通信施設運営に必要な経費として二千五百十九万八千円を計上いたしましたが、これは平和回復後自主的に東京国際空港国際民間飛行場として維持運営するための経費と、国際民間航空に対する航空保安通信を行うため、東京国際通信施設維持運営するために必要な経費でありまして、前年度はいずれも平和回復善後処理費予算を移しかえ実施したものであります。  次は、航空法施行に伴い必要な経費として七百九十万二千円、国内航空運送事業管理に必要な経費として一千六百五十七万一千円、航空保安官署運営に必要な経費として一億五千五百八十一万三千円を前年度に引続き計上いたしましたが、これはわが国民間航空の自主的健全なる発達をはかるため、国際基準に基き航空機の運航の安全をはかるとともに、航空事業に関する秩序を確立するための航空機検査航空従事者検定試験航空交通管制等業務処理と、国内航空運送事業管理するため、及びわが国民間航空のための航空保安業務の円滑なる処理、並びに各空港間の通信施設等航空保安施設の完全なる維持運営のため必要な経費であります。  次は、航空機乗員養成補助に必要な経費として五千万円を計上いたしましたが、これは航空運送事業者が行う操縦士訓練に必要な経費の一部を補助するために必要な経費でありまして、前年度に比較いたしまして経費増加しましたのは、訓練対象人員増加したためであります。  なお航空関係新規といたしましては、航空交通管制要員訓練に必要な経費として一百万円。航空標識施設整備に必要な経費として八百万円。及び飛行場調査に必要な経費として運輸本省一般行政へ八十二万円。気象官署既定業務維持運営へ一百五十万円を計上いたしましたが、これはわが国における自主的航空交通管制を早急に実施するために必要な要員訓練と、航空保安の万全を期するため福岡航空標識所通信施設整備するため並びに国内航空路線の拡充に備えて、飛行場調査のために必要な経費であります。  次は航空保安協力業務に必要な経費として一億三千七百二十六万一千円を計上いたしましたが、これは日米行政協定に基きまして、既存の各飛行場及び航空保安施設維持管理するために必要な経費でありまして、前年度は平和回復善後処理費予算を移しかえ実施したものであります。  次は港湾関係について申し上げます。港湾関係におけるおもなるものとしては港湾事業に必要な経費として四十二億二千百六十万円。港湾災害復旧事業に必要な経費として三十一億六百三万七千円。港湾事業附帯事務に必要な経費として八千一百十五万円三千円を計上いたしましたが、これは貿易振興及び輸送力の増強をはかるため、出入船舶並びに取扱い貨物量増加に対応しての港湾施設整備及び昭和二十七年度以前の災害復旧事業を国が直接施行するための経費と、地方公共団体または港湾管理者が行う場合の事業費補助金並びにこれら事業を実施するために必要な事務費であります。  なお北海道関係港湾事業費は六億三千九十万円を総理府所管北海道開発庁予算に計上し要求しております。  次は鉄道関係について申し上げます。鉄道関係につきましては、北海道開発鉄道及び軌道補助に必要な経費として、一千八十九万四千円。鉄道特別の開発をはかるために必要と認められる地方鉄道及び軌道に対する補助金及び北九州地区における戦時中の石炭濫掘による鉄道鉱害復旧のための補助金であります。  次は海上保安庁関係について申し上げます。海上保安については、海上保安庁警備救難費として三億七千一百十七万四千円。同じく管区海上保安本部に三十九億七千八百七十万二千円を計上いたしましたが、これは海上保安庁法第二条に規定してある海難救助海上における犯罪の予防、鎮圧、犯人の捜査及び逮捕に関する業務、並びにこれら業務遂行のため、巡視船を改装、補強して装備を強化するためと、海上保安庁職員教育訓練に必要な経費であります。  次は海上保安費として海上保安庁に四億三千二百五十八万七千円。管区海上保安本部に六億五千九百四十万八千円を計上いたしましたが、これは海上保安庁に所属する航路標識千六百六十一基の維持運営並びに水路測量観測のためと、これらに関する事務処理及び水路燈台関係職員訓練に必要な経費であります。  次は海上保安施設費において、巡視船及び燈台業務用船等建造に必要な経費として五億八千四百万円を計上いたしましたが、これは老朽巡視船の代替として、三百五十トン型巡視船二隻、二十三メートル型内火艇四隻及び七百トン型燈台業務用船一隻、六トン型水路測量艇二隻を建造するために必要な経費であります。鉱害復旧補助に必要な経費として四千一百四十四万三千円を計上いたしましたが、これは前年度に引続き、北海道識、浮標の新設と既設のこれらの改良工事並びに昭和二十七年度以前の航路標識燈台等災害復旧のための経費で、前年度は公共事業費として実施したものであります。以上が海上保安関係のおもなるものであります。  以上御説明申し上げました海運航空港湾海上保安関係のほかにおもなるものを申し上げますと次の通りであります。  まず観光事業に必要な経費として八千七百二十一万六千円を計上いたしましたが、これは全日本観光連盟をして国内観光宣伝日本交通公社をして外客の誘致、対外宣伝等事業を実施させるための補助金と、これら観光機関の指導、監督等に必要な事務費でありまして、前年度に比較して経費増加いたしましたのは、日本交通公社をして米国内に観光宣伝事務所を増設せしめ、活発な対外宣伝を行わしめることにしたのがそのおもな理由であります。  次は気象官署固定点観測業務維持運営に必要な経費として三億七千二百十四万四千円、マーカス測候所維持運営に必要な経費として七千三百四十二万一千円を計上いたしましたが、これは日米行政協定により中央気象台観測船により太平洋上の固定点における気象観測及び米国政府の要請により、マーカス島における気象観測所を運営するために必要な経費でありまして、前年度はいずれも平和回復善後処理費予算を移しかえ実施したものであります。  気象関係新規といたしましては羽田航空気象関係として五千九百十二万円を既定業務維持運営に必要な経費において要求しておりますが、これは羽田において自主的航空気象業務を行うために必要な経費であります。  次は練習船購入に必要な経費として航海訓練所へ二億八千万円を計上いたしましたが、これは既存小型練習船廃船とし、あらたに千九百トン型船舶購入し、改装して、航海練習船とするために必要な経費であります。  次は品之津海員学校の増設に必要な経費として海員学校に必要な経費へ八百二十二万六千円、海員学校施設新営等に必要な経費へ一千五百万円を計上いたしましたが、これは長崎県品之津町に新たに海員学校を増設し、普通船員の需要を急速に満たすために必要な経費であります。  以上運輸省所管昭和二十八年度予算概要を御説明申し上げました。何とぞ御審議の上すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。  引続き昭和二十八年度日本国有鉄道予算概要について御説明申し上げ、御審議の資といたしたいと存じます。  予算説明に入ります前に、まず本年度の事業計画大綱について申し上げます。昭和二十八年度輸送計画は、昭和二十七年度補正予算ベースをもととして最近の輸送量を勘案し、施設車両整備保安向上をはかり、もつて輸送力を強化し、サービス改善をはかる目途をもつて計画を樹立したのであります。鉄道による旅客輸送人員は、対前年度増一・二%三十四億九千百万人、人キロでは八百十九億万人キロと策定いたし、貨物輸送トン数は、一億六千二百万トンを目標に対前年度一・三%増とし、トンキロにおいて四百七億トンキロを計上しております。これらの旅客貨物輸送に要する列車キロは三億三千九百万キロで、対前年度一・七%の増加なつております。  次に、工事計画は、施設維持及びとりかえ補充に留意するとともに、国土開発並びに必要なる輸送力の強化に力を注いでおります。その主なるものは、国民の熾烈な要望にこたえ、国土開発産業振興等に資するため新線建設促進等計画しております。また電化につきましては、現在施行中の浜松、姫路間電化促進し、本年秋ごろには名古屋、貨物は稲沢まで完成する予定であります。また山手貨物電化も、本年中に完成する計画であります。  車両関係としましては、電気機関車デイゼル車、客車、電車及び貨車等の新造のほか、客貨車改造等でありまして、二十八年度の輸送力確保に重点を置いたのであります。特にデイゼル車につきましては、地方交通の便益に供するため三百両の購入計画しております。  以上の諸計画を実施するに要する職員数は四十四万七千二百四十九人でありまして、これは二十七年度定員に新線開業に伴う新規増員三百三十人を加えたものであります。このほか休職者一万三千二百五十一人については、別に予算上の措置がとられており、給与総額としては合計九百五十五億円が計上せられております。  次に、昭和二十八年度日本国有鉄道歳入歳出予算について御説明いたします。  以上の諸計画を織りこみました予算総額は、歳入歳出ともに二千九百八十八億円でありまして、この中には工事勘定における財源として、損益勘定よ。受け入れる三百二十五億円が重複計上されておりますので、差引ますと純計では二千六百六十三億円となりますが、これを損益工事勘定について申し上げます。  昭和二十八年度損益勘定予算は、給与改訂輸送力増加石炭、電力の値上り運賃値上げ等を織り込んだ前年度補正予算ベースの上に立つて組まれておりますが、その後最近の輸送量の実績を加味し、旅客一千二百三十四億円、貨物一千百二十八億円のほか、雑収入等を合せて二千四百三十一億円の収入を見込んでおります。経営費について見ますに、人件費関係では、一万三千四百円ベースに二十八年度の昇給を見込んで算出いたしておりますが、このほか期末手当一箇月分、奨励手当半箇月分が見込まれ、そのほか休職者給与等を合せて、給与の額としては七百九十三億円となつております。また物件費関係では、動力費の大宗である石炭費として三百七十八億円、修繕費五百五十二億円、その他業務費等合せて経営費総額一千九百八十六億円であります。このほかに減価償却費は二十七年度同様帳簿価格を基礎として四十九億円、特別補充とりかえ費二百七十六億円、利子六十九億円、予備費二十億円及び借入金返還のため三十億円が計上せられ、以上を合せて二千四百三十一億円となつております。  次に、工事勘定について申し上げます。計画のあらましは前に述べました通りでありますが、その内容は新線建設費九十億円、電化設備費七十八億円、車両費百三十七億円、諸設備費二一百十二億円でありまして、このほか出資としての九千六百万円は帝都高速度交通営団の増資に伴うもので、神田、池袋間の建設に充てられることになつております。これらに要する財源としては、資金運用部よりの借入金百十億円、鉄道債券の発行による百二十億円、不用品等売却収入一億円及び減価償却相当額として損益勘定よりの受入れ三百二十五億円であり、総計五百五十六億円としております。  最後に日本国有鉄道財政につきまして、今後の見通しを申し上げますと、昨年御承認を得ました運賃改正により、国鉄財政はようやく不満足ながらも健全な姿を維持し得ることとなりますので、日本経済の安定に資するため、公共企業体としてより一層の能率向上をはかり、サービス改善に努めますとともに経営合理化を行い、経費節減に努力いたすよう指導監督いたしたい所存でございます。  以上、昭和二十八年度日本国有鉄道予算大綱につき御説明いたしましたが、何とぞ御審議の上御承認あらんことを切望いたします。
  5. 尾崎末吉

    尾崎(末)主査 次に、通産省所管について説明を求めます。通商産業政務次官小平久雄君。
  6. 小平久雄

    小平政府委員 ただいま議題となつております通商産業省所管予算各案について御説明を申上げます。  まづ二十八年度通商産業省所管一般会計予定経費要求額は、五十八億二千三百九十二万一千円でありまして、これを二十七年度総額九十一億七十一百五十二万八千円に比較いたしますと三十三億四千七百六十万七千円と大幅に減少しておるのでございます。しかしながらこれを内容的に検討いたしますると、二十七年度においては輸出信用保険特別会計基金として十億円、中小企業信用保険特別会計基金として五億金、商工組合中央金庫貸付金として二十億円、以上が含まれておりますので、前年度からこれらの臨時的特殊事情に基く経費を控除して、実質的に比較いたしてみますと、二十七年度予算は五十六億七千一百五十二万八千円、二十八年度予算は五十八億二千三百九十二万一千円となるわけでありまして、差引き一億五千二百三十九万三千円の増額がなされたと言えるかと存じます。  次に二十八年度予定経費中重要なものについて御説明申上げますると、第一に貿易振興対策といたしまして、まず前年度に引続きまして、海外見本市参加補助四千万円、海外市場調査会補助三千万円、海外広報宣伝費一千五百万円を計上いたしましたが、これらの経費は、それぞれ前年度に比し若干増額いたしてございます。  次に新たに海外貿易斡旋所補助三千六百万円、重機械技術相談室設置補助三千万円、東南アジア技術協力団体補助五百万円の予算を計上いたしましたが、まず海外斡旋所補助は、米国日本商品の展示及び貿易あつせんを行う常設機関を設置し、ドル輸出促進をはからんとするものであり、重機械技術相談室設置補助は、東南アジア地区等常設相談室を設置し、専門の技術者を配属させて、現地における機械設計工場立地等相談あつせんを行い、プラント輸出促進をはからんとするものであり、また東南アジア協力団体補助は、東南アジア諸国に対する技術者の派遣及びこれら諸国からの技術者受入れ等のあつせん業務を行う団体補助金を与え、東南アジア地域諸国資源開発及び工業化計画促進せんとするものでございます。  次に輸出信用保険特別会計基金は、前年度十億円の繰入れを行つておりますが、二十八年度においては基金増額は必要としない見込でありますので、当該予算の計上はいたしておりません。  第二に資源開発対策であります。まず重要鉱物探鉱費補助は、金、硫黄、ニツケル、マンガン、クローム、銅、鉛、亜鉛等重要鉱物の生産の維持をはかるための補助でありますが、二十七年度一億九十一万二千円に対し、二十八年度一億二千三百五十万円と二千二百五十万円余増加いたしております。これは、特に金鉱業の現状にかんがみまして、金の採鉱のたまに増額をいたした次第であります。  次に石油試掘費等補助は、二十七年度とほぼ同額の四千万円を計上し、前年度と同じく石油の試掘及び地質調査に要する経費の一部を補助する経費でございます。  次に新たに試験炭鉱設置運営費として三千万円計上いたしましたが、これは国営の試験炭鉱を設置いたしまして、炭鉱保安技術の向上、その他炭鉱保安上の諸問題の解決を推進せんとするものでございます。  第三に技術振興対策であります。まず新技術の応用研究及びその工業化試験の補助でありますが、二十七年度四億五千万円を、二十八年度においてもその重要性にかんがみ、工業化試験補助を五千万円増額いたし、合計五億円を計上いたした次第であります。  次に新たに工作機械試作補助として、一億円を計上いたしましたが、これは工作機械、工具等の製造部門が産業の基幹をなすにもかかわらず、わが国のこれら工業部門における設備及び技術水準が諸外国に比して著しく低位にありますので、これが遅れをとりもどすため、従来輸入に依存しておりました高性能の工作機械をすみやかに国産化し、これを普及せしめるため、とりあえずその第一段階として、その試作をいたさんとするものであります。  次に発明実施化試験補助と、発明実施化試験貸付金につきましては、発明の実施化の重要性にかんがみまして、昨年度と同額の一千万円と三千万円をそれぞれ計上いたした次第でございます。  第四に中小企業対策であります。これに関しましては、まず第一に中小企業金融公庫を設立することになつております。本公庫は、中小企業の振興のために必要な設備資金及び長期運転資金の貸付を行わんとするものであり、さしあたり一般会計からの出資五十五億円、資金運用部からの貸付五十億円計百五億円で運営されることとなつておりますが、将来は見返り資金の中小企業向け貸付債権及び復興金融金庫の中小企業向け貸付債権も、本公庫の資金源として繰入れられる予定のもとに研究を進めております。なお本公庫の出資金五十五億円の予算措置は、形式上大蔵省予算に計上せられてございます。  中小企業対策経費の第二は、中小企業振興指導費の補助でありますが、これは二十七年度はわずかに二千六百万円が計上されておつたにすぎませんが、二十八年度におきましては、その重要性にかんがみ、五千六百万円を計上いたし、差引き三千万円の増額を見たわけであります。  また第三に、中小企業協同組合共同施設費、補助金につきましては、二十七年度と同額二億円を計上し、来年度も引続きその適切な運用を期している次第であります。  第五は自転車及び自動車工業振興対策であります。本経費は自転車及び自動車工業の振興をはかるため、自転車関係八千五百万円自動車関係二千五百万円をそれぞれ計上いたしておりますが、他の項目に計上されている自転車及び自動車関係予算顔を合計いたしますと、二十七年度予算額とほぼ同額でございます。  以上をもちまして一般会計予算の概括について御説明いたしましたが、次に二十八年度当省所管特別会計に関し、その歳入歳出予算の大要を御説明申し上げます。  まず、アルコール専売事業特別会計でございますが、二十八年度の歳入予定額は三十九億七千四百十一万円、歳出予定額は三十四億七千五百三十三万円でありまして資産、売掛金等の関係を加減しますと、二十八年度の益金予定額は五億三百八万円となります。  第二に、輸出信用保険特別会計について御説明申し上げます。二十八年度歳入歳出予定額は、ともに五十億五千五百七万円でありまして、歳入のおもなるものは、保険料収入四億四千五百五十六万円、前年度剰余金二十六億三千八百八十万円、資金運用収入九千二百三十五万円であり、歳出の主なるものは、支払い保険金十九億八千二百三十七万円、予備費三十億四千九百二十六万円等であります。  第三に、中小企業信用保険特別会計について御説明申し上げます。二十八年度歳入歳出予定額は、ともに三十億五千六百五十六万円でありまして、歳入のおもなるものは、保険料収入六億一千八百七十五万円、利子収入七千万円、前年度剰余金二十二億四千八百六十万円等であり、歳出のおもなるものは、支払保険金四億九千五百六十五万円、予備費二十五億三千七百九十一万円等であります。  第四に緊要物資輸入基金特別会計について御説明申し上げます。本会計の二十八年度歳入歳出予定額は、ともに五千三十二万円でありまして、特に申し上げることもないと存じます。  第五に特別鉱害復旧特別会計について御説明申し上げます。本業務は、戦時中の石炭乱掘に伴う鉱害を復旧することを目的とするものでありまして、二十八年度歳入歳出予定額は、ともに五億五千八百八十四万円であり、歳入のおもなるものは、納付金収入四億五千六十三万円であり、歳出はその大部分が事業費であります。  以上で通商産業省所管の一般会計及び特別会計予算の御説明を終りますが、なお御質問に応じて詳細に御説明申し上げたいと存じます。何とぞよろしく御審議の上可決せられんことをお願いいたします。
  7. 尾崎末吉

    尾崎(末)主査 次に経済審議庁所管について説明を求めます。経済審議庁次長平井政府委員。
  8. 平井富三郎

    ○平井(富)政府委員 昭和二十八年度経済審議庁予算案につきまして御説明申し上げます。まず歳出予算総額は三億五千七百万八千円でありまして、これを前年度の予算額に比較いたしますと、前年度は行政機構の改革によりまして、経済審議庁は八月一日より発足いたしましたので、八月より三月までの所要経費予備費一億一千九百七万七千円、当初予算のしかえ額一億六千円、それに補正予算として御承認を受けました二千三百二十一万九千円とが前年度の予算額でありますが、今これを比較対照いたしますために、予備費の八箇月分一億一千九百七万七千円を、かりに年間十二箇月に引延してみますと、一億七千七百八十一万円となり、前に申し上げました当初予算のしかえと補正予算額とを加えますと、合計三億一百三万五千円となりますので、二十八年度の要求額は五千五百九十七万三千円の増額なつています。この増額なつたおもなる科目について申し上げますと、職員基本給が二千五百九万円。職員諸手当六百四万七千円、職員特別手当三百九十八万八千円の増額となり、国土調査補助金が二千六百万円の増額なつております。  また減額となつたおもな科目は、国家公務員共済組合負担金と行政整理による退官退職手当でありまして、これらは総理本府へ一括組み入れて要求せられています。  次に経費の内訓を申し上げますれば、第一に経済審議庁は人件費一億四千三百六十二万七千円と、これに伴う事務費六千七百三十万九千円でありまして、この事務費は長期経済計画の策定、経済に関する基本的な政策の総合調整、二以上の行政機関に関連する経済施策の基本的な政策の企画立案、総合国力の分析測定、内外経済の動向及び国民所得の調査分析等審議庁本来の事務を遂行するための経費であります。  第二に国土開発調査費は、電源開発の基本的な政策と計画の企画立案総合調整に要する事務費及び国土総合開発に関する事務費並びに国土総合開発審議会、電源開発審議会の経費であります。  第三に土地調査費は、国土の実態を科学的かつ総合的に調査するため、基準点測量に要する経費並びに地積調査と水調査に対する補助金であります。  以上申し述べました諸経費はいずれも日本経済を急速に回復させ、国民生活の向上発展に寄与するためのものであります。  これをもつて一応経済審議庁の一般会計の予算説明を終りますが、なお御質問に応じて詳細御説明申し上げたいと存じます。何とぞ御審議の上御協賛あらんことをお願いいたします。
  9. 尾崎末吉

    尾崎(末)主査 次に、農林省所管について説明を求めます。農林大臣官房長渡部伍良君。
  10. 渡部伍良

    ○渡部政府委員 それでは農林省関係予算につきまして御説明申し上げます。  予算説明に入ります前に、農林行政施策の基本方針について概略申し上げたいと思います。  終戦直後戦前の七割以下に減じた農林生産は、最近に至りましてすでに戦前の水準に回復したのであります。しかし人口の増加国土の縮小によりまして、依然食糧は不足でありまして、年間三百数十万トンの輸入を行い、このために貴重な外貨が貿易額の約四分の一程度も使われまして、経済自立上に非常な悪影響をもたらしておるのは御存じの通りであります。従いまして当面の施策といたしましては、国内食糧の自給度を急速に高める、そうしてこれによりまして外貨を節約しまして、その節約された外貨をもつて経済再建に欠くことのできない基礎物資の輸入に振り向けたい、こういうふうに考えております。それと同時に日本の農業及び農家の経営の安定に資したいと考えております。このときに経済自立の基盤としての農業生産力を急速に高め、食糧の総合的な自給の強化と、農業経済の安定向上をはかることを今後の農政の基礎とするのでありますが、そのおもなる項目は、主要食糧の増産、農産物価格の安定、畜産の振興、養蚕の合理化、これを進めるための農業団体の強化促進、森林資源の維持培養、海洋漁業の振興、またこれに必要な農林漁業資金の融通制度の拡充というようなことを、当面の目標としておるのであります。  以上申し述べました基本方針に基きまして、農林省の二十八年度の予算を編成したのであります。  まず概括的に二十七年度予算との比較を申し上げますと、総額におきましては、二十七年度千三百五十九億七千九百万円に対しまして、二十八年度は千二百二十億一千九百万円でありまして、差引百三十九億六千万円の滅となつたのであります。このほかに農林省関係予算としましては、北海道における公共事業費六十三億二百万円、前年度は四十七億二千四百万円ですが、これが北海道開発庁に計上されております。それから官庁営繕費一億一千三百万円、これは前年度は八千三百万円ですが、建設省に計上されております。また新たに設立をいたします農林漁業金融公庫への政府出資百億円、前年度は特別会計制度によりましてそれの出資六十五億があつたのでありますが、これが大蔵省に計上されております。これらの経費を加えますと、農林関係予算といたしましては、二十八年度は千三百八十四億三千五百万円となりますが、二十七年度千四百七億八千七百万円に比しまして、二十三億五千二百万円の減となつております。この減少の理由はあとから出て来ますが、食糧管理特別会計の輸入食糧価格調整補給金が、前年度三百八十億でありましたが、二十八年度は三百二十億として六十億の減であります。それから二十七年度に計上されておりました食糧管理特別会計歳入不足補填金百億円が二十八年度には計上されてないためでありますが、実質的にはおおむね百二十億円の増になつておるという勘定になります。  次に内容について少しく申し上げたいと思います。まず一般会計では、最初に食糧増産関係経費であります。この経費の中では、何と申しましても、農地の拡張及び改良、第二に耕種の改善経費であります。まず農地の拡張及び改良の経費でありますが、これは総額におきまして二百八十三億三千八百万円であります。二十七年に比べまして六十一億三千百万円の増加なつております。このうち土地改良事業としましては、国営灌漑排水事業五十七億九千三百万円、土地改良事業補助九十二億三千九百万円を含めまして百六十三億二百万円となつております。  それから開拓事業としましては百十四億円でありますが、このうちには開拓建設事業五十一億五千二百万円、干拓事業二十九億四千万円、それから開拓事業補助三十億八千六百万円があります。これに伴う新規の入植は八千戸を予定しております。前年は七千戸でありましたが、土地改良、開拓、干拓事業を通じて増産効果が下るものにつきましては、その基本工事の飛躍的促進をはかることといたしました。  それから耕地を含めます農業災害復旧経費といたしましては百三十六億円であります。前年度は百十九億円でありますから、約十七億円の増加であります。  次に耕種改善経費でありますが、この内訳は米麦その他の主要農作物の種子改善の対策費、低位生産地改良事業費、耕土培養対策費、特殊土壌地帯の対策費、北海道農業振興費、西南暖地等水田生産力増強費、病害虫発生予察事業費、それから植物防疫費となつております。  まず主要農作物種子対策費でありますが、この経費は米麦、大豆等の原々種圃、原種圃、採種圃の設置補助、緑地作物の原種圃、採種圃の設置補助、寒冷地帯におきます健苗育成のための保温折衷苗代設置に要する費用の補助、災害対策用、いわゆる代作用の種ばれいしよの予備貯蔵等の費用、そういうものとしまして八億四千万円が計上されております。この中で、多少減りましたのは、従来北海道の温床苗代の補助があつたのが、二十八年度は予算面から減額になつております。  次に低位生産地改良事業でありますが、これはそのあとで述べます耕土培養対策費及び特殊土壌地帯対策費の事業内容となつております酸性土壌、秋落ち水田及びアカホや地帯についての事業実施の前提といたしまして、対策を必要とする面積の調査経費でありまして、これが五千四百万円であります。  次に耕土培養対策費及び特殊土壌地帯の対策費でありますが、これは酸性土壌、秋落ち水田及びアカホや地帯に対しまして、炭酸カルシユーム、含鉄物資等を施用することによりまして、これら低位生産地の土壌を改良しまして、増産の効果を上げようとするものであります。このために耕士培養対策費としまして一億八千三百万円、特殊土壌対策費として三千八百万円が計上されております。  次に北海道農業振興費でありますが、これは北海道の畑作地帯の特殊の対策であります。内地の農業と違いまして、耕土を深く掘る心土耕、そうして上と下の士をうまくまぜてやる混層耕用の機械整備のための経費でありまして、今年は飛躍的に増加しまして、前年六千万円のものを一億八百万円にしておるのであります。  次に西南暖地等水田生産力増強費であります。これは最近農業技術の進歩によりまして、暖地におきます水稲の早植え栽培、いわゆる二期作が可能になりましたので、群馬県以西南の暖地帯におきまして常習的に風水害を受ける地帯及びめい虫等の相当ひどい地帯に、試験的にこれらの風水害なりめい虫の発生時期をうまくのがれて、米の収穫を安全にするというふうな試験をやるのであります。それに三千町歩を二十八年度から予定しまして、水田の特殊早植え栽培法を実施したい。それに伴いまして、水田の二期作、三毛作を可能ならしめるような試験も一緒にやりたい。それからまたそういうふうにしますと、従来とかわつた作付体系が考えられなければなりませんので、作付体系を新しくするための栽培法あるいは品種選抜等の試験を行おうとするものであります。この問題は新しい非常に興味のある問題でありまして、新規に三千七百万円を計上しております。  次に植物防疫関係経費であります。毎年病虫害による農作物の被害が、非常に莫大であります。ことは御承知の通りであります。一つは病害虫の発生予察事業経費として九千二百万円、いま一つは米麦の種子消毒、米麦の病害虫防除のための農薬の購入補助、これはいわゆるめい虫に対するホリドール、パラチオン剤の購入補助その他いろいろなものが入つております。それから病害虫の異常発生に備えるための農薬の購入、防除組織の整備、異常災害発生対策としまして国で相当の防除器具を持つております。これを発生地帯に急速に貸しつける運搬費用等を含んでおりますが、異常災害発生対策費等を目的としまして十三億八千八百万円を計上しております。  次に農業経営改善のための経費でありますが、その第一としましては、農業生産の高度化をはかるための有畜農業の確立のための経費であります、この経費は、農家に家畜を導入させることを目的としまして、一方で融資をするとともに、これに利子補給を考えておるのであります。これは二十七年度から引続いて行われておるのであります。二十八年度はこれをさらに畜産振興十箇年計画に切りかえまして、特に乳牛の導入に重点を置きまして、この利子補給制度を継続して行きたい。二十七年度の続きの分を合せまして、一億九千四百万円、前年度は六千百万円の経費であります。導入資金の確保と合せまして、飼料を確保することが最も緊要でありますので、牧野の改良造成に特に力を入れたいと考えております。これはいつでも問題になつておるのでありますが、日本のように風水害がはげしくしてイロージヨンがはげしいという牧野につきましては、外国の牧野の管理方法をそのまま入れることはできないのであります。しかし、外国に見習う必要もあります。しかし、日本独得の草とか、あるいは飼料木の種類を入れなければなりませんので、そういつた見地から牧野の造成改良試験を一方ですると同時に、試験の効果を実地に移して行くための経費として一億一千八百万円を計上いたしました。さらに前に申し上げましたように飼料の優良品種の普及をはかるために、飼料の原採種圃に対する費用として千八百万円、自給飼料の増産費として千九百万円を計上しております。  それからこれもまた新規事業でありますが、いわゆる集約酪農地区を設定したいと思いまして、八千八百万円を要求しております。これは濠州、ニユジーランド、米国等からいわゆるジヤージー種の乳牛を導入いたしまして、合理的な酪農地帯として粗飼料資源豊富な地帯を選定して、この地帯にジヤージー十を入れて国有貸付をいたしまして、今まで農業的に恵まれていない地帯に酪農振興をしようという試験であります。二十八年度で岩手山麓と八ヶ岳山麓二箇所を選びまして、二箇年計画はそれぞれの地区に一箇所六百頭を入れるのでありますが、初年度としては三百頭ずつを入れよう、こういうのであります。  なお農業経済改善のための第二の対策といたしましては、養蚕振興対策があります。繭の販売代金が養蚕地帯における農家の現金収入の重要な源泉でありますので、繭の増産と生産費低減をはかる手段といたしまして、優良桑苗を確保し、老朽桑園を改値するとともに稚蚕共同飼育を奨励し、さらに桑の病虫害の防除を行う。これは米麦等の病虫害対策にならつてそういうことをやる。その経費として一億七千百万円を計上しております。  次に、農業団体の再編成の経費であります。昨年来農業団体の間におきまして、協同組合系統と農業委員会系統の間で、経済的な農業団体と利益代表的な農業団体との間の調整をどういうふうにするかということは、いろいろ議題となつておりましたが、一応両者の話合いがつきましたので、次のような根本方針が確立されたのであります。すなわち農業技術の指導につきましては、現在国、府県がやつております農業改良普及制度を整備拡充しまして、市町村農業委員会に技術員を置く。これは従来から市町村農業委員会に二人の書記がおりますが、その一人を技術員に切りかえる、そして改良普及員の普及事業の下働きをさせる、これが第一点。  それから農業と種民の一般的利益代表機能を行わしめるために、都道府県の農業委員会に、これを法人化しまし  てそういう権能を賦興するとともに、農業と農民の一般的利益代表機関として全国農業委員会議所を創設する、これが第二点。  第三点は、農業協同組合の事業の刷新強化をはかるために、指導事業としては農業協同組合指導組合連合会というのがあるのですが、それをやめまして、全国及び都道府県に農業協同組合の総合指導組織として農業協同組合中央会をつくる、こういうのが農業団体の再編成の骨子であります。  このための経費としまして、全国農業委員会費として六百万円、市町村農業委員会の技術研修会費として千二百万円を含めまして委員会関係に三十億一千万円、これは前年度は三十三億円でありました。それから農業協同組合関係の中央会への補助金八千万円を含めまして、検査の費用であるとか、いろんな費用を含めまして、一億七千二百万円、さらに前年来引続いて行つております再建整備の増資奨励金及び固定化資金利子補給金としまして、六億七千八百万円を要求しておるのであります。これは再建整備の進行に従つて補助率を低下するというので、前年度十三億六千万円に比べ相当の減となつ凡ております。  第四に、農業改良普及のための経費について申し上げますと、農業改良普及事業は、農業団体再編成の問題とも非常な密接な関係があるのでありますが、政府としましては農業技術の生産指導事業につきましては、国及び都道府県を主体としまする現行の農業改良普及制度、いわゆるエキステンシヨンの制度の整備強化をして行く、そのために農業改良普及員及び専門技術員の設置及び活動費として十一億八千五百万円、これは従来とほとんどかわりません。それから生産改良普及員及び専門技術員の設置及び活動費として一億三千万円、これも従来とあまりかわりません。それから都道府県の農事試験場の機能が戦争以来低下しておりますので、農業改良研究員を増置し、試験用機械購入のための補助を含めまして研究員は各都道府県の農事試験場に一人ずつふえることになりますので千八百万円を蚕糸技術の改良のための費用が蚕糸技術指導所、これは繭検定所を整備して、蚕糸技術指導所という名前にかえるのでありますが、蚕糸技術員の設置等の補助経費としまして二億九百万円を計上しております。  第五に、農産物の価格調整であります。農産物の価格の安定は、農産物の需給の安定を通じまして、農家の経営の安定、消費者価格の安定を来しますので、従来政府はこれについて食糧の統制撤廃から自由経済に転換するにつきましていろいろ対案を講じておりますが、二十八年度におきましても、てん菜生産振興臨時措置法に基きまして、北海道の特殊農作物でありますてん菜糖の政府買上げを続けて行きます。それからかんしよ、ばれいしよの価格の安定をはかり、農家経営の安定をはかるために、かんしよ、ばれいしよ、澱粉を買い上げることになつております。それから飼料につきましても、飼料需給安定法の成立を見ましたので、輸入ふすま、マニトバ五号、とうもろこし等を政府で買い上げておりまして、飼料価格の高騰の際には、これを放出するというふうな措置を講じております。さらに菜種そのほかの問題がございますが、これは農産物価格安定法案を準備しておりますので、そのときに御説明申し上げます。  第六としましては農業災害補償のための経費であります。農作物の病虫害による被害の共済制度でありますが、政府は農業共済再保険特別会計を設けまして、農家の共済保険につきまして再保険をしておるのは御承知の通りであります。そうして保険料の一部につきまして国庫の負担を行いまして、二十八年度はこれに要する経費として百八億五千八百万円を計上いたしております。このうち特別会計への繰入れは稲、麦、繭の保険料国庫負担分として七十五億七千九百万円、家畜保険の国庫負担分としては六億一千九百万円等、八十三億千六百万円を計上いたしております。このほかに都道府県の事務費補助四千万円、農業共済組合の事務費補助二十四億六千六百万円、主として共済組合の職員の補助がおもなものであります。なお共済制度では家畜共済につきまして二十八年度から試験的に死亡廃用の保険と疾病傷害の保険等を一元的にやつたらどうなるかという、試験をやる費用が計上されております。そのための経費としまして一般会計に千三百万円、農業共済再保険特別会計に五千三百万円が計上されております。  第七に農林漁業金融の円滑化をはかるための経費について申し上げます。この中で一番大きいのは農林漁業資金融通特別会計から、今度新たに切りかえられました農林漁業金融公庫であります。金融公庫は四月一日から発足する予定で準備を進めておりますが、それに一般会計から公庫の出資金として百億円を出資しまして、資金運用部から百三十億円、償還金の十億を加えますので、二十八年度の農林漁業の長期資金財源としましては、二百四十億円が土地改良、造林、林道、漁港等の拡充強化のためにまわされることになつております。これを昨年度は補正予算の分、当初予算の分を含めまして二百八億でありますが、ことしは二百四十億の資金なつております。  それから開拓者資金融通特別会計につきましては、従来と同様入植後三年以内の開拓者の営農資金及び開拓者の役畜導入資金を融通することとしております。これは先ほど申しましたように入植予定者を八千戸とし、役畜の導入目標を八千頭として計画しております。  それから中小漁業融資保証保険特別会計につきましては、二十七年度の補正予算におきまして基金として五億円を繰入れ、漁業金融の円滑をはかることとしておりますが、二十八年度にはこの制度を整備して行きたい、こういうふうに考えます。  なお農地を担保とする金融につきましては、二十七年度は自作農創設維持特別会計におきまして余裕金を運用しまして、農家から政府が農地を買い上げる、すぐそれを売りもどす、そうして二十五年の年賦償還によつて償還せしめるというふうな形をとつております。二十八年度におきましてもこの方法で自作農創設維持特別会計の余裕金八億五千万円を活用して、土地の購入その他の資金の融通に充当したいと思つております。このほかにルース台風及び十勝沖の災容復旧融資に対しまして利子補給をやつております。二十八年度は新たにカムチヤツカ沖地震による災害復旧融資についても、右と同様の利子の補給をやるというふうに考えております。  有畜農家創設のための利子補給につきましては先ほど申し上げた通りであります。  次に林産振興のための経費について申し上げます。  まず第一に山林事業費でありますが、森林の荒廃を復元するためには非常な金がいりますが、二十六年に森林法の改正を見まして、これを実効あらしめるため荒廃山地の復旧、奥地林の開発によりまする局地的な過伐の防止、それから伐採跡地の荒廃防止のため、前年度に引続きまして治山事業、林道事業及び造林事業等にそれぞれ五十一億五千五百万円、二十二億六千八百万円、三十三億九千六百万円を計上いたしました。  このほかに災害復旧費としまして八億一千万円を計上しました。それから第二には民有林森林計画の樹立に必要な経費であります。  森林法の改正の実効を期するための財政投資の面は先ほど申し上げましたが、さらに実効を期するには民有林の計画施業が肝要でありますので、民有林森林計画の樹立に必要な経費を玉穂四百万円計上しております。  二十八年度は末端における活動を充実するために経営指導員の活動費を一億二千九百万円新たに森林組合等に対する補助として計上しております。  以上のほか林業振興のための経費のおもなるものとしましては、松食虫その他の森林病害虫の駆除に二億八千百万円、保安整備のために二千九百万円、林業改良普及事業に九千八百万円、優良種苗普及に三千百万円を計上いたしまして、国土緑化及び森林荒廃の防止を期しております。  次に水産振興対策のための経費について御説明申し上げます。  戦後わが国の漁携の区域は非常に制限されまして、この狭められました操業区域の中で盛んに漁撈を行つておりましたので、水産資源の枯渇が著しくなつておりまして、新聞紙等で御承知のように、漁区の紛争が非常にはなはだしくなつております。講和条約の締結後は、従来の漁区制限が撤廃されましたので、新たに海外諸地域の新漁場開拓が目論まれておるのであります。  この情勢に対処しまして、従来の狭い地域の漁区にありました過剰漁船の整理をさらに継続して行くとともに、水産資源の増殖、水産業の技術改良普及、水産金融の円滑化、漁業協同組合の育成強化等の施策を一段と強化をして行きますとともに、新漁場の開発、海外諸海域における漁撈の保護及び国際条約の遵守のための漁撈取締り等の対策を講ずることにいたしております。  まず第一に、減船整理関係でありますが、このための経費は二億五千五百万円であります。これは小型機船底びき網の減船整理として一億八千八百万円、中型機船底びき網の減船整理としまして七千三百万円を計上しておるのであります。これによりまして、前年に引続きまして、小型では二千四百十二隻、中型では五十五隻を整理して行きたいと考えております。  次に、水産資源の増殖でありますが、前年度に引続きまして、内水面におきます種苗生産及び放流の施設、それから浅い海におきます整地摺出、外海に石を投げ込む、それから岩面をかく事業等を助成しまして、新たに東北、北海道等の浅海の帆立貝の増殖施設に助成を行うものといたしまして一億二千三百万円を計上しております。  このほか北海道における鮭鱒孵化事業のための経費として八千八百万円を計上しております。  第三に、新漁場の開発及び海洋の漁撈取締り関係経費でありますが、北洋漁業につきましては、二十八年度も北洋の鮭鱒漁業に出漁することとなつておりますが、従来と異なりまして、沿岸で漁業ができないで、沖の方でやる、そのために昨年初めて行つて、まだわからないところがありますので、新漁場の開発のための調査船を相当出しますので、このため五千九百万円を計上いたしております。それから二十八年度から新たに出漁しますかに漁業とあわせて保護取締りを行うために、取締船一隻の建造費と三隻の用船料としまして四億五千百万円を計上しております。  このほか小型漁業取締りに二千四百万円、沖合い漁業取締りに五千五百万円、遠洋漁業取締りに二億六千三百万円、それから最近新聞に出ておりますアラフラ海の出漁取締りのために千百万円を計上いたしております。  次に、水産技術の改良普及であります。二十八年度から新たに府県に養殖技術、レーダーその他の電気機具取扱い技術の指導のための職員を設置することとしております。また府県水産試験場の施設の強化をはかることによりまして、漁民集団の技術指導をはかり、いわゆる先達漁船の制度を創設することとしまして、二千七百万円を計下しております。  以上のほか、水産振興のための経費として、対馬暖流海域開発のための調査を含む水産研究管理指導並びに水産資源開発に必要な経費四千四百万円、この対馬暖流海域というのは、日本海の漁場の開発でございます。水産業協同組合の指導監督及び再建整備のための経費として、それぞれ千七百万円及び七千九百万円を計上いたしております。  最後に、漁港施設の拡充のための経費でありますが、二十八年度は二十三億六千二百万円を漁港整備に、災害復旧費として十三億五千二百万円を計上いたしております。これによりまして、漁港整備計画の残りの百五十五港のうち約半分近くが新たに着工できることになつております。  なおこのほか、魚田開発のための経費として四千百万円を計上しております。  最後に、特殊地帯の対策の経費のおもなるものについて申し上げます。特殊地帯対策の経費と申しますのは、積雪寒冷単作地帯農業振興臨時措置法、急傾斜地帯農業振興臨時措置法、特殊土じよう地帯災害防除及び振興臨時措置法、湿田単作地域農業改良促進法等を言うのであります。この措置に対応しましてそれぞれ対策を講じておるのであります。  この中で二十八年度の新しい問題としましては、積雪寒冷単作地帯等従来の補助金では足りないそういう特殊な地域に特殊の施設を必要とする、こういうことによつて村の再建が可能になるというふうな対象を、二十八年度二百箇町村を選びまして、一億四百万円割当てて、特別な助成を行うことといたしております。  特殊土壌地帯の対策につきましては、さきに土壌改良の項で申し上げましたが、赤ホヤ対策の経費として調査対策費三百万円、事業費として三千八百万円、計四千百万円を計上しております。そのほか台風による被害を軽減する施設として、防災菜園を設けるために四百五十万円を計上しております。  なおこれと同じ目的で、この地帯に防災桑園を設置せしめることにしておりますが、この方は前に述べました柔園の助成金のうちから防災桑園の方に金をまわすというふうにしております。  これらのほか各地帯、各地域ともさきに述べましたように、農地の改良造成事業において、それぞれの特性に応じた事業を行うことといたしたのであります。  以上は一般会計の説明でありますが、次に特別会計について申し上げます。  まず食糧管理特別会計につきましては、二十八年度におきましても、米につきましては、二十七年度に比べまして統制を継続する建前で予算を組んでおります。麦につきましては、これもまた二十七年度と同様配給統制は行わないけれども、生産者の要望によつて無制限の買付を行うことにいたしております。第三には、澱粉、てん菜糖の買入れのほかに、先ほど申し上げました飼料需給安定法によるふすま、とうもろこし等の飼料の買入れ、売渡しを行うことにしております。食糧の買入れ予定数量は、内地産米二千八百二十五万石、麦は三百七十三万石とし、外国の食糧は三百三十五万四千トンを買いつけることに予定しております。消費者価格は、米について十キロ当り六百八十円を予定しております。そのほかに早場米奨励金八十一億千九百万円を計上しております。輸入食糧価格補給金は、先ほど申しましたように、三百二十億円、インヴエントリー・フアイナンスは二十七年度と同様に行わないという方針のもとに食糧管理特別会計を組みまして、歳入歳出とも六千百九十九億六千三百万円となつております。  第二に、農業共済再保険特別会計であります。  まず農業勘定でありますが、第一に、米の生産者価格を引上げますので、それに応じて水稲の共済金額がふえております。過去の保険事故の実績に基きまして、水稲及び麦の保険料率を高めております。それから水稲及び麦の最低通常被害部分について三分の一の国庫負担を行うこととしております。この第三の点は相当重要なものであります。そういうふうにして、一般会計から保険料国庫負担分として七十五億七千九百万円を受入れることとしておりますが、これは前年度に比して八億六百万円の増となつております。また特別会計が連合会から受入れる再保険料収入として六千九百万円を計上しておりますが、これは前年度に比して九億三千二百万円の減となつております。  家畜勘定は二十六億八千百万円でありまして、前年度に比して七億七千三百万円の増でありますが、これは家畜の最低共済金額を引上げたこと、及び加入頭数の増加によるものでありまして、保険料国庫負担分として六億一千九百万円を一般会計から繰入れております。  なお両勘定におきまして、再保険金支払いの予備財源としまして、それぞれ農業勘定には二十六億五百万円、家畜勘定には三億一千万円を基金勘定から繰入れ得るように措置しております。  第三に森林火災保険特別会計であります。これは歳入歳出とも一億四千九百万円で、人工植栽林を保険の対象として、二十七年度と同様、林齢の制限を廃しております。  それから第四に漁船再保険特別会計であります。まず普通保険勘定歳入歳出八億七千七百万円で、二十七年度四億九千九百万円に比較しまして著しく増加しておりますが、これは別の法律を今提案中でありますが、二十八年度から満期保険制度を設けまして、この勘定に入れまして、漁船の建造の円滑化をはかることとしたのであります。なお満期保険の創設に伴いまして、同保険加入の船舶について加入奨励金を支払うこととしまして、一千万円を計上しております。  特殊保険勘定歳入歳出とも二億九千七百万円でありまして、二十八年度においては、過去の危険率にかんがみまして多少保険料率を引上げますとともに、二十七年度の赤字補填としまして五千万円を一般会計から繰入れることにしております。  乗組員の給与保険勘定につきましては、二十七年度の補正予算のときと同様の考え方のもとに歳入歳出二千九百万円を計上いたしまして、特殊保険とともに、危険海域出漁漁船の保護に万全を期しております。  第五に自作農創設特別措置特別会計でありますが、これは二十八年度におきましては、既墾地を一万四千九百三十三町歩、未墾地を四万五千町歩買上げることにしております。売渡し面積は、既墾地二万一千七百三十二町歩、未墾地十七万四千五百町歩、牧野が一万一千百七十町歩としております。右のほか、一般会計の項で御説明申し上げました通り、本特別会計により一万七千町歩を買入れまして、農地担保金融にかわる機能を行わせるのであります。その余裕金の額は、先ほど申し上げましたが、八億五千万円というふうに予定しております。この方針で歳入歳出とも十八億六千四百万円を計上いたしました。  第六に開拓者資金融通特別会計について申し上げます。これは歳入歳出とも二十億八千六百万円でありまして、前年に比し二億九千五百万円を増しております。これは二十六年度以降の入植者に対する営農資金、及び共同施設資金として、二十六年度入植者一戸当り二万九千二百円、二十七年度一戸当り三万六千百円、二十八年度一戸当り十一万二千五百円を計上して、十三億六千五百万円を貸しつけることにしております。また経済変動の影響を最も著しく受けた二十四年度以前の入植者の営農促進のために、役畜八千頭を導入することとして、家畜導入資金三億六千万円を融資することとしております。これは先ど申し上げた通りであります。  第七に国有森林特別会計であります。これは歳入歳出とも三百六億九千八百万円で、前年度に比べまして四十六億七千四百万円の増でありますが、これは木材価格の上昇と事業費の上昇によるものであります。なお二十八年度においては歳入金の一部を一般会計の財源として繰入れることにしまして、二十二億円を計上しております。  第八に国営競馬特別会計であります。まず投票券勘定歳入歳出は百八億七千万円で、前年度に比し、開催回数を増加すること等によりまして七億九千二百万円の増となつております。  業務勘定歳入歳出二十九億四千二百万円で、このうち益金として一般会計に十一億九千七百万円が繰入れ分として計上されております。  次に糸価安定特別会計でありますが、歳入歳出四十九億九千二百万円を計上しております。二十八年度は一万七千俵の買入れと八千俵の売渡しを予定しております。その価格はそれぞれ十八万円及び二十三万円を予定しておるのであります。  最後に中小漁業融資保証保険特別会計であります。これは先ほど申し上げましたが、二十七年度の補正予算で創設されたのであります。各府県に信用基金を設置しまして、信用保証の保険をこの特別会計で行うものでありますが、二十八年度は信用基金の保証総額を二百億円と予定しまして、その七割を保険することとして、二十七度補正予算基金として繰入れた五億円を剰余金として受入れまして、二十七年度に引続き中小漁業融資の円滑化をはかることを目的として、歳入歳出とも八億円を予定しております。  以上で農林省関係予算説明を終ります。
  11. 尾崎末吉

    尾崎(末)主査 次に建設省所管について説明を求めます。建設政務次官三池信君。
  12. 三池信

    ○三池政府委員 お手元に説明書を配付してありますが、私から建設省関係昭和二十八年度歳入歳出予算案について概要を御説明申し上げます。  まず一般会計から申し上げますと、建設省所管昭和二十八年度歳入歳出予算は、歳入四十億八千二百余万円、歳出八百七十一億六千余万円でありますが、この歳出に総理府所管に計上されており予算執行の際に建設省所管に移しかえになる予定の北海道開発のための経費を合算しますと、歳出合計額は九百四十八億六千七百余万円に相なるのでありまして、これを前年度の予算額と比較いたしますと、歳出において二百十二億六千余万円の増加なつております。  本予算案は、一、道路交通網の整備二、河川総合開発事業三、住宅建設促進に重点を置くとともに、その他の項目につきましてもそれぞれ所要の経費を計上いたしている次第でございます。以下歳出予算案の各項目について御説明いたします。河川等事業費、内地分二百十八億八千五百余万円、北海道分二十九億五千八百余万円、計二百四十八億四千四百余万円を計上いたしております。前年度に比し六十億七千八百余万円、約三割二分の増加なつております。  これは河川改修事業、河川総合開発事業並びに海岸堤防の改良、補修等に必要な経費でありまして、前年度において実施いたしておりました諸事業を重点的に継続施行するほか、昭和二十八年度におきましては直轄河川改修事業を新たに二河川、中小河川改修事業を新たに四十河川程度それぞれ追加施行するほか、河川総合開発事業として総合ダム十六を新規建設しようとするものであります。  砂防事業費は内地分四十七億五千八百余万円、北海道分五千四百余万円、計四十八億千二百余万円を計上いたしております。前年度に比し五億千八百余万円、約一割二分の増加なつております。  これは河川上流の荒廃、渓流における土砂の流失及び渓床の浸蝕防止または崩壊の拡大防止のため堰堤、護岸、水制等の築造に必要な経費でありまして、前年度実施の事業を継続施行するほか、昭和二十八年度におきましては特にダムの埋没防止に力をいたしたい所存でございます。  道路事業費は内地分百三十三億七千余万円、北海道分三十三億九千八百余万円、計百六十七億六千八百余万円を計上いたしております。前年度に比し七十九億四千三百余万円、約九割の増加なつております。これは道路の改修、補修、橋梁の整備に必要な経費でありまして、前年度実施の事業を継続施行いたしますほか、昭和二十八年度におきましては、自動車の増加及び大型バス等の重量車輌の増加に対応して、幹線道路の鋪装並びに橋梁の整備を特に促進するとともに、産業開発道路の建設を実施いたす計画で、所要の経費を計上いたした次第でございます。なお本経費のうちには、特定道路整備事業特別会計への繰入金二十五億円を含んでおります。  都市計画事業費は、内地分四十七億三千五百余万円、北海道分七千二百余万円、計四十八億七百余万円を計上いたしております。前年度に比し五億五千百余万円、約一割三分の増加なつております。  これは戦災及び火災復興、街路の鋪装、橋梁、立体交叉の整備並びに都市水利等の事業に必要な経費でありまして、昭和二十八年度におきましては、前年度におきまして実施いたしました事業を継続施行いたしますほか、街路の鋪装、橋梁及び立体交叉の整備並びに都市水利事業に重点を置いて施行することにいたしております。  建設機械整備事業費は、内地分十四億五千六百余万円、北海道分四億千余万円、計十八億六千七百余万円を計上いたしております。前年度に比し一億二千六百余万円、約七分の増加なつております。  これは土木事業を機械化により合理化するための大型機械の購入、修理及びモータープール、機械工場等の整備に必要なる経費並びに地方公共団体の機械購入費の補助金であります。  住宅施設費は、内地分百一億七千六百余万円、北海道分八億千二百余万円、計百九億八千九百余万円を計上いたしております。前年度に比し五十九億九千五百余万円、約十二割の増加なつております。  これは終戦以来著しく不足している住宅の緩和のため、公営住宅法に基き低廉な賃貸住宅を建設するための経費でございまして、昭和二十八年度におきましては、比較的規格の高い一般向き賃貸住宅四万戸及び低所得者向きの賃貸住宅一万戸、計五百戸を建設したい所存でございます。  次に災害復旧事業について申し上げます。  昭和二十七年以前発生いたしました北海道を含む全地域における建設省関係災害復旧事業費を、建設省所管に計上しております。  災害復旧事業費合計額は二百五十六億六千八百余万円に相なりまして、これを前年度に比較いたしますと、五億八千余万円の減額となります。本経費によりまして、直轄災害につきましては全事業をほぼ完成し、地方公共団体に於て実施いたします災害復旧につきましては残事業の約三分の一を復旧いたす計画でございます。  これを各項目別に申し上げますと、河川災害復旧事業費二百五十一億八千四百余万円、前年に比し四千万円増加なつております。都市災害復旧事業費二億九千余万円は、前年度に比し五千五百余万円の増加なつております。  住宅施設災害復旧事業費一億九千二百余万円は、前年度に比し六億七千六百余万円の減額になつております。  次に雑件について御説明いたしますと、総額三十三億七千二百余万円、前年度に比し三億二千三百余万円の増加なつております。本経費のうちおもなるものといたしましては、高速自動車道路調査費一千八百余万円、国土総合開発調査費三千五百余万円、防火建築帯造成補助金二億二千万円、産業開発青年隊導入費補助金一千二百余万円、このうち産業開発青年隊導入は新規事業で、国または都道府県の行う建設工事に青年隊を導入するための経費であります。以上一般会計の概況でございます。  次に特定道路整備事業特別会計につき御説明申し上げます。歳入予定額は、一般会計より繰入金二十五億円、地方公共団体貸付金利子収入一億二千六百余万円、計二十六億二千六百余万円。歳出予定額は、歳入予定額と同額で、二十六億二千六百余万円、これを前年度に比較いたしますと、四億二百余万円の増加なつております。  この特別会計は道路整備特別措置法に基き国または地方公共団体の行う有料道路の建設に要する経費を経理するものでありまして、前年度において実施いたしておりました事業を継続施行するほか、昭和二十八年度におきましては、直轄分において松江国道、貸付分において、立山登山道路ほか五路線を新規に計上いたしました。  終りに一言つけ加えますが、住宅金融公庫関係といたしまして一般会計出資金六十億円、資金運用部より借入金百二十億円、合計百八十億円で、前年度と同額であります。その貸付戸数は、一般四万五千戸、産業労務者用六千五百戸でありまして、この産業労務者用住宅建設資金の貸付は、昭和二十八年度よりの新規事業であります。  以上簡単に御説明いたしましたが、よろしく御審議のほどを御願いいたします。
  13. 尾崎末吉

    尾崎(末)主査 次に郵政省所管について説明を求めます。郵政大臣高瀬荘太郎君。
  14. 高瀬荘太郎

    ○高瀬国務大臣 それでは私から郵政省所管の二十八年度予算案とこれに付随する若干の問題につきまして御説明申し上げ御参考に供したいと存じます。  まず最初に郵政事業特別会計予算でありますが、この予算総額は、歳入歳出ともに九百六十億一千九百余万円でありまして、その内訳といたしましては、郵便切手及び郵便はがき等の売りさばき収入並びに郵便為替、振替貯金の手数料等郵政固有業務収入といたしまして三百四十億三千九百余万円、郵便貯金及び簡易生命保険並びに電気通信業務等他会計よりの委託業務運営の諸経費財源に充てるために、それぞれの会計から繰入れられる繰入金といたしまして四百六億二千七百余万円、広告収入及び病院収入等の雑収入といたしまして十七億二千三百余万円、収入印紙、失業保険印紙及び日雇い労働者健康保険印紙の売りさばきによる業務外の収入といたしまして百八十五億五千三百余万円、郵便局舎等の建設費の財源に充てるための資金運用部よりの借入金といたしまして五億円、同じく他会計から繰入れられる設備負担金といたしまして五億七千六百万円を計上いたしておりますが、これ等の経費総額を前年度と比較いたしますと百十九億承千余万円の増加なつておりまして、その内訳といたしましては、業務収入の自然増収見込額が十四億二千余万円、他会計からの繰入金の増加が五十一億四千九百余万円、雑収入増加が四億七千万円、業務収入が四十四億二千七百余万円、設備負担金が一億二千七百万円、鉄道小荷物運賃の改訂に伴う小包郵便料金の調整等による収入が三億六千六百余万円となつております。  以上は歳入予算の概略を申し上げたのでありますが、次に、歳出予算について申し上げますと、歳出予算総額九百六十億一千九百余万円の内訳は、郵便業務の運営に必要な経費といたしまして二百六十二億四百余万円、為替貯金業務の運営経費といたしまして百二十六億九千七百余万円、保険年金業務運営経費といたしまして百二十二億九千八百余万円、電気通信業務運営経費といたしまして七十六億四千五百余万円、さらにこれらの業務運営のための総係経費といたしまして百三十四億三千四百余万円、恩給負担金、失業退職手当等他会計に繰入れを必要とする経費といたしまして、十五億二千三百余万円、収入印紙及び失業保険印紙等の売りさばきによる収入をそれぞれの会計に繰入れる業務外の支出経費といたしまして百八十五億五千三百余万円、郵便局舎等の建設費といたしまして三十億四千二百余万円、公債及び借入金の償還に必要な経費といたしまして一億五百余万円、予備費といたしまして五億一千八百余万円を計上いたしております。  これらの歳出予算を前年度に比較してみますと、収入印紙及び失業保険印紙等の業務外支出が四十四億二千七百余万円、昨年十一月から実施をみました職員の給与改善等に伴う人件費が、六十八億三千五百余万円、その他予備費及び借入金の償還等の経費が六億九千八百余万円と、それぞれ増加しているのでありまする  なお、御参考までに歳出経費を人件費と物件費に分類した比率を申し上げてみますと、人件費が約七一%、物件費その他が二九%となるのでありまして、前年度予算における人件費率六八%に比べ約三%の増加を示している実情でございます。もちろんこの予算におきます人件費は一般公務員並のベースによつて算定いたしているのであります。  以上が郵政事業特別会計昭和二十八年度予算の概略であります。  次に、郵便貯金特別会計について申し上げます。この会計の歳出予算といたしましては、郵便貯金預入者に対して支払う支払い利子といたしまして、百七億五千余万円、郵便貯金業務の取扱い費として、郵政事業特別会計に繰入れを必要とする経費といたしまして、百十八億四千三百余万円でありまして、合計二百二十五億九千三百余万円となつているのでありますが、これに対します歳入予算は、資金運用部に預け入れる郵便貯金資金利子収入といたしまして、百九十四億四百余万円、雑収入といたしまして、三千六百余万円でありまして、合計百九十四億四千余万円となつているのでありまして、歳出に対し歳入不足額は、三十一億五千百余万円となつております。この歳入不足額は、一般会計からの繰入金によつて補うことといたしている次第でございます。  次に、簡易生命保険及び郵便年金特別会計予算について申し上げます。  この会計の歳入予算は保険料、掛金及び利子収入等といたしまして、六百七十七億二千余万円を予定いたしておりまして、これに対します歳出予算は、保険金、還付金、分配金及び郵政事業特別会計への繰入金等合せまして二百七十五億三千五百余万円となつておりますので、歳入超過額が四百一億八千四百余万円となつております。この超過額は余裕金として資金運用部に預託することとなつている次第であります。  次に、郵政省所管一般会計予算について申し上げます。まず、郵政省基幹職員に必要な経費といたしまして三百人十余万円、電信電話公社及び国際電信電話株式会社並びに有線電気通信の監督業務に必要とする経費といたしまして、二千九百余万円、郵便貯金業務歳入不足補填に必要な経費といたしまして、三十一億五千百余万円、電波行政関係に必要な経費といたしまして、十三億一千三百余万円でありまして、合計四十四億九千七百余万円を計上しているのであります。  なお、電波関係昭和二十八年度歳出予算総額十三億一千三百万円を前年度の予算額十二億一千百万円に比較いたしますと、一億二百万円の増となつております。その増減のおもな内訳といたしましては、増額の部としまして、給与ベース改訂に伴う人件費関係で約一億四百万円、電波監督及び研究施設維持費及び各種事業用庁費で約四千五百万円、海外放送交付金で千八百万円、その他で約三千七百万円であります。減額の部では、国際電気通信条約に基く無線局の割当周波数変更に伴う損失補償金で約一億百万円、その他で約百万円であります。  郵政省関係につきましてはこれで説明を終りまして、次に昭和二十八年度日本電信電話公社の予算について申し上げます。同公社の予算収入、支出ともに一千八百二十四億七千一百万円弱でありまして、これを前年度と比較しますと三百三十億六千五百余万円の増加なつております。この金額の勘定別内訳を申し上げますと、損益勘定におきまして八百九十五億六千一百万円弱、建設勘定におきまして四百六十一億一千一百万円弱、資本勘定におきまして四百三十八億五千二百万円弱、貯蔵品割掛勘定におきまして十五億七千四百余万円、工作勘定におきまして十三億七千三百万円となつております。母上の金額のうち、勘定間の振りかえによつて重複する金額六百八十一億六千万円弱を控除した収入支出予算純計額はいずれも一千一百四十三億一千一百余万円でありまして、これを前年度と比較しますと一百六十五億七千三百万円弱の増加なつております。  次に損益建設の両勘定収入、支出の内訳について申し上げますと、損益勘定においては収入は、電信収入が料金改訂によを増収分九億五百余万円を含めまして九十二億三千一百余万円、電話収入が料金改訂による増収分七十一億六千六百余万円を含めまして七百七十二億二千四百万円弱、受託工事収入といたしまして七億七千八百余万円、雑収入といたしまして二十三億二千八百万円弱、計八百九十五億六千一百万円弱となつており、支出は、電信電話運用費が、郵政省への委託業務費一百十四億三千五百余万円を含めまして三百十七億七千一百万円弱、電信電話保守費が、電話開通工事費九億八千万円弱を含めまして二百十一億一千三百万円弱、減価償却費が一百九十一億二千四百万円、管理共通費その他といたしまして一百五十二億八千二百万円、合計八百七十二億九千万円弱となつており、収支差額二十二億七千一百余万円は建設改良及び債務償還に充てるため資本勘定へ繰入れることになつております。次に建設勘定において建設改良のための財源は資本勘定からの受入金といたしまして四百三十八億一千七百万円弱でありまして、この金額の内訳を申し上げますと、資金運用部特別会計からの借入金が四十億円、電信電話債券の発行による収入が一百四十八億円、電話設備負担金等の改入が三十六億五千一百余万円、損益勘定からの繰入金が、減価償却費一百九十一億二千四百万円を含めまして二百十三億六千六百万円弱でありまして、このぽかに、国際電信電話株式会社へ出資した財産引当の株式売却による収入二十億円と、前年度から持ち越された資産の充当額二億九千四百余万円とを合せて、合計四百六十一億一千一百万円弱が建設改良のための資金であります。次に支出は、給与及び事務費が五十二億二千一百万円弱、建設改良工事費が四百八億九千余万円、合計四百六十一億一千一百万円弱となつております。なお建設改良工事につきましては、ただいま申し上げました四百六十一億余円をもちまして、加入者開通十四万加入、市外電話回線は東京、大阪間、東京、名古屋間及び名古屋、大阪間の準即時用の回線を含めまして、十八万キロメートル、分局開始九局、方式変更十八局を主要工程とする拡張改良工事計画しております。  以上で郵政省所管の各会計の昭和二十八年度予算及び業務内容の概略を御説明申し上げたのでありますが、なお御質疑によりましてお答え申し上げたいと存じます。
  15. 尾崎末吉

    尾崎(末)主査 これにて当分科所管予算各案についての各省別説明は全部終了いたしました。午前中の議事はこの程度にとどめまして、午後は二時から開会し、各省別に質疑に入ることとし、一応経済審議庁農林省及び通産省所管について質疑を行うことといたします。なお質疑はあらかじめ御通告くださるようお願いいたします。  これにて休憩いたします。     午後一時十九分休憩      ————◇—————     午後二時二十五分開議
  16. 尾崎末吉

    尾崎(末)主査 休憩前に引続き会議を開きます。  ただいまより一般会計及び特別会計予算中、通商産業省所管についての質疑に入ります。発言の通告順にこれを許します。森幸太郎君。
  17. 森幸太郎

    ○森(幸)委員 簡単に一つ、二つお尋ねしたいと思います。先ほどの説明のうちにおきましても、第一に貿易振興対策を立てておられるようでありまして、海外見本市参加補助四千万円、海外市場調査会補助三千万円、海外広報宣伝費一千五百万円を計上したということを掲げておられますが、その内容について一応承りたいのであります。
  18. 中野哲夫

    ○中野政府委員 海外見本市参加補助四千万円は前年度と同額でございまして、カナダ、アメリカ、南アメリカ、東南アジア、フイリツピン等を含めまして、二十八年度においては七、八箇所において、日本国の主催あるいは他の国との共同主催ということで、日本商品の展示をいたすつもりでございます。この補助金は、日本海外市場調査会、ジエトロといわれておりますが、この団体及び各府県、それから日本商工会議所等が集まりまして、海外見本市の協議会をつくつておりますので、その都度所要額を査定いたしまして、そこに合計四千万円まで補助いたすつもりでおります。
  19. 森幸太郎

    ○森(幸)委員 これは年々やつて来られたのでありますか、何年ごろからおやりになつたのですか。
  20. 中野哲夫

    ○中野政府委員 たしか三年か四年……。少くとも三年は継続してやつております。
  21. 森幸太郎

    ○森(幸)委員 あまりにその金額が少いと思う。次の海外貿易斡旋所補助、重機械技術相談室設置補助東南アジア技術協力団体補助の金額が現われておりまして、「米国日本商品の展示及び貿易あつせんを行う常設機関を設置し、ドル輸出促進をはからんとするものであり」こう書いてありますが、アメリカみたいな広いところに何箇所くらい置かれるのか。このくらいのしみつたれた金でできるのでしようかこれはやるなら思い切つてやらなければなりませんし、このくらいな金で、いかにも通産省としては盛んに輸出の増進を考慮しているように一応は見えます。これは外務省関係もあり、あなたのところだけじやないと思いますが、私は外務省の領事館に行きましたけれども、何をしておるかというと、向うに行つておる人は、日本の新聞を読むのが仕事です。商売上の何らの連絡もとれてない。そうして富士山と人力と芸者というような絵が出ておるパンフレツトを配つておる。日本の新興産業の品物でアメリカを凌駕するようないろいろのものができておりましても、向うの方に適当するやら適当しないやらなかなかわからない。宣伝がおろそかなために一向真価が現われて来ない。この間も総括質問でも申しましたが、アメリカで絹糸というと支那の生産と見ておる。日本の生産とは見ておらぬ。広東から昔は縄子が行きましたから、これは支那のものだという考えがある。わずか二千万円くらいの宣伝費をお出しになつて海外に絹織物、絹糸の宣伝をおやりになろうということをお考えになつているようでありますが、この金額とは別ですけれども、二千万円のはした金で絹糸や絹織物の需要を増進するような宣伝ができるでしようか。小間物店みたいにいろいろなものを並べて通産省は十分にやつているように見えるけれども、私はその効果を疑う。今名前を忘れましたけれども、南の方のある市へ行きましたら、各国ののぼりが立つて——まだ日本は独立国として認められておりませんでしたから、日本の国旗は出ておらなかつたけれども、各国の品物の見本が並べてありまして、日本から九州の博多人形や、ちよつとした織物ひのき細工というようなものが二、三並べてありました。いかにも日本は商売が下手だ。日本にはどんどん工芸品も書ている。工業製品もあるのであるから、もつとこちらへ出しなさつたらどうかということを向うの人が注意しておりましたが、通産省としては、この海外貿易斡旋所とか、常設機関を設置すると大きく出ておられますが、どんなつもりでこんなことをお考えになつておられるか。
  22. 中野哲夫

    ○中野政府委員 ただいま御指摘の点は、御趣旨まことにごもつともでございますが、ただいまの見本市の補助域外に、ニユーヨークにトレードセンターを常設に設けます点や、東南アジアあるいは南米等に重工業機械の相談室を設けますのは、実は本年度から初めて認められた予算でございます。金額が少いとい御指摘の点ごもつともでございますが、ニユーヨークにおきましては、商品を絶えず新しいものを陳列し、日本の商売にも明るい適当な人を常時置いていたしますならばアメリカについては、これまでのようは年に二週間とかいうような展覧会を開くよりも相当効果が上るのではないか。またプラント輸出に関連いたしまして、これまた三千万円ですか補助金を出すのですが、実額はその倍あるいは倍ちよつとの民間の醵出金も加えて費途に充てまして、やはり常設の宣伝室を置き、ここに機械等を並べ、あるいはエンジニアなどを置きましていろいろ現地の相談にあずかるというので、これまた本年度から新たに創設せられましたもので、この声価がだんだん上りますれば、それぞれ特長のある施設でございますので、明年度以降さらに予算増額をお願いいたしたいと思います。なお海外の博覧会につきましては、それ以外にいろいろな国際博覧会があつて、これに加入しないかということを、そのときどきに外務省を通じて勧誘して参ります。これらについては、政府の補助の金額が足りないので十分補助できないのですが、そういう場合には、商社にあつせんいたしまして適宜出品するよう勧誘に努力いたしております。また今回貿易商社の強化のためにいろいろ税制の改革もいたし、また海外支店の設置について特別償却を認めるというような制度もしきましたので、今後各個の商社が海外に進出するという道も非常に広く相なると思いますので、かたがた本年度は不満足ながらかような予算でいたしまして、より完璧なものは明年度以降お願いしたい、かように考えております。
  23. 森幸太郎

    ○森(幸)委員 日本の宣伝が、古美術品の展覧会やら羅生門では残念でありますから、アメリカに対してドルと差引のできるような輸出はとても望めませんけれども、アメリカはちよつとかわつた国ですから、日本の小さい工芸品でも、数が集まれば相当な金額になるわけですから、どうかひとつ本気になつて、予算が足らなければ要求して、生きた仕事のできるようにやつていただきたいと思う。たまたまあつちへ行きましたが、いかにも肩身狭く感ぜられ、貧弱だと思いますから、そういうつもりでどうかやつていただきたいと思う。  次にお尋ねいたしたいことは「発明実施化試験補助」とありますが、これは中小企業対策として考えられておるのでありますが、あまり金額が少いのではないかと思う。昨年は三千万円ぐらいの予算でありましたが、発明するというような人は、ほとんで資力のない人なんです。その発明が専売登録なり意匠登録なりを受けるまでには、ほとんど自分の財産を蕩尽してしまうほど研究に没頭する。よクよクできてパテントをとつた時分には、そのパテントを人に売らなければだめだ、自分でやりたくてもやれない、こういうのが往々あるのであります。現に私の方でも人造真珠のあの光をつけるのに、液の中につけて上げると、液が下にたまるために、ほんとうの正しいたまにならない。ところが、ある装置によつて液を吹きつけますと、上下なしにまことにきれいにできる。そういうようなことを発見して、南方諸国の方に人造真珠として非常に輸出ができ、あちらからもこちらからも、パテントを譲れとやかましく言われるけれども、せつかくここまで家産を蕩尽して無一物になるまで気張つてようやく発見したものを、わずかの金で企業家に買収されてしまうことは残念だ。何とかして自分が経営をやつてみたいという気持で通産省の方にもたしか申請したと思います。わずか百万円そこそこの金だつたと思いますが、そういう例は全国にたくさんある。そういうものを援助してやつてこそ日本の輸出工業というものは生きて来るのではないかと私は思うのです。わずか三千万円の予算で——いまさらどうするわけにも行かぬかもしれませんが、この点に対して通産省はどういうふうにお考えになつておられるか、一応御方針を承つておきたい。
  24. 長村貞一

    ○長村政府委員 発明の実施につきましては、まことにただいま御指摘の通りと考えております。予算上の問題といたしては、本年度と同額くらい来年度も計上いたし、特に貸付金二千万円につきましては昭和二十七年から始めておりまして、来年もこれを引続いて推進して参りたいと思います。発明の実施の点から申しますと。今お話のありましたように、大企業と申しますか、大規模なところで研究されますものは比較的実施されやすいが、遺憾ながら中小の発明家あるいは企業家の発明したものは、金融措置その他から実施が困難であります。いわば宝の持ちぐされと申しますか、私どもははなはだ遺憾に存じているわけであります。私どもといたしましては、いわゆる発明につきまして権利を設定することが根本的でありますが、それ以上に、これを企業化して発明を生かすというところに重点を置かなければならぬと存じているのであります。はなはだ微力ではございますが、できるだけの努力をするわけでありまして、今の貸付金あるいは奨励金の額も、発明家の要望にこたえるだけの十分な額とも存じませんが、来年以降さらにいろいろ努力をいたしまして、でき得る限りこの面に力を入れて参りたい、かように存じております。
  25. 森幸太郎

    ○森(幸)委員 最後に一つ通産省に伺つておきたい問題があります。  工業の発達に伴いまして——工業といつても広汎なわけでありますが、その結果、動植物に対して被害を生じて来る。あるいは煤煙なり、あるいは廃液、あるいは廃水等の結果、水産あるいは林野等に悪影響を及ぼしたことが、過去において幾らもあつたわけであります。近代科学が発達すればするほど、河川沿岸というものは荒廃に帰して行くのであります。この問題は議会におきまして、水産委員会等においても、かつて問題になつたことは、御承知の通りでありますが、今科学も相当進んで参りました。たとえばパルプならパルプを生産する。その生産したあとの廃液を流す場合に、その廃液から、ある程度価値のある液を回収して流すということも、今日ではできるようになつております。またその廃液によつては、いろいろなほかの副産物も生産し得るようなところまで進んでおるようでありますが、どうも今日までの惰性として、そういう工業はどんどんと毒煙を吐き、あるいは亜硫酸ガスを含んでおるようなものを吐いておる。また川あるいは海に流しておる。ここで漁業者と非常な問題を起して奉ります。たまたま良心的な会社があつて、これは済まないというので、それを自主的に解決しておる場合もあります。けれども企業体でありますから、採算が合わなければ、そのままどんどんと流しておる。それで、あちらでもこちらでも、地方の農民あるいは漁業者と問題が起つておることは、御承知だと思うのでありますが、これは何とかいい対策を農林省、通産省、政府という立場から考慮されて、適当な方策を立てられたらどうかと私は思う。そういうことをやらなければ、またへんな中間者が出て来て、そうして会社をいじめてやるからお前ら判を押せというようなことで、愚民を惑わして、サインをとつて、会社へ行く。そうして会社から口どめ料をもらつて、自分のふところを肥やしておるという悪質なやつも出ておるそうでありますが、年々沿岸を侵されまして、そうして魚族の繁殖を阻害していることはおびただしい。これは私も過去に非常に苦い経験を持つておるのであります。私は滋賀県でありますが、あのきれいな湖のそばに、人絹工場が二つ、三つできまして、その工場の廃液が非常に悪いために、ほとんど魚族の繁殖を阻止してしまつた。それがために、業者といたしまして、何とか処置をとれというのでやかましく言いますと、会社はしかたがないから浄化装置をやるのであります。浄化装置をやつて、中和してこれを流せば問題はないのでありますが、ずいぶん昔のことでありますが、浄化装置に相当経費がかかる。たまたま監視の目がないと、夜の間に、浄化せずにその廃液を湖水に流してしまう。それで魚がみなん死んでしまうといつて、相当問題を起したことがあるのであります。これはひとり私の方だけではありません。全国にこういう問題があります。こういう問題は、企業体として無理からぬとは思いますけれども、良心的にやれば、これは問題を起さないように除外設備ができると私は思うのであります。通産省といたしましても、おそらくこの問題について、業者からいろいろな問題を持ち込まれて御心配になつておることと思いますが、工場廃液浄化に対して、通産省として何か御方針をお持ちになつておらないか、とれをひとつ承りたいと思います。
  26. 石原武夫

    ○石原(武)政府委員 便宜私からお答えをさせていただきます。ただいまお話のございました、近代工業が進みますと、これに関連いたしまして、ある程度の害毒を一般に流すということは、往々あることでございまして、一面工業の発達は望ましいといたしましても、関係のない第三者に相当の損害を与えるということは、厳に予防になりその他の措置をとるべきであると思います。御承知のように、鉱山につきましては、鉱山保安法の制定によりまして、すでに鉱害の発生の予防措置を考えておりますし、また鉱害が起りました場合は、石炭等につきましては特別鉱害復旧臨時措置法というようなことで、すでに起きました鉱害の復旧について、法律をもつてそれぞれ適当な措置をきめておるわけであります。ただいまお話のございました、水質が汚濁するというような問題も、これは化学工業に関連いたしまして、相当広汎に問題が生ずるのでございまして、通産省といたしましては——これは何も通産省に限りませんが、いろいろ関係各省と十分打合せをいたしまして、できるだけさような害毒が流れぬように措置する。次にもしさようなことが起きました場合の補償等の問題を、できるだけ円滑に措置するように、今後とも十分関係各省と打合せを進めて行きたいと思います。現に、これは性質は異なりますが、電源開発等におきます損失につきましては、政府部内で損失基準というものをつくりまして、あるいは農地がつぶれる、住宅がつぶれるというような場合は、政府部内において研究しておりますので、同じような趣旨で十分関係の方面と打合せをいたしまして、しかるべき措置を講じて参りたいと考えております。
  27. 森幸太郎

    ○森(幸)委員 いろいろお考えくださることを承つたわけですが、お考えになつておられるだけじや何にもならちので、工場設置を許可される場合において、どういう薬品を使うか、どういう廃液になるか、その廃液はどういう性質のものであるか、その廃液が害毒であれば、どういうふうに除去するかということを、一応申請の上で確かめて、その上で認めてやる。どうしてもできなければ、これはいかなる近代科学をもつてしても廃液を無害にすることができないというならば、地方民はこれだけの廃液を流される、これは当然害があるから、これだけの補償をしてやれというようなことまで考えて、設立認可と申しますか、やつていただきたいと思うのであります。今お話の中に電源開発の問題、ダムのお話がありました。これもあなたの方の関係かどうか知りませんが、建設省の話を聞きましても、ダムをつくるつくると言うていますが、日本ではダムをつくりましても、河川に魚梯というものがない。アメリカから日本のダムを視察に参りまして、日本の魚梯は形ばかりで、これは魚梯じやない、こんな魚梯なつくらぬ方が発電力を増すだけいい、こういうだらしのない、形式的な魚梯はつくらぬ方がいいということを、向うの人が批判したと聞いております。TVAの大きな発電ダムができましたが、りつぱな魚梯があります。どんな高いダムでありましても、魚が自由に上り得られる、そうして発電力を阻害しないような施設がつくつてある。ところが日本は川が狭いし、小さいのでありますけれども、ダムをつくつて、魚は上るような形だけはつくつてありますが、水か少いと、ダムで押えてしまつて、魚は上れない。だから地方で河川の漁業者と発電会社のダムの当事者の間に問題が起つて来る。これはどうも資本家には負けなければ仕方がないというように、漁業者や農民があきらめてしまえば、これは問題ないです。けれども、でき得るものをさせない。それでありますから、今後各河川に相当ダムができようと思いますが、そういうダムに対しては、これは建設省の仕事かあなたの方の仕事かわかりませんけれども、ほんとうに魚が上り得ることを条件として魚梯の設定を認める。また工場設置につきましても、どういう使用薬品であり、どういう廃液が出る、その廃液の性質がどういうものであるということを、慎重に内容を調査して行く。もちろん会社の内容ですから、秘密に属して、どういう薬品を使うということを発表しない場合があるかもしれませんけれども、これこれの薬を使うということは、今日の製薬の方からいつても、まず内容を説明しなければならぬのですから、こういう薬品を使うのだということを明らかにするのが当然でありまして、そういう廃液が悪い場合においては、これを除害するということを、通産省といたしましては申請者に指示されまして、指導されるように私は特にお願いする次第であります。
  28. 石原武夫

    ○石原(武)政府委員 お答え申し上げます。今お話がございました第一の問題の、工場の新設の場合につきましては、現在は工場の新設が許可制度になつておりませんので、ただいまお話のような措置をすることは法律上困難でありますが、大きな化学工場等につきましては、新しく工場ができます場合には、通産省としてもある程度事前にわかることが多いのでございますから、できるだけ御趣旨に沿いますように行政的な措置で運用して参りたい。  それから第二番目のダムの建設に伴います魚道につきましては、従来から魚道はつくることになつておりましたが、御指摘のように、その魚道が十分効果を発揮しておりませんので、従つて魚がなかなかさかの豊ないというような事態があるのだろうと思いますが、これは何も魚道に限らず最近相当大規模な電源開発をいたします際に、水利権の問題その他について、補償問題が非常に問題になつておりまして、これを円満に解決いたしませんと、今後の電源開発はなかなかうまく実施できないというふうに考えております。先ほど申しましたように補償等の問題につきましても研究をいたしておりますが、ただいま御指摘の魚道等につきましても、今後の電源開発につきましては、十分関係各省が打合せをいたしまして、たとえば建設省でございますとか、農林省、電力につきましては通産省といつた関係各省で十分打合せをいたしまして、今後の電源開発の方式なり、あるいはさような損失補償の問題、あるいは魚道等の適当な措置の問題を打合せの上でやつて、円滑に電源開発促進して参りたいと思いますので、それらの関係各省の連絡におきまして、十分御指摘のような点は今後注意をして参るつもりでございます。
  29. 野澤清人

    野澤委員 二、三通産省関係について御質問を申し上げたいと思うのですが、その第一は、先ほどもちよと質問がありましたけれども、技術振興対策費の問題であります。この工業化試験の補助でありますとか、あるいは工作機械試作補助とか、さらにまた発明実施化試験補助というようなものは、政府の方としてはどういう方策でもつてこれを実施されているのか。従来の行き方を見ますと、わずかな予算の中で大企業に対するこうした補助対策は行われますが、中小企業の上におつて、しかも大企業との中間にあるような企業に対する補助が非常に少いと思うのです。特にもの自体が小さかつたり、あるいは量が少かつたりするようなものに関しては、通産省としては非常に粗雑な調査をするように感ぜられるのですが、これらの点に関して、どういう方針でこの振興対策を行つておられるか、伺いたいと思うのであります。
  30. 駒形作次

    ○駒形政府委員 ただいまの問題に対しましてお答えいたします。通産省の鉱工業の技術試験研究補助補助金は現在のところ二口になつておりまして、一つは私どもは技術研究補助金と申しております。もう一つの方は工業化試験研究補助金といつております。前者の方は、二十八年度の予算は大体二億円、後者の方は三億円というふうになつておるのでございます。この助成の対象といたしまして、新しい技術、新しい製品が出て来ること、そうして企業の合理化に大いに貢献する創意が出て来ることを私どもは期待をいたしておるのであります。先ほど大企業と中小企業との間におきまして、そこに差別があるのではないかというふうな御質問でございましたが、私どもは技術という面から考えまして、大企業でも、中小企業でも、いずれも同じようなぐあいに考えてこれを取扱つておる次第でございます。二十七年度のこの関係の金は、技術研究補助金の方は二億円、工業化の方が二億五千万円、合計四億五千万円でございまして、技術研究補助金の方は、交付いたしました件数は二百三十八件でございます。工業化の方は三十件でございます。この内容を見ていただきますとわかりますが、中小企業もやはりこの中に含まれておる次第であります。二十八年度におきましては大体二十七年度からのやり方をそのまま踏襲して参りたいと考えております。
  31. 野澤清人

    野澤委員 大体今の御説明で了承はしたのでありますが、ただ二十八年度も前年度を踏襲するという御方針だそうですが、従来の行き方を実際に即して判断しますと、形の上に現われておるものとか、技術的にある程度までそれがはつきりしておるものに対しては、通産省はきわめて熱心であります。しかし、たとえば鉄鋼業に対するマンガンの分析をする。その分析には蒼鉛酸ソーダを使わなければならぬ。その蒼鉛酸ソーダは九〇%以上なければ絶対に分析ができないのだ、こういうデータを出して、それの電気炉なら電気炉を試作してみたいが、金がなくてできない。それで申請しますと、そのやり方を全部説明するのにかなりの日数を要します。結果、大した費用でないのだからというので切り捨てられる。これでは国家が技術を振興するというようなりつぱな対策を講じておつても、現実的には時代逆行になるのではないか。しかもそれらの費目が補助されておりますところを見ますと、厖大な資本を持つて、しかも運営資金も十分あるというようなところに、五百万とか三百万あるいは一千万というような補助が行く。これでは実際この化学工業方面における技術の振興は困難だと思うのであります。こういう零細な、しかも重要なポイントの企業にあつても、できるだけ政府の方々はこれをしさいに調査して、その重要度にかんがみて、金額が少いから打切つた、こういうふうなことでなしに助成していただけるならば、たいへんけつこうだと思うのであります。お答えを願わなくてもけつこうでありますから、希望を申し述べておきます。  それから第二には、中小企業振興対策としての補助金の使い方でありますが、これはどういうふうにお使いになるのですか、その点をお聞きしたいと思います。
  32. 岡田秀男

    ○岡田(秀)政府委員 これは昭和二十三年以来補助金制度を起しまして、年によつて多少の増減はございましたが、二十六年度並びに二十七年度は、ともに二億円の予算上を計上いたしております。これは各府県におきまして、自分の管内におきまする協同組合から共同施設補助金の申請が出て来るのであります。県におきましてその出て参りました申請書を審査いたしまして、これならまず相当内容も充実しておりまするし、りつばにやつて行ける、また組合員のために役に立つ施設であるということの認定がつきますと、それが各地方の通産省の出先でございまする通商産業局に集まるのでありまして、そこで管内の各府目から出て参りましたいろいろの計画を比較検討いたしまして、それがさらに中小企業庁に集まつて来る。それを私どもの方といたしましては全国的な点でにらみまして、予算総額との兼ね合いから、大体一つの共同施設に対しまして三分の一程度の補助金ということを見当といたしまして、補助金の割振りをいたしておるのであります。
  33. 野澤清人

    野澤委員 さらに中小企業対策の一環としてお尋ねしたいことは、各府県で企業診断を実施しているようであります。これに対しては通産省の方としてはどういう御指導または監督をされていますか、その点お伺いしたいと思います。
  34. 岡田秀男

    ○岡田(秀)政府委員 企業診断は昭和二十三年から始めておりまして、現在工業におきましては約八千件これは昨年の暮れくらいまでの統計でございますが、商業関係で約三万件の診断をいたしておるのであります。これは各府県を診断の実際の実施機関にいたしまして、中小企業庁といたしましては業種別に診断をやりますところの根本方針と申しますか、診断にあたつて特に重点を置いて調べてもらわねばならない点、要するに各業種別の診断の基本方針をまとめ上げましたものを地方に流すのでございます。そうしてその根本方針に従いまして各府県が適切なる診断員を委嘱いたしまして、診断の実施に当る。かようなことに相なつておるのでございます。その診断と申しますのは、やはり各企業の持つております、あるいは協同組合が持つておりますところの秩父等の山地でありますとか、あるいはトヨタ自動車と下請の関連におきまする企業系列とか、そういうものを対象として診断をいたしておるのでありますが、その診断対象の持つておりますところの弱点と申しますか、欠陥を指摘いたしまして、それを直すのにはいかような方法をとるべきであるかということを勧告いたすのでございます。従来この勧告をいたすところまででとかく手が切れまして、その後ちようど保健所が病人の診断をして療養方法を示しまして、そして自宅療法をいたしております間に、巡回看護婦のごときものがまわつて、なおその後の相談に当るという制度があるのに対して私どもは勧告しつぱなしであつたのであります。今度の予算におきましては、軽少ではございますが約千八百万円程度の予算を各府県に割振りまして、巡回指導員のごときものをつくつていただきますれば、その半額を補助するということにいたしまして、診断後におきますところの爾後の相談、爾後の指導ということを今後強化して参りたい、かように考えておるのでありまして、診断の効果は今後一層上るものじやないかと考えておる次第であります。
  35. 野澤清人

    野澤委員 その内容等については私もよく承知しておるつもりでありますが、ただ工場診断あるいは企業診断等を合理化促進の線から各業者が申請した場合に、中小企業庁でお聞きしますと無料でやるのだ、こういうお話を承つて為りますが、簡単な診断でありますと今までの実例を見たのでは出費はほとんどないのであります。ところが長期診断を依頼いたしますと、たとえば東京都から来ました場合でも、二日か三日来られて、あとは感情を害したから行かぬ。理由を聞いてみますと、接待が悪い、飯を出さぬじやないか、同時にまた忙しいのに車も出してもらえない、そういうようなことを申された業者がありまして、その結果いろいろと都庁の方にお聞きしましたところが、費用がないので長期診断に対しては自弁してもらわなければとうていできない。それでは自弁してもさしつかえないから、一応長期診断でこの企業の流れ作業に対する欠陥を指摘してもらいたい、こういうことを申し上げたところが、半年間で約七万円の予算を要求されたわけです。これは確実に私の手元に来ておりますからこの人名もはつきりわかりますが、計算する上におて学生のアルバイトを何名使いたいとか、あるいは食代夕を何ぼ出してもらいたい、こういうふうな要求をされて、大会社ならば半年七万円くらいはわずかなものでありますから何でもありませんが、少くとも合理化しよう、企業を伸ばし行こうというような業格としては、実に気の毒なことだと思うのであります。本省の方へ行きますと無料だと言うが、依頼すると実際にそういう事態が生じて来る。これはその都道府県の責任でそういう結果になるのか、実際に予算措置がないためにそうせざるを得ないのか、そういう点についてはつきりした御所見を伺いたいと思うのであります。
  36. 岡田秀男

    ○岡田(秀)政府委員 私どもの方といたしましては、中企業の中にもそれはいろいろと負担能力の差はござましようが、原則として中小企業の方々は負担能力が少いか、ないしは非常に低い、こういう覧点に立ちまして、診断等は無料でやるという建前から、あまり大きな声は出せぬのでありますが、地方庁にもごくささいな補助金を実は出しておるのでございます。たとえば本年度、二十七年度の例をとつて見ますと、相談所と申しまして商工会議所等にありますあの相談所でございますが、これの補助金で一年間一千万円でございます。その他に府県庁に対しまして、今の診断の関係でございますとか組合の指導でございますとかということで、千六百万円の補助金があつた。一県平均三十三、四万円の補助金でございます。これではいかぬというので、来年度の予算におきましては若干奮闘いたしまして、これを一県平均百万円程度まで上げまして、これを四千六百万円に予算として組んである次第でございます。まことに情ないのでありますが、逐次これを増額いたしまして、御指摘になりましたようなことのないように持つて行こうという熱意だけはひとつおくみとりを願いたいのであります。
  37. 野澤清人

    野澤委員 非常に適切な御回答を得て喜んでおりますが、願わくは、中小企業前後にあります企業に対しては、そういう特別の出費の強要のないように、もしそういう費用のいるときには大会社からとつて、中小企業をひとつ育成していただきたいと思います。これを御希望申し上げておきます。  もう一つ、これは鉱山関係でありますが、多分通産省の関係だと思いますけれども、炭坑内に働いております労働者が珪肺病にかかつた場合のことは、どういうふうな処置がされておるか、この点を伺いたいと思います。
  38. 吉岡千代三

    ○吉岡政府委員 鉱山におきまする珪肺の問題は、かねがね労働委員会等におきましても永年の懸案でございまして、特に一般的に申しますると、金属鉱山におきまして、全体の患者数の九割以上が発生しておるわけでございます。それでこの点につきましては、昨年の九月に鉱山保安法に基きまする金属鉱山等保安規則に改正を加えまして、金属鉱山におきましては、掘進のための鑿岩機を全部湿式化いたし、水を加えることによりまして、大体粉塵の九〇%以上吸収できるという措置をとつたわけであります。それからただいまお尋ねの炭鉱につきましては、現在私どもの方で調査いたしました患者数は約二百名であります。なお労働省で巡回検診の結果つかんでおります患者数は、これは珪肺の第一度と申しますか、配置転換等によつても処置できるものを含めまして、約七百名の患者を現在つかんでおるわけであります。この方は鉱山の岩石の質によりまして非常に片寄つて発生しておるわけでありまして、たとえば三池のあるピツトにおきまして数十名の患者が発生しておるというように非常に片寄つた形になつておりますので、そういう岩石に珪酸分を多く含んでおるところ、現在遊離珪酸分四〇%のところを対象にしておりますが、そういう鉱山につきましてはこれを珪酸質区域というように指定いたしまして、その炭鉱においては、やはり金属鉱山と同様特に鑿岩機の湿式化をさせるという措置をとつております。それでこの珪酸分の割合と同時に具体的に患者の発生状況を調べまして、これは御承知のようにほかの金属鉱山から参りまして前歴の方に原因があつて、たまたま炭鉱において患者が出ておるという事例もありますので、それらの点を調査いたしまして、必要なところには珪酸質区域の指定をやつております。現在までのところ、七、八箇所の鉱山数かと思います。具体的に申しますと、三池の四山坑、潜竜の第一坑、杵島炭坑、崎戸炭坑、いずれも九州でございます。これはすでに指定をいたしました。現在指定手続中の炭鉱が八箇所ございます。これで全体の患者数の九〇%以上のものが含まれることになります。こういう措置をとつておりますので、今後はこの問題も解決されると考えております。
  39. 野澤清人

    野澤委員 珪肺病に対する労働者の対策としては、労働省の関係かと思うのですが、こういうものの鉱山に対する施策は、通産省でおやりになるのでありますか、それともまたそういう鉱山の選定をするのも労働省の方の管轄になるのか、その点を伺いたいと思います。
  40. 吉岡千代三

    ○吉岡政府委員 通産省といたしましては、鉱山保安法に基きまして、鉱山における労働者の被害防止という義務を負つておる。それから現実に発生いたしました患者に対する療養措置等は、労災保険法に基きまして、労働省の方で実施しております。
  41. 野澤清人

    野澤委員 大体それで責任の区分がわかりましたから質問は打切りたいと思いますが、ただ地下資源を開発するに際して、工具とかあるいは機械とかに対する考え方については、非常に至れり尽せりでありますが、そこに働く者のこうした一種の鉱山病に対する措置は、きわめて粗漏なのであります。最近は鉱山方面に働く労働者が、何とかこれを防止してほしいといつて、たとえば栃木県の日光の山下とかあるいは鬼怒川から下りましたところの鉱山あたりでは、もう克明に悲惨な状態を訴えて来ております。かかつてしまつてからの処置に関してはともかくも、かからないような対策に対して、より以上に人体を保護するという考え方から、もう少し積極的に適正な対策を講ぜられましたらどうかと思うのであります。意見を申し上げましてお願いをするわけであります。  以上をもつて私の質問は終りたいと思います。
  42. 尾崎末吉

    尾崎(末)主査 高見三郎君。
  43. 高見三郎

    高見委員 私は中小企業対策について、二、三お尋ねしたいと思います。  昨日でありましたか、改進党の北村さんから中小企業対策は即金融対策、金融対策一本だという今の行き方でいいのかというような御質問がありました。私もまつたく同感であります。工場診断をすでに三年にわたつてやつておられますが、今もつて中小企業とはどの辺を中小企業というのかという結論がはつきり出ていない。これはなかなか出にくいだろうと思います。けれどもおやりになつてからすでに三年ないし四年を経ております今日、一応はつきりした目安をお立てになつてしかるべきだという感じが非常に強くするのであります。そこでお聞きいたしたいと思いますのは、金融の問題で、これは農林金融も同じ行き方をいたしておるのでありますけれども、金融の機関は大体三つになるかと思うのでありますが、この三つの間に相互に有機的な関連がついていないのじやないかという感じがいたすのであります。たとえば商工中金の場合でありまして組合金融を中心といたします場合の組合というものは、金融を得るための組合をつくるという形に実はなつておるのであります。企業系列の観点から申しますと、これくらいくだらない組合はないと思う。そこでまず伺つておきたいことは、この三つの金融機構を通産省としてはどういうように、有機的にお使いになる具体的な御計画をお持ちになるかということを最初に伺つておきたい。
  44. 岡田秀男

    ○岡田(秀)政府委員 三つの金融機関と仰せられます、国民金融公庫と商工中金と今度できようとしております公庫との三つの関係でございますが、国民金融公庫は、これは全額国庫の出資から成り立つておりまして、使命といたしまするのは、ちよつと事業金融に成り立たないような企業貸付のほか、ごく零細向けの事業金融もいたしておるのでございますが、それは一番大きいのでも全体で二百万円を限度といたしておりまして、どつちかと申しますれば、中小企業のうちのごく小規模の部分を対象とする金融と考えてよろしいかと存じておるのでございます。商工中金と申しまするものは、中小企業等協同組合法に基きましてでき上つておりまする協同組合またはその組合員を対象として金を貸しておるのでございまして、これは貸出し金額等におきまして限度は一応ないのでございます。あまり大口貸出しばかりに偏しましては相なりませんので、主務官庁でありますところの私どもと大蔵省の方へ限度を越えました一件当り多額の貸付をいたします場合には、届出をさせておるのでございまするが、これは協同組合ないし協同組合員に対する金融を担当しております。今度私どもが計画いたしております公庫と申しますのは、国民金融公庫を除くその他の金融機関であつて、中小企業金融を行つておるもの、こう申しますると、結局普通銀行、商工中央金庫、相互銀行、信用金庫、信用組合、これらのいわゆる普通の金融機関に対しまして資金を供給する役目をするものであると考えておるのでございます。ちようど大きな建物の上にあらかじめポンプで水を入れておきまして、そのタンクからパイプを通じましていろいろな蛇口が出る。ある蛇口が商工中央金庫であり、ある蛇口が一般銀行であり、他の蛇口が信用金庫等であるというふうな構想でこの公庫をつくろうと考えておるのでございます。公庫は大体出資が一般会計から五十五億、資金運用部からの借入れが五十億、その他開発銀行からの出資にまわります予定の債務が二十三億程度、また開発銀行から借入れの形になります債券が数十億程度予定されておりまするが、その金によりまして大体金利一割見当、すえ置き期間一年以内、そうして一年以上五年の貸付期間の、いわゆる長期資金を流す。現在の中小企業におきまして最も渇望されておりまするのは、長期の安定いたしました、そして比較的低利の金が最も渇望されておりまするので、その種類の金をこのタンクヘ積みまして、それその金融機関の特色を生かしてその金融機関が担当いたしておりまする中小企業の階層へその金を流し出して行く、かような構想を持つておるのでありまして、三つの金融機関がそれぞれ張り合つて競争をいたすのではございませんで、国民金融公庫はごく零細な規模の方々の金融を専門に担当いたしまして、そしてそれ以外の中小企業向けの金融機関に対しまして商工中金も含めまして特定の資金を供給する役目をいたしますのが、今度計画いたしておりまする公庫なのでございます。
  45. 高見三郎

    高見委員 私はこれら三つの金融機構の性格については承知いたしているわけでありますが、問題はこの金融機関相互の間におきます有機的な関係を通産省御自体がお立てにならないでおりますと、実際問題といたしまして、今日は金が非常に借りにくい状態になつております。おそらく当局の考えからいうと、こういうようになつているからいいはずだ、ところがはずがはず通りに行かないのが現状なのであります。この点特に積極的にお考え願わなければならぬのではないかと思います。  次に伺いたいことは、中小企業の対策の中で一番大きな問題は、商工協同組合の育成強化の問題であろうと思うのであります。この中小の商工協同組合の育成強化に対して通産省がおとりになつております今日までの態度は、私は実は地方で経済部長をやつておりました関係ではなはだ遺憾に存じておつたのであります。これは率直に申し上げて手ぬるい感じがいたすのであります。もちろん農業協同組合などとは性格が違いますから、事業の形態もそれぞれ違いますし、なかなか協同組合を一本にまとめることは容易でないことは、万々承知して申し上げているわけであります。しかしながらそれにいたしましても、先ほど森先生からもお話がありましたが、企業の系列というものをもう少し通産省は慎重にお考えにならなければいかぬ。企業系列がばらくになつおつて協同組合組織というものはあり得ないはずだと思います。それで企業系列についての調査研究について今日までなり、また将来の御計画があれば、この際聞かせていただきたい。と申しますのは、ばらばらの中小工業が今一番大きななやみといたしております問題は、金融の問題よりは、販路をいかにして確保するかということにかかつている。たとえば工場診断まではやられますけれども、この点の指導まで行つておらないというのが実情ではないかと思います。これを積極的におやりにならない限りは、日本の中小企業というものは、合理的な計画のもとに発達して行くことができないのではないかという感じがいたしますので、あえて伺うわけであります。
  46. 岡田秀男

    ○岡田(秀)政府委員 中小企業庁におきます協同組合の補助育成のやり方が手ぬるいというおしかりでございますが、これは先ほど診断につきまして私が申し述べたのと。あるいは共通するかとも存じますが、何分とも各府県にいろいろのことをお願いしながら、そのお願いしていることにふさわしいだけの原動力でありまする補助金を差上げておりません関係から、とかくその辺に不都合が起りがちなのであります。私どもといたしましても、府県庁にいろいろやつていただきます以上、全額と行きませんまでも、ある程度お役に立つ程度の金額は差上げたいものだと念願いたしまして、今回補助金の若干の増額をお願いしたようなわけでありまして、その中には診断のことのみならず、協同組合の関係におきましても、若干の増額を見ておるような次第でございまして、これによりまして、府県庁が多少ともわれわれの意のあるところをくみとつて、みずからの分野におきましても経費の奮発をしていただきまするならば、いささかなりとも組合指の導行政は充実して参るのではなかろうかと考えておるのであります。私ども金融が中小企業対策の全部であるとは考えておらないのでありまして、中小企業が今後発展して行くべき計画を持ち、その計画を動かすために金が裏づけになるという関係でありますから、金融はどつちかと言えば、裏づけ的な効果を持つともいえると存じております。中小企業の対策としましては、協同組合の推進をいたしまするとか、合理化の推進の関係から、珍断を盛んにやるとか、あるいは国有機械の払下げに関連いたしまして、中小企業の持つておりまする機械との交換を試みるとかいろいろな工作をやつておるのでありますが、販路の開拓ということが中小企業のために非常に大切でありますることは御同感でございます。大企業と違いまして、マーケツテイングの関係におきまして、宣伝力もなければ、市場に関する情報を受け取る力も少いわけであります。そこでわれわれといたしましては、この座つきまして、及ばずながら重点を置いて働いて参つておるのでありまして、中小企業製品の展示会とか、あるいは見本市等を相当やつておるのであります。現在も大阪で中小企業の製品の展示会を開催いたしまして、いろいろと中小企業製品の宣伝に努め、その販路の拡大に少しでも役立てばという試みをいたしておるのであります。なお都道府県物産斡旋連合会等とも連繋をとりまして、今後はその方面に対しまして格段の努力をいたしたい、かように考えております。
  47. 高見三郎

    高見委員 もう一点伺つておきます。これは予算に直接関係のないことでございますが、中小企業対策の中で、実は私は何とかしなければならぬ問題ではないかと痛切に感じておる問題が二つあるのであります。その一つは、現在の労働基準法の範囲内で一本今の中小企業が成り立ち得るとお考えなのかどうか。また成り立ち得ないとするならば、労働法の変更についてどういう御見解をお持ちになつておるか。第二は、中小企業の今日一番大き何な悩みはと申しましても事業税の問題であります。事業税を何とかもう少し考えてくれなければ中小企業育成が非常に困難ではないかと思います。と申しますのは、労働基準法に示されております基準時間で今日の中小企業が現実に行われておるというようなお考えでおるならば、それはとんでもない間違いであつて、そういうことではないのであります。さればといつて、今日の労働者の地位向上の見地から申しまして、労働基準法を無視してよいという結論には達しないと思うのであります。これについてどの辺までの考えを現にお持ちになつておるかお尋ねいたします。  それからもう一点は、何としましても税金構成の中で一番やつかいなのは事業税の問題であります。しかも平衡交付金を府県がもらいます関係上、事業税に示されておるのは地方税でありますから、ある程度の減免ができるのではないかという議論がありますけれども、それは議論だけでありまして、それだけは基準財政需要額の中に含まれるわけであります。これは基本的な税制の改正を考えなければ処置がないと思います。そこで担当の中小企業庁長官として、あなたは現在どれだけの手を打とうとお考えになつており、またどれだけの努力をしておられるかということを念のために伺つてみたいと思います。
  48. 岡田秀男

    ○岡田(秀)政府委員 一番痛いところを突かれまして何でございますが、労働基準法につきまして、少くとも農林漁業に関しましては若干の例外が認められておるように思うのであります。中小企業の関係におきましても、企業者であると同時に労働者であるという建前で働いておられる部面がはなはだ多いわけでございまして、農林漁業と似たような環境が中小企業にもあるやと思うのであります。また一面、労働基準法を中小企業において必ずしもそのまま励行されておるものでないということは、私どもといたしておるのでありまして、その辺の兼ね合いを都合よく行きますように労働省と話合いいたしたい、労働基準法をある程度日本の実情に合うように直したらどうかという機運も相当出ておるようでありますから、労働省の方においても目下いろいろと研究されおるようであります。私どもといたしましては、中小企業の実情と、また農林漁業において認められておる例外というような問題を総合的に考えまして、今後労働省と打合せしたい。もし労働基準法を改正するということでございますれば、その点を十分織り込んでいただくように申し込んで行きたいと考えております。  なお税の問題に関しましては、事業税のみならず、私どもといたしましては、税一般につきましていろいろ軽減方を交渉いたしておるのであります。たとえば今度の場合におきましても、専従者の関係におきましてかなりの改善を見ておるようなわけでありまして、最近自治庁におきましても、税の体系を相当大幅に整理するような形の税制改正を計画されておるように承知いたしておりますので、そういう機会に中小企業者の税制上において受ける待遇を十分実情に合うように持つて行くように私どもとして最善の努力をいたしたい、かように考えております。
  49. 尾崎末吉

    尾崎(末)主査 通商産業省所管についての残余の質疑は一応明日まで保留することといたします。
  50. 尾崎末吉

    尾崎(末)主査 次に一般会計予算中、経済審議庁所管についての質疑に入ります。森幸太郎君。
  51. 森幸太郎

    ○森(幸)委員 経済審議庁はわずかな予算で内容もごく簡単になつておりますが、ちよつとお尋ねしたいわけであります。三項の土地調査費であります。これはどういうことをやつておられるか、今日までの実績があれば知らしていただくことと、内容をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  52. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 土地調査業務の内容についての御質問でありますが、法律が通りまして以来二十六年からこの仕事が実際業務として審議庁が取上げたわけであります。主たる業務は基準点の測量、それと並行いたしまして地籍調査並びに水の調査、この三つになつております。二十八年度の問題を同時に付加して申し上げますと、予算は一億二千五百万円ばかり。この国土調査につきまして主たる内容を申し上げますと、今の基準点測量に関しまして、主として全国の農地でありますが、今後五箇年でこの測量を完成いたしたいと思いまして、今までもやつておつたのでありますが、二十八年度からさらに拡大いたしまして推し進めて参りたい、こういうふうに考えます。  それから地籍調査に関しましては、二十七年度の補正分から補助資金が出ましたので、二十八年度といたしましてもそれに引続きまして一箇村三十八万円くらいの平均で百箇村を大体地籍調査いたしたい、こういうふうに考えます。  それから水の調査でございますが、水の調査に関しましては、二十八年度といたしましては、四つの水系、鬼怒川、太田川、常願寺川、筑後川というふうに大体現在予定いたしまして、この四つの水系に関しまして一水系大体五十万円の予定で水の調査を推し進めたい、こういうふうに考えております。さつき申し上げました地籍調査の一箇村の平均町歩は、大体六百町歩というふうに予定いたしまして、この地籍及び水の調査国土総合開発関係のあります、その一番中心をなしております特定地点を主たる対象にいたしまして、ほぼ十箇年で地籍調査並びに水の調査業務を完成いたしたいというつもりでおります。
  53. 森幸太郎

    ○森(幸)委員 これは第二項の国土総合開発に関連しての調査なのですか。調査というのはどういうことをされるのですか。どういう点によつてこの調査を進めておられるのですか。
  54. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 基準点測量の方に関しましては、御承知のように明治の土地改革のときに一応の測量をしたのでございますが、非常に不十分でございますので、この点を補正いたしまして、さらに詳しい農業土木等にすぐ役・立つような測量地図をつくりたいというので今推し進めております。  それが基本調査の主たる点でございますが、地籍調査の方に関しましては、それとの関連をもちまして、土地台帳あるいは租税台帳は実情が非常に不備なものでございますから、主としてこれを調査いたしまして、今後の農業土木等に役立つ、また科学的な根拠を持つて効率的に開発ができますように調査を進めておる次第であります。  水の調査に関しましては、法律にもございますように、水の全部と申しますか、水に関する今までの調査体系を見ますと、建設省は洪水面、あるいは電力会社であれば渇水面、農林省であれば利水面というふうにそれぞれ分散して調査してございますので、水の量あるいは質といつたようなもの、あるいは利用度というものに対して調査が不十分でございましたので、こういうものを総合いたしまして、そうして近代的な測量の配置によりまして、水の調査実態をはつきりつかみたいというふうに考えます。
  55. 森幸太郎

    ○森(幸)委員 このわずかな、このくらいの金で、十箇年くらいで全国の土地調査はできますか。土地台帳というのは明治二十三年の府県の改正のときにでき上つてから根本的な改正はやつておりません。それから農地の交換分合等いろいろ複雑多岐になつておつて、とても手がつけられるものではないと思つておりますが、それをどこか基準点を置いて調査を進めて行かれるのだと思いますが、こんなわずかの金で、十箇年くらいでできますか。私はかつて愛知県に行きましたときに、愛知県の知多半島であつたか、一筆ごとに耕地を調査して完全な地図が県の力ででき上つてあつたと思いますが、そういうふうに県がみずからやつてこれに助成して行くのが国家の大事な仕事で、日本の全土地に対しての根本的な現状調査をするつもりでやつておられるのか、どういう方針でこれを手をつけられるのか。
  56. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 先ほど申し上げましたように、地籍調査の方は現在のところといたしましては、国土総合開発計画にあります十九の特定地点、主として面積で申しますと北海道を除いた面積の大体三分の一ぐらいにあたりますが、その面積の中で主として農地関係に関連する部面を選びまして、その部分だけは大体十箇年で今の予算のつけぐあいではやつて行けるのではなかろうか、こういうぐあいに考えてあります。
  57. 森幸太郎

    ○森(幸)委員 そうすると今日までどこができ上つております。
  58. 小船清

    ○小船説明員 御説明申し上げます。昭和二十六年以来標本調査町村を指定せられまして、国費で指導をかねて行われましたものが昭和二十六年度十五箇町村が、昭和二十七年度十三箇町村でございまして、現実に国土調査を相当部分実施しておりましたのは二十八箇町村でございます。ただ昭和二十七年度の補正予算におきまして補助金が一千四百万円計上せられましたために、これによりまして今年に入りまして約六十箇町村が着手せられた次第でございます。従いまして当初着手いたしました町村におきましては、おおむねその作業を終つておりますが、面積の測定でありますとか、地籍簿の作でありますとか、関連する事業が相当ございますので、国土調査法に規定しております法律上の正式に完了いたしたものはございませんけれども、おおむね作業を完了いたしたものはそのうち数箇村ございまして、その他の町村におきましてはおおむね今年中に完了する見込みになつております。
  59. 森幸太郎

    ○森(幸)委員 よろしゆうございます。
  60. 尾崎末吉

    尾崎(末)主査 淺利三朗君。
  61. 淺利三朗

    淺利委員 私は特に総合開発関係においてお尋ねしてみたいと思います。一般質問の際にもすでに松浦周太郎君から質問があつたようでありますが、国土総合開発法の実施については経済審議庁がその中心となるのでありますが、今日までの行き方を見ますると、これ蓬々としてなかなか進まない。ことに特定地域のごときはすでに全国に十九箇所も指定してあります。そのほかに八箇所の調査地域、またその上に調査地域を追加する、こういうことでありますると、この仕事というものはなかなか大きい仕事でまとまりが容易につかぬと思うのであります。日本の限られたる財政のもとにおいて、それもこれもということはよほどむずかしい。そこで先般松浦君からも質問されたように、国家全体の総合的見地から見て、どこに重点を置き、どういう方法でこの順序をつけて緩急軽重をはかつて行くかということについて何か根本的のお考えが立つておるかどうか。今日までの計画の過程において、どこに重点を置いて、どういう方向で行くというお見通しで進んでおられるか、その点をひとつお聞きしておきたいと思います。
  62. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 お答えいたします。ただいま御指摘のありましたように、十九の、特に特定地帯に関しまして、お話申し上げたいのでありますが、十九の特定地帯の中で、ただいままで正式に法にのつとりまして、閣議決定をして工事をしましたという地点は、御承知のように北上地区のみでございまして、その他五つの地点が県からそれぞれ立案されまして、目下各庁を通つて審議庁に当然来ております。その地帯は阿仁田沢、最上、対馬、天竜東三河、利根の大体五地区でございまして、この五箇地点に関しましては、それぞれ審議会の方でその案の具体的な検討に入つておる次第でございます。爾余の地点に関しましては、今後続々各県から立案されまして、出て来るのじやなかろうかと思います。おそらく今年度一ぱいにぼぼこの特定地帯に関しましては立案がそろい、審議庁としましても審議を了しまして、審議会で御決定を願つた上、閣議決定を済ますという段階に入るのじやなかろうかと思つております。従いまして、今年から、あるいは本格的には来年度からそれぞれ実施の段階に入るわけでございますが、お話の点でございますけれども、ただいままでまだ実は県から全部そろつておりませんので、全貌がはつきりまだつかめないのでございますが、かりに前に特定地帯を指示いたします際に使いました各県から参りました生の資料を集計して参ります、ごく大ざつぱな数字でございますが、大体十箇年で、この十九箇地点の開発のために必要な所要経費は約一兆でございまして、全部事業費でございますが、その約四割が大体、送電線その他を合せまして電源開発関係でございまして、あとの五割が主として公共事業費関係でございます。河川、砂防あるいは土地改良等でございます。それから爾余の一割くらいは民生関係と申しますか、水道とかあるいは工業用水とかあるいは交通とか、港湾とかいつたような関係なつておりまして、その中で電気部門の金は、大体年間にいたしますと、四百億程度でありますが、現在二十八年度の電気の予算全部では、使います金が約一千六百億近く、一千五百七十億、まだはつきり本ぎまりになつておりませんが、大体一千六百億に近いような予算と申しますか、全部の所要経費が出る計算になつておりますので、特定地帯分に関しての部面は、主としてこれは開発会社あるいは県営の形態でもつて電気をやる部面が多うございまして、ほぼ特定地帯部面についてはある程度の金がついて行くのではなかろうかという感じを持つております。それから公共事業費の問題でありますが、大体およそ十箇年で五千億と申しましたが、年間に割りますと、ごく簡単に申し上げますと、大体五百億という計算になるわけでございますが、その五百億の中で、これは県から生に来た数字でございますので、相当まだ査定と申しますか、合理的に組み合せますと、あんばいする余地があるのではなかろうか。そういたしますと、四千億くらいまで査定と申しますか、組合せいかんによつては、経費等の削減ができるのじやなかろうか、かりに年四百億といたしますと、その大体七割近くというものは国費でございまして、残りを県の方でまかなうという計算になるのじやなかろうかと思います。これもただ大きいエステイメートを申し上げておるだけでございますが、そこでその四百億の七割と申しますと、まあ三百億に近い金でございますが、少くとも現在やつております特定地帯の国土開発は、他のアメリカなりあるいはソビエトなりインドなり等と違いまして、全然さらの、今まで公共事業費を何もつぎ込んでおらぬ地点にこの計画を進めるというのではありませんので、大部分の地帯はほとんど従来経費をつぎ込んでおりまして、その上にさらに付加して、これを総合的に合理的に調整しながら、さらにプラス・アルフアーの資金をつぎ込んで、この計画を完成するという特殊な建前になつておる関係上、従来からその地点につぎ込んでおる資金は、場所によつても違いますし、また全部の府県で固まつておりませんので、はつきりしたことは申し上げられませんが、大体が三百億と申しましたが、その中であるいは二百億近く程度のものはもうつぎ込んで継続的な面で金が入つているのじやなかろうか、そうしますと新規につぎ込む部面というものはそれほど多いものではなかろう。これもまだ十九の地点全部に関してでございますので、かりに北上地点を例に申し上げますと、今のその四百億に相当する一部、その中の一地点でございますが、北上地点に関しましては、大体二十七年度に二十一億程度ついておつたのが、先ほど申しましたように、特に閣議の決定になり、実施の段階に入つておりますので、今年度予算では特に項の面の、説明の部面に特掲していただきまして、大体三十三億近くこれを見込みまして、まあ不十分な点もございますけれども、初年度としてはこのくらいで何とかやつて行けるのじやなかろうかというので組んでございます。従いまして先ほど淺利委員から御質問のありましたように、十九地点全部かりにやるといたしましても、どうしてもこの点は不可能だというほど計画は厖大なものかと申しますと、必ずしもそうでもないのじやなかろうかという感じが一つと、それからもう一つは、十九地点を一斉に全部スタートするわけにはもちろんいかぬだろうと思いますので、この中で特に急ぎます地点はそれぞれ取急いで進める、あるいは場所によつてはその他の資金と申しますか、さつきの話は主として公共事業費面の話でございますけれども、その他の資金等もある程度勘案いたしまして、何とかして今予定しております計画は、閣議等できまりますれば、二十九年度くらいから本格的な実施に移るのじやなかろうかというふうな感じを持つておる次第であります。
  63. 淺利三朗

    淺利委員 大分詳細の御説明がありましたが、実は私の申し上げてみたいと思うことは、この国土総合開発計画は、各特定地域を持つている地方が、その調査の進行の度に応じて、その都度経済審議庁まで提出される、そうしてこれを委員会にかける、こういうことでありますが、そうすると早く出したものは第一に取上げられるが、あとから出したものは、重要なところであつてもこれが遅れる、こういうことになると思うのであります。私どもは総合開発を急ぐという点から言うならば、日本の国土がこのまま放任すれば毎年々々崩壊してマイナスになる。災害の多い地方はどうしても災害の復旧をしなければならぬが、同時にこの災いを転じて福となすためには、総合的に計画して、あるいは利水の方面にカを注いで、ダムをつくる、電源を開発する、これによつて工場の誘致をはかる、あるいはその地帯において同時に道路、鉄道整備をはかつて眠れる地下資源を生かすというように、放任すればますますマイナスになつて行くいうところは第一に取上げるべきである。第二には、只見川のごとき、吉野川のごとき、この開発によつて日本の産業経済の発展に大なるプラスを来すというところを、まずもつて重点的に取上げるという順序に行く方がいいのじやないか。そういうことについて何か基本的の目標を立てて、ただ全国から出て来たものの順序によつて取上げて、総花式にこれを予算に計上して行くということになれば、十年たつても二十年たつてもまとまらない。集中的にやるならば五年なら五年の間にすでに効果が上つて来る。どれもこれも手をつけて、十年も二十年もかかるということになれば、それだけ経済カの発展は遅れるという事情になるから、そういうところはどういう方法で合理的に緩急軽重の順序をつけるかということについて、何か経済審議庁において目標を立てられておるかどうかということをお伺いのたいのが一つ。  それからもう一つは、日本全体の国土計画と申しまするか、あるいは日本の経済発展のためにどこに基本を置くかということになりますと、日本の産業の発達のためには適地適業というようなことも考慮しなければならない。今日本の国は資源に乏しい。しかしながら、眠れる資源はまだ地下にもあり、山にもあり、あるいはまた空中にもありましようし、また海上にもある。これを開発するには何が大切かと言えば、道路交通の整備ということが一番重大である。追つて建設大臣にも伺つてみたいと思いますが、国家的に見れば、今日までの道路政策は、自然の発達のあとを追いかけてその始末だけをして行く。進んで開発道路を設け、あるいは全国的に道路網を整備して、これによつて乏しい日本の資減を生かして行くというところの計画性が乏しい。こういうことについては、国土総合開発の全国的約計画の上において、そういう観点から何らかの計画を進め、その方策を進めるべきじやないか。たとえば電源開発の問題にいたしましても、私は先年富山県の水力電気局長をいたしまして、あの当時県営電気を開発したのでありますが、あの当時のわれわれの考えは、阪神地方のごときは、消費地であり、またいろいろの商工業が非常に盛んである。しかしながら電力が乏しい。富山県のごときは毎年災害だけ受けておる。そして電力は遠いところに持つて行かれる。これではいけないから、その土地の資源であるところの電力を県内に起して、豊富低廉なる電力によつてこの地方を開発する。これと相まつて、神通川の都市計画の問題なり、あるいは砂丘地帯の開発計画を立てたのでありますが、その地方の電力によつてこの地方は富み、一方地の利を占めて商工業の発達に資する。もしこれをかつてのごとく全国一律の電力の値段にしたならば、みんな阪神地方に持つて行かれる。こういうことになるといろいろ産業の分布状態もかわつて来る。こういうことについては、やはり適地適業、電力の安い場所には電力の安いことによつて事業が興る。あるいは消費面において、販路の面において便利なところはそれによつて興る。こういうことを何か国家的に計画的に、電力の分布、配置、あるいは道路網の整備によつて、日本全体の経済の発展をはかるというようなところに力を注ぐのが、いわゆる国家的に見たところの国の総合開発計画の基本になるのじやないか。そういう点については、何らかの御方針を持つて御調査なつているかどうか、その点を実はお伺いしたがつたのであります。十九箇所は全部やつても大したことはないと申しまするけれども、しかしながら、総花的にやつたならば、この資金が生きて来ない。われわれは、一方食糧増産のために百億からの金を使いながら、年々耕地を荒廃せしめるところの災害の防止、これが先決問題であるから、災害の防止と同時に総合開発計画を立てるというところにまずもつて重点を置いて、それを先決問題として進むという基本的な構想は何かお持ちになつているのかどうか、その点を実はお伺いしたがつたのであります。
  64. 佐々木義武

    ○佐々木政府委員 十九の特定地帯は、今お説のように非常に重要な地点でございますので、できますればこの十九地点を全部一斉にやりたいのでございますが、お説のように、なかなか資金の面等からいたしまして、全部一斉にというわけにはあるいは参りかねるとも存じます。その際に優先順位を一体どうするのだというのが第一点の御質問かと思いますが、お説のように、あるいは災害防除を主たるねらいにし、あるいは電源開発、あるいは食糧増産と、いろいろ重要な項を選びまして、それぞれの地点を選定したわけでございますので、その中からどれを優先的に選ぶかということになりますと、非常にむずかしい問題になりますが、幸い審議会ができておりまして、議会の皆さんも御参加願つて御審議いただくような仕組みになつておりますから、お説の点をよく研究いたしまして、この十九地点がさらにしぼられて、優先順位をきめる際にはいかに定むべきかという点を慎重に検討してみたい、こういうように考えます。  第二点の工業立地、主として電力等を中心といたしました工業立地の問題でございますが、ただいまのところは、電力配給規則あるいは現在の電力料金等の関係から、本来の電力を中心にいたしました工業立地というものがゆがめられたかつこうになつておるということは、淺利委員のおつしやつた通りだと存じます。そこで今後この国土総合開発計画が進んだ際に、本来の電力を中心とした工業立地といつたようなものを基礎にして、今後の工業の発展を考えるべきではないかという趣旨も、まことにけつこうかと存じます。ただ現在のように非常に電力のきゆうくつな際には、なかなかそこまで一気に参りませんので、かりに例で申しますと、二十八年には百二十万キロ、二七九年には大体七十万キロ近くという、従来やつておる電気だけでも起きて来ることになつておりますので、若干電気に余裕が出て参りますれば、ただいま御要望のあつたような、本来の電力を中心にした工業立地という体系も立て得るのではなかろうかという感じを持つております。  それから、道路等交通体系とこの国土開発の総合調整というものをどうするのかということが、一つの問題のように承知いたしたのでありますが、先ほど申しましたように、国土総合開発事業の中には、場所によつて違いますけれども、交通あるいは電力、あるいは治山治水といつたような非常に多面的な問題がありまして、それを総合するのでございますから、お説のように、あるいは道路計画、あるいは鉄道建設計画といつたようなものが、この国土総合開発計画と別途ばらばらで進んで参りますと、これは何の計画かわからないようになりますので、現在もその点は注意いたしまして、できるだけ現実の行政面で齟齬を来さぬように心がけておりますけれども、なおさらに一歩を進めまして、お説のように、今後ともさらに総合的な調整をとりながら、この地点の総合的な開発に齟齬のないようにやつて行きたい、こういうふうに考えております。
  65. 淺利三朗

    淺利委員 時間があまりありませんから、ごく簡単に申し上げますが、先般松浦委員も質問されましたし、われわれもこれは国土総合開発法の審議の当時から問題にいたしておつたのであります。国土総合開発計画が立てられましても、これは各省間において別別に予算をとるということになりますと、その権衡がとれない。そこであの最後の修正において、国土総合開発に関する公共事業費経済審議庁において調整する、あるいはこの予算関係する資金計画等も各省から出して、それをまとめさせるというようなところまで進んだのであります。しかし今日の現状から見ますると、まだこれは一本化しておらない。先刻御説明の北上川に対しては、今までこの地域において同種類に属すべき費用が二十一億何千万であつたものが今度は三十二億になつた。こうお話になりますけれども、これは一応経済審議庁がそう心得ておる程度じやないかと思います。各省へ行つてみると、あのうちで経済審議庁がこれくと予定しているものはまだきまつておらない、それを全国的の事業の緩急軽重を見合いにしてきめる、こう説明しておる。そうすると、査どうしてもこの総合開発計画というものは予定通り進まぬということになる、のでありますから、どうしても予算の別わくにおいて国土総合開発費というものをきめてかからなければいかぬと思うのであります。北海道のごときは、開発庁があつて、北海道の分としてちやんと別わくになつている。また公共事業費においても、かつては災害復旧費は別わくにする——これは私どもが主張しておつたのでありますが、それと同じように、やはり同士総合開発費というものは、各省の意見はまとめるけれども、これを別わくにして行くという方針でなければならないのではないか。これについて、何か建設省において今後別わく予算を盛るというような努力をされておるかどうか。その点についてお聞きしたいと思います。
  66. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 われわれ総合開発の仕事をやつている者といたしましては、予算はなるべく別わくに計上してもらいたいということは絶えざる念願でありまして、二十八年度予算におきましても、ぜひこの目的が達成できますように、関係事務当局において協議したのでありますが、遺憾ながら二十八年度予算におきましては、別わくというところまでは参りませんでした。しかしながら予算書におきましてある程度それを明示してもらうような方法は相談がつきまして、おそらくそういう形になつておると思うのであります。二十九年度以降総合開発計画がどんどん進むにつれまして、当然この要求も各方面でも多くなつて参りましようし、私どももぜひさようにいたしたいと考えておりますので、今後とも関係方面と折衝しまして、その目的が達成できるように、一段の努力を払うつもりであります。
  67. 尾崎末吉

    尾崎(末)主査 これより本会議が開会されますので、暫時質疑を中止いたします。  なお質疑の御通告も相当数に上つておりますので、本会議に支障のない限り、適当な時刻に再開して、質疑を継続したいと存じます。暫時休憩いたします。     午後四時十四分休憩      ————◇—————     午後五時四十五分開議
  68. 尾崎末吉

    尾崎(末)主査 休憩前に引続き会議を開きます。  淺利三朗君の質疑を継続いたします。
  69. 淺利三朗

    淺利委員 もう一つお伺いしたいことは、総合開発計画に伴つてますます国費の増額をして、なるべく早い年次にこれを遂行する、年次計画を定めてこれを別わく予算でやることを先刻希望いたしましたが、ただ国費がいかにふえましても、地方財政がこれに伴わなければ、すべての事業ができないのが今日の現状であります。現に地方財政においては、政府の補助なり、あるいは政府の事業に対する分担金というものに対しては、起債のわくの裏づけがないために、その遂行が至難で非常に苦しんでおるのが現状であります。ことに総合開発計画のごとく、日本の開発、再建という要請によつて、国が重点を置いてこれを遂行するという場合において、その受入れをするところの府県なり市町村というものが財源上に力がなければ、とうていこれが実行は進められないというのが現状でありますから、さきにこの総合開発法において特例を設けて、総合開発計画の実施については、予算の上において会計法上許す範囲において特別の高額の補助をすることを認めるように規定されておるのであります。しかし今その基準が一つも現われておらない。幸いに今回は北上川総合開発計画予算の上に実現されて、その第一歩を踏み出すときでありますから、別わく予算としては出ておらずとも、この総合計の予算として遂行する上においては、この開発法の規定を生かして、これを具体化するところの政令なりあるいは法律なり、そういう処置を講ぜられる御意思があるかないか。また特に政令なり法律でなくとも、高額の補助率ということを予算の上において切り離してこれを決定することができるのかどうか、その点について御意見を伺つておきたいと思います。
  70. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 総合開発計画、特に特定地域計画を今後進めて参ります上におきまして、地方財政の負担が相当高額に上るであろうことは、御指摘の通りであります。しかしながら、特定地域計画を国の方針として進めて参ります上におきましては、どうしても何らかのこれに対する方策を講じまして、地方財政がそのために破綻することのないように努力したいと考えている次第でありまして、ただいまのお話のように、総合開発法における特例の制定につきましては、むろんわれわれも考慮しているところでございまして、しかるべき機会におきましては何らかの政令を制定いたしたいと考えております。のみならず、さらに起債の問題、あるいは平衡交付金の問題、こういう問題等をも検討いたしまして、総合開発計画の遂行によりまして地方財政が破綻し、あるいは計画それ自体の遂行が非常に遅れるということがないように最善の努力をいたしたいというふうに考えておる次第であります。
  71. 淺利三朗

    淺利委員 ただいまの御答弁に非常に期待を持つのでありますが、この十八年度からいよいよ特定地域の総合開発計画というものが閣議の決定によつて進められるのでありますから、もしこの国会に法律上の措置ができないにしても、先刻お話の平衡交付金においては、この部分は特に多額の割当をするというように御考慮を願いたいと思うのであります。なお起債のわくのごときは、災害復旧にいたしましてもわずかに六割程度、あるいは地方の単独事業については、四割程度しか起債のわくが割当てられないという現状でありますから、これについては特別の考慮を願いまして、各省との御交渉をすみやかに実現されんことを希望するのであります。  なお念のために申しますが、先刻総務部長からお話がありまして、北上川総合開発計画については、前年に比して何十億かふえておるということでありましたが、これが私が先般建設省農林省の方を当つてみますると、まだ確定しておりません。この問題についてもぜひ、建設省公共事業費の調整をはかるという権限を持つておられるのでありますから、これをすみやかに確定して、できるならばわれわれに、これだけ確定したというところの数字を明らかにお示しを願いたいということをお願い申し上げまして、私の質問は一応これで終ります。
  72. 尾崎末吉

    尾崎(末)主査 経済審議庁所管についての残余の質疑は、一応明日まで保留することにいたしまして、次に一般会計予算及び特別会計予算中、農林省所管についての質疑に入ります。森幸太郎君。
  73. 森幸太郎

    ○森(幸)委員 私は農林大臣が出席せられておると御答弁を得なくてもいいのでありますが、きようは農林大臣が欠席されております。一般質問におきまして、日本の農業政策の上で、食糧問題が一番重大な問題である、この食糧問題を解決するのに、ただ主管庁の農林大臣だけが責任を持つているようなことではとても解決できない。日本が経済上独立する上におきましても、また増加して来る人口を養つて行く上におきましても、これは単に農林省だけの考え方では、とてもこれを解決することはできない、従つて経済上の独立ということが遅れて来る。これは総理大臣初め内閣全般が、その気持になつてやらなければ、とうていその目的を達せないということを申し上げたのであります。この分科会におきましては、せつかく行政事務的にいろいろと考えられましたことについて、それを国民に知らしめる便宜の上におきまして、私は一応この際、問題が重なつて行くようでありますけれども、先ほど予算概要説明されたことについて、順を追うて、皆さんが行政事務的に考えておられることを国民に知らさしめる意味において、あえてお尋ねいたしたいと思うのであります。  耕地の不足いたしておることはもちろんで、猫額大の耕地でもこれを獲得し、それを耕士として培養いたしたいというのは、これは申し上げるまでもないのであります。それには開拓と開墾の二つの道が開かれておるのでありますが、開拓事業として百十四億二千万円という相当な額が、予算に見積られておるのであります。この開拓は戦後経営の上において、あらゆる角度から手をつけまして、今日耕土として相当食糧増産に役立つておるところがありまするが、中には入れた金額がむだになつておるという開拓も、相当あるのであります。しかしこれはやはり開拓事業を打切らずに、年々この計画を立てて行かれるのでありますが、現在農林事務当局として考えておりますところでは、その開拓をやつて、ほんとうに食糧増産に役立つという土地がどれだけ今日残されておるか。その数字をひとつ、わかつておれば聞きたいと思うのであります。これはかつて占領治下にありまして、日本は飛行機で見ても相当未墾地がある、この開拓をやるべきであるというので、たしか北海道を入れまして六百五十万町歩でありますか、あるというような報告を司令部に出して、そうしてこの数字を各府県に無理に割当て、各府県はありもしない耕地を開拓するものな口として司令部に出したことが過去にあつたのであります。その後、芦田内閣のときでありましたか、まだ三百万町歩内地に残つておると言つておつた。この数字はどういう基礎で、どういうとこから調べたかというと、ある新聞通信記者がしやべつたとかいうような荘漠たる、じようだんみたいな話があつたのであります。農林事務当局としては、どの県にはどれだけの余地がある、それだけは開拓していいという数字をはつきりつかんでいないと、この百十四億二千万という金を出されましても意味をなさない、これを強行しますと、あるいは林野を妨害してみたり、あるいは牧野を開墾してしまつて、しようがないものにしてしまつたり、各局聞における争いが起つて来るということであります。これは農林省全体の仕事で、農地局だけの仕事ではないのでありますから、今後日本に経済的に耕地となすべきところの、開拓すべき土地がどれだけあるか、それは各府県別に調べてあるはずだと思いますが、その概数でよろしい。時間があれば各府県別の数字を知りたいのでありますけれども、それができなければ、まだこれだけの面積がある、これは予算関係もありますけれども、何年間にほんとうに耕土にして行くという方針をひとつ聞きたいのであります。
  74. 正井保之

    ○正井説明員 ただいま御質問がございましたが、終戦後の開拓は緊急開拓として、たとえば適地の選定でありますとか、あるいはその後の営農の指導、そういつた点で十分手のまわらなかつた点もございまして、事実終戦直後から二、三箇年の間にわたつて入植した者につきましては、そうした事例もございましたが、だんだん適地の選定、それから入植後の営農の指導ということで、計画的に事業が進められまして、最近入植された方につきましては、まだいろいろと十分でない点もございますけれども、非常に安定して営農に励んでおられるわけであります。終戦後最近までに開墾されました面積は、概数四十七万町歩でございまして、それによりまして、いも、雑穀等を含めまして、約三百万石の食糧生産がなされております。それから先の開拓適地の問題でございますが、的確な数字はただいま資料を持つておりませんが、食糧増産の五箇年計画で一応取上げておりますところでは、現在までに国が買収しました未墾地の面積が百三十一万町歩、そのうち事業を実施しまして畑になつたもの、あるいは田になつたもの——一部田になつておりますが、それが先ほど申し上げた数字でありまして、なおこの買収された土地につきまして進めて参るわけであります。なおこれからも買収を進めて参らなければならないわけでありますが、これにつきましては、先ほども申し上げましたように、適地の選定の基準、傾斜度あるいは土質あるいは雨量、そういつたところで開拓して、ほんとうに農地としてあと営農が続けられるというふうな見込みのものを逐次取上げて行くわけでありますが、この面積は先ほど御質問がございましたが、ただ非常に大ざつばな見当で、開墾可能地の面積は五百万町歩以上もあつたかと思いますが、そのうちでそういつた営農をやつて行けるという見当のものが二百九十万町歩。これはあるいは違つておるかもしれませんから、後ほど正確な数字で申し上げたいと思います。そういう数字になつておりまして、なお相当残つております。そこでこれからの未墾地の買収につきましては、いろいろ地元における既存農家の営農関係というような点もございますので、的確な調査をいたして進めて参るわけでございます。従つてただいまそういう適地調査を進めて参らないと、はつさりしたことは申し上げられませんが、そういうふうなことになつております。
  75. 森幸太郎

    ○森(幸)委員 これはひとつ政府委員の方々に頭に置いていただきたいのですが、あなた方の言葉じりをとつてどうしようというのではないのですけれども、私が心配するのは、五箇年間に千三百億ですか、五箇年計画で食糧増産をやろうという一つの計画を立てた。その計画に根拠がない。それが大蔵省が予算をくれなかつた、風水害で土地がつぶれた、こういうことをしていると、人間は黙つておつても百四、五十万ずつふえて来る、これをどうして養つて行くかということは、農林省だけの責任ではない、政府の大責任である。これを私は心配するのです。政治に関係する者は、耕地のふえないことと、人口のふえることを考えると、安閑として眠られないはずです。そうしないと日本は立ち行かぬ。私は以前からあまり開墾に好意を持たぬのです。ということは、開墾ということは、今お話のように麦といも、豆、ばれいしよしかできない。私は主食を根本的にかえて行かなければならぬと思う。主食というものは、人間が生きて行くのに、米を食い、いもや豆を食わなければならぬということはない。こういうふうに開墾じたところは果実をつくるとか、あるいは酪農のものをやつて行くとか、適地適作がありましよう。けれどもただ主食一辺倒でやるものだから、無理に開墾している。これはあなた方御経験があるだろうけれども、北海道に三十年ばかりたつた林がある。その林を切り開いて開墾してみると、酸性土壌で何もできない。三十年、五十年前にわれわれの祖先が一ぺん開墾してみたところがだめだつた。その跡へ木を植えた。それをまた今ごろ開墾して失敗を繰返しているという例がある。それだから、あまり主食にとらわれて、そうして予算をとるために、開墾はこれだけ、干拓はこれだけ、こういう無理なことをやつて、できもせぬ数字を出されることは、私は国家のためによろしくないと思う。それですから、きよでもあすでも、いつでもよろしいが、各府県別の開墾の予定がこれだけある、これだけは可能性がある、この数字を私は知りたい。また知らなければ、ななた方の計画が立たない。今日の百姓は、米と麦と豆をつくつたつて生活はできません。茨城、千葉の方の開墾されたところに行つてごらんなさい。五年も続きません。三年や五年やつてみたところが、とてもこれでは営農ができない。これはほくらの仲間が満州に行つて失敗して帰つたのと同じです。その人は開墾して、何とか骨を折つて、きれいな畑になつた、草もはえぬようになつたと言いますが、その子供が、二世がはえつかない。小学校もどこへ行くかわからぬような、電燈もない、汽車の音も聞えない、道もないようなところへ、だれが若い二世が行きますか。農業の多角経営というものは、ただ米と麦といもだけじやいけない。あらゆるものを生産しなければ、日本の農業経営はできないのです。それで、開拓局の方であまり開拓ばかり一生懸命予算を獲得してやろうということになると、結局空白な数字をつかまえて来て、そうしてこれだけやりますというふうなことを言つて、やつてみても、実際その予算を執行してみると、開墾も何もできはしない。こういうことになると、国費をむだに使うことでありますから、私はこの開拓については再検討をしてもらいたいと思います。しかし開拓の余地が今後まだ全然ないとは言いませんが、それが直にどれだけあるかということをお示し願いたいと思うのです。あなた方のやつていなさることを、国民に対して、政府はこういうことをやつてくれておるのだということを知らせたいから、私はあえてお尋ねするわけであります。  ついでに私はお尋ねするのですが、畑地灌漑ということを今農林省で考えておられる。この畑地灌漑ということは、現に茨城、千葉で非常に力を入れ出して、富山の方でも非常に力を入れておる。九州にはむろんありますが、水さえあつたらりつぱな農作物ができる。米なら米がつくれるのですが、水がないために陸稲をやる。陸稲は、御承知のように、十年に二年もとれたらいいのです。旱魃が来たらすぐに病気になつてしまいますから、そういうところは灌漑をする。陸稲は反当り七斗一石でありますが、それが茨城で畑地灌漑をやつておるところでは、陸稲が四石あるということです。それはよほど上手につくつたからでしようが、少くともこれを三石にしましても、現在の三倍陸稲で上つて来る。日本人は米を主食とすることは考えなければならないが、米というものに執着を持つておる国民に対しては、この畑地灌漑によつて米の生産をふやして行くことが必要ではないか。また畑地灌漑によつて、ほかの蔬菜類なり果樹なり、すべてのものがりつぱに栽培できる。私は思い切つて畑地灌漑をすることが、今後すべての農産物を産産するのに、それよりほかに道がないと考えるのですが、この畑地灌漑について、今日皆さんはどういうふうにお考になつておられるか。係の方がおられたらお示しを願いたい。
  76. 正井保之

    ○正井説明員 ただいまのお話でございますが、開拓地につきましては、の六〇毒度は手を入れなければならないということで、実は耕士培養法等も制定せられまして、できるだけそういつた土地条件を整備して行くという方向に努力しておりますのと、それから開拓者に一対しては、特に家畜の導入、役畜として、また厩肥の給源として、こういつた面につきましても、来年度におきまして、前年度より相当数ふやした家畜の導入というふうな点にも力を入れまして、総合的な開拓の営農を進めて参るような方向に留意をいたし努力をいたしておりますが、今後なおその方向に努力をいたして参りたいと考えております。  畑地灌漑のことでございますが、この点は従来あまり大きく取上げられておらないわけでありますが、昨年度からごく少数の地区でございますが、取上げまして、相当まとまつた事業でもありますので、主として県営でやるということで、来年度もそれを増強することにいたしております。しかしまだこれは従来の実績は、あるいは地下水の状況とか、水資源の関係調査も不十分でございますので、事業として畑地灌漑を二十七年度に比べましては伸ばすとともに、従来水田地帯につきましては地下水の調査もいたしたものもございますが、畑地につきましてそういつた調査がなされておりませんので、二十八年度から三箇年計画で百八十地区程度取上げまして、そういつた地下水の賦存状況も取上げまして、逐次進めて参りたいというような現在段いろいろ土質等も非常に酸性度の強いものがございまして、ただいまのところそういつた酸性土壌の矯正というような点につきましても、およそ開拓地資料はきわめて重要な事柄でありますので、ぜひ御提出をいただきたいと思います。  それからなおあわせて、開拓のために買収計画をいたしてはあるが、その後適当でないと認められるような場所が相当あるというようなことで、それを取消すというような場所等も相当あろうかと思いますが、それらのものもあわせて御提出を願いたい。
  77. 相川勝六

    相川委員 今、森さんの質問の開拓適地の問題でございます。私平素考えてそういうことはできないものかしらんと思つたんですが、今この開拓について大げさにやつておりますが、なかなかよく行つているところが少いのです。言まで行くのにわざわざ家をつくつて行かなければならぬし、またせつかく開墾しましても、土地が悪くて大分長い聞しなければ収穫が上らない、電燈もないということで、なかなか開拓に苦労しておる。もつと手取り早く経費のかからぬ開拓の方法、それはどういうことかというと一それはどれだけの効果があるかは私はよくわかりませんが、一ぺん調査してもらつたらどうだと思うことは、たとえばその部落の次男、三男対策というと、家がなくて困るからどこかに移民させなければならぬということですが、そうするとめんどうですから、その村で、できれば同じ部落の中でどこか少しでも開墾させる。そしてその開墾する間は自分のうちから通つて開墾する。いよいよりつぱにで三つたところで住宅を開墾地に構える。そうすれば非常に経費が少くてもできるのではないかと思います。すぐ間に合う。この土地はそう多くないと思いますけれども、各村に五町でも十町でも二十町でもいいのですが、わずかなところを選んでやれば、割にできのいいところをたちに自分の家から行つて開墾できる。そして五反でも三反でも開墾できたらそこに家を構える。家を構えるときにはおやじから山の木をわけてもらつて自分で家をつくる、こういうふうにして行けば大げさにならないですぐ間に合うじやないか。そこで各村で次男、三男対策についてどれだけ土地を与えなければならぬか、その村の中でどれだけそれに供給できるか、そういうものを調べてそれにある程度の予算措置をやりますれば、はるばる何十戸とか何百戸というような集団的な開拓地を求めるよりも、その村民が村内において解決するように持つて行けるかと思うのであります。これは架空の論ですが、そういうことについて一ぺん農林省でお調べになつたら、そういうところがありはしないかと思います。それをちよつと……。
  78. 和田正明

    ○和田説明員 ただいまお尋ねの点でございますが、開拓は終戦直後には引揚者とか失業者の民生安定ということを主にして考えておりました。最近は今御指摘になりましたように、主として農家の次三男の経営面積の少いのを広げるとういことで、地元増反ということを大きく取上げてやつておるわけであります。従つて地元にそういう土地がございますれば、それを利用してもらえるわけであります。ただ既存の農家が薪炭林あるいは採草地というものが必要でございますから、これを破壊しない範囲で新しい人に与えれるものを探すという考え方で、開拓を現在推進いたしております。また最近では東北とか北海道とか、そういうまだ大きな地区の残つておりますところを主として開拓地として考えて、よそから人を持つて来るということを考えております。
  79. 相川勝六

    相川委員 今の地元増反はどの程度のものがございますが、お示しを願います。
  80. 和田正明

    ○和田説明員 正確な数字を私持つておりませんが、先ほど正井説明員からも申し上げまました開墾面積につきましても、相当大部分が地元増反に割当てられております。戸数から申しましても、新規の入植者よりもそういう地元の人に割当てました戸数の方が、はるかに多くなつております。
  81. 森幸太郎

    ○森(幸)委員 畑地灌漑については、先ほど私の希望を申しましたが、これを徹底的に農林省としては行政面に取上げて、研究を続けていただきたいと思います。  次に北海道農業振興費でありますが……。
  82. 尾崎末吉

    尾崎(末)主査 ちよつと申し上げますが、農地局長は御病気だそうで出ておりません蚕糸局長林野庁長官水産庁次長畜産局長が見えております。
  83. 森幸太郎

    ○森(幸)委員 畜産局長が来ておられますので一つお尋ねしたいのですが、いまさら有畜農業がいいも悪いも論ずるまでもないので、それでなければ農業が経営できませんが、二十七年度から有畜農家の普及について努力されたのですが、二十七年度の成績はどんな状況でございますか。
  84. 長谷川清

    ○長谷川政府委員 大体の概数で申し上げますと、約二十二億円の中金資金を融通いたしまして、有畜農家の創設を行うというのが当初の計画であります。昨年末の実績は大体十五億円程度消化をいたしております。約七割の状況であります。本年三月末までには大体二十二億が完全に消化されるだろうというふうに見込んでおります。いずれ明日でもその状況は書類にしてお届けをいたしたいと考えております。
  85. 森幸太郎

    ○森(幸)委員 先ほどの説明によりますと、岩手県なり八ケ岳の山麓に外国から新しい品種をとり寄せて、酪農組合をつくつて行こうという計画があるように伺つたのでありますが、従来これは御経験なさつたと思いますが、日本の民度がまだ低いために、酪農が非常に失敗が多い。せつかくやつても乳が売れない、バターが売れない。バターを高くつくると、濠州から安いバターが入つて来て、北海道の雪印ですら対抗ができないで悲鳴をあげなければならない。ヨーロツパと日本とはむろん生活が違います。酪農主義でやつて行くことは、今後食糧の上から行つても必要ですけれども、これを計画されるならば、いわゆる消費市場をよく開発するということを加味してやつていただかなければ、せつかく酪農を奨励されて、農家がいい気になつて調子を合せてやり出した。ところが終いには小豚が高くて大豚が安い、小牛が高くて大牛が安い、まことに悲惨な状況に陥いる。せつかく政府で多額の金を使つて計画されたことが、中絶するということになるのであります。酪農に対して政府は、むろんこれは飼料政策もほんとうに考えなければなりませんし、有畜農業の経営の上においても必要なことであるけれども、酪農を今後取入れて行く上においての準備が相当できておりますかどうか、この点ひとつ伺いたいと思います。
  86. 長谷川清

    ○長谷川政府委員 お話のように将来の食糧の需給の面から見ましても、あるいは食生活の改善という意味合いからいいましても、御指摘のように従来の酪農の持ちます弱点であります消費を拡大をして行きます上におきましても、借段が高いという点が一つの降路になつておるのであります。それはやはりある程度解決するのでなければ、真の酪農振興を期待することが困難であろうと思うのであります。今お話のありました明年度八ケ岳あるいは岩手山麓に新たに集約的な酪農地区をつくろうという考え方は、実は従来のわが国の酪農の弱点ともいうべき大きな二つの問題をこれによつて何とか打開する方法はないかという意味におきまして、試験的に実施してみたいと考えたのであります。二つの問題点と申しまするのは、御承知のようにわが国の乳牛は従来主として平坦地に多く、従つてまた農家に普遍的にと申しますか、方々に点在的に飼養されております関係上、集乳費が非常にかかつておる。そのために結局乳価が高くなるという傾向にあるのであります——われわれは将来酪農の振興をはかります。ためには、まず何よりも集約的に乳牛の密度を高めるというところに主力を注がなければならないと考えまして、一般の有畜農家の創設事業につきましても、乳牛につきましては特に立地条件のいい、密度のいい地帯に集約的に入れようということをねらつておるのであります。今度の集約酪農地帯におきましては、二年間に大体六百頭ずつその地帯に入れまして、数年後には二千頭ないし三千頭とまとまつた集団をつくるということを一つねらつておるのであります。  それからもう一つの問題点は従来の酪農は、御承知のように主として市乳を中心にいたして発達して参りました関係もありまして、ホルスタイン種が中心になつておるのであります。従いましてとかく購入飼料をたくさんやらなければならない点があるのであります。この点につき準しては、もう少し購入飼料にたよらずに草を中心にいたしました自給飼料を中心にする酪農を考えてみる必要があるのではないかという意味合いからいたしまして、今申しました有畜には新しい試みといたしまして涙川、ニユージーランドあるいはアメリカ等から主として草を主要飼料といたしまするジヤージー種という品種の牛、これはホルスタインより小型でありまして、農家の飼食管理にも便利であるのでありますが、そういう種類のもの、実はこれは従来といえども日本に相当入つて来ておつたのでありますが、いつの間にか消えてなくなるというような傾向にあるのであります。これをひとつ思い切つて集中的に今申しましたような地帯に導入することによりまして、酪農によつて立つ基盤を強化するという方向から、漸次日本の酪を健全なる姿に持つて行こうという考えからこの計画を立てた次第であります。
  87. 森幸太郎

    ○森(幸)委員 岩手山麓や八ケ岳麓というのですから、私は放牧の計画ではないかと思うのですが、放牧を三百なり六百なりにふやしてやるというのは日本としては大仕掛な放牧になりますが、そこに乳をしぼる設備があるか、またその乳の運搬という面も、もちろん計画されているだろうと思いますが、すべて総合的に準備されることが必要であろうと私は思います。どうも日本の人は、牛は草さえ食わせればいい、わらさえ食わせればいいというように簡単に考えるのではないかと思うのですが、ときによると何でもない丘に牛をほうり込んでおいて、そして寒くなつておるして来て、こんなに大きくなつたというようなことを言つておるけれども、これではほんとの放牧ではないと思う。やはり一応土地を開墾して荒削りにして、そこへ牧草なら牧草を植えつけて、そこへ放牧して初めて放牧の目的が達せられるのではないか。ただ、はぎもかやもめちやくちやに草のある山にほうり込んで、ひとりで大きくなつた。東北では馬にそういう放牧がありますが、乳牛としての利用価値を高める上からよほど研究を進めて誤りのないように指導してやつていただきたいと思います。  ついでにこれは畜産局長の手腕だけではとても解決しない問題でありますが、飼育の牛であります。これは農家があらゆる研究をして牛の肉をよくしよう、ことに滋賀県の肉牛は非常に評判がいいので、神戸牛という名を使つておりますが、非常に熱心にやつておるわけであります。アメリカなんかは豚があまり白いあぶらの多いのは困る。だからできるだけ白い肉のできないよう、赤い肉のできるようにと研究を進めて、豚を殺して白い肉がたくさんあるのは下等品にされている。これはあなた方の技術上の指導の面においてどちらにもなつて行くのですが、牛の飼育については非常な研究をしておるわけであります。ところが屠殺が、内務省のあつた時代からの情性として厚生省にあるわけであります。だから畜産関係の者は一生懸命牛を飼つて、どうかして太らして、どういう肉の組織ができたかということを知りたい、また将来の参考にしたいと思つても、牛を殺すことは厚生省がやる、その厚生省が技術的にやるのではない。地方の巡査が立ち会うか、場合によつては巡査も立ち会わないで屠殺場へ持つて行つて殺してしまう。これはまつたく農林省関係で育てたものを厚生省がかつてなことをしてしまう。これは昔の内務省の衛生取締りの情性から、内務省から厚生省に移つてやつているので、全然無知な者がやつているものだから、せつかく飼育した結果がわからない。これは厚生省と農林省とけんかしている場合ではない。これはよろしくあなた方は、畜産局として、また農林省としては酪農、有畜農業を奨励する上において終始一貫した指導をされることがよかろうと思いまするが、これはなかなか大きな昔からの問題で簡単に解決しないと思いますが、解決しないといいことおればわれわれもそういう方針でできるだけの努力もいたしますが、農林省としましてはそういう方針に進んでいただきたいことをお願いしておきます。いろいろ問題がありますけれども、またあすの方に残しまして、蚕糸局長が来ておられるからちよつとお尋ねしておきたいと思います。桑園の改植、増植について非常にお骨折りになつている。これは五箇年計画なつているのですか、ただ年々予想して予算を立てなれるのでありましようか。
  88. 寺内祥一

    ○寺内政府委員 これは十箇年計画でありまして、八万町歩やることになつておるのであります。ただ二十七年度におきましてちよつと端数が出まして、七千町歩でございましたが、二十八年度から八千町歩にいたしまして、十箇年計画でこれもやる計画であります。
  89. 森幸太郎

    ○森(幸)委員 今度予算面では、桑苗一本につき二円ずつ、桑園の改植、増植の奨励という意味で出されてありますから、二円ずつ増額されているのでありますが、この二円増額されたといいことが養蚕家には何らの効果もない。地方においてそれだけ桑苗が地場で上つてしまつた。これは蚕糸局の考えておられるのと大分結果において違つて来たのではないか。同じ購入費を使つて、あるいは委託生産をやるといういう場合に一本二円ずつの奨励費という気持でやつたかもしれませんが、生産者が二円上げてしまつた。結局養蚕家としては何もならない。蚕糸局のおかげで桑苗が二円ずつ高くなつただけだ、こういうことを言つておるのですが、蚕糸局としては今回二円を上げられるという予算を立てられたことについて、指導方針はどこにあつたわけですか。桑苗を養蚕家に安くしてやるつもりであつたか、局長のお考えはどこにあつたのですか。
  90. 寺内祥一

    ○寺内政府委員 この予算は二十七年・度からとれたのでありますが、このときの考え方は桑苗の生産費を調べてみまして、これが二十七年度の予算を編成いたします当時は大体六円かかる。また養蚕農家の方の負担金を調べますと、大体四円以上の負担はできない。そこでその差額の二円を国庫で補助するという予算を立てまして、これはその県内で桑園の改植に必要なる桑苗を県であらかじめ募集をいたして計画いたしまして、それだけの数量を桑苗業者は予約するわけであります。そういたしまして桑苗業者からは県は六円で買上げ、それを四円で養蚕家に売り渡す。その差額の二円を国庫で補助するという計画であつたのであります。ですから、森先生がおつしやいます通り、最近養蚕熱が非常に復興して参りまして、桑苗の、需要が多くなりましたので、最初六円で買い上げるつもりでありましたのが、どんどん値上りいたしまして、たしか昨年の桑苗の取引の最盛期には、九円あるいは十円にも上つたようでありますが、ただいま申し上げましたような、大体県において計画いたしました数量は、大部分の府県では桑苗業者との間で六円で話がつきましたが、中には九円払わざるを得なかつたような所もあります。これは大体県費で負担しまして、養蚕農家には四円で渡している次第であります。
  91. 森幸太郎

    ○森(幸)委員 これは桑苗に二円ずつ補助するというが、県もつまらぬ負担がかかる。そうして養蚕家も二円高くなつたということになりますから、実際上今のお話のような趣旨に沿うように、ひとつ徹底的な取締りといいますか、指導をしていただきたいと思うのであります。  それからついでにお尋ねしておくのでありますが、近時蚕の品種が非常に向上して来たことは御承知の通りでありまして、養蚕家は相当経験を持つておりますけれども、飼育上非常に指導をしなければならぬ。そこで指導員というものがありまして、これは二十六年度からですか、補助しておられるわけでありますが、この実際は私がもう申し上げるまでもなく、局長は当事者としてよく御承知でありますが、農林・省の予算の組み方が実際に置いている技術員の数の約半分くらいなものを考えている。現在は五千人ばかりいるのが二千七百人ほどの数字で予算が計上されている。予算は昨年からベース・アツプの関係により幾らか増額はされていますけれども、これは世間並のことでありますから、別に人をふやすわけにも行かない。結局相かわらず半分しか指導員が助成できないということになるので、県や組合の負担を一層困難にするということになります。指導員の必要であることはいまさら申し上げるまでもないのであります。ことに蚕糸業が近代化して いろいろ品種の改良もやり、生産技術もかわつて参りますと、繭のつくり方も一層注意しなければならぬ時代になつて来たのでありますから、技術員の指導というものにはもつと力を入れなければならぬと思うのでありますけれども、こんなことでいいとお考えになつているのですか。
  92. 寺内祥一

    ○寺内政府委員 この点についてはまつたく森先生の御説と私も同感でございまして、今回の予算編成につきましても、全養連と協議して大体きまつております四千六百七十三人というものを要求いたしたのでありますが、その経過を申し上げますと、大体主計官との間では、一ぺんに増員するわけにも行かないが、三箇年計画くらいで増員を認めましようというところまで行つたのでありますが、最後の談判になりまして、他局の指導技術員との関係もあり、この制度をもう一年お互いに十分研究しようじやないかということになつておりますので、覆われわれはまつたく御趣旨の通りでありますから、この一年間に研究いたしまして、次には必ずこれをふやすように努力いたしたいと思います。
  93. 森幸太郎

    ○森(幸)委員 それが私はいけないと  いうのです。今生糸の貿易上の関係は申し上げるまでもないのです。これは大蔵省だつて、通産省だつて絹を売つてドルをよけいとらなければ日本はどうにもならぬという観念がないから、こういう蚕糸業の振興に対して大蔵省が支出をしぼる。これは農林行政はすべて農林省関係であつて、ほかの役所は関係ないという頭があるからこういうことになる。今日外貨獲得の上からも、絹織物を輸出しなければならぬときにおいて、この養蚕業の振興というものは、とても戦前には復さなくとも、ある程度もつとくふやさなければならない。それについては蚕業のすべての点において経費を惜しまずして、どんどんと奨励して行かなければならぬと思う。それを大蔵省の事務当局が、頭に入らぬ。結局内閣に食糧増産、外貨獲得という観念がないと私は断ずるのです。あなたに文句を言つてもしかたかないわけですが、真に国家の立場に立つて、外貨獲得には絹糸よりほかに道がないのだ、それについてはこういうものがいるからと言つて、私はもつとあなた方の方で努力していただきたいと思うのです。これはあなたに不足を言うわけではありませんけれども、内閣全体がばらくになつしまつておるからこういうことになると思うのですから、どうかひとつもつと強く必要性を説きつけてもらいたい、これをお願いしておきます。  それからついででありますからお尋ねするのでありますが、糸価安定特別会計は、一昨年ですか、できて一応安心したわけでありますが、一度絹糸を買うというような時代が来なかつた、十八万円を割るというような時代はなかつたと私は思つております。最高二十三万円といいことになつておるのですが、もし二十方円からどんどん上つて行つた場合には、この安定法はどうするのですか。現に最高絹糸は、この間は二十五万五千五百円で売れているわけですが、普通の糸がぐんぐんぐんぐん上つて天井をついて、二十二万円という制限を越えたときに、政府はどうしてこれを押えるか。
  94. 寺内祥一

    ○寺内政府委員 ただいま御質問のありました繭糸価格安定法によります最高価格を突破いたしました場合には、本来ならば政府が絹糸を売り出して二十三万円で価格を維持するはずでございますが、今回は繭糸価格安定法を施行いたしましてから、いまだ買入れの事実がございませんでしたので、政府は一俵も手持を持つておりませんでした。そういう場合を考慮いたしまして、法律では第十条で禁止価格をきめることができるということになつております。これはつまり昨年の六月の末から糸価が高騰いたしまして、七月の初めに二十四万円を突破いたしましたので、繭糸価格安定審議会を招集してその諮問をいたし、二十四万円の禁止価格を決定いたしております。ただこれは糸価を二十四万円といたしまして、その取引に関係をいたします問屋その他取扱い業者の経費といたしまして五千五百円を認めておりますので、国内におきましては二十四万五千五百円までの価格で取引ができることになつておるわけであります。ところがその後ますく糸価は堅調でありますし、生糸も品不足によりまして、ただいま大分やみが行われているといううわさもございますので、政府といたしましては、せつかくきめました禁止価格を維持できないというようなことがあつては困りますので、物統令の規定によりまして臨検をいたしまして、いかなる取引の実態にあるか今月の末あるいは来月の三旬ごろ調査いたしまして、はなはだしく悪質なものはそれ相当に処分をする。こういうような措置によりまして二十四万円の禁止価格の維持をはかつて参りたい、こう考えております。
  95. 森幸太郎

    ○森(幸)委員 さつき通産関係に、河川なんかの汚水問題について取締りの注意をいたしておいたのでありますが、内水面の利用について近ごろ非常にルーズになつておじやしないか、こう思うのであります。日本の内水面は相当な面積を持つておりまして、これを利用すれば相当価値があり、食糧資源を獲得する上に必要なものと思つておりますが、このごろ盛んにダムができて魚梯がなくなつてしまう。また工場等から悪水を流して漁族を滅亡さしておる。そうして沿岸で工場と漁業者との間に相当問題が起つておる。実情は水産庁としてもよく御承知であると思いますが、こういうことに対して何かお考えになつていることがありますか。またアメリカから来て日本のダムを見たときに、日本には魚梯というものが一本もないという批判をしておりましたが、今後のダムをつくる場合におきましては、魚梯を真の魚梯たらしめるように農林省水産庁としは考慮を払わなければいかぬと思います。まず内水面あるいは沿岸の汚水問題について何か対策をお考えになつておるかどうか、この点をお聞かせ願います。
  96. 岡井正男

    ○岡井説明員 ただいまの森先生のお尋ねにお答え申し上げます。御指摘の通り、最近水質汚濁の問題が非常にやかましくなりまして、またただいま御指摘になつたダムの問題も同様でございますが、従来この種の問題は、中央試験場があつた時分にはあそこで一部分の技術者が研究いたしておりましたが、水研の機構を八海区にわけました時分に、溢水区水産研究所というのを  一つ大きく出しまして、現在のところそこで水質汚濁の問題並びにダム、これに伴う魚梯の問題、これらを鋭意研究さしておるわけであります。御指摘の通り、非常に立遅れであるという点はもう甘んじて御叱責を受けるわけでございますが、しばらく時日をおかし願いたい、これはなるべく早うやろう、こういうつもりで、這般の所長会議のときも大きくこの問題を取上げまして、たとえばある河川について水流の速度と深度とがどのくらいだ、こういうところでは魚梯はどういうような形のものであればあゆの稚魚が上るだろうというようなところまで模範的なケースをつくつて、全国府県からいろいろ申請もございますので、それらに応じられるようにひとつやろうじやないかと考えて、私の方でも今研究を進めておりますので、御了承いただきたいと思います。
  97. 森幸太郎

    ○森(幸)委員 まだありますけれども、本日はこの程度にいたします。
  98. 尾崎末吉

    尾崎(末)主査 農林省所管についての残余の質疑は一応明日まで留保することとし、明日は午前十時より開会し、午前中に本日留保いたしました経済審議庁農林省及び通商産業省所管についての質疑を終了し、午後には運輸省郵政省及び建設省所管について質疑を行い、明日中に本分科会所管全部の審査することといたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後六時四十九分散会