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1953-02-25 第15回国会 衆議院 予算委員会第三分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科員昭和二十八年二月二十一日(土曜日) 委員長指名で次の通り選任された。    主査 本間 俊一君       島村 一郎君    田子 一民君       西川 貞一君    永田 亮一君       灘尾 弘吉君    原 健三郎君       北村徳太郎君    小島 徹三君       中曽根康弘君    川島 金次君       西尾 末廣君    和田 博雄君     ————————————— 会議 昭和二十八年二月二十五日(水曜日)     午前十時五十九分開議  出席分科員    主査 西川 貞一君       島村 一郎君    塚原 俊郎君       永田 亮一君    永山 忠則君       灘尾 弘吉君    原 健三郎君       日高 忠男君    北村徳太郎君       小島 徹三君    中曽根康弘君       川島 金次君    西尾 末廣君       和田 博雄君  出席国務大臣         文 部 大 臣 岡野 清豪君         厚 生 大 臣 山縣 勝見君  出席政府委員         文部事務官         (大臣官房会計         課長)     小林 行雄君         文部事務官         (初等中等教育         局長)     田中 義男君         文部事務官         (大学学術局         長)      稻田 清助君         文部事務官         (社会教育局         長)      寺中 作雄君         文部事務官         (調査局長)  久保田藤麿君         文部事務官         (管理局長)  近藤 直人君         文化財保護委員         会事務局長   森田  孝君         厚生政務次官  越智  茂君         厚生事務官         (大臣官房会計         課長)     太宰 博邦君         厚生事務官         (医務局次長) 高田 浩運君         厚生事務官         (薬務局長)  慶松 一郎君         厚生事務官         (社会局長)  安田  巖君         厚生事務官         (児童局長)  高田 正己君         厚生事務官         (保険局長)  久下 勝次君         引揚援護庁長官 木村忠二郎君         厚生事務官         (引揚援護庁次         長)      田邊 繁雄君         厚 生 技 官         (公衆衛生局         長)      山口 正義君         厚 生 技 官         (医務局長)  曽田 長宗君  分科員外出席者         厚生事務官         (大臣官房総務         課長)     小山進次郎君         予算委員会専門         員       小林幾次郎君     ————————————— 二月二十三日  分科員島村一郎君、田子一民君、本間俊一君、  北村徳太郎君、川島金次君、西尾末廣君及び和  田博雄辞任につき、その補欠として加藤精三  君、永山忠則君、大橋武夫君、椎熊三郎君、日  野吉夫君、加藤勘十君及び足鹿覺君が委員長の  指名分科員に選任された。 同日  分科員足鹿覺辞任につき、その補欠として和  田博雄君が委員長指名分科員に選任された。 同月二十四日  分科員加藤精三君、大橋武夫君、原健三郎君、  椎熊三郎君、加藤勘十君及び西尾末廣君辞任に  つき、その補欠として島村一郎君、塚原俊郎君、  小山長規君、北村徳太郎君、西尾末廣君及び池  田禎治君が委員長指名分科員に選任された。 同月二十四日  主査本間俊一辞任につき、その補欠として西  川貞一君が委員長指名主査に選任された。 同月二十五日  分科員小山長規君、塚原俊郎君、日野吉夫君及  び池田禎治辞任につき、その補欠として原健  三郎君、日高忠男君、川島金次君及び西尾末廣  君が委員長指名分科員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十八年度一般会計予算文部省及び厚生  省所管  昭和二十八年度特別会計予算厚生省所管     —————————————
  2. 西川貞一

    西川主査 ただいまより予算委員会第三分科会を開会いたします。  議事に先だちまして一言ごあいさつを申し上げます。  私今般第三分科会主査を仰せつけられまして、まことにふなれなものでございますが、各位の御協力によりまして円満なる議事運営を期したいと存じます。どうか御支援のほどをお願いいたします。  本分科会昭和二十八年度一般会計予算、同特別会計予算中外務省、文部省厚生省及び労働省所管審査に当ることに相なつておるのでありますが、審査の都合上、本日は文部省及び厚生省所管を議題として、審査に入ります。  まず昭和二十八年度一般会計予算文部省所管について政府より説明を求めます。岡野文部大臣
  3. 岡野清豪

    岡野国務大臣 昭和二十八年度文部省所管予算大要につきまして御説明申し上げます。  昭和二十八年度文部省所管予算額は千三百四十七億二千五百六十四万六千円でありまして、これを前年度予算額三百七十四億二千七百六十五万八千円に比較いたしますれば、九百七十二億九千七百九十八万八千円を増加いたしております。なお文部省予算額一般会計予算額に比較いたしますと、その比率は一四%となつておりますが、一応義務教育費国庫負担金を除いて比較いたしますと、四・四%となりまして、前年度比率四%と比較いたしまして〇・四%の増加となつております。  次に昭和二十八年度予算額のうち、重要な事項について申し述べたいと存じます。  第一は義務教育費国庫負担に必要な経費であります。義務教育の水準の維持向上をはかるため、これに従事する義務教育学校教職員国家公務員とし、その給与費定員定額により算出いたしましたものの全額、及び義務教育教材費の一部を負担するため必要な経費でありまして、給与費として九百一億円、教材費として十九億円を計上したのであります。なおこの制度については、早急に決定いたしました経過もあり、また給与費については現在実態調査実施中で、その結果によつて考慮する必要もありますので、地方財政平衡交付金との間に彼此移用できる規定を予算総則に定めてあるのであります。  第二は文教施設整備に必要な経費であります。国立文教施設につきましては、戦災を受けました国立学校その他の建物復旧と、新学制の実施に伴う統合整備及び学年進行等によつて緊急に必要な建物整備するための経費十九億五千三百三十一万八千円を計上いたし、公立文教施設につきましては、小学校の二部授業等不正常授業を解消するための校舎整備、六・三制中学校建物整備、積雪、寒冷、湿潤地方における中学校屋内体操場建物整備、盲学校及び聾学校義務制学年進行による不足教室の補充、また建築以来数十年を経過いたしました老朽危険校舎の改築、公立高等学校及び公立大学建物戦災復旧等公立文教施設整備に必要な経費四十二億八千四百九十三万七千円を計上いたしましたが、このほか昭和二十七年三月の十勝沖震災等によりまして、損害を受けました国立公立文教施設災害復旧に必要な経費三億二千五百六十五万円をそれぞれ計上したのであります。  第三は育英事業の拡充に必要な経費であります。法律に基き、優秀であるが経済的な理由によつて修学困難な学生生徒に、学資を貸与する事業を行つております日本育英会に対し、奨学資金を貸し付けるとともに、その事務費補助に必要な経費三十五億九百六十七万六千円を、育英及び学徒援護事業費の項に計上したのであります。なお貸付金計算におきましては、高等学校生徒生徒総数の三%約五万六千人、単価七百円(前年度五百円)、大学学生学生総数の二〇%約八万六千人、単価二千円(前年度千九百円)、教育奨学生は六〇%約二万七千人、単価二千円(前年度千九百円)その他特別奨学生等に対しまして、育英資金を貸与することを予定し、なお軍人遺家族の分として、右のほかに約一万人の奨学生を採用することとしておるのであります。  第四は産業教育振興に必要な経費であります。産業教育振興法の施行に伴いまして、経済自立に貢献する有為な国民を育成するため、産業教育振興をはかる必要がありますので、中央産業教育審議会運営費、その他の本省経費二百九十九万四千円と、中学校及び高等学校研究指定校必要経費並びに高等学校及び短期大学設備費等の一部を地方公共団体補助するに必要な経費九億四百七十七万八千円、高等学校産業教育用教科書の発行を助成するため必要な経費四百万円を、それぞれ産業教育振興費の項に計上したのであります。なお本年度も前年度に引続き、高等学校設備費補助重点を置くこととしたのであります。  第五は学術振興に必要な経費であります。人文、自然両科学部門におきまして、不断に基礎的、応用的研究をつちかうため、研究者重点的に交付または補助するに必要な経費七億円を、民間学術研究機関等に対する補助に必要な経費七千四百五十万円を、また国立大学等の有為な教官または研究員を、海外に派遣留学させるための経費五千万円を、それぞれ科学振興費の項に計上したのであります。なお本年度は、科学研究費にわずかながら私立大学研究基礎設備助成補助金として二千万円を新たに予定計上したのであります。  第六は私立学校振興に必要な経費であります。私立学校教育振興をはかるため、昭和二十六年度に設立されました私立学校振興会資本金は、大部分債権出資で、その経営はきわめて困難でありますので、私立学校施設設備を、極力応急最低基準まで引上げるために必要な経費十億円を政府出資金として、また私立学校教職員共済組合補助に必要な経費千万円を、それぞれ私立学校助成費の項に計上したのであります。  第七は青少年教育振興に必要な経費であります。青少年に対する社会教育振興をはかるため、戦後自然発生的に全国各地に成立いたしました青年学級約一万一千学級に対しまして、その運営費の一部を地方公共団体補助するための経費八千八百万円、前年度見返資金で支弁されました地方青少年指導員給与及び断費の一部を補助するための経費九百六十四万三千円を、それぞれ社会教育助成費の項に計上したのであります。  第八は文化財保存事業に必要な経費であります。文化財保存事業は、ますます社会的関心を高めつつありますが、本年度はさらに国宝その他建造物保存修理重点を置きまして、その充実をはかるための経費四億六千百六十七万四千円を文化財保存事業費の項に計上したのであります。  第九は国立学校運営に必要な経費であります。国立大学七十二、国立高等学校八、大学附属研究所五十五、大学附属病院十九を維持運営いたしますと、新たに広島大学に医学部を、富山大学に経済学部を設置し、また群馬大学、電気通信大学、静岡大学、滋賀大学及び山口大学に夜間短期大学を創設する等の措置を講じますため必要な経費二百六十七億八千四百八万七千円のうち、百九十八億八千百五十九万三千円を国立学校の項に、十六億千五百十五万八千円を大学附置研究所の項に、五十二億八千七百三十三万六千円を大学附属病院の項に計上したのであります。  このほか義務教育教科書無償配付教科書の編修、検定、刊行、定時制教育振興公立幼稚園施設整備費補助教育委員会運営指導教員検定試験実施教育文化統計調査文化功労者年金僻地勤労教員宿舎整備補助学校給食助成、その他文部行政及び学術振興上、緊急欠くべからざる諸般の施策を講ずるため必要な経費を、それぞれ計上したのであります。  以上は文部省所管に属する昭和二十八年年度予算大要につきまして、御説明申し上げた次第であります。何とぞ御審議の上御賛成あらんことを希望いたします。
  4. 西川貞一

    西川主査 これより文部省所管について質疑に入ります。永山忠則君。
  5. 永山忠則

    永山委員 今回政府が提案されておりまする義務教育費全額国庫負担関係に関しまして、定員定額制をおとりになつておるのでありますが、文部大臣説明では、現在の定員及び現在の給料を下まわるようなことはない、なお将来もそういうことはなからしめるといつたような意味に聞いたのでございますが、この点非常に割切れぬものがありまして、定員定額制をとれば、現在の教員の方も首切られる者がある、給料も下げられるのではないか、かりに現在一時これをそのままの姿にしておいても、将来どうしても整理されるといつたような宣伝が強く行われておるのでありますが、この点に対して当局の御説明をいま少し十分にお願いをしたいと思います。
  6. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。これは非常に急速にやつたものでございまして、完全なる全額国庫負担ということを今即時にするということが困難なものでございますから、経過措置といたしまして、本年度定員定額によつて勘定したものを都道府県交付する、そして都道府県は今まで払つております現員現給をそのまま維持して行く、そして二十八年度におきまして現員現給のまま、そのまま国家公務員にするわけです。来年度からはその教員をすぐ国家全額負担するということになりますから、経過措置で絶対に減員減給にならない、それから来年度全額負担するということになりますから、これで減員にならない、こういうことになります。
  7. 永山忠則

    永山委員 ただいまの説明では、定員定額制はいわゆる基準的な考えであつて、実際問題は現員現給で進むのだから本年は当然そうだし、来年度はそのまま受継ぐから現員現給だという御説明になるようであります。そうすると定員定額ということは一つ基準線を出しておるだけで、実体的にはそれは行われないのだというようにも感ぜられますが、その点もう一度御説明願いたいと思います。
  8. 岡野清豪

    岡野国務大臣 定員定額といたしますのは、今年の経過措置だけであります。そして交付金を出しますのに実態がよくわかりませんものですから、定員定額、すなわち国立学校でやつているところの定額定員は、御承知通り今まで非常に問題になりまして、大蔵省あたりでは、一学級に一・五という小学校教員の率は少し多過ぎる、これを一・二くらいにしたらいいじやないかというようなことで、いろいろ今まで議論の余地があつたのでありますけれども、今回よく折衝しまして確実に一・五、すなわち一学級に一人半の先生の割合で定員はつくります。そういたしますと結局十学級学校では十五人の先生がおり、二十学級学校では三十人の先生がおるということになりますから、むしろ定員としては非常に豊富になつておる率で勘定しております。それでその定員定額ということをなぜきめるかといいますと、ことし実態調査ができませんものですから、それならば非常に大まかな数字によりまして——御承知通り、今現員といたしましては五十一万人くらいになるのでございますが、その定員で行きますと五十三万人くらいになるものですから、相当定員の余裕があります。それから定額は、これは先ほど申し上げましたように、今ほんとうのことはわかりませんが、大体において国立学校と同じようなレベルで月給を出す、そしてその勘定したものを二十八年度は国が道府県交付いたしまして、道府県にすべての支給をする義務を与えます。それから来年度になりますとその現給で出ましたものを今度は実態調査をいたしまして、勘定の上で全額国庫負担する、こういうふうに二段になつておりますので、定員定額と申しますことは、将来もずつと定員定額で行くという考えではないのでございます。
  9. 永山忠則

    永山委員 定員定額ということは本年度経過措置であつて、将来の基準線ではない、ただ本年度だけの考えだ、従つて年度からは現員現給だ、本年はまた定員定額交付するけれども、不足部分は各県がこれを持つて現員現給で行くのだから、経過措置関係において定員定額制ということを言つておるだけで実際は現員現給なんだ、だからして教員整理もなければ、あるいは給料を下げることもないということに解釈してよろしゆうございますか。
  10. 岡野清豪

    岡野国務大臣 その通りでございます。
  11. 永山忠則

    永山委員 そこで問題になりますことは、現在の現員現給が要するに原則である。本年も実質的には現員現給だ、来年からもそういうことになる、ということになりますと、いわゆる富裕県貧弱県、あるいは貧弱町村等関係におきまして、定員においても非常なでこぼこがあるのでありますが、これらの点については将来どういうような是正をしようというお考えでありましようか。
  12. 田中義男

    田中(義)政府委員 私からお答えを申し上げます。先ほど来大臣からいろいろお答えになりましたように、定員定額と申しますのは、国が本年度財政措置をいたします場合の計算方法でございまして、従つてそれによつて算出いたしました額を、各府県の個々についてどういうふうにこれを配分するかということは、さらに府県実情に応じまして、たとえば、山間僻地が多くて学校の規模が小さいところが多い県とか、あるいは教員資格構成におきましても、非常ないなかで助教員の数が多いところ、そういつた実情をよく加味いたしまして、でき得るだけその配分についても現員現給に沿うように配分をいたしたいと考えまして、その基準実態調査を必要といたしますので、目下その用意もいたしておるのでございます。従つてよほど富裕県等で、一般基準以上に従来負担をしておつたところでは、国の交付いたします額では少し不足をいたすおそれがございますので、そのために来年度臨時措置として、従来通りすべて都道府県負担として、そうしてそれに対して一定額を国が交付する、こういうことになります。現員現給については、これは法律によつても確保されておりますので、世間でいわれているように首切りとかあるいは減俸等が起ることは絶対にないのであります。そうして予算の上で申し上げますと、大体現員現給に対しまして、全国的に申しました場合に、今回交付いたします国の交付金は平均をいたしまして約九七五%というものが補償し得るのでございまして、不足が出るといたしましても二%強になるにすぎません。従つて今回の措置におきまして、これを都道府県としても絶対に負担できないというような額には相なつておらぬのでございます。なおただいまお話の点でございますが、大体さような方針でこれを交付いたしますので、それぞれの府県には実際問題として、整理とかあるいは減俸等は絶対に起らないということに相なるはずでございます。
  13. 永山忠則

    永山委員 私はでこぼこ是正関係についてお尋ねをいたしておりまして、今の御説明で一部明瞭になりましたのは、そのでこぼこ是正は本年からも実態調査をして、できる限り是正に向つて進むというお言葉をいただきましたので、ややわかつて来ました。そうするとそのでこぼこ是正は、富裕県の線とそして貧弱県の線、あるいは貧弱町村山間僻地の線がいろいろ違つておるのでありますが、富裕県の現在支給いたしておるところの内容におきましては、政府基準線よりも多い定員、さらにまた資格構成においても助教授が非常に少いのであります。そういう資格構成の点において、あるいは教員定数の点において、富裕県の線へ貧弱町村引上げて行こうという考えでありますか、あるいは富裕県等に対してはある程度の指導をして、一つ基準線の線へ上も下もならそうという将来のお考えであるかどうかを聞きたいのであります。
  14. 田中義男

    田中(義)政府委員 各府県間の不均衡是正の問題でございますが、お話のように各府県それぞれ相当のアンバランスがございまして、従つてそれらを規正して行こうという一つのねらいも今回の全額国庫負担であるわけなんでございます。しかし現在のこの不均衡を、でき得るだけ合理的な給与体系というものを考えまして、そうしてその合理的な給与体系に基いてそれを是正して行く、こういう考え方で早急にその給与体系を確立する必要があると思つて、検討を進めておるのでございます。従つて現在の大都市を基準にしてその方に引上げますとか、あるいは中間線をとつてそこに上下を規律して行くというような固定した考え方をただいま持つておりませんで、先ほど申しましたような給与体系をもとに考えたい。しかもそれも、ともかく既得権を侵害するということはとうてい許されませんので、そういうことのないように考えたい、こう思つております。
  15. 原健三郎

    ○原(健)委員 関連して……。こういうのはどうでしよう。いなかの僻村地になりますと、定員定額制でやると、そこの先生定員定額よりよけい使つており、先生の数が多い。そうすると二十八年度だけは臨時的に、定員定額国庫から予算をまわす、県を通してやる、こういうふうになります場合に、県当局はこれに非常に反対がある。それで私の兵庫県のごときは、もし国庫から来た費用で先生の数がはみ出して、それが給料を与えるに十分足らぬ場合において、そんなものには応じないという強硬な意見も出ておるというような実情にあるが、そういう場合にはどうされますか。
  16. 田中義男

    田中(義)政府委員 実は全額国庫負担という言葉が少し誤解されまして、教員給与は全部国でまかなうのだ、そうするんだそういうように響いておりますから、従つて国がよこすその予算が足りなければそれまでだ、こういうふうにおつしやるのですけれども、今回の建前は、法律上そうなつておらぬのでございまして、先ほど来大臣からのお話がございますように、ともかく従来通り府県負担とし、支弁といたしておきまして、それに対して国が一定額交付する、従つてそれについて多少足りないところが出ます、それについては府県で従来通りつていただこう、こういう考え方でございまして、しかも財政措置として考えました場合には、平衡交付金において財政措置をいたしておりました場合と、今回の交付金として教育費を流して行きます場合とは、総額においては実は財政計画上かわりがないのでございます。従つて、こういう制度をとらないでもやるべきその事柄を、こういう制度にかえましても、やつていただくのが当然ではないか、かように考えておるのでございます。
  17. 原健三郎

    ○原(健)委員 今のお答え文部省の御意見で、文部省はそういうふうにお考えであろうが、その根底においては非常に違つておる。それは実質においては、平衡交付金で実際の給料などを与えるのは同じだとおつしやるが、根底においては、これは中央集権的なことをやつて地方分権主義を破壊して文部大臣の一手にこれを収める、いわゆる国家公務員にしてやるというのだから、根本主義においては違つている。その違つていることはたなに上げておいて、今までと給料も何も同じなのだから県も同じようにやりたまえ、やらぬということはないではないか、こう言われても、どつこい県当局地方公共団体はそれには応じないぞ、こういう間のいろいろ意思の疎通もはかつておられないし、食い違いもある。それが響いて地方教員に、どうやらこれはあぶないぞ、首切りになりはしないかというような不安、動揺を来しておるのであります。そういう点から言つて一般末端僻村教員諸君なんかの心情に、非常な不安を来しておることは明らかな事実であります。であるから地方公共団体都道府県あげてこれに反対しているという点もそこにあるので、よくその点は末端まで浸透させなければならない。不測の猛反対の運動が今起つておるのはそこにあると考えるのでありますが、どうでありましようか。
  18. 岡野清豪

    岡野国務大臣 これが非常な誤解のもとになつておるのでありますが、今度の法案には、ちやんと都道府県現員現給で支弁しろという義務づけができております。でございますから、今までと同じようにこれを支弁しなければならない。しかも現員を首切るわけには行かぬし、また現給料を切下げるわけには行かぬ、こういうことになつております。そこで問題といたしましては、地方の五十人に一人の先生ということでございますけれども、しかしただいままでは三十五人の学級もございましようし、四十人の学級もございましよう。そういうところでは現実に教員をたくさん使つておるわけです。これはまたそのまま現員現給を尊重して行くのでありますので、問題はなかろうと思います。今まで平衡交付金でやつておりまして、その勘定は今度の定員定額と同じ勘定でやつておるのです。しかし都道府県ではそれを今の自分の実情に応じたように金をやつておる。その実情に応じたようにやつておるものをそのまま引継げ、こういう法案でありますので、御心配はいらぬと思います。
  19. 小島徹三

    小島委員 関連して伺いますが、今原君に対する御答弁を聞いておつたのですが、一体政府のほんとうの腹は義務教育の職員を国家公務員にするから金を払うとおつしやるのか、それともそうではなくて、地方財政を助けるために国家から金を支出してやるというのが目的なのか、どつちが目的なのですか。
  20. 岡野清豪

    岡野国務大臣 これは相関関係でございまして、御承知通り平衡交付金制度ができまして以来、平衡交付金地方教育費、特に給与費でもこれがちやんと各都道府県に勘定して割振つて出しておるのでございます。しかし地方の非常な自治の確立と申しますか、自由に、かつて財政措置をしてよろしいということでまかされておりますから、中央政府として勘定をして差上げてはおるけれども、ほかにいろいろな事情もあるものですから、窮迫した財政事情のために、つい学校先生あたりの給料の昇給をストツプするとかなんとかして、十分な給与貧弱県ではもらえない。こういうようなことがいろいろ問題になりまして、給与だけはどうしてもひもつきにしてもらつて地方団体がもらつたらそれは中央からもらつた通りに分配しなければならぬことにしてくれ、これは平衡交付金ができまして以来の全国の要望だつたのであります。そこで昨年半額国庫負担というものが出たのでありますが、半額では、たとえて申しますれば百円の月給——今は百円というようなことはありませんが、私のような頭の古い人間はやはり百円という勘定をいたしますが、教員に対して百円の勘定で実は平衡交付金に組み込んであるのですけれども、しかしそれをやはり七十円ぐらいしか渡しておらぬ。そういう実情であります。そこで半額を国庫負担にしますと、五十円を国庫負担し、あとの五十円は平衝交付金で行くことになります。ところがなるほどひもつきの五十円だけはどうしてもやらなければならぬからやりますが、貧弱町村では相かわらずあとの五十円を平衡交付金でもらつておりながら、出すかというと、それは出さない。やはり元通り二十円しか渡してくれない。それでは半額確保しても教員給与そのものは十分な確保ができない。そこで私どもが考えましたのは、地方の要望もありましたので、平衡交代金で勘定するならば、百円を全部そのままひもつきにして、ほかに流用のできないようにして差上げた方が、教員としての身分が安定する、こういう考えから今度は全額国庫負担にして平衡交付金から抜こう、こういうことになつたわけです。  それからもう一つ国家公務員にすると申しますことは、むろん全額負担するから国家公務員になるのは当然でございますけれども、われわれがどうしても国家公務員にしなければならぬと思いましたのは、御承知通り地方分権が非常に厳格に行われておりまとて、市町村におる教員はその市町村の地方公務員であつて、Aの村からBの村に行けばまつたくの他人なんです。でありますからAの村の教員がBの村に裕任しようといたしますと、まずAの村で辞職いたしましてBの村で新規採用しなければならない。そうしますと、御承知通り昇給をいたしますには何箇月かの実績を持たなければなりません。ところが途中でポンとかわりますと、今までAの村で働いてくださつたその実績というものはBの村で認められないで新規採用になつて後からの勤務月数を基礎にしなければ昇給もできない。また恩給もそうであります、恩給は全般的に申しますれば、貧弱県富裕県では条例の立て方によつて非常に厚薄があります。貧弱県ではあまりたくさんの恩給も出ませんし、退職金も出ない。ことに公務災害か何か出ましても、たくさんの人がどうとかいうことになりますと、もう財政措置ができなくてどういう慰安の方法もない。これではやはり地方々々によつて、あまりにも同じ大事な義務教育に従事されておる教職員の待遇が悪いということになりますが、国家公務員にいたしますと、国立学校に勤めておる教員と同じような待遇を全国的に与えられますから、レベルの貧弱な県でも出す。Aの村におろうとBの村におろうとやはり恩給というものが引続いてやれる。それから今まで二十四年まで勤めておつたところの教員の方は、その後も恩給法を続けて行けるように、準用するようなことになつております。二十四年以後に就職されたお方は、この恩給法の特典を受けることができませんで、また地方々々によつていろいろの差ができおります。そこで今回恩給とか昇格とか昇給というようなものも何ら心配せずに、勤めておれば日本全国どこに勤めても、その人は昇給も昇格も順当に行くし、また恩給も持続して行けるということにし揮いと思つております。  それから今度かえました一つの要点は、今まで助教諭の恩給に関する何はなかつたのでありますが、今度助教諭の方でもそれが引続いて教諭になり校長になつて行かれれば、助教諭で勤めておられたときの恩給の計算を二分の一加算する、今まではそういうことはなかつたようでありますが、新しくそういうふうにしておちついて安心して勤めて行かれる、こういう方法になつて来ます。
  21. 小島徹三

    小島委員 先ほどの御答弁で、本年度はもちろん定員定額制以外の市町村で負担しておる教育費——先ほどおつしやつたように五十人に一人の先生ということでありますが、実際におきましては、私たちの地方においてはほんに一学級わずか三十人しかいないという例がたくさんありまして、そのために府県負担しておる金がたくさんでぎるはずなんです。これは従来通り府県負担するようになると法律がなつておるから大丈夫だとおつしやるのですが、それは来年度以後ずつとそうなるのですか。
  22. 岡野清豪

    岡野国務大臣 現員現給でありますから、今年はそのまますぐ続くと思います。国家公務員になりまして、いよいよ来年度二十九年度になりましたら、それを全部文部省がひつかかえて全額負担して行く、こういう方法でございます。
  23. 永田亮一

    永田(亮)委員 ちよつと関連して……。今、原さんや小島さんがおつしやた御質問を突き詰めて行きますと、こういうことになるのではないかと思うのです。原さんも小島さんも私も兵庫県で、同じような立場ではないかと思いますが、兵庫県のような富裕県は今まで定員定額などよりかなりオーバーして先生を雇つておつたのです。それで今度平衡交付金の中に含まれておるとか、ひもつきであるとか言われても、それ以上の負担府県がやつてかかえ込んでおつたのです。それで二十八年度は財政の差額を地方が負わねばならないということを言われるのでありますけれども、地方の感情としましては、先生方がみんなこれから国家公務員になる、今までは地方公務員であつたから、いわば自分の子供だからしかたがないというつもりで、相当の負担地方がやつておつたのでありますけれども、これから国家公務員になれば、もうその責任は国にあるのたから、あとは国でやつてくれ、そういうような気持で、今までよけいに出しておつた富裕県が、自分の負担をもうやらないと言つてしまつたときに、国としてこれを強制するわけに行かないと思うのでありますが、もしも府県がそういう負担をしないと言い出したときには、これをどういうふうに処置されるおつもりなのか。こういうことを聞かれたと思うのでありますが、私もそれをお伺いする次第であります。
  24. 田中義男

    田中(義)政府委員 先ほど来たびたび御説明がございましたように、二十八年度措置といたしまして、現在もらつている俸給で、現在属している級そのままで国家公務員に任用をする、こういう規定を附則の第二項に入れております、従つて現状の給与にはかわりはございません。しかもその給与費負担については、附則の第十一項によりまして、従来通りその給与負担及び支給は都道府県でやる、こういうふうにしてございます、従つてその間府県負担しないということは、実は法律に従わないということでございまして、そういうことのないことを期待をいたしているのでございます。
  25. 永山忠則

    永山委員 私は、このアンバランスの是正の問題、すなわち現員現給というものが、富裕県貧弱県ではバランスがとれてないのをいかに将来是正するか、この点が現在富裕県の人々は、将来どうしても定員が少くなり、あるいは資格構成においても不利になりはしないかということに不安がありますので、この場合はつきり当局の方針を定めていただかねばならぬのでありますが、ただいまの説は、合理的な給与体系実態調査によつて確立する考えだとおつしやるのでありますか。合理的給与体系基準を、現在富裕県が支給いたしている現員現給の線に一応そろえて行く、ある程度年数がかかるかもしれませんけれども、一応その線にそろえて、さらにもつと一学級五十人に対して一入半という基準でなくして、ほんとうの教育の中心は科学的、精神的なあらゆる要素から分解してみて、二十人ぐらいが理想の学級であります、少くとも今日各学校先生が一人で監督指導して行く数は二十人ないし二十五人が一番理想の体形だとさえも言われているのでありますから、そういう意味において、現在の富裕県現員現給をさらに将来はもつと引上げるのだ、この線はどうしても落さぬのだ、のみならず引上げて行くのだ、そして一切の貧弱な町村の給与体系をそこへ持つて行くという考え方で、合理的給与体系を整えるということに、毅然たる方針をお立てになることが必要である。  ただいま文部大臣は、実は定員定額というのは本年の経過処置であつて、本年もまた現員現給で支払わねばならぬということで法律でしばるのだし、来年はそのまま引継げるのだから、実際は現員現給である、定員定額ということは経過処置、過程的な基準財政需要に使われたる言葉でしかないのだということを、はつきり国民に認識せしめる。将来の合理的給与体系というものは、現在の最高富裕県の線に引上げて行くのみならず、一学級五十人は少くとも三十人あるいは二十五人の線までは持つてつて、それに対して一人半なら一人半をかけるというように進むのだという方針をお立てになるべきだと思うのでありますが、御意見を承りたい。
  26. 田中義男

    田中(義)政府委員 いろいろお話の点は私ども教育行政の立場から申しますと、この目標としてはさように進むべきだと思うのでありますが、ただいろいろ実際問題とからんで参りますと、われわれの考え通りにただちにこれを具体化することは困難じやないかということも起り得るのでございまして、給与と申しましても、基本給の問題、あるいはさらにそれに伴う諸手当の問題等の均衡もございますし、またクラスの点になりますと、それぞれ施設の点もございまして、それらの点を十分勘案しながら漸次お話のような理想の線に持つて行きたい、かように固く期している次第でございます。
  27. 永山忠則

    永山委員 合理的給与体系確立に対しては、できるだけ理想的なものに持つて行きたいという政府考え方であることを了承いたしますが、私はこの場合言明をいただきたいことは、少くとも現在の現員現給の線は絶対崩さぬのだ、そして富裕県の最高の線に漸次に持つて行くのだということをはつきりして、さらに財政的事情を勘案されまして、一学級定員を少くして、それに対する教員の配置定数をかけて行くというふうに漸次進むのだ、少くとも現員現給の線は崩さずに、この線へ持つてつて貧弱県をならすのだという方針はかえない、こういうことをはつきりなさらなければならぬのであります。先刻のお話では本年度政府交付します金額は、現在各県が支給しているところの金額のうちの九七・五%は保証される。そうおつしやるならば、二十億円内外の金を追加すれば、現在の現員現給の線に持つて行けるのじやないか。そうなれば補正予算があるかないかは知りませんけれども、地方財政の根本的な調査会等の答申をまつて、もし補正を出さねばならぬような場合には、必ずそれだけの金は出して、現員現給の線で必ず将来は保証するのだ。財政的裏づけも政府で二十億か三十億出せば結局現在の現員現給の線は確保できるのだから、それまでやるのだという強い態度を財政的な点においてもお示しになり、不動の決意で文部省がこれをやるのだという声明がなければいくら言葉を上手にして現員現給は確保するのだとおつしやつても、富裕県は将来定員も、あるいは資格構成の点においても、あるいは給与の点においても、これを下げられるのじやないかという不安を抱くと思うのでありますが、当局の決意を承りたいのであります。
  28. 田中義男

    田中(義)政府委員 お話給与体系の問題につきましては、当局としては既得権を尊重するということは大原則でございまして、その既得権尊重の線に沿つて、しかも合理的な給与体系の確立を期したいと考えております。  それからさらに来年度においても現員現給の全額負担を期すべきではないかというお話でございますが、一応来年度臨時措置としてはすでに決定をいたしまして、法案を作成いたしておるのでございまして、来年度いかにするかという点については、ただいま私どもとしては申し上げかねるのでございます。ただ従来いろいろ御説明もございましたように、地方制度調査会等もございます。それらによつてさらに根本的な検討があることと考えまして、その結果またいろいろ改善策も出て来ることと期待いたしておるのでございます。
  29. 灘尾弘吉

    灘尾委員 初めに言葉の問題についてお伺いいたしたいのでありますが、現員現給という場合には、その人について給与が支払われるのじやないか。従つて十人の学校にも、それぞれ定員はあることと思いますが、その中に勤めている教員それ自身について給与が支払われる。定員定額と申しますのは、十人の定員があります場合に、一人頭かりに一万円なら一万円といたしますと、その十人分を支給して、そこの学校給与を払うということじやないかと思いますが、いかがでございましようか。
  30. 田中義男

    田中(義)政府委員 お話のように定員定額と申しますのは、国として財政措置をする場合の考え方でございます。実際の問題とはそこに食い違いが生ずると思います。
  31. 灘尾弘吉

    灘尾委員 国から定員定額でもつて給与をお払いになります場合には、単位はどこにあるのでありましようか。たとえば府県単位に定員定額でお払いになるのでありますか、あるいはまた学校単位にお払いになるのでありますか、どちらでありますか。
  32. 田中義男

    田中(義)政府委員 国で配分をいたします場合の基準は、先ほども申し上げましたように、学校の規模あるいは学級数ないしは先生の数等、実態をよく調査いたしまして、客観的な基準を出し、それに基いて補正をしたもので府県配分いたしたいと考えております。
  33. 灘尾弘吉

    灘尾委員 先ほど来のお話を伺つておりますと、現在教職にある人たちの給与につきましては、この法律ができた際の移りかわりの場合におきましては、既得権を尊重して行くことになると思います。その点については大臣の御説明通りであろうと思いますが、私どもが心配いたしますのは将来の問題であります。二十八年度の問題といたしましては、先ほど来お話のありましたことく、一応給与都道府県負担となつている。これは経過規定に明らかになつております。二十九年度以降におきましては一体経費負担都道府県がする義務があるのかないのか、もう一ぺん伺いたいと思います。
  34. 田中義男

    田中(義)政府委員 職員法の本則は、当然これは国家公務員として国が負担をし、支給することになるわけでございます。従つて附則は二十八年度限りでございますから、法文上二十九年度以降は本則に返るわけでございます。
  35. 灘尾弘吉

    灘尾委員 そういたしますと、二十九年度以降、先ほど来お話を伺いましたことく、合理的なる基準をつくつて、これでもつて定員定額予算をお立てになるのではないかと思いますがいかがですか。
  36. 田中義男

    田中(義)政府委員 本則に返りました場合には、それぞれの定員というものはどうしても出て来るわけでございます。従つてそれに対する実際の給与は、これまた当然払うべき義務がございます。従つてそれ相応の予算を組まなければなりません。附則の場合には、しかるべき措置をなすべきでありまして、あげて国の責任になると思います。
  37. 小島徹三

    小島委員 関連してちよつと伺いたいと思うのですが、先ほどのお話では、昭和二十八年度は一時的には府県負担する分があるけれども、二十九年度はそれは全部国家負担することになるのだということだつた。今の灘尾君に対する返事を聞いておると、どうもそうではないような気がするのですがいかがですか。
  38. 田中義男

    田中(義)政府委員 二十九年度以降は全部国で負担をする、こういうことに相なるわけであります。
  39. 小島徹三

    小島委員 しかしそれもやはり定員定額制でおやりになるということなんでしよう。
  40. 田中義男

    田中(義)政府委員 国が全部負担をいたすのでございますから、現実には現員現給とかわりはございません。
  41. 灘尾弘吉

    灘尾委員 私どうもその点がよくわからないのですが、国が予算をお立てになりました場合には、私はおそらく定員定額で行くのではないかと思います。定員総数何人、一人頭幾らということで予算をお立てになるのではないかと思うが、これを地方にお配りになる場合にどういうふうにお配りになるか、これをひとつお示しください。
  42. 田中義男

    田中(義)政府委員 その配賦をいたします場合には、現員現給で配賦せなければならかと思います。
  43. 永山忠則

    永山委員 合理的給与体系関係において、ただいまの問題が関連をすると思うのでありますが、政府が合理的給与体系を少くとも現在の富裕県の線へ持つて来る。しかし財政的事由に応じてそれが経過的にそこまで行かないという場合においては、現在の現員現給の上の線をくずさずに、そうしてアンバランスは適当な経過を置いて是正するという考え方で御方針をお立てになりますれば、ただいまの各委員からの質問は解消するのではないか。要するに合理的給与体系富裕県の線に引上げて行かずに、中間線その他適当な線へ持つて行かれた場合においては、結局自然に富裕県の現在の現員現給にメスを入れて行くというような結果になると思うのであります。そこで私が先刻から政府は一大決意をして、予算措置も講ずるが、少くとも合理的給与体系確立の場合においては、現在の富裕県の線に持つて行く、そうして経過的に予算措置が足りなければ現在の線は絶対にくずさぬ。まだ二十億か三十億出さなければどうしても現在の現員現給は守れぬのだから、それだけはもし補正予算が出る場合必ず確保するし、また来年度予算では確保するのだという考え方をお持ちになることができなければ、いくら言つても各委員の質問は解消をしないと思いますので、私は当局の決意を新たにされることを期待するのであります。これ以上私から申し上げることはどうかと思いますから、関連者においてさらに御発言なされることは私は別に異議ありません。  続いて恩給の関係を聞きたいのであります。現在恩給をもらつている線は、これはまた地方公務員共済制度の条例によりまして富裕県貧弱県で差があると思うのでありますが、この恩給もまた現在の線をくずさないのか、あるいは貧弱県関係引上げて行くというようなお考えであるかどうかを聞きたいのです。
  44. 田中義男

    田中(義)政府委員 恩給法につきましても、実は二十四年以前と以後のものにつきまして、いろいろ差別が出ておることは御承知通りでございます。従つてこの際、いわゆる助教員についての現在の扱いをさらに教員等に準ずるような考え方で、在職年限の通算等もこれを実現いたしまして、そしてその恩給権の確立をはかりたい、かように考えておるのであります。
  45. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 先ほどの小島委員及び灘尾委員の質問に関連して、ひとつ岡野文部大臣から御答弁を伺いたいと思います。定員定額関係は一番大きな問題だと思いますが、まだ疑問は解消していない。これを解消する方法は、国と地方と両方から調べる必要があると思う。そこで二十七年度と二十八年度において、いわゆる教育費なるものはこれは全部入れた金です。全額国庫負担ということを前提とした場合の、給与だけではない、実質的意味の全額です。義務教育に関する全教育費が、国費で何ぼ払われておるか、それから地方費で何ぼ払われておるか、地方費の中では平衡交付金からまわつたものもあるはずですが、平衡交付金の中から何ぼ出ておるか、地方負担の分が幾らあるか。合計で二十七年度、二十八年度は幾らになつておるか、それが二十九年度量つたらおのおのどういうふうな数字にかわるか。この点をお示し願いたい。
  46. 田中義男

    田中(義)政府委員 ただいまお示しの点についてここにはつきりした数字を持つておりませんので、あとで資料として差上げることにいたします。
  47. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 今の問題が一番重要な問題でありますので、この明細な資料をいただくまでは、この分科会をやめないように要求いたしておきます。これがはつきりすれば今までの疑問はみんな解消します。
  48. 西川貞一

    西川主査 御希望を承つておきます。
  49. 和田博雄

    和田委員 ちよつと今の中曽根君の質問に関連しているのですが、私もその点資料としていただきたいと思つておつたのです。たとえば義務教育教員の実際の支給額がどういうふうになつておるのか、それから今度の全額国庫負担なつた場合にはどういうふうになるのか、二十九年度以降はどうなるかという基礎資料は、ぜひひとつ至急に御提出を願いたいと思うのです。
  50. 永山忠則

    永山委員 恩給の関係におきまして、政府は現在の恩給よりも悪くならないようにやるのみならず、今日不合理であつたものも是正されて行くのであるということを確約されておりますが、今回恩給法の一部改正で教員の特別加給が削られて出ておるのでありますが、それに対してどういうお考えでありますか。
  51. 田中義男

    田中(義)政府委員 加給につきましては、ただいまのところ従来通り考えております。
  52. 永山忠則

    永山委員 恩給法の要綱にはつきり加給の打切りが出ておりますが、文部省の方では御相談がなかつたのでありますか。すなわち教員の分は特別加給がありまして、百五十分の一よりほかに、さらに情勢に応じて六百分の一と六百分の二の特別加給がついておるのでありますが、これらは政府が出しました恩給法の一部改正の中で、この特別加給は削除するというようになつております。すなわち政府が出しました恩給法の一部改正法律案要綱の第三の5に「勤続加給制度」として、「外国実勤続加給並びに警察監獄職員及び教育職員についての勤続加給の制度を廃止すること。」という要綱が出ておりますが、これに対しては文部省とは話合いができておりますかどうか。
  53. 田中義男

    田中(義)政府委員 私の承知いたしておりますところでは、職員法並びにその整理法案を相談いたしております際には、私先にも申しましたような方針で行く。ただ恩給法については恩給局において別途いろいろ検討があるようでございまして、その際に一般の原則としてすべてを同一に規整する、こういうふうなことが起つた場合には、またその線に沿わざるを得ないだろう。こういうことであります。
  54. 永山忠則

    永山委員 今のお話を聞きますと、一般の恩給の調整上から来る是正はこれを了承しておるのだというようなお言葉と拝承いたしておるのであります。私は恩給関係におきまして、もちろん既得権については削減はされないでありましようけれども、こういう改正が行われるときにおいて、多少でも特別加給等がなくなるようなことになつて行くことは、いろいろの誤解と紛糾を招く要因になるかもしれないと思うのでありますから、これらに対して当局は十分その理由を明らかにして、もつと積極的な御説明をされることを期待いたしてやまないのであります。さらに前と関連しておることをちよつと質問したいのであります。現員現給の際において、地方の条例を改正いたしまして、現在の現員現給を上げるということも考えられぬこともないのでありますが、この場合、上げたものに対しては、また来年度条例の改正によつて定員定額を上げて行くということも考えられるのでありますが、それらに対してはどういう考えをもつて指導をなされるかという点であります。
  55. 田中義男

    田中(義)政府委員 この三月三十一日まではやはり本法は施行になりませんから、地方府県の条例で給与はきめておるわけでございまして、極端に申しますと、本法の施行前に何らかの措置をしておくということもあるいはあるかも存じませんが、それは実は非常に困ることでございまして、ただ国費の方にその結果を持ち出されるということになるのでございますから、どうかそれぞれ地方の良識にまつて、特にこの際この機に乗じてということのないようにしていただきたいと考えておるのでございます。
  56. 永山忠則

    永山委員 もちろん地方公共団体は良識に反するということはないとは思いますが、この機に乗じて条例を改正する、現員現給の上昇をはかるというようなことがないように、特に文部省指導的立場においてこれを指導されることを待期いたすものであります。  次に私はこの義務教育改正問題に対しまして、地方関係で相当強く反対運動が行われておると聞いております。その指導の中心は日教組にありまして、相当事実と違つた考え方で、あるいは当局の法案の内容がよくわからずに、誤解に基いて諸種の宣伝が行われておるように聞いておるのでありますが、そういうような事実があるかないか、またあるとすればどんなものが地方へ配布されておるか、どういう運動が行われておるか、また配布された資料等がありますれば……(「文部省の関知したことじやないじやないか」と呼ぶ者あり)発言中であります。そんなことはない、これは関知したことだ。
  57. 西川貞一

    西川主査 御静粛に願います。
  58. 永山忠則

    永山委員 この問題に非常な関連性を持つておりますので、その点をひとつお伺いしたいのであります。
  59. 田中義男

    田中(義)政府委員 お話のようにいろいろ各方面で反対運動がございます。しかもそれについて相当な誤解もございまして、その誤解に基く反対も相当あることを承知いたしております。なお日教組等におきましても、印刷物を作成されまして、それを反対のために配布しておるというような事実もあるようでございます。資料も十分ではございませんが、三、四のものについてはそれを手にいたしております。
  60. 和田博雄

    和田委員 ちよつと関連して質問したい。今政府委員の御答弁を聞いておると、誤解に基いて、たとえば日教組でいろいろ運動しておる者もあると言われるのでありますが、日教組の諸君にこの法案がやはり非常に関係があるから、だから真実を知つて、そして反対のところは反対しようという態度であることは、私は間違いないと思うのです。もしもそういう誤解があるというのなら、文部当局の方でもつと積極的に誤解を解くような努力をされるべきだと私は思うのです。そういう意味で、ただ単に反対しているからそれは誤解に基いて反対しているのだという独断を下すのではなしに、こういう点が間違つておるのだというなら、そしてこれがほんとうの姿であるというなら、日教組の諸君だつて真実は知りたがつている。何もそれが正しいものであるならば反対はしないのです。だからただ反対の事実があるからといつて、その反対の事実が誤解に基いているとか、それがけしからぬとかいう態度でなしに、文部大臣が率先して、ほんとうにきまつた正しいところはやはりお互いに話し合つて理解をさして行く努力をやるべきだと思う。そういう努力を一体文部大臣はやつておられるかどうか伺いたいと思います。
  61. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お説の通りでございまして、内容が今まではつきりわかりませんものですから、あれやこれや想像をして、その想像に対する問答なんかをつくつて配布しておるようでございます。でございますから文部省といたしましては、はつきりしたその説明書をつくつて地方に配付して誤解を解くように努力しておりまして、もうすでに十日ほど前に交付をいたしましたし、それから引続きまたいろいろなことがありますれば、それに対してよくわかるように説明を送りつつある次第であります。
  62. 小島徹三

    小島委員 世間でよく、この法案が通れば教員国家公務員になるから政治活動ができなくなるのだ、それがほんとうの目的だというようなことがしよつちゆういわれておるのでありますけれども、この誤解を解くことが私は一番大事なことだと思うのでありまして、その点についてちよつと大臣にお聞きしておきたいのですが、国家公務員は政治活動を禁止せられておるというのでありますけれども、その根本はどこにあるか御承知でございますか。
  63. 岡野清豪

    岡野国務大臣 私は国家公務員が政治活動を禁止されておるとは思いません。授業中とかなんとかいうときに変な活動をすることは禁止せられておりますけれども、個人としてはおそらく活動できるわけです。ただ今までの例で見ますと、日教組の活動というものは、あれは任意団体でございまして、公法上の、公務員法の保護は受けておらぬわけでございます。でございますからわれわれといたしましても、文部大臣も日教組もお互いに教員の身分を安定させて、とにかく給与をよくして行きたいという目的でおるのでありまして、これは目標が一つでございますから、そういう意味におきまして私はいろいろお話を伺つております。ただ今後国家公務員になりますれば、むしろ日教組としては、今までは正式交渉をすることができなかつた団体であつたのが、公務員法による交渉団体として結成されまして、そうして待遇とか勤務時間とか厚生福利とかいうことに対しては正々堂々と交渉ができることになるわけでありますから、私はむしろ国家公務員なつた方が日教組としても都合がいいのではないかと考えております。
  64. 小島徹三

    小島委員 実は国家公務員が政治活動をすることができないのは、単なる人事院のつくつた国家公務員規則によるのだと私は思うのです。この規則は政府が何ら干渉できないのです。政府がこの規則をいらうということはできないのであつて、人事院だけがいらえるのです。だからもしも人事院がこの公務員規則をかえてしまつたら、いくら国家公務員にしたところで政治活動は自由になるのです。それを政府の方は今までひとつも説明しておらない。国家公務員になれば頭から政治活動はできないというふうに現行の規則ばかりにとらわれておつて、今の政府の権限を持つていない、触れることのできない規則をたてにとつておるから間違いが起るのであつて、この規則というものは人事院しかかえることはできない。しかも政府としてはこれに干渉できない。そういうことになれば人事院が問題であつて政府自体がこの政治活動を禁ずるとか禁じないとかいうことはできないということがわかると思いますが、そういう点についての説明は全然できておらぬ。大臣は一体その点を今までおわかりだつたのでしようか。
  65. 岡野清豪

    岡野国務大臣 今度国家公務員にすることは政治活動を禁止するためにするのだろうというようなことも、やはり世間でうわさされておりますが、国家公務員にしようという私のもともとの考えは、先ほど申しました通りにすれば、教員の身分が安定して地位が保障され、それで教育の機会均等もできますし、水準も上つて行く、これがねらいで国家公務員なつたのです。ところが人事院規則は御承知通り、あれによつて国家公務員は規制されておりますが、しかしこれは政治活動を禁止するために国家公務員にするということになると、私自身としては非常に良心的にいやなんです。こういうことですから、その点は御承知通り人事院規則をおかえになればよろしいし、私もこの前もたびたび申し上げましたのですが、もし政治活動を禁止したいがためにこういうことをするなら、私は何もこんなに苦労をして閣内で人にいやがられながら予算をとるなどということはいたしません。教育公務員特例法に一条加えるとか、もしくは地方公務員法の三十六条を改正するとかすれば、それは予算とか何とかでこんな苦労をせぬでもできるのです。それはまつたく私の意思と違つたことなんです。ただ国家公務員になれば自然にそういう結果が出て来るからということで、世間で非常にやかましく言われるのだろうと思います。
  66. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 今の大臣の御答弁には変なところがあります。御答弁の表へ出て来たところのみならず、大臣の思想に変なところが私はあると思う。そこで国家公務員は政治行為を禁止しでいない、こういうお話でありましたが、それはどういう法律や規則に基いて禁止していないのですか。これは大臣の思想を伺つているのですから、大臣の御答弁を願いたい。
  67. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答えいたします。私はこまかい法律の条文なんかは覚えておりません。しかしながら国家公務員でありましても、やはり基本の人権というものはございますから、それによつてある程度の政治活動はできるのです。ただ国家公務員である場合には、全体の奉仕者であつて一部の奉仕者でないから、その点においていろいろ規制を受けておるわけです。詳しいことは条文で事務当局から御説明いたさせます。
  68. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 事務当局の答弁なんかいりやしません。大臣も御存じだと思うのですが、国家公務員法の百二条に「政治的行為の制限」という言葉がある。そこには「職員は、政党又は政治的目的のために、寄附金その他の利益を求め、若しくは受領し、」云々とあつて、そして「選挙権の行使を除く外、人事院規則で定める政治的行為をしてはならない。」あるいは「公選による公職の候補者となることができない。」また、政治的団体に関係してはならない等々、こういうことが書いてあるわけです。選挙権が認められておる——選挙権を認めるなんということは、これは政治行為というよりも基本的人権であつて、政治なんという言葉をつけるのが変なことである。空気を呼吸しているのと同じことです。民主社会において選挙権が認められないなんということは、これはスターリンの治下へ行くよりしようがない。そうでしよう。民主主義というものを言つている限り、選挙権を認める、これは政治行為とか何とかいう範疇に入るべき言葉じやありませんよ。それ以外のことは大体原則として禁止されているじやありませんか。これを見ても、政治行為は禁止されておるのです。現にここに百二条の条文がある。そういうような重大な制約を受けておるということが大臣の頭にないから、今のような御発言やお考えが出るんじやありませんか。ともかくそういう身分に追いやるということは、相当人権に対する制限が加わるわけです。それが加わるについては、この人事院規則やあるいは国家公務員法をつくつたときにアメリカ人が来まして、人事委員会をつくつたり、人事院をつくつたり、勧告という制度を設けた。それは政府が当然のまなくちやならぬものであつた。ところが片一方はのまない、片一方は強行する、ここに非常にバランスを失した政治が生れておる。ところがそうした根本の思想を誤解されておる。あるいはお気づきにならないでやられるというと、こういう重大な法案が出て来るということになるのです。大臣の御心境をもう一回承りたいと思います。
  69. 岡野清豪

    岡野国務大臣 先ほどからも申し上げました通り、政治活動をどうとかこうとかいうことは、われわれちつとも頭に置いていない。国家公務員にした方が待遇がよくなり、基本教育が十分安心してできるということでいたしているのであつて、われわれとしてはその政治的活動がよかろうが悪かろうが、そんなことは実は知らぬことであつたのです。ただ問題は、世間で国家公務員にするのは、日教組の政治活動を禁止するのが目標だと言つて宣伝せられるから、ただいまのような御質問が私は出るのだろうと思います。
  70. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 それだけの御寛大なお気持があるならば、教育職員については、この政治行為の制限というのをお解きになつたらどうですか。それだけの御寛大なお気持があり、教員に対する思いやりがあるならば、そこまで手・当をしてくださるのが大臣教員に対する役目だと思いますが、いかがでございますか。そこまではまだ情がないのでありますか。
  71. 岡野清豪

    岡野国務大臣 私は政治的の活動というものを目標にして何にも考えておりません。たが一意専心義務教育に従事する教職員の身分を安定してやりたいためにやつたのでありますから、ほかに他意はございません。
  72. 中曽根康弘

    ○中曽根委員 しからばその安定しているか安定していないかという議論は、教員がもらう給料の総額や待遇全体で考えなくちやならぬ。国家が九百二十億を計上したから、それで昨年よりはよくなつたと必ずしも保障し得ない。これは中央と地方で分担しているからである。国家の方が多くなつて地方が減ればだめである。そういう意味で、あなたはただいまも教員の身分を安定させるということをおつしつておりますが、それでは教員の受ける給料や待遇の全体においてどうなるか。奥においてこれこれになり、地方においてこれくになる。これは昭和二十七年はこうである、二十八年はこうである、二十九年はこうである、その数字を示さないで口先だけで言つても、われわれはこれを信用するわけには行きません。ですからその数字を早く示していただきたいと言つているのです。先ほどの資料を要求したものもそのためであります。一番の問題は、平衡交付金教育費に幾ら使われていをやられるにしても、文部省の単なるるかという問題である。これまた大き行政庁の長官としてやられたんでは、な問題である。そのほかにまだあるの根本的に間違つた態度だと思う。政治は、寄付金によるものである。学校給食としての職責を食やその他の問題については、父兄果さなければなちぬと思う。そうすれ会、例のPTAというやつが相当な寄ば、こういう大きな義務教育国庫負付金を背負つているわけである。こう担というような問題を出すときには、いうものを調べるのはむずかしいでしあらゆる面にわたつて大臣としては策ようから、それはよろしいが、そういを練られて、考えを深められて、りつうあらゆる面からこれは考えなくちやぱな案を出さなければならぬと私は思ならぬ問題であつて国家が九百二十う。だからこそ、あなたがそういう考億円背負つたから、それで済むというえを持つておられるからこそ、みな問題ではない。その資料を早く出して、が、ことに日教組の諸君などが、政治いただきたい。そういうふうに言う限活動を弾圧する法案であるという疑惑りは、要をつけて讐なければ、ゑを抱くのは勇りまえである。その点れわれは信用するわけにはいかぬ。
  73. 和田博雄

    和田委員 私は今の岡野文部大臣の発言は非常に重大だと思うのです。なぜなら教員国家公務員にすることは、ただ教員の身分が安定し、生活がよくなることだけを考えて、政治的な問題については自分としては考えていない、それはどうでもいいんだということですが、私はそれは非常に間違いだと思う。なぜなら国家公務員にする、しないの問題は教員自体はやはり一つの日本の社会機構の中で生活しておるのです。そうして教員は今政治活動についているぐの制限をせられておる。そういう現実のもとに生活しておる教員です。そこで岡野さんが文部省という行政官庁の長官としての発言ならば、私は受取れます。しかしいやしくも大臣は、行政庁の長官であると同時に、国務大臣なんです。国務大臣である以上は政治の全般にわたつて考えて行かなければ、たとい文部省一つの政策をやられるにしても、自由党内閣の文部大臣として自由党の政策について何にも考えずに、ただ教員のことだけ考えてなされたということは詭弁である。私はそういう態度は、岡野国務大臣としては、どの党に属しようがとられる態度ではないと思う。そこに根本の間違いがあるのです。ですから、私たちがそういう疑惑を抱いて、これは義務教育というものを中央集権にしてしまつて、政治活動を禁止しようということがほんとうのねらいじやないかという疑惑をますく抱いて来るのです。私はその点については、岡野国務大臣が反省をされまして、やはり政治活動の点については、まじめに考えたのだということでなけ「れば、これはいかぬと私は思います。これは自由党の諸君だつてその点は同感だと思う。今の御発言はこれは非常に失言だと思う。私はそういう御発言はお取消しを願いたいと思います。
  74. 西川貞一

    西川主査 文部大臣、御答弁はありませんか。
  75. 岡野清豪

    岡野国務大臣 お答え申し上げます。それは先ほど来から本会議並びに予算委員会などで申し上げておつた通り、副次的に日教組の今やつている政治活動というものは、私はあまりおもしろくない、こう考えております。そういうことも出て来るということは、あらかじめちやんと検討してかかつている問題でありまして、何ら行政庁長官として考えることでなくて、大きな目からよく案を練つておる次第であります。
  76. 西川貞一

    西川主査 午前の会議はこの程度でとどめまして、午後は一時半から開会いたします。  なお午後は文部省に関する質問を続行いたしますが、都合によりましては、一応厚生省所管予算説明を聞くことにいたします。さよう御了承願いたいと思います。これにて休憩いたします。     午後零時三十二分休憩      ————◇—————     午後一時五十九分開議
  77. 西川貞一

    西川主査 休憩前に引続き会議を開きます。  昭和二十八年度一般会計予算、同特別会計予算厚生省所管を議題といたします。まず政府説明を求めます。
  78. 山縣勝見

    ○山縣国務大臣 昭和二十八年度厚生省所管予定経費要求額の概要につきまして御説明を申し上げたいと存じます。  昭和二十八年度厚生省所管一般会計予算の要求額は、総額六百九十五億八千四百七十九万五千円でありまして、昭和二十七年度予算額七百二十一億七千九百六十七万六千円と比較いたしますると、二十五億九千四百八十八万一千円の減少と相なるのであります。今右予算のうち特に重要なる事項についてその概要の御説明を申し上げたいと存じます。  まず第一は、国民医療の整備改善の施策に伴う経費であります。施策の内容といたしましては、まず社会保険の充実、第二には医療機関の整備、第三には疾病予防対策の強化等であります。  まず第一に社会保険財政の強化確立をはかりますために健康保険その他の社会保険につきまして、前年度に引続きまして保険者の事務費全額国庫負担することにいたしたのでありますが、そのほかに特に国民健康保険につきましては、その健全なる運営助成する目的をもつて、療養給付費の一割五分に相当する金額を、各保険者に対しまして療養給付額、財政力及び保険料の徴収成績等を勘案いたしまして算定交付することといたし、これに必要な経費二十九億六千四十三万余円を計上したのでありますが、そのほかに前年度に引続きまして、今年度におきましても、この国民健康保険におきます赤字保険者に対する再建整備資金の貸付を実施することにいたしまして、これに必要な経費四億六千八百九十万余円を計上したのであります。なおまた今回新たに日雇い労務者に対します健康保険の道を開いたのでありますが、全国で九十万人を越えるといわれております日雇い労務者は、その大部分の者が社会保険の保護を受けておらないのであります。従つて一般労働者に比しまして、はなはだしく脆弱な生活基盤に立つておるのであります。この際何らかの形において健康保険制度をこれらの面に実施いたしまして、もつて生活の安定をはかりますることは、民生安定上きわめて緊要であると考えまして、明年度より日雇い労務者に対する健康保険制度を開始することといたしたのであります。これに伴いまして、その保険事業運営のための必要な事務費、保健施設費及び福祉施設費の全額国庫において負担いたすことにいたしまして、これに必要な経費二億八千六百九十三万余円を計上いたしたのであります。  次に医療機関の整備につきましては従来とも努力をいたして参つたのであります。か、明年度も引続いてその施策の充実をはかりますために、国立において一千床、公立において四千床、法人立において二千床、なおそのほかに社会保険立といたしまして三千床、合計一万床を増床いたしますほか、国立病院のうちより三千五百床を結核療養所に転換いたすことといたしまして、これらの増床の整備に必要な経費十億八千八百七十八万余円を計上いたしたのでありますが、なお結核の療養に関しましては、かねて要望がありましたアフター・ケア、結核回復者に対する後保護施設を明年度より新たに開始することにいたしまして、その設置費補助に必要な経費二千百八十万円を初めて計上いたしたのであります。なお癩につきましても、国立癩療養所に一千床の増床を行うことといたしまして、これに必要な経費一億九千九百八十万円を計上いたしたのであります。なお精神病につきましては、国立二百床、公立一千床、合計一千二百床の増床を行うことといたしまして、これに必要な経費一億八千八十四万余円を計上いたしたのであります。なおそのほかに公立一般病院の建設費を補助するための経費六千万円を計上いたし、なおまた国民健康保険の直営診療所の整備費を補助いたしますために必要な経費四億円を計上いたしたのであります。  なお、かねて公立以外の一般病院、診療所の建物、あるいは設備等に対しまして、金融の道がとざされておつたのでありまして、これらの病院、診療所の整備をはかり、もつて国民医療の完全を期するため、かねて医療金融の道を開くことが要望されておりましたが、長期かつ低利の資金をこれらの面に融通の道を開きますことを政府といたしましても緊要と考えまして、いわゆる医療金融の道を開きたいと考えまして、当初は医療金融金庫というような形において医療金融の道を開きたいと考えておりましたが、国家財政の面その他の点から、とりあえず今回は国民金融公庫あるいは中小企業の金庫、これらを通じまして、新たに五億円のわくを設定いたして、これらの医療金融の道を開きたいと考えております。もちろんこれは、予算上は厚生省予算ではありませんが、国民医療の整備をはかります上において緊要な医療金融の面に対してかような措置をとりましたから、一言申し添えておきます。  国民医療の整備改善のための経費といたしまして次に申し上げたいと考えますのは疾病予防に関する経費であります。結核、癩その他の伝染病の予防につきましては、多年の努力が着々とその効果を収めて参りまして、なかんずく結核のごときは死亡率が半減いたすというような顕著な成果を見るに至りましたことは、まことに喜ばしいことでありますが、なお赤痢のごとく、かえつて近年逆に増加の道をたどつているものもあるのでありまして、これらの伝染病関係に対しましては、政府も万全の措置を講じたいと思いまして、これに関する経費予算に計上いたしたのでありますが、まず結核予防に関しましては、前に述べました増床分を含めまして所要経費百二十七億七千九百六十九万余円を計上いたしたのであります。なおまた癩予防につきましては、これまた前に述べました増床分を含めまして所要経費十六億七千五百六十三万余円を計上いたしたのであります。その他の伝染病の予防につきましても、それぞれ所要額を計上いたしました。  なおわが国の死因の順位から申しましても、第二位を占めまして、その治療の方策の確立が最も要望されておるものの一つといたしまして、がんの治療がありますが、このがんの研究を推進いたしまするために、財団法人癌研究会附属研究所の戦災建物の再建を促進することとし、その補助に必要な経費五百万円を計上いたしております。  なおまた伝染病予防の第一線実施機関であります保健所でありますが、この保健所の整備は、いわゆる日本の国民医療の充実整備の点から申しまして、第一線機関として最も重要でありまするので、かねてこの保健所の整備に対しましては、政府は最善の努力を払つて参りましたが、本年度におきましては、C級保健所二十箇所の新設、なおC級からA級への格上げ十箇所、これらの整備拡充に要しまする経費、その他各種施設の整備充実に要しまする経費に対する補助予算に計上いたしまして、合計十五億七千十六万余円を計上いたしております。なおこれらの国民保健の見地から申しましても、最も重要な基盤となりますのは、この伝染病予防対策でありますが、しかもその伝染病予防対策の基盤となります上下水道の整備、これはきわめて緊要でありますので、本年度におきましても、上下水道あるいは簡易水道に対して所要の経費予算を計上いたしております。ことにつけ加えたいと考えますのは、公衆衛生の見地から最も重要な面であります清掃施設に対しまして、本年度初めてこれに対しまする補助経費を計上いたしたのであります。これらを合計いたしまして、十一億二百九十万余円を計上いたしております。これらは国民医療の整備改善をはかるための経費であります。  第二には母子福祉対策であります。この母子福祉対策に対しましては、政府といたしましても、かねて重要施策の一つといたしまして重点的にその施設の充実改善を期して参りましたが、明年度におきましてはさらにこれらに対する施策を拡充いたしまして、保育所百三十五箇所、母子寮は七十七箇所の新設並びに既存施設の拡充の費用を補助するための経費といたしまして、四億六千十九万円を計上いたしたのであります。なお前国会において両院を通過いたしまして制定されました母子福祉資金の貸付等に関する法律に基きまして、都道府県が母子家庭に対しまして生業資金、教育資金その他の貸付けを行いまする場合、その二分の一額を、貸付けを行つた都道府県に対して国よりの貸付けすることとし、これに要しまする経費といたしまして七億四千七百六十三万余円を計上いたしております。なおこれらの生業資金等の貸付のほかに、母子家庭の身上相談に応じまして、これらの母子家庭の自立に必要な指導を行いますために、母子相談員を設置するための経費補助額といたしまして、四千九百九十一万余円を計上いたしております。  第三は、戦傷病者、戦没者遺家族及び未帰還者留守家族の援護の強化に必要な経費であります。今回軍人恩給が復活されるに伴いまして、従来の戦傷病者戦没者遺家族等援護法の対象者の大部分が、新たに恩給法によつて措置されることに相なつたのであります。従つて従来の援護法の対象となりまするものは、恩給法の対象となる者を除いたごく一部の者が残るのでありまするが、しかしそのほかに、従来多年問題となつておりまして、措置ができませんでしたC船員、いわゆる船舶運営会の登記船員に対する援護の道を新たに開きまして、今回この援護の対象といたしたのであります。なおこのほかに、障害年金あるいは遺族年金等の額につきましても、恩給の復活に伴い、これらと調整をとりまして引上げたのであります。これらに必要な経費二十八億四千二百三十七万余円を計上いたしたのであります。これは本年度予算よりさらに百四十四億円を減少いたしたことに相なるのであります。これは大部分の者が軍人恩給の対象と相なりまするから、当然のことであります。なお未帰還者留守家族の援護についてでありますが、ソ連あるいは中共地区にありまして、いまだに帰らざる人々、あるいわまたそれらの留守家族のうちで、現在援護の対象となつておりまするのは、未復員者給与法、及び特別未帰還者給与法に基く特別の者に限られておるのでありまするが、すでに終戦後八、九年を経ました現在におきましては、留守家族を援護するという見地から申しますれば、従来の未復員者給与法、あるいは特別未帰還者給与法の対象となつておる者のみに限るということは妥当でないと思うのであります。従つて今回未復員者給与法あるいは特別未帰還者給与法等を廃止いたしまして、新たに未帰還者留守家族等援護法を制定いたしまして、いわゆる一般法人で従来援護の対象となつておりません者も含めて、またこれらに対しまする援護の額も、軍人恩給と調整をとりまして引上げをいたしたのであります。これに必要な経費二十億九千七百六十二万余円を計上いたしております。  なおこの機会に申し上げたいと思いますることは、ただいま国民をあげての待望の、いわゆる中共地区よりの邦人の帰還の問題でありまするが、これに対しましてはこの予算を編成いたしました際におきまして、一応本年度中には四千人が帰還をいたす、明年度において中共地区より残りの二万六千人、さらにその他の地区より一千人、合計二万七千人の帰還を予想いたしまして、これに必要な援護の措置を講ずるものとしての予算を計上いたして参つたのであります。たとえば住宅でありまするとか、あるいはその他の経費地方公共団体において、引揚者住宅あるいは一時収容所等を設けまするための経費補助、これらを合せまして六億六千十三万余円を計上いたしておるのでありまするが、御承知のようにその後中共よりの帰還は、日々連絡をとつておりまする通り、それによつて大体本年度中に、あるいは四千人を超過した帰還を見るやもはかり得ません。なおまたこの帰還について、配船その他船内の手配等に多少事務的に変更を来す点もありまするので、あるいはこの予算に多少の変更があるかもしれませんが、これらは予算の範囲内、その他予備金、あるいは流用等において、大体予算の補正等を伴わずして、これらの援護ができるものと考えております。  第四は、生活保護及び児童保護に必要な経費であります。生活保護に関しましては、地方公共団体が生活困窮者の保護のために支弁いたしまする経費に対する補助、及び地方公共団体の経営いたしまする保護施設の整備に対し、補助するために必要な経費、二百四十四億一千八百六十三万余円を計上いたしております。扶助の種類は従来と同様、生活扶助、住宅扶助、あるいは医療扶助等七種類でありまするが、それぞれ扶助の基準引上げたのであります。  なお児童保護に関する経費といたしましては、その他にいわゆる児童措置費、すなわち児童福祉施設に収容いたしましたり、あるいはまた里親に委託いたしておりまする孤児、浮浪児等の生活を保障するに必要な経費について御承知通り、従来は地方財政平衡交付金制度によつてその中に編入されておりましたが、本年度、すなわち昭和二十八年度よりは、児童福祉法に基きまする補助金として復活することに相なりましたので、新たにこれに必要な経費四十三億五千八百三十三万余円を計上いたしております。なお先ほど述べました母子寮、保育所等を初めといたしまして、各種の児童福祉施設の整備に対して、これの補助に必要な経費六億七千万円を計上いたしておりまするが、この児童福祉施設の整備費と前の児童措置費を合せまして、五十三億七千八百三十六万円を計上いたしております。  次に第五は、地方改善事業に必要な経費であります。いわゆる部落問題につきましては、政府はつとに同和対策といたしまして、万全の考慮を払つて参つたのでありまするが、終戦後におきましてはこれを一般行政に吸収をいたして、個々にその改善をはかつて参つたのであります。しかし今日におきましても、なお相当数の人々が、いまだに社会的にも経済的にも、一般の人人よりも遅れた生活を営んでおられる面もあり、単に保健衛生でありまするとか、あるいは社会福祉の面のみでなく、広く住宅、教育、労働、産業の各面にわたつて、国の何らかの施策を必要とするのではないかという声もあり、また政府もさように考えまするので、今回新たに関係機関の連絡協議のために必要な経費、及び部落の実態を把握いたしまするための、いわゆる実態調査のために必要な経費、また部落の生活改善のための総合福祉施設といたしまして、たとえば隣保館を設置いたしまするための経費等を合せまして、一千二百四十七万円を計上いたしてあるのであります。  次に第六は、人口政策に関する調査、審議に必要な経費を計上いたしたのでありますが、人口問題は、わが国といたしましてもきわめて重要な基本的な問題でありますので、従つてわが国といたしまして、この基本的な重要な人口問題を調査研究いたしまして、そうして国家といたしてこれに対する適切な施策をできるだけ早く講じ得ますような基本的な調査をまずもつていたし、そのために、かねて内閣に人口問題審議会がございましたが、その後廃止されておりますので、新たに政府において人口問題に関する調査審議会を持ちたいというので、これに関する経費を計上いたしたのであります。詳細はただいま省略いたしますが、広く各界の学識経験者等をもつて、この人口問題に関する基本的な方策に必要な調査あるいは審議、これらをしていただきたいと存じております。これに必要な経費八十一万余円を計上いたしております。なおそのほかに人口問題研究所というものがありますが、これをしてさらに引続いてこの問題の研究に当らしめたいと考えまして、それに必要な経費一千六百九十一万余円を別途に計上いたしております。  以上厚生省所管昭和二十八年度一般会計予算の中の重要な施策の若干について、御説明を申し上げたのでありますが、このほか保健衛生あるいは社会福祉等の各費目に関しましても必要な経費を前年度に引続きまして計上いたしております。  次に厚生省所管の特別会計の大要について申し上げます。  まず第一は、厚生保険特別会計でありまするが、明年度におきましては適用範囲の拡大あるいは標準報酬の引上げ、あるいは療養給付期間の延長、それらの措置を講じたいと考えておるのであります。なおそのほかに先ほど述べました日雇い労務者に対する健康保険の制度を新たに開始したい、こういうふうに考えまして、これに要する経費といたしまして、健康保険勘定におきまして、歳入歳出とも三百五十三億五千三百四万六千円を計上いたしております。なお新たに設けまする日雇健康勘定におきましては、歳入歳出とも十九億二百四十二万四千円を計上いたしております。なお年金勘定におきましては、歳入が二百八十八億六千九百三十万五千円、歳出が五十八億四千九百七十九万円であります。また業務勘定におきましては歳入歳出とも三十八億一千四百八十万七千円と相なつております。  次に船員保険特別会計でありまするが、歳入が三十四億四千九百三十万五千円、歳出が二十八億三千五百六十二万九千円と相なつております。  第三は、国立病院特別会計でありますが、明年度におきましては国立病院七十三箇所を経営する予定でありまして、これに必要な経費は歳入歳出とも五十八億五千八百七十七万円と相なつております。  以上昭和二十八年度厚生省所管一般会計及び特別会計の予算について概略御説明を申し上げたのでありまするが、何とぞ本予算案の成立につきましては、格別の御尽力をお願いいたしたいと思います。
  79. 西川貞一

    西川主査 これより午前中に引続きまして、文部省所管について質疑を継続いたしますとともに、厚生省関係についての質疑も並行して入りたいと思います。  永山君より資料の要求等の御発言がございますので、これを許します。
  80. 永山忠則

    永山委員 制限された時間的な関係もありますので、委員長から一人であまりやられても困るというお言葉がございますから、私は質問を留保いたしまして、皆さんの情勢に応じまして、後ほど御発言をお許し願うことを期待いたし、文部省関係で、先刻申しました資料をぜひひとつ御提出を願いたいということを委員長からお伝えを願いたい。その資料というのは、現在日教組が義務教育学校職員法に対して反対をいたしておる。そして各所に解誤に基いた反対ビラが出されておるのみならず、子供を通じてそのビラを家庭へ持つて帰らせ、PTAで判をとつておるといつたようなことが言われておるのでありますが、そういうような事実の状態がわかれば、それらの状態並びに誤解に基くビラに対して、文部省は了解を得べく努力をいたしておると言つておるのでありますが、どういう点について、どういう文書をもつてどうやつておるかというような点を、先刻申しましたがはつきりしておりませんので、それらの資料を要求いたします。さらに資料といたしまして、定員定額関係がありますが、専従職員がどれだけおるか、すなわち日教組の中で、身分は先生であるが給料は組合から出ておるやみ専従職員が相当あるようなことが言われておりますが、そういうことはないだろうと思いますけれども、専従職員と定員関係がどういうふうになつておるかというような関係資料をひとつ委員長から出していただくようにお願いしまして、私は一応発言を留保いたします。
  81. 西川貞一

    西川主査 了承いたしました。  審議の便宜上厚生大臣に対する質問をしていただきたいと存じます。
  82. 和田博雄

    和田委員 ちよつと議事進行について……。厚生大臣に質問するのはかまいませんが、まだ質疑が残つた場合、来ていただいて大臣に応じてもらわなければ困るのであつて、今質問するから、これで厚生大臣に対する質問が終りだということにはならないようにお願いいたしたいと思います。
  83. 西川貞一

    西川主査 そういうことはないようにいたします。時間の許す限り十分に質疑していただきたいと思います。原君
  84. 原健三郎

    ○原(健)委員 この予算を見ますと、人口問題審議会というのを今度新たに設置して、八十一万円を計上しておるのですが、前から人口問題研究所というものが厚生省にあつて、一千六百九十一万円余りを計上いたしておるのでありまして、これはどうも同じようなものを二つこしらえて——もちろん若干違うのでございましようが、今までの人口問題研究所も大して仕事もしていないし、それにまたぞろ人口問題審議会——厚生省に言わせれば、多少違うということは言うでしようが、こういうものを二つこしらえる必要が一体どこにあるか、これからお聞きいたしたいのであります。
  85. 山縣勝見

    ○山縣国務大臣 ただいま研究所と審議会と同じようなものを二つつくつておるというお話でありますが、研究所はどつちかと申しますと、常時学術的にも科学的にもいろいろ研究いたしておる、いわゆる研究所であります。審議会の方はこれはむしろ専従といいますか、専属のいわゆる研究員がやるということにあらずして、広く学界の学識経験者の博識をその審議会を通じて求めて、そこに基本的な人口問題に対する線を出していただいて、その線に基いてあるのは研究所においてさらにもつと科学的に研究するということに相なりますので、あえて重複はいたさぬと思います。これらにつきましては今後審議会の運営あるいは研究所の運営にあたつて万全を期して行きたいと考えます。
  86. 原健三郎

    ○原(健)委員 政府は行政簡素化を一枚看板として叫んでおるときでありますのに、審議会などというものがやたらにはやつておる。あちらにもこちらにもたくさんこしらえておるのでありますが、人口問題研究所があるのだから、その中において今申したような学識経験者を集めて意見を徴するだけのことであるならば少しもさしつかえがない。今おつしやつたように若干性質は違うでしようが、同じ人口問題の解決に当るのであるから、こういうものは一つにした方が行政整理の建前からいつてもけつこうであると私どもは考えるのであります。それでこの人口問題の解決については、この前予算委員会において各委員によつて質疑されました。しかしながらどうも厚生大臣その他政府の答弁によりましても、日本の人口問題を抜本塞源的に解決する策はほとんどございませんでした。そこで私はここでお聞きいたしたいのでありますが、人口をこのまま野放しに増加さすつもりであるのか。またこれに向つて若干かあるいはきわめて積極的か、ある程度の人口調節をやる方針であるのか、一体どちらの方針をおとりになるつもりであるか、これを一応お聞きしておきたいと思います。
  87. 山縣勝見

    ○山縣国務大臣 この問題については、先般の予算委員会における御質問にも私は一応答えましたので、重複は避けたいと考えますが、最近の人口問題で基本的に考慮される点は、出生率が戦前たしか千分の三十四でありましたものが、昭和二十六年度には千分の二十四くらいに減つて来ておる。これはいろいろ原因がありますが、時間がございませんから申し上げません。しかしながら野放しにいたしておきますと、狭い国土であり、また貧弱な資源でありますから、ことにこの間も申し上げたと考えまするが、大体百三十五万人くらいふえて行つて、生産年齢のものが九十万人もふえて来ると、これはたいへんなことである。厚生省として考えておりまするのは、それらの面とともに、いわゆる逆淘汰を来しては、ほんとうの優生保護の見地から見てもいろいろ問題がありますので、この人口問題の点は、厚生省としては、主として優生保護という見地あるいは受胎調節という見地から、いわゆる人口の調節という点を考えております。先般の予算委員会でも詳細申し上げた通りでありますが、どうしても基本的には日本の産業構造の中にできるだけ吸収して行くということを考え、一面においては、優生保護の見地からも、あるいは人口の吸収という面からも考えて行かなければならぬ。また一面においては、食糧対策という見地から考えて行かなければならぬ。そういうような施策は厚生省だけでよくなし得るところではないので、総合的にこの人口問題を考えて行こう。もちろん人口問題は数を減らして行けばいいというだけではなくて、内容も考えて行かなければならぬ。そういうことを総合的に考えて行きたいと思つております。ここでは詳細に申し上げる時間がありませんが、そういうような基本的な線を誤りなきを期したいという意味で、審議会を設けてやつて行きたい、かように考えております。
  88. 原健三郎

    ○原(健)委員 ここでもう一つ聞きたいのは、これは食糧問題あるいは産業の問題その他万般お考えのはずだと思うから、それを考えた結論として、野放しにやるのか、あるいは受胎調節をやるならどの程度にやるのか、積極的にこれをやるのであるか、その点、結論だけ聞いておきたい。
  89. 山縣勝見

    ○山縣国務大臣 結論を申し上げます。厚生省のなし得る範囲におきましては、受胎調節に対しては、かねて御承知通り都道府県あるいは関係の市とも連絡をとつて積極的に指導しております。
  90. 和田博雄

    和田委員 今の人口審議会の点について関連して御質問いたしたいのです。今大臣のおつしやることを聞いておると、人口政策の基本を打立てるために人口問題の審議会を設けるが、その解決策というものは、ただ単に厚生省関係だけではなしに、全般の産業との関連もあるという御意見のようですが、私もそうだろうと思うのです。それであればこそ、むしろ厚生省にそういう審議会を置くことはおかしいんじやないかと思うのです。人口問題の解決ということをほんとうに考えての審議会をお置きになるならば、これはむしろ総理府、内閣に置かれるのが筋じやないかと思う。おそらく人口問題についての解決、人口政策というものは、一厚生省のよくするところではないのであつて、内閣全体としてその基本方針を立て、これを実行して行くというのでなければ、私は筋が通らぬと思う。もしもこれをやるのならば、これはもつと大きくとらえられて、総理府なりあるいはそういうところに置くのが筋ではないかと思うのです。そこで疑問になつて来るのは、今原君も触れたように、人口問題の研究所が厚生省にあるわけなんです。この研究所は長い間人口問題については研究をされて来ており、多少の報告書も出ているだろうと思うのでありますが、それと同時に、日本の人口問題は、この研究所の設立以来ずつと続けておつた問題であつて、これについての調査研究ということは、人口問題研究所の方でも相当進行しているはずであるし、またこういう官庁に設けられている研究所は、ただ学問的にそれを研究するというだけにとどまるのではなくして、その成果を行政の上に、あるいは政策の上に反映して行く。その基礎を提供するというような点で重要な使命を持つているのでありまして、今大臣の言われるくらいの審議会であるならば、私はむしろ過去における人口問題調査研究所の成果を、厚生省の方として人口問題についての政策を立てる上の基礎として、政策自体を出されるくらいの段階に、とうの昔に来ているのではないかとさえ思われるのであります。従つて厚生省自体にこの審議会を置いたということは、一体どういう観点から置いたのか。今大臣の言われたような点から置かれるならば、私はこれを置くことは間違つていると思うのですが、いかがですか。
  91. 山縣勝見

    ○山縣国務大臣 人口問題は、先ほど私が申し上げました通り、単に厚生省所管の事務を審議するものではなくして、これは各般のデータから考えなくてはならぬ問題であり、また内閣としてというよりも、国全体としての問題でありまして、これは和田先生のおつ上やる通りであります。ただ人口問題に関しましては、一応厚生省所管事項になつているので、この審議会を置きまするときに、厚生省所管として置いたのでありますが、これは一つの行政機構に関する問題で、人口問題に関する基本的な考え和田先生と同断でありますから、今後運用にあたつては、さような見地でやつて行きたい。もちろんこれは、先般来予算委員会でしばしば問題になつて質問を受けまするが、たとえば食生活の改善とか、あるいは日本の食糧の問題等に関しましては、農林省と厚生省が同時に関係がある問題である。ことにこの人口問題のごときはそういうような面が非常に多いのでありますから、その運用にあたつてはそういうようにいたしたい。しかし一応人口問題に対する所管が、従来の行政機構において厚生省所管になつている。しからば行政機構をかえたらいいじやないかというお話がありまするが、これはまた別問題であります。一応便宜的のことでさようになつているのであります。
  92. 西川貞一

    西川主査 この際御了承を得ておきたいと思います。本会議が開会されましたならば、本分科会を暫時休憩いたしまして、本会議に出席するようにいたしたいと思います。さよう御了承願います。
  93. 原健三郎

    ○原(健)委員 厚生大臣は今各府県と連絡して受胎調節をやつているというそれが、結局人口問題解決の厚生省としてのやり方らしいのでありますが、私の考えでは、そういうことではもう間にも合わないし、今のような産業の実情、食糧の実情では、とうてい人口の増加に追いつかないと考えるのであります。この際もつと積極的に人口調節に乗り出して、たとえば人口調節の思想を普及することも一つでありましよう。今はどこでもそうですが、人口を調節しなくてもいいような人が人口調節をやつて、実際しなければならぬ人が、そういうやり方を知らないとかいうようなことで、たくさん子供を持つてつている。いわゆる貧乏人の子だくさんの実情を露呈しているのであります。従つてそういうことをもつと宣伝し、費用のかかる場合には、政府はこれに対して費用を持つてやる、機械器具がいるならば、それを無償で貸す、あるいは簡単なものならばこれを配付してやる、そのくらいきわめて積極的に人口調節をやる考えがあるかないか。私の考えでは、今のような受胎調節では府県と連絡してやつているようなことではまつたく問題にならぬと思う。そういうところまでやつてやる方が優生学上もいいし、私はそれを主張するものであるが、今後そういうことをやられる考えがあるかないか、それをお聞きしたいのであります。
  94. 山縣勝見

    ○山縣国務大臣 原先生のお尋ねというかそのかねての御意見承知いたしているのであります。要するに受胎調節に関してもつと国費を出して徹底的に普及させてやつたらどうかという御所見のように拝聴いたしますが、その点に関しましては先般予算委員会で一応お答え申し上げた通りであります。結論といたしましては同様の御質問に対して同様の御答弁を、予算委員会で申し上げましたが、なお詳細な点を関係政府委員から御答弁申し上げます。
  95. 原健三郎

    ○原(健)委員 来年度具体的にやる考えがあるかないか。
  96. 山口正義

    ○山口(正)政府委員 受胎調節に関します予算といたしましては、昭和二十七年度には約二千二百万円計上してやつております。二十八年度には三千九百万円余を計上しているわけでありますが、これのおもな内訳は全国に七百五十二箇所の優生保護相談所を設置する。そうしてそれに対する施設整備補助、その事業費の補助費ということを考えているのであります。施設整備の方はすでに昭和二十七年度において三百二十九箇所国庫補助を出して整備しておりますので、昭和二十八年度においてはその残りの四百二十三箇所だけでありますが、事業費の方は全国七百五十二箇所分の事業費の補助を計上しているのであります。施設整備の方は一箇所約五万五千円、それの二分の一補助であります。それから事業費の方は一箇所約十一万円で、それの三分の一補助ということになつているのであります。  たださらに先ほどお話が出ました受胎調節を普及して行きますのに逆効果を来さないように、貧困者に対して器具の無料配付をやつたらどうかという御意見がしばしば出るのでございますが、これは二十八年度予算では計上しておりません。将来の問題といたしまして、とりあえず貧困者に対して重点的に無料相談に応じるというようなことをやつて行きたいと思つておりますが、器具の無料配付というような問題に関しましては、将来の問題として平衡交付金の中に算定するか、あるいは生活保護法で行くかというようなことを研究して行きたいと思つております。
  97. 和田博雄

    和田委員 ちよつと今の問題に関連して、これは大臣からお答えくださらなくとも、いのです。政府委員の方に聞いておきたいのですが、人口問題研究所で今どういう問題を重点に置いて研究しておられますか。そのテーマがわかつておられたらおつしやつていただきたいと思うのです。というのは、人口問題の研究は、世界各国が非常に進んで来ているのであつて、日本としては今どういうものを中心にして研究しているかということが、人口問題に対して今後政府がどういう施策をとられるかというようないとについて、やはり非常に重要な関係にありますし、人口問題そのものを基礎的に解決する熱意が一体どの程度あるのかといつたようなことも自然にわかつて来るのであつて、一体どういふ問題を今中心にして研究されているか。研究所の方がおられたら、政府委員の方でもいいですから、ちよつと御報告願つておきたいと思います。
  98. 小山長規

    ○小山説明員 人口問題研究所の者がおりませんので、便宜私がお答えいたします。人口問題の研究所は、一般的に申し上げますと、日本の人口の現在の動態を研究しているわけでありますが、ただいまのお尋ねの問題として今最も力を入れておりますのが、日本の人口の現在のいろいろな条件に対する適応過程とでも申しましようか、そういつた問題を研究しております。それで先ほどからのお話では主として人口と資源と申しますか、最も基本的な問題ではありますけれども、ある意味で端緒的な問題だけが問題にされているわけでございますが、むしろ現在の日本の人口問題の重点は、そういつた問題に加えまして、もう一つもつと社会的な問題とでも申しますか、そういう問題が重なり合つているわけでございます。そういつた過剰人口が現在の日本の状況でどういうふうに適応しているか。たとえば和田先生の御専門の範囲で申しますと、農村の過剰人口ということが申されておりますが、今までの研究の結果では、大体において農村の過剰人口というのは、むしろ農村の、過剰人口がまた過剰人口を再生産しているという結論を出さざるを得ないような実態を示しているというような結論になつておりますけれども、そういうような意味合いにおきまして日本の人口の適応過程の研究、それからもう一つは基本的な問題といたしまして、日本の現在の人口に見合うような産業構造はどういうものでなければならないかというようなことを現在研究しております。大体今申し上げました二つの問題を中心にいたしまして、幾つかの小さなテーマにわけまして研究しているという現状でございます。
  99. 和田博雄

    和田委員 私もそういう動的な現実的なものでなければならないと思つておつたんですが、もちろん人口問題を非常に抽象的な立場に立つての研究はしておられないだろうという予測で質問したわけでありますが、そうなつて来るとますます産業構造の問題あるいは世界経済との関連の問題、いろいろな問題がそこに出て来るわけでありまして、そうなつて来れば来るほど、私はしつこいようですが、大臣に、人口問題審議会というものは、やはり大きくほんとうに人口問題を解決しよとういう案を立てられるつもりならば、これはむしろ吉田総理に聞いた方がいいと思いますが、内閣として取上げられないと、これこそほんとうに羊頭を掲げて狗肉を売ると言われてもしようがないようなものになつてしまうのでありまして、わずかな八十一万ですかの金であればあるだけに、これは行政整理という点は別にしても、純粋に政策を立てて行つて、政治を大きく動かして行くという立場に立つて議論をしても、この経費は私はやはり厚生省の中に置かれることは非常にマイナスだと思いますが、これは議論になりますからその点はやめますが、ひとつ政府の方で再考すべきものじやないかと思う点だけを言つておきまして、質問はあとに譲ります。
  100. 日高忠男

    日高委員 人口問題は日本の重大なる問題でございまして、厚生省当局におきましても受胎調節の面ではずいぶん努力せられているということは重々承知しているわけでございますが、この際私は結婚年齢の引上げということを提唱したいわけでございます。日本では少し結婚期が早過ぎると思うのでありまして、少くとも人間の身体が完全に成長いたしますのは二十歳以上だと考えるのでございますが、十代時代に結婚をしますとやはりまだ身体が完備しておりませんからして、生れた子が弱いとかあるいは質が悪いというようなことになつて来るのでございまして、優生的立場から言いましても、やはり相当の年齢になつてから結婚するのが適当だと考えますので、この際一定の結婚年齢というものを引上げる、十代においては結婚は許さないというような主義で行つたならば、これが一つの人口問題の調節、助けになると考える次第でございますが、現在そういうことはお考えになつておりませんか。また厚生省では日本の平均結婚年齢というものはどのくらいになつているかという調べがございましたらお知らせ願いたいに思います。
  101. 山縣勝見

    ○山縣国務大臣 ただいまのお説はお説として拝承いたしておきます。しかし従来生理的に見て、大体満で申して女十六、男十八で一応成人いたし、生理的に結婚できるようになつておるように思います。ただこの結婚については、あるいは先ほど申した受胎調節とかあるいはまた産児制限とか、あるい人は口問題の点から見ますと、社会的の関係がございますから、必ずしも生理的の見地というものからのみは申せぬかもしれませんが、ただいまのお説は一応お説として拝承いたします。生理的に申せば、必ずしも結婚適齢ではないとは言い得ないと思います。しかし今のお説は、人口問題と関連して社会的の見地からそういうふうにしたらどうかというお説だと思います。それはお説として拝承いたします。
  102. 川島金次

    川島(金)委員 議事進行についてちよつと。  私も実はこの分科会でいろいろ御質問を申し上げたいことが山積をしておるのですが、今までの私のわずかな分科会の経験によりますと、与党側の人たちの審議権というものを別に停止するわけではございませんが、できるだけ野党の側の発言を許し、その間にむしろ逆に与党側のが方関連質問などをして進めて行く、とういつたことが今まで大体のあらましであつた。先ほどから私ずつと聞いておりますと、与党側の方がまず発言して、それに野党側が関連質問をやる。しかもその上に分科会はきようとあす限りと原則としてはきめられておる。しかも野党側としてはまだ四人の委員が各省ごとにそれぞれ質問が用意されております。そうすると、まだ文部の関係も野党は十分に尽しておらない。さらに文部関係から出直つて、野党の委員の方から質疑を続行いたすということになりますと、四人の野党側の委員だけでも、一省についてかりに一時間ずつしても四時間、四省とすれば十六時間を必要とする、そういう事態でありまするから、与党側の委員諸君が政治的に考慮されるなら別でございますが、そうでなく、与党側の審議も野党と同様に十分やつて行きたいというならば、この際ひとつこの分科会の決議として、その審議の状況によつて分科会の期間を延長するくらいの心構えが委員の中にはもちろん、主査の側においてないと、十分なる質疑が、ことに野党側のわれわれの立場において質疑が尽せないという実情に当面するのではないかと思うのですが、そういうことについて……。既定の方針から言えば、あした一日、しかもただいまから本会議があるとすれば、これまた本会議に出て委員会はその間暫時休憩する、こういつた事態も出て来ますと、分科会運営が時間的になかなか容易でないと思うのですが、その点は主査においてはどのように今後配慮されて、この分科会を円満に終了せしめる方針を持つておられるか、その点についてこの機会に話し合つておく必要があるのじやないかと思うのですが、いかがでございましよう。
  103. 永山忠則

    永山委員 元来発言の数並びに時間は各会派の総数に比例して按分されて来たのがわれわれのこれまでの慣例でありましたが、ただいま川島委員からのようなお考えもあるかと考えまして、特にわれわれの方は時間的制約もありますので、自粛をいたす考えで進んでおるのでありまして、文部関係においては野党の人がおいでにならなかつたので、私が発言をいたしました。その間高度に関連質問をしていただき、本来ならば、私の論旨をもつと進めたかつた点もあつたのですが、できるだけ野党側の御意見を述べていただきたいという意味において、私は関連質問をむしろ歓迎いたすような行き方をいたしたのであります。ただいまも厚生問題に関しましては私特に取組んで話さなければならない重大な問題もあると思つたのですが、委員長からできるだけ野党の方の発言を中心にやりたいと思うから、君の方は留保してもらいたいということで、私は留保いたしましたようなことで、われわれの方においても川島さんのような観点を考慮しながら議事を進めいれるように思つておるのでありまして、一応私の発言にも関連いたしましたので、釈明なり事情を申し上げておきます。
  104. 西川貞一

    西川主査 この際私からも一言釈明申し上げておきたいと思うのであります。全体の審議の時間につきましては、各委員の方々の御満足を十分に得ことるができないような結果に相なりますことは、はなはだ遺憾でありますけれども、この分科会のみの立場では決しがたいことでございまして、許されたる時間の範囲内におきましてはできる限り野党の委員の方々に質問していただきたいという意向については、川島さんの御発言の通りに私も考えております。またそれが今までそういう形にならなかつた事情は、ただいま永山委員から仰せられた通りでございますから、どうか御了承いただきたいと思います。  小島君に発言を願います。
  105. 小島徹三

    小島委員 厚生省の方でなくともかまわないのですが、ちよつとお聞きしたいのです。最近遺族年金をもらうために、生活保護法の扶助を打ち切られてしまつて困るという陳情がよく来るんです。これは去年から問題になつておるのか知りませんが、どういうわけでそういうことになつておる人でしようか。その点をお聞きしたいんです。
  106. 安田巖

    ○安田政府委員 お答え申し上げます。遺族年金をもらいますと、すぐ生活保護が打切りになるわけではないのでありますけれども、生活保護法は、御承知通り、自分で持つておりますいろいろの生活手段というものを全部使つてみて足りないところを補うという建前でございますので、そこで年金が入りましたために、その人の生活に余裕ができて来るというような場合に、その差額を差引く、こういうことが出て来るわけであります。たまたま一部の生活扶助を受けておられたような方々につきましては、従来扶助を受けておつた者が年金をいただくために打ちやめになるということもあるかと存じます。
  107. 小島徹三

    小島委員 それでは遺族年金というものは生活のできる人にはくれないということになつておるのでしようか。
  108. 安田巖

    ○安田政府委員 遺族年金は生活のできるとかできないということとは無関係でございます。
  109. 小島徹三

    小島委員 そう私も了解しているんですが、そうだとすれば、生活保護法の扶助を受けなければならないというような人で、遺族年金をもらつている人はそうたくさんあるわけはないのでありまして、私はこの点遺族年金をもらえば生活がそれだけ楽になるのだから、それだけ生活保護法に基く扶助金を減らしてしまうというようなそういう残酷な措置をとらないで、遺族年金の本質から考えてみても、生活できる人にも遺族年金を出すのだということでありますれば、生活保護法の扶助と遺族年金とを全然別個に考えて、遺族年金というものは本来の性質としては、私はもちろん遺族が楽に食えるようにという意味でくれるものだとは思いますけれども、しかしやはりこれはかつて国のために働いた人が、おそらく自分の家族が幸福に暮らすということを念願しておつたであろうということのために、その人の功労に対してその遺族がもらうものであろうと私は思うものであります。本来どう考えてみても、生活保護法による扶助料と遺族年金は性質が違うと思う。そしてかりに遺族年金をもらつた人でも、生活保護法に基く扶助をしてやるということが親心ではないだろうかと私は思うのですが、厚生省ではそこまでの親切心がないのだろうか。あくまで遺族年金をもらう人でも、生活保護法の従来の扶助料は引続いてやるように努力せられたかどうか、また今後努力する意思があるかどうか、お伺いいたしたいと思います。
  110. 安田巖

    ○安田政府委員 生活保護法の建前は、生活できない人に、原因のいかんを問わないで、無差別平等に一定の生活できる程度の扶助をするという建前になつております。従いまして甲の人、乙の人ということで原因のいかんをいろいろ区別いたしまして、差別した給付をするということになりますと、根本的に生活保護法の建前がくずれるわけであります。しかし私どもも、せつかく生活扶助を受けておられるような方で遺族年金なりあるいは弔慰金なんかを受けられる方は、実情といたしましては非常にお気の毒だと存じておりますので、なるべくそういう原則と今小島委員の申されたような実情と調和させたいということで、実は今努力しておるのであります。従いまして、私どもとしては、たとえば弔慰金のようなものは差引の中に入れないように、あるいはまた遺族の大部分が未亡人家庭であるというようなこともありますので、未亡人が子供を持つておられるためによけいに労力がいるというようなことを考えて、五百円ばかりたくさん見るとか、いろいろなことを考えまして、その間の調節をはかつておるわけであります。しかし収入がありますものを、全部これは別のものだというふうにして生活扶助の方の差引関係に入れないということは、今の法律の建前から申しますとできないことになつております。
  111. 小島徹三

    小島委員 今の法律の建前としてはできないといたしましても、私は法律をかえても、あるいはまた名称をかえてでも何でもかまわないから——生活保護法の扶助を受けなければならぬという人は、遺族年金が来るために、多少でも文化的な生活ができるようになるのです。それだけの生活の余裕を与えてやるということは、私は遺族年金というものの本来の性質からいつてさしつかえないのじやないかと思う。だから生活保護法の扶助を受ける人でも、遺族年金を受けた場合にこれを減らすというような残酷なことをしないで、法律を改正しても、あるいは弔慰金という名前ならばそれでいいのだということでありますれば、何らか別の形をとつてでも、遺族年金をもらう人に対しても従来の生活保護法に基く扶助料を出してやるようにするという意思は大臣にはないでしようか。
  112. 山縣勝見

    ○山縣国務大臣 ただいまの小島先生のお考えは、われわれも一応さように考えるのでありますけれども、ただわれわれは法律に基いて行政をいたしておりますので、ただいま局長が申しましたようなことになります。但し、小島先生の言われるのは、今後そういうことでなくして考えて行く意思ありやいなやとのお尋ねだと思いますが、社会保障制度の一環としてのいわゆる困窮者に対する生活保護という建前は、やはり現在の考え方といたしては、いろいろ収入を考え、最後に実際に最低生活ができるかどうか、いわゆる憲法第二十五条のああいう生活ができるかどうかということを考えて、最低生活ができない者に対して国家がこの扶助をしようという建前でありますから、気持は気持といたしまして、法の建前といたしてはやはり現在のような制度をとる。ただしかし生活扶助の基準を上げるとかなんとかいうことは、これは年々上げておりますし、昭和二十八年度予算においても財政の許す範囲において上げておるのでありますから、ただいまの先生のお気持は、むしろ弔慰金を出した場合に考慮するとかせぬとかいうような問題ではなくして、現実的には扶助の基準をより引上げて、最低生活ができるとか、あるいはもう少し多少ともゆとりができるようにしたらいいがといつた御議論ならば了承できますけれども、生活扶助という建前をとるならば、先生のお気持のようにわれわれも考えるのでありますけれども、一応法の建前としてはできないとかように申し上げます。
  113. 小島徹三

    小島委員 私は文部大臣及び文部省の役人にお尋ねしたいので、厚生省関係の質問はこれで終ります。
  114. 西川貞一

    西川主査 川島君。
  115. 川島金次

    川島(金)委員 厚生省は社会保障、社会保険に関する問題を中心としての政策を実施する役所であります。しかもその厚生省の当面やらなければならない重要な事業が相当あるにかかわらず、その予算額は、昨年度よりも若干ふえたとは申しながらなおかつ依然としてわずかに七百九十億、一千億に足らない金であります。しかもこれを総予算額に比べますとわずかに八%という低い額であります。社会保障の問題は、ことに今日の日本のごとき敗戦国の現状におきましては最も強力に行わなければ、ほんとうの日本の自立経済の達成はもとより、名実ともに備わつた独立国としての立場をつくるということもむつかしいことになるわけではないかと私は思うのであります。  そこでまず大臣にお尋ねいたしたい。政府ことに吉田内閣は、先年社会保障制度審議会をつくり、関係各階の名士を網羅して、かなり長時間にわたつて日本の当面における社会保障制度はいかにあるべきかという、根本的な立場に立つて審議を行わせたのであります。その結果の答申書が出ておるわけでありますが、この社会保障制度審議会の答申に基いて、吉田総理大臣はすでに前回の組閣を行いました当時において、社会保障制度の重大性と必要性を強調されて、すみやかにこの答申について考慮をするということを国民の前に約束されておるわけであります。しかるに依然としてその問題は今日までまつたくほおかむりであるといつてもよいような状態にあります。せつかく研究し、しかもわれわれがその成果を見ました場合におきましても、若干の不満はあるにいたしましても、日本の経済の実情、今日の財政の実情からしては、この程度ならば最低限度としてやむを得なかろうという線であろうと、あの答申案に対してはわれわれは強く支持をいたした立場でありますが、一体この問題について政府及び特に所管責任者である厚生大臣はどういうふうな考え方に立つておられるか。結論的に申し上げますれば、広汎な社会保障制度に対する基本的な考え方、そうして将来どういう態度をもつてこれに処するという決意があるのか、この点についてまずお伺いしておきたいと思います。
  116. 山縣勝見

    ○山縣国務大臣 ただいま社会保障制度審議会の答申に対して、政府はどういうふうな態度をとるつもりであるかというお尋ねでございます。社会保障制度審議会の答申をすでに御研究の結果の御質問と了承いたしますが、二回にわたつて勧告をいたしております。第一回のときには三つ重点的に考えております。まずもつて社会保障の中心は社会保険であるということを言つており、第二には社会保険によつて救済されない困窮者に対して、国家扶助を与えるということを言つておる。第三にはいわゆる公衆衛生、社会福祉の面を言つておる。その他あるいは社会保険の統合でありますとか、いろいろなことを言つておりますけれども、結局この社会保障制度審議会の言つておる重点的な面はこの三つであります。政府としてはもちろんこれらに関して社会保障制度審議会の答申を尊重して、そして国家財政の許す範囲においてその施策を講じたいという線は従来とつて来てるのでありますが、ただその答申案の中にもありますように、日本の国家財政の貧弱性は認めておるのであります。国家財政と社会保障とに関する見解は、これは党によりましていろいろ違いましようと思いますが、一応政府といたしましては、国家財政の許す範囲の最高限度において、これらの面に対して社会保障制度審議会の答申を尊重して行こうという態度はとつております。ただいま申し上げましたように、国家の総予算に対する交渉等につきましてはいろいろ御論葉あると思います。一割では足りないということも言えれば、あるいは一割では現在の国家財政の見地から言えば多いとも言える。しかし私は決して多いとは申し上げません。ただ申し上げたいのは、第二回の社会保障制度審議会の答申の中では、これらの社会保障の中心をなすのは社会保険である、しかもその社会保険の中心をなすのは、少くとも来るべき年度においては、国民健康保険に対する給付に対する国庫負担をもつて重点的に考えて行くということも言つておるのであります。社会保険は大事だ、しかし国家財政の見地もあるから、そのうちでまずもつて国民健康保険に対する給付金に対する国庫負担を実現せよと言つておりますから、現在の国家財政から見ますと相当困難な点もありますが、各位の御協賛を得てこの予算通りますれば、給付に対する国庫負担という道も初めてできるだろうと思います。それからこれも先ほど御説明申し上げました通り、健康保険に対する範囲の拡大とか、あるいは標準報酬の引上げとか、あるいは療養給付の期間の延長とかいうことになつております。  それから第二の国家の扶助でありますが、これは生活保護に対していろいろ研究もいたし、エンゲル係数の点あるいはその他の点も研究いたし、今回七千五百円から八千円にいたしますとか、あるいはその他住宅扶助とか教育扶助とかいろいろやつております。  第三のいわゆる公衆衛生と社会福祉の面でありますが、公衆衛生の面では、審議会の答申は少くとも十万人単位で保健所を設けてやれということでありまして、これも実現いたしております。それから社会福祉事務所を十万人単位で置いてやれ、これも実現しております。また公衆衛生の面に対して、結核予防の点から十九万床を目標にしてやれということを言つておりますが、これも予算の中で増床を要求いたして着々実現しておるのであります。もちろん欲を申しますれば、もつともつとこの社会保障制度を拡充して行くことはわれわれとしても希望するところであり、また今後ともさように努力いたしたいと考えております。社会保障制度審議会の言つております面をほとんどやつていないじやないかということをわれわれよく耳にいたし尊けれども、現実に見ると国家財政の許す範囲において相当程度やつてつておるのであります。なお今後とも政府といたしましては審議会の答申の趣旨を尊重いたして、できますものは財政の許す範囲で極力やつて行きたいと考えております。
  117. 川島金次

    川島(金)委員 政府は、再軍備でない実際上の軍備費、言いかえれば防衛費について、われわれの税金の総額の中のかなり大きな部面を使つて行く方針を続けております。しかもそのわれわれの税金の大きな部面を使つております防衛費の内容をなすところの機構の漸増というものは、直接の侵略に備えるものではなくして、重点的には間接侵略に備えることがその大部分の目的だ、こう政府説明しておることは御承知通りであります。しかしその間接侵略というこの脅威の一番起りやすい要素というものは、言うまでもなく国民を貧困と疾病の脅威の中にさらすことであるということは、古今東西の歴史を通じても明らかな事実だと私は思うのであります。  そこで私どもの立場といたしましては、政府の言うところの間接侵略を防ぐ、いわゆる防衛力の漸増を別として、まずそういうことが大きなねらいだとすれば、当面の国内の貧困なる大衆の生活と疾病からこれを守り抜くというこの大きな線を打出して行くことこそ、間接侵略を防止するまず第一の大きな要件ではないかと思うのであります。しかるに政府は、そういうことをあまりに考えないで、防衛力の漸増という名のもとに、われわれの貴要る税金、血税のかなりな部面を、そういう方面にささげて行こうという政策に対して、大いにこの際慎重な反省を要するのではないかと私は思うのであります。ことにその所管であります責任ある厚生大臣は、国内におけるところの多くの貧困者、また疾病によつてますます脅威にさらされおるところのこれらの大衆を救い上げ、守り抜くというこの根底の上に立つて、太い強力な政策を実施することこそ国内の間接侵略を守るゆえんであるという見地に立つて、あらゆる社会保障制度の推進に力を注ぐべきではないか、それが国民に対する一つの大きな責任ではないか、こういうふうに私は考えるのでありまして、この事柄についてさらに議論をしようとは思いませんが、できるだけ政府はそういうことにも重大なる関心を払うべきであろうということを強くわれわれは要望しておくわけであります。  そこでその問題に関連してお伺いいたします。なるほど政府は最近の社会保障制度審議会の第一次、第二次にわたる勧告についても、順次その実施に努めて来た。その努めて来たという実績をわれわれはまつたく否定はいたしません。しかしながらその努めて来たという政策を見ておりますと、それは若干形式的な面において実施して来たという事柄であります。しかしそれらの多くの貧しき者、乏しき者、困難な者を、いかに実質的に救い得るかということが大きな問題ではないかと私は思うのです。たとえば今日の生活保護の内容をなしますところの保護費の支給の額についでも、あるいは軍人遺族等に対する援護の問題につきましても、なるほど財政上許す範囲だと政府は言われますが、財政上許す範囲とすれば、われわれの立場からはまだあるわけです。しかしながらそういう事柄について、要するに万全な政治というものが行われていないということは、私はまぎれもない事実ではないかと思う。その点については、おそらく主管大臣である厚生大臣は心からそれを感じておるのではないかと思うのであります。ことに生活保護費の問題につきましても、今年度は昨年度と比べて若干の引上げがなされておるようであります。しかしそれにいたしましても、大都市におきまするところの家族五人の標準で八千円ということでございます。家族五人の八千円でございますから、一人はわずかに千五百円強にしか当りません。こういう形で、今日の物価の事情等を考えた場合に、これで政府が社会保障の意味において乏しき者、貧しき者の生活を守つておるのだと大口をきける立場ではないということに、事実上においてはなるのではないかと思うのであります。そういう点について一体政府はどういうふうに考えておるのか、まず大臣の責任ある今後の処置に対する見解を伺つておきたいと思います。
  118. 山縣勝見

    ○山縣国務大臣 生活保護に関して、ことに生活扶助の基準に対してお尋ねがありました。生活扶助の基準につきましては相当計数的にも研究をいたしまして、たとえば予算の編成上にあたりましても、生活保護法の対象になりまする人の保護の基準、これに関しまする限りは、予算折衝におきまして、大蔵省あたりでも科学的な、技術的な算定を相当尊重いたしまして計算をいたして来ております。他の予算でありますと、多いとか少いとか、いわゆる腰だめで削つたりなんかいたしますけれども、生活保護の基準の算定に関しまする限りは、相当科学的に、技術的に算定いたしました基準に対しては、大蔵省も相当それを尊重してやつてくれる。たとえば今度の八千円の問題でありますが、食糧のごときは、これは詳細に今申し上げませんけれども、例の栄養及び食糧対策審議会で答申いたしました目標である二千百五十カロリ治というものをやはり基準にして、厳格にやつておるのであります。ただ実際的に申しますると、ただいま五人家族の東京におきましての例をとられましたが、いわゆる一般の稼働労働者の場合はやはり稼働する人が多い。生活保護の対象になりまするのは、たいていは未亡人、母子家庭でありますとか、老人とか子供とか、そういう人であります。私もこの生活保護の基準の算定の際には、相当技術的に関係の局課長にも報告を聞いてみましたのですが、例の栄養の見地等から見ましても、大体目標のあのカロリー等を基準にして算定をいたしております。ただ問題は文化費が、確かにこれでは先生のおつしやる通り足らぬのであります。最低生活をどこに置くかという問題でありますから、そういう点から見れば、文化費が足らぬとかなんとかいうことになりますと、これはもうこれでも足らぬ、これでも多いということが言えるのでありますが、少くとも一番の生活の基礎になりまする食糧費等につきましては、そういういわゆる専門的な、技術的な一つ基準というものを尊重いたしてやつておるわけであります。しかしながらもちろんこの最低生活というものの考え方は相対的なものであつて、必ずしもフイツクスなものではありませんから、今後ともこれらの基準引上げに対しましてはもちろん万全の努力を払いたいと思つております。ただ、普通この程度でよかろう、栄養が足らぬけれどもこの程度でやろうということでやらないで、相当計数的にもやつております。しかし今申しましたいわゆる文化費とかそれに類するものの経費は、さすがに十分ではございません。この点は今後とも国家財政ともにらみ合せて、できるだけそれらの最低生活という面において改善をはかつて、扶助の万全を期したい、かように考えております。
  119. 川島金次

    川島(金)委員 何にいたしましてもこの生活保護というものは、言うまでもなく憲法二十五条の精神に基いて実施されているということになつておるのであります。そういう見地から行きましても、また実際の面におきましても、小さな町村に住んでおりまする貧困者などに至りましては、五人の家族で一箇月の間に五千円の支給を受けて、それで辛うじて親子五人の生活が最低限度でも成立つかどうかということは、これは言うまでもない問題でありますので、こういう点について、政府はさらに強力に考えを直して行くことを私どもは強く要求するものでございます。そこでお尋ねいたしますが、この生活保護を要する人員が、ことしは軍人恩給等の関係とにらみ合せてあまり増減がないようでありますが、かりに軍人恩給の問題がないといたしました場合には、二十七年度と二十八年度と比較いたしますと、保護人員はどれくらいの数に増加する予定であつたか。その点はどういうふうになつておりますか、これは事務当局でけつこうです。         ————— 時間がありませんから、すぐに答えられなければあとでけつこうですから、質問だけは先へ進めて参ります。そのこまかい数字がわかりませんならば、この保護を必要とする対象人員が年々増加の傾向をたどつておることはまぎれもない事実であります。一体こういう実情というものは、どういうところに理由があつて年々増加して来るのか、その点についての調査がありましたらその調査の結果をひとつ聞かしておいてもらいたい。
  120. 西川貞一

    西川主査 一括してあとでお答え願いましようか。
  121. 川島金次

    川島(金)委員 私の質問はそうむずかしい質問じやないはずなんですが、即答ができないのはまことに困りますな。事務当局はもう少し用意を整えてここへ出て来てもらいたいと思います。
  122. 安田巖

    ○安田政府委員 人員でございますが、大体二十七年の八月が百八十八万四千四百七十五人であります。それに対しまして大体今度の増加の率は、月間が〇・〇一〇五一をかけた数字であります。つまり〇・〇一〇五一ずつ月々ふえておる、そういう計算でやつております。そこで二十八年度の延人員といたしまして二千二百九十八万一千三百九十六人、上昇率は先ほど申し上げました月間〇・〇一〇五一、こういう数字でございます。その程度でございますので、人数はその顕著な増加をいたしておりませんけれども、やはり少しずつふえて参りますことは、世の中の景気と申しますか、失業者がふえるとか、あるいはそのほかのいろいろな要素が重なり合つておるわけでございまして、こういうためにすぐにこういうふうな結果が出たというような簡単な御説明では、御説明できぬのではないかと思います。
  123. 川島金次

    川島(金)委員 そこでこの説明書にも旧軍人恩給の復活等に伴う減少ということが出ておるのですが、一体旧軍人の恩給を今度受ける者で、今日生活保護を受けておる人員というものがわかつておりましたらそれをひとつ発表してもらいたいと思います。
  124. 安田巖

    ○安田政府委員 今度の生活保護費のうちで、旧軍人の恩給が復活して、それに伴つて減少する額を十八億と押えております。これは大体恩給を受ける対象人員が三十万五千百四十四人となつております。これを計算して行きますと、大体十八億というものが出さなくて済む、こういう計算になつております。
  125. 川島金次

    川島(金)委員 それで続けてお尋ねいたしますが、先ほど厚生大臣も言われた通り、社会保障の重要な要素をなすものの一つに社会保険の問題があることは言うまでもございません。そこで社会保険の問題は、しばしばこれが専門家の立場で議論が繰返されておるのであろうと思いますが、私どもはこういう方面にまだ専門的な知識が十分にありませんので、質問が当を得ているかどうかは、ちよつと私といたしましても危惧をいたすものでありますが、法律的根拠に基く国内の保険の種類がどうも少し多過ぎるのではないか。何とかこれを一本にまとめた制度にするということの方が、私は保険制度の目的を達成する一つの大きな道ではないか。現状のようにいろいろの保険制度があつて、それがいろいろ夫り乱れておるという形であることは、まつたく好ましい姿ではないと私は思いまするが、この問題について一体厚生大臣はどういうふうに考えられ、将来この問題についてどういうふうに処理をしようとする、何か積極的な方針でもありますれば、この機会に示しておいてもらいたい。
  126. 山縣勝見

    ○山縣国務大臣 ただいまのお尋ねの、社会保険の統合といいまする問題は、社会保障制度審議会の答申にもございまする問題であり、また日経連等においてもかねてそういう点について相当強い要望を持つておりますが、ただたとえば国民健康保険にいたしましても——いわゆる普通の健康保険ですが、厚生年金、船員保険、あるいは労働省関係の失業保険、あるいは労災保険、おのおのその発展過程において各方面における要請によつて出て来たものであります。従つて必ずしもこれを理論的にすぐに統合して、それでもつているくな目的を達し得るかという点については、さような面もありますし、またそう行かない面もある。この点については統合していい面は統合して行く。ことに対被保険者関係において、窓口が異なつておりまするためにいろいろ事務上その他においても不便な点もございます。そういう点は是正してやつて行くべき点もあるということは了承いたしますけれども、理論的に抽象的に、とにかく統合したらいいということだけでは行かないと思います。今後十分研究をいたして行きたい、かように考えております。
  127. 川島金次

    川島(金)委員 そこで国民健康保険の問題ですが、今国民健康保険の組合をつくつておる市町村というものは、全国の市町村の数に比例してどのくらいの数になつておるか、それから保険組合をつくらないものがあるとすれば、その事情というものはどういうところにあるのか、その点をひとつ明らかにしてもらいたい。
  128. 久下勝次

    ○久下政府委員 国民健康保険を実施いたしております市町村は、現在市町村公営でやつておりまするものは四千八百四十六ございます。組合の形式でやつておりますものは二百二十五ございます。そのほかに社団法人の形式、たとえば農業協同組合のようなもので国民健康保険事業をやつておりますものは百九十六ございます。合計いたしまして、国民健康保険の保険者の数は五千二百六十七ございます。全国市町村の数は一万百余ございまするので、約半数ぐらいございます。爾余の市町村が実施をしておりません事情でございますが、これは戦争中に一度全国的に、当時の政府指導によりまして国民健康保険が実施されたのでありますが、実際問題といたしましては、相当指導の方法にも無理があつたのではないかと思われまして、特に終戦後のインフレ時代、財政困難な時代におきまして、大部分のものが休廃止いたしました。そしてその後逐次立ち直りつつ現状に至つておるような実情でございます。結局国民健康保険ができまして、来年がちようど満十五年でございまするが、一時そうした政府なり都道府県指導によりましてほとんど大部分の市町村に普及をいたしたものが、主として財政困難の理由によりまして休廃止の状態にある。最近立ち直りつつあるというのでございまして、それ以外には特別な理由は考えられません。
  129. 川島金次

    川島(金)委員 今の数字によりますと、全国一万一千に上る市町村があるにかかわらず、健康保険の事業を営んでおる公営、法人合せてその半数に満たないという実情である、その半数に満たないというのは、結局は端的に申し上げれば財政の都合である、財政の都合だということは裏を返して言えば、その市町村のみの問題ではないのであつて政府のこれに対する積極的な施策の欠如の結果であるということも大きな原因ではないかと思うのであります。そこで私はこの国民健康保険の実績について比較的高く評価しておる一人であるのでありますが、政府はこういう実情に対して、全国に例外なく国民健康保険の事業が普及できるような、何らかの積極的な手を打つべきではないかと思うのですが、厚生大臣はその点どういうふうに考えておられますか。
  130. 山縣勝見

    ○山縣国務大臣 国民医療の中核といたしまして、ことにまた社会保険の中核としての国民健康保険のウエイトについては私もまつたく同感であります。従つてこれは先生御了承の通り、長い間国民健康保険の給付費に対する国庫負担の道は、声のみ高くしてなかなか財政的に困難がございまして、予算案にも見られなかつたのであります。ただいま御審議を願つております予算において、政府は一割五分の給付費の国庫負担をお願いをいたしておりますが、もちろん国民健康保険の普及に対しましては、政府は熱意を持つておればこそ国家財政の困難の中にこの給付に対する国庫負担をいたしたのであります。今後とも、その努力は続けて参りたいと思つておる次第であります。但し今ただちに、きようあすから全国の市町村が全部かくのごときものを結成するような措置をすぐに政府がとるかどうかというお尋ねに対しましては、まず国家財政の許します最高限度において今回はかような措置をとりましたのでありまするから、かような方針を今後とも進めて行きたい、かようにお答えいたしたいと思います。
  131. 川島金次

    川島(金)委員 せつかくの国民健康保険制度が全面的に実施の域になつておらないといういろいろの問題の欠陥については、政府も大いに反省をし、そして国民健康保険制度というものが統一された姿において、全国的に例外なく普及徹底する積極的な政策を打ち出すべきであるということを、私は強く希望しておくのであります。  そこでさらに一、二お伺いしておきたいのでありますが、これはよく厚生委員会等においても議論があつたのではないかと私は想像しておるのですが、今なお今日においても医者のいない村があるという話をわれわれは聞いております。私は東京近辺の者でありますので、そういう事柄にはあまり接しておらないのですが、まだまだ全国にはいわゆる無医村というのが相当数あるということでありますが、どのくらいな比率になつておりますか、わかつておつたらお答え願いたい。
  132. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 前年の六月末現在でありますが、無医町村の数が一千三十八、そういうことになつております。
  133. 川島金次

    川島(金)委員 一千三十八と聞きましたが、町村別にすると約一割、村の数からいたしますと相当な。パーセンテージになる。こういつた小さな村で、この隣の村には医者がおるというので、ただ単にその村に医者がいないというだけでは考えられないと思いますけれども、こういう多くの無医村が今日あるということについては、いろいろ私は条件があろうと思いますが、こういう条件の悪いところで、従つて医者もおらぬというそのために、私はその当該村民の生命というものが助かるものを危くし、あるいは一命を失わせるという事態がずいぶんあろうかと思うのであります。そういう場所にこそ政府が積極的な対策を立てて、何らかの社会的な政策の見地に立つて無医村の一掃をはかる。こういうことはきわめて私は必要な事柄ではないかと思うのです。しかるにこういうことが何年来となく常にいろいろ論議されておるにかかわらず、今もつてこの大多数に上るところの無医村をそのまま放置しておるということは、政府としてまことに誠意のない態度ではないか、こう考えられるのでありますが、この問題について厚生大臣はどういうふうに考えておられますか。
  134. 山縣勝見

    ○山縣国務大臣 この無医村の問題につきましては、政府も等閑に付していないのであります。ことにこれと同じような問題でありまするが、政府は国民医療という見地から、第一線機関として保健所を設置いたしまして、そうして公衆衛生その他の見地から国民健康の改善、維持、向上をはかつております。その保健所なんかも、これは率直に申し上げますると、なかなか地方の辺陬の地に参りますると、保健所にも医者が十分でないという場合もあります。それと同じようにこの無医村等におきましても、やはりこれは社会全体の問題でありまするけれども、やはり都会に集中するとか、あまり辺陬の地には医者の人も行くことを好まないというような問題もあります。これは保健所にも同様な問題がございます。こういうことでは総合的に国民健康という見地から見て遺憾な点がございますから、そういう点に対しましては政府は等視しないで、最善の努力をいたして参りたいと思つております。現にその努力をいたしております。ただ詳細の点につきましては関係当局から御答弁を申し上げます。
  135. 久下勝次

    ○久下政府委員 私から大臣お答えに加えて具体的に御説明いたしたいと思います。先ほど大臣予算一般的な説明の中にもございましたように、国民健康保険の診療機関として四億円の予算が計上されておるのでございます。これは二、三年前からずつと継続してやつておる仕事でございまして、事柄の性質上、国民健康保険を実施しております市町村で医療機関がない、あるいは比較的少いというようなところにこの補助は出しておるのであります。これは現にやつておるばかりでは、なしに、この補助をもらつて診療所を建てることによつて国民健康保険事業を始めようというような町村も相当たくさん出ておるような実情でございます。私どもといたしましては、この制度により実質的には医療機関が普及いたしますとともに、またその裏づけとなる医療機関経営の経済的な基礎と申しますか、そういうものが国民健康保険事業によつてまかなわれて行くということにもなるので、ただ診療所を普及するということだけでなく、そうした問題で裏づけになる制度が相伴うことによりまして、特に無医村における医療機関の永続性が保てるのではないか、こういう考え方で、無医村の方面に対する診療所設置につきましては、国民健康保険事業というものと抱合せで制度の普及をはかつております。
  136. 川島金次

    川島(金)委員 政府が先般実施いたしました遺族に対する弔慰金並びに年金といいますが、これらの問題について政府の調査した範囲では、全部もうすでにそれが支給済みになつておるのかどうか、その点はどういうふうになつておりますか。
  137. 山縣勝見

    ○山縣国務大臣 この遺族年金等の問題につきましては、他の委員会におきましても累次御報告を申し上げている通りであります。これらの年金あるいは弔慰金等の査定が遅れておつて、その確固とした数字はわかりませんが、百七、八十万件の方々の中で、昨年の十月の終りごろでは十二、三万件であつたと私は記憶いたしております。これは本会議においても御質問に答えて御答弁申し上げましたから御了承願つていると思います。例の法律が昨年の春にでき、いろいろな施行細則等ができて申請の手続を受けるようになりましたのが昨年の夏の初めでありますが、そこのところに総選挙等があつたり、いろいろして遺憾ながら遅れた。しかしそれでは国民の皆さんには抗弁にはならないので、その後厚生省といたしましては、関係の者を中心にして臨時雇いいたしますとか、あるいは特に超勤等の点についても大蔵省と交渉して、昨年の年末までにたしか百万件を突破いたしまして裁定通知を出しまして、現在においては百数十万件になつていると思います。実はこういうような手続をするところにも、注意をしたり督励をいたしております。ただ問題は、弔慰金につきましても、証書等は、たとえば大蔵省を通じあるいは地方の郵便局を通じて出しますが、そういう点において手続が遅れておりますので、これは先般来そういうような手続の簡素化をはかつて、できるだけ早く遺族の方々に年金、弔慰金が渡るような措置について極力努力いたしております。詳細な点につきましては、政府委員から数字を申し上げます。
  138. 田邊繁雄

    ○田邊政府委員 今月の十八日現在で受付けた総数が百六十万九千件、それから裁定を終りましたものが百四十一万二千ございます。それから裁定の通知を出すことになつておりますが、通知を出した数は百三十五万五千件となつております。
  139. 川島金次

    川島(金)委員 支給済みはどうですか。
  140. 田邊繁雄

    ○田邊政府委員 通知いたしますと、年金は、証書を持つて参りまして郵便局ですぐ現金を受取れる。それから国債の方は、大蔵省の方で日本銀行を通じましてそれぞれ代理店によつて遺族の方々に弔慰金の国債を渡す。それに基きまして利子をいただくことになつております。
  141. 川島金次

    川島(金)委員 そうすると、すでに今まで通知を出した百三十五万五千何がしというものは、国債も年金も支給されて済んだわけですか。そういうふうに了解してよろしゆうございますか。
  142. 田邊繁雄

    ○田邊政府委員 この数字は厚生省の方から通知書を発送した総数でありまして、従つてこれが都道府県を通じ市町村に行つて、市町村からそれぞれ遺族に年金の証書が手渡される。それから国債につきましては、厚生省から大蔵省に対しまして国債の発行を請求するわけであります。大蔵省の方でさらにそれに基きましてちよつとやつかいな手続をいたしまして、日本銀行、財務局を通じまして家族に国債を送付する。従つてこの数字が全部今月十八日現在で遺族の手に入つておるという意味ではありません。
  143. 川島金次

    川島(金)委員 せつかくの法律ができ、遺族に対する手厚い処遇をいたすことが実施される段階に入つたのですが、私どもが見聞いたしております範囲によりますと、なかなか手続がやつかいであるということ、調査がなかなか行届かないことなどからいたしまして、遺族がせつかくのその恩典に事実上浴しておらないところが大分あるようであります。政府はよろしくこういつた問題についても手続を簡素にするとか、その他もつと事務的な能率を上げることによつて、せつかくつくり上げたこの援護事業の普及と徹底を一日もすみやかにはかるべきではないかと思うのでありまして、その点政府に警告を発しておきたいと思います。  その点について重ねて聞くのでありますが、遺族に渡されます国債の問題であります。この国債に対して国民金融公庫を通じて若干の融資をすることに、政府は決定をいたしたのでありますが、これは一体その国債の額面の何割を、どのくらいの期限で、どのくらいの利率で貸すことになりますか、その点を伺いたい。
  144. 田邊繁雄

    ○田邊政府委員 国民金融公庫で遺族債券を担保にして貸出しをするのは額面の九掛けであります。利率は八分であります。償還期限は三年であります。
  145. 川島金次

    川島(金)委員 遺族の方が、持つております債券を担保にして借りなければならぬという事情の方は、例外もありましようが、大部分は当面の生活に必要が生じての、比較的貧困な人たちが利用することになるのだと思うのです。例外としてあるいは生業資金の一部に充てるとか、何とかいうのもございましようが、大部分は当面の生活の用に立てたいという緊迫した事情のもとにおける人たちではないかと思うのですが、それにいたしましては公庫の八分という利息が妥当であるかどうかということと、長期にいたしましても三年という短かい年限でそれが妥当であるかどうかということは、私は若干疑いを持つておるのであります。そこで厚生大臣にこれは念を押しておきたいのですが、償還期限の最大限をもう少し延長することと、でき得ればこの八分という利息をもつと引下げる。こういうことによつてそういう遺族にしてしかも当面の生活困難な人を守るという建前をとるということは、政府としてもそのくらいの熱意があつてしかるべきではないかと思うのですが、そういう点を厚生大臣はどう考えておられますか。
  146. 山縣勝見

    ○山縣国務大臣 遺族の国債に対して金利等を中心にしてのただいまのお話は私も同感であります。ただただいま国民金庫を通じてということになつておりまして、国民金融公庫法等によつて今利息は八分以下にはできないのです。しかしこれは私閣議の席上でもたびたび申しおるのです。また大蔵大臣ともこの問題について特に話合いをいたしておりまして一応法律の建前、あるいは規則の建前からすれば、八分は何分にもやむを得ないかもしれぬけれども、少くとも実質的に見ればこれはただいまの御説の通りでありますから、政府としては何とかこれを引下げる方法を考えたい。ただいまこれは大蔵大臣と話合いをいたしております。  それからもつと貸付期限の範囲等を広げて、生活困窮者の方々に対して政府考えたらどうかというお話でありますが、ごもつともであります。むしろ貸し付けるということよりももつと抜本的に、さような国債を政府において買上げをいたして、これらの遺族の方々の御要望にこたえたいという意味で、本年度に大体二十億、来年度三十億くらいの買上げをいたして行きたい。そういたしますれば、これらの国債を受けられる遺族の方々の全部が生活困窮者でございませんから、その程度で行けば一応今御説の目的の一半も果し得るのではないか。政府はこういう気持でただいま考えておる次第であります。
  147. 川島金次

    川島(金)委員 最後に一つお伺いをしておきますが、問題は中共地区におります同胞引揚げの問題であります。これは外務省関係の事柄もございますが、受入れ及び援護に対しては厚生省がその対策を立てる責任を持つておりますので、この引揚げの問題についても逐次外務省と連絡をされましていろいろの情報も入つておるかと思うのでありますが、最近高砂丸でしたかが第一船として向うに出かけるという段取りにまでなつたようでありますが、この中共地区における同胞引揚げの問題に関連いたしましてごく最近——きのう、おとといあたり、あるいはきようでもけつこうでありますが、厚生省として入つております情報などについて、この機会に国民の前に明らかにしてもらうとまことにけつこうだと思いますので、その点ひとつ伺いたいと思います。
  148. 山縣勝見

    ○山縣国務大臣 詳細な点につきましては政府委員から申し上げたいと思いますが、せつかくの御質問でありますから、政府といたしましての基本的な考え方だけ申し上げてきおたいと思います。  今回の中共引揚げに対しまして、一言にして言えば政府としてはできるだけ万全の措置を尽してこれらの方々の帰還を迎えたいという気持であります。従つてまずもつてこれらの帰還者の方の配船につきましては、運輸省においているく手配をいたしております。当初は大体代表団に対して、たとえばこちらの高砂丸とか、あるいはその他の船の修理とか、またいろいろ手配がございますから、少くとも十五日から二十日の間にこちらを出るということで、代表団には、もしできれば一箇月くらいのプリペアーズ・ノーテイスでやつてもらいたいということを申しておりましたが、先方の帰還される方方の集結あるいはその他の関係がございましたのか、少くとも二十日までに先方に配船してほしいということでありました。この問題につきましては配船の手配に相当無理がありまして、運輸省あたりでも実は相当苦慮いたしたうであります。しかしせつかくそういうふうな今回の同胞の帰還でありますから、何とか無理をしてそれらの手配をいたしたい。ただいまのところは先方の代表団を通じて、中共側の申出に応ずるような配船ができると思います。  それから三千人ないし五千人と言つておりますが、大体五千人の受入れ態勢を整えるために配船あるいは舞鶴等におきます設備その他の準備も万全を期しております。なおまた一番心配いたしましたのは、五千人の人が一時に舞鶴に帰つて来られるということではまた粗漏があつてはいけませんので、配船等においても少くとも二、三日のインターバルを置いてやりたいと申しておりましたが、先方は当初は一ぺんに同日に船が着くようにも受取れる電報が参つたこともございますけれども、ただいまのところでは、大体インターバルを置いて、舞鶴における受入れに遺憾のないよう話合いが進みつつあるようであります。なおまた舞鶴におけるいろいろな受入れの準備につきましては、予算委員会等において申し上げましたから重複を避けますが、ここで一つ御報告申し上げたいと思うのは、きのう、きよう問題になりまして、きようの閣議にも主せましたのは、今回のこれらの中共地区から邦人の帰還されるについて、当初は政府の公務員が高砂丸等に乗組みまして、これらの帰還される人々の受入れに対して、できれば船中においていろいろな手続上のことを済ませて、舞鶴に着かれれば一日も早くそれらの方々のあたたかい家庭に帰つていただくようにしたいと思つて、公務員を乗船せしめることにいたしておりましたが、先方からの電報によつて、中共側の意向が、今回公務員の乗船を拒否するという意味の電報が参つております。それについて一両日政府部内で相談をいたしまして、結局きようの閣議では、中共側のそういう申入れもございますから、今回は船内におきまする事務につきましては、当該の船舶の所属いたしまするいわゆる商社、すなわち船会社にそういうような事務を委託して、たとえば船内におきまする給食その他のいろいろな事務はそれらの商社に委託いたします。従つて商社は、船長が代表いたしまするから、船長が責任を持つてやる。それに要しまする経費は国費をもつてやろう、そういうことにいたしました。これがごく最近の政府といたしましての基本的な政策であります。なおその他の巨細な点につきましては、関係政府委員からお話をいたします。
  149. 田邊繁雄

    ○田邊政府委員 おもな点は大臣からお話になりました通りでありますが、代表国と中共側との話合いは、大臣お話になりましたように、おおむね順調に進行して、基本的な打合せは終了したようでございます。三月二十日までに船が到着するようにという向う側の要請に対しましては、それぞれ配船の手続をいたした次第であります。これは新聞に出ておる通りであります。向うの出港地は秦皇島と塘沽、これは天津地区であります。それから上海、この三つであります。上海は千七百名から二千名、奉呈島は二千名、塘沽は一千名の集結計画があるようでございます。当初天津地区に対しまする配船は五百名の予定でございましたが、もう一隻増配いたしまして、千名を受入でききるようにいたしました。それから向うを出航する日にちはまだきまつておりません。これはこちらからいつ出航するかということを通知するように要請しておるのであります。それから先方でも、ただいま大臣からお話がありましたように、適当な間隔を保つて舞鶴に入港するように努力するという通報がありましたので、私どもの方から少くとも二日間くらいの間を置いて入港するように重ねて申した次第であります。それから第二回の配船は四月十日の予定であるということであります。
  150. 川島金次

    川島(金)委員 今大臣から申されました受入れの場合の乗船の問題として、日本の公務員の乗船は向う側から拒否されておるという、きわめて重大な事柄であるのであります。これは電文だけでははつきりしないであろうと思いますが、何か拒否の根拠といいますか、理由がわかつておるのでしたら、ひとつこの際聞かしていただきたい。
  151. 山縣勝見

    ○山縣国務大臣 拒否という言葉は少し強いので、私が拒否という言葉を使いましたなれば——この際は御承知通り今回邦人の帰還に関して打合せに行つておるのは、日赤を含めました三団体で、これらの構成員の中には政府公務員は入つておりません。そういう関係で、今回はこの帰還に関しましても、帰還のために配船される船舶の中に政府公務員を入れないということであろうと思います。別に取立てていわゆる拒否するという理由はただいま承知いたしておりません。大体さような建前で、今回代表団も行つておりますから、それに関連して、政府公務員が乗船いたさないように申して参つたのであろうと思います。
  152. 川島金次

    川島(金)委員 公務員の乗船して行くことを遠慮してほしいとの申入れでありますから、結局は商社の人たちが行くのでしようが、これらの高砂とか興安、白龍、こういう船の名前を私見ておるのですが、これらの商社の船員たちは、引揚げの事務といいますか、事業について相当堪能な、経験の深い者が相当おるのかどうか。そういうことによつて別に心配はないのかどうか、それはどうでしよう。
  153. 山縣勝見

    ○山縣国務大臣 ただいま考えておりますのは、やはり多少船員の人もふやして、たとえば医療等につきましては日赤の人をお願いして、公務員にあらずして乗つていただいて、船内の医療等をやつていただく。でありますから多少人はふえるでありましようが、特別のむずかしい事務等は別段ないと思つております。政府がこれらの帰還される人に対して、いわゆる船内でいたす事務は、多く舞鶴に着かれてからのことに相なると思います。大体船内においては支障がない、また支障がないようにいろいろの手配をいたしたいと考えております。
  154. 川島金次

    川島(金)委員 この問題はこの程度にして、なるべく故障のないように一日も早く無事に同胞の引揚げることを国民とともに願つておきたいと思うのであります。  そこでもう一つお伺いしたいのですが、この問題もおそらく厚生委員会その他の委員会で、あるいは大臣との間に質疑があつたのではないかと想像はいたすのですが、私が日常接しておりますので、この機会に大臣の所見などをお伺いしておきたいと思うのであります。と申し上げますのは、傷痍軍人の街頭の、端的に言えば物ごいの行為であります。私は実は毎日大宮から省線で通つておりますが、ほとんど時間によりましては例外なく毎日その傷痍軍人の——人は違いますけれども、車内における基金カンパの痛ましい姿に毎日接しております。また都内はもちろん地方においても、近郊における神社仏閣等のいわゆる縁日と申しますか、そういつた祭礼のあるような当日には、団をなしましてそれぞれ白衣の軍人が物ごいをやつておる姿、まことに敗戦の国の国民といたしましても、こういう事情の起ることはある程度やむを得なかつたと言えばそれまでではございますが、すでに日本は昨年四月曲りなりにも独立という建前になり、しかも政府は広汎な、不満足ながらもいろいろの保障制度実施はいたしておりまするけれども、それが徹底いたさないために、今なお独立日本の街頭に、あるいは車内に、あの痛ましい姿をさらして、しかもそれに接する国民の側からいたしましても、あまり気持のよい事柄ではございません。私も微力ですが、先般ドイツなどにも行きましたけれども、ことに西ドイツの風景として、あそこは日本に劣らない傷痍軍人あるいは戦死者が出たのでありますが、日本のようにこんな痛ましい風景をさらされておるというような場面は、わずかの、旅行でございましたけれども、まつたくありませんでした。しかるに日本においては、今日なお次第にその数が増せばとて減りようのないまうなありさまでございます。こういつた問題については、少くとも為政者の責任においてでも、何らかの根本的な解決をすることが政府一つの責任ではないか、私はかように思うのでありますが、この問題について大臣はどういうふうに考えられており、政府としてはこの問題について、どういうふうな処理をして、この根本的な解決をはかろうとする積極的な熱意があるのかないのか、この辺のことについて伺つておきたいと思うのであります。
  155. 山縣勝見

    ○山縣国務大臣 ただいま御指摘の街頭における白衣の方々の姿、これはまつたく同感であります。私は社会人の一員として、一日も早くかような姿が社会から影をひそめますることを最も熱心に期待する一人であります。政府といたしましては、従来これらの面に対しては、ことに昨年でありましたか一昨年でありましたか、身体障害者福祉法を制定いたして、それらによつて現実には社会福祉主事であるとか、あるいは身体障害者福祉主事等を動員して、これらの方々の更生をはかりたいと思つております。これらの方々に対しては、ただお金を上げるというだけではいけないので、一番の重点は、これらの方々が更生いたして、そして社会の中に溶け込んで、社会人として大成していただくということでありますから、そういう面に政府は努力をいたしておるのでございます。しかしいろいろな事情がございまして、まだ姿を没しないことは遺憾でございます。しかしただいま御指摘のように増加はいたしておらず、むしろこれは減少いたしておると思います。かりに減少いたしておりましても、少くともそういうような方々を見ることは、かりに十人であつても、それが百人にも千人にも目に映るのでありますから、今後政府といたしましては最善の努力を払つて、そういう方々の援護に対して万全を尽して行きたいと思います。従来援護法がございまして、これによつて援護しおりましたが、なかなかそれだけでは十分に行きませんけれども、できるだけの努力をいたしたいと思つております。
  156. 西川貞一

    西川主査 本会議が開会されますので、暫時休憩いたしますが、なお質疑の通告者は相当多いのでございますから、本会議に支障のない限り、適当の時期に開会いたしたいと存じますので、御了承願います。  これにて暫時休憩いたします。     午後四時十四分休憩      ————◇—————     午後五時五十二分開議
  157. 西川貞一

    西川主査 休憩前に引続いて会議を開きます。  厚生省所管について質疑を継続いたします。和田博雄君。
  158. 和田博雄

    和田委員 厚生大臣にお伺いいたしたいのですが、中共地区からの引揚げの問題に関しましては、川島君が多少お聞きになりましたので、重複を避けて二、三質問いたしたいのですが、この六億六千十三万円ですか、これは主としてどういうふうに使うのでありますか、その使途について伺いたい。
  159. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 お手元に厚生省関係経費のおもなものが横刷りで差上げてございます。それの十六ページの裏を見ていただきますと、四十二というところに引揚援護事業六億六千万円とございます。前年度に比較して三億一千六百万円の増でありまして、これが今お尋ねの件かと思いますが、引揚げの見込み人員は、先ほど大臣が申し上げましたように、中共地区から三万人帰るということでございましたが、そのうち二十七年度中に四千人ほど帰つて、二十八年度としては、二万六千人ほど残るであろう、それから他の地域からなお千人ほど帰るであろうという想定をしまして、二万七千人というのが引揚げ見込み人員であります。それに関して船で運びます経費は、運輸省の方で船の運航費がございます。そこであとの船内の食糧とか、舞鶴に上陸いたしましてからそこでそれぞれ帰国の手続をし、給与されるものをもらい、それぞれの家郷に帰る、そういう経費がその中に入るのでございます。そこには特にその中のおもなものが書いてあるのでございます。引揚者住宅というのは、家郷に帰りましたが縁故先がないというような人のために建てる住宅で、これは全国に三千戸ほど建、てますが、七割の補助でございます。それからそういう住宅は明年度予算で急いで建てさせるのでございますが、それが建ちます間、あるいは県に帰りましてから、さてどこに入るかというその間一時収容させますために四十箇所ほどのところに一時収容所を設けます。これは十分の八の補助でございます。それからその次の身廻品調達等というのは、帰りましてさつそくいるなべ、かま、寝具の調達の関係で、従来ともやつておりますが、その経費がそこに出ております千三百十八万円であります。それから輸送費等と申しますのは、内地に上陸いたしましてから故郷に帰ります経費などであります。それから帰還手当と申しますのは、こういう人たちがもどりまして、即座に就職口を探すということもなかなかたいへんであろう、まず一月やそこらは、どうしてもいろいろな関係でぶらぶらしたりしますので、その経費もいるであろうというところから帰還手当というものを新して考えております。大体持返り品を調べまして、二万円に満たないものに大人一万円、子供五千円、二万円を越します場合においては二万円で打切る、こういうようなものを帰還手当として支給したい。大体以上がおもな経費でございます。
  160. 和田博雄

    和田委員 この帰還手当というものは、最高二万円までで、各個人にやつてしまうわけでございますね。
  161. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 さようでございます。
  162. 和田博雄

    和田委員 それから集結する場所がたしか三箇所であつたわけですが、こちらの受入の場所は舞鶴一箇所というわけでございますか。こつちに帰る船はどこに着くのですか。
  163. 山縣勝見

    ○山縣国務大臣 大体ただいまのところ舞鶴一箇所を考えております。と申しますのは、この船が着きまするのは、神戸でもあるいはその他の土地でもいいのでありまするけれども、船が着きましたそこの受入れ態勢の整備その他を従来舞鶴でやつております。従来保安隊がこれらの帰還する人々のための宿舎に入つておりましたが、最近保安隊の方がのきまして、そしてただいま寝具その他受入れ態勢を全部舞鶴で努めておりますから、その方が便利であろう。船で参りますと、舞鶴でもその他の土地でもそうかわりませんが、一応舞鶴だけを想定しています。もちろん非常の事態でも起りましたらあらためて考慮いたしますが、ただいまのところ舞鶴だけを考慮しております。
  164. 和田博雄

    和田委員 それから一時収容所というのが四十箇所あるのですが、その点はどうですか。
  165. 山縣勝見

    ○山縣国務大臣 従来は主要都市にやつておりましたが、来年度においてはできるだけ各府県に一箇所くらいずつ置いて、万全を期するようにいたしたいと思います。
  166. 和田博雄

    和田委員 これは結局帰還者によつて府県に分散して行くわけですね。
  167. 山縣勝見

    ○山縣国務大臣 そういうことになりましよう。今の一応の想定では、従来は五大都市を中心としてやつておりましたが、今後は各府県に一箇所ぐらいということでやつて参りたいと思います。まだ帰還する人々の府県別の調べがはつきりわかりませんが、それらに即応して今後善処したいと考えております。
  168. 和田博雄

    和田委員 今度の厚生省予算の中で、地方改善事業に必要な経費として、これは大臣の御説明の中の第五ですが、いわゆる部落問題の解決をはかるというので、大体補助金等と合せて千二百四十七万円計上されておるわけですが、現在の部落の状況はどういう状況になつておるのか。その経済的な面について何か調査があれば、ごく概略を、政府委員の方でけつこうですが、御説明願いたいと思うのです。と申しますのは、この部落という問題はやはり根本は経済的な問題があるのでありまして、私どもの知つておるところでは、たとえば耕地について見ても、悪い耕地をごくわずかしか耕していないとか、そういうような点が非常にあるのであつて、これは元の社会局かどこかだつたと思いますが、長く宥和事業としてやつておられたものに相当するのだろうと私は思いますが、現実には一体戦後どういうふうに変化しておるのか、その点わかれば聞きたいのであります。
  169. 小山長規

    ○小山説明員 ただいままでのところ統一して調査したということはございません。戦後しばらくの間はいわば一般的な救済の対象として考えるといつたような考え方のもとに、ことさらこういう問題の特殊性と申しますか、あるいは特別な面を調べるということをしなかつたわけでありますが、ただいまもお話にありましたような実態に基きまして、どうしてもやはりこういつた地域に特に貧困階層が多く発生して来ておるとか、あるいは一般的な救済施策の方法だけでは解決できないといつたような実情がありまして、政府としては統一的に考えるという態度をとらなかつたのでありますが、それぞれの地域ではやはり地域の実情に基いて、実態調査を始めるということをいたしまして、今日まで行わたております。実態調査の一番整つておりますものが京都市で行つております実態調査であります。この実態調査の結果によりますと、ただいまお話にありましたように、やはり現われからだけながめて行きますと、たとえば生活環境が悪いとか、あるいは一般の生活水準が低いとかいう現われでありますけれども、その底に流れるものはもつと根本的なものがあるのであります。それぞれの部落の就業形態というものから必然的にそういう生活環境が生み出されて来るというのが、今日までの調査の結果わかつておるわけであります。そういつたような実態もあり、また最近とみにいろいろな学会等の報告にも、部落の生活実態についての分析等が現われております。たとえば社会政策学会等にも、すでに三つ、四つ報告が現われておりますが、やはり単なる一般的な貧困問題としてだけでは理解できないものがあるという実態が出て参つておりますので、明年からは本格的にこの問題に手をつけようということで、実態調査費を計上するという運びになつておるわけであります。
  170. 和田博雄

    和田委員 この問題を特に今年になつて取上げたというのは、大臣としてはどういう点からお取上げになつたのか、その辺のところをちよつと聞いておきたいと思います。
  171. 山縣勝見

    ○山縣国務大臣 ただいま政府委員が申しましたような実態が各方面にありますので、この問題に対してやはり保健衛生の面、あるいはまた社会福祉の面、広く教育、住宅、あるいは産業、労働、そういつたような面からこの問題をどういうふうに解決すべきであるか、解決するためにはまずもつて実態調査をつかむことにいたしまして、しつかりしたデータの上に立つて施策を進めたい、そういうことで今回実態調査に必要な経費を取上げた次第であります。
  172. 和田博雄

    和田委員 この問題を取上げたことは非常によいと思うのですが、従来のようなただ単に救済するとかいつたような形で、いわば慈善的な態度でこの問題を取上げられても問題は非常に複雑であります。これはもう諸君も御承知ですから言いませんが、その実体の把握ですら、今まで相当過去においては調査もあつたし、私の知つている限りでもかなり調査はあつたと思うのです。それから自力更生で更生運動が起つたときでも、やはり部落がその対象になりまして、総合的に部落問題を少くとも経済的には解決しなければならないというので、いろいろな調査をやつた、実際上政府指導ではあたけれども、実践運動をやつたわけなんです。戦後において、それが今お聞きすれば、厚生省の方として統一的に取上げられたのではなくて、今まで地方部分的にこの調査がされておつたというお話であつたのでありますが、その点は私は役所として非常に怠慢だと実は思うのですが、戦後に農地改革が行われたり、あるいはそういう制度の大きな変革があつた場合には、必ず制度変革の対象として、こういう部落が入つていると私は思うのです。そういう意味でこれは厚生省の方の面から取上げられるとすれば、やはり厚生省がやつておられる行政の立場から生活そのものをよくして行く、生活に潤いをつけて行く、医療であるとかその他の点についてやはりほかの村と平均化して行く、均衡化をやつて行くというような点が主になるとは思いますけれども、そのもとになる実態の調査に当つては役所の関係はその点が個々はらばらにやられるのであつて、私は非常にむだだと思うですが、ほかの役所でやつている調査もやはり利用され、もつと関係のあるところと協力されて、一千万円余も使うのですから、これはやはりりつばなものをつくつていただきたいと私自身は思うのです。厚生省としてこの問題についてやつておまりしたいろいろな資料を御提示願えればありがたいと思うのですが、何かそういつたようなものがあれば、委員長の方において資料としてひとつ要求しておいていただきたいと思うのです。私は厚生省問題についてはまだほかにいろいろとこまかい問題はありますが、きようはこの程度で一応打切つて、また機会がありましたら大臣にお聞きすることにいたします。私はこれで終ります。
  173. 西川貞一

    西川主査 ただいまの御要求の資料につきましては、なるべく早目にお出しいただきますよう希望いたします。他に厚生大臣に対する質問はございませんか原君。
  174. 原健三郎

    ○原(健)委員 今和田さんの質問に関連してなんですが、この千二百四十七万円の中で、部落の生活改善のためにいろいろ必要な調査費及び総合福祉施設としての隣保館というものを置くということがありますが、隣保館とはどういうものか。調査費と隣保館の費用の割合はどういうふうになつておるか伺いたいのであります。
  175. 山縣勝見

    ○山縣国務大臣 ただいまの原先生の御質問の前に、ちよつと和田先生の御質問に関連いたしますので申し上げたいと思います。従来地方的にやつて、国として総合的にやつていなかつたということをちよつと政府委員から申し上げましたが、実はこれは関係方面との関係もございまして、国として総合的にできなかつたのです。それからこれは原さんの御質問にも答えるわけですが、千二百四十七万円とございますが、そのうち調査費は百五十万円くらいでございまして、大部分は隣保館に使う。隣保館はどういうことをするかということでございますが、これはなかなか一千万円や二千万円では、この同和問題の全面的な解決ができないので、隣保館は今回三箇所くらい予定いたしておりますが、そのうちでどういうことをやるかというと、いろいろなことが考えられますけれども、とりあえず当面問題になつておるのは、公衆衛生、保健衛生の問題でありますから、隣保館を中心にして、そういう保健衛生、公衆衛生の面を打ち出して行きたい。なお母子寮、社会福祉の面もこれを中心にしてやつて行きたい。まずもつてこういう面からやつて、行きたい。将来あるいは文化的な面も出て参りましようが、重点を置いておりますのは、やはり保健衛生の面、それから社会福祉の面、それから保育所、母子寮、そういうふうなものをやつて行きたい、こう考えております。
  176. 原健三郎

    ○原(健)委員 この隣保館を三箇所くらい二十八年度予定されておるということですが、三箇所の場所と規模を……。
  177. 山縣勝見

    ○山縣国務大臣 実は今回隣保館を設置いたしますのは、一応テスト・ケースというふうな意味でつくりたいと思います。今予算案を審議中でありますし、まだどこといつてきめておりませんが、できますればそういう意味で、立地的関係その他を今後決定いたして参りたい。まだ決定いたしておりません。
  178. 永山忠則

    永山委員 厚生関係におきましては、種々問いただしたい点があるのでありますが、非常に時間的な制約もありますから、野党側の方で十分審議をしたいというお言葉もあつたようでありますので、また時間の余裕が許せば、主査からお許しをいただいて質問いたしたいという考えを持つておりますので、一応主査のおとりはからいをお願いしておいて、私の質問を留保いたします。
  179. 西川貞一

    西川主査 了承いたしました。和田委員に申し上げますが、今晩は文部大臣に対する御質問はどうなさいますか。
  180. 和田博雄

    和田委員 私はけさ要求しました資料を、やはり御配付願つてやりたいと思うのであります。と申しますのは、中曽根君も同じものを要求されましたが、やはり全額国庫負担の問題を扱うとすれば、定員定額の問題が中心でありますし、その資料があつた方が審議が尽せると私は思うのです。私は私なりに勉強して来ておりますが、政府側の資料も出していただいて、そうして審議を尽して行くようにおとりはからいを願いたいと思います。
  181. 西川貞一

    西川主査 ちよつと和田さんに申し上げますが、明日は労働省所管、外務省所管審議を中心にしたいと思つております。御承知のように労働省等にもいろいろ問題が多い患いますので、努めてただいまの御発言の御期待に沿うようにとりはからいたいと思いますが、そういうふうに明日は外務省、労働省所管のことが相当ありますので、その点もよく御了承くださいまして、私の方といたしましても、努めて御期待に沿うようにとりはからいたいと思いますから、その点どうか御了承願います。
  182. 和田博雄

    和田委員 これはぜひ出していただきたいと思います。やはり主査の方も、努めてではなしに出していただいて、やはりきよう中曽根君が質問したその程度のことは、はつきり御答弁願つた方が、これは審議を早めるゆえんだと思うのです。私たちは、審議を進める上にはやはり政府側の方も、わかつているところは率直に話をして、そして審議を進めて行つた方が、実際上早いのです。何も私たちは審議を引延ばそうとしているのじやないので、真実を知りたいのです。これは国民に対する義務であります。だがらそういう点で、今はちようど中曽根君も来ていないしするから、あした資料を出していただいて——もちろん外務省の問題であるとか、労働省の問題であるとか、これは十分承知しております。しかし一生懸命やれば、何もそう心配されることもないのであつて、そういう点でやはり基礎資料は整えてやつて行くという態度をとられた方が、かえつて審議がうまく行くし、また実のある審議ができるのじやないか。そういうところをいい加減にしておくからこそ、何べんでも繰返して質問することになつて、実質的にはちつとも進まない、こういうように思うのです。
  183. 西川貞一

    西川主査 了承いたしました。
  184. 永山忠則

    永山委員 私は文部大臣を中心にして、審議を続けられることを希望するものであります。適当な食事の時間をおいていただきまして、そしてただいまお説もあるようでありますから、その資料を中心とする関係は、あるいは明日になつても、その他の関係においてただすべきことが多々あると思いますから、非常に制約された時間でありますので、この場合引続いて文部大臣の質疑を続行することを希望いたします。
  185. 西川貞一

    西川主査 それでは今から三十分ほど、従つて六時四十五分から再開いたしまして、文部大臣に対する質疑を続行したい思います。  暫時休憩いたします。     午後六時十七分休憩      ————◇—————     午後六時五十六分開議
  186. 西川貞一

    西川主査 休憩前に引続き会議を開きます。  文部省関係について質疑を継続することといたします。永山忠則君。
  187. 永山忠則

    永山委員 前の質問で、恩給関係についていま少しく当局に明瞭なる御答弁をいただきたいのであります。すなわち、各府県の財政状態によりましてこれにもでこぼこがあるのでありますが、これを政府が引継ぐ場合において、政府国家公務員の恩給関係よりも、地方地方公務員共済関係の方で率が高いというような者がある場合、その者に対しての考え方なんかはどのようになつておるかという点をはつきりお示しを願いたいと思います。
  188. 田中義男

    田中(義)政府委員 お話の点は、いろいろ調べましたところ、国で恩給法を適用いたします場合の条件よりも悪くなるという者はないようでございます。
  189. 永山忠則

    永山委員 国の方よりも悪くなる者はいないということで安心いたしましたが、それはそのままの引継ぎであるか、あるいは本人が希望いたしました場合においては一応そこは打切られることになるわけでありますか、その点をひとつお伺いしたい。
  190. 田中義男

    田中(義)政府委員 ただいまお尋ねの点は、昭和二十四年以後において就職をいたしました助教諭の問題だろうと思うのでございまして、それにつきましては、もし本人が択一的に恩給法の適用を受けますことが有利だと思えば恩給法の適用を受けることになりますし、あるいは、共済組合の長期給付を受ける方が有利だと考えればその方を選んでもよいことになるのでございまして、これは本人の都合に選択させるようにはからつてあるわけでございます。
  191. 永山忠則

    永山委員 その次に、勤続加給制度の打切りに関してです。政府が出しております今度の恩給法の一部を改正する法律案要綱の点について、先刻他の官吏あるいは軍人恩給等の関係で、同一扱いを受けるならばやむを得ないのだというような回答をしておいたということでありましたが、いま少しくその点をはつきり御説明を願いたい。
  192. 田中義男

    田中(義)政府委員 先ほどお答えを一応いたしたのでございますが、ともかく私どもとしては、加給の問題は、この職員法を作成いたします場合には、やはり従来通りに、これは教員のためにできるだけの有利な条件を得たいと思つておつたのでございます。しかし御承知のように恩給法の改正がございまして、そうして軍人恩給の問題についても、あるいは警察官等においても、すべてこれらの加給制度等を廃止してしまう、こういう事態に相なりますならば、教員としても今回国家公務員となつて、そうして国家公務員としての恩給の適用を受ける、こういうことになりますならば、従来非常に恵まれないために特別な加算制度があつたわけでございますので、今回この改正をいたします場合には、やむを得ないのじやないかと思つておるのであります。
  193. 永山忠則

    永山委員 勤続加給制度の打切りは、外国実勤続加給並びに警察、監獄職員及び教育職員についてのものでありますが、教育職員は旧来非常に給料が安くあつたというような関係で勤続加給があつたけれども、給与ベースも最近他の関係と比べて大体平均化しておるし、なお今度国家公務員になることになれば、他との均衡もあるから、これについて打切つてもよいというような考えで進められたのであると思うのであります。この点は軍人恩給の方に対しましても、加算年の廃止等種々強く査定をされておりますような均衡もあるかと思うのでありますが、後ほどまた恩給法の審議の場合において、さらに当局と十分話を進めたいと考えておりますので、これ以上は次の機会に譲りたいと思うのであります。その次に、日教組が義務教育学校職員法に対しまして、組織的な反対運動を強くやつておるということが言われておるのでありますが、最近の情報によりますと、日教組の中央委員会におきまして、すなわち昭和二十八年一月二十日午前十時から午後五時二十分まで、日教組本部の神田の会館で行われた中に、第一号議案、教育防衛闘争に関する件として、自由党は日教組の民主的、平和的行き方を打倒するため、義務教育国庫負担に伴う政治活動の制限、給与三本建、地方教育委員会設置等を強行しておる。この闘いは日教組と自由党の決戦であり、自由党打倒のためわれわれは全勢力を結集して、参議院選挙を目標として闘いを進めねばならぬというような提案理由の説明があり、さらに闘争資金としては、組合員一名につき百円、四十五万で四千五百万円、なお中国国民救援委員会から七十四万円の応援資金が期待できるといつたようなことが論議されたというようにうわさされておるのでありますが、そういう点に関して当局は何らかの材料等をお持ちでありますか。それともそういうことは単なるうわさであるかどうか。われわれも真相を知らないのでありますが、当局のお調べになつた点があればお示しを願いたい。
  194. 田中義男

    田中(義)政府委員 お話の点につきましては、実は当局として直接確証を得ておるわけでもございません。ただそういうことのあつたという事実については、伝え聞いておる程度でございます。
  195. 永山忠則

    永山委員 この場合大臣にお伺いしたいのでありますが、新聞紙上で劔木文部次官は、日教組の関係の人とお会いになりまして、何か日教組が特に一党一派に偏した政治活動をなし、あるいは総評の機構に入つて、もちろん日教組は労働団体であるというような関係において強く講和三原則等を支持して、政治的行動をやつておるという点に対して、何か御懇談をされたかのごとく新聞へ出たことがあるのでありますが、その内容と、また日教組の現在の政治活動に対する文部大臣の信念を承りたいのであります。
  196. 岡野清豪

    岡野国務大臣 劔木次官から数回にわたりまして、日教組の幹部に対して、今までの日教組の政治活動と申しますか、態度、行動というものは、はなはだおもしろくない。これは教員組合のやるべきものじやないということの反省をたびたび促しおるわけであります。そうしてもしそういうことをするならば、いろいろ世間の非難を受けるしまた政府としても相当な考えを持つて対処しなければならぬからということで、反省を促しておるわけでございます。しかしながら今回出しましたこの職員法案をめぐりまして、先ほど御説明のように一月二十日の日教組の大会におきまして、闘争宣言をしているようであります。私ももちろん伝え聞いた程度にとどまりますけれども、お説の通りなことを私は聞いております。そういうことは私はもつてのほかだと考えております。まつたく教員の職責を逸脱し、同時に何か一党一派のシンパであるごとき言動、行動をしておるように見えます。これに対しては将来、この学校職員法を別といたしましても、相当な考えをもつて対処しなければならぬ、こう考えております。
  197. 永山忠則

    永山委員 現在日教組はいろいろな反対の書面を出しまして、そうしてあるものは生徒にそれを持つて帰らして、そうしてあるいはPTA等で署名運動をいたしておるようなことを聞いておるのでありますが、そういうような事実がございますかどうか。
  198. 岡野清豪

    岡野国務大臣 ほかはよくわかりませんけれども、東京都内において、日教組が事実に違つた何か今度の法案に対する問答書のようなものをビラにしまして、そうしてこれを配つている。それからまた子供を使いまして署名を親御さんに求めさせておる。こういうことをはつきり私は伺つたのであります。それについてわれわれはどうしたらいいかということをいろいろ協議しまして、普通ならば局長通達でやるべき筋合いのものでございますけれども、次官通達といたしまして各教育委員会にそういうことはおもしろくないから中止させてもらいたい、こういうことを申し入れておる次第でございます。
  199. 永山忠則

    永山委員 日教組の中央委員会における協議の中に、実力行使の種類としてハンスト、主として幹部が行う、あるいは一斉休暇、早退戦術、定時退庁といつたようなことが強く協議されておるようでありますが、これらに対して、当局としてはどういうようなお考えを持つておられるか伺いたいと思います。
  200. 田中義男

    田中(義)政府委員 それらの行為は具体的になりませんとはつきり申し上げかねますけれども、しかし一般的な規定としては、地方公務員法によりまして、行政行為の能率を阻害するような、あるいはストライキとか、さらには怠業等が禁止されておりますので、場合によつてはそういうふうなことに触れるおそれもあるわけでございまして、これは相当考うべき事態だと思います。
  201. 永山忠則

    永山委員 次にこの日教組が言つておりますところの義務教育学校職員法の反対の中で、教員、児童、生徒が政府の命令通り再軍備賛成、憲法改正賛成の教育をやらされ、これに反対するものは文部大臣の辞令一本でやめさせられる、すなわち文部大臣が人事権を持つのであるから、文部大臣は再軍備賛成あるいは憲法改正のような教育をやるように指示して、これに反する者は辞令一本で首にするというような宣伝が行われておるように日教組の宣伝の中に見えるのでありますけれども、はたして文部大臣は辞令一本で教員の解職がすぐできるようになつておりますかどうか
  202. 田中義男

    田中(義)政府委員 この点についてはしばしば従来説明を重ねておるところでございまして、人事権については、現在の法案によりますと、最終的にはむろん国家公務員として文部大臣に帰しますけれども、しかしその人事権の行使は、これは法律によつて各市町村の教育委員会に委任をいたすのでございまして、文部大臣が辞令を出すということは全然ございません。従つて文部大臣が辞令一本でこれを百にするというようなことは、全然あり得ないことでございます。
  203. 永山忠則

    永山委員 辞令は町村の教育委員会が出すのでございますか、それとも県の教育委員会の名で出すのでありますか。
  204. 田中義男

    田中(義)政府委員 それは市町村の教育委員会の名において辞令は処理いたします。
  205. 永山忠則

    永山委員 これが解職の場合は、文部大臣は、もちろん解職に対して必要に応じて指示をなさることができるのでありますか、その点を伺いたいと思います。
  206. 田中義男

    田中(義)政府委員 文部大臣は人事権の行使について責任者として指揮、監督する権限は持つております。しかしその指揮監督は具体的にいかなる場合になすべきかという点につきましては、これは相当事柄の重要性を考えまして、そうして実際の処理が違法であるとか、あるいはよほど不穏当であるというような特別な場合に限られるべき問題でございまして、そうやたらにこれを濫用するというようなことはないはずですし、またすべきではございません。
  207. 永山忠則

    永山委員 法律的には今のお話ではできるんだというように承つたのでありますが、その際の県の教育委員会意見をお聞きになるのか、町村教育委員会意見をお聞きになるのか、どういう会議制で、どういう方法でおやりになりますか、単独でおやりになるのか、具体的なことを承りたいと思います。
  208. 田中義男

    田中(義)政府委員 指揮監督につきましては特に法文上でも何もうたつておらぬのでございまして、府県教育委員会意見を聞くというようなことも考えてはおりません。ただそういうお話が出ますのは、人事について市町村長との協議がととのわない場合に裁定をする、そういう場合に文部大臣がその裁定権を持つというような点でお話が出るのかと思いますけれども、しかしそれについてはさらに法文上にもございますように、政令の定める手続によつてやる、こういうことになつておるのであります。
  209. 永山忠則

    永山委員 人事の異動に関しまして、町村教育委員会がこの行使を委任されておりますので、これに対しまして県単位の異動等が非常に困難な情勢でがきる場合の処理に対してはどう考えておりますか。
  210. 田中義男

    田中(義)政府委員 教育の人事交流は、大体県単位に考えませんと、市町村にこれがこげつきますとなかなか困難になります。従つて人事の交流についてのあつせん調整は、都道府県教育委員会でやつてもらおう、こういう考え方になつております。
  211. 永山忠則

    永山委員 教職員の人事権は、町村教育委員会に行使を委譲されておるのすでありますから、これが交流に関して県がやりますことは、要するにあつせんという程度でありますが、どうしてもこのあつせんがうまく行かない場合における処理に対して、何かお考えがありましようか。
  212. 田中義男

    田中(義)政府委員 大体給与面につきましては、特に都道府県教育委員会が一応府県内の給与費についてその配分の責に任ずるわけでございますし、なおこまかい手続になりますけれども、市町村で教員を採用いたします場合には、採用志願者名簿に載つておるものでなければ他からは採用できません。その採用志願者名簿は、都道府県教育委員会で作成することになつております。従つてそれらの事柄を通じて、相当市町村の教育委員会等の間に話合いはできるつもりでおりますので、お話のようにうまく行かないというようなことはあまりないのではないかと思います。しかしどうしてもその話合いがうまく行かないということになりますれば、場合によつて中央からも勧告、指導等はなし得るわけでございます。
  213. 永山忠則

    永山委員 県の教育委員会があつせんをいたしまして、どうしても話がつかぬときには、文部大臣でその異動についてもこれをすることができる、またあるいはするかもしれぬというように解釈してよろしゆうございましようか。
  214. 田中義男

    田中(義)政府委員 委任をいたしておりますから、直接文部大臣でやるというわけには参りません。しかしそういうふうな場合において、その事態に応じて強力な指導、助言というものはなし得るわけでございます。
  215. 永山忠則

    永山委員 委任しておるから、異動の分は直接はできない。ただ助言、指導ができるということなら、やむを得ぬ場合においてこれを解職する場合も、権利を委譲しておるから指導干渉はできるが、強行はできないということとは違うのでありますか。
  216. 田中義男

    田中(義)政府委員 事柄によりまして、この人事を行うことそれ自身が非常に重大な結果をもたらすような場合において、どうしてもそのことを強行しなければならないような事態に立ち至りました場合には、文部大臣は、第六条の第二項に規定があるのでして、一定の期間を定めてこれこれの行為をなすべきである。しかもその期間を過ぎて、なおその行為をやらない場合には文部大臣において代執行権も持ち得るわけでございまして、さような事態になれば、直接やり得ないわけでは、ございません。
  217. 永山忠則

    永山委員 大体私は義務教育学校職員法に関する件については、一応質疑を終えて、あと青年学級その他の問題もあるのでありますが、皆さんの御意見を聞いた上で質疑を継続することとし、どちらかにひとつきめたいと思います。
  218. 西川貞一

    西川主査 他の委員の方に御質疑がございませんか。
  219. 灘尾弘吉

    灘尾委員 ただいまの永山君の御質問に関連して、もう少し伺つてみたいと思います。市町村の教育委員会が、その所管と申しますか、そこに所属する教員について、他の教育委員会との間に、人事の交流と申しますか、あるいは権利委譲というようなことをやろうといたします場合に、話がととのわなかつた場合に強制する方法があるのでしようか。
  220. 田中義男

    田中(義)政府委員 強制をする方法はございません。ただ話合いの上にやつていただきます。それに加うるに都道府県教育委員会が、そのあつせん役になる、こういうことでございます。
  221. 灘尾弘吉

    灘尾委員 大体そういうことではないだろうかと思つておつたのでありますが、そういうふうに考えて参りますと、今後の教職員の人事の問題につきましては、よほど実際問題としてはごくふうにならなければ、うまい指導はできないのではないか、こういうふうに思うのでありますが、この問題はただ教職員だけの問題でもございませんし、結局教育全体を刷新し、向上する上において一番大切な問題じやないか。その点が道府県のあつせん尽力によつてうまくできればきわめてけつこうでありますが、その点につきましては格段の御配慮をお願い申し上げたいと思います。  その点はそのくらいにいたしまして、文部大臣に所信を伺いたいと思うのであります。これはこの教育費の問題にも関連がないわけではございませんが、この法律を離れまして、岡野文部大臣はかつて地方財政の方を担当せられた方でありますので、はなはだ心強く感ずるのでありますが、従来文部省の行政面を見ておりますと、制度はなかなかりつぱなのができるのであります。しかしながらこれが実際において地方で行われるということになりますと、とかくどういう関係か存じませんけれども、財政面の裏づけにおいてはなはだ足りないものがあつたような気が私はするのであります。地方の状況が、国の世話の足りない部分について府県なり市町村なりないしは一般の寄付によるなり、そういうふうなことで埋め合せをつけておる場合がすこぶる多いように思います。現在でもそういう点がたくさんあるようです。しかし大臣も御承知通りに、地方の財政は決して裕福ではないのであります。また地方民といたしましても、いろいろな寄付ごとにはかなり疲れておる。ことに今回の場合におきましては、PTAの寄付がこれから多くふえるのだというような宣伝も行われているような関係で、どうかひとつ国で新しい制度をおつくりになりました場合におきましては、もしほんとうに地方の財政の裏づけができないというような場合におかれましては、あまり改正はお急ぎにならぬ方がよいのではないか。しつかりとした財政の裏づけがある場合においてのみ、初めて制度の改革をやつていただきたい。そうしないと迷惑するのは地方だけということになつて来るのであります。これは私はかつての例を申し上げたのであります。今後におきましては、特に大臣は幸いにして地方財政を担当せられた大臣でありますので、その方面につきましては特別の御配意を煩わしたいと思うのであります。大臣の御所信を伺いたいと思います。
  222. 岡野清豪

    岡野国務大臣 私も地方財政のことを約二年半ばかり担当いたしまして、今日の地方財政が非常に苦しい立場にあるということはよくわかつておるのでございます。そこで地方制度調査会なんかをつくりまして、抜本塞源的に地方の自治体のあり方をかえて行きたい、こういうような構想を私は持つておつたのであります。むろん後任の本多長官がこれに十分御努力くださるだろうと思いますが、この面におきましても、ただいまのような市町村、都道府県の財政状態は一日もすみやかにもう少し確立してやらねばならぬ、こう考えております。  それから今回この職員法を出したのも、結局それとあわせてやるならばいいのでございますけれども、その地方財政面の改革というものは、都道府県並びに市町村の規模の大小と申しますか、そういうものまで手をつけなければ十分なることもできないし、単に国税と地方税との間を調整するだけでは立つて行かぬ、こう考えておりますので、なかなか大問題でございまして、われわれといたしましては、まず地方教員が長年、平衡交付金ができまして以来の要望でありますところの給与費だけでも早くひもつきで確保してやつて行きたい、こう考えております。将来われわれ警を担当いたしまする者といたしましては、今回は教材費と教育職員の給与費だけでございますが、なおすでに法律となつております教科書無償の点——これはただいまのところでは一学年だけしかやつておりませんが、これも全学年にまわして行きたい。それからまた学校給食も、昨年よりわずかばかりはふえておりますけれども、まだ十分とはむろん申せませんので、この点も将来拡充して行き、できますならばこれも法制化して行きたい、こういうふうに考えております。また学校の施設の関係につきましても、これはいろいろ大きな問題でございますけれども、できるだけ国家予算を使いまして充実して行きたいと思います。そういうふうにいたしまして、お説のように今PTAの方が非常な寄付、出費をなさつております。そしてどうにかこうにか義務教育をやつておるとり現状は打破して行つて、子供さんが学校に行けば、親御さんにそう大して御迷惑をかけずに、おちついて勉強ができる、こういう方向に進んで行きたいと思います。これは私の所管といたしましてはそういうふうにいたしますし、内閣全体といたしましては地方の財政を強化する方面に大きな構想を持つて、今せつかく努力しておるところでございます。
  223. 西川貞一

    西川主査 ほかにありませんか。
  224. 永山忠則

    永山委員 せつかくですからもう少し……。小学校一年生の教科書無料配布は今年からやめになるのだというような宣伝が行われておるのでありますが、これはどうでありますか。
  225. 田中義男

    田中(義)政府委員 それはまつたくとんでもない誤伝でございまして、絶対そんなことはございません。のみならずできたらもう少し拡充したいと、今大臣お話のように考えておるくらいでございまして、さようひとつ御了承を願います。
  226. 永山忠則

    永山委員 それらの宣伝が教員組合の反対運動の中に出ておるように聞き及んでおりますが、これらの点に対しても、十分蒙を開いてもらわなければならぬと思うのであります。  さらにその反対運動の宣伝の中に、学校給食助成金は三十五億八千万円要求したのに、文部、農林両省合せて十七億八千六百万円に削減されたので、ますます父兄の負担が多くなると言うのでありますが、この点はどうでありますか。
  227. 近藤直人

    ○近藤政府委員 学校給食予算が本年は少くなつたというお話でございますが、事実はまつたく反対でございます。と申しますのは、昭和二十七年度は、当初学校給食の材料でございまするパンに使います小麦の半額を国家負担するというので、その見込額として約二十四億円想定いたしたのでございます。しかしこれは予算には盛りませんで、おおむね二十四億を目途としまして食管特別会計で操作するということで出発いたしたのでございます。昨年の十月の補正の際にはその額が十四億ということになりました。十四億を一般会計から特別会計へ躁入れることになりまして、学校給食の小麦の半額は十四億とういことでございました。それに対しまして二十八年度学校給食用の小麦の予算は、農林省所管の食生活改善費に計上されました額が十六億五千万、従いましてこの金額の上におきましては、二億五千万円の増額になつております。かつまた学校給食につきましては、そのほか学校給食に使いまする脱脂ミルクの利子補給金といたしまして、これまた一億程度のものが計上されております。これも昨年の額に比較いたしまして、相当額増額されております。かように学校給食費の予算につきましては、決して二十七年度よりも減額はしておりませんで、むしろ若干でございますが。増額しておるというのが現状でございます。ただ私どもの気持といたしましては、将来学校給食費は、ただ単にパンの原料に用いまする小麦の代価の半額を国が補助するのみならず、ミルクに対しましても国が何がしか補助をするような方向にぜひ持つて行きたい、実はさように考えております。以上申しましたように、決して学校給食予算は、二十八年度が減つておるわけではございません。その点どうぞ御了承を願います。
  228. 永山忠則

    永山委員 本法案に反対の中に強くこれは加えられておりますから、それらの点に対して、十分政府の意のあるところをお示し願いたいのであります。  ついでに関連してお聞きしますが父兄の負担がますます増す言うのでありますが、この点に対してはどういうふうにお考えでありますか。
  229. 近藤直人

    ○近藤政府委員 父兄の負担が増すと申しますことは、御承知のように、学校給食昭和二十六年までは、アメリカのガリオア資金によりまして無償でございました。但し輸送費その他は父兄が若干負担しておりますが、原則として無償でございました。それが昭和二十七年度になりまして、ガリオア資金の援助が中止されましたためこ、これをどうするかというような問題が起りまして、その際政府といたしましては、先ほど申し上げましたように、パンの原料に用います小麦の半額は国が負担する、但しミルクについては、これは父兄が全額負担してもらいたいということになりまして、昭和二十七年度から、いわゆる父兄負担の原則で出発したわけでございます。従いまして従来無償でありましたものが、ミルクの代金が全額、パンの代金が半額、それだけ父兄の負担が増加した次第でございます。従いまして、たとえば普通の小学校の給食費と申しますと、大約月三百円ないし三百五十円程父兄が負担するというのが現状でございます。
  230. 永山忠則

    永山委員 学校給食関係は、あらゆる点から見まして非常に重大なる意義を持つておりますから、当局は一段と努力されまして、負担軽減になるように、予算措置を将来十分考慮されまして、これが完全な運営ができるように、特に期待をいたしておきます。  さらに宣伝の中には、これはただ国で給与を持つだけであつて一般教育費は昨年より十二億も減らされておるので、二部教授はますくふえて、雨漏り学校、ボロ校舎はふえるばかりであるというような反対ビラが、相当ばらまかれておるというのでありますが、これに対しては。当局はどういうように考えておられますか。
  231. 近藤直人

    ○近藤政府委員 ただいま公立学校文教施設の建設費の予算お話だと承知いたしますが、これまた二十七年度と比較いたしまして、二十八年度が減つておるというお話でございますが、これは数字のとりようでございまして、公立文教施設予算といたしましては、私どもはまず第一に六・三制校舎の予算をあげます。次に屋内運動場整備予算、次に危険校舎の改築の予算、盲聾学校整備予算戦災復旧予算社会教育施設の予算、モデル教育施設の予算、その他若干の事務費を加えまして、総額が昭和二十八年度は四十二億八千万円でございます。それに比較いたしまして、昭和二十七年度は三十八億六万円でございます。従いまして四億二千万円の増額になつております。ただ減つておりますと申しますのは、そのほかに災害復旧予算と、鉱害復旧予算、これは北九州の鉱山の鉱害の復旧予算でございます。その分を加えますと、その分といたしましては、昭和二十八年度は二億六千八百万円、それに対しまして、昭和二十七年度は二十億六千五百万円、と申しますのは、災害復旧費の予算昭和二十七年度は非常に多額の支出をいたしましたので、従いまして昭和二十七年度は二十億六千万、それが二十八年度は二億六千万、この災害復旧予算額の上におきまして、約十八億という減を見ております。従いましてごの分を加えましたトータルを申し上げますと、昭和二十八年度は四十五億五千万円に対しまして、昭和二十七年度は五十九億二千万円と相なりますので、従つて十三億七千万円の減である、こういうわけでございます。以上申し上げましたように、災害関係を全部くるめますと、十三億七千万円の減になりまするが、この災害関係を除きますと、その他の分におきましては、先ほど申し上げましたように、四億二千万円の増を見ております。
  232. 永山忠則

    永山委員 災害関係予算減というようなものを入れまして、誤つた計算においてそういう宣伝が行われておることは了承いたしましたので、十分この点に対しても積極的に当局が、反対宣伝をためにする者もあるかもしれませんから、十分了解をされるように一段の努力をされますとともに、六・三・三制の関係は、戦後日本が戦災を受けて非常に困難をしておる際に、ここに飛躍してできたのでありまして、従つてこれに対する地方費は非常に厖大になりまして、ほとんど地方においてはとうてい耐え得ないところまで、地方財政が困窮に至つておるのでありますから、文部当局は一段の努力をされまして、これらの予算措置にさらに邁進されることを希望いたすものであります。  この問題とは直接関係ありませんが、今日青年学級の問題が非常に重大な問題になつて来ておるのであります。すなわち定時校へさえも行き得ない気の毒な国民大衆層の教育、当局はこれに対して年々百万人あるというようにも言われておるのでありまするが、それらに対しての教育の確立に対して、青年学級をどういうように持つて行くか。なお公民学校との関連性、定時校との関係において、どういうような調整をしながら、この定時校へさえも行き得ないところの青年、しかも十七、八歳から二十までは最も思想の乱れるときであり、また体位の訓練、知性の高揚をはからねばならぬ一番大切なときの教育に対して、これが非常に強く文部当局では取上げられなければならぬのでありますが、六・三の問題の方が先行しまして、青年学級の方が非常に顧みられていないといううらみがあるのであります。これらの点に対する当局の御方針を承りたいのであります。
  233. 寺中作雄

    ○寺中政府委員 今日青少年教育の必要であることにつきましてはお説の通りでございまして、青少年教育のために大いに努力をしなければならないと考えておるのでございますが、現在青年学級は一万一千学級、約百万人の青少年の教育施設になつております。来年度予算といたしまして、八千八百七十四万円をこのために計上したのでありまして、これによりまして、大体一学級二万四千円の学級運営費がかかるものといたしまして、その三分の一を国庫において補助するという形におきまして、青年学級運営の促進をはかりたいと思つておるのであります。なお青年関係予算はそのほかに青少年指導員等の問題がございまして、全部で九千九百七十一万円になつておるのであります。  定時制高等学校青年学級関係でございますが、定時制高等学校学校でありますから、これは単位制度でありまして、大体八十五単位のものを四年間にとるという関係でありますが、青年学級はそういうことでなくして、自由に産業あるいは生活に即する教養を青年の方から自主的に求めて学習するという形におきまして運営される次第でありまして、実際上青年の中にも、定時制に行きたくても、あるいは経費負担関係におきまして、あるいは勤労時間の関係におきまして、また一面定時制は全国で三千校ばかりあるのでありますが、必ずしも一村一学校ずつあるというわけではありませんので、通学距離等の関係からいたしまして、通えないというような関係もございますので、そういう場合には青年学級におきまして、勤労青年としての相当の教養を修めるということにしたいという意味で青年学級振興をはかるつもりであります。  なお公民館との関係でありますが、公民館は現在二万三千館あるのでありますが、これは分館を合せたものでありまして、町村の数にいたしますと六千九百五十七市町村まで普及いたしております。大体六九%くらいであります。この公民館に対する運営補助金は二千三百六十五万円であります。青年学級と公民館の関係は、公民館におきましていろいろ社会民衆のために講座を持つて教養施設をやる、青年学級もその講座の一つというふうに考えてもいいのでありまして、青年学級は大体公民館のあるところでは公民館が主体になつて実施されるという形になる、すなわち公民館の行う長期講習会のようなものであります。これは学校ではないのでありまして、簡易なる青年の教養設備というふうにお考えいただけばいいかと思います。大体以上のような関係であります。
  234. 近藤直人

    ○近藤政府委員 先ほど公立文教施設の比較のお話でございましたが、永山委員は御了解になつたと思いますが、念のためにちよつと申し上げておきます。それは公立文教施設予算比較の場合に、災害復旧経費を入れますと、非常におかしなものになります。災害は過年度の分がずつと尾を引いて出て参りますので、この方がもし二十七年度に非常な災害がありますればふえますし、また二十八年度に非常な災害がありますればやはりふえるわけでありますので、比較の場合には災害復旧の分を除きまして処理する方が妥当であろうと思います。念のために申し上げておきます。
  235. 日高忠男

    日高委員 私はこの予算書を見せていただいて質問するのでありますが、本会議における大臣の提案理由の説明から頭に浮びましたことについてお伺いしてみたいと思うのでございます。  大臣は東京の真ん中の学校先生も、それから農山漁村の先生も同一待遇を得られるということをおつしやいましたが、その場合に、やはり地域給というものはあるのでございましようか。その点をひとつお伺いしたいと思います。  第二点は、五大都市は今すぐに全額国庫負担するのでなしに、地方税制を改正して後に行うというように聞いたのでございますが、またそのときに、全額国庫から給料が出ればこれは国家公務員であるし、また国家公務員であれば全額国庫から負担するのが当然である、これは裏表のようなものであるという御説明であつたと思いますが、そうしますと、この理論を一層力強いものにし、なお野党三派あたりで反対しておられるその反対をやわらげる意味におきまして、実際に五大都市において税制の改革ができまして、ほんとうに国庫から全額負担となるときまで、その五大都市だけは国家公務員にすることを延期しておくというようなお考えはございませんでしようか。
  236. 岡野清豪

    岡野国務大臣 地域給は非常に込み入つておりますが、しかし今後そういう方面を実情に即して考慮しまして、できるだけ義務教育職員の給与の平均化ということを策して行きたいと思います。これは実情をよく調べました上で事務当局で適当に処置すると思います。  それから東京、大阪並びにあとの六大府県でございますが、これは東京、大阪にはむろん出しませんし、あとは減額してやるということになつております。それはこういうようなわけでございます。御承知通りに私は大阪出身でございますが、もし国家公務員にいたしませんと、やはりある村からある町へ転任などもできませんし、その間に恩給の継続がなくなつたりしまして、いわゆる小さいところに固まりまして、その人の待遇が不利で動かなくなり、人事交流に非常に支障を来すというような意味で、二十八年度内には税制改正などの措置をやりまして、二十九年度になりましたら全部行くようにすることにわれわれは考えておりますので、その以前にいたしますことは、一に教員が自由に人事交流ができ、同時にその人事交流に伴つて、今の情勢でございますと、昇給とか昇格とか恩給の継続とかが不利になつておりますから、その不利だけでも救つて行こう、かように考えております。  それからもう一つ御参考のために申し上げておきたいと思いますことは、この公務員というものは全額負担にするから公務員にするというわけのものではないのでありまして、昔明治十七年以来小学校がございましたが、あれは市町村が全額負担しておつて国家は何も金を出しておりませんけれども、やはり国家公務員であつたのでございまして、そういう意味におきまして、これはどういう理由でございますか、おそらく人事交流とか何とかいうことが主になつて出ておつたのだろうと思います。ただ平衡交付金ができましてから地方公務員という名にかわつたのでありまして、昭和二十四年までずつと国家公務員であつた、こういう歴史がございますので、私は金をやらぬから国家公務員にすることを待つたらいいんじやないかというよりは、国家公務員にしておいた方が、人事交流で教員諸君の身分が安定する、こういう立場から考えた次第でございます。
  237. 日高忠男

    日高委員 ただいまの御説明でよくわかりました。  もう一つほかのことでお願いしたいと思いますが、現在の大学の医学部のことでございます。これはほかの学部に比べますと、教養学部を出た上にまた四年修業しまして、さらにインターンを一年やりまして、それから国家試験を受けなければなりません。それでほんとうに医師の免許証をもらいますのは、大学を出ましてからやはり一年半かかるようでありまして、これを計算してみますと、ほかの文科法科あたりに比べますと、片一方が教養学部を終りましてから四年で済むところが、医学部は全部で七年半かかるような計算になります。そして開業しましたり、普通の私立の病院に勤めます場合はよろしゆうございますが、役人となつて厚生省にでも入ろうという場合には、やはりその卒業年度によつてやられまして非常に不利な立場になるのでございます。医学部教育のあとの四年間というものは、私らの経験では長過ぎる、三年で十分であるというふうに考えておるのであります。今後医学部教育というものについて一層の御考慮を煩わしたいと思います。これは質問ではなく、希望であります。
  238. 永山忠則

    永山委員 青年学級の法制化に関する問題についての所見を承りたい。
  239. 寺中作雄

    ○寺中政府委員 青年学級に対する補助金として八千四百万円を予算化しておるのでありますが、この補助金をいかなる形でいかなる方法で青年学級振興をはかるかということにつきましては、やはりその助成する方法なり、あるいは助成する基準なりというような一種の法制的基礎が必要ではなかろうかと思うのであります。なお同時に青年学級というものは、これは青年を対象とする教養設備でございますから、どうしても勤労青年がほんとうに学びたいという趣旨によつて集まる。そうしてそごに理想的な学習組織をつくるという、いわば自主的な熱意によつて学級ができるということが青年学級を理想的なものにして行くために必要でございまして、そういう自主的な態勢においてこの青年学級が行われることをいわば保障するためにも、一つの法制的基礎が必要ではなかろうかというふうに考えておるのでございまして、これについては識者の方でもこれの法制化が必要であるというような趣旨によつて何らかの形でその実現が期せられることを期待をいたしておるような次第でございます。
  240. 西川貞一

    西川主査 本日はこの程度にとどめまして、明十六日は午前十時より開会することといたします。明日は主として外務省、労働省所管について審査に入り、なお文部省関係につきましては、特に保留された質問について、時間の許す範囲においてこれを許したいと存じます。これにて散会いたします。     午後八時五分散会