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1953-02-26 第15回国会 衆議院 予算委員会第一分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年二月二十六日(木曜日)     午前十時四十三分開議  出席分科員    主査 塚田十一郎君       植木庚子郎君    植原悦二郎君       佐治 誠吉君    重政 誠之君       砂田 重政君    日高 忠男君       南  好雄君    吉江 勝保君       櫻内 義雄君    高橋 禎一君       松浦周太郎君    宮澤 胤勇君       河野  密君    西村 榮一君       山田 長司君    兼務       福田 赳夫君  出席国務大臣         外 務 大 臣 岡崎 勝男君         大 蔵 大 臣 向井 忠晴君  出席政府委員         総理府事務官         (経済審議庁調         整部長)    岩武 照彦君         総理府事務官         (経済審議庁計         画部長)    佐々木義武君         総理府事務官         (経済審議庁調         査部長)    須賀 賢二君         経済審議庁審議         官      今井田研二郎君         大蔵事務官         (大臣官房長) 森永貞一郎君         大蔵事務官         (主計局長)  河野 一之君         大蔵事務官         (主計局次長) 石原 周夫君         大蔵事務官         (主計局総務課         長)      佐藤 一郎君         大蔵事務官         (主税局長)  渡邊喜久造君         大蔵事務官         (理財局長)  石田  正君         大蔵事務官         (管財局長)  阪田 泰二君         大蔵事務官         (銀行局長)  河野 通一君         大蔵事務官         (為替局長)  東條 猛猪君         国税庁長官   平田敬一郎君  分科員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   大庭 金平君         大蔵事務官         (主計官)   谷川  宏君         大蔵事務官         (主税局調査課         長)      庭山慶一郎君     ――――――――――――― 二月二十六日  分科員佐治誠吉君、吉江勝保君、高橋禎一君及  び伊藤好道君辞任につき、その補欠として植原  悦二郎君、日高忠男君、櫻内義雄君及び山田長  司君が委員長の指名で分科員に選任された。 同日  第二分科員福田赳夫君が本分科兼務となつた。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  昭和二十八年度一般会計予算大蔵省所管  昭和二十八年度特別会計予算大蔵省所管  昭和二十八年度政府関係機関予算大蔵省所管     ―――――――――――――
  2. 塚田十一郎

    塚田主査 これより第一分科会を開会いたします。  本日は、昨日に引続きまして昭和二十八年度一般会計予算、同じく特別会計予算、同じく政府関係機関予算中、大蔵省所管を議題といたし、質疑を続行いたします。質疑の通告がありますから順次これを許します。西村榮一君。
  3. 西村榮一

    西村(榮)委員 私は予算総合において対日援助費の問題で質疑中、塚田主査の御配慮によつて途中から打切られてしまつて二日間の休養を与えられまことに感謝にたえないが、その結末がついておりません。それからこの際私は政府委員自分希望を申し述べておきたいのです。河野君を中心とする大蔵省高級官吏の諸君が、日夜業務に精励されておることは私はよく認めます。しかしながら大臣前回答弁したことを取消すということは、これは客観情勢変化並びに自分意思ではなくとも、団体意思変化等によつてこれは政治的にはあり得ることである。有名な言葉でありますが、犬養さんが在野時代の言質を総理大臣のときに責められたときに、これは人生修業の途上における心境変化であると言われたことは有名であるのであります。政治家にはこういう心境変化団体意思変化によつて前言を取消すということは許されるが、私は官吏にはそれは許されないと思つております。なぜならば、官吏というものは政治的な意思まじつて議会答弁なすつてはいかぬのであります。これは行政技術並びに憲法その他の法律に準拠して純事務的に御答弁なさればよろしい。事務的な答弁がくるく変更されて、簡単に取消されるという悪例を議会は残してはならない。私はこの間気がついておつたのですけれども、皆さんが業務に精励されている立場をよく了解しておつたから、その点は追究しなかつたのであります。あなたが、対日援助費問題のごとき重要な問題で前回答弁を取消すということは、従来でありますならば当然進退伺いを出さなければならぬ。高級官吏としては、それだけの道義心責任感を持つて大臣を補佐されて行くのが当然だと思う。しかし私は官吏服務規程その他を引用してやぼなことは申しません。今後ひとつ大臣を補佐されて行く場合、法律立法技術の面に準拠して、政治的な感覚を加えざる補佐の答弁を私はあらかじめ希望しておきます。それについてあえてあなたの御答弁はいりません。私の率直な希望を申し上げておきますが、主査もよく了解しておいていただきたいのであります。  そこで私は大蔵大臣にお尋ねしたいのですが、対日援助費の問題については、あなたの前回答弁と今回の策弁とは違つて来たのであります。しかしそれはまた取消しになりましたから私は深く追究したいのであります。私の質問に対してあなたは、対日援助費債務なりという認定をして予算に計上したとおつしやつたのでありますが、この対日援助費債務なりとあなたが認定なすつた根拠は一体どこにおありになるのか、これをひとつ伺いたい。
  4. 向井忠晴

    向井国務大臣 これも前に御答弁申し上げたと思いますが、アメリカから送つてもらつたものをただもらつたと思わずに、これは債務と心得る、そういう政府考えをもちまして債務と認めようという意味でございます。
  5. 西村榮一

    西村(榮)委員 そうすると、あなたの債務と認めてここに予算に計上されたという根拠は、単にただでもらつていかぬ、従つてそれは日本債務に属するのだというだけの根拠なのですか。
  6. 向井忠晴

    向井国務大臣 私の考えはその通りでございます。
  7. 西村榮一

    西村(榮)委員 これは前回にもちよつと申し上げたように、この金は、あなたの御就任前の話でありますから何ですが、まず第一になあたは、連合国司令官昭和二十一年の早々に、日本へこういうふうな品物難民救済のために送つてやる、これを受取りなさいという文書が総司令部から日本国政府に通達されて来ておりますが、この文書ごらんになつておりますか。
  8. 向井忠晴

    向井国務大臣 私はその文書を公式には見ておりません。
  9. 西村榮一

    西村(榮)委員 その文書は、これは日本に貸してやる品物であるということは書いてない。これは日本に与えてやる、恵与ということを使つているのです。しかしそれはあなたはごらんになつていないと言うから、私は申し上げません。  それからこの対日援助費は、五箇年にわたつて日本国政府の干渉、使途についての容豫を許さなかつた、総司令官一存でこれを取扱つてつたということはあなたは御存じでありますか。
  10. 向井忠晴

    向井国務大臣 使い道がわれわれのかつてにできないというふうになつていることは、私は承知いたしておりません。
  11. 西村榮一

    西村(榮)委員 見返り資金制度が制定されるまでは、日本国政府の口出しは許されなかつた。一にかかつてこの金の使途というものは総司令官の権限に属しておつた、これはあなた御存じありませんか。
  12. 向井忠晴

    向井国務大臣 よく取調べまして御返事申し上げます。
  13. 西村榮一

    西村(榮)委員 見返り資金というものが昭和二十五年ですかに制定された。その前まではこれは日本国政府管轄外であつた。  次にお伺いしたいことは、この対日援助費が円に換算された、あるいは品物ボ自身日本国行政管轄外における沖繩方面に転用されておつた、進んで朝鮮にもこれは転用されておつた。同時にこの対日援助費の二十何パーセントかその数字は今ここにありますが、二十何パーセントかはGHQの事務費に充当されておつた。このことはあなたは御記憶でございますか。
  14. 石田正

    石田政府委員 今西村委員からの御質問でございますが、大蔵省といたしましては、金額的にはつきりいたしますものはお話のごとく見返り資金昭和二十四年に設立いたされてからでございまして、それからあと見返り資金の受入れました金額は、三千億円をちよつと越しております。たしかドルに換算いたしますと、三百六十円で割りまして八億五千一百万ドル見当に相なつていると記憶いたしております。それ以前の数字につきましては、日本側におきましてもなかなか金額を確定することが困難でございます。先方数字につきましてもいろいろな数字がございますが、特にお話のありましたところの向うの発表の数字等につきましては、その中に沖縄関係に転用されたものが相当含まれていると解釈せられる節が多いのでございまして、それらの点のはつきりしたところは、いまだ結論がついておらないという実情にあろうと思つております。
  15. 西村榮一

    西村(榮)委員 大体私の記憶と一致しております。同時に向井さんにお尋ねしたいのですが、これはアメリカの国会では、軍事費の中から日本援助費としてもはや打切られ、支出されてすでに決済ずみである。同時にこれは、アメリカ予算額日本に到着いたしました金額との間においてはかなりの差がある。このことはあなたは御記憶ですか。
  16. 石田正

    石田政府委員 先方予算につきましては、ひとり日本に限らず、占領費全体の措置として予算を出す。その内訳につきましてはいろいろと議論もございますが、なかなか正確に当方といたしまして把握しがたい点がございまして、従いまして、この問題を数字的に明らかにいたしますためには、相当慎重な配慮をすることが必要であろうかと考えている次第であります。
  17. 西村榮一

    西村(榮)委員 今政府委員答弁で明らかになつたのですが、これは私の記憶と全然一致している。これは占領軍司令官所管に属しまして、占領治下全体にわたつてこの費用は使われていた。数字のことは臆測であるし、かつて私は三年前に政府資料提出を求めたことがあります。その資料も不正確ではあるが、大体こういうふうに想像できるというので、大蔵省から資料を出された。そのときに私はよくこれは良心的に出されたものだと敬意を表して、その矛盾を指摘しなかつたのであります。そうすると今明らかになつていることは、占領地全体に使われた金である。しかもそれは占領軍司令官所管に属し、その占領軍司令官占領地区行政について必要なりと認めたどきには、占領軍司令官が使つた。しかもそれはアメリカ軍予算の中から出されたということである。そこでこの対日援助費というものは、日本に対する援助なりとしてアメリカ予算においては決済済みである。決済して落しちやつた。上げたものだと、こういうて落してしまつた。今墓場の中に葬つてある、火葬に付しておつた人間がによこによこ生きて来たようなかつこうになつているが、一旦決済して落してしまつたというものがなぜ援助費債務なりとして化けて出なければならないのか。そういうような政治論は別といたしまして、一体アメリカ予算において決済して落してしまつているものを、将来日本債務なりとして返したら、アメリカは一体どういう費目で受け入れるのか。この点ひとつ財政当局としてあなたの見解を承りたい。
  18. 向井忠晴

    向井国務大臣 その点につきましては、アメリカの方の勘定のことは私は関知いたしませんが、先ほども申し上げましたように、援助としましては、ただとらない方がいいというふうに考えております。但しその金額というようなことは、十分交渉してきめて行きたいというように考えます。
  19. 西村榮一

    西村(榮)委員 あなたは先ほど来ただでものをもらわぬ方がいい、日本はこじきではないのだからという気持は私は理解します。私もまた、たとい敗れたりといえども、アメリカから一飯の恩恵にも浴そうとは思わない。かるがゆえに、しばしば私はアメリカに旅行する機会があつたけれども、日本が完全に独立して自主的な行動がとれるまでは私はアメリカに行かぬというので、私はいまだに日本から国外に一歩も出ていない。一飯といえどもアメリカから受けぬという決意を持つことは、これは日本政治家として当然だと思う。従つてあなたも、この対日援助費ただでもらつては済まぬという気持はよくわかるけれども、それならば私はミズリー艦上における終戦条約ポツダム宣喜盲というものを対照してお考えになつてただきたい。この援助を受けるかわりに、日本では終戦処理費の名のもとに占領費を分担した。同時になぜこれを受けたか。日本は海上を封鎖され、貿易を封鎖されて、その中に立つて日本経済日本政治に制約を加えて、自由なる経済的、政治的活動を制約しておる代償として、日本国民を飢えしめない、平和の生活を保障するというポツダム宣言に基いてこれを援助されている。しかもそれ以上のおつりが行つている。計算してどのくらいになるかわかりませんが、対日援助費は二十億ドル余ですが、終戦処理費として支払つているものは、おそらくそれより七、八十パーセント上まわつてつりを出している。しかしその政治論は今言いません。しかしあたなのただでもらつてはいかぬということは、国民に対して多くの誤解を招くから、私はこれを了承しない。しかしそれは政治論ですからやめます。  そこで私は純技術的にお伺いしたいのです。ただでもらつてはいかぬから返すのだというお気持はわかるが、しからば返したらアメリカはどういうふうに受入れるか。この金を日本がかりに返すとすれば、アメリカはどういう名目でそれを受入れるのでしようか。これは純技術的な問題ですが、大臣から御答弁願いたい。
  20. 向井忠晴

    向井国務大臣 こういう例はドイツにもありまして、ドイツでもまだきまつていないそうでありますが、日本の場合にも、そう急激にきまるとは思いません。同時にアメリカがどういう名目で受入れるかということは、今考えるわけに行かないように思います。
  21. 塚田十一郎

    塚田主査 西村委員に申し上げますが、外務大臣は第三分科所管なのでありますけれども、便宜こちらに出ていただいております。ところが第三分科和田委員から、外務大臣出席を要求しておるそうでありますから、早く外務大臣に対する質問をお願いします。
  22. 西村榮一

    西村(榮)委員 ドイツでもまだきまらぬというのですけれども、私はここに純技術的にお伺いしたいことがある。私らは対日援助費は相殺されるものと思つておるのだけれども、これをかりに日本アメリカに返すとする。予算に組んであるのですから当然そうなるのでしよう。返すと仮定すれば、アメリカは一体どういう財政法上の処理に基いてこの返済分を受けるのであるか。あなたはアメリカ決済方法は知らぬというが、財政処理の仕方の常識論です。一旦決済で落してしまつたものを一体アメリカはどういう費目でこれを受けるのか。   (「アメリカ大蔵大臣に聞け」と   呼ぶ者あり〕
  23. 石田正

    石田政府委員 今大蔵大臣からドイツの例について御答弁がありましたが、ドイツは御承知通り日本の対日援助費に相当いたします分について六二・五%は切り捨てまして、三七・五%を返すという約束ができておるわけであります。その三七・五%に相当いたします分は、まだ実行されておりませんが、どういう費目でやるかということは、アメリカがどういう形をとつて受取りますか存じませはけれども、そういう約束をいたしておりますので、そういうことは向う財政上も可能なのではないか、かように想像いたしております。ただどういう款項目等をつくりますか、その点はまだはつきり申し上げかねるような現状であります。
  24. 塚田十一郎

    塚田主査 西村委員に重ねて申し上げますが、第三分科からの配ねての申入れですから。……
  25. 西村榮一

    西村(榮)委員 今アメリカ大蔵大臣に聞けというお話があつたが、私はこの金を返してやつたら困ると思う。現にドイツ処理の仕事も、ドイツがあの条約援助費を片づけたという裏面には、それ以上の代償を握つているのです。これは外務大臣がおられるから御存じですが、表面に現われたところ存でもいろいろな条件がついて、あれ以上のものを握つている。私はそこでこの点を公開の席上でなしに伺つてもいいのですが、実業家出身で、そろばんをはじいて長年御経験の大蔵大臣は、西ドイツがなぜあの金額で不合理なる対独援助債務と認めたかという裏面のことをよく御研究願いたい。認めたけれども、ドイツは損をしないという計算です。日本の場合も、そのまま返してやればアメリカは困るのじやないか。なぜならば、これは財政上の処理として雑収入で受取る以外にはない、一旦決済で落してしまつたのですから。ところが雑収入と申しまするならば、これは国際間において雑収入としての収益の受入れ項目はどこにもありません。国際間における金の出し入れというのは、国際条約に基かなければならぬ。だから、私がアメリカにこれを返してやつたアメリカが困るのじやないかということを申し上げたのは、これなんです。アメリカには、これを返してもらつても受取るだけの態勢ができていない。それで私は先ほど大蔵大臣自分はこれはただらつてはいかぬという考え方で返すべきだという根拠についてお伺いしたのですが、明確な御答弁はありませんでした。  そこで私は外務大臣にお尋ねいたし、たいのでありますが、何かこれについてアメリカから、この対日援助費は貸してやつた金だから返せというような公式の通達があつたかどうか、これをひとつ外務大臣にお伺いしたい。
  26. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 アメリカからはもう独立以前から、広義の対日援助でありますが、これについているく話をしたい、つまり数字等もきめたいという希望はずつとあつたのであります。それは今問題になつておるガリオアのみならず、イロアとか、報奨物資とか、余剰物資とか、あるいは払下げ物資とか、いろいろなものがあるわけであります。これにつきましては、先ほど大蔵大臣からもお話があつたように、それは話をしてみるのはよろしいが、日本側から言いますと、たとえばある額のうちの一部はガリオアなので、これは御承知のように占領地に対する救済資金ですから、日本と限つておらないのであります。そこでそのどの部分沖縄に行き、どの部分朝鮮に行き、どの部分日本に来たということが、日本資料で十分われわれの納得行くものがあつて、初めて話合いができるわけであります。ところが終戦直後のしばらくの間というものは、とにかく物が来ればいいというような状況であつたものですから、手続等も混乱しておるし、書類等も十分整わないような場合もあるし、また中央でやつておるその半面、今度は地方でもつてその現実の状況を見て放出するものもあり、いろいろ不備な点がたくさんあつて、われわれの方か害うと、それをできるだけ十分――十分と言つても、われわれの方で納得できる範囲の資料がこちら側にあつて、初めて向う話合いができる、こう思つて大蔵省等と連絡していろいろ調べておるわけであります。ところがまだ十分自信のある資料はできておりません。従いましてそういう話はまだやるつもりはないのでありますが、資料ができれば、これは話し合つて、どの部分ほんとう日本に落ちたものであるか、それを返さぬは別として、少くともどの部分日本に実際使われたものであるかということは、はつきりさせて向さしつかえないものであると私は考えておりますが、まだその時期に至つておりません。
  27. 西村榮一

    西村(榮)委員 大体わかりました。そうすると、話合い向うからあつたわけですね。これは変な聞き方ですが、公式な話合であつたのでしようか、何か非公式に、そういうことも話し合つてみようじやないかという程度のものですか。あわせて、あなたに話があつた人は一体アメリカのどういう資格のだれであるかということを、お漏らしになることができれば幸いだと思います。しかしできなければけつこうです。公式が非公式か、その点をお伺いいたしたい。
  28. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 われわれの話は、たとえば文書があれば公式であるというわけには参りません。向う責任のある人からこちらの責任のある人に話せば、やはり公式の話であります。これは過去において何べんもあつたのであります。私はどういう形でということは今ちよつと申し上げるのは差控えて、将来発表するときにしたいと思いますが、口頭にしろ文書にしろ、とにかく公式の話であることは間違いないと思います。しかも数回あつたと思います。
  29. 塚田十一郎

    塚田主査 西村君、外務大臣になお続きますか。もし何でしたら一度帰してまた御質問願うように……。
  30. 西村榮一

    西村(榮)委員 それではちよつと最後に簡単に……。そうすると今のあなたのお話では、公式、非公式は別問題として、まだ日本債務と認めるか認めないか、支払うか支払わないかということは資料も今調査中だから不十分で話合いを進める根拠はまだ具備していない、こういうふうに解釈してよろしいか。
  31. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 これはいろいろなものがあります。先ほど申したように、大きなものがガリオアでありましようが、小さいものはたくさんあります。小さいものの中には、債務と心得るも心得ないもない、必ず債務であるという種類のものもあるのです。それにしても、たとえばカン詰がたくさん出て来た、そのうちのどれだけがほんとうに使えもので、どれだけが腐つてつたか、あるいはこわれておつたかということは、やはり調べなければわからぬものです。しかしその大きな部分であるガリオア等については、概括的には債務と心得えております。けれども、どれだけがはたして債務であるかということは、まだきめ得る段階になつておらぬし、またそれがきまつたとしても、今度はどれだけ返すかという問題は別問題だ、こういうわけです。
  32. 西村榮一

    西村(榮)委員 それでは簡単にもう一点。十九日の新聞にこういうふうに出ているのです。この対日援助費債務として返すようにという交渉の中に、「米国政府日本との交渉に当つて米債務返済の問題と再軍備の問題とを密接に関連させる態度をとるであろうという見方もかなり強く行われている。」今の話合いの中にそういう話が少しでも出たでしようか。この新聞は正確と解釈していいでしようか、どうでしようか。
  33. 岡崎勝男

    岡崎国務大臣 再軍備と関連させるという点でありますが、ずつと前から話合いが今申した通りありますけれども、そういう話は一切出ておりません。また今後も私は、そういう話は、これに関連して出るというような気持はないと考えております。
  34. 西村榮一

    西村(榮)委員 それでは大蔵大臣にお尋ねいたしますが、今外務大臣が明らかにされたことは、そうはつきりはおつしやらなかつたが、これは全額債務であることを確認するかしないか、あるいは返すか返さないかというふうなことについては、いまだ資料が整つていない、判断の基礎になるものが具備しておらないという外務大臣からの回答であつたのであります。おとといのあなたの御答弁によると、どこからもこれについての交渉はなかつたけれども、目分としてはただでもらつちやいかぬから返すのがほんとうだと思うという御答弁でした。全会の答弁とはちよつと違つて、訂正されてそういう答弁をなさつた。あなたが今から十日ほど前に御答弁をなさつたのと、おとといの答弁と食い違つたということは、これは私はあなたの責任ではないと思う。かつて日本国政府は、この問題については、これは援助であつて債務ではありませんという見解をとつて来られた。ところが両三年来、そろいろどうもこれは返すべき性質のものであろうというように、政府答弁あいまい模糊のうちに債務を承認したがごとき見解にかわつて来た。従つてあなたが十日ほど前に御説明なさつたあの答弁日本国民の感情を端的に表現し、しかもその実体をついた回答であつたのでありますが、おとといはそれを修正された。これは日本政府の本問題を取扱う変化についての過程を、あなたの十日の間の変化の中に端的に表わしたと思う。あなたはこれは公式に何もなかつたただ返したいというだけだ、こう言われた。そこで今外務大臣は、これは交渉に応ずる基礎がないのだということを言われた。それから先ほど理財局長答弁によると、その返済方法については急にどうときまらないからというふうなことでありました。そこで私はくだくしいことをこの問題についてお伺いして時間をとることを避けまして、結論として申し上げますと、まだきまつていない、あなたが債務なりと心得られる根拠というものは、公式にも非公式にも、それから現実的にも否定されて来ている。私は決してあなたの答弁のあげ足をとつていない。先ほど来お聞きの通り質疑応答の形で、あなたが債務なりとお考えになつている根拠は、従来の外交文書、外交のいきさつ、いろいろな点からくつがえつて来ている。しかもこれは、今の政府当局の見解では、急ぐものではない、あるいは外務当局の考え方では、これは判断の基礎資料がまだできない、これは私はおそらく永久にできないと思う。なぜなら、日本政府所管ではない、どこへ行つたか、どうしたのか、実際にはわからない。これは永久に基礎資料は出ません。そこでこういうふうな判断の基礎もない、しかも政治的に見ても債務なりと確認する根拠をすべての点において失つておるものといたしますならば、この二十七年度の予算の中に盛られた、きわめて金額は小さいのでありますけれども、この金額を国会が承認するということになりますと、やはり将来この債務を承認しなければならぬという前提に立つのでありまして、私は金額は小さいと思いますけれども、かりにこれを認めれば一億ドルの債務も認める、あとはまけでくれるかくれないかということになつて、今度は向うの恩恵に属する。権利義務としてはこれは発生していないのです。そこで私はあなたにしつこくお尋ねするのですが、今から十日ほど前のあなたの答弁のごとく、これはきわめて不自然な支出の計上の仕方であつたというあなたの見解は正しい。国会の意思、これは野党だけでも行きませんが、国会全体の意思として、この項目の中から場合によつては百億円というものは計上してさしつかえありません。しかしながらこの説明書の中の平和回復善後処理費の百億円の中から「連合国に対する賠償の支払および米国に対する対日援助費の返済」という項目だけをお削りになつたらどうか。
  35. 向井忠晴

    向井国務大臣 とくと考えて御返事を申し上げます。
  36. 西村榮一

    西村(榮)委員 ただいまの大蔵大臣の御答弁に私は満足いたします。すべからくこういうことは――私はあなたに議会政治の本質をお説教するような不遜なことはいたしませんが、議会政治というものは、憲法に準拠して、形式と体系を整えて、しかして内容を審議するのが議会政治である。ここに議会政治の先輩がおられますから、日本の憲法八十五条、財政法第十五条に従つて、この問題を調査し、慎重考慮の上お取扱いを願いたいということをお願いして、次の質問に移りたいと思います。  これは通産大臣大蔵大臣にお尋ねするのが当然なんですが、通産大臣はきようおいでになりませんな。
  37. 塚田十一郎

    塚田主査 他の分科会であります。
  38. 西村榮一

    西村(榮)委員 よろしゆうございます。それでは大蔵大臣にお尋ねいたしたい。  日本経済の自立を達成して、国民生活を戦前に回復するという経済審議庁長官並びに通産大臣としての施政演説がありました。私はあの経済審議庁長官の演説、兼通産省を代表しての演説の中に、小笠原さんは大きな声でいろいろ御説明になりましたけれども、まことにけつこうな説明の中に一点欠けておるものは、資金計画が抜けておる。これだけにする、あれだけにするとおつしやつたが、資金計画はどこにもない。そこでごく大ざつぱにお伺いするが、経済審議庁が立案する日本経済再建五箇年計画の財政資金はどうされるか。これは何でしたらここにありますが、これを見ても財政計画がない。この間経済審議庁と大蔵省国際収支の見通しについて一億ドル以上違つておる。この食い違いは将来統一されるというのですが、ところが日本経済再建、国民生活安定の演説の中に、普通の答弁ならさしつかえないが、施政演説の中に、内閣を代表しての経済政策の中に、資金計画が一つむない。従つて通産大臣経済審議庁長官の述べられた施政演説の財政的裏づけというのは一体どうなるか。
  39. 向井忠晴

    向井国務大臣 これは、ただいまの経済審議庁の五箇年計画というものにきちんと振り当てた産業資金というふうな予算はございませんが、今度の予纂、産業舞のためにいろいろ予算が組んでございます。それを経済審議庁のやりたいという仕事に振り向ける、そういう意味に御了解を願いたいと思います。
  40. 塚田十一郎

    塚田主査 西村君に申し上げます。経済審議庁からは今井田審議官が出席されております。
  41. 西村榮一

    西村(榮)委員 私は、本年度予算が健全財政か不健全財政かということは見る人によつて違うと思います。前年度の予算よりも一八%ふくれておるけれどもそのふくれ方は生産方面にふくれず、財政の出資投資は、依然として昨年よりも下まわつています。しかるにそのふくれ方は消費面だけふくれておる、これはインフレーシヨンの懸念になるかならないかということは、昨日わが党の河野さんから大蔵大臣の御見解を承つたと思いますから、私は省略いたしましよう。ただ問題になるのは、今なぜ日本が困つておるか、なるほど昨年は生産力は予定通り上昇いたしました。しかしその反面、滞貨が五千九百億円、これは終戦以来初めてで、前年度の約三倍に当つている。この滞貨がなぜ吸収できないかということは、輸出の不振もありますが、国内市場が非常に疲れて来ておる、同時に資金難であるということであれば、私はこの方面について考えないと、日本経済の上昇と国民生活の安定というものは期待できない、こう思うのです。しかるに経済審議庁長官のあの大規模なる大声とともに述べられた大ふろしきに加うるに財政的な裏づけはどこにもないのです。私はそれは、来られれば聞きますが、追究いたしません。しかし、昨年度よりも本年度の方が財政出資で減つてつて、前年度より三倍になつた目前における滞貨というものをいかにして吸収して行くか。これが国内市場で吸収できないとすれば、輸出の振興に振り向けなければならぬ。輸出の方も前年度より多分に下まわつておる。国内市場を培養する対策は、財政資金計画の中にどこにもないということであれば、本年度の目前に迫つておる不況というものをどうして解決して行くことができるか。私は前年度の予算よりも本年度がふくれ上つているが、生産方面に使われていないということについて、実業界出身のあなたの見解を承りたい。
  42. 向井忠晴

    向井国務大臣 産業方面への投資出資というふうなものは、予算の書き方が違つておるために的確に表われてないと思いますが、減つてはいないと私は存じております。同時に、しかしそういうものが、前年度よりもふえた総額に比較して十分に行つていなかつたとも存ずるのですが、これはよく調査しまして御返事いたします。  それから滞貨ができて非常に産業が萎摩するということでございますが、そういう点もございます。この滞貨というものは、私が申し上げなくてもわかつておることでございますが、ときによつてそういう現象がございます。それからいわゆる仮需要がなくなりますと、荷物がたまつて来るということも起ります。必ずしも表面に現われた滞貨をもつて物の需要が減つたということも、私は言えないと思います。その他輸出振興ということに十分に努力しまして、滞貨の中で輸出に向く物をさばきまして、日本経済界を活発にするということが何よりも大事で、活発になりますと、今度は仮需要ができたりいたしまして、滞貨も減つて参りましようし、いわゆる不景気ということも防ぎ得ると考えております。
  43. 西村榮一

    西村(榮)委員 失礼ですけれども、大蔵大臣は今のような御答弁は将来なさらぬ方がよろしい。これは前回資料提出のときに私がだめを押したのです。本年度の財政投資が前年度より減つておるじやないかと言つたときに、河野君もあなたも、前年度よりふえておるとおつしやつた。前年度は建設資二千七百九十九億円、本年度は二千八百八十五億円であるから、これは本年度の方がふえているという御説明であつたと思う。ところが前年度には――私はここに昭和二十七年度の予算説明書を持つて来ております。前年度には、二千七百九十九億円に加うるに三百五十億の外為会計が建設資の分の中にある。それから十五億というものは庶民住宅の融資の中に入つておる。これを削つて本年度の方が建設資はふえていると言うが、前年度に計上した費目をなぜ本年度削つておるのか。これは言えばたいへんむずかしくなりますが、一概に言うと前年度に計上したものが計算してない。あえてことしの方が建設資が多いということをこじつけて説明するために、こういうふうなわざをなさつたのではないかと想像すればできる。これは政治道徳の問題です。ここに財政通の主査がおられるが、前年度に計上して本年度に計上しない。しかも前年度の統計の中にある重要部分を落してしまつておる。主査、これはどうですか。しかし私はこれを追究しようとは言わぬ。だから大蔵大臣はそういう答弁をなさらぬ方がよろしい、こう言うのです。そういうことはもう言わぬ方がよい。そこで私は質問の要点に入ります。  本予算が健全財政であるか不健全財政であるかということは、これはおのおの朝野両党の見解違つて来るのであります。しかし私がこの機会に大蔵大臣の心情を承つておきたいことは、日本が公債を発行しないで収支均衡のとれる均衡財政を組むには、今が絶好のチヤンスじやないか、こう思うのです。今公債を発行するような不健全なことをしたら、将来取返しがつかない。今が日本で健全財政、つじつまの合つた財政、すらつとしたスタイルの財政を組み立てるのには絶好なチヤンスではないかと思う。しかも日本財政の中にはもつと倹約すべき、あなたのおつしやるようなむだな金がたくさんあります。これを生産方面に使うというので、その方を切つて――財政規模はこれでけつこうですから、もつと生産方面に使うというようなことにすれば、公債を発行しないでもつじつまの合う健全財政というものができると私は思う。しかもしなけれどならぬ絶好のチヤンスが本年の客観情勢だと思うのですが、いかがですか。
  44. 向井忠晴

    向井国務大臣 むだな金を使わないということは、あなたもおつしやいましたが、せんだつても私も節約を考えようということで申し上げたのであります。それから今が均衡財政をやるのにいいということも、一応ごもつともでございます。しかし何分にも、公共事業費あるいは食糧増産とかいうふうなものをほうつておけば生産ができなくなる。また公共事業費の方は、国の経済的な活動を助けるという意味で、やはりどうしても使つて行かなければならないものだと思います。苦しいながらも、そういう方面に使つて行くことはやむを得ないと考えます。そこでせんだつても申し上げましたように、好まざる公債を発行するということになると思います。
  45. 西村榮一

    西村(榮)委員 そこでむだの倹約は政府みずからするとともに、国民総所得の中から、資本投資の点を考慮したらどうかと思うのです。たとえて申しますと、経済審議庁長官の演説、それからこの五箇年計画を見ると、どうしても五兆六千億円の資金が五箇年間にいる。私はどう見ても――若干私も頭の悪い者ですが、経済をかじる者として目の子算用しても五兆六千億円、これは財政計画の裏づけがなくて、単に演説のしつぱなしにしてしまつたのです。これでは財政演説になつていません。財政演説というものは、鉱工業生産、食糧自給のためには農業生産をどうする、あるいは船腹をどうする、それがためには財政資金はこうする、国家がこれだけ出して民間がこれだけ出すという計算が成り立たなければ、五箇年計画の財政演説にはならないと思う。私が目の子算用しても大体において五兆六千億円。そこで過去の実績から見て、この金の出道を、あえて卑屈な態度でひものついた物騒な外資を持つて来て――日本の民族資本を脅かすような外資によらなくても、私は国内において調達できると思うのです。というのは、終戦以来七年間の統計を見てみると、国民総所得の中の一八%――昨年は二二%でした、昨年の二二%は滞貨融資というものがあるからふえたのですが、平均して一八%です。この国民所得の総額の一八%の中から、資本投資部分を有効に使うという適切なる指導を行えば、私はこの財政資金というものは出て来るのではないか。率直に言えば、終戦以来再生産に向かない温泉ホテル、観光ホテルの続出となり、フイリピンその他の諸国をびつくりさせている。こういうような享楽機関の増設に資本が向う、あるいはビル建築に向うということよりも、むしろ日本の生産の基礎を固めるための再生産の方面にこの国民所得の中の過去の一八%の財政投資を誘導して持つて行くということが、私は財政家の考えるべきところではないかと思う。世は資本主義だ、社会主義だという議論は別にして、このむだな金を使わせないで、その人の老後の家計も成り立ち、同時に国家も成り立つ、しかも過去七年間の統計は一八%の資本投資をするだけの余裕がある。それをどう政府が活用するかということは、政府自身の経費を節約するということも必要であるが、国民のこの余力を活用して日本経済の再建に役立たせる、こうなると、経済審議庁長官の立案されるものはそこで生きて来る。私はこれを一つ進言するのですが、何かいい方法をあなたはお考えになつておられますか。
  46. 向井忠晴

    向井国務大臣 それについてこれと申す法も私は考えておりませんが、しかし御趣旨は、私は非常にいいお考えと存じます。政府としてこれをどうするという程度以上には、ただいまのところでは参らないと考えております。
  47. 西村榮一

    西村(榮)委員 その点はひとつ考究ししていただきたいと思います。私が先ほど申しましたように、そしてあなたの御答弁が欠けているが本年は均衡財政、つじつまを合せる財政をとるに絶好のチヤンスである。ひとつこれをおとりになつたらいかがでしようということを申し上げたのですが、あなたはそれに対する具体的の御回答がない。そこで私が、本年が均衡財政をとる絶好なチヤンスであると申しますのは、実は戦争とインフレーシヨンによつて日本の民族に非常に被害を与え、それは歴史始まつて以来の悲惨事でありましたけれども、その反面出て来たものは何かというと、国家財政の上においては軍事費と国債費が――国債費はインフレーシヨンによつてですが、軍事費と国債費の比重というものがきわめて低減した。これは大蔵省には統計があるでしようけれども、私が目の子算用で調べてみたところによると、満州事変直前において軍事費が占める比率は二八・五%でありました。昭和九年においてそれが漸次ふえまして四三・五%、昭和十一年が四七・二%であります。この基準年度によつても約四三%かち四七%が軍事費になつておる。それと同時に、国債費が昭和九年には一六・七%、昭和十年には一六・九%、昭和九年から十一年の基準年度は大体国債費というものが一六%を前後いたしておる。しかるに今の予算を見ますると、防衛費の比率は、いろいろ議論もございまするが、一四・五%、国債費は四%です。こういうふうに日本財政にかつておおいかぶされた軍事費と国債費というものが今日はきわめて肩が軽くなつている。こういう絶好のチヤンスをとらえて、健全財政、姿のいい財政、しかもその財政支出金が生産方面に向うということがとり得るにかかわらず、これをとらないということは私は財政史上に悪例を残すと思う。私は予算の細目に向つてとやかく言いませんが、本年はぜひとも健全財政をとつてもらいたい、こう思うのです。昨年よりも一〇%以上予算規模がふえたが、この予算規模をふやす根拠、能力というものはどこにもない。国民所得というものは六%ふえているように政府は計算されたけれども、客観情勢はどこにも国民所得がふえる要素はない。しかし財政規模をふやさなければならないために、国民所得がふえているように計算された。その矛盾が経済審議庁の国際収支の見通しと、大蔵省の見通しとの食い違いとなつて現われて来た。けれどもこれは、大蔵大臣は正直な答弁をなさつているから、私は追究しないのですよ。問題は、今私の重点を置くところは、今にして日本の健全財政というものを打立てなければ、いつの日に健全財政を確立する日があるか。将来の日本客観情勢覧、国際情勢覧るとなかなか険悪です。従つて私は、今公債などという邪道に陥らずに、均衡のとれた財政政策というものをとるべきだ、こう思うのですが、大蔵大臣いかがですか。
  48. 向井忠晴

    向井国務大臣 ただいまの御説にございましたように、財政規模の大きくなるということは慎みたいと私も考えておりますが、先ほど申しましたように、ただいまのところでぜひいる金があるという場合に、やむを得ず多少の無理をして支出をするということになるのでございます。この公債はもちろんことし限りにして、来年は出さないようにしまして、来年度の予算においてはできるだけ節約をいたして、ほんとうの均衝財政とまで行きませんでも、弾力性を持つた均衝財政ということにはできる、こう存じております。
  49. 西村榮一

    西村(榮)委員 くどいようですが、私は議の問題については、いろいろな国際関係からいつて出さない方がよいと思つております。この間の答弁において大蔵大臣は、財源さえあれば公債は出したくないのだ、自分としてはあまり好ましくないという正直な答弁であつた。同時に今の御答弁の中でも、来年は出したくない、これはよいことではないと言つておるが、公債の発行において財政的に助かるのは二百三十三億円です。これは今の行政費の事務費を節減しただけでもし私は政治的な問題としてはもつと節減して生産方面に向うべきであると思うのでありますが、政治論は各党々々の立場があるから別としても、技術的に見ても、この二百三十三億円というものは、各省の事務費の節約で出ると私はにらむ。それで出るならば、公債発行をなさらないでもよいでしよう。
  50. 向井忠晴

    向井国務大臣 費用の節約ができますれば、公債は出さずに済むと考えております。
  51. 西村榮一

    西村(榮)委員 私は費用の節約の余地はあると思つております。各省の官吏諸君が協力し、大臣諸君が協力して来るならば、二百三十三億円は行ける。河野君、そう首をひねらなくても行けるでしようね。私もかつて予算をつくつたことがある。あなたのポケツトの中には大臣答弁用というものが入つておる。しかし答弁用は一ぺん書き直したはずだ。大蔵省はもう公債は発行いたしません、健全財政を堅持いたします、今は国民の負担を軽減して生産面に日本財政を向けなければならぬ絶好のチヤンスなり、従つてこの予算はインフレを防止し、国民負担を軽減する均衡予算だということが、あなたの第一回答弁用の中にはちやんと書いてあつたはずだ。それが各省のぶんどりによつて、あわてて大蔵官僚は印刷のし直しをしたはずだ。これは何も聞いてはおりません。聞いてはおりませんが、自分予算の編成をした結果から言つて大体そういうようなことだと思う。従つてこれは大蔵大臣が協力されるならば、二百三十三億の節減の余地はあります。確かに河野君の腹の中では、これはできるという自信を持つておると思います。あの顔色を見たらわかる。(笑声)これはひとつやつてごらんなさい。私は二百三十三億円の金額の大小を言うのじやない。これが国際的に響くことは大きいと思うから、これはぜひやつてもらいたい。  このことをなぜあなたに切にお願いしたいかというと、私は今健全財政の一つの例として、昭和九年から十一年の予算軍事費と国債費の割合をあなたに示して、今おやりなさいと、こう申し上げた。そのときの大蔵大臣は、あなたの御記憶通り藤井さんであつた。この藤井さんは、当時健全財政を堅持するために病躯を押して予算に健闘した結果、彼の健全財政というものは、半分通つて半分妥協いたしましたが、遂に健闘のかいなく彼は病魔の冒すところとなつてこの世を去つた。この藤井蔵相の悲壮なる健闘というものは、日本財政史上輝けるものだと私は思う。当時の陸海両軍のあの強力なる圧力を押え、日本財政を健全化せねばならぬというので、彼は結核の三十八度の熱を押えて健全財政に健闘した。しかも彼は苦しい中にその初志の半分を貫徹して、昭和十年の財政というものをあの線で食いとめたということは、私は財政家として将来われわれ後輩は学ぶべきだと思う。従つてその苦労から行きますならば、今このわずかの節減の余地は十分にあると思う。二百三十三億円と私はくどく申し上げるけれども、金額言つているのじやない。これが国際的に響くところが私は大なりと思うから、ひとつあなたの御健闘を願いたい、こう思うのです。昭和十年の藤井蔵相はたしか四十五、六で、あなたより二十五、六も若い。この財政家の輝ける苦闘のあとを見て、老蔵相はいかなる心境であられるか、一ぺんその心境を伺いたい。
  52. 向井忠晴

    向井国務大臣 藤井さんの例もございますから、十分に健闘いたします。
  53. 西村榮一

    西村(榮)委員 ひとつこの点は御健闘を願うことにして、次に進みます。大体本年度においては、追加予算というものは出さないで済む、出さないで行かれる方針ですか。これは私は将来、あなたがここでどういう答弁をされたかということで速記録をひねくつて、親子の年ほども違うあなたに不敬な態度をもつて迫ろうとはしないから、あなたも率直にお答え願いたい。本年度のこの予算を見、国際的な客観情勢を見、国内の情勢を見て、私は追加予算の問題を心配するのですが、追加予算の問題についてはあなたの率直な意見はどうですか。
  54. 向井忠晴

    向井国務大臣 補正予算は出さないつもりでおります。
  55. 西村榮一

    西村(榮)委員 まず第一に賠償問題の解決の時期が一体いつか、これは見当がつかぬのですが、これの解決のためには新しい財政支出がいるのじやないですか、この面において、私は追加予算が必要とされるようになるのじやないかと思うのですが、いかがでしようか。
  56. 向井忠晴

    向井国務大臣 これは金額にもよりますが、そのために引当てをとつてございますので、その範囲でまかなえるものと存じております。
  57. 西村榮一

    西村(榮)委員 これは国際情勢の見通し、その他の問題も私はあると思いますが、しかし見通しの問題なので水がけ論になりますから、そこで私は大蔵大臣にお伺いしたいのですが、人事院規則によりますと、物価が五%上昇すれば、それに従つて人事院は政府に対してベースの改訂を勧告せねばならぬということがあるのですが、これは大蔵大臣御存じでしような。
  58. 向井忠晴

    向井国務大臣 承知しております。
  59. 西村榮一

    西村(榮)委員 それを御承知でありまするならば、金額は小さいのですが、その面からもここに新しい財政的な処置が必要になつて来るのです。ここに経済審議庁の統計があります。これは政府の統計ですが、生計費に響くものは、運賃の値上げの一〇%、それから貨物は大品が一〇%で、小品が二〇%、これが生計費にはね返つて来る。交通費だけでなしに、それから電燈、電力。電燈は二二・八%、電力は三二%、ガス等を入れますと、ガスは一五%です。この国民生活にはね返つて来るのが、一月十五日以後大体七%から八%影響を受けるということが経済審議庁の統計になつて現われておる。そうすると、五%物価が上れば政府に対してベースの改訂を勧告しなければならないという人事院規則というものと、ここに生計費が現実に今もう七%、八%上る条件が現われて来ている、この点においても、私は追加予算を必要とするのじやないか、こう思うのですが、大蔵大臣の所見を伺いたい。
  60. 向井忠晴

    向井国務大臣 私は物価は大体横ばいで、著しい上昇はないという見積りをしております。
  61. 西村榮一

    西村(榮)委員 一般物価は横ばいであることは確かです。また若干下まわるかもしれません。しかし中央の税金と地方の税金を入れて、本年は実質的には税金が多くなる。これが増税となるとかなんとかいうことになると議論にわたるので、ここは分科会ですから省略いたしますが、実際は増税になる。そこで一般市中物価の横ばいはこの点において大体相殺される。そうすると残つておるものは一般物価じやなしに、政府が取扱う、あるいは公益事業が取扱うものの料金の値・上げだけで七%ないし八%というものが上昇しているということは、ここにちやんと政府の統計に出ている。そうすると横ばいということにはならない。だから横ばいということで逃げないで、率直にこの事態をお考えになつて、そういうふうな場合には追加予算がいるのかいらないのかという点です。これは河野さん、御参考に上げますよ。
  62. 向井忠晴

    向井国務大臣 そういう点の引当てといたしましては、私は減税をもつて一部は吸収できるというふうに考えております。
  63. 西村榮一

    西村(榮)委員 減税は先ほど申しましたように、中央は下つたが地方は上つておる。これは統計をごらんになつてもわかる。実質的には決して減税にはなつておらぬ。この論争は政治家の論争ですから別の機会にするとして、だから減税で補えるということにはならない。だから一般物価が上るか下るかということは、これは見通しの問題で、私は上ると言い、あなたは下ると言つて議論のけじめがつかない。けれども私が言うのは、政府所管に属するものの料金が上つただけで、一月十五日以後七%ないし八%の値上りが来る、これだけで生計費にこれだけのはね返りが来るのだということが、これは吉田内閣の公表された数字において現れて来ている。そういうときには人事院勧告に従つて私は財政の許す限りはこの勧告を尊重せねばならぬと思うが、もつと新しい追加予算がいるのじやないか、こう思う。
  64. 向井忠晴

    向井国務大臣 ただいまの御説は一応ごもつともでございますが、私は審議庁の数字も実は見ておりませんで、そういうような事態に至りましたときにはまた考えるつもりであります。
  65. 西村榮一

    西村(榮)委員 今まだ審議庁の計数はごらんになつていないから、そういう事態が起れば考えるということでありますね。そうなると、これを河野さんに上げてもいい。政府の統計だからすでにあなたのところに行つていると思う。そこでこの統計に基いて人事院がベース・アツプの勧告をするとすれば、千円のペース・アツプをするとしても、現行の人員とかいろいろな点から行くと三百二億九千万円はいる。そこで今あなたは、そのときには考えるとおつしやる。それで私は、それはよくお考えになつてらつて、それ以上あなたを責めない、ここに統計があるから一ぺんごらんになつたらいい。  そこで今度は、あなたはさつき追加予算を出さないと言うが、ここに三百二億円というものが今のところ統計だけで新しくいる。(「行政整理をやるよ」と呼ぶ者あり)今同席の先輩から、行政整理をやるという話があつた。私はこのやじ的な発言にとらわれるわけではありませんが、それも一つの方法でしよう。財源の捻出として三百二億九千万円という予算措置が現実にいる。その財源はどこかに出て来るところがあるのでしようか。
  66. 向井忠晴

    向井国務大臣 そのときになりましてから研究をいたします。
  67. 西村榮一

    西村(榮)委員 どうも先ほど来の大蔵大臣の御答弁で、私はその矛盾を指摘して問題の解決に入るのが本筋なんですが、どうも向井さんは人徳のいたすところが、若き私の闘志を削減することはなはだしいと言わざるを得ない。(笑声)今、そういうふうな生計費が上つて来たときには、その財源措置はそのときに考えるというお言葉があつたのですが、それをもう一ぺん確認していただきたい。
  68. 向井忠晴

    向井国務大臣 ただいまでは、それほどに差迫つたことではないと私は思うので、今の予算組みかえというようなことは必ずしも敷征して考えることはないと思います。
  69. 西村榮一

    西村(榮)委員 まああまりこまかに切りもみ的な質問をしてもしかたがありませんから、あとは国際関係と日本の生産計画について外務大臣、通産大臣大蔵大臣と三人おいでになるときに、一応国際関係の費目の支出について明らかにしたいと思うのですが、外務大臣の御出席は幾時ごろになりますか。
  70. 塚田十一郎

    塚田主査 一応取調べさせます。
  71. 西村榮一

    西村(榮)委員 それでは私はそれまで留保いたします。  では大蔵大臣だけに対する質問は、これで一応終りますわ。(笑声)
  72. 松浦周太郎

    ○松浦(周)委員 経済審議庁の方にちよつとお尋ねいたしますが、この間一般質問のときに、小笠原国務大臣の国土総合開発計画に対する御答弁がありましたが、それは全体に対する御答弁でなくて、北上、阿仁田沢、最上、対馬その他の六地域のことをちよつと述べられたのでありますが、きようは総合的な今まで調査審議せられました各地域の計画、幅、あるいは何年度からかかつて何年度に完成するか、そういう点について細かしく御報告を求めたいのであります。
  73. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 ただいまお話のように、政府としてつくりました総合開発計画は、昨年の末に決定されました北上特定地域計画だけでございまして、本計画におきましては、大体十年計画として全計画を完成するということになつております。他の地域の計画は、ただいまお話がございましたように、五地域につきまして現在総合開発審議会におきまして審議しているのでありますが、本地域の計画を何年間で完成するかは審議会の決定によつてきまることでございまして、すべてのものはまだ決定しておらないわけであります。しかしわれわれの垂といたしましては、なるべく各地域ともほぼ十年間ぐらいで計画を達成して行きたいというふうに考えております。
  74. 松浦周太郎

    ○松浦(周)委員 各地域とも十年間ということになりますと、あるときは十九地域が一ぺんに各地域ごとに年度は違うのでありましようが、十九地域選定せられたものが一度にかかるような時期があることは想定せられますが、そういうふうになるのでございますか。
  75. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 かような時期もあろうかと思います。
  76. 松浦周太郎

    ○松浦(周)委員 大体総額は幾らくらいに見込んでおられますか。
  77. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 これはまだ審議会で決定いたしました計画でございませんので、はつきりしたことではございませんが、現在までに各府県から提出されております計画の数字を集計いたしますと、総事業費は十九地域で約一兆億に上る見込みであります。
  78. 松浦周太郎

    ○松浦(周)委員 これはいつごろの御計画であるか。一兆億というものは最近の調べられた数字でありますか。それとも最近の物価の上昇によつて、この一兆億がさらに増すようなことはないのですか。
  79. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 この集計は一昨年の集計でございまして、その後各府県から若干修正の希望が出ておりますので、一兆億を若干上まわることに相なるかと思います。
  80. 松浦周太郎

    ○松浦(周)委員 私どもの伺つておるのでは、大体十九地域で一兆五千億ということでありますが、それの国費でどのくらい、地方費でどのくらい、民間でどのくらいという腰だめの数字があろうと思いますが、それはほぼどのくらいになつておりますか。
  81. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 一兆億の場合で、公共事業費に期待する事業費といたしまして約五千億でございます。それからいわゆるB種公共事業、電力、あるいは鉄道等に予定されておりますものが四千億余りであります。残りがその他でございます。この負担区分でございますが、公共事業費に期待する事業費の五千億のうちで、約七割が国費補助でありますので、三千五百億余りが国費になりまして、残りの一千五百億程度が地方費の負担に相なろうかと思います。B種公共事業の方に御承知通り、融資その他によりましてまかなうことに相なろうかと思うのでありまして、大体そういうのが大まかな点であります。
  82. 松浦周太郎

    ○松浦(周)委員 この公共事業で見るものが十年間に大体三千五百億ということになるのでございますか。
  83. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 その通りであります。
  84. 松浦周太郎

    ○松浦(周)委員 大臣御説明によりますと、今年度三十三億円ばかり北上川その他の開発に使う予定であるということでありますが、来年度はどのくらいの見通しでございますか。
  85. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 来年度特定地域計画といたしまして、審議会で決定し、政府で決定いたします計画の数にもよることでございますが、現在までに提出されております計画は、先ほど申し上げましたように五地域でございます。従つてこの地域全部が計画といたしまして決定されれば、ほぼその五倍程度のものに相なろうかと存じます。
  86. 松浦周太郎

    ○松浦(周)委員 今御説明になりました部分で、どういう方面に開発の主点を置かれますか。いろいろあろう意いますが、アウト・ラインだけでもお聞かせ願いたいと思います。
  87. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 十九地域のそれぞれが、その開発の目標と申しますか、当該地域において行いますところの開発の根幹事業は異なつておりまして、昨年の暮れでありますか、各十九地域におきまして開発を行うおもなる事業、すなわち根幹事業、開発目標につきまして政府で告示をいたします。告示の内容に各地域のそれぞれの目標と申しますか、目的が示されておるのでございますが、その告示を申し上げます。  たとえば阿仁田沢地域におきましては、資源の開発と国土保全を目的といたします。資源の開発と申しますと、林産資源、電源、農産資源をやることになつております。また最上地域におきましては、国土保全と資源開発、資源は農産、地下資源、林産というものを開発するのを主目的にしておる次第であります。北上地域におきましては、国土保全のほかに、やはり資源開発を目標にいたしまして、農産資源と電源、林産、地下資源、そのほかがこの地域におきましては、大船渡を中心といたします工業立地条件の整備をいたすということが告示され、開発目標になつております。また只見地域におきましては、資源開発が唯一の目標になつ、ておりまして、この資源の内容といたしましては、電源、林産、地下資源、農産というのを目標としております。それから利根地域は国土保全が主目標になつておりまして、あわせて資源開発といたしまして、農産、電源、林産というものを開発することになつております。   (主査退席、南主査代理着席〕 飛越地域におきましては、資源の開発と国土保全を目的とするということになつております。それから能登地域は資源の開発を主といたしまして、水産資源と林産資源、その他の農産資源を開発するということになつております。天竜東三河地域におきましては、資開発と国土保全、電源、林産、農産というものを開発することになつております。木曽地域におきましては、資源開発と国土保全と同時に工業立地条件の整備をいたすということが開発の目標になつております。それから吉野熊野地域におきましては、電源、林産、農産を開発することを目標とする資源開発が唯一の開発目標になつております。大山出雲地域におきましては、資源開発と国土保全でございまして、なおこの場合におきましては、この資源の中で水産資源の開発を行うということになつております。それから芸北地域におきましては、資源の開発を行うことを目標にしております。この資源は林産と電源でございます。錦川地域は、国土保全と工業立地条件の整備と資源開発、この資源は地下資源と電源開発でありますが、これが目標になつております。それから四国の那賀川地域におきましては、資源開発と工業立地条件の整備、この場合の資源は電源と林産であります。四国西南地域は、国土保全と資源開発を目標にしておりますが、この場合の資源は電源、水産、林産というようなものを目的にしております。なお国土保全におきましては、一般の治山治水のほかに、土壊浸蝕防止ということをこの地域で行うことを一つの目標にしております。それから北九州におきましては、工業立地条件の整備と資源の開発、それから国土保全ということが目的となつております。阿蘇地域におきましては、資源の開発と国土保全であります。南九州地域はやはり国土保全と資源開発が目的でございまして、この地域におきましては、国土保全について特に士壊浸蝕防止ということを大きく取上げております。資源の中には林産、農産、水産というものを大きく取上げております。対馬は水産資源及び地下資源を目標にいたしまする資源開発ということを取上げておるわけであります。  以上申し上げましたように、各地域それぞれ開発目標というものをきめまして、昨年の十二月にこれを告示したわけでございますが、御承知のように総合開発法におきましては、国土保全、資源開発、それから都市周辺の整備ということを開発の大きな目的に規定しております。きわめて抽象的ではございますが、大体以上のような次第でございます。
  88. 松浦周太郎

    ○松浦(周)委員 たいへんこまかく御説明を願いましたが、国土保全ということに重点を置いておられますから今のようなことになると思いますが、私は未開発資源の総合開発というものが建前になつた国土総合開発にならなければならないというふうに考えるのであります。これは現在の法律そのものに制約されれおるのかどうかわかりませんけれども、私は海田開発というものが、この国土の総合開発について行われなければならないと思うのです。今御指摘になりました点には、海に囲まれた日本の海田開発といいますか、海洋資源の開発、そういう方面にほとんどお考が及んでいないように思うのであります。もしこれが法律に制約されておるならば、法律を直しても、八千五百万の民族がどうして生活して行くということが含のわれわれの大きな課題でありますから、陸地における生産と同時に、海洋資源の開発もこれに伴つて並行して行かなければならないのではないか、今北上川だけがこの予算の上に上つて来まして、今後十八地域というものは、これから順次年次を追うてその計画が線上の上り予算化されて行くことだろうと思いますが、第一の北上川の予算措置をとられたというときから、海洋資源の開発ということがこれに伴わなければならないと思うのです。陸の資源を開発するのも、海の資源を開発するのも同じことでありまして、特に濫獲防止であるとか、投石、築磯、あるいは保獲養殖の施設というようなものだけでも取上げる心要があるのではないか、あるいはこれに伴うて必要な漁港の修築その他の問題についても考えなければならぬのであると思いますが、ほとんどそういつた重点が置かれていないのは、海洋資源の開発というものは初めから未開発資源開発計画の中に載せなかつたのかどうか、その点のお考えをお聞きしたいのであります。
  89. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 海洋資源の開発につきましては、むろん総合開発計画におきましては考えておるのでございまして、ただいまも申し述べましたように能登地域、大山出雲地域、四国西南地域、対島地域、南九州地域におきましては、水産資源の開発ということが、政府の告示いたしました開発目標の中に取上げられておるのでございまして、この五つの地域以外の他の地域におきましても、むろん漁港の整備その他は考えておるのでございます。先般つくりました北上地域は、御承知のように海岸線が大船渡地域だけに限定されておりますので、特別に水産資源の開発についての措置は講じておらぬのでございますが、しかしながら大船渡港の整備につきましては、やはり漁業計画として大きく取上げて、若干の施設はしておるはずでございます。
  90. 松浦周太郎

    ○松浦(周)委員 今後海洋資源の開発について計画を立てられますかどうか。
  91. 今井田研二郎

    ○今井田政府委員 むろん立てて参りたいと思います。
  92. 松浦周太郎

    ○松浦(周)委員 その次に、外務省の方がおられましたらお伺いしたいのですが、今どなたもいらつしやいませんでしようね。
  93. 南好雄

    ○南主査代理 来ておりません。
  94. 松浦周太郎

    ○松浦(周)委員 それではあとにいたしたいと思います。  そこで私はただいまの今井田さんの御説明だけから見ましても、この十九地域のものが一ぺんに予算化される時代が来るとするならば、今の御計画から見れば、それは三、四年後には必ず来るということになると思うのです。そうすると年に三百五十億ぐらいのものが国費として支出されなければならない。自然そうなつて来ると思う。またそうしなければ国民生活の問題と申しますか、資源の乏しい、しかも八千五百万の国民がふえて行くという面から見て、どうしてもそうしなければ人口の措置ができない。この間私は愛知県に行つて参りましたが、農村の人々が集まつたところで二時間ばかり座談会があつた。その農村の人々が何を言うかというと、新聞を見ると、八千五百万になつて、毎年百三十万人ずつふえて行く、これに対する政府の施策がほとんど安心する程度に行われないものであるから、近ごろは自然に産児の調節をやる。二人ぐらいまでは大丈夫であるが、三人以上の調節をやると母体が持たない、それが生活に追われるものだから自然に行われる。特に農村においてこのことが強く叫ばれるのは、次男三男に土地をわけてやるならば、あと生活ができなくなる。だから自分のうちを継がせるとするならば、一人に継がせることが一番安全だというような考えから、自然そういうことが起るということを涙を出して古老が私どもに語つておりました。私はほんとうにこの人口、食糧問題というものは深刻なものであると思うのです。そこでやはりこの国費に附加されましても、ある資源の総合開発をいたしまして、それが次男三男の行き場であり、この間も申し上げましたが、日本経済の貿易と並ぶ二本の柱として、貿易と未開発資源の総合開発というようなことで日本経済を救つて行くのでなければ、品で自立をとなえても、これは実際やつて行けない。こういうことになりますから、りつぱな計画が立ちましたならば、年に三百五十億円ぐらいのものは十九地域開発のためにしなければならないところに追い込まれて行くと思うのです。これに対して、この間もちよつと触れたのですが、北海道の現在やつておるところの総合開発というものの国費の負担は、大体四千三百三十五億の計画に対しまして、千三百億ばかりが公共事業費で負担されることになつております。ところが去年と今年の予算を見ますと、五箇年計画の五二%しか載つておりません。また今後順次最終年度に近づくに従つて一年の金額が多くなりますから、これができないということになるならば、それを減らされるならば十五年もかからなければ、今の五箇年計画が行われないということになる。それで現在の北海道の五箇年計画というものは、大体二百七十億公共事業費の中で負担させなければならないことになつております。そうすると二百七十億に三百五十億を見ますと、これは約六百億というものが今後国土総合開発計画で政府が負担して行かなければならぬのでありますが、こういう財源を大蔵大臣は捻出する考えがあるかどうかをお聞きしたい。
  95. 向井忠晴

    向井国務大臣 そういう財源を全部捻出するということは、ただいま相当の困難があると思います。しかし、できるだけそういう方面の費用を出しまして、国土開発の完成に一年でも早く近づくように努力いたしたいと存じます。
  96. 松浦周太郎

    ○松浦(周)委員 できるだけしなければならぬということでありますが、計画はこういうふうになつておりまして、今年の北海道のことを見るならば、二百七十億いるのに対して百六十億ばかり予算の上に載つておりますが、ないそでは振れぬということで、計画は自然に延びて行くということになるのですが、この聞私はこの点に触れたのだし、今また西村さんは強く緊縮財政について触れられたのでありますが、私はもう一ぺんこの間のおさらいをする必要がありませんから、あまりこまかく申し上げませんけれども、消費財政を引きしめて生産財政に切りかえて行くのにはこれ以外にやる方法がないと思うのです。これが生産財政として国が投資するのに最もよい方法であると私は思いますが、せめて年度計画が行われるように、財政の緊縮をされる考えはないか、これは私は深刻な問題が地方にあると思うのです。政府がそういうことをやつて行けば、その政府の発表したことによつて、われわれの次男、三男の行き場はあるという感じを与えられる。政策の貧困の結果は、答弁だけその場限りでのがれておられますが、国民の胸にこたえる痛さは大きい。三人以上の堕胎はできないと言つて、涙をこぼして訴えている人もある。この深刻なことを私どもはやはり処理して行かなければならない。それはずいぶんつらいでしようけれども、総理大臣は、緊縮と減税は議会が反対しても乗り切ると言われた。大蔵大臣もこれについては相当の決意を持つておられるようでありますが、せめて今と同じ財政の幅に置いて、緊縮の分をもつて生産の開発計画に向けられる御決意があるかどうか、お伺いしたいのであります。
  97. 向井忠晴

    向井国務大臣 消費部門を緊縮しまして生産部門の方に振り向けるということは、私も念願していることでございまして、十分に実行の方向に進んでもらいたいと考えております。
  98. 松浦周太郎

    ○松浦(周)委員 この問題は、先ほども西村さんから物価の上昇に対する今後の補正についての御指摘がありましたが、負けた国の日本において、私はまず指導者が考え方をかえなければ緊縮は行われないと思うのです。ドイツから帰つた人の話を聞きましたり、またあつちの文献を見ますと、りつばな官舎を持つている大臣総理大臣だけしかないといいます。あとは子供の数によつてアパートの部屋を割当てられると言つている。またいろんな文献を見ますと、日本の東京はずいぶん復興しているけれども、ドイツの都市は爆撃されたままの姿である。しかし一たび港に行くと、クレーンが走つている。重工業地帯では戦前よりも進歩したものがどんどん生産されている一ころが日本の現状は、八十億ドルなんというような賠償金はもらえないと思つてつたけれども、三十も五十むビルデイングが建ち、りつぱな消費経済が行われている東京を見ると、この経済カでは、日本は確かに賠償金を払うことができるのだというようにフイリピンの使節は思つてつたとさえ言われている。こういう面は、今お扱いになつている九千六百億円のものだけじやなしに、大蔵大臣は、国全体の経済を消費経済が生産経済に向くように考えなければ、日本はもう持たぬと私は思うのです。それには一体どうするか。指導者がまず勤労者と同じようなベース生活をすることだと思うのです。私はそれを実行しております。しかし自動車にも乗ります。祕書も使います。それは仕事の幅が大きいからやむを得ません。日本の指導者がわれにならえという決意を持つて全部立ち上つたならば、バスケツト・マーケツトというような議論は起きないと思うのです。指導者だけが遊惰な生活にふけつて、東京温泉にひたつてつて、あの銀座のネオンをそのまま見のがしておいて、勤労者だけに勤勉をしいても、これは行われるものじやない。その指導者、経済の中心に立つているのが大蔵大臣である。まずビルデイングを建てるような資金を融通しないように、銀行局で締めたらどうなのか。それを生産に向けたらどうなのか。あれだけのビルデイングが建つているけれども、東京のビルデイングは一として生産手段ではありません。全部あれは商業手段です。木造のバラツクの中で相談されたつて、あの中で相談されたつて、生産の上には何も影響しません。あの中の一つが土地改良に投じられたならば、どれだけの生産増強になるか。東京に今度できました七十余のビルデイングに対しての金融措置を大蔵大臣が生産金融に切りかえて曲られたならば、ひとり農村ばかりではありません。あらゆる工業の面において、あらゆる日本の産業の上においてどれだけの効果があつたでしよう。オフイスが悪ければ仕事の能率が上らぬことはやむを得ませんが、負けた日本では、木造のバラツクに住んだつてそれは生産の方に多く注ぐべきが当然だと思うつ今日審議しておる国家財政だけにとらわれて答弁のやりとりをするだけではなしに、大蔵大臣は国の財政経済というか、産業経済というか、そういうものの資金の動脈を握つておるではありませんか、それをもつと生産の方面にお向けにならないか。今まではやむを得なかつた、しかしこれからは資金調整と申しますか、資金統制弔十分にやつて、そうして生産本位の金融をし、もつて生産が上るようにする、あるいは国土の総合開発の方面にもそういう考えをもつてやるということで、ひとり予算ばかりでなしに、日本財政経済、金融、産業というものが一つの考えのもとに縦貫されて行つたならば、そこで初めて日本経済は大地に足をつけるのです。そこから伸び上つて来る経済でなければ、上調子のものではいつまでたつても同じです。せつかく大蔵大臣は青年の時代からこの遭に精進せられて、相当亡の道の哲理を握つておられるはずなんです。あなたが一はだ脱いでこの困難な財政をあずかられたという理由はそこになければならない。日本の産業は底をついた。これから一歩々々日本の産業が上つて来ると私は一つの希望を持つが、大蔵大臣はこれに対してどういうお考えを持つていらつしやいますか。
  99. 向井忠晴

    向井国務大臣 御意見はすべて御同感でございます。それで、その方向に向いましてできるだけのことをやるつもりでございますが、ただ資金の調整というふうな点について規制することが、法律的にただいまできないのでございます。せめて金融機関の反省と申しますか、自省と申しますか、それでただいまおつしやるような不生産的なことに融資をしないように、その他何事でもまず指導者から心がけをかえて、簡単に申せば勤倹の気風及びまじめに仕事をして行くというふうに持つて行きたいと思う。これは口先だけでなく私は苦心しておる次第でございますが、今後ともますます力をその方面に注いで行きたいと考えております。
  100. 松浦周太郎

    ○松浦(周)委員 御決意のほどを伺いましたが、法律やその他があつてできないという面もありましよう。そういう場合には、法律をちやんとつくつたらいいと思います。二百もこの議会法律や制度が出ておる。不急なものといつては悪いでしようけれども、そういうものも出る。それに一番かんじんの国家の動脈と申しますか、そういうことの規制が法律でできないはずはないと思います。それは御決意があるならば、吉田さんはあなたのおつしやることならばきつと聞かれる。金融の問題については、大蔵省で握つておるではありませんか。俗に言うならば、商業金融を生産金融に切りかえるというようなことは、これは法律や制度なしにでも、銀行の連中にそうやれと言えばすぐやれることなんです。これについてどうでしよう。
  101. 向井忠晴

    向井国務大臣 商業金融と申しましても、商業もやはり一つの生産事業でございますので、むげに商業金融を圧縮して、生産金融に向けるということもできないと存じます。しかしぜひ基幹産業として伸びなければならないものに向つては、ほかのものをさしおいても金融に努めるように、これは銀行の人にも話もしましたし、これからもその方向に行きたいと思つております。
  102. 松浦周太郎

    ○松浦(周)委員 この問題は重要な問題でございますから、大蔵省は全力をあげて日本経済の建直しのために御協力を願いたいと思います。  さつきの聞きかけのところでちよつと枝葉になつてしまつたのですが、一番問題になるのは、私は国土の総合開発だと思うのですが、年に六百億もいるようになつても、相かわらずの予算の立て方で、公共事費に依存して行かなければならないものでしようか。私はこの間もこのことにちよつと触れたんですけれども、公共事業費に依存して行くことはいいが、――開発地の方は非常にいいけれども、開発されない地方は、開発地の方に持つて行かれてしまうというような観念が起りまして、おもしろくないと思うのです。むしろ私は国土総合開発なら国土総合開発という款を設けて、一つの独立の省をつくつて、他に流用されない、それは計画から予算措置実施にいたるまで一貫したやり方が必要であ、こういうふうに痛感するのです。これは蛇足になりますが、北海道の総合開発を完成するために、私は選ばれてアメリカのTVAをずいぶんいろいろ研究して来ました。あそこではリリエンタール氏がこういうような計画を打立てて、そうして責任を負つたんですが、その計画のときからダムの完成まで、常に現地の仕事と計画と予算という三つのものをにらみ合せてあの大業をやつで抜けたことは、今や世界の逸話の一つになつている。しかるに今の日本の総合開発は一体どうかというと、これはここでこまかしく申し上げなくてもわかると思いますが、ばらくなんです。審議庁で計画をする、それを各省がセクシヨナリズム的に思い思いの予算のぶんどりをやる。それから今度は、実施はまた違う舞台が実施をする。計画をした人と予算をとる人と実施をする人とがまるつ言ばらくなんです。こんなことでは、この日本の人口のふえ方に対する国土の総合開発などというものは、私はかりに行つても効果が非常に少いと思う。資金効率も非常に少いと思うのです。これが計画から予算措置から実施に至るまで一貫した官庁によつて責任を持つて行われる。今のようなやり方ならば目節はいつでも流用ができることになつておる。こういうことではほんとうの開発は行われないと思うのです。これを一つの省を創設して、従来開発に対する事務をやつてつたところの部局をそこに全部吸収して、そうして予算の中には、ちやんと総合開発経費というものが款に頭を出して、流用は絶対に許されない。そこで計画から予算実施と一貫的に行つて行かなければ、これはほんとうのものでないと思うのです。しかも計画の責任者は現地に常に行つて、第一線に立つというだけの責任のものをやらなければ、困難な仕事を切り抜けることはできないし、それだけ熱心でなければ資金の効率は上らないと思うのですが、これに対して大蔵大臣はどういうふうにお考えになつておりますか。きようは緒方さんがおられませんが、この間緒方さんにこれの機構改革のことをよく申しましたところが、それはこの二月の行政整理では間は合わないけれども――ここにちやんと速記録がありますが、ぜひひとつ近いうちに実現したいということも述べておられるのですが、この点について、予算の面から見た大蔵大臣のお考えはどうでございましようか。
  103. 向井忠晴

    向井国務大臣 御説の通りでございまして、三つに仕事がわかれるというようなことは、能率を上げる点からいいましても、その他の事業完遂の方の障害が著しいと存じます。この点は私はよく検討しまして、なるべく早く適当な道を開きたいというように考えます。
  104. 松浦周太郎

    ○松浦(周)委員 総理大臣は来られぬでしようから、緒方さんがお見えになりましたら、このことをもう一ぺん伝達したいと思うのですが、以上で私の質問を終ります。あとは緒方さんと外務大臣がお見えになつた質問いたします。
  105. 南好雄

    ○南主査代理 午前の会議はこの程度にいたし、午後二時より再開いたします。  暫時休憩いたします。     午後零時四十五分休憩      ――――◇―――――     午後二時三十八分開議
  106. 塚田十一郎

    塚田主査 休憩前に引続き会議を開きます。  質疑の通告がありますからこれを許します。福田赳夫君。
  107. 福田赳夫

    福田(赳)委員 私は本委員会において、大蔵大臣に、本予算には相当節約を要する費用がたくさんあるのではないか、ほんとう政府が意を決して経費の節減に努めるということをいたされるならば、三百億円ぐらいの物件、人件両費にわたつた節約ができるのじやないか、こういうことを申し上げました。大蔵大臣は、その線に沿つて節約をいたしたい、減税国債も発行しないで済むように努力いたしたい、かような言明をされておつたのでありますが、しさいに予算書を点検いたしてみますと、さようなことがあるいは実現できるのではないかというふうに考えるのであります。たとえば、これは大蔵大臣あるいはお気づきにならぬかもしれませんが、予算書を御一覧願えば非常にはつきりすると思うのです。まず予算書の最初に出て来る総理府所管、これなんかも一読いたしまして非常に顕著なのでありますが、総理府所管予算額項目別表というようなものがあります。これを見ましただけでも、たとえば今まで全然なかつたところの職員の諸手当というようなものがぽかんと出て来ておる。今までの制度にはさようなものがなかつた。それからまた職員の特別手当というものが五割方ふえておる。あるいは超過勤務というようなものも、倍になつておる。あるいは委員手当というものがその次に書いてあるが、これも六、七割の増額である。人件費は、基本俸給においてすでに昨年末の法律で二割ふやしておることは御承知通りであります。その他の人件費につきましても、さような増築がある。これはわれわれにはとうてい理解できないのであります。あるいはさような人件費を除きましても、役所の一般の庁費というものが昨年は二千八百万円から、本年はにわかに四千五百万円にふえておる。あるいは報償費というのがあります。これは機密質的に使う経費でありまするが、これが四百万円のものが七、八倍の三千万円にふえておる。あるいは広報刊行物件成費というのが、九十万円のものが五百万円にふえておる。また会議費というのがありますが、これが二百二万円のものが倍以上の四百八十二万円にふえておる。あるいは職員の旅費にいたしましても、相当多額にふえておる。たとえば旅費であるとかあるいは会議費というよう浅ものは、会議費というのは昔は食糧費というふうに言つてつたと思うのですが、戦争中並びに戦後において会議を招集する場合に、食糧事情が非常に悪い、そこで会議に集まつた人に飯を出すというので、こういう会議費というのをとつたわけなのでありますが、これなどはだんだんおちついて来ておるのですから、これは減つて行かなければならぬ。さような経費が、――これは総理庁に一つの例をとつて申し上げたのですが、各省において非常に乱に流れているのじやないかというふうに認められるのでありまして、私はこの点を指摘して、政府全部が一体となつて経費の大縮減にぜひ努力してもらいたい、かようなことを政府に要請いたしたいのでありますが、これはほんとうにまじめな意味において再検討される御意図があるかどうか、これをお伺いいたしてみたいのであります。
  108. 向井忠晴

    向井国務大臣 御指摘の通りむだがあるとしましたならば、まことに申訳ない次第でありますので、十分に検討いたします。
  109. 河野一之

    河野(一)政府委員 計数をあげての御説明でございますが、総理府におきまして職員手当が、前年ゼロのものがふえたというのでありますが、これはいわゆる通俗には管理者手当といつております。今回管理、監督の地位にある者には超過勤務手当を出さないという制度になりましたので、その関係で管理者手当というものが計上されたわけであります。報償費につきましては、四百万円が三千万円にふえておりますのは、内閣調査室の情報関係の一億三千五百万円のうちのものでございます。旅費その他がふえております。が、これは軍人恩給の裁定の関係で職員がふえておりますので、それに伴う旅費、調査費がふえておるのがおもなる事由になつております。物件費全部につきまして、一般会計において八百二十億ばかりあるのでございますが、この中にもいろいろなものがございまして、病院の薬剤から学校の校費、研究費、さらに刑務所の食糧といつたようなものまでいろいろごつちやに入つておりますので、御存じのことと思われますが、庁費というような点につきましては、前年度も一応節約いたしましたが、その平常化を目途といたしまして計上いたしたのであります。もちろん御指摘のように、冗費を省くということについては、われわれとして何ら異議を申し上ぐべき筋合ではないのでございまして、執行にあたりまして、は特に留意いたしたいと考えております。
  110. 福田赳夫

    福田(赳)委員 これは今そういう主計局長お話がありますからいろいろ申し上げますが、ほかにも非常にたくさんある。特に次の外務省というのを見ますと、昨年は報償費というのが、ごくわずか組んであつたのでありますが、それが今度は三億円というように、十倍にもふえておるのであります。これは一体どういうわけでございますか。
  111. 河野一之

    河野(一)政府委員 これは、海外の情報宣伝といつたものにつきまして、昨年は非常に小さな規模でやつてつたのでありますが、独立を迎えまして、相当対外的に宣伝し、あるいは情報を収集するといつた関係で、特にふやされた次第であります。
  112. 福田赳夫

    福田(赳)委員 報償費が三千万円から三億円にふえたということは、大蔵大臣御存じでありますか。
  113. 向井忠晴

    向井国務大臣 それは私存じております。特に必要があるということで、外務大臣から要請があつたのであります。
  114. 福田赳夫

    福田(赳)委員 こまかいことになつてまことに恐縮ですが、本年度は大蔵省所管に災害対策予備に必要な経費というものが新たにできておる。これはどういう性質のものであるか御説明願いたい。
  115. 河野一之

    河野(一)政府委員 二十七年度までは、いわゆる公共事業費の中に、昭和二十七年発生災害復旧事業費ということで、昭和二十七年度中に発生した災害の分につきまして、災害の費目別に各省に移しかえて使つておりました。つまり災害復旧の道路、河川、港湾、それぞれその額はあらかじめはつきりきまりませんので、具体的にきまつた後において、その分を移しかえて使つてつたわけであります。これはここ数年来そういうことをやつて来たのでありますが。そういうことにいたしますよりは、はつきり災害の予備費として上げる方がいいのじやないか。移しかえて使うということになりますと、内閣限りで移しかえ得るわけでありますが、予備費ということになりますと、後に国会の事後承諾を得るわけでありまして、決算終了後国会の御承諾を得るよりは、あらかじめ特別な予備費として支出して使用して、そうして早く国会の御審議を仰ぐ方がいいという建前で、災害対策予備に必要な経費というものを特に今年から設けたわけであります。
  116. 福田赳夫

    福田(赳)委員 この説明を見ますと、「台風及び地震等の予測することのできない災害に対処するため、予算に超過し、又は予算外に必要とする復旧事業等の経費に充てるものである。」こう書いてありますが、この等というのが非常に漠然としておる。しかも最後に書いておつて、何にでも使えるような形になつておるのでありますが、等というのはどういうものを含んでおるか。これは予算の説明の内容としてはつきりしてもらいたい。
  117. 河野一之

    河野(一)政府委員 これはわれわれの考え方といたしましては、事務費という考え方でございます。
  118. 福田赳夫

    福田(赳)委員 事務費だけというふうに解釈してよろしゆうございますか。
  119. 河野一之

    河野(一)委員 従来におきましては、昭和二十七年発生災害復旧事業費ということで災害復旧の経費だけしかございませんでした。ところが実際問題として、応急費――いろいろな事務費もそうでございますが、復旧でなしに応急費、復旧には至らないまでも、応急的に支出する経費が従来多少あつたのであります。これは従来の科目では支出できませんので、予備費で出しておつたのでありますが、今回はそういうことでこちらの方から出したらどうだろうかというふうに考えております。それから事務費というふうになります。
  120. 福田赳夫

    福田(赳)委員 そういたしますと、災害の事前の対策としては、それは入らない趣旨として了解いたします。それから予備費を設けるにあたりましては、憲法の条項に従いましてその使用について国会にこれを報告する、特別の報告を必要とするのじやないかと思うのですが、対策予備費の法律根拠はどこに求めておりますか。
  121. 河野一之

    河野(一)政府委員 これは財政法によりまして、財政法の予備費として事後に国会の御承諾を求めることになります。
  122. 福田赳夫

    福田(赳)委員 それは少し疑義があるのじやないかと思うのです。というのは、たとえば国会予備費というのがある。これにつきましては、国会予備金に関する法律というのを出してあるはずだと思うのです。それから会計検査院にもそういうものがあるのじやないかと思うのでありまして、それにつきましては会計検査院予備経費の善後措置に関する法律というようなものがあつて、国会に報告をする手続をきめておるように思うのですが、これは何にもないのです。財政法に規定しておるのは一般財政費だけでありまして、この災害対策予備費等を包含するかどうかということについては若干疑義があるのじやないかと思うのですが、それはどういうふうにお考えでありますか。
  123. 河野一之

    河野(一)政府委員 国会には予備経費というものが計上されております。また裁判所にもございまするが、この予備経費は、いわゆる財政法にいう予備費としては取扱われておりませんで、従つて国会の事後承諾というようなことはないのでございまして、中に衆議院議長、参議院議長が科目を設置して一もちろん大蔵省と協議があるわけでありますが――使うという建前になつております。今回の災害対策予備費は、財政法にいう予備費のうち自的を特定いたしたものと考えておりますので、やり方によりましては、先ほど申したように一般の予備費が三十億、それから災害対策予備費が百億というふうにいたしまして、百三十億の一般予備費をとつてもよろしいかと存ずるのでありますが、あまりに予備費を大きく設けますことはかえつて弊害を招きますので、災害という特殊事情のためにこれだけのものを置く。過去におきまして普通の予備費のほかに、特別の目的のためにやつておられる予備費もあつた例がございますので、そういつた例をならいまして特に設けた次第であります。
  124. 福田赳夫

    福田(赳)委員 私の伺つておるのはそこでなくて、これは特別の予備費であるから、特別の法律に基いて設定する必要があるのではないかと考えるのですが、その点はいかがなものでしようか。
  125. 河野一之

    河野(一)政府委員 これは憲法には、予算の不足を補うため予備費を設けるということになつておりまして、その予備費というものの性質については、まだ財政法も特にそのことについて特別の予備費はいけないとか、さようなことについての規定はいたしておりませんし、またそれを禁ずる趣旨ではないと考えております。
  126. 福田赳夫

    福田(赳)委員 ただいま御説明を伺いまして、従来災害復旧事業費というような名前で運用しておつたものを、災害対策予備費というふうにいたして国会の承諾を求めるようにするという考え方自体は非常にいいと思うのです。そういう考え方を、災害対策ばかりではなくて、広汎にとつてもらいたいと私は思うのです。というのは、今回のこの法律を見ますと、たとえば予算の重要部門を占める保安隊の経費はほとんど一本で出ておる。あるいは今度の予算の主要なる新規事項である。恩給費も、たつた一本で四百五十億というものが出ておるのです。これは何か各日明細などで説明されるのかと思つて、けさ配付されたのを見ますと何も書いてない。四百五十億円一本なんです。こういうことは戦時中か、あるいは進駐軍指導下の日本財政においてのみ許されるのであつてそれをまたそのままやつておる。そういう考え方がこの予算全体を支配しておる思想ではないかと思うのです。それで、これは大蔵大臣もその考え方は全部ひとつ清算しなければならぬ。今回はもう時間切れで、なかなかそういうわけには行かぬかもしれませんが、今後の予算の審議を求める態度といたしましては、根本的にそこをやりかえる必要があるのではないかと思うのです。あるいは先ほど来問題になつておりました平和回復善後処理費、これもたつた一本なんです。これはただいま主計局長が述べられた考えを発発展させますれば、平和回復善後対策予備費という種類の性質のものでありまして、内容が何ら示されておらない。ただかような性質のものに出すのだというのでありますが、これは予備費です。出してただちに国会の審議を求めるというふうにいたしますれば、これはもう先般来行われておるところの論議の大半を消し去ることができるのではないかと思うのでありまして、全体としてまだ戦争財政、あるいは終戦財政の思想が消し去られていない。この点をひとつ大いに是正する必要があるのではないかと私は考えるのでありますが、大蔵大臣は今後そういう方向で行かれますかどうか。
  127. 向井忠晴

    向井国務大臣 ごもつともでございまして、そういう方針で進みます。
  128. 福田赳夫

    福田(赳)委員 そういうふうにぜひしてもらいたいのです。問題になつている平和回復善後処理費につきましても、予備費という考え方をとります。れば、これをあとで国会の承認を求める重い手続をするのでありますから、そういう意味において国会としても了承する面が出て来るのではないかと思うのでありますが、一本の予算でどういうふうに使つてもよろしい、あとは決算まで政府責任をとらぬというふうなことでありますれば、国会の方といたしましても、いろいろ開発だておかなければならぬことが出て来るという考え方になつて来るのではないかと思われるのであります。特に平和回復善後処理費につきましては、さような意味におきまして占領下の財政の残津が非常に濃厚に残つておると思われる。そこでこれにつきましては、少し事実を明らかにしておく必要も認めるのでありますが、まず二十七年度の予算は百十億円、それに繰越が百億円ばかりありまして、二百十億円ばかりでありますが、これを予算総則第十八条の規定によつて、他の省に移しかえていろいろ策しておるはずです。その移しかえられたのはどういうふうに移しかえられて使われておるか、この点を明らかにしておきたい。
  129. 河野一之

    河野(一)政府委員 いろいろ予算書の内容について御指摘をいただきましてはなはだ恐縮いたしたのでありますが、なお、終戦以来のいろいろな混乱で、各省の予算会計等の能力がなかなか回復しない点もありまして、昔のような精細な点まで至らぬことを深くおわびを申し上げる次第であります。御指摘の平和回復善後処理費のことでございますが、二十七年度におきましては、前年度分からの繰越し百億と合せて二百十億円の予算がございます。これは二月一日現在でございますが、このうち百五十五億円移しかえ使用いたしております。そのうち運輸省関係が十二億八千六百万円、おもなものは羽田の飛行場が返還されて、それに伴つて飛行場の運営をいたす経費、それから定点観測と申しまして、三陸沖及び土佐沖において気象観測をやつておりますが、これはその以前においては終戦処理費で米軍の関係でやつてつたわけであります。今回は平和発効とともにそういうことはなくなるわけでありますが、事実問題としてやつてほしいということで、ドルをもらつてそういう業務を続けております。それからマーカス島でありますが、そこにおいても同じような気象観測をやつております。これの方は防衛支出金とは違つた意味で、向うからドルをもらつてつております。それから調達庁関係において五千万でありますが、これは解除物件、連合軍から解除された物件をまだストツクいたしておりまして、それの倉敷料でありますとか、それを処理するためのいろいろな経費を出しております。その次に、大蔵省におきまして百四十億八千百万円出しております。これは外債と連合国財産の返還委託、すなわち連合国財産の返還につきましていろいろな調査をいたすためであります。外債関係で百三十七億六千万円、連合国財産返還委託費で三億二千百万円。それから建設省の関係におきまして五千二百万円、これは神戸及び横浜にあつた例でありますが、接収されておつた土地が道路を含めましてモーター・プールになつておりました。これを解除と同時に都市計画をやらなければならぬ、これはちよつと補償的な意味でありますが、本来は都市計画の上の経費といつたものがおもでございます。
  130. 福田赳夫

    福田(赳)委員 そうすると二十八年度に繰越しになるのは、この前の資料では三十億円というのですが、それでよいのですか。
  131. 河野一之

    河野(一)政府委員 大体さようでございます。そのほか二十七年度中において今後使用が確定しておるものが、返還港湾及び都市道路の復旧費約五億円、それから賠償指定解除施設の補償、接収解除財産の返還補償等が約二十億円、合せて約二十五億円ございます。大体年度内で百八十億円くらいが使用され、三十億が明年度に繰越されるという見通しでございます。
  132. 福田赳夫

    福田(赳)委員 そういたしますと、これが百億円となつておりまして、合せて百三十億円になります。百三十億円というと、外貨債の元利払いが本年度は幾らになりますか。前年度ですでに百三十七億円なのですから、とうていこれだけでも足らないように思うのですが、その辺は一体どうなりますか。もつともこれは予算総則第十九条というのによりまして、連合国財産補償費とか国債償還費とかは彼此移用できるようにはなつておるようでありますが、予算自体の見積りとしてはなはだ不足に思うのであります。これで足りるのか足りないのか。
  133. 河野一之

    河野(一)政府委員 実は前年度におきましては、外債がどういうような協定で支払われることになるかわかりませんでした関係上、平和回復善後処理費から出すことにいたしまして、国会の御承認を得たわけでありますが、これは昨年決定いたしまして、その分は今後毎年幾らという金額がきまりましたので、これは明年度の予算におきましては、予算の国債費に実は組んでございます。外貨債の元本償還の分として四十三億七千三百万円、それから利子として百八億七千七百万円ということになつておりますので、二十八年度では平和回復善後処理費から外債関係の経費を出すことはないのでございます。
  134. 福田赳夫

    福田(赳)委員 そうすると、これはまた逆に非常に多過ぎるような感じなんですが、百億円で「平和回復に伴い――条約の履行その他善後処理に関し、諸般の施策を講ずる必要が生ずるので、その処理のため必要」というところだけを見ますと、非常にこれは多過ぎるように思うのです。そこもいろいろ議論の起る要点じやないかと思う。およそ大体において百億円、繰越しを合せて百三十億円をもつてどういうことを考えておるのか、腹にあるところをお願いします。
  135. 河野一之

    河野(一)政府委員 今後の問題といたしましては、先般も問題がありましたが、債務と心得ておるガリオアの問題、また賠償関係におきましても、役務賠償の問題について今後相当進行するかと思われますし、そういう関係で、その金額はもちろん交渉の結果にまたなければわからぬことでありますが、相当の金額が出るのじやないかという見込みで出したわけであります。
  136. 福田赳夫

    福田(赳)委員 そういたしますと、内容はわからぬが、とにかく百億円ばかりとつておけという性質のもので、これこそぜひ予備費にしてもらいたい。そうして一般の経費と違つた重い手続をとつてもらいたい。平和回復善後処理予備費という形にいたしまして、憲法に定められた規定に従つて運用してもらいたい、それはどうですか。
  137. 河野一之

    河野(一)政府委員 予備費といたすことも一つの考え方であろうかと思われますが、一応支出が予定し得るものを予算として組むことはさしつかえないと思います。ただこういつた状況によつて、翌年度に繰越しても使い得るといつた経費につきましては、予備費といたしておきますと、年度の末に行きまして不用額になりまして、繰越しができないことになります。そうなると、実際問題として起つた、ときに困る。従つてこのような経費として運営をいたしておるところもございます。但しこの使用につきましては、閣議決定その他で相当厳重に実はやつておるつもりであります。
  138. 福田赳夫

    福田(赳)委員 私はぜひこれは予備費にしてもらいたい。これをひとつ要請したいのです。そうしませんと、これはどうしても毎年々々同じような議論が出て参りまして、国会の審議から見てどうも適当じやないのじやないかというふうな感じがいたすのでありまして、これはひとつ御検討願いたいのです。ただ単に一本で百億円というので、どういうふうに使つてもこれはいいんだということは、これはまだ財務当局において、独立国になつたのに伴いまして頭の切りかえが少し足らぬのじやないかというふうに思うのでありまして、さらにその次の防衛支出金にいたしましてもそうなんです。これは予算の説明書のどこを見ましても、六百二十億円とあるだけで何らの説明もない一しかしながらこれはいろいろ説明さるべき経費なんでありまして、ことにすぐ考えましても、この六百二十億円というのは行政協定ですか、二十五条の規定に基いてきめられておる。それにa類、b類というのがある。a類、b類くらいの区分をして、これは詳細にその内容について説明さるべきものだ。ところが何らの説明も加えていない。これは一体政府案として穏当であると考えておられるのかどうか、これは主計局長でよろしゆうございます。
  139. 河野一之

    河野(一)政府委員 従来におきましては、予定経費要求書あるいは各日明細書というようなものでいろいろ詳細に書いておつたのでありますが、そういつ善男についてなかなか手が届きませんで、そういつたようなことになつておるのは申訳ないのでありますが、それと一方に、最近におきまして予算の説明というものを出しまして、むしろそつちの方におきまして詳しく予算の補足に、あるいは予算書にそれをつけてもいいのではないかと思うのでありますけれども、そういつた面で実質を補つてつているわけでありまして、いろいろ重複するのもいかがかと思いまして、多少簡略にいたしてあります。しかし今後におきましては、そういつた予算書の形式については相当考えて参らなければならぬのじやないかというふうに考えております。
  140. 福田赳夫

    福田(赳)委員 この防衛支出金は、説明書によりますと五百五十億円がいわゆるb類に属するものでありまして、残りの七十億円がa類に属するもののように承知しておるのであります。a類につきましては、総額につきまして前年度六百五十億円のものが今年度は六百二十億円と三十億円減つておる。それはa類のもの、すなはち行政協定に基きまして、わが方において負担しなければならぬ不動産その他の施設の経費が減つておるというふうに承知できるのでありますが、前年度は一体百億円の施設費で――これはおらくその前の年から繰越しがあつたのではないか、相当多額の繰越しでもあつたのではないかと思われるのですが、大体どういうふうにそれを使つて、本年度としては三十億円減らしの七十億円、またそれが二十七年度から繰越されて幾らになつて、大体それをどういうふうに使うかということの概要をひとつ伺つておきたいのであります。
  141. 河野一之

    河野(一)政府委員 この経費は二十七年度からでございますが、二十七年度におきまして六百五十億円の防衛支出金総額のうち、駐留軍への交付金が五百七億円、これは二十八年度におきましては五百五十八億円でございますが、平和条約の発勃が四月二十九日になりました関係で減つたわけでございます。その施設の提供、たとえば借上げ、不動産の購入、あるいは漁業補償、事故補償、そういつたものが百四十三億円、その実行の見込みは駐留軍への交付金五百七億円は全額交付いたしました。施設提供等の諸費百四十三億円のうち、九十三億円ばかりが年内に支出される見込みでありまして、残り五十億円ばかり翌年にまわることに相なると考えております。二十八年度におきましては、交付金は先ほど申し上げました五百五十八億円でありますが、一応の考え方といたしましては、輸送の関係で七十五億円、通信関係五十七億円、役務費百十六億円、需品費百九十四億円といつたようなものでありまして、おもなるものはそういつたものでございます。  それから施設提供の方の六十二億円、これは借上費が三十五億円、あと補償費が漁業補償が六億三千万円、それから事故補償が三億五千万円、あと小さなものがございますが、そういつたものでございます。
  142. 福田赳夫

    福田(赳)委員 これは、施設費については大体の見当をつけましてやつておるのか、あるいは駐留軍との間に確定的な話でもあつてそういうふうになつておるのか、三十億円減らしたのですが、この減らし方に無理があるのか、あるいはそれでもまだ相当余裕があるというふうに考えらるべきものであるか、その辺の見当をつけておきたいのでありますが、それはそのいずれであるか、すなわちこちらで適当に見積つてつたのか、あるいは向うとも相談話し合つてそれだけにしてあるのか。
  143. 河野一之

    河野(一)政府委員 五百五十八億円、一億五千五百万ドルというものは、これは向うと話し合つてきめておるわけであります。施設提供のものにつきましては、これはわれわれのところの判断におきまして、つまり現在接収されておりまするところ、そういつたところは具体的に方々にわかつておりますので、その分を積算し、また二十八年度におきましては安全保障諸費で営舎等ができますので、そういつた関係でさらに解除せられるものを見込みまして、日本側において積算計上いたしております。
  144. 福田赳夫

    福田(赳)委員 行政協定によりますと、これは二十五条によりますれば五百五十八億円の系統、すなわち駐留軍の役務、需品を日本側で負担するという種類の経費につきましては、定期的再検討をするというふうにきめられておると思うのであります。定期的再検討の結果締結される新たなとりきめの効力発生の日までの間、毎年一億五千五百万ドルに相当する額の日本国通貨を合衆国に負担をかけないでその使用に供する、こういうふうにきめられておる。この定期的再検討というのが一体どういうふうに実施されておるのか、これはわれわれとしては事なる関心を持つておるのでありますが、これは行政協定が締結されましてから今日までどういうふうに運用されておるか。これをひとつ御説明願いたい。
  145. 河野一之

    河野(一)政府委員 その関係は日本政府予算を組むときまでに米側としての必要な金額というものを一応算定して参るわけであります。具体的には昨年の十一月ごろその要請があつたわけであります。御承知のように四月二十九日に平和条約が発効しましたが、それからのぼんの間でありますので、実は支出の状況等につきまして、個々的に検討する段階に至らずしてそういうことになつたのでありまして、一億五千五百万ドルということに一応定められております。この前の議会のときに大体半額程度というようなことも御説明申し上げたかと思うのでありますが、実際問題としては、米側においてはこれ以上の金を昨年末までに出しておるようであります。この監査の方法につきましては、最近ようやく多少軌道に乗りかけまして、財務局等におきましてその使用の実績報告書を徴して、それについて実地を当つておるというような次第であります。
  146. 福田赳夫

    福田(赳)委員 行政協定は、ただいま主計局長からもお話がありましたが、思想的にはこれは折半主義でできておると思うのです。米軍が三億ドル使うということが前提で、大体一億五千五百万ドルというふうになつておると思うのです。しかもその後米軍の状況覚ますると、どんどん朝鮮前線に引揚げて、これは言つては語弊があるのかもしれませんから申し上げませんが、日本における兵隊は相当兵力が減つているように考えられるのであります。従つて米軍の日本における所要経費は、相当激減しておらなければならぬというふうに思う。もし米軍が日本においてドル資金を流すということがあれば、これはいわゆる特需です。すなわち朝鮮戦線における補給基地としての日本における米軍“あるいは連合国軍所要の費用の支出でありまして、日本の駐屯部隊のための経費というのは激減していなければならぬ。すなわち今まさに行政協定二十五条による定期的再検討というものの時期が到来しているのではないかというふうに考えておるわけでありますが、そういう点について外務当局等と打合せておるかどうか。
  147. 河野一之

    河野(一)政府委員 米側でどの程度出しておるかということでありますが、われわれから出しました金と向うの金とを合せて使つておるわけでありまして、その使途につきましては、厳重に日本の防衛関係だけに限られております。その点はわれわれも常に留意していることでありますし、これは国連関係である、これは日本の防衛、駐留軍としての関係であるということを、個々の小切手について実はやつておる次第であります。昨年末までにおきまして、毎月米側から報告をとつておるのでありますが、平和発効後昨年の十二月までに大体二億ドル程度向うで出しておるという計算に相なつております。
  148. 福田赳夫

    福田(赳)委員 それがどうも少し考え方が甘いのじやないかと思うのです。というのは、昨年度のアメリカ予算が一億五千五百万ドル、だから日本側も一億五千五百万ドルを負担せよ、こういうのです。その当時から比べますると、アメリカの兵隊は相当減つておるというふうに考えなければならぬ。ですから、アメリカがかりに昨年一億五千五百万ドルの予算つたのがことしは二億使うということなら、おそらくこれは朝鮮前線なんかの補給のために使つておるものをひつくるめてそういうようなことを言うのではないかと思うのです。それでありまするから、これはぜひ慎重に検討願いたい。邦貨五百五十億円の大問題なのでありますから、簡単に片づけないで、国民の血税の軽減というような角度においてぜひ考えてもらいたいのであります。  それから今お話によりますると、何か監査をするとかなんとかいう話があるそうでありますが、それは何か法的根拠があつて向うの経費を監査できる仕組みになつておるかどうか。ただ駐留軍の好意というようなことで監査を許されておるのかどうか、それはどうなつていますか。
  149. 河野一之

    河野(一)政府委員 これは別に法的なとりきめがあるといつたわけでございませんが、公式議事録にもあり、また経理の手続につきまして向うとの間に申合せをしております。それに基きまして、いろいろの報告を出してもらい、あるいは実際に状況調査し得ることになつておるのであります。
  150. 福田赳夫

    福田(赳)委員 この経費につきましては、行政協定をつくつた際において、この五百五十億円は逐次減らして行くが、その減らし方は日本の自衛力の状況に応じて減らすんだというようになつていると私は了解しておるのでありますが、日本の自衛力の方を見ると、今年はたいへんな充実ぶりであります。予算面に出て来るところを見ましても、たいへんな自衛力の充実になる。部隊の定員も十一万人というようになりますし、装備、施設等につきましても、戦前には見られなかつたような強度の充実されたものになるわけでありまするが、そういう角度から見ても、この分担金というものは減つて行かなければならない。この点は当時岡崎外務大臣とラスクさんとの間にいろいろ話合いがあつたはずなのであります。私は、一方において日本の再軍備というか、自衛力充実のための保安隊の経費がふえれば、こちらの経費は減らすという思想で行政協定、また駐留軍に関する財務負担の原則ができておるというふうに考えておるのであります。この点は大いに主張してやらなければならぬところだと思、うのですが、どういうふうになつているのか。
  151. 河野一之

    河野(一)政府委員 行政協定二十五条に関する岡崎・ラスク両氏の公式議事録におつしやるようなことが書いてあります。つまり日本国が漸増的に自国の防衛のためにみずからの責任を負うことあるべきに応じて……。そのような防衛のための経費が増加するということにかんがみて、行政協定第二十五条第二項に規定される経費の減額に考慮が払われるよう要請するということについて、ラスク氏は、そのような考慮を払う、しかし日本国はそのような要請をするにあたつて、共同及び相互的の防衛の努力のため必要とされる合衆国の経費も増加することについて妥当な考慮を払われるよう希望する、こういうことがお互いの公式議事録にあるわけであります。そして保安庁の経費がふえているではないかという御議論もまことにごもつともだと思いますが、これには安全保障費をどう考えるか、つまりこれまで入れての総額をどう考えるかということもございますし、また昨年末までにおいては、米側の支出が一億ドルを越えているという状況から考えまして、そういつたことを要請する條件が熟しているか熟してないかという問題になるのでありまして、そういつたことも考慮して、昭和二十八年度といたしましては五百五十八億円ということにいたした次第であります。
  152. 福田赳夫

    福田(赳)委員 これは結局、この行政協定におきましては、日本の負担分というものにつきましてはつきりしておると思うのです。日本が自衛力充実のための努力をすれば、日本の分担金につきましては減らしてやる、こういうような思想が一貫して流れておる。しかも定期的再検討までするというところまで行つておるのですから、そう過日の論議に見られたあの寛大な考え方、すなわち対日援助費は返してやるのだというようななまぬるい考えで行かぬで、条約にちやんと書いてあるのですから、この条約に書いてあるところをどんどん主張して、日本の自衛力充実に伴うところの負担をこちらでひとつまかなう。この分担金の軽減でまかなうというような線を強力に推し進めてもらいたいと思う。大蔵大臣が安全保障費を全部落した、あるいは防衛支出金を三十億円減らした。一般にはこれを非常に歓迎しておる向きもあるのでありまするが、内容をしさいに点検いたしますると――私はそれに対しましては敬意を表しまするが、さらに努力を傾けなければならぬ余地が大いにあるというふうに考えますので、この点をひとつ特に要請いたしたいのであります。  それから本委員会において先般大臣に申し上げたのですが、今後この予算というものの実行上において非常に大きな問題がある、予算を組むといたしましても、だれが組んでもなかなかそうかわつた予算も組めまいと思うのでありますが、客観的に見ますると、相当大きな問題をこの予算が提供すると思うのです。それはやはり結局世間でもおそれておるインフレの問題、この政府財政において放出された資金をどこまでもこれを回収または還流するための対策というものについて、とくと大臣の意見を承り、私の考えるところも申し上げたのであります。それから他の委員におきましても、そういうような意見が多々あるわけなんです。この預金還流政策につきましては、格段の努力を傾けてもらいたいと思うのであります。  それから先般他の同僚委員が申し上げたのでありまするが、やみ金融の問題です。これは銀行局長から何か答弁があつたそうですが、これは銀行局長の平面的な答弁だけでなく、大臣としてもこれはほんとうに取上げて、ひとつ陣頭に立つてあの問題の善処に当られたいというふうに考えるわけであります。それからあの問題と並びまして、もう一つ財界を混迷するところの一つの問題が、今非常に横行しております。それは何であるかというと、これもやみ資金です。やみ資金を使つて会社の株を買いあさる、この問題であります。これは非常に財界を不安にさせる。あるいは白木屋の株の買取りの攻防戦だとか、これは白木屋もとてももう安んじて商売をしておるわけにもいかぬ。これは一例でありまするが、非常にたくさんなそういう事例が起つておる。そういう陰に隠れまして、数名のやみ資金を持つた財界のボスというものが全国をあばれまわつておる。これも非常に経済の秩序を乱すもとになつておるのじやないかと思うのです。これに対しましては、やみ金融機関の問題と同様に、政府におかれましても、徹底的な措置を考えてもらいたい。ことに税法の見地から入つて行きますと、相当程度の対策はできるのじやないかというふうに考えておるのであります。ちようど国税庁長官もここに見えておりますが、長官はどういう考え方を持つておるか、これは財界の非常に大きな問題でありまするから、ぜひどういう考えを持つておるかを率直にお話願いたい。
  153. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 私ちよつと用件のために少し聞き漏らしたところがございますが、その点は重ねてお尋ねを願いまして、お答えいたしたいと思います。株式につきまして、最近大分買い占めているようなことがありまして、その資金の出る場所がどこから出ているかはつきりしない、課税上それに対して何か対策を考えているかというお尋ねかと思います。私ども株の買占め責任を追究することはいかがかと思いますが、ただ課税につきましては、あくまで適正を期することは、これは本来やるべき筋合いでございますので、相当な利益を収めている人が十分税金を納めていないということにつきましては、資料等も集めまして、適切な調査をいたしまして、課税を多くするようにいたしたいと思つております。株の買占めだけではございませんで、全体に対しまして、そのような問題については一段と努力してみたいと思つている次第であります。
  154. 福田赳夫

    福田(赳)委員 それを承つているのではなく、株の買占め問題について特に重大なる関心を示すかどうか、これについて御答弁願いたいと思います。
  155. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 結局それだけの資金がある場合におきましては、その資金は一体何者の手でできたか、納税すべきものを納税しないでそういうふうな資金にまわつている事態がありますれば、その点十分考えまして、課税上適正な措置をするように努むべきものでございますし、またそういうようにいたしたいと思つております。
  156. 福田赳夫

    福田(赳)委員 証券行政の最高責任者である大蔵大臣は、この問題にどういう感じを持つておられますか。
  157. 向井忠晴

    向井国務大臣 株式の買占めというふうなことをやりまして、自分の利益のために財界を撹乱するという人が近・来現われて参りました。しかしこれを取締ります適切な方法が今のところ見出し得ないのでございます。証券業者及び金融機関及び国税庁の調べの結果、適切な方法が講じられるような台帳を得られることを望んでいる次第であります。
  158. 福田赳夫

    福田(赳)委員 この予算全体を通じて見まして、ことに今度の新しいものといたしましては軍人恩給でありますが、この軍人恩給というのは、今までそういう金は出していない、今度初めて出す。しかもその内容を見ますと、一時賜金を、普通ならば公債で出すわけですが、これを現金で出す。あるいは相当財産のあるような人にもまわるであろうというような金がたくさんあるのでありますが、新しい財政・資金というものが世の中に四百五十億円も出て来る。また保安隊の経費にいたしましても相当ふえまして、その中には土地を買収するとか、建物を買収するとか、こういうインフレの原因としてのこのこ頭をもたげそうな浮動化する金が相当あると思うのです。こういうものを何とか大蔵省においてくふうをこらしまして預金化させる、たとえば恩給を出すにいたしましても、一時金を出すというそのものにつきましては、銀行の窓口を通じて預金帳で払うとか、銀行預金のくせをつけさせるとか、そういうようなこまかい手までこれから芳く加えて行く必案あるのじやないかというふうに思うのであります。ひとつこの点は、さような施策を加味してもらいたいということを希望いたしまして、私の質問を終ります、
  159. 塚田十一郎

    塚田主査 山田長司君。
  160. 山田長司

    山田(長)委員 大蔵省所管物件の貸付なりあるいは売払いなりについて、地代というものが相当あるのじやないかと思うのですが、これらの案件について少しく伺いたいと思うのであります。国家が国民の保健その他の見地からいろいろな施策を講じているということはよくわかるのでありますが、右のような目的のもとで、国民健康衛生の見地から、無償で公園の用地として東京都に貸してある土地の問題であります。東京都は無償で借りていながら、それを寄付金をとつたり、あるいは地代をとつたりして民間会社に貸しておる、私はこれをかつて委員会で調べたのでありますが、さらに調べてみますると、その会社がさらにほかの会社へまた貸ししておるのです。こういうことが実際の今日の状態として許されておつてはならぬと考えるわけでございます。その場所は千代田区霞ケ関三丁目にある虎の門のもとの公園であります。現在フオードの日本代理店として使われておりまするニユー・エンパイヤ・モーター株式会社の使用地でありますが、総坪数が千百坪、そのうち六百五十坪がこの会社に使用されているわけでございます。使用する当初において、東京都が建設省に願い出たときには、木造家屋として建てるということで、昭和二十四年の二月一日からことしの一月三十一日までの四年の期限付でこれを貸しておるのでありますが、いよいよ借りてみたらば、借りた会社ではそれを鉄骨の建物にしてしまつて約束の期日が来ても国の財産をそのままにしてある。この問題について、大蔵大臣はかつての決算委員会で一応答弁をされた形ではありますが、何かしら明確のものがなかつたと思いますので、期日が来ても国の財産をこのままにしておいていいのかどうか、これを最初に明確な御答弁を願いたいと思うのでございます。
  161. 向井忠晴

    向井国務大臣 そのことにつきましては、先日は私大蔵省に返してもらうべきものだという御返事をいたしたのでございますが、政府委員も参つておりますから、なお詳しく御説明いたさせます。
  162. 阪田泰二

    ○阪田政府委員 御指摘の問題につきましては、会計検査院によりましてすでに指摘されまして、…私どもの方でも、その以前からこれを適正な処置にもどすように努力をいたして参つたわけでございますが、現状といたしましては、御承知のようにニユー・エンパイヤ・モーター株式会社がかなり永久的な建物を建てまして、なお地下にガソリン・タンク等も建設しておる状況でありますので、現状といたしましては、これは公園地の用をなしていない、従いまして、これは公園地として都に無償で貸し付けておくべき性質のものではなくして、普通財産として大蔵省所管に返すべきものである、こういうことで東京都並びに建設省と折衝中であります。大蔵省所管に移りますれば、この財産の現状に即して適正に処分をして参りたい、こういうふうに考えておる次第であります。
  163. 山田長司

    山田(長)委員 この会社には代議士の山口喜久一郎さんが現在顧問としておられるそうでありますが、聞くところによりますと、この土地をこのままにしておいてかまわぬから、とにかく替地を見つける、こういうので東京都知事の弟の安井謙さん、参議院議員でありますが、これらの人たちが、国の財産などはそつちのけで、とにかく替地を見つけるという運動をしておられるそうでありますが、もしこの替地を見つけた場合に、ああいう一等地である国の財産をほうつて、替地で大臣は了承されますかどうですか、一応伺いたいと思います。
  164. 阪田泰二

    ○阪田政府委員 ただいまの替地の問題でありますが、これにつきましては、東京都あるいは建設省等の一応の考えといたしましては、あそこに従来公園がありましたものがなくなるような結果になりますれば、都内には公園が非常に必要なわけでございますので、それにかわるべき土地をどつかで物色して、それを公園にしたい、こういうような気持を持つておるようであります。ただ私どもの方の国有財産を管理する立場から申しますと、現実にこの虎の門の国有財産が公園地の用をなさなくなつておるわけでありますから、従つてこれは返還してもらつて、現状に即してこれを処分する、こういうことが筋でありまして、これに対して替地として他に公園地が選定される、あるいはこれが国にといいますか、都にといいますか、そういうことがあればあり得るわけでありますが、これにつきましては、今回の虎の門の処置とは別個の問題であるというように考えておるわけであります。
  165. 山田長司

    山田(長)委員 この土地はどう考えてみましても、東京都がこの会社に貸した坪五円十銭という価額については、近辺の人たちに実はいろいろ当つて調べてみたのでありますが、当時の実情といたしまして、この周辺の土地は二百七十円以下ではない、それで毎月東京都に納めておつた金は三千三百十五円なのであります。これを坪二百七十円の金額で見ますと、大体月十七万五千五百円を納めなければならぬ数字になつております。こういう地代をとつてつたばかりではなしに、実際において東京都はこの会社に一千万円の寄付金を要求しておるのであります。しかるにこの会社の財政からいつて、実際は五百万円でかんべんしてくれ、こういうことで二百万円を納めて、さらにそのあと去年の十月に、おそくなつたので東京都の方でとらないというので、三百万円の金を供託局に供一託しておるわけでございます。そういういきさつがあつて、この土地がいろいろの問題を起しておるわけでございますけれども、国としては、この問題について何ら損害賠償をとろうとする意思があるのかないか、ただ漠然とこのまま返ればいいのだという考え方で、国の土地で人が金もうけをしておるのを、そのままこれを見のがすのかどうか、これを一応伺いたいと思うのです。
  166. 阪田泰二

    ○阪田政府委員 ただいまの貸付料の点につきましては、今日の値から申しますると非常に古いような感じがいたすわけでありますが、大蔵省といたしましても、当時はその決定に参与しておつたわけではありませんが、東京都の方の話では、大体その近隣地の貸付料を見てやつた、当時御承知のように賃貸料につきましても公定されておりました関係で、一般に常識的に考えられておるよりも多少低いようなきらいがあると思うのですが、大体の近隣の貸付地の公定価格を考えてやつた、こういうふうに東京都では申しております。  それから寄付金の問題でありますが、これにつきまして東京都といたしましては、あそこの公園がなくなつたので、芝公園その他戦争で荒廃いたしておりましたものの整備の費用として会社から寄付があつた従つてこれを受入れたのだ、こういう弁明をいたしておるわけであります。私ども大蔵省の方の立場といたしましては、この寄付金というものと、この具体的の虎の門の土地というものは結びつけて考えてはおりません。従いまして、私どもの方で土地の返還を受けましてこれを処分する場合に至りましても、この五百万円の寄付金というものは全然問題外に置いて処分をする、こういう考えでございますので、国といたしまして、別段その関係で不当に東京都に何か利得を与えたというような関係にはならないというように考えておる次第でございます。
  167. 山田長司

    山田(長)委員 この問題については実に不明朗な点がたくさんにあるのでございますが、この問題は一応これでやめます。  次に一つ伺いたいことがあります。それは厚生省の問題でありますが、昭和二十一年から二十四年までの間、私の郷里である栃木県などの場合は除いてありますけれども、北海道の外二十四県にねずみ及び昆虫をとることの意味で、衛生的な見地からこれの実施の補助金として五千二百七十八万二千二百五十一円の金が厚生省から出ているわけでございます。そこでそういう補助を出していたが、実際はどこの県でもこの補助金についての活動がなされないで、この金がまことにうやむやのうちに使われてしまつておる。そこで厚生省でこの金を返せというので、去年もことしもこの金についての催促を何べんとなく地方の都道府県にしておるそうであります。今日働いておる勤労階級の税金については、少しの滞納でも税務署はこれに督促し、さらに労働者諸君の貧しい収入しかない月給袋の中からも、ちやんと所得税を引いていて、まことに気の毒な状態に勤労階級が置かれておりますときに、漠然と国民の所得をこうして地方の都道府県に流してやつて、集められた金が現在で二千余万円だそうであります。あとの三千何百万という金はそのまま各都道府県に置き去りにされているそうであります。こういう問題について、来月の年度末までにちやんと大蔵大臣はこれらの金を督促して全国からとる意思があるかどうか、これは非常に重大な問題だと思うのです。そういう点について大臣の御所信を一応伺いたいと思います。
  168. 向井忠晴

    向井国務大臣 そういう金がございましたらば、さつそくとりもどしますように大蔵省は努力いたします。
  169. 山田長司

    山田(長)委員 非常に漠然たる答弁でありますが、これは間違いないことです。ただとりもどしますでなくて、年度末のうちにとりもどすくらいの努力をされるかどうか一応伺いたいと思います。
  170. 河野一之

    河野(一)政府委員 補助指令に違反しまして使つたような場合には、当然これは返還をしなければならないものであります。直接の執行官庁は厚生省のようでございますが、厚生省としては、もちろんその努力をいたすべきでありますし、私どもとしましても、そういつた努力を怠つてはならないと考えます。ただ年度内にということになりますと、責任を持つてそこまで行くか、あるいは公共団体財政の問題もございましようし、引受けろとおつしやいましても実は何でありますが、できるだけその方向に、そういうものがございますならば努力しなければならないと存じます。
  171. 山田長司

    山田(長)委員 昭和二十一年から二十四年までにあつた事件であつて、二十五年、二十六年、二十七年と、この間に三年の歳月が費されているにもかかわらず、こういう仕事がなされないでおつたということについては、まことにわれわれとしては遺憾にたえないものでございます。  もう一つ続けて伺いたいのですが、これは非常に小さな問題だけれども、小さな問題としては処理できないのです。それはかつて大臣質問いたしました足利の問題でございます。それはから出張をしているということは明確になつているにかかわらず、から出張に何らの処置が講じられていない。出張した人がその晩にちやんと宿直をしているのであります。そういうはつきりした事実があがつているにかかわらず、実は関東信越国税局に行つて、このことについて二度ほど局長に会つて話をしておるのでありますが、小山あるいは郡山、あるいは高崎、大宮、浦和、これらの地域に出張している人がちやんとその晩とまつているわけであります。そういうふうに事実が明らかになつているけれども、これが警察官のために、税務署においてこの処理をしておらない。このことについてよく聞きますと、税務署自体でいいかげんなことをしておつて、警察官にしつぽをつかまえられているために、税務署はこの処理ができずにいるのだということを聞いているのであります。このから出張の問題につきましては、はつきりした事実があるのでありますから、とにかくこのことについては、国税局としてもどうしても出張した名簿と宿直簿とを照し合せて処理してもらいたい。これは一つのことでありますが、それをたまたま公安委員長の耳に入れたところが、どこの役所でもみなこういうことはやつている、ただ単に足利に限つたことではないのだとりつぱな仕事に携わつている人間が平気で言つておるのですが、ましてこの二月から三月にかけての年度末にあたつて、そういうことがややもすると考えられるのじやないか。こういう点において、私の方としては証拠があがつているのでありますから、宿直簿と同時に出張簿とを照し合せて、金額は七十五万円ほどでありますけれども、小さい金額と見ないで、国民大衆の勤労所得であるところの税金によつてまかなわれている財源については、私は厳重な処置を願いたいと思うのであります。そういう点について、国税庁長官もおられることでありますが、こまかい御説明が願えるならば仕合せだと思います。
  172. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 ただいまのお話は、御趣旨まことにごもつともだと存じます。出張その他の点につきまして、ややもするとルーズな考え方で来ている例が間々あるようでございますが、その点につきましては厳に引締めまして、さようなことがないように善処いたしたいと思います。今の御指摘の事件につきましては、実は私最近かわりましたために、さつきちよつと聞きましたが、まだ詳しいことを調べておりません。よく調べました上で、十分適切な措置をとりたいというふうに考えております。
  173. 山田長司

    山田(長)委員 私は昨年の選挙で出て来ましたので、まだ実情がよくわかりませんけれども、実はここ数年来の決算書を調べてみましたが、大蔵省に一番不正事件がたくさんにあるようでございます。そういう点について大臣はいかなる考えで今後処理されて行くか、何かお考えがございましたならば伺いたいと思います。
  174. 向井忠晴

    向井国務大臣 私も先日決算委員会においてその報告を聞きまして驚いたのでありますが、こういうことは決して許すべきことではない、厳重に今までのことの取調べも必要でございますし、今後もこのいうことの起らないように、あらゆる手段をとりたいと思つております。
  175. 山田長司

    山田(長)委員 けつこうです。
  176. 塚田十一郎

    塚田主査 砂田重政君。
  177. 砂田重政

    ○砂田委員 私は先日来沈黙を守つて予算委員会の審議を熱心に傍聴しておりました。私はもう十年の空白があるのですから、こまかいことは伺わないのですが、少し根本にわたつた大蔵大臣の所見を伺いたい。この間からこの議場に起つている問題は、この九千六百億の予算に対してインフレになるかならぬか、まるで国は財政的に破滅の状態に陥るのではないかというふうな議論が盛んに行われておる。私どもから見ておりますとちようど一方にガラス戸がある中にはえがとまつて、そのはえが光線を目がけて出ようとして無理に鼻を突いておるような感じがする。一体日本財政は、これくらいの予算を今通して来年からめども立たぬというような、そんな貧弱なものではないと私は考えておる。日本の国の今日の経済状態の行き詰まりは、すべての方面にあります。しかしながらその最も大きなものは、世界の消費経済に対する問題でなければならぬと私は思う。それで過日来もその問題でいろいろ論議がありまして、たとえば肥料の価格を安くするのにはどうするか、縦坑を掘つて石炭をもう少し出さなければならぬとか、金利を安くして、これで水準をいくらかでも低下する、こういうようなことが論議されておつた。これは質問者の質問もその意味でありましよう。答弁する方もその問題だけに局限されておるように考えますが、根本に対してもう少し抱負経輪が政府になければならぬと私は思う。この点に対して大蔵大臣は、現在の日本の国のこの状態で、これ以上伸びる余地がないのだ、敗戦以来何十年かあともどりしたこの国が、財政上行き詰まつて、これ以上一厘の出す金もないというほど悲観すべきものだというふうにお考えになつておりますか。やり方によれば、もつと徹底したやり方で進んで行くという御抱負をお持ちになつておりますか。その点をまず第一に大蔵大臣に伺いたいと思う。
  178. 向井忠晴

    向井国務大臣 第一に考えますことは、ただいまの日本経済の大きさから言いまして、この予算でインフレーシヨンを起すことはないというふうに私は考えております。日本に世界的な不景気の影響が来ておつて、そのためにいろいろの思わしくない現象現われておるということも明らかでございます。そこでそれを救済しますためにどういう方策をとるかといいますと、やはり物の活動をよくする、その刺激を一番強く与えるものは輸出貿易というふうに私は考えるのです。それについてはいろいろの方法を講じまして、物の値が下るように、また皆が勉強していい物をつくるように、また外国との交渉で外国の輸入制限を緩和させるようにする、そういうことをやつて行くことによつて輸出の方はよくする。それから国内の活動の方でございますが、これは気分的に、ただいまのところ商業も製造工業もある方面は不活発でございまして滞貨がふえておるというようなことがあるのでございますが、これも実際において、日本の活動が後退しておるとは私は見ないのであります。お説の通りに、ことし、来年、再来年というふうに非常に窮迫して動きのとれないものになるとは考えないのでございます。しかしながら商業活動、これによつて起ります生産の活動というようなものが非常に人気というものに影響されますが、いわゆる景気の悪いときはみな隠忍しまして、多少の苦しみを忍んでおりますと、あらためて活動の時期が必ず来るものと信じておる次第でございます。従つて消極的に悲観の考え日本の人がみな持つということは大禁物であります。それが往々にしてほんとうの不景気を誘致し、あるいは増発させるということになると考えております。
  179. 砂田重政

    ○砂田委員 私は今年度のこの予算が、国家財政、地方財政を通じて千億程度の金がよけい出るというので、それがインフレになるかならぬか、まるでいまに国がつぶれるような論議が繰返されておるのを見まして非常に遺憾に思う。ただいまのお話はよくわかりましたが、その貿易上の問題につきましても、もう少し大蔵大臣に達観したお考えを持つてただかなければならぬと思う。終戦以来今日までに、繊維品については世界第一位まで回復して来たといわれながら、戦前の鍾数にまで1回復しておるかというと、まだ回復しておりません。しかしながらこれはもうすでに過去のものであつて、それだけの消費を全部フルに動かせば、どうしても日本の一国の物が外に向つて出るだけの余地がない。また鉄鉱石にしても、戦争以来まだ今日、鉄鋼は年産六百万トンを出ない。こんなこで、しかもその資源はことごとく外国に仰いで、非常な高い運賃を払つておることも御承知通りです。それでもようやくにしてそれだけのものができ上つたが、昨年の夏は、せつかくでき上つたものをアメリカのボイコツトによつて一ぺんに破壊されて、結んでおる輸出契約なんというものは全部キヤンセルされてしまつて、そのために日本の産業は進まない。要するに現在の状態では、輸出入貿易の上から見ますと、もしアメリカの生産のうちの一割がボイコツトをすれば、日本の産業は全滅です。これをいくら理解を求めるといつても、あの民主主義の国で、統制経済は行われておるのでない。しかもこれらの人々がかつてにやる場合に、政府の力で押え切る力はありません。かような状態の中におる日本が、これからどう進んで行くか。これは根本に関する問題でありまするが、それは今までの産業だげに目をつけるとそういうことになる。私どもは二十年から以前に、山本条太郎さんと経済国策の提唱を論じた一人であります。あの当時の生産経済から、もはや今日は消費経済に進んで行かなければならぬ。しかし肥料を一つ送るにしても、外国と競争すれば今日は負ける状態です。でありまするから、ここには新たな計画を立てて、彼らにできないものを日本でつくるということにも相当力を入れなければならぬ。それが現にできておる。今日では生糸の輸出が振興しないというので、たいへん皆さん心配されておるようでありまするが、生糸はなるほど価格は上つておりませんが、これも向うの企業が全般的に整備されたときには、そんなに悲観すべきものでない。一定の価格を維持して行く以上は、日本の生糸というものはそんなに心配ない。今日は科学の力によつて、生糸よりも蚕の糞の方でつくる葉緑素というものがある。この方が値段が高い。生糸よりもこの葉緑素をつくつてやれば、現在の日本で生産しておるあの虫の糞だけで四百億ドルの輸出が、今の価格の半分にしてもあがるということを、すでにこれは非常は権威ある科学者によつて発明されておる。こういうものは、世界中どこの国でも供給する力は持たぬが日本の蚕の糞からはこれがとれる。そういうものに対しても、もう少し研究を進めて行くように支援してやらせることが必要だと思う。  その次には、日本全国、北海道から鹿児島までの間の全土にありまする御承知の砂鉄です。あの砂・鉄をとつた残りのかすの中からチタンがとれる。世界中で七〇%以上のチタン鉱はありません。今でも五〇%程度のものをあるいはカナダから輸入し、その他のところから輸入して、アメリカもイギリスもわずかにその転入によつてつておる。チタン鉱業というものがほんとうに発達しなければ、原子爆弾に負けたのと同様、日本の産業界、経済界及び国防上にも非常な危険があることをわれわれは早くから痛感して、大学の先生方にこれを進言しておつた。ところがこれも最近に、七〇%ないし八〇%の鉱石が、砂鉄をとつた残りの砂中から明確にとれることがわかりました。すでにアメリカからもその他の国からも注文が殺到するようになつている。しかしながらこれらの工業化に対しては、政府は何らの支援もしない。科学の発達等にほんとうに力を注いで行かれるなら、日本の資源によつて外に向つて供給し、さらにこれを精製して金属チタンにまですれば、世界中のどこの国にでも持つて行ける。しかもこれは、今の外国の鉱石を輸入して来るごとく大きな運賃をかける必要はない。全土の砂の中からとれることが明瞭になつて来た。農村の生糸に対する助成の問題よりも、この糞を精製して送り出すことによつて何百億ドルの金が入るという見すえのついたようなものは、政府の方から先に進んでこれを工業化することに努力をされて、こういうことに金を惜しむべきものではない。四兆億円かかるとか、五兆億円かかるとかいうことでたいへん御心配になつて論議されておりますが、もう一歩進めてそういうものによつて日本の資材を外に向つて供給することのできる対策に向つては、思い切つてひとつ政府の方も奨励をし、支援をして、こういうものを完成することによつて日本の産業の発達をはかり、彼らの消費地におけるすべてのものを日本から供給のできるくふうに一歩を進めて行くということにすれば、日本の国がそう心配して一兆億円足らずの予算くらいでびくくしなくても行けるのだ、こう私は考えておりますが、こういうものが完成するようにするためには発明家を支援し、そしてこれらのものに対しては相当思い切つた支援を政府がしなければならぬ。今のチタン鉱業だけについても、アメリカはすでに何億ドルの金をかけて奨励をしております。それでもなお今日五〇%以上のものができないのに日本国内では七九%、八〇%のものができるようになつた。それだから、窮すれば通ずという言葉がありますが、こういう方面には、政府予算は前年通りというようなことをいつまでも固執しないで、もつと思い切つた政策をやつて行けば、日本の産業はそう心配するととはないと思う。  もう一つは、これは各派の人々でいろいろ議論もありますが、たとえばこの間の講和条約のときに、日本の国が東南アジアの各地に対して、相当の賠償はこれを認めろということを言われた。私はその当時、これは日本にとつては最大の福音なりと考えた。このことを講演等でも言うておりましたが、今現実にそれなんです。これらの東南アジア諸国は、今や世界中の目標になつております。しかしながらその中で、これらの国に相当の債務を負うて、これにかわるべき商品を持つて行くこととの権利を持つ国は、日本よりない。賠償のために行くということは一つの権利なんです。これによつて市場を開拓して行くというためには、少々のことをいつまでも議論をしておらぬで、相当のところでまとめをつけて、そうして賠償のかわりという意味でその市場を開拓して行くのでなければできません、しかしながらこれは、政府がやろうとすると、戦争の余波を受けまして、今日でも賛成して来ない。民間の人々がみずから先んじてこれらのことに当つて、いわゆる国民外交の力によつて彼らにあらゆる開発をさせ、そうして開発したものを日本に持つて来て、さらに日本の市場はこれによつて開拓されるということに行かなければならぬと思います。これらの方法については、大蔵大臣だけにこれを伺つてもいけませんが、しかし大蔵大臣がその心持でひとつ奮発してくださるなら、今の閣僚の諸君みな同意すると思います。私は大蔵大臣がこの点にひとつ十分御協力を願いたいということを希望する。  もう一つは、これは小さな問題ですが、このごろは議会人に対して、至るところから圧迫的の運動が盛んに来ます。私のところなんかでもはがき、電報が一日に二、三百通も来ます。あまり夜通し寝させないで電報の配達があるから、陳情の電報は朝持つて来てくれと郵便局へ頼んで置くと、間違えて人が上京するという電報がその中に入つてつたり、人が死亡した電報が遅れたり、まことに煩雑にたえない。ところがその中に最もひどいのは、義務教育学校職員法案に対して教組から出た指令で、まるでうそ八百を書いた宣伝をやつておる、驚き入つたものだ。これからは、全額国庫負担になつたなれば給食費などはなくなつてしまうというようなことを宣伝している。給食費だけでも本年度は前年度より二億円増加した予算が出ておる。また学校の先生を三千人必ず首を切るという宣伝がある。何ぞ知らん、教育費はいかなる僻村に至るまで定員数に対する予算が計上されている。こういうでたらめなのが来るのですが、しかし私はこの方は適当な方法でやれると思うておる。ところがここに私は今朝受取つて、諸君に聞いてみると、諸君のところにも来ておるという。各県の知事が赤十字社の支部長をしておるが、その知事が電報をよこして、財源が乏しいために困難しておるから、ハイアライ法を通してくれ、こういう電報を赤十字社の支部長である知事の名前でわれわれのところによこしておる。驚き入つたものだ。これはやはり教組同様に、中央の指令によつて各地の支部がこういうことをやつておるものとすれば、赤十字社というものの精神は没却されてしまつておる。丁半をやつたり株をやるのと同じような賭博の奨励によつて、それで事業資金を得たいために、府県知事がおどらされて、こういうことを赤十字社の代表者としてやつてくるというようなことなら、これらの人には宗教的の信念もなければ道義の精神もない。こういう者が中央の役員になつて賭博奨励案を出してくれなどということを要望して参るに至つては、さたの限りであります。そんな思想の者なら、厚生省の予算にある赤十字社に対する予算は全部これを削つてしまうがよろしい。このくらいのことを御決心なさつたらどうですか。私はこういう不都合な、いわゆる道義心も何も失つてしまつたような府県知事をそのままに置いておくことは、はなはだよくないことだと思う。私はこういう考えを持つておりますが、大蔵大臣はその点に対してはどうお考えになるか、ひとつ承つておきたい。
  180. 向井忠晴

    向井国務大臣 順序を追つて申し上げますが、初めに御指摘になりました日本の国産品をもつて外国に販路を求めて国富を増そうということは、しごくごもつともでございまして、確かにそういう面に十分な余地があるだろうと存じますので、よく検討いたします。  それからただいまのハイアライの件でございますが、これは私も今伺つたのでございますが、厚生大臣とも連絡いたしまして善処したいと思います。
  181. 砂田重政

    ○砂田委員 私は厚生大臣にもこのことは進言したいと思つておるのですが、はなはだこれは不都合なことです。私は大体日本の国というものを建設するのに、こういう賭博的のことばかり奨励するようなことはよくないと思う。これはここにおいでになりませんが、右派の鈴木君が法務総裁で、片山君が総理大臣のときに、今の競輪法などというものができた。このために日本にどのくらい惰民を出しておるかわからぬ。その後にパチンコができた。また今度もハイアライというような安易な方法によつててら銭かせぎをやるような法案というものは、漸次撤廃しなければならぬものだ。われわれ自由党の有志の人はことごとくこの考えを持つておる。それを、あたかもこういう法案は自由党がやるようなことを宣伝されるに至つてはさたの限りなのである。こういう点は十分ひとつ政府でもお考えになつて、今の赤十字社の人々がこういう信念で日本の国に臨むというのならば、これは鉄鎚を加える必要があると思うのでございます。私の質問はこれで終ります。
  182. 塚田十一郎

    塚田主査 この機会に先ほどの西村委員及び福田委員の御質疑に関連して、私から政府委員に一、二お尋ねしておきたいのであります。先ほどの西村委員質問のうち、例の補正予算を今年は出さないで済むかどうかという大蔵大臣に対するお尋ねで、大蔵大臣は出さない、それに対して給与が上るのじやないか、鉄道運賃その他の値上げに関連して、七%も上るという話が西村委員質疑の中に出ておつたようでありますが、七%も上つて補正予算を組まないでおけるというわはないと思うのですが、何か間違いがあるのじやないかと思いますので、その点……。
  183. 河野一之

    河野(一)政府委員 先ほど西村委員が言われました数字がどういう数字か、私もちよつと首肯いたしかねるのでありますが、われわれの見通しといたしましては、生計費がそれほど騰貴するとは考えておりません。これはかつて委員会に、減税等の関係におきまして、生計費の騰貴と、この減税によつて吸収される程度というものの資料を御提出申し上げたのでありますが、その資料によりましても、運賃等の値上げによつて多少の主計費の騰貴はあつても、減税によつて十分カバーし得ると考えておりまするので、これがために公務員の給与の引上げが二十八年度内に起るであろうということは考えておらないのであります。
  184. 塚田十一郎

    塚田主査 そういたしますと、西村委員は先ほど審議庁の資料ということで御質問になつてつたようでありますから、場合によると何かその資料に間違いがあるのじやないかという疑いもありますから、それらの点をよく取調べまして、西村委員に御連絡あるのが適当ではないかと思いますから、念のため申し添えておきます。  なおもう一点、福田委員の御質疑に関連しまして、先ほど国税庁長官及び大蔵大臣からの御答弁があつたのですが、実は私も非常に心配をしておりますのは、国民全体が非常に重い税で困難をしております今日の段階において、相当高額の所得者に捕捉しにくいものができておるという状態があるのじやないかと伺つております。そのような場合に、政府が今意図されておる税法の改正の中で、個人所得に対しての例の株式の譲渡所得に課税しないという考慮があるようでありますが、そうするとますくつかまえられない、しかも正当に法的につかまえられない部分をこしらえるということになつて、一層おもしろくないのじやないか、こういうふうに考えておるわけであります。先日この点をちよつと主税局長にお尋ねいたしましたときに、実はあの税はなかなか捕捉しにくいから、結局置いてもむだなんだという御説明であつたように思いますけれども、私はそうは思わない。捕捉できないのは努力なさればよし、努力なされても捕捉できないものはやむを得ないのでありますが、捕捉できないから税法をかえてしまうという考え方は、それだけでは納得ができない。何かはかにもう少し原因があつてでなければ、これは国民が納得しないのじやないか、こういうふうに思うのですが、その点はいかがでしようか。
  185. 渡邊喜久造

    ○渡邊(喜)政府委員 お答えいたします。捕捉困難であるということは、一つの事実だと思います。捕捉困難であるというだけで、有価証券の譲渡所得に対する所得税をやめる理由にはならぬ、われわれも確かにその通りであると考えております。結局有価証券の譲渡所得に対する所得税の課税が捕捉困難であることは一つの事実でございますが、さらにこれの課税という問題と、有価証券の民主化という問題との調整の問題が一つあるのではないかというふうに考えております。現在は資本蓄積が非常にやかましくいわれている際でございます。従いまして、この資本蓄積を促進することにやはり重点を置きまして、有価証券の民主化という点にいろいろな支障を起すであろうという意味の問題につきましては、別途の手段を考える。こういう意味におきまして、この機会におきましては、やはり支障のございます有価証券の譲渡所得に対する所得税の課税というものは廃止したらいいじやないか、かように考えておる次第でございます。
  186. 南好雄

    ○南委員 動議を提出いたします。質疑はこの程度をもつて終局し、なお本分科会所管予算各案に対する討論採決は、予算委員会に譲られんことを望みます。
  187. 塚田十一郎

    塚田主査 ただいまの南君の動議に賛成の方の御起立を願います。   (総員起立〕
  188. 塚田十一郎

    塚田主査 起立総員。よつてただいまの動議のごとく決しました。  これをもつて第一分科会は散会いたします。     午後四時三十四分散会