○北村
委員 私は首相にお尋ねしたい点があるのでありますが、お見えにな
つておりませんから、首相及び首相の代理である緒方国務大臣並びに
小笠原通産大臣にまず
質問をいたしたいと思うのであります。
先般のこの
委員会において、井出
委員の
質問はきわめて重大な意義を持
つてお
つたと思うのでありますが、これに対して
小笠原通産大臣のきわめて簡単な御
答弁がございました。これはわが国の経済の
考え方についての基本的な問題でございますので、これがはつきりしないというと、諸般の問題がきわめて混雑をいたして来るのみならず、私の
考えますところによると、
日本は独立して世界経済の仲間に入
つたと申しますが、今日まで吉田
内閣がとられた基本的な経済
政策あるいは経済理念というものが、世界の波長と合
つていない。
従つてこの問題は国際的に
考えましても、きわめて重要であ
つて、どこで波長を合せるかということを今にして
考えないならば、きわめて危険である、こういうふうなことを痛感するのでございます。たとえば、先般井出君が
質問せられました。現にあれほど大がかりな農地改革が行われたけれ
ども、今や七年にして、農村においての経済落差が大きくな
つておる。その他一般の経済事情として、経済落差がだんだん大きくな
つて来ておるという事実は、これは
自由党がお
考えにな
つておる、いわゆる野放しの自由主義経済から来る所産であ
つて、そういうことがどこで修正せられるかという問題がここで解決しないと、世界と波長が合わない。この点がきわめて重大であるにかかわらず、
小笠原通産大臣のお答えは、やはりわれわれは自由主義経済をも
つて一貫するのであるというようなことを御
答弁にな
つておるのであります。はたしてそれで現在の世界経済に乗
つて行くことができるかどうか。
あとで具体的に申し上げたいと思いますが、まずこの点を最初にお尋ねいたしたいと思うのであります。
これはきわめて基本的な重大問題でございますので、私はこの問題については、特に首相が見えておりませんから、緒方国務大臣と
小笠原通産大臣からお答えを願いたい。つまりもう少し詳しく申し上げますと、
自由党のお
考えにな
つておる、ごく型の古い資本主義、これはそれ自身の中に内包している矛盾がある。これをどこで克服するかということが、世界の問題でありまして、アメリカにおいても、ニユー・デイール以来のアメリカの経済
政策は、南北戦争以後のアメリカの
一つの革命であると言われておる。単なる資本主義ではございません。イギリスの経済についても、その
基礎理念というものは、シユンペーターその他の理論を取入れて、そうして現在の世界の情勢に対応する、非常に大幅な刷新が行われておる。そのことによ
つて、資本主義の内包しておる内部矛盾を克服しておる。世界は、そのために非常に力を入れて努力しておるにかかわらず、先般の
小笠原通産大臣のお答えによりますと、実に安易な自由競争主義、手放しの自由放任主義、こういう経済の基調の上に立
つて、それでいいのである。将来は知らぬけれ
ども、現在はそれでいいのである。はたしていいとするならば、これは世界の経済と波長が合
つていない。どこで波長を合せようとするのであるか。これは今や
日本が独立して、しかも非常な後進性を持
つて苦労しながら、
日本経済をこれから運営するという場合に、事は重大と思いますので、両大臣より的確なお答えをまず得たいと思うのであります。