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川島(金)
委員 どうも国内治安の緊迫を要するということでつくられる
法律に、しかもその法案のかんじんかなめの頭である
名前もいまだにきめることができないという、実に私は
政府の無方針と無責任と怠慢ぶりにあきれるのですが、それはそれとして、最後に私はことに
犬養さんにお尋ねをしてみたい。これは単なる法務
大臣としての
犬養さんでなしに、政治家としての
犬養さんと、並びに官房長官もおります、から、緒方さんにも
見解を承
つておきたいのですが、どうも最近われわれが
吉田内閣のやり口を見ておりますと、占領政策時代におけるところの一切の
機構、
法律——その中にはなるほどわれわれの
見解から見ても若干は行き過ぎであろうと思い、あるいは何らかの形で将来若干の修正を要することもあろうと思われる節もま
つたくないではございません。しかるところ
政府は、占領政策行き過ぎの是正に名をかりて、今や国務
大臣を長官とするところの全国
警察の一本化をはかる、そしてしかもその国務
大臣は以前と違
つて、
内閣総理大臣がこの長官をやめさせようと思えば、今でもやめさせることのできる絶対の権限を持
つておる、その絶対の任免権を持
つた下におる閣僚がこの重要な
警察庁の長官という立場になる。しかも期するところは任免権は
総理大臣にありますから、
総理大臣の意思のまにまにこの
警察庁の全
機構は動くという形になることは私は見やすいことではなかろうかと思う。その上に今度はやがて出て来るのでありましようが、今審議中だそうでありますが、今度の
義務教育の教
職員の
改正法にいたしましても、これまた
都道府県あるいは
市町村におけるところの従来の教育
委員会をま
つたく骨抜きにして、そうして教育の民主化の上に打立てられました教育
制度というものを根底から改めて、全額
国庫負担の名にかりて、事実上これまた文部
大臣が一切の
権利を終局においては把握するという形になる。しかもこの文部
大臣も一閣僚でございますから、
総理大臣なら
総理大臣が、この文部
大臣ではおもしろくないとすればきようにでも首をちよん切られる。こういうことで
総理大臣が全国におけるところの
義務教育に関する教
職員の任免権を掌握し、教育
行政を一手に握るという結果になるのであります。しかもその上に、現実において存置されておりまするところの保安庁もこれまた同様である。保安庁もこれまた保安
大臣はありまするけれども、最後には
総理大臣、こういう形にな
つて、
地方分権を叫ばれておりまするにかかわらず、逆に
政府は占領政策の行き過ぎあるいは国内治安の確保の美名のもとに隠れて、権力を中央に集中するという傾向を露骨にいたしております。ことに緒方長官や
犬養法相は、緒方さんは長い間言論界におられまして、その当時には、いかに
日本の
警察国家、軍閥
国家が言論を抑在し、またその言論に携わるところのジヤーナリストをいかに蹂躪したかということは、身をも
つて体験済みのことであろうと私は思う。また
犬養法相の岳父
犬養木堂氏は、長い間民権擁護の上に立
つて血を流した政治闘争をやられた。それはみんな藩閥、官僚に闘争したのみならず、
日本の政治を民主化するというこの観点に立
つて、あなたのお交さんは血を流してあの悲業の最後を遂げるまで闘
つて来たのであります。それやこれや思いまするときに、今日の
吉田内閣が、この占領政策是正の美名のもとに隠れて強行しようとしておりますところの一切の重要な政策は、権力集中であ
つて、民主
国家建設ではなくして、逆に専制独裁の形態をますく強めようとする逆コースのきわま
つたものであると私は
考えるのでございますが、こうい
つた事柄に対して、一体長い間民間の言論界において苦労された緒方長官、また実に輝かしい民主政治の確立の上に大いなる足跡を残された大政治家を父に持
つた犬養さんは、こうい
つた問題にいかなる
見解を持たれておるのか。この機会に私は特に承
つておきたいと思うのであります。