運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1953-02-19 第15回国会 衆議院 予算委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年二月十九日(木曜日)     午後五時十三分開議  出席委員    委員長 太田 正孝君    理事 尾崎 末吉君 理事 塚田十一郎君    理事 橋本 龍伍君 理事 本間 俊一君    理事 中曽根康弘君 理事 川島 金次君    理事 成田 知巳君       相川 勝六君    淺利 三朗君       有田 二郎君    植木庚子郎君       植原悦二郎君    岡本  茂君       加藤常太郎君    北 れい吉君       小坂善太郎君    重政 誠之君       島村 一郎君    砂田 重政君       塚原 俊郎君    中  助松君       中村 梅吉君    永田 亮一君       永野  護君    灘尾 弘吉君       丹羽喬四郎君    西川 貞一君       貫井 清憲君    原 健三郎君       南  好雄君    森 幸太郎君       山崎  巖君    井出一太郎君       川崎 秀二君    小島 徹三君       河野 金昇君    櫻内 義雄君       園田  直君    中村 寅太君       古井 喜實君    松浦周太郎君       宮澤 胤勇君    石井 繁丸君       春日 一幸君    河野  密君       西尾 末廣君    西村 榮一君       平野 力三君    足鹿  覺君       伊藤 好道君    稻村 順三君       上林與市郎君    八百板 正君       和田 博雄君    福田 赳夫君  出席国務大臣         国 務 大 臣 緒方 竹虎君         法 務 大 臣 犬養  健君         外 務 大 臣 岡崎 勝男君         大 蔵 大 臣 向井 忠晴君         文 部 大 臣 岡野 清豪君         厚 生 大 臣 山縣 勝見君         農 林 大 臣 廣川 弘禪君         通商産業大臣 小笠原三九郎君         国 務 大 臣 木村篤太郎君         国 務 大 臣 本多 市郎君  出席政府委員         国家地方警察本         部長官     斎藤  昇君         大蔵事務官         (大臣官房長) 森永貞一郎君         大蔵事務官         (主計局長)  河野 一之君  委員外出席者         専  門  員 小林幾次郎君         専  門  員 園山 芳造君         専  門  員 小竹 豊治君     ————————————— 二月十八日  委員水谷長三郎辞任につき、その補欠として  春日一幸君が議長の指名委員に選任された。 同月十九日  委員植原悦二郎君、北れい吉君、田子一民君、  永野護君、井出一太郎君、北村徳太郎君、鈴木  正吾君、早川崇君及び和田博雄辞任につき、  その補欠として有田二郎君、中村梅吉君、丹羽  喬四郎君、中助松君、園田直君、川崎秀二君、  中村寅太君、河野金昇君及び上林與市郎君が議  長の指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十八年度一般会計予算  昭和二十八年度特別会計予算  昭和二十八年度政府関係機関予算     —————————————
  2. 太田正孝

    太田委員長 これより会議を開きます。  昭和二十八年度一般会計予算案外二案を一括議題といたします。  この際一昨日の本委員会において、委員より質疑のありました予算案における警察費の問題について、政府より本日新しい資料の提出がありました。これに関し政府より発言を求めています。法務大臣犬養健君。
  3. 犬養健

    犬養国務大臣 一昨日の本委員会におきまして御質問がありました改正警察法施行の日は、昭和二十八年の十月一日を目途といたす考えでございます。  その前に改正警察法施行するために必要な命令や規則を制定いたしまして、かつ国家公安監理会都道府県公安委員会委員の選任、または人口七十万以上の市の市警察設置議決などの準備手続は、この改正法施行前においてあらかじめ行う考えでございます。  なお昭和二十八年度に限りまして、都道府県警察に要する経費のうち、従来国が支弁していたものについては国が、都及び市町村が支弁していたものについては都及び市町村負担することといたします。  また従前警察用財産及び物品は、昭和二十九年四月一日をもつて市町村から国もしくは都道府県に、または国から都道府県に、その所有権が移るものといたす考えでございます。但し土地は譲渡しないものとして、無償で使用するものといたす考えでございます。改正法施行後からその日までの間におきましては、都道府県警察が使用し得るものといたします。  なお前項財産に伴う負債がありますときは、その処分については相互の協議によることといたしまして、前項及び本項の適用について争いがあるときは、内閣総理大臣がこれを決定することといたす考えでございます。  また自治体警察国家地方警察間の給与差の是正は、昭和二十九年度において行いたいと考えております。  かつ従前市町村警察公安委員会は、昭和二十八年度に限りまして都道府県公安委員会下部機構として、当該市町村警察官理を補助せしめたいと考えております。
  4. 太田正孝

  5. 向井忠晴

    向井国務大臣 新警察制度は、昭和二十八年十月一日を目途として実施されることに相なりますが、ただいまのところ、これがために予算の修正または組みかえを必要としないのでございます。新制度が実施されることになりましても、昭和二十八年度内には国、都道府県市町村間の負担は従来の通りといたしており、国民負担を増加することもないので、予算上特に措置を要することはないと考えます。
  6. 太田正孝

    太田委員長 本問題につきまして質疑の通告があります。私から事あらためて申すまでもなく、警察法案改正の問題につきましては、他の常任委員会において審議せられることは言うまでもありません。本委員会におきましては、予算審議中心といたしまして、その範囲を逸脱せざるよう御注意を願いたいと思います。中曽根康弘君。
  7. 中曽根康弘

    中曽根委員 ただいま各大臣から御説明のありました警察制度問題点につきまして、御質問を申し上げたいと思います。  この問題は三日前に野党議員より提出されまして、政府側においては何らの態度の決定がなく、方針確定もなく、野党から指摘されて周章狼狽して、このようなそまつな要綱を出して来たものとわれわれには考えられます。そのために貴重な二日間を空費してしまつたことは、国家のためにまつたく遺憾にたえない。政府の猛省を促す次第であります。そこで本日は、この焦点になりました警察法の問題の疑義を解明するために、私は質問を申し上げたい。この点について政府の明確なる答弁をお願いいたしたいと思うのであります。  まず第一にお尋ねいたしたいと思いますことは、今日渡されたこの概要なるものによりますと、施行の日は、「昭和二十八年十月一日を目途とし、政令で定める。」と書いてある。そうすると政令できめるときには、日は明示しないできめるのかどうか、ただ政令できめると法律上書くのかどうか、この点まずお答え願いたいと思います。
  8. 犬養健

    犬養国務大臣 お答えをいたします。政令に書きますときは明示いたしません。ただ、でき得れば十月一日以前にも施行をしたいという考えを持つておる次第であります。
  9. 中曽根康弘

    中曽根委員 そうしますと、法律上は施行期日が不確定である、こういうことに承知してさしつかえありませんですな。少くとも法律上は何日からやるということは、国民にはわからない、こういうことで間違いないと思いますが、どうでございますか。
  10. 犬養健

    犬養国務大臣 十月一日施行すると言明しておりますので、さしつかえない限り十月一日に施行いたしたいと存じますが、その以前でも……(発言する者あり)でき得る限り早く施行いたしたいと考えております。
  11. 中曽根康弘

    中曽根委員 それは政府方針であつて政府法律に明記して国民に約束するのではないのでございますな。法律に明記して国民に約束し、国民に安心なりあるいは準備を与えるということを聞いておるのであります。     〔「わかつておるじやないか」と呼び、その他発言する者あり〕
  12. 犬養健

    犬養国務大臣 この問題は、国の内外の情勢に照して、でき得れば組織、命命権の徹底というようなことをできるだけ早くいたしたいので、十月一日を目途といたしますが、それより早くできたならば、なお早くいたしたいという考えを持つております。
  13. 中曽根康弘

    中曽根委員 法務大臣は私の質問に対して明確に答えていない。私の聞いておるのは、地方市町村長さんやあるいは県知事さんは、一体いつから府県単位の、いわゆる自治体警察なるものが行われるのか——今各地方では自治体の本年度の予算を組んでおる。そこでその日が明確になるかならないかによつて予算審議に重大な支障を来すのである。住民にしても、いろいろな負担関係において、自治体警察を持つておれば、寄付金や何かで相当な負担がある。そういう問題がいつから切りかえになるか、法律上の日を要求しておるのであります。犬養さんにここで日を法律できめるのかどうかをお聞きしておるのであります。     〔発言する者あり〕
  14. 太田正孝

    太田委員長 静かに。
  15. 犬養健

    犬養国務大臣 どうもお話が食い違つておるのですが、法律には書きません。しかし、法律に書きませんから政令施行する……。
  16. 中曽根康弘

    中曽根委員 法律で書かないということがここでわかりました。これは重大な点であります。この点につきましては、いろいろあと質問いたしたいと思つております。そこでお尋ねいたしたいと思いますのは、何ゆえにこのような重大な法案を、法律施行期日を明記しないかということであります。犬養さんのお答えによると、いろいろ準備の都合があつて確定し得ないから、いずれやるのだ、こういう御方針のようです。しかし政府には政府目標がなければならぬ。国民に一定の目標を与えて準備もさせなくちやならぬ、こういう重大な法案については政令にこれを譲るというようなことはやめて、ちやんと日をきめる、その日に間に合うように部下を督励して国民の期待に沿うというのが、政府のやる態度ではありませんか。いつだかわからぬというような、ただよい流れておるようなやり方では、政府政策としてはりつぱな政策とも言えぬし、国民も信頼し得ないのであります。何ゆえ日を明確にきめ得ないのか、その理由をお示し願いたいと思います。
  17. 犬養健

    犬養国務大臣 御承知のように、それまでにはいろいろ政府自体考えできまらない点もございます。たとえば五大都市議決によるとか、その他はつきり法律で書けない部分がございますので、慎重を期して法律以外に……(発言する者あり)そのために、慎重を期して法律で書くことはこれをやめる、こういうことであります。
  18. 中曽根康弘

    中曽根委員 そうしますと、自治体警察の意のままにまかせておいて、中央政府としてはこれをいつやろうともよいのだ、しかし十月一日くらいにやつてもらえればありがたい、あと地方自治体の意見に従うのだ、こういう御方針お茶を濁してやろうという御意思でございますか。
  19. 犬養健

    犬養国務大臣 それは中曽根君の御解釈のようでありますが、ものには程度がありまして、いやしくも政府はつきり態度を……(発言する者あり)目標を十月一日として、きまつた政令を出す、それまでに、五大都市その他が主体になつてきめる部分があるので、慎重を期して政令できめる。お茶を濁すという意味ではございません。
  20. 中曽根康弘

    中曽根委員 しからば、十月一日に地方自治体のそういう手続が終了するという予想は、どうしてここに生れて来るのでございますか。
  21. 犬養健

    犬養国務大臣 大体十月一日までにはそういう処置が完了するという目途を置いてやつたわけであります。
  22. 中曽根康弘

    中曽根委員 その目途はどういう根拠からつくたのでございますか。たとえばあなた方が自治体警察に対して、ある程度の依頼をやるとか、干渉するとか、何か目途がなければできないはずである。しかし自治体の中には、いやがつてなかなか議決しないのがある。現に反対運動をやつておるのもある。これはもつと熾烈になるかもしれません。そういう点で、何か政府根拠がなければそういうことはできないはずですが、いかがでございますか。
  23. 犬養健

    犬養国務大臣 ただいま配付をいたしましたそれに書いてあるような仕事を大体完了いたしまして、それに、中曽根さんにもどうにもならない不慮のこともございましようから、それを考慮いたしまして、十月一日なら大体行くだろう、しかし、それにしてももつと早く済めば早く済ませたい、従つて政令でやることの方が、最も弾力があり、かえつて親切な方法であると考えております。
  24. 中曽根康弘

    中曽根委員 それはとんでもない話である。もし政府に権威があり、確信があるならば、何月何日までに事務を完了する、そしてそれによつて国民全体に安心を与え、地方自治体準備を整えさせる、それがしかるべき態度でなければならぬのであります。普通の法案と違う。こういう地方住民の利益に関する法案については、十分準備の時期と目途を与えなければならぬ。こういうことを政令できめる、ここにまず大きな欠点があるのである。  しからば、第二にお尋ねいたしたいと思いますことは、政令で日をきめるというわけでありますが、そのときから平衡交付金やその他の関係異動が生ずるわけでございます。予算上何か異動が生ずるかどうか、大蔵大臣にお尋ねしたい。
  25. 向井忠晴

    向井国務大臣 先ほど申し上げました通り異動は生じないのでございます。
  26. 中曽根康弘

    中曽根委員 大蔵大臣は、この前野党議員質問に対してこういうふうにお答えになつておる。「初めに申し上げましたことと同じことをまた繰返すわけですが、期日がまだきまつておらないで、ことにいろいろの準備に日がかかりますので、その準備が完了して具体的の措置確定をまたずに予算的の措置を講ずることは困難でございます。それで現在提出しておる予算について今すぐに動かすことはいたしませんで、後日年度内施行される場合におきましては、科目間の組みかえの変更をいたすつもりであります。」つまりこれは補正予算を出すということである。大蔵大臣はそういうふうにお答えになり、そこにおられる政府委員もそういうふうに明言なさつた。しかるに今日に至つてにわかに補正予算を組まない、予算に何らの変更もないと言われるのは、いかなる根拠でそういうふうに言われるのですか。この責任をいかにあなたはおとりになるか。議会に食言したことになるのでありますか、いかがでございますか。
  27. 向井忠晴

    向井国務大臣 年度内従前通りといたしましたので、変更が起らないのでございます。
  28. 中曽根康弘

    中曽根委員 年度内従前通りといいますと、そうすると、年度内には府県単位自治体警察というものはつくらないということになると思いますが、そうでございますか。
  29. 向井忠晴

    向井国務大臣 経費負担従前通りということでございます。
  30. 中曽根康弘

    中曽根委員 そうすると、先ほどの「後日年度内施行される場合におきましては、科目間の組みかえの変更をいたすつもりであります。」、この言葉はどういうふうになりますか。
  31. 向井忠晴

    向井国務大臣 経費負担をかえる場合にはそういうものが起りますが、経費負担従前通りにするということで、そういう問題は起らないと思います。
  32. 中曽根康弘

    中曽根委員 しかしあなたはこういうふうに、「後日年度内施行される場合におきましては、科目間の組みかえの変更をいたすつもりであります。」、この「科目間の組みかえの変更」ということは、何もしないでできることではない、予算上の措置を必要とするわけです。今お答えになつていることとまつたく違うことを三日前にお答えになつているが、これはどうしたことでございますか。
  33. 向井忠晴

    向井国務大臣 それはただいま申しました通り経費負担従前通りといたしますために、そういう必要が起らなかつたのでございます。
  34. 中曽根康弘

    中曽根委員 そうしますと、この前に、科目間の組みかえをやると言つたことや、あるいは河野政府委員予算補正をやりますと明言したことは、あれはうそを言つたわけでございますか。
  35. 太田正孝

  36. 中曽根康弘

    中曽根委員 委員長政府委員に聞いているのではない。     〔発言する者多く、議場騒然
  37. 太田正孝

    太田委員長 静かにしてください。河野政府委員返事をして、それを大蔵大臣が裏書きしたならば同じことだと私は思います。河野政府委員
  38. 河野一之

    河野(一)政府委員 ……。     〔発言する者、離席する者多く、議場騒然、聴取不能〕
  39. 太田正孝

    太田委員長 委員外の方は言つてはいけません。     〔川崎委員、「委員外ではない。ちやんと委員になつてつておる」と呼び、その他発言する者多し〕
  40. 太田正孝

  41. 向井忠晴

    向井国務大臣 この点につきましては、河野政府委員から返事をいたします。
  42. 河野一之

    河野(一)政府委員 私からお答え申し上げます。改正警察制度を全面的に二十八年度から実施いたします場合においては、おつしやるようなことが起り得るのでございますが、従来の経費負担をそのままに存置いたします場合におきましては、予算補正はいらないことになるのでございます。
  43. 中曽根康弘

    中曽根委員 大蔵大臣にお尋ねいたしますが、あなたは補正予算を必要とすると言つておる。河野主計局長も前回は補正予算を必要とすると言つておる。今度はいらないと言つておる。一体どうしたのですか。その前提になつている事実が違つて来たのでそういうふうに答弁がかわつたのか。もしそういうふうに答弁がかわつたのなら、あなた方はわれわれに食言しているのです。今まで違つたことをわれわれに教えて来たのです。もし違つて来たのならば、間違つていましたと改めるなり、取消さなければならぬ。それが国民を代表しているわれわれ議員に対する当然の態度であります。その点明確にしていただきたい。     〔発言する者あり〕
  44. 太田正孝

    太田委員長 静粛に。
  45. 向井忠晴

    向井国務大臣 経費負担をかえるという場合が起りますと、一昨日の返事のようなことが起るのですが、全面的に経費負担をかえないのがございますから……。(発言する者多し、尾崎(末)委員、「委員外発言を禁止し、従わなければ退場を命じてください」と呼ぶ)全面的に経費負担をかえないのですから、それでせんだつて言いましたようなことは起らないのです。
  46. 中曽根康弘

    中曽根委員 そこでお尋ねしているのは、あなたが前に考えていたことと、今申している根拠になつていることとは違つたのかどうか。もし同じならば同じ答弁が出るはずだ。違つているから違つた答弁が出るのではないか。それを明確にしなければ政治家としての責任は果せないのであります。
  47. 向井忠晴

    向井国務大臣 全面的に経費負担がかわらない場合には、ただいまの御返事通りになるのでございまして、場合が違いますので、御返事間違つていないつもりでございます。
  48. 中曽根康弘

    中曽根委員 そういう不誠意答弁にわれわれは満足しない。返事が違つていないとは何事です。あなたはこの前明らかに、ここに書いてあるように、「科目間の組みかえの変更をいたすつもりであります。」と言つている。「いたすつもり」ということは、組みかえをやる、予算書変更が出るということを言つているのだ。経費負担が違うわけじやないですか。それが今度はいらないと言うことは、経費負担が違わないと言つていることではありませんか。明らかに食い違つているではありませんか。それが同じだということはどうも私にはわかりません。陽気のかげんだとしか考えられない。(笑声)大蔵大臣はもう少しその点を明確に責任を持つてお答え願いたい。あなたはそれで答えを逃げておるように思うけれども、国民はそれでは納得しないのです。間違つていたならば間違つていた、誤りならば誤りとする、これがはつきりした態度です。はつきりしなさい。
  49. 向井忠晴

    向井国務大臣 前に繰返して申しました返事でございまして、それ以外にかわつたことはございません。
  50. 中曽根康弘

    中曽根委員 そういう不誠意答弁には私は納得しない。もう一回申し上げますけれども、大蔵大臣は、この前は、野党議員質問に対してこの予算書の組みかえを必要とする。つまり平衡交付金がかわつて来るのである。従つて新しい警察制度を実施する前とあとでは、当然予算書変更を必要とする。河野政府委員は何と言つたかというと、ここにはつきり書いてある。おそらく国家警察に使う費用として出ている二百二十億のうち、使い残りの分は交付金か何かの形で府県単位自治体警察に交付することになるのでございます。従つて組みかえを必要とすると、こう言つておる。今日の大蔵大臣答弁はそうではない。これがわからぬのです。それが同じだということがわれわれにはわからないのです。いわんや国民にはなおわからない。どういうことであるか、なぜこういうふうに答弁が食い違つておるか、お答えを願いたい。
  51. 向井忠晴

    向井国務大臣 前回申し上げました通りでございます。
  52. 中曽根康弘

    中曽根委員 繰返して申し上げましたように、その不誠意答弁にはわれわれは納得しない。明らかに言つておる。先ほどから速記録を読んでいる通りである。この前の質問はどういう質問であるかというと、十月一日とかなんとかに新しい警察制度が始まるというと、そこで平衡交付金の変動が生ずる。確かに生ずるはずなんだ。そこで新しく警察制度が始まれば、平衡交付金中心にして組みかえが行われる。そういうことをはつきり言つている。つまり交付金という形になつて、今まで国家警察に使う予定の金がいらなくなつて、国から都道府県警察へ配付されるということを言つている。当然のことである。そこで予算の組みかえが必要になる。しかるに今日あなたがおつしやつたことは、くどいようであるけれども、この負担区分はかわらないと言う、かわつているじやありませんか、かわつているのをなぜかわらないと言うのか。それがわからないと言うのです。     〔「休憩々々」と呼ぶ者あり〕
  53. 中曽根康弘

    中曽根委員 私は大蔵大臣の明確なる答弁があるまでは、断じて質問をやめません。
  54. 向井忠晴

    向井国務大臣 二十八年度において経費の分担がかわりませんので、その変更をいたす必要はないのであります。
  55. 中曽根康弘

    中曽根委員 太田委員長は、頭脳が明晰な方でありますから、私と大蔵大臣答弁をお聞きになればよくおわかりになつておるはずである。大蔵大臣答弁が一貫していないということは、あなたもよくおわかりだと思う。これでは私が納得したといつて引ける筋ではありません。大蔵大臣に対して重ねて誠意ある、わかる答弁を要求いたします。(拍手)     〔「関連質問議事進行について」と呼ぶ者あり〕
  56. 太田正孝

    太田委員長 ちよつと待つてください。中曽根君に申しますが、また大蔵大臣に申しますが、二つのお答えが入り違つておるように思います。もしかわつた点があり、誤つた点があるなら、お取消しになるのもしかるべきだと思います。しかしほんとうに信ずるところが今言われた言葉であるとするならば、どうにも私はさばきをする立場ではございません。ただこの議事の運営上、事実を事実としてはつきりした御返事大蔵大臣から求めるようにいたしたいと思います。     〔「議事進行」と呼ぶ者あり〕
  57. 太田正孝

    太田委員長 今答弁準備しておりますから、しばらくお待ちください。
  58. 向井忠晴

    向井国務大臣 前会御答弁申し上げました際は、警察制度改正によつて年度内経費負担異動を生ずるかもしれないと思つたのでありますが、年度内経費負担をかえないことになりましたので、補正を要さない次第であります。
  59. 中曽根康弘

    中曽根委員 ただいまの大蔵大臣答弁は、重大なる内容であります。年度内においてはかわると思つてつたところが、かわらないからいらない、こういう答弁になつている。すなわちこの前あなたがお答えなつたのとまるつきり違つている。もう一回言います。あなたは何と言つているかというと、河野政府委員をしてこう言わしめている。「その具体的な措置がきまつた後においては、形式的な予算補正をいたすつもりであるという意味でございます。しかしその場合におきましても予算の総額はかわりませんので、その国家警察官署の予算総額の範囲内において交付金あるいはその他の措置がとられるであろう、しこうはつきり言つておるのです。それを大蔵大臣はその通りであると言つておる。それを受けて、「後日年度内施行される場合におきましては、科目間の組みかえの変更をいたすつもりであります。」と言つておる。はつきり断定しておるのである。従つてあのとき考えておつたことと、今日のあなたが言つたこととはまつたく狂つておるのです。事情はかわつておるのです。違うことです。同じことではない。そう思つたとか、そう想像したとかいう言葉とは違う。そんなあいまいな言葉でこれをごまかすわけには行きません。そんなあいまいな考え方でこの予算案が組まれたのではたまつたものではない。ほかの経費でもみんなそうであります。そういうつもりで組んだのでありますか。そういうつもりで組んだのであるならば、こんなものは予算書ではない。信用できない。われわれは大蔵大臣責任をあくまで追究いたします。もつと明確に答えてもらいたい。
  60. 向井忠晴

    向井国務大臣 ただいま申し上げました通りでございます。
  61. 中曽根康弘

    中曽根委員 ただいま申したというあなたのお言葉は、この前はかわると思つたが、今度はかわらないのだ、経費負担はかわらないのだ、そういうことがはつきり出ておる。これは明らかに食い違つたことです。それをもう少し自分ではつきり責任をとつて言明しなさい。これはごまかすわけには行かぬ。絶対にわれわれはあなたの言葉に対して承服いたしません。はつきりするまで私はここをしりぞきません。お答え願います。     〔「この前のが誤りつたらあやまれ」「あやまる必要はない」「質問続行」と呼ぶ者あり〕
  62. 中曽根康弘

    中曽根委員 あなたはこの前どういうことをおつしやつたか。もう一回重ねて申し上げます。こういう言葉言つておる。「なお年度内施行されました場合におきましても、現行予算科目間の形式的な組みかえにとどまつて予算の総額には異同はない見込みでございます。」つまり組みかえをやるということを言つておる。さらにこういうことを言つておる。「私はこの科目間の形式的な組みかえにとどまりまして、予算の総額に異同がなければそれでよろしいというふうに考えております。」これもはつきり言つておる。それから先ほど申したようなことを繰返し言つておる。これだけ何回も言つたことは、そんなあやふやなことで言つたものではない。確たる政策や根底があつてつたことです。それを今日になつてあれは食い違つてつたとか、見込み違いであつたとか、そう思つてつたとか、そんな言葉でごまかされるものではない。われわれは承知せぬ。     〔「前の答弁が誤つてつたら誤つてつたとなぜはつきり言わぬか」「委員長議事進行について」と呼ぶ者あり〕
  63. 太田正孝

    太田委員長 大蔵大臣、御答弁ありますか。
  64. 向井忠晴

    向井国務大臣 私は同じことを申し上げるよりしかたがございません。
  65. 太田正孝

    太田委員長 中曽根君に申し上げますが、大蔵大臣は同じことを繰返すよりほかないというお答えであります。
  66. 中曽根康弘

    中曽根委員 大蔵大臣答弁は、先ほど申しましたように、前後齟齬しておる。食言をしておる。うそを言つておる。これがはつきりしないうちはわれわれはひつ込むわけには行かぬ。     〔川島委員議事進行について」と呼ぶ〕
  67. 太田正孝

    太田委員長 川島君にちよつと議事進行についての発言を許します。
  68. 川島金次

    ○川島(金)委員 ただいま中曽根委員質問に対しまして答弁された大蔵大臣のお言葉は、つい一昨日本委員会においてなされました警察法改正に伴う昭和二十八年度の予算との関連に対する言明とは、実に重大な相違を見ておるのであります。いやしくも責任ある財政最高の責任者である大蔵大臣が、この重大な問題に関連して、まつたく相違いたしました答弁をこの席上において行われておりますことは、政治的にきわめて重大な問題だといわなければならぬのであります。(拍手)しかも先ほど来中曽根委員がこの重大な食言に対して、大蔵大臣の明確な責任のある言明をば要求いたしておるのにかかわらず、それに対して何ら答弁がないということは、これまたきわめて重大な態度といわなければなりません。いやしくも本委員会がこの警察法改正をめぐつて、わが国の二十八年度の予算、その予算を通して国民の生活に関係のあるごときわめて重大なることは言うまでもございません。この重大なことについて、本委員会中曽根委員が真剣にその大蔵大臣の食言に対して責任のある明言を求めておるのに、何ら答弁をいたさないということは、きわめて不誠意きわまつたものといわなければなりません。そこで太田委員長におかれましては、先ほど来中曽根委員が要求いたしておりますところのこの要求を、委員長から厳重に大蔵大臣に申し伝えて、その明確な責任ある再度の答弁を求められんことを望むものであります。     〔「必要なし」と呼び、その他発言する者あり〕
  69. 太田正孝

    太田委員長 川島君の御注意に対して申し上げます。先ほど来中曽根君からのたび重なる御質問に対し、大蔵大臣からたび重なる御返事がありました。これに対し責任を問う等のお言葉もありましたが、その判断は委員の立場におきましてせられることであり、答弁は何回繰返しても同じことでございますから、この点に対する御判断は、質疑の範囲からさらに討論、採決の問題にからむ問題と思いますので、質疑をさらに進められる方がしかるべきかと存じます。     〔「明快々々」「ノーノー」と呼ぶ者あり〕
  70. 中曽根康弘

    中曽根委員 今の委員長のお言葉に対して私は納得できない。あなたは先ほど大蔵大臣に、私の質問を聞いてみるというと、大蔵大臣答弁は齟齬しておるようだ、そこで私の質問に対してお答えなさいとこう言われた。そこで大蔵大臣が答えた。答えた内容は前とちつともかわつていないことです。従つてあなたが私の質問を聞いて疑問に思つた点は、私はこの諸君全般と同じように解消していない。あなた自体解消していない。にもかかわらず、今川島君の発言に対してそのような横暴をなさるということは、私は不審にたえない。あなたはまさか自由党の委員長じやありますまい。予算委員会委員長であるのだ。もう少し公平に、大蔵大臣に対して答弁を要求願いたいと思います。私は納得いたしません。     〔「答弁の要なし」「委員長議事進行」と呼ぶ者あり〕
  71. 春日一幸

    春日委員 議事進行について。一昨日お示しになりました警察制度改正要綱の中には、期日が示されていなかつたのであります。従いまして、これの期日を十月一日とあらかじめ想定しつつ、これに対する財源措置を講ずる、こういう必要を当然生じて参ります。そこで財源措置を講じた場合におきましては、当然科目変更を行わなければならないのでございます。従いましてそういう場合においては、大蔵大臣が一昨日答弁いたしました通り、これは科目変更の必要、予算の組みかえの必要、こういう必要が生じて来るので、一昨日大蔵大臣はこの問題を行うという答弁を行つている。ところが本日に至りまして、提出されております経過措置概要によりますと、その第三項目において、それぞれの警察に対する財源措置は本年度内にはこれを行わない、変更を行わないという新しい経過措置が講ぜられることになつた。すなわち政府は一昨日考えておりました要綱と、それから本日ここに提出されたところの経過概要が全然違つて来たので、従つて本年度において財政措置変更を講じなければ、予算の組みかえは必要としなくなつてつて来たと思うのであります。そこで申し上げなければなりませんことは、政府がこういう重大な法案を出して来るのにあたつて大体施行期日も、それに対する財政措置も、全然あらかじめ具体的な検討を加えることなく、唐突ずさんに提出して来たことが、すなわち、本日と一昨日との大蔵大臣答弁の食い違いとなつて現われていることは、これは大蔵大臣自体が認めていることと存じます。従いまして本日のこの経過概要は、一昨日提出されましたところの改正要綱に対する修正案である。すなわち改正要綱に対して修正が一両日たたずして行われたということをお認めになる必要があると思うのでありまして、すなわち毎日のごとくに一質問ごとにその本質をかえなければならない、事ほどさようにこれがずさんなものである。すなわち施行期日は十月一日である、さらにまた財源措置は来年度中は行わない、今日は二十八年度にはまだ入つていないのでありまして、事ほどさようにこの警察法というものは事前の検討を経ることなくして、きわめてずさんの形においてここに提出されているという、このことを私どもは重視しなければ相なりません。従いまして大蔵大臣はすべからく、一昨日はこの経過概要の中における第三項目が全然考えられていなかつたので予算措置を必要としたのであるが、その後知恵をしぼつて、この第三項をつくつたから、結局その組みかえを必要としなくなる。すなわち今まで通りの支出をそれぞれ当該団体が支出することになつたので、従つてこの前と本日と答弁が食い違うのである。すなわちわれわれは修正案を二日足らずのうちに出したのだということをはつきり白状される必要があると思うのでございます。どうかその点について、事実に基いての御答弁を願いたいと思います。     〔「何をしやべつてるんだ」「わからぬか、頭へ来たか」「修正案なら修正案と言つたらどうだ、要綱に対する修正じやないか」と呼び、その他発言する者多し〕
  72. 中曽根康弘

    中曽根委員 依然として大蔵大臣誠意ある答弁をされない。きわめて遺憾であります。私はこの問題についてはもつと多くの問題を持つている。たとえば要綱の概要の第三項、これとあなたはこの予算総則第十三条との関連においてこの問題を逃げようとしている。予算総則第十三条と要綱の概要の第三項、これは重大な問題で、これはあとで私は追究いたします。しかしその前にあなたがなさつた食言についての責任だけは先に明らかにしてもらいたい。それだけを明らかにどうしてもしなければいけません。国会は何も国民の目の前で芝居をやつておるのではない。まじめなことをやつておるのである。大蔵大臣から誠意ある答弁があるまで私はここで待ちます。     〔「休憩々々」「休憩しない」と呼び、その他発言する者、離席する者多し〕
  73. 太田正孝

    太田委員長 御着席願います——先ほど私の申し上げました通り質疑に対しましての答弁は、質疑者のお考え答弁考えとが違つていまして、これを政治的にあるいは法律的に責めを問う問わぬということは、その委員の御自由でございますが、私からこう返事しろなどということは絶対にできません。ただ二つの言葉が違つておることと、その責任問題をどうするという事柄は、質疑の範囲を越えているということは、私の繰返し申したところでございます。(「その通り」)中曽根君の御質問に対して同じような御返事大蔵大臣からありました。この返事がいつまで繰返されてもこのことは片づきませんので、その責任を問うとか、あるいはこれがいいとか悪いとかいうことの御判断は別でございます。質疑質疑として、どこまでもその範囲においてするのが、私は委員会における質疑の方法であり、またそれが正しき道であると存じます。(「その通り」)決してそのために政府をかばうとか、そういう意味じやございません。つぶさに中曽根君の御質問も承りました。大蔵大臣御返事も聞きました。二つの問答が食い違つていることも事実であります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)しかしながらこれをいかに判断するかということは、各位の立場にあることでありまして、ただいま行われている予算委員会の段階は討論でもなく、責めを問うのでもなく、その質疑を確かめるところにあると私は思うのでございます。
  74. 中曽根康弘

    中曽根委員 ただいま太田委員長は長々と申されましたが、自由党の委員長の言としてしか私は聞えない。私が質問している中心大蔵大臣言葉に齟齬がある。この前の速記録ちやんと書いてあることと、きようお答えなつたこととはまつたく食い違つているではないか。それに対して大蔵大臣は食い違つていないと言う。われわれは食い違つていると言う。聞いている者はみな食い違つていると思つている。それを明らかにしてもらいたいと言うのです。
  75. 有田二郎

    有田(二)委員 議事進行について。中曽根君のお話と大蔵大臣のお話が一致しないので、いつまでもこのまま待つていると質疑は進行しません。この際中曽根君を他の質疑者にかえられんことをお願いします。     〔「何を言うか、反対「大蔵大臣をかえろ」と呼び、その他発言する者あり〕
  76. 中曽根康弘

    中曽根委員 委員長——委員長発言を求めております。
  77. 太田正孝

  78. 中曽根康弘

    中曽根委員 先ほど申し上げましたように、私はまだ重大な質問を数点持つておる。今の質問は入口だ。しかしこの質問に対する答えがないうちは次に進むわけに行かぬ。あなたのおつしやることは食違いがないという。食い違いがあるかないかはつきりしないうちは前に進むわけに行かぬ。特に重大な点は、この予算総則と……。     〔発言する者、離席する者多く、議場騒然
  79. 太田正孝

    太田委員長 この際大蔵大臣に申しますが、先ほど来の中曽根委員からの質問に対しまして、違つた御返事がございますか。あらためて委員長からお尋ねいたします。
  80. 向井忠晴

    向井国務大臣 私の答弁は前と同じでございます。
  81. 太田正孝

    太田委員長 中曽根君に申します。(中曽根委員委員長々々々、あなたの言うことを聞く前に、私は質問を継続します」と呼び、その他発言する者多し)私から申します。私から申します。(発言する者多し)中曽根君に申します。先ほど来から御質問があり、御答弁が、ございました。同じような質問、同じような答弁でありました。この答弁を私はここで左右する必要もなければ、そういう立場にはありません。同じ問答を繰返しましてもきりがないのであります。この問答の結果生ずることにつきましては、皆様方の御批判の自由でありますが、これ以上同じ問題を続けて行くことはできません。どうか質問を……(中曽根君「ノーノー、異議あり」と呼び、その他発言する者あり)次の方に続けて行くことを要望いたします。     〔「委員長々々々」「議事進行議事進行」と呼び、その他発言する者多し〕
  82. 太田正孝

    太田委員長 静かに願います。(「委員長発言に対してだ」「議事進行の動議が先に出ている」「先議々々」と呼び、その他発言する者多し)——静かにしてください。——静かにしてください。先ほど有田君からの動議が出ている次第でありますが、このことに関連しての議事進行でありましたならば簡単に承りましよう。
  83. 八百板正

    ○八百板委員 今までの大蔵大臣答弁を伺つておりますと……(「立つてやれ」「立つているんだ」と呼ぶ者あり、笑声)今までの大蔵大臣発言を通じて伺いますと、ついおととい言つたことを本日はたな上げをして、(「同じことを言うな」「黙つて聞かぬか」と呼び、その他発言する者多し)二つの答弁を二重に繰返しているという事実をわれわれは見るのであります。きのう答えてはきようこれを否認し、今日答えては明日またこれを否認しないとも保証できないのであります。さらにまたその食い違いを追究いたしますと、黙秘権を行使して、議会の審議を無視するがごとき態度をとつておるということは、まことに遺憾にたえないのであります。(拍手)(「委員長、注意しろ」と呼び、その他発言する者多し)このような状態が出て参りますならば、われわれは大蔵大臣が心神喪失、能力なき者と認めるほかないのであります。(拍手、「認めるのはかつてだ」と呼び、その他発言する者多し)一歩譲つてこれを考えてみますに、大蔵大臣の今日までの発言は、大蔵大臣個人の意思もさることながら、背後にひもがついておるように感じられてならないのであります。(「何を言つているんだ」と呼ぶ者あり)この背後関係を明らかにすることなくしては、完全なる審議を遂行することはできないと考えますので、この内閣の全体の責任を負うところの総理大臣の出席を、審議の円滑のために、要求いたします。     〔「必要なし必要なし」と呼び、その他発言する者あり〕
  84. 太田正孝

    太田委員長 ただいまの八百板君の御意見は、議事の進行についての問題と私は思いません。(発言する者多し)何となれば現在中曽根君の御質問もたび重なりましたが、大蔵大臣お答えもたび重なりました。同じことを言つておる。しこうしてこのやつたことに対する判断批判は皆様方にありますが、質疑というものは、質疑の範囲におきましていつまでも繰返されることは私の耐え得ざるところであります。(発言する者あり)なお八百板君が大臣の身の上に関した御批判のお言葉がございましたが、これはよく速記をお調べ願つて、かかる言葉が穏当であるかをよく御判断願いたいと思います。私は残念ながら、かようにしてもし新しく問題をかえて行くならばいざ知らず、しからざる場合においては、有田君の動議を取上げなければならぬと思うのであります。(「委員長々々々」「動議だ」と呼び、その他発言する者多し)どうか私の言う意味は、何回やつても同じであり………。     〔「発言中じやないか」「動議なんか出ていないよ」「動議が出ている」と呼び、その他発言する者、離席する者多く、議場騒然
  85. 太田正孝

    太田委員長 八百板君に申し上げますが、あなたの問題から片づけて行きます。総理大臣の出席要求がありますが、緒方国務大臣がおりますが、それでよろしゆうございますか。
  86. 八百板正

    ○八百板委員 答弁の内容が満足すべきものであるならば容認いたしますが、満足できないものであるならば、緒方官房長官の答弁の後にあらためて総理大臣の出席を要求いたします。
  87. 太田正孝

    太田委員長 緒方国務大臣。     〔「議事進行だ」「議事進行答弁をする必要はない」と呼び、その他発言する者、離席する者多く、議場騒然
  88. 太田正孝

    太田委員長 八百板君、御質疑があるならばやつてください。緒方官房長官に対する質疑があればやつてください。
  89. 八百板正

    ○八百板委員 答弁がある。
  90. 太田正孝

    太田委員長 何の答弁ですか。
  91. 八百板正

    ○八百板委員 総理大臣の出席を要求する動議を提出したのであります。
  92. 太田正孝

    太田委員長 動議に順位がありますから……。(「こつちが先だ」と呼ぶ者あり)だまつていてください。順位がありますから……。
  93. 八百板正

    ○八百板委員 今までたびたび申し上げておりますように、大蔵大臣発言がたびたびにわたつて食い違つおりますので、政府全体の責任を明らかにしていただく必要が今日あるわけであります。さような意味合いにおいて、政府全体の責任を代表し得る発言を、この席上において吉田総理大臣にやつていただきたいというのが私の動議であります。
  94. 太田正孝

    太田委員長 八百板君に申し上げますが、ただいま質疑の段階でございまして、皆様方が責任ありということにつきましての反対の意見もございますので、そのことは質疑の範囲を逸脱していると思います。従つて私は念のため申します。中曽根君におきまして、質疑を継続するお考えがございますか。
  95. 中曽根康弘

    中曽根委員 大いにあり。
  96. 太田正孝

    太田委員長 その質疑はただいまの問題からさらに進展した新しい問題に行くことを望みます。しからずんばここに……。(「そんな権限は委員長にはない」と呼ぶ者あり)ただいま有田君より提出されましたる動議を……。     〔中曽根委員委員長質問発言を求めます。」と呼ぶ〕
  97. 太田正孝

    太田委員長 私の中曽根君に再三申し上げましたことは、簡単なことでございまして、いつまでこの問題を繰返しても質疑の段階におきましてはこれ以上進めることはできません。あなたが質疑を進めるか進めないかの御返事だけを承ればけつこうです。
  98. 中曽根康弘

    中曽根委員 質疑の進行をいたします。委員長発言を求めます。質疑を進行いたします。
  99. 太田正孝

    太田委員長 念のために申しますが、有田君にお尋ねします。新しい問題に入るならば——今の動議は続けるのでございますか。
  100. 有田二郎

    有田委員 ただいまの申し上げた問題に触れました場合においては、私の動議をただちに採択されんことを望みます。そしてこの問題を中曽根君のこれからの質問を見ながら保留いたします。
  101. 中曽根康弘

    中曽根委員 質問いたします。大蔵大臣の御答弁を伺いますと、何かやはり前にお考えになつてつたことと、今日お考えになつておることと食い違つておるということを私は認める。そこでたとえば自由党の猛者である尾崎末吉委員は、昭和二十八年二月十七日の本委員会において次のような質問をしておられる。「ただいまの中曽根君の御質問に関連いたしますから、一緒に御答弁願います。大蔵大臣答弁せられたところはこういうことであるかどうか、こういう御質問を申し上げます。それはこの警察法をつくつても、実施の時期はまだきまらないのであるから、きまつた際においてはあらためて予算補正する。……この点をあわせて御質問申し上げます。」こう言つておる。そうすると、与党の自由党の理事であられる尊敬すべき尾崎さんにしてこういう疑問を持つてつたわけです。われわれ何ら関係ない野党の者がもつと大きなふかしぎな気持を持つのは当然である。そこで大蔵大臣が前に御答弁なつたときと、今日御答弁なつたときと、どういう事情の変化があつたか。あなたはしかし前の場合においては、想像やあるいは自分がこう思うということでなくて、断言して言い切つておる。従つて前は確信を持つて言つておることである。どこが違つて来ておるか、もう一回大蔵大臣にお伺いいたします。
  102. 太田正孝

    太田委員長 中曽根君に申しますが、ただいまの問題は先ほどの問題と少しも違わぬと思います。     〔中曽根委員「前提条件が違う。」と呼ぶ〕
  103. 太田正孝

    太田委員長 委員長が今発言しております。     〔中曽根委員「じやあ、聞きましよう。」と呼ぶ〕
  104. 太田正孝

    太田委員長 ただいまあなたの言つた質問材料に尾崎君の言葉が入つておるだけで、大蔵大臣に対する質問としては、今まで繰返されておることと何も違わないと私は思います。新しい問題に行くお考えがありますか。
  105. 中曽根康弘

    中曽根委員 あります、十分あります。
  106. 太田正孝

    太田委員長 ただいまのようなことが繰返されるならば、残念ながら有田君の動議に入らなければなりませんが、中曽根君は新しい問題に入るというお考えで御発言でございますか。
  107. 中曽根康弘

    中曽根委員 委員長発言を求めます。
  108. 太田正孝

    太田委員長 いや、私の言う質問に対して発言の心意気を聞きたいのです。
  109. 中曽根康弘

    中曽根委員 あなたは裁判長でもなければ、検事正でもないのです。予算委員会委員長にすぎないのであつて、われわれ委員発言を十分聞かなければならぬ。また議事運営を円滑にする責任があられる。自分らの意思に反するからといつて葬るわけに行かぬ立場にある。——委員長発言を求めます。——委員長発言を求めます。
  110. 太田正孝

  111. 中曽根康弘

    中曽根委員 質問というものは一体不可分のものであつて必ずしもここはこれ、ここはこれとはつきり区別ができるものではない。大蔵大臣は、ある断定を下すについては、頭の中にあつた事実が前提になつておると思う。そこで先般来大蔵大臣への質問に対する御答弁を承つておると、その前提条件がはつきりしていない。これを私は明らかにしようと思う。この問題は、私は大蔵大臣にまだそう質問していないのです。そこでだたいま申し上げましように、尾崎委員はこういうことを言つておられる。尾崎委員ですらもそういうことを前提として考えていたらしい。もう一つここで申し上げたいことは、自由党の警察界の長老であられる山崎巖委員は、このような質問をしております。「私もただいま河野君から御質問がございましたように、警察法改正と二十八年度予算案はきわめて重大なる関連を持つ案件だと思います。従いまして本二十八年度予算を審議するにあたりましては、警察法改正の結果がどういう影響を及ぼすかということを十分承知をいたしておきたいのであります。現在警察費負担は、国警は国費、自治警は、東京都におきましては都、その他の市町村においては、市町村がこれを負担することに相なつております。しかるに今回の改正案によれば、国費と府県費の負担にかえられておるのであります。」ここは重大なところであります。今回の改正案によれば、国費と府県費の負担にかえられておるのであります。市町村というものはここに入つていないわけです。「はたしてしかりといたしますならば、二十八年度政府予算に計上せられました警察費二百二十億をもつてしましては、本改正案の実施が困難なることは明瞭であります。」警察界の権威がこういうふうに断定しておられる。「政府は、警察法改正に伴いまする予算措置をいかにせられるのでありますか。先ほど大蔵大臣の御答弁によりますと、追加補正は必要としないという言明でございましたが、少くとも私は予算内容の補正は必然的に起つて来るということを信ずるのであります。」つまり山崎委員も、大蔵大臣答弁を聞いてみると、予算内容の補正は必然的に起つて来る、それは以上のような前提をもとにして言うのであるということを発言しております。これはわれわれの疑問と同じ疑問を持つておるのである。それの答弁として大蔵大臣は、追加補正は必要である、こう答えられた。明言された。そうすると、そのときに前提になり、われわれに断言され、明言されたことと、今日答弁されたこととは何か事情が違うのではないか。前にわれわれに教えたことは間違つてつたか、あるいは食言されたか、今とは違つた事実が前提になつておるのではないか、この点を明確にするということが審議上必要だ。まず前提条件がどういうことであるかということから承りたい。
  112. 太田正孝

    太田委員長 大蔵大臣、御答弁はありますか。——大蔵大臣から御答弁がありません。
  113. 中曽根康弘

    中曽根委員 私は今まで前提条件を質問したことはないのであります。前にお考えになつてつたことと、今日お出しになつ法案の基礎とどこが違うか、それによつて予算補正は必要ではないということがここに出て来るわけであります。それを確かめるということは議員の当然の権利であり、当然の質問であります。これに答えられないということは、国務大臣の国会に対する責任を果していない。責任を果してもらいたい。
  114. 太田正孝

    太田委員長 私は御質問が悪いなどとは思いません。当然のことでございます。しかし政府答弁もまたこれを私がどうこうすることはできません。何回繰返しても同じようなことを繰返すにすぎませんから、新しい問題に入るかどうかを、もう一ぺんあらためて中曽根君にお尋ねいたします。
  115. 中曽根康弘

    中曽根委員 私は新しくしてかつ古い問題を提起しておる。すなわち一体になつておる前提がこうで、そこでこういう判断が出て、そうして予算についてはこういう結論を下す、それの影響がどうなる、そういう論理的段階を経て私は質問しておる。だから新しい質問であり、また根は同じ質問である。そうわけるわけには行かないのです。どうぞその問題をお答え願いたいと思います。私は無理なことは絶対に言つていないつもりであります。
  116. 太田正孝

    太田委員長 大蔵大臣から返事がございません。
  117. 中曽根康弘

    中曽根委員 大蔵大臣は慎重にお考え中だと思いますから、答弁を待ちます。     〔「動議採決、動議採決」と呼びその他発言する者多し〕
  118. 太田正孝

    太田委員長 有田委員に申し上げますが、先ほどの動議の趣意をもう一ぺんおつしやつていただきたいのでございます。
  119. 有田二郎

    有田(二)委員 先ほど申し上げましたように、中曽根委員大蔵大臣に対する質問は何回聞いても同じであります。従つてこの際、中曽根委員質疑は打切られんことを望みます。
  120. 中曽根康弘

    中曽根委員 大蔵大臣答弁を要求いたします。     〔「採決、採決」と呼び、その他発言する者多く議場騒然
  121. 太田正孝

    太田委員長 大蔵大臣答弁がございません。     〔中曽根委員「しからば質問を継続いたします。委員長発言を要求いたします。」と呼ぶ〕
  122. 太田正孝

    太田委員長 まだ発言を許しません。  あらためて申しますが、私の判断におきましては、質問は同じもののように信じます。少くとも前一問、その前の前々一問は、前にあなたがやられました質問と同性質であり、大蔵大臣に対する答弁の要求の範囲は、全然同じものと私は思います。従つて、再三御注意もし、御意見も聞こうと思つたのですが、まことに残念ですけれど、ただいま有田二郎君より提出されました動議を採決いたします。     〔「質疑続行中じやないか」と呼び、その他発言する者、離席する者多く、議場騒然
  123. 太田正孝

    太田委員長 御着席を望みます。     〔「委員長の許可なしに発言しているぞ」と呼ぶ者あり〕
  124. 太田正孝

    太田委員長 発言は禁止します。着席してください。委員長として申します。着席してください。     〔「横暴だ横暴だ」「採決々々」と呼ぶ者あり〕
  125. 太田正孝

    太田委員長 御着席ください。——御着席ください。     〔「委員長発言を求めます。」と呼ぶ者あり〕
  126. 太田正孝

    太田委員長 まだ委員長発言中です。  先ほど有田二郎君提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕     〔「委員長不信任が出ているじやないか」「不信任案が先議じやないか」と呼び、その他発言する者、離席する者多く、議場騒然
  127. 太田正孝

    太田委員長 法規によりまして委員長不信任の問題はあとでやつてください。  起立多数であります。(拍手)     〔「無効だ無効だ」と呼び、その他発言する者多く、議場騒然
  128. 太田正孝

    太田委員長 よつて本動議は可決されました。     〔「退場だ退場だ」「審議権放棄だ」と呼び、その他発言する者多く、退場する者あり〕     〔委員長退席、塚田委員長代理着席〕
  129. 塚田十一郎

    ○塚田委員長代理 ただいま中曽根康弘君外二十二名より、委員長に対する不信任の動議が提出せられましたから、これについて議事を進めます。  まず趣旨弁明を許す順序でありますが、その提出者がおられませんのでこれを省略し、ただちに採決に入ります。本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔起立者なし〕
  130. 塚田十一郎

    ○塚田委員長代理 起立者なし。よつて本動議は否決されました。(拍手)     〔塚田委員長代理退席、委員長着席〕
  131. 太田正孝

    太田委員長 質疑を継続いたします。通告により塚田十一郎君。
  132. 塚田十一郎

    ○塚田委員 警察制度改正に伴う問題につきまして予算委員会が思わぬ事態に立ち至つて審議が非常に遅延いたしましたのは、私どもとしてまことに遺憾に存じておるわけであります。本日制度改正に伴う経過措置等について追加的に政府の要綱の補足がわれわれの手元にちようだいできまして、われわれとしては非常に安堵し、かつ今後迅速に審議が進められて行くことを衷心希望いたしておるわけであります。  そこで今日の事態に至るまでわれわれが非常に心配をいたしておりましたのは、警察法改正自体は法務委員会において御審議願えばよいのでありますけれども、この改正に伴つて現在われわれが審議いたしております予算の実質に大きな変化が出て来るようなことがあつては非常に困る、こういう点を非常に心配をいたしておつたわけであります。もしそういう事態があるとすれば——もつとはつきり申し上げますならば、それによつて国民負担に当然影響がある、もしくは国民負担に影響がないにしても、市町村、府県、国、これらの間の負担関係に影響が出て来るということであれば、かりに形式的には、私どもは政府が本日御説明になりましたように、補正の必要はないということは了承するにいたしましても、実質的には、非常に考えなければならぬ面が多分にある、こういうふうに考えているわけであります。本日政府側の御提出になりました要綱、及び先ほど来の法務大臣及び大蔵大臣の御説明によりまして、二十八年度においては全然ただいま審議継続中の予算にはめんどうは起らない、こういうふうに了解いたしましたが、その点につきまして念のためにいま一度大蔵大臣に御答弁を願いたいと思います。
  133. 向井忠晴

    向井国務大臣 年度内においては、国民負担を増加することはございません。
  134. 塚田十一郎

    ○塚田委員 国民負担に全然影響は出て参らないということは、ただいまの御答弁で了承いたしましたが、現在の制度の上において、現在考えられておる予算から行けば、国の予算におきましても、都道府県予算におきましても、また市町村予算におきましても、とにかく、たとえば市町村なら自治警を持つている、自分のところの警察だ、だから自分のところの費用で出す、こういうような考え方で予算というものがおそらく組まれ、運営される見通しになつていると思います。それが市町村も国も、とにかく身分関係は全部都道府県一本になるという場合に、その市町村が今まで自分のところの警察官という考え方で組んでおりました予算をそのまま都道府県に出して、その間の十分納得の行く説明はどういうふうになさるおつもりであるか、この点をひとつお聞きいたしたい。
  135. 本多市郎

    ○本多国務大臣 お答え申し上げます。今回の警察制度改正は、治安確保の万全を期したいという趣旨でありまして、国家の治安維持に対する責任を強くするということで、その目的のために行われるのでありますから、警察そのものは効率的な警察になります。今日まで自治体警察を維持して参りました市町村において、警察は効率的な警察になり、自治体警察のために負担しておりました限度内において、その土地の警察の費用を負担するということになりますので、特に地方負担を加重するということにならない。しかも警察が治安確保の上において非常にりつぱなものになるといたしますれば、地方も納得すべきものであろうと考えております。
  136. 塚田十一郎

    ○塚田委員 重ねてお尋ねいたすのでありますが、実質的な関係におきましては、ただいま本多国務大臣から御説明いただいたことで、われわれも一応了承するのであります。ただ法律及び予算というものの形式的なものの考え方といたしましては、ただいま国の予算において国の警察官の費用として組んであるものを、都道府県にそれを国から交付するということによつて、少くとも予算の形式的な変更、そういうものを必要としないか、この点をひとつ伺います。
  137. 河野一之

    河野(一)政府委員 私からお答え申し上げます。昭和二十八年度の一般会計予算総則の第十三条によりまして、職務権限の変更があつた場合は、予算の移しかえによつて実施することができるという規定がございますが、この規定によりまして、必要な措置を講ずることができるわけであります。
  138. 塚田十一郎

    ○塚田委員 ただいま御指摘になつた総則の中にある第十三条というものは、この事態を予測してあつたものか、それとも予測しないで、そういう規定があつたのであるが、たまたまこれに援用できるからして、従つて予算書変更を必要としない、こういう意味であるか、伺いたい。
  139. 河野一之

    河野(一)政府委員 こういうこともあり得べきことを考えまして、予算総則の第十三条を設けた次第でございます。
  140. 塚田十一郎

    ○塚田委員 了承いたしました。次に問題になりますのは、本日いただいた要綱の第四にありますところのもの、都道府県市町村及び国と都道府県、こういう間の資産関係の二点をどういうぐあいになさるおつもりであるか。ここに書いてありますところによりますと、警察用の財産及び物品は、市町村もしくは国から都道府県所有権が移ると書いてあります。その移る場合におきまして、今まで市町村住民寄付金あるいはところによつては起債によつて講入いたしまして整えた、そういう財産を、ただお取上げになるおつもりなのか、何かそれに対して対策をお考えになつておるか、この点をお伺いいたします。
  141. 本多市郎

    ○本多国務大臣 この点につきましては、御承知の通り、自治警を廃止して国警に編入された町村が今日まで多数に上つておりますが、その場合の財産措置と同じでございまして、原則は、本日要綱に示しました通りにやるべきであると考えております。但し特殊の例外的なものにつきましては、いろいろ調整協議をしなければならぬと考えております。今日自治警察で使つております建物その他の施設は、大部分は府県の財産であつたものを自治警に無償で交付されているものが多いのでございます。従つて自治警廃止の場合、国に対する場合におきましても、そういう措置であつたのでございますが、今度府県に移管するについても、同じような措置を原則として行かなければならぬと考えております。但し新築等のために、あるいは増築等のために債務を負担しているというような場合の財政措置等につきましては、市町村と府県の間で協議をいたしまして、どうしても協議がととのわないという場合には、総理大臣の裁定にまつというような方法でやつて行きたいと考えております。なおこのことにつきましては、自治警察が国警に編入いたしました際経験を持つておられます国警長官から、さらに補足させていただきたいと思います。
  142. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 私から若干補足させていただきます。法律関係はただいまのようなことになつておりますが、今まで自治警を廃止いたしまして国家地方警察に移りました場合に、やはり同じように規定をいたしておつたのでありますが、実際は納得の上で、もし新しい方の警察国家地方警察にどうしても必要でないというような場合には、その建物をその町村に残して置いたという例もあるのであります。従いまして今度の場合も、警察署が市警と国警と両方自治体にあるというような場合には、どちらか一方をもつて足る場合もあるのでありましてさような場合にはできるだけ一つにまとめまして、国の方の分を都道府県に譲渡し、市町村の方を、これが市町村の財源あるいは寄付等で建てられたような場合には、市町村に返す。そのまま市町村に続けられる。今後できます都道府県警察にどうしても必要だというものだけを、この関係で譲渡するということにいたしたいと思つておるのであります。さようなわけでありまして場合によりますと、どちらかの警察署を、一つは不要になるから、それを地元の方へそのまま所有を続けるという場合が相当起るであろうと考えております。以上補足を申し上げます。
  143. 塚田十一郎

    ○塚田委員 今あまり財産変動が実際に起ることはないのじやないかという御答弁でありましたが、もし実際に起つた場合に、本多国務大臣は、それが負債になつてつておるとか、起債によつて建てられたとかいう場合には考える。私どもから考えますと、負債になつてつておろうが、たとえば住民の寄付でそれができておろうが、住民負担をしておるということにおいては同じだと思います。寄付をした場合には、当代の住民負担をしたことになるのであり、負債になつておるという場合には、おそらく後代の住民負担をする。実質的にはそう違いはないと思うのでありますが、過去の幾多の例で、そういう点において問題が起らなかつたか、また今後もそういう点において、問題を起さずに円満に処理できるという確信をお持ちになつておるか、その点をお伺いしたい。
  144. 本多市郎

    ○本多国務大臣 まことに、ごもつともな御質問であると思うのございますが、大部分はさいぜん申し上げました通り、無償で府県から自治体警察市町村に移管されたものであります。その後起債等によつたもの、あるいは起債等によらずして建てたものというものがあるわけでございます。しかしこれらにはそれぞれ国費の補助等が行われておりますので、そうした実態を勘案いたしまして協議してきめるということにして、円満に措置して行きたいと考えております。これも今日まで自治警を国警に移管する場合に、国も負担を相当しておるのだからということで、調整ができて話が済んでおるのでございますので、そうした方法で行けるものと期待いたしております。
  145. 塚田十一郎

    ○塚田委員 最後に私どもが一番懸念をいたしておりますのは、この要綱を拝見いたしますと、自治体警察国家警察の間の給与差は、二十八年度中はそのままにしておくのだ。大体今まで自治体警察国家警察にわかれておつた場合でも、この給与の差があるということは、かなり問題であつたと思うのでありますが、今までは一応自分の主人が違うという考え方で、ある程度の納得が得られたかと思うのです。今度これが一本になつた場合に、たとい十月から翌年三月までの短かい期間におきましても、相当問題が起きるのじやないかということを私どもは衷心心配をしておるわけであります。この点については、政府はどのようにお考えになつておるか。
  146. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 お答え申し上げます。私どもといたしましても、この点は相当懸念いたしておるのでありますが、しかしながら今回の措置のように、二十八年度におきましては、従前負担区分によつて支弁することに相なります関係上、どういたしましても従来の市町村警察に勤務しておる者はそのまま市町村の区域に勤務をする。国家地方警察の方に勤務をしておりました者は、名前は都道府県警察の一翼になるわけでありますけれども、従前の地域に勤務しておるということに相なりまして、机を並べて一緒に勤務することは起らないように運営をいたしたいと考えております。なるべく早くこの給与差は一つにいたしまして、ないようにいたしたいと考えますが、何分にも給与の実態が、各市町村、各府県それぞれ非常に複雑な給料になつております。これを調整いたしますのには相当の時日がいります。来年度の予算をまちまして四月一日から完全な調査をいたしました上、適当な解決を得まして、現に高い俸給をもらつている自治警の人たちが引下げられることによつて不当な結果にならないように、完全な措置をいたしたいと考えますがゆえに、ここに若干さような関係が生じましても、まことにやむを得ない次第だと考えております。しかしながら運営は、ただいまも申しますように、一緒に机を並べて仕事をするという関係が生じないような運営になりますから、支障なく今年度は経過し得ると考えておるのでございます。
  147. 塚田十一郎

    ○塚田委員 ただいまの国警長官の御答弁のうちにちよつとあつたのでありますが、そういたしますと、二十九年度においてこの両者の間の差を調整されます場合には、今高かつた自治警の方を下げて来て調整をされるどいうお考えであるように伺つたのですが、そうであるのかどうか。その場合に下げられることについて、明年度予算において、たとい一時的にでも何らかこの下げられた人の分を補給してやるというようなお考えがあるか。この二点について伺いたい。
  148. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 今度は都道府県警察に相なりますので、給与体系は各府県の吏員の給与体系にならうことになるのじやないか、と私はかように考えます。従いまして現在市町村の中におきましても、非常に高いものもあり、そう高くないものもあり、また府県によりまして、その県の市町村警察吏員の俸給は、大体府県の吏員の俸給と、一番高いところにおいても同じくらいというのもございます。さようなところでは、おそらく最も高いところ、いわゆる府県の吏員の給与並みに全部引上げられる結果を来すと考えられます。ところが府県の給与体系よりも少し上まわつているという市町村におきましては、そこまで若干引下るような形にならざるを得ないのじやないかと考えます。府県全体といたしまして、警察吏員は二十九年の四月からはでこぼこのないようにいたしたいと考えますがゆえに、若干やむなく引下る面が生ずるのではないかと考えます。東京都、警視庁のごときにおきましては、これは警視庁の俸給に全部右へならえをいたしましてもさしつかなえい。これが警視庁及び東京都の給与体系として当然になりますから、警視庁におきましては私は引下ることは考えられないように思うのであります。府県によりましていろいろ事情が異なつています。さような場合に、万一引下る者があるといたしましたならば、この者に対しましては下つた俸給、それからあるいは一時金、退職金等に関係をいたします分を、全部勘案をいたしまして、そうして一時金に換算をして、一時に片をつけるという行き方が一番いいのじやないだろうかとただいまは考えております。これも計算によりまして、もし一時金が相当莫大になります場合には分割とかというようなぐあいになるかと思います。調査の上で結論を見出したいと存じますが、大体は一時金の支払いがいいのじやないかと考えておる次第でございます。
  149. 塚田十一郎

    ○塚田委員 そういたしますと、かりに二十九年度から本格的に予算の上にも変化が出て参りましても、国全体の警察関係の行政事務に対して出す金というものはふえない。そうしておそらく政府の意図されておるところもそこにあると思うのでありますが、今度の改正によつて、ほんとうに機動的ないい警察運営ができる、こういうようになるお見通しであるか、その点を伺いたい。
  150. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 二十九年度からは警察機能は府県に一体化されますから、従つて冗員その他を省くことによりまして、相当の人員整理はでき得ると考えるのであります。ただいまのところでは一割ないし一割五分、かように考えておりますが、一割五分といたしますと、約二万人近くの減員ということに相なるのであります。さようにいたしますと、これを金に換算をいたしまして、年額約五、六十億というものが節約をされますから、さらに機能が能率化されれば、もう少し減員ができるのじやないかと考えております、ただちに急激な減員はできませんが、徐徐に、あるいは最終には十万人ぐらいにまでできるのじやないかと考えております。ただ減員によりまして積極的に首切りを多くやらなければならぬということに相なりましては、また志気にも影響いたしますので、大体自然減耗によつてまかないたいと考えております。
  151. 塚田十一郎

    ○塚田委員 以上によつて、大体この警察制度改正によつて予算の上に出て来る影響というものについては伺うことができました。私の感じといたしましては、二十八年度は全然関係がない、将来も大きな国民負担の増加を生ずるというようなことはないということを承知いたしましたので、これは非常にけつこうであると考えるわけでありますが、ただ最後に、今お尋ねいたしました給与差の問題は、これは個々の人間の生活に関係する問題であつて、おそらく個々の警察官の立場からは、真剣に最も関心を深く持つておられる問題であると思いますので、その措置に十分慎重を期せられて、そうして警察官の志気に影響がないように善処されたいということをお願いをいたしまして、私の質疑を終りたいと思います。
  152. 太田正孝

    太田委員長 福田赳夫君。
  153. 福田赳夫

    ○福田(赳)委員 まず第一にお伺いしたいのは、きよう配られました警察制度改正に伴う経過措置概要というものは、これはどういう性質のものでありますか。というのは、警察制度改正要綱は大体これはすぐ法律に直るというものでありますが、この概要というものはいかなる性質のものであるか、それを伺いたい。
  154. 犬養健

    犬養国務大臣 先日差上げました要綱と関係いたしまして、本日差上げましたのは、施行に関する要綱と御解釈を願いたいと思います。
  155. 福田赳夫

    ○福田(赳)委員 そういたしますと、措置概要は法律の内容となるものであるか、あるいは予算総則なんかの内容にもわかれて行くものであるか、その点をお伺いしたい。
  156. 犬養健

    犬養国務大臣 新しくできます改正警察法の附則にこれが織り込まれるものと御解釈を願いたいと思います。
  157. 福田赳夫

    ○福田(赳)委員 次にこの経過措置概要についてお伺いしたいのでありますが、この第四項の「従前警察用財産及び物品は、昭和二十九年四月一日をもつて市町村から国若しくは都道府県に、又は国から都道府県にその所有権が移るものとする。」こうありますが、国から都道府県にその所有権が移るというのはどういう場合であるか。制度改正要綱に照し合せてお答えを願いたい。
  158. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 国から都道府県にと申しますのは、いわゆる現在国家地方警察の府県に持つております庁舎その他装備、これはみな府県に参ります。それから市町村から国にということでございますが、これは通信施設——通信施設は国が国費で管理をいたしますから、その関係で国の方へ移すということになります。
  159. 福田赳夫

    ○福田(赳)委員 これは普通の行き方をもつていたしますれば、かような制度変更があります場合には、これは予算に現われて来なければならないと思うのであります。臨時緊急の措置として、かような法律をもちまして対処するという政府のお考えのようでありますが、これは法律論といたしましては、私は別に支障はないようにも考えるのでありますが、政治的に見ましてどうも穏当ではない。できますならば、これは予算の組みかえをいたすべきものではないかというふうに考えるのであります。少くとも最小限度、本案を実施した場合におきまして、どういうふうに予算というものが中央、地方を通じましてかわつて行くのか。これだけはぜひ審議の対象として政府は明示する義務があるのではないか、かように考えるのであります。近いうちに——近いうちというか、この予算審議の重要な資料として、本案を実施いたしました場合にどういうふうな形になるか、それを提出されるお考えがあるかどうか、伺いたい。
  160. 河野一之

    河野(一)政府委員 福田さんのおつしやる意味は、二十九年度以降においてどういうふうなことになるかという御質問ですか。
  161. 福田赳夫

    ○福田(赳)委員 昭和二十八年度においてであります。これをかりに十月一日に実施いたすというような場合におきまして、その半年分がどうなるか、かようなことであります。
  162. 河野一之

    河野(一)政府委員 二十八年度の経過措置といたしましては、かりに十月に施行されるということになりますと、九月一ぱいまでの分は現在の予算で使われますが、十月一日以降のものにつきましては、予算総則の第十三条の規定によりまして、警察庁に移しかえて使われることに相なると思います。中央における警察庁の経費は、現在の国家警察中央官署の経費が使われることになる。また都道府県警察のものにつきましては、先ほど御言明がありましたように、従来国家警察として維持しておりました警察署の経費は、この経過措置概要によりまして国家負担することになりますから、その経費国家地方警察地方官署の経費から支弁される、かようなことになると思います。
  163. 福田赳夫

    ○福田(赳)委員 それはわかつておるのです。それはわかつておるのでありますが、その結果どういう中央、地方に財政の異動が生ずるのか、これを明らかにしておく必要があるのではないかと思うのであります。それを御説明される用意があるかどうか。
  164. 河野一之

    河野(一)政府委員 中央、地方関係につきましては、二十八年度に関する限り、経費負担異動がないのでございますから、このままの予算で執行できるというふうに考えております。
  165. 福田赳夫

    ○福田(赳)委員 わかりました。そういたしますと、昭和二十九年度においてはどうなるかということです。
  166. 河野一之

    河野(一)政府委員 お答え申し上げます。二十九年度につきましては、定員の配置等の問題につきまして、その案のでき次第そういつた経費の概算ができると思います。
  167. 福田赳夫

    ○福田(赳)委員 やはり本来から言いますと、予算の組みかえ措置をするのが当然である、しかしながらその余裕がないから、便宜法律をもつてこれに代用するということでありますから、ひとつその点は早急に委員会の審議の資料として提出せられんことを要請いたしましてこの質問は終ります。  それからただいま大蔵大臣中曽根委員との質疑応答を伺つておりますと、どうも私大蔵大臣の言われることに無理があるのではないか。一昨日のお答えと今日のお答えと内容が違うのです。こういうような種類の問題は、何も予算の内容の問題ではない、手続の問題であります。しかもどう言つたとか言わないとか、これは速記録はつきりしておるのであります。こういうような問題はそう何もこだわる必要はない。こだわるためにこの委員会の審議に重大なる支障を生ずることは、まことに私は遺憾と思うのでありますが、どうでございましようか、大蔵大臣、率直にあれはどうも考え違いだというふうにいたしましてそしてこの議事を円滑に進行せしめる用意があるかどうか、私はその方が全体の議事進行のためにほんとうにいいと思います。野党において非常に激昂された、これは理由があると思う。だれが聞いても前の答弁とこの答弁とは違つている。これは答弁を求めるのは、あるいはここでは困難かもしれませんが、慎重に考慮されて善処されることを要望いたしまして私の質問は終ります。
  168. 太田正孝

    太田委員長 山崎巖君。
  169. 山崎巖

    ○山崎(巖)委員 私も二、三本日ここで御提出になりました警察制度改正に伴う経過措置概要につきましてお尋ねを申し上げたいと存じます。  さきに私は本委員会におきまして、警察制度改革の必要につきまして犬養法務大臣に伺つたのであります。そのときの大臣の御答弁によりましても、また私どもが考えましても、現下の国内の諸情勢にかんがみまして警察力の能率化、特に治安警察力の強化ということは一日もすみやかに実現すべき政策の一つではないかと考えるのであります。しかるに本日要綱を拝見いたしますと、十月一日を目途としてこれを実施するという御意見のように拝聴いたすのでありますが、これは本改正制度がきわめて広汎にわたり、また重要な点に触れておりますので、相当諸準備も必要とは存じますけれども、この情勢にかんがみまして、もう少し早く実施することが必要のように考えますが、政府のこの点についての御所見をまず伺つておきたいと存じます。
  170. 犬養健

    犬養国務大臣 お答えいたします。内外の情勢にかんがみまして、まことに治安警察力の向上を急務といたしておりますために、少くともできるだけ早く組織の変更だけはすることが、政府国民に対する義務だ、かように考えております。その趣旨から申しますと、山崎さんの御質問のように十月一日ということは、観念から申しますと、もつと早い方がいいと思うのでありますが、しかし一方地方自治体所有権関係する事項もありますので、頭から押えつけて強行して行くというよりも、話合いをしながら、十分なるほどと納得さして行くことが、やはり警察力への国民の応援の裏打ちになると考えまして大事をとりまして、十月一日ということを政令でうたう。そのために、法律でうたうことを慎重を期して避けたのでございます。でき得る限り早くしたいという意思は、今なお持つておる次第でございます。
  171. 山崎巖

    ○山崎(巖)委員 今回の改正によりますと、中央官庁になります警察庁、これはどうか私はつきりわかりませんけれども、少くとも地方警備本部——ただいまの管区本部を廃して新たに地方警備本部というものを設置することに相なつておりますが、その構成等につきましては、警察法改正が必要と存じますが、これについて政府準備が相当整つておるか、この点も伺つておきたいと存じます。同様の問題は都道府県警察の構成も同様でありまして、これにつきましても、少くとも警察法改正が必要と存じますが、この点についての政府の御準備を伺つておきたい。
  172. 犬養健

    犬養国務大臣 御質問の諸点につきましては、今警察法の中に書き込むよう準備をいたしております。
  173. 山崎巖

    ○山崎(巖)委員 今回の改正に伴います財政措置につきましては、先ほど塚田委員から御質問がございまして、その政府の御答弁によりまして私も十分了承をいたしたのであります。一昨日私が御質問を申し上げましたのは、さきに御配付になりました要綱の経費負担都道府県負担とするということでありましたのでかかる質問をしたのでありますが、今回の経過措置概要を見ますれば、都道府県負担とするとあります上に、経過的の規定として、二十八年度に限つて現在の国費負担区分をかえないという補足的概要を配付されましたので、その点については政府予算にも、また地方の二十八年度予算にも、何ら変更を来さないことが十分に了解ができたのであります。ただ二十八年度に限つて経過的な措置をとられます以上は、二十九年度におきましては、原則に返りまして地方費の負担都道府県負担になるわけであります。そういたしますと、必ず都道府県負担に対して財源を与える必要が起ると思います。その場合政府はいかなる方策をもつてこれに対処せられんとするのでございましようか。私の考えるところによりますと、地方税制の全面的な改正によりまして、都道府県に対する新たな財源を与える必要が必ずや起りはせぬかということを予想するものであります。これについて政府の御所見をただしておきたいと存じます。
  174. 本多市郎

    ○本多国務大臣 御指摘の通り、二十九年度になりまして府県負担となりますと、府県の基準財政需要額を増額されることになりますから、それに対応する平衡交付金の調整ということが、第一としては考えられるわけであります。それ以外に富裕団体と貧弱な団体と申しますか、そういうところの均衡化をはかつて根本的な財政調整をやるという面から考えますと、お話の通り国税、地方税を通じまして調整を加える必要があると存じます。それらは十分検討いたしまして善処いたしたいと思います。
  175. 山崎巖

    ○山崎(巖)委員 今回の改正案につきまして警察関係者が最も深い関心を持つております点は、おそらく給与ベースの調整の問題であろうと存じます。この点につきましては、先ほど塚田委員の御質問に対しまして斎藤国警長官から詳細御説明がありましたので、大体の御方針は了承いたしました。しかしながら現実の問題といたしまして、現在給与の高い自治警察警察関係者に対しまして、かりに給与ベースを引下げるといたしましても、それにかわる財政的の給与措置を講ぜられることを私は要望いたしておきたいと存じます。また現在自治警察を運営いたしております市町村の関心の深い問題は、先ほど塚田委員から御質問になりました警察用財産及び物品の移管の問題であろうと存じます。これにつきましても、国警長官の先ほどの御説明によりまして、大体私どもは安心をいたしたのであります。昭和二十二年、現在の警察法制定当時の深い御経験を十分に生かしていただきまして、単に法律によつてこういう規定をしてこの法律にたよるというだけでなくて、先ほども御説明のありましたように、できるだけ地元の都道府県、あるいは市町村の納得を得ましてこの措置を講ぜられるように、この点も私は強く要望をいたしておきたいと存じます。  最後にきわめて簡単でございますけれども、今回の改正要綱によりますと、道府県の公安委員会のもとに、補助的の機関として、自治警察をただいままで運営いたして参りました市町村にも、同様の機関ができるように相なつております。制度としてはまことにすつきりしないような感じがいたすのでございます。しかしながら二十八年度に限つて、ことに経費負担することでありますし、こういう機関が暫定的に必要だということは、私も同感に存じます。ただこれらの両機関の運営につきましてこれまたいろいろの問題が起りませんように、十分の御留意を煩わしておきたいと存じます。これについて国警長官何か御意見がございましたならば伺つておきたいと存じます。
  176. 斎藤昇

    ○斎藤(昇)政府委員 ただいま御注意のありました点は、十分留意をいたして参りたいと存じます。都道府県会安委員会市町村公安委員会として残ります機関との関係におきましては、都道府県公安委員会の管理下には入りますが、しかし人事、指揮、命令という関係以外は、なるべく広く従前市町村の運営管理の仕事を引継いで補助的にやつて行くようにいたしたいと存じます。
  177. 山崎巖

    ○山崎(巖)委員 今回の改正制度は、私の考え方によつては、新たな警察制度がここに創設されるくらいに考えるわけであります。従いましてこれが準備につきましては、いろいろ問題が起きると存じます。これらの点につきましては、ただいままで相当御準備もできてはおるようでございますが、なおこの上とも十分かつ慎重なる御検討をいただきまして本改正制度が一日も早く円滑に実施せられますことを強く希望いたしまして、私の質問を打切りたいと存じます。
  178. 太田正孝

    太田委員長 本日はこの程度にいたします。明二十日午前十時より開会いたします。これにて散会いたします。     午後八時九分散会