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1953-03-13 第15回国会 衆議院 郵政委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年三月十三日(金曜日)     午前十一時二十二分開議  出席委員    委員長 大上  司君    理事 赤城 宗徳君 理事 飯塚 定輔君    理事 廣瀬 正雄君 理事 井伊 誠一君    理事 木原津與志君       押谷 富三君    益谷 秀次君       山崎  巖君    園田  直君       土井 直作君    伊藤 好道君       上林與市郎君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 高瀬荘太郎君  出席政府委員         郵政事務官         (監察局長)  成松  馨君         郵政事務官         (郵務局長)  松井 一郎君  委員外出席者         総理府事務官         (行政管理庁監         察部長)    山中 徳二君         専  門  員 稻田  穰君         専  門  員 山戸 利生君     ————————————— 三月十日  委員岡田勢一君辞任につき、その補欠として松  本瀧藏君が議長の指名委員に選任された。 同月十一日  委員近藤鶴代君及び松田竹千代辞任につき、  その補欠として岡野清豪君及び石橋湛山君が議  長の指名委員に選任された。     ————————————— 三月十日  下川崎郵便局集配事務開始請願粟山博君  紹介)(第三八七八号)  鶴羽小学校附近郵便局設置請願永田良吉  君紹介)(第三八七九号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  郵便物運送委託法の一部を改正する法律案(内  閣提出第一二五号)     —————————————
  2. 大上司

    ○大上委員長 これより開会いたします。  郵便物運送委託法の一部を改正する法律案を議題とし、前会に引続き質疑を許します。木原君。
  3. 木原津與志

    木原委員 前会私の質問に対しまして、松井局長答弁を留保しておられまして、監察局長から直接答弁をさせるというお話でありましたので、監察局長お尋ねすることにいたします。  新聞記事でございますから、事実が真実であるかどうかということを確めるのでございますが、日本経済新聞の三月九日付の記事の中に、富山県そのほか数県において、郵便物請負契約をするにあたつて日逓とその他の業者との間で競争入札をするにつき、日逓側において他の業者競争加入を防止するために、不在に談合を行つた。そうして競争者をその入札の中から排除して、独占をしたというような記事が載つており、しかもその記事の根拠は、行政管理庁監察報告に基くものであるということになつておりますが、これの具体的な真相につきまして、事実の有無について、監察局長からの直接のお答えをお願いしたいと思います。
  4. 成松馨

    成松政府委員 お答え申し上げます。日本経済新聞に、富山県ほか数県の請負関係について談合があつたというような記事が載りましたのですが、私どもといたしましては、そういうことについて今まで耳にいたしたことはございません。
  5. 木原津與志

    木原委員 行政管理庁からの報告書を受取つたことはあるということを、前会松井局長から答弁があつたのですが、その報告の中にはそういう記載はなかつたのですか。
  6. 成松馨

    成松政府委員 お答え申し上げます。先般行政管理庁におかれまして、郵便運送関係について業務監察をされまして、その結果一応のとりまとめができ上つたようでありまして、私どもといたしましても、郵政事業につきまして業務監察を行つております関係上、そのとりまとめられた結果について、一応資料として一部いただいたことは事実でありますが、その中には、先ほどお尋ねのありました新聞記事に載つてつたようなことは、書いてなかつたように記憶いたしております。
  7. 木原津與志

    木原委員 それでは管理庁の山中監察部長お尋ねいたします。日逓その也の郵送会社側監察した事実、並びにそれはいつごろ監察されたのか、及びその監察に基く報告の中に、富山県その他の談合入札についての不正事実について、摘発をされたかどうか。もし摘発されたとすれば、その点を郵政省に通告をされたかどうか。その点についてお尋ねいたします。
  8. 山中徳二

    山中説明員 お答えいたします。行政管理庁監察部といたしましては、昨年の九月二十日から十一月二十日までの間に、郵便物運送業務施行状況に関しまして、同業務が適正に行われておるかどうかということと、国費が効率的に使用されておるかどうかということをねらいといたしまして、郵便物専用自動車線路につきましては約四〇%、託送バス路線につきましては一六%程度を抽出いたしまして、監察実施いたしました。ただいま申しました監察の主たる目標といたしますところは、運送計画が適正に行われておるかどうか。つまり契約履行が適正に行われておるかどうかということと、それから郵政局におきます契約内規適用状況が適正であるかどうか、さらにさかのぼりまして郵政省内規自体が適当であるかどうかということを主たる内容といたしまして監察いたしたものでございます。このほど一応の結論がとりまとまりましたので、ただいま申し上げました各項目につきましてこれを郵政省の方に連絡いたしたのでございます。お尋ね競争入札の問題でありますが、私ども監察対象といたしましては、郵政局運送業務実施状況監察いたすということが私どもの権限になつておりまして、この競争入札に関しまする部分につきましては、その競争入札実施にあたつて郵政局がどういうような措置をとつておられるだろうかということを監察いたしたのでございます。その間これに関係いたします業者方面については監察はいたしておりません。従いましてまた私どもの方の監察機能といたしまして、業者の方に行政監察をする機能を持つていないのでございまして、私どもの方は行政権関監察するということで実施いたしております。なおそういう関係もございますが、ただいまお尋ねのような談合類似の行為か行われておるのではなかろうかということにつきまして、私どもの方の報告には、従いましてこれは確認いたしておりません。従いまして郵政省の方に連絡した私の方でとりまとめました所見のうちには、これを取上げていないという実情でございます。
  9. 木原津與志

    木原委員 行政管理庁監察方法は、郵政省側業務が適正であるかどうかということについてのみの監察であつて業者入札方法等について監察するのではないというようなことを言われましたが、この郵政業務のいやしくも監察をする関係におきましては、これは当然その下請をしておる業者が、どのような業態においてどういう結びつき、あるいはその執行上の問題等において入札その他その請負料金をどういうふうに取得しており、あるいはそれを使用しておるかというようなことまで、当然監察対象にしなければならぬと思うし、またそうでなければ、そういうことを監察しないでただ郵政局だけの一方的な監察だけで完全な監察はできないと思うが、そういうような点について監察しないというのはどうも納得が行きかねると思います。
  10. 山中徳二

    山中説明員 言葉が不十分であつたかと思いますが、私ども行政監察として実施いたす事項につきましては、関係方面の必要な事項について資料を集めるということは、できるだけ実施いたしておるのでございます。今回実施いたしました郵政局関係業務につきましては、運送契約内規が不適正だとか、それがはたしてその通り履行されておるかということに重点を置いて、関連事項といたしまして現行制度における競争入札制度がどういうふうに実施されておるかということを調査したわけでございます。私どもの方の今回の監察重点事項につきましては、できるだけ資料を収集いたします。ただいま申し上げた内規が適正であるかどうかというような問題につきましても、できるだけ資料の収集には努めるつもりであります。ただ御案内かと思いますが、ただいまの私どもの方の監察機構としては、民間監察機構に対しましては強制調査権はないのであります。これは調査に必要なときには協力を得るということであります。従いまして監察重点項目に触れます事項につきましては、裏づけと申しますか、そういう意味で努めて関係機関方面協力を得るということはいたしております。今回の運送委託業行政監察は、ただいま申したような線に重点を置いてやつておりますから、契約の相手方である業者のただいま問題になつているような事項につきましては、私どもの方では今回は進んで実施はいたしておりません。そのように御承知を願います。
  11. 木原津與志

    木原委員 いつまでも水かけ論になるようですが、入札価格が適正であるかどうかということを監察される場合には、当然その入札方法が適正に行われておるかどうかということが、資料としてなりあるいは何としてでも監察調査をしなければ、その価格が適正であるかどうかという算定はつかないじやありませんか。
  12. 山中徳二

    山中説明員 その面につきましては、今回の私ども監察といたしましては、郵政局競争入札を公告する方法が適当であるかどうか、そういう点までは指導いたしておりません。その面につきましてはもう少し公告の方法等を周知させるような指導がいるのではないかと思います。
  13. 木原津與志

    木原委員 それではその問題はそのくらいで打切ますが、その監察によつて得られた結論といたしまして、この超過輸送時間の端数を切上げている点、それから悪路の割増しについての算定及び車種の変更車数変更、車体の維持量、こういうようなものに不正ないしは不穏当な取扱い方法があつたという結論をつけて、その結果、これらの点を適正に運用するにおいては、託送料金を昨年度において三億円くらい節減できるという結論監察されたということを聞いているが、そういう事実はいかがですか。
  14. 山中徳二

    山中説明員 監察実施いたしました結果といたしまして、運送契約履行状況につきましてはおおむねよろしいのでございますが、ただいま申し述べられましたような契約内規内容あるいはその適用状況につきまして、今日の事情から見まして二、三不十分の点があるやに存じましたので、それらの点につきましては主務省の方に連絡いたしまして、その点について検討を願つている次第でございます。私どもの方といたしましては、いろいろ郵政省として御検討願いまして、その点に対するいろいろの改定意見が出ると思うのでありまして、その意見の開示をまちまして、私どもの方の改善所見の結果、どのくらい国費が節減になつたかどうかということを算定してみたい、かように考えております。ただいま私どもの方の出しました材料だけでは、今申し述べられました新聞に載つておりますように何億というような数はまだ算定いたしておりません。これは郵政省の方の検討の結果をまちまして、私どもの方としてはどのくらい節約になつたか、私ども改善所見がいかに実を結んだかということをとりまとめてみたい、かように考えております。なお蛇足ではございますが、私どもの方の監察やり方といたしましては、改善所見主務省あて連絡するだけで終るのではありませんで、それに対しましてなるべくすみやかな期間に改善実施していただく、その結果をまた推進する、こういうふうにやつて行きたいと思つておりますので、目下その点につきまして、主務省の方と連絡をとつているような次第でございます。
  15. 木原津與志

    木原委員 行政管理庁監察した結果、現在の郵便託送実情は、ほとんど全国託送の約八割をある一つ企業会社独占をしている現状でありますが、こういう独占の形の中におもしろくない、特に請負料金が固定化して、値段が高くなるというような形をとるおそれがあるというような点はお気づきになりませんでしたか。
  16. 山中徳二

    山中説明員 お答えいたします。運送業務の適正、委託業務の適正を期するという面において、あわせて私どもの方では国費効率的使用ということを期待しているわけでございまして、その意味もかねて監察をしたわけでございます。従いまして国費効率的使用という意味におきましては、競争入札という制度の活用が望ましい。一面また運送事業の適正を期するという面の要素もあろうかと思います。要は私どもといたしましては、運送委託契約内容が適正であり、それが時々の使用状況において、効率的に使用されているかどうかということを追究して行く必要があろう。その意味におきまして私どもの方といたしましては、いかなる制度のもとにおきましても、そういう委託契約内容が合理的に適正価格にきめられるということを、今後といえども監察を続けて行きたい、かような考えであります。
  17. 木原津與志

    木原委員 そうすると価格面その他において適正であれば、一社独占というような形でも行政管理庁としてはかまわない、こういう監察趣旨ですか。
  18. 山中徳二

    山中説明員 私どもの方といたしましては、独占形態がいいかどうかというような点についての検討はいたしておりません。ただ、ただいまの制度のもとにおいて、どういうふうに運用されることが、どういう点で改善の余地あやりということを追究いたしているのあでりまして、私どもの方といたしましては立法論的な範囲にまで監察所見を申し述べることもいかがか。現行法のもとにおいてどういうふうに業務改善をはかつて行くべきかということが、政府部内の監察機構として私どもに与えられているところであると存じます。
  19. 木原津與志

    木原委員 最後に一つ、これで質問を打切りますが、行政管理庁郵政関係についての監察は、大体何年目くらいに行われるのですか。
  20. 山中徳二

    山中説明員 私どもの方は昨年の八月に監察をいたしまして、ただいまの機構で大体各省の仕事のおもなる事項は一通り当つて行きたい、かように考えております。従いましてただいまのところでは、来年度の年間計画を策宗いたしている程度でありますので、長期計画としてどういうふうに当るかというところまでは予定いたしておりませんが、さしあたり私どもの方といたしましては取上げました監察の結果につきまして、あとをトレースするということを相当重要視して行きたいと思いますので、本件につきましては制度の改正もあることでございますし、その私ども改善所見の結果が、どの程度留意されているかということにつきまして、なるべく早い機会に重ねて監察実施したい、かように考えております。
  21. 井伊誠一

    井伊委員 私は前会にお尋ねいたしました信書祕密保持の点について、さらにお伺いをしたいと思います。  郵便物が着かぬとかあるいは中身が不足しているとか、あるいは郵便物郵送の途中に開いて見られたような場合がある。こういうような場合に、利用者の方から申告する。そういう件数は各地方郵政監察局では、毎月四、五千件取扱つているということが最近の郵政事業要覧に見えている。そうしますと全国で十の監察局がありますから四、五万件である。年間を通じて見れば五、六十万の申告があるものと見るのであります。そういう中でさまざまな郵便物紛失あるいは破損、配達されないというものが、相当この中に含まれておるに相違ないと思うのですが、事実上信書秘密が保たれるということについての手落ちがあつたというようなことは、今のところないというお答えでありますが、大体これらの信書祕密が保たれたかどうかというようなことは、郵便物そのものがなくなつたことよりも、その損害賠償をされる道が実はないわけで、憲法信書秘密というものはもつと人格的な権利なんです。それを保護するという道は非常に重大視されておる。けれどもこれを実際上保護するところの方法は、監察局においてよく調べるけれども、結局ないというお答えですけれども、そういうことはないのではなくて、事実上できないのじやないか。実際はその信書祕密を侵したという事実がありということになると、非常に決定的な処置をとらなければならないようなことになるから、そういう判断はやりにくいというところで、当らずさわらずの、つまりできないというところで処理をしておる結果が、そういう統計になつて来るのではないかと思うのです。結論としては保たれないのじやないかというふうに見るのでありますが、その点についてはどうでございましようか。ほんとう監察局信書祕密保持するだけの力を実際上持つておるのかどうか。またこれを保持するのに努めておるのかどうか、そういうことをお聞きしたいと思います。
  22. 成松馨

    成松政府委員 お答は申し上げます。最初に郵便物不着申告件数について、ちよつとお答え申し上げておきたいと思います。各郵政局で一箇月四、五千件あるというお話でありましたけれども、これは各郵政局ごとにではございませんで、年間を通じまして、毎月平均五千件という意味でございます。  それからなお信書秘密を侵したものはないかという問題でございますが、これも実は私どもといたしましては、利用者の方からそういう申告を受けないと、実ははつきりわかりかねるのでございます。そういう観点からいたしますと、利用者から、見られたから何とかしてくれという申告は、今のところございません。ただ信書秘密を侵すということが、憲法上非常にゆゆしき問題であるということにつきましては、業務系統の方から管理者並び従事員に対して、あるいは訓練の際に、その点は十分訓練として言い聞かしておるはずでございますし、監察側といたしましても、もしそういうような申告等がございますれば、それに基いて、できる限りの調査を進めて行きたいと考えております。
  23. 井伊誠一

    井伊委員 ただいま郵政省監察局長お話がありましたが、実は私の申し上げたのは、郵政事業要覧によるのでありまして、各地方郵政監察局では毎月およそ四、五千件の申告調査処理しておるということが出ておりますから、それに基いたのでありますが、それは真実でなく、今のお答えの方が数字においては正しいとお聞きしておきます。  それはともかくといたしまして、そういたしますと、信書秘密を侵されたという申告は皆無というふうなお答えでもないのですが、実際ありましたものの処理は、どういうふうにされておるのでありますか。
  24. 成松馨

    成松政府委員 もしそういうような申告がございますれば、おそらく私ども調べ方といたしましては、申告をなさつた方について、その郵便物がどういう状態であつたかというような点から調べ始める以外に、まず手はなかろうかと考えております。
  25. 井伊誠一

    井伊委員 信書秘密は、郵便物配達をされた後、民間においてもそれぞれ秘密保持の義務があるのでありますけれども、それよりはむしろ引受をしてから配達をするまでの間こそ、その分量においても、それから扱いが専門的である点からいつても、郵政省の管轄において、これが一番重大な問題だと思う。もしその信書秘密を保たれるということについての実際が今のようなお答えであれば、信書秘密を破られたという申告があればということで、今のところではなさそうなお答えでありますけれども、絶無なのであれば、これはいたしかたがない話でありますが、ありとすれば、どういうふうにほんとう処理しておられたかということをお聞きする。それがこの信書祕密保持するということについての、権威ある一つ取扱いになると思うのですが、その点は例がないということでありましようか。
  26. 成松馨

    成松政府委員 今までの利用者からの申告では、そういう例がございません。多くは不着だとか、現金書留でいえば金が一部とられているとか、そういう形で出て来ておるものですから、ただいまのようにお答え申し上げたのでございます。
  27. 井伊誠一

    井伊委員 監察局において、この申告に基いて調べられまして、これは郵政省の方に責任がありとして損害補償をせられる、その補償は大体年間どのくらいの数額に上りましようか。
  28. 成松馨

    成松政府委員 郵便物がなくなつた等について損害補償をいたしますのは、特殊の現金書留その他の書留郵便物でございまして、普通郵便物等がなくなりました場合には、損害賠償をいたしておりません。なお書留郵便物等につきましては、料金に応じて弁償いたしておるのでありますが、年間を通じての金額については、ただいまちよつと材料を持ち合しておりません。
  29. 井伊誠一

    井伊委員 特殊郵便物損害を弁償する、こういうことでありますが、私の知りたいところは、運送委託契約に基いての取扱い範囲で起きた故障に対する弁償額は、全体の取扱い数のどのくらいの割合になるものか、こういうことを実はお聞きしたいのであります。
  30. 成松馨

    成松政府委員 ただいまお話のあつた現金書留等紛失につきましては、申告があつた結果から調べてみますと、委託をされた機関において起つたものよりは、郵便局内もしくは配達したあと、そこの配達したあと、そこの配達先使用人等において郵便物とつたという場合が多いのでございまして、運送委託中に起きる事件は、件数としては比較的ございません。
  31. 井伊誠一

    井伊委員 その点についてはそのくらいにとどめまして、第七条の但書を加える問題についてお尋ねをしたいと思います。今度、従来の事業者に対して契約を更新する場合の認定の条件といたしましては、業務を誠実にやつておるという今までの成績と、業務を継続して行わせることが郵便事業の円滑な運営のために有利であると認める場合、この二つの条件があるわけです。そうするとこの業務を誠実に執行するということについては、もちろんものさしがあるのでもないし、他に比較する人がいるわけではないから、今現にその業務をやつておる人の過去の成績を見てやることになると思う。そうするとこれはもつぱら主観的なものに陥りやすいのであつて、逆に不誠実であつたという点がない限りにおいては、一応誠実なるものと認めざるを得ない。大体この原則は競争契約である。競争契約趣旨は、さまざまの条件を出して、郵便事業の円滑な運営に有利である点ももちろん考えなければならぬし、不都合のないところの資格を持つておるものを見て行くのでありますから、多数の中に、これと同じ条件であれば委託をされる者もあると思うのです。しかし今の場合においては、継続しておる一人の人の成績だけを見るので、比べるのでないから、不都合のない限りは正しく誠実に仕事をしたものと見らるべきである。さらにまた第二の条件は、どういうところにその主眼があるのであろうか。継続して行わせることが郵便事業の円滑なる運営のために有利であるというのでありますが、継続させるということが非常に重要な要件のように読めるのでありまして、どうも単純にこういうふうにやらせた方がうまく行くというだけのことではなくて、むしろこれは継続させないと運営が円滑に行かないという意味を含むのじやないかと解せられるのであります。そうでないとすると、円滑に行けるようにといつたつて、一体どこに標準があるのか、その点を特にひとつ明確にお聞きしたい。
  32. 松井一郎

    松井政府委員 ただいま井伊委員からお尋ねがありましたように、大体競争者を選定して甲乙をつけるというようなやり方ではございませんで、当該業者がやつておること自身を——非常に主観的とおつしやいましたが、必ずしも主観的ではなくて、現実に契約の条項を守つてきちつとやつておる、あるいはいろいろな報告連絡等についても遺憾なくやつておるとか、そのほか車についてもよく手入れをし、またしよつちゆう車の故障のないような状態に置くとか、いろいろそういう業務運営上の必要な点について実際やつておる状況というものは、主観的にではなく、ある程度事実としてわれわれはつかまえ得ると思います。そういう点を総合いたしまして、はたしてこれが誠実にやつておるかどうかということを一応見るわけであります。なおそのほかに誠実にやつており、かつその者に当該業務を継続して行わせることが郵便事業の円滑なる運営上有利であると認めるということは、ある部分においては若干ダブつて来る点もあると思いますが、なおそのほかに将来ともその者にやらした方が有利であるというようなことについての、大所高所から見た一つの考え方というものを、やはりこちらとして持つておく必要があるのではないかというので、若干こういう包括的な規定を並べたわけであります。
  33. 井伊誠一

    井伊委員 その第二の方の条件ですが、当該業務を継続させなければ郵便事業の円滑なる運営が有利に行かないというくらいの強い意味はないのでありますか。
  34. 松井一郎

    松井政府委員 あるいは全然ほかに代替性がないのだという点まで必要であるかどうかということになりますと、私はそこまでは必要でないと思います。ただその人にやらせることが非常に有利であるという程度でいいのではないかと思つております。
  35. 井伊誠一

    井伊委員 従来契約をしておる者に、今掲げるような二つの条件が郵政大臣の認めるところとなれば契約を更新することができる、こういうふうになるのでありまして、その帰するところは郵便事業の円滑なる運営ができるということを主眼として、こういう但書を設けるわけであります。そういたしますとこれは期間がさらに四年延びた、こういうふうなことになるのであつて契約内容は少しもかわるものとは思われない。そうするとここにその更新した期間内には契約者、つまり事業者の方からその契約内容を改めるということを希望をしても、それはそのままでは変更はできない。これは当然と思うのでありますが、それについては御意見はどうでありますか。
  36. 松井一郎

    松井政府委員 第七条の解釈といたしましては、先日私申し上げましたように、ここは期間の更新ということだけを規定しておりますので、この条文の適用そのものといたしましては、期間というものだけで、従来の契約は一応続いて行くのではないかと思つております。
  37. 井伊誠一

    井伊委員 私不敏にして現在行われておるところの具体的な運送委託契約の実際の内容というものを存じませんが、これを従来成績のいいところの某某の企業者に対して継続して運送委託させるといたします。こういうふうにしましたときに、何かそこに業者として非常に都合のいいようなことがあるか。一方ではたいへん業務上円滑に行くからこれは申分はないわけだけれども業者の方としては四年間期間を更新しても大した利益がない。あるいは物価の変動などによつてかえつて損をするかもしれぬけれども変更はできないということになれば、これはあまり希望しないということになるかもしれない。そこで結局期間の更新でもありますから、相手方の同意もまた必要なわけでありますが、何か現在あるところの契約そのものの中にやはり、物価の変動を来したような場合にその期間内といえどもこれをかえることのできるような、そういう契約内容があるのではないかと思うのでありますが、その点はどうですか。
  38. 松井一郎

    松井政府委員 この契約は御承知のように、一時の問題でなくて非常に長期間にわたる一つ契約でございますから、その間にいろいろな社会情勢の変化がありました場合には、契約の非常に大事な点については、もちろんこれはそう簡単にさわるわけには行きませんが、付随的な問題については業者と協議のまとまつたときには、実情に即するように直しておるということは、これは契約の普通の観念ではなかろうかと思います。
  39. 井伊誠一

    井伊委員 さきにも問題になりました点で、三月九日の日本経済新聞に出ておりまするその記事内容の中に、たとえば超過輸送時間の端数を切上げるとか、悪路の割増し、特にこれは運輸省の自局動車でもつて応定をしておるところの悪路というものを、さらに地方の郵政局でもつて独自に応定をする。そうしてそれに対してやはり割増金を払つておるとか、あるいは小型で間に合うものを大型で契約をしておるとか、あるいは一車で間に合うのを二軍でやるといつたようなことも出ております。そうすると契約も相当内容においては種類が違つておるのではないかと思う。のみならず重要な点においては今のところ変更ができない。こういうことは明瞭でありますけれども、今のようにつまり一路線のところで一軍でいいものを二軍に増す、そういうのは郵便物が自然時とともに数量が増して来、仕事が多くなつて来るので、一車では間に合わず二車になつて来るというような場合にでも、前の契約で一車となつておるものならば、それは期間更新をしました四年間においてこれを改めないと、そういうことはできないのではないか。これは内容重点に触れて来ると思う。そういうふうに契約内容が多岐にわたつてつて、一口では言えないような非常に複雑は契約なつておりますと、これがすらつとおめがねにかなつて更新をしたいといつても、その内容は実は非常に自由に変化して行くというようなことになるおそれなしとしない。というのは、もちろんこういう引受をするのに、対しては、経済的に成り立たぬようなものを引受けるはずはない。四年という長い期間であります。この間に特にこういうことを設けて、四年間身動きもできないというようなものならば、郵政省の方でこういう案を立つて期間の更新をするというのは、非常に一方的な都合のいいことではあるかもしれないが、一方から言えば、乗つたが最後動きがつかぬと、公正の立場から見える。しかし実はそうではなくて、その契約内容には幾らもかえられるようなものがあるのではないか。それだからして、期間を更新すれば、やはり大いは引受けておる事業者の方は有利になつて来る。そうして一つ独占的なものになつて行くのではないか。さらにそれがその次になればいよいよ練達堪能になつても来るし、設備も整つても来るし、いよいよおめがねにかなつてまた更新して行くということで、いよいよ独占になる傾向があるのではないか。その中心となる契約内容、期間を更新して約いる間に契が実体的には変化してしまうという、そういう余裕がなければ、この但書というものはどつちの道からいつてもあまり融通性があるものではないと私は考えられる。そういう危険は契約上にないでありましようか。
  40. 松井一郎

    松井政府委員 たとえばある道路が非常に悪路であつたならば、悪路の割増しはもちろん出しておる。ところが道路がよくなつてもやはり悪路割増しを出すかといえば、もちろん出しません。契約上当然です。また一車でやつたところが、一車では積み切れなくなつて二車を出せというような事態が起きた場合は、やはり付随契約として、契約上それだけ追加せざるを得ないと思うのです。この程度の弾力性というものは、こういう長期の契約がある以上やむを得ないのではないかと思います。
  41. 井伊誠一

    井伊委員 それは前の初めての競争入札のときに附帯契約があれば格別でありますけれども、更新をするというときに、そこに附帯的な契約がおのずから効力を発するにいうふうには考えられない。だからして常識的に考えるとたいへんいい規定のように思うのですけれども、そういう点においてはつきりしておかないと、無効のものを有効のように処理をして行つたのでは困る。ですから今のその点をお聞きするのでありますが、そうするとどのくらいの程度のこととおえになつていますか。
  42. 松井一郎

    松井政府委員 お尋の点の、最初に契約した条項がどの程度まで変更できるかということについては、契約の実体を基本的にかえるということは、契約の本質からしてやはり避くべきであろうと思います。しかし付随的な問題については、こういう長期の契約においては、双方が了解すればかえて行かざるを得ないと思います。四年間にわたるいろいろな状況の変化というものは当然予想しなければならぬ。道路がよかつたのが悪くなつたり、悪かつたのがよくなつたりするような情勢に応じて、悪くなつたら当然悪路割増しを出すし、よくなつたら出さない。これは契約自身の変更ということでなくして、当然そういうことを契約の当初から予想して行く、こういうことが考えられないだろうかというように考えております。
  43. 井伊誠一

    井伊委員 特に事情に伴つて契約内容の弾力性を持つ契約であれば格別、そうでない限りは何といつてもこの但書の期間を更新するというだけの効力から、そういう拡張の効力は発生はしないと私は考えている。その点は明らかにしておかないと間違いを生ずる。  さらにお尋ねいたしたいのは、現在政府と契約しております業者はどのくらいの数でございましようか。その期限はいつごろになつておりましようか。
  44. 松井一郎

    松井政府委員 現在これによつて契約しておるものは、数からいうと大きくなりますが、お尋ね重点は専用自動車の問題ではないかと思います。それはお手元の資料の第四、ページで申しますれば八ページから九ページにわたつておりますが、大体これによつて委託している線路の数、キロ程、請負者数というものがおわかりになると思いますが、全部の教ではこの下の合計にあるように、業者は八百四十八といつた数にないております。  期間についてはいろいろありまして、普通一般会計法上の契約は三年以内、私の方は四年以内になつておりますが、三年を越えた契約をやつておりますのは大体自動車関係でありまして、たとえば鉄道のようなところは一年契約でやつております。  それから契約の更改時期につきましては、ずつと前からあつた自動車路線につきましては昭和二十五年四月にやつた関係上、その部分は来年の五月になります。しかしその後新しくできた路線については、それだけずつておるわけであります。
  45. 井伊誠一

    井伊委員 日本郵便逓送会社が逓送の七割五分くらいというお話があるのでありますが、この会社の期間の更新期はいつになつておりますか。
  46. 松井一郎

    松井政府委員 私どもは日本郵便逓送会社というように、会社と一括して契約しておるわけではありませんで、各地の路線々々について契約の相手方になつております関係上、この前の契約を締結してから四年ということになつておりますので、個別的に申しますと各路線ごとに時期は違つておるというわけでございます。
  47. 井伊誠一

    井伊委員 この契約中には本年四月ぐらいで切れるものは相当あるのでありますか。
  48. 松井一郎

    松井政府委員 今年の四月に切れるというものはそう大してないと思います。来年の四月に切れる部分が、相当多数を占めておると思います。
  49. 井伊誠一

    井伊委員 今年差迫つてそれらの更新をするかどうか。期限の切れるものについては、すでに入札の方の手続はしておられるのでありましようか。
  50. 松井一郎

    松井政府委員 ちよつとおつしやる意味がのみ込めないのですが……。
  51. 井伊誠一

    井伊委員 それは今まさに期限が切れようとしておるものに対しては、新たに今度どこかと契約をしなければならぬ。その手続はもう済ましておられるかどうか。
  52. 松井一郎

    松井政府委員 先ほど申し上げましたように、この法律ができ上りまして、最初に入札をしたのが昭和二十五年の五月でございますから、今のところはまだ期限は来ておりません。だから最初に来る分が来年の五月になりまして、ずつとその後に新しい契約がみなできて来るわけであります。
  53. 井伊誠一

    井伊委員 最後に一つお尋ねします。言うまでもなくこの郵便物運送委託方法の原則たるものは競争契約によるもので、特殊の場合が同法の第三条に掲げてある。これは一応競争入札でやろうとしてもそれに応ずる者がないとか、落札者がないとか、落札があつたけれども契約をしないとか、契約はしても内容を実行しないとかいうような、とにかく原則を重んずる者、そのほかは特殊の競争者がほとんどない場合、国鉄であるとか、あるいは私鉄であるとか、あるいは飛行機の運送であるとか、そうしてその間に従来であれば、一つの区間に二人以上の競争者がないという場合、あるいは労力を主とするものであつて、これはむしろ広く募集するよりは、お頼みしなければならないといつた立場の場合であつて、随意契約ほんとうにやむを得ない場合、またどうすることもならないような例外の場合、でありますから、第七条のところに但書をつけなければならぬ際に、競争契約をしましたものでおめがねにかなつたならば、一応ずつと続けて行つた方が郵便業務運営の上にもいいということにどうも基礎が定まつて、それが続いて行きそうであります。それが企業独占になりはしないかというところに心配がある。従つて但書そのものにも必要もあり、いいところもあるでしようけれども、運用の仕方によつて心配があるのです。そういうことで但書は例外を非常に範囲を広くする規定になると思うのであります。政府としてはどこまでも例外はできるだけ拡大すべきでなく、縮小をすべきものである。この原則を重んじて行く。すなわち政府直轄でやるというのが本旨でなければならないと私は思うのでありますが、政府としてはできるだけこの本旨に基いて、直轄で郵便運送の業務をやるという意思はありますか。これをひとつお伺いしたい。
  54. 松井一郎

    松井政府委員 おつしやるごとく郵便事業は、直営企業として郵政省運営しておるわけであります。ただ事業経営がいろいろ多岐の面にわたつておりまして、直轄をして行くということが必ずしもそのときの情勢において有利でない場合もある。そのような場合においては、便宜部分的にそういうように委託ということも起つてつているのであります。ただいまの御指摘の点は、おそらく郵便の専用事業者の場合ではないかと思いますが、私どももできるだけ企業の機械化と申しますか、毎年逐次スクーターあるいは新しい自動三輪車というようなものを取入れて、従業員がそういう機械の取扱いになれるようにすることを勧めております。しかし今すぐこの自動車を全部国営化するのがいいか悪いかという問題になりますと、日本の今の現状においては、若干時期が尚早ではないかという考えを持つております。しかしもちりん委託をすることによつて、事業運冨上好ましくない影響が起きたら、申訳がないことでありますが、私ども委託にあたつては、今後こういう一つ業者に対する将来の望みのあるような規定がいただければ、今までよりは一層厳重にこの人たちの運用というものを監視して行きまして、いやしくも御懸念のあるような節が出ないようにやつて行きたいと考えております。
  55. 井伊誠一

    井伊委員 私は原則を重んじるということを希望するのでありますが、その点に対してのお答えでありますが、政府といたしましては、この傾向から言えば、運送事業のごときは直営にするよりも、むしろ単に契約をしてやらせるという方が、世界の傾向かもしれぬと思うのであります。そうすると直轄にするということの方は、あるいは望みがないとさえ思うのでありますが、その点については、政府がそういう施設などを取入れて、郵便物を尊重すべき点から考えまして、直轄にすることの方が望ましいのであります。そこで政府の方で直轄する御意思があるかということをもう一度お尋ねいたします。
  56. 松井一郎

    松井政府委員 先ほどお答えいたしましように、現在のところ自動車以上のものについては、政府は直轄してやるということは、かえつていろいろな面において能率の阻害になりはしないかという懸念を持つておりますので、若干時期尚早ではないかと考えております。自動車以下の問題については、漸次従業員をそういう機械になれさすという意味において、また国営企業自身において、どの程度そういうことがやられるかという一つの試みになりますので、原則として直営でやつておりますというのが現状であります。
  57. 大上司

    ○大上委員長 赤城君。
  58. 赤城宗徳

    ○赤城委員 ただいまの質疑あるいは政府委員の御答弁で、大体第七条の内容について了承はしておるのでありますが、第七条は大体において期間の更新を規定したものである。しかし契約内容においてかわる場合もあるので、そういう場合には一般の事情変更の原則といいますか、そういう原則に従つてある程度はかわる場合もある。あるいはまたほかの一般の原則である競争入札とか、あるいはその例外である随意契約というものを全然排斥するものではなくて、代替制を全部認めないというのではないのだから、そういう場合もあり得る。こういうふうに大体お聞きしたのでありますが、その点をもう一度そういう意味であるかどうかをひとつお聞きしたいと思います。
  59. 松井一郎

    松井政府委員 ただいま赤城委員から非常に明快に第七条の解釈とその他の条文の解釈とを御説明いただいたわけで、私どももそれと同じ考えを持つております。
  60. 赤城宗徳

    ○赤城委員 今のような解釈であるならば、先ほど井伊委員の御指摘されましたように独占的なきらいが非常に少くなつて来るのでありまして、これが原則ということになりますと、これはほとんど独占事業だということになるわけであります。独占的に陥らしめないというお考えは大臣においても持たれているかと思うのでありますが、ひとつ大臣の御所見もお聞きしておきたいと思います。
  61. 高瀬荘太郎

    ○高瀬国務大臣 お話がありましたように、この法律の原則な競争入札ということになつているわけでございます。それはどこまでも尊重して行かなければならないものと思つております。しかし特殊な事情によりまして、こういう但書をつけよう、その方が業務の円滑な運営、合理化というような点で適当であると考えて改正を提案したわけであります。決して独占を推進するとか、独占を好むというような意味で改正を提案したというわけではございませんので、もし独占が推進され、それによつて不正とか不合理とかいうものが起きるというような心配があるとすれば、むろん継続というようなことは考えられないわけでありますし、そういう点はむろん慎重に運営して行かなければならないと考えております。
  62. 赤城宗徳

    ○赤城委員 先ほど行政監察部長の説明にもありましたが、行政管理庁といたしましては、契約履行状況の適正なりやいなや、あるいは郵政局契約内規が適正であるかどうか。さらに郵政省内規自体の適正なりやいなやという点についての監察で、民間業者のことには立ち入つて監察できないということでありますが、法規上はそういうことになつておりましよう。ことに競争入札における談合というようなことは刑法の法規にもありますので、その方面によつてそういうことをなくすることも一つでありましようけれども行政管理庁としての権限はないかもしれませんが、郵政省といたしてこういうことが問題になるということでありますと、初め競争入札に付する人の選択を誤つているとか、あるいは随意契約をする場合に人の選択を誤つているとか、こういう責任といいますか、そういう落度もあるわけであります。ことに先ほど木原委員からの質疑にもありましたように、数日前の日本経済新聞等にも掲載された問題があるということになりますと、内情を知らぬ者にとりましては、いろいろ疑惑も起きないとは限らないのであります。そういう疑惑がだんだん起きて来ますと、まず随意契約、その前の競争入札、それよりもつとさかのぼつて郵便物運送委託というものがどういうものであるか、こういう疑問も起きて来る。ことに第一条で「この法律は、郵政大臣が郵便物の取集、運送及び配達を運送業者等に委託する場合に関し」、こういう「委託する場合に関し」となつておりますから、建前から言えば直営という建前にもなつておりますから、あまり疑惑が起きて参りますと、根本的にさかのぼつてそういうことも論議される、こういうことに立ち至ると思うのであります。これを直営に今するという段階ではない、あるいはまた直営にしない方が今の状況としては、諸般の事情からいいのだというような説明でありまして、その点もある程度わかるのでありますが、いろいろ競争入札あるいは随意契約あるいは期間の更新、こういう場合に不正なこと等が起きるということになりますと、根本問題にまでさかのぼつていろいろ問題をかもし出すおそれがあるのであります。これは郵政大臣といたしましてもあるいは監察側といたしましても、そういうことが起きないように厳重に注意してもらわなくちやならぬと思うのでありますが、ただいま大臣の答弁にもその点はちよつと触れておつたようでありますが、そういう疑惑を起さないようにひとつ厳重に、現在行われていることに対しましても、あるいはかりに改正されるといたしまして改正後に対しましても、深く考えなければならぬと思うのであります。大臣といたしまして答弁を要求するというほどのことでもありませんが、所見をひとつ伺いたいと思います。
  63. 高瀬荘太郎

    ○高瀬国務大臣 新聞に出ておりました記事のような事項がもし起きるというようなことがあると、はなはだ遺憾なことであります。ですから今後この法律の運用につきましては、先ほども申し上げましたようにきわめて厳正に運用をいたしまして、運用の直接当事者であります職員が十分にこの点を警戒し、慎重にやらなければならない、そうさせなければならないと私は考えておりますが、同時にこれを監察いたします監察局は、厳重にそういう点を監察いたしまして、不正とか不合理とかいうことを決して生ぜしめないように運用して行きたいと考えております。
  64. 木原津與志

    木原委員 郵政事業の直営に対する松井政府委員からの御答弁がありましたが、重ねて私から要望いたしたいことは、郵便物の取集めあるいは配達というようなことが、民間会社によつて行われているというこの実態については、おそらく国民の大多数は知らない。何となれば郵便物を運送しあるいは取集めするところのこういう自動車に至りましても、ちやんと郵政局というマークをつけた赤い郵便車が走つているというようなことで、国民の大多数はほとんど関係者以外の者は、郵政省が直接この郵便物に関する限りやつているのだという観念を持つている。そこで国民各自は国家がやつてくれるからというので、しかも憲法にも信書祕密を保護しておるというような点に対する期待からも、国民は安んじて郵便を出したり、あるいはその内容が他に漏れない、また確実に相手方に到着するという期待を持つておるのであります。もし郵便の集配は国家がやつておるのでなくて、一般の民間の営利会社が業務としてやつおるのだという事実をはつきり国民全体が知るならば、おそらく大きな不安と大きな動揺を来すものと私どもは考えておる。従いまして、郵便業務を今国家がやらない、やる意思はないということは、国民感情にもとるものであり、国民の信頼を無視するという結果になるものと私は考えるのであります。ですから、経営上あるいは実情等において、国家直営ということにいろいろな難点もあるかものれないと思いますが、どうかひとつそういつた国民の素朴な誠実な期待にこたえまして、難関もあるかもわかりませんが、そこの難関は郵政当局において一つ一つ克服され、そしてほんとうに国民を安心させるという意味において、近い将来においてぜひとも郵便の集配その他に至るまで、国家が一手でこれを管掌して責任を持つということにしていただきたい。重ねて私はこの郵便事業の国家直営を当局に希望する次第でございます。
  65. 大上司

    ○大上委員長 最後に委員長より二、三政府当局へお尋ねいたします。各委員のいろいろな御審議の過程並びに言及なさつた点は、大体政府当局もおわかりと思うのです。ただいまの委員からの質問に答えて政府当局は、本法案を施行するのは昭和二十九年の五月、すなわちそこが契約の更新なんだというように聞き取れたのですが、さすれば今日から五月までは相当時日があるにもかかわらず、本法案が本議会に提出せられた理由、これが緊急やむを得ざるものであることは一応は認めますが、その理由をひとつつておきたい。  その次は提案理由の説明の中に、いわゆる郵便物の輸送原価に公正妥当な利潤を加えた金額を基準とするのだ、こういうふうなことがあるのです。これは委員長の勉強不熱心かもしれませんが、この公正妥当な利潤計算の内容というものをお示し願いたい。  その次に第三点は、井伊委員からいろいろ御質問しておられましたが、第七条の但書の規定の後段において、「当該業務を継続して行わせることが郵便事業の円滑な運営のため有利であると認める場合」云々とあります。そこでこの「有利であると認める」という認定の基準を、もう少し深く掘り下げて御答弁願いたい。  最後に、ただいま木原委員お話のごとく、国民全体は、おそらくこれは郵政省がやつておるのだと考えているのが事実であろうと私たちも思います。そこでこの問題から出て、しかもたまたま新聞にああいうふうな記事が載つたということは、国民もおそらく唖然としたところがあろう。従つてその記事の出た取材の問題なり、これが事実か、事実でないかについては、ただいまの委員会における政府当局の説明でわれわれは大体了承したのですが、いやしくもかかるものが国民の前に疑惑を持たれるというようなことが起きたことは非常に遺憾である。そこで本法案がかりに本委員会を通過したと仮定して、これに対して政府当局は新しい監督方針か何かあるはずです。従つてこの新しい監督方針を伺いたい。この四点を伺います。
  66. 高瀬荘太郎

    ○高瀬国務大臣 私から一応お答えいたしまして、もし足りないこまかい点でまた御要望があれば、係の方から御説明申し上げます。  多くの契約が来年期限になるというようなところから、今急いでこれを本国会できめなくても間に合うのではないか、こういうような意味の御質問であつたかと思いますが、私の提案理由で説明いたしましたように、現在の受託者をして安心して熱意をもつて誠実に業務を執行させるという点から申しまして、契約の期限に近づくに従いまして、そういう点がだんだんだんずれるおそれがあるということを申しておりますのですが、そういう点から申しますと、この国会でこれが成立することが最も望ましいと私は考えております。  それから公正妥当な利潤についての御質問でありますが、これはむろんなかなかむずかしい問題でありますが、運送業務における公正妥当な利潤というようなものは、一応客観的に推定はできると思つております。実はそれを考えるよりほかないのであります。  それから円滑な運営のために有利であるという具体的な事実は何であるかということでありますが、抽象的に申しますればこの通りで、こまかい具体的な事実は係から御説明申し上げた方がいいだろうと思います。  それからこの改正に伴いまして、監督の新しい方針を考えておるはずではないかということでありますが、むろん改正をいたしますれば、運用の方法がかわつて来るわけでありますから、その運用方法の新しい仕方に基きまして、運用基準というものは考えて行かなければなりません。そういうことになるわけでありますが、抽象的に申しますと、新しくこういう改正が行われまして、それがために今まではなかつたような不正とか不合理が起きやすくなるというようなことも考えて、これを防止するという方針できめて行かなければならないと思つております。こまかい点は局長から申し上げます。
  67. 松井一郎

    松井政府委員 特に今国会にこの法案が緊急を要するという形で出されたことについては、先ほど大臣からの御答弁の中にもありましたように、こういう契約が来年に更改期を迎えておるという一つの事実からいたしまして、やはりこれに従事している人たちが、それに対する不安感を持つているという点は、これは人間である以上否定できないと思います。ことに従業員諸君の中には、来年の入札に際して、せつかく今まで自分たちがやつて来たのに、そうでない一般の業者と同一レベルにおいて取扱われるのだというようなことが、従業員諸君の志気の上にも好ましくない影響を持つておる。そういう点を勘案いたしまして、措置としてはなるべくこれは早い方が、安定して誠実に業務をやらせる上においては妥当であるというふうな考え方からして、できるだけ早くこれを制定する必要があるのではないかと考えておる次第であります。  それから公正な利潤の点でございますが、これは私どもだけでは、はたして公正妥当な利潤であるかどうかという権威ある判定は必ずしもできませんので、この運送委託法というのに書いてありますように、その道の権威である運輸大臣並びに運輸審議会というものへ出しまして、運輸審議会においてこの程度の計算が妥当であるという確認を得まして、それが運輸省の告示というような形になつてオーソライズされて行くわけであります。その場合にいろいろな原価計算をいたしまして、それに妥当なる金利その他を勘案したものが計算されておるわけであります。  それから監督の問題に触れて参りますが、従来もこの監督については私ども決してそうおろそかにしておつたわけでもございません。しかし何しろ全国津々浦々に非常にたくさんの関係仕事を持つておりますので、われわれ自身の監督も至らなかつた節もあつたろうと思います。先日来行政管理庁の方からいろいろとご意見を承つおりますが、その御意見の多くのものは請負の業者側にあるというような性質のものよりも、むしろこちら側の方の見方が手が足りなかつたという部面が相当多いのであります。業者自身がけしからぬといつたような形のものは、今日までのところあまりわれわれの耳には入つておりません。むしろいろいろの状況から、あるいは自動車の配車の時間のやり方、そういうような点についてもう少し郵務局側としての検討の余地があるのではないかという指摘が大部分でございます。私どもこの点については十分にこの御意見を受入れまして、今後はわれわれ自身の郵務局なりあるいは関係の現業局なり、一段とこの問題について現状に即して妥当なる運営ができるようにはかりたいと思つております。なお請負の業者に対しましては、そうした面のほかに、なおまた先ほど来委員からの御質問の中にもありましたように、一つ信書祕密の確保といつたような点から見ても、また遺憾のないような措置をやらなければならぬ。この点については法律上どうこうというような特別の監督は、先日も私が申し上げましたように、ただいますぐにそれを必要とするというような段階ではございませんが、十分契約条項によつてその監督はやつて行けると考えております。
  68. 大上司

    ○大上委員長 これにて暫時休憩いたします。     午後一時四分休憩      ————◇—————     〔休憩後は開会に至らなかつた