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松井政府委員 それでは私からお答え申し上げます。最初のこの
小包郵便の
値上げの
一つの
理由といたしまして、
鉄道との調整ということをわれわれ御
説明申し上げたのでありますが、これは大体先ほど
広瀬委員から御
指摘のように二つの面があるのであります。
一つは
小包を郵送する郵送の
コストというものが、やはり
鉄道運賃並びにそれに伴う
陸上運賃の
一般値上げのために、約一割
程度の
値上げが不可避になるであろうという問題と、もう一点は
鉄道小包との間の非常な不均衡が、
郵便小包の量を必要以上に増大せしめて、かえ
つてほかの
郵便物の
取扱いに支障を来すのではないかという二点であることは、
広瀬委員のお説の
通りであります。しからば具体的に、現在今年の一月以降、
小包郵便物の
料金が従来のままであるにかかわらず、
鉄道料金が
値上げされておる。そこでどんな困
つた現象があるかというお尋ねでございますが、これはただいままでのところ、私
どもとしては
普通小包郵便が二割
程度増大しておるのではないかという
一つの推定がございまして、必ずしも
全国的にすべての
郵便局がそのために困
つておるというところまではな
つておらないと思います。しかしある種の
小包郵便物を非常にたくさん引受ける
郵便局におきましては、そうした増大の傾向が著しく見えておるということが看取せられるのでございます。と同時に、このままで置いておきますれば、当然従来ならば
鉄道に流れていたものが、相当
多量郵便にまた来るであろうということも当然予想されておりますので、今につちもさつちも行かないという
現象がここにあるかと言われれば、まだそこまでは行
つておりませんとお答え申すのが正直な答えであろうと思います。
それから
封書その他の問題については、われわれとして現在の
情勢においては、
情勢が変化しない限りにおいて、これを
値上げする
意思を持
つておりませんと申し上げていいと思います。
それからその次は、
鉄道とのいろいろな
契約の更改問題についての御
指摘がございました。これはわれわれが
鉄道初め、一般的に
逓送料を払
つておるのは、
郵便物運送委託法によりまして、正当なる原価というものを換算して、それに基くものを支払うということが
建前にな
つております。
従つて鉄道自身の
コストが上
つて来たということが
はつきりいたしますならば、当然これは上げなければならぬと思います。しかしこれはただ
鉄道が
料金を上げたということが、
イコールに必ずしもなるとは思
つておりません。ただ
鉄道が今度
料金値上げをした根本には、もとより
コストが
上つたということがあると
考えられるのでありまして、ある
程度の
値上げというものは、将来において考慮しなければならぬと思
つております。ただそれがすぐに
運賃一割
イコール一割というふうには簡単に参らないようにな
つておると思います。そのための
値上げが起きた場合には、それを
理由として、
一般封書その他の
値上げをするかというお尋ねございますが、私
どもは大体今日
国鉄に払
つておりまするのが、約十八億円
程度だろうと思います。
従つて一割の
値上げというものがかりにそのまま実現しても、一億幾らの問題でございますから、われわれの全収入か見て、そのための
値上げというようなことは、さしあたり
考えられないことであろうと思います。
次は
郵便物運送委託法についてでございますが、
郵便物運送委託というものは
広瀬委員のおつしや
つたように、確かにこれを
郵便事業経営の基本として、どんどん
委託に持
つて行くとい
つたような性質のものではございませんでして、
事業経営上やむを得ない場合においては、そういうことをや
つてよろしいという
精神だろうと私
どもも理解しております。
従つてわれわれの
事業経営上、ある
部分においてどうしてもやむを得ないという
事態において、その
限度において
委託ということをや
つて行くということは、私
どももそういう
方針で運用して参りたいと思
つております。その
監督の問題につきましては、大体
郵便物運送委託法には、直接の問題は触れてございません。現存は
郵便法の
罰則規定に、その七十七冬から以下に「
郵便物を開く等の罪」「
郵便物の取扱をしない等の罰」「信書の秘密を侵す罪」とい
つたいろいろ特別の
処罰規定が掲げられております。これはいずれも「
郵便の
業務に従事する者」というような
規定の仕方がしてございまして、これの
法律解釈といたしまして、現実に
公務員の
身分を持
つておろうと、あるいは
運送委託法に基いて
契約によ
つて取扱
つておるものであろうと、同一に適用するということに相な
つております。
従つてこの
限度においては
身分が
公務員であろうとなかろうと、
郵便物取扱いに関する
特別処罰規定の対象になるという点は、同様であるということを申し上げたいと思います。なおそのほかにもちろん私
どもといたしましては、この
事業経営上必要な調査その他の点については、個々の
契約書でも
つて必要な資料をと
つて行けるということ、また必要な
監査をや
つて行けるというようなことは、当然約束しなければならぬ点でありまして、現在の
契約書にも、確かにその点がうた
つてあると思います。
それから今後はたして誠実に
委託業者がや
つておるかどうかということについて、一体どういうふうにしてこれを見て行くかというような御
意見でございます。私
どもこの点については非常に心配しておるのであります。私
どものところには幸いに八百人ばかりの
司法警察権を持
つておる
郵政監察官というものがおります。これをよく活用いたしまして、また出先の各
営業局長とい
つたような
方々の協力を得て、個個の
契約が
契約書に
規定された
通りの
条件において、誠実にや
つておるものかどうかということを
はつきりとしたチエツクをと
つて行くとい
つたような
やり方を強化して、実際に誠実にや
つておるかどうかということに対する
監査を遺憾なからしめたい、さしあたりかように私
どもとしては
考えておる次第であります。