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1953-03-09 第15回国会 衆議院 郵政委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年三月九日(月曜日)     午前十一時十六分開議  出席委員    委員長 大上  司君    理事 赤城 宗徳君 理事 飯塚 定輔君    理事 廣瀬 正雄君 理事 土井 直作君    理事 木原津與志君       押谷 富三君    小平 久雄君       益谷 秀次君    岡田 勢一君       井伊 誠一君    伊藤 好道君       上林與市郎君  出席政府委員         郵政政務次官  平井 義一君         郵政事務官         (郵務局長)  松井 一郎君  委員外出席者         専  門  員 稻田  穰君         専  門  員 山戸 利生君     ————————————— 三月五日  委員下川儀太郎君辞任につき、その補欠として  伊藤好道君が議長の指名で委員に選任された。 三月七日  清滝郵便局集配事務開始の請願(小島徹三君  紹介)(第三七〇六号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  郵便法の一部を改正する法律案内閣提出第六  〇号)  郵便物運送委託法の一部を改正する法律案(内  閣提出第一二五号)     —————————————
  2. 大上司

    大上委員長 これより開会いたします。  これより郵便物運送委託法の一部を改正する法律案及び郵便法の一部を改正する法律案の両案を一括議題とし、質疑に入ります。質疑には通告順によりこれを許します。廣瀬正雄君。
  3. 廣瀬正雄

    廣瀬委員 二、三お尋ねいたしたいと思うのであります。まず郵便法の一部を改正する法律案でありますが、小包料金の引上げの理由として、鉄道の方に行くべかりし荷物が、郵便の方に殺到して参りまして、その結果、あるいは封書、あるいははがき等の本来重要な郵便物輸送が、たいへん遅延するというふうな理由説明されたのであります。そこで小包が殺到いたしまして、第一種、第二種と現在申しております封書はがき輸送がたいへん遅滞するという状況を、数字的に御説明を願いたいと思うのが一つであります。  次に今回の小包料金値上げに関連いたしまして、将来封書あるいははがき等の本来の郵便物料金値上げをすることがあるかないかというお見込みにつきましての御説明を承りたいと思うのでございます。  さらに今回の小包料金値上げは、先刻申しましたような理由がうたわれておるのでありますけれども、私どもの想像では、先般の一月十五日の鉄道料金値上げに関連いたしまして、小包料金値上げをしたということに基きまして、あるいは国鉄あたりから小包運送料金と申しますか、そういうものにつきまして契約値上げをこちらに要求して来るかもしれないと私ども想像されるのであります。そういうことがありましても、郵便料金の再値上げをするような御意思はお持ちでなくてしかるべきだと思つておりますが、あるかないかということを承りたいのであります。  次に郵便物運送委託法の一部を改正する法律案でありますが、私は民間逓送業者郵便物運送委託することにつきましては、郵便は本来国家専掌事業でありますので、最小限度にとどむべきであるという考えを持つておるのであります。これは先般の土井委員の御意見と私はまつたく同様であります。従いましてただいま逓送会社でやつております逓送以外の郵便物の取集めでありますとか、あるいは小包配達でありますとか、そういうような仕事は漸次縮小して行くということでなくてはならないと思つておるのでありますが、しかしながら現在やつておりますことは事実なんであります。ところがそういうような逓送仕事、あるいは取集めの仕事、また配達仕事につきまして、民間業者監督をいかなる方途によつてつておるかという土井氏の先般の御質問に対しまして、簡易郵便局あたりの例を松井郵務局長が引かれまして、小会社といえども公務員同様の監督ができるという答弁をされたのでありますが、その法的根拠を承りたいと思うのであります。  それから今度の改正案によりますれば、誠実に逓送仕事運送仕事を実行いたしました場合には、随意契約によつてさらに更新ができるというようになつておりますが、誠実に実行するというようなことにつきまして、何か具体的に規定等を設けまして、標準を定めるという御意図があるかどうかということを承りたいと思うのであります。さらにまたもし誠実に実行しませんでしたならば、四年間という契約期間中といえども随意契約の破棄ができるかどうか、その辺のことにつきましても承りたいと思うのであります。以上でございます。
  4. 松井一郎

    松井政府委員 それでは私からお答え申し上げます。最初のこの小包郵便値上げ一つ理由といたしまして、鉄道との調整ということをわれわれ御説明申し上げたのでありますが、これは大体先ほど広瀬委員から御指摘のように二つの面があるのであります。一つ小包を郵送する郵送のコストというものが、やはり鉄道運賃並びにそれに伴う陸上運賃一般値上げのために、約一割程度値上げが不可避になるであろうという問題と、もう一点は鉄道小包との間の非常な不均衡が、郵便小包の量を必要以上に増大せしめて、かえつてほかの郵便物取扱いに支障を来すのではないかという二点であることは、広瀬委員のお説の通りであります。しからば具体的に、現在今年の一月以降、小包郵便物料金が従来のままであるにかかわらず、鉄道料金値上げされておる。そこでどんな困つた現象があるかというお尋ねでございますが、これはただいままでのところ、私どもとしては普通小包郵便が二割程度増大しておるのではないかという一つの推定がございまして、必ずしも全国的にすべての郵便局がそのために困つておるというところまではなつておらないと思います。しかしある種の小包郵便物を非常にたくさん引受ける郵便局におきましては、そうした増大の傾向が著しく見えておるということが看取せられるのでございます。と同時に、このままで置いておきますれば、当然従来ならば鉄道に流れていたものが、相当多量郵便にまた来るであろうということも当然予想されておりますので、今につちもさつちも行かないという現象がここにあるかと言われれば、まだそこまでは行つておりませんとお答え申すのが正直な答えであろうと思います。  それから封書その他の問題については、われわれとして現在の情勢においては、情勢が変化しない限りにおいて、これを値上げする意思を持つておりませんと申し上げていいと思います。  それからその次は、鉄道とのいろいろな契約の更改問題についての御指摘がございました。これはわれわれが鉄道初め、一般的に逓送料を払つておるのは、郵便物運送委託法によりまして、正当なる原価というものを換算して、それに基くものを支払うということが建前になつております。従つて鉄道自身コストが上つて来たということがはつきりいたしますならば、当然これは上げなければならぬと思います。しかしこれはただ鉄道料金を上げたということが、イコールに必ずしもなるとは思つておりません。ただ鉄道が今度料金値上げをした根本には、もとよりコスト上つたということがあると考えられるのでありまして、ある程度値上げというものは、将来において考慮しなければならぬと思つております。ただそれがすぐに運賃一割イコール一割というふうには簡単に参らないようになつておると思います。そのための値上げが起きた場合には、それを理由として、一般封書その他の値上げをするかというお尋ねございますが、私どもは大体今日国鉄に払つておりまするのが、約十八億円程度だろうと思います。従つて一割の値上げというものがかりにそのまま実現しても、一億幾らの問題でございますから、われわれの全収入か見て、そのための値上げというようなことは、さしあたり考えられないことであろうと思います。  次は郵便物運送委託法についてでございますが、郵便物運送委託というものは広瀬委員のおつしやつたように、確かにこれを郵便事業経営の基本として、どんどん委託に持つて行くといつたような性質のものではございませんでして、事業経営上やむを得ない場合においては、そういうことをやつてよろしいという精神だろうと私どもも理解しております。従つてわれわれの事業経営上、ある部分においてどうしてもやむを得ないという事態において、その限度において委託ということをやつて行くということは、私どももそういう方針で運用して参りたいと思つております。その監督の問題につきましては、大体郵便物運送委託法には、直接の問題は触れてございません。現存は郵便法罰則規定に、その七十七冬から以下に「郵便物を開く等の罪」「郵便物の取扱をしない等の罰」「信書の秘密を侵す罪」といつたいろいろ特別の処罰規定が掲げられております。これはいずれも「郵便業務に従事する者」というような規定の仕方がしてございまして、これの法律解釈といたしまして、現実に公務員身分を持つておろうと、あるいは運送委託法に基いて契約によつて取扱つておるものであろうと、同一に適用するということに相なつております。従つてこの限度においては身分公務員であろうとなかろうと、郵便物取扱いに関する特別処罰規定の対象になるという点は、同様であるということを申し上げたいと思います。なおそのほかにもちろん私どもといたしましては、この事業経営上必要な調査その他の点については、個々の契約書でもつて必要な資料をとつて行けるということ、また必要な監査をやつて行けるというようなことは、当然約束しなければならぬ点でありまして、現在の契約書にも、確かにその点がうたつてあると思います。  それから今後はたして誠実に委託業者がやつておるかどうかということについて、一体どういうふうにしてこれを見て行くかというような御意見でございます。私どもこの点については非常に心配しておるのであります。私どものところには幸いに八百人ばかりの司法警察権を持つておる郵政監察官というものがおります。これをよく活用いたしまして、また出先の各営業局長といつたような方々の協力を得て、個個の契約契約書規定された通り条件において、誠実にやつておるものかどうかということをはつきりとしたチエツクをとつて行くといつたようなやり方を強化して、実際に誠実にやつておるかどうかということに対する監査を遺憾なからしめたい、さしあたりかように私どもとしては考えておる次第であります。
  5. 廣瀬正雄

    廣瀬委員 ただいま御答弁をいただいたのでありますが、誠実に実行しないという厳然たる事実が契約期間中に起りましても、かつて随意途中でかえることができぬかどうかということにつきましての御答弁を願いたい。
  6. 松井一郎

    松井政府委員 もしも契約書に定めた条項を完全に履行しないということが事実としてありましたならば、何どきにても契約は破棄するということが、両方の契約書の中にうたつてあります。またそうしなければならないと考えております。
  7. 廣瀬正雄

    廣瀬委員 ただいま御答弁いただいたのでありますが、それにつきまして、民間業者郵便物逓送委託するということは、やむを得ない場合はさしつかえないと思いますが、取集めでありますとか、あるいは配達でありますとかいうような仕事は、国家専掌事業であるという立場から申しまして、努めて所掌して行かなければならないというふうに考えておるのであります。このことにつきまして、将来の郵政省の御方針についての御見解お話願いたいと思うのであります。
  8. 松井一郎

    松井政府委員 御指摘通り民間方々に取集めとか、配達とかをしていただくということは、これは郵便事業運営の本旨ではございません。従つてどもはなるべくそういうことは避けたいと思つておりますが、ただ部分的に経営上非常にむだがあるといつたような場合に、例外的にそういうことをすることもやむを得ない、かような考えでございます。どうかそういう意味合いで御了承願いたいと思います。
  9. 大上司

  10. 木原津與志

    木原委員 ただいまの質問に関連した事項から、順次お伺いして参ります。廣瀬委員からも先ほど監督規定の問題について質疑がありましたが、この郵政省民間業者との間の運送委託契約だけでは、十分な監督権の発動はとうてい望まれない。単なる民事上の契約でありまして、契約上の義務だけでは不完全である、かように考えております。従いましてこの郵便の収集、輸送というようなことの重要な事項であることにかんがみまして、少くとも民間郵政逓送業者に対して、郵政省当局は直接行政上の監督ができるような監督措置規定を置く必要があると考えるのでありますが、この点について郵政省の御見解を承りたい、これが第一点でございます。  第二点は、現在民間業者は大体日逓を大部分といたしまして、そのほかにも二、三業者があるようでありますが、この日逓とその他の請負業者との割合は大体どれくらいの率になつているか。私どもが仄聞するところによれば、全国で大体八割以上を日本逓送会社請負をしているということを聞いているのでありますが、そうなりますると、郵便物請負日逓独占事業のような形になつていると考えるのであります、そうすればそこに仕事独占というような意味から、いろいろな弊害が起つて来るのではないかということを私どもはおそれている。これに対して郵政当局はどのような見解を持つておられるか。これが質問の第二点。  さらに請負契約方針の点でありますが、現在委託法によれば、随意契約による競争入札ということが建前になつております。この競争入札によれば、請負単価がおのずから廉価になるであろうということが必然予想される、また単価が安くなる可能性があると考えるのであります。これに対して郵政省が一方的な観点から、かつて契約更新を特定の業者とするということになれば、前に触れましたような独占事業の感のある点から、おのずから請負単価が、競争入札をしないために高くなる、こういうような懸念を持たれるのでありますが、この点についてどのような観点に立つておられるか。以上三点をお尋ねいたします。
  11. 松井一郎

    松井政府委員 御指摘のごとく郵便物運送委託している方々に対しては、私ども非常に大事な仕事委託しておりますので、これに対して十分に職責を果しているかどうかということについては監督をゆるがせにし得ないのであります。ただおつしやる通り、今の契約だけではたいしていいかどうかということについては、確かに一つの疑問もあろうかと思いますが、私ども従来やつて参りました経験によりますれば、現在の契約書でもつて縛つてつて、たいてい必要なことはやつて行けるのではないか。それ以上法律上どうこういうようなことを特に必要とするというところまでは考えておりません。  次の日逓の問題でございますが、今日郵便逓送請負つている方々は、全国で大体六十五くらい業者がございます。しかし日逓の占めている率は大きくございまして、車両の数で申し上げますれば、大体七割五分というのが今日の日逓の占めている実力ではないか、かように考えております。日逓がどうしてそういう大きな率を占めたかということについては、御承知のように日本郵便逓送会社というものは、戦争末期におきまして非常に自動車運送が困難を来した時代に、六大都市の郵便逓送請負つている人々が集まつてつくつた会社であります。それだけにその占めておる率というものは、おのずから大きくなつておるのであります。これに対して特に厳重な監督を必要とするのではないかというお話でございますが、これは私ども日逓に対してはほかの会社以上に重大な関心を持ち続けております。しかしこれについても特に法律的にどういう規定を置かなければ困るというような事態は、今日のところ感じておりません。必要な措置というものは現在の契約書でもつて十分まかなえるのではないかと考えております。  それから随意契約でございますが、随意契約になりますと一般競争入札よりも高くなりはしないかという御心配であつたと思います。確かにこれは私どもの観念として考えてみると、一般競争入札の方が安く、随意の方が高くはならないかということが考えられるのでありますが、しかし実際には随意契約と申しましても、これをただすきな値段でかつて契約ができるというふうなことにはなつておりません。やはりその当時の公正なる値段というものを基準にしてしか、これはできないということでありまして、随意契約だから当然高い値段になるということはありません。また競争入札といいましても、公正な競争入札においてはやはり当時の大体の市価というものをそう離れたものが出るわけではありません。それは中にはダンピング的な考えでやられるようなこともないではありませんが、むしろそういう意味の安い値段というものは、健全な事業経営から申しまして好ましくないのではないか、私どもかように考えております。しかしもちろん随意契約をやつて参ります以上は、私どもは十分にその業者との間の条件を固めまして、随意契約なつたから当然従来よりも非常に予算がふえるというような事態にならないように運営して参りたいと思います。
  12. 赤城宗徳

    赤城委員 ただいまの木原委員の御質疑に関連して、ちよつと確かめておきたいと思います。今度の改正の趣旨はよく理解できるのですが、今のお話のように前に契約しておつた者が誠実に業務を執行しており、その他今までの契約者契約更新して行こうという場合に、これが全部元の契約者契約更新をするということになりますと、新しい業者がそこに入る余地がない。すると今の御質問のように独占的な形に行きはしないか。そこで独禁法にこういう規定があるのです。第二条の第三項ですが、「この法律において私的独占とは、事業者が、単独に、又は他の事業者を結合し、若しくは通謀し、その他いかなる方法を以つてするかを問わず、他の事業者事業活動を排除し、又は支配することにより、公共の利益に反して、一定取引分野における競争を実質的に制限することをいう。」この規定事業者側からの規定でありまして、郵政省側から見たのではありませんけれども、しかしそういう規定もありますし、更新する場合に全然新しい人を入れ得ないということになつた場合に、非常に独占的ものになりはしないか、こういう疑いが持たれるのであります。そういう点について御見解をただしておきたいと思います。
  13. 松井一郎

    松井政府委員 ただいま赤城委員の御指摘通り独禁法精神民間業者方々が不当な団結によつて、その他の公正な競争を押えるという点にあろうと思います。私どもの今度の建前は、向うがやつておれば郵政大臣は継続して認めてやるという権限を持つのであつて、必ずしもその義務を負うわけではありません。その意味独禁法とは正面的、形式的には衝突しないわけでありますが、しかしその運用の結果がただいま赤城委員から御指摘のように、事実上独占的な形態なつた場合には、あるいは弊害が起きて来るかとも思います。しかしその弊害に対しましては、私どもはこの法律運営上いかようなる形においても、これを是正することが現在できると思います。しかし独禁法のおそれていらつしやいますような不正なることが行われるというようなことになれば、これは私どもとしてその弊害を除去して行かなければならぬと思いますが、さしあたりただいまの点については先ほど御説明申し上げましたように、日本郵便逓送会社独占的な事業をやつてつたがゆえの弊害といつたようなものは見られないのであります。もちろん将来そういうような弊害ができて来ますれば、これを是正しなければならぬと思つております。
  14. 赤城宗徳

    赤城委員 ただいまのことはぜひそういうふうに御注意を願いたいと思います。ところでこの改正案によりますと、全部が更新する場合が一つありますが、全部が更新しないで一部が更新される。そうするとそのあとはどういうふうな方法によつてやるのか。この運送委託法原則従つて公開入札ということになるのか、あるいは第四条の例外である随意契約ということによつてやるのか、その辺も一応伺つておきたいと思います。
  15. 松井一郎

    松井政府委員 もしも更新をしない場合においては、一般原則に基いて処理されるわけであります。と申しますのは、一般原則は御承知のようにまず公開入札ということであります。ただ自動車のことにつきましては道路運送法というものができまして、運賃というものをある一定の定額をもつてきめようということが、別の法律でできたわけであります。従つてその限度においてはこれはまた随意契約でもやり得るということになりますが、飛行機とか船とかいつたものについては必ずしもそういうものがありませんから、その場合においてはやはり一般公開入札になる、こういう形になるわけであります。
  16. 赤城宗徳

    赤城委員 ところでこの第七条でありますが、第七条は契約期間ということが本文であります。改正案によりますとその本文についてこの期間更新するということになつておりますが、更新ということを期間ということだけに限つておるのか、あるいはまた契約内容にまでわたつてこれを更新するということをも含んでおるのか、その点もひとつお聞かせ願いたいと思います。
  17. 松井一郎

    松井政府委員 法文の建前契約期間更新となつておりますが、期間更新の際には必要があれば、全部または一部の契約更新をも含めたいと考えております。
  18. 赤城宗徳

    赤城委員 そういうことになりますと、この運送委託法原則競争入札例外随意契約であるということになると、例外規定が第四条になつておるのでありまして、第七条はちよつと例外規定を離れて期間更新と、期間ということだけの規定になるのでありますが、そういう点からいつてこれを期間更新の中に、契約内容の一部まで更改する場合も含んでおるということになるならば、例外規定の第四条に含まれる方がしかるべきであるというふうに考えるのですが、これを期間が来た場合に、今までの誠実にやつて来ておつた契約者と、新たに随意契約を結ぶという建前にした方がいいか、これを期間更新ということでやつて行つた方がいいのか、政府案によりますると、期間更新の中に契約の一部も更改する場合を含めて、すなわちそういうふうなやり方で提案されておりますが、それとまた別に、期間が来た場合に随意契約によつて新たにその人と契約するという建前の方がいいのか。政府案によりますれば、前者を選んだのでありますが、その前者を選びました事由等につきましてお話願いたいと思います。
  19. 松井一郎

    松井政府委員 確かに御指摘のように、期間が満了した場合に、そのものについて随意契約をやつても、結果的には同じような事態を救い得るのではないかということは考えられます。しかし随意契約であるから、当然まじめにやつていた従来の業者にやらせなければならぬという法律根拠は必ずしもない。そこで従業員がまじめにやつておれば、引続いてやつてもらえるのだという一つの大きな精神的と申しますか、そういう信頼性を表に出して行つた方が、この事業運営形態としては適切ではないかというようなことを考えました点が第一点でございます。  第二点は、法律立法技術といたしまして、契約期間が満了したものを全部随意契約にするということは、あまりにも随意契約という言葉の範囲を広げ過ぎはしないかという、立法技術的な点をも勘案いたしまして、ただいまのような法案におちついたのでございます。
  20. 赤城宗徳

    赤城委員 もう一つちよつとお尋ねしたいのですが、改正案でない方の第四条に「郵政大臣は、左に掲げる場合に限り、随意契約により郵便物運送等委託することができる。」その次に、「この場合においては、会計法第二十九条但書規定にかかわらず、大蔵大臣に協議することを要しない。」と書いてあるのですが、会計法の第二十九条を見ますと、大蔵大臣と協議するというふうなことは、前の会計法規定にはあつたようですが、改正されて、大蔵大臣と協議するということは削除されております。削除されてあるにかかわらず、まだ第四条に「第二十九条但書規定にかかわらず、大蔵大臣に協議することを要しない。」というふうによけいな条文がそのまま残つておるのですが、これをそのまま残しておく理由は何かあるでしようか。
  21. 松井一郎

    松井政府委員 確かに昔この法律を立法した当時は、会計法に必ず大蔵大臣と協議しろということがあつたわけでありまして、その後会計法改正になつて法律の表面からはそういうものがなくなつたようでありますが、会計令の方に、随意契約のときに大蔵大臣に協議を要するということがやはり残つておるようであります。それは二十九条に「その他政令で定める場合においては、」と書いてあります。元の文は「大蔵大臣に協議して、」とあつたのですが、これを削つてしまつて、やはり政令の中に実際の手続として大蔵大臣と協議するような形が残つておる。そこでかつこうとしては、こういう形でもつて残しておいた方がいいのではないかということであります。
  22. 赤城宗徳

    赤城委員 大蔵省の政令か何かに残つておるということでありますが、二十九条但書にはそういうことはないのであります。ことさらに大蔵大臣に協議するということで、大蔵大臣の権限をそれとなく認めるというような、裏打ちをするような条項を残しておいた方がいいのか、あるいは会計法でなくなつておるならば、そういう条項はもう削つてしまつた方がいいのではないかという気もするのですが、もう一度御見解を伺いたい。
  23. 松井一郎

    松井政府委員 私どものこの契約規定というものは、一般会計法との間において一種の特別法というような形になつておるわけでありますが、これは一応の形としては、元の第二十九条において「大蔵大臣に協議して、」ということがはつきりとあつたから、どうしてもこういうことがないと、その間疑問が起きるというので、かような形にしたわけであります。その後会計法改正になつて、「大蔵大臣に協議して、」ということは一応会計法の表面から削つてつたわけでありますが、しかし「その他政令で定める」の「政令」とは、それに基く予算、決算及び会計令というものがありまして、この中にやはり随意契約をやるときには大蔵大臣に協議しろということが事実上残されておる。そういう今の状態におきまして、法律建前としては、法律にあつたものが、令として会計令に譲られておりますが、内容的にそう大してかわつておらない。そこでやはりはつきりとさすためには、一応ここで打出しておいた方がいいのではないかという考えであります。
  24. 赤城宗徳

    赤城委員 今のお考えとは少し私は反対の考えで、法律が政令に拘束されねばならぬという考え方にはちよつと賛成しかねるのでありますが、なお研究していただきたいと思うのであります。
  25. 松井一郎

    松井政府委員 実は政令と申しましても、独立の政令ではございませんで、法律の委任に基く政令でございますから、それはやはり二十九条と同じ法律上の根拠を持つておる、かように解釈せざるを得ないと思います。
  26. 赤城宗徳

    赤城委員 二十九条の本文にないのに「二十九条但書規定にかかわらず、」というのは、ちよつとおかしいと思いますので、なお研究していただきたいと思います。  そこで今度は郵政一般のことについて少しお尋ねしたいと思います。この間飯塚委員からも御意見があつたようですし、また昨年の暮れに郵政大臣も特に、特定郵便局全国で千二百ほど足らぬ、これについては大いに努力して郵便局を設置することにしたい、こういうことを本委員会においても強調されたのであります。それについてこの間飯塚委員からも御質疑があつて、この郵便局をふやすように努力してもらいたいということでありましたが、今度の予算において、こまかいことがわれわれ予算書からはうかがい得ないのですが、大体どれくらい特定郵便局を新設できるという予定でありますか、お伺いしておきたいと思います。
  27. 松井一郎

    松井政府委員 特定郵便局の新設というものは、特に予算上の項目としてあげてあるわけではございませんで、これは一般的に郵便事業の改善、運営に要する費用という中でやりくりしておるわけでありますが、御承知のごとく特定郵便局というものは昔、三等郵便局といつた時代には、一つ請負、制度でございまして、ある一定請負料を出せば簡単にできたわけでありますが、今は特定郵便局の職員は、全部国家公務員ということで一律に処理されております。従つて現在の定員法のあるわく内においてしか使い得ないという形になつております。御承知のように二十三年を底としまして、毎年郵便の数は一割ないし一割五分ずつふえて参つております。定員の方は諸般のたびたびの行政整理の結果、むしろ逆に減少しているような状態でありまして、事業運営としてはそこに非常に苦しい面がある。そこでそのうちから特定郵便局の増設のための定員を持ち出すのは非常に苦しゆうございますが、しかし昨年もその苦しい中から全部で約三十局の新設をやつたのであります。本年もまだ予算がきまつておりませんので、最終的な数字をここで申し上げる段階には至つておりませんが、昨年よりも少くない、一局でも多い数字でもつて特定局の新設をやつて行きたい、かように考えております。
  28. 赤城宗徳

    赤城委員 大体この間の特定局の質問に対してのお答えにもありましたが、予算と定員に制約されている。予算書を見ますと、予算の方はあるようにもわれわれ見受けられます。定員の方が増しておらぬような刑で、予算の方が増しておつても定員の方で制約されるという方が非常に大きく響くと思うのですが、それに対しまして、努力してそれまでにしたのではありましようけれども、どうもわれわれから見ると定員の点で不満なのであります。定員が少い、その少い定員で増設しようという場合に、この定員をどういうふうにせられるのか、ふやすのだふやすのだといつても、定員が制約されておる、その点についての方針も承つておきたいと思います。
  29. 松井一郎

    松井政府委員 おつしやるように現在特に特定郵便局の増設に充てる定員というものは、どこにも持つておりません。ただこれだけの大きな事業経営しておりますと、従来人を使つて郵便物を運んでおつたところにバスが通ずるようになつて、人がいらなくなつたといつたような変化が全国的に始終起きて来るわけであります。そういうところのいらなくなつたものを引揚げて保留いたしまして、そういうものがある程度固まつたときに、そういう新しい施設に持つて行きたい、あるいはまた特殊な事情によつて非常に郵便物がふえておつた郵便局が、その需要が減つて減員しなければならぬといつたような減員を充てるとか、運営の面においてはそういうところから、やはり二十何万の定員を擁する事業をやつておりますと、ある程度人員というものは出て来るわけであります。そういうものをもつて充てておるというのが実情でございます。
  30. 赤城宗徳

    赤城委員 郵便事務は非常に機械化することが困難で、人を使うことか非常に多いのであります。そういうところにつきましても、どうも郵政省の定員の問題につきまして努力が足らぬような気持がいたすのであります。これは希望として述べておきます。  それからもう一つ伺いたいのは、すでにできておる特定郵便でありますが、これは御承知通りたいてい元の三等郵便局時代から局舎等は寄付といいますか、自分で提供いたしまして郵政省に貸しておるという形でありますが、これは貸しておるとはいいながら永久に売つたと同じで、月賦で払つてもらうというような形と同じで、これは自分のものとしてあとで使うということはなかなか困難な建物であります。局として提供してありますから、それを改造したり、自分のものとして使うことができないとすれば、売つたと同じようなものであります。その家賃なのでありますが、一般家賃等は五割方増額しておるとか何とかいつてつておるが、予算で見まするとこういう方面に措置をしておらぬように見受けられるのでありますが、特定郵便局などは、郵政省から見れば特定郵便局の犠牲において相当やつておるということにも見られるのであります。そういう方面に対して家賃とかその他について、予算措置をどうもあまりしておらぬように考えるのでありますが、その点について御説明をお願いしたい。
  31. 松井一郎

    松井政府委員 御指摘のように特定郵便局の局舎というのは、昔はほとんど無償で提供されておつたのであります。その後無償ということは思わしくないというので、ある一定の局舎料といつたごく名目上のものが出た時代がありました。終戦後になりまして、やはりこれはできるだけ正当な値段を払うべきでないかというような考え方、そのかわりに正式に国が借家人としての地位を持とうというふうに変化いたしまして、当時の地代家賃統制令のわく内において、りくつのつく限度において家賃をきめたのであります。私実はその点について直接の当事者でないので、はつきりと申し上げられないのでありますが、本年度においてもやはりその統制令の精神を尊重されて行つておるだろうと思います。ただ予算上その関係がどういうような関係になつておるのか、ちよつとここで御答弁申し上げかねますので、後ほど調べた上でお答えをいたします。
  32. 赤城宗徳

    赤城委員 また後ほど別な機会に質疑することにいたします。
  33. 飯塚定輔

    ○飯塚委員 航空郵便についてちよつとお尋ねしたいと思います。航空郵便の制度はこの前の国会で制定せられたと思いますが、その後航空機を利用した航空郵便が、実際においてどの程度つたかということを伺いたい。
  34. 松井一郎

    松井政府委員 航空郵便は一昨年の暮れから始めたのでありますが、最近までの間において、ことに昨年の十二月までは日航の方が非常に機数が少い、また外国会社とのチヤーターの関係もありまして、飛行機のスケジユールが非常に不安定であつて、その結果航空の郵便物というものは遅々としてふえておりません。昨年の一月から十二月までの合計を申し上げますと、通常で引受物数は大体五十六万七千通という数字が出ております。しかしことしの一月以後は、スケジユールも大体完全になつて参りましたので、最近はだんだんと航空郵便も増加の傾向にあります。
  35. 飯塚定輔

    ○飯塚委員 実は前の航空郵便制定のときの委員会においては、航空郵便は航空郵便料金を納めるのであつて、これは速達とはならない、そういう御答弁でありました。またそのときにおいては、最もスピーデイな機関を利用する航空郵便を、何ゆえに速達に切りかえないか、速達としてほしいという声が大分強かつたのでありますけれども、その当時はこれを別途に取扱いまして、航空郵便は航空郵便とし、さらに速達料金を出して速達をやるというお話でありましたが、今回これを改めて、航空郵便を利用する速達にせられたいということは、利用者としてこれはたいへん喜ばしいことだと思います。しかし航空機は重量に対して最も鋭敏な神経を持つておる機関でありまして、その委託する料金について、当局から航空会社に支払う料金は、同じ速達であつて鉄道を利用する場合の料金、その料金と同一であるか、あるいは特殊な料金を払つておるか、その点について……。
  36. 松井一郎

    松井政府委員 御指摘のように航空料金というものは、一般の自動車とかバスとかに比べて非常に料金が高くなつております。この料金をばどうきめるかということについては、いろいろな見方がございます。また考え方もあります。しかし今日の一般的に通用している考え方は、郵便物というものの重量というものと、一般貨物とか人間の重量というものを考えてみた場合に、郵便物に課する料金は、その負担能力においてもはるかに高くていいのではないかということが一般常識になつておりますので、国際間における標準の航空料金の支払いの場合におきましても、普通の人間の重さの場合に比べて換算しますと、その四倍なり五倍なりというようなものが定められております。しかし一般傾向といたしまして、航空機のコストというものは、毎年逐次下りつつあります。従つてこの数字も将来にはどんどんと下つて行くのではないか、そうして遠い将来においては、郵便物を運ぼうと、荷物を運ぼうと、人間を運ぼうと、一キログラム幾らという同じ原価に帰せられるのではないかということが、われわれとして考えられるのでありますが、さしあたりはやはり郵便物というものには、普通の貨物、人間の重量に比べて、より高い率が乗ぜられておるということは、これは今日の現段階においては、まだやむを得ない点ではなかろうかと思つております。
  37. 飯塚定輔

    ○飯塚委員 ただいまの御答弁ごもつともなことと存じますけれども、今度の航空郵便を廃止して、速達に統合する。その統合した場合に、速達として最も便利な方法をとるためには、あるいは鉄道を利用し、あるいは航空機を利用する、これは当局のお考えによるのでありましようけれども、そうなつた場合に、将来鉄道と航空とは同一の料金になれるではないかというただいまのお話、しかしここしばらくの間は相当その距離があると思います。さらに先ほどのお話の中に、航空委託の方も漸次増加の趨勢にあるということを考え合せてみますと、航空料金というものをとらずして、一般の速達料金でこれを処理する場合、郵政省としても、料金収入の面において、たいへんとまで行かなくても、齟齬を来すようなことがありはしないか、この点についてお伺いしておきたい。
  38. 松井一郎

    松井政府委員 郵政省が航空をどういう形において利用するかということを考えました場合に、われわれとして最も理想的な形態は、一切の附加料金をとらずして、郵便物の早く着く場合においては、無条件で航空機に積むということが将来のわれわれの理想であると思います。ヨーロツパの国には現在すでに若干そういう政策をとつておる国もあります。しかし郵便物逓送料金というものが、汽車その他に比べて非常に高い関係上、今日の日本の段階においてはまだまだそういうことはできない。そうすると結局郵便物の中で最も速達の必要の痛感せられるような一種、二種という通信物、こういうものでもせめて救つて行きたい。しかしこれも普通の五円の料金そのままでいただいたのでは、郵政省としてはまだ今日の段階では足が出るような状況で、そこまではやり得ない。そうすれば一種、二種の中でも、特に利用者の方々が早く送りたいという意思の現われている速達郵便だけでもせめて送りたいというのが、今日われわれの考えておる現状であります。しからば昨年一年間における航空郵便料というものは幾ら郵政省がいただいたかといいますと、それは金額に直しまして約二千万円であります。従つてこの二千万円の収入というものは、今回の改正において郵政省としては明らかに入つて来ないものであります。しかし私どもはそういうふうにサービスをよくすれば、必ず速達郵便というものがふえて来るであろうという見通しを持つておりまして、その増加によつてこの程度のものは補い得るのではないか、ただいまかように考えておる次第であります。
  39. 飯塚定輔

    ○飯塚委員 大体わかりましたが、最後に郵便法の六十条の速達区域の問題でありますが、現在までは四キロを一定の区域としておりましたが、今度はこれを廃止して、あらため郵政大臣の定める地域としてありますけれども、これは大都市かあるいは山間部によつて非常に違うことと思いますが、大都市においては、たとえば四キロを越えても速達の範囲とするのか、あるいは山間部においては、四キロに満たない距離であつても速達をしないということになるのか、たとえば四キロ以内だとすれば、山間でも非常に手数はかかるけれども、利用者の方から見ると非常に便利である。大都市においてはこれは別段論ずるところではありませんけれども、山間部その他において不便を来すような区域を定められるおそれがないかどうか、この点をお伺いしたい。
  40. 松井一郎

    松井政府委員 大都市におきましては、ほとんど四キロの問題は関係なく、現在市内においては全部速達区域になつております。問題が起るのはやはり地方の町村であろうと思います。私どもはこの四キロを今非常に不当に減らそうというような意図は持つておりません。やはりサービスはできるだけ延ばしたい。ところがこの四キロというのが法律にある関係上、ずつといなかの方で、部落が続いておる変な所で、ぴたつと切らなければならぬというふうな不合理が起きます。それから最近御承知のように、市町村などが盛んに合併をやります。合併をやると、やはりできるだけ郵便局を統合してもらいたいというので、従来二つの郵便局でわけていたのを一箇所にしたいというような問題が起きて参りますと、どうしても郵便局の位置が動く。そうすると、従来は速達区域であつたのが、今度は速達区域にはならなくなるといつたようなことが起きて参ります。これはわれわれとしては、定員を持つておる範囲内においては、やはりサービスをできるだけよくしたいというのが本旨でありまして、どうしてもそこは必要な一定の地帯だということが考えられれば、四キロを少しくらい出ても、やはりサービスは拡張して行く方針の方が正しいのではないか、かような立案でございます。
  41. 飯塚定輔

    ○飯塚委員 特にその点を御考慮願いまして、私の質疑を終りたいと思います。
  42. 木原津與志

    木原委員 先ほどお尋ねいたしましたが、それに関連しましてもう一回お尋ねいたします。この日本郵便逓送会社請負が、他のものに比較して、その率が約七割五分は日逓請負つておるという御答弁がありました。そこでこの日逓独占の問題になるの思うのであります。先ほども赤城委員からお話がありましたように、日逓が日本全国郵便逓送の七割五分を占めているという現実から見ますれば、この日逓に対して随意契約によつて委託を継続するというようなことになりますれば、これは明かに私的独占禁止法に触れる、かように考えます。同時に先ほど郵務局長からもお話がありましたが、これを競争入札によつてやれば請負単価が安くなる可能性もある場合に、独禁法精神にももとり、しかも高単価請負をされるおそれがあるというような事態の中から、何ゆえ郵政省が今回このような随意契約による郵便物委託規定改正されるのか、われわれにはその意寄れるところがわからない。独禁法の問題と、それから単価の問題について、郵政省の本案改正の趣旨をいま一回詳しく御答弁願いたい。
  43. 松井一郎

    松井政府委員 日逓が現在非常に大きな部分を占めているという点については、先ほど私が申し上げましたほかに、もう一つこういう事実をお考え願いたいと思います。四年前にこの法律ができて競争入札を始めた際、当時は御承知のように非常に一般トラツク界の景気がいい時代でありまして、トラツクが一つあれば食うに困らぬといつたような時代、従つて価格統制令における最高価格というものが当時きめられておつたのでありますが、最高価格が事実上は最低価格になつてつたことは御承知だろうと思います。その当時われわれの方は、いろいろな予算関係もありまして、それに比べればずつと渋い単価でもつて、これを運営して行きたいというような情勢であつた関係上、当時ただ利益のみを目的とするような業者はほとんどついて来なかつた。そこで長い間郵便逓送というものを目的としてやつておるような会社が、これを請けていただいたというような関係が、たしか今日七五%を占めるに至つた大きな原因だろうと思います。これが私的独占に触れるのではないかという点については、先ほど赤城委員からのお話にもありました通り、私どもはこれが私的独占禁止の法律とは何ら関係のないものである、かように考えております。ただこれが結果的に独占なつた場合に、万一独占の弊が出て来れば、やはり私的独占禁止法ができたと同じような意味合いにおいて、政府側としては、その必要な矯正措置はとつて行かなければならぬと考えております。それから随意契約一般競争入札契約でございますが、この点は先ほど私が申し上げましたように、形としては一般競争入札が安いのではないかということは言い得るのでございますが、随意契約におきましても、必ずしもどんな値段でもできるわけではなくして、その当時の正しい値段というものの各般の資料をとりまして、それが基準でなければ随意契約をやれない建前になつております。それともう一つは、今日道路運送法ができまして、すべてのトラツクによる運送は適正なる原価による定額でもつてきめて行こう、つまりそれ以上の値段をとるのもいけないし、それ以下の安い値段で争うのもいけないというのが、今日の道路運送法建前になつております。その適正な定額というもののうちに、かりにある種のマージンをつけたといたしましても、それは微々たるものでありましよう。そうなつて参りますと、かりに一般競争入札というような形をとるにいたしましても、あるいは出ないかもしれませんが、万一出るとしてもごくわずかな価格の差しか現われないような建前になつております。従つて御心配になるように、随意契約にするとそのために非常に値段が高くなるのではないかというような心配は、ただいまのところないと思います。
  44. 赤城宗徳

    赤城委員 関連質問……。ただいまの木原委員お話のように、第七条の契約期間の中にこういう更新但書を入れるというのは、どうも独禁法には触れませんけれども、何か前の契約者といつまでも継続して運送委託するということになる、そういう疑いというか、感じを持たせるのではないかという気がするのです。郵務局長説明のように、こういう規定を設けておけば、業者の方でまた続けてやつてもらえるのだという期待が持てるというところに、この第七条の但書を入れたねらいがあるというふうに承わり、また承知しておるのですが、この法律建前からいうと競争入札原則だ、随意契約例外だということになれば、私は第四条の中にこの第七条の但書のようなものを入れて、すなわち「郵便大臣において、郵便物運送等委託を受けた者がその業務を誠実に執行し、且つ、その者に当該業務を継続して行わせることが郵便事業の円滑な運営のため有利であると認める」ということが第四条の中に入るとすれば、一般競争入札例外としての随意契約だ、そうしてその期間が来た場合には、またあらためて随意契約でその元の人にやらせる道が開けて来る、こう考えるのです。先ほどの御説明のように第七条の契約期間の中へ更新として取上げると、どうも独占的なにおいを一般に思わせるような気がするのですが、もう一度その辺のところを説明していただきたい。
  45. 松井一郎

    松井政府委員 確かに赤城委員の御指摘のように、二つの行き方であると思います。私どももその点についてはいろいろ検討したわけであります。この郵便物運送委託法会計法例外規定として、むしろ会計法より随意契約の範囲内を極力少くしておる、つまり会計法よりきゆうくつにしておるというのが、この法律一つ建前になつております。そこで今おつしやつたような場合にまで随意契約を広げますと、これは実は会計法随意契約よりも、その範囲内においては相当広くなるのではないか、そうするとこの法律会計法との間のバランスがどうもうまくつかないというようなことで、私どもとしてはさしあたり、われわれが考えておるほんとうにまじめにやつた業者というものに、何らか認めてやりたいということで実現するならば、契約期間のところでも十分目的が達し得るのではないかというような考え方で、第七条にこれを置いたわけであります。
  46. 赤城宗徳

    赤城委員 もう一つお尋ねしたい点でありますが、この郵便物運送委託法は、聞くところによりますと当時アメリカの立法といいますか、大体向うの考え方をそのまま移してつくつたということであります。ところでその第七条の契約期間更新というような条文は、外国の立法例、特にアメリカなどにこういう立法例があるのかどうか、これを一応確かめておきたいと思います。
  47. 松井一郎

    松井政府委員 私どもはあまりほかの国の資料は持たないのでありますが、この法律の体系は大体当時占領軍の指導によつてできたわけであります。アメリカ自身におきましても、やはり郵便物逓送のためには、相当広汎に民間請負業者を使つておりまして、その請負業者との間の契約を規律する立法がなされております。その立法の中では、やはり一応四年ということが基準になつておりまして、これはおそらく自動車というものの減価償却をやつて行くには、まあそれぐらいはなくてはならぬということだろうと思います。そのほかになおもしも相手方がほんとうに誠実にやつておるという事実があれば、さらにその契約更新できるといつたような規定は、向うの立法例にはございます。ところがこちらへ来てこちらを指導した人は、この点だけを落して指導なされたというような、率直に申してそういう実情であります。
  48. 赤城宗徳

    赤城委員 向うにはすでに今度の改正案のようなものは入つてつた、しかしこつちを指導するときには、その改正案のような条項を除いたことに対して、どういう御判断といいますか、お考えを持つておられるか、一応聞いておきたいと思います。
  49. 松井一郎

    松井政府委員 向うの人の真意が那辺にあつたかということは、私どもとしてもこれははつきりと申し上げる性質のものではないかと思いますが、まあ私の臆測という程度でさしつかえなければ、当時は何でも一応御破算にして、全部自由競争という建前によつて、日本の社会を一新したいという一つの強い流れがあつたろうと思います。従つて、前からのいろいろなそういう誠実にやつていたことを認めるとか、専任を置くとかいうようなことは、社会が一応おちついてからやるべきであつて、この際占領当時のやり方としては、そういうものは考慮に入れるべきではないという考え方から、ことさらに落されたものではないかと私ども考えております。アメリカ自身においても、正常な運用の仕方としては、やはりそういう行き方は行き過ぎであるということは、アメリカ自身の立法が示しております。あえてそういうところを削つた点については、そういうことではないかと私は臆測しております。
  50. 赤城宗徳

    赤城委員 本日の質問は一応これでやめておきます。
  51. 大上司

    大上委員長 そこで最後に委員長から政府当局に一つ、二つ希望を申し上げておきます。昭和二十六年度の会計検査院の報告書を読みますと、郵政事業特別会計において、昭和二十六年度の欠損が二十二億五千八百余万円になつておる。ところがこれを財政法なりあるいは会計法等から見まして、会計検査院がさらに財務諸表等について綿査してみますると、欠損金は二十九億七千七百万円だ、こう言つております。そうなると、その差額約七億一千万余りは郵政省の財務諸表のつくり方が間違つておる。この間違つた点は、たとえば未収納金の計上を漏らしておるものもあり、あるいは固定資産の計上を漏らしておるものもあり、逆に固定資産を過大に評価したものもあり、いろいろあるのです。そこでお願いといいますが、きようは郵政大臣は出て来られないということを、委員長のところまで届け出ておりますから了承いたしますが、大臣が明日おいでになつた際に、われわれ本委員会に対して、さきの二十八年度の予算編成時における大体の収支バランス等の見込みがあるはずでありますから、今年度はどれだけの赤字を見ておられるか、どういうふうな勘定科目で赤字が出るのか、これを資料をもつてお願いしたい。従つてこれの説明は明日大臣から伺うことにしたいと思います。  本日はこの程度にとどめ、散会いたします。次会は公報をもつてお知らせいたします。     午後零時三十四分散会