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1953-03-12 第15回国会 衆議院 本会議 第39号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年三月十二日(木曜日)  議事日程 第三十八号     午後一時開議  第一 海事代理士法の一部を改正する法律案内閣提出)  第二 木船保険法案内閣提出)  第三 武器等製造法案内閣提出)  第四 健康保険法の一部を改正する法律案内閣提出)  第五 厚生年金保険法の一部を改正する法律案内閣提出)  第六 船員保険法の一部を改正する法律案内閣提出)  第七 国民健康保険再建整備資金貸付法の一部を改正する法律案内閣提出)  第八 消費生活協同組合資金貸付に関する法律案内閣提出参議院送付)  第九 医師国家試験予備試験受験資格特例に関する法律の一部を改正する法律案参議院提出)  第十 放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会承認を求めるの件  第十一 青少年問題協議会設置法案内閣提出)  第十二 厚生省設置法の一部を改正する法律案内閣提出)  第十三 大蔵省設置法の一部を改正する法律案内閣提出)  第十四 厚生省設置法の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案佐藤洋之助君外二十四名提出)  第十五 飼料品質改善に関する法律案中馬辰猪君外二十四名提出)  第十六 農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案内閣提出)  第十七 主要農作物種子法の一部を改正する法律案中馬辰猪君外二十四名提出)  第十八 日雇労働者健康保険法案内閣提出)  第十九 日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案内閣提出)  第二十 米国日援助物資等処理特別会計法を廃止する法律案内閣提出)  第二十一 設備輸出為替損失補償法の一部を改正する法律案内閣提出)  第二十二 外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案内閣提出)  第二十三 造幣局特別会計法の一部を改正する法律案内閣提出)  第二十四 国有財産法第十三条の規定に基き、国会議決を求めるの件  第二十五 国土調査法の一部を改正する法律案内閣提出)  第二十六 有線電気通信法案内閣提出)  第二十七 公衆電気通信法案内閣提出)  第二十八 有線電気通信法及び公衆電気通信法施行法案内閣提出)  第二十九 以西機船底びき網漁業及び遠洋かつおまぐろ漁業許可等についての漁業法臨時特例に関する法律案内閣提出)  第三十 日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊行為による特別損失補償に関する法律案内閣提出)  第三十一 郵便法の一部を改正する法律案内閣提出)  第三十二 電気事業及び石炭鉱業における争議行為方法の規制に関する法律案内閣提出)  第三十三 国民金融公庫法の一部を改正する法律案内閣提出)  第三十四 木船保険特別会計法案内閣提出)  第三十五 昭和二十一年度における一般会計帝国鉄道会計及び通信事業特別会計借入金償還期限延期に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出)  第三十六 昭和二十八年度における特定道路整備事業特別会計歳出財源特例に関する法律案内閣提出)  第三十七 一般会計歳出財源に充てるための緊要物資輸入基金からする一般会計べの繰入金に関する法律案内閣提出)  第三十八 昭和二十八年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入の特例に関する法律案内閣提出)  第三十九 鉄道債券及び電信電話債券等に対する政府元利払保証に関する法律案内閣提出)  第四十 地方公共団体負担金納付特例に関する法律案内閣提出)  第四十一 旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法の一部を改正する法律案内閣提出)  第四十二 旧外貨債処理法による借換済外貨債証券の一部の有効化等に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出参議院送付)  第四十三 地方鉄道軌道整備法案關谷勝利君外三十一名提出)  第四十四 少年法の一部を改正する法律案内閣提出)  第四十五 少年院法の一部を改正する法律案内閣提出)  第四十六 下級裁判所設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出参議院送付)  第四十七 職業安定組織構成に関する条約(第八十八号)の批准について承認を求めるの件  第四十八 工業及び商業における労働監督に関する条約(第八十一号)の批准について承認を求めるの件  第四十九 団結権及び団体交渉権についての原則適用に関する条約(第九十八号)の批准について承認を求めるの件  第五十在外公館名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案内閣提出)     ――――――――――――― ●本日の会議に付した事件  建設委員長補欠選挙  日程第一 海事代理士法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第二 木船保険法案内閣提出)  日程第四 健康保険法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第五 厚生年金保険法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第六 船員保険法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第七 国民健康保険再建整備資金貸付法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第八 消費生活協同組合資金貸付に関する法律案内閣提出参議院送付)  日程第九 医師国家試験予備試験受験資格特例に関する法律の一部を改正する法律案議院提出)  麻薬取締法案内閣提出参議院送付)  大麻取締法の一部を改正する法律案内閣提出参議院送付)  日程第十 放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会承認を求めるの件  日程第十一 青少年問題協議会設置法案内閣提出)  日程第十二 厚生省設置法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第十三 大蔵省設置法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第十四 厚生省設置法の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案佐藤洋之助君外二十四名提出)  日程第十五 飼料品質改善に関する法律案中馬辰猪君外二十四名提出)  日程第十六 農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第十七 主要農作物種子法の一部を改正する法律案中馬辰猪君外二十四名提出)  日程第十九 日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第二十 米国日援助物資等処理特別会計法を廃止する法律案内閣提出)  日程第二十一 設備輸出為替損失補償法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第二十二 外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第二十三 造幣局特別会計法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第二十四 国有財産法第十二条の規定に基き、国会議決を求めるの件  日程第二十五 国土調査法の一部改正する法律案内閣提出)  緒方国務大臣及び戸塚労働大臣綱紀粛正に関する緊急質問山下榮二提出)  対日援助費に関する岡崎外務大臣の発言に関する緊急質問(稻村順三君提出)  日程第二十九 以西機船底びき網漁業及び遠洋かつおまぐろ漁業許可等についての漁業法臨時特例に関する法律案内閣提出)  日程第三十 日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊行為による特別損失補償に関する法律案内閣提出)  日程第三十一 郵便法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第三十三 国民金融公庫法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第三十四 木船保険特別会計法案内閣提出)  日程第三十五 昭和二十一年度における一般会計帝国鉄道会計及び通信事業特別会計借入金償還期限延期に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第三十六 昭和二十八年度における特定道路整備事業特別会計歳出財源特例に関する法律案内閣提出)  日程第三十七 一般会計歳出財源に充てるための緊要物資輸入基金からする一般会計への繰入金に関する法律案内閣提出)  日程第三十八 昭和二十八年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入の特例に関する法律案内閣提出)  日程第三十九 鉄道債券及び電信電話債券等に対する政府元利払保証に関する法律案内閣提出)  日程第四十 地方公共団体負担金納付特例に関する法律案内閣提出)  日程第四十一 旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第四十二 旧外貨債処理法による借換済外貨債証券の一部の有効化等に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出参議院送付)  日程第四十三 地方鉄道軌道整備法案關谷勝利君外三十一名提出)  日程第四十四 少年法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第四十五 少年院法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第四十六 下級裁判所設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出参議院送付)  日程第四十七 職業安定組織構成に関する条約(第八十八号)の批准について承認を求めるの件  日程第四十八 工業及び商業における労働監督に関する条約(第八十一号)の批准について承認を求めるの件  日程第四十九 団結権及び団体交渉権についての原則適用に関する条約(第九十八号)の批准について承認を求めるの件  日程第五十 在外公館名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第三 武器等製造法案内閣提出)  日程第十八 日雇労働者健康保険法案内閣提出)     午後一時五十五分開議
  2. 大野伴睦

    ○職長(大野伴睦君) これより会議を開きます。      ――――◇―――――
  3. 大野伴睦

    議長大野伴睦君) 建設委員長補欠選挙を行います。     ―――――――――――――
  4. 山崎岩男

    山崎岩男君 建設委員長選挙は、その手続を省略し、議長において指名せられんことを望みます。
  5. 大野伴睦

    議長大野伴睦君) 山崎君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 大野伴睦

    議長大野伴睦君) 御異議なしと認めます。議長建設委員長西村英一君を指名いたします。(拍手)      ――――◇―――――
  7. 大野伴睦

    議長大野伴睦君) 日程第一、海事代理士法の一部を改正する法律案日程第二、木船保険法案、右両案を一括して議題といたします。委員長報告を求めます。運輸委員長逢澤寛君。     〔逢澤寛登壇
  8. 逢澤寛

    逢澤寛君 ただいま議題となりました海事代理士法の一部を改正する法律案及び木船保険法案について、運輸委員会における審査経過並びに結果を報告いたします。  まず、海事代理士法改正から申し上げます。  第一点は、現行法によりますと、対価を得ないで行う代願行為は同法の適用を受けないことになつておりまするが、現実問題として対価を得ているかいないかの判定が困難の場合があります。対価を得ないと称して法の適用を免れようとする者も生じます。これらの者を放置いたしますれば、私法上の権利関係及び船舶の安全航行等に悪影響を及ぼすおそれがありますので、対価を縛るといなとにかかわらず、法の適用を受けしむるように改めようとするものであります。  第二点は、海事代理士試験を行う際に、学識経験者意見を聞くことになつておりまするが、この学識経験者の選定にあたり、その適正を期するために、海事代理士会が組織されておる場合にはその意見を徴することにいたそうとするのであります。  本法案趣旨並びに内容はきわめて明瞭かつ妥当と認めまして、三月三日、質疑討論を省略し、ただちに採決いたしましたところ、本法案起立総員をもつて政府原案の通り可決すべきものと議決した次第であります。  次に、本給再保険法案について申し上げます。  現在、木船保険木船相互保険組合によつて相互保険を行つておりまするが、この保険事業には再保険を引受ける機関がありません。また、この組合は基礎も薄弱で、信用度も微弱であります。ために、保険隻数は全援帆船の一割にも達しない状況であります。かような実情にかんがみまして、これらの弱点を是正補強するため、政府木船相互保険組合の負う保険責任を再保険することにいたしまして、組合の健全な経営を確保しようとするのがこの法律案趣旨であります。  次に、その内容会議録を御参照を願います。  本法案は、去る二月二十日、本委員会に付託され、二十三日政府より提案理由説明を聴取し、三月三日質疑に入り、組合事務費に対する補助については、委員政府委員との間に熱心な質疑応答がとりかわされましたが、その内容会議録に譲ることといたします。  三月五日、質疑を終了いたしまして、討論を省略し、ただちに採決の結果、本法案起立総員をもつて政府原案通り可決すべきものと議決した次第であります。  以上報告を終ります。(拍手
  9. 大野伴睦

    議長大野伴睦君) 両案を一括して採決いたします。両案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 大野伴睦

    ○巨1(大野伴睦君) 御異議なしと認めます。よつて両案は委員長報告の通り可決いたしました。      ――――◇―――――
  11. 山崎岩男

    山崎岩男君 日程第三はあとまわしとせられんことを望みます。
  12. 大野伴睦

    議長大野伴睦君) 山崎君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 大野伴睦

    議長大野伴睦君) 御異議なしと認めます。上つて日程第三はあとまわしといたします。      ――――◇―――――
  14. 山崎岩男

    山崎岩男君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわち、日程第四ないし第九とともに、内閣提出麻薬取締法案及び大麻取締法の一部を改正する法律案の両案を一括議題となし、この際委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  15. 大野伴睦

    議長大野伴睦君) 山崎君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 大野伴睦

    議長大野伴睦君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  日程第四、健康保険法の一部を改正する法律案日程第五、厚生年金保険法の一部を改正する法律案日程第六、船員保険法の一部を改正する法律案日程第七、国民健康保険再建整備資金貸付法の一部を改正する法律案日程第八、消費生活協同組合資金貸付に関する法律案日程第九、医師国家試験予備試験受験資格特例に関する法律の一部を改正する法律案麻薬取締法案大麻取締法の一部を改正する法律案、右八案を一括して議題といたします。委員長報告を求めます。厚生委員長平野三郎君。   (平野三郎登壇
  17. 平野三郎

    平野三郎君 ただいま議題となりました健康保険法の一部を改正する法律案外七件の厚生委員会における審査経過並びにその結果を、ごく簡単に御報告申し上げます。  まず、健康保険法の一部を改正する法律案について申し上げます。  健康保険事業は、創設以来今日まで二十五年の間、社会保険の中核として労働者の生活安定にますます大きな役割を果しつつあるのでありますが、いまだ本制度適用を受けない者も相当の数に上つておりまして、これが拡充に対する要望はきわめて強いものがあるのみならず、また他面において、最近の社会的、経済的情勢推移に応ずるための改正の必要がありますので、これらの諸点について所要改正を行おうとするのが、政府の本改正案提案理由であります。  本法案の主なる内容を申し上げますれば、第一に、現行適用範囲を拡大し、新たに土木建築教育研究調査医療通信報道社会福祉及び更生緊急保護事業適用事業とすることであります。第二は、標準報酬を、現行最低二千円から最高二万四千円までの十九等級であるのを改めて三千円から三万六千円の二十等級とするとともに、標準報酬決定を毎年定時に行うことといたした点であります。第三は、療養給付期間現行の二年から三年に延長することであります。  次に、厚生年金保険法の一部を改正する法律案について申し上げます。  最近の社会的、経済的情勢推移にかんがみ、健康保険法改正に伴い所要改正を行おうとするのが、政府の本法案提出理由であります。  本改正案の主なる点は、第一に、適用範囲土木建築教育研究調査医療、助産、通信報道及び社会福祉事業にまで拡張することであります。第二に、標準報酬最低三千円から最高八千円までとし、その区分を六等級とすることとし、かつ標準報酬は毎年一回定時改正することといたしております。第三に、傷病が治癒しない場合における廃疾の認定時期を一年延長して、療養給付開始後三年経過後といたしておるのであります。  次に、船員保険法の一部を改正する法律案について申し上げます。  最近の社会的、経済的情勢推移にかんがみ、本制度拡充をはかるため必要な改正を行おうとするのが、政府の本法案提出理由であります。  本改正案の主なる点は、第一に、療養給付傷病手当金及び家族療養費支給期間を一年延長して三年といたしたことであります。第二に、傷病がなおらない場合における廃疾認定の時期は、療養給付開始後二年経過のときとなつているのを改めて、三年経過のときといたしたことであります。  以上の社会保険法案は、二月二十五日本委員会に付託せられ、同二十六日厚生大臣より提案理由説明を聴取した後、ただちに審査に入り、きわめて熱心なる質疑応答が行われたのでありますが、右のうち、特に健康保険法の一部を改正する法律案については、療養期間延長に伴い、傷病手当金支給期間をも延長すべきであるとの意見が強く述べられたのでありますが、詳細は会議録について御承知を願いたいのであります。  かくて、三月四日、三法案に関する質疑を終了し、討論を経て採決に入りましたるところ、健康保険法の一部を改正する法律案につきましては、次の附帯決議、すなわち健康保険法第五十七条の医療期間延長に伴い、健康保険に対する医療費国庫負担につき、政府は此の際篤に研究を進め可及的速かにその実現を期せられんことを望む。を付して原案通り可決すべきものと議決せられました。  また、厚生年金保険法の一部を改正する法律案及び船員保険法の一部を改正する法律案の両案も、それぞれ原案の通り可決すべきものと議決いたした次第であります。  次に、国民健康保険再建整備資金貸付法の一部を改正する法律案について申し上げます。  さきに第十三国会におきまして、国民健康保険再建整備資金貸付法議決せられ、保険者診療報酬未払いを解消し、国民健康保険再建整備を助成する施策が講ぜられたのでありますが、その後同法施行の実績を見ますと、あるいは貸付金額が僅少であること、あるいは貸付条件が厳重なること等の結果といたしまして、昭和二十七年度における貸付金予算額は約四億五百万円であるのに対し、現在までの貸付決定金額は約一億八千六百万円にすぎず、当初予定の半ばにも達せぬ実情であります。よつてこれらの諸制度所要改正をいたすことにより、国民健康保険再建整備計画を一層促進いたそうとするのが、政府の本改正法案提出理由であります。  次に、本法案内容の主なる点について申し上げます。第一は、現行法では昭和二十六年度末までの診療報酬未払い昭和二十九年までの間に解消することになつておりますのを、昭和二十七年度末までの診療報酬未払い昭和三十年度までの間に解消するように改めることであります。第二は、貸付対象額は、現行法では未収保険料の百分の五十となつておりますのを、百分の八十に引上げて貸付金を増額し、これに伴い、保険者未払い診療報酬の支払いに充てるべき自己資金が、現行法では貸付金額と同額となつておりますのを、貸付金額の四分の一相当領に引下げ、保険者負担の軽減をはかるように改める点であります。第三は、昭和二十七年度の貸付につきましても、前に申し述べました改正にならつて、その貸付対象領を増額することができるように改正する点であります。  本法律案は、二月十八日本委員会に付託せられ、同月二十日政府委員より提案理由説明を聴取した後、ただちに審査に入り、二月二十六日さらに国民健康保険に関する小委員会に付託して、慎重審査に当つたのであります。かくて、本月四日の本委員会において、永山小委員長より、小委員会審査の結果として、各派共同提案による次の附帯条項を付して原案に賛成する旨の報告がありました。すなわち    附帯条項  一、国民健康保険建整備資金貸付金をできるだけ多くの保険者に対して貸付ができるようにして貸付予算総額を有効に使用するため、法第三条及び第四条の二の「特別の事由」を広く解釈運用すること。  二、貸付手続をできるだけ簡素化し、貸付事務の迅速を図ること。  次いで、質疑を終了し、討論に入りましたが、日本社会党を代表して堤委員日本社会党を代表して柳田委員より、それぞれ希望を述べて賛成意見の開陳がありました。  次いで採決に入りましたところ、本法律案は、附帯条項を付して全会一致原案の通り可決すべきものと議決した次第であります。  次に、消費生活協同組合資金貸付に関する法律案について申し上げます。  消費生活協同組合法が施行されまして以来四年余、その間組合国民生活の安定と改善に尽した役割は大なるものがありますが、組合の重要な仕事であるべき、国民、ことに都市生活者生活改善のための事業につきましては、そのための施設設備資金がないために、いまだきわめて不十分なるを免れないのであります。よつて国都道府県とが協力して、この資金組合に貸し付け、事業の健全な発達をはかろうとするのが、政府の本法律案提出理由であります。  本法案の主なる内容を申し上げますれば、都道府県厚生省令で定める基準に適合する消費生活協同組合共同洗濯所共同浴場等共同利用施設設備に要する資金を貸し付けた際、その半額を国から都道府県に対して貸し付けることにより、生協組織による国民生活合理的改善を助長する建前であります。国から都道府県に対する貸付金貸付条件は、利率年三分、貸付期間七年、うち最初の二年をすえ置き期間として元本をすえ置き、償還方法は、利子を各年払いとし、元本はすえ置き期間経過後五年均等年賦償還としております。また都道府県から組合に対する貸付金については、本制度趣旨都道府県の個々の事情とを勘案して、厚生省令一定の限度を設け、そのわく内で自主的に決定し得るようにしております。  本法律案は、二月二十八日、予備審査のため本委員会に付託せられ、三月三日、厚生大臣より提案理由説明を聴取したのでありますが、同九日本附託となり、同日、質疑を終了し、討論を省略して採決に入りましたところ、本法律案全会一致をもつて可決すべきものと議決いたしました。  次に、医師国家試験予備試験受験資格特例に関する法律の一部の改正する法律案について申し上げます。  現行法では、医師法により、医師国家試験予備試験受験資格を認められていない者で、一定医学の教習を目的とする学校を卒業した者や、朝鮮総督または満州国行つた一定試験に合格した者等に対して、医師になる道を開いたのでありますが、これらの人たち医学に関して同等以上の知識及び技能を有しながら、終戦後の医学教育制度の改革によりまして、卒業を目前に控え廃校となりました元福岡県立医学歯学専門学校の第四学年を修了した約四十名の人たちは、医師になる道がまつたくとざされておるのであります。この人たちは、歯科医師としての免許を有し、さらに医学専門課程をも修了しており、医学に関する知識及び技能の点において、現在この特例対象なつている者に比較して、決してまさるとも劣らない実力を有しておるのでありますので、この人たち医師国家試験予備試験受験資格を認めようとするのが、本法律案提出理由並びにその大要であります。  本法律案は、三月二日、予備審査のため本委員会に付託せられ、同七日本付託となり、三月九日、提案者参議院議員谷口弥三郎君より提案理由説明を聴取し、質疑行つたのであります。  かくて、質疑を終了し、討論を省略して採決に入りましたたところ、本法律案原案通り可決すべきものと議決いたしました。  次に、大麻取締法の一部を改正する法律案について申し上げます。  大麻の取締りは現行法によつてつているのでありますが、最近の事情に合せるため、これを緩和するに必要な改正を行わんとするのが、政府の本改正法案提出理由であります。  本改正法案の主なる点は、第一に、大麻草の種子を取締りの範囲から除外し、大麻の譲渡、譲り受け手続に関する制度を廃止することであります。第二に、従来大麻取扱者の免許その他大麻取締りに関する事務はすべて国が行つているのを、都道府県知事に委任する等であります。第三に、大麻研究者が、厚生大臣の許可を受けたときは、大麻を輸入しまたは輸出することができるようにすることであります。  次に、麻薬取締法案について申し上げます。  麻薬による保健衛生上の危害を防止することは、社会的、人道的にきわめて重要であることは申すまでもありませんが、取締りの趣旨が周知徹底するに伴い、麻薬取扱者の違反行為は逐年減少しつつありますが、反面、国際交通の頻繁化に伴い、組織的な密輸入、不正取引等、悪質な事犯が特に顕著に現われているので、現行法を廃止し、新たに麻薬取締法を制定しようとするのが、政府の本法律案提出理由であります。  本法案の要点は、第一に、現行法では麻薬の輸出は一切禁止されているのでありますが、新たに麻薬輸出業者を設け、麻薬を輸出する道を開くとともに、現行の家庭麻薬を麻薬の範囲から除外し、広く国民医療に供し得るようにする等のため、麻薬取扱者の種類を調整したことであります。第二に、現在麻薬取締りに関する事務は、すべて国が直接行つているのでありますが、その一部を都道府県知事に委任すると同時に、都道府県に麻薬取締員を置き、必要な取締りを行わせることとしたのであります。第三は、麻薬取扱者に対して、帳簿の記載、報告提出等の手続を最小限度に軽減し、医療及び学術研究のために使用する麻薬の入手を容易にし、使用範囲を広め、国民医療及び学術研究の万全を期すこととしたこと等であります。  大麻取締法の一部を改正する法律案並びに麻薬取締法案は、三月三日、予備審査のため本委員会に付託せられ、同四日、厚生大臣より提案理由説明を聴取したのでありますが、両法案は、三月十二日質疑を終了し、討論を省略して採決に入りましたところ、それぞれ、全会一致をもつて可決すべきものと決した次第であります。  なお、都合上発言に至らなかつた部分は、会議録により御承知を願います。  以上御報告申し上げます。(拍手
  18. 大野伴睦

    議長大野伴睦君) 八案を一括して採決いたします。八葉は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 大野伴睦

    議長大野伴睦君) 御異議なしと認めます。よつて八案は委員長報告の通り可決いたしました。      ――――◇―――――
  20. 大野伴睦

    議長大野伴睦君) 日程第十、放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会承認を求めるの件を議題といたします。委員長報告を求めます。電気通信委員長橋本登美三郎君。     〔橋本登美三郎君登壇
  21. 橋本登美三郎

    ○橋本登美三郎君 ただいま議題となりました、放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会承認を求めるの件に関し、電気通信委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。本議案は、日本放送協会の昭和二十八年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして、放送法第三十七条の規定により国会承認を求めるために、去る二月十七日内閣より提出されたものであります。  議案の内容につき、まず収支予算から大要を御説明申し上げますれば、日本放送協会の昭和二十八年度予算総額は、収入支出おのおの八十二億八千百六十九万四千円でありまして、これを前年度予算に比較すれば、収入支出それぞれ八億九千百万円余の増加となつており、そのうち六億三千万円余はテレビジョン放送に伴う収入支出の増であります。収入のうち、資本収入はラジオ関係十億六千四百万円、テレビジヨン関係六億四百万円余でありまして、放送債券、長期借入金、減価償却引当金等をもつてこれに充て、事業収入としてはラジオ関係六十五億八千三百万円余、テレビジヨン関係二千九百万円余を計上いたしておりまするが、事業収入の大部分は受信料収入であつてラジオでは、受信契約者数を年度初頭一千三十万、年度内純増加六十万、受信料月額五十円として、テレビジヨンでは、受信契約者を年度初頭二千百、年度内純増加二方三千二百、受信料月額を二百円として算定しておるのであります。支出のうち、事業支出のおもなるものは、給与及び放送、業務、管理の諸費でありまするが、このうちには、基準賃金の月額平均前年度の一万四千四百六円を一〇%引上げて、一万五千八百四十七円に改訂するに要する経費、並びに業務量の増加に伴う最小限度の増員を含んでおります。  次に、事業計画といたしましては、ラジオ関係においては、特に受信困難な地区の改善、地域別放送及び放送番組の充実に重点を置き、テレビジヨン関係においては、既設の東京局を整備するほか、大阪、名古屋両局の放送開始を予定し、さらに他の都市に施設拡充するために必要な調査を行うこととし、マイクロウエーブ中継によつて、全国にわたりテレビジヨンを通じて日本文化の画期的向上をはかることを計画しております。  以上をもちまして本議案の内容説明を終つたのでありますが、電気通信委員会におきましては、去る二月十七日、本案の付託を受け、同月二十一日以降数回にわたり長時間に及ぶ会議を開き、特に参考人として日本放送協会の会長及び理事の出席を求めて協会の経営方針等に関する説明を開く等、慎重審議を重ねたのであります。質疑内容については、き力めて多岐にわたつていますので、これらの詳細は会議録に譲ることといたします。  かくして、委員会は、三月二日質疑を打切り、三月四日討論に入つたのでありますが、討論に際し、自由党を代表して中村梅吉君、改進党を代表して有田喜一君、日本社会党を代表して松前重義君及び日本社会党を代表して原茂君は、いずれも、公共放送の使命いよいよ重大を加えるのときであるので、関係者は万遺漏なきを期せんことを要望して、本件に承認を与えるに賛成の意見を述べられたのであります。  委員会は、次いで採決の結果、全会一致をもつて本議案はこれに承認を与うべきものと議決した次第であります。  以上をもつて報告といたします。(拍手
  22. 大野伴睦

    議長大野伴睦君) 採決いたします。本件は委員長報告の通り承認するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 大野伴睦

    議長大野伴睦君) 御異議なしと認めます。よつて本件は委員長報告の通り承認するに決しました。      ――――◇―――――
  24. 大野伴睦

    議長大野伴睦君) 日程第十一、青少年問題協議会設置法案日程第十二、厚生省飢双置法の一部を改正する法律案日程第十三、大蔵省設置法の一部を改正する法律案日程第十四、厚生省設置法の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案、右四案を一括して議題といたします。委員長報告を求めます。内閣委員長船田中君。     〔船田中君登壇
  25. 船田中

    ○船田中君 ただいま議題となりました青少年問題協議会設置法案外三法案について、内閣委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  青少年問題協議会設置法案の要旨は、青少年の犯罪が近年増加の趨勢にある実情にかんがみ、これが育成、保護及び矯正に関する施策を一層円滑に推進せんがため、現在総理府の付属機関として設置されておりまする中央青少年問題協議会の機構を強化するとともに、現に各都道府県及び大半の市町村にそれぞれ設置されておりまする青少年問題協議会に対しその法的根拠を与えて、地方公共団体はその付属機関として右の協議会を設置することができることにいたそうとするものであります。  厚生省設置法の一部を改正する法律案は、わが国の当面する最大問題の一たる人口問題に関する重要事項を調査審議させるため、厚生省の附属機関として人口問題審議会を設置しようとするものであります。  大蔵省設置法の一部を改正する法律案の要旨は、税関事務の実情にかんがみ、税関行政の整備拡充をはかるため、従来横浜税関に属していた東京及び羽田の二税関支署を東京税関として独立せしめるとともに、九州において長崎税関を復活せしめようとするものであります。  厚生省設置法の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案は、佐藤洋之助君外二十四名の発議提案にかかるものでありまして、中共地区からの引揚げ再開に伴い、引揚援護庁の存続期間をさらに一年延長しようとするものであります。  これらの四法案は、それぞれ二月二十三、二十四、二十八及び三月四日、本委員会に付託され、政府説明を聞き、質疑の後、三月五日、討論省略、採決の結果、青少年問題協議会設置法案は多数をもつて、他の三法案はいずれも全会一致をもつて、それぞれ原案の通り可決いたしました。      ――――◇―――――  以上御報告申し上げます。(拍手
  26. 大野伴睦

    議長大野伴睦君) 四案を一括して採決いたします。四案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 大野伴睦

    議長大野伴睦君) 御異議なしと認めます。よつて四案は委員長報告の通り可決いたしました。
  28. 大野伴睦

    議長大野伴睦君) 日程第十五、飼料品質改善に関する法律案日程第十六、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案日程第十七、主要農作物種子法の一部を改正する法律案、右三案を一括して議題といたします。委員長報告を求めます。農林委員長坂田英一君。     〔坂田英一君登壇
  29. 坂田英一

    ○坂田英一君 ただいま議題と相なりました中馬辰猪君外二十四名提出飼料品質改善に関する法律案内閣提出農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案、及び中馬辰猪君外二十四名提出主要農作物種子法の一部を改正する法律案につきまして、農林委員会における審議の経過並びに結果の大要を御報告いたします。  飼料品質改善に関する法律案は、飼料品質改善をはかり、畜産の振興に資する目的をもつて提出され、去る三月三日、本農林委員会付託と相なり、五日提案者を代表して中馬委員から提案理由説明があつた後、質疑を行いましたが、詳細は速記録に譲ります。  質疑終了後、自由党青木委員から、附則第一項の本法の施行期日を「公布の日から起算して九月をこえない期間内において、政令で定める。」とする修正案を提出いたしました。  次いで、討論を省略して採決を行いましたる結果、全会一致をもつて法案はこれを修正案のごとく修正可決すべきものと決しました。  次に、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案につき御報告いたします。  農林漁業金融公庫は来る四月一日をもつて発足する予定になつておりますが、昭和二十八年度予算の編成あるいは農山漁村電気導入促進法の施行に伴う改正等、若干の改正を加える必要を生提出されました。  本法案は、去る二月二十五日農林委員会に付託と相なり、二月二十八日農林大臣より提案理由説明があり、三月六日、質疑を行い、討論に入りましたところ、改進党の金子委員より附帯条件を付することを条件として賛成することを、また社会党川俣委員も同じく賛意を表されました。討論を終り採決いたしましたるところ、全会一致をもつて原案の通り可決いたしました。  次に、金子委員から提出された附帯決議は   農林漁業資金融通法成立以前土地改良事業等に貸付けた米国対日援助見返資金特別会計からの融資は、その条件において現行農林漁業金融公庫法によるものに比し、甚だしく懸隔があり不公平である。   よつて政府は、すみやかにこれが均衡化を図ること。 というのであります。これを採決いたしましたところ、これまた全会一致をもつて可決いたしました。  次に、主要農作物種子法の一部を改正する法律案について申し上げます。  去る第十三国会において、現行主要農作物種子法が制定されたのでありますが、その際に付せられた要望に基き、今般一部改正を行つて、一段とこれが目的達成をはかろうとするものであります。  本法案は、三月七日本農林委員会に付託となり、同日、中馬辰猪君より提案理由説明が行われ、次いで十一日質疑を行いましたところ、社会党井上委員から、本法施行に要する補助金等に関し簡単な御発言があり、次いで討論を省略して採決の結果、全会一致をもつて可決せられました。  なお、その際、改進党金子委員から次の附帯決議提出され、これまた同様可決せられました。その附帯決議は   政府は、主要農作物種子法の目的を達成するため、速かに次の措置を講じ、本法の整備強化をすべきものと認める。   政府所要の予算措置を講じて本法の対象農作物を甘藷、馬鈴薯、王蜀黍、菜種等の主要農作物にまで拡大するとともに、優良種子の普及に関する調査研究を促進せしめ、もつて制度の確立をはかるごと。であります。  以上御報告申し上げます。(拍手
  30. 大野伴睦

    議長大野伴睦君) 三案を一括して採決いたします、日程第十五の委員長報告は修正でありまして、日程第十六及び第十七の委員長報告は可決であります。三案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 大野伴睦

    議長大野伴睦君) 御異議なしと認めます。よつて三案は委員長報告の通り決しました。      ――――◇―――――
  32. 山崎岩男

    山崎岩男君 日程第十八はあとまわしとせられんことを望みます。
  33. 大野伴睦

    議長大野伴睦君) 山崎君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 大野伴睦

    議長大野伴睦君) 御異議なしと認めます。よつて白墨第十八はあとまわしといたします。      ――――◇―――――
  35. 大野伴睦

    議長大野伴睦君) 日程第十九、日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案日程第二十、米国日援助物資等処理特別会計法を廃止する法律案日程第二十一、設備輸出為替損失補償法の一部を改正する法律案日程第二十二、外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案日程第二十三、造幣局特別会計法の一部を改正する法律案日程第二十四、国有財産法第十三条の規定に基き、国会議決を求めるの件、右六件を一括して議題といたします。委員長報告を求めます。大蔵委員会理事淺香忠雄君。     ―――――――――――――     〔淺香忠雄君登壇
  36. 淺香忠雄

    ○淺香忠雄君 ただいま議題となりました五法律案及び一議決案につきまして、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を簡単に御報告申し上げます。  まず、日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案について申し上げます。この法律案は、日本輸出入銀行の業務として、外国法人に出資するための資金等にかかる融資を加え、輸出入金融の期間の限度を延長し、また同行に外国為替業務を行わせる等の措置を講じようとするものであります。  次に、米国日援助物資等処理特別会計法を廃止する法律案について申し上げます。この法律案は、米国対日援助物資等処理特別会計が、昭和二十六年七月以降米国の対日援助は打切られ、また同年九月以後は軍払下げ物資の払下げぎ打切りとなつたのに伴いまして、未収金の回収、残存物資の処分等の清算事務の段階に入りましたので、この特別会計を廃止いたしまして、その資産及び負債を一般会計に引継ぐこととするため必要な措置を規定いたそうとするものであります。  次に、設備輸出為替損失補償法の一部を改正する法律案について申し上げます。この法律案は、政府が、設備を本邦から輸出する者に対し、為替損失補償契約を締結することができる範図を拡大するとともに、補償契約の期間の限度を延長し、また補償契約の締結の限度額を引上げることといたそうとするものであります。  次に、外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案について申し上げます。この法律案は、各会計年度の決算上の剰余金を一般会計納付することとなつておつたのでありますが、今回外国為替相場の変動等に伴つて生ずる損失に備えるため、当該剰余金のうち必要な金額をこの会計に積み立てることといたし、決算上不足を生じましたときは、まず積立金をもつてこれを補足することといたそうとするものであります。  次に、造幣局特別会計法の一部を改正する法律案について申し上げます。この法律案は、従来造幣局特別会計におきましては、政府が補助貨一驚を発行いたしました場合、その価額に相当する金額を回収準備資金に編入し、もつて補助貨幣の回収準備に充てるとともに、補助貨幣の製造に要する経費並びにこの会計の固定資産の拡張及び改良に要する費用につきましては、一般会計から繰入れを行つてつたのでありますが、今回これらの一般会計からの繰入れをとりやめ、これを回収準備資金からまかなうことといたし、なお、これに伴い、同会計の決算上の利益金については、これを回収準備資金に編入することに改めようとするものであります。  次に、国有財産法第十三条の規定に基き、国会議決を求めるの件について申し上げます。この議決案は、日光国立公園及び中部山岳国立公園につきましては、今般栃木県奥日光湯元及び長野県上高地に所在する農林省所管の企業用財産である国有林野の一部についても、国立公園計画に基く集団施設地区として総合的な管理運営をはかる必要が生じましたので、これを厚生省に所管がえの上、整備運用することといたそうとするものであります。  以上の五法律案及び一議決案につきましては、慎重審議の結果、去る七日質疑を打切り、討論を省略のしただちに採決いたしましたところ、いずれも起立総員をもつて原案の通り可決いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  37. 大野伴睦

    議長大野伴睦君) 六件を一括して採決いたします。六件は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 大野伴睦

    議長大野伴睦君) 御異議なしと認めます。よつて六件は委員長報告の通り可決いたしました。      ――――◇―――――
  39. 大野伴睦

    議長大野伴睦君) 日程第二十五、国土調査法の一部を改正する法律案議題といたします。委員長報告を求めます。経済安定委員長遠藤三郎君。
  40. 遠藤三郎

    ○遠藤三郎君 ただいま議題となりました国土調査法の一部を改正する法律案について委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。  御承知のごどく、国土調査法は、国土の開発、保全等に資するため、国土の実態を科学的かつ総合的に調査することを目的とし、昭和二十六年六月一日から施行されましたが、本事業の進展に伴い、かつまた過去一箇年半の実績にかんがみまして、補助金の交付及び国土調査の実施の手続に関し現行規定を改める必要が痛感されるに至つたのであります。  すなわち、本案の改正の第一の点は補助金交付に関する規定でありまして現行法では、補助金を交付される者は国土調査を行う者のみでありますが、国土調査を行う者に対して補助金を交付する都道府県に対しても交付し得るように改めることであります。これによつて国地方公共団体等との協力が促進され、あわせて、かかる間接交付の方法によつて事務手続の簡素化をはかろうとするものであります。  第二の点は、都道府県の行う国土調査の実施計画及び作業規程についての調査審議は、現行法では中央の国土総合開発審議会において行われることになつておりますが、これを都道府県総合開発審議会において行われるように改めることであります。これによつて国土の開発、保全等の事業と国土調査との関係は一層緊密となり、関係官民による国土調査の審議は一層容易に、かつ実態に即するものとなるのであります。  第三の点は、国土調査の成果の閲覧の場所について、実際上の便宜に即するよう改めることであります。  本案については、去る三月三日提案理由説明を聴取し、引続き本七日に審議をいたしましたが、その詳細は本委員会の速記録に譲るごとといたします。  かくて、本日討論を省略いたしまして採決に入りましたが、全員一致、原案通り可決されました。  右報告を申し上げます。(拍手
  41. 大野伴睦

    議長大野伴睦君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 大野伴睦

    議長大野伴睦君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。      ――――◇―――――
  43. 山崎岩男

    山崎岩男君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわちこの際、山下榮二提出緒方国務大臣及び戸塚労働大臣綱紀粛正に関する緊急質問を許可せられんことを望みます。
  44. 大野伴睦

    議長大野伴睦君) 山崎君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  45. 大野伴睦

    議長大野伴睦君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。緒方国務大臣及び戸塚労働大臣綱紀粛正に関する緊急質問を許可いたします。山下榮二君。     〔山下榮二登壇
  46. 山下榮二

    山下榮二君 私は、日本社会党を代表して、吉田内閣の綱紀粛正、道義高揚に関して緊急質問を行わんと欲するものであります。(拍手)  吉田内閣は、組閣以来、品をあければ綱紀粛正と道義の高揚を叫んで参つたのであります。しかるに、吉田内閣の内情は、綱紀粛正どころか、綱紀は紊乱の極に達し、道義は頽廃し、吉田内閣は内部より崩壊の寸前にあると断ぜざるを得ません。(拍手)その一例を申し上げまするならば、すなわち、緒方副総理は、去る一月、築地の料亭で炭鉱資本家と会談をされたと聞くのであります。昨年の暮れの補正予算審議の際に問題となりました炭鉱住宅の金利二十三億円の払いもどしの事件といい、また今回の炭鉱労働者、電産労働者のスト弾圧を企図するスト規制法案提出せんとする直前に、これらの法律ときわめて重大なる利害関係を持つ資本家と料亭で会談するに至つては、その相談の内容がいかなるものであつたかは、前後の事情からうかがい知るに十分であるのであります。(拍手緒方国務大臣は、料亭の会談は、自分が席を設け、自分が支払いをするつもりであつたと、わが党の春日議員の質問に対して答弁されているのであります。しかるに、一方、会談の費用二十一万九千余円の金額はすでに炭鉱業者から支払われていると私どもは開いているのであります。副総理が払うつもりであるとは、はなはだしい詭弁であると申さなければならないのであります。(拍手)かかる実態こそ、吉田内閣の綱紀紊乱でなくして何でありましようか。(拍手)また、炭鉱資本家に払いもどされたという二十三億円、しかも、これに加えて今回のスト制限法といい、炭鉱資本家はまさしく、えびでたいをつるというたとえがありますが、その通りであると崩しても過言ではありますまいと思うのであります。(拍手)  以上申し上げましただけで、事のいかに重大なるかは、緒方国務大臣もよくおわかりになると思うのであります。かかることが、とかくの陳弁によつて事が済むといたしまするならば、吉田内閣が常に唱える綱紀粛正に照してきわめて遺憾であり、緒方国務大臣は当然大臣を辞して不明を天下に謝すべきであると思うが、緒方国務大臣のこれに対する所見を伺いたいと思うのであります。(拍手)  聞くところによると、当夜は石炭のコストに関して相談が行われたというのであります。同席に出席されたという戸塚労働大臣に伺いたいのでありまするが、築地会談に出席された労働大臣は、炭価の問題と何ら関係のない、主管外であるのに、何ゆえに出席されたのであるか。炭労、電産スト規制法案提出さるる直前のことで、この出席は、われわれ疑問なきを得ないのであります。何ゆえに出席されたか、戸塚労働大臣の出席の理由を伺いたいのであります。(拍手)  さらに、私は、この機会に小笠原通産大臣に伺つてみたいと思うのであります。築地会談は炭価の問題と聞くが、従つて通産大臣も出席されたであろうと思うのでありまするが、会合の内容、炭価の今後の見通し――石炭は申すまでもなくわが国産業の根源でありまして、今や国民は炭価の問題に重火なる関心を払つているのであります。かかる問題は、料亭や待合政治で決すべきものでなく、国民の前で、あるいは通産省ないしは内閣等、公式の席上において決定さるべきものと考えるのでありまするが、この際、通産大臣は、築地会談の真相、または炭価について協議された内容と今後の見通しについて、率直に国民の前に披瀝さるべきだと思うのであります。(拍手)これらに関する通産大臣の説明を伺いたいと思う次第であります。  私は、最後に、吉田総理大臣にお伺いをいたしたいと思うのであります。今回の築地料亭における石炭資本家と緒方副総理、戸塚労働大臣等の会談、並びに選挙違反の閣僚、または最近問題視されている只見川の問題、さらに内閣不協力のゆえをもつて罷免された前農林大臣廣川の除名をめぐる党内不統一と、さらに吉田総理の国会軽視など、目に餘るものがあるのであります。以上申し上げましたように、綱紀の紊乱、道義の頽廃、すでに内閣担当の能力なしと断ぜざるを得ないのであります。(拍手)よつて、吉田内閣は、内閣不任宿案が上程されるまでもなく、当然内閣を総辞職されるべきだと思うのでありまするが、これに関する総理大臣の所見を伺いたいと思うのであります。しかるに、遺憾ながら本日も総理の出席を見ておりませんので、適当な機会にこれに関する総理の答弁を求めてやまない次第であります。私は、答弁のいかんによつては再質問も行いたいと思いますから、議長にあらかじめ御了承を願つておきたいと思うのであります。  以上をもつて私の質問を終ります。(拍手)     〔国務大臣緒方竹虎君登壇
  47. 緒方竹虎

    ○国務大臣(緒方竹虎君) 山下君にお答えをいたします。非常に大げさなお話がありましたが、私はこの問題がどうして大声疾呼に値するかを実は解するに苦しむのであります。日は忘れましたが、ただいまお話のように、今日、石炭価の引下げ、また出炭の能率化というものが、日本の産業の復興上一番基本的な問題の一つになつておりまするので、ある日一日、石炭業者の代表的な人と政府側の者とを私の名前で招待いたしまして、この問題につきまして忌憚ない意見の交換を行つたのであります。きわめて活発な意見の交換が行われまして、その結果、政府の石炭政策の上にも今後神益するところがすこぶる多かつたと考えております。(「招待したのか、されたのか、はつきり言え」と呼ぶ者あり)私の方からいたしました。この件につきましては、私、今から顧みまして、いかなる点からも非難されるべき点はごうもないと考えております。(拍手)     〔国務大臣戸塚九一郎君登壇
  48. 戸塚九一郎

    ○国務大臣(戸塚九一郎君) お答えを申し上げます。ただいまのお話は、官房長官より答弁があつた通りでありまして、私も経済閣僚として出席するようにということで列席をいたしました。私に関する限りにおいては、能率問題等について話が出たのであります。しかし、スト規制法案につきましては、私の手元で当時考慮中でありまして、発言もせず、もちろん話題ともなりませんでした。(拍手)     〔国務大臣小笠原三九郎君登壇
  49. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) お答えいたします。業者の代表より、炭鉱界の現状の説明と、税制改正、金融の疏通、金利の引下げ等に対する希望が開陳せられ、右に対し、私より、業者としても炭価引下げのため積極的の措置をとられると思うが、いかなる措置をとられる考えなりやいなやと、業者の協力を要望した次第であります。炭価引下げの問題については、政府において、あとう限りの努力をいたしており、すでに御承知のごとく、炭価はバイヤーズ・マーケツトにかわつており、漸次引下つて行く見込みであります。(拍手)     〔山下榮二君発言を求む〕
  50. 大野伴睦

    議長大野伴睦君) きわめて簡単に願います。     〔山下榮二登壇
  51. 山下榮二

    山下榮二君 私は、簡単に一つだけ伺いたいと思うのであります。  戸塚労働大臣といい、緒方官房長官といい、きわめて不親切きわまる答弁であるのであります。かような疑惑を招くことは、国民の前に、その内容と、その行われた真相をつまびらかに披瀝されてこそ初めて、吉田内閣が常に唱える道義の高揚あるいは綱紀の粛正の線にかなうものなりと考えるのであります。しかるに、木で鼻をくくつたような返事をされることは、きわめて私の遺憾とするところであります。  なお最後に一言だけ伺いたいと思うことは、何がゆえに料亭でこういう会談を行わなければならないか、かかることは、役所がたくさんありますし、役所で業者と堂々と相談なさるのが、公明政治、民主政治の当然行うべき事柄でなければならぬと考えるのであります。この事柄に対して、なぜ料亭で行わなければならぬかということについての緒方国務大臣の答弁を煩わす次第であります。(拍手)     〔国務大臣緒方竹虎君登壇
  52. 緒方竹虎

    ○国務大臣(緒方竹虎君) お答えをいたします。別に料亭でやらなければならぬこともありませんが、料亭でやつても大してさしつかえないと思います。      ――――◇―――――
  53. 山崎岩男

    山崎岩男君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわちこの際、稻村順三君提出、対日援助費に関する岡崎外務大臣の発言に関する緊急質問を許可せられんことを望みます。
  54. 大野伴睦

    議長大野伴睦君) 山崎君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 大野伴睦

    議長大野伴睦君) 御異議なしと認めます。よつて日経は追加せられました。  対日援助費に関する岡崎外務大臣の発言に関する緊急質問を許可いたします。稻村順三君。     〔議長退席、副議長着席〕     〔稻村順三君登壇
  56. 稻村順三

    ○稻村順三君 私は、国会議員の一人として、一昨日岡崎外務大臣が参議院外務委員会において対日援助費に関して言及したことは、その内容がきわめて重大であることにかんがみ、ここに総理大臣がおられなかつたならば官房長官、また外務大臣、大蔵大臣に緊急質問をする義務があると思うのでございます。  岡崎外務大臣は、杉原委員の御質問に対して、対日援助費の使用について次のごとく答えております。――私の見込みでは、何かの理由でかりに再軍備するというようなことになつた場合には、その費用はかなりいることでありましよう。そこで、そうすればいろいろな点からこれを捻出しなければならぬという問題になつて来ますから、その問題も一つの考慮に値する問題となりましよう。あるいは防衛支出金というような問題も一つの考慮の対象となりましよう。こういうふうに述べられております。これでは、政府が債務と心得えているものは、再軍備の際その財源として流用せられるという含みを持たせていることになります。少くとも再軍備というのが悪ければ、防衛支出金としてならば流用してもよろしいという解釈を表明したことになるのであります。このことは、きわめて重大な発言であることは言うまでもございません。なぜならば、対日援助費が今日の日本にとつて債務であるかないかということが一個の問題になつておりますのに、そのとき、一国の外務大臣が、再軍備費または防衛支出金にこの費用を流用できるという解釈を表明したからでございます。岡崎外務大臣は、この問題が、何かよくいわれているように、再軍備の引きかえになるのだというようなことは私はないと思いますということをわざわざ断つておりますが、私をして言わしめるならば、こうやつて断ることが、かえつて再軍備との交換条件だという疑惑を深めるものであると、かように思うのであります。(拍手)  なぜ私がそう言うかといえば、およそ外国に対する債務が再軍備の財源になるという見通しがなされること自体は、その外国が日本に対して再軍備を要求しているので、それに振りかえるならば債権を放棄するというような見通し以外の何ものでもないからでございます。すなわち、当該国から再軍備を要求されているということの是認にほかならないからでございます。(拍手)吉田総理は、これまで、そうした要求はなされたことが一度もないと答弁を繰返して来ましたが、岡崎外務大臣が、かくのごとく流用という言葉を通じて再軍備が要求されていることを説明しているような言動を弄したことに対して、どういうふうにお考えになつているか、その点、総理大臣として閣内を統一している人から、責任ある答弁を承りたいのでございます。(拍手)  また、吉田総理大臣は、よく議員の質問に対しまして仮定の問題には答えられないと言つております。岡崎外務大臣は、わざわざ自分でかような仮定を設けまして、その仮定に基いて対日援助費の流用が可能であると述べておるのであるが、総理大臣は、こういう言動が不穏当であると思わないかどうか。この点、はつきりと答弁願いたいとともに、さらに総理大臣は、岡崎外務大臣と同じように、再軍備に対日援助資金を流用できるものであると考えているかどうか、その点、明確なる御答弁を願いたいと思うのでございます。  なお、この際、総理大臣並びに大蔵大臣、外務大臣に対してだめ押しのつもりで、対日援助費が債務かどうかということについてお尋ねしたいのでございます。なぜかというに、この点に関して政府間の意見が一応統一されたようではございますが、依然として統一を欠いているからでございます。すなわち、これまで大蔵大臣は、額、支払い方法がきまつていないが、しかしこれは自分みずからの方で債務と心得ているのだというような答弁があつたのにもかかわらず、その部下であるところの河野主計局長は、講和条約によつて日本の債務となつていると答弁したことがございます。もつとも、これは一応心得の方に統一せられました。だが、ここにまたしても、大蔵大臣と外務大臣とが、この心得の仕方という点において食い違つて来ているのでございます。  大蔵大臣は、去る二月十二日の予算委員会で、わが党の成田委員に対して「ただいま申しました心得るということは、われわれが心得ているので、向うと打合せたわけではございませんから、その点はお含みおきを願います。」と、こう答弁しております。これはまつたく自発的に心得たものであつて、何らアメリカとの間に打合せをしたのではない、こう言つておる。外務大臣は、二十六日の予算委員会第一分科会において、西村榮一委員に対して「私はどういう形でということは今ちよつと申し上げるのは差控えて、将来発表するときにしたいと思いますが、口頭にしろ、文書にしろ、とにかく公式の話であることは間違いないと思います。しかも数回あつたと思います。」と、かように対日援助費の問題についてアメリカ側と数回折御したのだということを明白に述べているのでございます。それならば、岡崎外務大臣としては、とにかく本問題についてアメリカ側と折衝が数回あつたが、両者の意見に一致点がないので、いまだ未決定なつているのであるが、見通しの上からいつて債務になる可能性が強いから、その準備で債務と心得ておくのだというように解釈されるのでございます。明らかに大蔵大臣とその答弁において食い違つております。ことに、数回も折衝があつたのに大蔵大臣が知らないというに至りましては、実に閣内不統一これより大なるものはないと思うのでございます。(拍手)常識から考えて、やはり同じ内閣の大蔵大臣がこれを知らないはずがいなのでありますから、もしもこれを知つてつて、かような答弁をしておつたものとしたならば、国の最高機関であるところの国会の議員が質問したことに対する実に一個の侮辱である。政治家としてまさに糾弾に値するものといわなければなりません。(拍手)一体、この二つの食い違いのうちのいずれが真相であるのか、総理大臣は責任をもつてその質問にお答えを願いたいのである。また大蔵大臣並びに外務大臣は、もしも自分の答弁が間違つた場合には、議会に対してどういう責任をとるか、その点を明らかにしてもらいたいのであります。  なぜ私がかようにこまかい点について質問するかというに、国民は、対日援助費は日本救済費であるから、もらつたものと信じている者が多いからであります。それは決して国民の罪ではございません。政府にも大きな責任があります。なぜかといえば、政府つて、これまで、明らかに債務だと言い切つてはおらないからであります。いな、マツカーサー元帥までが、援助であると、くれたもののようなことをしばしば述べて来ているからであります。すなわち、一九四八年十二月十九日付の吉田総理あてのマツカーサー書簡の中には、米国民日本国民を養うためと言つております。すなわち養うと言つております。米国資源の現在の不足状況に耐えることを要求されている、こういう前提のもとに、一国の生計が他国の慈悲にたよつている限り、その国の国民には政治的自由はないと言つております。私は、この断定の上に立つて、自由なる世界に与えられた特権と自由の一部の一時的な放棄を求めるものである、かように言つておるのでございますが、これを言葉通りに解釈するならば、われわれが占領下において自由国の国民としての特権と自由の一部の放棄を要求されたということは、すでにこの対日援助に対して一応の代償は払われたものである、かように解釈してさしつかえないものでございます。(拍手)すなわち、われわれは、すでにこの債務は終つたものである、かように考えておるものでございます。現に、岡崎外務大臣の、対日援助費を債務と心得なければならないと言う理由には、外国との折衝の見通し以外、これぞといつて人をうなずかせるものがないのであります。  岡崎外務大臣は、対日援助費にいろいろなものがあるといつて、比較的重要ならざる援助費を並べ上げて、しかしてその援助費の中心をなすところのガリオアに関して論議をそらそうとしておるのでございます。このような態度は、実に人をごまかそうとする作為以外の何ものでもないと思うのであります。なぜかというに、対日援助費は大部分はガリオアであるからであります。それも見返り資金特別会計が設けられる前が大部分であり、それは沖縄、朝鮮の救済と同一の資金として取扱われて参つたのでございまして、このことを日本一国の債務とすることにはきわめて無理があるばかりか、アメリカ軍の予算の一部分であり、占領政策費の一部分でさえもあるのでありますから、常識からいつて、それは債務であろうはずがないと思うのでありますが、この点に関して明確なる御答弁を願いたいのでございます。(拍手)     〔国務大臣緒方竹虎君登壇
  57. 緒方竹虎

    ○国務大臣(緒方竹虎君) 私ちよつと中座をしておりまして、御質問を十分に聞くことができなかつたのでありますが、いずれにいたしましても、対日援助費等と引きかえに、いかなる形におきましても、アメリカから再軍備の要請はされていないということは申し上げ得ると考えます。  それから対日援助費流用のお話がありましたが、この点、私外務大臣の発言をよく記憶しておりませんけれども、しかしながら、これと引きかえに再軍備の問題は起つて参らないと思うということは、今申し上げた通りであります。  それから……。(「そんなことじやない、債務かどうかということを聞いているのだ」と呼ぶ者あり)それは今申し上げます。――それから対日援助費が債務であるかどうかということは、たびたび予算委員会等で大蔵大臣あるいは外務大臣からお答えした通りでありまして、これをはつきり債務であると――普通の意味の債務であるということはできぬかもしれませんが、しかしながら、これを贈与されたいとう明確なる証拠もない。そこで、今日の措置としては、これを、債務となる可能性があるだけに、債務として扱つておくことが正しいのである、さように考えております。(拍手)     〔国務大臣岡崎勝男君登壇
  58. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) お答えをいたします。稻村君が私の速記をよくお読みになれば、ここで御説明の必要もないのでありまするが、念のため申します。  第一、私は委員の一人から質問があつたからこれに答えたのであつて、自分から述べたのではありません。速記には、私が、理論としてはいろいろの財源が考えられるであろうけれども、現実には対日援助費が再軍備の引きかえになるということはないと思う旨を明白に答えております。稻村君はまた、分科会の席で私の述べたことに言及されておりますが、これも速記をよくお読みになればわかるのでありまして、私は米国と折衝をしたということは述べておりません。米国側から占領中より対日援助費の問題について言及があつたということを述べておるのであります。  また対日援助費が債務であるかどうかということは、ただいま官房長官から御説明の通りであります。(拍手
  59. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 大蔵大臣は参議院の予算委員会に出席中でありますから、適当の機会に答弁を願うことといたします。     〔稻村順三君「再質問」と呼ぶ〕
  60. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 稻村順三君に申し上げますが、すでに申合せの時間を経過しておりますから簡単に願います。     〔稻村順三君登壇
  61. 稻村順三

    ○稻村順三君 岡崎外務大臣の私に対する答弁は、私の問うているところのポイントをはずしておるのでございます。ここに私速記録を持つておりますのでそれを読みますが、「私の今の見込みでは、何かの理由で仮に再軍備をするというようなことになつた場合には、その費用はかなり要るのでありましよう。そこで、そうすれば、いろいろな点からこれを捻出しなければならないという問題になつて来ますから、この問題も一つの考慮に値する問題にはなりましよう。」と言つて、明らかにこのことは、この対日援助費を、再軍備がもし起つた場合にはその費用として流用し得るという含みを持たしておるのであります。そうしたならば、かような含みを持つておるものとすれば、この対日援助費の債権者であるところのアメリカの了解あるいはアメリカの要求なしでは、これを日本の再軍備の財源と言ことはできない、われわれの債務をただちに財源として再軍備に使うことはできないが、できるということを外務大臣が主張した以上は、このことは、アメリカ側から要求されているか、あるいはアメリカ側の要求をあらかじめ知つて、これに対して対応するという態勢を外務大臣みずから持つているかである。これについて私は質問したいのであります。そのことは、また、吉田総理がこれまで肩軍備しないと言うた理論との間に、私は明らかに大きな矛盾があるというように考えるが、その点どうか、もう一応御返答を願いたいと思います。     〔国務大臣岡崎勝男君登壇
  62. 岡崎勝男

    ○国務大臣(岡崎勝男君) 稻村君は、ただいま速記を読み上げられましたが、そのあとの続きを故意に略しておられるようであります。そのあとの続きを読みます。――私は、防衛支出金というような問題も一つの考慮の対象になりましようが、この問題が、何かよくいわれますように、再軍備の引きかえになるのだというようなことは私はないと思います。こう申しております。(拍手)      ――――◇―――――
  63. 山崎岩男

    山崎岩男君 日程第二十六、第二十七、第二十八の三案はあとまわしにせられんことを望みます。
  64. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 山崎君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  65. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程第二十六ないし第二十八はあとまわしといたします。      ――――◇―――――
  66. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 日程第二十九、以西機船底びき網漁業及び遠洋かつおまぐろ漁業許可等についての漁業法臨時特例に関する法律案日程第三十、日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊行為による特別損失補償に関する法律案、右両案を一括して議題といたします。委員長報告を求めます。水産委員長田口長治郎君。     〔田口長治郎君登壇
  67. 田口長治郎

    ○田口長治郎君 ただいま議題となりました漁業法臨時特例に関する法律案外一件について水産委員会における審議の経過及び結果について御報告申し上げます。  まず以西機船底びき網漁業及び遠洋かつおまぐろ漁業許可等についての漁業法臨時特例に関する法律案について申し上げます。  本案は、以西機船底びき網漁業並びに遠洋かつおまぐろ漁業について、講和発効後の漁場の拡大に応じて、沿岸漁業から遠洋漁業への進展をはかり、漁場の調整をするとともに、資源の開発をはかり、わが国漁業の健全なる発達を期せんとするために、かつて以西機船底びき網漁船であつて、マ・ラインの設定に伴う減船整理の際、中間漁区に操業海域を制限せられておりました中型機船底びき網漁船並びに同様の漁場制限のため多数集中しておりました七十トン以上の中型かつお・まぐろ漁船について、指定遠洋漁業の許可を本法施行後二箇年間優先的に行わんとする措置であります。  本案は、昨年十二月十六日水産委員会に付託されて以来、数回にわたり委員会を開き、慎重に審議をいたした次第であります。これが詳細については会議録によつて御了承願います。  続いて、三月十日の委員会におきまして質疑を終了し、討論に入り、井手委員から、特に中間漁区について、政府は本法施行後における行政措置を慎重に行うよう強く要望され、次の通りの附帯決議を付して原案賛成であるとの意見が開陳され、続いて各派の代表者よりもそれぞれ同様趣旨意見が述べられ、討論を終り、原案並びに附帯決議案についてそれぞれ採決いたしましたところ、全会一致をもつて可決すべきものと議決せられた次第であります。  附帯決議は次の通りであります。   東経百三十度と同百二十八度三十分との間の所謂中間漁区の将来の問題については、本海区が、各種沿岸漁業によつて高度に利用されている現状にかんがみ、政府は、関係県及び漁業者と充分協議をしていやしくも将来本海区に関連して漁業者間に紛争を惹起することがないよう処置すべきである。  次に、日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊行為による特別損失補償に関する法律案に。いて御報告申し上げます。  本案は、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約に基き、日本国内及びその付近に配置されたアメリカ合衆国の軍隊が行う防潜網その他水中工作物の設置または維持、防風施設または防砂施設の除去または損壊等の行為により、農業、林業、漁業等の事業を営んでいた者がその事業の経営上の損失をこうむつたときは、国が通常生ずべき損失に対して補償することを規定しておるのであります。  本案は、去る十二月十六日本委員会に付託されて以来、農林委員会と連合の審査会を開き、参考人を呼び、その実情を聴取する等、慎重なる審議を行いました。詳細は会議録にこれを譲ります。  かくて、三月十日の委員会において質疑を終了し、ただちに討論に入り、各派の代表者よりそれぞれ賛成意見の開陳があり、続いて採決を行いましたところ、全会一致をもつて原案の通り可決すべきものと議決いたしました次第でございます。  右御報告申し上げます。(拍手
  68. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 両案を一括して採決いたします。両案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて両案は委員長報告の通り可決いたしました。      ――――◇―――――
  70. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 日程第三十一、郵便法の一部を改正する法律案議題といたします。委員長報告を求めます。郵政委員会理事赤城宗徳君。     〔赤城宗徳君登壇
  71. 赤城宗徳

    ○赤城宗徳君 ただいま議題となりました郵便法の一部を改正する法律案に関し、委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、本法案提案理由でありますが、現行小包料金は、昭和二十六年六月、鉄道小荷物運賃との均衡をはかるため、従来の均一料金制を地帯別料金制に改正したものでありますが、本年一月十五日から実施の鉄道小荷物運賃の改正に伴いまして、これとの調整をはかるため、現行小包料金を改正するとともに、この機会に、事業合理化の見地から若干の制度改正をも行おうというのであります。  しこうして本法案のおもな内容は次の三点であります。  改正の第一点は、前記の小包料金の改正でありまして、事業本来の姿と鉄道運賃との均衡とにかんがみ、重量、容積の怪小なもの及び比較的近距離あてのものの値上率をできるだけ低率とし、現行料金による総収入に対し約一割三分程度の値上率にとどめようといたしております。  第二点は、航空郵便制度を廃止したことであります。現行の航空郵便制度は、配達については別段の措置をとることなく、単に運送だけを航空便によるもので、速達方法として不十分の点があり、また、運送自体についても、わが国の実情においてはかえつて鉄道便による方が速達となる場合が多いので、これを廃止して、次に述べるように速達郵便制度に統合しようというのであります。  第三点は、速達郵便制度についての改正であります。まず、速達郵便物の運送につき、省令の定めるところに従い、航空便によることができる道を開くとともに、その配達区域が現行規定では法定されているのを、郵政大臣が実情に即するように定め得ることと改めるほか、速達小包郵便物に関しては、その取扱い手数にかんがみ、重量、容積の制限及び料金の引上げにつき規定を設けているのであります。なお、以上のほか一書留郵便物の転送または還付の際納付する書留料の引下げ、郵政省によつて行う国民貯蓄債券の売りさばき等の事務に関し、無料郵便物の範囲を拡張することをも規定いたしております。  以上、本法案につき提案理由及び内容報告申し上げたのでありますが、本法案の付託を受けました委員会は、法案提出理由内容等につき政府より詳細説明を聴取し、審議の慎重を期しました。それらの詳細についてはすべて会議録に譲りたいと存じます。  かくして、委員会は、去る十日質疑を終了し、討論を省略の上、ただちに採決を行いましたところ、全会一致をもつて原案の通り可決すべきものと議決を見た次第であります。  以上御報告申し上げます。(拍手
  72. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。2
  74. 山崎岩男

    山崎岩男君 日程第三十二はあとまわしとせられんことを望みます。
  75. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 山崎君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  76. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて日程第三十二はあとまわしといたします。      ――――◇―――――
  77. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 日程第三十三、国民金融公庫法の一部を改正する法律案日程第三十四、木船保険特別会計法案日程第三十五、昭和二十一年度における一般会計帝国鉄道会計及び通信事業特別会計借入金償還期限延期に関する法律の一部を改正する法律案日程第三十六、昭和二十八年度における特定道路整備事業特別会計歳出財源特例に関する法律案日程第三十七、一般会計歳出財源に充てるための緊要物資輸入基金からする一般会計への繰入金に関する法律案日程第三十八、昭和二十八年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入の特例に関する法律案日程第三十九、鉄道債券及び電信電話債券等に対する政府元利払保証に関する法律案日程第四十、地方公共団体負担金納付特例に関する法律案日程第四十一、旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法の一部を改正する法律案日程第四十二、旧外貨債処理法による借換済外貨債証券の一部の有効化等に関する法律の一部を改正する法律案、右十案を一括して議題といたします。委員長報告を求めます。大蔵委員会理事淺香忠雄君。
  78. 淺香忠雄

    ○淺香忠雄君 ただいま議題となりました国民金融公庫法の一部を改正する法律案外九法律案につきまして、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、国民金融公庫法の一部を改正する法律案について申し上げます。この法律案は、今回公庫の資本金を百六十億円に増資をし、さらに事務所の設置に関する制限規定を削除して、公庫の活動を活発ならしめようとするものであります。  次に、木船保険特別会計法案について申し上げます。この法律案は、先日本院を通過した本給再保険法による政府の再保険関係の経理を明確にいたしますため必要な事項を規定いたそうとするものであります。  次に、昭和二十一年度における一般会計帝国鉄道会計及び通信事業特別会計借入金償還期限延期に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。この法律案は、国の財政状況にかんがみ、昭和二十一年度における一般会計、旧帝国鉄道会計及び旧通信事業特別会計借入金償還期限をさらに三年間延長いたし、その間において必要な場合にはこれを公債に借りかえることができることといたそうとするものであります。  次に、昭和二十八年度における特定道路整備事業特別会計歳出財源特例に関する法律案について申し上げます。この法律案については、一般会計より二十五億円を特定道路整備事業特別会計に繰入れることができることといたそうとするものであります。  次に、一般会計歳出財源に充てるための緊要物資輸入基金からする一般会計への繰入金に関する法律案について申し上げます。この法律案は、緊要物資輸入基金から十五億円を一般会計へ繰入れることといたし、なお、これに伴いまして、将来一時借入金をなし得る制度を設けようとするものであります。  次に、昭和二十八年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入の特例に関する法律案について申し上げます。この法律案は、最近における財政状況にかんがみまして、昭和二十八年度におきましては、一般会計からの国債整理基金特別会計への繰入れは、財政法の規定による繰入れのみにとどめることといたそうとするものであります。  次に、鉄道債券及び電信電話債券等に対する政府元利払保証に関する法律案について申し上げます。この法律案は、昭和二十八年度におきまして、日本国有鉄道及び日本電信電話公社が公募する予定の、鉄道債券百二十億円及び電信電話債券百億円の募集を円滑にする目的をもちまして、これらの債券の元利支払いについて政府保証規定を設けるとともに、これらのものの外貨による長期借入金につきましても、あわせて同様の規定を設けようとするものであります。  次に、地方公共団体負担金納付特例に関する法律案について申し上げます。この法律案は、最近の地方財政の状況に顧みまして、国の行う直轄事業について地方公共団体が道路法等の法律に基いて負担する負担金につきましては、政府は当分の間当該地方公共団体の発行する地方債の証券をもつて納付させることができることといたそうとするものであります。  次に、旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法の一部を改正する法律案について申し上げます。この法律案は、旧陸海軍共済組合及び外地関係共済組合の共済組合規則は各組合間でまちまちでありましたため、同様の状態にありながら、一方は年金受給権を持ち、他方は受給権を持たないという不均衡を生じて参つたので、このような不均衡を是正するために、これらの組合組合員であつた者のうち、昭和二十八年八月十五日において組合を脱退したものとして国家公務員共済組合法の規定適用したとすれば同法の規定により退職年金を受けることができた者につきまして、同法による退職年金または遺族年金に相当する年金を支給することといたそうとするとともに、旧陸軍兵器廠職工扶助令の適用を受けていた者につきましても、今回の改正において同様の措置を法律上明確にいたそうとするものであります。  次に、旧外貨債処理法による借換済外貨債証券の一部の有効化等に関する法律案の一部を改正する法律案について申し上げます。この法律案は、現行法のもとにおいていまだ有効化されていない外貨債の証券または利札について有効化の道を開こうとするものでありまして、第一に、無効とされた外貨債で現在善意の取得者によつて所有されているものを有効化し得る道を開き、第二に、利札だけが単独に取引されているときは、親証券の有効化を待たないで、その利札だけを単独に有効化し得る道を開こうとするものであります。  以上十法律案につきましては、本委員会に付託されて以来、連日慎重審議を重ねた結果、昨三月十一日討論を省略して採決いたしましたところ、起立総員をもつて右十法律案原案の通り可決確定いたしました。  以上御報告申し上げます。(拍手
  79. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 十案を一括して採決いたします。十案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  80. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて十案は委員長報告の通り可決いたしました。      ――――◇―――――
  81. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 日程第四十三、地方鉄道軌道整備法案議題といたします。委員長報告を求めます。連帯委員長逢澤寛君。     〔逢澤寛登壇
  82. 逢澤寛

    逢澤寛君 ただいま議題となりました地方鉄道軌道整備法案について運輸委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  本法案趣旨を簡単に申し上げますと、地方鉄道軌道中、天然資源の開発その他産業の振興上特に重要な新線、または他に適当な交通機関がないため国民生活上欠くことができないと認められるものに対しまして、経営の保全等について特別の監督を行うとともに、補助金の交付、設備改良資金の利子補給等の助成措置を講じ、これら鉄道の経営を維持し、もつて産業の発達並びに民生の安定に寄与しようというのであります。次に、日本国有鉄道が地方鉄道軌道に接近または並行して新線を敷設した場合における廃止補償及び営業補償について、新たに立法措置を講じまして、旧規定を廃止することといたしております。  さて、本法案は、關谷勝利君外三十一名の提出にかかるものでありまして、二月二十八日本委員会に付託され、越えて三月三日、提案者代表關谷勝利君より提案理由説明を聴取いたしました後、慎重に審査したのでありますが、法案内容及び質疑応答については会議録によつてごらんを願いたいと存じます。  かくて、三月十一日質疑を打切り、討論に入りましたところ、日本社会党正木清君は、その党を代表し、政府はこの法律の完全実施を期するため必要なる経費については可及的すみやかに予算上の措置を講ずべきである旨の附帯決議を付することを条件として賛成の意を表され、次に、日本社会党熊本虎三君は、その党を代表し、反対の意を表されました。  右をもつて討論を終結し、採決の結果、本法案全会一致をもつて原案の通り可決、次いで正木清君提出附帯決議案について採決の結果、これまた全会一致をもつて可決せられました。よつて、本法案附帯決議を付して可決すべきものと決定した次第であります。  以上御報告申し上げます。(拍手
  83. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 採決いたします。本案の委員長報告は可決であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  84. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)      ――――◇―――――
  85. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 日程第四十四、少年法の一部を改正する法律案日程第四十五、少年院法の一部を改正する法律案日程第四十六、下級裁判所設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案、右三案を一括して議題といたします。委員長報告を求めます。法務委員佐治誠吉君。     〔佐治誠吉君登壇
  86. 佐治誠吉

    ○佐治誠吉君 ただいま議題となりました少年法の一部を改正する法律案少年院法の一部を改正する法律案及び下級裁判所設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案の要旨、委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、少年法の一部を改正する法律案につきまして、その要旨を申し上げます。  御承知のように、本年三月三十一日をもつて代用少年鑑別所の制度が廃止されますので、家庭裁判所が少年鑑別所に送致する観護の措置をとりました場合に、交通事情等のため、ただちに少年鑑別所に収容することができない場合が少くないのであります。かかる場合に、家庭裁判所が決定をもつて少年をもよりの少年院または拘置監の特に区別した場所に仮収容することができるものとしたのであります。しかしながら、その仮収容の期間につきましては、鑑別少年の性格にかんがみまして、七十二時間を越えてはならないものと制限しております。なお、これに関連いたしまして、この仮収容の決定の執行に関する規定並びに経過措置に関する規定を設けたのであります。  次に、少年院法の一部を改正する法律案の要旨を申し上げますと、今回の改正は次の二点であります。  第一点は、医療少年院は必ずしも男女別に施設をする必要がないものとすることであります。すなわち、現行少年院法におきましては、本年三月三十一日までの経過措置として男子の医療少年院の一部を特に区別して女子をあわせ収容することができるものとされているのでありますが、元来、医療少年院は、同一施設内であつても男女を分隔することができれば十分であつて必ずしも男女の別に従つて別々に設置するには及ばないものといたしたのであります。  第二点は、少年院及び少年鑑別所に収容中の少年を調査、審判等のため同行する場合におきまして、やむを得ない事由のあるときは、これをもよりの少年鑑別所もしくは少年院または拘置監の特に区別した場所に仮収容できる規定を設けたのであります。  最後に、下級裁判所設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案の要旨を申し上げますと、改正点は三つありまして、第一点は、簡易裁判所の管轄区域の変更であります。すなわち、岡山簡易裁判所外二箇所は行政区画の変更によるもので、高知簡易裁判所は土地状況等にかんがみての変更であります。第二点は、大湊簡易裁判所外二箇所の名称の変更であります。第三点は、行政区画の変更等に伴いまして、この法律の別表を整理いたしたのであります。  以上三案を採決いたしましたところ、全会一致をもつて政府原案通り可決いたした次第であります。  以上御報告申し上げます。(拍手
  87. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 三案を一括して採決いたします三二案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  88. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて三案は委員長報告の通り可決いたしました。      ――――◇―――――
  89. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 日程第四十七、職業安定組織構成に関する条約(第八十八号)の批准について承認を求めるの件、日程第四十八、工業及び商業における労働監督に関する条約(第八十一号)の批准について承認を求めるの件、日程第四十九、団結権及び団体交渉権についての原則適用に関する条約(第九十八号)の批准について承認を求めるの件、日程第五十、在外公館名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案、右四件を一括して議題といたします。委員長報告を求めます。外務委員長栗山長次郎君。     〔栗山長次郎君登壇
  90. 栗山長次郎

    ○栗山長次郎君 議題となりました労働関係三条約並びに一法律案について審議いたした外務委員会からの報告を申し上げます。  三労働条約は、いずれも、公正なる国際的労働慣行をわが国も遵守して、国際的信用を高めるという点にございます。  この審議の経過につきましては速記録に譲りますが、討論に入り、社会党左派島上善五郎君から、条約の遵守につき政府を鞭撻する意味の希望を述べて賛成をされまして全会一致承認することに決定したのであります。  在外公館関係の改正法律案につきましては、日本が海外との交渉その数を増しましたので、十一箇所の公使館及び領事館の増設を必要とするがための措置でございます。この審議の詳細は速記録に譲りますが、採決に入り、多数をもつて原案の通り可決した次第でございます。(拍手
  91. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) まず日程第四十七ないし第四十九の三件を一括して採決いたします。三件は委員長報告の通り承認するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  92. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。よつて三件は委員長報告の通り承認するに決しました。次に、日程第五十につき採決いたします。本案の委員長報告は可決であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  93. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。      ――――◇―――――
  94. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 先にあとまわしとした議案を逐次議題とするに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  95. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 御異議なしと認めます。  日程第三、武器等製造法案議題といたします。委員長報告を求めます。通商産業委員長坪川信三君。
  96. 坪川信三

    ○坪川信三君 ただいま議題となりました武器等製造法案の通商産業委員会における審議の経過並びに結果につき御報告申し上げます。  武器等製造に関しましては、昭和二十年ポツダム共同省令によりまして全面的に禁止されておりまして、ポツダム共同省令の改正により、昨年四月九日より例外的に許可されたのでありますが、本省令も昨年十月二十四日をもつて失効いたしましたため、現在武器の製造に関して法の規制がなく、公共の安全維持のために何らかの措置を必要としておるのであります。しかも、最近駐留軍関係の発注も相当増加しており、加えて関係業者の受注に対する態度は、ややもすると混乱の傾向すら見受けられ、武器の持つ特殊な性格からいたしましても、武器製造事業について法の規制を加えることはきわめて必要となつて来たのであります。  本法律案は、昭和二十七年十二月十六日、通商産業委員会に付託せられ、翌十七日、通商産業大臣より提案理由を聴取いたしました。本法律案に対する審議は、昨年十二月二十二日より本年三月四日まで、前後十一回にわたりきわめて熱心に行われました。その詳細は速記録に譲りますが、審議の際最も論点となつたおもなるものを申し上げますと、第一に、武器製造と憲法第九条との関係について、第二に、武器製造が正式に許可されることにより、これが隣邦諸外国に与える影響について、第三に、武器製造受注の将来の見通しと、出血受注の防止対策について、第四に、武器の定義及び武器製造の許可の基準について、第五に、火薬関係業者が本法と火薬類取締法の二重監督を受けるおそれのある点等であります。  三月四日、本法律案に対する質疑を終了いたしましたので、ただちに討論に入りました。自由党を代表いたしまして福井勇君、改進党を代表いたしまして長谷川四郎君、同友会を代表して木下重範君の主君は本法律案に賛成されましたが、日本社会党を代表して今澄勇君、日本社会党を代表して永井勝次郎君の両君はそれぞれ反対されました。討論終了後、採決の結果、本法律案は多数をもつて可決すべきものと議決をいたした次第であります。  以上をもつて報告を終ります。(拍手
  97. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 討論の通告があります。順次これを許します。山口シヅエ君。     〔山口シヅエ君登壇
  98. 山口シヅエ

    ○山口シヅエ君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題と相なりました武器等製造法案に対して、以下数点の理由をあげて反対するものであります。  政府は、本法律案提案の理由といたしまして第一に、現在ポツダム政令の失効によつて、武器製造を規制する何らの法律がないこと、第二に、最近駐留軍関係の発注が相当増加しており、加えて関係業者の武器受注に対する熱望が強く、武器製造工場の濫立の傾向が見えること、第三に、従つて武器生産によつてわが国の国民経済が悪影響を受けることのないように合理的なる限界を設けること、第四に、武器生産が危険作業であるがゆえに、公共の安全を確保し得るように取締り規則を厳重にすることなどをあげて、本法案が絶対に必要であると申しております。武器生産の重大性にかんがみ、それを野放しにせずに厳重なる規制を加えるという政府の考え方も、一応理解できるのであります。しかしながら、私どもは、武器生産そのものに対して、もつと根本的に検討を加えなければならぬと存じます。  まず、わが国民経済の中において軍需産業にどれだけの比重を与えるかということをきめてかからなければなりません。無制限に軍需産業を重視することは、過去における苦い経験からも、わが憲法の精神からも、厳に慎まなければなりません。(拍手)ゆえに、私どものとうてい賛成しあたわざるところであります。将来の産業構造に対する十分なる見通しもなく、ただ目の先の利害につられて武器生産に走ることは最も警戒すべきであり、本法案にはこのような計画性のないことが、第一に反対すべき点であると思います。(拍手)  第二に、わが国産業の将来は何と申しましても貿易に依存すべきであるにもかかわらず、武器生産という安易な道を選んだ結果は、特需や新特需がなくなつたときには今日以上に産業界の混乱を見なければならなくなります。武器生産を規制する以上、かかる点にまつ先に考慮を払うべきにもかかわらず、何らの処置を講じていないことが、第二の反対すべき点であります。(拍手)  第三に、本法案を単なる取締法として見ても、まことにずさんでありまして、たとえば第五条の許可基準、第十一条の保管規程など、はなはだ不十分であります。最も重要な点が安易に取扱われておるという点において、単なる取締り法案の見地からも、私どもは反対せざるを得ないのであります。(拍手)  以上申し述べました理由によりまして、私は本案に反対をするものであります。もちろん、私は決してイデオロギー的に反対をするものではございません。日本産業の将来という大きな見地から反対するものであります。武器生産というがごとき、一国の運命にも関する重要なる立法をする以上、政府はもつと真剣な態度をもつて臨み、わが国産業の将来に対しての見解を正直に表現して、もつて国民の協力を求むべきだと信じます。私は、よろしく政府が武器製造法というがごとき部分法を撤回し、わが国産業全体の基本法を制定して、その一環として武器製造事業をいかに取扱うかを再検討すべきものと信じ、本法案に反対をするものであります。(拍手
  99. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 福井勇君。     〔福井勇君登壇
  100. 福井勇

    ○福井勇君 私は、自由党を代表してただいま提案せられました武器等製造法案に賛成の意を表するものであります。(拍手)  私が主張いたしたい第一の点は、わが国現下の実情にかんがみ、武器の製造、販売等に関し、公共の安全を確保するためにも、また経済界の混乱を防ぐためにも、本法の制定が絶対に必要であること、第二の点は、通商産業委員会における若干の反対論者の議論は、おおむね運用によつて善処し得るものであり、従つて法案そのもののを否定する理由とはならないからであります。  まず第一の点でありますが、昨年十月二十四日ポツダム共同省令が失効いたしまして武器の製造、販売等に関する法的規制がなくなり、今日においては、これらの武器を何人が製作し、何人が販売しようとも、自由放任の状態にあるのであります。また、業者の濫立、過度の競争のため、勢いのおもむくところ出血受注を余儀なくせしめられ、ようやく立ち直りつつあるわが国機械工業界に混乱を惹起せしむる傾向が多分に認められるのであります。なおいま一つ、武器製造関係者らが、業務上、一時的たりともこれを所持することは、他の銃砲刀剣類等所持取締令に抵触するため、法律違反となるということも忘れてはならないのでございます。かかる諸般の情勢にかんがみまして、本法の制定は現在のわが国にとつて絶対に必要でございます。  第二の点でありますが、反対論の中には、本法をもつて再軍備の一環であるかのごとくしいるものがあります。しかしながら、本法案は、第一条の目的に明示してございまするごとく、治安の確保と経済の健全化をはかる以外に何ものも意図しておらないのであります。これをしも、しいて再軍備にかこつけて、とかくの非難をなすことは、牽強附会もまたはなはだしいと言わなければなりません。また、本法によつて、武器の生産を特定の財閥に独占せしめながら、やがてこれに多大の国家補助をなすのではないかという説がございますが、製造許可の基準に合するときは、企業の規模の大小は問うところではないのでございます。この点は特に重要でございまして、従つて特定財閥擁護の法案であるということの非難は当らないのでございます。また、国内産業構造上、武器製造工業の比重が過大となつて、他の産業、ひいては国民生活を圧迫するおそれありとの説もありましたが、これまた謬見もはなはだしいと言わねばなりません。何となれば、武器製造事業事業活動を調整することによりまして、結局国民経済の健全なる運行に寄与することこそ本法案の主たる目的であり、その手段として製造に対する許可制を採用するゆえんであるからでございます。  次に、労働法規の適用に関する問題でありまするが、本法の適用工場は全部国内工場でございますから、国内法規がフルに適用されるということは申すまでもございません。  次に、需要に関する将来の見通しが不明であり、従つて企業の計画的経営が不可能との意見は、一応首肯せられないでもありません。但し、この点は、特に外国の注文によつて、できるだけ外貨をかせごうという本来の性質上、ある程度やむを得ない次第とも考えられるのであります。しからば、これがために許可制をとつて、濫立を防ぐはもちろん、軍拡競争の消長等、情勢の推移に応じて、輸出産業としてもまた適宜敏速なる善後措置を講ずれば、必ずしも不安なきを期し得ると思うのであります。元来、武器そのものが時局の変化につれて行くものであつて、他の産業のごとく永久にコンスタントでないものであることは、性格上やむを得ないことであります。     〔発言する者あり〕
  101. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 御静粛に願います。
  102. 福井勇

    ○福井勇君(続) また、届出戒告制だけで、はたして出血受注の防止が可能であるかとのことでありますが、しかしながら、戒告を無視するがごとき者に対しては、入札者を推薦する際、不適格者としてこれを除外することによつてもその目的を達することが可能ではあるが、根本的にはどうかと思われるので、法律によつて左右できない出血受注のいたずらなる混乱は、政府においては政策において考慮の必要が生じて来るものと思われます。  なお、武器等製造法案の中には航空機は含まれておりませんが、現段階におきましては、日本において製作されていないので、当然でありまして由来武器と広義に呼称する本器等の製造基礎機械は、ほとんど同一の工作機械の多量専用工作機械でありまして機械工業の中においても急速なる進歩のため不断の研究を要し、改良を加えなければ使いものにならないのであります。(拍手)わが国は、久しきにわたる戦争によつて研究が空白のために、世界の水準から著しく遅れておりますので、昨今保安庁で数百の飛行機を必要とし、数十億の予算でこれを製作するといたしましても、今や各国の飛行機、たとえば朝鮮に出動しておりまするF八四、八六、シユーテイング・スターあるいはサンダー・ジエツト、ノース・アメリカン等、北鮮から出ているMIG一〇にしてもMIG一五にいたしましても、あるいはイギリスのロールスロイスにしても、ハンドレページにしても、これらの飛行機の時速が千七十九キロを超過し、音速千二百二十三キロ時すら越すというものが現われたけはいもあり、これらはいずれも保安用としても商業航空用としても、激烈なる競争になつて来ておるのであります。デハビランドのコメツトがシヤノン、ガンダ一間を四時間十八分で大西洋を横断するという、これらの新しき時代に対処するためには、少くともその基礎工作機械の飛躍的な培養躍進が必要であるのであります。  また、原子力のエンジンが平和産業の一面に応用されかけて、いよいよ原子核の分裂より来る破壊力が平和に役立つという、この情勢を決して忘れてはならないのであります。武器等の生産に際しては、特にこれらを勘案し、科学的基盤の推進をはかることこそ重要なる問題であります。特に技術の面においては、探求向上に格段の助成措置を講ずる必要があるのであります。由来、わが国、特に政界には、口頭禅には科学技術を重視しながら、実際面においてはまつたく軽視されがちであります。今後官民の技術者の養成のためには、海外先進国の科学技術を全力をあげて取上げれられるよう善処すべきでありまして、米のGE、WE、英のメトロ、ヴイツカース、アームストロング、仏のルノー、伊のフアイアト、チエコのスコダ等の技術水準に劣らぬ態勢を、小規模でも整備し推進せしむべきであります。英国は、今日繊維産業の若干の衰微を、デハビランドのコメツト機の商業用航空機生産が世界をリードする飛躍によつてカバーし得たと言われております。これらは平和産業に対する科学技術の勝利のよい例であります。  最後に、本法案は憲法第九条に抵触することなしとの法制当局の証言によつて安心しておるのでありますが、国際関係としては、本法施行により、民主国家群として日本の武器産業の全貌が判明し、かえつて安心するであろうとの見通しも予想されておるのでありまして、これらも誤解なきよう期せられたいのであります。  以上、本案の必要であるゆえんを述べまして、本法の制定が一日も早からんことを衷心よりこいねがうものであります。(拍手
  103. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 永井勝次郎君。     〔永井勝次郎君登壇
  104. 永井勝次郎

    ○永井勝次郎君 私は、日本社会党を代表しまして、ただいま議題なつております武器等製造法案に対し反対をいたすものであります。  自由党には、いろいろのたぬきがおつて、だまし合いをしておるということでありますが、そういう手口で全国民をたぶらかそうとしておるのが本法案ではないかと思います。(拍手)表面、単なる出血受注の対策のように見せかけておりますが、事実は再軍備を強化し、武器の生産を本格的に始めようとしておるものであります。その結果、わが国の産業構造は平和的性格から軍事的性格に切りかえられ、貿易は後退し、日本経済の自立を弱め、アメリカ隷属化を不動のものとする方向に追い込まんとするものであります。わが民族の独立、国民生活の安定、平和擁護の立場から、われわれの断じて許し得ないところであります。(拍手)  本法案に対する反対理由の第一は、憲法違反の点についてであります。新憲法の前文には戦争放棄が宣言されており、第九条第二項には、「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。」とありますことは、御承知の通りであります。ここで問題となりますのは戦力の範囲でありますが、当時、あまりにも明瞭な事実であつたためか、新憲法審議の議会におきましては、第九条と武器製造との関係については別に質疑討論が行われておりません。従つて、権威ある学界などの解釈に聞かねばならぬのでありますが、法学協会では、軍用機、海軍艦艇、兵器、弾薬等の製造工業は戦力の範囲に含まれると言つております。さらに、顕在的なものだけでなく、一たび戦争が起きた場合ただちに戦争に用いることのできるような潜在的な戦力も含まれると解されております。しかるに、政府は、なおかつ憲法違反ではないと強弁を続けておるのであります。それならば、具体的な事実をあげて判断をしなければならないのであります。  御承知の通り、経団連では、武器生産の受入れ態勢を整備するために防衛生産委員会をつくり、郷古潔氏が委員長なつておるのであります。この委員会には審議室を設けておりますが、このメンバーは、吉積元陸軍中将、原田元陸軍中将、保科元海軍中将を初め、元陸海軍佐官級が二十余名ずらり顔をそろえておるのであります。(拍手)さらに、同委員会は近くアメリカ側に武器生産受入れ態勢リストを提出するそうでありますが、それには、わが国再軍備充実の内容としまして、陸軍十五箇師団、二十九万、空軍二千八百機、海軍三十万トン、十万名という規模のものを参考資料として添える予定であるということも聞いておるのであります。武器生産の責任に当る工場側の受入れ態勢がこのようなものであり、これをしも戦力ではないと言い切れるでありましようか。(拍手)憲法違反であることは寸毫も疑う余地はなく、憲法を蹂躪した政府の責任のきわめて重大であることを警告しておく次第であります。(拍手)  反対理由の第二は、本法案の欺瞞性についてであります。憲法違反をほおかむりし、再軍備をごまかそうとするところに、無理をしているのでありましよう。重要な諸点は、ほとんど政令で定める、省令によるといつたぐあいに逃げて、具体的な表現を避けておるのであります。たとえば、第二条の武器の定義についてでありますが、銃砲、銃砲弾、爆発物等々と規定しておりまするが、その第一項の第五号に「前各号に掲げる物に類する機械器具であつて、政令で定めるもの」とあり、その政令によつて戦車を指定しようとしておるのであります。銃砲や爆発物などの程度のものは、本文の表看板にちやんときめておいて、裏面の政令で、航空機とか、戦車とか、艦艇など、近代兵器を逐次指定して行こうとするごまかし方が、はつきりとうかがわれておるのであります。(拍手)また第三条以下では、武器製造の事業を行わんとする者は通産大臣の許可が必要である旨を定めておるのでありますが、許可基準は省令に譲られてあつて、はつきりといたしておりません。旧軍工廠跡の払下げの問題もからんでおることとは思われるのでありますが、いずれは、群小企業は遠慮会釈なく削り落して、財閥産業の独占が確立されることは想像にかたくないのであります。(拍手)  さらにまた、政府は、武器生産を輸出産業として安定させたいと言つておるのでありますが、計画性のない外国発注にすがつて安定できる条件はどこにもありません。(拍手)ここ当分はアメリカの教育指導にすがつて、やがて国内発注に切りかえ、国家の助成によつて安定しようとする腹であることは明らかであります。現在、アメリカの武器発注は年間五千万ドル内外、二十七、二十八両年度にわたる国内保安隊、警備隊の発注分は、飛行機、ヘリコプター、戦車、艦艇など、概算三百数十億円に上る計算でありまして、すでに比重は国内発注に傾きつつあることを示しております。武器産業は、アメリカのようなところでも、国防生産法によつて、原材料、生産設備、製品売却、損失補償、融資あつせんなどを初め、税法上におきましても、加速減価償却制による短期の減価償却が認められるなど、助成政策がとられておるのであります。最近、アメリカ大使館から日本政府に対しまして、武器産業に対する助成考慮方の勧告があつたそうであります。天下晴れて国家助成政策がとられることとなるであろうと思うのであります。企業許可制によつて財閥産業の独占を確立し、国家助成でその利潤を保障する。話の筋はうま過ぎるほどうまく通つておるのであります。これら自由党内閣らしい財閥擁護の政策に対しましては、平和産業と国民生活を守る立場におきまして、われわれは断固対決せねばならぬと思うのであります。(拍手)  反対理由の第三は、出血受注対策の点についてであります。この問題は、日米両国の側にそれぞれの理由があり、経済的条件ばかりでなく、政治的、軍事的条件もからんでおつて、簡単ではないと思うのであります。問題となつておる入札方法の問題、ブローカー介在の問題等は、そうむずかしくなく解決はつくであろうと考えられます。しかし、日米安全保障条約、日米行政協定あるいは米陸軍調弁規約に基く直接調達、あるいは価格改訂条項、契約再商議法あるいは労働関係など、アメリカの国内法を日本国内において適用するところから起つて来るいろいろの矛盾や障害は、一朝一夕に解決できる問題ではないと思うのであります。日本側といたしましても、貿易不振に追いつめられて武器製造へ転換をあせつておる軽工業関係、特にシン、紡織、織機等の転換策、あるいは中小企業者の事業不振による奴隷的賃金の下請、産業系列の混乱など、自由党内閣の経済政策、外交政策の破綻として、しわ寄せされて現われて来ておる諸問題は、内閣がつぶれるか、政策の転換が行われるかのいずれかにまつ以外に道はないと考えるのであります。(拍手)対米関係では、日本の独立問題とのからみ合せ、対国内関係では、経済政策、外交政策の破綻のしわ寄せでありまして、この法案による契約の届出制、不当価格受注への戒告程度のことで措置できる問題ではないと思うのであります。政府は、なぜ出血受注をしないではおられないかというこの分析の上に立つて、みずからの失政を悔い改めることが最善の出血受注対策であることを理解すべきであります。(拍手)今日、われわれ国民の切実なる願いは、日本の完全独立であり、平和であり、生活安定であります。そのためには、日本努済の自立達成は絶対の条件であります。政府は、この民族的願望をになつて最大の努力を払うべきにもかかわりませず、吉田内閣は、民族的立場を忘れて、アメリカに奉仕し、独占資本に奉仕し、国民大衆を搾取することを事としておるのであります。世界市場が狭小となつた今日、西欧各国は東南アジア市場に嵐のごとく押し寄せて来ておるのであります。日本は何をしておるのか、日中貿易はどうなつておるのか、バトル法やココムなど政治的制約に縛られて動きがつかないのではないか。貿易は八方ふさがり、国民経済は深刻な様相を呈して来ておるのであります。世界市場から孤立して、国内にこもり、アメリカ援助のもとに再軍備をし、武器の製造をする。日本の青年たちをアメリカ防衛の前線にかり立てて、どうして日本の再建、民族の興隆が期待できるでありましようか。(拍手)  吉田首相は、先日、参議院におきまして、再軍備は一応断わる、しかし日本の利益になることならば応ずるつもりであると言つておるのであります。いたいけな同胞の青年たちの生命をいけにえとしてこれにかわる日本の利益として何があると考えておられるのでありましようか。(拍手)おたまじやくしがかえるに成長変質して行くように、警察予備隊が軍隊となり、輸出武器製造が国内軍需産業となり、通産省が軍需省に看板の塗りかえをせしめないために、われわれは闘わねばならない。われわれは、日本の独立と平和と民族の生活を守るために、本法案に対し断固として反対をいたすものであります。(拍手
  105. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) これにて討論は終局いたしました。  採決いたします。本案の委員長報告は可決であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の御起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  106. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。      ――――◇―――――
  107. 岩本信行

    ○副議長(岩本信行君) 日程第十八、日雇労働者健康保険法案議題といたします。委員長報告を求めます。厚生委員長平野三郎君。     〔平野三郎登壇
  108. 平野三郎

    平野三郎君 ただいま議題となりました日雇労働者健康保険法案について、厚生委員会における審査経過並びにその結果を御報告申し上げます。  健康保険制度が広く一般被用者を対象としているものであり、全被用者が本制度の利益を享受すべきにもかかわらず、日雇労働者はいまだその被保険者になることができず、現行制度の利益にあずかり得ない実情であります。しかるに、日雇労働者は、就労の浮動、低賃金等のため、常に生活基盤が不安定であり、傷病によつてただちに深刻な困窮に陥ることの多い現状にかんがみ、これに健康保険制度を創設して、療養給付及び家族療養費の支給を行おうとするのが、政府の本法案提出理由であります。  本法案の要点について申し上げますれば、まず第一は、本保険制度保険者政府といたしております。第二に、適用対象といたしましては、まず健康保険適用事業所に使用される日雇労働者を被保険者として、健康保険との制度的均衡をはかるとともに、失業対策事業または公共事業に就労する、いわゆる日雇労働者を被保険者としておるのであります。第三に、保険給付につきましては、保険負担の限度を考慮いたしまして、被保険者及び被扶養者に対し、健康保険に準じて療養給付及び家族療養費を支給することとし、その療養期間は三箇月といたしております。第四に、受給要件といたしましては、被保険者が疾病にかかり、または負傷した日の属する月の前二箇月間に通算して二十八日分以上の保険料が納付されていることを必要としておるのでありまして、日雇労働者の就労の実態と日雇労働者に対する失業保険との制度的バランスを考慮することといたしております。第五に、保険料につきましては、日雇労働者に対する失業保険方法を取入れ、一級と二級とに区分して、事業主に印紙をもつて納付させることといたしておるのであります。     〔副議長退席、議長着席〕  本法案は、二月二十八日、本委員会に付託さられ、三月三日厚生大臣より提案理由説明を聴取した後、三月四、五両日の委員会において、適用範囲給付内容、受給要件、保険料並びに国庫負担等の諸点についてきわめて熱心なる質疑応答が行われたのでありますが、その詳細は会議録により御承知願いたいと存じます。審査経過に伴い、社会党八木委員外五名より全文修正案が提出せられました。この修正案のおもなる点について申し上げますれば、一、対象範囲をさらに拡大していること、二、給付内容に関しては死亡または分娩に関する保険給付を加えていること、三、受給要件について保険料の納付期間を二箇月間に二十四日以上または六箇月間に六十日以上の二段構えとしていること、四、療養給付期間を六箇月に延長していること、五、保険給付の二分の一を国庫負担とすること等であります。  かくて、同日、質疑を打切り、原案と全文修正案を一括して討論に入りましたところ、まず自由党を代表して永山委員より、一、医療給付費に対して国庫補助の道を開くとともに、給付内容の向上と適用範囲の拡大をはかること、二、将来国民健康保険事業拡充により、日雇労働者健康保険制度を統合すること等の希望を述べて、原案に賛成、修正案に反対の意見が開陳せられ、改進党を代表して山下委員は、国民健康保険制度拡充強化によりすべての社会保険の一本化を要望して、原案に賛成、修正案に反対の意見の表明がありました。次に社会党を代表して堤委員よりは、修正案と原案の比較を述べ、原案に反対、修正案に賛成の意見が述べられ、また社会党を代表して八木委員よりは、原案につき、その適用範囲、受給要件、給付内容療養期間等の諸点において実情に沿わない旨の意見の開陳があつて原案に反対、修正案に賛成の意見が述べられたのであります。  次いで、討論を終り採決に入り、まず修正案について採決いたしましたところ、少数をもつて否決され、次いで原案について採決いたしましたところ、多数をもつて可決すべきものと決した次第であります。  以上御報告申し上げます。(拍手
  109. 大野伴睦

    議長大野伴睦君) 本案に対しては、八木一男君外九名から成規により修正案が提出されております。この際修正案の趣旨弁明を許します。八木一男君。     〔八木一男君登壇
  110. 八木一男

    ○八木一男君 私は、日本社会党両派を代表いたしまして、政府提出日雇労働者健康保険法案に対し、両社会党共同で提出いたしました修正案の趣旨弁明をいたしたいと存じます。  戦後、一部の特権階級を除きまして、全国民の生活困窮の度ははなはだしいものであり、ほとんどすべての家庭がその日暮しであると言つても決して過言ではございません。このような状態でありますので、一たび疾病、死亡あるいは失業等の事故が起りました場合に、たちまち窮乏のどん底に陥りましてはなはだしきに至つては一家離散、一家心中のような悲惨事が各所に起りつつあることは、同僚議員各位の御承知の通りであります。かかる状況を反映いたしまして社会保障制度確立を要望する声が全国にほうはいとして起つておりますことは申し上げるまでもございません。にもかかわらず、引続く吉田内閣の社会保障制度軽視の政策のために、国民の待望するものとははるかにかけ離れた状態にありますことは、まことに遺憾のきわみであります。(拍手)  この間、現行制度のもとで比較的よくその任務を果しておると考えられますものは健康保険制度でございます。全国数百万の労働者は、低賃金にあえぎつつも、本制度がございますために、最小限度の安心感を持ちまして毎日を過しておる状態でありますが、この健康保険法は常雇労働者のみに適用せられるものでありまして、いわゆる不特定の事業所に不定期に働く日雇労働者健康保険の恩恵を受けておらないのであります。ところが、これらの労働者は、たとえば安定所に働く自由労働者、あるいは何々組等に働く土建労働者、あるいはまた派出婦、看護婦等の人々でありまして、働こうとしても仕事があることがきわめて少く、また就労し得た日もはなはだしく低賃金でありまして、飢死一歩手前の生活をしておる人が大部分であります。従つて傷病、死亡、出産等の場合の困窮の度は想像に絶するものがあり、健康保険制度を必要とする度合いは、一般労働者よりもはるかに多いのであります。従つて、百万になんなんとするこれらの人々が適用を受けられる健康保険制度確立の要望が、この五、六年来ほうはいとして起り、陳情、請願その他、涙ぐましい努力が続けられておるのであります。  われわれは、この状態にかんがみまして、独立した日雇労働者健康保険法制定の必要を痛感し、かねてより立法の準備を進めて参つたのでありますが、ときあたかも厚生省において同様趣旨保険制度制定の準備が進められておることを聞き、心ひそかに百万日雇労働者のために喜びとしておつたのであります。しかるに、二十八年度予算の編成にあたり、再軍備に狂奔し、民生安定を無視する吉田内閣は、この原案から二十九億の保険給付国庫負担分を削り去り、わずかに三億円足らずの事務費のみを残したことは、心から遺憾とするところであります。(拍手)この骨抜きにされた政府案は、二月二十八日本院に提出せられ、同三日厚生委員会において趣旨弁明があつた後、同五日厚生委員会において質疑が開始されたのでありまするが、与党側は、翌日付託を予定されておりましたわれわれ両社会党提出法律案を待たずして当日中に採決を強行しようとしたことは、きわめて遺憾であります。(拍手)かかる情勢において、われわれは、即時、用意しました案を全文修正案として提出した次第であります。  次に修正案の内容を御説明申し上げるわけでありますが、時間の関係上、政府案とのおもなる相違点のみを申し述べたいと存ずる次第であります。  本修正案の政府案と相違する第一点は給付内容であります。政府案の内容はきわめて貧弱であり、ただ本人の療養給付あるいは療養費の支給、家族療養費の支給が三箇月に限つて行われるだけであり、ほとんど社会保険と言い得ないものであると言つても、あえて過言ではございません。その明らかな証拠には、本政府案についての社会保障制度審議会の意見書には、その給付内容が貧弱であるのは遺憾と言うほかはない、極言すれば、今日かかる制度を実施することは、将来社会保障制度を確立するにあたつて、かえつてその妨げとなるやの懸念さえないでもないと言つておるのであります。それに反しまして、本修正案では、療養給付あるいは療養費の支給、家族療養費の支給は、これを六箇月間に延長するとともに、傷病手当金、埋葬料、分娩費、出産手当金、保育手当金、家族埋葬料、配偶者分娩費、配偶者保育手当金の支給等の内容を持つものでありまして、必ずしも完全とは言えませんが、政府案にまさること数段であります。  この相違点について特に考えなければならない点は三つあるのでありまして、療養給付の三箇月と六箇月の差は最も重要であります。六箇月でもはなはだ不満足なわけでありますが、結核性疾患その他重病の場合、三箇月ではほとんど意味をなさないのでありまして、最小限度六箇月に延長することが絶対に必要であります。次に傷病手当金に関してであります。常用労働者と異なり、日雇労働者の場合は、病臥いたしました場合はたちまち生活ができなくなるのでありまして、この傷病手当金がない場合、おそらく本人は、幼い子供たちを食べさせるため、医師の指示にも従わずして、命がけではげしい労働をする場合が想像されるのでありまして、これこそは仏つくつて魂入れずという結果に陥るでありましよう。(拍手)さらに、分娩費、出産手当金等のない政府案は、女子労働者の特別な要素を顧慮していないものであり、はなはだしく片手落ちであると言わざるを得ないのであります。かくのごとき理由から、給付内容について政府案がほとんど意味をなさないことは明らかであり、必ずしも完全とは言えないとしても、修正案程度まで引上げる必要があることは、全議員のお認めくださるところであろうと確信するものであります。(拍手)  政府案と相違する第二点は国庫負担であります。これが第一点と密接不可分のものであることはもちろんでありますが、政府案の根本的な欠点がこの点に露呈されておるのであります。すなわち、政府案では事務費のみ国庫負担でありまするが、本修正案では、事務費のほか保険給付の二分の一の国庫負担規定してあるのであります。被保険者になるべき人々が生活保護法適用の一歩手前の困窮した状態にあります場合、生活保護法医療給付を受ける人々の自己負担が無償である点との均衡を考えまして、われわれは二分の一の国庫負担を当然と考えるものでありまして、その妥当であります点は、次に述べます社会保障制度審議会の意見書からも裏づけされておるのでございます。  社会保障制度審議会の意見書の中には、本案――これは政府案でありますが、本案がかかる貧弱なる内容をあえて許さざるを得なかつたのは、一にその保険給付に対する国庫負担が認められなかつたことに基く、これは、失業保険国民健康保険についてはその給付費に対しても国庫負担が認められていることとあわせ考える場合、まことに不公平である、本案制定にあたつては、まずこの点を改め、給付費についても積極的に国庫負担を行うことが必要であり、その給付内容もこれを一般健康保険と同等程度に引上ぐべきである、とあるのでありまして、二分の一国庫負担が必要であることは、これをもつて明らかであろうかと存ずる次第であります。  相違の第三点は、保険給付を受ける要件であります。政府案は二箇月に二十八日以上の保険料納入を要件といたしておるのでありますが、本修正案では二箇月二十四日以上、あるいは六箇月六十日以上のいずれか一方の要件を満たせばよいことになつております。本修正案こそは、まじめな勤労意欲を持ち、日雇健康保険適用を熱望いたしております人々が、一時的な偶然な就労日不足から適用を受け得ないことがあるという欠点を排除し、なお逆選択も十分に防ぎ得ると確信するものであります。  相違の第四点は、適用範囲の問題であります。政府案によりますと、適用事業所の職種と規模におきまして、なお相当の制限があるのでありますが、本案は、その二点につきまして最大限度に制限を緩和し、適用保険者の拡大をはかつておるのであります。さらにまた、本案をもつてしても自動的に適用できない人々、たとえば付添婦、看護婦等、患者であるただ一人の雇用主に雇用される場合を考慮いたしまして、第六章以下に、厚生大臣の認可を得た労働組合事業主と同様の事務を行い得るものとして、法律の欠陥のためにこの健康保険の恩恵を受け得ない者が一人でも少くなるような配慮をいたしておるのであります。幾分の技術的な困難に打ちかつ努力を捨てまして、日雇健康保険法案が通過した後においてすらその適用を見ない数十万の恵まれざる人々を見捨てて顧みようとしない政府案に対して、積極的に可能な限り多くの人々に健康保険適用せんとするわれわれの修正案が絶対にすぐれたものであることは、申すまでもないことと存ずる次第であります。(拍手)  以上で、最も主要なる修正点を申し述べた次第でありますが、明敏なる議員各位には、本修案が、国庫負担を二分の一にとどめた点と、被保険者たるべき日雇労働者の人々の家計状態を見まして、一就労日八円以上の保険負担が困難であります関係上、完全なる内容を整えておらないにせよ、内容空虚なる政府案に比して、はるかにすぐれたものであるということを認めていただけると信ずるものであります。現に厚生委員会討論において、与党側の委員の方が、政府案に賛成しながらも、修正案のよさを率直に認めて、政府案が成立した場合、可及的すみやかに修正案の内容まで引上げることを希望しておられたのでございます。  最後に申し上げたいことは、厚生委員会討論の過程中におきまして、本正修案に対する反対の論拠は、政府提出昭和二十八年度予算案が衆議院をすでに通過しており、当予算衆中にわずか三億足らずの事務費のみしか計上されていないから、三十五億の予算支出を必要とする本修正案には賛成できないということにあつたのであります。委員のほとんど全員が修正案のよりよきことを認めながら、さきに通過いたしました予算案に縛られて修正案が否決されましたことは、修正案を待望する百万の人々、家族を合せて約三百万の人人のために実に悲しむべきことであり、まことに遺憾千万と申さねばなりません。(拍手)このことは、重要法案審議以前に党利党略から予算案を強引に通過せしめた政府並びに与党の責任であり、まさに国会の審議権を無視しているものと断ぜざるを得ないのであります。(拍手)同僚の議員各位、特に与党の議員各位、あやまちを改むるためには、どのように急いでも早過ぎるこちはございません。われわれは、この修正案が政府案に比しはるかにすぐれたものであることを断固として確信いたしておりますとともに、すべての議員の各位が同じ判断をすでにしておられることを確信するものでございます。法案審議が無視されたあやまちを改むるために、予算案にがかわらず、決然として全員本修正案に賛成されんことを期待するものでございます。  本修正案が通過いたしましたならば、必ずや参議院は同調し、必要金額だけの予算案修正をして本院に回付して参るでありましよう。何も予算通過にこだわる必要はないわけであります。しこうして、本修正案が日の目を見ることによりまして、三百万の日雇労働者並びに同家族は、初めて愁眉を開き、後顧の憂いなく労働に邁進し、治山治水、道路建設、建築療養等の重要なる分野におきまして、国家再建により以上に貢献する結果を生むでありましよう。  諸君、諸君の決断のいかんによつて、重病のわが子を救わんとして、せつかくの生業を捨て身を売らんとする未亡人、絶望の果て愛する家族を道連れにして一家心中せんとする多くの人人を救い得るかいなかを決することを思い浮べていただきまして、全員決然として本修正案に御賛成くださらんことを心から期待いたしまして、趣旨弁明を終る次第であります。(拍手
  111. 大野伴睦

    議長大野伴睦君) 討論の通告があります。これを許します。堤ツルヨ君。     〔堤ツルヨ君登壇
  112. 堤ツルヨ

    ○堤ツルヨ君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま上程されました日雇労働者健康保険法案につき、政府案に反対、修正案に賛成をいたします。(拍手)  その理由の第一点は国庫負担の問題であります。わずか三億円を計上して事務費のみという政府案は、はなはだ不満であります。私たちの修正案は、給付費の二分の一の国庫負担を織り込み、その要請にこたえ、当然果すべき国の義務をまず打ち立てております。もちろん、当局としましては、われわれの修正案にやや近い二十九億の予算を大蔵当局に要求されたのでありますが、例の医療給付国庫負担を極度にきらう大蔵省のいつものたぐいに漏れず、あえなくも実現を期し得なかつた事情は同情いたしますが、(拍手)せめて要求額の二分の一でも確保することになぜ積極的な努力がなされなかつたか。大きく日雇労働者健康保険法と銘打つにはあまりにも売名的で、世論の圧力に抗しかねた政府が、いわゆる総花予算の一つとして、かつは人気取りの申訳に、形のみつくつてお茶を濁した程度のもので、(拍手)日雇労働者諸君に対し、かくも誠意を欠く欺瞞法案には、遺憾ながら賛成できません。(拍手)  その証拠に、委員会における自由党の委員の苦しい賛成討論を拝聴いたしましたが、政府原案の無為無策を論難され、党内事情が許すなれば、はたまた与党にあらざれば、重々われわれの修正案に同調したい意向だとうかがわれました。(拍手)また、改進党の山下議員の賛成討論を承つておりましても、ないよりはましであるから、文句は一ぱいあるが、賛成しておくよりしかたがないとのことでございました。われわれは、すでに本院おいて昭和二十八年度予算案審議の際に、その組みかえを要求して細目の中に財源を組み入れて政府に猛省を促して参りましたが、ただいま左派社会党の八木委員のお説の通り、政府は、本法を提出せず、無謀にも予算を多数の力で先議決定してしまつたのであります。もし政府に真の誠意があるならば、目下予算案は参議院において審議中であり、尽すべき手はありますから、善処されてしかるべしと思います。(拍手)  次に、第二点は、被保険者適用範囲であります。当初は九十五万人を対象として予算措置をしていたはずの政府が、八十五万人に縮小し、最後は、大蔵省のために、五十万人と、約半数に減少させられてしまつた点であります。しかも、五人以上の職場で日々雇い入れられる者に対して強制加入とし、これを適用しようとしているのであります。少くとも最低八十五万人を対象とするわれわれの修正案でなければ、その家族をも含めての保障ができません。すなわち、その理由は、半農半漁の労務者が多いため、政府当局としても明確な数字を把握できないと答えておりますが、現在職安関係日雇労務者四十二万、土建労働者四、五十万、零細企業労務者約三十万と推定されております。しかも、これらの人たちの扶養家族は平均三・二人であり、疾病率は、その仕事と生活から推して高いものと予想しなければなりません。現在土建業者間でつくられている保険掛金が、七百八十円でなお赤字続きである点が、明らかに疾病率の高いことを物語つているのでございます。対象五十万人では、日雇労働者の実数の三分の一程度でございまして、真に実施したとは認められない結果に終るでありましよう。(拍手)  また第三点は保険内容で、保険掛金一日十六円、保険給付療養給付のみで、しかも療養期間は三箇月、資格にしても就労日数二箇月通算二十八日以上となつております。大体、東京都などの大都市においても、日雇労務者の平均就労日数は、最近の統計では二十日前後であり、地方の小都市では平均十六、七日がいいときだとされております。以上の点を考えますと、十四日以下の労務者が非常に多いことが予想され、特にこれらの人々が真に本制度を渇望して参つたのであります。二箇月を通算して就労二十四日、六箇月六十日との親心を示しました修正案こそ、実情に即したものであり、日雇労務者の強い要求でもあります。(拍手)その他、毎日の働きによつて生活している人々であることを考えるとき、認定方式の不便なことや、事務手続の煩項なことなど幾多の問題点がございます。また、現に日雇労働者健康保険は、神戸、尼ケ崎、小樽の三市で、その市の自主的な負担で実施されておりますが、これらの実際の例を見ますと、資格期間は一箇月、就労日数十日であり、療養期間は六箇月、しかも給付内容は、単に療養給付にとどまらず、傷病手当、埋葬料、分娩費、保育、出産手当などをも実施いたしておりまして、その日のかてで食つて行く人々に現金給付の道を開いているのでございます。これらの点を取入れての私らの修正案は、日雇労務者の最低生活保障を真剣に考慮したものでございます。(拍手)  民生安定と経済自立が独立日本のかぎだと吉田内閣は常々言つておりますが、その経済自立の支柱たる労働者が、生活を打立てるために、また再建日本の一員として働くために職を求めても、働く場所と仕事を与えられず、失業者の群れは職安の窓口に日を追うて増加しつつあります。しかも、これらの人々が要保護の対象に転落して行く現実はおおうべくもありません。党内の紛争に寧日なく、内外に山積する国政を忘れて、主導権争いにうつつを抜かす、(拍手)崩壊寸前だと言われる自由党吉田内閣には望むべくもありませんが、先進国のそれのごとく、一日も早く社会保障制度を打立て、完全雇用、最低賃金制確立がなされなければなりますまい。しかるに、目下のところ何ら保障のない日雇労務者の現状は、同情に余りあるものがあります。「日曜とあぶれ続きで子に芋を与えてさとす日雇いわれは」、これは雨とあぶれに悲しむ日雇労働者の嘆きの一句であります。  ニコヨンと呼ばれる日雇労働者の、たつた一つの資本はからだであります。その資本であるからだを保護するために、日雇労働者健康保険制度設立は、すでに大正末期に、わが党の先輩賀川豊彦氏によつて提唱されて以来、切実な要求が続けられて参りましたけれども、前戦は一向に顧みられず、わずか先に実例を申し上げた三市で設置されたのみで、はなはだ遺憾でございました。昨年来、土建、日雇、付添婦、生知協等の組合の要求が遂に本法期成同盟をつくるところとなりました。私なども、女性の立場から、旅館に深夜まで汗する女中の方々、料理屋の仲居、芸者、女給、給仕等の細腕で働く人々が、一旦病に倒れたとき、何ら保障のない不安な状態で、生のからだを持つ人間のあすの悩みを何とかして政治の力で救つてもらいたいという陳情を、ここ数年承つて来たのを考えましても、まつたく同じ立場であろうと存じます。(拍手)これらの要請にこたえて、初めて政府が手をつけたのが本案でありますが、あまりにもおそまつで、年来の要望にこたえ得るものではありません。こいねがわくば、与党の方々も、二十八年度実施不可能ならば、二十九年度からということにしてでもというわれわれの意見を再度御考慮の上、修正案に賛成していただきたいと存ずるのでございます。(拍手)  最後に、政府に特に申し上げておきたいのは、現行保険制度に対するわが党の所見であります。国保あり、健保あり、共済組合あり、船員保険あり、今また加うるに日雇保険であります。個々別々に、一部の人々を対象として、その場当りの制度を雑木のごとく打立てて来ましたので、支離滅裂で、国庫の補助のごときも、あるいは薄く、あるいは厚く、同じ国民を取扱うに、医療施策だけでも不公平きわまる結果となつておるのでございます。(拍手)少くとも日本国民である限り、最も妥当と見られる国保一本の線にでこぼこを修正して、これを全国の市町村に義務づけ、強制実施せしめて、給付費を国庫負担となし、もつて社会保障の基幹たるべき医療保険を整備統合して、いまなお現行いずれの保険制度にも浴せざる三千数百万の一般大衆の悩みを一日も早く解消しなくてはなりません。職業、地域、階層、老若、性別のいかんを問はず、公平な一つの制度のもとに、全国民対象として抜本的施策が打立てられなければ、平和なる文化国家と民生の安定は期し得ません。行き当りばつたりの弥縫策を捨てて、社会保障制度を確立し、医療施策の万全を期されんことを切望してやみません。  以上をもつて原案に反対、修正案に賛成の討論を終ります。(拍手
  113. 大野伴睦

    議長大野伴睦君) これにて討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。まず本案に対する八木一男君外九名提出の修正案につき採決いたします。八木一男君外九名提出の修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  114. 大野伴睦

    議長大野伴睦君) 起立少数。よつて修正案は否決されました。  次に本案につき採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  115. 大野伴睦

    議長大野伴睦君) 起立多数。よつて本案は原案の通り可決いたしました。     ―――――――――――――
  116. 山崎岩男

    山崎岩男君 残余の日程延期し、明十三日定刻より本会議を開くこととし、本日はこれにて散会せられんことを望みます。
  117. 大野伴睦

    議長大野伴睦君) 山崎君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  118. 大野伴睦

    議長大野伴睦君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時五十五分散会