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1952-12-18 第15回国会 衆議院 本会議 第16号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十七年十二月十八日(木曜日)
議事日程
第十五号 午後一時
開議
第一
国有鉄道運賃法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
) ————————————— ○本日の
会議
に付した事件
日程
第一
国有鉄道運賃法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
)
昭和
二十八年
分所得税
の
臨時特例等
に関する
法律案
(
内閣提出
)
戦傷病者戦没者遺族等援護法
の一部を
改正
する
法律案
(
明禮輝三郎
君外九名
提出
) 午後二時三十五分
開議
岩本信行
1
○副
議長
(
岩本信行
君) これより
会議
を開きます。 ————◇————— 第一
国有鉄道運賃法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
)
岩本信行
2
○副
議長
(
岩本信行
君)
日程
第一、
国有鉄道運賃法
の一部を
改正
する
法律出
を
議題
といたします。
委員長
の
報告
を求めます。
運輸委員長逢澤寛
君。 〔
逢澤寛
君
登壇
〕
逢澤寛
3
○
逢澤寛
君 ただいま
議題
となりました
国有鉄道運賃法
の一部を
改正
する
法律案
について、
運輸委員会
における
審査
の経過並びに結果を御
報告
申し上げます。 まず本
法案
の趣旨を簡単に申し上げますると、最近
物価
は
横ばい
の
状態
でありまするが、
国鉄
の
物件費
中の大宗を占める
石炭
及び
電力
は値上りを示し、さらに
仲裁裁定
に基く
国鉄従事員
の
給与ペース
の
改訂
及び緊急とりかえを要する
施設
並びに車両の
復元
など、
経費
の増加に伴いまして、
国鉄財政
は収支の均衡を失し、このまま推移いたしますれば
国鉄
の健全なる運営を維持することが困難であると考えられるに
至つたの
であります。これに対処いたしまするのには、
国鉄
は
独立採算制
をと
つて
いる
建前
上、
運賃
の
値上げ
によりまして
増収
をはかるほか道はないのだありますが、現在の
経済状態
にかんがみ、大幅な
値上げ
は極力避けなければならないとの
見地
から、
償却不足
、
荒廃施設
のとりかえのための
経費
につきましては別途の
措置
を考慮することといたし、
運賃
の
値上げ
は
最小限度
にとどめ、一割
程度
の
増収
が得られるように
引上げよう
というのであります。 次に今回の
改正
のおもなる点を申し上げますると、
旅客運賃
並びに
料金
は、総体といたしまして、おおむね一割
程度
の
引上げ
をしようとするものであります。すなわち、三等
普通旅客運賃
の
賃率
は、
営業キローキロメートルごと
に、百五十
キロ
メートルまで一円八十五銭を二円十銭に、百五十
キロ
メートルを越え五百
キロ
メートルまで一円三十銭を一円四十五銭に、五百
キロ
メートルを越え一千
キロ
メートルまで七十銭を七十五銭に、一千
キロ
メートルを越える
部分
四十五銭を五十銭に、それぞれ改めることにいたし、これに伴い
航路運賃
並びに
急行料金
も
改正
することにな
つて
おります。
最低普通旅客運賃
及び
寝台料金
並びに
定期旅客運賃
の
割引率
は、いずれもすえ置きといたしております。なお現在
定期乗車券
は
通勤
、
通学
の二種でありまするが、今回
普通定期乗車券制度
を新設することといたしまして、
通勤定期旅客運賃
より
割引率
の低い
運賃
を定めるため、
所要
の
法律改正
をいたしております。また船室の
特別設備
に対する
料金
の設定につきましては、
法的根拠
を明確にするため、
所要
の
改正
を加えたのであります。 次に
貨物運賃
につきましても、おおむね一割
程度
の
引上げ
をいたすことにな
つて
おりますが、この際、従来懸案とな
つて
おりました
貨物等級表
を
改正
する
予定
とな
つて
おります。すなわち、
運賃負担力
及び
運送原価
に応じ、従来の九
等級
を十二
等級
といたし、別に
公共性
に基く
調整措置
といたしまして、日常不可欠の
消費物資等
につきましては
特別等級
三
等級
を設け、また
軽量かさ高貨物
につきましては
減トン制度
を復活する等、相当広範囲にわたる
改正
を企図いたしておるのであります。 なお、今回の
改正
は、
旅客運賃
は一月十五日より、
貨物運賃
は二月一日より
実施
せられることにな
つて
おることを申し添えておきます。 本
法案
は、本月六日
運輸委員会
に付託され、同八日
政府
より
提案理由
の説明を聴取し、爾来
委員会
を開くこと六回、その間、十日には
利害関係者
、
労働団体関係者
及び
学識経験者
の
意見
を徴するなど、慎重に審議いたしたのであります。本
法案審査
に
あたり
ましては、
運賃
の
値上げ
は
政府
の低
物価政策
と
矛盾
はしないか、
運賃値上げ
の
物価
、
国民生活
、特に
都市勤労者
に及ぼす
影響
、
減価償却費
、特別補充取替
費等
は多大に過ぎるのではないか、社会
政策
的、
経済政策的要請
に基いて著しく
原価
を割つた
運賃
の
減収部分
については、
政府
はこれを
一般会計
より補給すべきではないかという点について、活発な
質疑応答
がありました。さらにまた、
貨物等級表
の
改正
につきましては、きわめて熱心な
質疑
がありましたが、特に今次
改正
によ
つて
大幅の
値上げ
にならないように善処すべきである、
青函間貨物キロ
程は、この際すみやかに実
キロ
程に是正すべきであるという強い要望に対し、いずれも、
政府
及び
国鉄当局
は、これにつき
十分研究
の上善処するという答弁がありました。なお、その他の
質疑
につきましては
会議録
によ
つて
御
承知
を願いたいと存じます。 かくて、本月十二日
質疑
を打切り、同十三日
討論
に入りましたところ、
河本敏夫
君は改進党を代表して
反対
の
意見
を、
關谷勝利
君は
自由党
を代表して
賛成
の
意見
を、
熊本虎三
君は
日本社会党
を代表して
反対
の
意見
を、
永田良吉
君は
自由党
を代表して
賛成
の
意見
を、
松原喜之次
君は
日本社会党
を代表して
反対
の
意見
を、それぞれ表明せられました。 右をも
つて
討論
を終局し、ただちに採決の結果、起立多数をも
つて
、本
法案
は
政府原案
の
通り
可決すべきものと議決いたした次第であります。 以上御
報告
申し上げます。(
拍手
)
岩本信行
4
○副
議長
(
岩本信行
君)
討論
の通告があります。順次これを許します。
臼井莊一君
。 〔
臼井莊一君登壇
〕
臼井莊一
5
○
臼井莊一君
私は、改進党を代表いたしまして、ただいま
議題
とな
つて
おります
国有鉄道運賃法
の一部を
改正
する
法律案
に対し
反対
の意を表し、かつその
理由
を申し述べたいと存ずるのであります。(
拍手
) まず第一に、
政府
は、現在の
為替レート
を維持し、
国内物価
を
国際水準
に
さや寄せせん
とする、いわゆる低
物価政策
の方針を表明いたしておりますが、すなわち
国内
の
物価
を安定せしめて、でき得べくんばこれを安くして行こうという方針なるにかかわらず、今回の
国鉄
のごとく、
全国
にわたる
厖大
なる
運輸機関
の
運賃
を
引上げ
て
物価
を高騰せし
むるがごときことは
、
政策
の
矛盾
ではないかということを私
たち
は申したいのであります。(
拍手
)
石炭
の例をと
つて
みましても、ただいま
委員長
の御
報告
のありましたように、今回の
値上げ
の一つの大きな
理由
でありますが、
運賃
を
値上げ
すれば、
石炭
がまた上る。
石炭
が上れば、また
運賃
を上げる。また
生活費
が高くなれば
ベース
を上げなければならぬ。そうなると、また
運賃
も
引上げ
なければならぬということもあるのであります。そこで、
生活費
を
引上げ
るというようなことに対しては十分考えなければならぬ。すでに昨年十一月に
旅客運賃
を二割五分
引上げ
ました。また
貨物運賃
も三割
値上げ
しておりますが、今回さらに
本案
の
実施
を見ますと、終戦後実に七回の多きに至るのであります。ことに、昨年十一月の
改訂
は、
物価
が相当高騰したときでありますが、今回はそれと異なりまして、
先ほど
委員長
のお話の
通り
に、
横ばい
の
状態
でありますのでこの際
物価
の安定の上に重大なる
影響
を及ぼす
本案
の
実施
は適当なる時期でないと信ずるのであります。(
拍手
) 第二に、
国民生活
に対する圧迫の問題であります。この問題が一番重要なる問題だと考えます。
国民生活
の
水準
は、
全国
の
指数
九二%に対して、
都市
は八〇%という非常に低位にあるのでありますが、この
都市
の低い
生活水準
をさらに低める、そのような
都市勤労生活者
に対する
負担
をますます増加せし
むるがごときことは
、努めて避けなければならないと信ずるのであります。(
拍手
) 第三に、
国鉄運賃
は、
昭和
十一
年度
の基準から考えますと、現在
旅客
において百十倍であります。
貨物
が百六十倍。
一般物価
の三百二十倍に比すれば安いということは一応認められるのでありますけれども、これは、現在の
国鉄
の
推定建設費
約二兆余億というこの大きな
資産
を、国においてはわずかに八百億円という、ただ同然の価格で
政府
が
出資
しておりますがゆえに、
従つて一般物価
から比べて非常に安いということは、これまた当然なことであると信ずるのであります。
政府
は、
資金
がないからいたし方がないと申しますが、
本案
を
実施
しないで、その対策はどういうふうにするかということについて申し述べてみますならば、まず
工事費勘定
において、
借入金
が百十億、
減価償却
が三十七億、特別補充取替費が二百六十七億、そのほか
修繕費
が五百四十九億円ありますが、このうち特別補充取替費の二百六十七億というものは、
年度
内の
自己資金
による
経費
として支出することは不適当だと考えるのであります。これは、
政府
が
国鉄
を時価で
出資
したものと仮定しての
償却費
ということに
意味
があるのでありましようけれども、前述のごとく、事実においては安い
出資
でありまして、再
評価
も行われていない現在、かような
資産
に属すべきものであるというふうにも考えられるものに対して
償却費
として落すということは不適当であるということは、過日の
討論
におきまして、
社会党
の
成田議員
が、たしか御
指摘
にな
つた通り
であります。こういうようなものは、以前は、
政府
が、
財政資金
から、また
一般会計
から支出していたことは、そのとき御
指摘
になりました。 さらにこの点を繰返してみたいと思うのでありまするが、すなわち
昭和
二十
年度
から二十四
年度
に至る総額五百億円の
工事経費
のうち、
鉄道
の
自己資金
によつたものは、わずかに十八億にすぎなかつた。しかるに、本
年度
は、
工事費
のうち三百六億、これを
自己資金
によ
つて
おりまして、総
工事費
の七四%の多きに達しておるのであります。
従つて
、この特別補充取替費のうちから、本
年度
約百億をもし
営業費
のうちにまわすならば、
運賃
の
値上げ
もせず、また
国鉄裁定
を完全に
実施
し得るのであります。(
拍手
)さらに平
年度
においては、二百十五億を
営業費
にまわして、そうして
工事費
の足りないところは、
政府
の
財政資金
なり、あるいは
民間資金
の
借入れ
によるべきであると考えるのであります。また
国鉄債券
というようなものを発行することも必要でありましよう。
国鉄
の
資産
は、
先ほど
申し上げましたように、二兆一千何百億という
資産
があると推定されるのにかかわらず、その
借入金
は現在なお一千億に達しないのであります。
従つて
、
十分借入れ
の余力はあり余
つて
おると考えられるのでありますが、
国鉄当局
はあまり
借金
がお上手でないと見えまして——さらにまた
政府
も、十分これに対して支援を与えて、
公共企業
対としての
国鉄
に対して、財政的により一層のめんどうを見てしかるべきであると考えるのであります。
国鉄
が
公社
として
独立採算制
をとるということは、けつこうなことでありまして、
経営
の
能率
を
引上げ
、資本の浪費を排除し、
人事能率
の
向上
、あるいは機構の改革、
電化
の促進、さらにいろいろな
機械化等
、
経営
の
合理化
によ
つて採算
を有利にするということは、より一層努めていただきたいと存じまするが、しかしながら、単なるそろ
ばん
のみにとらわれて、
国鉄
が
公共企業体
であるということをないがしろにしてはならないと考えるのであります。いかにして
独立採算制
と
公共企業体
としての
公共性
との調和をとるか、
国有鉄道
の
経営
上、
国民福利
のために、いかにしてはかるかということが、
政治的手腕
を要するところだと考えるのであります。 そこで、当分は、
採算
のとれない新線の
建設
というようなものに対しては、
政府
の
出資
によるとか、あるいはまた
民間資金
を借りるならば、その利息を
政府
の
一般会計
より補充することとする、あるいは
通勤
、
通学等
の
定期料金
で
原価
を割る
部分
については、社会
政策
的な観点から、諸外国においてもその例を見るがごとくに、
政府
の
一般会計
から補給するのも一案と考えるのであります。その他、
国鉄職員
の方が、先般の
ベース
・アップの際に例示されたごとく、財源十項目にわたる約二百億円の捻出も可能とされている次第でありまして、
帳簿外
の財産、これが相当あるものと考える。これによ
つて
処理し得る部面がたくさんあると考えるのであります。 さらにつけ加えたいことは、今回
本案
とともに
貨物運賃
の
等級制
が
改正
になりまするが、この
内容
を調べてみますると、値段の高いものに対しては、むしろ
等級
を下げておく、しかるに、
国民生活
に必要なる
農産物
とか、あるいは
水産物等
に対しては高率にな
つて
おります。一応一割の
値上げ
といいながら、その
内容
を検討してみると、主剤、四割、五割というような
値上げ
がこの中に包蔵されておるということを先見したのであります。昨日
本案
が一日延期されまして、本日に延べられたゆえんのものも、この点につきまして、できるだけ
農林当局
と
運輸当局
との折衝によ
つて
、その
矛盾
なく、できるだけこれを下げたい、
従つて
、私
たち
は、
委員会
におきましては、
農産物
については
等級改正
と
値上げ
一割を合せて二割以上の
値上げ
をしてはならぬということを
希望条件
として付したのでありますが、今回折衝いたしましても、三割以上にはしないということに一応納得したようではありまするが、しかし、これにおいて私
たち
は満足するものではない。
農林当局
においては、より一層強腰にな
つて
、
国民大衆
に直接
生活
上必要なる
水産物資
あるいは
農産物
に対しての
運賃
については十分考えなければならないと考えるのであります。
国鉄運賃法
によ
つて運賃
を
改訂
する場合に、なぜそれでは
国会
の
承認
を要するかということは、単なるそろ
ばん
によりて、そのつじつまを合せる、
経費
がかかるから、ただ上げればいいと言う。それは、
国鉄当局
は
独立採算
という
建前
に立
つて
、そろ
ばん
を事務的にやられるでありましようが、しかしながら、これが
国民生活
にどういう結果を及ぼすかということを考えて、そうしてこれに
政治
的に考慮を加えて、
反省
を促し、
改訂
をさすべきものであるという
意味
において、
国会
の
承認
を要することにな
つて
いるものと私は信ずるものであります。
従つて
、
国民生活
に対する情ある
政治
を織り込まなければならぬと考えます。
政府
は、何かと申しますと、
資金
がない、
財政資金
が足りないと言いますけれども、しかし、過般の
補正予算
に対する
修正案
が上程されましたときに論ぜられたるごとく、二千七百億円からの、融通でき得る金があるということであります。すなわち、
政府
が
資金
がない、金がないと言うのは、
資金
、金にあらずして、
国民
に対する
愛情
がないということを、私
たち
は
指摘
したいと思うのであります。(
拍手
)
吉田総理大臣
は、古いことを思い出すようであるが、遺家族に対しても門前払いを食わせて、冬の寒い中を野宿させるとか、あるいは
抜打ち解散
をやるとか、あるいは選挙の公表まぎわに、同志である
石橋湛山
氏や
河野一郎
氏の首切りというがごとき不人情なることをやることが、一貫して
政治
の上に反映して、
池田通産大臣
が先般の暴言を吐くがごときことに至るという、その一貫せる不人情なることがすべてに現われたものだということを私は
指摘
したいのであります。(
拍手
)
従つて
、私は、今回の
国鉄値上げ
に
反対
し、いま少しく
国民
に対する
愛情
を持つべきであるという
政府
に対する
反省
を促して、
本案
に
反対
するものであります。(
拍手
)
岩本信行
6
○副
議長
(
岩本信行
君)
關谷勝利
君。 〔
關谷勝利
君
登壇
〕
關谷勝利
7
○
關谷勝利
君 私は、ただいま上程いたされております
国有鉄道運賃法
の一部を
改正
する
法律案
に対しまして、
自由党
を代表いたしまして
賛成
の
討論
を行うものであります。(
拍手
)
独立採算制
を堅持いたしておりまする
国有鉄道
が、
従業員
の
賃金
の
値上げ
、
石炭代
、
電力料金等
の高騰によりまするところの
赤字
を補填いたしまするために、
最小限度
の
運賃
の
値上げ
をいたしますることは、やむを得ざることでありまして、当然といわなければならないのであります。(
拍手
)
野党
の
諸君
は、一方におきましては
賃金
の
値上げ
を叫びながら、一方におきましては、その
賃金値上げ
を可能ならしむるための
運賃値上げ
に
反対
をいたしておるのでありまして、首尾一貫せざるものはなはだしいと申さなければならないのであります。(
拍手
) なおまた
野党
の
諸君
は、
運賃値上げ
を行わずして、
一般会計
からこれを補充しろと言うのでありますが、かくのごときは、
国家財政
の
現状
を知らざると同時に、さらにまた
国有鉄道法
の
独立採算制
の基礎を危うくするものでありまして、も
つて
のほかと申さなければならないのであります。(
拍手
) 現在、
野党
の
諸君
は、
日本国有鉄道
に対しまして、
国有鉄道法
の一部を
改正
しろと言
つて
おるのであります。その言
つて
おりまするところは何かと申しますると、
国有鉄道
は
独立採算制
を堅持するのであるから、
自主性
を持たせるというのが、その根本にな
つて
おるのであります。それにもかかわらず、この
自主性
を危うくするごとく、ことごとくを
一般会計
より繰入れろというのでありましたならば、
独立採算制
の意義はないのでありまして、
公社
に
なつ
たところの
意味
を失うのであります。そのようなことになるのであつたならば、
野党
の
諸君
が称しておりますところの
日本国有鉄道法
の
改正
は、
野党
の
諸君
みずからがくずして来るということに相なるのであ
つて
、
詭弁
を弄するもはなはだしいと申さなければならないのであります。(
拍手
) ことにまた、
鉄道運賃
が、今回の
値上げ
で高過ぎると言うのでありますが、
昭和
十一
年度
に比較をいたしました際に、
一般
の
物価指数
の三二〇に対し、
旅客
において一一〇、
貨物
において一六〇であります。(「
勉強
をしろよ」と呼ぶ者あり)
諸君
の方がもう少し
勉強
をしてください。(笑声、
拍手
)いかにこれが安いかということは、よくわか
つて
おるのでありまするが、しかも
公共性
ということによ
つて
、ことごとくを
国民
にしわ寄せしろというがごときことは、も
つて
のほかの
議論
といわなければならないのであります。
野党
の
諸君
はまた、過去におけるところの
施設
の
荒廃
を今日の
利用者
に
負担
せしめることが不当であると言うのであります。ところが、この
荒廃施設
の復旧は、本年一年だけ
負担
しろというのではないのでありまして、十箇年
計画
で、二十箇年で支払うことにな
つて
おる。これだけの
負担
を、過去のものは一切今の者は
負担
するな、こういうことになるのでありましたならば、
敗戦日本
の
経済
はわれわれの責任ではないのだから復興さすなという
議論
も出て来るのであります。
国家
の
再建等
は思いも及ばないことになるのでありまして、暴論もまたはなはだしいと申さなければならないのであります。(
拍手
) また
野党
の
諸君
は、この特別のとりかえ費二百六十七億円は、
資産
の再
評価
がしてないのであるから、これは償却すべきものではない、そうしてこれを
一般会計
から繰入れろというようなことを言
つて
おるのでありますが、再
評価
などのわずかの手続上の問題にとらわれる、形式的な
議論
にとらわれるがごとき、
国有鉄道
の
現状
を知らざるもはなはだしいと申さなければならないのであります。(
拍手
) なほまた、
社会党
の
松原
君
あたり
は、
原価
以下で
輸送
をいたしておるものは、ことごとくこれを
一般会計
で
負担
をしろうと言うのでありますが、このようにいたしましたならば、
国鉄
の
独立採算制
は、前申すように、根底からくずれて参るのであります。なおまた、そのような特別の安い
原価
で
輸送
をするものがあるがゆえに、固定
資産
税ある
柱事業税
その他の課税を免除いたしておるのでありまして、もし、そのように公共的に安くしたものを
一般会計
から補充するといたしまするならば、
国有鉄道
の
公共性
はなくな
つて
来る。
従つて
、税金もかけなければならない。そうな
つて
参りますと、自然に
運賃
が上
つて
来ることを知らざる、不
勉強
きわまる
野党諸君
の言であると申さなければならないのであります。なおまた、
松原
君
あたり
は何を申すかといえば、
委員会
におきまして、三割の
値上げ
なら
賛成
する、こう言うのであります。しかもまた、
運賃
の
値上げ
をしないために
従業員
にしわ寄せするなと言うのであります。その
内容
は、
反対討論
の
内容
でなくして、
賛成討論
の
内容
であります。
反対
せんがための
反対
をいたしますると、
賛成
の
内容
を持つた
反対
の
討論
の
内容
となるがごとき、
矛盾
もまたはなはだしき
討論
が出て参るのであります。(
拍手
) なおまた
熊本
君は、新
線建設費等
を
一般会計
から出しておるから
運賃
が値上りするのだということを言
つて
おるのでありますが、このようなことは、
借入金
で
国鉄
新線はできておるのであ
つて
、まさか
一般
の
営業費
から出しておるのでないことは、
熊本
君ほどの人は御
承知
のはずであろうと思うのですが、それを、ことさらそのように言
つて
おりますことは、
詭弁
を弄しておるものでありまして、
国民
を欺瞞するものと申さざるを得ないりであります 以上のように申して参りますると、
反対
する
理由
は何らないのでありまして、今回の一割
値上げ
は当然であ
つて
、
参考人等
も、ほとんど大
部分
が、やむを得ざる
運賃
の
値上げ
として、
賛成
をいたしておるのであります。なおまた、
値上げ
と
等級改正
とが同一時期に行われたために、一部相当の
値上げ
となるものもあるのでありまするけれども、これらに対しましては、
割引
その他の方法をも
つて
緩和をいたしてその期待に沿
つて
おるのであります。ことにまた
経済
、
産業
に及ぼす
影響
並びに
公共性
を考慮いたしまして
最小限度
の
値上げ
にとどめ、また北海道あるいは
鹿児島等
の、
遠距離
にして、
運賃負担
の大なるものに対しましては、
遠距離割引
をいたしておるのでありますさらにまた
通勤
、
通学等
の
割引率
に対しましては、世界一安い
運賃
でありまするけれども、
運賃率
をそのままにすえ置いておるのでありまして、
勤労大衆
の利益の擁護もいたしておるのであります。 このように考えて参りますると、この
法案
に対しては、こうも
反対
する
理由
はないのであります。
野党
が
反対
せんがために
反対
をしておるのでありまして、私はこの
運賃値上げ
に対して
賛成
の
意見
を申し上げた次第であります。(
拍手
)
岩本信行
8
○副
議長
(
岩本信行
君)
熊本虎三
君。 〔
熊本虎三
君
登壇
〕
熊本虎三
9
○
熊本虎三
君 私は、ただいま上程されております
国有鉄道運賃値
上案に対しまして、
日本社会党
を代表して絶対
反対
の主張をなさんとするものであります。(
拍手
) まずその
理由
の第二といたしまして、
先ほど
から
關谷
君が盛んに
独立採算制
を云々しておりますが、すなわち
国鉄自体
の
性格
というものを検討すべきであろうと考えます。
国鉄
は、
国家産業
の発展のための、また
国民生活
安定並びに
文化向上
の重要なる
機関
であることは、いまさらあらためて申し上げるまでもございません。(
拍手
)
従つて
、
国家公共
の
見地
に立脚して
経営
されなければならないことも、いまさら言うまでもありません。それゆえに、現在の
国鉄運用
の
内容
を見ましても、三百線区にわたるその中の八〇%に及ぶ二百六十線が
赤字経営
であるにもかかわらず、これに対して、
採算
を度外視して、誠意と熱意をも
つて
今日運転されておるのであります。さらに新
線開発
については、完成後何年の後に
採算
がとれるかとれないかを別にして、百二十五億を投じて、すでに着工中であります。今後さらに進んで、百数十にわたる
予定線
についても、
国家産業開発
のために緊要なるものからこれを
実行線
に移して予算化されるのでありましよう。代
つて
、
採算
を度外視して、
国家社会
の必要上
経営
されなければならない限り、その
建設
については
国家投資
をも
つて
原則としなければ相なりません。(
拍手
)特に、
戦争被害
のため補充とりかえ等に緊急を要する
費用
、一千五百六十億を越える
厖大
なる
負担
が
公社
に押しつけられておるのでありまして、しかもこれらの
経費
より支弁せんとするがごときは無暴もはなはだしく、言葉をかえていえば、従来
政府
の手によ
つて
生じた
借金
の
肩がわり
ともいうべく、まことに不都合千万であると断ぜざるを得ないのであります。(
拍手
) 第二の
理由
といたしましては、このような
国鉄
の
性格論
を別にいたしましても、現在の
経営方式
では絶対に
経営
は不可能であります。
先ほど
も申し上げましたように、新
線工事費
百二十五億、補充とりかえ費、すなわち
戦災復元費
一千五百六十億、これに
電化計画実施費
六百三十二億、合計二千三百十七億という
費用
が必要であるのでありますが、さらに各地から求められております新線並びに復線化及び
電化
の
実施
等を考えまするならば、現在のごとく
独立採算
偏重の
建前
では、とうてい
経営
は不可能であるといわなければなりません。(
拍手
)さればこそ、
先ほど
も話がありましたように、終戦後といえども、
政府
が直営の当時においては、五箇年間に五百億の金を
一般会計
から支出しておるのである。しかるに、本
年度
の当初予算を見まするならば、損益勘定の収入二千九十九億でありますが、その中に、修理費といたしまして五百四十九億、
償却費
三十七億、特別補充取替費二百六十六億、計八百五十三億円とな
つて
おるのでありまして、総収入の四割二分に当るのであります。さらに、これらに要しまする人件費を加算いたしますならば、優に総収入の五割以上のものがこれに充当されなければならない。かくのごとき不健全きわまる
経営
内容
のものは、他のいかなる事業にも断じて類例のない、危険きわまるものと断言しなければならないのであります。(
拍手
) 第三の
理由
といたしまして最近ようやく
物価
は
横ばい
傾向にありまして、われわれといたしまては、さらに
国民生活
の安定を確立するため、断じてこれ以上の
物価
の高騰は抑制すべきであると信ずるのであります。しかるに、今回の
運賃値上げ
は、ただちに他の公営及び民間
鉄道
等の
運賃
に累を及ぼすことは、火を見るよりも明らかな事実であります。それは、
政府
みずからが私鉄その他の
運賃
を規制いたしておるのでありますから、
国鉄
自身の
運賃値上げ
を
実施
しながら、他を押えるというわけには参らないのでありまして、過去七回の
国鉄
運賃値上げ
のことごとくの前例がこれを立証いたしておるのであります。さらにこれが
一般
生活
必需物資にはね返りまして、さなきだに
国民生活
は、いまだ戦前つの八〇%に及ばざるにもかかわらず、ますます逼迫のどん底に追い込み、社会不安を増大する根源となるのでありまして、私どもの断じて
賛成
し得ざるところでございます。(
拍手
)
理由
の第四は、今回の
運賃値上げ
の
内容
を見るに、まことに非社会的である、合法性を欠いておるという点でございます。それは、高級車
料金
はすえ置きといたしまして、定期券に特別高率の
引上げ
を行い、
通勤
者を初め
一般
勤労階級に
負担
を加重し、さらにまた
貨物運賃
に対しましては、
農産物
、米麦、わら、パルプ等の
輸送
に重圧を加えておるのでありますが、特に野菜、青果物等の空トンの生ずるものは四割以上の値上りとなり、まことに反動
政策
の暴挙なりと断言せざるを得ないのであります。(
拍手
)
理由
の第五といたしまして、特に不都合きわまることは、
運賃値上げ
の
理由
として、
国鉄裁定
に基く
従業員
のべース・アップを取上げておる点であります。これは、事情を知らない
国民
を欺瞞し、この責めを労働者に転嫁する以外の何ものでもありません。(
拍手
)この点は、裁定
委員会
の
理由
書にもありますように、現在の設備がすでに耐用年数を過ぎたるもの概算四千億、危険を予想されるもの一千六百億という老朽
荒廃
の設備を運用し、しかも、いかなる
産業
も追随を許さざる作業
能率
の上昇を示しておるのでありまして、すなわち
旅客
において戦前の三四二%、
貨物
において一九〇%という驚異的成績を上げていることは、何人も否定することのできない厳然たる事実であります。このことは、ひとえに
国鉄
従業員
諸君
の汗とあぶらの結晶とも言うべきものでありて、この努力に報うるに裁定案をも
つて
しては、なお安きに失すること、寸毫も疑う余地はございません。(
拍手
)
理由
の第六といたしましては、もちろん、われわれも営利を目的とせざる限りは、公共事業といえども、でき得れば受益者の公平なる
負担
により収支償う健全
経営
ができることを希望するものでありまして、その基本的問題を否定するものではございません。しかし、
先ほど
から述べましたごとく、
国鉄
の
現状
においても、単に
独立採算制
の名において、現在の受益者のみに
負担
を加重せんとすることは妥当ではないのであります。簡単にいえば、
政府
が責任を負うべき
復元
費及び将来の
利用者
が益すべき
施設
の
建設
費まで、現在の
利用者
が
運賃
の形で全都を
負担
するがごときは、苛酷にして不合理なる
措置
であると断言し、われわれは断じて
承認
できざるところであります。 なお
關谷
君が
委員会
においても言われた、
政府
の
一般
支出からということでありまして、その支出のできざることは了承しているなどと言つたのでありますが、私は、
委員会
に特に大蔵省当局の出席を求め、現在の
政府
の持てる余裕金は何ほどなるかをただし、それが二千数百億に達することは、
委員会
において大蔵当局が言明したところである。
關谷
君の言うがごときことは事実に相反するものであることを断言しておく次第であります。(
拍手
) 以上申し述べましたる六項目を主たる
反対
理由
といたしまして、わが党は
本案
に絶対
反対
を主張する次第であります。(
拍手
)
従つて
、
政府
に対しましては、
国鉄
追加予算の財源は財政余裕金より支弁するように要求するとともに、
国鉄
に対しては、
国家
治安の責任にある公安官の
経費
は
国家
警察へ組みかえ、
鉄道
用地の貸付料、高架線下の使用料を時価に
改訂
し、さらに不要不急の土地建物及び死蔵物品の処分等により数十億の
増収
をはかり、
経営
の
合理化
を促進し、も
つて
健全
経営
のために最善の努力を要求いたしまして、私の今回の不当なる
運賃値上げ
に絶対
反対
の
討論
を終る次第であります。(
拍手
)
岩本信行
10
○副局長(
岩本信行
君) 正木清君。 〔正木清君
登壇
〕
正木清
11
○正木清君 私は、ここに
議題
と相な
つて
おります
国有鉄道
運賃
改訂
法案
に対しまして、
日本社会党
を代表して
反対
をいたすものでございます。(
拍手
) まず、
反対
の趣旨を述べます前に、現在の
国有鉄道
の姿の中で、言葉をかえて申し上げますならば、
性格
の中で、
独立採算制
を基準とする
国鉄
の
経営
のあり方がどうでなければならないか、もう一点は、
国家
的な
性格
を持
つて
おります
公共企業体
としての
国鉄
が、いかなる姿でなければならないか、この二つの点を明確にいたしながら、私の
反対
の論旨を進めたいと思うのでございます。(
拍手
) そもそも
国鉄運賃法
第一条の
運賃
原則がいうところの
原価
を償う
運賃
というのは、
公共企業体
たる
国鉄運賃
の最高の基準であると同時に、最低の限度であるといわなければなりません。
従つて
、
公共企業体
といえども、企業体として
独立採算制
を原則とする以上、コストを無視して
経営
すべきでないことは、もちろん
議論
の余地はないのでございます。健全なる立場から見ましたる企業体としての
国鉄
のコストたる三割
値上げ
を、
政府
が一割に抑制いたしましたのは、
国家
の
産業
政策
上の要請でございます。また民生安定、すなわち低
物価政策
の結果であるとするならば、これより生ずる
国鉄
経営
上の欠損は、当然
国家
がこれを補填すべき義務があることは、
議論
の余地がないのでございます。ここにすなわち
国鉄
の
公共企業体
たるの
性格
が明確にされておるのでございます。しかるに、
政府
は、何ら根本的な、具体的な方策を示さず、
経営
難に苦しみまするところの
国有鉄道
当面の解決を、一割
運賃値上げ
によ
つて
一時を糊塗せんとするのが今回の
値上げ
の
法案
であること、
議論
の余地がございません。(
拍手
) 一体、
国鉄
の購買しつつありまする
石炭
、まくら木、鋼材その他の物資は、ほとんど自由なる
経済
価格でございます。
電力
といえども今や
採算
価格であることは周知の事実でございます。すなわち、
国鉄
の足は自由価格の上に立
つて
、
独立採算制
を強制されておるのが
国鉄
の姿でございます。しからば、その上体はどうかというと、
政府
の
政策
運賃
に縛られまして、実際上どうにも身動きができないというのが現実の
国鉄
の姿であるということを、われわれは真実に理解いたさなければらないのでございます。こうした不合理と
矛盾
のしわを、主として
従業員
の大量整理と低
賃金
によ
つて
切り抜けて来たのが、いわゆる
国鉄
企業の
合理化
の真実の姿であ
つて
、われわれの断じて容認しがたいところでございます。(
拍手
)現に、
国鉄裁定
の給与
ベース
は最低限度のものであると、仲裁
委員長
みずからが、過日の人事委員、労働委員及び運輸委員の連合
審査
会の席上においても言明いたしております。
国鉄
総裁もまた、適当なる裁定であると認めておるのであります。しかるに、
政府
は、この当然過ぎる最低限度の裁定すら完全
実施
を拒否しておるのでありまして、
従つて
これより生ずるあらゆる事態に対しては、公労法の精神をみずから蹂躙する
政府
当局が当然全責任を負うべきものであることを、私はこの議場において明確にしておく次第であります。 今回の
運賃
一割
値上げ
が、
政府
の言う低
物価政策
に沿うて、民生安定
向上
の一助となるかというと、決してそうではございません。現に、
運賃
改訂
の過日の公聴会における各公述人の大多数が
反対
の
理由
として取上げておることにおいても、また連日の各階層、各業界の、この
国会
に対する
運賃値上げ
反対
の陳情、請願を見ても明らかではございませんか。すなわち、
旅客運賃
中、勤労者の
生活
を脅かすもの、また
全国
で概算二十万人と推定されておりますところの
戦争被害
者である行商出荷組合員の
通勤
定期券におきましては、五割以上、すなわち十割近くも増されるのであります。しかも、
貨物
料金
におきましては、
等級
改訂
によ
つて
二割から三割、極端なる
貨物
では五割も
値上げ
するものもあるのでございまして、
従つて
今回の
改訂
は、
政府
の意図に反しまして、
物価
のつり上がりの好材料となります。
経済
安定の土台を破壊し、勤労
国民
階層の
生活
を脅かす結果となりますことは、これは火を見るよりも明らかでございます。 これを逆に
国鉄
経営
より見まして、一割
値上げ
によ
つて
健全
経営
が確立したかというと、決してそうではございません。
国鉄当局
の最初の要求でございますところの三割
値上げ
案は、すなわち
補正予算
の査定にあた
つて
、
政府
の低
物価政策
の名目のもとに一割にすえ置かれ、その結果、
国鉄裁定
十一月としなければならなかつたばかりでなく、戦災によ
つて
こうむつた
国鉄
の復旧工事、とりかえ補充費並びに
荒廃
復元
に要する財源については、
委員会
における大臣の答弁をも
つて
しても、何ら具体案を示しておらないではありませんか。
国鉄
の実態を知れば知るほど、
国鉄
の危機今日にありとの感を深くする次第であります。
従つて
政府
は、失うところいたずらに多くして、得るところきわめて少き今回の
改訂
案のごときは一応これを中止し、そのために生ずる
国鉄財政
の欠陥は
国家
の
負担
としてこれを
一般会計
より繰入れするという処理を私は心から望んでやみません。
政府
は、その財源なしと言う。しかし、これは私どもの是認しがたいところでありまして、われわれ
野党
三派は、これに要する財源を明らかにいたしておるのでございます。
国鉄
の根本的な解決、すなわち
国鉄
の健全な企業体を確立いたしまするただ一つの道は、
独立採算制
と
政策
運賃
との関係、換言すれば、
経営
運賃
と
政策
運賃
との関係並びにその合理的処理の問題を抜本塞源的に解決することでございまして、この際
国鉄
の健全なる恒久対策をすみやかに樹立すべきことを、
政府
と
国鉄当局
に向
つて
、ここに強く勧告するものでございます。(
拍手
) 風上の
理由
によ
つて
、私は本
運賃
改訂
案に
反対
をいたす次第でございます。(
拍手
)
岩本信行
12
○副
議長
(
岩本信行
君) これにて
討論
は終局いたしました。 採決いたします。
本案
の
委員長
の
報告
は可決であります。
本案
を
委員長
報告
の
通り
決するに
賛成
の
諸君
の起立を求めます。 〔
賛成
者起立〕
岩本信行
13
○副
議長
(
岩本信行
君) 起立多数。よ
つて
本案
は
委員長
報告
の
通り
可決いたしました。 ————◇—————
久野忠治
14
○久野忠治君
議事日程
追加の緊急動議を
提出
いたします。すなわち、
内閣提出
、
昭和
二十八年
分所得税
の
臨時特例等
に関する
法律案
を
議題
となし、この際
委員長
の
報告
を求め、その審議を進められんことを望みます。
岩本信行
15
○副
議長
(
岩本信行
君) 久野君の動議に御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
岩本信行
16
○副
議長
(
岩本信行
君) 御異議なしと認めます。よ
つて
日程
は追加せられました。
昭和
二十八年
分所得税
の
臨時特例等
に関する
法律案
を
議題
といたします。
委員長
の
報告
を求めます。大蔵
委員会
理事川野芳滿君。
昭和
二十八年
分所得税
の
臨時特例等
に関する
法律案
(
内閣提出
)に関する
報告
書 〔最終号の附録に掲載〕 ————————————— 〔川野芳滿君
登壇
〕
川野芳滿
17
○川野芳滿君 ただいま
議題
となりました
昭和
二十八年
分所得税
の
臨時特例等
に関する
法律案
について、大蔵
委員会
における審議の経過並びに結果について御
報告
申し上げます。 この
法律案
の提案の趣旨は、
政府
の説明によれば、数次にわたる減税と
合理化
に引続き、
昭和
二十八
年度
におきましてもこの方針を継続し、
国民生活
の
向上
と資本蓄積等に資するため、税制の
一般
的
改正
を行うこととし、これを前提として、さし
あたり
昭和
二十七
年度
補正予算
に関連して所得税
負担
の軽減
合理化
を行うため臨時特例を設けようというのであります。 次に
内容
について申し上げますと、
昭和
二十八年一月から三月までの間に支給される給与所得及び退職所得につきましては、明
年度
改正
を
予定
いたしております控除及び税率によ
つて
計算した源泉徴収税額により源泉徴収することといたしております。すなわち、この源泉徴収税額は、基礎控除の額を現行五万円から六万円に、扶養控除については最初の一人につき現行二万円から三万五千円に、勤労控除の最高限を現行三万円から四万五千円にそれぞれ
引上げ
るとともに、社会保険料控除の制度を設け、さらに税率について、特に低額所得者に対する
負担
の軽減をはかるため、一部引下げを行
つて
計算いたしておるのであります。次に、このうち社会保険料の控除につきましては、特に
昭和
二十七年分の所得についてもこれを認め、本年一月にさかのぼ
つて
控除するというのであります。 以上の諸控除及び税率の
改正
の
措置
によりまして、
政府
の説明によれば、所得税の
負担
は相当軽減されるというのであります。たとえば月収七千円の独身者の場合について申し上げますと、現行の
負担
額月三百五十六円が九十一円とな
つて
七四%の軽減となり、月収一万五千円の夫婦の場合には、現行の
負担
額月千三百九十六円の税額が七百八十一円にな
つて
、約四四%軽減され、また月収二万円の夫婦、子二人の場合には、現行月千七百五十円が九百八十一円とな
つて
、約四三%軽減され、これらの
改正
により、源泉徴収の所得税において約二百二十九億一千百万円、申告納税の所得税において一億二千百万円、合計二百三十億三千二百万円の減税となるというのであります。 最後に、
昭和
二十七年分の所得税につきましては、申告納税の一層の改善充実に資するため、従来確定申告書の
提出
期限及び第三期分の納期限が二月末日とな
つて
いましたのを、三月十六日まで半月間延期することといたそうというのであります。 以上がこの
法律案
の提案の趣旨並びに
内容
でありますが、この
法案
は、去る十一月二十四日、本
委員会
に付託せられ、爾来慎重審議を絖けて参りました。その間の
質疑
内容
の詳細につきましては速記録にこれを譲りたいと存じますが、
質疑
の間において、
政府
は、この減税を、次の
国会
において、明年申告所得者にも及ぼし、平
年度
化することによ
つて
、所得税は約八百億円の減税となるということが明かにせられました。 次いで、本日
質疑
を打切り、ただちに
討論
を省略して採決に入りましたところ、
本案
は起立多数をも
つて
原案の
通り
可決すべきものと決しました。 以上、簡単でございますが、御
報告
申し上げます。(
拍手
)
岩本信行
18
○副
議長
(
岩本信行
君)
討論
の通告があります。順次これを許します。中崎敏君。 〔中崎敏君
登壇
〕
中崎敏
19
○中崎敏君 私は、
日本社会党
を代表して、ただいま
議題
とな
つて
おります
昭和
二十八年
分所得税
の
臨時特例等
に関する
法律案
に対して
反対
の意を表明せんとするものであります。(
拍手
) わが国の現行の租税制度は、国情に沿わないところの模倣の制度であるのであります。自由主義の
政策
によりまして、中産階級が没落し、大資本家が跳梁跋扈いたしまして、貧富の懸隔がはなはだしくなり、まさに時代逆行の奇現象を呈しておるのであります。特需を除くわが国の
産業
は萎縮し、貿易は不振をきわめ、金融は枯渇し、インフレは進行いたしまして、憂うべき事態を惹起しつつあるのであります。ことに中小企業者は、まことに涙なくしては見得ないような実情に置かれておるのであります。独立後初の機会において、中央地方を通ずる税制の大改革をなすべきときでありまするが、
政府
、与党はいたずらに派閥抗争に終始いたしまして、醜を天下にさらし、
国民
の期待を裹切
つて
おるのであります。 憲法第二十五条によ
つて
、すべての
国民
は健康にして文化的な最低
生活
を営む権利があるのであります。その最低
生活
さえも保障されていないのに、これらの階級に課税することは、きわめて不適当であるといわなければならぬのであります。(
拍手
)現下の
経済
事情から見て、一家扶養家族三人を含むところの家庭においては、最低
生活費
を二万円
程度
と見ることは決して不当ではないと思うのであります。今回の
政府
案によりますれば、給与所得の最低限度は、現行十三万円に対しまして十六万五千円
程度
に
引上げ
るのでありますから、その控除率は二割一分にすぎないのであります。これに対しまして、給与
ベース
は、大体においてこれとほぼ同
程度
に引上
つて
おるのでありまするから、実質的には何らの減税とならないのであります。一千億円を減税するという
政府
、与党の公約は、羊頭狗肉の選挙対策にすぎないといわなければならぬのであります。(
拍手
)今後インフレはさらに進行し、
勤労大衆
の
生活水準
を引下げざるを得ない見通しにおいて、実質的な減税を行うがためには、少くとも月収二万円
程度
の家族に対しましては非課税とすべきものであるということを主張したいのであります。(
拍手
)
政府
は申告所得には弾力性がないというが、これは、
自由党
内閣が多年にわたり中小企業者、農民、漁民等の大衆に対し苛斂誅求の結果、所得の源泉を枯渇せしむるに至つたことを物語るものであります。現に、
政府
は今回の
補正予算
編成にあた
つて
、源泉所得額を当初予算額よりも二百三十三億円の減収と見ておるのでありまするが、これは明らかに中小企業者、農民、漁民等の
勤労大衆
に対し最後の一銭まで取上げた罪悪の結果だといわなければなりません。(
拍手
)私は、申告所得者に対しましても、源泉所得者と同様に勤労控除をなすべきものと信ずるのであります。もちろん、中小企業者の育成は、税金対策のみによ
つて
十分だとは言えないのでありまするが、少くとも今回の税制
改正
によ
つて
、源泉所得者に対しましては二百二十九億円の減税に対しまして、申告所得者に対しましてはわずかに一億円の減税にすぎない点を考えてみますと、中小企業者、農漁民等の大衆に対し正しい理解を持
つて
おるとは言えないのであります。
政府
与党は、口を開けば減税を吹聴し、過般の総選挙においても一千億円の減税を公約したが、今回わずかに二百三十億の名目的な減税にすぎないということを考えてみるならば、思い半ばに過ぎるものがあるのであります。(
拍手
) 一方、インフレによる
生活水準
の引下げの代償として、また申告所得者に対して末端税務官吏の行き過ぎ徴税によりまして、さらにまた不当に高い間接税の増徴によ
つて
自然
増収
をはかり、その名に隠れて税金を増徴するのが、
政府
の常套手段であるのであります。あたかも右のほおをなでて左のほおをなぐるの類であ
つて
、羊頭を掲げて狗肉を売るのたぐいといわなければなりません。(
拍手
)また法人税の場合においても同様でありまして、中小法人のごとく、その
資産
の
内容
に弾力性がなく、
資金
調達の道もとざされ、担税力の少いこれらの法人に対し、五割も十割も配当するような大きなる法人並に四割二分の課税をするのは、実に残酷きわまるものといわなければならぬのであります。よろしく中小法人に対しましては三〇%
程度
に税率を引下げ、大きなるこれらの法人に対しましては、現行四二%の税率をさらに引上ぐべきものだと考えるのであります。 租税は、
負担
能力のある者からこれを徴収いたしまして、万人にそのところを得せしめ、社会正義と公平の観念を徹底しなければならないのであります。福祉
国家
の実現のためにも、かくすることによ
つて
初めて目的を達するといわなければならぬのであります。
政府
は、
国家
公務員や
公共企業体
労務者の
賃金
を値切ることにきゆうきゆうとし、農民、漁民、中小企業者に対し苛斂誅求を事とし、大衆怨嗟の的となるよりも、自由主義
政策
のそでに隠れて、すくすくと太りつつあるところの大資本家に対して適正課税することこそは、社会正義の命ずるところといわなければならぬのであります。 本来ならば
修正案
を出すべきでありまするが、
本案
審議のさ中に
補正予算
が通過したことと、社会主義
政策
を織り込んだ労働者、農民、漁民、中小企業者等の
勤労大衆
に対する課税の軽減と、高額所得者に対しては最高七〇%
程度
の課税をなすことを提案し、また地方財政の独立と円滑なる運営を期するための中央地方を通ずる全面的税制改革の含みを残しまして、本
法案
に
反対
するものであります。(
拍手
)
岩本信行
20
○副
議長
(
岩本信行
君) 淺香忠雄君。 〔淺香忠雄君
登壇
〕
淺香忠雄
21
○淺香忠雄君 ただいま上程となりました
昭和
二十八年
分所得税
の
臨時特例等
に関する
法律案
につきまして、私は
自由党
を代表いたしまして
賛成
の意を表するものでございます。(
拍手
) 本
法律案
の
内容
については、
委員長
より
報告
のごとく、基礎控除並びに扶養家族控除額の
引上げ
、さらに勤労控除の限度額の
引上げ
、その他の軽減
措置
によりまして、さしあた
つて
今回の
補正予算
において合計二百三十億円余の減税となるのでありますが、しかも、これらの軽減は来
年度
一箇年を通じて断行される見込みでありまして、その減税総額は約八百億円と見込まれておるのであります。
野党
の
諸君
は、よく、税法上の減税はや
つて
も、自然
増収
を見積
つて
いるから減税にはならないなどと言
つて
おられるが、減税ということは、税法上の減税のほかには断じてありません。税を下げても、
国民
経済
が発展し、
国民
全体の収入がふえれば、それだけ税の収入も多くなることは、これまた当然過ぎるほど当然のことであ
つて
、減税しても国の税収がその割に減らないということは、とりもなおさず生産がふえ、これによ
つて
国民
所得の増加を来し、
政府
の
経済
政策
に誤りのなかつた証左であります。(
拍手
)
従つて
、それだけ
国民
の暮しのよく
なつ
たことを示すものでありまして、一層喜ぶべきことであります。 特に、今回初めての
措置
として、
国民
健康保険及び健康保険等の保険料や、公務員等の共済組合の共済掛金等の支払金、すなわち社会保険料を所得から差引いて免税しようとするのであります。私どもは、
国民
健康保険や共済組合の制度は、社会福祉制度の大きな一環として、
政府
の積極的な施策の一つとして今日まで取上げて参つたのでありますが、今回は税制の一面からもこの発展及び促進の方途が講ぜられましたことは、まことに時宜に適した
措置
と考えます。 わが党は、かくのごとく、公約の
通り
国民
の租税
負担
の軽減につとに重点を置いて参り、数次にわた
つて
減税を行
つて
参つたのでありますが、さらに今回の諸控除及び税率の
改正
によ
つて
、
国民
の所得税
負担
は著しく軽減されるのであります。わが党は、
野党諸君
の言われるがごとき空虚な言論に終始することなく、あくまで現実に即し、公約の一つ一つを堅実に実現せんとするものでありまして、過去の実績はこれを如実に示しており、わが党の態度と実行力とを雄弁に物語
つて
いると信ずるのであります。(
拍手
)しかしながら、わが党はこれで決して満足しているものではありません。なお今後におきましても、他の施策と相ま
つて
、
国家財政
の許す限り、さらに一段の減税について着々その方策を立てつつあり、ますますその方向に立
つて
強力に一歩々々その施策を推進して行くことを深く念願しておるものであります。
従つて
、今回のごとき所得税について特別の
措置
を講じ、臨時特例を設け、特に低額所得者に対する
負担
の軽減をはかろうといたしましたことは、きわめて適切な
措置
でありまして、
本案
に対し私は心から
賛成
の意を表し、
討論
を終るものであります。(
拍手
)
岩本信行
22
○副
議長
(
岩本信行
君) 佐藤觀次郎君。 〔佐藤觀次郎君
登壇
〕
佐藤觀次郎
23
○佐藤觀次郎君 ただいまの
委員長
の
報告
に対しまして、
日本社会党
を代表して
反対
するものであります。 現下
国民
の一番苦しんでおる問題は、
政府
の
経済
政策
の失敗から深刻な不景気に襲われておることでございます。
従つて
、今や歳末を控え、ゆゆしき
状態
にな
つて
おるのであります。しかも、この不況にあ
つて
、重税に耐えかねて、差押え、倒産のうき目を見ている者は、その数日に日に増し、税の苛斂誅求に
国民
は泣いておるのであります。このときに
あたり
、
政府
は七百億円余の自然
増収
を得て、今日臨時特例を設けまして、常日ごろの公約を果したなどと言
つて
おるのであります。吉田内閲は、口を開けば減税、一千億円の減税ということを言
つて
おるのでありますが、はたして
国民
がこの減税を言葉
通り
に受取
つて
おるでございましようか。(
拍手
)今日われわれのちまたにおいて接する声は、どこに参りましても、税金の苦労と不景気に泣いておることであります。現内閣の施策の失敗は、一部の資本家や
政府
の御用向きの事業家にはけつこうでございますが、これを支持する者はほとんどございません。当局は、
物価
高を幸いにして、水増しの
国民
所得を見積
つて
、そこから多く取過ぎて、これを返しておるのであります。つまり、多く取過ぎた中から、これを手元に返してやるというような、まことにたわいのない減税でございます。(
拍手
) そもそも今回の税法
改正
の基本線は、かのシヤウプ勧告案を一部訂正したものでございます。わが国の税法に対しまして、シヤウプ勧告案がよい企てと
影響
を与えたことを私は知
つて
おります。しかし、第一に、資本蓄積のために、勤労者、中小企業者を犠牲にして、大資本に奉仕したというところに大きな欠点があります。第二は、日本の特殊事情を考えずに、地方財源の苦しい
状態
を考えずに、地方
財政資金
の枯掲を来しておる点でございます。第三は、二百万円以上の高額所得者に対し、あるいは法人税に対して多大の軽減をいたしたために法人の脱税となり、また二百万円以上の累進課税をやめた結果、高額所得者に多大の利便を与えた点でございます。 かかる基本に立つたシヤウプ勧告案を原案として、これを金科玉条にして、すずめの涙ほどの減税をしたのが、今日の減税案でございます。この根本は、中小企業者、農民、勤労者の所得を水増しして、これに多大の高い税金をかけて、税法上の減税で、これを減税だ減税と言われておるのが、吉田内閣のやり方であります。今日の
物価
高や、俸給
生活
者の所得増加の関係で、その自然増加を来したのでございまして、決してこれはほんとうの減税にはならないのでございます。これは結局において、取過ぎた税金を返すことによ
つて
減税だ減税だと言うのであ
つて
、これが現在の吉田内閣の公約でございます。 今日、多くの給料所得者あるいは中小企業者が地方税との二重課税に泣いているのをわれわれは知
つて
おるのであります。われわれは、中小企業者、農民に勤労控除を認めなければ、少くとも基本控除を八万円
程度
に
引上げ
る。また
物価
の高騰しておる今日、扶養控除を一人について五万円、勤労控除は六万円
程度
に
引上げ
てこそ初めてわれわれは給料所得者の
生活
が助かると思うのでございます。こういう点でこそ初めて減税一千億が事実にな
つて
現われるのでございまして、今日富裕税をやめると言
つて
おりますが、われわれは、こういうような税金をもつとと
つて
、そうして下級の人の税金を減らしてこそ税の公平というべきであると思うのであります。今日、大会社の税のがれの濫費、法人の脱税行為に対して、まじめな納税者は税に対する不平を大いに訴えておるのであります。よろしく税法の
改正
は、大蔵省の机の上でなくして、明瞭にして抜本的な方法によ
つて
や
つて
こそ真の減税なりと私は考えます。(
拍手
) アメリカやイギリスのような国と違いまして、わが日本の国は複雑多岐でございます。こういうような日本の国において、外国そのままの税法も持つ来て、そうしてこの税法を適用するということは、やはり無理な点があり、そして末端の税務署の官吏が、時の事情を知らずして、今日
国民
に多大の迷惑をかけておるのであります。こういうような点を考えまして、少くとも減税は、真に
国民
がまじめに税金を納められるような
程度
に考えてこそ、私
たち
は減税の目的が達せられると考えるのでございます。 こういう点につきまして、われわれは真の減税には
賛成
ではございまするが、今日の
自由党
の減税は口先だけの減税でございまして、われわれ
社会党
が考えておる減税でないという点において、
本案
についてわれわれは
反対
するものでございます。われわれは、かかる税法に対しまして、当局が低額所得者の税金を軽減するために、もつと真剣に考えることを提案いたしまして、
本案
に
反対
するものであります。(
拍手
)
岩本信行
24
○副
議長
(
岩本信行
君) これにて
討論
は終局いたしました。 採決いたします。
本案
の
委員長
の
報告
は可決であります。
本案
を
委員長
報告
の
通り
決するに
賛成
の
諸君
の起立を求めます。 〔
賛成
者起立〕
岩本信行
25
○副
議長
(
岩本信行
君) 起立多数。よ
つて
本案
は
委員長
報告
の
通り
可決いたしました。(
拍手
) ————◇—————
戦傷病者戦没者遺族等援護法
の一部を
改正
する
法律案
(
明禮輝三郎
君外九名
提出
)
久野忠治
26
○久野忠治君
議事日程
追加の緊急動議を
提出
いたします。すなわち、
明禮輝三郎
君外九名
提出
、
戦傷病者戦没者遺族等援護法
の一部を
改正
する
法律案
を
議題
となし、この際
委員長
の
報告
を求め、その審議を進められんことを望みます。
岩本信行
27
○副
議長
(
岩本信行
君) 久野君の動議に御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
岩本信行
28
○副
議長
(
岩本信行
君) 御異議なしと認めます。よ
つて
日程
は追加せられました。
戦傷病者戦没者遺族等援護法
の一部を
改正
する
法律案
を
議題
といたします。
委員長
の
報告
を求めます。厚生
委員長
平野三郎君。 ————————————— 〔平野三郎君
登壇
〕
平野三郎
29
○平野三郎君 ただいま
議題
となりました
戦傷病者戦没者遺族等援護法
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、厚生
委員会
における審議の経過並びにその結果を御
報告
申し上げます。 終戦後、軍人軍属が内地に帰還しました場合は、その上陸地において復員手続を終了した後帰郷せしめていたのでありますが、その帰郷の途次において、自己の責めに帰すべからざる事故によ
つて
死亡し、または傷を受け、もしくは疾病にかかるような事例が起
つて
おるのであります。たとえば、済州島第五十八軍隷下を離れて
昭和
二十年十月二十五日佐世保港に上陸した復員部隊のうち、四国方面へ帰還する二百数十名の軍人軍属が、同年十一月六日尾道から第十東予丸に乗船したところ、愛媛県越智郡六ツ瀬灘において猛烈な突風に襲われ、該船舶は転覆、遂に乗客三百九十六名が遭難溺死するに
至つたの
であります。これらの人々は、形式的にはすでに復員が完了しているため、
戦傷病者戦没者遺族等援護法
の適用がなく、同法の援護を受けることができないのであります。単なる形式的
理由
によ
つて
、他の
一般
戦没者遺族等と差別的取扱いを受けているこれらの遺族に対しても本法の援護を受ける道を開こうとするのが、本
法律案
提案の
理由
並びにその大要であります。 本
法律案
は、十二月十七日、本
委員会
に付託せられ、本十八日、提案者を代表して
明禮輝三郎
君より
提案理由
の説朋を聴取した後審議に入り、
討論
を省略して採決に入りましたところ、本
法律案
は全会一致をも
つて
可決すべきものと議決した次第であります。 右御
報告
申し上げます。(
拍手
)
岩本信行
30
○副
議長
(
岩本信行
君) 採決いたします。
本案
は
委員長
報告
の
通り
決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
岩本信行
31
○副
議長
(
岩本信行
君) 御異議なしと認めます。よ
つて
本案
は
委員長
報告
の
通り
可決いたしました。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時十五分散会